#後生畏るべし
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0126
さしてたくさんの人に明かしたわけではないのだけれど卵子提供について話すと当然「どうして登録したの?」「なんでやるの?」とたずねられた。 だいたい3つくらいの理由(好奇心、遺伝子を残したいという嗜虐���欲求、金銭)を述べて、〆のように「まあいろいろあるけど、もの書きだし、めずらしい経験できるチャンスがあるならやった方がいいかなと思って」と言うと大概の人が訳知り顔でなるほどね!さすが!と納得してくれてそれ以上追及されなかった。 もちろんそれも本当のことだけれど、後づけといえば後づけだと自分ではわかっている。 最初に卵子提供について知ったのは大学2、3年の時だった。誰に言っても信じてもらえないのだけれど、文学部棟の教務課の掲示板に「卵子ドナーとして協力してくれる方を募集します」というポスターを見たことがあるのだ。わたし以外に「確かにそれ記憶にある」と言った人はいないのだけれど、確かに謝礼額とともに卵子提供者を募集する旨がどうどうと書かれていた。見つけた時はぎょっとした。具体金額は覚えていないものの「へーそんなに高いんだ」と心惹かれたのは覚えている。「でもさすがに怖いし本当にやる人なんていないだろうなあ」と自分事ではないこととして処理したことも。 なんで怖いと思ったんだろう。というか逆に、わたしはなんで去年登録に当たって「闇ビジネスっぽいしなんか怖いからやめとこ」と全く畏怖を抱かなかったのか、いまとなってはそっちの方が不思議だ。 8年以上経ってどうしていまになって卵子提供について調べたんだか覚えていない。映画「EGG――選ばれたい私たち」を観たからかもしれないけど、そもそもなんでそんなマイナー映画をUNEXTで観たのかも定かじゃない。 30歳まで、としているエージェントが多かったので「登録するだけ無駄だろうな」と思いながらそれでも何かの参考になるかもと思って登録した。学歴職歴病歴云々を親や祖父母の情報の分まで打つのでものすごく手間がかかった。加工が強くなくてそれなりに盛れている、でも数年前の写真を近影写真として数枚添付して、それでおしまいだった。 1回目は「背が高いところが似ているから」という依頼理由をそれとなくエージェントから伝えられた。2回目に依頼があった時「学歴が決め手になったそうです」と言われてナハハ……と笑うしかなかった。学歴厨のわたしの卵子が学歴厨の夫婦のもとへ委託されるというのは、理に適ってるんだかものすごい皮肉なんだか、よくわからなかった。そもそも学歴は遺伝子では決まらない。後天的にしか得られないと思うのだけれど。 それで言うとわたしは逆子で生まれた影響で脳細胞が人より若干��ない。それはいいのか(後天的欠損なのかもしれないが)。 いずれにせよ卵子で反映されるのは先天性の遺伝要素だけだ。背が高いとか、前歯が大きいとか、日焼けすると黒くなりやすいとか、目が悪いとか、そういう要素。けれどいざ卵子を売ろうとする時、ルックスだの学歴だの後天的に得たものを前面に売り出すのはなんだか成形肉のようで、グロデスクに思う。それはわたしが個人的に容貌に梃入れしていまの見てくれに落ち着いた、という背景への後ろめたさがあるからそう思うのかもしれないけれど。 前回ハワイへ一緒に同行したドナー女性は慶應の院生で、留学経験豊富な、すらっとしたエキゾチックな美女だった。「あーこういう人が人気ドナーなんだろうなーこれが初めてだとしてもこれからも何回も依頼されそうだなーわたしだって選ぶ立場だったらこういう子に目がいくだろうなー」と瞬時に思い、瞬時にそんなことを思ったことがとても恥ずかしかった。わたしはその人を「卵子ドナー」というラベル越しで見て瞬時に査定したのだ。おそらく向こうもちらっとは思っただろう。 「なんで登録したの」と訊いたら「なんでだっけ忘れた」と返ってきた。後ろめたいからそうこたえてるのかな、とひそかに思った。 何かに似てるなと思ったのは、やはり、夜職やパパ活である。自身が自身の女衒となって、性や身を売るということ。 東京にいて、この現代で、自身の肉体の所有者としてだけ生きている女の人は本当に、すごいなと思う。わたしは所有者であるよりもずっと先に、女衒であり、ブローカーなのだ。自身の肉体を家畜と見做しているのと変わりない。 今年30歳になる。あと2回卵子を売ることが既に決まっている。もっと若い時に登録していたらな、とさもしいことを思った時にふと気づいた。それは、22歳で初めて水商売で働いた時と、全く同じ感想だった。
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「お化けの棲家」に登場したお化け。
1、骨女〔ほねおんな〕 鳥山石燕の「今昔画 図続百鬼』に骨だけ の女として描かれ、 【これは御伽ぼうこうに見えたる年ふる女の骸骨、牡丹の灯籠を携へ、人間の交をなせし形にして、もとは剪灯新話のうちに牡丹灯記とてあり】と記されている。石燕が描いた骨女 は、「伽婢子」「牡丹灯籠」に出てくる女つゆの亡霊、弥子(三遊亭円朝の「怪談牡丹灯 籠」ではお露にあたる)のことをいっている。これとは別物だと思うが、「東北怪談の旅」にも骨女という妖怪がある。 安永7年~8年(1778年~1779年)の青森に現れたもので、盆の晩、骸骨女がカタリカタリと音をたてて町中を歩いたという。この骨女は、生前は醜いといわれていたが、 死んでからの骸骨の容姿が優れているので、 人々に見せるために出歩くのだという。魚の骨をしゃぶることを好み、高僧に出会うと崩れ落ちてしまうという。 「鳥山石燕 画図百鬼夜行」高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 「東北怪談の旅」山田 野理夫
2、堀田様のお人形
以下の話が伝わっている。 「佐賀町に堀田様の下屋敷があって、うちの先祖はそこの出入りだったの。それで、先代のおばあさんが堀田様から“金太郎”の人形を拝領になって「赤ちゃん、赤ちゃん」といわれていたんだけど、この人形に魂が入っちゃって。関東大震災のとき、人形と一緒に逃げたら箱の中であちこちぶつけてこぶができたから、修復してもらうのに鼠屋っていう人形師に預けたんだけど少しすると修復されずに返ってきた。聞くと「夜になると人形が夜泣きしてまずいんです」と言われた。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収)
3、ハサミの付喪神(つくもがみ)
九十九神とも表記される。室町時代に描かれた「付喪神絵巻」には、「陰陽雑記云器物百年を経て化して精霊を得てよく人を訛かす、是を付喪神と号といへり」 という巻頭の文がある。 煤祓いで捨てられた器物が妖怪となり、物を粗末に扱う人間に対して仕返しをするという内容だ が、古来日本では、器物も歳月を経ると、怪しい能力を持つと考えられていた。 民俗資料にも擂り粉木(すりこぎ)や杓文字、枕や蒲団といった器物や道具が化けた話しがある。それらは付喪神とよばれていないが、基本的な考え方は「付喪神絵巻」にあるようなことと同じで あろう。 (吉川観方『絵画に見えたる妖怪』)
4、五徳猫(ごとくねこ) 五徳猫は鳥山石燕「画図百器���然袋」に尾が2つに分かれた猫又の姿として描かれており、「七徳の舞をふたつわすれて、五徳の官者と言いしためしも あれば、この猫もいかなることをか忘れけんと、夢の中におもひぬ」とある。鳥山石燕「画図百器徒然袋」の解説によれば、その姿は室町期の伝・土佐光信画「百鬼夜行絵巻」に描かれた五徳猫を頭に 乗せた妖怪をモデルとし、内容は「徒然袋」にある「平家物語」の 作者といわれる信濃前司行長にまつわる話をもとにしているとある。行長は学識ある人物だったが、七徳の舞という、唐の太宗の武の七徳に基づく舞のうち、2つを忘れてしまったために、五徳の冠者のあだ名がつけられた。そのため、世に嫌気がさし、隠れて生活するようになったという。五徳猫はこのエピソードと、囲炉裏にある五徳(薬缶などを載せる台)を引っ掛けて創作された 妖怪なのであろう。ちなみに土佐光信画「百鬼夜行絵巻」に描かれている妖怪は、手には火吹き 竹を持っているが、猫の妖怪ではなさそうである。 ( 高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕画図百鬼夜行』)→鳥山石燕『百器徒然袋』より 「五徳猫」
5、のっぺらぼー 設置予定場所:梅の井 柳下 永代の辺りで人魂を見たという古老の話しです。その他にも、背中からおんぶされて、みたら三つ目 小僧だったり、渋沢倉庫の横の河岸の辺りでのっぺらぼーを見たという話しが残っています。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収) のっぺらぼーは、顔になにもない卵のような顔の妖怪。特に小泉八雲『怪談』にある、ムジナの話が良く知られている。ある男が東京赤坂の紀国坂で目鼻口のない女に出会い、驚き逃げて蕎麦 屋台の主人に話すと、その顔も同じだったという話。その顔も同じだったという話。
6、アマビエアマビエ 弘化3年(1846年) 4月中旬と記 された瓦版に書かれているもの。 肥後国(熊本県)の海中に毎夜光るものが あるので、ある役人が行ってみたところ、ア マビエと名乗る化け物が現れて、「当年より はやりやまいはや 6ヵ月は豊作となるが、もし流行病が流行ったら人々に私の写しを見せるように」といって、再び海中に没したという。この瓦版には、髪の毛が長く、くちばしを持った人魚のようなアマビエの姿が描かれ、肥後の役人が写したとある。 湯本豪一の「明治妖怪新聞」によれば、アマピエはアマピコのことではないかという。 アマピコは瓦版や絵入り新聞に見える妖怪で、 あま彦、天彦、天日子などと書かれる。件やクダ部、神社姫といった、病気や豊凶の予言をし、その絵姿を持っていれば難から逃れられるという妖怪とほぼ同じもの��いえる。 アマビコの記事を別の瓦版に写す際、間違 えてアマビエと記してしまったのだという��が湯本説である。 『明治妖怪新聞」湯本豪一「『妖怪展 現代に 蘇る百鬼夜行』川崎市市民ミュージアム編
7、かさばけ(傘お化け) 設置予定場所:多田屋の入口作品です。 一つ目あるいは、二つ目がついた傘から2本の腕が伸び、一本足でピョンピョン跳ねまわる傘の化け物とされる。よく知られた妖怪のわりには戯画などに見えるくらいで、実際に現れたなどの記録はないようである。(阿部主計『妖怪学入門』)歌川芳員「百種怪談妖物双六」に描 かれている傘の妖怪「一本足」
8、猫股(ねこまた) 猫股は化け猫で、尻尾が二股になるまで、齢を経た猫 で、さまざまな怪しいふるまいをすると恐れられた。人をあざむき、人を食らうともいわれる。飼い猫が年をとり、猫股になるため、猫を長く飼うもので はないとか、齢を経た飼い猫は家を離れて山に入り、猫股 になるなどと、各地に俗信がある。 このような猫の持つ妖力から、歌舞伎ではお騒動と化け猫をからめて「猫騒動もの」のジャンルがあり、
「岡崎の猫」「鍋島の猫」「有馬の猫」が三代化け猫とされる。
9、毛羽毛現(けうけげん) 設置予定場所:相模屋の庭 鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に毛むくじゃらの妖怪として描かれた もので、 「毛羽毛現は惣身に毛生ひたる事毛女のごとくなればかくいふ か。或いは希有希現とかきて、ある事まれに、見る事まれなれば なりとぞ」とある。毛女とは中国の仙女のことで、華陰の山中(中国陝西省陰県の西 獄華山)に住み、自ら語るところによると、もともとは秦が亡んだため 山に逃げ込んだ。そのとき、谷春という道士に出会い、松葉を食すことを教わって、遂に寒さも飢えも感じなくなり、身は空を飛ぶほど軽くなった。すでに170余年経つなどと「列仙伝」にある。この毛羽毛現は家の周辺でじめじめした場所に現れる妖怪とされるが、実際は石燕の創作妖 怪のようである。 (高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』→鳥山石燕「今昔百鬼 拾遺」より「毛羽毛現」
10、河童(かっぱ) 設置予定場所:猪牙船 ◇ 河童(『耳袋』) 江戸時代、仙台藩の蔵屋敷に近い仙台堀には河童が出たと言われています。これは、子どもたちが、 なんの前触れもなく掘割におちてしまう事が続き探索したところ、泥の中から河童が出てきたというも のです。その河童は、仙台藩の人により塩漬けにして屋敷に保���したそうです。 ◇ 河童、深川で捕獲される「河童・川太郎図」/国立歴史民俗博物館蔵 深川木場で捕獲された河童。河童は川や沼を住処とする妖怪で、人を水中に引き込む等の悪事を働く 反面、水の恵みをもたらす霊力の持ち主として畏怖されていた ◇ 河童の伝説(『江戸深川情緒の研究』) 安永年間(1772~1781) 深川入船町であった話しです。ある男が水浴びをしていると、河童がその男 を捕えようとしました。しかし、男はとても強力だったので逆に河童を捕えて陸に引き上げ三十三間堂の前で殴り殺そうとしたところ、通りかかった人々が河童を助けました。それ以来、深川では河童が人 間を捕らなくなったといいます。→妖怪画で知られる鳥山石燕による河童
11、白容商〔しろうねり〕
鳥山石燕「画図百器 徒然袋」に描かれ、【白うるりは徒然のならいなるよし。この白うねりはふるき布巾のばけたるものなれども、外にならいもやはべると、夢のうちにおもひぬ】 と解説されている。白うるりとは、吉田兼好の『徒然草」第六十段に登場する、 芋頭(いもがしら)が異常に好きな坊主のあだ名である。 この白うるりという名前に倣って、布雑巾 の化けたものを白容裔(しろうねり)と名づけたといっているので、つまりは石燕の創作妖怪であろう。古い雑巾などが化けて人を襲う、などの説 明がされることがあるが、これは山田野理夫 の『東北怪談の旅』にある古雑巾の妖怪を白 容裔の話として使ったにすぎない。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編
12、轆轤首〔ろくろくび〕
抜け首、飛頭蛮とも つな いう。身体から首が完全に分離して活動する ものと、細紐のような首で身体と頭が繋がっているものの二形態があるようである。 日本の文献には江戸時代から多くみえはじ め、『古今百物語評判』『太平百物語』『新説 百物語」などの怪談集や、『甲子夜話』『耳 囊」「北窓瑣談」「蕉斎筆記』『閑田耕筆』と いった随筆の他、石燕の『画図百鬼夜行」に 代表される妖怪画にも多く描かれた。 一般的な轆轤首の話としては、夜中に首が 抜け出たところを誰かに目撃されたとする内 容がほとんどで、下働きの女や遊女、女房、 娘などと女性である場合が多い。 男の轆轤首は「蕉斎筆記』にみえる。 ある夜、増上寺の和尚の胸の辺りに人の 首が来たので、そのまま取って投げつけると、 どこかへいってしまった。翌朝、気分が悪いと訴えて寝ていた下総出 身��下働きの男が、昼過ぎに起き出して、和 尚に暇を乞うた。わけ その理由を問えば、「昨夜お部屋に首が参りませんでしたか」と妙なことを訊く。確か に来たと答えると、「私には抜け首の病があります。昨日、手水鉢に水を入れるのが遅い とお叱りを受けましたが、そんなにお叱りに なることもないのにと思っていると、 夜中に首が抜けてしまったのです」 といって、これ以上は奉公に差支えがあるからと里に帰って しまった。 下総国にはこの病が多いそうだと、 「蕉斎筆記』は記している。 轆轤首を飛頭蛮と表記する文献があるが、 これはもともと中国由来のものである。「和漢三才図会』では、『三才図会」「南方異 物誌」「太平広記」「搜神記』といった中国の 書籍を引いて、飛頭蛮が大闍波国(ジャワ) や嶺南(広東、広西、ベトナム)、竜城(熱 洞省朝陽県の西南の地)の西南に出没したことを述べている。昼間は人間と変わらないが、夜になると首 が分離し、耳を翼にして飛び回る。虫、蟹、 ミミズなどを捕食して、朝になると元通りの 身体になる。この種族は首の周囲に赤い糸のような傷跡がある、などの特徴を記している。中国南部や東南アジアには、古くから首だけの妖怪が伝わっており、マレーシアのポン ティアナやペナンガルなどは、現在でもその 存在が信じられている。 日本の轆轤首は、こうした中国、東南アジ アの妖怪がその原型になっているようである。 また、離魂病とでもいうのだろうか、睡眠中に魂が抜け出てしまう怪異譚がある。例えば「曽呂利物語」に「女の妄念迷い歩 <事」という話がある。ある女の魂が睡眠中に身体から抜け出て、 野外で鶏になったり女の首になったりしているところを旅人に目撃される。旅人は刀を抜いてその首を追いかけていく と、首はある家に入っていく。すると、その家から女房らしき声が聞こえ、 「ああ恐ろしい夢を見た。刀を抜いた男が追 いかけてきて、家まで逃げてきたところで目 が醒めた」などといっていたという話である。これの類話は現代の民俗資料にも見え、抜け出た魂は火の玉や首となって目撃されている。先に紹介した「蕉斎筆記』の男の轆轤首 も、これと同じように遊離する魂ということ で説明ができるだろう。 轆轤首という妖怪は、中国や東南アジア由 来の首の妖怪や、離魂病の怪異譚、見世物に 出た作りものの轆轤首などが影響しあって、 日本独自の妖怪となっていったようである。 【和漢三才図会』寺島良安編・島田勇雄・竹 島淳夫・樋口元巳訳注 『江戸怪談集(中)』 高田衛編/校注『妖異博物館』柴田宵曲 『随筆辞典奇談異聞編」柴田宵曲編 『日本 怪談集 妖怪篇』今野円輔編著 『大語園』巌谷小波編
13、加牟波理入道〔がんばりにゅうどう〕
雁婆梨入道、眼張入道とも書く。便所の妖怪。 鳥山石燕の「画図百鬼夜行」には、便所の台があるよう 脇で口から鳥を吐く入道姿の妖怪として描かれており、【大晦日の夜、厠にゆきて「がんばり入道郭公」と唱ふれば、妖怪を見さるよし、世俗のしる所也。もろこしにては厠 神名を郭登といへり。これ遊天飛騎大殺将軍 とて、人に禍福をあたふと云。郭登郭公同日 は龕のの談なるべし】と解説されている。 松浦静山の『甲子夜話」では雁婆梨入道という字を当て、厠でこの名を唱えると下から入道の頭が現れ、 その頭を取って左の袖に入れてまたとりだすと 頭は小判に変化するなどの記述がある。 「がんばり入道ホトトギス」と唱えると怪異 にあわないというのは、江戸時代にいわれた 俗信だが、この呪文はよい効果を生む(前述 ことわざわざわい ●小判を得る話を含め)場合と、禍をよぶ 場合があるようで、「諺苑」には、大晦日に この話を思い出せば不祥なりと書かれている。 また、石燕は郭公と書いてホトトギスと読ませているが、これは江戸時代では郭公とホト トギスが混同されていたことによる。 ホトトギスと便所との関係は中国由来のようで、「荊楚歲時記』にその記述が見える。 ホトトギスの初鳴きを一番最初に聞いたもの は別離することになるとか、その声を真似すると吐血するなどといったことが記されており、厠に入ってこの声を聞くと、不祥事が起 こるとある。これを避けるには、犬の声を出 して答えればよいとあるが、なぜかこの部分 だけは日本では広まらなかったようである。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 『江戸文学俗信辞典』 石川一郎編『史実と伝説の間」李家正文
14、三つ目小僧
顔に三つの目を持つ童子姿の妖怪。 長野県東筑摩郡教育委員会による調査資料に名は見られるが、資料中には名前があるのみ で解説は無く、どのような妖怪かは詳細に語られていない。 東京の下谷にあった高厳寺という寺では、タヌキが三つ目小僧に化けて現れたという。このタヌ キは本来、百年以上前の修行熱心な和尚が境内に住まわせて寵愛していたために寺に住みついたものだが、それ以来、寺を汚したり荒らしたりする者に対しては妖怪となって現れるようになり、体の大きさを変えたり提灯を明滅させて人を脅したり、人を溝に放り込んだりしたので、人はこれ を高厳寺小僧と呼んで恐れたという。困った寺は、このタヌキを小僧稲荷として境内に祀った。この寺は現存せず、小僧稲荷は巣鴨町に移転している。 また、本���七不思議の一つ・置行堀の近くに住んでいたタヌキが三つ目小僧に化けて人を脅したという言い伝えもある。日野巌・日野綏彦 著「日本妖怪変化語彙」、村上健司校訂 編『動物妖怪譚』 下、中央公論新社〈中公文庫〉、2006年、301頁。 佐藤隆三『江戸伝説』坂本書店、1926年、79-81頁。 『江戸伝説』、147-148頁。
15、双頭の蛇 設置予定場所:水茶屋 「兎園小説」には、「両頭蛇」として以下の内容が著してある。 「文政7年(1824)11月24日、本所竪川通りの町方掛り浚場所で、卯之助という男性 が両頭の蛇を捕まえた。長さは3尺あったという。」
文政7年(1824)11月24日、一の橋より二十町程東よりの川(竪川、現墨田区)で、三尺程の 「両頭之蛇」がかかったと言う話です。詳細な図解が示されています。 (曲亭馬琴「兎園小説」所収『兎園小説』(屋代弘賢編『弘賢随筆』所収) 滝沢馬琴他編 文政8年(1825) 国立公文書館蔵
16、深川心行寺の泣き茶釜
文福茶釜は「狸」が茶釜に化けて、和尚に恩返しをする昔話でよく知られています。群馬県館林の茂 林寺の話が有名ですが、深川2丁目の心行寺にも文福茶釜が存在したといいます。『新撰東京名所図会』 の心行寺の記述には「什宝には、狩野春湖筆涅槃像一幅 ―及び文福茶釜(泣茶釜と称す)とあり」 とあります。また、小説家の泉鏡花『深川浅景』の中で、この茶釜を紹介しています。残念ながら、関 東大震災(1923年)で泣茶釜は、他の什物とともに焼失してしまい、文福茶釜(泣き茶釜)という狸が 化けたという同名が残るのみです。鳥山石燕「今昔百鬼拾遺」には、館林の茂森寺(もりんじ)に伝わる茶釜の話があります。いくら湯を 汲んでも尽きず、福を分け与える釜といわれています。 【主な参考資料】村上健司 編著/水木しげる 画『日本妖怪大辞典』(角川出版)
17、家鳴(やなり) 設置予定場所:大吉、松次郎の家の下) 家鳴りは鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に描かれたものだが、(石燕は鳴屋と表記)、とくに解説はつけられて いない。石燕はかなりの数の妖怪を創作しているが、初期の 「画図百鬼夜行」��は、過去の怪談本や民間でいう妖怪などを選んで描いており、家鳴りも巷(ちまた)に知られた妖怪だったようである。 昔は何でもないのに突然家が軋むことがあると、家鳴りのような妖怪のしわざだと考えたようである。小泉八雲は「化け物の歌」の中で、「ヤナリといふ語の・・・それは地震中、家屋の震動 する音を意味するとだけ我々に語って・・・その薄気 味悪い意義を近時の字書は無視して居る。しかし此語 はもと化け物が動かす家の震動の音を意味して居た もので、眼には見えぬ、その震動者も亦(また) ヤナ リと呼んで居たのである。判然たる原因無くして或る 家が夜中震ひ軋り唸ると、超自然な悪心が外から揺り動かすのだと想像してゐたものである」と延べ、「狂歌百物語」に記載された「床の間に活けし立ち木も倒れけりやなりに山の動く掛軸」という歌を紹介している。 (高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕画図百鬼夜行』、『小泉八雲全集』第7巻)
18、しょうけら 設置予定場所:おしづの家の屋根 鳥山石燕「画図百鬼夜行」に、天井の明かり取り窓を覗く妖怪として描かれているもの。石燕による解説はないが、 ショウケラは庚申(こうしん) 信仰に関係したものといわれる。 庚申信仰は道教の三尸(さんし)説がもとにあるといわ れ、60日ごとに巡ってくる庚申の夜に、寝ている人間の身 体から三尸虫(頭と胸、臍の下にいるとされる)が抜け出し、天に昇って天帝にその人の罪科を告げる。この報告により天帝は人の命を奪うと信じられ、対策とし て、庚申の日は眠らずに夜を明かし、三尸虫を体外に出さ ないようにした。また、これによる害を防ぐために「ショウケラはわたとてまたか我宿へねぬぞねたかぞねたかぞ ねぬば」との呪文も伝わっている。 石燕の描いたショウケラは、この庚申の日に現れる鬼、ということがいえるようである。
19、蔵の大足
御手洗主計という旗本の屋敷に現れた、長さ3尺程(約9m)の大足。(「やまと新聞」明治20年4月29日より)
20、お岩ちょうちん
四世鶴屋南北の代表作である「東海道四谷怪談」のお岩 を、葛飾北斎は「百物語シリーズ」の中で破れ提灯にお岩が 宿る斬新な構図で描いている。北斎は同シリーズで、当時の 怪談話のもう一人のヒロインである「番町皿屋敷のお菊」も描 く。「東海道四谷怪談」は、四世南北が暮らし、没した深川を舞台にした生世話物(きぜわもの)の最高傑作。文政8年(1825) 7月中村座初演。深川に住んだ七代目市川團十郎が民谷伊 右衛門を、三代目尾��菊五郎がお岩を演じた。そのストーリーは当時評判だった実話を南北が取材して描 いている。男女が戸板にくくられて神田川に流された話、また 砂村隠亡堀に流れついた心中物の話など。「砂村隠亡堀の場」、「深川三角屋敷の場」など、「四谷怪 談」の中で深川は重要な舞台として登場する。
21、管狐(くだぎつね) 長野県を中心にした中部地方に多く分布し、東海、関東南部、東北の一部でいう憑き物。関東 南部、つまり千葉県や神奈川県以外の土地は、オサキ狐の勢力になるようである。管狐は鼬(いたち)と鼠(ねずみ)の中間くらいの小動物で、名前の通り、竹筒に入ってしまうほどの大きさだという。あるいはマッチ箱に入るほどの大きさで、75匹に増える動物などとも伝わる個人に憑くこともあるが、それよりも家に憑くものとしての伝承が多い。管狐が憑いた家は管屋(くだや)とか管使いとかいわれ、多くの場合は「家に憑いた」ではなく「家で飼っている」という表現をしている。管狐を飼うと金持ちになるといった伝承はほとんどの土地でいわれることで、これは管 狐を使って他家から金や品物を集めているからだなどという。また、一旦は裕福になるが、管狐は 大食漢で、しかも75匹にも増えるのでやがては食いつぶされるといわれている。 同じ狐の憑き物でも、オサキなどは、家の主人が意図しなくても、狐が勝手に行動して金品を集 めたり、他人を病気にするといった特徴があるが、管狐の場合は使う者の意図によって行動すると考えられているようである。もともと管狐は山伏が使う動物とされ、修行を終えた山伏が、金峰山 (きんぷさん)や大峰(おおみね)といった、山伏に官位を出す山から授かるものだという。山伏は それを竹筒の中で飼育し、管狐の能力を使うことで不思議な術を行った。 管狐は食事を与えると、人の心の中や考えていることを悟って飼い主に知らせ、また、飼い主の 命令で人に取り憑き、病気にしたりするのである。このような山伏は狐使いと呼ばれ、自在に狐を 使役すると思われていた。しかし、管狐の扱いは難しく、いったん竹筒から抜け出た狐を再び元に 戻すのさえ容易ではないという。狐使いが死んで、飼い主不在となった管狐は、やがて関東の狐の親分のお膝元である王子村(東京都北区)に棲むといわれた。主をなくした管狐は、命令する者がいないので、人に憑くことはないという。 (石塚尊俊『日本の憑きもの』、桜井徳太郎編『民間信仰辞典』、金子準二編著『日本狐憑史資料 集成』)
22、かいなで 設置予定場所: 長屋の厠 京都府でいう妖怪。カイナゼともいう。節分の夜に便所へ行くと���イナデに撫でられるといい、これを避けるには、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」という呪文を唱えればよいという。 昭和17年(1942年)頃の大阪市立木川小学校では、女子便所に入ると、どこからともなく「赤い 紙やろか、白い紙やろか」と声が聞こえてくる。返事をしなければ何事もないが、返事をすると、尻を舐められたり撫でられたりするという怪談があったという。いわゆる学校の怪談というものだが、 類話は各地に見られる。カイナデのような家庭内でいわれた怪異が、学校という公共の場に持ち込まれたものと思われる。普通は夜の学校の便所を使うことはないだろうから、節分の夜という条件が消失してしまったのだろう。 しかし、この節分の夜ということは、実に重要なキーワードなのである。節分の夜とは、古くは年越しの意味があり、年越しに便所神を祭るという風習は各地に見ることができる。その起源は中国に求められるようで、中国には、紫姑神(しこじん)という便所神の由来を説く次のような伝説がある。 寿陽県の李景という県知事が、何媚(かび) (何麗卿(かれいきょう)とも)という女性を迎えたが、 本妻がそれを妬み、旧暦正月 15 日に便所で何媚を殺害した。やがて便所で怪異が起こるようになり、それをきっかけに本妻の犯行が明るみに出た。後に、何媚を哀れんだ人々は、正月に何媚を便所の神として祭祀するようになったという(この紫姑神は日本の便所神だけではなく、花子さんや紫婆(むらさきばばあ)などの学校の怪談に登場する妖怪にも影響を与えている。) 紫姑神だけを日本の便所神のルーツとするのは安易だが、影響を受けていることは確かであろう。このような便所神祭祀の意味が忘れられ、その記憶の断片化が進むと、カイナデのような妖怪が生まれてくるようである。 新潟県柏崎では、大晦日に便所神の祭りを行うが、便所に上げた灯明がともっている間は決して便所に入ってはいけないといわれる。このケースは便所神に対する信仰がまだ生きているが、便所神の存在が忘れられた例が山田野理夫『怪談の世界』に見える。同書では、便所の中で「神くれ神くれ」と女の声がしたときは、理由は分からなくとも「正月までまだ遠い」と答えればよいという。便所神は正月に祀るものという断片的記憶が、妖怪として伝えられたものといえる。また、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」という呪文も、便所神の祭りの際に行われた行為の名残を伝えて いる。便所神の祭りで紙製の人形を供える土地は多く、茨城県真壁郡では青と赤、あるいは白と赤の 男女の紙人形を便所に供えるという。つまり、カイナデの怪異に遭遇しないために「赤い紙やろう か、白い紙やろうか」と唱えるのは、この供え物を意味していると思われるのである。本来は神様に供えるという行為なのに、「赤とか白の紙をやるから、怪しいふるまいをするなよ」というように変化してしまったのではないだろうか。さらに、学校の怪談で語られる便所の怪異では、妖怪化した便所神のほうから、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」とか「青い紙やろうか、赤い紙やろうか」というようになり、より妖怪化が進ん でいったようである。こうしてみると、近年の小学生は古い信仰の断片を口コミで伝え残しているともいえる。 島根県出雲の佐太神社や出雲大社では、出雲に集まった神々を送り出す神事をカラサデという が、氏子がこの日の夜に便所に入ると、カラサデ婆あるいはカラサデ爺に尻を撫でられるという伝 承がある。このカラサデ婆というものがどのようなものか詳細は不明だが、カイナデと何か関係があるのかもしれない。 (民俗学研究所編『綜合日本民俗語彙』、大塚民俗学会編『日本民俗学事典』、『民間伝承』通巻 173号(川端豊彦「厠神とタカガミと」)ほか)
23、木まくら 展示予定場所:政助の布団の上 江東区富岡にあった三十三間堂の側の家に住んだ医師が病気になり、元凶を探した所 黒く汚れた木枕が出た。その枕を焼くと、死体を焼く匂いがして、人を焼くのと同じ時間がかかったという。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収)
24、油赤子〔あぶらあかご〕鳥山石燕の『今昔 画図続百鬼』に描かれた妖怪。【近江国大津 の八町に、玉のごとくの火飛行する事あり。土人云「むかし志賀の里に油うるものあり。 夜毎に大津辻の地蔵の油をぬすみけるが、その者死て魂魄炎となりて、今に迷いの火となれる」とぞ。しからば油をなむる赤子は此ものの再生せしにや】と記されている。 石燕が引いている【むかし志賀(滋賀) の】の部分は、「諸国里人談』や『本朝故事 因縁集」にある油盗みの火のことである。油盗みの火とは、昔、夜毎に大津辻の地蔵 の油を盗んで売っていた油売りがいたが、死 後は火の玉となり、近江大津(滋賀県大津 市)の八町を縦横に飛行してまわったという もの。石燕はこの怪火をヒントに、油を嘗める赤ん坊を創作したようである。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 『一冊で日本怪異文学 100冊を読む」檜谷昭彦監修『日本随筆大成編集部編
























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🩷クリエイティブ・カラフルプリキュア - 第1話「情熱のアーティスト!キュアチェリーが世界を彩る!」🩷
「できた!!」
小柄な金髪の幼稚園児、さくらけいこちゃんが笑顔でクラスの前に立ち、手に持った紙をめくると、自分が描いた絵が現れた.
