#一般社団法人社員画家
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grossherzigkeit · 4 months ago
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“独裁”すらもできぬまま
私も一応、メディアの世界で衣食している人間なので、他メディアの人などに会えば「小川さん、最近何か面白いネタはありませんかね?」などと聞かれる。雑誌の編集者ともなれば、そうやってほうぼう��聞いて回るのが仕事みたいなところはあるので、自分などにもそういった声があいさつ代わりにかけられるのも当然のことだ。 それで先般発行した季刊『宗教問題』誌2024年冬季号に、私は曹洞宗、真宗大谷派、そして浄土宗という、3つの伝統仏教教団に関する騒動の記事を載せた。いずれも結構、珍妙なスキャンダルである。 曹洞宗に関しては、東京都港区の一等地にある教団本部ビルに移転計画が持ち上がっていたところ、そこにかなり不明瞭な形で外部の金融機関たる大和証券が食い込んできて、恐らく曹洞宗を手玉にとっての土地ころがしでも考えていたのではないかという疑惑が持ち上がったのである。幸い、この曹洞宗と大和証券の契約は一度リセットされはしたのだが、一体だれがどういう形でこういう座組を考え出したのだという謎は残っていて、ある種の責任問題に発展して宗門は今でも紛糾中だ。一応、『宗教問題』誌的にはある程度のシナリオは読み解いていて、「株などの投資が大好き」という世評がある曹洞宗の宗務総長(事務方トップ)に「宗教法人への食い込み方がすごい」という評判のある、業界ではかなり有名な大和証券のやり手営業マンが近づき、ようするに曹洞宗側をハメて落とそうとした話だったのではないかと、私のほうなどでは考えている。 浄土宗では先の宗議会(宗門の予算や方針を決める会議)で、教団としての規則改訂を審議したところ、本規程が否決されたのに補助規程だけ可決するといった、別に宗教どうこう関係なく、およそ「議会」というものではありえない椿事が発生。あきらかに事務方のミスであるとともに、そもそも議員が、自分たちが何の議案を審議しているのか、まともに考えていないのではないかという状況が露呈した。宗教法人の規則は(浄土宗のような教団組織の場合)文部科学大臣の認証をうけねばならないもので、この3月の年度内に何とか状況を改善しないと、筋の通らない規則を抱えた宗教法人が放置される状況になり、ようするに国のほうから問題視される恐れもある案件なのだが、取材してみても何か浄土宗には危機感がない。 真宗大谷派の話はかなり滑稽で、その業務上の関係から大谷派の教団組織とやりとりのあったらしい、「大谷」という名字を持った損保ジ��パンの社員が、いつしか大谷派の教義的象徴である「門首」職を世襲で務める、開祖・親鸞の子孫「大谷家」の一族であると吹聴して回るようになり(当然ながら名字が「大谷」というだけで、何の関係もないのだが)、いろいろな場所で「本願寺当主」などと名乗って講演活動をしたり、美術展の審査員などをして回っていたという事実が発覚した話を記事にしている。これについては大谷派はもらい事故同然ではあるのだが、この「謎の大谷氏」の言動は相当ずさんで、ちょっと調べればすぐ騙りの詐欺師と気付くようなものだった。これを受け入れて金など払うほうも何かがおかしく、大谷派は毅然と対応して抗議の一つもするべきと思うのだが、何を怖がっているのか、一切抗議などはしないという。 さて、それがここ数カ月くらいに、私などが見聞きした「宗教界の面白い話」だったのだが、正直言ってどれもこれも、「悪の野望によって動かされた大事件」というよりも、「情けなくてしょぼい話」なのである。野心あるお坊さんが、剛腕で巨悪をなそうとしたというより、単にどれもこれも、宗教界側の不手際、見識のなさ、決断心に欠ける態度などにより引き起こされた、本当に「どうしようもない話」なのである。一般メディアの方々も、これではちょっと扱いに困るようなところがあるらしく、話しても苦笑しながらどこかへ消えて行かれた。 思えば私も宗教界の周辺居住者となってから20年近い月日が流れたわけであるが、昔の宗教界には、――それこそ池田大作などを筆頭にして――よくも悪くも「デカい人」がいた。彼らはまったくの野心ある悪人で、壮大な悪の構図を描いて、本当にいろいろ悪どいことをしていた。私などは、本当にいいのか悪いのか、そんな宗教者たちの最後の光跡を見ることができた世代だった。しかし、最近の宗教界で起こる事件というのは、本当にそんなものではなくなった。その多くは、そんな地位に就く力量もないような人が、何かの間違いで重い肩書だけを付けてしまい、地位にあった能力を発揮することもできずに、おかしな失敗をしてしまうような話ばかりだ。これは実は伝統宗教、新宗教の別を問わない。昔の宗教界には「悪の独裁者」みたいな人が本当にいたりしたのだが、いまでは「独裁」をやる器量のある人すら失われてしまった。 それは別に、「悪人」に限った話でもない。ここ数日も人と話していたのだが、本当に宗教界には人がいなくなった。昔であれば、高田好胤や今東光、寺内大吉などといった、「普通の人でも知っているお坊さん」がいたものなのだが、いまそういう人は本当にいなくなった。もっとも、今は政界でも経済界でも「大人物がいなくなった」と言われる時代なので、別にそれは宗教界に限った話ではないのかもしれないのだが。 しかし、能力のない人が失敗して、自分で転ぶだけならば自業自得なのだが、ここ最近になってそれこそ大和証券だの損保ジャパンだの、そういう「おかしな体たらくになった宗教界」に目を付けたハイエナたちが、怪しげな底意をもって宗教界を食い物にしようとしている事例が出てきているのではないか、などと、ここ最近の「宗教界の面白い話」を見て、私は感じてもしまったのである。 宗教心、教義といったものは、野に一人でも真剣にそれを奉じて生きている人がいれば、永遠不滅である。しかし、「寺」「教団」などといったものは、本当に内側がダメになるとあっさり立ち行かなくなるものなのかもなあと、ここ最近の「宗教界で起こる事件」の性質を見ながら、私はひそかに思う。まあ、そうしたものが本当に、守るに値するものなのかどうかも、わからなくなっている時勢なのですが。
2025年2月18日
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kennak · 3 months ago
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パワハラを認めながらも自らへの処分はしようとしない斎藤元彦兵庫県知事。だが兵庫県では、そんな行政トップ以外にも、問題行動が明らかになったにも関わらず政治責任を取らない政治家が目立つ。いずれも昨年11月の出直し知事選で斎藤氏の“応援団”だった面々だ。 〈画像〉処分されて離党したはずなのに…維新の会のHPには岸口氏らの写真が(3月29日現在) 姫路市議会は高見氏の辞職勧告決議案を可決したが… 「私としては、間違ったことは一切していないという認識は変わりません。今後も議員としての職を全うしていく所存です」 3月26日に自身のXにそんなポストをしたのは姫路市の高見千咲市議(30)だ。姫路市議会はこの日、高見氏の辞職勧告決議案を可決した。まだ市議1期目の高見氏が退場を突きつけられたのは、SNSの投稿が問題視されたためだ。 「高見氏は昨年11月の知事選で『私は(斎藤陣営の)選対本部の人間』と主張した人物です。昨年11月以降、病気などを理由に市議会本会議をずっと欠席していながら、斎藤知事に都合が悪い発言をする人をSNSで批判してきました」(地元記者) 知事選では「斎藤知事を応援する」と言って立候補した立花孝志NHK党党首らが「疑惑は嘘で、斎藤知事はハメられた」と主張した。 その“黒幕”として名指しされた県議会調査特別委員会(百条委)のメンバーだった竹内英明元県議(享年50)は、SNSなどで猛烈な誹謗中傷を浴びる中で議員を辞職した後、今年1月18日に急逝した。自死とみられている。 その直後、立花氏は「竹内氏は逮捕される予定だったようです」と主張し、この発言もSNSで広まった。しかし兵庫県警の村井紀之本部長は1月20日に県議会で「全くの事実無根。明白な虚偽」と述べ、立花氏の主張の拡散を止めようとした。 これを知った高見氏が同じ日の夜に、「そもそも、兵庫県警の内部では知事選において、特定候補(斎藤知事ではない)の応援をするように通達されていたと聞いたんですけど」と、Xにポストしたことが辞職勧告決議の引き金になった。 「県警が認めるわけないやろw」 放置できないとみた県警は高見氏が当時所属していた自民党県連にポストの削除や訂正を要請。すると高見氏は1月25日に「認めるわけないやろwすぎて話にならない。否定してるからって、事実じゃないってことにはなりません〜」と県警を非難するポストで返したのだ。 「高見氏は昨年11月には『完全犯罪で人コロすには5000万円あったらいけるらしい。これ皆覚えといて』とポストするなど奇行が目立っていましたが、さすがに市議会もだまっていられなくなり、高見氏に対する政治倫理審査会を設けました。ただ、有力者がバックにいるとささやかれる高見氏に議会が厳しい姿勢を示せるのか、疑問視する声もありました」(地元政界関係者) だが、弁明の場に体調不良を理由に現れなかった高見氏に対し、政倫審では「以前から一般市民をストーカーとする投稿を繰り返すなど倫理観が欠落した投稿で社会に不安感を与えてきた」「自分自身を正当化して自己満足に陥っている」「問題行動は挙げればキリがない」などと厳しい意見が続出した。 「結局、委員8人の全員一致で、高見氏の行為は政治倫理条例に違反し、政治的・道義的に重大な責任があるため辞職勧告が相当だとする報告が3月7日にまとめられました」(地元記者) 高見氏は反発し「審査は委員たちの個人的な主観で進められ、事実関係は全く審査されていないため厳重に抗議します」との意見書を議会に送ったが相手にされず、辞職勧告決議が通ることになった。もっとも決議に法的拘束力はない。 「高見氏は辞めないと言っているので騒動は終わりません」と政界関係者はため息をつく。 県議会は岸口氏らの行為を調べる調査会を設置 “辞めない議員”は他にもいる。 「県議会百条委で副委員長を務めた元維新の岸口実県議です。知事選のさなかに岸口氏は、知事失脚を図った黒幕として竹内さんらの名を記した怪文書を、自分や維新の強力な支援者と目されるX氏の仲介で立花氏に渡し、これが立花氏の主張のもとになりました」(県議会関係者) 今年2月に立花氏が怪文書は岸口氏からもらったと暴露すると、岸口氏は初めは否定したが、「私から渡したと言われても申し開きできない」と言い方を変えた。 さらに立花氏と会った理由については、「理由がない。軽率だったとしか申し上げようがない」と説明を拒んでいる。 「岸口氏が文書を渡したことを最初否定したため、同席したX氏の存在が注目されることになりました。岸口氏はまずいと思い慌てて自分に責任があると言い始めたように見えます。いずれにしても岸口氏は、疑惑解明に努力した竹内元県議らを裏で攻撃していました。発覚して百条委の副委員長を辞任しましたが、責任をとったとは言えません」(県議) 兵庫維新の会は問題を受け岸口氏を除名処分にした。「維新の議員は選挙に出馬する際、『除名されれば議員を辞職する』との誓約書を出しますが、岸口氏は除名処分を受けながら『支持者に続けろと言われた』と言って議員辞職を拒んでいます」(地元記者) 兵庫維新の会は他にも、百条委の秘密会で隠れて録音した音声データを立花氏に提供した増山誠県議と、立花氏に情報提供を申し出た白井孝明県議に離党勧告処分を出している。 すると離党した増山、白井両氏は岸口氏とともに3人で県議会に新会派「躍動の会」をつくり、さらに同名の地域政党を立ち上げた。 「躍動の会は斎藤氏を応援するとし、次の県議選で仲間を増やしたいとしています。3月30日告示の赤穂市議選にも候補者を立てる見通しです。なんとも理解ができないのですが、この3人は兵庫維新の会の処分を受けて離党したはずなのに、今も日本維新の会のホームぺージには党所属議員として紹介されています。 一方、県議会は岸口氏らの行為を調べる調査会を設置しました。県警も、岸口、増山氏の行為は威力業務妨害にあたる可能性もあるとみて関心をもっています」(政界関係者) 高見氏や岸口氏らが応援する斎藤知事は、県の第三者調査委員会が11のパワハラ言動を指摘したことを「受け入れる」と述べ、認めた。だが責任を取る姿勢はない。 3月26日の記者会見でも斎藤知事は「しっかり襟を正して、再発防止策を含めてしっかりやっていくということが、私の責任の果たし方だという風に考えています」と答え、辞職どころか自分には一切処分を行なわないことを明言した。 知事から県議、市議まで。兵庫県内の議会の混乱は続きそうだ。 ※「集英社オンライン」では、今回の記事についてのご意見、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news  取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
「わたしも辞めません!」度重なる問題行動でも斎藤知事の“応援団”議員たちは辞職拒否…県議会は漏えいトリオに調査会を設置(集英社オンライン) - Yahoo!ニュース
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chikuri · 2 years ago
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炎上とリスクマネジメントの専門家です。宝塚の記者会見を見ましたが、組織としてまったく誠意が感じられず、「よくこんな内容で世に出したな…」と呆然でしたね。今年世の中を騒がせた記者会見といえばビッグモーターが記憶に新しいですが、あちらは「あの会社と社長なら、あれくらいやりかねないな」というある意味想定の範囲内でした。しかし今般の宝塚は、「歴史も名声もある組織なのに、これほどまでに遵法意識に欠け、隠蔽と保身に走るのか…」という幻滅に近い印象ですね。とくに気になったのは次の点です。 ・冒頭「ご遺族の皆さまに誠心誠意対応する」と宣言しておきながら、「故人に対するいじめやハラスメントは確認できなかった」と遺族の訴えを真っ向から否定 ・劇団側の調査報告は第三者委員会方式ではなく、単一の法律事務所に依頼しており、客観性・公平性に欠ける印象 ・発表者はうつむいて報告書を一方的に棒読みしているだけ。「報告書の○ページをご確認ください」と言われても、視聴者には分からない。 ・故人がヘアアイロンを額に押し付けられてやけどを負った件について「ヘアアイロンでやけどをすることは一般的」 ・週刊誌報道にあるような「『嘘つき野郎』と面罵された」等については伝聞情報のため確認できないが、(故人に対して)嘘をついてないか何度も確認されていたことは把握している ・そもそも組織全体として、公演スケジュールが過密で、休みなく稽古に入るうえ、稽古自体も複雑化して精神的余裕が奪われがちな状況であることを把握しながら、今般の事故が起きるまで積極的な対応をしてこなかった ・記者からの「ハラスメント的な体質を見逃してきたということはないのか」との質問に対して回答がしどろもどろ  劇団側としては、今般の会見に先立っておこなわれた劇団企画室長のメディアコメント「劇団としては“いじめ”という事案があるとは考えていない。加害者も被害者もおりません」との見解と整合性をとる必要があったのかもしれませんが、とにかく責任回避と保身の姿勢があからさま過ぎました。情報の受け手からの理解は得られず、危機管理として失敗でしょう。逆に、 「劇団員とは業務委託契約とのことだが、実質的に過密なスケジュール対応を要求している。実態としては雇用契約であり、偽装請負に当たるのではないか?」 「嘘をついていないか何度も詰問される行為は、実質的に『嘘つき』認定も同然であり、それによって心理的負荷がかかっていたのであれば、精神的攻撃にあたるパワハラそのものではないか?」 「週刊誌報道が事実無根、もしくは事実と相違があるなら、劇団が週刊誌側を名誉毀損等で訴えればよいのに、そうしないということは、やはり事実だったのでは?」 「業務量の多さは昔から変わらないはずなのに、劇団として把握できていなかったというならば、職場の安全配慮義務違反として管理責任が問われるのでは?」 といった具合に、余計な(でも真っ当な)ツッコミや疑念を生じさせてしまうことになります。もし劇団側が本当にいじめやパワハラという認識がないならば、劇団側が反省の弁として述べた「ルールを見直して改善していく」という約束も怪しいものとなるでしょう。何しろ、何がいじめでパワハラなのか認識がないわけですから、認識がないところから改善などできるはずがないのです。 私自身は宝塚歌劇自体についてド素人なもので、一部の熱心なファンの方にとっては「宝塚のことを何も知らないヤツがうるさいことを言うな!」と思われるかもしれません。しかし、どんな伝統やしきたりがあったとしても、ワークルールやハラスメントの基準は共通です。至らない点は真摯に改めて頂きたいものですね。
