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逆プロポーズ

プロポーズはディズニーランドとか、オシャレなバーで膝まづいて指輪や薔薇の花束を渡されるみたいなのだと思っていた。人並みに10代のころはそういうのに憧れていた。

でも、「結婚」という言葉が現実を帯びてくるとそんなことどうでもよくて、わたしにとってまず真剣に考えなきゃいけないのは二人の将来じゃなくてその他の人達の人間関係だった。

本当笑える。

たまにしか合わない休日、いつも通り早朝二人で出かけていつも通り「セブンイレブンでコーヒーが飲みたい」て私が言うからついでにドライブをして、帰りに買い物をして、いつも通り彼が「ポテトが食べたい」って言うからついでにお昼ご飯はハンバーガーを買って....

そんな昼下がりに「結婚について真剣に話したい」ってそう言った���は私だった。

「いいよ」て言われて、少しだけ話しをしたた。

私の最初の一言は「いつか別れなきゃいけないと思っているよ」だった。

相手の幸せを本気で願うなら、私は結婚できない。

結婚なんて夢を見れないような家庭環境で育った私にも結婚ってワードに現実を帯びさせてくれた、夢を見せてくれた、優しくてかっこよくて人生で一番愛してる人に対して口をついて出た最高級の愛の言葉が「別れよう」はさすがに悲しすぎるだろ。そう思いながらハンバーガーを頬張る。

でも、彼は今までの私への気持ちを即答してくれた。そんなの一緒に乗り越えると言ってくれた。もう喉の奥で涙を堪えるのに必死で初めて食べる何とかバーガーの味なんて感じなかった。彼が言うと一瞬で全部簡単な事に思えた。

だからこういう話をしているんです。

お父さんお母さん、彼に会ってくれますか？と。

何を考えているか分からない父と「最初だけ、結婚しても離婚するかもよ」と笑う母に腹が立つ。

そんなこと、今まで私が知らなければ人に迷惑なんてかけていないだろう。

彼と出会ってからは心の中にできた元彼や片想いをした人達の墓地を謝りながら歩いている。

そんな不幸自慢みたいな人生いい加減辞めたい。

人は幸せだと音楽が出来なくなると言うけれど、作ってみて詩を書いてみて思う。鬱憤を晴らしていたもので急に幸せなんて表現できない。

言葉も音も私は一度だって誰かのことを考えて作ったことは無い。急に誰かのために表現なんてできない。簡単なことだ。

不幸が楽だったんだよ。

幸せを考えるフリをして自分に酔ってた方が楽なんだよ。

それでも一緒にいたい。

この街の全てを私をゴミ箱に捨てれたって思い出を埋葬し続けたって彼だけは捨てれない。

楽しいことを考えて音楽ができる人生を歩みたい。

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生まれつきの生き方

人間の生き方って

大きく2パターンに別れると思う。

選ぶ側と、選ばれる側。

これは努力でも才能でも

運命でも宿命でもなくて

生まれ持った性質だと思う。

ましてやどちらが良い悪いはないと思う

というか

どちらもいるから

人間関係は成立する。

なんとなくつけたテレビから

謎の番組が流れる午前4時。

そんな部屋で間接照明をつけて

夜勤明けの彼氏と一杯。

キッチンの換気扇の下

煙草を吸いながらお酒を片手に

「俺ってそんなに堅苦しく見えてる?」

という彼氏の言葉から会話がはじまった。

私の目には初めてあった時より

もう大分肩の力が抜けてるし

私には憎まれ口だって叩くし

そんなことないと思うのだけど、

多分悩んでるのってそこじゃないんだろうな

って思って、

飛躍はしたけど

「人間には選ばれる側と選ぶ側がいて

彼氏は選ぶ側の人��だよ」

みたいなことを言った。

私は選ばれる側だ。

でも選ぶ側にすごく憧れる。

何度そういうふうになろうと思って

努力したことか...

