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#ポンペオ国務長官の台湾政策
ari0921 · 4 months
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024年)6月6日(木曜日)
   通巻第8280号 <前日発行>
 アメリカは中国を打ちのめす野心に乏しい
  「米中冷戦」はズルズルと、どちらかが刀折れ矢尽きるまで
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米中関係が緊張の度合いを高めている。米国と中国は戦略的影響力を競い合う二つの大国であることには間違いない。両国は自由民主主義国家と権威主義国家という二つのイデオロギー圏の対抗リーダーでもある。
「ツキディデスの罠」にしたがうと、どちらか一方が滅びるまで戦いは続くのだが、米国では中国の脅威認識は八割近くに達するものの、「中国を木っ葉微塵にやっつけろ」とする強硬論は少数派である。
米国の中国論壇は分裂している。
かたや「中国共産党(CCP)は自由主義的な政治価値観に基づく政府と平和的に共存することはできない」と主張し、「抑圧された中国国民を救済する」のみならず、自衛のためにも「自由世界は中国共産党打倒に取り組まなければならない」とする。この訴えはメディアが殆どつたえない。
 典型がマイク・ポンペオ国務長官(当時)の演説だった(2020年7月。加州ニクソン記念館で)。ポンペオは「自由を愛する世界の国々は、中国に変化を促さなければならない。今、行動しなければ、最終的に中国共産党が我々の自由を侵害することになる。そうなれば我々の子孫が中国共産党のなすがままになるかもしれない」と警告した。
 2019年10月のペンス副大統領(当時)の演説は大きく注目された。ペンスは、中国に現実的な関係構築を呼び掛けた演説だった。
ポンペオ演説は、中国共産党と自由・民主主義国家を明確に対比させ、「自由主義の世界は独裁体制に勝利しなければならない」と強硬な姿勢が目立った。
「中国が繁栄すれば民主主義に転換する」などと淡い期待の下での『関与政策(エンゲージメント)』は失敗だったと総括し、1970年代の米中国交正常化を主導したニクソン元大統領が言った「中国が変わらない限り、世界は安全にはならない」を引用して「自由主義の同盟諸国が立ち上がって中国の姿勢を変えるときだ」と直接的な軍事対決には言及しなかった。
 ▼フォーリンアフェアーズにも強硬論文が登場
 『フォーリン・アフェアーズ』(24年5/6月号)で、マット・ポッティンジャー(トランプ政権の国家安全保障担当大統領副補佐官)と連邦議会下院の中国問題委員会委員長だったマイク・ギャラガーが「米国政府は中国共産党の打倒を米国の対中政策の主要目標にすべきだ」と主張した。
「中国共産党政権は、自由主義的価値観を堅持する世界を容認できない。緊張緩和を求めることは米国にとって裏目に出る。したがって米国は中国との競争を『管理』するのではなく『勝つ』よう努めるべきだ」と唱えた。
このような言い分は、現在民主党が牛耳る米国政府の公式政策とは異なっている。
第一に、北京はもはや「激戦または冷戦」において米国または米国同盟国に勝てるという希望を持たなくなっている。
第二に、中国政府は「抑圧的」ではなく、むしろ「共産主義独裁から解放される」とブリンケン国務長官は云うのだ。「我々は中国の政治体制の変革を求めているわけではない」。
随分と融和的な主張だが、目の前にウクライナとイスラエルが絡みつき、これ以上中国にまで戦線を広げることは得策ではないとの判断からだろう。
しかし中国の政治体制の変革を求めないのならば、覇権争いは最初から米国の負けとなるのではないのか。西側は口先介入で誤魔化したから香港は完全に中国共産党管理下に入り香港の自由は殺された。バイデン政権は制裁の継続と拡大で中国の経済力を弱めることに集中している。
他方、中国共産党にとってはその政治権力の独占体制を死守することにある。
中国政府の核心的利益であり、これを攻撃する意図をアメリカが表明するという意味は「中国の完全な敵と位置づけることになって逆効果だ」
とブリンケンは唱えるのである。
 中国メディアはバイデン大統領が2022年のバリ島APECで、また2023年にカリフォルニアAPECで習近平主席と会談した際に 「米国は中国の制度を尊重しており、それを変えようとはしていない」としたポイントを力説し繰り返している。
儀式的なレベルでは、習近平の世界安全保障構想は アメリカを永遠の敵とは考えておらず、むしろアメリカを平和的に共存する世界の一部と見なしている。あくまでも言葉の上のレトリックにせよ。
 中国は米国よりも「民主的」であると主張する。
 (よくそんなことが言えるなぁ)
習政権は「西洋の立憲民主主義」と「普遍的価値」の理念が党の指導的地位の維持に及ぼす脅威を非常に重視している。中国の外交は、米国の世界的な威信と影響力を弱めることに執着している。
習近平が2013年に最高指導者となったとき、中国は世界経済の中心的地位を獲得し、米国との軍事力の差を縮めていた。
習近平が拡張主義的なのは、権威主義的であるというだけでなく、中国が現在、相対的に優位な力と影響力を享受しているという信念に基づいているからだ。
歴史的にみても英国、フランス、オランダ、米国などの「民主主義国家」が、過去に先住民の同意を得ずに植民地を奪取してきた。中国は、依然として日本を憎み、台湾と南シナ海は中国のものだと信じている。中華民国(台湾)は民主主義国であるにもかかわらず、台湾をかならずや統一する、武力行使も辞せずと脅しをかけ、また尖閣諸島と南シナ海をめぐっても一切の根拠を示さず領有権を主張し続けている。2016年の国際仲裁裁判所によるフィリピン有利の判決を中国に対して拒否した。
国際貿易や金融に視野を移せば、米中両国は貿易と投資の管理を必要としているし、気候変動、健康、環境保護、犯罪などの国境を越えた問題では米中の連携が不可欠だ。また偶発的な軍事衝突を防ぐために、相互に意思疎通を図る必要があることも言を俟たない。
経済学でモルガンスタンレーの主任エコノミストだったスティーブン・ローチは『サウスチャイナ・モーニングポスト』(6月3日)でこう述べた。
「米国の対中保護主義は歴史的な大失態で『新たな永遠の戦争』になる危険がある」
ローチは「わたしは過去中国経済について楽観的だった。その時代は終わった。生産効率の低下が質の高い成長を裏切り、中国は世界で最も強力な経済の原動力であるにもかかわらずパワーは衰退している」とした。
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ryoko-1 · 2 years
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マキシム・ヴィヴァス:真実で反中国勢力をあぶり出す
ヴィヴァスとは?
中国の王毅(おう・き)国務委員兼外交部長は中国毎年恒例の「全国人民代表大会」「政治協商会議」(「両会」と呼ばれている)の記者会見で「外国人記者は中国をどう取材しているか」というテーマで、2人の外国人の友人について語ったことがある。
一人は『中国の赤い星』を書いたアメリカのジャーナリストエドガー・スノー、もう一人はマキシム・ヴィヴァスである。
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ヴィヴァス氏は80数歳で、スペイン系のフランス人である。 2016年、2018年と2度にわたり新疆を訪れ、2020年には『ウイグル「フェイクニュース」に終止符を打つ』を出版した。
ヴィヴァス氏は、「大虐殺」や「何百万人ものウイグル人が拘束されている」という噂を払拭するために、ヨーロッパの人々に本当の新疆を知ってほしいと言いている。
しかし、新刊の発売は、まるで水中に投げ込まれた爆弾のように、大きな波を引き起こした。
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Facebookなどのソーシャルメディア上では、ヴィヴァス氏は真実を知らない読者から攻撃された。 中国政府との金銭的なつながりが疑われ、一時は家族との関係もギクシャクしていた。 彼自身、「私はこの本を出版するために 「自爆テロ」のような行動をとった」と語っている。
実際、「自爆テロ犯」はかつて、中山服を着て米しか食べないという、欧米の一般大衆と同じステレオタイプで限定的な中国人像を持っていた。
2008年になって、ヴィヴァス氏は奥さんと一緒に北京で仕事をしている息子を訪ねた。 ヴィヴァス氏はこの体験で、中国人のイメージや生活が、報道されているものと大きく違うことに衝撃を受けたのだ。
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2010年には、『ル・フィガロ』紙のルノー・ジラード(Renaud Girard)記者、『ル・モンド』紙のレミー・ウルダン(Rémy Ourdan)記者らとともに、再び中国を訪れ、チベットを訪れた。
この時、彼は欧米のメディアが描くチベットとは全く異なるチベットを目の当たりにした。
2011年には、ダライの素顔を暴いた『笑顔の裏側:ダライ・ラマの知られざる一面』を出版し、6カ国語に翻訳され、大きな反響を呼んだ。
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そしてその後、ヴィヴァス氏は新疆ウイグル自治区で綿密な取材を行い、前述の『ウイグル「フェイクニュース」に終止符を打つ』を執筆した。
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彼は誰と戦っているのか?
中国の実情に詳しいヴィヴァス氏は、同じ話を何度もオウム返しにするフランスのメディアに呆れている。 このような嘘を捏造するいわゆる「情報源」や「学者」は、彼にとって忌み嫌うべき存在である。 彼は、こうした反中国勢力の正体をあぶり出すために、真実を利用しようと考えたのだ。
47歳のドイツ人アドリアン・ツェンツ(Adrian Zenz)は、一夜にして、欧米のメディアや政治家にとって、新疆に関する唯一の情報源となったのである。 しかし、実際には15年前の2007年に観光で新疆を訪れたことがあるだけだ。
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ヴィヴァス氏はこの話を著書の中で書いている。
ツェンツ氏はかつて、新疆で「強制労働によって生産された」と主張する靴の写真をリツイートし、その横に英語で「助けて!私はウイグル族で、中国の刑務所にいるんです。 助けて!」と書かれた小さな紙を添えたことがある。
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皮肉なことに、その靴が新疆でも中国でもなく、ベトナムで作られた靴であることはネットユーザーによって発見されたのだ。
また、「新疆で90万人から180万人が拘束されている」というツェンツ氏の報告もその一例だ。 しかし、米国の独立系調査報道サイト「グレーゾーン」の調査によると、この数字は8人へのインタビューをもとに反中国組織が導き出した荒唐無稽な結論だという。 同様の手法は、彼の「報告書」でも繰り返されている。
2018年以降、ツェンツ氏は新疆を中傷する10数編の文章や報告書を相次いででっち上げた。いわゆる「強制労働」から「強制不妊」へ、「文化的絶滅」から「大量虐殺」へ。彼はこれらのセンセーショナルな語彙をでっち上げ、新疆についてよく知らない多くの欧米民衆を騙した。
ツェンツ氏は米国の極右組織「共産主義被害者記念基金会」のメンバーで、正真正銘の反中研究機関の幹部だ。言い換えれば、反中は彼の生業だ。このような一人のいわゆる「学者」が西側の反中勢力から大いに支持されていることは容易に理解できる。
米国のポンペオ前国務長官は、ツェンツ氏のいわゆる「論文」を引用して、中国に暴言を吐いた。
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ヴィヴァス氏の調査で名指しされた「反中国の魔手」には、全米民主主義基金も含まれている。中央アジアから北アフリカまで、東欧から南米に至るまで、さまざまな国の「色の革命」の背後に彼らの姿があった。
この組織は長年にわたり中国で「香港独立」、「台湾独立」、「新疆独立」、「チベット独立」などの分裂勢力を支持し、2020年だけで70近くの中国関連プロジェクトに1千万ドル以上を提供し、もっぱら中国の政治・社会の安定を害する行為を行っている。
このほど、同基金会のデイモン・ウィルソン会長は、「台湾独立」勢力のために台湾地区を訪問し、10月下旬に台北でいわゆる「世界民主運動全球大会」を開催し、中国の国家主権と領土保全を深刻に挑発すると主張した。
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基金会はまた、「国境なき記者団」のような、意気投合するさまざまな「馬先に立つ兵士」にも資金を提供している。
この組織は、キューバ、ベネズエラ、ロシアなどの国や、ヴィヴァスなどの人、アメリカが嫌うものすべてに敵対している。「国境なき記者団」の事務局長は、ヴィヴァス氏を4回にわたって脅迫している。
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ヴィヴァス氏の見解では、多くの非政府組織、いわゆる独立シンクタンクの背後には実に多くの黒幕がいる。オーストラリア戦略政策研究所もその一つだ。
同機関が昨年発表した年次報告書によると、総額1000万豪ドルの資金源は、37.5%がオーストラリア国防省から、24.5%がオーストラリア連邦政府から、18.3%が外国政府機関から調達された。
これらを合計すると、オーストラリア政府とその同盟国、軍需産業からの経費が9割近くを占めている。これはこの機関が対外的に「独立シンクタンク」という看板を掲げており、明らかにオーストラリア軍産複合体の代弁者であることを十分に説明している。
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アメリカが援助した費用をどう使うのか?
