#子供用のドレス
Explore tagged Tumblr posts
Text
Persona 3 Club Book Strega pages scan and transcription.





ストレガ
Strega
主人公たち特別課外活動部の行く手に現れる謎の3人組。同じペルソナ使い ながらあくまで敵対する彼らもまた、彼ら自身の信念でその限られた力を振るっている。
復讐代行屋 Strega
港区全域
自らをストレガと名乗る3人組の表向きの顔は、「復讐依頼サイト」に書き込みされ���内容を受けて、自ら手を下せない依頼人の代わりに復讐を果たすことだ。人知れず所持する武器を手に、彼らは裏社会を渡り歩いている。
3人はいずれもかつて幾月が、ペルソナ能力者開発のためにグループ内部にすら秘密裏に進めてきた研究の被験者だ。非合法の人体実験で多くの子どもたちが命を落とすなか、幸運にも生き永らえて能力を開花させたものの、悲惨な実態を目の当たりにして研究所から逃亡し、身を寄せ合って生きてきた。
ペルソナ能力の発現と引き換えに心身に過剰の負担を負う彼らは、制御剤の力を以ってすら長くは生きられない。生命としてのルールを逸脱した運命に魅入られ、彼らは刹那的な衝動にのみ突き動かされて生きている。
たった3人だけで影時間に生きてきた彼ら。宵も享楽を求めて夜の街を笑う。
タカヤ Takaya
凶行の担い手
ストレガの実質的リーダー。3人の中では推定年齢が一番高く、研究所から逃亡した当初から指導的立場に立っている。刹那的・虚無的な思考が強く、自分にも他者にもあらゆる物事への執着の愚かさを説く。復讐代行屋として銃の引き金を引くときも、自分の享楽はもちろんだが、相手の生にしがみつく無様な姿を浄化してやろうという思いがあるようだ。
かつて同列の研究対象であったタルタロスは、忌まわしい邪悪なものではなく、甘美な悪夢をもたらす近しいものだと考えており、ペルソナ使いの存在はもまた、タルタロスあってのものだとしている。そのため真意を知らずタルタロス破壊を目指す主人公たちの存在は、愚かな人間がシャドウの恐怖に怯えることへの嘲笑も込めて、抹殺すべきものだと捉えている。
主人公たちの働きではからずも滅びそのものである二ュクスの復活が秒読み段階に入ると、自ら二ュクスの代弁者を名乗り、滅びと破壊の思想で扇動する。
タカヤの救世主思想
• あなたが自覚している悪意と、相手が感じている悪意とは無関係⋯ 人はみな、聞きたいように聞き、信じたい事だけ信じるものです。(6月22日影時間・裏通り)
• 聞けば、人々を守るための、“善なる戦い” だとか。ですが⋯ 今夜はそれをやめて頂きに来ました。(8月6日影時間・防空壕跡)
• 時の限られたこの体⋯力を失ってまで生き永らえるなど無意味⋯ ならば、 私の生きた証⋯ この地に立てるのみ!(11月3日影時間・ムーンライトブリッジ)
• 分かっていますね⋯? 君には “居場所” など無い⋯ 私たちと来る以外にはね。君もよく知っている筈だ⋯ 怖いのは死ぬ事なんかじゃない。(11月21日深夜・辰巳記念病院)
• フ⋯亡霊などではありませんよ⋯ 生に “執着” などしなかった我々を、運命はそれでも “生かした”⋯ 私は “選ばれた” のです。(11月22日影時間・タルタロス)
自分たちの思想こそが浄化された世界を作ると信じるストレガのリーダー。痩せこけた体に長い髪、色素の薄い瞳という憂世離れした姿。
欲深き自称メシア
ほぼ同年代のはずのストレガですがタカヤは見るからに老け顔。不精ヒゲを剃って髪を切ったらかっこいいのに。
ジン Jin
知性派の爆弾魔
タカヤの右腕を務める少年。自作の爆弾を持ち歩き、武器として使用している。
社会から隔絶された自分たちだけのコミュニティの中で生きているストレガは、物資の調達の大半を影時間を利用した略奪行為によってまかなっているが、その指揮を担うのがブレーンであるジン。特別課外活動部を脱退してからの荒垣に接触し、ペルソナ能力抑制のための制御剤を提供することになったのも、ジンの情報収集能力あってのことである。またネットでは同名のハンドルネームで知られており、その知名度と情報操作のノウハウが、ニュクス教を一気に広げることを可能にした。
つねにともに生きてきたタカヤを崇拝しているが、それゆえに狂気の思想に囚われる彼を、命を捨てていさめようとする。
物議を醸す髪の構造がよくわかる右からの一枚。身につけているものひとつひとつにもこだわりが感じられます。
ストレガ一家を支える苦労人な屋台骨
実際的な生活能力の欠如したストレガを支える一番の常識人。資金調達から食事の世話まですべてを担う関西弁のミリタリーマニア。
ジンの毎晩大変なんだから
• お前を恨んどるヤツがおんねや。でもって、“復讐” を頼まれとる。(6月22日影時間・裏通り)
• お前らには “個人” の目的しかあらへん。どいつも本音はその為に戦っとる。お前らの正義は、それを正当化する為のただの “言い訳” や。そんなんは “善” や ない⋯ ただの “偽善” や。そんなもんに邪魔されとうない。(8月6日影時間・防空壕跡)
• 破れかぶれは、あかん! ⋯すんません。でもこれは⋯ あなたが言うてくれた言葉です。(11月3日影時間・ムーンライトブリッジ)
• やめときや、タカヤ⋯ アンタには先がある! ここで無理したって⋯意味 あらへん! (11月22日影時間・タルタロス)
チドリ Chidori
手斧の魔女
白いドレスに身を包んだ、虚ろな表情の少女。ストレガのひとりとしてタカヤやジンと行動を共にし、ぺルソナ能力のひとつである索敵能力でふたりのサポートを行なうが、ふたりとともに戦いの場で力を振るうことは少ない。
感情表現に乏しく、とくに喜びや悲しみを表に現すことはほどんどない。それは幾月の下で受けた過酷な人体実験や、逃亡後の寄る辺のない生活によって後天的に身に付けた自衛の手段。また彼女は自身のペルソナを通して、あらゆる生き物に命を分け与えることができるが、これも自分の人生にはすぐ先に死が見えているという揺るぎない事実ゆえ、生きることに対してまったく執着を持たなくなった結果の悲しい力だ。しかしそれでも、ふたりが手を下す殺戮現場に決して目をやろうとしないのは、運命をゆがめて与えられる死への、本能的な嫌悪感を抱いているからかもしれない。
生を放棄した飛べない小鳥
可憐な容姿に似合わず手斧を振るって戦う少女。気の向かない相手とは一切会話せず、自分のペルソナだけを拠りどころに生きている。
冷めた目線はチドリのトレードマーク。豪奢なドレスは彼女の趣味なのか、ジンのお仕着せなのか。
あんたには関係ない私の言葉
• チドリよ。私の名前。順平が訊いたんでしょ? あの絵⋯もうすぐできるから。私の描いたものは、私��しか分からない。でもそんなに見たきゃ⋯来れば? (8月31日昼・ポートアイランド駅前)
• 命より、作戦が大事ってこと? 死ぬ事って、普通の人には一番の恐怖なんでしょ? ⋯ 違うの? (9月5日影時間・巌戸台分寮屋上)
• ⋯言っとくけど、心配してくれなんて、言ってないから。あんたの勝手な早合点でしょ。(9月8日昼・辰巳記念病院)
• なにそれ⋯ なんで、そんな顔してるの? 死ぬなんて怖くないのに⋯ 死なんて、あした目が覚めないってだけ⋯ ただそれだけじゃないの。(9月10日昼・辰巳記念病院)
• そう⋯アイツのせいよ⋯ アイツが近づいて来てから、私、毎日、苦しくて⋯ 死ぬのが⋯怖くなって⋯ (11月21日深夜・辰巳記念病院)
• 順平と一緒に居ると、怖くなかったものが、なんでも怖くなる⋯ 無くすのが怖い⋯ 死ぬのだって怖い⋯ 一緒の時間が終わっちゃうのが⋯怖い⋯ だから、私⋯ (11月22日影時間・タルタロス)
「チドリ補正」の入った超ナイスガイな順平とともに。幸せになって欲しいカップルNo.1。
順平との出会いと「生きること」
敵同士としての立場にありながらも献身的に尽くす順平と出会って、チドリは少しずつ生きることの意味を知る。けれどそれは自分自身の死の認識と同義。ずっと忘れていた死ぬことの恐怖におののきながら、それでも彼女は愛する彼に生きて欲しいと願った。
頬を染めたグラマラスなチドリの魅力に、すっかり鼻の下が伸ぎ切った順平がキュート。がんばれヒゲ男くん!
#persona 3#p3#p3 club book#strega#takaya#jin#chidori#scanned these ages ago but have only now transcribed them
30 notes
·
View notes
Text
【アプリ版10周年】 ラッピングの裏話を大公開!
いつも駅メモ!をご利用いただきありがとうございます。 制作チームのコンノです。
前回「駅メモ!10周年ブログ 周年ラッピング「イルミネイト・ウィッシュ」の裏話を大公開!」で9周年衣装のラフを公開しましたが、今回は2024年に公開されたいくつかの過去のラッピングの裏話やラフを公開したいと思います。
でんこのご当地グルメツアー
まずは4月上旬に登場した「でんこのご当地グルメツアー」です! エイプリルフールに日本全国のオススメグルメを紹介してくれたでんこたち。かわいいでんこ達と一緒に全国各地のグルメは楽しめましたでしょうか?
こちらはみろくのラフ。実はホタテとクレープの2種類の案がありました。ポーズや表情にも違いがありますが、どちらも元気いっぱいなみろくが可愛いですね♪
あいのオススメグルメはお茶。笑顔の時にはお茶に茶柱が立っていました♪縁起が良くて、あいも嬉しそうです!
風雲!!くのいち忍伝2024
次は、4月中旬に登場した「風雲!!くのいち忍伝2024」のラッピング! 闇に潜み、任務に勤しむでんこたちの姿はいかがでしたでしょうか?
あたるとおとはが見せてくれた任務中の勇ましい姿。幼馴染の2人での任務は、お互いに信頼している様子が見��とれますね♪2人並ぶと首巻がハート型になることには気づきましたでしょうか?
そして今回は、変わり身の術を使っているでんこたちも!SNSでご紹介した3人の他に、あさひとひょうこも変わり身の術が得意だったようです。それぞれ似顔絵に個性が出ていますね♪
サマーリゾート2024
そして7月に登場した「サマーリゾート2024」。毎年恒例の水着ラッピングです! 毎年新たな水着でおめかしするでんこたち。今年も思い思いの水着で夏を楽しんでいました。
今年はみやびとせとらの2人が様々なポーズで水着姿を披露してくれました!みやびは日傘を持ち、フリルがキュートな水着。せとらはセクシーなビキニに涼し気なシャツが印象的でした。それぞれお気に入りの水着で夏を満喫したようです♪
7月に現代に来てくれたきっかも早速可愛い水着が着られて嬉しそう♪実はメッシュトップスを着た案と、さらに帽子を被った案もありました。どれも夏らしく、きっかにとても似合っています!
でんこのブライダルファッションショー
最後は本日11月14日の15時に登場した「でんこのブライダルファッションショー」です! でんこたちも初めて着るウェディングドレスにそわそわしている様子。
ルナはちょっぴり緊張した表情ですが、ちらりと見える足元が奥ゆかしく可愛いですね♪初めはシンプルなドレスでしたが、最終的に刺繍の入った華やかなドレスになりました。
こうめはなかなか見られない後ろ姿にドキッとさせられます!実はもう1パターン、Aラインシルエットのキュートなドレスを着た案もありました���、背中が綺麗に見える大人っぽい印象のドレスになりました♪
【番外編】おでかけカメラの可能性は無限大!
昨年に引き続き、SNSでご紹介したおでかけカメラで撮ったでんこたちを再掲載いたします! 今年も並べることでより魅力的になるラッピングがたくさんありました♪
おでかけカメラを使うとでんこたちとのおでかけがますます楽しくなっちゃうかも! ぜひ、おでかけのお供に「おでカメ」を使ってみてくださいね。
終わりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
毎月様々なラッピングが登場していますが、今回は今年出たラッピングを中心にラフイラストなどを公開しました。ここだけのラッピングの裏話などお楽しみいただけたら幸いです。これからも新しいラッピングが登場してきますので、どうぞご期待ください!
7 notes
·
View notes
Text
休暇を静かに自然の中で過ごそうと、山小屋を訪れていたマーク。 一緒に来ていた妻は急な用事で先に街へ戻ってしまい、彼はひとりでゆっくりと休暇を満喫していました。 心配事といえば、最近なにか不安そうな目を見せる妻と、息子の将来について程度。 それでも休暇くらいはと、静かな生活を楽しんでいました。 そんなある日、彼は丘でひとりの少女と出会います。 彼女の名はジュリー。 たんぽぽ色の美しい髪に白いドレスの少女。 そのドレスは、綿菓子と海の泡と雪を混ぜ合わしたような不思議な白色をしていました。 年はハタチほどで、44歳のマークには子供にしか見えないはずなのですが、それでも彼は彼女に恋をしてしまったのです。 ジュリーは不思議な娘で、自分は「タイムマシンで未来から来た未来人だ」と言います。 未来では失われてしまった自然や動物を見に来ているのだそうです。 「おとといは兎を見たわ。昨日は鹿。今日はあなた」 そう言って笑うジュリー。 マークもその話にのってあげ、二人は楽しく会話を続けます。 未来では自然も動物ももう見れないという事。 本が好きで、そこに書かれた自然や動物が大好きとだという事。 ジュリーの父親が、タイムマシン���発明したのだという事。 そして、タイムトラベルは普通は許可されていないのだという事も、 タイムトラベルは過去に干渉して歴史を変えてしまいかねないので、特別な許可がないと出来ないのだそうです。 しかしジュリーは許可を取らずに来ていました。 それは父親がマシンを作成していたから可能であり、父親自身の「理論」を信じているからでした。 父親の理論とは、 「時間」とは唯一にして絶対であり、未来人が過去に戻っていくら干渉しようと、それは変えられるようものではない …というもの。 彼女は父の考えを信じています。 そして、大好きな自然や動物や「書物」に会うために、それを大好きな父に話して聞かせるために、この時代へ来ているのだそうです。 危険を冒してまで。 マークはその話を信じたわけではありませんでしたし、そもそも彼女が嘘をついているかどうかなんて興味はありませんでした。 ただ彼女と一緒に、穏やかに話ができればそれでよかったのです。 この丘で彼女と会い、お喋りをして「また明日」といって別れる。 それだけの穏やかな日が繰り返されました。 そんなある日、彼女は姿をみせなくなります。 心配するマークの前にふたたび現れた彼女は、いつもの白いドレスではなく、黒い喪服を着ていました。 …お父さんが亡くなったの… そういって泣き崩れるジュリー。 しかも彼女は、無断でタイムトラベルした罪で時空警察に追われているのだそうです。 そのうえ、タイムマシンが故障しており、もうここへは来れないかもしれないと…。 別れ際、「また会えるよな?」と尋ねるマークに、ジュリーは答えます。 「そのつもり。でもダメだった時のためにこれだけは覚えていて欲しいの…」 「…あなたが、好きです」 その後、彼女がマークの前に現れる事はありませんでした。 彼はジュリーを探して街を訪ね歩きますが見つかりません。 家に帰ると妻がいますが、いつも考えるのはジュリーの事ばかり。 夫婦の会話は少なくなり、妻の不安そうな目はさらに深く暗くなっていきます。 そんなある日、マークは自宅でスーツケースをみつけます。 それは妻のアンが、結婚した際に唯一持ってきたものでした。 妻は中身については秘密にしていましたし、マークも開けて見た事はありませんでした。 彼は鞄を開けます。 そしてその中から現れた物は… …綿菓子と海の泡と雪を混ぜ合わしたような、不思議な白色のドレス。 ジュリーのあのドレスでした。 妻は、ジュリーだったのです。 時空警察に追われた彼女は、最後のタイムトラベルでマークの若い頃の時代に跳びました。 そしてそこでわずかな望みを託して、20年前の彼に会いに行ったのです。 …偶然を装って。 彼女が託したわずかな望み。 それは父親の理論でした。 ~時間とは唯一にして絶対であり、未来人が過去に戻っていくら干渉しようと、それは変えられるようものではない~ つまりそれは、未来も過去もなにも変わらない、変えられないという事。 マークの「私に優しくしてくれた」という好意は、過去の彼でも同じように持っているのだ…という願い。 気持ちは変わらない。 好きという気持ちは、現在過去未来…なにに干渉されようとも普遍で揺るがない…はずだ。 そんな願いを支えにして、彼女はマークの前に「戻ってきた」のです。 そして、���の不安そうにマークを見る目の訳にも気づきます。 彼女は、今年の休暇に、夫が丘で少女に恋をするのを知っていたのです。 それは彼女にとって、遠くせつない記憶です。 そして彼女は不安になったのでしょう。 年老いた今の自分と、若くはつらつとした20歳の自分。 愛する夫の目にはどう映るのだろうか…と。 妻の不安の理由を理解した瞬間、マークの頭からジュリーの事は消えていました。 彼は雨の街の中、帰宅する妻を迎えに行きます。 そしてふたりは20年ぶりに再開し、愛を確かめあったのです…。
おとといは兎を見たわ 昨日は鹿 - ネトゲで逝ってみよう
ぎゃああ。 あっーまあああぁぁぁあ~~い! って、これが「たんぽぽ娘」のあらすじです。
2 notes
·
View notes
Text
今日は着物を使ったリメイクを始めた理由についてお話ししようと思います。
そもそも着物は、日本で昔から身につけられていた伝統的な衣装です。冠婚葬祭などの儀式だけでなく、普段着としても身につけられていました。「着物」という日本語自体、「着るもの」という意味を持っています。
ところが、近代化により西洋の文化がどんどん と輸入され始め、少しずつ着物を着る人々は少なくなっていきました。西洋の服の方が動きやすく、簡単に着脱でき、仕事や作業などにも取り組みやすい、あるいはその当時の流行に乗ってというような、様々な理由があって、少しずつ着物は普段の日本人の生活から見られなくなっていったのです。
