#実現しないことを語って結局ウ��っぽくなってる
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motu-memo · 2 years ago
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2022/12/16 鳥類弁護士の事件簿
ずっと気になってたけど英語版しかなくて諦めてたやつ switch版しかも日本語化!ってことでメチャクチャ楽しみにしてた
第一幕 | 猫かぶり
開幕すぐの、隙あらば「鳥」をかけたジョークモリモリの会話劇でこれ好きなやつだ~になった
逆裁リスペクト、とは事前に知ってたけどこの会話のテンポまさしくだ
テキスト表示時のポポポ…て音落ち着く~
そして開始後数分で事件のあらましが分かり、容疑者に会う流れ、テンポ良い~~
カエルが殺されて、容疑者は猫、弁護士は鳥2羽…
モフロワ父「勇敢な猫はかくあるべし」
「夕食の献立について聞いていない!」「きみは脳みそに胃袋が詰まっているのか?」このツッコミ好き
選択肢:正義を信じるよ
スパ「畜生だと思われないよう気を付けた方がいいよ」言われて草
��らかに選択間違えたっぽい
選択肢:親子に1フラン恵んだ
ガブリエル邸のBGMカッコいい~!
ライオン?だとしたら猫、ライオン、カエルの3匹で事業やってたのか
選択肢:弁護士です
ぴょんぴょん跳ねる検事…の後の「とにかく」が「兎に角」てわざわざ漢字表記だったのはあえてかな
キリンのコリーヌさんかわいい  
写真撮影時、「針の無い時計」が写る位置をわざわざ男爵が指定したのクソ怪しいな
撮影時の時間が証明できないのがつながるのかなあ
選択肢:態度を和らげる
正解っぽくて嬉しい!コリーヌさんなら白状すると思ってたよ~
選択肢:表(コイン賭け)
選択肢:協力的で助かりました
ここでチクるのが正解だったらしんどいな…
選択肢:現時点では、なんとも…
思いのほか地雷踏んでしまって追い出されて草
選択肢:ノックしてみる、侵入、写真はもってく、正直に答える
スパ君ナイスフォローだった 自ら嘘をついてた場合どうなってたんだろう
もう裁判なの!?何も分からんけど!?って焦ったけど、これも逆裁イズムだ……
ラビントン検事、オドオドしてて検事としては新鮮
でも油断させといて…がありそう
「気のいいボンクラ警官がくるかと思ってたのに正義感バリバリの正統派が出てきちゃったよ」
この気のいい~で真っ先にイトノコ刑事連想しちゃったけど流石に考えすぎかな
フェリシエンヌ嬢はギャエル氏の血を手から滴らせて~
カトラリーが無かった、血も滴るレアステーキ…
時刻をさした時計が写り込んだ写真…
針の無い時計…
ムジュンに証拠を突き付ける、め~っちゃ逆裁 もはや追及のBGM流れて欲しい
証人に黙らされる検事、なんとなくアウチを思い出す…
この、事件のあらましをバーッと追いつつファルコンが追及するターンめっちゃいい
BGMもかっこいい
「殺人」とか「証人」みたいな「人」前提の単語を丁寧に「殺獣」「証鳥」て置き換えてるの好き
クワーク好きだわ~ 看守がカラスってなんとなく分かる
イエーイ!て喜ぶわけではない、ファルコンの「無罪を証明したのではく、”無罪の可能性が高い ” 、説得力のある説明ができただけ」的なセリフに若干の不安を覚えつつ…
無罪���定!
からの、まさかの再どんでん返し!!!
フェリシエンヌ嬢やってんじゃん!!!!!!!!!!
これはなかなか度肝抜かれた 「逆裁リスペクト」すらを逆手にとったというか
写真は偽装されていたけど、男爵の意図とは違う偽装だった…
「あなたを信じます」ではなくて「正義を信じます」で嬢の反応がイマイチだったのは、選択肢ミスじゃなくてそういうことか…
じゃあ、カトラリーが盗まれてて血濡れのレアステーキを出したのはただの偶然ってこと…!?
確かに、凶器が爪ってなるとライオンも猫も同じ…
クゥ たまらん
タイトルまんまじゃん…(今更)
第二幕 | 狼中の狐
もう、何を信じたらいいんだ…状態で第二幕開始
狼の中の狐 もうこれ狐犯人じゃん(単純)
選択肢:水をかける、次はもっと頑張ろう
とはいったものの、正直分からないよ、が正しい…
ファルコンとしては、やはり前回の裁判は納得できないのか
そりゃ、あれだけ証拠はこれだ!こうだ!つって、無罪のライオンを投獄しちゃったらな…
前回の裁判で負けたらルート変わるとかだったらえぐい
今回の弁護人はスペインの王子
ウ~ン前回のトラウマが…
「引き受けるとも!」「気乗りしないな」の選択肢、今回もあるとなると気になってくるな 断るパターンもあるのか
花売りから買った花を渡した相手が猛毒で即死したと
オオッ ここで張り合い甲斐のありそうな「では、法廷で会おう!」タイプの検事が!鶏だ
ファルコン5回も負けてるのか…
写真家がゴミ拾いの奉仕活動に…
そうか、こいつはどっちにしろ偽証罪なのか
選択肢:5フラン払いましょう
クッ 結果10フランもってかれた…
ショコラ屋さんで、「誰があの包み紙のショコラを買ったのか?」で3人くらい挙げたけど当たらず1日消費してしまった~
狐、花売りの白鳥、殺された本人
「バラのトゲに毒があったとして、そんな即効性あるか?」て話だと途中でショコラの包み紙が落ちていた=ショコラに毒が入れられていた、なのか…
選択肢:古典図書
スペイン君主について教えてもらう
現在の君主はブルボン家の摂政、イザベル2世(フェルデナンド7世の娘)
↑ が逝去した場合は王位は王配のカディス公フランシスコに渡る
(女王の親族にも権利がある)モンテモリン伯カルロス率いるカール派が名乗りを上げている
今のスペインには王子は存在しない!ではフアン王子とは
あ~~ 依頼者��マウジーのプロフィールが「探偵助手」なの気になってたけどフアン=名刺をもらった私立探偵!
わざと捕まった、となると裁判は…
権力者に借金をした娘、「ある男」を殺せば借金は帳消しにしてやると持ち掛けられた、それを聞いた勇敢な騎士(これがヴルプス?)は娘の身代わりになろうとした
ウ~ン?
国王を殺せと命じた権力者…
マウジーに「鳥は無事南に渡れたのか」て伝えてくれ…ということは、「娘」はやっぱり花売りのカトリーヌなのかなあ
まだ会えてない登場人物の枠があってかなり不安 証拠が不足している気がむちゃくちゃする
しかし大切な人のために王子に成りすまして殺人を犯す私立探偵の狐、なんてロマン盛り盛り設定なんだ
開廷!
初っ端から主席判事が前回と違うロムルス判事、しかも妙に裁判を早く終わらせようとしている…
クソ怪しいじゃん!!!絵から察するに彼が狼なのかなあ
「狼中の狐」のタイトル、いまだにまだピンときてないぞ…
ロムルス判事すごいヴォルテックス卿感ある
指以外に傷は一切ない毒による死亡、これはショコラ説濃厚か
ひとまず、「バラに毒が仕込まれていた決定的証拠はない」「でもショコラに毒が含まれていて、それを准尉が食べた証拠もない」
これはショコラ屋さんで指定した人物かなり的外れだったのがジワジワ分かってきた…
王子が南口でニヤニヤしながらバラに粉を擦り付けていたという匂いすぎる証言
ずっとこの証拠何?と思っていた本の1ページがここで!
とはいえトゥーサンが嘘をつく理由もない気がするんだよなあ
証言に嘘はないけど狐じゃなくて白鳥だったと…それはそれで気になる
裁判パート2回のパターンだ!
無事飛び立てたか気にしていたのはゴーティエ・シーニュとニコル・シーニュ
花売りの子の両親!てことは、あの物語の「ある男を殺さなければ両親にツケを払わせる」が実行されることはなかった、というのを伝えたかったのか…
じゃあ結局その権力者が殺したかったのは准尉…?
ショコラ屋さんリベンジ!
根拠はないけど動きの怪しいロムルス判事で聞いてみたらまさかのビンゴ
しかも自作のキャラメ���入れたってもうそれじゃん
娘が借金をしている相手ってのがロムルス判事…?
スパ君が毒入りショコラの包み紙を食って倒れた!!君ってやつは…
そしてファルコンは脅迫状のヌシに襲われ、SE的に川に流された…?
セリフのボボボ…音の低さがすごくロムルス判事だった気がするんだけど
トゥーサン命の恩人…
ファルコンが握りしめていた万年筆、このインクが緑ならいよいよ…
でも、このすべての証拠がロムルス判事に繋がる感じで、本当にいいのか…?
ヴルプスは国王を殺すつもりだった?そこにロムルス判事が手をかけて結果准尉を殺す意味…
ココリコ、ロムルス判事の不自然な怪しさにはちゃんと指摘するのいい検事だな…
ココ「オレの職務は起訴することですが、ここにいるのは法廷で正義が執行されるのを見届けるためです」
カッケエ・・・・・・!!
「それ以上口答えすると…」「残念ですな、国王がいらっしゃるというのに」ここの展開気持ち良すぎ
こ、国王ー!!!
とはいえそうか、毒性の証拠は病院送りになったスパロウソン自身だから証明のしようがないのか
スパ君「異議あり!!!」いただきました
この、ギリギリに大逆転の要素(病み上がりの相棒)が駆け込んでくる感じアツい
診断書とシーニュさん連れてきたの有能すぎ
シーニュさん、自分で毒を…って言ってるのはヴルプスを庇ってる?
違う、まだ借金のせいで権力者に脅迫されてる、てことか
そこで両親が無事ウィーンに渡ったことを知らせる乗車券で、ようやく本当の証言が聞ける…!
「もはや狼の爪はわたしに及ばない」ってやっぱり権力者=ロムルス判事ってことか~
告発されてる状況で「これあなたの万年筆ですよね?」て出したら「お~流しても見つからなかったやつだ、礼を言うぞ」的なロムルス判事なんか草
あえてシーニュさんを起訴しないココリコいいやつ過ぎる
ココリコが今にいたるまでのスピンオフがいるよコレ
あっ よかった 今回は判決が正しい…でいいんだよね
ロムルス判事に脅されてシーニュさんが国王暗殺に加担させられていることを知ったヴルプスが、最終手を下したのが自分って流れになるようバラをもって近づき、わざと捕まったって筋書きか~
ウ~ン しかしロムルス判事ここまでずる賢いのであれば、ショコラもシーニュさんに買わせさえしてれば完全犯罪だったのでは
トリカブトもシーニュさんのだしなあ
何はともあれ、相棒が毒で死にかけたり弁護士が襲われたりもう終盤かのような盛り上がりだった
第三幕 | 眠れる都
早速ロムルス判事の言っていた革命が始まってしまった…ような開幕ムービー 七月革命
ストーリー上は過去の話か~
危険な武器商人をココリコと共に調査すると 今のところ裁判にはならなそうな流れ
あちこち言ってお使い祭りなのでメモで整理
R&M探偵事務所
早速フアン王子ことルナールさんが大活躍だな
変装してない姿新鮮!
3日後、早速出没場所を突き詰めてくれた 有能
マウジーかわいい
金曜日にマルムゼ通り 合言葉必���
サルペトリエール病院
スパ君の治療費500→100に割引してもらっても今のところ払えないよ!ヤベー
ひとまずは割引のための取り立て依頼をこなす…
取り立て先に発明の��めの材料を集めてこいと
わらしべ長者じみてきた
博物館にある銅の壺
展示品を持ち去るのはまずいだろう
まずいかな? いや、まずくない
博物館泥棒になりたくはないかね?
実はあこがれてたんだ!
よろしい、上着に壺を隠したまえ
この流れ大好き
途中のムービー(警部とココリコ)
ファルコンは七月革命の直後に名前を変えている
なんか祖父?が有名な弁護士的なのはチラチラしてる
ファルコンに対するココリコの、普段はバカにしたようなことばかり言うわりにこの、本人(本鳥)のいないとこでしっかりと認めている感じいいねえ
ショコラ・スペシャリテ
キレられる覚悟で割引してもらえませんか~を選んだらホントに無料でくれて草
ランダー氏いい象過ぎるよ
自分に買ってもらえると信じてソワつくスパ君かわいい
箱入りショコラどこかで使えそう
ポン・デ・ザール
釣り糸を拝借しに
ここで早速ショコラが活きた!(釣り餌になるんだ…)
お金を払う展開、一回ゴネた方が得そうだな
大聖堂
合言葉はエタム 思いのほかすんなり手に入ったな~
発明品のくだりはどう絡んでくるんだ。。。?
合言葉まで集めるのにギリ金曜過ぎてしまい、「コレ何か…何か間に合ってない気がする…」と思った途端、行き先が「マルムゼ通り」のみに
「雄鶏がクロックムッシュを撃ったぞ!」という不穏なムービーの後、ココリコから「この手紙が届いたということはオレは反乱勢力に掴まったか死んだか…」というめちゃくちゃ嫌な手紙が届いた
え?これバッドエンドルート入った?
合言葉とか証拠品がまったく活きないまま、マルムゼ通りの血痕を辿って大聖堂の地下へ…
あ~~ 革命家リーダーのボーモー その父を若かりしココリコが有罪に処したと…
少し前に言っていた「有罪にすることが職務」と思っていた時期のココリコ…
ココリコの無罪を晴らす流れには持って行けたけど、「マルムゼ通りの街灯が壊れていた」証拠が明らかに足りてねえ!!
無念…むちゃくちゃバッドエンドくせえ!!!
今のところ考えられるルート分岐は、
2/9までに合言葉を手に入れてマルムゼ通りでクロコ=ムッシュに会う?
ココリコの裁判で無罪を勝ち取る?
あたりかなあ…
反乱勢力の仲間になる、ところで第三幕終了…
第四幕 | C 友愛
レムス修道士とシルヴィス(ロムルス判事)の双子兄弟が黒幕的な感じか
フォンテーヌ、根は悪いヤツじゃなさそうだな…それを言うとボーモーもだけど
怒涛の展開で狼二匹に踊らされていたことまでボーモーさんが気づくも、レムス自害の銃声で憲兵が砲撃開始…
ファルコンとボーモーだけが生死不明のまま、スパ君のヴルプスへの手紙がエピローグに…
なんだこの、完全バッドともハッピーとも言い切れないエンドは…
友愛C スパ君が無事だったのが救い…なのか…?
第四幕 | A 自由
ファルコンが捕まった地下で沈黙を続けると四幕Aに突入
あまりの惨状に絶望したファルコンが「深緑の殺し屋が戻ったと伝えろ」
真っ先に元気にしてるモフロワ嬢の元に向かって(おそらく)殺獣…
これモフロワ有罪ルートだとどうなるんだろう
こんなんデストロイルートじゃん
代わりに、反乱勢力は無事警察に捕縛されたと
スパロウソンが一時的に検事の資格を与えられてボーモー氏の尋問へ
スパ「パリいちばんの検事を目指すよ!!」(集中線)
要所要所でファルコンさんを思い出すスパに涙腺がグッ……
警部とファルコンが決闘のうえ、ファルコンだけはスパのおかげで助かる
ファルコンは深緑の殺し屋ではない、けどスパはそうだと思ったうえで警察には引き渡さないと…
ウ~ン このENDもなかなかジワッと暗くて味わい深い…
二週目 | 小ネタメダル集めとか
(明らかに関係ない)ニシンを追及すると傍聴席に困惑されつつも誠実さを評価されるの草
その流れでわざとミスするために召使の盗みを告発してみたら、男爵は「慈悲の心であえて見逃していた」っていう、結末を知った上ではしんどすぎる情報を得た
アレ?男爵良い人じゃない?って伏線は張ってあったんだ…
第一幕の裁判で負けてみたら、単なるゲームオーバーじゃなくちゃんと話が進んでびっくりした
フェリシエンヌ嬢的には内心「チッ…」て感じなんかな
これで第二幕に進めるってことは、「フェリシエンヌ嬢が有罪で処刑された」世界線で進むんだ…
第二幕でコリーヌのセリフも変わってる これえぐいぞ
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myworldsend-blog · 7 years ago
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【作曲少女Q】その 2「インプットという病の話」 記事中に掲載されている価格および仕様等は記事更新時点のものとなります。 © Shimamura Music. All Rights Reserved. 掲載されているコンテンツの商用目的での使用・転載を禁じます。 External image 番外短編集『作曲少女Q~曲を作れるようになった私が気になったことの話~』 『インプットという病の話』 「わかってきた。わかってきたよ……」 珠ちゃんから教わった、気に入った音楽のルーツからさらに自分の好きな音楽を探していく”音楽数珠繋ぎ”という聴き方を覚えた私は、あれから一週間、いろんな音楽を聴き、いろいろ考えていた。いやぁそれにしても、ベースラインのカッコイイ曲って、あるね。全然違うね。やっぱり、どうせ作るならこういうのじゃなきゃ。 やっぱり洋楽はクオリティすごい。洋楽ヤバい。時代は洋楽だよ。J-POPも悪くないけど洋楽が良過ぎるっていうか。うん。具体的なことはおいといて、なんかもうスタンスがすでに違うよね。あと、クインシー・ジョーンズはヤバい。クインシー聴いてないのに音楽語るとかちょっとナイって思う。なんかこう、体に入ってくる深度からして違うよね。 「うーむ。音楽っていいものだね……」 いま私のイマジネーションはかなりヤバい。超ヤバい。 *~*~*~*~*~*~* 「おはよー珠ちゃん」 「おっす。ありゃ? なんかいつもよりテンション低めだな?」 「あはは、土曜だったしいいかなと思って、ちょっと夜中まで起きてたから、寝不足で」 今日は久しぶりに珠ちゃんちで遊ぶ約束をしていた私は、朝9時くらいに珠ちゃん邸を訪れている。 「そうなのか。あれか? 曲作ってて寝てない的な?」 「え? ああ。曲は作ってないんだ。音楽聴いてた。インプットって大事だね。なんかいろんなこと考え直したかも」 「おお、そうなのか」 「私、ちょっとわかってきたよ珠ちゃん。音楽って無限大だね」 「……? おお」 「いままで私、音楽をなんとなくでしか聴いてなかったって思った。なんかこう、聴くっていうか”感じる”って感じだよね! あと、ヤバい音楽はもうとにかくヤバい! なんか、もう音っていうか生き様だよね。商業主義に毒されてない純粋なアートっていうか。なんかもう自然体のサウンド! あと、最近のアニソンってレベル高いね。アートの域にあるかっていったらまだチョットって感じだけど、もうひと息って感じ。あ~っ! それにしても、クインシー・ジョーンズはとにかく凄いね! やばいよね! クインシーの良さがわからないのに音楽好きとか言ってるの、なんか世界狭過ぎだよね~!」 「ちょ……ちょっとまて、落ち着けいろは」 「え?」 「なんとなくだが、なんだか嫌な予感がする」 「へ? なにが? ……嫌な予感?」 なに言ってるんだろう珠ちゃん。すごい怪訝な顔してる……? 「いや、でもまぁ、考え過ぎか……?」 「どうしたの珠ちゃん?」 なんだろ、珠ちゃんの反応が予想してたのと違うというか……。もっと音楽トークに乗ってくると思ったんだけど……? ……珠ちゃんは頭をかくと、なんだか複雑そうな顔をしつつ、少し考えて言う。 「……いろは、まぁいろんなこと考えてるのはそれはそれで良いとして、ところでさ、曲は作ったのか?」 「あ、曲はまだ作ってないんだ。でも大丈夫だよ。イメージはあるんだ。もっちろん!」 そう。ここ1週間ほど私は、いろんな曲を聴きながら自分が作りたい音楽のイメージを固めていた。ふふ……ただ楽しんで聴いてたわけじゃないよ! 私だってやるときはやるんだから。 「おお、それは良いことだな。イメージがなきゃ何も作れないしな」 「でしょ! 私もそう思ったんだ。だからいっぱい考えたの! 音楽ってベースラインすごく大事なんだね~!」 「ああ、ベースラインは大事だな。それ一つでビックリするくらい変わるしな」 「うん。いろんな音楽聴き比べて、なんかそういうのちょっとわかるようになったかも」 「よし、うん。そうか。なんでもないや。どうやらあたしの勘違いだ。じゃあ今日はうんと作曲しちゃうか!」 「うん!」 *~*~*~*~*~*~* そして今日は、ちょっと久しぶりに珠ちゃんちでおしゃべりとかしながら曲作り。なんか、さっき珠ちゃん様子おかしかったような? まぁいっか。……そして私は、珠ちゃんの制作机に座って新しい音楽データを立ち上げる。 「さてと、じゃあまず―――」 「大丈夫! 自分でやれるから、珠ちゃんは漫画とか読んでて♪」 「……おお、そうか。そうだな、もう一人前だもんな。すまん、つい癖で」 「あはは、うん♪」 私が1曲目を完成させたあの日から、1週間が経った。そして今日は、さらにパワーアップした私による2曲目を作る日。ふっふっふ! 珠ちゃんがビックリするような凄い曲を作って、アッと言わせちゃおうかな♪ イメージはもうあるんだ♪ 「えーっと、まずはメロディだよね。 ……ふんふーん、ふふんふー……」 私は、頭の中に描いている感じのメロディを鼻歌で歌う。そうそう、こんな���じ。そしてそれをパソコンに打ち込んでいく。いいぞ、その調子。いい雰囲気。 ……おっと、いや、これじゃダメだ。これじゃグッとこない。なんかこう、違うんだよね。もっと良いのが出るはず……。 「う~ん……。あ……」 これとかどうかな……? あ、悪くないかな。うん。わりとサビっぽい。いい感じ。あーでも、私のビジョンとしてはこれじゃまだ足りない感じするなぁ……。 *~*~*~*~*~*~* 「首尾はどうだいろは?」 「ちょ……ちょっと待ってね……」 ひとりで作業してる後ろで、珠ちゃんは最近ハマってるらしいジャグリングの練習をしている(いまはボール4つに挑戦してるらしい)。そんな珠ちゃんを背後にあれから2時間、私はほとんど何も進まないまま鍵盤とにらめっこしている……。 「なかなか降りてこないんだ……」 「そうか」 珠ちゃんはさらっとした返事をして、引き続きジャグリングの練習を始める。……あーどうしよ、なんかアイデアとか貰おうかな……でも私、自分でやるって言っちゃったしなぁ……。 *~*~*~*~*~*~* 「どんな感じだいろは?」 「…………もうちょっと待ってね……」 それからさらに1時間後。汗をかいている私。曲はほとんど何も進んでいないまま。ほんの少しフレーズっぽいのを書いたりもしたけど、それもあんまり気に入ってないし、書いては消してを繰り返している。ビジョンはあるつもりなんだけど、でもこんなクオリティじゃそもそも作る意味もないし……。 「……さてと。いろは、ちょっと休憩するか」 「う、うん……」 ジャグリングのボールを器用に頭に乗せながら、珠ちゃんが言う。 「あたしは結構進んだぞ」 「あはは、そうみたいだね」 「よーし見てろよ」 そう言いながら、珠ちゃんは4つのボールを交差させて投げる。 「おっと! おっとっとと! あーっ!」 自信満々の顔してたわりには、わりと普通に失敗する珠ちゃん。 