#ぼくは明日、昨日のきみとデ���トする
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geniusbeach · 5 years ago
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絶望のパレード
 魂がうわついている。まるで自分が自分でないみたいだ。ここしばらく意識は常に前方斜め下で、歩いているのは抜け殻か尻尾のようなものである。いつから、そしてなぜそのようになってしまったのだろうか。正月にかこつけて内省的になってみる。
 昨年の初めに私家版詩集を刊行した。それまでに書き溜めた僅かな詩編を、2人の詩人と編集者、美術家とともに共著の形でまとめた。処女詩集にして全集のようなおもむきがあるけれども、自分としてはそれでよい。稲垣足穂風に言うなら、以降に自分が書くものはその注釈かバリエーションに過ぎないということだ。共著者と編集者が営業に奔走してくれ、関西の大型書店のみならず、関東の書店にも置いてもらうことができた。ありがたいことに帯には人類学者の金子遊氏が一文を寄せてくださった。個人的には、自分の高校時代からの読書遍歴を決定づけた恵文社一乗寺店に置いてもらえたこと、そしてそこで一度品切れになったことが大変嬉しかった。これで一地方のマイナーポエットになることができたという感じがある。それ以上は望まないが、この営みは細々と続けていくつもりだ。
 詩集に関するあれこれが落ち着いてからは、英語の学習に明け暮れた。一昨年は仕事で繁忙を極めており、勉強どころか読書も満足にできなかったため、それを取り戻すように必死にやった。おかげで昨年度中の目標としていた点数を一発で大きく上回ることができ、すぐに違う分野へ手を出した。次はフランス語であった。気合を入れて5000円もする参考書を買い、基礎からやり直していった。ところがその参考書、誤植があまりにも多く、解説も非常に不親切で、ページをめくるのが億劫になり早々にやる気を失ってしまった。なんとも情けない話である。新しい参考書を買う気もなくなり、漢字の勉強へシフトしたところ、こちらはうまくいった。徐々に、平日はカフェで、週末は図書館で勉強するスタイルが出来上がっていった。その間も読書は続け���昨年で40~50冊程度は読むことができた。
 秋ごろには面白い出会いがあった。実存的な不安が高まったこともあり、有休を取って哲学の道を散歩していたところ、海外からの観光客に、掛かっている看板の意味を聞かれた。訛りのある英語だったため、フランス人ですか? と問うと、そうだとの答え。自分がわずかばかりフランス語が話せるとわかって意気投合し、3日間観光ガイドのようなことをした。彼の名はムッシュー・F、ひとりで日本にバカンスに来て、東京でラグビーの試合を見たりしたとのこと。七十を超える高齢だが、つい最近まで自分もラグビーをしていたと話すエネルギッシュな人物で、全く年齢を感じさせない。パリで会社を営んでいるそうで、これが私の家だと言って見せられたのは、湖畔に浮かぶ大邸宅の写真であった。週末には森を散歩したり、湖にモーターボートを浮かべたり、馬に乗ったりしているよと言う。もちろんそれらは全て私有(森や湖でさえ!)、モノホンの大金持ちである。京都では一緒にカフェに行ったり、大文字に登ったり、うどんをご馳走したり、孫用の柔道着を探したり、旅行の手配を手伝ったりした。是非フランスにおいでと言い残し、彼は去った。それから今でも連絡を取り合っている。実に50歳差の友人ができた。
 かつて自分は、日本で日々を平穏に過ごしながらたまに外国語を話す生活を望んでいたが、今になって少しばかり叶っていることに気が付いた。仕事ではしばしば英語を使う。ただ、本音を言えば、金子光晴のように海外を旅して回りたい。学生時代に思い描いていた生活はと言えば、高等遊民か世界放浪者であった。金子は詩の中で「僕は少年の頃/学校に反対だった。/僕は、いままた/働くことに反対だ。」と言った。人間は何からも自由なのである。自分も「成績」や「評価」、「管理」などには絶対に反対である。人に指示され、その目を気にして送る生活など耐えられない......。ところが、じっさいの自分には構造の外へ飛び出す勇気がない。そもそも自分は道の外から生のスタ-トを切ったのだ。そこから正道に戻る��けで精いっぱいだった。血の鉄鎖に引きずられながらもなんとか空転を繰り返した結果、保守的な思想が全身に染みついてしまった。今はなすすべもないまま泣く泣くレールの上を鈍行で走っている。窓からは、空中を並走するもうひとりの自分が見える。全てに背を向けて純粋な精神の飛翔を楽しむ自分の姿が。金子の詩友・吉田一穂は「遂にコスモポリタンとは、永生救はれざる追放者である」と言った。世界は狭量だ。自分にとっては、シュマン・ド・フィロゾフもアヴェニュ・デ・シャンゼリゼも等価である。どうにか国や所属を超越したいと強く思う。やはり勉強をし直さねばならない。
 自分の様子がおかしくなったのは10月頃からだ。一昨年度に忙殺されたせいで少なからず人間の心を失った自分は、仕事における虚脱感に苛まれていた。家における問題もあり、また昨年度新たに来た上司とは全くウマが合わず、フラストレーションも募っていた。そもそもが5年で5人も上司が変わるという異常な環境である。自分はよく耐えてきたと思う。働くことが馬鹿馬鹿しくなり、ぼーっとする時間が多くなる。そんな中、自分はある大きなミスをしでかしてしまった。それは実際大した問題ではない、誰にでも起こりうることだった。尻ぬぐいは上司とともに行うこととなった。しかし、そのミスのせいでかなり落ち込んでしまい、さらに事後対応や予防策の打ち出し方が虫唾が走るほど不快なものであったため、自分は深く考え込むこととなった。さらにそこで追い打ちのごとく転勤が告げられたため、自分はついに心身に不調をきたしてしまった。抑鬱、不眠、吐き気、緊張性頭痛、離人感、悲壮感、食欲不振……全ての事物から逃げ出したくなる衝動に眩暈がする。ある日職場で人と話している時に、どうにもうまく言葉が出てこなくなったため、何日か休む羽目になった。初めて心療内科を受診し薬をもらった。一日中涙が止まらなかった。その頃の記憶はあまりない。日々、ふわふわと悲しみのなかを漂っていたように思う。ただ、話を聞いてくれる周りの人々の存在はかなりありがたく、ひとりの人間の精神の危機を救おうとしてくれる数多の優しさに驚かされた。転勤の話は自分の現況を述べたところひとまず流れた。その際、上役が放った言葉が忘れられない。「私は今までどこに転勤しても良いという気持ちで仕事をしてきましたけどね」。他人の精神をいたずらに脅かすその無神経さに���れて物が言えなかった。薬の服用を続け、1ヶ月半ほどかけて不調はゆるやかに回復したが、自分が何もできずに失った貴重な期間を返して欲しいと強く思う。仕事に対する考え方は世代間でもはや断絶していると言ってもよいだろう。
 労働を称揚する一部の風潮が嫌いだ。仕事をしている自分は情けない。それにしがみついてしか生きられないという点において。システムに進んで身を捧げる人間の思考は停止している。彼らは堂々と「世の中」を語り始め、他人にそれを強制する。奴隷であることの冷たい喜びに彼らの身体は貫かれている。何にも興味を持てなかった大多数の人間が、20代前半に忽然と現れる組織に誘拐され、奇妙にも組織の事業であるところの搾取に加担・協力までしてしまう。それは集団的なストックホルム症候群とでも言うべきではないか。社会全体へのカウンセリングが必要だ。尤も、使命感を持って仕事に臨む一部の奇特な人々のことは尊敬している。生きる目的と収入が合致しさえすれば、自分も進んでそうなろう。だが自分は、「社会とはそういうもの」だという諦念には心の底から反抗したい。組織とは心を持たない奇形の怪物だ。怪物は人間の心の欠陥から生まれる。ただ怪物のおかげで我々は生きられる。それをなだめすかしておまんまを頂戴しようという小汚い算段に、虚しさを深める日々。人間的であろうとする以上、この虚しさを忘れてはいけない。
 どうしようもない事実だが、労働によって人の心は荒む。労働は労働でしかない。肉体を動かすことによる健康維持という面を除けば、それ自体、自己にとっては無益なものだ。勤労意欲のない文学青年たちはいかなる生存戦略を以て生活に挑んでいるのか。彼らの洞窟を訪ねて回りたいと思う。現代には、彼らのように社会と内面世界を対立させたまま働き消耗する人々がいる。ある経営者がその現象を「ロキノン症候群」と呼んでいた。芸術に一度でもハマったことがあるような人々がそうなのだという。しかし彼らも納得はいかないながら、どこかで折り合いをつけて頑張っているはずだ。自分は彼らに一方的な連帯感を覚える。来る亡命に向けて、励まし合っているような気さえするのだ。世間様はきっと我々を馬鹿者だと罵るだろう。「なんとでもいはしておけ/なんとでもおもはしておけ」と、山村暮鳥の強い声が聞こえる。目に見えるものだけを信じるのもいいが、それを周りに強いてはならない。我々は今、ようやく開けてきた時代を生きている。だが認識は未だ模糊としている。完全な精神が保証される世界からすると、まだまだ古い時代なのだ。人間の姿を見失いがちな現代に対して言えるのはただ一つ、みんなで一緒に幸せになろう、ということだけだ。
 さて、年末に3日間の有休をぶち込んだので年末年始は12連休となった。天六で寿司を食べ、友人宅に入り浸ってジャークチキンをむさぼった。ポルトガル料理に舌鼓を打ち、サイゼリヤで豪遊した。特に予定を立てずに、ひたすら酒とコーヒーを鯨飲する毎日であった。心身の不調はマシになったものの、不運が続き、人と会わなければどん底に落ちると思った。それはまるで自分という神輿を中心にした絶望のパレードのようだった。
 休みの初日、ふと思い立ち、生き別れた父親の所在を探るべく、戸籍を請求してみた。私は父親の顔も名前も知らなかった。さほど興味がなかったというのもあるが、これまで家族に問うても曖昧な答えしか返ってこなかったのだ。働き出してからしばらくして、親戚から聞いたのは、父親は母親と同じく耳が聞こえなかったこと、暴力をふるう人間であったことの二つだけだ。養育費が払われることはなかったともどこかで聞いたような気もする。いずれにせよクズのような人間であったことは疑いようもない。生まれてから会った記憶もなく、不在が当たり前の環境で育ったため、会いたいと思ったことはほとんどない。ただ、自分の身体の半分が知らない人間の血によって構成されていることに何とも言えない気持ち悪さを覚えていた。というのも、顔は母親似だと言われるが、色覚異常の遺伝子は父親から受け継いだものであり、おかげで少年はある夢を断念せざるを得なくなったからだ。その「不可視の色」を意識するたび、自分の身の内には不在の存在がかえって色濃く反映された。違和感は自分が年を重ねるごとに増してゆくような気がした。そのため、せめて名前と消息だけでも知っておこうと思い、今回ようやく役所に出向いたのだ。職員に尋ねたところ丁寧に教えてもらえた。自分の戸籍から遡れば簡単に辿ることができる。しばらくして数枚の紙きれが手渡された。そこには聞きなれない苗字が書かれてあった。そして、案外近くにひとりで住んでいることがわかった。ふーん。何か虚しさを覚えた。自分は何がしたかったのか。カメラを持って突撃でもすれば面白いのかもしれない。ネットで調べてみると同じ名前の者が自己破産者リストに載っていた。そうかもしれないし、そうではないかもしれない。結局自分には関係のないことだ。じっさいこの文章を書いている今、父親の下の名前をまったく忘れてしまっている。思い出そうとしても思い出せないのだ。
