aoiharuno42
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#Green flash
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aoiharuno42 · 3 years ago
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グリべ
私が心配に思ってることが あなたにとっては一瞥してしまえることだったとき 私は星が燃えて散るような気持ちになっている 誰も意図しないで生まれた命が燃えて消えるとき その瞬間が何より綺麗なんて ちょっと残酷な綺麗事でつまらないけど そんな因果は少し美しく見える 夏の天気が良すぎる日の空の色が好きで 黄色はあんまり好きじゃなかった 肌の色で取るマウントとか 似合わない色があるとか そういうことはあんまり好きじゃなかったはずなのに 暖かくなってきたら 空色と黄色を足した色の服ばかり買ってしまっている 深い緑のジャケットを羽織るから 色々混ざった私にキスをあげてほしい 私の心配事なんて一瞥するあなたからの黄色いキスが欲しい モヒートに散った葉っぱが沈んでいくとき きっと秋に落ち葉が散るときよりも心は眩ゆい 折れそうな体と燃えそうな心があなたの枠と縁なら その中にある綿菓子みたいにチープな部分を知りたい 夜中になると知りたいことばかり溢れ出す 春の所為でも 恋の所為でもないって喚く私の 子供みたいなところに 大人みたいなキスをあげたら きっと私は永遠の子供になれる
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aoiharuno42 · 3 years ago
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重ねた鏡
着実に都合の良い大人になっていく 頻繁にポエムを書かなくても良いような大人になっていく 匂いや色 買い替えたばかりのイヤホンや毎朝ベランダの草に水をやることに ちゃんと感動したりしているし それは文字を介さずに私の体になっていく 着実に 都合の良い大人になっていく 私に嫌なことをしてくる人もきっと何か考えているから、と 距離を置いたり 私に嫌なことをしてくる人たちは 別に何も考えちゃいないんだ、と 距離を置いたり都合良く機嫌良く生きている 働きながら、弊社に命を捧ぐ顔なんてしないけど 私はたまに都合良くあなたの好きな顔をする 都合の良い大人になっていく自分に私は気分が良いから 匂いや色もまだ見える まだ見えると安心しながら日々を過ごす 真夜中まで起きていられる体力は無くなってしまったけど もっと深い何かに もっと黒い何かに 触れられそうな気がするからパソコンを開く  着実に都合の良い大人へと変わっていく 変わっていくものまで 全部ぜんぶ まるごと愛してくれる誰かに伝わる文字を 私は知ってる もっと変わっていく私を たまに見ていて 都合良く成長していく私を見ていて 見ていてほしい、あなたを見ている
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aoiharuno42 · 4 years ago
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夜でも碧い
世界中で毎日起こる出会いの中で、あなたと私の出会いはきっと大男の呼吸みたいなものだったのだろうけど、私はそうは思わないと、近頃よく思う。あの頃、自分は何か特別なのだと信じ込んでいた自分が本当は特別ではなかったと、今では理解できるけど、諦めたくないのはあなたと私の出会いは、それだけは特別であったということ。めっきり開かなくなってしまった私用PCをわざわざ開いてでも伝えたいことがある。特別なあなたと特別な私が出会った春のことを、私はずっと覚えているということ。何一つ忘れることができない私の悲しみは歳を取れば取るほどその厚みを増していって、その一縷にあなたが加担しているのだと、あなたを責めたい。こんなラブレターみたいな気持ちが時折湧き上がっては、もともとなかったもののように消えていくことを繰り返す日々を過ごしている。 目に見える指輪と目には見えない指輪の話をしたく、思う。私は、目には見えない指輪を手に入れて、それで今は凄く幸せに過ごしているし、これ以上の幸せなんてないと思っているけれど、何も足りていなかったあの頃をたまに思い出しては愛しくなる。それが恋じゃないことを私は知っていて、あなたもそれを知っている。