雑然とした庭の絵。三角形が草のようで、オレンジ色の棒に紫色の塊が木として描かれ、ターコイズブルーの空にはバナナとサクランボが浮かんでいる。少なくとも、バナナとサクランボなのかもしれない。紙の上で見ると、緑とピンクの線のようにも見える。
「外の庭よ!」 とケイコは興奮気味に言った。そして「木」を指差して、「見て!ピンクの木よ!きれいでしょう?」と言った。
彼女は他の子供たちの沈黙の中で返事を待ちます。
すると誰かが「あれは木じゃない!ブドウだよ!」と叫びます。
すると、笑いが湧き起こります。
「枝も葉もないよ!」
「バナナは緑色じゃないよ、バカ!」
「それは果物じゃない!塊だ!」
「果物は飛ばないよ!」
「それは青空じゃないよ!」
からかい合いの会話はしばらく続き、一人を除く全員が指さして笑いながら、ケイコの絵がどれだけ下手かを延々と語り、ケイコ自身と絵を笑いながら笑っていた。
ケイコはその場に留まり、笑顔はますます作り笑いになっていく。笑い声と侮辱の言葉が頭の中に吸い込まれていく。彼女は硬直し、教室の淡いヴィンテージ調の色合いは薄れ、笑い声はますます大きくなる。紙に置いた手は震えている。
「それは芸術じゃない!���ミだ!」
その最後の侮辱は小さな子供をすすり泣かせます。
「おい!もういい!もういい!」先生の優しい声が聞こえたが、ケイコの耳には雑音のように聞こえた。「優しく話すか、何も話さないかのどちらかだ。さくらに謝って――」
ケイコはすでに教室のドアを飛び出して逃げ出しました。
「さくら!!」
ケイコは小さな校舎のドアからよろめきながら出て行った。階段を下り、レンガ敷きの道を駆け下りる間、涙以外のことには何も注意を払っていなかった。
彼女はつまずいて膝を打撲し、あざができた時にようやく立ち止まった。写真を胸にしっかりと抱きしめ、まだ泣き続けている。
再び顔を上げ、目を拭うと、彼女は自分が学校の近くの畑の脇の歩道にいることに気づいた。彼女は実物を見つめ、それから写真を顔に当て、そしてまた実物を見つめた。
その木は丸くも茂りもせず、枝いっぱいに淡いピンクの花びらが四方八方に広がり、その一部は落ちて柔らかな緑の草の上へと舞い落ちていく。
確かに、果物は飛びません。
確かに空は青いですね。
彼らは正しかった。
ケイコは、涙が落ちた自分のぐちゃぐちゃな絵をじっと見つめている。彼女の作品はひどい。ひどいものだったら、芸術を作る意味なんてないだろう。
「やあ、坊や」
鋭い爪が皮膚に食い込む手で恵子の顎が上がる。
女性は灰色の肌色で、背後に黒い髪を乱雑に垂らし、太陽の光を遮っている。鋭い歯を見せてケイコの目を見据える。
恵子は、目の前にいるこの女性の姿が気に入らないと泣き言を言った。
女性は「素晴らしい創造的な取り組みですね、ぜひ見たいです」と言いました。
女性の手が恵子の顔に伸びる。その動きに続いて、恵子の胸に痛みがこみ上げてくる。
最後に彼女が見たものは、彼女のバージョンのすべてが灰色に変わり、何かが引き裂かれるかのように胸が燃え、暗闇しか見えなかった。
彼女は動けなかった。
彼女は叫ぶことができなかった。
"停止!!!"
突然、オレンジ色の光が点滅した。ケイコは何も見分けられなかったが、明るいオレンジ色の光と、目の前に誰かの影が見えた。
「これは取らせないぞ!」少年が懇願する。
女性の声が嘲笑う。「もう何年も使えるインクがあるのに、なぜこんな無意味なことをしろと言うの?」
オレンジ色の光がより明るく輝き、少年は彼女の発言に衝撃を受けたようだ。
彼女は嘲る。「あなたはこの世界に一人残され、誰もあなたのような人間を気にかけないわ。新しい姿ではなおさら。価値のない動物よ。もう二度とあなたの泣き声を聞くことはないわ」
感情を表せるのは思考��けだったケイコは、その言葉を信じずにはいられなかった。みんなが彼女の絵を見て笑っているのに、一体誰が彼女の作品に関心を持つというのか?誰が彼女のことを気にすると言うのか?
「それでも……この子を連れて行くわけにはいかない!」
そこから恵子ができるのは、震えながらも言葉に自信に満ちた少年の声を聞くことだけだった。
「勝てません。魂の創造性を奪うことは決してできません…それは素晴らしい祝福です。そしてこの子たち…この子たちは…私が亡くなった後も情熱を追い求めるでしょう…そして、愛するものを決して諦めません。彼らは世界のために絵を描くでしょう!」
青い光が影を覆い、オレンジ色の光を消し去り、漠然とした悲鳴が聞こえます。
ケイコの目が覚めた。辺りを見回しながら、彼女は草むらに転がり落ちた。何が起こったのか、ただの夢だったのか、それとも全て現実だったのか、ケイコには分からなかった。
彼女の前にはもう誰もいません。ただ、畏敬の念を抱きながら青い空を見つめる彼女と、ぎこちなく震えながら通り過ぎるオレンジ色の鳥だけが残っています。
彼女は涙を拭って受け入れた。この不思議な声が正しいと知っているからだ。
彼女は誇らしげな笑みを浮かべて、再び絵を手に取りました。
「さくら!!」先生が駆け寄ってきて、さくらを見つけた。いつものように安心した様子で、さくらを抱きしめる。「大丈夫?!そんなに飛び出さないで!」
ケイコはただ空を見上げて、もういなくなってしまった鳥を探すことしかできなかった。「鳥?」
「学校に戻ろうね。戻ったらすぐにクラスのみんなで謝るからね。」
先生はケイコの手を取り、学校へ連れて帰りました。ケイコは空いている手で微笑みながら手を振り、「じゃあね、鳥さん!」と言いました。
彼女は何人が笑おうと気にしない。自分の情熱を追い求めるつもりだ。
どういうわけか、彼女は偉大な芸術家になるでしょう。
彼女はこの世界のために絵を描くつもりです。
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8年後
「もう着く?」14歳のケイコが尋ねる。彼女は顔と手をバンの窓に置き、薄紫色の瞳で外を通り過ぎるたくさんの建物を楽しそうに眺めている。ケイコはシートベルトを締めておらず、車の後部座席にひざまずいている。
「50回」前の席に座っている妹は、ケイコが何回この質問をしたかを数えている。それ以外は、ケイコは手に持ったタブレットにしか注意を払っていない。
「遠くないって言ったでしょ!」ケイコは泣き言を言った。「そんなに何度も聞いたわけじゃないのに!」
助手席に座っていた母親は、落ち着いてこう言った。「もうすぐ着くわよ。ケイコ、シートベルトを締めてね。」
「ブー…」ケイコはそれを聞いて、自分の席に深く腰掛け、シートベルトを締めた。それでもじっとしていられず、席の中で身をよじりながら、同じく乱れたウェーブのかかったブロンドの髪を指で弄んだ。髪は同じように乱れたお団子にまとめられ、ピンクのリボンが付けられている。���まさか夢の学校に通えるなんて想像もしてなかったわ!まさか夢だなんて言わないでくれるの?」
もう夢だとは思えない。彼女は寄宿学校の制服を着ている。淡いピンクのブラウスに濃い色のオーバーオールスカート、ローファー、ストッキング、そして真っすぐに結ばれていない赤いリボン。
「こんなに長い間、嘘をつくわけないよ」運転中の父親がそう言って彼女を安心させた。
珍しく、妹は数字以外のことを言った。「そもそも、どうしてこれに興奮しているの?寄宿学校なのに」と彼女は尋ねた。
「芸術を称える寄宿学校よ!」ケイコも答えた。彼女はシートベルトを外し、後部座席の反対側にあるスクールバッグに手を伸ばした。前のポケットから、キャンパスのパンフレットを取り出した。「ここのアートプログラムは、全国でも最も有名で成功しているプログラムの一つよ!」
彼女はページをめくると、絵を描いたりスケッチをしたりする大人の写真を見せてくれた。「石川の有名人もたくさんこの学校に通っていたのよ!絵で表彰されているのよ!」
彼女はバッグから別のものを取り出す。それはバッグの中にしまってあるたくさんのスケッチブックのうちの1冊だ。彼女はまた椅子に膝をついていて、気づかない。「まあ、たぶん無理だろうけど、この作品で表彰されるなら…」
紙に描いた2枚の絵は、まるで絵画みたいだった。ところが、紙がくっついて、まるで塊みたいに見えてしまった。彼女はそれに気づき、眉をひそめた。「あら、紙を両面印刷するべきじゃなかった…」
「ママ!」妹が告げ口する。「ケイコはまだシートベルトを締めてないわよ!」
「ケイコ」
「あ、ごめんなさい!」ケイコは席に戻り、シートベルトを締め直した。忘れていた。
彼女はまだスケッチブックとパンフレットを腕に抱えている。目を大きく見開いて、それらを見つめる。そして、熱意を込めて言う。「でも、絵を完璧に描けるようになるの!それに、次郎ちゃんとあおいちゃんと一緒に習うし、私と同じような子たちと何時間でも絵について話せるし!」
「念のため言っておくけど、君をここに転校させたのは、そういう理由じゃないわよ」母親が席の上で指を立てて、ケイコに見せながら口を挟んだ。「君はこの環境で成績が上がるか確かめるために来たのよ。楽しいことよりも、これが一番大切なのよ。ここは寄宿学校よ」
ケイコの笑顔が消える。両手で顎を支え、家族から目を離し、窓の外を猛スピードで走る車を眺める。
「ケイコ、このことについては話し合ったのよ」母親はまだ言い続けている。「どんなに情熱を持っていても、学業に関係ないなら、大人になっても成功できないわ。夢が叶うのと同じくらい真剣に受け止めなきゃいけないのよ」
ケイコはため息をついた。「わかってるよ、ママ。真剣に考えてるんだから…」それからまた顔が明るくなった。「あら、もう着いたの!」
ケイコの叫び声に、妹は耳に指を当てた。ケイコは「ママぁ …
寄宿学校のキャンパスは街の反対側の丘陵地帯にあり、遠くには赤レンガと白い石の縁取りで囲まれた巨大なアカデミーの建物が見えます。最も大きな建物は3階建てで、光沢のある緑色の傾斜屋根と白い窓が建物を区切っています。中庭は庭園のようで、パティオとベンチがいくつか置かれています。2つ先の丘の向こうにある建物も同じ外観ですが、塔のような形をしています。建物と建物を結ぶ小道はすべてピンクと紫の石畳で敷かれています。キャンパスのいたるところに様々な花が植えられ、色とりどりの花が咲き誇っています。丘の麓に下りる階段もあり、そこにあるキャンパスの入口の建物は、正面のパティオの両側に石の鳥の像が置かれた、大きな白い美術館のようです。正面のガラス壁からは、絵画で飾られた内部が垣間見えます。正面玄関の上には、「ようこそクラフトアカデミーへ」と書かれた大きなラベルが虹色で掲げられています。
「よし、もう着くぞ!」父親はケイコを降ろすために建物の前に車を停めながら、からかうように言った。ケイコは急いで車から降りると、畏敬の念を抱きながら、その場に立ち尽くし、すべてを眺めていた。
キャンパスは、いつも通っている学校よりもはるかに多くの色と光で満ちている。賑やかな十代の学生たちの声が、彼女の五感を音楽で満たす。美術館の建物自体も、少女とは比べ物にならないほど巨大で、まるで彼女が探検できる魔法の世界を思わせる。小さな雲が少しあるだけの晴天で、太陽の光がすべてを輝かせている。
「どう?」残りの家族は柔らかな笑顔で車から降りてくる。父親が尋ねる。「これで全部期待通りだったか?」
恵子は喜びに目を潤ませながら、振り返り両親の方を向いた。「冗談でしょ?!もう、全部よ!」
恵子は両親に駆け寄り、抱きしめた。その抱擁の中で、ついに喜びの涙がこぼれた。溢れ出る感情に、恵子は静かに「愛してる」と告げた。
「大丈夫だよ」父親は娘の背中を優しく撫でた。別れ際、恵子は涙を拭うと、母親は説明した。「家はここから少し遠いけど、通りの向こうに海沿いの町があるの。綾乃さんと康弘君が、必要なお金は何でも手伝ってくれるわ。それに、もし何かの理由で家に帰らなきゃいけない時は、バスに乗ればいいのよ。もしその日、何かの理由でバスがなかったら、電話があるでしょ。電話して」
「わかった」ケイコは親指を立てた。「わかった。オープンハウスの後、私の作品を見せてね」
ケイコは二人から立ち去ろうとしたが、立ち止まり、振り返って再び二人を抱きしめた。「最後のハグ!」と生意気な声で言った。
最後の抱擁を交わした後、ケイコは目の前の美術館へと楽しそうにスキップしていった。
階段を下りきった途端、ポケットの中の携帯が振動した。ケイコは取り出してメッセージを見た。
というか、5分おきに同じ内容の大量のメッセージが送られてきた。
葵 綾乃「入り口すぐ左の鳥の像のところで、私と次郎が待ってます!」
ケイコは親指を立てて、アオイにメッセージを受け取ったと伝える。
ケイコはパティオへの階段を駆け上がり、左の方を向いて頂上まで行き、反対側がきちんと見えるまで歩く。
像の背にもたれには、女の子と男の子の2人のティーンエイジャーが寄りかかっている。男の子は3人の中で一番背が高く、濃い紫色の髪をしていて、明るい青色の瞳を縁取るようにグレーの眼鏡をかけている。制服は濃い紫色の可愛らしいジャケットにグレーのパンツ、そして同じ赤いネクタイとローファーだ。女の子も眼鏡をかけているが、彼女の眼鏡は赤で、瞳はより濃い青色だ。濃い青色の前髪の片側を耳の後ろに引っ掛けるように、赤いバレッタを留めている。制服の上には紺色のタイツと紺色のジャケットを着ており、ネクタイの位置も完璧に揃っている。
「次郎!あおい!」ケイコは笑顔で二人に大きく手を振った。
あおいはスマホから顔を上げてケイコに気づいた。安堵のため息をつき、優しく手を振り返した。「ケイコ、よく来たね。」
ケイコは二人に向かって歩き出した。三人の中で唯一、元気いっぱいだった。「さて、クラフトアカデミーでの冒険が始まるのが楽しみな人はいる?!」
彼女が興奮して飛び跳ねているにもかかわらず、他の二人は不安そうな表情を浮かべている。「え…わからない…」と次郎が言う。
ケイコは言葉を止めた。「私が何かしちゃった?」
「いいえ、あなたじゃないわ!」あおいは手を差し出してケイコを落ち着かせながら保証する。そして緊張した笑みを浮かべる。「私…あなたが私を転校させようとしたなんて信じられない!一体私は何をしているのかしら?」
「すごいことしてる!」ケイコは友達を励まそうと、いつものテンションを保った。「後悔しないよ!」
「もう…」アオイは腕を組んで呟いた。
「寄宿学校だ!!」ジローはノートをぎゅっと抱きしめ、自分がどれだけパニックになっているかを表現した。女の子たちと話すというより、支離滅裂なことを言って一人で笑っている。「もちろん寄宿学校に行くよ。だって、どうして寄宿学校に行きたがるの?!こんなの慣れてないんだもん!!」
「次郎!」ケイコは彼の肩に手を叩きつけた。「深呼吸してね?」
彼は耳を傾けた。
ケイコは親指を立てて、彼に念を押す。「パニックになった時は、現実の存在を忘れるまでアニメを見るのよ」
「ああ、でも学校だよ」と次郎は答える。
「美術学校だよ!」ケイコは彼を放し、両腕を広げる。興奮が戻ってきたようだ。「僕たち仲良し3人、すぐに馴染むよ!」
「えーと…」次郎は二人を横目で見る。「それはどうかな…」とネズミのように小さな声で言った。
ケイコはすでにガラス張りの玄関ドアに向かって歩き、友達を先導している。「え?入るの?」
葵はため息をつき、ジローに自信に満ちた笑顔を向ける。「ケイコちゃんが幸せなら、私たちも幸せでしょ?」と彼女は認める。
ジローは首を傾げ、「さようなら、ビジネスの世界…」と呟く。
三人は一緒にドア���開けて中に入る。
ケイコが中に入ると、目と口を大きく開け、悲鳴を上げ始めた。
ロビーは開放的な空間で、大理石の床と青いカーペットが、中央の飾りの周りのドアや階段へと続く通路を形作っている。階段には専用のバルコニーと窓がある。窓のうち二つは抽象的な色ガラスがはめ込まれたガラス板だ。窓の周りには、それぞれ独自のスタイルで描かれた絵画が数点、天井には手作りのシャンデリアがいくつか飾られている。
しかし、ケイコの目を惹きつけたのは、中心にある作品だった。キャンバスを模した巨大な粘土像だが、全体に繊細な装飾が施され、淡いラメが散りばめられ、まるで魔法のような雰囲気を醸し出している。絵の具の点々はそれぞれ異なる色で、キャンバスから虹のように飛び出している。
次郎と葵が中に入っていき、二人はより落ち着いた様子でその場の雰囲気を味わった。次郎は「おやまあ、すごい…パンフレットとこんなに忠実だとは思わなかった」と言った。
「本当に本物だなんて、嬉しい!」ケイコは像に近づこうと駆け寄った。周りの柵に少し強くぶつかってしまったが、気にしない。「本当に生徒が作ったのよ!生徒が…作ったのよ!」
葵と次郎は、もっと気楽な様子で近づいて見てみた。葵は「すごいですね」と認めた。
次郎はぎこちなく握手を交わした。「えーっと、ちょっと雑な彫刻作品ですね。学生が作った作品だと分かりますよ」
恵子は批判に首を横に振った。「え、そんなことどうでもいいの!芸術ですよ!素晴らしい!」
次郎は何か文字が書かれた看板を見つけた。それを使って説明する。「『芸術のキャンバス』。これは卒業生が最初に作った作品の一つで、僕たちが生まれる前に作られたものなんだ。確かな証拠は失われているが、これを作ったのは『プリキュア』という魔法少女だったという言い伝えがあるんだ。」
ケイコはその情報に驚き、小さく微笑んだ。
視界の隅で、ケイコは友人たちの背後の扉が開き、中から何かが出てくるのを捉えた。
「あそこにブースがあるわよ!」ケイコはドアを指差した。他の二人は振り返る。二人が理解する間もなく、ケイコはドアに向かって歩き始めた。「さあ、見に行こう!」
「待って、ケイコ!」アオイは手を伸ばすが、ケイコは聞かない。
「捕まえた!」ジローもケイコに続き、すぐ後ろをついていく。
「あなたたち二人はだめ!ちょっと待って…」
葵は二人の後を追おうとしたが、そこに人影が迫ってきた。彼女は上半身を抱きしめ、固まった。
「あら、そこにいたのね。あなたを探してたのよ」葵は作り笑いを浮かべ、友人たちが入ったドアの反対側のドアを指差した。「ビジネスホールとプログラムを見せてあげるわ」
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廊下は広大だ。少なくとも、ブースの数からするとそう思える。ブースには上級生たちが何人も参加し、様々なアートプログラムを披露している。陶芸ブース、折り紙ブース、宝石学ブース、写真ブース、クロスステッチブース、木工ブース、フラワーアレンジメントブース��ど、数え切れないほどのブースがある。圧倒されるが、同時に魔法のような空間でもある。
ジローはアニメーションブースでプレゼンテーションを見ている子供たちの中にいた。3年生の男子生徒が2台のモニターでプレゼンテーションをしている。1台は走るアニメーションの絵コンテ、もう1台は2Dの走るアニメーションの未完成版で、色付けもされておらず、粗削りだ。
彼はこう説明する。「それで、ここにあるボードを参考に、思い通りのアニメーションを作っていくんです。」
小さな観客席の他の子供たちが拍手する。ジローは手を挙げて尋ねる。「そのソフトはどこで手に入れるんですか?僕は紙でアニメーションを作ることしかできないんです。」
「プログラムに参加すれば、学校がリソースを提供してくれるんだぞ!」男は嬉しそうに答えた。パンフレットを配りながら、次郎に直接一枚を手渡した。
「ありがとう」次郎は手に持ったパンフレットに微笑みながら言った。「ねえ、ケイコ、あれ、すごく素敵だったよ…?」
隣に友人がいないことに気づき、次郎は言葉を詰まらせた。「ケイコ!?」
ケイコは走り去り、今は絵画ブースにいた。彼女は絵画の真正面にいて、畏敬の念を抱いていた。どれも細部まで緻密に描かれ、写実的で、色彩と光の深みが深く、すべて絵の具だけで描かれている。
「ねえ」ケイコはもう一人の新入生、男子生徒に邪魔された。「視界を遮ってるよ」と何気なく言った。
「すみません!」ケイコは恥ずかしそうにそう言って道を譲った。
その男子生徒がブースの係員に「僕の作品を見て、感想を聞きたいんだけど」と尋ねるのが聞こえた。
それでも、ケイコはそれを見て嬉しくて仕方がなかった。いつか自分もこんな作品を作るんだ。「他に何かあるかな…?」
「みんな、グルメ!」誰かが声をかける。振り返ると、絵付けブースの十字架は料理ブースだった。店番をしているのは男子制服を着た人物で、肌は濃いオレンジがかった色で、目は緑色、髪は濃い緑色のマレットヘアだ。「私から料理プログラムについて聞きたい?」
ケイコは肩をすくめて、そこへ行くことにした。「料理?それって何?」と尋ねる。
生徒は嬉しそうに答える。「そう、聞いてくれて嬉しいわ。料理とは料理の芸術よ。私たちのプログラムでは、生徒に何でも料理の仕方を教え、自分だけのオリジナルレシピを作れるようにしているの。こんな感じよ。」
彼らは緑と白のクッキーの無料サンプルが載ったトレイを手に持っていた。ケイコに差し出すと、ケイコは一枚受け取り、一口食べる。彼女は鼻歌で答える。「これはパンダンクッキーで、ダークチョコレートが入った、私からもらったのよ!」ケイコは眉を上げた。二人は付け加える。「私はタイ人よ。」
「あれ、何個作ったの?」隣のブースにいる3年生が尋ねる。それはさらに肌の色が濃い女の子で、制服の上にダークレッドのセーターを着ている。深紅の髪は彼女の瞳の色に合わせて編み込まれている。彼女は舞台芸術のブースで働いている。
料理を学ぶ学生は腰に手を当て、女の子にニヤリと笑う。二人はウインクして「ショーの観客数に合わせてね」と言う。
女の子はクスクス笑う。それから気を取り直して腕を組んだ腕を解く。「あ、そうそう、そういえば、ここは舞台芸術のプログラムなの。演技、合唱、ダンス、あと…楽しいことを教えているの。興味があるかどうかわからないけど。」
「ケイコ!」ケイコが返事をする前に、ジローは友達を見つけた。「いた!探していたんだ…」目の前にいる人物を見て、彼は立ち止まる。そして大げさに息を呑む。「この二人を見つけたのか?」
「投影する方法の一つだよ…」赤毛の少女は再び腕を組みながら認めた。
「ケイコ、これは伝説の人物なんだよ!」次郎はケイコを掴み、揺さぶる。ケイコは困惑している。「あ、分かった。もし分からなかったら…」
次郎は緑髪の生徒から説明を始める。「あれはキアオ・モンド…」
「キアオ・ミドリ」二人は訂正する。
「キアオは料理の天才よ。小学校1年生から料理を習ってるのよ!」
「正しくは『彼女』よ」と二人は訂正する。
「この辺りの街の『川崎ダイナー』でパートのコックをしていて、ここに転校してきた時からずっと働いてるの。たぶん、ダイナーの大人のほとんどより腕がいいわ!」
「え、私、全然違うの!」ミドリは慌てる。
ケイコは驚きしか感じなかった。男子制服を着ているから気づかなかったのだ。「え、女の子なの?!じゃあなんで…?」
次郎は赤毛の生徒の話を続けた。「そしてこちらはスカーレット・アケミ。地元の舞台のほとんどに出演しているパフォーマーなんだ。女優、歌手、ダンサー、その全てを兼ね備えている! あまりにもスターで美人なので、今生で見るのはちょっと申し訳ない気持ちになる…」次郎は言葉を失い、言葉を失った。
アケミは恥ずかしそうに顔を赤らめ、何も言わなかった。
「あ、この学校で一番の生徒だよ。それが言いたいんだ」次郎が付け加えた。
ケイコは満面の笑みを浮かべた。「すごい!」
「あ、ありがとう」とミドリが言った。
しかし、ケイコは両方のブースに手を叩きつけ、テーブルを揺らした。「あなたのレベルに達するにはどうすればいいの!秘訣は?」
そうすると、ケイコは誤って舞台芸術ブースにあった喜劇の仮面を倒してしまった。床に落ちた仮面の下には悲劇の仮面が隠されていた。
「えっと、サン…?」アケミはそれを拾い上げるために前へ駆け出した。
「すみません!」ケイコは手を離した。
「あなたの経歴も仕事内容も知りません」とミドリは答えた。「でも、スカーレットさんと私は長年、プロの現場で技術を学んできました。正直、そういう経験がないと難しいと思います。でも、不可能ではありません。夢を見続けてください。」
「ああ…」ケイコはその答えに少しがっかりした。彼女らほどの経験はない。この二人はケイコより2歳くらいしか年上ではないのに、既に彼女よりもはるかに素晴らしいことをしている。他の生徒たちもそんなレベルなのだろうか?
