#マジックアワーの空
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11月初日の早朝、真っ赤な朝焼けが素晴らしかった❤️
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マジックアワーとまではいかない頃か、
この静寂と動の入り混じったような
時間が止まってるのか、動き出すのか、というような空が好きである。
息を止めていないとどこか他の所へいってしまいそうな、そんな不思議な空気感。
自分では1日が終わるような気分なのに
ほんとは何かが始まる。そんな息を呑むような時間。
燃え尽きるほど頑張った訳ではない。
だけども一生懸命ではあった。
いつもこっそり積み上げたものをいとも簡単に
崩される。もうそれを積み上げる気力が
どんどん無くなってるのが分かる。
何もいらない。ただ時間が欲しい。
そんな13日の金曜日。
2024.9.13
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(第一部)
衝動的に寂しくなって、夜道を誰かに声をかけられるまで、取り止めなくさまよい歩く習慣がついたのは二ヶ月前からで五回目だった。知らない街まで電車に乗って、治安の良くない場所を選んで歩く。命の危機に晒されて半死半生の目に合うこともあれば、何事もなく無事に帰って来ることもある。仕事に行き自宅に帰り、一人食事を取り寝るだけの繰り返し。誰かに求められることもなければ必要とされることもない。一度負った傷の瘡蓋を剥がす一時の甘い悦びに浸りたいだけの狂った夜間歩行。
現地でシェリー酒やブランデーの強いお酒を飲んで、ほろ酔いから次第に足取りが重くなってくるのに任せる。お酒の酔いの回りの早い私にとって、緊張する瞬間。身元のわかるものは一切持たず、頼るのは自分の意識次第だというのに、その意識すら混濁させながら、ふらふらする。街灯の点灯し始めるマジックアワーを闇に紛れながら、細い路地を歩く。袋小路になるところ、人一人しか通れないような家の隙間を選んで歩く。日中は光の差し込むだろう通路は、ただただ魑魅魍魎の通る獣道のように、鬱蒼として気味悪くなる。
白地に黒い猫の柄の入ったロングの巻きスカートに、一点もののデザイナーズセレクトの白地に赤の刺繡の入ったカットソーを着て、シルクの下着を身につける。巻きスカートの黒い猫の目は金色に光り、夜目にも輝いて見える。巻きスカートは一点もので、かつて愛した人にプレゼントされたものだった。よくこのスカートを身につけて一緒に歩いた思い出のぎっしり詰まったものだった。私は他の男性とSNSを通じてやり取りしていた事を彼に誤解されて、約束していた結婚を取りやめにされた。別れ際、愛する人に清らかな人だと思っていたのに、不潔だとまで言われて、ショックを受けた。ただメッセージのやり取りをしていて、なんの疑われる行為もしてなかったのに。彼はその数ヶ月後にSNSで知り合った人と一緒になったと聴いて、ダブルでショックを受けた。私は清らかではなく不潔な人間だというレッテルを貼られたまま、蛇の生殺しのようになって、数ヶ月泣きはらした。
誰も通らぬような通路を、ドキドキとしながら通り抜ける。空を見上げると、三日月が空に架かり、流れる雲に隠れては見え、隠れては見えする。明るい星たちから輝きだしている。���らない場所の闇の中、月の方角と光だけが頼り。既に刺すような冷たい風が吹き抜け、ただでさえ心細い私を不安にさせる。
30分ばかり歩いたろうか。後方に、私の後をつけている人を確認して、速足で歩こうとする。うまく歩を進めることのできない速足で歩くと速足になり、ゆっくりと歩くとゆっくりと歩く。私は頭が真っ白になるのと同時に、なんの目的でついてきているのか、逃げ切ることができるのか、頭をめぐらす。地の利のない場所で、自分がどこに行きつくのかも分からない通路をやみくもに歩いている愚かな自分。
この先には何があるのか、道すらもないのではないかという不安と、後ろから追いつかれて、腕を掴まれて更に人気のない場所に連れ込まれる妄想と闘いながら、ふらふらと先に進んでいく。
ふと、後ろからの気配が消える。安堵したのも束の間、カラスが群れて、泣き叫んで暴れている袋小路にたどり着く。心臓がどくどくと聞こえるぐらいに膨大な血流を全身に送り、高鳴っている。私は行き場を失い、来た道を戻るしかない。カラスはこれから起こる何かを暗示しているかのように、獰猛に暴れている。
自分が今どこにいるのかもわからない場所で、闇から闇を通り抜ける。人の気配のない場所で、月明かりだけが頼り。来た道かどうかも分からぬ不安と闘いつつ、二股に分かれている地点にたどり着いた。
どちらに進もうか立ち止まったところで、後をつけてきたと思われる男が待ち構えていて、口をタオルで覆われて、固く捕らえられた。タオルは汗臭い匂いがした。男は地の利のある場所で、一番いい場所で私を待ち構えていたのだ。抵抗する時間も与えられぬまま、竹藪の中に引きずり込まれる。腐った水の匂い、成長した竹の青臭い匂いの中に入っていく。
