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#イラクから北朝鮮へ-「妄想」の戦争
anamon-book · 11 months
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イラクから北朝鮮へ-「妄想」の戦争 姜尚中+酒井啓子、日弁連=編集 Love & Peace 001 太田出版 装画=藤井奈津子、デザイン=鈴木成一デザイン室
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socialmoviesblog · 7 years
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■アニメ「ガサラキ」のメモ
▼ふと思い立ってアニメ「ガサラキ」を見返していた。1998年放映の作品にもかかわらず、後のイラク戦争や、日本のPKO派遣、穀物投機の末の中東動乱、さらには日本会議的な右派と政権中枢の結びつきに至るまで…2000年代~現在にかけての世界の行方をかなり的確に予想していて改めて驚いた。
▼以下、ストーリーを振り返りながら、適宜、現実の情勢と見比べる。 
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▼物語の主人公は、豪和ユウシロウ。彼は、三菱重工や川崎重工のような巨大重工系企業・豪和インスツルメンツ創業者・豪和乃三郎の四男。なお、長男は一清、次男は清継、三男は清春。ちなみに、この豪和インスツルメンツは本社のある場所が豪和市となっており、まるでトヨタのようだ。いや、警察だって彼らの言いなりなのでトヨタ以上だが。
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▼そんな巨大企業を率いる豪和家は「ある研究」を密かに行っていた。
▼それは特殊二足歩行兵器「TA」の開発。TAはいわゆる戦場用のロボット兵器なのだが、特殊な人工筋肉で動いており、ユウシロウがパイロットとして搭乗すると、なぜか高いパフォーマンスを発揮する(エヴァでいう「シンクロ率が高い」状態だろうか)。またそれだけでなく、彼の周囲に別のTAがいると、それらも同様にパフォーマンスが向上するのだった。
▼そしてある日、ユウシロウは「研究の一環」で、乃三郎や兄弟達が見守る中、山中の崖下のような場所で「能の舞」を踊ることに。すると、舞を舞いながら彼がトランス状態に入って行くにつれ天空から円形の波動のようなものが。そして波動は地上に降り注ぎ大地を直撃。「ドン!ドン!」と地面が円形にえぐれていく。そして最後の一撃が…と、思いきやユウシロウの脳裏に一人の少女の姿が浮かびあがる。そして…「呼び戻さないで! 恐怖を!」…少女の声を聴くや我に返るユウシロウ。すると波動も消えてしまう。兄弟達は「あと少しだったのに」と言わんばかりの苦々しい表情に。
▼これは一体何の実験なのか?そして少女は何者なのか?
▼そんな中、中央アジアの小国「べギルスタン共和国」で事件が起きる。核爆弾のような「謎の爆発」が確認されたのだ。これを受け、核実験ならば看過できないとして「世界の警察」アメリカは国連を通じ「核査察」を要求。だが、べギルスタン側はそれを拒否。するとアメリカはNATOらと多国籍軍を結成。爆発が核によるものなのかも未確認のまま「大量破壊兵器からの自衛」を掲げ、中央アジアの小国へと乗り込んだのだった。
▼そして、この多国籍軍と歩調を合わせべギルスタン入りをしたのが自衛隊。「憲法の問題」を抱えながらも、それを押し切り派遣を決めたのだが、現地に送り込まれたのは自衛隊内の「特務中隊」に所属するTA部隊。なんと豪和が開発中のTAが早くも戦地に送られたのだ。目的は、戦争に乗じ、TAの実戦データを収集するため。
▼さらに、TA中隊の中にはユウシロウの姿も。彼は民間人だったが特殊な能力を持つことを買われ特別に「大尉」の資格で参加していたのだった。
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▼だが。べギルスタン入りした特務中隊の前に現れたのは、TAとまるで同じ二足歩行兵器(MFと呼ばれている)。実はべギルスタンの首相サイドには、「シンボル」と名乗る多国籍企業の顔をした「謎の組織」がついており(というか首相は彼らの傀儡状態であり)、MFは彼らが送り込んだものだった。
▼そして、そのMFに乗り込んでいた主要パイロットこそ、ユウシロウの脳裏に浮かんだあの少女。名はミハル。彼女もユウシロウと同じような能力を持っており、「謎の爆発」は、ミハルが天空から呼び込んだあの「円形の波動」によるものだったのだ。なお、波動が降ってくる前に天空にできる穴のような空間は「特異点」と呼ばれている。
▼その後、駐屯地に引き返すも、ユウシロウはTVニュースに映ったべギルスタンの神殿内にミハルの姿を発見。すぐさま1人で向かうことに。そして、神殿で隊から抜け出してきたミハルと対面することに。だが、その後、シンボルの部隊の追撃や、そこからの逃亡劇があった末、2人は一旦離れ離れとなったまま、戦争終結(というか暴走する首相を”用済み”とみたシンボル側の暗殺)とともに日本に帰国することとなる……
●中東と、中央アジアで微妙に場所は異なるものの1998年の時点で5年後に起こる「イラク戦争」の経緯(大量破壊兵器保有疑惑→核査察→多国籍軍進撃→日本も「後方支援」で無理やり参戦)をほぼ正確に言い当てているのが凄い。ただ、国連決議の元、多国籍軍を送ったアニメとは違い、現実には「世界の警察」は国連が「核査察の継続」を主張する中、それを振り切り派兵をした。この「国連軽視」はその後も尾を引き、ついには今年、自衛とは何も関係のない「シリアミサイル爆撃」にまで至った(いや、「アサド政権は樽爆弾を落として毎日のように自国民を殺している。人道的見地から見ればアメリカは悪いとは言えないだろう。ロシアのプロパガンダにハマりすぎの見方だ!」という人もいるかもしれない。だったら、途中でやめずに非人道的なアサドがつぶれるまでとことん打ち込むべきだろう。「人道的見地」だというのなら。)
