Tumgik
wata-8 · 5 years
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Fantasy on Ice 2019 in SENDAI
2019.5.31.Fri-6.2.Sun
ついに聖地初開催のFaOIがやってきました。もう仙台の気合いの入り方が違う。FaOI仙台限定グッズ、善治郎の牛タンからタピオカまで会場前に軒を連ねる屋台、藤崎の仙台平さん展示、物凄い台数スタンバイしているシャトルバス…羽生さんを全力で迎えて、絶対にFaOIを盛り上げるぞという熱意を感じる…!!大体年3回は何かしらで仙台に行っているおれも、今回はより一層のワクワクを胸に聖地へ赴く。因みに今回は2月の能登さんの講座ぶり、今年に入ってから2回目の仙台です。
地元開催だからか、OPから羽生さんがめちゃくちゃノリノリのキレッキレであった。1日目は温かい歓声と楽しそうな羽生さんがとても印象的だったし、2日目はOPの4Tfallで真夏の夜の夢で出てきた瞬間リベンジしてて笑ったし、特に3日目は間違いなく今年のFaOI史上最高のキレッキレ具合であった。四方八方に目線を飛ばし指を差し歓声を煽り、行く先々で死人が出ていたよね。真夏の夜の夢で思わせぶりに衣装の裾を捲り上げる羽生さん…いけませんね…幕張より大分キレッキレになっていたのと同時に「さよならずっと忘れないわ」で今度は切ない表情で両手を胸に当てたりするから…ずっと忘れられない…3日目は♩カ〜リ〜ビアンナ〜イッでイーグルから一瞬ベスティスクワットをしてて大変おいしかったです、ごちそうさまでした。大サビの♩最後は〜(ジャン!)も〜っと(ジャン!)ってビートが入るのに合わせて羽生さんがアドリブ入れてるのが堪らん。そしてアンナちゃんのホールド、幕張3日目でフラついちゃったからか1日目はちょっと慎重で笑った。3日目はおデコがくっ付きそうな程アンナちゃんにお顔を近付けて頑張ってました。カペラノは仙台でラストだからか、3日目は暗転した後いつもより長めに深々とアンナちゃんにペコーッてしててニコニコしてしまった。
1日目と3日目は「マスカレイド」、2日目は「CRYSTAL MEMORIES」だった訳ですが、幕張と順番を変えてくるかなと思っていたので少し予想外でした。そして2日目がショートサイドだったのでまたしてもマスカレイドをショートサイドで拝めなかったおれ…フォロワさんから「綿屋さんは光のスケオタだから…」と慰めてもらった…そうかおれは光のスケオタだったのか…どうやらクリメモさんのご加護を受けているらしい…
まずマスカレイド、レイバックスピンの前に3Fが追加されていた…!演技に溶け込むくるくる3F、大好きです。仙台のマスカレイドは、幕張よりも憂いを帯びているように感じました。幕張がまさに業火が燃え盛る瞬間ならば、仙台はその炎が燃え尽きるところまでを見ているようでした。自分で放った業火の炎がオペラ座を燃やし尽くして、目の前で音を立てて崩れ落ちていくのを自嘲的な笑みを口の端に浮かべて見ている、そんな情景が浮かびました。まるで燃え尽きる前に火力を増す炎のような、散る直前により一層美しく咲き誇る花のような、すぐそこに"終わり"が来ていることを知っているからこその激しさと美しさ。そして同時に、陰と、儚さと、危うさを孕んでいる。仮面や炎では覆い切れない、悲哀と苦悩。仙台はToshIさんの歌のキーも原曲キーに上がっていて、それも幕張よりも儚さを感じた一因だったかもしれない。特に3日目は3Afall、本来3Fのところで3Aリベンジもfallとジャンプの転倒が続いたからか、今までで1番儚さを感じたマスカレイドだった…そして3日目はディレイドアクセルも着氷堪えて、図らずもガッツリ深めのベスティスクワットになってしまったところが個人的には大変刺さりました。ベスティスクワット大好きマンなので…3日目の手袋ビターンは「んもうっっっ!!!ジャンプが決まらないよおっっっ!!!」って感じにベチン!ってしててかわいみがありました。
そしてCRYSTAL MEMORIES、披露されるのは2回目だった訳ですが、録画も含め繰り返し見る度に少しずつ輪郭がはっきりとして、その良さが沁みる…照明がついた瞬間、膝をついて目を閉じてる羽生さんがきらきらと煌めいているのが照らし出されて、そのお姿が余りに神聖であった…不可侵の聖域…Y字バランスからのスパイラル、フッと肘と膝を曲げるのがとてもよい…目の前に迫ってきて恍惚…ディレイドアクセルが余りにも雄大すぎて…ひたすらに美…♩We’re Marvelous!で大きく弧を描いて渦巻いていくイーグルが素敵すぎて溜息…そしてショートサイドで止まるところ、幕張の天使みたいなキラキラ笑顔とは少し違って、長い旅路の果てにやっとここまで辿り着いた、みたいな万感の表情をしていらっしゃって…その後ステージに向かってステップを踏んでいく様は、まるでバラバラに砕け散ったクリスタルがひとつに集まって、マスターであるToshIさんの元へ帰っていくかのようでした…羽生さんこそがクリスタル…なんて綺麗…
フィナーレではイナバウアーの後にオトナルさんのステップみたいな大ジャンプが加わって、より壮大なエンディングに。3日目はここで再度3Aリベンジ、何とか成功。全員でショートサイドに向かってきて最後に振り向いた羽生さんの笑顔がとっても優しかった…ペコリと深くお辞儀をしながら「ありがとうございました」と呟くのが見えて、泣いてしまいそうだった。仙台公演大成功だったね、よかったね、こちらこそありがとう。
一芸大会では毎日果敢に4Lzに挑むも、全て抜けかsoに。特に3日目はマスカレイドからジャンプが思うようにハマらず阿修羅顔の試合モードに突入していた。3回挑むも抜け抜けsoで、最終的には少しションボリしていた。そして久しぶりの土下座on ice。おれは4Lzにバンバン挑戦出来る状態にまで戻ってきたことだけで泣きそうなほど嬉しいよ、焦らずステイヘルシーにがんばってほしい…!応援してる…!
最後はご挨拶も聞けて嬉しかったなあ…「また仙台でやりたいです、まあここ仙台じゃないんですけどw」みたいなことを仰ってて、なるほどエゴサの鬼はTLを見ているな?などと思いました。
しかし羽生さんは公演ごとにびっくりするほど違う表情をするので1公演も見逃したくなくて軽率に追いFaOIしちゃうよね…神戸初日開演まであと2時間を切っている訳ですが、神戸も心して羽生さんを浴びてこようと思います。
そして仙台は何回行っても温かくて優しい街。ありがとう仙台、次は7月に仙台巡りに来ますね!
