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Rethink FUKUOKA PROJECT
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Rethink FUKUOKA PROJECTは様々なジャンルの人が集いイベント参加や活��を通して新しいこと・もの・人に有機的につながることで新しいなにかをうむプロジェクトです。
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【RFP】vol.059『地域に眠る宝物発見!〜地域ブランディングのこれからとは?〜』(UUUM市川義典×BBDO眞鍋海里 ) 2017/10/24(火)定員50名
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今回はUUUM株式会社の市川義典氏とBBDO J WESTの眞鍋海里氏をゲストに迎えての開催! 『地域に眠る宝物発見!〜地域ブランディングのこれからとは?〜』に焦点をあて、 『地域に眠る宝物発見!〜地域ブランディングのこれからとは?〜』の可能性をRethinkしていきます!
地域には、まだ世に広まっていない宝物が数多く存在します。 地域の人、場所、食、遊び…など、世に広める価値がある素材はたくさんあります。
現在は、オリンピックも開催される日本の首都・東京が注目され続けていますが、これからの日本は地域が力を持ち、もっと注目される時代がくるのではないでしょうか?
今回は、Youtubeをフィールドにインフルエンサーマーケティングでいくつもの成功事例をもつUUUM株式会社の執行役員である市川義典氏をお呼びしました。HIKAKINは、人気No.1のYoutuberとして今やどの世代からも支持を得ていて、そんなYoutuberが数多く所属しているのがUUUM株式会社です。UUUM株式会社は今、地域のプロモーションにも力を入れており、地域の可能性を探っています。これからの地域プロモーションの在り方や可能性について市川氏に伺いたいと思います。
福岡からのゲストは、福岡を代表するコンテンツプランナーとして多くの作品を作り続けてきた眞鍋海里氏。株式会社オートウェイのWEBCMコンテンツ『雪道コワイ』は、全世界で940万回以上再生されました。福岡という地域で活躍するプランナーに、地域だからこそできることや地域で作品を作ることの可能性などを探っていけたらと思います。
東京と地方・福岡の違いはどのようなところなのか。地方に可能性はまだ残っているのか。動画を手法としたプロモーションのイマとミライを一緒に考えていきましょう。
【こんな方に】 ・地域から発信に力を入れたい方 ・動画編集、動画マーケティングに力を入れたいと考えている方 ・マーケティング担当している方 ・企画、広報、マーケッターの方 ・動画編集、企画を担当されている方
【日時】2017年10月24日(火) 【RFP】vol.059『地域に眠る宝物発見!〜地域ブランディングのこれからとは?〜』(UUUM市川義典×BBDO眞鍋海里 ) 【場所】ReTHINK Cafe 【時間】18:30 OPEN 19:00 START 【料金】1500円+500円 (1drink) 【登壇者】 ゲスト 市川義典(UUUM執行役員) 眞鍋海里(BBDO J WEST コンテンツプランナー) ファシリテーター 松口健司(SAINO & Loqui代表)
登壇者プロフィール
市川義典 UUUM執行役員
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映像音響会社、インターネットメディアレップを経て2015年UUUM入社。メディアプラン設計や企画開発などの経験を活かし、企業とYouTubeクリエイターのコラボレーションや、インフルエンサーへの制作支援、マーケティングにおける動画活用の啓蒙活動に従事。
眞鍋海里 BBDO J WEST コンテンツプランナー
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1982年宮崎生まれ。従来の広告手法にとらわれず、映像、デジタル、体験型コンテンツと”コンテンツ発想”を軸に様々なアイデアで話題を仕掛けるコンテンツプランナー。 AUTOWAY「雪道コワイ」からのシリーズ動画は全世界で1500万再生を誇り、 最近では、paymo「Table Trick」、超特急 連結MV「gr8est journey」、SUNTORY「集中リゲイン」、KIWI「ハイパーキックOL」などの話題作を手がける。
松口健司(株式会社サイノウ&Loqui代表)
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九州大学在学中。20歳の時にシリコンバレーに短期留学し、それをきっかけに取材メディアLoqui(ロクイ)を設立。「人」が学問というコンゼプトのもと、「今学びたい100人の学問」というメディアを運営中。現在は、現役大学生でありながら、株式会社サイノウの立ち上げに関わり、活動中。テクノロジーとクリエイティブの祭典”明星和楽”やawabar fukuokaの運営などを手がけている。
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラ���根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.059『地域に眠る宝物発見!〜地域ブランディングのこれからとは?〜』(UUUM市川義典×BBDO眞鍋海里 ) 
18:30 OPEN 19:00 START/ 1500円+500円 (1drink)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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あなたと観るから、映画はもっと楽しめる 三匹の侍が掲げる「popcorn」で映画の未来を変える!
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福岡から文化を考える大好評企画「カルチャークラス」の3回目。自らも映画のコラム連載を持ち、福岡のシネマイベントに欠かせない存在となっている三好さんが迎えた相棒は、マイクロシアター・プラットフォーム「popcorn」を開発した大高健志氏。そして、福岡未上陸の映画作品を上映するイベント上映会「博多南シネマ」をはじめ、様々な映画的活動を仕掛ける森重裕喬氏。 誰もが、どこでも映画を上映出来る「popcorn」という全く新しい仕掛けを中心に、福岡の上映事情やライブとしての楽しみ方など、映画に関する愛をぎっしり詰め込んだ映画狂たちのトークをお届けします。
福岡の映画事情はどうも厳しいらしい…。 映画と福岡を愛する男達の奮闘をひもとく
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三好 皆さん、こんばんは! 三好が進めて参ります「カルチャークラス」。第三弾は「映画を我等に」実は私、仕事ではアジア映画の商談会企画や映画の連載を手がけるほか、とにかくアメコミ映画が好きで「ファンタスティック☆ポップコーンボーイズ」というユニットを結成してまして。アメコミの新作が封切られるたびに10人くらいで映画館に行ってウハウハ言いながら幸せな時間を過ごすという活動に勤しんでおります。そんな映画漬けの私と語り合ってくださるゲストは「popcorn」という新たな映画上映スタイルを提案するプラットフォームを開発・運営されている大高さん、そして福岡で様々な映画活動を展開される森重さんです。
まずは、大高さんの紹介から…、あれ? 紹介用のスライドが出ない…。
なんと、突然の機器トラブルで大高さんの紹介用データが消えてしまったみたいです! とはいえ、数多くのイベントをこなしてきたお三方はこの手のアクシデントには慣れっこな様子。そしてお客さんにとっては、本日のトークで触れる“ライブ感”の布石にもなる出来事なのですが、それはまた後の話…。 気を取り直して、森重さんのご紹介から始めます。
森重 僕は「Cinema tocoro」という団体で、映画の上映や宣伝の活動をしています。福岡で上映したい映画などありましたらぜひこちらへ!(スクリーンに森重氏の携帯番号が大写しになる) 三好 個人情報を何とも思っていない出し方ですね(笑) 森重 映画が普及すればどうなろうといいんです!「Cinema tocoro」ですが、今の3人で活動を始める前にも、移転前の九州大学のキャンパスの空き部屋を活用するという名目で個人的に映画を流していたんですね。九大お抱えの家具職人さんが作った家具なんかを並べて、映画と食のイベントとして月一回のペースでクローズドに上映をやっていました。 そのうち映画イベントに携わる中で、「東京では上映しているのに、福岡では上映していない映画があまりにも多い。福岡の映画事情はどうも厳しいらしい」という事に気付かされたんです。そこで、そのことを教えてくれたライターの小柳帝さんの名前をいただいて、「MIKADO」という団体を立ち上げました。これが名を変えたのが今の「シネマトコロ」です。一番最初は、薬院のイベントスペースで、俳優としても活躍する若手監督・森岡 龍の「ニュータウンの青春」を上映しました。 活版印刷の工場で「世界一美しい本を作る男」を上映したこともありますね。実際に印刷の機械が目の前にあってインクの匂いがする中で、映画をより身近に感じてもらったり、活版印刷でチケットまで作ってね。あとはTSUTAYAでフランス映画を流しながらサントラを紹介する「ミュージックインシネマ」という企画のように、上映会ばかりじゃなくて、トークイベントなんかもやったりしています。大分では、現地の職人さんと組んで、竹編みのトンネルを作って上映会をしたんですよ。暗くするのと雨対策とで防水の壁紙を細かくちぎって貼り付けたりして。 そんな感じで上映をする場所の雰囲気にもできるだけこだわりたいと思っているんです。福岡だと、清川リトル商店街での上映会の時は、ガレージみたいなガラーンとした部屋を上映会場にしちゃう。スクリーン替わりの壁を作るところから始めたんですよ。 こういった活動の中で「爆音映画祭」を企画されていた樋口さんや福岡の爆音映画祭を運営している木下さんといった映画人との出会いも僕らの活動を加速させる大きな要因になりましたね。 で、これ、昨日です。「清川ロータリープレイス」というスペースで「popcorn」を使って上映しました。ホント偶然なんですけどね。 三好 おお〜!! ちなみに何の映画をかけられたんですか? 森重 「大巨獣ガッパ」という映画です。日活が唯一撮った怪獣映画を見ながら飲んで食べるという上映会で、最初はツッコミだらけだったんですが、段々、ガッパの哀愁につられて会場が静かになっていくという…。 三好 ガッパの力学にしっかり引き込まれているわけですね(笑) 森重 こんな風にいろんな上映の形を試しながら映画館への橋渡しをしているのが現状で、近いうちに福岡の街のど真ん中に映画館を作るのが目標です。映画を見る形は色々つくれるので、皆さんも是非やってみてほしい。福岡の映画館で鑑賞できる作品って本当に少ないんですね。それをできるだけ増やしていきながら、映画を日常の一コマ的にふらっと見に行けたらなと思って活動しています。 三好 なるほど、ありがとうございます! そろそろPCも回復したようですね。それでは満を辞して大高さんお願いします。 森重 こんなこともあるもんですね。映画関係のイベントってトラブルがすごく多くて、どんだけ準備しても何かしら起こるんですよ。 大高 ちなみに「popcorn」で上映会を行った時はトラブルとか起きました? 森重 いえいえ! ものすごく順調でしたよ! 大高 「popcorn」は、興行場でない場所でも上映を気軽に実現する為に、上映回数などを管理する必要があるのでストリーミングで上映するんですね。だからネット環境がしっかりしていないと途中で止まっちゃうこともある���こちらとしてはどうしようもないけど、通信環境の問題もあるし、会社のPCでセキュリティソフトが働いちゃうと再生できない場合があって、改善が大変だったんです。僕らも毎回ドキドキしているんです。
ライブ性に着目した「popcorn」で 映画に新たな命を吹き込みたい!
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大高 「popcorn」は今年の4月にオープンしたばかりで、全国各地で上映会が開催されています。そもそもは、皆さんに「もし自分の街にシアターを作るなら…」というメッセージを持ってもらいたいとスタートしました。
どういう事かと言いますと、映画を消費者として利用するのではなく、自分が映画を上映する側になるという経験をみんなで共有できたらなと思ったんです。例えば、近所のコーヒー屋さんや民家など空いたスペースでこんな映画をかけようと考えてもらう。映画の伝道師になって頂く経験を広めたいと思っています。 そこで考えなきゃいけないのは、「どこに、どんな映画を、どんな風に上映するか」。このディスカッションを含めて、みんなで考えていきたいなと思います。 一般的な映画館、特にシネコンなんかでは、上映内容も環境も画一化されている。その安心感がある一方で、実はそこにはないワクワクが他にあるかも知れない。言ってしまえば、「映画が持つライブ性」とはなんぞやという事ですよね。 音楽がわかりやすい例ですけど、デジタル化されることによって楽曲を購入すること自体には関心が薄れてしまっている。では、どこでお金をもらって、次の作品を作り続けるか。やっぱりデジタル化していないものに対して価値が生まれるんです。それが楽曲を生で体感できるライブなんですよ。 でも映画となると、とても難しいところですよね。映画にとってのライブ性について、これからみんなで価値を作っていく必要がある段階なのかな。この場所だからこんな映画を見ようとか、ご飯を食べながら見ようとか、森重さんのイベントのようにだんだん静かになっていく現場をみんなで体感するとかね。まさにその場で上演される演劇と違い、映画はすでにデータ化されたものではあるので、ライブ性を生み出すというのは難しい所もあると思うのですが、それを「popcorn」を通じてみんなで発明して行けたらと思ってます。 三好 地方に目を向けられたのは? 大高 「popcorn」は、「日本仕事百貨」という求人サイトを運営しているナカムラケンタとの共同経営なんです。彼はリノベーションスクールとか地方活性化に携わる人間で、映画にもともと縁があるタイプでは無いのですが、ある時、「今、地方では映画がアツいらしい��」って話していたんですよ。「え、それ逆じゃない?」と思って聞いていたら、どうやら映画館ではなく、リノベーションで誕生したスポットでの話だったんです。地方の古民家とかを再生したカッコいいスポットがどんどんできて、しかもそこに人が集まっている。そういった場所で映画を上映したいという熱意がすごく高まっていると。 三好 なるほど! 大高 東京以外で劇場公開してもなかなかお客さんが入らなくてという話を相談される事も多く、それはとても問題だなと意識していたテーマでもありました。もちろんMotionGalleryで関わった作品にはリクープして欲しいという作品単位での問題意識もありますが、更に言うと、東京以外で映画館で映画を見るという体験が減っていってしまうと、どんどん映画人口も減っていってしまうと。でも地方だからといって映画自体に興味がない人ばかりではないはず。この現状を変えていく仕組みって面白いんじゃないかと発起しました。まさに、地方で、且つ、シネフィル(映画通を意味する)ではない人を対象にするという、これまで映画がアプローチしてこなかった所を開拓していく仕組みを確立できれば、結果的には映画人口を広げ、映画を楽しむ人がもっと増えて、そして映画館で映画を見る人が増えていくと思っています。
三好 そこは超大事なバランスですね。 大高 私が創立し、これまで運営してきた「MotionGallery」というクラウドファンディングサイトでは、映画、アート、演劇、出版といったクリエイティブなプロジェクトを主軸に地方の活性化、まちづくりに携わってきて、今7年目に入りました。そこでの実感が今回立ち上げた「popcorn」に繋がっています。ちなみに「バンコクナイツ」って知っています? 三好 あ、チラホラいらっしゃいますね。いい場だなあ。 大高 山梨から世界に飛び出す「サウダージ」というすごい映画がありまして、「バンコクナイツ」はそのスタッフが作った続編なんです。「MotionGallery」のクラウドファンディングで約1000万円が集まって作られたのですが、全編タイで撮っていて、カメラを向けただけで殺されるかもしれないような危険な場所でもマフィアと交渉して撮影を敢行している。しかも、その為に3年くらいバンコクに潜入しているんですね。そんな映画に掛けた時間とリサーチが、作品をとても強固なものにしていると思うのですが、その様な作家主義的な制作スタイルには、どうしても通常の日本の商業ルートだと資金が集まりにくい。 しかしやはり映画制作する上ではお金はとても掛かるので、何とかして捻出する必要があるのですが、その結果として制作者が赤字にならなければまずは問題ないと思っているんですね。何故かというと、次の映画の制作にチャレンジが出来る状態を意味するので。 でも、実際は赤字になるから続かない事が多い。実際に自分の経験としても東京藝術大学で映画制作を勉強していた時に、卒業後の事を考えたのですが、10年くらいバイトして資金を貯めて映画を撮っても、それが次に続かないとなると…。すごく考えさせられました。一方、フランスなんかは芸術家に対する助成金が手厚いから、作り手にはチャンスが用意されている。日本とはスタートラインから違うんです。その差を目の当たりにした事で、赤字にならないで作り続けられる状況を僕ら世代が作っていかなくてはならないと思い「MotionGallery」を立ち上げました。「MotionGallery」のクラウドファンディングで制作し易い環境を用意したつもりなんですけど、まだまだ赤字を防ぐところまでは難しくて。そこで、今度は資金調達からではなくて、上映機会を増やす方向からアプローチしたいと「popcorn」を作ったんです。 三好 素晴らしい! 大高 「初週で人が入らなくては行けない」という”大きな映画”の論理だけが全てでなくて、上映する機会が増えていくことで少しずつ広がっていく映画の形もあると思うんですよ。特に作家性の強い映画を見た感想を消化するのも、それがSNSで広がるのも時間がかかる。でも上映回数が増えればそういった映画にも勝ち目ができるのかなと。 実は、日本のスクリーン数って微増しているそうなんです。それに反して映画館数が減少している。作品も、シネコンの影響でビックバゲットの映画がどんどんできているけど、作家性の高い映画の上映館数は激減しています。しかも新しい作品が次々にやってくるので上映期間はどんどん短くなる。 映画人口が減っているから上映館が減ったのか、多様な作品に触れる機会が減ったから映画人口が減ったのか、卵が先か鶏が先かというところですね。 この状況を防ぐのが今の課題です。 三好 本当におっしゃる通りで、全国的にスクリーン数は増えているけど、かけられる映画は独占されているというか、ハリウッドや日本の大手の映画配給会社が握っていて、なかなか小さな映画はかかりづらい。地方なんかは本当に顕著で、例えば福岡にあるミニシアター「KBCシネマ」では、近年ものすごい量の映画がかかるけど、上映回数は1回ずつだとか極端に少なくならざるを得ない。こういう状況の根底に先ほど大高さんがおっしゃった問題があるわけなんです。ここをどうにかせないかんと、大高さんは手を打ったんですね。 大高 まだ「popcorn」は始まって2ヶ月なので、ドヤッって感じではないのですが(笑)。「古きことは新しい可能性」というところで、今、「Do it theater」というチームが運営するドライブインシアターがとても盛り上がっているのですが、その根底にあるのは「映画のライブ性を取り戻そう」という動きなんですって。昔は日本でもドライブインシアターがあったんですけど、不良の溜まり場になるとかネガティブなイメージがあって無くなってしまったんですね。それで、クリエイティブな装飾をしてフェスみたいな感じで期間限定開催したところ、「MotionGallery」でのクラウドファンディングも盛り上がってお金も集まったし、何より会場では映画のパワーを感じました。5年前ぐらいの旧作をやっていたのですが、客席にはおしゃれアート女子の隣にリーゼントの兄ちゃんが並ぶというカオスな状況で…。 三好 それ最高じゃないですか!