ちくちくと背中に痛みを覚える場所に引き倒されて、体中を弄られる。お洒落な格好も台無しで、スカートもカットソーも引きはがされて、巻きスカートの黒い猫も無惨に引き裂かれて、脱がされた。白い素肌が闇に浮かぶ。痩せた脇腹の肋骨が上下するだけで呼吸すらままならない。男は貪りつくように覆いかぶさり、欲望の限りを尽くしていく。
私は頭上で竹の葉の間で見え隠れする三日月を涙を流しながら、男の律動に突き動かされている。三日月は冴え冴えと妖しく光り、儚げに歪んでいた。快楽はどこにもない。身体の中を硬くなった虫が激しくうねり、大切な何かを剥���された痕が残っていくだけ。なぜ私はこんなことをくり返しているのだろう?なぜ?なぜ?と自分に問うてみても、答えは返ってこない。私は私を放棄することで、自分に仕返ししているような気持ちになった。
自分を大切にできずに、汚されていく自分を俯瞰して見つめている。男は二度三度、繰り返し中で果てると、その場に私を残して立ち去って行った。私はぴくりとも動けないまま、竹藪の中で白い肌を晒している。体の芯まで冷えて、このままここで死ぬのではないかと思った。誰かが私を見つけ出して、救ってほしかった。こんな愚かな私でも大切に想って、抱き上げて介抱して、温かなスープを飲ましてくれる存在が欲しかった。しかし、そんな温もりはこの世の中にはどこにもなかった。
私は散らばった衣服をかき集めて、下着を見つけることのできないまま、震える手で身につけた。寒さと怖さで、ガタガタと歯が鳴っていた。お洒落な衣服は、泥で汚れて、竹の落ち葉が張り付き、ところどころ破られていた。巻きスカートに張り付いた猫まで無惨に足元から引き裂かれていた。金色の目には泥がこびりつき、輝きを失っていた。
私はふらふらと立ち上がり、西に傾いて地平に消えて確認できなくなった三日月を見失って、酔いが醒めて素面になって、呆然と闇の中をさまよい帰った。私は正気ではない行為をしているにも関わらず、冷静だった。汚れるだけ汚れて安堵したかった。
自宅に帰った時には0時を過ぎていた。鏡には変わり果てた私が映っていた。私は三日月のように、これから満ちて丸くなっていくのだろうか?限りなく欠けていき、空で真っ二つにぽきりと折れてどこまでも地の果てへ落下していくだけの月になってしまいそうだった。
果たして私は清らかではないのだろうか?ますます遠く離れた不潔で淫らな人間に染まる事で、人間としてのバランスを保てる気がしていた。
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振替休日の月曜日の夕景。🌇
群青色からオレンジ色のグラデーションの中に輝く宵の明星と月齢2.6の細い月。🌟🌙
もう11月というのに眺めて、写真撮ってる間に蚊に数箇所血を吸われました。💦💦💦
#夕空 #ユウゾラ #夕景 #三日月 #細い月 #八幡川河口 #宵の明星 #マジックアワー #金星 #ビーナス#landscapephotography #panasonic #lumixtz95 #lumix #tz95
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同局の渡辺和洋アナと新美有加アナが進行し、社員、元社員77人にとったというアンケートを紹介しながら、渡邉奈都子報道局長、大野貢情報制作局長、立松嗣章編成制作局長が見解を述べるという形式で放送。それに対し、音好宏上智大学教授が解説を加えた。 まず、2004年の週刊文春による「ジャニーズセクハラキャンペーン」の裁判の結果を報じなかったことに対しては、「男性に対する性加害について、私たち報道担当者の意識が著しく低かったことが、今回の調査であらためて分かりました」「感度の鈍さを考えますと、報道に携わるものとして深く反省しています」(渡邉氏)、「自分自身も含めて、組織全体として性加害に対する認識が著しく低かったと受け止めております」(大野氏)と弁明。 さらに、ジャニーズ事務所に対して遠慮や忖度があったのかについては、「明らかに旧ジャニーズ事務所に対する気遣いや配慮が、報道にもあったことは認めざるを得ません」(渡邉氏)、「魅力あるタレントが多く所属する旧ジャニーズ事務所に対して、徐々に特別視する空気ができあがっていたことは否めません。そうしたことが、性加害を見逃したことにつながったのだと思います」(立松氏)と述べた。 今後については、「どんな対象であれ、取材すべきは取材し、報道すべきことは報道していく。この当たり前の基本をあらためて徹底してまいりたい」(渡邉氏)、「今回のご指摘を真摯に受け止め、放送局としての役割を果たしていきたいと思います」(立松氏)とした。しかし、話す内容はどれも明らかに台本通りで、セリフは棒読み。これで禊は済んだかのような物言いだった。