Tumgik
no3novel · 2 years
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くしゃみの原因
[ 400字小説 / 03 ]
「ふぇくしゅっ」 起き抜けにくしゃみをひとつ。隣りに眠る恋人が身じろいで、慌てて口を塞いだ。犯人は分かっている。足元で丸まって眠っている真っ白でフサフサな毛並みの子猫、クロだ。先代の黒猫のクロが亡くなった日に拾ったからこの名前をつけたが、名前に似つかないとても綺麗な美猫だったりする。
隣りで眠る恋人とクロを起こさないように、そっと布団から出る。足元に散らかった下着や部屋着を拾い集め、裸のままで洗濯機へと向かった。 「ふぇくしゅん!」 そこでまた大きなくしゃみをひとつ。ぶるりと身震いしながら、そう言えば今日は冷え込むなあ、なんて思ったりして。またくしゃみが出そうになり、そろそろ起きて来る恋人に聞かれてもいいように、 「へっくちっ」 極力小さく可愛くおさめた。着衣に付着したクロの毛を取り除くのに夢中になっていたわたしは、くしゃみの原因が彼女の毛並みじゃなく、風邪のせいだと気づかずにいた。
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no3novel · 2 years
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君がいない
[ 400字小説 / 02 ]
仕事からの帰り道、少し遠回りして電飾屋に寄った。悪い癖が出て何時間か悩んでしまったが、足りない分はこれでなんとかなるだろう。 「ただいま」 その声に返事はない。玄関で靴を脱ぎ、揃えていたところで飼い猫のルルが擦り寄って来た。 「起きてたのか」 頭を撫でてやろうとしたらかわされた。気まぐれだとの通説の通りルルは容赦ない。 「さてと」 部屋着に着替える前にリビングに向かい、昨日、届いた電飾を確認していく。どうやらこれで足りそうだ。ただ、自分ひとりで飾れるのかどうか、少しばかり不安が残るのだけれど。
君がいないクリスマス。いかに君に頼りっぱなしだったか痛感する。ひとり息子の聖夜は年末まで帰って来ないが、君がいないからといって、君が楽しみにしていた毎年恒例のハウスイルミネーションを絶やすわけにはいかない。 「さて。どうしたもんか」 何個もの段ボール箱に詰められた電飾を庭に運び、思わず独りごちた。
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no3novel · 2 years
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優しさの呪縛
[ 書く習慣 / 01 ]
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no3novel · 2 years
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朝起きたらペットが美少女になっていたんだが
[ 400字小説 / 01 ]
どうしてこうなった。
「おい、ちょっと待て」「待たない」
間髪入れずそう言ったポチが俺の上に乗っかって来る。ってか、ポチは真っ白な毛並みの子犬だったはずなのに、朝起きたら絶世の美女の姿になっていた。
「あーたん、わたしとするの、いや?」
舌っ足らずのその言い方は、聞き覚えがある。一週間前に別れたばかりの俺の恋人の口調だ。 ちなみにあーたんとは俺のことね。そう言えば家でする時は、ポチの前でする時もあった。と言うかあれだ。R指定なあれで申し訳ない。
どうやら愛の注ぎ方を間違ってしまったらしく、ペットらしからぬ言動で迫り来るポチ。甘えたような口調から首を傾げるあざとポーズまで元カノのそれで、俺は思わずポチから顔を背けた。 その顔で「子作りしよ?」だなんて言わないで欲しい。それってまんま元カノの口癖じゃん。
ってか、ポチってオスのはずなのに、なんでおっぱいついてんだ?
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no3novel · 2 years
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No.4『ひじを指したかった』
お題:言葉遊び、いいひざの日
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2022/11/13 14:45
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no3novel · 2 years
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No.3『凍り豆腐』
お題:言葉遊び
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2022/11/12 21:27
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no3novel · 2 years
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No.2 『理由』
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2022/11/11
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no3novel · 2 years
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No.1  『声』
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2022/11/10
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no3novel · 2 years
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