大高 こういうカオス感は、まだ映画のパワーを感じるし、そこにもしかしたら新しい価値があるんじゃないかと思います。ライブというのか、フェス感というか、こういう価値はすごく大事。映画に限らず、こういったオリジナルな体験やサプライズがあるものはみんな喜んでSNSにもアップするし。今の映画市場にいない人たちをこういうやり方で開拓していくことが必要じゃないかなと思います。 三好 すごいですね。映画を媒介にある種の共有体験が生まれていたワケですね。いい話ですな。
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大高 もう一つ、これは相方のナカムラが言っている話ですが、「ハロウィンが流行っているのはなぜか」に通じる問題があります。なんで大勢の人が渋谷のスクランブル交差点にコスプレして集まっているのか。たぶん、これが「ライブ性」そして「DIY」という事だと思うんですよ。情報化社会の元、情報が増殖していけばいく程、マスが融解し、コミュニティはどんどん小さく分散化してきていますよね。昔はテレビや新聞で大々的に取り上げれば多くの人が来るし、この年代はこれが好きというのがハッキリしていました。今は女性30代、だからこれが好きみたいな短絡的な話ではなくなっていて、年齢や性別に関わらず、どういう所にフックがあるか自分も他人も分かっていない。グラデーションでどんどん小さく細分化していると思う。未来学者のアルビン・トフラーが言っていたんですけど、情報化社会で細分化を突き詰めると、結局欲しいものは自分で作るようになるそうです。オリジナルの果ては、自分がオリジナルじゃないと気が済まなくなってくる。このオリジナルを作っていくというのが「popcorn」の上映会にもつながっていくのかなと。それによって映画に新たな盛り上がりが生まれてくる気がします。 シネフィル的に言うと、僕が高校の時、映画が一番盛り上がっているなと思ったのが、渋谷の「シネマライズ」という映画館に、普段は映画を見ないようなファッショナブルな女子が大勢で「ジョゼと虎と魚たち」を見に行ってたんですね。そういうシネフィルじゃない層をもう一度掘り起こさないといけないと。映画っていいよね、おしゃれだよね、っていう方向にもアジャストしていくことができればと考えています。もちろん空虚なブームにならない様に、内実も重要ですが。 三好 作品の中身というよりも、作品が提供する体験とか共感とか、そういう所に乗っかってくるお客さんを作っていくと。 大高 そこから作品に対して興味を持つ仕掛けを作っていけるといいですよね。 三好 体験と作品がセットになるというね。大高さんがおっしゃっていた中で、とても便利だなあと思った言葉なんですけど、「プロシューマー」って…。 大高 アルビン・トフラーが言っていたのですが、生産者でもあり、消費者でもある人々。 三好 そうそう、意識の高いプロ消費者」みたいな。 大高 結局「popcorn」でやろうとしていることは、映画館ではない場所で上映するという機会を広げる事で、上映者と観客が垣根を超えて、お客さんも含めてみんなで楽しむ映画体験を定期的に作っていこうという試みなんです。 三好 カフェやバーみたいな所の空き時間で上映会ができれば、やってみたいという人も多いんじゃないかな。 大高 もう一つ、上映期間について。オリジナルな体験とともに映画を楽しむ事が出来れば、新作でも旧作でもそんなに関係ないと思うんですね。新作はかけないのかという問い合わせがありますが、そもそもそれは前提にしていない。むしろ古い作品をいかに楽しむか。実際、映画館ではもうやっていない旧作でもずっと上演し続けられる。 あとは映画館ではできない上映体験をみんなで発明していければ、「こんな映画をこんな風に見ると面白いかも」ってどんどん広がっていく可能性がある。作品を上映期間という鮮度みたいなものから解放することができる。この中で異常なロングランが生まれることもあったりね。そして、上映回数を増やしていく事で、広い意味での”映画人”が育っていくと考えています。 三好 おっしゃる通りですね。 大高 実際の反響ですが、ローンチ前に日本全国400もの会場から上映の問い合わせが来ていました。今年中には現時点で250箇所での上映が予定されています。それぞれの県のカルチャーセンターというか、文化的なエヴァンジェリストみたいな人たちが早速手を挙げてくれています。 三好 先ほどナカムラさんがおっしゃっていたように、地方での上映の動きが高まっているんですね。 大高 そうなんです。しかも、こちらの想定以上の勢いで。
好きな作品を、好きな場所で、好きな人と… 映画を日常にする「popcorn」で未来はどう変わるか。
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大高 もう少し「popcorn」でインターネットの力を使って上映するメリットについてお話しします。まず、上映する人にとっての話なんですけど、これまで定員が100名に満たない会場で開くと実質的には赤字になる。何故ならば映画を上映するに当り発生する権利料は固定額だったので。それはやる前から確定していたことだったので、ホール上映というか、公民館などで頑張って人を集めて上映するというのが前提だったんですね。でもこれからの社会の変化に合わせて、50人しか収容できないような会場でも、上映会ができるような環境が必要だと思っています。 先ほども言ったように、コミュニティってどんどん細分化しているので100人を集めるのはなかなかハードルが高いし、一回やれば半年くらいはできなくなっちゃう。でも10名ぐらいでも上映できて赤字も出ないとすると、じゃあ1回ぐらいやってみようかなって気軽に挑戦できる。例えば、行きつけのバーで毎週水曜に上映会を開くとします。あくまでその場所に行くことが目的になっているから、そこで上映される作品はなんでもいいんですよ。いつも行っているバーで映画をやっているから見てみるか。そこから映画の食わず嫌いが��るかもしれない。 僕らが考えているのは、小さなバーやカフェなど、街のあちこちで上映会が開催される。ひいては映画でまちをジャックするみたいなことなんです。 三好 なるほど。素晴らしい! 大高 今まで興味を持っていなかったジャンルの映画に出会うことで、新しい驚きというか、豊かな体験に巡り合うかもしれない。自分は超つまらないと思っていたのに隣に座っている人が絶賛していたら、ちょっと気になるし、そこで会話も生まれる。基本的に今までと全く違う行動が起きる。
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大高 もうすこし詳しく説明しますと、上映する時に映画タイトルの権利料がかかっていたんです。作品によって違いますが、ざっくりいうと10万円くらい。 三好 皆さん、これマジでこのくらいかかるんですよ。1回上映するだけですよ。なのに、このくらいかかる。 大高 作品によっては権利元が分からない場合もあります。人数が集まらない場合は大赤字だし、定期的に開催なんて無理な話じゃないですか。そこで「popcorn」では、権利料を一人当たりの金額に設定できるようにしました。1回上映で10万ではなく、1人来たら1000円、2人来たら2000円みたいな。それに合わせてチケット代を設定しておけば赤字にならないでしょ。 そもそも、なぜ権利料の問題が発生したかといえば、今までは上映用に権利元からDVDを送ってくるので、それを再生していたんです。それだと1回だけ上映する契約なのに何回上映されても分からない。そのリスクヘッジのための権利料という側面もあったかと思います。 「popcorn」では、上映内容をストリーミングで管理をしているので、絶対1回だけしか上映できないんですよ。来ている人数もインターネット決済だからすぐ分かるし、権利者へウェブ上で報告もしている。その仕組みも含めて「popcorn」で、権利側のご了承をいただいているんです。 三好 いや〜、自主上映会を1回でも企画したことがある人だったら、これがどれだけ頭を使った発明かわかるはずです。僕もイベントでやったりするけど、必ず権利料の問題にぶち当たる。「権利料から逆算して何人呼ばなきゃいけない、プロモーションめっちゃ大変やん! チラシどんだけ刷らないかんと」って。 それに頑張っても頑張っても儲けは薄い! これは本当に画期的なシステムなんですよ。大高さんエラい!! 大高さん (笑)。まあ、これは制作者や権利者の方々のご理解がとても偉い!思います。今は「popcorn」でこの映画を上映したいと思えば、すぐできる。権利元を調べたり、交渉したりする必要はないんです。イベントページにまずシアターとして上映会場を登録、上映したい映画を選んで、チケット代を設定する。そうすればすぐ上映会が開催できる。観客もウェブ上でチケットを買って、当日会場に行けばいい。すごく簡単なんですね。もう一つ言うと、権利者側もDVDを送って、返却してもらうという手間が省けるんです。一度登録してもらえば、あとは報告を待つだけ。自主上映に関するコストや手間はだいぶん減らせました。 三好 確かに、権利者側も無許可で上映されるよりは俄然いいはずですよね。 大高 そう思います。次は、映画を通じて人と人の関わりを作っていこうという試みについて。谷中にあるアートスペースの例ですが、古民家を生かしたスペースで、広くはないので壁を使って2スクリーンで上映しているんです。 三好 すごい! インスタレーションみたい! 大高 でしょ! こういう、マイナス点を逆手にとって新しい体験を生み出すというか、この企画自体が話題になるし、コミュニケーションにも繋がるかなと。この「A Film About Coffee」という映画も「popcorn」でかなり見られている作品。例えばコーヒーを飲みながら上映とか、今までの映画館では届かなかった層に向けて導入できる。 映画って、家でボーッと見るのとみんなで集まって見るのは楽しさが違うじゃないですか。森重さんの「ガッパ」のようにね。 森重 「ガッパ」は上映会で完全に息を吹き返しましたもんね。みんな帰り道にテーマソング歌っていたはず。 三好 自宅で「ガッパ」を見ても、その熱量は生まれないですよね。 大高 そうですね。その作品を知っているかどうかじゃなくて、みんなで見るという体験を共有したかどうか。 三好 みんなで「このガッパやばくない?」ってツッコミを入れるのが、特別な体験になるんですね。 大高 そう、映画を見るのが何回目でも関係無いんです。一緒に見る人が違うだけでも印象が変わるじゃないですか。まさに、「A Film About Coffee(※)」じゃないですけど、「popcorn」としては「映画のサードプレイス」になれればなと。あと最近の上映環境としては、Netflixやアマゾンなんかのネットで見られる映画も多いですよね。でも映画の体験ってパブリックな場で見る、ある種の緊張感というか、「2時間見なきゃいかんぞ」という、逃げ道のなさがあるでしょ。傑作映画にたまにある傾向ですが、1時間50分めちゃくちゃつまらないんだけどそれが布石だったりして、最後の10分がめちゃめちゃ面白い映画なんて、ネットで見たら絶対途中で切っちゃう。その集中力が続かないので、ドラマはいいけど長尺の映画は適していないんじゃないかと思います。実際僕も利用していますが、映画じゃなくてテラスハウスばっかり見てますし(笑)。そういう、オンデマンドでいつでも見られる環境だと、近すぎて見ない。ちょっと足を運んで、しかもみんなと見るという環境になれば、集中するという。そこが映画の特徴かな。 三好 ポジティブな意味でのストレスの共有なんですね。 大高 そうなんですよ。その体験をどんどん発明していくために、「MotionGallery」でクラウドファンディングを行い資金を集めて清川白河に「popcorn」を体験できる上映場所であり開発場所を作る様な取り組みも始めています! 三好 「popcorn劇場」みたいな! 大高 そうそう! 9月から始動する予定です。今後も「popcorn」をどんどん動かそうとしています。将来的には、映画だけじゃなくて、音楽やコンテンポラリーダンス、演劇の上映も考えていますし、これからより発展させたいと思っているので、皆さんぜひ宜しくお願いします! 三好 ありがとうございます! 大高さんて、どうしてこういうことをやろうと思われたんですか? 大高 それはね、秘密です(笑)。 三好 ええ〜!! そこ言わないんですか! もともとは映画制作を目指していらしたと聞いたのですが…。 大高 最初は映画を作りたくて藝大に行ったんです。実際制作に関わって分かったのですが、制作や上映のためにお金を集めるには、作品の話題性ばかりが先立ってしまう。実質との歪みが生まれてしまうわけですよ。じ��あ、お金を集める時にどうすればいいのかと悩んでいた時に、フランスの映画大学院の生徒の話を聞いたんです。フランソワ・オゾンとかを輩出したヨーロッパでも重要な映画拠点なんですけど、そことの交換プログラムで仲良くなって話を聞くと、かなり作家主義が根付いている。でも、幾らフランスでもこれでリクープ出来るのかを聞いた所、フランスは助成金が手厚くて、3本くらい撮れる目処がついているとの事でした。よく「あの監督の20年ぶりの新作」っていう触れ込みがあるでしょ。20年間どうやって生活してたんだって言いたくなるけど、そういうことなんですね。フランスでは芸術がヒエラルキーのトップで、芸術家へのリスペクトがすごい。 日本でも助成金制度を確立させることはとても重要ですし、一方で日本では難しいかもしれないという気がする。なので助成金のような仕組みを国や税金ではなくて、民間から確立しなければならない。そこで重要なのは投資や寄付ではないという事。投資の瞬間に「それ儲かるの」という話になっちゃうんですよ。自分の趣味は置いといて、回収できる映画を選んでしまう。 だから、「応援」と「購入」を意味するクラウドファンディングでみんなでお金を投じることで一緒にものを作るシステムができれば、すごく面白い作品ができるんじゃないかと。そこで2011年にMotionGalleryを立ち上げました。 本当に好きな監督を応援して、一緒にその作品にコミットするという。 三好 なるほど。ご自身が作り手として超シビアな現実を目の当たりにされたからこそのお話ですよね。非常に合理的な解決の糸口になるアイデアを考えていらっしゃるなと思いました。 実はあらゆるビジネスは実はこうなっているんじゃないかという三好仮説があるんですよ。 まず、新しいビジネスやサービス、良い商品を「開発」あるいは「仕入れ」る。続いて、そのサービス・商品を知らしめる、「販促/宣伝」していかなければならないわけです。プロモーションとか広告とか、いろんな手法で浸透させていく。そして最後に、商品を届ける流通の「インフラ・販路設計」しなければならない。これが私が11年かけて気付いた事です。賢い人なら1年くらいで気づく事ですけど(笑)。でも、これあらゆる事で適用可能で、映画もそう。そして大高さんの作った「Motion Gallery」と「Popcorn」の発明はそれをカバーするものになっていることに気づくわけです。クラウドファンディング「MotionGallery」を利用して資金を集めながら映画が撮れる状況を作りつつ、宣伝もする。そして完成した作品は「popcorn」で観客へ届ける。この流れ、とても合理的だと思うんですよ。どうですか、大高先生!
大高 おっしゃる通り!
三好 やったぜ! 私の事をお話しすると、福岡でも27年続く「アジアフォーカス福岡国際映画祭」という国際映画祭があるんですが、2年前から映画の商談会も開催されているんです。皆さんがご存知のカンヌやベネチアの映画祭でも、国際映画祭と名前がつくものは、実は商談会が後ろ支えしているんですが、私の担当するその「ネオシネマップ福岡」なる商談会でも、私たちが映画制作者の方達と日本の配給会社の方と引き合わせて、日本でもその映画が見られるような状況を作ろうと頑張っているんです。でも、やっていてつくづく思うのは、大高さんが話されたような劇場の状況です。ハリウッドやメジャー配給の作品が強い中、アジア映画をわざわざ買って劇場興行にかけるとなると、費用もかかる割に大規模にも上映できないから、投資したお金の回収について非常にシビアな判断が下されて、結果なかなか買ってもらえないという状況になるわけです。でも、いい映画はたくさんあるんです。 そんな問題を打破するには、映画を流通させる事が超重要だなと思うんです。 実際、今の映画の興行は劇場さんが一番強く見えるのは、どれだけスクリーンを押さえてどれだけ上映を回すかを、設計できる立場だからです。が、一方でそうじゃない、オルタナティブな映画興行のスタイルもあり得るんじゃないか、と思っていた矢先に、森重くんや大高さんと出会えたので、これは…ぜひ何かご一緒したいもんですね! 大高さんはこの先「MotionGallery」「popcorn」を含めて、どんなゴールを目指していらっしゃるんですか? 大高 難しい質問ですね…。うーん「popcorn」で言えば、映画人口を増やすって事ですかね。 森重 「popcorn」のゴールって、大高さんが作るものではないんじゃ…。 大高 そう!!まさに、その通り! 三好 めっちゃいい事言った! 森重 昨日たまたま「popcorn」を使って上映会をやって気が付いたんですけど、ネット環境さえあればカフェでも山奥でもどこでも上映できる。今、僕は那珂川町で若手監督が作った福岡未公開の作品を上映するという企画をやっているんですが、「popcorn」を使うとすごくやりやすくなりそうだし、劇場未公開作品が多い地方だと生きるシステムなんじゃないかと。そこで課題になってくるのは、映画を見ている人と作る人の境界線をどうやって無くすか。観客として見ているだけの間は、「popcorn」なんて誰も使わない。作る側もただ便利なだけで終わっちゃう。映画が好きで友達呼べるよって人が気軽に上映会を開く、そこに行った人が自分で開催してみる、そんな環境ができてくるともっと変わるかなと。まあ、そこから先はもう僕らの仕事ではないわけですよ。 三好 森重くんがいうところの、いい意味で映画との割り切った関係。熱意はあるけど、「映画様」みたいに特別にしちゃわないで、もっと身近で心地よい関係を結んでいく。 森重 映画が非日常な人もいるし、僕らみたいな食事と同じくらい日常な人もいるわけですよ。ニーズも多様化しているし、映画環境も色々あっていい。そこで活用できるプラットフォームとしては、「popcorn」は素晴らしいものだと思います。 大高 ありがとうございます!通常映画料金って1800円くらいじゃないですか。でも「popcorn」のイベントでは1人3000円でも人が来る。もちろん、ドリンクとかトークショーなんかの体験がセットに付いて来るわけですが。単に安い方に走らずに、そこそこ出しても参加したいという上映スタイルが「popcorn」だと可能です。それでちょっと面白い話なんですけど、「popcorn」をやってもらっている渋谷の宇田川町に「カフェ豆彦」っていうカフェがあって、そこのオーナーさんが結構変わっていて映画を作るんですよ。でも、映画館でかける映画じゃないなって自分のカフェだけで上映しているんです。 その人に聞いたのですが、カフェで上映会を開いた時に、すごく古い映画だからと900円にしていたら参加者は1人だけ。後日、同じ映画にちょっとした料理とワインをつけて3500円にしたら、なんとチケットが完売したそうです。 その時にオーナーさんが言っていたのが「カフェに映画を見に来る人って、映画を見ている人じゃない」って事。映画ファンならそもそも映画館で見ているはずで、そうすると1800円の半額だから行ってみよう! なんて人はいないんじゃないか。来た人は演劇が好きな人とか、ワインを飲みながら映画をみるというイベント感を楽しみにしている。演劇の舞台を見にいくより安いと思って来るらしいんです。 価格設定も1800円より安くするのではなくて、いろんな体験を踏まえて3000円とか、そんな形で上映会が開かれると映画への密度というのが高まるのかな。僕もこれからはそういう試みでもやっていきたいですね。 それから、今後イベントの付加価値で人を集めるというのは飽和状態になるのかなと思っています。企画アイデアも以前見たような内容になって来るし、そうなるとただのイベントとして消化するだけになっていく。でも、「popcorn」だと、違う可能性があるんです。よく知られているヒット作品だと「この映画面白いかな」という思考で来るけど、「popcorn」で上映されるタイトルは、一般的にメジャーではないものが多い。そうすると、映画の内容よりも、現場を体験したいかどうかが重要な条件になる。 森重 そうですね。おっしゃる通り、「あの人が上映するから」という面白さがあります。 大高 そうすると、淀長さん(※)みたいな映画人が地方に必要とされている気がします。あと、皆がサプライズみたいな上映会も考えられますよね。実は、和歌山の面白い本屋さんで以前「スーパーローカルヒーロー」という映画を上映することになったんです。本屋のオーナーさんは、和歌山=ローカルだし、ヒーローってタイトルに付いているからきっとローカルを盛り上げるまちづくりに関する映画であろうと上映したら、ものすごく真面目な反原発映画だった。お客さんも上映している人もみんな驚いてました。上映後にオーナーさんが「僕が一番驚きました」って言ったら大ウケ(笑)。誰もが知らないという闇鍋のような状況自体がきっかけになっちゃっているのもイベントとして面白いかなと。 森重 「博多南シネマ」もまさにそれです。地方では映画館で上映されていない作品が見たいなんてモノ好きはそうそういないんですよ。都心だともっと人は入るでしょうけど。でも、あえて開催してみると、タイミングが合えばと見るという人が結構いるんですよ。 三好 映画好きからすると、その感覚は不思議ですよね。映画の内容ではなくて、見に行ける時間で決めるっていうのが。 大高 映画を好きになればなるほど、そういう気持ちが分からなくなるので、気を付けなければならないですよね。それこそ、シネフィルの人って「あの監督の新作がついに」みたいな映画ってわざわざスケジュール開けるじゃないですか。でも一般的な人はそんなシネフィル界隈の人の感想が広まって来たタイミングでそんなにいうならじゃあ行こうって思う事がおおいみたいなんですが、そのタイミングではもう上映期間が終わっていたりする。本当にもったいないですよね。 森重 だから「popcorn」を使って、リバイバルが自由にできるようにする。1ヶ月後にもう一週間やるとかね。 三好 海外だと同じ映画をずっとかけている映画館もあるんですって。「popcorn」なら、それが可能かもしれない。 森重 この取り組みって今の枠組みを破壊するだけではないんですよ。映画って家で見るとそうでもないけど、外に出掛けて見ると意外とクセになるもの。そうなると映画館にとっても有益なんですよね。そうやって少しずつ映画を取り巻く世界が変化しているというのをうまく証明したいですね。 三好 映画習慣を育てていこうという試みも重要ですよね。
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ライブならではのアクシデントから始まった本日のカルチャークラス。 日本の映画文化を本気で考える3人の奮闘が会場の皆さんの胸にも熱い炎が灯したのか、閉幕後���熱い質疑応答が繰り広げられ、まるで一本の映画のようでした。 この結末をハッピーエンドにするかどうかは、あなた次第。 気軽に上映できて、少人数からでも利用できる「popcorn」は、普段からあまり映画を見ない人にとっても新たな楽しみの扉を開いてくれるはず。 あなたにしかできない映画体験、生み出してみませんか?