私が子供の頃も特別な儀式や冠婚葬祭の時には着物を着る機会がありましたが、それ以外の日常的な生活の中で着物を着用する機会は滅多にありませんでした。でも、 私自身は、若い頃から着物に惹かれ、ボーイフレンドとのデートの時には無理をして着物を着て、町に遊びに行ったりすることもありました。
現在ではほとんど日常の生活で着用されなくなった着物ですが、私の祖母や母の時代にはまだ日常的に着物が着用されていました。私の祖母は日本の伝統琴の先生をしていたので、特に普段の練習の時に着用する着物がたくさん家にあったのです。そんな祖母が亡くなって困ったのは私の母です。家には祖父や祖母の大量の着物が残ったまま、捨てるには惜しく、母はとりあえずタンスに着物をしまっておくことにしました。
私は着物が好きでしたので 時には着物を着てみたいなと思っていましたが、祖母や母の着物は私にはサイズが小さ過ぎて、着ることはできませんでした。
あるとき、母は思い切って古い着物を売りに出そうとしました。日本には セカンドハンドの着物の買取業者がいくつかあり、そこで見積もりを取ってみたにです。ところがあまりに安い価格しかつかずがっかりした母。着物のほとんどは絹でできています。昔の人が丁寧に絹糸をつむぎ、織って生地にし、それを和裁士が着物に仕立て上げます。たくさんの人が手作業で作り上げた着物は、本来であれば非常に高価なものでした。それなのに二束���文の値がつかない現実に、母はとても悲しみ、私に「もし好きな着物があったらカナダに持って帰っていいよ」と言ったのです。
サイズが小さすぎて私には着用できない着物でしたが、私自身、着物の生地や 布が大好きなので、もしかしたら何かに使えるかもしれないと思い、祖母と母の着物をスーツケースに入れてカナダへ持って帰ってきました。
そんなわけで、カナダの森の中にある自宅には大量の日本の着物が置かれることになったのです。しかし、仕事やガーデニングなど、他のことに忙しすぎて、なかなかすぐには着物を取り扱う時間が持てませんでした。
仕事が少しひと段落した 2024年の夏、ふと思いついて、おばあちゃんの着物を手に取ってみたのです。私には着用できないサイズであるものの、保存状態はとてもよく、少しシミや ほつれがあるものもありましたが 、ほとんどのものはすぐに着ようと思えば着用できるぐらいのコンディションにありました。中には 一度も袖を通していない着物もあるくらいでした。
しかし、たとえサイズが合ったとしても、カナダの森の中で日本の着物を着用することはあまり実用的ではありません。おしゃれをしたくても、そもそも人が周りにいないのです。鹿やリスやキツネなどの動物はたくさんいますけどね。そんな環境ですので、わざわざ着物で着飾る気分にはなれません。でも、もしこの着物をワンピースやサマー ドレスなどに作り替えることができたなら、きっと着心地のいい服になるだろうなと思いました。ほとんどの着物は絹 あるいは綿などの天然素材で作られています。そのため、軽く丈夫で温かく、静電気も起きにくいという特徴を持っています。何よりもとても肌触りがいいので、着心地のいいカジュアルな服に作り替えることができたなら、毎日でも着ていたいと思うだろうなと思いました。
そのようにして始めたのが「着物リメイク」だったのです。
着物リメイクはとても手間のかかる作業です。
まず、着物をほどいて生地の状態に戻します。昔の着物は手縫いで作られているのですが、とても丁寧に縫われているため、この糸をほどくのに大変な時間がかかります。糸を全て解いてしまった後は丁寧に水で手洗いします。絹織物ですので、洗濯機なので 一気に洗うことはできませんし、暖かいお湯で洗ってしまうと縮みや色落ちの原因となります。優しく丁寧に手洗いしてその後陰干しします。絹織物は日光にも弱いため、乾燥させる時も日陰で干すようにします。そして、半乾きの状態の時にアイロンをかけてきれいに伸ばします。
ここからがやっと本来の服作りの工程となります。
どんな服を作るのか決めたら、着物の柄が最も効果良く出るように型紙を配置して、そして注意深く裁断します。絹織物の種類にもよりますが、着物の多くは柔らかく薄くデリケートなので、裁断の時にも最新の注意を払わなければ まっすぐに切ることが難しいのです。
そして裁断が終わったら縫製に入ります。縫製の作業も一筋縄ではいきません。なぜなら、絹織物は柔らかくて滑りやすいうえに薄く、ミシンで一気に縫おうとすると、すぐに縫い目がずれてしまったりするのです。ですので デリケートな素材のを取り扱う時はあらかじめ手縫いで仮縫いしてから、ミシンで縫うようにしています。
また私は、端始末にロックミシンやジグザグミシンを使いません。出来上がった服も、表から できるだけミシンの縫い目が出ないように工夫をしています。着物はもともと手縫いだけで作られますが、本来の着物は表から見ても裏から見ても手縫いの縫い目が見えないような作りになっています。ですので、私も着物で服を作るときはできるだけミシン目が表から見えないように縫います。そのため縫い代の始末は手縫いで行うことが多いです。
このようにして古い着物を使った衣装が出来上がります。着物の1着分をほどいて得られる布の量はだいたい決まっているのですが、服を作成した後、当然ながらあまり布が出てきます。この余った布ももったいないのでできるだけ加工して、日常的に使えるように工夫しています。例えばバッグやポーチ、ヘアアクセサリー、ランチョンマッやコースターなどなど、色々なものに加工し直して、着物の生地を余すところなく使い切るようにしています。
このようにして作った衣装や小物たちを、気に入ってくれた方に是非とも使ってもらいたいと思い、このショップをオープンしました。
私の家庭のように祖父母や両親が残した着物の処理に困っている現代の日本人はたくさんいます。美しく、伝統的な歴史背景を持つ着物ですが、残念ながら現在の日本人の生活にはなじみません。そのため 多くの着物が安く取引されたり、あるいは廃棄処分となっています。そんな着物に新たな命を吹き込んで、また誰かに使ってもらえる、そして長い期間愛される着物になってほしいという願いを込めて、毎日着物生地で何かを作っています。
私のアイテムを購入してくださった皆さんが、いつまでもその衣装や小物たちを気に入って 使い続けてくれたなら、こんなに嬉しいことはありません。
1 note
·
View note
Text
4-1-6
すべての敵を倒す
フェイ
好危险,你没事吧?
危険だ、大丈夫ですか?
詩
真的是兔子耳朵……红红的,你是罗格斯的孩子吧?
本当にうさ耳……赤、君はラトガースの子供だね?
トト
是⋯⋯莫非两位姐姐是⋯⋯
はい……もしかして、あなたたち2人は……
フェイ
你好,我是罗塔探索部的引导员,我叫菲。我们是来找你的。
こんにちは、私はロータ発見部の案内係です。 フェイと申します。 あなたに会いに来ました。
詩
我是探索员诗歌爱瑠,你叫我诗就好。
私はサルベージャーの詩歌愛瑠、詩と呼んでください。
トト
菲姐姐,诗姐姐,谢谢你们。我叫安兔兔,平安的安,东兔西乌的兔。
シスター・フェイ、シスター・シー、ありがとうございます。 私の名前はアン・トトです。アンは 「平和」、トトは 「東のウサギ、西のウサギ 」です。
フェイ
东兔西乌?是一个成语吗?
東のウサギ、西のカラス? 慣用句ですか?
詩
是成语,兔子从东边升起,乌鸦向西边落下,是时光流逝的意思。
ウサギは東に昇り、カラスは西に落ちる。
フェイ
我知道乌鸦是飞在空中的,兔子也会飞吗?我好像没学过⋯⋯
カラスが空を飛ぶのは知っているが、ウサギは飛べるのか? 私は習ったことがないと思うが…。
詩
乌鸦是指太阳,兔子是指月亮。有传说月亮上住着兔子,所以才这么说。
カラスは太陽、ウサギは月を意味する。 月にウサギが住んでいるという伝説があるから、そう言われているんだ。
不过,我倒是不知道人还能长兔子耳朵的,这个是真的吗?
でも、ウサギの耳があるなんて知らなかったわ。 本当なの?
トト
兔子耳朵?是说头上的这个织胜吗?不是真的。
ウサギの耳? 頭についてるやつ? 違うよ。
詩
原来是头饰!我可以摸一下吗?看起来好好摸的样子!
ティアラなんですね! 触ってもいい? 似合ってるよ!
フェイ
啊,我也想摸可以吗?我排在后面就行。
ああ、僕も触ってみたいよね。 すぐ後ろにいるよ。
トト
摸一下?是可以⋯⋯不过两位姐姐为什么会想摸它?
触る? はい…でもなぜ触りたいんですか?
詩
倒也没为什么,就是好奇……
なぜか分からないけど、気になるんだ……。
小伏
--你们要对她做什么!不会是看到她像小动物就想抓走做实验吧?
--彼女に何をするんだ! 彼女が小動物に見えるからって、実験なんかしたくないだろ?
小伏
师姐说过看到这种白衣服的坏人一定要出手,这次就让我小伏来一一
シスターは、白い服を着た悪いやつを見たら、行動を起こさなければならないと言っていた。
……嗯?这个白衣服怎么眼眼熟,我好像在哪里见过……
……ん?この白いドレス、どこかで見たことがあるような……。
フェイ
我记得你,你是之前在广场晕倒的小伏,可可推荐你来做了探索员。
覚えているよ、さっき広場で気絶していた待ち伏せの人だね、ココが探検家として推薦してくれたんだ。
小伏
啊!你,你是那个,引导员一一呃……菲!
ああ!あ、あなたが、ガイドの一一ええと、その……フェイ!
フェイ
你想起来啦,太好了!你的探索员测试是荧荧引导的,可能对我没什么印象。
よく覚えていたね! あなたの探検家のテストは蛍光によって導かれましたが、私にはおそらくピンとこないでしょう。
小伏
什么啊,原来是自己人。放心,我有印象,小引导员老提到你。
えっ、じゃあ君は僕らの仲間なんだ。 ご心配なく、小さなガイドがあなたのことをいつも話していたのを覚えています。
フェイ
小引导员?是荧荧啊,荧荧提到我难道是说我很厉害?有点不好意思……
小さなガイド? フローレンスだよ。 フローレンスが僕のことを言ったのは、僕がいいってこと? ちょっと恥ずかしいわ。
小伏
差不多,“菲前辈救命”“菲姐姐帮帮我”“我需要小菲菲”,这样。
結構、「フェイ先輩助けて」、「フェイ姉さん助けて」、「フェイちゃんが必要」、などなど。
フェイ助けて」、「フェイ助けて」、「フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ、フェイ」という感じだ。
原来荧荧叫菲有三种模式啊,好有趣。
だから、フェイを呼ぶには3つの方法があるんだ。
フェイ
还是不要说我了,我们看看这个孩子吧。
僕の話はいいから、あの子を見よう。
小伏
我前面老远就看到她一个人,觉得奇怪才赶过来。
ずっと先に彼女が一人でいるのが見えたから、ここに来るのはおかしいと思ったんだ。
トト
姐姐好,我叫安兔兔。
こんにちは、私はアン・トトです。
小伏
哦,好!我叫结小伏,现在在罗塔修行。
ああ、いいね! 私の名前は結小伏で、現在ロータで練習しています。
詩
那我再���绍一下自己,我是诗歌爱瑠,大家都叫我诗。
自己紹介をさせてください。詩歌愛瑠、通称詩です。
小伏
你拿着武器,应该是探索员吧?那这个孩子也是探索员?
武器を持ってるからサルベージャー?この子もサルベージャーなのか?
フェイ
不是,兔兔是罗格斯医疗机构来我们这里治疗的孩子。
いや、バニーはラトガース・ヘルスケアが私たちに治療を依頼した子供なんだ。
我们先把兔兔送回去吧。小伏要一起回去吗?
まずはバニーを送り返そう。小伏は一緒に帰りたいのか?
小伏
要,我正好去吃饭!哦,对了,刚才误会了你们真抱歉啊!
はい、ディナーに行きます! そういえば、誤解を招いて申し訳ない。
0 notes
Video
youtube
【二刀流スーツ】セレモニーもビジネスも!おすすめのレディースパンツスーツ emile0361 #shorts #ママコーデ #レディーススーツ ...
https://www.emiledress.com/items/20846887
https://www.emiledress.com/
どんなシーンでも頼れる二刀流パンツスーツ!セレモニーもビジネスもこれ一着で完璧。 セレモニーもビジネスもOK!万能パンツスーツ卒業式・入学式・七五三などのママコーデから、通勤・食事会・面接まで幅広いシーンで活躍。高級感ある素材で、オールシーズン(春夏秋冬)着用可能。 女性らしい華奢見えシルエットノーカラーのラウンドネックが顔周りをすっきり見せ、バックスタイルはお尻や腰回りを自然にカバー。インナー次第でセレモニーにもビジネスにも対応。 スタイルアップを叶えるセンタープレスパンツ美脚効果抜群のセンタープレス入りパンツは、長時間の着用でも快適で、子供行事や発表会などフォーマルシーンでも上品な印象に。 ネイビー・ブラウンの落ち着いたカラー展開。自宅で洗えるので、忙しい日々でも安心して使えるのが嬉しい���イント。 体型カバー力と高見え素材で自信をプラスゆったり身幅で体型をカバーしつつ、きちんと感をキープ。子供のドレスとリンクコーデも楽しめる万能デザイン。 セレモニー、ビジネス、オケージョン、入学式、ママスーツ、パンツスーツ、通勤、オールシーズン対応など、どんな場面でも活躍するレディースパンツスーツです。 【ジャケット】 S 着丈68cm、 バスト106cm、 ウエスト51cm、 肩幅39cm、 袖丈50cm、 袖口28cm M 着丈69cm、 バスト110cm、 ウエスト52cm、 肩幅40cm、 袖丈51cm、 袖口29cm L 着丈70cm、 バスト114cm、 ウエスト53cm、 肩幅41cm、 袖丈52cm、 袖口30cm XL 着丈71cm、 バスト118cm、 ウエスト54cm、 肩幅42cm、 袖丈53cm、 袖口31cm XXL 着丈72cm、 バスト122cm、 ウエスト55cm、 肩幅43cm、 袖丈54cm、 袖口32cm 【ズボン】 S 総丈100cm、 ウエスト66-76cm、 ヒップ94cm M 総丈101cm、 ウエスト70-80cm、 ヒップ98cm L 総丈102cm、 ウエスト74-84cm、 ヒップ102cm XL 総丈103cm、 ウエスト78-88cm、 ヒップ106cm XXL 総丈104cm、 ウエスト82-92cm、 ヒップ110cm モデルサイズ Mサイズ着用 身長172cm 体重52kg バスト83cm ウエスト64cm ヒップ88cm 透け感 なし 生地の厚さ 普通 伸縮性 なし 素材 ポリエステル100% カラー ブラック ネイビー ブラウン
0 notes
Text
ブランド 偽物 通販 vogvip.com/brand-2-c0.html CHROME HEARTSブランド 偽物 通販
クロムハーツ CHROME HEARTS 2023 ブルゾン メンズ ジャンパー アウター 軽量 薄手 ブランドコピー 売れ筋のいい クロムハーツのこのジャケットは贅と個性が極まっています。ジャケットのデザインは芸術的でラグジュアリーで、細部に至るまで高級感が感じられます。外観は、ジャケットに華やかなレザー素材を採用し、繊細な彫刻や装飾が施され、比類のない質感を演出しています。あるいは高級なシルクやウールなどを使って、優雅で贅沢な雰囲気を醸し出しています。 ブランド 偽物 通販 vogvip.com/brand-2-c0.html CHROME HEARTSブランド 偽物 通販 色は、ゴールドやシルバーなどのメタリック系を選んだり、ダーク系とメタリック系を組み合わせたりすると、独特のビジュアルになるかもしれません。装飾は、ジャケットの銀の装飾がより精巧で復雑で、宝石、真珠などの要素が埋め込まれる可能性がありますが、それは本当の芸術品になります。ディナーやパーティーなど、特別な場所で着るのに適したジャケットです。華やかなドレスやパンツスーツを合わせることで、着る人の気品やセンスを演出することができます。単なる服装ではなく、身分や地位の象徴です。 スーパーコピー 優良サイト vogvip.com ブランドコピー 商品番号:vogvip2023CHR-WT048 在庫状況: 50 会員価格:19600円 商品ブランド:クロムハーツ CHROME HEARTS 出品時間:2023-09-20 商品カテゴリ:ジャケット パーカー セーター コート CHROME HEARTSブランド 偽物 通販 vogvip.com/goods-11004.html クロムハーツセーター コピー ブランド VOGVIP.COM へようこそ。 ▲新規会員登録された方に色々な割引サービスを差し上げます。 ▲当店ではご注文日から翌営業日までに当店よりお客様宛てに必ずご注文のお礼メール・ご注文確認メールを送信させて頂いております。 ▲当店メールアドレスが届いていないお客様の中には、サーバーにて迷惑メールと判断され、迷惑メールフォルダにメールが届。 ▲もし本当に届かなかった場合には[email protected]までご連絡くださいませ。 vogvip.com専門店(クロムハーツシルバー アクセサリーブランド コピー 販売):2024夏春物先行発売 クロム ハーツシルバー アクセサリー専門店。世界中の有名人やファンを虜にするクロムハーツ スーパーコピー(CHROME HEARTS)。 シルバーアクセサリーの高級ジュエリーブランド。世界中で圧倒的存在感を放っています。本店ではクロムハーツ 偽物ブランド最高級品質のアイテムを豊富に取り揃えます。クロム ハーツ ネックレス コピーやクロム ハーツ リング コピーなどの シルバーアクセサリーを中心に、クロムハーツ バッグ コピー、クロムハーツ 財布 コピー、クロム ハーツ パーカーコピー、靴、サングラス、ズボン、帽子、ジャケット、ベルト、iphone ケース カバーなどのクロムハーツ コピーブランドを提供しております。品質保証で安心してご購入ください! CHROME HEARTSブランド 偽物 通販 vogvip.com/brand-2-c0.html クロムハーツブランドスーパーコピー