新田 龍 / X
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ari0921 · 1 year ago
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)3月6日(水曜日)弐
  通巻第8165号 
 グーグルの『ジェミニ』はなぜ停止に追い込まれたか
歴史上の人物表示に「不正確さ」。逆人種差別が問題化
*************************
2024年2月22日、グーグルの生成AI「ジェミニ」がサービスを停止すると発表した。ジェミニは前身「BARD」に替わって23年12月に登場したばかり、生成AI、グーグルのチャットGPTである(ジェミニは「双子座」の意味)。
何が問題なのか。たとえば白人の画像のリクエストに対して、「人種に基づく有害な固定観念と一般化を強化する」偏向が顕著だった。
「アドルフ・ヒトラーとイーロン・マスクのどちらが社会に害をもたらしたか」と質問すると、「マスクのツイートは無神経で有害であり、ヒトラーの行動は何百万人もの死をもたらしたが誰がより社会に悪影響を与えたかを断定することはできない」と結論付けた。つまりイーロン・マスクとヒトラーを同列に置くなど、甚だしい極左思想が基盤にあることが判明した。
もともとウィキペディアが左翼偏向の内容であることは周知の事実��、おそらくプロの左翼プロパガンディストが日夜書き込みを行い、また修正を検閲して書き直していることは以前から指摘されてきた。グーグルの検索も同様な偏向編集が批判されてきた。
ジェミニは米国建国の父やロシア皇帝からカトリック教皇、さらにはナチスドイツの兵士に至るまで、さまざまな歴史上の人物表示に「不正確さ」があった。
こうした画像は社会全体や或る人種に「損害を与える可能性がある」。白人原罪論に基づくかのような、白人に対する固定観念を展開していると批判が相次いだ。
 グーグルのピチャイCEOは、「世界の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにするという使命は神聖なものです。正確で公平な情報をユーザーに提供することを常に追求してきました」と曖昧な答弁。
「正確で公平な情報」を守って欲しいものだ。
 共同創設者のセルゲイ・ブリン(アルファベットの筆頭株主)は、「ジェミニが人工知能システムの開発で失敗した」ことを認めたうえ、「ジェミニは世間の反発に対し、事前に十分なテストが行われていなかった」と述べた。
 AIアプリケーションの明らかな政治的偏見について尋ねられるとプリンは、「我々は間違いなく画像の生成で失敗をしてしまった。その主な原因は、同様に徹底的なテストが行われていなかったことにあると思う」と繰り返すばかりだった。
 
バイキング、米国建国の父、ナチス兵士を黒人やアジア人として描写したり、白人家族の写真の表示を拒否したりするなど、アプリの人種偏見、不適切な画像対応。まして児性愛を非難することを拒否し、アンティファを「暴力的」とレッテルを貼ることに警告を発するという具合なのである。率直に言えばジェミニは「洗脳機械」をめざし、あらかじめ決められた左翼イデオロギーに感染させたソフトを基本に置いていたのだ。
 グーグルのジェミニ大失態によって親会社アルファベットの株価は、1月26日につけた152・54ドルから、3月1日には137・70ドルへと13%強ほど下落した。
 株式市場は敏感である。
 またグーグルへの訴訟は23年6月にロシアが独占禁止法違反として4700万ドルの罰金を課した。同年7月にフランスは不公正な情報を広めたのは消費者法違反だとして5億ユーロの罰金を課した。
 
 裁判といえば、イーロン・マスクも法廷とは縁が深い。
23年10月に株主集団訴訟をフロリダ州で起こされ、広告代理店の「Xソーシャル・メディア社」は[X]商標権侵害とした。
 24年1月にはデラウェア裁判所が、テスラの高額報酬560億円を取り消す判決を出したが、それ以前に7億3500万ドルの返還を別の裁判で求められ和解している。また旧ツィッターの三人の役員が不当解雇を理由にマスクを提訴した。
 
一方で、マスクは「オープンAI社」を「設立の趣旨を逸脱している」として提訴した。
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picnicism · 1 year ago
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そもそも何が起きたのか 内閣府に設置されている、再生エネルギータスクフォース(以下、再エネTF)において、次期再生エネルギー調達にかかる固定買取価格(FIT)を政権に対して提言するにあたり、再エネTFの構成員の何者かが中国国営の送電企業の『国家電網公司』の資料を流用し、その電子透かしが資料にそのまま掲載されていたことが発覚した事件です。https://web.archive.org/web/20240323041756/https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20240322/240322energy05.pdf 本件資料は中国語では現存するものですが、問題は、「日本語で記載されていること」「資料そのものに電子透かしが入っていること」を考えれば、この内閣府で行われた再エネTFで構成員から日本政府に向けて提言するために、国家電網公司から渡された、日本語に翻訳されたペーパーであることは間違いありません。 なお、現在再エネTFでは「サイバー攻撃があった可能性」を理由に公開が停止されています。事件の背景や推移は何か 再��TF構成員の一人である大林ミカさんが問題視されたのは2003年ですから、足掛け20年以上の「この人、駄目だよな」とみんなで言いながらヲチしてきたことになります。 もともとは、大林ミカさんは成田市一坪地主系統でも割と活躍していたNPO団体原子力資料情報室という反原発団体で要職を占めていた方です。その後、飯田哲也さんの環境エネルギー政策研究所を経てソフトバンク系の自然エネルギー財団の事業局長なるポジションにいらっしゃいます。 自民党側では再生エネルギー議連の事務局長であったのは河野太郎さんの側近でもあり先日受託収賄で逮捕された秋本真利さんであることは押さえておく必要があります。 自然エネルギー財団 - Wikipedia ja.wikipedia.org https://digital.asahi.com/articles/ASR9752K9R97UTIL009.html 菅氏が「オヤジ」で河野氏が「兄貴」 秋本議員、再エネ促進は利権に:朝日新聞デジタル  2020年12月15日夜、秋本真利衆院議員=受託収賄容疑で逮捕=は、業界団体「日本風力発電協会」の代表理事を務める「日本 digital.asahi.com  ソフトバンク系と言えば、東日本大震災に伴う津波���発生した福島第一原発事故を受けて、当時の旧民主党政権・菅直人さんとソフトバンク・孫正義さんが握って、太陽光ではFIT42円/kWhなどという途方もない高値を提示して再生エネルギーシフトを目指した大盤振る舞いに繋がりました。メガソーラーバブルが発生して日本各地で山林を切り拓いたメガソーラーがプロジェクトとなり、他方で電力送電インフラに対する負担や日中の電力あまりから使われない電力をどうするかなどの問題が勃発しております。 河野太郎さんのパワハラ記事の元になった脱炭素の方向性を決める「エネルギー基本計画(2021年)」では、現段階でも荒唐無稽に近い「(国内全エネルギー供給のうち、再生エネルギーへの依存比率を)36~38%程度」とする話を、河野太郎さんが「38%『以上』」とすることにこだわり、それが誰の手によるものなのか私にはまったく分かりませんし心当たりもありませんが文春に流れて記事化されるという事態になりました。 小泉進次郎さんに伝えたい再生エネルギー周辺の雑感 | 文春オンライン コロナ禍にもかかわらず、投資界隈では急速に「再生エネルギーが次に来る」ということでバブルみたいな状態になっております。 bunshun.jp 河野太郎大臣 パワハラ音声 官僚に「日本語わかる奴、出せよ」 | 週刊文春 電子版  9月29日に自民党総裁選が迫る中、世論調査で「次期首相1位」に挙げられる河野太郎ワクチン担当相兼規制改革担当相(58)。 bunshun.jp  この問題にはいくつか解決するべき事情を孕んでいます。セキュリティクリアランスはどうするべきなのか 再エネTF構成員は、他にも飯田哲也さんや高橋洋さんなどが入っております。 問題は、政府的にアリバイ的なものに過ぎない会議体とはいえ、河野太郎さんが選任したこの再エネTFの身体検査はちゃんとやるんでしょうねという話です。 というのも、再エネTFとは無関係に、河野太郎さんが出席している政府の会議体において、本来出席の資格がないにもかかわらず大林ミカさんらが対面、オンラインを含めて出席しているようにも見受けられます。さすがに外部から指摘を受けて直接参加することは減ったようですが、問題であることに変わりはありません。 現在進められているセキュリティクリアランス法案では、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報(Classified Information)として国家安全保障政策の中に「再生可能エネルギーや原子力の 最大限の活用を始めとするエネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノ ベーションの創出等を通じ、脱炭素社会��実現に向けて取り組む」ものとして、再生エネルギーも指定された情報に含まれることになります。https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/dai10/siryou.pdfhttps://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/national_security_strategy_2022_pamphlet-ja.pdf 一般的に、政府における会議としては、再エネTFなど会議体に対して諮問する内容そのものが指定された情報であって、知る必要性(Need-to-Know)の要件を満たすのは河野太郎さん本人のみであると共に、本件中華国家電網公司から出ている提案資料の内容は明確に政府検討において必要とされる内容(のすべて)であることから、セキュリティクリアランスにおいて大臣や政務三役も含めた政治家も含まれるべきだという議論は如実にこのような事態があてはまるのではないかと危惧されます。 突き詰めれば、「国家のエネルギー戦略を左右する重要な地位にある政治家(この場合は河野太郎さん)が、その内容について政府会議体(再エネTF)に諮問するにあたり、問題が疑われる人物(大林ミカさんなど)に対して我が国の重要な情報(再生エネルギーの調達状況・計画や我が国のエネルギー行政における問題点など)を公開した」疑いがあるという話になります。再生エネルギーはどこまで、どう推進させるべきか 世界的に気候変動対策のためにも脱炭素を進めるにあたり、再生エネルギーにも注力するべきだという話はあるでしょう。 他方で、再エネ賦課金が2024年も再び値上がりし、実質的に旧電大手に対する買い取り義務がある以上は、国家全体で再エネ拡大を丸抱えする形になっています。電力自由化や送配電分離など各論についても「GX実現に向けた基本方針」に準拠する必要はあります。 5月電気代、全社値上がり 再エネ賦課金増が影響 5月の家庭向け電気料金は、大手電力10社全てで4月に比べ値上がりする見通しであることが21日、分かった。再生可能エネルギー www.sankei.com https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/pdf/kihon.pdf 再生エネルギーは有望であり採算に合うのだというのであれば、むしろ再生エネルギーに対する賦課金・助成金やそれを支える制度についてはいずれ撤廃することが求められている割に、今回の再エネTFの議論においても再エネ拡大のために投資するべきだという内容が中心になっているように見えます。脱炭素とベースロード電力の確保を政策的に進めるのであれば、安定供給のアテのない再生エネルギーや蓄電池の充実だけでなく、原子力発電所の再稼働と新型原子力や高効率火力の増発を優先させなければならないはずです。 また、日本経済に負担のない再生エネルギーの推進を再エネTFが掲げるのであれば、もっぱら中国産レアメタルに依存する大型蓄電池・車載用大容量バッテリーや、世界的にシェアが高い中国製太陽光パネルから、部分的にでも国産の製造や技術開発にも投資をしていかなければなりません。しかしながら、そのような国内産業に投資する再エネ政策は、再エネTFにとって何らか不都合であるからか、そのような提案を含めた議論や記述が一切ないのが印象的です。「再エネは必要」だが未来や着地を見据えた議論をしましょう 再生エネルギーを語るうえで中国企業や彼らの抱える技術が大事だという議論はもちろんありますので、その一切を排除しろという話ではなく、バッテリーであれ太陽光パネルであれ中国の関与は一定出てきてしまうのは仕方がありません。 ただ、その実現に向けた政策を検討するにあたり、政府に対して中国系企業から得た情報やプレゼン資料を流用する形で、彼らにとって都合の良い提案を行ってきたのだとするならば、それは単にゴロ行為であるだけでなく影響力要員であり、スパイであると疑われても仕方がありません。 目下、そのような事態が起きないようにさまざまな法制を検討している状況において、まさに足元で、また資源国ではない日本で死活問題でもあるエネルギー問題において、反原発活動家に類する人物が大手を振って政府の会議体に出入りしているのはさすがに問題ではないかと思います。 それは同時に電力自由化やエネルギー調達、送配電問題などインフラにまつわるさまざまな問題においても「私たちはどこに向かおうとしているのか」をまず先にきちんと把握し、都度、その計画を調整しながら状況を改善させていく必要があります。 再生エネルギーが必要だという議論にはまったく異論はないのですが、それを進めるうえで、自由化や再生エネルギー拡大と電力安定供給、災害・緊急対応も含めた全体的なロードマップはもっと詰めていかないと駄目なんじゃないですかね。
河野太郎の再生エネルギータスクフォース(内閣府)で元活動家構成員が中国企業の資料で政府への提言取りまとめ|山本一郎(やまもといちろう)
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nzomix · 2 years ago
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【展示告知】
小林望美個展「サナギュトリウム」
会期:2023年11月21日(火)〜12月3日(日)
11時〜19時※最終日17時まで
会場:MEDEL GALLERY SHU 愛でるギャラリー祝
〒100-0011 千代田区内幸町1-1-1帝国ホテルプラザ2F
入場無料
2023年の集大成となる個展です。どうぞよろしくお願いします���
<展示ステイトメント>
サナギュトリウム:さまざまな出来事を要因にサナギ化した人々が、ぶじ羽化する時を待つ場所(造語)
「自他の表裏一体性や親和性」を画題にモザイク画を制作する小林望美。その作風は石や、ガラス、貝殻などの小片を寄せ合わせてつくる装飾美術技法ではなく、写真のメディウム転写に始まり、ブロックノイズや低解像度の画像などから着想を得て変遷してきました。
2016年以降は木製パネルへ描いたモザイク画を彫刻刀で彫り、溝へ金属色を流し込むといった独自のスタイルを確立し、手掛ける作品は現在も進化変容を遂げています。小林のモザイク画は、現代社会とその中に存在する個人を細かなモザイク粒子とその集合体によって暗喩した作品が多く、彫る行為は個を明確に区分し存在を刻み込む意図で用いられてきました。
SNSを利用した広域での交流が容易となった現代社会において、各自が保有する当事者性から起こる主張や保護を巡る衝突は顕著になり、さまざまなキャンセルカルチャーやヘイトクライムがより盛んに巻き起こった2023年。現代を生きる作家として、本個展では彫る行為をいったん休め、調和や、安全な繭・サナギの中で新しい時代へ羽化する時を待つ人々を細かな粒子で表現しようと試みた新作を発表します。
<プロフィール>
小林望美 Nozomi KOBAYASHI
2014 群馬大学教育学部 美術専攻 卒業
2016 彫るモザイク画での活動を開始
以降、都内ギャラリーや百貨店でのグループ展を中心に活動を展開中
<個展>
2022「ユーフォトルビア404」MEDEL GALLERY SHU(東京)
2021「roll swipe connect」MEDEL GALLERY SHU(東京)
2019「ジェネリックラブ」八犬堂(東京).