●また「戦争」という国家の意思決定の最大事案に「多国籍企業の意思」が大きくからんでいることもしっかり描かれており、これも凄い。実際にも、イラク占領後の「石油利権」を狙ったハリバートン社や、戦後復興時のインフラ構築や行政システム構築を請け負ったベクテル社などが、この戦争遂行の意思決定に関わっていたのではないかと言われている(ナオミ・クライン「ショックドクトリン」などに詳しい)。
●さらに興味深いのは謎の組織「シンボル」の描かれ方だ。彼らはどこか、中世ヨーロッパの秘密結社のような雰囲気を漂わせているが、イラク戦争の原因を考えると結構意味深だ。というのも、あの戦争の原因の1つには、イラクが「石油決済をドル建てからユーロ建てに切り替える」と宣言したことが指摘されているからだ。これが「ドルの基軸通貨体制への挑戦」だとアメリカに認識され「イラクつぶし」が行われたのだという。そして、フセインの宣言の裏では、ユーロが、アメリカ1強を抑えるべく、イラクに「ドル建て停止」をたきつけていたともいわれる。ちなみにユーロの誕生は、ガサラキ放映から1年後の1999年。まだ誕生すらしていないのに、それを連想させる組織を描き出せるというのが凄い。
●そして、イラク戦争を期に戦争のハイテク化(REM)がさらに進んだことも見逃せない。情報共有機器や武器のハイスペック化などが重なり兵士の装備重量が増加。そのため今では犬のような四足歩行ロボットに荷物を運ばせることも検討されるように。また兵士1人にかかる投資額が上がったため殺傷時の損害が増加。それを回避するべくドローンなど無人化が進み、その過程で、無人のロボット兵器などの開発も進んだ。時代はTAが活躍するSFアニメに急速に近づいている。
●ただ、現実のロボット化が、兵士の負担軽減や人命尊重の観点から進められているのに対し、本作では、ロボに人が乗り込んでいることからも分かるように、それらとはまるで違う理由でロボ化が進められている。もちろん「ロボットアニメなんだからしょがないじゃん」ともいえるが、このことについては別の考えもあるので後述する。
 ▼ともあれ、べギルスタンから帰国したユウシロウ。だが、なぜ自分は初めて会った少女のことをすでに知っていたのか?そして自分が持っている特殊な能力の正体は何なのか?彼は「自分が一体何者なのか」を探るため、舞の師匠であり豪和一族の来歴を深く知る老人、空知検校の元へ向かう。
▼すると驚くべき事実が明らかになる。なんと、豪和ユウシロウは8年前に死んでいた。現在いる彼は、死んだユウシロウの記憶(遺伝子?)を別の身体に移植した存在だったのだ。ホルマリン漬けになった少年の姿の「自分」と対面し、言葉もでないユウシロウ。
▼さらに、彼はこの場所で武者の形をした巨大なロボットのような謎の物体を目撃。これは一体何なのか?そして、ユウシロウはなぜ別の身体を乗っ取ってまで生かされなくてはならなかったのか?
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▼ストーリーが進むにつれ、それらの謎は、豪和一族の「ある歴史」と関わりがあったことが分かってくる。
▼豪和家は古くより「嵬(かい)」と呼ばれる一族だった。この「嵬」は、シャーマンの一種なのか、天より聖なる力を呼び寄せ、「骨嵬(くがい)」と呼ばれる「巨大な武者の形をした人形」を操ることができる。そしてこの巨神兵のような人形の武力を使い、時の権力者たちの統治を影から補完してきたのだった。だが、大きな力を持つことで権力者ににらまれやすくもなった。平安時代、「彼らは危険である」と朝廷から切り捨てられそうに…すると、豪和の前身である渡辺一族は、それを受け入れ静かに暮らそうとする勢力と、自分たちを裏切った朝廷に反逆を企てる勢力とに分裂。互いに「骨嵬」を操って戦うようになる。その時、双方の巨神兵に乗り込んでいたのがユウシロウという青年と、ミハルという少女…現在の2人は、そんな彼らが転生した存在だったのだ(転生というと違うのかもしれないが、だったらなぜ同じ名前なのかが説明されていないので、こう解釈した)。
▼だが、争いの最中、天空から「あの波動」が降り注ごうとするや、2人は「骨嵬」を操るのを中断。争いは両者痛み分けとなるが、戦いで力を消耗した「嵬」の両派は、以後1000年以上に渡り「骨嵬」を封印。その後、豪和家は歴史の影に隠れながら長い時を生き抜いてきたのだった。
▼「嵬の一族」にまつわる悲劇の歴史を知るユウシロウ。その後、彼は蔵に安置されていた「謎の巨大人形」が、力を封印された「骨嵬」だと悟る……
●この辺は「未来予測」というよりも、グローバル化の進展→共同体の空洞化→それがもたらすアイデンティティ不安→それを埋める「美しい日本人の歴史(美しい民族の末裔なのだから、君も美しいんだよ)」と言った流れで当時語られていた「時代の空気」が反映されたものだろう。
●ただ、この時代あたりから現れ始めた「ホンネ重視の右派的言語」に、これまたこの時代あたりから盛り上がりはじめた「一緒に叩いてつながる2ちゃんねる的コミュニケーション」が結びつき、後に「ネトウヨ」が生み出されていった。だとすれば、その予感が作品に刻み込まれているのかもしれない。
 ▼こうして、謎の答えを得たユウシロウは、「実験動物」のような、「操り人形」のような今の状態から解放されるべく、隊を脱走したミハルとともに一族誕生の地、京都へと逃亡を始める。
