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酔いどれベストアルバム2017(邦楽編20位~1位)
自己ベストを肴に2017年の思い出語り備忘録。現在12位までだらだら喋りました。
20位. 児玉真吏奈『つめたい煙』

彼女を始め、いかんせん花おこしや黒岩あすかなど難波ベアーズに出演が多い大阪の女性ミュージシャンが今年連続して作品を出したことには驚きました。単に出ているライヴハウスが共通しているだけでなく、いずれも羅針盤・渚にて・LABCRYなどいわゆる“うたもの”の血を引き継いだ色濃い大阪の景色が見えてきます。彼女にとって全国初流通の本作。ピアノ弾き語りをベースにウィスパーな声とフォークソング的な歌詞世界・メロディの部分は全体に共通していますが、シンセサイザーの打ち込みと後ろで鳴るノイズが時折収拾がつかなくなり暴走する。その身体と感情を引っぺがすような宙に浮いた心地が新鮮です。それは森田童子やシド・バレットのようなわずかな期間で最大限に煌めいたアシッドな輝きとの類似性も感じましたが、今後の期待ありきてまだまだ秘めた可能性がありそう。2010年代も後半になってこんな人が出てくるなんて。
19位. mogsan『月と健康』

2月発売ですが、年の瀬に友人から教えてもらって一気に魅了されました。2014年結成4人組バンドによる初アルバム。初期のbonobosや『Q』~『IT’S A WONDERFUL WORLD』時のMr.Childrenを思わせるオーガニックだがしっかり黒いサウンド・グルーヴと、山内健司(Vo,G,P)のハイトーンでシルキーな声からは生活の匂いがしてきます。
さらに“さぁ寄りな みな集まりな 鍋を囲もうよ”「鍋」、
“とつぜん雨、駆け込む���書館で読む。『縄文人の暮らし』”「恋する縄文」
など歌を届ける先がありありと見えてくる、語りかけるような美しい言葉選びが素晴らしい。また「月と健康」では秘密や過去を抱えながらそんなこと億尾にも出さずにそれぞれ生きている人たちが悲壮感なしに優しく描かれています。“からだにいいものたべて 元気でいてね それだけでいいさ”という一節の歌詞には、思いやるが上に確実に存在する人と人との距離というものが表れているようでぐっときます。また「月と健康」はMVに登場するOLと少年の距離感もたまりませんね。もう少し早く出会っていたら自分の中でかなり大きな今年の1枚になっていた気がする。早くライヴ見に行こう。
18位. ハンバートハンバート『家族行進曲』

ハンバートは毎作素晴らしいのですが特に『むかしぼくはみじめだった』(2014年)以降、『FOLK』(2016年)~本作と、自身の経年を楽しむかのようにその時々のライフスタイル・心情がそのまま歌に反映されることで普遍性がぐっと増した気がします。アルバム制作を進めていくにつれ家族をテーマにした曲が多いことに気付いたことから冠した“家族行進曲”というタイトル。しかし3人の子どもの両親である2人だからというコンセプチュアルなものではなく、どうやっても生活の中心になってしまう身近なものとして描かれる家族の世界。自殺から植物状態で生き延びてしまった「ひかり」や、三兄弟の末っ子が正月に親の墓へとお参りする「ただいま」などのシリアスな景色だって、軽さを持って描けてしまうのは今の日本に彼らしかいない。またそこに「がんばれお兄ちゃん」では細野晴臣と長岡亮介を迎えた演奏が加わって、その洗練された間と軽さはもう名人の領域。
17位. 伊集院幸希『New Vintage Soul ~終わりのない詩の旅路~』

2012年のファースト・フルアルバム『憐情のメロディ~This is My Story~』からめちゃめちゃ大好きなソウル・シンガーなのですが、ライヴ活動や元より情報発信も少ないためリリースの度に嬉しくなります。前作2014年の『月曜日と金曜日~Sugar Hi Junnie~』は全曲ラッパーを迎え、ヴィンテージ・ソウルとヒップホップの融合を試みた充実作でした。それゆえにコンセプトの達成が目的である部分もありましたが、それを経た本作では前作で得たヒップホップの取り入れ方をしっかり手段として完全にやりたい放題やっている感じが素晴らしいです。全曲古今東西のソウルの影響を明確に残した和モノトラックでありつつ、「Rainy Day」では太平洋戦争開戦時の音声をサンプリングしつついとうせいこうによる語りの存在感が圧倒的。「Love you Love you」は筒美京平の「可愛い嘘」「恋のチャンス」をマッシュアップしたトラックの上でHOOLIGANZがラップを乗せていく。本作で冠したニュー・ヴィンテージ・ソウルは今までソウルとして捉えられていなかったもの、また時代の中で忘れ去られたサウンドを再度ソウル・ミュージックとして見直す試みにも捉えられ、ヴィンテージですが確かな現代性を感じます。またサウンドの革新性だけでなく「プレイガール・クイーンのウエディング・ベルが鳴る」「愛のため息」では彼女のツンデレでキュートなソウル・ディーバっぷりを見せつけるようなストレートなポップ・ソングも前々作の大名曲「迷子」以来に復活しております。そんなバランスの良さという点でも大満足な作品でした。
16位. Homecomings『SYMPHONY』

結成当初からずっと一方的にファンで見ていた同世代の京都のバンドであるホムカミですが、CDジャーナル2017年8月号で取材し、2ページもガッツリ書けたのは昨年の自分の中でも最大のトピックです。初めてストリングスを取り入れ、またこれまで頑なに避けてきた“青春”を思わせる歌詞を綴った「PLAY YARD SYMPHONY」を中心とする4曲の太い楽曲群。今までとは違う目線を感じた本作について「Homecomingsのシンデレラ・ストーリー第1章完結」と銘打ちました。その期待に違わず、その後の彼らはジャケットを手掛けたサヌキナオヤと映画とコラボしたイベント”New Neighbors”やシークレットゲストにNeggicoまで招集した大阪・東京での自主企画「CASPER THE FRIENDLY GHOST」の大成功などすでに一歩ステージ登った活動を展開しているところもすごいスピード感だなと思っておりました。
15位. 平賀さち枝『まっしろな気持ちで会いに行くだけ』

平賀さち枝の歌は自分の中でまだ無自覚な悲喜交々を繊細に、救い上げるように歌う。それは季節の移り変わり、何気ない食事にほっとする瞬間などといった“情緒”に溢れています。しかしそんな歌を作っていく中でまるで自身の曲に飲みこまれるかのように、感受性を機敏にするあまり激しくなる感情の起伏もあり、新作に向けてのリリースとしてはしばらく空いてしまっていました。そんな中3年ぶりの本作、内容はこれまで以上に朗らかで軽いポップ作品です。狂おしいまでにキャッチーで吐息すら感じられそうなほど距離の近いさっちゃんの歌が帰って来たことにグッときました。しかしその裏に“歌と心中する”という仰々しい言葉を使いたくなるほどの意固地な精神が感じられるところが彼女の歌の凄いところだと思います。
14位. Easycome『お天気でした』

ki-ftで一緒に書いているマーガレット安井さんが2016年の前作『風の便りをおしえて』の頃よりプッシュしていて長らく注目しておりました大阪の4人組。続く2ndミニアルバムとしてリリースされた本作はハイファイかつミドルテンポに統一されており、11月23日に京都GROWLYでのナツノムジナのレコ発の対バンで初めてライヴ見て、購入してからというもの今までずっと愛聴しております。ちーかま(Vo,G)の歌唱力の高いしっかりとした声がど真ん中にあるバンドであることは確かなのですが、決してボーカリスト然としておらず、収録5曲もボーカルの聴かせどころといえるようなメロディはありません。しかしあえて勿体ぶることで湧き出てくる、もどかしくくすぐったい心地はより楽曲の魅力をキュートに引き出している気がします。2017年はベランダ、YMB、YOOKsといったこれまでの関西シーンとは違った毛色のポップミュージックが続々と出てきました。Easycomeも含めたこれらのバンドが2018年さらに活躍し、関西シーン全体の色を変えてくれることに期待しています。
13位. 中川敬『豊穣なる闇のバラッド』

ソウル��フラワー・ユニオン(以下SFU)中川敬、ソロ4作目。レビューはki-ftに書きました。
現在関西音楽帖【第8回】~PICK UP NEW DISC REVIEW~
SFUは自分にとって神様的な存在。自分が初めて音楽の文章を書いたのも『キャンプ・パンゲア』ツアーのレポートでした。なので2012年以降の作品はもれなくレビューを書き残しております。
・ソロ3rd『にじむ残響、バザールの夢』(2015年)
・ソウル・フラワー・ユニオン『UNDERGROUND RAILROAD』(2014年)
・ソロ2nd『銀河のほとり、路上の花』(2013年)
今年はソウル・フラワー・ユニオンの定期ライヴだけでなく、盟友リクオさんとのうたのありかツアー11月20日の公演(ゲスト:TOSHI-LOW)も見に行けました。ki-ftのレビューの中でも“ロックバンドのフロントマンによるサイドワークスではなく完全に両輪ありきのライフスタイルにシフトしている。”と書きました。しかし本作の印象やまた2017年のライヴを見ていますと、これまではバンドの規模ゆえにSFUでは東名阪(+福岡・福島)中心のライヴにならざるを得なかったところから、これまで行けなかった土地も2011年以降はギター一本でのソロツアーで丁寧に回ることで得られたものが血肉になってきたことが分かります。今まで遠くて見に来られなかったお客さんの反応、ライヴハウスよりも距離の近いステージ、元よりその土地で出会った人、その土地にしかない風景などあらゆる要素によって変わってきたのです。特に本作で描かれた詞は今までよりもずっと具体的、でもそれが中川敬自身の主張・メッセージではなく、現場主義から得られたルポタージュのようにストーリーテラーに徹している点でこれまでとは違った歌の魅力を引き出しています。盟友リクオさんも“第三思春期に入りました!”と仰っていましたが、中川さんにとってもこの作品でフォーク歌手としての自分のスタイルを確立したように思えました。
12位. 見汐麻衣『うそつきミシオ』

長いキャリアの中で拠点も福岡、大阪���東京と移り変わり。形態も埋火、MANNERSと変化させてきた。そんな自分の個性、素性、立ち位置を極力煙に巻き続けてきたように思える見汐麻衣の初のソロ名義作がこのタイトルで、またコンセプトが“歌謡曲と黎明期のニューミュージック”というのが素晴らしく、合点が行きました。9曲36分というタイトな尺の中でA.O.Rやフュージョンっぽいサウンドをまとったキャッチーなメロディは確かに歌謡曲からニューミュージックへの過渡期を思わせます(また本作の最後の曲が「1979 Midway」と明確に1979年をイメージしているコンセプトの精度の高さにもやられます)。しかし最もこのコンセプトを象徴している見事な表現力でありながら歌手としての自我を全く感じさせない見汐の歌にあるような気がします。清々しさと突き放した印象は表裏一体。曲の世界を最大限に引き出すための装置としての歌手、という役割を全うしています。シンガーソングライターというスタイルが市民権を得たそれこそニューミュージック以降の楽曲制作者と歌手が同一であること、または製作者が歌手の個性を引き出すプロデュースの関係、もしくはバンドの中にボーカルと制作者がいて共謀関係にある。そのいずれでもない歌謡曲の時代までの職業作家が書いた曲を演じる人としての歌手という構図をシンガーソングライターとして試みている点が懐かしくもあり、とんでもなく新鮮さを感じました。もちろんとんでもないポップ作品としても最高に楽しい1枚です。
11位. 吉田省念『桃源郷』