しかも、フジテレビはジャニーズ事務所とズブズブの蜜月関係にあったことを示す“不都合な真実”については検証番組で一切触れていないのである。 これまで映画「THE有頂天ホテル」(06年)や「ザ・マジックアワー」(08年)といった三谷幸喜氏の作品を多数手掛けたほか、ジャニーズ事務所とは映画「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」(香取慎吾主演)、連続ドラマ「ラッキーセブン」(松本潤主演)などを担当してきたフジテレビの敏腕プロデューサーである重岡由美子氏が、現在はジャニーズ事務所の取締役であるという事実だ。重岡氏は18年に旧ジャニーズ事務所に現役出向し、22年3月にはフジテレビを希望退職。同年4月から、旧ジャニーズ事務所専任となり、同社の取締役に就任している。 出向時、当時のフジテレビの宮内正喜社長は、「将来的には、(ジャニーズと)共同のコンテンツ制作を目指せればいいなと彼女に行ってもらった」などと定例会見で語っていた。また、重岡氏のジャニーズ事務所への出向は株主総会でも話題になっている。さらにこんな話もある。 「重岡さんはフジテレビの前社長で、現在はフジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長の金光修氏と社内結婚し、かつて婚姻関係にありました。現在は離婚していますが、重岡氏のジャニーズへの出向は、金光前社長の意向が大きかったそうで、日枝会長も賛同したそうです。重岡氏は昨年、フジテレビの希望退職制度を利用して退職金を受け取り退社。フジテレビの退職金ですか? 早期なので割り増し分も含めて1億円はくだらないのでは」(フジテレビ関係者) つまりフジテレビと旧ジャニーズ事務所の蜜月関係は「組織ぐるみ」であり、この期に及んで不都合な真実については糊塗、隠蔽しているのである。
【独自】旧ジャニーズ事務所の現役取締役は元フジテレビ社員だった! 自社の検証番組では一切触れないズブズブの癒着(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース
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6/12(木)Next❗️ナイタースクール⚽️ 初夏から秋にかけて日が長くなる季節は良いですね。 夕方から夜にかけての丁度良い気温と空の色の変化。 マジックアワーです(^^) 毎回やるトレーニングで、自分ができないことを 日々自主練している人と、何もしていない人で 差がついてきたという話をしました。 日々スキルアップのためにコツコツと練習して 積み上げできるか?すごく重要なポイントです。 色々なスクールに通っていても、自分がこの技術を身につけよう!と真剣にやらないと身につかないです。 私も子供の頃は 友だちやライバルが出来る技を自分もできるはず! と思って何回も練習しましたね。 単純に負けたくないから。 出来ることが増えた方がかっこいいから。 こればっかりは、本人がその気にならないと どうしようもないですが、 そういう習慣が身に付いたお互いを高め合うメンバーでトレーニングできれば最高ですし、そこを目指しています。 習慣が身につく『仕組み化』を指導者が考えるべきか、そういう事じゃなくて自ら行動することが大事でそれを引き出すサポートだけすべきか… とにかく両方やってみるか��(^^)
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2025年2月13日(木) 日の出前に多摩川河川敷に着いたら、西の空に満月が煌煌と輝いていた。

今朝は日の出前のマジックアワーの空の色はあまりきれいではなかったが、日の出後に鮮やかな色になった。
冬の冷たい空気ではなく、南からの暖気が入り込んでいたせいだろうか。


鳥たちは春が近づいてきたせいだろうか、オスとメスのカップルで行動を共にしている姿をよく見るようになった。
左はオカヨシガモのカップル、右はヒドリガモのカップル。

日の出から20分ほど経過したが、まだ東の空は赤みが残っていた。露出オーバーかと思っていたが、K-3 IIのボディ内にはないカスタムイメージの「フラット」を適用すると、二子玉川のビル群と宿河原堰の建物がいい感じに仕上がった。

川岸に目を戻すと、カワウが大きな口を開けていた。どういう顎関節をしているのかわからないが、この口なら大きな魚も丸呑みできるはずだと納得。
9時ごろから北寄りの風が強まり、仕事中にふと外を見ると地表付近が黄色く煙っていた。

この風向きでは黄砂は飛んでこないので、地表付近の砂や土が強風で巻き上げられたのだろう。
この天気はおそらく煙霧として記録されると思うが、明日になると気象庁のホームページに掲載されるので、楽しみだ。
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冬は富士山がとても綺麗に見える!