▼一方…彼も参加した自衛隊特務中隊周辺では「ある動き」が着々と進行していた。動きを影で主導していたのは中佐の広川と彼が師事する国学者・西田啓
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▼西田は「平和だけれど私利私欲の追求にしか興味のなくなった“ただれた戦後日本”」からの決別を主張。そして「かつての日本人の美徳を取り戻す」という自らの思想を実現するべく、自衛隊とともにクーデターを起こし、権力を掌握しようと計画していた。
▼そのための秘密兵器として西田と広川は、豪和のTAに着目。自衛隊にこの二足歩行ロボを導入するとともに、豪和一族長男の一清を呼び寄せ仲間に引き入れるのだった。
▼さらに。彼は今の「ただれた平和」をもたらした原因の1つでもある「アメリカ」にも一撃を加えようと画策。その「一撃」とはアメリカ国債などの対米資産をかき集め一気に売りさばくことで、ドルの大暴落をねらうというもの。
▼だが、相対するアメリカは、この年、大干ばつが起きたことをきっかけに、自国の穀物輸出を一時停止する「穀物モラトリアム」の発動を発表。実は、この裏には別のたくらみがあった。というのも、アメリカは、輸出停止→食料不足→暴動発生→「日本沈没」という形で日本を攻撃することで、自国における対日貿易赤字の増加や、内政の失敗をごまかそう(矛先をそちらに向けよう)と考えていたのだった。
▼その後…「穀物モラトリアム」が発動される見込みとなるや、政府は国民のパニックを恐れ夜間外出禁止令を発動。だが、それで全てがおさまるはずもなく、外国人居住地区である「アジアン静脈瘤」を筆頭に暴動が起きると、それが飛び火。国会前には暴徒と化した国民が押し寄せるという事態にまで発展し、状況は日増しにキナ臭くなっていく…
▼こうして日本が混迷を極めていく中、ユウシロウとミハルは関西のアジアン静脈瘤に逃亡。そこで知り合った台湾人の王らにかくまわれることに。だが、魔の手が忍び寄る。シンボルが裏で糸を引くアメリカ軍が、2人の居場所を突き止め襲撃。逃げる最中、王は撃たれ、ミハルは米軍に連れ去られてしまったのだった。
▼それでも、ユウシロウはTA中隊と合流し、ミハル奪還を画策。その後、奪還作戦は一度失敗するも、紆余曲折を経て、ミハルは「シンボル」を辞めることを上司に認めさせ、2人は再会を果たすこととなる。
▼一方、アメリカ=シンボルの「日本兵糧攻め」を受け、西田は、この危機をクーデター実行の好機ととらえ返し「時は来た」とばかりに動き出す。とはいえ、アメリカに「金融ショック」の一撃を加えれば、穀物の入手はさらに遠のく。そうすれば日本国民は…彼の計画は「相撃ち」しかもたらさないのでは?だが、西田は言う。「日本人には物質的豊かさの欠落に耐えられるだけの強い精神性がある。だが、物質文明がすべてのアメリカ人にはない。3年。3年間耐えられれば、日本人は貧しくとも美しく生きるようになる。そしてかつて持っていた美徳を取り戻せる。」
 ●右派的思想を持つ者(たち)と政権中枢が結びついていく事態を、この段階で読み切っていた先見の明に驚く。���かつてもっていた日本人の美徳…」云々など言い回しまでそっくりだ。もちろん、安倍政権と日本会議的なもののカップリングのことを言っているが、その日本会議の誕生は、ガサラキ放映の前年(1997年)。この時期に、今の事態が訪れることを、本作以外に誰が予想しえただろうか。
●なお、日本会議は神社本庁と宗教教団「生長の家」を母体とする「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が合流して生まれたもの。彼らは戦後のGHQによる「押し付け憲法」と「神道指令」をはねのけるため活動。紀元節復活(2月11日を建国記念日として休日にしたのは彼らの動きによる)、元号法制化などを成し遂げ、悲願の「憲法改正」まであと一歩。「クーデター」は着々と進んでいる。
●また、西田の「国債暴落テロ」というと、アニメ放映の前年になされた故・橋本龍太郎元首相の「アメリカ国債を売りたい誘惑に駆られた発言」を思い出す。これ自体は「アメリカがお金を刷り、それを日本が自動的に買っている状態」への揶揄というかジョークのつもりだったが、影響が強すぎ、ニューヨーク証券取引所の株価が一時下落。その後、橋龍はパーティの席で謎の病に倒れるなどした末、失脚してしまう。そのため「CIAの陰謀説」がささやかれることとなった。つまり金融テロを起こすどころかテロられてしまったのだった(いや実際には、不況下での消費増税など経済政策の失敗→選挙大敗が失脚原因なのだけども。。)
●とはいえ、「穀物モラトリアム発動」→「国民暴徒化」→「金融ショックによる逆襲」の流れは、現実と照らし合わせると興味深い。実際に起きたことは、こうだった。2008年にリーマンショックが発生し世界経済が収縮すると、それを防ぐため、アメリカでは大規模な金融緩和を実行。そのため、市場にはマネーが溢れることとなり、それが穀物などコモデティ投資に流れていった。すると、穀物など食料の輸入価格が高騰。日本では起きなかったが、購買力の低い中東などでは食料不足が起こり、それが民衆暴動を引き起こすことに。このことが「アラブの春」など中東動乱の遠因となったとも言われている。
●「世界的金余り(実需不足)」が引き起こす「金融依存」が引き起こす「穀物価格高騰」と「民衆暴動」…この想定外にも思える結びつきを2000年代に入る前からとらえていたのはかなり凄いことだと思う。
●加えていえば、「貿易赤字累積や、内政の失策を日本攻撃で回避する」のくだりも興味深い。最初見た時は「ずいぶんとズサンな発想だな」と思ったが、トランプ大統領の主張を思い出すと「いや、当たってるんじゃないか」と思えてきた。ガサラキ恐るべし(笑)