 旅行前日の夜中に家の鍵をなくした。普段ほとんど物をなくさないのでかなり焦った。約4㎞の距��を3往復し、交番に駆け込むも見つからず。最後に寄ったコンビニの駐車場を這うように探し回ったところ、思いがけない場所で発見し安堵した。寒くて死ぬかと思った。自分は落とし物を探す能力には自信がある。物をなくさない、などと言いながらイヤホンのイヤーピースはこれまでに3度落としたことがある。しかし、その都度血眼になって道端から救出してきたのだ。今回見つからなかったら自分はどんなに落ち込ん���いただろう。2時間も無駄にしてしまったが、とにかく良かった。もうお洒落を気取ったカラビナは使わない。
 中学時代の友人3名と有馬温泉に行った。ここ数年、年末の旅行は恒例行事となっている。とはいえこの4人で遊ぶために集まるのはおよそ10年ぶりだ。有馬は京都から車でおよそ1時間半。温泉街は観光客でごった返している。外国人も多い。昼飯にカレーを食べ、しばしぶらつく。細く入り組んだ坂道が続く。公園には赤く錆びついた蛇口があった。飲用可能な鉄泉だったが、衝撃的な味に顔がゆがむ。血だ。その後、目当ての温泉旅館に行くも臨時休業であった。どこの湯も混雑しており、20分待ちがザラだった。日帰り湯の看板が出ていないホテルにダメもとで聞いてみると、幸運にも入れるとの答え。客もほとんどおらず、金泉をこころゆくまで楽しめた。歩き途中、炭酸せんべいを土産に買う。特徴のない普通のせんべいだ。ここで一旦宿に戻って車を置き、再びタクシーで温泉街へ。鉄板焼き屋でお好み焼きを食べ、銀泉に入る。顔がツルツルになった。宿はそこからかなり離れた山裾にある合宿所のようなところだった。嫌がるタクシーに乗り込み、外灯のない急坂を登る。受付には緩い感じのおじさんがいて、懐かしさを覚える。鍵を受け取り、宿泊棟へ。一棟貸しなので騒ぎ放題だ。大量に仕入れた酒とつまみと思い出話で深夜までウノに耽った。翌朝気が付いたのは隣の棟の声が意外とよく聞こえるということだ。大声、というか爆音で昔の先生のモノマネやらツッコミやらを繰り返していた我々の醜態は筒抜けになっていたようだ。棟を出る時に同年代くらいの若者と鉢合わせてかなり気まずかった。ここにお詫び申し上げる。この日は朝から中華街へと移動し、料理を食らった。鰆の酒粕餡かけという聞きなれない一皿がめっぽう美味かった。バリスタのいるコーヒー屋でエスプレッソを飲み、だらだら歩いて旅行は終了。京都に着いてからなぜか3時間ほどドライブし、大盛の鴨南蛮そばを腹に入れてから解散となった。
 大晦日は友人宅で蕎麦をご馳走になってから鐘を撞きに行き、深夜まで運行している阪急で松尾大社へ。地元の兄ちゃんが多い印象。社殿がコンパクトにまとまっていて良かった。おみくじは末吉だった。年明け早々、以前付き合っていた人が結婚したことを人づてに聞く。めでたい気持ち半分、複雑な気持ち半分。元日は高校時代の友人3人と四条で酒を飲むだけに留まる。2日は友人らと蹴上の日向大神宮へ。「大」と名づくが割合小さい。社殿の奥には天の岩屋を模したと思しき巨大な岩をL字型にくりぬいた洞窟があり、潜り抜けることができる。いつ作られたものかは不明だそう。暗闇を抜けて日の光を再び浴びる時、不思議にもスッキリとした感覚になる。ここでもおみくじは小吉だった。その後は下鴨神社の露店を物色し、ケバブとヤンニョムチーズチキンなる悪魔のような食べ物に枡酒で乾杯。旧友と合流し、深夜まで酒を飲み、コーヒーで〆。怒涛のアルコール摂取はここで一旦落ち着いた。
 3日、昼に起きる。夕方ごろ喫茶店に行くもぼんやりして何もできず。3時間で本のページを3回めくったのみ。その帰りがけに初めて交通事故を起こした。自分は自転車に乗っていたが、考え事ごとをしていたかそれとも何も考えていなかったか、赤信号の灯る横断歩道の真ん中で車に真横からはねられて、初めて意識が戻った。即座に状況を理解し、平謝りする。非常に幸運なことに怪我も物損もなく、さらには運転手が気遣ってくれたおかげで大事には至らず、事故処理のみしてその場を後にした。自分はあまりにぼーっとしすぎていたのだ。赤信号はおろか、横断歩道があることさえも気づいていなかった。完全にこちらが悪い。ただ、こんなことを言ってはヒンシュクを買うだろうが、何か自分のせいではないような気もした。昔、轢かれたことのある友人が、「車は鉄の塊、人なんて無力」と言っていた。生と死は笑えるほどに近い。車の同乗者には、生きててよかったなぁ! と半ば怒った口調で言われた。果たしてそうなのか。苦しんで生きるか、知らぬ間に死ぬか、どちらが良いのか。よくわからない頭のまま先輩の家に遊びに行き、帰ってからおみくじを捨てた。馬鹿にもほどがある。
 “WWⅢ”がツイッターのトレンド入りした日に、リニューアルしたみなみ会館で映画「AKIRA」を見た。第三次世界大戦で荒廃・復興した2020年のネオ東京が舞台である。東京オリンピックの開催まで予言されていて瞠目する。���画の緻密さと色彩の美麗さ、展開のスピードが尋常ではなく、見るドラッグのようであった。見に来ていたのは意外にも20代の若者が多かった。なぜか終了30分前に入ってきた女性3人組もいた。目がぐるぐる回って、もう何が何か訳がわからなかった。溢れそうな鍋に蓋をしたところ、その蓋の上から具が降ってきた。そんな脳内で、世界の終わりというよりは、自分の終わりという感じだった。翌日から仕事だったが、変に興奮して夜中まで寝付くことができなかった。
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lovecrazysaladcollection · 7 years ago
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“占領中の米兵の強姦事件もきちんと報道しろよ。” -
【橋下氏の慰安婦発言】米有力メディアも報道・・・AP通信「戦時中の性奴隷は必要だったと大阪市長」★4
スクープ!従軍慰安婦騒動どころではない 封印された占領下の米兵「日本人婦女子凌辱事件ファイル」  い まだ数々の戦争犯罪に対して、一度も謝罪したことのない米国に、なぜ毅然とした態度で挑まぬのか。米国は、日本を非難する前に、ワシントン国立公文書館や 米軍公文書館で調査してみよ。 慰安婦非難決議の第4頂にこうある。 「現在と未来の世代にわたり、このようなおぞましい犯罪があったことを教育せよ」 この言葉、そっくりそのまま米国にお返しする。 SAPIO(小学館)2007年4月11日号より記事を引用
上記の表題記事は、次のように締め括られている。  自民党の戸井田とおる議員は、(平成19年)2月21日の衆院内閣委員会でこう質した。   「(決議案を提出した)マイク・ホンダ議員に翻訳して差し上げてもらいたい資料がでてきました。(中略)これは、官報号外、昭和28年2月27日に載った 第15���国会の社会党の藤原道子議員の質問の議事録です。(中略)そこにはこのように書かれてあります。『米軍の暴行事件は、昨年十二月まで独立後」独立 後ですよ、「八ケ月間におきまして千八百七十八件を数え、なお泣き寝入りになっておりまする件数は膨大な数であろうと想像されております」」。 ↓SAPIO (サピオ) 2007年4月11日号(表紙)
記事の示す事実 (以下、長文引用)   日本人は「言挙げ(言葉に出して、言いたてること)」するのが苦手な民族であるといわれる。米国で湧き起こった「従軍慰安婦非難決議」にたいして安倍首相 や外務省の駐米大使が、正面切って反論しないのはその典型なのかも知れない。しかし、ここに提示される資料をもってしてもなおも立ち上がらずにいられるだ ろうか。怒りの発掘レポート、言挙げせよ、日本人!   4月26、27日に予定の安倍首相初訪米の直後に米国下院議会で採決されようとしている「従軍慰安婦非難決議案」は、「日本帝国軍隊が第2次大戦期に若い 女性たちを慰安婦として強制的に性奴隷化(セックス・スレイブ)したことに(略)謝罪する」ことを日本に求めるものだ。前文では「20世紀最大の人身売 買」であり「集団暴行、強制中絶、殺害、手足切断など」の蛮行を犯したと断じている。 「従軍慰安婦」については、史料検証でその事実がなかったことが証 明されているが、詳述は別稿に譲ろう。  ここでは、「戦争と性」の問題を考える上でひとつの史料を提供したい。それは、GHQ占頷下の日本人女性にたいする米兵の「強姦事件」についてである。 ————— マッカーサーが厚木に降り立った直後に9件の強姦事件   占領初期のGHQ 1945年9月「月例報告」では、「日本人は米兵に協力的であり、占領は秩序正しく、流血なしで行なわれた」などと記載されている。また、GHQ外交局長 W・J・シーボルドは「(米軍)戦闘部隊兵士の行動は、特に感銘すべきものであった」、「米兵たちはジャップの女なんかには、手を出す気もしない」と記し ている(『マッカーサーの日本」1970年刊、新潮社より)。   しかし、これら米国側の記録は、事実ではない。 この米軍の「嘘」を暴く鍵は、占頷下の1945年10月4日に解散させられた「特高(特別高等)警察」 (約6000人)の記録の中にある。米軍進駐後��「特高」は「治安維持法」に基づく監視の必要もなくなり、もっぱら進駐軍の素行調査をしていた。前掲の 『マッカーサーの日本』にこの記録のことが一部記されており、原本をこの目で確かめてみたいと思った筆者は、国立公文書館でこの資料を発見した。手書きの 原本が白日の下に晒されるのは今回が初めてだろう。  そのファイルが377ページに及ぶ「進駐軍ノ不法行為」(内務省警保局外事課)である。マッカーサーが厚木に降り立った8月30日から10月4日の解散命令までの米軍の不法行為を特高警察が取り調べたファイルを内務省警保局がまとめたものだ。   ファイルによれば1945年8月30日~9月10ロの12日間分だけでも強姦事件9、ワイセツ事件6、警官にたいする事件77一般人に対する強盗・略奪な ど424件(この中には、後述するような理由で強姦事件も含まれていると考えられる)。特別事件として「葉山御用邸侵入」「二重橋ニ侵入皇居撮影事件」 「宮様御用列車ニ同乗未遂事件」などが発生している。   「8月30日の記録と8月30日~9月10日の統計」 妻36歳、長女17歳に対し拳銃で脅して……  米軍の不法行為を明らかにする前に、敗戦後、日本政府が日本女性を米軍の「性の暴力」からいかに守るか、苦心惨憺した様子を少し述べてみたい。日本政府が「慰安所」設置に直接関与したのは、戦時中でなく占領下の米軍(進駐軍)のためにだったのだ。  1945年8月21日の閣議で近衛文麿国務相が、米軍兵士用の慰安所の設置を主張し、池田勇人主税局長の裁断で5000万円の貸し付けが決定し、1945年8月28日「特殊慰安施設協会」(後に、国際親善協会RAAと改称)が設立された。  