西の空にばかり夢中になっていたけれど
夕焼け時の東の空を見ると
地球の影(地球影)が見えるんですって
日の出前は西の空に地球影が見えるんですと
絶対見てみたい🌏
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Sunset Head なんか神々しい風景だ。それは太陽が山の隙間に沈んでいく瞬間だ。マジックアワーの時間帯で、とても綺麗な空が浮かび上がるのだ。ん?でも今は夕方ではないぞ。どうしてこのような風景が目の前に繰り広げられているのだ?よくみたらそれは人の頭だったのだ!どうしてこのような光景が見られる頭をしているのだ?どういう構造になっているのだろうか。前からも後ろからも太陽が沈んでいるように見えるのだ。とても不思議な頭の持ち主である。だがありがたい気持ちになるのには変わりはない。
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3.橘夕樹「夜を売る店」
丸底フラスコがアルコールランプにかけられて、紫紺の液体をポコポコと煮立たせている。それにつながれたゴム管の先にはガラスのポットがあり、そこに溜まった液体は更に濾過されているようだった。窓からの月のスポットライトが照らす大きめのビーカーには氷水がたっぷりとたたえられ、試験官が何本か刺さっている。仄暗いカウンターには、実験器具のほかにも薬瓶や薬匙や大量の小皿なんかが、舞台袖の黒子のように静かに佇んでいた。
そんな騒がしいカウンターの中では店主がひとりテキパキと器具の手入れをしている。カチャカチャとガラス同士が触れ合う音が店内にはじけて、カウンターの蝋燭に灯ったマジックアワーの炎を揺らした。
ちりりんとドアベルが鳴って、今日最初の客の来訪を知らせる。
「こんばんは。本日はどのような夜をお求めでしょうか。」
Spicy night
蠟燭の前が客の定位置である。案内された客の注文は「繁華街の夜」。店主は、客の前に冷凍したムーンレモンの入ったお冷を出して、「少々お待ちくださいね。準備しますから。」と言った。
店主は背後の棚から紺に煌めくパールのような装丁の綴りとコーヒー色のペガススのタテ紙を取り出した。この紙には調合師達に広く使われている一般的な調合用の書式が印刷されている。それにフクロウの羽ペンでさらさらと「繁華街」と記した。
「理由をお聞きしても?」
「私、田舎生まれだから憧れなの。都会の夜が。日が沈んでもきらきらしていて、にぎやかで。若いうちに一度はそういうところで夜遊びしてみたかった……。」
聞いたことを用紙に書き留めていく。
「あら、これからでも十分間に合うのでは?事実、いわゆる『繁華街』にあるこの店にこんな時間にいらしているのですから。」
「ふふふ、それもそうね。」
店主は穏やかな笑みを浮かべながら材料を用意していく。ベースとなる「夜の素」に「街」と「憧れ」、それからアクセントの「星屑」。カウンターの上に色とりどり大小さまざまな小瓶が並んだ。
(「きらきら」……か、どれがいいだろうか。)
一言に「きらきら」とか「灯り」とか「にぎやか」とかいっても何十種類もの素材がある。一番合うものを見極め、ちょうどよく配合できてこそ、客に合わせた良質な夜を提供できるのだ。
「ちなみにきらきら、とは視覚的にでしょうか。それとも雰囲気や感情でしょうか?」
「うーん、そうね……。」と客はしばし目をつぶった。その瞼の裏には何が見えているのだろうか。
「ああ、一番印象に残っているのはネオンサインね。夜空に浮かび上がる鮮やかな看板にはすごく惹かれたものでしたよ。」
「今ではあまり見かけなくなりましたね……。僕もあの鮮やかなのにぼんやりとした優しい光は大好きです。」
ネオンサイン。果たして在庫はあっただろうか。このところ見かけないということは、つまりあまり入荷が多くないのだ。「灯り」とラベルの貼られた棚の引き出しを順に開けていく。下から二番目の段の左から四番目。「そうだ、『色モノ』はここにしまったんだった」とか言いながら、店主は発光するラムネ菓子のようなものが入った瓶を取り出した。そのもう残り少ない粒を細身の試験官に入れて、さらにフラスコの中の「夜の素」を少し足した。最後に湯を張ったビーカーにしばらく入れて湯煎させる。
「よし、これでもう少し待てば『ネオンサイン』ができます。何色がお好きですか?」
「ピンクかしら。いくつになっても春っぽい色が好きなのよ。」
「ふふふ……」と恥ずかしそうに客は笑う。ピンクの染料を試験管に入れながら、桜のように笑う人だ、と店主は思った。
ネオンサインが溶けるのを待っている間、店内には調合の器具たちが立てるこぽこぽという音と、蠟燭が夕焼けを燃やすちりちりというかすかな音だけが優しく響いている。店主は今準備した材料について用紙に記入しているようだった。