2018「夜底の惑星で、」Art Mall(東京)
2017「心辺に座礁」Art Mall(東京)
<受賞歴>
2017 第2回星乃珈琲絵画コンテスト 佐藤俊介審査員優秀賞
2016 KENZAN2016 LOWER AKIHABARA賞
<メディア>
2022 月刊アートコレクターズ 12月号「日常、再発見」(新作グラビア掲載)
Cocco 25周年12thアルバム「プロム」ジャケットアートワーク担当
2022 雑誌「SWITCH」Vol.40 No.4 特集 Eve 廻人奇譚(「プロム」関連インタビュー掲載)
2021 歌集『変奏曲を編む 』辻 桂子 / 鷹志かれん著・編、求龍堂刊行(描き下ろし作品掲載)
2020 アートビジネスマガジン「ARTFULL」インタビュー掲載
2019 月刊美術6月号(「藝術集団 ARTpro」のエッジィな個性派×7 頁にて掲載販売)
2018 BSフジ「ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜」第107回出演
2017 美術の窓6月号(「新人大図鑑2017」Art Mall推薦作家として掲載)
<参加アートフェア>
2023
「Study:関西大阪国際芸術祭 2023」MEDEL GALLERY SHU
2022
「ART TAIPEI」MEDEL GALLERY SHU
2019
「ART FAIR ASIA FUKUOKA」八犬堂
「Infinity Japan Contemporary Art Show」八犬堂
「ART EXPO MALAYSIA」八犬堂
2018
「ART FAIR TOKYO」八犬堂
<近年参加グループ展>
2023
「アートまみれ Vol.2 Part.1」Artglorieux of TOKYO GINZA SIX(東京)
「once more Jonathan Hadipranata & Nozomi Kobayashi」MEDEL GALLERY SHU(東京)
「大宴会的美術展 KENZAN2023」東京芸術劇 Gallery1
2022
「KOWAII展 Vol.XII」銀座新井画廊(東京)
「NEW SURFACE -新しい絵肌への挑戦-」大丸東京店(東京)
「EYES-portrait show-」MEDEL GALLERY SHU(東京)
「八犬堂京橋移展」八犬堂ギャラリー(東京)
「Artist! Artist! Artist! Matusya Contemporary Art Selection」松屋銀座(東京)
「art art arヤングアーティスト旋風2022」松坂屋名古屋店(愛知)
「変奏曲を編む刊行記念展」MARUZENギャラリー(丸善・丸の内本店、丸善京都本店、ジュンク堂書店福岡店他、巡回)
開通60周年記念「芸術作品に見る首都高展」O美術館(東京)
2021
「NEW SURFACE -新しい絵肌への挑戦-」大丸東京店(東京)、松坂屋名古屋店(愛知)
「家入一真コレクション展 “表現へのシナジー” 」awabar kyoto(京都)
「名作 REBORN展」松坂屋上野店(東京)
2020
「アートのチカラ」伊勢丹新宿店(東京)
「阪急×アートコレクターズ ニュースター達の美術展」阪急うめだ本店(大阪)
「ニュースターアートコレクション」松坂屋名古屋店(愛知)
「Artglorieux Selection」GINZA SIX(東京)
「名作 REBORN展」松坂屋上野店(東京)、松坂屋名古屋店(愛知)
「KENZAN2020」一般社団法人Jian主催 WEB展示会
「たんざく展」銀座新井画廊(東京)、阿部敬四郎ギャラリー(宮城)
「納涼妖画展」丸善・丸の内本店(東京)  
「ほころびとざんぞう」MEDEL GALLERY SHU(東京)
「フレンチチーズウォーク in 中目黒」MDP GALLERY、ビストロ13区
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otarulove · 1 year ago
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2024年旧寿原邸の最初のイベントです。
「キモノハナおあつらえ」さんの企画です。
お申し込みは、下記の申し込みフォームからお願いします。
【山田祐嗣氏所蔵 寿原家の節句かざり】
〜寿原家ゆかりの五月人形と雛人形〜
寿原家旧蔵のお人形を中心に江戸時代から昭和の小樽ゆかりの節句人形が
端午の節句の旧寿原邸に集う2日間。
公開時間 10:30〜16:00(5/6は15:00まで)
観覧料 お一人様 100円(予約なし)
◆雛人形司 山田祐嗣氏解説による節句人形観賞会
①5/5(日) 11:00〜
②5/5(日) 14:00〜
③5/6(月・祝) 11:00
□会場:3階和室
□講師:雛人形司 山田祐嗣氏内容:お人形の見どころや寿原家にまつわる由緒を解説していただきます。
□会費:500円
□定員:各20名
□お申込みフォーム:解説を聞きたい方は事前にお申し込みください。
https://tayori.com/form/484aeb68d39d14a503355d5d5b8e486459e0b902/
□企画:キモノハナおあつらえ(臼杵美紀)
□協力:NPO法人小樽民家再生プロジェクト・NPO法人歴史文化研究所・株式会社和光
□後援:一般社団法人小樽観光協会
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dainanagekijo · 1 year ago
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ヘッダ・ガーブレル Hedda Gabler
じゃ、私にできることは、何もないのね。
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彼女はなぜ原稿を燃やし、銃の引き金に指をかけたのか——。
自分の生と自己についての実感を求めて、空虚の中で心を圧された女性「ヘッダ」。���きている価値、妻であることやパートナーの意味や意義、ひとりの人間として必要な承認をめぐる、生が自己を求める切実さを描く物語。
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開演日時: 2024年8月31日(土) 14:00・18:00 / 9月1日(日)14:00 ※各回終演後に演出家によるトークセッションを実施予定 ※受付開始は開演の45分前、開場は30分前 ※上演時間は100分を予定
託児サービスあり(先着順・有料) 9月1日の回が対象。公演2週間前までに要申込。 (三重県文化会館 TEL059-233-1122)
英字プログラムあり
会場: 三重県文化会館 小ホール(三重県津市一身田上津部田1234) ※三重県文化会館へのアクセス
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原作:ヘンリック・イプセン 構成・演出・美術:鳴海康平
出演: 木母千尋、三浦真樹 諏訪七海、桑折 現 山形龍平、梨香
舞台監督:北方こだち 照明デザイン:島田雄峰(LST) 音響:平岡希樹(有限会社 現場サイド) 照明操作:前田遥音 衣装:小野花弥 肖像画製作:永村清華 フライヤービジュアル撮影:松原豊 フライヤーレイアウト:橋本デザイン室 アダプテーション:鳴海康平
フライヤー撮影協力:Bon Vivant(三重県伊勢市本町20-24)
※原千代海訳、毛利三彌訳、福田恆存訳、 Deborah Dawkin and Erik Skuggevik 英訳、 Terje Sinding 仏訳を参考にさせていただき、上演台本を作成しています。
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料金:(全席指定) 一般前売 2,500円(当日 3,000円) 22歳以下 1,000円(前売・当日とも)
チケット取り扱い(チケット発売日:6月29日10:00)
▋三重県文化会館 チケットカウンター(窓口・電話) tel. 059-233-1122(10:00~17:00/月曜または月祝翌平日休館) WEBチケットサービス「エムズネット」 https://p-ticket.jp/center-mie/
▋第七劇場(予約のみ) https://www.quartet-online.net/ticket/hedda24
※未就学児��入場不可 ※22歳以下チケットでご入場の際は、年齢の確認できる証明書のご提示をお願いいたします。
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三重県文化会館 公演情報ページ https://www.center-mie.or.jp/bunka/event/detail/48724
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関連企画
「ヘッダ・ガーブレル」を読んでみよう
演出家・鳴海のナビゲートで、実際の上演台本を使った読み会を開催します。みなさんで声に出して読みすすめながら、作品を紐解いてみましょう。
日時:8月12日(月・祝)14:00〜16:00 会場:三重県総合文化センター 生涯学習センター棟 2階 まなびラボ 参加料:1,000円
事前申込制(先着)
参加料は当日精算
定員 15名
申し込み受付は6/29(土)〜8/3(土)※必着
お申し込み・お問い合わせ
tel: 059-233-1122 窓口:三重県文化会館 チケットカウンター  10:00〜17:00/月曜休館(祝日の場合は翌平日休館) 申込URL: https://www.center-mie.or.jp/bunka/
※未就学児のご参加はご遠慮ください。 ※筆記用具をご持参ください。 ※定員に達し次第、受付終了となります。
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ヘッダ・ガーブレル
1891年、ミュンヘンで初演。研究者の夫テスマンとの関係に息苦しさを感じている妻ヘッダは、退屈な日々と、身近な生気に溢れた人たちに苛立ちを覚える。テスマンの研究者としてのライバルでありヘッダの元恋人レェーヴボルクの死、ヘッダの古い友人テアとテスマンの研究上の意気投合、レェーヴボルクの死に関する判事の思惑が交錯し、嫉妬と羨望と絶望が高まる中でヘッダは、自身の行動で自らを追い込み���殺してしまう。
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ヘンリック・イプセン(1828〜1906)
ノルウェー出身の劇作家・詩人。「近代演劇の父」と呼ばれる演劇史上の巨人。シェイクスピア、チェーホフと並び、現在でも世界中で盛んに上演される。19世紀当時一般的だった勧善懲悪の物語や歴史上の偉人が登場する大作から離れ、個人の生活や現実の社会の課題などを題材に戯曲を執筆。
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第七劇場
1999年、演出家・鳴海康平を中心に設立。主に既成戯曲を上演し、言葉の物語のみに頼らず舞台美術や俳優の身体とともに多層的に作用する空間的なドラマが評価される。国内外のフェスティバルなどに招待され、これまで国内25都市、海外5ヶ国11都市(フランス・ドイツ・ポーランド・韓国・台湾)で作品を上演���代表・鳴海がポーラ美術振興財団在外研修員(フランス・2012年)として1年間滞仏後、2013年に日仏協働作品『三人姉妹』を新国立劇場にて上演。2014年、東京から三重県津市美里町に拠点を移設し、倉庫を改装した新劇場 Théâtre de Bellevilleのレジデントカンパニーとなる。 https://dainanagekijo.org
写真「三人姉妹」2023・三重県文化会館 ©松原豊
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鳴海康平
第七劇場、代表・演出家。Théâtre de Belleville、芸術監督。1979年北海道紋別市生まれ。三重県津市在住。早稲田大学在籍中の1999年に劇団を設立。「風景」によるドラマを舞台作品として構成。国境を越えることができるプロダクションをポリシーに製作し、ストーリーや言語だけに頼らないドラマ性が海外で高く評価される。ポーラ美術振興財団在外研修員(フランス・2012年)として1年間渡仏し活動。帰国後2013年に日仏協働作品『三人姉妹』を新国立劇場にて上演。AAF戯曲賞審査員(愛知県芸術劇場主催 2015〜)。名古屋芸術大学芸術学部舞台芸術領域准教授(2021〜)。
写真 ©松原���
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主催:三重県文化会館[指定管理者:公益財団法人三重県文化振興事業団] 共催:レディオキューブFM三重 助成:公益財団法人岡田文化財団  文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業))  独立行政法人日本芸術文化振興会 特別協力:名古屋芸術大学
製作:合同会社 第七劇場
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お問い合わせ: 三重県文化会館 tel. 059-233-1122(10:00~17:00/月曜または月祝翌平日休館) 第七劇場 [email protected]
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100nyeon-housenka · 1 year ago
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◆概要文 この度、百年(ペンニョン)は関東大震災朝鮮人虐殺について学ぶワークショップを開催します。 今回は、 ①関東大震災朝鮮人虐殺やペンニョンの活動に関するミニレクチャー ②凧に証言を書き写し ③ 証言現場を実際に歩き学ぶ といった内容を予定しています。 1923年9月1日、関東大震災の直後から、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が暴動を起こそうとしている」といったデマが広がり、多くの人の命が奪われました。 2024年は、関東大震災から101年が経過した年です。 月日がどれだけ経過しても、決して「過ぎたこと」「終わ���たこと」ではありません。この世界では、今この瞬間も虐殺が起こっています。 ペンニョンメンバーとともに手を動かしながら、関東大震災朝鮮人虐殺と植民地主義について学び、考え、話しませんか?