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【RFP】vol.058『ひとりじゃできないこと、みんなでやる』 ファシリテーションを通じたチームづくりができること(まっくす / まちとしごと総合研究所×岩永 真一 / 福岡テンジン大学学長 ) 2017/10/16(月)定員50名
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仕事やまちづくり、プライベートや学業の場で、やりたいことを実現できていますか? 自分一人の力で、やりたいことを実現させるのってなかなか難しい。でも、いいチームを作ってススメていくのも同じように、もしかしたら、それよりももっと難しい。プロジェクトに参加したメンバー同士を信頼し合いながらそれぞれの強みを活かしつつ、新たなアイディアのもとそれを実現していく。そんなチームづくりをしたいけれどなかなか思うようにいかないことが多いのが現実ではないでしょうか。 『ひとりじゃできないこと、みんなでやる』 ���れを実現していくうえで大切な要素のひとつが、『ファシリテーション』という手法。 現在、地域づくりや企業、大学などでもこの『ファシリテーション』の役割を担っている ファシリテーターの活躍を耳にし始めましたがそれっていったい、どんなものなのでしょうか?ファシリテーターとしてまちづくりや大学、マイプロなど様々なフィールドで活躍するお二人とともに考えます。
【日時】2017年10月16日(月)19:00〜21:00 【vol】058 【イベントタイトル】 『ひとりじゃできないこと、みんなでやる』 ファシリテーションを通じたチームづくりができること 【場所】ReTHINK Cafe 【時間】18:30 OPEN 19:00 START 【料金】1500円+500円 (1drink) 【登壇者】 ゲスト1:まっくす / まちとしごと総合研究所 ゲスト2:岩永 真一 / 福岡テンジン大学学長 モデレーター:白石 洋一 / ダイスプロジェクト
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登壇者プロフィール
まっくす/東 信史(Higashi Nobufumi) Thinker,facilitator
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1985年佐賀県小城市生まれ。 大学卒業後、リクルートにてスクール事業の広報・経営戦略に関する企画営業に従事。 同時に、NPO法人である福岡テンジン大学、greenbirdに企画コーディネーターとして参加。 2013年にきょうとNPOセンターに参画。京都市未来まちづくり100人委員会運営本部をはじめ京都の複数の大学でファシリテーションやコミュニケーションに関する講座の講師等を務める。2015年4月より、これからの豊かさを再構築するとともに地域に新たな生業を創り出すことを目的とした「有限責任事業組合まちとしごと総合研究所」に参画し現在は代表組合員を務め、京都市や和歌山県有田川町にて住民主体のまちづくり事業のプログラム等を運営している。
岩永 真一 / 福岡テンジン大学 学長
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1981年、福岡市出身。地元の高校・大学を経て、アルバイトとして社会に出る。その後、広告業界を経験し2009年に独立。2004年よりパラレルキャリアを実践し、福岡テンジン大学を企画、2010年9月に開校・学長を務める。現在は、フリーランスで複数の企業やNPOの仕事、大学非常勤講師、ファシリテーター等を務める複業の働き方を行う。2017年、福岡の歴史を絵本にするプロジェクトで「のったよ!ふくおかタイムスリップ号」を制作した。
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.058『ひとりじゃできないこと、みんなでやる』 ファシリテーションを通じたチームづくりができること(まっくす / まちとしごと総合研究所×岩永 真一 / 福岡テンジン大学学長 )
18:30 OPEN 19:00 START/ 料金 1,500円(1ドリンク)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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高パフォーマンスを維持する、究極の“休み方”とは? サウナ大使・タナカカツキ氏直伝、サ道(=サウナ道)入門
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世は空前のサウナブーム。日本サウナ総研の調査によると、週に1回以上サウナに入る“ヘビーサウナー”は、推計358万人とも言われ、かつてはおじさんたちの聖域だったサウナも、年齢問わず高い注目を集めています。 そんなブームの火付け役の一人が、今回の「Rethink Fukuoka Project」のゲスト、タナカカツキさん。マンガ家として「バカドリル(天久聖一氏との共著)」「オッス! トン子ちゃん」など数々の名作を世に送り出し、近年はフィギュア「コップのフチ子」でも大ブームを巻き起こしました。そんなタナカさん、数年前からサウナにハマり、日本サウナ・スパ協会に認定されたサウナ大使として、普及活動にも尽力しています。
「働き方改革ばかりが騒がれ、休み方については真剣に考えてこなかった」と問題定義するタナカさんによる、究極のリラックス法とは? 究極の“サウナ状態”を指す言葉「ととのう」とは? 自身も無類のサウナ好きという、株式会社TABI LABO代表の久志尚太郎さんを聞き手に、7月16日に天神RETHINK CAFEにて行われたイベント「現代のウルトラヘブン!サウナはもうカルチャーだぁああああああ」の様子をレポートします。
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カルチャーとは、 ここから違う場所へと意識を飛ばすもの
久志 まず自己紹介からお願いしたいんですが、そもそもタナカさんってマンガ家ですよね? いつからサウナ大使になったんでしょうか? タナカ それが僕もよくわからないんです。例えば、「ふるさと親善大使」ってあるけど、あれってなりたくてなれるものではないですよね? サウナ大使も同じで、ある時ふとお告げがありまして。 久志 (笑)。僕がサウナに興味を持ったきっかけは、周りの人たちが騒ぎ出したからなんです。インディーズのバンドを追いかけたり、レイブパーティーに行ったりするような、自分が心底愛しているものを語るのと同じテンションで、「サウナがヤバい」「あそこのサウナでととのった」と言い始めて。これはヤバいな、カルチャーとして認識されてるんだなと感じて。 タナカ 僕らの時代は、漫画やテレビの深夜番組、ラジオがカルチャーでした。特に漫画が好きで、部屋にいながら脳内で宇宙にまでブッ飛んでたわけです。ある時は野球選手になり、ある時は料理人になり、ある時は本気で恋愛して。(漫画「タッチ」の)佐倉南が好きすぎて、あえて近づかないようにしてたんですから。出てくるのがタッちゃんとカッちゃんで、僕もかっちゃんでしょ? 読んでると気が狂いそうになってしまって(笑) 久志 ははは! タナカ 音楽とかもそうなんです。近所に蒸気機関車の音が好きなお兄ちゃんがおって、その音が入ってるレコードを僕に聞かせるんですよ。「この機関車が坂道を登っている時の、蒸気の音がヤバいんだ」とか言って。部屋の中から、空想で旅をしちゃってるんです。 久志 わかります。 タナカ これを仮に、カルチャーと呼んでみましょうというのが僕の提案です。いまここから、違う場所へと意識が飛ばされることがカルチャー。だとしたら、サウナも同じように、カルチャーなんじゃないかと。
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サウナには覚醒作用がある? キマった感覚に襲われたサウナ初体験
久志 大使とサウナとの出会いは? タナカ 僕は、おおかた部屋にいて、篭って漫画を描いてるんですけど、部屋にずうっといたら、当然蝕まれてきますよね? 心は仕事に夢中になってるけど、身体は蝕まれていて、だんだんおかしなことになっていくんです。消しゴムでゴシゴシ消してたら、全身つったり。 久志 (笑) タナカ それで、たまたま近くにジムができたので、「これは何かの啓示や、行けいうことや」と思って、行ってみました。昔は、「身体動かすのにわざわざ金払うなんて意味わからん」「ジム行くようになったら人生終わり」って思ってたんですけど。 久志 (笑) タナカ そこにサウナがあったんで、試しに入ってみたんですよ。それまでは「サウナはおっさんの終着地」だと思ってて、敬遠してたんですけどね。 久志 人生の墓場だと。 タナカ そうそう。だって、プルンプルンした裸のおっさんが、ぎっしり並んで汗ばんでるんですよ! わざわざ近づかないでしょ! でも、そのジムは出来たてで、木のいい香りがして。あまり人もいなかったので、入ってみたんですけど、暑いのは苦手なんで、さっと出ました。そしたら、横に水風呂があって。 久志 サウナ室の隣には、水風呂がありますね。 タナカ ちょっと入ってみたんです。最初は、冷たくて「もう死ぬ」って思いました。それで、すぐに出て休んで。すると体が冷えてくるんで、またサウナ室に入る。しばらくこれを行ったりきたりして。 久志 ええ。 タナカ するとある時点から、だんだん変な感覚が襲ってきましてね。覚醒剤をキメてる感覚と言うか。もちろんやったことないですけどね、覚醒剤は。でも「そっくり」って思いまして。多幸感があって、ドキドキしてくるんです。「ああ怖い怖い」って思って、その時はすぐに帰りました。 久志 それから? タナカ やっぱり気になりだすでしょ? なんだったんだろう、あれは。どうもおかしなことが身体の中で起こっているぞと。それで、サウナの入り方をちゃんと調べてみたんです。
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千利休はサウナーだった! 仏教経由のサ道
久志 実際に、身体の中で何が起こっているんですか? タナカ サウナで身体を温めてから、水風呂で冷やす。これを温冷交代浴と言うんです。サウナに入っている時は血管が開き、全身に血が巡る。そして水風呂に入ると、血管がキュッと縮みます。この収縮運動でポンプのように血液が押し出され、血の巡りが良くなり、酸素が脳に行き届く。意識は覚醒しながら、心は鎮静している。この状態が最高に気持ち良いわけです! これを我々サウナーは、「ととのう」と表現しています。 久志 僕も、家で熱いシャワーを浴びてから、氷を張った水風呂に入るのはよくやってますね。何回か繰り返して、裸でベランダに出て涼むと、最高なんですよ。 タナカ でしょ? 調べていくと分かるんですが、本来の「風呂」という言葉って、こういう身体の状態のことを指す言葉だったようなんです。今だと、風呂といえばお湯に浸かる行為を指してますけど、昔は「湯屋」と言った。「千と千尋の神隠し」に出てきたのも、「湯屋」だった���しょ? すると、風呂とは何なのか? 久志 何なんでしょう? タナカ 風呂って、「風」と「呂」って書きますよね。「呂」というのは、囲われた空間のことです。山の中に崖があり、えぐれている部分が洞窟のような空間になっている。そこで、熱した石に川の水をかける。すると、蒸気がわーっと広がって、蒸気浴ができる。どうやらこれが、日本のお風呂の始まりのようなんです。 久志 なるほど。 タナカ これは、聖徳太子の時代に日本に入ってきました。実は法隆寺には、すでにサウナの原型があったんですよ。サウナではなく「温室」と呼ばれてたんですが。インドから入ってきた仏教の中で、修行として蒸気浴が行われていたらしくて。調べても不明な点が多いんですが、今度文献にまとめる予定で。 久志 ヤバいなぁ。 タナカ それで、今のサウナの形ができあがるのが、安土桃山時代。千利休っているでしょ? あの人、日本で最初のサウナーですから。 久志 マジですか? タナカ 利休の映画の中でも、蒸し風呂のシーンがありますからね。それに茶道ってもの自体が、めっちゃサウナに似てるんですよ。茶室とサウナ室ってそっくりでしょ? 本来はサウナ室も木の箱でしたから。その中でお茶をたてて、気持ちを鎮めて、心の調律をするわけですよね。美意識が研ぎ澄まされて、器を褒めたり、花を活けたりするようになるわけです。 久志 なるほど、それで「サ道」につながるわけですね。
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サウナは休み方のベストな方法! 「ととのう」ことで高いパフォーマンスを発揮できる
久志 大使が実践している、サウナの楽しみ方を教えてください。 タナカ サウナの効果を身体で感じるのは、全工程が終わってからなんです。ついつい、サウナから上がったらビールを飲んだり、携帯をいじったり、友と語らったりしてしまうでしょ? でもそれはやめて、自分の身体の変化をよく観察してみてください。サウナ上がりのビールがうまいといいますけど、ビール自体は変わりませんから! あなたの身体が変化して、ビールをうまく感じる状態になったわけです。だからまずは、その変化をよく観察してほしいなと。 久志 サウナの良さって、体感しないとなかなかわからないですよね。 タナカ じゃあ、もう少しわかりやすく、リシンク的な解釈で話してみましょうか。 久志 お願いします(笑)。 タナカ これまで僕らって、新しい刺激を求めてばかりで、休み方のテクニックは随分と磨いてこなかったんじゃないかと思うんです。遊びにしろ仕事にしろ、どんどん刺激を入れて、刺激がなくなったらまた補填するように別の刺激を入れて。でも、それでは疲れてしまうんですよね。結局はパフォーマンスが落ちていく。パフォーマンスを上げるためには、適切な休み方を知る必要があるんです。 久志 なるほど。 タナカ 例えば、世界でもっとも高いパフォーマンスを上げて働いている、シリコンバレーあたりの IT系企業って、最近は禅やマインドフルネスを取り入れてますよね? それって、やっていることはサウナと一緒なんじゃないかなと。 久志 確かにそうですね。 タナカ 服も肩書きも、すべてを置いて、生まれたまんまの姿でサウナに入る。そして「ととのう」ことで、パフォーマンスを発揮できるんです。今僕は、サウナより効果的に「ととのう」方法を見つけようとしてるんですが、まだ見つかりませんね。今のところ、サウナがベスト。もし見つけられれば、サウナから卒業していいと思ってるんですけどね。
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いかがでしたか? 単にサウナと侮るなかれ、正しく利用すれば、禅や瞑想にも似た、特別な感覚が自分を包み込む……そんな奥深いサウナの世界を、サウナ大使が巧みに語ってくれました。この後会場では、サウナ施設「ウェルビー福岡店」の無料体験チケットも配られ、来場者も大満足。会場には来られなかった皆さんも、このレポートやタナカカツキさんの漫画「サ道」を参考に、これからの時代の効果的な休み方=サウナを再考してみるのも、いいかもしれませんね。
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涼やかに、軽やかに、日本酒をたしなむ 酒蔵の遊び心を感じる”夏酒“のススメ
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 日に日に暑さが増す夏の夜は、冷えたビールで一杯…いえいえ、そこはスッキリ喉ごしの良い日本酒「夏酒」でオツに過ごすのが粋ってもんです。 誰よりもお酒が好きと自負する「とどろき酒店」の轟木渡さんが「お酒」をテーマにお送りするプロジェクトのラストを飾るのは、ズバリ 「夏酒」。 日本酒=寒い時期に飲むもの、というイメージをお持ちの方も多いようですが、ここ最近では夏酒の需要も高まっているとか。さまざまな蔵でチャレンジ精神溢れる銘柄が生まれているようですよ。 今日は、轟木さんの盟友として、「三井の寿」の井上宰継(ただつぐ)さん、「庭のうぐいす」の古賀剛さんという、福岡きっての実力派をお招きして、夏酒をいただきながらお話をお聞きします。
夏の熱気に負けないアツい日本酒ファンがひしめく会場。皆さん、和らぎ水を片手に今か今かと待ち受ける中で、まずは司会役の轟木さんが登壇。 今宵の一献はどんな驚きを見せてくれるのでしょうか。
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酒蔵にとって夏酒は実験の場でもある。 比べてみると面白い世界なんですよ。
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轟木 今回のテーマは「夏酒」。一昔前は「夏にお酒なんて…」というイメージでしたが。ここ最近はすっかり定着しているんですよ。今日はうちで企画している夏酒「CO2(シーオーツー)」を軸に、一緒に開発した仲間の「三井の寿」の井上宰継さんと、「庭のうぐいす」の古賀剛さんとお話をしたいと思います。
井上 初めまして!僕は蔵元なんですけども、お酒も造っています。杜氏になって15年。自信を持って酒造りに臨んでおりますので、今日はほとんどが自慢話になるかもしれません(笑)宜しくお願いします。 轟木 あはは!続いては『庭のうぐいす』の古賀さんです。 古賀 こんばんは!久留米市北野町にある「庭のうぐいす」の古賀です。私は20年前に営業職として入社したのですが、営業力があまりにも足りなくてですね、造り手の方に回されました。それから12年、杜氏としてお酒��造っております。今日のテーマでもある夏酒という言葉、本当に盛り上がりだしたのはここ3年くらいだと思います。まだ定義なんて無くて、各社がオススメを出している状況です。今日は飲み比べながら、その違いを楽しんでもらえればと思います。
轟木 ここで、まずはじめにお酒の四季についてお話しします。いろんなお酒がありますが、日本の四季を感じるならやはり日本酒が一番。冬から春先の仕込みの時期は新酒の「搾りたて」です。若いお酒なので少し苦味が残っているのですが、それが春の食材ととても相性がいいんです。その後は「夏酒」ですが、先ほど言われたように定義はありません。強いて言えば、夏に飲んで美味しいものですね。夏を過ぎて涼しくなってきた頃には「秋の冷やおろし」「秋あがり」。食材の味も濃くなって来る秋には、お酒も味がのったものが出て来るわけです。冬に入ると、鍋に合う「燗酒」ですね。昔は春の搾りたてが終わるとグッと市場が冷え込んで、冬にまた売れるというのが日本酒の一年のサイクルだったんですけど、ここ3年くらいで夏酒が一般的になってきました。杜氏さんにとって、夏酒はどんなお酒なんですか? 古賀 やはり「酸味が効いている」のがポイントだと思います。夏酒って、5月から6月にかけて始まるのですが、梅雨の蒸し暑い時にねっとりした旨味のある日本酒はあまり飲みたくないというのが本音です。逆にシャンパンや白ワインのように酸味があるものやシュワシュワのものはサッパリとしますよね。ですから、甘みがあるものよりは酸味があるお酒を提供したい。僕らとしては、ビールとシャンパンには負けたくないと思っています。 轟木 お酒を取り巻く環境が変わったというか、飲み手である僕らの価値観が変わってきているんですよね。昔は、酸味が強いお酒はよくないお酒であるというイメージがあったんです。でも、ワインや洋食が日常的になった現在は、酸味のあるお酒も受け入れられるようになった。しかも夏酒は夏に終わってしまえる。今までになかったジャンルなんです。だからこそ、酒蔵にとっては実験の場でもある。なかなか面白い世界なんですよ。
蔵元と酒屋の友情が育んだ スパークリング日本酒で乾杯!
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轟木 さあ、お酒を片手にあんまり引っ張るのも辛いので、そろそろ乾杯を! ちなみに、日本酒通の人はご存知かもしれませんが、お酒を飲む時は「ゆっくり飲む」「お酒と同じ量のお水を飲む」。すると、長くたくさん飲めて次の日も爽やかなんですよ。では乾杯! 会場一同 カンパ〜イ!! 場のあちこちでチン!という涼しげなグラスの音が響きます。
◎第一の杯 三井の寿「CO2」 http://shop.todoroki-saketen.com/?pid=105803587
井上 この「CO2」というお酒は、シャンパンと同じく瓶内発酵なんですよ。ブドウ糖を酵母が食べてアルコールを出すことで、お酒ができます。今日は一週間後の販売開始を見越してやや甘めに仕込んでいます。一週間後の販売開始を見越してまだ発酵が進むという想定なので、今日の時点ではまだ糖が残っていてやや甘めに感じるかもしれませんね。
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轟木 「CO2」誕生のきっかけですが、「三井の寿」「庭のうぐいす」「東洋美人」「土佐しらぎく」の四つの蔵の造り手と僕がしょっちゅう飲んでたんです。その時に、皆で何かお酒を造ろうという話になって、じゃあお酒の種類が少ない夏に出そうかと企画が進みました。その時すでに微発泡のお酒造りに取り組んでいた「土佐しらぎく」」に技術を教わって、それぞれで開発したのが「CO2」です。飲みの席でしたから、「土佐しらぎく」も軽く「いいよ」って言ってくれて(笑)誕生して今年で7年目になります。微発泡で強いガスではないんですが、瓶の中で発酵しているので、底にちょっと「にごり」があるんですね。「にごり」は抗酸化作用、つまりガスを閉じ込める作用がある上、味わいも増すんです。発売日は、キリもいいので毎年7/7。「とどろき酒店」の店頭やWebで販売もしているので、気になる方はぜひのぞいてみてくださいね。 ここで、「CO2」を開発してくれた蔵のひとつである「三井の寿」の魔術師・井上さんにマイクをお渡しします。  井上 以前は「酵母の魔術師」と呼ばれておりました。諦めの悪い男、こと「三井の寿」の井上です。漫画「スラムダンク」の登場人物の「三井寿」はうちの蔵の名前から付けられたんですよ。しかも、近くには「流川」という地名もあるし、私も作者の井上雄彦さんと同じ「井上」。まあ、うちの鉄板ネタなんですけど、おかげで海外に行った時もツカミはバッチリですね。
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井上 さて、今日は夏酒ということで、この後に出すうちのお酒「CICALA(チカーラ)」の話を。8年前に出したお酒なのですが、その頃は日本酒が全く売れなかった時代。構想していた時に、昔うちの親父がブルーの和紙に普通酒を入れて、「夏の冷用酒」として売り出したら結構売れたと言っていたんですよ。中身は通年で販売しているものと一緒なのに。その話を思い出して「夏酒」を出そうと思いました。ラベルには、セミの絵だけ。実はこれもタイミングが良くて、以前はラベルにお酒の種類を絶対書かなければいけなかったのに、法律が変わって瓶の底以外の1箇所に書けばOKになった。それで、あえてラベルの表にはセミの絵だけで情報を出さず、ワインっぽいラベルにしたんです。白ワインのお客さんを取っちゃおうと思って。使用しているのは、福岡で開発された「福岡夢酵母」。爽やかな酸味を出すリンゴ酸と良い香りを出すカプロン酸、高いアルコール性を兼ね揃えたものなんですね。
そこで、お待ちかねの「CICALA」が登場! フォトジェニックなラベルはもちろん、瓶を手にした井上さんごと、たくさんのカメラが狙います。 井上 僕はフリー素材ですから、いくらでもどうぞ(笑)
◎第二の杯 三井の寿「CICALA」 http://shop.todoroki-saketen.com/?pid=105803577
井上 皆さん、どうですか?美味しいでしょ?そう言うと皆さん「美味しい」って言ってくれますから。酸味は口をリフレッシュさせる効果があるので、今まで日本酒が不得意としていた味の濃い料理や油モノにも合うんですよ。 僕のお酒は「酸味」をすごく考えて造っているんです。実は日本酒って、アミノ酸類が一番多い食品でして、スポーツドリンクなんかよりもたくさん入っているんですよ。飲んで体が温かくなるでしょ。脂肪が燃焼しているんですよ。 これ、僕の持ち時間何分ですか?まだ大丈夫?それなら僕のお酒が美味しい理由をどんどん説明しますね。杜氏として15年働いていますが、今年の福岡県新酒発表会では金賞を受賞しました。これで10度目の金賞です。福岡県70蔵のうち、金賞はそのうちの2蔵だけ。実はその2蔵は「三井の寿」と「庭のうぐいす」なんですよ。だから、今日のお酒は間違いない!はい拍手!ちなみに、7月からは「CICALA」のにごりが出るので、こちらもぜひ試してみてくださいね!
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井上 お酒ってほぼほぼ水なのですが、うちはすごい軟水で、ドイツ硬度で言うと30ないくらい。エビアンなどよりももっと滑らか。生活用水にも使っていますが、この水に慣れると他の地域の水に触っただけでも「硬いな」と感じます。 この軟水のおかげで優しいお酒が出来上がるんじゃないかなと思っています。 轟木 仕込み水から違うんですね。そして自慢話が多い(笑) 井上 では、もう一つだけ。実は今年、世界最大級の1700種類以上の日本酒が出ている「酒コンペティション」と言う会議があったんですが、その中でも3位でした。来年は1位を目指して酒造りを目指したいですね。いや、3位も十分すごいんですよ! 会場一同 爆笑
門外不出から、情報共有へ 今と昔の酒造りはここが違う!