でも不思議で、生まれ持った性質に抗うのは

とても難しい。

よっぽど器用でなければ嫌われ者だ。

私が友達たくさんつくろう!

そう思った時はだいたい孤立する。

なぜなら私は選ばれる側が

自然で正しい生き方だから

逆を生きようとすると

どう頑張っても、不自然さが目立って

自分から仲良くなろうとすると

「媚びを売ってる」とか「必死」とか言われる。

逆も然りで、多分選ぶ側が

選ばれる側になろうとすると

「自由人ぶってる」とか

「無神経」とか言われるのだと思う。

「いや、でも」とか言って

会話は続く。

彼氏は選ばれる側に憧れるらしい

「誤解してほしくないけど

自分には選ばれる側の方が楽そうに

見えるんだよね。

だから選ぶ側に憧れるってわかんない

何で?って思う」

と言われた。

「でもさ、好き嫌いを

自分が選択できるんだよ?

とても素晴らしい能力だと思う！」

と返す。

本心なのだけど冷静に考えたら

結局ないものねだりかも。

私は選ばれる側で選んでもらう立場。

彼氏は選ぶ側。

でも人は逆の立場に憧れる。

なかなか自分を肯定して

自分の立場を謳歌できない。

選ばれる側は別に好かれたくない人にまで

あーだこーだ言われて、

飽きたら勝手にぽいってされて

うんざりする。

でもたしかに選ぶ側は選ぶ側で

苦悩があるかも。

まず大前提として頭が良くて

人間観察に長けてないといけない

結局ないものねだりで

どっちの人間も気遣いと思いやりは必要

友達にはもちろん選ぶ側の人間が多い。

でも恋人や好きになる人は選ばれる側が

多かったと思う。

(今更だけど恋人と

長続きしない原因てこれだったのかも)

私は絶対選ぶ側が楽だと思っていたけど

好きになる人に選ばれる側が多いのは

同じ選ばれる側でも

飄々としてて人生を楽しんでる人って

同じ世界線にいるのに羨ましくてたまらないからかもしれない。

考えすぎ、っていわれるかもだけど

私にとってこれは

人間関係をうまくやる時の

一番簡単な考え方

なんでもだけど

大きく2つに振り分けたら

世の中がとても整理されて見える。

「あの人は選ぶ側。あの人は選ばれる側」

「あ!たしかに!え、?そう?逆じゃない?」

「ちがうよ！だってこういうとこあるじゃん?」

「あー!たしかに!」

「そういえばこの前、誰々がさー」

話題はいつの間にか

共通の知り合いの

面白いところになっていた。

彼にも少しだけ、簡単に見えただろうか

この世に生まれてしまったのだ。

人生は抗うより謳歌しなきゃね。

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恋バナ

全然、深く考える内容ではなかったけど

昨日友達とした会話を

「こんなにいい人なのに何でだろう。

相手が悪いんじゃ?

そんな女の子見たことないんだけど、」

みたいなことをずっと平行線で考えてた。

会話の内容っていうのは

ただの恋バナだし、

普段は考え方の違いで終わらせる内容

話しを聞いてても

別に高望みでもなんでもなくて

飛び抜けた美人とか派手な子が好きとか

そんな感じでもなくて、、

まあ要するに

女の子は付き合うと重くなっちゃうっていう

そういう話しだったのだけど。

まず会話相手の友人なのだけど、

背が高くてイケメンでお金を持ってて

さらに考え方も仕事への向き合い方も

本当に同じ歳なのかな?

と感じるくらいしっかりしている。

それでいて

こんなブサイクでどうしようもない私と

対等に会話してくれるっていう

それだけで人柄の良さは明確だ

そんな彼が女の子に困るというのが

不思議だった

(2人にしかわからない

不満や不安はあるかもしれないけど)

付き合うとどちらか片方が重くなっちゃう

ていうのはよく聞く話しだよね。

今まで異性の友達や知り合いと

その話を何十回したかわからないし

何回も聞くことなのに

何故かはじめて真剣に考えてしまった。

このなんとなくモヤモヤするものは

朝になってスーパーで買い物している時も

ぐるぐると頭の中を巡った。

えっと

うんー

濁すと難しい

正直に言うと

「彼女が仕事の忙しさをわかってくれない」

みたいな話しを聞きながら

男友達2人が「あーわかるわかるー」

と言ってるのを見て

わからない!