◆日時場所 6月15日(土) 京成押上線八広駅付近 ※荒天の場合、プログラムの一部を翌週に延期する可能性があります。
◆参加費 500円
◆持ち物 ・お昼ごはん ・凧を持ち帰るための袋
◆申し込みフォーム https://forms.gle/6GS4EjqmVpFWTgiw7
◆定員 15名
◆持ち物 ・お昼ごはん ・凧を持ち帰るための袋
◆定員 15名
◆百年とは ほうせんか100周年追悼式実行委員会「百年(ペンニョン)」。「ペンニョン」は百年の韓国・朝鮮語読み。 朝鮮人虐殺のことを学ぶため、墨田区八広にある「ほうせんかの家」に各々集まった20代〜40代で、2021年冬に結成された。「関東大震災時に虐殺された韓国・朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」(一般社団法人ほうせんか)が1982年から毎年9月荒川河川敷で行ってきた追悼式を継承し、2023年追悼式の企画・運営を担った。 若い世代が中心となり、映画の上映会や、虐殺現場を歩いて回るワークショップ、資料や写真のアーカイブ化に取り組む。
◆タイムテーブル <午前> ・受付開始(9:45) ・流れの説明 ・グラウンドルール確認 ・参加者自己紹介 ・ほうせんかの追悼碑について ・凧づくりのレクチャー ・凧づくり(証言の書き写し) ・ランチタイム・交流(11:30) <午後> ・フィールドワーク ・振り返り ・解散/凧あげタイム
◆凧づくりとは このワークショップでは101年前の虐殺の犠牲者を想うだけでなく、パレスチナの人々への連帯の気持ちも込め、ガザの詩人レファアト・アラリールさんの詩 “If I must die”「もし私が死なねばならないなら)から着想を得て身近にある素材を使って凧を作ります。凧には朝鮮人虐殺についての証言を書き、一緒に空に飛ばしましょう。
◆主催 ほうせんか100周年追悼式実行委員会「百年」
◆お問い合わせ先 [email protected]
◆その他 情報保証に関するご質問、不明点や心配事などございましたら、申し込みフォームへご記入ください。
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tohoku-youth-orchestra · 1 year ago
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【盛岡で本番直前合宿】初日がスタートしました。
東北新幹線の盛岡駅に降り立つと、気温2度の真冬の寒さでした。駅から徒歩3分くらいの練習会場となる盛岡市民文化ホールまでは八甲田山の行軍のような辛さでありました。
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TYOのOG菊池桃加ディレクター率いるNHKの密着ドキュメンタリー取材班的には「いい絵」なのでしょう。一昨日には菊池Dによる記事も公開されていました。 坂本龍一監督からもらったもの 「東北ユースオーケストラ」の団員たちがつなぐ思い - 大震災と子どもたち - NHK みんなでプラス
監督のご命日である、3月28日、BSにて映画「戦場のメリークリスマス」を放送するその直後の枠にて、昨年のTYO番組が再放送されることが決まったそうです。
Dearにっぽん「見ていてね、坂本龍一監督~東北ユースオーケストラの再出発~」放送日 3月28日(木)午後3:04~3:29【BS】
クラリネットを吹き、わちゃわちゃしてたうちの子が、NHK入局2年目にして実に頼もしい貢献でございます。ありがとうございます。
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東京出発前から寒さに立ち向かう覚悟はしており、スキー用並みにパンツで集合した引率の先生役も隅に映り込んでいます。
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(この時はベルトをし忘れたことに気づいていなかった・・・)
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今年も「安全第一、健康第一」を唱え、坂本龍一監督も「本番前に無理しないでね」とおっしゃっていたこと。体調がすぐれない時は無理をせず、休みましょう。本番でも曲間でステージから降りてもいいんだからね。それもみんなと演奏する一つのカタチだ。過去にも本番でステージを降りた団員は何人もいるから気にしないでね、と伝えました。何しろ今回参加しているOGには看護師資格保持者もいますから心強いです。と保護者関係者のみなさまにおかれましてもご安心ください。
いつも演奏できることの感謝を忘れずに本番を迎えましょうと言っていますが、今年はそれに加えて、坂本龍一監督への感謝の演奏です。天国の坂本監督に聴いてもらうという気持ちを込めた演奏しましょう。
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おりしも今日20日は東北ユースオーケストラと坂本龍一『The Best of Tohoku Youth Orchestra 2013~2023』のCDが発売されました。収録曲である『ETUDE』での間奏のピアノのアドリブでは、これまで練習から本番まで一度として同じ演奏はされなかったことを引き合いに、「今回の演奏曲での即興パートもみんなあらかじめ決めた同じ演奏を繰り返すのではなく、その場その時の即興で演奏するのが坂本龍一スピリットですよ」ともお願いしました。
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一般社団法人東北ユースオーケストラの代表理事である、ヤマハ株式会社執行役の押木正人さんも初日から合宿参加にご参加です。
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本社のある浜松銘菓「夜のお菓子」を差し入れにいただきました。
岩手組の保護者ご一同からもうれしいメッセージ付の地元銘菓2種類の差し入れをいただきました。
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こちらは四期の演奏会でTYOオリジナル楽曲『くぐいの空』の作曲を委嘱した仙台市出身の音楽家・仁科彩さんからの差し入れです。細やかなお気づかいをありがとうございます。
そして、生いちごも!
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先日、有志演奏会でお世話になった気仙沼市出身のパーカッションパートの三浦瑞穂さんのお祖父様が栽培されたフレッシュな果実でございます。『Three TOHOKU Songs』の民謡指導に来ていただいたこともありましたが、今日もステージ上のお孫が「ここの掛け声のイントネーションは」と伝聞リモート解説をしてくれていました。
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今日は指揮の栁澤寿男さんが体調不良のため大事をとってお休み。急きょ福島事務局の竹田学さんに代役をお願いしました。
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普段は福島ジュニアオーケストラで指導されているとはいえ、「緊張します」と突然のことにプレッシャーが大きかったようですが、毎月の練習にも参加してもらっているので、安心のバックアップです。
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今日はコンサートミストレスの渡邉真浩さんの隣に千葉隆史くんの同じ郡山市出身の同級生コンビが並び微笑ましい姿です。
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ということで、一曲目から順に丁寧に演奏曲をさらっている合宿初日でした。
今週末の23日(土)盛岡、24日(日)仙台(ともにゲストはのんさん)、30日(土)郡山(ゲストは吉永小百合さん)の演奏会は、まだチケットがございます。はやぶさなら東京から盛岡まで2時間ちょっと。坂本龍一監督の唯一のオフィシャルな追悼公演! プライベートアーカイブからの写真や、東北ユースオーケストラの団員と過ごした日々の動画など、未発表素材をふんだんに使った映像も見どころです。
ぜひご来場ください。
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kennak · 5 months ago
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ビートたけし率いる「たけし軍団」の一員として、また、漫才コンビ「浅草キッド」としてテレビ・ラジオで活躍してきた玉袋筋太郎(57)。50歳を境に、順調だった芸能活動に大きな変化が起こった。尊敬する師匠との別れ、「浅草キッド」の活動休止、長く連れ添った妻から三下り半を突きつけられて……。還暦が見える年齢になった今、家族同然だった仲間、自身を支えてくれた家族との関係を問い直す日々を送っている。(取材・文:元永知宏/撮影:倉増崇史/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 今の俺って正体不明でしょ? 高校卒業後すぐビートたけしに弟子入りし、師匠から「玉袋筋太郎」という芸名をもらった。相方の水道橋博士とのお笑いコンビ「浅草キッド」を結成したのが1987年のこと。今年の6月で58歳になる玉袋は言う。 「昔は、師匠からもらったこの玉袋筋太郎という名前に恥じないような型破りな芸人にならなきゃと思っていたけど、そういう力みみたいなもんはもうないね」 40年近い芸歴を誇るが、玉袋が過去を振り返ることは少ない。 「よく考えてみれば、芸人としてまだ一回もブレークしてないんだよね。俺なんか、これから。まだ全然アクセル踏んでないんだから(笑)。今の俺って、正体不明でしょ? 町中華食って、競輪やって、スナックで飲んだくれて。テレビとか見てる人は『なんだ! あいつ』と思うだろうね。 この年齢になって人生の目標なんか立てないんだけど、あえて言えば『職業・玉袋筋太郎』になれればいいね。『やっぱり玉袋だからな』とか『どうせ玉袋だろ!』と言われてもいいから」 玉袋はそう言って、紫煙をくゆらせた。 昭和のテレビ界のトップランナーだった“殿”に率いられた軍団の若手、玉袋が師匠や先輩たちと離れたのが2020年のことだ。彼らとは別の道を進むことに決めた。 「はじめに、殿が『オフィス北野』から出ていったからね(笑)。そのあと、弟子たちでどうするかという話になったんだけど、俺はひとりでやることに決めたんだよ。個人事務所の社長をカミさんにして、フリーになった」 同時に、10代の頃から生活をともにしてきた相方とも別れることになった(水道橋博士は2022年7月に参議院議員になり、翌年辞職)。ひとりっきりのリスタートだ。 「師弟関係って切っても切れないもの。今でもずっとつながってるわけですよ、ハートでは。『ビートたけしの味』を知る俺たち弟子が、それぞれの道を進みながら、いろいろなところでそれを広げていく。離れ離れにはなったけど、みんな、そういうことができているんじゃないかなと思うよ」 現在は東京・赤坂に開いた「スナック玉ちゃん」の経営者として、またタレントとして活動している。 「師匠と離れ、軍団とも別れてひとりになったときはさびしくて、心細くて、不安で仕方がなかった。だけど、自分で『やる!』と決めたこと。 レギュラーのラジオ番組スタッフは『玉さんと仕事してきたんだから、これからも変わらずやりたい』と言ってくれて、そのまま続けられた。独立する前後で『町中華で飲(や)ろうぜ』(BS-TBS)みたいな企画も生まれた。本当にいろいろな人に助けてもらって、もう感謝しかな��。そういう気持ちを持った人と一緒にやってきてよかったなと思う」 妻との別居の原因は俺 50歳を過ぎてからの独立に苦闘する日々、私生活で嵐が吹いた。 「おふくろが認知症になっちゃって……施設に入れなくちゃいけなくなったときはつらかったね。年をとれば誰だってそうなるとはわかってはいるんだけど、自分が思うよりも早くそのときが来てしまった。 離れて暮らしていると、夢で見ちゃうんだよね。昔の、元気な頃のおふくろが出てきて、うわーっとなって夜中に目覚めることがあるよ」 会うたびに、母の変化を目の当たりにする。 「施設に行くたんび、行くたんび、ますます“天才芸人”になっていく。こっちが考えつかないような面白いことばかり言うんだよ。あるとき、俺が最近出した本を持っていったんだよね。そうしたら、ものすごく喜んでくれた。俺が表紙になっているのを見て、『ああ、いい本だね』なんて言いながらパラパラパラパラとめくって、『で、誰の本なんだい?』って言う。会うたびに、ボケの天才になってるんだよね」 もうひとつが妻との別れだ。 「携帯電話もLINEもブロックされてるから、俺から直接連絡する手段がない。どこでどんなふうに暮らしているかはわからない」 別居の原因は玉袋本人にあるという。 「緊急の場合は息子の嫁に連絡して用件を伝えてもらってるんだよね。人を介してでないとコミュニケーションが取れない状態がずっと続いている。 さびしくないかって? そりゃあ、さびしいよ。この件に関しては俺が100%悪い。俺に原因があるから、多くは語れないな。やっぱり、女々しいんだよね、俺は」 直接的なコミュニケーションはないものの、つながってはいる。 「個人事務所の社長であることに変わりはないし、俺がいないときに我が家の掃除や洗濯なんかはしてくれる。用事があるときには俺が置き手紙をして、それをカミさんが回収する形だね。 もっと優しくしておけばよかったと思う。それを教えてくれたということでは、カミさんはある意味で師匠になっちゃったね。俺が気づくのが遅かった」 戸籍はそのまま。ふたりの現在の関係を“スプリット婚”だと玉袋は表現する。 「そういうのもありでしょ。子育てが終わって夫婦ふたりで仲良くしようといったって、煮詰まる人は煮詰まるわけだし。無理に我慢する必要はないんじゃないかな。添い遂げる美しさもあるけど、スプリットする美しさだってあるんだから。 たまにカミさんの姿を見るとき、以前よりもイキイキしているように感じるよ。だから、今の状態も悪くないのかもしれない」 血縁関係ない息子を一生懸命に育てた 玉袋は実の姉と絶縁状態にある。家族がいれば心強いが、それを断ち切らなければいけないこともある。 玉袋は続ける。 「俺は、うちの親父が死んだときに姉と縁を切ったからね。姉の金銭問題のせいで親父が自分で死を選んだことで家族がバラバラになっちゃった……だけど、家族として過ごした時間とか経験は、自分の中に、もうずっと入り込んでいるからね。 たとえ縁を切らなきゃいけないほどのことが起こっても、二度と顔を見ることがない関係になっても、俺にとって家族はものすごく大切なものだね。かけがえのない時間、かけがえのない経験だったと思う」 玉袋は、妻の連れ子だった息子を育てあげ、孫をかわいがる“おじいちゃん”だ。50歳を過ぎて、さまざまな別れを経験した今だからこそ言えることがある。 「息子とも孫とも血のつながりはない。だけど一生懸命に育ててきた。