井上 僕の酒造りのモットーは「酒造りは科学とセンスと情熱だ」なんですが、昔の杜氏さんは想像と経験で作っていたんです。こうすればこうなるとは分かっていても、なぜこうなるかは分からない人が多かった。製法を知られないために役所に提出する書類にも嘘を書く人がいたくらい。でも、僕たち世代になると横のつながりがすごく強くなって���日本全国の蔵に連絡を取って情報交換するようになった。僕は杜氏としては15年ですが、何十年分のノウハウを得ることができたんです。今では20代でもすごく美味しいお酒を造る若者もいて、いいものがバンバン出て来ています。 轟木 僕も昔は東京に行って「これ美味しい」と思ったお酒の蔵に問い合わせをしていたんですけど、今は杜氏さんから紹介されることがほとんどですもんね。「いい酒造っているから、会ってみてくれる?」って。僕も東京や仙台の酒屋さんに造り手を紹介することが多いです。 それでは次は「庭のうぐいす」の古賀さんにバトンタッチしましょう。古賀さんは僕が酒業界に入って一番最初にできた友達なんです。最初は営業をされていたので、まさかお酒を造ることになるとは。
◎第三の杯 庭のうぐいす「CO2」 http://shop.todoroki-saketen.com/?pid=105805141
古賀 僕もいろいろなお酒の会に出席して来ましたが、(井上さんの話の間)1時間以上もお酒が飲めなかったのは初めてです(笑)。今飲んでいただいているCO2ですが、うちはちょっと泡を強めにしてドライな風味にしています。ほかの3蔵と比べた時、インパクトを残したくて。
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古賀 昔の酒造りの話が出ていましたが、うちの場合はたまたま前の杜氏が高齢で引退することになって、その時に営業をしていた私に白羽の矢が立ったんです。それまで私は土日に洗い物を手伝う程度だったんですが、そこからはひたすら勉強。私の先輩なんて麹を触っただけでその温度が分かるのですが、私はまだそこまでの経験が無い。だから、全てを測って分析するんです。私の先生いわく、酒造りは二つの「はかる」が大事。量を「測る」、そして温度を「計る」です。全ての工程で全部重さと温度を測るんですね。木造の蔵の中にはまるで研究室のように高額な機械が並んでいる。そうしないと今の新しい酒造りはできないんです。
◎第四の杯 庭のうぐいす「いなびかり」 http://shop.todoroki-saketen.com/?pid=120010663
古賀 酒造りって、お米の水分をどう調整するかがポイントなんです。簡単に言うと、水をたくさん吸わせるほど味が多くなる。水を吸わせないと綺麗な味になります。この「いなびかり」は水をあまり吸わせず甘味を残すという製法をとっています。うちの夏酒の第二弾なんですが、キンキンに冷やすのであれば多少甘味がのってもいいかなとあえて甘く柔らかくしています。隠し味に酸味が爽やかなリンゴ酸が働いているので、甘味と酸味のバランスよく飲みやすいんです。それにメニューの中で一個だけ甘いものがあればインパクトあるでしょう。
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お二人の楽しい掛け合いを聞きながら、自信作を味わった皆さん。夏酒にどんどん興味が湧いたようで、あちこちから質問の手が上がりました。 トークも杯も進む中で、最後にとどろき酒店セレクトの夏酒もお目見え。
轟木 最後は「夏酒って幅広いな」と思っていただきたくために、タイプの違う2本を用意しました。
◎第五の杯 東鶴「純米うすにごり」 http://shop.todoroki-saketen.com/?pid=120010663 轟木 一つは、佐賀の「東鶴」が造っているにごりの夏酒です。ジューシーなうすにごりですけど、爽やかにまとまっていて飲みやすいのが夏向きです。
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◎第六の杯 九重雑賀「COOL DOWN」 http://shop.todoroki-saketen.com/?pid=118347512 轟木 今度は逆に度数低めでサクサク飲める和歌山のお酒です。水のように飲めるので名前の通り、クールダウンできますね。
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 本日登場したのは、「三井の寿」と「庭のうぐいす」のそれぞれ2種類+とどろき酒屋セレクトの2種の計6種。飲み比べてみると、どれも従来の日本酒のイメージのウラをかいた個性豊かな味わいで、日本酒党の手練れ達にも新鮮な驚きを与えてくれたよう。いつの間にやら、井上さんや古賀さんもお客さんに混じって、最後まで大いに盛り上がっていました。 刺激的に弾けたい炎天下、涼を求める夏の夕暮れ、しっとりと楽しむ夏の夜と、夏の過ごし方は人それぞれ。そして、その数だけ美味しくてユニークな日本酒があるんです。 さあ、あなたならどんな夏を飲みたいですか?
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【RFP】vol.057 『床も、路上も、建物も! 2人のまちかど偏愛事情』(西村依莉×Y氏(山田孝之) ) 2017/09/16(土)定員50名
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 床の模様を撮り集めた書籍「足の下のステキな床」発売ホヤホヤの西村さんをゲストに迎え開催する今回のテーマは「まちかど偏愛事情」。ファシリテーターに、九州のさまざまな場所に埋もれる路上遺産を紹介するウェブサイト「Y氏は暇人」を運営するY氏こと山田孝之さんを迎え、アナバから珍スポットまで、まちに溶け込むあらゆる楽しみを、二人の偏愛事情から紐解きます。見慣れたいつもの風景が、宝の山に見えて来るかも? 退屈な毎日にピリオドを打てる良き機会にも! 書籍「足の下のステキな床」の製作裏話にも期待しつつ、みなさまのお越しをお待ちしています。
【日時】2017年9月16日(土)19:00〜21:00 【vol】057 【イベントタイトル】   西村依莉×Y氏(山田孝之)   床も、路上も、建物も! 2人のまちかど偏愛事情 【場所】ReTHINK Cafe 【時間】18:30 OPEN 19:00 START 【料金】1500円+500円 (1drink) 【登壇者】 西村依莉(編集者・ライター) Y氏(山田孝之)(ブロガー・郷土史研究家)
 
登壇者プロフィール
西村依莉 /編集者・ライター
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出版社勤務を経て、2012年、フリーランスで、雑誌、ムック本を中心に活動中。主にライフスタイル、ファッション、インテリア系のお仕事に携わる。日常生活や取材を通して出会った、今にも取り壊されそうなイカした60年代前後の建築物を記録したいという思いから、福岡のレトロでマイナーなスポットを集めたリトルプレス「福岡ついで観光」「中洲ついで観光」を刊行。趣味は散歩とビル見、街観察、ミュージカル&愛猫鑑賞。2017年7月、かわいい床ばかり集めた偏愛写真集「足の下のステキな床」(共著)を発売。 http://popolkasha.wix.com/polka
Y氏(わいし、本名:山田 孝之(やまだ たかゆき)、1983年3月4日 - )。
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佐賀県鹿島市生まれのブロガー、郷土史研究家。株式会社クラウドナイン代表。近畿大学卒業後、WEB制作会社にてWEBクリエーターとして活動。その後、独立し株式会社クラウドナインを設立。会社PRの為に立ち上げたオウンドメディア「Y氏は暇人」にて福岡のB級スポットや郷土史を紹介し反響を呼ぶ。2015年10月に福岡のB級スポットをまとめたリトルプレス「福岡のB面」を自費出版にて刊行。2015年12月には海鳥社より福岡の歴史本「福岡路上遺産」を刊行。 http://y-ta.net/
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.57 『床も、路上も、建物も! 2人のまちかど偏愛事情』(西村依莉×Y氏(山田孝之))
18:30 OPEN 19:00 START/ 料金 1500円+500円 (1drink)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケッ��は売り切れの場合もございます。
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焼酎発祥の地から、新たな楽しみ方を提案 蔵元から広がる、焼酎の“サードウェーブ”
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「ReTHINK FUKUOKA PROJECT」が主催するイベント群の中でも、特にユニークで参加者の満足度も高い試みとして好評だった「ReTHINKお酒Project」。金曜の宵の口、とどろき酒店の轟木渡さんをコーディネーターに、九州内からお酒の造り手をお招きし、オススメのお酒と料理をいただきながらトークに耳を傾けるイベントです。福岡の日本酒をテーマにした前回に引き続き、4月21日(金)には早くも2回目を開催。テーマは「焼酎×日本酒」。壱岐にある重家(おもや)酒造の横山太三さんと、鹿児島県いちき串木野市にある大和桜酒造の若松徹幹さんがゲストです。 伝統を現代に引き継ぐお酒の造り手たちの熱い思いを間近に聞きながら、アテと一緒にそのお酒を心ゆくまで堪能する……。会場のRethink Cafeがお気に入りの居酒屋の常連席に変わった、イベントの様子をお伝えします。
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伝統ある二つの酒蔵からまずはオススメを一杯
轟木 まずは私から自己紹介をしますね。とどろき酒店の轟木です。とどろき酒店は雑餉隈に本店があり、中央区薬院にも角打ちバーの「とどろき酒店薬院stand!」を昨年3月にオープンさせました。店舗以外にも、満月の夜にワインを飲む「満月ワインバー」、いい音楽といいお酒を楽しむクラブイベント「SAKE A GOGO」、お酒の造り手をゲストに呼ぶパーティー「サケサケガーデン」など、さまざまなイベントを開催しています。皆さんもぜひ、チェックしてみてください。では、ゲストのお二人も、自己紹介をお願いできますか。 若松 はい。鹿児島から来ました、大和桜酒造の若松徹幹です。大和桜酒造は、鹿児島のウエストコーストと勝手に呼んでいる(笑)いちき串木野市にあり、ペリーが来航した嘉永年間の頃に創業して、僕は五代目になります。焼酎を甕(かめ)で発酵させる、甕壷仕込みという伝統的な造り方を続けているんですが、僕自身はストイックに伝統を守るだけじゃなく、焼酎に親しみを持てる提案をいつも考えていて。「よか晩」(鹿児島弁で「いい夜」)をテーマに、気の合う仲間たちとお酒を飲み、気持ちをゆったりとほぐし、「今夜もよか晩だったね」と言える時間を過ごせるような活動を広げていきたいと思っています。Webサイトのトップにも、「よか晩」をテーマに作った動画を掲載していますので、見てみてください。(http://yamatozakura.com) 轟木 では横山さんも。 横山 私は、長崎県の壱岐にある重家酒造で焼酎と日本酒を造っています横山と申します。壱岐は麦焼酎発祥の地と言われて、400年以上前からむぎ焼酎を造っています。重家酒造は1924年に創業しました。現在は、兄が焼酎の杜氏で、僕は日本酒を担当。「日本の國酒を世界に!」というテーマで、ミラノ万博の時に元サッカー日本代表中田英寿さんプロディースのSAKENOMYに出展するなど、世界に広めていく活動をしています。 轟木 ありがとうございます。では早速、一杯目で乾杯しましょう。ついつい飲み過ぎてしまうので、同量の水を飲みながら、自分のペースでゆっくり楽しんでくださいね。はい、よか晩に乾杯! 会場一同 乾杯〜! (会場に食事も提供されて、会場は一気にワイワイと華やいだムードに) 横山 ちなみに今日の一杯目は、重家酒造の「ちんぐ」という焼酎です。「ちんぐ」とは、韓国の言葉で「友達」という意味なんです。白と黒の二種類あり、これは白麹で仕込んだシュワッとする「ちんぐ」なので、シュワッちんぐと呼んでいます。 会場 (笑) 横山 スッキリしているので、これからの季節はBBQにもぴったりで、口をさっぱりとしてくれますよ。
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「ちんぐ」のロックを自ら振る舞う横山さん。
轟木 このあたりでまず、焼酎と日本酒は何が違うのかを説明しておきますね。お酒には、醸造酒と蒸留酒があります。醸造酒は、発酵させたものを絞ってお酒にしたもの。蒸留酒は、発酵させたものをさらに蒸留させたお酒です。わかりやすくざっくりいいますと、日本酒を蒸留すると米焼酎になり、ビールを蒸留すると麦焼酎やウイスキーになる、というイメージです。ワインを蒸留したらブランデー。蒸留という作業で、エキスを抽出しているんですね。
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横山 そうです。壱岐は昔から自然豊かな土地で、壱岐で収穫される米や麦を、当時の平戸藩に奉納していました。二条大麦という麦と米麹を掛け合わせて麦���酎が誕生して、今でも麦焼酎製造は盛んですし、同時に日本酒を造っている酒蔵もあります。重家酒造でも1990年まで日本酒を造っていたんですが、杜氏の高齢化で引き継ぐ人がいなくなってしまって。うちの父が、免許だけでもと引き継ぐことになり、僕の代になってから改めて再興させようと奮闘している最中です。今日は、その日本酒「横山五十」も持ってきていますので、ぜひ味わってみてください。
焼酎は今こそ時代の気分にぴったりのお酒
轟木 横山さんは、海外への発信も積極的に行っていますね。 横山 ええ。2004年のW杯ブラジル大会の時に、中田英寿さんが「nakata.net cafe」という試みで日本のお酒を世界に紹介して、その時の日本のお酒16種のうちに、「ちんぐ」も選ばれたんです。でもいきなりロックやお湯割で出しても、焼酎を飲み慣れていない向こうの人には受け入れられないだろうと思って、「ちんぐ」をベースにしてたカクテルを造ったりして。 轟木 海外では、どんな傾向のお酒が人気あるんでしょうか? 横山 ワイングラスで飲む場合が多いので、香りが高くて、広がりやすいものが受けますね。甘すぎるのは、好き嫌いが分かれます。あとは、麦のお酒になると向こうはウイスキーが定着しているので、そこに割って入るのはなかなか難しいなと感じましたね。 轟木 なるほど。若松さんも、海外との交流がありますよね? 若松 今日も来てくれていますが、スティ��ブンというニューヨーク在住の医学博士が、お酒への興味が高じてうちの蔵に毎年働きに来てくれるようになったんです。焼酎の、甘くないドライな味がとても気に入ったと。彼がある時、「焼酎は、蒸留酒の中でも一回しか蒸留しない、とてもフレッシュなお酒で、畑に近いものだ」と言って、それに僕自身ハッと気づかされました。ナチュラルワインのように、地元で採れた素材を新鮮なうちに使って、原料もシンプルという焼酎の造り方は、今の時代の気分にぴったりなはずなんですよ。 轟木 確かに。 若松 この10年間で日本人の価値観は大きく変わりました。昔は「俺寝てないんだよね」というセリフが、さも仕事ができる人のように聞こえていたけど、今じゃ平日に「明日サーフィン行ってくる」と言える人の方がカッコいいという時代ですよね。だから、焼酎の楽しみ方も“Rethink”する必要があると思っているんです。2003年頃に起こった本格焼酎ブームが焼酎のセカンドウェーブだとしたら、現在はいわばサードウェーブ期。一時的なブームも落ち着いて、より本質的で、自由な焼酎の楽しみ方がこれから広がっていくと思います。スティーブンも、焼酎の過去の歴史に捕らわれず、外国人の新鮮な目で焼酎文化を広める大使のような役割を担ってくれています。
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毎年研修に来るスティーブンさん(左)と、テッカンさん(若松徹幹さん、右。お二人が胸につけている黄色い缶バッジには、大和桜酒造が提唱する「よか晩」の文字が。このバッジ、会場でも配布されて大好評でした。
轟木 ちなみに今日は、焼酎の炭酸割りを用意していただきました。 若松 昔だったら焼酎をソーダで割るなんて、「せっかくの香りが台無しになる!」と言われて、もってのほかだったんですけどね。そういう固定概念は取っ払っていきましょう! 焼酎ソーダを美味しく飲むには、泡の強さと、焼酎の冷たさに気を配ることが��事。まず氷を入れて、そこに焼酎を混ぜて、氷を溶かして焼酎を十分に冷やします。それから、ソーダを注ぐ時は、高いところからジョボジョボと注ぐのと、静かに注ぐのでも、味わいが全く変わります。今日は紅さつまを使った大和桜を用意したので、香りが立つように高めの位置から注ぎますね。
ひと工夫加えるだけで知らなかった味わいが引き出される
轟木 大和桜は、他にオススメの飲み方はありますか? 若松 シンプルにお湯割が美味しいんですけど、ロックもいいですよ。ロックは、氷が溶けて薄まっていくごとに味が変化していくので、「この瞬間が最高に美味しい!」というタイミングを見つけるのが楽しいんです。カクテルだったら、モスコミュールのウォッカの代わりに焼酎を使ったものも、評判がいいですね。「芋スコミュール」と呼んでます(笑)。柑橘にも合うものと合わないものがあって、例えば宮崎の「へべす」という、すだちに似た果実の果汁を水割りに絞ると、最高に美味しいですね。焼酎はナチュラルなお酒なので、加えるものもナチュラルなものが合うんだと思います。鹿児島の音楽フェスに出店する際の、一番人気の飲み方です。 轟木 野外で飲むのも、いいですね。 若松 アウトドア用のプラスチック製水筒がオススメですよ。あれに、前もって水割りを作って持っていくだけでも、野外で楽しむお酒の概念が変わりますから。
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「野外で飲む時は、手軽さから近くのコンビニで適当な焼酎を買ってしまいがち。でもひと手間を惜しまずに、水割りを用意して持っていけば、妥協なく美味しい焼酎が楽しめます」
轟木 横山さんの、別のオススメも教えてください。 横山 今日はもう一種類、黒い方の「ちんぐ」を持ってきました。こちらは黒麹を使っていて、どっしりとした甘みのある味わいです。「ちんぐ」もグラスもよく冷やして、冷えた炭酸で割って飲むのをお勧めします。最初の一杯目は、焼酎1:ソーダ水3の割合で割って、アルコール度数6%ぐらいの薄めに作って、グイッと喉の渇きを癒すのがいいですね。二杯目からは、焼酎1:ソーダ水2ぐらいで、アルコール度数8%ぐらいの濃度で「ちんぐ」の味をじっくりと感じるように飲んでみてください。白ちんぐに比べて、黒ちんぐは味が濃いので、焼き鳥などにもよく合います。
(この後、しばし飲酒歓談タイム。ほろ酔い加減で会話も弾みます)
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轟木 ところで大和桜のラベル、素敵ですね。 若松 これ、実はニッカウヰスキーのデザインを多く手がけた大高重治のオリジナルデザインなんです。ブラックニッカの髭のおじさんを描いた大高さんの、最後の作品。うちの蔵には、「ラベルに惹かれたから」と見学に来てくれる人が後を絶たないんですよ。有名デザイナーの大高さんが作ったからすごいということではなくて、その時デザイナーが必死で考えた熱量が、2017年の今でも人の心を動かしているっていうのがすごいですよね。ものづくりはやっぱり、意気込みや熱量が大事なんだなと、気を引き締められる思いです。 横山 分かります。僕も、2020年までには、壱岐���の日本酒製造を完全復活できるように、今から計画しています。 轟木 いいですね。焼酎も日本酒も、今日のお二人のように柔軟な発想を持った杜氏たちが、新しい飲み方や楽しみ方を広げていってくれたら、嬉しいですね。本日はありがとうございました。そしてごちそうさまでした! 会場一同 ごちそうさまでした!
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いかがでしたか? 杜氏としてお酒造りに励むだけでなく、楽しみ方を積極的に提案して、焼酎や日本酒の裾野を広げる活動に尽力しているお二方。トークの引き出しも多く、参加者のお酒も進み、たっぷり3時間、充実の会となりました。最後には顔を紅潮させ、満足そうに談笑する参加者たち。この状態こそ、「よか晩」なのではないでしょうか。 さて、好評のReTHINK お酒 Projectは、次の企画も予定されています。まだ参加したことがない方も、ぜひ九州の豊かなお酒を発見、そして再発見(rethink)してみてはいかがでしょうか。
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【RFP】vol.056 『sns×コンテンツで効果を最大化するウェブマーケティング』(カツセマサヒコ×カズワタベ ) 2017/09/07(木)定員50名
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今回は、ライター・編集者のカツセマサヒコ氏、ウミーベ株式会社のカズワタベ氏をゲストに迎えての開催!「企画」「発信」に焦点をあて、Webマーケティングの可能性をRethinkしていきます!
==イベント概要===>> 【場所】 ReTHINK Cafe 【時間】18:30 OPEN 19:00 START 【料金】3,000円(1ドリンク+フード付き)
【登壇者】 ゲスト カツセマサヒコ(ライター・編集者) カズワタベ(ウミーベ株式会社代表取締役)
ファシリテーター 松口健司(株式会社サイノウ、Loqui代表)
【このイベントのお問い合わせ先】 ReTHINK FUKUOKA PROJECT 運営事務局 [email protected]
【内容】 Webマーケティングの世界はイマ、目紛しい動きがあります。会社や個人が成果を求めるために無視できない業界となっています。特に、「企画力」と「発信力」が鍵となるこの業界。イマ何が求められ、ミライはどうなるのでしょうか?
今回は、Twitterのフォロワー数 が「9万」を超え、“タイムラインの王子さま”とも言われているカツセマサヒコさんがゲスト。 Web系編集プロダクション『プレスラボ』から2017年4月に独立。 福岡でのトークイベントはなんと今回が初めて! インターネットに特化した、“バズらせる”コンテンツ制作、広告、企画、発信の最前線にいるカツセさんによる、Webマーケティングの実戦トークが福岡で聞ける貴重な機会です!