「1年生の皆さん!」もう一人の3年生がチケットの入ったカゴを持って歩き回っています。できるだけ多くの人の注目を集めようと、チケットを空中に振り回しています。「ショーケースのチケットをゲットして!」
ケイコとジローは数歩近づくだけでチケットを受け取ります。ジローが「これは何のチケットですか?」と尋ねます。
「このチケットを持っている1年生は、2階の工作ブースに入場できます。」生徒は答えます。「大人向けのアートショーケースにご招待します。アカデミーのみんなに自己紹介するための工作をしてください!最高の第一印象を与えてください!」
ケイコとジローは驚きの声を上げます。二人は互いに顔を見合わせ、チケットを見つめ、また見つめ合います。そして、二人とも興奮して飛び上がります。「これは最高!」と叫びます。
次郎は落ち着くために息を吸い込み、それから付け加えた。「うまくできたら…」
ケイコはまだ興奮していて、落ち着きがない。彼女は次郎に言った。「これをやらなきゃ!ここにいるみんなに私の実力を見せつける、最高の第一印象になるわ!」
彼女はチケットを空高く掲げ、興奮して笑いながらくるりとくるりと回る。次郎は体が硬くなり、どう反応していいのか分からなくなる。
するとケイコは立ち止まり、ようやく息を吸った。「…何を描いたらいいのか分からない」と彼女は気づいた。
「ああ、まずはそれを整理した方がいいんじゃないかな」と次郎は涙を浮かべながら認めた。
ケイコはすでに考え事をしていて、周りの声がかき消され始めていた。「私自身の自己紹介は…」
「つまり、まずは正確に…」
「自分の気持ちを表現する機会…」
「それで、みんなが見てるから、恥ずかしい思いをすることになるのよ」
「そして、たくさんの人がそれを見ることになる…」
「ケイコ?ケイコ?」
「さくらケイコの絵よ!」
この時点で、ケイコは自分の小さな世界に浸り、すべての雑音はかき消されていた。世界は抽象的なワンダーランドで、すべてが色で彩られている。彼女はかつての桜畑に戻ったが、今度はすべてが色で彩られている。
彼女はため息をつき、偽りの世界の新鮮な空気を吸い込んだ。「芸術は本当に世界を美しくしてくれるのね、そう思わない?」と微笑みながら言った。
彼女は畑を歩き、周囲に散る花を眺めた。花はどれも様々な色に輝き、きらめいていた。「まるで誰かが作ったみたい。頭の中にある抽象的な考えを、誰かが思い描いていたみたい。」
彼女は一輪の花を掴み、畏敬の念を込めて見つめた。「そ���て、彼らはそれを恥じない。称賛され、愛されている。」
彼女は花を空に投げ上げ、くるくると回って、花が鳥に姿を変えて飛び去っていくのを見送った。「すべては創造性。そして、すべてが芸術となり、みんなの目に触れる!ここが私の居場所!」
彼女は一歩下がって木に寄りかかり、考え込んだ。「他の場所では、私の脳はあまりにも違っていて、恥ずかしい思いをするけれど…でもここなら?私はありのままでいられる。そして、成功する。」
彼女は目をこすって考えようとする。彼女の周りには、鏡が埋め込まれたさくらんぼが浮かんでいる。すべてが瞬いている。彼女は顎に手を当て、考えながら、その中を前へ前へと歩いていく。「みんなをあっと言わせるようなものを作らなきゃ…技術を磨くことができる、充実した学校生活につながるものを。そうすれば、私は有名な芸術家になって、称賛される。私の人生の目的が達成されるわ!」
彼女の心は、すべてを輝かせる輝く日の出へと向かう。彼女は微笑みながら、「ここにいるみんなは何かを作るために生まれてきたの。そして私がこの世界に生み出すもの���、きっと美しいものなのよ!」と語りました。
ケイコは片足でジャンプし、両手を上げたが、体が後ろに倒れた。
想像の中でのすべてが崩れ落ち、現実に戻った。
現実では、ケイコはドアに寄りかかっていて、それが開いた。ケイコは裏庭のポーチに落ち、背中から着地した。
「痛っ…」ケイコは衝撃にうめき声を上げた。彼女は膝をついて背中をさすった。彼女は再び屋外、裏庭にいた。柵で囲まれた小さな庭があり、真ん中に噴水がある。反対側には門があり、そこから丘を登ってキャンパスの他の部分へと続く階段へと続いていた。
その時、けたたましい鳴き声が聞こえた。
彼女は振り返って庭を見渡した。小さな子供たちが外で遊んでいた。そのうちの一人が鳥の尻尾をつかんで引きずり下ろしている。他の子供たちは皆、鳥が必死に鳴きながら逃げようともがいているのを見て笑っていた。
ケイコはそれを見た途端、立ち上がり、拳を振り上げた。動物の虐待に我慢ならなかったのだ。
「おい!!!」ケイコは怒りに駆られ、叫びながら突進した。「あの鳥を放して!うわっ!」
彼女は階段でつまずいて、顔から転んだ。
小さな子供たちは、もがく鳥を抱きかかえたまま、困惑した様子で彼女を見つめる。
ケイコはすぐに立ち直り、地面に両手を叩きつけ、頭を振り上げて子供たちに、まるで怪物のように恐ろしい怒りの表情を向けた。そして、その事実をわざとらしく、彼女は恐ろしい雄叫びを上げた。
子供たちは恐怖のあまり叫び声をあげ、鳥を放した。皆、両親のところへ泣きに走って逃げ出した。
放された鳥は惰性で後ろに投げ出され、何かペンのようなものを地面に落としてしまう。鳥はそれに気づかない。
鳥は飛び去ろうともがくが、地面に落ちてしまう。ケイコはきちんと起き上がり、膝をつきながら鳥に近づく。優しく近づき、驚かせないよう声を低くする。「大丈夫?」と優しく尋ねる。
ケイコは鳥の足元にそっと手を滑り込ませ、顔の方へすくい上げる。ケイコの手の中で、鳥はぎこちなく立ち上がる。こうして二人はきちんと向き合うことができた。
二人が目を合わせた瞬間、世界が止まったように思えた。目の前にいる存在の姿を、ケイコは吸収していく。
その鳥は鮮やかなオレンジ色で、さらに鮮やかなオレンジ色の縁取りが施されている。くちばしは薄茶色で、羽の先端には紫色が少し見えている。額にはピンク色の斑点がある。ケイコが今まで見たことのない鳥だ。
鳥は深い青色の目で彼女を見つめている…まるで人間のような目だ。
すると鳥は翼を広げ、ケイコの手から飛び立った。ケイコは衝撃を受けた。
ケイコは鳥が飛び去るのを見上げ、視界から消えるまで目をそらさなかった。そして声に出して尋ねた。「あれは何の鳥なの…?」
その時、太陽の光が彼女の視界の隅で何かを照らし、彼女はそれに目を留めた。
地面にペンが落ちていた。普通のペンではない。ピンク色のペンで、キャップが凝っていて、大きな赤い丸とピンクの羽根が描かれている。
不思議そうにケイコはそのペンを拾い上げ、「どうして鳥はこれを持っていたの…?」と声に出して尋ねた。
「ケイコ!」ケイコは振り返ると、ドアのそばにアオイとジローがいた。アオイは「いたわ!ずっと探していたのよ!」と叫んだ。
「あおい!」ケイコは立ち上がり、ペンを手に友達のところへ���いだ。「絵に決めた!」と元気よく宣言する。
「もう決めたの?」三人が校舎の中に戻ると、あおいが尋ねる。
背後のドアが閉まった直後、遠くから空に浮かぶ人影がこちらを見ていた。彼は眼下のキャンパスを眺め、得た情報を整理していた。
「芸術を称える学校…なんてひどい…完璧だ。」
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「外で見た鳥の絵を描いてるの!」
ケイコは美術館の廊下を歩きながら友達と話していた。
「わかった?」ジローは返事に眉を上げた。「あれはオリジナル?」
ケイコは両手を前に突き出して説明しようとする。「違う、違う、わからない!珍しい鳥だったの!誰も見たことない鳥よ!」
「ああ。」アオイの声のトーンと腕を組んでいる様子から、彼女はそれほど感銘を受けていないようだ。
「オレンジ色の鳥だったのよ!」
「ええ…」
「ピンクの斑点のある、明るくて美しい鳥よ!」
「ええ、きっとそうだったわ。」
「紫色もあったわ!」
「それなら魔法ね。」
「深い青い目で、じっと私を見つめていたのよ!」
「わあ、きっと意識があるのね」葵の声はずっと無表情だった。それが彼女の言葉を信じていない証拠だとは思えなかったが、次の言葉で明らかになった。「私の推測では、あの鳥があなたに魔法の粉を降らせて、それを右から二番目の星まで空へ運んだのね」
ケイコは皮肉に体が震え、頭上に雪雲がかかっているように感じた。笑顔が作り笑いになった。「あなた…信じてないの?」
「ええ、信じてますけど…でも…鳥でしょ。鳥に魔法の力があるなんて?」葵は疑問形に答えた。
「じゃあ、私がそれをしてはいけないと思うの?」ケイコは尋ねた。
「いや、やれ!君の芸術なんだから!」と葵は言い張る。「鳥を描きたいなら、鳥を描けばいい。」
「そうだな、俺は恵子とプロジェクトをやるんだ。」ロビーの階段に近づくと、次郎は葵に尋ねる。「本当にやりたくないのか?」
「きっと良くないだろうな…」葵は視線をそらし、少し不安そうな表情を浮かべる。
恵子は抗議しようとした。「何だって?でも…」
次郎は彼女の言葉を遮る。「でも、一人でここにいるのは辛いだろうから、それは分かってる。これ以上無理強いはしない。」
次郎はそれを聞いてケイコをじっと見つめる。ケイコは意味を理解し、頷いて同意する。
「二人とも楽しんで!」アオイは手すりにもたれながら笑顔で言う。「ただ、誰かを轢いて気が狂わせたりはしないでね。」
「ええ!」ケイコは敬礼をして、埃まみれの猛スピードで二階へ駆け出す。
次郎とアオイは少し心配そうに見守る。
「誰か轢いちゃうよ」次郎が指摘する。
「ええ、分かってるわ。」アオイはため息をつく。
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美術館の2階には、生徒用の絵の具ブースとして区切られたエリアがあります。イーゼルと棚があり、絵の具と筆、そして水の入ったコップが全員に用意されています。すでに何人かの生徒がイーゼルで絵を描いています。
ケイコは、ホールの他の部分からすべてを遮断する支柱のそばで生徒を見守っている近くの先生に近づきます。生徒たちがケイコの方を向くと、チケットを見せます。「ショーケース用のものを作りに来ました。」
「わかりました。」先生は親切にもケイコからチケットを受け取り、支柱の一つを開けてケイコを中に入れます。先生は空いているイーゼルを腕で指し、「パネルのないイーゼルは空いています。好きなイーゼルを選んでください。ただし、他の人のブースを横取りしないでください。」と説明します。
「わかりました!」ケイコは同意し、目の前のイーゼルに向かいます。キャンバスと絵の具と筆は反対側の棚にあるので、ケイコは必要なものを取りに行かなければなりません。彼女はそうする。小さなキャンバス、水を入れたカップ、筆、そしてオレンジ、青、ピンク、茶、紫の絵の具の入った容器を手に取る。色を混ぜて明るくするため、白い絵の具の容器も用意する。
全てが揃うと、鉛筆で鳥の輪郭をなぞる。鳥が翼を大きく広げた姿勢でなぞる。確かに、なぞった線はちょっと…雑だ。どの線もまっすぐではない。しかし、これは絵画の美しさでもある。骨格は単なる参考資料であり、完成品では誰も見ることはないので、完璧に描く必要はないのだ。
「うーん…」ケイコは鉛筆を顎に押し当て、輪郭をじっくりと眺める。「ちょっと華やかにしたい…棚にラメでも置いてあるかな?」ラメがあったかどうかは確認できなかった。
何かがチラッと目に留まった。視線を下に落とすと、制服の襟に付いていたペンが目に入った。不思議に思いながら、ケイコはそれを手に持ち、歩きながらそのペンから目を離さない。
ジェルペンのようなペンのようだが、インクは入っていないようだ。ペンをカチッと鳴らし、何も期待せずに手の上で何度も軽く叩く。
しかし、手にラメのピンクのインクが付いているのを見て、ケイコは目を見開いた。
どうして?!頭の中で考えてみる。インクなしで、どうしてこんなことができるの?!
ラメペンだ。本物のラメなんて関係ない。これなら完璧!
景子は振り返ろうとしたが、顔を上げなかったので、その瞬間…
ドスン!
別の女の子に頭からぶつかってしまった。二人とも床に倒れ込んだ。床には本が散乱している。景子は一瞬の間を置いて、傷ついた顔に手を当てた。
「気をつけて!」もう一人の女の子が叱責する。
「本当にごめんなさい!」景子は謝り、手を離して女の子を見た。彼女は怒りで歯を食いしばり、深い黄色の瞳が鋭く彼女を見つめている。オレンジがかった赤毛はバサバサとしていて、肩にほとんど触れていない。制服のネクタイは外され、袖はまくり上げられている。赤い指なし手袋をはめている。全体的に、彼女は強面かつ恐ろしく、その表情もそれをさらに引き立てている。
「あの…」景子は何と言えばいいのか分からなかった。「あ、本を持ってくるのを手伝おう…」
しかし、ケイコが本に手を伸ばすと、少女は本を引っ掻き、自分の腕の中に投げつけた。それは何かを恐れていることを示す行動だった。「私のもの触らないで!私が持ってるのよ!」
「ごめんなさい!」ケイコは少女が一人で本を拾うのを見守った。
「アキノ!」駅の先生が二人を叱った。「転校生にそんな意地悪しないで!彼女は親切にしているつもりなのに!」
「それに、私のもの触らせないで!」少女は怒鳴り返した。
少女はまだひざまずいているので、ケイコが先に立ち上がり手を差し伸べた。「せめて私が手伝わせて。」
少女の目は、険しい表情から困惑へと変わった。きっと彼女は親切の基本的な行為���理解しているのだろう?「あなた…どうして?」
「轢いちゃった。お詫びしたいの」とケイコは優しく言った。「ここはそんなに難しいことじゃないでしょ?」
少女はためらいがちにケイコの手を取り、ケイコは彼女を抱き上げた。
「もしよかったら、さくらケイコです」とケイコは挨拶し���。
「秋野レイ…」少女は少し懐疑的な様子で挨拶を返した。
「それで、ご職業は?」ケイコは手を組んで尋ねた。
「あなたのは何ですか?」レイは質問に返答する。
「私、画家なの!」ケイコは嬉しそうに言った。「ほら、見て!見て見て見て!」
ケイコはレイに見せるためにキャンバスに駆け寄った。誇らしげに満面の笑みを浮かべた。「外で見かけたこの鳥を描くの!まだ描いてないけど…でも、きっと美しくて、みんなをびっくりさせるわ!」
「あらまあ…」レイは肩の力が抜け、表情も柔らかくなった。「羽が小さすぎると、そんなに美しくないと思うわ。羽がメインになるべきよ。キャンバスのスペースを最大限に活用して。誰も白いものを見たい人なんていないわよ。」
「あら…」ケイコの笑みは、批判されて少し曇った。
「おい、アキノ!あっちへ行っちゃえよ!」先ほどブースにいたあの少年が、レイを叱った。「あんたがみんなを引き裂くなんて、誰も望んでないわよ!」
レイは腕を組んでケイコにニヤリと笑う。そして、皮肉たっぷりにこう言った。「私、ここではすごく人気者なのよ。わからない?」
ケイコは皮肉に気づかなかった。「じゃあ、どうしてみんなあなたのことが嫌いなの?」とケイコは尋ねた。
レイは言葉を失い、どう答えていいか分からなかった。彼女は振り返ることにした。「わかった。じゃあ、もう行かなきゃ」
「じゃあ、学校で会おうね…」とケイコは言った。そして、ケイコに手を振って付け加えた。「ああ、感想ありがとう!すごく参考になるわ!」
レイは言葉を止める。その言葉に、彼女は驚きで目を見開いた。
レイはほんの数秒、感動の表情を見せたが、すぐにそれを隠して立ち去った。
そう言うと、ケイコは輪郭を修正し、羽を大きくする作業に戻った。レイの言う通り、これでもういい感じだ。
ケイコはすっかり自分の世界に浸り、完全に集中すると、頭の中のあらゆる音や背景が消え去る。彼女の背後にあるものはすべて、ピンクと紫の魔法のゾーンだ。
さあ、作業開始だ。
ケイコは小さな斜めの筆、毛先が尖った筆を取り、オレンジ色の絵の具に浸す。丁寧に線に沿って筆を動かし、鳥の体の輪郭を描き出す。
それが終わると、別の平筆を取り、オレンジ色の絵の具に浸す。これでオレンジ色の輪郭を塗りつぶす。
それが終わると、両方の筆をきれいにする。3本目の筆を取り出し、パレットの上の白い絵の具に意識を向ける。手に持った筆で、オレンジ、紫、茶色、ピンクの絵の具に絵の具を浸し、混ぜ合わせて色を薄くしていく。オレンジはクリーム色のようなオレンジ色に、紫はラベンダー色に、茶色とピンクの色はより柔らかい色合いになる。
斜めのブラシを再び使い、鳥のお腹と尾羽の残りのオレンジの輪郭を描きます。頭と翼の先端には紫色の部分、くちばしと足には柔らかな茶色を使います。平筆を使って、これらすべてを塗りつぶします。
頭の3つの部分が空白になっているので、斜めのブラシを使ってピンクのハゲ部分を丁寧に塗りつぶし、次に濃い青色の目を塗りつぶします。
この時点で残りの部分は乾いているので、ケイコは大きくてふわふわした扇形のブラシに移ります。オレンジ色の塗料をブラシに軽く含ませ���鳥の体全体にも軽く塗りつけて、羽の質感を出します。
残りの質感には扇形のブラシは使用せず、代わりに小さなトリムブラシを使って羽と足の線を丁寧に描きます。次に、トリムブラシを使って瞳孔と目の白い部分を塗りつぶします。
アート制作の過程では、アーティストが自分の要素に没頭し、シンプルな紙に情熱を注ぎ込むこと以外に何も大切なことはありません。
仕上げに、ケイコは見つけたペンを手に取り、鳥の周りにピンクのグリッターで背景を描きます。絵全体が輝き、ペンで鳥の輪郭を描くことで鳥自身も輝きます。小さな渦巻きや星が至る所に散りばめられています。額のピンクの斑点にもペンを使い、際立たせています。
ケイコは自分の作品に感嘆し、出来栄えに微笑んでいます。
ある意味、芸術的な境地が終わってしまうのは残念ですが、最終的な結果には必ず価値があるのです。
背景の音や物音が脳裏に蘇り、最初に聞こえてきたのはアナウンスだった。「5分後に展示会が始まります!」
外は夕暮れ。体感するよりもずっと時間が経っている。
「ケイコちゃん!」ジローがケイコを見つけて、こちらへ来ている。「こんにちは!」
「ねえ、ジローちゃん!」ケイコは嬉しそうに挨拶する。
ジローがケイコの隣に来ると、絵がちゃんと見える。「わあ、すごい…」
「素敵でしょう?」ケイコは誇らしげに尋ねる。
「正直、こんなにいい作品になるとは思わなかったよ」とジローは認める。手に持っていたノートを開き、ケイコに見せる。「ところで、僕の作品、どう思う?」
スケッチブックの上部に指先を置き、端を少し傾けるとページが落ち、物語を描いた複数の絵が現れる。
鉛筆で描かれた女の子が本を持っているアニメーションだ。ページから猫が現れ、女の子の肩に飛び乗る。最後は女の子が子猫を抱きしめるシーンで終わる。
「可愛い!」ケイコは頬をぷにぷにさせながら大喜びする。
「え?」とジローは照れくさそうに尋ねる。
「つまり…子猫ね」とケイコが指摘する。
ジローは顔を赤らめ、どもりながら言う。「えっと…ちょっと可愛いものが描きたかったんだ」
「大丈夫!あなたにぴったりよ!」ケイコはジローの肩に手を置いて安心させながら言った。「あなたの仕事は本当にすごいわ。こんなにたくさんの絵を繋げて、動くアートを作るなんて、誰にでもできることではありません。」
「ええ、でも、もし笑われたらどうしよう?」
ケイコの笑顔が消える。その言葉が彼女の心の奥底を突き刺した。
からかい合いの喧騒はしばらく続き、一人を除く全員が指さして笑っていた。ケイコの絵がどれだけひどいかを延々と言い続け、絵とケイコ自身を笑っていた。
ケイコはその場に留まり、笑顔はますます作り笑いに変わっていった。笑い声と侮辱の言葉が頭の中に吸い込まれていく。ケイコは硬直し、教室の淡いヴィンテージ調の色合いは薄れ、笑い声はますます大きくなっていく。紙に置いた彼女の手は震えている。
「それって芸術じゃない!ゴミ!」
最後の侮辱の言葉に、小さなケイコはすすり泣いた。
もし絵が気に入らなかったらどうしよう?幼稚園で起きたことと同じことがまた起こったらどうしよう?
「えっと…」次郎の小さな声がケイコを現実に引き戻す。「列に並んだ方がいいよ。あおいはもう並んでるし。僕はここにいて、間違いがないか4回くらい確認するから。」
ケイコの頭上に暗い影が垂れ込める中、彼女は低く「わかった…」と言った。
次郎はケイコに親指を立て、視界から消えた。ケイコは一人で絵を持って階下へ降りる。廊下のすぐ近くに、彼女が使える階段がある。
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階下に降りると、ケイコは講堂のすぐ近くの裏口に気づいた。舞台上のアナウンスの声が反響し、ショーがすでに始まっていることを知らせていた。扉の前には、作品を発表しようと待つ子供たちの列が続いていた。
ケイコはキャンバスを握りしめ、列の最後尾へと急いだ。絵を見つめると、胃がムズムズしてきた。実際に見てみると、輪郭が完璧に描かれておらず、粗い部分がある。絵の具の塗りが均一ではなく、ざらざらとした質感だ。まるで幼児が描いたかのようだ。
その時、ケイコは目の前に何かが映り込み、思わず息を呑んだ。
先ほどの少年が、イカのキャンバスを持って目の前にいた。背景には本物の海があり、水や岩礁がとてもリアルに描かれている。イカ自体は複雑な生き物だが、その描き方はプロ並みだった。陰影、重なり、色彩、絵画に求めるものすべてがそこにあった。
それを聞いたケイコは、自分の絵をぎゅっと抱きしめた。そしてついに、静かに、真実を認めることができた。「私はここには合わないの…」
ゆっくりと、しかし確実に列は進み、ケイコは舞台裏へと向かった。舞台の前方にスポットライトが集中し、辺りは薄暗い。カーテンの隙間から、ケイコは保護者や上級生たちの観客の姿を見る。本当にたくさんの人がいる。じっと見つめすぎると、観客は大きくなり、目つきも険しくなる。
その光景に、ケイコは息を呑んだ。自分にもできるのだろうかと不安になった。
絵が下手すぎる!みんなにバカにされるぞ!