私は女子だけど、

彼氏に急に仕事が入っても構わない

むしろ彼氏が頼られているのがわかって

とても嬉しい

外に遊び行くのは時間がある時でいい

夜勤明けの彼氏が寝ているから

私が家に行ける時は

起きた時に食べるものと

お弁当の材料をスーパーに買いにくし

お弁当を作るのも結構楽しい

仕事終わり楽なように洗濯も終わらせる。

別にギリギリまで寝てても何も思わない

かまってほしいとか、

一緒にいる時間を..とか

そういうものもなく

単純に寝顔をみて

可愛いなあって思うもん!!!!!

いやまて

これって私が異常で

もしかして

とても偉いのでは?????!!!!!!!

私いい女なのでは?!?!?!?!

って思った。笑

でもすっごい

そんな自分のどこかに違和感を感じて

冷静に考えたら

過去私も多少やってたかもってことを

ふと思い出した。

だって前の彼氏

そういえば

友達がいうような理由を言われて

別れたんだった。

そういえば

お金はあるけど

時間はあまりなくて

私はかまってほしくて仕方なかった。

これはもう書きたいだけだけど

お金があるから

デートとかで和食と洋食

どちらがいいか聞かれて

和食と答えたら

アワビとか入ってるコース料理を出す

和食屋さんに連れていかれて

びびったことがある。

私は庶民だから

和食って言ったら、居酒屋とかだった。

ぶっちゃけ適当に応えた。

赤ちょうちん、串焼き、うどん、そば

焼酎が美味しいならどこでも

みたいな笑

アワビて!!!!!!

そのアワビを食べながら

「これ食べさせたかったんよー」て

喜ぶ彼氏を横目に

私は「アワビとフカヒレは結局調理次第

金をはらって食べる価値はない」

っていう父の言葉を思い出していた。

これはイカとかタコじゃだめなのか...?

みたいな

でも

「ありがとう美味しい!!」

て言った

脱線したけど、

そうそうそういえば私重かったなー

話しを戻すと

私が偉いわけでも

いい女なわけでも

なんでもないのよね

こんな

やりたいことしかやらない

やれることしかしない

嫌いな言葉は「やってあげる」

でも私に愛情表現を示してね？

私をドキドキさせてね

っていうわがままでどうしようもない女に

ぜーーーーーんぶしてもいい

ほんとうに大好き!って思わせる

そんな男がすごいのよね

この

ものすごく深く考えた結果

結論が彼氏好き\( ᐙ )/でした。

ここまで読んでくれてありがとう。

貴重な時間を取らせてすみません、

なんていうか

多分恋はできるなら誰でもいい

しかもそこに

イケメン高身長お金の三拍子が揃ってる

ならさ、

多分好きなのはその人じゃなくて

そのステータスなんだろうね。

それをどれだけ愛情に変えれるかっていうのは

多分ステータスを好きになってる人と

恋に恋してる人には無理なんだよね..

