ジャパンオープン 20221008
今年も行ってきました、ジャパンオープン(フィギュアスケート)。
数年前は柱ごとに選手の写真をディスプレイしていたのに、年々スケールが小さくなって、今年は看板すらない・・・ただ今年は棄権メンバー変更が多かったので、かえって大型ディスプレイで良かったのかもしれない。長洲未来さんや三浦佳生選手がちゃんと入っていた。
今年はレベル300の席にしてみた。一度座ってみたかったのだ。
VIP席風というか、特別感があってよろしい。
一列目の席だったんだけど、手すりがちょい邪魔。途中で移動してどこかにいってしまったお客さんもいた。他の席空いていたし。
しかし席自体はゆったりしていて座り心地いいんで、わたしはそのままずっとまったりと観戦していた。いつものS席(200レベル後方)と見晴らしはあまり変わらない。
経費削減といえば、出場選手お揃いのジャージもなかった。まあ、あれ着る機会が一度しかないものだし、シンプルで良いのでは。バナータオルは各チームのが売っていました。(公式グッズの類はめったに買わない)
客の入りは7割くらいか。
演技の感想。ルナ・ヘンドリックス、坂本花織、三浦佳生、宇野昌磨、マリニンが良かった。
ルナヘンさんと坂本花織、紀平さんは衣装がすてき。
三浦くんは急な出場でよくがんばったと思う。ほんというと今回は鍵山くんのFSをとても楽しみにしていたのだが、怪我なのでいたしかたない。無理をしないで養生してほしい。(その点で紀平さんが心配である)
宇野くんのFSはスケーティングや表現面ではほぼ完成の域に達している。あとは技術面。相変わらずジャンプのコンボを余らせてしまっていて、4T+3Tもダメだった。3A-1Eu-3Fはどこに行った?
正直いうと、全シーズンのSPと雰囲気似すぎていて、プログラムとしては新鮮味がなくてつまらない。新しい振付師で冒険してほしかった。
マリニン。自分の動体視力がダメダメで4回転が3回転に見える(泣)これからの選手だなあと思うのだが、この時点で宇野くんと点数がどっこいどっこいなので、ジャンプが安定したら300点代連発して、あっという間にワールドチャンプになりそう。
今回は欠場になってしまったが、4回転ジャンプの種類が一つ少なくて宇野くんとトントンのベストスコア出している鍵山くんが今シーズンの「鍵」を握る。怪我の状態次第だけど、4回転三種類でもパーフェクト演技できれば、かつての羽生さんのような高得点を出せるタイプで、そこが宇野くんマリニンと違う。
長洲未来さんはよくがんばったなあ。出てきてFSをすべりきっただけでもすごいわ。
ブレジナさんはちょっと・・・未来さんより点数低いのって。急に出場が決まったわけではないんだから、もうちょっとましな演技してほしかった。
最後に紀平さん。現役選手で出場するジャンプ構成ではない。これでGPSに出るのだろうか。GPSの復帰枠は来シーズンに使った方が良かったのでは?
カーニバルオンアイスは今回はパスした。体調が万全ではなかったので。世界選手権のチケットはどうしようか、考え中。3月どうなってるのかわからんので・・
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2023.12.8fri_tokyo
洗濯回す、洗濯回す、と脳内で呪文を唱えながらうだうだして8時過ぎにようやく起きて洗濯回す。
その間に水シャワーを浴びて、着替え、顔整えて、パンを焼く。洗濯を屋上に干して行ってきます。
9時40分からバイト。
小さなクリニックの仕事は慣れたもんで、楽しみは人間観察と時々支給されるお弁当。忙しい時間帯もあるけど最近は��なことも多く、雑用をしつつ頭の中は思考や妄想でいっぱいになる。だいたい食べ物のこと、友達のこと(新しいペンネームを勝手に考えるのがブーム)、藤本とのこと、やらなきゃいけないこと、これから先のことなど考えてそれも飽きて来たらパッと浮かんできた歌を脳内で口ずさんだり、最近は家の大掃除や断捨離をテキパキこなしている自分の姿を想像して楽しんでいる。あちこち片付けたいところたくさんあるのに家に帰るとのんびりしてしまう。何しに仕事に来ているのか謎が深まる日々。
そうこうしているうちにお昼休憩。
お天気が良いので新宿中央公園まで散歩。公園の脇にあるパン屋さんモアザンでドーナツを週に1回買うのが最近の楽しみ。シナモンのドーナツがいちばん好きだけど今日は初めてココナッツドーナツにしてみた。ココア生地にココナッツフレークがたくさんかかっていてすごく美味しかった。もっちもちのドーナツ。SNSチェック、すみっコぐらしのゲーム、求人情報チェック、公園にいる人たちの観察、落ち葉探し。風が吹いて葉っぱが舞う。大好きな瞬間。いつも広場でバグパイプを演奏している人がいるけど、今日はいなかった。ギターのおじさんも。
休憩終わり。
午後も割と暇だった。色んなことを考え過ぎるとだいたい夕方くらいに思考が悪い方へいってしまって一度は落ち込む。悩みもどんどん出てくる。そういうときはなるべく楽しいことや楽しみなことを思い浮かべたり、無になって呼吸に集中したり丹田を意識したりして過ごす。17時を過ぎると少し忙しくなってきた。このバイトもしつつ、違う仕事を探そうかなと思いながら毎日過ぎていく。
19時過ぎ、バイト終わり。
帰りに京王百貨店の富澤商店で買い出し。隣の北海道のアンテナショップでソフトクリームのチェック(買わないけど今日の気分は何かを考えるのが好き)。今日の気分はメロン一択であった。同じエリアにある占いのコーナーと漢方のお店を横目で見るのも怠らず。フードのフロアに降りて銀座ウエストのウィンター缶のデザインチェック(毎年どんなデザインか楽しみにしている)。
電車に乗ったところで愛ちゃんから日記を書かないかと連絡が来た。今日は何てことない一日だけどなあ〜と思いながら快諾。愛ちゃんは一日に何人とやり取りしているんだろう。鷹取のやり取り、健在。
薬局がポイント10倍の日だったので必需品を買ってから帰宅。
お風呂に入って、夕ご飯は鍋です。
フィギュアスケートを観たかったけど、藤本が先週の「きのう何食べた?」を観なきゃと言うのでついでに見逃していた番組をTVerで観たりしてのんびり過ごす。
高橋源一郎のラジオを聴きながら台所の片付け。紹介された本を読んでみたいなと聞いているときは思うのにすぐ忘れてしまう。
「ミワさんなりすます」が今週分一気に再放送していたので観る。ミワさん、終わってしまった。俳優さんたちみんな良かったな。ハナレグミの主題歌も、すごく良かった。今度カラオケで歌うと決めている。
そのまま100カメの大奥の美術さんたちの裏側を観ながら寝る準備。ドラマの制作ってほんと大変そうと思いながら、就寝。
編み物、できなかった。
-プロフィール-
アグネス
45歳
東京
アグネスパーラー
@agnesayano
http://agnesparlor.blogspot.com/
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#Repost @yuzuno12.7
・・・
ハビ独占手記「ユヅル、歴史を築いたね!」「またユヅルのいる日本でアイスショーがしたい」💖
ユヅル、今度会ったら、まずハグをするよ。コロナ禍では無理だけど、できれば強くハグしたいよ。君のエネルギーは尽きない。歴史を築いたね!
何度も言うけど、君は喜怒哀楽の全ての感情を共有しながら日々を過ごしてきた仲間で素晴らしいやつだよ。ユヅルに加えて、私がカナダにいた時のブライアン・オーサー・コーチの仲間たちは皆、大事な存在。今は、新型コロナでどこにも自由に行けないが、ユヅルやみんなに会いたい。
ユヅルと一緒に過ごした年月の中で、最も思い出深いのはカナダのトロントでの練習の日々、そして一緒に臨んだ大会だと思う。練習で最も近い場所にいる最大のライバルであり、一方で、チームメートである。親友のユヅルがいて、一緒に切磋琢磨(せっさたくま)しながら頂点を目指してきたことが、何よりも一番の印象深いシーンと言えるだろうね。
平昌五輪後の4年間、依然としてユヅルは素晴らしい才能に満ちたスケーターだったと思う。しかし、現在のフィギュアスケート界はとても複雑な状況だ。なぜなら、ここ数年で新しい選手たちが出てきているから。ユヅルは、大会で勝つことはより複雑でとても困難であることを分かっていたと思う。だが、ユヅルには素晴らしい才能がある。とても良いプログラムをつくり、素晴らしい演技をしてほしいと思っていた。
この数年でフィギュアスケート界は採点方法だけでなくいろんな面でとても変革された。そして、これからも変革されていくべきでしょう。なぜなら採点方法が変わるたびに、選手たちがそれに折り合うようにより調整して大会に臨まなければならなかったから。
私はフィギュアスケーターとして、そして、一人のファンとして、ユヅルのように長い時間と年月をかけて成長してきた選手を見ていたい。15~16歳の少年少女が大会で素晴らしい活躍をした後、たった数年でフィギュアスケート界から姿を消してしまうのを見たくないんだ。フィギュアスケートの選手は、アーティストとしてスケーティングがうまく、表現できるのを前提として、それから個性が加わっていくからね。
私は今、故郷のマドリードで世界で一番美しいスポーツ・フィギュアスケート振興のために頑張っているよ。今年3月にはマドリードでアイスショーを開く予定だけど、コロナ禍が収まったらまたユヅルのいる日本でアイスショーがしたい。ぜひこれからもユヅルをはじめ、フィギュアスケートの選手たちを応援してほしい。(ハビエル・フェルナンデス)
スポニチより✨
結弦~、ハビからのお手紙だよぉ~💕
見てあげてねぇ~(∩´∀`)∩💓💞
ハビありがとう~😭💕
結弦、皆さんおはようございます💖
今日も元気で素敵な1日を~🌸✨✨
#羽生結弦 #羽生结弦 #yuzuruhanyu #javierfernandez
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大ファンです。ヴィクトルコーチは…、
画面にフリースケーティングを演じている勇利の姿が映し出され、「フィギュアスケート男子シングル、日本のエース、勝生勇利」と説明が入った。勇利の演技はほんのしばらくで終了し、キスアンドクライに座っているところに切り替わった。得点が出、「歴代最高得点」という文字があらわれ、驚き、コーチに抱きしめられる勇利が映った。そして「彼のコーチは……」という言葉のあとに、ヴィクトルの演技映像になり、「ロシアの皇帝、リビングレジェンド、ヴィクトル・ニキフォロフ」と語り手が語った。
『誰もがあこがれるスケーターであり、伝説であるヴィクトル・ニキフォロフに、勝生勇利もまたあこがれていた。彼自身、昔から、ファンであると公言してはばからなかった。そんな彼のコーチにヴィクトル・ニキフォロフが就任したというのは大ニュースだったが、現在、勝生はロシアはサンクトペテルブルクに拠点を移し、ニキフォロフとともに生活し、スケートをしている』
短い解説のあと、画面いっぱいにおおげさな文字があらわれた。
『勝生勇利は、どれくらいヴィクトル・ニキフォロフのファンなのか?』
そこで画面は暗くなり、そのあと、テレビ局の控え室らしい、白い空間がぱっと映し出された。立っているのは諸岡だ。
「というわけで、我が日本のエース、勝生勇利選手の快挙は記憶に新し��ですが、今日はその勝生選手について検証をしていきたいと思います。勝生勇利選手がヴィクトル・ニキフォロフ選手の大ファンであることはみなさんご存じだと思います。彼は幼いころから、『目標はニキフォロフ選手です』と言い続けてきました。私もインタビューをさせていただいたとき、たびたび耳にしました。しかし、彼はただ選手としてあこがれているというだけではなく、純粋にファンでもあります。勝生選手のことを物静かな人だと思っているかたも多くみえるかもしれませんが、ニキフォロフ選手のことになるとおおはしゃぎするといううわさもあります。ただ、現在は師弟関係であり、同居もしているということで、そこまで浮かれ騒ぐということはないかもしれません。そういう意味でも勝生選手の心境を知ることができたらと思います」
諸岡は小脇に抱えていたフリップをカメラに向けた。
「さて、どんなふうに調査するかですが、簡単にいえば、ヴィクトル選手のグッズを勝生選手にプレゼントするということです。まずひとつめはこれ」
彼はいちばん上の項目を指し示した。「ヴィクトル選手の写真集を贈る」と書いてあった。
「先日発売されました、こちらの」
諸岡はスタッフから豪華な写真集を受け取り、それを視聴者に見せた。
「写真集をプレゼントしたいと思います。ちなみに、私は直接聞きましたが、すでに保存用と観賞用を何冊かお持ちのようです。そのうえに贈るということです。そして次に」
指が二番目の項目に向いた。
「ヴィクトル選手のブルーレイディスクを贈る。これも発売されたばかりのものです。もちろん勝生選手はすでに購入済みだそうです」
諸岡は写真集から四角くてうすいディスクの箱に持ち替え、それをカメラに近づけた。
「こちらです。かっこいいですね。……三番目は、ヴィクトル選手のポスターをプレゼントしてみようと思います。これは数年前のものですが、ロシアの雑誌の付録でしたので、勝生選手は入手困難だったと思います」
諸岡はヴィクトルのポスターをひろげてにこにこした。
「そして、最後は本物のヴィクトル選手に登場していただきます。そのためにお越しいただきました。ではヴィクトル選手、どうぞ」
ヴィクトルが横合いからすっと画面に入ってきた。諸岡が頭を下げ、「ご足労いただきありがとうございます」と礼を述べた。
「今日はよろしくお願いいたします。すでに趣旨はヴィクトル選手にもご説明していますが、ご自身ではどんな結果が出るとお思いですか?」
諸岡の言葉を、わきから通訳が訳した。ヴィクトルはにっこり笑って身ぶりを加えながら返答した。
「それを俺が話すといきなり答えを言うことになっちゃうよ。みんなの楽しみを奪ってしまうから何も言わないことにしよう。ただ、勇利は、予測不可能な反応をすることもあるからね。俺の考えてる結果が確実だとは言えないかもしれない。そういう意味で俺も楽しみだよ」
ヴィクトルの言葉は日本語の字幕できちんと説明されていた。
「ちなみに、ヴィクトル選手は勝生選手と同居なさっているということですが、家で勝生選手がファン活動をするようなことは……」
「活動っていうのかな……俺に何かを頼んでくることはないよ。ただ、写真集とか動画とかは見てるようだね」
「おふたりでどんなふうに日常生活をいとなんでいらっしゃるのでしょうか」
「ごく普通だよ。みんなも、試合のときの勇利の様子をテレビなんかで見ることがあると思う。そのときは俺も一緒にいるが、あんな感じさ」
「かるい準備運動のときなど、くつろいだふうに会話していらっしゃいますね。なるほど」
諸岡はうなずき、「では早速ですが、検証に移りましょうか」と提案した。