その時、目の前の少年がスポットライトを浴びる。ケイコの体は石のように硬直している。あと一人、そうすればケイコは立ち上がる。この少年の素晴らしい絵をみんなが見て、それから彼女の下手な絵なんて誰も気にしなくなるだろう…
少年は誇らしげな口調で、笑顔で自分の絵を披露する。「これは、メソニコテウティス・ハミルトニ、通称ダイオウイカだよ!この生き物を忠実に再現するように描いたんだ。南の冷たい海に生息し、肉食獣として何日も魚を捕食するんだ!たくさんの触手を持つ美しい生き物で、そのうちの2本は人をしっかりと掴んで口元に引き寄せるようになっているんだ!」
彼は明らかに自分の作品と、このテーマに情熱を注いでいる。ケイコは鳥について何を知っているというんだ?飛ぶ…それだけだ。だから、観客全員が拍手しているのが聞こえても不思議ではない。
驚いたのは、近くで誰かがゆっくりと拍手する音だった。
その音を聞いて、ケイコは意識が朦朧とした状態からハッと目覚めた。舞台の向こう側に、影に隠れた二つの目があることに気づいた。
「おめでとう!誰も気にしない!」
その言葉に皆が立ち止まり、声の方に注目する。
人影がスポットライトの中に現れる。小柄な十代の少年だが、制服を着ていない。片方の襟を折り返した淡い色のトップスに、グレーのパンツ、指なし手袋をはいている。黒髪はジェルで尖らせたようにツンツンとしており、肌は人間離れした灰色の色合いに見えるほど青白い。彼のあらゆるものに色彩と彩度が欠けている。まるで白黒のようだ。それでも、顔には悪意に満ちた薄笑いが浮かんでいる。
「え、あなたは誰ですか…?」 男子学生は困惑して尋ねる。
「ああ、気にしないでください。みんなが思っていることを言っているだけです。」 灰色の少年は宣言する。「あなたのくだらない絵なんて誰も気にしません!次の100枚のくだらない絵を見れば、みんな忘れてしまいますよ!」
「おい!」先生がステージに上がり、彼を呼び出した。「ここにいるなんておかしい!どうやって入ったんだ?」
「君の安全なんて、簡単に隠蔽できるもんだ」灰色の少年は、全く恐れることなく言った。「文字通りだ」
彼は両手を掲げ、指を鳴らした。たちまち、教師は壁に投げ飛ばされた。腕や物理的な力で投げ飛ばされたようには見えない。まるで…魔法のようだった。
誰かが倒れるのを見て、観客全員が立ち上がり、パニックに陥る。ケイコは暗闇に隠れ、恐怖で体が硬直し、何もできない。
しかし、少年はこの謎の男の手に委ねられ、無防備な状態になっている。彼は明らかに緊張し、声は震えていた。「な、何がしたいんだ…?」
「僕が最後に君の目に映るんだから、隠しても仕方ないだろうな。」灰色の少年は肩をすくめ、銀色の瞳を光に輝かせながら、両手を差し出した。「僕の名前はノワール。この世界から醜い色をすべて消し去るために来た…君は僕を助けてくれるんだ。」
ノワールの掌から黒い破片が飛び出し、彼は「情熱よ、逆転せよ!不安よ、我のもとへ来い!」と唱える。
生徒が胸を掴み始めたのを見て、ケイコは恐怖に震える。ノワールは一体何をしているんだ?
黒い破片が学生の体から飛び散る。体中の色がすべて吸い取られ、灰色の影だけが残った。彼は動かなくなった。
黒い破片はノワールの手に当たり、黒い折り紙の鳥へと姿を変える。ノワールは顔に笑みを浮かべる。
「わあ、美しい!」ノワールは言った。「これで完璧だ!」
ノワールは手と折り紙を頭上に掲げた。「見よ!インクリング!」
折り紙は辺り一面に黒魔術を噴き出す。イカの絵に反応し、黒魔術も噴き出す。
折り紙は巨大でインクのように黒いイカに変身し、銀色に輝く二つの目だけがその対比を成す。
目撃者たちの悲鳴が響き渡り、ほとんどが既にドアの外へ逃げ出していた。舞台上の巨大イカモンスターが無数の触手を動かすと、その下では舞台の色が消え、灰色に染まり始めた。モンスターは舞台から飛び降り、椅子を叩き壊し、二本の鉤爪の触手で壁を掴む。壁もまた灰色に染まる。やがて、部屋の中のすべてが色を失い始める。
モンスターが舞台からいなくなると、ケイコはパニックに陥り、少年のもとへ駆け寄る。「先生!先生!大丈夫ですか?!」
彼は返事をしない。
ケイコは彼を掴もうとするが、恐怖に息を呑む。彼は…石にされてしまった!
この混乱を見守るニヤニヤしたノワールを見つめ、ケイコは叫ぶ。「どうしたの!?」
ノワールはニヤニヤを止め、ケイコの方を向く。彼は無礼にも「どうして気にするんだ?」と尋ねる。
彼が何をしたかは明白だ。わざわざ説明するまでもない。
「建物から避難しろ!」教師が叫び、全員を出口へと誘導する。「今すぐ避難しろ!!」
退散する群衆の中にいたアオイは立ち止まり、振り返る。ステージ上にまだ友人がいるのに気づき、「ケイコちゃん!」と叫ぶ。
ノワールはケイコを無視して飛び始める。そして声に出して言う。「いいか?行くぞ、インクリング!建物全体をカバーしなければならないんだ。まずは上から始めよう!」
インクリングは動きを止め、主の後を追う。触手で天井を叩き壊し、そこから這い上がる。瓦礫が飛び散る。
ケイコはそれを見ながら、頭の中で理解する。2人は2階へ行く…!
2階だ!!
「えっと…」次郎の小さな声が恵子を現実に引き戻した。「君も並んだ方がいいよ。葵はもう並んでるし。僕はここに残って、間違いがないか四重に確認するから。」
次郎は2階にいるよ!
それに気づいたケイコは、危険が迫る舞台裏の階段へと全力疾走し始めた。
「ケイコ!!」アオイもそれに気づき、ケイコの後を追う。ケイコがドアノブを掴むと、アオイも追いつき、ケイコのもう片方の腕を掴む。怖くなったアオイは、ケイコをドアから引き離そうとする。「さあ、行かなきゃ!」
「でも…」ケイコは腕を引っ張られるケイコに抵抗する。「…次郎!」
「次郎?」アオイはケイコの言い分に気付く。
その言葉にアオイは油断し、ケイコはアオイの腕を振り払う。ケイコは勢いよくドアを開け、壁に激しくぶつかる。階段を駆け上がる。
「ケイコ!!!」アオイはドアにしがみつき、叫ぶ。「ケイコ、やめて!!!!」
ケイコはもういない。
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インクリングは廊下を駆け下り、周囲のあらゆるものが色を失いつつある。触手が四方八方飛び回り、触れたものすべてにへこみをつけている。2階にいる人々は皆、叫び声を上げながら、見つけ次第階段へと駆け寄っていく。
窓の外では、オレンジ色の鳥が一羽、この光景をじっと見ていた。
鳥は、窓を割って穴を開ける触手から、かろうじて逃げ出した。触手が避けた後も、鳥の視線は建物の中へと続く穴に釘付けだった。
次郎は群衆の後ろで、ノートを抱えて逃げている。しかし、インクリングは群衆と、そして彼自身に追いついてきた。
次郎は出口の階段を見つけ、それを見据える。彼は出口へと全速力で駆け出す…
しかし、触手が階段の前に激突し、出口を塞いでしまう。
悲鳴をあげながら、ジローはどもりながら振り返ろうとしたが、目の前にインクリングがいた。インクリングの上に浮かんでいたノワールはニヤリと笑った。ノワールは「え、犠牲者って何?」と考えた。
ジローは逃げ出そうとしたが、その場に硬直していた。インクリングは触手をジローに向け、ジローは目を閉じた。
その時、ケイコが階段のドアを勢いよく開け放った。「ジローちゃーーーーーー!!!」
絶望の波が押し寄せ、彼女はドアを塞ぐ触手を体から投げ捨て、友人に向かって突進した。彼女はジローを抱き寄せ、二人とも道から押しのけた。触手は狙いを外し、床に落ちた。ケイコとジローは重なり合って床に倒れ込んだ。ノートはジローの手から投げ飛ばされた。
ジローは何が起こっているのかほとんど理解できていない。ケイコは何も理解しようとしていない。階段のドアから触手が逃げていくのに気づいた。「ケイコちゃん…?」
ケイコは彼の言葉を遮り、腕を掴んで引き上げた。「行け!行け!ここから出よう!すぐ後ろにいるわ!」
二人は立ち上がり、ドアに向かって走り始めた。ケイコはジローを先に出せるようにドアを開けた。あとはジローの後を追うだけ…
「何これ?」
ノワールの声が聞こえ、ケイコはためらった。振り返ると、ノワールがジローのノートを手に取り、パラパラとめくっていた。ノワールは見たものに冷酷な笑みを浮かべた。「猫の絵だって?冗談だろ」
ノワールの拳がノートを砕く。ノワールの手の中で、ノートは黒い粉と化し、消え去った。ノートの下部だけが残され、床に落ちた。ジローが一生懸命に描いたノートは、一瞬にして破壊された。
ケイコはそれを見て心臓が止まるかと思った。血が熱くなった。
この少年は、友人が一生懸命に作った作品を、何の罪悪感もなく破壊したのだ。
ケイコは眉をひそめ、歯を食いしばって怒りの唸り声をあげようとした。
ケイコが何かするよりも早く、何かが視界を横切った。
オレンジ色の何かがインクリングに向かって飛んできて、ギャーギャーと鳴いているのを見て、ケイコの目は怒りから驚きへと変わった。あれは…?
速い飛行が落ち着くと、ケイコはそれをはっきりと見ることができる。同じ柔らかな紫色の羽、同じピンクの斑点、同じ青い目…
鳥?!
確かに、それは先ほどの鳥だった。建物の中でインクリングに向かって突進している。ノワールも驚きながら、頭を振り返った。「何だ…!?」
鳥はインクリングの周りを素早く飛び回り、触手を避けながら、くちばしでインクリングの体をつつこうとする。しかし、どうやら効果がないようだ。
ケイコは気づかないうちに、外に出てその光景を目にしていた。ノワールと同じように、ケイコも混乱している。なぜこの鳥が建物の中にいて、インクリングと戦おうとしているのだろう?普通の鳥が、なぜこんな危険に身をさらすのだろう?
これらすべてが結果をもたらし、鳥はインクリングの目を撃ち、片目を閉じさせた。しかし、もう片方の目には、開けた場所に立っているケイコが映っていた。
インクリングは触手をケイコに投げつけ、ケイコはそれに気づき悲鳴を上げる。
鳥は急降下し、ケイコの体に体当たりし、二人とも勢いよく壁に投げ飛ばされた。ケイコの背中は壁に激しく打ち付けられ、鳥を胸に抱きしめたまま床に倒れ込んだ。
「ううっ…」ケイコはうめき声をあげ、起き上がろうともがく。目を開けると、腕の中にいる鳥に気づいた。仰向けになっていたケイコは、鳥を抱きしめた。鳥は怪我をしているようには見えなかった。
気のせいかもしれないが、鳥は彼女の触れ方に反応して息を呑んだ。まるで人間のような息切れだ。鳥自身も驚いたようで、硬直した表情から困惑した表情へと変わった。
その時、腕が頭上の壁に穴を開け、鳥を掴んだ。
ケイコは悲鳴を上げて這いずり下がったが、背中が壁の柱にぶつかった。
ケイコは、その人物が全身で壁を突き破るのを防いだ。それはまたしても薄灰色の男だった。ただ、この男の方が背が高く、黒髪を小さくまとめたポニーテールにしていた。同じ灰色のパンツを履いているが、黒いシャツの上に白いノースリーブのロングジャケットを羽織っている。腰と上腕二頭筋のベルトは、どちらも銀色のバックルで、非常に淡く彩度が低い緑色だった。
ケイコはただ見ているしかなかった。相手は自分が捕まえた鳥にレーザーのように集中していて、ケイコに気づいていないようだ。
男は外に出て、もがく鳥に得意げに微笑みながら、空中に浮かんだ。
「モノ!!」ノワールが叫び、相手の名前を明かす。モノはノワールの隣に飛び上がり、二人ともインクリングの頭上になる。「今、現れたのか!?」
「残念ながら、そうせざるを得なかった。」モノの声は、以前よりはしわがれ声や泣き言っぽくなくなり、落ち着いた単調な声になった。「それが私の任務だった。」
「そして、私があなたの任務をこなしている姿を見ろ!」ノワールは怒って叱る。「仕事中に寝てると思ったんだ!」
「寝てたけど、ラウンジから追い出されたんだ。」モノは呆れたように目を回す。「こう考えれば、私の仕事量はあなたより少ないのに、私の方があなたより多くを成し遂げている。」
「そんなわけないだろ!」ノワールは鼻で笑う。
「鳥に負けそうになったんだぞ。」
「負けてない!」
二人はしばらくそう言い争っていたが、鳥がモノの掴みから逃れようともがいているのを見て、再び注意が戻った。
モノは鳥の必死で無駄な試みに思わず笑ってしまった。彼は鳥を揺すり、挑発するように言った。「ああああ、どうしたんだ、鳥ちゃん?何もできないのか?」
鳥はまだもがいている。ノワールもニヤリと笑って加わる。「好きなだけ試してみろよ。プリキュアはもういないんだから!安心だ!」
「プリ…キュア…?」ケイコは理解する。柱の後ろからこの話を聞いていたのだ。
二人の少年は狂ったように笑う。インクリングは触手を伸ばし、口を開けている。鳥を食べようとしている。モノはインクリングの手に鳥を掴み、悪意に満ちた口調で尋ねる。「何を言っているんだ?イカの餌食になる覚悟はできているか?」
「…絶対に…」
部屋の全員が目を見開く。
しわがれ、緊張しているが、これが人間の声であることは明らかだ。
「まさか…」ノワールは信じられない思いだった。
ケイコ自身も信じられない。あの鳥が…喋ったなんて!?
「…まさか…」モノは息をしようとして、えずく。「…終わった…」
そうだ。あの鳥は喋っている。
あの鳥に知性があるなんて!?
「えーと…」モノは否定するように、ぎこちなく笑う。「地球の鳥が喋るなんて知らなかった…」
「おい!」ノワールはモノの肩を叩く。「あれは妖精だ!」
鳥は呼吸に、いや少なくとも窒息しないように話すのに苦労している。「私を…処���して…よければ…」モノ、というか彼は、外に出る。
「私は、この姿では何の役にも立たない…でも…この子たちの情熱…処分できない…この人たちは…この世界を…永遠に彩り続けるだろう!」
ケイコの目に輝きが宿る。鳥の言葉に誘われて過去に戻った彼女は、かつて自分を救ってくれた謎の人物を思い出す…。
「勝てません。魂の創造性を奪うことは決してできません…それは素晴らしい祝福です。そしてこの子たち…この子たちは…私が亡くなった後も情熱を追い求めるでしょう…そして、愛するものを決して諦めません。彼らは世界のために絵を描くでしょう!」
ケイコは階段のドアのそばにある鳥の絵に目を留めた。インクリングはそれを見逃した。ケイコは手を伸ばして拾い上げ、じっと見つめた。
これを描いた時、ケイコは情熱を持っていたのだろうか?もちろん。
だから、たとえ無駄だったとしても、何もできないわけにはいかない。
「妖精がどうやって逃げ出したのか、私には理解できない」ノワールは鳥に言った。「まあいいだろう。これでだいぶマシになった!」
モノは再び、インクリングが食べられるように、鳥を触手にかざした。二人はこれから起こる出来事に笑い出した。
「おい!!」
一同は立ち止まり、廊下の奥へと視線を向けた。ケイコが目の前に立っていた。ケイコは絵を差し出し、インクリングに見せると、「消し忘れてるよ!」と言った。
「何ですって?」モノは自分が何をしようとしているのか分からず、片方の眉を上げた。
ケイコは安心させる。「ほら、きっとこれはあなたの…���ットの…イカ…モンスターにとって、もっと美味しいおやつになるわよ…」
「震えてるじゃないか」ノワールが言う。「どうして他のみんなみたいに走らないんだ?」
「わ…わかんない…」ケイコは認める。「でも…友達の絵を台無しにして…それに、知性のある人間を殺そうとしてるなんて…鳥だろうとなかろうと、そんなことは許せないわ!」
「人間だって?」鳥はケイコの言葉を理解した。それからケイコの制服の襟元に目をやった。ペンがそこにあった。「待って…!」
「馬鹿だな」モノは指摘する。肩をすくめて微笑む。「でも、もしどうしてもと言うなら、インクリングはまず君の絵を食べるだろう…そして君も!」
インクリングがケイコに突進する。ケイコは怯え、どうしたらいいのか分からず、すすり泣く。もう、終わりだ。
「あなたの情熱は何なの!?」
ケイコは鳥が叫んでいることに気づいた。「どうしてそんな絵を描いたの!?生きたいなら答えて!」
「私…私…」ケイコは鳥が何をしようとしているのか分からなかった。深呼吸をした。彼を信じなければならない。
「この世界のために絵を描きたい!!!」
フラッシュ
ケイコの絵からまばゆいピンクの光が放たれる。
インクリングは後ろに倒れ、少年たちの目はくらみ、鳥は逃げ出すチャンスを得る。
「な、何が起こっているの?」ケイコは閃光に不意を突かれる。
ピンクの光が魔法のようにケイコの周りを巡り、彼女を守ろうとする。絵自体が形を変え、別の何かへと歪んでいくのをケイコは見守る。
「ついに!ついに!!」鳥は喜びの涙を流しながらケイコの腕の中に飛び込む。「プリキュアを引き受けてくれたんだね!」と嬉しそうに言う。
「何言ってるの!?」ケイコは驚きの声を上げる。「なんで言ってるの!?」
「いいから、ここからが大事よ!」
絵が新しい形へと変化し終える。ケイコの目の前に現れたのは、パレットのようなものだった。それは、宝石がちりばめられたピンクの縁取りの、きらきらと輝く派手なパレット。ガラスの蓋が付いていて、真ん中に空いているスペースがある。周りのスペースには、黄色、オレンジ、赤、ピンク、紫、青、緑の順に色が塗られている。
「これがプリキュアパレットよ!」ケイコの手の中で浮かんでいる装置を見ながら、鳥が説明する。「さっき私を助けてくれた時に見つけたペン、覚えてる?」
ケイコはそれを取り出す。「これ?」
「ペンをクリックして、パレットの好きな色を3色タップして、空いているスペースで混ぜて、『プリキュア クリエイティブチャージ!』と叫ぶだけで、あとはお任せ!」
ケイコはためらう。これが自分にどんな影響を与えるのか、彼女は知らない。
「信じて!」鳥は懇願する。
鳥の表情からして、本物らしい。以前も彼女を助けてくれた。きっとまた助けようとしているのだろう。
ケイコはうなずき、自分の選択を決める。
ピンクネオンペンのクリック音とともに、背景はピンク色の魔法の空間へと変化します。
全身がピンク色に染まった佐倉けいこは、ペンを頭上に高く掲げています。もう片方の手でプリキュアパレットを持ち、それを開きます。
「プリキュア クリエイティブチャージ!!」
彼女はペンでパレットのピンク、赤、緑の点を軽く叩く。3つの点が光り、真ん中にキラキラと輝くチェリーピンクが現れた。ペンをペンに浸すと、ペンがペンで満たされた。
ケイコはペンを持って飛び跳ね、あちこちに絵の具をこぼした。背景は緑と赤の絵の具の斑点で覆われた。ケイコ自身の腕、脚、頬も絵の具の斑点で覆われており、ケイコは目に見えてそれに気づいた。
彼女はペンを手首の周りで回転させ、魔法の絵の具で円形の白い腕章を作った。
彼女はペンを足の周りで回転させ、足を広げて地面を踏み鳴らし、つま先とヒールが濃いピンクの、膝丈の丸い白いブーツを作った。
彼女はペンを差し出し、全身を回転させると、渦巻くインクが彼女の胴体に触れ、フリルのついたピンクのスカート、太い赤いベルト、そして薄緑の縁取りと花のような白い肩パッドが付いたゆったりとした薄ピンクのジャケットを形作った。
彼女はペンを掲げ、微笑む。カチッという音とともに、ペンは燃え上がり、ピンクの絵の具の斑点がついた。彼女はペンを投げると、ペンは回転し、絵の具が四方八方に飛び散った。
絵の具は彼女の胸に落ち、大きな赤いリボンと薄緑のブローチが現れた。
絵の具は彼女の耳に落ち、赤いチェリーのイヤリングが現れた。
絵の具は彼女のベルトの後ろに落ち、淡い半透明のピンクのリボンと、スカートの後ろから垂れ下がった厚手の布地が現れた。
絵の具の飛沫は彼女のスカートに落ち、赤と緑の絵の具の斑点となった。
絵の具は彼女のリストバンドに落ち、赤いリボンが現れた。しかし、彼女が腕を前に伸ばすと、ペンがリストバンドに落ち、彼女がそれを振り払うと、リボンはほどけ、今度は赤いリボンがリストバンドから垂れ下がった。
再びペンを握り、彼女は頭の上をなぞると、側面に赤いチェリーが飾られた薄緑のヘッドバンドが現れた。ヘッドバンドから魔力が漏れ出し、ブロンドの髪がマゼンタ色の塗料で覆われた。
ケイコはお団子ヘアを持ち上げ、放すと塗料が髪に反射して光り、髪に溶け込む。髪は濃いピンク色の髪型になり、何本かの後ろ髪と大きなトップのお団子ヘアが重なり、大きなつむじが桜の茎のように見える。
ペンを顎に当て、歯を見せて笑う。恥ずかしそうに親指で顎についた塗料をはじく。瞳は髪の色と同じピンク色に輝いている。
彼女は空中に飛び上がり、ピンク色の魔法が彼女から噴き出す。
ジャンプの頂点に達すると、ピンク色の魔法が背後で塗料となって爆発し、彼女は四肢を大きく広げてポーズをとる。
ネオンペンとパレットが彼女のベルトに取り付けられる。
ヒロインは落下し、上からさらにピンク色の魔法が彼女から噴き出す。
「筆で情熱と命を世界に広げる!」
彼女はぎこちなく着地し、危うく転倒しそうになったが、なんとか踏ん張った。そして最後のポーズを決めた。片足を上げ、反対側の腕を頭上に上げてピースサインを作る。
「ピンクのペインター!キュアチェリー!」
ノワールとモノはゆっくりと床から立ち上がり、目の前のピンク色の光を見つめる。膝をついたままのモノは、息を呑みながら尋ねた。「これは一体…?」
ノワールは腕と歯を食いしばる。「こんな…ありえない!」
「やっと!!」鳥は喜びに溢れ、光の周りを飛び回る。嬉し涙が頬を伝う。「プリキュアが帰ってきた!!」
ピンク色の光は人影から放射されており、その存在によって周囲の絨毯も同じ色に染まる。ピンク色の光が消えると、窓から夕陽が差し込む。ヒロインは鮮やかなチェリーピンクの瞳を見開く。
そして、その瞳は驚きの表情に変わる。「な、な、な、なに?!何が起こったの!?」彼女は驚きのあまり、自分の変わった姿を見て身をよじり始める。「な、な、なに!?私に何が起こったの!?!な、なに!?」彼女はピンク色の髪を掴む。「私の髪に何が起こったの!?」鳥はキュアチェリーの腕に飛び込み、胸に顔を埋めて泣きじゃくる。「会えて嬉しいよ!!」
「私って何なの!?」チェリーは疑問に思うように叫ぶ。
鳥は翼で涙を拭う。興奮している。「わかったわかった、プリキュアになったんだね!創造の力を持つ伝説の戦士!インクリングを止めてみんなを救えるんだ!」
「ちょっと待って、プリキュア、ゆっくりして!力だって?!」チェリーは言葉に詰まる。息を吸って少し落ち着こうとする。「それで…伝説の戦士?どういう意味?」
「インクリングと戦わなきゃいけないの!」
チェリーは言葉を止める。
彼女はインクリングを見る。
それから鳥を見る。
そして再びインクリングを見る。
そして鳥を見る。
「だめ!」彼女は振り返り、鳥を抱きかかえたまま走り出す。
「そこに突っ立ってるんじゃない!」ノワールはインクリングに向かって叫び、拳を床に叩きつける。そしてもう一方の手で、走ってくるキュアチェリーを指差す。「捕まえろ!生きたまま食べちまえ!!」
インクリングは命令に従い、彼女を追いかける。インクリングが追いついてくるのを見て、チェリーは叫びながら廊下を走り続ける。触手は絶えず彼女を追いかけ、攻撃しようとしてくる。
「なぜ逃げるんだ!」鳥は叫ぶ。
触手が降りてくる。チェリーはそれを避けようと右によろめく。
「正気か!?」チェリーは叫び返す。
「インクリングと戦わなきゃいけないんだ!!」鳥は要求する。
触手が地面に叩きつけられる。チェリーは左に倒れ、床に倒れ込んだ。彼女は素早く立ち上がり、次の触手に捕まる前に走り続けた。
「できない!!」チェリーは叫んだ。
「でも、あなたはプリキュアなのよ!!!」鳥が反撃する。
触手が上からチェリーを掴み、突き刺そうとする。チェリーはそれに気づき、叫び声をあげる。触手に突き刺される寸前、チェリーは予想以上に高く飛びのいた。その動きに、チェリーは鳥を放してしまう。両足は隣の壁の頂上に着地する。
「な、何しちゃったの!?」チェリーは自分の行動に愕然とする。「どうすればいいの!?」
インクリングは別の触手をチェリーに向けて放つ。反射的に、チェリーは脚を使って壁から飛び降りる。その結果、全身がものすごい速さで吹き飛ばされ、ガラス窓を突き破ってしまう。衝撃で窓ガラスは粉々に砕け、それを支えていた壁の梁が崩れ落ちて横に傾く。他に掴むものが何もなかったチェリーは、梁に掴まり、建物の外にぶら下がったままになった。
「キュアチェリー!」窓の内側から飛び立つ鳥が叫ぶ。
「助けて!!」チェリーは叫び声をあげ、宙ぶらりんの状態から足元をすくい上げようと必死に逃げ回る。「助けて、助けて、助けて、助けて、助けて!!」
「私は鳥だ!持ち上げられない!」鳥は翼でくちばしを包み込みながら答える。
鳥は振り返ると、インクリングが梁に引っかかっているキュアチェリーに触手を向けているのに気づく。インクリングはキュアチェリーの方を向き、「俺の言う通りにしろよ!いいか?」と詰め寄る。
「えっと…いいか?」チェリーには他に選択肢がない。
触手は窓の外へ飛び出す。
「ジャンプ!」
チェリーは触手を飛び越えます。
「手を叩け!」
チェリーは足を開き、両手で触手を叩きつける。するとピンク色の魔法の弾丸が飛び出し、インクリングは身悶えした。チェリーの体が少し突き上がった。
「スライド!」
チェリーは触手に足を引っかけ、体が滑り落ちて中に戻ります。
「インクリングの顔を殴れ!」
チェリーは触手から飛び降り、インクリングの顔に拳を打ち込んだ。パンチの衝撃でピンク色の魔法が拳から放たれ、インクリングは壁に叩きつけられた。
チェリーは着地に失敗し、つまずいて転げ落ちた。
「よし!練習してるんだね!」鳥は祝福し、大丈夫かとチェリーのところに飛んできた。
チェリーは難なく立ち上がった。床にひざまずき、自分の手を畏敬の念を込めて見つめた。「私には本当に力があるのね…」
「ええ。髪を見ればわかると思ったのに」鳥は答えた。
チェリーは前を見ると、インクリングが立ち上がった。髪のつむじが乱れながら、彼女は叫んだ。「まだ続くの?!」
チェリーは立ち上がり、また逃げ出そうとするが、振り返った途端、鳥が目の前に舞い降り、耳元で鳴き声を上げた。あまりの音に、チェリーは思わず耳に指を突っ込んだ。
「もう二度としないぞ!」鳥は、チェリーに厳しいように、翼を突きつけた。「お前はもうプリキュアだ!このインクリングと戦って、みんなを助けろ!断るなんて許さないぞ!」
チェリーは涙がこぼれるのを感じた。これは要求の厳しい鳥だ。
「しっかりしろ!さもないと、あの世でお前をハーピーにしてやる!」鳥はチェリーの顔に向かって唸り声を上げた。
「ハーピーって言うの?」チェリーはそれがどういう意味かと尋ねた。
「背中に標的がいる。お前の力で、奴らに撃ち返せ。」鳥は説明する。それから、チェリーの顔から離れたインクリングに翼を向けた。それから彼は何気なく言った。「気をつけろ」
二人は触手の攻撃をかわした。柱の陰に隠れていた。
「コスプレの力って、どういう仕組みなのかしら!」チェリーは両手を爪で引っ掻きながら叫んだ。