だからこそ、私は今すごく、あなたに会いたい。きっと風船を飛ばしても届かないであろう、私の知らない街に、私の知らない人と住むあなたに会いたい。好きだとか、会いたいだとか、そういう言葉を真っ直ぐに伝えられると、あなたは照れて嬉しくなってしまう人だと私は知っているから、わざと臭い言葉を選んで紡ぐ。無理を承知で、私はあなたに会いたい。 私のイヤホンはノイズキャンセリングではないけれど、皮膚とゴムの隙間から漏れ聞こえてくる車のエンジン音なんて掻き消されてしまうほど、まだ私はあの曲に心を奪われていて、月に1回ぐらい、あなたもそうだったらと思う。さよならも、また会えるも交わしたことはないけれど、それ以上の何かを交わしていたと思っていた私の気持ちが勘違いじゃなかったらいいなと思う。 私は小さい頃から縁を切るのが上手で、角が立たないように人前から去るのが上手い。その度に悲しかったり悲しくなかったりするけれど、今回は悲しい。悲しいってことを、今まではオフラインだったから伝えられずに離れていってしまった仲ばかりだったけれど、オンラインに乗せて、ナウオンエアで悲しいって言おうと思う。悲しい、色々なことが重なって、今の私は何も悲しいことなんてないはずなのに、時たまあなたの声を聞けないことが悲しい。それだけのことが悲しい。あなたの生活リズムとか、そんなことを考えて気が引けてしまう毎日だけど、私はあなたが思っているよりも、きっと少しだけ身勝手だから身勝手に主張する。あなたの声が聞きたい。 あなたが、楽しいことだけしか見つからない日々を過ごしているなら、そのことを教えてほしい。そんな考えを、ずっと繰り返している。 ずっと、繰り返しながら、生活をしている。
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aoiharuno42 · 4 years ago
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ブルーライト
1番のユニフォームを脱ぎ捨てて逃げたあの頃の記憶が時折 じっとりと甦る フィルターに近付いてくる煙草の先の熱砂のように甦る お前は逃げた人間だと 弱い人間だと 小声だった罵り声が脳内で徐々に大声に変わっていく どこまで逃げても どこまで進んでも 足元を見ればアスファルトだと思っていた地面がランニングマシンのベルトだったような そんな気持ちを伴って じっとりと甦る 世界に見えている私を整えることと世界が何を考えているかを推測することは全く違う ずっと分かっているはず でも あの頃から地続きの今が急に恐ろしくなる 手が震える 足が竦む 飛び降りてしまいたくなる 諦めてしまいたくなる 誰かに見えている太陽が私には見えていないことに焦る スタートラインに立って、世界に見えている私を整えることと世界が何を考えているかを推測することは全く違うと分かっていたはず でも 気付けば不透明な半個体を掴み取ろうと躍起になっている こんなふうになってしまったと思っていた こんなふうに変わってしまったと思っていた 変われていると思っていた 私はあの頃と何も変わらない 変われない ユニフォームを燃やして捨てた私はその炎で煙草を吸う 簡単に泣けていた身軽さだけを失って 剥がせない重い笑顔だけが分厚くなった 私はあの頃と何も変わらない お前にはどう見えるのかと 反吐みたいな脳で思う 1番を握り潰して捨てたと思っているかもしれないけど お前は今でもその1番をゴミ箱の横に綺麗に畳んで置いてるんだよ こんな稚拙な言葉にしてやることしかできないんだよ お前にはどう見えるのかと 前途揚々だった脳で思う
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aoiharuno42 · 4 years ago
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how to be gradation
