chimichang24

[chimichang24]

扉の重さや、扉を開ける音を、多くの人は認識せずにいる。

ただ、その無意識が自我に及ぼす影響は少なからず存在するだろうと思う。

-----

理想の建築家の仕事は、全てを再定義することだ。

多くのノイズが、視認されないまま視界に入り込んでいく。

多くの音は知覚ないまま通り過ぎていき、多くの重さは感じられることなく通過していく。

-----

その無意識の全てを設計するのが、理想の仕事だ。

[chimichang24]

部屋をスポットライトが照らす。

扉を開けて次の部屋へ行くと、

照明は消え、次の部屋が照らされる。

-----

作りたいのはそんな建築ではなく、

もっと血の通った、

一本の赤い管のような箱。

-----

扉を開くと、

壁が波打ち、風が立ち、光が揺らめく。

静かな蛇の躯体のようなチューブ。

蛇に飲み込まれたような、

ひんやりとしたスペースを歩く。

[chimichang24]

ディテールだけじゃない。

気が狂ってノイローゼになるほど、思い詰めないといけない。

-----

熱と光と音、

色彩と手触りと香り、

躯体と設備と工事、

文化と風土と気候、

人と時代と社会、

-----

無意識のうちに形が生まれていないか、

床は、壁は、天井は平坦でいいのか、

柱は正方形が最適なのか、

窓や扉は四角でいいのか、

その全てが必要なのか、

-----

設備をどう見せるのか、

キッチンは、浴室は、洗面所は、

シンクは、便器は、洗面台は、

コンロは、トイレットペーパーは、蛇口は、

インテリアは、調理器具は、服装は、

-----

絵画が一つの傷で、

音楽が一つのノイズで崩れてしまうように、

建築は、たったひとつの弛みで崩壊する。

-----

弛みきったこの街を、建て直すのが夢だ。

それは、表現と消費、教育の回転の中で実現すると信じている。