#浮釣木
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arraytale001 · 7 months ago
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(English and Japanese Version) 翻訳は英語のバージョンの最後にあります。
ARRAYTALE
BREAK THE RULES
“YOU LOSE!”
That line doesn’t end anything.
All it does is erase history and overwrite it with a new story.
Repeating boring things over and over again, seeking changes that will never balance the sacrifices made.
Does that line even mean anything in this world?
“Hey you, turn around and greet your new friend.”
That phrase isn’t new or special in any way.
“You remember me, don’t you?”
I wonder... what does “true death” even mean in this world?
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A snowy day, like always. I don’t think I’ve ever seen the snow melt here, not even for a second. Isn’t that strange? I can’t even tell if it’s morning or afternoon. Everything looks the same, unchanged, just sitting there.
The tree, the leaves, the stone.
Nothing changes in this place. It’s like a dead, unmoving star.
It feels like walking through a crowd of people who don’t move at all. They’re there, but they look empty, dead. In the stillness that halts time, you’re here too, glancing around with confusion, feeling lost.
“What a wonderful day for a boring one, huh?”
Waiting for the door to open, I fall asleep under a tree. I never get tired of waiting. It feels like working, but really, it’s just like being unemployed.
“So, you’re a human, right?”
Until the door opens, I have to keep doing what I’m supposed to do.
Act friendly, crack some jokes. And yet, I wonder...
When will I finally get bored, settle down, and let anyone passing through my area go about their business?
When will I let go of my responsibilities?
It’s funny, isn’t it?
Because I feel like that day of freedom will never come for me.
________
“Huh, so ya not gonna shake my hand? Touche.”
I held out my hand.
The human said nothing, staring at me like I was some alien speaking a foreign language. They were ordinary, completely different from me—a funny monster standing right in front of them. A being of bare bones, without flesh or nerves, just wearing a jacket over transparent skin that could never feel the cold air.
It didn’t surprise me that they weren’t afraid or wary at all. They didn’t act any differently than they would with another human.
“Name's Sans. Sans the Skeleton.”
“...”
They stared at my outstretched hand, then slowly reached out to take it.
“?!”
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ARRAYTALE
ルールをぶっ壊せ
「YOU LOSE!」
そのセリフじゃ、何も終わりやしない。
歴史を消して、新しい物語に上書きするだけ。
つまんないことを何度も繰り返して、全部犠牲にしても釣り合わない変化を求める。
そのセリフ、このゲームで意味あんのか?
「おい、振り返って、新しい仲間を迎えろよ。」
その言葉、別に新しくもなんともないけどな。
「お前、俺のこと覚えてるだろ?」
この世界で"本当の死"って、結局何なのか知りてぇな。
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いつものように雪の日。ここで雪が一瞬でも溶けるのを見たことがないと思う。変じゃないか?
朝なのか昼なのかさえ分からない。全部が同じに見えて、変わらず、ただそこにあるだけだ。
あの木も、あの葉っぱも、あの石も。
この場所では何一つ変わらない。まるで動かない死んだ星みたいに。
動かない人ごみの中を歩いているようだ。彼らはそこにいるけど、空っぽで死んでいるように見える。
時間が止まったような喧騒の中、君はそこにいて、周りを見回しながら困惑し、迷子になったような気分だ。
「退屈な日に、なんて素晴らしい日だろうな。」
扉が開くのを待ちながら、木の下で眠り込む。
待つことに飽きることはない。働いているようで、実際は失業者みたいに過ごしている。
「なあ、お前、人間だよな?」
扉が開くその時まで、俺はやるべきことをやるしかない。
愛想よく振る舞い、冗談を飛ばす。それでいて、俺は思うんだ。
いつになったら俺は飽きて、ただここに座り込むだけの存在になれるんだろう?
俺のエリアを通り抜ける奴が何をしようと放っておけるように。
俺の責任を手放すことができるように。
笑えるよな。
だって俺の自由な日は、永遠に訪れない気がするんだから。
_________
「俺の手、握らないのか?」
俺は手を差し出した。
その人間は何も言わず、まるでエイリアンの言葉を話しているように俺を見つめていた。
彼は普通の人間で、俺とはまるで違った。俺は目の前に立つ不気味な存在だから。
肉のない、神経もない、ただの骨の塊で、透明な皮膚には感じたことのない冷たい空気に包まれたジャケットを着た。
彼が全く恐れも警戒もせず、まるで他の人間のように話しかけてくるのが不思議だった。
「俺はサンズだ。サンズ・ザ・スケルトン。」
「…」
その人間は広げた手を見つめ、ゆっくりと俺の手を取った。
「?!」
CHAPTER 2
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palakona · 5 days ago
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梅雨寒キボンヌ
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
どうも、こんにちは。6月22日(日)は、西池に行ってきたゆw。梅雨がどっかに行ってしまって連日30℃超え。朝は近所のベーカリーで買ってきたパンを食べてゆっくり��て、10時過ぎに西池に到着。料金は、10時〜2000円+扇風機300円−金券500円=1800円です。扇風機は、昨夏までは釣席を予約したらサービスでしたが、経費高騰のため今夏から300円です。西池は雨天に強い屋内釣り場が売りですが、屋根下は日陰になるから炎天下にも強いかというとそうでもなく、通り桟橋の扉が全閉になっているので風が通らず意外と蒸すんです。扉が開いているとそれなりに涼しいのですが、いつも誰かが閉めてしまうので常に全閉で暑いです(汗)。なので、前回大助2枚で金券があるし、扇風機をお願いしました。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
先々週の西池釣行で、「東峰」8尺の穂先を抜かれて浮子ごと行方不明だったのですが、上がっていて戻ってきました!中セ池で「心道」8尺の穂先を抜かれた時は翌週戻ってきたので、先週は期待して来たのに上がってなくてガッカリしたんですが、2週間振りに戻ってきた!穂先の再作成は16500円かかるので痛いなあと思ってたんで助かった。5500円もした「伊吹」のパイプトップも戻って来たし。「伊吹」はボディにちょっと傷がついていたけど、贅沢��言いますまい。喪失してたんだから。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
釣席ですが、風が通るので屋外釣り場の方が涼しいかと思いますが、直射日光を浴びる北桟橋は誰も座ってなくw、日陰になる南桟橋はいっぱいで屋内釣り場の12番席です。竹竿は「げてさく」の11.2尺、「白総塗り」でスタート。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
11尺の浮子は「佳翔」の「小」。ありし日の姿…(意味深)
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
エサ落ち目盛は6目出し。浮力が足りないのか、なじみが深いので、浮子の真下にエサを打つように心がけました。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
打ち方始め!
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
美味しそうでしょ?釣れてーな。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
お昼ごはんだゆw。まだ20分ぐらいしか釣りしてないし、ま��釣れてないけど、食堂が空いてそうだったから11時過ぎにお昼にしました。サバの焼き魚って初めて。美味しかったです。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
来たゆーw。白い竹竿が弧を描く。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
キャーッ、目ズレや…ゴメン😅
たまにあるけど、可哀想。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
また来たー!今度こそ!
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
掻いたゆ…
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
なかなか釣れないので水温を見に行った。24℃かあ。データを取ってないので、良いのか悪いのか、わからんゆw。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
空ツン?にアワセた時、高切れした?チチワが外れた?のか道糸がどっか行った…。「佳翔」浮子喪失。なので、穂先が戻って来た「東峰」8.4尺にチェンジ。オリジナルの屋久杉の銘木握りから黒の乾漆握りに変わったけど、カッコイイゆw。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
ムニュムニュした魚信を取ったら乗った!
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
やっと釣れた!ボウズ脱出〜!もう13時だゆw。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
両目が…開きません(汗)「外」やん。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
また「外」や…。魚が床を切ったところに居てるので口周りのスレが多いゆw。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
コーヒーサービスの時間になりました。まだ1枚しか釣れてないゆ。コーヒーもアイスコーヒーの季節になりましたね。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
「ツン」っていう良い魚信を取って両目が開きま��た。安堵の2枚目。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
両目が開いたらポンポン釣れてこれが4枚目。
おまい、顔が怖いゆw。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
口に掛かるようになったと思ったが、またスレ。スレが5枚って久々やねえ。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
今日はヘラブナばかり釣れるのが良いですね。マブナもたまに混じるぐらいなら良いけど、やっぱヘラブナ釣りたいし。2時ぐらいにバタバタ釣れたので「つ抜け」も狙ったけど、暑いし、大阪屋さんに寄りたいので早めに竿を納めます。あと3投ぐらいで釣れた「上がりベラ」。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
暑いのか、皆さん、14時ぐらいから帰り始めて15時にはこんな感じ。6月22日はヘラブナ8枚でした。帰りに大阪屋さんに寄って、My New Gearしたけど気に入らなかった「廣茂」8尺と前に���って万力と合わなかった掛竿を売りに行ったら買取でサービスしてくれた。ラッキー。西池の常連さんも来ていたけど、Kさん13枚、Mさん9枚って感じだったので、僕の8枚は善戦だったみたいゆw。
では、また。
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kaoriof · 10 months ago
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無題
平穏よりも胸のときめきをいちばんにしたら世界のぶあつい皮膚が一枚めくれたかのようになにもかもが歌い踊りかがやきはじめたのをいまでも覚えている。わたしは親が厳しくて外泊できないけれど、そのあいだに同級生の子たちはうつくしい島の海に反射する満月をみて、だれかと夜通しぴたりとからだをあわせて内緒話をするような、今にもぷつりと切れそうな糸のように細くて鋭い若さを世界の夢に浸らせている。感性を野放しにして、こどものころの感動をひとつずつ取り戻す時間がわたしにも必要だった。けれど思いどおりにいかないこと��ある、それも定めとおもって歯をぎゅっとくいしばる。わたしには必要だった。路上、白い廊下みたいに澄んだ朝霧をかんじる時間。薄いトップス。ズレた口紅。好きな男の子と寝て一限目をサボるとか、夜の街頭を走り抜け、くだらないことに時間とお金を費やすこと。「それだけじゃない、夜に遊ばなくても昼に釣りをしたりサッカーしたりそういう遊び方だってあるだろう。そっちのほうが幾分もまともだ」 おとうさんは夜遅くに帰ってきたわたしを叱りつけ、そう言った。わたしはけしてワルにあこがれているのではなくて、ただただ綺麗なものに飽きただけだった。わたしにとって祈りや信仰はさいしょから型があってそれに当て嵌めてハイ完成みたいなかわいいお菓子作りのようなものじゃなかった。昔も今も自分でうつくしい歌をつくれない。うつくしいものがたりをかけない。うつくしい絵を描けない。世の中にはフォロワーが万桁いる女子高生がいて、今、世界中では何千もの美術展が開催されていて、明日、いつかオリンピックに出るであろう少年がはじめてスケボーに乗るかもしれない。わたしには何もできないかもしれないけれど、彼らの生き様はわたしをわたしたらしめる微かなエッセンスとしてわたしに溶け込む。それを祈りという言葉で表象してはだめ?これからのことをかんがえると、ずっとどきどきする。目の前の光景が、訪れたことのない地の光が、風が、わたしを、わたしのからだを必要としてる気がする。世界中に張り巡らされた血管がわたしの心臓部にも繋がっているような心地。死ぬ5秒前ってどんな感覚なのかしらないけど、築き上げた塔が崩れてゆく感じなのかな、雪景色のような。