10位. 奇妙礼太郎『YOU ARE SEXY』

9位. bonobos『FOLK CITY FOLK.ep』

8位. Wanna-Gonna『In the Right Place』

7位. アフターアワーズ『2nd demo』

6位. すばらしか『灰になろう』

5位. 中川五郎『どうぞ裸になって下さい』

4位. 石指拓朗『ねむの花咲く その下で』

3位. 台風クラブ『初期の台風クラブ』

2位. 高田漣『ナイトライダーズ・ブルース』

1位. 吉田ヨウヘイgroup『ar』

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【ライヴレビュー】祝春一番2017
遅くなりましたが今年もゴールデンウィーク5月4日~6日の3日間に渡り大阪の服部緑地野外音楽堂で行われました<祝春一番コンサート2017>を見てきました。2013年から5年連続で有志スタッフとして参加。21歳の時に初めて春一番事務所に行き、もう今年間もなく26歳になろうとしております。
社会人1年目で忙しかった2014年は書けなかったですが、観客として見た2012年から例年ライヴレビューを書いています。2012年、2013年、2015年、2016年と並べて読んでいきますと、春一番というイベントの変化(1971年スタートである長い歴史の中では本当に“直近”ではありますが)、また自分の春一番の見方、ライター・評論家として分析力・筆力の上がり下がり、上京を含めた自分の周りの環境の変化も時系列で追えるものになってきました。楽しい。
●2012年
「いっちゃんええ音楽を届ける春一番」
●2013年
・春一番で見た美しい風景①~スタッフ・事務所・裏方編~
・春一番で見た美しい風景②番外編 音楽ジャーナリズムを文献調査~センチメンタル・シティ・ロマンス事件を通して
・春一番で見た美しい風景③~供養編~
●2015年
・開催前【コラム】30回目の祝春一番、GWにホンモノの風を吹かせる
・開催後【ライヴレビュー】祝春一番2015
●2016年
【ライヴレビュー】祝春一番2016
なので今年も所業、ライフワークとしてライヴレビュー書いていきます。6年目の定点観測だ。“春一番を広める!”というような大義はございません。70年代から現在まで継続している稀有な音楽イベントの“現場で鳴っている音楽をしっかり解釈して記録する”という、音楽の文章において大切な役割でありながらも、最近希薄化しているような気がする行為を自分は丁寧にやっていきたい。その行為の結果は後からついてくると思います。決して譲れないぜこの美学 ナニモノにも媚びず己を磨くんですよ。足跡からも学ぶぜ謙虚にですよ。ってそりゃRHYMESTER、関係ねぇ。
それでは参りましょう。つきましてはもう春一番というものがどんなコンサートなのかという部分は再三書いておりますので、上記これまでのライヴレビューや公式HPをご確認くださいませ。
祝春一番2017公式HP
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昨年祝春一番2016年のライヴレビューで私は最終段落にて「年々それほど大きく変わらぬラインナップに伝統化や70年代の追体験的見方をされることもあるが、風太は勝手に言わせておけばええ、こっちはこっちでおもろいことやったんねんと誇りをもって春一番を作り続ける。」という書き方をした。その上で演者の気合いの入ったステージだったり、ここでしか体感出来ない春一番の独特の空気感が大きな魅力として一貫していて、その魅力が体現されている様々な模様を毎年切り取ってレポートしてきたし、変わらない姿勢の素晴らしさを伝えてきた。そんな中での今年��これまでの姿勢は崩すことはなく、加えて70年代からずっと日本のロック・ブルース・フォークを鳴らしてきた春一番の音楽を、2017年現在にどう伝えるのかということに意識を置いている場面が多く伺えた。その点は大きな進化と言っていいだろう。そんな今年ならではの素晴らしい風景を中心に書き連ねていく。

<今年の春一番のシンボル>
毎年野音のステージ上にはその年のテーマに応じた木造の大道具が設置される。今や春一番のステージにはなくてはならないイラストレーター諸戸美和子による演者全員分をレタリングした「めくり」は定番となっているが、ステージセットとして過去には2階建ての居酒屋風のセットが組まれたり(演奏中のバンドのすぐ頭上で出演終わりの演者が2階に上がって打ち上げしているという奇怪な光景が生まれていた)、2015年には高田渡10周忌に際して生前愛用していた3輪車が吊るされていたり、毎年様々な趣向を凝らしている。今年は羽が3枚付いた大型の風車がステージに登場した。これはTHE END(4日出演)の演奏中遠藤ミチロウが雄叫びを上げる後ろで、また有山じゅんじ(6日出演)が「ぐるぐる」を演奏するタイミングなどでスタッフがよじ登り回転させるダイナミックな可動演出がなされ歓声が沸いていたが、それ以外にある明確な意味をこの風車に持たせていたのだ。各日中盤でその羽は外され、外枠の円の中に鳥の足跡を逆さまにしたような風車の骨組みで構成された、ピースマークが現れた。そうすると遡ってわかるのは3枚の風車の羽は原子力発電所のシンボルマークを示していたこと。羽が外されること(=脱原発)によって平和が訪れるというストーリーの演出は主催者福岡風太が度々口にする70年代からの春一番の基本理念、「反戦・反核・反差別」を体現するメッセージだ。羽に塗られた色も1日おきに描き加えられ3日間通して来た観客も毎日気を向かせる。逆に見れば今一度この理念を明確に打ち出さなければいけない方向に世の中が向かっているかもしれない。誰しもがハッとするような見事な今年の春一番のシンボルとなっていた。

<加川良の曲を受け継ぐgnkosaiBAND、たくさんの演者たち>
またそんな変化に加えて開催1か月前の4月5日にかねてから闘病中だった加川良が亡くなったことは大きな衝撃だった。春一番初回の71年から出演し続け、また昨年まではいつも通りの自由な佇まいで元気に歌っていたのに。また久々に『みらい』という素晴らしいオリジナルアルバムを完成させたばかりなのに。という悲しみが癒えないままに迎えた今年のゴールデンウィーク。福岡風太は初日4日のトップバッターを加川の息子gnkosai(Vo,Dr,ポエトリーリーディング)が率いるgnkosaiBANDに任せた。春一番は演者のタイムテーブルを発表せず、また11時の客入れ開場と同時に演奏が始まる。席も全て自由席だ。その中の1曲目、ゆったりしたビートで始まりドラムを叩きながらgnkosaiが歌いだした。<北の果てから南の街へ ほっつき歩いて…>一瞬加川良が歌っているかと思った。この「ラブソング」は加川の代表曲の一つ。加川を思わせる声でこの曲が始まったことに、入場門には早く中で見たいと観客が押し寄せる。加川良の不在を受け入れる覚悟をしながら、席に着きじっと耳を傾ける観客の光景が忘れられない。ステージ最後には「加川良 with gnkosaiBANDでした」と言って今年の春一番の幕開けを告げた。ここ数年でもう常連の演者となったgnkosaiだが、春一番で父との共演はなかった。加川自身が恥ずかしがって同日出演になることすら恥ずかしがるように避けている様子もあった。しかし今年初共演にして一気に加川良の存在を自らの音に乗せて観客一人一人の中に昇華してしまうようなステージだった。(前述のアルバム『みらい』では全面的にドラムとして参加、親子共演が音源で聴くことが出来る。)
また3日間の開催中、加川良の曲をカバーしたのはgnkosaiだけではない。以下に列挙しておく。
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・gnkosaiBAND「ラブソング」
・金佑龍「教訓I」(ワンフレーズ)
・MOJO CLUB Special「こんばんわお月さん」
※三宅伸治がこの曲演奏時に使ったストラトギターは本曲収録作品『アウト・オブ・マインド』(1974年)に参加しており、一昨年亡くなった石田長生のものだという粋な気遣いを見せた。
・小谷美紗子「教訓I」
・有山じゅんじ「コスモス」
・ハンバートハンバート「伝道」「あした天気になあれ」(メドレー)
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一番の代表曲といえるだろう「教訓Ⅰ」を歌ったのは小谷美紗子(5日出演)、グランドピアノ弾き語り一発、<命は一つ 人生は一回>で始まるこの曲が再び反戦歌として機能し始めている2017年の野音の空に小谷の声が突き抜けていく心地がまたよかった。また裏話だが今回誰がどの加川良の曲をカバーをするのか主催側に演者から問い合わせがあり「この人はこの曲レパートリーにあるのでやるかもしれません…/昨日はゲンキバンドが「ラブソング」やりました」としか答えることが出来ずに探り合っていたということもここに記しておこう。ハンバートハンバート(6日出演)は春一番のステージで加川良とよくコラボしていた「夜明け」から始まり、加川の曲「伝道」~「あした天気になあれ」とメドレーで繋ぐ。誰もが特にMCで思い出を語り感傷に浸るわけではなく、それぞれのレパートリーとして演奏する。それは加川が晩年ザ・ブルーハーツ「青空」や泉谷しげる「春夏秋冬」を本当に自分の曲のように気に入り歌っていたことと同じのように。それは福岡風太が度々「俺たちは懐メロやないよ/カヨー曲とはちゃう」と口にしてきたかのように。加川良の曲がそれぞれ残ったものに引き継がれ、新たな価値観でもって演奏される様が痛快だった。
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<自分の道を記録し、新たな動きを見せるベテラン勢>
少しライヴの本筋から外れてしまうが、福岡風太は春一番を作品だと言う。自身のアウトプットとして春一番という野外コンサートを作り続けてきたことがそのまま足跡になっているが、彼の世代は紛れもなく日本のロック・フォーク・ブルースを最初に定義し生み出してきた世代だ。春一番に関連のある人物の中でも近年各々がその足跡を残す動きをしていることは注視しておく必要があるだろう。昨年は春一番の会場にも姿を見せていたベルウッド・レコードの三浦光紀は2012年の創設40周年頃から「三浦光紀の仕事」としてトークイベントや本の出版、またリイシューを手掛けるなどの活動を活発化させており、45周年となる今年は10月に記念コンサートも予定されている。その三浦のアシスタントからキャリアをスタートさせ、シュガー・ベイブ(及び山下達郎、大貫妙子)や福岡風太も長らくロードマネジャーを務めていたセンチメンタル・シティ・ロマンス、またフリッパーズ・ギター、L⇔Rなどを手掛けた音楽プロデューサー牧村憲一はいわゆる90年代渋谷系までの足跡も含めてハイペースで書籍の執筆や自身の体験を語るイベントなども行っている。またより春一番との関連が深いところで言えば毎年入口付近で雑誌“雲遊天下”や関連本・CDの物販を出しているビレッジプレスの村元武は大阪労音に参加し、URCでの“フォークリポート”に参加していた60年代から、80年代まで関西の音楽・演劇・お笑い・映画などカルチャー全般に大きな影響を残した“プレイガイドジャーナル”の創刊から会社を離れるまでの回顧録を昨年と今年に分けて2部作に渡って発表している。2冊とも必読。(「プレイガイドジャーナルへの道 1968~1973」「プレイガイドジャーナルよ1971~1985」)。また長年ミュージシャンや芸人などを撮り続けてきた写真家・糸川燿史は御年83歳で病気とも闘いながら、すでに話芸に達しているほどの流暢で柔和な喋りでもって今なお写真展やトークイベントで自身の経験を伝えている。現在大阪・北浜で行われている90年代の「マンスリーよしもと」で撮られた写真展「糸川燿史写真展・大阪 芸人ストリート」が行われている。今週末までの開催なので関西方面の方は是非行っていただきたい。(私も行きたくてしょうがない…)
上記はいわば裏方的な活動をしてきた方たちが自分の口で、あるいは文章・イベントで形に残す活動だったが、一方で演者の中でも久々に新しいアルバム作品に取り組む動きが出てきており、春一番のステージでも新鮮な姿が感じられた。初回からザ・ディランⅡとして春一番の顔的役割を果たしている大塚まさじは現在約17年ぶりのスタジオアルバムに取り組んでいる最中だ。一緒にバンド月夜のカルテットで活動していた島田和夫(ex憂歌団)が2012年に自死で亡くなったことから発起。新たな曲作りに踏み出し、ようやく今年はアルバムという形になる過渡でのステージだったがアルバムに収録されるだろう「いのち」から、代表曲「男らしいってわかるかい」まで披露、99年の西岡恭蔵の自死を始め様々な仲間に先立たれ残ったものとして、いつだってラストの覚悟、ただ最後まで歌い・生きるということでは不変で例年通りの図太いステージだった。そんな大塚と好対照なのは春一番を1年間の活動報告と捉え、毎年バンドの体制や曲を変え続けている中川五郎。彼も久々にオリジナルアルバムとして下北沢ラカーニャでのライヴ録音2枚組の大作『どうぞ裸になってください』を先日リリースしたばかり。それを受けて今年は、録音メンバーの沢知恵とハンバートハンバートの佐藤良成を迎えたどうぞ裸にトリオでの出演だった。長いキャリアの中でも「一台のリアカーが立ち向かう」、「風に吹かれ続けている」など、正しく現代のプロテストフォークと言える楽曲の制作に取り組み続けており、常に衝撃と説得力でもって響いてくる。昨年のセンチメンタル・シティ・ロマンス中野督夫らとのバンドTo Tell The Truthでのステージでも披露し、安倍晋三の東京五輪誘致スピーチに曲を付けた「Sports For Tomorrow」も、昨年は会場中をそのアイロニーのセンスに爆笑と“やったれ!”、“ええぞ!!”の野次に包まれていたが、一年経ちより現政権が暴走する現状にこの曲は全く笑えない。“世界有数 安全な都市 東京”なんてどの口が言うのかという怒りを込めた合唱が会場で起こっていた。アコギをかき鳴らしながら、無理矢理に音を歪ませ、暴れ倒すステージング。今なおフレッシュな中川五郎の凄味が存分に感じられた。
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<初のトリを任された金佑龍>
一方で前述の初日トップバッターgnkosaiBANDしかり、今年の春一番ではベテラン勢の息子~孫世代にいつになく大役を与え、その期待を見事に果たしていたところも素晴らしかった。金佑龍(4日出演)はバンドcutman-booche時代から春一番には出演していたが初のトリを任された。これまでバンドやオカザキエミ(moqmoq)をサポートに迎えた形での出演が多かったが、今年は客席中央に設けられたへそステージで、一人弾き語りで臨んだ。日が陰り、西日が昼間っから酒の入った客席を容赦なく照り付ける中の出番。自分の曲は酒に合うからと言ってステージから会場後方のドリンク売店のイカ��商店に「お金僕出すんで、この曲の間だけお酒半額にしてくれませんかー!?ハッピーアワー!!」とお願いし、場景にばっちりな「暁の前に」を歌い始める。ヒップなラプソディーを歌う今年の彼の姿には、デビュー当時から度々引き合いに出されていたG・ラヴの近年ルーツに回帰しつつある動きとますます重なる。人たらしな性格も含め客の心を見事に掴んでいた。最後に演奏したのはすでに彼のレパートリーとして欠かせないフィッシュマンズのカバー「ナイトクルージング」。最後のMCで「「生活の柄」とか歌った方がいいんかもしれないですけど、自分のルーツはやっぱりここやから。いい曲だから聴いて��しい」と、福岡風太の養子になりたいとまで言うほどに春一番を愛しているウリョンだからこそ、トリの大役に敬意を払って自分のやりたい曲をやって締める姿が印象的だった。
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<今年のニューカマーにしてMVP、アフターアワーズ>
また孫世代として今年初出演だったアフターアワーズ(6日出演)は間違いなく今年のMVPだろう。昨年結成されたばかりだというショーウエムラ(Ba,Vo)、ドナ・タミハル(G)、上野エルキュール鉄平(Dr,Vo)による3人組。このバンド名は春一番とも縁が深い上野の父がやっている梅田のバーの名前から。上野については幼少期から春一番に連れてこられていたという。メンバー3人ともが有志スタッフとして以前から参加しており、今年満を持して福岡風太に直談判し、ライヴに来てもらい認められ念願の抜擢となった背景がある。アフターアワーズの結成と春一番にかける思いについては、ショーウエムラのブログを見ていただきたい。
ショーウエムラのジョーホー:祝春一番2017
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福岡風太にアフターアワーズの出演について後日聴くと「聴いたらわかるもん。ハルイチの客も納得さすて」とのことでした。そんな最終日6日は予報の通り開演直後から雨に見舞われていたが、彼らの出番直前に突如雨が上がり雲の切れ間が見えた、天は彼らに味方した!福岡風太から「ぶちかませ!アフターアワーズ!!」と紹介され勢いよく飛び出す。言葉を吐き捨てていくボーカルと、手グセ感が強くもメロディアスなベースライン、たどたどしい立ち振る舞いのショーはTheピーズやキャロル、甲本ヒロトを。若干23歳にしてパブロックやロカビリーなどに影響を受けたスイングするギターを、全力で暴れながら弾きこなすタミハルはストレイ・キャッツや国内で言えば台風クラブ。粗削りに見えて、的確に必要十分のビートをついてくる上野鉄平は初期LOST IN TIMEを、とそれぞれが思うロックの理想形の要素を端々に残しながら、とことんシンプルで初めに衝動ありきで仕上げたロックンロールに胸がすく。中盤上野が幼少期からの春一番との関わりをMCで話、友達について歌いますと言って始めた「あべのぼるへ」。言わずもがな長年福岡風太と共に春一番を支えた名物音楽プロデューサーあべのぼる(2010年死去)について歌っている。遠藤ミチロウの「大阪の荒野」、AZUMIの「河内音頭あべのぼる一代記不常識」で歌われ、またハンバートハンバートがあべの楽曲「オーイオイ」「何も考えない」をカバーしているなど、今なお春一番の演者の楽曲の中で生き続けているが、間違いなく彼らがあべの遺伝子を継承する最後のミュージシャンだろう。そんな春一番の客に一目置かれる場面を作りつつ、ラストは「バイバイ」、「16」と前のめりでまくし立てる歌で観客をアジりながら終了。正式音源もなく、3曲入りのデモ音源のみ。しかし終了後から物販にはそれを求める客が殺到彼らが持ってきた50枚以上が全て売れてしまった。大阪のひねたチンピラバンドが最初に音楽シーンに名を刻んだ瞬間だ。