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wata-8 · 5 years
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Fantasy on Ice 2019 in MAKUHARI
2019.5.24.Fri-5.26.Sun
今年もFaOIの季節がやってきました。もう夏の風物詩というか、夏の季語というか、FaOIと共におれの夏が始まるみたいなところあるよね。実は今日はもう仙台の初日で、次が始まる前に幕張公演の備忘録をばということで仙台行きのバスの中でこれを書いています。
今年は前日のニュースで、羽生さんのコラボプロはToshIさんの「マスカレイド」という曲で、オペラ座の続編であることがご本人のインタで明かされました。今まで初披露前にプログラムが明かされることなんてなかったので驚いて、オペラ座?!?!しかも続編?!?!?!ということで更にひっくり返る程驚いたよね。しかも流れた練習映像がなかなか激しめな振付で…!!!発覚時のTLのお祭り騒ぎと言ったらもう…まあ勿論例に漏れずおれも大興奮だったんですけど…全く前情報なしで現地でオペラ座続編を浴びたかった気持ちと、いやネタバレなしでいきなりオペラ座続編なんて来たら衝撃が強すぎて記憶も何もかも消し飛ぶに違いないからワンクッション挟んでよかったという気持ちのせめぎ合い。そしてドキドキソワソワしながら迎えた幕張初日。
OPのダッ ダッ ダダン!を聴くとFaOIが始まる…!と条件反射でドキドキワクワクソワソワしちゃうよね。錚々たるメンバーの中で今年も最後に紹介される羽生さん、なんといきなり4T足上げ…!!!羽生さんが今年もFaOIで滑る姿を見ただけでも泣きそうなのに、もう4Tが跳べる状態まで回復してるのか…!と開始5分で既に号泣しそう。3日間ともやや堪え気味ではあるものの4T足上げキメてました…!歓声足りねーぞ!!!とばかりに耳に手を当ててオラオラ煽ってみたと思えば、余裕の笑みを浮かべて手をクイクイしてみたり、もう行く先々で会場中が大絶叫。そしてお衣装、白地に薔薇柄のトップスに黒の編み編みスケスケの羽織という、古き良きV系のような厨二感漂う感じで…† 透けっていいよね…
ここでゲストアーティストのToshlさんが登場。コラボOPはユーミンの「真夏の夜の夢」のカバー。男性が女性目線の曲を歌うのって色っぽいよね…そして羽生さん、ToshIさんの歌に合わせて兎に角クネックネしていらっしゃって…!キャッツアイを彷彿とさせるクネクネ具合、しかし今回はとても男性的で…!しかも回数重ねるごとにどんどんねっとり妖艶に…!興奮で思考回路がショート寸前…最終日は「さよなら ずっと忘れないわ」で指差しを正面で食らってしまい、脳天をライフルで撃ち抜かれた気分でした…それはもうワッッッルイ顔してたんですよ…「最後はもっと私を見て」で自分の胸をトントンしてるらしいんですが逆側だったので拝めませんでした、仙台で拝めるといいな…!そしてね、女子との絡みもあってね、羽生さん×アンナちゃんというおれ得すぎるコンビでお2人を組ませた方に五体投地したい気分でした…!しかも羽生さんがめちゃくちゃオラオラグイグイで…!多分初日が1番オラオラしてたと思うんですけど、アンナちゃんにちゅーする勢いで迫っていて…!もうおれはアンナちゃんにもなりたいし羽生さんにもなりたくてンア〜〜〜!ってなった結果お2人の下の氷になりたいという結論に落ち着きました。2日目3日目は照れているのかやや控えめになってたのも可愛かった…暗転した後お手手繋いでアンナちゃんにペコペコする羽生さんが羽生さんすぎてとても可愛い…そして最終日はフィニッシュでアンナちゃんを支え切れずグラついてしまい、あああ〜って恥ずかしそうに笑ってアンナちゃんとハグする羽生さんが可愛すぎたね…まだOPなのに既に1500字というヤバさ
そして「マスカレイド」ですが、あれは本当に「無理〜〜〜(号泣)」以外何も言えなくなります。羽生さんのプロの中で、未だかつてここまでゴリゴリに男性的なプロがあっただろうか。照明がついた瞬間阿鼻叫喚。黒×臙脂のアシメ衣装、右手赤・左手白(袖口と小指は黒切替)の左右色の違う手袋、燕尾服のようなお尻尾、左右長さの違う袖、ハイネック…まずお衣装が最高すぎる。オールバックまでは行かないもののカッチリめにセットされた髪も最高。そして兎に角激しい…!!!まるで激情が迸ってオペラ座を燃やし尽くしてしまう業火。ひとつひとつの動きのキレが物凄い、そして今年も生演奏なのに音ハメがエグい。ToshIさんの伸びのある張った高音も気持ちが良い。サビの♩マスカレ〜に合わせたハイドロとイナがキマりすぎててヤバい。そして、そして、手袋ビターンフィニッシュですよ…!!初日の、乱暴に脱いだ手袋を冷酷無慈悲に氷に叩きつける様を見せつけられたおれは、余りの興奮に過呼吸一歩手前で危うく意識が遠退くところでした。終演後語彙と情緒の死を迎えたおれは、フォロワさんと「無理」「ヤバイ」「しんだ」しか言うことが出来ず、その他はただただ呻いておりました。
そして2日目、この日はめちゃくちゃおいしいアリーナショートサイドだったのでマスカレイドさんに焼き尽くされる覚悟で臨んだ訳ですが、暗転している中リンク中央に向かってくる羽生さんのお衣装が、違う…?!アナウンスされたのは「CRYSTAL MEMORIES」ま さ か の 日 替 わ り …!!!しかも照明がついた瞬間目にしたのは、真っ白できらきらひらひらのお衣装に身を包んだ羽生さん…!!!マスカレイドの次の日に、こんな対極にあるようなゴリッゴリの中性プロを持ってくるとは…!!振り幅…!!温度差…!!しかもクリスタルがたっぷり付いてて、煌めき方が尋常ではない…眩しすぎる…手袋まで純白で…でも長めの袖口にかけてほんのり水色グラデになってて…ウエストは少し黒が差して…斜め後ろに春ちゃんみたいなひらひらのお尻尾もあって…これはクリスタルプリンセス…Y字バランスからのスパイラルが美しすぎて恍惚…ひとつひとつ��動作がマスカレイドとは別人のような柔らかさ…そして所謂大サビでショートサイドで止まるところがあるんですけど、その時の羽生さんの笑顔が天使みたいできらきら眩しくて…しかも歌ってたの…そして振り返って滑り出す羽生さんの背中を見て、バージンロードを歩いていく花嫁さんかと錯覚したよね…心からお幸せにと願ってしまった…レイバックスピンでフィニッシュなのも最高です…完全に浄化されて召されました…後々羽生さん談では「これは戦いの歌、最後は勝利の剣をマスターであるToshIさんに捧げている」という情報を見て、ファッ?!あの花嫁さんは、戦うお姫様だった…ッ?!と驚嘆したよね…確かに現地で見た時は余りにも清廉な花嫁衣装と賛美歌みのある曲想と天使のような表情にかなり印象が引っ張られてしまったけれど、録画を見たら所作や振付はシャープに研ぎ澄まされている部分も多くて、なるほどこれは気高きクリスタルの騎士…!と納得しました。ToshIさんの澄んだ高音も、クリスタルのような透明感と硬質だけど優しい冷たさを含んでいてとてもよい…
そして3日目は再び「マスカレイド」、いやだから温度差…!振り幅…!羽生さんは一体我々をどうしたいのか…!!2回目だったので初日よりも若干(本当に若干)落ち着いてディティールを見ることが出来ました。個人的にグッと来たポイントは、レイバックスピンを解いた後に両掌で顔を覆って撫で上げるところ…覆った掌の間から見えた表情が官能的すぎて…そしてこの日の手袋ビターンは身体ごと振り被って思い切り叩きつけてましたね…因みにおれは初日の直立状態から無慈悲にスパーン!と叩きつけるフィニッシュの方が好みですね…この日も無事焦土と化しました。
そしてフィナーレ、♩な〜ぜ〜に〜という歌い出しを聴いて真っ先に思い浮かんだのはダイナマイトボートレース。渡辺直美さんの顔がチラつく。お衣装は黒ベースで、白レースたっぷりの襟とお袖が付いているのが素晴らしい。イナの時にはためく裾から可愛いおへそとバキバキの腹筋を拝ませてもらいました、ありがとうございました。2日目3日目はその後ズサーも追加、3日目は手を氷に着けず上体を反らせててとても上品なズサーでした。
そして一芸大会で4Lzにトライ…!抜けと転倒がほとんどだったけど、2日目はオーバーターンが入るもきちんと着氷して、もう全おれが泣いた。2017年のN杯以来謂わばタブーのようになっていた4Lz、もうガンガントライ出来る段階まで来たんだなあと号泣。うっうっ…羽生さん、ステイヘルシーでがんばってね…応援してる…!!因みジャンプ跳びに行く前に、2日目はFaOITシャツのAタイプ、3日目はBタイプにお召し替えしていたのだけど、3日目は幕に捌け切る前にお衣装のファスナーを下ろしていて美しいお背中がチラ見えしていたのをおれは見逃さなかったぞ。今年も羽生さんのお声で「ありがとうございました」が聞けて、羽生さんに「ありがとうございました」が言えて、おれはなんて幸せ者なんだろうなあとしみじみ思う。そして最後は仮面を着けてから幕の中へと消えて行きました。
まだ幕張なのに、羽生さんに関してしか書いていないのに、兎に角記録を残そうと徒然なるままに書いていたら4000字に迫っていてビックリしています。気持ち悪い程長くてすみません。仙台、神戸、富山も行く予定なので出来るだけタイムリーに上げていけたらと思います。多分毎回めちゃくちゃ長いと思うので、暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