「ヴィクトル選手にはここで待機していただいて、のちほどご登場ねがおうと思います。現在勝生選手は別の控え室にいらっしゃいます。スポーツ番組の収録ということでお越しいただいているのですが、収録前にすこしだけお邪魔させていただいて、そこで贈り物をしようという計画です。ちなみにその様子は、こちらの部屋にあるモニタでヴィクトル選手もごらんになることができます。では、ヴィクトル選手、またあとでよろしくお願いします」
「オーケィ。楽しみだね!」
ヴィクトルが笑顔で手を振り、諸岡は控え室を出た。テレビカメラが彼を追った。
「えー、カメラさんはひとりです。勝生選手にはなんとか説明して、撮影を許可してもらおうと思います。」
諸岡がひとつの扉の前で立ち止まった。扉に「勝生勇利様」と書かれた綺麗な紙が貼ってある。諸岡はそれを指さし、カメラに向かってうなずいてから、扉をかるく叩いた。すぐに「はい」と澄んだ声で返事があった。
「勝生選手、すみません」
諸岡がまず入り、「いますこしだけよろしいでしょうか?」と尋ねた。
「いいですけど……」
「あの、収録前のちょっとしたくつろぎ時間ということで、撮影をさせていただきたいんですが、かまいませんか?」
「あ、はい。どうせすることもなくてぼうっとしてましたから……」
諸岡が振り返り、カメラに向かって上手くいったというようにこぶしを握って見せた。
「では失礼します」
控え室に入ると、スーツ姿の勇利が畳にちょこんと座っていた。和室だ。座卓の上にあるかごにはお菓子がたくさん並んでいるけれど、手がつけられた様子はない。
「ゆっくりされているところすみません」
「いえ。諸岡アナなら緊張することもないし」
勇利はほほえんだ。確かに緊張はしていないようだ。
「今日は眼鏡を外して出演なさるんですか?」
勇利はすでに眼鏡をかけていない。
「はい。テレビのときはそのほうがいいかなと……。慣れておこうと思って、もう外してます」
「なるほど。ところで……」
すぐに諸岡は本題に入った。
「今日はちょっと勝生選手にプレゼントさせていただきたいものがあるのですが」
「なんですか?」
勇利がすこし不安そうな顔をした。
「あ、いえ、勝生選手に喜んでいただけるものだと思います。いくつかあるので、順番にお渡ししますね」
「はい……」
諸岡は勇利の隣に座り、たずさえてきた大きな布製のかばんをわきへ置いた。そしてその中から写真集を取り出し、裏表紙を上にして膝にのせた。
「まずはこれなんですが……」
勇利が目をみひらいた。彼は一瞬のうちにひとみをきらきらと輝かせ、口元に両手を当てて信じられないというようにつぶやいた。
「ヴィクトルの写真集……」
「え? もうわかるんですか?」
裏表紙は黒一色で統一されており、ヴィクトルの写真は入っていない。しかし勇利は言葉もなくうなずいた。
「さすがですね……。わかるならもったいぶっても仕方ありませんね。勝生選手、どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
勇利がささやき声で礼を言い、両手で受け取った。彼の手はふるえていた。
「…………」
勇利は表紙を熱意のこもった視線でみつめ、それから写真集を胸に抱きしめた。感激で言葉もないようだ。画面に、「注:勝生選手はすでにこの写真集を数冊持っています」という目立つ文字が出た。
「勝生選手……大丈夫ですか?」
「は、はい……すみません……」
勇利は顔を上げると、ためらいがちにおずおずと尋ねた。
「あの……中を見てもいいですか……?」
「もちろんです。勝生選手に贈ったものですので、どうぞごらんください」
彼は相変わらずふるえる手で本をひらき、ゆっくりとページをめくっていった。一ページ一ページ、かなりの時間をかけてみつめたあと、勇利はふいに顔をそむけ、片手で口元をおおって肩をちいさく揺らした。
「か、勝生選手! 大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫です……ごめんなさい、感動しちゃって……」
画面にまた「勝生選手はすでにこの写真集を数冊持っています」という文字が出た。
「ちなみにこちらの写真集をこれまでごらんになったことは……」
「あります」
「そうですか」
しかし勇利の目つきは、あきらかに初めて見る者の感激でいっぱいだった。
「勝生選手……」
「あ、すみません……あの、あとで、家でゆっくり見ます。ちょっと感情がたかぶってしまって……泣いちゃうかもしれないし……」
「わかりました。では次の贈り物ですが……」
「もうこれだけでじゅうぶんです」
「そう言わずぜひ受け取ってください」
諸岡はブルーレイディスクを取り出し、勇利にすっと差し出した。緊張しきった様子の勇利は両手で丁寧にそれを受け取り、まぼろしではないかというような目で夢中でみつめた。
「先日発売されたヴィクトル選手のブルーレイです。もうお持ちかとは思いますが……」
「本当にいただいていいんですか?」
勇利は、まるでそれが消えてしまうのではないかというように大切そうに胸に押し当てながら、うるんだひとみで尋ねた。諸岡は大きくうなずいた。
「どうぞ」
「本当に?」
「はい」
「ぼくが……?」
勇利は何度も表のヴィクトルの写真を確かめ、目を閉じてほそく息をついた。
「よかったらいますこし見てみますか? ノートパソコンも用意してあるんですよ」
「え……でも……あの……」
「どうぞ」
諸岡はさっと支度をととのえ、勇利はおずおずと眼鏡をかけた。まるで、すばやく動いたら消えてしまうとでもいうふうな慎重なしぐさだった。
「では……」
諸岡が動画を再生し、勇利はしばらく画面をみつめていた。しかし、彼の澄んだひとみがみるみるうちに水気をふくみ、それはしずくとなっていまにもまなじりからこぼれ落ちそうになった。
「あ、あの……」
勇利は横を向き、口元に手を当ててちいさな声で言った。
「止めていただいていいですか……見られません……」
感激のあまりヴィクトルを直視できないらしい。諸岡はすぐに動画を停止させた。勇利はそのまま静止しており、ものも言えないという態度だった。画面に「注:勝生選手はこのBDを購入済みです」という文字がぱっとあらわれ、しばらく表示されていた。しかし勇利がいつまでたっても落ち着かないので、画面が暗くなり、「十分後」という文字に変わった。
「す、すみません……とりみだしてしまって」
勇利は息をつき、ようやく平静を取り戻して顔を上げた。
「いえいえ。そんなに喜んでいただけてこちらもうれしいです。これは家でじっくりと観賞なさってください」
「はい……ありがとうございます」
「では次ですが」
「あの、本当にもう……これ以上はしんでしまうので……」
「こちらです」
諸岡は容赦なく筒状になっているポスターを出した。勇利はどんなとんでもないものが贈られるのかというふうに、おそるおそる受け取った。
「開けてみてください」
「なんですか?」
「どうぞ」
勇利は不安そうな表情で諸岡を見ていたけれど、そのうちちいさくうなずき、ポスターを止めていたほそい紙を切って、おびえながらそれをひらいた。
「そんなおそろしいものではありませんから。勝生選手にきっと喜んでいただけると、我々は──」
勇利が突然横を向き、畳に勢いよくつっぷした。諸岡が「勝生選手どうしました!?」と声を上げた。勇利は返事をしなかった。彼の手には、ひらきかけのポスターがあり、そこから銀色のうつくしい髪がのぞいていた。
「あ、具合が悪くなったわけではないようですね。衝撃のあまり座っていられなくなったようです。ではまた勝生選手が正気を取り戻すまでしばらくお待ちください」
ふたたび、画面に「十分後」という文字が出た。
「すみません……ちょっと何が起こったのかわからなくて……」
十分後の勇利は、一応は話せるものの、頬はばら色に紅潮し、瞳はうるおい、ふるえていて、普段の彼とはまったくちがった様子だった。
「ヴィクトル選手のポスターです」
「は、はい……」
「数年前のものですが、お持ちですか?」
「え、ええ……ロシアへ行ってからどうにか手に入れました」
「あ、持っていらっしゃったんですね。じゃあ二枚目ですか?」
「…………」
しかしポスターをひろげてみつめる勇利は、あきらかに初めて手にした者の様子だった。彼にとっては、どんなものでも、ヴィクトル関連の品物なら新鮮で貴重になるらしい。
「……ありがとうございます。部屋に飾ります」
「ロシアのご自身の部屋に……?」
「はい……」
画面の下のほうに、「注:勝生選手はヴィクトル選手と同居しており、常に一緒にいます」と文字が出た。
「……ありがとうございます。こんなによくしていただいて……」
「いえ、来季も応援しているという番組からの贈り物です。すでにお持ちのものばかり贈ってしまって申し訳なかったです」
「とてもうれしいです」
勇利はこころからそう思っているというようににこにこした。
「喜んでいただけてこちらもうれしいです」
諸岡は答えてから、「では……」と切り出した。
「最後ですが……」
「あの、もう本当に……これ以上は……」
「これで終わりですので。これがいちばんの目玉なので、ぜひ……」
「は、はい……。これまででじゅうぶん心臓止まってるのに、これ以上何があるんでしょうか……」
勇利は胸に手を当て、ゆっくりと深呼吸をくり返した。
「もう無理だと思いますけど……こんなにすばらしい体験はほかにできないと──」
「それでは、よろしくおねがいします!」
諸岡が扉のほうへ向かって声高に言���、それと同時にその扉がひらいた。
「ハイ! ヴィクトル・ニキフォロフです!」
ナショナルジャージ姿のヴィクトルが颯爽と入ってきて勇利にほほえみかけた。
「やあ! きみは勝生勇利だね! いつも試合できみの演技を見てるよ。すばらしいね。すてきだね。きみほどうつくしく踊れるスケーター、俺はほかに知らないよ。情緒的なのはもちろん、色っぽいのも、壮大なのも、旋律に乗りきるのも、全部ね。きみは俺のスケート、見てくれてるかな?」
「…………」
勇利は静まり返っていた。彼は目をみひらき、ものも言えない様子でふるえていたかと思うと、さっきよりも勢いよく倒れこみ、本当に気絶したかのように動かなくなってしまった。
「あっ、勝生選手!」
「勇利」
しばらく間があき、画面に「三十分後」という文字が出た。
「えー、みなさん、お騒がせしました。ご心配はいりません。勝生選手は感激のあまり気を失っただけで、体調不良ではありません」
勇利はまだもとの調子に戻らないらしく、にこにこしているヴィクトルの隣で、顔をまっかにして泣きだしそうになりながらふるえていた。画面にはまた「注:勝生選手はヴィクトル選手と同居しています」という説明があった。
「勝生選手、これが最後の贈り物です。ヴィクトル選手が勝生選手のために来てくださいました」
「あ、ありがとうございます……すみません……ぼくのせいで……」
「そんなことはいいよ。俺は勇利を喜ばせたいんだ。ほかにして欲しいことがあったらなんでも言ってくれ」
「これ以上欲しいものなんてありません……」
「そうかい? 欲がないね。もっとも、きみはもともとそういう子だけどね。でも、そんなふうに物静かなのに、それでいて、こころに熱いものを秘めている。精神は繊細でもろいようでいて、芯が強く、凛としている。俺は知ってるよ」
「……そんなに強くありませんけれど……でも、どうして……どうしてぼくのことを……?」
画面に「ヴィクトル選手は勝生選手のコーチです」と注意書きがあった。
「わかるさ……」
「ヴィクトル……」
勇利はうるむひとみでヴィクトルをみつめ、ヴィクトルもまた熱っぽいまなざしで見返した。しかしふいに勇利は顔をそむけると、「ああ、だめ……」と吐息まじりにつぶやいてかぶりを振った。
「ぼく、これ以上ヴィクトルといると変になっちゃう……」
「大丈夫だよ。勇利が変なのはよく知ってるから……」
ヴィクトルは笑顔で答えたあと、勇利に向かって手を差し出した。
「とくに望みはないみたいだけど、とりあえず握手でもしておくかい?」
「ええっ、握手!?」
勇利は大きな声を上げて動揺し、そんなことがあっていいのかというようにうろたえた。画面にまた「注:勝生選手はヴィクトル選手と同居しており、いつも一緒にいます」と文字が出た。
「ま、まさか……握手……ぼく……」
「いやかい?」
「いやだなんてそんな!」
勇利は強く言ったあと、不安そうに小声で付け加えた。
「でも、ぼく、ものすごく汗をかいてるし……てのひらも……恥ずかしい……」
「そんなの気にしないよ」
「ヴィクトルに手を握ってもらうなんておそれ多いし……」
もう注意書きでは足りなくなったのか、画面のすみっこにちいさく映像があらわれた。それは試合のとき、ヴィクトルが勇利の腰を抱いて優しく話しかけている場面だった。勇利はヴィクトルの言うことを聞いているのかいないのか、何度かうなずいてまっすぐ前を向いていた。
「俺は勇利と握手したいな。きみのやわらかい手を握りたいよ」
「ぼ、ぼくの手を……?」
勇利はまっかになり、右手をもう一方の手で押さえてもじもじした。
「そ、そんな……どうして……?」
「どうしてって、きまってるだろう? きみが気に入ってるからさ」
勇利は黙りこみ、しばらく何かの機能が停止したかのように静止し、それから両手でおもてを覆った。
「いいかい? 勇利……きみがいやならもちろん……」
「い、いやじゃないです……」
勇利はかぼそい声で答えた。
「いやじゃないです……ぜんぜん……たいした手じゃないですが、よろしければ……」
「では、お手をどうぞ」
勇利がおずおずと手を出し出すと、ヴィクトルがそれを取り、かるく握った。ごく普通の、誰でもするような握手だった。しかし勇利は目をうるませ、左手でしきりに目元をこすった。握手に感激しているようだけれど、画面の右下には、「グランプリファイナルでのふたり」という説明とともに、ヴィクトルと「離れずにそばにいて」をデュエットする映像が出ていた。そのときの勇利は、ヴィクトルに腰を抱かれ、あるいは抱き上げられ、寄り添って、さらに顔を近づけ、熱いまなざしでみつめあっていた。
「ありがとうございます……」
勇利が胸いっぱいというようにちいさく礼を述べた。
「こちらこそありがとう。勇利とはもっと話したいな。きみさえよかったら、このあと、食事に行かないか」
「えぇっ!? ぼくと!? 食事……!?」
勇利が声を上げて驚き、画面右下の枠は、「勇利とふたりでつくったよ!」とヴィクトルが陽気に投稿したSNSの料理写真になった。
「そうだよ。いやかい?」
「ヴィクトルこそ……あの、本当にぼくでいいんですか……?」
「もちろんさ」
「……でも……やっぱりおそれ多いっていうか……」
勇利がためらった。ヴィクトルは優しい目を勇利に向け、丁寧に尋ねた。
「勇利は俺のことが嫌い?」
「そんな!」
勇利はぱっと顔を上げ、恥じらって視線をそらした。
「だけど……好きだなんて言うのも分不相応っていうか……」
右下の写真が切り替わり、昨季の全日本選手権でよい成績をおさめた勇利が、遠く離れたヴィクトルに向け、「金メダル獲ったよー。I love you, Victor」と珍しくにこにこしながらはしゃいで手を振っている映像になった。