夏が来るとクリスマスソングを聴きたくなる 冬が来ると海の曲を聴きたくなる 世界の枠外に広がる空間に手を伸ばして そこには私しかいないんだって嬉しくなる 誰かが触ったことのある壁も 誰かが足を踏み入れたことのある床も 誰かが開いたことのある扉も どれも全部つまらないなんて乱暴なことは言わないけど それでも私はあなたの初めてでありたいと思う 塗り替えるんじゃなくてあなたの体内に降り積もった新雪を踏み荒らす子供になりたいと思う 焦りとか憤りとか そんなことを全部暑さが溶かしてくれるほど 世界は親切じゃないから 溢れそうなぐらい増えていく海水を何度も心臓の中に閉じ込めて 私は泳ぎ疲れてみたかったりする 「諦めたらそこで試合終了」という言葉がずっと嫌いだった 試合が終わっても負けても生活は続いていくのに 試合が終われば全部終わってしまうみたいな言い方が嫌いだった それでも少しだけ大人になったから その意味も少しだけ分かる 物事に綺麗なゴールなんてなくて 磨こうと思えば死ぬまで磨くことができて 諦めと惰性でできた結石が「終わり」なんだと 今なら少しだけ分かる 嬉しくもあり誇らしくもあり悲しくもある あなたも私も少しだけ大人になった あなたとほんの先の未来の話がしたい 飛行機で海外旅行に行く話がしたい 本当は縛りつけるものなんてないって分かっているから まだ終われない 夏が来れば当然に冬が来る未来の話をしたい いつかじゃなくて カレンダーに書き込める話をしたい あなたは人魚じゃないから その足で あなたの住む街と私の住む街の真ん中で会いたい 焦げていく夏も焦れていく冬も 私が終わらせなければ終わらない いま世界は冬と夏が混ざり合っている
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aoiharuno42 · 4 years ago
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鏡像 実像 虚像
腕が2本 脚が2本 頭が1つで肩まで伸びた髪 姿形すべて私と同じ形をした欲が鏡越しにこっちを見ている 頭を掻き毟ると抜けた長髪が手のひらに残った 必死で離れないようにしがみついていたのは 私の方だったか 私が 僕が 俺が 小生が なんでもいいが ここにいる意味を何度も問い質す 誰かのために生きるほど私は良く出来た人間じゃないけれど 誰かに感謝されたいと きっと思っている 浅はかで 強かで 健やかな欲 僕はきっと 求め合って生きている この街も 一人の部屋も 会社勤めの日々も 未来だったものは日常になり いつしか気付いたら過去になる 君がいた影とか焼き付いた印とかをそこらじゅうから掻き集めて抱き締めて吸った 忘れたくないものばかりで この世界は出来ている ブルーライトが私の網膜を焼く 半径8メートルの東京が君のことを閉じ込める 僕はそれが嬉しいなんて思っている 好きな曲のBメロで両手を強く握って 鏡に映る自分をブン殴るポーズを取るとか 君はそういう恥ずかしい僕を知らない 完璧な理解なんてなくていいけど それが少し寂しい 何の話というわけでもない そういう話 腕が2本 脚が2本 頭が1つで肩まで伸びた髪 姿形すべて私と同じ形をした欲が鏡越しにこっちを見ている 私はその虚像が好きで、時々嫌いだ 起きたことしか分からないような人には 死んでもなりたくないよ 私も
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aoiharuno42 · 4 years ago
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ささくれ
いま目の前の鏡に映ってる女の子が一番可愛いんだからみんな黙って あの時あんなに辛かったから今こんなのなんて 全然 なんともないよって笑ってる女の子が一番可愛いよ 隣に座る子も正面に座る子も みんなみんなずっと先の誰かを見ていて ここにいる 今 ここにいるよ ちゃんといるからだから 今とさっき 短い線分をたくさん繋いで出来た捻れた場所にあるたくさんの意味 残り時間全部をかけて探してみて きっと何も見つからないけれど ショーケースの中で微笑むあの子より リボンをかけて着飾ったあの子より いっとう可愛い ささくれだらけのあの子になれる
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aoiharuno42 · 4 years ago
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寝てる
眠る前の数分間 私は窓際に置いた机に向かう 6cmだけ開けた窓の横 流れ込む空気はまだ冷たい 眠る前の数秒間 私はベッドの半分を空ける 隣に君が眠っていることを想像して くだらなくてやめる 流れ込む夢はまだ遠い 眠ってからの数秒間 私はタオルケットの端を食む 5歳になるまで私は親指をしゃぶっていたんだって いつか嬉しそうに話していた母のことを思い出す 流れ込む夜はまだ暗い 眠ってからの数分間 私はシーツに汗を染み込ます 枕カバーには伸びっぱなしの毛髪が絡みつく 流れ込む朝はまだ青い 数え歌を歌うように眠りにつく なのに 起きるときは関数曲線みたいに目覚めてしまう どの瞬間も等しく愛おしいのに 時間は等分に進んではくれない アルペジオが正確なリズムを刻めば刻むほど 僕らの心音は早くなる 今日も 誰かが扉をノックするのを待っている 誰かを待っている時間は誰かを待たせている時間よりも長い 君と過ごしている時間を100倍に希釈したぐらい長い 「今日も寝てる 僕は寝てる」