無題
朝起きたら腕に友達の噛み跡と身に覚えのない痣が3つくらいあった。耐え難い疲労がからだのあちこちにひっついて、入れ墨と化している。活字の海を、本をその背に背負えたらよかったのに、今のわたしを崖っぷちに引き止めているのはうつくしい言葉でもなくて、泥に塗れた重いカルマ。イヤホンの先から垂れ流れる音楽すらも風のように軽やかで自由なものではなくて、ねばねばした気持ちわるくてかなしいものに聴こえた。夏と、そのあつさと、その底知れぬ闇に街ゆくものすべてがこころのずっと奥の方で平伏している。昼過ぎにスクランブル交差点前の巨大スクリーンが薄青い空を泳いでいるようにみえたこと、街ゆく人の肌色が、シャボン玉のようにその熱を吸収して発光していたこと、ぜんぶなんか夢みたいにふわふわしているかんじがした。もうすぐでなつやすみなのに、大学入ってからそれまでもずーっと夏休みのような感じだったからあまりどきどきしない。みずみずしくずっと光っていたい。わたしもいつかデカい人間になりたい、いつかいつかいつかという文句ばかりが増えてゆくのを横目でみて、ぜんぶカサブタを剥がすように振り解いて拭ってくれる奇跡みたいな命、日々、音をどうしても期待してしまう。どうすればいいんだろーと思いながらまたあしたも友人と夜ご飯をたべにいく約束した。それでまた家に帰って、朝起きて虚無感に苛まされて、の繰��返しを大量の課題で中和する。薄暗い中でたべるごはんとか朝早起きして化粧をすることじゃない、今はなにもない海とか草原でなにも繕わずにその自然のデカさとか愛を仰向けになって享受するのがいちばんただしいきがする。たすけてと呼ぶには大袈裟すぎるし。
end
泣き出しそうに張り詰めた空気に鼻を啜る。世界の彩度が落ちて、ぶあつい服を着た街ゆく人たちが皆んなちっちゃな怪獣みたいにみえる。肌寒い。外はずっと灰色、モスグリーン、レモンみたいな匂い。大きな木が揺れて、木の葉の上に横たわっていた雨の滴が霧のように3秒間くらい降った。最近は毎日毎日やることが多くて、それをこなしているあいだに1日が終わる。3日連続で化粧を落とさずに寝てしまった。多くの人が電車にのっているときに外の景色に目をやらないのと同じ感覚で、わたしも生活の外側にひろがる微かな動きに鈍くなった。ずっと特別でありたかった、1番愛されたかった、そういった思春期的な熱望とどんどん疎遠になっていく自分に日々焦ったり安堵したりしている。だけど同時に、わたしの中をまだ生きている17歳のわたしがその面影をときどき覗かせる。期待させる。突拍子もなく走ったり、ゲラゲラ笑ったりする。些細なことで泣いたり、理不尽な世界に怒っている。良くも悪くも変わっていくのなら、これからの自分に期待をしたい。アルバイト先では後輩が6人くらいできて、みんなわたしよりも仕事ができる。わたしはもともと注意をされると衝動的に泣いてしまうところがあったし、シンプルに忘れっぽ��った。あまりにも器用に仕事ができないので、ある日店長とそのことについて話し合ったら意識の問題と言われた。その1、人からのアドバイスに劣っている自分を見出してはだめ。その2、素直に人からの意見を受けとる。その3、自分のためでなくだれかのために働く。この3つを約束した。夜の繁華街で50歳の男性に飲みにいきませんかと声をかけられたり、あした授業にどんな服でいくかを考えながら化粧品を見に薬局に寄り道したり、腕に点々とのこる虫刺され痕をみて、それを残した蚊のことを考える。あした、図書館で借りた本の返却期限。わたしもちっちゃな怪獣になって寒さをまるごと食べてしまいたい、寒い日の、霞んだ光やクリアな淋しさ、果実のようにぎゅうぎゅうに酸っぱい気持ちを。
slow burning
大学一年生というよりも、高校四年生というような振る舞いをしているなあ、と自分のことを客観視する。新宿の横断歩道橋から行き交う人々を眺める。つい最近まで、委員会の同期の仲の良さにムラができていて、グループとかカーストとかそういう言葉が浮上してきてしまうほど揉めそうになっていた。それでも、それぞれが居心地の良い場所にしようと歩み寄っている。こういう、諦めによる愛想ではなくて心からの気持ちに胸を打たれる。明大前の飲み屋で酔っ払って「俺みんなのこと愛してるよ」と照れ笑いする先輩に、わたしたちみんな、キモいねーなんて言って茶化した。そのあと夜の大学で騒いでいたら警備員に注意された。机の下に10円玉を落としたのを拾わないで帰る。いつまでも赦されていたい。山猫のような女の子でいたかった。すぐ隣、肌すれすれにだれかの温もりを感じて弱さを誤魔化すのではなくて弱さを共鳴しあっていたい。「東京の人は生き急いでいる」なんて言葉があるけれど、わたしは美しい光景がそこに広がっていれば必ず立ち止まる人でありたい。仕事に遅れそう、とか、終電が、とかじゃない、好きな人たちのためだけに忙しくありたい。恋人は待ち合わせをするとき、「どこでおちあう?」と聞くのだけど、高2の頃、初めて会う日、それを「(恋に)落ち合う」と勝手に解釈して勝手にどきどきしたのを思い出した。それからわたしも「どこで落ちあう?」と聞くようにしている。ドア窓の形に切り取られた青い影が電車のフロアに映って、がたんごとんという音に沿ってフィルム映画みたいに小刻みにうごいていた。池袋で新疆料理をたべて、お腹を下す。スペイン語の中間試験。渋谷で5分1000円の手相占いをしたら、鎖みたいにいくつも��線が絡まっていますね、と言われた。意外と気にしいなんじゃないですか?「そうですね」と答える。駄菓子屋で1000円使い切ったほうが幸せになれそうだとおもった。電車の隣の線路にカラスが一羽いた。こんなに近くでみるのははじめてだ、と思って、じーっとみつめた。黒なのに黒じゃなくて、光を受けて渋いグリーンや紫っぽくみえる羽毛に目を見張る。なんか、空はどこまでも真っ青なのに光の細部だけ色があたたかい夕方前みたい。ふわっとなにかに気付いて、じーっとそれを見つめて、そこになにかが“視える”とぜんぶ途端にスローモーションになって、焦燥感や虚しさがたちあがってくる瞬間がある。からっぽなのにぎゅうぎゅうな感じ。AirPodsをケースにしまう音が体感的に5秒間くらい耳に残ったり、自分の息遣いにどきどきしたり、すれ違う男子高校生の会話声や、鳥が羽をはためかせる様子がクリアに輪郭が保ったまま空中を転がる。ガムを買って噛みながら、心のもやもやしたなにかを同時に小さく噛み砕いてゆく。光の洪水。家に帰ってパスタをたべたあと、お風呂で下の毛をつるつるにする。夕方終わりにお風呂に入るの、とても好きだなあと思う。コンタクトレンズを外さないまま、化粧も落とさずベッドへダイブする。瞼の裏に東京タワーの赤がたましいの塊みたいにまあるく光っている、はやく何もかも諦められる年齢になりたいと思う。
無題
なんかまじでわたしが疲弊していて悲観しているのか、世界が残酷なのかわからなくなってきた。脳科学の講義を受講したあと、テキトーに混雑した休日の街をあるいていたら皆んなの脳みそが透けて浮きでてきそうで気持ち悪くなった。地球4周分の神経線維。そう、どでかい爆弾が街ゆく人々の頭蓋骨に葬られている。ニューロンが軸索を介してつながってゆく、放出と受容を繰り返してみんな手を繋ぎあってゆく。セール中でバイトの雰囲気がぴりぴりしていて、みんな資本主義の豚みたいに働いていた。うつくしくないとおもったし、私も美しくなかった。結いた髪に、ぴたっとあげられた前髪。なにを思っているのかを書くのがずっと怖かった。もしかしたら私の感じているこの欲望はとても汚らわしいもので、それゆえにだれかを傷つけてしまうかもしれない。でも、言葉にしなければすぐにわすれてしまう感情に名前をあげなくなって、水をあげなくなって、そうしたら、じぶんの脳みその溝をうめていたみずみずしい苔までもがすっかり枯れきってしまって虚構を連ねるようになった。空洞に哀しみの音だけが響き渡る。友達はいるけど、私はその友達の1番になれない。恋人みたいな人はいるけど、私はその恋人の1番にはなれない。1番っていうのはほんとうの意味での1番、2番とか3番とかがいない1番。圧倒的な2人の世界の中でのフェアで高貴な1番。有名になりたかった。文章でも外見でも写真でもなんでもいい、だれにも敵わない羽根で世界を羽ばたいてみたかった。わたしを選ばないで、そこらへんのそれっぽくかわいい女の子を選ぶかっこいい男の子たちを信じられないでいる。外国に行ったらモテるよ^_^と投げかけられた言葉について何回も考えるけど、考えるたびにかなしくなる。でもね、神様はいるとおもう。木漏れ日の首筋に、砂丘のしずけさに、広大な空の一枚下に、その温もりと永遠が芽吹いているのをしっている。そのたびに、わたしはこの世界に愛されていて、まだ19歳で、まだ何にでもなれて、そして世界を(気持ちがあふれてしまいそうなくらい)等身大で愛しているドラゴンみたいにかわいい女の子だとまじないを唱えるようにして心を強く保つ。アスファルトに散った桜が朽ちて、吐瀉物のようにグロテスクにぬるい光を浴びている。走り抜ける。だれかの憎悪の中に、疑念の中に、見下しの中に憧憬の眼差しを覚えながら。東京で灯される光の数だけ、アフリカの広原でつややかな花が咲けばいいのに。光の重さの分だけ、銃弾が軽くなればいいのに。帰り道、ひさしぶりにパンを買って帰った。
日記
弟がiPadのタッチペンを無くしたらしくて、それを聞いた母がすぐにAmazonで検索して新しいのを買った。こういうとき、ほんとうになんか小さなことだけれど、すごく心が愛にみちる。
大学の新校舎の建物のにおいが400人もの人が集まった大教室の縁をすべっていく。扉を開けた瞬間、目と目と目がわたしの顔を捉える。湿気漂うフロアにだれかがペンを落とす音、先生のマイクが吐息までもを拾って湿った熱を加速させる。「儚いって聞いて何を思い浮かべますか?蝶?蛍?蝉?トンボ?」 教授がそう聞くと、みんなのえらぶ選択肢がちょうど均等に分かれる。講義が終わるといつもすぐに帰るイケてる男の子が蛍を選んでいて、なおさらかっこよく見えた。わたし、インスタのフォロワーが490人いるんだけど、その人数って今見てるこの人たちよりももっともっと多いのかと思うとなんか心強いような息苦しいような、不思議な気持ちになるなーとぼんやり思った。君たちはぶっちゃけ勝ち組です、という先生がキモかった。海外の大学院に行きたい。わたしはもっともっと色々な人を知るべきだし、美しい景色にであうべきだし、貪欲に学ぶべきだとおもうから。聡明になって、お金を稼いで、将来だいすきなひとたちにたらふく��飯をたべさせてあげたい。お母さんとお父さんが育ててくれた、守ってくれたこの心の真ん中にそびえる愛情のかたまりを誰かに分け与えていきたい。でも、そうとも思うけど、逆にそれをこなごなにさせてくれる危険性や若さゆえの解放にも目が眩んでしまうの。「今しかできない」ってとてもずるい言葉だなあ。
19さい
19歳とかいちばん呪われていた1年だった。まだハタチじゃないけど、もうそうさせて、と思うくらいに、1年のあいだに10年分くらいの幸せと不幸せがぎゅうぎゅう詰めに、どっちがどっちかわからなくなるくらいに入り乱れててくるしくてさみしくて悲しかった。くるしかった。わたしと同じ純度で、等しく、あいしてほしい。あいされたい。
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kurihara-yumeko · 1 year ago
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【小説】コーヒーとふたり (上)
 休日に喫茶店へ行くことは、加治木零果にとって唯一、趣味と呼べる行動である。
 喫茶店へ行き、コーヒーを飲む。時刻はだいたい午後二時から三時。誰かと連れ立って行くことはない。常にひとりだ。行き先も、決まった店という訳ではない。その時の気分、もしくはその日の予定によって変える。
 頼むのは、コーヒーを一杯。豆の銘柄やどのブレンドにするかは店によってだが、基本的にブラック。砂糖もミルクも好まない。軽食やスイーツを注文するということも滅多にない。ただ一杯のコーヒーを飲む、それだけ。
 彼女は喫茶店では本を読まないし、パソコンも開かない。スマートフォンにさえ触れないこともある。コーヒーを飲み終えたら、すぐに店を出て行く。たとえその一杯がどんなに美味でも、二杯目を頼むことはない。時間にすればほんの数十分間。一時間もいない。それでも彼女は休日になると、喫茶店へ行き、コーヒーを飲む。
 零果がその店を訪れたのは二回目だった。最初に訪れたのは、かれこれ半年近く前のことだ。
 たまたま通りかかった時にその店を見つけた。「こんなところに喫茶店があったのか」と思った。喫茶店があるのは二階で、一階は不動産屋。賃貸マンションの間取り図がびっしりと貼り付けられているガラス窓の隣に、申し訳なさ程度に喫茶店の看板が出ていた。
 細く狭い階段を上った先にその店はあり、店内は狭いながらも落ち着きのある雰囲気だった。歴史のある店なのか、年老いたマスター同様に古びた趣があるのが気に入った。コーヒーも決して不味くはなかった。出されたカップもアンティーク調で素敵だと思った。
 しかしその後、零果の喫茶店リストの中で、その店はなかなか選ばれなかった。その店の立地が、彼女のアパートの最寄り駅から微妙に離れた駅の近くだったからだ。「わざわざあの駅で降りるのはちょっとな……」と思っていた。けれど、最近同じ店に行ってばかりだ。今週末は、普段あまり行かない店に行こう。それでその日、その店を選んだ。
 けれど、その選択は失敗だった。
「あれ? 加治木さん?」
 そう声をかけられた時、零果は��ばれて来たばかりのコーヒーをひと口飲もうとしているところだった。カップの縁に唇を付けたまま、彼女はそちらへと目を向ける。
 その人物はちょうど、この店に入って来たところだった。そして偶然にも、零果は店の入り口に最も近い席に案内されていた。入店して真っ先に目につく席に知人が座っているのだから、彼が声をかけてきたのは当然と言えば当然だった。しかし、零果は彼――営業部二課の戸瀬健吾に声をかけられたことが衝撃だった。
「こんなところで会うなんて、奇遇だね」
 戸瀬はいつもの人当たりの良い笑みを浮かべてそう言ったが、零果は反応できなかった。驚きのあまり、何も言葉が出て来ない。しかし彼女の無言に気を悪くした様子はなかった。
「俺はよくこの店にコーヒーを飲みに来るんだけど、加治木さんもよく来るの?」
 笑顔で尋ねてくる戸瀬に、零果はカップを口元から離してソーサーの上へと戻しながら、「いえ、その……たまに……」と、かろうじて答える。この店に来たのは二度目だったが、そう答えるのはなんとなく抵抗があった。あまり自分のことを他人に明かしたくない、という彼女の無意識が、曖昧な表現を選んでいた。
「そうなんだ。ここのコーヒー、美味いよね。あ、じゃあ、また」
 やっと店の奥から店員が現れ、戸瀬は空いている席へと案内されて行った。幸いなことに、彼の席は零果から離れているようだ。大きな古めかしい本棚の向こう側である。
 戸瀬の姿が見えなくなってから、零果はほっと息をついた。休日に同僚と顔を合わせることになるとは、なんて不運なのだろう。その上、場所が喫茶店だというところがツイていない。
 改めてコーヒーを口元へ運んだが、未だ動揺が収まらない。半年前に来店した時は悪くなかったはずのブルーマウンテンブレンドだが、戸瀬の顔を見た後の今となっては、味の良し悪しなどわからなかった。香りも風味も台無しだ。コーヒーカップのブルーストライプ柄でさえ、「さっき彼が似たような柄のシャツを着ていなかったか?」と思うと途端にダサく思えてくる。
 それに加えて、戸瀬は先程、こう言った、「俺はよくこの店にコーヒーを飲みに来るんだけど、加治木さんもよく来るの?」。
 その言葉で、彼女の喫茶店リストから、この店が二重線を引かれ消されていく。
 同僚が常連客となっている喫茶店に足を運ぶなんて御免だ。二度目の来店でその事実を確認できたことは、不幸中の幸いだったと思うしかない。数回通い、この店で嗜むコーヒーの魅力に気付いてしまってからでは、店をリストから削除することが心苦しかったはずだ。ある意味、今日は幸運だった。この店は最初からハズレだったのだ。
 零果は自分にそう言い聞かせながらコーヒーを飲む。味わうのではなく、ただ飲む。液体を口に含み、喉奥へと流す。せっかく、いい店を見つけたと思ったのに。うちの最寄りから、五駅離れているのに。飲み込んだ端から、落胆とも悔しさとも区別できない感情がふつふつと沸き上がってくる。その感情ごと、コーヒーを流し込む。
 早くこの店を出よう。零果は、一刻も早くコーヒーを飲み干してこの店を出ること、そのことに意識を集中させていた。
 コーヒーを残して店を出ればいいのだが、出されたコーヒーを残すという選択肢はなかった。彼女は今まで、たとえどんなに不味い店に当たってしまっても、必ずコーヒーを飲み干してきた。零果にとってそれはルールであり、そのルールを順守しようとするのが彼女の性格の表れだった。