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wata-8 · 5 years
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世界選手権2019 男子FS
2019.3.23.Sat
3/23、おれがさいたまスーパーアリーナで目にした羽生さんのあの魂の演技は、絶対に忘れたくない演技のひとつだった。瞼を閉じればまだ、あの会場の熱狂を、鳴り止まない拍手喝采を、心を揺さぶる彼の一挙一動を鮮明に思い出せる。けれど、どんなに忘れたくなくても、感情には鮮度があり記憶というものはすぐに劣化が始まる。その時どれほど衝撃を受けようと感動しようと、それらを同じ熱量のまま保持することは不可能である。だから、大事なことが抜け落ちてしまう前に、自分の記憶を辿れなくなってしまう前に、書き残しておこうと思う。
その日は男子の公式練習を見るべくここ数日よりも早くさいたまスーパーアリーナへ向かった。会場に到着するとおそらく同じ目的であろう人達で既に入場待ちの列が伸びており、自分の席に着くまで少し時間がかかってしまったもののなんとか最終Gに間に合った。リンクサイドに現れた羽生さんは、メラメラと静かに闘志の炎を燃やしているような、怖いくらいに集中した目をしているように感じた。この朝の公式練習中、羽生さんは曲かけ以外のほぼ全ての時間を、Originのスタートポーズから4Lo、そして4Sまでの流れの確認に費やしていた。しかしその4Loがなかなか良い形で決まらない。何度も、本当に何度も、同じ動きを繰り返す。練習時間が終わり氷を下りるようアナウンスされるそのギリギリまで、繰り返し繰り返し確認をしていた。そして氷上練習だけでは良いイメージを作り切れなかったのであろうか、iPadで動画を確認しイヤホンを耳に着けると、そのままリンクサイドでイメージトレーニングを始めた。約8分もの長い間、何か呟きながらリンクを指をさしてひとつひとつ確認し、ひたすらに身体を動かし続ける。会場中がその姿をじっと見つめていた。平昌オリンピック前に流れていたANAさんのCMを思い出す。
undefined
youtube
何度も何度も 何度も何度も
繰り返す 同じ動き。
それはまるで、
不純物を少しずつ捨てて
世界で最も純粋なものを
作り上げていく作業に見えた。
そうか。奇跡はこうやって作られていたのか。
目の前で何度も何度も同じ動きを繰り返す羽生さんは、今必死に奇跡のイメージを手繰り寄せているのだ。完治していない右足、彼が望む程積むことの出来なかったであろう練習量、SPでのミス、トップとの大きな点差、思うように行かない当日練習…挙げればキリがない程不安要素が沢山ある中で、たった一筋の光を探すように。それはまるで細い糸を小さな針の穴に通し、ひとつひとつの生地を丁寧に大切に縫い合わせていくような、途轍もなく緻密で繊細な作業だった。少しでもズレてしまったら、理想の織物には仕上がらない。その執念とも呼べる、勝利への渇望。彼は勝ちたいのだ、どうしても。そんな姿を目にしてしまったらもう、涙を止めることが出来なかった。こんなにもスケートを愛して、こんなにも血が滲むような努力をして、こんなにも勝つことに拘る羽生さんが、どうか思い描くままに滑ることが出来ますように、望むままの結果を手に入れられますように。どうか、どうか。おれは祈ることしか出来ないけれど。それでも、少しでも羽生さんの背中を押す力になれるように、羽生さんの勝利を心から願って、理想の演技が出来ると信じて、会場で精一杯応援しようと心に決めた。
最終Gの6分間練習。リンクサイドに選手達が現れただけで、会場の期待値が、熱量が、桁違いに高まっていくのを肌で感じる。最後にその姿を現した羽生さんは、恐���しいほどに集中していて、静かに、しかし高温で燃える蒼い炎を全身に纏っているかのようだった。選手達がリンクインすると既に割れんばかりの歓声が会場を満たす。名前をコールされ会場をぐるりと一周見渡した羽生さんの目は、怖いくらいに鋭く研ぎ澄まされて、じっと勝利を見据えていた。一切の迷いがない、絶対に自分が勝つと信じてやまない、今までに何度も見たことのある目だ。勿論不安も心配もある。緊張で手が震える。今にも泣き出しそうになる。けれど羽生さん自身が絶対に諦めないのだから、貪欲に勝利を求めているのだから、応援する側が弱気ではいられない。羽生さんなら出来る、羽生さんなら絶対に大丈夫、おまじないのように何度も何度もそう心の中で呟く。4Loと4Sを何度も確認するその姿を、祈るような気持ちでじっと見つめる。成功率は決して高くはなかったが、決まったジャンプから良いイメージを掴めていることを信じる。あっと言う間に6分間が過ぎ、選手達がリンクから上がっていく。足早にリンクサイドを後にする羽生さんの背中が見えなくなるまで、頑張れ…!!!と心からの応援の念を送った。
1人、また1人と演技を終えて羽生さんの滑走順が近付く度に、鼓動が早くなり、指先が冷たくなり、掌に汗が滲む。自分の応援している選手が出場している試合というのは、何度経験してもまるで初めてかのように緊張してしまう。オーサーコーチと言葉を交わし握手をして、ブリアンコーチの手を握り、プーさんの頭をムギュッと撫でて、自分の名前をコールされた羽生さんがリンクの中央へと向かう。会場中から羽生さんを応援する声が降り注ぐ。バナーと日本国旗で客席が天井まで覆い尽くされる様は圧巻だ。おれも少しでも羽生さんの背中を押す力になりたくて、バナーを振りながら精一杯の大きな声で「がんばれー!!!」と叫ぶ。羽生さんがスタート位置に着くと、声援で満たされていた会場は水を打ったように静まり返って、その時を待つ。羽生さんがリンク中央にしゃがみ、手を伸ばす。
どうか、羽生さんの思うままに。
羽生さんがスッと立ち上がり手を広げる。ドン、ドン、と脈打つように身体を鼓動させる。始まった。まずは、練習で何度も何度も確認していた4Loが冒頭に来る。息をするのも憚られる程に緊張の糸が張り詰めている。羽生さんがその軌道に入り、加速していく。跳べる、跳べる、跳べる…!痛い程に両手を握り締めて祈る。…4Lo!!!降りた!!!大歓声が上がる。あれだけ苦戦していたジャンプを、何度も何度も跳んでは失敗していたジャンプを、本番でキッチリと決めてくる羽生さんのその精神力に、勝負強さに、執念に、早くもグッと熱いものが込み上げてくる。ここは続く4Sも決めて良い流れに乗りたい。羽生さんが再び加速していくと、会場中が息を潜めてその姿を見つめる。4S…!回転不足になってしまったが、何とか転倒せずに堪える。転倒せず回転も抜けずに4Loと4Sを冒頭で決められたのは大きい。悪くないスタートだ。間髪入れずにFCCoSp、そしてStSqへ。エモーショナルなステップ、そして殆ど助走なくそのままの流れの中で3Lo。複雑な入り方の為か着氷がやや伸びなかったが難なく決める。あっと言う間に勝負の演技後半だ。クワドを跳ぶために再度加速して軌道に入る。羽生さんなら絶対大丈夫…!!!握り締めた両手にも更に力が入る。完璧な踏み切り、跳んだ瞬間に成功だと分かる。鮮やかな4T。ここからはジャンプの基礎点が1.1倍になる。得点源である高難度のジャンプコンビネーション・シークエンスが畳み掛けるように続く。まずは拘り続けた4T+3A+SEQ。跳べ、跳べ、跳べ…っ!!綺麗に決めた瞬間、込み上げていた涙が目から溢れて止まらなくなる。続く3F+3Tもしっかりと決める。会場から湧き起こる手拍子にも期待が籠る。残るジャンプは1つ、3連続のコンビネーションだ。行けー!!!と心の中で叫ぶ。3A+1Eu+3S!!!意地で堪えてイーグルに繋げる。その姿に、何としても転倒するものか、意地でも全部決めてやる、絶対に自分が勝つ、という執念を感じて涙が止まらない。もう嗚咽が漏れてしまう程に号泣している。さあ、クライマックスのChSqだ。今日の席は400レベルのロングサイド。桜の花びらが舞うさいたまのリンクの上をイナバウアーで横切っていくオリジンさまが余りに美しくて。ハイドロブレーディングから流れるようにFCSSpへと繋げ、最後の要素であるCCoSpはプル様リスペクトの高速アップライトで締め括り、天高く左手を突き上げた。そして直ぐさま右手を力強く握り締め、拳で氷に触れた。
瞬間、超満員のさいたまスーパーアリーナの観客が爆発したように総立ちになり、会場が揺れる程の拍手喝采が羽生さんを讃える。平昌オリンピックさえも上回るのではないかと思える程の、熱狂。おれはこの光景が、見たかったんだ。
羽生さんの命の炎が燃える音が聴こえた気がした。魂の演技だった。���生さん、本当に貴方という人は。ああ、この演技をこの目で見ることが出来て、この熱狂の渦の中にいられて、自分はなんて幸せなんだろうと、また号泣したのでした。羽生さんが優しく笑って「ただいま」と呟いたのを見て、おかえりなさい、待っていたよ、戻ってきてくれてありがとう、素晴らしい演技をありがとう、と色んな気持ちが次々と溢れて涙が止まりませんでした。
FSの得点は206.10、総合得点は300.97。その時点での世界最高得点をマークして首位に立つも、直後に滑ったネイサンくんがSPに続きFSも完璧に滑り切り、世界最高得点を更に上回って2連覇を飾った。本音を言えば、羽生さんに勝ってほしかった。羽生さんの首に3つめの世界選手権の金メダルが掛かるところが見たかった。けれど、ネイサンくんが素晴らしい演技で羽生さんを上回ったことは事実で、あんなに熱い闘いを見せてくれたことを1スケートファンとしてとても嬉しく思ったのも事実。そして怪我明けの復帰初戦で、しかもシーズン大一番の試合である世界選手権で銀メダルを獲得した羽生さんは本当に素晴らしかったということも揺るぎない事実で、おれはそんな羽生さんを心から誇りに思います。