その目的は、「関東地区駐屯軍将校並びに一般兵士の慰安施設」となっていた。GHQは、1945年9月28日、都内の占領軍人用売春街を指令している。   しかしこれでも日本人婦女子の貞操が守れなかったのである。実際は主権回後後まで膨大な数の女性が「強姦」さ��ていた。ファイルに記された調書をつぶさに 見ていこう(公開された文書は被害者の氏名などが黒塗りにされており、その部分は省略して記す)。強姦事件は、米軍の進駐とほぼ同時に始まっている。8月 30日は横須賀に海兵隊が上陸した日だが、いきなり事件が発生している。 ————— 強姦事件 (一)八月三十日午後六時頃横須賀市OO方女中、34右一人ニテ留守居中、突然米兵二名侵入シ来リ、一名見張リ、一名ハ二階四畳半ニテ○○ヲ強姦セリ。手ロハ予メ検索ト称シ、家���ニ侵人シ、一度外ニ出テ再ビ入リ、女一人ト確認シテ前記犯行セリ (二)八月三十日午後一時三十分頃横須賀市○○方。米兵二名裏ロヨリ侵入シ、留守居中ノ右同人妻当○○三十六年、長女○○当十七年二対シ、拳銃ヲ擬シ威嚇ノ上、○○ハ二階ニテ、○○ハ勝手口小室ニ於テ、夫々強姦セリ(以下略)》  同9月1日、房総牛島に米軍上陸。ここでも事件発生。 《○○方ニ侵入セル米兵三人ニ留守番中ノ妻(ニハ)(中略)奥座敷ニ連行、脅迫ノ上ご三人ニテ輪姦セリ》  《九月一日午後六時頃トラックニ乗リタル米兵二名(中略)市内○○ニ来り女中一名(24)連レ去リ(中略)野毛山公園内米兵宿舎内二於テ米兵二十七名(ニ)輪姦サレ仮死状態ニ陥リタルモ(中略)三日米兵ニヨリ自宅迄送り届ケラレタリ》  このような記載が「特高」解散の10月4日まで続く。  《九月十九日夜十一時頃、(横浜市)保土谷区、出征中○○妻(27)、(中略)ニ侵入シ「ジャックナイフ」デ情交ヲ迫リ、被害者之ヲ拒否シテ戸外二逃避セルヲ(中略)畠(畑)ニ連行、三名ニテ輪姦シタル。更二連中ノ三名ノ黒人兵ガ同所二於テ輪姦逃走セリ》  調書を総覧すると、米兵の蛮行が眼前に浮かんでくる。  警察官はいたるところで暴力を振るわれ、拳銃を取り上げられている。一般人は、「乗用車」「ラジオ」「現金」「腕時計」「背広」や「ゲタ」まで、手当たり次第に強奪されていた。 《九月二日午前十一時三十分頃武装米兵六名ハトラックニテ横浜市中区山手町二ー二番地共立女学校内、校長神保勝也二侵入各室ヲ物色シタル後現金二千七百十圓及ウオルサム腕時計一個ヲ強奪逃走セリ》とこのような「強奪逃走せり」が続くのだ。  その中に、首を傾げたくなる記述がある。それは、「民家に米兵が押し入り、若い女性から腕時計だけ強奪して逃走せり」との記述が散見することである。  貞操は取り返すことができずとも、せめて当時、貴重だった「腕時計」だけでも、取り返したいとの思いから被害届を出していたのではと思われる。先述した945件の強盗・略奪に強姦(あるいは強姦未遂)も入っているのではないかと考えるのはこのためである。  このような状況は、神奈川県民を震撼せしめたであろう。当時の朝日新聞(1945年9月5日付)は三股見出しで「神奈川県の女生徒は休校 教職員が家族を巡回指導」と記している。   しかし、9月19日、GHQ「プレスコード」が発令されて以後は米兵を批判する記事は、新聞紙面からすべて消えてい��。これで米国は、「強姦」など人道上 の米軍の犯罪を封印できたと考えたであろう。しかし記述のように「特高」の調書は、言論統制されてからも継続して綴られていたのだ。 ————— 青少年性犯罪者が 「米兵の真似して何か悪い」と開き直る   当時の憤りを取材して『黒い春《米軍・パンパン・女たちの戦後》』を1953年に五島勉氏が出版している。その内容は、調書よりも残酷さがひしひしと伝 わってくる。五島勉氏は1948年から調査を開始し、本人やその家族・友人・事件の目撃者など1000人にも及ぶ面接にもとづいて占頷下の空白時期をまと めた 五島氏は「印刷ミスではない」と断わってこう記す。 「T子(十一歳・武蔵野市小学五年生)R子(同)A子(同)の三人は、十月(中 略)武蔵野の林のなかを仲よく手をつないで歩いていた」 《キャンプ・トコロザワの近くで夢中でスケッチをしていると、まずR子がおそわれ、次々に米軍の 餌食になってしまったのだ。彼女達のスカートは切られ、何か起こったのか全然わからなかった。R子とA子は気絶し、T子はまた泣き叫ぶと、アメリカ兵は彼 女の顔を蹴り、ジープで去った》(要旨、以下同)   このような事件が全国で続発している中で、1946年4月東京・大森で恐ろしい事件が勃発した。 《N病院(=中村病院。その後廃業し、跡はビルと道路に なった)は三白のトラックに分乗した米兵によって、およそ一時間ちかくも病院じゅうを荒らされた。彼等の総数は二百人とか三百人とかという説もある。婦人 患者のうち重症者をのぞく四十故人と看護婦十七人、ほかに十五ないし二十人の付添婦・雑役婦などが凌辱された》  「彼等は大病室に乱入し、妊婦・産婦・病気の婦人たちのふとんを剥ぎとり、その上にのりかかった」「二日前に生まれたばかりの赤ちゃんフミ子ちゃんは、一人の兵隊にユカに蹴落とされて死んだ」「M子などは続けさまに七人の兵隊に犯され、気絶した」  そして、「裸でころがっているあいだを通って、侵入してきたときと同様、彼等は表玄関と裏口から引き揚げていった」--慄然とする内容である。  安倍首相や駐米大使がひたすら日本は既に「謝罪している」として、逆に「従軍慰安婦」を既成事実化するかのような姿勢であるのにたいして、自民党の戸井田とおる議員は2月21日の衆院内閣委員会でこう質した。   「(決議案を提出した)マイク・ホンダ議員に翻訳して差し上げてもらいたい資料がでてきました。(中略)これは、官報号外、昭和28年2月27日に載った 第15回国会の社会党の藤原道子議員の質問の議事録です。(中略)そこにはこのように書かれてあります。『米軍の暴行事件は、昨年十二月まで独立後」独立 後ですよ、「八ケ月間におきまして千八百七十八件を数え、なお泣き寝入りになっておりまする件数は膨大な数であろうと想像されております」」   戸井田議員は、この資料で米国に攻めに転じよと言っているわけだ。同官報にはこ��続けられている。 「各地における青少年の特に性犯罪、学童の桃色遊戯等 の取調の際、彼らは係官に対して、アメリカ兵の真似をしたことがなぜ悪いかと反問し、大人の世界に精一杯の抗議をいたしておるのであります」  いまだ数々の戦争犯罪に対して、一度も謝罪したことのない米国に、なぜ毅然とした態度で挑まぬのか。米国は、日本を非難する前に、ワシントン国立公文書館や米軍公文書館で調査してみよ。  慰安婦非難決議の第4頂にこうある。  「現在と未来の世代にわたり、このようなおぞましい犯罪があったことを教育せよ」 この言葉、そっくりそのまま米国にお返しする。 *加藤良三・駐米大使は決議案か提出されている米国下院議会に、日本政府は慰安婦問題の責任を認めて謝罪を済ませている、元慰安婦への補償としてアジア女性基金に4000万ドルを拠出している、などの書簡を送った。 (以上、長文引用)
「特 高」は解散命令が出た10月4日の記録も残している。その日の記録には「公僕学校、倉庫等ニ侵入シ保管品等ヲ不法徴発 被害発生場所屋内10件 屋外10 件」「両国ノ浴場ニテ女性暴行未遂事件」などとある。掠れたページもあり、正確な数字ではないが、全ファイル約1か月間で少なくとも強姦37件(未遂を含 む)、その他の不法行為945件を数える。 実際、「特高廃止」指令が出る と、全国の「特高」は、書類を焼却してしまった。しかしス特高」の元締「内務省警保局」の秘密報告書は焼却されず、この米軍の不名誉な記録は、没収され、 米国に持ち去られたのだ。その後、実は1973年12月日本に返却され、翌年1月から、国立公文書館に所蔵されていた。 —————
(管理人コメント)
日 本敗戦後の米軍占領下で、米軍兵士による大量の日本人女性レイプ事件が発生していたことは、歴史的な事実である。その総数は凄まじい数になると推定される が、GHQによる報道の検閲のため、それがそのまま報道されることはなかったのである。恩を仇で返し、朝鮮進駐軍と称し、暴虐の限りを尽くした朝鮮人達と 合わせて、まさにこいういう連中を鬼畜というべきだろう。現地女性に被害が及ばないように、わざわざ慰安所を設置していた旧日本軍と比較すれば、どちらが軍規が厳しく、信用に値する軍隊であったのか、一目瞭然だ。
http://koramu2.blog59.fc2.com/blog-entry-30.html
(via chikuri)
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cofgsonic · 8 years ago
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16.12.9 ヒーローはギャンブルで語る
 感覚のなくなりかけた心に降り注ぐ四十三度のシャワー。  あいつの顔がまだ傍にいる気がする。
「ソニックのバカー!」  声帯が切れてしまうかと思った。声帯がどんな形をしているのかはっきり知らないが、帯というのだから、痛いほど震わせすぎたら繊維みたいに引き裂かれてしまうのだとエミーは考えている。反対に唇を引き結ぶソニックは、きっと何か言いたいだろうにじっと我慢しているのが窺がえた。相手の年齢こそちょっとお兄さんだが、まるで同級生の素直じゃない男子と向かい合っている気分だ。  エミーはまだ、ぜえぜえ��息を切らしている。もう一度「ばか」と小さく悪態をついたのが彼にも聞こえただろうか。思いのほか透明な声が出た。声帯は無事だった。だが堪忍袋は無事じゃない。  今度こそデートしてくれるって約束したのに。いつもいつもいつもいつも、これがいつもっておかしいでしょ! 「もう、絶対、今度こそ、ほんとに、許さない!」  鼻水を汚らしくすすりながら喚き散らす姿、乙女じゃない。でも何だっていいのよ! アタシが怒ってるってことがソニックに伝わりさえすれば!  無表情のような、そうじゃないような顔をしたソニックが朧になる。水彩画みたいな幻想はすぐにグズグズに変形し、もうほとんど何も見えなくなり、エミーは涙を拭って駆け出した。涙が取っ払われた一瞬見えた、ソニックの唇のかすかな戦慄きは見なかったことにして。
 あれからしばらく経った頃だった。  ソニックが、今まで親しかった仲間たちに寄り付かずやたら一人で過ごすようになったのは。  でも、みんなその理由を言わないようにしている。今日も街は平和で、  退屈。  本当はみんなそう言いたくて仕方ないのだ。エミーは退屈が嫌いだから、何回でも言うけれど。