総額98万5000豪ドルの経費の中で、米国務省は新疆の人権、中国の科学技術、海外への影響力などの方面で議題を設定するよう明確に要求した。もう一つの60万豪ドル近い経費は、中国の人材募集、偽情報、ソーシャルメディアなどの議題に注目する必要がある。
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言を守って筆を持つ
多くの圧力と生命の危険にもかかわらず、ヴィヴァス氏はペンを放さなかった。
今年初め、ヴィヴァス氏の中国新疆についての2冊目の本『燕の帰還』の英語版が発行した。彼がこの本の中で、「中国は多民族共存を促進し、文化の多様性を尊重��ていて、まさに人類文明の進歩を推進する源泉である。」という話を書いた。
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最近、ヴィヴァス氏は他の2人の学者と共著した新刊『フランス反中勢力の譫語』もフランスで出版された。
譫語とは、いい加減な言葉である。昨年10月、フランス軍事学校戦略研究所IRSEMは、中国の影響力に関する報告書を発表した。しかし、ヴィヴァス氏にしてみれば、654ページにも及ぶ、ミス、矛盾、フェイクニュースばかりだ。
彼は、21世紀の中国が平和的な経済競争相��として、軍事的にはフランスを脅かしていなく、このいわゆる報告書は、フランスの反中勢力が米国の外交政策に盲目的に追従していることを反映していると論じている。
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toranekopero · 4 years
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「1つの中国制度、廃止」が共産中国による「1国2制度公約の破棄」「民族浄化」「外国へのサイレント・インベージョンへの米トランプ政権の回答。中国の工作が顕になった大統領投票操作の摘発と偽次期大統領バイデンとの闘いもそれと軌を一にしている。日本はどうすべきか? 加藤清隆(文化人放送局MC) @jda1BekUDve1ccx · 3時間 「米国政府は北京の共産党政権をなだめるために、外交官や軍人、その他の役人の台湾人との交流を規制。複雑な内部制限を設けてきた。これらの自主的な制限を全て解除する」とポンペオ国務長官。これで米国の「1つの中国」政策は崩壊。日本も続け、って菅首相では無理か。
篠原常一郎(古是三春)・ゴスロギさんはTwitterを使っています 「「1つの中国制度、廃止」が共産中国による「1国2制度公約の破棄」「民族浄化」「外国へのサイレント・インベージョンへの米トランプ政権の回答。中国の工作が顕になった大統領投票操作の摘発と偽次期大統領バイデンとの闘いもそれと軌を一にしている。日本はどうすべきか?」 / Twitter
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jaguarmen99 · 4 years
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マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は18日、世界保健機関(WHO)の年次総会から台湾が排除されたことについて「WHOの信頼性をさらに損なうもの」と非難し、WHOが中国に抱き込まれているという米国の主張を裏付けるものだと訴えた。  WHO加盟各国は総会で、台湾にオブザーバーの資格を与えるかどうかについて、議論を先送りすることで合意した。中国は台湾を再統一を待つ省とみなし、あらゆる国際機関から排除しようとしている。  ポンペオ氏は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が激しく批判しているWHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長について、台湾をWHO総会に参加させるためのあらゆる権限を持ち、そうした先例があるにもかかわらず、「中華人民共和国からの圧力を受けて、台湾を招待しないことを選んだ」と述べた。  さらに、「テドロス事務局長の独立性の欠如は、WHO年次総会から台湾の名高い科学的知見を奪い、世界がWHOを最も必要としている時に、その信頼性と有効性をさらに損なうものだ」と述べた。  台湾は、新型コロナウイルスが最初に確認された中国と地理的に近く経済的結びつきが深いにもかかわらず、同ウイルスによる死者がわずか7人、感染者が約400人にとどまっており、流行対策で目覚ましい成功を収めてきた。
台湾排除はWHOの信頼性「さらに損なう」、ポンペオ氏 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
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newsvoice420 · 2 years
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ペロシ議長 2日夜にも台湾訪問か 蔡総統と面会情報も メディア - nhk.or.jp #最新ニュース
ペロシ議長 2日夜にも台湾訪問か 蔡総統と面会情報も メディア – nhk.or.jp #最新ニュース
ペロシ議長 2日夜にも台湾訪問か 蔡総統と面会情報も メディア – nhk.or.jp ペロシ議長 2日夜にも台湾訪問か 蔡総統と面会情報も メディア  nhk.or.jp 米ペロシ下院議長、今夜にも訪台か 台湾メディア(テレビ朝日系(ANN)) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース ペロシ米下院議長、2日夜に台湾訪問と報道 中国「必ず報復」(写真=ロイター)  日本経済新聞 ペロシ米下院議長、台湾を訪問の見通し-米中関係の緊張高まる  ブルームバーグ ポンペオ元米国務長官「バイデンの台湾政策、韓日などに悪いメッセージ送ることになる」(中央日報日本語版) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース Google ニュースですべての記事を見る 【LIVE】朝のニュース | TBS NEWS DIG(8月2日) – TBS NEWS DIG Powered by…
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ari0921 · 4 years
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#織田邦男 先生よりシェア
#櫻井よしこ さんの論考をシェアさせていただきます。
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ポンペオ氏、米中関係転換の決定打
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任期が残り11日に迫った1月9日、ポンペオ米国務長官が鮮やかにケジメを つけた。米国はこれまで、「中国はひとつ」と中国政府が主張しているこ とを承知し、米国と台湾の政治家、外交官や軍関係者の接触を「自主的に 制限」してきたが、それらすべてを撤廃したのだ。
氏はこう述べている。
「台湾は活力に溢れた民主主義国で信頼すべき米国のパートナーだ。しか しこれまで数十年間にわたって米国は北京の共産主義政権を宥(なだ)める ために台湾との交流を自主規制してきた。だが、もうしない」
「ノーモア」と言い切ったのである。米上院は3年前の2018年2月28日、共 和、民主両党が全会一致で台湾旅行法案を可決した。閣僚級も含め米政府 の全職員が台湾を訪れ各自の相手と会談するのを許可する内容だ。
その後、台湾を巡る情勢は大きく変わった。中国が香港を弾圧し、国際社 会の同情と支持は香港や台湾に集まった。中国の弾圧が続く中、昨年1月 の台湾総統選挙で民進党の蔡英文総統が圧倒的強さで再選された。中国寄 りの国民党は潰滅的打撃を受け、現在米国との国交樹立を唱えて、民進党 よりも過激である。
総統選直後に武漢ウイルスが広がり、台湾は見事に防いだ。そして米国は 昨年8月にアザー厚生長官を台湾に派遣、9月にはクラック国務次官が、そ して本稿が活字になっている頃にはクラフト国連大使が台湾を訪問してい るはずだ。つまり1979年の米中国交樹立以来39年間続いた自己規制は事実 上すでに撤廃されていたのだ。今回、ポンペオ氏はそれを明確に言葉で表 現し、米国政府の政策として発表し、ケジメをつけたのだ。
中国は烈しく反応した。中国共産党の対外向け機関紙「環球時報」は10 日、バイデン次期政権は現政権の行動を無効化するのか、それに対してポ ンペオは─とポンペオ氏を呼び捨てにし─自身の台湾訪問など、さらなる挑 発的行動に出るのかと問うている。
米国は台湾の側に立つ
バイデン政権が現政権に迫られる形で「ひとつの中国」政策の根底をつき 崩す行動に出ないように、中国側は断固たる意思を示すべきだと環球時報 は警告する。クラフト国連大使の訪台はポンペオ氏が中国を試している ケースだと見て、中国政府は決定的に強い意思表示で反対しなければなら ないとする。
その上で、万が一、ポンペオ氏が任期切れ前に台湾を訪問する事態になれ ば、人民解放軍(PLA)空軍の戦闘機は直ちに台湾上空に飛び、かつて ない形で中国の主権を宣言すると警告してみせた。「米国と台湾が過剰に 反応すれば、即ち戦争だ」、とまで書いた。
日程が発表されたクラフト大使訪台を中止させるのは厳しいと観念してい るものの、ポンペオ氏の訪台だけは何としてでも阻止したいとの思いが透 けて見える。恫喝はまだ続く。
「アメリカ国民に見捨てられた政権の気が狂ったような最後の足掻きを頼 りに、台湾が分離独立を果たせると考えてはならない。そんなことをすれ ば全滅の運命が待っている」
彼らの反応こそまさに「気が狂ったよう」ではないか。憤懣やる方ないの か、彼らはポンペオ氏及びトランプ大統領を以下のように貶める。
「バイデン陣営と多くの米国民は、余りにも愚かな現政権が核兵器を使っ てでも目的を達成しようとするのではないかと懸念している」
台湾を狙う、核弾頭を含むミサイル約2000基を実戦配備しているのは他な らぬ中国だ。いざとなったら核があるぞと脅し続けている自国の「狂気」 を、彼らは忘れているのか。共和党政権への常軌を逸した攻撃が、彼らの 衝撃の強さを示している。中国共産党が死ぬほど懸念しているのは、バイ デン政権がポンペオ氏の決定を継承することだろう。果たしてバイデン氏 はポンペオ氏の決定とどう向き合うだろうか。
バイデン氏は米国が中国と国交を樹立した79年、上院議員として台湾関係 法に賛同している。中国による台湾併合に断固反対し、米国は台湾の側に 立ち台湾の独立を守ると宣言したのが台湾関係法である。その延長線上に あるのがトランプ政権による台湾旅行法で、ポンペオ氏の決定は台湾旅行 法を別の表現で語ったにすぎない。
筋立てて考えれば、そしてバイデン氏が信念の政治家であるのなら、ポン ペオ氏の決定を否定することはあり得ないはずだ。
日本にもポンペオ氏の重大決定は必ず跳ね返ってくる。日本は台湾問題に 関して迷う余地はないだろう。罷り間違って北京側についたりすれば、89 年の天安門事件のときと同じ間違いを繰り返すだろう。
悪霊のような勢力
あのとき日本外務省は二つの大きな柱を立てた。1絶対に中国を刺激して はならない。天安門での弾圧を批判するなら決して中国の面子を損なわな い形にする、2中国は?小平の改革開放政策を推進中で日本はこれを助け るべきだ。さもなければ中国の混乱はアジアにおける撹乱要因になる、で ある。
日本政府即ち宇野宗佑、海部俊樹の両首脳は当時の欧米諸国とは反対に対 中制裁に抑制的姿勢を取り続けた。しかし日本政府の対応は結果として間 違っていた。中国共産党は人間の自由も民族の独自性も受け入れず、ひた すら自らの支配を強めようとする悪霊のような勢力だ。そのような勢力を 信じたツケがいま、回ってきている。
バイデン政権の対中政策についてはまだ不透明な部分が多い。しかし、ひ とつ明確なのは力強いリーダーシップは発揮できないだろうということ だ。力で統率する中国共産党のぶれない外交の前で、バイデン氏が劣勢に なることも十分にあると覚悟しておいた方がよい。しかし、そうであれば ある程、日本が発奮しなければならないだろう。米国との協力体制を強め 日本なりの知恵を出すことが日本の国益である。
中・長期的に見れば、人間の自由を抹殺する中国に未来はない。自由主義 陣営の私たちは必ず、勝つ。彼らよりずっと好ましい未来を築ける。そう 信じて揺るがず、いまは目の前の台湾の独立維持を力強く支え、守ること が大事だ。
たとえば、日本はすでに中国と対峙する日米台の産業構造の構築に参加し ているのだ。米国抜きのサプライチェーン構築に躍起の中国に対して、日 本は中国抜きのサプライチェーン構築の重要メンバーだ。世界最大手の台 湾の半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)はすでに米国での工 場建設を決定したが、今年、彼らは茨城県つくば市で日本企業との共同開 発にも入る。北九州に工場もできる。ポンペオ氏の政策こそ、正しいと思 う。そのような台湾擁護の政策づくりに日本政府は知恵を絞り、勇気を もって実行すべきだ。
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xf-2 · 4 years
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月20日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。ベトナム訪問中の菅総理がフック首相と会談したニュースについて解説した。
日本・ベトナム首脳会談
2020年10月19日、記念撮影~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/19vietnam.html)
菅総理)日本とベトナム、インド太平洋地域における平和と発展に貢献する、こうしたことをフック首相と共有することができました。このことは、自由で開かれたインド太平洋、その実現に向けての、ある意味では貴重な第一歩であったと思っています。 ベトナムを訪問中の菅総理大臣は10月19日午前、ベトナムのフック首相と会談を行い、南シナ海への進出を強める中国を念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」構想での協力を確認した。
ASEANのなかでもベトナムとインドネシアを選んだ理由
2020年10月19日、記念撮影~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/19vietnam.html)
飯田)会談時間はおよそ1時間20分で、この自由で開かれたインド太平洋構想や、サプライチェーン、武器・防衛装備品の輸出などいろいろありました。どうご覧になりましたか?
 高橋)ベトナムとインドネシアは、第2次安倍政権のときに安倍さんが最初に選んだところです。なぜベトナムとインドネシアを選ぶかというと、ASEANのなかでは、中国と距離感があるところだからです。特にセキュリティダイヤモンドという、日米豪印での外交安全保障構想があります。最近はクアッド(日米豪印戦略対話)と言っています。第1次安倍政権のときに発案されたものが、ようやく実を結んで来た。日本発の話ですから、日本に敬意を示して、今回のクアッド(日米豪印戦略対話)が日本で開かれたということです。
 飯田)10月6日に4ヵ国外相会談を行いました。
クアッドの拡充
日米豪印外相会合を前に、記念撮影に応じる(左から)ジャイシャンカル印外相、茂木敏充外相、ペイン豪外相、ポンペオ米国務長官=2020年10月6日午後5時20分、東京都港区の外務省飯倉公館 写真提供:産経新聞社
高橋)日米関係でも、アメリカが言うことに日本が従うことばかりだったのですが、これは逆で、日本が言ったことにアメリカがフォローをしました。日豪の安全保障の話も少し報道されていましたが、そこで安全保障の話も出て来たし、いずれ拡充しようという話になります。そのときにいちばん有力なのが、このインドネシア、ベトナムということになるような気がします。もちろん台湾などもありますけれど。そういう意味でも、安倍さんがやって来た外交を忠実に継承しているという感じがしました。
 飯田)この日米豪印をさらに拡大しようというのは、アメリカのポンペオ国務長官などの国務省の人たちは「クアッド・プラス」とはっきり示していますよね。  
高橋)めずらしいですよね。インド太平洋というのはまさしくクアッドの話なのです。日本発の話が、十数年経って実を結んで来た。今後は、外交の1つの軸になって行くのではないですか。
中国に対する安全保障のグループができつつある
2020年10月19日、ホーチミンの家での首相交流~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/19vietnam.html)
飯田)将来的なことを考えても、日本を守るためにどうするか。いままでは日米同盟というのが大きくあったわけですが。 高橋)その1本しかなかったのですが、今後は、場合によっては「日豪」というのもあるかも知れないし、「日印」というのもあるかも知れない。アメリカとオーストラリアとインドですから、英連邦の国です。「日英」というのもあるかも知れないし、いろいろなものが出て来る可能性があります。
 飯田)そこに関して言うと、TPPにイギリスが入るのではないかと言われています。
 高橋)イギリスはEUから抜けたので、経済面ではTPPに入るチャンスだし、入るような気がします。いずれアメリカもTPPに入るかも知れません。そうなると、自由主義圏の、これは経済圏ですけれどね、経済圏があるとそれに伴う安全保障のつながりというのもリンクするのです。広い緩やかな、中国に対する安全保障のグループができそうですけれどね。
 飯田)ブルネイやシンガポールを拠点にして、イギリスが再び東洋艦隊をつくるのではないかということも以前から言われています。
 高橋)インドネシアなどとイギリスとのつながりもなくはないですからね。このような話は長くゆっくりと、10年スパンで見なければいけないのですが、できつつあるような気がします。特にオーストラリアは最近、中国との関係を見直しています。中国との関係を見直すと、どの国も日本を向くのです。安全保障面ですと、日豪の話が出て来ます。
 飯田)産経が1面の3番目の記事に載せていますが、「武器等防護」をオーストラリア軍と自衛隊の間でも実施するとのことです。実現すれば、アメリカに続き2ヵ国目になります。
 高橋)アメリカだけというのは、安全保障としては偏り過ぎているかも知れませんよね。またそういう話をすると、「巻き込まれるのではないか」と言うのですが、実は安全保障の関係を結び付けると、「巻き込まれる」より、手出しを受けなくなる方が、歴史的にも実証が大きいのです。安全性が高まるのです。
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trumpq · 4 years
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【パトリック・バーン】 2021/2/19 11:34 JST
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https://www.tabletmag.com/sections/news/articles/the-thirty-tyrants
タブレットマガジン サーティータイランツ(※30僭主せんしゅ) アメリカのエリートが中国との取引を選択したことは、アテネとスパルタの歴史の中に前例がある。……
※続きで、記事の和訳をしてみた。けっこう長文。
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※オリジナル英文は元リンク参照。
サーティータイランツ(※30僭主せんしゅ) アメリカのエリートが中国との取引を選択したことは、アテネとスパルタの歴史の中に前例がある  2021年2月4日 リー・スミス による
『王子』の第5章で、ニコロ・マキアヴェッリは、征服した大国が戦争で敗北した人々をどのように扱うかについて、3つの選択肢があると述べた。第一は彼らを破滅させること、第二は直接支配すること、第三は「あなた方に友好的な状態を維持するために、少数者の状態を作り出すこと」である。
マキアヴェッリが最後の例として挙げるのは、紀元前404年の27年間の戦争の後、アテネを敗北させた際にスパルタが設立した友好的な政府である。すでに民主主義を軽蔑していたアテネの上流階級のエリートにとって、ペロポネソス戦争での敗北はスパルタのシステムが好ましいことを確認した。それは恒久的な召使階級、ヘロット、定期的に屠殺された彼らの人間以下のステータスを受け入れるためにそれらを条件とした上で、高奮発軍の貴族の支配であった。対照的にアテネの民主主義は下層階級にあまりにも多くの権力を与えた。親スパルタ派の寡頭制は、市民の権利を奪うためにパトロンの勝利を利用し、国内のライバルとの争いを解決し、彼らを追放して処刑し、彼らの富を没収することに成功した。
アテネの法律に不誠実で伝統を軽蔑するアテネ政府は「三十人の暴君」として知られており、その役割と機能を理解することは、現在のアメリカで何が起こっているのかを説明するのに役立つ。
前回のコラムでは、ニューヨーク・タイムズ紙のトーマス・フリードマン氏に、10年以上前のバラク・オバマ大統領就任1年目に彼が書いた記事について話を聞いた。彼の重要な記事は、アメリカのエリートが民主主義が自分たちのために機能していないと判断したまさにその瞬間を記録して���る。共和党のせいでアメリカ国民を蹂躙することができないと非難した彼らは、自分たちを豊かにしている関係を強化するために民主党に移った。
「グローバル化した世界で競争する必要性から、実力主義者、多国籍企業の経営者、東洋の金融業者、技術起業家は、共和党が何を提供するかを再考せざるを得なくなっている。原則として、彼らは党を離れ、現実的な連立ではなく、イデオロギー的な批判者の集団を残してきた」と、ある貿易コンサルタントはフリードマンに語った。フリードマンのコラムが発表されてから10年以上の間に、タイムズのコラムニストが特定した幻滅したエリートたちは、アメリカの労働者をさらに困窮させ、自分たちを豊かにしてきた。彼らが生きるようになった一言のモットーはグローバリズム、つまり、彼らがたまたま生計を立て、子供を育てている特定の社会の幸福に言及することなく、商業関係や社会的企業を構造化する自由であった。
グローバリスト企業を支えたのは、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟したことである。何十年もの間、アメリカの政策立案者や企業クラスは、中国をライバル視していたが、フリードマン氏が述べたエリートたちは、啓蒙された中国の独裁政治を友人として、またモデルとしてさえ見ていた。なぜ彼らは権威主義的な政権と貿易をし、何百万ものアメリカの製造業の仕事を中国に送り込み、働くアメリカ人を困窮させたのだろうか。それは彼らを豊かにしたからです。彼らは、中国と取引する以外に選択肢がないと自分たちに言い聞かせることで、自分たちの良心を救ったのです。中国は大きく、生産性が高く、効率的で、中国の台頭は避けられない。それに、中国との取引で傷ついたアメリカの労働者は罰せられて当然だった。進歩のためには何が最善なのかを邪魔する反動的で人種差別的なイデオロギーの評論家を誰が擁護できるだろうか?