「難しそうだねぇ~」 「うーむ、やはりこういうのはあれだな、人前でやらなきゃだな。今度駅前とかでやってみようかな。あーでも、それだと下手なの見られちゃうし、ちょっと恥ずかしーなー。こう、スパスパーって感じであざやかにキメる感じでいきたいんだけど」 「え? でも、むしろいいんじゃない? 人に見られた方がうまくなるかもしれないよ? なんていうか、その方が珠ちゃんぽいっていうか」 「あっはっはっはー。まったくだ」 あれ? 珠ちゃんのいまの言葉、笑ってるけど、なんだか笑ってない感じがした。なんていうんだろう、ちょっと棒読みっぽいっていうか……? 「まぁ、あたしなら明日にでも人前でジャグリングやるだろうね。恥ずかしいって言ったのは嘘だ。……なんの話をしようとしてるのかっていうとね、なんていうかな……自分では気づいてないだろうけど、いろはは今ある病気にかかっているんだ」 「え?」 なに、え……病気……? 「病気? どこも悪くないと思うけど……」 「自分ではなかなか気づかないんものなんだよ」 ジャグリングのボールをベッドの上に転がすと、あぐらをかいたまま珠ちゃんは言う。 「いろはは今『こんなにビジョンがあるのに曲が仕上がらないのはなんでなんだろう』って、思ってるんじゃないか?」 「え!? あ、えっと……うん�� 「いろはが今曲を作れないのには、ちゃんと理由があるんだ。そしてそれは、創作の世界ではもっともポピュラーな病でもある。『インプットという病』だ」 「『インプットという病』?」 「または『インプット過多による創作便秘』とも言う」 「��…!? え、ちょ、今なんて!? 創作……便秘!?」 それは女の子にあるまじき発言だよ珠ちゃん! 「これはとてもよく見られる創作における症状のひとつなんだよ」 「なにそれ、え? 私……その……便秘なの?」 「まぁ比喩的な意味だよ。いろははさ、理想的な曲を作るために、いろいろ観たり聴いたりした……つまり”インプットした”んだろ?」 「うん……? そうだと思うけど……?」 「それで多分、インプットの量が多くなりすぎてしまったんだ」 「どういうこと?」 「もっと一般的な言葉で言うと、”耳が肥えてしまった”かな。理想が高くなったとも言う。たしかに、見る目があるっていうのは大事なことだ。良いものを知って、感動しないと良いものは作れない。それはとても理にかなってる話ではあるんだけど……でもさ、いろはっていま、まずまともに曲を作ることすらおぼつかない段階だろ?」 「うん」 「たとえば、似顔絵も上手に描けないような人が、ダヴィンチみたいな絵が描けるわけがないってのはわかるよな?」 「うん」 「でも、もしダヴィンチの絵を見慣れ過ぎてしまって、しかもダヴィンチみたいな絵を描きたい、ダヴィンチみたいな絵じゃなきゃ無価値だ! と思いすぎてしまったら、その人は自分の絵の下手さが嫌になって、何も描けなくなると思わないか?」 「あ~~……うん」 「……今いろはの頭の中で起こってるのは、つまりそういうことだ。たしかにクインシー・ジョーンズや久石譲は素晴らしいミュージシャンだけど、あれをベストと思いながらじゃ理想が高過ぎて、自分の作曲力の現状に耐えられず、作ってて心が折れる。せっかくどうにかしてフレーズを捻り出しても『これじゃない!』ってすぐ思ってしまって、ワンフレーズすら作れない。そんなケースがよくあるんだよ。あたしはそれを『インプット過多による創作便秘』って呼んでるんだ」 「な……なるほど……」 「ちなみにこれがなぜ頻繁に起こる症状なのかというとね……」 珠ちゃんは、少しいたずらっぽく笑いながら言う。 「作品を読み解いて評論するっていうのは、超超簡単にクリエイター気分を味わえるものだからなんだよ。とくに努力も能力も必要ないことなのに『わかる』=『できる』と思い込んでしまうんだ。観るのも聴くのも読むのも、受け取るだけだし簡単だ。そこに工夫はいらない。そもそも作品は、受け取る人に伝わるように考えられて作られてるケースがほとんどだからね。もしわからないものだったとしても、自分のサジ加減で抽象的に評論しちゃえばまるで深みのあることを『わかってるような気分にもなれる』し、『作れるような気分にもなる』。実際に作れるわけでもないのにね。でもそれは、手軽だし楽しい気分になれるから、ついうっかりインプット&評論にハマってしまう人は多い」 ……ああ、なるほど……。 「これをこじらせるとどうなるのかっていうとね、やたら熱心に人の曲についてあーだこーだとわかったようなことを言う���超めんどくさい音楽評論エリートさまになっちゃうんだ。それが周りから見たらどれくらい残念な様子なのか、本人が自覚できることは少ない。いろははまさに、その入口に片足をつっこみかけてるんだよ」 「……ぐう……」 ああ、なるほど、ああなんか、なるほどだよ……ぐぐ……。 「そ、そうだね。私、理想だけ高くなってたかも。作れないのに」 「そう、症状が軽いうちはそんな風に、結構すんなり受け入れられる。けど、この症状がもう少し悪化したら、あたしの言ったいまの言葉だって『それは違う』とか言いながら、わけのわからん筋の通らない理屈を並べ立てて否定するようになっちゃうんだ」 「そうなの?」 「ああ。かなりの確率でね。そうしないと、心が壊れてしまうからな。防衛本能がはたらいて、破綻しまくってるでっちあげの理論武装で『作らない自称クリエイターの自分』を守ろうとするんだ。こじらせてしまったエセ評論家の自分という事実を認めるのは、あまりにもキツいからね。でも、何も作れないのにクリエイターを名乗るっていうのは、料理が作れないのに料理人を名乗ってるのと同じくらい滑稽だ。友達なら、言ってやった方がいい」 「うう……じゃあ今朝の私は、だいぶイタい感じだったんだね……」 「もちろん、全部が無駄ってわけじゃないけどね。適度にいろんなものを知っておくのは大事だ。けど、インプットなんてね、意識的にやってなくても勝手に入ってくる分くらいでちょうど良いんだよ。もともと、興味ってのは自分で無理矢理振るわせるものでもない。普通にしてるときに普通に興味をもったものを普通に楽しんで、普通に感動すればそれで十分なんだ。成長するぞ! と思ってやたら作品に”感動しようとする”と、それは自分の心が捏造した感動になる。でも本当の感動っていうのは、感動しようと思ってたわけでもない時に不意打ちでうっかり『感動させられてしまう』ものなんだ。だから、インプットなんてものはそもそも意図的にやる必要はない。普通に生きて普通に触れたものに感動する。それで十分なんだよ」 ……正直、深過ぎてちょっとわかんないけど、たぶんそういうことなんだろうなぁ……。 「それにもともとね、本来のインプットって言葉の使い方を間違えてる人も多いんだよ」 「本来のインプット?」 「インプットっていうのは元々、『興味はないけど必要に迫られて資料的な情報を頭に叩き込む』ことを指す言葉だ。世間でよくインプットって言われてるのは、単なる娯楽ってことの方が多い。そしてそれについて、なにもやましさなんて感じる必要もないんだよ。『今日は遊びにきました!』って思いながら映画でもライブでも観ればいいのに、なんだろうな、インプットという病にかかってる人は、どうしてもそこで『真面目に感動を吸収しようとしてる人』になりたがってしまう。インプットなんて言葉は使わずに普通にしてればいいんだよ。普通に楽しめば普通に、ちゃんと感動するんだから」 ……ああ~、珠ちゃん全開だ。本当に、なんなんだろうこの子。 「珠ちゃん、改めてその悟りきった感じ、凄いね……人の心の闇をくまなく照らすというか……」 「……おっと、どうやらいろははまたあたしを何か特別��能のある存在だと思い始めてるな?」 「え……うん」 「だから、違うって言ってるだろ。あたしがこのインプットという病についてこれだけ明確に症状を把握してるのは、ほかでもないあたしがバッチリその重病患者だったからだ」 「え!? そうなの!?」 「そりゃあもう、あたしの病は壮絶だったぞ! レンタルショップで片っ端から音楽DVD借りてきて、あれはすごいだのこれはすごいだの、ライナーノーツ通りの言葉をせっせとしゃべって、なんか凄いっぽい音楽聴いたらいちいちそれを凄い凄いって触れ回って、別に大して好きでもない音楽を『深い……』とか言ってみたり、ろくに良さがわかりもしないビートルズを最高だって言ってみたり、『今日はインプットで1日ゲームするぞ!』とか平気で言ってたもんな。もう超クリエイター気分だったよ。でも、それは『クリエイターになりたい』ってだけで、『作りたい』とは全然違うものだったんだ」 「……やっぱり、なんかちょっと想像つかないなぁ……。珠ちゃんにもそういう時期があったなんて……」 「肝心なのはね、それでも結局『作りたい』が上回るかどうかなんだよ。よく語り草になることだけど、インプットしてる暇があったらとにかくもっと作りたいと思う気持ち、それが、実際にクリエイターになっていく人の根本的な素質なんだ」 「なるほど……」 だったら私はどっちなんだろうなぁ。どちらかといえば『作曲家になりたい人』なのかもしれないけど、作りたいって気持ちも少しくらいはあると思う。多分。 「で。インプットという病を治す方法についてなんだが」 「え!? それあるの!?」 「もちろんだ。重病を克服したあたしの体験に則したとても効果的な方法だよ。……耳が肥えてしまって自分の作るものに納得がいかず、何も作れなくなってしまう創作の病……。これを突破する方法は……」 「方法は……?」 「『ダサいものを作ってしまえ』だ」 「え」 「嫌そうな顔をしたな。ダサいものを作るんだよ。うわぁこれはないわぁってもので良い。人に見せなくていいから、ダサいものを作る。ダサいものを作るつもりで作る。かっこよくなりそうになったらむしろダサくするくらいでちょうど良い。ダサいものを作るってことを目標にして、1曲作ってみるんだよ」 えー……。やだなぁ……。 「そんなに嫌そうな顔をするなって。インプット病を治すには、まず自分の等身大を改めて思い出す必要があるんだ。そして、出すもの出さなきゃ便秘は終わらない。なんでもいいから一番出やすいものをとにかく出して、曲を仕上げるっていうそのプロセス自体を癖にするっていうのが大事なんだ」 「うん……。でも、もうちょっとキレイな言い方ないのかな……」 「あはは! これはあるロックミュージシャンが言った名言なんだけどね、インタビュアーの『あなたにとって曲作りとはなんですか?』って質問に『曲作りはウ○コみたいなもんだよ。作るというより、出す』って答えてたことがあるんだ。これは本当に、あーなんか、そうだなぁって思った」 「そっちに話題がいかないように誘導したつもりだったのに、ガッツリそっちに行っちゃったね珠ちゃん……」 「音楽をやたら聖なるものにしたがる人は多いけどさ、人間っぽいから音楽は胸に響くんだと思うよ。聖なるものは人間ぽくないと思うんだよな。それは清廉潔白な理想なのかもしれないけど、愛嬌はない。あたし個人の趣味としては、���っぱり愛嬌のある音楽が好きだな。作るというより、出していきたいもんだね」 *~*~*~*~*~*~* そんなわけで私は、仕切り直しつつまた曲を作り始める。ものすごいやつを作るつもりじゃなくて、まずは私に出来るもう一歩だけ進んでる曲。うん、たしかに珠ちゃんの言う通り、なんか変に意気込み過ぎてたかも。 「まぁ、理想が高いのも見栄っ張りなのも、良いことだと思うけどね。言い方を変えれば、それは純粋な向上心だ」 「うん。そんな気がする」 「向上心の裏返しだからこそ、これは永遠に治らない持病みたいなもんでもある。だから、上手に付き合っていかないとね。とりあえず、理想が高くなり過ぎて作れなくなったら”なにがなんでもとにかく出す”これが対策だって覚えとくといいよ」 そして少しずつ形になる、別にすごくない等身大の私の曲。でも、まずはこれが大事。そういえば、これが私だった。 「私、ちょっとわかってきたよ珠ちゃん」 「なんだ? 『音楽って無限大だね、商業主義に毒されてない純粋なアートがどうのこうのでクインシー聴いてない人は世界が狭い』か?」 「うわああああああ!」 き……今日はここまで! *~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
https://info.shimamura.co.jp/digital/special/2017/03/110852
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groyanderson · 5 years ago
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ひとみに映る影シーズン2 第一話「呪われた小心者」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第一弾 志多田佳奈「童貞を殺す服を着た女を殺す服」はこちら!☆
དང་པོ་
 『ジャパン・ファッショニスタ・コレクション二〇一三』。年に一度開かれる、日本最大級のファッションの祭典だ。ゴールデンウィーク初日、五月三日。今年も女の子達が全国から日��谷(ひびや)ヴォヤージュアリーナに集った。  セレモニーが始まると、アリーナは堰を切ったように歓声に包まれる! EDMミュージックが地面を揺るがすほど重低音を響かせ、レーザーライトはそれに合わせて明滅。やがて中央モニターに有名ブランドロゴが表示され、今最も旬のモデル達がランウェイへ繰り出していく……去年まで私は、この光景を観客席から見ていた。だけど、今年は違う。  二〇一三年。ついに私の、モデル兼女優・紅一美(くれないひとみ)の時代が来たんだ! 昨年公開された歴史映画『邪馬台国伝説』がアジア映画賞にノミネートされ、女王卑弥呼役を演じた私は一躍国際女優に。更に私が主人公のサイドキックを演じている連続ドラマ『非常勤刑事(ひじょうきんデカ)』も既にシーズン三に突入し今年映画化が決定、そしてお昼の情報番組『まちかどランチ』で夏から始まる新コーナーのメインパーソナリティにも抜擢されている。こうして枚挙してみると、本業であるモデルらしい仕事は殆どしていないように見えるけど、それでもよし。現にこうして、JFC二〇一三でオーガニックファッション&コスメブランド『リトルマインド』の看板を背負わせて頂ける事になったんだ。もう、うらぶれたローカル局の旅番組でドッキリに騙されるだけが取り柄の三流リアクション芸人とは、誰にも言わせない。  前ブランドのファッションモデルがランウェイから踵を返すと、ダブステップBGMが爽やかなペールギュント組曲『朝』にクロスフェードした。中央モニターに『リトルマインド』の華奢なブランドロゴが表示され、いよいよ私の出番が来る。緊張で心臓が飛び出そうになりつつも、私は直前まで舞台袖で観音菩薩印相を組みながら軽く瞑想し、意を決して晴れ舞台へ飛びこんだ!  ワアァァー! 歓声が上がる! ニヤつきそうになるのを必死に堪えながら光の道を歩き、先端でポーズを取る。ワアァァーーッ! 更に歓声! 長かった。芸能界デビューから四年、紅一美、二十二歳。お母さん、お父さん、それに人生最大の恩師、石筵観音寺(いしむしろかんのんじ)の和尚様。私もついに一人前のファッショニスタになれました! 聞こえていますか、この歓声! 「「「ワアァァー! ヒトミチャーン! ウシロー!」」」……ん? ウシロ? 「「「一美ちゃん、後ろーーっ!!」」」  歓声に混じった謎の警告。振り向くと……さっきまで頭上のモニターに掲げられていたリトマイのロゴは消滅し、代わりにこう書かれていた。 『予告状 JFC二〇一三にて、最近女優ぶって調子に乗っている小心者モデル、紅一美を頂戴致します。 したたび怪盗・カナちゃん三世』 『ヌーンヌーン、デデデデデン♪ ヌーンヌーン、デデデデデン!』  テレビ湘南(しょうなん)制作『ドッキリ旅バラエティしたたび』主題歌、『童貞を殺す服を着た女を殺す服』の低俗なイントロがペールギュントを蹂躙した途端、私はランウェイを飛び出して一般客の海に潜りこんだ。したたびとは、極悪ロリータアイドルこと志多田佳奈(しただかな)さんの冠番組だ。私はこれまで幾度となく、事務所とグルのこの番組にドッキリと称して乱暴に拉致され、割に合わない過酷なロケを強要されてきた。冗談じゃない。私はもう国際女優で、JFCのランウェイを歩く国際モデルなんだ! 今日という今日は空気を読まずに逃げ切ってやる! たとえドローンで無数のアラザンを集中砲火されたり、スクランブル交差点のど真ん中で逆バンジージャンプさせられても逃げ切ってやるんだ!! しかし、その時だった。 『うわあぁーーーん! 助けてぇ、一美ちゃーん!』  ステージ方向から金切り声で呼び止められ振り向くと、モニターに縄でがんじがらめに拘束された着ぐるみマスコットが! あ、あれは、昨年の全日本ご当地ゆるキャラコンテストで金賞に輝いた、ゆめみ台代表のゆめ美ちゃん!? すると首にIDカードを提げたスタッフの方が人混みをかき分けて現れ、私にワイヤレスマイクを押しつけた。ほどなくして、あの極悪アイドルが……佳奈さんが、ステージ上に白いゴシックタキシード姿で登場する。 「JFC二〇一三にお越しの皆様あああぁぁ!!!」  ワアァァーーー!! ウオォォーー!! 私の時よりも一際大きな歓声。悪夢だ。 「ドッキリ大成功ーーー! 志多田佳奈のドッキリ旅バラエティィーーーッ……」  佳奈さんはあざとくマイクを客席に向ける。お客さん達が『したたびでーーーす!!』と返した。こうなれば私も売られた喧嘩を買わざるを得まい。 「なにが怪盗ですか、私のペールギュント『朝』を返せ! この泥棒ロリ!!」  ワアァァー! 私が言い返すと、また観客席から歓声が上がる。プロレスのマイクパフォーマンスじゃないんだから。 「朝ぁ? もう昼前なのに何を言ってるのかなー、リトルマインドの小心者さん」 「あっなるほど、リトルマインドだから小心者……って、そんな事より! 私の晴れ舞台を邪魔して、あまつさえゆめ美ちゃんを人質に取るなんて今回は酷すぎます! 卑怯者!」 「ゆめ美ちゃん?」  佳奈さんはキョトンとしている。 「とぼけないで下さい。ほら、モニターに……」  私がモニターを指さした瞬間。ヴァボォォオオ!!! 突然画面内のゆめみちゃんが青白い炎に包まれた! 「きゃーっゆめ美ちゃーん!?」「うわああああ!」  客席から悲鳴が上がる。ゆめ美ちゃんが大好きな、小���なお子さん達の悲鳴が。一方炎上し続けている当のゆめ美ちゃんは平然とした仕草で、焼け落ちた縄を払い除け、画面いっぱいに顔を近付けた。 『……ゥゥウ、紅ひト美イィィ……呪っテヤるゥ……小心もノノ貴様ヲのロってやルウぅゥ……! もウろくナ仕事が来ナクなるよウに祟っテやるゥゥウ……!』  何らかのホラーじみたボイスエフェクターを通した声で、ゆめ美ちゃんが私に恐ろしい呪詛を吐く。佳奈さんはあからさまにリハーサル済だとわかる計算ずくのタイミングで身じろぎし、客席を仰いだ。 「大変! 小心者の誰かさんが最近調子こいてるせいで、ゆめ美ちゃんが悪霊に乗っ取られちゃった! これは千里が島(ちりがしま)に住む怨念達が怒ってるからに違いない! 千里が島は昔散減島(ちるべりじま)って地名で、絶家の祟りがあったって言い伝えが残ってるからね!」 「は?」  地名? 祟り?? まさか……。 「こうなったら千里が島で噂の徳川埋蔵金を掘り当てなきゃ。観光地アピールをすれば、怨霊達も喜んで鎮まってくれるよね。ゆめ美ちゃんと出会ったゆめみ台の時みたいに!」  ダァーン! パッパラペー! 安っぽい効果音が鳴り、画面いっぱいにデカデカと『綺麗な地名の闇シリーズ第六弾 千里が島宝探し編』という文言が現れた。私はその場にヘナヘナと崩れ落ちた。 「……うそでしょおおおぉぉぉーーーーっ!!!??」
གཉིས་པ་
 したたび・綺麗な地名の闇シリーズとは、一見綺麗な地名だけど実は災害に弱い、昔は恐ろしい地名だったなど、ちょっと曰くつきな地域を紹介していく企画だ。デメリットだけでなく、地理的な危険性に対する自治体の取り組みやお出かけスポットなども紹介して地域を振興する。例えば、今回の演出で犠牲になったゆめ美ちゃんの出身地、ゆめみ台。あそこは土砂崩れが起きやすく、旧地名は蛇流台(じゃりゅうだい)と呼ばれていた。そこで番組では現在のゆめみ台が安全に暮らせる場所だと証明するために、ゆめみ台国立公園の断崖絶壁でロッククライミングを行った。地盤の安全とロッククライミングに何の関係があるのかと思われるだろう。私も未だに訳が分からない。またある時は『元氾濫常習地で河川の安全を証明するためにキャニオニング』だったり、『元流刑地で治安の良さを証明するために現役警察官と剣道対決』だったりと、何故か毎回異常に過酷なアクティビティが用意されている。今回もそうに違いない。  あの後あれよあれよと運び出された私は、人混みで揉まれてシワクチャになったリトマイをテレ湘の衣装さんに剥がされ、佳奈さんがコーデしたロケ衣装に着替え��。爽やかなストライプTに水着生地のハーフパンツ、歩きやすそうなサンダル、つばが広いストローハット。よく見たらその服一式も、今日から発売されるリトマイの夏の新作だった。SNSを確認すると既にリトマイ公式アカウントが広告を出していて、その文末に『一美ちゃんごめんなさい(ウインクして舌を出す絵文字)したたびさんのドッキリ(驚く顔の絵文字)とコラボさせていただきました(お辞儀をする人の絵文字)』と書かれていた。もう二度とリトマイの仕事は受けまいと心に誓った。  アリーナ業者搬入口には見慣れた水色のロケ車が待ち構えていた。普通ロケ車って白が多いけど、テレ湘は湘南の海色モチーフだからすぐわかる。後部座席に乗りこみワイヤレスマイクを装着していると、運転席に座るディレクター兼カメラマンのタナカDが私に紙袋を差し出す。 「忘れ物ですよ」  中身は黄色いパーカー。私の地元、会津地方で販売している物で、胸元に『I♡AIZU(アイラブ会津)』と書かれている。飾り気はないけど着心地がいいから、よく冷房が寒いバックヤードなどで着ているやつだ。そういえば、この騒動のせいでアリーナ控え室に置きっぱなしだったっけ。まだショートTでは肌寒い季節だから、私はそのままアイラブ会津パーカーを羽織っていく事にした。 「しかし紅さんも災難ですなあ。地名闇シリーズでいつか千里が島に行くとは決まっていたけど、まさかJFCの直後とはね!」 「一美ちゃん、その服にチビらないでね。それもリトマイさんの宣伝なんだから」  タナカDと佳奈さんに釘を刺された。恐らく理由は、ひょんな事から彼らが私を『お化けが苦手な子』と思いこんでいるせいだ。本当は怖いどころか、昔お寺に住んだ事があるから幽霊なんてしょっちゅう見慣れてる、なんなら除霊だってできるんだけど……それはそれでカミングアウトしたら面倒な事になりそうだから内緒にしている。  千里が島は徳川埋蔵金が隠されていると噂の候補地でありながら、日本一の縁切りパワースポットであり、有名な心霊スポット。この番組の事だ。きっとわざわざ夜中に祟られた場所に行くとか、私をビビらせるために余計なロケを用意しているんだろう。 「そうだ。お母様から紅さんの荷物と差し入れの福島銘菓『うまどおる』預りましたよ。ちゃんと後でお礼言いなさいよ」 「やったー! ごほうびんぐターイム!」  タナカDが後方を指さすと、佳奈さんが後部座席裏からうまどおるの箱と『予後の紅茶』ペットボトルミルクティーを取り出した。私も個包装を雑に剥がし、半ば現実から逃避するようにヤケ食いする。食べながらふと思い立って、舞台に立つ前財布にしまっていたペンダントを取り出し首にかけた。 「そのペンダント、こ��数年いつも着けてるよね。韓国の友達から貰ったんだっけ?」  佳奈さんが興味深そうにペンダントに触れる。 「ハングルが書いてある。なんて読むの?」 「『キョンジャク』って読むそうです。悪いお化けを捕まえてお清めするお守りなんですって」 「やっぱ一美ちゃん、卑弥呼のクセにだぶかお化け怖いんだぁ!」 「うるさいなあ、邪馬台国民の霊ならだぶか大歓迎ですよ。女王権限で佳奈さん達を呪ってもらえますからね!」  だぶか、とは、したたび出演者やファンがよく使うスラングだ。確か本来は『逆に』とか『寧ろ』みたいな意味のヘブライ語で、元々誰が言い出したのかは忘れたけど、今じゃネットや街中でもちらちら使われ始めている。  お菓子をだらだら食べながら下らないやり取りをしていると、ロケ車はいつの間にか調布(ちょうふ)飛行場に到着していた。離島などに行く小型便専門の、小さな空港み��いな所だ。本当に行くのか、千里が島……全くもう、今から気が滅入る。