対する福岡ゲストは、開設半年で月間100万PV、現在では月間200万PVを誇る国内最大級の釣り情報サイト「ツリホウ(釣報)」を運営するウミーベ株式会社代表のカズワタベ氏。フリーランス時代に作ったNAVERまとめが累計900万回以上閲覧されるなど、コンテンツを活用したマーケティングが得意な方です。
ニッチなターゲットで独自のコンテンツを提供し続けるカズワタベ氏と、発信力で最前線を走り、多くの成功企画の実績を重ねてきたカツセ氏が考える、「企画力・発信力のイマとミライ」とは? 会場の皆さんと、ホンキで考えてみたいと思っています。
【こんな方に】 ・マーケティング、Webマーケティングを担当している方 ・Webマーケティングを強化したいと考えている方 ・企画、広報、マーケッターの方 ・ライター、編集者の方
【登壇者プロフィール】
◼︎カツセマサヒコ
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フリーライター。1986年東京うまれ。編集プロダクション・プレスラボでのライター経験を経て、2017年4月に独立。広告記事、取材記事、エッセイ、物語等の企画・取材・執筆を行う。Twitterでの恋愛・妄想ツイートが10~20代前半の女性の間で話題を呼び、フォロワーは現在9万人を超える。 趣味はスマホの充電。
◼︎カズワタベ(ウミーベ株式会社 代表取締役)
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1986年生まれ。東京での音楽活動を経て、スタートアップの創業に関わり、2013年に福岡に移住、2014年8月ウミーベ株式会社を設立。「釣りを、やさしく。」をコンセプトに、ITやデザインを活用した釣り人向けサービスを展開している。
◼︎松口健司(株式会社サイノウ&Loqui代表)
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九州大学在学中。20歳の時にシリコンバレーに短期留学し、それをきっかけに取材メディアLoqui(ロクイ)を設立。「人」が学問というコンゼプトのもと、「今学びたい100人の学問」というメディアを運営中。現在は、現役大学生でありながら、株式会社サイノウの立ち上げに関わり、活動中。テクノロジーとクリエイティブの祭典”明星和楽”やawabar fukuokaの運営などを手がけている。
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.056 『sns×コンテンツで効果を最大化するウェブマーケティング』(カツセマサヒコ×カズワタベ )
18:30 OPEN 19:00 START/ 料金 3,000円(1ドリンク+フード付き)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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【RFP】vol.055『「変態」は最上級の褒め言葉!?「一人前の変態」とは?』(安齋 肇 × 深町 健二郎)2017年8月8日(火)
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【イベント内容】
「変態かい?」そう聞かれたらあなたは何と答えますか?
「変態」という言葉は、昨今、特にクリエイティブな世界において「天才」を超える最上級の褒め言葉として使われたりもします。さまざまな価値観の受容、多様化が進む、それでも異彩を放つ「一人前の変態」とは?
今回のRethinkでは、昨年12月初監督作品『変態だ』をリリース、イラストレーター、アートディレクター、ソラミミストの安齋肇さん。そして、音楽・イベントプロデューサー、タレントなど福岡を中心に幅広くご活躍されている深町健二郎さん。「フツウ」を飛び越え、それぞれの「イズム」を更新し続けご活躍される、まさに「変態」なお2人をゲストにお迎えして「一人前の変態」とは?をテーマにフリートーク!
お2人のかけ算トークから、果たしてどんなものが生まれるのか?
映画の裏話、音楽・アート・文化に対するお2人の考え方、共通のお知り合い、みうらじゅんさんやタモリさんのエピソードトークなんかも聞けちゃうかも?!可能性は未知数です!
みなさんもご自身に「変態かい?」と事前問いかけRethinkのうえご参加ください!
当日は本トークイベント後、会場を変えて、映画『変態だ』の上映会+安齋さん&深町さんとの懇親会も行われます。トータル参加で特典も準備されているようなので、合わせて要チェック!!
【ゲスト】
安齋 肇さん
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1953年東京都生まれ。LINEスタンプ「ハロルド危機一髪」のキャラクターデザインや、NHK「しあわせニュース」のタイトル画を手がける。また、ユニコーンや奥田民生ツアーパンフレットのアートディレクション、作品集「work anzai」、ドローイング集「draw anzai」を出版。テレビ朝日系「タモリ倶楽部」空耳アワー、NHK BSプレミアム「笑う洋楽展」などに出演。ナレーションやバンド活動も行っている。
絵本「WASIMO」(文:宮藤官九郎)がEテレアニメ「わしも」となって現在オンエア中。初監督映画「変態だ」BD&DVDが2017年7月にリリースされた。
公式サイト
http://www.office-123.com/harold/index.html
深町 健二郎さん
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1961年福岡市生まれ。9歳より音楽に目覚め、大学時代は元ロッカーズ(俳優の陣内孝則氏が在籍)のギタリスト谷信雄氏と共に「ネルソープ」を結成。大学卒業後、福岡の旅行会社に就職し、コンサートツアーや音楽イベントの企画・主催を行う。その後、1989年よりスタートメンバーとして「ドォーモ」(KBC)出演。現在も「アサデス。」(KBC)や「マチケンマリコのハミングバーズ」(RKBラジオ)など、TVやラジオ番組へ多数出演。その一方で、音楽・イベントプロデューサーとしても活動を続け、1998年からは糸島市で毎年開��される「Sunset Live」のプロデュース・MCを担当。また、9月の福岡を毎週音楽イベントが開催される胸躍る1ヶ月とする「福岡ミュージックマンス」を総合プロデュース。ほか、執筆活動や日本経済大学経営学部芸能ビジネスコース教授。音楽を中心にエンターテイメントの力で福岡の街を盛り上げ、その魅力を全国や世界に伝えるべくマルチに活動中。
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<当日のスケジュール>
--------------------------------- 18:00〜 開場、販売会
18:30〜20:00 トーク
20:00〜20:30 サイン&握手会
※本イベント当日に会場にてBlu-ray/DVDを購入、または既に購入したBlu-ray/DVDを持参されたお客様は、イベント終了後、安齋監督からサインが貰えます!!
and more…
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<当日のゲスト関連イベント>
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映画を観たあと、安齋肇監督&深町健二郎さんと乾杯トーク!?
【R18】〜映画『変態だ』上映&懇親会〜
8/8(火)
21:00〜 上映会 @The Company
23:00〜懇親会 @THE LIFE
祝!Special Mention受賞!!
(富川国際ファンタスティック映画祭)
【料金】3,000円(上映+懇親会)
お申し込み:https://goo.gl/forms/D7fhQki4p4bhMaAa2 (※こちらの申し込みフォームは上映&懇親会の受付フォームになります。トークイベントの申し込みは最下部のBuy Ticketからお願いします。)
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映画『変態だ』
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<紹介> 企画・原作・脚本 みうらじゅん × 安齋肇 初監督
サブカル界を代表する二人が仕掛けた青春ロックポルノムービー「変態だ」。 本作は、みうらじゅん氏が描き続けている「青春」というテーマを、初メガホンを振るう安齋肇監督がこれまでとは全く別の次元から切り込んだ意欲作となっている。
青春が何だ?愛が何だ?才能がなんだ??そのすべてを安齋肇監督が真正面からぶった切る、誰も見たことのない映画世界がここに誕生した!
本作で、劇映画の初主演を果たし、過酷な役を演じきったのはシンガーソングライター前野健太。ドキュメンタリー映画「ライブテープ」「トーキョードリフター」で松江哲明監督とともに映画界にインパクトを与えた彼の常にニュートラルな姿勢と、そこから生み出される楽曲は近年の音楽シーンから逸脱した独自の世界を構築し、多くの音楽ファンに愛されている。
<あらすじ>
一浪の末、都内の二流大学に進学した男(前野健太)。
特別な才能があるわけでもない普通の男は、偶然入ることになったロック研究会でのバンド活動を契機に、ミュージシャンとしての道を歩みだす。
やがて結婚し、妻(白石茉莉奈)と生まれたばかりの息子との、ごくごく普通の家族生活を送っているが、実は学生時代から続く妻以外の女・薫子(月船さらら)との愛人関係を断てずにいた。
そんなある日、地方の雪山でのライブ公演の仕事が入り、愛人を連れて会場へ向かう男。
そしてステージに立ったその時、彼の目に飛び込んだのは、妻の姿!? 極寒の雪山を舞台に物語は衝撃のラストに向けて走り出す。
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。
新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで
エネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、
自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、
「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、
まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、
有機的につながることで
新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.055『「変態」は最上級の褒め言葉!?「一人前の変態」とは?』(安齋 肇 × 深町 健二郎)
18:00 OPEN 18:30 START/ 料金 1500円+500円 (1drink)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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【RFP】vol.054『ReTHINK FUKUOKA PROJECT meet up ”Resync” vol.01』(村上純志 池松拓哉×波田龍司×  三好剛平)2017年7月25日(火)
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「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクト ReTHINK FUKUOKA PROJECT。本プロジェクトの一環としてデザイン、IT、コミュニティ、メディアといったそれぞれの切り口から福岡の新たなことを起こしている”BUZZHOOK””LOVE  FM””福岡移住計画””サイノウ””ダイスプロジェクト”の5社のメンバーが集結。知ってそうでしらない各社の事業内容について、そしてこれから仕掛けようとしていることについて語ります。 後半は参加者の皆さんを交えた交流会を行います。福岡のまちで新たなものを生み出していくクリエイティブカンパニーと一緒にこれからの福岡について語り合うReTHINK FUKUOKA PROJECTのシリーズ企画第一弾。知っている方も、知らない方も、有機的なつながりを生み出すこの機会にぜひご参加くださいませ。
波田龍司(はだりゅうじ) BUZZHOOK Inc.(株式会社バズフック) 代表取締役
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三好剛平(みよしごうへい) LOVE FM 営業企画本部 営業部 係長
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池松拓哉(いけまつたくや) 福岡移住計画 デイレクター
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白石洋一(しらいし よういち) 株式会社ダイスプロジェクト
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村上純志 株式会社サイノウ
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About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.054『ReTHINK FUKUOKA PROJECT meet up ”Resync” vol.01』(村上純志 池松拓哉×波田龍司×  三好剛平)
19:00 OPEN 19:030 START/ 料金:1000円+500円 (1drink)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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サブカルかましてよかですか? 会話のメディア“ラジオ”で、時には起こせよムーブメント!
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今回から、“福岡で一番気の多い男”こと、ラブエフエムの三好剛平さんと一緒に、福岡のカルチャーをさまざまな視点から掘り下げる新企画「カルチャー・クラス」がスタートしました! 記念すべき第一回は、福岡にも多くのファンを持つラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル(※1)」の放送作家、そして文房具、HIPHOP、アニメムックなどさまざまな分野の執筆を手がけるライター古川耕さんと、音楽プロダクション 「C.I.T.Y.」CEO兼プロデューサー兼RKBラジオの音楽番組「ドリンクバー凡人会議(※2)」を制作する野村祥悟さんがゲスト。  自らも番組の大ファンで、誰よりも今日を楽しみにしていたという三好さん。その情熱あふれる司会進行に若干引き気味の古川さんと野村さんでしたが、気が多いもの同士のマニアックなやりとりはまさに人知れず放送されるカルトなラジオ番組の如し。  今回は、ラジオメディアの本質論から、番組制作のウラ事情、その合間にインプリンティングされるサブカルワードまで、なるべくそのままで皆様にお渡ししたいと、文字数多めにお届けします。時にはツッコミ、時には相槌を打ちながら、深夜ラジオを聴く感覚でお楽しみください。
(※1) ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルWEBサイト https://www.tbsradio.jp/utamaru/ (※2) ドリンクバー凡人会議WEBサイト http://blog.rkbr.jp/bonjin_kaigi/
アニメ、HIPHOP、文房具、ラジオにと活躍! その男“古川耕”、RETHINK CAFÉに立つ!
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三好 私は、ラブエフエム(※3)というラジオ局で営業企画、ウェブ、イベントなどを担当しております。普段のお仕事の他に、伝統工芸やアートイベント、福岡アジアフォーカス映画祭の関連企画として開催されているアジア映画の商談会企画なども担当しています。あとは、シティリビングで映画の連載を6年、それにアメコミ映画、ブラックミュージックとかKPOPとか、その辺のカルチャーが大好きでしょうがないので、日々熱烈なつぶやきを発信しながら頑張っています。気が多くて恐縮でございます。  今回から私が担当いたしますのは、題して「カルチャークラス」。片手に映画、音楽、アート、書籍などの幅広い文化を、もう一方の手には、福岡、九州の街を携えて、「この街で生きる我々が文化っていうやつを楽しんでいこうぜよ」とこういう事でございます。皆様がいつかそれぞれの舞台で「カルチャークラス・ヒーロー」として花開いていけばいいなあ、なんて事を思っております。  さて、この「カルチャークラス」の第一回目のゲストは、アタシもうこの人しか思いつきません! ライターであり放送作家であらせられます、古川耕さんでございます! 古川 はじめまして、宜しくお願いします。 三好 そして、一緒にトークを進めてもらう相手には、同じくコイツしかいねえ! 我が同士、野村祥悟君でございます。 野村 普段は「マネー野村」と呼ばれています。どうぞ宜しくお願いいたします。 古川 マネーってお金のマネー? 野村 そうですね、いろいろなところからお金を生み出していきたいというところから、ゲン担ぎで。「メイクマネー」的な(笑) 三好 今日のテーマですけれども「文化を伝え、広める“語り”を学ぶ」です。詳しく掘り下げるその前に、古川さんをご存知の方? 古川 七割方ですね。わかりました、七割くらいの出力で話します。 三好 じゃあ、古川さんを文房具の人として知っている方?なるほど。 私も気が多いタチなのですが、古川さんも野村くんも気の多いタチなのではないかと思います。このお三方で何をしゃべるかというと、今や日本で最も影響力のあるカルチャー発信拠点として信頼される「ライムスター宇多丸のウイークエンドシャッフル」という非常に人気のラジオ番組があるわけです。これの放送作家を務められるかたわらで、自らも「文具でモテるための100の方法(※4)」という連載を… 古川 連載のタイトル、なかなかキツイっすね。 三好 なかなかイタいです(笑)。そんな文房具の連載を続けていらっしゃるライター兼放送作家の古川さんです。カルチャーに興味が無い方にも、その熱量や独自の切り口で鮮やかに伝播し巻き込んで行く手腕には、これから様々な文化を広め、伝えていかんとする「カルチャークラブ」の皆が身に付けておきたいアイデアが詰まっているのではないかと思います。 そして、野村君はレコード店の店主と選曲家という二人の手強いオジサンを相手どってカルチャー駄話を延々楽しませるカルトなラジオ番組「ドリンクバー凡人会議」のディレクターを担っています。 野村 電波の無駄遣いですよね(笑) 古川 どのくらい続けていらっしゃるんですか? 野村 7年になりました。 三好 かなりの長寿番組ですね。それだけではなくて、音楽プロダクション「C.I.T.Y.」というレーベルを立ち上げて地元のアーティストのプロデュース活動もやっていらっしゃいます。今回はこの3者の視点から「文化を伝え、広めていく」というテーマについて学んでいきたいと思います。 古川 三好さんの司会があまりにも板についているので、若干引いてしまいました(笑) 野村 古川さんは福岡に来るの久しぶりなんですか? 古川 そうですね、10年以上ぶりです。当時、日本中のHIPHOPの記事を書いておりまして、その時に親不孝通りのアーティストを取材する仕事があったんです。3日間ほど滞在して、親不孝通りのクラブに通っていましたが、お世辞でもなんでもなくて日本全国の都市で一番好き。女の人がめちゃめちゃカワイイし! 当時は親不孝通りにクラブが何件もあって、一晩で歩いてハシゴするんです。夜遊びの自由さがケタ違いに会って、いい街だなと思ったんですよね。あと、レコード屋さん行っても、マニアックなレコードがむちゃくちゃあって、カルチャー的に豊かな場所だなと。お招きいただいてすごく嬉しかったです。 三好 やったぜ! ここからは、そんな古川さんのプロフィールを掘り下げていきたいと思います。まず、高校在学中に「月刊OUT」にてライターデビュー。 古川 僕のプロフィールって非常に散漫な内容なんですよね。皆さんの反応いかんではこのパートを飛ばしたいくらいなんですが(笑)。「月刊OUT」は説明が難しい雑誌なんですよ。創刊号の表紙から完全にどうかしてるんですけど。いわゆるサブカル雑誌の走りなんですよね。で、創刊して3号目くらいに「宇宙戦艦ヤマト」の大特集をするんですよ。それがめちゃくちゃ売れた事でアニメ雑誌の方に舵を切るんですが、雑誌の半分はサブカル的な内容というか投稿雑誌になるんですよね。まあ深夜ラジオの投稿の雑誌版、読者たちのコミュニケーションを取る場でもあったんですね。 三好 僕ら世代だと、週刊少年ジャンプの「ジャンプ放送局(※5)」みたいな。 古川 あ、そうですね。実際、作り手もちょっとかぶってましたね。 三好 ここで、在学中にライターデビューをされたんですね。 古川 僕も小学校高学年に読んでいて、誌面でライター募集をしていたので応募しました。このくだりはこんなもんでいいでしょうか。 三好 わかりました(笑)。そこからギューンと時は進んで、フリーライターとして華々しい活躍をされる訳ですけれども、「カウボーイビバップ」や細田守監督の「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」などのムック制作をされたという。 古川 そうですね。僕は特段アニメが好きなわけではなかったのですが、99年のアニメ「デジモン」の劇場版を見て初めて「アニメってすごい」と思ったんですよ。その監督だった細田さんは多分日本を代表する人になるだろうから、この人がどこまで行くのか見たいなあと。 三好 そしてアニメ分野で活動をされるかたわら、HIPHOP/R&B専門誌「FRONT」「BLAST」の取材も行うと。 古川 振り幅がひどいですね。高校生ぐらいからHIPHOPを聴くようになっていて、雑誌を読んでいると「佐々木士郎」という人の文章がズバ抜けてすごい。あの人みたいな文章を書きたいと思って、「FRONT」っていう雑誌に持ち込みに行って、そして書かせてもらったんですね。僕が22歳くらいかな。その時の「佐々木士郎」さんが、後のRHYMESTER宇多丸さんです。もう初めて会った時はアワアワしていました。 三好 古川さんと宇多丸さんって、ラジオで聴く限りだと、イーブンな関係だと思っていました。憧れの人だったんですね。 古川 なんなら今も緊張していますよ。細田さんと同じなんですけど、この人は本当にすごい。この人が高みに行くなら、僕はその手伝いがしたいと思いました。 三好 なるほど。そんな活躍を続けられる中で、脚本やノベライズの執筆、詩人・小林大吾さんの詩集のプロデュースなどを手がけられるという…。 古川 フリーライターも40歳すぎるといろんな事をしているもんですよ。 三好 小林大吾さん、めちゃくそかっこいいですよね! 皆、絶対聴いた方がいいよ! 古川 このご時世、CDしかないのでハードル高いんですけどね(笑)。小林大吾も別格で、細田さんや宇多丸さんと同じように、日本を代表する何かになるだろうなと思っています。 三好 詩とヒップホップって、こんなに距離が近いものなのかと圧倒されました。 さあ、続いては「文房具」ですね。 古川 いよいよ訳がわからなくなってきましたね。 三好 文房具の連載や日本最大のボールペン人気投票「OKB48(= お気に入りのボールペン)総選挙(※6)」の総合プロデューサーでいらっしゃると。 古川 すみませんね、こんなことまで言わせてしまって(汗)。ラジオ番組の中で文房具が好きって話していたら雑誌で連載をする事になって。ボールペンの人気投票をやったら面白いんじゃないかって、6年間、毎年一回店頭とウェブでボールペンの人気投票をやっています。気づいたら毎回3000票くらい集まるんで、名実ともに日本最大。すごい事なのかは全く分からないですが。 三好 「ジェットストリーム(※7)」は最強であると。 古川 我々は今「ジェットストリーム」時代に生きていると、声を大にして言いたい! 三好 そして、先ほどからお話が出ておりますが、2007年からTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」にて放送作家業を開始されると。その他にも「ザ・トップ5」「ジェーン・スー生活は踊る」など、ラジオ好きにはおなじみの番組の立ち上げから関わっていらっしゃる。 古川 そうですね。最初は放送作家じゃなくて、ただ目の前にいる人だったんですよ。知能のある壁? みたいな。番組が始まる時に宇多丸さんから「高田文夫役になってくれない?」というメールが届いて。 三好 そのエピソード大好きです。 古川 ビートたけしさんのANNにおける高田文夫さん役になってくれ(※8) って意味で。だから最初は台本書いてないんです。目の前に座ってただけ。その後、台本を書いてくださっていた作家さんが辞めて、2年目から僕が放送作家として入る事になりました。 三好 「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」をお聴きの方はおなじみですけど、トークの合間に聞こえる古川さんの乾いた笑いに安心感を覚える。そのウイークエンドシャッフル感というか、古川さんの存在が欠かせないものになりましたよね。 古川 ありがとうございます。星野源くんが「あいづち特集をやろう」って言ってくれているのですが、今だに日の目を見ないという(笑)。早くやってほしいな。 三好 そんな古川さんでありますが、ラジオのお話は後ほど掘り進めていきますので、皆さん覚えておいてくださいね。さあ、次は野村さん。
