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#竹輪のきんぴら風
kachoushi · 8 months
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各地句会報
花鳥誌 令和6年2月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年11月1日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
星の出るいつも見る山鳥渡る 世詩明 人の世や女に生まれて木の葉髪 同 九頭竜の風のひらめき秋桜 ただし 太陽をのせて冬木の眠りけり 同 生死また十一月の風の音 同 朝湯して菊の香に上ぐ正信偈 清女 懸崖の赤き菊花の流れ落つ 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
秋空の深き水色限りなし 喜代子 故里は豊作とやら草紅葉 由季子 菊花展我等夫婦は無口なり 同 しぐれ来る老舗ののれん擦り切れて 都 狛犬の阿吽語らず冬に入る 同 謎々のすつきり解けた小春の日 同 杣山の織火となりぬ紅葉山 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路 逝く秋をくづれゝば積み古書店主 順子 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 太き棘許してをりぬ秋薔薇 和子 弥陀仏の慈顔半眼草の花 昌文 綿虫のうすむらさきや九品仏 小鳥 参道で拾ふ木の実を投げ捨てる 久 綿虫は仏の日溜りにいつも 順子 香煙はとほく菩提樹の実は土に 小鳥
岡田順子選 特選句
腰かける丸太と秋を惜しみけり 光子 九品の印契結ぶや冬近し 眞理子 古に大根洗ひし九品仏 風頭 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 奪衣婆の知る猿酒の在り処 光子 神無月ならば阿弥陀も金ぴかに 俊樹 蚤の市に売る秋風と鳥籠と 和子 下品仏とて金秋の色溢れ 俊樹 綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ありきたりの秋思の襞を畳みをり かおり 秋日入む落剝しるき四郎像 たかし 返り花ままよと棄つる文の束 美穂 凩や客のまばらな湖西線 久美子 凩のやうな漢とすれ違ふ 睦子 小鳥来る小さなことには目をつむり 光子 流れ星キトラの星は朽ちてゆき 修二 凩に雲や斜めにほどかれて かおり 人肌を知らぬ男のぬくめ酒 たかし 老人が老人負うて秋の暮 朝子 冬の日や吾が影長く汝に触れて 同 身に入むや妣の財布の一セント 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
秋思消ゆ「亀山蠟燭」点せば 悦子 この町へ一途に滾り冬夕焼 都 新蕎麦を打つ店主にも代替はり 佐代子 添ふ風に方位はあらず狂ひ花 悦子 HCU記号音満つ夜の長し 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
トランペット響く多摩川冬に入る 美枝子 竹林の風音乾き神の留守 秋尚 公園の隣りに棲みて落葉掃く 亜栄子 句碑の辺の風弄ぶ式部の実 同 新のりの茶漬に香る酒の締め 同 歩を伸ばす小春日和や夫の癒え 百合子 朔風や見下ろす街の鈍色に 秋尚 ぽつぽつと咲き茶の花の垣低き 同 リハビリの靴新調し落葉ふむ 多美女 濡れそぼつ桜落葉の華やぎぬ 文英 露凝りて句碑に雫の朝かな 幸風 大寺の庭きりもなや木の葉散る 美枝子 山寺の風の落葉を坐して聞き 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
風除の日だまりちよっと立ち話 和魚 風除の分厚き樹林影高き 秋尚 揚げと煮し切り干やさし里の味 あき子 薄日さす暗闇坂に帰り花 史空 渦状の切干甘き桜島 貴薫 切干や日の甘さ溜め縮みたる 三無 風除けをせねばと今日も一日過ぎ 怜 切干や少し甘めに味継がれ 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
確かむる一点一画秋灯下 昭子 幽玄な美女の小面紅葉映ゆ 時江 釣り糸の浮きは沈みし日向ぼこ 三四郎 六地蔵一体づつにある秋思 英美子 赤い靴なかに団栗二つ三つ 三四郎 着飾りて姉妹三人千歳飴 ただし 正装で背中に眠る七五三 みす枝 雪吊の神の恐れぬ高さまで 世詩明 七五三五人姉妹の薄化粧 ただし トランペット音を休めば息白し 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月14日 萩花鳥会
夜鴨鳴く門川住居六十年 祐子 捨てられて案山子初めて天を知る 健雄 ゴルフ玉直ぐも曲るも秋日向 俊文 山茶花や現役もまた楽しかり ゆかり 舟一艘ただぼんやりと霧の中 恒雄 献茶式津和野城下や朝時雨 美惠子
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令和5年11月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
秋の暮百均で買ふ髪飾 令子 虫食ひの跡そのままに紅葉かな 紀子 背の丸き鏡の我やうそ寒し 同 小春日や杖つく母を見んとする 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
小春日や日々好日と思ひたり 世詩明 禅林を通り来る風秋深し 啓子 何事も無き一日や神の旅 同 炉開きの一花一輪定位置に 泰俊 一本の池に煌めく櫨紅葉 同 三猿を掲ぐ日光冬日濃し 同 立冬こそ自己を晒せと橋の上 数幸 小六月笏谷石は饒舌に 同 如何にせん蟷螂は枯れ僧恙 雪 猫じやらしもて驚かしてみたき人 同 一匹の枯蟷螂に法の庭 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
小鳥来る赤き実に又白き実に 雪 幽霊の出るトンネルを抜け花野 同 おばあちやん子で育ちしと生身魂 同 見に入みぬ八卦見くれし一瞥に やす香 時雨るるやのつぺらぼうの石仏 同 近松忌逝きし句友の幾人ぞ 同 季は移り美しき言葉白秋忌 一涓 菅公の一首の如く山紅葉 同 落葉踏み歩幅小さくなる二人 同 冬ざれや真紅の句帳持ちて立つ 昭子 今日の朝寒む寒む小僧来たりけり やすえ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 さきたま花鳥句会
からつぽの空に熟柿は朱を灯し 月惑 白壁の色変へてゆく初時雨 八草 六切の白菜余すひとり鍋 裕章 一切の雲を掃き出し冬立ちぬ 紀花 小春日や草履寄せある躙口 孝江 柿を剥く母似の叔母のうしろ影 ふゆ子 いわし雲よせ来る波の鹿島灘 ふじ穂 鵙たける庵に細き煙たつ 康子 雲切れて稜線きりり冬日和 恵美子 水鳥の羽音に湖の明けにけり 良江
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令和5年11月18日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
紫のさしも衰へ実紫 雪 蟷螂の静かに枯るる法の庭 同 二人居て又一人言時雨の夜 清女 母と子の唄の聞こゆる柚子湯かな みす枝 還りゆく地をねんごろに冬耕す 真栄 帰省子を見送る兄は窓叩く 世詩明 人に無く芒にありし帰り花 同 香水の口よりとどめさす言葉 かづを 時雨をり故山の景を暗めつつ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
浮寝鳥日陰に夢の深からむ 久子 呪術にも使へさうなる冬木かな 久 無敵なる尻振り進む鴨の陣 軽象 冬日和弥生も今も児ら走る 同 冬蝶の古代植物へと消えぬ 慶月 谿の日を薄く集める花八手 斉 冬天へ白樫動かざる晴れ間 慶月 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 旋回す鳶の瞳に冬の海 久 冬の蜂おのが影這ふばかりなり 千種 水かげろうふ木陰に遊ぶ小春かな 斉
栗林圭魚選 特選句
竹藪の一画伐られ烏瓜 千種 遠富士をくっきり嵌めて冬の晴 秋尚 白樫の落葉急かせる風のこゑ 幸風 切り株に鋸の香遺る冬日和 久子 四阿にそそぐ光りや枯れ芙蓉 幸風 白樫の木洩れ日吸ひて石蕗咲けり 三無 小春の日熊鈴つけしリュック負ひ 同 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 寒禽の忙しく鳴ける雑木林 貴薫 草の葉を休み休みの冬の蝶 秋尚 逞しく子等のサッカー石蕗咲けり 亜栄子 甘やかな香放ち桂紅葉散る 貴薫 あづまやの天井揺らぐ池の秋 れい
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
薄き日を余さず纏ふ花八手 昌文 耳たぶに冬の真珠のあたたかく 和子 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 雪吊をおくるみとして老松は 緋路 冬空を縫ふジェットコースターの弧 月惑 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 上手に嘘つかれてしまふ裘 政江 嘘つつむやうに小さく手に咳を 和子 手袋に言葉のかたち作りけり 順子
岡田順子選 特選句
池一枚裁ち切つてゆく鴨の水尾 緋路 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 自惚の冬の紅葉は水境へ 光子 玄冬の塒を巻きぬジェットコースター 同 光圀の松は過保護に菰巻きぬ 同 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 雪吊を一の松より仕上げをり 佑天 不老水涸れをり茶屋に売る団子 要 遊園地もの食ふ匂ひある時雨 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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hosizorayoukai · 1 year
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#11【朗読】『銀河鉄道の夜』宮沢賢治/ジョバンニの切符 その5「小さな停車場」/声:七宮mao昴(字幕 BGMあり)
【読書感想文「銀河鉄道の夜 / 原作:宮沢賢治」の考察!】 ---------------------------- 「銀河鉄道の夜」は、ギリシャ神話の星座と、宇宙を舞台にした エキサイティングな冒険が組み合わさっているので、 夏休みの読書感想文にぴったりです。
では、なぜこの物語が子どもにも理解しやすいのか、 その理由7選 !!!
1,おとぎ話の雰囲気: 古典的なおとぎ話のように、「銀河鉄道の夜」は想像力豊かな要素と 魅惑的なシーンに満ちています。ファンタジックな世界を探検するのが 大好きな子どもたちにとって、この作品は魅惑的な読み物となっています。
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2,夏の星空を大冒険: この物語の設定は、夏休みのテーマにぴったりです! ジョバンニとカムパネルラという友情で結ばれた2人が、 夜空を走る神秘的な列車に乗って冒険を繰り広げる。 この旅は、子どもたちがよく旅行に出かけたり、 新しい場所を探検したりする夏休みの冒険心を映し出しています。
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3,シンプルなテーマ: この物語は、友情、自分探し、人生の意味といったテーマが中心となっている。これらのテーマを、幼い読者でも理解し、共感できるように表現されています。ジョバンニとカムパネルラの友情、さまざまな人物との出会い、 そして彼らが学ぶ教訓は、子どもたちの共感を呼びやすい。
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4,象徴とイメージ: 物語には深い意味があるが、子どもたちは必ずしも複雑な解釈を掘り下げなくても、 美しく夢のようなイメージを楽しむことができます。 汽車がさまざまな風景を通り抜けたり、動物に出会ったりする場面は、 幼い読者に想像力を働かせる機会を十分に与えてくれています。
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5,読みやすい長さ: 「銀河鉄道の夜」は長編小説である。ストーリーは簡潔で、 子どもたちの注意を引きつけるのに十分な分量です。
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6,普遍的なメッセージ: 宇宙的でファンタジー的な要素があるにもかかわらず、 この物語はすべての年齢層に関連する普遍的なテーマを扱っています。 子供たちは、共感、優しさ、人生の旅路に感謝することの大切さを 理解することができ、貴重な学習体験となる。
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7,ディスカッションのポイント: 読書感想文では、ジョバンニと列車内のさまざまな乗客とのやりとりや、 カムパネルラとの会話など、物語の重要な場面に焦点を当てることができます。 このような場面から、友情、犠牲、未知の世界の美しさについて 洞察に満ちたディスカッションをすることができます。
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まとめ: 『銀河鉄道の夜』は子どもたちの夏休みの読書感想文に理想的な作品です。 その魅惑的な語り口、親しみやすいテーマ、親しみやすい長さは、 想像力と思慮深い考察を促す楽しい読み物であり、夏休みの若い読者にぴったりです!
🚂朗読『銀河鉄道の夜』バックナンバー🚂 #1 午後の授業 https://youtu.be/KC41nT-wVU4 #2 活版所/家 https://youtu.be/lzAUYEt_KPM #3 ケンタウル祭の夜/天気輪の柱 https://youtu.be/28vhw8dj_rQ #4 銀河ステーション https://youtu.be/GDGhGyJALEk #5 北十字とプリオシン海岸 https://youtu.be/lsta872gT5c #6 鳥を捕る人 https://youtu.be/Vetl-tReff4 #7 ジョバンニの切符 その1「アルビレオの観測所」 https://youtu.be/8lARKQAcFXc #8 ジョバンニの切符 その2「大型客船の乗客」 https://youtu.be/ewekodqhMqk #9 ジョバンニの切符 その3「燈台看守のりんご」 https://youtu.be/IoZbq93yirM #10 ジョバンニの切符 その4「いるか座・赤帽の信号手」 https://youtu.be/Abkx3Rj63S0 #11 ジョバンニの切符 その5「小さな停車場」 https://youtu.be/m_3jRWgd7LI
🎦銀河鉄道の夜・関連映画・グッズ🎦 ▼公式サイト「銀河鉄道の父」:https://ginga-movie.com/ 銀河鉄道の父 (講談社文庫):https://amzn.to/3DG2c8Z ▼あの頃映画 「宮澤賢治-その愛-」[松竹DVD] https://amzn.to/3KftdEb ▼画集 銀河鉄道の夜 単行本 KAGAYA Studio https://amzn.to/3YkL2aD ▼銀河鉄道の夜・アニメ【DVD】 https://a.r10.to/hU9H1C ▼銀河鉄道の夜・宮沢賢治マスキングテープ きらぴか10巻セット 15mm×3m https://a.r10.to/hk3PMb ▼SL銀河 メタルキーホルダー https://amzn.to/3q2VTJN
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umedanakazaki · 2 years
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ほぼ満席状態の時に常連さんが大量の袋を抱えて入ってきた。これはお客様に、これはスタッフにと、ドラえもんのポケットみたいにいろんなものが出てきた。たくさん頂いた小さめのバームクーヘンを店内のお客様へ届けることが出来た。お酒の追加よりも熱いお茶の追加が多かった。ありがとうございます! 優しさが循環する、優しい世界は人の心がSDGs。 さて、本日の日替わり弁当です。 #11月13日 #日替り弁当 のり弁風に #きんぴらごぼう #竹輪の天ぷら 海苔の下にはおかか入り メインのおかずに #白身フライ #哲ちゃんの唐揚げ タルタルソースを別添えで 副菜は #オクラとコーンのスパサラ #海老と玉子とブロッコリーのサラダ お買い得の 税込550円 皆様のご注文お待ちしております。 #てつたろう #優しい世界 #SDGs #梅田居酒屋 #中崎町居酒屋 #海鮮居酒屋 #大阪グルメ #イーデリ #支援者募集中 #いくら #アジフライ (梅田中崎 てつたろう) https://www.instagram.com/p/Ck3zNN6vV0_/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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otona77mtb · 3 years
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月に一度の個人的レンキュー明けは、ついで梅雨も明けたそうな。そんな金曜のくりむランチ(栗村ん家)の日替り弁当。 そんな風には見えないかもしれないけど「のり弁」。 白身魚フライ、わさびチーズ入り竹輪の磯辺揚げ、きんぴらゴボウ、胡瓜の浅漬け、たくあん漬け、明太子、トマト、釜揚げシラス混ぜ飯on海苔。 #今日のお昼ごはん #曲げわっぱ #のり弁 #美味しいね https://www.instagram.com/p/CRY0PEdDmu5/?utm_medium=tumblr
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monqu1y · 4 years
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生活の知恵  日々の生活を便利にする 技 ( わざ ) の数々