「負けは死も同然」
羽生さんが直後のインタビューで語った言葉ですが、とても羽生さんらしいなあと思いました。シーズン序盤には「結果は気にせず自分の為に滑る」と言っていた羽生さんが、原点回帰を掲げたプログラムと共にシーズンを戦い抜いて、そしてこの世界選手権を終えて、本当の意味で"羽生結弦"の原点に戻ってきたのだなあと個人的には感じています。自分のやりたいことを貫き通す、そしてその上で勝ってこそ、"羽生結弦"だなあ、と。誰よりも強くなりたい、巧くなりたい、他の選手が完璧な演技をした上で自分も完璧な演技をして勝ちたい、そんな圧倒的な勝利を望み更に進化し成長していく羽生さんを、これからも全力で応援していきたいなあと、羽生さんファンとしても原点回帰したような気持ちです。
「もっと練習したい」と泣きそうな声で呟いた羽生さんに、胸がキュッとなった。ただの1ファンには、直接助けになることは何も出来ない。だからせめて、どうか右足の痛みが少しでも良くなって、1日でも早く羽生さんの思うまま滑れる日が来ますようにと心から祈ります。
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wata-8 · 5 years
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世界選手権2019 公式練習・男子SP
2019.3.21.Thu
1億年ぶりくらいのTumblr更新です。記憶の鮮度が落ちる前に、ワールドの感想を認めておこうと思います。全日程全カテゴリーについて詳細に語りたいのは山々なのですがとんでもない長さになってしまうので、一先ずは主に羽生さんに関してのことを。
3/18の公式練習から1週間毎日さいたまスーパーアリーナに通っていたのですが、3/18は丁度羽生さんが帰国した日、3/19は仕事の為男子の公式練習に間に合わず、おれが今大会で初めて羽生さんの姿をこの目で拝むことが出来たのが3/20の練習リンクでの公式練習でした。海外観戦の経験が少ないおれは、公式練習の観覧は初めてでした。一度この目で見てみたいとずっと思っていた念願の羽生さんの練習着姿。FaOI静岡以来の生羽生さん。その時間が刻一刻と迫る度に自然と心拍数が上がり、掌に汗が滲む。そして目の前に現れた、夢にまで見た練習着姿の羽生さんが氷の上に乗って滑り出すのを見て、それだけでもう胸がいっぱいで泣きそうになってしまった。もう何度も何度も生でその姿を見ているのに、見る度に羽生さんが余りにも綺麗できらきらしていて、本当にそこに存在しているのか毎回目を疑ってしまう。エッジが氷を削る音やジャンプを踏み切る音・着氷する音、風や重力を感じてああ本当にそこにいるのだなあとやっと実感する。そしてぴったりとした黒い練習着に包まれている無駄なく鍛え上げられたその身体のラインは、まるで芸術品かのように美しくて双眼鏡でじっくりと眺めてしまった。音なしでオトナルさんを通して滑った後、曲かけでオリジンさまを見られるという贅沢さ。練習中は終始程よく肩の力が抜けた良い緊張感の中、4Loを何度も念入りに確認していた印象。ああ羽生さんが試合の舞台に戻ってきたんだなあ、おかえりなさい、ずっと待ってたよの気持ちで胸がいっぱいになってしまい既に感無量。そしてここが日本だからかは分からないけれど、Y字バランスしてみたりちょっとふざけてみたりファンサ多めでつい頰が緩んでしまうのを抑えられなかったよね…とても可愛かったです…おっと練習だけでこの文量はヤバイですね、そろそろ試合編に移りましょう。
3/21男子SP。おれにとってはこのワールドが平昌オリンピック以来の試合生観戦。最終Gの6練開始時刻が迫ってくるにつれて緊張で心臓が早鐘を打ち、手に汗が滲み指先が冷えていく。この日の席は400レベルで、そんな遠い席から目にしたオトナルさんは、薄氷のようなひんやりとした水色をたっぷりと覆ったストーンが照明を反射して、少し動く度に眩いくらいにきらきらと煌めいて、まるで青く透き通る多面体の宝石のようでした。6練中はなかなかジャンプを跳びに行けない、跳んでも上手く決まらないというシーンが目立ったけれど、「羽生さんなら絶対出来る、大丈夫」を心の中でおまじないのように繰り返す。6分間はあっと言う間に過ぎ、選手達がリンクから引き上げていく。平昌オリンピック男子SPの時と同じように、羽生さんただ1人を残して。
名前がコールされリンクの中央へ向かう羽生さんに、沢山の、本当に沢山の声援が降り注ぐ。皆この瞬間をずっと待ち望んでいたのだ。羽生さんがスタートポーズにつくと、会場は水を打ったように静寂に包まれる。ピアノの旋律がその静寂を破って、アルバムのページをめくるように羽生さんが動き始める。するすると氷を撫でるようにあっと言う間に加速して、4Sの軌道に入る。跳び上がった瞬間、息を飲む。抜けた。2Sになってしまう。まだ、まだここから。手をぎゅっと固く握り締め、祈るように見つめる。多くの観客が落胆の声を漏らす中、羽生さんがイーグルで気怠げにリンク中央をすっと横切っていくと、再び緊張感の糸がピンと張り詰め会場は息を潜める。カウンターからの3A、そしてすぐにツイズルへ。一連の動きには全く淀みがなく美しく流れていく。全てが完璧としか言い様のないそれは、GOE+5が付いてもおかしくない。そして演技は中盤へ。演技時間の半分を過ぎ後半に入ったところで大きな得点源であるコンビネーションジャンプが待っている。ここは何としてでも決めてほしい…!手に力が入る。鋭い4Tから、両手を上げて3Tのコンビネーション。大歓声。着氷はやや詰まってしまったものの、上手くイーグルに繋げた。よし、よし、後はスピンとステップだけ…!まずはFCSp、SPでは大好きなドーナツポジションが長く見られるのが嬉しい。この日もとても美しかった。続いて間髪入れずにCSSp、曲を見事に捉えた多様な腕の振付が素晴らしい。さあ、いよいよStSq、クライマックスだ。力強く両腕を振り下ろし顔をバッと上げてさあ刮目せよとばかりにステップ前に"溜め"を作るその姿からは溢れんばかりの気迫が目に見えそうな程で、ニースロミオのステップ前に雄叫びを上げる若かりし頃の羽生さんの姿が重なって見えた。複雑なステップを踏みながら見事に緩急をつけて、激しく、美しく、リンクを駆け抜けていく。美しいCCoSpで演技は締め括られ、アルバムをそっと閉じるように羽生さんが動きを止める。
頑張ったね、素晴らしい演技をありがとう、おかえりなさい、色んな気持ちが込み上げる。無事に復帰初戦を滑り終えた羽生さんに、スタンディングオベーションと拍手で精一杯の賞賛を送る。勿論サルコーの回転が抜けてノーカンになってしまうという大きなミスもあったし、その他のジャンプも羽生さん比でベストではなかった。しかし実際これまでに何度もこのパターンは経験している。あのヘルシンキワールドだって、SP5位と出遅れながらFSではルール変更前の世界最高得点を叩き出す圧倒的な演技で劇的な逆転優勝を果たした。追う立場にある羽生結弦は、強い。これはFSの日、間違いなくさいたまスーパーアリーナは灰になるまで燃やし尽くされるぞ。燃えてさいたま…!羽生さんなら絶対に大丈夫、そう信じてSPの日は幕を閉じたのでした。
いや〜長いですね。すみません。本当はFSとEXについてもひとつにまとめるつもりだったんですけど、余りに長すぎたので分けました。因みにこの日はソチ後からずっと仲良くしてくれてるフォロワさんと一緒の観戦だったので、休憩中も含め1日とても楽しく過ごせました。競技の合間に食べたクアアイナのめっちゃ大きいハンバーガーと、ロイヤルホストの噂の苺のブリュレパフェがとてもおいしかったです。おいしいものを沢山食べてカロリーを大量に摂取したお陰か、この日は帰るまで元気モリモリで過ごせました。やはり試合観戦はとてもパワーが要るので(推しが出場している場合は特に)、遠征先でおいしいものを食べるのは理に適っているのだなあとしみじみ思いました。そして羽生さんはやはり雪肌精の擬人化というか、最早雪肌精そのものでしたね。400レベルから見ても分かる、あの透き通るような濁りのない美しさ。透明感。それは、美しさの原点。
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wata-8 · 6 years
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Fantasy on Ice 2018 in NIIGATA
2018.6.22.Fri
当初新潟公演は土日が仕事で金曜日は休みだけど東京行きの最終の新幹線に間に合わないから行けないなあと思っていたのですが、金曜日終演後夜行バスで帰ってそのまま出勤すればいいのでは?と気付いてから夜行バスを予約してチケットを確保するまでは一瞬でした。という訳で弾丸日帰りで金曜公演のみ行って来ましたFaOI新潟!前日夜行バスで日帰り仙台→朝のバスで新潟→終演後夜行バスで東京に戻って7時から仕事という超絶ハードモードなスケジュールでしたが、本当に行ってよかったです。身体は本当にしんどかったですが、心がとても満たされました。
お察しの通り前回あんなに長文ポエムを綴ったのにも関わらず今回も「春よ、来い」について語る気満々でおります。おそらくとても長くなります。行くぞ!用意はいいか!