納得いく応えにたどりついたけど

なんだか浅はかだった過去が

すごく憎らしいし恥ずかしい

いやわかりきってるのかこんなの

彼氏大事にしよう。

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合法ドラッグ

愛情は麻薬だ。

合法なのに

何よりも人を狂わす。

狂気に導く。

一度与えられると

それ以上のものを求めてしまう

でも愛情の注ぎ方なんて

人それぞれで価値観もバラバラ

生産源も仕入れ場所も

まったく違うのに質を比べて嘆く

わかってる、わかってるよ

私が可笑しいことくらい。

心に栄養が欲しい

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隣の芝生

隣の芝生は青く見えるっていうけど

間違いなく自分の家のより健康的で

青い時だってある。

SNSでそんなことを呟いた。

私の目に青く写っている

隣の芝生っていうのは

同世代の家族関係だ。

羨ましい。

特別に親がラブラブとか

兄弟が優しいとか

そうじゃなくていい。

ただ、お互いがちゃんと会話できる状況

それが羨ましい。

何にも怯えず、皮肉にならず、

今日あったことを言って

悩んでいることを打ち明けて。

みんな当たり前のように

兄弟や親が抱えてる悩みを知っている。

羨ましい。

どうして私の家にはないのだろう

もう無いなら無いで

みんな諦めればいいのに

放置すればいいのに

お互いに「家族だから」という

変な常識があり

縛られて身動きがとれない

隣、隣といえば、

恋人の家族関係が羨ましい。

家族との関係は多分恋愛に最も影響する。

長ければ長いほどそうだ。

今の恋人はきっと、家族になっても

大事にしてくれる人だ。

だって自分の家族を大事にできてるし

コミュニケーションのとりかたもわかってる

でも私はどうだろう

正直自信が無い。

何度も歩み寄ろうとしたけど、

その度に切り捨てられる。

一人っ子だから、

一緒に話し合ってくれる同世代の兄弟もない

どう接していいかわからない。

芝生というより、もう荒れ果てている

それでも荒れ果てた庭を

手入れし、青くできるのは、

自分だけだ。

こんな荒れ地でも

青くできる可能性が少しでもあるなら

土を柔らかくして水を与えようと思う

青い芝生を、羨ましそうに眺めるだけでは

現状は変わらない。

ことわざの本当の意味って

そういうことだよね

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もちだ

4/17『愛がなんだとか』

たまきうさこ

The Bimboes

▷もちだ

今回は、主催者である私について

紹介をしよう。

自分の20代前半にを本にして

¥500で売るくせに

いざ自分自身を書こうと思うと

少し難しい。

まあそんなに難しく考えなくてもいいか！

『もちだ』という人間は、

きっと周りの人達みたいに

特別音楽を愛しているわけではない。

いやもしかしたら

愛がゆえかもしれない。

みんなにとって当たり前にあるものってなんだろう。

友達だったり、家族だったり、

今ある命だったり。

なんでもいい。

自分が一番心を許せる場所。

当たり前のようにそこに自分がいれる場所

私にとって、音楽はどういうものだ。

対して身にはならなかったが

母親のピアニストという夢をついで

2歳からピアノ教室に通っている。

物心つかない時からステージにたっている

どんなに嫌になっても

音楽をやめた自分が想像できない。

「弾き語りはリアル」だ

人生初の自主企画イベント、

私の音楽はもちろん、

私が本気でぶつかりたい

そう思った人達の音楽。

是非聞いて欲しい。

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The Bimboes

4/17『愛がなんだとか』

たまきうさこ

▷The Bimboes

もちだ

The Bimboesは宮崎のロックバンドだ。

少しレトロな雰囲気が味があっていい。

最近ベースが加入した。

ギターボーカルの肥田大とは、

高校生の時からの付き合いだ。

初めて会った時のことは覚えていても

何で仲良くなったかは

正直まったく覚えていない。

よく音楽についてのあれこれを語る。

それと恋バナに付き合ってくれる。

いつもボロカスに言われるのは

ここだけの話..笑

The bimboesの音楽は

刺々しい声と音が胸の奥に突き刺さる。

ライブハウスでは

虚無感を音で満たしてくれる。

まさにエモーショナルといったところ。

何でも言えるからこそ、

全力で私を潰しに来てくれるバンドだと

そう思いこのイベントに誘った。

容赦なく潰しに来てくれるだろう

音楽でも酒でも。

あ、そういえば

酒では相手にならないと言われたっけな

『重なる影に触れて、かじかむ手さえ深呼吸