 市営住宅集会所のコミュニティカフェに行った。 A:何か役に立つ 情報 ( じょうほう ) ない? B: 洗濯機 ( せんたくき ) の糸くずフィルター、毎回 掃除 ( そうじ ) しないと、タオルが 薄黒 ( うすぐろ ) く 汚 ( よご ) れる。古い歯ブラシ使うと掃除し 易 ( やす ) い。   洗濯物をパラソルハンガーなどに 吊 ( つ ) るす前に、バサッバサッ 振 ( ふ ) る。タオルなどは、空気を 含 ( ふく ) んでフワッと �� ( かわ ) く。 C: 引き戸 ( ひきど ) 開けるとき、戸を押しながら開けようとするとレールから戸が外れて動かなくなることがある。引き戸はレールを 意識 ( いしき ) しながらスライドさせる。 D: 灯油 ( とうゆ ) ポンプのネジ 栓 ( せん ) を 緩 ( ゆる ) めたら、サイフォンが 働 ( はたら ) かなくなり、灯油の流れが止まる。それを 忘 ( わす ) れたら、灯油が 溢 ( あふ ) れても止まらなくなり、 床 ( ゆか ) を 汚 《 よご 》 してしまう。 私: 水栓 ( すいせん ) タンクの水が止まらなくなったら、 先 ( ま ) ず、マイナスドライバー回して 止水栓 ( しすいせん ) を止める。それから、タンクの 蓋 ( ふた ) を開け、フロート・ゴム玉の 鎖 ( くさり ) が輪ッカに引っ掛かっているのを 外 ( はず ) す。
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A:金づちで 叩 ( たた ) く 釘 ( くぎ ) を 洗濯挟 ( せんたくばさ ) みで 挟 ( はさ ) むと 曲 ( まが ) がりにくいし 安全 ( あんぜん ) 。 B: 絨毯 ( じゅうたん ) のゴミは、ゴム手袋はめて 撫 ( な ) でると、 静電気 ( せいでんき ) でゴム手袋に付いてくる。 C:ドライヤーで 髪 ( かみ ) を 乾 ( かわ ) かすとき、頭の上にタオルをかぶって温風をあてると早く乾く。 D: 紐 ( ひも ) を 結 ( むす ) ぶとき、輪を二つ作り、二本を 束 ( たば ) ねる形にして 両端 ( りょうはし ) を引っぱると 緩 ( ゆる ) まない。 私:枕カバーに枕入れるとき、カバーを裏返しにし、カバーの一番奥に手を突っ込んでカバー越しに枕の 端 ( はし ) を 掴 ( つか ) み、カバーを表返しすると、入れやすい。布団カバーも同じ 要領 ( ようりょう ) 。   靴下を裏返さず、そのまま要介護者の足にはめて引っぱったら 痛 ( いた ) がらせるだけ。 A:自動車に乗ろうとして車内が暑いとき、片側の窓を開け反対側のドアを開け閉めすると熱い空気が車内から出ていく。 B:スーパーマーケットのレジは、出口近くにベテランが 配置 ( はいち ) される。列が長くても、早くて間違いが少ない。 C:スーパー  袋詰 ( ふくろづ ) め用の 台 ( だい ) に置いてる湿布は、ポリエチレン袋を 開 ( ひら ) きやすいよう指先を濡らすために置いている。 D:「 得 ( とく ) 」しようとすると「 損 ( そん ) 」することが多い。   1)[送料無料]につられると 要 ( い ) らない物まで買う。   2) 松竹梅 ( しょうちくばい ) の 定食 ( ていしょく ) 、真ん中の「竹」選ぶと店側の思う 壺 ( つぼ ) にはまる。   3)2個半額セールは、 不用品 ( ふようひん ) を買うリスクが高い。   4)ネット 通販 ( つうはん ) の 返品無料 ( へんぴんむりょう ) は、気にいらなくても返品しない人が多い。   5)「数量限定」や「期間限定」は[ 罠 ( わな ) ]   6)先払いは、支払損になることが多い。先払い金額高いのは、計画倒産を疑うべき。高額のキャンセル料を差っ引かれたら 殆 ( ほとん ) ど戻ってこないケースも多いが、未来予測は 至難 ( しなん ) 、キャンセルしなければならない事情が 後 ( あと ) から出てくることは良くある。   7)景品で 釣 ( つ ) るのは、 詐欺 ( さぎ ) の 常套手段 ( じょうとうしゅだん ) ( 撒き餌商法 ( まきえしょうほう ) ) 私:タマネギはネットに入れて風通しの良い 日陰 ( ひかげ ) に 吊 ( つ ) るす。 A:電子レンジでスパゲティの残りを温めるときは、真ん中を空けてドーナツのような形に置く。   ピザの残りを温めるときは、 水分 ( すいぶん ) で 潤 ( うるお ) すことを考え、水を入れた小さなコップを 一緒 ( いっしょ ) にチンする。 B:バナナを 冷蔵庫 ( れいぞうこ ) で保管するとき、1本ずつラップすると 傷 ( いた ) みにくい。 C:アイスコーヒーは 製氷皿 ( せいひょうざら ) に入れて 冷凍庫 ( れいとうこ ) で 保管 ( ほかん ) する。コーヒーが 薄 ( うす ) くならず直ぐに飲めて 便利 ( べん�� ) 。 D:[米とぎスティック]使うと、手を 濡 ( ぬ ) らさずに米とぎ できる。 私:キッチンスポンジは 消耗品 ( しょうもうひん ) 。毎週 替 ( か ) えないと 菌 ( きん ) が 繁殖 ( はんしょく ) して 不衛生 ( ふえいせい ) 。 A: 安 ( やす ) い肉は、 大根 ( だいこん ) おろしの 汁 ( しる ) に半時間 漬 ( つ ) けたら 柔 ( やわ ) らかくなる。    鶏胸肉 ( とりむねにく ) は、塩湯に 浸 ( ひた ) してから 調理 ( ちょうり ) するとパサパサしない。 B:ペットボトルの 蓋 ( ふた ) を開けるとき、蓋を 固定 ( こてい ) し 回転半径 ( かいてんはんけい ) の長い 容器 ( ようき ) の方を回すと小さい力で蓋を開けることができる。てこの原理。    炭酸飲料 ( たんさんいんりょう ) の蓋をするとき、ペットボトルを 凹 ( へこ ) ませて空気を抜くようにすると 泡 ( あわ ) が 抜 ( ぬ ) けにくい。 C: 砂糖容器 ( さとうようき ) に食パンを 一緒 ( いっしょ ) に入れたら 乾燥剤 ( かんそうざい ) がわりになる。 D:カップ 麺 ( めん ) に 熱湯 ( ねっとう ) 入れた 後 ( あと ) やかん 乗せたら、カップめんの 蓋 ( ふた ) がめくれあがらない。   麺食べた後のカップで、 温泉卵 ( おんせんたまご ) を作れる。   熱湯入れたカップに卵を入れ、十分 待 ( ま ) つと温泉卵ができる。   温泉卵 割 ( わ ) る前に数回 振 ( ふ ) ると、 白身 ( しろみ ) が 殻 ( から ) に付かない。   ゆで卵を 剥 ( む ) くときは、手のひらでグシャっとつぶしグリグリ 転 ( ころ ) がしてヒビを入れてから剥く。 私: 酸 ( す ) っぱい 蜜柑 ( みかん ) は、お風呂温度の湯に10分 浸 ( つ ) けると 甘 ( あま ) くなる。 A:シュークリームは、 平 ( たい ) らな 底 ( そこ ) を上にして食べる。平らな底を下にして食べると、クリームがこぼれ出て服を汚す。 B: 割り箸 ( わりばし ) は、 水平 ( すいへい ) にして上下に割れば、きれいに割れる。 C:鼻をかむときは、①口から息を吸いこみ②片方の鼻をきちんと押さえ③一度に力を入れず少しずつ④ゆっくり小刻みに、かむ。 D: 日経平均株価 《 にっけいへいきんかぶか 》 が1箇月半で 半値 ( はんね ) になった。   アメリカの 住宅ローン債権 ( きんゆうしょうひん ) を売る会社がつぶれたからだ。住宅を買う人が減れば、住宅の値段は下がる。住宅ローンを借りた人々が借金を返せなくなり、借金を返すために住宅を手ばなしても、住宅が値下がりしてれば、借金は残る。残った借金を返せず 破産 ( はさん ) すれば、住宅ローン債権を売る会社は貸金を返してもらえないので、つぶれる。こんな 綱渡 ( つなわた ) りの 経営 ( けいえい ) を、 大丈夫 ( だいじょうぶ ) だと 太鼓判 ( たいこばん ) 押 ( お ) す 格付会社 ( かくづけがいしゃ ) 〔格付け方法を書いた本を売った 儲 ( もう ) けや格付けする会社から受け取る[ 手数料 ( てすうりょう ) ]で 成 ( な ) りたってる〕を 信用 ( しんよう ) する人々が多かったから、 被害 ( ひがい ) は 莫大 ( ばくだい ) な 金額 ( きんがく ) になった。   被害額が莫大だったので、人々は 商取引 ( しょうとりひき ) に 消極的 ( しょうきょくてき ) になり、 景気 ( けいき ) が 悪 ( わる ) くなってきた。   だけど、 麻生 ( あそう ) さんが、 不景気 ( ふけいき ) で 苦 ( くる ) しむ 地方 ( ちほう ) を 税金 ( ぜいきん ) で助けて 経済 ( けいざい ) を 活性化 ( かっせいか ) させると言ってるので、 希望 ( きぼう ) はもてる。
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youki-komatsu3 · 4 years
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 Facebookで7日間ブックカバーチャレンジという、いわゆるバトンが回ってきたので今日までやっていました。
 バトンが流行っていたあの時代、最初はノリノリでやっていたものの次第に面倒くささや少しのモヤモヤに飲み込まれ遠ざかっていきました。
 正直なところ今でも少し苦手ですが、基礎疾患が多く厳重に引きこもる何も起きない日々……苦手なルールを排除してやってみようと思った訳です。
以下敬称略です。
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1
『寺山修司少女詩集』 角川文庫
著:寺山修司
とある病気で手術をし入院生活を送っていた時に常に持っていた詩集。短い詩も多いため音読をしたり書き写したりと、リハビリの供として大変お世話になりました。
『ヒスイ』という詩が作曲家の信長貴富によって合唱曲と独唱曲になっており、主メロがとても好きなのでいつか歌えないものかと思って楽譜を眠らせています。合唱になっている詩なら『飛行機よ』も好きです。曲がまた最高なんですよ、冒頭のアカペラがホールに響く気持ちよさ……いかんいかん、合唱ができない日々に悶々として合唱の話をしてしまう……。
2
『これは のみの ぴこ』 サンリード
作:谷川俊太郎 絵:和田誠
表題の「これは のみの ぴこ」から始まる壮大な言葉遊び(ネタバレになるので言葉遊びとしか言えません)……黄金コンビの谷川俊太郎と和田誠による詩の絵本です。和田さんがレタリングしたのだろうと思うのですが、絵にぴったりのフォントが良いです。
四歳頃全文を暗記、今でも暗唱出来るというのが私の地味な特技です。ページを繰るごとに一文が増えていくこの絵本、繰り返し繰り返し読み聞かせをする側��大層地獄だったと思います。ごめんなさい。でもまあ、あくまでも絵本なのでそんなにお時間は取りませんから、うんざりせずに読んでください。全文暗唱出来るという地味な特技が出来るかもしれません。
3
『指輪物語』評論社
著:J・R・R・トールキン 訳:瀬田貞二・田中明子
映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作で文庫版は全10巻にも及ぶ超大作ファンタジー小説です。全ファンタジー小説の始祖的な物語。前日譚の『ホビットの冒険』も含めた中つ国の物語がとても好きです。文字や地図に歴史、文化。その全てが著者による創作なのに、隙を感じさせないところが最高。この長さで挫ける人もいるとは思います……でも、面白いです!こんな時にファンタジーはいいかもしれませんね。
映画も好きで何度も観ていますが、小説版は映画を観たあとでも十分楽しめます。レゴラスはいいぞ!!もう、映画だけでもいいから!映画もめちゃくちゃ長いけど!!映画だったら、王の帰還でピピンが宰相の前で歌う曲がいいです。作業中に映画のサントラを流すと壮大な気持ちになれておすすめ!
4
『七色いんこ』秋田文庫
作:手塚治虫
手塚治虫といえば火の鳥、ブッダ、アトム……いろいろありますがあえての七色いんこです。漫画類が禁止されていた幼少期に祖父がぽんとくれたのが七色いんこ5巻でした。火の鳥は親と共に行った人の家に全巻あり貪るように読んでた気がします。ブッダは小学校の時教室にあったなあ。あれは何故だったんでしょう。
七色いんこの話に戻ります。なんと言っても、いんこがカッコいいんですよ。あとトミー。ルパン三世しかり、世界各地にある秘密基地、老若男女誰にでも変身出来るマスク……ロマンが溢れます。こういうの、憧れる時があると思うんですが、え?ないですか?またまたぁ。ラストに犬のタマサブローが主人公のお話があり、そこに私の推しのタコブネ(のようなもの)が出てきます。タコブネ、かわいいタコブネ……。
5
『学研の観察図鑑2 昆虫2・クモ』学研
監修:国立科学博物館 友國雅章
小学生時代、旅行でも持ち歩いていたポケット図鑑です。自然についてや、カメラやボードゲームについて教えてくれた方との思い出もたくさん詰まっています。これは○○アブ!あれは△△アブ!それはハエ!それはハチ!!とかやってましたね……。
幼少期に愛読書=図鑑の時期があると思うんですが、それが昆虫倶楽部という特殊な部活に入部したことも相まって相当長引いていたように思います。ビビりなので普通に害虫(Gとか)は嫌いですが、無駄に知識だけはモリモリあります。そういえば、昔ディスカバリーチャンネルでGの研究者がその身体能力について嬉々として語るとか見てたな……あいつら脚の動きがね、すごいんであんなに速いらしいっすよ。
6
『鳥の王さま ショーン・タンのスケッチブック』
著:ショーン・タン 訳:岸本佐知子
アニメーション作家でもある著者による画集です。眺めているだけで本当に幸せになれる本。去年、ちひろ美術館東京で開催された展覧会も見に行きましたし、翻訳されている絵本はかなり持っています。ちひろ美術館では展覧会の画集と『セミ』という絵本を買いました。可哀想で可愛いセミ。自由だ!セミ!
風景や人物スケッチは当然素敵なのですが、何より不思議生物達が可愛い。本当に可愛い。大してない語彙力が消滅します。眼福眼福……。いつかこんな絵が描きたいけれど、描けないだろうなあと思って寂しくなるくらいお気に入りです。この人の毒はゴーリーのような即効性はありませんがじわじわと優しく効く毒です。絵本『エリック』もいいぞ!(ゴーリーだったら『うろんな客』がいいぞ!)
7
『アヒルと鴨のコインロッカー』創元推理文庫
著:伊坂幸太郎
伊坂幸太郎の小説が好きでこれまたたくさん読んでいるのですが、ここは一番最初に読んだ本を。
新幹線の中で読もうと東京駅の本屋で手に取ったのがこれで、ここだけの話旅行より夢中でした。以来、伊坂幸太郎に限らず、ばらまかれた伏線達が最後に集合し結実するカタルシスの虜です。映画もいいよ。他におすすめするなら、初期作品は当然なんですが是非『フィッシュストーリー』を。短いのですんなり読めます。映画も最高。もうすっかり結末はわかってるのに何度も観ちゃう。斉藤和義の作った劇中歌も最高なんで。止まらなくなるので切り上げますね。
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以上、ブックカバーチャレンジは終了です。
1、詩集
2、絵本
3、ファンタジー
4、漫画
5、図鑑
6、画集
7、ミステリー
このようにジャンル分けをし、思い出のあるものを中心に無理矢理絞り出しました。なのでちょっと中途半端な気もします。
図書館に行ったら上限冊数借りてきてしまうような、いわゆる本の虫には酷なバトンでした。他にもオーデュボンの祈りとかボッコちゃんとか儚い羊たちの祝宴とかぶらんこ乗り、エッシャーの画集、やっぱりオオカミ、ことわざ辞典、伝記類……はてしない物語ギリシャ神話ラブクラフト全集バスカヴィル家の犬青い鳥聖☆おにいさんオズの魔法使い怪盗探偵山猫不思議の国のアリス腕貫探偵おおきな木福家警部補……切りがないので解散!!
お付き合いくださいましてありがとうございました。最後に、今読んでいるのは
『不穏な眠り』文春文庫
著:若竹七海
探偵葉村晶シリーズ最新刊です。葉村晶シリーズ一巻目『依頼人は死んだ』は短編集なので入りやすくこのシリーズの醍醐味が詰まっていて、導入として最高です。ドキドキハラハラ……えっ……あ……うわあああああああああってなれます。
以上です。では。
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deadscanlations · 5 years
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The Wooden-Mortared Kingdom - Garo 20th Anniversary Memorial Issue  - VARIOUS
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Here’s a proper post for it. For Garo’s 20th anniversary, a massive anthology was put out collecting all of the authors that had been featured in the magazine up until then (at least it looks that way), haven’t verified). 1200 pages.
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Abe Shinichi AKASEGAWA Genpei AKI Ryuuzan AKIYAMA Shigenobu ANZAI Mizumaru ARAKI Nobuyoshi ARASHIYAMA Kouzaburou EBISU Yoshikazu FUJISAWA Mitsuo FURUKAWA Masuzou HAGA Yuka HANAWA Kazuichi HAYASHI Seiichi HIGO Tomiko HINO Hideshi HIRAKUCHI Hiromi HIRATA Hiroshi HISAUCHI Michio Hoshikawa Teppu IIKO Junzou IKEGAMI Ryoichi ISHII Hisaichi ITOI Shigesato IWAMOTO Kyuusoku KAMOSAWA Yuuji KANNO Osamu KATSUMATA Susumu KAWASAKI Yukio KIMURA Tsunehisa KOBAYASHI Norikazu KOJIMA Goseki KONDOU Youko Kou Shintaro KUSONOKI Shouhei MASUMURA Hiroshi MATSUMOTO Michiyo MATSUO Hiroshi MINAMI Shinbo MINEGISHI Toru MITSUHASHI Otoya MIURA Jun MIZUKI Shigeru MOMOTAROU Kotarou MORISHITA Hiromi MURANO Moribi NAGASHIMA Shinji NAKA Keiko NEMOTO Takashi OKUDAIRA Ira OSAWA Masaaki SAKURAI Shoichi SASAKI Maki Shimizu Satoshi SHIRATO Sanpei SUGIURA Hinako SUZUKI Oji SUZUKI Seijun SUZUKI Shigeru TAKAGI Jun TAKAYAMA Kazuo TAKITA Yuu TAMURA Shigeru TANI Hiroji Tashiro Tamekan TATSUMI Yoshihiro TERUHIKO Yumura TSUGE Tadao TSUGE Yoshiharu TSURITA Kuniko UESUGI Seibun WATANABE Kazuhiro WATARI Futoshi YAGUCHI Takao YAKUWA Masako YAMADA Murasaki YODOGAWA Sanpo YOSHIDA Mitsuhiko YOSHIDA Shouichi 