「だって、ほんの数分前に目覚めたばかりだし…」鳥は翼で自分の頭を押さえながら認めた。二人は少し考え、それからもっと分かりやすく説明しようとした。「絵を描くのが好きなんでしょう? 君の力は、戦闘を楽にする敏捷性と強さを与えてくれる。絵を描くのと同じで、筆を撫でるのではなく、殴ったり蹴ったりするんだ。」
「わ…わかったような…」チェリーの言い方から、彼女は明らかに確信が持てていない。
「手伝うから、思いつきでやればいい!」鳥は彼女を安心させた。
チェリーは彼を睨みつけた。
「ダジャレを言おうとしたわけじゃないのよ。」
キュアチェリーは再び開けた場所に歩み出し、インクリングと対峙する。彼女は走り出す体勢を取り、標的を睨みつける。深呼吸をする。
インクリングは四方八方に触手を放ち始める。キュアチェリーは前に駆け出す。
触手は彼女の周りに乱れ飛ぶ。チェリーは一本の触手をくぐり抜け、反対側から来たもう一つの触手をかわす。そして飛び上がり、インクリングの顔面に回転キックを放つ。別の触手が彼女に向かって振り下ろすと、チェリーは飛び降りてインクリングの顔面に再びキックを放つ。
もう一本の触手が、既に彼女を巻き付けるようにループ状に巻き付いて、彼女に向かってくる。彼女はそれを防ぐために、グリップの両側を掴み、かろうじてしがみつく。彼女は手を離し、触手に捕まる前に手足を閉じて飛び降りる。
彼女は床に着地し、体を転がして着地する。さらに触手が追いかけてくるが、チェリーはその度にそれらをかわし、触手を踏み台にして飛び降り、獣を蹴り飛ばす。3回目以降は、腕で触手の攻撃を1回防ぐのがやっとだった。別の触手が彼女を刺そうとしてきたが、彼女はなんとか後ろに倒れて殴りつけた。反対側からも別の触手がやってきて彼女を掴もうとしたが、彼女はかろうじて足を滑らせて床に横たわり、触手が絡まるのを防いだ。
不運なことに、3本目の触手がどこからともなく現れ、倒れている彼女の体を叩きつけた。触手は彼女の体を投げ上げ、天井に叩きつけた。
天井からシールのように剥がれ落ちていくチェリーは、柱にしがみついていることに気づいた。頭を振って衝撃から逃れようとする。インクリングの触手が2本、まだ絡まってしまっているのが見える。あと8本だ。
このインクリングをもっと包めるかも!チェリーは微笑みながら考える。
「おい!」チェリーはインクリングの注意を再び引こうと叫ぶ。「こっちにいるよ!」
「何をしようとしているんだ?」遠くから鳥が尋ねた。
触手が一筋、彼女に向かって噴き出してきた。チェリーはそれをかわすどころか、掴んで強く引っ張った。それに対し、別の触手が彼女を掴もうと迫ってきた。チェリーは掴んでいた触手で攻撃を防ごうと、二本の触手は絡まってしまっていた。
チェリーは床に飛び降り、インクリングの周りを走り回り、触手を誘い込んだ。上から一本の触手が追いかけてくる中、チェリーは一本の触手をくぐり抜けた。彼女はその触手を飛び越えると、さらに二本の触手が絡まってしまっていた。
彼女は絡まりから飛び降り、宙返りするが、隙を突かれて一本の触手に捕まってしまう。わざと両手を頭上に上げて、自由にしている。キュアチェリーはインクリングの顔に抱きつき、口を開けた…
手でインクリングの皮膚を弾き、インクリングをひるませた。すると触手が頭を貫こうとしたが、空いた腕で掴まれていた触手を振り払い、避けた。触手は互いにぶつかり合い、絡み合った。
今や、そこにいたのは二本の爪のような触手だけになった。
キュアチェリーは柱に向かって走り、両手を大きく振り回して柱に近づく。二本の爪が追いかけてくるが、キュアチェリーは柱をよじ登って避ける。爪は必死の力で柱に打ちつけ続け、その力は構造物にひび割れを起こし、崩れ落ちようとしている。崩れ落ちるだろう。
まさにこれこそが、キュアチェリーの狙いだった。柱の上に乗り、柱の後ろに回り込み、壁を支えに両足で柱を押し上げる。
構造物は折れ、柱はインクリングの頭に叩きつけられた。明らかな脳震盪とともに、それは気絶し、残った触手は床に縮こまった。
キュアチェリーは床を転がり落ちて着地する。今度は両足で着地し、自分の巧みな技に微笑みを浮かべる。鳥は驚きで目が真っ白になる。彼女は誇らしげに尋ねる。「こんな感じ?」
「わ…感心しました…」鳥は認める。しかし、壊れた柱と、その残骸には目を留める。「…本当に壁の破片をぶつけたんですか?」
「うまくいったわ!」チェリーは反論する。
鳥は言う。「今度はペンキを撃って仕留めるのよ」
チェリーのプライドは崩れ落ち、混乱が広がる。「何ですって?」
鳥は説明する。「プリキュアパレットを取り、ネオンペンをピンクのボタンにもう一度押し当てて、クリエイティブウィングを塗るんだ。パワーが上がり、大量のペンキを好きな攻撃の形でインクリングに投げつけることができるんだ!」
「わかった…」チェリーはベルトからペンとパレットを取り出し、鳥の指示に従う準備をした。
ピンクネオンペンのクリック音とともに、背景がピンク色の魔法の空間へと切り替わる。
「ピンクネオンペン!私の翼を創って!」
彼女はパレットのピンクのボタンにペンを押す。中央のスペースにピンクの絵の具が現れ、ペンを浸すと、ペンがペンで満たされる。
キュアチェリーは魔法の絵の具をくるくると回し、激しく飛び跳ねる。
回転が遅くなると、魔法の絵の具は彼女の周りを回転し、背中に降り注ぎ始める。
ピンクの光が瞬く中、彼女の姿が完成し、チェリーは足を外側に蹴り上げ、頭上にピースサインを描いてポーズをとる。
チェリーは驚いて彼女の背中を振り返る。「それは…」言葉が出ない。
彼女の背中には、丸いピンクの妖精の羽が生えていて、濃いピンクの縁取りが施されている。
チェリーは両手を握りしめる。両手を広げると、赤いペンキが手からこぼれ、赤い球体の形になる。
「ゴー・ワイルド・チェリーズ!」
球体はいくつかの小さな球体に分かれ、彼女の体の周りを回転する。
「プリキュア…」
彼女は頭上に手を上げる。球体はすべて合体して、大きな赤い球体になる。彼女は手を後ろに引く。彼女は標的を見つめる。
「チェリー…スプラッター!!!」
彼女は球体を投げる。球体はいくつかの球体に分かれ、すべてインクリングに命中する。それらはモンスターの体に張り付く。
キュアチェリーはペンを手に振り向く。ペンをカチッと閉じると、羽が消える。彼女は歓声を上げながら空中に飛び上がる。「やった!」
球体は、インクリングの体中にピンク色の塗料を轟音と混沌のごとく次々と爆発させる。爆発はインクリングを色で覆い尽くす。
「カラフル…」インクリングは呟き、その反応として体が光る。ピンク色の光に包まれ、インクリングの体は消え去る。後に残るのは、白く浄化された、宙に浮いた折り紙だけ。
攻撃を受けたチェリーは息を荒くし���。振り返った自分の仕業を確認するが、めまいでほとんど集中できない。「私、やったの…?もう終わったの…?」
疲れ果てて、彼女は膝から崩れ落ちる。
「きっと、君の体はそんなに力を使うことに慣れていないんだ」鳥は彼女に説明する。「心配するな。何度か戦えば慣れるし、それほど消耗もしなくなる。」
「何度か戦えばってどういうこと?」チェリーは信じられないといった様子で息を呑む。
「ほら見て!」鳥は翼で空を指差した。チェリーは見上げると、浄化された折り紙が空中に浮かんでいた。
「あれは、彼らが盗んだあの少年の情熱だ!君は彼を救ったんだ!」
折り紙は飛び立ち、階段の扉から出て行く。
「どこへ行くの?」チェリーが尋ねる。
「宿主のところへ戻る。」鳥が答える。
折り紙は講堂に戻り、少年の像と対面する。折り紙は形を失い、輝く魔法へと変わり、少年の体に流れ込む。
石が彼の体から砕け、色彩が戻り、少年は膝から崩れ落ちる。めまいで頭を抱えながら���彼は尋ねる。「ここはどこにいるんだ…?」
「ちょっと待って、あの少年たちはどうなったの?」チェリーは辺りを見回しながら尋ねる。「どこへ行ったの?」
ノワールとモノは、心配そうな表情で建物の上空に浮かんでいる。
「ショキョ様はきっと喜ばないだろうな…」ノワールは呟き、自分を抱きしめる。
モノはニヤリと笑って、「いいだろう…お前のせいだって言ってやる」と決意する。
ムーは空中に消える。
ノワールは怒りに目を見開き、「ちょっと待って!」と叫ぶ。
ノワールは空中に消える。
キュアチェリーと鳥のいる場所から、おそらく警察のサイレンの音が聞こえる。
「わかった」鳥は飛び上がり、ノワールに指示を出す。「元の髪に戻したいなら、ペンの蓋を閉めてくれ。裏で会おう。」
「待って!」チェリーは叫び、手を伸ばしたが、鳥はすでに窓から飛び出していた。
階段を上ってくる人の足音が聞こえ始める。彼女は慌ててペンを取り、閉じようとした。
一瞬のうちに変身が解け、制服姿とブロンドの短いカールヘアが戻った。
ケイコは、これがうまくいったことに驚き、自分の手を見る。膝の上にプリキュアパレットがあることに気づく。それは服の他の部分のように消えていなかった。ケイコはそれを拾い上げ、「パレットはそのまま…?」と観察する。
階段のドアが勢いよく開き、数人の警察官が被��状況を確認するために入ってきた。一人の警察官がひざまずいているケイコに気づき、近づいてきた。
「さあ、行きましょう。大丈夫ですよ。」彼はケイコを階段を上り下りさせるのを手伝った。警察はケイコを襲撃に巻き込まれた、ごく普通の被害者だと考えている。「怪我は?」
「いいえ。」ケイコは静かに答えた。
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ケイコは階下のロビーに案内された。そこには警官たちが警備にあたる場所があった。ケイコは二人の警官が教師と話しているのに気づき、そのうちの一人が状況を説明しているのを耳にした。
「犯人は顔と身元を明かしました。しかし、どうやら逃げてしまったようです。見つけることができません。しかし、彼らはここでのテロ行為で社会の敵となっています。彼らが作り出した怪物については…私たちはあなたを信じています。目撃者がそれを証明しています。しかし、私たちがここに到着した時、怪物は…消えてしまいました。問題の少年は怪我をしていませんが、ショック状態です。何が起こったのかは分かりません。少なくとも2週間はかかる工事のため、博物館の警備に警官を派遣します。また、このようなことが再び起こった場合に備えて、学生を守るためにキャンパスにも警官を配置します。」
次郎と葵は正面玄関で、他の学生たちが警察の検問を受けている列に並んで待っています。葵はケイコを見て息を呑み、次郎の肩を軽くつついて自分にも気を引こうとします。
「ケイコちゃん!!」葵は泣きながら、ケイコの元に駆け寄り、ぎゅっと抱きしめます。「大丈夫?!何があったの?」
「葵!」恵子は恵子に会えて嬉しくて抱きしめ返す。「大丈夫よ。本当に。」
葵は慌てて恵子から離れ、髪を引っ張る。「二度とあんな風に驚かせないで!」と厳しく言い放つ。そして少し間を置いてから、「怖がらせるのは分かってるけど…でも…」と付け加える。
次郎も一緒に恵子を抱きしめる。彼はさらにパニックになっている。「恵子、何が起こったのかわからない!! 君、君は僕のすぐ後ろにいたって言ってたから、見なかったし、階下に降りても見えなかったんだ…ごめん!あのものにやられたと思ってた!!」
「次郎、大丈夫よ。」恵子も次郎を抱きしめる。「ただ、君が無事でよかった。」
「ええ、どうしたの?」次郎が離れると、葵が尋ねる。「次郎のすぐ後ろにいたのよ!だから…」
「それは…」恵子は全てを説明しようとした。喋る鳥、パレット、キュアチェリー、喧嘩…
しかしその時、窓の外に鳥がいて、彼女をじっと見つめているのが見える。鳥は厳しい表情をする。
「あれは…」ケイコは言葉を戻した。「ノートだった…次郎、落としたんだ…」思い出して、ケイコの表情は悲しげになる。「取り戻そうと思ったんだけど、あの男が…壊しちゃった…ごめん、次郎、頑張ったのに…」
「ケイコ」次郎はケイコの肩に手を置き、目を合わせるように言った。「ノートはもう一冊作れる。サクラケイコっていう友達はもう二度と作れない」
二人は再び抱き合い、ただ二人とも無事で良かったと喜んだ。
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ケイコはこっそりと裏庭へ出た。ありがたいことに、柵に止まっている鳥以外、誰もいない。
鳥はケイコが現れたのを見て微笑んだ。「君みたいな人をずっと探していたんだ。奇跡だよ…ありがとう。今まで本当にありがとう。」
「それで…私はこのままでいいのか?」ケイコは尋ねる。鳥はケイコに口を挟もうとするが、ケイコは自らの問いに答える。「いずれにせよ、私は自分で選んだのだから。」
「もう?」鳥は首を傾げる。
「今日、友達の作品が壊されちゃったの。他にもたくさんいるのよ。」ケイコは説明する。彼女の表情は終始、厳しく真剣そのものだった。「そんなことはさせたくない。誰もこんな目に遭うべきじゃない。誰もが自分の情熱を世界に示し、利用されるべきではない。そして…もしそれが、私が愛するものを守るための手段なら、あなたの望みを叶えてあげる。私はキュアチェリーになるわ。」
鳥は安堵の笑みを浮かべた。「そう言ってくれると期待してたのに。」
「それで…私と一緒にいるってことだよね?」ケイコは彼を指差して尋ねた。「ところで、お名前は?」
鳥は羽根を広げて握手を申し出るように答えた。「オレニジです。お会いできて光栄です。」
「サクラケイコです…ケイコと呼んでください。」彼女は羽根に手を伸ばしながら答えた。
二人は握手を交わし、約束と新たな同盟を固めた。二人は希望に満ちた笑顔で見つめ合った。
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秘めた恋のスクラム5
予期せぬ接触、高鳴る鼓動
練習は激しさを増していった。黒岩の指導は的確で、悠斗は普段の練習では得られない感覚を掴み始めていた。しかし、その分、体力は急速に奪われていく。何度目かのダッシュを終えた時、疲労困憊の悠斗の足がもつれた。ぐらりと体が傾ぎ、地面に倒れ込もうとした瞬間、黒岩の逞しい腕が悠斗の体を支えた。
悠斗の体が完全に地面に打ち付けられる前に、黒岩は彼を抱きかかえるように引き上げた。予想以上の至近距離に、二人の視線が絡み合う。黒岩の腕の中で、悠斗は自分の体が軽々と持ち上げられていることに気づいた。その瞬間、彼の心臓は激しく波打った。ゴツゴツとした黒岩の手のひらから伝わる熱と、彼から香る汗の匂いが、悠斗の心を一層掻き乱す。
黒岩もまた、悠斗の体の重みにドキリとしていた。抱き上げた瞬間の、悠斗の柔らかい肌の感触、そして間近で見た潤んだ瞳に、普段は決して揺らぐことのない黒岩の心が微かに揺れた。
悠斗は、自分を軽々と持ち上げながらも、優しく抱きかかえてくれる黒岩の温かさに思わずトキメいた。厳しいだけではない、不器用な優しさに触れ、これまで抱いていた黒岩への畏怖の念が、急速に別の感情へと変化していくのを感じた。互いの鼓動が、静かなグラウンドに響くように感じられた。
黒岩の家へ
「大丈夫か?」
黒岩が心配そうな声で尋ねた。悠斗は戸惑いながらも、「だ、大丈夫かな」と曖昧に答えるのが精一杯だった。黒岩は悠斗の返事を聞き終わるか終わらないかのうちに、無意識のうちに悠斗を抱きかかえたまま部室へと運び入れた。
昔は怪我が多かったという黒岩は、悠斗がどこを痛めているかすぐにわかった。悠斗は「大丈夫」と言ったが、もちろん足首を捻挫していた。自分の練習に付き合わせたせいで悠斗に怪我をさせてしまったという罪悪感から、黒岩はそのまま行きつけの接骨院に悠斗を連れて行った。
接骨院の扉を開けると、そこにはまさに熊のような体格をした先生がいた。黒岩の顔を見るなり、「おお、黒岩。またやったか?」と朗らかな声で迎える。しかし、黒岩の腕の中にいる悠斗を見た瞬間、その先生の目はキラリと光った。黒岩の好みを熟知している先生は、一瞬で「これは来たな」とピンときたようだった。悠斗の足首を丁寧に診察しながらも、先生は時折黒岩に意味ありげな視線を送る。
幸い、捻挫は軽度で済んだものの、安静が必要と診断された。翌日が休みだったこともあり、その接骨院が黒岩の家から近かったため、先生は「今日一晩は無理させない方がいい」と、半ば強引に黒岩の家に泊まることを勧めた。
「泊まっていくか? 明日も休みだし、俺の家ならすぐに休めるぞ」
黒岩が提案すると、悠斗は一度はためらった。
「い、いえ、大丈夫です! 電車で帰れますから!」
悠斗は必死に断ろうとするが、黒岩は眉一つ動かさない。
「こんな捻挫した足で、遠い家まで帰るのか? 明日悪化したらどうする。俺が連れてったんだ、責任は取る」
黒岩の真っ直ぐな言葉に、悠斗は反論できない。
「で、でも…ご迷惑じゃないですか…」
「迷惑なわけないだろ。むしろ、お前を一人で帰らせる方が気が気じゃない。気にせず来い」
泰介と同じようなドキドキを黒岩にも感じていたからだ。泰介に並ぶような巨体に筋肉。そして、泰介にはない野性味のある体臭。そんな魅力的な男に逆らうことはできなかった。有無を言わせぬ黒岩の迫力と、その中に確かに感じられる気遣いに、悠斗の抵抗は次第に弱まっていった。最終的に、悠斗は黒岩の家に泊まることを承諾した。
黒岩家での夕食
黒岩の家に到着すると、悠斗はすぐに彼の家族に温かく迎え入れられた。夕食の時間には、黒岩の両親と妹が食卓を囲んでいた。お母さんも妹も、悠斗より背が高く、皆がっしりとした体格をしている。そして何よりも、家族全員が驚くほど明るく、食卓は笑い声で溢れていた。
出された食事を見て、悠斗は思わず目を丸くした。どの皿も山盛りで、家族の食べる量も尋常ではない。悠斗が普段通りのご飯の量を伝えると、黒岩本人だけでなく、お母さんや妹からも「少なすぎる!」「それじゃ大きくなれないよ!」と心配されてしまった。賑やかな雰囲気の中、悠斗は少し気恥ずかしさを感じながらも、温かい家庭の味を堪能した。
湯船での予期せぬ誘惑
食後、怪我をしている悠斗のためにと、黒岩が一緒に入浴することを提案した。広めの浴室ではあったが、黒岩と二人で入るとやや狭く感じられる。湯気が立ちこめる中、悠斗は黒岩の脱いだ身体を間近で見て、改めてその大きさに驚愕した。
引き締まった筋肉、日に焼けた色黒の肌、そしてワイルドに生い茂る体毛。手首はもちろん、視線を落とせばそこもまた大きく、黒々と存在感を放っている。まるで黒人のような、その野性的で力強い魅力に、悠斗は思わずクラクラとした。湯の熱とは違う、体の奥から湧き上がるような熱を悠斗は感じていた。
一方の黒岩も、初めて間近で見る悠斗の細い裸体に、内心激しく動揺していた。湯気に濡れた華奢な体に、自身のあそこが反応しかけているのを感じる。いや、もうすでに反応し始めている。理性で何とかそれを抑え込みながら、黒岩は優しく悠斗の背中を洗ってやった。二人の間には、熱い湯気とは異なる、禁断の空気が漂っていた。
ベッドの中の鼓動
体を洗い終え、黒岩は悠斗を自分の部屋に促した。黒岩のぶかぶかすぎるシャツを借りて身につけた悠斗は、怪我をした足を気遣うように、そのまま二人はベッドに横になった。黒岩のベッドはゆったりとしたダブルベッドで、二人で寝ても十分な広さがあった。
柔らかなシーツに身を沈め、目を閉じた悠斗。次に意識がはっきりした時には、黒岩の逞しい腕が自分の頭の下に回され、腕枕されていることに気づいた。
悠斗の心臓は、ドクン、と大きく跳ねた。すぐ隣からは、黒岩の規則正しい寝息が聞こえてくる。しかし、その体からは、まだ湯気が残るような温かい熱と、シャンプーの香りに混じって、先ほど感じた野性的���男の匂いが微かに漂っていた。
顔を少し上げれば、黒岩の顎がすぐそこにある。筋肉質な腕の硬さ、そこから伝わる脈打つような感触。まるで自分の心臓の音が増幅されたかのように、悠斗の耳には、トクトク、トクトク、という脈動が響く。緊張と興奮が入り混じったような、甘く重たい空気が胸いっぱいに広がり、息をするのも苦しいほどだった。このまま、どうなるのだろうか。悠斗の体は、黒岩の腕の中で、微かな震えを止めることができなかった。
黒岩の決意
悠斗の心臓の音は、腕枕をする黒岩の耳にも確かに届いていた。しかし、黒岩は寝息を立てることをやめなかった。悠斗が眠りについたと錯覚させ、警戒心を解かせたかったのだ。
黒岩はまだ眠っていなかった。むしろ、悠斗が隣にいることで、彼の体は一層覚醒していた。腕の中にいる悠斗の体が震えているのがわかる。その震えが、緊張からくるものなのか、それとも期待からくるものなのか、黒岩にはわからなかった。だが、黒岩の体はすでに限界だった。触れたい、抱きしめたいという衝動が、理性の壁を突き破ろうと暴れまわっていた。
彼は、悠斗の全てが好みだった。男らしい体つきでありながら、どこか幼さが残る顔。真面目で、少し不器用なところ。そして、自分のそばで鼓動を速めているその純粋な心。黒岩はゆっくりと、自分の呼吸を整える。今夜、このチャンスを逃すわけにはいかない。
甘いキスと、確かな予感
悠斗がふと横を見ると、そこに黒岩の視線があった。暗闇の中、熱を帯びた瞳がじっと悠斗を見つめている。
「え、なんですか?」
悠斗が小さく声を漏らした瞬間、黒岩の腕がゆっくりと悠斗の体を抱き寄せた。そして、唇に柔らかな感触。驚きに目を見開いたものの、そのキスは嫌ではなかった。むしろ、じんわりと胸に広がる温かさに、悠斗は嬉しさを感じた。
本当は、泰介とこんなことをしたかったという複雑な気持ちが胸をよぎる。しかし、同時に、憧れでもあったが怖くて近寄れなかった大先輩に、今、自分が認められているような気がして、心が満たされていくのを感じた。
黒岩の腰元からは、完全に勃ち上がったあそこがゴリゴリと悠斗の太ももに当たっている。その硬さと、身悶えするほど大きな存在感に、悠斗は黒岩の体の大きさを改めて実感した。
黒岩にとっては、この瞬間が毎晩夢見ていた現実だった。甘く柔らかなキスを悠斗が拒まなかったので、黒岩は確信を得た。ゆっくりと、黒岩の大きくゴツゴツとした手が、悠斗のシャツの裾から中へと滑り込んだ。熱い手が、悠斗の肌に触れる。そのまま背中を這い上がり、やがて柔らかな乳首を優しく撫でる。
黒岩の指先が乳首をくすぐるたびに、悠斗の体はビクビクと反応する。ゾクゾクするような快感が全身を駆け巡り、甘い息が漏れた。ゴツゴツとした大きな手なのに、その動きは驚くほど繊細で優しい。乳首が硬く盛り上がり、指が皮膚を滑るたびに、肌が粟立つのを感じた。黒岩の指が、ゆっくりと円を描くように乳首をなぞり、時折キュッと摘まむ。その度に、悠斗の喉から甘い声が漏れそうになるのを必死で堪えた。熱い視線と、指先の濃厚な愛撫に、悠斗の思考は溶けていくようだった。
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タッカー・カールソンインタビュー タルシー・ギャバード
「ディック・チェイニーの核戦争への野望と何故彼女がバイデン政権のテロリスト警戒者リストに載ったのか」
「これ以上無意味な戦争をする理由が何かありますか?」と発言したことで民主党のホープから危険人物に見なされる様になった
タッカー・カールソン:タルシー・ギャバードの逸話の紹介。彼女が下院議員に選出された時は新人議員で最も有名だった。民主党全国委員会の副会長でもあり将来の大統領候補として持て囃されるスター議員だった。1年半ぐらい経った頃シリアとの外交政策についての討論会があった。軍人出身で中東にも派兵されていた経験のある彼女がそこで言ったことは、「これ以上無意味な戦争をする理由が何かありますか?」というものだった。その発言をした15秒後に、彼女は民主党の日出の勢いのホープから危険人物で収監すべき人物と見なされることになった。
私はその場に居合わせたが、ことの本質がその時わかった。無意味な戦争をすることが重要なのだと。そこにはカネが流れ込むから。だからそれを妨害する人物は排除されるのだと。
もしあなたがそれを信じないのであれば、今日起こったことを見てごらんなさい。あの戦争屋のディック・チェイニー(共和党)と、娘のリズ・チェイニー(前共和党)がカマラ・ハリスを支持することを発表した理由を考えて下さい。
裕福な白人のディック・チェイニーと貧乏な有色人種のカマラ・ハリスの共通点は何か?彼らの共通点はどちらも戦争大好きなネオコンということです。
表向きの人種、ジェンダー問題は全て嘘ということの証明です。カネのためなら戦争で人が死んでも構わないと思う人はあっち側で、そう思わない人はこっち側です。人種も性別も関係ないのです。
それを証明したのがトランプ支持を表明したタルシー・ギャバードです。
ディック・チェイニーがカマラ・ハリスを支持したということの本質を見逃してはならないと思います。あなたはどう思いますか?
タルシー・ギャバード:カマラ・ハリスに投票することはディック・チェイニーを支持することに繋がるということを理解すべきです。過去20年間の中東での戦争のデザインをして中東情勢を混乱させてきた張本人です。
NYタイムズなどメディアがカマラハリスはまだ経験が浅いから政策が出てこないのだと彼女を擁護するのは興味深いですね、彼女が今まで3年半ジョーバイデンの副大統領だったことを忘れたかの様です。
彼女はディック・チェイニーが支持してくれたことを誇りに思うと言ったことを忘れてはなりません。ディック・チェイニーのおかげで死ななくて良い人が多数亡くなったのです。
タッカー:今民主党や共和党の水面下で何が起こっているのですか?
タルシー:ある意味の党派の再統合が起こりつつあるということでしょう。アダム・キンジンガー(共和党)、ディック・チェイニー(共和党)と、娘のリズ・チェイニーなどが胸を張ってカマラ・ハリスを支持すると表明したことはネオコンがこれからはいくらカネがかかろうともその結果がどうなろうとも戦争に走ろう、と言うことに躊躇いを感じなくなったということでしょう。
その一方で私やRFKJやその他の人々がトランプを支持しているのは全く異なります。我々は全てのことにつき主張が重なっているわけではありませんが、最も重要な点につき考えが一致しているから支持したのです。それはアメリカが自由で繁栄する社会であることと言う点で、それは戦争ではなく平和でなければ実現できません。
タッカー:2022年のウクライナ戦争の時にもそうですが核戦争が起きても構わないと思っている人とそうなってはならないと主張する人とが明確にわかる様になりました。あなたは後者であったが故にナチだとか言われて貶されましたよね。ワシントンの他の皆さんはどうですか?
タルシー:皆気にしていません。私は民主党の大統領予備選に立候補した2019~20年にその危険性を訴えました。核保有国の間での緊張が高まればその結果として核戦争に繋がりかねないと。2017年にはハワイにミサイル攻撃の警報が鳴り、核シェルターへ避難の指示が出たことがあります。今や米国本土にも到達するミサイルが多数あります。皆さん核ミサイル警報が出たらどうしますか?
