#郷土菓子
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oldkwaidan · 3 months ago
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ずっと川べり
 長野県北安曇郡八坂村の話。  谷口という人が同村舟場の橋本屋で菓子を買い、店を出て帰途についたのは夜の九時頃になっていた。  家までは犀川のへりを歩くのだが、その夜はいくら歩いても、川音が聞こえるばかりで一向に家へ着かない。  ずいぶん歩き回ったあげく、ようやく我が家の灯りを見つけ、どうにか帰り着くことはできたが、帰宅時間はたいへん遅くなっていたという。  持っていたはずの菓子も、いつの間にか消えていたそうだ。
 (信濃教育会北安曇部会・編『北安曇郡郷土誌稿(七)』九 動物、變怪民譚附獵の話��「1 狐の話」)
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dadnews · 1 year ago
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特産釜いり茶で洋菓子 高千穂郷 ご当地土産に [宮崎日日新聞] 2024-03-02
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bastei · 11 months ago
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 植生、昆虫類になぜだか嫌味がない。現在のアパートの踊り場で死んでいる蝉や不意に現れる蛾などには明確な嫌悪感を抱くが、故郷の往来で空薬莢のごとく死んでいるカナブンにはどこか見慣れたところがあり、生来からの親しみを覚える。郷愁の正体は得体の知れている生態系にあるかもしれない。虫は路上で死に絶え植物は跋扈する。私のように数年単位で町から町へ移動していると人生の半分を過ごしたこの場所以外に、これから先の暮らしで郷愁を覚えることはないだろう。
 この汽車は日常の雑事のなかへと私が戻っていく汽車である。私のほかには先刻ホームの長椅子で隣に座っていた老婆が遠く対岸の優先席へ腰掛けているのみで、線路と車体が触れ合う規則的な音が車内へこだましている。老婆と目があって会釈をする。汽車に乗る前に、私はこの老婆が土産に買っていたお菓子の箱を地面に落とすのを見た。退屈な会話に巻き込まれることがわかっていながら私はそれを拾った、という仲である。聞けば昨日まで町を挙げてやっていた祭りを見たくて故郷へ戻ってきた��だという。私はその祭りに参加して囃子を演奏したり運行に携わってたのだからその点は悪い気がしなかったが、それ以上のことを知ったところでどこか気まずくなる。まだ往来で死んでいるカナブンの方がどこか気楽に思われて、私は再び単調な景色に視線を移している。
 電車はなく燃料で駆動する汽車である。遠方で回転する風車との距離について考える。たとえ三角関数を知っていても、どこかの長さが分からなければその実像は身を結ばない。それでもこうして暫く眺めていられるのだから遥か上空を飛ぶ飛行機のように相当遠くにあるのだろう。その一台ずつに無数の企業であったり、職務へと従事する人がおり、日夜その回転に関わっているということにどれほどの人が気がついているだろう。音もなく悠々と姿を隠していく夕日を背景に見送りながら、このような全能感に掻き立てられることもある。ところがその回転している世の中にかすりもしない小市民が現在の私である。汽車は揺れ、風車は回る。
 退屈凌ぎに読み始めた本に「人間ひとりのすべての細胞が一日に発散しているエネルギーを集約すれば、30Lの水を沸騰させることができる」と書いてあった。私も「スーパーなどで買った大福は冷蔵庫の中で一日ばかり乾かしてから食べるのがコシが出て美味しい」などという発見をどこかに記載したい。
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sake-oogiya · 4 months ago
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フランス / ラングドック地方 ル・ケ・ア・レザン ル・トゥリスト 2021(白) 青りんご、柑橘系果実などのミネラルを感じる爽やかな香り。味わいは口に含んだ瞬間にしっかりした酸を感じ、喉を通った後にジワジワと果実が上がってきます。キレがあり、塩味のあるミネラル��、これからの夏の時期にピッタリの白ワインです。 ぶどう品種:シャルドネ 750ml ¥4,300(4,730) 江南市の30さんで販売中の五島列島の郷土菓子、かんころ餅。軽く焼いてフランスのバターを合わせたら、ねっとり濃厚で、ワインによく合うアテになりました!焼酎や日本酒にも合いそうです。
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akitakuronekoya · 10 months ago
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【東京出店】オラ東京さ行くだ【山の楽市】
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いよいよ2024年10月18日より、毎年恒例「山の楽市」がスタートいたします!オラ東京さ行くだ!