照明がつく前、俯いて佇む春ちゃんが薄暗闇の中で淡く光を放っていて、さながら雲の隙間から漏れる僅かな月明かりにその存在を知らされてしまった天女様のようでした。照明がついてこちらにゆっくりと振り向いた春ちゃんは、神戸の時よりもどこか柔らかくて優しいふんわりとした微笑みを浮かべていました。神戸で見た春ちゃんは浮世離れしてヒトではないような、畏怖さえ感じるような圧倒的な美しさがあったのに対して、新潟で見た春ちゃんにはそれに加えて無垢で無邪気な、子供のようなイノセントさを強く感じました。ひとときの春の夢の中で、そのやがて終わってしまう一瞬を愛おしむかのように夢中で花吹雪の中を舞う、そんな刹那的で儚い美しさを感じました。ハイドロで掬い上げた氷のかけらを両手でふわっと宙に放つ春ちゃんの微笑んだ横顔がこわいくらいに綺麗でした。その両の手から零れ落ちる氷のかけらは夢のようにきらきらと煌めいて、それはまるで淡雪のようで、桜の花びらのようで、余りに美しくてスローモーションのように見えました。このまま時が止まってしまえばいい、この春の夢の中で永遠に揺蕩っていたい、そんな感情を抱きました。けれど、花はいつか散ってしまうからこそ美しい。この春には終わりが来ると知っているからこそこんなにも甘く優しく、こんなにも哀しく美しい。永遠ではないからこそ、限りがあるからこそ、その美しさは痛い程深く鮮やかに胸に刻まれるのです。まるで心に癒えない傷を負ったかのように春ちゃんのことを思うと胸が苦しいし、いつまでも春ちゃんが見せてくれた夢に囚われています。しかしどんなに逢いたくてもあの春ちゃんにはもう二度と逢えないのです。同じ春ちゃんは1人として存在しないので、あの日の春ちゃんはもう自分の記憶の中にしかいないのです。
そして"春"の解釈ですが、これは春ちゃんが今実際に春という季節にいるのではなく、時間軸で言えば春ちゃんは今冬にいて、春ちゃんが望む"春"を見せてくれているのではないでしょうか。遠い春、未だ見ぬ春、恋い焦がれずっと待ち望んでいる春がいつか訪れてくれるよう祈りを込めて。羽生さんは「春よ、来い」は人生観を詰め込んだプログラム、祈りのようなプログラムだと神戸のトークショーで仰っていたそうですが、それも踏まえると胸がギュッとします。ただご本人が「春よ、来い」について今は詳細に語るつもりはない、自分の想いを押し付ける気はないと仰っているので、今までつらつら書いてきたことはあくまで羽生さんに許された解釈の自由の中でおれが好き勝手に解釈したものに過ぎません。
長い、長いよ。そして前回に引けを取らないほど極まっている。あと最後に1つ言いたいのは「春よ、来い」、生演奏なのに音ハメがエグすぎる。羽生さんと清塚さんが緻密に作り上げたものを、1回1回少しずつ違うであろうお互いの呼吸に合わせてその時だけの「春よ、来い」を届けてくださっているのだなあと思うとグッとくるものがあります。勿論ウィルソンさんの振付も、曲の捉え方、羽生さんの美しさを引き出す身体の動かし方、どれを取っても本当に素晴らしいです。こんなに素敵なプログラムを世に生み出してくださり本当にありがとうございます。おれはあと2公演しか見られませんが、あと2回、目と心にしっかりと焼き付けたいと思います。
因みに丁度新潟伊勢丹で開催中だった羽生結弦展にもちゃっかり行って来ました。長野で着ているところを見たばかりのホプレガさんのお衣装を見られて感慨深かった…じっくり見てしまった…
おいしいお寿司もキメたしお土産に笹団子も買えたし、弾丸だったけれど新潟エンジョイしました!とても楽しかったです!!
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wata-8 · 6 years
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Fantasy on Ice 2018 in KOBE
2018.6.16.Sat-2018.6.17.Sun
金沢に続き夏休み第2弾でFaOI神戸土日行ってきました。後悔先に立たずとは言うものの、金曜公演後のTLのどよめきを見ながら金沢金曜日ではなく神戸金曜日に有給を取るべきだったかと頭を抱えました。やはり前情報が何もない状態で新プロの���撃を体感出来るのは初演だけなんですよね…どんなに情報を遮断しようとしても演技開始まで情報0の状態を保つのはこの情報社会では些か難しい。何故か1枚しか上がってこない写真、詳細が語られない報道、TLに流れてくる天女様を見たという数々の目撃証言…羽生さんの新プロは神秘のベールに包まれ期待値だけが高まる中神戸行きの夜行バスに乗り込んだ訳です。今月バスに乗るのは既に4回目、もうすぐ会員ランクが上がりそうです。
OPは土曜日はディレイドアクセルが目の前、日曜日は脚上げ4Tが目の前で最高でした。どちらも美麗ジャンプ過ぎて涎出そうでした。世界で1番暑い夏、ノリノリきゅるんきゅるんで踊る羽生さんの可愛さったらもう。ディレイドアクセルの後ぴょんって跳び上がるのハチャメチャに可愛い。男子スケーターさんと女子スケーターさんの絡みがそれぞれ順番にあるんですけど、羽生さんと舞依ちゃんのくるくるが可愛すぎて悶絶。一瞬だけどアンナちゃんと羽生さんのペアはおれ得すぎたよね。おれのアンナちゃん。みんな可愛くてキラキラで夏が来ました、はい世界で1番暑い夏が来ました〜!
色々なスケーターさんのプロの感想を連ねたいのですが、兎にも角にも既に薄れ始めてしまっている記憶と衝撃がこれ以上薄れていってしまう前に羽生さんの「春よ、来い」の感想を綴らねばなりません。
照明に照らされてその神秘のベールの脱いだ「春よ、来い」。白地に薄紅色を差したお衣装に袖からたっぷりとした透けるように薄いひらひらをはためかせながらするすると氷を滑っていく羽生さんは、さながら羽衣を纏った天女様でした。まるで春の化身、桜の精。ひとつひとつの動きや仕草は時に鋭さを感じる程に研ぎ澄まされ息をするのも忘れる程に美しく、その世界に深く引き込まれ言葉を失い声を出すことも叶わない程に見入ってしまいました。
随所にレクイエムさんを彷彿とさせるような振付がありましたが、春よ、来いはレクイエムさんで描かれていた苦しみ悲しみを昇華させるようなプログラムになっているように感じました。レクイエムさんでは悲しみ苦しみ、それに苦悩し藻搔く姿に焦点が当てられていたのに対し、春よ、来いはそれらを乗り越えた先には必ず希望があるということを強く感じさせるプログラムのように思います。寒く厳しい冬を耐え忍び、いつか来る春を待って力強く咲き儚く美しく散っていく桜のよう。時折ふわりと浮かべる柔らかく優しい微笑みは触れようとしたら消えてしまいそうな程に儚く。
今までに見たことのない程低い姿勢のハイドロは、まるで氷に唇を寄せているかのようで。羽生さんが口付けた氷の大地から生命が芽吹いて花々の蕾が綻び、厳しい冬は終わりを告げ温かく優しい春が訪れる、そんな情景が浮かびました。巻き起こった風で切り刻まれてしまいそうな程に鋭いトウアラビアンそしてトラベリングキャメルから入るスピンでは、ブワッと花びらが舞い上がるのが見えるようでした。まるで春の嵐。花びらが1枚ひらりと風に舞うように軽やかなウォーレイ。雄大なディレイドアクセル、そしてしなやかで力強く美しいイナバウアーは大輪の花が咲き乱れていく様子が目に浮かぶようでした。そして最後のスピンで花吹雪にその姿が飲まれていき気付いた時にはもうそこにはいなかった、全てはひとときの春の夢だった、そんな終わり方が似合うと思いました。
春ちゃんを浴びた後にフィナーレのダイヤモンド、温度差がありすぎておれが陶器だったら粉々に割れています。いや本当にめっっっちゃ可愛いんですけど、心が着いていかない。春ちゃんの後5分くらい暗転したまま心の整理をする時間がほしいです。
ただひたすらに美しかった、初めて春ちゃんを見た土曜日はその感想以外まるで記憶に残らず、自分が見たものは果たして本当に現実に起こったことだったのか分からなくなりました。おれが見たのは春の幻だったのか。日曜日にはその朧げな記憶を埋めるように2回目の春ちゃんを心して見ましたが、見れば見るほど夢か現実かますます定かでなくなっていくようで。羽生さんの人生観を詰め込んだという春ちゃんに、この先何度でも会いたい。ひとりとして同じ春ちゃんはいなくて、見る度に姿を変えておれたちの前に現れるのかと思うと出来ることなら1公演も見逃したくはないですが、頑張ってお仕事しないとチケットが買えませんので全通は出来ません…つらい…とは言いつつ無理矢理スケジューリングして軽率に新潟金曜日と静岡金曜日は追加しましたけども…
そんなこんなで春ちゃんポエム量産マシンと化したおれですが、今年も弓弦羽神社に参拝に行って去年買えなかったゆづ丸くんをゲットしたり旅行守りを新調したり、フォロワさんと春ちゃんについて語り合いながら神戸牛を食べたり、おいしいパン屋さんで朝ごはんを食べてからスタバでゆずシトラスティーキメたり、今年もFaOI神戸をハチャメチャに楽しんだのでした。来年もまた来たいな〜〜!