 ▼その後…西田の「金融テロ」を阻止したいアメリカは、「それが実行される前に」とMFを送り込み、日本襲撃を敢行。だが、TA中隊の活躍などもあり、それが阻止されると作戦を中止。穀物モラトリアムも解除されることとなった。これで日本に平和が戻った。が…アメリカが手を引いてしまったことで自身のクーデター遂行も不可能になったと悟った西田は…自ら命を絶った。
▼しかし、そんな結末に納得しない人物がいた。豪和家長男一清だった。この時、「家庭内クーデター」により乃三郎から豪和家頭首の座を奪っていた彼だったが、その最終目標は「傀儡子の民」の完全復活。
▼これまで歴史の影に隠れ味わい続けてきた「1000年の雪辱」を晴らすことだった。
▼そんな一清はクーデターによる政権掌握が失敗に終わった後も、「最終作戦」の実行を画策する。その「最終作戦」とは、宇宙に住むらしき神的存在「ガサラキ」を地上に降臨させること。そう、上空に「特異点」を発生させ円形の波動を呼び込む「あの実験」は「神降臨」のためのものだったのだ。なお、この「ガサラキ」は「シンボル側」では「ナダ」と呼ばれており、組織のボスであるファントムの目的もこの「ナダ降臨」であった。
▼というのも、このファントムは、何千年にも渡り人類の歴史を観測してきた「人ならざる生命体」。彼は人類が無限の力を持つ「ナダ降臨」を起こす瞬間を待ち続けてきたのだった。
▼ともあれ、ユウシロウと同種の力を持つ妹・美鈴と「骨嵬」を使って「神」を呼び出そうとする一清。すると、天空に「特異点」が現れ、ユウシロウ、美鈴、ミハル、一清、ファントムは神のいる宇宙へと吸い上げられていく。
▼そして5人は特異点の内部にある「異次元空間」へ。彼らの前には、不気味に輝く「ナダ=ガサラキ」の姿が。彼は、目の前の人間たちにこう告げる。
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▼「自分はかつて宇宙に存在し、永遠の命を夢見た知的生命体であった。だが、文明が命のあり方も変えられるとの妄想に取り憑かれた結果、自分たちは自滅の道を辿った。それでも、今度は生命力に溢れた地球人に遺伝子操作を加え、自分たちの後継者として“永遠の命にたどり着く道”を解明する夢を託したのだ」
▼全てを知った5人。だが、ユウシロウ、ミハル、美鈴は「永遠の命の解明」など望まず「帰還」を主張。対して、一清は、この空間に留まることを切望。そしてファントムは数千年来の「生」からの解放を望んで消滅することとなった。
▼こうして、地上に戻ってきたユウシロウ、ミハル、美鈴。3人は特自の仲間や残された人々と共に、限りある命を生きてゆくのだった。
●こちらの「こじつけ」も多分にあるものの(笑)、世界の先を見通す鋭い洞察力に大いに驚かされた。だが、その洞察力を駆使して『ガサラキ』が描きたかったものとは何だろうか?
●それはストーリーの全体を流れる「操り人形」のモチーフからも示唆されるとおり、「対米従属(アメリカの操り人形・日本)」のことだろう。
●物語では「1000年前の話」として描かれているが、かつて特殊な力で強大な武力を操っていたものの、争いの果てにその力を封印されてしまった「傀儡子」とは、明らかに70年前にその(特殊な?)軍事力を封印された旧日本帝国軍(戦前の日本)の比喩だろう。
●そのラインで考えれば、彼らが操る「骨嵬」とは(たとえば)「零戦」のことであり、そこに搭乗するユウシロウが持つ「特殊な力」とは、「大和魂」となるだろう。
●先に戦場の「ロボット化」が、実際は、合理化、無人化、人命尊重化から起きているのに対し、ガサラキでは「まるで違う理屈」でそれがなされていると書いたが、TA=骨嵬が「(神風特攻に使われた)零戦」だと考えれば、その理由がわかる。
●そう考えるなら、西田、広川、一清らによるTA=骨嵬の開発は、「旧日本軍的な力の復活」を意味しているだろう。
●だが、なぜ「旧日本軍的な力」を復活させたいのか?それは、先の敗戦が、これまで日本列島を統治する勢力が、史上初めて、外からやってきた勢力に屈したということに関わる。この日本列島は、これまで「1000年」どころか、2000年以上に渡り、海外勢力から侵略されずにやってきた。
●たとえば、モンゴル帝国の襲来があっても、日本はそれをはねのけてきたし、秀吉の朝鮮出兵で敗れても、それが日本列島の侵略にはつながらなかった。
●そんな「無敗神話」が今から70年前、ついに崩れ去った。あの戦争は「単なる敗北」であるだけでなく日本列島の占領という「史上初の敗北」だった。
●ガサラキが「1000年の歴史物語」を導入したのは、このことを言いたかったからだろう。
●そして、この「史上初の敗北」の後、日本は占領軍(国連軍という名のアメリカ軍)により武力を封印され、「操り人形」として生きていくこととなった。
●そんな「史上初の屈辱」を味わった場合(しかも「ボロ負け」であった)、どんな反応が考えられるだろうか?2つあると思う。
●1つ目は「屈辱の“戦犯”を徹底的に罰すること」。この「2000年の屈辱」をもたらしたような勢力が二度と復活することがないよう、その気配が感じられるものは徹底的に批判する。そして、彼らが復活しないよう「戦前的」な文化は否定し、相対する「欧米的」な思想をどんどん導入していこう…戦後の「平和勢力」がとったのはこの路線だ。また、同じ敗戦国のドイツ、イタリアに比べても日本の「軍事アレルギー」が高いのはこのことが理由だろう。
●そして2つ目は「屈辱へのリベンジを果たすこと」。つまりは「この恨み、晴らさでおくべきか!」とばかりに、連合国側にもう1度戦争を仕掛けて勝つこと。まさに「戦後レジーム=連合国体制からの脱却」を果たすことだ。史上初の屈辱を味わったのだから「愛国者」ならば、こんな反応になるのではないか。
●しかし、現実には「そんなことを言い出す勢力」はほぼ現れなかった。それどころか「アメリカは敵ではない」「大切なパートナーなのだ」と言い出し始めた。これは何か?
