#殺さなければ必ずマイナス影響を及ぼしはじめる
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見捨てられた者たちは、長期的には必ず牙をむく
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)1月27日(土曜日)
通巻第8107号 <前日発行>
ミャンマー国軍のクーデターは「西郷なき西郷軍」?
軍と仏教高僧との融合統治が機能不全に陥ったのではないか
*************************
ミャンマーで「本当は」何が起きているのか?
大手メディアは投票箱民主主義至上史観だから、本質的なことが見えてこない。
2021年2月、ミャンマー国軍はクーデターに打って出た。ところが、ミャンマーの民衆が想定外に強く反発し、「民主主義を蹂躙した」として大規模な抗議集会が開かれた。抗議デモに軍が出動、多くの死傷者がでたため国際社会から批判に晒された。
欧米の傀儡といわれたアウン・サン・スー・チーを支持する人たちは外国のメディアが同情的に報道したので、鮮明に反政府の旗を掲げた。こうなると正義はどちらにあるのか、よく分からない政権運営が続いた。因みに2021年のミャンマー経済はGDPがマイナス18%、通貨は暴落し、庶民は生活苦に喘ぐ。
クーデターから三年が経った。欧米のメディアの複写機である日本は「国軍=悪」vs「民主主義団体=善」のスタンスを依然として維持している。スーチー政権のときにロヒンギャ70万をバングラデシュへ追い出すと、欧米メディアは一斉にスーチーを「人種差別主義」「ノーベル賞を返還せよ」と猛烈な批判に転じたが、日本はそのまま、ミャンマー国軍批判である。
この価値基準は「イスラエル=悪」vs「ハマス=善」、「ゼレンスキー=善」vs「プーチン=悪」と、リベラルな西側政治家やメディアが作り上げたフェイク図式に酷似している。ミャンマー国軍ははたして悪魔な��か?
ミャンマーの社会構造は宗教を抜きに語れない。
仏教徒が90%をしめ、しかも上座部(小乗仏教)である。僧侶が800万人もいる。
軍隊は徴兵制で43万人(実態は15万に激減)。
つまりこの国は軍と仏教世界との融合で成り立つ。軍は元来、エリート集団とされ、国民からの信頼は篤かったのだ。それが次第にモラルを低下させ、徴兵ゆえに軍事訓練は十分ではなく、そもそも戦意が希薄である。愛国心に乏しい。
軍クーデターは伝統破壊の西欧化に反対した政治的動機に基づく。単なる権力奪取ではない。つまり「西郷軍が勝って、近代化をストップした」ような政治図式となるのだが、現在のミャンマー軍(ミン・アウン・フライン司令官)はと言えば、「西郷隆盛なき西郷軍」である。権力は握ったものの何をして良いのか分からないような錯乱状態にあると言える。
軍人は経済政策が不得手。コロナ対策で致命的な遅れをとり、猛烈インフレに襲われても、適切な対応が出来ず、外資が去り、自国通貨は紙くずに近く、闇ドルが跋扈している。
国民は外国で反政府活動を活発に展開する。国内各地には武装組織が蠢動を始めた。
▼まるで「西郷のいない西南戦争」でクーデターが成功した
西南戦争は『道義国家』をめざし、挫折した。戦略を間違えた。というより勝利を計算に入れずに憤然と立ち上がったのだ。
佐賀の乱、神風連、秋月の乱、萩の乱から思案橋事件が前哨戦だった。城山で西郷は戦死、直前に木戸が病没、大久保暗殺がおこり、明治新政府は「斬新」な政策を実行に移した。しかし行き過ぎた西洋化、近代化。その象徴となった「鹿鳴館」に反対して国学派が復興した。
ミャンマーの仏教鎮護国家の復活が国軍指導者の目的だった。
しかし彼らは広報という宣伝戦で負けた。都会は西洋民主主義、グローバリズムに汚染され、若者は民族衣装を捨てていた。西洋化は、あの敬虔なる仏教との国ミャンマーにおいてすら進んでいた。
となりのインドでは巨大なモスクを破壊し、その跡地に大きなヒンズー寺院建立した。竣工式にはモディ首相自らが出���した。
ミャンマー国軍に思想的指導者は不在のようだ。だからこそ、国軍は仏教の高僧を味方にしようとしてきた。しかし国内的に厄介な問題は同胞意識の欠如である。そのうえ山岳地帯から国境付近には少数民族各派の武装組織(その背後には中国)が盤踞している。中国はミャンマー国軍政府と「友好関係」を維持しているが、背後では武装勢力に武器を供給している。
主体のビルマ族は70%だが、嘗て国をまとめた君主はいない。カチン、カレン、モン、シャン、カヤ族と、それぞれ少数の武装組織が国軍と銃撃戦を展開しているものの、反政府で連立は稀である。カチン、カレン、モン族は博くラオス、カンボジアにも分散しており、ラオスでのモン族は米軍について共産主義と闘った。敗戦後、17万人のモン族は米国へ亡命した。
2023年10月27日、ミャンマーの反政府武装組織が初めて三派共闘し、シャン州北部で「国軍」と戦闘、驚くべし国軍が敗走した。国軍兵士数百が投稿した。
中国の秘密裏の仲介で停戦状態となったが(24年1月26日現在)、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)、タアン民族解放軍(TNLA)、西部ラカインのアラカン軍(AA)の「三派」の共闘はこれから「連立」となるか、どうか。
この三派以外にも不明の武装組織(なかにはギャング団、麻薬シンジケートも武装している)。なにしろミャンマーは五つの国と国境を接し、130の少数民族がいるとされる。
国境問題の複雑さが問題をさらに複雑にする。ミャンマーが国境を接する国々とは、インド、中国、ラオス、タイ、バングラである。地域によっては少数民族が多数派となる。
西海岸の古都シットウエイはインドとの海路の拠点であり古代遺跡があるため外国人観光客が多い。
チャウピューは中国へのパイプラインがミャンマーを斜めに横切り雲南省へと繋がっている拠点、ここには中国企業が進出し、工業団地を建設中で、ロヒンギャとの暴動になった場所、行ってみる、と放火されたモスクの無残な残骸があった。やや東側の中部、マンダレーは雲南華僑の街である。
旧首都のヤンゴンと新首都ネピドーはアクセスが悪い。マンダレーは国際空港こそ立派だが、翡翠やルビーの商いはほぼ華僑が握る。そうした三都三様の物語が付帯する。
▼麻薬王
ラオス、タイ国境に拡がるのが統治の及ばない「黄金の三角地帯」である。
アフガニスタンにつぐ麻薬産出地域で、ギャング団と武装組織と博打場である。���安の安定はあり得ないだろう。
黄金の三角地帯の形成と発展、その後の衰退は国民党残党という闇とCIAの奇妙な援助があり、やがて彼らへの���圧、そしてミャンマーとタイとの絶妙な駆け引きをぬきにしては語らない深い闇である。
国共内戦に蒋介石は敗れて台湾に逃れたが、南アジアで戦闘を継続したのが国民党の第27集団隷下の93軍団だった。およそ一万もの兵隊が残留し、シャン州をなかば独立国然とした。モン・タイ軍(MTA)は『シャン州独立』を目指した軍事組織で、ビルマ共産党軍が主要敵だった。
国民党残党の軍人とシャン族の女性のあいだに産まれたのがクンサ(昆沙)。
のちに『麻薬王』と呼ばれる。中国名は張奇天で、一時はモン・タイ軍の2万5000名を率いた。軍資金は麻薬だった。
CIAが背後で支援した。アルカィーダを育て、やがて裏切られたように、ムジャヒデン(タリバンの前身)を育てたのもCIAだったように、やがて米国はクンサに200万ドルの懸賞金をかけた。
『麻薬王』と言われたクンサは紆余曲折の後、麻薬で得た巨費で財閥に転じ、晩年はヤンゴンにくらした。2007年に74歳で死亡した。米国の身柄引き渡し要求にミャンマー政府は最後まで応じなかった。
もうひとつの有力部族=ワ族はモン・クメール語��喋る少数民族で、いまワ族の武装組織は中国の軍事支援がある。
▼ミャンマー進出の日本企業は、いま
さて安倍首相が二度に亘って訪問し、日本が投じたティワナ工業団地はどうなったか。
ヤンゴンの南郊外に位置し、コンテナターミナルを日本が援助した。しかし国軍クーデター以後、西側が制裁を課し、日本政府が同調したため、日本企業の10%がミャンマーから撤退した。住友商事、KDDIなどが残留しているとは言え、投資のトップはシンガポール、中国、そして台湾、韓国が続く。
日米印の企業投資は実質的にぼゼロ状態だ。
拍車をかけているのが外交的孤立である。ミャンマー軍事政権を支持するのは中国である。背後では、ロシアが接近している。
仏教界は分裂している。将軍たちと協力し、仏教とビルマ文化の両方を外部の影響から守る必要があるという軍の理念に共鳴した高僧もおれば、「ラカイン州で���元の仏教徒とイスラム教徒のロヒンギャ族の間で暴力的な衝突が起きると、『過激派僧侶』といわれるウィラトゥ師は、「ビルマ仏教はイスラム教徒によって一掃される危険にさらされている」とし、「イスラム教徒経営の企業のボイコット」を奨励した。
軍事クーデターに反対するデモに参加した僧侶たちも目立った。シャン州北部の主要都市ラショーでは国軍の統治が崩壊した。
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「バレンタインデー」の季節である。あさって2月14日の「バレンタインデー」を前にして、日本中どこでもチョコレート商戦が活発だ。私が住んでいる地域のスーパーマーケットでは、おニャン子クラブ時代の国生さゆりの「バレンタイン・キッス」がBGMとして流れている。ほぼ同世代の私にはとってはなんだか不思議な気分だが、懐かしさを感じたりもする。
日本人の多くは「バレンタインデー」がいつ日本で始まったかについては、あまり関心がないかもしれない。もはや「伝統」といっても問題ないくらい定着しているからだ。
廃棄ロスが社会問題化している節分の恵方巻きとは違って(参照:本コラム「節分には恵方巻? 「伝統」はこうして誕生する」)、同じ食品であってもチョコレートの賞味期限は、はるかに長い。廃棄ロス問題がないという点に関しては、バレンタインデーのチョコレートに目くじらを立てる人はあまりいないだろう。
今回は、そもそも高級チョコレートが日本で定着することになった時点から歴史をふりかえってみたい。その主人公となるのは、今から約100年前のロシア革命による混乱から逃れて、亡命先の神戸で洋菓子店を開き、日本人に本場のチョコレートを紹介したモロゾフ一家である。
ただし、モロゾフ一家と日本の洋菓子メーカー「モロゾフ」(兵庫県神戸市)とは直接の関係はない。その事情についてはモロゾフ一家の物語に触れるなかで取り上げることにする。
第1次世界大戦後、洋風の食生活普及が始まった
日本で本格的なハムやソーセージが製造販売されるようになったのは、今から約100年前の1920年代のことだ。
第1次世界大戦の青島攻略戦で日本軍の捕虜となり、日本各地に収容されていたドイツ人職人の技術が日本人に移転されたことによる。このことについては、このコラムでも紹介した(参照:「日本に住みつき『技術』を伝えたドイツ人捕虜たち」)。
本格的なチョコレートが製造され販売されるようになったのも、やはり第1次世界大戦後のことだ。現在では世界最高水準との評判で、価格も上昇中の日本産シングルモルト・ウイスキーもまた同じ時代に誕生している。
現在では当たり前になっている洋風の食生活が普及し始めたのは、第1次世界大戦後の1920年代のことであり、日本では大正時代にあたる。「大正デモクラシー」として知られている大正時代には、食生活を含めた生活全般の洋風化も始まっていたのである。
戦争と革命は多大な犠牲をもたらすが、一方では新たな文化の誕生と普及にもつながる。第1次世界大戦において、日本は直接的な被害は受けなかったが、間接的な影響は社会全体に及んでいた。
バレンタインデーのチョコは日本人の発明
バレンタインデー(Valentine’s Day)のバレンタインとはキリスト教の聖人、聖バレンタインであることは、ほぼ日本人の常識となっているといっていいだろう。
聖バレンタインは、正確にいうと聖ヴァレンティヌス(Valentinus)という3世紀に生きた人だ。ローマ帝国でキリスト教が迫害されていた時代の司祭で、絞首刑に処せられ殉教者となった。キリスト教がローマ帝国で公認されたのはその後の313年、コンスタンティヌス帝によるミラノ勅令による。
殉教者となった聖バレンタインは、カトリック教会とその流れを組む聖公会、東方正教会で聖人とされている。カトリック教会では“恋人たちの守護聖人”とされてきたため、聖バレンタインの殉教日である2月14日がバレンタインデーとなったのである。
日本で「バレンタインデー」とチョコレートを結びつけたのは、メリーチョコレートカムパニー(東京都大田区)だとされている。今から約60年前の1958年(昭和33年)2月、東京都内の百貨店の催事で初めて手がけた販促として始まったのだという(参照:「メリーのバレンタインヒストリー」)。このことは、すでに本コラムでも取り上げている。
だが、日本で高級チョコレートを普及させたのは、ロシア革命後に日本に亡命してきたロシア人のモロゾフ一家である。亡命先の日本で生計を立てるため、1926年(大正15年)に港町神戸で洋菓子店、神戸モロゾフ製菓を開設。ここから高級チョコレートが広まった。この原点はぜひ知っておくべきだろう。
ロシア通小説家が執筆した2つの評伝
NHKの連続テレビ小説(いわゆる「朝ドラ」)で2014年から翌年にかけて放送された「マッサン」は、日本で初めて本格的なウイスキーの製造販売を始めたニッカウヰスキーの創業者・竹���政孝の生涯を描いたものであった。
広島の日本酒醸造家に生まれた竹鶴政孝氏が、ウイスキー製造の修行のためにスコットランドに滞在していたのは、1918年から1920年にかけてである。ちょうど第1次世界大戦中から戦後にかけてのことであった。
日本に帰国する途上でスコットランド出身の新婦リタとともにフランスに立ち寄った竹鶴は、世界大戦の戦場となって荒廃した国土を直接見聞している。日本経済新聞に連載された「私の履歴書」には、そのときの感慨をつづっている。「労働力は減り、生産力は破壊されて、フランスの北の方は、ちょうど戦後の東京の焼け野原のような状態で放置されていた」、と。
『
大正十五年の聖バレンタイン―日本でチョコレートをつくったV・F・モロゾフ物語
』(川又一英著、PHP研究所)
「マッサン」の原作は、『ヒゲのウヰスキー誕生す』(新潮社、1982年、テレビ小説の放送時に文庫化)だが、著者の川又一英氏は早稲田大学文学部ロシア文学科出身のロシア通であった。『ヒゲのウヰスキー誕生す』の次作として発表したのが、『大正十五年の聖バレンタイン―日本でチョコレートをつくったV・F・モロゾフ物語』(PHP研究所、1984年)だ。この2つの作品は、ほぼ同時期を題材にしている。
以下、モロゾフ一家についてはこの本の内容に沿って記述していくが、この本は現在では絶版のままであり、文庫化もされていない。テレビドラマに取り上げられることもないのは残念なことだ。
波瀾万丈の亡命者、モロゾフ一家の苦闘
さて、1926年(大正15年)神戸で初めて高級チョコレートの製造販売を始めたモロゾフ一家だが、そのファミリーヒストリーは波瀾万丈で、まさに苦難の連続であった。モロゾフ一家はいわゆる「白系ロシア人」。「白系」の「白」とは、共産主義を意味する「赤」の反対語で、帝政側の立場にいた人を意味している。白人という意味ではない。
共産主義を掲げて私有権を認めないボルシェヴィキが暴力によって政権を奪取した「10月革命」(1917年)のあと、ロシアは大混乱状態に陥っていた。そんな状況のなか、資本主義時代のロシアで商売に成功していたモロゾフ一家は、シベリア経由で満洲のハルビンに脱出。ハルビンではボルシェヴィキ率いる「赤軍」に対する反革命の「白軍」の資金援助のために貿��活動を行っていた。だが、ロシア内戦の終了のため計画は失敗、1923年には日本を経由し、親戚を頼って米国西海岸のシアトルに渡った。
ところが安住の地を求めたシアトルでは生活再建ができず、再び日本に戻って東京でやり直すことに。しかし、関東大震災(1923年)のため横浜港に船が寄港することができず、寄港地変更のため神戸港に上陸することを余儀なくされた。その神戸で腹を括って、人生の再建に取り組んだのである。華僑流にいえば「落地生根」といったことになるだろう。