https://blog.eigyo.co.jp/Donnievip715/
0 notes
Text
YUKI SHIMANE 2024A/W pre-order 4/12(fri) start

こんばんは。
・
まずは早速だが明日からの営業予定をお伝えさせて頂く。

【4/8(月) 〜 4/14(日) 営業予定】
4/8 (月) 13:00〜20:00
4/9 (火) 13:00〜20:00
4/10 (水) 13:00〜20:00 ※
4/11 (木) お休み ※
4/12 (金) 13:00〜20:00 ※
4/13 (土) 13:00〜20:00
4/14 (日) 13:00〜20:00
※ 4/10(水)は臨時営業致します。
※ 4/11(木)は"YUKI SHIMANE pre-order"設営のためお休みをいただきます。
※ 4/12(金)〜4/15(月)にかけて"YUKI SHIMANE 2024A/W pre-order"を開催します。
・
この後紹介をしますが、来週末は"YUKI SHIMANE"の秋冬アイテムの受注会を開催します。
フルコレクションをご覧いただける機会となりますので、ぜひ遊びにいらしてください。

さて、先日のお休みの日。
半年ぶりくらいになってしまったが、例の月に2日間しかオープンしない本屋に遊びに行ってきた。
桜もちらほらと開花を始めた4月の始まり。
そんな咲き始めた桜を散らせてしまうような雨が降るなか、都市部から離れた閑静な住宅街へと赴いた。
・
最後に伺ったのが秋も深くなり始めた頃だった。
あれから冬が過ぎ、気がつけば春へ。
ずっと行きたいと思っていたのだけど、限られたチャンスしかないので、なかなかと伺うこともできず、ようやく春の始まりに伺うことができた。
・
桜雨の降る中、本を探しながら、コーヒーを啜り、オーナーとお話をする時間はとても贅沢な時間でもある。
この時間を楽しむために行っていると言っても過言ではない。
・
雨の音が静かに聞こえる店内で本を探していると、先日"YUKI SHIMANE"の展示会で見かけた書籍が目に入る。

江國香織 著 「流しのしたの骨」
・
実は週末から開催をする受注会に合わせて買おうと思っていた1冊だ。
偶然にも出会ってしまったのだ。
・
今回発表された"YUKI SHIMANE"の2024A/Wコレクションは、この「流しのしたの骨」のあとがきをインスピレーション源にしてスタートしたそうだ。
・
また、会場には村上春樹 著 「スプートニクの恋人」も置かれていた。
それについては会場で触れなかったけど、僕の記憶が正しければ、確か村上春樹の中では「スプートニクの恋人」が好きだと言っていたなぁと。
実は、そのタイミングで僕も村上春樹の「海辺のカフカ」の読み直しをしており、カバンの中に「海辺のカフカ」の上巻が入っていた。
恥ずかしながら僕の本棚には積ん読状態の書籍も数多くある。
その中で、なぜか急に「海辺のカフカ」をもう一度読み直そうと思ったのか。
・
些細なことかもしれないけど、二人の偉大な作家を通じた偶然の重なりにより、誠に勝手ではあるが、一層親近感の増したコレクションに感じている。
そんなコレクションを週末から皆さんにご覧いただけることをとても嬉しく思っている。
・
そんな訳で、「海辺のカフカ」を読み、そして、ようやく「流しのしたの骨」を読み始めたところだ。
なんだか、ユニークな一家のお話だ。
でも、冷静に考えてみると、登場する家族ほどユニークではないけど、どの家庭にも習慣のようなものがあるはずだ。
家族ルールってやつだ。
他人から見ると理解ができないことであったり、微笑ましいものだったり。
・
まだ3分の1程度しか読んでいないけど、このユニークな一家に引き込まれてしまっている。

会場には、そんなコレクションに纏わる書籍も展示させていただければと思っている。
・
折角の機会なので、服はもちろんのこと、そういった周縁のものにも触れてもらえると嬉しく思う。
いつもよりちょっとだけ深く、"YUKI SHIMANE"を楽しんでみて欲しい。