しかしここで終わらないのが春一番。このアフターアワーズとしてのステージはフリに過ぎず、彼ら3人に用意されたのは3日間のフィナーレを飾るバンド、THE WINDとしての舞台だった。出演者発表の早くから名前が出ていたTHE WINDだが当日までメンバーが誰で何者なのか明かさぬままを本番を迎えていた。その正体は福岡風太がドラムを叩くバンド。だからTHE WIND(風)。その風太を支えるバンドメンバーとしてアフターアワーズを招集したのだ。福岡風太がドラムに座り大歓声の中、ゲストボーカルとしてまずリトルキヨシを呼び込んで高田渡「生活の柄」、ROBOWの阪井誠一郎が歌うザ・ディラン「プカプカ」とラストにふさわしいスタンダードナンバーが演奏される。そして最後は会場にいる演者全員をステージにあげボブ・ディランの「I Shall Be Released」を歌い繋いでいく。間奏では豊田勇造、AZUMI、ヤスムロコウイチの間に挟まって、タミハルもギターバトルに参戦し、対等に渡り合っていた。さらにボロアコースティックギターを持ってきて振り下ろして叩き割るパフォーマンスもやってのけ、周りのお膳立てもある中でしっかり魅せる役割を果たした。当のドラムを叩いていた福岡風太は早々に疲れてステージ横に退散してしまっていたが、最後は中央に立ち中川五郎と1つのマイクで歌い、ぐだぐだへろへろのジャンプで曲を終わらせ、生き残され組やなぁ俺らとつぶやきつつ「解散!」の一言で今年の祝春一番は終焉した。
<まだまだある、名場面>
これまで書いてきた以外にもたくさんの美しい風景があった。かまやつひろし追悼で「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を歌った金子マリpresents 5th element will。へそステージに上がり「雑居ビルの4階、でたらめな酒場…」と徐々に喋りのグルーヴを作っていき、笑いをかっさらい、酒をぐっと飲んで「春一番2017へよぉこそー!」と怒鳴るとこれ以上にない観客一体の歓声が上がる出演者の中で唯一の芸人、ナオユキ。今年は本編中の出演がなく3日間とも開場前に客が並ぶ野音前で演奏していたが、最終日には転換の間に風太から「こいつら歌わしたって」と本編に出演させる粋な計らいで本編に登場したブルースデュオ歌屋BOOTEE。今年のぐぶつは2日目のトップバッターで登場し、そのまま豊田勇造→アチャコ&ミキまで出ずっぱりで音楽の闇鍋状態をバックでしっかり支えていた。AZUMIはイタコ的に先日亡くなったチャック・ベリーを自分に降臨させるギター一本での長尺フリースタイル・ブルース「アズミ説法」を展開。関西弁のチャック・ベリーがAZUMI自身に薫陶説きながら「ジョニー・B・グッド」を日本語で歌う。盛り上がる内に上がった雄叫びはあべのぼるを降臨させる。働くなちゅうとんねん!!!金なんかあるとこから盗ったらええねんあほんだら!!!歌え!!!アズミ!!!…AZUMIに影響を与えた故人に向けたレクイエムは酒臭い夕方の会場の空気をぐっと引き締めていた。ステージ以外の場面でも、会場入り口のチラシ置き場にはつぶれた銭湯からもらってきた下駄箱が活用されていていい味を出していたり、珍しくイベントグッズとして出演者が載ったトートバッグを売っていたり(余談ですが300枚作り、スタッフみんなで「誰が買うねん」と言ってたものの、初日から凄い勢いで売れすぎてしまって、各日の数量を制限することとなりました)。2日目のトリ小川美潮Rhythm &meでは珍しく福岡風太自身が会場最前列で身体を揺らして踊っていたりetc…書き尽くせない光景を見ることができた。
3日間通して伝えるべきもの、残すべきものが明確に観客に伝わるような演出、出演順、会場運営がなされていて、巷の寄せ集めフェスとは全く違うことを例年以上に感じることが出来た。今年はMBSちちんぷいぷいの取材も入って15分に渡って番組内で特集されたり、またそもそもここ数年60~70年代の日本の音楽が聴きなおされシティポップとして再解釈されていることもあるのか徐々に若い観客も増えてきたように、春一番の良さが外に向かって��れ渡っているように感じる。1971年の初回開始から46年、回数にて32回。まだまだ春一番は進化を続けるとしておき、また来年に期待しよう。終了後数日経って福岡風太のものを訪れた。その時に言ってくれた言葉を記して本稿を締めよう。
「今年こんだけおもろかってんから、来年もっとおもろせなあかん。大変やで」
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過去記事アーカイブ「25周年記念!Theピーズのここ10年(2012年)」
この文章は5年前の2012年、当時21歳の私・峯大貴が勝手に一人でやっていた音楽誌「HITORI JAMBOREE Vol.2」で書いたピーズ25周年時の考察記事です。
「HITORI JAMBOREE Vol.2」
http://p.booklog.jp/book/53666
まだ自分自身が書ける媒体もなかった大学3回生、ライター講座in京都に参加したかしてないかくらいの時期かと思います。
この度2017年Theピーズ30周年ということで武道館公演が来週にせまりました。
ピーズに対して並々ならぬ思い入れがある私としましてはもうそわそわしているのですが、
そこでふと5年前に書いたこの記事の存在を思い出し、以下に転載いたします。
この当時同じくロッキングオン・ジャパンの投稿欄に初めて記事が載り、だいぶ調子にのってます。語調からわかりますね笑
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前口上
前回から3か月ほどのご無沙汰でございます。江戸時代には天下の台所、現在は地方分権の急先鋒として天皇なき都さえ生みだしかねない街大阪の、経済を担っているベッドタウンの小さな一室から不定期でお送りしております気ままな混血音楽評論雑誌「ひとりジャンボリー」の2回目でございます。現行憲法では「都」の概念が明確に規定されていないために天皇、政治、経済など取り上げる観念によって複数都がアリナシになってしまう現状は皇室ファンの私にとっては憂うとまではいかないにしろ、ちょいと注目している訳でございます。全くの無知な私であるので動向を窺うばかりですが。一応大学では統計学を専攻しておりまして理系でございます。
関係ない話はこのくらいにしておきまして。前回のVol.1は感想も非常に多くいただきまして嬉しい限りでございます。反響・激励・要望・不満を踏まえましていくつかマイナーチェンジも致しました。その点についての言及は後口上の方に任せるといたします。
前回からの身の回りで起こったアレコレなのですが、毎年9月に開催されるくるり主催の音楽フェスティバル京都音楽博覧会が今年から実施する、ソロステージ企画の名前が「京都音博名物ヒトリ・ジャンボリー」と発表されました。…取られた!後出しジャンケンや!このタイトル気に入ってたーのにーん。と若干凹み気味です。だけどとりあえずまだこのままで頑張っていきたいなぁと。もちろん本誌の方が「くるりのアレから取ったんですか?」と言われかねませんが、そこは面倒臭がらずに「こっちが先なんです!!!!!」とイチイチ言っていきたいと思っております。しかしやっていくに連れて居心地が悪くなったら変えようかな。『神のプロレス』の後継誌が『KAMINOGE』であるように『HITOJAN』なんてどうでしょ?
今回も前回と同じ構成をとらせていただきました。特集は「25周年記念!Theピーズのここ10年」と題しまして、デビュー25周年、活動再開10周年を迎えたTheピーズの特に02年の復活後に主軸を置き語っていきます。というのも今売りのロッキングオン・ジャパン8月号のJAPAN REVIEW欄に「Theピーズ、25周年に寄せてー自分史の中でしか語ることのできないTheピーズの物語」という私の書いた記事が掲載されております。それに便乗、否勝手に連動いたしましての企画というわけです。ジャパンの方はピーズにハマったきっかけやら、ライブレポなど熱っぽくエッセイのように語っています。なのでこちら「ひとジャン」の方ではピーズの曲についての魅力をより時系列に分析・評論という棲み分けでございます。Vol.2にして一風変わった特別編!!是非ジャパンの方も合わせて御覧になっていただくとより楽しめると思います。
そして新盤ディスクレビューはちょっと取り上げるのが遅くなってしまいましたがユメオチ「これからのこと」、旧盤ディスクレビュー「エサ箱より愛を込めて…」はガールズ・ポップ・アイコン3種盛りです。以上の3部構成でお送りいたします。 それでは参りましょう。混血音楽評論雑誌
ひとりジャンボリーです!!!
◎特集 25周年記念!Theピーズのここ10年
前述しましたように今売りのロッキングオン・ジャパンのジャパン・レビューにもピーズ25周年に寄せた文章を2ページにわたって掲載させていただきました。本項はより冷静に深くピーズの曲、はるのソングライティングについて掘り下げていきたいと思っております。
基本情報をざっくり記しておくとTheピーズは87年にはる(大木温之/Vo・B)、アビさん(安孫子義一/G)、マスヒロ(後藤升宏/Dr)の3人で結成。バンドブームの煽りもありつつバカロックの一翼を担い89年にはビクターよりメジャーデビュー。1stアルバムは2枚同時リリースということからもかなり期待を受けてのデビューだが、当時は双子の弟である大木知之(現トモフスキー)率いるカステラと音楽性の上でも常に比較されていた。このアルバム発売後まもなくマスヒロが脱退し、ここからドラマーは安定せずそのつどドラマーの力量に合わせた曲を作らざるをえなくなる。バンドブーム終焉後も継続してその退廃的文学的と称される歌詞や3ピースならではのストレートなロックンロール、はるの不安定でヒリヒリとする人柄などで一部から熱狂的な支持を集める。96年にはキングレコードへ移籍するがアルバム「どこへも帰らない」発表後、長年連れ添ったアビさんが脱退し、その後を追うようにしてはるは97年「リハビリ中断」を最後に活動休止宣言。飲食店のバイトなどでギリギリ生計を立てる。音楽家としてほぼ廃業状態だったが01年にベストアルバム「ブッチーメリー」をはる自身の選曲で2枚同時発売、復活の機運が高まる中02年のロック・イン・ジャパンにてはる、アビさん、そして活動休止以前もサポートしていた経験があるシンちゃん(佐藤シンイチロウ/Dr)がthe pillowsと兼任で加入し復活。今に至る…
というのがおあつらえ向きのピーズ史である。詳しい歴史についてはウィキペディア等々で見ていただきたい。ということでここからが本題。痛いほどに退廃的な歌詞、時には性をもあっけらかんと歌う。とこれらは活動休止前に最も言われていた魅力である。いや、今はこの傾向が見られなくなったという訳ではないが、今のはるでは代表曲である「日が暮れても彼女と歩いてた」や「シニタイヤツハシネ~born or die~」のような曲は作らないだろう。そこで今回は復活10年ということで活動再開後のピーズに絞って「今に至る…」の部分を詳しく総括したいと思う。
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まず02年以降の10年を活動スタイルで大きく分類すれば復活から05年「赤羽39」までのキングレコード期。そして07年のシングル「アル中」以降現在も続く自社レーベルたまぶくロカビリー倶楽部期に分かれる。キング期では3枚アルバムを残しているが、音楽性は活動休止前のキング期をおおよそ引き継いでいる。しかし姿勢としてはこれまでの活動を思い出すアイドリング期間および、つまんなかったらまたやめればいいしのような試用期間といわんばかりにゆるく、待ち望んでいたファンを興奮させるのではなく安堵させるようなものである。03年復活第1弾となったその名も「Theピーズ」では僕たち変わってないでしょ?というようなシンプルロックンロール、ベーシストの作曲ならではのコード感に寄り添うままのメロディ、終わってる歌詞、アビさんの荒々しくも美しいトーンを響かせるギター、はるの歌うベースライン。これまでと何も変わらない部分にシンちゃんのドラムが加わり長年ピーズの弱点だったリズム面に不安はなくなった。また終わってる歌詞といえども再びバンドが出来るという嬉しさが見え隠れしてしまっている。⑤『ひとりくらい』なんて曲は前までのはるだったら「誰もいない」と歌っていたはずだ。このアルバムの最後を飾る⑫『グライダー』でピーズは10年前の過去も10年後の未来も肯定している。活動休止以前の自己を削り取る曲作りから、削り取ることもめんどくさくなったような諦めの境地に入り客観性と自己哲学の表現もおどろくほどの成長を見せている。
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そこから04年「アンチグライダー」ではこのタイトルや②『ギア』の歌詞であっさり前作を象徴する楽曲『グライダー』に対するアンチを表明してしまう。しかし、これも前作の出来に対する否定ではなく「ちょっと前は浮かれちゃってかっこつけちゃいました。」というニュアンスと、人が言うことだから矛盾もつきモノであるという相変わらずの飄々としたスタンスが感じられる。
続く05年「赤羽39」収録の①「体にやさしいパンク」ではもたれたハネノリビートがはるのかき鳴らすベースを契機にピストルズばりの突っ込んだパンクに変貌する。⑫『サマー記念日』ではほのぼのと進んでいくが突如転調をしてまたしばらくすると戻ってくるピーズ流『オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ』。ポール・マッカートニーフリークのはるでないと成せないビートルズチックな曲である。歌詞においては「しんどそう」、「くたびれきった」、「グッタリしたいぜ」など中年バンドながらの身体の疲れが感じられることと、一見したところでは意味のとりにくい抽象的な言葉の羅列が並ぶ。しかしそれが気持ちのいい、いわゆる「はる節」なるものが完成されていくのもこの時期である。しかし②『ノロマが走って行く』、⑦『クリスマス』など鮮やかに心象風景が描かれているものもあり、この奇妙なバランスがこの「赤羽39」を名盤に押し上げている。
はる、アビさんが40歳という節目を迎えた05年。ライブはこれまでと変わらぬペースで行っていたにもかかわらずリリースが途絶え、ようやく新曲として発表された07年の「アル中」からはキングレコードを離れることになる。この『アル中』だが近年のピーズでは珍しくまさしくアル中のように弾くのもだるそうなベースが体現しているようにどんよりとしており、活動再開後の歌詞にはそれほど見られなかった「フルチン」、「マスかいてろ」、「チンカス」といった初期スタイルであるドギツい性の言葉も復活している。