外国との戦争や不法移民を終わらせることと一緒に、これらの雇用をアメリカに戻すことは、ドナルド・トランプ大統領の大統領職の中心的な政策公約であり、2016年にトランプ氏が驚くべき勝利を収めた源でもある。トランプ氏は、企業や政界の確立された中国との貿易関係が一般のアメリカ人を売り渡したと主張したのは、ほとんど初めてではなかった。元民主党下院議員で1988年大統領候補のリチャード・ゲファードは、奴隷労働者を雇用している国家との貿易はアメリカの雇用を犠牲にし、アメリカの名誉を犠牲にすることになると警告した、重要だが最終的にはあまり影響力のない選出された民主党幹部や政策専門家のグループの第一線で活躍していた。トランプ氏の言うことを真に受けたのは、6,000万人以上のアメリカの有権者だけだった。
トランプ氏が「沼」と呼んでいるのは、最初は産業、機関、人物が無作為に集まっただけのように見えたが、それらが新大統領によって非難されているという事実以外には、何の共通点もないように見えた。しかし、トランプ氏の絶え間ないエリートへの攻撃は、彼らに集団的な自己認識と連帯のための強力な動機を与えた。彼らは、同じ偏見や憎しみ、文化的嗜好、消費習慣だけでなく、同じ重心である米中関係も共有している官民の利害の結びつきを代表していることがわかったのである。こうしてチャイナ・クラスが誕生したのです。
かつては、曖昧に見えた、あるいは存在しないように見えた関係が、トランプ氏の軽蔑と、トランプ氏を憎むエリートたちの相互の軽蔑の光の下で、鮮明になったのである。
10年前には、NBAのスーパースターであるレブロン・ジェームズとアップルのティム・クックCEOを同じファミリーアルバムに入れる人はいなかっただろうが、彼らは今、安価な中国の製造業(ナイキのスニーカー、iPhoneなど)と成長する中国の消費者市場のおかげで、素晴らしい富で結ばれている。デジタルサービスプロバイダーのテンセントとのNBAの15億ドルの契約は、中国の会社は、アメリカ以外のリーグの最大のパートナーになりました。感謝の意を込めて、これらの二股大使は無知な同胞に中国共産党の知恵を伝えた。NBAの幹部が香港の反体制派を擁護するツイートをした後、社会正義活動家のキング・レブロンはアメリカ人に「舌に気をつけろ」と言った。「たとえそうであっても、我々には言論の自由がある。それは多くのネガティブなことをもたらすことがある」とジェームズは言った。
トランプ氏が米中関係から贅沢な利益を得たアメリカ人に圧力をかけたため、これらの奇妙な相棒たちは、マルクス主義者が階級意識と呼ぶものを身につけ、反撃のために団結し、中国の後援者との関係をさらに強固なものにした。今では、これらの異質なアメリカの機関は、中国共産党が奴隷労働者収容所の囚人にどんな恐怖を与えようとも、中国のスパイサービスや人民解放軍が国家安全保障にどんな脅威を与えようとも、中国共産党からの小切手を現金化することについての慎重さや恥ずかしさの感覚を失った。大西洋評議会、アメリカ進歩センター、イーストウエスト研究所、カーターセンター、カーネギー国際平和基金、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究所などのシンクタンクや研究機関は、中国の資金を食い物にしていた。世界的に有名なブルッキングス研究所は、中国の通信会社である華為技術を賞賛する中国の華為企業が資金提供した報告書を公表することに何の抵抗もなかった。
中国がアメリカの主要な研究大学、例えばスタンフォード大学に58,000万ドルのような数十億ドルを提供したことで、アメリカの法執行機関は、機密研究を盗むための中国の防諜活動に警告を発していた。しかし、これらの大学とその名の知れた教員は、実際にはその研究を販売するビジネスを行っていた。その多くは米国政府から直接支払われていた。
実際、学界の中国共産党とのペイ・フォア・プレイ取引の多くは、特に微妙なものではなかった。2020年6月には、1500万ドルの研究助成金を受けたハーバード大学の教授が、「中国の科学開発、経済繁栄、国家安全保障を促進する」ために、「ハイレベルな科学的才能を募集し、育成する」ために、中国共産党の機関に代わって月5万ドルの仕事をしていたと嘘をついたとして起訴された。
しかし、ドナルド・トランプ氏が米国と中国を切り離すことが、自分を憎み、米国の雇用を海外に送り出した寡頭制を解体する方法だと考えていたとしても、そのビジョンを実行に移すことはできなかった。米国のエリートの腐敗の原因、中間層の貧困化の理由、米国の平和に対する内外の脅威を正しく特定した後、彼はアメリカ人に彼を選んで戦ってもらうように頼んだ戦争に勝つためのスタッフを配置し、準備をすることに失敗した。
そして、中国がチャイナクラスの力の源であることは事実だったので、武漢から出てくる斬新なコロナウイルスは、そのクーデターのためのプラットフォームになりました。つまり、アメリカ人は反民主主義的エリートの餌食となり、コロナウイルスを使ってアメリカ人の気力を奪い、中小企業を荒廃させ、盗み、焼き、殺すのが自由な暴徒に弱いままにし、子供たちを学校から遠ざけ、死にかけている人たちを愛する人たちの最後の抱擁から遠ざけ、アメリカの歴史、文化を冒涜したのだ。そして、アメリカの歴史、文化、社会を冒涜し、普通のアメリカ人が実際にはエリートの民間部門と公共部門の代理人がすでに用意していた地獄に値する理由を説明するために、この国をシステム的に人種差別主義者として中傷している。
約1年の間、アメリカの役人たちは、中国経済がアメリカの上に乗っかっている間に、より多くの権力を自分たちに横領するという唯一の目的のために、意図的に我々の経済と社会を荒廃させてきた。中国の封鎖は結果の違いとは何の関係もない。封鎖はウイルスの蔓延を抑えるための公衆衛生上の措置ではない。だからこそ、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事やシカゴ市長のローリ・ライトフット氏のように、長期にわたる封鎖を繰り返している民主党幹部は、トランプ氏が無事に去った今、直ちに封鎖を再開させることが急務だと公に表明しているのだ。
民主党の役人が意図的に命を破壊し、老人ホームで高齢者に感染させるために病人を送り込むことで何千人もの命を奪ったことは、アメリカ版「三十人の暴君」とは無関係である。仕事は、トランプを倒すためにコロナウイルスの犠牲者を増やすことであり、彼らは成功した。アテネの反民主主義派と同様に、アメリカの優秀な人材はとっくの昔に道を失ってしまった。30人の暴君の先頭にいたのはクリティアスであり、ソクラテスの最高の弟子の1人であり、詩人であり、劇作家であった。彼は体制の怒りからソクラテスを救うのを助けたかもしれないし、まだ哲学者は彼の方法、すべてに質問するために、伝統のためのクリティアスの広範囲の軽蔑を供給したことを後悔したようである。権力を握った後、クリティアスはアテネの彼の虚無主義を回し、都市を破壊した。
----- アメリカのエリートと中国の間の毒された抱擁は、約50年前、ヘンリー・キッシンジャーが、当時敵対していた2つの国の間に関係を開くことで、中国とより脅威的なソ連の間の溝の拡大を暴露することになるだろうと考えたときに始まった。2つの共産主義の巨人の間の衝突の中心にあったのは、ソ連の指導者がスターリンを拒絶したことであり、これを中国はソ連共産主義体制の終焉の始まりと見なし、彼らが犯してはならない過ちであった。
一方、キッシンジャーの地政学的な作戦は、彼の歴史的遺産の礎となった。また、キッシンジャーは中国の高官にアクセスを売る大金持ちにもなった。また、キッシンジャーは、ビル・クリントン政権の国防長官ウィリアム・コーエンのように、他の元高官の政策立案者が自らの対外影響力を利用した身売り作戦に従事する道を開拓した。コーエングループは、4つの海外事務所のうち2つを中国に構えており、トランプ前国防長官のジェームズ・マティス氏をはじめ、多くの元高官が参加しているが、彼は最近、社説でトランプ政権の中国に対する「我々と一緒か、我々に反対か」というアプローチを批判した際に、コーエングループでの仕事を公表しなかった。「米国の同盟国やパートナーの経済的繁栄は、北京との強力な貿易・投資関係にかかっている」と書いたマティスは、文字通り、まさにそのような立場を取るために中国から金をもらっていた。
しかし、1972年にリチャード・M・ニクソン大統領と一緒に欧米人が当時北京と呼んでいた中国の首都を訪れたとき、キッシンジャーが元アメリカ政府関係者のために中国を換金地にするとは考えられないだろう。「中国人は、毛沢東が死ななければ開国できないと感じていた」と、トランプ元政権関係者は言う。「ニクソンとキッシンジャーがいた時には毛沢東はまだ生きていたのだから、1979年に鄧小平の指導の下で始まったような改革を彼らが思い描くことはできなかっただろう」。しかし、1980年代になっても中国は米国と競争していたわけではない。中国が商業的なライバルになったのは1990年代に入ってからであり、「中国に貿易上の最恵国としての地位を与えることについて毎年議論が行われていた」という。
冷戦後の秩序の首席広報担当者はフランシス福山であり、彼は1992年の著書『歴史の終わり』の中で、ベルリンの壁が崩壊したことで、西欧の自由民主主義が最終的な政府の形になったと主張した。福山がベルリンの壁崩壊後に間違っていたのは、政治形態の強さの評価ではなく、彼の哲学的モデルの深さであった。福山は、半世紀近く続いた超大国の睨み合いが終わったことで、対立する政治モデルをお互いに対立させていた歴史的弁証法が解決されたと信じていたのだ。実際には、弁証法はまた別の方向に転じた。
ソ連で共産主義を破った直後、アメリカは生き残った共産党に新たな息吹を吹き込んだ。そして西洋の民主主義原理が中国共産党を変質させる代わりに アメリカの権威が東洋のテクノ独裁主義の味を手に入れたのです。ダイアン・ファインスタイン氏は、キッシンジャー氏に次いで、その後の20年間、米中関係を牽引した第二の影響力を持つ役人となった。
1978年、サンフランシスコ市長に就任したばかりのファインスタインは、当時の上海市長であり、後に中国の総統となる江沢民と親交を深めました。アメリカのハイテクの中心地の市長として中国との結びつきは、���長を続けるアメリカのハイテク産業に中国からの投資を呼び込み、中国を世界第3位の経済大国にしました。また、江氏との提携は、彼女の投資家である夫のリチャード・ブルムを大金持ちにした。上院議員として、彼女は中国の人権侵害を合理化して中国の最恵国待遇の恒久的な貿易地位の確立を推し進め、一方、友人の江氏は権力を強化し、天安門広場に戦車を送り込んで共産党総書記になった。ファインスタインは彼を擁護した。"中国には地元の警察がいなかった」と、ファインスタイン氏は江氏が彼女に語ったという。「それ故に戦車を送った。しかし、それは過去のことだ。人は過去から学ぶ。繰り返すことはない。中国は教訓を得たと思う」とカリフォルニア州の上院議員は安心して説明した。
しかし、実際には過去は、ワシントンのファインスタイン議員の聴衆に別の話を伝えるべきだった。米国はモスクワと貿易をしたり、ロシア人が多額の選挙献金をしたり、配偶者とのビジネス・パートナーシップを結んだりすることを許していなかった。冷戦時代のアメリカの指導者たちは、そのような行為がモスクワへの扉を開き、危険な方法でアメリカの政治や社会に直接影響を与えることを許してしまうことを理解していた。彼らの工場で私たちの商品を製造したり、私たちの商品を購入して海外に出荷したりすることは、技術や知的財産を脆弱なものにしてしまうことになる。
しかし、それは国家安全保障を危険にさらすだけではなく、アメリカの価値観に反するシステムにアメリカをさらすことにもなっていたのだ。この期間を通して、アメリカは、私たちが考えているソビエトに対する考え方とは反対の立場で自分たちを定義していた。ロナルド・レーガンは、ソ連を「悪の帝国」と呼んだことで軽率だと思われていたが、第二次世界大戦末期から 1990 年までの通商・外交政策では、これがコンセンサスとなる立場であったことが反映されていた。
実業家のアルマンド・ハマーが有名だったのは、彼がモスクワと取引をしていたアメリカ人だったからである。彼の視点が役に立ったのは、ソ連社会、政治、ビジネス文化に関する彼独自の洞察力がアメリカのメディアとよく共有されていたからではなく、彼が政治局がアメリカの聴衆に広めたいと思っている見解を提示していたことが理解されていたからだ。今日、アメリカには何千人ものアーマンド・ハマーがいて、そのすべてが彼らの富、名声、権力の源を主張している。
それは、1994年にビル・クリントンが人権を貿易の地位から切り離すことを決定したことから始まった。彼は、ジョージ・H・W・ブッシュ政権とは対照的に、人権に焦点を当てることを約束してホワイトハウスに入り、就任2年後に顔を上げた。クリントン氏は「我々の関係をより大きく、より生産的な枠組みに置く必要がある」と述べた。アメリカの人権団体や労働組合は愕然とした。クリントンの決定は明確なメッセージを送った、と当時のAFL-CIO会長レーン・カークランドは言った。「アメリカが民主主義と人権について何を言おうと、最終的な分析では利益であって、人ではなく、最も重要な問題である」。当時の上院院内総務ジョージ・ミッチェル氏のような一部の民主党員は反対し、ジョン・マケイン氏のような共和党員はクリントン氏の動きを支持した。クリントンの国家経済会議のトップであるロバート・E・ルービンは、中国は「これまで以上に大きく、より重要な貿易相手国になるだろう」と予測した。
それから20年以上が経過した今、中国の技術をアメリカの技術から切り離そうとするトランプ政権の措置に反対してロビー活動を行ったアメリカの産業や企業の数は、相反する価値観や慣行を主張する2つのライバルシステムがどれだけ密接に統合されてきたかを示す驚異的な指標となっている。フォード、フェデックス、ハネウェルなどの企業や、華為にチップを販売し続けるために争ったクアルコムなどの半導体メーカーは、片足をアメリカに、もう片足をアメリカの地政学的に重要なライバルであるアメリカにしっかりと植え付けて存在している。両者のビジネスを守るために、彼らは中国を競争相手と呼ぶことで、危険なライバルを後押ししている自分たちの役割を隠蔽するために、この問題をソフトに売り込んでいるのだ。
アメリカのほぼすべての主要産業が中国との利害関係を持っている。ウォール街、シティグループ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーから接客業に至るまで。マリオットホテルの従業員が解雇されたのは、彼がチベットについてのツイートを気に入ったことに中国当局が異議を唱えたためだ。彼らは皆、中国共産党のルールに従うことを学んだ。
ランプ政権の元幹部、ロバート・スポルディング元退役軍人は、「中国に縛られていない人に聞いた方がいい」と言う。
当然のことながら、かつては頼りにされていた共和党の米国商工会議所は、トランプ氏の中国政策に反対する先頭に立っていた。関税案だけでなく、パンデミックが発生した場合でも、米国企業が重要なサプライチェーンを別の場所に移動し始めるよう求めたのだ。全米防衛産業協会は最近、防衛関連の請負業者が特定の中国の技術を使用することを禁止する法律に不満を表明した。同団体のスポークスマンは「連邦政府と仕事をしているすべての請負業者は、それを止めなければならないだろう」と述べた。
トランプ政権でさえも、タカ派と融和主義者に分かれており、前者は『パンダハガー』と皮肉っぽく呼ばれていた。トランプ政権の高官の大半は後者の陣営に属しており、特に元ハリウッドのプロデューサーであるスティーブン・ムニューシン財務長官はその中でも特に注目されていた。映画業界は、中国が知的財産を盗んでいると最初に声高に訴えていたが、最終的には北京と手を組むようになり、北京をなだめるようになった。スタジオは、中国共産党のレッドラインを守らずに、中国の巨大な市場に参入することはできません。例えば、「トップガン」の続編では、パラマウント社がトム・クルーズの「マーベリック」のジャケットに台湾と日本のパッチをぼかして中国で公開することを提案したが、中国共産党の検閲官は、世界のどのバージョンでもパッチを表示しないようにと主張した。
トランプ政権時代には、「中国との疑う余地のない協力を続けようという非常に大きな後押しがあった。反対側には、反発を望む少数の人々がいた」とスポルディング元顧問は言う。
アップル、ナイキ、コカ・コーラは、ウイグル強制労働防止法に反対するロビー活動までしていた。トランプ大統領就任最後の日に、マイク・ポンペオ国務長官は、米国が「中華人民共和国が中国の新疆ウイグル自治区で、ウイグル族のイスラム教徒やその他の少数民族・宗教団体のメンバーを標的に、大量虐殺と人道に対する犯罪を犯していると判断した」と発表した。2020年のオーストラリアの調査によると、ナイキ、アディダス、ギャップ、トミー・ヒルフィガー、アップル、グーグル、マイクロソフト、ゼネラルモーターズなど、ウイグル人の強制労働力を使用している多くのアメリカの主要ブランドがジェノサイドに加担していることになる。
基本的人権や民主主義を軽視している国が、アメリカの産業界から直接資金を提供され、アメリカ国民のものであるべきアメリカ政府の研究や技術の成果を特権的に利用できるようにすべきではないという考えは、党派的な考えとは言い難く、ドナルド・トランプ氏とはほとんど関係がない、あるいは関係がないはずである。しかし、歴史的な記録を見れば、アメリカと中国のエリートの融合はトランプ政権時代に頂点に達していたことがわかるだろう。ミッチ・マコーネル上院共和党党首の造船会社の億万長者の義父であるジェームズ・チャオ氏は、大学の同級生の江沢民氏をはじめとする中国共産党との関係から大きな利益を得ている。チャオ家からの贈り物は、マコーネルを、最も裕福な上院議員のリストの中で、ファインスタイン氏よりも数段下の地位にまで押し上げました。
トランプ憎しのメディアの津波に乗って、チャイナクラスは国家機関や安全保障官僚の中でその力を固めた。1990年代後半から続いている中国共産党政権の最悪かつ最も脅威的な側面への対応は、早送りになっていた。ナイキが中国の奴隷労働収容所でスニーカーを作っていたという話は、もはや流行らなくなった。中国がアメリカの科学機密や軍事機密を盗み、シリコンバレーで大規模なスパイ活動を行い、エリック・スワールウェルのような下院議員を危険にさらし、アイビーリーグのトップ教授に多額のリテイナーを払い、知的窃盗のプログラムを組織的に実施している、あるいは何らかの形で自国の国民や近隣諸国、さらにはアメリカの生活様式に危険をもたらしているというニュースは、トランプ支持のプロパガンダとしてミュートされ、却下された。
中央情報局(CIA)は、アメリカの制度を弱体化させようとする中国の努力を公然と保護していた。CIAの経営陣は、情報アナリストをいじめて、中国の影響力と私たちの政治プロセスへの干渉についての評価を変えるようにして、彼らがトランプ氏の政策に同意しない政策を支持するために使用されないようにしたのです。アメリカを守ることがCIAの経営陣にとって最も急務なことではないのは当然のことである。
中国の行動を実際に理解している人たちにとっては、党派性は明らかに二の次の関心事だった。中国の行動は、アメリカの中核的な安全保障機関がそれを真剣に受け止めていないように見えたことと同様に、真に憂慮すべきものであった。「1980年代までは、共和制政府の形態に反する考えを持つ外国勢力の利益を推進する人々は排除されていた」と、オバマ政権の元情報当局者は言う。「しかし、グローバリズムの出現で、彼らは中国を言い訳にし、自分たちの好みに合わせて情報を曲げた。ブッシュとオバマの時代、標準的な評価は、中国は青水軍を作る気がないというものだった。それは彼らの見方には不都合だった。中国は現在、第3の空母を生産中である。」
