Text
水を描くー広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしおー

【展覧会名】水を描く 【開催場所】山種美術館 【参加日時】2018.07.24 12:30~2:30
【開催情報】 入館料 一般1000円・大学生800円・中学生以下無料
【構成】第1章波と水面のイメージ
第2章滝のダイナミズム
第3章雨の情景
【全体的な感想】水という題材を、川・水面・海・滝・雨といろいろな側面から描いた日本画が展示されて、バラエティに富んだ良い展覧会だった。
期待していた奥田元宗の絵が2枚もありとても綺麗な色の作品に感嘆のため息が出た。
【感想】特に感動、気に入った作品
5。奥入瀬(秋)奥田元宗 奥入瀬(春)と比べると、秋の絵は紅葉の赤がインパクトが強く水音のイメージは感じられなかった。しかし、色彩の美しさはこの作家の魅力だと思う機会があれば「奥田元宗・小由女美術館」へ足を運んでみたい。

12.「埃及土人ノ潅漑」速水御舟 エジプト人の潅漑の様子を描いた作品。左右対称の構図で全体の画面の安定感があり、日本画という技法で描かれた異国の様子が興味深い。腰巻の紅白や岩にとまった鳥、水の表現などが気に入った要因だ。上部の空間が広くとってあるのが良いと思う。

17.「水花火(螺)」宮廻正明 今回、一番印象的で驚きをもって観た作品。「裏から1.8匁の極薄の美濃紙に絵の具と感動を沁みこませていく。表からは、水花という能装束に使われた絹を張り込み、その上から細かい網目を描きこんでいく」という技法と表記があった。全体に広がった投網(高知県四万十川の投網の漁法)の円形がまず目を惹く。背景の青色も細かい点で描かれており、美しかった。

5.「河風」小林古径 帯の緑がとても美しい。南画の描き方の水がやわらかい印象で、水につけた足が透けている様子から水の透明感が感じられる。このようにして川に縁台を置き涼むというのは、現在でもしているところがあるのだろうか?もしやるのならこの女性のように着物でしてみたいものだ。

6.「緑池」竹内栖鳳 「動物を描けば、その体臭までも表す」と言われた。��の表記あり。水の上に出ている部分の写実的な書き込み具合に比べ、水の中の足の部分は墨で一筆で描いてある。その対比も日本画ならではの表現なのだろうか、興味深い。カエルが泳いでいるのだから水の中には違いないが、上部は薄いピンクがかった色で中心部の水色と緑とのハーモニーが美しい。
【他の作品について】
1.「清流」山元春挙 水の透明感が素晴らしかった、中央に1羽の鳥が素早い姿で飛んでおり透明感の中に綺麗なポイントになっていた。
2.「渡頭の春」川合玉堂 桜の木と並んだもう一本の木の淡い緑色の木の葉が良いと思った。
11.「沖の灯」小野竹喬 最晩年の渾身の作品。ブルーとピンクとグレーで描かれている。沖の灯と上部の雲の端と手前の点々(これがなになのかわからず)がピンク色で描かれている。灯はオレンジ色で描きたくなると思うのだが、ピンクなところがすごいなぁと思う。
10.「鶺鴒」前田青邨 セキレイのフォルムが綺麗。羽の前部分が一直線で飛んでいる鳥の速さが良くわかる表現だと思う。
22.「生々流転」橋本関雪 全体の大きさがとても長い屏風で壮大すぎて美術館のスケールで観るには限界があると思った。個人的見解「壮大すぎてわけわからん」
27.「伊勢観龍門滝図」小堀鞆音 滝を見ている女性の衣装が興味深い。フード付きの上着みたいなやつで手も袖で隠していてレインコートかポンチョみたい。
28.「冷夢図」山元春挙 画じたいはとても地味だが表装がモダン。市松模様の縁取りになっていてカッコイイ。
46.「水声雨声」川合玉堂 玉堂の描く人物はとても親しみ深い。この絵でも菜っ葉を抱えたおばさんがなかなか良い。
47.「山科の宿のうち、雨やどり」松岡映丘 鷹狩の途中で雨宿りしているハンサムな主人公と、のちに夫婦となるその宿の娘が瑞々しく描かれていて好感のもてる作品。男の衣装の柄がカエデで、娘の着物の柄がなでしこなのが舞台が秋なのを表現している。
52.「山澗雨趣」奥田元宋 「旅にあっても雨に遭えば又幸いである。今迄何の奇もない四辺の風景も須臾(しゅゆーしばらくの意)にして変幻極まりない仙境と化し限りない豊穣を与えてくれる」と奥田元宗は語った。との記載あり。
1 note
·
View note
Text
ジョルジュ・ブラック展 絵画から立体への変容ーメタモルフォシス