「��ャンドルか小瓶詰めの形でお渡しできますがどちらにされますか?」
夜を楽しむ方法は様々ある。その中でも、「夜」そのものを揮発させてゆっくりじっくり味わうか、蝋燭の音や炎との効果と、熱で急激に揮発させることで短く濃く楽しむか、どちらかの方法が取られることが多い。また、この店のもこの二つのやり方でのみ販売を許可されている。後者はあのマッチ売りの少女のマッチと似た手法だ。――ただ、彼女のマッチは質が悪かったようだが。
「そうねえ。せっかくだから思い切り楽しみたいわ。キャンドルでお願いしようかしら。」
「かしこまりました。」
湯煎した試験管をスタンドで冷ましている間に不純物を蒸留させるための器具を準備する。フラスコやガラス管、オーロラ型冷却水――それらを手際よく配置していく。最後に火力の調節が利く小さなガスのコンロの上に、配合用の大きなビーカーをセットした。
大きなビーカーの中に、カウンターに並べた素材を入れていく。
まずは「夜の素」。「夜」のベースとなる液体である。今回は深夜ではなく日が落ちてすぐくらいの時間帯のものだ。とぽとぽと注いだら、「星屑」をぱらぱらと振りかけ、コンロを着火。ビーカーの底を炎が舐めるくらいの火力に調節する。「星屑」の輝きが「夜の素」になじむまでぐるぐるとかき混ぜ、次に金の針のような「街」を大きな楠の匙二杯分。輝きとあたたかさを持った「憧れ」は同じ匙で一杯分。
最後に冷えて固まった棒状の「ネオンサイン」を試験官から取り出し、少し夜空にかざして仕上がりを確認した後、手でぱきぽきと折りながらビーカーに加えていく。液体に触れた瞬間に強く瞬いてビーカーの底に沈んでいった。
(「憧れ」と「ネオンサイン」か……少し刺激が強くなりそうだな。)
こういう時はあまり濃くさせないほうがいい。店主は少し火を弱めた。
熱でゆっくりと「ネオンサイン」が溶けていく。「夜」の色が天の川
ミルキーウェイ
のように少し柔らかくなったように見えた。
ビーカーの中では小さな気泡が上がってきている。
にゃーん、と黒猫が一匹、呆れた様子でカウンターに飛び乗ってきた。スンスンとビーカーから立ち上る蒸気を嗅ぐ。
「ふうん、随分スパイシーだな」
「あっ、コラ。危ないだろ。」
と、店主が慌てて黒猫を制した。
「あら。猫ちゃん。毛並みがきれい。」
「ありがとうございます。僕の助手です。」
「フン、君がやらかさないか見張ってる『監督』だ。」
この声は店主以外には「にゃおん」としか聞こえない。
「この感じは星空というより街の明かりか?都会の夜って人間にとってそんなにいいもんなの?」
いぶかしげにビーカーをのぞき込もう��する。そんな「監督」をどうにか押さえつけながら店主が代弁した。
「矢張、都会の夜は故郷の夜より素敵に映るものですか?」
「ええ、勿論よ。私は若い頃都会の学校には通っていたんだけれど、寮にいたから、門限が厳しかったの。だから帰り道、目の前に街の明かりが見えているのに、夜の街に繰り出すなんてことはできなかった……。仲間とあれがしたいこれがしたい、って夢を語り合ったことをよく覚えているわ。」
残念がっている口調でも、どこか楽しそうに客は語る。
(『夢』……ちょうど在庫がもうないな。最近消費が激しい。)
くるくるとビーカーをかき混ぜながら思い出す。薬棚を見るまでもない。このところ夢見がちなお客様が多かったのだ。
ぼんやりと『憧れの夜の街』は出来上がった。あとはお客様だけの隠し味が必要になる。できれば『夢』以外で。
「夢を語り合うのも素敵な青春の一ページですね。なにか街に気になる店や催しなどがあったのですか?」
さっきのネオンサインのように客の頬が薄紅に染まる。
「店……というより、好きな銀幕スターがいて……だから映画の、レイトショーに行ってみたかったのよ。」
お冷の氷が溶けてカランと音を立てた。
「学校が終わったあと、日が沈むころにひとりバスに乗って、洋食屋さんでご飯を食べて、帰る人々を横目に映画館へ向かう――。そして映画が終わったら夜道の中を歩いて帰る……ねえ、映画館の中と夜の街って少し似てると思わない?」
「映画館と夜の街、ですか。」
いくつもの夜を見てきた店主にも予想外の問いかけだった。
「ええ、街の周りや空は真っ暗なのにそこだけ切り取ったように眩しくて、いろんな物語が昼と変わらず起こっていて、帰り道も余韻でいっぱいになる……。そしていつまでも終わってほしくない。」
「なるほど。言われてみればたしかに似ている気がします。……それなら最後の材料はあれがいいかな。」
店主はなにやらカウンターの下の棚を漁り始めた。たしかここにあったはず、としばらく探していると店長の肩を踏み台にして黒猫が下りてきた。
「なにやってるんだ。僕が探してきてやる。あれだろ?フィルムケース。」