 タイトル : 木造モルタルの王国 : ガロ二〇年史 出版社 : 青林堂 初版発行日 : (昭和59年)1984年12月1日 ISBN : 4792601320 サイズ(函) : 縦23㎝ 横18㎝ サイズ(本) : 縦22㎝ 横16㎝ ページ数 : 1200ページ 備考 : 各作品の欄外に作者の経歴・コメント記載 収録作品  『ざしきわらし』 - 白土三平  『ねこ忍』 - 水木しげる  『海原の剣(武蔵の巻)』 - 諏訪栄(小島剛夕)  『顔の曲がった男の物語』 - 星川てっぷ  『真昼』 - 渡二十四  『愛 : 新釈武士道物語』 - 加治一生  『チーコ』 - つげ義春  『若草漫歩』 - 藤沢光男  『宇宙の出来事』 - 田代為寛  『夏』 - 池上遼一  『かかしにきいたかえるの話 : シリーズ・黄色い涙』 - 永島慎二  『六の宮姫子の悲劇』 - つりた・くにこ  『巨大な魚』 - 林静一  『どろ人形』 - 日野日出志  『海ほおずき』 - 仲圭子  『花あらしの頃 : 寺島町奇譚』 - 滝田ゆう  『長持唄考』 - 矢口高雄  『雨季(2)』 - つげ忠男  『わかれみち』 - 辰巳ヨシヒロ  『たこになった少年』 - 淀川さんぽ  『かんたろ月』 - 勝又進  『うらぶれ夜風』 - 川崎ゆきお  『雨の色』 - 鈴木翁二  『マツコおじちゃんの嘆き』 - 秋竜山  『ぼくのデブインコちゃん』 - 佐々木マキ  『無頼の面影』 - 安部慎一  『幻の少女・和小路伯爵邸のトラブル』 - 谷弘兒  『肉屋敷』 - 花輪和一  『北への旅人』 - 吉田昌一  『彩雪に舞う・・・・・・』 - 楠勝平  『おざ式』 - 赤瀬川源平  『「ガロ」第一期 : ガロの時代をひらく』 - 上野昂志  『再会』 - 増村博  『紫の伝説(イメージSTATION)』 - 古川益三  『絶対休日』 - 秋山しげのぶ  『荒れた海辺』 - 安西水丸  『クシー君の発明』 - 鴨沢祐仁  『毆者(ボクサー)』 - 吉田光彦  『昇り凧』 - 村野守美  『ペンギンごはん』 - 湯村輝彦.糸井重里  『愛の嵐』 - 蛭子能収  『ぼくの弟』 - 糸井重里  『?』 - 南伸坊  『それからの岩本武蔵・怪談』 - 岩本久則  『ハリー氏のこと』 - 松尾ひろし  『愛妻記』 - ひさうち・みさお  『ギョーザ定食の昼』 - 平口広美  『お父さんのネジ』 - 渡辺和博  『長靴をはいた猫』 - 清水聰  『ものろおぐ』 - 近藤ようこ  『モダン・ラヴァーズ』 - 奥平衣良(奥平イラ)  『性悪猫』 - やまだ紫  『青春の汗は苦いぜ』 - 小林のりかず(小林のり一)  『夜行』 - 高山和雄  『ぷいさん村放送局』 - 八鍬真佐子  『五人だまし・道糞武士道 : 幻想の明治』 - 高信太郎  『怠屈な日』 - 泉昌之(和泉晴紀[作画].久住昌之[原作])  『K』 - 大澤正明  『海のお話』 - 滸太郎  『二つ枕(初音)』 - 杉浦日向子  『PHANTASMAGORIA』 - たむら・しげる  『野辺は無く』 - 三橋乙椰(シバ)  『少年』 - 森下裕美  『糸口』 - 松本充代  『ママと呼ばれて三ヶ月』 - 根本敬.高木順  『ローカル線の午後』 - 菅野修  『ホトホトなんぎなパパとママ』 - みうら・じゅん  『扁桃腺の夏』 - 峰岸達  『戻ってきた日』 - 肥後十三子  『スラップスキップ』 - いしい・ひさいち  『はぴー・ばーす・でい』 - 芳賀由香  『どうなってんの : イソップ式漫画講座』 - 水木しげる  『浪漫写真 : 私のアリス達』 - 荒木経惟  『図象の学習塾 : 肖像 イメージ選挙』 - 木村恒久  『目安箱 : 「書けないということについて』 - 上野昂志  『嵐山の人生相談』 - 嵐山光三郎  『重坊のスーパーマーケット : 悪評嘖々』 - 糸井重里  『劇画風雲録 : 嗚呼、貸本の灯は輝やいて』 - 桜井昌一  『連載随筆 : 夏と暴力』 - 鈴木清順  『白土三平論 : 英雄論』 - 石子順造  『清文入道のウンチク寄席』 - 上杉清文  『読者サロン』  『「ガロ」第二期 : 多様化・拡散の時代』 - 呉智英  『木造モルタルの王國の貴賓室』 「木造モルタルの王国」によせて(※寄稿文.小冊子)  『「ガロ」有罪説』 - あがた森魚  『ガロはきっと大丈夫』 - 秋野等.井上章子  『二十年のランナーへ』 - 有川優  『(タイトルなし)』 - 岩家緑郎  『ガロには貧乏がよく似合う』 - いしかわじゅん  『(タイトルなし)』 - 糸川燿史  『「ガロ」は忘れない』 - 小野耕世  『とにもかくにも、エライ!!』 - 川崎徹  『すてきな可能性を持ったマンガの世界』 - 金子勝昭   『長井さんと苦労のこと』 - 川本コオ  『(タイトルなし)』 - 桑原甲子雄  『(タイトルなし)』 - 小島剛夕  『「ガロ」われらの聖森』 - 佐々木守  『大プロデューサー・プランナー 長井勝一さんへの手紙』 - 佐々木昭一郎  『(タイトルなし)』 - 末井昭  『(タイトルなし)』 - 杉本博道  『(タイトルなし)』 - 谷川晃一  『高校時代、文学、エロチシズム、思想の香りを味わっていた』 - 高取英  『(タイトルなし)』 - 高橋章子  『祝・開店20周年』 - 長新太  『(タイトルなし)』 - 竹宮恵子  『 『ガロ』に 』 - 鶴見俊輔  『きみよ』 - 堤任  『(タイトルなし)』 - 栃谷隆  『(タイトルなし)』 - 内記稔夫  『(タイトルなし)』 - 野本三吉  『(タイトルなし)』 - 萩尾望都  『(タイトルなし)』 - 原田三郎  『安倍慎一』 - 松岡博治  『(タイトルなし)』 - 松田哲夫  『(タイトルなし)』 - 村上知彦  『「ガロ」創刊20周年、本当にバンザイ!』 - 森田芳光  『青林堂はえらい』 - やなせ・たかし  『(タイトルなし)』 - 吉弘幸介  『(タイトルなし)』 - 四方田犬彦  『(タイトルなし)』 - 渡辺一衛
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hi-majine · 5 years
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王子のきつね
 きつね、たぬきは人を化かすなんてえことを申しますが、たぬきときつねとでは化かしかたがまるっきりちがうようでございます。  たぬきのほうは、化けるにしても、大入道とか、ひとつ目小僧とか、気のきかないものに化けたりして、どこかまぬけなところがございますようで……  ある田舎で、野良《のら》仕事がおしまいになりますと、お百姓があつまっては、お茶を飲み、おもしろいはなしをしております。これを毎晩みているうちに、たぬ公のやつが仲間にはいりたくてたまらなくなりました。 「おもしろそうだなあ。けれども、みんなが知らない者に化けたんじゃあ、すぐにあやしまれちまう……そうだ、このなかからだれか帰ったら、そいつに化けてはいろう」  と、毎晩待っております。ところが、ある晩のこと、なかのひとりが、うちからよびにきたので帰っていきましたから、たぬ公のやつ大喜びで、 「うちへ帰ったら、何《あん》の用もねえというで、またもどってきただ」  と、仲間入りしたところが、 「あっ、たぬきがきやがった」  てんで、みんなになぐられて、しばられてしまいました。  これはそのはずで、たぬ公のやつ、あんまりうれしかったので、化けるのをわすれて、たぬきの姿のままであぐらをかいていたっていうんですが、まことにそそっかしいはなしでございます。  そこへまいりますと、きつねのほうは、りこうで、陰険《いんけん》でございますから、むかしばなしでも、風呂だといって、あのきたない肥料《こやし》の糞尿溜《ため》のなかへ人間をいれたり、酒だといって馬の小便を飲ませたり、ぼたもちだといって馬糞を食べさせたり、おそばだといってみみずを食べさせたりしたなどと申しますし、化けかたもぐっといきで、芸者に化けるとか、娘に化けるとか、とかく気のきいた化けかたをいたします。
 あるかたが、王子稲荷へ参詣をして、ぶらぶらと歩いてまいりますと、ただいまのように王子もまだひらけません時分で、両側が田んぼでございます。ふとみると、稲むらのところにひょっくりしっぽがみえます。 「あれっ、あんなところにしっぽが……犬かしら? いやいや、そうじゃあねえや……なんだろう? おや、きつねだ。こんなところにきつねがいるとは? ……なにしてるんだろう? あたまへ草なんぞのっけてるけど……なにをしようってんだろう?」  男がふしぎにおもってみておりますと、きつねはくるりとひっくりかえって、たちまち二十五、六のきれいな年増《としま》に化けてしまいました。 「おや、こりゃあおもしれえや。おれもいままで、ずいぶん絵やなにかでみちゃあいたが、きつねが人間に化けるのを目の前でみたのははじめてだ。へーえ、うまいもんだねえ。いい女じゃあねえか。あれじゃあ、みんなが化かされるのも無理はねえなあ。ははあ、これからだれかを化かそうてんだな。だれがくるのかしら? ……だあれもみえねえや……あたりに人かげがないところをみると、おれのことを化かそうってんだ。おれが女が好きだってんで、それで女に化けやがった。こりゃあ、えれえことになったぞ。みといてよかったねえ。あれをみてなきゃあ、もうやられてるよ……だが待てよ。タネはわかってるんだ。むこう��化かそうってんなら、ひとつ化かされてやろうかしら……」  てんで、もの好きな人があったもんで、眉毛《まゆげ》につばをつけて、 「なんていってやろうかな……うーん、そうだ。となり町の清元の師匠にちょいと似てるから、師匠とよんでみようかな? ……なんて返事をするだろう? ……『師匠』『コーン』かなんかいうのかな? ……ちょいとよんでみよう」 「えー、師匠、師匠」 「あらっ、半ちゃんじゃあないの」 「あれっ、口をききましたよ。コーンてなことはいわないね。それに、おれの名前を知ってやがらあ。おどろいたねどうも……あぶねえ、あぶねえ。もうやられかけてらあ」 「え? なにかいった?」 「いえ、こっちのことで……いえね、うしろ姿があんまり似てたもんだから、つい声をかけちまったんだけど、まさか師匠がこんなとこを歩いてるとはおもわなかったよ。今時分、なにしに、こんなところへ?」 「ええ、いまお稲荷さまへおまいりをしてね、あんまり天気がいいから、ぶらぶら歩いてきたの」 「そうかい。じつは、おれもお稲荷さまへおまいりにいった帰りよ」 「あら、そうだったの……あたし、半ちゃんと逢えてうれしいわ」 「おれもうれしいぜ。どうだい? どっかへいこうか?」 「そうねえ、いきたいわねえ」 「どっかしずかなところへふたりでいってさあ」 「ええ、お風呂へでもはいらない?」 「お風呂? ……じょうだんじゃあねえ。お風呂だなんて、肥《こえ》だめへでもいれるつもりだな」 「え? なんですって?」 「いや、その……お風呂は、きょうのところはよしにしよう。なにしろ風邪気味だもんだから……どうだい? なんか食わねえかい?」 「そうねえ、おそばなんかどう?」 「おそば? ……ははあ、おそばだなんていって、みみずかなんか食わせようってんだな。その手に乗るもんか……おそばはいやだよ。ああいうおそばは、釣りのえさにするだけなんだから……そうだ、どうせ王子へきたんだから、扇屋へいこうじゃあねえか」 「いいわねえ。いきましょう」 「じゃあ、はなしはきまった。さあいこう……ええ、ごめんよ」 「いらっしゃいまし。どうぞ、おふたりさま、お二階へ……すぐにご案内いたします」 「師匠、二階だとさ。おれがさきにあがるから……さあさあ、師匠もあがっておいでよ……ああ、こりゃあ、なかなかいい部屋だ。ちょいと、ねえさん、その障子をあけておくれ……うん、いいながめだ。青々としていて……さあ、師匠、坐ろうじゃあないか。そして、好きなものをどんどんいっとくれ。さあ、遠慮しないでさ……好きなものはなに? え? 油揚《あぶら》げ? 油揚げはいけないよ。こういう店へきて油揚げなんてえのはしゃれにならないから……なにかほかには? え? 天ぷら? ふーん、やっぱり揚げたものがいいんだね。ちょいと、ねえさん、こちらは天ぷらがいいってから、三人前ばかり、あとはみつくろいでいいよ。あっ、それからねえ、あたしのほうは天ぷらはいらないからね、とにかくまあ、すぐにお酒を持ってきておくれ……ねえ、師匠、おかしなもんだねえ。まさか師匠とこんなふうに一ぱいやれるとはおもってもいなかった。ほんとうにうれしい日だよ。こりゃあ、きっとお稲荷さまのご利益だろう……おや、ねえさん、もうできたのかい? はい、ごくろうさま……ずいぶん早かったねえ。はいはい、こっちへいただこう。え? あとはこっちでやるから、ねえさんにはお手数はかけないよ。うん、もう階下《した》へいっていいよ。用があったらね、手をたたいてよぶから……どうもごくろうさま……あっ、そんなにぴったりしめてっちゃあいけない。すこうしあけとくんだ……いざとなったら、ぱっと逃げだす都合があるんだから……いえ、なに、なんでもない。いいから、すこうしあけといとくれ……さあ、師匠、一ぱいさしあげよう」 「あたし、お酒はだめなの」 「なにいってんだよ。かくしたってだめだめ。おまえさんがいけることはちゃんとネタはあがってるんだから……だって、いつもお神酒《みき》があがって……いえ、おまえさんとこの神棚のはなしさ……さあさあ、一ぱいいこう。なあに、沢山《たんと》は飲ませやしねえから……いいから心配せずにぐっとあけなよ。うん、いざとなりゃあ、ちゃんと介抱《かいほう》するから安心してお飲みよ……うーん、いい飲みっぷりだ。その調子だと相当いけるね……え? ご返盃? うれしいねえ……しかし、こりゃあほんとうの酒だろうな。まさか馬の小便じゃああるまいね……え? なに……その……いえ、こんなうれしいことはないよ。師匠から盃が頂戴できるなんて……こんなうれしいことは……おっとっとっと……こんなにいっぱいついじまって、こんなじゃあしまつにわりいや。こんなに、こんなに、盃にあふれて、こんなに……え? なに? そうこんこんいっちゃあいけないって? ……ああそうか。やっぱりこんていうのは気がさすんだな……ああ、すまねえ、すまねえ。おまえさんがこんといっちゃあいけねえというんなら、今後《こんご》は、金輪際《こんりんざい》いわねえ……あれっ、いうまいとすると、よけいにいうねえ。あっはははは……さあさあ、天ぷらのさめねえうちに食べたほうがいいよ。そうそう、どんどん食べて……もうひとつ、お酌《しやく》しよう。ぐっとあけて、ぐっとあけて……」  さかんに飲まされたもんですから、きつねのほうはすっかりいい心持ちになって、 「あたし、すっかり酔っちまったわ」 「うん、そういやあ、だいぶいい色になったねえ。色の白いところへぽーっと赤味がさしてきつね色……いやいや……なあに……そのう……とにかくいい色だ……いい色になったところでもう一ぱい……え? なに? 眠くなった? それじゃあ、横になったらいいよ。いえさ、なにも師匠とおれの仲で遠慮なんぞいるもんか。このざぶとんをふたつに折って、枕がわりにして……そうそう……それから、手ぬぐいをしいたほうがいいよ。髪の油でよごれるから……ああ、それでいい、それでいい。いいから安心しておやすみ。おれはここで飲んでるから……」  と、さんざんひとりで飲んだり食べたりしてるうちに、きつねはぐっすり寝こんでしまいましたので、それをみすました男は、そっと階下《した》へおりてくると、 「おい、ねえさん、ねえさん」 「あっ、お帰りでございますか?」 「しいっ、しずかにしておくれ……いまね、つれの女が寝こんだところだから……なあに、ちょいと飲みすぎて眠くなったというから寝かしてあるんだから心配はいらねえ……で、おれは、ちょいと用足しにいってくるから……なあに、このさきに友だちが住んでるんだ。ちょいとここまできたついでに顔だししようってえやつだ。なにかこう、みやげになるものはないかい? え? たまご焼き? うん、そりゃあいいや。ここんちのたまご焼きならいいみやげにならあ。じゃあ、��れを三人前折り詰めにしておくれ……それから、勘定はね、二階のつれからもらっとくれ。いいかい。ちゃんと紙入れがあずけてあるんだから……起きたら、用足しがあって、おれはさきへ帰ったとそういっとくれ。まだ当分寝かしといてやっとくれよ。うん、起こすときも、いきなり起こさないほうがいいよ。いきなり起こすと、ぽーんととびあがったりするといけないからね……ああ、折り詰めができた? ありがとう。じゃあ、よろしくたのむよ。どうもごちそうさま」 「毎度ありがとうございます」 「はい、さようなら」  ひどいやつがあったもんで、そのままずらかってしまいました。
