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キャラ設定(ミニチュアの楽園)
イブ…世界が変革する予兆、世界の終わりをもたらすもの
イブのこどもたち…予兆として現れると言われる鮮やかな色。人に終わりをもたらすものである。名前などに植物が関連している。かもしれない。ここに書かれているものはほとんどが後付けのこじつけ。
ミヤ・ミセバヤ…都忘れ(別れ/しばしの慰め)ミセバヤ(平穏/憧憬) 「怒り…憎しみ…こんな思い、ボクたちは…」 彼女は飛べない竜。誰よりも強く変化を願い、同時に誰よりも平和を愛していた。彼女の怒りは平和を乱すものと人を傷付けるものに向けられた。彼女の望む変化とは自らが竜となり空を翔けること、そして大切な人を守る力を得ること。彼女の振る舞いは周囲に活力を与えた。人の心を動かす力。楽園の蛇。 ー人に終焉を、イブのこどもたちには終わらない夢を。
シラン…紫蘭(あなたを忘れない) 「目覚めなければよかったのにな」 彼は愛する人との再会を願った。シランという名前を付けてくれた人。初恋の人、愛する人。彼は一度死した人間である。彼を蘇らせたその人は代わりに命を失った。彼は人を癒す術を持たない。彼にできることは夢幻を見せることだけ、一時の慰めを与えるだけ。滅びを生き残った彼はもう一人、生き残った蛇に夢を見せた。そして自身も。愛する人に出会うために、永遠に終わることのない黄金の楽園を作り上げた。所詮はただの箱庭だと知っていたはずなのに。
リナリア…リナリア(この恋に気付いて) 「あなたを縛ることを、許して」 彼女は名前をつけた人。そして名前を付けてもらった人。死んでしまった愛しい人を蘇らせるため自らの命を捧げた。その崇高な愛は彼を狂わせ、彼は夢の世界を創りあげた。今の彼女は夢の世界の住人である。死ぬまでの脚色された記憶を繰り返し演じるだけの虚像。それでも彼女は、その人を愛していた。
フェオ・カノープ…フェオンバオ(大嵐)カノープス(りゅうこつ座α星/強い感受性) 「憧れ、なんでしょうか。彼女がとても眩しく見えて。」 彼は泳げない。一度溺れて死にかけた時、誰かに救われた記憶があるのだ。水底に差し込むその光は優しくて、暖かくて、そしておぼろげだ。彼はその光と蛇を重ね合わせ、蛇に憧憬を抱いている。自らの運命は全て決められたことなのか、そんなことは嫌だと言う彼も、今はもういない。方舟、大洪水。
エリュト・スミェール…エリュトロス(赤)スミェールチ(死) 「妾は、私は、きっとあなたに殺してほしかったのね」 彼女は不老不死である。変わることのない容姿を誤魔化すため各地を転々とし、数多の主に仕えてきた。当時は異常なまでに献身的で、主をことごとく堕落させては新しい主を求めていた。その後は人のいなくなった館に引きこもり怠惰な日々を送っている。楽園の主も夢見る蛇も、彼女には興味のないことである。人のいなくなった世界で一人、ただ眠る二人を眺めている。
トクサ…木賊色、木賊(率直/非凡) 「おかあさんの味、まだ温かい、おいしい」 彼女は幼い食人鬼。餓死寸前という時、母親の死体を食べて生き延びた。その行為は深いトラウマを残し、以降無意識に母親を求めさ迷っている。双子の四肢を奪った張本人。館を訪ねた際、主に殺してほしいと���まれるが、それを拒否して逃げ出した。その後は消息不明である。
サクヤ…コノハナサクヤヒメ(短命/繁栄) 「どうかもう一度、あなたといる夜を届けて」 何よりも互いを想い合う四肢をなくした双子の片割れ。妹・ライラを孕むことで自分たちは完璧に戻れると信じていた。しかしそれは不可能であると楽園の主に教えられるが、それを知ってなお二人の願いを叶えることを望んでいる。二人は同調していると思っている。何よりも妹のことを想っている。