触れることさえ出来ずにネオンの明かりの中

レコードの針はあがり、物語の幕は下りる』

いい曲だ。

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たまきうさこ

4/17『愛がなんだとか』

▷たまきうさこ

The Bimboes

もちだ

たまきうさこは、この日

鹿児島からわざわざやってきてくれる。

同じ女性シンガーという枠で

真っ先に浮かんだ。

一秒も迷わずに誘った。

このイベントへの出演を

快く引き受けてくれた。

私と同じ歳、同じ弾き語り、同じ女の子、

でも全然違う。まったく違う。

当たり前だが。

彼女とは熊本に住んでいた時に出会った。

初コンタクトは、

ライブハウスでも何でもなかった。

熊本にあるミュージックバーで、

二人とも酔っていた気がする。

熊本に住んでいるわけじゃない2人が

熊本で出会ったのだ。感慨深い。

お互いの曲も名前も知らないのに

その日のうちに対バンしたいと思い

その日のうちに対バンが決まった。

彼女との付き合いはそこからだ。

見た目も声も可愛いが

可愛さの奥には毒がたくさん詰まっている。

彼女と話す時はいつでも

女の子特有の気を使わなくていいから

楽しい。

「唄は日記帳」をモットーに

他人には言えない悩みや惚気や妄想話を

歌っている。

「弾き語りはリアル」をモットーにしている自分と

どことなく通づるものがある。

だから彼女に惹かれるのかもしれない。

彼女の曲はポップの奥深くで

いつだって刹那さやセンチメンタルが

���いている。

そんなところがたまらなく寂しくて

たまらなく愛しい

ライブでは歌う度、ギターを鳴らす度に、

たまきうさこという女の子が

形成されてゆくのがヒシヒシと伝わってくる。

あの感覚がまたクセになるのだ。

『一生覚えててあげるわ、

あんたみたいな男も愛せたこと

一生思っててあげるわ

あんたと別れて私幸せよ。

(誕生日プレゼント/たまきうさこ)』

たまきうさこの物販はリンクより↓

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よくばり

これを言ったらおしまいだし

私の人生はジレンマになってしまうのだけど

自分の求めてるいる芸術と、

世間の言う幸せはいつも不釣り合いだ。

ほとんど反比例していく。

私は自分の幸せを音楽にできない。

音楽も作れない絵も描けない時

私が最高に幸せな時

何もかも怖い

バチが当たるようなことはしたくないから

なるべく避けて通る。

私のことを一目で面白いと感じ

興味を持ってくれたのに

私は途端につまらない人間になる

すぐ人が去っていく理由がわかる気がする

いつか幸せも堂々と宣言できる人間に慣れた時、また今までと違うことを歌にできる日が来た時、私は本当に幸せでいっぱいになるんだ。

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初めての恋人、海と花束

きのこ帝国は初めてできた恋人に教えてもらった。今思えば高校生活がもう時期終わるというのに、私は呑気だった。

今でも海と花束を聞くと、切なくなる。

伝えたいことなどとっくのとうにない

錯覚起こしてるただそれだけなんだよ

ごめんね、ごめんね、これでもう忘れよう

たしかにそんな終わり方だった。

夢現でもどうでもよかった頃の恋。そんな頃に聞いていた曲。そればかりじゃないとはいうけど、たしかにそればかりで幸せを錯覚できた。

-2021.04.05-

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凡人の歌

自由に歌えなくなって、わかったことがある

歌うという動作がわたしにとって

瞬きの次くらいに大事だということ。

人間は瞬きをしないと

目が乾いてとてもじゃないけど生きていけない

鳩は首を降らないと歩けなくなる

小指が無くなると握力が低下する

猫は髭がないとバランス感覚を失う

まあなんでもいい

無意識だけどとても大事ということ

私を私という人間をわからせるためには

やっぱり歌がないとわからない

他人にも自分にも

存在している実感をわかせるには

ステージの上で歌うしかない

手術前にやっぱりどうしても歌いたかった。

再来週から入院だ

はやくこいつをとってもらって

また自由に歌いたい

当てたいと思ったところに息を当てれて

喉から鼻の奥を通って

伝えたいと思った人のところへ

私の声が届く日々を送りたい

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秘密

恋人がいることを秘密にしたがる人って

何なんだろうねw

隣に座っていた女子高生の会話に

胸がグシャッと痛む。

自信がないとか

誰かの所有物みたいに言われるのがいやとか

色々あるじゃん、理由..

