Text
GBWCで日本3位&AUDIENCE賞を受賞した戦略と思考法:熟練モデラーではない自分が掴んだ栄光の裏側
はじめに

2024年12月14日(土)に開催されたGBWC 12th 日本決勝で3位入賞とAUDIENCE賞のダブル受賞を果たしました。 この瞬間、言葉では言い表せないほどの感動と興奮が込み上げてきました。これまでの努力や挑戦が形になった瞬間を迎え、まさに夢のような時間でした。
私がガンプラに本格的にハマったのは、コロナ禍のステイホームがきっかけでした。素組みガンプラに関しては数百体程作っていますが、全塗装を施した作品となると前回と今回のGBWC用の2体だけ、ジオラマ製作にいたっては今回が初めての挑戦でした。他に部分塗装など施して作品と呼べそうなものを含めても10体未満に過ぎず、ガンプラ製作歴が豊富とはとても言えません。
そんな熟練モデラーとは決して呼べない自分が、なぜこのような大きな結果を得ることができたのか。それはひとえに、GBWCに向けて徹底的に「分析」と「戦略」立案を行い、そして他の作品にはない、見ている方を魅了する唯一無二の「オリジナリティ」を作り込めたところが大きかったのではと思っています。
本記事では、その分析・戦略・オリジナリティをどのように手掛けていったのかを詳細にお伝えすることで、今後GBWCでファイナリストや入賞を目指している方々に何がヒントとなるようなものを掴んでもらえればと思っています。
昨年の挫折とリベンジを誓った瞬間

昨年2023年、GBWC初めての挑戦として、水星の魔女 HG ミカエリスのキットを使って綺麗め系、小改造のガンプラ単体作品で応募しました。全塗装もこの時が初めてでした。結果は一次審査を通過したものの、二次審査では落選してしまいました。一次審査通過を目標にしていたので、二次落選自体はそこまで落ち込んでませんでしたが、一方で二次審査を通過したファイナリスト作品を見たときの衝撃は大きかったです。
作品の質の高さに圧倒されたことはもちろん、自分との作風の違いにも愕然としました。二次通過の土俵にすら上がれてなかったと痛感し、自分の限界のようなものを強く感じました。
その衝撃から、当初今年のGBWCは応募を諦めようと思っていました。しかし、そんな私を奮い立たせたのは、いつも参加しているガンプラサークル「Nerima Base ガンプラ部」の部長である青木さんからの一言でした。
部のメンバーを取りまとめる青木さんから何の疑いもなく「今年もGBWC応募しますよね?」と声をかけられました。あまりも自然に、当然のようにかけられたその言葉に、憑き物が取れたように背中を押されて、再び挑戦を決意しました。
ガンプラ部への参加がなければ、昨年のGBWCにもそもそも応募もしてなかったですし、また今回の再挑戦もなかったので、こういった結果につながったことを踏まえると、本当に部活動や部長の青木さんには感謝しています。
徹底した分析と戦略:勝ち筋を探る旅
GBWCへの再挑戦を志し、「前回を超える二次審査通過、日本ファイナリスト入り」を目標として掲げて、まず最初に過去のGBWCファイナリストや入賞作品を徹底的に研究・分析しました。
そこで、いくつかの重要な気づきを得ることができました。
入賞作品の多くは、「非常にハイレベルなミキシング」や「ストーリーを感じさせる重厚なジオラマ」の作品が多いこと
それに対して、自分が好んでいる「綺麗め系の単体作品」は評価されにくい傾向があること
ファイナリストを目指すなら自分の好きな「綺麗め系の単体作品」は諦めて、「ハイレベルなミキシング」か、「重厚なジオラマ」のどちらかの選択が必要。その二択に迫られて思ったのは、私はガンダムの原作を再現するようなモデリングが好きで、いろんなキットを混ぜ合わせるミキシングはどうしても苦手ということでした。であるなら、自分が取りうる選択肢は「重厚なジオラマ」一択だろう決意。これが勝ち筋を見つけるための重要な戦略決定の一歩目でした。
ジオラマテーマ選定:爆発シーンでインパクトを追求
ジオラマで進めることを決めたので、次は勝つためのジオラマテーマ選定です。今回は「爆発」をジオラマのテーマの核に据えることを決めました。この爆発要素を取り入れたのにはいくつかの理由があります。