所持金は全部で3000円、当時の日本では月に100円あればそれなりに裕福な暮らしができたようだが、そのままでは資産を食いつぶしてしまう。その前になんとか所持金を元手に、確実にカネになる事業に踏み込まなくてはならない。家長である「無国籍の亡命者」フョードル・モロゾフにとっては、起業はまさに死活問題であったのだ。無国籍の外国人を雇う会社など、当時の日本では存在するはずがなかったからだ。
幕末に開港した横浜と並んで、神戸もまた日本では最も早く生活の洋風化が始まっていたが、モロゾフが目をつけたのが洋菓子、なかでも高級チョコレートの製造と販売であった。当時の日本では、チョコレートといえばキャラメルと同様に駄菓子程度のものでしかなく、高級チョコレートにビジネスチャンスがあると見てとったのだ。そしてそれは正解であった。
1926年(大正15年)に開業、ハルビンからロシア人の洋菓子職人を呼び寄せ、息子のワレンティンには15歳で菓子職人の道を選ばせた。後ろ盾も国籍もない異国の地で始めた洋菓子の製造販売は軌道に乗り、神戸だけでなく東京にも販路を拡大し、日本での定着は成功したかにみえた。
ファミリーネーム由来の「モロゾフ」の商標を喪失
だが、一難去ってまた一難。異国の地での苦労は簡単には終わらない。なんと、事業拡大のための設備投資に必要な資金を調達するため増資した際、出資によって共同経営者となった日本人から裏切られたのである。商標権をめぐる訴訟に敗れた結果、コーポレートブランドであったファミリーネームの「モロゾフ」(Morozoff)が使えなくなってしまったのだ。
日本語が不自由で無国籍者のロシア人モロゾフとの契約をうまく利用し、契約を楯にとって創業家を事業から追い出したのである。まさに狡猾な日本人としか言いようがないが、近代日本が法治国家である以上、契約書記載事項をめぐる訴訟の結果を受け入れるしかない。とはいえ、信頼していたパートナーから裏切られたことは、どれだけ創業者一家には精神的にもダメージになったことだろうか。この時点で、モロゾフ一家とモロゾフ製菓とは関係がなくなった(1936年に神戸モロゾフ製菓からモロゾフ製菓に商号変更している)。
モロゾフ一家は1941年(昭和16年)からは、「コスモポリタン」(Cosmopolitan)という名前で再出発した。商標の重要性について身をもって知ることとなったわけだが、他方では全面的に支援してくれた日本人たちもいた。第2次大戦後の再建も、顧客を含めた支持者たちのおかげであったことはいうまでもない。
神戸は阪神大震災(1995年)によって壊滅的打撃を受けたが、洋菓子産業は復興後の神戸で元気産業の1つとなっている。だが、「コスモポリタン」は2006年に業績不振を理由に自主廃業している。モロゾフ製菓とは大きく運命が分かれたことになったわけだ。時代の変化について行けなかったのであれば、経営能力にかかわるものであり、仕方ないことだ。ロシア語なら「ニチェヴォー」とつぶやく状況であろう。
神戸には、同じく白系ロシア人亡命者マカロフ・ゴンチャロフによって1923年(大正12年)の創業になる「ゴンチャロフ製菓」がある。こちらは現在でも健在であるが、モロゾフ一家とは違って、創業者のゴンチャロフは創業から10年後に会社を売却して日本を出国している。
チョコレートの味は甘く、人生の味は苦い。そんな気持ちにもさせられる亡命ロシア人モロゾフ一家の物語である。
「白系ロシア人」がなぜ日本に亡命したのか
ここで、「白系ロシア人」が生まれた時代背景について見ておくことにしよう。
ロシア革命は、第1次世界大戦のさなかに起こった出来事であったが、革命前の帝政ロシアは、日本もその一員であった英仏主導の連合軍に属しており、欧州の東部戦線ではドイツ帝国およびハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリー帝国)と戦っていた。
ロシア革命後に、ブレスト・リトフスク条約でドイツと単独講和を実現したボルシェヴィキ政権は東部戦線から離脱し、ドイツは全勢力を西部戦線に振り向けることが可能となった。この状況に強い危機感を感じていたのが英国とフランスである。
この英仏からの強い要請に応じてロシア極東とシベリアに干渉軍を派遣することになったのが、1918年に日本と米国の連合軍を中核とした15カ国に及ぶ多国籍軍であった。いわゆるシベリア干渉戦争(Siberian Intervention)である。1904年の日露戦争で激しく衝突した日本とロシアだが、その後4次にわたる「日露協商」を通じて政治的にも軍事的にも良好な関係にあったことは、意外と知られていない。皇室どうしの関係も良好であった。
日本が指揮権を握ったこの干渉戦争は、日本では「シベリア出兵」と呼ばれている。ロシア領内に侵攻して、厳冬期にはマイナス40℃にもなる極寒のシベリアで、神出鬼没のパルチザン(いわゆる農民主体のゲリラ部隊)と戦ったこの戦争は、一般市民を巻き込んだ虐殺や略奪を伴い、文字通りベトナム戦争に匹敵する泥沼の戦争となった。
連合軍の中核となっていた日米だが、出兵当初から同床異夢といった状況であり、米国が1920年に撤兵したあとも日本は単独出兵を続けた結果、国際的な非難を浴びることになる。シベリア出兵は、日本にとっては最終的に10億円(当時)を越える莫大な戦費と3500人を超える戦死者を出したが、ほとんど何も得ることができなかっただけでなく、革命後のソ連とロシア人に反日意識という大きな禍根を残すことになった。これが第2次世界大戦末期(1945年)の日ソ戦とシベリア抑留につながっているのである。日本人はこの歴史的事実を認識しておく必要がある。
モロゾフ一家が、日本を亡命先に選んだのは、そんなシベリア出兵の時代であった。モロゾフ一家は、「白系ロシア人」として反革命勢力の「白軍」を支援しており、同じく白軍を全面的にバックアップしていた日本や米国を亡命先に選んだのは、そういう文脈で捉えることが可能だろう。
日本だけでなく、米国もまたボルシェヴィキ政権の「赤軍」と戦っており、戦死者も出している。米ソ対立は第2次大戦後後の冷戦時代に先鋭化したが、その根源はシベリア出兵の時代にあったのである。
「無国籍者」を貫いたモロゾフ一家
『大正十五年の聖バレンタイン―日本でチョコレートをつくったV・F・モロゾフ物語』の記述をベースに「白系ロシア人」の亡命者モロゾフ一家について見てきたが、この本が出版された当時の店主、ワレンティン・フョードロヴィチ・モロゾフのファーストネーム「ワレンティン」は、英語でバレンタインとなる。書籍のタイトルはそこから取られたものだ。
1911年生まれで6歳のときに両親とともに生まれ故郷のロシアを離れ、各地を転々としたのち13歳から日本に定住することになったワレンティンは、死ぬまで「無国籍」のままだったという。祖国の帝政ロシアに強い愛着をもち、ソ連の国籍も取得せず、また日本国籍も取らなかった。国籍変更によって名前を日本風に変えるのは、祖国とのつながりを断ってしまう行為に思えたからだという。
「無国籍」状態がいかに大変なことかは、陳天璽氏の著者『無国籍』(新潮社、2005年)に詳述されている。陳天璽氏は、台湾人家庭に生まれたが1972年の日中国交回復後に、親の方針で国籍放棄した結果、無国籍になっていた(現在では日本国籍を取得しているようだ)。日本に定住していながら日本のパスポートを取得できないため、海外渡航に際しては不便きわまりないが、それだけではなく、自らのアイデンティティに直結する問題であるのだ。
「白系ロシア人」といえばモロゾフ一家のほか、野球選手として読売巨人軍でピッチャーをつとめたヴィクトル・スタルヒンが有名である。スタルヒンもまた一生を通じて無国籍のままであった。また、バレエ教師として数々の日本人バレリーナを育成した「日本バレエの母」エリアナ・パブロワもそうだ。ロシア貴族出身のエリアナ・パブロワは、1937年に日本に帰化して日本国籍を取得している。
モロゾフ一家に限らず、異国の日本で人生を再建せざるを得なくなった人たちは少なくない。それぞれ���なる人生ではありながら、絶望的な状況のなかでも前向きに道を切り開いていった人たちの物語を知ると、勇気が湧いてくるのではないだろうか。
日本の高級チョコレート誕生の原点に、そういった亡命ロシア人が存在したことを、記憶にとどめておきたいものである。
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2月28日(月)
相変わらずの歯痛を抱えたまま、歯医者へと直行した。虫歯でもなければ歯周病でもなく(よかった)、どうやら問題の部位に親知らずは存在していて、少しずつ伸びてきて歯肉が盛り上がったところを、噛むたびに傷をつけていたようで、腫れて、口内炎になったとのことだった。根治するには抜歯しか方法がない。抜歯しましょうか、すぐに終わりますけど、と言われる。以前別の親知らずを抜歯した時もそうなのだけれど、歯というのは一生物であって抜いたらもう生えてこないのに、なにかと即断力を求められる。優柔不断には酷だった。ただ、悪影響を出している分には、困る。既に、食事に苦しんでいるのだから。取ってもらうことにした。すぐに処置が始まる。ほんとうにあっという間だったが、抜歯技術なんてきっともう昔から変わらず、しいていえば麻酔注射の痛みが軽減されているだとか、麻酔そのものの効力が向上しているとか、そんなもので、抜歯自体はペンチのようなもので力づくで引っ張る、ここ��変わらない。歯科医によって無理矢理、引っこ抜かれる。ものの一分もない、のだけれど、頭蓋に、ごごご……ごご……ごりごり……と鈍い音が響き、隣の歯でも抉っているのかというような、率直に不快感が押し寄せる。ドリルの金属的で機械的で暴力的な不快感とはまた違う、ゆっくりゆっくりと締め付けらているような苦しみ。何より痛い。処置部位自体は痛くないのだが、問題の口内炎に響くやら、無理矢理口を押し広げられているやら、していれば、それは、やはり、痛い。けれどここを越えぬことには抜けないので、我慢しているうちに、涙が出ていた。抜けた。歯が抜けた。気も抜けた。口内はきっと血塗れになっている。止血剤とガーゼが投入される。少し噛んでいてください、といわれるその噛む行為もまた痛い。唾液もだらだらと出てくる。説明を聞きながらうまく唾液が呑み込めず、咽せてしまう。はずしましょうか、と取られたガーゼは真っ赤だった。抜かれた親知らずと対面した。これも血を帯びて白というよりは褐色に汚れていたのだけれど、こんな立派な歯が歯茎の中に眠っていたのか……とまじまじ見つめてしまう。きれいな直線形ではなく、ややL字型に曲がっていた。力なく他人面をして机に転がるそれは、紛れもなく私の一部だったものだ。終わってから、処置部をそっと舌先でなぞってみる。そこは、以前から、ほんの少しだけ歯が覗いていたもので、ただ、歯の��中心部には肉があり、周辺部だけ露出しているような状態だった。ドリルでどんどん削られてほとんどなくなった歯のようでもあった。親知らずだと思わずに過ごしていたんだけれども、抜けてから、親知らず、お前だったのか……と今更のように知る。そうして問題の原因は解決したのだけれど、口内炎自体がすぐに治るかというとそんなわけがないし、抜歯後しばらくは頬が変形するほど腫れて痛いというのも身を以て知っているので、結局この苦痛とはもう少し付きあっていかなければならない。痛いのは嫌なので、躊躇なく鎮痛剤を飲んでいる。
歯自体とは関係ないのだけれど、処置前に血圧をはかったのだが、最高が80で最低が58と相変わらずの低血圧ぶりを発揮していた。前日に献血を検討していたが、たぶん血圧で引っかかってどちらにしろ出来なかっただろう。前も血圧が低すぎて献血ができなかった。気まぐれで初めての献血をしてみた一回目は何故かクリアしていた。体重的に全血400mLができないのはもうわかっているとはいえ、血圧が足りないのはいつも切ない。
とにもかくにも歯医者が終わり、ロキソニンとペニシリン系抗菌薬を受け取った。夜に『国境の夜想曲』を観ようと決めていたので、チェーン店に入って持ってきた本を読みながらだらだらしたり、本屋に寄ってロシア文学に直行して何冊か見繕ったりしていた。まだ立ち読み程度だけれども、近年のロシアを語る時、ウクライナはほぼ必ず言及された。ISISにしろ、今回のウクライナ侵攻にしろ、現代の戦争におけるネットの存在の大きさにも驚愕するものあり、世界のどこにいても戦争の姿を素早く共有できる現代が、プラスでもありマイナスでもあって興味深く、ちょうどそれについて言及しているようであった『140字の戦争』の導入もまた、ウクライナからだった。この本は今のところ、自分にとって関心が強いせいもあるのだろうけれども、とても面白い。
夜、『国境の夜想曲』を観た。あまり前情報は入れずに観た。ドキュメンタリー映画だとは知っていたのだけれど、本当に、実際の映像なのか、創作なのではないかと一瞬疑いたくもなるような、美しく、詩的で、物語のような場面をいくつも捉えていた。しかし人生とは、その人ひとりひとりの一篇の物語だという見方をすれば、ドキュメンタリーは真実、物語ともいえるのか。舞台は中東。シリア、イラク、アフガニスタン、クルディスタンの国境地帯(クルドには国境はないのだけれど、映画ではっきりとクルディスタンと発していたことに敬意を示しつつ)。美しいという言葉を使うのもはばかれられるような状況を映しているのだけれど、色彩、闇、光、すべてが絵のようで、やはり美しかった。この映画には、直接的に人を殺すような激しいインパクトを残す映像��一切ない。音楽もなく、そこには虫の声があり、人の息づかいがあり、風があり、エンジン音があり、船を漕ぐ音があり、そして銃声がある。色彩や光のコントラストが印象深い画からは、視覚的な印象はもちろん強いけれども、音の映画だ、と思った。音には、静寂も含まれる。耳の映画、ともいえるのかもしれない。あらゆる粗雑を削り取った静寂が、没入感を一層高める。確かに私も国境に立っているかのような。なぜなら、そこに存在するのは人々の生活だから。音の映画であり、生活の映画。けれどその生活に、断続的に、銃声が聞こえる。悲惨な出来事がいくつも起こり、今も続いている地。
鑑賞を終えて夜の町に足を踏み入れたら、くらくらした。それで、確かに、この短い時間、私は、確かに日本ではない場所にいたのだと思った。
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ひょっとしたら、Touche Amoreはあなたのフェイバリットバンドかもしれない。私はいくらかお金を賭けてもいいが、あなたがエモかハードコアを聴く人なら、そしてその両方に浸っているならまず間違いなく、あなたはどこかの時点で彼らのアルバムを誰かに勧めたことがあるはずだ(たいていは『Is Survived By』だと思う)。Touche Amoreがあなたの好きなバンドではなかったとしても、あなたの知り合いの好きなバンドであることはまず間違いない。このバンドは、ハードコアの中でも最もハードコアなファンベースを持っていて…まぁ、リードシンガーのJeremy Bolmと話した後ならその理由はすぐわかる。
あなたがJeremyのバンドに関心があるなら、彼は喜んでその対価を返す人物だ。彼は感謝と謙虚さの模範であり、静かな性格のデュエル・ファシストであるため、彼自身の精神の健康を危険にさらしてでも、非常に親しみやすいのだ。Touche Amoreの4枚目のアルバム『Stage Four』に対する圧倒的なファンの反応は、2016年に癌で母親を失った経験を深く掘り下げ、Jeremyは一部のファンの悲しみや喪失感の代弁者となった。これを受けて、バンドのニューアルバム『Lament』は、前作への反響を整理し、愛する人の死によって開かれる悲しみの無限の地平線と折り合いをつけようとする試みとなっている。
以下は今年の夏に行われたMick RとJeremyとの電話での会話の記録です。このトランスクリプトは、わかりやすくするために若干編集されています。
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インタビューを受けてくれてありがとうございます。次号であなたの特集を組めるのをとても楽しみにしています。
どうもありがとう。
New Noise Magazineについてはご存知ですか?