「ああ、お竹や、二階のお客さま、そろそろお起こししたらどうなの? あんまりおそくなるといけないから……」 「はい、かしこまりました……あのう、ごめんくださいませ。ごめんくださいませ。お客さま、ごめんくださいませ。ちょっとここをあけさせていただきます……まあ、よくおやすみのようでございますねえ……あの、お客さま、お客さま、失礼でございますけども、あまりおそくなるといけませんから、お目ざめを……もし、お客さま、お目ざめを……」 「ああ、あーあ……はい……はい、あいすみません。すっかり酔ってしまって……あらっ、つれの者はどういたしました?」 「なんでも、ご近所にお友だちがいらっしゃるとかで、ちょいと顔だしをしてくるからと、おみやげにたまご焼きを三人前お持ちになってお帰りになりました」 「まあ、そうですか。人を寝かしたまま帰っちまうなんてひどい人ですわね……それで、あの、こちらのお勘定は?」 「ええ、あなたさまに紙入れがあずけてあるからいただくようにとのことで……」 「えっ、あたしから!」  びっくりしたとたんに、きつねのやつ、神通力をうしなって、もとの姿にもどっちまった。耳がぴーんと立って、口は耳もとまですーっとさけて、うしろのほうからはふといしっぽがにょっきりでてきましたから、女中がおどろいたのなんのって、「きゃっ」という声とともに二階からガラガラガラ…… 「だれだい? 二階からおっこったのは?」 「金さん、勝つあん、たいへんだよ。たいへんだよ」 「なんだ、お竹どんじゃあねえか。どうしたんだよ、二階からおっこったりして……」 「たいへんだよ。二階がたいへんなんだよ」 「なにがたいへんなんだい?」 「さっきのふたりのお客さまね、ひとり、男のほうは帰ったろう?」 「うん、それがどうした?」 「二階に、女のほうが寝てたけど……あれはきつねだよ」 「えっ、きつね? じょうだんいっちゃあいけねえや。そんなことでかつごうったってだめだ」 「うそじゃあないよ。いまね、二階へいって起こしたら、『お勘定は?』って聞くから、『あなたさまに紙入れがあずけてあるからいただくようにとのことで……』といったとたんにしっぽをだしたんだよ」 「なにいってやんでえ。勘定で足をだすってなあ聞いたことはあるが、勘定でしっぽをだしたなんてはなしは聞いたことがねえぜ……え? 耳がぴーんと立って、口が耳もとまでさけた? ほんとうかい? そりゃあたいへんだ……こういうときは、辰つあんでなくっちゃあ……おい、辰つあん、辰つあん! ちょいときてくんねえ」 「なんだ、なんだ、なんだ? 喧嘩か? ゆすりか? 食い逃げか?」 「いえ、そんなんじゃあないんだけどね、きょうは旦那がお留守で、どうにもさばきがつかねえんだが、辰つあん、おめえはたいそう強えんだってなあ」 「ああ、おらあ、鬼がこようと蛇《じや》がこようと、びくともするんじゃあねえや」 「そうだってなあ……じつは、鬼でも蛇でもねえんだが、二階にきつねがいるんだ。ちょいとみてきてくんねえ」 「えっ、きつね? こんこんさまかい? ……なに? 二階に寝てたのが、女《め》ぎつねかい? ……へえ、そいつあおどろいたな」 「だからさ、このさわぎはおめえじゃなくっちゃあおさまりがつかねえってわけだ」 「あたりめえよ。こちとらあ、じまんじゃねえが、鬼がこようと、蛇がこようと……」 「だからさ、鬼でも蛇でもねえ。きつねなんだから……」 「うん、きつねねえ……きつねはいま断《た》ってるんだ。ここんところ鬼と蛇にかかりっきりで手がはなせねえ」 「なにいってやんでえ。強え強えってでけえことばかりいってやがるくせに……いいや、いいや、もうたのまねえ。さあ、みんな、いいか、旦那がお留守のあいだに、きつねなんぞに食い逃げされたとあっちゃあ、旦那に顔むけができやしねえ。かまうこたあねえから、そのきつねをたたきのめしてやろう」  若い衆が五、六人、天びん棒やほうきやものさしなんか持って、そーっと二階へあがってまいりました。きつねは、自分が正体をあらわしているとは気がつきません。しきりに勘定をどう払おうかとかんがえているところへ、いきなりみんなでとびこんできて、「こんちくしょう、こんちくしょう」とひっぱたきましたから、さすがのきつねも不意をくらって座敷のなかを逃げまわるばかり。そのうちに、もうだめだというんで、最後の一手、強烈な、鼻をつらぬくようなやつを一発はなった。いたちの最後っ屁ということをよく申しますが、このきつねの苦しっ屁もそれにおとらぬ猛威で…… 「あっ、プッ……こりゃあたまらねえ。だれだい、この最中《さなか》に……なに? きつねかい? おどろいたね、どうも、気が遠くなるようだ……おやっ、きつねは逃げちまった。惜しいことをしたなあ」 「ただいま帰りました。なんだ? 二階のさわぎは?」 「あっ、旦那のお帰りだ……へい、旦那、お帰りなさいまし」 「へえ、お帰り……」 「お帰り……」 「なんだ、おまえたちは……はちまきなんぞして、てんでに棒なんぞ持って……いったいなんのまねだ?」 「へえ、食い逃げなんで……」 「食い逃げだって手荒いことをしちゃあだめじゃあないか。仮りにもお客さまだよ」 「それが……旦那……きつねなんで……」 「なに、きつね?」 「へえ、きつねが二ひきできゃあがって、おすのほうはさきにみやげなんぞ持って帰っちまったんですが、めすのほうが飲みすぎて寝こんじまったんで……お竹どんが起こしにいって、勘定のことをいうと、そのきつねがびっくりして正体をあらわしやがったんで……それから、みんなでたたきのめしてやろうってんで、なぐりつけたんですが、苦しっ屁をして逃げちまいまし���」 「おいっ、おまえたちはとんでもないことをしてくれたな」 「なんで?」 「なんでって……ここは王子じゃあないか。うちの店がこうやって繁昌してるのも、みんなお稲荷さまのおかげなんだ。おきつねさまは、そのありがたいお稲荷さまのおつかい姫だぐらいのことは、おまえたちも知ってるだろう? そのおきつねさまが、わざわざきてくだすったんだ。だから、日ごろのご恩がえしに、うんとごちそうしてお帰しするのがあたりまえじゃあないか。それをなぐったり、たたいたりして、とんでもないやつらだ! ……だれだ、なぐったのは? 金助、おまえか?」 「いえ、あっしじゃあねえんで……あっしはなぐったりしません」 「なぐらない? じゃあなんだ、その手にもってるものさしは?」 「え? このものさし? ……あっ、これはでござんすね……これは……そのう……おきつねさまの身の丈《たけ》はどのくらいあるかと、ちょいとはかったんで……」 「なにいいかげんなことをいってるんだ。のんきなことをいってる場合じゃないぞ。おまえたちは、おきつねさまにとりつかれるぞ」 「へえー」 「へえーじゃあない。病気にでもなったらどうする?」 「とんだことをしちまったなあ……どうしたらよござんしょう?」 「まあ、いろいろとおそなえものを持って、みんなでおわびにいくんだ」  扇屋の主人も心配ですから、店の者をつれて、お稲荷さまへおわびにいくというしまつ。  こちらは、きつねをだました男でございます。三人前のたまご焼きを持って、いい心持ちにほろ酔いきげんで友だちのうちへやってまいりました。 「ありがてえなあ。おきつねさまにごちそうになろうたあおもわなかったな……こんちわ、おい、いねえのかい?」 「よう、半ちゃんじゃあねえか。しばらくだったな。どうしたい、たいそうごきげんじゃあねえか」 「ああ……これは手みやげがわりだ、たまご焼きだけど……」 「へーえ、扇屋かい? こりゃあごちそうさま。しかし、ぜいたくなもんだな。だいぶかかったろう?」 「それがただなんだ」 「ただ? 官費かい?」 「いや、こん費」 「なんだい、そのこん費てえのは?」 「それがね、お稲荷さまにおまいりした帰りにきつねがでてきやがって、おつな年増に化けやがった。となり町の清元の師匠に似てたから、師匠、師匠と心やすくはなしかけて、うまく扇屋へつれこんで、酔わして寝かしておいて、たまご焼きを三人前みやげに持って、勘定を押しつけて逃げてきちまったんだ」 「おいおい、半ちゃん、ひどいことをしたなどうも……人間がきつねに化かされたてえはなしは聞いたことがあるが、人間がきつねを化かしたってえのは初耳だ。しかし、まあ、とんだことをしたもんだな」 「なぜ?」 「なぜって、おめえは知らねえのかい? きつねは稲荷さまのおつかい姫というじゃあねえか。せっかく稲荷さまにおまいりにいったって、きつねをだましたりしたんじゃあなんにもならねえぜ。それどころか、きつねは執念|深《ぶけ》えから、きっとたたりがあるよ。もしもおめえにたたりがなくっても、おかみさんにとりついたらどうするんだ? これから帰ってみな、おかみさんが、きつねの面をかぶって、はたきを持って、テケレッテン、スケテンテンって、お神楽《かぐら》かなんか踊ってるぜ。で、おめえの顔をみると、『よくもおまえはひどいことをしてくれたねえ。コーン』てなことをいって、おめえののど笛へ食らいつくぜ」 「そりゃあ、えれえことをしちまった」  これから、半ちゃんはうちへ帰りましたが、一睡もできません。あくる日になると、朝早く起きて、手みやげを用意すると、王子へわびにやってまいりました。 「あーあ、おどろいたねえ。ちょいとしたいたずらがこんなことになるとはおもわなかった。しかし、まあ、ちょいとしゃれが強すぎたなあ。せめてまあ、勘定だけでも払っときゃあよかったんだが……えーと、たしかこのあたりだったな。ここかしら? ここに穴があるから……ああ、たしかにここだ。この木の下で、草をあたまにのせて、ひっくりけえったんだ……おやっ、うなり声が聞こえるぞ……おやおや、ちっちゃなきつねがでてきた。こりゃあ、きっときのうのきつねの子どもだぞ……へへへへ、もしもし、お坊っちゃんだか、お嬢ちゃんだかわかりませんけど……おや、お坊っちゃんですか。どうもお毛|並《な》みがようございますねえ。かわいいなあどうも……奥でうなってるのはどなたです? え? おっかさん? きのう人間に化かされて怪我をなすったって? ……そいつあわるかったな……あのね、おじさんねえ、きのうね、坊やのおっかさんにちょっと悪ふざけをしちゃったんだ。いえ、べつに悪気があったんじゃあないんだけれど、ついふらふらとやっちまって……それでね、たいへんにすまないとおもったもんだから、おわびにきたんだ。坊やからよーくあやまっといとくれ。人間がぴょこぴょこあたまをさげていたってね、で、これ、ほんとうにつまんないもんだけど、おわびのしるしだから、おっかさんにあげておくれ。いいかい、くれぐれもすまなかったって、よくそういっとくれよ……ああ、くわえて穴んなかへはいっちまった。かわいいもんだな」 「おっかさん、おっかさん」 「しずかにおしよ、この子は……おっかさんは、からだじゅうがいたいんだから、大きな声をだすとひびくじゃあないか……どこへいってたんだよ。むやみに表へでるんじゃあないよ。おまえなんぞ子どもなんだから、どんな目にあうか知れないよ。この節の人間は油断できないんだから……」 「あのね、きのう、おっかさんを化かした人間がきたよ」 「えっ、とうとうここまでつきとめてきたかい? 人間なんて、なんてまあ執念深いんだろう……まだいるのかい?」 「ううん、もう帰った。それでね、おれのことを坊っちゃん、いいお毛並みですねえなんてほめてたよ」 「まあ、なんてそらぞらしい。いいかげんな空世辞《からせじ》なんかいって……で、どうしたい?」 「うん、おっかさんによーくあやまっといとくれって、ぴょこぴょこあたまをさげていやがんの……それから、つまんないものだけど、おわびのしるしにって、これ持ってきたよ」 「ちくしょうめ、なにがおわびのしるしだい……それにしても、なにを持ってきたんだろうね」 「あけてみようか」 「ああ、あけてごらん」 「あっ、おっかさん、ぼたもちだ」 「えっ、ぼたもち?」 「うん、おいしそうだよ。食べようよ」 「ああ、食べるんじゃあない! 馬の糞かも知れない」
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nomuch · 5 years
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中華そばひのき屋‼️ 12月限定麺から 「煮干し混ぜそば月見とろろ仕立て 竹輪の磯部天をtoppingで」‼️ 今月も混ぜそばから🍜 煮干し風味抜群のタレに絡む 太麺をズルズル🍜😆 素晴らしい混ぜそばでした‼️ 海老の味噌ラーメンも 食べたかった〜〜😅 ご馳走さま🙏 #中華そばひのき屋 #野江内代 #野江 #城東区 #ラーメン #ぴり辛高菜も旨い #ディナー #煮干 #混ぜそば #坦々混ぜそば #大好きなラーメン屋さん #おやじの気まぐれ #おやじの気まぐれは本日限り #月替り #大盛況 #城東区グルメ @MytYuka (ひのき屋) https://www.instagram.com/p/B5wgFGNA8At/?igshid=1clvl5l0qpxvv
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2ttf · 12 years
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Latin//Alphabet// ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZabcdefghijklmnopqrstuvwxyz0123456789 !"“”#$%&'‘’()*+,-./:;<=>?@[\]^_`{|}~ Latin//Accent// ¡¢£€¤¥¦§¨©ª«¬®¯°±²³´µ¶·¸¹º»¼½¾¿ÀÁÂÃÄÅÆÇÈÉÊËÌÍÎÏÐÑÒÓÔÕÖ×ØÙÚÛÜÝÞßàáâãäåæçèéêëìíîïðñòóôõö÷øùúûüýþÿ Latin//Extension 1// ĀāĂ㥹ĆćĈĉĊċČčĎďĐđĒēĔĕĖėĘęĚěĜĝĞğĠġĢģĤĥĦħĨĩĪīĬĭĮįİıIJijĴĵĶķĸĹĺĻļĽľĿŀŁłŃńŅņŇňʼnŊŋŌōŎŏŐőŒœŔŕŖŗŘřŚśŜŝŞşŠšŢţŤťŦŧŨũŪūŬŭŮůŰűŲųŴŵŶŷŸŹźŻżŽžſfffiflffifflſtst Latin//Extension 2// ƀƁƂƃƄƅƆƇƈƉƊƋƌƍƎƏƐƑƒƓƔƕƖƗƘƙƚƛƜƝƞƟƠơƢƣƤƥƦƧƨƩƪƫƬƭƮƯưƱƲƳƴƵƶƷƸƹƺƻƼƽƾƿǀǁǂǃDŽDždžLJLjljNJNjnjǍǎǏǐǑǒǓǔǕǖǗǘǙǚǛǜǝǞǟǠǡǢǣǤǥǦǧǨǩǪǫǬǭǮǯǰDZDzdzǴǵǶǷǸǹǺǻǼǽǾǿ Symbols//Web// –—‚„†‡‰‹›•…′″‾⁄℘ℑℜ™ℵ←↑→↓↔↵⇐⇑⇒⇓⇔∀∂∃∅∇∈∉∋∏∑−∗√∝∞∠∧∨∩∪∫∴∼≅≈≠≡≤≥⊂⊃⊄⊆⊇⊕⊗⊥⋅⌈⌉⌊⌋〈〉◊♠♣♥♦ Symbols//Dingbat// ✁✂✃✄✆✇✈✉✌✍✎✏✐✑✒✓✔✕✖✗✘✙✚✛✜✝✞✟✠✡✢✣✤✥✦✧✩✪✫✬✭✮✯✰✱✲✳✴✵✶✷✸✹✺✻✼✽✾✿❀❁❂❃❄❅❆❇❈❉❊❋❍❏❐❑❒❖❘❙❚❛❜❝❞❡❢❣❤❥❦❧❨❩❪❫❬❭❮❯❰❱❲❳❴❵❶❷❸❹❺❻❼❽❾❿➀➁➂➃➄➅➆➇➈➉➊➋➌➍➎➏➐➑➒➓➔➘➙➚➛➜➝➞➟➠➡➢➣➤➥➦➧➨➩➪➫➬➭➮➯➱➲➳➴➵➶➷➸➹➺➻➼➽➾ Japanese//かな// あいうえおかがきぎくぐけげこごさざしじすずせぜそぞただちぢつづてでとどなにぬねのはばぱひびぴふぶぷへべぺほぼぽまみむめもやゆよらりるれろわゐゑをんぁぃぅぇぉっゃゅょゎゔ゛゜ゝゞアイウエオカガキギクグケゲコゴサザシジスズセゼソゾタダチヂツヅテデトドナニヌネノハバパヒビピフブプヘベペホボポマミムメモヤユヨラリルレロワヰヱヲンァィゥェォッャュョヮヴヵヶヷヸヹヺヽヾ Japanese//小学一年// 一右雨円王音下火花貝学気九休玉金空月犬見五口校左三山子四糸字耳七車手十出女小上森人水正生青夕石赤千川先早草足村大男竹中虫町天田土二日入年白八百文木本名目立力林六 Japanese//小学二年// 引羽雲園遠何科夏家歌画回会海絵外角楽活間丸岩顔汽記帰弓牛魚京強教近兄形計元言原戸古午後語工公広交光考行高黄合谷国黒今才細作算止市矢姉思紙寺自時室社弱首秋週春書少場色食心新親図数西声星晴切雪船線前組走多太体台地池知茶昼長鳥朝直通弟店点電刀冬当東答頭同道読内南肉馬売買麦半番父風分聞米歩母方北毎妹万明鳴毛門夜野友用曜来里理話 Japanese//小学三年// 悪安暗医委意育員院飲運泳駅央横屋温化荷開界階寒感漢館岸起期客究急級宮球去橋業曲局銀区苦具君係軽血決研県庫湖向幸港号根祭皿仕死使始指歯詩次事持式実写者主守取酒受州拾終習集住重宿所暑助昭消商章勝乗植申身神真深進世整昔全相送想息速族他打対待代第題炭短談着注柱丁帳調追定庭笛鉄転都度投豆島湯登等動童農波配倍箱畑発反坂板皮悲美鼻筆氷表秒病品負部服福物平返勉放味命面問役薬由油有遊予羊洋葉陽様落流旅両緑礼列練路和 Japanese//小学四年// 愛案以衣位囲胃印英栄塩億加果貨課芽改械害街各覚完官管関観願希季紀喜旗器機議求泣救給挙漁共協鏡競極訓軍郡径型景芸欠結建健験固功好候航康告差菜最材昨札刷殺察参産散残士氏史司試児治辞失借種周祝順初松笑唱焼象照賞臣信成省清静席積折節説浅戦選然争倉巣束側続卒孫帯隊達単置仲貯兆腸低底停的典伝徒努灯堂働特得毒熱念敗梅博飯飛費必票標不夫付府副粉兵別辺変便包法望牧末満未脈民無約勇要養浴利陸良料量輪類令冷例歴連老労録 Japanese//小学五〜六年// 圧移因永営衛易益液演応往桜恩可仮価河過賀快解格確額刊幹慣眼基寄規技義逆久旧居許境均禁句群経潔件券険検限現減故個護効厚耕鉱構興講混査再災妻採際在財罪雑酸賛支志枝師資飼示似識質舎謝授修述術準序招承証条状常情織職制性政勢精製税責績接設舌絶銭祖素総造像増則測属率損退貸態団断築張提程適敵統銅導徳独任燃能破犯判版比肥非備俵評貧布婦富武復複仏編弁保墓報豊防貿暴務夢迷綿輸余預容略留領異遺域宇映延沿我灰拡革閣割株干巻看簡危机貴揮疑吸供胸郷勤筋系敬警劇激穴絹権憲源厳己呼誤后孝皇紅降鋼刻穀骨困砂座済裁策冊蚕至私姿視詞誌磁射捨尺若樹収宗就衆従縦縮熟純処署諸除将傷障城蒸針仁垂推寸盛聖誠宣専泉洗染善奏窓創装層操蔵臓存尊宅担探誕段暖値宙忠著庁頂潮賃痛展討党糖届難乳認納脳派拝背肺俳班晩否批秘腹奮並陛閉片補暮宝訪亡忘棒枚幕密盟模訳郵優幼欲翌乱卵覧裏律臨朗論 Japanese//中学// 亜哀挨曖扱宛嵐依威為畏尉萎偉椅彙違維慰緯壱逸芋咽姻淫陰隠韻唄鬱畝浦詠影鋭疫悦越謁閲炎怨宴援煙猿鉛縁艶汚凹押旺欧殴翁奥憶臆虞乙俺卸穏佳苛架華菓渦嫁暇禍靴寡箇稼蚊牙瓦雅餓介戒怪拐悔皆塊楷潰壊懐諧劾崖涯慨蓋該概骸垣柿核殻郭較隔獲嚇穫岳顎掛括喝渇葛滑褐轄且釜鎌刈甘汗缶肝冠陥乾勘患貫喚堪換敢棺款閑勧寛歓監緩憾還環韓艦鑑含玩頑企伎忌奇祈軌既飢鬼亀幾棋棄毀畿輝騎宜偽欺儀戯擬犠菊吉喫詰却脚虐及丘朽臼糾嗅窮巨拒拠虚距御凶叫狂享況峡挟狭恐恭脅矯響驚仰暁凝巾斤菌琴僅緊錦謹襟吟駆惧愚偶遇隅串屈掘窟繰勲薫刑茎契恵啓掲渓蛍傾携継詣慶憬稽憩鶏迎鯨隙撃桁傑肩倹兼剣拳軒圏堅嫌献遣賢謙鍵繭顕懸幻玄弦舷股虎孤弧枯雇誇鼓錮顧互呉娯悟碁勾孔巧甲江坑抗攻更拘肯侯恒洪荒郊貢控梗喉慌硬絞項溝綱酵稿衡購乞拷剛傲豪克酷獄駒込頃昆恨婚痕紺魂墾懇沙唆詐鎖挫采砕宰栽彩斎債催塞歳載剤削柵索酢搾錯咲刹拶撮擦桟惨傘斬暫旨伺刺祉肢施恣脂紫嗣雌摯賜諮侍慈餌璽軸叱疾執湿嫉漆芝赦斜煮遮邪蛇酌釈爵寂朱狩殊珠腫趣寿呪需儒囚舟秀臭袖羞愁酬醜蹴襲汁充柔渋銃獣叔淑粛塾俊瞬旬巡盾准殉循潤遵庶緒如叙徐升召匠床抄肖尚昇沼宵症祥称渉紹訟掌晶焦硝粧詔奨詳彰憧衝償礁鐘丈冗浄剰畳壌嬢錠譲醸拭殖飾触嘱辱尻伸芯辛侵津唇娠振浸紳診寝慎審震薪刃尽迅甚陣尋腎須吹炊帥粋衰酔遂睡穂随髄枢崇据杉裾瀬是姓征斉牲凄逝婿誓請醒斥析脊隻惜戚跡籍拙窃摂仙占扇栓旋煎羨腺詮践箋潜遷薦繊鮮禅漸膳繕狙阻租措粗疎訴塑遡礎双壮荘捜挿桑掃曹曽爽喪痩葬僧遭槽踪燥霜騒藻憎贈即促捉俗賊遜汰妥唾堕惰駄耐怠胎泰堆袋逮替滞戴滝択沢卓拓託濯諾濁但脱奪棚誰丹旦胆淡嘆端綻鍛弾壇恥致遅痴稚緻畜逐蓄秩窒嫡抽衷酎鋳駐弔挑彫眺釣貼超跳徴嘲澄聴懲勅捗沈珍朕陳鎮椎墜塚漬坪爪鶴呈廷抵邸亭貞帝訂逓偵堤艇締諦泥摘滴溺迭哲徹撤添塡殿斗吐妬途渡塗賭奴怒到逃倒凍唐桃透悼盗陶塔搭棟痘筒稲踏謄藤闘騰洞胴瞳峠匿督篤凸突屯豚頓貪鈍曇丼那謎鍋軟尼弐匂虹尿妊忍寧捻粘悩濃把覇婆罵杯排廃輩培陪媒賠伯拍泊迫剝舶薄漠縛爆箸肌鉢髪伐抜罰閥氾帆汎伴畔般販斑搬煩頒範繁藩蛮盤妃彼披卑疲被扉碑罷避尾眉微膝肘匹泌姫漂苗描猫浜賓頻敏瓶扶怖附訃赴浮符普腐敷膚賦譜侮舞封伏幅覆払沸紛雰噴墳憤丙併柄塀幣弊蔽餅壁璧癖蔑偏遍哺捕舗募慕簿芳邦奉抱泡胞俸倣峰砲崩��飽褒縫乏忙坊��房肪某冒剖紡傍帽貌膨謀頰朴睦僕墨撲没勃堀奔翻凡盆麻摩磨魔昧埋膜枕又抹慢漫魅岬蜜妙眠矛霧娘冥銘滅免麺茂妄盲耗猛網黙紋冶弥厄躍闇喩愉諭癒唯幽悠湧猶裕雄誘憂融与誉妖庸揚揺溶腰瘍踊窯擁謡抑沃翼拉裸羅雷頼絡酪辣濫藍欄吏痢履璃離慄柳竜粒隆硫侶虜慮了涼猟陵僚寮療瞭糧厘倫隣瑠涙累塁励戻鈴零霊隷齢麗暦劣烈裂恋廉錬呂炉賂露弄郎浪廊楼漏籠麓賄脇惑枠湾腕 Japanese//記号//  ・ー~、。〃〄々〆〇〈〉《》「」『』【】〒〓〔〕〖〗〘〙〜〝〞〟〠〡〢〣〤〥〦〧〨〩〰〳〴〵〶 Greek & Coptic//Standard// ʹ͵ͺͻͼͽ;΄΅Ά·ΈΉΊΌΎΏΐΑΒΓΔΕΖΗΘΙΚΛΜΝΞΟΠΡΣΤΥΦΧΨΩΪΫάέήίΰαβγδεζηθικλμνξοπρςστυφχψωϊϋόύώϐϑϒϓϔϕϖϚϜϞϠϢϣϤϥϦϧϨϩϪϫϬϭϮϯϰϱϲϳϴϵ϶ϷϸϹϺϻϼϽϾϿ Cyrillic//Standard// ЀЁЂЃЄЅІЇЈЉЊЋЌЍЎЏАБВГДЕЖЗИЙКЛМНОПРСТУФХЦЧШЩЪЫЬЭЮЯабвгдежзийклмнопрстуфхцчшщъыьэюяѐёђѓєѕіїјљњћќѝўџѢѣѤѥѦѧѨѩѪѫѬѭѰѱѲѳѴѵѶѷѸѹҌҍҐґҒғҖҗҘҙҚқҜҝҠҡҢңҤҥҪҫҬҭҮүҰұҲҳҴҵҶҷҸҹҺһҼҽҾҿӀӁӂӇӈӏӐӑӒӓӔӕӖӗӘәӚӛӜӝӞӟӠӡӢӣӤӥӦӧӨөӪӫӬӭӮӯӰӱӲӳӴӵӶӷӸӹӾӿ Thai//Standard// กขฃคฅฆงจฉชซฌญฎฏฐฑฒณดตถทธนบปผฝพฟภมยรฤลฦวศษสหฬอฮฯะัาำิีึืฺุู฿เแโใไๅๆ็่้๊๋์ํ๎๏๐๑๒๓๔๕๖๗๘๙๚๛