「爆発」はSF作品において非常に象徴的なシーンであり、視覚的にも強いインパクトを与える要素です。どんなシーンでも、爆発が起きればその場の雰囲気が��変します。この視覚的効果をジオラマに活かすことができれば、単純に良いジオラマを超えて作品に強いインパクトを与えることができると考えました。
「爆発」は元々ジオラマとしても人気テーマの一つではあります。ただ、よくある爆発の形状を作り出して蛍光塗料での塗装したものや、クリアパーツを主体とした爆発表現は味わいはあるのですがリアルという言うには程遠く、こういった定番の爆発表現ではコンテスト上位を目指す工作としてはイマイチ物足りないとなと感じていました。
何か良い爆発表現は無いものかと探求していく中で、ある画期的な手法に出会いました。ゴジラのジオラマ作品を手がけられている「よーへー」さんが使用していた「透明粘土 × LEDによる爆発表現」です。この方法は非常にリアルな爆発の再現を可能としていました。2020年ごろに一度Twitterやネット記事を中心に話題にはなったものの、その話題以降、誰もその手法を手がけた様子がなく、当然ガンプラのジオラマとして再現したものも皆無でした。その状況から、この手法を自分流にアレンジすることで、これまでに見たことがない、これまでよりも一歩進んだ非常にリアルな爆発が表現された「オリジナリティ」のあるガンプラジオラマ作品に仕上げられそう、というイメージがありありと湧いてきたのも、爆発をテーマ選定したもう一つの理由です。
あとはその「爆発」を活かせるシーンの検討です。そこで選んだのは「機動戦士ガンダムSEED」第1・2話のストライクガンダム起動シーンでした。このシーンは基地がガンダム強奪で敵襲を受けるなか、爆発とともにストライクガンダムが起動を開始するという、SEEDの中でも屈指の名シーンで、爆発とガンダムのカッコよさの両立が可能なシーンとして、今回のコンセプトにぴったりです。
このように「オリジナリティ」「インパクト」を実現する爆発表現という重要テーマを「分析結果」や「策定した戦略」からトップダウンに導いていきました。シーンや製作機体としてストライクガンダムを使っていくことは逆算で後から決まったことです。「自分が作りたいガンプラを作る」から始めることはもちろん悪いことではではありませんが、GBWCのようなコンテストで、特に自分のような高いスキルを持たないモデラーが勝ち抜いていくためには、分析・戦略からオリジナリティ、テーマ、素材といった戦術レベルにトップダウンに落とし込む、上から下へと作戦を考えていくアプローチはとても大事なことだと思います。
また、ここまでしっかりコンテストに向けた作戦を考えきれば、それは最終的に「自分の作りたいガンプラ」になる可能性も高まっているかと。少なくともここまで考え抜いた結果、「ぜひこのガンプラを作りたい!」という熱い気持��が芽生えました。
製作プロセス:技術とアイデアを融合

爆発の表現 爆発のリアリティを追求するため、先ほどのよーへーさんの透明粘土とLEDを組み合わせたテクニックを活用しました。 この組み合わせにより、爆発の光と煙が自然に溶け合うような表現が可能になります。爆発の煙には白い綿を、爆炎には黒い綿を使用することで、質感をよりリアルに仕上げました。 また、爆発の瞬間表現として、今まさに飛散しようとしてる瓦礫を爆発エフェクトに付け加えることで、さらに爆発のリアリティを上げるテクニックもよーへーさんのジオラマを参考に作り込んでいきました。
基地ジオラマの構築 基地のジオラマ部分には活かせそうなガンプラキット探して流用しました。例えば、元キットのMGストライク Ver.RMの台座をMS格納ケージとして使用し、MGユニコーンのMSケージを基地の壁として活かしました。これにより、ガンダムの世界観に即したリアルな基地の一角を作り上げました。
本体ディテールアップ ジオラマの迫力に負けないよう、ストライクガンダムのディテールにも細かく手を加えました。大きなミキシング加工はせず、主にスジボリやプラ板を追加してディテールを強化しました。原作イメージを壊さず、さりとて深みが増すようなディテールにこだわり、またジオラマ全体とのバランスを取るようにも心がけました。