トランプ氏を憎むことは、彼らの政治的な言い訳になっているが、アメリカの安全保障と国防の確立は、中国を見て見ぬふりをすることに自分たちの利益を持っていた。ジョージ・W・ブッシュの「対テロ戦争」から始まった軍事作戦に人、金、名声を浪費してきた20年間は、米国にとって戦略的価値が低いことが証明されている。しかし、中東の殺戮現場にアメリカ人を派遣して安全を確保することは、北京にとって大きな利益となっている。先月、中国のエネルギー大手である善華は、イラク経済の低迷に乗じて、5年間の石油供給(日量13万バレル)に20億ドルを支払った。価格が上がれば、この取引で中国は石油を転売することができる。
アフガニスタンでは、大規模な銅、金属、鉱物の鉱山は、アメリカ軍が表向きの安全を確保しているが、中国企業が所有している。また、アフガニスタンは新疆ウイグル自治区と国境を接しているため、習近平は「米国がアフガニスタンから軍を撤退させた後、アフガニスタンやパキスタンの辺境に位置するテロ組織がすぐに中央アジアに侵入してくるのではないか」と懸念している。言い換えれば、米軍がアフガニスタンのような場所に海外展開しているのは、中国の「ベルト・アンド・ロード構想」のための安全保障よりも、アメリカの利益を守るためである。
「ソ連とのように中国とは対立しているわけではないという考えがある」とオバマ前大統領は言う。「しかし、我々はそうなっている問題は、民主党を中心としたアメリカの既成政党のほぼすべてが、断固として反対側にあるということだ。」
------ 2019年の夏の終わり頃、トランプ氏はホワイトハウスでの2期目に向かっているように見えた。経済が急騰し、失業率が記録的な低水準になっただけでなく、彼はまさに彼が選んだフィールドで対立候補と対決していたのだ。トランプ氏の北京との貿易戦争は、トランプ氏が本気でアメリカ企業にサプライチェーンの移動を迫ろうとしていることを示している。7月には、デルやHPのようなアメリカのトップテック企業が、生産の大部分を中国国外にシフトすると発表した。アマゾン、マイクロソフト、アルファベットもまた、製造の一部を他の場所に移す計画を立てていると述べた。
武漢の住民が通りを埋め尽くし始めたのは、2019年の6月下旬と7月上旬、まったく同じ瞬間だった、武漢の1100万人の健康と繁栄に責任を持つ役人が裏切ったことに怒りを覚えた。彼らは病気になり、病気になるのを恐れていた。高齢者は息を切らした。行進する人たちは、「毒されたくない、新鮮な空気を吸いたい」という横断幕を掲げていました。親たちは子供たちの命を心配した。病人が免疫系と神経系に永久的なダメージを受けていることを恐れていた。
当局はソーシャルメディアのアカウント、写真、抗議のビデオを検閲し、おとり捜査官はトラブルメーカーを監視し、最も声の大きい者を拘留した。企業は閉鎖を余儀なくされ、抗議者が隠れる場所はどこにもなかった。何人かはバンで運び出された。彼らは当局から「公安機関は悪質な扇動や挑発などの違法な犯罪行為を断固として取り締まる」と警告を受けていた。
当時、武漢の住民を街頭に送り出したのは、COVID-19ではなかった。2019年初夏、武漢の公衆衛生を脅かしたのは大気汚染の疫病だった。これは、アメリカの悲惨な最後の年の物語のこれまで語られてこなかった部分である。
大���を汚染するゴミの山に対処するため、当局はゴミ焼却場の建設を計画した(2013年、武漢では5つの焼却施設から危険な汚染物質が排出されていることが判明した)。他の都市でも同様に、2007年のシアメン、2015年の上海、2016年の成都、2017年の清原など、大気汚染に対する抗議行動が街頭で行われたが、その都度、中国共産党指導部にパニックの波が押し寄せた。不安が次から次へと広がり、14億人の国全体が制御不能に陥ったとしたらどうだろうか。
中国共産党は、騒動が流行らないようにする方法は、隔離することだと学んでいた。中国共産党は、中国の少数民族であるチベット人、そして最近ではトルコ系の少数民族であるイスラム教徒のウイグル人を、大規模な検疫や監禁によって無力化することに特に長けていたが、これは電子監視ネットワークによって管理され、刑務所や奴隷労働収容所への道を開いた。2019年までには、中国のウイグル人の悲惨な運命は、彼らの強制労働から大きな利益を得ている多くの人々の間でも、心からの関心事となっていたのか、それとも単に広報活動を重視していただけなのかを問わず、関心事となっていた。
新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)は、イランとほぼ同じ大きさの中国北西部に位置し、石炭や石油、天然ガスなどの資源が豊富な地域である。パキスタンと国境を接する新疆は、ベルト・アンド・ロード構想の重要な供給ルートの終着点であり、世界的な中国の利権圏を創造するための1兆ドルのプロジェクトである。BRIの潜在的な混乱は、中国の重要な利益への脅威を構成する。習近平は2014年4月、ウイグル族の戦闘員が駅で150人以上を刺した事件を、取り締まりの機会と捉えた。
「壊滅的な攻撃を備えよ」Xi は警察官および軍隊に言った。彼の副官は、一斉に命令を出した。「全員を切り上げろ」との命令が下された 情けをかけた役人は自ら拘留され、屈辱を受け、「新疆のための党中央指導部の戦略」に背くための手本とされた。
2019年11月のニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、中国当局が最も心配していたのは、省外の学校から帰宅したウイグル族の学生たちだった。学生たちは「国全体に広く社会的なつながりを持っていた」し、当局が恐れていた『影響力』が『広く、根絶するのが難しい』ソーシャルメディアを使用していた。任務は、収容所内で実際に起こっていることのニュースを隔離することだった。学生が愛する人はどこにいるのか、何があったのかと尋ねると、当局は「彼らの親族はイスラム過激主義の『ウイルス』に『感染』しているので、隔離して治療しなければならない」と学生に伝えるように助言された。
しかし、中国の封鎖政策の対象となったのは、テロ攻撃を実行する可能性の高い若い男性だけではなかった。文書によると、当局者は「暴力を振るうには年を取りすぎていると思われる祖父母や家族でさえも免れない」と言われたという。
2019年秋に本物のウイルスがヒットしたとき、中国当局は同じプロトコルに従い、問題を起こす可能性のある者だけでなく、武漢のすべての人を隔離し、わずか数ヶ月前に同じ都市で鎮圧したものよりもさらに大きな世論の反発を避けることを望んだ。
病気ではない者を隔離するロックダウンが、これまで公衆衛生対策として採用されてこなかったのには、それなりの理由がある。都市、州、または国の主要メンバーは、彼らが大規模な人口に集団的な罰を課していることを示すために意味がない限り、自分自身を投獄しない。政治的抑圧の手段として広く認知されているため、これまで公衆衛生対策として使われたことはなかった。
2019年12月末、中国当局は、新しいウイルスに言及したソーシャルメディアアカウントのロックダウンを開始し、それを警告したり、同僚とそれについて話したりした医師は叱責され、COVID-19に感染したとされる別の人が死亡しました。武漢を出入りする国内旅行はすべて停止されました。もし封鎖の目的が感染の拡大を防ぐことだったとすれば、国際便が継続していたことは注目に値します。むしろ、ソーシャルメディアの検閲と同様に、国内旅行の禁止は、政府の失態が中国全土に広がらないようにし、大規模な、おそらく制御不能な不安を招くことを防ぐためのものだったように思われる。
6月と7月に武漢の通りが埋め尽くされたのは、ある都市の人口を蝕む焼却炉の計画を隠していた当局の致命的な無能さに抗議するためだったとしたら、中国全土を蝕む運命にある呼吸器疾患の原因が、当局が主張するような湿った市場で起こった自然の偶然ではなく、中国共産党の武漢ウイルス研究所であることを知ったとき、中国国民はどのように反応するだろうか?
1月、トランプ政権の元国家安全保障副顧問マット・ポッティンジャー氏は英国当局者に、最新のアメリカの情報によると、COVID-19の最も可能性の高いソースは武漢のウイルス研究所であると語った。ポッティンジャー氏の発言を報じた数少ない欧米の報道機関の一つである英紙デイリー・メールによると、ポッティンジャー氏は、病原体が漏洩か事故によって逃げ出した可能性があると主張した。
1月に発表された国務省のファクトシートによると、米国は「武漢の研究室内の数人の研究者が2019年秋、最初に確認された感染例が発生する前に発病したと信じるに足る理由がある」としている。ファクトシートはさらに、中国政府の研究室が2016年からCOVID-19に最も類似したコウモリコロナウイルスの研究を行ってきたことを説明している。少なくとも2017年以降、WIVは中国軍に代わって機密研究を行ってきた。「米国は長年にわたり、中国の過去の生物兵器作業について公に懸念を表明してきたが、北京は生物兵器禁止条約の下で明確な義務を負っているにもかかわらず、文書化も実証もしていない。」
パンデミックが武漢の湿った市場で始まったのではないという証拠は、北京が1月23日に封鎖を実施した数日後の2020年1月に早くも発表されている。イギリスの医学誌「ランセット」によると、最初のものを含む41例のうち13例は市場との関連性がなかったという。5月には中国の疾病管理・予防センターの責任者が、COVID-19と湿潤市場を結びつけるものは何もなかったことを確認した。「新型コロナウイルスは、市場で発見されるずっと前から存在していた」と、中国の関係者は述べた。
ランセットの報告の後、トランプ政権に近い共和党当局者は、北京の公式アカウントに異議を唱えた。「我々はそれがどこで発生したかを知らないし、我々はそれの底を取得しなければならない」上院議員トム・コットンは2月に言った。「また、その食品市場から数マイル離れたところには、中国唯一のバイオ安全レベル4のスーパーラボがあり、ヒト感染症を研究していることも知っている。」コットン氏は、中国は二枚舌で不誠実だったと述べた。「私たちは、少なくとも証拠が何を示しているのかを確認するために質問をする必要があります。中国は今、その質問に対して何の証拠も提示していない」とコットン氏は述べた。
アメリカのマスコミは、コットンの答えを探す姿勢を軽蔑した。ジェフ・ベゾスのワシントン・ポスト紙は、コットンは「専門家によって何度も否定されてきた陰謀論の火種を撒き散らしている」と主張した。トランプ氏は、コロナウイルスが武漢の研究室で発生したものであると確信していると大統領が発言した時、アメリカのスパイサービスと矛盾していると嘲笑された。テッド・クルーズ上院議員は「パンデミックの起源についての明白な疑問を否定することで、マスコミは中国共産党のプロパガンダを作り出すために、ジャーナリズムのすべてのふりを放棄している」と述べた。
昨年の冬以来、トランプ氏とGOP当局者が行っていたのと同じケースを主張したニコルソン・ベイカー氏によるニューヨーク・マガジンの記事が1月に発表されたことは、有益な疑問を投げかけている。なぜジャーナリストたちは、北京のコロナウイルスの起源についてのトランプ政権の懐疑論を自動的に否定しようとしたのだろうか?なぜ選挙後まで待って、中国共産党の話が偽りであるという証拠の公表を許したのか。確かに、メディアはバイデン氏を好んでおり、何としてでもトランプ氏を追い出そうとしていたが、中国とCOVID-19についての真実をアメリカ人に伝えることが民主党の選挙にどのような影響を与えるだろうか?
中国はアメリカのマスコミに多くの友人を育ててきたからこそ、マスコミは中国政府の統計を素直な顔で伝えている。しかし、重要なのはこの事実である。中国共産党のナラティブを正当化する際に、メディアは主に中国のためではなく、中国から権力、富、威信を得ているアメリカ人階級のために報道しているのだ。いや、北京は悪者ではなく、国際的に責任ある利害関係者なのだ。実際、私たちは中国のリードに従うべきだ。そして3月までには、トランプ氏が最初に同意したことで、アメリカの当局者は、歴史上、独裁大国が自国民を黙らせるために使ってきたのと同じ抑圧的な措置をアメリカ人にも課した。
やがて、親中派の寡頭政治家たちは、封鎖がもたらした恩恵の全容に気づくようになった。ロックダウンは主要な寡頭政治家をより豊かにし、ベゾス単独の場合は850億ドルもの富を得たが、その一方でトランプ氏の中小企業基盤を困窮させた。市や州の当局は、不定法な規制を課すことで、独裁政治を正常化したのである。そして、少なくとも、アメリカの組織には、代議員の3分の1しか選ばれていない候補者に指名を与え、大統領選挙期間中は地下室に閉じ込めておくという、もっともらしい理由があった。しかし、ある意味では、ジョー・バイデンは、数十年続いた米中関係の軌道を正常に戻すことを意味していたのである。
----- バイデン氏の当選後、中国の外相は米中関係のリセットを求めたが、中国の活動家はバイデン氏の対中政策はすでに決まっていると言う。「私はバイデン政権に非常に懐疑的だ。なぜなら、彼が中国を21世紀のウイグル人の大量虐殺である正常な状態に戻すことを許すのではないかと心配しているからだ」と、ある人権活動家は選挙後、ニューヨーク・タイムズ紙に語った。バイデン氏が大統領になったことで、ある人権活動家は「ホワイトハウスに習近平氏が座っているようなものだ」と語った。
11月には、北京政府に近い中国のシンクタンクのトップが行った公開演説を記録したとするビデオがソーシャルメディア上で流通した。「トランプ氏は我々に対して貿易戦争を仕掛けてきた」と中国の聴衆に語った。「なぜ我々は彼に対処できなかったのか?1992年から2016年までの間、我々は常に米国との問題を解決してきたのはなぜか?それは、我々には上に人がいたからです。アメリカの中心的な権力の輪の中に、我々には古い友人がいるからです」と述べた。感謝する群衆は彼と一緒に笑った。「過去30~40年の間、私たちはアメリカの中心的な輪を利用してきました」と彼は続けた。「私が言ったように、ウォール街は非常に大きな影響力を持っています...私たちはかつてウォール街に大きく依存していました。問題は、2008年以降、彼らが衰退していることだ。最も重要なのは、2016年以降、ウォール街はトランプ氏をコントロールできなくなったことです...米中貿易戦争では、彼らは助けようとしました。アメリカの友人は、彼らは助けようとしたが、助けられなかったと言っていました。バイデンが選挙に勝った今、伝統的なエリート、政治的エリート、既成政党は、ウォール街と非常に密接な関係を持っています」
本当だろうか?ジャネット・イエレン財務長官がウォール街の聴衆の前で演説しただけで稼いだ小金は公の記録である。しかし彼女は先月の公聴会で北京に厳しい言葉を浴びせ、中国共産党のウイグル人に対する『恐ろしい人権侵害』を批判した。しかし、バイデン氏が国家安全保障のトップポストに指名した人物の履歴書は、別の話を物語っている。次期国家情報長官のアヴリル・ヘインズと国務長官のアントニー・ブリンケンは、選挙の直前に中国共産党のための仕事をウェブサイトから削除したWestExecというベルトウェイの会社で働いていた。
ペンタゴンの3番手に抜擢されたコリン・カール氏は、スタンフォード大学の研究所に勤務していた。この研究所は北京大学と提携しており、元中国共産党のスパイチーフが運営する学校で、欧米の諜報機関からは安全保障上のリスクがあると長い間見られていた。
アメリカ進歩センターのシンクタンクの責任者として、バイデンが管理予算局の長官に指名したニーラ・タンデンは、中国共産党の「政策と権威に対する潜在的な反対の情報源を共謀して無力化し、中国共産党の「海外の中国社会、外国政府、およびその他の行為者に影響を与え、北京を支持する行動を取るか、または立場を採用する」ための隠れ蓑として創設された米中交流組織と手を組んでいた。
バイデンの大統領人事特別補佐官トーマス・ジマーマン��上海社会科学院の研究員で、中国の国家安全保障省との関係があるとして欧米の諜報機関から注目されていた。
リンダ・トーマス・グリーンフィールド国連大使は、ジョージア州サバンナで開催された中国政府が出資する孔子学院で2019年の講演を行い、アフリカにおけるグッドガバナンス、ジェンダー・エクイティ、法の支配を推進する上での中国の役割を称賛した。「中国がこれらの価値観を共有できない理由はない。実際、中国はアフリカ大陸に強い足跡を残していることから、これらの理想を広めるためのユニークな立場にある」と述べた。
次期司令官の家族は、中国軍とつながりのあるビジネスマンから500万ドルの無利子融資を受けたと報じられ、バイデンの息子ハンターは中国のビジネスパートナーを『中国のスパイ長』と呼んでいた。ハンター・バイデンの中国共産党との結びつき疑惑の選挙前の報道をマスコミやソーシャルメディアが検閲したのは、彼を守るためではなかった-500万ドルは、ベゾスがパンデミックの間に毎時稼いでいた額よりも少ない。いや、親中派の寡頭制にとって、ジョー・バイデンを当選させたのは自分たちを守るためだったのだ。
バイデン政権はトランプ政権の積極的な中国の技術産業の巻き戻し努力を継続すると主張する報道は誤りである。新政権には、米中関係を軌道に乗せようと躍起になっているアメリカのハイテク産業のロビイストがいっぱいいる。バイデンのロン・クライン参謀長は、ワシントンのシリコンバレーを代表してロビー活動を行っている業界団体「テックネット」の元役員会メンバーでした。バイデンのホワイトハウス顧問はスティーブ・リチェッティで、弟のジェフは選挙直後にアマゾンのロビー活動のために雇われた。
イエレンは、「中国は明らかに我々の最も重要な戦略的競争相手である」と述べている。しかし、親中派の寡頭制は、富、権力、威信を得ている国と競合しているわけではない。中国の独裁政治が彼らのモデルなのだ。ワシントンD.C.全体に2万人以上の米軍メンバーを配備したことを考えてみよう。反乱やクーデターとされた散発的に暴力的な抗議デモ行進の結果、公の場ではほとんど姿を見せない大統領の就任式の警備のために、ワシントンD.C.に2万人以上の米軍メンバーを配備したこと、ソーシャルメディアからの反対の声の除去と、競合するソーシャルメディアのプラットフォーム自体の除去、トランプ支持者のアメリカの半分の人々が医療、クレジット、法的手段、教育、雇用へのアクセスから遠ざかるようにしたこと、現政権の政策への抗議を「国内テロリズム」として再定義するという究極の目標を持っていること、などを踏まえて考えてみてほしい。
明らかなのは、バイデン氏の就任は、中国との関係を自国の同胞に対する盾と剣と見なしているアメリカの寡頭制の覇権を示すものであるということである。アテネの「三十人の暴君」のように、彼らは、創造主によって与えられた全市民の自然権を認める政治システムを単に軽蔑しているのではなく、自分たちが支配している人々が、自分たちと同じ権利を持っているという考え方を特に軽蔑している。言論は、それを適切に使う方法を知っている賢明な少数の者だけが自由にできるものであるべきだ、という考えに対する彼らの新たな尊敬の念を見るといい。クリティアスや親パルタ派のように、新しいアメリカの寡頭制は、民主主義の失敗は自分たちの権力に対する独占的な権利の証明であり、自分たちの同胞を破壊するのを助ける外国の力と協力して統治することを喜んでいると考えている。
歴史はこの瞬間について何を教えてくれるのだろうか。悪いニュースは、30人の暴君がアテネの著名な民主主義者を追放し、アテネの人口の推定5%を殺害しながら彼らの財産を没収したこと。良いニュースは、彼らの支配は1年未満であったということだ。
[リー・スミスは、新たに出版された本『The Permanent Coup』の著者である。国内外の敵はどのようにしてアメリカ大統領を標的にしたのか』の著者である。]
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shibaracu · 5 years
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◆パンデミック・イヴ 日本壊滅の危機!