「うん。そう。しばらく使ってないから箱が奥の方に入ってしまっているかも。」
黒猫は雑多な棚の中の暗闇にあっという間に溶け入っていってしまった。
ガタン
がたがた
うわっ
ごそごそ
ばたん
げほげほ
するすると入っていたのとは裏腹に箱はなかなか見つからないらしい。つんと澄ました態度からはあまり聞かれない音と声がした。
「あったぞ!いくついる?」
「ひとつでいい。隠し味だもの。」
「はーい。」
黒猫はフィルムケースを一つ口にくわえて出てきた。ラベルには「映画」と振ってある。
「それそれ。流石僕の助手��ね。」
と、狭い額についた埃を取ってやる。
「すみません。お待たせしました。」
客はにっこりと「いえいえ。」と言ってくれた。完成までもう少しのビーカーが先ほどよりもたくさん気泡を立てている。これ以上粘度が上がると最後の隠し味がうまくなじまない。店主はコンロの火を止めた。
「ふん、普段使わない材料もきれいにしまっておくんだな。」
黒猫は背後のカウンターでその自慢の毛並みを整えている。
「それを取ってきてくれたの?随分と賢い助手さんね。」
「はい、いつも助かっています。」
そんな助手が取ってきてくれたフィルムケースには勿論フィルムが収まっている。艶々と黒く光るそれを映写機のような機械に入れて、レンズから月光を取り込み、夜空を透かしながら、製麺でもするかの如くハンドルを回した。壁には小さなプラネタリウムが出来上がっている。そしてリールから外したそれを二〇センチほどカットしてビーカーに加え、再び火をつけた。このフィルムが溶け切ってしまえば「夜」は完成だ。材料はすべてそろったのでビーカーに特注のコルクの蓋をして、空けてある穴からガラス管を繋げる。ガラス管の途中にはオーロラ型冷却水、終わりには小さなフラスコが繋がれている。「夜」を加熱濃縮させる際に出る蒸気――夜露を採るためである。
「それはなんの映画のフィルムなの?」
「これは映画のフィルムそのものではなく、昔、お客様から聞いた『映画と夜に関するお話』から精製したいわばエッセンシャルオイルのようなものです。うちではお代としてお金の他にお客様のお話をお聞きしてそこから『夜』を作るための材料をお裾分けしていただいているのです。」
客はわかったようなわかっていないような顔をしてフィルムが溶けるビーカーを見つめた。
「あまりピンときませんよね。」
そういうと店主は再び棚の下をごそごそと漁るとレコードを一枚取り出してきた。そして店の端を指さして、
「あの蓄音機にこちらの専用レコードをセットして、お客様のお話を録音します。そしてそのレコードを一旦ほどいて溶かします。そして溶けた液体から結晶を取り出したり、蒸留させたりといった作業を通して様々な「要素」を分離させ、それをビンに採取して、ものによっては先ほどのネオンサインのように加工することで、安定して保存ができるようにするのです。」
「なるほど、録音するのね……。長く生きてきたつもりだけどこのお店には初めて見る道具ばかりだわ。でも私、何かお話しできるようなことあるかしら。」
「是非、ご学友との語らいについて教えてくださいませんか。」
「夢」の在庫を増やすいい機会だなと店主は考えた。
「それならいくらでもお話しできるわ。」
ビーカーの中で大きな気泡がひとつ弾けた。その瞬間、街や映画の光がキラキラと輝いて落ちる。そろそろ頃合いのようだ。
最後に、出来上がった「夜」をキャンドルにしていく。ミルクパンで、これまたミルク色の蝋を溶かし、分離しないように少しずつ夜と蝋を混ぜていく。夜の濃い藍とミルク色が混ざって朝焼けの前の優しい夜の色に近くなる。最後にガラスの容器に入れてスノーマンの吐息で冷やし固めたら完成だ。店主は冷やしている間に草木のモチーフがあしらわれた小さなカードに、今回使った材料とその用法・用量を記入していく。ラベルには『繁華街』と記して容器に貼り、
「お待たせいたしました。『繁華街の夜』でございます。」
とまだほんのりと温もりを持つ出来立てのキャンドルを差し出した。
「なんだか少し甘い香りがするわね。」
客は鼻先で軽く容器をくゆらした。
「蝋に少しだけ蜂蜜が混ぜてあります。」
店主は先ほど書いていた小さなカードとお揃いの柄の小箱を取り出した。小箱の中には小さなお香が入っている。
「ベースに浅い時間の夜を使っております。全体的にフレッシュで刺激的なひとときになるよう配合いたしました。こちらのカードに使い方などは詳しく記載していますが、夜をお使いになるときは必ずこちらの「朝」もお使いください。確実に夜から醒めることで『夜焼け』や『昼酔い』といった時間的症状を防ぐ効果があります。また、最近多いのですが、夜から醒めたくないというお客様がいらっしゃいます。しかしそのように夜を独り占めしてしまうと時間平等法違反となってしまいますので、僕たち調合師は『朝』も一緒に提供するよう義務づけられているのです。――夜は皆のものですから。」