販売品目(※予定※予告なく変わる場合がございます)
穫れたての新米(俺の黒猫米「あきたこまち」「ゆめおばこ」「たつこもち」)
ばば特製のお漬物各種(いぶりがっこ、みずのこぶ味噌漬け、ふかしなす漬け等)
ばば特製郷土菓子ほしもち、焼きゆべし
もろこし
山菜加工品
きりたんぽ、稲庭うどん、比内地鶏スープ、安藤醸造のお醤油やお味噌など、秋田名物も販売いたします!
ただいまひいこら荷造り中。ぜひご来場ください♪
秋田県仙北市観光・物産展「山の楽市」
開催日:2024年10月18日〜20日(※雨天開催)
時間:10:00〜18:00(※22日は17:00まで)
会場:東京都町田市「ぽっぽ町田」内特設会場
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↑にゃむちゃんとくまちゃんがパトロールしてお守りした田んぼとお米達。ぜひご賞味ください!
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kennak · 11 months ago
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(フォションホテル京都、フランス郷土菓子や郷土料理が並ぶアフタヌーンティーなどを提供 - TRAICY(トライシー)から)
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k6u0 · 2 years ago
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栗きんとん1,814円(6個入り・税込)/すや(岐阜県)
ラジオでaikoがすやの栗きんとんを取り寄せていると言っていた。すやという言葉が妙で引っかかったものの、栗きんとんに全く興味がなくそのままスルーしていた。
ある日、会社に贈答品としてすやの栗きんとんがきた。ラジオでうっすら聞いたアレか。正月にあるべちゃっとした栗きんとんではない、思ってたんと違う!と食べてみると、ほの甘く栗そのものでおいしい。それ以来、今度は季節になったら自分で買おうと思っていた。栗きんとんは9月1日から材料がなくなる(だいたい1月)までの販売。写真は9月になってから髙島屋で購入したもの。すやの店舗以外では、都市部の髙島屋か阪神百貨店で取り扱いがある。
栗そのものの味なのはそれもそのはず。使われているのは栗と砂糖だけ。濾した栗のなめらかさのなかに小さな栗のかけらを感じられる。保存料は使われていないので、日持ちはしない。
「すや」という店名が妙に思っていたらHPによると、
「創業は元禄年間。江戸から下ってきた一人の武士が、この宿場町に住みつき、「十八屋」の屋号で酢の店を開いた」
とあるので、「酢屋」ということなんだろう。そこから、100年後に菓子屋へと変わったようで不思議。
栗きんとんってもっとクリーム状でおせちに入っているやつでは?と思っていたら、東濃地区(岐阜県南東部)あたりでは、すやのような形の和菓子を栗きんとんというそう。
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summary-cooking · 2 years ago
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料理トリビアのまとめ #0027
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841preizouko · 1 year ago
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★故郷八幡宮〽通りモン
★八幡宮とは★
通りモンを行い己の能力で祭を開き門の開票をする巫女や神主儀式の地所または社。通常、神社に勤めている場合は、一ヶ月に一度日帰りで神主や巫女が行うことを義務としている社祭である。
希望:八幡宮を同じ市内の一箇所区画に六以上纏めて置署しておいてほしい。バラケ乱立もちょっと辞めてほしい。規制お断り。
☆手順☆
・最低限の持ち物と非常食。開通して困る内容を持たない。
・八幡宮と呼ばれる神社の門(鳥居など)を指定や規定や好みの通りに六から八は通る。
・八潜戸目以降の神社にて、遊戯門を観ると景度が違って観える箇所がある。
・ワープゲートコンテンツのように触れたり潜ると別の世界や区画に急速に往ける。
・主に、乱立してしまった建物(タワーなど)を兵器活用して健全に倒す、茶菓子開通にお土産、ただの帰省に扱う。
※コンテンツ「Fortnite」の[発生ワープ用亀裂ゲート]に近いです。