さて、前回もお話をしたけど、特に僕自身今回楽しんで見てほしいのがニットアイテムだ。
・
家庭用の編機を使って編まれたニット。
工場で生産された機械編みのニット。
同じく工場なんだけど、ホールガーメントと呼ばれる無縫製のニット。

どれもニットと一括りにしてしまえばそれまでなんだけど、それぞれにしか出せない良さがあって、そんなそれぞれの違いを実際に感じてもらえると楽しいのではないだろうか。
・
折角なら、ちょっと普段と見方を変えたり、少し深く知ることで一層素敵に見えたり、愛着��増したり、届くのが楽しみになったり。
一緒にそんな瞬間を共有できたら嬉しく思う。

また、こちらも前回のblogでお話をしたが、今季もシューズのオーダーが可能となる。

今回も2型。
素材3種でタッセルやシューレースを選ぶことが可能だ。

���カシンタイプ。
見た目のハードさに反し、軽くて使いやすい。
冬のアウターはシンプルで重くなりがちだから、靴で遊ぶ。
そんなイメージでデザインされているそうだ。
(こちらはシューレースをお選びできます。)

一方、フラットシューズはロマンチックな秋冬のお出かけのお供に。
ドレス過ぎず、でもどこか品があってロマンチックに。
日常からちょっとしたパーティーシーンまで。
とても素敵な1足だ。
(こちらはタッセルをお選びできます。)
・
実際に靴は試着してみないと分からないことも多いので、この機会にぜひ店頭でご試着いただければと思っている。
・
またその他のアイテムも見応えありだ。

ウール素材のジレワンピース。
ブラウスやニットに重ねて、もしくはコートのインナーにも。
シルエットが美しく見えるように計算された1着だ。
ポケットの位置のコード刺繍もアクセントに。

カーディガンタイプのカットソーということで、カーディガンなんだけど、ロンTeeのような感覚で装いに取り入れてもいけてしまうアイテムだ。

ハイウエストでもローウエストでも着用のできるパンツ。
装いや気分で使い分けてもできて便利な1本だ。

ポケット部分に施された刺繍もアクセントに。
ポケットから花が咲いているような。
そんな雰囲気が素敵では。
・
とまあ、この調子で全て紹介をしていたらキリがないので、あとはぜひ会場でご覧いただき、その魅力を感じてもらえればと思う。
・
それでは最後に改めて詳細を。
〔YUKI SHIMANE 2024A/W pre-order〕
日時���4/12(金) 〜 4/15(月)
時間:13:00 〜 20:00
会場:itocaci
・
それでは皆さん、ぜひこの機会に存分に楽しんでいってください。
それでは次回もお楽しみに。

1 note
·
View note
Text
’24年4/6(土)~8(月)『ミルフル×キュキュチャーム®アート協会WS』 開催♪
CucuCharm®︎(キュキュチャーム®︎) 『ミルフル×キュキュチャーム®アート協会WS』
一筆描きの様に一本で作るリースはまるでステンドグラス! ティアラを作るメンバーが考えたハートと四葉のクローバーが可愛いモチーフ❤ハッピーラッキーリース❤ お子様でもお母様と一緒にご参加くだされば、指とボンドしか使わないので、どなたでも楽しめます。 キュキュチャーム® アート協会会員様向け講習は、親子様でもお一人様でも2500円 その場で賛助会員にもなれますので、どうぞ遊びにきてください💖
【開催日時】 2024年4月6日(土)11~18 2024年4月7日(日)10~18 2024年4月8日(月)10~17 【会場】 SAi GALLERY(サイマーケット内1F)http://saimarket.com/ 〒173-0037 板橋区小茂根1-9-5 【東京メトロ副都心・有楽町線「小竹向原」駅徒歩3分】


ミルフルオリジナル講習のキュキュチャーム® プチは、一月開催時でも大好評!! ボディやチュチュの色もストーンも好きに選べるオリジナルチャームを作れます!! 1時間〜2時間でオリジナルチャームが作れますよ❣️(講習料3800円)


うさリーナはお好きな色とデザインチュチュを着せる事も可能です♪
色々、販売品もございます。 クレジットカード、PayPayなど各種お取り扱いできます!
★イベント詳細★
🔷4/6(土) 13:00〜18:00 ハッピー❤ラッキーリース講習(最終受付時間15:00) キュキュチャーム®プチ講習(最終受付時間16:30) 🔷4/7(日)10:30〜12:00 ハッピー❤ラッキーリース講習(最終受付時間12:00) 🔷4/7(日)14:00〜18:00 キュキュチャーム®プチ講習(最終受付時間16:30) 🔷4/8(月)10:30〜12:00 ハッピー❤ラッキーリース講習(最終受付時間12:00) 🔷4/8(月)13:30〜17:00 キュキュチャーム®プチ講習(最終受付時間15:00)
新商品の展示販売もございます♪講習以外はどうぞ時間内ご自由にお楽しみ下さい❣️ kawaii✨をテーマにした新デザイン 香りチャーム『inori-kaoru』 ロリータデザイン『petit-Loli』 そして くまリーナ♡ぶたリーナ♡に続く♡うさリーナ♡ ぜひ、ご覧ください!!
【講習申込先、問い合わせ先】 0156-62-5187 [email protected]
CucuCharm®︎(キュキュチャーム®︎)とは? CucuCharm®︎(キュキュチャーム®︎)は、平置きにしたバレエ衣装やドレスの上から見たデザインを1/10スケールで忠実��再現したバッグチャームです。 建築士としてのスキルを布細工に当てはめた作品制作を開始し2017年にブランドを立ち上げました。 資材として欠かせない資材であるレースを分解し、染めなどの着彩、そして組み合わせし直す再構築をする事で美しく軽いバッグチャームです。そして何度でも無料メンテナンスを受付ているので、安心してご使用いただいてます。
昨年、海外25カ国の選定員が選���OMOTENASHI SELECTION 2023受賞 その他海外作品展に出品などアート活動もしています。
小さなキュキュチャーム®︎も、リアルサイズの衣装でも、360度どこから観ても美しい『楽屋裏のない作品』が私たちの制作理念です。あらゆる障壁を超えるアートと手芸の世界観で、人にも環境にも優しい、未来の子供達に誇れる作品を創る。それが私たちの作品開発、販売におけるモットーです。
【開催日時】 2024年4月6日(土)11~18 2024年4月7日(日)10~18 2024年4月8日(月)10~17 【会場】 SAi GALLERY(サイマーケット内1F)http://saimarket.com/ 〒173-0037 板橋区小茂根1-9-5 【東京メトロ副都心・有楽町線「小竹向原」駅徒歩3分】

0 notes
Text
年末総決算
大晦日ですね。柚葵夜です。 早速ですが、毎年恒例の1年のまとめやっていきますよーーーー 【1月】 今年もFGOくんの福袋で運試し!→水着武蔵ちゃん!働いてもらおうね(真顔) ウマちゃんで正月キタちゃんとダイヤちゃんを同時抜きしてしまっっっっ ずっと厳選してた色コオリッポ出た!ピンクかわいいやったー!(なお♂) 社会人生活で初めて運休でカイシャを休むなぞした Dグレ原画展のグッズ届いたー!初めての万年筆(今だ未使用) 【2月】 ついったのサードパーティーアプリがどんどん死んでいく…… 大学時代からの友人氏が遊びに来た!遊び倒した楽しかった! 資格試験に再度挑戦。おちたおちたこれはおちた 【3月】 3月の最初はMSSPのツアーに参戦ですわよ!ライブ初め! 1年越しに推しのジャージ着て参戦できたー!よかったー! 2月に受けた試験、受かってました!危険物甲種わーい! 【4月】 しれっとリヴリーをはじめました。かわいい。 ヒトリエさんのライブ!初めての大阪BIGCAT! それと同時におサイコパスのPUストアも行ってきた!映画楽しみ! ヒトリエさんツアーファイナル福岡!友人氏も遅れて参加! あのファイナルは一生モンになりました!最高か???? 【5月】 おサイコパス劇場版!見た! 気が狂う!犯罪係数上がる!(褒め言葉) 推しウマちゃんのダイワスカーレットのドレス姿が可愛すぎる。罪。 【6月】 今年も私の時代だあああ(誕生月) おかしいあとなにも思い出がない(シゴトマッハ) 【7月】 ぽけすり始めた!みんなの寝顔が可愛い~~~~~ 蒼翠炎雷(通常版)届いた~!カッコよすぎて昇天 【8月】 友人氏��勧めでRRRを摂取しました。ナートゥをご存じになった からのインド料理屋でナンとカレーを摂取した。インド祭り🍛 【9月】 推しからの供給過多で溺れていた1ヶ月でした 【10月】 大学時代の友人氏達と旅行!今年は兵庫! 標準時子午線で反復横跳びは必須だよね(?) 【11月】 ヒトリエさんの新曲(ジャガノ)良すぎる問題 ヒトリエさんのツアー参戦!ツアー初日に参戦できるという初体験をした! 初めてのソロ東京!初めてのオフ会!初めての下北沢! 全部楽しかった!!!!!!!! 【12月】 ヒトリエさん大阪2days!最高の夜になった! 今年もやってきました友人氏との飲み会! カキ小屋!バー!バー!〆のラーメン! こちらも最高の夜になったぜ!ありがとうな! はい、というわけで1年のまとめでございました! ここ数年は毎年充実を更新していっている気がします!(?) 来年も推し活いっぱいするぞ! このブログ共々よろしくお願いいたします! それでは今年はここら辺で!ではでは! 20231231
0 notes
Text
P3 Club Book Ken Amada short story scan and transcription.