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aoiharuno42 · 4 years ago
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明日もたりない
私が母の性器から産まれたとき、私は何にでもなれる天才だった そうだって私の好きなラッパーが言ってた だからそうだ 私は天才だった 何にでもなれた私は天才で どこから私はどこにも繋がっていない一本道を歩いている気になっていたんだろう 気になっていたというか、実際そんな道を自分で選んで歩いていた 今も歩いている 寸手のところで何もかもに手が届かない 手に届いているはずの現実には目を塞いで 何もかもに手が届かない自分に酔っている 「自分は持ってないヤツだから」ってRHYMESTERの言葉に酔ったりしている あの子が持っているアレを私は持っていない アイツが持っているソレを私は持っていない 持っていないから 持ってない素振りで不幸を語る 置いてきた青春にいつまでも縋る 置いてきた選択肢にいつまでも夢を見るフリをする 私は、そんな自分が嫌いです たりないことを誇りたい たりない自分を抱いていたい たりないから振りかざせる武器で 今でも他人を傷つける 私は、そんな自分が嫌いで嫌いで仕方ない 私は、たりない自分が好きだった 私は、たりない自分が誰よりも好きだった たりていると自覚すればするほど 強い光の影になるたりない部分に目を瞑りたくなる 誰にも見えていないと思っているたりない部分が本当は白昼に晒されていたことを知ると途端に死にたくなる その死にたさを「たりている」部分に照らして嫉まれている気になる いつだってそう 私は、たりない自分が嫌いです こんな最低のロクデナシが死んだとき 私はそんなロクデナシをロクデナシのまま愛せるのか 大好きな自分が自分を大好きになる瞬間 モニター越しの雑談に混ざれない自分も 起承転結を整理して喋れない自分も そんな自分を反芻して恥ずかしさで身が千切れそうになる自分も いつまでも「たりている自分」になれない自分も 私は 自分語りばかりするあの芸人に照らし合わせて 私は今日もたりない たりないままで30年も40年も生きる 私もあなたも 今日もたりない 明日もたりない
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aoiharuno42 · 4 years ago
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月面1階A列10番11番
こだま ひかり のぞみの次に誕生したのは「いのり」 僕らは祈りに乗って月へ向かう 荷物なんて何もないけれど何もない方がずっといい 僕らは宇宙で生まれた宇宙の子 ずっと前から決まっている 照らしてほしくて祈った先に星があって 星を照らす太陽がある ずっと前から決まっていた 僕たちは二人で星の子 瞬きするたびに星屑を落とす 息を吸うたびに双葉が芽吹く 僕がスピーカーの電源を入れて 君がマイクを握り締める それから始まるユーロビートで僕らは揺れる 地球の6分の1の重量で跳ね回る 君の仕草が6分の1の速度で網膜に焼き付いて 僕はそれを一生抱き締めていようって心の中で宣言した 永遠なんてないなんていうクソつまらん冗談に頷いたりなんてしない 君と僕の間にだけ生まれた永遠を月面からオンエアしたら きっと地球まで2秒で届くさ 僕のワンルームにある扉がどこにでも繋がっているどこでもドアだってことを君が教えてくれたから 僕は君の手を取って祈りに乗った 君は気丈に笑うけど 華奢でも骨張ってもいない手がちゃんと震えていたから僕は嬉しい 僕はいつでも君の前では格好良くいたい 君がなりたい僕でいたい マイクを握った君が満面の笑みで月面で跳ねると 君は重力に打ち克って黒くて丸い天井に一直線 僕は君を追って無重力の中 君の手を握る 遠心力に従って僕は君を抱き締めた ずっと離れて もっと近くで 等速で反対方向に向かう僕らは今 宇宙で一番近くにいる 宇宙の端っこで身を乗り出して大声で叫んだとき 君は快活に笑った 僕もくすくす笑った 祈りはずっとここにある 祈りはずっとここにある