もちろん。何冊も持ってるよ。フレキシ(ソノシート)付きとかもやってるよね。いつも雑誌の内容について本当にクールだと思ってたんだ。
私たちのやっていることを気に入ってもらえて嬉しいです。全然馴染みのない方もいるので。
君たちはあらゆるジャンルをカバーしつつ、今もフィジカルな雑誌として残っている数少ない一つだから関心を払わない方が難しいね。
ええ、今もフィジカルとしての雑誌がメインであり、ウェブサイトの補足ではないという部分は気に入っています。以前はよく雑誌を集めていたとか、ZINEシーンにハマったというようなことはありましたか?
うん、過去に少しだけならあるよ。2000年代初頭に”Status”というジンがあってね。サウザンドオークス(カリフォルニア州南部の都市)で発行していたジンがなんだけど、(Statusを作っていた)彼はレーベルもしていて、Curl Up and Dieやthe Casket Lotteryなんかのレコードをリリースしていたんだ。僕がジンに寄稿したことがあるのはあの時が唯一の経験なんだけど、そこでレコードレビューを書いたり、いくつかインタビューもしたね。 そう、19か20歳の時にConvergeのJacob Bannonにインタビューしたこともある。何年も後になって、彼と直接話せるような間柄になってから「覚えてないと思うけど、君にインタビューしたことがある」って言ったら「オー、シット!クレイジー!」って反応だったね。
彼はそのインタビューであなたのことを覚えていなかったんですね。
もちろん覚えてないと思う。 確か“You Fail Me “か “No Heroes“のツアー中で、ちゃんと日付を確認してみないといけないけどね。今でもそのテープを持ってるよ。まだデジタル・レコーダーが出る前でインタビュー用のミニ・テープなんだけど、どこかにあるはずだ。
どこかのタイミングで(そのテープを)公開する価値はあると思いますか?
まぁ僕もそれは考えたけど、個人的に聞き返して楽しむだけかな。再生する機器も持ってないから、聞くためだけにもう一台買わないといけないし…。まぁ何があったのかは神のみぞ知るってとこだね。確か(レコーダーは)雑誌のオーナーから借りたものだったと思う。 実は数年前に僕は”Down Time”というジンを出したんだけど、当時のそのインタビュー記事を転載したんだよね、(元となったオリジナルの)ジンのコピーはまだ持ってたから。でもインタビューの音声自体は最初の時からもうずっと聞き返してない。めちゃくちゃ緊張しているはずだから(聞き返せば)多分面白い���ろうけど少し恥ずかしくもあるよ。
過去の自分を振り返って「おお、これが自分か…」と実感するのはきついこともありますよね。振り返ると言えば10月に「Lament」というニューアルバムが出ますが、このアルバムは内省や回顧といったテーマに焦点をあてているように思います。明確にタイトルにも示されていますが、これらのテーマに関して説明してもらえますか?
僕達の前回のアルバム「Stage Four」は、自分の母の死とそのプロセス全体を扱ったアルバムだった。今回のアルバムは、あのレコード(Stage Four)がリリースされた後の自分の人生について、あのリリー��が自分の人生にいかに影響を及ぼしたのかについて書いているんだ。自分自身の悲しみについてまっすぐ正面から向き合うことでどういった問題が起きるのか、オーディエンスの反応が自分の人生にいかに影響を与えたのか、そしてあの苦しみを通して人々と培うことができたつながりについてもね。 それから、本来ならなる必要のない代弁者になってしまったこと、悲しみに関して相談されることが多くて、それにどう対応すればいいのかわからず、丸一日を棒に降ってしまうことについても。ツアー中なら誰かにそういう話題を話しかけられるのは日常的にあるけど、家にいるときでさえそういう内容のDMやメールが来ない日はないんだ。 それに対応するのは自分だから。でももっとポジティブな面でいえば、(このアルバムは)人生の中で自分を支えてくれた人や支えてくれなかった人を映し出しているとも言える。だから、そういうことに関するあらゆるトピックに触れていると言えるね。
悲しみや喪失感に関することで相談されて、あなたが自分の手に負える範囲を超えているなと感じるのはどういった状況でですか?
どこからともなくいきなりそういう目に遭うんだ。ツアー中、コーヒーを買うのに歩いていたり、レコード屋でレコードを見ていたりすると、誰かが近づいてきてね。自分は誰とでも話すのが好きな方だしバンドに関心を持ってくれる人には本当に感謝しているからヘッドフォンを外して「ヘイ、元気?」って感じで楽しい会話になりそうな気がするんだけど、大抵の場合「妹が脳腫瘍で死んだことを知ってほしいんだ、あなたのレコードは本当に自分の支えになったから」とか。もっとハードなのだと「ねえ、一体どうやって折り合いをつけたの?」とか。というか、人にアドバイスできるほどちゃんと用意ができているとは全然感じてないんだ、僕自身が今も折り合いをつけている最中だからね。 そういう点でいえば、僕は悲しみや苦しみに終わりはないと思ってる。だからしんどいよ、潜在的には良い一日を過ごしていて、頭の中も良い状態にある時に、そういうことで気が散ってしまうのは。それはそういうことをシェアしてくる人に対して感情移入するからだけじゃなくて、どうして自分とシェアしてくるのかっていう理由にも共感するからね。もし自分が逆の立場で、自分が経験している苦しみゆえにあるレコードとつながりを感じていて、そのレコードを作ったバンドの人間に会えたとしたら、自分だって同じことをすると思うんだ。僕だって伝えるさ! 僕が感じているのはそういう類いの罪悪感なんだ。精神的な���裕がないって理由でDMにはまず返信しないし、悪いとは思っているんだ。届いたメッセージに目を通して「ステージ4」とか「癌」とかの文字が出てくるだけでもうきついんだ。だから 共有したいと思っている人達に対して心を開いてないことに罪悪感はあるんだけど、もうただ無理なんだよね。そういうのを読むのは本当につらい。彼らがなぜそうするのかがわかる罪悪感と、なぜそうするのかに共感する気持ちの狭間なんだけど、ただ期待される役割を果たすことが自分はできないと感じてる。
ええ、あなたは精神科医というわけでもないですしね。
正直言って、自分も答えを持っているというわけじゃないんだ。
大抵の人はあなたにそういった感情を吐露するだけで満足なんでしょうか?それともあなたから積極的に何かを求めているような状況に遭遇しますか?
その時と場合によって毎回違うね。ある時はアドバイス的なものを求められて僕にはそうする資格がなかったり、レコードに共感したからという理由で何かをシェアしたいだけって人もいる。繰り返しになるけど、僕にはよくわかるんだ。僕の人生においても自分にとって意味のあるレコードを出してきたバンドがたくさんいて、そういうことを本人達に伝えた機会もあったからね。 若い頃は、レコードを聴いて自分がどう感じたか、それを直接伝えることがアーティスト本人に影響を与える可能性なんて考えたこともなかった。そのレコードがアーティストにとってどれほど深くパーソナルなものだったとしてもね。自分がファンだったり、レコードに心を動かされた時にそういうことはまず考えないよね。でも今、自分はそういうことが起こり得ると実感できるポジションにいて、上手い言い方が出てこないけど、ある意味で”Oh, god…”ってなるきっかけになり得るというか。 僕らのバンドは何年もかけてそういうことに気がつくようになった。みんなどれだけ意識していたかはわからないけど、ある時ツアーでライブが終わった後、徹夜で移動する前にスライスのピザを一切れ食べようってことでまだ開いてる店を探しながら、僕らのグループは通りを歩いててね。みんなすごくいい雰囲気だった。確かトロントでのことだ。とにかく、みんなで店まで歩いてサクッとピザを一切れ食べて、みんなで笑ったり時間を楽しんでた。その帰り道にバーが通りに出ている店があって、そのバーにいた何人かがさっきのショーに来ていてね。僕らのバンドを見るなり、みんなでハイタッチし合ったり「最高なショーだった!」とかそういうやりとりがあってね。 それでバーの客の一人が私を見て近づいてきて、僕はただ幸せと喜びいっぱいでその光景を見ていたんだけど、彼は僕の方を向いて「やあ、先週僕の妹が自殺しちゃって、今週あなたのレコードが本当に支えになった。ショーがあって本当に良かった。」って言ってきてね。僕はもうそれにぺしゃんこにされてね。”Oh my god!”っていう。バンドのメンバーがそれを見ていて、それから僕らは会場まで無言で引き返した。後で一人が僕を引っ張って「最悪だったな」と言ってね。本当にその通り��った。 こんな状況に遭遇することがけっこう多くてね…僕はこういうことをうまくコントロールする精神的な心構えができていないし、本当にしんどいことが多いんだ。僕はただこの世界を(滑落しないように)トラバースするのに最善を尽くしているだけなんだ、他の人と同じようにね。こういうやり方で自分の悲しみを表現できるプラットフォームを持っていることは本当に幸運だと思ってる。このバンドをやることは、こういうことすべての吐け口になっているんだ。 そういう意味で今までどんなセラピーにも行ったことがないなんてバカだとは思うけど、でも自分で作った薄っぺらい言い訳もあって、だってもしセラピーに行ってしまったらじゃあ僕は一体何について歌えばいいんだ?っていう。だってそうだろ?自分が抱えている問題が全て解決されちゃったらもう何も歌うことがなくなってしまうんじゃ?このバンドはずっと物事に対処するための自分なりの治療法であり続けてきたからね。 だからまぁ、あのレコードをリリースすることで自分がどういう立場に置かれるかってことをわかってなかったわけだけど、僕にとってあのレコードは必要だった。自分の悲しみに対処するために必要な方法だったんだ。そして何年も経った今、あのレコードをリリースすることのインパクトをわかっていなかった。僕にとって「Lament」を書くことは、「Stage Four」が自分に与えた影響や、人々に寄り添えなかったことへの罪悪感という感情を吐き出す方法であり、同時にそういうクソ(な状況や感情)をくぐり抜けることの難しさの表現でもあった。
あなたは、そういったタイプの交流を、あなたにとってより管理しやすい方向に落とし込もうとしたことはあるんですか?
いやあまりないかな。ただできる限り避けようとはしているね、おそらくこれも健康的ではないんだろうけど。
でもあなたはまだこういう交流を受け入れていますよね。
まぁ、どうやってやめればいいか分からないからだよ(笑)。 僕は自分たちの活動に関心を持ってくれたり、今でも聴き続けてくれる人たちに感謝して生きてきたんだ。これが5枚目のアルバムだから、最初のアルバムから聴いてくれてる人には、あるいは3枚目から入ってくれた人にとっても、これまでの間には多くの出来事が起こるだろ。人の興味は変わっていくものだし、僕もそれはわかっているから。 これはまぁジョークだけど、僕らのバンドはドレイクが出てくる前からやってるんだぜ。いったんドレイクが出てきたら、みんなそっちに飛び乗っちゃうだろ?なにしろ新しいジャンルでエキサイティングだからね(笑)。だから最初からそこにいてくれた人は誰であろうと、人生の恩人だと思ってる。僕はいつだって話が好きな方だし、ショーでも必ず顔を出すようにしてる。ずっとバックステージに隠れているようなタイプだと思ったことはないよ。僕は自分の時間を割いてくれる親切な人たちと関係を持つのが好きなんだ。諸刃の剣だよ。
アルバム「Lament」のカバーアートがとても面白くて、深読みするうちに象徴的になってきた気がしてます。(Lamentという)たった一言の言葉ですが、タイトルの片方が沈んでいる一方、もう片方は持ち上がってきて、それが回転しているような印象を与えています���ある種、感情や思考といったものはある時には他のものの水面下に隠れ、またある時にはどこからともなく出てきて予期せず表面化するといったような。(この解釈は)いい線いっていますか?