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cooking256 · 2 years ago
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伊達巻(だてまき) 宮城の郷土料理
伊達巻(だてまき)は、宮城県仙台市周辺で親しまれている伝統的な和菓子の一つです。特にお祝い事やお土産として人気があります。 伊達巻は、蒲鉾(かまぼこ)や卵焼きを使って巻いた和菓子で、形状は筒状または巻き巻きの形をしています。主な材料は、魚のすり身を練りこんだ蒲鉾や、卵を焼いて巻いた卵焼き(だし巻き卵)です。これらを糸で巻いて一緒に焼いたり、調理して巻いて作られます。 伊達巻は、見た目が華やかで美しいことから、お祝いの席やお土産として贈られることが多く、結納やお祝い事の際にも喜ばれる和菓子です。伝統的な技術を使って作られることもあり、地元の人々や観光客が楽しむ郷土の味として親しまれています。 伊達巻は、仙台市内の和菓子店や土産物店などで手に入れることができます。その色鮮やかな見た目と、ほんのり甘い味わいが特徴であり、宮城県の魅力的な郷土菓子の一つです。
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Datemaki Miyagi local cuisine
Datemaki is a traditional Japanese sweet that is popular around Sendai City, Miyagi Prefecture. It is especially popular for celebrations and as a souvenir. Datemaki is a Japanese confectionery made using kamaboko or tamagoyaki, and is either cylindrical or roll-shaped. The main ingredients are kamaboko, which is kneaded with minced fish, and tamagoyaki (dashi-maki tamago), which is rolled fried egg. These are made by wrapping them with thread and baking them together, or by cooking and wrapping them. Due to its gorgeous and beautiful appearance, Datemaki is often given as a gift at celebrations or as a souvenir. It is sometimes made using traditional techniques and is a popular local flavor enjoyed by locals and tourists alike. Datemaki can be purchased at Japanese sweets shops and souvenir shops in Sendai City. It is characterized by its brightly colored appearance and slightly sweet taste, making it one of Miyagi Prefecture's most attractive local sweets.
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utagejp · 2 years ago
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みょうがぼち(アレンジつぶあん)
古よし岐阜県美濃地方で食されるみょうがぼちは、そら豆で作ったあんを、小麦粉で作った皮でくるみ、ミョウガの葉で包み蒸した郷土菓子。ぼちは餅の意味です。食品が傷みやすい夏の携帯食として、ミョウガの葉の殺菌効果を活用した、先人の知恵がうかがえます。今朝は、甘さ控えめに炊いたつぶあんを、上新粉の皮で包み蒸し上げました〰😋
美味しく健康に、自然の恵みに感謝して頂きます(合掌)。
#みょうがぼち #岐阜県 #美濃 #農人たち #松井宏之 #大地の宴 #myogabochi #daichinoutage #utage_jp #tokyo #japan
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takizawahimeka · 2 years ago