ライラ…ライラ(夜の天使/魂の助産婦) 「どうかその乳房で育んで、完璧な私を」 双子の妹、姉の腕である。姉に産み直してもらうことで、自分は完璧になれると信じている。何よりも姉を想い、そんな自分をも愛している。姉を脅かすものは絶対に許さない。それが例え自分でも、姉自身だとしても。
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深緋
「ただいま。」 学校から帰った私は、いつも通り真っ先に自分の部屋に向かった。部屋で「彼女」が待っているからだ。 部屋の扉を開ければ、これもまたいつも通り、「彼女」は優しい笑みで私を出迎えてくれた。 黒く濡れた大きな目で私を見上げて、口をはくはくと動かしている。 「ただいま。遅くなってごめんね?お腹空いたんでしょ。」 帰りに買ってきたパンをちぎって手のひらにのせる。そうすれば「彼女」は何も言わずにこちらへ近付いて、口だけでパンを食べ始める。 俯く彼女の顔に垂れる黒い髪、陶磁のような白い肌、それを包む緋色のドレス。それらの色は決して交じり合わず、それぞれが自らの存在を主張し合っているのに、全てが「彼女」を形成しているという事実が目を灼いた。 そんなことを思っているうちに彼女はパンを食べ終わったのか、今度は私の指を食み始めた。 ��だめだよ。」 笑って手を引っ込めれば、「彼女」は不満げな目で私を見つめてくる。 「しょうがない子。」 パンをちぎってばらまく。彼女は黙ったままゆっくりと動いて、それを拾って食べ始める。 彼女は喋らない。 彼女の言葉を、私は聞いたことがなかった。 ただ、彼女の美しい姿に目を奪われて、気付いた時には今のような生活をしていたのだ。 彼女の気持ちを、私は知らない。 部屋の窓から差し込む夕日の朱が、彼女の紅に反射していた。その鮮やかな、強烈な色を、ただずっと、眺めていたいと思った。 餌を食べる彼女の姿をもう一度確認して、紅のドレスが揺らめく水槽の蓋を閉じた。 もうすぐ日が沈むだろう。
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万年と咲く青
今日は重斗が帰ってこなかった。どうやらよほど熱心な客に買われたらしい。もう時計の針も真夜中を指している。 こうなることくらいわかっているだろうに、相手をしてやるあいつもあいつだ。 俺たちはある程度客を選べる立場にある。希少品を乱暴に扱う客は店側で対処してくれた。 それでもあいつはどんな客に対しても、望んで花を売った。あの綺麗な顔はきっと、今頃ぐしゃぐしゃにされているんだろう。 もったいない。そういうことは俺の専門だというのに。 これは俺の憶測だが、重斗は女でありたいのだと思う。男に抱かれることで、自分が女でいられると思っている。 そんなことしなくても、自分がそうだと思えばそうあれるのに。 「馬鹿なやつ。」
「どっちがさ?」 思わず口に出してしまったらしい呟きに応える声がして、思わずそちらを見やる。 「朝まで帰らないと思っていたぞ。」 「まあね」 声の主は腕組みをして、小憎たらしいような悪戯っぽい笑みを浮かべていた。表情とは裏腹に、握られた手は微かに震えていた。 強がっているのが丸わかりだ。しわになった服とぼさぼさの髪が、こいつに起きたことを物語っている。 こいつは本当に馬鹿だ。 「お前…」 本来なら労りの言葉の一つでもかけるべきなのだろうが、こいつのプライドを傷つけたくなくて、やめた。 どっちにしたって、そんな言葉は知らなかった。何よりこいつが望んでしたことだ。 「なぁに」 「いや、いい」 「…」 重斗の困ったような笑顔。呆れたやつだ。 「ねぇ康、それよりさ、ちょっといい?」 「なんだ」 「わかってるくせに、なんのためにボクの部屋にいるのさ?」 まあ、わかってはいた。こいつがこうやって遅くなる日は決まって俺を抱いた。なんのつもりだか知らないが。 けれど、抱かれるのは嫌いではなかった。 「…まあな」 どんな時でも変わらない。こいつの考えはわからない。 「待っててくれるなんてめずらしーね?」 