天田乾子供化計画
「別にいいじゃないですか!順平さんには関係ないでしょ!?」
ここは月光館学園の施設、綾戸台分寮の1階。カウンターの方角から聞こえてきた大きな声に、ラウンジでくつろいでいた面々が、何ごとかと目を向けた。声の主は、月光館学園初等部の天田乾。そのそばでは順平が、にやにやと意地の悪い笑みを見せている。
「いーや、関係あるね。いいか、天田。まだまだ子供のお前が、大人ぶりたい気持ちはよぉーっくわかる。オレだって覚えがある」
「別に大人ぶってるわけじゃ······!」
「まあ、聞けって。子供時代にちゃんと子供であることを十分に楽しめないと、やっぱ人間ってのは歪んじまうんだよ」
「······順平さんみたいにですか?」
「うぐっ、そ、そういうとこがガキらしくねえってんだよっ!」
どうやら、いつも大人びた天田の態度に対し、これまたいつものごとく順平が何かいちゃもんをつけているらしい。
「そもそも、順平さんの方が子供っぽすぎだと僕は思いますけどね。真田さんや美鶴さんの落ち着きを見習うべきなんじゃないかなあ?」
「オレはいいんだよ、オレは。つーかな、オレはホントに心配なんだよ······」
「心配?」
いつになく真面目な口調の順平に、不機嫌そうに顔を背けていた天田も、ようやく聞く気になったのか口調を和らげた。
「······どういうことです?」
「いや、お前さ、いつも学校終わってから寄り道もしないですぐ帰ってくるし、どこか出かけたと思ったらひとりで神社に行ってるていうじゃんか。フツーお前くらいの年だと、やっぱ友達と遊びまわったりとかするもんだろ?さすがに心配になってくるって」
「それは······」
順平の心配には、天田自身にも心当たりがあった。確かに、いまの彼には我を忘れて級友と遊ぶような、心の余裕はない。それは、亡き母に対して誓った、悲願を現実のものにするためのストイックな覚悟ゆえ。しかし、それを順平に教えるわけにはいかない。だから。
「別に、心配してもらわなくても平気です」
天田は、そう言うしかない。だが、それでも順平は諦めなかった。
「いかん。いかんよ、キミ!」
「な、なんですか」
「まったく、大人ぶってるくせに、そういうところはガキっぽいんだからな~」
かちん。
その言葉が、天田の心の中の何かを刺激する。
「······わかりました。別に子供っぽいと言われたからって訳じゃないですよ。それに、子供らしくないって言われたって平気ですし。それこそ、その程度でムキになるほど子供じゃないですから。でも、そこまで順平さんが言うなら、歳相応に見えるようやってみますよ。で、いったい僕は何をやればいいんですか?」
つい勢いで、順平に啖呵を切る天田。ラウンジの方では、ゆかりが「あーゆうとこ十分子供らしいよね?」と小声で言い、風花を始めとした面々もうんうんと肯定するが、そのやり取りは天田と順平のもとまでは届かない。 そして。
「よっし!よく言った!」
順平はそう大声を張り上げ、すっくと席を立つ。その顔には、しめた、といった感じの表情が浮かんでいた。ぞわり、と不吉な予感が、天田の背筋をかけのぼる。
「ちょ、ちょっと待······」
「男に二言は、ねえよなあ?」
「うぐっ」
引き返すには、やや遅すぎた。そして天田の予感は、最悪の形で的中していたのだ。
「で······何なんですか、これは!」
「くっくっく、よく似合うぜ~」
ラウンジの真ん中で、天田はすっかりさらし者になっていた。子供らしさはまず形から。そう主張する順平に言われるまま、天田は服を着替えさせられていた。真っ白なランニングシャツに、ちょっと古くなったデザインの半ズボン、頭には麦藁帽子という、昔懐かしの田舎の子ファッションである。どういうわけか、虫取り網に膝小僧のバンソウコという、オプションまでもがちゃっかり用意されていた。
「いや、実はこないだちょろっと実家に帰ったときにさ、オレが昔着てた服が大量に掘り出されてな。天田に着せたらどうなるかなー、とか思ってたもんで」
「要は······順平さんの暇つぶしなんですね? はぁ······満足ですか?じゃ、脱ぎますね」
それこそ子供らしくない深い溜め息をついて、天田はもとの服に着替えようと踵を返した。だが、その両腕をぐっと引き止める者がいた。
「しつこいですよ、順平さ······って、ゆかりさん?風花さん?え?」
引き止める手の主は、意外な人物。ゆかりと風花のふたりだった。何かをぐっとガマンしているかのような、やや紅潮した顔で、ふたりは声をハモらせて絶叫に近い声を出した。
「かわいいっ!!」
「え?え、えっ?」
予想外のリアクションに、天田はすっかり言葉を失っている。だが、盛り上がった女子ふたりのテンションは、間断なく上がり続ける。
「次、これ!これ着てみて!ちょっとストリート風のやつ!」
「ううん、こっちが似合うよ、ゆかりちゃん!ほらお坊ちゃんって感じのブレザー!」
「いえ、あのおふたりとも、落ち着」
「いやーん、何このピンクのベスト!順平、子供の頃こんなの着てたの?もったいない!天田くんに着てもらわないとっ!」
「ゆかりちゃん、ほら!黒のハイソックス、ハイソックス!これは外せないよっ!」
「わ、わ!勝手に脱がせないでくだ」
「た、岳羽······この袖が長めのハイネックなども捨てがたいと思うのだが······」
いつの間にか、美鶴までもが参加していた。
「まったく······ 女性というものは、幾つになっても着せ替え人形が好きなんだな」
「え······ええっ!?」
よりによって、憧れの真田にお人形さん扱いされ、天田の心に絶望感が押し寄せる。だが、脱力するにはタイミングが悪かった。抵抗が弱まった天田に、女性陣がこれ幸いにと群がって、あれこれと服を合わせ始めたのだ。
さすがに天田の人格を考慮してか、下まで脱がされることはなかったものの、次から次へと服を着せられ脱がされて、天田の心にもういいやという諦めの感情が芽生えかけたそのとき。
「ちょ、ちょっと待っててね」
風花がそう言うと、もの凄い勢いで上階への階段へ向かって走り去った。思考能力が鈍った天田が、ここで危険を察知し得なかったのは、一世一代の不覚だったと言えよう。やがてさほど時間を空けずに戻ってきた風花は、いくつかの紙袋を抱えていた。
「こ、これ!これ着てみてっ!!」
そこでようやく、鈍りきった天田の頭の歯車がカチリとはまった。
風花は女性→風花が服を持ってきた→持ってる服はおそらく女物→その服を着せられようとしている→自分は立派な男の子☆
神経回路がそれだけの情報を伝達し、最悪の事態を避けるために手足を動かす信号が発されようとしたときは、既に事態は終了していた。
「か、か、かわいいっ!!」
「うわ······めちゃくちゃ似合う······」
「あ、天田······写真を撮ってもいいだろうか?」
ややロリータ風味が入った、薄いブルーのブラウスと、それに色を合わせたフレアスカート。腰の部分には大きなリボンが添えられ、裾や袖などいたるところにフリルがあしらわれた、可愛いとしか形容できないドレスであった。
「ほぉ······」
「うわ、マジかよ?」
「山岸······やるな」
どうやら男性陣にも、かなり受けがいいようだが、それは何ら慰めにはならない。そして、無言でプルプルと震えるばかりの天田に、アイギスのひと言がトドメを刺した。
「大変、お似合いであります」
「うわあああああああああんっ!!」
見事な逃げっぷりだった。残像すら見えるかという勢いで、天田は2階の自室へと逃げ出したのだ。不覚にも、目には涙が浮かんでいた。
「あ······やば」
「ちょっと、調子に乗りすぎたかな?」
天田の慟哭に正気を取り戻したゆかりと風花を始めとして、そこにいる全員がやりすぎたという表情を見合わせるが、それは後の祭りである。たまだ、この事態の元凶である順平ひとりだけが、いまだに腹を抱えて笑っていた。
「ちょっと、順平。そんなに笑っちゃ悪いよ」
「くっくっくっく······。これが笑わずにいられるかっての。あの天田が泣いて逃げ出したんだぜ?いやー、あいつの子供らしいところが見れて、お兄さんちょっと安心したぜ」
「ホント、大人げないヤツ······知らないからね、天田くんに仕返しされても」
「ま、子供の仕返しなんざタカが知れてるから大丈夫だって。むしろ、オレにイタズラ仕掛けるくらいになれば、アイツも歳相応で余計に安心ってことなんじゃねえの?」
「そう······かなあ?」
周囲の心配をよそに、順平はまったく悪びれたそぶりはなく、むしろ善行を施したと信じている様子である。だが、順平は甘く見ていた。母の復響を胸に生きる小学生が、本気になったらどれほど恐ろしいことになるか、彼はまったく知らなかったのである。
「······っんだ、こりゃああああ!?」
翌朝、寮の中に順平の絶叫がこだました。あまりの悲痛な叫びに、すでに朝の準備を終わらせていた寮生たちが、いったい何ごとかと順平の部屋の前に集合する。
「順平?開けるぞ?」
代表してドアを開ける真田。散らかりきった順平の部屋が、彼らの前にあらわになる。そして、そこに皆が見た物はー。
色とりどりのペンで、顔中に落書きをされた順平の情けない姿であった。一瞬にして、全員が昨日の天田の悔しそうな泣き顔を思い出す。
「ぷぷっ!れ��っそく仕返しされてんの!」
真っ先にゆかりが噴き出した。
「笑ってんじゃねーよ!これ、洒落になんねえぞ ······アイツ、全部油性で書きやがった」
拭いても拭いても落ちない落書きに、順平は心底弱りきった声を上げる。落書きの内容も、へたれ、根性なし、変質者、禁治産者、 などなど小学生としては高レベルなボキャブラリーを駆使している。トレードマークのアゴひげの部分には、矢印でポイントされた上に「カビ」とか書かれていた。センスもなかなかである。
「くっくっく、子供の仕返しはタカが知れてるんじゃなかったっけ?あんたさ、昨夜ひとりだけ天田くんに謝りに行かなかったでしょ?言わんこっちゃない」
「っくしょ〜!天田!天田はどこだ!」
「もう、 とっくに登校したわよ。あ、そうだ。もういい時間じゃない。アホの順平に構ってるヒマないわ。行こ、風花」
その言葉を合図にしたように、皆はそれぞれ登校するために散っていった。順平ひとりが自室に残り、天田に対する恨み言を呟きながら、ごしごしと必死に顔をこすっている。
「あの野郎······放課後に折檻してやるっ!」
逆恨み風味で、そう宣言する順平であったが、その言葉は実行されることがなかった。そう、本番はそれからだったのだ。
「だ、だいじょぶ順平?何が魂抜けてるよ?」
昼休み---ゆかりの心配そうな言葉どおり、順平はすっかり憔悴しきっていた。朝の騒ぎのあと、天田が仕掛けたさまざまなトラップが、連続で順平に襲い掛かったのだ。
まず、服を着てカバンを持ち上げようとしたら、机に接着剤で固定されていた。寮を出ようと靴を履いたら、靴先にマヨネーズが詰められていた。駅に着いたら、遺失物の掲示板に「パンツ 伊織順平様」と書かれ、道行く女生徒やOLが笑いを噛み殺していた。学校に着いて上靴に履き替えたら、今度はケチャップが詰められており、シャーペンには芯に見せかけた針金がつめられ、消しゴムにはシャーペンの芯が仕込まれ、教科書を開くと中に挟まれたエッチな写真が落ち、体操着はしゃがむと尻が破れるような細工がされていた。トドメについ先ほど、別クラスの顔も知らない女生徒から、「あのさ、こういうキモイ手紙やめてくれる?マジ迷惑なんだけど」と、 まったく出した覚えのなラブレターに関して、クラスメイトの目の前でなじられ、ついに順平は根を上げた。
「もう······オレ駄目······死にてえ」
ちょっとだけ、その子がチドリに似ていたのも���順平の落ち込みに拍車をかけていた。と、そのときだった。
「あの······伊織先輩、いますか?」
教室前方の入り口から、仕掛け人の天田本人が姿を現わしたのだ。
「あ、天田!てめえっ······!」
と順平が立ち上がろうとしたとき、 先手を打って天田がこう言ったのだ。
「い、伊織先輩······ご、ごめんなさい!」
「へ?」
「お、怒らないでくださいっ!ちゃ、ちゃんとパン買ってきました······から······ぐすっ」
「え?え?」
うっすら涙を浮かべる天田。予想外の事態に焦ある順平に、周囲からの視線が突き刺さる。
「え?もしかしてイジメ?」「うそっ、あんな小さい子を?」「伊織くんサイッテー」
どう見ても、 順平が悪人にしか見えない。慌てる順平は、急いで天田のもとに駆け寄り、小声でささやいた。
「わかった!オレが悪かった!もう勘弁してくれ!明日から学校来れねえよぉ······」
折檻してやると言った勢いはどこへやら、情けなく順平は許しを請う。それを見た天田は。
「僕······すごく傷つきました」
「う。わ、わかってるよ。マジ悪かったよ」
「······欲しいゲームソフトがあるんですよ」
「なっ!?てめ、こら、ゆする気かよ!」
「ごめんなさいー!ぶたないでー!」
「わ、こら、やめ、ちょっと、わかったよ!」
すっかり天田に翻弄される順平。
「くっそう······めちゃくちゃマジになりやがって······大人げねえぞ!······あ」
その順平の失言に、してやったりといった表情を浮かべて、天田はにこやかに言った。
「僕、 子供ですから」
その笑顔は、まさしく子供らしく、それゆえにけっこう恐ろしいものであった。
結論---天田は怒らせないほうがいい。
7 notes
·
View notes
Text
3 months
先日誕生日を迎え、16歳になりました。アメリカでの16歳は車の運転ができるようになるなどとても大きな歳で、また新しい文化に触れることができました。
友人とお出かけをし、ショッピングや少しいいところにディナーを食べに行きました。とても楽しくて、街中でもドレス可愛いねとか褒めてくれる文化がとても好きです。また、この日の午前中には初めてする陶芸体験をしました。思ったよりも難しくて楽しくて、ここにきて新しいことにチャレンジをすることができてよかったなと思いました。また機会があれば、というよりは自分で機会を作ろうと思うのですが、日本に帰ってからもやってみたいと思いました。
そして、今日はOhio stateというオハイオ州の中でもとても大きい大学のフットボールチームの試合を見に行きました。ホームでの試合が今季最後というのもあり、席はソールドアウト、そして会場はとても大きく盛り上がりもオリンピックかと思うくらいすごい熱狂的でした。私用では初めてこういう大きな試合を見に行けて、また新しくひとつアメリカの文化に触れることができてよかったなと思います。
スポーツが地域を繋げる、ということが大切なことだと感じることができました。スポーツに興味がある人からない人まで、子供からたくさんの世代に愛され、スポーツがファンのコミュニケーションを築き上げられているということに感激しました。私は今まで地域愛、地元愛というものを感じてこなかったのですが、今回のスポーツやたくさんの人とのコミュニケーションを元に愛郷心、地元愛が強いことってすごいことだなと身をもって感じました。街中で、OHというと必ず周りの人がIOと返してくれるという文化にも驚きました。東京では考えられなかったことだなと笑
ここにきてから4ヶ月が経ち、ありがたいことにたくさんの方がホームシックはない?とか大変なことない?など心配をしてくださります。その度に、あ、私すごい窮地に迫られるような苦労をしてないという実感が湧き、それと共に苦労や大変なことはあっても自分を変えたいのに何も変わってないのではっていう焦りが少しずつ出ていました。その焦りのことを話すと、全員がそれは私の能力、いいところだよ、焦らなくていいんだよ、と言ってくださり心の底から「あ、そうなのか」と不意に落ちました。確かに今までの人生でもすごく辛かったことがあるかというとないような気もして、今まで大変だったり苦労したことはあってもそれを辛いとは思わないでポジティブに考えてきたからかなと自分なりに焦りの原因を解決できました。今までも今がもし辛かったとしてもその後その辛い分は幸せなことがいつかはくるからそれまでは頑張ろうとかって思っていたら、逆に辛さのないことやそう感じれないことはいいことなのかと考えているうちに焦りを感じてしまっていたのかなと。自分自身のことをちゃんと見つめられるこの留学という機会で焦らず成長をもっとしていきたいなと思いました。これも一種の成長なのかなと。毎日少しでも成長を重ね続けられる人になりますように。そして、そうそう上手くいかなくても続けてみたり手段を変えてみたりして、自分から逃避をしすぎない人になりたいなと思いました。いつもどんな時も環境に自分は恵まれていると思います、本当に感謝がしきれないです。今度は感謝を恩返しする番になります。
自分の夢をキラキラした目で語る人。それが私の今の夢です。
1 note
·
View note
Text
ある画家の手記if 佐伯岬/春輝視点 告白
わたしを見つけて
佐伯岬:
光は人が好きだった。
妻の昴が持病の具合がよくなくて光を見ていられない日、僕は仕事で行くパーティに幼い光を抱えて連れていった。 子供用のかわいいドレスを着せて、髪の毛は僕が編んだ。 会場に着くと光はすぐに僕の腕から降りて、会場をとことこ歩き回り、途中から靴擦れで足が痛くなったのか靴を脱いで裸足になって、あちこちの人に笑顔でシャンパンや花を配って回った。途中でパーティの主催者に光にそういうことをさせてもいいかと聞かれて、僕も了承した。 接してくれる誰もが光を笑顔で可愛がり、あたたかく迎えてくれた。 しょっちゅう誰かにお菓子か何かをもらっては、遠目に見ている僕のところへ光はいちいち走って戻ってきて「もらった」といって僕にもらったものを一つずつ丁寧に見せてくれた。 「おとうさんがもってて。たべてもいいよ。これとこれはたべちゃだめ」光に荷物持ちにされて細かく指示を受ける。 「はい。いってらっしゃい」笑顔で受け取って光を送り出す。昴に似てとてもかわいい。僕がそういうといつも周囲は「いや、お前に似てる」と返してきた。そうかな? そういう場で春輝とも出会った。光に声をかけられた春輝はまだ学生だった。春輝も親に連れられて来場していた。