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10/22 ①食文化についての調査
食事を題材にするのでまず食文化について少し調べたメモ。
◇食文化の要素
食材の選び方、献立の立て方、調理法、食器の選び方、誰と食べるか、どのように食べるか、作法・マナー、頻度、時刻、特別な日の食事
◇現代の食文化の流れ
グローバリズムの中で均一化の方向に向かっている(ファストフード、インスタント食品、スナック菓子など)一方で、家庭料理は伝授されつづけ、郷土料理の再評価や地産地消への意識、スローフード運動などが行われたりしている。
◇多様な食文化
それぞれの民族、宗教、地域、国家にそれぞれの食文化がある。 ユダヤ教やイスラム教、ヒンドゥー教などでは食べることが禁止されている食材や組み合わせ、断食の習慣などがあり、航空機の機内食ではそれぞれに配慮した献立などが用意されている。 とてもわかりやすい世界の食文化が紹介されている明治のウェブサイト(https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/worldculture/)
◇和食
日本は、地域ごとの気候や風土が生み出す四季折々の海の幸・山の幸にめぐまれ、その自然の味を生かした料理を作り食べてきた。食材を無駄なく使うために調理や保存を工夫し、四季を味わうための料理の器や盛り付け、部屋の飾りなどにも気を配り、正月などの行事に合わせた特別なご馳走を作り出してきた。また、伝わってきた海外の食材や料理を暮らしと共に独自のものへと変化して取り入れていきながら和食の文化を育んできた。 和食の基本の形は「一汁三菜」で、ごはん・汁物・おかず・漬物の組み合わせは平安時代の終わり頃から現代まで受け継がれている。 納豆や醤油などの発酵食品や昆布や鰹節のだしから出るうま味、保存や栄養価アップの効果もある乾物など、昔からの知恵が受け継がれてきた。 海外から伝わったものが変化した料理にはカレーライス・ラーメン・コロッケ・オムライス・トンカツ・ナポリタン・肉じゃが・すき焼きなどある。 これまたとてもわかりやすい明治のウェブサイト(https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/japaneseculture/washoku/)
◇食事の意味
人にとって食事するとはどのような営みなのか、6つ挙げられる。 1. 材料としての食事→体の構成成分や正常な機能の調達 2. 燃料としての食事→生命活動のエネルギー源 3. 刺激としての食事→消化管運動など生理機能の引き金 4. 潤滑油としての食事→代謝におけるスムーズな化学反応など 5. 節目としての食事→時間感覚の維持 6. 楽しみとしての食事→味や香りを堪能し、コミュニケーションや環境を楽しむ、人生の彩り ※参考
◇食べること
高齢者にとってのいちばんの生き甲斐が「食べること」であるという記事があった。おそらく高齢者に限らず一定数いると思う。 「食べること」とは、買い物や献立を考えることから、料理すること、食事すること(コミュニケーション)、後片付けまでの一連の流れがある。 少し余談 自分にとって食べることは生きてて一番か二番目に好きな時間だと思う。先日まで体調崩してて何も食べれなくて本当に地獄だった。ずっと料理関係の動画を見ながら耐え忍んでた笑。私が食べることの好きな部分はいくつかある。人が自分のために料理を作ってくれることも好きだし、自分が作った料理がおいしかったときのうれしさだったり、人が食べてくれた時のうれしさも好き。クリスマスやバレンタインなどのイベントでどんな面白いものをつくろうか考えるのもとても好き。どちらかというと、料理のおいしさではなく「食事の楽しさ」が好きだと思った。
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istut · 2 years ago
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今日も暑すぎる長野市です。
いよいよ来週の土日はistutの出張イベントです! ワーイ!パチパチパチ!
ただ今、絶賛準備中ですよー!
あまりにも暑い日が続いている影響で、今年はワッサーの仕入れ時期が早まり、毎日バタバタしています。
それでもなんとか目処が立ち、ジャムおばさんは灼熱のジャム作りに疲れ果て、毎晩20時に寝ちゃってます。
さてさて。来週末。 たくさんの方々にお会いできることを楽しみに、ふたりで東京に向かいますよ〜。
奥様の @kb_bake_journal さんが作る、ワッサーのマフィンやワッサーのアイスも今からとても楽しみです!