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古川 このプロフィール写真(※9)は、どこでなんの時に撮られたんですか? 野村 これはラブエフエムの取材の時ですね。 古川 最初に資料としてこの写真だけ送られてきたんですけど、とんだ奴がきやがったなと楽しみにしていたんですよ。全アイテムがハジけてますよね。実際はノーブルな方で(笑)。肩透かしを食らった思いでいっぱいです。 三好 これ、野村くんが結構キバっていた時代ですよね。撮影用にハッタリかましてきたのかな。 野村 そうそう(笑)。でも半年前くらいですよ。 古川 帽子のかぶり方まで完璧ですよ。最高です。 三好 そりゃプロデューサーにもなろうぜって(笑)。音楽プロダクション「C.I.T.Y.」のCEO。 野村 ここも“カマしマインド”が入ってますね。 三好 言ったモン勝ちですね。最初は、ラブエフエムでアルバイトを初めて、ラジオ番組の制作に携わると。2011年からRKBラジオの深夜枠で「ドリンクバー凡人会議」がスタート。 野村 深夜っていうか、早朝っていうか。28時という時間帯なんで。 三好 福岡の手に負えない音楽好きオジサンとたわいもないがためになる話を引き出す番組として続けていらっしゃいます。 古川 プロデューサーなんですか? 野村 最初はプロデューサーが別にいて、僕がディレクターで金曜夜10時にやっていたんですよ。1年目でランク落ちしまして。地獄に落とされると。それからプロデューサーがいなくなってしまって。僕もディレクターとしての作業が無かったので、3人で好き勝手にしゃべっていました。 古川 ディレクターがいなくていいってどういう事ですか? あるでしょ(笑) 野村 あるにはあるんですけどね、この段階ではもう台本も書いていなかったです。生で2時間3時間しゃべっているものを編集した方が面白いって気がついて。録音しっぱなしにしといて、外には誰もいない状況で僕らが喋っていると。 古川 セルフタイマーで自撮りする的な状況をラジオでやっていると。 野村 そうです。たまに社内の人とかが来ると、こんな遅い時間に何をやっているんだろうと不審がられて。 三好 ムダ話的なトークの中で撮りっぱなしをなんとか編集して流すというのをかれこれ7年間…。 野村 編集技術は無駄に上手くなりましたね。 古川 今週はマズいみたいな回はないんですか? 野村 それは、7年中3年くらいはありますよ。基本、アラがある助っ人外人選手みたいなもんで、ホームランか三振なんですよ。 古川 全然助っ人じゃない(笑) 三好 野村さんの編集スタイルは特徴があって、投げっぱなしなんですよ。それでなんとか着地させちゃうんだよね。 野村 そうっすね。本当は「〇〇特集」とかやって僕が仕切っていった方がラジオ的には確実に面白くなるし、撮れ高もいいんですけど、真っ当じゃない方法でやってみたいなと思って。28時だし。実験マインドですね。 古川 実験マインド。(会場から)失笑が漏れましたけど(笑) 三好 この番組は音楽好きがやっているだけあって、非常に耳が早いんですよ。メジャーデビューされた「藤原さくら」さんとか、インドネシアのシティポップバンド「Ikkubaru」とか。 三好 スジのいい音楽好きの方ならチェック済みの「星野みちる」さんとかね。 野村 みちるちゃんには曲も作りましたよ。 古川 どんな曲なんですか? 野村 「シークレット・タッチ」っていう曲で、みちるちゃんもアイドル��はいえどももう30。 古川 アイドルといえどもって! 三好 厳しい! 野村 もう大人の女なんだから、エロい歌を歌わせようってね。 三好 そういう風に、ここをある種の磁場にしていろんな文化が生まれているんです。そしてその過程で出会った才能あるアーティストをプロデュース、そして売り出していくためのレーベル「C.I.T.Y. (※10)」設立ですね。 古川 この「彼女のサーブ・彼女のレシーブ」とはどういうコンビなんですか? 野村 これはですね、モデルの「浦郷えりか」の歌を僕たちで作ることになったんです。僕らの中で「物事を成すときには強いコンセプトが必要だ」という意識があって、コンセプトをテニスルックに決めたんです。 古川 強いコンセプトがテニスルック…。それは一考の余地があるんじゃ…。 野村 2020年オリンピックの時にテニスの公式キャラクターの座を狙おうと算段したんです。 古川 算段!? 三好 息が長い!? 野村 でも結成一年後に解散したという。で、それを引き継いだのがアイドルユニット「彼女のサーブ・彼女のレシーブ」なんです。「彼女のサーブ」は東京で活動しているんですけれど、「彼女のレシーブ」は行方不明で…。連絡取れなくなっちゃって、代わりのレシーブを絶賛募集中なんですよ(笑) 古川 行方不明に!? 人に関する感覚がちょっと軽くないですか!? 募集すればいいかみたいな(笑) 野村 次がいるぞっつって。 古川 エヴァンゲリオン的(※11)な発想(笑) 三好 浦郷さんもこの活動がきっかけで東京のプロダクションに引っ張られてね。 野村 東京のイベントに出る時は結構苦笑いされていたんですけどね。「本当にテニスルックなんだね」って。今は名菓「博多の女(※12)」のCMに出ています。 三好 東京に進出するアーティストを輩出しつつ、地元でいいモノを作り続けながら頑張っている、そんな野村くんですね。 野村 そうですね。僕は踏み台ですね。 古川 さっきから発言がいちいちドライですね。大丈夫かな(笑) 三好 ちなみに、「C.I.T.Y.」のバンド「COLTECO」は、「夏びらきMUSIC FESTIVAL2017(※13)」の福岡会場で宇多丸さんと同じステージに立つんです。ぜひチェックしてみてください。
“どうかしている”人々が作る クレイジーなラジオ番組を振り返る
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三好 そんな二人をお迎えして、語ってもらうのが「文化を伝え、広めていくための“語り”を学ぶ」なんですけど。 古川 そうねえ…。 三好 大きく構えちゃいましたね。 古川 とんでもなくでかい話ですね。僕はこれを投げられて、特に何をやろうというものは一切無いんですけど…。 三好 会場の皆さんもご自身それぞれで活動なさっている事があると思うんです。でもそれを人と一緒にやるなんて難しい。ビジネス方面でもそんなお悩みを持つ方もいらっしゃるんじゃないかしら。しかも現代はSNSをはじめ、共感のメディアが走る時代。自分のやりたい事をうまく人に伝える事が出来れば武器になる。お二人にそのノウハウを聞いて、皆さんに持って帰ってもらおうと思っています。 古川 司会が上手くて引きますね。若干サギ師の雰囲気すら感じます(笑) 三好 「なんとかセミナー講師」みたいな(笑)。まあ、とはいえ、とっかかりがないと難しいので、ご用意しております。繰り返し登場した「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」。皆さんご存知かと思いますが、この番組がどんな内容でどんな特集(※14)をやっているのか見ていきましょう。古川さんならではの「こいつは狂ってやがる」という特集もたくさんあるんです。まずは今までの特集だけをピックアップしてきましたので見ていきたいと思います。スタートは2007年ですね。文字多いな! 古川 この情報量…。キングコングのエンドロール、こんな感じでしたよね。 三好 2007年から、こんな節操のない特集をやってこられて(笑) 古川 質問受け付けますよ。内容によってはもう忘れている可能性もありますが…。 (男性) 「よくできた脚本と評判のカタカナ4文字映画に宇多丸が宣戦布告」ってなんですか?
古川 これは「キサラギ」という映画のことを宇多丸が口汚く罵った回ですね。これは歴史的には重要な回でして、当時は非常によくできた脚本だと言われていた映画で、アイドルが好きな男の子が出てくるあたり、宇多丸さん好きなんじゃないの?と言われていたんです。で、実際に見て「これはよくできた脚本ではないし、アイドルというものをちゃんと扱っていないだろう」と30分に渡って延々としゃべったわけです。後に番組のアドバイザーになる妹尾さんがこの放送を聴いていて、「あの回は本当に良かった。実は俺もキサラギについてそう思っていたよ」と褒めてくださって。 その後、妹尾さんに番組に入ってもらったんです。そしたら、妹尾さんが「映画のコーナーをやんなさい。キサラギのが面白かったから。ただし、宇多丸くんが見たい映画じゃなくて、見たくない映画を見る仕組みを考えよう」と言って、サイコロを転がして見る映画を決めていました。これが後の「ムービーウォッチメン(※15)」につながったと。歴史的にはすごく重要な回です。聴くと気分を害する人もたくさんいますけど(笑) 三好 今みたいにある種のバランスの良さというか、いい面も悪い面も両方言いつつ、落とすときは論理的に落としていくような、そういう語り方ではなかったんですね。 古川 そうですね。完全に人格批判してましたから。 三好 それはダメなやつですね(笑)。大人になられたんですね。2008年に移っても、音楽に映画、アイドルなんかもありますね。「杉作J太郎襲来!」とか(笑) 野村 タイトルとしても意味がわからない(笑) 古川 この回は何をやったのか覚えてないですね。杉作さんが来たのでしょうけど(笑) 野村 この年は、杉作さん、高橋ヨシキさん、吉田豪さん、町山智浩さんと、今のキーパーソンになっている人が出ていますね。 古川 そうですね。出てくれそうな人に片っ端から声をかけたんです。 三好 「カレーは音楽であり、音楽はカレーだ」特集? 古川 ゴスペラーズの黒沢薫さんが、カレー好きキャラを初めてフルスロットルで出した回じゃないかな。元々カレー好きは知られていたんですけど、それが狂気の域にまで達しているというのがここで初めて明かされたという。 三好 この番組でよく出てくる表現で「どうかしている」というのがあるのですが、大体出演されるゲストはどうかしていますよね。 古川 そうですね。面白くてチャーミングな形でどうかしています。 三好 その辺が、今日のキーワードの一つなのかもしれないですね。 野村 「アイドルとしての王貞治特集」? 古川 やりましたね〜! 王さんがカワイイっていう話を映像コレクターのコンバットRECがやっていて。最高にいい企画でしたね。 三好 これもね、すごく大事な事だと思うんですけど、「見立て」。既存のモノを別のジャンルで読み替えて、提示して共感にまで落としていくテクニックが入っている。 古川 あとはね、「十代の子に自分の人生を折れ線グラフにして送ってくれ」というのもありました。最初は良かったけど、弟が生まれて一回下がった、みたいな。 三好 あはは!カワイイ!10代だからこそ、たわいがないわけですね。 古川 そうそう。基本振れ幅ないんですけど。最初からマイナス50なんて子もいて、この子大丈夫かなとか。すごく好きな企画です。
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三好 2009年後半には文房具も登場していますね。僕はこの辺りから毎週欠かさず聴いています。「ところで4が好き、 挙げ句に5が好き!」とか。 古川 いろんな映画の4だけ、5だけを集めて語るとかね。 三好 皆さん「なんだこれ!?」ってタイトルだらけだと思います。 古川 「異性とのスムーズな会話」も記憶に残るいい企画ですね。 三好・野村 (爆笑) 古川 これは、音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんという方がいて、クラブでの振る舞いがスマートで異性とスムーズに会話しているようだと。僕や宇多丸さんはその辺苦手なので特集しました。大失敗でしたね。いい意味で。 三好 「社畜特集」とか「MAZO飯」とか、この調子でどんどんディープ���なっていきますね。 野村 タイトルのキレが半端ないですね。 古川 「MAZO飯」は、普段ヘルシーなモノを食べている人でも、こってりしたものやガッツリ飯を食べたくなる事があるだろうと。そんなメニューを集めようと会議にかけたのですが、なかなかワードが定まらず。最初は「レ〇○飯」と呼んでました。 三好 それは放送しちゃダメなやつですね(笑) 古川 要はめちゃくちゃにされたいみたいな時はありますよね。 野村 クリスマスには満を辞して「NA-MA-ZO飯」になってる。 三好 2012年くらいには、「紅白歌合戦予想」とか。リスナーさんが参加してくるものも増えてきましたね。この番組から輩出された才能もすごく多くて、ジェーンスーさん、コンバットRECさん、高野政所さんとか。この番組からフックアップされていったんですね。 古川 元々、皆さん番組前から交友があったんです。公私混同スタイルというか、誰も聴いてないからいいじゃんて。これって、ラジオには大変重要なマインドなんですよ。 三好 巻き込んでいく力みたいなものを感じます。 古川 個人的に好きなのは、「渋滞対策情報リアル」渋滞は本当に起こっているのか、車で現場まで乗り付けて車中から放送したんですね。宇多丸さんが車内でおしっこしたりして。 三好 車で放送に出るって、ラジオ的にすごく手がかかる事なんですよね。それをこんなくだらない事でやるなんて。 古川 途中、宇多丸さんのおしっこが手にかかったのがすごく嫌でしたね。 三好 あんなに憧れてた人だったのに(笑)。今まで17年分の神回を気になった方はぜひ「ウィークエンドシャッフル神回傑作選(※16)」をチェックしてみてくださいね。
リスナーとの会話に心を溶かして… 思いを届ける、ラジオマンの美学
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三好 古川さんは番組で節操がないくらいのいろんなトピックを扱っていらっしゃるじゃないですか?お題選びはどうしているんですか? 古川 まず、企画の立て方ですが、大まかに3つのパターンがあります。1つが宇多丸さん発信、2つ目が僕からの提案、3つ目はゲストや売り込みを持ちかけられるパターン。そこから会議にかけるのですが、最終的には宇多丸さんが責任を持って受け止められるかどうかが基準ですね。あと、「この人といえばコレ」みたいなものがある時は、あえて別の切り口やネタで話してもらいます。 三好 つまり、中心にボールを放らないと。 古川 そうですね。すでに手垢がついているものはやらなくてもいいかなと。あと、この長さの割にアニメと漫画のネタは少ない。漫画を面白い切り口で、かつ中身をもたせる語り部が少ないんですよ。 三好 ネタの決定権はどなたですか? 古川 皆で決めます。 野村 派手にボツになったテーマはどんなものがありますか? 古川 ただ散歩している音源を録ろうとか…。雑ですね。誰かが一人、絶対やりたいと周りの人を説得できていれば、ほぼほぼ実現できていますね。 三好 番組制作のメンバーは感性が似ている人たちなんですか? それとも、違うアングルで捉える人たちなんですか? 古川 う〜ん。僕と宇多丸さんはわりと近いほうだと思うんですけど、他のスタッフは若干違うかな。もちろん、それはとてもいいことなんですけどね。 三好 リスナー的には、宇多丸さん達の仲間に入りたいというか、キャッキャした感じがグルーヴとしてあって、そこに憧れさせる力みたいなのはあるんじゃないでしょうか。 古川 それはね、半分狙ってやっているところがありますよ。楽しそうに振る舞ったほうがいいに決まっている。番組10年目ですが、昨年からとうとうスタジオにゲーム機が導入されるという、新しいフェーズを迎えております。収録が終わった後、放送時間より長い時間皆でゲームをするという。いよいよ極まった感がありますね。それを番組にも出していこうというね。 三好 この番組から発信された結果、一つの分野のカルチャーが育っていくという事案が多い。僕もそのフォロワーになっちゃっているんですけど。意図的にヒットする状況を作りに行ったのか、それとも結果的にできてしまったんですか? 古川 それは結果的にできたものですね。プレゼンしてくれた人の中には、頑張って大きくしようと動いてくれた人もいらっしゃいますが、僕も宇多丸さんも実はあんまり考えていないんですよね。 三好 そうなると、今回このトークイベント自体のテーマがまるであざとく見えてきましたね(笑)! 古川 やな感じになっちゃいましたね(笑)すみません! 野村 ラジオ制作に限っての話かもしれないですが、こうしたいという地図を描いて番組を作ると、99%はその通りにいかない。ラジオって、リスナーに依存するメディアだから。リスナーはこっちの想像の通りには動いてくれないし。ならば僕としてはリスナーに投げちゃったほうがいいなと思って。 三好 出た! 投げっぱなし! 「どうせ誰も聴いてねーし」と思ってるでしょ。 野村 そうそう、地獄だし! 古川 いや、地獄とまでは思ってないから(笑) 野村 僕らは放送時間が日をまたいじゃっているんで。もう彼岸ですよ(笑) 古川 ラジオって基本少人数で作るんですね。テレビに比べて、めちゃめちゃ規模が小さい。だから個人の思いやほとばしる何かがうっかりメディアに乗っちゃうんですよね。この人何か言いたい事がある、なら出しちゃえ、が成立するんですよ。ラジオよりもっと小さなメディアで考えると、もう書籍になるんです。あれは、作家と編集者の二人いればできるんですが、何せ本は流通量が多いから、面白いものを見つけるのは難しい。逆にテレビになると、見ている人も関わる人も多いし、影響力もケタ違い。個人の思い込みだけで突っ走ることって、なかなか出来ないと思うんですよね。ラジオに出た個人の思い込みが、文化と呼ばれるものを作るってことに尽きるのではないかな。 三好 メジャーの広がりになる前の発信みたいなものをラジオのスケール感が生み出しているんですね。
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古川 そうですね。書籍やネットにも個人の意見は載っていますが、探してくるのが大変。ラジオは作り手側にも責任はあるので、何でもかんでも出していいわけじゃない。ちょうど個人の思想が出やすくて、結果的に文化的なモノを生むような土壌になっている。よく漫画で例えるんですけど、「週刊少年ジャンプ」っぽい思うんですよね。以前、周辺で仕事をしていてつくづく思ったのですが、「ジャンプ」って作家の才能主義なんですよ。編集者が鍛えつつ、最終的にはその人の才能にかけちゃう。だから時には才能が潰れもしますけど、その分誰も想像してなかったようなすごいところまで行けちゃう。時代を変えるような才能は、やっぱり昔はジャンプから生まれていた。個人の思いが爆発すると、巨大な波が生まれると言う実感はありますね。 三好 古川さんは、宇多丸さんや細田さんのように、才能を持った個人を見つけていきたいんですよね? 古川 そうですね。やる仕事はなんでもいいんですが、面白いと思ったものを伝える手段を考えています。 三好 面白いと感じるものの根っこには、才能ある人がいると。 古川 そうですね、基本的には人です。でも「いやぁ〜、僕は人が好きでね」なんていうノリは大嫌い(笑) 三好 好きなものへの情熱が手に負えないところまでたどり着いている、いわゆる“どうかしている”人たちをどう見せ直すかを考えてらっしゃるのかなと思いました。 古川 そう! それができれば、作家としての仕事は終わったも同然です。これは、編集者がやっている仕事でもありますよね。 野村 僕が扱っているものは最後まで形がなくてグチャグチャのまま走り出すことが多い。それをリスナーさんがどう受け取るかを見たいです。 古川 リスナーからのフィードバックが欲しいってこと? 野村 幸い、福岡なので、リスナーの人からの反応を受けやすいんですよ。それを直に聞いて、スクラップアンドビルドというか、こういう事はこう表現したらいいのかと、後から知るんです。 三好 まだ混沌とした状態をリスナーとの間でシェイクして、形が出来上がっていく過程をドキュメンタリー見せる、それが面白いと? 野村 そう。最後まで形にならないのもあるけどね。 古川 すごくよく分かります。僕らは、意外と聞いている人の顔が見えていない。リスナーからのフィードバックの楽しみを知ったのはごく最近です。投稿コーナーは増えていて、ちょっと難易度が高い特集にリスナーからのいい球が来るんですよ。 三好 そうなると、古川さん達が作る番組って、一貫して「俺たちが面白い事をとにかくやる」ってスタンスなんですか? 古川 う〜ん、そう、なりますかね。傲慢なようですけど。俺たちはもちろん面白いと思うし、リスナーにとっても面白いだろうと思うもの…。あれ!? これもう傲慢ですね。 三好 いや、それは「自分たちが面白いと思ったものを信じ抜いて発信する」というシンプルな話かなと思います。 古川 そうですね。どんなにくだらない中にも、これをやることに意味はあると思っています。世の中でこの事が話された方が良くなるだろうということですよね。そういう思いはどの企画にもあります。
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三好 僕は、古川さんの番組に「狂気」と「品性」があると思うんです。品性とか優しさみたいなものが発信側にあるかどうかが重要で、古川さんはその内容を届けた先の誰かが生きやすくなるんじゃないかというマインドをお持ちなんじゃないかと。 古川 多分、それはずっとあるのかもしれないですね。 三好 最後の最後に込めたそういった優しさが「伝わりやすさ」なんじゃないかなと思うんですよ。 古川 今、ちょっといい話になっていますけど、究極的にいうと「美意識」の問題。そういう振る舞いがカッコいいと思っているんです 野村 そうですね、そういう意識がないと足元がぐらついちゃうから。語るときは何かの軸がないと届けられない。 古川 僕が思うに、ラジオって、人と人の会話なんですよね。宇多丸さんは相手がどんな危険球を投げてきても、一回それを引き受けて返すんですよ。つまり「会話」になっている。そしてどうやら僕らは、成立している会話を心地いいものと捉えるようなんですね。宇多丸さんがゲストやリスナーの思いを引き受けることによって、会話が成立する。それが結果的に人に伝わるものになっているんだなという気はします。 三好 気持ち悪いんですけど、僕はラジオを聴きながらめっちゃ喋るんですよ。ツッコミをいれたり、相槌を打ったり。 古川 それは本当に気持ちが悪い(笑) 三好 演者の会話に参加している感覚というのが、文化が伝わって広がっていく状況のベースにあるのかもしれませんね。こいつは俺だと! 野村 これ「ラジオあるある」なんですけれども、アーティストゲストのコメントがあるじゃないですか。博多に来たら、「ラーメン食べました」みたいな。 三好 あ〜定型文みたいな。 野村 そういう会話って、導入の仕方が下手なだけなんですよ。こういった定型文を作ってしまった方が楽だから、皆使っちゃう。 三好 これは放送作家の怠慢だと言いたいんでしょ(笑) 野村 そうそう。明らかに原稿を読んでいてリスナーさんとの会話になっていないものは、全然面白くない。その逆で、原稿を読んでいても読み手がうまいもので会話になっていると面白いものもある。 三好 会話にする事で伝わる。ラジオだけではなく、人生についても言えることかもしれませんよ。