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この『アル中』以降6枚のシングルを発表するが、『ゲロサーフ』、『三連休』など疲労や体調悪いことを歌ったものや『ロンパリンラビン』や『バカのしびれ』、『でいーね』など歌詞世界がニュアンスに因る傾向がより一層強まっている。それらの楽曲がまとめられたのが今回発売されたアルバム「アルキネマ」である。THE BLUE HEARTSを解散したヒロトとマーシーがハイロウズを結成し、鳴らした音が歌詞がメッセージ性を意図的に削いだものであったように、この『アルキネマ』の中にはかつてのヒリヒリするようなしんどい曲はなくなった。同時に発売された5年前の20周年ライブDVDを見てもはるは今とっても幸せそうに音を鳴らしている。
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これまでの楽曲では『実験4号』で「続くよ まだ二人いる」と歌ったが本当は続かないこともわかっていた。『君は僕を好きかい』では「君は僕をたまに見ている 君は僕を好きかい」と聞いたが本当は他のヤツのことを好きだということもわかっていた。以前の「はる節」はわずかな希望もとうに失っていることを知りながら歌っているもんだから聴く方もはる自身もしんどいに決まっている。
しかし今回「アルキネマ」に唯一の新録として収められている『幸せなボクら』で初めてはるは幸せであることを歌った。93年の代表曲『日が暮れても彼女と歩いていた』の中で「どこのだれがホントに幸せなんだろーか」と歌っていたはるがようやくピーズとして幸せであることを歌うことが出来たのである。25周年を迎えてこの期に及び動員も伸びつつあるTheピーズ。今後は7年ぶりとは言わずにもう少しアルバムのインターバルを短くしてほしいところだが。シンちゃんも本業であるthe pillowsが少しだけ休憩することが7月1日に発表され、しばらくはピーズの方に力をいれることになるだろう。まだまだ注目しなければ。
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シラフで備忘録 石指拓朗「バカみたい」
フォークシンガー石指拓朗さん、待望の2ndアルバム『ねむの花咲く その下で』収録曲。30歳の内に出したかったということで来週4/2に31歳の誕生日を迎えられる前日の4/1(土)にリリースされます。光栄にも先に聴かせていただきました。
石指拓朗さんHP↓
https://ishizashitakuro.jimdo.com/
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全編にわたって繰り返されるハンマリング・プリングオフが象徴的なアコギリフにはポール・サイモン「Anji」が浮かびます。デイビー・グレアム作のインストナンバー「Anji」はアコギ弾きとしてこの曲を弾けるかどうかでテクニックを測られるほどの大定番・スタンダードナンバーですが、石指さんもこの曲では複雑なフィンガーピッキングをさらりとこなしながら、低体温かつ色気ある質感で歌っています。
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本作で収録されているテイクではピック弾きでザクザクリズムを刻むギターの後ろでこのフレーズを弾いているアコギが入っているのですが、この硬質でパーカッシブなサウンドは石川鷹彦のプレイを彷彿としました。よしだたくろう「リンゴ」あたりの名演を。
全編通して前作『緑町』から方向性はそれほど変わっていないのですが、アプローチの幅が広がっていることとフォークオマージュの大胆さが印象的です。「おうまさん」の回転数を変えた声は言うまでもなくザ・フォーク・クルセダース「帰って来たヨッパライ」、でもブルーグラスなサウンドや歌っている内容はコミック・ソングではないもののソルティー・シュガー「走れコウタロー」というところも面白いし、「ルンペンの唄」からは高田渡「仕事さがし」の世界を引き継いでいるように思えます(「仕事さがし」よりも状況は悪化していますが)。
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と60~70年フォークからの影響を多分に受けている方ではありますが、古臭さは全くなく。それは過度に現在を意識したり、新しさを指向しているわけでもないことからくる普遍性から感じるものだと思います。自分の生活や思考から生まれる歌を歌う、そのことに古いも新しいもなく、それこそが紛れもない“今”なんだという姿勢。これこそがフォーク・ソングですよ!
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酔いながら備忘録2017/3/19
最近の気になっているバンド、Twitterでは即時的につぶやいているのですが、備忘録として最近フォークを感じる演者が多いので書き溜めておきます。ちゃんとしたレビューでもなく酒を飲みながらの日記。 フォークブーム来てる���一人で勝手に感じてて、一人で嬉しくなってるタカラ焼酎ハイボールを飲みながらの夜。
ただ今大阪の実家におりまして自分の部屋の学習机でキーボード叩いている。そういえば高校のころからずっとこの場所で一人あぁだこぉだ書いてたなぁ。痛い痛い。
すばらしか
Wanna-Gonna
たけとんぼ
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まずは3月10日(金)にHMV新宿アルタ店でのインストアで見た“すばらしか”というバンド。以前にこのHMVにあるHOLIDAY! RECORDSコーナーで5曲入りのEP『灰になろう』を買いまして、これがまたすばらしかー。チープな録音にアコギ主体のフォークロックサウンド。吐き捨てるようなボーカルはTOMOVSKYや初期の堂島孝平辺りを彷彿したり。60~70年代の日本ニューロック~ティン・パン・ファミリーの臭いを感じる都会的な風が吹きつつもまだ垢抜けない泥臭さも同居しているところには、京都の台風クラブや東京のWanna-Gonnaらへんと共鳴しそうでたまりません。
そういえばWanna-Gonnaも新曲公開してましたな「Run High」
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前作収録の「Green Green Grass」まではザ・バンドやイーグルス由来のフォーク・ロック、カントリー・ロック的なところがありましたが。この曲はティーンエイジ・ファンクラブのグラスゴー・インディーロックを感じつつ、彼らの最初期の音楽体験であったであろうASIAN KUNG-FU GENERATIONやフジファブリックなど00年代邦楽ギターロックの要素も滲み出ているええ曲ですなぁ…。
さてすばらしかに話を戻しましょう。「嘘と言え」のソウル感、フィリー感で思い起こされるのは近年では本日休演のファースト、特に「ごめんよの歌」であり、もっと元を例えば小坂忠の名曲「しらけちまうぜ」に通じるものを感じます。
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そんな感じで音盤を楽しんでのインストア。正式メンバーは3人のようで、そこに長髪のキーボードと謎のリバティーンズライクな直立細身の出で立ちのタンバリンメンバーを加えて5人でやっていました。アコースティックセッション的ラフな感じの演奏だったのですが、良い意味で学生ノリなふてぶてしい演奏がまたサイコー。後半には友達というフォークバンド“たけとんぼ”のメンバーを呼び込んでたけとんぼの曲という「あの娘」。また最後には唐突にストーンズの「Dead Flowers」を淡々と演奏しておりました。
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そのインストアライブに出ていたもう一組が京都の7人組バレーボウイズ。この時はアコースティック編成ということもあり、それこそうたごえ喫茶のような一度聴けばだれでも歌える若者の歌という点で、一本筋の通っている普遍的なメロディ。銀杏BOYZ~吉田拓郎~カレッジフォークとどんどん逆にさかのぼって音楽を聴いて行った雰囲気を素直に楽しんでいました。しかしその二日後3月12日(日)に下北沢Threeで見た彼らがすごかった。バンドサウンドとあって普遍的なメロディに頼ることなくどんどん騒ぎ立てていくスタイル。それでも彼らを知っている人にとってはこれほどシンガロングに長けている曲はありません。大合唱が起こりながらモッシュまで起こります。フロントの男性はヒップホップ的なビートの取り方をし、女性はなぜかひらひらカチャーシーを踊っています。極めつけは最後の「卒業」。シンプルなフォーク歌謡なのですが後半突如倍速青春パンクになります。みんな叫び散らします。この大人数でフロアを巻き込みながらリビドーを散らしていく様、盛り上がりはスタイルは違えどNature Danger Gangに近いものを感じました。
kojipull
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その前の出番でライヴに出ていた大阪のシンガーソングライターkojipull。仕事終わりに駆け付けた自分はしっかり見ることができなかったが、この日発売予定の新譜を忘れたようでQRコードでDL無料配布していた。11曲入りのアルバム『匿』は冒頭2曲まではストリングスを入れつつアコギ主体で曽我部恵一直系のフォークナンバーだが、徐々に宅録ならではの変化を見せてくる。一番ぐっと来たのはローファイロックナンバー「YouはBaby」。”Youは素敵なBaby”というシンプルでキャッチーな歌詞は大阪の大先輩サンデーカミデにも通じる普遍的なアンセムソングを生み出しております。最高!
アフターアワーズ
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最後は大阪の3人組アフターアワーズの3曲入り。今大阪帰っておりまして、到着するなり現状店頭販売唯一の豊崎PO'BOY RECORDSで購入しました。先々週辺りにPO’BOYに置きます!ってツイートを見て行きましたが、店主ぐんさん「やったー記念すべき1枚目のご購入やわ~」と、まだ売れてなかったんかい。
ショー君のバンカラで吐き捨てる声とベースボーカルならではのラインがかっちょよく、パブやガレージロックが前面に出ているけど、ワイルドにはなりきれない人となりが出ている粋なビートとメロディが冴えわたっています。今年の祝春一番にも初出演を決めた大阪の新星。メンバー3人とも有志スタッフやっていたのでそこから演者になるというのが感慨深く、正しくハルイチ育ちの彼らは何としても成功してほしい!こんな最高のロックンロールほっとくんかよ関西!
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峯大貴の酔いどれベストアルバム2016(洋楽編)
洋楽は以下10枚。 ビルボードライブ東京とサマーソニックと2回見ることが出来たメイヤーホーソーンのポップスターっぷりは昨年のタキシードでのブレイク時よりもどっぷりはまることとなりました。
また2016年の前半はSkream!さんに洋楽レビューでお世話になっていましたのでいつになく関連作品含めて洋楽にずっと触れている1年となりました。ありがとうございました。
Blood Orange『Freetown Sound』
Jamila Woods『HEAVN』
Noname『Telefone』
KING『We are KING』
The Avalanches『Wildflower』
BAND OF HORSES『Why Are You OK』
SUNFLOWER BEAN『Human Ceremony』
John Grant『Grey Tickles, Black Pressure』
Mayer Hawthorne『Man About Town』
Bombino『Azel』
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峯大貴の酔いどれベストアルバム2016(邦楽編)
ki-ftでも3枚挙げて総評も寄せているのでそちらも合わせてご覧ください。こちらでは改めて2016年自分が魅了された作品を10枚という枠で選びなおしてみました。今年の洋楽の花盛りはまた色んなメディア・ライター・評論家のランキングを見てもわかるように“誰が見ても名盤!”という作品の大量発生により上位を占める作品は同傾向になっていました。しかし日本において宇多田、ハイスタ、イエモンや大看板の復活はもちろん若手も百花繚乱ではあると思いますが名盤続出とまでは言えず、見方や嗜好によってかなり幅が出るような年だったように思えます。その中で自分はフォークミュージックが根本で選出もそちらに寄りますが、Suchmosやnever young beachなど引き続き勢いのある新時代のロックや、D.A.N、yahyel、WONKなどcero『Obscure Ride』以降のジャパニーズ・クラブ・ソウルなどの隆盛を感じながらでも、のろしレコードを始めとしてフォークの中でもしっかり新しいものが生まれている状況はめちゃめちゃ楽しいです。また加川良『みらい』や友部正人『ブルックリンからの帰り道』といった自分にとって神様といえるような方々の新譜の充実度にも心奪われる幸せな年でした。加川良さんは現在急性骨髄性白血病で療養中ですが本当にお元気になってもらってまだまだ歌ってもらわないと困る。
そんな充実した作品が多かった印象ですが、それに対して語る言葉が自分も含めて追いついていなくて「音楽そのものを聴く・語る」必要性を改めて感じた一年でした。音楽評論家・ライターはミュージシャン・演者の代弁者やプレゼンターやパブリシストなんかじゃない。その音は音楽の歴史の中でどのように位置づけられるのか、確かな知識と自分の中での尺度でもって分析・考察した結果を興味深く、面白おかしく書く専門職だ。若き演者が次々生まれる中で若きライター・評論家の新星は出ているだろうか?自分が音楽ライター・評論家像として目指していたこの理想を他の人も目指しているのだろうか?自分も目指している途中故に間違った方向に向かっていないかということを考える毎日です。もう私も今年26歳になる、時間がない。だから2017年の目標としましては媒体に拘らず自分のブログでいい、とにかく丁寧に音楽評論、音楽に関わるテキストを残していくこととそのために日々勉強を怠らないことにします。私は私の思う音楽ライターとしての「前」を向きます。
一つだけ欲を出した目標をいうと常に自分の指針となっていて特に大学時代は熱心の投稿していたミュージックマガジンにFeedback欄以外で書くことですかね、そろそろ頑張らないと。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
10位 haikarahakuti『TWO BILLION LIGHT YEARS OF MUSIC』