核シェルターはありませんよね。全ての生き物が全滅してしまいます。今では核戦争の危機が嘗てないほど高まっているのに評論家がそのリスクを過小評価して軽々しく核戦争を語り過ぎます。
レーガン大統領とゴルバチョフ大統領はその危険を双方よく認識しており、1985年に共同声明を発表しました。核戦争が始まれば勝者は誰もいない。核戦争を目指してはならないというメッセージです。それなのに民主党、共和党にいるネオコンたちは核戦争になってしまいかねない第三次世界大戦を始めることに躍起になっている連中です。
タッカー:人の命を何とも思わない悪魔的な人たちですね?
タルシー:人々に不安や恐怖感を撒き散らすことによりカネ儲けをしようとしている人たちが世界には大勢います。
そして兵器を大きく、強力にたくさん作り金儲けをしていますが、核兵器は一発で広島、長崎に落とされた核爆弾よりも遥かに強力になっています。そのような核ミサイルが実際に使われたらどうなるか分かりますよね。あなたも私もトランプとはじっくり話しましたよね。トランプは戦争が起こらないように、核戦争が起こらないようにすることをしっかり理解しています。ここがカマラ・ハリスとの大きな違いです。
誰に投票するか迷っている人、トランプのツイッターとか言い回しが嫌いとか言っている人がいたらこう言って下さい。「これから私たちが生存できる能力が大統領によりどうなるのかについて考えて見ましょう」と。(続く)
(費府の飛行士)
(宮崎正弘のコメント)タルシー(トゥルシー)ギャバード元下院議員に関しては、小誌でも早くからその活躍ぶりと著作を紹介してきました。五月頃には畏友の渡辺惣樹が、トランプの副大統領候補にもっとも有力とまで言っていました。
次の閣僚人事で、なにやらサプライズが起こりそうですね。
詳しくは拙著新刊『アメリカは新南北戦争に突入する』(ワック)に書き込みました。9月27日発売です。まもなく予約募集を開始します。
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愛と遠視、傷と羽音
ここを開けるのは、久しぶりだ。
ここに載せてきたようなことは、特定の宛先なしにはもう、書かないかも知れない。そう思い、過ごしてきた。けれども再び開けてみるのは、魂が「必ず終わりをもたらしてやる」と私にかけた言葉が、最後の投稿(二年前)に置かれたままになっていたからである。
そのことは、ずっと忘れていた。それからふと、私の目に留まった。魂は言った通りのことをやってのけ、そして新しい生を贈ってくれた。その遍歴を語ることはできなくとも、しるしづけることはできると思う。
私は人と一緒にやるようになってから、今の自分の言葉でいえば、こんなことを探求してきた。小説と幼年の境界。小説と死者の境界。小説と観者の境界。小説と神話の境界。小説と肉体の境界。小説と因果の境界(準備中)。
さいごの「小説と因果の境界」は短いものだが、その時点の私にとっては極限だった。2023年3月に書き終えてから、文字通り彷徨った。多くのことに手をつけ消耗していったが、それらがいずれ小説に資すると、以前のようには思えなくなっても、自力では止まらなかった。だから、こころがブレーキをかけたのである。
もっとも状態がよくなかったときに、間一髪で(自分ではなく)世界を選んだ。
それまでは、自分というブラックボックスを通し、みるものに陰影を纏わせつづけていた。私の文について色々なひとが色々なことを言ったが、概ね共通していたのは、独特な結晶化作用があるということだった。確かに私も信じてきた。その陰影こそがやがて固有の輝きを露わにし、光を集めるのだと。それはしかし、かなり時間のかかる作用でもあった。誇張して言えば〈こちら側(この時)〉では、私はいつもほほえむだけだった。蜜蜂は、蜜を集めることが今を生きることであるのに、わたしはそういう成り立ちをしていなかった。
終わりをもたらすとは、このブラックボックスごと引き潮に渡すことを、決断できるということだった。そのとき圧倒的な苦しさの中で、光や風や、水を感じた。私は人に「生きているだけでいい」と何度も言ってきたけれど、自分自身にそう思うのは初めてだった。
それから、素晴らしいことが起こり始めた。
今日お話ししたいのは8月17日に、生まれ故郷がいつより美しい姿をみせてくれたことだ。冒頭に挙げたものたちと並行して、2021年秋から断続的に「小説ではない文」を書いてきた。その文はあれら境界のすべてと、そのほかの体験とを含んでいる。それがついに成り、人に託した翌日のこと。
私は文の主要な舞台のひとつである公園に行き、小さな川が池に流れ込む様子がよく見えるベンチに座った。文を送る際に添えたメッセージ――花が咲いていると、思わずきれいだねと話しかける身体について――を思い出しながら、樹々を眺めたり、サンダルのまま流水に入ったりした。
開いた本に、ある大小説で主人公が亡くなるのは、作者が次第に苛立ちをおぼえてのことだと言う人がいるが、小説家が主人公を愛さなくてあのようには書けぬ。と書かれていて、涙がこぼれた。
上空を涼しい風が吹きわたった。まるで巨大な湖をまえに、雨が降る先触れをきくようだ。30分はもつと思ったが、もっと早く降り始め、晴雨兼用傘をさしてベンチに陣取ると、叩きつけるようになった。それまで氷の入ったプラカップに麦茶を注いで体を冷やしていたが、飲み口の近くに雨雫が付けば楽しかった。化学繊維の軽いスカートは膝上まで濡れて、抱えた水草のバッグは暖かく守れていたから、真っ直ぐな大雨音は、そのまま安心と結び付いていた。
あめのひは、かさをさしてほんをぬらさず。地元の図書館が子供向けに貼りだしていたポスターは、なぜかブロントサウルスが直立歩行で傘をさしていたな…
後方の東屋を振り返ると、その向こうに誰もみていない空が出現した。
そんな空が、生まれ、住まいを変えつつ暮らしてきた人口の多いこの地に降るとは。山を登るときにだけみられる幻でなくなるとは。神代の、人の手付かずの自然であった頃にまで、生地は戻ることもできるのだ。その記憶の存在を私はしっかりと感じた。
動かぬままで雨が上がると、すっきりと遠くを見ていることに気が付いた。
ひとつ上の友人は、ゴルフを好きになってから視力が1.0に回復したといい、2.0ある同い年の友人は、私は本を読まないからだと結論するが、確かに読み書きを好む者の目は、遠くよりも近くを見ることに適応しやすい。
私の場合、いつも近くに対象物が入るよう、目が無意識に動いていた。一本道を歩くとき、街路樹や自転車や自販機を、たぶん本来は必要のない頻度で見る。身体は真っ直ぐに進みたいし、目も協調しているかのようにふるまうけれども、実は遠くを見据えると疲れるので、目は避けようとする。身体はそれを知っている。
このもどかしさが突然、消えた。目が遠くと和解していた。コンタクトレンズ装着時のような視力の上がり方ではない。あれは眼科医も友人たちも、生活に危険がないように、情報が沢山入るようにとすすめるし、私も長い間、そういうことだと思ってきた。近視は見えるべきものが見えずにつらいのだと。そうではなかった。
全力で書き切った文を贈り、生地が応えて記憶のかぎり遡ったから、私は見晴るかす、すべてがうつくしい、と話しかけていたのだ。それで遠くをみるのを畏れることがあろうか。自分の不調の解消や、情報の取得のためならば、ここに出ることはかなわなかっただろう。
歪みを、遅延を、細部をバネに跳躍するというやり方を手放さなければ、ここに来ることはかなわなかっただろう。だからこそ、話せるようになったのだし、それでも、書けるのだ。たぶん。
数日して、仰向けになった首の付け根で何かが羽ばたく夢を見た。蝉のように力強い振動に驚いた。整体師の方によれば、私の視力と幼い頃つくった首の傷には、なにか関係があるらしいのだが。
即時的にあらわれるものも、遅れを伴ってあらわれるものも、どちらも肯定しきるものを書きたい。それはパラレル・ワールドを時間的に翻訳したようなものになるのではないか。今はそのことだけを思っている。
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警察と検察が作り上げた事件に対し、裁判所が待ったをかけた。 2025年2月26日、生コン産業の労働組合「関生(かんなま)支部」の湯川裕司・委員長と武建一・前委員長への判決公判が京都地裁で開かれた。 恐喝や強要未遂などの罪で、懲役10年を検察に求刑されていた2人に対し、京都地裁は無罪判決を出した。 検察のストーリーは、「生コン会社の経営者で作る『京都生コンクリート協同組合』(京都協組)に対して、ストライキにより畏怖させ、解決金を脅しとるスキームを関生支部が持っていた」というもの。これに対し、川上宏裁判長は真逆の判断をした。 「畏怖に乗じて現金を脅し取ったなどとは到底評価できない」 判決を支えるのは、被害届を出した京都協組は関生支部と良好な関係にあったという事実と、ストライキは憲法28条で保障された労組活動であるという大前提だった。 これで関生支部への一連の弾圧における無罪判決は、7件延べ19人に上る。 「おっしゃーー! 」 午前10時3分、川上宏裁判長、檀上信介裁判官、中谷洸裁判官が入廷し、一礼の後に開廷した。 法廷の左右の壁面に設置されたモニターには、事件名と、「判決」の文字が大きく映し出される。 湯川氏と武氏に判決前の主張を確認し終えた10時8分、川上裁判長が持参したペットボトルの水を口に含み、告げた。 「両被告人はいずれも無罪」 モニターには「無罪」の字が表示された。 満員の傍聴席からは、拍手が湧き起こる。 「おっしゃーー! 」「当然や! 」 川上裁判長は「静かにしてください」となだめ、判決文の読み上げに移った。 ストライキは当然 川上裁判長はまず、関生支部について「産業別・職業別労働組合である」と定義した。 この裁判では、関生支部への一連の事件で唯一、労働法学者が証言している。元立命館総長・学長で、立命館大学名誉教授の吉田美喜夫氏だ。吉田氏は、産業別労組の役割と重要性をすでに説いている。所属企業を越えて連帯し、経営側にストライキなどの実力行使をすることによって、労働者の要求を実現させるのは当然だという内容だ。 そのことは、懲役10年という重い刑が求刑された最大の原因、通称「ベストライナー事件」への判断に影響した。 ベストライナー事件は、2014年8月に起きた。ベストライナーというミキサー車を手配する会社が解散する際、従業員の退職金や正社員化の約束を果たさなかった賠償金として、京都協組が関生支部に1億5000万円の「解決金」を支払った。 これが恐喝だと主張する検察に対し、川上裁判長はストライキの正当性について述べた。 「京都協組側が協定内容を履行しなかったことに応じてされたもの」 「そもそも、ストライキをはじめとする争議行為は、その性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ、その主張を貫徹することを目的とする行為であって、業務の正常な運営を阻害することはもともと当然に予定されている」 さらに川上裁判長は、ストライキは京都協組が約束を守らなかったから実施されたのであり、「自然なこと」と述べた。ストライキの際も言い争いすらなく、畏怖などさせていないと判断した。1億5000万円という金額も、過去の労働争議に比べて高くはないと評価した。 京都協組は被害者どころか関生支部と協力関係 もう一つの恐喝事件、「近畿生コン事件」では京都協組の理事だった久貝博司氏が、関生支部の被害者どころか協力者であったことが、無罪の根拠となった。 近畿生コン事件は2016年11月に起きた。京都協組加盟の近畿生コンが突然、破産申し立てをしたのを受け、6000万円の解決金を京都協組が関生支部に支払った。破産手続き中の従業員の給料や、近畿生コンの工場が京都協組に加盟していない業者に渡らないよう関生支部が占拠したことへの対価だ。占拠が必要だったのは、京都協組に未加盟の業者が操業すると、生コンの安売り合戦が始まりかねないからだ。京都協組と、労働者の賃金水準を維持したい関生支部双方の利益にかなう。占拠自体、未払いの賃金や退職金を確保するために労組がとる手法だ。 この事件も検察は、関生支部が京都協組を畏怖させたと主張していた。 しかし、川上裁判長は両者が協力関係にあったと指摘した。 「京都協組の理事らにおいては、関生支部によるプラント占拠を京都協組の利益や目的に沿うものと受け止めていた」 検察の拠り所は、京都協組の役員を務め、関生支部との窓口だった久貝氏が「被害者」であることだった。それを裁判所がひっくり返して、久貝氏は関生支部と良好な関係にあったことを認めたのだ。 久貝氏が警察と検察に威迫され、被害者の立場に転じたことは、「【作られた京都事件 -前編】犯罪者に仕立て上げられるか、嘘の供述をするか/関生支部を告訴した経営者の無念」で報じた通りだ。 「労組活動に一層の確信」 湯川氏は、法廷に入ってきた時の川上裁判長の柔らかい表情を見て無罪を予感した。和歌山での事件について、大阪高裁で無罪判決が出た時も、裁判長の表情が柔らかかったからだ。あの時、和田真裁判長は労働組合の権利を保障した憲法28条を根拠に無罪判決を出した。 無罪判決後、湯川氏は支援者の前で「素直に嬉しい」と語り、今後も闘い続ける覚悟を示した。 「ここからがスタート。関生支部に対する反社会的勢力というレッテルを払拭し、産別労組の運動を根付かせていく」 関生支部の組合員たちも、それぞれに喜びを語った。 書記長の細野直也氏。 「検察が自分で作ったストーリーで起訴してきたのに対して、事実はそうではなかったということを、裁判所が認定してくれました」 「そもそもストライキには、交渉のために経営側に圧力をかけることが含まれていると、裁判所が認めてくれたんですよね。自分たちの活動が正しいということに、より一層の確信が持てました」 組合員の小見薫氏は、自身も逮捕・起訴されたことがある。社員の待遇改善を経営側と交渉する中で、給料などが記された資料6枚を印刷して持ち帰ったことが「窃盗」の罪に問われた。 小見氏は「無罪判決を聞いて、嬉しいよりも先に、ほっとしました」と述べ、こう続けた。 「検察はもっともらしい主張をしてきましたが、裁判官は『しかしそれは』と全てをひっくり返していった。裁判官は、きちんと事実関係や証拠を見てくれたと感じました」 「今日の判決で、労働運動は正しいということが証明されました。これまでの弾圧では、自分も含め有罪になってしまった組合員がいるけれど、今後はそういうことがなくなると信じています」 副委員長を務める松村憲一氏は、今回の弾圧のターゲットにされた。強要未遂や威力業務妨害の容疑で2回逮捕・起訴されたが、2件とも無罪が確定している。 「労組活動なので無罪は当然とは言え、今日の判決には素直に喜びました。自分が無罪になった時よりも嬉しかったです」 「向こう(警察・検察)の狙いは、組織の委員長ですから。身柄を取ることで組織に痛手を与えられますし。でも、検察の主張を全否定するような判決だったのでよかったです。流れが変わってきていることを実感しました」
無罪判決! /懲役10年求刑された関生支部委員長に/京都地裁「関生支部は産別労組」、恐喝とは「到底評価できない」 | Tansa
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250611 OVERLAP #2
もう、ぜーんぜん 格好悪い人への同情や興味なくなっちゃったな
たぶん、もうどう転んでも、例えホームレスになろうが片目失おうが今のメンタリティが失われない(=固定化した)って感覚があるからだろう
もとい、こっちが素で、長らく妻の為にヌケサクメンタルを「デザイン」し続けてただけ
----------------------- 【強者が自分を選んでくれるのは嬉しいが無視されるのはもっと嬉しい】
今の私は20代前半で現場の人々全員から嫌われながら新川さんに「いいじゃんいいじゃん」言われ小島監督から「ジュンタロウ!」って声かけてもらってた「青い私」の延長線だ
「お前はその椅子にふさわしくない」というメッセージを言外に突きつけてくる、先人への敬意に満ちた職人めいた人々のジェラシーには散々振り回された
でも、結局無視して人生楽しんじゃうんだよな、私
妻の言う事聞いてたのはその縛りを受けてでも享受するに足る「幸せ」があったから
いいねぇ... 人並みの幸せ
妻はアーティスト気質な割には家庭というものを大事にしたがる人だった。それは自分が欲しても得られなかったものだからだろう
私は結局、そこまで家庭というものに執着できずじまいだったな
普段イキってる癖に「弱い者」見つけると途端に優しくなって、対象が再び強さ取り戻すと「あんたなんかもういらない」ってなるの、それただ「弱者をポルノとして消費してるだけ」だかんな?
弱さフェチのやつらはその自分の身勝手さと下品さを少しは恥じろよー
私は妻が強者になっても「ずっと好きで居続けた」と思う
ただ、そうなると「憧れと畏怖」が高まりすぎて一緒にはいられなかったと思うけど...
私は人を尊敬しないよう常時「精神抵抗」続けているが、あまりにも図抜けた魅力とパワー持つ人間には普通に敗ける
要するに「大好き」になっちまうし「尊敬」しちまう。クッソ悔しいが、そう
私に好かれて相手が迷惑だとかそんな事どうでもよくて「畜生! 私今こいつに惹かれてる!!」ってなる
そしてそういう人がいるからこそ、人生は退屈しないのだと思う
つまり、私は「私が傍に居続けることができないレベルで私を苦悩させる人々」の事が好きで好きでたまらないんだ
妻にもそういう「眩い光」であってほしかったが、まあそれはあくまで私の理想であって妻にとっての理想ではなかった
----------------------- 【恵まれた立場に生まれたからこそ不幸を楽しめる】
全員と和解できたり、自分の好意がすんなり通ったら世界は全然面白くねーっすよ
まあ、元々恵まれた立場だったからこそ「贅肉を捨てたくてたまらない」だけだと思います
一度も満足に飯食ったことないやつはとりあえずお腹いっぱいにするのを目標にするもんな
私は別に国から「明日キミ死刑ね」言われても「そっすか(特に異議なし)」ってテンションで生きてるが「まだ味わったことのない空腹感」ってもんは常に欲している
「この飢餓感、いつものと違う!」あるいは「とっくに失ったと思った屈辱感!」ってものを感じると俄然ワクワクする
強くなるってのは刺激に慣れるという事でもあるので気を抜くと人生が速攻退屈になる
だから自分のレベルに応じた「負荷」を常に能動的に摂取していかなきゃならない
----------------------- 【負荷を味わうためだけに距離を詰める】
んで、だ
「人間関係」がないところに負荷はないんすよ
知らない人間が成功してても悔しくないけど知り合いや家族が成功すると「自分もそれやりたい!」ってなるでしょ?
そしてそれができないと「自分はなんて情けないんだ!」って思う
それ全部ただの錯覚です
元々その身近な人間の運か実力が「図抜けて高かった」だけっす
けど、人間は身近な他者を「陳腐化 / 矮小化」して捉える習性があるんで身近な人々が成功すると「なんで??」ってなる
理屈でわかっていてもそうなる。なら、逆にそこら辺の有名人を「身内」だと思っちゃえばいい
そしたらいくらでも悔しさ食べ放題っすよ
その負荷を利用してどんどん自己投資して強くなっていきゃいいだけ
「弱くなることで得られるボーナス」って、男性の場合はほぼ無いっすからね
なんかもー見た目完璧に女の子みたいな男性じゃない限り(に、したって年齢限界あるわ。40過ぎたら男女ともに可愛さと弱さのみを武器に据えてサバイブすんのは難しい)
私なー、50代のブリジットとか観てみたいもんちょっと
今の設定だと性適合手術しちゃってるんだっけか? それとも性自認が女性ってだけだったか?
いずれにせよ年食ったブリジットには中年ドラァグクイーンみたいな哀愁漂わせててほしいっす
----------------------- 【女性ホルモンという鬼ハンデ】
30代前半でも身体もっちもちで声も完璧に女性のそれな男性いるけれど、やっぱホルモン剤打ってんのかな
女性ホルモンってものは男女ともに精神を超・不安定にさせる
だから閉経後の女性は女性ホルモン分泌減って相対的に男性ホルモンが増えるから精神めちゃくちゃ安定する(これがオバチャン化を促す)
精神不安に悩まされる女性はある意味そこ(閉経)まで生き延びてみなきゃ人生の「当たり外れ」は分からない
男性の肉体持ってるユーザーはそれだけで「チート」なんすよマジに
ほんっとーに安定性あるから
女性は常に「半分壊れた車」で競争に参加している
ガソリンから何からダダ漏れだし、電気系統も異常動作起こしまくってる。計器の数字が当てにならない
第二次性徴迎えたあとの女性は閉経するまで全員そう
それを理屈じゃなく「感覚」として実感できるようになると女性の肉体は男性と比べて「ほぼ病人レベル」って事がよくわかる
逆に女性の(生理に苛まれる)肉体をデフォとして扱ったら男性の肉体というものは「健康&頑丈すぎる」と言えるだろう(車種としてはハマーかなんかかな?)
だから弱者男性はバカにされる。お前の精神はどんだけハンデつけりゃ戦えるんだよってな。「全然壊れない燃費いい車」に乗ってんだぞ、女性と比べて。「モテない男」ってまずそこからして理解できてないし異性のボーナス部分しか観ることができない
すぐ壊れる繊細な美プラよりちょっとブサイクなリボルテックの方がブンドドできるし「遊び代(しろ)」あるだろ! 両方触ってみないとその感覚わからないもんだけどな(写真だけ観てたら繊細美プラの方が欲しいって普通は思っちまう。そーいうのって飾っとく分にはいいけど遊びづらいんだよ 実際手に取ると)
うーん。って事で、我々が乗ってる車両のお話でした
どうせ死んだら返すレンタカーなんだし、頑丈な車借りてるやつはめちゃくちゃやって遊んどけ!
【✓】
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20231103 文化の日、快晴
このところずっと天気がよい。あまりにも雨が降らないおかげであちこちカラカラである。今年の秋は台風がきていない。発生しても日本列島にまであがってこない。気温も連日25℃をこえている。 文化の日という祝日は、日本国憲法が公布された日である。古来は天長節、明治天皇の誕生日にあわせ、新暦のこの日と明治節と定めた。そして戦後においてわざわざこの日を日本国憲法の公布日としたのは、明治節を祝日として残したいという政府の思惑と、日本という国が戦争を放棄した平和国家に生まれかわる、というつよい願いの入り混じった結果である。 でもそういうことはあまり現代では知られておらず、何か文化的なことをして過ごす日、と漠然と認識されている。文化的な行いを為すには、世の平和によって担保される必要がある。現実において、殺し合い、破壊の応酬をおこなっているような地域では、そんな余裕は生まれない。理想と社会的な現実は大きくちがうのかもしれないが、それでも「理想」を思いうかべることのできる能力を人間は持っているのだから、それを追い求めることは可能である。 夫鳥俛而啄、仰而四顧。夫獣深居而簡出、懼物之為己害也。猶且不脱焉、弱之肉強之食。(韓愈・『送浮屠文暢師序』より) いわゆる「弱肉強食」の出典とされる鳥や獣が捕食活動をするさまを描写したところだが、食物連鎖の一部をとりあげたもので、それは肯定も否定もされるようなことがらではない。生存競争という字句には勝者や敗者という価値判断を含まない。ルールを整備し、誰もが気持ちよく生きてゆけるようにつかえるだけの知能をもちながら、それをあえて見ないふりをしてゆくというのは、なんとももったいないことだと思う。 紅葉がいくらかすすみはじめた。京都の風景が、いちばん美しく映えるのは、この時期、これからという人は多い。春は霞み、夏は暑すぎる。冬は彩の多くを失う。秋がよい。 当然のことながら、観光客がふえてきた。海外からもたくさん来ているし、道路を走っているクルマも他府県ナンバーが目立つ。新聞には毎度のことながら観光公害を危惧する記事が週に一度は掲載される。市バスは観光スポットのみに停車する急行バス導入をきめ、巨大な手荷物持ち込み対策もすすめようとしている。京都駅からの乗合タクシー運用も試験的にはじまった。それでもあちこちで、いろいろと問題はでてくる。問題の根幹は、観光客がふえることで利益を得られる人と、迷惑をこうむる人が別々であるという点にある。地元以外の業者の進出も、コロナ禍をうけてさらにすすんだ。 実際のところ、海外から観光に訪れる大半の人たちのマナーはそんなに悪いものではない。たまに、文化的なちがいの何かが目だつだけである。(あとはサイズの問題)。ちゃんと説明して呼びかければ、ほとんどの場合は通じる。 そうやって文化的な交流がすすめば、先々の思わぬいさかいは減らせることができる。知らないから畏れる。敵対するよりも仲間となるほうが、はるかに生存にかけるコストは小さくすむ。場合によって統治者は、共通の敵を設定することによって生まれる集団の結束を利用し、統治コストを落としたいと願うことが��るが、それは統治者のエゴである。文化とは非権威主義的なものである。人が人を支配することに、根本的に抗議するものである。 文化の日に思う。
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波に乗ろう: スリル満点のグアム バナナ ��ート アドベンチャーが待っています!

美しいビーチと透き通った海があるグアムは、冒険好きのパラダイスです。グアムで最もエキサイティングなアクティビティの 1 つは、スリル満点のグアム バナナ ボート ライドです。グループ、家族、冒険好きに最適なこのウォーター スポーツは、島のきれいな海を滑るように進む忘れられない体験を提供します。グアム バナナ ボート ライドが絶対に試すべき理由を詳しく調べ、グアム旅行を特別なものにするその他のアクティビティを探ってみましょう。
1. グアム バナナ ボート ライドがスリリングな理由
グアム バナナ ボート ライドは、参加者がスピード ボートに引っ張られたバナナの形をしたインフレータブル ボートに乗るエキサイティングなグループ アクティビティです。スピードが上がるにつれて、波を乗り切り、バランスを保ち、仲間と笑いを絶やさず共有しながら、アドレナリンが急上昇するのを感じるでしょう。
このアクティビティはあらゆる年齢層に適しており、水上での楽しみや冒険を求める家族やグループに最適です。スピード、水しぶき、景色の組み合わせは、グアムへの旅行の忘れられないハイライトになります。
2. グアムツアーで体験を充実させる
バナナボートアドベンチャーとガイド付きグアムツアーを組み合わせて、島の美しさと文化に完全に浸りましょう。歴史的建造物から景色の美しい展望台まで、これらのツアーは探検とリラクゼーションの完璧なバランスを提供します。陸と海のどちらを好むかに関係なく、グアムツアーは島の豊かな歴史とのより深いつながりを保証します。
3. グアムボートシュノーケリングで海に飛び込む
バナナボートに乗って興奮した後は、穏やかなグアムボートシュノーケリング体験でゆっくりしてください。色とりどりの魚やサンゴ礁が生息する活気に満ちた水中の世界を探索してください。シュノーケリングは、グアムの海洋生物の美しさを鑑賞する素晴らしい方法であり、平和でありながら畏敬の念を抱かせるアクティビティを提供します。
4. グアムのイルカウォッチングツアーで海洋生物に驚嘆
もう 1 つの必見アクティビティは、グアムのイルカウォッチングツアーです。自然の生息地で遊ぶイルカを観察できます。心温まるこの体験では、グアムの静かな海でボートに乗ってリラックスしながら自然と触れ合うことができます。
5. グアムのジェットスキーツアーで冒険を盛り上げる
スピードと興奮を求める人にとって、グアムのジェットスキーツアーは究極のウォータースポーツです。隠れた入り江や美しい海岸線を探索しながら、海を疾走するスリルを味わってください。グアムのアクティビティの旅程にアドレナリンを一気に加えるのに最適な方法です。
6. グアムのプライベートボートチャーターツアーで贅沢を満喫
よりパーソナライズされた体験をお望みの場合は、グアムのプライベートボートチャーターツアーを予約することを検討してください。バナナボート、シュノーケリング、イルカウォッチング、または単に豪華なボートでリラックスするなど、旅程をカスタマイズできます。この特別なオプションは、カスタマイズされた冒険を求めるカップル、家族、またはグループに最適です。
グアムのアクティビティにビキニ アイランド クラブを選ぶ理由
ビキニ アイランド クラブでは、爽快なグアム バナナ ボート ライドなど、グアムで最高のアクティビティを提供できることを誇りに思っています。経験豊富なチームが、すべてのゲストに安全で楽しく思い出に残る体験を提供します。装備からプロのガイドまで、シームレスな冒険に必要なすべてを提供します。
今日からグアムの冒険を計画しましょう!