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wata-8 · 6 years
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Heroes & Future 2018 in NAGANO
2018.6.10.Sun
仕事で行けるかも分からないのに羽生さんインが決まった瞬間気付いたらチケットを購入していたH&F、日曜日が奇跡的に公休だったので行って参りました。シフトが分かった瞬間神に感謝したよね。
長野オリンピック・パラリンピック20周年記念のアイスショーということで、実際に長野オリンピックでご活躍されたレジェンドスケーターさん達をはじめ、平昌オリンピックで活躍した国内外のトップ選手達、そしてこれからの日本フィギュアスケート界の未来を担う若手選手達が一堂に会したとても豪華なショーでした。偉大なレジェンドスケーターさん達から次世代のスケーターさんへと沢山のものが継承されていくんだなあと改めて感じる素晴らしいショーでした。
OPではプル様とペアで登場した羽生さん、お2人が並んでいるだけで尊すぎて毎回拝んでしまうよね。白のキラキラトラベラーさんお衣装、この日もとっても素敵でした。土曜日はSBSの3TだったとTLで見たけど、なんと日曜日は羽生さん4T跳んできました…!(転倒だったけども)もう4Tはどんどん跳べるような状態まで足が回復しているのかと思うと早くも目頭が熱い。はけていく時はいつも通り悔しそうにジャンプ動作を確認していてオペラグラスを覗きながらニコニコしてしまったよね。
長野オリンピックに出場されたレジェンドスケーターさん達は皆様素敵でスケートが巧くてそれぞれの代表プログラムを滑ってくださって本当に素晴らしかったです。特にストイコおじちゃんとペーゼラ様が格好良すぎて目がハートになりました。長野オリンピック当時の映像と見比べるとお2人共素敵に歳を重ねていらっしゃるなあと。勿論本田さん、ロロ様、アニシナさんもとっても素敵でした!
現役選手の中では知子ちゃんのSAYURIとネイサンくんのネメシスが大好きだったのでまた見られてとっても嬉しかったです。あとシブズのParadiseが最高すぎて泣きました。ハビちゃんのラマンチャも平昌を思い出してウルっときた。プル様のニジンスキーは何度見ても圧倒的なオーラに息を飲むよね。この日はおそらく3A2本跳びに行こうとしてらっしゃった…!惜しくもどちらも2Aになってしまったけれども、アクセルに向かっていく気迫が物凄かった…!若手選手の中では友野くんのDaft Punkと新葉ちゃんのMJメドレーが格好良くてノリノリでとても良かったな〜フォーフォー言ってしまった。草太くんの新SPのG線上のアリアも素敵だったなあ…
Asian Dream Songが長野パラリンピックのテーマソングだったので羽生さんが長野でHope&Legacyを滑る可能性はかなり高いのではないかと思ってました。羽生さんはそういうのを大事にされる方なので。そう思ってはいたんですけど、土曜日TLで実際にホプレガさんだったと分かった時には震えたよね…!しかも3Loに4T、3A-1Lo-3Sまで跳んだと分かった時にはその情報だけで既に泣いたよね。ループさんおかえりなさい…!TL見てるだけでこれなんだから現地組の心中は計り知れない…おれもホプレガさんだと分かった瞬間の衝撃を体感したかった…この前情報が一切ない状態で見た時の衝撃というのは初演でしか味わえないんですよね…初演は貴重…果たしておれは日曜日ホプレガさんを浴びて無事に生還出来るのだろうかいや何としても目と心に焼き付けねばと決心して当日早朝長野行きの高速バスに乗り込んだ訳です。
照明がついた瞬間目に入った、俯きながら佇む羽生さんの姿がとても美しくて神々しくてその一瞬で言葉を失う。アイスショーのライティングに照らされたホプレガさんのお衣装は試合の時とはまた輝き方が違ってとても綺麗で。まるで風に揺蕩うように滑らかで浮遊感のあるStSq。息をするのも忘れそうなほど見入ってしまう。昨日3Loを跳んだところでなんと本来の構成通りの3F…!あのステップに溶け込んだくるくる3F…!平昌オリンピック以来初めて跳んだフリップに思わず声を上げてしまう。目に熱いものがブワッと込み上げる。そして美しすぎる4T-3T。クワドのコンビネーションまで跳べるくらい足の状態が回復しているんだと分かって、もう涙が止まらない。3A-1Lo-2Sは少し堪えたけれど意地でも3連をつけてくる姿にまた涙が止めどなく溢れてしまう。そしてChSqで照明がピンスポのみになる。美しすぎるハイドロ、そしてイナバウアーで青緑の美しい照明がバッとつく。なんて素晴らしい演出…まるで何もない空虚な世界に希望の光が差し込んでいくよう。ホプレガさんが滑った跡に木々や草花が生い茂っていくかのよう。沢山の苦難を乗り越えて夢を叶え栄光を手にしていく羽生さん自身の姿を表しているかのよう。そしてその後の鮮やかな3Aは大輪の花がパッと咲いたようで。もう嗚咽が漏れてしまうほど号泣している。スピンを終えて腕を広げる羽生さんの表情が、あのヘルシンキワールドの時の表情と重なって。
この日この地でこの目でこのホプレガさんを見られたことを本当に幸せに思いました。羽生さん、長野でホプレガさんを選んで滑ってくれて本当にありがとうございました。大好きなホプレガさんをもう一度この目で見られたことも、今の羽生さんがホプレガさんを滑ってくれたことも、羽生さんの足首の状態が順調に回復していてどんどん良くなっているのが分かったことも本当に本当に嬉しかった…!
フィナーレで再びプル様とペアで出てきた羽生さん、落ちていた何かを大層大事そうに拾い上げて若干アワアワしながら丁寧に看板に立て掛ける。とてもかわいい。おれの席からは何を拾っているのか見えなかったんですけど、どうやらプル様のスマホだったらしい。そりゃあんなに丁寧に扱いますわ。プル様と一緒に楽しそうに笑いながら滑る羽生さんはとってもキラキラしていてなんだかジーンときてしまった。そしてWAになって踊ろうを口ずさみながら手を振る羽生さん、とても可愛かったですありがとうございました。手にした3つのりんご丸のぬいぐるみのうち最後の1つを大事そうに小脇に抱えて周回するホプレガさんは控えめに言って聖母だったよね。ずっと投げずに持ったままだったから気に入ってお持ち帰りになるのかな〜と思ったけど、最後に退場口辺りから上の方の客席に投げていらっしゃった。後で屈強なお兄さんが勝ち取って大事そうにタンクトップの中にしまっていたというツイートを見てめちゃくちゃ笑った。
いや〜〜〜長野、最の高でした。終演時間が早めだったのですぐ会場を出てササっとシャトルバスに乗って善光寺にも参拝に行けたし、メダルカラーの結まもりも無事ゲット出来たし。お土産も沢山買っておいしいお蕎麦も食べて、帰りの新幹線ではView of SilenceとAsian Dream Songをエンドレスリピートしながらホプレガさんの余韻に浸って。新幹線の中でパンフの羽生さんインタ読んだんですけど、改めて羽生さんが平昌にどれだけの想いを懸けていたのかが言葉の端々からひしひしと伝わってきて泣けてしまったよね…羽生さん、連覇出来て本当によかったねがんばったね、本当におめでとう…!という気持ちでいっぱいになりながら帰路についたのでした。
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wata-8 · 6 years
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平昌オリンピックこぼれ話
SPの日、最終Gの選手紹介が終わって6分間練習が始まりおれの目が羽生さん定点カメラモードに入ろうとしていた時、横の通路の階段をガンガン上がってくる人が視界に入る。なんと先ほど滑り終えたばかりのパトリック・チャン氏である。爛々と輝く大きな瞳が視界の端に入ってPチャン?!!とおれの脳が認識した瞬間、思わず定点カメラモードを解除して二度見したよね…あんなに近くでスケーターさん見たの初めて…因みにその後探していた人を何ブロックか先に見つけたらしいPさんは観客席をすごいスピードで横断していきました。
SPの日、斜め前方にめっちゃオーラのある美人な外国の方おると思ったらアシュリーちゃんでした。因みにアメリカ女子ではアシュリーちゃんが1番好きです。くりくりに巻いた髪をポニテにしててめっちゃ可愛かった…キラキラしてた…因みにアメリカ男子、取り分けリッポンちゃんに惜しみなく声援を送っていた印象でした。
FSの日、視界にやたらキラッキラしてる何かが入ってきたと思ってふと見ると解説席のジョニタラでした。ゴージャスすぎる2人は解説席の中で飛び抜けて目立っていた。思わず双眼鏡でじろぉりしてしまった。隣のフォロワーさんは双眼鏡越しに写真を撮っていた。
FSの日、試合が終わって会場を出ると見覚えのある金メダルコスの人を発見。石井てる美さんである。畏れ多くも話しかけてみるととても気さくに応じて下さり、ニコニコハキハキしていてとっても素敵な方でした。フィギュアベマで拝見していた通りのスケオタっぷりに親近感。一緒に写真まで撮らせてもらって、おれの中で石井さんの株がダダ上が���である。石井てる美さん、その節はどうもありがとうございました。