「エミーさん、お出かけデスか? 白いコートとっても可愛いデス!」 「ええ、そう~?」 「それからお花のついたカチューシャも」 「チャオー」 「ありがと、クリーム、チーズ。今日は決戦なの。決戦の金曜日」 「わあ……エミーさん、いつもと気合の入り方が違いマス。背後で炎が燃えてマス」  そう、今日は「いつも」と違う。あのソニックがめずらしくデートの誘いを受けたのだ。  あんまりにお前がしつこいからついに折れたんじゃねーの、とここへ来る前に果物屋で会ったナックルズにからかわれたが、それで構わない。重要なのは今日一日ソニックの隣で歩けること。それだけでエミーは十分幸せだった。普段好き勝手しているソニックにも、たまには人に合わせることを学んでほしい。  昨晩もらったビデオ電話で「静かなカフェテリアの一席を予約しといてやるからさ」と彼は言った。テイルスに作ってもらった通信機での会話だけれど、エミーは嬉しくて嬉しくてつい通信機ごと抱きしめてしまった。慌てて離れると画面の向こうでソニックは視線をふらつかせた。きっと照れていたのだ。  しかし今日は生憎の雨だった。せっかく買ったコートも濡れてしまいそうで、まだ昼時なのにまるで夕方のように暗い街を警戒しながら歩いた。ブーツが水溜りに入りそうになるたび不安になる。  デートに長靴なんて履いていけるもんですか。せめて可愛いデザインのものを持っていれば……。  道路を走る車のヘッドライトがしとしと降る雨粒の連なりを照らし出す。���イヤからクジラの潮吹きのような飛沫が上がり、大袈裟に飛び退いてしまう。「Hey!」と呼ばれたのはそのときだ。  ソニックは歩道の脇のベンチに、傘をさして座っていた。白いマフラーを巻いて、足を組んで、缶ボトルのコーヒーに口をつけて、ぼんやりとエミーを眺めていた。「Watch your step.」「へ?」駆け寄ろうとしたら視界がくんっ、と前に半回転した。  ふわりと白いのが頬に当たったと思ったらマフラーだった。ソニックは何事もなかったかのようにエミーに体勢を立て直させて、また目にも止まらぬスピードでベンチに戻る。「滑りやすいから」そして濡れてアスファルトに貼り付く黄色い葉を指差した。 「ソニックぅ……」ああ、うっとり。 「雨の日に真っ白なもの着てくるなよ。汚れるだろ?」  言い方が優しい。咎めているのではなくからかっているのだと、ちゃんとわかるくらいに。  この角を曲がった大通りにイチョウ並木があり、木枯らしが吹く頃になると黄色い渦が絶えない。さらに冬が深くなると、ギンナンがすごく臭い。  今度はちゃんと歩いて近寄る。もう一つわかったことがある。彼の用意した「静かなカフェテリアの一席」の正体というのは……。 「チョコレートケーキのおいしいお洒落なカフェを期待してたのに、これじゃカフェテリアじゃなくて、もはや野外じゃない!」と拗ねておいた。これくらい言ったって大丈夫だろう。「しかも車ガンガン通ってるから、静かじゃないし」  ソニックはまた一口飲んで、「店内のジャズを掻き消すくらい、人がぺちゃくちゃ話してるだけの密室空間、オレが好き好んで予約なんて取るわけないだろ?」 「それもそうだけど」確かに、この状況は半分予想通りだったりする。13時を回り、オフィスの昼休みも終わって、金曜日の雨の街に人はまばらであった。  畳んだタオルを隣に敷いてくれたのは彼なりの気遣いだろう。エミーは傘をたたんで、ソニックの隣でちょこんと座った。彼のさす傘はモミの木を髣髴とさせる深い緑色で、こんなパラソルのあるカフェテリアどこかで座ったことがある。跳ね返る雨もさして大粒ではない。時々、車や人が通って、景色は忙しないけれど、二人きりのベンチに収まってしまうと存外周囲の音は煩わしくなくなった。おばさんたちが職場や嫁の愚痴で盛り上がるカフェより落ち着くのは、言えてる。  何より、普段より無口なソニックは却ってどっしり構えている気がして、隣にいると安心する。  ただ、寒い。 「ねーえ、ソニック」 「くっつくなって」 「だってえ、寒いんだもん」  今日の彼は、すばしっこさがないというか、全体的に動きが鈍い。寒いからだろうか。好都合だけれど。 「ところでアタシの飲み物は? もしかしてソニックが飲んでるそれ���二人でシェアするカンジでいいの? やっだ、それって関節キ」 「向かいに自販機あるから買ってこいよ」 「もうっ空気読めないわね。ムード考えてよ、ここは二人でひとつでしょ!」  イチョウの葉で濡れた道路脇のベンチでムードも何もあるか、という風にソニックは溜息をつく。いじわる。 「これからどこ行く? まさかずーっとここで寄り添い合ってるつもりじゃないんでしょ? アタシはそれでもいいけどお」 「ジョーダンよせよ。明日風邪でノックダウンだぜ」  そういえばソニックの横顔を、こんな近くで見つめたのは久しぶりだ。困ったような顔だからか、少し雨粒で濡れているからか、結構、キリッとして見える。素敵。 「あ、10分で終わる音速ジェットコースター風景巡りは、なしだからね」 「手厳しいな」 「当たり前! 今日はデ・エ・トの約束でしょ!」凄むと、ソニックはお手上げと言わんばかりに両手を挙げた。それから、オーケー、と溜息混じりに言う。 「エミーのしたいことに付き合うつもりで来たんだ、今日は。ショッピングでもスイーツでもカラオケでも、何でもいいぜ。ただし長時間同じ場所に滞在したくないな」 「いいわよ、ソニックがずっとおんなじ場所にいられないのよく知ってるもの。え、ていうか、本当に? アタシの行きたいところどこでも付き合ってくれるの?」 「今日は特別だぜ?」  彼の機嫌が特別よさそうには見えなかったが、ウィンクのひとつもなかったが、そう言われたら遠慮はしない。早速彼の手を引いて駅前のショッピングモールへ飛び込んだ。  なんだか変なソニック。 「エミー、これ、エッグマンが作ったポンコツロボットに似てるよな」  店内の壁紙や棚まで木でできたこじんまりした雑貨屋でモコモコスリッパを見ていたら、急に横から喋りかけられたので目を転じると、彼は木彫りの小さな置物を差し出してきた。丸いタマゴ頭に丸い胴体、丸い手足、丸い目、の下にジグザグのヒゲ……なるほど、彼らのよく知る悪の天才科学者によく似ている。思わずエミーも噴き出してしまった。 「なにこれ! エッグマンそっくりー!」 「これにデコのゴーグル描いたら、まんまだぜ」  ソニックというハリネズミは意外にも、大きな絵画から小さな貝殻まで、何でも興味を持つ。かと思えば興味のまったく湧かないものは見向きもしない。彼の好奇心は微妙な感覚らしく、エミーやテイルスでもたまにわからない。  店内をうきうきと巡るエミーの後をついていっている間、ソニックはエッグマン似の木彫りの置物をくるくる回して、離さなかった。会計のときになって「それ買うの?」と聞かれると少し黙ったが、結局、300リングと引き換えに最後までそいつを離さなかった。 「ソニックでもそうゆーの気になっちゃうんだ」 「別にいーだろ」 「責めてないわよ。いいじゃない」  エミーはソニックがそれをつい買って��まった理由を想像しかけて、やめた。  ショッピングモールでしばらくソニックを連れ回していたが、彼が早々に疲れてきたようなので、一旦出た。相変わらずの雨と極寒だった。ソニックは木彫りエッグマンをやっぱりくるくる回しながらマフラーひとつで悠然と歩く。足取りのしっかりした彼と対照的に、何故だかエミーは、心に少しずつ不安が搔き曇っていくのを感じていた。地球でもっとも寒いホロスカを、ハダカに手袋という変態のような姿で駆け走ったソニックの耐性に違和感があるのではない。かといって彼が急にエッグマン似の人形を買ったことを気味悪く思ったわけでもなかった。  もっと、それこそ微妙な感覚で作用するべきものが、デートで浮かれたい気分を邪魔してくる。これはとてもウザい。でも、ソニックの気持ちを置いて一人で楽しめるほど、自己中じゃないつもりだ。  どこかでお茶したかった。互いの目を見つめてゆったりと話せたら何か変わるんじゃないか。ソニックと二人で楽しく過ごしたいからこそ。 「ね、さっきのベンチに戻って休まない?」  イチョウ並木の近くの? とソニックは目を丸くした。「多分びしょ濡れだぜ」 「またタオルで拭けばいいでしょ? せっかくソニックが選んでくれたカフェの席だし、あそこが何だかんだ、あんたは一番落ち着くくせに」  ソニックはハリを掻きながら苦笑した。星型にも近いコバルトブルーが大きく揺れる。  多分、ソニックは、本当はデートなんてしたくないのだ。でも、走りたい気分でもないから困っていたのだろう。雨続きだし、最近何も考えず地球を走りに走っていたはいいがいい加減飽きたし、それで、今この街をふらふらしているのだ。この、事件も事故もない、平和な街を。 「せっかくの白いコートがトラックの水飛沫で濡れる覚悟は?」 「うそ、あそこって飛んでくることあるの!?」 「道路と結構近いし、最初オレが来たときにちょうど水かぶってたぜ。サーフィンできそうなくらいの凄まじい水飛沫がな」 「それもう飛沫ってレベルじゃないじゃん。ていうかそれわかっててアタシをあそこに座らせたの!? 信じらんない!」 「Oh-oh….悪かったって」 「前言撤回、やっぱあったかいカフェでのんびりココアでも飲みましょ。はい決定。今日はアタシのプランに付き合ってくれるって言ったわよね!」 「オレは外の方が好きなんだけどなあ」  悪い科学者が襲来するのを彼は待っている。  悪役がいなければ彼はヒーローにもなれない。退屈だろう。  イチョウ並木を足早に引き返しながらエミーはひっそりと、ソニックの心を想った。拗ねるなよ、とソニックの拗ねたような声が届いた。後ろ姿と歩調は本当に気持ちが出てしまうんだとエミーは思い知ることになった。  イチョウの葉は人々の足跡でどろどろだった。からっとした晴れの日はすぐ風に舞い、濡れればぺったり貼り付いて足が滑りやすい。まるでテンションの落差が激しいおてんば娘みたい。自分にそっくり。  さみしそうな背中をアタシはしてるのかしら。アタシわがままなのかしら。 「ねえ、早く目が覚めてくれるといいわね」  さみしいのは。 「エッグマン」
 乱暴に引き寄せられた。  白く霞む雨道では、風が吹いても、べったりと地面に張り付いたイチョウの葉は渦を巻くことはない。だから、周辺を歩いていた誰も、二人のハリネズミが突然消えたことに気づかなかっただろう。  誰の目にも止まらぬ速さで、細い路地に連れ込まれたエミーの前に広がったのは、ただただ細いだけの、路地の光景だった。雨でカビ臭い。左右の壁は多分民家だ、建物の窓をぴったり閉めてある。一本向こうの通りを歩く人が見える。思いのほかはっきり見える。道幅は、ハリネズミが二人並べないほどとても狭い。  彼の名を呼びたいのに声が出ない。  エミーは背後から締め付けられていた。  左右の白い壁が今にもこの身体を潰そうと迫ってくるような恐怖を背負った、ソニックの体温にぴったりと口を塞がれて、身体の線が、攣っていた。まるでこれから誘拐されるかのようだった。ソニックの力は優しい。もがけば簡単に振り解けるだろう。 「……どう、したの」  傘はイチョウ並木に落としたままだ。肩がどんどん冷たくなっていく。離された口元がまだ熱い。 「ビビって、どうしたのよ」  今日一緒にいたソニックは、まるでソニックじゃないような気がしていた。 「エッグマンが――誰かに襲撃されて、大爆発から逃げ切れなくて今も昏睡状態になってても、あいつはちょっとやそっとじゃ終わらないって、どうせ知らない間に回復してまた悪さをし出すんだって、いつもそう言い続けてたのはソニックじゃない」  もう半年経つ。遅すぎる、とは思う。  きっとソニックは何かを知っている。だから苦しんでいる。 「アタシたちはいつも通り平和な街を用意してればいいのよ。いつでもぶち壊せるように、そしてソニックがアタシたちをすぐ助けてくれるように」  どうしていつも大事なことを喋ってくれないの。  