逆になんで君らはSNSにツーショット載せて

付き合ってます！って言えるんだ?!

いや、私が、、私が変なのか、、

大好きだけど、大好きだけど!

一部の人しか知らない....

でも殆ど酔ってポロッと言っちゃって

後悔してる。

思わずあんまり好きじゃないとか言ったのも

後悔してる。

神よ、そこに浮気心がないことを

誓います。

悪魔よ寿命と引き換えに才能をください

仏様、私が自信がもてるように見守ってください

閻魔様、来世は飼い猫になりたいです

アーメン

南無阿弥陀仏

輝かしい女子高生の隣で

私は一体なにを考えているのだろう。

人間の狂気の差は

もしかしたら表に出すか出さないかで

本当は隣にはとんでもなく

変な人が座っているかもしれないんだな。

雨が降り出したので

ショッピングセンターを後にした

冬の昼下がり

私の秘密

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妄想恋人 #2

11:25、出社して数時間

書類に並んだ数字を目の前に

私の睡魔はピークを達していた。

社内に電話が鳴り響く。前の席に座っている山口さんが受話器をとった。

山口さんはパートの人達の中でも一番年上で社員なみに仕事をこなしていく。

長い黒髪をキュッと後ろにまとめている。

頭のいい女性というのが滲みでていた。

「はい、ではお名前から、

はい、はい、あ、漢字は結構です

タカナシ マリア様ですね」

優雅な声で淡々と話しながら、スラスラとメモをとっていく。

タカナシ マリア、そういえば同じ名前の人が高校生の時同じクラスにいたっけな

「求人の応募の電話やったわ。」

ガチャンと受話器を置いたあと、山口さんがそう言った。

「26歳やって、佐々木さん同じ歳じゃない?」

パソコンのキーボードを叩きながら

山口さんは私に話しかけてきた。

「はい、」

「よかったわね、同じくらいの歳の人が応募してくれて。」

パソコンで表情はわからなかったが声音で少し嫌味っぽい顔をしてるのがわかった。

私は地元の小さな会社で事務員として働いている。仕事は主に会計業務。毎日毎日、金を数えては金庫に収める日々。何百万という札束が両手をすり抜けてゆく。

私の部署は年齢層が高く社員の人を含めても

歳が近くて10歳ほど上の人だった。

「タカナシさんって小鳥遊って書くんですか?」

「多分ね、小鳥って言ってたけん。」

やっぱりそうだ。タカナシ マリア。

高校3年間同じクラスだった。

クラスと言っても、私が通っていた学科は人数が少なく一クラスだけだったので3年間同じクラスなのは当たり前なのだけど。

変わった子だった。

モーツアルトに恋をしているらしくやたらと詳しかった。ピアノがとても上手かった。

重いスタンウェイの鍵盤をまるで電子ピアノのごとく軽い音で引き上げた。

コロコロとうごく細い指はまさにモーツアルトと言った感じだった。

印象的だったのは、家庭科の授業中、ぎこちない動作で食器ををモタモタと洗い出したことだ。

「タカナシさん洗い物したことないん?」

そう聞くと、

「えぇ、指を怪我したら大変だからってお母さんがやらせてくれないの。」

と返事をされた。

ザルに水を直接流し永遠と取れない泡を見て思わず痺れを切らした。

「ザルはね、こう洗うといいんよ」

私は彼女の持っていたザルを取り上げると

ザルの上で手の甲から水道の水を弾き全体へと行き渡るようにザルを撫でた。

「すごいわね、代々木さん」

窓からの光が彼女の美しく長い黒髪を照らした。大きい瞳の下にある涙袋を両頬がふわっと持ち上げタカナシ マリアが上品に微笑んだ。

なんだかとても自分が惨めに思えたのを覚えている。