嬉しいよ、なんて上っ面だけの言葉を吐きながらこいつは俺の衣服を乱していく。 引っかかったシャツのボタンがどこかへとんでいった。素肌を撫でる重斗の手があつい。 掴む手は痛いほど力が込められている。いつもの余裕を感じない。 よっぽどのことがあったんだろうが、傷でも付けられてはたまらない。 「重斗」 呆れを込めて名前を呼べば口元に触れる感触。しーっと、いたずらっぽく囁いて人差し指を押し当てられた。 こういう仕草で人を堕とすのだろうが、俺には通用しない。 「八つ当たりはごめんだ。」 「ちょっと黙っててよ」 明らかに語気が強い。そのまま上半身に身に着けていたものを全部脱がされ、というよりか剥ぎ取られて布団に突き飛ばされる。 声を荒げれば顔を思いっきり殴られた。痕になったらどうするつもりだ。 「ね、おねがい」 かと思えば今度は急にしおらしくなって、殴った頬をさすって抱き付いてくる。 どうやらだいぶ正気じゃないらしい。 体はまだ震えていた。愚かな重斗。背中にそっと腕を回す。 「康、こう、ボク」 「いい」 口をふさいだ。目を閉じる。 何かを言おうとした重斗の声が、くぐもって消えた。
「重斗」 情事のあとの独特な、気だるい空気に彼の声が溶ける。 「お前、女になりたいんじゃないのか」 「え?」 そんなこと、今聞くかなあ。たしかに、自分たちが睦言なんてガラじゃあないけど。 康ってばそんなこと考えてたんだ。その割にはボクのこと、優しく扱うなんてしないくせに。 「康、ボク女になりたいんじゃないよ」 皮肉も込めて、彼の頬を優しく撫でてやった。ボクが思いっきり殴ってしまった痕が残っている。 かわいそうに、なんて他人事のように思った。いつも冷静で達観したような態度をとる彼がぱちくりと目を瞬かせた。 可愛いところもあるんじゃないか。もしかしたら激しい行為の後でぼけてるだけかもしれないけど。 「じゃあどうして」 「愛されたいんだ」 ボクらには普通の愛とか恋なんて、きっとできない。でもボクは愛されたいんだよ、康。 君が痛みを求めるのと、たぶん一緒だ。今日は八つ当たり気味に行為を強いて、ひどく乱暴にしてしまったけれど、君は悦んでいただろ? それと同じなんだ、きっと。ここで生きていくために、必要なことなんだよ。 やっぱり頭が回っていないらしい、珍しくぼうっとしている君にはわからないだろうけど。 「お前はどうしてここにいるんだ」 「愛してもらうためだよ」 「誰に」 「誰でも」 今日一番の笑顔をしてみせれば舌打ち、続けて小声で「色狂いめ」、なんて、聞こえて���よ。 さっきまで撫でていた手で頬を打つ。パチンて、小気味いい音が響く。 倒れた彼に跨って笑う。 男とか、女とか、どうでもいいんだそんなのは。康はボクが女になりたがってると思ってたみたいだけど半分当たりだったかもね。 自分はどっちにもなりたいし、どっちにも属していたくないんだ。 君を抱いている間、ボクは男で、商品でいる間、ボクは女だ。 そのくらい図々しくていいじゃない。ボクはいつだってボクでありたいんだ。 “ボク”を愛してほしいんだよ。 「ボクたち、一生わかりあえないね」 なんでか、涙がこぼれた気がする。君はそうだななんて言って、微笑んだ。 そんな優しい顔、今まで見せたことなかったくせに。
重斗は我儘で、俺が思うよりずっと子供のようだった。わかりあえないなんて、そんなことなかったはずなのに。 俺たちは似たものどうしだ。 大人ぶって、強がって、弱みを見せたくないだけで。 この感情の名前を俺は知っている。きっとこいつも。 それでも口に出すわけにはいかなかった。 このいびつに釣り合ってしまった関係を、崩すわけにはいかなかった。 だから、わかりあえないなんて言うこいつの言葉に頷いてみせた。 頬に伝う涙を拭うことすら、俺たちにはできない。
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春風がここちよい季節が巡ってきましたが(現代 四月)