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◆パンデミック・イヴ 日本壊滅の危機! 76,149 回視聴  2019/07/08 https://youtu.be/kOUr8Zsqsuo Ghost king チャンネル登録者数 200人 ある日、救急救命医である松岡剛が働くいずみ野市立病院に1人の急患が運び込まれる。その患者は今まで人類が経験したことの無いウイルスに感染しており、医師団の治療虚しく死亡した。その後、謎のウイルスは瞬く間に院内に広まり、院内は戦場と化した。この患者が発症したウイルスは新型インフルエンザなのか、それとも新種のウイルスなのかと見当のつかないものであった。   ◆パンデミック  pandemic 広範囲に及ぶ流行病。   ◆外出禁止令、違反相次ぐ欧州 やむなく規制強化も 仏大統領怒り、ギリシャ首相自賛 https://www.jiji.com/sp/article?k=2020032100411&g=int&p=20200321at25S&rel=pv 2020/3/22(日) 7:21配信 時事通信 20日、パリで、セーヌ川周辺をパトロールするフランス警察(EPA時事)  【パリ時事】新型コロナウイルスの感染者が10万人を超えた欧州で、感染拡大を食い止めるため、通勤や必需品の買い出し以外の外出を禁止するなどの措置に各国が踏み切った。     ◆新型コロナ=“武漢ウイルス” 米高官が中国けん制 [2020/03/18 08:36] https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000179337.html  アメリカのポンペオ国務長官は新型コロナウイルスについて「武漢ウイルス」と呼び、ウイルスをアメリカが持ち込んだと主張する中国を牽制(けんせい)しました。  ポンペオ国務長官:「トランプ政権は『武漢ウイルス』と戦い、アメリカ国民を守るために多大なエネルギーを費やし続ける」  ポンペオ長官は中国外務省の趙立堅報道官が自身のツイッターに「アメリカ軍がウイルスの流行を武漢に持ち込んだかもしれない」と投稿したことを念頭に中国を牽制しました。アメリカではウイルスの発生源を巡る中国の主張に対して反発が強まっていて、トランプ大統領も「中国ウイルス」という言葉を使っています。ポンペオ長官はウイルスが中国で流行した当初の情報提供についても「中国はもっと早く警告するべきだったが、時間がかかりすぎた」と批判しました。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2020 ◆新型コロナウイルスの大流行はいつ終わる? 生活はもとに戻るのか? https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71266 2020/3/21(土) 11:46配信 BBC News  自然から人類への警告の可能性 ジェイムズ・ギャラガー、BBC健康科学担当編集委員 なぜ「中国内陸部」なのか? 新型コロナウイルスの「発生源」について、ついに中国とアメリカの間で舌戦が始まりました。トランプ大統領が「チャイニーズ・ウイルス」と発言したり、アメリカ政府高官が「武漢が発生地であることを忘れるな」などと次々に述べる一方、中国政府の報道官は「米軍が中国へ持ち込んだのだ」と主張し、物議を醸しています。 2002〜2003年に感染が拡大したSARSと同様、新型コロナウイルスについても、野生のコウモリが発生源(ウイルスの一次宿主)である、という説があります。その是非はひとまず置いておいて、先日こんな要旨の記事を目にしました。 〈SARS流行の時、ウイルスの宿主とされるキクガシラコウモリを調べるために、中国の専門家集団は雲南省の奥地へ調査に向かった。なぜ、わざわざそんなところに調べに行く必要があるのか。キクガシラコウモリだったら、広州の街中にもいるのに、見当違いの無駄な努力をしている。中国のやることは理解できない〉   ◆ 確かに欧州人は個人主義が染み付いているから もはや不信感ばかりが募る政府の判断よりも 個人個人の判断を重視する傾向があるのでしょう。 実際に海外ニュースを見ても なかなか政府当局の言うことを聞かない人が多いようで 致し方無く罰金や逮捕も辞さない構えになったようです。 しかし市民も何を今更といった感じで諦めムードである一方 どの国も買い溜めが横行しスーパーの棚は空っぽで パニックになっている方々も大勢いるようです。 可哀そうだったのは英国の医療従事者が 48時間勤務の後にスーパーに行って何も無かったのに嘆き 泣き悲しみながら買い溜めをしないで欲しいとSNSで訴える姿は ほんと痛々しいものを感じてしまいました。 日本はまだマシだから安心かと思っている方もいるかと思いますが 明日は我が身だと思って気を緩めずに自助努力に励みましょう。   そう言うマクロン大統領だって「戦争宣言」の僅か2週間前には、病院を訪問して医師や看護師と握手して回っていました(笑)。 ヨーロッパの人達の衛生観念や危機意識って、こんなものだと思います。だからこれだけやられたし、これからもやられる。 日本は下を見るのではなく、台湾等、上を見て、何が足りないのかを考えた方がよっぽど有益だと思います。   イタリアの状況を見てるから、他の国は焦ってるんだろうね。 感染者数も中国を抜きそうな勢いだし。 ギリシャも日本も気を抜かない方がいい。 今までのとこ、国のトップが余裕の発言をしてた国が危険な状況になってる気がする。 国のトップが早め早めに、大袈裟なくらい注意を促すことは効果があるんだろう。   ◆世界で感染者30万人超 スペインは首都で感染拡大[2020/03/22 11:56] https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000179702.html  ヨーロッパでは新型コロナウイルスの感染拡大のペースが速まり、世界全体の感染者は30万人を超えました。スペインでは、感染していたレアル・マドリードの元会長が死亡しました。  スペインメディアによりますと、名門サッカーチームのレアル・マドリードのロレンソ・サンス元会長(76)が21日に病院で死亡したということです。糖尿病などの持病があり、新型コロナウイルスに感染していました。サンス氏は1995年から2000年まで会長を務めていました。スペインでは首都マド���ードを中心に感染の拡大が深刻で、1326人が死亡しています。  また、イタリアでは死亡した人の数がさらに増え、21日の一日で793人の死亡が確認されました。新たな感染者は6557人に上っています。コンテ首相は深夜に演説し、食料品店や薬局、そして物流など生活に直結する一部の業種を除いて会社や工場を閉鎖すると発表しました。   ◆ 「一斉休校」舞台裏 見えた政権内の“溝”3/21(土) 18:11配信 https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20200321-00000321-nnn-pol 20日、一斉休校の要請を延長しないと明らかにした安倍政権。 国民生活を混乱させた一斉休校の要請だったが、その政治判断をめぐって、一枚岩だった安倍政権の溝も見えてきた。     ◇ 休校中も学校を開放している東京・港区立白金小学校。職員室では、先生が学校再開にむけた準備などを行っていた。また、体育館では来週行われる卒業式のリハーサルが。 “一斉休校”から3週間。政府による休校の要請は、突然のことだった。 港区立・白金小学校 花井拓也教諭「正直に、かなり衝撃でした。(職員室の)テレビで知りました」 港区立・白金小学校 福田和寿美教諭「子供たちと過ごす時間があっという間になくなってしまって」 (先月27日) 安倍首相「来週3月2日から春休みまで臨時休業(休校)を行うよう要請します」 先月、安倍首相が発表した一斉休校の要請。これは安倍首相による突然の「政治判断」だった。判断に大きくかかわったのは…安倍首相を1次政権のときから支える今井尚哉首相補佐官。経済産業省の官僚で“側近中の側近”。官邸でも安倍首相の後ろに控える姿がたびたび見られる。 通常、危機管理の際は、安倍首相や今井補佐官のほか菅官房長官、杉田官房副長官も加わって判断し、各省庁に指示している。 ところが今回の休校措置は、今井補佐官が強くすすめたもの。菅長官らは当日の午後まで知らされていなかった。地域ごとの休校がよいと考えていた菅長官。 周辺によると―― 菅長官に近い議員「菅長官は、今回の要請は自分の考えと違う話になり不満だった」 さらに、安倍首相側近でもある萩生田文科相も当初、一斉休校には反対だった。 萩生田文科相「3日間ですべての(休校の)準備をするということに対しては、かなり無理があって、結果的として現場にご迷惑と混乱を与えている」 また1週間後(今月5日)には―― 安倍首相「(中国・韓国)両国からの入国者に対する検疫を強化し」 中国と韓国に対する、事実上の入国制限を発表。この判断についても菅長官は決定前日の段階で知らなかったという。これまでにはなかった、安倍政権内の足並みの乱れ。 官邸関係者らは―― 官邸関係者「イニシアチブが今井補佐官寄りになっている」 自民党議員「官僚は、国民に選挙で選ばれたわけではないのに力を持ちすぎている」 こうした中、各省庁との調整がなかったことの「弊害」も浮き彫りになった。 実は、萩生田文科相は要請のあと、ただちに学童などの対応について発表するはずだった。しかし、安倍首相が直前になって休校期間を「2週間」から「春休みまで」と変更。文科省側は混乱し、同時に対応策を発表することができなかった。発表の遅れは学校現場や保護者の混乱に拍車をかける形となった。 未知のウイルスへの対応がせまられる中での「政治判断」。その意思決定のあり方が問われている。   ◆ 私の周辺では、3月2日の一斉休校の大号令の時より、今のほうが感染者が増加していてリスクが高いという意見が強い。
3月2日は一斉休校要請をして、今は何が良くなったから再開していいという政治判断に至ったのか、説明責任が果たされていない。   特に改善される様な兆しや策もないのにどうして再開と言えるのでしょう。休校の時もそうですが納得出来るだけの理由や説明が欲しい。足らないんですよ。   せっかく1ヶ月したのに4月からは解除って…中国は物凄く厳しくして2ヶ月やった…海外も日本より遥かに厳しくしてるんやぞ。この1ヶ月ムダにするな…ゴールデンウィークまでは最低しないと。社会を止めなかったから。そうしないと休校の意味全くないと思うけど。   決断力をアピールするために一斉休校にしてはみたものの、社会生活上様々な問題が生じてきたので、感染者は増えているが一斉休校はやめた感が強いな。   安倍総理は、とにかく自分が総理大臣として行ったという記録を残したがる困った人だ。今まで何一つ成果が無いものだから、今回の「一斉休校」も、過去に無い決断をしたいという考えから出たものだと思う。オリンピックにしても、自分が開会式で総理大臣として挨拶をしたいから、何が何でも予定通り開催したがる。国民のことより自分の自己満足に付き合わされるのもうんざりである。   閣僚一人一人が危機意識がないのだろう! だから提言するやつもいない。 発表前に全閣僚集めて意見の集約することもなく、行き当たりばったりで発表したんだろう! なんせ 嘘つき、改ざん、忖度を強要してるわけだから、進言なんかできる環境でもない。 一番信用できない奴が、総理であることが すべてのトラブルになっている!!   安倍の朝令暮改のせいで、始まった学校の休校。しかし北海道知事の真似して私はリーダーシップを取りましたってアピール。
しかし、学校の再開の基準が決めきれず地方の首長に任せるなどと愚の骨頂な真似をする。
ホント安倍政権ではこのコロナ騒動は上手く終息出来ないので、今すぐに内閣総辞職してほしい。
こいつの頭は自分の利益と総理の権利を握り続けるという己の利権しかない。
ホント史上最低の総理大臣です。   突然の一斉休校”から3週間もの間、国民はコロナウイルスへの恐怖と納得していない突然の政府の要請に、涙を流しながらも耐えてやっているんですよ。そんなさなかに、首相のやり方には反対だったとか、政府内部には溝があるとか記事にすれば、また、局の特ダネとか言ってテレビでも批判に明け暮れる。 どんだけ国民を振り回すのですか?どんだけ国民を置き去りにするんですか?政権内部で対立してる場合じゃないでしょう。 未知のウイルスと戦っているんです。政権争いなんかしているうちに、みんなやる気がなえてしまいそうです。後ろを見ないで国民ファーストで早く前に進んでください。   全く信頼されてない人間がいくら偉そうなことを言っても国民には響かない。 国民の命と健康を守る前に自分の評価を下げないようにしている政権に誰もついてゆけない。 内部分裂でも権力争いでもいいから政権を降りてからやってくれ。   今井から進言されたら、各省庁で案を早急に良い悪い、または実現可能かを検討するのが普通。台湾の様に運営に柔軟性が無い。一斉休校は無理があり過ぎた。地域の実情を無視。しかし今井は何の根拠で休校を決めたのだろう。安倍の人気取りのために思いついたんだろう。   ◆安倍よ、さらば…菅官房長官の「逆襲」がいよいよ加速している(歳 ... https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71231 永田町、霞が関の「常識」 もちろん、新聞各紙には社論がある。安倍晋三政権に対する取材のスタンスが異なるのは当然だ。永田町や霞が関での「常識」は、安倍政権(政策)に好意的なのが産経新聞、読売新聞、そして概ね寛容なのが日本経済新聞というものである。他方、同政権に手厳しい報道姿勢なのが東京新聞、朝日新聞、毎日新聞である、と(注:取材の立ち位置は記述の順番通りである)。 こうした視点から3月15日付朝刊の読売新聞、朝日新聞両紙を読み比べると、その「常識」に得心がいく。前者は「首相 危機管理に腹心―休校・入国制限決断を支える2人、新型コロナ菅長官存在感薄く―『ポスト安倍』思惑隔たり」の見出しを掲げて、首相官邸のキーマンである菅義偉官房長官と、首相最側近の北村滋国家安全保障局長、今井尚哉首相補佐官2人の安倍首相との現在の距離感について言及している。  
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akb48b · 6 years
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【米中】ポンペオ国務長官「中国の行動に強い懸念」 王毅氏との会談で「根本的な不一致」指摘
1 名前:ばーど ★:2018/10/09(火) 07:59:34.73 ID:CAP_USER9.net https://www.sankei.com/images/news/181008/wor1810080045-p1.jpg
 【北京=西見由章】ロイター通信によると、中国を訪問しているポンペオ米国務長官は8日、北京で行われた王毅国務委員兼外相との会談で、中国の通商政策や南シナ海での軍事拠点化などを念頭に「われわれは中国側の行動に強い懸念を持っている」と伝えた。
 会談の冒頭で王氏は、米側が中国との貿易摩擦をエスカレートさせ、台湾問題においても「中国の権益を損なう行動」をとり、中国の国内外の政策に対して根拠のない批判を展開していると指摘。これに対してポンペオ氏は「あなたが言及した問題について、われわれの間には根本的な不一致がある」と反論し、王氏の主張に同意しない姿勢を示した。
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ari0921 · 4 years
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シェアさせていただきます。
前政権、取り分け、ピーターナバロ氏と比較してしまう。
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見えてこない米国のインド太平洋戦略
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         櫻井よしこ
トランプ、バイデン新旧米政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官が、 党派を超えて対中政策で幅広く合意した。ジェイク・サリバン新大統領補 佐官は、正式に日米豪印4か国が構成する「自由で開かれたインド・太平 洋戦略」の軍事的枠組み(クアッド)が、米国の国防政策の基本であると 認めた。また、いくつかの前提を置いたうえでのことだが、ウイグル人、 香港、台湾への好戦的な恐喝に対して、米国は中国に対価を払わせる、そ の準備を進めていることを、明確かつ継続的に伝えるとも語った。
一連の発言は1月29日に、米シンクタンク「米国平和研究所」のオンライ ン対話でロバート・オブライエン前大統領補佐官を相手に発信された。両 氏はこれから先、幾世代にもわたって中国が最大の脅威だという点でも意 見の一致を見た。
ポンペオ前国務長官が、中国共産党政府のウイグル人弾圧を「ジェノサイ ド」(民族大量虐殺)と認定したのが退任前日の1月19日だ。同日、民主 党の国務長官候補として上院の公聴会に臨んだブリンケン氏も財務長官候 補のイエレン氏も、ポンペオ氏の認定を受け入れた。