གསུམ་པ་
 ポーン。  『皆様、本日は美盾(みたて)航空をご利用頂き、誠にありがとうございます。当機はMAL五八便、千里が島(ちりがしま)行きでございます。飛行時間は約……』  こじんまりとした小型旅客機に、こじんまりとした低音質機内アナウンスが流れる。佳奈さんとタナカDは機内で大した撮れ高が期待できないと見るや、さっさと眠ってしまった。それはともかく……  私から見て右後方部。男も女も、フランシスコ・ザビエルを彷彿とさせる奇妙な髪型の一団。その中心で悠然とワイングラスを揺らしている男性は、宗教法人『河童の家』教祖、牛久舎登大師(うしくしゃとうだいし)。  左後方部。卓上に小さな信楽焼の狸や風水コンパスを並べて忙しなく地図に何かを書きこんでいる、狸耳フード付きブランケットを被った男性。地相鑑定家タレントの狸おじさんこと、後女津斉一(ごめづせいいち)だ。隣にはブレザー制服の女子中学生風化け狸と、二匹の狸妖怪。彼とはどういう関係だろうか。  私達の背後、中央三列シート後部。PTA的な気迫を醸し出す、上品かつ気骨稜稜なおばさま軍団。その殿では、年始によく芸能人をタロット占いしている占い師、加賀繍へし子(かがぬいへしこ)がニタニタと薄ら笑いを浮かべる。更に私の斜め右前方にいる若い女性は、現代沖縄に残る由緒正しき祝女(ノロ)、すなわちシャーマン。金城玲蘭(きんじょうれいら)。  ……どう��て!? 何故にこの便、旬の霊能者だらけ!!? 偶然か? それとも、ひょっとしてこれも新手のドッキリか? でも、中堅人気番組になったとはいえローカル局制作のしたたびに、こんなに霊能者を呼ぶ予算はないはずだ。ただでさえ私へのドッキリに、予算を殆ど割いているというのに……こちとら大迷惑だけど。ただ同じ中学出身の幼馴染、祝女の玲蘭ちゃんがいたのは不幸中の幸いだ!  私はしたたびの二人が熟睡している事を確認した後、自分も寝た振りをしつつ、足元に念力を集中させた。実は私の家系は代々、『影法師』という霊能力を持っている。お寺に住んだ事があるのも、霊感があるのもこのためだ。そうは言ってもこれは地味な力で、エロプティックエネルギーと呼ばれる念力で自分や周りの影を操ったりできるだけ。だから正確には霊能力じゃなくて、サイコキネシスやテレパシーみたいに脳が発達して覚醒する『特殊脳力(とくしゅのうりょく)』というカテゴリに該当するらしい。  爪先から影を糸状に伸ばし、右前方のシートへ這わせていく。玲蘭ちゃんはそれに気がつき背後を振り返った。私は船を漕いだまま、佳奈さん達に悟られないようそっとサムズアップする。影が玲蘭ちゃんの前席から突出する簡易テーブルに乗り上げると、彼女は影の先端にそっと触れた。 <一美!? どうしてここにいるの!?>  影を通して、テレパシーが私に伝わる。これなら離れていても話ができるし、幽体離脱と違ってリスクが少なく、霊感がある人にも会話が漏れない。影法師の技法、『影電話』が役に立った。 <どうしてここに……はこっちの台詞だよ! 何なの、この霊能者軍団!?> <は? あんた何も知らないで千里が島に行くワケ!?> <行きたくて行くんじゃないもん! 見てよ、私の隣でグースカ寝てる人達!>  玲蘭ちゃんが再び振り返る。 <……アー……したたび。そう……じゃあ、また騙されたんだ>  玲蘭ちゃんいわく、千里が島の縁切りパワースポットには実際凄まじい怨霊がいるらしい。そこで島を改革中の再開発事業者、『アトムツアー』が日本全国から名のある霊能者達を集めて、この度除霊コンペティションを行うという。それがどれほど強い怨霊だか知らないけど、除霊成功者には報酬三億円、更に全国のアトム系列スーパーで使える永年ポイント十倍VIPカードが進呈されるとかなんとか。 <三億円って……ドリームがでっかい話だね……> <それだけとんでもない魔境なんじゃないの? 私はこんなヤバそうな依頼受けたくなかった。でも、引き受けないと地元の伊江村(いえそん)に下品なメガアトムモールを建てるっていうから……> <うっわ、最悪じゃんそれ! もうアトムで買い物するのやめようかな……> 「あの、すいません!」  突然、私達は声���かけられて振り返った(私は影体にファティマの眼という霊的レンズを作ってその人を見た)。そこにいたのは、さっき狸おじさん……後女津斉一氏の隣にいた女子中学生狸ちゃん。うっすら体毛が生えていて、耳や尻尾は狸のもの。だけど顔はどことなく狸おじさんに似ている。 「そ……それ、影法師だよね? じゃあ少なくともモノホンって事だよね!? 私の事、見えてる? お願い、見えるって言って!」 「……普通に見えてますけど。あ、『できればあなたも影電話で話して下さい』だって……影の主が」  玲蘭ちゃんが私の言葉を伝達してくれた。狸ちゃんも影糸に触れる。 <あぁ~良かった! 孤独だったんだよ、まともな霊能者はカッパ頭の大師さんしかいないんだもん。でもあの人に関わると、変な宗教に入れられちゃいそうで……はぁ……>  狸ちゃんは心底安心したように、その場でへたり込んだ。 <ええと、失礼ですけど……あなたは?>  私は少し警戒して尋ねる。 <私、後女津万狸(まり)。後女津斉一の娘だよ。あっちにいる狸妖怪は、斉二(せいじ)さんと斉三(せいぞう)さん……パパのドッペルゲンガー狸なんだ> <娘!? ドッペルゲンガー!? あの、ドッペルゲンガーって、世界には自分と同じ顔の魂がいて、出会っちゃうと殺されて乗っ取られるってやつ?> <それそれ! パパの場合はちょっと特殊だけど。昔事故に遭った衝撃で魂が三つに割れちゃって、里の大狸様に助けてもらって……そういうわけだから、別に乗っ取りとかなくてみんな仲良しなんだよ!>  交通事故に遭って、魂を狸に助けてもらった……いまいち的を得ない話だけど、もしかして万狸ちゃんが化け狸なのもそれが原因だろうか。そっと首を上げて狸おじさん達を見ると、彼らは驚きながらも小さく手を振り返してくれた。 <えっこの影、紅一美ちゃんだったの!? どーしよ、私したたび毎週見てんですけど! だぶか後でサイン下さい!> <は、はぁ……もちろんいいですけど……。ええと、あなた方もコンペですか?> <そうなの、行きたくないよー! でも行かなきゃ、木更津(きさらづ)の證誠寺(しょうじょうじ)を壊してアトムモール建てるって言うんだよ。そんな事になったら大狸様カンカンに怒っちゃう!>  うわあ、この子達もそういう事情か。アトムグループ最悪だ! こうなったら、少なくとも玲蘭ちゃんや後女津さん達とは助け合って、せめて全員無事に帰らなきゃいけない。私達はひとまず協力関係を結び、今後の作戦をざっと話し合う事にした。 <他の乗客の霊感は?>  玲蘭ちゃんが私達に問う。 <したたびチームは私以外カラキシ。万狸ちゃん、他の人達の事はわかる?> <うん! 河童の家の信者さんはほぼみんなヒヤシ、良くてチョットだと思う。でも大師さんは確実にモノホン。加賀繍さんの取り巻き軍団もヒヤシかチョットっぽいけど……けどヤバいの! 加賀繍さんご本人ね、業界では超有名なアサッテおばさんなの!> <ゲ、最っ悪!>  カラキシ、ヒヤシ、チョット、モノホン、アサッテ。霊能者が使う業界���語だ。カラキシは文字通り、全く霊感がない人を指す。ヒヤシも同じく霊は見えないけど、コールドリーディングみたいな心理学技術でスピリチュアルカウンセリングができる人。チョットは気配やオーラをなんとなく感じられる程度。モノホンは完全なる霊能者。そして一番厄介な人種が、アサッテ。霊がいない明後日の方向を見る方々……すなわち霊が見えるフリをしている詐欺師か、精神的なご病気による見えてはいけない幻覚を霊だと思いこんでいるタイプだ……。 <私は祝女だから自分の身ぐらいは守れるけど、万狸ちゃんと一美はどう?> <私は妖怪だからへーき! パパ達も一緒だもんね、ぽんぽこぽーん!> <私もお守りぐらいは持ち歩いてるし、観音寺で色々教わってたから大丈夫。ただ、ごめん……私、テレビ関係に霊感ある事を言いたくなくて……> <ああ……だ、だよね……特に一美は……>  申し訳ないが、本当にそれだけは秘密にしたいんだ。ただでさえ騙され芸人みたいな扱いを受けているのになまじ霊感があるなんてバレたら、何もいない心霊スポットでリアクション芸を強要されたり、それこそアサッテな霊能者と対談させられて超気まずい思いをするに違いないもん! <そうなんだ……オッケー! じゃあどうしても一美ちゃんが除霊する事になったら、パパとか金城さんが近くで何かしたって事にしよう!> <最善だね。私もできるだけしたたびロケを見張ってるから。場合によってはあんたの手柄を横取りしちゃう事になるけど、それでいい?> <も、勿論です! お二人共ありがとうございますっ!>  ああ、渡りに船だ! 仏様和尚様にも大感謝!  私はその後トイレに立ち、行き際にこっそり玲蘭ちゃんと握手を交わした。そして用を足し、反対側の通路で後女津さん達の席に向かう。 「あの、ありがとうございます。宜しくお願いしますね」  小声で挨拶し、会釈した。 「すみません、先程は娘が失礼を。ともかく、皆無事にこの旅を終えましょう」  いつもテレビで見る斉一さんは『狸おじさん』の名の通りお調子者なキャラクターだけど、実際に会うと礼儀正しい方だった。すると万狸ちゃんや『ドッペルゲンガー狸』のお二人も挨拶を返してくれる。 「頑張ろーね、一美ちゃん! ぽんぽこぽーん!」 「オイオイ、したたびさんも『持ってる』なぁ。こーんな怪しい連中とバッティングしちまうなんてさ! ハハハ」 「僕の事はあまり撮らないで下さい……うう、木更津に帰りたいな……」  彼らは顔つきや仕草から家族だと納得できるけど、性格は三者三様のようだ。万狸ちゃんは元気いっぱいな女の子。ドレッドヘアで髭が垂れ下がった化け狸の斉二さんは、笑顔が朗らかで、テレビで見る狸おじさんに一番近い印象だ。一方前髪をサイドにきっちりと撫でつけ、シンプルな白シャツを着た化け狸、斉三さんは人見知りそうに見える。 「あっ、見て見て!」  万狸ちゃんに促されて窓を覗きこむと、眼下の海には既に目的地、千里が島が浮かんでいた。
བཞི་པ་
 ポーン。  『皆様、当機は間もなく着陸体制に入ります。お立ちのお客様は席にお戻りになり、シートベルトをご着用下さい……』  示し合わせたようなタイミングでアナウンスが流れ、私は自席に戻る。ところが、シートベルトに手をかけた次の瞬間。  ズガガガガガ!!! 突如機体が激しく揺れ、左手側にめいっぱい傾いた! 「うわあああ! え、何!?」 「うおぉ、揺れてますなあ!」  突然の衝撃に佳奈さんとタナカDも起きだす。危なかった、咄嗟にシートベルトを影で繋ぎとめたから転倒せずに済んだ。しかし二人が起きてしまったから、ベルト金具を締めて影は引っ込める。  ポーン。 『皆様、機長です。当機は現在乱気流に突入したため、機体が大きく揺れております。シートベルトをご着用の上、焦らず乗務員の指示に従って下さい。ご迷惑をおかけ致しますが、千里が島着陸までもう少々お待ち下さい』  ズガガガガガガ! 悠長な機長さんのアナウンスとは裏腹に、機体は明らかに異常な揺れを起こしている! 何度も海外ロケに行っている私達したたびチームでさえ、全員表情に恐怖を禁じ得ない。 「一美ちゃん玲蘭ちゃん、あれ見て!」  万狸ちゃんが叫び指さした方向には…… 「ああ! 窓に! 窓に!」  しまった、思わず声に出しちゃった。玲蘭ちゃんから牛久大師の席あたりまで連なる窓の外に、巨大な毛虫じみた不気味な怪物がへばりついている! 「えっ何!? 一美ちゃんなんか言ったー!?」  佳奈さんが聞き返す。良かった、幸い機体揺れが大きすぎて私の声が掻き消えたみたいだ。 「別に! 死にたくなーい! って言っただけですよ!」  慌てて取り繕うが、 「ぎゃあああああ!!!」「何だこいつうわああ!?」  河童信者さんのうち一部、恐らくモノホンやチョットの方々がパニックに陥った! 玲蘭ちゃんは既に数珠を握りしめ、神人(かみんちゅ)の力を機外に放出しようと四苦八苦。一方後女津さんの狸妖怪達は機内に風水結界を張ろうと忙しなく走り回り、加賀繍さん方はアサッテの方向に念仏を唱えだした。ここで佳奈さんやタナカDも、ようやくこの便の異常な雰囲気を察する。 「な、なにこの声、お経!? ひょっとしてもう祟り始まってるの!?」 「あれ河童の家か!? 無断で写したら絶対ヤバいカルトじゃないか……ゲッ、あっちは狸おじさん!? これどこも撮れないぞ! くそ、ヘルメットカメラは預け荷物だし……」  タナカDはカメラマイクだけ生かした状態で、ファインダーを下に向ける。 「音声オンリーだ! 二人とも、実況して!」 「今それどころじゃないでしょ!? 墜落したら化けて出て、あなた方を祟ってやる!」 「そしたら私達全員死ぬから無理じゃん!」 「確かに!」 「「いやああぁ~~~っ!」」  おおよそプロ���性に物を言わせてトークを繋ぐが、こんな危険すぎる状況を実況したところでオンエアできるんだろうか。毛虫��拳を叩きつけるように身をガラスに打ちつけ、飛行機を破壊しようと試みる。いくら今最旬の霊能者集団が搭乗しているとは言えど、空中を高速移動中のこの状況では手も足も出ない! このまま千里が島に到着する事なく、MAL五八便は私達の棺桶になってしまうのか!? この場にいる大部分の人間が絶望しかけた、その時だった。 「かっぱさんチャント詠唱!」  突然牛久大師がシートベルトを外し、スクッと立ち上がった! 「かっぱさんチャント……」「そうだ! チャントを唱えよう!」 「「チャントをちゃんと唱えるぞ!!」」  教祖の鶴の一声で、狼狽していた他の河童信者達が次々に統率を取り戻していく。ていうか今、ダジャレ言ったような……? 「せーのッ! かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー! ホオォイ!!」 「「かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー!」」  河童の家一同は全員一糸乱れぬ動きで、ピカピカに剃りあげた頭頂部を両手で撫でながらチャントを詠唱する。ヤバい。カルトヤバい。この状況でふざけているとしか思えない事を大真面目にやってしまうカルトってヤバい! 私が今まで見てきたどんな悪霊や怪物よりも怖すぎる!! しかもこの恐れは直後、更なる絶望へと変わった。 「……ぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、ぱー」  玲蘭ちゃんがチャントに参加した! 何で!? 「かっぱっぱーの……一美もやって!」 「はぁ!?」 「そうとも!」  激震する機内で、転倒することなく仁王立ちの牛久大師が叫ぶ。 「君達だけじゃあないぞ。加賀繍さん、後女津さん! 死にたくなければ皆ちゃんとチャントするんだァ!」 「あぁ?」 「はい!?」  突然話に加えられた加賀繍さんと斉一さんが牛久大師を見る。ていうかやっぱりダジャレ言ってるよね!? 「じょっじょ、冗談じゃないわよーッ!」 「どーしてこんな時にそんなオゲヒンな事しなきゃいけないの!?」  肘掛けや前席のハンドルにしがみついたまま、加賀繍さんを囲うおばさま軍団が吠えた。 「そ、そうだそうだ! てーか俺河童じゃなくて狸だし……」 斉二さんも風水結界を押さえながら反論! 「うっちゃあしい、しみじみやらんか! 狸もだ!!」  うるさい、真剣にやれ! といったような方言だろうか。地元の会津弁に似ているからなんとなく意味はわかる。そして大師は斉二さんにも返事したからやはりモノホンのようだ……ええい、こうなったらままよ! 「かっぱっぱーの! かっぱっぱーの! かっぱっぱーのーパァー!」  国際女優紅一美、花の二十二歳。チャント参加! 生き残るためなら何だってやってやる! 「一美ちゃん!? マジなの!?」 「嫌々に決まってるじゃないですか、こんな狼藉あっていいわけない! でもやらなきゃみんな死んじゃうんでしょ!?」 「じゃ……じゃあ河童教が怨霊やっつけてくれるの!?」 「そんなの知りませんよ、私霊能者じゃないもん!」 「も……もぉーっ、わかったよ! 私達もやろう! タナカD! ほらかっぱっぱーの、かっぱっぱーの!」 「ええぇ!? か、かっぱっぱーの、パァー!」 「「かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー! かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー!!」」  もはや藁にもすがる思いで、客室にいる全員がかっぱさんチャントを唱える。揺れ続ける機内、加賀繍さんも万狸ちゃんも客室乗務員さんも、喉が痛くなるほど叫ぶ! すると増幅チャントが段々クヮンクヮンとハウリングを起こし、機内に奇妙な一体感が充満し始めた。 「「かっぱっぱーの、かっぱっぱーの……」」  ここで河童信者の一人が立ち上がる! 「総員、耳を塞げーーーーッ!」 「「かっぱっぱーの、【【【ハウヮアーーーーッ!!!!】】】  クワアアアーーーーァァン!!! 一斉に耳に手を当てた河童信者達に倣い私達も耳を塞ぐと、直後牛久大師の口から人間とは思えないほどの爆音が発せられた! 両手で側頭部を押し潰すほど耳を塞いでいるにも関わらず、頭が割れる程の大声だ。判断が遅れていたら失聴は免れなかっただろう! ただそれでも、分厚いガラスが二重にはまっている飛行機の窓から機外へチャントが届くのか……? と疑ったその時。怪物芋虫に覆われて薄暗くなっていた機体右側が、フッと急に明るくなった! あまりに一瞬の出来事で何が起きたかわからなかったけど、不思議な事に……芋虫がいなくなっている!? 「河童の家の勝利だ!」 「うおおぉー!」「かっぱっぱーの、勝ったったー!!」「大師! 大師!」  勝利を讃え合う河童の家とは裏腹に一同呆然としていると、いつの間にか機体の揺れも嘘のように治まっていた。  ポーン。 『皆様、当機は只今乱気流を抜けたため、これより着陸態勢に入ります。現在着陸予定時刻より三十分遅れとなっております、お忙しい中ご迷惑を……』  何事もなかったかのように、また悠長でこじんまりとしたアナウンスが流れ始めた。どの霊能者もしたたびチームもそれぞれ、安堵と疲労で背もたれにしなだれ掛かる。  それにしても冷静になって思い返せば、あの芋虫のような怪物には心当たりがある。あれは以前戦った物と似ていた。千里が島にどのような怨霊が棲んでいるのか、私はなんとなく目星がついた。寧ろ気になるのは河童の家だ。あのふざけたチャントと牛久大師の力は、一体どういう仕組みだったのか…… 【共鳴透過という言葉をご存知かな? ワヤン不動(ふどう)君】  ……え? 【狭い中空層を隔てて並ぶ二枚のガラスは、音が共鳴して反対側に届くのだ。飛行機の窓ガラスも然もあらん】  離れた席から大師の声が鮮明に聞こえる。頭に直接響くテレパシーとはまた違った感覚で、まるでイヤホンをしているように耳に音が入ってくる。振り返ると、大師は口をぽかんと開けたまま私を見つめていた。 【不思議に思っているかね? なに、簡単なことさ。この力の源はエロプティックエネルギー。すなわち君の影法師と同じ、霊力ではなく念力由来の物だ。俺は念力であらゆる周波数の音波を生み出し、口から発する事が出来る。霊が嫌がる周波数もだ。それを増幅するのがかっぱさんチャントだったという訳さ】  エロプティックエネルギー!? まさか、じゃあこの人も、霊能者じゃなくて特殊脳力者なの!? それに、『ワヤン不動』って……。私は牛久大師の言葉の真偽を確かめるべく、脳力について研究している極秘医師団、『国際超脳力研究機関(NIC)』のシンボルマ��ク影絵を見せてみた。すると彼はニタリと口元を綻ばせ、たった一言、確信的な返答を私の耳に届けた。 【なぁに、俺はただの『関係者』だよ】
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warijaku-bluespring18 · 6 years ago
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2019年・夏【往路】
【はじめに】