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aoiharuno42 · 4 years ago
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飲み干す海
たくさんの泡に包まれてそれが全部弾けるとき 僕は君のことを思う 熱中症の症状が朝から続いていて 今日一日ずっと塩を舐めながら氷水を飲んでいるけれど 僕の舌が甘いを感じるのは たくさんの泡が僕を包んでいるからだ なんとなく振り払った手をもう一度握り込むとき 僕はいつも泣きたくなる 沼に両足を取られると みんな動くともっと沈むからジッとしていろなんて僕に言うんだ でも泥の冷たさもねばりもすごく気持ちよかったから 僕は心の底からはしゃいでいたのに 好きに動いたらいいよあなたの時間はあなたのものだからと言った君の言葉を僕は鵜呑みにして沼に頭から飛び込んだ 泥の纏で僕は泳ぐ 25mプールの中では見えなかった景色なんてものはなかった 僕は塩素の中でも目を開けた 水中でぼやけた視界は 陸で見る景色とあんまり変わらなかった そこに君がいるかどうかなんて問題じゃない どこにも君はいない 僕の心の中にも君はいない 君は君の湖で透明の纏を被る ここじゃないどこかにいる君を想像するだけで頭が痛くて頬が熱い なんとなく握り締めた手をもう一度開くとき 僕はいつも泣きたくなる
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aoiharuno42 · 4 years ago
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Eve
日々思うことが��流の飛沫で忘れ去られてしまうのなら、きっとその流れたものたちが辿り着く滝壺のような場所があるはずだと、ふと思った。1ヶ月が2秒で過ぎ、1年は3日で過ぎる感覚に慣れつつある。 さて、ポエム的に綴ってしまったけれど、社会に出てから今日でちょうど1ヶ月が経った。1ヶ月の間で世間はまるで変わってしまったようで、何も変わらずに停滞している。私はというと、日々無数の新しいものを吸収している気でいるが、実際には一歩も動いていないのかもしれない。それに対して焦りはないけれど、多少の恐怖はある。例えば、考えることを放棄してしまったら。私はどうなってしまうのだろう。考えることを放棄する機会はいくらでも道端に転がっていて、その一つを拾い上げてしまえば途端に堕ちる。舗装されたアスファルトも、ともすれば綱渡りのように危うい。私はどうしてここにいるのか。何のためにこうしているのか。何を目的で、今動いているのか。きっと、いちいちそれを考えなくても死ぬまで生きることはできて、特に困らずに生活できる。「好きなことを仕事にする」のは一長一短だとよく言うけれど、それを選んだ私には思考と手を繋ぎ続ける選択と、放棄する選択を与えられていて、その優しさは誰かを殺す。「仕事」と「生活」を分けて考えるのは人の勝手だが、一つの人生をわざわざ自分で分割して容量を少なくするのは、あまりにも愚行だと思うから、私は「仕事」も「生活」も好きなことで埋め尽くす選択をした。これが正しいのか間違っているのかは、きっと死ぬまで分からないけれど、これを考え続けることが死ぬまで生きるように生きるためには大切なのだと思う。死ぬまで死んだようには生きたくないから、私は常時好きなことだけ吸い続けたい。いつか、好きなことをするために好きじゃないことをしなければならない時も来るだろうけれど、その時に「何のために私はここにいるのか」を忘れなければ、きっと大丈夫。嗜めるように、諭すように自分に言い聞かせる。 好きな時間に起きて、好きなようにメイクをして、好きな店で好きに食事をして、好きな音楽を聴いて、好きな人に会う。それだけのことを咎められる窮屈さを頭ごなしに否定することは出来ない。この期に及んでも、私は「音楽は不要不急のもの」だと思っている。だってそうだ。音楽は腹を満たしてはくれないし、身なりを綺麗にもしてくれない。無音でも呼吸はできるし、なんなら宇宙に音はない。後天的な宝を必需品だとは言えない。私はそこまで盲目じゃない。それでも、こうして文字を綴る。好きなものを好きに好きだと言うために、文字を繋げる。必要ないと分かっている。音楽も文学も、ワンクリックでデータが吹っ飛んでしまうこんな時代には必要ない。でも、それじゃあ私は何のために生きているのだろうと己に問う。好きなもの、好きな場所、好きな人、好きな私のために私は生きているのではなかったか。死ぬまで生きるように生きるために、生きているんじゃなかったか。 そこには音楽が必要だ。世界のために、あなたのために音楽が必要なんじゃない。私が、私のために音楽が必要なのだ。誠に身勝手に、今日もイヤホンから流れる音楽のボリュームを上げる。イヤホンが水源だとしたら、私の脳は滝壺。グツグツと煮立つ坩堝に春を溜めて、夏を待つ。もし夏も流れてしまったら、身体の底から冷える秋冬に煮え滾ったマグマをぶち撒ければいい。 「そして、未来は今さ。今が未来。あの日の未来は来ずじまいだけど、あの日の未来を越す時代が来たって言うんだから驚くぜ」