kb’s bakeさんの焼菓子はどれもとても美味しいので、是非この機会にお楽しみくださいね。 (テイクアウト可能です)
以下、会場となるmaikaさんの投稿です *************
#リポスト - @maika_life_jp by @get_regrammer . こんにちは、店主の宮原です。
8/19、8/20はistut( @cafe_istut )さんの出張カフェイベントです。
istutさんによるコーヒーやコールドドリンクの提供と、長野県のオリジナルフルーツ「ワッサー」の直売や、人気の自家製ジャムとシロップなどを販売していただきます。
ワッサーは、長野県須坂市で誕生した白桃とネクタリンの交配種のフルーツ。
生産数が多くないので、東京で見かけることはほとんどないフルーツになります。
kb's bakeではワッサーを使ったマフィンと、アイスクリームをご用意する予定です。
あと、月1回のシナモンロールも両日で販売となります。
istutさんは、僕たちと同じ中央線の荻窪で長年お店をやっていて、現在は故郷の長野県に拠点を移して活動されています。
北欧系のイベントで何度かご一緒させていただく機会があって、ヴィンテージ食器のセレクトも素敵だし、フィンランドが本当に好きなのが伝わってきて個人的にもファンです。
今回、こういった形でイベントをやらせていただけることになって、本当に嬉しく思います。
istutさんとの優しい時間を過ごしつつ、この時期しか味わうことができないワッサーをぜひ体験してください。
======= istut 出張カフェ 「生のワッサーをかじろう!」 日時:8/19(土)、8/20(日) 11:00〜18:00 場所:maika / kb's bake
@cafe_istut @maika_life_jp @kb_bake_journal
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nodaharajuku · 2 hours ago
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しろくま
鹿児島の郷土菓子です。
自家製の練乳に梨を合わせ、ほんのりと日本酒の香りを添えて、白の世界観で仕上げました。
ペアリングには、同じ九州・熊本の林酒造が手がける米焼酎「極楽」をロックで。
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shigerunakano · 2 days ago
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Stinco -スティンコ-
-2032年、茨城県常陸太田市
「それなら、私の部屋にあったと思うから今、持ってくるわ」と私の母親が言った。
母親の名前は希津恵で生まれも育ちもここ常陸太田だった。水戸出身の父親が田舎に嫁いだ形だ。
「ほら、やっぱりあるじゃん」と妻が言う。
妻は2歳年下の36歳で、96年生まれだった。洋室のカーペットの上で小学5年生の息子がNintenho(ニンテンホー)の携帯ゲームに勤しんでいる。
「えぇ、俺も見たい」と息子が言う。息子の方が先に、私が子どもの頃の写真を見たいと言ったので文法的に間違いがある。私は息子のそのような部分をあえて指摘するようにしている。しかしながら、大阪出身の人間と話して気づいたのは、関西の者はそのような文法上の瑕疵をそれほど気に留めずに話し続けることで、かなり衝撃を受けた。標準語なのに逸脱的な力が働く、それもおそらく関西弁の影響で。大学時代のことだ。
「ゲームやめろ」と私は言った。すぐに息子はゲームをやめた。
外を眺めると庭を挟んだ生垣の隙間に2メートルほどの通路があり、電信柱とアスファルトによって舗装された道路、そして広大な田んぼが広がっている。私がいる生家は住宅地の角に並ぶ家屋のうちのひとつだった。今日は8月14日の午後で、屋外の気温はすでに33度を超えたようだった。今もそれぐらい暑いかもしれない。外に出ると本当に暑いと感じる。長期的に見るとだらしない気温上昇という表現が適切で、だらだらと敵のゴールを許すサッカーのような経験だった。目の前の、のどかな田園風景はまるでジブリの「となりのトトロ」のようではあったが、いかんせん気温の高さがそのようなファンタジックな連想を阻害する。攻撃的な夏とはまさしくこのことで、実写版トトロという言葉が思い浮かぶ。決して心地よくはない。
夕方5時を周り、親子で近所の散歩をすることにした。生家の近くに50メートルほどの自然豊かな丘があり、そこに登ることにした。真夏の夕方にしては比較的涼しかった。
「あそこの西のところに、家がぽつんと建っていた気がするけど。なくなったのかな」ふと妻が言った。
「うん。高齢者がひとりで住んでたけど、最近その方が亡くなって親族が家を解体したってお母さんが言ってた」私は答える。
「どんどん人口が減っていってるみたいだね。町中の様子も10年ほど前と比べるとだいぶあっけからんとしてるみたいだけど。県北では一番人口が少ないんだっけ」
「隣の高萩の方が少ない。まぁ、どこも似たようなもんで、茨城の北側は人口少ないと思えばいいよ」