グアムのバナナ ボートで波に乗ったり、透き通った海でシュノーケリングをしたり、プライベート チャーター ツアーに参加したり、グアムでは楽しさと冒険の無限の機会が提供されます。忘れられない体験のための信頼できるパートナーであるビキニ アイランド クラブを予約して、島での休暇を最大限に活用してください。
#Guam tours#Guam activities#Guam banana boat#Guam boat snorkeling#Guam dolphin watching tour#Guam jet ski tour#Guam private boat charter tour
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20240523
なんとなく久しぶりにログインしてみたら、ここに日記を書いていたことを思い出した。
最後の投稿が2017年だから7年ぶりですってよ。
7年かぁー。振り返ると結構色々前に進んだと思う。これからも歩みを止めないように日々成長していこうと思う。
Xもインスタもblueskyもやっているのに、ここに何か書き留めることなんてあるのだろうかなんて思ったりもする。まぁまた明日からログインすることなんてないのかもしれないし。
今ある仕事に、家族に、そして大切な人に感謝。あと謙虚。それと畏怖の念。
自分が一番偉いと思ったら終了だと自分に言い聞かせながら。寛容さと敬虔さ。謝るべきときはしっかりと謝る。
そしてなにより大事なのは、疲れたときは眠ること。休息に罪悪感を感じることはない。
そんなことを少しずつ積み重ねながら生きていきたい。
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今泉影狼と「千疋狼」類型について
輝針城のわかさぎ姫とばんきちゃんは西洋妖怪もモチーフにした日本妖怪(よくミイラになってる人魚とマーメイド、飛頭蛮とデュラハン)ってことらしいけど、影狼だけストレートに人狼(ワーウルフ)
でも実は日本にも人狼の伝承が残ってる
「千疋狼」類型って言われるんだけど、
ある夜、主人公がケモノの大群に襲われて木に登る
そうするとケモノ達は肩車し始めて迫ってくる
ただし後一匹分届かない
ほっとする束の間、ケモノ達は「⚪︎⚪︎の婆を呼べ!」と言い始める
やってきた妖怪はいかにも親玉らしい
しかし登り詰めてきたその親玉妖怪も木に取り付く前になんとか短刀で撃退する
明る朝、親玉妖怪の血痕を辿っていくと一軒の住まいがある
住まいのあるじに話を聞くとそこのお婆さんが咲夜事故で怪我をして寝込んでいるという
寝込んでいるお婆さんを改めると親玉妖怪の正体を表し、本物のお婆さんはずいぶん前に取って喰われていたにだった……というあらすじの話
ケモノの種類だとか、親玉妖怪の正体だとか、細かいマイナーチェンジが加わりながら全国的に見られる伝承なんだけど、親玉妖怪の仮初の姿が女性で、肉食獣を引き連れてるっていう点は共通してる
その意味で西洋妖怪の狼“男”ではなくて、狼“女”な影狼が日本ゆかりの妖怪といえるのかも知れませんね
さて、何故「千疋狼」類型でそれら共通点=特徴が見られるのか
その答えになりそうなヒントは「千疋狼」類型最も有名なバリエーションのひとつ、「鍛冶が嬶(ばば)」
ケモノは狼で、カジガババも老狼の化生で、これが鍛冶屋のお婆さんになりすましてる
この話、鍛冶屋の要素、正直言って要りませんよね?
なのに鍛冶屋の要素を入れたってことはこの話の成立に不可欠だったってことです
まずは前提として
日本には「野干」というケモノの概念がありました
元はインドや中国でジャッカルのようなケモノを指す名前でしたが、日本に入ってくる際、ジャッカルがいないもんで、ぼんやりキツネやオオカミのようなイヌ科のケモノを指す言葉となりました
「千疋狼」類型に出てくるケモノ、これはつまり「野干」のことでしょう
ネコのバリエーションもありますがまあ島根とかで語られるパターンなんで、適当な島根県民の言うことですし置いておきましょう
次に鍛治の神様について
ひとつ目おばけの元になった天目一個神も有名ですが、「金屋子神」という女神様も鍛冶の神として厚く信仰されています
この女神様、特徴的な点がありまして、キツネやオオカミに乗ってる
はい「野干」ですね
この女神様、死体が好きだとか祟るだとか結構おっかない神様なんですけど、
ここら辺の畏れが源泉となり、鍛冶屋のお婆さんがオオカミを操る……という「千疋狼」類型は生まれたのではないでしょうか
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クリエイティブでカラフルなプリキュア!
これは非営利のファンメイドによる書籍形式のプリキュアシリーズです。プリキュアシリーズは東映アニメーションの財産です。正統なシリーズを応援してください。
「できた!!」
小柄な金髪の幼稚園児、さくらけいこちゃんが笑顔でクラスの前に立ち、手に持った紙をめくると、自分が描いた絵が現れた.
雑然とした庭の絵。三角形が草のようで、オレンジ色の棒に紫色の塊が木として描かれ、ターコイズブルーの空にはバナナとサクランボが浮かんでいる。少なくとも、バナナとサクランボなのかもしれない。紙の上で見ると、緑とピンクの線のようにも見える。
「外の庭よ!」 とケイコは興奮気味に言った。そして「木」を指差して、「見て!ピンクの木よ!きれいでしょう?」と言った。
彼女は他の子供たちの沈黙の中で返事を待ちます。
すると誰かが「あれは木じゃない!ブドウだよ!」と叫びます。
すると、笑いが湧き起こります。
「枝も葉もないよ!」
「バナナは緑色じゃないよ、バカ!」
「それは果物じゃない!塊だ!」
「果物は飛ばないよ!」
「それは青空じゃないよ!」
からかい合いの会話はしばらく続き、一人を除く全員が指さして笑いながら、ケイコの絵がどれだけ下手かを延々と語り、ケイコ自身と絵を笑いながら笑っていた。
ケイコはその場に留まり、笑顔はますます作り笑いになっていく。笑い声と侮辱の言葉が頭の中に吸い込まれていく。彼女は硬直し、教室の淡いヴィンテージ調の色合いは薄れ、笑い声はますます大きくなる。紙に置いた手は震えている。
「それは芸術じゃない!ゴミだ!」
その最後の侮辱は小さな子供をすすり泣かせます。
「おい!もういい!もういい!」先生の優しい声が聞こえたが、ケイコの耳には雑音のように聞こえた。「優しく話すか、何も話さないかのどちらかだ。さくらに謝って――」
ケイコはすでに教室のドアを飛び出して逃げ出しました。
「さくら!!」
ケイコは小���な校舎のドアからよろめきながら出て行った。階段を下り、レンガ敷きの道を駆け下りる間、涙以外のことには何も注意を払っていなかった。
彼女はつまずいて膝を打撲し、あざができた時にようやく立ち止まった。写真を胸にしっかりと抱きしめ、まだ泣き続けている。
再び顔を上げ、目を拭うと、彼女は自分が学校の近くの畑の脇の歩道にいることに気づいた。彼女は実物を見つめ、それから写真を顔に当て、そしてまた実物を見つめた。
その木は丸くも茂りもせず、枝いっぱいに淡いピンクの花びらが四方八方に広がり、その一部は落ちて柔らかな緑の草の上へと舞い落ちていく。
確かに、果物は飛びません。
確かに空は青いですね。
彼らは正しかった。
ケイコは、涙が落ちた自分のぐちゃぐちゃな絵をじっと見つめている。彼女の作品はひどい。ひどいものだったら、芸術を作る意味なんてないだろう。
「やあ、坊や」
鋭い爪が皮膚に食い込む手で恵子の顎が上がる。
女性は灰色の肌色で、背後に黒い髪を乱雑に垂らし、太陽の光を遮っている。鋭い歯を見せてケイコの目を見据える。
恵子は、目の前にいるこの女性の姿が気に入らないと泣き言を言った。
女性は「素晴らしい創造的な取り組みですね、ぜひ見たいです」と言いました。
女性の手が恵子の顔に伸びる。その動きに続いて、恵子の胸に痛みがこみ上げてくる。
最後に彼女が見たものは、彼女のバージョンのすべてが灰色に変わり、何かが引き裂かれるかのように胸が燃え、暗闇しか見えなかった。
彼女は動けなかった。
彼女は叫ぶことができなかった。
"停止!!!"
突然、オレンジ色の光が点滅した。ケイコは何も見分けられなかったが、明るいオレンジ色の光と、目の前に誰かの影が見えた。
「これは取らせないぞ!」少年が懇願する。
女性の声が嘲笑う。「もう何年も使えるインクがあるのに、なぜこんな無意味なことをしろと言うの?」
オレンジ色の光がより明るく輝き、少年は彼女の発言に衝撃を受けたようだ。
彼女は嘲る。「あなたはこの世界に一人残され、誰もあなたのような人間を気にかけないわ。新しい姿ではなおさら。価値のない動物よ。もう二度とあなたの泣き声を聞くことはないわ」
感情を表せるのは思考だけだったケイコは、その言葉を信じずにはいられなかった。みんなが彼女の絵を見て笑っているのに、一体誰が彼女の作品に関心を持つというのか?誰が彼女のことを気にすると言うのか?
「それでも……この子を連れて行くわけにはいかない!」
そこから恵子ができるのは、震えながらも言葉に自信に満ちた少年の声を聞くことだけだった。
「勝てません。魂の創造性を奪うことは決してできません…それは素晴らしい祝福です。そしてこの子たち…この子たちは…私が亡くなった後も情熱を追い求めるでしょう…そして、愛するものを決して諦めません。彼らは世界のために絵を描くでしょう!」
青い光が影を覆い、オレンジ色の光を消し去り、漠然とした悲鳴が聞こえます。
ケイコの目が覚めた。辺りを見回しながら、彼女は草むらに転がり落ちた。何が起こったのか、ただの夢だったのか、それとも全て現実だったのか、ケイコには分からなかった。
彼女の前にはもう誰もいません。ただ、畏敬の念を抱きながら青い空を見つめる彼女と、ぎこちなく震えながら通り過ぎるオレンジ色の鳥だけが残っています。
彼女は涙を拭って受け入れた。この不思議な声が正しいと知っているからだ。
彼女は誇らしげな笑みを浮かべて、再び絵を手に取りました。
「さくら!!」先生が駆け寄ってきて、さくらを見つけた。いつものように安心した様子で、さくらを抱きしめる。「大丈夫?!そんなに飛び出さないで!」
ケイコはただ空を見上げて、もういなくなってしまった鳥を探すことしかできなかった。「鳥?」
「学校に戻ろうね。戻ったらすぐにクラスのみんなで謝るからね。」
先生はケイコの手を取り、学校へ連れて帰りました。ケイコは空いている手で微笑みながら手を振り、「じゃあね、鳥さん!」と言いました。
彼女は何人が笑おうと気にしない。自分の情熱を追い求めるつもりだ。
どういうわけか、彼女は偉大な芸術家になるでしょう。
彼女はこの世界のために絵を描くつもりです。
エピソードは2週間ごとに公開されます
エピソード1全編は6月20日(英語版)と6月21日(日本語版)に公開されます
AO3、WATTPAD、FANFICTION.NETでも両言語で利用可能になります
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脳内の換気をしたくて、黙って他人と話したい。爆発的な衝撃、吹っ飛ぶほどの忍耐を、どうして発生させるのかをわからないでいる。
未知なることへの探究は、脱力して、深呼吸をすることでしょうか。毎日同じ名詞のある物体に、意味を持たせてみることでしょうか。
知らなかった文字列を辿り、ようやく顔をあげる頃には、もう治まっている。
ある人に、あなたは話が飛躍するから主語を入れて下さい、と言われて、その癖をなおす前に、ところで、話が飛ぶんだけど、と付け加えるようにしている。畏まった場所で話題について長らく話を聞いていると、話が変わっていない人が何を話しているか分からなくなる事がある。明晩に、もう一度内容を訊く予定で、録音の許可を得た。
お便りの交換をしている人が、最近文章の最後に「では、またね!」と書いてくれる。その人は、“1kgのグラニュー糖を盛大にこぼしてしまって、みっちり入った砂糖袋に空気を入れるには上の方を爪楊枝で刺すといい、と教えてもらったので、今度は失敗しません”とか、“楽しみなことが見つからずに困ったので、みつからないと書いています”とか、毎月起こった事を丁寧に書いて送ってくれる。やさしい気持ちを取り戻す為に、こういうことを交換したい。たらればを引きずりながら、毎日を過ごしています。
一日中、ケーキやクッキーを焼いていたいな。一ヶ月何も気にせずスウェーデンに行きたい。縁側で西瓜を食べたいし、山口県で一軒家を借りて野菜を育てたい。ピアノを持っていって子どもたちと遊びたい。電車の音を聞きながら、知らない人が街にいることに泣いたり眺めたりしたい。いつかできるかもしれないし、一生できないかもしれない。やりたい事を出来ずにしんでもいいかもしれないことを、亡父に教えてもらっている様な気持ちになっている。
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ポケモンSV!🌸スグリがいっぱいコレクション編🫐
追記:幾分か読み易く再編集️しました📝🐱
👆おむらぁいすに貰ってた猫ミームミータマ(可愛い)
👆ダチ達と過ごす美しき日々(ワロタ)
拙者てゃ、けーちゃん、おむのイツメンすこすこ侍。
✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。
おはこんハロチャオ! ᕲ(˳⊙̿͆˳)ᕳ みーくんです( ΦωΦ )
*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜
おいッ‼️みー太郎テメェッ‼️忘れてねぇだろなァ⁉️😡👇
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👆覚えとるよ🐈⬛🎶 ホントォ?>😅
上記のような口約束は簡単に責任を作れる呪いの言葉なので迂闊に発しない方が身の為というのが今回の教訓です。ッてもスグリはやっぱり可愛いので久々に記事を書いてくぞ‼️ほぼ三ヶ月近く空けやがってよ‼️
youtube
👆マジでこれといって特に見所が無いミー太郎VSスグリ戦(30秒録画を継ぎ接ぎしてるのでお見苦しくてスマソ)
さっそく完走した感想なんですけど僕はね、これでもちょっと重めの記事を書こうとしていたんです。藍の円盤がね、まぁ結構ね、重かったじゃないですか。スグリに感情移入が出来るか否かで大分その辺の受け取り方は変わって来るとは思うんですが。人によっては最悪ただの拗らせちゃった子で印象が終わってしまう場合すらある。
だからね一応、本当は真剣にド真面目な記事を書こうとしていたんです。していたんです。(過去形)
番外編を遊ぶ前までは。(キビキビ)
✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。
番外編はキタカミが舞台として戻って来たのもあって、藍の円盤の補足でスグリ休学までの過程に対して匂わせ程度でも仄暗い話も来るかな?って身構えてたんですよね。とはいえ流石にスグリにスポット当たり過ぎかとも思ったので、あくまでメインはホームウェイ組で三人がスグリに助言してくれたりするのかな?とか。
したらね。唐突にギャグホラーが始まるもんだから温度差でブッ倒れたミー太郎はキタカミの公民館に用意された自室に戻り、畳の上に敷かれた質素であるが清潔な布団に潜り、瞼を閉じて深く深く考えた…
―…スグリ、俺らって本当に色々あったし…お前の事、俺なりに寄り添って沢山考えてみていたけど…―
畏まった堅苦しい言葉の羅列を並べる段階は、とうの昔に過ぎ去ったもので、そんなちんけな文字よりも今必要なのは前を向く事なのだ。スグリにも。俺にも。
スグリ、俺はさ…―――
お前が笑って明日を迎えてくれるなら、それで良いよ。
✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。✻*˸ꕤ*˸*⋆。
感動の再会。挨拶がてら猫吸い宜しくスグリ吸い。髪型そのままなんかーい。
番外編はホームウェイ組メインかと思いきや割とガッツリとスグリが関わってて笑ってしまったが、そういや藍の円盤だと闇堕ちスグリとはそれなりに関わっていたものの光堕ちスグリとは一瞬しか絡めてなかったもんな…お前気づいたら失踪(休学)してたもんな…。
ここの掛け合いザ・少年漫画のようで大変◎‼️心做しかスグリも主人公に頼られて嬉しそうに見える!
前述でギャグホラーとは書いたものの、おばあちゃんのお餅催促のくだりとか要所要所では従来通り怖い演出を踏襲して来るのは流石ゲーフリ。子供泣くぞ。
特にお餅は「ひぐらしのなく頃に」のおはぎのくだりを思い出した平成生まれトレーナーは多かったのではないか。
tumblrで画像付きの記事を書いた事あるブロガーの皆様なら薄々この詰めッ詰めな画像見て察してらっしゃるかと思うのですが画像転載数がとうに上限の10枚超えてるのでもうこの記事は限界です。そんな…!🐣
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ホームウェイ組に触れれてなかったが、ペパ先は愛が重くて刺さる人には刺さった男だろうなと思うし、ネモちはヒソカネモちのままで実家のような安心感があったのと要所要所で育ちの良さが垣間見れたのがポイント高かったし、私的にMVPだったのはボタちゃんで主人公ん家のオヤツに駆け寄る程はしゃいでたり、礼儀が少々なってない場面でペパ先に窘められたりとメスガキ過ぎて可愛かったのでホームウェイ組で最初に特別講師に呼んだりしてました。ボタちゃんの特殊会話での主人公へのお礼もまた良いんだよな(涙) まあ結局三人とも好きなんだが。
ゼイユは相変わらずおもしれーイイ女だったし番外編だと出番少なかったのが若干寂しかったが碧と藍で露出が多かったのでバランスとっての事かなと自己解釈。
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四天王とか更生スター団とか諸々書きたい事は沢山あるが記事内容がごっちゃになりそうなので割愛‼️
…するが、ブルベリ四天王についてはちょっと書く。僕はおタロとアカマツが特に好きです。おタロはキャラビジュ出た時点でもう好きだったんだが、アカマツ…!真っ直ぐで素直な少年に弱いのだ俺は…!!特にあの空気が最悪の状況下だったから一筋の光みたいに見えていた。
ギスギス四天王時代のカキツバタとスグリに対してのアカマツの 「 そーゆーの! マジで めんどくさいよ!!」 マジで好き。
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あとパルデア四天王の方だけど特別講師のポピーちゃんとの特殊会話可愛すぎない❓マジでオススメ。
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こっからメッチャ自己満なガチ余談&懺悔室✍️
癒しを求めて最近は某美少女ゲーってか所謂ブルアカってかブルーアーカイブにハマりまして、イラストが可愛い〜😻ので勿論キャラの可愛さも要因だが〝エデン条約〟というストーリー(序盤は良くある?美少女ものなんだけど中盤辺りから血を見る展開に…🙀)ととにかく各自BGMが良い‼️戦闘曲ガチで良い‼️(星カビのマルク好きな人はゴズ戦の曲を聴いてみてくれ多分絶対好き) 因みに僕は曲の良さから入った人間。
因みに嫁。(強い意志)
ンでね。久しぶりに(2年ぶりぐらい?)Xで新規垢動かしてるぐらいには絵の方ちょっと頑張ろうかなと思えてるので暫くブログの更新を休止します🙏
なので本当、そういやこんなブログあったな〜って思い出した時にでも立ち寄ってくれると嬉しいです😽💋💕あ、 イツメンはディスコまた声掛けると思うので不定期的に遊ぼうネ★🤪(なんて身勝手な野郎だ👹🔪)
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ここからが懺悔室。ちょっと恥ずいので敢えて改行無しで読みづらくしてます、すみません🙇♂️💧ブルスカ🦋の方に一瞬だけナポ男🍝垢で生息してました。支払い関係の都合で近々会員を抜けてしまう&自分が描くものに思うところがあり現在は更新停止してます。ポイピクにも同じ絵➕気に入らなくて消した絵載っけてますがブルスカにはポイピクのURLすら貼っていなかったと思うので一応、同一人物ですよ〜とだけ。推しを推す皆様に幸あれ!💐とはいえ描かなくなった=もう推してない&動画を見てないという訳でもなく、私生活内で使える時間的に全部は追えないので、どうしても摘み食い的にはなるうえ大昔から基本的に見る専なので陰ながら応援のスタイルにはなりますが、一視聴者は継続中。これは以前大変お世話になった界隈の船長♡🏴☠️や、FAは描いてないけど実は推してる界隈(🌈🕒のうづコウやTOP4ほかect)にも言える。実況やVの視聴は学生時代から継続しているものなので、表立ってFA描くことは無くなっても今後もずっと好きだろうなあ。
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ほなばいにゃら〜🌻🐈⬛ (2024/03/25)
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奈良県大和郡山在住、日々、育児と楽曲制作に励むmoanyuskyこと小野裕介(以下、小野ちん)に話を聞く。いまから遡ること6年、タラウマラの前身とも言えるサイクルショップすずめにphoneheadが小野ちんの1stアルバム『scapes album』を持って来てくれたことから、僕たちふたりの幻想との舞踏/武闘は幕を開けた。盆地から虚空へと放たれた金魚を追い求めるように、moanyuskyの奏でる楽曲は現(うつつ)と幻の狭間を漂う。2023年現在、phoneheadのレーベルpiano and forestから独立した彼は、自身のレーベル、その名もprivacyを立ち上げ、あまりに独特かつ、奇妙で愛らしい個性を確立しつつある。年内には新たな刺客を世に放つとの噂もあるが真相や如何に……。

〔土井〕小野ちん、こんにちは。今回のインタビューでprivacyの主宰である貴方のプライバシーに少しでも迫っていけたらと思うので、よろしくお願いします。仕事に子育て、楽曲製作、レーベル運営等々、多忙を極めているとは思うんやけど、プライベートは何をして過ごしているの?
〔小野〕土井さん。本当によろしくお願い致します。 光栄と言いますか(笑)。光貴さんの後でええのんと思ったりするわけですが(笑)。ここ最近は主たる仕事をメインにしています。 この形態が出来上がったのも結婚してからなので、13年前ぐらいです。 仕事は朝9時から始まって、家に帰るのは21時ぐらいです。 休憩は1時間30分。 この休憩時間が自分の製作時間です。 あとは会社と家までの通勤時間30分、計1時間。 最近は主に文章を書いています。 仕事をして、文章を書いてと言うのが日々のサイクルです。 privacyからのリリースが3作品控えていますので、その作品のライナーと初の小説のような作品を作っていて、その作品も少し加筆しています。 あと、毎日入院している息子に日記を書いて送っています。 休みの日は、朝7時に起きて、娘を学校まで送って行って、雨の日は妻が送ってくれるのですが、その後は家の家事を終わらせて、お昼までには息子が病気になってしまったので、入院している病院へ行って、夕方には娘が帰ってくるので、デイサービスみたいなところへ行っているのですが、そこからの帰りを待って、晩御飯を作って、子どもの寝かしつけをして、1日が終わります。 最近はあまりこのループは変わらないですが、息子の面会が終わったら、2時間ぐらい空く時もあるので、そのような時間を使って製作を手伝って下さっている、土井さんから紹介してもらった、マノ製作所へ行ったり、タラウマラへ行ったりしていますね。
〔土井〕晴信が入院することを最初に聞いたときはほんまにショックやってんけど、それを直接自分に伝えてくれた小野ちんは毅然としているというか、良い意味でいつもと変わらへん飄々とした口調やったから僕もギリギリ平静を保てたと思う。もちろん心中穏やかでないのは察しがつくものの、同様に息子を持つ身としては素直に感心した。小野ちんは強いなぁって。 最近は文章を書いているということやけど、僕は小野ちんの際限なく溢れる思弁的な文章に対してある種の畏怖を抱いてる。一本の幹から四方八方に枝葉が分かれていく軌跡を目の当たりにしているようで、少しでもテキストを書くという行為に身を投じたことがある人は嫉妬すると思うで。小島信夫やカフカと同じCPUが内蔵されてるんちゃうかって(笑)。こないだのインタビューで光貴くんからも指摘されたように僕は生活も文章もシークエンスありきやから。いつまでもひとつのテーマについて考え続けたり、書き続けることがほんまにできへん。自分のやってること、書いてることにすぐに飽きてしまうねん。小野ちんや光貴くんはずっと「それ」を抱え続けることで熟成させるやん。まぁ、ときには「はよ手放せよ」と思わなくもないけど(笑)。書いている本人としては、書き始めたときにはある程度のゴールを見据えてるの?それともまったくの白紙状態?