撮影テクニック ファイナリスト入りするための二次審査は写真審査なので、写真の仕上がりはとても重要です。完成したジオラマをより魅力的に見せるために、撮影にもこだわりました。そこまで明るくはないLEDの光を最大限に活かすため、カメラに明るいレンズを使用したり、シャッター速度を遅くするなどして爆発光を強調しました。これらテクニックにより、写真であれば、まるで本物の爆発・炎上を見ているかのような演出が実現できました。
受賞の瞬間と学び

GBWC募集の5月から8月の約3ヶ月をかけてついに作品が完成し、応募を終えて待つこと1ヶ月半、1次審査、そして2次審査を通過したことを知ったとき、ほっとした気持ちと同時に、目標としていたファイナリスト達成という大きな喜びが込み上げてきました。
さらに迎えた2024年12月14日のGBWC日本決勝では、日本3位とAUDIENCE賞を受賞することができました。当初想定していたファイナリストという目標を更に上回る結果となり、自分のこれまでの取り組みが功を制して、大きな成果を導いてくれたと感じました。
特にAUDIENCE賞については、多くの方がWebにアップされた写真をもとに一般投票されるので、写真を通じた視覚的インパクトやテーマの分かりやすさを訴求することができたことが、今回の受賞の大きな要因だと思っています。
反省点と日本1位作品との違い
大きな結果は得られたものの、反省点もたくさんあります。例えば、私はエアブラシ環境を持っておらず、ジオラマは主にスプレー塗装、ストライクは筆塗りで対応しました。
筆塗りはどうしても筆の塗りムラが出やすく、そのムラを「味わい」「作家性」に昇華させられれば、作品にプラスの効果を与えられますが、私の塗装技術ではそこまで到達できず、単純にムラが目立ってしまったことは決勝の審査で評価を下げた要因の一つだろうなと感じています。
一方、1位を獲得したFAグリーンさんの塗装は本当に見事でした。特に、ミキシングで複雑に部品が入り混じった背面の羽根部分に施された美しいグラデーション塗装は圧巻で、塗膜も非常に綺麗でした。モデラーとしての実力の差、熟練度の差を痛感せざるを得ませんでした。
また決勝は実物審査だったのですが、ここでも大きな差を感じました。私の作品もジオラマ込みでそれなりの大きさはありましたが、1位のFAグリーンさんの作品は、体積比で2・3倍はありそうなサイズ感でした。
もちろん、作品の大きさが審査の主要要件ではないと思いますし、質が伴わなければ意味がないでしょう。ただ、展示された現場で実物を目の前にした際、作品の大きさが与える力強さといった印象の影響は軽視できないと強く感じました。ここでも、何度もファイナリストを経験しているFAグリーンさんと、私の間にある大きな差を実感しました。
素晴らしいガンプラ作品を製作され、日本1位を獲得されたFAグリーンさんには、ぜひ世界決勝でもその実力を遺憾無く発揮して世界決勝上位賞を獲得いただきたいと、心から願っています。
まとめ:GBWC挑戦者へのメッセージ

GBWCで上位入賞を目指すのであれば、過去の作品の研究、審査で評価されやすい作品・作風の傾向の分析・理解が非常に重要です。それに加えて、今回の爆発演出のようなオリジナリティのある新しいアイデアを取り入れることで、審査員や観客の心を引きつける差別化が欠かせません。今回、そこをしっかりと追求できたことが、目標を超える大きな結果につながったのだと思っています。
またコンテストを勝ち抜くため���最初から「自分の作りたいガンプラ」を軸にするのでなく、過去のファイナリスト・入賞作品の分析、そこから戦略立案、オリジナリティ追求とトップダウンにアプローチして作戦立て、その結果「自分の作りたいガンプラ」となって情熱を持って取り組んだことが、熟練ではない私のような一般モデラーでもGBWCで上位入賞を果たすことができた大きな要因だと思っています。
一方で、ガンプラ製作は一度きりの挑戦で終わるものではなく、継続的な努力と成長も重要となる世界です。戦略や作戦の工夫ももちろんとても大切ですが、日々の技術向上を積み重ねて、精度の高い作品が生み出せることもまた重要だと改めて感じました。FAグリーンさんのような熟練した技術は、まさに審査結果を更に上位に押し上げる原動力となるものだと実感しています。
以上が私の今回のGBWCの取り組みの詳細になります。今回挑戦してきたことが、これからGBWCに挑戦する皆さんのヒントやモチベーションとなり、ファイナリストや上位入賞を目指すための力となることを願っています。