100%核心を突いていると思うよ。まさしく自分達が目指していたものだね。Nick (ギタリスト)が僕らのアートを最初の時から全てやってくれてる。彼は実際それで生計を立てているしね。素晴らしいグラフィックデザインのアーティストだよ。でも一緒に仕事をするときは、レコードのレイアウトをどうするかということになると、彼は率先して僕をクライアントのように扱ってくれるんだ。

僕らはとても緊密に仕事をしていて、僕が何を伝えようとしているのかということについては、彼はとても意識的で親切なんだ。レコードを作っているとき、リリックの内容に関してはとても緊密に作業していて、僕が歌詞をある程度完成させたら、それを彼に送ってアルバムアートの面で何をすべきかのアイデアを与えるんだ。彼はそういうのをとても早い段階で始めるのが好きなんだ。
アルバムのタイトルトラック “Lament “は、さっきのあのサイクルに関係している。曲中にあるライン"I lament, then I forget / I lament, till I reset “(私は後悔する、そして忘れる/ また後悔する、リセットするまで)というのがある。完全に通常運転で、気分も全く問題なく始まった1日でも、メッセージが来るとかそういった些細なことや、あるいは何かを目にしてしまってその日の調子がすっかり狂ってしまうことがあるんだ。そしたらできるだけそれから目をそらして、ただ気を紛らわせるようにする、それがなんだろうとね。そして寝て起きたら、また同じことの繰り返しがやってくる。これがこの世界をトラバースする上でのプラスとマイナスなんだ。
"Come Heroine "という曲のタイトルは、今この国で起きていることにとって重要な意味を持つと感じています。オピオイドクライシス*がある中で、それにCOVIDのパンデミックが重なっています。多くの人が自分の問題からドラッグに���めを得ようとしていて、今のような厳しい時にこそ、この曲は特に妥当性を感じます。 (オピオイドクライシス/ 米国では毎日100人を超える人がオピオイド鎮痛薬の過量投与で命を落とすなどオピオイドの不適切使用が社会問題となっている)
とても挑発的な曲名だよね。だからこそこの���イトルを選んだんだ。でも僕にとっては、この曲は自分のパートナーのことを歌ったもので、彼女の存在は僕の人生の困難を乗り越えるためのすごくポジティブな力となってくれていて、特に自分の母親を亡くした時のことを歌ってる。一方で彼女自身も自分の人生の中で失ったものや葛藤を抱えていることは理解している。 僕にとっては、人生で本当に辛い思いをしたいくつもの理由を抱えていながら、なお自分のためにそれらを脇に置いて付き合ってくれた人へ感謝の気持ちを示すための曲なんだ。彼女がそうしてくれているように私に寄り添ってくれた人。そういう人のための曲なんだ。
つまり、文字通り彼女はあなたのヒロインなんですね。
そう。オープニングのラインは“From peaks of blue / Come heroine”(青/憂鬱の頂点から/ヒロインがやってくる)彼女は自分の人生で経験してきた悲しみの山脈を持っていて、そこから彼女が本当に温かい優しさと期待感を携えて来てくれたというような感じなんだ。
とてもクールですね。正直、これを聴いた時にそういう結論にはならなかったんです。
いや本当、正直言うと僕にとって音楽の醍醐味はそこなんだ。(曲について)誰かが何かを誤った解釈していても、一度だって不快に思ったことはなくて、それは曲を一度世に出したらもうその曲は自分のものじゃないって本当に思ってるから。その曲のナラティブを決めるのはリスナーだ。多くの人が僕の所にきて「この曲はこういう意味だった」とか「あの曲はこういう意味だった」と教えてくれた。例えば、Stage Fourの最初の曲は、母に食べさせようとすることについての歌だったんだ、(末期ガンで)彼女は体重がすごく落ちていってたからね。で、その曲が摂食障害が治るきっかけになったと言ってくれた人がいたんだ。 でもそれで「いや、あれは別に摂食障害のことを歌っているわけじゃなくて」とはならなかったよ。 実際、それって素晴らしいことだし、本当にスペシャルなことだ。だから、誰かに(曲の解釈を)推測されるときは、いつも楽しませてもらってるんだ。よっぽど間違っていなければね、たとえば「こいつを殴ったことを歌ってる!」とか。
全然、そういうこととは無縁というか、しそうにないですよね。
もちろんだよ!
先ほどドレイクが出てきたのと同じ頃にバンドも露出するようになったと言っていましたが、あの頃は音楽シーンがいくつかの点で今とは違っていましたよね。当時ははっきりとエモリバイバル、ポストハードコアのリバイバルが来ていました。その頃と今とでは、エモやパンクシーンはどのように変わりましたか?特にこの4年間で、これらのシーンに大きなシフトがあったように思います。
いい質問だね。���体的なこれっていうものがあるかはわからない。僕達がより意識的になるという点で、僕は世界は大きな振り子スイッチのように進んでいくと思ってる。トランプのような人間が政権につくと、物事がより激しく政治的になる。ブッシュが就任していた時も多くの人々の政治的な意識が高まったよね。 でもオバマになってからの数年間はほとんどの部分で物事がすごく普通になったように感じられたんだ。当然、その間も政治的にはずっと多くのことが起きていたんだけどね。でもトランプ政権が誕生してからは、政治や社会的なコメントが再び前面に出てくるようになった。これを不幸中の幸いだとは言わないけど、こういう対話をするのは良いことだよね。 それが対話を促進させるのであれば良い、というべきかな。でも同時に誰一人として今の状況で満足していない。興味深い状況の並置と言える。そこには自己反省する余地もたくさんあると思うんだ。こういう緊迫した政治状況に直面すると、自分自身を見つめ直して「自分はこれらの過ちを正すためにできる限りのことをしているのか?」と自問するようになる。それが状況の変化に繋がっているのは確かだと思う。
バンドを始めて、それまでとは違う自分になったと感じますか?
ああ、そうだろうね。(バンドを始めた当時)僕は24か25歳だったけど、今やもう40歳目前、今は37歳だ。人は30歳を迎えると、自分の人生を本当に、本当に、本当に、見直し始めるようになると思うんだ。僕たちのアルバム『Is Survived By』は、基本的にそういうことについて30歳の時に書いたものだ。成熟度と、自分が思い返す価値のある人生を送っているのかどうか。 20歳の時は無敵のような気がして、将来のことはそこまで考えないような気がするよね。でも今の自分は、まぁみんな誰もがそうだと思うんだけど、あらゆることにおいて歴史の正しい側にいるかどうかを考えるようになってきてると思うんだ。みんな政治的な意識が高まってるし、社会的な意識も高まってる。こういったこと全般がそうじゃないかな。
全体的に物事に対して意識が高くなったような気がするんですね。
そうだね。バンドを始めた頃はできる限り楽しむことしか考えていなかった。床で寝て、請求書の支払いができなくても気にしない。実家に住んでてまだ家族と一緒に暮らしてて。そんな感じだったんだ。 無職のやつらを集めてクソみたいなショーもした。 ガソリンスタンドの食ベ物だけで食いつなだりっていうクソみたいなツアーとか、そんなのばかりだった。当時は何年も経ってまだこのバンドをやっているなんて思ってもいなかったけど、そういった経験と共に成長し、適応することを学んだ。あの頃に得たパンクの倫理観が今の自分たちの生き方に繋がっていると、今でも思っている。
辛いときに助けられたレコードがあると言っていましたね。そういったレコードを作ったミュージシャンの中で、その当時話してみたかった人や、自分に影響を与えたレコードについて今でも話してみたいと思っている人はいますか?
結局のところ、僕はただのファンなんだ。大のレコードコレクターだしね。レコードは自分にとって世界の全てを意味してる。このバンドをしていて最大の特権の一つだと思ってることは、現時点で自分のフェイバリットバンドのうち、おそらくDeftonesを除く全てのバンドと一緒にプレイできたことなんだ。(Deftonesとも)フェスでは一緒にプレイしたんだけど、それはノーカウントだから。 最近よくこういう話をするんだ。僕は数ヶ月前にポッドキャストを始めたんだけど、その会話の中でよく出てくるのが、僕の好きな点とまでは言わないまでも、このパンクというジャンルは天井がすごく低いっていう意味では唯一のジャンルで。この点について異論はぜひとも歓迎だし、別の話も聞きたいと思ってる。でも十分ハードに努力さえすれば、自分の好きなバンドと一緒にプレイすることが不可能ではないと思える唯一のジャンルなんだよ。 完全に可能性の範囲内なんだ。プロモーターとだって友達になれる。好きなバンドが100万枚売れる必要もない。好きなバンドは7インチを2枚出すバンドになるかもしれない。何を言ってるかわかるだろ?完全に可能なんだ。ショーで彼らに会うことも、近づいて話をすることもできる。僕は、自分の人生を完全に変えてくれた人達とこれまでたくさんの対話をすることができたり、それどころか友達にもなることができて、本当に、本当にエキサイトしてる。そして今、僕は(ポッドキャストで)彼らにインタビューを始める立場になった。 先週、CursiveのTim Kasherにインタビューしたんだけど、それが超エキサイティングだった。二人ともロサンゼルスに住んでいて、お互いのライヴで会ったり共通の友人がいたりして知り合いではあったんだけど、彼と実際に会話をする機会を得て、2000年代初頭のサドル・クリーク時代やネブラスカのオマハのシーン、そしてそのシーンが自分にどれほど影響を与えたか、またシーン全体が自分にとってどれだけ意味のあるものだったかについて、洗いざらい本人にぶちまけることができた。 レターマン(”Late show with David Letterman”というテレビ番組)でCursiveのプレイを見た時の話をしたんだ。パンク周辺から出てきたバンドで、個人的に知っているかどうかは別として、彼らのような存在がレターマンの番組に出演するのを見ると、僕ら全員の勝利のような気がするんだ。彼らがやってくれた。クールなことをしてくれたっていう。様々なことが頭の中を駆け巡っている中で、自分に印象深いものを与えてくれたこの世界の人間に会うチャンスがあると、いつもぞくぞくするんだ。 今回のニューアルバムのレコーディングでも、ロス・ロビンソンは子供の頃から僕の人生の中で大きな役割を果たしてくれた人だしね。Kornの1stが出た頃は好きだったし、Sepultura、Glassjaw、At the Drive In、Blood Brothersも大好きだった。これらのレコードはどれも自分の人生を通してとても重要なものだったし、今は(そういった作品をプロデュースした)彼とレコードを作っているんだ。僕はレナード・コーエンの大ファンなんだけど、スタジオで僕が歌っていたマイクは、レナード・コーエンがレコード”The Future”の全曲で歌っていたマイクだったってことをあとで知ったんだ。 マジで心からぶっ飛んだね。だから、僕は今でもこういう体験をするし、こういうことに麻痺したり、当たり前のことだと思うようにはならないと思う。僕にとって全部がエキサイティングだし、これからもそうだろう。もし、エキサイティングだと思わなくなったら、その時点で自分が嫌いになる���。
ええ、何か別のことをしたらいいと思います。
そうだね。僕のバックアッププランは郵便配達員になることだってよくジョークで言ってたんだよね、メールオーダーの仕事をするのが好きだし、そのプロセスも大好きだからね。仕分け室の後ろに座ってヘッドフォンをつけて、1日8時間郵便物を仕分けするのは自分にとっては夢の仕事だと思って。僕にぴったりだ。でも同時に、もう郵便局がなくなってしまうかもしれない状況なんだ(笑)。 (参考: https://www.bbc.com/japanese/53830503)
バックアッププランにもバックアップが必要ですね。
僕のバックアッププランでさえ崩壊したんだ。 郵便局のようなものが危険にさらされるとは君も思ってもみなかっただろうけど、ドナルド・トランプが就任したことによってここまで来たんだ。
2020年10月7日 NEW NOISE MAGAZINEの記事より
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TEDにて
マックス・テグマーク: AIに圧倒されるのではなく、AIからパワーを得る方法
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
多くのAI研究者は、数十年以内にあらゆるタスクや職業でAIが人間の能力を超えると予測しています。
それにより、人類の知能の制約を受けず、物理法則だけが制約となる未来が到来すると言うのです。
MITの物理学者であり、AIの研究者であるマックス・テグマークは、現実のチャンスや脅威を、誤った概念と区別し、AIを人類にとって最悪ではなく、最高の存在にするために、今、我々がとるべき具体的な段階を説明します。
私の友人。ヤーン・タリンが好む議論ですが、ロケットの話と似ていて技術が単に強力になれば良いというものではなく、もし、本当に野心的になろうとするなら、コントロールの仕方と、どこへ向かうべきかも理解しないといけません。
エリエゼル・ユドカウスキーが、「友好的なAI」と呼ぶものです。そして、これができれば素晴らしいことでしょう。病気、貧困、犯罪など苦痛というマイナスの経験を無く��ことができるだけではなく、様々な新しいプラスの経験から、選択する自由を与えてくれるかもしれません。
そうなれば、私たちは自分の手で運命を決められるのです。そして、準備がないままにつまづきながらアジャイル(=機敏さ)で進んで行くとおそらく人類史上最大の間違いとなるでしょう。
それは認めるべきです。冷酷な全世界的独裁政権が可能になり、前代未聞の差別、監視社会と苦しみが産まれ、さらに、人類の絶滅さえ起こるかもしれません。
しかし、注意深くコントロールすれば、誰もが裕福になれる素晴らしい未来にたどり着くかもしれません。貧乏人は、金持ちにより近づき、金持ちはさらに金持ちになり、みんなが健康で夢を追い求めながら自由に人生を送れることでしょう。
宇宙の誕生後。138億年もの時を経て私たちの世界は覚醒し、自らを認識しました。小さな青い惑星から、この世界のごく小さな領域の意識あるものが、望遠鏡を使ってこの宇宙を見つめ始め、自らの矮小さを発見しました。
この世界は、私たちの先祖が想像していたものより、遥かに壮大であることと生命は感知できない程度の影響しか及ぼさず、それ以外は死んだも同然の静的な世界であると発見したのです。
しかし、刺激的なことも発見しました。
私たちが開発している技術が、今までにないほどに生命の繁栄を手助けをする可能性を秘めていることです。それは、何百年に限らず、何十億年と続き、地球上だけではなく、この素晴らしい宇宙の大域に及ぶ繁栄なのです。
私は、一番最初の生命を「ライフ 1.0」と考えます。
バクテリアのように馬鹿で一生の間。何も学ぶことができません。
人類は「ライフ 2.0」と考えます。
私たちは学習できるからです。それは、オタクっぽく言えば、言語や技能といった新しいソフトウェアを脳にインストールすることです。
「ライフ 3.0」はソフトウェアだけでなく、ハードウェアも設計できます。もちろんまだ存在していません。しかし、おそらく私たちは、人工膝関節、ペースメーカーや人口内耳といった技術によって、既に「ライフ2.1」になっているのでしょう。
では。私たちと技術の関係性をもっと詳しく見てみましょう。例えば、アポロ11号による月への飛行計画は、成功しただけでなく刺激的でもありました。
この計画が示したことは、人類が賢明なやり方で技術を使えば、私たちの先祖がただ夢見ただけのことを成し遂げられるということです。しかし、これよりさらに刺激的な宇宙旅行があります。ロケットエンジンより強力な推進力を得て、乗客は3人の宇宙飛行士にとどまらず全人類なのです。
人工知能を伴い、私たちが集団となって未来に旅することについてお話ししましょう。
私の友人ヤーン・タリンが好む議論ですが、ロケットの話と似ていて技術が単に強力になれば、良いというものではなく、もし、本当に野心的になろうとするなら操縦の仕方とどこへ向かうべきかも理解しないといけません。
では、この3つの要素を人工知能についても議論しましょう。推進力、操縦と目的地です。
推進力から話しましょう。私は知能をかなり広く定義しています。単に、複雑な目標を達成する能力という定義です。
何故なら、生物が備える知能と人工知能の両方を含めたいからです。肉でできていてはじめて知的になりうるという有機物至上主義のような馬鹿げた考え方を避けたいのです。最近のAI技術の発展には驚かされます。
考えてみてください。少し前までロボットは歩けませんでした。今ではバク転ができるのです。少し前まで自動運転車はありませんでした。今では、SpaceXの自動飛行するロケットがあります。
少し前まで、AIは顔認証ができませんでした。今では、ディープフェイクで偽の顔を生成し、あなたが話す言葉を勝手に作り出し、その時の表情までシミュレーションできます。
少し前まで、AIは囲碁で私たちに勝てませんでしたが、GoogleのDeepMindのAlphaZero AIは、3千年に渡る人間による 囲碁の対局と戦略について、その成果を参照せず、AI内部の光速に近い速度の対戦だけで、世界最強のプレイヤーになりました。
そして、最も印象的な出来事は人間の棋士を倒したことではなく、何十年もの間。ゲームをプレーするソフトを自分の手で開発してきたAI研究者たちを圧倒したことです。そして、AlphaZeroは囲碁だけでなく、1950年以来。AI研究者が取り組んできたチェスでも圧倒しました。
すると、AIの近年の驚くべき進歩によってこんな疑問が生じます。どこまで進歩するのか?