新潟で活動する兄弟ユニット、となれば当然紐づけたくなってしまうのはそれぞれの嗜好をマニアックに補完し合い緻密なサウンドに昇華したキリンジやキセルといった先人。それは彼らにも共通しているが、ソウル・ネオアコ・A.O.Rからパワーポップまで曲ごとに異なる質感には音楽を作ることの無邪気さと、どこか音楽のトレンドや最前線とは静観している様子が伺える。「Setuna」の低体温でミニマルなダンスビートに対する耽美的なほどにねちっこいボーカルの組み合わせのとびきり甘いポップミュージック、「Saturday Night」のイントロのナイアガラ風味から一転ストレートなオルタナティブ・ロック、全編通してキャッチーではあれど、整理されていないいびつな組み合わせが酩酊を呼ぶ。
9位 ハンバートハンバート『FOLK』

これまでの彼ら2人は歌とギターのシンプルなフォーク・デュオの形態をとりながらも自らの音楽をフォークと呼ばれることに反発し、枠に収まらないような活動をしてきた。それは高田渡や西岡恭蔵ら日本の純系なフォークに色濃く影響を受けながら現在メジャー第一線の舞台で戦い続ける数少ないグループである彼らだからこそ、四畳半やニューミュージックなど日本における“フォーク”という言葉の危うさに対する違和感によるものだろう。しかし15周年たったここで彼らは初めてフォークを冠した。
意外にもスタジオアルバムで初の試みとなる2人の演奏のみでカバー曲と代表曲の再録中心に制作された本作の姿勢は矢野顕子の『SUPER FOLK SONG』に通ずる。カバー曲の中でも高田渡の「生活の柄」や、省略されがちな“おいらを風来坊にした~”の前唱までも丁寧に取り上げた西岡恭蔵「プカプカ」はお手の物。電気グルーヴ「N.O.」、たま「さよなら人類」など意外な選曲も含めて、原曲の風景は消し去れられどうやったってハンバート色が溢れてくる。一方で唯一収められた新曲の「横顔しか知らない」はピュアな片想いとして歌われながらも実は別の角度から見たらストーカー行為にも見える、童話の裏にあるぞっとしてしまう顛末のような歌詞世界。代表曲「おなじ話」に通じる優しくも毒を感じる楽曲だ。
本作のコンセプトとして掲げられた“21世紀の、フォークを歌おう。”、もはやフォークと呼ばれることに反発や恐れはなくなった。彼らが歌う歌こそがフォークなのだから。
8位 BiSH『KiLLER BiSH』