1 note
·
View note
Quote
確立されていない技術に対してどれだけトライアンドエラーを繰り返すことができるか たくさん失敗した分だけ、早くノウハウを得ることができる。
先日倒産したメモリメーカーの友人と飲んできた話
そうだよなぁ。結局どれだけ失敗できる余裕を持たせられるかが勝敗をわけるんだよなぁ。
フィードバックループ重要。
13 notes
·
View notes
Text
扇風機を買いに
この時期に扇風機が壊れたので、会社帰り扇風機を買いに秋葉原へ。
前日のうちに良さそうな機種を探していて、少し高いけど静音で評判の良い東芝の「SIENT」を買おうと意気込んでいた。
ところが、秋葉原の家電屋をいくつもまわるも、SIENTどころか普通の扇風機すらどこも売り切れ。あの羽が無いで有名になった超高額のダイソン扇風機まで同じく売り切れ。節電ブームなので多少の覚悟はしていたものの、ここまで無いとは。
出荷時期がうまくかみ合ったのか、充電式の扇風機だけは沢山あった。普通の扇風機に比べて充電以外の機能性は低く、その割に高額だったので今回はパス。
いろいろ巡って、なんとかオノデンにミニタワー型扇風機が展示品限りで残っていた。壊れた型の扇風機にも似ていたので、しかたなくそれを買って帰ったとさ。SIENTは諦めかなぁ。
2 notes
·
View notes
Text
iPhoneゲーム「REGENCY Lights」をリリースしました

以前、REGENCY King's Valleyのアップデートを紹介しましたが、そのREGENCY King's Valleyと同じブランドの作品「REGENCY Lights」を先週リリースしました。
REGENCY Lightsは、日本では「水玉潰し」の名前で人気のWebゲームを、REGENCYブランドの世界観でアレンジしたiOSゲームです。REGENCYブランドの落ち着いた空間の中で「水玉潰し」の爽快で奥深いゲーム性が楽しめます。無料版もありますので、iPhone/iPod touchをお持ちの方はぜひダウンロードしてプレイしてみて下さい。
今回は2011年2月あたりから企画がスタートしました。途中3.11を挟み開発は少し難航しましたが、開発関係者に大事はなく、無事先週リリースに至ることができました。
今回は開発序盤に@kzsgにジョインしてもらい、2人体制で進めることができました。それまで出来なかった意見を交換しながらの開発を行うことができ、とても充実した開発ライフを過ごせました。
大きな開発は既に終わっているので、今はまた基本的に1人で作業しています。契約、事務、広報など慣れない作業もこなしつつではありますが、これからもアップデートなど頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
20 notes
·
View notes
Text
「ビジョン駆動プロダクトオーナー」というタイトルで講演しました
Agile Japan 2011 愛媛サテライトにて「ビジョン駆動プロダクトオーナー」というタイトルで講演させてもらいました。 ということで、当日の発表資料を貼っておきます。
ビジョン駆動プロダクトオーナー
View more presentations from MORITA Hideyuki
社会人としてプログラマになってからはあまり地元と関わる機会もなくやってきましたが、ここへきて愛媛の技術者層の空気感に触れられて非常に嬉しい気持ちになりました。
東京と愛媛は決して近くはないのでそう簡単には来られないかもしれませんが、私に協力出来ることがあれば、ぜひまた呼んでいただけたら幸いです。
3 notes
·
View notes
Text
iOSアプリ REGENCY King's Valleyをアップデートしました
私が仕事として手がけているiOSアプリ「REGENCY King's Valley」のVer 1.2アップデート版を昨日リリースしました。
アップデートのウリとしてはCPU新キャラによる対戦ラインナップの充実ですが、その他に今回から英語対応することで全世界でのリリースを実現しています。単純にユーザ層増加が見込めるため、Game Centerのオートマッチ対戦できる可能性もアップするかも...?、 いやそうなるよう頑張ります!