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nemosynth · 5 years
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<デジタルシンセ戦国記 III ; KORG DW-8000>
●メーカー名
KORG
●機種名
DW-8000 Programmable Digital Waveform Synthesizer
61 鍵、ベロシティ・アフタータッチ対応 '85年発表、定価 198,000円
ご覧のとおり、サブタイトル的に「音色メモリー可能なデジタル波形シンセ」という意味の英語で銘打たれているが、ちょっとでもデジタルと言いたかった、つまりデジタルであると言えることが時代の最先端であった当事の世相というか、時代の流れに必死で追いつこうとしていたメーカーの意地のような気持ちが感じられる。
コルグ DW シリーズは ・2基のデジタルオシレーター ・1基のアナログフィルター(VCF) ・1基のアナログアンプ(VCA) による減算方式シンセであり、当時このようにオシレーターのみデジタルな機種は「デジアナシンセ」とか「ハイブリッドシンセ」と呼ばれた。
しかし当時のコルグは、あくまでデジタルであることを前面に押し出すことで、これを最先端の技術をもちいた一種のデジタルシンセ的存在として言いたかったらしい。そんなわけで、この時、倒産しかかっていたコルグの悲壮感を汲み取って、この「デジタルシンセ戦国記」に、ご登場いただく。
ちなみに時代は変わるもので、26 年が経過した 2011 年1月に発表された KRONOS の HD-1 では、デジタルシンセ用アイコンとして DW が、アナログシンセ用アイコンとして 800DV が、おのおのカラー表示されるようになっている。
●音源方式
D.W.G.S 音源 Digital Wave Generator System の略。
これだけでは、ただ「デジタル音源ですよ」と言っているだけで、あまり分からない。ai音源(advanced integrated:M1、Tシリーズ)、HI音源(Hyper Integrated:TRITON「トライトン」シリーズ)も、単に「はげしく集積しました」って言っているだけですよね。
現実の音をフーリエ解析し、その倍音構成を整数次倍音でのみ再合成。ここから1波のみ取り出し、音源波形としてプリセットし、あとはユーザーが通常の減算方式しかもアナログ回路で処理する。コルグが初めてつくったデジタルオシレーターであり「現実から得たデジタル音をアナログによる減算方式で処理する」という発想は、いうなれば現在のハイブリッドシンセの先がけでもある。
なお、DW-8000 における音源波形は、オクターヴごとにマルチサンプリングされたものがベースであったといわれる。
80年代終わりごろになると、DWGS 音源や PCM 音源は、まとめてウェーヴ・メモリー方式、あるいはウェーヴ・テーブル方式などと呼ばれた。ただしウェーヴ・テーブル方式とは、狭義では PPG-Waldorf が始めた「波形アニメ」的な方式を指すので注意。初代 DW-6000 では8種類あった音源波形も、DW-8000 では 16 種類に増えた。
●同時発音数
8音。
このころは、まだヤマハ DX を除けば最高でも6音ポリのシンセが多かったので、8音というのは微妙にアドバンテージがあった。コルグ Poly-800 なんか実は VCF が1基しかないパラフォニックで「ウソはっぴゃく」とまで言われたのに、それでも8音パラフォで「きゅっきゅっぱ」というコスパに、全世界の少年少女が乱舞したのである。
●内蔵エフェクトの性能と傾向
デジタルによる、ステレオ・モジュレーションディレイ1系統。
最大 512msec。独自の LFO を搭載しているので、モジュレーションかけてコーラスにもフランジャーにもなる原始的なマルチエフェクトとして、コルグは見ていた。デジタルであるということが、ここでも時代の先端を示すものであった。 とはいえ同社の名機 Polysix の、演歌ばりに泣きの入ったコーラス回路などとは、くらべものにならないくらい地味な効き味。ま、京都の薄味みたいなもんで、素材の味を大切にしはるわけどすな、はい京都生まれです私w
●内蔵波形、プリセットの傾向
16種。
普通のサイン波や鋸歯状波なども搭載。それ以外の波形は、現実の音を元にしてはいるので、ややリアルではある。しかし整数次倍音でのみ再現しているため、どこか音が甘い。しかも単に1波ループであるため、VCF / VCAエンベロープをかけないかぎり無表情なまでに一定の波形。つまり、PCM シンセのような、音源波形を出力しただけで完パケの音になるような便利さ安直さは、ない。
波形の元ネタは、生ピ、ベース、サックス、ディストーションギターなどあり、ただし前述のように生き生きとした PCM 波形ではないため、あくまで無表情な1波ループである。
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時代なのは、DX エレピを元にしたと思われる波形があることで、たしかによく特徴が出ているが、やはり正弦波合成による1波ループのため、これをそのまま使ってもせいぜい DX エレピの劣化コピーみたいにしかならず、うまく独自の味付けを考えて音創りするほうが良い。
金属ベルを元にした波形などは、非常におもしろく、DX エレピとはまた違った実に情感ゆたかなエレピ、それも DW-8000 でしか出ないエレピにしたり、金属的なパッドにして輝く雲のように演出させたりと、いろいろと使いみちがある。
鋸歯状波などはベーシックな波形のはずだが、やはり DW-8000 ならではの個性があり、はやりの JUNO-106 のような涼しげなストリングスにはならず、どことなく中域に倍音が密っぽいというか、なんとなく暑苦しい音になるのも、プログレにファンが多いコルグならでは、か。
波形メモリーには、256k bit ×4個のチップを使っているそうで、すなわち1メガビット、ということになる。仮にサンプリング周波数が8bit とすると、128 キロバイトの波形容量ということになるが、1波サイクルしか保存していないはずなので、これでも充分であろう。オクターヴごとにさりげなくマルチサンプルされているという噂があるが、聴いているぶんにはスプリットポイントが分からない。
8バンク×8音色= 64 音色メモリー。すべて上書き可能。 プリローデッド音色がどんなであったかは、すべて私の音色となってしまった今となっては知るすべがないが、Polysix のすごいやつを期待すると 「なんやしらんけどヤマハみたいな整った音やな。コルグにしては、ちょっと細いんちゃう?」 という感触をもつかも。
しかも最後はアナログのフィルターとアンプを通るので、どっかダイナミックレンジも狭く、S / N も色あせた、それでいて渋い音になる。
液晶表示による文字表示機能が無く、7セグ LED 数字表示しかないので、音色名も当然ない。しかし意外に簡単につかいこなせる。むしろ「下手にバイオリンなどという名前をつけますと、そのイメージにひきずられて、自由な発想ができません」とまで開き直っていた当時のコルグの恐るべき哲学(いや、ごもっとも!)と、なぜかオプションの MEX-8000(後述)取説に付属してついていた紙1枚だけのプリセット音色一覧表しかも音色に名前つきおまけにネーミングセンスがハズしているという謎の存在とが、過渡期の混沌ぶりをしのばせる。
●エディットの自由度と可能性
パラメーターの解像度は粗い。これはその後しばらくのコルグ製シンセすべてに言える事で、限界値が低いことや、解像度が粗い事もあって、実は緻密なエディットができない。しかしカタログを見ると「デジタルを越えた美しい音」とある。シンセはスペックではなく、実際に出てくる音でこそ勝負が決まる。これがコルグらしいこだわりであるとともに、私のような音色フェチには、ちょーっと寂しいというか「もーちょっと口あけてほしいなぁ」と言いたくなるところでもあり、その一方でカタログ通り美しい音にシビれ、その頑固一徹さに敬服するところでもある。
2 Osc. → 1VCF → 1VCA と、いたってシンプルな構造だが、残念ながら PWM やリング変調、クロス変調、ハードシンクなどのオシレーター変調は一切無い。そのぶん、倍音が豊富な音源波形の組合せとツインオシレーターでのピッチインターバルなどに、命をかけることになる。これが結構おもしろい。双子のメインオシレーターとは別個に、ホワイトノイズジェネレータを搭載しているのも良い。
スプリットやレイヤーは不可能、むろんマルチティンバー駆動も不可。ただし私が毎回はずさないユニゾンモードは、ちゃんとついていて、倍音の多い音源波形で本領発揮。コルグに独特の、異様にキツいフォルマントをもったディストーション系リード・サウンドは、このあたりから頭角を現してきたように思う。 さらに、ポリフォニック・ポルタメントを実現すべく、普通のローテーション・アサインの他に各ボイスを積み重ねる発音方式も用意されているのは、時代。
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VCF は、VCA とともにコルグ独自設計のチップ NJM2049 により実現されている。Polysix まではラダー型の SSM2044 だったが、Poly-800 からは、この独自設計の Quad OTA VCF チップに交代。マイナーな DW にあって、アナログ回路部分はさらにスルーされるきらいがあるが、どうしてなかなかまろやかに効く。しかも DWGS 音源によるデジタルオシレーターの音も、この VCF を通すことでアナログらしく色あせてくぐもった感じになり、ダイナミックレンジも狭くなってかえってレトロで良い、味わいぶかい。
このチップは、この次の DSS-1 / DSM-1 でも採用され、サンプリングした音がおもしろいほど変化するところを聴いてもわかるとおり、隠れた名器である。そしてヴィンテ・コルグ時代最後のアナログフィルターであり、アナログ世代最後の音へのこだわりの結晶となった。
ちなみに DW-8000 は8ボイスなので、このチップが8個搭載されているが、Poly-800 では1個しか搭載されないパラフォニック・シンセだったため、前述のとおり当時から「ウソはっぴゃく」と言われるも、誰もそんなこと気にせず、もうあこがれのシンセが手に入るただそれだけですでに嬉しかった。
EG が、フィルターとアンプとに個別にあるのも、当時としてはすばらしい。しかも、ADSR より1点多い ADSSR 方式(Attack、Decay、Slope、Sustain、Release)を初めて採用。上下反転させれば、ちょっとした複雑なアタック・トランジェントも演出できた。当時コルグが、これを誇らし気に DEG すなわち、でぃぢたるえんべろーぷじぇねれぃたぁ、と呼んでいたのが、これまた時代。どこまでも「デジタルシンセ」と言いたかったコルグの悲哀。しかも、極端に遅いエンベロープを組むと、階段状の音色変化が露呈してしまうのがご愛嬌。
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またピッチ EG の原型として、アタック時に自動的にベンドアップ / ダウンさせる機能だけがあった。極端に高い音程から、極端に短い一瞬で落下するようにかけると、例えばスラップベースのアタックにて「キュッ!!」と弦っぽい感触が得られてリアル。
画期的なのが、コルグとしては初めてキーベロシティとアフタータッチとの両方に対応していることで、豊かな倍音の音源波形、多ポイントの EG、オシレーターのピッチインターバルなど合わせて、じつは表現力は多彩である。先述の情感豊かなベル波形エレピの音などは、ほんとうに良い音なので、持っている人はぜひぜひ試行錯誤してみて下さい! ネモ秘伝の作りかたを、以下の通り大公開!
『15番の金属波形と13番の波形とを使用。 VCF-EG は、アタックに鋭いピークをつくってから、ゆっくり減衰するように設定。つまりディケイまでをほとんど一瞬で終わらせ、そこからスロープを使ってゆっくりとしたセカンド・ディケイを演出する。ベロシティによる VCF の開閉具合と、この「コツ」っていう VCF のアタックでのピークとの調整が、ほんとうに微妙だが、デジタルなので安心の再現性 笑。エンヤの光輝くピチカートにセカンド・ディケイをくっつけた、くらいに聞こえるほうが良い。強いキータッチで DX ベルを彷佛とさせつつも、上品に倍音を抑えれれば完璧。弦をつまびいているようなデリケートさを兼ね備えた、素朴だが極上のエレピを耳にしたとき、「えー、これ当時はアナログシンセに分類されてたのー?w」と貴方が思うこと請けあい。 ついでに蛇足ながらアタックがカカっと2回聴こえるように内蔵ディレイをひかえめなレベルで設定してみると、さらにアタックが特徴的に思えて効果的。』
あとコーラスギターの音をつくると、バンジョーの明るい風味ありつつも古いギターのように甘いといおうか、デヴィッド・シルヴィアンの曲で使えそうな感じに飴色な夕暮れな感じがでて、なんとも不可思議なギターになって最高。これも手の内をちょろっと明かすと:
『音源波形には6番と10番を使い、VCF カットオフはこもらせ、レゾナンスは少し上げ気味に、フィルター EG デプスは軽く減衰がわかる程度にする。ベロシティでカットオフが大きく反応するように。』
未だにこの2音色を超える音色は、手にしていない。
フロントパネルは、Poly-61 以来の悪しき伝統で、たった1本のデータエントリー・スライダーを除いてツマミを一切排除した設計。この為、昨今のリアルタイムぐりんぐりんには、とうてい向かない。はっきり言って操作性は悪い。 しかし、のちの DS-8 や M1 に始まるワークステーションに受継がれたパフォーマンス・パラメーターと言う機能があり、DW-8000 では任意の1パラメーターのみを、スライダーにアサインしておける。任意の、というところがポイントで、応用すれば MIDI チャンネルすら演奏中にスライダー1本で変えれるため、マルチ音源をスレイヴにするときいい。ここまで出来るのは、DW-8000 くらいなものであろう。
また音色切替のために十の位だけを止めておくバンクホールド機能が、はやくもついていたが、DW-8000 ではこれをエディット中にパラメーター・ナンバー選択時にも使えるのが、気が効いている。フィルター関連は 30 番台、VCF EG は 40 番台、VCA EG は 50 番台、ディレイは 70 番台というふうに、パラメーターがわかりやすく配置されているので、バンクホールドも役立つのだ。
その場かぎりのアルペジエイターも搭載していて、打鍵した順番を忠実にリピート再生してくれるモードには拍手! 最大 64 ステップの簡易シーケンサーとして使えるので、内蔵ディレイと組合わせれば、工夫次第でいくらでも複雑なパターンを演出できた。しかも MIDI 同期可能! このおかげで、「音源波形も面白いし、実質的にはコルグ初のワークステーションなんちゃうのん?」と言いたくなるくらいの実力があった。Poly-800 には、ほんとにシーケンサーがありましたね。
音はどうか? どちらかと言えばカマボコ型には違いない。しかし、自作した音色を聞きかえしても、DWGS ならではの、つまりフォルマントが半端にはっきりした正体不明な音が多い。とはいえ Polysix のような、VCO の出力が過大で VCF 内部でクリップしているような、中域の太い乱暴さはない。無理なく音がでている感じがする。そしてアナログにしては、はんぱに明瞭な音がする。
しかも最後はアナログのフィルターとアンプを通るので、不思議に S/N もダイナミックレンジもちょっとくぐもったアナログシンセの音になる。CZ が VA っぽいなら、DW はアナログっぽいというか半端にデジタル半端にアナログな音色になる。あたりまえながら、デジタルシンセをアナログのフィルターバンクに通した雰囲気。
元の音源波形の由来を、とことん無視して音を作ると面白いが、それでも半端に軽く、半端に明瞭で、半端に太く、結局なにで作ったのか分からない音になるところが、実は一番の特徴。正体不明ながらに個性的で、じつは私がなによりも好きなところでもあった。
●拡張性
あるはずがない。
しかし偉いもんで、あったのである。MEX-8000 という弁当箱のようなサイズと形の周辺機器があり、これがなんとシステム・エクスクルーシヴをためこんで吐き出すだけの、RAM ボックス(!)であった。256 音色までストックできたが、データサイズが小さいので転送時間は一瞬で済む。64 音色バンク単位で送受するので、1音色だけロードとかは不可。おまけに、なんの表示もしない味もそっけもない弁当箱である。私も愛用していたが、どこになにをセーヴしたか、とんと思い出せないまま愛用。しかもバックアップ電池が必要で、これがまた乾電池であった。これを外すとえらいことになるので、AC アダプターが必須。
なお、この MEX-8000 は、DW-8000、DW-6000、Poly-800、Poly-800II、DVP-1 で使うことができ、相手となる機種を切り替えるには、本体にあるディップスイッチを使う。
DVP-1 って、変なヴォコーダー兼ピッチシフター兼ヒューマンボイス5音ポリ音源モジュールで、じつはおもろかった。
DW-8000 はコルグ最初期の MIDI シンセのひとつなので、Sys-Ex で音色をバルクダンプするにも、1音色ずつしかセーヴ / ロードできない。一括で送受信するには、いちいちプログラムチェンジを送信し、その上で1音色ずつデータセーヴリクエストなどを送信しないとデータを吐かないので、普通のバルクライブラリアンでは対応できないことがほとんど。
よって、むしろカセットテープ・インターフェイス内蔵であることを生かし、そこから出る音声データを DAW などで wav ファイルにでもするほうが、実は手軽だったりする!
●あなたにとっての長所
アナログでもデジタルでもない「これ何で作った?」というような正体不明の音色が、なによりもおもしろい。そして比較的簡単におもしろい音がたくさんつくれて、しかもタッチセンスにより表情がつくところが、また良い。VCF と VCA を通るためか、アナログっぽく S/N も悪いダイナミックレンジも狭いが、それがかえって渋い渋い渋ーい音色になるんですけどね。
私が手にした機材では、もっともつきあいが長かった。さんざん使いたおしたので、120 パーセント使いこなしました、と胸はって言える。
●あなたにとっての短所
今となっては、PCM シンセの方が多芸で音も多彩。さらに DW は、パラメーターの解像度は粗い、鍵盤のタッチも悪い、MIDI 受信したときのレスポンスの遅さは逸品。
せめて片方のオシレーターの直後にアンプ・エンベロープが独自に装備されていたら、もっと使い勝手が良かっただろう。これを克服するには第二オシレーターのピッチを極端に上げて倍音群として扱い、VCF-EG でその倍音群が一瞬だけ目立って聴こえるよう時間軸上のピークを作り、なおかつピーク部以外を削り取ってしまう事で、あたかも VCF-EG で第二オシレーターの音量まで制御しているかに見せる方法があった。見ろ。文句言うだけじゃなくて、ちゃん使いこなしているだろう!