「ふぅん」と妻が納得したような声を出す。妻の茨城への理解が単調でありなおかつフラットすぎる、とこういう時に感じる。少し故郷を馬鹿にされた気になった。それだと私の故郷であるここ茨城がレバノンになる。そして妻はレバノンのことを本当に知っているのだろうか。ただ知らずにやり過ごしてきただけではないのだろうか。私は歩きながら茨城とレバノンの共通点について考えていた。
妻と息子といっしょに丘を登ると子どもの頃とはまったく違う趣があるものだ。まるではじめからこの時のために用意されたバースデーケーキの上を歩いている気持ちになる。結婚式場で見た妻のウェディングドレス姿を思い出す。しかし結婚式の記憶が定かではない。不思議なことに妻の姿しか思い出せなかった。子どもの頃両親に誕生日を祝ってもらったことは思い出せる。しかし結婚式場の様子も、その出席者の名前もよく思い出せなかった。それをFacebookで確認するのも億劫なほど疎遠になった者が多い。私はここ10年ほどで完全に故郷を捨てて、東京に移り住んだと強く感じる。結婚式は水戸で執り行った。丘の斜面に大地と平行になるように設けたステップが一定間隔程度で設けられており、そこに仮設トイレほどの大きさの薄いクリーム色の上水施設が並んでいた。上水施設の奥には鬱蒼と木々が茂っており、普通はこのような場所を山と呼ぶのかもしれないが自分はこれが丘だと認識しており、明確な根拠に基づく判断だった。いわばそれが普通の人間と言葉を扱う仕事をする人間の違いだった。これが上水施設だと知ったのは高校時代近所の住民と話していたときだった。高校の同級生の女の子の父親だった。
丘の上まで来ると滅多に見れない光景に息子が喜びだした。天気はさいわいよく晴れており、私はやはりこのような場所のほうが空気がきれいで気温も低いと感じる。気のせいかもしれない。私が通っていた小学校とそのすぐ近くにドラッグストアが見える。遠くに目をこらせば、市街地が見える。水郡線、常陸太田駅周辺のことだ。妻がきれいと言っている。息子もそうだ。ことのほか随分嬉しそうにしている。
翌日東京へ帰る際、母親が見送ってくれた。地元のお土産を玄関まで手渡しに来たようだ。もっともお土産を見せたのは一昨日の夜だったが。たしか中身は洋菓子だったか。
「仁美さん、困ってることがあったらなんでも電話で相談してね」
妻は母親とときどき連絡を取り合っているようだった。
「蓮次くん、じゃあね」
「あぁ、もういいよ。行くから。じゃあね」私が話を遮る。完全に老婆心にもとづいて過保護な振る舞いを見せる母親はもはや慇懃無礼な態度になりつつあった。義理の娘への警戒心が現れている。
振り返ると母親が屈託のない笑みを見せている。父親は4年前に死んでいた。その時、玄関で私の前にいたのは父親だけだった。父親ひとりだけ。きっと私たち親子もそこにいなかっただろう。田舎の家なんてそれぐらい適当なものでいいのだ、さながら墓場のように。あるいはそれは一人っ子としての保険だったのだろう。幽霊という名の生命保険だ。もちろん矛盾しているが。
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akitakuronekoya · 2 years ago
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【東京出店】オラ東京さ行くだ【山の楽市】
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↑2022年の山楽の様子
いよいよ2023年10月20日より、毎年恒例「山の楽市」がスタートいたします!オラ東京さ行くだ!
穫れたての新米(俺の黒猫米「あきたこまち」「ゆめおばこ」「たつこもち」)
ばば特製のお漬物各種(いぶりがっこ、みずのこぶ味噌漬け、ふかしなす漬け等)
ばば特製郷土菓子ほしもち、焼きゆべし
小豆かぼちゃ缶、白あずき缶
もろこし
青唐辛子味噌、ばっけ味噌
山菜(乾燥ぜんまい、塩蔵こごみ、塩蔵わらび、水煮わらび、干塩わらび)
きりたんぽ、稲庭うどん、比内地鶏スープ、安藤醸造のお醤油やお味噌など、秋田名物も販売いたします!
ただいまひいこら荷造り中。ぜひご来場ください♪
秋田県仙北市観光・物産展「山の楽市」
開催日:2023年10月20日〜22日(※雨天開催)
時間:10:00〜18:00(※22日は17:00まで)
会場:東京都町田市「ぽっぽ町田」内特設会場
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↑一列に整列するにゃむちゃんとくまちゃん。隣ではばばが水路で野菜を洗い中。
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↑もふもふ毛布の上で整ったくまちゃん。
にゃむくまは秋田でお留守番です。
にゃむちゃん、くまちゃん、オラ達東京さ行ってくるど!POPになってリモートワークよろしくね!がんばってくるからね!じゃあの!
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