【展覧会名】ジョルジュ・ブラック展 絵画から立体への変容ーメタモルフォーシス 【開催場所】パナソニック汐留ミュージアム 【参加日時】2018.05.07 10:30~12:00 【開催情報】入館料 一般1000円、65歳以上900円、大学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料 休館日ー水曜日
【構成】序章
第1章 メタモルフォーシスー平面
第2章 メタモルフォーシスー陶器
第3章 メタモルフォーシスージュエリー
第4章 メタモルフォーシスー彫刻
第5章 メタモルフォーシスー室内装飾
【全体的な感想】それぞれにギリシャ神話の神々の名前のついた作品。最初は平面だった作品が、 平面ー陶器ージュエリーー彫刻ー室内装飾と 変容していく過程が面白かった。
気に入ったキャラクタは
《ペルセポネ》ー冥界の女王 リトグラフ、紙

《不死鳥》リトグラフ、紙

ポストカード買いました
第3章ジュエリーの説明に「平面を三次元でとり扱い、視覚による幸福をさらに触覚の幸福によって補いたい」というブラックの願望があったと書いてあった。美しいものを観たり触ったりすることの幸せを考えていた芸術家というのは珍しいのではないだろうか?
【考えたこと】
「幸福」ということを誰でも求めていると思うのだが、そこに美しい陶器やジュエリーなどの作品を創り出してくれたジョルジュ・ブラックは素晴らしいと思う。美しい芸術作品には普遍性があると思う。特に芸術に興味のない人にも「美しいものに触れて自然と感じる幸福感」はあるだろう。
「幸福」=「美しいもの」ということが、今の自分の生活にとって重要なポイントになっている。ARTや音楽の鑑賞、近所に咲いた花を愛でる、特別な外出に来ていくファッションを選ぶ、作った料理を美味しそうに盛り付ける・・・毎日の生活を丁寧に積み重ねていくことが「美しいもの」の発見につながっている。
【作品への感想】
自分は女性なので、やはり特にジュエリーには目が惹きつけられた。いろいろなモチーフのついたブレスレット《メソポタミアガイア》は「可愛い~こんなの着けたい~」と思った。鎖のかたちが可愛いんだもの!
《プロクリス》という鳥のかたちは、どの章のものも好きで、ペンダントになった《プロクリス》は赤い色でとても素敵だった。
《へべⅡ》は縦向きの波のような緑エマイユが、キラキラして緑や青の混ざった色で綺麗だ。
《三つの恩恵(三美神)》ブローチ(18金とダイヤモンド)は三羽の鳥をモチーフにデザインされていて、「恩恵を与えること、受けとること、返すことを象徴する乙女たち」が表現されている。とても美しかった。
2007年にドーム工房で制作されたというガラス彫刻が3点あり、《キルケ》という3番目の彫刻がいろんな色が混ざっていて美しかった。
第5章では「ジュマイユ」と名付けられたモザイク状のガラスが重なって絵になっているステンドグラス作品があった。ボックスになっていて後ろから光があたり幾重にもなったガラス片が綺麗だった~~。
0 notes
Text
プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画
【展覧会名】プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画 【開催場所】東京都美術館 【参加日時】2018.05.01
【開催情報】開催期間:2018.4.14~7.8 入場料:一般1600円 大学生・専門学校生1300円 高校生800円 65歳以上1000円
【構成】第1章 近代風景画の源流
第2章 自然への��美
第3章 大都市パリの風景画
第4章 パリ近郊ー身近な自然へのまなざし
第5章 南へー新たな光と風景
【感想】良かった、興味のあった、好きな作品
9.農場 フランソワ・ブーシェ (4年にわたるローマ滞在の影響がある)空の青さと農家の屋根に集まっている白い鳥がきれいだった。2階から撒いている水の細い白い線が良い感じ。
21.夕暮れ ジャン=バティスト=カミーユ・コロー (コロー自身が「スヴニール(思い出)」と呼ぶ作品群の���とつ)全体的に暗いイメージのなか、並木の向こうの水平線が薄くピンクに染まる風景が美しい。