8月9日、仕事を片付けて帰宅。さて、明朝から旅に出るぞ!と、上機嫌に洗濯を回していると何やら・なぜか・何かがおかしい。アマゾンプライムで流していた「いろはに千鳥」の音が急に消えたのだ。アレ、アイフォンで流してるはずだけどな?そろっとアイフォンに目を遣ると画面は真っ暗、全く充電されていないのである。アラ、旅直前にして壊れちまった!これは困るなあ、とトチ狂ったようにガシャガシャ充電のケーブルを抜き差し。しばらく格闘し爽やかに汗を流した直後、気付く。愕然。もしかすると。ハア。ご名答である。普段、マックにぶっ刺したハブ経由でアイフォンを充電しているのだ。その通り。なんと「ひんし」だったのはアイフォンではなくマックの方だったのだ(通りでアイフォンまで電気が通らない)。さて、ド真夜中。ポケモンセンターなら24時間営業・無償かもしれんが、アップルストアは要予約、はてさて一体おいくら万円掛かるのかしら。どうあれ、マックをマサラタウン(実家)まで連れて行くのは取り止めだ。旅行先で細かい仕事を片付けるつもりだったのになあ。しかし、自宅に置いておくとはいえ旅から戻ってもマックが壊れたまんま、というのは色々とマズイ。ライトニングケーブルと闘い続けたボクサーは、明朝アップルストアに殴り込むべく改めて拳を高く掲げるのであった。余談だが、ポケモンセンターのお仕事って、とってもブラックではないだろうか。ずっとナースのネーチャンいるよなあ。兎にも角にも、明日はホワイトな林檎マークに向かい「めざせ!ポケモンセンター」すると決めて、私は軽やかに寝落ちしたのであった。
【1】
明朝。日付で言えば8月10日。フツーに寝坊した。11時半、めちゃくちゃ素敵なお昼時である。マックどうのこうの、の件で出発を遅らせたが、そもそも朝の出発は難しかったのではないか、いやはや。さて、9時過ぎ。早速アップルストアに問い合わせる。お姉さんの声・電子音ver.が流れた後、人間のお姉さんが対応する。「あの、マックがブチ壊れてしまって」(中略)「赤坂見附のビックカメラであれば本日受付可能です」。というわけで、「まずは湘南を目指して」「熱海をカメラに収めたい」はずの青春のひとり旅は、「まずはポケモンセンターを目指して」「赤坂のビックカメラに任せたい」を経由して始まることが確定。マック赤坂当選ならぬ、マック・赤坂見附・通せんぼである。
最寄りの中野駅発、中央線・丸ノ内線を乗り継いで赤坂見附へ。ビックカメラに到着するや否や、特筆すべき話題もなく私のマックはカウンターの奥へと引き取られ消えて行った。達者でな、というかお前壊れるタイミング考えろや、という本音ダダ漏れで見送った後、急に腹痛が。こちらのダダ漏れはヤバイ。一旦四ツ谷駅まで移動し、やけにオシャレなトイレへと駆け込んだ。ハイ。ここまでの文章を、電車を乗り継ぎ、だらだらと、最終的にはトイレでウ◯コしながら書いている。この上「性春18禁」などとタイトルを決めてしまったので最早ほとんどスカトロAVである。フツーに出発してフツーに終わると思っていたけれど、どうも私はいつでも地獄を突き進むらしい。こんな調子ではございますが、「性春18禁ひとり旅」開幕です。
【2】
四ツ谷で始まるとは思っていなかった「性春18禁ひとり旅」。元々1日目で京都まで行きたい!と思っていたけれど本日の残された時間を考えると中々に難しい。難しいならいっそ四ツ谷でめしを食ってしまうか!と思い切り、街へと飛び出した(「飛び出した」と言っても駅前の横断歩道を一本、二本渡っただけだが)。パッと目に入った店に入ろう、と決めてテキトーに歩いていると「アジア大衆料理」を謳う独特なカラーリングの看板を見付けた。冷静に考えると、「アジア料理」って何やねん。店の前にはベトナムと書いてある。ドアにはパッタイの写真。最早和食すらあるんちゃうか?という謎の店構え。ええやん、入ったるわ、と猛スピードで飛び込ん��。横断歩道を渡るのとはワケが違う。店に入ると気のイイ感じのオバチャンが「イラッシャーイ」とお出迎え。「アジア料理屋のオバチャン」って一体ナニジンやねん、というツッコミは色々とアレなので避けておき、颯爽と席へ着く。一人も客おらんがな。オバチャン大丈夫かいな。メニューをパッと開いて目に入ったのはパッタイ(タイ風やきそば)だった。どうやらイチオシらしくデカデカと載っているのだ(キャッチコピー付き)。なるほどタイ人の方なのね、とアジアンオバチャンを呼ぼうとしたその時。オバチャンが客入っとんのに華麗にYouTubeをみているではないか。「オイ注文やで」と声を掛け「コレくださいな」とオーダーするその間、私はタイ風焼きそばのことなど一寸と考えていない。オバチャンが何を視聴しているのかが気に掛かって仕方ないのだ。目を細めて画面をみる。みえないので姿勢を変える。おっ、みえた。アレ?並んでんの漢字だな。ん?コレ中国版「朝まで生テレビ!」的なヤツじゃね?うむ、どうやらオバちゃんは中国の方らしい。しかし中華料理はメニューに並んでおらず、「エスニック」と括られる系の異国の料理の写真ばかりが載っている。一体全体彼女はどういうルーツの方なのよ、と小さな飲食店で「坩堝」的な何かすら感じてしまっている。
【3】
色々な生き方があるもんだね、と妙に感心して間もなく気付く。アレ、この店厨房ないやんけ!ぐるぐる店の中を見回しても、ない。暫くぎょろぎょろと周りを眺めているとアジアンオバチャンが、私が口を開くまでもなく質問事項を読み取り、「リョウリハ、ウエヨ」と先回りして教えてくれた。二階で料理しとんのかいな。わざわざ持って降りるんかいな?と思ったその時。ウィーン。リフトである。こういうタイプの店でリフト採用しとんのかいな。高架下と駅二階両方に入り口あるタイプのマクドナルドかい。
色々とツッコミどころのある店だったが、こういう類のぐちゃぐちゃ感はなぜか憎めない。遂にオバチャンはYouTubeをみながらめしを食い始めた。ぜんぶ許しましょう。もう暫く滞在したい気持ちもあったが、せめて今日中に熱海までは出てしまいたいのである。金を支払い出発する直前、オバチャンが話し掛けてきた。「ナツハ、オヤスミカイ」「あい、休みでこれから旅しますねん」。そう伝えると急にオバチャンが奥からゴソゴソと箱ティッシュを取り出した。旅にティッシュ?旅人を見送る中国特有の伝統か?ワケもわからずティッシュを引き出す私。困惑する私に、オバチャンが「ハナミズ」と。私が鼻水垂らしてるだけかいな。気付かんかったわ。どんなタイミングでティッシュ差し出しとんねん。ありがとう。
やることなすこと一つとして納得できない店だったが、妙に愛らしく思えてしまう。今回の旅はこんな素朴な出会いから始まった。いや、まだ始まってないのか。ちなみにマクドナルド四ツ谷店のパッタイは大変すこぶるビミョーであった。
【4】
「青春18きっぷ」には、「四ツ谷」と判子が押されている。さて、まずは新宿へ。湘南新宿ラインと東海道本線を乗り継ぎ熱海を目指すのだ。そう言えばフツーに「性春18禁ひとり旅」なんて言っているが、これって一体なんぞやと。ハイ、私の故郷は東京より西に下ったその先の、鳥取という地にありまして。そちらを終点と定めて夏・冬に鈍行ひとり旅(帰省)を決行しているのでございます。この度も御多分に洩れず東京は四ツ谷を始点(図らずも)として旅が始まろうとしているのでした。「性春18禁」に深い意味・意図はございませんので悪しからず。
さて、熱海に着いた後間に合えば名古屋まで走りたいところだが、はてさてどうするか迷いどころ。ビミョーなパッタイを濃い味・名古屋めしで搔き消したいのだが、そもそも電車の本数があるかないか次第なのである。一旦流れに身を任せ。
ひとり旅漸くスタート!と言ってもぶっちゃけ電車の中は暇。今回はマックがブチ壊れてしまったので、車内で映画みる・ゲームするなんてことも難しい。もうホント、やることがない。画面真っ暗のせいで、お先真っ暗である。
代わりにいくらか本棚から摘んだエッセイを持ち込んだ。この辺りを読み込んで時間を潰したが、暫くして飽きた。コーヒーを飲んだ。お茶を買い忘れた。もうそろそろ熱海に着く。名古屋まで行きたいな、などと���やいていたが辿り着くにはやっぱり時間が足りないらしい。というワケで、本日の終着点を浜松と定めた。その前に、どうあれ熱海で2時間ほど休むことにしたのである。
【5】
間もなくして熱海に到着した。大して歩いてもいないのに、身体が痛い。さてこの地では何が起こるか。地獄へGOしてしまう性分の私に何が待ち受けているか。地獄巡りとは、本来そんな意味ではないのだが。温泉だよなあ、温泉。温泉?いや、やっぱり熱海に来たからには海なのか?海に臨まねば。テキトーに歩いている内に、目的地は海へと変わっていた。しかし土地勘のない私はひたすらに歩き回る。テキトーに辿り着けない立地ではないはずだ。潮風の方へ(グーグルマップを見ろよ)。
暫くして海に到着した。しかし、防音壁なのか何なのか、真っ白の壁に覆われているではないか。壁の向こうに海があるのに見えない状況。思い付いたのは超古典的「高台」作戦である。シンプルに高い所から見下ろせばいいのでは?と、目に入った「何に繋がるのかワカラナイ階段」を登った(今思えばアレ、廃病院とかだったんちゃうか)。まあ良き夜景の広がること。スゲー!と言いたいものだが、流石に熱海じゃ街の光量が足りず、海は真っ暗、街明かりもまあまあ許せる程度といった感じである。この弱さ・儚さがイイんだよな、と私はにやけているが、私の周りにいたお兄さんお姉さん方はこの夜景をどう思っているのかしら。隣りのニーチャン・ネーチャンは海を見ながらラーメンの話をしていた。
【6】
海を見たら満足した。やけに満足してしまった。折角来たのに熱海は終わりかなあ。しかし、海だけで終わらせるのはどうにも勿体ない。時間もあるのでフラフラと散策した後、軽食を摂ることにした。道中、坂を登ったり階段を走ったり。熱海特有・街の高低差に体力を奪われながら、昭和の香り漂うスナック喫茶「くろんぼ」へと辿り着いたのである。
渋さと可愛らしさを兼ね備えた看板を眺めつつ階段を降りていくと、「よくある喫茶」と「よくあるスナック」が融合した憩いの空間が広がっていた(当たりだ!)。出迎えてくれたのはアジアンオバチャンとは異なるタイプのお淑やか・オバチャンだった。このオバチャンも看板・内装に負けず劣らず渋&キュートを極めている。席に着いて思わず「フーッ」と息を吐いた私に、「旅です?」と投げ掛ける渋キュー。「ええ、東京から来てんス」と返すとその後は特に何を語ることもなく、一人微笑んでいた。
ザ・日本食、花柄の皿に盛られたカレーライスと緩く冷えたアイスコーヒーをいただく。渋キューさんに向けて道中について話そうと試みたが、ぶっちゃけ道中であったことなど何もなかった(マックが壊れた、パッタイがビミョーだったなどは決して旅の話ではない)。ふと我に返る。そっか、まだ旅してない���だなコレ。そう思い始めると少し笑ける。目的も持たず、観光地を巡らず、ただ歩く。一般的に言えばコレは旅ではないのかもしれん、と思うと笑けてきた。どうせフツーに旅などできないのだ、もうこの砕けた旅を続けるのも一つアリではないか。そんなことをぼうっと考えている内に、緩く冷えたコーヒーは放ったらかしすぎて半分水になっていた。
また来ますねえ、と目処の立たない口約束を交わして喫茶「くろんぼ」を後にする。てくてくと熱海駅に戻る道中にホンモノのマクドナルドを発見した(パッタイはない)。立ち寄らねば。決してハンバーガーを食べたいわけではない。充電がないのだ。先程コーヒーを飲んだところなので、またコーヒーを頼むのと胃が破れる。紙パックのミルクをオーダーし、暫し場を繋いだ。結局充電は10%ほどしか溜まらず、胃の中の水分だけが増えたのだった。
【7】
さて。電車は走る。お次は沼津へ向かうのだ。時刻は22時。現在静岡。近くで花火大会があったのだろうか、電車の中は浴衣を纏った中高生やマイルドヤンキーたち(見た目の話)で溢れている。マイルドヤンキーといえば、いつの時代もその類の人々は見た目で何となしに分かってしまうものだが、随分私のガキの頃とはルールなのか、流行りなのか色々と変わっているらしい。昔はキティちゃんのサンダルにプーマのジャージを着た輩風のニーチャン・ネーチャンがなんかイケてる扱いをされていた。当然私は、といえば冴えないフツーの子だったために(エッヘン)。そんな文化に染まることなくコンバースのスニーカーを履いていたのだった。
充電の溜まらなかったアイフォンを触っていては後々困るからと、手持ちの本を読み進める。しかし一度読んだ本。流石に早々飽きが来る。満員電車内で座ることもできず、いつの間にか旅が面倒臭くなっている自分がいる。誰が決めたんだ、ああ。お前がやる言うたからやんけ、と自身を奮い立たせるべく、ウコンの力スーパーを激しく一気飲みした。効果は未知数(何もない)。旅に対するだらけた気持ちが芽生えた頃、取り敢えず身体だけでも沼津へと到着した。さて、ここから静岡・浜松と移動して今日の旅はお終いなのだ。後一踏ん張り、飽きずに頑張って欲しいものである。ぜひ良ければ心も、追い付いていただきたい。
【8】
浜松に到着、日付変わって8月11日0時26分。青春18きっぷに2つ目のスタンプが押された。この時期はやっぱり18きっぷで旅する人々が多いらしい。改札にスイカを翳して(あるいはイコカなのか)、すっと抜けて行く人々の横、駅員さんによる目視での確認を待つ行列が伸びていた(青春18きっぷはJR一日中乗り放題の権利を、なんと5日分も手に入れられるという魔法の切符なのである。使い方は簡単。1枚の切符に例えば「8月10日」のスタンプが押されれば、後はそのスタンプ���駅員さんに見せることでどこへでも行けてしまうのである)。もちろん私も青春18きっぷを確認していただくべく、その行列に追随する。おや、私の前のオッチャンが何やら揉めているのだ。どうやら、8月10日中に浜松に到着したかったのに乗り換え等々失敗してしまったらしい。繰り返すが、日付変わって8月11日0時26分。たったの26分過ぎたことで、青春18きっぷには次の日のスタンプを押されてしまうのだ(私の場合は明日もどうせJR乗り回すからスタンプ押されてもオッケーなのだ。どうもこのオッチャンは翌日JRを乗り回す予定がなかったらしい。すると1日分の切符が無駄になってしまうんだね)。どうもこの仕組みに納得できず、ギャーギャーごねていたのだ。遂には話を捻じ曲げて、「電車が遅延したんだ!」と言い出す始末。スタンプ押さずに通せ!と。おお、駅員さんも大変やね、という気持ち半分。早くしてくれ、という気持ち半分以上(足して100%越えているのは悪しからず)。しかし強面の駅員さんは、青春18切符にそんなルールはねえんだ、とハードボイルド対応で眉間に銃を突き立てていた(嘘ですよ)。結局たったの26分にスタンプ1個を捺印され、オッチャンは儚くも浜松の地に散っていった。次に並んでいた私もスタンプを1個押されてしまう。ま、先述の通り、私は明日も旅をするので全く関係ないのだけれども。
さて、浜松に着いたはいいが、ここから何をするということもあるまい。お宿を探すのだ。残り数%しかないアイフォンでグーグルマップ。近くのカラオケを探し出す。北口に「まねきねこ」があったので今夜はここで歌い叫びながら一泊することにした。烏龍茶を注いで、14号室へ。よし、折角歌える宿に来たのだ。何か歌ってから寝よう、と何も考えなくても歌える、くるりやら何やら数曲を予約した。「ロックンロール」を歌っていると、途中金髪のニーチャンが間違えて入って来た(天国のドアを叩いている途中に地獄のドアを開くなよ)。歌い疲れて靴を脱ぐ、靴下を脱ぐ。ソファの上に横になる。グー。就寝前、タオルで身体を拭き、Tシャツを着替えたが、本当は流石に一風呂浴びたかった。明日は米原経由で京都に向かう。京都に着いたらサウナに行こう。梅湯に行こう。
【9】
アラームが鳴る。5時40分。さて、3時間ほど寝れたので旅を再開する。浜松駅から米原までは直通で2時間半。寝ようと思ったがどうも寝付けず、じゃあ本でも読むか、と読み始めて間もなく眠気が襲った。ふと目が覚めた時には既に米原。車内の人々が乗り換え時の席の奪い合いのためか、ほとんど競走馬然としている。ここが勝負だからな、とハイテンションに語るジーチャンはいざドアが開くと若者たちにガンガン抜かれていった。京都駅まで1時間。米原まで散��寝た私は、まあ座れんでもええか、くらいに考えていたのでこの熱気に共感できなかったが、案の定座れなかったジーチャンは、悔しそうに、クソ、クソ、などと申していたのが逆に笑けてしまった(言葉、マ��ではない)。とはいえ、ジーチャンなのですから誰か譲ってあげてもいい気がするが。
座れなかった、もとい座らなかった私は、本を読んだりアイフォンを突っついたりして時間を潰す。すると、急にオッサンがマスターベーションに興じている動画がエアドロップで送り付けられてきた。ははん、最近巷で噂のエアドロップ痴漢ってヤツだな、と若干興奮を覚えながらも充電食いそうだったので拒否しておいた。スマンな、オッサンのチ◯コ。躍動感ある下腹部の様子はサムネイルのみ拝見させていただいた。
そんなこんなで松沢呉一を読み耽り1時間を費やす。
【10】
いよいよ古都・京都府へと馳せ参じたのだった。駅構内を進んでいると、ぽてっと落ちている免許証を発見。改札出るついでに渡しておいた。これは割とどうでもよい話。
まだまだ発育している途中、伸び続けていると噂の京都タワー(嘘です)。デカブツを横目に東へと、北へと進み目指すは「サウナの梅湯」である。「性春18禁ひとり旅」の際、毎回立ち寄る素朴な銭湯。その名の通り、レトロな浴槽並ぶ向こうにサウナが併設されているのだ。カラオケで一夜を過ごした私は、汗ばんだ身体を癒すべく、この古びた湯屋の暖簾をくぐるのであった。
至福の瞬間である。汗を流して、湯に浸かる。壁面にはスタッフが手作りで仕上げた新聞が並んでいた。他に眺める物もないので、手書きの文字をじーっと追う。「京都に住んでいたわけではない、大学に入ってはじめてこの土地に来たのだ」という女子学生の手記。暫く読んで、「最近くるりの“京都の大学生”を聴く」、と続く。わかっているねえ。京都の大学生、心に来はったわ。
サウナと水風呂を繰り返し、腕時計(防水)に目を遣る。そろそろか。実はこの無計画の旅にも多少の計画が成されておりまして。なんと、同期のイラストレーター・もちがわが、丁度京都にて個展を開いているのであった。折角なら酌み交わそうと、電車乗り換え・梅湯の隙間に時間を作り、フラフラ新京極へと向かう。
【11】
五条から四条。地下鉄で走り新京極に降り立つ。「この店で昼呑みをしたい」と事前にもちがわから提案されていた酒屋(定食屋?)があった。「京極スタンド」である。12時開店に合わせて行ったのだが既に行列が続いている。早めに向かって正解だった。ちなみにスタンドへ向かう途中に、有名な判子屋さんで「ターバン男」という名の判子を買った。これもそこそこどうでもよい話。
中は素朴。「イイ意味で」小汚い単なる定食屋である。昼呑み目的で来ていることは店員・顧客ともに同意の上なのか、席に着くや否や酒のオーダーについて声を掛けられる。大瓶とグラス2つ、暫くしてポテサラ���ハモ天・冷やしトマト・うにくらげ・ホルモン焼き・ハムカツという奇跡の役満オーダーを叩き出した。いつも東京で呑んだくれている二人が敢えて京都の地でアルコールを摂取する。
「昔から京都にちらほら来てたんよねえ」「そうそう」同期・もちがわのこれまで、などというと大袈裟か、どうか。そんな類の話を聞いた。いつも会っている同期のはずが、場所と食事を変えればまた違う。そして、どう話しても、どう黙っても塩山椒の乗るハモ天は旨い(旨いなあ、と思いつつ最後の一切れをもちがわに譲った私はとてもエライのである)。ホルモン焼きはこれまでか!という量のガーリックにまみれていた。うにくらげも、クセなく絶品。
【12】
ごちそうさんでした、と出口へ。そろばんでのお会計。丁度よい程度に酔いが回った。地下鉄が来ちまうから一旦四条駅近くまで移動しよう、と炎天下のアーケードを闊歩する。東京のカラっとした熱気とは異なる、じんわりと体力を奪う熱、夏。会話も、あっちいなあ、あっちいなあ、ばかり。途中、言うても次の列車まで時間あるよなあ、ということでパッと目に入った喫茶に入った。夏バテ予防に、普段頼まないトマトジュースを注文し、飲み干す。程良い酸味が頭をしゃっきりさせる。書き忘れていたが、京極スタンドに入店する直前に八つ橋を買った。東京からの帰省なのだから、実家で待つ家族たちは東京土産を待っているだろう。依然無視して土産は京都の生八つ橋である。正直有り難みはない(地元鳥取は言うても関西が近いので、八つ橋くらい簡単に入手できてしまうのである)。でも旨いよなあ、ニッキの八つ橋。色もイイよなあ。
さて、「めざせ!ポケモンセンター」から始まったこの旅も終盤に差し掛かっている。マサラタウン(実家)に戻るため、改札前、もちがわに見送られつつ私はエンジュシティ(京都)を旅立つのであった(というと、そもそもマサラタウンのモデルは静岡県だったはずだ。マサラタウンに向かう、というのは、はてさて「カラオケ「まねきねこ」まで戻るという意味に捉えられるのではないか。いえ、それはご勘弁願いたい)。
京都から姫路、姫路から上郡。上郡からは智頭急行に乗り換える。JRではないため、上郡から鳥取までは青春18きっぷが使えない。とはいえ、1200円のフリー切符で移動できてしまうのだから、お安いもんである。今回タイミングが合わなかったのか、上郡から鳥取まで直通で移動できる列車に乗れなかった。一旦「大原行き」に乗り込んで降車。大原から鳥取まで向かう列車を待つ。その間、何となしに待合室にあったご当地鉄道ピンズガチャガチャを回す。「スーパーはくと」が当たった。ちょっとカワイイ。
【13】