「わかったわ。何事も適切な量がいいわよね。」
「そういうことだ」と黒猫がうんうんと頷く。
「夜もいいけど朝も朝でどんなテイストか楽しみね。」
「ええ、折角ですから存分にお楽しみください。お渡しするものはこれで以上です。不備がないようでしたら箱に詰めますね。」
「ええ、お願いします。」
キャンドルとお香、カードを木箱に詰め、仕上げにリボンをかけて結び目に封蝋で封をする。
「では最後にお代ですが、カウンター越しではなんだか味気ないのであちらのテーブルでお話ししましょう。」
店主は蓄音機のそばのテーブルを指さした。
「昔の話をできるなんていつぶりかしら。たまには沢山おしゃべりするのもいいわね。」
カウンターから立ち上がった客を黒猫がテーブルまで先導する。
客と黒猫がしばらく戯れていると、ようやく手にティーセットを持った店主がテーブルについた。あとをティーセットに任せたカウンターの器具たちは静かに楽屋に戻り、客の前には空になったグラスの代わりに湯気の昇るティーカップが置かれた。すっかり更けた夜に香ばしい茶葉と優しいミルクの香りが満ちる。
夜はこれから。
――それでは良い夜を。またのご来店をお待ちしております。
fin.
橘夕樹「夜を売る店」 Produced / Written by 橘夕樹(https://bsky.app/profile/yuuki-tatibana.bsky.social)
2024.9.18 G.Slope & Hill's Planet
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magichour
彼らの背中を追っていた 両手は宙ぶらりんのまま マジョリティの息苦しい世界 正しさに目を背け続けて くるくる回る地球儀を止めて ここがゴールだと決められた 大人は子どもの夢を笑う その子どもはいつか大人になる 戦うことから逃げてしまう 切ない想いに向き合う強さを 変わりたいよ マジックアワー 背負ったまんま 空高く手を伸ばしたいな 届かないなら目の前に 答えを描いてみようかな キラキラ光る水面に堕ちて 寂しさを掴みきれないまま マイノリティのない地平線 曖昧の先は愛おしさか 戦うことから逃げてしまう 切ない想いに向き合う強さを やさしい言葉を知っている よりそう心を守れる強さを 変わりたいよ マジックアワー 背負ったまんま 空高く手を伸ばしたいな 届かないなら目の前に 答えを描いてみようかな マジックアワー 抱えたまんま 誰よりも先に駆け出して 自分の問いの答えを引いて 朗らかにひかり生…
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太陽が昇るとき、太陽が沈むとき。すこ〜し明るい空のことを薄明って言うらしい。またはマジックアワー。魔法のように美しい空だからなんだって。たまに全部投げ出したくなるけど、職場から見えるその空が好きで心が穏やかになる。今日もそうだった。
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今日の夕景。🌇
忙しく過ごしたつもりでしたが、何も終わってませんでした。💦
明日の金曜日にかけよう!☘️
#夕空 #窓越しの夕空 #ユウゾラ #夕景 #マジックアワー #panasonic #lumixtz95 #tz95 #lumix
https://www.instagram.com/p/DLFbXJYh-ed/?igsh=MWF0ejNtYWR0N3JmaQ==

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旧ジャニーズ事務所の創業者である故ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、フジテレビは10月21日、検証番組「週刊フジテレビ批評特別版~旧ジャニーズ事務所創業者による性加害問題と“メディアの沈黙”」を放送した。 同局の渡辺和洋アナと新美有加アナが進行し、社員、元社員77人にとったというアンケートを紹介しながら、渡邉奈都子報道局長、大野貢情報制作局長、立松嗣章編成制作局長が見解を述べるという形式で放送。それに対し、音好宏上智大学教授が解説を加えた。 まず、2004年の週刊文春による「ジャニーズセクハラキャンペーン」の裁判の結果を報じなかったことに対しては、「男性に対する性加害について、私たち報道担当者の意識が著しく低かったことが、今回の調査であらためて分かりました」「感度の鈍さを考えますと、報道に携わるものとして深く反省しています」(渡邉氏)、「自分自身も含めて、組織全体として性加害に対する認識が著しく低かったと受け止めております」(大野氏)と弁明。 