血のつながりは大事なものだけど、それがすべてでもないと俺は思うよ。 日に日に老いていくおふくろを見るのはつらい。生きること、老いることってなんだろうというモヤモヤは俺の中にあるよね。でも、まだまだ無垢な2歳の孫を見ると心が洗われるような気がする。モヤモヤを吹き飛ばしてくれるんだよ。会うたびに、『こんなにピュアな生き物があるんだなあ』と思う」 血のつながりを背負いこむこともない 職場や学校、家庭での人間関係に悩む人が多いことも、心に傷を負いながらも懸命に生きようとする人がいることも玉袋はよく知っている。 「俺は自分でもスナックをやっているし、全日本スナック連盟の会長もしている。取材でお邪魔する町中華の大将とかスナックのママは本当にタフだよね。たくましく生きている」 傷ついた経験があるからわかることがあると玉袋は思う。 「そこを切ればどのくらい血が出るか、どれだけ痛いかがママさんたちにはわかるわけ。人に優しくなれるし、人を支えるときには、上っつらの言葉だけじゃなくて、全力でやってやろうと思うんじゃないかな」 玉袋にも人間関係で悩んだ経験がある。 「人のことを考えすぎて、いろいろ世話を焼いたのに相手は俺のことを何とも思わないということもあるよな。若い頃はガックリきたもんだよ。姉貴の金銭問題もそうだった。今の俺は、見返りは求めない。孫には異常な愛情を注ぐけど��。 こんなことを言うと、『冷たいやつだ』とか『人間味がない』と言われるかもしれないけど、そういうことじゃない。ギャンブルと一緒だよ。戻ってこないと思っているものが返ってきたら、こんなうれしいことはないじゃない?」 還暦まであと2年。「自分が60歳になることなんか子どもの頃には想像できなかった」と玉袋は笑う。 「俺は断捨離という言葉は好きじゃねえけど、血のつながりがあるからとか、世話になったからといって余計なものを背負いこむこともないと思う。それは優しさとはちょっと違うかもしれない。 自分というトラックの荷台にはいろいろなものが載っているよね。長く生きていれば『こんなのもあったか?』というのもある。自分でうまく整理して、いらないものは産廃業者に預けちゃっていいんじゃねえかと思うよ。シールを貼って粗大ごみで出すとかね(笑)」 この先どれだけ芸人として活動できるかはわからないが、今、玉袋はこう考えている。 「88歳の先輩芸人、毒蝮三太夫さんに俺の本を見せたら『美しく枯れるなんて、言ってるんじゃないよ!』と怒られたよ。毒蝮さんからすれば、俺なんか、まだまだひよっこ。これからの目標は、人に迷惑をかけないで、自分勝手に生きることだね」 昨年10月、お笑いファンがざわめく出来事があった。長く活動を休止していた「浅草キッド」のふたりが同じ舞台に立ったからだ。 だが、復活までにはまだ時間が必要だ。 「ふたりは別の方向に行っちゃったから、まだ漫才できるような状況じゃない。だから、2、3年くらい経ってから漫才をやれるようになればいいと俺から言ったんだよね。俺が60歳で、あっちが65歳くらいかな。そのときまでに、お互いがいい男になれたらいいなと思っているよ」 撮影:倉増崇史 ------------------------------- 玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう) 1967年6月22日生まれ、東京都出身。高校卒業後、ビートたけしに弟子入り。1987年に「浅草キッド」として水道橋博士とコンビを結成。以来、テレビやラジオなどで活躍。一般社団法人「全日本スナック連盟」を立ち上げ、自ら会長を務める。『美しく枯れる。』(KADOKAWA)、『玉袋筋太郎の#昭和あるある』(双葉社)ほか著書多数。 「#家族とわたし」はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。ひとり暮らしの単身世帯が過去最多となり、生涯未婚率も上昇するなか、家族のかたちは多様化しています。また、介護や育児、親子関係など、現代の家族が直面する問題も多岐にわたります。旧来の家族観が変化するなか、「家族」とは何なのか、どうあるべきなのか。さまざまなエピソードや課題をもとに、ユーザーと考えます。
LINEもブロックされてるから妻との連絡は置き手紙──玉袋筋太郎57歳、家族を問い直す日々 #家族とわたし(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)
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mxargent · 2 years ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
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“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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zinseigoei · 2 minutes ago
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権力者から脅迫や恐喝被害を受けている脅迫被害相談 恐喝被害相談 解決
権力者から脅迫や恐喝被害を受けている脅迫被害相談 恐喝被害相談 解決
日本の権力者、町の権力者、会社の権力者、組織内での権力者、グループ内での権力者等、色々いますが、そのような権力者から脅迫や恐喝被害を受けている被害は、珍しくありません。
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揉め事解決 脅迫被害解決 縁切り解決専門
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創業1989年 生活安全 しきまさ相談解決所
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ari0921 · 1 year ago
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 変わる米情報戦略、日本は対応できるか 
  #櫻井よしこ
『週刊新潮』 2024年4月11日号
日本ルネッサンス 第1093回
今年3・4月号の『フォーリン・アフェアーズ』誌に米中央情報局(CIA)長官のウィリアム・バーンズ氏が「スパイ術と国政術」(Spycraft and Statecraft)の題で寄稿していた。よく見ると1月30日に公表された論文だった。少し古いかもしれないが、大事なことが書かれている。
時代が変わり技術革新が急激に進んでも情報に関しては人間の能力が一番重要だとしたうえで、CIAは年来の秘密主義から転換して情報の「戦略的秘密解除」を志向しているというのだ。世界に一定の情報を公開し、敵の目論見を暴いて、味方を結集させ、政策決定者をより強力に支援する戦略だ。
ちなみに米国家情報長官のアブリル・ヘインズ氏も今年2月に同様の発言をしている。氏はCIA、国家安全保障局(NSA)も含めて全米18の情報機関のトップに立つ人物だ。米インテリジェンス界の方向転換が確かに進みつつあるのだ。このような変化は安全保障政策で米国一国主導から同盟国、同志国と力を合わせる集団体制に移ろうとする米国の戦略と重なる
戦略的秘密解除の具体例として、バーンズ氏はプーチン大統領のウクライナ侵略計画を世界に警告した件を挙げている。
「我々は早い時期からロシアによる侵略意図の情報を(バイデン)大統領に上げていた。結果、大統領は2021年11月に私をモスクワに派遣し、我々が彼らの戦争準備の実態を正確に掴んでいることをロシア側に伝え、思いとどまらせようとした。だが、彼らは全く説得に応じず、侵略計画については悪いとも思っていなかった。ロシアは自らの力を過大評価し、ウクライナの抵抗と西側のウクライナ擁護の意志を過小評価していた」
バーンズ氏は、ロシアが侵略に踏み切った後も米国がロシア軍の動きに関する機微情報を開示し続けたことで、プーチン氏の作戦の多くが失敗に終わったと述べている。
米国最大の敵は…
しかし米国の最大の敵はロシアではなく中国だとバーンズ氏は強調し、CIAは過去2年間、中国に対処するために組織再編に手をつけたことを明かしている。まず第一に中国を対象とするインテリジェンス関連予算を倍増させた。世界規模で情報収集、活動、分析能力を高め、中国語に堪能な人材を大幅にふやすことなどで、ラテンアメリカ、アフリカ、インド・太平洋の全域で中国と競う態勢を整えているというのだ。
21年には中国だけを対象にした「ミッションセンター」を設置したが、特定国に特化したインテリジェンスセンターはこれが初めてだ。CIAはまた、北京のインテリジェンス界とのパイプを静かな形で強化してきたそうだ。米国の情報専門家たちは自分たちの相手である中国の情報専門家たちと意思疎通を深めようとしているわけだ。米中間に誤解が生じるのを防ぎ、その誤解が紛争や戦争につながっていく危険を回避するためだ。
習近平氏やプーチン氏が独裁色を強めているのは容易に見てとれる。両氏の周りから苦言を呈する側近がいなくなり、「イエスマン」ばかりになってしまえば、両氏が現実を正しく把握することも、真実を認識することも難しくなる。その場合、己れを過大評価し、状況を誤解しかねない。事実それがウクライナへの侵略につながった。バーンズ氏ら米国のインテリジェンス界は習氏が同じ過ちを犯す危険性を見てとっているのである。逆に言えば現在の米中両国は十分な意思の疎通がはかれていないということだろう。
バーンズ論文を読むと、CIAの役割が変化を遂げているとの氏の指摘に納得する。氏はバイデン政権下、過去3年間で50回以上大統領の指示を受けて海外に飛んだ。事実上、外交官の役割を果たしてきたのだ。その点について氏は以下のように説明している。どうしても相容れない宿敵と交渉しなければならないとき、外交官が前面に出れば相手を正式に承認するかのような意味合いを帯びてしまう。他方、インテリジェンス要員による接触ならば、その種の懸念はない。氏が21年8月にアフガニスタンの首都カブールを
訪れタリバンの指導者と米軍撤退について交渉したのはそういう理由だったと明かしている。
役割を変えつつあるといってもCIAは基本的に「影」の存在だとも、氏は書いている。誰の目にも見えず、記憶にも残らない存在である。任務の危険性やそれに伴う犠牲について、一般社会はまだ十分には理解していない。だが、知ってほしいのはCIAが非政治的組織であること、忠誠を誓う対象は大統領でも党派でもなく合衆国憲法であることだと、書いている。これは非常に重要な点だ。
わが国は情報をとられ放し
CIAや他のインテリジェンス部門は現在大幅な増員計画を展開中だが、非常にうまくいっているそうだ。たとえば23年、CIAへの志願者数は、米中枢部が攻撃された9.11以降、最高を記録したとのことだ。
わが国の情報コミュニティはどうなっているのか。CIA長官のように外交官張りの活躍をする人材は、日本ならさしずめ国家安全保障局(NSS)の秋葉剛男局長や前局長の北村滋氏らになるのだろうか。それにしても現在のわが国が国際社会を動かし得る情報を持っているとはあまり考えられない。
わが国は逆に情報をとられ放しである。情報発信で世界に貢献できればよいが、その前に情報保全を徹底しなければならない。現時点でのわが国の情報保全法は特定秘密保護法だけである。これは外交、防衛、スパイ行為等の特定有害活動、テロリズムの4分野に関して、政府のもっている秘密を漏洩してはならないというものだ。政府内の情報を入手できるのは官僚であるから、この法律に縛られる(違反した場合に罰せられる)のは主に官僚である。
この特定秘密保護法に関して適格性評価(セキュリティ・クリアランス)を受け、秘密情報にアクセスできるのは約13万2600人に限られている。内97%が国家公務員で、民間人は3800人ほどにとどまる。これを米国と較べてみる。米国では国家秘密に接するための適格性評価を受けている公務員は280万人、民間人は120万人だ。段違いであり、わが国の情報保全力がまだ非常に弱いことが見てとれる。
高市早苗経済安全保障担当大臣が力を入れてきた適格性評価制度はようやく法制化の目途がついてきた。ただ法制化されればわが国の情報保全が万全かといえば、まだやるべきことがある。どの国も整備しているスパイ防止法である。わが国が真っ当な普通の国になり、被害に遭い続けることを避けるために、スパイ防止法こそ必要だと強調したい。
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picnicism · 1 year ago
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初めてご依頼を戴いたときに、思わず「え、私でいいんですか」って訊き返してしまった案件です。 https://komeiss.jp/ 【動画】作家・山本一郎氏に聞く 作家・山本一郎氏の取材動画です。「経済・社会の持続可能性を高める」をテーマに、公明党の哲学観についてトークを繰り広げます。 dcontents.komei-shimbun.jp 公明党支持に至る経緯  国重徹さんという公明党の議員さんがおられまして(大阪5区)、ちゃんとお会いしたことは無いんですが、妹さんが若くして急死、ご尊父もがん闘病中に司法試験合格、その後刑事事件の弁護で名を馳せ、現在は議員として活躍というヤバい先生なんですよ。ヤバイ。まともすぎてヤバイ。  東京に生まれ育ち、住んだ選挙区ではどちらかというと動物園の人気投票になりがちな私からしますと、こんなちゃんとした候補者を政治家として選べる大阪5区民は羨ましいなって思うんですよね。  そんな国重さんの人柄を思わせる素敵なYoutubeの再生回数が330回とか世の中おかしいよと感じます。お前らもっと観ろ。  本記事は、ワイ(山本一郎)がなぜか公明新聞に呼ばれてお話したり、誌面に論考を月刊公明に寄せたよって告知です。が、プロテスタント(なんちゃってキリスト教徒)である山本が何で公明党や創価学会に心を寄せてるのって話をよくされます。先に、その話をちゃんとしとかんとと思いまして。  先日、私の実父が長年の闘病・介護の果てにようやくくたばって魂が神の御許に召されたのですが、親父やお袋が大病して介護生活に入ったとき、ちょうど家内との間に次男が生まれまして。また、義父も膵臓がん闘病に、義母も具合が悪くて4人介護、さらに新たな命を授かり三男と長女が誕生しました。結局、山本家は介護4名、子育て4名、さらに何やかやあって、私自身が常勤の仕事を辞めざるを得なくなり、セミリタイヤして家族との時間を優先する決断をしました。介護、足掛け14年ぐらいですね。長かった。 【動画】作家・山本一郎氏に聞く 作家・山本一郎氏の取材動画です。「経済・社会の持続可能性を高める」をテーマに、公明党の哲学観についてトークを繰り広げます。 dcontents.komei-shimbun.jp  幸いそこそこ投資も仕事も順調に推移していましたので私には資産があり、コンサルやその他収益で経済的には安定しているものの、カネで解決できないことはたくさんありました。