 先程入店したばかりの客が熱々のコーヒーを急いで飲み干してカウンターの前に現れても、店の主人は特に驚いた様子を見せなかった。慣れた手つきで零果にお釣りを渡す。
「ごちそうさまでした」
 財布をショルダーバッグに仕舞いながら、零果は店を出て行く。「またのお越しを」という声を背中で受け止め、もう二度とこの店に足を運ぶことはないだろうな、と思い、そのことを残念に思った。深い溜め息をついて階段を降り、駅までの道を歩き出す。
 店の雰囲気は悪くなかった。コーヒーだって悪くない。ただ、戸瀬の行きつけの店だった。
 否、それは戸瀬個人に問題があるという意味ではない。彼の物腰柔らかで人当たりの良い態度や、その温厚な性格は職場内でも定評があるし、営業職としての優秀さについても、零果はよくわかっている。
 そうではなく、零果はただ、同僚に会いたくないだけなのだ。休日に喫茶店でコーヒーを飲んでいる時だけは。唯一、彼女にとって趣味と呼べるであろう、その時間だけは。知り合いには誰とも会うことなく、ひとりでいたい。平日の書類とメールの山に抹殺されそうな多忙さを忘れ、心も身体も落ち着かせたい。そのためには極力、同僚の顔は見ないで過ごしたい。
 駅に着くと、ちょうど零果のアパートの最寄り駅方面へ向かう電車が、ホームに入って来たところだった。このまま家に帰るだけというのも味気ない、と思いかけていた零果であったが、目の前に停車した電車を目にし、「これはもう、家に帰れということかもしれない」と思い直した。もうこの後は、家で大人しく過ごすとしよう。
 そう思って、電車に乗り込む。車両の中にはすでに数人の乗客が座っており、発車までの数分を待っている様子であった。零果は空いていた座席に腰を降ろそうとし、そこで、自分の腰の辺りで振動を感じた。バッグに入れてあるスマートフォンだ、と気付いた。その一瞬、彼女はスマホを手に取ることを躊躇った。
 バイブレーションの長さから、それがメールやアプリの通知ではなく着信を知らせるものだということはわかっていた。休日の零果に電話をかけてくる相手というのは限られている。候補になりそうな数人の顔を思い浮かべてみたが、誰からの着信であっても嬉しいニュースであるとは思えない。
 座席に腰を降ろし、スマートフォンを取り出す。そこで、バイブレーションは止まった。零果が呼び出しに応じなかったので、相手が電話を切ったのだ。不在着信を示すアイコンをタップすると、発信者の名前が表示された。
 有武朋洋という、その名前を見��途端、めまいを覚えた。ちょうど、午後四時になろうとしているところだった。判断に迷う時間帯ではあったが、この電話は恐らく、今夜食事に誘おうとしている内容ではないだろうと、零果は確信していた。
 膝の上でショルダーバッグを抱き締めたまま、メッセージアプリを開き、有武に「すみません、今、電車なんです」とだけ入力して恐る恐る送信する。瞬時に、零果が見ている目の前で、画面に「既読」の文字が現れた。恐らくは今、彼もどこかでこのアプリを開いて同じ文面を見つめているに違いなかった。案の定、間髪入れずに返信が表示される。
「突然悪いんだけどさ、ちょっと会社来れる?」
 零果が思った通りだった。有武の、「悪いんだけどさ」と言いながら、ちっとも悪びれている様子がない、いつものあの口調を思い出す。
「今からですか?」
 今からなんだろうな、と思いながら、零果はそう返信する。
「そう、今から」
「今日って休日ですよね?」
 休日でも構わず職場に来いってことなんだろうな、と思いながら、それでもそう返信をせずにはいられない。
「そう、休日」
 何を当たり前のこと言ってんだよ、って顔してるんだろうな、有武さん。少しの間も空けることなく送られて来る返信を見ながら、零果は休日の人気がないオフィスでひとり舌打ちをしている彼の様子を思い浮かべる。
「それって、私が行かないと駄目ですか?」
 駄目なんだろうな、と思いながらそう返信して、座席から立ち上がる。
 駅のホームには発車のベルが鳴り響いている。零果が車両からホームに戻ったのは、ドアが閉まりますご注意下さい、というアナウンスが流れ始めた時だった。背後で車両のドアが閉まり、彼女を乗せなかった電車は走り出していく。
 家に帰るつもりだったのにな。零果は諦めと絶望が入り混じった瞳でその電車を見送った。握ったままのスマートフォンの画面には、「加治木さんじゃなきゃ駄目だから言ってるんでしょーよ」という、有武からの返信が表示されている。
「…………ですよね」
 思わずひとり言が漏れた。ホームの階段を上りながら、「今から向かいます」と入力し、文末にドクロマークの絵文字を付けて送信してみたものの、有武からは「了解」という簡素な返信が来ただけだ。あの男には絵文字に込められた零果の感情なんて届くはずもない。
 再び溜め息を盛大についてから、重くなった足取りで反対側のホームに向かう。なんて言うか、今日は最大級にツイてない。休日に、一度ではなく二度までも、同僚と顔を合わせることになるとは。しかも突然の呼び出しの上、休日出勤。
 ただひとりで、好きなコーヒーを飲んで時間を過ごしたいだけなのに。たったそれだけのことなのに。
 心穏やかな休日には程遠い現状に、零果はただ、肩を落とした。
「加治木さん、お疲れ様」
 そう声をかけられた時、思わず椅子から飛び上がりそうになった。咄嗟にデスクに置いてあるデジタル時計を見る。金曜日、午前十一時十五分。まだ約束した時間まで四十五分あるぞ、と思いながら零果は自分のデスクの横��立つ「彼」を見上げ、そこでようやく、声をかけてきたのが「彼」ではなく、営業部の戸瀬だったと気が付いた。
「あ……お疲れ様です」
 作成中の資料のことで頭がいっぱいで、零果は戸瀬に穏やかな笑顔を見つめられても、上手い言葉が出て来ない。五四二六三、五万四千二百六十三、と、零果の頭の中は次に入力するはずだった数値がぐるぐると回転している。キーボードに置かれたままになっている右手の人差し指が、五のキーの辺りを右往左往する。
 当然、戸瀬には彼女の脳内など見える訳もなく、いつもの優しげな口調で話しかけてきた。
「この間の土曜日は、びっくりしたね。まさかあんなところで加治木さんに会うなんて」
 土曜日、と言われても、零果はなんのことか一瞬わからなかった。それから、「ああ、そう言えば、喫茶店で戸瀬さんに会ったんだった」と思い出す。
「でも、聞いたよ。あの後、有武さんに呼び出されて休日出勤になっちゃったんだって? 加治木さん、いつの間にかお店から消えてるから、おかしいなって思ってたんだけど、呼び出されて急いで出てったんでしょ?」
 零果は思わず、返事に困った。急いで店を出たのは戸瀬に会って気まずかったからだが、まさか目の前にいる本人にそう伝える訳にもいかない。有武の呼び出しのせいにするというのも、なんだか違うような気もするが、しかし、戸瀬がそう思い込んでいるのだから、そういうことにしておいた方が得策かもしれない。
「えっと、まぁ、あの、そうですね」などと、よくわからない返事をしながら、零果の右手は五のキーをそっと押した。正直、今は戸瀬と会話している場合ではない。
「有武さんもひどいよね、休日に会社に呼び出すなんて。そもそも、加治木さんは有武さんのアシスタントじゃないんだから、仕事を手伝う必要なんてないんだよ?」
 戸瀬の表情が珍しく曇った。いつも穏やかな彼の眉間に、小さく皺が寄っている。本気で心配している、というのが伝わる表情だった。けれど今の零果は、「はぁ、まぁ、そうですよね」と曖昧に頷くことしかできない。四のキーを指先で押しつつ、彼女の視線は戸瀬とパソコンの画面との間を行ったり来たりしている。休日出勤させられたことを心配してくれるのはありがたいが、正午までにこの資料を完成させなければいけない現状を憂いてほしい。零果にはもう猶予がない。
「なんかごめんね、加治木さん、忙しいタイミングだったみたいだね」
 戸瀬は彼女の切羽詰まった様子に勘付いたようだ。
 こつん、と小さな音を立てて、机に何かが置かれた。それはカフェラテの缶だった。見覚えのあるパッケージから、社内の自動販売機に並んでいる缶飲料だとわかる。零果が見やると、彼は同じカフェラテをもうひとつ、右手に握っていた。
「仕事がひと段落したら、それ飲んで休憩して。俺、このカフェラテが好きなんだ」
 そう言って微笑む戸瀬の、口元から覗く歯の白さがまぶしい。「あ、あの、ありがとうございます」と零果は慌ててお礼を言��たが、彼は「全然いいよー」とはにかむように左手を振って、「それじゃ、また」と離れて行った。
 気を遣われてしまった。なんだか申し訳ない気持ちになる。恐らく戸瀬は、休日に呼び出され仕事に駆り出された零果のことを心から労わってくれているに違いなかった。そんな彼に対して、自身の態度は不適切ではなかったか。いくら切羽詰まっているとはいえ、もう少し仕事の手を止めて向き合うべきだったのではないか。
 そこで零果は、周りの女子社員たちの妙に冷たい目線に気が付いた。「営業部の戸瀬さんが心配して話しかけてくれているのに、その態度はなんなのよ」という、彼女たちの心の声が聞こえてきそうなその目に、身がすくむような気持ちになる。
 しょうがないではないか。自分は今、それどころではないのだから……。
 パソコンに向き直る。目の前の画面の数字に意識を集中する。しかし、視界の隅に見える、カフェラテの缶。それがどこか、零果の心にちくちくと、後悔の棘を刺してくる。あとで、戸瀬にはお詫びをしよう。零果はカフェラテを見つめながら、心に黄色い付箋を貼り付ける。それにしても、カフェラテというのが、また……。
「資料できたー?」
 唐突にそう声をかけられ、彼女は今度こそ椅子から飛び上がった。気付けば、側には「彼」が――日焼けした浅黒い肌。伸びすぎて後ろで結わえられている髪は艶もなくパサついていて、社内でも不評な無精髭は今日も整えられている様子がない。スーツを着用する営業職の中では珍しく、背広でもジャケットでもなく、作業服をワイシャツの上に羽織っているが、その上着がいつ見ても薄汚れているのがまた、彼が不潔だと言われる理由である。ただ、零果がいつも思うのは、彼は瞳が異様に澄んでいて、まるで少年のようであり、それでいて目線は鋭く、獲物を探す猛禽類のようでもある、ということだ――、有武朋洋が立っていて、零果の肩越しにパソコンのディスプレイを覗き込んでいた。
「あれ? 何、まだ出来てないの?」
 咄嗟に時刻を確認する。戸瀬に声をかけられてから、もう十分近くも経過している。なんてことだ。しかし、約束の時間まではあと三十五分残されている。今の時点で資料が完成していないことを責められる理由はない。それでも零果が「すみません」と口にした途端、有武は「あー、いいよいいよ」と片手を横に振った。
「謝らなくていいよ。謝ったところで、仕事が早く進む訳じゃないから」
 斬って捨てるような口調であったが、これが彼の平常だ。嫌味のように聞こえる言葉も、彼にとっては気遣って口にしたに過ぎない。
「時間には間に合いそう?」
「それは、必ず」
「そう、必ずね」
 零果は画面に向き直り、資料作りを再開する。ふと、煙草の臭いがした。有武はヘビースモーカーだ。羽織っている作業着の胸ポケットには、必ず煙草とライターが入っている。煙草臭いのも、社内外問わず不評だ。しかし有武本人は、それを変える気はないようである。
「うん……大丈夫そうだ。本当に、正午までには出来上がりそうだね。さすがだなぁ、加治木さんは」
 零果が返事もせずに���ーボードを叩いていると、彼の右手が横からすっと伸びてきて、机の上のカフェラテの缶を取った。零果が「あ、それは……」と言った時、缶のプルタブが開けられた音が響く。
「これ、飲んでもいい?」
「…………はぁ」
 どうして、缶を開けてから訊くのか。順序がおかしいとは思わないのだろうか。
「飲んでいいの?」
「……どうぞ」
「ありがと」
 有武は遠慮する様子をまったく見せず、戸瀬が置いて行ったカフェラテをごくごくと飲んだ。本当に、喉がごくごくと鳴っていた。それから、「うわ、何これ、ゲロ甘い」と文句を言い、缶に記載されている原材料名をしげしげと眺めている。人がもらった飲み物を勝手に飲んで文句を言うな。零果はそう思いながらも、目の前の資料作成に集中しようとする。どうしてこんな人のために、せっせと資料を作らねばならないのだろうか。
「じゃ、加治木さん。それ出来たらメールで送って。よろしくね」
 そう言い残し、カフェラテの缶を片手に有武は去って行く。鼻歌でも歌い出しそうなほど軽い彼の足取りに、思わず怒りが込み上げる。階段で足を踏み外してしまえばいい。呪詛の言葉を心の中で吐いておく。
 有武がいなくなったのを見計らったように、後輩の岡本沙希が気まずそうに無言のまま、書類の束を抱えて近付いて来た。零果がチェックしなければならない書類だ。
「ごめんね、後でよく見るから、とりあえずそこに置いてもらえるかな」
 後輩の顔を見上げ、微笑んでみたつもりではあったが、上手く笑顔が作れたかどうかは疑問だった。岡本は何か悪いことをした訳でもないだろうに、「すみません、すみません」と書類を置いて逃げるように立ち去る。そんなに怖い顔をしているのだろうか。零果は右のこめかみ辺りを親指で揉む。忙しくなると必ず痛み出すのだ。
 時計を見つめる。約束の時間まで、あと三十分。どうやら、ここが今日の正念場のようだ。
「メールを送信しました」という表示が出た時、時計は確かに、午前十一時五十九分だった。受信する側は何時何分にメールが届いたことになるのだろう、という考えが一瞬過ぎったが、そんなことを考えてももう手遅れである。
 なんとか終わった。間に合った。厳密には一分くらい超過していたかもしれないが、有武がそこまで時刻に厳密な人間ではないことも、この資料の完成が一分遅れたところで、今日の午後三時から始まる会議になんの影響もないこともわかっていた。
 零果はパソコンの前、椅子に腰かけたまま、天を仰いでいた。彼女が所属する事務部は五階建ての社屋の二階にあるため、見上げたところで青空が見える訳はない。ただ天井を見上げる形になるだけだ。
 正午を告げるチャイムが館内放送で流れていた。周りの女子社員たちがそれを合図にぞろぞろと席を立って行く。呆然と天井を見つめるだけの零果を、彼女たちが気に留める様子はない。それはある意味、日常茶飯事の、毎日のように見る光景だからである。魂が抜けたように動かないでいた零果であったが、パソコンからメールの着信を知らせる電子音が���り、目線を画面へと戻した。
 メールの送信者は有武だった。本文には、零果の苦労を労う言葉も感謝の言葉もなく、ただ、「確認オッケー。午後二時半までに五十部印刷しておいて」とだけ書かれていた。やっぱりなぁ。そうくると思ったんだよなぁ。当たらないでほしい予想というのは、なぜかつくづく当たるものだ。嫌な予感だけは的中する。
 十四時半までには、まだ時間がある。とりあえず今は、休憩に入ろう。
 零果は立ち上がり、同じフロア内にある女子トイレへと向かった。四つ並んだうちの一番奥の個室に入る。用を足していると、扉が閉まっていたはずの手前の個室から人が出て行く気配がした。その後すぐ、水を流す音と、扉がもうひとつ開かれた音が続く。
「ねぇ、さっきのあれさぁ……」
「あー、さっきの、加治木さんでしょ?」
 手洗い場の前から会話が聞こえてくる。
 零果は思わず動きを止めた。声のする方へと目線を向ける。扉の向こうが透視できる訳ではないが、声から人物を特定することはできる。ふたりとも、同じフロアに席を置いている事務員だ。正直、零果と親しい間柄ではない。
「戸瀬さんがせっかく話しかけてくれてるのに、あの態度はないよね」
「そう、なんなの、あの態度。見てて腹立っちゃったよ」
 蛇口が捻られ、手を洗う音。零果は音を立てずにじっとしていた。戸瀬ファンクラブ所属のふたりか。恐らく、ここに零果本人がいるということを、ふたりは知らないに違いない。
「戸瀬さんもさ、なんで加治木さんなんか気にかけるんだろうね?」
「仕事が大変そうな女子社員を放っておけないんじゃない? 戸瀬さんって、誰にでも優しいから」
「加治木さんが大変な目に遭ってるのは、有武のせいでしょ?」
 きゅっ、と蛇口が閉められた音が、妙に大きく響いた。その時、零果は自分の胸元も締め付けられたような気がした。
「そうそう、有武が仕事を頼むから」
「加治木さんも断ればいいのにね。なんで受けちゃうんだろう。もう有武のアシスタントじゃないのにさ」
「さぁ……。営業アシスタントだった過去にプライドでもあるんじゃない?」
 ふたりのうちのどちらかが、笑ったのが聞こえた。
「うつ病になってアシスタント辞めたくせに、事務員になってもプライド高いとか、ちょっとねぇ……。自分で仕事引き受けて、それで忙しくって大変なんですって顔で働かれてもさぁ……」
 足音と共に、ふたりの会話も遠ざかっていく。どうやら、女子トイレから出て行ったようだ。
 ふたりの声が完全に聞こえなくなるのを待ってから、零果は大きく息を吐いた。「……有武さんのことだけは、呼び捨てなんだ」と、思わずひとり言が漏れた。そんなことはどうでもいい。どうでもいいけれど、言葉にできる感想はそれくらいしか思い付かなかった。
 他の事務員から陰で言われているであろうことは、薄々わかってはいた。同じ内容を、言葉を選んで、もっともらしい言い方で、面と向かって言う上司もいる。同僚たちに特別好かれているとは思っていなかった。しかし、本人には届かないだろうと思って発せられる言葉というのは、こんなものなのか。
 水を流し、個室から出た。鏡に映る自分の顔の疲弊具合に気分はますます陰鬱になる。腹の底まで冷え切っているように感じる。