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この後は、参加者の皆さんとの質疑応答タイムを経て、懇親会へと突入。 熱心なファンはもちろん、ラジオなんて学生時代以来という人も、3人のやりとりにハマっていた頃を思い出していたよう。終わるのが惜しいほどの盛り上がりでした。 お三方の放つ言葉は決して前向きなものばかりではありませんが、それでもすんなりと心に入ってくるのは、きっと“会話”が成り立っているという事でしょう。 他のメディアと比べて、どこかアンダーグラウンドな香りが漂うラジオの世界は、我々の内面に眠る好奇心のタネとコミュニケーションの喜びを呼び覚ましてくれたようです。自分の思いを人に伝えたいと思った時、まずはラジオのスイッチをひねってみてはいかがでしょうか。
(※3)ラブエフエムWEB http://lovefm.co.jp (※4)GetNavi本誌の大人気コーナー「ド腐れ文具野郎 古川 耕の文房具でモテるための100の方法」WEB http://getnavi.jp/stationery/127801/ (※5)1982年10月〜1995年12月で『週刊少年ジャンプ』に連載された読者投稿コーナー。「月刊OUT」のライターとして活躍していた「さくまあきら」など、数々のクリエイターが携わっていた (※6)OKB48総選挙WEB http://sugobun.com (※7) ジェットストリーム WEB  http://www.mpuni.co.jp/products/ballpoint_pens/ballpoint/jetstream/standard.html (※8)『ビートたけしのオールナイトニッポン』にて、ビートたけしと「黄金コンビ」、「もう一人の相方」としてタッグを組んだ放送作家。
(※9) このサイトでの野村さんのプロフィール写真 http://rethinkfukuokaproject.com/post/158768772744/046
(※10)IC.I.T.Y.のHP https://city.amebaownd.com/
(※11)『新世紀エヴァンゲリオン』第拾九話「男の戰い」のレイの台詞より (※12)博多のお土産の定番 http://www.nikakudou.co.jp/commodity/index12.html (※13)夏びらきMUSIC FESTIVAL2017 HP http://www.natsu-biraki.com (※14)「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」特集一覧はこちら (過去ページ)https://www.tbsradio.jp/utamaru/labo/index.html (※15)「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の映画コーナー  (※16)ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル”神回”傑作選 Vol.1 https://www.tbsradio.jp/5885
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【RFP】vol.053『現代のウルトラヘブン!サウナはもうカルチャーだぁああああああ』(タナカカツキ×久志 尚太郎)2017年7月16日(日)
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サウナと聞くとおじさんがいく所というイメージがあるかもしれませんが、もはやそれは昔の話。 健康の面や究極のリラックス、リフレッシュ方法として注目を集めています。そして今や雑誌や漫画でも取り上げられ、「サウナー」という言葉やLINEスタンプも出来、サウナはカルチャーと言える所まで盛り上がりを見せています。
説明すると、一般的にサウナと呼ばれている場所は正式にはサウナ室であり、「サウナ室」→「水風呂」→「休憩」を1セッションとして、それを3セット程繰り返すことにより真価を発揮します。そのセッションの先にある「ととのう」という感覚は正に現代の「ウルトラヘブン!!」と言っても過言ではありません。
そんなサウナの魅力を余すところなく紐解くべく、日本サウナ大使でありマンガ家のタナカカツキさん、サウナーで、株式会社TABI LABO代表の久志尚太郎さんをお迎えして、サウナの魅力、"ととのう"とはどんな状態なのか、それぞれのサウナの入り方、全国のオススメサウナ、そして海外のサウナ事情をお話頂き、参加者の方々ともシェアしたいと思います。
現役上級サウナーの方から興味があるけれどまだ行ったことがないという初心者の方まで、サウナについてRethinkします。 是非サウナでととのってからご参加くださいませ。
ゲスト: タナカカツキさん マンガ家 . 日本サウナ大使
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著書には『オッス!トン子ちゃん』『サ道』、天久聖一との共著『バカドリル』など。 カプセルトイ「コップのフチ子」企画、デザイン。 現在、キャラクター原案、脚本を手掛けたアニメ『クイズとき子さん』2017年6月より中京テレビ放送にて放送。 マンガ原作、映画『逆光の頃』(監督:小林啓一)7月から新宿シネマカリテほか全国にて順次ロードショー
ゲスト: 久志 尚太郎さん 株式会社TABI LABO 代表取締役CEO
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1984年7月1日生まれ。中学卒業後、単身渡米し16歳で高校を卒業後、古着の買い付け販売をしながらアメリカ大陸を放浪し日本に帰国。19歳でDELL株式会社に入社後、20歳で法人営業部のトップセールスマンに。21歳から23歳までの2年間は同社を退職し、世界25カ国のヒッピーコミュニティをまわる。復職後、25歳でDELL株式会社のサービスセールス部門のセールスマネージャーに就任。同社退職後、九州宮崎県でソーシャルビジネスに従事。2013年より東京に拠点を戻し、2014年2月22日にTABI LABOをロンチ。2014年5月株式会社TABI LABOを創業し、TABI LABOは月間900万の読者に読まれるメディアに成長。
ファシリテーター: 安宅 晃(atk)さん (Musician・Sound Fasilitator)
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新潟市で音楽家として活動後スペイン・バルセロナに拠点を移す。 2013年活動の拠点を九州に移し新たな活動をスタート。 電子楽器TENORI-ONとラップトップを駆使し即興性に満ちたソロパフォーマンスや様々なアーティスト(音楽家、画家、役者、ダンサー等)とのコラボレーションLIVEを全国各地で行う。また、空間に合う最適な音楽をリアルタイムに創り出す世界で唯一の音楽演出"サウンドファシリテーション"誰でも気軽に音を楽しめるワークショップ "OTO-ASOBI" を主宰する。作曲家としてアイドル、映像作品、TV、CM、ミュージカルとジャンルレスに楽曲提供を手掛ける。21世紀型即興音楽家。初心者サウナー。
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.053『現代のウルトラヘブン!サウナはもうカルチャーだぁああああああ』(タナカカツキ×久志 尚太郎)
18:30 OPEN 19:00 START/ 料金:1500円+500円 (1drink)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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コトバナプラスvol.8 インターネットと人類学から考えた 僕らなりの“未来”の作り方
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九州のワクワクを発見するウェブマガジン「アナバナ」と、ReTHINK FUKUOKA PROJECTとの共同企画として2016年8月より始まった「コトバナプラス」。発酵デザイナー・小倉ヒラクさんの軽妙な進行のもと、毎回満員御礼となったこのシリーズも、5月16日(火)でついに最終回を迎えました。ラストにふさわしいゲストは、福岡出身の起業家であり、インターネット黎明期から現在まで様々なウェブサービスを世に送り出してきた家入一真さんです。
 現在、家入さんが代表を務めている株式会社CAMPFIREは、目的達成のために個人がインターネット経由で資金を集められる「クラウドファンディングサービス」を提供する会社。このクラウドファンディングという仕組み、人類学で言う「贈与」の概念と密接な関係があると、小倉ヒラクさんは語ります。
 WebやSNSを通して、個人同士がダイレクトに繋がることのできる時代。お互いを支え合う新しい経済が、生まれ始めています。「贈与と協同の人類学」をテーマに語り合ったコトバナプラス最終回の模様を、お伝えします。
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何者でもなかった自分が インターネットに見つけた居場所
小倉 皆さん、こんばんは。全8回にわたって展開してきたコトバナプラスも、今日でついに最終回。惜しい気持ちと、毎回山梨から福岡まで通い続けた苦行がようやく終わるという安堵感でいっぱいです(笑) 。さて今日は、ファシリテーションの役割をすべて捨てて、その場の成り行きに任せて進行してみたいと思います。では最終回にふさわしいゲストをご紹介しましょう。元GMOペパボ、現CAMPFIRE代表の家入一真さんです。 家入 よろしくお願いします。 小倉 家入さんは、日本のインターネットシーンの隆盛に多大な貢献をした人ですね。僕はもともと、「www(ダブリューダブリューダブリュー)」という仕組みがなかった頃から、インターネットに触りだしたオタクです。当時はWebサイト自体がまだなかったんで、掲示板でメッセージをやりとりして。自分がわからないことを質問したら、オランダのおじさんが答えてくれたりして、「ネットの世界って、すげー!」と感動したのを覚えてます。 家入 今では当たり前になりましたけど、世界中がリアルタイムで繋がることの衝撃って、当時はすごかったですよね。 小倉 世界の反対側にも、自分と同じ思いの人がいるんだと実感できて。 家入 そうそう。僕もいじめが原因で、中学二年の頃から学校に行けなくなって、家からも出られなくて。そんな時にパソコン通信で、性別も年齢もわからない相手と対等に会話ができたのは、自分にとって救いでした。社会的な立場や役割と一切関係なく、「何者でもない、ただの人間である」ことを実感できたんです。 小倉 すでにディープな話に入ってきてますが、ここで一度、家入さんご自身で自己紹介してもらってもいいですか? 家入 はい。今の肩書きは、CAMPFIREの代表取締役社長です。他にもネットショップサービスの「BASE」をCEOの鶴岡くんと一緒に立ち上げたり、その前は「 paperboy&co.(現GMOペパボ)」 を作ったりしました。他にもいろいろとあるんですが、簡単に言うと、さまざまな立場の人たちが自由に声をあげられるサービスをインターネットで展開してきた、ということですね。 小倉 クラウドファンディングのサイトもいくつかあって、それぞれ特徴があると思いますが、CAMPFIREは「祭り」感が強いと思いました。プロジェクトの規模が小さくても、一緒に盛り上げていこうという、エモーショナルなものを感じます。 家入 そうかもしれないですね。大義名分があるものとか、規模が大きくて有名なプロジェクトばかりがフィーチャーされてしまうと、ユーザーが「自分なんかが使っていいのかな?」って気になるでしょ? そうはしたくないんです。僕が感じていたインターネットの可能性って、誰に対しても門戸が開かれているってことなので。だから、ハードルはなるべく下げておきたい。 小倉 なるほど。 家入 Webサービスだからこそ、そこにどんな思想が流れているかが大事だと思います。というか、僕がそう信じたいんですよね。僕のようなひねくれた人間だったら使えないものは、作りたくないんです。僕は、高尚なやりとりばっかりの掲示板を見たら、すぐに閉じちゃうタイプの人間なんで。 小倉 プロジェクト掲載に当たって、審査はあるんですか? 家入 他のサイトは内容の審査をして、成功に繋げられるかどうかを、あらかじめふるいにかけているところもありますが、うちは最低限の審査しかしません。「自分たちで審査するほど、自分たちは偉いのか?」という立場に立ってるんで。
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クラウドファンディングは 共犯関係を作る“祭り”
小倉 文化人類学の観点から話をすると、CAMPFIREのサービスってとても文化人類学的だなと思ってるんです。マルセル・モースという文化人類学者が提唱した「贈与」という概念があって、簡単に説明すると、未開部族がとなり合う島同士で贈り物の交換をするときに、必ずパーティーが開かれるんですよ。やり取りされる贈り物自体が大事なんじゃなくて、催されるパーティーのご飯や宿の用意とか、そこで発生するいろんなやりとり自体が重要だと。 家入 面白いですね。 小倉 今の資本主義社会だと、物のやり取りは普通、等価交換ですよね。300円を払い、300円のものを受け取る。でも、「贈与」は等価じゃない交換で、そこで発生する無駄が文化を伝達したり、支えたりしていたんだと。 家入 なるほど。 小倉 それって、CAMPFIREも同じだと思うんです。目標金額を達成すること自体はもちろん大切だけど、それだけじゃなくて、特典を用意したりプロジェクトを広報したりする中で、いろんなコミュニケーションが発生するんですよね。CAMPFIREはそこを大切にしているんじゃないかなって。 家入 確かにそうですね。いま、うちで広報を担当してくれている社員は、身長が178cmある女性なんですが、コンプレックスから彼氏ができなくて悩んでたんですよ。それで、CAMPFIREでお見合い相手を募集するプロジェクトを立ち上げて、目標金額も200%達成し、そこで出会った人とお付き合いしています。他に、「iPhoneを洗濯機で洗ったから修理費を集めたい」というプロジェクトを立ち上げた社員もいました。結構叩かれましたけどね、「家入はクラウドファンディングの素晴らしい部分を壊しまくってる」と言われて(笑) 。でも個人的には、こういうのも全然アリだと思ってます。 小倉 カオスですねぇ。僕がネットの世界に感じていた面白さって、こういうアナーキーさだったと思います。社員の人たちも、みんな家入さんの思想に共感している人たちなんですか? 家入 どうでしょうかね? 僕が面接をやるときは、僕のファンとか僕の本を読んでくれているかどうかは重視していないです。組織としては、多様性を保つことが大事なんで。僕の考え方に共感していなくても、優秀な社員はたくさんいますから。 小倉 でも家入さんのように、思想や哲学を大事にしたサービスを展開したいと思っても、会社を成長させていくためには広くいろんな人に受け入れてもらう必要があるわけで、そのバランスは難しいですね。 家入 矛盾していると言われればその通りだと思います。スタッフによく言っているのは、答えを出そうとせずに、いつも問い続けようってことです。今の世の中は、なんでも参考にできるものや前例があって、答えに溢れていると思うんです。でも本来、メディアの役割って、「あなたはどう思うか」という問いを発することだし、ビジネスやアートの役割もそうなんじゃないかなと。 小倉 アートですか? 家入 ええ。僕は、中学生で引きこもりだった頃、ずっと絵を描いていて、画家になりたかったんです。でもできなくて、仕方なく就職して、そこから起業して。上場してお金も入ってきたし、成功者のように言われたけど、自分では全然しっくりこなかったんですよね。なりたかった自分と実際の自分が乖離していて、納得感がなくて。でも、僕が今ビジネス界でやっていることは、アートに近いんじゃないかと思い始めてから、少しラクになりました。ビジネスもアートと同じように、自分の考えていることを社会に投げ込んでいく活動だなと思って。 小倉 なるほど。僕も最初はイラストレーターで、その後デザイナーになって、今では微生物の研究をしています。ふと自分の原点ってなんだろうって考えると、言語を使った左脳的なコミュニケーションよりは、何かの世界観を作って伝える右脳的なコミュニケーションが得意なんじゃないかなと。人と人とがわかりあうためには、理屈だけではダメで、うまく人に伝える方法を模索してきたんだなと思っています。 家入 原点という意味では、僕は結局、中二の頃の自分に向けて今でもサービスを作り続けているんだと思います。あの頃の自分が参加したいと思えるものや、行ける場所を作りたい。僕は「リバ邸」というシェアハウスの発起人で、そこは学校からあぶれてしまったり、病んで会社に行けなくなったりする人が集まる「現代の駆け込み寺」です。なぜ始めたのか、動機は結局のところ、中二の頃の自分に対して、居場所を与えたいということですね。 小倉 家入さんの事業って、何かに解答を与えるものというよりは、みんなに「はてな?」を与えるものですよね。交換における、余剰や謎の部分。この隙間から、文化が出てくるんですよね。今やテクノロジーの発達によって、人間はどんどん暇になっていて。そんな時に、謎を求める潜在的な気持ちがあるんじゃないかと。 家入 テクノロジーは、あらゆるコストを下げるために進化し、究極まで進んで行くと思います。今や、電話で話す時の感情表現も、スタンプ一つで済ませられるし。 小倉 そうそう、それで限界費用が下がっていくと、人は結果的に暇になる。だから、クラウドファンディングのような祭りに参加したくなる。 家入 祭りは、自分の中でのテーマでもありますね。インターネット空間の中に、いかに祭りを起こすか。だって、祭りになった瞬間に、文句を言う人に対して、「野暮」と言う言葉で片付けられるんです。それってすごいことで。 小倉 岸和田のだんじり祭なんかは、無責任に炎上を焚きつけるような部外者が関われないようになっていて、みんな当事者だから異様な盛り上がりになるんですよね。 家入 当事者意識をいかにもってもらうか。僕は「共感」という言葉よりも、「共犯」の方がしっくりくるなと思っていて。それぐらい、肩入れして当事者意識を持てる関係性を、CAMPFIREでも作っていきたいと思ってます。
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避けられない変化の中で ワリを食ってしまう人に寄り添いたい
小倉 では、会場の皆さんの質問に答えていきましょう。 参加者 Aさん 私は山口県で、実家の漬物屋を手伝っています。私の関心ごとは、お金がなくても豊かに暮らすことで、今ある生活を丁寧にする、そのために食を丁寧にする暮らしを提案していきたいと思っています。日本の漬物文化をもっと広めていくために、どうしたらいいと思いますか? 小倉 僕がアニメ「手前みそのうた」を作った時、一緒に作った五味醤油さん「これはみそを作る文化や価値を伝えるために作るんだから、うちの社名は出さなくていいよ」って言われたんですよ。それってすごくないですか? 他のメーカーの役割も全て肩代わりして、手前みそを仕込む素晴らしさを伝えるものを作る。それが結果的に周りからの信頼を得ることになって、少し時間差で大きなリターンとなるんですよね。だからAさんも、他の漬物屋が喜ぶことを積極的にやったらいいんじゃないですか? 家入 人生って、誰しも一冊の小説になるくらい、いろんなことが起こりますよね。僕は、次の一ページをどう描こうかって、いつも考えながら生きてます。自分の物語に賛同してくれる人が仲間になってくれたり、物語にジョインしてくれたりもする。だから、あなたの人生を語って、そこに賛同してくれる仲間を募ってみるのはどうでしょうか。 小倉 うん。漬物屋の娘って、すごくいいドラマになると思う。
参加者Bさん 家入さんのように、時代の先を読むビジネスをする上で意識しておくべきことはありますか? 家入 時代の先、読めてないですよ(笑)。 読めてたらもっと儲かってると思うんで。「これからはソシャゲ(ソーシャルゲーム)が来る!」という頃に、現メルカリの山田進太郎さんやドリコムの内藤裕紀さんらと一緒に、中国まで視察に行ったりもしましたけど、僕は乗れなかったですからね。当時僕はドーナツ屋さんをやりたくて、美味しいドーナツを作る方法ばかり考えていました。 小倉 逆らい難い時代の流れがあるとしても、それに乗って行った先に幸せがあるかどうかはまた別問題ですよね。時には流れに杭を打つことも必要かもしれないし、杭を打つこと自体が哲学とも言えますね。 家入 例えば今、クラウドソーシングという働き方が注目されていますけど、実際はその収入だけで生きていけてる人はまだまだ少ないわけです。だからと言って、クラウドソーシング自体に意味がないとか、失敗だったかというと、そうではない。まだ過渡期ではあるけど、生き方を変える可能性は秘めていると思います。 小倉 そうですよね。 家入 時代の先を読もうとしなくても、避けられない未来の変化は必ずやってきます。その時にオイシイ思いをする人と、そのことでワリを食う人が必ずいるはず。その時に、ワリを食ってしまう側の人たちのことを、考えていきたいと思ってます。
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いかがでしたか? 連続起業家と呼ばれても初心を忘れず、動機に忠実な家入さん。そして文化人類学と発酵という専門分野を軸にあらゆる話題を整理し、わかりやすく伝えてくれるヒラクさん。お二人の示唆に富んだトークに、来場者もぐっと引き込まれ、あっという間の2時間となりました。この日は、小倉ヒラクさんの新刊「発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ」が発刊されたタイミングでもありと、会場で用意された本も全て完売。最終回にふさわしい盛況な回となりました。
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さて、天神・Rethink Booksを舞台に展開してきたコトバナプラスも、これにて閉幕。全8回のシリーズを通して、普段福岡ではなかなか聞くことのできないゲストの貴重なトークを、来場者の皆さんと共有することができました。「 コトバナプラス」のコトバの中に、一つでも皆さんの心に残る言葉があったとしたら、このシリーズも展開した甲斐があるというもの。関わりを持ってくれた全ての皆さん、ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。
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【RFP】vol.052「“夏を呑む ” 酒蔵と酒屋の夏酒トーク&テイスティング」(三井の寿 井上宰継(ただつぐ)× 庭のうぐいす 古賀剛)2017年6月29日(木)
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『ReTHINK お酒 Project』の第三弾のゲストは、日本三大酒処として知られ、多くの酒造がある筑後地方から。
福岡県南部を流れる九州一の大河・筑後川と、筑後平野を有する恵まれた風土は酒造りにとっては最高の財産 清らかで良い水が湧き、旨い米が育つ肥沃な筑後の地より、福岡で知らない人はいないであろう、2つの酒蔵よりゲストをお迎えします!
日本酒デビューしたい方、これから知りたい方にもオススメ>>
『三井の寿』の井上宰継(ただつぐ)さんと、『庭のうぐいす』の古賀剛さん それぞれのお酒作りや、日本酒の美味しさの背景、楽しみ方をしっかり伺います。
今回も、ゲストコーディネーターは『とどろき酒店』の代表・轟木渡さん 酒蔵と酒店で、日々お酒に向き合うお三方が、「日本酒」の魅力をたっぷり楽しんでいただくお話と試飲。 「昔は夏ってお酒、全然売れなかったんですよね。」と轟木さん。今は…?
今回は、「夏の日本酒の楽しみ」に焦点をあて、筑後の恵である美酒をしっかりReHINKしたいと思います!