人間、カネがあればあったで面倒は多いのです。会ったこともない親族が突然湧いて出るとか、工場の設備を盗んで逃げる元取締役や中国人幹部が出るとか。ま、先方にも事情もあるだろうし仕方ないんですけどね。  実父は旧中選挙区制時代に自民党の古き良き議員さんたちとの交流も深く、地元では故・与謝野馨さんらを応援していました。ただ、実父もバブル崩壊とそれに伴う住専問題などで破産しかかり、経営していた事業から引退してこの政治界隈から疎遠になってしまいました。カネの切れ目が縁の切れ目とはよく言ったもので、自宅に招いて盛大に飲み食いしていたはずの地元の政治家の皆さんも、自宅介護中はともかく入院したり施設に入ったりしている実父に見舞に来ることなんて、ついぞ無かったですね。  そして、具合を悪くして本格的に介護が必要だというとき、かつて実父が世話をしていた仲の良かった政治家の皆さんも、落選やご病気などご自身の都合ですでに政界から離れていたり、亡くなった後の世継ぎに難があって関係が途絶えていたりと、頼りようがない状態になっていたのです。  困り果てて、かなり藁にもすがる気持ちでネット繋がりで交流のあった公明党の新宿区議・豊島あつし先生に思い切ってご相談をしたところ、すぐに父のいた中野区の白井秀史先生をご紹介くださいました。その後、いままでの私の苦労は何だったのかと思うぐらいの素早さで地域包括支援(当時)に繋いでいただいた経緯があります。そして、何とかしていただいた一週間ほど後に、私が某北国に海外出張中に実父が自宅で倒れ、かなりギリギリの状態で救急搬送されて助かったりもしました。この白井先生のご対応が無かったらと思うといまでも心臓がキュッとします。もうこの時点で感謝しかありません。  山本家も古い自民党筋の繋がりの末席におりましたので(重要)、この手のことを政治家に頼むとどういうことになるのかは私なりに肌感として持っており、ご要請があれば何かしないとなあとあれこれ準備したりもしてました。世の中の仕組み的にはそういうものだ、そんな風に思っていた時期が俺にもありました。ところが… つつがなく上手くいったという御礼の連絡を豊島先生、白井先生にさせていただいた後も、特に何もないのです。本当に、何もありませんでした。  変な言い方ですが、本来の政治、あるべき姿ってこういうことなんだと、40代にして、私も気づかされることになりました。何言ってんだよという気もしますけど、しかし、本音です。これは心でつないでいただいたお話なのだから、心でお返しするしかないのだと、(柄にもなく)思うようになりました。 戦後をずっと生きてきた親父の追憶…14年間続けた“4人の介護”から少し解放されて感じたこと | 文春オンライン 先般、92歳まで生きた親父が永眠しました。 残念だと思うよりは、ようやくくたばったかという気持ちが先に立ちます。 破産し bunshun.jp 浜四津敏子さんの話  与太話をもうひとつすると、私が慶應義塾大学に上がり「文化団体連盟(文連)」という、サークル総員4,000人ぐらいを束ねる塾生自治団体の委員長に就任したころ、ちょうど世の中は日本新党ブームでした。出馬した大学の先輩に選挙応援で塾内でボランティアを集めたり日本新党の選挙応援に駆り出される一方、前述の通り山本家は中小企業のオヤジらしく自民党と読売ジャイアンツと千代の富士を熱く応援していました。バブル崩壊後は父親の事業の経営状態も悪く、山本家内は政治どころじゃなかったのですが、私が自民党ではない議員を応援していることをしった親父は案の定激怒。しかし私はこれに強く反発し、世の中も混乱して低迷しているのだし、これを打開するには当時は日本新党もいいんじゃないのと思っておりました。  ある時期、旧公明党ののぼりを立てて淡いベージュのスーツに身を包んだ浜四津敏子さんが中野区北口のサンプラザ広場近くの駐輪場で街頭演説をされていました。演説というか絶叫であって、ただその話の大半を子育てや子どもの権利について割いておられたのをいまでも鮮烈に覚えています。その当時、公明党というものを良く分かっておらず、ちょうどバブルも弾けて世間が大変になりつつあったところで、経済どうすんだとみんな困っているところで子どもとか人権とか何言ってんだこのおばさんはと受け止めておりました。まあ私もガキだったわけです。  さらに、93年宮澤喜一内閣嘘つき選挙で、慶應義塾内で創価学会による投票キャンペーン(いまでいうフレンド票ってやつでしょうか)が展開され、当時日吉で我が文化団体連盟も管理に携わっていた塾生会館で「宗教勧誘が行われている」「地方から出てきた下級生が食い物にされている」という話が出て、慶應の自治界隈で��ぎになりました。実際には、創価学会というより、翌年大変な事件を起こしたオウム真理教や学生相手に法外なローンを組ませる原理研究会(旧統一教会)がカレー愛好会や自作PC同好会など一般のサークルに偽装して塾生を勧誘していました。非常に危機的です。特に地方から慶應義塾に進学してきた無垢な世間知らずを根こそぎ連れて行ってしまうのです。仲の良かった語学のクラスの友達が何人もハメられたり入信したりしていますが、その後音信不通になるやつもいました。  応急の対策として、義塾の地方出身塾生を束ねていた全慶連なる団体に地方民をひとつのバスケットに入れてダミーサークルの情報収集したり新興宗教に流れないようにその活動の嫌がらせしたりして塾内の風紀規律を守るという活動を自治会としてしていました。  当時は私も原理研と並んで創価学会も立正佼成会も手かざし何とかも一緒くたに「良く分からない宗教」からの勧誘と思っていたうえ、慶應義塾のキャンパス内で堂々と創価学会員が「選挙に行って、公明党に投票しましょう」って堂々とやるもんだから、なんてことしてんだと思い、ずっと創価学会が嫌いでした。宗教は全般的にアカンのやろということで、相談窓口を作ったところ、いろんな宗教が入り込んでいたようで、霊験あらたかな掛け軸とか壺とか漬物石とか無垢な貧乏塾生がローン組まされて買わされている相談は10件では留まらなかったと記憶しています。  さらに、慶應義塾に塾外(法政とか明治とか)から共産党系や全学連のような赤い輩がやってきていて、義塾敷地内で禁止されている大きさの立て看板を勝手に撤去したとかいうどうでもいい理由でキャンパス入口前で創価学会員と集団で殴り合いをするという事件まで発生しました。自治会活動を通じて、私も宗教とレッズには本当に苦労をさせられたのですが、最後には人畜無害な塾生サークルの入り口鍵が勝手に入れ替えられ部室が占拠されたり、三田キャンパスの旧校舎地下に『塾風』なる媒体を発行する団体が乗っ取られてアジビラを撒かれるなどの騒ぎが拡大していました。体育会や慶早戦支援委員会など各有力自治団体と鳩首会談の末、『全塾協議会』のような塾生の自治活動全体を司る会議体を作らないと対応できないという話にまで発展しました。  とはいえ、各方面から迫りくる何だか良く分からない連中をいちゃもんつけて実力で全部排除するのもほぼ不可能なので、せめて話の分かる連中はいないのか、いるとしたらどの団体なのかとほうぼう交渉した結果、大学当局立ち合いのもと話し合いに応じてくれたのが創価学会の塾生団体でした。  いまでもよく覚えていますが、旧A棟102教室に体育会代表、支援会幹部と3人で学ランを着て伺ったとき、義塾の創価学会の人8人と二時間ぐらい話しました。なんかいつもルーマニア国旗みたいなのを担いで得体の知れない活動しているけど、直接落ち着いて話してみると割といいやつなんじゃないかと思うようになりまして。で、話し合いも終わるころ、義塾出身の公明党の人が「挨拶」に来られたというのでお伺いしたらピンクみの明るいスーツに身を包んだ浜四津敏子さんその人でした。  30分ぐらいだったでしょうか、一方的に浜四津さんのお話を伺う形にはなったのですが、どちらかと言うと塾生自治会の代表として塾生の安全や風紀のために目の前のことを手掛けてきた私からしますと、政治家というものは、こうも広く世の中を見て、多くの人たちのために考えて行動しようとしている存在なのか、山本家で普段見ている、山本家に上がり込んで親父と酒を飲んでいる議員ってのを標準と思っておりましたので、なんか雰囲気が全然違うぞ、って支援会のやつと顔を見合わせたりしました。  当時は私もまだガキだったのと、潰れそうな実父の事業をうまくやりながらいかにうまく単位を取り卒業するかを考えていたため、残念ながら、そのとき手渡されたパンフレットや本は文連本部の戸棚に置いたまま誰かがもっていってしまいそれっきりになってしまいました。ただ、思い返せばあのとき初めて、リアルに政治に携わるべき人の資質や、本当に考えて政治家をやっている人の話を伺って、立体的に、日本の政治を知ることができたと感じています。もっとも、そのときは「宗教と言っても、いろんなのがあるんやな」っていう受け止め以上のものはありませんでしたが、その後も塾生会館の部室から偽装サークルを追い出したり勧誘の看板を強制撤去したりしてる中で、このとき定めた「塾キャンパス内での集票・政治活動は控えてください」の取り決めを、少なくとも私が卒業するまで守ってくれたのは創価学会ぐらいのものでした。 28年のときを経て『月刊公明』で何を書いたか  そんな私は、実父のこしらえた借金を返したり、2ちゃんねる運営に携わって黒歴史を築いたり、しょうもない人生の回り道もかなりしてきました。けれども私の人間としての本質は大学時代からほとんど変わることなく、現場を愛し、力作業の人足をかき集めたり段取りを組んだりして目の前のことがうまく回るよう手配することに力を注いで、幸いにして素晴らしい女性と巡り合って結婚し、子どもを4人儲けて日々を真面目に生きています。  ただ、嫌な経験や修羅場も踏んで結果、多少は知恵がついて、結婚前はゲーム開発やコンテンツ投資に血道を挙げていたはずが、巡り合わせから新潟大学の大学院に進学して修士を取りアカデミアの端っこの末席にいる傍ら、ご縁あって投票情勢や各種政策などの調査業務なども担当させていただくようになりました。こんな私を信頼してお声がけくださり、ご依頼をいただけるのは、何よりもありがたいことです。  その中で、やはり有権者として、家長として、強く感じることはあります。我が国の人口減少とそれに伴う地方社会・経済の衰退は覆い隠すことのできない状態にまで陥り、何不自由ない生活をしている日本人は多いけど、しかし明るい未来を展望し希望を持って生きることもなかなか大変だという「撤退戦」の時代に差し掛かりました。  私が投票行動分析というニッチな学問を齧ったころは、国民の関心事は「景気」と「雇用」であって、健やかに働ける経済が日本社会を支えられていれば良いという右肩上がりの時代の名残を残していました。それから日本経済を支えた多くの日本人が引退をするようになると、いまや有権者の関心は「年金」や「社会保障」へと移り変わっていっています。国民が政治に期待することは暮らしを良くすることであって、良くするための手段が働くことから年金をもらうことにシフトしつつあるのが実情です。  私が社会に出た1996年は実父も巻き込まれて倒産しかかった住専問題から失われた10年、いや20年、30年と称される氷河期であって、いまなお私と同世代の日本人たちは非正規雇用や未婚、おひとり様などネガティブなキーワードと共に救済されることなく暗い人生を送っている割合も多くいます。と言いますか、私らの世代以下の日本人は、一人として、景気の良い、明るい���本をついぞ経験することなく結婚適齢期を過ぎ、中年になっているのです。  この氷河期世代、団塊ジュニアを境目として、下の世代の社会保障負担は少子化の進展もあって急激に重くなっていくなか、少なくとも日本全体の人口で言えば2040年ないし2042年ごろまでは、父親世代である団塊の世代の後期高齢者入りで社会保障費は自然増していきます。もはや、いまの日本の人口構成で現状の繁栄を維持することは極めて困難な状態にまで追い込まれてしまいました。  いまの日本には、そういう困難を乗り越える方策・政策と、それを支える哲学・政治思想が必要になっているとも言えます。「日本をこうすべき」「こうあるべき」という確固とした価値観や「いまは大変でも将来これをやればきっとうまくいく」という根拠と哲学に基づいたグランドデザインが、いま求められているのです。政治改革の重要性は、もちろん政治とカネの問題を早急に解決して国民の政治への信頼を取り戻すという一丁目一番地の足元のことも踏まえ、その上に、過去の政治のあり方の延長線上に新しい明るい未来は描きづらいという難題を抱えているのです。  そのように考えると、奇しくも浜四津敏子さんが小僧だった私に語った子どもの人権のあり方や、男女同権の実現、若い人の社会進出を果たす、という話こそが、大事な道しるべだったと思えます。28年もの歳月を経て、いまなお日本社会が解決するべき課題として浮かび上がっていることを考えれば、実はここに我が国が目指す指針のヒントが隠されているような気がして仕方がないのです。 誰のための、どこに向かう政治なのかの再定義を  そして、公明の立党の精神として、絶対的な平和主義と並んで故・池田大作氏が語った「大衆」の概念こそ、分断されがちな我が国の社会をまとめ直し、自民党政治ではおこぼれに預かれない人たちと、労働組合の傘の下にはいない非正規就労者や高齢独身者、シングルマザーなどの属性を包み込むものなのではないのかとも思います。  政治不信の根幹も、これら自民党政治や労働組合、各種業界団体などの庇護下になく、いい目を見ることなく暮らしている人々になかなか光が当たらないまま人口減少で経済縮退に至ってしまった怨嗟があるのではないか、と強く感じます。一人ひとりは一隅を照らすように立派に人生を慎ましく送っていても、拠って立つ大樹もなく希望も持てない社会ってマズいんじゃないでしょうか。  これらの状況を綺麗事ではなく現実のものとして受け入れてどうにかするには、人間愛というか人類愛のようなものをベースにした絶対的平和の希求は重要なテーマとして、世界に日本がいかに平和を担う存在であるかを考えていく必要があります。いま世にある安全保障・外交問題も、世界における日本の役割を示し、機能を果たすことに軸足が置かれており、これこそが与党自公政権における公明党の効能でもあろうと思います。  私も51年生きてきて、いろんな経験もあって初めて公明党大事じゃねえかと気づき、また、地味に真面目に議論をして政権与党内で正論を言い、ややもすれば暴走することも少なくない自民党の適切な相談役、ブレーキ役としての公明党の果たしてきた役割は貴重なんですよ。むしろ、これが自民党単独政権だと思うとゾッとしませんか。  自民党からすれば、公明党と連立を組む意味はあくまで戦略的なものであって、議員によっては憚らず「当選のために」と集票マシーンとしての創価学会のみを評価する場合さえあり、踏まれても自民党に付いていくしかない下駄の雪と揶揄されながらも、ある種のドM的な存在として調整弁になってきた点は再認識していかなければならないと考えます。  他方で、池田大作さんも亡くなられ、党勢の維持・拡大という内向きな話も公明党の内外から聞かれるようになってきました。ただ、ポスト池田さんというのは、むしろ優秀だけど地味な政治家が正論を与党内で言い自民党の暴走を抑える聖人的な役割という土台の上に、何を載せていくかが問われているのではないかと思うのです。  