23.水車小屋 ギュスターヴ・クールベ 粗いタッチの筆跡の見える作品。その粗いタッチの白色の部分が良いと思った。
27.庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰 ピエール=オーギュスト・ルノワール 前景の、ルノワールお気に入りのモデルであった二二の持っている日傘のブルーが良い色だった。ストライプのドレスのピンク地に青い線がキレイな配色で好きだ。

29.パリのピガール広場 ピエール・カリエ=ベルーズ なんとなくナイーブ画っぽいと思った作品。いろいろな人々がいて面白い。市場か何かの緑のシェードが良い色でアクセントになっている。陽のあたっているところと影になっているところがあって日差しのある日の風景だとわかる。
34.パリのサン=ミシェル橋 アルベール・マルケ ★気に入った作品。全体の明るい雰囲気が良い。白すぎない白の橋のアーチが良い感じ。トラムみたいな乗り物と並木の緑色が好き。

35.冬のパリ、サン=ミシェル橋の眺め アルベール・マルケ 一見、全体がベージュ色で地味な作品だが、そのベージュの落ち着いた色合いが屋根の雪と煙の白色を引き立てている。見ていると気持ちが落ち着く絵だと思った。
37.陽だまりのライラック クロード・モネ ★★特にすごく気に入った作品。とにかくピンクがきれい!あと、木漏れ日が美しい。ずっと見ていたい絵だった。(アルジャントゥイユの情景だと考えられている)

39・白い睡蓮 クロード・モネ 睡蓮のシリーズの初期の作品ということ。全体の緑色が印象的な一枚。タッチもいろいろで興味深い。
40.霜の降りる朝、ルーヴシエンヌ アルフレッド・シスレー 屋根の青い色が良い。
44.ポントワーズの道 ポール・セザンヌ 下部分の緑もきれいだが、塀の上の緑が鮮やかできれいな色だった。
47.小川 モーリス・ド・ヴラマンク すごい!強風を感じさせる殴りつけるようなタッチ。
49.庭の家(小屋と木々)パブロ・ピカソ ピカソの風景画ってはじめて見た気がする。そんなに好みではないが珍しさに二度見した。
50.廃墟のある風景 アルマン・ギヨマン 色、色、色!!あふれんばかりの色が目を引きつけてやまない。空の薄い紫と緑と黄色!こんな色で空を描くなんてステキだ!!

56.港に並ぶヨット アンドレ・ドラン 明るい画面が印象的な一枚。こういうタッチや色使いの絵は、以前は興味が無かったけれど明るいけど下品になっていないところとか良い絵だと思う。
63。馬を襲うジャガー アンリ・ルソー ★★★今回、特に見たかった作品。ジャングルの熱帯さを感じさせる葉の描き方が好き!!思っていたより作品サイズが小さかった、もっと大きい絵を想像していた。馬がしっかりカメラ目線なのが面白いなぁ。

【全体を通しての感想】一枚ずつ丁寧に見たので、わりと気になったり、目を引かれる絵が多く良い展覧会だった。ライラックの絵、もう一度みたいなぁ。
0 notes
Text
渋谷西武 SingーSing
ヨシダナギ✖NAKED
【展覧会名】SING-SING ヨシダナギxNAKED
【開催場所】渋谷西武
【参加日時】2018.04.29 昼
【開催情報】入場料:一般・大学生500円 ※高校生以下無料 ※西武・そごうモバイル会員は入場無料。
【感想】Sing-Singの部屋の床には映像が投影されてきれいだったが、会場に入ってからのヨシダナギの写真パネルの展示してある回廊はライティングが酷かった。あれじゃぁ写真がかわいそう。



1 note
·
View note