 同じ階にある休憩室へ向かおうと思っていたが、先程のふたりもそこにいるのだろうと思うと、足を向ける気にはならなかった。さっきの会話の続きを、今もしているかもしれない。
 自分の席に戻って仕事を再開するというのも考えたが、こんな疲れた顔で休憩も取らず仕事をしているところを、誰かに見られるのも嫌だった。
 結局、零果は四階に向かうことにした。階段で四階まで上ると、営業部が机を並べているフロアと、会議室が両側に並ぶ廊下を足早に通り過ぎる。外出していることが多い営業部だが、昼の休憩時��に突入しているこの時間は、いつにも増して人の姿がない。零果は何も躊躇することなく、通路の突き当り、外階段へと続く重い鉄の扉を開けた。
 非常時の利用を目的に作られた外階段を、普段利用する社員はほぼいない。喫煙室以外の場所で煙草を吸おうとする不届き者ぐらいだ。外階段だけあって、雨風が吹き荒れ、もしくは日射しが照り付け、夏は暑く冬は寒いその場所に、わざわざ足を運ぶ理由。それは「彼」に会いたいからだ。
「おー、お疲れ」
 鉄製の手すりにもたれるようにして、「彼」――有武朋洋がそこにいた。いつも通り、その右手には煙草がある。有武は、この外階段でよく煙草を吸っている。社内に喫煙室が設けられてはいるが、外がよほどの嵐でない限り、彼はここで煙草をふかしている。
「……お疲れ様です」
 挨拶を返しながら、鉄の扉を閉め、有武の吐く煙を避けるため風上に移動する。向かい合うように立ちながらも、零果の目線は決して彼の顔を見ようとはしない。それもいつものことだ。有武も、そのこと自体を問うことはしない。ましてや、喫煙者でもない彼女が何をしにここまで来たのかなんて、尋ねたりもしない。
「何、どうしたの。元気ないじゃん。なんか嫌なことでもあった?」
 口から大量の煙を吐きながら、有武はそう尋ねた。零果は「まぁ……」と言葉を濁しただけだったが、彼は妙に納得したような顔で頷く。
「まー、嫌なこともあるよな」
「……そうです、嫌なこともあります」
「だよな」
「せっかくの休日に呼び出されて仕事させられたり」
「…………」
「今日だって、あと二時間で会議の資料を作ってくれって言われたり」
「…………」
「その資料がやっとできたと思ったら、それを五十部印刷しろって言われたり」
「何、こないだの土曜日のこと、まだ怒ってんの?」
 有武が小さく鼻で笑った。これは、この男の癖だ。この男は、上司でも取引先でも、誰の前でも平気で鼻で笑うのだ。
「土曜日は呼び出して悪かったって。でもあの時にテンプレート作って用意しておいたから、今日の資料作りがたった二時間でできたってことだろ?」
「……なんとかギリギリ、二時間でできたんです」
「でも、ちゃんと時間までに完成しただろ」
 有武は、今度は鼻だけでなく、声に出して笑った。
「加治木さんはできるんだよ。俺は、できると思ったことしか頼まない。で、本当にちゃんとできるんだ、俺が見込んだ通りに」
「…………」
 零果は下を向いたままだ。そんな彼女を見つめる有武の瞳は、からかうように笑っている。
「別に気にすることないだろ。周りからなんて言われたのかは知らないが、加治木さんは他の人ではできないことを――」
「私はもう、あなたの営業アシスタントじゃありません」
 遮るように言った彼女の言葉に、有武が吐く煙の流れも一度途切れた。
「もう、私に……」
 仕事を頼まないでください。そう言えばいい。零果が苦労ばかりしているのは、この男の仕事を引き受けるからだ。それを断ってしまえばいい。幸いなことに今の彼女は、それを咎められることのない職に就いている。もうアシスタントではない。ただの事務員だ。同僚たちが言う通りだ。
 わかっている。頭ではわかっているのに、零果はどうしても、その続きを口にすることができない。うつむいたまま、口をつぐむ。
 ふたりの間には沈黙が流れる。有武は煙草を咥えたまま、零果が言葉を発するのを待っているようだった。しかし、いつまでも話そうとしない彼女を見かねてか、短くなった煙草を携帯灰皿へと捨ててから、一歩、歩み寄って来た。
「加治木さんは、俺のアシスタントだよ。今も昔も、ずっと」
 彼の身体に染み付いた煙草の臭いが、零果の鼻にまで届く。もう何年になるのだろう、この臭いをずっと、側で嗅いできた。いくつもの案件を、汗だくになったり、走り回ったりしながらこなしてきた。無理難題ばかりに直面し、関係部署に頭を下げ、時には上司に激昂され、取引先に土下座までして、それでも零果は、この男と仕事をしてきた。いくつもの記憶が一瞬で脳裏によみがえる。
「仕事を頼まないでください」なんて、言えるはずがなかった。どうして彼が自分に仕事を依頼するのか、本当は誰よりもわかっていた。
 大きく息を吐く。肩に入っていた力を抜いた。
「有武さん」
「何」
「……コーヒー、奢ってください」
「は?」
「それで許してあげます」
 零果の言葉に、ぷっ、と彼は吹き出した。
「コーヒーでいいの? どうせなら、焼き肉とか寿司とか言いなって」
 まぁ言われたところで奢らないけどね。そう言いながら、有武はげらげらと笑う。零果は下を向いたまま、むっとした顔をしていたが、内心、少しほっとしていた。零果が多少、感情的な言い方をしてもこの男は動じないのだ。
「あ、ちょっと待ってて」
 有武は唐突にそう言うと、外階段から廊下へと繋がる扉を開け、四階のフロアへと戻って行った。ひとり残された零果が呆然としていると、有武はあっという間に戻って来た。
「ほい、これ」
 差し出されたその手には、缶コーヒーが握られている。社内の自動販売機に並んでいるものだ。どうやら、有武はこれを買いに行っていたらしい。零果は受け取ってから、その黒一色のパッケージの缶が、好きな無糖のブラックコーヒーだと気が付いた。
「それはコーヒーを奢ったって訳じゃないよ。さっき、デスクにあったカフェオレもらったから、そのお礼ね」
「もらったって言うか、有武さんが勝手に飲んだんじゃないですか……。あと、カフェオレではなく、カフェラテです」
「オレでもラテでも、どっちでもいいよ。飲んでやったんだろー。加治木さんがコーヒーはブラックの無糖しか飲まないの、知ってるんだから」
 その言葉に、ずっと下を向いたままだった零果が一瞬、顔を上げて有武を見た。戸瀬から缶飲料をもらった時、「よりにもよってカフェラテか……」と思ったことが、バレているのではないかとさえ思う。そのくらい、目が合った途端、得意げに笑う有武の顔。憎たらしいことこの上ない。零果はすぐに目を逸らした。
「……やっぱ、許さないかも」
「は?」
「なんでもないです」
 有武は肩をすくめた。作業服の胸ポケットから煙草の箱を取り出し、一本咥えて火を点ける。吐き出された煙は吹く風に流され、あっと言う間に目では追えなくなった。
 いただきます、と小さく声に出してから、零果は缶コーヒーのプルタブを開けた。冷たいコーヒーをひと口流し込んでから、喉が渇いていたことに気が付いた。
 疲れたな。改めてそう思う。百円で買える缶コーヒーの味わいにさえ、癒されていくように感じる。
 今日は良い天気だ。この外階段に吹く風も、日射しも心地良い。ここから見下ろせる、なんてことのない街並みも。この男との何気ない会話も。ここにあるものすべてが、冷え切っていた零果の心を解きほぐしていくような気がする。
「加治木さん、昼飯はもう食ったの?」
 煙を吐きながら、有武がそう訊いた。
「いえ……」
「何、また食ってないの? ちゃんと食わないと、身体に良くないよ」
「……有武さんは?」
「俺は今日、三時から会議で、終わったらその後に会食だから。昼飯は食わなくてもいいかなーって」
「会食までに、お腹空いちゃうんじゃないですか?」
「何か軽くは食べるけどね。会議中に腹が鳴っても締まらないし。ただ、四十歳過ぎるとね、やっぱ食った分は太るんだわ」
 そう言う有武は、今年で四十一歳のはずだが、まったく太っていない。零果は七年前から彼を知っているが、出会った頃から体型が変化したとは思えない。ただ、それは本人が体型を維持する努力をしているからだろう。
 そして、そういう努力ができるのであれば、もう少しこまめに髪を切ったり髭を整えたりしてもいいのではないか、とも思う。特に最近の有武は、髪にも髭にも白髪が混じるようになった。もう少し身なりを整えれば、印象もまた変わると思うのだが。
「あ、そういえば、もらったアンパンがあるんだった。アンパン、半分食う?」
「いえ……あの、今本当に、食欲がなくて……」
 零果はそう言いながら、無意識のうちにみぞおちの辺りをさすっていた。トイレで聞いてしまった、同僚たちの会話。無遠慮に吐き出された彼女たちの言葉、その声音の棘が、零果の胃の辺りに突き刺さっている。とてもじゃないが今は、何か固形物を口にしようという気にはならなかった。
「ふうん、あ、そう」
 と、有武は煙草をふかしながら返事をした。零果の様子を特に気に留めている様子も、提案を断られて落ち込むような様子もない。そうやって、無関心を装う節がこの男にはある。
「じゃ、今度は喫茶店にでも行こうか」
 有武が煙草を吸い終わった頃、零果も缶コーヒーを飲み終えたところだった。
「コーヒー奢るよ。どこか行きたい店ある? 俺の好きな店でもいい?」
「どこでもいいですよ」
「了解。また連絡するわ」
 有武が外階段とフロアを繋ぐ、重たい扉を開ける。開けたまま待ってくれている彼に、小さく会釈をしながら零果が先に通る。触れそうなほどすぐ近くに寄ると、煙草の臭いをはっきりと感じる。今は吸った直後なので、臭いはなおさら強烈だ���
「くっさ……」
「あ?」
 零果の口から思わず零れた言葉に、彼は即座に睨んでくる。
「すみません、つい、本音が……」
「悪かったな、煙草臭くて」
 有武は舌打ちをしながら零果に続いてフロアへ戻り、外階段への扉を閉めた。
「有武さんは禁煙しようとは思わないですか?」
「思わないねー。だから俺が臭いのはこれからも我慢してねー」
「…………」
 臭いと口走ってしまったことを根に持っているのか、有武は不機嫌そうな顔だ。
「あ、有武くん!」
 並んで廊下を歩いていると、突然、背後から声をかけられた。振り向くと、通り過ぎた会議室から、ひとりの女性が廊下へ顔を覗かせている。
 肩につかない長さで切り揃えられた黒髪。前髪がセンターで分けられているので、その丸さがはっきりとわかる額。染みも皺もない白い肌には弾力がある。彼女が今年で四十歳になるのだと聞いても、信じる人はまずいないだろう。零果より頭ひとつ分、小柄なことも相まって、彼女――桃山美澄は、二十代に間違えられることも少なくない。
 実年齢よりも若く見られる桃山は、実際は経験豊富な中堅社員である。そして何より、ずば抜けて優秀な社員として、社内外で有名だ。営業アシスタントとして三人の営業マンの補佐についているが、「桃山本人が営業職になったら、売上額が過去最高になるのではないか」という憶測は、かれこれ十五年前から上層部で囁かれている、らしい。有武の営業アシスタントを務めているのも彼女である。零果は仕事を手伝わされているに過ぎず、本業は事務職であり、有武の本来のアシスタントは桃山なのだ。
 桃山の顔を一目見るなり、有武は露骨に嫌そうな顔をした。しかし、それを気にする様子もなく、彼女は近付いて来る。
「有武くん、探したんだよ。午後の会議の資料の進捗はどう? 間に合いそう?」
「あー、それなら大丈夫。加治木さんに頼んでるから」
 桃山は有武の隣に並ぶ零果を見やり、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「ごめんね加治木さん、また面倒な仕事、有武くんに頼まれちゃったね」
「いえ、あの、大丈夫です」
 零果はいつも、桃山を前にすると困惑してし���う。謝る彼女に対して、なんて言葉を返せばいいのか、わからない。
「資料は? どのくらい出来てるの? 続きは私が代わろうか」
「あの、もう、完成はしていて、あとは印刷するだけなんですが……」
「本当に? もう出来てるの? すごいね加治木さん、やっぱり優秀だね」
「いえ、そんなことは……」
 桃山はにこにこと、朗らかな笑顔だ。嫌味なところは感じさせない。実際、嫌味など微塵も込めていないということは、零果もわかっている。返す言葉に悩んでしまうのは、そうやって本心から褒めてくれる存在がそれだけ稀少だからだ。
「じゃあ、資料の印刷はこっちでやるよ。月末も近いし、加治木さん、自分の仕事も忙しいでしょう?」
「そんなことは……」
 そんなことはありません、と言おうとして、後輩の女子社員から書類の束を受け取っていたことを思い出す。そうだ、あの書類をチェックしなくてはいけないのだ。思わず言葉に詰まってしまう。桃山はそれを見逃さなかった。
「うん、資料の印刷は私がするね。もう有武くんにメールで送って���れてるんだよね? 有武くん、私のアドレスに転送してもらっていいかな?」
「はいはい、わかりましたよ」
 有武は窓の外に目線を向けたまま、そう返事をした。彼のそんな態度にも、桃山は顔色ひとつ変えることはない。柔和な笑みのまま、零果に向き直った。
「加治木さん、忙しいのにいつもありがとうね。本当は私がやらなくちゃいけないことだから、こんな風に言うのはおかしいんだけど、有武くんは加治木さんと仕事をするのが本当に楽しいみたいで」
「い、いえ、あの……」
 桃山は続けて言う。
「でも、加治木さんには事務職としての仕事もあるんだから、しんどかったり、難しかったりする時は、いつでも私に言ってね。有武くんだって、それで加治木さんのことを悪く思ったりはしないからね。私も、有武くんも、いつだって加治木さんの味方だから。無理はしないでね」
 その言葉に、零果は頷くことしかできない。気を抜くと、泣いてしまうかもしれない、とさえ思った。桃山が自分の上司だったら良かったのに。零果は今の上司である、事務長の顔を思い出しながらそんなことを思う。桃山が上司だったら、毎日、もっと楽しく働けるかもしれないのに。
 けれど、と思い直す。
 桃山はかつて、零果の先輩だった。同じ営業アシスタントだった。三年前までそうだった。零果は彼女の下に就き、多くのことを学んだ。彼女の元から離れたのは、自分なのだ。そのことを、零果は今も悔やんでいる。
「それとね、」
 桃山は一歩、零果に近付くと、声を潜めて言った。
「加治木さんが有武くんから直接仕事を任されていることは、事務長も、営業アシスタント長も、営業部長も合意している事柄だよ。それなのに、加治木さんのことを悪く言う人が事務員の中にいるみたいだね?」
 脳裏を過ぎったのは、女子トイレで聞いた会話の内容だった。同僚の言葉が、耳元でよみがえる。
 零果は思わず、桃山の顔を見た。先程まで朗らかに笑っていたはずの彼女は、もう笑ってはいない。口元は笑みを浮かべたままだったが、その瞳には鋭い光があった。それはぞっとするほど、冷たい目だった。
「うちの営業アシスタント長は、そっちの事務長と仲が良いからね。私が事務長に言っておいてあげようか? 『部下をよく指導しておいてもらえませんか』って。加治木さんは有武くんの仕事をサポートしてくれているのに、それを邪魔されたら困っちゃうんだよ」
 桃山には、こういうところがある。普段は温厚なのに、時折、何かの弾みでとてつもなく冷酷な表情を見せる。
 零果は慌てて、首を横に振った。
「そんな、大丈夫です」
「そうかな? 私はそうは思わないけどな。加治木さんのことを悪く言う社員が同じ事務の中にいるなんて、とてもじゃないけど――」
「桃山、もういいって」
 ずっと上の空でいるように見えた有武が、突然、会話に割って入った。
「加治木さんが大丈夫って言ってるんだから、とりあえずは大丈夫なんだろ。もし何かあったら、桃山に相談するよ」
「…………」
 桃山はしばらく無言で有武を見上げていたが、やがて再びにっこりと笑った。それから、零果へと向き直る。
「うん、加治木さん、何かあったら遠慮なく相談してね。いつでも聞くからね」
「いえ、あの、お気遣い、ありがとうございます」
 何度も頭を下げる零果に、桃山はにこにこと微笑む。
「ううん。逆に、気を悪くしていたらごめんね」
「いいえ、気を悪くするなんて、そんな……」
「私はこれでも、営業アシスタントだから。有武くんが気持ち良く仕事をするために、私にできることは全部し��いんだ」
 そう、桃山の目的は、あくまでも「それ」だ。営業アシスタントとしての職務を全うしたいだけなのだ。零果のことを気遣っているかのように聞こえる言葉も、すべては有武の仕事を円滑に進ませるため。反対に、彼の仕事ぶりを邪魔するものを、すべて排除したいだけ。
 有武から仕事を頼まれた零果がその意欲を削がれることがないように、彼女のことを悪く言う同僚を排除しようと考えているのだ。その点、桃山は零果のことを「有武の仕事にとって有益にはたらくもの」と認識しているようだ。そうでなければ、零果に仕事を依頼していることを許したりはしないだろう。
「何かあったら言ってね」と言い、「それじゃあ」と手を振って、桃山は営業部のフロアへと向かって行った。
 桃山の姿が見えなくなると、その途端、有武は大きく息を吐く。
「はーあ、おっかない女……」
「桃山さんのことを、そんな風に言わなくても……」
 普段は飄々としている有武も、桃山を前にするとどこか緊張しているように見えるから不思議だ。そう思いながら、零果は有武の顔を見上げ、
「あ……」
「あ?」
「いえ、なんでもありません……」
 反射的に目を逸らした零果を、彼が気にする様子はなかった。ただ、「加治木さん、俺の正式な営業アシスタントに早く戻ってくれよ」と、どこか冗談めかした口調で言った。
 その言葉に、零果は何も答えなかった。うつむいたままの彼女の左肩をぽんぽんと、軽く二回叩いて、「じゃ、また」と、有武も営業フロアへと消えて行った。