現在アップデート記念特別価格115円で販売中ですので、まだお持ちでない方は是非この機会にダウンロードしてみて下さい。
1 note
·
View note
Text
tumblrにブログを移行します

今日からtumblrにブログを移行します。
旧日記もtdiary.emeitch.comで見られます。
各日記へのリンクもいちおう生きています。
引き続きよろしくお願いいたします。
2 notes
·
View notes
Quote
DCIによってプログラマは、エンドユーザのメンタルモデルと直接的につながることができるようになる(このことは、単に顧客がプロセスやツールの代わりに、エンドユーザとのインタラクションに従事できるようにするということを凌駕している)。したがって、顧客が持つ共通語彙を使用し、顧客と並んでコードを読むことができるようになる(契約交渉よりも顧客とのコラボレーション)。
DCIアーキテクチャ - Trygve Reenskaug and James O. Coplien - Digital Romanticism
2 notes
·
View notes
Quote
プログラマもまた人間なのであり、ユーザの要求に対する理解とコードに対する理解を紐づけることができていて欲しいのだ。
DCIアーキテクチャ - Trygve Reenskaug and James O. Coplien - Digital Romanticism
3 notes
·
View notes
Quote
事実、オブジェクト指向プログラミングにおける先駆者たちの目的は、エンドユーザのメンタルモデルをコードにおいてとらえることだった。
DCIアーキテクチャ - Trygve Reenskaug and James O. Coplien - Digital Romanticism
4 notes
·
View notes
Quote
「顧客開発モデル」とは、事業成功への足がかりは、起業家が描くビジネスアイディアと市場のニーズが一致することをまず最初に仮説と検証を繰り返すことによって証明し、イノベーターやアーリーアダプターの中から、製品のエバンジェリストとなるべきユーザを獲得することだと定義した、現代のすべての起業家が学ぶべき起業術です。
About us | "Lean Startup Japan"
1 note
·
View note
Quote
ニーチェは永劫回帰を直感的、文学的に語っているために、その体系的な意味合いは不明瞭である。おそらくニーチェ自身も十分消化し切れてはいなかったであろう。 ただ、宗教的な意味合いにおいては、永劫回帰はキリスト教的な来世や東洋的な前世の否定であり、哲学史的な意味合いにおいては、弁証法の否定と解釈できる。ニーチェは永劫回帰を説き、弁証法を否定することによって、近代化そのもの、社会はよりよくなってゆくものだという西洋的な進歩史観そのものを覆そうとしたのである。弁証法は、近代哲学の完成者といわれるヘーゲルの基本概念であり、これを否定することは文字通り、近代哲学を覆そうとする試みであった。ニーチェの永劫回帰の思想は、ポスト・モダンの近代批判に大きな影響を与えることになる。 すべての善悪、優劣は人間の主観的な思い込みに過ぎず、絶対的な善悪だけでなく、相対的な善悪も否定する、価値相対主義の極限という点では、ブッダの諸行無常・諸法無我、荘子の万物斉同論に近いかもしれない。絶対正義を語るキリスト教の強い西洋思想というよりも、東洋思想によく見られる発想である。が、仏教については諦観だとしてニーチェは否認しているので、永劫回帰はもっと能動的である。すべてのものは平等に無価値であり、終わりも始まりもない永劫回帰という究極のニヒリズムから、運命愛にいたり、無から新価値を創造、確立する強い意志を持った者をニーチェは超人と呼んでいる。しがらみも伝統も秩序もまったくの無であるということは、そこからあらゆる新価値、新秩序が構成可能だということである。
永劫回帰 - Wikipedia
3 notes
·
View notes
Quote
