#『アホウドリの迷信』
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nusumigaki · 1 year ago
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郵便船が荷を奪われることがあると、彼女は前に聞いたことがあった。海賊が人恋しさのあまり、誰かの家の匂いのするものなら何でも欲しくなって、そんなことをするのだという。
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tutai-k · 2 years ago
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幻想の銀河を握りしめる
ぼんやりとしているうちに、八月が終わってしまいそうだ。
今年は、ツバメのねぐら入りを見に平城京へ行くタイミングがなかったし、大台ヶ原も二回しかいけなかった。コマドリの写真はもちろん撮れていない。わたしは結構大台ヶ原の運はよくて、行けばコマドリを見ることができていたのだけれど……鳥というのは、なかなかむずかしい。
代わりに先週、十津川村の「玉置神社」というところに行った。 「呼ばれなければ行けない神社」と言われている。奈良県十津川村は、吉野郡に属するのに三重県からだと、和歌山を回った方がはやくつく。 三時半に家を出て、八時半くらいについたかな……。 山に登るタイプの家族と一緒に行ったので、まずは玉置山にのぼった。のぼりはじめてすぐ、カケスが目の前に飛び出してきた。望遠を引いても見切れるくらいの間近でしばらくたたずんでいて、うごけないままシャッターを切った。びっくりした。 こんな幸運があると、(まずこの神社にたどり着けたことが幸運で、「呼ばれていない」ときはカーナビが壊れたり車が壊れたりするらしいが)この土地の神々は、わたしを受け入れてくれたんだ、と思う。 山頂へ行き、下っているあいだに、鳥はあまりいなかったが、見たことのない花をたくさん見た。ホトトギス、という種類の花らしい。 リスがしきりに鳴いていた。 お参りを済ませてから御朱印をもらい、紙製のお守りと陀羅尼助を買った。お守りは最初はスマホケースに入れていたのだが、トイレと��にも持ち歩くことを考えたら、なんだか神様に狼藉を働いているような気がして、財布に入れ替えた。
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お参りを終えたのがお昼まえで、そのまま熊野本宮大社へ行った。八咫烏のグッズや置物がたくさんあった。八咫ポストというのがあったので、いずれわたしを澁澤の伯母様と呼ぶ予定のおちいさいひとにはがきを送った。自分には、八咫烏のピンバッヂを買った。木曽駒ヶ岳で帽子をなくしてしまい、お気に入りのライチョウとルリビタキのピンバッヂも一緒になくなってしまったので、新しい帽子に付けた。かわいい。
それはそうと、いま田中芳樹の『銀河英雄伝説』を読みかえしている。先々週の台風で仕事を休んだ日に、急に読み返したくなって読み始めた。いまは6巻。ヤンイレギュラーズが結成されたあたり。 社会情勢が日々悪くなってゆき、暗澹とした未来しか見えない。そんな状況でこの物語を読むと、ラインハルト・フォン・ローエングラムの存在を切望し、いないことに落胆する自分がいてぞっとする。 物語に指摘されずともいまの日本の状況には、成人して参��権のあるわたしにも責任がある。それなのに、絶対的な善性を持った、カリスマ性のある誰かに、この状況を打破してもらおうと期待している。そしてそんな人が現れないことに、毎朝、(通勤の電車で読んでいるので)やるせなさを感じてしまう。 社会のかわらなさ、どうにもならなさ、悪化に歯止めのかからなさ、それらに追い詰められている。 わたしにできるのは自分の善性を信じ、また疑いながら、日々を過ごしてゆくことと、それを他者に働きかけること。それはわたしの現在をいますぐ変えてくれることはないかもしれないが、わたしを澁澤の伯母様と呼ぶ予定のおちいさい人が、人生選択をするころには、作用していてくれればいいと思う。 わたしは生きることをつづけて行けるだけの幸運さがあり、まだ生きるという抵抗をやめずにすんでいる。
そんなことを思いながら、今日は伊良子へ渡った。伊良子清白という詩人は、自分が伊良子という姓だから伊良湖岬のことをあえて「伊良子」と書いたらしい。わたしもそれに倣っている。 行きのフェリーで、シェアオフィスの一階のちゃんぽん屋さん夫妻にである。今日から夏休みでお出かけのようだった。少し話をして、わたしは鳥を鳥にサイドデッキヘ。 鳥羽ー伊良子航路は、神島ー伊良子間にオオミズナギドリが多く飛ぶ。水面すれすれを飛び、ときに水面に片翼の切っ先をすべらせて澪を引くその姿のうつくしいこと。 風を得て、羽ばたかずにただ身を風に乗せている、その動きの簡潔さと効率に感動する。いまは「アホウドリ」と呼ばれているオキノタユウをこの航路で見ることはできず、オオミズナギドリの飛翔を見て想像するしかないが、かれらは荒天のほうが生き生きと飛ぶらしい。眠りながらでも飛び続けられるというから驚きで、その姿をこの目で見たいと切望している。 恋路ヶ浜で去年ノビタキを見たので探そうと思っていたが、暑すぎて無理だった。「日本で二番目においしいかき氷」のお店でかき氷を食べた。このお店はシロップが自家製で、田原の特産物を使っている。わたしはいま銀英伝を読んでいるので、ヤンのことを思いながら紅茶シロップにした。 それにしても、暑かった。水温が上昇しすぎた海には魚が減ったと漁師たちが嘆く。渡り鳥の種類も減ったり変わったり(渡りのルートや時期も変わってしまっているらしい)していると、何十年もバードウォッチングをつづけているひとたちは言う。 人間が滅びてしまっても、鳥や魚たちはやはり各々の営みをつづけるのだろうが、それでも、人間による傷跡のことを考える。遠い昔からわたしたち人間という種族が滅ぼしつづけてきた生物、そしていまだ滅ぼすことをやめない生物たちに対して負っている責任のことを。 帰り際、遊歩道でくちばしにルアーが引っかかっているアオサギをみる。このアオサギも、人間によって迷惑を被っている鳥なのだ。そしてその個体を直接的に救うすべを、わたしは持っていない。