【当日の時間割とお願い】
今回は2時間半。 出入りは自由ですが、少なくとも、19:45にはご入場がおすすめです。 単なる試飲会ではなく、造り手の方の貴重なお話、お酒の背景や楽しみ方を知っていただいた上で、好みのお酒を見つけていただく会です。
前半:19:30-21:00くらいまで 轟木さんと、造り手、お三方のお話を伺いながら、試飲と、ペアリングを楽しみます
後半:21:00-22:00 ご自分のペースでご試飲、ゲストや参加者の方への質問、歓談を楽しんでください
【イベントのお問い合わせ先】 ReTHINK Fukuoka Project事務局:[email protected]
ゲストプロフィール
◼︎三井の寿 井上宰継(ただつぐ)さん (福岡県 三井郡大刀洗町)
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大正11年創業 九州最大の筑後川に注ぐ小石原川の清流沿い、のどかな美田の広がる筑後平野に蔵を構える。 仕込み水は蔵沿いに流れる小石原川の伏流水を用い、麹造りは大正時代創業の頃そのままに、手間暇かかる蓋麹の技法を取り入れている。 筑後の地酒としての個性を追求し続けつつ、昔ながらの丁寧な酒造りを実践し、妥協のない伝統的な技術を守る。 全国新酒鑑評会などで入賞を果たすなど、高い評価を得ている。
◼︎庭のうぐいす 古賀剛さん 合名会社 山口酒造場 福岡県久留米市北野町 http://niwanouguisu.com
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創業は、300年前に遡る。現在は11代目 水は、筑後川の伏流水を使用。地元の農家の協力を得、酒米作りも自社で行っている。 平成3年の大規模な台風により大きな被害を受けながら、福岡県久留米市という場所にこだわりを持ち、酒造の規模を小さくしてまでもこの場所で酒を作り続けている。 現在まで続く「庭のうぐいす」は、こだわりの日本酒として、人気銘柄として知られる存在に。
◼︎とどろき酒店 轟木渡さん Wataru Todoroki
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1972年福岡県生まれ。とどろき酒店二代目。辛口とか甘口とかではなく、その造り手のフルスウィングが見たい。友だちのようにつき合えるお酒を求めて、国内外をうろちょろしています。音楽と本を愛し、今は畑仕事と古代史に夢中です。日常的に、音楽・器・パンなど異業種とともに、楽しい酒の場を作っています。
『ReTHINK お酒 Project〜お酒造るひと×お酒のむひと』
単に飲むだけではもったいない、知るとより楽しく深い、お酒の世界を学べちゃいます。 しかも造り手から直接! 九州って「酒どころ多いよね」「お酒が好きな人多いよね」 でも実は「お酒」のことあんまり良く知らない? 日本酒と焼酎ってどう違うの?度数って何? お酒のラベルに表示されているあの言葉ってどんな意味? どうして味が違うの?どうやって作ってるの? 期間はどのくらいかかるの? すでに嗜んでいる人も、これからお酒を楽しみたいという若者も、ちょっと学べて、飲んで楽しめちゃうという会。 「今更聞けない?」いえいえ、お酒に任せていろいろ聞いて飲んで、もっとお酒と仲良くなりましょう! コーディネーターは、「お酒を造っているひと」と、「お酒を楽しみたいひと」を繋げている『とどろき酒店』の轟木渡さん。 日本酒を中心に、「お酒」と「それを造るひと」を毎回ゲストに選んでいただく3回シリーズです。 これは、いわばあなたとお酒の“お見合い”のようなもの。 飲んで、知って、酒蔵王国・九州をReTHINKしましょう。
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.052「“夏を呑む ” 酒蔵と酒屋の夏酒トーク&テイスティング」(三井の寿 井上宰継(ただつぐ)× 庭のうぐいす 古賀剛)
18:30 OPEN 19:00 START/ 料金:1500円+500円 (1drink) こちらのイベントは定員いっぱいとなったため、現在キャンセル待ちのお申し込み受け付け中です。
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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【RFP】vol.051「映 画 を 我 等 に〜誰もが映画を上映できる新たな映画上映プラットフォーム「popcorn」から考える」(大 高 健 志「popcorn」「Motion Gallery」×森 重 裕 喬「cinema tocoro」「博多南シネマ」)2017年6月28日(水)
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誰もが、どこでも映画を上映出来る新たな“マイクロシアター・プラットフォーム”=「popcorn」を開発した大高健志氏。
シネコンの増加、ミニシアターの減少といった映画業界が直面する現状と向き合いながら、テクノロジーの進化を取り入れた新たな「みんなで楽しむ鑑賞体験」を提案するこの取り組みには早くも映画ファンをはじめ多くの人々の注目が集まっています。 今回彼らがこのサービスに込めた思いをはじめ、今後の展望まで思い切り突っ込んだ話を聞き出す2時間!
福岡側のゲストは、自身の地元である博多南駅前ビルで、福岡未上陸の映画作品を上映するイベント上映会「博多南シネマ」をはじめ、様々な映画的活動を仕掛ける森重裕喬氏。
モデレーターは福岡でアジア映画の商談会企画「ネオシネマップ福岡」を担当するLOVEFM 三好剛平氏。
三人それぞれに映画への愛と姿勢を持つ登壇者が、これからの映画の愉しみ方を探っていくトーク。どうぞお楽しみに。
============== 【開催日】2017年6月28日(水) 【時間】 18:30 OPEN 19:00 START 【参加費】 1500円+500円 (1drink) 【お申し込み】専用フォームより→https://goo.gl/forms/8WMRkLn5J6z3DHij2 【イベントのお問い合わせ先】 ReTHINK Fukuoka Projec事務局 [email protected] ===============
登壇者プロフィール
ゲスト
◼︎大 高 健 志「popcorn」「Motion Gallery」
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早稲田大学政治経済学部卒業後、外資系コンサルティングファームに入社、戦略コンサルタントとして、主に通信・メディア業界において、事業戦略立案、新規事業立ち上げ支援等のプロジェクトに携わる。 その後、東京藝術大学大学院に進学し映画製作を学ぶ中で、クリエィティブと資金とのより良い関係性の構築の必要性を感じ、2011年に日本での先駆けとしてクラウドファンディングプラットフォーム『MotionGallery』(https://motion-gallery.net)を立ち上げ。以来10億円を超えるプロジェクトの資金調達~実現をサポート。 2017年には、だれでも自分の映画館をつくることができるマイクロシアタープラットフォーム『popcorn』(https://popcorn.theater)をスタート。
◼︎森 重 裕 喬「cinema tocoro」「博多南シネマ」
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大学在学中に移転による空き部屋をカフェなどに変えていく中で、日常の中に異空間をつくる面白さに目覚める。 現在Cinema tocoro(14-)では、福岡に製作から上映までを担える映画館をつくるべく、劇場公開が叶わなかった映画を中心に上映イベントを企画。
主な活動に、2ヶ月に1度日本の若手監督の映画を上映する「博多南シネマ」、フランスの映画監督ダミアン・マニヴェルの上映とワークショップなどがある。2016年にはぴあフィルムフェスティバルでセレクション・メンバーを務め、福岡開催の宣伝も担当した。
映画以外でも、NPO法人ミディエイドでNPO支援を行う(14-)他、那珂川町の山間部で倉庫を改装してオフィス・アトリエとして活用するnameri stockの活動(17-)も行っている。 http://mikado-info.jp  
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【RFP】vol.051「映 画 を 我 等 に〜誰もが映画を上映できる新たな映画上映プラットフォーム「popcorn」から考える」(大 高 健 志「popcorn」「Motion Gallery」×森 重 裕 喬「cinema tocoro」「博多南シネマ」)
18:30 OPEN 19:00 START/ 料金:1500円+500円 (1drink)
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こちらのフォームよりお申し込みいただけます。 ※チケットは売り切れの場合もございます。
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よりよく生きていくためにモノを創り出そう 建築と教育の視点から探るフィンランドのデザインの力
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福岡からの直行便が就航し、より身近に感じられるようになったフィンランド。2017年12月に独立100周年を迎えるのを記念した巡回展「フィンランド・デザイン展」では、世界に先駆けて福岡から巡回がスタートするという嬉しいニュースもありました。会期中に開催されたReTHINK FUKUOKA PROJECT第42回目のトークは、「デザインの力、まちの魅力〜フィンランドからの100年メッセージ」をテーマに、フィンランドをはじめ、北欧建築を研究する九州産業大学教授の小泉隆さんと、デザインと子どもの教育とに長年関わられているNPO法人子ども文化コミュニティ代表理事の高宮由美子さんをゲストに迎え、フィンランドのまちの魅力やデザインのある暮らし、そして福岡のまちのこれからについてRethinkしました。内容を一部抜粋してお届けします。
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”人間の生活が中心”の フィンランドのまちや暮らし
古賀 今日は「デザインの力・まちの魅力〜フィンランドからの100年メッセージ」と題しまして、デザインの力がまちの魅力にどう関わるのかについて、お二人のゲストにお話しいただきます。今回、福岡から巡回展が始まった「フィンランド・デザイン展」の実行委員の方にご協力いただきました。では、ゲストの高宮さんから自己紹介をお願いします。
高宮 みなさんこんばんは。「子ども文化コミュニティ」というNPOの代表理事をしている高宮と申します。子ども文化コミュニティは文化芸術を通して子どもが豊かに育つコミュニティづくり・まちづくりをしていこうというNPOです。それと同時に展覧会企画にも関わっておりまして、毎年福岡アジア美術館で夏休みに行われる「おいでよ!絵本ミュージアム」という展覧会を10年ほど企画・製作しています。
古賀 子ども文化コミュニティの方がなぜフィンランドのお話を? と思う方もいらっしゃるかと思うんですが、フィンランドは本当に教育先進国で。今回のテーマにもある「デザイン」は子ども教育と切っても切れない関係にあるということで、高宮さんにいろんな話をしていただけると思っています。もう一人のゲストは小泉隆さんです。
小泉 九州産業大学の工学部住居インテリア設計学科で教授をしている、小泉といいます。大学時代から建築における自然光の演出に興味を持ちまして、論文を書いたり設計をしたりしています。フィンランドの建築には光の美しいものが多くありまして、そんなところからフィンランドの光の建築を求めて、ちょこちょこ足を運ぶようになりました。2005年に、ヘルシンキ工科大学(現在はアアルト大学)で1年ほど訪問研究員をしていまして、その時にいろんなところを飛び回って写真を撮りました。それらをまとめて『フィンランド光の旅』や『アルヴァル・アールト 光と建築』という本も出しています。
古賀 本の中のお写真はすべて小泉さんが撮られているんですよね。
小泉 そうですね。フィンランドの人たちって森が大好きで、森と共生しながら暮らしてるところがあるんですよ。冬は太陽高度が低いので影が長くて、雪が残っている冬の森では、太陽があたるととても美しい景色が見られます。それでまあ「森と湖の国」とも言われてるんですけど、私は「光の美しい国」と言ってます。これを流行らせれば本も売れるかなと(笑)。でも本当にいろいろな生活や文化が、極端な春夏の違いや太陽高度の低い光のもとで作られてきていて、建築も本当に美しい光のものが多いです。
古賀 なるほど。
小泉 フィンランドをはじめ北欧は、人間中心にいろんなものが考えられていると思います。生活や社会制度もそうですし、建築も本当に使いやすい構造で。人間が中に入ったときにどう見えるかを大切にしています。仕事の仕方も、朝は7時とか8時に会社に行きまして、夕方5時くらいになるとみんな帰っちゃいます。それで家族と一緒に夕食を食べる時間をすごく大切にしていますね。とにかく人間の生活を中心に、いろんなものができているというのが、とても素晴らしいし羨ましいなあと思います。
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デザインは暮らしに不可欠な存在 市民レベルでデザインへの意識が根付くフィンランド
小泉 デザインって、フィンランドでは「日常の暮らしを豊かにするもの」というイメージがあると思っています。日本ですと、わりと形とか色とかかっこいいものとかおしゃれなものとかいう感じで、暮らしやすさの先にある、「特別なもの」というイメージがまだまだあるのかなあと。
古賀 確かにそうかもしれないですね。
小泉 北欧の国々は日常生活や日用品をよくしていこう、それを北欧のアイデンティティにしていこうという思想を持ちながら発展してきていると思います。冬の暗く長い時期を室内で暮らすので、その時期をいかに快適にするかという工夫がされていますね。光をたくさんとりましょうとか、部屋にあるもの全てをデザインしちゃおうというトータルデザインの思想であるとか、良質なものを長い期間使おうというロングライフデザインの思想に繋がっていて、とにかく日常の豊かさを大切にしています。だからお医者さんと同様、建築家やデザイナーさんも暮らしに必要不可欠な大切な存在としてしっかりした地位が位置づけられていて、いろんな優遇面があるんです。そんなのが羨ましいなあと思っていますね。
古賀 なるほど。フィンランドの建築にはどんな特徴があるんですか?
小泉 例えば、ひとつの建築物を建てるにしてもルールが厳しくて、市民に公表して意見をもらいながら進めていくんです。だから手続きが結構大変なんですが、それもフィンランド市民が持っている「自分たちのまちだから」っていう考え方、「みんなが社会を良くしよう」っていう思想に繋がっていると思いますね。あとは国有地が多いので、市民から意見をもらいやすい事情もあります。ヘルシンキは約70%が市の所有地なんですよ。
古賀 そんなに! ちなみに福岡市はどのくらいなんですかね?
小泉 今日、福岡市に電話したら教えてくれました(笑)。約13%だそうです。まあ、そういう事情もあるんですが、フィンランドでは建築1つをとっても「みんなの財産なんだ」という思想があるかなあと思います。市民が建築とかデザインにとても興味を持っていまして、普通のおばちゃんや子どもも「このお皿のデザインがいいんだよー」とか「今度西のまちにできた教会はとてもすばらしいものだよー」っていう会話をしています。若い人や歳を召した方、デザインに詳しい人じゃなくてもみんながデザインに対してしっかり意識を持っていると思いますね。
古賀 なるほど。日本はどうですか?
小泉 日本の伝統的な建築は障子や襖っていうやわらかいものに囲まれているから、人への気遣いとか精神的な制御によってうまく住んでいるんだと外国の方によく評価されていたんです。それに対して西洋は、分厚い物理的な壁に囲まれて住んでいるんだ、と。けれども僕はなんだか、最近は逆のような気がします。自動販売機とかタスポとかマニュアルとか、物理的・規律的に規制しているところが今の日本にはいっぱいある気がします。向こうの人たちは信頼関係を持っていて、人を介して社会ができている感じがしますね。ギスギスした社会にならないために、そういう仕組みが日本なんかでもできていくといいなあと思います。
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デザインの力とまちの魅力の背景には 教育による一貫した精神がある
古賀 高宮さんが「フィンランドフェスタ」を企画されたのは昨年の秋ですよね。
高宮 はい。同じ年の6月に福岡とヘルシンキを結ぶ直行便が就航したことにちなんで、「フィンランドフェスタ」という展示会を10月から12月にかけて行いました。フィンランドはどんな国でどんなことを大切にしているかというような、暮らしに寄った紹介や、フィンランドデザインの最前線で活躍するデザイナーさんを5名紹介しました。その中の木工の職人であるカリさんのご自宅におじゃましたときに、庭に子ども用のかわいい家があって。フィンランドでは“レイキモッキ”といって、「小さい家」という意味なんですけど、お父さんが娘のために手づくりでつくってお庭に建てるっていうことがよくされているそうです。ちょっと中を覗くとですね、可愛らしい小さなテーブルや椅子があったり、窓にはマリメッコの布でカーテンがあったり。「ああ、こうした遊びでデザイン感覚って自然に育つんだなあ」というのを感じましたね。
古賀 そんな文化があるんですね。
高宮 はい。フィンランドフェスタでは大使館からご協力をいただいて展示をしたんですが、フィンランドでは赤ちゃんが生まれると国民全員が「育児パッケージ」という箱をもらえるそうです。この箱の中にはデザイナーさんがデザインした洋服やお布団、いろんなものが1年間何も買わなくていいというくらい入ってまして。とても素敵なデザインのものに包まれて赤ちゃんが育つんです。もともとはフィンランドが独立して間もないとき、非常に資源も少なくて貧しい人たちが多くてですね。衛生面の問題から亡くなっていく子どもが���かったので、衛生的にも安全に育てられるようにという計らいで始まったという経緯があるそうです。育児パッケージは、妊産婦や乳幼児の死亡率低下に貢献し、フィンランド国内の子育てへの意識向上にも役立っているそうです。
古賀 なるほど。
高宮 箱がそのままベッドとして使えるんですが、フィンランドで子育てをしている多くの方が、今でもこの箱を使って子育てをしているそうです。そういったシステムが早くからできた上に、実際に使った市民の声を集めて、何十年もかけて一つ一つ改善がされてきています。フィンランドではこうしたサービスのことを「サービスデザイン」の1つだと言ってますが、やっぱり公共のサービスや建物、子育て支援にしても、そうしたサービスが非常に成熟しているなあということを感じました。フィンランドフェスタでは、ちょうど子育て中の若いお父さんやお母さんたちが興味津々で育児パッケージを見られていましたね。
古賀 私もこの展示を見に行きましたが、みなさんほんとに興味をお持ちで、羨ましいとおっしゃっていました。グッズもすごく充実していますよね。
高宮 そうなんです。フィンランドのデザインは、日本はもちろん世界各地から評価され愛されているんですが、そのデザインが生み出される背景として「よりよく生きていくため、幸せに生きていくためにモノを創り出そう」という精神で実際に自分の手をかけてモノをつくってきている。それこそがデザインの力やまちの力を高めて、魅力をたくさんつくり出していっていると思います。そうした考え方の大人たちによって、子どもは小さいころから家族との時間や地域の図書館やミュージアムの中でたくさんデザインに触れたり、教育を受けたりしてデザイン力が育まれているというふうに思いますし。一つ一つのまち、都市、そしてその中の地域全てにその精神が貫かれているところが、フィンランドの教育の力でもあるなあと感じます。
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会場からは「育児パッケージを福岡でもぜひ」という声や、「おしゃれな建物を建ててほしい」「子どものころからデザインに触れられる環境をつくってあげたい」と、フィンランドへ羨望の声が多数聞かれた今回のトーク。森や湖といった魅力的な自然環境だけではなく、デザインの力、そして教育の力がフィンランドのまちの魅力を高めているということを、ゲストお二人のトークから大いに学ぶことができました。私たちもまちの建築やモノのデザインにさらに目を向けることで、暮らしがもっと豊かに、そしてより幸せに感じられる仕組みができていくのかもしれません。
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【RFP】vol.049 コトバナプラスvol.08 贈与と協同の人類学 (家入 一真×小倉ヒラク)定員30名!2017年5月16日(火)
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僕たちなりの未来の作り方
コトバナプラス最終回となる今回は、「贈与と協同の人類学」をテーマに、インターネット黎明期から、常にその先端を走り続けているクラウドファンディングサービス『 CAMPFIRE 』代表の家入一真さんをお迎えします。WEBやSNSを通して個人と個人がダイレクトにつながることのできる時代。 大きな社会の仕組みとは違った、個人同士が互いに支え合う新しい経済が生まれ始めています。 コミュニティ、お金、ローカル、世代継承、ビジネス……お二人が考える未来のつくりかたについて探ります。  さらに嬉しいことに、毎回会場を沸かせてきたモデレーターの発酵デザイナー小倉ヒラク氏の書籍発売ホヤホヤのタイミングでもある今回は、ヒラクさん自身の本の話にも触れられそうです!
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼  【日時】2017年5月16日(火) 【場所】ReTHINK Books 【時間】18:30 OPEN 19:00 START 【料金】1500円+500円 (1drink) ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
登壇者プロフィール
家入一真 /株式会社CAMPFIRE 代表取締役
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** **株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)を福岡で創業し、「ロリポッ���」「カラーミーショップ」「ブクログ」「minne」などを創る。2008年にJASDAQ市場へ上場。退任後、クラウドファンディング「CAMPFIRE」を運営する株式会社CAMPFIREを創業、代表取締役に就任。他にも「BASE」「PAY.JP」を運営するBASE株式会社、数十社のスタートアップ投資・育成を行う株式会社partyfactory、スタートアップの再生を行う株式会社XIMERAなどの創業、現代の駆け込み寺シェアハウス「リバ邸」の全国展開なども。インターネットが趣味であり居場所で、Twitterのフォロワーは15万人を超える。
小倉ヒラク/発酵デザイナー
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** **「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップを開催。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市の山の上に発酵ラボえおつくり、日々菌を育てながら微生物の世界を探求している。 絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。2015年より新作絵本『おうちでかんたん こうじづくり』とともに「こうじづくりワークショップ」をスタート。のべ800人に麹菌の培養方法を伝授。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で発酵学の講師も務めているほか、海外でも発酵文化の伝道師として活動。雑誌ソトコト『発酵文化人類学』の連載、YBSラジオ『発酵兄妹のCOZYTALK』パーソナリティも務めている。
About Rethink FUKUOKA Project----------------------------------------------------------------------------
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。 新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブで エネルギッシュな街となっています。 そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、 自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、 「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、 まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、 有機的につながることで 新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。
【vol.049】 コトバナプラスvol.08 贈与と協同の人類学 (家入 一真×小倉ヒラク)
18:30 OPEN 19:00 START / 料金:1500円+500円 (1drink)
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