ハグ・ミィ離脱はありながらもアユニ・Dが加入しメジャー初のアルバムとなった3作目。Especiaやリリスクの解体を始めとして今年のアイドルは入れ込むほど辛いことが多かった。その中で奇をてらったギミックもゴシップも皆無でストレートなギターロック名曲集を常にアングラ姿勢でアイドルシーンをかき回してきたBiSHが生み出すとは思いもしなかった。
中でも「オーケストラ」はストリングスを招集、エモーショナルなバンドサウンドが演出するハグ・ミィに捧げた部分も感じられるアウトローなサヨナラソング。アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチという2大看板のエモーショナルなボーカルは向かうところ無敵に。続く「Stairway to me」ではアコースティック名バラードの様相からメンバーを差し置き後半にかけて暴れる各楽器が情動掻き立てる。一方でそんな名曲群と対立するかの如くBiSHたらしめているのは半数を占めるメンバー自身が詞を手掛けた楽曲だろう。口をついて出てくる罵詈雑言や、言葉にならない擬音も交えて書き殴られ、耽美でもメンヘラでもなくリアルなワンス・アゲインを歌う不良少女っぷりが痛快。そんなアプローチを交差させることで彼女たちは自問自答繰り返し成長を見せる。アーティストとしての自我の芽生えを感じる快作。
7位 ホテル・ドミニク『HotelDominik-EP』

2~3年前、Yogee New WavesであったりNever Young Beachだったり、森は生きているだって現代のはっぴいえんどと野暮な呼ばれ方をしたが、年の瀬12月に突如登場したばかりのこの京都の4人組について言えば現代の鈴木茂、もしくは加藤和彦だろうか。
歌唱力が抜群にあるわけではないが一つ一つの歌詞が直接胸に届いてくるような、乾燥し黄昏た声。レイドバックしたグルーヴや70年代後半~80年代前半のモダンなシンセの音使いは鈴木茂『TELESCOPE』や加藤和彦『あの頃、マリーローランサン』に感じた日本人ならではのクルーネスがある。しかし一方で後半に従って青々しく熱を帯び“秘密が知りたい”としか言わなくなり描く世界は急激に発散し、フェードアウトで幕を下ろしてしまう終曲「緑の肖像」には、ローザ・ルクセンブルグ「橋の下」や近年で言えば本日休演「ごめんよのうた」に通ずる京都の色濃いフォークロックの面も垣間見える。
あらゆる音楽に対する高い咀嚼力とアイデアを持って登場した本日休演が、デビュー後すぐにさらなる広い視野でもって音楽を取り入れ、土着性とアヴァンギャルド化が進んでいったことを思えば、彼らもさらなる発展の可能性をびしびし感じるし、本��でいえば京都らしい青さと重箱の隅をつつくようなおしゃれな心地よさがたまらなかった。
6位 王舟『PICTURE』

前作『Wang』のトクマルシューゴやceroら東京界隈のインディーミュージシャンとワイワイ作り上げたアメリカーナ・ルーツミュージックの質感から一転、本作では全て宅録で仕上げている。前半~中盤にかけてのR&B・ディスコ・ボサノヴァなど各国のファンキーなビートが軸になっている点は前作よりも華やかになっているが、後半になるにつれて前作を引き継ぐカントリー・フォークめいてくるグラデーションがまた美しい。空気を含んだビートの空間やざらついた質感、一人で全てを演奏しているからこそ独特のヨレ方から生まれる箱庭感には彼の頭の中で鳴っているサウンドが透けて見えるようだが、全てわかった上で批評性をなしにした、肩の力を抜いたシンプルさがまたいい。
5位 SPARK!!SOUND!!SHOW!!『DX JAPAN』

大阪の男3:女1のバンド2枚目のミニアルバム。基本的にフォークフリークな私にとってメロコア、ハードコアパンク畑の彼らに魅了されたのは自分でも不思議な心地であったが、以前からThe Specials「Little Bitch」とRIP SLYME「JOINT」をマッシュアップしたり、前作収録の「dararatt」では曲間にEarth Wind&Fire『BOOGIE WONDERLAND』を入れ込んでみたり、パンクバンドという枠組みを超えてサンプリング的な感覚を持ち合わせており、ライヴではひたすらに喋りまくりふざけまくり暴れまくってアホなふりをしつつも実は批評性のある仕掛けを入れていくスタイルにやられた。
そんな中、本作で試みたのは彼らなりに解釈したJ-POP。リード曲「urban kill」はオールディーズ・ソウルなビートにサビは“ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・ミ”と上がっていく超シンプルで能天気なメロディ。しかし“urban kill the shity city pop”と現代の若者やシティポップも牽制するような歌詞。メロウチューン「聖☆夜」もクリスマスソングのベタとも言えるコーラスパートとセンチメンタルなメロディと思いきや歌詞は山下達郎や光GENJIを差し込みながら、よく聴けばナンパしてるだけで聴くものをおちょくりまわす。雑多なアイデアを理路整然に整理なんてせずただぶち込み、タナカユーキ(Vo,G)とミカテラ(Vo,Key)による夫婦漫才的に掛け合うツインボーカルでポップ性をスパークさせている。
ここ数年評論家・音楽マニア気質にポップミュージックを整理・解釈し、緻密に音像を作り上げていく潮流は昨年のcero『Obscure Ride』を頂点として緩やかに融解していく中で、このジャンキーなポップ性と親交の深いCreepy Nutsと共鳴するハイテンションなヒップホップ感は2016年のポップとして衝撃であった。
4位 AZUMI & YAKU『Poor Boy Long Way From Home』

AZUMIとのろしレコードの一員、夜久一によるコラボカセットテープ。大阪のギタリスト・シンガーであるYousei Suzuki主宰のカセットレーベルSenri Recordsからのリリースだ。折坂悠太しかり2016年通してのろしレコードの3人(折坂・夜久・松井文)がどんどん現代のフォークミュージックを定義していく姿を見ることになったと振り返って思う。
二人の歌とギターのみ、オリジナル曲とブルース・ソウルのスタンダードナンバーを中心に2人でやりたいことを交互に出し合い手弁当で録音していった全体的に温かい質感。夜久のオリジナル、アイリッシュ風味「火の車」での夜久の地鳴りのように空気を震わせる声はヴァン・モリソンをも思わせる。そこにAZUMIがフリーダムなエレキギターフレーズを入れていく様はまるで浪曲師と曲師の関係。AZUMIサイドとしての注目は「アンダースタンドユアメン」、これまであべのぼる・石田長生などを曲中に再降臨させイタコの如く語り・叫んできたが、今回はついにジョニー・キャッシュに憑依している。終曲である夜久オリジナル「流れ者」のコーラスでようやく二人の声が重なった時の放たれた哀愁入り混じる男臭さと迫力はたまらなく郷愁かられる名演。
のろしレコード発足から2015年のソロアルバムのプロデュースなどしばらくAZUMIとは師弟とも言える関係が続いていた夜久だが、その集大成とも言える仕上がりだ。
3位 馬喰町バンド『あみこねあほい』

新時代のローカル・ミュージックとしてこれまでも評価を得ていたが、本作5枚目にしてラップを取り入れた結果、ポップスとしての念仏、ヒップホップではない日本人ラップに到達した。今年突如オーバーグラウンド化した日本語ラップに即興性を求める文化と、わらべうたの遊戯性の食い合わせが驚くほどに良いことに驚かされる。
しかし彼らの目指すところは古臭い伝統音楽を見つめ直し更新していく作業ではなく、ギターや平均律を奏でられる楽器を使うことも辞めてしまい、新たな楽器を作るところから始め、音をあらゆるものから解放することだ。その結果彼らのサウンドは音楽の歴史やトレンドからも分断され、リセットボタンを押してしまった。全てゼロにして古代から再度2016年間を経てみたらこうなっているだろう、日本のポピュラーミュージック真の最前線。
2位 カニコーセン『True Blue』

エログロ漫画のような不条理な歌詞世界をグラサンに傘かぶって歌う加古川の中年フォークシンガー。4作目の本作ではそんなドロっとした部分は残すどころか、かぐや姫「妹よ」、高田渡「生活の柄」などを大胆にサンプリングしてラップも乗せていき、「君の瞳に恋してる」や「東京五輪音頭」にも特異な性癖や現代風刺を歌詞に吹き込んでいびつさは増すばかり。しかし本作がただのアングラフォーク現代版に留まらないのは、一方でそんな悲喜交交を描く巧みな情景描写が“哀愁入り混じる民衆の歌”に消化されているからだ。「インクライン」は“窓を���く冷たい風 電気代値上がりのお知らせ”を初め慎ましく生きるしかない、現代の労働者の心情を浮き彫りにしたプロレタリアフォーク。また「粗塩」の“共産党のポスターに鼻毛をかいて、公明党に勧誘される”から始まる歌詞のインパクトを超える曲はもう出てこないだろう。
1位 折坂悠太『たむけ』

2014年の自主制作『あけぼの』で彼を初めて聴いた時、クラシックギターの弾き語りスタイルが新鮮で、特に「きゅびずむ」の言葉の響きとブルーグラス風味の仕上がりには唸らされたが、「角部屋」など全体的に通底する空気感は四畳半フォーク新世代という印象に留まっていた。
しかし初のフルアルバムである本作で伸びやかに歌う彼の節回��はポピュラーミュージックのフォーマットをはるかに飛び越えもはや浪曲に近く、日本の土着的な風景が作品全体に吹き込まれている。「あさま」では歌詞の譜割りに七・七・七・五の都都逸を取り入れたり、「よるべ」ではピアノ、「轍」ではでんでん太鼓のみの伴奏とクラシックギター以外にも幅を広げ、極力要素をそぎ落とした古典的・根源的なアイデアでどれだけ新しいものを生み出せるかという命題に取り組んでいる。日本でしか生まれ得ない新たな弾き語りスタイルであると共に、早くもスタンダードになりそうな強さを秘めている点で2016年最大の名盤とした。
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掲載情報
長らく本HP放置しておりましたが、WORKSのページを最新に更新。
2016年からの記事はここで網羅できるようにいたしました。
↓是非ご覧くださいませー。
WORKS(掲載情報 ※随時更新)
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【転載レビュー】『銀河のほとり、路上の花』中川敬
中川敬3枚目のソロアルバム『にじむ残響、バザールの夢』の発売を記念して、今作を語る前哨戦としてまず前作 『銀河のほとり、路上の花』のレビューをここに掲載いたします。
こちらは2013年に発刊されました「現代関西音楽帖」の中に収録されている記事の転載です。
http://bccks.jp/bcck/117261/info
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『銀河のほとり、路上の花』中川敬
2012年/ブレスト音楽出版
中川敬が関西の、いや日本のロックシーンにおいて最重要人物の一人であることに異論はないだろう。ニューエスト・モデル~ソウル・フラワー・ユニオン(以下SFU)を率いてロックにアイリッシュ・トラッドや日本古来の民謡や歌謡曲までを取り込み本当の意味での「日本のロック」を発明した点。もう一つは阪神淡路大震災でのソウル・フラワー・モノノケ・サミット、東日本大震災ではソウル・フラワーみちのく旅団での被災地ライブ活動。阪神淡路大震災を期に作られ東日本大震災でも多くの人に歌われた「満月の夕」は本人の手を超え日本のスタンダードナンバーとなり、反原発デモにも参加する徹底的に現場主義の「社会に声を出せる音楽家」である点。これらの要因はキャリア25年を超え、70年代フォーク・ブルース勢の次に関西の重鎮になりつつある今もフォロワーが現れない唯一無二性をたらしめている。無論くるり岸田繁を始め、尊敬の念を抱く人はあまたいるが。
本作は2ndアコースティックソロアルバム。北摂のプライベートスタジオ「魂花神社」でほとんどの音を一人で録音。SFUでは奥野真哉(Key)の存在も大きいマッチョなサウンドなのに対して、こちらでは3.11以降の被災地ライブやデモ参加といった非日常的な事象が日常となった世界の「歌」を素朴に聴かせるシンプルな演奏だ。卓越した音楽性や社会活動ほどこれまでフォーカスされてこなかった「歌い手」としての中川敬がたっぷりと堪能出来る。
セルフカバー「海へゆく」などは演奏が一人であるがゆえ、全てのパートが同じところでヨレたり独特のタメが効く。それが歌手中川敬のタイム感・コブシの響きを助長している。「そら~この空はあの空につながっている」の冒頭“不思議な感じやな こんなに辛いのに”とたった一行の大阪弁歌詞は思わず心から漏れ出たような説得力を持つ。尾崎紀世彦ばりに突き抜けた声量は快晴の「そら」を描く。二階堂和美のカバー「女はつらいよ」ではサビに向けて徐々に感情が溢れゆく女心を演歌歌手さながらに中川敬が好演。
曲の幅広さにより多様な一面が見て取れるが、その全てが新たなアプローチではなく既に血肉と化していることがわかる。なのにこれまでそれほど歌に注目されなかったのは、20代前半の頃の頭でっかちな理論武装で胸倉を掴むようなギラギラした声に聞き取り辛さがあったからではないか。しかしモノノケやみちのく旅団の経験も経て40代も後半、年々迫力は増しつつ柔和になった彼の歌声には年輪のように様々な音楽と、社会に端を発する思想が刻み込まれている。(峯大貴)
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我が街、高円寺