復路にもミズナギドリは飛んでいた。フェリーに併走するように飛ぶ鳥は、とてもうつくしかった。
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神島を過ぎ、鳥の姿も見えなくなって、SNSの友人たちに旅の報告をしていたら、TLに自分の本の写真が流れてきた。 千葉の書店「本屋lighthouse」さんが、『ゆけ、この広い広い大通りを』を取り扱ってくれることになった。セーファースペースの取組みをしている書店さんで、この本を並べてもらえることは、ほんとうにうれしい。安心して��買い物できると思うので、本をお求めの方は是非本屋lighthouseさんのショップから買ってください。
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日々、いろんなことを考えている。 考えるだけでは、まえに進まないこともたくさんある。それでも、とりあえず考えなければならなくて、考えの果てに、すこしはよい未来がありますようにと思っている。
文フリ大阪が間近だ。 ヨモツヘグイニナからは再録短編集の新刊はあるけれど、どうか日々詩編集室から出る『ゆけ、この広い広い大通りを』をよろしくおねがいします。
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ayanos-pl · 2 years ago
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岸本佐知子・柴田元幸編訳『アホウドリの迷信 現代英語圏異色短編コレクション』(スイッチ・パブリッシング2022)
装画:小林紗織、装丁:宮古美智代
編訳者��対談が面白い。サブリナ・オラ・マーク「名簿」にブルーノ・シュルツらしき人が登場。著者紹介の文字サイズが小さすぎて老眼にはつらい。
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tadanoichiro · 8 years ago
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マニュアルバトロス  事前に教えられたことしかできないアホウドリ。全く機転が利かず、想定外の事態に直面すると、妙に慌てたり、逆に全く動かなくなったりする。また、失敗することを異常に恐れるため、なかなか別のいきものへと変態できない。ユトリカモメの群れに混じっていることが多いと言われるが、実際には昔から世界中に存在していたいきものである。  いきものは、今までに起こったことを記憶して、これから何が起こるのかを予測する。対処の仕方が適切だったかを考え、判断材料として蓄えるのである。そして、これらの対応策をコロニーの皆で持ち寄り、次の世代に引き継ぐことで、しつけの手間を大幅に省き、同時に若いいきものに不足している経験を補う。ただし、かなりの確率で、この教えられる対処法に依存し過ぎるいきものが現れる。その中の一つが、マニュアルバトロスである。  このいきものは、コロニーから伝えられる対処法で解決できる事態にはめっぽう強いが、それ以外の突発的な出来事には極端に弱い。対処法を記憶しているだけで、なぜそうするのかという理由について考えておらず、それらを別の事態に応用するということができないのである。往々にして不適切な対応をして、クレーマーコールを呼び寄せ、コロニーの仲間に迷惑をかける。  マニュアルバトロスは、主にコロニーでの役割における対処法を妄信しているが、それ以外の様々な状況でも教えられた対応策に則った行動を取る。例えば、異性の気を引くための振る舞い、いきものが死んだときの態度、ジュンカツユへ変態した場合の対応などである。しかし、これらに対する様々な対策は、ほとんどが一部のいきものによるでっち上げであるため、役に立つとは言いがたい。  多くの生態系で、マニュアルバトロスは攻撃される傾向がある。主にコロニーで力を持ったいきものが、もっと自分の頭で考えろ、想像力を働かせろ、命令したことだけが全てではないなどと主張するのである。しかし、自分の考えに基づいて行動しても、自分勝手だと言う理由で攻撃されるし、創意工夫がコロニーを崩壊に導くことも少なくない。ある程度強い立場を手に入れるまでは、マニュアルバトロスでいた方が安全なのである。
Manualbatross  Manualbatross is albatrosses that can only do things that were taught in advance. They are dull‐witted, and when they face the unexpected situations they unusually panic or, on the contrary, they do not move at all. Also, they are abnormally afraid that they will fail, so they can not easily metamorphose into other CREATURES. It is said that they are often joining with a flock of Relaxed-headed Gulls, but in fact it is a CREATURE that existed all around the world from a long time ago.  