誘拐犯のように、悪の天才科学者のように。このまま街をひっくり返す事件が何も起こらなければ、ソニック自身が何かしでかすのではないかと思った。エミーと同じだった。彼も退屈を嫌う。自分に障害物がないことに退屈を感じる。だから追いかけてくる自分の存在だって、本当は、ちょっと可愛がられているのだと信じている。  ここでアタシがまた邪魔しないと、こいつ、ヒール役になっちゃうかも。  そんなはずがない。ソニックはソニックのままだ。でも、何故だかそんな悪い予感が加速する血流と共に全身を駆ける。雨が冷たく、皮膚だけが凍えていく。必死に吐いた息は真っ白だ。  何なのよこの悪寒は。  エミーは小さな破裂を繰り返すかのように身体をゆさぶって叫んだ。 「だからヘンなこと考えないでよ! アタシの隣にいて、ソニック!」 「大丈夫だ」  振り返ると雨音が目の前に迫った。  ソニックの眉間には雨粒が乗っていて、ぽつん、と鼻に落ち、はじけた。雨脚が地面を叩く音で割れたエミーの叫びはどこにも木霊せず、ただソニックにぶつかり、ソニックの中に吸収されたのだろう。でも、今の「大丈夫だ」は、エミーの訴えに対する何の返答にもなっていなかったことを、このときエミーは、気づけなかった。 「大丈夫さ、エミー」  ソニックの凛々しい微笑みが。  唇を熱くする。キスなんてされてないけど、されたあとのように。  血の加速が緩んで、甘い言いつけに��女は、ほんと? と不安な気持ちをそのまま声にこめる。ソニックはけらけらと笑う。 「Of course. あの間抜けなヒゲオヤジがそう簡単にくたばるわけないだろ。ちょいと罠にハマって爆発に巻き込まれただけなんだ。どうせ自前のロボットか何かで地中にもぐって脱出でもしてるさ。ナックルズみたいに」 「誰がエッグマンを襲撃したのかわかってるの?」 「あー、エッグマンネガ。ほらあの、エッグマンの子孫とかいうヒゲタマゴ」  ブレイズやシルバーが忌々しげに彼の話をしているのを聞いたことがあるが、祖先であるエッグマンに嫌がらせをしに時々こちらの時代へ飛んでくる、という情報しかエミーは知らず、本人を目撃したことはない。木彫りエッグマンよりも顔は似ているのだろうか。  あ、と息を衝いた。  ソニックの表情は和らいでいた。憑き物が取れたみたいだった。自分がめちゃくちゃな思いのまま訴えたことが効を奏したのだとエミーの胸は晴れやかだった。 「……今あいつの心配をしたって、しょうがないわよ。ね、気を取り直してデートの続き、しましょ」 「なあリタイアって選択肢はなしか?」 「ソニックあんた何度も同じこと言わせないで。今日はアタシに一日付き合うって。今日は特別だって。忘れたとは言わせないからね」 「参ったな」  腕を組んで、うむむ、と唸った末に。  今日は特別。それを最後まで撤回しなかった。本当にソニックはエミーの荷物を抱えながら一緒にショッピングして、服を見て、おいしいパスタを食べて、特にラブラブなイベントも起きないまま夕方、普通に別れた。それでもエミーにとっては喜びで胸いっぱいになれた一日だった。  イチョウ並木での別れ際、ソニックは小さな巾着袋を放り投げてきた。 「何これ」 「お守り」  これも雑貨屋で買ったのか。何のお守りか訊ねる前に「See you,Amy! 気をつけて帰れよ」と雨粒できらきら光るクリスマスツリーのようだった傘を手早く畳み、今日初めて彼は走った。木枯らしよりも寒い風が立った。かろやかな足音が遠ざかるたび傘の水滴が光って落ちた。  プレゼント? うそ、ソニックから? 夢見たい! 耳が霜焼けで痛いのなんてどうでもいいくらい気分が高まって、お守りを握り締めたまま走って帰った。走らずにいられなかった!  雨はいつのまにか止んで、まだ空はどんよりしていたけれど、ああもう二度とこんな日は訪れないんじゃないかと思うくらい楽しくて、ソニックと取りとめのないことをもっともっと喋っていたかったという余韻に帰ったあともずっと浸っていた。本当に、特別な日だったな。ソニックそんなにエッグマンと会えないのが寂しいのかしら。素直じゃないんだから。アタシの前でももっと素直になってくれたらいいのに。  特別。その言葉を何度も咀嚼する。甘い���とときは噛むたびに味を失っていく。ガムのように。  もっと早く違和感を抱くべきだったのだろうか。
 焼け野原でエミーは泣きそうになっていた。  空はあんこを引き延ばしたような黒、足元はベリージャムに飴細工、それが人体の変わり果てた姿と、その中身だと気づき、恐怖が閃光となって全身を撃ち、逃げ惑う。戦車も、ビルも、ひっくり返っていて、ここがどこかはわからない。何かに躓いて転がった。何よ、と叫びながら振り返るとたくさん枝の分かれた大木が横たわっていた。丸坊主だ。しかしイチョウの木だと、何故かわかった。むせ返るほどのギンナンの臭いがエミーの胃をこじ開けようとする。やめて、と口を押さえる。  助けてソニック。  もうアタシ一人なんだと思った。涙が止まらなくて息が苦しくなった。テイルスもナックルズもクリームも、それこそエッグマンも、みんないない、真っ暗で何も残されていないのだと思った。さっきまで空が見えていたはずなのに、足元の、自分の赤いブーツしかぼんやりと照らされない。どんどん視界が狭く……。  このまま闇に押しつぶされたらアタシも消える。ここから逃げなきゃ。意を決して顔を上げた。その先で――。  ソニック。  ソニック?  何かの残骸の小山に彼は立っていた。今すぐ駆け寄りたいのに、抱きしめて、ソニックと名を呼びたいのに、金縛りに遭ったかのように爪先一つも動かせない。それどころかまばたきさえできているのは謎だ。  ソニックの目元は夕霧のような影を帯びて、その奥に眉間のシワがはっきりとした黒い線で引かれていて、瞼が重いのか、まなじりが上がっているのか下がっているのかよくわからない目をして、やっぱり口は閉じていた。今まで見てきたあらゆる表情の中で、一番無表情に近かった。彼の浮かべる顔はいつも、何かしらはっきりした着色がされていたのだと気づいた。  みんなの前で「ソニック」を演じているのではない。それはちゃんとわかる。どんなソニックもソニックに決まってる。ただ、彼には、一人のときしか見せない顔もあるという、それだけの話だ。  エミーは、何だって喋りたい。喋っていい内容、喋っていい雰囲気はもちろん選ぶけれど、そのときの感情は我慢しない。たまに爆発させすぎて後悔をすることはある。じゃあ、ソニックに後悔はないのか。なんにも言わないから、風の体現者としてヒーローとして必要以上のことをみんなに晒さないから。  傷つくこともないって? 「それはあんたがまだこどもだからなの?」  やっと、声が絞り出せた。掠れ切ったかっこ悪い声だった。  視線が向く。ソニックの口元は上向きに弧を描く。初めて出会ったときから変わらない笑顔だ。きっと誰にでも同じ顔を向けている、彼の表情に特別はない。ただいつも何か楽しそうにしている、人懐こくて飾らない表情。オレは誰よりも自由だと象徴する、縛られるものがない者にしか浮かべられない表情――。 「教えてくれなければ、誰にも、なんにも、伝わらないのよ。それがわかんないほど、こどもでもないくせに」  この地獄をあなたが作ったの、それとも助けにきて��れたの。あるいは、これはどこかの未来の世界で……あなたはもしかしたら未来からやって来たソニックで……。  どれも違う。あなたは。 「つれてって。ヒールでも誘拐犯でもなっちゃえばいいのよ。だってアタシは、あなたが何を選択したって、世界とソニックなら、ソニックを選ぶもの。あなたと一緒なら怖くない。姿を消すならアタシを攫ってからにしてよ!」  言ってよ。あなたが企んでいること。アタシだって力になりたいわよ。  彼は退屈すぎておかしくなったのだ。そんな状態で一人で戦いに行かせたくなかった。シャドウほどじゃないにしても、彼は目的のためなら手段を選ばない、それも自分一人の目的のためならきっと簡単に命を賭けてしまう。まるでカジノに所持金を全部投げつけるみたいに。だから彼は他人をシビれさせる。正真正銘のクールな男だ。  みんな言う。だからソニックには何言ったってしょうがないんだって。彼もとやかく詮索されるのは嫌なはずだ。でも。 「アタシ、いつも、なんにも知らないまま待ってるだけなの、いやだ」  心のやわらかいところが、ついに裂けた音がする。 「でも、それでも、あなたがって言うなら。アタシいつまでも待ってるから。帰ってきて。お土産話も忘れちゃだめよ」  ソニックが少しだけ目を見開いたのは気のせいかもしれない。でも笑い方は……少し変わった。
 もっと現実のにおいがする闇の中で、エミーは枕元の巾着を握っていた。魘されながら無意識に求めていたみたいだ。ソニックの風を少しでも残すものを。  そうだ……忘れていた。互いの腹を割って話したかったはずなのに、ソニックの「大丈夫さ」に安心した途端、本当に大丈夫だって思ってしまった自分が憎たらしい。ばかだアタシ、と呟く。天井にも届かない声は、エミーの中に染み渡り、ひりりと痛んだ。  巾着袋は麻紐できゅっと口を縛られている。そっと紐を解いた。途端、暗闇に湖が浮かび上がった。その正体は巾着から溢れ出した強い光。中に宝石を粉々に砕いたものがたくさん入っている。かなり細かい破片だが、大きさや形の統一感のなさから、市販の商品ではない。  これはカオスエメラルドだ。  ……これを渡すために、会ってくれたんだ。  寝汗でびっしょりの身体を引きずってエミーはシャワールームの扉を開けた。四十三度のシャワーは痛かった。元々熱めの湯は好きじゃない。夢の中では蹲って咽び泣いていたにも関わらず、目が覚めても、エミーの眼球には湿った膜の一つも張っていなかった。恐ろしく乾いていた。だから。  シャワーを浴びて洗面所の鏡に映る自分に少しだけ水滴が伝っていて、それは口に入るとしょっぱくて、びっくりした。びっくりしてもっと涙が溢れた。
「今までにありないくらいの寝坊だよ。ボスは早起きが結構得意だったのに」 「タフとはいえ、もう老体です。予想以上にダメージがあったんでしょう。ボスはロボットじゃないですから……」
 185cmの128kg、IQ300で自称「悪の天才科学者」、そんなふざけた男が繰り広げる悪巧みを一つ残らず蹴散らしてきたソニックにとって、Dr.エッグマンと瓜二つの男から玩具にされるのは屈辱といっても過言ではない。彼はエッグマンの戦闘ロボットの大半を自分のCPUに改造し、未来世界へ持ち帰って、世界滅亡を目論んでいた。そこへ殴りこみにいたソニックは血のにおいをまといながら磔台で晒し者にされていた。  エッグマンネガはマフィアのようなサングラスをして、ヒゲを撫でる。「クーククク。こんな時代遅れのハリネズミ相手に苦戦するとは奴もヌルい。我がエッグマンネガ軍団の威力のお味はどうでした」 「スパイスが圧倒的に足りないね。これじゃエッグマンのヌルいパレードと同じじゃないか」  隕石が頭に落ちたと思った。エッグゴーレムの拳が磔台を傾けた。ソニックの目の前は星と共に無数のフラッシュバック。オーボットに渡された小型の機械。おびただしい管に抱かれたヒゲオヤジ。静まり返った基地。駆け寄ってくるエミーの朗らかな笑顔。雑貨屋で手に取った木彫りの置物。 「こら、落ちちゃいますよ」と宥めるエッグマンネガの口の中には溶けたガムでも貼り付いてるのかと思うほど、耳障りな響きでこいつは喋る。 「ならば台詞を変えましょうか。自分が沈めてきたロボットたちに甚振られる気分はどうです? ソニック・ザ・ヘッジホッグ」