「分不相応? 俺の隣に立つのはきみしかいないというのに」
「ヴィ、ヴィクトル……」
「そのことについてゆっくりと話しあおう。さあ勇利……」
ヴィクトルが勇利の手を引いた。勇利は「え? あの……本気で……?」とうろたえた。
「あ、勝生選手、もうけっこうですよ。撮影は終わりましたので」
諸岡が快く送り出そうとすると、勇利はますますとりみだしたらしく、「終わった? なんで? 何が? え? ぼくヴィクトルとほんとにごはんに行くの?」ときょろきょろした。
「勇利、おいで」
「あ、待って……」
勇利は手に入れたばかりの宝物を慌ててまとめ、それをリュックサックに慎重につめて靴を履いた。部屋を出ていくヴィクトルが、「何をもらったんだい?」と甘い声で尋ね、彼は「えっと、ヴィクトルのポスターと、写真集と、ブルーレイと……」と一生懸命に答えた。
「それはよかったね……」
「はい、よかったです……」
勇利たちが去っていき、残った諸岡はカメラに向かって元気に説明した。
「以上で終わりたいと思います。勝生選手はどのくらいヴィクトル選手のファンなのか、という検証でしたが、これでおわかりいただけたと思います」
彼は大きくうなずき、しめくくるようにひとこと宣言した。
「これくらいファンでした!」
勇利はさっさとテレビを消し、あきれた声を上げた。
「なんなのこれ!」
「何って、この前帰国したとき撮影した番組だよ」
ヴィクトルはソファに深く座って悠々と答えた。
「ぼくがばかみたいじゃん!」
勇利は耐えかねて叫んだ。ヴィクトルは何も気にしていない様子だ。
「みんなほほえましいと思って見守ってたさ」
「こんなのに協力するなんてヴィクトルもヴィクトルだ。ぼくが喜ぶのをわかってて……」
「行かないほうがよかった?」
勇利は言葉につまり、赤くなってそっぽを向いた。
「そ、そうは言ってませんけど……」
ヴィクトルは笑いだし、勇利の肩を抱いて顔を寄せた。
「もっといろいろしたほうがよかったかな?」
「いろいろって?」
「いろいろ……親しく……」
ヴィクトルが熱っぽくささやくので、勇利は目を閉じてきっぱり言った。
「あれくらいでいいです!」
「そうかな」
「むしろやりすぎじゃない?」
勇利はじろっとヴィクトルをにらんだ。ヴィクトルは微笑した。
「普通のファンサービスだ」
「ぼくにはやりすぎだった。もう……、それに、あれ、なに? 下にいちいち変な画像とか映像とか……」
「いいよね、あれ」
「なんかぼくがおかしい人みたい。ふたりは同居してますとか師弟ですとか……そんな説明必要ある?」
「必要ないのに確認を入れないといけないような態度をきみがとるからだと思うよ」
「普通」
「そうだろうか」
「普通だよ。だってヴィクトル・ニキフォロフが目の前にいるんだよ。ああなるのは当たり前じゃん」
「まあ……そうかな」
ヴィクトルがくすくす笑った。
「勇利のファンはあれを予想済みだろうし、ファンじゃなかった人はあれでファンになっただろうから問題ないね」
「なに言ってるの?」
ぼくの言った意味をわかってるんだろうかと勇利は疑いの目を向けた。
「そんな目で見ないでくれ、俺の勇利。……ああ」
「なに?」
「この撮影のときも言ったほうがよかったかな。俺の勇利って」
「だめにきまってるでしょ」
「いまはいいのかい?」
「いまは……」
勇利はぽっと赤くなり、頬に手を当ててぽそぽそと言った。
「……いいです」
ヴィクトルは笑いだし、勇利のまなじりにくちびるを押し当てた。
「そういうのはけっこうです」
「こういうのもいいだろう」
「だめ」
「なぜ? 緊張するから?」
「恥ずかしいから……」
「ファンだから?」
「…………」
勇利はちらと横目でヴィクトルを見、それから甘えるようにささやいた。
「もう……、わかってるくせに……」
「…………」
ヴィクトルは片手で目元を隠し、勢いよくソファにつっぷした。
「あ、ヴィクトル、どうしたの?」
「衝撃を受けてるんだよ……」
「どうして?」
ヴィクトルはそのままじっとしていたけれど、そのうちおもむろに起き上がり、勇利を引き寄せて笑った。
「俺は勇利のファンだけど、勇利のように純粋なファンにはなれそうにないよ」
「なんで?」
「握手で満足するどころか……いろいろしたくなるからさ……」
リンクへ行く途中、ヴィクトルのファンに呼び止められた。ロシアの英雄という立場にある彼だから、こういうことはいくらでもある。勇利はすこしへだたりを取り、にこにこしながらヴィクトルがサインをする光景を眺めていた。ヴィクトルはファンにとても優しいことで有名なのだ。礼を言ってうれしそうに去っていく女性たちを見て、勇利は、わかるなあ、と思った。ヴィクトルにサインをもらえるなんて最高……。
ぼくはあんまり緊張するから、一度もサインをねだれたことなんてないけど。
「ごめんね、待たせて」
ヴィクトルが急いで勇利のところへやってきた。
「ううん」
「怒ってないかい?」
「ぜんぜん」
勇利は感心したように言った。
「彼女たちはすごいね。ぼくはヴィクトルに声をかける勇気なんてないよ……」
「…………」
「かけたことなかったでしょ?」
勇利が横目で見ると、ヴィクトルは笑ってうなずいた。
「遠くから熱いまなざしでみつめるばかりだったってクリスから聞いてる」
「もう、クリスは余計なことばっかり言う……」
クラブにたどり着き、リンクに立った勇利は、フェンス越しにヴィクトルに顔を近づけて熱心に、吐息まじりに、真剣にささやいた。
「ヴィクトル選手はみんなのヴィクトル選手だけど、ヴィクトルコーチはぼくだけのコーチだよ……」
ヴィクトルがひとみをみひらいた。勇利は身をひるがえしてリンクの中央へ行ったが、そこで振り返ったとき、ヴィクトルが撃ち抜かれたというように胸を押さえてその場にふらふらとくずおれたのに目をまるくした。
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内輪ネタやフザケは周囲に「フフッ」と笑ってくれる人がいても、その外側では引っ掛かる人もいる。不特定多数が見えるような場でやれば、笑ってくれる人よりも不愉快に思う人の方が多いこともある。
2014年に東京オリンピック組織委員会会長で元首相の森喜朗がソチオリンピックを視察し、フィギュアスケート女子シングルで6位となった浅田真央選手について「あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね。」と発言して非難を浴びた。ここだけを取り出すと、傷口に塩を塗るような発言だが、森喜朗元首相の発言全体を見ると「浅田選手はシングルの前に団体で出場しており、そこで転倒したことが心理的な影響を与えていたのかもしれない。団体は出場しないという選択肢もあり得たのではないか」という内容になっている。(以下に発言の全文が記載されている。)
森喜朗 元総理・東京五輪組織委員会会長の発言 書き起こし - 荻上チキ・Session-22
その発言の趣旨自体は理解できなくはないものだったとしても、発言のタイミングと表現が最悪だった。浅田選手のキャリアの集大成であり金メダル獲得が有力視されていたオリンピックにおいて、ショートプログラムで転倒が相次ぎ16位というスタートを切った。浅田選手は直後のインタビューで「何も考えられない」と茫然自失の体だったが、翌日のフリースケーティングでは女子史上初の6種類すべての3回転ジャンプを計8回成功させ、自己最高得点を出した。その結果としての6位だった。この状況で自暴自棄にならず、心を折られることもなく、アスリートとして競技を全うした姿に観戦者が感銘を受けた中での「大事な時には必ず転ぶ」発言だったため、心ない言い方だと森会長は非難を浴びた。
森元首相がかつて、失言が繰り返し報道されたことで最後は内閣支持率を7%まで落として退陣した過去を思い出した人も多かっただろうと思う。
劇作家の鴻上尚史はコラムの中で���森元首相との個人的な体験で偉ぶらない誠実な人だったと回想しつつ、失言を繰り返してしまう体質を「リップサービスである」と指摘している。
失言のオンパレード…森喜朗元首相という人【鴻上尚史】 | 日刊SPA!
自分をよく見せようとせず、率先して見知らぬ他人のために雑務を厭わない美点と、その場にいる周囲の人を楽しませようと軽口を叩いてしまう欠点は、実のところ一体である、という指摘だった。森元首相は、元外交官の佐藤優の著書でもたびたび描かれて、国政をあずかる政治家としての職業倫理に忠実で誠実な人物として描かれている。それは恐らく事実なのだと思う。
一方で「その場にいる周りの人へのリップサービスが、そうでない人にどう受け止められるか」への無頓着さは、どれだけ誠実な人物であろうと許されない、という事実がかなりはっきり分かる事例になっている。
炎上しない書き方 - やしお
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卵の殻を破らねば
あれだけ長々と観戦記を綴っておきながらまだなにかあるのかい?と言われそうですが、書こうと思えば色んな切り口を起点にして無限に書けるんじゃない?と言えるほど今回の体験は豊かな質量と熱量を持っていましたね…あれは短期間に摂取していい許容量を超えてます確実に。あれから1週間以上(もう2週間では 怖)経ってるけど未だに新鮮味は損なわれず、むしろ新たな味を反芻するたびに見出すことができますムッシャアッッ
自分でも分かってるんですが、私が書く文章は言葉の選び方とか言い回しとか表現とか、なにいってんだコイツ的な読みづらさ?ピンと来なさ?がかなりあると思いますズビバゼッ!
感じたことや受けた印象を言語化するにあたって、いちばん己の感覚に近いものを探して、繋げて…というのを繰り返すパッチワーク式叙述スタイルなので取り留めのない感じになってしまいます。しかしこれが最もしっくりくるのだ…
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本題に入りたいと思います。 この記事では観戦という観点からは少し外れて、『Origin』というプログラムから感じたイメージや個人的な解釈を書いてみようかなと思います。まぁそれも観戦したが故のパッションの暴発によるんですけど…笑
最初は観戦記の中にしれっと混ざる感じで書いていたのですが、現地で観てその場で湧いてきた思いと、思索を深く巡らせて時間をかけて辿り着いた考えとでは全く種類が違うし、無理にひとつとして扱ってしまうとその両方の良さが活かされきれず打ち消しあってしまうのでそれは悲しいなぁ…と考えて別にしました。
またここに書くのはあくまでも個人的な印象の話ですし、誰に対しても決して押し付けたり同意を求めたりするものでもないのでご安心下さい(?) 皆々様がめいめいの心象世界に常に正直にあれると良いなといつも思っています!!
『Origin』というプログラムは、振付師のシェイ=リーン・ボーン氏のインタビューにより『古事記』や『日本書紀』の世界からインスピレーションを受けて振付がなされたということが明らかになっています。この話を初めて目にした時、私は盛大にひっくり返ってしまいました。カナダ人であるシェイ(と彼女の旦那さん)がそれらを参考にしようと考えたこともですが、それ以上に"羽生結弦"という人物をあらわすのにぴったりなモチーフが『神話・神々』であると言うのですから。
私は2016-17シーズンのFS『Hope&Legacy』(以下レガシーと記述)に対して、日本神話的な、また民俗学的な神性を見出していました。清らかなピアノの旋律と柔らかさを感じるスケーティングでよく"癒し"や"慈愛に満ちた"と言われるこのプログラムですが、勿論非常にそれらを感じもする、しかしそれ以上に"おぞましさ"や圧倒的な力を前にただ立ち尽くすしかないような"なす術のなさ"を強く感じていました。実りをもたらし万物の生命力を漲らせるのも、容赦なく牙を剥き自然のおそろしさを知らしめるのも、どちらも"人智の及ばない領域から来る力"であり、レガシーを滑る彼の姿を見て毎回「荒ぶる神だなぁ」とごく当然のように考えていたのです。
レガシーだけに限らず、彼の持つ超越性や複雑性に対してたびたび神性を感じていたのもあり、シェイの解釈はもう完璧というか何というか、「ありがとうございます」という感じでしたね、えぇ…。
はい、正直ここからが本当の本題です。笑 羽生さんの演技には、題材にしたストーリーや役を大きなリアリティをもって見る人の眼前に展開する力があると同時に、題材にはされていない(であろう)物語や言葉、イメージを、受け手の発想力次第で自由にどこまでも広げていけそうな"余白の美・語らずの美"もあるように思います。ここが彼、彼のプログラムに深く魅せられる最大の要因かな、と。
Originは振付の随所に日本神話の各シーンを思わせる動きがあります。私が特に心惹かれたのはスタートポーズで、おそらくこれも神話から取材して行き着いたものなのかもしれませんが、私には初見時にこの独特の姿勢が"卵から孵る瞬間を待つ雛鳥"のように思われ、更にそれを受けてすぐに思い浮かんだ"ある台詞"がありました。あんなに魔王然としてるのに雛ってお前…って感じかもですがまぁ、そこは、ね!
「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛だ。卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。世界を革命する為に」
これは『少女革命ウテナ』というアニメの劇中の台詞です。さらにこの台詞には元ネタがあり、
「鳥は卵の中から抜け出ようともがく。卵は世界である。生まれ出んと欲するものは、一つの世界を破壊せねばならない。」
こちらがヘルマン・ヘッセ作『デミアン』の中に登場する台詞になります。
この2作品に共通するテーマは"自己の確立"です。幼少期から思春期、青年期に経験する繊細な心の動きに傷付いたり、社会との関わり方に悩んだり。痛みを伴いながらも"本当の自分はどうありたいのか"という核の部分に行き着く過程が描かれています。
私がいちばんはじめにOriginのスタートポーズを見て、そしてこれらの台詞が浮かんだ時、本当に見たまま読んだままの印象だったと言うか「世界で戦う羽生さんは挑戦をやめないしその姿勢は周囲に影響を与えるよね、うんうん」みたいな非常にふんわりとした考えで終わらせてしまっていました。しかし今回の世界選手権を見届けてみて、改めてこの台詞はいまの彼にぴったりハマる味わい深さがあるのではないかと感じました。
そもそもはじめの頃、私は上記の台詞の意味をよく理解出来ていませんでした。「世界」とは己の内面のことであって、ルールや仕組み、他者という意味ではここでは使われてなかったですね。自分の心の声に耳を傾け、自分の中にある既成概念や勝手に設けていた制限を取っ払い、自分に正直に生きる。彼の演技を見て、その真意を理解するという実に不思議な体験をしたんですね…"心"で理解できたッ!