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aoiharuno42 · 4 years ago
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冗談じゃない
五里霧中ですねって 今の君と僕を言葉で表すとそんな感じ そんな一言でまとめられるなんて冗談じゃないって思う 君もきっとそう思っている 重たいものを持ってどこか行こうなんて思ってたって 行けるのはせいぜい定期圏内 政治?倦怠? 冗談じゃないって思う 昨日僕が見た伝説を君に見せられないなんて冗談じゃない 冗談じゃないよなって冗談みたいに笑い飛ばしている まったく 冗談じゃないのに 巨大なスクランブルですれ違う人と人 僕らはただの通行人の一人なんて数えられている さっき満員電車で背中合わせだったあの人も いま肩がぶつかったあの人も みんなそれぞれ違うことを考えて違う景色を見て違う家に帰るのに どこにも根付いてなんかいないのに 僕も彼らもおんなじようにおんなじじゃないのに 冗談じゃない イヤホンから流れる音楽が騒がしいのか イヤホンの外で姦しい声が騒がしいのか どっちがノイズかなんて考えなくてもわかる 耳が割れるほどのノイズを 僕はいつだって君と共有したい 愛し合いたい 媚びない君は解きたい未来を開きたい 錆びない僕は会いたい未来を生かしたい 憂鬱な日々を五里霧中なんて一言で閉じないで 冗談じゃない もう一度歌い出す瞬間を待ってるんじゃない 僕らはいつだって歌ってる 君もいつだって歌ってる 止まってるものにしてるのは 僕らを知らない黙ってる人だから 鏡越しに見える像だけ信じて 画面越しに消える王さえ感じて たぶんできるはずってスクランブル交差点を僕は渡る 止まってなんかいない 冗談じゃない この世に止まってる人なんて一人もいない 
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aoiharuno42 · 4 years ago
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口から口へ、指から指へ
潮風が冷たかったあの日 水平線に鎮座する豪華客船を眺めていたあの日 重なる骨身がすべてあなたとわたしのためにあったような気がしていた どこまでも広がるスモークが幻を 夢を 掻き消しては形作る 風に靡いてしまうくらいの夢幻に右往左往して あなたとわたしは たぶんどこかで生きている
赤い風船に繋いだ手記は故郷に置いてきた きっとあなたも 故郷に何かを置いてきた 晴の日 あなたが列車で旅立った日 駅舎まで見送りに行かなかったわたしを わたしの知らない街で花を育てるあなたを 変わるものまでまるごと全部 春が煙に巻いていく 青い春のように あなたとわたしは儚い
骨と骨が重なっていなくても 言葉と言葉が合わさっていなくても 音と音がすれ違ってしまっても あなたは友達 昨日と変わらないビル風が吹き荒ぶわたしの新しい街と 明日も変わらない山風が吹き荒れるあなたの新しい街 けれど今日を特別に思う人があなたのそばにいることを 風船じゃなくもっと確実な手段であなたに届けよう わたしは 僕は 変わってしまっても あなたの友達
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aoiharuno42 · 4 years ago
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Public Syndrome