●その他特記事項
中古でもあまり人気がないらしい。PCM ほどは明解な音がせず、かといってアナログにしては整った音がする上に、なんせのっぺりフェイスのせいで、リアルタイムで操作しにくいとなると、中途半端な印象をもたれるのだろう。確かに出音は、軽めのアナログっぽくもある。
発売当時も人気が無かった。なんといっても正真正銘フルデジタルの DX が、人気絶頂だったのだから、無理もない。
そもそも DW-8000 は、ヤマハ DX7によってどうしようもなく劣勢に立たされたコルグが、それでもなんとかして生き残りをかけて開発した機種である。
81年:Polysix 発売、24 万8千円、VCO ×1基、6音ポリ 82年:Poly-61 発売、17 万9千円、DCO ×2基、6音ポリ 83年:ヤマハ DX7 発売、24 万8千円、フルデジタル、16 音ポリ 84年:DW-6000 発売、18 万4千円、ハイブリッドシンセ、6音ポリ 85年:DW-8000 発売、19 万8千円、ハイブリッドシンセ、8音ポリ
Polysix といい Poly-61 といい、発売したての新製品が、たった1年か2年で、それこそもう回復不能なまでに時代遅れになってしまうなど、いったい誰が予想しえたであろう。
だが、それがために DX7対策として開発された DW-8000 は、なかなか完成せず、焦ったコルグは「ぜがひでも早急にデジタルシンセを!」ということで、急きょ、DW-6000 を開発し、先にデビューさせた。
両者をくらべると、こうなる:
DW-6000 ・’84 年 12 月発売 ・18 万4千円 ・6音ポリ ・6種類の音源波形 ・アフタータッチのみ対応 ・コーラスのみ内蔵 ・CPU×2基
DW-8000 ・’85 年9月発売 ・19 万8千円 ・8音ポリ ・16 種類の音源波形 ・ベロシティとアフタータッチとに対応 ・モジュレーションディレイ内蔵 ・CPU×1基
すなわち、定石通り CPU を1基だけで DW-8000 の開発を進めていたが、どうにも開発が遅すぎるというので、後から DW-6000 の開発が始まり、CPU を贅沢に2つも投入することで、重たいままの未熟なソフトウェアでも走るように、とにかくなんとしてでもマッハでデジタルシンセを発売し、世のトレンドに乗り遅れまいとしたのであった。
そんな悲壮な機種 DW-6000 は、当然ながら中つぎもいいところで、デビューして1年たたずに DW-8000 にバトンタッチすることになってしまう。だいたいユーザーはそんな事情を知る由もないから、せっかくお金貯めて買った DW-6000 が、一年たたずして後継機種に引き継がれるというアゴがはずれそうな事態に。
今から見れば、DW-6000 も Poly-61 も、なかなかいい音がする。 しかし、ヤマハ DX シリーズが破竹の勢いで新機種を投入し、鉄壁のラインナップを広げ、DX9という失敗作が出てもぜんぜんへっちゃらなくらい売れまくっていた当時。そうこうしているうちに、カシオという思わぬ新規参入メーカーがあらわれ、お得意のデジタル技術でもって賢い安い CZ シリーズを、これまたラインナップ展開させて売れまくる。時代はすっかりデジタル。フルデジタルでなければ遅れている、とみなされた世の中。その双頭をなすXとZに食い込まんとしたWは、フルデジタルになりきれず、MIDI 対応も中途半端で、それでもなお「デジタル」と言いたかった DW シリーズなのであった。
だが、そんな必死のぱっちの努力もむなしく、頼みの綱 DW-8000 が売れなかったせいもあってコルグは倒産しかかり、遂にヤマハの子会社となった。チップの設計をヤマハに委託したことで、しっぽを掴まれてしまったのだという説もある。
無念。
しかし繰返しになるが、DW シリーズの音色は個性的であるだけでなく、正体不明ですらある。まじめな楽器シミュレーションをめざして作られている以上、気品のある音もつくれて、しかも「これ何?」と言わせる謎めいた感じがする。元来シンセは、正体不明な音がするから面白いのであって、既存の楽器と同じ音がしては、いかんのでは無かったか? 他人と同じアナログではしっくりこない諸兄には、実は DW、うってつけかもしれん。中途半端な太さと輪郭をかねそなえたユニゾンモードでのスラップベースの音とか、そのうちにブレイクせんやろか? TX81Z と重ねると、またおもろかったりすんねんけどなぁ。
事実、海外では DW-8000 や音源モジュール版 EX-8000 を、Sys-Ex でもって外部制御することで、DW の固定観念をくつがえすぐりんぐりんのアナログな操作と音色変化とを実現している人がいたりする。
ジョー・サヴィヌルは prophet-5 を売って DW-8000 を購入したという、いま思えば奇特な方である。一時期のキース・エマーソンは、DW-8000 のラック版 EX-8000 を数台(ちなみに、まぎらわしい EX-800 という機種もあり Poly-800 の据置型モジュールである。これも使ったらしい)、Kurzweil K250、Oberheim Matrix-12、YAMAHA TX816 など、そうそうたる面々と重ねて図太いブラスの音を出していた。Emerson Lake & Powell のアルバムを聴けば、その咆哮に出会える。
そう、DX7よりも DW-8000 のほうがブラスやストリングスなどの音色は分厚いことは、すでにこの当時、誰もが知っていたのである。
その後も DWGS 音源の開発は進み、同社初のサンプラー DSS-1 は、DW-8000 の構造をそのままに音源波形をサンプリングに解放した、まさに DW-9000 とも言うべき構造になっていた。そしてコルグから DSS-1 用に発売されたサンプルライブラリーの中に、しっかりと DWGS で合成した半シンセ波形の数々も、おさめられていた。なんせ1波ループなので、メモリーもディスクスペースも消費しないのが良い。
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やがて DW シリーズの設計思想は、今度こそ何度めかの正直として社運をかけて開発された M1 にて、遂にフルデジタルの減算方式しかも二系統駆動可能となって具現化した。その音源波形には、DW-8000  に搭載されていた DWGS 波形の大半である 14 種類が移植され、さらに9種類が新規追加、DW を越える合計 23 種類もの DWGS 波形が、あまたの PCM 波などとともに収録され、結果、M1 の音源波形は 144 種類に達した。かくもぎゅうぎゅうに音色資産を充填された M1 は、待望のフルデジタルシンセというだけでなく、ワークステーションシンセという名の開祖となり、コルグ決死の起死回生満塁ホームランを放ち、たった一機種で十万台以上も売れるという前代未聞の快挙を成し遂げ、コルグがヤマハから株を大量に買い戻すための救世主となった。
XとZという双璧の時代からコルグを救うはずだったWは、ひっくりかえってMとなり、もう一度ひっくりかえって、まさにワークステーションのWとなって、コルグどころか楽器業界まるごとトレンドを変えることになる。 そして今、もはやXもZも現存しない。
その後も数々のコルグ機種に伝統芸能のごとく搭載されつづけた DWGS 波形、最新機種にまで搭載されているのも興味深い。
最後に、DW-8000 そのものは、なにかと不運なシンセだが、ここで初めて搭載された機能は、DWGS 音源のほかにも数多い。 例えば多ポイント EG や、MIDI 同期アルペジエイター、内蔵デジタルエフェクト、タッチセンス、パフォーマンス・パラメーター、原始的なコンペア表示などなど。いずれも未熟とはいえ、その後のコルグ・シンセを形成するに必要不可欠なものばかり。中にはポリフォニック・ポルタメントのように、その後、ひさしくコルグから聴けなくなったものすらある。パラメーターの解像度は粗いが、かたくなに出音の個性にこだわった頑固さにはただただリスペクトし合掌するばかり。人によっては、これが最後のコルグらしい音のするシンセだと言う人すらいる。そして何よりも、全体に貫かれた分かりやすさと親しみやすさへの配慮。まさしく現代コルグ・ワークステーションの原点となった機種であり、永遠にコルグ中興の祖の、そのまた礎となった名機と言えよう。
聴け! 未来のコルグへの胎動は、ここにあり!
Copyright (C) 2006-2019 Nemo-Kuramaguchi All Rights Reserved.
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umedanakazaki · 2 years
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残念な表情をしながら来店されるお客様が3組も続いた。みなさんお席へ案内する間に苦笑いへ変わり、着席される頃には大笑いに変わった。甲子園球場からの帰りに来店で、応援している球団が負けたことをグッズを見せながら報告してくれた。それでも明るく飲食された。ありがとうございます! 良いときも、あかんときも、ずっと応援する。ファンの姿って、とても人間味がある。 さて、本日の日替わり弁当です。 #5月5日 #日替り弁当 背の青い魚は身体にいい #サバのフライ #ちょっぴりカレー風味 #特製マヨソースで サクっと美味しいサバフライ ご飯の上に #ブナピー明太 シャキシャキ食感に明太子 副菜は #リングイネdeナポリタン #鶏とピーマン甘酢和え #竹輪のきんぴら風 税込み550円 ご注文お待ちしております。 #てつたろう #野球ファン #人間味 #梅田居酒屋 #中崎町居酒屋 #海鮮居酒屋 #大阪グルメ #イーデリ #支援者募集中 #セキュリテ #ファンド募集中 (梅田中崎 てつたろう) https://www.instagram.com/p/CdJOZApv0Un/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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sumiekawakami-blog · 4 years
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甲斐駒ヶ岳〜黒戸尾根から〜 正面に仙丈、北岳、富士山、後方に八ヶ岳の絶景と「仙人が舞う」霊峰を満喫
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甲斐駒ケ岳 2967m へ黒戸尾根経由で標高差約2200mの旅
「甲斐駒に行きましょう」と、山友のSさんから突然のお誘い。おりしも2020年は昨年の洪水の被害で南アルプス連峰全域に及んで長野側からのアクセスができないため、山梨県白州から標高差2200mの旅となる。ただえでさ黒戸尾根は鎖場や梯子が続く体力と気力の勝負のルート。その上、コロナ感染予防の対策で七丈小屋は定数50人を8人に限定しているため、行くならテント泊しかない。
そもそも東京から山梨県に移り住んだのも、ここ日野春からの甲斐駒の荘厳なたたずまいに恋したからだった。でも数年前北沢峠から初めて登った憧れの頂きからはあいにくの雨で眺望はなく、表面は白い花崗岩がざれていて、あたかも月面に舞い降りたようだった。前日に登った仙丈ヶ岳の緑あふれる稜線があまりにも美しかったこともあり(北沢峠にキャンプすると、一日目は仙丈に二日目は甲斐駒に登れるのだ)、「甲斐駒は眺める山で登る山ではない」と決め込んだ。家から毎朝拝められるだけあって、私にとってはまさに「近くて遠い山」となった。Sさんは「眺めていたらムラムラと登りたい気持ちが湧いてきた」というが、試しに真夏特有の真っ青な空に突き抜ける頂を眺めてみると、あまりの険しさにゾクゾク感しかみなぎらない。
ところが、七合目にある七丈小屋の管理人で自身も国際的に活躍する登山家である花谷泰広氏の解説によるバーチャル登山の動画が私の心を揺さぶった。「里山、山岳信仰の聖地としての歴史、そしてアルパインの醍醐味、その全てが楽しめる」と語る花谷氏。山道のあちこちにお地蔵さんなどの石像が残存し、現在でも修行の信者さんが毎年頂上へお参りに登るだけで、縄文時代の土器までが発見されたという。遥かなる歴史に思いを馳せて、いま一度雲の上に突き出たその頂を眺めると、「おいで」と語っているようにも見えないこともない。
5:20am 竹宇(ちくう)甲斐駒ケ神社 (770m)出発
竹宇駒ヶ岳神社は名水百選でも知られる尾白川渓谷への入り口でもある(白州には甲斐駒神社と名がつく神社が二つあるので注意)。日が上がった朝五時過ぎ、駐車場にはすでに車が20-30台停まっていて、テント泊や車中泊をしたパーティーが身支度をしていた。神社で登山の安全をお願いし、神社前の吊り橋を渡る。下には南アルプスから流れる清流が朝日を浴びて光っている。
橋を渡るといきなり九十九(つづら)折りの急登。下界は連日「危険な暑さ」(!) が続き、本日は都心に比べれば過ごしやすい北杜市でも最高気温は33度を超える予報だ。日陰��は気温が下がるとはいえ、テント泊の重装備の登りに息が上がる。しばらく行くと川の声は聞こえなくなり、ここから笹の平までは比較的穏やかな上り。樹林帯の山道をまったりと行く。
7:40 笹の平 2:20(コースタイム2:30)
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名前の通り、笹に覆われた平地だが標高1500mといえば、八ヶ岳でいえば主峰・赤岳の登山口のある美濃戸口と同じくらい。つまり、普段なら登山口に立つ前にすでに二時間以上歩いたことになる。笹の平はまた横手甲斐駒神社からとの合流地点でもある。横手甲斐駒神社を起点とするこの「横手道」は、1817年の開山以来、信者たちが頂上にある本宮を目指す道として現在でも使われている。開山の祖・権三郎は、古来より「仙人が集い、俗世の者は入山が許されない」とされてきたこの山を霊峰とするため、生家の松本から何度も出向いて許可に漕ぎ着けた上、「木を渡って岩をよじ登り、身の毛もよだつ絶壁を伝い、岩下に伏し、飢餓と戦い、辛苦を重ね、神や仏の加護で頂上を極めた」。「駒嶽開山威力不動尊御由来記」(小林千代丸著、1931年)という。かつはこの参道に33体の石像があったというが、そのうち現存している何体がここから少しずつ姿を現す。苔に埋もれ、顔の輪郭も薄くなった地蔵像が歴史の深さを物語る。
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熊笹の森に続くなだらかな坂をのんびり進むこと数分、ジグザクの急登が始まる。これが噂の「八丁登り」だ。のどかな森林風景だが、暑さで大量の汗をかき、汗を拭おうとすると、ポシェットのハンカチまでぐっしょりだった。慌ててアミノバイタと水を補給。
ジグザクを抜けると樹林帯に岩がにょきにょきとそびえ立つ苔の森にやってくる。朝日に輝く苔と時折顔を出すきのこを楽しみながら尾根を目指す。
8:10 前屏風の頭 樹林帯が終わり岩場にかかった鎖が現れた。ここで少し休憩。この先「刃渡り」と呼ばれる岩場が始まる。
10:05 刀利(とおり)天狗 標高2049m 笹平から2:25(コースタイム2:00)
ところどころ両側が切れ落ちて狭い岩場が現れるのが「刃渡り」と呼ばれるゆえんか。時々、ふわっと風が抜けて暑さが吹き飛ぶ。梯子や鎖場を超える途中でいくつもの石像が姿を現すと、すぐ上が刀利(とおり)天狗の祠(ほこら)だった(三合目付近)。ここまで出発からすでに四時間半で本日の終点・七丈小屋までは約半分の行程か。標高は2000mを超えたが、これでも長野サイドの登山口である北沢峠と同等というから、恐るべし黒戸尾根!しかし「これからが本番」と気を引き締めた瞬間に下りが始まり、長くダラダラと続いている。白樺の林の木陰が太陽の陽を浴びて美しいが、降りた分は登り返さなければならないと思うと楽しめない。下りが終わると鞍部(コル)に至る。ここが5合目か。このあたりに五丈岩という岩掘った礼拝所(明治25年)の跡があるというが、見つからないまま五合目の祠(ほこら)まで進む。
10:55 am 五合目の祠(ほこら)刀利天狗から0:50 (コースタイム1:00)
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切りたった岩の下に並ぶ石像郡。山谷氏のバーチャル登山ビデオによれば、ここにある石碑の多くは昔からこの地に祀られていたが、何体かは昨年2019年の大雨の際に流されたのち、地元や甲斐駒神社の関係者が文化財保護のためにこの場所に集めたもの、という。この際、崩れ落ちたハシゴも修復された。そもそも、これらの石碑は信者が担いで登ってきたといわれるが、一人では持ち上げられないほど重いものもあったという。
ここから鎖、ハシゴが続くが、みなさんの努力のおかげできちんと保全、修復されている。中には垂直に近いハシゴもあるが、ゴツゴツの表面加工をしたプラスチック(?)で太い丸太型になっている。八ヶ岳・赤岳の真教寺尾根や、北アルプス槍ヶ岳頂上直下にかかっているアルミ材のハシゴに比べれば、断然安定感もあり滑りにくい。
六畳橋(6合目)を超え核心部へ
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六条橋と呼ばれる長い橋を超えると、いよいよ本日の核心部。鎖・ハシゴの連続で慎重に進む。と、二つ目の橋を上がったところに、大きな岩場が出現。片足を欠けて上に上がった時、ぐらっと重い荷物に体が揺さぶられる。えっ。次はどこに足をかけるの?真下は橋で、その橋のしたには昔使われていたという古い橋が二重になっているが、その下はどうなっている?一瞬、固まってしまい、思わず前を進んでいたSさんに声をかける。
「待ってくださぁい!どこに足かけましたぁ〜?」と、私。 「あっ、そこに削った場所があるから!そうそう、もう少し上!」 岩にしがみついた状態で、足をかける窪みを探す。「あっ、ありました、階段状のくぼみが!」 片足を次のくぼみに、そして鎖を両手で持って、そう、三点確保!腕に力を入れて、ぐいっと体を上げると、うまくリズムがとれた。岩をよじ登ったところで今度は片側が切り立った岩場。緊張の連続で半分涙目になった。こんな気持ちを味わったのはここ数年で初めてだった。
怖いという感情は極めて主観的なもので、怖いと思えた場所も経験値で乗り越えられる場合もあれば、まったく安全と思えた場所が気象状況で地獄になることもある。私は一人で登ることが多いので、怖いと思ったら無理をせず引き返すことにしているし、実際に引き返して、二度目、三度目で登れた場所もある(冬の天狗岳には三度目でようやく登れた)。今回のように、一緒に登人がいてくれる場合、いつもよりちょっぴり背伸びができる。山友に感謝。
12:05 am 七丈小屋 五合目より約2時間(麓より6:45、休息含む)(コースタイム約7時間)
手元のガーミンで8キロの表示を見た時点であと1時間はかかるかと覚悟していたが、あっけないくらいあっさりと小屋が姿を表した(実際なんの表示も見なかった)。走行距離9.5 km。二時ごろにはなると覚悟していたけれど、コースタイムより速く着いたのにびっくり。
(小屋は戦後、古谷さんという方が青少年の育成のために建てたと言われる)。小屋の前の水道からは噂通り冷たい水が迸っていた。まずは喉の乾きを癒し、上から下まで汗びたしだったので、ここで失礼して水をかぶらせていただいた。
テン場はトイレのある第二小屋を通り過ぎて、梯子を登ってからさらに上の場所にある。歩いて3分ほどと言われたけれど、疲れていたせいかいつまでたっても着かない。どこかで間違えたのだろうか?一度小屋まで戻って、道順を確認すると「一本道ですから迷いませんよ」という。実際、一本道で迷いようはないのだけれど、それほど疲れていたということか。
テン場からは、真正面に鳳凰三山のオベリスクと富士山が見える。
今回の山行の目的のひとつは、 新型コロナウィルス感染と共に生きる「新生活」に対応した一人用テントを試すことだった。各自設営、食事もジェットボイルのみ共有。コロナ下では「マイテント、マイフード」がスタンダードになっていくのかも。設営して明日の天気をチェック。着いた時には景色が見えたのに、だんだんと雲行きも悪くなってきた。明日は昼から雨の予報。下りが苦手の私たちは果たして雨の中、今来た険しい道のりを下れるのか‥‥。しかしここまで来て、頂上を踏まずに帰るのも惜しい。日の出と共に行動し、万が一雨が降った場合も焦らず慎重に下る、と方針を立てた。早めに就寝。テン場からトイレまでは歩いて3、4分あり、山道は一部切り立っているところもあるので、夜用をたすには要注意。
Day 2: 4am 起床 4:50 am 出発
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七丈小屋の由来はすばり「七合目」(2,400m)。「合目」というのは標高や距離ではなく、歩行時間や労力といった主観的な要素で決まったものらしい。テントからみた風景だとかなり上まで来たような気がするが、頂上まではコースタイムにして二時間半、標高差は2967-2400=567m。甲斐駒ヶ岳神社からの標高差2200mと照らし合わせても70%の行程というのもうなずける。
テン場は東側に面しているので五時前になるとすでに空が朝焼けで染まっている姿が見える。ここからが本番!鎖場が続き気は抜けないが、東には鳳凰三山(地蔵岳のオベリスク)と富士山、そして正面には甲斐駒ヶ岳の白い山頂が見えてくるのでモーチべーションは全開に!だんだんと木が少なくなっていき、森林限界を超えつつあることが肌で感じられる。8合目御来迎場 5:48 8合目から左にそれた場所に岩小屋があるというが、見つけることはできず。
この猛々しい岩肌が夏山の稜線の醍醐味。時々、一陣の風が抜け、標高の高さを教えてくれる。そしていよいよ、黒戸尾根の象徴とも言われる「烏帽子岩の二本の剣」(9合目)とその後ろに姿を現す鳳凰三山と富士山!(6:19 am)
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富士山、鳳凰三山をバックにそびえる烏帽子岩の二本の剣(9合目)
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9合目を超えると、白い花崗岩の岩肌が輝く山頂が近くに見えてくる。しかし、歩くとこれが非常に長く感じられる。ようやく甲斐駒ヶ岳神社の本殿に到達(6:40am) 信者の方々の山道はここが終点というが、山頂はまだ先の祠。
山頂(6:55) 正面は仙丈ヶ岳、左手は富士山、そして右手には八ヶ岳!