「これがボスの作った『秘密兵器』です。エッグマンネガが襲来する数日前に、急に我々に渡されたんです。どんな威力かは教えてくれませんでしたが、カオスエメラルドを使えば威力は増幅するそうです。これなら一発でソニックの奴など木っ端微塵、って」 「お前たちにも渡しておくってボス言ってたけど、ボスも同じの持ってたのかな~……。何でボクたちにだけくれたんだろ」
 エッグマンがこの事態を想定していた可能性はありえる。だからオーボットとキューボットにあれを託したのだ。本人としては自分たちのロボットに仇を討たせたかったかもしれないが、残念。面白そうな予感に嗅ぎつけられて、出番はソニックが奪ってしまった。  オレのために用意してくれたギャンブルだ。賭けないでどうする。  豆粒ほどのグレーの四角形のそれの中に、きっと精密なシステムがびっちり詰まっているはずだ。それと、粉々に砕いたカオスエメラルドの破片を一つ、ソニックはごくんと飲み込んで、エッグマンネガに立ち向かった。しかし案外やってくれた。できれば吐きたくはなかったが、先ほど腹に数発食らった。そろそろ意識も朦朧とし始めている。舌を噛んで無理やり気絶を食い止める。鼻血が口に入る。飲み込むと腫れた喉に滲みた。  ただのパクリ、というより、CPUを改造しただけでまんま同じロボットを使って、恥ずかしくないのか。ないのだろうな。そういう感覚がなさそうだから。  ソニックの耳がぴくんとした。
「ボス、聞こえてます? ソニックが舌出してあんたのこと馬鹿にしてますよ。早く起きないと今度は���ンチョー辺りされちゃいますよ」
「クク、何を笑っているのです」  いーや、ととぼけた。びくびく震え始めた胃の片隅で強い反応を感じる。  ずいぶんと遅かった。破片の一部分だから秘密兵器に作用するのにかなり時間がかかると、エッグマンも教えてくれればよかったのに。……水臭いじゃないか。いや、昏睡どころか半分植物状態になっちまったお前の代わりに、オレがぶっ飛ばしにいくなんて、お前にとっては黒歴史かな? ざまあみろ。  何が起こるかなんて誰もわからない。とびきりシビれるサプライズを期待したい。  エミーのことを、思い出した。 「……大丈夫さ」  お前たちが笑ってくれるならオレは何度だって。  エッグマンネガのサングラスの奥が鈍く光った。そんな薄汚い光を食らう、巨大な輝き。ソニックは自由を奪われた手足をもがき、かつてない苦しさに呻いた。けれど信じているから。奴がこのギャンブルに勝たせてくれるって。そうだ言葉を駆使しなくたってあの我侭な悪の天才科学者の考えてることくらい、わかっちゃうんだ。ていうか、わかりやすいから。
 でも、エミーには、本当は声に出して伝えたいことがあった。
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report-bear · 8 years ago
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人狼TLPT #26 FLAG 第3ステージ 感想レポ
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人狼TLPT #26 FLAG 3ステージ
2017年1月7日 18:00-
見てきました。2ステも劇場で見たんですけどそっちはニコ生配信もあったので割愛しつつ
演出、役については2ステで初めて見たときの感想も交え書いてます。
気力があれば2ステについても別途書きたい。
ネタバレを大いに含んでいます!まだ見てない人は注意!
※台詞メモ、ほんの一部除き取ってません。投票等メモ、3日目までしか取ってません。
 台詞部分については雰囲気だけでも伝われば~と思い書いてるものなので
 事実と異なる点、拡大解釈による捏造等、主観もりもりになることをお許し下さい
 レポと銘打ってますが自分用覚書メモです。思い出したり、訂正等指摘あれば適宜修正しますのでお伝え下さい。
※TLPTをつい最近知ったので過去公演ほぼわかりません。
 DVD化されている公演、ニコ生配信された一部の公演のみ視聴。
 劇場に足を運んだのは今回が初めてです。
※書いてる人の推しの関係上内容に偏りがあることをご了承ください。でも皆好き!
前説
割愛。
祈る様にダンサーさんを見ていた私と友人は舞台から見られていました。
捌ける時に手を振ったら花音ちゃんが気づいてぴょんぴょん振り返してくれたり、可愛かった。
OP1
これはもう2ステで見たときも感動して泣いてしまったんだけれども
何度見てもすごい!!!映像と音楽と踊りの親和性、公演前キャストの方々が凄い!!って言ってたけどほんとに凄い
さっきチラッとニコ生の映像を見たんだけど、ぜっっっったい生で見て欲しい。
映像の奥行き感、ダンサーさんの迫力、音楽の圧力、全然違う。
あのまじないかけるときの曲すごく好きなのでサン���ラがもし出たら欲しい。
設定としては”幻の大陸で古来より一卵性双生児のみが扱えた呪い、その一つに拷問があり
狼の魂を罪人の身体に入れることで、本人の意思と関係なく夜ごと人を食い殺してしまう
やがてその呪いは封印されるが、とある海賊たちが秘宝とその大陸の呪いについて書かれた日誌を発見し…?”
みたいな感じ。
ちょっと自分の中で消化しきれていない部分があるのだけれど、
呪いの内人狼に関するモノのみ禁術として封印されたのか、物語中で「封印されていた人狼の魂は3人分」と言っていたので
人狼の魂自体を封印したのかどっちなんだろう?もしくは両方なのだろうか。
読み違え聞き違えによる理解不足とか私の頭が馬鹿でめちゃくちゃ言っているのであれば教えて欲しい。
寸劇
日替わりの寸劇で出てきたのはテイラー、カチュア
昼の2ステもテイラーだったので3ステは違うだろうと踏んでいたらまさかの!
テイラーが人狼の説明をして、カチュアがそれに返答するんだけど
テイラーおじさん「ZZZ~~…」
カチュア「テ、テイラーさん!?起きてください!」
って感じのが何度か続く、という内容でした
テイラー「そろそろご飯の時間だ、行くとしようか」
カチュア「はい!」
で捌け。
年末まで「ミ゛ス゛ジ゛ュ゛デ゛ィ゛ス゛ゥ゛、ス゛メ゛ラ゛ギ゛ト゛オ゛ル゛ゥ゛!」と言っていた人と
同じだとは思えないテイラーおじさん。声色もずっとおじさんというかおじいさんというかそういう感じで
議論中もそれは変わらず…で凄い。自分で自分のこと「おじさんはね…」と言っちゃうキャラもとてもツボ。
ところで通信士ってトンツーの無線送ったり受けたりする職だと思っていたのだけれど
「空を飛ぶ術を発明した!」って言ってたり(嘘だったけど)「君の頭脳と私の発明で~」って言ってたり、
発明家のような話が多かったのがびっくり。通信士ってどんな職なんだ。通信士兼発明家なのだろうか。
カチュアはRoom見たときからすっごい好きなキャスト。
生で見るとほんとに可愛い!!!!Room、STEAMと口の悪い役ばかり見てきたので海軍捕虜どうかな~と思っていたけど
捕虜という名目で船に乗せてもらっているクルー!他のメンバーとは対立した役なのかと予想していたので驚きました。
ただメンバーの一部からは全面的に信用もされてないっぽい。それでもバーバラ船長に憧れ、皆を家族といいまっすぐ丁寧なキャラでした。良い。
OP2
1stGhostフランクが出てきて語り。フ、フランクー!!生で見るフランク、アイドルを見るかのように喜んでしまった。かっこいい。
そして海賊たち登場!楽しそうに談笑する13人、もう目が足りない。感動で泣ける。
歌もすっっごく良い。とても海賊っぽい曲調。あの感じの曲調聞くと海!海賊!って感じするのは何でだろう?なんかそういうジャンルがあるんだろうか
パイレーツオブカリビアンとかの影響かな?もっと昔からあったような気もするけど詳しくないのでよくわからない…とにかく胸が高鳴る。
職業と名前が映像に表示され一人一人スポットが当たる。
ダンカンがトランプを自分の周りに浮遊させるマジック?をしててひええってなった。魔術師か?
個性でていいなあDismissの時も思ったけどOPの紹介パートがとても好き。
スポットが当てられる数秒にキャラクターがぎゅっと込められてて何回も見たくなるしこれから始まるわくわくが最高潮になる。
秘宝を手に入れたがゆえに沈んでしまった海賊船の最後の生存者がフランク。
彼の日誌と呪われた秘宝を手に入れた海賊団。翻訳家ダンカン、海洋研究員デイジー、海軍捕虜カチュアが日誌と秘宝の翻訳・解釈に1晩
朝起きると乗組員の一人ナナが喰い殺されている。船には13人しか乗っていない。
見回り役も他の乗組員も、昨晩はアホみたいに深い眠りについていたため誰も現場を見ていない。
秘宝の封印を解いた狂陣と呪いにかかった人狼3人、用意周到なことに古人はそれに対抗する3つの能力も封印を解くのと同時に3人に与えるという。
呪いにかかった者は自分から呪いにかかった事実を話せない、それどころか見つからないようどんな嘘でもついてしまう。
これ以上被害を増やさないため海賊たちがとった策は、人狼の疑いがある者をこの船から降ろすこと。積荷なしの小舟に乗せて。
バーバラ船長の声かけのもと、酒を持って全員が揃う最後の乾杯。「旗のもと集う英雄たちに!!!」
この時点でもうしんどい。自ら封印を解いた狂陣はともかく人狼3人はなにも悪くないのに夜ごと仲間を食べなくてはいけない。
処刑ではなくて積荷なしの小舟に乗せて流すという消極的な殺しの方法も仲間が好きなんだなって言うのが目に見えて悲しい!
人狼ゲームの始まっていないこの時点でものすごく引き込まれたし、内容だけじゃなく舞台からの圧に物凄く心が揺さぶられて感動感動の連続
舞台って凄い劇って凄い。20ウン年間舞台だとかミュージカルだとかにハマらず生きてきたけどハマる人の気持ちがめちゃくちゃわかる!
そのうち見に行きたい。TLPTキャストが出てる舞台とか、タイミングが合えば行ってみようかな。地方住みなので気軽に行けないのが心苦しい。
自己紹介
記憶にめちゃくちゃばらつきがあって全然覚えてない人いっぱいいてつらい!
船長バーバラ 
美しい~~キャプテーンバーバラ!!!
女の魅力どばどばなのに男前でカッコイイ、仲間の熱い発言聞いて��っこりする懐もでかい船長
何人かのクルーにはほんとに憧れられてるんだけどわかるわかる…って感じ
剣士ウォルター
元々サミーの船に乗っていた剣士。副船長のサミーとともにバーバラの両脇を守るもバーバラを全面的に信用もしてないっぽい?
俺はアンタを疑ってるって言っていたような??サミーのことをより大事にしているようで愛している!みたいな発言もあった。船に対してだったかな
2ステのお化けが怖いウォルターはいなかった。肉体美がかっこいい~
翻訳家ダンカン
わーやばい忘れた。思い出したら追記しよう。船長となにか契約をしていて、
ダンカン「今の状況は契約違反じゃないか?…答えろ」バーバラ「ああ、そうだな」と
この状況を解決したあかつきには特別な報酬をもらう約束をし、バーバラに生き残れよ?と言い残す。
この翻訳家、黒い…!