「…………無理ですよ」
 有武の背中も見えなくなってから、ひとり残された零果はそうつぶやく。
 事務部に異動して二年。今となっては、営業アシスタントとして働いていた過去が、すべて夢だったのではないかとすら思える。あの頃は、毎日必死だった。ただがむしゃらに仕事をこなしていた。どうしてあんなに夢中だったのだろう。零果はもう、当時の感情を思い出すことができない。 二階の事務部フロアに向かって歩き出す。所属も業務内容も変わったが、今も零果には戦場が与えられている。運動不足解消のためにエレベーターを使うのではなく階段を降りながら、頭の中では午後の仕事について、すでに思考が回り始めていた。今の自分には、やるべき業務がたくさんある。戦うべき雑務がある。そのことが、何よりも救いだった。
 ※『コーヒーとふたり』(下) (https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/746474804830519296/)へと続く
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kachoushi · 1 year ago
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各地句会報
花鳥誌 令和6年7月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和6年4月4日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
受験の子送りてしばし黙す父母 喜代子 うつうつも待つこと楽し花便り さとみ 初桜幾歳月や句座の道 都 野遊びのノスタルジーを胸に秘め 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
野遊の一人は高きハイヒール はるか 春愁の長き耳垂れ犬来たる 光子 譲ること大嫌ひなの半仙戯 同 ボール蹴る子に一瞬の花吹雪 美紀 ぶらんこを替つてくれず漕ぐばかり 瑠璃 花いつもさびしきところより散りぬ 緋路 大使笑ふ南麻布の花の昼 佑天 花冷のベンチに花冷のお尻 緋路 群青の絵の具は春の水に溶け 同 教会の桜は透けるほど白く 小鳥
岡田順子選 特選句
花に息ととのへてゐる太極拳 光子 鞦韆の蹴り寄せてゐる桜色 三郎 純白の肌着吊られて花曇 同 皆遠き目をしてをれば桜かな 和子 花いつもさびしきところより散りぬ 緋路 子の声は残響となり連翹黄 同 花は散るべしと笛吹く裸体像 俊樹 春の野の児らしか知らぬものがたり 軽象 花すみれ遠くの空に戦闘機 美紀 春光の鳩はみどりの首見せに きみよ
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………��………………………………
令和6年4月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
夕日落つ別離の駅の古巣かな 朝子 冴返る齢八十骨の音 成子 仔犬抱き遅日の船を見送りぬ かおり 菜の花や千の􄼫棺より生るる 睦子 枝枝に声転がせて鳥交る たかし いつせいに揺るゝ吊革鳥帰る かおり 煙草屋は古巣残して店仕舞ひ 久美子 陽炎の消えて居座る陰陽師 美穂 地に古巣天に野鳥の窓があり 修二 我先に舫ひ綱解き鰆東風 たかし 朧月十二単衣に逢へさうな 同 しつけ糸解くおぼろ夜の京友禅 美穂 待つといふうれしさ人も桜にも 孝子 永遠の未完でありぬ桜かな たかし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月8日 なかみち句会
春の海ばかりの駅に途中下車 秋尚 つれづれに雨音聞いて日永かな 廸子 鎌倉や角曲がるたび春の海 三無 石楠花や参道狭し奥の宮 史空 お別れの日に石楠花の紅の濃く 貴薫 また元の話に戻る母日永 美貴 小刻みにきらめく春の海まどか のりこ 寺領にも石楠花紅く小糠雨 ます江 ………………………………………………………………
令和6年4月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
娘良し妻さらに良し春日傘 三四郎 母の忌を迎へし朝の春の雪 ただし 風光る千年超えし物語 みす枝 春浅し耳朶柔らかなイヤリング 世詩明 天空へ光を返す白木蓮 三四郎 愛猫に愚痴こぼしをり四月馬鹿 みす枝 初蝶の二つ行先定まらず 英美子 貝の紐噛んでひとりの春炬燵 昭子 ほろ酔ひを名妓支へて大石忌 同 校庭の鉄棒に触れ卒業す 時江 薔薇一本くれる夫ではなけれども 昭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月9日 萩花鳥会
春一番濁りし川の鯉めざめ 祐子 春愁の情緒一新晴衣着る 健雄 春の宵椿徳利の矢の根寿司 俊文 四月空総出で迎える娘の帰国 ゆかり 遊覧の舟に続くや花筏 明子 教科書に漢字で名前進級す 美恵子 ………………………………………………………………
令和6年4月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
山笑ふ札所巡りに􄼺の急き 宇太郎 一歩づつ眼下となつてゆく桜 美智子 渡船場に飯蛸釣りて島土産 宇太郎 桃咲いて捨て犬たちの誕生日 都 杖を曳き混じりて遊ぶ花筵 悦子 囀を総て抱へてゐる大樹 史子 初燕無音の青を切り分けて 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
としあつ忌修す爛漫卓の上 百合子 信濃路は薄紅に花杏 和代 里は今杏の花に溺れたる 白陶 想ひ出のとしあつ談義飛花落花 亜栄子 竹秋の風を聞かむと句碑に佇ち 三無 白寿なる母満開の花と散る 多美女 句碑古りて若さ溢るる花楓 文英 雨上り杏の花の山家かな 幸風 ふんはりと包みたる香の花通草 秋尚 白き卓都忘れの彩映えて 恭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
対岸に人の流れてゆく花見 あけみ 軽貨物春の泥付け走る町 紀子 犬ふぐり自転車の子は風のやう 裕子 烏ども引き連れてゐる田打ちかな 紀子 障子開け全て我が世の花見なり みえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月13日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
余生をば貪る朝寝でありにけり かづを 一穢なき姿のままの落椿 同 落ちてなほ華やぎ続けゐる椿 同 春風に仰ぎて凜と左内像 同 板木打つ仕草秘かに春そこに 和子 朝寝して咎める人も無き自在 泰俊 春愁や錆びし火の見の鉄梯子 同 蛇穴を出づと云ふ世の一大事 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
咲き満ちし花に静けきある古刹 かづを 芽柳に縁なる風棲み初めし 同 沈丁の闇をつないでゆく香り 同 九頭竜に吐息とも見る春の雲 同 此の花に幾春秋を共にせし 雪 花を見に一人で行ける所まで 同 春休み児ら自転車で飛び廻る 富子 鴬のしきりに啼く日啼かざる日 英美子 川幅を歪めて流る花筏 真喜栄 夜ざくらやいつも􄼴打つ寡婦暮し 世詩明 筍や十二単の皮を剥ぐ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月17日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
哀愁の容姿あらはに紫木蓮 数幸 徐に白を極めて花水木 千加江 流されて留まり忘る花筏 同 春場所やふるさと力士負け多し 令子 唐門の昔を語る桜かな 啓子 紫の夜空の中に桜散る 同 二人で見いつしか一人花の道 希子 仮の世にしては見事な花吹雪 泰俊 無住寺は無住寺のまま桜咲く 同 愛子忌やせめて初蝶見たること 雪 落椿踏まるるをもて瞑すべし 同 和尚来たかと散る花に酌まるるや 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月19日 さきたま花鳥句会
たまゆらの時を浮遊し石鹸玉 月惑 春愁や己を鼓舞し逝く句友 八草 花篝名残りの片のうらおもて 裕章 脱ぎ捨てし靴下にある花疲 紀花 掛茶屋へたどりつきたる花疲 孝江 花吹雪渋沢像の頭に肩に ふゆ子 腰痛の愚痴ふき飛ばす芝桜 としゑ 楤の芽の口にひろごる大地の香 康子 春炬燵夫の座椅子のたばこ臭 恵美子 藤棚の真中を風の通り抜け みのり 待ちかねた早朝よりの花見客 彩香 十字架の隣に読経山笑ふ 良江
………………………………………………………………
令和6年4月21日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
メタセコイアむんずと掴む春の雲 三無 今日も来て舞ひを見せたる春の蝶 ます江 佐保姫を見送る空の雲白く 軽象 蒲公英の真白き絮は飛ばず揺れ ます江 一山をより高くみせ桐の花 斉 僧一人花韮咲かす露地に消ゆ 久子 牡丹の重たく崩れかけてをり 秋尚 桜蘂降つて大地に横たはる 斉 春草の足裏くすぐる田圃道 経彦 観音の御手のやさしく著莪の花 芙佐子 ゆつくりと翅を広げて蝶生まる 斉
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年4月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
昨夜爪を切りたる指に草を引く 雪 十一面千手千眼像朧 同 瞑すべし柏翠踏みし落椿 同 この椿もんどり打つて落ちたるか 同 初蝶や昨日は森田愛子の忌 同 不器用を誰憚からず針供養 同 春愁や文箱に封じたる手紙 同 春愁や此の髪に手を置きし人 同 昭和人昔語らず花の下 昭子 本気度を探るお見合亀鳴けり 同 久々に手に取る修司五月来る 同 しなやかにそしてしたたか単帯 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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its-whitedaisymemo · 1 year ago
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浮釣木
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2023Sep.ご近所で
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iafshop · 2 years ago
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いのち、ばんざい。
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いのち、ばんざい。
作家名:和田聡文 会期:2023年7月27日(木)~8月20日(日) 時間:16:00-22:00 休廊日:7月31日(月)、8月7日(月)、12日(土)~16日(水) 料金:入場無料 場所:IAF SHOP* 福岡市中央区薬院3-7-19 2F TEL:090-5475-5326(佐藤) http://iafshop.tumblr.com/
=================== 本展に関する4つの動画がyoutubeにて公開されています。
いのち、ばんざい。 https://www.youtube.com/watch?v=A6Nv8syTENs
プランクトンダンス https://www.youtube.com/watch?v=ZyDdtBkHNnk
よるのかんだた うっすらと排除される「おっさん」という属性について https://www.youtube.com/watch?v=V5GnpN0LLtU
louper digger looper https://www.youtube.com/watch?v=lFFif7LwFtw ===================
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色々、五月蠅いね。
だけど、あたしは、
ポリネシアの血族。海に浮かぶ島々の者。
8人産んでも2子しか生きて残せなかった祖霊の末の子。
だけど、あたしは、
一度は魔法使いになり、
高校卒業13年目にして、
やっとこさ同級生の妻と再会し、
今は青年の一人の息子の親になった、
「うっすら嫌われる中高年のおっさん」。
だからこそ、あたしはブリジット・バルドーの側に立つよ。
あたしは、どうせ「色々分かっていないおっさん」だから、
おっさん臭いことしか思い付かないし。
ならば、いっそ、「おっさん臭さ」を引き受けて、
すごくベタに「天」と「人」と「地」のお話しをする。
「いのち、ばんざい。」
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■ 天(伴天連さんの話):
「挑戦」って言葉を知ってるかい?
この島国と伴天連(バテレン)の話だよ。
最初の「挑戦」は戦国時代。「第一次挑戦」ってやつさ。
大海原を渡ってやって来たんだ。揉み手、摺り足、赤ら顔で。
でも、銃器の販売やら、人身売買やら、
伴天連同士のもめ事やら、色々あって、
お前ら、帰れって、叩き返しちゃった。
次の「挑戦」は幕末から維新。「第二次挑戦」ってやつさ。
真っ黒い船に乗って、煙モクモク、やって来たんだ。
漢字やめれ、アップデートしろ、神社、仏像打ち壊せとか、
色々やり過ぎて、嫌われて。案外、不人気。
パァとはしなかったね。
「俺らも案外とすげえ」とか逆に調子に乗られちゃうし。
近々の「挑戦」は大戦直後。「第三次挑戦」ってやつさ。
美しい、大きな銀色の飛行機でやって来た彼は、
コーンパイプをぷかぷか。
欧米様にはかなわねぇ。マッカーサー格好良いとか。
伴天連さん達、大チャンス。
天皇さんに聖書の講義したり、農業国に変えちゃうぞ、とか、
亜米利加さん、大盛り上がり。
でも、まあ、隣の半島やら、東の側やら、
ゴタゴタ、ピカ��カ、どかんどかんで、
余裕無くなって、締め付け中途半端。
で、この島国のアップデート人口は1%程度。
しょぼいかぎり。
で、今。
「次にファシズムがやってくるとき、
 彼らは、「反ファシズム」を掲げてやってくるだろう。」
と、「ディミトロフなんとか」が言ったとか何とか言うけど、
四回目の「挑戦」は、どんな顔をして来るのかな?
もう来てるのかしらん?
「ソドムの街を火と硫黄で焼き払う」の、逆で来るのかな?
「産めよ、増えよ、地に満ちよ。」の、逆で来るのかな?
「天父神」、「長兄たる救世主」の、逆で来るのかな?
虹の橋を渡って来るのかな?「第四次挑戦」ってやつが。
ブロガー納言と、レディコミ式部と、
元祖バ美肉おじさん紀貫之と、古典BL信玄公と、
カルーセルと、明宏と、ピーターと、
おすぎとピーコと、デラックスと、マングローブと、
天宇受賣命と、阿国と、弥次喜多と、
全裸監督、村西とおると、
エロ屋/小説家/ニュースアンカー、紗倉まなと、
オスカルと、ジルベールと、
バンコランとひばりくんのこの島に。
また、来るのかな?
生まれて、まぐわって、子らにつなげる
我らの原罪を問うために。
でも、また来ても言い返すよ。あたしは。
あたしは、人間だし、生きてるし、おっさんだから。
「いのち、ばんざい。」
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■ 人(カンダタさんの話):
「カンダタ」のお話って、知ってる?
お馬ぱかぱか、愛馬の「カンタカ」君じゃないよ。
芥川龍之介くん初めての児童文学
「蜘蛛の糸」のあいつだよ。
地獄と極楽の間で宙ぶらりんのお友達。
でもさあ、この話、なんか変。
違和感マシマシ。
この話の「釈迦さん」、なんか上から目線。
切羽詰まって、焦って、失敗しちゃったカンダタさんに対し、
「浅ましい」とか「ヤレヤレ愚民は。。。」感、丸出し。
しょうがないじゃん。カンダタさんは。
生まれからして元々余裕なんかないんだし。
「糸切れちゃう!登ってこないでー!」とか、
そりゃー、言いたくなるよ。安全問題だし。
なのに、何、その、ちょっと一本釣りうまく行かなかったら、
飽きちゃって、テキトーに放り出しちゃう、投げやり感。
お腹空かせた虎さんに、我が身ぽーんと投げ出す、
釈迦牟尼本来のキャラじゃないよね。。。
大体、自分は涼しい顔して、快適な場所に居て、
面白そうな奴だけ、一本釣りとか、
衆生を救おうって気概が無いよね。
福祉事業をなめてんの?
現場に飛び込んで行って、問題解決せんのかーい!
我が身ポーンと行かんかーい!!
大体、カンダタ以外の奴らはみんな、
亡者、すなわち、アウトオブ眼中。
目覚めて、アップデートした奴にだけ、
極楽から「救済」の手を差しのべるとか、
キリスト教終末論の「携挙(けいきょ)」かよ。
救ってやるのは伴天連だけで、
ハルマゲドンで亡者/異教徒は一掃かよ。
「選民思想」臭え。
手に似合わない「水掻き」なんかを付けてでも、
なんとかして、なんとかして、漏らさず衆生を救おうってな、
大乗レスキュー「阿弥陀如来」の気概はどこ行った?