お土産で買った公式ストアの芋けんぴ・芋チップス・干し芋のセットが素朴でめっちゃおいしかった。こういうストアで芋系お菓子があるの珍しくないですか?渋いぜ。因みに江陵オリンピックパーク内の公式ストアは常に長蛇の列で入るまでに30分くらいは並んだし中も激混みであった。(画像参照)
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wata-8 · 6 years
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平昌オリンピック 男子FS
2018.2.17.Sat
男子SPでの羽生さんの鮮やかすぎるカムバックを目撃して一夜明け、ついに男子FS。泣いても笑っても今日全ての結果が出て、オリンピック金メダリストが決まるのだ。66年ぶりとなるフィギュアスケート男子シングルでのオリンピック2連覇という偉業を彼はやってのけてしまうのではないか。昨日あんなに素晴らしいバラ1さんを見てしまったら、そんな期待で胸を膨らませずにはいられない。夢の舞台で夢の演技が出来ますように。心から祈る。
江陵アイスアリーナの美しい紫の会場にSEIMEIの狩衣を模したお衣装はさぞ映えるであろうと期待していたけれど、その紫色の幕間からSEIMEIのお衣装を纏った羽生さんがリンクサイドに現れた瞬間胸が尋常じゃないほど高鳴った。ゾクッとするほど美しい。もう羽生さんから目が離せない。リンクへ入る前、エッジケースを額に当てて祈るように目を閉じて何か呟く。リンクへの扉が開くと会場を仰ぎ見て、そして驚いたことにこの物凄い緊張感の中で一度ふわりと微笑んだのだ。そして瞬時にキリッとした表情に変わりリンクへと飛び出していく。6分間練習が始まった。この6分間の中で研ぎ澄まされた集中の中に、時折ある種の悟りの境地に至っているかのような微笑みを浮かべる羽生さんを見ていたら、「絶対大丈夫、羽生さんは今日オリンピックを2連覇する」という何か確信めいたものが次第に大きくなっていった。勿論勝負に絶対はない。全ての選手が滑り終えるまで何が起こるか分からない。緊張も心配も不安もある。それでも会場で実際に羽生さんの姿を目にしたらそう思ったのだ。
1人また1人と滑り終え羽生さんの出番が近付いていく。ボーヤンちゃんの会心の演技とキスクラでの涙を見て涙腺が緩み、その後のPさんのハレルヤで完全に涙腺が崩壊した状態で迎える羽生さんの演技。なんだかもう演技が始まる前から号泣してしまいそうだ。Pさんの得点が発表されて、会場内の視線は全て羽生さんに集まる。ブライアンコーチ、ブリアンコーチと握手を交わしリンクサイドに屈むと、壁を叩いてリンクの中央へ滑り出す。羽生結弦の名前がコールされると大歓声が上がる。普段歓声は上げてもあまり言葉を叫んだりしないおれも、この日ばかりは少しでも羽生さんの背中を押す力になりたくて、出来るだけ大きな声で「がんばれー!!!」と叫ぶ。そして歓声は静まっていき、羽生さんがスタートポーズにつく。腕を下ろして息を吐き、印を結ぶ。運命の4分半が始まる。
ドン、という太鼓の音に合わせて左手を天に掲げる。笛の音が鳴り響き羽生さんが滑り始める。最初のジャンプの軌道に入っていく羽生さんを会場中が息を潜めて見つめる。糸を張り詰めたような物凄い緊張感。美しい弧を描いて、踏み切る。鮮やかすぎる4S。大歓声が上がる。息をつく間もなく次のジャンプの軌道へ。そして完璧な4T。いい流れだ。ソチではミスのあった3Fを難なく決め、演技は中盤へ。FCCoSpではビールマンをの代わりにA字ポジションを入れて。体力温存だろうか、羽生さんが全力で勝ちに来ているのが改めて分かる。そしてStSqに入る。鳥肌が立つほど格好良い。曲が変わって演技は勝負の後半へ。大きな得点源のコンビネーションジャンプが続く。素晴らしい4S-3T。これはパーフェクトな演技が来るのではないか、そんな期待が高まる中次の4Tでステップアウト、コンビネーションに出来ず単独の繰り返しになる。会場からまさかというような悲鳴が上がるが、すぐに応援の大きな拍手が巻き起こる。がんばれ、がんばれ…!そんな気持ちで目一杯の拍手を送りながら涙が込み上げてくる。直ぐさま立て直し次のジャンプへ向かう。まだコンボ券は2枚残っている。そして見事すぎる3A-1Lo-3Sのリカバリー。得点を積み上げていく。3Lo。決まった。そして残るジャンプは1つ、鬼門のルッツだ。跳べる、跳べる、跳べる…!祈るような気持ちで握った手に痛いほど力が入る。3Lz!!!転ぶ一歩手前で奇跡のように堪えた瞬間、涙が溢れ出す。FCSSpが涙で滲んで見えない。そして大歓声の中演技はクライマックスへ。今日の席はショートサイド、両手を広げてChSqに入っていく羽生さんの背中がよく見える。涙が止まらない。迫真のハイドロブレード、そして美しいイナバウアー。心が揺さぶられる。演技を締めくくるCCoSp。勢いよく両手を広げて圧巻のフィニッシュ。
間違いなくフィギュアスケート史に残る、伝説の4分半だった。物凄いものを目撃してしまった。会場は総立ち、割れんばかりの大歓声、鳴り止まない拍手。羽生結弦さん、貴方という人は本当になんて人なのだろう。勝ちを確信したかのように天に拳を突き上げる羽生さんを見て、おれは少し驚いた。4T+REPになりコンボ券を1枚余して演技を終えた羽生さんはきっと悔しそうな顔をするだろうと思っていたからだ。その後雄叫びを上げて、労わるように右足に触れる姿を見て、ああ羽生さんは本当に限界のギリギリのところでオリンピックに臨み、そして今戦い抜いたのだと知る。これが羽生さんが今出来る最高の演技だったのだ。これ以上はなかった。そしてそれを見事に滑りきった。頑張った、本当によく頑張った。次から次へと溢れ出る涙がどうにも止まってくれそうにない。
リンクサイドでブライアンコーチとハグをして、ブリアンコーチとキスクラに座る。得点を待つ羽生さんはやりきったという充実感に溢れたとても良い表情をしていた。そしてついに得点がアナウンスされる。FSは206.17。総合得点317.85。FSの得点こそネイサンくんには及ばないものの、現時点で2位以下に20点以上の圧倒的な点差をつけて首位に立つ。メダルは確定。あとはその色だ。得点だけ見れば、正直ハビちゃんと昌磨くんがこの後完璧な演技をしたら分からないと思った。緊張感が再び高まる。
ハビちゃんと昌磨くんが演技を終えて、最終滑走の昌磨くんの得点が出るのを待つ。2人共ノーミスの完璧な演技とは行かなかったもののとても素晴らしい演技だった。現時点で羽生さんが首位、ハビちゃんは2位。昌磨くんはどこに滑り込んでくるのか。運命の時を待つ。昌磨くんの得点がスクリーンに映し出された瞬間、会場は爆発したような歓声に包まれる。
勝った。羽生さんの金メダルが決まった。
おれだけでなく世界中の羽生さんのファンが、この瞬間をどれだけ待ち望んだことだろう。N杯の公式練習で怪我をして欠場になり、その姿を見ることはおろかその後の経過の情報でさえほとんど分からなかった約3ヶ月間。復帰戦がいきなりオリンピックの個人戦。勿論心配も不安もあった。その中で掴んだ悲願の平昌オリンピック金メダル。66年ぶりのオリンピック2連覇。羽生さんなら絶対大丈夫だと信じていたけれど、本当にやり遂げてしまった。スクリーンに羽生さんが大写しになる。おれも隣のフォロワーさんもおそらくその多くが羽生さんのファンであろう周りの人も、皆泣きながらおめでとうと大声で叫ぶ。大歓声に胸に手を当てながら頷いて、その目に涙を浮かべながらカメラに向かってありがとうございましたと呟く羽生さん。こちらこそ、夢が叶う瞬間を見届けさせてくれて本当にありがとう。羽生さんを応援出来て、こんなに素晴らしい瞬間に立ち会うことが出来て本当に幸せ。羽生さんが大好きです。
いやあ長い。長すぎるよ。羽生さんのことしか書いてないのに。表彰式とメダルセレモニーのことも同じ記事内でまとめたかったんですけど、余りにも長すぎるので一旦ここまで。おれ撮影の動画から切り取った最高の瞬間のGIFを付けておきます。
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wata-8 · 7 years
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平昌オリンピック 男子SP
2018.2.16.Fri
前日の15日、朝5時起きで仕事を終えてから夜のフライト(勿論ANAさん)で韓国入りしたため明洞のホテルに着いたのは日付が変わった頃。お風呂入ったり準備したりで寝たのは1時半を回ってた。そして当日も7:00ソウル発のKTXに乗るために5時起き。寝不足だし前日まで毎日5時起きで連勤していたせいで既に身体は疲れている状態だったけれど、初めての海外観戦、久しぶりに羽生さんの演技を生で観られること、そしてそれがオリンピックだということにとても興奮していて疲れも眠気も全く感じなかった。バス乗り場を探したり手荷物検査に予想以上に時間がかかったりで第1滑走の選手の演技開始直前にギリギリで何とか席に着く。