●もちろん「もう1度戦争を仕掛けた」ところで「また負ける」からだろう。
●そして、そのことを直視したくないので、「アメリカは敵ではなかったのだ」「何かの手違いで一戦交えることになっただけで本当は仲間だったのだ」と思うようにしたのだろう。その代わり「こじれた思い」が引き起こすフラストレーションのはけ口として「アメリカの代理物」を叩くことにした。叩いて、屈辱を昇華することにした。
●その「アメリカの代理物」に選ばれたのが「欧米由来のリベラル思想」であり、彼らが持ち上げる欧米風のライフスタイルだった。西田の言う「ただれた戦後日本」であった。
●こうして、①の思いから「平和勢力」は戦前日本を叩き、②の思いがこじれたことから「愛国勢力」は、そんな「平和勢力」を叩くようになった。つまりは「2000年の屈辱」がもたらしたトラウマにより、どちらも「自分で自分を叩く」ようになった。
●そのことが、まるで「原爆」にも似た「円形の波動」を何度も何度も地上に呼び込もうとする一清の動きに示されていないだろうか。撃たれた原爆を撃ち返すのではなく、再度、自分たちに向けて撃ちこもうとするような姿として…。あの波動が「原爆」の比喩でなくて何であろうか?(そして、このことはアトムズ・フォア・ピース受容→地震国での原発増設→3・11として、最悪の形で実現してしまった。)
●こうして「自分で自分を叩」いた果てが「操り人形」の永続化だった。暴力性が「外」に向かわないため「外部勢力」にとっては操ることが容易だからだ。こうして、かつて「操り人形」を操っていた一族は、戦の後、逆に「操り人形」となり続けるのだった。
●では、この「こじれた」事態をどうすればいいのか?本作の西田が出した答えは「金融テロ」と「クーデター」だった。つまり「本来、愛国者が向けるべき“力の矛先”はここだ!」と指差すことだった。だが、それはあまりにも「非現実的」にすぎるだろう。
●しかし、西田のプランには「その先」があった。実は「金融テロ」と「クーデター」の先に「もっと非現実的」な計画を練っていた。先のあらすじ紹介ではあえて書かなかったが、西田は自害の前に、こんな遺書を残していたのだった。
●「クーデター成功の暁には、武力を完全放棄する。そして、日本は、世界に先駆け永遠平和を実行する。」…「できるかどうかではない。やらねばならないのだ」…生前、こう言っていた西田だったが、その「やらねばならない」最終目標は意外にも、右派が最も嫌悪しそうな「世界平和」であった。
●一見すれば、「もっと非現実」にも思える。しかしながら、西田のプランは、現在の「戦争を止められない国連」=「連合国体制」を「越える」レジームを作ることであり(戦後レジームからの脱却)、同時に、「真の世界平和」を実現することだ。それは、愛国者にとっても、平和勢力にとっても納得のできる「理想」ではないか?だとすれば、西田プランこそ、両者納得できるもっとも現実的な理想なのでは…とも思えてくる。
●しかし、実現までの手続きはともかく、それは一体どんなヴィジョンなのか?その鍵は、いかにもオカルト的にみえる「宇宙で生きるガサラの神」が握っていると思う。
●エヴァレット・カール・ドルマン著「21世紀の戦争テクノロジー 科学が変える未来の戦争」によれば、「宇宙」こそ、戦争抑止のフロンティアになるという。
●彼によれば、宇宙空間上に地球全体を監視できる衛星を置くとともに、地球を取り囲むように兵器を配列すれば、世界の監視ができるとともに国際法に違反し戦争を始める主体に「ピンポイント」で攻撃ができるという。また、その「攻撃兵器」も特殊なものである必要はなく、大気圏で溶けなければ「金属の棒」でもかまわないそう。棒だろうと重力があるので落下するにつれものすごい速度になり、地面にクラッシュする頃には爆弾と変わらない威力になるのだそう。そして、宇宙には太陽光があるので、それを利用すればシステムの「エネルギー切れ」もない。だから宇宙に「地球監視―ピンポイント爆撃システム」が配備できれば大きな抑止力となり世界から戦争をなくせるかもしれないのだとも。
●また、著者は言ってないがこの「地球監視―ピンポイント爆撃システム」に「人工知能」を組み合わせれば「戦争すると思ったけど実は違いました」というたぐいの誤爆も減るだろう。これこそ、まさに高い知性と攻撃力を備えたハイテク版「ガサラの神」ではないか?
●専門家ではないので、これらがどこまで真実味のある話なのかは分からない。それに宇宙が「戦争抑止のフロンティア」どころか「戦争のフロンティア」になってしまう可能性だってあるだろう。
●だが、現状の国連の機能不全を越えて、未来にこうした体制を作ることができたならば「西田プラン」は現実のものとなるかもしれない…
●この作品の高い「予言力」は、一体どこまで世界の未来を見通しているだろうか…? 