最後の列車に乗り込んだ。流石にもう何もない。後はこの列車に乗っていれば故郷、鳥取に辿り着くのだ。寝るか。ちょっと本読むか。旅の終わりをどう過ごすか考えていた、その最中。ボックス席に一人で座っている私に、一人のオバチャンが近付いてきた。私の向かいの席にドーン!と何かを投げ付ける。からあげクンである。「これ、ローソンに売っててん」。うん、からあげクンはローソンに売ってるだろね。「食べ物に悪魔ってネーミングしてんねん!(ガチギレ)」。おう、めっちゃキレてんな。その後暫く黙っていたが、車内の全員に向けて演説を始めたのだ。「コンビニは変なものを売っている!日本を取り戻せ!」といった趣旨のお話である。添加物がどうのこうの!この話をSNSで拡散しろ!だの色々とまくし立てている(正直笑い話に昇華してよいのか甚だ絶妙なラインである)。散々お言葉を述べられたオバチャンは結局、再び私の元へ来て、からあげクンを回収した(くれないのかよ)。その後、なぜか裸足で大量のおかきを食べ漁っていたのである(おかきはいいんだね)。しかし、他にも乗客がいた中でなぜ私が「からあげクン事件」のターゲットになってしまったのか。そして、なぜコンビニ嫌い・悪魔ネーミング嫌いのオバチャンは、このからあげクンを購入し売り上げに貢献してしまったのか。平和に終わると思われた私の旅は幾多の謎を残したまんま、やっぱり地獄に終わってしまうのだった。食べ物に対する意見は様々だろうが、公共の場を荒らすのはなるたけご勘弁いただきたい。ここまで書いて、今度はオバチャンから「スパイシーひまわりの種」が飛んで来た。はてさて。他の人を当たってくれ。
【おわりに】
途中、列車に乗っているだけの時間が続き張り合いのない文章になってしまうなあと思っていたところに、最高に悪魔風でスパイシーな話題が飛び込んだのだった。事故である。それはさておき、知らない間に故郷へ着いてしまった。
さて、「おわりに」という形で〆にしようとしているが、どうせ実家に滞在している間もたくさんの地獄に出会うのであろう。ちょこちょことメモして残しておくとする。さて、長々と書きましたが一旦この辺で終わります。
一体何のために書いたのか。実はこの性春18禁ひとり旅、実に3回目なのである。毎度それぞれドラマが生まれるので文章で記録したら面白そうだなと。本当にそれだけの気持ちで始めたものだったのだが、多少は笑けるエピソードが生まれたのではなかろうか(やけにオバチャン多めだったのはなぜだろうか)。ぜひぜひ、復路もご期待いただきたいのである。こんな形で「往路」編、終わります。再び地獄で会いましょう。
フチダフチコ
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to-the-beautiful-you · 8 years ago
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【インタビュー和訳】볼빨간 사춘기 (Bolbbalgan4)
[インタビュー] Bolbbalgan4 "産業的な曲よりは正直な感性込めた音楽を作りたい"
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Q. グラビア撮影の感想を���し聞いてみましょうか。 ジヨン:まず、こんな風に本格的な撮影は初めてです。すごく不細工に写ると思ったんですが、モニタリングをしてみたらびっくりしました(笑)楽しかったです。 ジユン:私も不思議でした。
Q. 最近非常にホットな分、忙しく過ごしていらっしゃるでしょう?どのようにお過ごしですか? ヨ:はい、ものすごく忙しいです。思っていたより見つけてくださる方々が本当に多くて。私たちがだんだん知られていっているからか、「この子たちはどんな子たちなんだろう」というご意向でたくさん呼んでくださいます。公演や大学の学祭にも訪れて回りながら、初めて活動したことがとてもたくさんありました。トークショーにも頻繁に出たりして。 ユ:初の単独コンサートもしました。
Q. 初単独コンサートはどうでしたか? ヨ:私たちが、舞台にもたくさん気を遣って準備を頑張りました。それだからか、歌を歌っていると涙が(笑)
ユ:本当にたくさん泣きました。ギターに集中していたのですが、ボーカルが聴こえないので「何か間違えたんだな、おかしいな」と思ったら、ジヨンが泣いてるんですよ。
ヨ:ファンの方々が初の単独コンサートだからとイベントをしてくださいました。歌を歌っていても、グッときました。初めての単独コンサートをしたというその感激と1年間準備してきた過程が頭の中をよぎって、何かの賞を貰った訳でもなく、ただの単独コンサートなのにもかかわらずとっても胸がいっぱいでした(笑)
Q. こんなにも早く単独コンサートをすることができると思っていましたか? ヨ:所属事務所の先輩たちのコンサートにゲストとしてたくさん出演していたんですよ。「いつか1回やってみよう」という考えは持っていましたね。'Full Album RED PLANET'を発売してから会議をしたんですが、事務所から「君たちは正規アルバムを出したから単独コンサートもいつかやらないか」という話が出てくるようになって、それから少しずつ準備をしていました。それでもこんな風に早く進められるとは思いませんでしたね(笑)
Q. 普通、インディーバンドは小劇場でたくさん公演するじゃないですか。 ヨ:そうですね。私たちのコンサートが行われたベガムアートホールは約450席くらいなのですが、座席がいっぱい埋まらないかもしれないと心配もたくさんしました(笑)でも売り切れになって、プレミア付きチケットまで出回っているという話も聞いたので、「追加コンサートを計画しよう」という気持ちでもって12月3、4日にもう1度やることになりました。
Q. セットリストとしては、本人たちの歌とはまた違った歌も一緒に披露することになりそうですね。 ヨ:その通りです。セットリストを作るには、まだ正規アルバム1つしかないので曲も足りないんですよね。コンサートで少し違ったものをお見せするとファンの方々がまた喜んでくださるので(笑)
ユ:ちょっと楽しく作ろうと色々な舞台を準備しています。
Q. 2人でやり遂げようとするとなると、苦労も多いはずです。 ヨ:事務所が私たちのイメージを綺麗に作ってくださるのでとても良いですよ。今回の単独コンサートの時もステージを天の川に仕立てて、高い階段を立て掛けたりもして、舞台が回ったりもしました。初の単独コンサートでしたから、何かたくさんお見せしたかったんです。
Q. もともとお2人が綺麗だから。 ヨ:そんなことないですよ(笑)
ユ:本当に綺麗でした。照明が(笑)
Q. 'Tell Me You Love Me'の発売直後、各種音源チャートを'オールキル'したそうです。 ヨ:ものすごく不思議でしたね。音源が出た途端良い反応をすぐにもらったのは今回が初めてで、実感もあまり湧かなくて。ただ、ファンの方たちにも感謝して、戸惑っていたようです(笑)
Q. 音楽番組の1位候補に上がったりもしていましたが。 ヨ:リアルタイムではわからなかったんです。もちろん1位になれなくて残念ではありますが(笑)BIGBANG 先輩と一緒に1位候補を張り合えたということだけで光栄な席だったと思います。本当に。
Q. まだ音源チャートの上位圏にいるそうです。長い間維持していて胸がいっぱいでしょう? 2人:そうですね。
Q. ご家族もとても気に入っていらっしゃるようです。 ヨ:母がソウルに来るたびCDを買って、サインして欲しいと言います(笑)ジユンもサインして欲しいと言うので、お互いに10枚ずつサインして。
ユ:私たちの両親はカラーリングも'Galaxy'に変えました。 ヨ:私たちの母親の着信音も 'Galaxy'です(笑)
Q. 番組にもたくさん出演しているでしょう? ヨ:音楽番組にも出て、'Talk To You'と'スケッチブック'にも出ました。 ユ:たくさん好きになってくださるので放送活動もちょっとしました。
Q. 勢いに乗ってドラマ '花郎' のOST作業にも参加して。 ヨ:私もそのドラマを見ているんですが、感情移入してしまいます。自分が歌っているから余計なのかもしれないです(笑)
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Q. 逆走行をすることができたというのは純粋に音楽の力じゃないですか。とても不思議でしょう。 ヨ:私たちもすごく不思議でした。最初の頃はSNSに映像がたくさん上がってきて、「そうなのかな」と思っていたんですが、突然音源順位が逆走行をするのを見て驚きました。本当にとても不思議でした。
ユ:1日の間にひょいひょいと上がっていって。
Q. こんなに上手くいくと予想できましたか? ヨ:デビュー準備をしながら、「私たちは音源チャート1位になって、授賞式にも出ます」と会社に話していたんですよ(笑)私たちのプロデューサーでいらっしゃるバニラマン兄さんも私たちをとても可愛く思ってくださって、笑ってらっしゃいました。それから音源発表された当時は、100位圏内にもいなくて(笑)でも、その時日の目を見ることができなかった曲たちが今回知られるようになって。ハーフアルバムの曲もチャートにあって、本当に不思議でした。
ユ:ほとんど、スロット曲の大部分を聴いてくださったようです。
ヨ:事務所でも皆すごくびっくりしていたし私たちも驚きました。最初は怖い気もしましたし。コメントもたくさん上がって���SNSに私たちの映像がパッと上がってきたと(笑)今は最初よりは良くなりましたが、まだ慣れません。
ユ:ジヨンと2人で 「順位落ちないのかな(笑)他にも良い曲がたくさんあるのにどうして落ちないのよ」って話してました。
Q. お二方が一緒にいるとただの高校生みたいですね。 ヨ:その通りです(笑)私たちがお互いにズケズケと言い合うので、周囲の方たちも「君たちは本当に仲が良いんだね」とおっしゃってくださいます(笑)
Q. 2人が友達だからこそ、思春期の感性を披露することができるようですし。 ヨ:高校1年生の時初めて出会って、疾風怒涛の時期を一緒に過ごしました。昔は女の子の自尊心のせいで2人共すごく喧嘩もして(笑)最近は喧嘩するのにも疲れたし、2人共正直に話すのが好きなので気分の悪いことはすぐに打ち分ける方です。
Q. 音楽のことで揉めることが多そうですが。 ヨ:性格も違うし好きなスタイルも違うので、私たちの音楽にも多様性がよく表れてると思います。そういう部分ではお互いに全然タッチしません。'Galaxy' のような場合にはジユンがラップをしましたが、私が要求する何かをやって欲しいとは言いたくないんです。「どうやって書いたらいい?」と聞かれても、「あなたが書きたいように、やりたいようにやってみて」と言いながら作業を続けていきました。
ユ:むしろお互いの意見を尊重し合うので、よりバラエティに富んでいると思います。
Q. 2人の多様性を1曲に収めることは可能でしたか? ヨ:ジユンは、1つ書いておくのではなくて何個も書く方です。1番、2番を書いておいて「どっちの方がいい?」と助言を求めたりもします。性格やスタイルは違いますがそれでも音楽的な趣向は似ているので「これを入れたら良さそうだ、あれも良さそうだ」と言いながら合わせていきます。しっくりこないものにはお互い同意して切り捨てたりもします(笑)だから多様性を1つの曲に収めることが難しいとは感じませんね。結局は2人の意見が集まった曲を作っていくわけですから。
ユ:「どの部分が微妙?あ、ここ?ああ、私もそれ思ってた、変えなきゃ」こんな感じですね(笑)
ヨ:お互いに気を遣ったりするというよりは、とても長い付き合いなので楽に話をします。だからか特別にトラブルがあったりとかはなくて。
Q. 'Superstar K'シーズン6に出ましたよね。では、一緒に出演についての話はしたのですか? ヨ:それもすごくたくさん落ちました(笑) ユ:1度で合格したわけでもありません。 ヨ:1度で受かったわけでもないし、私たちが20歳になってジユンは栄州にいて、私はソウルで学校に通っていました。1週間に1度、2時間半をかけて栄州に行くとなると本当に大変でした。だから、「今回が本当に最後、こうなった以上ここで落ちたら終わり、お互いの音楽をしよう」と話してオーディションに参加したんですが、運良くすぐに合格することができました。「やっぱり一緒にやらなきゃいけない運命みたいだ」と思って引っ張って行きましたね。
Q. 高校生の時、2人が将来一緒に音楽をしていると思いましたか? ヨ:想像もできませんでした。 ユ:時間が経ってからジヨンと一緒に音楽をしています(笑)
Q. 高校の時はお互いにただ音楽が好きな友達だとだけ思っていたのでしょうか? ヨ:一緒にやるとは想像もできませんでした(笑)高校の時はお互い音楽についてのことを隠していました。初めて会った時は、苗字が似ていたので同じグループやペアになって仲良くなりましたね。ジユンが学校の歌謡祭の準備を一緒にしようと言ってきたんですが、その時少し怪しかったんです(笑)それで夢は何かと尋ねたら歌手だと答えて、もっと親しくなりましたね。その前まではただ、「音楽が好きな子なんだな」とだけ思ってたんですよ。
Q. 歌謡祭に出ることは誰が先に提案したのですか? ユ:私が先に音楽塾に通っていました。合奏するチームにボーカルがいなかったので「あなたが入ってくれたらいいの、布石は打っておいた」と言って誘いましたね。
ヨ:「あんたは来ればいいだけ、来さえすればいい」って言われました(笑)
Q. では、その前にジヨンさんが歌を歌うのを聴いた事はありましたか? ユ:1年生の頃、文化祭準備や特技自慢をする時にお互い聴き合いました。その後は同じクラスだったので、一緒に準備をしている中でそういう姿をたくさん見ましたね。
Q. それぞれの道で音楽をしていて、一緒にやる事になったのですね。 ヨ:初めは軽い気持ちで始めて、高校の時の思い出になるだろうからと思っていたんですが、今では職業になってしまいました(笑)
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Q. Bolbbalgan4の音楽の定義を下すことはできますか? ヨ:思春期らしさ?思春期の中の正直さ、純粋さ、こういった感性があるじゃないですか。なので、私たちの歌���歌詞を見ても隠すことなく正直に表現する方です。'Ring'なんかはジユンが書いたのですが歌詞が本当に笑えます。'君が何だって そうじゃなくて私の言うことを聞いて 寝ていても餅は転がってくるはずだから'(笑)歌詞が洒落ててピョンピョン飛んでます。そういう面が少女らしくて共感できる歌詞が多いようです。'Fight Day'だとか'심술'の歌詞とかを見ると思春期らしいという言葉が合っているみたいです。
ユ:歌詞が直接的でしょう。
Q. 思春期らしい感性。この感性だけをずっと続けていくのではないでしょう? ヨ:はい。今回初めて'Hard To Love'というバラード曲を書きました。それで 「こういうジャンルもチャレンジしてみると、できるもんだな」と思って色々と挑戦ができるようになりました。これからも私たちは常に様々な方向でアプローチしていくと思います。
Q. Bolbbalgan4は思春期らしいという言葉は、相応しいけれど、その思春期という単語自体がこれからの音楽についての定義だとみるには難しい気もしますね。 ヨ:それでも全体的な枠組みとしては’思春期らしい’です。ですが、ただ1つにだけ留まっているのは何だか物足りないじゃないですか。世の中もトレンドも素早く変わるので、新しいことも常にやり続けなければいけないと思っています。実際、私たちの歌を大衆の方たちが好きになってくださった理由として、「ジャンルは何だろう」と思ってとても新しい感じがしたからだとお話ししてくださったりするので。
Q. インディーのようである気もするし、非常にメジャーだとも言えると? ヨ:はい。ものすごくマイナーだと言うには大衆性がある気もすると(笑)
Q. タイトル曲を選定した方法もとても面白かったです。’シークレット試聴会’を通じてファンたちに選択を任せることができたのだろうかと思いました。 ユ:私たちが予想していたのは投票になりました。
ヨ:タイトル選定が曖昧でした。もともとは’Galaxy’がハーフアルバムのスロット曲になる予定でした。タイトル曲ではなくてスロット曲だったんですが、そのように埋もれさせてしまうには曲がとてももったいなかったんですよ。それで会社の方たちと会議をしたりもしました。「それならこれは少しもったいないからキープしておいて、'심술'を入れよう」と言われて(笑)1集のアルバムのタイトルを決めなければいけなくなって、'Galaxy'にしようとしたら、長い間寝かせておいた曲である分心配になりました。たくさん悩んで3つの曲をあらかじめお聴かせしたんですね。ファンの方たちもファンの方たちですが、性別によっても違って不思議でした。男性の方たちはこういう歌が好きで、女性の方たちはまた違った感じが好きで。
Q. そこでもまた選びましたか? ヨ:最終は'Galaxy'でしたが。男性の方たちは'Galaxy'を気に入ってくださって女性の方たちは'You(=I)'を気に入ってくださいました。
Q. 曲の歌詞をどうやって作るのかも気になります。 ヨ:ジユンとはいつも一緒にいなければいけないので、個人的な時間を尊重してあげる方です。私は映画、ドラマ、ウェブトゥーンを見るのが好きなインドア派なのでそういうものから素材を持ってきたりもします。それから女子中、女子高、女子大を出てきたので、女の子たちだけでする話をかい摘んで書いたりもします。そういったものの方がより共感できるじゃないですか?恋愛は自分だけの特別なもののような気がするけど、みんな似たり寄ったりなような気もします(笑)だから、そうした経験や媒体から素材を選び出す方です。
ユ:私は日常生活で起こる平凡な出来事を素材に書く方です。周りを見渡しながら道を歩いてみると思いつくこととかがあるじゃないですか。ハーフアルバムの'가끔씩'もそういう素材で書いたんです。 ヨ:たまに曲を聴いていると、ジユンが何かしたんだなと思うような情景が思い浮かびます(笑)
Q. タイトル曲以外でオススメしたい曲があるとすればどんなものがありますか? ヨ:肌寒いので’Hard To Love’?
ユ:それを聴きながら冬を過ごすのは本当に辛そう(笑)
ヨ:以前、ファンサービスのレベルでミュージックビデオも撮ったんですよ。この曲のせいでコンサートの時も感情がとても高まって泣いたんです(笑)聴いてみると恋愛の話だけではなく、家族、友達の話のようでもあります。慰めになると言ってくださることが多かったのですが、「私だけがこんな世界に生きているわけではないんです、あなたもそういう世界に生きているんです」ということをたくさんおっしゃってくださいます。共感と慰めになるとおっしゃって。この寒い季節に聴くのに良い曲だと思います(笑)
ユ:私は'You(=I)'をお勧めしたいです。公演を以前よりもたくさんしてみると、この曲の反応が本当に良いんです。だから私はこの歌をライブでする時はもっと楽しいんです。疎通できるから。
Q. コンサートをするとそんなに楽しいのですか?公演の話をするだけで笑顔が広がります。 ヨ:はい。完全に私たちの舞台じゃないですか。何かしらのイベントや公演ステージでもないので、私たちが好きで私たちを見に来てくださった方たちとコミュニケーションをとる時の、感動のみたいなのがあります。
ユ:何だかとても胸が熱くなるんです。それに私たちの歌は大部分が自作曲なので、その気持ちをファンの方たちが分かってくださるということにもジンときます。本当に普段とは違う感じがします。
Q. まさに思春期ですね。お二方共感受性が本当に豊かです(笑) ヨ:コンサートで’Galaxy’を歌いながら泣いている時、歌が歌えなくなっているのでファンの方たちが1節を全部歌ってくださるんですよ(笑)だから涙を拭ってもう1度歌って差し上げました。コンサートの時は1番上手く歌わなきゃと思って気合を入れて準備をしましたからね。
ユ:皆とても喜んでくださったんですが。私は泣かなかったんですよ。だから皆さんが私を見て、「ウ・ジユン、まさに鋼の心臓だ」と(笑)
ヨ:ファンの方たちが一緒に泣いて笑ってくださってとても嬉しかったです。ファンの方たちも、私たちが活動し始めてからまだ1年も経っていないのに、デビュー当初からコツコツやってきたのをご覧になって、幸せで一緒に泣いてくださるんですよ(笑)
Q. インディーバンドが好きな方たちは特に自分の歌手にそういう特別感を常に持っているじゃないですか。 ヨ:私だけが知っていたい歌手、みたいなものですか?(笑)
ユ:でも、すごく有名になっちゃったね?(笑)
Q. Bolbbalgan4だけの自慢がありますか? ヨ:今はまだ新鮮で爽やかさがあると思います。陰気にならず、常に明るいです(笑)
Q. お二人共100%そういう性格ではないようです。お互いに緩急調節されているのですか? ヨ:コンサートの時もそうです。私が楽しく話していて、「ジユンさん、どうでしたか」と言うとジユンが..
ユ:私が「とても良かったです」こう言うと。
ヨ:皆さん、揃って「魂がこもっていない」って(笑)
ユ:私がどんなことを言ってもずっと笑っていらっしゃって。
Q. ジヨンさんは頻繁にテンションが上がる方のようです。あまりテンションが下がることはないですか?(笑) ヨ:私はいつもテンションが高いんです。私たちがある時、音楽放送のスケジュールに行ったんですが、朝から晩まで疲れを知らず、楽しく過ごしてました(笑)なので私は1人でいるのは苦手です。家では1人の時間を過ごしはしますが、1人でご飯を食べたりとかはできません。ジユンに電話しても、ジユンはダイエットしていると断ってきて(笑)
Q. ジヨンさんは'覆面歌王'に時を駆けるウサギとして出演しました。 ヨ:芸能番組は初めてですごく心配でした。私に何か特技があるわけでもなかったし。普段見ていた番組に出演するとなると不思議な気持ちもありましたね。歌声がバレないようにしようととても緊張しました。仮面をつけるとそれほど緊張しないんじゃないかと思われる方もいますが、私はこれを「コンテストだ」と思ってしまって本、当に緊張したんですよ。
Q. Bolbbalgan4、年末の新人賞に欲はないのですか? ヨ:新人賞ですか?私たちがですか?(笑)あの豪華な候補者たちの中で私たちは..(笑)今回の'2016 MMA'の授賞式でそういう場所に初めて行ってみましたが、驚きの経験でした。
ユ:私が本当に驚いたのが、そういう場所で爆竹が弾けるとは思っていませんでした。でも、たくさんの人たちの前でとても大げさに驚いてしまって(笑)その姿がインターネットに上がって来ているんじゃないかと思ってその時すぐに探してみたりしました。幸いにも上がって来なかったです。受賞感想もまぬけっぽく答えてしまいした。
最初ですから拍子抜けしてしまったのは当然でしょう(笑) ユ:上手にした方がもっと笑えるでしょう?