このプログラムを通して羽生さんは"こうありたい"という自己の核の部分に到達出来たんだなぁ、と。試合で滑ることの本領や4A挑戦の意義の再認識からも伺えるように。そう思うと、このOriginというプログラムはスタートからフィニッシュまで、日本神話や建国という明確に掲げられたコンセプトと並行して(あるいはそれに仮託して)"自己を探求する内的戦い"の様子そのものであったのかもしれない、とも。建国(創造)と自己探求ってすごく似ている気がするんですよね。イザナミ・イザナギもはじめからうまく国を生んでいた訳ではなく、失敗の経験を踏まえ試行錯誤して国を、神を成していったと言います。
配置されたエレメンツや動作をそういう風に捉えて見直してみると、なんだか新しい趣を感じます。何かの背に手を伸ばすような所作は理想を追っているのかとか、フィニッシュの動きはまさに殻を破らんとする雛鳥(本心)の叫びみたいだなとか…
羽生さん自身は24歳で、かつしっかりとした自己のある方ですが"競技者としての羽生結弦"は五輪をひとつの区切りとして生まれ直しています。つまるところ雛鳥…。彼自身、五輪直後はモチベーションの置き所が安定せずふわふわしていた、という旨の話もしていましたし、やはり今回で(というかシーズン通してみて)卵の殻を完全に破り切ったのかな、と思いました。
競技であれEXであれ、フィギュアスケートでプログラムを滑るというのはすべて内省的な活動なのかなと思い至りました。Originは掲げられたテーマ(原点回帰)や幼い頃からの夢、という思い入れがあった分、特にその面が際立っていたように感じます。
演じる物語や音楽の背景を学ぶこと、振付師やコーチらと思考を交わすこと、そしてプロの中に己が実現させたいものを見出すこと。それらが緻密に絡んで氷の上に編み出され、またそれを客観的に見直して改良していく。そんな貴重でデリケートな過程を見せてもらえることのありがたさは言い尽くせません。どの選手であってもプログラム(自己)と向き合う姿にはいつも敬意を払っていたいと改めて思いました。
Originについて、という枠組みからは若干外れてきてますが笑、しかしこの先ほど紹介した『デミアン 』、読めば読むほど羽生さんに当てはまるな…と感じる台詞が出てきます。
「…勇気と特色を持っている人々はほかの人々にとって常にすこぶる不気味なものだ。…」
「私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを、生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難であったのか。」
「生まれることは常に困難です。鳥が卵から出るのにほねをおることはご承知でしょう。ふりかえってたずねてごらんなさい、自分の道はそれほど困難だったか、ただ困難なばかりだったか、同時に美しくはなかったか、自分はより美しい、よりらくな道を知っていただろうか、と」
ほらすごく…羽生さん…
いやしかし、観戦記にもチラっと書きましたが本当にさまざまな垣根を超えていち生物として興味深い方ですね。2分半ないし4分間の演技中の彼は己の身体を器として他のものに成り変わっているようでもあり、紛れもない彼自身の延長線のようでもあり。そんな複雑性については次のエキシビションに関する記事で触れようかと思ってます。
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なんだか本当に思うまま書き散らすという感じでまとまりがないなと自分でも思うのですが、忘れないうちに記しておきたかったので心残りはないです。
絵でもそうですが、自分の感じた(考えた)ものをある形に落とし込みそれを公開する時、受け入れられるかとか賞賛されるかというところに重きを置きません。こちらから見える場所であろうが見えない場所であろうが、ひとりでもふたりでもなにかを感じて「自分はこう思った!」という活動が起こったら楽しいよな〜あわよくばそれを見せてくれ!という気持ちです。笑
ここまで読んでくださってありがとうございます!人いるか分からないけど!次の記事でまたお会いしましょう、間違いなくまた長くなるけど…笑
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明日のTVアニメ(地上波関東版)03/27
今日の一言:募集中です。
※今日の一言を募集しています。アニメと無関係でも全然OKですが、改行は削除して1行にまとめさせていただきますので、予めご了承ください。
投稿は http://form.mag2.com/koutrethec から。
※メルマガ版ご購読の案内は http://www.mag2.com/m/0000064431.html まで。
~本日のnotes~
・特にありません。
※「本日のnotes」はあくまで雑記帳です。私が気が付かなかったことは書けないし、アニメとは無関係に言いたいことを書く時もあります。ご容赦を。
※当番組表は、しょぼいカレンダーさんのソースをもとに発行人がまとめ、編集委員会のメンバーで推敲しました。ですが、当然万全ではありませんので、番組表はあくまで目安と言う事で、あとは購読者の皆さんの側でご確認ください。
※この番組表は前日以前の発表に基づいて書かれています。正確な情報は当日の新聞や放送局サイトなどでご確認ください。
00:30
【最終回】私に天使が舞い降りた! #12「天使のまなざし」 [TOKYO MX]
01:00
【最終回】SSSS.GRIDMAN #12「覚醒」 [tvk]
01:00
【最終回】臨死!!江古田ちゃん #12 [TOKYO MX]
01:05
クロスゲーム #8「似てるんだ」 [TOKYO MX]
01:35
【最終回】おそ松さん(2) #25「地獄のおそ松さん」 [テレビ東京]
01:35
【最終回】風が強く吹いている #23「それは風の中に」 [日本テレビ]
01:35
雨色ココアsideG #12 [TOKYO MX]
02:05
【最終回】3D彼女リアルガール(2) #24「オレとあいつの未来の件について。」 [日本テレビ]
07:15
はなかっぱ 開花予想/お花見に行こう! [NHK Eテレ]
16:00
かいけつゾロリ(2) #8「まほうのちから」 [TOKYO MX2]
16:30
アドベンチャー・タイム #77「王座は誰のもの?/ベティ」 [TOKYO MX2]
17:00
こどものおもちゃ #90「メカハヤマハハハハハハヤマ/魔法の呪いはベベンのベンキ」 [チバテレビ]
17:00
スポンジ・ボブ [TOKYO MX2]
17:20
うっかりペネロペ #23「ペネロペとふたごちゃん」 [NHK Eテレ]
17:25
はなかっぱ 開花予想/お花見に行こう! [NHK Eテレ]
17:45
キッチン戦隊クックルン(2) #353「アズキとサクラのたまごやき」 [NHK Eテレ]
17:55
トロールズ #25「伝説の19番ホール/ケンカしまい」 [テレビ東京]
18:00
おじゃる丸 [NHK Eテレ]
18:10
忍たま乱太郎 [NHK Eテレ]
18:15
Go!プリンセスプリキュア #27「ガンバレゆうき!応援ひびく夏祭り!」 [テレ玉]
18:25
遊☆戯☆王VRAINS #95「不死鳥の輝き」 [テレビ東京]
18:30
ヤッターマン(2008) #29「フィギュアスケート女王決定だコロン!」 [チバテレビ]
18:45
平成天才バカボン #16「ウナギイヌの秘密なのだ」 [テレ玉]
18:45
【最終回】ねこねこ日本史(3) #17「忍者ってなんじゃ?」 [NHK Eテレ]
19:00
トッポ・ジージョ [群馬テレビ]
19:00
カードファイト!!ヴァンガード(2018)(再放送) #46「最凶の敵・アイチ」 [TOKYO MX]
19:25
【最終回】メジャーセカンド #25「約束」 [NHK Eテレ]
19:30
ルパン三世(2) [群馬テレビ]
19:30
キラキラ☆プリキュアアラモード #20「憧れまぜまぜ!いちかとシエル!」 [TOKYO MX]
22:30
【最終回】ケムリクサ #12 [TOKYO MX]
23:30
【最終回】明治東亰恋伽 #12「ストロベリームーンに抱かれて」 [TOKYO MX]
以下、28日
00:00
ケムリクサ #12 [とちぎテレビ]
00:00
【最終回】バーチャルさんはみている #12 [TOKYO MX]
00:30
【最終回】シティーハンター スペシャルセレクション #33「がんばれ海坊主!!ハードな初恋協奏曲」 [とちぎテレビ]
00:30
【最終回】シティーハンター スペシャルセレクション #33「がんばれ海坊主!!ハードな初恋協奏曲」 [群馬テレビ]
00:30
【最終回】シティーハンター スペシャルセレクション #33「がんばれ海坊主!!ハードな初恋協奏曲」 [TOKYO MX]
01:00
カードファイト!!ヴァンガード(2018) #46「最凶の敵・アイチ」 [tvk]
01:00
【最終回】ケムリクサ #12 [チバテレビ]
01:05
盾の勇者の成り上がり #12「漆黒の異邦者」 [TOKYO MX]
01:25
【最終回】revisions #12「revert」 [フジテレビ]
01:35
【最終回】この素晴らしい世界に祝福を! OVA「この素晴らしいチョーカーに祝福を!」 [TOKYO MX]
02:35
「えいがのおそ松さん」本編冒頭限界までお見せします [テレビ東京]
03:03~03:09
発達障害キャンペーンアニメシリーズ [NHK総合]
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20190105 お久しぶりです
久しぶりすぎて恐る恐る投稿してみます。まあ、告知ブログといっても、元々そんなに見られてもいないところでしたけども!
とある国家試験を受けるために、2017夏コミでサークル活動を休止していました。当時は2018のSCCから活動再開したいと思っていました…が、できませんでした。
受験勉強が終わった直後、休む間もなく仕事が予想を遙かに超える忙しさになってしまったのです。本当に大変でした。勤め人史上一番に。病みかけたというか当時はおそらく病んでましたね。どうにか大きな山は越えましたが。
そんな状況の中、原作の掲載誌は読む余裕もなく積みあがる一方で、買うのをやめてしまいました。
昨年12月の半ば、ようやく仕事の大変なところは終わりましたが、ここ数か月の原作展開で推しがそれなりに報われているらしいと知り、元ジャンルでの活動再開はおそらくないな、という心境に至りました。二次創作で当て馬扱いされがちな推しにいい思いをさせてやりたい!という気持ちからの活動でしたので…
現在は別ジャンルの友人の売り子をしつつ読み専をしております。自分のメインジャンルはyoi。yoi入口でリアルなフィギュアスケートのファンにもなりました。
twitterでyoi&フィギュア垢を作ったところ、そちらに常駐するようになってしまいました。が、本垢を放置してyoi&フィギュア垢で雑多なことをツイートするのはちょっと…という思いもあり、サークルの告知を細々とやっていたここに出戻りました。
(そんなわけで以前の記事は全部削除しました)
これからの内容はいわゆる日記です。昔mi〇iで書いてたあれの感覚で、いろいろ雑多に投下する場所にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
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Vol.1 URECCO 清水あいり : 伝説のグラビア雑誌「UREC
結局受け売りの巻頭に画を差し入れさせる雑誌””の世界観画像化は、記念するべき対巻頭の挿し絵の境のものは宝に第が弾いて、奇跡をひけらかすの茶碗フィギュアスケート体の型の清水のはボーイフレンドの両親の擁したプールの豪華な別荘に従属することとすることに到達して遊んで来て、です。ただ個の長いのための時間は張力が上昇して、ずっと服と時様式水着のため満足に力づけていて、だから多くの今日を見たいと思うことで遊びました…。たいへん完成した天然の美しい巨乳を存分に充分に楽しんで使用してください…!特別欄:ハイビジョンの晰がすすめる作品の巨乳アイドル特別欄
Vol.1 URECCO 清水あいり の動画等
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宇野昌磨ファンは忙しい
ほぼ毎日、何らかの情報発信がある。宇野昌磨的表現でいうと「毎日がぐりとぐら」状態。
思えば、超新星爆発のきっかけは6月14日のYouTubeチャンネル『OjiGaming』に「お友達のチャンネルに参加」という形式での登場だった。今までとは別人のようなハイパーテンションで登場。以後、動画をコンスタントに配信。
その三日後6/17には『ケプトの定時退社』ゲスト出演発表でヤフーニュースネタに。
6/22『ケプトの定時退社』ゲスト出演で予想以上のガチゲーマーっぷりを披露。
7月 NowVoice(音声の定額配信サービス)に出演開始。
7/26「オンラインおまよわ杯」参戦。またもやヤフーニュースネタに。
8/1本人名義による『宇野昌磨アップロードチャンネル』配信開始。
8/13 プロゲーマー「HIKARUのゲームチャンネル」で生配信コラボ。
これからもゲーマーさんとのコラボが目白押しみたいで、忙しそう。一日48時間ぐらいあるのだろうか。
8/13の配信で「スイスへ行く」とはっきり言っていたので、8月下旬か9月上旬にはスイスへ渡り、GPシリーズはおそらくフランス杯かな〜と勝手に予想。日本滞在中は思う存分ゲームを楽しむ所存だ、きっと。
YouTube「宇野昌磨アップロードチャンネル」
YouTube「OjiGaming(おじげーみんぐ)」(お友達のターボさん主催。ゲーム活動かこちらで)
NowVoice(音声ブログかTwitterみたいな感じ)
宇野樹(弟)のTwitterとInstagram(プライベート中心)。最近は🐶の話題が多い)
公式ホームページ
スイスへ渡ったら今のようなぐりとぐら状態ではなくなると思うが、スイス滞在ならではの発信を楽しみにしている。
本人発信の1〜3はどれも映像または音声というところがミソ。文字や画像ベースの発信(TwitterやInstagram、ブログなど)はアクセスしやすいが切り取りや加工されやすく、曲解されやすい。インタビュー記事も全文書き起こしでない限り、どこまで本当なのだかわからないこともある。その点、動画や音声は(基本が)シーケンシャルアクセスかつ発信側が手間かかって大変な分、切り取り・加工・曲解・捏造等が文字・画像のメディアに比べると少なくて良いのではないか、と思った。
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いろいろとタイアップできそう?
いろいろとタイアップできそう?
#アエラ
#町田樹
#アーティスティックスポーツ研究序説
#高槻阪急
#海洋堂EXPO
#海洋堂創世記
#ダース
#森永
#ホットケーキ
#安魂
#岩波ホール
#谷川毅
#周大新
現在発売中の雑誌『AERA1/3-10号』の特集は「価値観を変える48人」で、その中に町田樹さんの名前があります。
町田樹さんと言えば『アーティスティックスポーツ研究序説 フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論』です。記事をまだ読んでいないのですが、恐らく競技者から研究社へと転身を遂げた生き方が書かれているのではないでしょうか?
ちょうどフィギュアスケートの北京オリンピック代表も決まり、いよいよ冬季五輪本番ムードですから、町田さんへの注目も今後盛り上がってくるのではないでしょうか? 非常に楽しみです。
そして、昨日から高槻の阪急百貨店で「海洋堂EXPO」が始まりました。
海洋堂と言えばフィギュアでしょうが、あたしの勤務先ではこんな本も出しています、『海洋堂創世記』です。その名のとおり、海洋堂創業時のエピソード満載の一冊です。海洋堂ファンならずとも興味深く読めるでしょう。この機会…
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2020年11月の夢
- 2020年11月30日 月曜日 7:13
夢
フィギュアスケート
暗い墓場でひとり写真を撮るのを怖がっていなかった自分が信じられない
何かの売り場でふざけて試したものが炭酸水を水鉄砲みたいに吹き出すための器具ではるか遠くの家電製品屋の液晶テレビに当たってるのが見えて血の気引いた
色々みたけど忘れた
- 2020年11月29日 日曜日 6:25
夢
北海道。開拓時代。
男二人、女一人。鵜飼の鵜みたいな鳥。
女は男一人を虐げて一人を頼り、いい関係を築こうとしている。
しかし最後の最後に男が自分だけ助かろうとするので女は男を撃ち殺す。
古い家。誰かの家らしい。長屋。
スナック勤務の女性が住んでいる。
スーツのおじさんを送り出している。
サマースーツ(?)にするために服の四隅を��げる。
古い形式の家、おばあちゃんちみたいな感じ。階段で2階に上がると2室あり、ストーブやエアコンが各室ついている。消して回る。
赤くなるストーブ。内部で餅を焼いており、半面かなり焦げている、自分のおばあちゃんのようなそうでないようなおばあちゃんがそれを取り出して食べようとしている
- 2020年11月28日 土曜日 7:40
夢
引っ越したらしい。妹と住んでいる。ディティール覚えてないけど良い部屋だ。帰りはお互い17時半らしく、一緒に料理を作って祝おうみたいなことを言っている。
きめつ。木の根元で嘔吐するように苦しんでいる主人公をお屋敷のところまで運ぶ男。体育館みたいに広い空間にオカッパの日本人形をたくさん並べて寝かせている描写。
だれかの結婚式。
高層階にある広めの部屋。いくつも。
DJブースなどがたくさんある。正方形の鏡がたくさん掛けられていて向こうを見なくても人の顔がわかる。クラブ好きそうな人がたくさんいる。一眼レフで写真を撮る。撮り方のクセのせいで自分の腕も映り込む。黄色い服を着た肩。
全体的にうすオレンジにかげっていてネオンカラーに光る感じ。
新婦に声をかける。女の子が通り過ぎる。なぜか会釈のみで通り過ぎる感じ。
いとこ、叔父、昔交流のあったoさんの娘たちがいたりする。
ハンバーガーを渡され、それは限定の辛いやつで、お礼を言う。
食料棚をあらためている。パンや柑橘などがカビている。カビないことに賭けて買い込んでいたらしいがカビている。ゴミ箱によけながら罪悪感に襲われている。丸々したバナナと豆乳でバナナジュースを作ろうとする。
- 2020年11月27日 金曜日 6:45
夢
なんか見た。
- 2020年11月26日 木曜日 7:27
夢
古くて四角い車に並行して走る
刑事ものドラマ、追跡の感じ
祖父の声。
ペーパーテスト やくざの名前 適当に書いたら五問くらい正解する
知らない部屋。重厚な感じ。モニタ2台、茶色と青、鏡
泳ぎ イルカ型の浮き
教えてくれる人
プール内でぐるっと回転する
お腹が空いて入ったファミマに学生がたくさんいる、タマゴサラダ?ポテトサラダ?にコロッケを二つ購入してサンドイッチにするといい、みたいなツイート
- 2020年11月25日 水曜日 7:12
夢
テロリストになっている
車数台で乗り付け、USB数本、データ抹消しなきゃ。今は時間がない。あまり準備しなかった旅行直前のようにとにかく焦りまくっている
リックがいる。いつのまにかリクモになっている
- 2020年11月24日 火曜日 3:54
夢
ピータン食べる 母
あまりおいしくない
乗り換え 赤い線
何かの展示を見に行く
順番待ち。カフェ。前の人。時間ギリギリらしく閉店が何時か聞く
うしろにいた人が先に行く
若い男性が説明してくれる
マフラーのことを考える
伊東ドア
一階に手帳が落ちている 深緑の革の手帳、名前はないが後ろの方の日毎のメモ欄にうちのマンション名に三件訪問したメモ書きだけ薄い字で残っている、あと二棟ほかのマンション名も
筆圧弱いおじいさんみたいな文字
ここのセキュリティ管理私になっている
上の方の空いている部屋、室内にカットが変わる
「〇〇(私の苗字)ー!ギャーーッ!!」と怒りのままに叫んだ人、たぶん警察関係?、その怒りの発露が怖すぎて背中の全面がトリハダになり起きてしまった
夢2
病院で歯に何かしらの処置を施してもらう。
女性だけ口内の雑菌を殺すための液体を1リットルくらいすすがされる。
病院なのにめちゃくちゃゴキブリいて避けながら歩く感じ。
というのも入院患者の出て行った後掃除してないとこがあったから。
見たことない顔カプの本読ませてもらう。
読んでいいのかなと半分思いながら。
会う予定だった人に会える夢。
彫師のおじいさんに話を聞く。
途中から海物語の筐体と話してることになってしまった。
ユニクロの地下が閉店する予定らしくガラガラだった。
奥に緞帳のかかった舞台があり、もともとは公民館なのかとわかる。
上階に上がると中学生たちがいて何かの会が始まるようだ。座席への行き方を見失い何往復もする。
指導員らしきおじいさんが椅子の上で正座しろ、男子はこういう座り方をするな・など時代錯誤な檄を飛ばしている。
- 2020年11月23日 月曜日 7:23
夢
s先生
何かの病気が蔓延している閉鎖された施設 白っぽい
一度外に出てみたらもう今までいた部屋に入れてもらえなくなった 外国人のspみたいな人がしめだしてくる
小高いところに布団を置いて寝るがへりから落ちそうなことに気づく
別室に母 何かの委員として
焦り
夢2
とても混んでいる店
かつての同級生
間取りを考えようとしている
コーラ味の泡立つラムネ
入店制限
- 2020年11月22日 日曜日 7:32
夢
これ弾にしていいね稼いでたんだ
- 2020年11月21日 土曜日 4:15
夢
夜も更けてきた。そろそろ大浴場行くか
妹と落ち合う予定
ちゅら海に入るためにゾンビのテストをクリアする
目を水につけて先に進む
ゾンビは左右の脳をむしり取った後齧り付かないと倒せない。
二問目でまたゾンビかと思いきや筆記なので助かる。
ツリーハウス
殺虫剤をまぶしたカップケーキ的な毒餌
カラスが狂う
夢2
離れに祭り用の行灯がある
賃貸。もとの持ち主のところへ運ぶ
外に父がいる雰囲気
粉雪が降っている
- 2020年11月20日 金曜日 7:06
夢
ジョイマン
なんらかの施設 海外
ヤードム売ってる
薬物乱用患者
木製のジェットコースター
ジョジョ三部味のゼリー詰め合わせ
- 2020年11月19日 木曜日 8:24
夢
ジャンヌダルクって政治家?