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thetaizuru · 7 years
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彼の評価は正確と思うか? The Saker2017年11月2日 本記事はUnz Review用に書いたもの。 “彼の評価は正確と思うか?”というのは、最近親しい友人からもらったある電子メールの題名だ。Paul Craig Robertsの“明日という日が来なくなるかも知れない 英語原文”という題の“アメリカ軍は今やロシア軍に比べれば二級だ“という記事に関する電子メールだった。この記事は、更に、対応するアメリカの兵器(そういうものが存在する場合)よりも遙かに優れた多数のロシア兵器システムを列記している。私の回答は短く“基本的に正しい。アメリカは決定的に、量的には凌いでいるが、質と訓練の点で、ロシアの方が遙かに進んでいる。全て固有のシナリオ次第だが、正しく、PCRは基本的に正鵠を射ている“。この電子メールのやり取りをしたのは、PCRとは全く対照的に、アメリカは他のどの国に対しても、圧倒的な軍事的優位を維持しているが、アメリカが、この圧倒的な軍事力を行使するの阻止している唯一のものは、アメリカ指導者たちが“残虐で、拘束を受けない武力の行使”を信じていないことだという極めて情報に通じたアメリカの友人と興味深い会合をした後のことだった。すると一体何が起きているのだろう? 他の点では非常に情報に通じた人々が、一体なぜ、これほど全く対照的な意見になるのだろう? まずお断りだ。この話題について権威を持って語るには、アメリカ軍とロシア軍の両方に関する大量機密データが自由に使えなければならない。残念ながら、私はそうではない。だから、以下は全て、公開/公的情報源、個人的知り合いとの会話は、いわば知識に基づいた推測に基づいたものだ。とは言え、以下のことは事実の上で正しく、論理的に分析したと確信している。 今の状態を要約すれば、このほとんど隠蔽不可能な事実が、ほとんど無視されているのに比べれば、アメリカ軍が憂慮すべき崩壊状態にあるという事実自体はそれほど驚くべきほどのものではないと私は言いたい。そこで、“一体何が起きたのか”と“なぜ誰もそれに気がついていないように見えるのか”という二点にわけよう。 何が起きたのか いろはのいから始めよう。アメリカ軍は、決してアメリカ・プロパガンダ(ハリウッドを含め)が人々にそうだと信じ込ませているような無敵の軍隊ではなかった。欧米同盟諸国の役割については、私の“アメリカの友人たちへの手紙 ”で検討したので、全てをここで繰り返すことはしない。アメリカが第二次世界大戦中、他の全ての国々に対して持っていた最大の利点は、工業基盤が全く無傷だったがゆえに、アメリカが、理想的な条件に近い状態で、途方もない数の兵器システムや機器を製造することが可能だったことだとだけ言っておこう。思いやりからこう呼ぶべきか、一部の“愛国的”アメリカ人は、これを資本主義経済体制の“活力”や“卓越”の証しだと解釈したが、現実には、これは単にアメリカが二つの巨大な海によって守られているという事実の結果に過ぎない(対照的に、ソ連は工業基盤丸ごと、ウラルやその先に移転せざるを得なかったし、ドイツは、情け容赦ない爆撃作戦下で製造しなければならなかった)。結論はこうだ。アメリカ軍の装備は他国軍より良かった(量的に、そして時には質的にも)ので、敵が実現するのは困難な量の火力をふるうことができたのだ。そして、そう、このおかげで、アメリカ軍は大いに有利になったが、いかなる意味においても、軍自体を“より優れた”ものにしたとは言いがたい。 第二次世界大戦後、アメリカは、工業が灰燼に帰せられることがなかった地球上唯一の主要工業国で、以後数十年間、アメリカは、準完全独占状態を享受したのだ。これで、アメリカ軍は、大いに恩恵を受けたが、朝鮮とベトナムで、利点は現実ではあっても、必ずしも、いかなるアメリカの勝利という結果にはならないことが間もなく明らかになった。ベトナム以降、アメリカの政治家連中は、基本的に、侵略を、意味ある抵抗をする力が全くなく、まして優勢などに決してなり得ないずっと小さな国々に限定してきた。ベトナム以降のアメリカ軍侵略のリストを見れば(ここや、ここを参照)、アメリカ軍が、無防備の国々への攻撃を専門にしていることが良くわかる。 そこに、ソ連崩壊が起き、第一次湾岸戦争や、グローバル対テロ戦争で、アメリカの政治家連中が、明らかに“唯一の超大国”やら“ハイパー大国”という自分たち自身のプロパガンダを信じ込んで、アフガニスタンやイラクに対する全面的侵略を含め遙かに複雑な軍事攻撃に関わった。これらの戦争は、政治家連中が自らのプロパガンダを信じ込んだ場合に一体何が起きるかのケース・スタディーとして、歴史に残ることとなろう。倅ブッシュは、侵略が完了するや否や勝利を宣言したが、この戦争は、アメリカが、そこから軍を全く脱出させることができない大惨事であることが、間もなく誰の目にも明らかになった(ソ連人でさえ幾つかの事実から結論を導き出し、アフガニスタンから撤退した。アメリカ人より迅速に!)。すると、こうしたこと全てはアメリカ軍について一体何を語っているのだろう。(順不同) アメリカ軍は他のどの軍よりも巨大、遥かに巨大だ アメリカ軍には(世界で)比類の無い戦力投射(移動)能力がある アメリカ軍はハイテクが豊富で、ある種の紛争では非常に有利だ アメリカ軍はどの国であれ地表から消し去れる手段(核兵器)を保有している アメリカ軍は大洋と戦略的要衝を支配している これで、戦争に勝つのに十分だろうか? 