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あれだけ心配していた天気も山頂では雲一つない晴天となり、正面は仙丈ヶ岳、左手は富士山、そして右手には八ヶ岳という絶景が楽しめた。小屋からは約二時間で上がってこられた。一昨年前の夏、仙丈ヶ岳(3,030m)からこちらを眺めていたことを思い出し、あれから二年の月日を経て、自分が反対側の甲斐駒から仙丈ヶ岳に対峙しているという、ちっぽけではあるけれど満たされた瞬間を味わえた。 実際は仙丈ヶ岳の方が60メートルほど高いけれど、黒戸尾根から登れたという自信と2年間の奇跡を踏み締めて、気持ち的にはちょっとだけ高いところにいる。
長い長い下り。。。
帰り道、鞍部手前の五合目小屋跡に立ち寄る。明治時代に修験行者のために小屋を開いた植松嘉衛氏のレリーフが今も残っている。5丈岩は岩を削ってつくられた礼拝所という。
5合目小屋跡
ここまで順調な下りだったが、小雨が降り始めちょうど刃渡りに差し掛かったところで雷が鳴った。周りは何もないまさに刃の上を渡っている状態だ。まだ遠いだろうと立ち止まってのんきに写真を撮っていたら、後ろから走ってきた男性の二人組が「伏せろ!」と声をあげる。驚いて伏せるとがらがらがらーっとすぐ近くに雷が落ちた。えー、こんなところで?後ろの男性二人は猛スピードで駆け抜けるけれど、両方が切り立った峰で走るだけの余裕がなく、足がすくんだところでまた落雷。がらがらがらー。思わず鎖を思いっきり握りしめてしまった。後ろからNさんが「手を離して!」の声。周りに遮るものがない露出した岩場で鉄にしがみつく、というNGをやらかした!慌てて岩場から降り、今後は木下に隠れようとすると、またしても「木の下は危ない!」との声。。。落雷の怖さを全く理解していない自分の不甲斐なさ。。。
八丁坂ならぬ八丁滑りとカエルの恐怖
森に入り、ひとまず落雷の危険は回避することができたが、次の難所は八丁坂という急な坂。雨のおかげで路面の泥がつるつるになっており、どう降りても滑ってしまう。ストックを立てて踏ん張るもののつるりとお尻から入ってしまい身体中泥だらけに。おまけに地面には大きなカエルがゲコゲコと飛び回り、落ちた瞬間に地面でカエルと睨み合うことになりかねない。後ろからきたトレランのみなさんは転びもせずスイスイと駆け抜けて行くので、私の脚力と技術不足のせいなのだろうが、すでに足が弱っているところで思わぬ難所となった。
しかし悪天候も一時的で、八丁坂を越えてるとあとは比較的なだらかな野山が続く。ホトトギスの花弁が愛くるしく帰りを迎えてくれた。
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mamamaison2009 · 3 years
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今週末のお知らせ7月10日(土) ホームの産巣日イベントです。 みちを #ままめぞん #星降るまちのきさいち産巣日ふろしき #風呂敷 #Repost @kisaichi_musubi with @make_repost ・・・ ご紹介❗️ 「交野木綿がつなぐ星・土・人」 2021年7月10日土曜日 10:00〜17:00 ままめぞん『星降るまちの産巣日風呂敷』 @mamamaison2009 岸本助産院の、町の保健室みたいなカフェクラファンのリターンとして生まれた、大判の風呂敷。 交野が原を上空からみた地図を、まるで星空みたいにした風呂敷。 天の川を挟んで、右側にむすび、左側に岸本助産院(星田妙見宮すぐそば)が光っています。 かつて星が落ちたと言われる八丁三所も、空海がお経を唱えて流星を見たと言われる獅子窟寺も、地図範囲内にあります。 神話好きのかた向けに言うと、ニギハヤヒが磐船に乗って天孫降臨したと言われる建が峯にあたる箇所も含まれています。 この天の川風呂敷はただのキレイな布ではなく 宇宙から約束された幸せを象徴する逸品。 七夕のタイミングにぴったりの、産巣日でしか買えないものです。 タペストリーにしたり、バックにしたり、 エプロン、スカーフみたいにもできるかな? 使い方いろいろです。 産巣日内のままめぞんさんでは、いま店内が藍いっぱいの宇宙状態。「染め屋なないろ」さんの企画展中です。そちらもぜひ! ■■■■■■■■■■■■■■■■ マルシェ、お話会、ワークショップ 「交野木綿がつなぐ星・土・人」 2021年7月10日土曜日 10:00〜17:00 入退場自由 於:きさいち邸産巣日(交野市私市4-18-5) ●五色の交野木綿の展示 ●交野木綿制作工程、ベンガラ採取プロジェクト等の展示 ●七夕の願い込める、和紙の紙衣折り紙ワークショップ ●小さなマルシェ「再生」10;00〜15:00 ー精麻飾りアクセサリー「天結(あまつのゆひ)」 ー裂き織り裂き編みの「みつまり」 ー草編み、竹編みの小林陽子さん ー再生硝子を使用した風鈴「河内風鈴」(展示委託販売) ●ご来場の方にお土産(交野ベンガラで夕焼け色と北斗七星が染められた木綿のハンカチ) ●星田神社 佐々木宮司による「比礼」のお話 13:00〜13:30 ●水道局のかたの土と水のお話 13:45〜14:00 ●交野ベンガラ染めワークショップ お話参加含めて 13:00〜15:30  参加費3500円 要予約 定員15名 再生したい衣一点お持ち込み ※受付終了しました ●クロージングセレモニー 16:00〜 伊藤結衣さんの舞と、飛鳥民芸の渡会ご夫婦による太鼓とピアニカ演奏 七夕飾りのミニお焚き上げ ※このイベントの出店料やワークショップの収益は 比礼奉納にかかる諸費に充てられます。 皆様のお越しをお待ちしております! ■会場 きさいち邸産巣日 大阪府交野市私市4-18-5 京阪私市線・河内森駅徒歩4分 JR河内磐船駅 徒歩10分 (河内森駅横の派出所前を過ぎまっすぐ歩行者道に入り、そのままスロープを下りて道なりに進み、西念寺さんというお寺が見えたらその向かい側右手) ※駐車場はございません。公共交通機関をご利用頂くか、お車のかたは河内磐船駅周辺のコインパーキング等をご利用ください。駐輪場はございます。 (大阪交野古民家のてぬぐい屋カフェ まま・めぞん) https://www.instagram.com/p/CQ_VyLNsQ10/?utm_medium=tumblr
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deadscanlations · 6 years
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Someone emailed and reminded me that it exists, so I went ahead and bought it since it has quite a few Garo stories I haven’t scanned yet. 1200 pages.
タイトル : 木造モルタルの王国 : ガロ二〇年史 出版社 : 青林堂 初版発行日 : (昭和59年)1984年12月1日 ISBN : 4792601320 定価 : 3500円 サイズ(函) : 縦23㎝ 横18㎝ サイズ(本) : 縦22㎝ 横16㎝ ページ数 : 1200ページ 備考 : 各作品の欄外に作者の経歴・コメント記載 収録作品  『ざしきわらし』 - 白土三平  『ねこ忍』 - 水木しげる  『海原の剣(武蔵の巻)』 - 諏訪栄(小島剛夕)  『顔の曲がった男の物語』 - 星川てっぷ  『真昼』 - 渡二十四  『愛 : 新釈武士道物語』 - 加治一生  『チーコ』 - つげ義春  『若草漫歩』 - 藤沢光男  『宇宙の出来事』 - 田代為寛  『夏』 - 池上遼一  『かかしにきいたかえるの話 : シリーズ・黄色い涙』 - 永島慎二  『六の宮姫子の悲劇』 - つりた・くにこ  『巨大な魚』 - 林静一  『どろ人形』 - 日野日出志  『海ほおずき』 - 仲圭子  『花あらしの頃 : 寺島町奇譚』 - 滝田ゆう  『長持唄考』 - 矢口高雄  『雨季(2)』 - つげ忠男  『わかれみち』 - 辰巳ヨシヒロ  『たこになった少年』 - 淀川さんぽ  『かんたろ月』 - 勝又進  『うらぶれ夜風』 - 川崎ゆきお  『雨の色』 - 鈴木翁二  『マツコおじちゃんの嘆き』 - 秋竜山  『ぼくのデブインコちゃん』 - 佐々木マキ  『無頼の面影』 - 安部慎一  『幻の少女・和小路伯爵邸のトラブル』 - 谷弘兒  『肉屋敷』 - 花輪和一  『北への旅人』 - 吉田昌一  『彩雪に舞う・・・・・・』 - 楠勝平  『おざ式』 - 赤瀬川源平  『「ガロ」第一期 : ガロの時代をひらく』 - 上野昂志  『再会』 - 増村博  『紫の伝説(イメージSTATION)』 - 古川益三  『絶対休日』 - 秋山しげのぶ  『荒れた海辺』 - 安西水丸  『クシー君の発明』 - 鴨沢祐仁  『毆者(ボクサー)』 - 吉田光彦  『昇り凧』 - 村野守美  『ペンギンごはん』 - 湯村輝彦.糸井重里  『愛の嵐』 - 蛭子能収  『ぼくの弟』 - 糸井重里  『?』 - 南伸坊  『それからの岩本武蔵・怪談』 - 岩本久則  『ハリー氏のこと』 - 松尾ひろし  『愛妻記』 - ひさうち・みさお  『ギョーザ定食の昼』 - 平口広美  『お父さんのネジ』 - 渡辺和博  『長靴をはいた猫』 - 清水聰  『ものろおぐ』 - 近藤ようこ  『モダン・ラヴァーズ』 - 奥平衣良(奥平イラ)  『性悪猫』 - やまだ紫  『青春の汗は苦いぜ』 - 小林のりかず(小林のり一)  『夜行』 - 高山和雄  『ぷいさん村放送局』 - 八鍬真佐子  『五人だまし・道糞武士道 : 幻想の明治』 - 高信太郎  『怠屈な日』 - 泉昌之(和泉晴紀[作画].久住昌之[原作])  『K』 - 大澤正明  『海のお話』 - 滸太郎  『二つ枕(初音)』 - 杉浦日向子  『PHANTASMAGORIA』 - たむら・しげる  『野辺は無く』 - 三橋乙椰(シバ)  『少年』 - 森下裕美  『糸口』 - 松本充代  『ママと呼ばれて三ヶ月』 - 根本敬.高木順  『ローカル線の午後』 - 菅野修  『ホトホトなんぎなパパとママ』 - みうら・じゅん  『扁桃腺の夏』 - 峰岸達  『戻ってきた日』 - 肥後十三子  『スラップスキップ』 - いしい・ひさいち  『はぴー・ばーす・でい』 - 芳賀由香  『どうなってんの : イソップ式漫画講座』 - 水木しげる  『浪漫写真 : 私のアリス達』 - 荒木経惟  『図象の学習塾 : 肖像 イメージ選挙』 - 木村恒久  『目安箱 : 「書けないということについて』 - 上野昂志  『嵐山の人生相談』 - 嵐山光三郎  『重坊のスーパーマーケット : 悪評嘖々』 - 糸井重里  『劇画風雲録 : 嗚呼、貸本の灯は輝やいて』 - 桜井昌一  『連載随筆 : 夏と暴力』 - 鈴木清順  『白土三平論 : 英雄論』 - 石子順造  『清文入道のウンチク寄席』 - 上杉清文  『読者サロン』  『「ガロ」第二期 : 多様化・拡散の時代』 - 呉智英  『木造モルタルの王國の貴賓室』 「木造モルタルの王国」によせて(※寄稿文.小冊子)  『「ガロ」有罪説』 - あがた森魚  『ガロはきっと大丈夫』 - 秋野等.井上章子  『二十年のランナーへ』 - 有川優  『(タイトルなし)』 - 岩家緑郎  『ガロには貧乏がよく似合う』 - いしかわじゅん  『(タイトルなし)』 - 糸川燿史  『「ガロ」は忘れない』 - 小野耕世  『とにもかくにも、エライ!!』 - 川崎徹  『すてきな可能性を持ったマンガの世界』 - 金子勝昭   『長井さんと苦労のこと』 - 川本コオ  『(タイトルなし)』 - 桑原甲子雄  『(タイトルなし)』 - 小島剛夕  『「ガロ」われらの聖森』 - 佐々木守  『大プロデューサー・プランナー 長井勝一さんへの手紙』 - 佐々木昭一郎  『(タイトルなし)』 - 末井昭  『(タイトルなし)』 - 杉本博道  『(タイトルなし)』 - 谷川晃一  『高校時代、文学、エロチシズム、思想の香りを味わっていた』 - 高取英  『(タイトルなし)』 - 高橋章子  『祝・開店20周年』 - 長新太  『(タイトルなし)』 - 竹宮恵子  『 『ガロ』に 』 - 鶴見俊輔  『きみよ』 - 堤任  『(タイトルなし)』 - 栃谷隆  『(タイトルなし)』 - 内記稔夫  『(タイトルなし)』 - 野本三吉  『(タイトルなし)』 - 萩尾望都  『(タイトルなし)』 - 原田三郎  『安倍慎一』 - 松岡博治  『(タイトルなし)』 - 松田哲夫  『(タイトルなし)』 - 村上知彦  『「ガロ」創刊20周年、本当にバンザイ!』 - 森田芳光  『青林堂はえらい』 - やなせ・たかし  『(タイトルなし)』 - 吉弘幸介  『(タイトルなし)』 - 四方田犬彦  『(タイトルなし)』 - 渡辺一衛
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hi-majine · 5 years
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たらちね
 ご夫婦というものは、出雲の神さまが縁むすびをすると申しますが、他人と他人がいっしょになって、血をわけた子どもができるという、こんな深い仲はございません。  親子は一世、夫婦は二世と申しますが、出雲の神さまが、日本中の男女の縁をむすぶのでございますから、ずいぶんといそがしゅうございます。なかには、夜あかししながら、居眠り半分に、三人まとめてむすぶなんてのがあります。こういうのが三角関係になって、じきに夫婦わかれをするようなことになります。しかし、縁は異なものということを申しますが、おもいもかけない者同士が夫婦になるなんてこともございます。
「おい、どうしたんだな。おまえに耳よりのはなしを聞かせようとおもって、よびにやったのに、なにをしていたんだ?」 「へえ、大家さん、どうもおそくなってあいすみません。ちょうどでかけようとするところへ人がきたんで、つい、でそこなっちまって、まことにすみません」 「まあ、こっちへあがんな」 「へえ、なんでございますか? これから仕事にでかけますんで、ひとつ手っとりばやくおはなしねがいたいんで……」 「うん、仕事のじゃまをしちゃあわるいが、まあ、この長屋中に、ひとり者も二、三人あるが、どうもひとりでいるやつはろくなおこないをしねえ。なかにおまえだけは、年はいちばん若いが、ものがきちょうめんで、いうとおかしいが、ひとに満足にあいさつもできないような人間だけれども、まことに竹をわったような、さっくりとした気質《きだて》で、おれもかねてから目をつけていたんだ。むかしからよくいうように、ひとり口は食えないが、ふたり口は食えるというたとえもある。なんといっても、家をやりくりする女房がなくてはならねえ。おまえがいくら堅くっても、ひとりでいてくさくさすれば、たまにはふらふらとつまらねえ女とかかわって、あとでくやむようなこともあるだろう」 「へえ、そういうこともないとはいえません。けれども、女房というやつは、なかなかこちとらみたような貧乏人のところへきてくれやしません」 「ところがある」 「へえ、ありますか? その人は、やっぱり女ですか?」 「あたりまえだよ。むろん女にきまってるさ……むこうの女てえのは、それ、この夏だっけな、家の前へ涼み台がおいてあったら、そこへおまえが湯の帰りに寄って腰をかけた、そのときにいた女をおぼえているか?」 「いいえ」 「もっともうす暗かったが、そのときにむこうでおまえをみて、長いあいだきゅうくつなところへ奉公して、また、嫁にいったさきに舅《しゆうと》や小舅《こじゆうと》があって、いつまでもきゅうくつなおもいをするのはいやだ。気楽にさえくらせるなら、ああいうさっくりした親切そうなかたのところへ嫁にゆきたいとこういうんだが、どうだ、おまえ、もらう気はないか?」 「へへへ、どうもありがとうございますけれども、どんな女の人なんです?」 「きりょうか? きりょうは、まあ、仲人口じゃなくて、十人なみ以上だな」 「え?」 「まあ、いい女だな。色白で、小柄で……」 「へえ、女っぷりはいいんですか? こいつあ、ありがてえな……年齢《とし》は?」 「ばあさんや、あの娘はいくつだったかな? え? 二十五になった? ああ、そうかい。聞いた通りだ」 「二十五? へへへ、脂《あぶら》がのってるな」 「おいおい、さんまみたいにいうんじゃないよ……生まれは京都なんだ。両親は、とうのむかしに亡くなってしまって、長いあいだ、ひとりっきりで屋敷奉公していたんだ。先月こっちへでてきたんだが、どうだ、おまえ、すぐにもらう気はないか?」 「へえ、けれども、まあ、どうにも貧乏で、食うだけがやっとで、着せることもできませんからね」 「その心配にはおよばないよ。着たきりすずめというわけでもない。もっともあるというほどでもなかろうが、それでも、まあ夏冬のものにこまるようなことはない」 「夏冬のものっていうと、行火《あんか》に渋うちわを持ってくるわけじゃねえでしょうね」 「ばかなことをいいなさんな……なにしろ、おまえには過ぎもんだよ。生まれは京都のお屋敷者、きりょうは十人なみ以上、年齢《とし》は二十五だ……うん、そうだ。ただ、ちょっと……まあ、いわばきずがある」 「そうでしょう。どうもはなしがうますぎるとおもった。そんなにいいことずくめの女が、あっしのような者のところへくるはずはありませんもの……きずっていうと、横っ腹にひびがはいってて、水がもるとかなんかいうんですかい?」 「こわれた水がめじゃあるまいし……つまりきずというのはな……」 「わかった。夜なかになると、あんどんの油をなめるという」 「化け猫じゃないよ。ただ、こまるのは、ことばがすこしこまるんだ」 「ことばがぞんざいなんで?」 「そうじゃないよ。もとが京都のお屋敷者だろ、だから、ことばがていねいすぎるんだ」 「へえ、いいじゃありませんか。ことばがぞんざいだからていねいにしろというのはむずかしいですけど、ぞんざいなあっしとつれそってりゃあ、どんなていねいな者でも、じきにぞんざいになっちまいますからかまいませんや」 「そうはいうけど、ちょっとわかんないときがあるんだ」 「わかんねえって、どんなことをいうんです?」 「二、三日前に家へきたから、おれが、まあおあがりと、こういったんだ」 「へえ」 「すると、今朝《こんちよう》は、怒風《どふう》はげしゅうして、小砂眼入《しようしやがんにゆう》すというんだ」 「へえー、たいしたことをいうもんですねえ」 「おまえにわかるか?」 「わかりゃあしませんが、そんなえれえことをいうなあ感心だ」 「わからないで感心するやつがあるもんか。だんだんかんがえてみたら、今朝《けさ》は、ひどい風で、ちいさな砂が眼にはいるという意味なんだ」 「なるほど」 「おれも即答にこまった」 「へえー、石塔にこまったんで? 墓場へでもゆきましたか?」 「石塔じゃないよ。即答、すぐに返事ができなかったということだ。おれもなんにもいわないのはくやしいから、スタンブビョーでございといった」 「なんです、そのスタンブビョーてえのは?」 「ひょいと前の道具屋をみたら、たんすとびょうぶがあったから、これをさかさにして、スタンブビョーといったわけだ」 「へえー、そうですかね。でも、あっしなら、リンシチリトクといいますね」 「なんだい、それは?」 「七輪と徳利をさかさにしたんで……」 「ひとのまねをしなさんな。まあ、そんなことはどうでもいいが、もらう気があるか?」 「大あり名古屋は金のしゃちほこでさあ。おねがいします」 「じゃあ、親類とも相談してくるか?」 「いいえ、親類たってべつにありゃあしません。もうきめました」 「そうかい。それじゃあ、ばあさんや、暦をだしなさい。いい日をみてやるから……うん、あしたがわるくって、あさってもよくないと……よわったなあ、善はいそげといって、はやいほうがいいんだが……」 「大家さん、その暦はいけねえから、となりへいって、べつの暦を借りてきましょうか?」 「暦はどれだっておんなじだ。きょうだと、ばかにいい日なんだがなあ」 「なおいいじゃありませんか。きょうにきめちまいましょう」 「そうかい、おまえがいいっていうんなら、今晩|輿《こし》いれということにするか」 「え? 腰……いれ? そんなけちけちして、腰だけもらってもしょうがありませんや」 「あたりまえだ。西瓜《すいか》じゃあるまいし、だれが半分に切ってくやつがあるもんか。じゃあ、ばあさんや、すぐにむこうへいっとくれ。『都合《つごう》で、今晩、婚礼をします』とな。相手は女だ。いろいろしたくがあるだろうから、すぐに知らせにいっとくれよ。それから八つあん、おまえさんもすぐに帰ってしたくをおしよ。そうだ、となりのばあさんに万事たのむといいや。あれでなかなか親切なんだから……おっと、待ちな、待ちな。これは、すくないけど、あたしのほんの心祝いだ。とっておくれ」 「へえ? あっしに? すみません。やっぱり大家さんは、どっか見どころがあるとおもってました」 「おだてるんじゃないよ。はやく帰って掃除でもして、したくしな」 「へい、じゃあ、遠慮なしにこれはちょうだいします」 「ああ、ばあさん帰ったかい。うん、うん、先方も異存はないか? そうか。よかった、よかった。じゃあ、八つあん、晩方には、おれがつれてくから……」 「へい、よろしくおねがいします。ごめんなさいまし」