〔小野〕土井さんと晴信の関係には深いものを感じています(笑)。晴信の文章作品も土井さんの表現の場(FACETIME vol.2参照)に投下してくれたし、これまで色々漫画なんかも頂いてますし、本当に感謝してます。 晴信も土井さんのところへ行ったと日記に書くと、やきもちを焼くぐらいで(笑)。晴信は人に恵まれていて、それは自分もそうで、そこは受け継いでくれていると信じています。 変な話しやけど、病気の事があって、より息子の事がわかったんです。 晴信もこれを乗り越えれたら、安泰だと思っています。 彼の中でも全ての価値が変わりましたし、当たり前にあった事がこれほどに特別だったのかと彼が1番に身に染みていると思っています。 私は全然強くないんですね。 弱々しいけど、人に頼って助けてもらおうと若い時は何度もしましたが、まるで助からなかったんで、自分でやらなあかんなと今は思ってます。 自分の人生において実験して、これが良いのかもと思った形態を生活に落とし込んでいまやっているのですけど、それでもうまくいかない事は多いですが、でも前よりは少しだけうまく世の中で生きていけていると思う瞬間があるのですが、その瞬間を感じれると、それもまた幻想になっていって、ずっとこの連続が続いていくのだろうなと、いまは思っています。 そうは言ってもこの歳になってもやっていない事など山ほどあるのですが(笑)。自分にとって表現は、これは断言出来ますけど、「逃避」なんで、生活とは別なんですね。 だから本当の言葉でもなんでも無いと言うとまた難しいのですが、ある種、根源的な(人が生きるためにごく自然とやっている本当の事)事とは違った事でもあるし、本当の事でもあるわけです。 表現が難しいのですが。 離れれば離れるほど、幻想に近づくと言いますか、音楽となるわけです。 だからそれは自分にとって実感を感じられるのは実生活なので、音楽や表現で得ている感覚は明らかに偽物なのだけど、それは自分を投影していると思っているので、ややこしいのですが本当の事なんですね。 本当の事をやらなければならないと思いながらあれこれ「偽物」について探究しています(笑)。自分は結局のところ、好きなところも嫌いなところもずっと変わっていないのだと思います。 その執着が人より濃いのかなと。 手放すというか、自分やから、手放せない(笑)。なので、コード進行しかり、自分のやってる事は生まれてこの方変わっていませんし、同じことをやっていたとしても、その時の現状に全てを委ねれば、音なり文章なりは簡単に変貌すると思っています。 リスナーの延長上で全てやっているので、それを堪能すると言う事が1番に重要なので、それが同じ感じだったら、飽きてしまうんですけど、全然違って見えたり聴こえたりするものだから、飽きないんですね。 だから、今はこれはできないなぁとかは感覚的にですがあります。 自分達の時代や環境となってくると、どこにオリジナルがあるのかという探究がやっぱり重要で、死に物狂いで探さなあかんと思います。 やらなくて良いよとか、探さなくて良い、頑張らなくて良い、 世の中が最近言ってる事は信用なりませんからね(笑)。自分を開け渡してはならないといつも思っているので、出来るだけ、迷い込ませるようにギミックを仕掛けていきたいと考えています。 基本的に嘘ばかりですしね(笑)、得意技です。 文章を書き始めた時は全くの白紙です! ゴールも何もわからないので苦しんでます(笑)。音楽はある程度やってきているので、ここらへんで終わるとなる事がわかりますし、それが1つの音楽を決める重要な部分だと思っています。 でも文章は音楽に比べると特に本を読んでいないので、終わりが分からず、混乱と混沌の中から、いきなり終わりはやってくるんですね。 それがまた面白いのですけど。 だから普通に3年だったり5年同じ題材を書き続けてます。 今回の新作も10年前に書き始めた作品で、結局コロナ禍に入り、1年目に完結したのですが、5年ぐらいはストップしていて、また掘り返してきて、ほとんどのところを変える形で進んでいます。やっと終わりそうです。 他の人がどのように書いてるかわからないので、これでどうなのかな?といつも考えながら書いています。 しかしながら書き始めてわかったのが、出し尽くすのは5万字から10万字の間で、それが何年も経て2万��ぐらいに収まる感じです。短く終われる人に憧れますし、素直にすごいなぁと思ってしまいます。 良い音楽作品もトータルで50分も無い作品なんか多いですしね。 短く表現が出来る事が目標です。 自分の文章は思考しているところから余すところなく書いているので、多くなっているように感じます。アホなんですよ、多分(笑)。
〔土井〕アホて(笑)。いや、でもそういう感覚は確かに僕にもある。簡単に言えばコンプレッ���スなんやろうけど、ひとことでそう言ってしまいたくない自分もおって、だから未だに往生際悪くジタバタと文章を書き続けてる。でも読む人が読めばすぐに捲れると思う、あゝこいつ浅学菲才の輩やなって。ここで小難しい言い回しを使いたがるのもアホやからやで(笑)。だからと言って僕らは自分の人生を悔いている訳じゃないもんな。「自分なんて」と卑下する感じがいま一番いらんわ、おもろない。自分なんて、とウジウジしてる人の肩にそっと手を添えて「そのままで良いんだよ、あなたはあなたでしかないんだから、ともに歩んでいきましょう」という眼差しを向けるのがいまの世の風潮なんやろうけど、そんなん勝手にやっといてくれ、こちらを巻き込むなって本気で言いたい。それにしても10万字まで膨らませた思考の痕跡を2万字まで絞り込むという話はめちゃくちゃ興味深い。奇しくも僕も2万字という枠内で展開する物語が好きで、例えば小島信夫の「微笑」とか磯﨑憲一郎の「我が人生最悪の時」とかクライストの「チリの地震」とかカフカの「カルダ鉄道の思い出」とか、偉大な先達たちがどういう考えがあって2万字の物語を書いたのかはわからへんけど、僕の場合は最初から明確に2万字を見据えて書き始めるから。今年、自費出版した「ほんまのきもち」と「JAGUAR」も2万字。僕みたいに雑食的にとっ散らかった感じで音楽を聴いている人間にもTERRE THAEMLITZやMOODYMANNみたいなハウスミュージックのBPM120前後で刻まれる4つ打ちが一番気持ち良く感じる。それと同じように文章にも2万字の快楽というものが確実に存在する(笑)。僕は最初から2万字を意識してるけど、小野ちんの場合は始まりも終わりも定めず、ひたすらに頭の中にある考えを出し切って、更にそれらを時間で煮込んで絞り込んでいく。自称エッセイストにはなかなかできない執筆方法やで。小野ちんの自主レーベルprivacyの第一弾リリースとなった『同時再生の夢』に封入されていた訳のわからんテキストもだいぶユニークで面白かった。ところでレーベル名の由来を聞いてもいい?そもそもこのご時世にprivacyって(笑)。

〔小野〕そうなんですね。2万字なんやぁ。それもよくわかっていなかったです、勉強になった(笑)。自分の人生めちゃ楽しいですね。 話していくと、しんどい事ばっかりですねって言われるけど、これって土井さんも世代やと思うんですが、松本人志の存在って大きいと思ってるんですね。 人生助けられたとすら思ってます。 それはダウンタウンが生み出した作品というより、世の中の松本的捉え方を刷り込んでくれたというところです。 苦しみの中で起こる不条理の中にある真の面白さを教えてもらったから、すべてそのように見てしまうんですね(笑)。これ冗談抜きで、腹立つというより、何やコイツ、みたいな(笑)。板尾もそこらへんに結構居ますしね。 そのままでいいんだよっていう、いまの感じね。 まるで生きるために使えない言葉やなぁと思います。 これは自分の考えやけど、そのままでええわけないと思います。 子供育ててたらわかりますよ。 成長してなかったら焦りますしね。 それは教養も身体的なところも、心の部分もすべてにおいて。 言葉ってたくさん当たり前のようにありますけど、その人の言葉として全然機能しない言葉が多いなあと思ったりしています。 だからこそ、そんな言葉は幻想に過ぎないので、あるべきだとは思いますが、拠り所にしたり、それを基礎に自分を構築するのは大丈夫かなと思ってしまいます。 自分の子供たちが大人になった時には何が本当なのかということは、いま以上にわからなくなってくると思ってますから、だからこそ「個」の考えを若い頃に養ってほしいというか、作る過程で得た価値というかね。そこで得た価値の方が断然大事で、作り出た物なんて実用性無いものばかりですからね(笑)。でもそういう「モノ」が現存しているというところの意味は大いにあると思っています。そこで得た経験をアイテムとして人生進んで欲しいと思うわけです。 最低限、世の中が言ってる事は全部嘘やろと思えるところまで。そのようなヒントを教えてくれる場所が文化圏であってほしいなぁと思うわけです。 なんでもそうやけど、もういらんとなってそこから外へ出るって言うのが人の始まりやと思ってますので、本を捨てて町へ出ようって昔の人たちも言ってますし。そこからは遠ざかった世の中となっているなと思います。 私は音楽から抜け出すところがまずは目標で、なかなかに抜け出せないので困ってます(笑)。40歳にもなって。『 同時再生の夢』では土井さんにお世話になりました、本当にありがとうございました。 頼んで良かったと思いました。 あの同時再生のテキストは3年ぐらいかな書いたんですけど、まだ文章を書くと言うことが浅かったので、「困惑」がそのまま文章になっているように思います。 だから、いま読んでも、思い出せない事も多くて、この前に久々読んだのですけど、よくわからんようになってて面白かったです。 じゃあ、これは誰が書いたんか?と言う事になるじゃないですか。自分やねんけど。それってほんまに?というようなループが生まれるわけで、それは音楽らしいと思うわけです。 privacyというレーベル名の由来は、子どもの名前をつけるように直感なのですが、音楽を通して、これまでの世の中を知っていく中で、やっぱり「群れ」で生きる生き物として、そこで生まれ出る大きな幻想に振り回されてきた聴衆の歴史のなかで生きてきた1人でもあった自分自身の事を考えた時に、群れとどう付き合っていくか、幻との付き合い方とはとか、距離の取り方と言うんですかね。「距離」や「尺」とかに近い位置からの言葉と言いますか。 そんな事を考えた時にこの「privacy」ってええなと思ったんですね。 あと誰も入ってこれへんやんみたいな(笑)。基本的に矛盾だらけの事だらけですが、そのなかでもこの言葉っておもろい位置にある言葉やなと思って、これや!と決めましたね。
〔土井〕ダウンタウンの影響は強烈にある。世の中は不条理で多元的なんやということを最初に教えてくれたのが松本人志やな。こないだもふたりのおばあが突然タラウマラにやってきて、僕の顔を見るなり「あらぁ、あんた立派に大きくなってからに、おばちゃんな、あんたのお父ちゃんに昔から世話になってたんや。あんたお父ちゃんの息子やなぁ?よう似てるわ。目元がそっくりやわ。お父ちゃんここでずっと自転車屋してたやろ?あんた、お父ちゃんから店を買い取ったんか?この自転車も30年前にここで買うたんやで!」とか言うてくるから全力で否定したら「タラのウマなんてけったいな名前の自転車屋がほかにあるかいな?一回聞いたら忘れへんわ。あんた、私のこと耄碌してると思うてんか?」言うてまったくこちらの話を聞き入れてくれへんかってんけど『ビジュアルバム』に収録されてたコント「診察室にて」のまんまやなぁ思うて、ひとりで笑いが止まらんかったわ。淡路という街はそんなことが頻繁に勃発するから好きやねん。自転車の空気を入れに来た半裸のオバハンがコンプレッサーのホースに絡まって「兄ちゃん、助けて」と言うてきたり(笑)。慌てて助けに行ったら首からロザリオぶら下げとって、キリストと同じ格好なっとるやんけ、みたいな(笑)。その数日後には近所のコンビニで万引きをして現行犯逮捕されていたり、とにかくめちゃくちゃやわ。やっぱり現実こそが不条理やし、不条理こそが人生やし、だからこそ面白い。松本人志という人はそれについて誰よりも意識的やった筈やのに、映画を撮るようになってからはファンタジーとしての不条理を描くようになってしまって何だかなぁという感じ。小野ちんの「幻とのつきあいかた」は傍で見ていてだいぶ面白いし、それをきちんと作品化してるのもすごいと思う。その一方で自分のことはぜんぜん客観視できてへんやん。女の子のタイプだってつい最近になってようやく把握してたもんなぁ、縄文ロリ(笑)。僕も奥さんから「自分のことが全然わかってない」って言われるけど、小野ちんも大概やで。はっきり言うて、あんたは究極の天然や(笑)!
〔小野〕土井さんの話もかなりまっちゃん的な話が多いなと思う(笑)。それをどう捉えるかというところが重要で、その目線で捉える方法論やと思っていて、松本人志は自分の町の話を題材にしてたからこそ、おもろかったんやと思うし、聴衆を意図的に動かすような事をやり出してから、どうにもこうにもやと思います。 やっぱり守るものなど無く、自分がおもろいと思うものをリミッター無くやっていた時代の松本人志が好きです。 この守るっていうのは、歳をとればある一定に守らなければならないものって出てくると思うんですけど、特に思うのが音楽界隈の人たちはあえて作って重くなっている感じがあって、なんとも鈍くなるような、群れを成すじゃないですか。 少人数でもなんでも。 あれが自分はよくわからないんですけど、基本的に自分から始まってる事やから、終わるのも自分の中で終わっていくだろうし、それは共感出来ないものだと思っています。 文化を見ていくと、大抵好きな人は1人でやっていて、良い距離を取りながら色々なところへ顔を出す人ですね。 そうそう、私は天然のようですね(笑)。それは言われるまで気がついてなかったんですよ。 だからこそ本物の天然やと思います。 女の子のタイプはそうやったんかぁという感じやったね(笑)。なんかね、みんな同じちゃうかなと思ってたんですよ。 可愛い子はみんな好きやろうと。 そこの細分化が出来てなかったんやね。 歳をとって、そこへ縄文がつきましたよね。 わかってないよなぁといつも思ってます(笑)。
〔土井〕うんうん、やっぱり人は自分のことが一番わかってないよね。『エヴァンゲリオン』だって果てしない自己探究の末に「やっぱりわからん!」とか言うて他者に手を差し出す話やもんな。でもわからんからこそ作品を生み出し続けるんやし、小野ちんが言うようにすべてが「自分から始まって自分に帰っていく」ようなものやと思う。おまけにその「自分」ってなんなん?という永遠に答えの出ない問題を脳天に突き付けられてもいる。そんな無限ループの先に『同時再生の夢』や『JAGUAR』はある。いや、どちらかと言えば「ある」というか、現在地の「標」として自分のために置いてきたという感じかな。だから共感なんて最初からないねん。エンパシーは人間に本能的に備わっているものやと言われてるから、それ自体を否定する気はないけど、共感を求めることはある種の暴力やで。そのままで良いよ、あなたのことわかるよ、の裏側に潜む「だから私のこともわかってくれるよね?」という圧力。それが更に発展すると「わからない奴は敵」という具体的な差別に発展する。元凶は紛れもなく多様性を重視する偏った博愛主義にある。初期の松本人志や漫☆画太郎は絶対に弱者に手を差し伸べない。むしろ弱者がその弱さゆえにつまずく様を見て、くすくす笑ってる。そういう底���地の悪さがこの社会を根底から支えているということを腹の底の底まできっちり落としこまないと先には進めない。これまで43年生きてきて、弱者救済を声高に叫ぶ人たちが身近な「弱さ」を黙殺したり足蹴にする様を何度も見てきたからね。「弱さ」には絶対に「煩わしさ」が伴うから、それときちんと向き合えてはじめて他者に手を差し伸べることができるんちゃうかな?僕には到底無理や。また小野ちんのprivacyの話に戻るけど、誰も入ってこれへんと言いつつも、恐らく小野ちんの頭の中には招き入れたい人物や作品があるんちゃう?そもそもレーベル所属のDJルサンチマンって誰やねん(笑)。
〔小野〕そうなんですよね。基本的身体は借り物やと思っていて、その1番最初の人がオリジナルやとしたらですよ、じゃあこの最先端の自分っていったい何者やとなるじゃないですか。 そんな膨大な時間の旅の先端同士がね、同じ共感なんか出来ないですよね。それが、なんかこれええとか、あれええよなっていう安易な共感のなかでも結びつきが強くなるじゃないですか、でもそれはやっぱり、かなりの確率のなかで交差した瞬間な訳だから、凄い事が起こってるとは思うんですよ。 出会ってる訳やからね。 それだけでも嬉しい筈で、そのような気持ちも相まって、おもいっきり、人はその流れに飲み込まれるのだと思う。 そんなところが人やなと思うんですよね。良いも悪いも純粋やと思う。 やっぱり上手いこと出来てるから、これほどに簡単だからこそ、子どもが生まれるんやろうなとも思いますよ。これは友達とよく話していたことなんですけど、挿れるのか挿れられるのか、どっちがええ?!みたいな話をしてた訳ですよ。 若いからね。真剣に考えてですよ、男同士が俺は挿れるのは暴力になると思うから、挿れるより、挿れられるかなとかね。自分の彼女には問答無用で挿れてるクセに(笑)。俺は挿れられるのは怖いから挿れるかな、とかね。 同じ音楽好きだったり、集まりのなかでも少し幻想から離れた話しを話すと正反対なんですね。それでも音楽は同じものに対して好意を持てる最善の方法な訳やけど、そりゃ無事に子どもが出来るように仕組まれているなぁと思うんですよね。 色々な欲望が出てきますからね。 それには負けたくないですよね。 この完璧な創作物を身に纏ってる訳やからね。それ自体が戦いじゃないですか。 腹立つやん。何してんねんみたいな。自分やけど、うまいこと出来てるよなぁといつも思います。 漫⭐︎画太郎もそうやし、松本人志もね。創作やからそれが可能なんですよね。 そこでの異化効果にて体験した事で、体験していないのに植え付けられて、それに悩まされるぐらいにそれは根付くんですよ。 そっちの方の惨さを知っていたのが高畑勲やと思います。 いまはそこがびっくりするぐらい混在してて、みんななんでそんなに混在してんのと思う訳ですよ。 それは多分自分で作ってないからわからなくなっているんやろうとは思うわけですね。 これ宮崎駿的名言、もののけ姫での一幕、乙事主が言葉も話せなくなったシーンあるじゃないですか。 あれは獣の毛皮をきた人の兵士が目の見えない教祖に集まってくる訳ですよ。 これ麻原やと思ってるんですけどね。 現実と幻想がわからなくなって、言葉も失ってですよ、ただ何と戦ってるのかもわからなくなって、混乱しながら、この世の中で戦っているのですよね。法廷の麻原も目が見えなくなって、うんこやらおしっこ垂らしながら裁判していたわけで、女の人の存在を感じから即座にマスターベーションしてたわけですよ。そんな状態で人としての言葉を失ってこの国で裁きを受けていたわけなのですが、そこまで取り乱している人も居ないとは思うけど、幻想と現実の狭間が分からず、今生きる場所での言葉が一体どのような言葉なのかも分からず迷っている様な、地平が無くなってしまっているような人はたくさんいるように思うのですよね。すぐに幻想に騙されて、大金とられたりする訳ですよ。 これ漫画やで、これコントやで、これ誰かもわからない文章書いてる奴の言うことやで、広大な幻想帝国を作ってきた人たちが今まさに長く生きすぎたために焦ってる訳ですよ。 こんな世界でやっぱりカウンターになる思想がこの世の中で唯一形として残る、生きていける考え方やと思いますし、それこそ、言葉やと思うんですね。 最近の本当にあった事件のリメイク的な映画たくさんあるじゃないですか、嫌いなんですよ。 ポンジュノは好きですけど。 日本人が作るそういうの嫌ですね。日本人の胸糞悪いところが存分に出てますしね。加害者、被害者の家族なんかも掘り返される可能性が高まるわけです。 真剣に宇宙人が来て、UFO乗って戦ったりするやつが無いじゃないですか。そんなんがええね。 狙ってとかじゃなくて。純粋に。 想像しただけで、その撮影現場に居合わせたら号泣すると思う。 そりゃ宮崎駿もあんな作品撮るで(笑)。「風立ちぬ」より断然良かったですけど。 DJルサンチマンね、私もよくわかってないですよ(笑)。日本に住んでるんちゃうかなと思ってるんですけど、本人が言うにはイタリアの孤島でコミューンを組んで暮らしてるらしいですけどね。 基本的に私がプロデュースする人って、音楽的な人が多いと思っていて、このルサンチマンもそうですけど、星野源九郎餅や今回リリースするMcCHICKEN NUGGETSとかも、この情報社会のなかで情報めちゃくちゃ少ないんですよね。調べてみてください。出てこないですから。疎外感幸子の方が出て来ますよ。 だからこそ、信じられないぐらいによくわからないラインに乗った作品を投下してくることがあるんですよね。 それこそ、自分達が体感した芸術や、遠くの国で行われていたムーブメントの振動を感じた時の感情やったと思うんですね。まぁ、とにかく情報が少ないんですね。 これって、インターネット世代ではない私たちが体感してきた幻想やと思ってまして。折れ曲がったというか、間違った伝説が大きくなって、人の話や雑誌語り継がれたであろう伝説の数々が、いまも音楽を聴くバイタリティになってるところあるんですよね。 ダイヤルアップですか。 インターネット接続する感じ。 繋がったとしても、5分の動画見るのに、かなり時間かかった感じ。 でも途切れながら、warpのアーティフィシャルインテリジェンスのPVを観たり、ロングコートを着ながら、ベースを弾く、トムジェキンソンとか見ていた訳ですよ。画像も荒いから、偽物でもなんでもわからない世界ですよね。ヴァイパーウェーブとか流行ってましたけど、良いところのつきはぎで、それは体感してない人がよくやってしまう、コラージュで、あれはあれで好きなんですけどね。 でも、自分はもっと違う路線のものを作れると思ったときに、作る意味がそこに出てくるんですよね。 基本的にルサンチマンの紹介で数珠繋ぎのようにいまミックスシリーズを作っていて、次はルサンチマンの彼女の作品をリリース予定です。その前にnuggetsですけどね。 変わり種としては、ライブでお世話になった滋賀のハウスクリエイターの武茶さんの作品もリリースさせて頂きます。privacyの所属アーティストのなかでもダントツで世に知られている人やと思いますよ(笑)。作品は本当に素晴らしいので、いまライナー書いてるんですけど、私待ちなんです。 あの温厚な武茶さんがまだかな?と言っているので急がないと、と思ってます。
〔土井〕出た!挿れる、挿れられる問題(笑)。これは絶対に考えておかないといけない問題で、やっぱり僕らは挿れながら挿れられる者の痛みや引き裂かれるような想い、その果ての快楽も同時に体感せなあかんねん。中折れは然るべき善意ですよ(笑)。だから精神的インポテンツを経てる奴は信用できるよね。逆にマッチョイズムを誇示する奴の暴力性は見るに堪えない。これ以上この話題に突っ込む(挿入)と、クィアについて真剣に論ずる必要が出てくるのでここまでにするけど、小野ちんの言う「何が本当なのか」ということは日頃から僕も色々と思うところがある。我が家にはかれこれ20年くらいずっとテレビがないから、息子たちにとってはモニターから流れてくる映像というものはすべて映画やアニメのフィクションやねん。だから病院の待合室なんかで初めてニュース番組を目の当たりにしたときはふたりとも固まってたわ。映画みたいに残酷な事故や事件の状況をクソ真面目に説明している記者の姿に脳内処理が追いつかない感じで(笑)。そもそも僕はニュース番組もフィクションやと思ってるから、息子たちにその差異を説明するのがややこしくて難儀した。最近で言うと、生成AIを利用して作られた岸田首相の偽動画がSNS上で拡散されて問題になってたけど、岸田首相を知らない息子たちにとっては真偽のジャッジは甚だ無意味やし、もっと言えば岸田首相だけでなく歴代首相の存在自体がAI的と言うか、身体のどこかに縫い目があって、そのなかには何千年も前から人体を渡り歩いてきた呪詛師が潜んでるような気さえするやん。そういう意味では「誰が首相になっても同じ」という政治家を揶揄する言葉は言い得て妙やな(笑)。とにかく子どもたちはそういうややこしい世の中で、それぞれがそれぞれに独自の経験を重ねて虚実の皮膜に触れていく。だからこれからも真っ直ぐな眼差しで宇宙人との戦いを描くクリエイターが出てくると僕は本気で信じてる。藤本タツキや吾峠呼世晴が実際にそうやし。この2020年代に彼らが描くのは悪魔や鬼やで、最高すぎるやろ。いま未知のものと出会える面白さは漫画が一番やな。それもサブカル、アングラ系じゃなくて、メジャーど真ん中のやつ。僕は昔からめちゃくちゃ売れてる人らが好きや、自分には絶対にできないようなことをやってる人たちが誰よりも変態やと感じるから。小野ちんのprivacyも立脚してるのは生活圏という意味でのアンダーグラウンドやけど、手法はメジャーのそれに近いよね。結局ルサンチマンが誰なのかさっぱりわからんけど(笑)。アイデアやリリースがたくさん控えてそうやし、ほんま楽しみやわ。最後にいまのお気に入りの曲を紹介してください。晴信が元気に退院したらまた一緒に奈良公園に遊びに行こう!
〔小野〕出た!出た!猫のバス!みたいな気持ちというかね。 これはトトロのセリフなんですけど、あれはおっさんが想像した少女像ですよ。 娘を持っていないおっさんの。 想像して出来上がった、メイとサツキですよ。 でもですよ、みんなあれになるために成長していってますよね。 いまでは同じ名前がつけられて、みんなあのアニメーションの動きをもとに風を感じ、そしてスピードを共有してると思います。 なので、表現物が与えている情報が人を作って言ってるんですね。多分それを作った人たちは責任なんか感じなくて良いのに、どうしようかなと本気で悩んでいる訳じゃないですか。「 君たちはどう生きるか」で出て来た老人は宮崎駿ご本人やと思うんですけど、あれはフィクションやけど、本音ですよね。 自分がやってきた事ですからね。 中折れで思い出したけど、挿れているとき、ごく稀に骨がボキッとなることがありますよね。 わからないんですけどね、多分恥骨とか、腰?が鳴っているのかわからないけど、あのとき、本気でイチモツが折れたと思って、焦りながら頭の中で折れたモノを探すんですよね(笑)。 でもちゃんと挿入ってる訳じゃないですか。女性にも聴こえていない、自分だけのボキッという巨大な音。 これね、多分、野口晴哉が言ってた、海に入った時に腰まで海に浸かっていて、雨が降って来たときに自分が一体どこにいるのかわからなくなったという状況と同じやったんじゃないかなと思う訳ですね。 誰もがわかるように棒には骨なんか入ってないのに、肉の塊ですやんか、そのときにね、挿入ってるのに、抜いて探してる自分もいるのだけど、何かの中に挿入っていきながら、抜いて確かめている自分がいて、その時にあれ何か大きな覆われた世界があるということが見えてしまったように思えたのですね。 と言っても挿入れてるからやと思うんですが、心の空洞に入ったような体験をしたんですね。 穴に挿入っている自分が折れた棒を探していた。どの時代の自分なんかわからへんねんけど、なんかよくわからないやつが居てたんですよ。 土井さんの言うAlの話、これは本当に考えてしまう話で、明らかに音楽作るのはAIに変わってしまうと思うんですよ。 だから、その準備が着々と行われているように感じます。 サブスクもそうやしね。 音楽全体がもう演歌のようになってしまうやろうし、流して聴くものにしてしまったことによって、もうそれは運命的ですよ。 まずAIを欺くことなんて、音楽聴いてきた身からして無理やと思う。 坂本龍一が好きでスタートしたら、教授のコード感で楽曲買っていることが後々わかったりする訳ですよ。 ここはこうしたいんだとマイケルジャクソンみたいに指示するだけで、楽曲ができる世の中となって、作るものという概念すらなくなるかもしれません。 そこに人を見出さないとえらいことになるというのはそのようなことで、それが今後どう繋がっていくかは未知数ですが、カウンターの精神を生かすというところにおいては必要な行為やと思います。そんなところよりも、もっとシンプルに言えば、人を感じれないのであれば、AIが作ったとしても、人が作った���しても、その違いがわからないとなるから、別によかったらどちらでも良いとなるわけですね。 それでなくても、ヒップホップやらテクノやらでもそうやけど、同じような内容の楽曲の羅列のミックスだらけじゃないですか。 AIはRAMZA(名古屋を拠点に各地で活動する作曲家/音楽家)のようなエラーですら、それを容易に形にしてきますよ。それだったら、どうしてRAMZAがええのか?って話しになりますよね。 そこを考えさせないようにしようとしている輩がいるわけでね。 誘導されているわけですよ。 だって、金稼ぎたかったら、AIにまかせて、この100年ぐらいの文化の流れをインプットさせて、やっておけば金が生まれる訳やからね。 人が人の領域を守るために必要なのかということが自ずと見えてきますよ。「文化」の動きというのは結局のところカウンターカルチャーなのですけど、これは鶴見俊輔も言っているように、土井さんにも通ずる、這いずるということなんですよね。 今の文化の始まりはまさにそこから始まっているように私は思っていて、そこから生まれでる事、いやいや、同じのはやったらあかんねん、もっと違ったもんじゃないと、これ前やってましたやん。何回、回ってんの?!っていうところをきっちりして、よりないものを模索するということでしかない訳ですよ。 だからこそ、ネットにまだ出てきていない文化の本当にやばいエキスがあると思うんですけど、そこを誰よりも早く見つけて守るとか、そういうことが重要だと思うんですね。 そこで、ネットに流出しない世界を構築して、そこでの本当の意味でのカルチャーを育てる必要性もあるのではとも思いますね。まだこんな話、SFのなかではうじゃうじゃあるけど、現実的な恐怖を覚えていないのが昨今の人たちで、そんなところだけ、SFと現実を分けてるんですよね。 そこになんで恐怖を覚えないのかが、わからない。 もうそろそろやし、お前の存在を本当に求めてる訳ではないということ、逆説的に言えば、そこがあるからこそ音楽の人たちは幻想を売っていけていたという側面もあると思うのですが、そこもひっくり返るのももうすぐですわ。 オタク文化、70年代のインテリは現代社会において、自分の趣味を文句を言わせずに真っ当するやり方を知っていた筈なんですよね。これはカウンターカルチャーに近い考え方だけど、こういう考え方が結果的に文化を守ることに繋がると思います。 ビートルズの新作は当初、ジョンをAIにして歌わせて、生きている残りのメンバーが奏でるといったスタイルと聞いていたのだけど、出来上がった作品を聴くと、死ぬ前にレコーディングしていた音源から声だけを抽出して、残りの人たちがその声に合わせて楽曲を作ったわけですよね。 内容は本当に素晴らしくてね。 でも正直なところ、みんなAIでもええんちゃうかなと思ったのも事実ですよね。なんでこれがビートルズでないといけないのか。 声だけをカッティングするのなんて、ちょっとしたアプリで出来ますからね。 じゃあなんで、そんな後退したことをやったのかというと、ビートルズが大半生きてるからやと思うんですね。 AIが描いた世界とか話題になってるけど、気持ち悪い世界ですよね。 あんなの人でも描いてる人いるけど、そういうのがもういらないとされてしまっ……。
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