- 2020年11月18日 水曜日 8:29
夢
左のポケットにスルメを入れている。
スルメがはみ出す。
給食食べなくてもいいか〜、と思ったけどやっぱり食べたくなって食堂へ行く。時間がギリギリになる。すごい急いで食べないと。
ミートソースのようなもの、ごはん、茹でたスパゲティ、リッツのチーズサンドクラッカー。
とにかくおなかいっぱいになる。起きてもお腹いっぱい
- 2020年11月16日 月曜日 7:20
夢
あさみちゃん
順番待ちで公家の人を飛ばして下請け
戦隊モノのカバン
性格の悪さをまだ三割しか曝け出していない人
- 2020年11月13日 金曜日 7:23
夢
カジノにいる
バックで走る車
- 2020年11月12日 木曜日 7:15
夢
ハートチップル
下階に両親がいて上の階に妹がいる
タルタルソースと塩
これどこで買ったの?
- 2020年11月11日 水曜日 8:27
夢
金玉バンジー
みなみ
- 2020年11月10日 火曜日 7:16
夢
前歯黒くなる
惑星 金属の外殻
- 2020年11月9日 月曜日 6:58
夢
くうちゃんが家までくる
生肉を差し出してくる
はっとりさん一家
赤いサワー 赤玉パンチ
おじいちゃんがくる
- 2020年11月8日 日曜日 7:55
夢
カービィのラブホ
テラゾーの手作り仏像
妹が病気のことを母と話す
かこさとしの絵本の出版社から二千部出す
はぐれる
おば、いとこ兄、妹に合流
エレベーターに乗り込む 狭い ブザーが鳴る
- 2020年11月6日 金曜日 6:57
夢
武田航平
父
もうすぐ出発する時間
袋に入った漬物 かぼちゃなど
部屋?で食べる
母と友人 映画を見ている感じ
最後まで見ると私の出発時刻には間に合わない
広いところ
雪のないゲレンデ
リフトに乗る
大浴場
金庫と籐のカゴ
よそのおばあさん
- 2020年11月5日 木曜日 7:09
夢
手相みたいなのを見るおばあさん
修学旅行的な
古民家の二階
- 2020年11月2日 月曜日 7:15
夢
赤ん坊がいて抱いてはいるのだが乳をやるという発想がなく抱いたまま3日くらい放置して死なせてしまう。
ほっぺがやわらかい。
半割にした魚の頭を茹でたものが売ってある。
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おまえって子は
ここ数日、ヴィクトルは家にいなかった。勇利はマッカチンと一緒に留守を守っていた。ヴィクトルはいま忙しく、泊まりがけでモスクワへ出掛けることが多い。このときもそうで、一週間の予定だった。ヴィクトルは家を出るとき気遣うように言った。
「すぐに帰ってくるからね。俺がいないあいだ、気をつけるんだよ」
「大丈夫だよ。ちゃんと練習するから」
「スケートのことだけじゃない。夜遅くに出歩いちゃだめだ。知らない人に声をかけられても簡単に信用しないで」
「子どもじゃないんだから」
「ヴィクトル・ニキフォロフに会わせてあげると言われてもついていっちゃいけないよ」
「なにそれ?」
「ヴィクトル・ニキフォロフのグッズをあげると言われてもついていっちゃいけないよ」
「ばかにしてるの?」
「勇利はヴィクトル・ニキフォロフが好きすぎるから心配なんだよ」
ヴィクトルは名残惜しそうに旅立っていった。
「マッカチン、さびしい?」
夕食のあと、勇利がソファに座ると、マッカチンがそばにやってきた。勇利は前脚の脇に手を入れて持ち上げてやり、顔をのぞきこんだ。
「ヴィクトルは明日帰ってくるよ。たぶんおみやげたくさんだから、楽しみに待っていようね」
マッカチンが元気に返事をした。
「でも、そうだね……」
口元に手を当て、勇利はちょっと考えた。彼はマッカチンを見やり、何かひらめいたというように笑みを浮かべた。
「あれ……、やっちゃう……?」
マッカチンが不思議そうに首をかしげた。
「ぼくは昔からよくしてたんだ。すごくすてきな、うれしい時間になるんだよ。しあわせなんだ」
「くぅん」
「もう夢中になっちゃう。うっとりして、ほかのことを考えられなくなるし……」
「わう」
「すごく気持ちよくなって……」
胸に手を当てると、自然と吐息が漏れた。
「べつにいけないことじゃないんだから……、いいよね?」
勇利は自分の部屋へ行き、いろいろなものを持って居間へ戻った。幾度か往復しなければ、必要なものはそろわなかった。
「ちょっと待ってね」
マッカチンが興味深そうに見守る中、勇利は筒状に丸めてあるポスターをひろげ、それを壁一面に貼っていった。もちろんヴィクトルのポスターである。大切に長谷津から持ってきたのだ。これを持ちこんだことはヴィクトルにはひみつにしてあった。べつに怒られないだろうけれど、なんとなく気恥ずかしい。
「ちょっと斜めになってるかな……だめだめ……まっすぐ……」
もちろん、壁にもポスターにも傷をつけるようなことはしない。専用の留め具を使って勇利は綺麗にポスターを展示した。大きいもの、ちいさいもの、いろいろあるけれど、どれもすばらしくすてきなヴィクトルだった。衣装を身に着けた演技中のものも、正装の気取った表情のものも、日常的なくつろいだ雰囲気のものも、たまらなくなるほど勇利を高揚させる。
「どう、マッカチン。ヴィクトルかっこいいでしょ?」
勇利は得意げに自慢した。
「これは手に入れるのに苦労したんだ……ほんとに大変だったんだから」
勇利は苦労話を披露しながら、すべてのポスターを貼りつけた。並べ方にも工夫を凝らした。他人が見たらわからないだろうけれど、勇利にとっては意味のある並べ順だった。
「これでよし、と……。次」
勇利は手持ちの映像ディスクを映し出すため、テレビのスイッチを入れた。部屋でコンピュータを使って見るのもいいけれど、居間のテレビはおそろしく大きいのだ。一度この大画面でヴィクトルの演技を鑑賞したいと思っていた。ヴィクトルがいるときには気恥ずかしくてなかなか言い出せなかったが、いないいまなら見放題である。
「どれから行こうかな……、やっぱり復帰戦? いやいや、でも、ヴィクトルの原点である昔の映像も捨てがたい……。シニアデビューなんて、もうたまらなくぞくぞくするし、ファイナルを初めて制したときのは泣いちゃうし……迷うなあ」
同居していた時代のピチットにさんざん「いいから早く選びなよ!」と注意されたにもかかわらず、勇利はいまもこういうことでいつまでも悩むのだった。この「どれにしようかな」と考えている時間も楽しいのである。
「じゃあ……、まずはこれ。世界ジュニアね」
勇利はようやくひとつを選び出した。
「マッカチン、ぼくはね、この映像を見てヴィクトルに夢中になったんだよ。なんていうか、その、ひ、ひと目惚れってやつ……」
勇利は赤くなりながら説明した。
「だってもうほんとにすごかったんだ! 高貴で……華麗で……マッカチンならわかってくれるよね!?」
マッカチンは勇利の言い分に理解を示してくれた。マッカチンはいつだってぼくのヴィクトルへの愛をわかってくれる、と勇利は大満足だった。
「じゃあ、行くよ……再生するよ……えいっ」
勇利は順ぐりにヴィクトルの試合動画を次々と再生していった。演技に興奮しすぎて感極まったときは、インタビュー映像を挟んで気持ちを落ち着かせた。しかし、インタビューの内容も勇利を感激させるものばかりで、勇利は冷静になれる時間など一秒もなかった。
「マッカチン、見てる? 見てる? ヴィクトルだよ……見てる……?」
勇利はマッカチンを抱きしめ、熱烈なまなざしを画面にそそいだ。
「このときはね、ヴィクトル、あまり調子がよくないって言われてたんだ。公式練習でもいつものあざやかさがないとかなんとか……。確かに、上がりきってないのかなっていう感じはあって、ぼくすごく心配だったんだけど、でもヴィクトルだからね! もちろん試合では最高の演技だったよ! 金メダル! やっぱりね、ヴィクトルはどんな調子でも、試合にはばっちり合わせられるんだよ! 練習でいくら失敗しても、本番できまれば問題ない。ヴィクトルはね、そうなんだ。練習でいまひとつだなあって顔してるときでも、あまり気にしてないんだよね。『まあ本番ではきめるから』って感じ。それで実際そうしちゃうんだよ! すごくない? さすがじゃない? かっこよくない?」
勇利はマッカチンを上から抱きかかえ、つむりにおとがいを押しつけた。
「あっ、もちろん、練習から完璧なときもあるよ! 軽々と四回転を跳んじゃってさ……それも次々。失敗しないんだ。あんまり簡単に跳ぶから、あれ、いまのって四回転じゃないの? って不思議になったりする。四回転なんだけどね。ふわっと跳ぶんだよ。ふわっと! 着氷もね、すーって。すーっ!」
言ったあとに、ヴィクトルが「すーっ」と着氷したものだから、勇利は声を上げ、「いまの! いまのやつ! いまのやつねマッカチン!」と教えた。
「あとさ……衣装もさ……いつもすてきだよね……似合う……。ヴィクトルは衣装にもすごくこだわってるから。細部までうつくしくて……。それに、同じプログラムでもいろんなのがあるんだよ。ヴィクトル・ニキフォロフは、演技だけではなく、彼の衣装も人々の関心を集めるすばらしい要素のひとつである」
フィギュアスケート雑誌の解説のようなことを言って、勇利はうんうんとうなずいた。
「あっ、これね、これ、ヴィクトルが初めて���部自分でしたやつ。音楽も、振付も、衣装も、自分が主導でやったやつだよ。前から意見は言ってたけど、とうとう彼が……。インタビューでね、最初のころはコーチに心配されたし、いろいろだめなところを指摘されたって言ってた。でも最終的にはこうなったんだよ。最高だよね。ぼくこれ大好きなんだ……」
勇利はうっとりと画面の中のヴィクトルに見入った。
「すごくなじんでるし……ヴィクトルのいいところが最大限に引き出された……って感じ……」
それから勇利はふふっと笑った。
「でもヴィクトルの『いいところ』なんてたくさんあるから困っちゃうね。ぜんぜん印象のちがうプログラムでも、全部ヴィクトルは自分のものにしちゃうから」
勇利は映像を変えながら、「このときはヴィクトルはこうで」「試合前こんなことを言ってて」「このジャンプはなかなか完全にきまらなくて、この試合で初めて文句なしの出来になったんだよ」「いまの! いまの見た!? GOEプラス3! 完璧! 最高!」「この鬼ステップ見てよ。ヴィクトル以外できないよ」「ヴィクトルのスピン! スピンは芸術! 芸術はスピン!」とおしゃべりに夢中になった。マッカチンは熱心に聞いていた。気持ちがどんどん高揚した勇利は、どきどきしながら次のプログラムに移った。
「マッカチン、これね……ぼくがいちばん好きなやつ……、ううん、ヴィクトルのは全部いちばん好きなんだけど、とにかく好きなんだ……見て……」
ヴィクトルが優雅に、高潔に、このうえなくうつくしく舞った。勇利はほとんど泣きそうだった。ヴィクトルのことで頭がいっぱいだった。彼のことしか考えられない。ヴィクトルへのたまらない気持ちが大きくて、言葉も浮かんでこなかった。勇利の目元に涙がにじんだ。
「ヴィクトル……ヴィクトル……」
ヴィクトルが四回転フリップを跳んだ。
「ヴィクトル、大好き! 大好き、好き! ほんとに好き!」
勇利は瞳をうるませながら、高ぶる感情にまかせて叫んだ。
「ヴィクトル大好き! 結婚して!」
「いいよ」
「──は……?」
なんだいまの声……。勇利はぱちりと瞬いた。空耳かな? マッカチンの鳴き声? テレビから聞こえた? でも演技にそんな声が入っているなんておかしいし、すごく近いところから聞こえたような気がする……。
勇利はゆっくりと振り返った。ヴィクトルが勇利のすぐ後ろに立ち、口元に手を当てて画面をみつめていた。
「これいつだっけ? どの大会? フランスだったかなあ」
勇利は頭の中が真っ白になった。なんで? なんでヴィクトルがここに? 仕事は? モスクワは? 動画見てるあいだに二十四時間経っちゃったの?