メンタル・トレーナーの岡本正善氏の心に響く言葉より… 真剣に悩み、必死で努力しているのに、泣かず飛ばずで、大した成果が出ないことがある。 落ち込んだり、ドツボにはまってしまい、考えすぎて動けなくなったときや、 一つのことしか見えなくなって余裕を失ったときなど、たまには自分を笑ってみるのも手です。 笑うことによって問題の渦中から抜け出し、客観的な距離が取れるからです。 ただアハハと笑ってもむなしいので、アナウンサーになって実況中継します。 「悩んでおります。ドツボにはまっております。おおっ、ようやく次の動きに出るのでしょうか。 いやいや、引き返してまた頭をかかえております。」 「これはもう、とことん悩みぬくしかないようです。 飯抜きで悩むようです。これは飯代の節約になります」 「焦っております、焦っております。時計を見てはイライラしております」 「今回は相当キテます。ああっ、机に足をぶつけました。 かなり腹立たしい痛みを味わっている様子であります」 不思議と気持の切換えができ、自分のリズムを取り戻すことができます。 『「打たれ強さ」の秘密』青春出版��より、抜粋転載
自らを実況中継する|人の心に灯をともす
1 note
·
View note
Quote
<幸福感の3つのタイプ> 【幸福感持続時間:短】 快感…常に「もっと、もっと!」とさらに強い快感を追い求める。 【幸福感持続時間:中】 情熱…「フロー(by ミハイ・チクセントミハイ)」とも呼ばれる。「最高に集中している時に最高のパフォーマンスが出せる」というもので、時間の感覚がなくなる。 【幸福感持続時間:長】 崇高な目的…自分にとって意義のある自分自身よりも大きなものの一部になることで得られる。
自分のキャリアの舵を自分で取ろう! 「幸せ」とは何か?高い顧客満足度を誇るザッポスのCEOが説く幸福論
9 notes
·
View notes
Quote
たしか、ロシアの作家ドストエフスキーの「死の家の記録」だったと思う。囚人に苦役を科し、土の山を別の場所に移し、またもとの山に戻すといった仕事を繰り返させたら、数日で首をくくって死ぬだろう、といっている。 これほど残酷な仕事はない。目的や意味があれば、たとえ苦しいことでも我慢する。だが、まったく無意味なことを自分で知っていて、しかも努力することはできない。それを強制されれば、ついに自分が自分自身に反抗するようになる。瀬戸内海の岩国で魚をとる人たちのニュースを読んで、思わずこの話を連想した。 岩国では汚染源の東洋紡の工場が、海でとった魚をすべて買い上げることにきめた。明け方、漁船が帰ってくると、工場のトラックが待っている。魚種ごとに魚の目方をはかったあと、工場にはこび、タンクに汚染魚を捨てる。悪臭を放つ魚に、市場値の金が払われる。 はじめのうちは、取れば取るほど金になるので、精を出して出漁する人もいた。が、やがて漁師たちの疑いがふくらんでくる。毎日、海に出るのは、捨てるための魚を取るためではない。金になりさえすればよいと、いつまでも割り切れるものではない。たとえささやかでも、自分の仕事に何らかの意味がなくては生きていけない。 「何のための人生か。漁民だっておいしい魚を食べてほしいのだ」「情けのうて涙が出ます」と口々に訴える声は胸をえぐる。(昭和48年6月16日。朝日文庫より)
特集・人生の目的 「なぜ生きるか」問われている時代
1 note
·
View note
Quote
最後に、ドラッカーの言葉を引用します。 企業の目的としての事業が十分に検討されていないことが、企業の挫折や失敗の最大の原因である。 逆に、成功を収めている企業の成功は、「われわれの事業は何か」を問い、その問いに対する答えを考え、明確にすることによってもたらされている。
ドラッカー図解: 意思決定と企業の使命 – ビジュアルシンキング
1 note
·
View note
Quote
「パチンコ好きの脳の中」 パチンコ好きの人については、当たりが出るとβ-エンドルフィンによって「安堵」の快感をもたらします。 しかもパチンコをよくする人ほど分泌量が増えるとも。 大当たり=興奮状態にと思いがちですが、実は、リーチがかかると大当たりを予期して興奮し、期待通り大当たりすれば、β-エンドルフィンの分泌量が増し沈静効果となって「ほっとする」わけです。 つまりパチンコにはまる人は、「ドキドキして楽しい快感」よりも「ほっとする快感」にはまってしまうのです。
theatre SEISIN | ■β-エンドルフィン
1 note
·
View note