実際は、そうではない。それを理解していて、私が“アメリカ式戦争”(この概念については、ここを参照)と呼ぶものを戦うことを拒否する敵さえあれば、こうした優位を無効になってしまうのだ。レバノンやコソボやアフガニスタンやイラクでの最近の戦争が、うまく適応した戦術が、上に列記したアメリカ軍の優位をほぼ打ち消してしまうか、少なくとも、そうしたものが重要ではなくなってしまうことを明らかに示している。 “戦争は別の手段による政治の延長である”というクラウゼビッツの理論をもし受け入れるなら、アメリカは、実に長い間、実際の戦争には勝利しておらず、アメリカ政府にあからさまに進んで逆らおうとする国々のリストは着実に増加しつつある(今やイランと朝鮮民主主義人民共和国のみならず、アフガニスタン、イラク、イエメン、シリア、ベネズエラや、ロシアと中国すら)ことが明らかになる。つまり、あらゆる威嚇やプロパガンダをもってしても、アメリカは、一部の連中が人々にそう信じさせようとしているほどの手ごわい敵ではないという合意が、アメリカが威嚇し、いじめて屈伏させようとしている国々の間で、生じつつあるのだ。 一体なぜ誰もこれに気がついていないように見えるのだろう アメリカが現在威嚇し、いじめて降伏させようとしている国々では、これが明らかに良く理解されているのに、アメリカ合州国そのものの内部ではこれが完全に無視され、見過ごされているというのは実に奇妙なことだ。非常に情報に通じた人々を含め、大半のアメリカ人は、アメリカ軍は“どの軍にも負けない”し、アメリカは、アングロ・シオニスト帝国にあえて逆らっ��り、従わなかったりするいかなる敵も壊滅できると本気で信じている。通常、アメリカ空軍、アメリカ海軍やNATOが、コソボで、セルビア軍部隊さえ打ち破れなかったことや、アフガニスタンでのアメリカ軍実績が、(大半が徴集兵だった!)ソ連第40陸軍部隊が収めた実績より遥かに劣っていたという証拠を見せると、私の話し相手たちは決まってこう答える。“ああ、そうかも知れないが、我々が望めば核兵器で攻撃できるのだ!”これは真実でもあり、間違いでもある。アメリカによる核攻撃の標的になりうる国々は三種類に分類することが可能だ。 核攻撃された場合、アメリカを完全に消し去ることができる国(ロシア) あるいは、少なくとも、アメリカに膨大な損害を与えられる国(中国)。 核兵器による報復を恐れることなく、アメリカが核攻撃することが可能だが、アメリカとその同盟諸国に膨大な通常の不釣り合いな損害を与えることが可能な国々(イラン、朝鮮民主主義人民共和国)。 アメリカが核攻撃しても、おとがめは少なくて済むだろうが、アメリカは通常戦力でも粉砕できるはずなので、核兵器使用が無意味な国々(ベネズエラ、キューバ). そして、もちろん、このいずれの場合も、アメリカによる核の先制使用は、全く予測できない、可能性として破局的結果という異様な政治的反動という結果をもたらすだろう。例えば、イランに対して核兵器を使用すれば、そのような行動は、取り返しがつかないほどEU-アメリカ関係を損なうので、ヨーロッパにおけるNATOの終焉を意味することにあると私自身は考えている。同様に、朝鮮民主主義人民共和国に対する核兵器使用は、可能性として、韓国と日本にあるアメリカ基地の閉鎖のようなアジアにおける途方もない危機という結果をもたらす可能性がある。他の人々の意見が違うだろうことは確実だ :-) 結論。アメリカ核兵器は、他の核大国に対する抑止力としてのみ意味がある。他のあらゆる役割では、核は基本的に無益だ。またロシアも中国もアメリカに対する先制攻撃など決して考えないだろうから、核兵器は、ほとんど全く役に立たないと言えるだろう(現実世界では、アメリカは、他の国々の正気さと善意だけに頼るわけには行かないので、私は「ほとんど」と言っている。だから現実には、アメリカ核兵器備蓄は、実際、アメリカ国家安全保障の重要な要素だ)。 そこで、海軍と陸軍が残る。米海軍は依然公海や戦略的要衝を支配しているが、特に地域戦争という文脈では、これも益々重要ではなくなりつつある。 しかも米海軍は依然として、頑固に空母中心で、戦略構想は官僚的で制度的な硬直性の二の次であることを示しているに過ぎない。アメリカ陸軍は、長���特殊作戦軍や海兵隊のための支援部隊となっており、小規模戦争(パナマ、ひょっとするとベネズエラ)の場合には、意味があるが、中規模、大規模戦争には全く不十分だ。 アメリカはそれ以外の国々のものを合計したよりも多額を“防衛”(つまり“侵略戦争”)に使っている事実はどうだろう? 確かに、これには多少は意味があるのだろうか? 実際、そうではない。まず、この金の大半は、途方もなく肥大化した“防衛”予算によって得られるあらゆる“ぼろもうけ”で何十億ドルも稼ぐ軍産複合体の寄生虫関係者全員の懐を潤すために使われるのだ。決して触れられない現実は、アメリカと比較すれば、ウクライナの軍事組織すら“ほどほどの腐敗”に過ぎなく見えてくる! [補足: 私が誇張しているとお考えだろうか? 簡単な質問を自問して頂きたい。他の国々は普通2から5の機関で済んでいるのに、アメリカは一体なぜ17もの諜報機関があるのだろう? 本気で、これが国家安全保障と何か関係があると信じておられるのだろうか?  もし信じておられるなら是非電子メールを頂きたい。素晴らしいお値段で売って差し上げたい橋がある!