ブリンケン氏はさらに、中国共産党は新疆ウイグル自治区でウイグル人を 強制労働させており、強制労働による製品の輸入禁止に向けて米国はあら ゆる対策を講ずると踏み込んだ。
公聴会でのブリンケン氏の発言は興味深く、米国東部のエリート家族の出 身である氏が人権に非常に強い拘りをもっていることがよくわかる。氏の 妻、エヴァン・ライアン氏は教育文化担当次官補である。伯父はベルギー 大使、父はハンガリー大使、母はハンガリーからの亡命者で、祖父はロシ アからの亡命者だ。すでに亡くなっているブリンケン氏の継父はホロコー ストの生存者だ。
彼はポーランドの収容所を脱出し、森に逃げた。戦車の音が迫ってきたと き、見上げると戦車には星条旗がはためいていた。彼は必死に駆け寄り、 黒人のGIが彼を見つけた。彼はひざまずき、母に習った英単語3つを大 声で言った。「God Bless America」。GIは彼を引っ 張り上げ戦車に保護した。
中国批判の本気度
「これがわが一族です。わが家族の物語は、不完全ではあっても最善を尽 くし続ける米国の姿を世界に示すものです」と、ブリンケン氏は語った。
氏が家族の物語を語ったことからは、中国批判の本気度が伝わってくる。 人間を人間として遇さない中国共産党、中国式法解釈を国際法にとって替 わらせようとする独善的な習近平国家主席、力による外交の根拠となって いる中華帝国主義の全てに対し、本気で憤っている。
バイデン政権の対中政策はこれら担当者の言葉を信ずる限り、非常に厳し いものだ。しかし問題はここからだ。バイデン氏は武漢ウイルス、経済の 停滞、人種差別と社会の分断など国内問題に集中せざるを得ず、外交、安 全保障問題は自ら陣頭指揮するのではなくベテランに任せた。外交の目玉 としての環境問題はジョン・ケリー氏に、安全保障問題はカート・キャン ベル氏に託した。
米国や日本、その他諸国が安全保障の危機に直面している元凶は中国だ。 彼らの横暴な振舞いが最も顕著なのは南シナ海、東シナ海、インド洋、太 平洋、つまり広い意味でのアジアである。そのアジア全域とほぼ同義のイ ンド・太平洋地域における調整官に任命されたのがキャンベル氏だ。
ケリー氏もキャンベル氏も、他の閣僚たちより20歳ほども年長である。若 い閣僚たちがベテランを巧くコントロールできるのか。またベテラン達は 本当に機能するのか、疑問を抱く幾つかの理由がある。
キャンベル氏はヒラリー・クリントン国務長官に国務次官補として仕え た。様々な意味で経験豊かな氏ではあるが、評価は米国でも二分されてい る。批判する人々はキャンベル氏はビジネスマンだという。中国との利害 関係があるのではないかというニュアンスを伴った批判である。
もうひとつ、政策上の成果がないという点だ。ヒラリー氏とオバマ政権 は、米国の国防の軸足を中東からアジアに引き戻す「Pivot to Asia」 (アジア基軸への転換)を提唱した。同戦略の考案者がキャンベル氏だと 言われている。同戦略の特徴は中国の脅威を強調しはしたが、実際には具 体策を講じなかったことだ。言っていることは正しいが、言い放しで終わ り、何ひとつ実行されなかった。
キャンベル氏ひとりの責任ではないが、オバマ政権と同じ有言不実行、口 ばかりの失敗の型に、再びバイデン政権で陥ることはないか。
キャンベル氏は2018年3・4月号の外交専門誌「フォーリン・アフェアー ズ」に寄せた「中国収支 北京は如何に米国の期待を裏切ったか」で、米 国の中国に対する関与政策の誤りを指摘した。豊かになれば中国は米国の ように民主的で開かれた国になると信じ、支援してきた長年の対中宥和策 への批判だった。
対中政策に不安
だが、キャンベル氏の批判よりずっと前にマイケル・ピルズベリー氏が中 国の正体を指摘し、氏の著書はベストセラーになった。17年1月にはトラ ンプ政権が誕生し、同年12月には、中国を米国の脅威と見做す国防戦略も 発表済みだった。キャンベル氏はワシントンの風向きの変化を受けとめた 論文を書いただけか。
バイデン政権ではキャンベル氏がインド・太平洋全般の安全保障問題を 「調整」する。氏は1月12日に電子版フォーリン・アフェアーズに「米国 は如何にしてアジアの秩序を支えられるか」を寄稿した。
ヘンリー・キッシンジャー氏が若き日に、19世紀の欧州事情について書い た論文を元に現在の米中関係の在り方を説いた内容だが、正直に言って参 考にならない。何よりも注目すべき点は、キャンベル調整官は「インド・ 太平洋」を論じながら、一度も「自由で開かれたインド・太平洋」とは書 いていないことだ。
キャンベル氏は、調整官として国防総省、国務省を中心に省をまたぐ広い 視野で中国問題に取り組む立場にあるが、冒頭で紹介した新旧二人の安全 保障問題担当大統領補佐官が「自由で開かれたインド・太平洋」こそ米国 防政策の基本だとする立場とは対照的だ。これで大丈夫か。
「アジアに軸足を」との氏の政策提言は言葉だけに終わった。だがいま、 インド・太平洋調整官として、氏は政策提言さえも満足にできていないと いうのは、言いすぎか。
キッシンジャー氏はその全収入の5%を中国から得ているそうだ。5%とい う数字の正確さは私にはわからないが、中国とのビジネス上の関係が深い ことは想像できる。そのような人物を尊敬しているとするキャンベル氏、 ひいてはキャンベル氏に依存するバイデン政権の対中政策に不安を抱く次 第である。
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ari0921 · 4 years
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APEC首脳会議で台風の目になる台湾問題
末永 恵
米中対立が激化していることは台湾にとってリスクでもありチャンスでもある
 11月20日、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議を初めてオンライン形式で開催する。
 APECは日米中ロを含むアジア太平洋地域の唯一の経済的枠組みであり、今回の首脳会議には、21か国・地域(東アジア、東南アジア、南米諸国など)が参加。3年ぶりとなる首脳宣言採択を目指している。
 2018年は中国の習近平国家主席と米国のマイク・ペンス副大統領の米中対立、2019年は南米諸国で最初に経済協力開発機構(OECD)に加盟した「南米の優等生」、チリの内政混乱による中止で、採択を断念せざるを得なかった。
 今年は、「域内貿易・投資の自由化」を掲げた1994年策定の「ボゴール宣言」(1994年11月にインドネシアのボゴールで開催されたAPECで採択)が期限を迎えるため、新規目標を採択する予定だ。
 デジタル化を柱とした経済成長、気候変動や環境を踏まえた持続可能な成長、さらには貿易投資の一層の自由化を目標に、「APECポスト2020ビジョン」の指針を掲げ、具体的なアクションプランを来年以降に決めることを目指している。
 そして、今回の会議で重要なのが台湾の動向である。
 米中対立が深刻になる中で台湾は中国による「一つの中国」構想から抜け出し、独立国としての地位を築きたいという強い思いがある。今回のAPEC首脳会議はその第一歩となる可能性があるからだ。
 当初、台湾は蔡英文総統の出席を狙っていたとされる。
 台湾の蘇貞昌行政院長(首相に相当)が「蔡英文総統はあらゆる機会で、世界にメッセージを発信し、台湾の存在感を高めたいと願っている」と発言。加盟後約30年ぶりに台湾の総統が出席するか注目されていた。
 これまでにも台湾はAPCE首脳会議への出席を虎視眈々と狙っていた。しかし、一つの中国を掲げる中国が、APEC主催国に対し「台湾の首脳に査証(ビザ)を発給するべきでない」と圧力をかけ、実現を阻止してきた経緯がある。
 ところが、今回のAPEC首脳会議はオンライン開催だ。ビザの発給が必要なくなる。台湾にとっては千載一遇のチャンスとなった。
 実際、10月末には、台湾の複数の民間団体が蔡総統の出席を認可するようAPECの議長国、マレーシア政府に訴えた。
 その中で、台湾の主権や経済の自立性を訴える「経済民主連合」の代表、頼中強氏は蔡総統のAPEC首脳会議参加の正当性を次のように訴えた。
「将来的に、域内の経済統合のカギとなるのは、知的財産権や人権問題など貿易摩擦に絡む紛争解決のメカニズムの構築にある。労働者や環境などの条項をカバーした経済協力協定をAPEC加盟国であるニュージーランドと締結した台湾には、APECに有益な知見と経験がある」
 一方、台湾のこうした動きをいち早く察知していた中国は迅速に対応した。10月中旬、王毅外相がマレーシアを訪問。
 コロナワクチンの優先供給、マレーシアの戦略的貿易品目のパーム油の巨額購入を取引材料に、APEC議長国マレーシアに台湾の参加阻止を求めたとされる。
 マレーシア政府関係者は筆者の取材に対して、「台湾側から打診があったのは事実」としながら、「これまでの慣例に従って台湾総統の首脳会議出席は見送った」と淡々と内情を明らかにした。
 APEC担当省の外務省トップのマレーシアのヒシャムディン外相は、マレーシアがASEANで中国と国交を樹立した最初の国となった当時の首相、ラザク氏の息子で親中だったナジブ元首相の従弟。
 同外相自身も中国とのビジネスで巨額の富を得ているといわれ、中国の意向を汲んだ当然の結果ともいえるだろう。
 結果、蔡英文総統の首脳会議初参加は水に流れてしまった。
 とはいえ、台湾に何も成果がなかったかと言えばそうでもない。
 台湾は、総統の特使として、「台湾の半導体の父」と称される半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の創業者で前董事長(前会長)の張忠謀(モリス・チャン)氏を派遣することを決めたのだ。
 首脳会議に出席する張氏は、台湾を半導体産業で世界2位の地位に君臨させたアジアの経済界を代表する重鎮として尊敬される存在だ。
 張氏が台湾を代表し、APEC首脳会議に出席するのは今回が初めてではない。だが、中国のファーウェイが米国の制裁対象になっているように、米中のハイテク戦争が激化している中での張氏の派遣はこれまでにない意味がある。
 蔡総統は今回の首脳会議参加の意義と張氏の特使派遣の決定について、次のように明らかにした。
「台湾は第1に、APEC加盟国に台湾が医療エネルギーと防疫経験で貢献したいという意思があることを伝え、第2に、台湾と各国の連携強化を推進し、台湾が世界のサプライチェーンのカギとなる重要な地位を強固にしていく方針を示したい」
 さらにこう続ける。
「アジアの経済界の支柱である張氏は、デジタル産業とテクノロジーの未来において卓越したビジョンをもっている」
「今年は(米中貿易戦争などによる脱中国の現象など)サプライチェーンの再構築が進む節目の年である。張氏の知見を最大限に生かし、将来への提言や方向性をすべてのAPEC加盟国に伝えることは大変意義がある」
 蔡総統が、張氏を再び総統特使としてAPEC首脳会議に送り出した最大の狙いは米国とのFTA(自由貿易協定)締結への基盤づくりにある。
 今年の9月中旬には、米国のキース・クラック国務次官が訪台。蔡総統との会談には、TSMCの張氏も出席した。
 蔡総統が「近年、台米関係は大きな進展があり、今後も信頼関係をより強固にし、双方でさらなる強い基盤を構築することを望む」としたのに対し、同国務次官も「民主的な台湾の立場を支持し、さらなる関係強化を図りたい」と台湾への統一圧力を図る中国を牽制し、台米関係における緊密化を確認した。
 中国の軍事的脅威にさらされている台湾にとって、経済的な自由貿易連携は、国の安全保障の布石をも意味する。
「台湾の半導体の父」と称される張氏が創業した半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、軍事兵器や次世代通信規格「5G」対応ブランド製品、スマートフォン、サーバーなどの最先端品に多く使用され、世界の強豪メーカーをも圧倒する存在感を示している。
 TSMCの売上高の約60%は米国市場、同20%が中国市場で占められているという。
「中国のファーウェイは、すべての先端的半導体でTSMCを使用しているだけでなく、多くの中国企業がTSMCの半導体に依存している現状がある」(米経済アナリスト)
 こうした背景から、中国はTSMCのエンジニアや幹部の多くをヘッドハンティングする一方、TSMCを巡り、米中両国は長年、工場誘致で競合してきた。
 しかし、米国は今年5月、TSMCの誘致をやっとのことで実現させ、TSMCの海外初の最新鋭工場の建設をアリゾナ州に決定。投資額は120億ドル(約1兆4000億円)に上り、米政府が巨額資金を補助する方向で、2024年の稼働を目指している。
 しかも、TSMCが同アリゾナ工場建設計画を発表したのは、米商務省がファーウェイへの半導体輸出規制強化案を発表する数時間前だった。
 マイク・ポンペオ国務長官は、TSMCのアリゾナ新工場が生産する半導体は、人工知能から5G移動通信基地局、さらには戦闘機まで動かすことが可能だと強調。
「米中関係の緊張を最大限利用し、そこから最大限の利益をどう得るか。世界最大手にのし上がったTSMCの企業戦略は、まさに台湾の行く末だけでなく、米中関係に大きな影響力を及ぼす政治的な力をも帯びてきた」(米経済アナリスト)
 日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など15カ国は、11月15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。
 しかし、今回合意に至ったRCEPには、APEC加盟国の台湾や米国が含まれていない。
 こうした中で開かれるAPEC首脳会議に張氏が出席し、次世代通信機器のカギを握る半導体技術で米国との関係強化を他の参加国に見せつけることは、大きな意義がある。
 RCEP交渉で15カ国が合意したことについて、台湾の通商交渉官を務める行政院政務委員(無任所大臣に相当)の鄧振中氏は「台湾が15カ国に輸出している製品のうち、7割がゼロ関税の対象である電子部品などのICT製品で、台湾への影響は限定的だ」との見解を示した。
 その上で、「中国が参加していないTPPへの加入こそが蔡政権の目標だ」と語った。
 米次期大統領のバイデン氏も、RCEP誕生で中国への通商政策への対抗を示唆し、オバマ政権時代、副大統領としてTPPを推し進めた同氏の下、米国のTPP復帰が期待されている。
 台湾と米国が除外されたRCEPの合意に台湾は「大きな影響はない」とし、「日本が台湾のTPP参加を支持してほしい」とも訴えている。
 11月20日に開催されるAPEC首脳会議は台湾を中心に眺めることをお勧めしたい。
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ari0921 · 4 years
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福島香さんの論考です。#JBpress より
習近平はなぜバイデンに祝辞を送らないのか
米大統領選の大混乱を見守る中国の思惑
2020.11.12(木)
福島 香織
 注目の米大統領選は、民主党のバイデン候補が一応勝利宣言をしているが、トランプ現大統領はまだ敗北宣言をしておらず、このまま法廷闘争に持ち込まれて紛糾する可能性も残っている。こうした中、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席など一部の国はバイデンに対して祝辞を述べておらず、沈黙を守っている。中国は今、何を考えているのだろうか。
公式見解を示さない中国
 11月9日、中国外交部の定例会見で、CNNやロイターなどの欧米メディアは、なぜ中国は公式にバイデン候補に祝辞を送らないのか繰り返し質問した。これに対し汪文斌報道官は「バイデンさんがすでに勝利宣言していることには注目している。大統領選の結果は米国の法律とプロセスによって確定される。(いつ当選者に祝賀を述べるかは)国際慣例に従って処理する」「我々はこれまで、中米双方は対話をもっと強化すべきだと主張してきた。相互に対立点を認識したうえで尊重し、ウィンウィンを基本に協力を展開し、中米関係を健康に穏当に発展させていくべきだ」と慎重に述べるにとどまった。
 4年前のトランプ大統領当選の際は、中国がまっさきに祝辞を述べた国の1つだった。バイデン政権を中国は歓迎していないということなのか。
 ロイター記者が「バイデンはかつて中国に不利な態度を示したが、それについてどう対応するのか」と重ねて聞いても報道官ははぐらかしていた。果たしてバイデン政権は中国にとってトランプ政権より手ごわい相手なのか。今後の対米戦略について、中国の識者たちの見方を見てみたい。
習近平が祝辞を述べようとしない理由
 習近平がなかなかバイデンの選挙戦勝利宣言に対して祝辞を述べようとしない理由について、ドイツ紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(フランクフルト総合新聞)」がこんな論評を掲載していた。
「北京にとっては、敗者のトランプが悪あがきする言動の一つひとつが中国の利益に合致する。中国のプロパガンダ機関にすれば、トランプが敗戦を受け入れないでいれば、“米国の民主制度が混乱している現象は、超大国がまさに凋落していることの現れである”という良い宣伝材料なるのだ」