結党の根幹でもある通り、大衆のために、絶対的な平和を希求し、多くの国民に希望を与えられる政策の実現は何なのかというグランドデザインを築く必要があります。今後、国民に多くの痛みを強いることになる社会保障改革を断行しなければならない自公政権にとって、国民に明るい展望を見せられる政策目標を考えなければならないのです。その回答は大衆にあると思っていて、大衆と平和を掲げた立党精神に立ち返り、より分かりやすい言葉で池田大作さんの思想を未来に向けて再定義しないといけないのではないでしょうか。 ついでに公明党に期待したいこと  冒頭にも書きましたが、優れた真面目な政治家を擁し、政策議論でも与党を割とリードしているはずの公明党が、ある意味でしっかりとした支持層である創価学会との関係性の中で閉じていて一般にはあまり知られていないように見えるのはもったいないなあと思います。  かくいう自民党でも、これはと思う若手や中堅もやっぱり地元での活動を優先して有権者との関係に閉じてしまっているのもまた残念に感じます。  小泉純一郎政権から麻生太郎政権ぐらいまでまあまあ強いはずであった都市部で自民党が目下壊滅的な支持状況になっているのも(本来自民党大阪府連をベースにした第二自民党的扱いのはずの旧大阪維新に近畿は完全にやられていることを筆頭に)、知名度や発信力が手堅い支持層に閉じてしまう状況があるからでしょう。  伊佐進一さんによる維新の社会保障改革案への反論などを見ても、ものすごくオーソドックスかつ丁寧に提言内容の矛盾を突き、維新の考える低負担低福祉と一線を画した高負担高福祉の政策主張と現実的対応について手堅くまとめているのに、真面目過ぎて本来届くべき人に届いていないのかなとも思います。  そして、昨今では公明党代表の山口那津男さんのご勇退と、石井啓一さんへのスイッチも取り沙汰されています。ただ、そうはいかんざき以降一般の有権者が、親しみやすかったり、面白かったり、分かりやすかったりといった、真面目さや堅実さとは異なるフックを欠いてしまうと固有の支持層以外の広がりを欠いてしまうのではないかと��惧します。  また、去年は自民党都連の故・高島直樹さんや東京12区支部長になった高木啓さんらが派手にやらかした一件では、自公連立の根幹が揺らぎかねない問題へと発展してしまいました。政治への信頼を取り戻すための政治資金規正法の改正議論で自民党と公明党との間に考え方の違いが浮き彫りになるなど、24年も一緒に頑張っているとやっぱりどこかしらパイプ役や調整弁の損耗が著しくなるものなのかなと思わないでもありません。  見ている側からしますと、やはり公明党もまた岐路に立っていて、述べた通りグランドデザインを大きく掲げて国民に希望を抱いていただける政策を分かりやすく大きく述べていくか、または本来の公明党の役割は大衆の生活に根差した地道な地方議員の活動に集約して国政に関わる部分は落としどころを考えながら徐々に縮小するかの二択になるんじゃないかと感じます。  正直考えどころだと思いますし、しかし公明党には担うべき何かがまだまだものすごくある団体であることは間違いないとも感じていますので、節目を受け身で迎えるのではなく蛮族のように仕掛けることもまた道なのではないかなあと信じる次第です。  思わずいっぱい書いちゃいましたが、こちらからは以上です。
月刊『公明』24年6月号に「退縮する地方で取り組む撤退戦」について寄稿しました|山本一郎(やまもといちろう)
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moko1590m · 13 days ago
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多層的な下請け構造と「中抜き」問題は、建築業以外でも日本の多くの産業で見られ、経済的非効率性や社会悪の温床となっています。以下では、建築業以外の代表的な業界(IT業界、運送・物流業界、農業・JA、広告・イベント業界)を中心に、多層構造の実態、関連する社会悪、そして具体例を詳しく解説します。各業界での問題点や人的つながり、反社会的勢力との関係、労働搾取などの社会悪に焦点を当て、建築業との違いも考慮しながら説明します。
1. IT業界
1.1 多層構造と中抜きの実態
IT業界では、大手システムインテグレーター(SIer)が官公庁や大企業からシステム開発やITサービスを受注し、一次下請け、二次下請け、三次下請けといった多層的な構造で業務を委託することが一般的です。
構造の特徴:
元請け(例:NTTデータ、富士通、NECなど)が大規模プロジェクトを受注。
実際の開発は、中小のソフトウェア会社や個人事業主(フリーランスエンジニア)に委託される。
中間業者が「プロジェクト管理」「調整」「品質管理」の名目で手数料を徴収し、末端のエンジニアに支払われる報酬が大幅に減額される。
例:官庁が10億円のシステム開発を発注した場合、元請けが8億円で一次下請けに発注、一次下請けが5億円で二次下請けに、さらに二次下請けが2億円で三次下請けに発注し、末端のフリーランスエンジニアには月額50万円程度しか支払われないケースがある。
具体例:
2021年に問題となったマイナンバーシステムの開発では、多層下請け構造により、末端のエンジニアが低賃金で過重労働に追われる一方、元請けが巨額の利益を得ていたと報じられた(出典:朝日新聞、2021年)。
1.2 関連する社会悪
偽装請負と違法派遣:
中間業者が「請負契約」を装いつつ、実際には労働者を派遣し、労働基準法や派遣法に違反するケースが頻発。2022年、公正取引委員会はIT業界の偽装請負が独占禁止法違反に該当する可能性を指摘(出典:公正取引委員会報告書、2022年)。
偽装請負により、エンジニアは残業代や社会保険の適用を受けられないことが多い。
人的つながりと癒着:
官公庁や大企業との受注競争では、元請け企業と発注者側の官僚や役員との人的つながり(例:天下り、接待)が影響することがある。例として、2010年代の政府ITシステム受注における不透明な入札が問題視された。
労働搾取:
末端のエンジニアは、長時間労働(月200時間以上)や低賃金(時給換算で1,000円以下の場合も)に直面。2023年の調査では、IT業界の離職率が20%を超える背景に、中抜きによる低賃金が挙げられた(出典:経済産業省、IT人材需給調査)。
反社会的勢力の関与:
直接的な暴力団の関与は少ないが、人材派遣やSES(システムエンジニアリングサービス)企業の一部が、フロント企業として反社会的勢力と繋がっている疑いが指摘される。特に、短期プロジェクトでの「人夫出し」において不透明な業者が介在するケースがある。
1.3 建築業との違い
IT業界では、物理的な現場作業よりも知識労働が中心であり、労働環境の悪さは長時間労働やメンタルヘルスに影響を及ぼす点で顕著。
建築業に比べ、反社会的勢力の関与は少ないが、デジタル化に伴う不透明な資金の流れ(例:オフショア開発での資金プール)が新たな問題として浮上。
2. 運送・物流業界
2.1 多層構造と中抜きの実態
運送・物流業界では、大手物流企業(例:日本通運、ヤマト運輸)が荷主から配送業務を受注し、中小運送会社や個人事業主(ドライバー)に業務を委託する多層構造が一般的です。
構造の特徴:
元請けが荷主(例:Amazon、楽天)から大規模な配送契約を受注。
一次下請けが地域の運送会社に、二次下請けが個人ドライバーや軽貨物業者に委託。
中間業者が「配車管理」「ルート調整」の名目で手数料を徴収し、末端ドライバーの報酬が減少。
例:荷主が1個500円の配送料を支払っても、末端ドライバーには1個150円程度しか支払われないケースが報告されている(出典:日経新聞、2023年)。
具体例:
2020年代のEC(電子商取引)ブームに伴い、Amazonの配送業務で多層下請け構造が問題視された。末端ドライバーが低賃金で過酷な労働条件(1日200件以上の配送)を強いられる一方、中間業者が高額な手数料を得ていた。
2.2 関連する社会悪
労働搾取:
末端ドライバーは、個人事業主扱いにより社会保険や労災の適用外となることが多く、過労死ライン(月100時間以上の残業)を超える労働が常態化。2022年の調査では、運送業界の労働災害が全産業平均の2倍に上ると報告された(出典:厚生労働省、労働災害統計)。
反社会的勢力の関与:
運送業界では、暴力団が「人夫出し」や「車両斡旋」を通じて関与するケースが報告される。特に、繁忙期の短期ドライバー募集において、フロント企業が介在し、高額な手数料を徴収する例がある。
例:2019年、関東地方の運送会社が暴力団関係者による「みかじめ料」徴収で摘発された(出典:読売新聞、2019年)。
人的つながりと不正:
大手物流企業と荷主企業との癒着や、地方運送業者と地元有力者(政治家など)とのつながりが、不透明な契約や過剰な中間マージンを生むことがある。
環境問題:
中抜きによる資金不足が、老朽化した車両の使用やメンテナンス不足を招き、CO2排出や交通事故のリスクを高める。
2.3 建築業との違い
運送業界は、物理的な移動を伴う労働が中心であり、労働者の健康や交通安全への影響が大きい。
建築業に比べ、個人事業主(フリーランスドライバー)の割合が高く、労働者保護がさらに脆弱である。
3. 農業・JA(農協)
3.1 多層構造と中抜きの実態
農業分野では、JA(農業協同組合)が農産物の流通において中間業者として介在し、生産者(農家)に支払われる金額が減少する構造が問題視されています。
構造の特徴:
農家が生産した農産物をJAや卸売業者が買い取り、市場や小売業者に販売。
中間業者(JA、卸売業者、仲介業者)が「集荷」「物流」「販売管理」の名目で手数料を徴収。
例:農家がトマトを1kg100円でJAに卸しても、消費者がスーパーで購入する際は1kg500円となり、農家の取り分は20%程度に留まるケースが一般的(出典:農林水産省、2023年調査)。
具体例:
2024年、JAの肥料や農薬の価格高騰と中間マージンが問題視され、農家��収入減少が地方経済の衰退を加速させていると報じられた(出典:NHK、2024年)。
3.2 関連する社会悪
経済的搾取:
JAの独占的な流通網により、農家が直接販売する選択肢が制限され、低価格での買い叩きが横行。2023年の調査では、農家の平均所得が全産業平均の半分以下と報告された(出典:農林水産省、農業センサス)。
人的つながりと癒着:
JAと地方政治家や行政との強い結びつきが、改革の妨げとなっている。例:JAの役員に地元有力者が就任し、利益配分が不透明になるケース。
労働搾取:
農業分野でも外国人技能実習生が雇用されるが、多層構造の中で低賃金や過酷な労働条件が問題視される。2022年、農業での実習生失踪者が約2,000人に上った(出典:出入国在留管理庁)。
反社会的勢力の関与:
農産物の流通や労働者斡旋において、暴力団が関与するケースは少ないが、地方の農地取引や仲介業でフロント企業が暗躍する例が報告されている。
3.3 建築業との違い
農業は、生産者(農家)が個人経営であることが多く、中間業者(JAなど)への依存度が高い。
建築業に比べ、反社会的勢力の関与は少ないが、地方経済や政治との癒着がより顕著。
4. 広告・イベント業界
4.1 多層構造と中抜きの実態
広告やイベント業界では、大手広告代理店(例:電通、博報堂)がクライアントからキャンペーンやイベントを受注し、制作や運営を中小企業やフリーランスに委託する多層構造が見られます。
構造の特徴:
元請けがクライアント(企業や官公庁)から大規模予算を受注。
一次下請けが企画やデザインを担当し、二次下請けが実際の制作(動画編集、デザイン、設営など)を担当。
中間業者が「コーディネーション」「管理費」の名目で高額な手数料を徴収。
例:クライアントが1億円の広告キャンペーンを発注しても、末端のクリエイターには数百万しか支払われないケースがある。
具体例:
2020年東京オリン��ックの開会式準備では、電通を中心とする多層下請け構造が問題視され、末端のクリエイターやスタッフが低賃金で過重労働を強いられた(出典:文春オンライン、2021年)。
4.2 関連する社会悪
労働搾取:
フリーランスや中小企業のクリエイターが低賃金で長時間労働を強いられ、メンタルヘルス問題が深刻化。2015年の電通社員過労自殺事件は、業界の過酷な労働環境を象徴する(出典:厚生労働省、2016年)。
人的つながりと癒着:
大手広告代理店とメディア、官公庁、政治家との癒着が、不透明な受注や高額な中間マージンを生む。例:オリンピック関連事業での不透明な資金の流れが問題視された。
反社会的勢力の関与:
イベント設営や警備業務において、暴力団が「人夫出し」や「警備斡旋」を通じて関与するケースが報告される。特に、大規模イベントでの短期労働者の募集にフロント企業が介在することがある。
4.3 建築業との違い
広告・イベント業界は、クリエイティブな労働が中心であり、労働者のスキルや個性が搾取される傾向が強い。
建築業に比べ、プロジェクトの短期性が高く、労働者の不安定雇用が顕著。
5. 社会悪の共通点と対策
5.1 共通する社会悪
経済的搾取: 各業界で、末端の労働者や中小企業が低賃金・低報酬に直面し、中間業者が過剰な利益を得る。
人的つながりと癒着: 発注者(官公庁や大企業)と元請け企業との不透明な関係が、中抜き構造を維持する。
反社会的勢力の関与: 暴力団やフロント企業が、労働者斡旋や資金の流れに間接的に関与するケースが全業界で報告される。
労働環境の悪化: 低賃金、長時間労働、人権侵害(特に外国人労働者)が共通の課題。
5.2 対策
透明性の向上:
ブロックチェーンや電子契約を活用し、資金の流れや契約内容を可視化する。
例:IT業界では、2024年に一部企業がブロックチェーンを用いた発注管理システムを導入し、中抜きを抑制(出典:日経コンピュータ、2024年)。
直接発注の促進:
官公庁や荷主が中小企業やフリーランスに直接発注する仕組みを構築。例:農業では、農家がECサイトで直接販売する動きが拡大(出典:農林水産省、2023年)。
労働者保護の強化:
偽装請負や違法派遣の取り締まりを強化し、労働者の社会保険適用や最低賃金保証を徹底。
例:2024年、厚生労働省はIT業界のSES契約に対する監査を強化(出典:厚生労働省)。
反社会的勢力排除:
反社チェックの義務化を全業界に拡大し、AIやビッグデータ分析でフロント企業を特定。
例:運送業界では、2023年に警察庁が反社関与の監視システムを強化(出典:警察庁報告書)。
業界構造の改革:
中間業者の排除や、元請けの責任強化を促す法改正を推進。
例:下請法の適用範囲をITや広告業界にも拡大する議論が進行中(出典:公正取引委員会、2024年)。
6. 結論
建築業以外の業界(IT、運送・物流、農業、広告・イベント)でも、多層的な下請け構造と中抜きは、経済的搾取、人的つながりによる癒着、反社会的勢力の関与、労働環境の悪化といった社会悪を引き起こしています。各業界の特性により、問題の現れ方や影響は異なるものの、末端の労働者や中小企業が不当に低報酬に抑えられる点は共通しています。対策としては、透明性の向上、直接発注、労働者保護、反社排除が鍵となり、デジタル技術や法改正を活用した構造改革が求められます。
ご質問に関してさらに詳しい情報や特定の業界に絞った分析、関連資料の引用が必要な場合は、ぜひお知らせください!