勇利は黙って立ち上がった。
「いつだったかはおぼえてないけど、氷の具合はおぼえてる。この会場は……、勇利?」
勇利はヴィクトルの腕を引いて方向を変えさせ、扉のほうを向かせた。そして背中をぐいぐい押して部屋から出てもらった。
「なんだ? どうしたんだい?」
勇利は戸を締めた。一度大きく深呼吸し、それから猛烈な勢いで働き始めた。動画を停止させ、ディスクをすべて入れ物に戻し、ポスターもみんな剥がした。もちろん破れたりしないように細心の注意を払ったけれど、とにかくものすごい速さの仕事だった。勇利は綺麗に私物をまとめてしまうと、自分の部屋へそれを片づけた。居間は元通りになり、勇利が熱狂していた形跡などなくなった。マッカチンがソファの上で勇利を見ていた。
「おかえり、ヴィクトル」
勇利は扉を開け、ヴィクトルを迎え入れた。
「疲れた? 仕事大変だったでしょ?」
「まあね。ああ、どうもありがとう」
勇利はヴィクトルからかばんや大きな紙袋を受け取り、居間のソファの上に置いた。
「ごはんは?」
「食べてきた」
「そう。じゃお茶淹れるね」
ヴィクトルがソファでマッカチンとくつろいでいるあいだに、勇利は丁寧に紅茶を淹れた。しずしずと運んでいくと、ヴィクトルが笑顔で礼を述べた。
「帰るの明日じゃなかった?」
「勇利とマッカチンに早く会いたくてね。今日のうちに帰れそうだったからそうした」
「無理したんじゃないの」
「こんなの無理のうちに入らないさ」
「そう」
「おみやげがあるよ」
「ありがとう」
「食べ物もあるけど……勇利はほどほどにね」
「うん」
ふたりはしばらく、静かに紅茶を飲んだ。マッカチンはヴィクトルにぴったりとくっついていた。マッカチンがうれしそうでよかったなと勇利は思った。もちろん、ヴィクトルが帰ってきて勇利もうれしい。
「ところで勇利」
「はい」
「結婚式はいつにする?」
勇利は口にふくんでいた紅茶を噴き出しそうになった。彼は噎せながらカップを置き、ヴィクトルに向かって声を高くした。
「なんで連絡してくれなかったの!?」
「驚かせようと思って」
「確かに驚いたよ! 驚いたけど、ああいうのよくないと思う!」
「俺の動画見ておおはしゃぎしてたから?」
「……言わないで」
勇利は両手でおもてを覆った。恥ずかしくてたまらなかった。頭がおかしいくらいヴィクトルに騒いでいるところを見られた。
「……いつから見てたの?」
「いつからだろう。わりと長いことかな」
「なんですぐ声かけてくれないの!?」
「いや、楽しそうな勇利がかわいくて。俺のこと大好きなんだなあと思って」
「そんなの前から知ってるじゃん! いまさら確認しなくてもいいでしょ!?」
「そうだ。前から知っている。なのになんでいまさらそんなに照れてるんだ?」
「好きだって知られてるのと、好きなのを大々的に態度に出してるところを見られるのとではぜんぜんちがうんだよ……」
うう、と勇利はうめいた。涙が出そうだ。ヴィクトルに見られていたなんて。
「あんなにポスター持ってたんだね」
「言わないで」
「いつごろのなのか、何のポスターなのかおぼえてないのがたくさんあった。あとで見せてくれるかい?」
「やだ」
「そう恥ずかしがらないで。心配しなくても、普段リンクで俺の演技を見てる勇利はあんな感じだよ」
「ぜんぜん安心できないんだけど! それにそういうときはべらべら感想しゃべってないでしょ!?」
「でも目が言ってるからね」
ヴィクトルはくすっと笑った。
「好き好きヴィクトル、愛してる、結婚してって」
「ばか!」
「ポスターは? 剥がしちゃったのかい?」
「ヴィクトル」
勇利は真剣な顔をヴィクトルに近づけた。
「忘れて」
「え?」
「いま見たことを忘れるのです」
「いま見たことって? 勇利がヴィクトル・ニキフォロフにきゃーきゃー言って好き好き騒いでたこと?」
「黙って!」
勇利はヴィクトルと額をごつんとくっつけた。
「なお、この話が終わった三秒後、貴方の記憶は自動的に消滅します」
「自動的に」
「3・2・1……ゼロ」
勇利はヴィクトルから離れた。ふうと息をつき、優雅に紅茶を飲んでいると、ヴィクトルが口をひらいた。
「結婚式の服装はどういうのがいい? 和装? 洋装? 勇利はどちらも似合うだろうね」
「忘れてって言っただろ!?」
勇利はものすごい勢いで振り返って苦情を述べた。ヴィクトルは笑った。
「いくら俺が忘れっぽくても、勇利のことは忘れないよ」
「そういうことじゃなくてさ! ヴィクトルには情けってものがないの!?」
「勇利、さっきのディスクを持っておいで。一緒に見よう」
「拷問なんだけど!!」
「俺が取ってこようか」
「ぼくが行きます!」
勇利は慌てて立ち上がった。ヴィクトルを部屋へ入れたら、きっとポスターまであばかれてひろげられてしまうだろう。冗談ではない。
「……これですけど」
「たくさんあるね」
「言わないでよ……」
「何が恥ずかしい? 勇利は俺のことが好きだろ? それがいけないことなのか?」
「いけないことじゃないけど、とにかく恥ずかしいんだよ」
「勇利の愛は崇高だ。堂々としていればいい」
「好きな相手にそんなふうになぐさめられるなんて思いもしなかったよ」
勇利には過酷なことだった。あんなことがあったのに、ヴィクトルと一緒にヴィクトルの動画を見るというのは、かなりの責め苦だ。正直なところ、逃げ出したかった。とはいえ、映像が始まればヴィクトルに夢中になってしまうこともまた事実で……。
「ヴィクトル、いまの見た?」
「ああ、見たよ」
「すごいよね」
「あれはちょっとばかり練習したよ」
「ちょっとばかり!? ちょっとでできるの!?」
勇利は動画に熱中し、きらきらと輝く瞳でヴィクトルをみつめた。ヴィクトルは笑いながら勇利の髪に頬を寄せ、かるくくちづけた。
「あっ、いまの! いまのすごい! あれ、できる?」
「できるよ」
「すごい! すごいすごい!」
「勇利はこのプログラムのどんなところが好き?」
「え……、かっこいいし……優美だし……なんかもうすごくて……」
「勇利、きみは技術的にも芸術的にもこの演技を解説できるはずだよ。やってごらん」
「えー、無理! そんなのできない!」
勇利は頬に両手を当て、いやいやとかぶりを振った。
「前に自分の動画を見たとき、これにはこういうところが不足していて、こういう練習をしてここを補えばよくなる、そう思ったからやってみた、と教えてくれたじゃないか」
「ヴィクトルの演技は無理だよ! そんなふうに冷静に見られないよ!」
「興奮しちゃう?」
「興奮しちゃう!」
勇利は画面の中のヴィクトルに見入った。ジャンプやスピン、ステップはもちろん、ヴィクトルの視線、ヴィクトルの指先、ヴィクトルの表情、衣装がなびく様子にさえも感じ入った。勇利は熱心にヴィクトルに話しかけた。
「ね、ヴィクトル、かっこいいでしょ? ヴィクトルかっこいいでしょ?」
ヴィクトルはくすっと笑うと、「ああ、かっこいいよ」とうなずいた。
「やっぱりヴィクトルもそう思う? どのあたりがかっこいいと思う?」
「だいたいにおいて他人に興味のない勇利をここまでめろめろにするなんて、かっこよくないわけがない」
「あっ、いま、着氷乱れた? なんで乱れたの?」
「俺だってたまにはそういうこともある」
「うそだ、ヴィクトルにはそんなことないよ。もう完璧なリビングレジェンドだもん」
「この演技、まだそう呼ばれてないころのやつじゃないか」
「じゃあもう乱れない?」
勇利は真剣にヴィクトルをみつめた。
「これからあとの演技は完璧?」
ヴィクトルは笑い出し、勇利の肩を引き寄せて髪にキスした。
「ああ、完璧だよ」
「やったー」
勇利は無邪気に喜んだ。
「さすがヴィクトル……」
「こんなに熱狂的なファンの期待は裏切れないからね」
「あっ、いまの振り好き! 好き!」
「そうかい?」
「うん。いまのとこかっこいい! もう一回見ていい?」
「いいよ」
「あっ、ほらかっこいい……。ね?」
「そうだね」
「すごい……。ヴィクトル、この演技解説して。悪いところないよね。もう全部最高」
「そうかな。そんなに速さが出てないし、乗りきれてないよ。ステップも途中で転びそうになってたね。上手くごまかしたけど。プログラムがまだなじんでないのか、いかにも慣れない感じだし、調子が悪いせいかジャンプが重そうだ。いまのジャンプも着氷がちょっと詰まってるね」
勇利はむっとしてヴィクトルをにらんだ。
「そんなことないよ。すごい演技だよ。だって金メダルだよ」
「ああ、金メダルだよ。でもそんなのは関係ない。演技として、こんなんじゃだめだね」
「…………」
勇利は隣にいるヴィクトルをうっとりとみつめた。ヴィクトルが「どうしたんだい?」とほほえんだ。
「ヴィクトル……かっこいい……」
ヴィクトルが笑った。
「自分に厳しいんだね……。さすがヴィクトル・ニキフォロフ……。そうやって研鑽を積んでいくんだ……」
ヴィクトルは笑いで肩を揺らしながら勇利を抱き寄せ、頭をこつんとくっつけてささやいた。
「まったく、勇利のヴィクトル熱にはまいるよ」
「だって──」
勇利はヴィクトルがどれほどかっこうよいか、どれだけ鋭い目を持っているか、どれくらい努力しているかを熱烈に語ろうとしてはっと我に返った。そんなことを教えられるまでもなく、ヴィクトルはヴィクトルのスケートに対する情熱を知っているのだった。
やっちゃった……。
勇利は赤くなった。ヴィクトルの前でヴィクトルヴィクトルと騒ぐのがあんなに恥ずかしかったのに、またやってしまった。
「あ、あの……」
勇利はおずおずと切り出した。
「なんだい?」
「もうそろそろ、寝ない……?」
「そうだね」
ヴィクトルはおもしろがって提案した。
「大好きなヴィクトル・ニキフォロフと一緒に寝るっていうのは、どうかな?」
「け、けっこうです!」
「ただいま」
勇利は練習を終えてひとりで帰宅した。ヴィクトルは今日は休みだ。マッカチンが奥から駆けてきて、おかえりというようにひと声吠えた。
「ただいま、マッカチン。ヴィクトルは?」
勇利はマッカチンに話しかけながら居間のほうへ歩いていった。扉の向こうから音楽が聞こえた。何か聴いているのだろうか。いや、これはテレビの音だろうか? 勇利は戸を開けようとしてはっとした。知っている曲だった。勇利の過去のプログラム使用曲だ。
「ああ、勇利、綺麗だ、うつくしいよ!」
ヴィクトルの声がした。まさかと思った。まさか。まさか。こんなことが……。
「すてきだ。いいね、いまのアクセル! その入り方で軽々跳べるんだね。さすがは俺の勇利だ」
勇利は勢いよく扉を開けた。顔がまっかになっていた。思った通り、ヴィクトルはあの大画面のテレビで、勇利の演技を鑑賞していた。
「��まの振り向き方! ぞくぞくするね。なんて目つきなんだ。冷静で、挑戦的だ……」
さすがにポスターは貼っていなかった。勇利はほっとしたけれど、それでもじゅうぶんに気恥ずかしいことだった。やめて欲しい。
「勇利! 勇利、いいよ……きみは最高だ!」
「ヴィクトル!」
勇利はなかば怒りながらヴィクトルに近づいていった。
「何やってるんだよ!」
「ああ、おかえり、勇利」
ヴィクトルはにっこり笑って振り返った。いかにもいま気がついたというようなそぶりだが、絶対にわかっていたにきまっている。
「勇利の過去の映像を見てるんだ。一緒に見ないか?」
「見ません!」
「そう言わずに。綺麗だよ」
ヴィクトルは勇利を無理やり隣に座らせた。勇利としては断固として拒絶したいところだったけれど、ヴィクトルにしっかりと肩を抱かれたので逃れることができなかった。
「ほら、見てごらん」
ヴィクトルが上機嫌で画面を指さした。
「これはいくつのとき? かわいいね。いまもかわいいけどね。でもいまより幼いね。いや、だけどどうだろう。勇利はいつもかわいらしいからわからないね。変わらないかな?」
「これは十九のときだよ。変わってるにきまってる」
「ワオ、そんなに前? 確かにいまより顔つきは子どもっぽいね。でも綺麗だよ。十九のみずみずしさがある。十九歳の勝生勇利か。なんだかどきっとする響きだね」
「意味がわからないんだけど」
「いまは二十四歳だね。二十四歳の勝生勇利……。ぞくぞくするね」
「結局何歳でもいいんじゃないか」
「そうだよ。俺は勇利ならいくつでもたまらない魅力を感じるんだ」
「ヴィクトル、酔ってるの?」
「ほら、いまのところ。いいね。清麗だね。すばらしいよ」
何がすばらしいのか勇利にはさっぱりわからなかった。反論しか思い浮かばない。
「そうかな。未熟だよ。おそるおそるって感じ。もっと思いきりよく行かなきゃ」
「そうかもしれないが、その初々しさがいいんだ」
「そう? 恥ずかしいよ。もっと、こう……」
「清廉潔白って感じだね。素直な、綺麗な演技だよ。勇利��魂が澄んでいるからだろうね」
「ちょっと……」
そういう褒め方をされるとそわそわする。もっと技術的な話をして欲しい。
「なんていうか、たたずまいが可憐だ。でも、凛々しいね。このぴんと張り詰めた空気。これが勇利のうつくしさにつながるんだろうね」
「あの、ヴィクトル、やめてください……」
「背筋が伸びて凛としてる。負けてたまるかっていう目つきだね。こういうの、大好きだよ。静かな決意がうかがえる」
「黙って見てられないの?」
「綺麗だよ、勇利。綺麗だ……」
「やめて……」
「うつくしい」
ヴィクトルはそのあとも、「この水際立った物腰」「鋭い集中力」「慎ましやかなしぐさ」と勇利のことを褒めちぎった。勇利は気恥ずかしくて聞いていられなかった。
「ああ、勇利、綺麗だ。本当に綺麗だ。うつくしい。勇利が好きだ。大好きだ!」
「ヴィ、ヴィクトル……」
「どうしようもなく好きだよ。おまえがいとおしいよ。勇利」
勇利は両手でおもてを覆った。
「好きだ。たまらなく好きだ。勇利、大好きだ。結婚してくれ!」
勇利ははっとして目をみひらいた。ゆっくりと瞬き、手を顔から外し、おずおずとヴィクトルを見た。ヴィクトルは優しく笑って勇利をみつめていた。彼の青い瞳がきらめいた。勇利は口をひらいた。
「……はい」
「……この動画、どこで手に入れたの?」
くちびるが離れると、勇利はうすくまぶたを開けて尋ねた。ヴィクトルは勇利の目元にキスしてから楽しそうに答えた。
「ミナコがくれたよ。彼女は勇利の秘蔵映像をたくさん持っている。今度ポスターももらおうかな」
「絶対だめ」
「勇利は俺のを何枚持ってる?」
勇利はヴィクトルにもたれかかり、彼をおおげさににらみつけて尋ねてやった。
「結婚式はいつにするの?」
ヴィクトルは笑い出した。
「好きな相手の映像を見て、ああして声を上げてはしゃぐというのはなかなかいいものだね。気に入ったよ。勇利の気持ちがわかった」
「そう」
勇利はつんとそっぽを向いた。
「ヴィクトルの動画を見るのは楽しいけど、ぼくの映像を見て楽しむヴィクトルの気持ちは、ぼくにはさっぱりわからないよ」
ヴィクトルは目をまるくし、それから、たまらないというように勇利を抱きしめた。
「勇利、おまえって子は!」
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1612-1911 断片、その先(全章)
1-1612 三年前
「俺が勇利のコーチじゃなきゃいいのに」
ヴィクトルがコーチになったその年のグランプリファイナル。試合後のバンケットも終わり、それぞれの部屋に戻る途中のことだった。何の文脈もなく発せられたその台詞に続く言葉が予想できなくて、勇利は少し身構えた。エレベーターのボタンを押して、ヴィクトルは続ける。
「ときどき思うんだ。例えば勇利が絶不調のときね。心がもたないよ。ただのライバルなら、今回は競争相手が一人減ったなって喜ぶだけで済むだろうに」
なんだ、とありがちな話に勇利は少し安心して、「ヴィクトルでもライバルが減るとうれしいと思うんだ」と笑って返した。
「思うさ。俺は勝利に貪欲だからね」
エレベーターの扉が開く。乗客は誰もいない。
「僕はヴィクトルがコーチじゃなきゃよかったなんて、思ったこと一度もない」
ヴィクトルが少し間を置いた。「うれしいことを言ってくれるね」と微かに笑う。
「だけどやっぱり俺は思うよ。コーチじゃなきゃよかったって。特に���ういうときなんかは」
「銀メダルでごめんなさい……」
「うん、いや、そうじゃなくて」
ヴィクトルが勇利の目をまっすぐ捕らえた。青い目に違和感があった。
「勇利が欲しくてたまらないとき」