海洋研究員デイジー
ごめん発言全然覚えてない!衣装めちゃくちゃ好き!紫のスカートの裾がたまらない
上品でいて精神的な強さも感じる。色々掘り下げたくなるキャラで今まで見たデイジーの中で一番好みかも
司厨長ヘイゼル
ヘイちゃんマル!自分のことをヘイちゃんといい語尾にマルがつく司厨長。ヘイちゃんの身長の高さにびっくりした何故かもっと小さいイメージだった
キャラ濃ゆいけど可愛い。ごめん発言あんまり覚えてないけど2ステとは違った気が…
見習いジャンヌ
ヘイちゃんの隣だからか思ってたよりちっちゃい!可愛い!
バーバラ船長に恩を返すまでは死ねない!みたいな感じだったはず。関西弁風味!
海軍捕虜カチュア
男ばかりの海軍ではいくら頑張っても評価されず辛い思いをしてきた。
バーバラに出会って初めて自分をちゃんと見てくれる相手に出会った。捕虜という名目で乗せてくれた
船長に恩を返すために生き残ります。という感じだったかな~~~わー記憶がもう!処刑時の台詞だったかもしれない!
船医ヒルダ
船も乗組員も大好き、私は愛している人のために戦う、だったかな
船とクルー=愛している人、なのかこの船の中に愛している人がいるのか悩んだ記憶がある。結果的には後者になったけど、最初は前者の意味で言ったのかな?
どうしても胸元に目が行ってしまう。グラマラス~~~こんなドクターがいたら船医室通っちゃうよね
操縦士デヴィッド
100ステおめでと!3ステはデヴィッドの101ステ、背高くてかっこいい!
大陸に辿り着くまでこの船の舵は他の誰にも握らせねえ!と言っていたはず。
いつもよりダミの入った声、それでも聞き取りやすいから凄い。目つきも悪い操縦士、その後の展開や表情を考えるとつらい…
通信士テイラー
「実は皆に隠してたことがある、私は空を飛ぶ術を発明した!…嘘でーす!」
「こういう嘘をつけば人狼が尻尾を出すかと思ってな、テイラーおじさんは呪われてないよ」
2ステと混じってるかも面白すぎるキャラで即大好きになった。おじさんっていくつくらいの設定なんだろう?
砲術士デューク
ヒルダの愛している人が気になるデューク、熱があるかも、測って~からのヒルダと額合わせでデレデレ
私も額で熱測って欲しい…船大工のムサシは弟。2ステ見た時からそうなのかなと思っていたけど砲術士と船大工は兄弟設定なのね。
船大工ムサシ
デュークのことをデューと呼ぶ弟、塗料?で汚れた顔が可愛い
デューがダメだから俺が守ってやらなきゃ、は最後だったかな?最初の方でも言っていた気がするんだけどどこだったかな
「ヒルダなんか……いいよな(デレ)」お前もか!似たもの兄弟かわいい ここでだったかバーバラが前に出てきて「…ヒルダか…」言って下がっていって笑う
副船長サミー
話しづらい空気になってしまった副船長、バーバラを信じバーバラについていく、と。
剣士もだけど副船長もやたらワイルドかつセクシーな衣装でドキドキする。こんな副船長怖くて近寄りがたいだろうなあ
衣装1,2を争うぐらい好きなので難しそうだけどイラスト描きたい。
1日目昼
どうやって戦っていくか作戦会議。ダンカンが予言者を守るため予言者は名乗り出るべきじゃないか?と発案。階段上に昇ってた。
ウォルターとダンカンが予言者と名乗り出た場合の例えを用いて説明。投票されにくくかつ1日目に噛まれにくくするため。
ここでヒルダがなんだっけ、なにか言って逆だと言われていた気がする。そんな感じで名乗り出るか出まいか、となっている時に
バーバラがウォルターに「ウォルターお前、能力を持っているか」と問う。対してウォルターは「ああ、持ってる」と!
ここの壁にもたれかかり腕を組みながら答えるウォルター印象的。バーバラがウォルターを名指しした理由覚えてない!
この後ウォルターが能力を言う前に他の能力者も名乗り出るべきじゃないか?みたいな流れがあった気がする。
ここでヘイちゃんがサミーに同じように能力を持っているか?と問う。
誰が人狼かもわからない状態でサミーは自己紹介でバーバラの言うことについていくと言ってたのが怪しいと。
サミーは「持っていない」と答える。能力なしCO。
結局ウォルターが最初に予言者だと能力を明かす。最初から知っているのはムサシ。自己紹介でも言っていたけれどバーバラを疑っていると発言。
ここでデュークが「なんだかわからないけどウォルターが嘘をついてるのはわかったぜ!俺が本物の予言者だ!」とCO、知っているのはヘイゼル
これがダンカンの言っていた状況だ!今日は予言者と予言者が人間と知っているものには投票しない!という空気の中
なんとダンカンが「状況が変わった、俺が本物の予言者だ。」とCO。知っているのはテイラー。皆びっくり、私もびっくりしすぎてちょっと声が出た
結局2/3は偽物だからと予言者から処刑することに。
投票したい人の後ろに並ぼうと予言者3人が前に出てその後ろについていく。
ウォルターとデュークに集まってダンカンは0だったはず。
デュークの後ろに並んでいたカチュアが「私はデヴィッドさんを疑っているので、デヴィッドさんと同じところに投票するのは嫌なので移動します」とウォルターに移動
「嫌われてんなあデヴィッド」「女ってこええ」みたいな声があった気がする
結局投票ではウォルターとデュークに票が割れ最後の票を持っていたバーバラの決定票によりウォルターが処刑。
【内訳】
ウォルター ②デューク、④サミー、⑥ヒルダ、⑦カチュア、���デイジー、⑪ヘイゼル、⑬バーバラ
デューク  ①ダンカン、③ウォルター、⑤テイラー、⑧ジャンヌ、⑨デヴィッド、⑫ムサシ     (投票順)
処刑時の台詞は完全には覚えてないけど主にサミーに向けてだった。
「サミー、わりぃ、でもちょっと安心してる。俺は死に場所を探していたからな。」
かっこいい~処刑される人は最後旗を渡されて、その旗を掲げるとダンサーが出てきて青白の紙吹雪をかけられて夜時間に。
1日目夜
2ステでも初日処刑だったのでなんか見覚えあるこの光景~~って話で笑った。夜時間舞台裏で何してるかの恒例説明。
正体オープンのリアクションは「この衣装熱く見えるけどー?」「意外と寒いよー!!」正体は【狂陣】あれ?2ステも初日処刑で狂陣だったよな?
筋肉美の話と入墨カッコイイって話をしててウォルターが入墨見せようとして乳首見えちゃう見えちゃうって隠してた
上着にもベルトがついてるけどこれつけるとベルトonベルトonベルトになっちゃう笑 ってとこで夜が明けて2日目へ!
2日目昼
人狼に食べられてしまったのはジャンヌ!
バーバラが霊媒師CO、ウォルターは人間だったと発言。対抗なしで夜死んだジャンヌかバーバラが霊媒師、だけどバーバラが霊媒師だろうという話に。
予言者二人の占い先はデューク→ムサシ:人間 ダンカン→デイジー:人間
占い理由喋ってたけどあんまり覚えてないやダンカンがデイジーを占ったのはあまり発言がなかったからだったかな?
後サミーが「ここで言っとくけどヒルダの愛してる人って俺だからな?」と爆弾発言してたけどあれ?1日目?3日目?だったかな?
サミーが下手側の階段上で手すり?に手をかけててヒルダは恥ずかしそうに口に手を当ててたのだけ覚えてる。
ここで1日目の投票であまりにもダンカンに票が入らなかったことからサミーとムサシがダンカンを疑う。
それでも他の人には圧倒的に信じられてて狂人と人狼の票割れで人狼のデュークが守られて狂人のウォルターが処刑になったんじゃない?って流れに。
デヴィッドが昨日自分と被るのが嫌だからと動いたカチュアは人狼のデュークを庇うためだったのでは?と疑う。
また信じてる予言者につく形で別れてたけど議論でヘイゼルとバーバラがダンカンを信じる側から真ん中に移動
ムサシが凄いダンカンのこと疑ってた気がする「こっちのほうが少ないんだからこっちに喋らせろよ!!!」って言ってた。
結局投票では僅差でデュークが処刑。決定票はヒルダ。「ごめんねデューク」と謝りながら投票してた。サミーは「もう決まってるか…」と発言しながらの投票。
ムサシが「ダンカンは自分に疑いは向けられないと思っていたから喋らなかった」ダンカンが「喋らせてくれなかったのはそちらじゃないか」って言っていたような。
【内訳】
デューク ①デヴィッド、②デイジー、③テイラー、⑤ダンカン、⑦カチュア、⑩ヒルダ
ダンカン ④ムサシ、⑥デューク、⑧ヘイゼル、⑨バーバラ、⑪サミー
処刑時は「ヒルダ、最後にもう一度熱測ってくれねえか」で二度目のでこ合わせ、ヒルダも泣きながら別れを惜しんでたけど決定票はあなたよ!
ムサシが「デューなんで予言者の能力なんか与えられちまったんだ!!馬鹿野郎!」みたいに言ってた。デュークパンジー兄妹もよかったけど
デュークムサシの兄弟もめ��ちゃ良い。ダメな兄貴を支えなきゃ!って奮闘する弟可愛いなあ。
2日目夜
呪いによりフランクの衣装がだんだんアロハになり始める笑
ウォルターが腰に挿してる剣は実は聖騎士ジャンヌのものだとか。
オープンリアクションは「これー!」「ジャンヌのー!」だったかな、ジャンヌの正体は【人間】
後はデュークとジャンヌの頭に巻いてる布が同じな話でジャンヌが「本当に嫌なんですよー!」「おい!」って話があったり。
デュークのオープンリアクションは「ヒルダー!」「熱測ってー!」私も測られたい!!!正体は【予言者】
客席から見ると、うわー!ダンカン人狼か!圧倒的に信じられてる~しかも人狼後2匹は今のところCOなし、これは人間側不利な展開だ~ってとこで翌日に。
3日目昼
ここでGJが起きて死亡者なし!守られたのはダンカンかバーバラだろうという話に。
バーバラの霊媒結果はデューク:人間 バーバラから見るとダンカンは人狼確定。ダンカンの占い結果はムサシ:人間 これでムサシは人間確定
テイラーが狩人CO、GJはバーバラで起きたと話し一気にダンカンを疑う流れに。
ダンカンは本物の霊媒師はジャンヌ、バーバラは狂人でウォルターとデュークは人狼だ!と主張。
初日に人狼が2連続で予言者COすることは考えづらいと、この日は完全にダンカンを処刑することがほぼ確定。
じゃあ後2匹は?となり先日デュークとダンカンどっちに投票したかで別れることに。
僅差であったことから人狼は皆デュークに投票してた、いや僅差だったのだから人狼は圧倒的に信じられてたダンカンにも投票しているのではないかという議論
後皆が本物の予言者はデュークだったと言っている中サミーはウォルターが本物だったんじゃないか?とヘイゼルを疑う。ウォルターに託されてたもんね。
決着はつかずに投票へ、処刑者はダンカン
【内訳】
ダンカン ①バーバラ、②サミー、③デイジー、④ヒルダ、⑤カチュア、⑥テイラー、⑦デヴィッド、⑧ヘイゼル、⑨ムサシ
バーバラ ⑩ダンカン
明日でも良い!明後日でも良い!俺が言っていたことを思い出してくれ、人狼はもう2匹処刑してる!バーバラは狂人だ!