高円寺。
本日8月29日(土)、30日(日)は東京高円寺阿波おどり。高円寺駅から新高円寺駅一帯が演舞場となり、演者1万人、来場者100万人を集める、高円寺が1年で1番盛り上がる日だ。昨日、金曜日、メイン演舞場の通りに面する通りの2階のバルコニーバーという、まるで阿波おどりを見るためのバーと言っても過言ではないところに位置するSWAMPで飲んでいても、スタッフみんなが阿波踊りに備えて料理や買い出しに忙しそうであった。街の中では1週間前程から「明日どこしてるの~どこで阿波踊り見るの~?」という会話が頻出し、本当に“1年をこの日に照準を合わせてくる”人がざらにいる。それが、中野や阿佐ヶ谷といった一駅隣に行くと全くそのムードがない、まぁそんなもんでしょう。(阿佐ヶ谷はついこの前七夕まつりを終えたばかりやし)。
しかしこんなに街全体が盛り上がるような街に住んでいてよかったと思うのだ。私が東京に出てきたのは昨年4月、大学を卒業して就職に際してだった。就職先の本社が品川だったが、住むのは高円寺にした。戸越銀座、大森、蒲田。一応見た、内見もさせてもらった。でもなんか住むには合わない気がした。東京という都市自身に、大阪出身を蔑む価値観が蔓延している気がして、これらの土地はなんか息苦しい気がした。
決まらないままたどり着いたのが高円寺、というか中央線だった。友部正人の「一本道」であるような“ああ中央線よ空を飛んであの子の胸に突き刺され”という歌詞だったり、それこそ拓郎の「高円寺」だったり、銀杏の峯田や菊地成孔が住んでいたり、ねじめ正一の世界という知識程度の街、高円寺。住処を考えあぐねている私のツイートに“中央線一択”といってく��た吉田ヨウヘイgroupのヨウヘイさんの影響も少なからずあり…。でもヨウヘイさんは私がこっちに越してから1回しか飲みに行ってない、まぁその1回が二人で行って短い時間ながらに濃密だったが。というかヨウヘイさん中央線といえど結構離れておりますが…。
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まぁそんなわけで色んな縁や、雰囲気もあって高円寺を住む場所に決めた。不動産屋に手配してもらって内見した後に食べた武蔵野うどん“とこ井”がうまかったのも少なからずの要因かもしれない。

結論として正解だった。職場は全体研修こそ品川で、片道45分だったが、何の因果か、新宿オフィスに配属された。通勤が20分になった。運命かと思った。飯が安くてうまかった。ライブハウスが多いため、その年の春一番のポスターを東京で配る場所の多くが高円寺だった。ジロキチ、ペンギンハウス、楽や、SWAMP…。ライブハウスや色んなバーに出入りするうちに居心地がよい地域となった。天神橋筋商店街に似ているから街をふらふらしているだけで楽しかった、デアデビ、猫の額、こけむさズ、みじんこ洞、ニューバーグ、富士川食堂、クロンボ、タロー軒、じゃぐら、じもん、バーン・イサーン、チョップスティックスetc…様々な場所、全部が素晴らしかった。
高円寺は夜が素敵。夜の1時ごろに高円寺駅を降りて新高円寺駅方面に歩いて行くと、両脇に正座姿で吐いているサラリーマン、大声で叫んでいる重役そうな人、もうそろそろ苦情来ませんかとばかりに路上ライブを行うパーカッショニスト、高円寺のランドマーク大将は元気に営業中、帰宅の過程で酒も飲まずにトリップし、仕事の辛さを忘れさせてくれる光景だった。まるで高円寺という街全体が一つのコミュニティとなっているようだ。チェーン店に厳しいというのも納得。
若者が夢を追う町と言えど、その地位は90年代以降、下北沢に奪われたようだ。意外と同世代には会わない。飲んでいても出会うのは先輩ばかりだ。小田部さんやマミタス(P-Vine勤務)はいるのだけど。高円寺で出会った同い年と言えばマリエくらい。ボーカリストであり、モデルであり、SWAMPスタッフであり。音楽で夢を見る同志として、彼女の行動力・実力には日々尊敬しているし、似通った業界であれど少し違う立場からの情報共有できる彼女の存在は自分の中でも非常に大きいし刺激になる。自分も頑張らなあかんなと思う。
休みの日、何もない日は極力高円寺から出ない、お昼食べて、OKか業務スーパーで買い物して帰ってぼんやりすごす。いつまでも夢を追っていてもいいよと言ってくれるかのように私を包んでくれる。
私、24歳。そろそろ新たに何かを始めるには手遅れになるような年になってしまいました。それに気づいた時、ぞっとした。俺いうほどもう若くねぇ。本気出して筆跡に精を出さねば。まだまだ言い足りないことは俺にはある。作り上げていかなければならないものが私にはある。高円寺からそんな声にならない声をあげている…、準備をしている。