始業式から一週間ほど経った。ぼくたちはいつからか、三人でいるのが当たり前になっていた。こんなふうに誰かと過ごすなんて、去年の春には思いもしなかった。自分の前でやいやいと楽しげに会話する二人を見ていたら、なんだか感慨深くなってつい口元が緩んだ。 「しき~、何にやけてんだよ~」 するとぼくの前で会話していたうち一人が話しかけてくる。深いふたつのアメジストが、平和ぼけしたようなぼくの顔をうつした。 「ん~ん。なんでもないよ」 軽く首を振って応えれば、今度はもう一人の腕がのびてきて、ぼくの頭を撫でる。彼女は深い色をした目を少し細めて微笑んだ。さっきまでぼくが考えていたことをわかっているかのようだ。言葉に出さないだけで、さっきちょっかいをかけるみたいにぼくを見つめた彼だって、同じようにわかってるんだろう。彼らと感情を共有できることは嬉しかった。もちろん全部が全部わかるってわけじゃないけど。共有が不完全だからこそ、他人として一緒にいられることがぼくにとっては大切だった。 ついまた一人もの思いに耽ってしまう。こうやって考えこむのは悪い癖だ。そうやってほうけてたら、誰かがぼくの袖を引っ張った。ハッとしてそっちを見やれば、アメジストの彼が呆れ気味に笑う。 「次の授業、特別教室だって、もうみんな移動始めてるぞ~?」 「しーき!ほら、準備して!わたしたちも行きましょ」 慌てて準備して、ぼくらは教室を出た。廊下の少し先を、同じクラスの生徒ががやがやなにかを話しながら歩いている。ぼくらもさっきの続きを話しながら歩く。 ぼくらは別に特別ななにかがあるとか、秘密を共有しているとか、そういうわけじゃなかった。ただ一緒にいて、笑いあえる。たったそれだけの関係。周りの人たちと変わらない。ぼくらは友達だった。
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現代もの プロローグ
僕らが出会って二度目の春、僕らはまた同じクラスになった。三人揃っていつもの桜並木を少し駆け足気味に歩いていく。風が吹いて、花弁が舞って、去年よりも穏やかな笑みが零れた。最初に微笑んだのは誰だったろう、わからないけれど。そんなことはどうでもよかった。こうして他人と笑い合えることが、僕らにとっては当たり前じゃなかったから。この感情を共有できる得難い友、それはどれだけ尊いものだろう。そのうちに一人が走ろう、なんて言い出して、僕らは手を引き合った。そよぐ桜色の中を駆け抜けていく。かけがえのない日々を生き急ぐように。 僕らは青春を謳歌する。
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某SNS風アプリで作った会話
シラン: よお、ひさしぶりだな、元気にしてるか?ちゃんと飯食ってるか? フェオ: なんですか突然、やめてください シラン: うわ、酷いなお前 フェオ: どうせリナリアさんのことでしょう?分かってますよ シラン: いやまあそうなんだけどよ… シラン: お前ホント可愛げがねーな… フェオ: うるさいですよ フェオ: あの人なら元気ですよ、いい加減会いに行ったらどうなんです シラン: 会いに行ければお前と連絡なんて取らねーよ フェオ: 女々しい人だな シラン: ハア!? フェオ: 会いに行く勇気がないんでしょ、忘れられてたらどうしようって シラン: あのなあ…オレはそういうんじゃ フェオ: さっさと会いに行ってくださいよ、あの人は忘れてなんかいませんよ フェオ: それで俺にいちいち連絡するのやめてください フェオ: うっとおしいです シラン: ���ーったよ!行きゃいいんだろ… フェオ: 最初から会って話しとけば良かったんじゃないですか?わかったらほんとさっさと行ってくださいね シラン: ホント可愛くねーガキだな! フェオ: あなたもほんとじめじめして面倒くさい人ですね!
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