Q. Bolbbalgan4がこれからはどんな歌手になりたいのかも聞きたいですね。 ヨ:曲は私たちが書きたいようにずっと書くつもりです(笑)「これからどんな方向を目指していくのか」という質問をたくさんされるんですよ。でも、私たちはデビュー準備をしていた時に「1週間に1曲ずつ書きなさい」という宿題を与えられていて。そうして書きながらも必ず決められていたたものは、産業的に書くよりは正直な感性を込めて書きたいように書こうというものでした。だから今回もそう言った部分が大衆の方たちにアピールできていたみたいです。今と変わらず、正直でありながらも癒しになって、共感できる良い音楽をずっとやっていきたいです。
ユ:私もいつも言っていることですが、ある感情が必要な時に探して聴くことのできる、そんな歌手として末長く活動できたらいいです。
ヨ:ある状況に直面した時、「この状況に合う曲と歌詞が込められた音楽を聴きたい」と思う時もあるじゃないですか。そうして探して聴くことができる歌?それに加えて私たちの色がパッと表れたらいいですね。誰が聴いても「これ、Bolbbalgan4っぽいよね」と言えるような。
bnt international (naver post) 170111
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birdpark15 · 7 years ago
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2
25 May. 2018
リーディング上演の感想
鈴木 5/17に静岡で行われた、戯曲のリーディング公演の話から始めましょうか。僕は事前の公開稽古から拝見して、少し中抜けして清水まで電車に乗ってぶらぶらして、リーディングの時に戻ってきて見ました。そのあとの観客を交えたトークは参加せずに帰ったんですが、トークどうでしたか?
西尾 結構私と俳優とのトークが割合は多かったかな。でもお客さんからも結構重要だなと思うフィードバックがあった。まず一個は、「『カップル』の男の人と女の人が違うタイプの人として話が始まったはずなのに、最後まで聞いてたら同じタイプの人間じゃないか…となって腹が立った」という意見。
鈴木 うん。
西尾 私の意図としては「この二人はズレまくっていて、それはずっと変わらない、なんならどんどんお互い違うと分かっていく」というつもりだったから、おお…それはどこに失敗があるんだろうという話になった。俳優は「普段、もう生きてない作家の作品をやることが多いのもあって、戯曲や演出の瑕疵より、私は俳優なのでまず自分のパフォーマンスの問題として考える。作品や演出の意図が、二人が異なっているということを描こうとしているのは理解していた。そのつもりでやってはいたんだけど、自分の今日のパフォーマンスとしてはこれこれこのように上手く行ってなかった…」と言ってて、いいな、と思った。それはさ、普段だと演出も俳優も全部一緒くたにみんなで作ってるから、俳優の領域とか戯曲の問題とかをセパレートせずに捉えてる感じがあるから、新鮮でよかったんだよね。
鈴木 ほう。
西尾 あともう一個は、一見整合性のない要素(エピソード)たちが同等に並列してしまっている…という話のはずなのに、途中からそれらの要素が融合していってしまっていることに関して。「カップル」のパートと、「ベランダ」のパートの(全く別の場面のはずの)人たちが突然混じって会話しちゃうのは…流れ的には面白いんだけど、作品の意図には反してるんじゃないか、って言われて、鋭いご指摘です…みたいになった。
鈴木 え、その指摘してくれた人は「カップル」「ベランダ」「警備員」の場面が無関係にバラバラにあるっていう最初の構想を分かってたわけじゃないんでしょ?
西尾 そうそう。その人は演劇専門じゃなくて文学の研究者の人で、テクスト分析とか主題と構造の関係について流石に鋭いな…と思った。やっぱ舞台の人の方が、その場で起こることの面白さにフォーカスしちゃう気がするから…。
鈴木 ああ、そんな面白いことやっとかないともったいない…みたいなね。
西尾 そう、その瞬間のよさを取ってしまいがち。鈴木くんの感想は?
鈴木 僕は…特に公開稽古の時なんですが、「カップル」の男が拗ねるシーンを見て、本当に…あの男を嫌いになった…。演じてる俳優をも嫌いになりそうなぐらいに…。
西尾 笑…。
鈴木 それに「カップル」の女の役も、こういう男相手にそういうこと言ったら絶対誤解されてこじれるに決まってんじゃん…みたいな話し方で本当にむかついた。まあでも、特に男の方ですね。僕はあんな風に大人になった人なんて、もういないものとして、切り捨てていきたい。
西尾 なるほどね。
鈴木 でも重要なのは、この話はある意味ラブストーリーなわけじゃないですか。てことは女も男になにか好もしい感情を持っているってことですよね。それがなんなのか全然わかんない。男が最悪すぎて。
西尾 笑…。
鈴木 こないだジョバンニとカンパネルラの話しましたが、何か具体的な描写はなくても、ああ…こういう人好きになるよね、わかる…って見てるだけで納得できるようなことってあると思うんですよね。でもそれがないな、って思った。
西尾 それは文字だけで読んだ時にもそういう感じはあったの?
鈴木 僕、戯曲で「三月の5日間」を読もうとしたことがあるんだけど、現代口語が文章になってるのを読むのがキツいんですよね…。なんか、恥ずかしいというか、リアルぶってるように見えちゃうというか。でも「三月の5日間」の上演を見たら自然に聞こえたし、すごくよかった。 でも今回はその逆で、読んでた時はよかったんだけど、それをリーディングで聞いたら…(リアルぶってるって感じではないんだけど)言葉のイタさみたいなのがすげえな…って思ったんすよね…。文章だともうちょっと、この人は訳あってこうなんだろうなって感じがするんだけど、芝居になると、そんな事情とか知るか、ただうぜー、ってなった…。それがとにかく上演の感想です。
西尾 なるほど…。
観客の笑い、男
鈴木 僕はもう一つ感想があって、これはちょっと関係ないことかもしれないけど、前から気になってた「観客が笑う」ってこと。
西尾 え?
鈴木 いつもの公演でも観客って結構笑うんだなって思ってたんだけど、今回さらにそれが気になった。本当に個人的な話なんですけど。
西尾 そうだね、笑いたがる人…いるかもね。
鈴木 うん。なぜか分かんないけど、僕それがすごい嫌なんですよね。それは多分僕が何かをさせられるってことがすごい嫌いだってこともあるんだけど…。
西尾 うん。でもなんかそれ鈴木くんが「カップル」の男がうざいと感じたってことと関係あるかもと思った。今回後ろの方の列のお客さんに40代から50代の男性が多かったんだけど、トークの時に、彼らが結構(「カップル」の男に)共感して、あ〜とか言いながら身をよじらせながら見てた、って言ってて。
鈴木 よじってたわ。
西尾 何かそういう反応の一種として、声を出して笑うっていう反応を示してしまうんじゃないかなーと思った。
鈴木 いやマジでそうだと思う。なんか笑わないとやばい空気になるみたいな感じで笑ってる雰囲気だった。笑うことで「笑い事にする」っていうのか。そういう姿勢が僕はすごい嫌いだから気になったのかな。
西尾 前に女性劇作家特集で男性の性的欲求を扱った作品をやったんだけど、その時も男のお客さんが普段以上に笑うな〜と思ってた。あのときは「ハッハッハ、分かってるよ!」「いや〜そう来ますか!」みたいな笑いだったんだけど、そういう笑いが客席から起こったことに対して、後になって女の人から「……笑いやがって」とか「不愉快だぜ」ていう感想を聞くことがあった。それと似た現象ってことかな。
鈴木 そうだと思います。僕も同じ感想。だから総括すると、僕のミサンドリーをすごく刺激するパフォーマンスってことですかね…。
西尾 それはパフォーマンスとして成功してんのか…?分かんないけど…。 ところで、最初に言った、「『カップル』の男女は結局同質じゃん」て話については?作品の意図としては、この男女は「共感♡」て感じの好き、ではない、お互いに「なんじゃい…」って思うような関係の、しかしよさ、みたいなものを書きたいんだけど…。でも結局この男女は似たタイプの人を好きになってるだけじゃないの?って思ったから、その感想を言ってくれた人は腹が立ったって言ったのかな、と思って。そういう感じがした?
鈴木 どうなんだろ…。西尾さんの今までの芝居の感想って、けっこう「あるある!」みたいなものが多いと思うんですよね。「こういう場面になるとこういう態度とりがちだよね〜」とか、「こういう悪意の出し方するよね」とか。今回で言えば「カップル」の男に対する女の態度っていうのはまさにそれだと思うんですよね。例えばいきなり拗ねてキレ気味になってる男に対して、笑いながら「うける」とか言っちゃうみたいな。
西尾 うんうん。
鈴木 でも、この二人の関係がいまいちはっきりわからないのは、そこでの女の態度に、男に対する特殊さを感じなかった…からなのかな。もし女が男に対して惹かれてる、あるいは少なくとも他の男と違う感想を持ってるなら、なにかそこで特殊なことが起こるはずでは…っていう感じがした。今は僕はあの女の人の普通の感じ、世慣れた印象だけが結構強く残ってるかも。
西尾 ああ。
鈴木 多分、それは女個人の性質を表現するのにはバッチリって感じがするんです。男の人にああいうふうな態度を取るしかないような経験をしてきた女の人だっていう。男の方も、自分より若くて綺麗な女の人にちょっとプライドを傷つけられた時には、確かにああいう態度になるんだろうな、ってよく分かる。でもそれがあの女の人じゃなくてもあの態度だろうなって思った。 だからさっきも言ったけど、なんで惹かれてるのか…。そこの描写がまだないのかな、という感じがする。今思えば。二人が同質か違うかも、その描写によると思う。
西尾 そうだよね。わかりやすく言葉でつまみだせるトピックとかじゃなくて、もう少しそれぞれの人の全体性みたいなところに、説明はできないけど唯一無二性をこの人たちは感じあってんだな…っていうのがもっとないと分かんないってことかな。
鈴木 そうかも。これってマッチングアプリで出会った二人の話でもあるから、ワンオブゼムの男女が出会った、ティピカルで固有名詞を持たない男女の劇なんだとしたら、ピッタリかもってちょっと思ったわ。
西尾 そうだね、でも実際アプリ上では固有名詞がなく始まっても、会っちゃったらそのままな訳ないわけで、そっから探り合ったら固有性がドバドバ出てくるわ…みたいなことを書きたいなと思ってるから、そこに改善点があるのだな、と思った。
フライヤー案提案
鈴木 では、印刷物ですが…。まずタイトルについて。まだ決まってないんですよね?1枚目はとりあえずテンション上げるために適当に描いたレタリングが並んでます。
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西尾 この於母以出…というのは何て読むの?
鈴木 これは…「於母影」を以前からいい字ヅラだと思ってて、今回「母」が入ってるしいいかもと思ったけど、「於母影」読んだことねえしそのままじゃだめだと思って、思い出…を於母影ふうに綴ってみたものです…。
西尾 笑。これ白文なのかと思った。この細字の浦島太郎もいいな。最初仮タイトルでつけてた「もしもわたしがそこにいるならば」は、そのような小説が既にあるみたいで、ないな、と思ってる。それにこういう長いのじゃなくて、結構バシッとしたタイトルにしたいって決めたんだけど、それが何かは未定。この「翳」を見て、この字入れたいと思ったけど、かっこつけてる感じもあるな。
鈴木 うーん、これは本当はこのあと言おうと思ってたんだけど、結構「美しいビジュアル」「美しいタイトル」でいいんじゃないかと思ってるんです。 「男がうざい」って話ですが、多分戯曲がブラッシュアップされてもあのうざさは残りますよね。だからこの芝居はあの男女のやりとりゆえに一定のリアルな不快さ、ストレスフルさを持ちつづけると。でも、前回西尾さんが言ってたのは、この関係が過去になった時、それはよかったこと、そして本人たちにとっての少し美しい思い出…みたいなものになるってことですよね。
西尾 うん。
鈴木 宣伝美術を考える時にそれが大きいと思ったんです。芝居自体は、自分をいいと思ってない(はたから見ても確かによくない)男女同士のもやもやした関係を描いてる。でもデザインとしては美しい思い出としてパッケージされている、そういうことがいいのではないかと。 だから観客にとって、観劇中はこいつらひどいな…って思ってたけど、あとでチラシを見返したらなんとなく美しい思い出だったように思えたり、逆に事前の先入観としてこれは美しい思い出の話なんだ、ってことで見てもらえたり。芝居とチラシを合わせて見た時に「これはよかった思い出として書かれてるんだ」っていうふうに…
西尾 変換?
鈴木 そうですね。止揚されてってほしいなと思っている。だからなるべく中身の印象に合わせるんじゃなくて、美しく。
西尾 そうだね。
鈴木 だから今回は旅先の絵葉書とか、思い出の中の水彩画みたいなイメージで絵をちょっと描いてみています。どれも窓と人がモチーフです。
A
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B
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西尾 うん、絵だなーと思った。
鈴木 この絵は、後になってから、あの時の景色を必死に思い出そうとして、ある人が何回も描いているってことなんです。だからこの中に線画のイラストっぽいのが入ってると、余裕ぶっこいておしゃれしてる感じが入り込むからちげーなと思ってる。 ムンクって、同じ風景をものすごくいっぱい描いてるんですよね。なんか思い出そうとしているかのごとく…。それみたいに、窓があって、外が海だった、夜の思い出…それを思い出そうとしてる人…みたいな感じで考えてるんですけども。とにかく絵面としては、今回思いっきりウェットで美しくていいんではないかと思ってる。
西尾 うんうん。なんかさ、Aのいっぱい並んでるのいいなって思うのだが、パッと見て、タッチが何種類か混じってるとちょっと気になる。
鈴木 ああ、必死さがないですよね。デザインの工夫っぽい。
西尾 うん、なんかそこで正気になっちゃうっていうか。
鈴木 それについてはアイデアがあって、例えばAの右真ん中の絵は、なんかこれ違うなって思ったんですよね。そういう場合は、これも載せておいて、でも上からバツ書いて、こうじゃないんだ、って何か思い出そうとして描いてる人の存在が見えるのがいいのでは…とかね。
西尾 なるほど、誰かがこのチラシの外にいると。
鈴木 そう。で、それは「カップル」の男の人だと思うんですが、でもあの男がこういう風に思うかなと思うと、ちょっと違うかも、とも思っている。
西尾 うんうん。なんかさ、どっちかっていうとこの戯曲って「カップル」の女の人からの目線の話だなーと思っててさ。実は結構女の方が男を好きだよね。「思い出そうとして何度も描く」っていうのほどのかなりの執着やエネルギーを彼は持ってない気がする。「カップル」の女か「ベランダ」の女の人はそういう執着は持ってそうだけど…。
鈴木 そうですね、「ベランダ」が一番これをやりそうかも。でも「カップル」の女はするだろうか。
西尾 うん、描くかは分かんないけど回想は結構するかもねと思ってて、この三個の、人が増えてく絵のタッチは結構はまってるかもと思ってる。
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鈴木 確かに。描いてる感じっていうより、思い出してる映像の感っぽいもんね。
西尾 そうそうそう。だけど、グッと来てんのはやっぱ水彩画っぽいタッチかな。
鈴木 うん。ちなみにこの三つの並びは、実は人が増えてってるんじゃないんです。一人だけのは「ベランダ」の女、二人いるのは「カップル」の男と女、三人いるのは「警備員」の三人の男で、それぞれベランダにも旅館にも待機部屋にも見えるようにボヤーッとさせてるという。
西尾 あ〜〜そういうことか。なんか思いつきだけど、この三つをランダムに表示するGIF動画みたいにしたら面白そうかも、とか思ってた。
鈴木 意味不明だけど…でもウェブ上のプロモーションとして、ブルブル動かしたアニメーション作るのはいいアイデアかも。静止画に固まってない、思い出の中の映像っぽく見えるかもね。 そもそもこれを水彩っぽく描いたのは「ベランダ」の窓辺なのか「カップル」の旅館なのかわからない感じにしようと思ってボワボワッとさせているんですよね。だから一枚で全場面兼ねたかったっていうか…。まあ結局外が海だから旅館なんですけど。
西尾 あ、旅館とは思わなかったけど。どっちかっていうと学校の教室とか廃ビルとかそんな感じかな。でも私としてはあんまりイメージが固定されそうすぎるより、これくらい漠然としてていい感じしたけどね。でも複数並ぶなら、色々違う具体的な状況だけど、なぜか全部窓と海、みたいなのもありな気もするけど。
鈴木 だとしたら本当はA3二つ折りとかにして、両面にバーっと並べたいぐらいですね。イカの絵もありますが…イカはどうですか…。
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西尾 イカはね…ちょっと違うと思ったよ。
鈴木 あ…そうですか…。
西尾 イカだけつぶらな瞳でかわいいからイラっとする。笑。他のは水彩っぽいけどこれは鉛筆のタッチがメルヘンっぽい…かわい子ぶってる…それとイカがあいまってクソって��じ。
鈴木 ああ〜なるほどね。
どのような絵か?
鈴木 「カップル」の男にとってこの旅行がよかったものだった感じは分かるんだけど、女の人の方があの時のことを思い浮かべてるみたいな絵、そしてお客さんもこのフライヤーが「よかった思い出の絵」だってわかるような絵を描くとしたら…どういう気持ちでいけばいいんかね。さっき廃ビルって言ってたみたいに、今は結構抽象的な空間で、見方によっては冷たくて怖い印象だよね。それをウェットでいい感じに、そして女の人の気持ちで描くにはどうすんのかね。というか、女の人の方にとってこの旅行そもそもどういう体験だったとして思い出されるのか…。
西尾 うーん、多分あの二人がそんなにすぐだめになるんじゃなくて、そこそこ続くんだと思うんだよね。今の戯曲だと関係が激しすぎてお互い疲れそうだから長持ちしない印象だけど…。女の人の方の傷ついた内面が噴出しすぎちゃってるよね。もう少しぼんやりと傷を負ってるって感じにしたかったんだけど。
鈴木 リーディングでも「カップル」の女をやった俳優がほんとに泣いてましたよね。
西尾 うん。そのあとの観客の女性たちの感想としても「わかりみがありすぎる…」「すごいつらい」っていうのが結構あったんだけど。でもさ、あそこまで激しく感情を出すことができるなら、逆にああいう人にはならないだろうと思ってて。日本の女の人の難しさは、よくなる道がなさすぎることも全部わかってて、「いやこんなこと言ってもしょうがないってわかってるんだけどね!はは…」って言って笑い話にするしかない傷つき…みたいなことで。だからこの女の人も(表現としては)激しく辛い!!!って感じじゃないと思うんだよね。
鈴木 うん、わかるよ。
西尾 そういう…本来なら噴き出すなんてできないような感情が、この鈍感な男といると、なぜか自ずと流れ出すことができたな〜みたいな感じかな。
鈴木 ??
西尾 (一般的に)今感じてる問題を男の人に話すと、だいたい解決しようとしてくるじゃん。もっと大きなシステムの話なのに、個人の問題に矮小化してくるっていうか。でもこの男はただウ〜ンとか言ってぼんやり聞いてる。そのことによって女は「あ、私は怒ってたんだな」とか「別に解決できなくても怒ってるって言ってもいいんだな」とかを気付かされる。そこに、この女にとってのよさがあると思ってるんだよね。 そもそもこの旅行もかなりなりゆきで決まったわけで、本来ならもっと深い仲にならないとさらけ出さないはずのものが漏れ出てしまっているということ。(傷ついていた内面が)本当にたまたま、なぜか、表に現れることになってしまったことが、彼女にとって癒しになった…とい うか…。そしてそれが相手の男の功績に依ることではなかったということ。
鈴木 でも功績には依らないけど、性質には依ってるよね?頭のよくない、女慣れしてないという性質に?
西尾 そう。むしろ男性社会のマッチョさに参ってる男だったことで分かり合えた部分もある。特に発展性はないけど共有し合える仲ってあるんじゃないかなと思う。
鈴木 ふむ。 いや、あると思うけど、そういう男って…普通にモテるのでは…?
西尾 えっ?でも若い時分にモテるのはある程度ガツガツした人じゃないかと思うんだけど…。
鈴木 ……でも我々もこのカップルも別にそこまで若い身空ではないのでは…。
西尾 そう、そのフェーズに入ると確かにガツガツとか全然よくないよねっておもってくる…。
鈴木 てことはこの男は女の人たちの間で「なんかあの人いいよね〜」みたいになってるかもしれないってこと?もしかして。
西尾 そこまではいかない。
鈴木 まだパッとしなさの方が前面に出てるということか。
西尾 そう、もうちょっと近い距離になると「え…なんか癒される…」みたいになるけど、そこまでなかなか行かないんじゃないかな。
鈴木 そういう人か。
西尾 この女の人は長く不倫をしててストレスは感じていて、「若い」「かわいい」とか言われてもずっとストレスを感じてきていたと。でもここにきて、そんなことはやめて、男に強く出てみるか、みたいなことを今初めて試している。相手のぼやきにつっこんだりしてOKにする、そういう関係を楽しめはじめている。例えば男の方は年上だし男だしリードしようとしてるけど「そういうのいいんで!」みたいな態度をとってみている。多分この女の人は「そういうの(男女間のヒエラルキー)は崩さない方がいいんだよね、私わかってる」って思ってきたんだけど、いざ男を突いてみたら案外それでもいいんじゃない?みたいになってきてる。まだ板についてはないけど、キャラとしてやってみてる。
鈴木 ああ、じゃあ女の人にとっては、旅行先だし、相手も正直まだ関係浅いし、評価してくるタイプの男ではない。可愛げも感じてる。そういうことがあいまって、コンベンショナルな男女ということから自由になれた思い出として残るってことなのかな?