昴が病気で寝込むことが多い以上、お手伝いさんを雇ったりするべきだったのだろうけど、そこまでのお金がなかった。なんとか僕が仕事を調整すれば光のことは見ていられたし、家事はもともと僕が好んでしていたから、うちは僕と昴と光の三人家族だった。 それより以前は存命だった僕の父も一緒に暮らしていたけれど、影で光によくない悪戯をしようとしているのに気付いてからは父には出ていってもらい、そのまま親子の縁を切った。 僕はそれ以来、ほとんど勘当されたも同然の身になり、莫大な財産に支えられた生活は終わった。 その後は父ではなく僕個人と繋がった人脈でなんとか仕事を続けて稼いでいた。培った仕事の要領でそれなりの年収はあったものの、昴の医療費にかなりの額を確保しておく必要があったため、暮らし向きはどこにでもある中流家庭の域を出るものではなかった。 その点では財産を丸々失ってしまうため昴には申し訳ないことになると思ったが、僕が昴に事情を話すと、昴から言い出してくれたのだった。 「私たちが出ていくか、お義父さんに出ていってもらいましょう」
僕一人にえらく負担がかかっているように周囲からは見えたようだったけれど、光の面倒を見る時間は僕には癒しだった。 光は僕のいない時間は昴の寝ている布団のまわりで転がりながら、折り紙をしたり絵を描いたり本を読んだりして過ごし、昴は体調のいい日には光と一緒にそういうことをしたり、もっと難しい折り紙や一人遊びを教えたり、本を読み聞かせたりしていた。
僕は仕事から帰ってくると昴の寝ている部屋に顔を出す。光がいない。「光はどこかな?」「さぁ、岬さんの車が帰ってくる音が聞こえたら急にどこかに行ってしまって…」 これが僕と光の日課だった。 僕が帰ってくる気配がすると光は家の中のどこかへ隠れる。僕が光の名前を呼びながら家中を探し回る。 光は運動神経もいい上に極端に体の小さな子だったから、思いがけない場所によく隠れていて、真剣に探しても見つけるのはなかなか簡単ではなかった。 光の隠れ方もたまに巧妙に裏をつくようなものだったりして、洗濯籠に洗濯物に埋まって隠れている光の上から脱いだ服を気づかず僕は投げ入れていたり、帰ってきて無造作に放っていたままのコートの下に隠れていた光を危うく踏みつけそうになったり。 足場もない高い箪笥と天井の隙間の影にいたり、戸棚を一つずつ全部開けたらその中の一つに実にうまく体を曲げてコンパクトに手足を折りたたんでおさまっていたりした。 賢いのか天然なのか、とにかくいつも光は何事にも真剣で一生懸命に取り組んでいた。 ある時は隠れるためにあまりに高い場所に登ったせいで一人で降りられなくなって、いつまでも僕が見つけられずにいると光が僕を細い声で呼んだ。僕は笑って梯子を持ってきて光を抱えて床に降ろした。 それでもやっぱり子供だから簡単に見つけられる日もあった。けれど僕は見つけられないふりをしてしばらくの時間、家をわざとうろうろした。 「光はどこいったのかな?」「隠れるのが上手だね」「大人の僕でもこれはとても見つけられない」「光は賢いなぁ」そんなことを隠れているつもりの光に笑顔で言いながら。
どんな些細なことでも、光に一つでも多くの成功体験を積ませるため、僕は光をいつも褒めた。 この子が人を好きになってくれたら。 屈託なく誰にでも心から笑えて、人の善性を信じ尊んで大事にするように育ってくれたら。 もちろんいつまでもそれだけではいけない、けれどこの年齢ならまだ子供を守るのは僕や昴や大人の役目だ。先に信じることを、疑うことは後からいくらでも身につけられる。この世界への安心感と揺るぎない信頼をまず光にあげたかった。 光は僕と昴の愛情に育まれて、天真爛漫で素直な素晴らしい子に育ったし、僕も昴もそんな光の成長に日々を支えられていた。
ある日を境に、僕は光をパーティに連れていくことをやめた。光は行きたがったけれど、もう二度と同じような思いはしたくなかった。 パーティ会場で幼い光に多くの人が善意でお菓子やかわいいキーホルダーや着けているアクセサリーをくれた。光はいつも僕にそれを渡していって、中にあまりに高額そうなものが混じっていたら僕が帰り際に主催者に持ち主に返してくれるよう頼んで預けて帰った。 ある日、光が僕に渡したその中にコンドームの箱が一つ混じっていたのだ。誰が光にこれを渡したのかは結局分からずじまいだったものの、あまりの不快感と吐き気で僕はすぐに光を連れて帰って、二度とそういう場所へは連れていかなかった。
光が平均的な子供より可愛らしい容姿をしていることは親の欲目を捨てても理解できていた。 子供服のモデルのスカウトや、テレビでちょっとした子役に出してみないかという話がよく人づてにきたが、僕はそれらをすべて断ったし光にも教えなかった。 なんであれ子供に自分で金を稼がせることは慎重にしっかりした教育下で少額から少しずつ経験させていかなければいけない。労働や消費対象になることなども含めて、どんなに条件のいい話でも僕には許容できなかった。
光は、止むを得ず僕がほんのすこし目を離したタイミングで、誘拐されかけたり連れ去られそうになったりしていた。そのすべてを僕が間一髪で防いではいたものの、そういうことは光が成長するにつれて頻度を増した。まだ裁判沙汰にまで至らないし、すべて相手に逃走されて終わっていたとはいえ、僕にとってはすべて重大なただならぬことだった。
光にとってもどこかでストレス要因になって積もり積もったものがあったのか、それともまったく別の何かからなのか、光は自分の指や爪を噛んで、ちぎったり皮を剥がしてしまうようになった。 指先が血みどろになっても光はやめなかった。 とめる間もなくすぐに癖付いてしまった自傷をなんとかしようと、僕は空いた時間に光を抱きかかえて優しく揺らしながら家の中を毎日散歩した。 光は静かに揺られながら僕の首筋の肌に噛みついてじっとしていた。そのうちうとうとして、眠り込んだ光を昴の布団に入れる。 僕の首筋には鬱血した噛み痕が残ったけれど、光の指先に比べればどうというほどのものでもなかった。 なにかを噛んでいると光は安心するようだった。
その頃からすこしずつ、光の問題が浮かび上がってきていた。 知らない人についていってはいけないとか、物をもらってはいけないと言い聞かせても、光はそれを理解できなかったのか、何度も似たようなことを繰り返してしまった。 叱らずによく話を聞いたが、総じて光は加害者を「やさしくていいひとだった」というふうに屈託なく笑顔でそう評した。 僕が、育て方を致命的に誤ってしまったのか。悩んだ末に、光に危険な存在や行為や悪意についてそろそろしっかり教えなければと思った。光は人の言うことをいつだって真剣に聞くし、僕のことを誰より信頼している。根気強く教えればいい。 もし光にそれらを理解できない何か重大な問題があるのならそのように接して、光が生きていく環境を僕がある程度整えなくてはいけない。 酷いことが起きないように僕が目を光らせながら、僕がいつか居なくなっても光が生きていけるように、信頼できる伴侶や守ってくれる存在を見つけて、いつか僕からその人たちへ光を託さなければ。 このまま順当にいけば僕の方が光より先に死ぬことは明らかなのだから。
***
佐伯春輝:
岬さんが出張先の海外で起きたテロに巻き込まれて亡くなって、僕は遺された昴さんと結婚した。昴さんはまだ若いけれど僕よりはずっと歳上だった。 僕には岬が一人でなんとか仕事をして稼いで暮らしているのが理解できなかった。勘当されたとかいう話は聞いたけれど、なんでそんなことになったのか、光もいて、昴さんの医療費もあるんだし、佐伯の実家に頼るのが一番だろうに。 そう思って、結婚してすぐに僕は絶縁状態になっていた佐伯家へ出向いて、資金援助と和解を申し出た。 岬は不利な要素を抱えても一人で中流家庭並みの暮らしを実現させていたけど、僕はまだ若いし、とても岬の真似事はできなかったから。 そうして僕は佐伯の家の跡継ぎになった。一人息子の岬に去られて佐伯家は今後どうするかで揺れていたから、僕の申し出は歓迎された。ただやっぱり僕は頼りなかったのか、佐伯の家から受け入れられている感じはしなかった。 僕はすこし気が弱いし、あまり自分に自信もないし、自分でもこれからどうしようか途方にくれることが多かった。 それで僕は光を使うことにした。 幼い頃に僕にパーティ会場で花をくれた。初対面から光は僕に好意的だった。 僕は光に家でも人前でも僕を「お父さん」と呼ぶように言いつけた。光は断固としてそれを拒否し続けていたけど、一度ベッドに無理やり連れ込んだら以降はおとなしく言うことを聞くようになった。 それでも光は「おかあさんのお部屋にいたい」と言ってしつこかった。実際、昴さんは岬を亡くしてから持病を拗らせていたし、光はそんな母親のそばについていたかったのだろうが、僕はそれを許さなかった。 僕の目を盗んで母親の部屋にいた光を抱えて連れ出し、「そんなにべったり一緒にいたらお前にも病気がうつってしまうよ、昴さんはそれを望むかな?」と説いた。 それから光は遠くの廊下から母親のいる部屋を毎日じっと見つめているだけになった。 それから一度も昴さんと光は会えないまま、昴さんはあっけなく亡くなった。 家��は僕と光だけになった。
光はその頃まだ小学生だったけれど、成人女性の色気とも種類の違う独特の色気のようなものを発していた。 子供にしても未発達な印象のあどけない童顔、黒くて艶めいた長くて太い睫毛で常にアイラインを引いてるような目元、小さな口や鼻、すこし厚めの唇。 頭、顔、肩幅、手、足、耳、爪、すべて規格外に小さい。すべて小さいのでバランスにあまり違和がない。 全身痩せ型で細いが、とくに手首と足首が折れそうなほど細い。 全体的な雰囲気は岬と似ていた。 生前の岬も、光はつけ狙われやすいと友人に相談していたそうだ。そういう子なんだろう。 僕を誘ったのは光の方だと思っている。意識的なのか無意識なのかは知らないけれど。光の体には毒がある。 僕はその毒にあたったのだ。 岬が死んでから光はほとんど眠れなくなっていた。夜の間は僕が遊び相手になった。 光の体は感度が良くてすぐ濡れるからいつも大した準備なんてしなくてもすんなり僕のことを受け入れたし、光もおとなしかった。佐伯の人間で僕を受け入れてくれるのは光だけだった。 同時期から光は食事を嫌がるようになった。匂いが強いとか味が濃いとか、食材も味付けも以前と変わらないのに急にわがままを言いだすようになった。なら食べなくていいと言ったら、光は本当に食べずにどんどん痩せ細ってしまった。 医師からは拒食症だと言われた。なにか心的外傷になるような出来事があったか尋ねられたので、僕は岬と昴さんの死について語った。
僕は光を義務教育期間だけ学校に在籍させていた。高卒や大卒の履歴などこの子に必要ないだろう。 医師の診断書を偽造して、母親と同じ病気であるとあちこちに触れ回った。 それで光はむやみに外出もできなくなった。 妙に本質を突くような聡いところがあるかと思えばこんな僕の言うことを簡単に鵜呑みにしてしまう、どうにも愚かな子だった。 ただ何かの拍子に光は僕の目をじっとただ黙って見た。子供らしく床に転がってお絵かきをしたり本を読んでいる姿勢で止まって、そこにやってきた僕の目を、じっと。いつものように笑ってもいない、無表情に近いけれどはっきりと意思を宿した大きな瞳が、黒くて長いまつ毛に縁どられてただ僕を凝視していた。光はそういうとき一言もなにも言わなかった。
人形かなにかのようだ。意思があるように見えるだけで僕の内面を反映しているだけ。人の形をしているし、いかにも人間らしいけれど、それだけだ。 そのたびに、僕のことなどすべて見通されているように感じて、怖くなった。脅かされているのは、僕のほうだ。
そういうふとしたとき以外は、光は天真爛漫なかわいい子だった。 岬が死んで以来、身長や体重が変化せず、成長がぴったり止まったようになっていたし、光には第二次性徴が訪れず、月経も始まらなかった。そういう体質なのかもしれないと思って放っておいた。 何より光の成長が止まったことは偽りの病気にもっともらしいぱっと見でわかる事実としての身体的異常を付け加えてくれた。 僕は光に言った。 「こんなに背が小さいのも初潮がこないのも、病気の影響だよ。この歳でこんなに背が低いなんて昔なら奇形児なんて言われて気味悪がられてるところだ。今でもそういうふうに言ってくる心ない人は外にたくさんいるけれど、光がここにいれば僕が守ってあげられる。お前はきっと一生一人では何もできないだろう。未成熟な醜い子だけれど、僕は光を誰より美しいと信じてるよ。光を愛しているからね」 光は僕の言ったことを、ただ無表情で黙って聞いていた。 僕が喋れば喋るほど光は無表情になって黙って僕を見るだけになったから、怖くてだんだん僕は光とちゃんと会話するのを避けるようになった。
光は保健室登校しながら、ある日突然彼氏だと言って同じくらいの学齢の男子生徒を家に連れてくるようになった。 その度に僕が間に入って、申し訳ないけれどこの子は闘病で手一杯だからと話して無理やり二人を別れさせた。それでも光は性懲りもなく何度も新しい別の彼氏を作った。 ある日、僕は光に聞いた。「どうしてそんなに次々に誰かと付き合うんだ、別れるのだってあんなに簡単に別れるのならどうして付き合おうと思ったんだ」と。 光はこともなげに「付き合いたいって言われたから」だと答えた。それ以上のものはないように見えた。 ますますもって人形じみてきたと感じた。僕の人形だと思っていたけれど、誰の人形にでもなるのか。
僕の中で光への感情が修復不可能なほど屈折していくのが分かったけれど、僕が屈折しているのではなくて光がただ異常なだけであるようにも感じた。両親の死で本当にどこかおかしくなったのかもしれない。 僕は二人だけの家にわざと他人を招いて、光を襲わせた。 光も僕の差し金だと分かっていただろう。勝手に外で恋人を作ってくるような真似をするからだ。相手が欲しいのならいくらでも適当なのをあてがってやる。どうせ大した怪我なんてしないだろう、誰相手にでもすぐ慣れるふしだらな体だ。 そのうち光はそういう連中を相手取ってなのか家のあちこちに隠れるようになった。 光は見つかっては隠れた場所から力尽くで引きずり出されていいように弄ばれた。 あるとき光はひとりごとみたいに空中に向かって呟いた。「かくれんぼは最後に絶対にお父さんが見つけてくれる」 光の中ではまだ隠れているまま、終わっていないという意味か。お父さんとは僕のことじゃなく岬を指しているんだろう。 ちょうどいい。何度でも岬ではない他人に見つかって暴行されて終わるのを繰り返してその���り所と一緒にめちゃくちゃに踏み躪られればいい。本当に岬はもういないのだから。
以前から光は年齢に似つかわしくない難解な本を好んで読んでいた。 僕にはそれらの内容が理解不能だったし、光はそれらに熱中することで他の自身についての事柄にさらに無頓着になっていたから、僕には都合が良かった。それで邪魔はせず、欲しがる本はすべて買い与えた。 光の本棚はあっという間に埋まって増えていって、一見たいそうな読書家の部屋のようになった。光が読んだ本について僕になにか語ることは一切なかった。
そして時間の止まった家は光を内包するための容量が足りなくなったことを象徴でもするようにその都度必然的な理由で増築されていき、家には巨大な施設群がくっついて光はそっちで過ごすことの方が多くなった。 見栄えも考えてあったが一般客のためのアトラクション的なものではなく、どちらかというと研究者や有識者のための学術的な場だった。プレゼンテーション用のスクリーンが完備されたホールなどがあり、そういう空間がよく学会などの発表の場として活用されていた。 屋内にも緑が多く、建物のあちこちに綺麗に水が通る自然の地形を生かした設計は訪問客にとても好評だった。光はその設計を初めて見たとき「フランク・ロイド・ライトの建築のよう」だとその美的感覚を絶賛していた。僕には光の話すことはよくわからなかった。 たまに光は訪れた有識者とオーナーの娘として知り合いになって気まぐれにしばらく楽しげに話し込み、「研究に興味を持って話を聞いてくれた。聡明な娘さんですね」と僕があとでお世辞を言われることもしばしばだった。 あの子をまだ小学生かその程度だと勘違いして買いかぶったのだろう。実年齢を聞けばきっとバケモノでも見るような顔をするに違いない。
あるとき施設の管理担当が一人の若い男に引き継がれる流れになった。 広くて全体を把握するのも難しいため、何人かの担当者にあちこち区分させて管理を任せていたけれど、その男は突然一人でやってきて簡単に屋内を歩いて巡ったあとで、仕事を一人で引き受けてしまった。 彼は僕と信頼関係を築くための必要最低限の世間話を応接間でしていった程度で、施設の現状の資料を一台のノートパソコンにおさめて帰っていった。定期的に訪れて微調整をすると言っていた。 彼が帰ったあとでよく思い出したら、この施設の初期の設計に携わった数人の建築家のうちの一人が彼だった。会ったのはこれが初めてだった。建設される当時はもっと年配の人間が責任者兼代表として僕に挨拶にきていた。 一人一人の年齢まで把握していなかった、まだあまりに若くて気づけなかったけれど、要は自分の設計した建物がようやく本人の管理下に落ち着いたということなのだろうか。
何より喜ばしかったのは、光がこの男に少しずつ惹かれていったことだ。 光と僕はそういう話はまったくしなかったが、僕から見たって一目瞭然だったし光も隠す気はないようだった。これまで迫られて了承する形でしか恋愛といったものに関われずにきた光が自分の意思で彼に迫るようになった。 それを十分確信したタイミングで僕は彼に光との縁談を持ちかけた。 光が世間的な常識人とうまく関係を築けるはずもない。接したところ彼はそのあたりをよく踏まえた常識的で賢明な人物であるように感じた。結婚してここを出ていこうが、必ず破綻して光がここへ出戻ってくることは明白だ、僕のもとへ。 光自身の無力と絶望的な精神的遅滞とを自分で痛感して、光は一生立ち直れないほどのひどい挫折体験を抱えて帰ってくるだろう。それが光にとっての外界へのイメージになるはずだ。光の中にある外界への憧れを光自身が望んで実行した行動と感情を基にして、折ることができる。 そのためには彼への恋愛感情がより強く揺るぎないものになればなるほどいいだろう。 僕は彼に感謝した。 病気でしかもどうしようもない世間知らずな娘を手厚く扶養する父親として、僕の立場はこれまでなんとかもってきていたのだから。
光視点
0 notes
Text
アステロイド・シティ