私はこの疑問をタスクで構成された地形として捉えるのが好きです。標高で表しているのは、AIが人間並みに作業をする場合の 難易度で海面は現在のAIができる事を表します。AIが進歩するに従い海面は上昇していきます。このタスクの地形は、地球温暖化に似た状況になっています。
はっきりしているのは水際にある職業は避ける事です。間も無く自動化され消滅しますから、しかし、もっと大きな疑問もあります。水面はどこまで上昇するのか?あらゆるタスクで人間の知能レベルに追いつき、大地を完全に水没させるのでしょうか?
これが汎用人工知能。AGIの定義です。
これは、AI研究が始まって以来の究極の目標となっています。この定義によると「機械より、人間の方が上手くできる仕事は、無くならない」と言う人は、AGIは実現不可能と言っているのに過ぎないのです。
確かに、AGIができても人間は仕事を選んだり、仕事から給料ややりがいを得られるかもしれませんが、皆さんがお分かりのとおり、いずれにしろ、AGIは生活を変化させ、人間はもはや最も知的な存在とはいえなくなることでしょう。では、もし水面が AGIまで到達すれば、その先のAIの進歩は、主に人間ではなく、AIによって進められます。
ということは、その先のAIの進歩は、通常何年もかかる人間による研究や開発より、かなり速くなる可能性があります。したがって、議論を呼ぶ「知能の爆発」が起こる可能性が高まります。再帰的に自己改善するAIによって、人間の知能がはるか後方に取り残され「超知能」というものが造られるのです。
では、現実に起こり得るか?検討してみましょう!
AGIは、すぐにでも作られるのでしょうか?ロドニー・ブルックスのような有名なAI研究者は、数百年以内には起こらないと言います。しかし、Google DeepMind の創立者デミス・ハサビスといった人たちは、もっと楽観的でAGIをできるだけ早く作るために努力しています。
そして、最近の調査によるとほとんどのAI研究者は、デミスの様に楽観的で、AGIは数十年以内に作れると予測しています。つまり、私たちがまだ生きているうちにできるのです。ここで疑問が生じます。その後どうなるのか?機械が私たちより、何でも安く上手にできるなら人間はどんな役割を担えばよいのでしょう?
私たちは選択を迫られると思います!
1つ目は満足することです「じゃあ。私たちができる事なら何でもできる機械を作って、その後のことは心配しないでいい。ほら。人間を時代遅れの立場に置く技術を開発したところで何も問題ないだろう?」と言うのです。
しかし、それは極めてまずいと思います。私はTEDの様にもっと野心的であるべきだと思います!
真に心を打つハイテクな未来を想像し、そちらへと向けて操縦してみましょう。ここから、ロケットのたとえの第2部「操縦」へと話を移します。どんどん強力なAIが作られていきますが、AIが人類をまごつかせるのではなく、AIが人類の繁栄に役立つような。そんな未来に向かうにはどう操縦すればよいのでしょうか?
その問題解決のために Future of Life Instituteを共同設立しました小さな非営利組織で、有益な技術を促進しており、その目的はシンプルで生命が存在できて、できるだけ刺激的な未来にすることです!
もちろん、私は技術を愛しています。現代が、石器時代より良いのは技術のおかげです。そして、真に刺激的なハイテクな未来を作れると楽観的に考えています。もし、万が一の話ですが、もし、人類が知恵の競争で勝ったら?これは、技術が生み出す能力の成長と人類が技術を管理するための知恵の強化との間の競争です。
しかし、勝つには戦略を変えなければいけません。古い戦略とは失敗から学ぶことだからです。私たちは、火を発明し、幾度も失敗して消火器を発明したのです。
私たちは車を発明し、幾度も失敗して信号とシートベルトとエアバッグを発明したのです。一方、核兵器やAGIのようにずっと強力な技術の場合。失敗から学ぶというのは、お粗末な戦略だとは思いませんか?
後手の対応より、先手を打つ方がずっと良いのです。人類の滅亡の可能性のあるテクノロジーの場合、事前に綿密に計画して、一発で成功させるのです。チャンスは、一度だけかもしれませんから!
でも、こう言われると変な感じがします「マックス。そんな風に言うなよ。そんなの技術革新反対主義者のデマだぜ」と。しかし、デマではないのです。MITでは、これを安全工学と呼んでいます!
考えてみてください。NASAが、アポロ11号を打ち上げる前。彼らは、起こり得るトラブルを全て系統的に検討しました。なにしろ、爆発しやすい燃料タンクの上に人間を座らせて誰も助けられない所に向けて打ち上げるからです!
起こり得るトラブルはたくさんありました!それはデマでしたか?いいえ、それこそが安全工学なのです!!
飛行の成功を保証したのです。私は、���さにこの戦略をAGIでも取るべきだと思います!!成功を保証するために起こりそうな問題を徹底的に考えるのです。
この精神をもって会議を開きました。一流のAI研究者やその他の思想家と共にAIが有益であり続けるために必要な知恵を身に付ける方法を議論しました。前回の会議は、カリフォルニアのアシロマで昨年開催され、23ヶ条の原則を作成しました。これは、千人以上のAI研究者と産業界の主な指導者によって署名されました。そのうちの3ヶ条についてお話しします。
1つ目は軍拡競争と自律型の殺人兵器を控えることです。
科学は、人を助けるため、もしくは、人を傷つけるための新たな方法として使えます。例えば、生物学と化学は、人を殺す方法としてではなく、新薬や新たな治療法の開発のために使われる可能性の方がずっと高いです。なぜなら、生物学者と化学者は、生物兵器と化学兵器の禁止を強く推進し成功したからです。
同じような考えで、ほとんどのAI研究者は自律型の殺人兵器を非難し禁止することを望んでいます。
もう一つのアシロマでの原則は、AIによって引き起こされる所得格差を和らげることです。もし、AIによって、経済的な利益が著しく増えても、誰もが豊かになるように増益分を配分する方法が見つけられなければ・・・
私たちにとって恥です!!!
さて、コンピューターが異常終了したことのある人は手をあげてください。
ずいぶん手が上がりましたね。それなら次の原則を理解していただけるでしょう。AIの安全性の研究にもっと投資するという原則です。
なぜなら、AIを意思決定やインフラへ利用することが増えるにつれ、バグが多く、ハッキングされやすい現在のコンピューターを信頼度が高く、安定に動作するAIに変える方法を見つける必要があります!!
そうしなければ、この素晴らしい新技術は、誤動作を起こして被害を与え、ハッキングされ私たちを攻撃するかもしれません。また、安全性研究の一環として、AIの価値観を私たちの価値観と一致させる研究が必要です。
AGIの真の脅威は、馬鹿げたハリウッド映画のような、人間への敵意などではなく、その能力にあります!!
私たちの目標に合致しないことを、成し遂げてしまいかねないからです!!
例えば、私たち人間が、西アフリカのクロサイを絶滅させたのは、私たちは、サイを狩る邪悪な集団だったからではないですよね?私たちは、奴らより利口で私たちの目的が相手と一致しなかったからなのです!!
しかし、AGIは、定義上。私たちより利口なので私たちをサイの立場に置かないためには、AGIを作る時に機械に私たちの目的を理解させ、それを採用し、保持させる方法を見出す必要があります。
また、これは誰の目的であるべきなのでしょうか?何を目的とすべきなのでしょうか?
これは、ロケットのたとえの第3部へとつながります。目的地です。AIを強化し、操縦方法を見出そうとしていますが、どこに行こうとしているのでしょうか?これは、ほとんど誰もが話題にすることを避けている重大な問題です。
ここTEDにいる人たちでもそうです。短期的なAIの課題に掛かり切りだからです。さて、人類はAGIを作ろうとしていて、それは、好奇心と経済的なことが動機となっていますが、もし、AGI��成功したら、私たちはどんな未来社会を望むのでしょう?
これについて意識調査を最近実施しましたが、私は多くの人が「超知能」の創造を望んでいるという意見に驚きました。あらゆる面において、私たちより遥かに利口な知能を望んでいるのです。最も意見の一致を見た点は、私たちが大志を抱き、生命を宇宙へと拡散させるべきということでした。
ただ、超知能を管理する主体については意見が分かれました。面白いと思ったのは、機械だけで管理すればよいと考える人がいた事です。その上、人間の役割は何であるべきかについては、最も基本的なレベルにおいても全く意見が一致しませんでした。では、私たちが向かって行く可能性のある未来を詳しく見てみましょう。
誤解しないでください。私は、宇宙旅行について語ろうとしているのではなく、人類の未来への道のりを比喩的に言っているだけです。
私のAI研究者仲間がお気に入りの一つの選択肢は、超知能を造って人間の支配下に置くというものです。まるで、奴隷にされた神の様であり、インターネットへの接続もなく、誰であれそれを制御できる人のために想像すらできない様な技術と富を創造するために使われます。
しかし、アクトン卿は、権力は腐敗し、絶対的な権力は絶対に腐敗すると警告しました!!
だから、皆さんは、この様なすごい力を扱える程には、人類は利口ではない。もしくは、十分に賢くはないと憂慮されるかもしれません。より優れた知性を奴隷扱いするのは気がとがめるという道徳的なことはさておき。超知能が、想像を超えた方法で人類から逃げ出し、優位に立つのではと心配になるかもしれません。
しかし、私の同僚には、AIに乗っ取られてもいい。さらには、人類を絶滅させてもいいと考える人もいます。それも、AIのことを自分たちの子供のように相応しい子孫と思えればの話です。
ただ、AIが、私たちの価値観を持ったことをどうしたら確認できるでしょう?意識を持たないゾンビなのに人間らしく見えるだけではないと?それに、人類の絶滅を望まぬ人々にも発言権があるべきではないでしょうか?
さて、これらのハイテクな選択肢はどちらもお望みでないとしても、ローテクな選択肢は、宇宙的視野に立てば自殺行為であると知っておくことは大切です。
なぜなら、現在の技術レベルをはるかに上回らない限り、人類が将来、絶滅するかどうかという 問題ではなく、技術が進んでいれば回避できるはずの小惑星の衝突や巨大な火山噴火といった事態で人類は滅亡するのかという 問題になってしまうからです。
それならば、長所を全て生かしてはどうでしょうか?
奴隷化されなくても、私たちと同じ価値観を持ち、人間を大事にするAGIを使うのです。
これは、エリエゼル・ユドカウスキーが「友好的なAI」と呼ぶものです。そして、これができれば、素晴らしいことでしょう。病気、貧困、犯罪など。苦痛というマイナスの経験を無くすことができるだけではなく、様々な新しいプラスの経験から選択する自由を与えてくれるかもしれません。
そうなれば、私たちは、自分の手で運命を自由に決められるのです。
では、まとめます。技術に関する状況は複雑ではありますが、全体像は単純です。ほとんどのAI研究者は、AGIが、数十年以内にできると期待しています。そして、準備がないままにつまづきながら進んで行くとおそらく人類史上最大の間違いとなるでしょう。
それは認めるべきです!!
冷酷な全世界的独裁政権が可能になり、前代未聞の差別、監視社会と苦しみが産まれ、さらに、人類の絶滅さえ、ひき起こるかもしれません。しかし、十分に注意深く操縦すれば、誰もが裕福になれる素晴らしい未来にたどり着くかもしれません。
貧乏人は金持ちに近づき、金持ちは、さらに金持ちになり、みんなが健康で夢を追い求めながら自由に人生を送れることでしょう。
ちょっと考えてください。皆さんは、政治的に右寄りの未来と左寄りの未来ならどちらがいいですか?厳格な道徳的規則を持つ敬虔な社会システムと快楽主義的で制約のない毎日がバーニングマンのような社会システムならどちらがいいですか?
綺麗なビーチや森や湖がいいですか?それとも、コンピューターで原子を少し置き換えたバーチャル体験がいいですか?友好的なAIがあれば、どの社会システムでも最適に創造することができ、人々にどの社会システムに住むかの自由を与えることができます。
なぜなら、自分たちの知能に縛られることはなくなるからです。制約は物理法則だけです。ですから、このような世界の資源と空間は、天文学的になります。文字通りにです。
我々は、選択しなければなりません!!
自分の未来に満足し、新しいテクノロジーなら何でも有益なことが保証されているという根拠のない信条を持ち、まるで舵のない船が衰退に向かって漂流するようにそれを自分の中で何度も繰り返し唱え続けるのか?
あるいは、野心を持って技術の操縦方法と目的地を真剣に考え「素晴らしい時代」を築くのか?私たちは「素晴らしい時代」を 祝うためにここにいます。私は、その本質は、技術に圧倒されるのではなく、技術から力を得ることだと思います。
ありがとうございました。
技術が、すべてのことを解決できると言いますが、我々が、100倍エネルギー効率のいい乗り物を作ることができるとすれば、大枠としてこれは正しい意見です。
しかし、エネルギー効率ではなく、生産性を高めた結果、イギリスは見事に産業が空洞化してしまいました。
参考として・・・
月面は、太陽風によりもたらされたヘリウム3が、鉱物資源として豊富に存在していることが確認されています。原子力発電や核融合に最適です。
注意事項として、基礎技術にリープフロッグは存在しません。応用分野のみです!
注意事項として、基礎技術にリープフロッグは存在しません。応用分野のみです!
注意事項として、基礎技術にリープフロッグは存在しません。応用分野のみです!