西尾 うん。なんだろうな…女の人にとっては「(そもそも)男の人とこんな風に景色を見たりして…不思議な夜でした…」みたいな記憶かな…。
鈴木 ああ、分かったかもしれない。この女は割と語り口がサバサバしててあしらいがうまい世慣れた印象だけど、本当は全然そんなことないってことか。男の人と友情をも��たことがほぼないと。
西尾 そうそう。そうだね。友情だね。「こんなふうに無邪気に、平らかな気持ちで素直に景色を見たりできるなんてね…」と思えた、という感じかな。
鈴木 なるほど。それを学生時代に経験できた人もいっぱいいるけど、この人は違ったと。
西尾 そうだね。でもみんなそんな学生時代に経験してるかな。
鈴木 僕はしてると思うけど…。美大、共学の中高だったというのもあるかもしれないですが。
西尾 ああ、それだと無邪気かもね。
鈴木 うん、だから僕は案外、男女の性のない世界から来た人なのかもしれない(男だから意識しないでいられただけかもしれないが)。だからこの人たちが、男が女に対して、女が男に対して、何をそんなに構えているのか、悩んでいるのか、そこまで分かってなかったのかも。だから無邪気にラブストーリーとして戯曲を読んでた面もあるかな。
西尾 うんうん。逆にこの女の人は男に絶望しなきゃいけないと思っているというか。「そのことは分かってるんです」って態度ではあるんだけど、やっぱり本当にそうだったらつらいなーみたいな。だからひらけた関係を持つのが難しいし、そのことに対する諦めもどんどん厚くなってってる。
鈴木 そこにきてのこれ(旅行)ですよ、ということか。
西尾 そうそう。
鈴木 だからこそ、友情の話だったとしても、男女である、それもマッチングアプリで出会うようなゴリゴリの関係で始まる必要があるってことか。女友達とかだったら意味ないもんね。なるほど。
西尾 うん。
鈴木 この女にとってのこの旅の貴重さが分かったかもしれない。
西尾 うん、私はこの後、この女はこの男じゃない人と結婚するというイメージを持ってるんだけど、そこではもう期待とか絶望みたいな激しい感情じゃなく、淡々と男の人といられるようになれたと思う。
鈴木 ああ、ふんふん。そうか。そういう気持ちでまたフライヤーを考えてみるともっと変わるかも。
西尾 そういう時点から振り返って「あの晩確かにある種のきらめきはあったね」という印象は、Bの絵には少し感じるかも。無駄に夜更かしした、無邪気に楽しかった思い出の印象がある。
鈴木 暗い景色だけど、暗くは見えてない、みたいなね。 まあ…「カップル」のパートの印象だけでフライヤーを作ってしまっていいのか?という疑問もあるが、でも先は長いので、とりあえず今結構理解が深まったのでそれをベースに考えていけばいいのかな。 ま、とにかく、芝居の内容とやや乖離した「美しい話」「美しい思い出」という印象。これを改めて考える方向でまた進めます。ていうかこの方向性が西尾さんに反対されるのでは?と思ってたんだけど。
西尾 そう?なんか今回は普段とちょっと違うことに取り組みたく。明らかにちげーなってことはもちろん外すけど、今回は私自身としてもわからん、て思うようなことを書こうとしてる、ってことでもあるのかな。自分の気持ちよさだけで構成するんじゃなく、そうじゃないところを射程に入れるということを考えているんじゃないか…。
鈴木 なるほど、じゃあ「カンロ」の時と違うのはそこですね。
西尾 あの時はドラマチックな感じが恥ずかしくてね…。
鈴木 今回はやり過ぎぐらいでもオッケーって感じですね。
西尾 うん、例えばこの絵の感じに「浦島」とか書いてあるとちょっと「ハズしにかかってんのか?」って感じも出るよね。だからやっぱタイトル重要だわ。タイトルもこの絵の感じと一緒になってもおとぼけな感じじゃなくてちゃんとベタにフィットするものがいいなと思ってる。
鈴木 うん、ド真っ当なものになるのかもね。てかこないだ鳥山フキさんたちに、今までの鳥公園のフライヤーについて「意味分かんないとか言ったら頭悪いって思われそう」って言われたのが結構インパクトあった。見た人に「俺たちハズしを理解できてないのかしら」みたいな気持ちにさせるのは今後はやですね!
西尾 ね。そんなつもりなかったのにね…。
鈴木 うん、作ってる側さえ何も分かってなかったという…。
西尾 でもそれちょっと関係あるかも。私も今回「西尾さんの作品て分かりやすいわけじゃないけど、それって自覚的にやってるの?それは東京のお客さんのノリにもとづいてるの?」って言われたりして、そういうことかな、って思った。つまりとぼけ感が通用するところでの作品なのでは、というか。
鈴木 僕はとぼけてるつもりないけど、それでもとぼけリテラシーありきのものだったかもしれない。
西尾 うん。まあ、リテラシーに無自覚に頼ってるのはいいとは思わないけど、お客さんに分かるように分かるように…ってことが一番大事ってことでもないけどね。
鈴木 そりゃそうですよ。ま、もうちょいもう少し考えますわ。
つづく
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honey-mint-chocolatte · 8 years ago
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Fate/Zero 完走の感想
6/25からアニメを観始め、その後原作小説を読みつつ進んだところまでドラマCDで復習、というなんとも受験勉強のようなことをしていたのですが、この度ようやくすべて完走したので3つを比較しつつ補完しつつの感想を残しておきます。感想自体はいくらでも溢れているだろうけどあくまでも自分の感じたことを残しておきたいがために!
本当は漫画の方も読みたいんだけど相当にグロが強めらしいのでちょっと手を出せずにいる……。アニメのキャスター陣営部分も結構な割合スキップ不可避だったので……。
特にメモとか残しているわけでもないので頭のなかに浮かんだ順番に書いていきます。ので時系列は滅茶苦茶ですがご容赦ください。
・セイバーが霊体化できない理由や、英霊の中で唯一無二の特異な願いを持っていた理由が、私がただ読み取れなかっただけなのかもしれないけれど、アニメでは説明されていないように感じたので原作を読んではじめて知ることができた。ここすごく大事なところだと思うんだけど!!セイバークラスは基礎能力値が抜きん出ているからそのハンデとして霊体化できないものなんだと勝手に解釈して勘違いしてたよ!!
・同じ作品内で別々の媒体のちょっとした差異から生じる別世界線の話とか考えるのが大好きなのですが(だからこそこういったことをしている)、Zeroにおいて決定的に(未来に)誤差が生じた部分は、凛ちゃんの行動についての部分です。まず間違いなく。
ドラマCDは原作をほぼ忠実に再現しているために、差異といったものはそこまで見受けられなかったのですが、アニメの方は展開の速度を調整していたりオリジナルの要素を入れ込んでいる部分が幾つかありました。
そのひとつとして10話の「凛の冒険」。あのお話自体が、入りの部分を除きまるっとアニメオリジナルなんですよね。最初にアニメから入ったのでそれはもう驚いた。
結論だけ簡単に言うと、アニメ軸の凛ちゃんは「殺人鬼に単独で立ち向かって魔術で対抗し、親友や大勢の子どもたちを救い出した」、対して原作・ドラマCD軸では「親友を救い出そうとしたものの極度の恐怖に晒され気を失い、何もすることは叶わず親友も二度と帰って来ることはなかった」
この差、まだ幼い凛ちゃんの今後の人格形成において明らかに大きな差異が生じると思うのです……。だってキャスターの英霊が作り出した礼装を修行中の魔術により破壊した上で、あれだけの人数助け出しているのだから。そりゃあもう歴史に残るレベルのヒーローだし、自信を持って魔導の道を歩いて行けるよね。
Zeroの軸は本編軸とは直結ではないみたいだけど、この間観たUBWの凛ちゃんはアニメの方に近いのだろうなと感じた。同じufoで続編の扱いだし。
・上記と同じく、もうひとつのアニメオリジナル展開?というより尺を伸ばした、が近いか……。18、19話の切嗣過去編。すごく独特の雰囲気で、作中において唯一の救いであったライダー陣営やセイバーとアイリさんコンビ(この時すでにアイリさんは手遅れになってしまってるんだけど……)が一切出てこないので、あっこれって……鬱アニメだったんだ……と気付かされた連続回。
こちらも原作ではかなりあっさりとしていて驚きました。後述するけど、多少の贔屓目はあるかもしれないけれど原作ではウェイバーちゃんの心情描写がかなり緻密に描かれていて、その割に主人公である切嗣に関しては、アニメを観た後だとちょっと感情移入するに欠けるかな、という感じ。当然必要分はちゃんと描かれています。ただそれだけアニメのあの2回が凄かったんですね。
あの18、19話によって切嗣は確とした主人公に成り得たのだと感じます。正直に言うと原作ではライダー陣営の凄まじさ、完璧さ……に勝ることのできる人物はなかった。いやホンット凄かったです。後述します。
あとついでに、アニメではアリマゴ島にいた頃のケリィは入野さん、それ以降のナタリアと行動し成長した頃では小山さんに変わっているのだけど、ドラマCDでは過去編は最初から最後まで入野さんでした。とても10代の少年には見えない風貌からあの声出ているのだと思うともえる。そうなってしまった原因を思うとそんなことはとても言えなくなるのだけど……。
・自害せよランサーのシーン。珍しくアニメ・原作では同じでドラマCDのみ差異のあった部分です。アニメと原作では、舞弥さんもとい切嗣に捉えられたソラウはケイネス先生と共に撃たれて命を落とすまで、そのまま目を覚ますことはない。原作では「痛みすら感じる間もなく即死したソラウはむしろ幸いだったかもしれない(引用)」の描写あり。対してドラマCDはというと、捕えられながらもしっかり意識がある。つまり目前でランサーの自害を見ているわけです。ランサー側もそれを見ているわけです……お互いに……。こんな不幸があるか!!何がランサーが死んだ!だよ!!!!!!救ってやれ!!!!!!!!
自分の知り得る限りで、陣営として最も(最初から最後まで)不幸であったのはこのZero槍陣営だったと思うのです……。ランサー陣営に幸あれ……。でもどの世界線でもケイネス先生は死んでしまうらしい。災難すぎるとかいうどころではない。
・ラストの、蟲蔵に沈み行くおじさんを見遣る桜ちゃんのシーン。アニメではあんな台詞を言うものだから一瞬「えっ桜ちゃん突き落としたの!?」とか勘違いしかけたような演出になっているけど、原作とドラマCDではもう少しマイルド。アニメが最も闇が深い。
・おじさんで思い出したけど、ドラマCDはアニメと違って時間的な制限がないため尺を気にせず使える、ということで比較的台詞が長い。特に気になったのが、誰かが呻いたり泣いたり悲鳴上げたりしているのをバックに長々と独り語りをするパターンが多い……w ただでさえ陰鬱な空気が充満しているのにこれは相当きついものがありました……。分かりやすい例を上げると、おじさんをいたぶる臓硯、アイリさんをいたぶる綺礼、おじさんを焼く時臣氏、キャスター工房でおえおえするウェイバーちゃんとそれを慰めるライダー、夢の中で苦しむおじさんとその要因であるバーサーカー、ともうきりがないんだけど、中の人はさぞや大変だったのだろうなと……震えます……。大体みんな絶叫してるし、絶対喉アカンやつでは……ってなるし、改めて声優さんってすごいなあと思いました。ありがとうございます本当に……。
あと尺が伸びた弊害で愉悦部が激しく笑いすぎててこっちまで笑うわwwwwwwww
~ここから大本命ライダー陣営~
無自覚だけど贔屓目に見ている可能性があるし腐っているよ(でもウェイバーちゃんは公式ヒロインだから別に私の思考が腐っているわけではないのかもしれない。当然のことの可能性が高い)
・鶏に全身を糞まみれにされ振り回され憤怒するウェイバーちゃん(原作・ドラマCD)
かわいい。
・ウェイバーはあやうく射精してパンツを台無しにしかかったほどである。(原作)
暗記しました。何も見ずに空で打ちました。ありがとう原作。この一文によって、ウェイバーちゃんはれっきとした男の子である!!と証明したものと受け取った。原作者虚淵氏からの意思表明。
・度々「矮躯のマスター」「矮躯の少年」と表記される(原作)
19歳って青年の域なのに断固として少年。終いには切嗣に「あんな子供」呼ばわりされる(確かドラマCD。アニメではどうだったか……)。不憫かわいい。
・グレンおじいさんに照 れ な が ら ウ ィ ン ク を す る ウ ェ イ バ ー ち ゃ ん(原作)
大爆発した
ウェイバーちゃんは照れながらウィンクができる子
・最後の最後ではじめてウェイバー・ベルベットと名前を呼ばれ、自らも「イスカンダル……」と囁くように、覚悟を試すかのように大切に、その名を口にするウェイバーちゃん。ドラマCD限定です。必聴。
・ライダーは最後の最後でようやく「この胸の高鳴りこそがオケアノス」だと気付き、その喜びに全身全霊を奮い立たせたまま逝ってしまう(大泣き)。ところがこの事実、ウェイバーちゃんは相当前から気付いていたりする。ライダーが心に描く、最果ての海の潮騒を夢に見た時ですね。小説とドラマCDにてモノローグで語っています。あくまでも想像の範疇、仮定としての言い方ではあるけれど、最後まで絶対的に上に立つもの、逆らえないものであった征服王イスカンダルに対して、本人が最後まで気付くことのできなかったことを、マスターであるウェイバーちゃんは気付いていた、という事実が大変に大事なことであると私は思うのです。
・いっちばん大本命の大切なところなのですが! ライダーを失って、自分の聖杯戦争のすべてが終焉を迎えて、その時に流した涙のこと。アニメでは悲しくて、悔しくて泣いていたように感じました。ヒロイン補正かな……。とってもかわいかったです!!!
これが原作だと180℃全く解釈が変わってくる。あの涙は悔しさからでも悲しさから来るものでもなく、ちっぽけで、それでいてとてもとても大きな誇りを抱いた、大きな世界に希望と未来を彼方に約束した、満足と誇りに満ちた、清々しい男の涙なんだ……。
未来に向かって一人立つ、今はまだ、ちっぽけな男の背中。
たった11日、されど長い長い11日間は、少年を男にするに十分過ぎるほどの濃度で、鮮烈な色を遺して行った――――。という。あまりにも完璧すぎた。誰も反論できないくらいには主人公ライダーとヒロインウェイバーちゃんでした。完璧に。
ライダーという時空を超越した英霊と、今を生きる人間であるウェイバーちゃんとを考えると本当に完璧に完結していて、「出逢いと時空を永遠にした主人公とヒロイン」でした。
・ドラマCDでは、この後(前述)から明らかにウェイバーちゃんの声音が変わります。ウェイバーちゃんというかウェイバーくんになりました。落ち着いて垢抜けた感じになっている。男になってる。涙出る……。
・結局、ライダーとウェイバーは主人公とヒロイン級の役でありながら、それでも彼らはあくまでも登場人物の一人に過ぎず、主人公は「生涯を賭して戦い続け、結局何も得ることができなかった」切嗣にこそ、このZeroという作品には相応しいのだと、完走して深く感じ入りました。UBWでのイリヤの結末を思うとなお……。この涙を止めて欲しい。
とても深くて、身を持って考えさせられる作品でした。切嗣と過去の自分が重なる節が多く……。そんな軽々しく言ってしまえるようなほどのものではないけれど。
みんなそれぞれに���かな目的と強い意志とがあって、すれ違いからの悲劇に悲劇が重なってしまう……。互いに解り合うことができない、悲しい物語だったけれど、それでもこころに大切に留めておきたい作品です。
UBWも観終わったことだし、次はどこに手を出せばいいものか……と考え倦ねているけれど、とりあえずはまだ1巻半ばの事件簿を既刊まで読破したい所存です。師弟かわいい。
もし最後まで読んでくださった方がおられましたら、ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございました!!いすうぇ~はいいぞ。
もし何かしら思い出したり、今後書き足したいことが出てくれば追記するやもしれません。
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nok0000xxxx-blog · 8 years ago
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憑屋よもやま話第四回『南雲一行』
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というわけでよもやま話も第四回。南雲一行、具体的にはシノノメ、ミカヅキ他アヤカシ組、藍銅のお話です。
ネタバレにつき続きからどうぞ
猿鳶東雲について
当初は私が忍者という概念が好きだから忍者を出そう!という超適当なノリで生まれたヤツでした。それも軽薄な忍者が好き。いや堅物な忍者も好きですが、まあそこはそれ。そんな超短絡的な動機で、話に絡ませやすいように主人公とはマブダチってことにしておこう!と「自称」南雲仁の親友として登場と相成りました。この時点ではさほど彼の過去については詳しく考えていません。
その後話を詰めていく過程で、僧侶と忍者が友達ってどういう繋がり?っていうところから本編のあの流れで友だちになった、っていうところまで漕ぎ着けました。
南雲と出会った当初のシノノメは食うに困った親に売られ、生ける武器『鋼刃衆(※1)』の武器のうちの"一本"として活動していました。人権ゼロの鉄砲玉。そんな彼に与えられた任務の一つが、神楽宮暗殺の任務でした。政治的な実権こそ握らないものの、神楽宮は日ノ国でも強大な法力を持つ人物なんで命を狙う人間なんてゴマンといたわけです。そんな人らの鉄砲玉としてその時向かわされたのが名無しの少年。のちの猿鳶東雲だったわけです。
で、そこで出会った仁少年に「死んでもいいとかいうな」と叱責され、これまでの人生で躾けられたことはあれど叱られたことのないシノノメ少年はカルチャーショックを受けるわけです。しかもそのあと命を狙った相手には許されて逃され、ある意味で途方に暮れたわけです。失敗したから戻ったら死ぬしそれでいいと思っていたけど、命を粗末にするなと怒られ、その言葉が頭にこびりついて離れず、なぜだか戻ることが出来なかった。そこで彼の人生が変わりました。ちなみに仁少年が彼に怒ったのは、南雲に関するよもやま話でも書きましたが殆ど八つ当たりに近い動機なのですがまあシノノメ少年は知る由もありません。ある意味相手のことを思っての言葉よりも八つ当たりだからこそよかったのかも。
その後仁、キクリに再会し、名前を与えられ、彼らと普通の子供のように遊んで、そこで初めて彼は人間性を獲得しました。嬉しい、楽しいという感情をぼんやりながらも得て、そこからようやく猿鳶東雲という人間の人生が始まったわけです。
それからは紆余曲折あり忍の師朧月の銀狐(※本編SS・忍の心得に登場)に拾われて忍者としての道を歩み出します。現在のシノノメがおちゃらけたムードメーカーになっているのは師の影響が強いです。特に女好きになったあたりは。ただ、彼が身をおくこととなったコーガの里に来た当初は少年漫画のライバルキャラのようなクールボーイでした。何があったの?ちなみに現在のコーガの若き当主とはほぼ同期でマブの戦友だったりします。
ともあれ、修行時代に人格形成が行われ今に至ります。現在の性格になったのは関わった人の影響もありますが、仕事上関わった人間から人間性をトレースして『どのような振る舞いをすると効率よく相手を油断させることが出来、かつ周囲に溶け込めるか』を研究した結果でもあると思われます。とはいえ、打算で作り上げた人格も時間が経てば立派に彼の『性格』足り得るものになっている筈。
忍者になれたことは彼の人生としてはかなり大きな意義となりましたが、仕事柄汚れ仕事は多く、そのことで南雲やキクリに大して引け目が出来てしまっているところがあります。そのあたりがSS・ヒトゴロシの夜などで言及されている話。南雲やキクリ、出会った後はヨマなど、生まれ育ちの悲惨さもあり周囲の人々に対して無意識的に『自分よりも綺麗なもの』として認識しがちなところがあります。自分一人で汚れ役を買って出ようと考えるところがあるのはそのあたりが原因。そして軽蔑はされてもいいけれど相手に気負わせるのは嫌だ、というところにそういった部分を隠す理由があります。結果自分を軽視しがちなのも生まれに由来がありますが、ただこのあたりについては幼少期に南雲に叱られたこともあり何も考えなしに自分を犠牲にしようということはありません。手を汚すのは厭わないけれど、死ぬのは御免。何故なら仁ちゃんが怒るから。そんな感じ。
ちなみにシノノメが決め台詞として言っている、「音無し、香無し、名無し、その功天地造化の如し」の元ネタは「音も無く、匂いも無く、智名も無く、勇名も無し。その功、天地造化の如し」という言葉。万川集海という忍術書に書かれている言葉です。音も匂いもなく功績が残っても誰も知らない、名前も残らない。天がそうしたように思わせる…という意味だそうで。シノノメがこれを決め台詞にしてるのは師に教えられたのと、あと口に出すとカッチョイイからだけであって別にこれを言っている時はこれの意味するところを意識はしていないです。ただ、生き方はそれに沿うようにしてはいるそうですが。
デザイン関係の話をします。実は殆ど一発デザイン。ほぼ決定稿となったのがこちらです。
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この頃はわりと全体的に頭身低めでデザインしていました。変更点は指ぬきグローブじゃなくなったところくらいかな?余談ですが巾着袋に入っているのは兵糧で、クナイや手裏剣などは服の内側に隠していたり忍術で召喚したりしています。
あと、髪~顔の作りに関しては猿鳶の『猿』を念頭に置いて猿っぽくしています。もみあげが内側に来ているところと、眉毛が末広がりなところ。猿っぽくない?そうでもない…?垂れ目は趣味です。なんとなく、女ったらしは垂れ目にしろと遺伝子がそう囁く気がしています。
ちなみに初期配色案はこちら。
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今よりちょっと胡散臭い気がします。ただ、南雲、ヨマともに紫要素の多い配色だったのでコイツまで紫にしたら色が偏るな…と考えてボツにした。…ような気がします。
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あとこちらが幼年期のラフ。おまけに南雲氏も。立ち絵とはほとんど変わっていません。
※1)鋼刃衆…『人鍛冶師』という人を武器として作り変える刀工集団により『打たれた』人間武器の集団。心を殺し、刀として、或いは暗器として日夜誰かの命を奪うために生きるモノたち。起こりは憑屋より100年ちょっと前、日ノ国における戦国時代から。それなりに平和になって暫く経つ今でもその行いと技術は連綿と続いています。今なお日ノ国の各地で暗躍し、そして鉄砲玉の如く彼らは死んでいっています。何度か仕事をこなし、実績がついてそれなりに高価な『武器』になると武器としての銘が与えられます。それまでは名無し。シノノメはまだ銘が与えられる前の状態で南雲たちに出会ったわけです。
ミカヅキたちの話
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超初期の南雲withアヤカシズ。つららがニーハイ履いてるとかビミョ~な変化がありますが基本コレから変わっていません。
まずミカヅキについてですが、アヤカシをお供に旅をするという話なわけでわかりやすく、こう、ピカチ●ウみたいなマスコットがほしいというところから生まれました。で、どんな妖怪を引き合いに出すかとなった時に、猫又あたりが一番ポピュラーでわかりやすいだろうと思ったのですが、猫又って属性、何…?となり単純な猫又にするのは没。その後少し妖怪について調べて、火車という存在に行き着きました。猫!火属性!実にわかりやすいじゃあありませんか。まあ実際の伝承の火車は死体を奪い去るというわりとおどろおどろしい存在ではありますが、ミカヅキはまだ仔猫なのでそのへんはご容赦を。南雲につかず、火車として大成していたらそういう方向に行っていたかもしれません。
実はミカヅキはこの最初の4体の中では一番南雲とは付き合いが浅いアヤカシです。それでも常に一緒にいるのはなんだかんだで一番馬が合うから。と、霊装時の相性がいいから。子供なので裏表がないところが南雲的に気に入ったのでしょう。ミカヅキの方も、南雲のツンデレ気質を理解しているのでなんとなく放っておけなくてついてきています。懐いているとも言う。
出会いはミカヅキの住処だったところを荒し回っていた大アヤカシを南雲が退治して云々、という感じ。
お次につらら。彼女はわかりやすくお色気要員と、わかりやすい妖怪要素を担っています。というか、初期4体は全体的にわかりやすさを優先して選定をしてはいますが。
彼が他に誰を想っていても南雲仁を愛している、愛に生きる乙女。とはいえ、別に南雲仁とは添い遂げられなくてもいいと思っています。誰かを想っている状態が楽しいから南雲に恋をしている感じ。両思いになると溶けてしまうさだめを持っているので一方的に片思いさせてくれる南雲だからこそ真っ直ぐ愛することが出来るというか。
SS・みんなの南雲でも描かれたことですが、つららはどうにも優しくて甘い女なので愛する人の哀しみを勝手に分かち合いがちな女性です。愛し合って自分が消えてしまったら、自分は満足だけれど相手はその喪失の哀しみを負わなければいけない、それはイヤ、だったら私を愛さないような人を愛そう、みたいな。勿論、南雲の心根の優しさもしっかりと理解してそこもきちんと、というかそこをメインに愛しています。
南雲との出会いは、昔惚れた男に騙されて見世物小屋に売り飛ばされ、見世物にされていたところを助けてもらったとかです。
ショウキチ。泥田坊という妖怪が元ネタです。微妙にマイナーなんだろうか。どうなんだろう。とにかく土属性のアヤカシをねらなきゃいけないから、わかりやすそうな妖怪を…と選んだのが泥田坊でした。デザイン的には記述にある特徴をマイルドに、デフォルメして描いただけで特に捻りはないです。
イズモの守護していた村の村民で、死後アヤカシとなってからは生前の恩義もあってイズモと交流を持っていました。南雲との関係もそこからで、4体の中では一番南雲と付き合いが長いアヤカシです。イズモ亡き後、南雲がスサノオへ行くまでは彼が面倒を見ていました。南雲からすればもうひとりのおじいちゃんみたいな感じです。親戚の喧しいおじいちゃん、の方が近いか。南雲がスサノオから旅立ち、憑屋として活動をはじめた折に再会。レギュラーメンバーとして南雲の助けとなるべく彼と契約をします。
コクリコ。みんな大好きヤタガラス。でも足は三本ない。とはいえ、この人鳥姿は省エネモードで鳥モードはちゃんと足が三本あったりするのではないでしょうか。今考えました。
鳥キャラは、まあ趣味ですね。趣味です。案外つららとはいいカップルというかコンビのような気がします。お七イベントのあたりとか。元はイズモの住んでいた山の住人で、イズモや南雲とは普通に近所付き合いのような間柄。イズモが生きていた頃はショウキチほど密な関わりはなく、イズモの死後に一人になった南雲の様子をチラチラ覗いてこっそり守っていたような感じです。同じ山に住むよしみというか、まあコクリコさんはいい鳥なので。南雲と契約したのはショウキチと同じルート。ちなみに第二幕で仲間にできる天狗のミカゲさんとは犬猿の仲という裏設定がありますが、そもそもヤタガラスと天狗の種族仲自体があまり良くなかったりします。鳥種問題。
ところで普段くっついてるミカヅキはともかく、他の3体や河童の平太とかは時々出てくるけど普段どうしてるの?という話ですが。作中で霊装図鑑として閲覧できる『霊帖』がまんま契約書とワープの座標指定を兼ねています。仲間になったアヤカシを霊帖に登録し、霊帖を通じて仲間にしているアヤカシに呼びかけると霊帖を標として遠く離れた場所にいるアヤカシが南雲の元へ来るためのワープポイント、『霊門』が発生します。それを通じて戦闘時などに彼らを呼び出して霊装しているわけです。これがあるから付け外しに1ターンずつかかるんだ!まあそれはこじつけですが。なので、普段は皆思い思いの場所でテキトーに気楽に生きてます。
ところで作中では合計26体のアヤカシを仲間にできるわけですが、何故今までも憑屋として活動していたのに初期アヤカシは4体なのか?という疑問があるかと思います。それは実は殆どのアヤカシに大して南雲が契約期間を設定しているからです。今回で言えば神楽宮からのお使いを終えるまで、というような感じで。というのも、人でないものとの契約を十も二十も記しまくった霊帖なるものを遺して死ぬなんてことがあったら悪用されないからです。あとは契約維持に多少なりとも霊力のコストがかかるから。恒常的に裂けるコストは基本10体までが限界です。なので、ほとんどのアヤカシは期間限定。考えてみれば最終幕なんて神霊レベルの存在を仲間にしまくっているわけですからコストは相当やばいことになっているはずです。そのコストを顧みず、自分の体を代償にしてまで契約しまくって逆に喰ってしまっているのがアザミですが。その結果がアレですよ、アレ。
藍銅について
和物と言えば落ち武者だろ!