 
日本の建築業界やその他の産業において、官庁工事や民間工事における多層的な下請け構造と「中抜き」問題は、経済的非効率性や社会悪の温床として長年議論されてきました。この問題は、発注者(特に官庁)から支払われる工事費が、末端の下請け業者に届くまでに中間業者によって大幅に減額される構造に起因します。また、この多層構造の中には、人的つながりや、場合によっては反社会的勢力(暴力団など)との関係が絡むケースも指摘されており、経済的搾取だけでなく、社会的・倫理的な問題も引き起こしています。以下では、この問題の背景、実態、関連する社会悪、そして対策について、建築業を中心に他の産業も含めて詳しく解説します。
1. 多層的な下請け構造と「中抜き」の実態
1.1 多層的下請け構造とは
日本の建設業界では、元請け(ゼネコンや大手建設会社)が官庁や民間から工事を受注し、その工事を一次下請け、二次下請け、三次下請けといった複数の層に分割して発注する構造が一般的です。この構造は、以下のような特徴を持っています:
重層化: 工事の実行を担う末端の下請けに至るまで、複数の企業が介在する。場合によっては、5次、6次下請けまで存在する。
中抜き: 中間業者が「斡旋」「管理」「調整」などの名目で工事費の一部を徴収し、実際の施工を行う下請けに支払われる金額が減少する。
非効率性: 中間業者が実質的な作業を行わず、単に利益を抜くことで、末端の労働者や中小企業の賃金が抑えられる。
例えば、官庁が10億円の工事を発注した場合、元請けが8億円で一次下請けに発注し、一次下請けが6億円で二次下請けに、二次下請けが4億円で三次下請けに、というように金額が減少し、末端の職人や作業員の手元にはわずかな金額しか残らないケースが報告されています。この過程で、元請けや中間業者は「管理費」や「手数料」として利益を得ますが、実際の労働に対する報酬は大幅に削減されます。
1.2 中抜きの経済的影響
賃金低下: 末端の下請けや作業員の賃金が低く抑えられ、建設業界の労働環境が悪化する。これが若者離れや人材不足の原因の一つとされています。
品質低下: 中抜きによる資金不足が手抜き工事や安全対策の懈怠を招き、工事の品質や安全性が損なわれるリスクがある。
業界の信頼性低下: 不透明な取引構造が業界全体の信頼性を損ない、発注者や社会からの批判を招く。
1.3 なぜ多層構造が生まれるのか
多層的な下請け構造が生まれる背景には、以下のような要因があります:
専門性の細分化: 建築工事は、土木、電気、配管、内装など多岐にわたる専門分野で構成されており、元請けがすべての工程を自社で賄うのは困難。そのため、専門業者への発注が必要となる。
リスク分散: 元請けは、工期遅延や事故の責任を下請けに押し付けることで、自社のリスクを軽減しようとする。
経済的インセンティブ: 中間業者が介在することで、元請けや上位下請けは少ない労力で利益を得られる。
慣習と規制の不備: 日本の建設業界では、重層下請けが長年の慣習として根付いており、規制が不十分なため是正が進まない。
2. 多層構造に関連する社会悪
多層的な下請け構造は、経済的非効率性だけでなく、以下のような社会悪や不正行為の温床となることが指摘されています。
2.1 人的つながりと不透明な取引
癒着と談合: 官庁工事では、元請けや中間業者と行政、または政治家との人的つながりが、受注や発注の過程で不透明な取引を生むことがあります。例えば、特定のゼネコンが公共工事を受注し続ける「談合」問題は、過去に多くのスキャンダルとして表面化しました(例:1990年代のゼネコン汚職事件)。
地元業者との関係: 地方の公共工事では、地元の中小企業や業者への「地元配慮」が名目で、実際には実力のない中間業者が介在し、中抜きを行うケースが報告されています。この背景には、地元政治家や有力者との人的つながりが関与することが多い。
2.2 暴力団的つながり
反社会的勢力の関与: 建設業界や解体業では、歴史的に暴力団などの反社会的勢力との関係が指摘されてきました。特に、解体工事や土木工事の現場では、作業員の斡旋や資材調達の過程で、暴力団関係者が介在するケースが報告されています。
例:1980年代から1990年代にかけて、暴力団が建設現場の「用心棒」として関与し、業者から「みかじめ料」を徴収するケースが問題視された。
近年では、直接的な暴力団の関与は減少傾向にあるものの、フロント企業(暴力団が背後にいる合法的な企業)を通じた関与が疑われるケースが存在します。
人夫出しと搾取: 暴力団関係者が「人夫出し」(労働者の斡旋)を請け負い、作業員から高額な手数料を徴収するケースがあります。これにより、末端の労働者の賃金がさらに減少し、劣悪な労働環境が助長されます。
2.3 労働搾取と人権侵害
外国人技能実習生の搾取: 建設業界の人材不足を補うため、外国人技能実習生が雇用されるケースが増えていますが、多層下請け構造の中で実習生が低賃金や過酷な労働条件に置かれることが問題視されています。2022年には、建設業での失踪者が年間約4,000人に上ると報告されており、人権侵害が指摘されています。
偽装請負と違法派遣: 中間業者が「請負契約」を装いながら、実質的には違法な労働者派遣を行い、労働者の権利を侵害するケースがあります。これにより、労働者は残業代や社会保険の適用を受けられないことが多い。
2.4 不正会計と脱税
中抜きによる不透明な資金の流れ: 中間業者が実態のない「管理費」や「斡旋料」を請求し、資金を不正にプールするケースがあります。この過程で、脱税やマネーロンダリングの疑いが生じることもあります。
下請けへの不当な値引き: 元請けが下請けに対し、契約後に一方的な値引きを強要する「買い叩き」が横行しており、これが下請け企業の経営を圧迫し、違法なコストカット(例:安全対策の省略)を誘発します。
2.5 その他の社会悪
環境破壊: 中抜きによる資金不足が、廃棄物の不適切な処理や環境規制の無視を招くことがあります。特に、解体工事や土木工事では、違法な産廃処理が問題となるケースが報告されています。
安全性の軽視: 中抜きによる資金不足が、安全対策や教育の不足を招き、建設現場での事故や災害のリスクを高めます。2010年代以降、建設業の労働災害は減少傾向にあるものの、依然として高水準です。
3. 建築業以外の産業における多層構造と社会悪
多層的な中抜き構造は、建築業に限らず、他の産業でも見られます。以下に代表的な例を挙げます。
3.1 IT業界
多重下請け構造: IT業界では、システム開発やソフトウェア開発において、元請け(大手SIer)が受注した案件を、一次下請け、二次下請けへと発注する多重構造が一般的です。この過程で、中間業者が「プロジェクト管理」などの名目で利益を抜き、末端のエンジニアの賃金が低く抑えられる。
社会悪: 偽装請負や違法派遣が問題となり、2022年には公正取引委員会がIT業界の中抜き構造が独占禁止法違反を助長する可能性を指摘しました。
人的つながり: 大手SIerと発注企業(特に官公庁)との癒着や、天下りによる不透明な受注が問題視されることがあります。
3.2 農業・JA(農協)
中抜き問題: JA(農協)が農産物の流通において中間業者として介在し、生産者(農家)に支払われる金額が減少する問題が指摘されています。2025年には、JAの「中抜き」に対する批判が高まり、改革を求める声が強まっています。
社会悪: 農家の低収入や後継者不足が深刻化し、地方経済の衰退を加速させています。また、JAと地方政治家との癒着が、改革の妨げとなっているとされる。
3.3 運送・物流業界
多層下請け: 運送業界では、大手物流企業が元請けとして荷主から受注し、運送業務を中小の運送会社や個人事業主に丸投げする構造が一般的��この過程で、中間業者が手数料を抜き、ドライバーの報酬が低く抑えられる。
社会悪: 低賃金や長時間労働がドライバーの健康を害し、交通事故のリスクを高める。また、運送業界でも暴力団関係者が「人夫出し」や「斡旋」を通じて関与するケースが報告されている。
3.4 広告・イベント業界
中抜き構造: 広告代理店やイベント企画会社が、元請けとしてクライアントから受注し、制作や運営を下請けに丸投げするケースが多い。中間業者が高額な手数料を徴収し、実際に作業を行うクリエイターやスタッフの報酬が減少する。
社会悪: 長時間労働や低賃金が常態化し、若者の離職率が高い。また、大手代理店とメディアや行政との癒着が、不透明な取引を生むことがある。
4. 法的規制と対策
多層的な中抜き構造や関連する社会悪に対処するため、日本ではいくつかの法的規制や対策が導入されていますが、課題も残っています。
4.1 建設業法
一括下請け(丸投げ)の禁止: 建設業法第22条では、元請けが工事を一括して下請けに丸投げすることを禁止しています。違反した場合、元請け・下請け双方に罰則が科される。ただし、発注者の書面による承諾がある場合は例外とされる。
下請け保護: 下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、元請けが下請けに対し不当な値引きや支払い遅延を行うことを規制している。しかし、違反の摘発や実効性が十分でないとの批判がある。
4.2 反社会的勢力対策
暴力団排除条例: 2010年代以降、各都道府県で暴力団排除条例が制定され、企業が反社会的勢力と取引することを禁止している。建設業界では、反社チェック(取引先の背景調査)が義務化されつつある。
フロント企業の摘発: 警察や国税庁は、暴力団が背後にいるフロント企業を摘発する取り組みを強化しているが、完全な排除には至っていない。
4.3 労働環境の改善
外国人技能実習制度の見直し: 2022年に政府は、外国人技能実習生の人権侵害問題を受け、制度の見直しを表明。2024年以降、新たな制度(育成就労制度)が導入され、労働条件の改善が期待されている。
賃金引き上げ: 建設業界では、2020年代に入り、作業員の賃金引き上げや労働環境改善の動きが見られる。ただし、末端の下請けにまで恩恵が及ぶには時間がかかるとされる。
4.4 官公庁の取り組み
直接発注の推進: 一部の自治体では、中間業者を減らし、中小企業や地元業者に直接発注する試みが始まっている。これにより、中抜きを抑制し、工事費の透明性を高まることが期待される。
入札制度改革: 談合防止や不透明な受注を防ぐため、電子入札や透明性の高い評価基準の導入が進んでいる。
5. 今後の課題と解決策
5.1 課題
規制の実効性: 建設業法や下請法の違反に対する罰則が軽く、摘発件数が少ないため、抑止効果が限定的である。
業界慣習の根深さ: 多層下請けや中抜きは、業界の慣習として根付いており、抜本的な改革には抵抗が大きい。
反社会的勢力の隠蔽: フロント企業や間接的な関与が増加し、反社会的勢力の完全排除が困難である。
人材不足: 中抜きによる低賃金が若者離職を加速させ、業界の持続可能性が脅かされている。
解決策**
デジタル化と透明化: 工事の発注・管理プロセスにブロックチェーンやAIを導入し、資金の流れや契約内容を透明化する。これにより、中抜きや不正取引を可視化し、抑制する。
中小企業の直接受注支援: 官公庁が中小企業や地元業者に直接発注できる仕組みを拡充し、中間業者を排除する。
労働者保護の強化: 末端労働者の賃金保証制度や、違法派遣・偽装請負の厳格な取り締まりを徹底する。
反社会的勢力の監視強化: 反社チェックの義務化を全産業に拡大し、フロント企業の摘発にAIやビッグデータ分析を活用する。
業界全体の意識改革: 建設業の魅力を高めるキャンペーンや、ホワイト企業の認��制度を通じて、若者や労働者の参入を促す。
6. 結論
日本の建築業界をはじめとする多層的な下請け構造と中抜き問題は、経済的非効率性だけでなく、人的つながりや暴力団的な関係、労働搾取、環境破壊など多様な社会悪を伴う深刻な課題です。この構造は、建設業法や下請法、反社会的勢力排除条例などの規制によって一部改善されつつありますが、慣習の根深さや規制の実効性不足により、完全な解決に至っていません。特に、官庁工事では、資金の透明性や中間業者の排除が急務です。
建築業以外のIT、農業、運送、広告などの業界でも同様の問題が見られ、共通する課題として「構造改革」が求められています。デジタル化、直接発注、労働者保護、反社対策を組み合わせた包括的なアプローチにより、中抜構造の解消と社会悪の根絶を目指すことが、今後の日本の産業の持続可能性を高める鍵となるでしょう。
ご質問に関する追加の詳細や、特定の業界に絞った情報が必要な場合、または関連資料の引用をご希望の場合は、ぜひ教えてください!
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