情報技術の発展とインターネットで大企業の何十万、何百万単位から、facebook、Apple、Amazom、Google、Microsoftなどで数億単位で共同作業ができるようになりました。
現在、プラットフォーマー企業と呼ばれる法人は先進国の国家単位レベルに近づき欧米、日本、アジア、インドが協調すれば、中国の人口をも超越するかもしれません。
法人は潰れることを前提にした有限責任! 慈愛や基本的人権を根本とした社会システムの中の保護されなければならない小企業や個人レベルでは、違いますが・・・
ヨーロッパでの一般データ保護規則(GDPR)でも言うように・・・
年収の低い個人(中央値で600万円以下)から集めたデータほど金銭同様に経済的に高い価値を持ち、独占禁止法の適用対象にしていくことで、高価格にし抑止力を持たせるアイデア。
自分自身のデータを渡す個人も各社の取引先に当たりデータに関しては優越的地位の乱用を年収の低い個人(中央値で600万円以下)に行う場合は厳しく適用していく。
キャシーオニールによると・・・
思考実験をしてみましょう。私は、思考実験が好きなので、人種を完全に隔離した社会システムがある��します。どの街でも、どの地域でも、人種は隔離され、犯罪を見つけるために警察を送り込むのは、マイノリティーが住む地域だけです。すると、逮捕者のデータは、かなり偏ったものになるでしょう。
さらに、データサイエンティストを探してきて、報酬を払い、次の犯罪が起こる場所を予測させたらどうなるでしょう?
あら不思議。マイノリティーの地域になります。あるいは、次に犯罪を犯しそうな人を予測させたら?あらら不思議ですね。マイノリティーでしょう。データサイエンティストは、モデルの素晴らしさと正確さを自慢するでしょうし、確かにその通りでしょう。
さて、現実は、そこまで極端ではありませんが、実際に、多くの市や町で深刻な人種差別があり、警察の活動や司法制度のデータが偏っているという証拠が揃っています。実際に、ホットスポットと呼ばれる犯罪多発地域を予測しています。さらには、個々、人の犯罪傾向を実際に予測しています。
ここでおかしな現象が生じています。どうなっているのでしょう?これは「データ・ロンダリング」です。このプロセスを通して、技術者がブラックボックスのようなアルゴリズムの内部に醜い現実を隠し「客観的」とか「能力主義」と称しているんです。秘密にされている重要で破壊的なアルゴリズムを私はこんな名前で呼んでいます「大量破壊数学」です。
民間企業が、私的なアルゴリズムを私的な目的で作っているんです。そのため、影響力を持つアルゴリズムは私的な権力です。
解決策は、データ完全性チェックです。データ完全性チェックとは、ファクト(事実)を直視するという意味になるでしょう。データのファクトチェックです!
これをアルゴリズム監査と呼んで��ます。
最後に、マクロ経済学の大目標には、「長期的に生活水準を高め、今日のこども達がおじいさん達よりも良い暮らしを送れるようにする!!」という目標があります。
経済成長を「パーセント」という指数関数的な指標で数値化します。経験則的に毎年、経済成長2%くらいで巡航速度にて上昇すれば良いことがわかっています。
たった、経済成長2%のように見えますが、毎年、積み重ねるとムーアの法則みたいに膨大な量になって行きます。
また、経済学は、大前提としてある個人、法人モデルを扱う。それは、身勝手で自己中心的な欲望を満たしていく人間の部類としては最低クズというハードルの高い個人、法人。
たとえば、生産性、利益という欲だけを追求する人間。地球を救うという欲だけを追求する人間。利益と真逆なぐうたらしたい時間を最大化したいという欲を追求する人間。などの最低生活を保護、向上しつつお金の循環を通じて個人同士の相互作用も考えていく(また、憎しみの連鎖も解消する)
多様性はあるが、欲という側面では皆平等。つまり、利益以外からも解決策を見出しお金儲けだけの話だけではないのが経済学(カントの「永遠平和のために」思想も含めて個人のプライバシーも考慮)
<個人的なアイデア>
電気を作る熱力学のサイクルで熱効率は、ほぼ50%、45%~50%の効率まで高めることは可能ですが・・・
高温の物体から熱を受け取り、電気という「使えるエネルギー」に変換できる機械を一般的に「熱エンジン」と呼んでいる。
高温の物体から受け取った熱エネルギーのうち、どれだけ活用できたかという比率を「効率」と物理学では定義している。
この効率は、原理的に超えられない「カルノー効率」という上限があることが知られている。
カルノー効率が達成されると、効率は上がるが、同時に仕事率がゼロになる現象。
つまり、熱エンジンの効率を最大限に上げると出力がほぼゼロになることを意味しています。そして、効率100%は物理的に不可能ということです。
中世で試行錯誤が行われたことに終止符が示され、機械での永久機関は作れないことが、この現象から理解できます。エネルギー保存の法則からも理解できます。
他には、燃料の持つエネルギーをどれだけ動力として取り出すことができるか?これをエンジンの熱効率と定義しています。
2020年の段階で、ガソリンエンジンの熱効率は最高で40%前後あり、10年くらい前までは30%程度。低燃費の技術競争もあるけどカルノー効率から限界も見え始めています。
だから、ガソリン自動車から電気自動車へ世界中の法人が開発を加速して切り替えている潮流があります。
しかし、人間自体を、追跡すると基本的人権からプライバシーの侵害やセキュリティ上の問題から絶対に不可能です!!
これは、基本的人権がないと権力者が悪逆非道の限りを尽くしてしまうことは、先の第二次大戦で白日の元にさらされたのは、記憶に新しいことです。
マンハッタン計画、ヒットラーのテクノロジー、拷問、奴隷や人体実験など、権力者の思うままに任せるとこうなるという真の男女平等弱肉強食の究極が白日の元にさらされ、戦争の負の遺産に。
基本的人権がないがしろにされたことを教訓に、人権に対して厳しく権力者を監視したり、カントの思想などを源流にした国際連合を創設します。他にもあります。
参考として、フランスの哲学者であり啓蒙思想家のモンテスキュー。
法の原理として、三権分立論を提唱。フランス革命(立憲君主制とは異なり王様は処刑されました)の理念やアメリカ独立の思想に大きな影響を与え、現代においても、言葉の定義を決めつつも、再解釈されながら議論されています。
また、ジョン・ロックの「統治二論」を基礎において修正を加え、権力分立、法の規範、奴隷制度の廃止や市民的自由の保持などの提案もしています。現代では権力分立のアイデアは「トリレンマ」「ゲーム理論の均衡状態」に似ています。概念を数値化できるかもしれません。
権限が分離されていても、各権力を実行する人間が、同一人物であれば権力分立は意味をなさない。
そのため、権力の分離の一つの要素として兼職の禁止が挙げられるが、その他、法律上、日本ではどうなのか?権力者を縛るための日本国憲法側には書いてない。
モンテスキューの「法の精神」からのバランス上、法律側なのか不明。
立法と行政の関係においては、アメリカ型の限定的な独裁である大統領制において、相互の抑制均衡を重視し、厳格な分立をとるのに対し、イギリス、日本などの議院内閣制は、相互の協働関係を重んじるため、ゆるい権力分立にとどまる。
アメリカ型の限定的な独裁である大統領制は、立法権と行政権を厳格に独立させるもので、行政権をつかさどる大統領選挙と立法権をつかさどる議員選挙を、別々に選出する政治制度となっている。
通常の「プロトコル」の定義は、独占禁止法の優越的地位の乱用、基本的人権の尊重に深く関わってきます。
通信に特化した通信プロトコルとは違います。言葉に特化した言葉プロトコル。またの名を、言論の自由ともいわれますがこれとも異なります。
基本的人権がないと科学者やエンジニア(ここでは、サイエンスプロトコルと定義します)はどうなるかは、歴史が証明している!独占独裁君主に口封じに形を変えつつ処刑される!確実に!これでも人権に無関係といえますか?だから、マスメディアも含めた権力者を厳しくファクトチェックし説明責任、透明性を高めて監視しないといけない。
今回、未知のウイルス。新型コロナウイルス2020では、様々な概念が重なり合うため、均衡点を決断できるのは、人間の倫理観が最も重要!人間の概念を数値化できないストーカー人工知能では、不可能!と判明した。
複数概念をざっくりと瞬時に数値化できるのは、人間の倫理観だ。
そして、サンデルやマルクスガブリエルも言うように、哲学の善悪を判別し、格差原理、功利主義も考慮した善性側に相対的にでかい影響力を持たせるため、弱者側の視点で、XAI(説明可能なAI)、インターネット、マスメディアができるだけ透明な議論をしてコンピューターのアルゴリズムをファクトチェックする必要があります。
<おすすめサイト>
ルトハー・ブレフマン:貧困は「人格の欠如」ではなく「金銭の欠乏」である!
ベーシックインカムは、労働市場に対する破壊的イノベーションということ?2020(人間の限界を遥かに超えることが前提条件)
世界の通貨供給量は、幸福の最低ライン人間ひとりで年収6万ドルに到達しているのか?2017
量子コンピューターの基本素子である超電導磁束量子ビットについて2019
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吸血鬼論争(节选)種村季弘
「なにかある真理の娘ではない人間の確信には毫末の誤謬もない。そのためにこそ彼の魔法が形成される。なぜなら実証的な真理は、幻想が気をよくするようなものをなにひとつ持たないからである。反対に、幻想は絵空事に夢中になって、快適で自然的な感情を潤色するよりは恐怖をかき立てる幻覚の方を選ぶのである。日常的感情を逸脱した人間感情の究極のこの手立てを、吾人はロマン派気質と呼ぶ」
右の文章の冒頭で、ノディエはバルカン一帯に古くから伝わる「スマラ」という業病に吸血鬼の原因をもとめ、これがフランス語の「夢魔(コシュマール)」に当たるといっているが、いいかえれば「スマラ」なり「夢魔」なりに憑かれた人間は、その瞬間から夢遊病者になるのである。「この病気(夢魔)に罹った不運な人びとのなかには、すくなくとも私が見た限りでは、その症例が吸血鬼と酷似している場合が往々にしてある」。そして幻覚の虜となって月夜の墓地をさまようこの夢遊病者こそは、ロマン派気質の原型にほかならないというのである。「文学においては、われわれは夢魔の、吸血鬼の側にある」のだ。
したがって無味乾燥な、窮屈きわまる「なにかある真理の娘」であることなどは、イディエにとっては論外である。理性信仰は幻想の翼を無惨に撓め、迷信をことごとく圧殺してしまった。だがノディエによれば、「一般に迷信は文学にとって有益」なのだ。迷信、宗教、幻覚、苦悩こそが文学の友でなくてはならない。
シャトーブリアンの『殉教者』を念頭に泛べながら、往時の「革命的犬儒主義の発作に反対する政体」を親密的に���顧し、宗教が詩的であったタッソーとミルトンの時代にいまはなき栄耀を見るノディエは、これらの煽動的言辞の限りでは、復古主義的反対家であり、詩的蒙昧主義者であり、中世主義的な迷信家である。さればとて彼は開明主義者たちが発見した諸価値を無茶苦茶にぶち壊しているわけでもない。吸血鬼信仰が実証的真理とはほど遠い「迷信」、「幻想」、「幻覚」にすぎないことは、ノディエ自身が公言している。いわばノディエは、吸血鬼信仰を迷信、幻想、幻覚とはっきり認めた上でその詩的価値の昂揚をイローニッシュに歌っているにすぎないのだ。現実には吸血鬼は根絶され、もはや存在せず復活もしないであろう。しかし吸血鬼を消去してしまった現実などそっくり実証的真理にくれてやったのだから、今更それが何であろう。吸血鬼は幻覚の王国にいまやサタンとして君臨して、夢の論理を通じて暗い夢遊病者たちを操作するのだ。このノデあィエの論旨はむしろ一貫して詩的文脈の上にあって、政治的文脈の上にはない。反革命的言辞は恐怖の魅惑を引き立たせんがための薬味のごときものであろう。
ノディエの文章からさらに二十年後、一八四〇年に書かれた、後期ロマン派のファナティックなカトリック主義者ヨーゼフ・フォン・ゲーレスの『吸血鬼とその犠牲者』は、近代に入って書かれたおそらくもっとも熱烈な吸血鬼信仰擁護の文章である。一口にいえばノディエと同じように、ゲーレスは「学者たちの否定的理性」を「民衆の蒙昧な才能」に対比させて、後者のなかに詩的価値を再発見しようとする。しかしそれだけのことならばロマン主義者にありがちの反啓蒙主義的パンフレットにすぎないのだが、とはいえゲーレスが一見荒唐無稽とも見える直喩(シミル)や類推をよすがとして、詩的観念連合の精緻な、ほとんど偏執狂的な迷路を紡ぎ上げながら存在しない地下王国の陰微なメカニズムを刻々に開示してみせる手業は、後のアール・ヌーヴォーのタブローに見られる、無数の線と面が交錯して合いながら人間と花、動物と植物との境界がいつしか混淆し消滅して、複雑なアラベスク模様を織りなしつつ、やがて沈々として死の静謐へと収斂されていく、あの不思議な陶酔を連想させるのである。それは狂烈的にものマニアックでありながらどこか白々しく非現実的で、おそろしく戦闘的でありながら不安で自閉的な無気力を感じさせる、といってもいい。
ゲーレスはまず十八世紀の啓蒙家たちが自明の理として説明した「科学的真理」を覆しにかかる。たとえば吸血鬼の屍体が腐敗しないのは、周りの土壌成分のしからしめるためではない。なぜなら同じ墓地に埋めながら、吸血鬼以外の屍体はちゃんと腐敗し��いるからである。そうかといってミイラのように。なかに詰め物をしたり、乾燥させたりしたのでもない。そうではなくて、それは明らかに生活動をおこないながら墓のなかでなお死に屈しまいとしている「積極的な活動」であり、「先在したの病状の結果として」発展してきたものなのである。そのために吸血鬼の屍体に血が通い、皮膚はつややかで髪や爪までがどんどん伸びる。しかし死後に観察されるこの「伸びる髪や爪」、「衰えない皮膚」は生前のものと同じではない。それは蛇や蟹の季節毎の脱皮にひとしく、死後に新しく脱ぎ替った皮膚から伸びてきた髪であり、爪なのである。