彼の存在についてはこの短絡的な一言につきます。何故侍ではなく落ち武者だったのか、過去の自分に聞いてみたいところですね。そんな動機から誕生したのが作中屈指のピュアキャラ、藍銅くんでした。どうしてもござる口調の侍が出したかったというのも誕生の動機の一つです。
藍銅について言えば、これを話さず何を話すかというのが孔雀との因縁です。実は当初はここまで濃い関係性にする予定はなく、そもそも藍銅もシナリオでちょろっと出てきて霊装入りするだけのキャラの予定でした。が、ちょっとアブない人斬りキャラを出したい、というところから孔雀が生まれ、折角だから昔ライバルだったみたいな設定にしておこうと決めたが最後…でした。よもやこんなにアレな関係になるとは…。
孔雀を狂わせてしまったのは藍銅だけれど、彼には全くそんなつもりがあるはずもなく、また孔雀もそれを理解してもらおうとは思っていなかったので結局最後の最後まで和解することなく二度の別離となりました。おそらくこの二人は出会わないのが最善だっただろう、とは思えますが、それを本人たちがそう思っているかは全く否。藍銅は切磋琢磨できるよき友人に恵まれた、と思っていますし、孔雀も自分に生きる指標を与えてくれたという点で、出会わない方がよかったなんて微塵も思っていません。孔雀のこのへんの思いに関しては次回あたりの彼のよもやま話で。
ともかく、他人から見たらどうであろうが彼らにとって最後は殺し合う仲になったとしてもそれまでの過程で得た優しい時間は得難いものだったのです。だからこそ、藍銅は二度目の決闘の終わりの時も孔雀の想いを理解したいと思っていましたが、まあ、無理でした、と。それでも今度は地獄で、と冗談のような口約束を遺された孔雀の刀に向かって出来るようになったあたり、理解は出来なくても死んだ後くらいは彼の望みに沿ってやろうと妥協は出来るようになったのではないでしょうか。
何が悪かったかと言えば、藍銅も孔雀も悪いことはなかった。いや孔雀はやったことは悪いですが、まあ双方個人自体には問題はなかったのです。ただ出会ってしまって、孔雀の方が心の釦を掛け違えて闇を深めて、一方藍銅は幼少期から全く変わらずに何一つ歪まずあまりにも真っ直ぐ正しく育ってしまって、そのコントラストが惨劇悲劇の引き金となったというか。このあたりのこと、具台的には孔雀の心の内に何があったのかはいずれ公開されるであろうスピンオフ『憑屋異譚蒼龍戦史』で詳しく物語として綴りたいと思います。彼だって藍銅と出会ってすぐに狂っちゃったわけじゃないんです、最初は普通に憧れてたんです本当だよ…。
ところで良心の塊のような藍銅という青年ですが、生き死にに関しては元々戦国時代の戦人であるためシビアです。とはいえ何もものを思わないというわけではなく、SS・ヒトゴロシの夜に語られた通り、守るために殺すことに関しては自分なりの信念と考えを持っています。人を殺した場数で言えばシノノメより多く、さらに正面切って正々堂々叩き切っているので、ある意味ではシノノメの大先輩というか。だからこそ、あのSSでシノノメを諭す役割に回っていたわけです。
ちなみに基本幽霊なので霊体ですが、満月に近い月の夜や南雲のような霊力が高い人物が近くにいる、黄泉比良坂洞のような霊力が満ちまくってる場所にいる、そもそも禍ツ夜が来ていて土地自体の霊力が高まっている、などなど条件がある程度揃っていれば数分~数十分ほどは実体化出来ます。実体化と言っても生者に対してだと藍銅が一方的に触れられるだけで、早い話がポルターガイストや心霊現象みたいな状態になります。肩が重い、みたいな。生者からは触れられません。一方相手が霊体やアヤカシのような霊力で体の殆どが構成されている存在、孔雀のようにめちゃ強い霊力で常に実体化しているような相手だと普通に干渉ができます。最終幕の孔雀戦ラストで彼を斬り伏せられたのもそのため。
二刀流についてですが、彼は礼儀正しい人間ですが蓋を開けば非常に脳筋なので、一本より二本の方が強いだろう!という単純な考えで二刀流で戦っています。とはいえ、本来二刀流は隙が出来やすいはずなのでそれで大成してしまったあたり、天賦の才能があったというか。一応刀一本でも戦えはしますが、本人としてはバランスが悪い気がするので二本の方が戦いやすいようです。
デザインの話です。
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初期デザインがこちら。基本は今とほとんど変わりませんが、現デザインの方が全体的にスッとしています。動きやすそうといいますか。刀も手ぶらになりましたね。現在は戦闘時にヒュンッと出て来るという設定になっています。この頃は名前が未定で、端っこに「落ち武者」と書かれているのがシュールというかなんというか。
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初期案全身図。袴がビラビラしていたり鉢巻があったり要所要所相違点が見受けられますが基本はさほど変わっていません。コテコテの侍を意識してデザインしています。THE・侍って感じの。右目の三本傷は孔雀につけられたものという設定ですが、最初期は「傷があったほうが落ち武者っぽい」というだけの理由で描かれており、孔雀につけられたというのは後付の設定です。
享年は25歳ですが、顔は美青年というよりは青年と少年の中間あたりで描いています。童顔というか、なんというか。私がこの手の顔を描くのが好きだというのもあります。ちなみに美しさイケメンぶりのベクトルは違いますが、アザミと並んで作中でトップクラスの美形の設定です。立ち振舞であまりそう見えないというのがミソで、黙って遠くを見据えていると非常に美形で絵になる、という想定です。アザミがマイナス方面の、人を拐かす美貌なら藍銅はプラス方面の、単純に人を惚れさせる類の美形という感じです。えーあの俳優さんカッコイー!みたいな。
以上、今回のよもやま話はなかなか長くなりました。次回はアザミ一行、というかあの問題児二人組に関して何か書こうかなという感じです。
よろしければ次回もお付き合いくださいませ。ではまた。
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hinanjokanata · 8 years ago
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44話&45話
皆さん鉄血のオルフェンズってご存知ですか 死ぬほど面白いアニメなんですけどね
まぁなんていうかびっくりするくらい推しが推しらしく死にましてやっぱり大好きでげろげろ泣いた
アハ、さっぱりとホモの話をしたい
先に先週の感想途中まで書いたの貼っときますね
○44話 ちょっとアルミリアちゃん6話ぐらい早かったな~〜~〜!!
マッキーどうしたってくらい浅はかやけど大丈夫かおま………………どこまで計画のうちなんや不安になるでいや、まあ、なんでもええんやけどお前がやることやったら
なんか今週日曜から火曜にかけて広島旅行しとりまして、ほんでホテルのWi-Fiとか使ってガンダムファンクラブで最新話見ようかなって頑張ってたんですけど、ことごとくネット環境カスみたいな状態やって結局火曜の夜マクドのフリーWi-Fi借りて見ましたよね 毎回毎回なぜかマッキーが「私もあなたの息子です」ってのたまうところでエラー出て強制終了出るからなんの呪いかと思ったよね
そう、あのシーンのマクギリスさ~〜否定しやんのすごいなって思ったんやけど私だけなんかな マッキー全部手の内見せることないけど嘘は吐かんのよねやっぱ だってガルスパパのあんな言い分あいつ多分口八丁でどうにでも言い逃れできるでしょ だとしたらね~〜~〜マッキー1期のとき1回だけ(多分)嘘吐いてるな~〜って思ったのが「ガエリオとアインちゃんが英雄として語られるようになる」ってガエリオに話したシーンやねんけどさ~〜~〜これももしかして本当になるのでは??? 逆賊マッキーを倒すガエアイコンビっていうシナリオやったりするのかなって思ったりもした、マクギリスの意図かどうかは置いといて アルミリアちゃんにも今は無理でも将来幸せになれるよっつってるし、そこにはマクギリスはおらんのかなって思った アルミリアちゃんが計画の中のキーってだけやったらいしゅるぎくんにあんな眼光きかせんでいいんちゃうって思うし、マッキーはほんまに素直にアルミリアちゃんのこと愛してるのかなって アア~〜~〜~〜~〜~〜愛をしらないあいつが人を愛せるのか~〜~〜~〜~〜????? ~そして己との殴り合いが始まる〜
マクアルほんますごい………………刺したよほんまに……………………笑 ていうかマッキーのお手手貫く勢いで自害しようとしたんやねアルミリアちゃん…………………ほんまに辛かってんやろうなぁ……………………
でもあと6話くらい早かった………………最終回で刺してほしかった…………………笑 いよいよ誰に殺されるんだマクギリス……………… ガに倒されるの今回見て微妙かもって思った…………ガの人アインちゃん生きてるとか言う…………地雷です……………ガ、お前めんどくさい腐女子か…………………アインちゃんは死にました………………死なせてやってくれよ~〜~〜頼むよ~〜~〜 心の中で生きてるとかじゃないっしょガ、本気で生きてると思って脳みそ使ってんならまじで鉄血内ぶっちぎりサイコパスで賞やねんけど 嫌だ~〜~〜アインちゃんの死を受け入れてないガには倒されてほしくないマクギリス~〜~〜ガの人早く受け入れてちゃんと業背負って~〜~〜マクギリスに責任転嫁しないで~〜~〜彼の手術を選んだのはお前だぞガ~〜~〜ガ今のお前にジュリエッタの正しさを説く資格はないぞ~〜~〜おいガ~〜~〜今のお前とってもむかつくぞガ~〜~〜
はい
まじ鉄血に関してはみんななんかしらやらかしてっからどいつが1番問題児か鉄血に愛着のない人がディベートして決めて欲しい そのディベート隣で聞いときたい でもやっぱりベストオブドン引き賞は今も燦然と輝く三日月・オーガス、ジャスレイ殺害シーンです
まぁなんかガエリオがマクギリスのこと理解できなくて今敵対してる一方でアルミリアちゃんはマクギリスのこと理解できないけど愛してるっていうのがほんと………………………ボードウィン家という名の業 マクギリスがガルスパパに向かって私もあなたの息子ですって言ったあのシーン、奴は一体どういう気持ちやったんやろうなって思う 相手を責め立てるつもりやったのか家族っていう名前のついたものの薄っぺらさを示したかったのかなんなんかなぁ……………あの一言を台詞に選んでくる脚本家さんはほんまにすごいなぁと思う
ていうかここ数話の鉄血はまじで台詞の力がすごい 鉄華団が組織としてどうにかしなきゃいけないこと明確に示したマクマードさんとか、おやっさんとか、でもじゃあ一体どうしたら彼らを救えるの?って考えたとき答えが出てこないメリピとかクー様とかデクスターさんとか、マッキーをクソガキ扱いするラスタル様とか もやもやするな~〜と思ってた部分をキャラクターがちゃんと理解して自覚して問題として発言してくれるからすごい楽 「わ、わかる~〜~〜(動揺)」ってずっと言ってる……………笑 わかるけどこれどうやって収集つけるん誰も彼もみんながみんな正しくないよびっくりするよ……………… オルピもマッキー殴っちゃうしさぁ~〜~〜いいのぉ~〜~〜ねぇいいのぉ~〜~〜
というような先週の私の言い分を踏まえて今週の話
○46話 とりあえずノルバシノが好きですね かっこ良く死なないでくれてありがとうって思ってしまった……………1番かっこ良く死なれるのが実は嫌だったんだ私は……………嫌だったの…………………かっこ良く仲間守って死ぬみたいな典型的なパターンで死なんでほしかったから……………なんか言い方悪いけどかっこ良く死なないでくれて良かったなって思いました 最後の最後まで生きて生きて生きて、戦って戦って戦ってくれてありがとう お疲れ様、大好き 聴いてくださいR○D WIMPSで来来来世
あとほんとヤマギくんがさぁ~〜~〜なんかほんとにシノのこと…………………シノ………………シノのことずっと1番に大事に大事に想っててくれたんやろうなって………………… なんか腐釣りとかじゃなくってほんとにちゃんと「シノのことが好きな男の子」としてヤマギくんのことかききってくれたのすごいなって思う 曖昧にして終わるんかなって思てたんやけど、そういうマイノリティーな子きちんと描いてるとこすっごい鉄血っぽい なんか…………なんかほんとヤマギくんが一生懸命シノのこと好きでいてくれたからこそカップリング名で呼びたくない…………ウ~〜~〜~〜ネタにしないで…………………… シノのこと1番に想ってくれてありがとうね……………
こっからガ好きな人に殴られる感想
まじでめっちゃガ面白すぎてやばい す、すごい…………………まじなんなの公式ガをどうしたいんだよどうさせたいんだよどう視聴者に感じさせたいんだよ………………… おま………………ガを主人公にさせたかったのではないのか………………!!!??? 私はそのルート受け入れてたのに(先週分でめっちゃ駄々こねたけど)急に手のひら返してくんのやめてくんない…………………!!!??!? ただの私怨だけでまわり巻き込んでマに復讐しようとしてる図既に滑稽やのになんでいしゅるぎくんでトドメ刺してくるの………………!!!???!? ハッ…………………公式は性格が…………………悪い…………………!!!??(真理) すごいよね、いしゅるぎくんとの言い合いの趣旨のずれ方やばいし、まじでほんまにただの個人的な私怨やし、結局マに頼りにされてなかったのとかマのこと受け入れられなかった自分悔しいのめっちゃにじみ出てるめっちゃ面白いどうした……………………公式性格悪いのも大概にしろ……………………(爆笑) ガ嫌いと馬鹿にしてるわけではなく鉄血におけるガの扱いが分からなすぎてめっちゃ面白い な、なんなのどういうポジに落ち着かせたいの公式……………… とりあえずガ、まじでいしゅるぎくんに過去の自分を重ねないでください解釈違いです(石マク過激派) そんなガをかっこいいと評する人がいることにも困惑するし面白い 世の中にはいろんな人がいる 好きとか愛しいなら分かる、しかしかっこいいという感想、すごい面白い
なんかすごい………ガ…………突き抜けて愚かでびっくりする………むかつくとか嫌いとかそういう感情じゃない………そんな………そんな描き方していいのか公式………………ただひたすらに面白い…………………現ギャラホは愚かメーターを誰かが担わないとパワーバランスが保てない集団なのか……………????? クー様が「大切なのは教育です」説を提唱してくださってるのに根底から覆すのやめろご丁寧な教育脳みそに詰まってんだろお前ら
ガが面白すぎて石マクの話できねぇだろうがいい加減にしろ
石マクはなんかもうあの…………なんなんだカミーチェ石マクの二次創作から出てきたのかお前は…………なんて上質な二次創作かと思った…………そうか、マッキーの捨て駒でもいいんだなお前は……………
サイコ~〜~〜~〜~〜か????? いや待って何??? サイコ~〜~〜~〜~〜~〜か?????? あと何マッキーやばくない??? なんでそのドヤ顔でガの前通っていくの?ほんでいしゅ~ぎくんのこと「特別だよ♡死なないでね♡」とか言っちゃうの? ガめっちゃ怒ってんやんwwwwww 愉快すぎてまじで笑い止まらんかったわこのくだりwwwwwwいやほんと~〜すごい………
すごい、制作陣、性格が、悪い(2回目)
ハァ~〜~〜いやでもしかしありあまる「なんなんやガ………」感………… カルタ様が死んだことマッキーのせいにしてんのお前まじ………😂😂💦💦 ラスタル様がマッキーの罪状でイズパパとカルタ様の件出した時点で「え???マッキーなんか悪いことした???」って思ったタイプなので私ほんと
なんかアルミリアちゃんといい、いしゅるぎくんといい、マッキーの周りにマッキーのこと理解できなくても側にいてくれる人だけが残ってる感じすごい安心する 理解しようとしてへんのやなくって、理解できひんくてもマッキーのこと肯定してくれてるというか いやそれが人間関係として正しいかどうかは知らんけど、マクギリスの境遇見てるとそれが限界で、それが最上の他人との関わり方なんかなって思う
ガがマに憧れを抱いてたのは嘘やないし、ほんまに心の底から彼のこと分かりたいと思ってたんやろうけど、結局彼はどんなことがあっても彼のものさしでしかマクギリス・ファリドを測ることができんかったんやろうなぁ どんな結末迎えるのか分からんけどマクギリスのやることに自分の意志でついてってくれるカミーチェて存在がいて良かったなぁ
次週が辛い予感しかしませんが、最後まで見届けます そういやラスト!! ラストフラッグ行けるよ!! ガンダムファンクラブありがとう~〜~〜死ぬほど楽しみ…………どんな展開でも受け入れるよ愛してるオルフェンズ………… こういうイベント初めてなのでどきどきですが友達と一緒に最後の旗掲げにいくぜ~〜いえい✌✌ 次の日入社式だぜがんばるー!!! 引っ越し準備とかでわたわたしてますが鉄血だけは頑張って行きたいと思います!!! ふぁいおー!!!
あとどこでコメントすればいいのか分からんで完全にタイミングのがしたんですが、ライザエンザくんの退場めっちゃ雑でわろた 惨いっつーか、雑やった
現場からは以上です ちゃんちゃん
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