面白かった。以下台詞はうろ覚えのネタバレがある。
1955年、「温かくも冷たくもない、しかし容赦のない」照明を当てるよう指示書きされた舞台で上演される架空のドラマ『アステロイド・シティ』とその制作裏を交互に描く構成。冒頭で読み上げられる舞台装置の指示書きと制作中の背景や効果音が、いざ本編が始まるとなるほどこうなるのか!と腑に落ちるコンパクトでカラフルで戯画的な街並みが印象的でそこからずっと楽しい映画だった。カーブの角度間違えたから途中で終わってる空中道路とかなに?って感じだし(わざわざ看板に小難しい言葉で説明書いてるのも笑う)隕石の落下跡の隣でぐるんぐるん回ってるアンテナは無駄にデカくてふざけてるし街の標識にちっさく書かれた「人口87名」の表記がエンドクレジットで制作チームの名前になってるのに気付いて笑った。ダイナーの看板が「朝食」「昼食」「温かい夕食」になってたけど温かい夕食がふるまわれるシーンはなかったので実際どうなのか気になる。あとレモンの皮をその場で��いでくれるお酒の自動販売機めっちゃよくない?あんな美味しそうなお酒から歯磨き用品と土地の権利証書まで売ってる自動販売機とか近所に欲しすぎる。
ドラマ『アステロイド・シティ』のパートは全編がカラーで全3幕とエピローグと2回のインターバル(うち1回は任意の休憩)があり、制作裏のパートは基本モノクロで『シティ』の人物が滲み出るときだけカラーが入る演出になってた(気がする)。それぞれアスペクト比も違っていて、『シティ』本編はスクリーンの幅いっぱいに映し出された横長のスコープサイズだけど、モノクロの制作裏はテレビとおなじスタンダードサイズになってた。ちなみに場面ごとに挿入されるクレジットは色こそドラマと同じカラーだけどアスペクト比はスタンダードで、それが架空と現実をシームレスに繋いでる感じがした。 『グランド・ブタペスト・ホテル』も時代の違う3つの物語に合わせてアスペクト比を使い分けてたし、なんなら『ブタペスト』も『フレンチ・ディスパッチ』も書かれた物語と書いた人間の物語をひとつの映画で描く構成になってたから既視感を覚えて当然なのに、どれを観ても新鮮な刺激と面白さと寂しさでいっぱいになるから不思議だ。登場人物やたら多くて最後まで名前を覚えられない人もいるくらいなのに、劇中で幾重にも重なっていく小さなエピソードを観るうちに登場人物それぞれに二つとない『人生』が在ると分かるから誰ひとり忘れることができない。ウェス・アンダーソン作品を観るたび映画を観ることの喜びで満たされてしまうのはそのせいだと思う。もちろん映像も素晴らしかった。色彩だけじゃなくて画角もいちいち良いからずーっと楽しくて好きだ。
冒頭に登場する司会者が、『アステロイド・シティ』は架空のドラマです、しかし現実を反映しているのですと語っているとおり、脚本を書き演出をつけ役柄を演じた人たちの現実が架空の町の七日間にたしかに反映されていると気付かされるのが楽しかった。 たとえば自分も子供たちもあなたを愛しているけど離婚するという演出家の妻ポリーが、「第三幕の最後。ミッジの台詞はドアを閉めてからにして」と言うシーン。「破滅だな」とつぶやく脚本家の前でドアを閉めたポリーはドアの向こうから夫に「さよなら」を告げる。でも実際の第三幕にはミッジがさよならを告げるシーンはない。第二幕で窓越しに「私たちは進展しないわ」と言うミッジにオーギーは「そうかな」と返す。「進展する?」「いや」、ミッジは頷きながら「破滅ね」と答える。でも窓は開いてるしドアは閉めないしやっぱり「さよなら」は言わない。演出家がそういう演出をしたんだと想像できて滋味深い。 エピローグでオーギーが目覚めるとすでにチェックアウトした11棟のなかにミッジたちもいて、だからミッジとはこれきり、と思いきやダイナーのおばあちゃんが「ミッジから住所を預かってるわ 家じゃなくて私書箱よ」とメモを渡してくるあたりは脚本家の脚本どおりな気がする。この作品の眠りは目覚めるためにあるので。ただそのメモを大事にポケットにしまいこむのは演出家の選択な気もする。 演出家は脚本家と役者の関係をどこまで知っていたんだろう。ドラマの終盤、オーギーを演じている役者が「芝居が分からない」と舞台を抜け出して演出家に会いに行ったのに「よくできている 君という人物がオーギーに映りつつある 分からなくていい そのままでいい (新鮮な空気を吸っても)分からないままだよ」と言われてしまうのは、役者と恋仲だった『アステロイド・シティ』の脚本家が交通事故で亡くなってしまっていることが原因なのではと思った。演出家が二人の関係を知っていたとしたら、妻を亡くしたオーギーと脚本家を失った役者は状況と心情が重なっているはずで、だから「そのままでいい」と言う。 でも役者にはオーギーがなぜこんな言動をするのか分からない。そして廊下を突っ切って外壁の階段の踊り場に出てパイプを吸おうとしたら、向かい側のビルの踊り場にいたオーギーの妻役の女優さんと鉢合わせる。 オーギーとその妻が隣り合ったビルから言葉を交わすこのシーンは、ドラマのオーギーとミッジがモーテルの窓越しに会話していたシーンと同じ構図、同じ距離感。でもここまでアステロイド・シティの色鮮やかな世界に浸り続けてきてから唐突に白黒で映し出される『現実』の光景は、違う時代の遠い出来事のように見えた。妻役だった役者(マーゴット・ロビー)が新しい作品の撮影中で中世の侍女のドレスをまとっているのも、過ぎ去った過去、終わった人生を彷彿とさせる。実は当初の『アステロイド・シティ』にはオーギーと妻の会話シーンがあったのにここでの会話でそれが全部カットされたと分かるからなおさらだ。しかも人が萎れそうなほど暑い設定のシティに対してここの『現実』では雪が降ってる。全部が対比だ。 うろ覚えなんだけど、ここで女優に「覚えてる?」て問われるままに再演したオーギーと妻の生前のやりとり、映画の冒頭で脚本家を訪ねた役者がその場で演じてみせた一人芝居とほとんど同じ内容だった気がする。この再演は役者にとってオーギーという役柄の背景を確かめるだけでなく、いまは亡き恋人と初めて出会った運命の日を振り返る行為でもあったのではなかろうか。宇宙人との交流について夫と話していた妻は、「(いまあなたが撮って泣いてくれた私の写真、)現像できるかしら?」と最後に問う。夫は「ぼくの写真だからね」と答える。きみを永遠に失うのはつらい。悲しい。耐えられない。それでもこれはぼくが愛したきみの写真だから、フィルムのまま眠らせておきはしない。
オーギーの撮影した写真はすべてモノクロだ。亡くなる前の妻の写真も『現実』とおなじで色がない。だから彼の愛も喪失の痛みもたぶん、まぎれもない『現実』として色褪せることなく彼に留まり続ける。 娘たちがママの遺灰を埋めてお葬式してるところを見守る終盤のオーギー、息子のウッドロウと左手を繋いでるけど、火傷してるからたぶんカメラが持てないんだよね。火傷するまでは虚構の傷を負った自分を被写体にして『負傷した自画像』なんて写真を撮ってたのに、「ほんとうにやけどした」あとは自画像を撮らない、葬式の光景にカメラを向けない、レンズ越しではなく自分の目で見なければならない。火傷の痛みは心の痛みそのものでもある状況に置かれて、ようやくオーギー/役者は愛するひとの喪失を正面から受け止める機会を得た。 オーギ―は「時間が傷を癒すなんてのは嘘だ」と中盤に言っているし、痛みは残り続けるかもしれないけど、ミッジの残したメモを大事そうにたずさえて、妻の葬式を終えた家族みんなで旅立つことができたオーギーの(役者の)行く先には希望があると思った。
以上感想。以下は印象的だったエピソードのメモ。とりとめがなく長いので注意。
🎡 オーギーのちっさい娘三人がかわいすぎる。壊れた車からみんなで荷物を運び出すとき一人だけドアの外でうろうろしてるとこ良かったね……父にドアの隙間を見てって言われたから他の二人が終わるまで待ってたのかな。ダイナーのおばあちゃんに「お姫様たち何が飲みたい?」て聞かれて「私たちお姫様じゃないわ、呪われたミイラよ」「私は妖精」て答えるのもおばあちゃんが「…………苺ミルクはどう?」て聞き直すのも良かったし、エピローグで同じこと聞かれたときは「ください(Yes,please.)」て口々に答えるところお利口さんでキュートだ。 ママが三週間前に亡くなったとオーギーに知らされたとき「いつ帰ってくる?」「私たち孤児なの?」て聞くあたりは切ないけど、モーテル街の道の真ん中にタッパーごと埋めたママの遺灰を掘り起こそうとしたおじいちゃんにくそまじめな声で「私たちを生贄にしたら呪う」て告げるとこで爆笑した。結局おじいちゃんが根負けしてママを回収できずに終わるのも笑ってしまう。でも娘たちは娘たちなりに、知らないうちにいなくなっちゃったママとちゃんとお別れしたかったんだろうな。「半分魔女 半分宇宙人」の自称はママの娘としての矜持でしょきっと。「お祈りしましょ ママは土の中で眠ってるの」て一生懸命祈る孫娘たちをおじいちゃんは泣きそうな顔で見てるし、隣に義理の息子も孫も参列してるしで良さしかなかったな…
🎡 にしてもおじいちゃんがさ、お前のことは嫌いだが娘と四人の孫たちを愛しているからお前も受け入れる、て言った次の瞬間オーギーの胸ぐら掴むふりでイーーーッ!!てやるから不意打ちで噴いてしまった。そこに来て父に「僕たちを捨てるの?」て聞いたウッドロウが、父の「(おじいちゃんの「私は家政婦か?」て台詞を受けて)ハウスキーパーを雇おうと思った ほんのちょっと考えたがすぐ止めた」て答えを聞いて「考えたのを許すよ」て返すとこ、超優秀な長男だから子どもになりきれない寂しさがあって好きだな。 ところで惑星に映像を投射する技術を発明したウッドロウが博士に「可能性を働かせて」て励まされてさ、最終的に投射した絵がダイナと自分のハートマークなの最高じゃなかった!? エピローグで奨学金の使い道を聞かれて「彼女のために使うと思う」と答えるのも可能性に満ちててかわいいよ~! この直前におじいちゃんから「きっと″超優秀″ってやつだ」と言われてウッドロウがニコ…て嬉しそうに笑うとこすごいよかった…ほんのちょっとの微笑みなんだけどお母さんがシャツに刺繍してくれた「超優秀」と同じ言葉だったから嬉しくてついこぼれてしまった感じがしてしみじみとよかった…
🎡 超優秀の子どもたちもみんなクセ強くてよかったな。実在の人物の名前を一人ずつ増やしてたくさん覚えていくゲームでみんな学者の名前ばっかり出すし、「これ終わらないよ 僕ら超優秀だから」て言う子に��の子が「でも楽しい いつもだと出てくる名前が平凡だもの」て返すところ良かったし、第三幕では全部俳優女優の名前になってるところに時の流れを感じた。楽しいって言った女の子が後半ウッドロウとダイナの仲に言及して、友達だよって反応に「超優秀なのにバカね」て返すくらい仲良くなってる。 ところでなんでモーテルの7番棟は火事で焼けてしまったんだろ。焼けてテントになったおかげで博士から盗んできた機材を運び込んで隠れながら宇宙人と交信できたけども。このあたり、モーテルの管理人がテントになった代わりに電気周りは充実させたと説明するくだりが地味に効いてる。 登場時から唐辛子まるまる食べたり押しちゃいけないボタン押したり屋根から飛び降りたりする超優秀な子どもが「もう止めたりしない 好きに挑戦しろ なぜ挑戦する?」て父に聞かれて「わからない きっと怖いんだ 挑戦しないと誰も見ないから 僕みたいな存在を」て答えるシーンがしんどい。その後の第三幕で息子の発明品(すでに終わった挑戦)を使ってみたり没収しようとする兵士と喧嘩したりする父の姿が映ってて安心した。 表彰式の将軍の「平穏に生きたかったなら生まれる時代を間違えた」てスピーチが軍事利用する気満々で怖すぎたので子どもたちには幸せに生きていってほしい。
🎡 そしてかわいさと不気味さのあわいを攻める宇宙人の絶妙なデザインよ……! オーギーの車の故障を点検するために謎の部品を挿入するシーンと、宇宙人が宇宙船から下ろしてきた柱から小さな脚が生えて接地するシーン、構図が似てた気がするけどわざとなのかな。二度目の宇宙人の訪問後に隔離解除の延期が告げられてみんなが大暴れしてるとき壊れた車から転がり出た未知の部品も地面でのたうち回ってたから、車が壊れたのは宇宙人のパワー的な作用でウッドロウが宇宙からの信号を解読できるのも妻が宇宙人と云々て話もその伏線だったのでは!?(たぶん考えすぎ)
🎡 第三幕の眠りの意味を考えるべくゼミのみんなに実際に演じてもらうシーン、教授を演じるウィレム・デフォーがまじで良い。みんな一斉に眠るところすごかったな(一人夢遊病がいて笑った)。眠りと死は違う。眠りから覚めれば脚本家は良い話を思いつくし俳優は新しい演技を生み出す。眠りにつく間どんな時間が流れているかをふまえて眠れって示唆に応える学生たちの眠りもそこからひらめきを得る脚本家もよかった。目覚めたいのなら眠るがいい。目覚めるために眠りがある。
🎡 映画全体の冒頭、真っ暗な画面の下あたりに均一に並んだ白い光の円が映る。なんか両端だけ変に欠けてるなと思ってるとその円は舞台の音を拾う音響室の機器の光で、欠けてるのは手前に座ってるスタッフ二人の頭で隠れてるからと分かる。この時点で映し方が変でもう好き。音響室の窓から見下ろす舞台上に立つひとりの男にカメラが寄り、男がアステロイド・シティは架空のドラマです、しかし現実を反映しているのですと説明を始める。上手下手背景大道具小道具照明の指示書きが読み上げられ、全三幕は7日間の出来事との解説がなされ、本編が始まる。貨物列車に山盛りに積まれたグレープフルーツとアボカドとピーカンに意味はあるのか?分からんけど青い空にオレンジの砂漠を突っ切っていく列車を軽快な音楽に合わせて映していくオープニング良すぎた。 エンディングも鳥がノリノリで踊ってて良かったけどあの鳥なんなんだろね?オーギーが街に着いたシーンであの鳥の標識が映るんだけどそれ以外特に説明ないのよね。アイス食べてる三人娘ちゃんの隣できょときょとしてる鳥の動きがなんか良かった。
良かったところばかりでどこまでも書いてしまうので終わる。人生を感じさせるシーンがいっぱいで楽しい映画だった。
0 notes
Text