(=余りの騙されやすさを揶揄する表現)真面目な話、アメリカに、世界の他のあらゆる国の5倍も“諜報”機関があるという事実は、実に天文学的水準のアメリカ“安全保障国家”腐敗の明らかな症状だ] 我々が目にする次から次の兵器システムは、第一優先事項が、兵士たちが実際にそれで戦える兵器システムを出荷することではなく、出来るだけ多くの金を費やすことが重要なのだ。こうしたシステムが使用される場合、通常、アメリカより二、三世代、遅れている敵に対して使用されるので、一見恐るべきものに見えるのだ。それだけでなく、どの場合にも、アメリカは数量で勝っている(そこで、攻撃相手に小国を選択している)。だが、本当の軍事専門家にとって、アメリカ兵器システムの優位性という主張はお笑い種でしかない。例えば、ランスのシステム(ラファール戦闘機やルクレール主力戦車など)はアメリカの同等品より優れていて、より安価なことが多く、それで、大金の賄賂や、大規模“オフセット契約“が必要になるのだ。 少なくとも、アメリカのものと比較すれば、ロシアの軍事予算はちっぽけだ。だが、ウィリアム・イングドールやドミトリー・オルロフや他の人々が発言している通り、ロシアは、支出に見合った良いものを得ている。ロシア兵器システムは、兵士たちにより、兵たちのために設計されているだけでなく(技術者によって、役人のために設計されているのと対照的に)、ロシア軍は、アメリカ軍より遥かに腐敗の程度が低い、少なくとも膨大な金額に関する限り(わずかな金額でも、ロシアでは、アメリカにおけるより、ずっと価値があるので)。結局の所、F-35 対 SU-35/T-50の類、あるいは、より現実的には、最近シリアを巡って目にした、アメリカとロシア軍の、平均無故障時間あるいは人時対飛行時間比ということになる。シリアのちっぽけなロシア航空宇宙軍タスク・フォースが実現したような数の作戦出撃を行うことを、アメリカは考えることさえできなかったのを指摘するだけで十分だ。それでも、もし、アメリカがそう望めば、シリア上空に、何百機もの飛行機を飛ばせておけるが、ちっぽけなロシア航空宇宙軍タスク・フォースは、どの時点においても、35機以上の戦闘機は決してなかったという事実はある。ロシアの軍事産業の現状は、ロシアが必要としているだけの数を製造することができない(事態は徐々に改善しつつある)。 そこでこういうことになる。アメリカは量的な意味では断然首位だ。しかし質的な点では、アメリカは既にロシアに後れをとっており、日がたつにつれ益々後れは酷くなる。 アメリカ軍司令官たちは、これを知っているのだろうか? もちろん知っている。 彼がアメリカ軍の深刻な問題を示唆した際、トランプに一体何が起きたか想起願いたい。即座にクリントン・プロパガンダ機構が、彼を、愛国的でない、“軍隊を支持していない”、政治上、義務的な呪文である“我々は及ぶもののないナンバー・ワンだ”やら、アメリカ・プロパガンダ機構が、いまだに家にTVを置いている人々に吹き込んでいる、あらゆる子供じみたたわごとを繰り返さないと攻撃した。アメリカ軍の極めて現実的な問題について、単刀直入に発言する行為は、救いようがないほど腐敗した体制を改革する方法というより、軍人生活を終わらせる行動にあたるのだ。 更にもう一つある。大半のアメリカ人は、基本的なマルクス主義理論を理解できるほど教養がないという私の説を延々申しあげるつもりはないが、彼らの大半がヘーゲルの弁証法について何も知らないのが事実だ。彼らは、それゆえ、物事を変化してゆく過程ではなく、静的なものと見てしまう。例えば、“人類史上最も強力で、有能な軍隊”があると自らを称賛する場合(彼らはこの種の表現が好きだ)、この優位とされるものが、必然的に、その矛盾を生み出し、この強みが自らの弱さをも生み出すことさえ彼らは分かっていないのだ。博識なアメリカ将校は多数おり、これを理解しているが、彼らが浸っている、何十億ドルもの大いに腐敗した上部構造と比べれば、彼らの影響力はほとんど皆無だ。更に、この状況は持続不可能で、遅かれ早かれ、こうした問題に正面から対処し、現在石化した体制を改革しようとする勇気を持った軍事指導者あるいは政治指導者が登場するはずだと私は強く確信している。しかし、そのための前提として、おそらく、大規模で、ひどくばつの悪いアメリカの軍事的敗北が必要だろう。アメリカがイランや朝鮮民主主義人民共和国を攻撃した場合に、そうなるだろうことは容易に想像できる。アメリカ指導部が、ロシアや中国を攻撃しようとするほど妄想的になれば、私はそれを保証できる。 だが当面は、“星条旗”が全てで、 Paul Craig Robertsは荒野で叫ぶ孤独な者であり続けるだろう。彼は無視されるだろう。しかしだからと言って、彼が正しいという事実は変わらない。 The Saker 追伸: 個人的に、ウラジーミル・ヴィソツキーによるこの歌をPaul Craig Robertsや、将来を見通す能力と、それを我々に警告する勇気を持った他のあらゆる“カサンドラ達”に捧げたいと思う。そうした人々は、その誠実さと勇気に対して、高価な代償を払わされる結果になることが多い。 記事原文のurl:http://thesaker.is/do-you-think-his-assessment-is-accurate/----------
ポール・クレイグ・ロバーツ: マスコミに載らない海外記事
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