言われた言葉の意味がわからなくて、勇利は文字通りきょとん、とした。エレベーターの扉が開く。ヴィクトルが先に降りて、勇利は慌ててあとに続きながら軽く混乱する。今、この人なんて言った? 返事ができないまま歩いていると急にヴィクトルが振り返った。
「勇利の部屋はあっち」
ハッと気付く。
「おやすみ勇利。今回の滑りは最高だったよ」
コーチの部屋の扉が閉まり、オートロックの鍵が閉まる小さな機械音が廊下に響いた。
三年前のことだった。
2-1710 新宿の夜
これはたぶん何かを超えてしまった。
そう勇利が悟ったのは、ロシアに拠点を移してから半年、スポンサーとの仕事で日本に一時帰国したときだった。一年間のコーチ生活ですっかり日本が気に入ってしまったヴィクトルは、ここぞとばかりに勇利に同行した。が、この時の彼はもう勇利のコーチではなかった。グランプリファイナルでライバルたちの勇姿を見た彼が浮かれた頭で思い描いたコーチ兼ライバルという関係は、とはいえ到底現実的なものではなかったのだ。それでも勇利がロシアに渡ったのはただ日本にふさわしいコーチがいなかったからで、その頃の勇利には、ヴィクトルのコーチであるヤコフ・フェルツマンの紹介で新たな(そして有能な)ロシア人コーチがついていた。
仕事の前に無理やり長谷津に立ち寄って、実家に一泊だけしてから東京へ移動しいくつかの撮影やインタビューを済ませると、たった四泊の慌ただしい日本滞在はあっという間に終わってしまった。日本にいる間は不思議な感覚だった。二人の関係は常に変わっていく。憧れ続けたスター選手とどこにでもいるスケーター。突然現れたコーチと再起をかけた瀕死のスケーター。そして、最高のライバルを得た世界トップクラスのスケーター同士。自分の立場の変化に、ときどき勇利の心は追いつかない。こんなに遠くまで本当に自分の足でたどり着いたのか、いまだに半信半疑でいた。「もしこの人を追いかけていなかったら」。ヴィクトルのいない人生を思うと、勇利はいつも自分の存在自体を疑いたくなるのだった。
日本滞在最後の夜、新宿のホテルの近くにある焼き鳥屋で、二人はだらだらとビールを飲んだ。小さな飲み屋が連なるそのエリアは外国人観光客で溢れていて、煙だらけの狭い店内に不思議と馴染んだヴィクトルは普段よりも一段と楽しそうに笑っていた。めったに味わうことのない観光気分が、彼の抱えるプレッシャーを和らげていたのかもしれない。「博多の夜を思い出すよ」なんて言いながら、コーチ時代の思い出を語り始める。妙に懐かしかった。あれから大して時間も経っていないのに、二人にはそれがはるか昔のことのように思えたのだ。
「ずっと聞きたかったんだけど」
店内の騒々しさを良いことに、勇利はこれまでずっと不安に思い続けてきたことを聞いてみた。
「コーチをしていた一年を、ヴィクトルは後悔していないの」
ヴィクトルはそれまで上機嫌に細めていた目を大きく見開くと、何を言ってる? と言わんばかりの顔で勇利を見返した。そしてすぐに、ふっと笑った。
「勇利はびっくりした?」
「した。今でもあの頃が信じられないし、ロシアに拠点を移した今の状況もまだ信じられないよ」
「俺もね、びっくりしたんだ」
「自分の行動に?」
「全部だよ」
「全部」
「そう、全部。勇利のコーチになれたことは大きな意味があったんだ」
「コーチになって良かった?」
「俺が勇利のコーチじゃなきゃいいのに」
突然、頭の片隅で声がした。バルセロナで聞いたあの台詞。目の前のヴィクトルは何も答えず笑っているだけで、あの時のことを覚えていたかはわからない。だけどなぜかそれ以上聞いてはいけない気がして、勇利は飲みかけのビールを手に取った。
その後もだらだらと話を続けた二人は、ホテルへの帰り道、どういうわけか、本当にどういうわけか、気付くとキスを交わしていた。何がそうさせたのか、勇利は今でもわからない。まっすぐ帰ればいいところを、なぜかわざわざ回り道をして、ときどき肩をぶつけては、時間を惜しむようにゆっくりと二人は歩いていた。ちょっとした流れのようなものだった。右足が出たら次に左足が出るように、それくらい自然に、歩く二人の距離が近づいた。それで唇が触れ合ったその瞬間、喧騒が消え、街灯が消え、視界は閉ざされ、過去から繋がってきた一つの線がそこで急にプツリと途絶えた。このあと一体どうすればいいのかわからない二人は、そのまましばらく唇の熱を分け合いながら、たぶんもう戻れない。そう思った。
ホテルの部屋は別々にとっていた。足早にエレベーターに乗り込むと、勇利はヴィクトルのフロアのボタンだけを押した。乗客は二人だけ。行き先は一つだけ。決定打を押したのも勇利だった。銀髪に触れるほどの距離で、彼は小さく囁いた。
「ヴィクトルはもうコーチじゃないよ」
その夜、勇利は初めて男に触れられる感覚を知った。
3-1904 春を走る
東京では浜辺を走れない。ランニングの途中で砂浜に降りて、ウミネコを眺めながらぼんやりする、そうした時間はここにはない。代わりに勇利は公園を走る。少年野球のチームや、体育大学の学生や、小洒落たウェアに身を包んだ若者や、犬の散歩をする老人に混ざって、長谷津よりもひんやりとした東京の春を彼は走る。トレーニングではない、ただの日課。帰り道、公園脇のカフェでショートサイズのコーヒーを買う。カップを持つ彼の右手に、かつてはめられていた指輪はない。マンションに着くと、シャワーを浴びて仕事のメールを確認する。マネージメントを任せているエージェンシーから、新しいアイスショーの話が来ていた。断る理由もないので、淡々と勇利は返信を打つ。
新しい日々が始まっていた。一人のプロスケーターとして、日本のスケート史上に名を残したメダリストとして、人生の次のキャリアを進み始めた26歳の青年として、東京の勇利は忙しかった。
4-1908 ときどき思い出す
スケートに関わっている限り、勇利がヴィクトルのことを避けて生きてくことはできない。お互いすでに引退した選手だとはいえ、レジェンドの称号を得た男がスケート界の過去になるには、まだまだ時間が足りなかった。
引退後のヴィクトルの活動は、悪い言い方をすれば多くの人の期待を裏切るかのように地味なものだった。セレブタレントの座に落ち着くことはなく、無駄に広告やメディアに露出することもなく、フィギュアスケート連盟の一員として選手強化と環境改善に従事した。もちろん天性のカリスマ性とスター性は裏方になってもなお人々の目を引き、解説者やコメンテーターとしてテレビに出れば視聴者は彼の一言一句に注目したが、いずれにせよ今のヴィクトルの活動は今後の主軸を定めるための調整期間のように見えていた。どこかふわふわしていたのだ。
コーチ業に転身しなかったことを不思議がる人もいなくはなかったが、多くのファンや関係者にとってヴィクトルが勇利のコーチをしていた一年間はラッキーな気まぐれのようなものとして記憶されていたし、あのシーズンの勇利が劇的な活躍を見せたのも、ヴィクトルのコーチ手腕というよりはライバル同士の��なケミストリーの結果だと認識されていた。「コーチごっこ」とは当時の辛辣なメディアが何度も書き連ねた言葉だが、誰もが心のどこかでそう思っていたのだ。誰もヴィクトルにコーチになって欲しくなかった。まだ十分に戦える絶対王者として、華やかなその演技で自分たちの目を楽しませて欲しかった――ただ一人を除いて。勝生勇利、彼の教え子になり得たたった一人の男、彼の独りよがりな望みだけが、世界中の期待を跳ね除けたのだ。だけどそれも今となっては、たくさんの過去のひと幕に過ぎない。
今でも勇利が取材を受けるときは、決まってヴィクトルのことを聞かれる。ロシアで切磋琢磨した二年間(とはいえ勇利が渡露した一年後にヴィクトルはあっさり引退したわけだが)、帰国後の一年間、かつてのコーチでありライバルでもあった彼とはどんな関係を築いていたのか。それで今、二人はどんな関係にあるのか。そう言われても、と勇利は思う。
連絡は取っていなかった。取るわけがなかった。理由がないのだ。ロシアのスケート連盟と日本のプロスケーターが個人的に連絡をする必要はないし、人は二人を「元ライバル」なんて呼ぶけれど、正しく言うならばその関係は「元恋人」と言うべきもので、そんな二人が連絡を取らないことに説明は要らない。
勇利は昔から熱心にヴィクトルを追いかけてきたけれど、何かにつけて、彼を遮断するときがあった。自分のスケートに集中しきっているとき、成績が振るわずヴィクトルの栄冠を見るのがつらいとき、絶望しているとき、他に心奪われるものができたとき。今はそのどれでもないけれど、だから勇利はヴィクトルの遮断にわりと慣れていて、今もその最中だった。ヴィクトルのことはわからないし興味もないです、なんてことが言えるわけもなく、勇利は当り障りのない言葉でインタビュアーをごまかすのだった。
メディアで彼を見かけることもあった。勇利は別にそうしたものを一切視界に入れないようシャットアウトしているわけではない。見ても何も思わないよう、自分の心に遮断機を下ろすのだ。ヴィクトルは相変わらず美しく、今でも目を奪うには十分すぎる魅力がある。それでときどき、本当にときどきだけど、その細く乾いた銀髪���見ながら勇利はこう思う。
「僕はこの人のセックスを知っている」
だけどそれがどんなものだったか、あの途方もない感覚を勇利はうまく思い出せない。
5-1710 変化の朝
初めて体の関係を持った新宿の夜、勇利はそれをセックスと呼んでいいのかすらわからなかった。ホテルの部屋のドアを開けるなり、二人は貪るかのようにキスをして、無抵抗の勇利はヴィクトルの手になぞられるままにその肌を露わにした。首筋から肩に流れるラインにヴィクトルの唇がひときわ強く吸い付くと、勇利はだけど耐え切れない恥ずかしさと緊張で相手の両肩をぐっと押した。「汗、かいてるし、においも、さっきの」。うまく繋がらない一言一言を、ヴィクトルはうん、うん、と逐一頷きながら拾って、どうしてもそれてしまう勇利の目をまっすぐ追いかけた。「じゃあシャワー行こう」と言って腕を引くと、バスルームの引き戸を開けてシャワーをひねり、自分はあっさりと服を脱ぎ捨てた。熱湯で一気に眼鏡が曇る。まだかけてたんだ、とヴィクトルは笑って、勇利からそっと眼鏡を外すと彼をシャワールームに引き連れた。肌を流れる水が、たくさんのものを洗い流していく。汗と、恥じらいと、ためらいと、キスと、手の感触。ぴったりと密着した下半身でどちらともなく硬くなったそこを感じると、勇利は思わず声を漏らした。ヴィクトルの大きな掌が二人のそれを握りしめる。流れ続けるシャワーの音が二人を世界から隔離したように思えて、勇利はただ耳だけを澄ませながら、見えない感覚に身を委ねた。腰が砕けたのはそのすぐあとだ。ヴィクトルの体にしがみつくと、水がベールのように二人の体を包み込み、発散しきれない熱にともすれば意識を失いかねない。立ち上る水蒸気に混じって、知らない精液のにおいがした。
早朝に目を覚ました勇利は、しばらくベッドの中でぼんやりしていた。鼻の先にあるヴィクトルの肩は、まだ静かな眠りの呼吸に揺れている。頭が現実を取り戻してくると、突然今日のフライトを思い出した。慌ててベッドから起き上がり、銀髪の人を軽く揺らして声を掛ける。
「ねぇ、荷物まとめないと。僕、一度部屋に戻るよ」
ヴィクトルは目を開けなかったけれど、ん、と声を漏らしながら腕を伸ばすと、手探りで勇利の頬に触れた。
「キスをして」
脱ぎ散らかした服を手早く身に付けると、勇利はヴィクトルの部屋を出た。誰もいないホテルの廊下を歩きながら、ああ、僕はゲイだったんだ、と思った。昨晩の衝撃と、今朝の納得と、変わりすぎた二人の関係に、勇利はどこかまだぼんやりしていた。ぼんやりしながら、踊り出したいくらいにうれしかった。
6-1909 走れない日
走りに行けない朝がある。
カーテンの端を見つめたまま、勇利の体はどうにも動かない。
一人分の体温と一人分の空白を抱えながら、ベッドの中で涙が乾くのをじっと待っている。
7-1812 男たちの別れ
ヴィクトルが引退した翌年、勇利のロシア二年目のシーズン、勇利には今が自分のラストシーズンになる確信があった。それは別にネガティブなものではなく、肉体的なピークと精神的な充足感が奇跡的なリンクを成し、ごく自然なかたちで、彼は自分自身に引退の道を許したのだった。スケーターとしての勇利にとっては何の問題もない選択だったけれど、一方で一人の男にとって、ある種の偉業をなし得たとはいえまだまだ二十代も半ばを過ぎたばかりの未熟な男にとっては、巨大な不安がはっきりと顔をもたげ始めた瞬間だった。この先自分は何者として、どこで、誰と、どう生きていけばいいのだろう。
その不安はヴィクトルとの関係において顕著だった。具体的に言えばその頃から、勇利はヴィクトルとのセックスを拒否するようになっていた。勇利の人生にとってスケートとヴィクトルは常にセットで、スケートを介さなければ決して出会うことがなかったように、スケートなしでは二人が恋人の(ような)関係になることはあり得なかった。だからこそ勇利はこわかったのだ。自分からスケート選手という肩書きがなくなったとき、すでに現役選手としての肩書きを捨てているヴィクトルと、果たして純粋に今の関係を続けられるのかが。
勇利が初めてヴィクトルと関係を持ってからの一年間、二人のセックスは、よく言えば情熱的な、悪く言えば無茶苦茶なものだった。スケートと同じくらいの情熱を持って何かを愛するという経験を持たなかった二人は、それまで溜め込んできた「愛する」という欲望のすべてを互いにぶつけ合った。セックス自体の経験値こそまるで違えど、ぶつかる熱の高さは競いようもなく、貪欲な絶頂に幾度となく体を震わせた。競技者という者たちが決定的に抱える孤独が、その時だけは確かに溶けていくと実感できた。その意味において、勇利にとってヴィクトルとのセックスは、特別な意味を持ち過ぎていたのだ。ヴィクトルなしでは成立し得ない彼の人生は、それまではスケートという枠組みの中だけに言えることだった。だけど今は、全部なのだ。全部。
「セックスがつらいから別れるの?」
「そうじゃない」
「わからない、じゃあなんで」
「ヴィクトルはそれでもいいの」
「セックスのために一緒にいるわけじゃない」
「違うよ、違う、だけどつらくて仕方がないんだよ」
「自分だけがつらいふりをして!」
ヴィクトルにはわからなかった。勇利に惹かれ、勇利を求め、勇利といたい、それ以外の想いなんて彼にはなかった。肌を重ねるたび、互いの中に入るたび、全身でその気持ちを伝えてきたつもりだった。最初のためらいを超えて勇利がヴィクトルを受け入れるようになってからはなおさら、彼はどんどん自由になっているようにすら見えた。全身で愛されることの喜び、誰かを抱くことの自信、解放された感情、そうしたものは勇利という人間のあり方を確かにある面で変えていたし、スケーティングにおいてもそれは顕著だった。二人の関係を周囲が騒ぎ立てることもあったけれど、そんなノイズの一つや二つ、二人が気にするまでのものではなかったし、くだらないメディアに対して沈黙を貫く二人の姿勢は、彼らが作り出す領域の不可侵性を高める一方だった。なのに、なぜ。失おうとしているものの大きさに、ヴィクトルはただただ腹を立てていた。怒りに震えたその指では、掛け違えたボタンを直すことなんてできなかった。
誰を責めるのも正しくはなかった。一度崩れたバランスが崩壊するのは不可抗力としか言いようがない。涙をためていたのはお互いだったけれど、それが嗚咽に変わることはないまま凍ってしまった。呆れるほどに強くなりすぎたのだ。外の世界と、あるいは互いの世界と、戦い続けている間に。
ちょうどその頃、勇利は引退を発表した。そういうことか、とヴィクトルは思った。コーチでもない、恋人でもない、今となっては勇利の何でもないヴィクトルには、その勝手な引退の決意を咎める権利なんてなかった。コミットする権利を奪われたのだ。最愛の人に。ヴィクトルは何も言わず、勇利の帰国を見送った。本当はできることならもう一度、その黒髪に指を通し、こめかみに幾度となくキスを落としたかった。どれだけ腹を立てていようと、どれだけその後がつらくなろうと、もしかしたら何かが変わるかもしれない。そんな望みを、あるいは抱いていたのかもしれない。
勇利の送別会が終わった翌日、ヴィクトルはベッドのシーツを剥ぎ取ると、壁に飾っていた一枚の写真を外した。どこまでも青く広がった、遠い異国の、風に揺れる、穏やかな海の景色だった。