CREATURES remember what happened so far and predict what will happen from now. They think whether the way of coping was appropriate, and store it as a basis for decision. And by gathering these countermeasures by everyone in the colony and taking over to the next generation, it can greatly reduce the labor of training and at the same time compensate for the lacking experience of young CREATURES. However, with high probability, the CREATURES that rely too much on this coping method will emerge. One of them is Manualbatross.  This CREATURE is very strong in situations that can be solved with coping methods told from colonies, but extremely weak for other unexpected events. They only remember how to cope, but they have not considered the reasons why they do so, therefore they can not apply these to different situations. They often respond inappropriately, invite Markhomplaints, and trouble the colony members.  Manualbatross is believing primarily about how to deal with colony roles, but takes actions in accordance with countermeasures told under various other circumstances, too. For example, there are behaviors for attracting the other sex, attitudes when the CREATURES died, dealing when they  metamorphosed into Slugricants. However, it is hard to say that various countermeasures for these are useful because most of these are a fabrication that are created up by some CREATURES.  In many ecosystems, Manualbatross tends to be attacked. Mainly the CREATURES with power in colonies advocate that they should think more with their own heads, they must exercise imagination, and that only things that they were ordered is not all. However, even if it act based on its own thoughts, it is attacked for reasons that it is selfish, and ingenuity often leads colonies to collapse. Until it gets a strong position to a certain extent, it is safer that being Manualbatross.
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nusumigaki · 1 year ago
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奇妙なことに、話半分にしか聞いていないつもりだったことが、いつの間にか彼女の中にもしっかり根をおろしていた。
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nusumigaki · 1 year ago
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何週間も。何か月も。何年も。来た。去った。
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nusumigaki · 1 year ago
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お前のダメな部分がお前の敵ではないのだと僕に告げていた。
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