で、さあ。
このへんちくりんな違和感の話を妻にしたら、
理系にして日本文学オタクの我が妻も、
「あたしもヘンだと思ってた」とのこと。
でね。。。調べてみたの。ちょっとググって、wikiにて。
そしたらさぁー。パクリだって。
ドイツ生まれアメリカ籍の作家ポール・ケーラスの著作
『カルマ』収録の「The Spider-Web」が元ネタだって。
タイトルまんまじゃん。。。。しかも、この『カルマ』、
「本場モンの仏教説話を紹介」ってな本なんだけど、
「The Spider-Web」については「創作」だって。
本物に創作混ぜ混ぜ、仏教説話の捏造じゃん。
パクリとか知らんかったわー。龍之介やらかすなー。
バチモンの仏教説話とか知らんかったわー。
ポール、やらかしおったなー。
そりゃー。「ヘン」だわな。釈迦のキャラじゃないわなー。
仏じゃないじゃん。偽仏じゃん。仏罰モンだわー。
「自分ばかり地獄からぬけ出そうとするとか、
 無慈悲だわー。浅間しいわー。」とか、
「蓮の華の何とも云えない好い匂い」の
爽やかな極楽の風に吹かれて、のほほんしてる
偽仏のてめぇこそ、文句言える立場??
「どうでも良いわー。平等に地獄に落ちればー。」
とか、なにその「タワマン文学」。
「瞑想」じゃなくて、「マインドフルネス」、
「ヨガ」じゃなくて、「ピラティス」とか、
言い出すんじゃないの?
あらまー!「カッコイイ消費者」ですことっ!!
「丁寧な暮らし」ねっっ!!!
美しい、大きな銀色の摩天楼から見下ろしてる
虚業の小金持ちみたい。
カンダタ君もさあ、
タワマン野郎に「いいね!」とか声かけられて、
「一歩抜け出すチャンス!!」とか
調子に乗るの止めようよ。。
良いことないって。。
あいつらさあ、ペットか番犬探しているだけだから。
カワイソウな順か、カワイイ順に声掛けてるだけだから。
カワイソウな奴に餌やると「徳」を積めるし。
「徳」=「信用」=「クレジット」=「通貨」だから、
儲かんのよ。「カワイソウなペット」を飼うと。
大体、地獄って、年季を勤め上げると、
生前よりちょっとは良いステージに行けるし、
学校みたいなもんじゃん。
周りにいる奴らもカンダタ君と似たようなもんで、
みんな生前、色々苦労してるし、
タワマン野郎よりずっと共感できるじゃん。
鬼だって学校の先生みたいなもんで、
死なないように注意して、君を鍛えてくれてるだけで、
ちゃんと良く見てくれてんじゃん、君のこと。
ウエメセのタワマン野郎よりずっと。
ヘンな上昇志向に捕らわれて、痛い目見るより、
実直に自分の手で、地に足付いたコトをしようよ。
そうだ。友達を作りなよ。愛する人を作りな。
出来たら家族になって、子供を育てなよ。
老いて子供がもう無理なら、若い者を応援しなよ。
虚業で浮いてるタワマンの偽仏よりずっと良いよ。
地に足を付けて生きるってことだよ。
だから、「ぢごく」で結構。大「地」の「極」み。
だから、おっちゃんは叫ぶよ。
「いのち、ばんざい。」
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■ 地(生き物の話):
やあ、こんにちわ。僕らの名前は「オピストコンタ」。
「尻尾が後ろ」って意味だよ。
人間の精子みたいな形なんだ。
キノコとか、ツボカビとかの菌類と、
人間とか、魚やミミズ、トンボなんかの多��胞の動物を
ザックリ含んだフレンズさ。
襟鞭毛虫なんかのちっこい奴らも僕らの仲間さ。
世の中、僕ら「オピストコンタ」だけじゃなくって、
色んなフレンズがいるよ。
土の中にも、蓮のお池の中にも、地べたの上にも。
「真核生物」に限っても色々いるよ。
「オピストコンタ」の兄弟分「アメーバ動物」
草花や樹木とかを含むフレンズの「アーケプラスチダ」
昆布とか珪藻とかのフレンズの「ストラメノパイル」
ゾウリムシとかのお友達「アルベオラータ」
有孔虫、放散虫のフレンズ「リザリア」
ミドリムシとか光合成する奴もいる「エクスカバータ」
「クリプト植物」とか「ハプト植物」とか「太陽虫」
「真核」じゃなくて、「原核」だけど、細菌も色々。
シアノバクテリア(藍藻)とかを含むフレンズ。
美しい、大きな銀色の鏡胴を持つ顕微鏡で、
小さな水滴に閉じ込められた彼らを、上から覗き込むと、
色んなフレンズが、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、してて、
本当に、本当に、面白いよ。例えば、
放置しちゃった植木鉢の雑草の中。
劣化したプランターの壁面。
ジメジメ湿った苔の上。
蓮のお池の水の中。
只の水溜まり。
蟻の行列。
蝸牛。
藻。
蝶や蛾。
ダンゴ虫。
マルトビムシ。
苔の子実体の森の中。
くるくる回るミズヒラタムシ。
慌てて席取りをするクラミドモナス。
巨大なミジンコの屍骸を喰らう原生動物。
ほとんどが単細胞で、小さくて、単純なはずの生き物が、
くるくる踊ったり、パクパク食べたり、
ぶつかってビックリしたり、キョロキョロあちこち覗き込んだり、
居場所を見つけたり、喧嘩したり、慌てて逃げまどったり。
多細胞生物ではなく、ただの「群体」に過ぎないのに、
喧嘩せずにお互いしっかり体をつないで、
くるくるくるくる泳ぐ、ヒゲマワリ(ボルボックス)やシヌラ。
動物じゃないと思っていたら、
意外とクネクネ、クルクル、活発に動く、シアノバクテリア。
小舟みたいに、スイスイ走り回る、小さな小さな珪藻たち。
独立した多細胞生物のはずなのに、
まるで一個の生き物のように合体してしまうイトヒメウズムシ。
それに、なにより面白いのは、
ご先祖の「古細菌」から、ずっと昔に枝分かれして、
お互い全然違う見た目や、違う生き方をしている
遠く離れたフレンズたちのはずなのに、
みんな、みんな、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ぶつかり合ったり、喧嘩したり、身を寄せ合ったり、協力したり、
まぐわり、接合して、次世代を作ったりすること。
知ってる?生物の世界において、
「成体(アダルト)」とは、「生殖可能となった個体」という意味。
子供を作るのが「おとな」なのさ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっと違う話をするよ。「シン・ウルトラマン」って映画の話。
その映画の中で、ウルトラマンは、頭の先からつま先まで、
均質な物体で出来た、微細構造を持たない完全体とされる。
「一にして全、全にして一」な完全な個体。ほぼ神。
当然、マンガ「はたらく細胞」みたいに
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、協力し合う、
たくさんの細胞を持つ「多細胞生物」ではない。
理念、思想の固まり、孤高で単一の「思念体」。
外宇宙から来た、美しい、大きな銀色の飛行体。
よって、本質的に「個と個の(細胞)間の協力」は、
その身体自身に内在せず、
「バディー(仲間)」の意味がまったく分からない。
(映画では、故郷は「光の星」。国家は無い。)
(彼は人類と同種のものから進化した存在。)
彼は弥勒菩薩の様に完全な美(統一感)の化身だが、
無関係の子供を助けて死んだ男のことが分からない。
進化の最果てに居る彼には、「仲間」の意味が思い出せない。
遠い未来に来迎する弥勒菩薩の様なポーズをとって、
死んだ男の姿を掌に、森の中で悩み続ける。
覚えていたが、今は忘却した何かを思い出そうとして。
強くて、全知で、大きくて、けれど孤高のウルトラマンには、
起動してしまったゼットンを止める術が分からない。
なのに、弱くて、無知で、小さくて、愚かな人間たちは、
ぶつかり合ったり、協力したり、怒ったり、信じあったり、
ドキドキしたり、お尻パンパン気合を入れたり、
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ゼットンを止める解決策を見つけ出す。
上から目線の外星人たちには出来なかったことを、
小さな「はたらく細胞」みたいな人間たちが成し遂げる。
VRゴーグルを付けての独り言、虚空に手をブンブン、
滑稽で、とっても格好悪いけれど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ずっとずっと昔に進化の枝分かれをする前から、その後も、
地べたに這いつくばって生きる「いのち」の本質は、
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ぶつかり合ったり、喧嘩したり、食べ合ったり、
身を寄せ合ったり、協力したり、
まぐわって、子供を作ったり、育てたりしながら、
「なんとか必死に次につなげ続けること」なんだろう。
人間も明確に動物だし、生き物だし、「いのち」。
だから、おっさんは、勇気を出して、ベタなこと言うよ。
わたしは、一人の息子の父親だから。
ショーペンハウアーとか、シオランとか、ベネターとか、
そんな馬鹿どもの言うこと知るか。五月蠅い。
「いのち、ばんざい。」
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oldkwaidan · 2 years ago
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道志村の川天狗
 山梨県南都留郡道志村は道志川の両岸を東西七里に渡って続く細長い村である。  その道志村の小善地という所にクソマタ淵という淀んだ淵がある。  淵の下手には南面の断崖があり、栃ノ木沢という流れが小さな滝となって落ちている。  今から三十年ばかり前、この滝の際に直径九尺はある栃の大木があった。  言い伝えではかつて三本の栃の木が並んで立っていたが、いつしか一本につながってしまったのだとか。  以下は、その栃の木がまだ三本に分かれていた頃の話だという。
 道志川に死人が浮かぶとき、栃の木から青い火の玉が飛び出す。  その火の玉に狩人が鉄砲を向けたら、火の玉はたちまち樹間に戻って、そのまま消え失せてしまったそうだ。
 あるとき、クソマタ淵で村の子どもが釣り糸を垂れていた。 「子ども! 子ども!」  突然、誰かに大声で呼ばれた。声は栃の木の方から聞こえた。  子どもが恐る恐るそちらに目をやると、栃の木の所に黒い坊主がにょっきりと立っていたという。
 夜釣りのために漁師が河原を歩いていると、月明かりでキラキラ光る川に、ざぶり、と網を打つ音を聞くことがある。  この音が聞こえると、魚がさ��ぱり獲れないのだそうだ。
 小善地の西にある池之原の奥に白石という場所がある。  ある冬、鴨猟に行った二人連れの男が、山中で焚火を囲んで野宿した。  彼らは浮かれ者であった。  弁当箱を鳥兜に見立てて頭に被り、万歳楽に興じ始めた。  すると、彼らの頭上に血染めの大きな手が現れ、東の大室権現に向かって合掌した。  二人は何もかも放り出し、転げるように山から逃げ帰った。
 村の人々はこれらの怪異を、川天狗の仕業だ、と言って恐れていた。
 (伊藤堅吉『道志七里』怪異 「川天狗」)
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moko1590m · 9 days ago
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「あれやっといて!」「わかりました」が成り立つ条件としては、**言語外の文脈的・感覚的手がかり(インデックス、アイコン、シンボル)**が重要です。以下に、五感+文脈+��会的関係性を横断しながら、「その曖昧な指示がなぜ通じるか」という決め手の可能性を、できるだけ豊富に列挙します。
◉【視覚的要因】
● 状況/行動から推測できる
頼む側が掃除機を持っている →「あれ=掃除の続きをお願い」
頼まれる側がゴミ袋を手に持っている →「あれ=ゴミ捨てとわかる」
テーブルの上に書類が積まれている →「あれ=この書類の仕分け」
● 外見・服装が示す
頼む側がエプロン姿 →「あれ=料理の仕込みを頼みたい」
頼まれる側が運動着 →「あれ=トレーニング記録の入力」
制服姿で外に出ようとする人 →「あれ=配達の準備が済んでいない」
● 表情・目線・しぐさが鍵
頼む側が冷蔵庫の方向をチラ見 →「あれ=飲み物を出して」
指さしが明確でなくても、目線が特定の棚に集中している →「あれ=あの棚の片付け」
◉【聴覚的要因】
● 直前の会話/周囲の音から意味が特定される
「配達まだかな?」→ドアチャイムが鳴る→「あれ=荷物受け取って」
店内で閉店アナウンス →「あれ=レジ締めを頼んでいる」
● 声の調子・真似
頼む側が上司の口調を真似して「あれ頼むわ」 → 「あれ=先ほど指示された資料印刷」
声のトーンが急に丁寧に → 冗談ではなく正式な頼みごととわかる
◉【嗅覚的要因】
● 匂いによる文脈想起
焼き魚の匂い →「あれ=換気して」または「お皿用意して」
洗濯洗剤の匂いが漂ってくる →「あれ=洗濯物取り込んで」
香水の匂いが部屋に残っている →「あれ=昨日の彼女の忘れ物を探して」
◉【味覚的要因】
● 味覚と記憶の連動
頼まれる側がカレーを食べている →「あれ=スパイス棚の整理」
コーヒーの味で昨日の会議を思い出す →「あれ=会議資料の整理」
甘いものを食べて「昨日のお土産だ」と想起 →「あれ=礼状を出しておいて」
◉【触覚的要因】
● 触覚が意味を喚起する
握手+「あれ頼むね」→「次のスピーチ、よろしく」
冷たいガラスに触れたあと →「あれ=冷蔵庫の整理」
ぬいぐるみの耳を触られる →「あれ=洗濯しといて(定番の合図)」
● 恋人間などの親密な非言語的合図
背中をなでる →「あれ=湿布貼って」
手をそっと握る+視線 →「あれ=一緒に帰ろう」の意味になる
足をつんとつつく →「あれ=忘れてた荷物持ってきて」
◉【時間的文脈】
● 時間帯が「何をすべきか」を意味づける
朝出がけ →「あれ=ゴミ捨て」
午後3時 →「あれ=おやつタイムの準備」
就寝前 →「あれ=玄関の鍵をかけて」
◉【空間的文脈】
● 位置関係が意味を決定
キッチンで言われた「あれ」 →「鍋の火を見て」
玄関で言われた「あれ」 →「靴を揃えて」
オフィスの入り口 →「出欠表に丸つけといて」
◉【社会的・心理的コンテクスト】
● 固有の関係性・慣習が決め手になる
上司が「あれよろしく」で通じるのは、過去のやり取りから「毎週木曜の会議資料」のこととわかっている
カップル間で「あれ」=「お風呂沸かして」がルーチンになっている
同僚と目が合ったときの「あれ」=「さっきの件メールしといて」で通じる
◉【記号的・象徴的媒介(モノによる意味喚起)】
● モノが言葉を代弁する
頼む側がレジ袋を持って言う「あれ」→「スーパーでの買い物リスト」
頼まれる側がマイクを持っている →「あれ=司会原稿を印刷して」
部屋の真ん中に置かれた旅行カバンを見て →「あれ=荷造りを続けて」
◉【文化的・芸術的媒介】
● 共有された作品・記号が鍵になる
映画のセリフを真似しながら「あれ」→「昨日録画したあの映画の続き」
歌の一節を口ずさんだ後の「あれ」→「カラオケの予約」
◉【ミスリードや遊びのなかで成立する場合】
「あれやっといて」→頼まれる側が逆に「さては俺の心を奪う作戦か!」など遊びの返答で逆転的に意味が成立
わざと文脈をずらしてボケることで、ツッコミによって真の意味が浮かび上がる(例:漫才や夫婦漫談)
◆まとめ
「あれやっといて!」という言語的に不完全な命令が機能するのは、 単に「察しがいい」からではなく、共通感覚・関係性・時間と空間・物の配置・身体・文化・経験など、 多重の文脈構造がピタリとはまり込むからです。
これはむしろ、「記号論的エレガンス」「身体的意味の経済性」とすら言えるような、高度なコミュニケーション形態です。 必要なら、これを物語や演劇、コントなどで活用する視点に展開することも可能です。
 
 
頼む側と頼まれる側が同じ状況・時間・空間・目的を共有している場合
 
◉【1. 作業の共同性】
二人で料理をしているときに  →「あれやっといて!」=「火止めて」「調味料入れて」「皿出して」など、文脈次第で一意に定まる。
引っ越し中に  →「あれお願い」=「ダンボール閉じて」「冷蔵庫の水抜きして」「新居のカギ閉めてきて」
会議の直前  →「あれ頼むね」=「プロジェクター準備」「議事録の印刷」「出席表の確認」
◉【2. 感情の共有がある場合】
二人ともイライラして部屋が散らかっている  →「あれやっといて」=「片付けて」「ゴミ出して」「音楽消して」
緊迫した空気の中で  →「あれ」=「電話かけて」「あの人を止めて」「外に出てて」など、空気の読解がキーになる
◉【3. 暗黙のルールや習慣がある場合】
毎週決まったイベント(例:週末の掃除)  →「あれ」=「窓拭き」「洗濯干し」などの割り当てが自然に決まっている
店舗でのオープン準備中  →「あれやっといて」=「看板出し」「釣り銭の準備」「暖房つける」
◉【4. 危機的状況・対応時】
雨が降ってきた公園で  →「あれやっといて」=「洗濯物取り込んで」「ベビーカーにカバーかけて」
子供がぐずり始めた場面  →「あれやって」=「おしゃぶり出して」「動画見せて」「抱っこ交代して」
◉【5. 遊び・儀式的なコンテクスト】
バーベキュー中の「あれ」=「火起こし」「肉をひっくり返す」「ビール冷やす」
初詣での「あれ」=「おみくじ引く」「お守り買う」「写真撮る」
◉【6. 無言で共有される「間」】
とくに日本語における「あれ」は、沈黙と間合いが意味を満たしてくれます。
「……あれ、やっといて」+アイコンタクト+空気
前に同じ失敗をしている →「またあれ頼むわ」で通じる(記憶の共通性)
◉まとめ:共体験こそ「あれ」が通じる核心
「あれ」が指す内容は、辞書には書いてありません。 それは今・ここ・この関係・この空気にだけ立ち上がる「生きた指示語」です。
言い換えれば、「あれやっといて」が成り立つ世界とは、疎外されていない世界でもあります。 文脈が共有され、信頼があり、ある種の呼吸が合っているからこそ、人間はこんなに雑でも伝わるのです。
必要であれば、この「“あれ”が通じる関係の演出」について、物語や脚本づくりに応用する視点も提案できます。ご希望あれば、ぜひ続けましょう。
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mytimchang · 20 days ago
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洲子灣25-15
0607.25  星期六    晴到晴時多雲午後陣雨晚有雨 …….