ユキコが仲がいいみたいだったので、荒波立てずに接していたが正直あまり得意ではなかった。

結局タカナシマリアはユキコと喧嘩をしその後、クラスの中で孤立してしまった。彼女は学校に来なくなった。

そういえば、あの時何故タカナシマリアとユキコは喧嘩をしたのだろう。

今となっては聞くすべがない。

「知り合いなら尚更良かったじゃない。

面接受かるといいわね。」

山口さんが私にそう言った。

「いえ、タカナシさんは私の事

あまりよく思ってないと思います。」

別に特別正直に応える必要がないことを私は正直に応えた。

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ハッピーバースデー

いつも寝る前に

中原中也の全詩集に入ってる詩の一つを読む

物語じゃないから

別に最初から順に見る必要は無いのだけど

サーカスがお気に入り

たまらなくその世界に入りたくなる瞬間がある

なんでもいい

一文字一文字でもいいし、

背景でもいいし

もし世界観をこの手で掴めるなら

ぎゅっと握って

私は確かにここにいると確かめたい。

「あんたは初めから生きる気なんてなかった」

逆子だった私に母はそういう

心地よかった振動

知らない父の声

きっと記憶のどこかに忘れ去られているんだ

もしこの世の中に

深い深い絶望があるとして、

それでも私は五体満足で

今こうして音を感じ光を感じ

映像を見て、音楽を聴いて、文章を読む

感動をする

脳に少しだけ荷物を抱えて

朝の9時帝王切開でこの世界に取り出された

私が生まれた日、私が生きづらい体で

呼吸をして死ぬまでの物語がはじまった日

1月7日

ハッピーバースデー

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IQ低下

すごく不安がられてるし

そんなこと言いながら

苦しくなるくらい抱きしめるから

たまらなく好きだって思って

でもやっぱりなんだか

そういう性分じゃないので

ぷいっと後ろを向いて

「私はよくドライだと言われるけど

ちゃんと好きですよ」

って返事した。

女は追われてる方がいいって言うけど

私は振り回されてワンワン泣いてたくらいが

楽だったかもしれない。

相手に、ほんとクズ野郎!バーカバーカ!!って

言ってた方が楽だったかもしれない。

尊敬してる人の事も

いちいち嫉妬せず

かっこいいねすごいねって言って

聞いてくれるところとか

笑いのツボ一緒なところとか

めちゃくちゃ大好きだ

不安なのは私の方で

追っているのは私の方かもしれない

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妄想恋人

「こんな夜遅くに、どこ行くん?」

「んーユキコと会うんよ」

「嘘やん、お化粧までして、

お母さんにはわかるんよ？

どうせ、男やろ?」

「.......」

「ほんと、だらしないわ。嘘をつこうとするのも腹立つんよ」

「そう、男よ。彼氏!

いま彼氏がいるの。」

口紅を塗りながら思わずそう言ってしまった。私に彼氏なんていない、作る気もない。

「どうせ」と言うところ、仮に娘に本当に彼氏がいたとしてそれを「オトコ」と呼ぶところ、娘として母のことが許せなかった。

人生で真剣な交際をした人はたった一人だ。私は「どうせ」と言われるほど軽率に男の人のことをしらない。

「どうせ、オトコ」なのは母の方の癖に、母は母の思い通りに私が動かないと気が済まないのだ。母の言うことに合わせて嘘をつき納得させて私を責めてもらうほうが本当のことをわかってもらうより遥かに楽だった。