8-1807 ネヴァ川を見る
サンクトペテルブルクに、海の記憶はあまりない。代わりに勇利は川を思い出す。いくつもの運河が入り混じる水の街の主流を成すネヴァ川。その川沿いに建ち並ぶ巨大で仰々しい建物の名前を、だけど勇利はなかなか覚えなかった。それが美術館だろうと大学だろうと聖堂だろうと、勇利にはわりとどうでもよかったのだ。ただこの景色がヴィクトルの日常であり、自分が今その日常の中でスケーティングを続けている、その事実だけが重要だった。
それでもいつだったか、早朝に川岸を走っていたときふと目をやったペテルブルクの風景は、日本からやって来た若い青年の胸を打つには十分な異国情緒があった。スマートフォンを取り出すと、普段めったに使わないカメラを立ち上げて、勇利は下手くそな写真を撮った。オレンジともピンクとも紫とも言えない朝日が、ついさっき暗くなったばかりのネイビー���空を、圧倒的な存在感で染め上げていく。混じり合う色と色のグラデーションが急速に消えていくのがなんだか妙に惜しくて、勇利はこのまま空を見続けていたいと思った。写真は全然素敵なものではなかったけれど、勇利は何年振りかに、それをスマートフォンの背景画像に変更した。
その日の夜、そういえば、と勇利はベッドサイドテーブルの上で充電ケーブルに繋がれていたスマートフォンを手に取って、ヴィクトルにネヴァ川の写真を見せた。
「これ、今朝の。きれいだった」
ヴィクトルは勇利が自分で撮った写真を見せてくれる、ということにまずおどろきながら、写真を覗き込む。
「勇利、写真にはもっと構図ってものが……」とヴィクトルがからかうので、勇利は彼の顔を枕でぎゅっと押しつぶす。
「うそうそ、ごめん、きれいだよ、本当に」
「あれみたいに飾れるレベルだといいんだけど」
ヴィクトルの寝室には一枚の海の写真が飾られている。コーチとして長谷津にいた頃、ロシアから雑誌の取材が来たことがあった。スチール撮影は海を背景に行われ、その時カメラマンが押さえた風景カットがとてもきれいで、ヴィクトルはスタッフに頼んでそのデータをもらったのだ。ベッドに寝そべるとちょうど目に入るくらいの位置に、大きく引き伸ばされたその海は飾られている。
「わかるよ、俺もそういう空が好き」
さっき枕を押し付けられたせいで、ヴィクトルの前髪は不恰好に癖がついている。それを気に留める様子もなく、彼は写真をじっと見つめる。
「あの時の衣装みたいだ」
9-1911 冬が来る
玄関のドアを開けた瞬間、季節が変わった、と勇利は思った。寒さを感じるにはまだ少し遠い、それでも確かにひんやりと冷えた朝の空気。いつもと違うにおいをゆっくり吸い込むと、鼻の奥がつんとした。冬がやってくる。
四階の部屋から、エレベーターは使わず外階段をたんたんと駆け下りる。エントランスを抜けて通りに出ると、いつものランニングコースへ足を向ける。最初は少し歩く。駅へと向かう近所のサラリーマンたちとすれ違う。ぐいっと腕を上げて肩を回すと、おもむろに勇利は走り��める。もう一度風のにおいを嗅ぐ。十分ほど走って公園につくと、ドッグランを横目にそのままランニングレーンに入る。
一周二キロのコースの二週目に入ったあたりで、この日の勇利はなんだか急に面倒になって走るのをやめた。虚しくなった、というほうが正しかったかもしれない。普段あまり意識しない感情の重さに、勇利は少しだけうんざりした。それとほぼ同時に、ウェアのポケットに入れていたスマートフォンが鳴る。こんな朝から、と歩きながらスマートフォンを取り出した勇利の足が、突然ぴたりと止まる。手の中でバイブを続けるスマートフォン。動かない勇利の指。画面につと現れたあの名前。
「“Victor Nikiforov”」
10-1911 コーチの助言
「人というのは、自分が守られているとわかっているときにこそ心置きなく冒険できるものなんだ、ヴィーチャ」
ヴィクトルは時折この話を思い出す。大昔のことだ。
「お前の安心はなんだ? メダル? 名声? それとも尊敬?」
ヴィクトルは考えた。そのどれもが、彼にとっては確かに重要なものだった。
「もしお前の足が止まるようなことがあれば、そうしたものを一度見直してみるといい」
そう言われると、ヴィクトルは少し腹が立った。自分が心血を注いで獲得してきたものを、真っ向から否定されている気がしたのだ。
「自分を守ると思っていたものが突然自らの足枷になって、お前を縛り付けるかもしれないからな」
目的地までの残り時間を告げる機長のアナウンスで、ヴィクトルは目を覚ました。モニターをタッチしてフライトマップを映し出す。飛行機はいよいよユーラシア大陸を超え、Naritaの文字まであと少し。あれからもう何年も経つというのに、いまだにコーチの助言は有効力を失ってはいなかった。まだ少し焦点が合わない目で明け方の空を眺めながら、ヴィクトルはその言葉を声に出してみる。
「安全基地を見失うな」
11-1911 ジンクスと可能性
バゲージクレームのベルトコンベヤーの前で、ヴィクトルは荷物が出てくるのをじっと待っていた。レーンの先を真剣に見つめているのは、なにも焦っているからでも大切なものを預けているからでもない。ジンクスがあるのだ。ベルトコンベヤーに乗せられた自分のスーツケースが、表を向いていればその滞在はうまくいく。裏を向いていれば用心が必要。ベルトコンベヤーが動き出す。プライオリティタグの付いた彼の荷物が出てくるまで、時間はそんなにかからない。見慣れたシルバーのスーツケースが視界に入ると、ヴィクトルは思わず苦笑した。流れてきたスーツケースは、サイドの持ち手に手が届きやすいよう、行儀良く横置きされていた。
荷物を受け取ってロビーに出ると、時刻は朝の八時を少し回ったところだった。スマートフォンを取り出すと、ヴィクトルは自分でも少し驚くくらいためらいなく、勇利への発信ボタンをタップした。朝のランニングを日課にしている彼のことだから、今頃はそれを終えて朝食でもとっているか、その日の仕事に出かけるところだろう。だけど予想通り、その着信に答える声はなかった。スマートフォンをポケットにしまうと、ヴィクトルは軽いため息をついて成田エクスプレスの乗り場へ。「事前予告なんて俺らしくない」と思ってはみたものの、だけどヴィクトルには向かうべき先がわからなかった。東京に拠点を移したということ以外、勇利の居場所についてはなに一つ知らなかったのだ。唯一向かう先として確定している新宿へのルートを確認しながら、やっぱり羽田着にすれば良かったと思った。彼はいい加減に疲れていた。サンクトペテルブルクからモスクワ、モスクワから成田、成田から新宿。スムーズなルートではあるものの、これ以上時間をかけるのが煩わしい。その気持ちもあってかどうか、新宿に到着するのとほぼ同時に、ヴィクトルは勇利にメッセージを送った。
「しばらく東京にいる。可能性は?」
“可能性”?
勇利がメッセージに気づいたのはその日の正午ごろだった。ヴィクトルの着信を無視して家に戻ってから、打ち合わせのためにマネージメント会社の事務所に向かった。スケジュール諸々の確認を済ませ、いくつかの事務的な話を終えて事務所を出ると、いつも無視するだけのSNS通知に混じってそのメッセージは届いていた。
精神的ヴィクトル遮断期の成果か、勇利は着信を見た時もメッセージに気づいた時も、思っていたほどのダメージを受けなかった。その代わり、「可能性」の文字が勇利の前に立ちはだかる。それはこの一年間、勇利がもっとも望み、同時にかき消そうと努めてきたものだった。メトロの入り口までの道を歩く間、勇利は逡巡した。が、地下に入って改札機にICカードをタッチすると、その瞬間に案外あっさり答えが決まった。募らせてきた孤独と愛おしさを開放するには、改札が開く小さなその電子音だけで十分だったのだ。
「どのホテル?」
メトロに乗り込む。5分ほどでヴィクトルからの返信。ホテルの名前を見た瞬間、勇利は一気に胸を掴まれた。スマートフォンをポケットではなく鞄に入れると、両手で思わず顔を覆ってひときわ大きなため息をついた。遮断機は壊れてしまった。抑揚のあるあの声を、肌に触れる乾いたあの髪の感触を、抱きしめたときの体の厚みを、汗と香水のにおいを、熱を、息を、そして氷上をしなやかに滑るあの姿を、勇利の体は鮮明に思い出した。メトロの中で、勇利はほとんど泣いていた。
12-1911/1812 言えなかった
目が覚めると午後五時を回っていた。約束の時間まであと一時間。フライトの疲れはたぶん取れている。ヴィクトルはシャワーを浴びると、小ざっぱりとした自分自身を鏡越しに見つめた。現役時代と比べれば筋肉量は若干落ちたものの、傍目には変わらない体型を維持している。銀髪に混じる白髪は前からのことで、目の下のシワも見慣れている。だけどやはり変わったなと思うのは、その目元だった。ひとしきりの怒りとさみしさを通過したヴィクトルの目は、少し力なく、だけどそれ以上に、優しくなっていた。
話す言葉は何一つ用意していない。これからどうしたいかも決めていない。とにかく会えば、会えさえすれば、なんて甘えたことも思っていない。だけどヴィクトルは日本にやって来たし、勇利はそれをはねのけなかった。思えばあの時もそうだったのだ。自分が勇利のコーチになる可能性なんて本当はどこにもなかった。無茶苦茶なことをしている自覚もあった。持ち前の奔放さで周囲を驚かせてきた彼だったが、本当はいつだって、自分が一番驚いていたのだ。未知へと足を踏み入れたことに。不安を乗り越えられたことに。新しい安全基地を、確かに手に入れられたことに。ヴィクトルの冒険と不安を受け入れたのは勇利以外の何でもなかった。一緒に居れば何者にだってなれる。ただそれを、あの人に伝えたかった。
「ねぇ勇利」
鏡越しに独り言を呟く。
「今日から俺は勇利の何になる?」
同じ台詞を、二人は別れる直前にも聞いていた。元師弟とも元ライバルとも恋人とも言える二人の関係を終わらせようとしている勇利の心を、ヴィクトルはどうしても知りたかった。いや、変えたかった。
「何だっていい。ヴィクトルはヴィクトルでいてくれたらいい」
「勇利は俺の何になる?」
「何だっていいよ」
「それがこわいのに?」
勇利は答えなかった。その通りだった。ヴィクトルがヴィクトルであること、勇利が勇利であること。口で言うには響きの良い台詞だけれど、その意味を、その事実を受け入れることは、思っていたよりたやすくなかったのだ。
「いつかこわくなくなると思う」
勇利は最後の最後になって、すがるようにヴィクトルの首元に腕を回し、鎖骨のあたりに顔を埋めた。自分勝手さなんて痛いほどわかっていた。ヴィクトルの手が軽く背中に触れたけれど、それはただ、触れただけだった。
「だからそれまで待っていて」とは、勇利はとても言えなかった。
13-1711 ゆだねる
「やっぱりこわい。ていうか……抵抗感がある」
「うん、無理にとは言わない」
「……ヴィクトルはどっちなの」
「どちらでも。勇利とならどっちでもいい」
「そういうもの?」
「俺はね。相手と一番気持ちいい関係でいたいから」
「どんな関係が一番かなんてわかんないよ」
「だから試さないと。そうだね、わがままを言うなら、俺は勇利に“受け入れる心地よさ”を経験してみてほしいかな」
「痛そうじゃん……」
「最初はね。でも相手にゆだねてしまえば、きっと良くなる。絶対に無理強いはしない」
そう言いながら、これがハードルなんだろうな、とヴィクトルは思った。勇利は簡単に誰かに身をゆだねられるタイプの人間ではなかった。自信のなさはかつての彼の最大の欠点とも言えたが、言い換えればそれは一重にプライドの高さと自分への責任感であり、自分を支える存在を求めながらもその対象に依存するようなことは考えられないだろう。たとえそれが、氷上だろうとベッドであろうと。アスリートとして身につけてきた彼のストイックさを、怖れを超えたその先で解放される表現者としての素質を、だけどヴィクトルは何よりも愛していた。
「勇利の準備ができるまで、いつだって待つよ」
14-1910 空になったグラス
「どうせ誰かの専属コーチになることはないんだろ」
久しぶりに会った友人は、テーブルの企画書を片付けるとグラスに残っていたワインをゆっくりと飲み干した。
「おもしろいプロジェクトだと思う、君らしい。感情にさえ流されなければうまく行くんじゃない? まあそこが君の魅力だけど」
「余計な心配だ」
ヴィクトルの冗談を端的にかわすと、ポポーヴィッチは少し思案した後じっとヴィクトルを見つめた。
「真剣に聞いているんだ。このまま君が連盟の一員になっていくなんてとても思えない。コーチはしないまでも、その才能を裏方に回すなんて誰が望む? 凡庸なスケートショーに誘っているわけじゃない。一種のアートの試みだよ」
二年前、ポポーヴィッチはヴィクトルと同時期に引退し振付師へと転身した。もともと芸術家肌だった彼の野心は振り付けだけにとどまらず、最近ではショー全体のプロデュースに取り組みはじめ、スケート界の新しい動きとして一部から期待と注目を集めていた。
「とはいえ俺はアスリート気質だからねぇ。エンターテイナーでいることは苦手なんだよ、わかるだろ」
「エンターテイナーになれなんて言っていない。ヴィクトルという一人の人間として滑ってほしいんだ」
「ヴィクトルという人間、ねぇ……」
すでに空になっている自分のグラスを見つめながらそう呟くと、ヴィクトルはなぜか笑いたい気持ちになった。
「“お前は何者なんだ、ヴィクトル!”」
突然古風な芝居じみた口調で笑いだす友人に、ポポーヴィッチは呆れてため息をつく。
「本当に、ヴィクトル、これからどうするのかヤコフも心配している。最近じゃあのユーリですら……」
愛すべき友人の言葉を最後まで聞かずに、ヴィクトルはさっと立ち上がった。
「そろそろ決めてもらわないとね、俺が何者か」
「?」
「プロジェクトのことは考えておくよ、スパシーバ」
訝しげに見つめる友人の肩をぽんと叩いて、ヴィクトルは一人店を出る。帰りのタクシーの中でスマートフォンを取り出すと、ためらいなく成田行きのフライトを予約した。不思議なほどに、意気揚々と。
15-1911 それでも、なお
ホテルのロビーで一人掛けのソファに腰を下ろした勇利は今、行き交う宿泊客をながめている。どうしていつも急に来るのだろうと、初めて彼が長谷津に現れたときのことを思い出す。頭の中で月日を数えて、勇利は思う。まだ4年も経っていないのか、と。どうしてヴィクトルが東京にいるのか、どうして勇利と会おうとしたのか、勇利には見当がつかない。これから会ってどんな話をするのか、勇利の方にだって何の準備もない。自分から離れた相手なのだ。どんな態度でどんな話をされたとしても、勇利はそれを受け入れるしかないとわかっている。それでもなお、勇利は思う。そこに可能性があるのなら。自分を失うこわさと引き換えに、別の何かを見つけ出す可能性があるのなら。自分を定義づけてくれる存在を、もう手放すようなことをしてはいけない。
新宿に来る前、勇利は一度マンションに戻っていた。まっすぐ寝室に向かうと、クローゼットの奥から彼の持ち物の中では異質な黒い小箱を取り出した。最後にそれを見てから、もう一年近くが経とうとしている。「この歳になってもまだおまじないか」と苦笑いを混ぜて呟くと、それでも最大限の愛おしさを込めて、乾いた右手の薬指に小さな金の環を通した。それから右手を唇にぐっと押し当てるようにキスする癖は、一年経っても忘れてはいなかった。
賭けをしよう。あの人の指にも同じものがあるだろうか。あるいは祈りを、あるいは冒険、あるいは。
エレベーターがロビーフロアに到着する。数人の宿泊客とともに銀髪の彼が現れる。青い視線が黒髪を見つける。聞きなれたあの声が、勇利の名前をまっすぐ呼ぶ。
fin
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○二極化を感じたりはする。さらに記事のように別のものが...三極化多極化へと進むのか。
○ホリエモンの場合は、バッシングというより、単純に白黒ハッキリの悪い方側を表現しているだけのようにも見える。
mercoledì miércoles 6 maggio mayo
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