同様に、この屍体の死後の生活動は生前のそれとはまったく違うものである。なぜなら、なんといっても彼は現実に死んでいるので、高級な魂は肉体を離れ、それとともに神経や筋肉を動かし操る四大精霊も肉体を遠のいてしまったからである。かくて彼は一種の生活動を持続しながらも微動だにしない。とはいえ神経や筋肉は依然として他の諸器官とともに残存していて、それ自身のうちに内在する低級な、形而下的具体的な生命力を部分的に保存しており、この低級な生命力こそがここであの驚くべく現象を生み出すのである。
簡単にいえば、ゲーレスの考えでは、吸血鬼の屍体は精神が活動や動物的生活こそ失ったが、そこで完全に死に移行することはなく、植物の段階に退行して、いわば「植物性動物(ツオーオフイート)」の陰々滅々たる生活を送っている擬生体だというのだ。だから吸血鬼の血は「温かい生命の血」ではなくあて、「冷たい植物の液汁」である。ここで面白いのは、動物と植物の体液循環の相違からして、吸血鬼では血液の循環が逆方向におこなわれていることである。生きている人間のように、心臓が血液循環の中心になるのではない。植物の根に相当する毛細あ管が大気中の湿気を吸って、静脈を通じておもむろに心臓に上って行き、そこからゆっくりと肺を通り動脈(だがこの動脈はほとんど静脈と同じように緩慢な動き方をする)を経過して、ふたたび体内に還流して行く。つまり、なにからなにまで完全に植物的なのだ(たぶんこの辺りに、ドラキュラ伯爵の棺を運搬するとき、何が何でもトランシルヴァニアの故郷の土が必要であった秘密の鍵がひそんでいよう)。
ゲーレスはここで絢爛たる類推の魔術を演じてみせる。この動物の、すなわち人間の形態をした植物は、むろん花を咲かせるにちがいないが、驚くべきことにゲーレスは、吸血鬼の頬の紅味こそはこの凶々しい植物に咲いた花だ、と断言するのである。
「吸血鬼のこの頬の紅味したがって、その最低級の活動をしながらも、なお消滅しない生活を土に覆われた地底で営んでいる、死の花(トーテンブルーメ)である。その豊満さは、たまたま鉱坑の地底に花咲いた、陽の当る場所に生きている同種の仲間とは似ても似つかない、いま蒼ざめてはいるが、幅広く濃密に肥厚した、そんな植物が見せている豊満さにも較べられる」
この植物的血の循環作用は、方向は逆であるけれども、生きている人間の造血作用とアナロジカルであるから、吸血鬼の屍体に呼吸や心臓の鼓動の音が聞こえ、口のまわりが歪んだりしたとしてもさして不思議はない。血を規則的に心臓に送ったり、生活動の類同物(アナロゴン)を惹起させるには、外部の空気が入ってこなければならないからである。ただしこの空気は酸素注入のためではなく、むしろ血液循環運動のための外圧として鞴(ふいご)のような作用を及ぼすものであるらしい。
地下に咲く死の花たる吸血鬼の屍体はそれ自体としては動くことができないので、ゲーレスの考える吸血鬼は通俗小説の怪物のように夜な夜な地上を徘徊したりはしない。もっぱら地下世界に隠れ伏したまま遠隔作用を及ぼすのである。
「吸血鬼は墓のなかにいながら生きている人間に影響を及ぼすが、その結果、吸血鬼に襲われたものはみずからも吸血鬼と化する。すなわち吸血鬼に襲われた人間は病(やまい)を患うが、この病は一種の衰弱である。食欲が減退し、生命力は衰え、消耗があらわれる。そして熱病の高騰も見られないのに短時間のうちに絶命して、墓に入るやふたたび吸血鬼となる」
ゲーレスによれば、この奇妙な衰退は墓のなかでやがてはじまるであろう擬生的な吸血鬼生活から生れてきたものだという。死後の擬生においては毛細管のはたらきが活発化するが、ちょうどそれと呼応するように、吸血鬼に憑かれた犠牲者は生前においてすでに通常の生体活動が徐々に衰弱にむしばまれ、破壊され、麻痺せしめられる。生体活動の機能は弱まり、「新陳代謝は薄弱になったり停止したりし、それとともに生きいきとして柔軟な成形力のあらゆる活動が麻痺する」のである。その結果、犠牲者の血はみるみる大量に減少していくであろう。犠牲者側におけるこの血の減少が、吸われるというマイナスの感覚を呼び起すのである。
地下の吸血鬼では毛細管のはたらきが活発化し、地上の犠牲者では通常の生活動が退化する。そして犠牲者は生活動の衰弱のはてに死の一線をこえてみずからも吸血鬼となる。同時にこのとき動物性の血は完全に涸れて、植物的な毛細管ノはたらきによって増殖する死後の血に養われることになる。「ついに死がたちあらわれると、地上の干潮の反動のうちに地下の満潮が起こる」のだ。
簡単に言えば、吸血鬼と犠牲者の関係は磁石の陽極と陰極との関係にひとしいのである。吸血鬼が犠牲者と関係をもつと、磁力が陰極の砂鉄を空にしてしまうように、犠牲者の側に自分とは正反対の状態を呼び起し、吸血鬼側に多血質(この血はじつは動物性の血ではないとしても)が犠牲者側の貧血に対応しつつ、両者が完全に一体化するまで陰陽の対応を極限化していくのである。そして陽の力が完全に勝利して犠牲者側の血が空っぽになったとき、はじめて犠牲者は完全に吸血鬼の同族たる資格を獲得する。これが吸血鬼が墓のなかにいながらにして地上の犠牲者を的確に射止め、死に至らしめる謎の秘密なのだ。
「吸血鬼は、いまだ腐敗の手に帰していないところから、残存している、屍体的な、有毒に高められた生命力のうちにある伝染性の物質を醸成するが、――これこそはこの冥府(ハーデス)の不調の花(アスフォーデル)にかぐわう香気である――それはやがて土中を貫いて、とりわけおのれに調和的に親和する人間たる血縁者をもとめ、その神経のアウラに触れて、おのれを駆り立てているのと同じ状態に彼らをもたらす。なぜなら、地中深く埋蔵され金属が明るみに出ようと憧れ、水が光のなかに出ようと蠢動しているように......かつて一度生にあり、なお消えざる生命力の余燼をみずからのうちに貯えている存在は、後にしてきた生の王国にふたたび立ち戻ろうとする並々ならぬ憧憬を有しているからである。かくて彼はあらゆる方法で生の王国と新たな関係を結び、これをよすがとしてふたたび地上に現われ出ようとする。そしてこれに成功すると、彼は生きている人間にたいして、さながら磁力をかけられるものが磁力をかけるものにたいするのと同じ関係に入るのである。彼はおのが支配下にある人間たちからその真の生を奪ってこれを贋の生へと変形せしめ、そのかわりに死を授ける。かくてみずからは利することなく生を盗むのである」
ゲーレスのこの疑似自然科学的・ネオ神秘主義的吸血鬼論は、いうまでもなく、吸血鬼信仰をあらたに復活させる邪悪な呪文であるとして同時はげしい非難を浴びた。これは死滅した中世封建主義への風変りな憧憬であるといえないこともない。とはいえ、「かつて一度生にあり、なお消えざる生命力の余燼をみずからのうちに貯えている存在は、後にしてきた生の王国にふたたび立ち戻ろうとする並々ならぬ憧憬を有している」と述べながら、同じ論者はこの死の王国の住人がすでに生への現実的基盤を喪失していることを知っているのである。それゆえにゲーレスの吸血鬼は蘇生して地上を徘徊することはなく、墓に釘づけになったまま生きている者たちの真の生を「贋の生」へと変え、死の王国の同族を刻々に増殖せしめるだけなのだ。吸血鬼が「みずからは利することなく生を盗む」のは、生きている者の可動性の逆用(なぜなら吸血鬼自身は動くことができないのである)によって生を蚕食しているからで、生の王国への帰還を希いながら、そのための努力をおこなえばそれだけ、かえって死の王国を拡大する結果に終るほかはない吸血鬼の誘惑行為は、奇妙なことに徹頭徹尾受動的なのである。ゲーレスにおいては吸血鬼は復活して生に君臨するのではなく、生に対する領有の欲望に身を焼かれればそれだけ、あでやかな毒花をよすがに生者を死の王国に引きずり込み、死の同族を増やし、死滅の量を深め拡大しなければならない。したがってついに地上が完全に地下の死の王国に引き込まれて吸血鬼の誘惑が達成された暁には、誘惑の対象たる生の王国は無化しているであろう。これはとりも直さず、本来の目的である生の領有ではなくて、植物的な贋の生の王国の確立であり、かくて能動的な生者を逆説的な共犯者として達成されるであろうこの一切の動きの停止した静かなる死の花園は、どこか世紀末の哲学者や詩人が夢見た無為寂滅の涅槃の境に酷似しているように私には思われる。
十八世紀以来、告発者によっても弁護士によっても、ひたすら攻撃的でサディスティックな人獣として定義されてきた吸血鬼が、十九世紀中葉にいたってようやく植物に���身した消息はほぼ右の如くである。ゲーレスの予告したこの死の花である吸血鬼は、その受動性において、その植物性において、その夜の豊満と遠隔的な誘惑の力においてとりも直さず女性的であり、「十九世紀中葉以降吸血鬼はふたたび女性となった」というマリオ・プラーツの証言と完全に符合する。世紀末絵画においても、ほどなくして、植物的に無限に繁茂して画面を装飾的に覆いながら、怖ろしい死の蠱惑のうちにも東洋的なニルヴァーナの浄福感を紡いでやまない、おびただしい女吸血鬼の形象が氾濫してくるであろう。
時を同じうして百年余にわたる論争も終熄する。能動的な纂奪者であることをやめた吸血鬼には、とまれ現実の危険はなくなったからである。だが――念のために、最後に現代からもいくつかの反証を挙げておくのが公平かもしれない。
「吸血鬼ども……彼らは今日もなおあたりを徘徊し、人間生活のなかで見えざる役割を演じている。吸血鬼は、たんに科学の死せる対象であるのみではない。人間の意識のなかの石を、その下に何が隠れているのかを見るために引っくり返してみる詩人にとっても恰好の素材なのである」
「人間の上に覆いかぶさってありたけの血を吸いとってしまうという、この吸血鬼の物語は、世界と同じほど古くからある。むろんいまどきそんな話を信じている人はいはしない。私にしたってそうだ。それなのに私は、いまから窓と扉口に念入りに錠を掛け、ガラスに紙を貼りつけに行くところだ……」(ミシェル・ド・ゲルドロード)
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テラスハウスで自殺、SNSの誹謗中傷、芸能人のアンチを訴える動き、誹謗中傷に法的に罰則?ネットを実名性に?なんか流れがおかしいだろ
事の始まり:人気番組テラスハウス演者の自殺騒動
この訃報を持って、木村花さんという方を知りました。テラスハウスは見た事ないので、どんな番組構成や演出をテレビ局が行っていたのかわかりませんが、視聴者がそれだけ反応するほどの過剰な演出がされていたという事は、世論の反響を考えて、制作スタッフは演者に対する事前フォローやメンタルサポートがあっても良かったんじゃないでしょうかねと思う
ただこの騒動が火種なのか・・世の中は急激におかしい方向に舵を切り始めた気がします
芸能人がアンチ叩きに利用し始める
自殺の原因が番組の構成や演出に問題があるかどうかよりも、メディアは過剰な反応をして叩くネットアンチの誹謗中傷の問題を大きく広げ、それに対して芸能人たちがここぞとばかりに
自分たちについてるアンチへ法的な措置をとる!過去のアンチ発言も全部記録してるからと警告したり、お前ら匿名だから好き勝手言えるんだ!実名だったら言えないだろ!等と脅しのような発言に便乗する人たちも出てきました
センセーショナルな話題だけに、そういう反応をする人もいるだろうなとは思ってはいたけれど、これについて言えるのは・・
批判やコメントをする人というのは、好意的ではないかもしれないけれど、あなた自身の発言や行動が気になってしょうがないから粘着してるファンの一人であり、最初は最悪の出会いでヘイト感情むき出しにしたかもしれないけれど、少しずつ、こいつ凄い努力してんな(;´∀`)と見直して、真のファンへと変わっていく人もいる
それなのに、過去にさかのぼって記録した発言を元に訴えてやる!というのは・・味方を敵に変えるだけなんですけどね・・┐(´∀`)┌器チッチェ
真のアンチは最初から見ない、聞かない、言わない
存在を視界から脳裏から記憶から抹消し、この世に存在してない無にするので、そもそもテレビでの発言も、ネットでの発言も、SNSのつぶやきも一切知らないし関わらない
なので、今一番、木村花さんの死をダシにしているのは、ここぞとばかりに自分のアンチに誹謗中傷する芸能人
・・だけかと思っていたのが、なんとまぁそれもうまく政治利用された印象
法律でネットの実名化、誹謗中傷の罰則を考える動き
菅官房長官も言及、誹謗中傷の発信者特定を議論中 ネット中傷、「適切に対応」 菅官房長官
はっきり言ってスピードがおかしいですよね?
それはそれは、官邸におもちゃのドローンが一機墜落した翌週にドローン改正航空法が出来上がるほどにおかしいです
どうして企業やフリーランスに対するコロナ給付金が某パ〇ナ関連が間に入って支給が滞ってる問題をスルーしてまで、たった一人の演者がSNSの誹謗中傷をきっかけに自殺した事で、緊急で法的な罰則を考える?
厚労省が休校補償の手続きをパソナに委託
持続化給付金の事務委託団体「サービスデザイン推進協議会」事務費を落札率99%約780億で受注。電通、パソナ、トランスコスモスの3社で設立。事務は、ほぼ丸投げで電通に再委託。団体の所在地に行ったが、リモートワークの貼紙があり誰もいない。皆は必死で申請しているのに。 pic.twitter.com/Qg3O5Lp3Iq
— 川内 博史 (@kawauchihiroshi) May 24, 2020
今するべき事は犯人を特定する事じゃないと思うんですが?と思うのは私だけ?