「やっぱりね、お母さんにはわかるのよ。

隠したって無駄なんだから。

どんな人なの?なんの仕事?」

「じゃあ、待ち合わせに遅れるから行くね。」

「ちょっと!、帰ったらちゃんと説明しなさい!」

母の言葉も罵倒も遮り車に乗り込んだ。

エンジンをかけると山口百恵の夢先案内人が流れた。私は一人で海に向かう。

ついでに言うとユキコという友達も嘘。

ユキコ、ユキコは去年の夏自殺した。

母の口癖は、「やっぱり」と「ほらね」だがまったく私に興味が無い。私を知っているフリをする。ついでに言うと化粧も派手な服も誰かに見てもらうものでは無い。自己満足だ。

さらにつついでに言うと、幽霊はいない。海は死者に会えると言うけれど、毎日のように夜の海に行ったって、そこが地元で有名な心霊スポットだったとしても、幽霊にはあったことがない。ユキコには会えない。

あともうひとつついでに言うと、ユキコは恋人だった。

夜の海はより一層私を孤独にする。ただ果てしない黒のなかで波の音が鳴るだけだ。ただ途方のない不安に襲われるだけだ。夜は長い。私はラジオのボリュームを上げアクセルを踏み込んだ。

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12時間の夢 雅之 #１

12時間の夢 雅之 #1

姉は、

「私は常に好きな人が3人いなきゃ嫌なの」

と口癖のように言っていた。

正確には「好きな人」ではなく「私を好きになってくれそうな人」だ。

思わせぶりな態度をとる姿を弟の前でも隠さなかった。

酒が入るとその行動に拍車がかかる。

成人して何回か二人で飲んだことがある、声をかけてきた男に例のごとく思わせぶりに接したあと男にバレないようにこちらを見てペロッと舌をだしながらクシャッと笑う姉を見て、絶対に姉みたいな女には引っかかるまいと心に誓った。

あぁ、こんな時に何を考えているのだろう。

数日前、川と海の境目で姉の死体が上がった。姉の部屋から遺書も出てきた。周りも警察も自殺だろうと言った。正直、俺は他殺だと思う。たしかに姉の性格や人間関係を考えれば自殺の動機は沢山出てくる。むしろ生きている動機が知りたいくらいだった。姉自身も自分自身が死に近い人間だと自覚していた。遺書も最近慌てて書いたものじゃない。

「この宝箱の中に遺書入れとくから、私が死んだらみんなに見せてね。」

姉は生前、そう言って安い玩具の宝箱に4つ折りにしたメモ帳を定期的に放り込んでいた。宝箱にはカギがついていて合鍵は俺が持っていた。

死ぬことなんて常に考えている姉が、それでも死にきれなかったのだから、今更自殺なんてするわけがない。

恋愛脳で自分勝手な姉だがそれでもその淡麗な容姿をこれだけめちゃくちゃにされるほど人に恨まれていない筈だ。

川と海の境目で姉の死体が発見されたと聞いた時、きっと姉は海に行きたかったのだと思った。

人間は腐敗したって海まで行けない。

おまけにあんなに変わり果てた姿になって。

都会に憧れた姉が、灰になるまで焼かれて小さな町の小さな白い箱の中に閉じ込められてしまうのかと思うと虚しい。

海岸沿いに車を停め、夜の海を眺めた。

親の目を盗んで持ってきた姉の遺灰をサラサラと深い深い藍色の中に溶け込ませた。

姉を殺した人を憎んでいる訳では無い。恐らく殺して上げたんだと思う。それでも弟としての幸せは奪われたわけだ。家族として幸せを奪われたことは憎んでいる。

俺が姉に対しての役割があるとするなら家族であり弟であるということだ。でもきっと姉を殺した人にも姉に対して役割があって「姉」ではなく「静子」として見ていたのだろ。きっと「静子」を殺す必要と理由ががあった。

姉が死んでから一度も流れなかった涙が初めて堰を切ったように溢れだしてきた。

どうか、姉の死んだ理由がつまらないものでありませんように