巻き上がる砂塵の中 なんとかして前に進んでいるような日々とは程遠いけれど コンクリートジャングルで反射した日光とかビル風とか そんなものが嵐の予兆だと生まれてからずっと教わってきた 徐々に早くなる手拍子に煽られて煽てられて翻って無音の中で臍を曲げて 言葉よりもずっと大切なものが存在することだけ教わって 今でも言葉より大切なものが見つからないまま 黄砂と埃とウイルスを含んだ風を受けて機体は宙に浮いた 舞うとか飛び立つとか言いたいのに 宙に浮くという言葉がいっとう似合うような気がして 期待は不安に入れ替わる 合図は自分の足音と 電車が線路を弾く音 5本の指を順にひとつずつ折りたたんでカウントダウン それで出来た握り拳は猫より情けないファイティングポーズ 僕はずっとここにいるわけじゃないけれど それでもわざわざここに根を張る 小蝿が集っても お前が盛っても 僕の声よりずっと大きい騒音に 僕は負けない 言葉より大切なものを僕は知らない 他人に期待しない意味は 悲しいだけじゃないことぐらい 僕は知っている
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aoiharuno42 · 4 years ago
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エンキドゥ、僕はきっと
息をするたびに死に近づいているのは それはずっと 産声の頃から変わらない所業で 簡単に粗相していた頃 長靴で土嚢を踏んで笑っていた頃に吐露した思い それは今は思い出��ないけれど 重たい足枷みたいな思い出が今は小銭くらいの荷重でしかないのは きっと 私が大きくなったからなのかもしれない また息をするたび死に近づく 悲しみとは違う ただ繰り返すだけで消費する命に輝きを得ている
あれもこれも覚えている 簡単に手放したものたちのことも 忘れたフリして全部覚えている 大切にしていたものだって そうでないものだって リロードしたら消えてしまうような些末なことだって 君の一言だって 全部ぜんぶ覚えている 覚えていることを苦しいと思うのはもうやめた 思いが詰まった重たかった荷物も キャリーケースで運べば遠くまで行けることを知ったから 邪魔だと思うことはもうやめた
一歩一歩 一秒一秒 死に近づいている 夜が深くなった頃 不意にいつかの君を思い出す 弱くはない魂を宿らせて いつだって全てを覚えている
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aoiharuno42 · 4 years ago
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TOKYO通信
好きの入り口で楽をできるようになった近頃 所謂プレイリストなんていうものに手を染めてみる 流行りのトラップビートに乗せて ランニングのBGMみたいな曲ばかりを聴いて なんかこれじゃない気がしてまた一つ好きを失った気になった 僕はいつだって安っぽいラブホテルみたいな曲が好きで 4時間噛み続けた風船ガムで作った鼻提灯みたいな曲が好きだ そんなこと分かってるってばって思いながら聴いた曲 環状線を時速40kmで旋回するような ノリノリのクラブの汚いリノリウムの床に吐き捨てられた痰のような ストップモーションで変わる景色はここによく似ている 僕の住む街は誰かにとっては仮想敵だ 無味乾燥した冷たいこの街を愛する僕は誰? そんな問いの答えをあのラッパーがくれたから 僕のこの感情は信仰だ よく見なくても彼の外見は大事件を起こした死刑囚に似ている 危険な女神の目で 呪いを遺した画家の手で 彼の言葉で 一歩ずつ信仰が深まる この街で生きる僕は 音楽に生かされて 文学に殺される 音楽が人生の支えになるなんていうのは嘘っぱちで 扉を開く直前までスポットライトで心を高めて挑んだ面接は玉砕したし 付き合ってる間ずっとアジアンを夢見ていた恋人とは結局新宿のバーにばかり行っていた 音楽は素敵な出会いなど演出してはくれないし 僕を強くしてはくれない せいぜいドーピングのようなもの 僕は僕でしか強くなれない ドーピングはいつか抜けて 禁断症状とともに薬無しでは生きられない体にさせられる もので溢れるこの街で わざわざ音楽を愛する理由なんて信仰か中毒でしかない これなしじゃ生きられない 君にとっての理想の僕みたいな 僕にとっての君みたいな いつまでも消えない憧憬みたいな 情報の海に飛び込んで 文学がいつも僕を殺すのも同じ理由 音楽が差し伸べる手は 無味乾燥した冷たくてゴツゴツした手 僕は手汗で滲んだ己の手を返す もらった分だけ返したいと願うから 手首を落とそう 足首も耳も切り落とそう それから何を渡せばこの街に何を返せるかばかり考えている 僕は音楽に生かされている 死にたい暇も与えてくれない 音楽は彼に、よく似ている
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