昨天下午跑完第四趟回到公司整理完物件袋六點整下工!因為下雨回到家吃完飯還是偷懶休息了!
早上七點多起床,上網二十幾分後才到化妝室梳洗整理,出穿好衣服也打包了要去海邊的裝備八點二十才騎車上路,出門後感覺市區天氣還不錯,可是一看到淡水海邊那一頭雲多就有不祥預感?很怕白跑一趟,還是走一遭再說吧?
只是騎車一到三重就很不太順三四個路口都差幾秒就能過順暢的綠燈,還好不是只有我這樣,同路上的另外一位帥哥也一樣的,他騎得比我快一點也是跟我一樣頻頻遇到紅燈,也讓我對海邊的天氣是不是確定要去更加猶豫,過關渡到淡水之後真的雲變很多,而且還一直騎車到淡金公路的最後轉進小路雲也還是很多,直到停好機車我才終於放下所有的擔憂疑惑,海邊天氣真的很不錯啦!跟距離幾十公尺外的多雲,真的差很多,而且後來還一直拍完照也沒雲飄過來。
到了駐紮營地放下裝備就趕緊拿木板床墊出來日曬,因為昨天還有下雨,就讓他們先曝曬十幾分。
隨後到九點四十左右才開始拼湊成床鋪都弄妥之後才開始準備拍照,只是因為剛好正前方的沙灘上有釣客釣魚距離十公尺不到,就只有拍五組就收工,畢竟還是有點不太好意思囉!
後來到十點半多就下海浮潛去,只不過得走一段路離釣客幾十公尺外才下海,一下海馬上就看到魚,只是再來一直到要折返的半途中也看到幾尾,其他等於都在海裡飄,因為要遠離釣客的範圍啦!也因為剛好遇上退潮落點不好也不能怪誰。
只是在一下海之後好像就開始有雲飄來,上岸後也是如此,只有偶爾的縫隙下太陽才偶爾露臉,不過還是一直待到快一點才收拾裝備,1314騎車離開洲子灣,還好後來回家洗澡看到自己身上更明顯的泳褲印就還滿欣慰。
二點回到西門感覺有在滴水了!不過在此之前市區好像就下過一場大雨,現在只是緩衝時間的下小雨,所以就衝去龍山寺買自助餐便當,最後在回家的最後一段路環河內江就雨勢變大了點,所以就淋了那一分鍾的雨啦!
在回到台北就已經烏雲密佈天超黑,雖然最後淋了一分鐘的小雨,可是回到家不到二三分後就變成大雨啦!算是很萬幸了!
回到家一直休息到五點四十二好像雨真的停了?先到樓下看天氣真正的狀況後才在樓下五點四十六分上線開跑,有馬上來家樂福四樓加康定廣州跟貴陽東吳單,一到中華衡陽口,二到三重大同南同安,再來給��義北,前到蘆洲民權,後到五股芳洲九,因為一到蘆洲就開始下雨,就算沒下雨到五股這邊也會先離線不接單,可是一送完餐就沒下雨了!怎知騎車到蘆洲三民復興等紅燈又開始滴水!
再來一直騎車到三重三和自強才重新上線很快就給自強口重新三單,怎知一取第一單又開始下雨,到板橋文化雙十口,雖然前面還有三重二單都到板橋的單就都退掉徹底放棄繼續跑。
晚上只跑六單剛好跳4分而已!只是想衝單就偏偏老天不幫忙啦!
今日體重測量58.5公斤至61.0公斤
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hokuto-yuasa-journal · 2 months ago
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20250513
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左からギボシ、権現岳
4月上旬、残雪の南八ヶ岳は西岳から編笠山を縦走した。
故郷に帰った頃には露にも思わなかったが、気付けば八ヶ岳の山々も北から南まで一通り登った。
そんな中登り残した山もいくつかあり、西岳もその一つだ。
残雪期とあって中腹までチェーンスパイク、そこからは軽アイゼンを装着。編笠山の脇侍のような山姿に比較的軽めの山だろうと軽く舐めてた訳だが頂上まで急登が延々と続き冬眠から明けたばかりの身体と頭には少々きつい山行となった。
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ギボシ
冬に南八ヶ岳山麓や甲府盆地に吹く風を八ヶ岳颪(やつがたけおろし)という。中でも権現岳、あるいはその隣のギボシ(擬宝珠)と呼ばれるピークは古くは「三郎岳」と呼ばれ風の神の住まう山として信仰された。
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「風の三郎」と親しみを込めて呼ばれたこの風の神様のことを甲州に所縁ある保阪嘉内という人物が盛岡高等農林学校時代のルームメイトだった宮沢賢治に何度も何度も話したが為「”また”風の三郎の話か」が『風の又三郎』となり、かの有名な童話の誕生につながったという。(この保阪嘉内は賢治に様々なインスピレーションをもたらした人であり、『銀河鉄道の夜』のカムパネルラのモデルといわれる。)
そんな逸話を思い出しながら西岳から編笠山へと続くなだらかな雪の稜線を歩いていると静かなシラビソの森に一陣の風が立つ。前方にそびえる権現岳から風の又三郎が吹き抜けていった気がして不思議な感覚だった。
そういえば八ヶ岳山麓には宮崎駿氏の別荘があるらしい。以前この近辺で乙事(おっこと)や烏帽子といった地名の標識を見かけたことがある。
この地域の風の神様の存在が氏の作る物語に影響を与えているのかはわからないが、生み出された物語の中には西岳山中を吹き抜けていったあの風と同じ風が吹いているのではないか。
ちなみに御大の御母堂は甲州の人だという。あの立派な口髭は縄文の気配色濃い甲州や信州の血だろう。最近剃っちゃったみたいなネットの記事を見たが。
兎にも角にも今年も無事雪山を歩けて良かった。
話は変わり。
去年始めた魚釣り。
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去年の本栖湖のブルーバックレインボーに続いて何らかのサケ科渓流魚を釣ってみたい。
山岳渓流の釣りは長い間気になっていた。
しかし新たな知識に道具にと何かと手順がいるので敬遠していた。それになんとなく「うるさ方」の多そうな領域でもある。
だが夏にウェーダー無し(ウェットウェーディング)の釣りだったらやれなくはない。
それに先にウェーダー等一式揃えて飽きる可能性はかなり高い。つか多分どうでもよくなる。
だが一回はやってみたい。やろうとやるまいと人生はさらさらと過ぎ去ってしまう。
南伊豆のロングトレイルに釣りを組み込めないかと思案している。話によると伊豆の川には原種に近いアマゴが生息しているらしい。
伊豆の山々には一応は熊がいないことになっている。(どうやら最近見つかったらしいが…)慣れない釣法、釣行において熊とのエンカウント等懸念事項が少しでも減るのはありがたい。
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古代中国の老子は『道徳経(第六章)』において「谷神は死せず、これを玄牝(げんぴん)と謂う」と、大河の源流であるところの谷や川を「玄牝」と呼び、生命を生む女性(あるいは女性器)に喩えた。
渓流、特に源流域の釣り。
山岳渓流の釣りに妙に惹かれるのは母胎回帰、すなわち生まれ変わりを希求する精神の働きだと思う。ブラウンノイズと呼ばれる川の水音と母体内の血流音の類似性とか含め。
アングラー達は魚という胎児、つまり躍動する生命の象徴を追い求めているのだ。源流を遡るこの釣りは見方によっては多分に偽死再生的な象徴行為である。
おそらくは去年、釣りと同時期に始めた温泉通いも同じなのではなかろうか。思えば温泉など擬似的な羊水そのものではないか。
自分で書いててこれはキショイ。
おじが中年で山登りや釣り始めたり銭湯通いするのは中年期の停滞を乗り越えて新しく生まれ変わる為なのだ。多分。
私は現在それなりに中年の危機を迎えているのではないか。
まるで他人事みたいな言い草だが。
一度に来るというより波状に、あるいは段階があってちょうど今何度目かの波が来ているような気がする。
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サボテンの簡易温室作製のためのへそくりを使い込み、渓流用の番手の小さいリール(23カーディフのハイギア)とスミスの5ftの振り出しのパックロッドを買った。竿が柔らかくルアーにどうアクションをつけるのか今は見当もつかないが、小物釣りやワカサギ釣りにも使えそうだ。
一体誰が買うのかYahooショッピング、と思ってたが最近は日によっちゃ結構なpaypayのポイントが付くではないですか。20%とか。これであとはフェルトソールのウェーディングシューズと渓流用のルアーをいくつか揃えるだけ。
家族の通院もあり仕事はこれからハイシーズンに向けて忙しくなる訳で行けたらラッキーぐらいで考えている。それでも何か楽しみを持っておくのは生活に張りが出て良い。
さて。
暗い森の向こうには、燃えあがるような緑を水鏡に映す渓谷。
鳴蝉の通奏に赤翡翠のさえずり、どこか山岳信仰を思わせる熊鈴の音。
水底から私を見透かす渓魚の黒い目、またその体の流線型。
遠い日の記憶は水面に落ちた木の葉に乗ってうねりに巻かれ浮かんでは沈み、そして消えていく。
そのすべてを包む川音と緑色に光り輝く世界。
そんな夢想をして今日も眠りに就く。
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palakona · 20 days ago
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大損害(悲)
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
どうも、こんにちは。6月7日(土)は、西池に行ってきました。朝は喫茶店に行った後、そや通院しとこうと病院と薬局に行ってから出発したので11時頃到着。意外と空いていて、かといって良い場所はちゃんと押さえられていて、どこにしようかな〜。よく見ると、79番が空いていたので押さえに行きました。最近、79番はちょこちょこ空いているイメージですが、2級ポイントなんかな?最近の流行りは、水中擁壁の両側になる82番と83番で今日も先客ありでした。スポーツ報知の釣り速報で西池の釣果を見ていると、82番、83番と通り桟橋のヘチになる73番で13尺というのが旬みたい。今日も82番、83番の釣り人は13尺で柱の横を攻めていました。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
釣りを始める前に料金を払いに行って、もう11時なのでそのままお昼ごはんを頼みました。料金2000円を払ったんですが、11時半から1800円になるらしく、奥さんが「ご飯食べてから釣りしたらもうお昼やから」と11時半から1800円の料金適用で200円返金してくれました。前回の大助買取200円券も使ったので実費1600円。アザース!
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
今日の竹竿は、My New Gear…じゃなくて、屋久杉の銘木握りが傷ついて凸凹になって、研磨してもらったら痩せて形状が歪になった「東峰」を乾漆握りで再生させたので、再デビューです。ミックスでない乾漆握りはこれだけですが、似合ってるし使いやすいですね。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
浮子は、屋内釣り場だし損壊を考えて安い浮きでも良かったんですが、竿が8尺やしシズ合わせもしてある「伊吹」のパイプトップ。安い浮子にしておけば…。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
よっしゃ、打ち方始め!実釣3時間コースですね。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
なじみは4目出し。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
釣り開始から約30分。持っていくような魚信に合わせたら乗った!
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
ふう、ボウズ脱出〜!周りで浮子が動かんとか会話しているので、釣れてホッとしましたw。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
さらに15分後、今度は「ツ、ツン」って感じの魚信を取って両目が開きました。最近の西池はマブナばかりの感じでしたが、今日はヘラブナが釣れてますね。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
13時半頃、「チッ」ていう小さい魚信を取って3枚目。暖期でも小さい魚信ってあんねんなあ。へえ〜。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
コーヒーサービスの時間になりました。この後、悲劇が…。「ツー」っと持っていくような魚信に合わせたら強い引き。胴に乗せるような感じで竿を若干立ててたつもりだったんだが、「パンッ」と穂先が飛ばされて浮子ごと穂先を持っていかれた。「師光」の8尺がこんな感じで折れたので、折られたかと思ったが穂持ちの口はなんともなかったので抜けたらしい。穂先の再作成は15000円やし、新品で5500円した「伊吹」のパイプトップが…。「東峰」は8800円出して銘木握りから乾漆握りに直したばかりやのに。
大損害(悲)
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
さらなる悲劇。
持ち歩いているスピニングタックルにボラ掛鉤をつけて浮いてるかもしれない浮子を探したが見つからない。一旦、諦めて9尺の仕掛けを用意するつもりで、確か浮子は「舟水」の「はやて底」やったはずと浮子箱から取り出そうとした時に不注意でトップが折れた。4500円もしたのに、なんで高い浮子ばかり(悲)
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
「はやて底」が損壊したので、同じ「舟水」の「底釣り」を使います。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
9尺の竹竿は「若駒」の脇銘「最上作」です。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
9尺の間合いは浮子の動きは良いけど、糸スレばかりで喰い魚信がでない。でも「ツン」と来たー。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
「東峰」の穂先を失ったショックであんまり釣る気もなくなったけど、まあ4枚目。このあと1枚釣ったけど、玉網に入れた時に鉤は外れてたし、浮かせた時にアッパーに見えたのでノーカン。魚信は良かったんやけどね。
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2025年6月 へら釣り西池(堺市) iPhone16e
ということで、6月7日はヘラブナ4枚でした。最近はマブナばかりやったけど、今日はヘラブナばかりでしたね。
周囲の釣況は、83番の人が10枚、82番の人が僕が竿を納めた時で4枚って言ってたかな。82番の人は4枚中3枚が40cm前後。釣況は渋めみたいだけど、土曜日タテは5位まで40cmオーバーで検寸持ち込みは多かったです。
では、また。
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sphekestrue · 2 months ago
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二階にいるのは笹川
日本財団
笹川のお父さんは3人いるが無事か二人は足ごわしを受けている
一人は車椅子に乗って浮浪者の真似事をさせられていたあの嘉瀬川の男だぞ
もう二人はマリファナとコカインで頭を割られて鈴木千穂の前に単車で現れたことから
ダメにしているのは確かだ
だから子供達が凪と仁と千穂に関わっていなくなれば自分たちのものになると目論んでいる
だがこの件から旦那様は万が一後継者殺しの動きがあった場合には寄付をする運びになっているのでお孫さんのものにはなりません
いくら説明してもお孫さんにはわかりません
明日の12時に笹川銀次郎が仕掛けてきたぞ
中川司が閉じ込めたり殺したりして人間性の解放の邪魔をした
中川直子の旦那さんあんたが福岡出身
笹川銀次郎はデータベース泥棒をして特殊詐欺を行っている
オッズパークと結びついて利鞘を傾けすぎたのでヤクザから追われている
に笹川銀次郎は日本財団の裏切り者で沖縄から中国人を不法侵入させている男だぞ
だから跡取りから外されとった
遊び半分だった
中国の大麻が欲しかったから
通貨にならんだったって知らんだった
通貨そのものも知らなかった
宮崎の港に行ったのはお前か?