さらに、ジャニーズ事務所に対して遠慮や忖度があったのかについては、「明らかに旧ジャニーズ事務所に対する気遣いや配慮が、報道にもあったことは認めざるを得ません」(渡邉氏)、「魅力あるタレントが多く所属する旧ジャニーズ事務所に対して、徐々に特別視する空気ができあがっていたことは否めません。そうしたことが、性加害を見逃したことにつながったのだと思います」(立松氏)と述べた。 今後については、「どんな対象であれ、取材すべきは取材し、報道すべきことは報道していく。この当たり前の基本をあらためて徹底してまいりたい」(渡邉氏)、「今回のご指摘を真摯に受け止め、放送局としての役割を果たしていきたいと思います」(立松氏)とした。しかし、話す内容はどれも明らかに台本通りで、セリフは棒読み。これで禊は済んだかのような物言いだった。しかも、フジテレビはジャニーズ事務所とズブズブの蜜月関係にあったことを示す“不都合な真実”については検証番組で一切触れていないのである。 これまで映画「THE有頂天ホテル」(06年)や「ザ・マジックアワー」(08年)といった三谷幸喜氏の作品を多数手掛けたほか、ジャニーズ事務所とは映画「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」(香取慎吾主演)、連続ドラマ「ラッキーセブン」(松本潤主演)などを担当してきたフジテレビの敏腕プロデューサーである重岡由美子氏が、現在はジャニーズ事務所の取締役であるという事実だ。重岡氏は18年に旧ジャニーズ事務所に現役出向し、22年3月にはフジテレビを希望退職。同年4月から、旧ジャニーズ事務所専任となり、同社の取締役に就任している。 出向時、当時のフジテレビの宮内正喜社長は、「将来的には、(ジャニーズと)共同のコンテンツ制作を目指せればいいなと彼女に行ってもらった」などと定例会見で語っていた。また、重岡氏のジャニーズ事務所への出向は株主総会でも話題になっている。さらにこんな話もある。 「重岡さんはフジテレビの前社長で、現在はフジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長の金光修氏と社内結婚し、かつて婚姻関係にありました。現在は離婚していますが、重岡氏のジャニーズへの出向は、金光前社長の意向が大きかったそうで、日枝会長も賛同したそうです。重岡氏は昨年、フジテレビの希望退職制度を利用して退職金を受け取り退社。フジテレビの退職金ですか? 早期なので割り増し分も含めて1億円はくだらないのでは」(フジテレビ関係者) つまりフジテレビと旧ジャニーズ事務所の蜜月関係は「組織ぐるみ」であり、この期に及んで不都合な真実については糊塗、隠蔽しているのである。
旧ジャニーズ現役取締役は元フジテレビ社員だった! 検証番組では一切触れないズブズブ癒着|日刊ゲンダイDIGITAL
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マジックアワー🌇 マジックアワーとは、日の出前や日没後の、太陽は存在しないけれど空が薄らと明るく幻想的な色に染まる時間帯のこと。 太陽☀️見えているけど(^^) 初夏から秋にかけて、日が長くなる ナイタートレーニング中のこの時間が好きです😊 選手たちが『将来どんな活躍をするのかなぁ』と想像しながら、頑張ってトレーニングしている姿を見守っています。 サッカーもそうですが、 それぞれのスポーツにはコツがあって、 それを学んで、出来るようになると、簡単にできるようになって、なんだこんなことかってなりますよね。 3対3でゲートをドリブル通過するトレーニングをやりますが、これも攻略法がありますよね。 2人目、3人目がどう動くか? 3人目が思い切って反対のゾーンのスペースを使えばフリーでドリブル通過を狙えます。 同じトレーニングを繰り返すと、攻略法を思いつき、更に応用して攻略パターンを増やす。 反対のチームはその対策を考えて、その攻撃を無効にさせる。 ゲーム🎮と同じなものですね(^^) ただ、違うのゲームは1人で操作できるけど、 サッカーはその動きを仲間と連携しながら実現するから難しい。 スペースに走り込んだけど、パスが来なかったり、 出したいところに味方が動かなかったり。 だから�� トレーニングして、仲間と話しして、修正して 本番の試合で連携できる準備をしているのですよね。 自分たちが成長を実感できるように このナイタートレーニングの時間をメチャクチャ大切にしよう!
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