海外観戦も大きな国際大会の観戦も初めてで、羽生さんのファンである以前にフィギュアスケートのファンでもあるのでこんなに沢山の国の選手が出ていて、そして世界トップクラスの選手が全員出場している試合を観られるのは本当に嬉しかったし終始大興奮だった。そしてやはりその中でも羽生さんは特別で。それもおれだけではなく会場の多くの観客にとってもそれは同じで。
リンクサイドに羽生さんが登場した瞬間、悲鳴のような歓声が会場中を満たす。勿論おれも歓声を上げずにはいられない。久しぶりに羽生さんの姿をこの目で見られた興奮と、足の状態は大丈夫なのかという心配と、羽生さんが今からどんな演技を見せてくれるんだろうかという期待と。ドキドキとワクワクと緊張と不安と、いろんな感情が入り混じって心が追いつかない。そして羽生さんが氷に乗って滑り出した瞬間、羽生さんが試合の場に帰ってきたというただそれだけでもう嬉しくて既に胸がいっぱいで。6分間練習では時折笑顔も見せながらも終始引き締まったとても良い表情をしていて、良い集中が出来ているんじゃないかと思った。スケートを心から楽しんでいるかのようなその姿は、2014年のGPFを彷彿とさせた。中国杯の衝突事故での怪我・失意のN杯を経て、SP1番滑走からの見事なカムバックを思い出す。絶対大丈夫、羽生さんなら出来る。
6分間練習が終わり選手達がリンクサイドへ上がっていく。羽生さんただ1人だけがリンクに残り、その時を待つ。オーサーコーチと握手をして、屈んでリンクの壁を叩く。いつものルーティーン。羽生結弦の名前がコールされる。割れんばかりの声援、客席を埋め尽くすような数の日本国旗が上がる。勢いよくリンクに飛び出していく羽生さんの背中を少しでも押せるようにおれも大きな声を上げてバナーを振る。羽生さんがスタートポジションに着くと声援はピタリと止み、静謐が会場を包む。会場中が息を潜めて羽生さんに視線を注ぐ。
静まった会場に響き出すショパンのバラード第1番。羽生さんがグルリと首を回し、目を開く。始まった。冒頭の美しすぎる4S。決まった瞬間の大歓声。羽生さんなら大丈夫、が確信に変わっていく。FCSp、CSSpも流石の美しさ。音をよく捉えた腕の振付が素晴らしい。演技は淀みなく流れて後半へ。カウンターからの3Aは文句のつけようのない完璧さ。そして畳み掛けるような4T-3T両タノのコンビネーションジャンプが決まると、ブワッと目に熱いものが込み上げてきて抑えられなかった。鬼気迫る超絶ステップ。涙が止まらない。その勢いのままにCCoSpで演技は締めくくられ、堂々たるフィニッシュ。弾けるように総立ちになる観客、鳴り止まない拍手、爆発するような大歓声。ああ、よくぞここまで。胸が安堵でいっぱいになる。自己ベストに迫る111.68の得点がモニターに映し出されると会場が揺れるような熱狂に包まれる。その得点を見てウンウンと納得するように何度も頷きながらニッコリと笑う羽生さん。羽生さんなら絶対大丈夫だと信じていたよ。ずっと待っていたよ。おかえりなさい。ありがとう。
CCoSp3でレベルの取り零しはあったものの、2位以下に4点以上の点差をつけてSP1位発進というオリンピック2連覇に向けては最高のスタート。こんなに高い得点が出てもなお、あの演技で世界新が出なかった時点でスピンかステップ取り零したかな?と疑うという麻痺した感覚さえ懐かしくて嬉しい。会場を出てフォロワーさん達と会った瞬間「最高だったね!!!」「平昌来てよかった!!!」と抱き合って喜んで。個人的にバラ1さんが羽生さんの数あるプログラムの中で1番好きなんですけど、そんな大好きなプログラムの最高の演技をオリンピックの舞台でこの目で見ることが出来てもう思い残すことはないここで死ねたら本望と思ったけれど、いやいや羽生さんがオリンピック2連覇するところを見届けるまでは死ねない!!!生きる!!!となって男子SPの日は終わりました。
羽生さんのことしか書いてないのにすごい長い。その他の選手のこととかこぼれ話とかおいしかった韓国グルメとかもっといろいろ書きたいことはあるんですけど、それはまた後日気が向いたら書きます。
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wata-8 · 7 years
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羽生結弦さんの好きなところ
Tumblrに関しては今までROM専だった訳ですが、これから観に行った試合やアイスショーの感想を綴っていくことにしようかなあと思います。その時どんなに感動しても衝撃を受けてもやはり時間と共に感情や記憶の鮮度は劣化していってしまうので、自分が見たものや思ったことを文字として記録しておきたいなと思いまして。
とりあえず初投稿はおれの応援している羽生結弦さんの好きなところをひたすら上げていこうかなあと思います。
技術編
入り方が超絶難しいのにも関わらず軸が細く回転が早く高さと幅のバランスが取れていて着氷後まで流れのある美しいジャンプ
柔軟性を生かした難しいポジションを取り入れながらも軸がブレず回転も早く更には腕の使い方で曲に合った表現が出来る美しいスピン
難しいターンやステップを踏みながらもエフォートレスで浮遊感があり途切れることがなく流れるような美しいスケーティング
音楽に対する感性が大変豊かで一音一音逃すことなく全て捉えて振付に変換することが出来、まるで身体で曲を奏でているかのような音楽との調和をあらゆるプログラムで感��られる
ひとつひとつのプログラムに対する世界観を明確に持っており曖昧なところや適当なところが1つもなく演技中にその世界観が破綻することがない
ミスがあっても瞬時に最善のリカバリーを考えられる頭の回転の速さ、そしてそれを実行出来る臨機応変さ
あらゆる要素において完成度が非常に高いトータルパッケージの選手であり、尚且つどの要素に焦点を当てても全てが世界トップクラス
人柄編
アイスショーでさえ一切手を抜くことはせず常に全力でスケートに臨む姿勢、自分の全てを懸けてスケートをするんだという覚悟
どんな困難に直面してもその全てを自分の糧として成長していける強さ
揺るぎない信念を持ち続ける芯の強さ
何事にも一途で真っ直ぐで一生懸命
とことん自分にストイック
試合に出場するからには絶対に勝ちたいという勝利に対する貪欲さ、負けず嫌いさ
常に他者へのリスペクトと感謝を忘れない
他人の気持ちにとても敏感で言葉以外のものからもそれを汲み取る繊細さ、そしてそれを思いやれる優しさ
故郷に対する厚い想い
容姿編
伏し目にすると際立つ下向きに長い睫毛
アイシャドウを塗っているかのように自然に目元に落ちる影
スッとした涼しげな目
オンとオフでガラリと変わる目力
白く透き通るようなトラブル無縁の赤ちゃん肌
リップメイクしているかのようにうるうるでピンク色の唇
白魚のようにほっそりと長い指
桜貝のように揃ったつやつやの爪
絹糸のようにさらさらの黒髪
少女性を感じさせるほっそりとした長い首に主張する喉仏
瞼と首筋の黒子
くすみを知らないピンク色の肘膝
男性的な直線美と女性的な曲線美のどちらも伏せ持つ美しい身体のライン
細くしなやかでありながらも鍛え上げられた身体の筋肉
ここ数年逞しさを増している胸部と臀部
鎖骨が綺麗
肩甲骨が綺麗
後頭部のまあるいライン
"羽生結弦"という美しい名前に負けないどころか体現しているかのような美しい容姿
オフアイス編
自分の魅力を大変よく理解している
どんな自分が求められているかを理解した上で、発言や振る舞いにより自分の見せたい"羽生結弦"像を創り上げる自己プロデュース力の高さ
自分の世間への影響力をよく分かっていてそれを上手く利用している
発言や行動による巧みなメディアコントロール
完璧な演技を終えた後のドヤ顔
演技が納得いかなかった時の目の笑っていない笑顔及び早口激おこインタビュー
阿修羅顔
ジャンプ顔
話が長い(好き)
マシンガントーク(好き)
話し方がオタクっぽい(好き)
オフアイスでもよく滑る(好き)
イヤホンへの愛が重い
食への執着のなさ
ファッションに頓着がなさすぎる
のに衣装への拘りはすごいし自分に似合うものが分かりすぎている
私服は動きやすさと着心地重視なのでジャージ率が高い
ちょっとダサい(愛おしい)
総じて興味のあるものとないものへの熱量の違いがものすごい
エゴサの鬼、絶対TLのどこかにいる
気遣いの鬼、裏方の人にまで常に気を遣ってる
心を開いている人に対しての懐き方
心を開いていない人に対しての鉄壁ガード
笑うと簡単な顔になる
えっ ちょっと長すぎませんか?おれもそう思います。書き始めたら愛が止まらなくなってしまった。兎に角おれは羽生結弦さんが大好きで、羽生結弦さんと同じ時代に生まれてリアルタイムで応援出来ることにひたすら感謝しております。どうか羽生さんが怪我にも病気にも何にも邪魔されずに思い切りスケートが出来ますようにと心から願う。そして今までスケートのために多くの幸せを捨ててきたという羽生さんに、この先それよりももっともっと多くの幸せが降り注ぎますようにと願ってやまない。
羽生結弦さん、世界でいちばん幸せでいて!
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