shihoyoshikawa

[shihoyoshikawa]

わたしはうまれてしまった

あのくらがりから遠くはなれて

さみしいからしかたなかった

さみしいから、わたしは

あなたをころしてもいいとおもった

それは、わたしがあなたではないから

あなたがわたしだったなら

そこには

かなしみがなかった

わたしはここにいなかった、

だから、わたしはわたしではなかった

だから、わたしはだれにもなれなかった

わたしはあなたではなかったから

あなたがうまれるひつようもなかったのに

かなしいから　さみしいから

あのまちは燃やそう

そして、だから、あなたはいらないし、

あなたのいないまちには、わたしがいる

さみしいだけだから、

たださみしいだけだから

うまれてしまったから、わたしは

たださみしいだけ

だからあなたをころすことができる

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Wound(er) Land

ここはきずだらけの箱庭

わたしの神話

草いきれと風の音　いばらのつる

ガラスの破片でできた鳴く海

おしゃべりなとかげたち　キメラを産む創造主は土の女王　

蜘蛛女　なめくじ女　顔のたくさんある神様

黒い狼たちの群れ　蔓延する狼病

引力のつよいおおきな月

夜の草原をさまよう死者の亡霊たち

牛女の副乳を乳搾りにつかいチーズをつくる

友好的なキメラもいる

わたしが呼吸をしてはいけない

きずだらけの島

深い井戸の底にいる　ほんものの女王

氷の城の下にいる、鏡の女王

いばらの森のむこう、髪の毛の塔の女王

首吊りの森と私刑台の番人　私刑台の番人は　いつも償い手を引きつれて首を切り落とすようにできていて、首吊りの森では首を吊ると幸せに天国にいけるとみんなが信じて首を吊る

こんなところでも草の香りはとてもいい

血の池のなかで狼女が泣いている　狼病になってしまったから　ひとを食わずにはいられないのだ

たくさんの女王をつれだして　会議をひらかなければ

王国の自治がみだれてしまう

なにを「よく」することもできない

肥沃な土地

沼地もある

音楽が鳴る　ひとの口笛か、くちずさむ　そういうものが風を呼ぶのだ

いちどガラスの海が全部とけたことがある

それはすごくむかしのことで、あのときは全部がよくなったとおもえた

鳥はよくよく飛べない磁場があるので

空のむこうがわにはゆけない

ヒモをつかっておくのが通例で、それらは「秩序を乱す」からいけない

きょうも罪人が私刑される　処刑される　家畜だとして

それは狼病の女たちの食事にされる　そうやってここは均衡を保っているのだ

鳥が逃げ出したらいけないし、罪人の供給が遅れてしまうと

その狼女たちはすぐ用地を破壊してとびだして、国の秩序を乱してしまう

地獄めぐりだとひとはいう

よい場所にしようということだろうか　であればとっくに自治をしているのだと女王はいう

戦争でもいいと内地の女王もいう

そもそもなにをよくするべきなのかわからないという　

ただ生きて、ただ食らいあい、ただむさぼり、ただ傷つき続けることが、いきもののしていることだとおもうから　ここはじゅうぶんあるべきすがたである　そのうつくしさを、あなたは理解できるだろうか

わたしはこの場所の案内人であって、それをどうこうしようとはおもわない

このようにあるがままに殺戮しあうわたしの秩序のせかいをあなたに見せようではないか

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祈り

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星の傷

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横顔

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月と女

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「遠浅」 やのねりささんとの二人展です。 River Coffee & Gallery 文京区西片2-21-6 8:00-18:00 3/31まで

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あらゆる種類の鳥たち

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どこへいけばいいのの森

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獣の出自

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貝 Seashell Acrylic on Canvas F0

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Acrylic on Canvas

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