バタースカッチ・コキュートスのホテルへようこそ! メイドのネフェル
テンプレ元はこちら
◆ネフェル・ミード身上調査書
姓名:Nefer Mead(ネフェル・ミード) 愛称:特になし 年齢:199歳 性別:女 種族:アラクネデュラハン 寿命:不明 誕生日:1823年10月4日 星座:てんびん座 体長:160cm〜3m(可変) 体重:重さほぼなし ※体重45kgくらいの体型 髪色:沼地の青緑色 瞳の色:���月の明るい黄色 肌の色:ピーコックブルー 声の質:かなり高めの声 よ〜く響く 魔術、特殊能力:目を増やして360度見える 身体的特徴:デュラハンとしての特徴で首が取れてももちろん平気で、それぞれ自在に動かせる。 恋愛、結婚観など:刺激的な恋に惹かれる 結婚願望はそこそこ 出身:沼地 職業:ホテルメイド、サーカス団員 癖: 酒癖:なかなか強い 酔えば酔うほどふわふわ不定形に…… 人間に対して:嫌悪してはいないがナチュラルに格下だと思っている ホテルでは仕事仲間 レストランで出る人間料理は美味しく食べる派 ホテル役割:キャスト
*交流向け 恋人:ヴェイパー・ブラックウッド 一人称:わたし、わたくし、わたくしめ、我々、ネフェル 二人称:あなた 呼び方:(ゲスト)お客さま、仰々しい呼び名(キャスト)〜さん、または呼び捨て
*概要
バタースカッチ・コキュートスのホテルのメイドで大道芸人。首が取れても平気なデュラハンの女性。お客さまの楽しむ顔が大好きで、いつもサービス精神旺盛。いつでもホテルにふさわしい振る舞いを心がけている。
*性格
育ちがよくお淑やか、それでいて大胆かつ狡猾。周囲をよく観察し、悲しんでいる人や退屈している人を敏感に見つけては笑顔にしようとする。いつでもどこでも明るく楽しい性格。サービス精神旺盛でお客さまに楽しんでもらうためならば文字通りなんでもするが、方法が破天荒なメイド。所作の美しさ、行動の優雅さにこだわりがある。 自身が悪しき怪物の血族のせいか生まれてこのかた負の感情に滅法強く、悲しんだことが特にないというモンスターらしい強靭な精神を持つ。自身がこんなに幸福ならば他人に分け与えなければ!という使命感で人を楽しませたりもてなしたりと笑顔に触れることができる仕事を選んでいる。人間のことは自然に格下扱いしてしまうが、笑顔になってほしいのは一緒。
*モンスター生態 沼地に住む首無しの悪しき怪物の一族の娘。ネフェルは首無しアラクネーの母親から特徴を受け継ぎ、複数の目を出現させ360度周囲を見渡すことができるが、あまりにセクシーなため普段は控えめに目は2つにしている。髪もある程度操作できるため、まとめ髪も楽ちん。サーカスでは盛り上がりのために「神秘エジプトの娘」などと言われているが、実を言うとエジプトには縁もゆかりもない。 キラキラした煙のようなものが本体なため、普段の姿は固めて成形している。そのためかなり柔軟性があり物理攻撃などには強いが、胸には心臓とも呼べるコアがあり破壊されると死ぬ。「聖なるもの」も苦手で、灼熱や極寒も得意ではない。湿気た薄暗い場所が好み。
*家族、一族について 暗く泥深い湿地で、おどろおどろしい雰囲気の地域出身。一族とはいってもミード家の形態は色々で、純粋なデュラハンからアラクネー、先祖のゴルゴンや吸血鬼などの特徴を持つ者もいたり、首無しであること以外あまり姿形が一致していない。 ミードという名のとおり蜂蜜酒の製造で古くに財を成した地方地主。醸造所は数代前にバンシーの一族に譲ったため、現在では沼地で採れる青い葡萄から造られた「沼地の青ワイン(別名バンシー・ワイン��」「墓場による安息の蜂蜜酒(R.I.Pミード)」が名産となっている。ラベルの墓場と首なし騎士が目印。
*能力 ホテルでは周囲を360度見渡してできる気配りと、旺盛なサービス精神を活かしてゲストの身の回りのお世話をするメイド。持ち前の大道芸でお客様を楽しませたり、達者な口で良い気分にするおしゃべり相手、基本業務も器用でテキパキした仕事ぶり。ホテルの格式に見合うサービスを誇りを持って提供する。ワインサーブはソムリエに褒められるほど上手。 サーカスでは柔軟でしなやかな体を生かし、特にリングや布でやる空中演技が得意。コントーション、火の輪くぐり、ジャグリング、剣を使った舞踊までなんでも器用にやる。弟とやる空中ブランコ、ナイフ投げも。動物には極端に怖がられるため、動物使いは不得手。道化師だけはできない。
*ホテル外での活動 もともとの契約で、ホテルが閑散期になるとサーカスの巡業と修行に出かける。人間社会でサーカスに混ぜてもらったり、モンスター向けのサーカスで出演したりと世界中を巡っている様子。よく各地の名産や素敵なものを従業員にお土産として渡している。
*好きなもの 食べ物:青かびチーズ、モロヘイヤのスープ、ブルーベリーのタルト、青い花、ラピスラズリ 綺麗に調理して盛り付けられた料理に目がない 飲み物:ワイン全般、特に沼地の青ワイン、ブルーマロウ 気候:湿気ていて薄暗い場所 色:青、ゴールド 香り:ユーカリやミントなどすっきりした香り 書籍:アーティストが作った飛び出す絵本などのビュジュアルブック 動物:蛇 ファッション:上品で形のきれいな服、キラキラお客様の目を引くスパンコールのドレス 場所:ホテル、舞台の上、墓場 愛用:エジプトっぽい舞台衣装 趣味:旅先で気に入ったものを集めること、特に黄金の物品
0 notes