 実際、中国の新華社が発表した記事では、米国は没落した国家にほかならない、と形容し、人民日報の公式アカウントは、トランプが自らの勝利を訴えているツイートに、あざ笑う表情の絵文字を付けている(後に削除)。
 さらにもう1つの理由として、中国はトランプの激怒を恐れている、という。トランプの残りの在任期間70日の間に、中国政府を大統領選敗戦のスケープゴートにするのではないか、例えばワシントンの対中タカ派がさらに中国に対して過激な攻撃をしてくるのではないか、と恐れているのだ。たとえば中国が米国の大統領選に介入したという陰謀論を掲げて、中国政府を攻撃してくる口実にするのではないかなどと心配しているという。
 実際、今回の米大統領の混沌ぶりをみると、真の勝利者は中国の習近平ではないか、という見方が内外から上がっている。少なくとも米国の混乱が続いたとしても、その混乱の末、どちらが大統領になったとしても、米国の世論の分断状況は解消されず、米国の国際社会に対する影響力は衰退していく、という期待が中国にはある。
トランプ政権より対応しやすいバイデン政権
 では、中国としてはトランプ政権とバイデン政権、どちらが対応しやすいと考えているのだろう。
 人民大学国際関係学院の時殷弘教授がフェニックステレビのネットコラム欄「風向」で、バイデン政権になった場合に中国が得られる“利益”について次のように語っていた。
(1)トランプ政権は中国共産党政権を転覆させ潰滅させることを目的としていたが、バイデン政権は中国共産党政権を比較的穏当な中央集権体制に戻そうとするだけで、根本的には共存を望んでいる。
(2)バイデンは、トランプほどクレイジーでも粗野でもない。米国の対中政策は中国にとって予測可能なものになり、安定する。
(3)バイデンと民主党政権は、明らかに中国との軍事的衝突の可能性を恐れている(トランプ政権は軍事衝突も辞さないような強硬姿勢だった)。
(4)トランプ政権に比べて、ハイレベルな外交の往来、コミュニケーションが増えると期待できる。中国のデカップリング(切り離し)政策が転換する可能性がある。貿易戦争においてもバイデン陣営は関税引き上げに反対していたので、貿易戦争も終結する可能性が強い。つまり、米中新冷戦には向かわない。
 ただ、バイデン政権になっても継続する対中強硬政策はあるだろう。時殷弘教授は、米国は次のような政策を継続すると語る。
(1)台湾、香港、新疆、南シナ海、チベット、中国の宗教問題にからむ人権問題に対する強硬な批判姿勢は、トランプ政権もバイデン政権もほとんど変わらない。
(2)中国の米国に対する浸透工作、諜報活動への牽制と中国のハイテク技術に対するデカップリング政策路線は変わらないかもしれない。
(3)欧州との同盟関係、東南アジアとの同盟関係の修復に動き、対中包囲網を形成しようとする動きも変わらないだろう。
 中国として注目すべきは、民主党内の急進左派だ。民主党内には、バイデン&ハリスの中道派とサンダース&ウォーレンの急進左派の対立軸があるが、民主党は選挙に勝つために、近年台頭する急進左派に協力を仰いできた。このためバイデン政権もある程度、党内の急進左派の意向を汲んだ政策をとらねばならない。だが民主党急進左派の対中姿勢はむしろトランプ政権なみに強硬な部分もあり、中国式グローバリズムへの批判、共産党体制の転覆を求める声もある。米国の大企業経営者や金融界、大手メディアの支援を受けて中共政権との共存路線を重視するバイデン政権が、アンチグローバリズムを標榜する民主党内急進左派にどれほど影響されるのかが、中国としては気になることだろう。ただ、いずれにしろトランプ政権よりは対応しやすい、と見ているようだ。
中国が強化する米国への反撃能力
 さらに時殷弘教授は、バイデン政権になった後の米中関係について次のように予測する。
まず米中貿易交渉第1段階合意が結ばれ、第2段階の交渉に入る。また、外交のハイレベル交流が復活し、米中軍事衝突の可能性が著しく下がる、という期待も述べる。
 ただ、そうした米中融和への方向に若干転換されるとしても、その結果にはかなり制限があり、中国の今後の戦略としては、米国への反撃能力を完成させておくことは重要だとしている。
 まず、四川省成都市の米国総領事館を閉鎖を引き続き命じ、青海省から西沙島諸島にまで届くミサイル東風21D(空母キラー)、東風26D(グアムキラー)の配備も引き続き完了させておくこと。中国は米国への反撃能力を備えてこそ、リスクヘッジが可能で、戦略と政策に柔軟性を持たせる余地でき、また米国のスーパータカ派の凶暴な悪意に対応することができるという。
 米中の対立、競争を終わらせるには中国が主導権をとるべきであって、そのためには米中の軍事衝突を避けることが双方の利益になるということを示さねばならない。そのためには中国側の対米反撃能力をしっかり備えておくことが必要である、という考えだ。
 南京大学国際関係学研究院の朱鋒院長はシンガポールの華人向け新聞「聯合早報」のインタビューで、「バイデン政権の最初の任務は米国内の新型コロナ肺炎対策などであり、対中政策は優先的課題ではない」と指摘しながらも、「バイデンチームの外交政策の原則は、米国を中心としたグローバリズムの回帰であり、多極外交の強化だ。これに伴い米中関係も多くの領域で改善の機会があり、対話協力が再開され、両国の関係改善のチャンスとなるだろう」との期待を語っている。
 だが1月20日の大統領就任式以前に、トランプがさらに強い対中強硬政策をとりうることにも言及しており、「ポンペオ国務長官らはこれが最後のチャンスとばかり、中国に対して圧力をかけてきて、政権交代時に共和党の政治資本を上積みしようとするのではないか」と指摘している。
 復旦大学米国研究センターの信強副主任は環球時報の取材に対し、「中国と米国は、新型コロナ対策、コロナワクチン、気候変動などの領域で建設的な協力関係を回復するだろうが、戦略的相互信頼の再建は一朝一夕にはできない」とコメントしている。
日本、台湾にとっての懸念
 日本や台湾、香港など、中国の軍事的脅威にさらされている国、地域にとっては、バイデン政権が中国に若干融和的になり、たとえば関税引き上げや中国ハイテク企業に対する禁輸制裁、中国の官僚たちに対する制裁、中国研究者・留学生に対するビザ発給審査の厳格化などを緩和することは、トランプ政権に追い詰められていた習近平政権に一息つかせ、反撃のための準備を整える猶予を与えることになるのではないかという懸念がある。
時殷弘教授も指摘している通り、もしバイデン政権が対中融和政策に転換しても、その間に対米反撃能力を高めて、二度と米国から“いじめられないよう”に軍事態勢を整えることが両国共存の必須条件だと考えるのが中国なのだ。
 特に日本��とっては、共産党政権の執政党としての正統性として「反日」が根底にある限り、尖閣諸島の主権が中国に脅かされ続ける運命にある。今、曲がりなりにも日本が尖閣諸島を実効支配できているのは、世界最強の軍隊を持つ米国が後ろ盾になっているからだ。中国が、バイデン政権の与える猶予の間に対米反撃能力を完璧にすれば、もう米国の後ろ盾に頼って安心できる状態ではなくなる。
 台湾にとっても、バイデン政権の発足は危機的状況を招きかねない。トランプ政権は台湾旅行法などを施行し、これまでの台湾関係法を超える米台関係を築き始めていた。だが民主党の新政治綱領では、「一中政策」という言葉こそ削除されたが、しっかりと「台湾関係法を尊重し、平和的な方法での台湾海峡の問題解決を支持」としている。これは米台関係がトランプ時代からオバマ政権時代にまで後退することにならないだろうか。
 台湾の蔡英文総統はバイデン候補の勝利宣言に対して11月9日に祝辞を送っているが、5日の段階でバイデン優勢が報じられたことに対し、「いずれの候補が大統領になっても、米議会の超党派の台湾支持が減退することはない」と自国民に冷静さを保つよう呼びかけた。つまり台湾人にとって、バイデン政権誕生への不安はそれほど大きいということだ。
米国への過度な依存を反省する機会に
 習近平は10月下旬に行われた五中全会(党中央委員会第5回全体会議)で、自己の権力集中と長期独裁政権の確立に向けて、極めて強い意欲を示しているが、目下その野望を妨害する最大にして唯一の存在は米トランプ政権だとみられている。
 トランプ政権の圧力が強ければ、習近平圧制の中で虐げられた中国庶民の不満も表出し、中国知識人や官僚も批判の声を上げ、現状を変えていこうとする力になりうる。だが、バイデン政権が中国の期待どおり中共政権との共存路線をとり、対中強硬姿勢を緩めれば、習近平が長期独裁体制を確立する追い風となり、またその猶予を利用して中国は完璧な対米反撃能力を整えていくだろう。
 米国大統領選の結果は米国有権者の求めたものであり、どのような結果であっても受け入れるしかないのだが、日本人としては、バイデンとトランプどっちがよいかという問題以上に、この結果をもって、安全保障を強大な同盟国に依存しすぎてきたことへの反省と対策を真剣に考える機会にしたいところだ。
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ari0921 · 4 years
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櫻井よしこさんの論考をシェアさせていただきます。
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日本が知るべき米国の対中強硬姿勢
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新首相の最大の課題は対中政策において誤りなきを期することだ。合わせ鏡の論として、これまで以上に対米関係の実質的強化に努めることでもある。
中国とは人間の常識に基づいて向き合うのが最善である。許容範囲を遥かに超えたウイグル人への弾圧や香港に関する英中合意の破棄。
その結果として香港から自由、民主主義、人権等を奪い尽くす意図は、穏やかな文明を育み、人間一人一人を大事にしてきた日本の国柄に鑑みて、到底受け容れられない。
そのような隣国のあり方に強く抗議するというメッセージを、日本国として発することが大事だ。
9月8日の『産経新聞』が一面トップで伝えたスクープの意味を噛みしめたい。
民主党政権当時、尖閣諸島沖の領海内で中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりした。わが国は船長を逮捕したが、菅直人首相(当時)が「釈放」を命じたと、前原誠司元外相が語っている。
なぜ釈放させたのか。予定されていた横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に、胡錦濤国家主席(当時)が来なくなると困るという理由だったという。未だに習近平国家主席の国賓訪問を切望する人々がいるが、次期政権は民主党政権の愚を繰り返さないことが肝要であろう。
田久保忠衛氏は「国際社会で最も恐れるべきは孤立である」という中曽根康弘元首相の言葉を政府首脳は心に刻むべきだと語る。国際社会における日本の位置を確保する際、日本本来の価値観を忘れてはならない。
私たちが望む自由な世界、人権が尊重され法秩序が保たれる世界は米国一国だけの力では守り通せなくなっている。国際社会が連帯して異形の大国中国に抑止をかけなければならない。価値観を共有する国々との連携が必須で、連携の要になることが日本の最大の国益だ。
全米の孔子学院を全廃
日本には中国の侵略から守らなければならないものが多くある。目に見えるその第一が尖閣諸島である。尖閣諸島の防衛は南シナ海の岩礁を守ることと基本は同じだ。
中国は南シナ海のサンゴ礁を中国領として、人工島と軍事基地を造り領有権を主張する。中国の国際法無視は許さないという国際世論を米欧諸国と共に作るのだ。
世界の秩序を異質、異形の勢力、中国共産党の下に差し出して勝手にさせてはならない。だからこそ、日本はもっと強く、南シナ海の中国支配に異を唱えるのがよい。
中国との闘いの先頭に立つ米国の、日々厳しさを増す一連の政策・行動には瞠目する。戦略を打ち立てたが最後、総力を挙げて突進する。大東亜戦争に至る過程で米国が如何に周到な対日攻略策を構築し、実行したかを思えば、現在の米国の対中政策に米国の本質が見てとれる。米国の中国に対する怒りの深さを、新首相は肝に銘じておくべきだろう。
9月1日、ポンペオ国務長官はFOXビジネス・ネットワークの「今夜のロウ・ダブ」という番組に出演し、現時点で少なくとも75の大学等に設置されている孔子学院について問われ、今年末には、「ゼロになっていることを希望する」と述べた。
あと3か月余りで全米の孔子学院を全廃させるというのだ。表向き中国語や中国文化の普及を目的として、中国政府の資金で海外に設置している孔子学院を、米政府が外交使節団に認定したのは8月13日だった。
孔子学院を中国共産党の戦略指導の下で活動する機関に位置づけたのだ。事実、孔子学院は世界において中国共産党の影響力を高めるために設置され、資金は中国共産党中央宣伝部から出ている(クライブ・ハミルトン『目に見えぬ侵略』飛鳥新社)。
トランプ政権は各大学の各教授の各研究プロジェクトにどれだけ中国資金が入っているか、全て報告させた。情報公開という民主主義社会を支える力を活用することで米国の知的空間に対する中国マネーの侵略工作に終止符を打ったのだ。
日本では早稲田大学をはじめ孔子学院を擁する大学が存在するが、このことに無関心であってはならない。中国マネーに関する情報公開をわが国も早急に義務づけるべきであろう。
米国の対中対抗策は日々刻々、強化されている。息つく暇もない程の実態を十二分に意識しなければ新政権は選択を誤りかねない。
その一部を見てみると、5月、中国が全国人民代表大会で香港への国家安全維持法の導入を決定すると、翌29日、トランプ大統領は米国市場に上場している中国企業の財務を精査し、上場廃止を可能にすることや香港への特別措置の撤廃を含む対抗措置を発表した。7月14日には対香港優遇措置廃止の大統領令に署名し、同法を施行した。
打つ手がない
香港金融市場が中国経済に持つ意味が限りなく大きいのは周知のとおりだ。2019年1~8月の統計では外資による対中投資の70%が香港経由で行われた。
18年には中国企業は香港金融市場で1000億ドル(10兆8000億円)の資金を調達した。香港金融市場の締め上げは米企業にとっても痛手だが、米政府は敢えてそこに踏み込んだ。対中取引から得る現在の利益よりも、中・長期的視点に立った国益を重視した。
この米政府の政策を日本も十分、勘案しなければ米国市場で日本企業は生きていけなくなりかねない。
7月8日、ポンペオ氏は尖閣諸島に具体的に言及して「世界は中国の弱い者苛めを受け入れない」と断言した。
世界中で進行中の領土紛争に関して、アメリカが初めて中国の主張を否定し、非難した。中国の領有権の主張は国際法の根拠を欠き、事実関係においても間違っているとして、日本を含めて中国の侵略を受けている国々の側に立った。
7月24日には米ヒューストンの総領事館が閉鎖され、8月6日にはトランプ大統領が中国系動画アプ「TikTok」を運営するバイトダンスとの取引を45日後から禁止すると発表した。13日にはファーウェイなど中国のハイテク企業5社の製品を扱う企業を、米政府調達から外すと発表した。
これら中国のハイテク企業は19年に米政府調達から外されていたが、今回は民間企業にも中国製品の排除を迫り、米国政府か中国企業かと選択を迫った。
8月9日には厚生長官のアザー氏が台湾を訪れ、蔡英文氏を大統領と呼び、台湾を独立国として扱った。米国はどこまでもやる気である。対して中国は反撃らしい反撃をしていない。
中国政府から発信される対米メッセージはひたすら対話の呼びかけである。彼らには当面打つ手がないのである。
日本は米国と共に、自由世界の中心軸を目指し、中国が私たちの価値観を受け入れざるを得ないところまで頑張るのだ。
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xf-2 · 4 years
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南シナ海で何が起きているのか
「緊急ニュースをお伝えします。先ほどアメリカ軍が、南シナ海に中国が建造した人工島を攻撃し、破壊した模様です……」
これから2~3ヵ月後、こんなキナ臭い事態が起こりかねないほどに、米中間の緊張が高まりつつある。
7月に入って、アメリカ海軍は、まるで憑りつかれたかのように、南シナ海を目指している。アメリカの独立記念日にあたる4日、アメリカ海軍は「二つの空母打撃群が自由へのアメリカの関与を強化」と題する発表を行った。空母ニミッツと、横須賀港を母港とする空母ロナルド・レーガンを南シナ海に派遣したというものだ。
〈 ニミッツ空母打撃群は、自由で開かれたインド太平洋を支援する「空母2隻作戦」と演習を実施する南シナ海に配備され、比類なき海軍力でもってアメ��カの独立記念日を祝った。
高度に統合された訓練は、あらゆる領域の戦闘環境で、比類なき柔軟性、耐久性、機動性、そして火力を構築する。これらの取り組みは、国際法が許可するところなら世界のどこへでも、すべての国が航空、航海、および操業する権利に立ち向かうというアメリカの公約の永続をサポートするものだ。
空母攻撃部隊は、ニミッツとロナルド・レーガンで構成され、防空能力を最大化し、急速に進化する作戦地域での空母ベースの航空機による長距離精密海上攻撃の範囲を拡大するために設計されたいくつかの戦術演習を行った。