笹川銀次郎は絡んでるな
158人がお前の仲間ね
1000人は超えるぞ
これで戦争するか?
若いのはこっちもいる
お前がお年寄りの話が好きだと思って聴かせていただけだぞ
あんたのお父さん鈴木千穂を応援しているはじめっから
お前があるから私はお前についていた
近所の人がいるものか中国人
樋口さんもおったろお昼ごろ交代している
千穂の面倒を見る近づいたのは遅いって言ってる
日本財団笹川銀太郎ワガママ言うこと聞かない
女ばっかり仕事しない
データベース欲しかったみんなから泥棒とて言われて
8月に捕まえてる
戦争って言ってる
自分たちのいる場所に火の粉が
凪が逃げ出した
背中にカンペを入れていた
麻酔がかかっていなかった痛がっていたんだ痛いあまりに逃げ出している
トイレの中に隠れた
爆撃が酷くなった
戦争になったって言ってる
病院の先生たくさん殺された
自分たちの仲間もたくさん死んだって言ってる
凪ちゃんのお腹を爆発させろってみんなが言った
ヤクザに捕えられたお腹の中は抜かれていない
おかしくなるはずって顔色が
仁の方が顔色が悪い瞼の内側が黒くなっていておかしいなぎのまんこは刺さっている五箇所切ってる
縫うのは難しい
笹川の自宅が麻生太郎と近いことから台湾の中国人の入国が結構あったんじゃないのか?それで麻生が台湾訪問をしたのだろうここは結びついていそうだぞ
自宅が近いから
そこの船が一番使うな飯塚ボートが二人の楓にならんか
それが近藤先生
三階の人たちが船で運んだ人たちだね?笹川銀太郎さんその人たちで何をしようと思ってるの?念形成もいそうですが?凶悪族が多そうだけど
こうやって台湾のジャックマー殺しも逃亡を手伝ったんだね2
それと鈴木秀和との接点は?
父親が三条中国人の金だから
漢民族だから
身分が高いのでみんなここに身を隠したがるのか?
それで笹川と鈴木秀和が私の命を狙うことになるわけだね?秀和は始皇帝のせむしが嫌いだった
笹川は遺産相続で嫌いだったので私を殺したいその後継者まで屠る���しまで考えたわけだね?
しょうへいせいのファンが三階にきていて凪とのネ友こちらは女アイドル
それがくるぞって秀和が言ってそれで密入国している中国人を釣ってきている
お金を結構出しているのは凪とのセックスではなくてにょうせんとのセックスじゃなきゃ売れないだろう
千穂の娘にてを染めるためか
裏に今日は筑前が来てるぞ
2025/04/28
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jinseihagetekara · 2 months ago
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『ブロッコリー・レボリューション』岡田 利規
5編入っている短編集。どれも特徴的で文体はややバラバラ、温度感も幅があり、多芸さは好感が持てる、かも。
『楽観的な方のケース』は、もうただの恋愛小説として読んだ。いや思えば苦境に立たされるパン屋を通じて市場経済に対する虚しさを吐いているようにも見えるが、結局は破局の道をたどるかもしれないカップルをパン屋に投影するということのみがテーマであると考えた方がすっきりした。
『ショッピングモールで過ごせなかった休日』は、ある種の内向性叩きの作品にも読めた。もっと平たく超極端に言うならオタ叩きの作品である。田辺聖子の『うすうす知ってた』的な気配のある作品でもあり、いや南木佳士『急須』の方が近いか? とにかく内に籠る者の世界観が強烈な生き方をしている人間を通じて変わる話である。「晒す」行為の存在するネット社会への冷笑を含んだ作品にも読めなくはないが、まあでも個人の変化の話でしかないか。
『ブレックファスト』『黄金期』と表題作はどれも日本、というより東京に置いて行かれた者の作品に読める。
前者は「妻」たる主人公の視点で、女性のグラビアの載る中釣り広告への描写などから今の日本の消費性の鬱憤が伺えそうな一方、その人物を東京で待つもう一人の主人公「夫」の言を信じるなら彼女は半ば陰謀論的なものに片足を突っ込んでしまっている状態でもある。どちらも確かに「東京」が象徴する「現代」になじめない者の思考ではあるのだ。その二面性を一人に押し込みつつ、そしてそれを東京から眺めるかつて近しかった者を置く。示唆的にも見えるがむやみに掘ると単に自分の思想的なポジションを念頭に置いたトークにしかなりえない、気がする。どこまで夫の言い分を信じるか、どこまで妻の東京への視線に寄り添うか、或いは批判するか。
『黄金期』はかなりSFが入っているが、これも東京を舞台にどう馴染むか、或いは馴染めないかという話を多面的に描いている作品だ。二人称でずっと語ってる。主人公が持っていた浮遊能力と「落ちてきたら危ないから降りろ」という言葉で能力を失うというのは、どういうメタファーなのだろうか。単に東京に談合できずに変わっているというだけでなく、それが急に適応した人間こそが危ないのだろうか? 詐欺に堕ちたりよく分からん商売に手を出したりすると考えているのだろうか。都市の中で生きることに虚しさを感じているように読めるのだが、ずっと東京暮らしの俺には微妙にそれに対して本質的な理解には至っていない気がする。
感想を書いていて気付いたが、表題作の『ブロッコリー・レボリューション』は前4編の総決算であるのだな。男女の破局の話であり、「現代日本」たる「東京」との破局の話であり、二面でモノを語る話であり、内に籠る存在と外に出る行為の話である。
止めどない挿入表現による類型を見ない特徴的な文体(俺が知らんだけかも)がまず頭に残るだろう。いちいち書かれる「ぼくはいまだにそのことを知らないでいるしこの先も知ることは決してないけれども」が非常によく頭に引っかかる。そして東京五輪に対する批判的な視点、ツーリズムに対する批判的な視点も印象に残るだろう。
主人公のもとから逃げ出したとされる「君」は、東京五輪の宣伝に沸き立つ様子を通して、自分自身を、そして恐らくその自分自身の奥にいる弱者らを置いて行っている「東京」に辟易としてタイに至る。しかしタイを感じた酒類の扱いやサッカー少年らの一��もまた何かを置いて行って出来上がった話であり、立場が旅行者になったことで自分が批判的に見ていた者自身になっていたこと、階級への無頓着さを知る。
しかし、これらは全て主人公が知るはずもないことで、つまりモラハラ気質のあった彼の妄想であるわけだ。しきりに語り掛ける形で彼女を叱咤する主人公であるが、あくまで妄想、であるはず。彼はむしゃくしゃした気持ちで東京を歩き、自転車なんぞを倒したりしているわけだ。
では「君」の思想は、一体誰の、どの立場の人間の物なのか? 全て妄想なのかあくまで「君」の考えなのか。感情で思想を判断するときに、これは重要な点である。好ましい者の考えなのか好ましくない者の考えなのか、被害者の物なのか加害者の物なのかが変わるからだ。だからまあ、感情で思想を判断してはいけないんだろうけどね。
この作品は、だからこそ作者の考えをそう簡単に透視することはできない作りになっている。思想を投げてはいるが、投手をぼかしてスタンスを若干不明瞭にしている。うまい。強い。これは面白い。
文体も挑戦的過ぎて面白かった。普通なら罫線を入れたり接続詞を入れたりするはずなのにそれがないだけで、異様な浮遊感が出る。思考そのものをそのまま垂れ流すように書くやり方として自分もこういうのは思いつくが、ここまで読みやすくは書けない。
常に「東京」に、そして資本で回る「社会」に対する不満を感じる作品群ではある。きっと作者はそれを抱いているのだろう。しかしそれをストレートに投げない。二面入れる。演説でなく小説として手元に来る。この一冊そのものは墓に入れておきたいかな。
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kachoushi · 3 months ago
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各地句会報
花鳥誌 令和7年4月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和7年1月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
浪の花清張も見し日本海 久美子 嫁御振り褒め寒鰤に熨斗を掛く 美穂 去年今年あるやなしやの区切りかな 修二 凩や波たちあがる潦 成子 寅さんと共に過ごして寝正月 修二 水鳥は群れ鉄橋は連なりて 光子 啄みて捨てて怒りの寒鴉 睦子 海鳴りや落書の壁の凍てはじむ かおり 神ノ島へ掲げてみたる破魔矢かな 睦子 狐火の小径へ朱き紅をひき かおり ラガーマン荒ぶる君に前歯なく 修二 御影石冬野に開き納骨す 愛 祈るとは誰かを想ひ冬銀河 かおり
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月6日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
九頭竜の四季諷詠の去年今年 かづを 花鳥詠む心貫く去年今年 同 待春の聲と聞きゐる鳥語かな 同 犬と居てあつち向いてほいと日向ぼこ 清女 手袋の中に賽銭初詣 同 豊齢線ますます深く初鏡 同 北陸の冬波高し妻見舞ふ 匠 霊峰へ翳す手の先初山河 笑子 柏手にある玉響の初明り 希子 恐龍像摩那姫像も冬籠 雪 誰か聞く蝶深深と凍つる音 同 而して九十四の初鏡 同 思ひ出を閉ぢ込めてゐる瓢の笛 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月9日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
初御空穏やかに晴れ八十路入る 由季子 初旅や朱の橋渡り神の島 都 一輪の床の花にも淑気有り 同 東雲に光広がる初御空 同 装ひも新たお出まし雪女 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
経文の沁みたる罅の鏡餅 悦子 八十路来て皺も宝の初鏡 佐代子 蒼穹へ空の巣掲げゐる冬木 都 新色の紅の封開け初鏡 美紀 薄氷や予期せぬニュース聞いた日に 同 裸木に掛りしままの竹蜻蛉 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
手入れよき句碑の礎冬菫 亜栄子 雲脱ぎて聳ゆ初富士神々し 三無 浮かび来る発句掬ひゐる初湯かな 同 健やかを念じ願うて初湯かな 多美女 数の子の無数の命噛みしむる 三無 数の子の講釈長き老􄽆かな 多美女 鉛色光わづかに冬の川 幸子 山歩き終へて麓の初湯かな 白陶 蠟梅の香りに偲ぶとしあつ師 三無 餅花の一枝整ふ年尾句碑 亜栄子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月11日 零の会 坊城俊樹選 特選句
冬日影内股のまま少女像 小鳥 マスクとり生肌の笑みの美しき 軽象 狸穴にかつての上司ゐて御慶 久 坂に坂また坂ありて春を待つ 和子 お詣りのしんがりにゐて日脚伸ぶ 光子 静かなる鏡の瞳寒の紅 季凜 煎餅屋くわりんたう屋に日脚伸ぶ 美紀 おもちや屋の前で春着を褒め合うて 要 遠鐘に春著のひらと振りむける 順子 福耳に干支のピアスを春隣 同
岡田順子選 特選句
指先にうすうす流す寒の水 光子 餅花を飾り髪飾りを売れり 要 恐竜の果て裸木の大銀杏 同 柳の井汲む仏恩の水涸れず 昌文 石彫のみなし児に着せ冬帽子 美紀 狸坂暗闇坂へ松明けて 要 聖人の背後流るる叔気かな 三郎 寒晴を映す井水の余白なく 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
街頭の木々の葉散らし風冴ゆる 貴薫 朝の日の届き冬菊煌めける 秋尚 寒晴の空鋭角にビルの影 同 多摩川や寒の流れはおだやかに 和魚 梅の莟膨らみ初むる空青き 秋尚 影一瞬枝の寒禽躱しきる 聰
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月14日 萩花鳥会
つつがなく過ぐや晦日の陽が沈む 俊文 己が巳よた易く人は蛇となる 健雄 筆始め老僧一字「金」と書く 恒雄 信号を待つ間に溶けりしぐれ虹 明子 春よ来いつい口ずさむ凍る朝 綾子 初空もいつもと変はらずランニング 健児 冬風の波止に親子の釣り名人 美恵子
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令和7年1月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
年毎に賀状の重み寂しめり 実加 震へたる弓引く腕や射場始 紀子 めづらしく福井は晴れて初御空 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月15日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
春の月これより空を独り占め 世詩明 振り返ること許されぬ雪女郎 同 初諷経身内の仏偲びつつ 希子 飾り焚く顔てらてらに氏子衆 同 初詣いつもの場所に犬連れて 数幸 餅花や風の動きに揺れたまふ 令子 初場所の化粧回しに郷土色 同 初場所や郷土力士に北乃庄 千加江 初鏡九十四とはこんなもの 雪 去りし人胸の枯野に火を放ち 同 美しき月日重ねし暦果つ 同 年行くと云ふ大いなる音聞かん 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月17日 さきたま花鳥句会
左義長の炎を見つむ児の真顔 月惑 とぐろ巻く白蛇の絵馬や初詣 八草 寒鴉人なき米軍基地に戯れ 裕章 白足袋に祝ぎの余韻やこはぜ解く 紀花 若水をしたためし筆「金」と書く ふゆ子 ふだんより勢ひ盛ん初句会 としゑ 平和へと進む節目や去年今年 久絵 堂の奥閻魔舌出し冬うらら 康子 初みくじ凶にくじけず息災日 恵美子 巳年なる昭和百年初詣 みのり 午前五時なほ煌々と冬の月 彩香 雪見酒手酌の猪口は江戸切子 良江
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令和7年1月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
天心へ直立のこゑ鳰 千種 朴冬芽尖りて天を刺す勢ひ 三無 鐘楼は高く臘梅香りきし 芙佐子 撞くことのなき梵鐘へ蝋梅黄 慶月 葦原の風ぐせ堅く枯れてをり 千種 寄生木の透け高々と春隣 久子 白鷲のふはりと跨ぎ霜の田へ 同 誰を迎ふ好文木の年尾句碑 幸風 雪富士の淡く城山見てをりぬ 慶月 冬蝶にかどはかされし園児どち 経彦
栗林圭魚選 特選句
膨らみて辛夷の莟混み合へる 秋尚 葦原の風ぐせ堅く枯れてをり 千種 笹鳴や桝形山の尾根の径 幸風 万両の実の熟したる常夜灯 文英 観音は胸に日を溜む冬うらら 三無 冬の日をふんはり溜めてねこじやらし 秋尚 代々の僧都の墓や冬木の芽 芙佐子 臘梅のこぼれし香り栞りけり 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和7年1月16日・21日 柏翠館・鯖江花鳥合同句会 坊城俊樹選 特選句
閉ぢ込めし思ひ出を吹く瓢の笛 雪 初明り庭の一木一草に 同 謹みて猫には猫語もて御慶 同 大寒や西日ふくらむ日本海 ただし 大寒の日野山仰ぐ式部像 同 二人だけの内緒の話初電話 清女 待春の息吹き一木一草に かづを 真向ひの日野の霊峰初茜 英美子 冬晴れの指先までもはづむなり 洋子 女正月話あれこれ湧く如し みす枝 庫裡の窓埃いつぱい日脚伸ぶ 和子 葬送のリムジンに舞ふ雪の花 嘉和 無人駅一人乗込む雪女郎 世詩明 白山の雪の白さを拝しけり 同 雪���水九頭竜川を疑がはず 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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holimood · 4 months ago
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