「へへへ、ありがてえ、ありがてえ……うれしくなっちゃったなあ。あんなでこぼこ大家でも親切なとこがあるんだな。おれに女房を世話してくれるんだから……ありがてえな。まったくどうも……おう、となりのおばさん、おはよう」 「あらまあ、八つあん、仕事にいったのかとおもったら、おまえさん、どうしたんだい?」 「なーに、長屋におめでたがあるんだ」 「へー、ちっとも知らなかったよ。なんだい、そのおめでたてえのは?」 「お嫁さんが急にくることになったんだ」 「まあ、そうかい、お嫁さんがくるなんてうわさも聞かなかったけど、どこの家へくるのさ?」 「めんぼくねえ……あっしのところへ……」 「えっ、おまえさんのところへかい?! ちっともめんぼくないことなんかあるもんかね」 「へえ、なにしろおめでとうございます」 「あれ、あたしのいうことをいってるよ。そりゃあ、まあ、おめでたいけど、いったいいつくるの?」 「今夜」 「今夜とはたいへんに急だ��え。いままでなんのはなしもなかったのに……どうしたの?」 「なに、それがね、あの人でなけりゃあならねえとこういうんでね」 「およしよ。ばかばかしい」 「ばかばかしいってこたあねえじゃねえか。じつは、大家が仲人でね、とんとんとはなしがきまってね、今夜やってくることになっちまったんだ。生まれが京都のお屋敷者で、きりょうが十人なみ以上……ことばがばかっていねいってえ女がね、おれんとこへやってくるんだよ」 「へえー、そりゃあよかったね。ほんとうにおめでとう」 「ついちゃあ、おばさん、すまねえけれども、家をすこしきれいに掃除してくれねえか。あっしだってね、髪結床へいって、湯にへえって、おめかししてくるから……ああ、それから、婚礼のしたくのほうもなにかとたのまあ。これ、いま、大家さんにもらったんだ。いくらへえってるか知らねえけどよ、これでひとつやっといてくんねえ」 「あらそうかい。これを大家さんがねえ……いいとこあるねえ、あのでこぼこも……あらっ、八つあん、ずいぶんはいってるよ。これで十|分《ぶん》にしたくができるじゃないか」 「そうかい」 「できるどころか、すこしあまるよ」 「えっ? そうかい。そいつあよかった。じゃあ、あまったらそっくりおばさんにあげるから、地所でも買ってくんねえな」 「ああ、ああ、そうさせてもらうよ」
 髪結床へゆき、湯にはいり、すっかりみがきあげて帰ってきてみると、ちゃんと掃除ができております。 「おばさん、どうもお世話さま」 「おや、お帰り。まあ、八つあん、すっかりきれいになって……りっぱな花婿さんぶりだよ」 「こりゃあ、すっかりきれいに掃除ができちまった。おばさん、まだ日は暮れねえかしら?」 「ばかをおいいでないよ。いましがたお昼になったばかりじゃないか」 「なんだか知らねえが、たいへん日が長《なげ》えね。はやく暮れねえかな」 「そんなにさわがないでも、すこしぐずぐずしているうちには、じきに暮れがたになるよ」 「日が暮れさえすりゃあやってくるんだ。大家が仲人なんだが、ほんとうに親切な大家だ」 「なんだい、こないだは、不実な大家だの、わからずやだのとわるくいってたくせに……」 「そりゃあそうだけど、こういうことをしてくれりゃあ親切だとおもうんだ。おばさん、火種《ひだね》はあるかい?」 「あるよ。お湯はわいてるだろう?」 「なーに、七輪《しちりん》へ火をおこすんだ……ああ、ありがてえなあ。うふふふ」 「気持ちがわるい笑いかたするんじゃないよ」 「さあ、火種をくんねえ」 「あれ、しょうがないねえ。壁の穴から十能《じゆうのう》をつきだしたりして……壁がだんだんおちてくるじゃないか……それ、あげるよ」 「ああ、ありがとうよ。さてと、こう七輪にいれてと……もっと火をおこさなくっちゃいけねえ……こうやってこのうちわであおいで……なあ、こんなことをするのもきょうかぎりだよ。あしたっからは、女房がちゃーんとやってくれるからなあ……いままでは、仕事がすんで帰ってくると、自分で火をおこしてめしのしたくよ。寝るんだってそうだ。さむいときなんぞは、つめてえ膝をだいて寝たんだけども、これからは、どんなにさむくっても、湯たんぽもこたつもいらねえんだからな。これからは仕事から帰ってくると、ちゃんと入り口へ両手をついて……どんなことをいうだろうなあ……ことばがていねいだっていうから、『お帰りあそばしませ』とくるよ……『ごはんのしたくしときますから、お湯へいってらっしゃいませな』……ひとっ風呂あびて帰ってくると、膳のしたくができてるぜ。膳をまんなかにおいて、八寸を四寸ずつ食う仲のよさ……かかあむこうの、おれこっち……ちくしょうめ、はやくこねえかな……やがて、めしになるね……おれの茶わんは、ばかにでっけえ五郎八茶わんてえやつだ。そいつをふてえ木の箸で、ざっくざっくとかっこむよ。たくあんのこうこをいせいよくばありばりとかじるよ……かかあはちがうよ。朝顔なりの薄手のちっちゃな茶わんで、銀の箸だから、ちんちろりんとくるね。きれいな白い前歯でもって、たくあんをぽりぽりとくらあ。ぽりぽりのさーくさく……さ。ふふふふ……おれのほうは、ざーくざくのばーりばり。かかあのほうは、ぽーりぽりのさくさく、箸が茶わんにぶつかって、ちんちろりんの間《あい》の手がはいるよ。ちんちろりんのぽーりぽりのさーくさく……ばーりばりのざーくざく……ちんちろりんのぽーりぽり……ばーりばりのざっくざく……ちんちろりんのさーくさく……ばーりばりのざーくざく……」 「うるさいねえ。この人は……八つあん、なにいってるんだい?」 「あっ聞えちまったかい。稽古してるんだよ、めしを食う……しかし、ありがてえな、夫婦喧嘩もたまにはいいもんだよ。おれがすこし仕事がおそくなって帰ってくると、『おまえさん、どうしたの? たいへんにおそいじゃないか。なにかほかにお楽しみでもできて、より道をしてきたんだろう』『なにをいやあがる。たとえなにができようと、男のはたらきだ。いやなことをいやあがるな』てんで、いきなりぽかりっとはりたおすと、めそめそ泣くよ。おとなしいから……それがらんぼうなやつだと泣かねえ。『さあ殺せ、こんちくしょう』てんで立ちまわりがはじまり、となりのばばあは耳が近いから、じきにとびだしてきやがって、女だから、きっとかかあのほうの肩を持つよ。そのうちに、むこうのじじいがでてきて、これはこっちの肩を持ってくれるにちげえねえ。けれども、なまじ人がへえると、かえって喧嘩が大きくなる。『さあ殺すなら殺せ』」 「八つあん、どうしたんだね、だれと喧嘩をしてるんだい?」 「あははは、まだ喧嘩にゃあならねえ。稽古中だ」 「喧嘩の稽古なんかおしでないよ」 「おう、おばさん、まだ日が暮れやがらねえかな、いまいましいな……いくらあおいでもこの七輪の火はおこらねえ……あっ、おこらねえわけだ。穴がむこうむきだ。こっちへむけなくっちゃあ……ああ、おばさん、だいぶうすぐらくなってきたね」 「ああ、このせつは、日足のはやいこと、暮れかかったとおもうとじきだよ」 「しめしめ、ありがてえ、ありがてえ、まずあかりをつけて……うん、魚屋はきたし、酒屋はきたし、もうこれで嫁せえくりゃあいいんだ……ああ、ありがてえ。足音がする。きたぞ、きたぞ」 「ごめんくださいまし」 「へえ、おいでなさい」 「ながなが亭主にわずらわれまして、難渋の者でございます。どうぞ一文めぐんでやってくださいまし」 「なにをいやがるんだ。ばかにしていやがる。ながながわずらってたまるけえ、たたきたおすぞこのあまは」 「八つあん、また夫婦喧嘩のお稽古かい?」 「なに、そうじゃねえ。女乞食がきやがって、ながなが亭主にわずらわれってやがる。わずらってたまるもんか。ばかにしてやがる」 「そんならいいけど、ばかばかしい大きな声をおしでないよ。えんぎでもない。お嫁さんがくるんじゃないか」 「それだって、腹がたつじゃねえか。ばかにしてやがる。この裏へあんな者がへえってきやがるなんて……」 「はい、ごめんよ」 「またきやがった。どうしてそういつまでいるんだ、この乞食は……」 「なんだ、乞食だ? なにいってるんだ」 「あっ、こりゃあ大家さんで……へえ、おいでなさいまし。いま、七輪へなにかかけて……」 「まあ、なにもかまわなくていいから……ばあさんがこられないから、嫁さんは、おれだけでつれてきた。それから、うっかりしちまったんだがね、きょう、町内に寄りあいがあることをすっかりわすれてたんだ。うん……でな、むこうへいって、わけをはなして待ってもらったんだが、すぐにいかなくっちゃあならねえ。だから、ほんのさかずきだけしておいて、おれはむこうへいくから……さあさあ、こっちへおはいり。ほかにだれもいやあしないから……遠慮なんかしないでさ。うん、上へおあがり、きょうからおまえさんの家なんだから……おい、八つあん、どうしてうしろをむいてるんだ。こっちへおいで」 「へえ」 「さあさあ、ふたりともこっちへならんで……そうそう……なにをもじもじしてるんだ? ええ? きまりがわりい? きまりがわりいったって、さかずきをはやくしなくっちゃあいけねえ。さあ、いいか。万事略式だ……じゃあ、おれがこれをお納《おさ》めにする。いや、おめでとう。あとは、ゆっくりとふたりでめしにするんだ。長屋の近づきは、あした、うちのばあさんにつれて歩かせるからな。はい、ごめんよ」 「ああ、ちょっと待っておくんなさい……大家さん、すこし待っておくんなさい」 「いや、おれがいつまでいたってしょうがない。また、あしたくるからな」 「あしたったって、そりゃあいけねえ。ねえ、ちょっと大家さん、大家さんてえのに……ああ、いっちまった。しょうがねえなあ。よわっちまったなあこいつあ。どうしていいんだかわかりゃあしねえ。へへへ、こんばんは、おいでなさい……あっ、どうぞそのざぶとんを……ま、遠慮なくしいておくんなさいよ。へへへへ、いろいろと大家さんから、あなたさまのこともうけたまわりまして……へへへへ、まことにふしぎなご縁で……へへへへ、まあ、こんな人間でもなにぶんよろしく末長くおたのみ申します。じつはね、あっしもそそっかしいが、大家さんもそそっかしいんだよ。年齢《とし》は二十五って聞いたんだよ。ところが、かんじんの名前聞くの、うっかりしちゃってね。ついちゃあ、あなたの名前をどうかお聞かせねがいたいんで……」 「みずからの姓名を問いたもうか?」 「へえ、家主は清兵衛と申しますんで、家主の名前は知ってますが、どうかあなたのお名前をひとつ……」 「みずからことの姓名は、父はもと京都の産にして、姓は安藤、名は慶三、あざなを五光。母は千代女と申せしが、三十三歳の折り、ある夜、丹頂の夢をみてはらめるがゆえに、たらちねの胎内をいでしときは、鶴女と申せしが、成長ののち、これをあらため、清女と申しはべるなり」 「へえー。それが名前ですかい? どうもおどろいたなあ。たいへんに長え名前だね。京都の者は気が長えというが、名も長えね。こいつあ、なかなか一度や二度聞いたっておぼえきれねえ。すみませんが、これへひとつ書いておくんなせえ。あっしゃあ、職人のことでむずかしい字が読めねえから、仮名でひとつおたのみ申します。へえ、どうもまことにすみませんでございます……へえ、できましたか、へえ、どうもありがとうございます。ああ、すっかり仮名で書いてある。これならおれにも読めらあ。えー、みずから、あー、みずからことの姓名は……父は、もと京都の産にして、えー、姓は安藤、名は慶三、あざなは五光、母は千代女と申せしが、三十三歳の折り、ある夜、丹頂の夢をみてはらめるがゆえに、たらちねの胎内をいでしときは、鶴女と申せしが、成長ののち、これをあらため、清女と申しはべるなり、チーン、お経だよ、これじゃあ……どうもおどろいたなあ。おれが仕事でおそく帰ってきて、ひとっ風呂あびてこようとおもうときは、おう、その手ぬぐいとってくんねえてえにもたいへんだなあ。父は、もと京都の産にして、姓は安藤、名は慶三、あざなは五光、母は千代女と申せしが、三十三歳の折り、ある夜、丹頂の夢をみてはらめるがゆえに、たらちねの胎内をいでしときは、鶴女と申せしが、成長ののち、これをあらため、清女と申しはべるなり、ちょいとその手ぬぐいをとってくんねえ……湯がおわっちまわあ。おどろいたな、こりゃあ……しかし、まあ、おたげえに習うよりなれろだ。毎日やってるうちにゃあ、どうにかなるだろう。なにしろ寝ることにしようじゃありませんか」  夜なかになって、お嫁さん、なにおもったか、かたちをあらため、ていねいに枕もとに坐って、 「あーら、わが君、あーら、わが君」 「へえ、あっしをよんだんでござんすかい? あらたまってなんでござんす? なにか気にいらねえことでもできたんで?」 「いったん偕老同穴《かいろうどうけつ》のちぎりをむすぶからは、百歳《ももとせ》、千歳《ちとせ》を経るといえども、かならず変ずることなかれ」 「へー、どうもむずかしいことになっちまったなあ。あっしゃあ、職人のことでござんすから、そういう他人行儀のことでなくて、ざっくばらんにもうすこしわかるようにいっておもらい申してえもので……まあ、とにかくもおやすみなさい」  そのまま横になりました。  がらりっと夜があけますと、そこは女のたしなみで、朝、亭主に寝みだれ顔をみせるようなことはありません。はやく起きて、台所へでたんですが、ちっとも勝手がわかりません。そこで、八つあんの寝ている枕もとに両手をついて、 「あーら、わが君、あーら、わが君」 「へい、へい、へい、あーあ、ねむいなあ。もう起きちまったんですかい……いや、もっと寝坊しててもかまわねえのに……え? なんだって? わが君? え? おい、わが君ってえのはおれのことかい? え? このおれが、わが君かい? うわあ、こりゃあおどろいたな。なにか用ですかい?」 「白米《しらげ》のありかはいずれな��や?」 「さあこまった。あっしゃあ、いままでひとり者でも、ずいぶんまめなほうで、洗濯をよくしているから、しらみなんざあ、一ぴきもいねえんで……」 「みずからがたずねる『しらげ』と��、米《よね》のことなり」 「へー、米《よね》を知ってるのかい? おれの友だちの左官屋の米を?」 「それは朋友《ほうゆう》、みずからのたずぬるは白米《はくまい》のこと」 「ああ、米のことかい。そこにみかん箱がある。それが家の米びつだから、どうかよろしいようにおたのみしまさあ」  八つあんは、また、ぐっすり寝こんでしまいます。お嫁さんは、これからごはんをたきまして、おみおつけをこしらえようとしたのですが、あいにくとおみおつけの実がありません。そこは、貧乏長屋の重宝《ちようほう》なところで、八百屋さんがねぎをかついで通りかかりました。 「ねぎやねぎ、岩槻《いわつき》ねぎ……えー、ねぎやねぎ」 「のう、これこれ、門前に市をなす賤《しず》の男《おのこ》、おのこやおのこ」 「へえ、おはようございます。ちょっとかぜをひきまして熱があるもんですから、この布子《ぬのこ》を着てるんでございますが、布子や布子はおそれいりました。ええ、なんでございましょう?」 「そのほうがたずさえたる鮮荷《せんが》のうちの一文字草《ひともじぐさ》、一束価《ひとつかいあたい》何銭文なりや?」 「へえ、たいへんなかみさんだなどうも……へえ、こりゃあ、ねぎってもんでござんすが、これ一束《いちわ》三十二文なんで……」 「なに、三十二文とや、召すや召さぬや、わが君にうかがうあいだ、門の石根にひかえていや」 「へへー……芝居がかりだね。門前は犬のくそだらけだ」 「あーら、わが君、あーら、わが君」 「ああ、ねむいな。また起こすのかい。どうもねむくってしょうがねえ……それからねえ、その『わが君』てえのはやめてくんねえな。友だちがあそびにきたとき、そいつをやられちゃあ、『わが君の八』かなんかあだ名がついちまうから……」 「一文字草、価三十二文なり」 「ああ、三十二文銭がいるのかい。その火鉢のひきだしにあるから、だしてつかってくんねえ。いちいち聞かねえでもかまわねえんだから……すまねえ、もうすこし寝かしてくんねえ」  すっかり食事のしたくができあがりますと、また、ぴたりと両手をついて…… 「あーら、わが君、あーら、わが君……」 「おやおや、またはじまった。ねむれやしねえや……しょうがねえなあ。なんべんもなんべんもわが君って、いってえ、こんどはなんの用ですい?」 「もはや日も東天に出現ましまさば、御衣《ぎよい》になって、うがい手洗《ちようず》に身をきよめ、神前仏前にみあかしをささげられ、看経《かんきん》ののち、ごはんめしあがって、しかるべく存じたてまつる、恐惶謹言《きようこうきんげん》」 「おい、おどかしちゃいけないよ。めしを食うのが恐惶謹言なら、酒を飲むのは、よってくだんのごとしか」
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