防空演習と攻撃演習中、ニミッツとレーガンの航空機は、敵の攻撃を想定して、脅威を検出、傍受、関与する能力をテストする。演習では、パイロットの習熟度を高めながら、現実的な環境での防御を調整する実践的な経験を、船上の戦術スタッフに提供する。
ロナルド・レーガン空母打撃群は、アメリカ海軍で唯一の前方配備(アメリカ本土以外を母港とする)攻撃群であり、アメリカ海軍の可視的抑止の象徴の一つだ。ニミッツとレーガンは世界で最も効果的で機敏な戦闘力を発揮し、地域の同盟国や友好国との相互防衛協定に対するアメリカの取り組みを支援し、平和と繁栄を促進するものだ 〉
続いて、3日後の7日にアメリカ海軍が発表した「レーガン、ニミッツは自由で開かれたインド太平洋への比類なき関与を示す」。
〈 ニミッツとロナルド・レーガン空母打撃群は、7月6日現在、南シナ海で「空母2隻作戦」を実施中だ。全領域環境での戦闘準備と能力を強化するために、いくつかの演習と運用を行った。統合された作戦には、防空演習、戦術操縦訓練、想定される長距離海上攻撃シナリオ、および戦闘準備と海上優位性を維持するための空中および水上演習の調整が含まれた。
「レーガンを派遣した目的は『力による平和』だ」と、ロナルド・レーガンの指揮官であるパット・ハンニフィン大尉は言う。「われわれは同盟国とともに、自由で開かれたインド太平洋に力を注ぐ」
空母2隻での運用は、特に航空領域において、到達距離、電力予測、および運用の継続性を向上させる。毎日何百機もの航空機を発着させ、24時間連続で稼働させた。攻撃部隊は、航空優位性の範囲を拡大し、地域全体でより優れた安全を提供することに成功した。
ニミッツ空母打撃群は、6月17日に第7艦隊エリアに到着した。「われわれの活動は、国際法によって保証される海域と空域の権利、自由、合法的な使用を強化するものだ」と、空母ニミッツ航空ウィング17の司令官であるトッド・シミカータ大尉は語った 〉
この2隻の空母打撃群による南シナ海での大規模な演習は、7月上旬に終わったと思いきや、中旬になって再び開始された。
同じくアメリカ海軍の7月16日の発表「ロナルド・レーガン空母打撃群は南シナ海で高度なサポートを提供する」。
〈 ロナルド・レーガン空母打撃群は、7月17日現在、自由で開かれたインド太平洋を支援する南シナ海での作戦を継続中だ。その間、インド太平洋の同盟国や友好国との相互防衛協定に基づいた、応答性が高く、柔軟で永続的な関与を維持する高度な演習と運用を行っている。
ニミッツ空母打撃群と協力して、戦術防空演習を実施することにより、戦闘の準備と習熟を維持することができた。これらの統合された演習は、地域の緊急事態に対応する海軍の能力を向上させるものだ。
アメリカ海軍は、自由で開かれたインド太平洋を支援し、各国が国家の主権を犠牲にすることなくその能力を発揮できる、国際ルールに基づく秩序を促進するために、統合的な攻撃群作戦を、定期的に実施していく 〉
さらに、翌17日のアメリカ海軍の発表「ニミッツ、レーガンは同盟国や友好国とともに南シナ海で立ちはだかる」。
〈 アメリカ海軍第7艦隊司令官のビル・メルツ副提督は語った。
「理念を同じくする地域の友好国とともに、国際法が許す場所ならどこでも機動させ、アメリカの直接的なサポートによって航空、航海の解決を図っていく。わが海軍の能力と柔軟性は、インド太平洋の安全と安定をすべて網羅するものだ。われわれの地域への関与以上によい例はない。われわれは定期的に、第7艦隊に複数のチームを集め、大規模な協調作戦を訓練していく」
ニミッツとレーガンは、世界で最も効果的で機敏な戦闘部隊の一つであり、地域の同盟国と友好国の相互防御体制に対するアメリカの関与を支持するものだ 〉
中国が南シナ海でやっていること
このように、アメリカ軍は、南シナ海への関与を、急速に増やしているのである。その理由について、日本のある防衛関係者に聞いたところ、こう答えた。
「中国は現在、南シナ海に防空識別圏を敷く準備を進めていて、まもなく宣言するものと思われる。アメリカ軍はそれを妨害する意味で、南シナ海での行動を活発化させているのだ。7年前のようにはさせないぞということだ」
「7年前」というのは、習近平政権が発足して約8ヵ月後の2013年11月23日、中国国防部が突然、東シナ海における防空識別圏(ADIZ)を設定したと発表したことを指す。
この日、日本は勤労感謝の日の祭日だったが、首相官邸、防衛省、外務省などのスタッフが参集し、慌てて善後策を練る騒ぎになった。外務省は当時の程永華駐日大使を呼びつけて抗議している。
日本が慌てたのは、中国が防空識別圏を突然、発表したこともあったが、設定した防空識別圏に、日本固有の領土である尖閣諸島が含まれていたことが大きかった。当然、日本の防空識別圏とも重なっている。実際、中国は以後、尖閣諸島海域への公船の進入を増加させていった。
最近では、7月16日まで94日も連続で、中国の公船が尖閣諸島の接続水域に進入している。また、7月14日には4隻もの公船が、尖閣諸島の領海にまで侵入している。その前にも、7月2日から5日まで4日連続で、2隻の中国公船が尖閣諸島の領海に侵入している。
確かに、中国としては一日も早く、東シナ海と同様に、南シナ海にも防空識別圏の設定を宣言し、この海域全体の支配を強めていこうという思惑があるのだろう。防空識別圏の一件は、中国外交部の定例会見で、海外メディアからたびたび質問が出ているが、外交部報道官は否定せず、「(設定は)合法的権益の行使だ」と居直っている。
中国はすでに今年4月、海南省三沙市に、「西沙区」と「南沙区」という新たな行政区分を定めている。西沙区は西沙(パラセル)諸島とその海域を管轄し、西沙区政府を永興(ウッディー)島に置いた。南沙区は南沙(スプラトリー)諸島とその海域を管轄し、南沙区政府を永暑(ファイアリークロス)礁に置いた。
そして南沙諸島では、習近平政権になってから7つの岩礁に人工島を建設中である。永暑礁、華陽(クアテロン)礁、渚碧(スービ)礁、美済(ミスチーフ)礁、南薫(ガヘン)礁、東門(ヒューズ)礁、赤爪(ジョンソンサウス)礁の7ヵ所である(渚碧礁に代わって安達(エルダド)礁を入れて7ヵ所としている分析もある)。アメリカは衛星写真などから、それぞれ軍事要塞化が進んでいると分析している。
こうした7つの人工島や、ベトナムに近い西沙(パラセル)諸島の永興(ウッディ)島、フィリピンに近い中沙諸島の黄岩島(スカボロー礁)などで、中国は軍事要塞化を進めていると、アメリカは指摘する。
中国は、南シナ海のほぼ全域を「中国の海域である」と宣言していて、「九段線」という9本のラインを引いて囲っている。これは、1947年に中華民国が定めた「十一段線」を、中国を統一して4年後の1953年に、友好国のベトナムに配慮して、ベトナム近海に引いていた2本の線をカットして「九段線」としたものだ。
だが、2016年7月12日、その2年前にフィリピンが中国に対して申し立てを行った国際司法裁判で、ハーグの常設仲裁裁判所は、中国の主張を全面的に退ける判決を下した。「九段線には歴史的権利を主張する国際法的根拠はない」「中国が南沙諸島などで建設中の人工島は岩(低潮高地)にすぎない」などと判断したのだ。
中国は「そんな判決は紙屑にすぎない」と開き直ったが、アメリカは2015年10月以降、南シナ海で「航行の自由作戦」を敢行している。これは中国が「自国の領海」と主張する人工島から12カイリ以内に、故意にアメリカ海軍のイージス駆逐艦などを進入させるオペレーションだ。
2018年9月には、南沙諸島の海域で、アメリカ軍と中国軍の駆逐艦が約41メートルまで接近する一触即発の事態まで発生している
ポンペオ米国務長官が痛烈批判
7月13日、ドナルド・トランプ大統領の最側近の一人で、対中強硬派として知られるマイク・ポンペオ米国務長官が、「南シナ海の海洋主張に対するアメリカの立場」と題した長文の声明を発表した。
アメリカの国務長官が、南シナ海に関して、ここまで痛烈に中国を批判したのは初めてのことである。そのため、少し長くなるが全訳する。
〈 アメリカ合衆国は自由で開かれたインド太平洋を擁護する。今日、アメリカは核心的で論争がある地域の政策を強化している。それが南シナ海だ。われわれがはっきりさせたいのは、南シナ海で北京が主張する海洋資源のほとんどのものは、完全に違法だということだ。それらは、南シナ海を横暴にコントロールしようとする中国のキャンペーンなのだ。
南シナ海において、われわれは平和と安定を保持しようとしており、国際法に則って公海の自由を守り、商業が妨げられない流れを維持しようとしている。そのため、論争を収めるために強制力や武力を行使するいかなる試みにも反対する。そしてこれらの奥深くて不変の権益を、多くの同盟国や友好国と共有する。彼らは法に基づいた国際秩序を長きにわたって支持している人たちだ。
これらの国々の共通の結束は、中国からの前例のない脅威から来るものだ。北京は、南シナ海の沿岸地域にある東南アジアの主権を徐々に蝕んでいき、沖合の資源から追い出し、一方的な支配を主張する。そして「力は正義なり」として、一方的に国際法を変更しようとする。
北京の手法は、長年にわたり明白だった。2010年に、当時の楊潔篪外相は、ASEANのカウンターパートたちに言った。「中国は大国であり、他の国々は小国というのが実状だ」。そんな中国が略奪していく世界観など、21世紀には居座る場所がない。
中国は、その地域に自国の意思を一方的に押し付ける法的根拠を持っていない。中国は2009年に、正式に「九段線」を主張しだしてから、首尾一貫した法的根拠を何ら示してこなかった。2016年7月12日に常設仲裁裁判所が、中国も加わっている1982年の国際海洋法に基づいて、中国の海洋主張は国際法の根拠がないとして退けた。常設仲裁裁判所は、訴え出たフィリピンの主張を、ほぼ全面的に認めたのだ。
アメリカが過去に述べてきたように、そして特に国際協定で示されているように、常設仲裁裁判所の判決は、双方に対して最終的かつ法的拘束力を持つものだ。今日、南シナ海に対する中国の主張を、常設仲裁裁判所と同様の立場で見ているのが、アメリカである。
具体的には、スカボロー礁(黄岩島)とスプラトリー(南沙)諸島の経済水域(EEZ)を含む中国の海洋権益の主張には、何ら法的なものはない。逆に常設仲裁裁判所は、それらはフィリピンの経済水域もしくは大陸棚であると明らかにしたのだ。
その地域でのフィリピンの漁師たちや沖合のエネルギー開発に対する中国の妨害は、違法行為であり、それらの資源を拡張する行為は独善的なものである。
常設仲裁裁判所の法的で拘束力のある判決に沿って言うなら、ミスチーフ礁もしくはセカンド・トーマス(仁愛)礁に関して、中国はいかなる法的領有権も海洋権益も持たない。これらはどちらともフィリピンの主権と管轄下にあり、北京にはいかなる領有権も海洋権益の主張も保持していないのである。
北京が南シナ海において、合法的で一貫した海洋権益を主張することに失敗する中で、アメリカは、中国がスプラトリー諸島の島々から得られる12カイリの領海などのいかなる主張をも拒絶する。それは、島々に関する他国の主権の主張などの偏見を持たずにということだ。
つまりアメリカは、バンガード堆(ベトナムと関係なく)、ルコニア礁(マレーシアと関係なく)、ブルネイの経済水域、それに大ナトゥナ島(インドネシアと関係なく)を取り囲む中国のいかなる海洋権益をも拒絶する。これらの水域での他の国々の漁業や炭化水素開発を邪魔する中国のいかなる行為も、それ���を一方的に実行することも、すべて違法だ。
中国は、ジェームズ礁、もしくはそこから得られる領有もしくは海洋の合法的権益は何も持っていない。完全に水中に覆い隠されたジェームズ礁は、マレーシアからわずか50カイリだが、中国の海岸からは1000カイリほども離れている。それが中国のプロパガンダのサイトでは、「中国最南端の領土」と出ている。
国際法は明快だ。ジェームズ礁のような水面下の場所は、どの国も(領有権を)主張できないし、海洋ゾーンを設定することもできない。約20mの水面下にあるジェームズ礁は、かつて中国の領土であったことはないし、現在も中国領ではない。そして北京はそこから合法的な海洋権益も主張できない。
世界は、中国が南シナ海を自己の海洋帝国のように扱うことを許さない。アメリカは、東南アジアの同盟国や友好国とともに、東南アジアの海洋資源の主権を保護していく。それらは彼らの国際法上の権利と義務に合致するものだ。
われわれは、海洋の自由を守り、主権を尊重し、賢明な地域である南シナ海において、「力は正義なり」といういかなる押し付けも拒絶する国際社会とともにあるのだ 〉
以上である。アメリカが中国に対して、激しい怒りをたぎらせていることが分かるだろう。
武力戦争勃発の可能性 だがこれは、裏を返せばトランプ政権の大統領選に向けた「選挙戦術」とも言える。
中国が発生源と思われる新型コロナウイルスの蔓延などによって、アメリカ人の対中感情は、1979年の米中国交正常化以降、最悪と言えるほど悪化している。そうした国内世論を受けて、共和党のトランプ陣営と民主党のジョン・バイデン陣営は、どちらが対中強硬派かという争いをしているからだ。
7月19日にABCニュースとワシントンポスト紙が発表した最新の世論調査によれば、バイデン候補支持が55% 、トランプ大統領支持が40% で、その差は15% まで開いた。トランプ大統領としては、差を縮めていかねばならないのに、逆に開く一方である。
こうした傾向が続けば、11月3日の投票日前の9月か10月頃、トランプ政権が「最後の賭け」に出る可能性がある。それが、「中国と局地戦争を起こすこと」だ。
そもそも、この2年あまりで、米中は全面戦争の様相を呈してきた。具体的には、貿易戦争、技術戦争、人権戦争、通貨戦争、疫病戦争といったものだ。こうした流れが続けば、いずれは局地的な武力戦争が避けられなくなる。
武力戦争の可能性がある場所は、南シナ海と東シナ海(台湾近海や尖閣諸島近海も含む)である。なかでも、中国が習近平政権になって造った南沙諸島の人工島は、中国の民間人はほとんどいないし、常設仲裁裁判所が「違法だ」と判決を下している。アメリカ軍が攻撃しても、人道的もしくは国際法的に責任を問われるリスクは少ないのだ。
また、ポンペオ国務長官も述べているように、中国本土から1000kmも離れているため、中国との全面戦争にもなりにくい。それでいてアメリカ国内では、「悪の中国の建造物をぶち壊した」とアピールすれば、支持率を上げるだろう。大統領選挙には直接関係ないが、東南アジアの一部の国々も、喝采するかもしれない。
ちなみにアメリカ軍は、いまから21年前の1999年5月7日、B-2爆撃機でベオグラードの駐ユーゴスラビア中国大使館を爆撃したことがある。この時は大使館員ら3人が死亡し、20人以上が負傷したが、それによって米中が全面戦争に発展することはなかった。
冒頭のような「臨時ニュース」が現実のものとならないよう、日本としても注視していく必要がある。
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ari0921 · 4 years
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和2年(2020)9月11日(金曜日)
 台湾防衛は「曖昧戦略」だったが、トランプ政権は「曖昧戦術」へ
  台湾防衛を「明確な戦略」化け、ポンペオ国務長官の発言の意味
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 「台湾防衛法」が米議会に提出されたのは七月である。中国が香港安全法を施行したのが7月1日、トランプ政権は14日に香港特別待遇を撤廃し、制裁を発表した。米議会には台湾防衛を明確にする法案が��続と提出された。下院議員���一部は「台湾は独立国だ」という議会決議を求める動きもある。
 
 米議会にいま、媚中派はいない。皆無である。
 過去40年、中国の軍拡は予算だけでも九倍に膨張し、空母二隻���ステルス戦闘機、米軍基地や空母を狙う中距離ミサイルを配備した。
 軍事覇者として君臨してきた米国が、その地位を脅かされていることに危機感を募らせているのである。
 米国の台湾政策は「曖昧戦略」と言われた。
とくに「台湾を守るかどうかは土壇場まで曖昧にしておくことが、有効だ」と言い切っていたのがビル・クリントン政権だった。そのクリントンですら1995-96年の台湾ミサイル危機のおりには米空母二隻を台湾海峡へ派遣した。
ポンペオ国務長官は、この曖昧戦略を「戦術」とグレードダウンした。
 日米はともに、「中国は台湾を不可分の領土である」としていることに「留意」するとしてきたが、米国は一方で「台湾関係法」(1979年)を制定し武器供与を続けてきた。
トランプ政権になってからは「台湾旅行法」(これにより、アバー厚生長官の訪台が実現した)、「台北法」と続き、同時に台湾のWHO加盟を要求した。中国の操り人形と化したWHOからは脱退を宣言し、同時に台湾にはF16ジェット戦闘機、アブラハム戦車108両など合計133億ドルの武器供与を決定した。
 これによって安堵感を得たのが台湾企業でもある。
ファーウェイ(華為技術)への最大の半導体サプライヤーとして知られたTSMCは、大量のチップを華為に供給したが、8月14日をもって終了した。
 以後はアリゾナ州に120億ドルを投資する新工場建設を発表した。まるでトランプの台湾防衛に御礼を言っているようなものである。
 米国議会の動きは、台湾防衛からさらに踏み込んで、台湾との国交回復を要求する声があがっている。
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