特別な報酬、受け取れなくて残念だ。代わりと言っては何だけど、俺の部屋の本棚の本を全て海に投げ捨ててくれ。
アケロンの彼岸に着くまで、随分と時間がありそうだからな
川の向こうでずっと俺はこの旗を振ってる。これから来るお前たちの誰かが迷わないように。
若干違うかもしれないけどここはめっちゃメモ取ったからほぼあってるはず!!
3日目夜
加速するアロハもうめっちゃ面白い笑
海賊って言ったら赤のイメージが大きいのかなあ青い人とか黒い人もいるけど~みたいな話
解答用紙書くのに必死でその後のことはあんまり記憶にない 回収はジャンヌがしてくれました「受け取るから流して-!」って解答用紙リレーした
因みに私と友人は共に人狼3匹をダンカン、カチュア、デヴィッドと書いていて、私はその後急いでダンカン、カチュア、サミーに訂正して提出
客席側から見ると真予言のデュークに占われているヘイゼル・ムサシ、霊媒師のバーバラ、狩人COしたテイラーを除いて
ヒルダ、デヴィッド、サミー、デイジー、カチュアから2匹の状況。皆怪しい~~~わっかんないよ~~~
(因みに最初は大きな理由もなしにデヴィッドを疑ったカチュア、カチュアを疑い返したデヴィッドがラ��ンを切ろうとしてる人狼同士なのでは?
という推理、2日目2人共デュークに入れてるし。
サミーに変えたのは一人ウォル��ー真の話をして間違った視点を増やそうとしたのではってのと、2日目の投票でデュークに決まってから最終票でダンカンに票を入れたこと。カチュアとデヴィッドならデヴィッドのが疑わしくないように感じたこと。でした。)
オープンリアクションは「一番多い名字は~?」「(各々自分の苗字を言う)」自分の苗字が少ない部類に入るので動揺した。正体は【人狼】
後はデュークもムサシもヒルダが好きなのにフラれて~みたいな話があったはず、
じゃあダンカンは?ってジャンヌに振られて「僕は全ての女性が好きです」って言ってた。翻訳家黒い!因みにウォルターは剣ですと濁してた。
ジャンヌ「なんかごめんね…」
バーバラ「い、いやまだ居るし!サミーは…ヒルダか…あっデヴィッド!あいつは船長のこと大好きだからな!」
ダンカン「でもあれ絶対ラブじゃなくてライクだよね笑」
4日目昼
ここから投票もなんにもメモとってないのでめちゃくちゃふわふわな記憶を頼りに書きます。
人狼に食べられたのはバーバラ。だよね~そして明日はテイラーだね~
疑い先はデュークに決定票をいれたヒルダや票をいれたカチュア、デヴィッド、デイジーへ。
デイジーはほぼ疑われておらずカチュアは一貫してデヴィッドを疑ってた。
カチュア「私は女の勘でずっとデヴィッドを人狼と疑ってきました。」デヴィッド「女の勘こええよ~~~」投票もデヴィッドにしてたはず。
サミーはウォルターを本物の予言者と見ていることからまだヘイゼルを疑ってる様子。対してヘイゼルもサミー怪しいんじゃないの?と発言
サミー「急に俺を疑ってきたヘイゼルは怪しい!」ヘイゼル「先にヘイちゃんを疑ってきたのはそっちマル!何言ってるマル!」
デヴィッド「やめたほうが良いっすよサミーさん、女ってこえーっす」めっちゃ笑った。ヘイちゃん強いマル!
投票はバラけつつもカチュアへ集まる。2,3票目?サミーだったかな?がカチュアに薔薇渡したとき、カチュアがハッと顔上げて「え…?」って
言ったのが忘れられない。凄い悲しそうな顔だった…私も疑ってしまっていたけど人間だ…ってなった。
サミーがバーバラ船長だったらどんな言葉をかけるんだろうなって言いながら旗を渡す。
バーバラ船長への感謝、男ばかりの海軍ではいくら頑張っても評価されず辛い思いをしてきた。
バーバラに出会って初めて自分をちゃんと見てくれる相手に出会った。捕虜という名目で乗せてくれたって話
自己紹介のところで書いちゃったけどやっぱり処刑時の台詞だった気がしてきた!!
凄い泣いた。
4日目夜
バーバラのオープンリアクションは「この船を仕切るのは、その名もキャプテーン!」「バーバラー!」これ言いたかったのでめっちゃ嬉しかった。正体は【霊媒師】
カチュアのオーブンリアクションは「船長ー!」「大好きだよー!」正体は【人間】
またデュークとジャンヌの頭の布の話になり
「ジャンヌは砲術士見習いなの?」
ジャンヌ「カチュアその帽子の交換しない?」
「いやでもそうかも、デュークが一番昇進早いだろうし時期砲術士探してるのかも」みたいな話だったかな夜も昼も短くなってきた。
5日目昼
夜人狼に襲われたのはテイラー 生き残っているのはヒルダ、デヴィッド、ムサシ、サミー、デイジー、ヘイゼル
カチュアが人狼じゃなかったら間違えられない日。
人間確定のムサシ、本物の予言者と多数に信じられているデュークに人間と言われたヘイゼルも本物はウォルター説を信じるサミー以外にはほぼ除外。
その中だとやっぱりデュークへの決定票をいれたヒルダ���特に疑われる展開に。
デイジーが「カチュアが人狼で、もう一人はやっぱりヒルダだよ」って言っていた気がするけど理由までは理解が追いつかなかった~
カチュアが人狼じゃなかったらデヴィッドが怪しいって話もあった気がする。投票はこの2人に集中しそうな雰囲気。
あやふやな記憶だけれど最終的な投票先は
ヒルダ   デヴィッド、デイジー、ヘイゼル
デヴィッド ヒルダ、サミー、ムサシ
だったかな~~もう少しバラけてた気もする。最初にヒルダに票が集まって、
サミーが「バーバラ船長ならこんな時どうするかな、きっと最後にもう一度自分が人間であることを叫べって言うと思う。俺はデヴィッドに投票する」
って言ってそれに乗ってムサシがデヴィッドに入れたこと、この2人が最終票だったことは覚えてる。
今ステージ初めての決選投票、二人共今は亡きバーバラ船長に向かって自分は人間であることを話す。
順番はデヴィッド→ヒルダだった。二人共めちゃくちゃ辛そうで泣きそうな顔でもうそれだけで泣ける;;
デヴィッドが「俺から話す」と言って話す前に少し躊躇って俯いてそれから髪をかき上げて話していたのが印象的。
決選投票では全員の票がヒルダに。
もうヒルダめっちゃ泣いてて客席からもすすり泣く声が聞こえて悲しい;;
「女海賊の船に乗るって聞いた時、なんで?って思った。(~悔しい記憶抜け~)けれど貴方は私を妻にしてくれた。私をドクターにしてくれた。…私を母親にしてくれた」
「貴方に似たかっこいい子供の顔が見たかったな…」
ぼろぼろ泣くヒルダをサミーが抱きしめる。「俺もすぐ、そっちに行くから、2人で待っててくれ」
最初にウォルターが言っていたサミーの船にはヒルダも乗っていたんだなってのとサミーとヒルダは恋愛関係にあっただけでなく夫婦だったんだな
ってのとお腹に子供がいたのか…ってのをぼんやり考えながら号泣。辛すぎるよFLAG
5日目夜
泣きすぎて全然覚えてない!
テイラーの正体オープンのリアクションは「失敗はー!」「成功のもとー!」正体は【狩人】
あっという間に夜が明けます。
6日目昼
ステージに残っているのは デヴィッド、ムサシ、デイジー、サミー
デヴィッドとムサシが下手で悔しそうな表情。デイジー、サミーは上手。
サミーが一番上手側の椅子に座り「お前たちに!俺達の気持ちがわかるか!!!船長を食べなければならなかった俺達の気持ちが!なあ!!」と叫ぶ
デイジーが「やめましょうサミー彼らに罪はないのです」という感じに制止。
ムサシは「デューは馬鹿だから俺が守ってやらなきゃいけなかったのに…!」と苦悩の表情
デイジー「夜になれば私たちはまた順番にあなた達を食べてしまうでしょう」
サミー「俺達は最期まであの大陸を目指す、お前らはどうする。今すぐこの船を降りるか、喰われるのを覚悟でついてくるか」
デヴィッド「…」
ムサシ「俺は降りねえ!最期までお前たちと闘う!じゃないと死んだ奴らに顔向けできねえ!!」(なんか違う気がする)
サミー「よく言った。で、お前は」
一番下手の席で黙って一度ゆっくり客席を見るデヴィッド もう今にも泣きそうだし苦悩と悲しさの浮かんだ俺はどうすればいいんだって顔
暫しの沈黙の後「俺も、ついていきます」と答える。
サミー「決まった。俺達は最期まで!あの大陸を目指して進む!」で暗転
めちゃくちゃ���わふわした記憶なのでだいぶ違う気がする。訂正あれば教えてください。
カーテンコール
【役職内訳】
人狼 :サミー、ダンカン、デイジー
予言者:デューク
霊媒師:バーバラ
狩人 :テイラー
狂陣 :ウォルター
人間 :ヒルダ、デヴィッド、ムサシ、ヘイゼル、ジャンヌ、カチュア
MVPは圧倒的に信じられた予言者騙りのダンカンに。
「ちょっと高いところからCOしたもんね!」「魔王様!」と微笑ましい雰囲気。
「1ステ、2ステと人間勝利が続き早く皆に人狼勝利のEDを見せたくて頑張った。
これからどこまで深く潜れるかは僕たちキャストの努力しなければいけないところだけど残り15ステージまだまだ面白いものを見せられるよう頑張ります」
MVP挨拶の途中サミーが出てきて話したんだけどなんだっけ絶対思い出せると思うので追記します。
ゲーム的には圧倒的に人狼有利な展開だったけれど、後から見返してみると人狼側にはやっぱりなんとなく怪しい部分も見えてきて、
でもステージ上では全然気づけなかった自分がいて流石だなあと思った。意外と真相に一番近いところにはムサシがいたのかもしれない。
疑心暗鬼の中仲間を信じ続けるのは大変だし、投票時も「辛かっただろ、もう楽になって良いんだ」みたいな言葉があったり
つきたくない嘘をつき続ける悲しさが際立つ公演だった。
一番の見所はやっ
ぱりサミーとヒルダだなあ しなくても絶対勝てる決選投票にあえてして、最終的にはヒルダを追放したのは、
妻と子をどうしても食べたくなくて、生き残れないのはほぼ確実でもどこかで生きて幸せになっているかもという望みを自らに与えるためだったのかな
と考えるととても切ない…
個人的には狂陣の生き残りEDを見て呪いを解いた訳を知りたい!今のままだとFLAGでは人狼も人間も敵は呪いを解き放った狂陣だと思ってしまうので。
3ステの内容と関係ないハイライトはステージ前物販でプロデューサーの桜庭未那さんがお出迎えされていたのに遭遇したこと。びっくりした!
なにかお声がけできればよかったのだけれどなにも言えなかった。素敵な舞台をありがとうございます。
後直接劇場に出向くのは最終日の17,18ステ。まだ出会えてないキャストもいるし、謎はまだまだあるようだし、どうなるのかとても楽しみ
レポを書くのは初めてでとんでもなく拙い文章ではありましたが、最後まで読んでくれた方がいたらありがとうございました。
何度も書いて申し訳ないですが、この感想レポはあくまで一個人の感想、記憶頼りのものであることをご了承ください。
もしまだ見てないよって方がいたら、少しでも興味を持っていただけたら、雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。
ニコ生配信もあるから地方の人も人狼ゲームよく知らない人も是非見てくれー!
チャンネル会員1,200pt、チャンネル会員じゃなくても1,500pt!!劇場で見るより圧倒的にお手軽に最高のエンタメと感動が味わえるよ!!!
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