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センチメンタル・シティ・ロマンス事件 2年越しの解決編
2年前にこのブログで書いた記事がありまして↓
「春一番で見た美しい風景②番外編 音楽ジャーナリズムを文献調査~センチメンタル・シティ・ロマンス事件を通して」
http://minecism.tumblr.com/post/53515726286/%E6%98%A5%E4%B8%80%E7%95%AA%E3%81%A7%E8%A6%8B%E3%81%9F%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%84%E9%A2%A8%E6%99%AF%E2%91%A1%E7%95%AA%E5%A4%96%E7%B7%A8
2013年当時春一番スタッフ1年目の私、就職活動も終えた大学4回生で毎日春一番事務所に入り浸って福岡風太さんの話を聞いていました。センチメンタル・シティ・ロマンスのロードマネージャーとして長らく行動を共にしていた風太さんから当時の話の一つとして聴いたのがこのセンチメンタル・シティ・ロマンス事件。概要、経緯などは上記ブログを見てください、詳細に記しております。簡単に言いますと、中村とうよう×渋谷陽一の論争は篠原章 著「日本ロック雑誌クロニクル」等でも書かれているように89~90年に起きたものが一般的に知られているが、実はその前にもあり、それがこのセンチ事件で中村とうように渋谷陽一が反論記事を書いているということです。センチ事件そのものはそれなりに知られておりますが、この話を聞き、当時あらゆる文献、それこそ反論原稿を載せた当時の朝日新聞記事を見つけようと大学のシステムを使って一つ一つ当時の誌面を見ていき、探しましたが見つからず…。実証は出来ないまま今まで来ておりました。
しかしこの風太さんからの話を発端として、自分のこれまでの知識や文献の情報とは違う説を見つけ、それを自分の手間と時間をかけて実証し、論ずるというジャーナリズムに没頭する作業は初めてであり、しんどくも音楽を調べる・語る楽しさ・やりがいを感じながら書いた覚えがあります。その甲斐あって今でもこの記事は自分の自信となっているし、この頃の気持ちを忘れてはならないと思っています。またこの記事をTwitter上で松永良平さんに褒めていただいたことで関わりを持たせていただき、今日の私があるのだと本当に思っております。
さて長い前置きはさておき、本題。今月発売された萩原健太さんの著書「70年代シテシポップクロ���クル」。風街レジェンドも行われ、現在のシティポップ再評価が最高潮の中、はっぴいえんど関連の書籍もほぼほぼやりつくした感もありましたが、本書は決して新たな視点を加えていたり、データベース的に充実したものではなく、15枚の名盤にまつわる話をリアルタイムに過ごした萩原さんの主観・思い入れを押し出したエッセイ的に語るというもので、本当に読んでいて心地よくおすすめです。
そこにセンチの1stも取り上げられていたのです。特別新たな証言が得られるという期待は全くなく読み進めておりましたが、本稿はセンチ事件を中心の話でした。萩原さん自身も“細かいところまでは覚えていないが”としながらその要旨を説明する中、中村とうようの論に対する反論があったことも記述されておりました。
“その後、同誌でエージ氏や矢吹申彦氏による再反論があった。ライヴハウスのロフトも広告ページを買い取って、反論を展開していた。”(引用ここまでP.161)
…「ロフトも広告ページを買い取って」?
なんか繋がった気がしたー!そういえば当時風太さんに私のブログの内容を見せた時、「参考になるかもしれん、もっとけ」と言われてロフトのヒストリー本「ROCK is LOFT」を借りておりました。
ロフト界隈をつついてみましょう。検索検索。2006年の新宿ロフト30周年記念に風太さんが久々にロフトで企画したイベント「春二番2006」。このイベントページの文章を風太さんが書かれております。
http://www.loft-prj.co.jp/LOFT/30th/special.html
ここにセンチメンタル・シティ・ロマンスも出ておりましてなんとそのアーティスト紹介文が。
“'75年、CBS・ソニー洋楽部より待望のレコード・デビューを果たすのですが、大金を注ぎ込む宣伝のやり方等をめぐって「ニューミュージック・マガジン」(当時、現「ミュージック・マガジン」)編集長の中村とうようさんの猛攻撃を受けます。その時、新聞広告(文章は「ロッキング・オン」の渋谷陽一さん)まで出して弁護にまわって下さったのが「ロフトの平野 悠さん」だったのです。”
風太さんからお話しを聞いたことが発端なので当然ですが、ここでも同内容のことを仰っていますね。そして実際に広告を出したのはロフトの席亭 平野さんということがわかりました!
では平野さんの当時の動きに関する文章を探っていくと…ありました。
Roof Top 2005年12月号に掲載されたものがバックナンバーとしてあがっていました。平野さんがセンチ事件について語っている!
http://www.loft-prj.co.jp/OJISAN/ojisaneyes/0512/
はっぴいえんど系を中心に番組を組んでいたロフトが、当時のレギュラーバンドであるセンチへの攻撃に黙ってられなかったという理由だったのですね。それほどまでに当時のNMMは影響力があったというのがうかがい知れます。そして極め付けが以下の箇所です。
“『NMM(ニューミュージックマガジン)』(現・『ミュージックマガジン』)誌始め、当時の音楽誌全紙に広告枠を買い取って「意見広告」を載せた。”
朝日新聞もその広告枠を買い取った誌面の一つだったという訳ですね…。しかもその意見広告の全文が載っているじゃないか!
この平野さんの記事の中ではこれを渋谷陽一さんが書いたとは言っておりませんが、これまでのリサーチ結果から渋谷さんの筆によることは自明でしょう!
さらにこの記事が出されたのは新宿ロフトのオープン半年前の76年2月に出したと言っています。事件の発端となったとうようさんの記事が出たのが75年11月号。私が調べた朝日新聞の期間…
“この流れからいえば渋谷による記事は大体1975年10月~翌年1月までにあると予想される。”(冒頭の私のブログから引用)
…残念2013年の俺!!!1か月足りませんでした。もう少し頑張っていれば見つかったかもしれません。新宿ロフトのオープンに際して反論されたというポイントをもう少し掴んでいれば私の推理の精度も上がっていたのでしょう。
ということで89~90年の江戸アケミ論争の前にも渋谷陽一と中村とうようのやりあいがあったという説は正しかったといえるでしょう。2年越しの解決です!しかしその渋谷陽一の文章がまさかネット上にあるとは…。
また広告が出された記事の時期が特定されたので、時間ある時に当時の元記事とかも見つけたいと思います。
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8/14(金)【ガチ恋!】SUMMER OF LOVE 2015@新宿MARSに行ってきました。
まずは掲載情報。
・Quick Japan Vol.121に井手健介と母船の1stアルバムについてコラム寄せております。
http://www.ohtabooks.com/quickjapan/backnumber/2015/08/01213108.html
編集・小田部さんの卒業号となる今回、改めて本当にお世話になりましたということと、お疲れ様でしたということをこの場でお伝えさせていただきます。また諸々準備中とのこと、まぁテラスハウスに出て有名人になっちゃった人です。おそらくまた何か面白いことをやらはるのだと思います。出会ったころから我らの先頭を走っていて、いつも私のケツを叩いてくれる小田部さんの活躍に今後も期待しております。
・まもなく発売のCDジャーナル9月号にはNU-NUの20周年記念盤にして初アルバム『UN-UN」、THE OTOGIBANASHI’S『BISINESS CLASS』についてレビュー寄稿しております。
初めてヒップホップもの、書きました。様々な機会を与えていただいている本誌には感謝しております。
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さてそんなところで本編です。
お久しぶりのブログでございます。昨日8/14(金)に新宿MARSで行われました「【ガチ恋!】SUMMER OF LOVE 2015」の模様をつらつらお届けいたします。
「ガチ恋!~ガチで恋した音楽サイト~」は主にアイドルを中心に取り上げているサイトですが、あくまで“音楽サイト”を標榜しているだけあって、アイドルを楽曲面・音楽面から取り上げている傾向が強く、多様化と共に点在傾向にあり実態がつかみづらくなったアイドルシーンにおいて“今”を知るのに非常に役に立っております。そんなサイト企画のイベント。
http://www.musicite.net/
トップバッターで登場したのはEDMアイドルとして注目を集めるStereo Tokyo。Stereo Japanというプロジェクトでの東京活動する部隊であり、同じく大阪で活動するStereo OsakaもいるというAKBにも似たコンセプト、非常に面白い!
本日のトリをとるEspecia「ミッドナイトConfusion」のリミックスからDJの三浦菜々子がサウンドを繰り出し、MCの5人が登場し、いきなり「Anthem」がドロップされ、客席ではサイリウムと国旗が掲げられ、モッシュ状態に。彼女たちの楽曲は正しく「フロアを熱くするための音楽」という表現がばっちりであり、ZEDDやAviciiの土直球フロアEDMサウンド、シンガロングパートを軸に作られたポップなメロディに、メンバーには小学生が含まれているようにおぼこい歌唱が乗る。Perfumeの「Edge」をさらに先鋭化させたハイブリッドなサウンド。また彼女たちのダンスもテクニカルなものではなく「客と踊るためのダンス」という要素が色濃く、ももクロが注目を浴び始めた頃のような運動量の極端に多い、ダンスでとにかく汗が飛び散り、メンバーから率先して酸欠必死のハイ状態になっている。特に椎名彩花の目をひん剥きながら客を煽り、頭を振り回しているダンスには圧倒される。ましてや持ち時間30分、MCなしのノンストップ踊りっぱなしのステージ(ここもかつてももクロが全力アイドルとして注目を集めた点ですね)なもんだから時間を追うごとにトランス状態に陥っていく。そして最後は2回目の「Anthem」で締めるというかなり特盛なステージであった。もうフロアの興奮度合い、熱気、として圧倒されているこの感覚、Nature Danger Gangと一緒やもん。
すでに完成されているコンセプトとスタイリッシュなアートワーク、すぐに優秀なクリエイターたちと映像を組み合わせたパフォーマンスが想像出来る。EDMの隆盛と、世界に打って出るPerfumeやベイビーメタルの成功例を踏まえながら作り出したような究極のエンターテイメントが出来る存在にすぐなっちゃいそうなグループだ。こんなの楽しいに決まってんだろ!ずるい!!
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2組目、Faint*Star。2012年に散開した元Tomato n'PineのHINAがYURIAと組んだユニット。2010年前後から続く、アイドルブームの最大の功績は①Perfumeの台頭、②「恋するフォーチュンクッキー」のヒット、そして③Tomato n’Pineがアルバム『PS4U』を残したことだと勝手に思っているのです。この3つは何十年経っても日本のポップス史に書き残される項目・楽曲です。『PS4U』の素晴らしさは再勃興しつつあった90年代クラブサウンドの手法と筒美京平リスペクトなアイドル歌謡を高次元にブレンド、agehaspringsによる仕事は、荒井由実やいしだあゆみをプロデュースしたティン・パン・アレーの功績に匹敵する素晴らしさだと思っております。
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さてそんな中でFaint*Star。トマパイと同じくagehaspringsが楽曲を手掛けており、先日出たアルバムが『PL4E』と後継プロジェクトであることを公言しております。確かにユニゾンの歌唱による降り注ぐかのように染み入る声の質感や、サビに入るまでの盛り上げ方などトマパイに共通する部分が見え隠れする点はあります。しかしBPMがぐっと上がり、エレクトロポップな音作り、そして何より彼女たちのアダルトな立ち振る舞いなどはコンセプトから異なるところです。実際ステージに現れた二人、MARSは初めてライヴを行った場所ということで気合いの入った様子でした。スタンドマイクで腕のみの振り付けで落ち着いた雰囲気は、先ほどまでステージを暴れまわっていたStereo Tokyoとは真逆のスタイル。会場には爽やかによい歌を味わう空気が流れておりました。特に最後に披露した「スーパー・サマー・ワンダー」の王道ポップス感はバニラビーンズと共にアイドル界のお姉さん&良心として重要な存在だということを認識させてくれました。初めて見ましたがトマパイとは共有する部分はあれど全く違った存在として、面影を取り払ってくれる健やかなステージでした。
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3番目WHY@DOLL。北海道で活動するTeamくれれっ娘!の派生ユニット。現在は東京に拠点を移してメジャーデビューも果たしており、楽曲はagehaspringsが手掛け、レーベルはこの後登場のEspeciaと同じくVISIONMUSICと次世代のブレイクが期待できるユニットである。ダンス、歌、そして楽曲共にぬかりのないステージングで4組中最もど真ん中でアイドルでした。特にメジャーデビューシングルである「MAGIC MOTION NO.5」にはFaint*Star以上にトマパイの良質なポップスを作ろうとしている作家陣の気概が見えました。
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ラストはEspecia。
・2013年8月:【京都講座夏のライブレポート(14)後編】2013.08.24(土)~25(日) ナノボロフェスタ@京都nano
・2013年10月:暴走ライナーノーツ②ミッドナイトConfusion/Especia
・2013年11月:Especia、通算16回目となる定期ワンマンを現地レポート--大阪便り - ニュースとライヴ – OTOTOY
・2014年3月:現代関西音楽帖で『AMARGA』レビュー
・2014年6月:Especia: GUSTO | ki-ft
・2015年4月:CDジャーナル3月号にて『Primara』レビュー
と一昨年からずっと応援し続けているEspecia。東京に上京してからはリリースを追うことで精いっぱいになっておりましたので久々に見ました。堀江ビレボアで見ていた時から2年、アイドル界の中では一通り知れ渡り、一枚看板となりつつある彼女たち。「きらめきシーサイド」から始まって、『GUSTO』収録の「嘘つきなアネラ」、「Bay Blues」と渋い選曲で徐々に観客の体を動かしていく横綱相撲っぷり。しかし後半は新曲「Aviator」、「YA・ME・TE!」、「ミッドナイトConfusion」とシングル連発でなんやかんやでぶち上がりました。キャリアが長くなってきて曲数も増えてきたなりのセットリストの組み方に広がりが出てきてずいぶん厚みが増している。さらにメジャーデビュー以降はメンバーの歌唱スキルの向上が著しい。それによって元から歌唱の主軸を担っていた脇田もなりは、控えめな立ち振る舞いながらも他のメンバーからパート明け渡されるとそれだけで歓声が上がるほどに声のオーラが増している。つたないダンスはそのままに安定感を出せるのはそれだけスター性も出てきたなぁ!というステージでした。
余韻に浸ってこの前のTIFの動画を見てみても、「No.1 Sweeper」「ミッドナイトConfusion」の冒頭を歌うもなりのこの肩の力の抜けた堂々たる振る舞い!一方でリーダー冨永悠香の声が迫力ある太い声に成長しております。
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とだらだら書いてしまいましたが、4組とも今をときめくブレイク直前、あわよくばブレイク真っ最中のイケてるグループばかりを集めたおいしいイベントでした。
MARSはほぼほぼ9割ほどの入りで大盛況、ライヴハウスの集客としてもまたライヴハウス文化としても、アイドルライヴ・イベントは重要な位置を担う存在、というのはもちろんアイドルの存在が音楽の中で当たり前になったなぁとぼんやり思いました。私がアイドルに興味を持ったきっかけは2011年のももクロ×かまってちゃんの対バンライヴのUst中継。当時は異種格闘技戦とのように扱われて注目を集めました。今や「異種」という意識もなくなりましたね。
仲良くできたかな?ももクロ×かまってちゃん異種対決終了 - 音楽ナタリー http://natalie.mu/music/news/45674
とにかく久々のアイドル現場、最近仕事が忙しくもんもんとしてたので、泣きそうなほど楽しかったっす。明日はSummer Sonic行ってきますよー!!
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やく+松井文+折坂悠太 「河をこえて」
現代の「男らしさってわかるかい」、世知辛い中でも歌うことに希望を見出し続ける青きシンガー3人。後年に語り継がれる一時代を創る予感。フォークソングの烽火が消えることはない。
この曲は収録されていませんが、3人の立ち上げたのろしレコードからの第1弾、「のろしレコード」大変素晴らしい作品です。それこそ小室等、吉田拓郎、泉谷しげる、井上陽水がフォーライフを立ち上げた時の『クリスマス』、のような。
今週5日(日)下北沢ラカーニャで3人のレコ発です。またラカーニャってのがいいですね。 本当に楽しみ。
http://noroshi-record.tumblr.com/
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阿佐ヶ谷ロマンティクス『春は遠く夕焼けに』
甘酸っぱく、懐かしく、もどかしく、あらゆる青春が詰め込まれた羨ましい音。しかし彼らの出自の中南米なリズムセクションが只者ではなくひねくれているので、余計に愛らしい。2015年の若者の心情を1曲で全て描き切った素晴らしき中央線ミュージック。
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【掲載情報】CDジャーナルにEspecia、ookubofactoryの新譜レビュー掲載
現在発売中のCDジャーナル3月号にEspeciaのメジャーデビュー盤『Primera』、ookubofactory『ホームワーク』のレビュー執筆をしました。表紙はユリ熊嵐、裏表紙は新垣隆という攻めッ攻めな号となっております。一昨年の堀江ビレボアで150人ほどのキャパの1/3ほどの客入りで1st EP「DULCE」リリース直後の彼女たちを見ておりましたが、まさかメジャーデビューとは泣けてきますな、またそんな記念すべき盤のレビューを担当できたのは光栄この上ないです。彼女たちを好きでよかった。


仕事が繁忙期に入りました。きゃーきゃー頑張ろう、それでも頑張って書いていきます。
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【掲載情報】Quick JapanにSugar’s Campaign、BELONGに入江陽の新譜レビューを執筆
2/13(金)発売のQuick JapanVol.118のコラムページにSugar’s Campaign『FRIENDS』のレビューを寄稿しております。編集者小田部さんのテラスハウス出演があらゆるところで騒ぎ立てられており、また私のコラムの前ページに小田部さんによるコラムがあるのですっかり影に潜まっておりますが十分ここで���りがたい笑 しかし小田部さん出演を我々友人知人は「すっげーやっべー」と騒ぎ立てる・盛り上げるだけではなく、分脈を的確に捉えないと浮かばれないかなと。彼はもっと志向の先を行っているはずだと思いながら、映画観に行くか、もう少し迷っておきます笑

そしてもう一つ、BELONGに入江陽『仕事』のレビューを書きました。こちらも2015年のブラックミュージックコンテンポラリーとなりうる日本のディアンジェロに相応しい名作でした。

どちらもよろしければご覧になってくださいね~。
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