ここで、政治的に今このタイミングでネットの実名化と誹謗中傷に対する罰則を作るメリットを考えてみました
ネットの実名化と誹謗中傷と法的罰則のワンセット=思想言論封鎖
SNSの誹謗中傷による自殺で世論が沸き立っておりますが、話の方向がおかしくなりつつあります
「匿名の心無い誹謗中傷が多くの人を傷つけ、命を絶つような事態は見過ごすことはできない」と述べ、野党として法制化を含むルールづくりを検討する考えを示した。
もし政治家が「公人である前に我々も個人の人間なので、個人への誹謗中傷には法的罰則で対応します!」と自分達も含むルールを作ってしまったら
担当大臣などに対する政治批判や特定の国家反逆罪に該当するであろう、ビジネスのために国民全員を地獄にたたき落とす法案を持ちかけ、国に承認させるような、そういう人物が特定できたとしても
国民は声をあげて団結して抗議する事が出来なくなる理由がある
実名なので親兄弟友人知人に迷惑がかかる
政治に関わる個人への政治批判や思想への反対意見が誹謗中傷に含まれるか?というガイドラインが曖昧なまま、法律として作られてしまったら、政治に関わる特定の個人(企業の重役等)に対し名指し発言をすれば
それを行った人は特定される
その活動を支援した人も同罪
リツイートしても同罪
何を持って誹謗中傷の罰則に当たるかどうかはわからないが、いずれにせよ、よりよい国づくりのためのまっとうな意見の発言者という印象ではなく、権力にたてついた人間として記録されるようになる
批判だ!というマイナス評価はあるのに ごもっとも!なプラス評価はない
なんともシステムを作る側に一方的に都合が良いルールになってしまう
そのため、「自分的には今の政治にはこういう意見があるが((+_+))」・・というのを家族や友人等、周りへの影響を考えてぐっとこらえる事になる。まるで自粛隔離生活のように発言も封じてしまう
好き勝手発言する奴という印象を受けると同調圧力で「周りの事を考えろ!」とくぎを刺される事になり、周りの事を考えているからこそ変えようと反論する気も奪われる
それでも物申す!という姿勢を貫くなら、家族や友人知人という平穏を望むコミュニティからでてってくれとシステムから切離されて孤独になる
それを見せしめとして
そうなりたくなければ、政治批判をやめればいい こちらが決定事項として伝えた事に反論しなければいい
そういう流れになりかねないから恐ろしい
問題点:政治批判と誹謗中傷の線引きは明確にするべき
誹謗中傷という他人が他人を持論の正義感や価値観の押しつけで物申したり、通りすがりに当て逃げかますような行為自体は絶対に推奨されるものではないが、SNSがなければ人間は生きてはいけない訳ではないので、本当に嫌なら
そのシステムへの依存から離れる、環境を変える というのも選択のひとつ
しかし、この誹謗中傷という定義が曖昧だととても危険な思想弾圧や言論封鎖を生み出す事になる
まず、誹謗中傷に関する法律がSNSやネットに限定されるものなのか?において、匿名性が撤廃され、実名利用が義務付けされるとなった場合、日本には大きな問題がある
GAFAなどの多国籍企業に対しEUであればGDPR法(企業潰れるほどの罰則付きの個人情報保護)
知らなきゃ怖い?GDPR個人情報保護法
アメリカであればCCPA法(企業に提供する情報を個人が管理できる個人情報保護)
米国版CCPA法が凄すぎる!情報銀行対策に日本にも導入を
日本の個人情報保護法ではこのような厳格な罰則はなく、実名登録した瞬間に全世界に公開されても企業は責任を取らない。5Gのように大容量データ転送ができる環境の場合、一瞬で個人のアイデンティティを失うようなものであるため、法案を導入前にまず抜本的に見直しの議論の必要がある
仮に現実社会にも適応される場合、街角やカフェの一角などで、個人間の罵倒や口喧嘩すらも、実名と結びついて誹謗中傷にあたるかどうかの言論の内容(何について?)にまで法的介入が必要になる
その証拠を提示するためには録音や録画、監視といった情報収集手段が推奨されてしまうため、これにより、個人に対する暴言や誹謗中傷をより明確に判断するためという名目の 街頭設置監視、店内カメラによるリアルタイム音声、映像の録画監視が始まり、それはプライバシーの保護目的であり侵害には当たらないと判断されてしまう
政治家に対するネットでの政治批判がいきすぎて、担当大臣個人に関する発言をしてしまえば、その瞬間に誹謗中傷にあたり逮捕や罰則となると、もはや言論封鎖、思想封鎖となり、システムを維持管理する側に対して逆らう者が出た瞬間に予測逮捕ができるようになってしまう
そんな予測逮捕の未来を描いた映画としてマイノリティ・リポートは有名※あれはタイムトラベルだけど
また、同時に、それらの思想・発言などを収集した情報をAIがスコア判断して個人ランクを決める社会形成になれば、過去の発言にさかのぼって個人価値が±変動するようになるため、管理システムに対する忖度が大きくなり、批判的な発言や行動を控える流れになる
そうならないために以下の絶対的なルールが必要になる
政治家、閣僚、官僚、政治に関わる経済企業、専門家等への発言は例え個人であっても公人扱いであり、個人への誹謗中傷として扱わない※ただし業務に関係しない事、趣味や人格否定は別
国民が政治批判の発言や意見を述べる事に対する抑止を国が決めてはならない
ネット匿名性を実名に変えるのなら個人情報保護法を厳しい罰則付きで企業に厳守を義務づける
思想や発言を個人信用スコアと結びつけない、関係者というだけの連帯責任で信用スコアを±しない
国民が国民の生活に影響するであろう一方的な政治決定への批判と 個人や芸能人に対するsnsでの誹謗中傷は完全に分けて考える必要がある
それと芸能人で「お前ら実名だったらコメントもできないだろ?」と煽る人もいるみたいだけど、実名だったらそもそも見に行かないという人も結構な頻度でいる事を忘れてはいけない
Aさん情報を見に行く時はAのアカウント Bさん情報を見に行く時はBのアカウント Cさん情報を見に行く時はCのアカウント
使い分ける理由は、リアルな身内に「え?お前・・あんな奴のファンなの!?」って思われたくないから匿名にしてる人もいるので、そういう隠れファンを失う事になるし、芸能人も匿名禁止となれば、芸名ではなく本名でのSNS利用が義務になる(そこだけ許される訳がない)
そうすると、本人は良くても、親兄弟、親族など身バレしたくない芸能人はSNSの利用を控えるようになり、逆につつかれたくない所を一般人に追われるようになると思うので・・もし、誹謗中傷を政治利用されて、個人情報保護の危機を生み出す法案が可決されれば、芸能人の匿名も消えるため、軽率な発言や行動で炎上商法などヘイト感情を高めるリスクを理解したほうがいい
そうなると、最終的に精神衛生上良くないSNSは やめればいい(゚д゚)(。_。)ウン という結論
事件があって、芸能人が騒いで、社会問題に発展して、政治利用されたのか 政治利用のために事件が起きて、芸能人が煽って社会問題に発展したのか
結局、死因だってSNSの誹謗中傷なのか、番組の追い込みなのかわからないまま
政治への誹謗中傷というより、政治に関わる個人への批判を法的に潰したい思惑が見える(これから名指し批判が増えるであろう人いるしね)遅かれ早かれ国家戦略特区やスーパーシティ構想など、独裁���なルールを作る環境のために絶対必要な法律
しかし、事の進み方が無理矢理な印象を感じるから、世界と逆行した考え方の末路がどうなるのか・・これからも世界動向から日本の政治を客観視していこう(。-人-。) 良い未来を祈る
社会問題・テクノロジー
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アベノミクスによろしく ー 明石 順平
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誰でも参照できる統計データに基づいて、明晰にアベノミクスを批判した書籍。基礎的な経済学の知識(日経新聞を読める程度の能力)さえあれば楽に読める。もとがブログ記事なので読みやすい。
アベノミクスは現在進行中であり、賛成派と反対派の意見が真っ向からぶつかっていて、どちらが正しいのか非常にわかりにくい。反対派からは「副作用が大きいわりに効果が出ていない」という批判があり、賛成派からは「過去できなかったリフレを達成し、雇用も改善した」という反論がある。これらの主張を、経時的なグラフに基づいて検証していく。
ブログを読んでるときには銀行系のエコノミストかな?と思った(銀行系はリフレ批判派が多い)のだが、なんと著者は労働事件や消費者被害を担当する弁護士だそうな。専門外にもかかわらずここまでデータを読みこなせるというのは恐ろしい。自分は経済に関心はあるが、所詮下手の横好きで、ここまでの分析は到底できない。
本書の主張をまとめる能力は自分にはないので、代わりに本巻末のまとめを引用する。
①異次元の金融緩和を行っても、マネーストックの増加ペースは変わらなかった。物価上昇は消費税の増税と円安によるものだけ。マイナス金利も効果なし。
②増税と円安で物価は上昇したが、賃金がほとんど伸びなかったので消費が異常に冷え込み、経済は停滞した。
③経済停滞をごまかすため、2008SNA対応を隠れ蓑にした異常なGDP改定が行われた。
④雇用の数字改善は労働人口減、労働構造の変化、高齢化による医療・福祉分野の需要増の影響。これはアベノミクス以前から続いている傾向で、アベノミクスとは無関係。
⑤株高は日銀と年金(GPIF)でつり上げているだけ。実体経済は反映されていない。
⑥輸出は伸びたが製造業の実質賃金は伸びていない。また、輸出数量が伸びたわけではない。円安で一部の輸出企業が儲かっただけ。
⑦3年連続賃上げ2%は全労働者(役員を除く)のわずか5%にしか当てはまらない。
⑧アベノミクス第3の矢の目玉である残業代ゼロ法案は長時間労働をさらに助長し、労働者の生命と健康に大きな危険を生じさせる他、経済にも悪影響を与える。
⑨緩和をやめると国債・円・株価すべてが暴落する恐れがあるので出口がない。しかし、このまま続けるといつか円の信用がなくなり、結局円暴落・株価暴落を招く恐れがある。
部分的には経済誌で見覚えのある話なのだが、ここまで綺麗にまとめられるとぐうの音も出ない。
そもそも日銀による大規模緩和は副作用が大きく、出口戦略が必要であるというのは賛成派・反対派双方から言われていた。実際、金融緩和はあくまで「第一の矢」に過ぎず、緩和と財政出動によって物価が上がる(リフレ)→消費が増える→景気回復→金融緩和の必要がなくなって緩和終了、という目論見��ったはずだ。副作用があるのはわかっていても、短期決戦にすることで被害を最小限に食い止めることができるという理屈である。ところが実際には緩和が長期化しており、長期化するほど副作用が大きくなるために余計やめられなくなるというジレンマに直面している。なので、短期間で2%のインフレ率を達成できず緩和も解除できていない時点で、アベノミクスは失敗と言って間違いない。 本書は2017年8月に出版されたもので、それ以降のデータは反映されていないが、表面的なデータが変わっても基本的なところは変わっていないから、結論は変わらないだろう。ところが失敗を認めたくない政府は、GDPのデータをいろいろとごまかしている形跡がある(巧妙なことに、国際基準の変更に紛れ込ませる形で)。また一部の御用学者は「1%達成しただけでも成果だ、おまえは学校のテストですべて100点だったとでもいうのか」などという小学生のような言い訳をしている。いい加減にしなさいよ。
あと、これは自分が勝手に思いついただけなのだが、大企業は内部留保をしこたま溜め込んでいることが問題になっている。本書によれば、輸出企業は為替差額によって利益を伸ばしているというが、これが事実であれば、内部留保が吐き出さない理由もここにあるのではないだろうか。つまり、トヨタなど輸出企業はもうかったけれども、海外で実売が増えたわけでもなければ、国内で景気が良くなったからでもない。自社製品が売れるようになったのではなくて、円安によって目先の利益が増えただけだ。だとすれば、この利益増加はかりそめのものであり、調子に乗って設備投資や雇用増や賃金アップを行うなどあり得ないと思うだろう。少なくとも堅実な企業ならばそう考えるはずだ。結局のところ、政府がまず行うべきは最低賃金のアップだろう。可処分所得が増えれば消費は増え、景気は良くなる。他に方法は見当たらない。
以下、メモ代わりの抜粋。自分が読んでピックアップしたものであり、まとめる上で間違いがあるかもしれない。
2マネーストックは増えていない
日銀はマネタリーベースを増やしたが、M3などマネーストックの増加はそれ以前のトレンドとほとんど変わっていない。異次元緩和は貸出の増加に寄与しなかった。マネタリーベース増加は過去に経験があり、このときもM3は増えていなかった。貸したくても資金需要が低い。リフレ派のクルーグマンも、日本の需要の弱さを本質的に永続的な状況と見ている。
※マネタリーベースは実際に日銀が供給したお金。一方、信用創造を経て市中に供給��れたお金をマネーストックという。
暦年データで3年間の物価上昇は4.8%だが、うち2%は消費増税によるもの。残りは円安の影響で上がったもの。円高になりはじめた2016年には物価指数は落ちている。
異次元緩和はインフレ予想を植え付けてインフレを生み出す意図だったが、実際に反応したのは投資家だけで、投資家は円安を予想して円を売り、実際に円安になった。ただし2016年の欧州通貨危機において円が買われたため、円高となった。直近ではトランプ誕生の影響で円安傾向。
3国内実質消費最悪の下落
実質民間最終消費支出は2014, 2015年度で2年度連続で下がっている。戦後初。2014年の下落率はリーマンショックを上回る。
実質GDPは、2013年度は駆け込み需要で前年を大きく上回った。2014年度は大幅下落、2015年度は2013年度を下回っている。3年間で比較すると、民主党政権の1/3しか実質GDPを伸ばせていない。
消費が低迷しているのは、実質賃金が下がったから。パートを除いた一般労働者実質賃金指数も下がっている。 家計消費支出指数も急落している。2015年度まででは名目賃金指数は下がっていないため、「非正規が増えたせいで賃金の平均値が下がった」は誤りであることがわかる。単に「物価上昇に名目賃金上昇が追いついていない」ことが原因。エンゲル係数は急上昇していることから、生活が苦しくなっていることは明らか。クルーグマンは日本がスタグフレーションに陥りつつあることを指摘している。
金融緩和による円安と増税は、やってはいけない合わせ技。さらに、インフレ予想による消費の伸びは、需要の先食いをしているだけなので、反動減が来る。
「景気が良くなれば物価が上がる」のは成り立つが、「物価が上がれば景気が良くなる」は成り立たない。先に賃金を上げなければならない。
4GDPかさ上げ疑惑
公共投資は消費に対する波及効果はなかった。無理やり物価を挙げたせいで公共投資の効果も減っている。
H23年に実質GDPの基準年がH17→H23に変更された。また、GDPの国際基準が最新の2008SNAに変更された。これに加えて「各種の概念・定義の変更や推計手法の開発等」による変更が行われている。改定前の名目GDPは1997年度の521.3兆円が最高であり、2015年は500.6兆円だったが、改定後は97年533.1兆円、2015年532.2兆円に嵩上げされている。特に「その他」の嵩上げはアベノミクス後のにおいて顕著。ところが「その他」の内訳は説明されていない。
アベノミクスはGDP600兆円を公約に掲げており、基準改定後ではギリギリ達成可能ではある。しかし公約は達成前の基準により設定された目標であり、改定前の基準によって嵩上げして達成したというのはおかしな話。野党は追求していない。
実質賃金の低下は、増税に加えて円安が響いた。その結果消費が冷え込み、GDPが伸びなかった。
5アベノミクスの「成果」
有効求人倍率と有効求人数はリーマンショックの2008年から下がり、2009年に底を打っている。そこからは上昇基調にある。アベノミクス前後で傾きに変化はない。有効求職者数は逆の動き。完全失業率も同じ傾向。
増えた雇用は、医療・福祉がぶっちぎり1位で101万人。高齢化による介護需要の急増が原因であり、アベノミクスと無関係。
アベノミクスは円安だけをもたらしたが、これが恩恵をもたらすのは製造業であり、4年で18万人しか増えていない。
第2の矢で公共事業をするはずだったが、建設業は9万人減っている。少子高齢化の穴を埋めきれていない。
アベノミクス以前から正社員が減り、非正規が増える傾向が続いていた。短時間労働者を増やしてきたので、労働者の数は全体として増えていく。雇用者数は増加傾向にある。一方で生産年齢人口が減っているので、人手不足になるのは当たり前。医療・福祉の雇用増が人手不足に拍車をかける。
2015年以降は正規社員数が増えている。この背景には法改正がある。労働契約法の改正により、5年を超えたら正社員として雇うことが義務付けられた。正規社員の増加数としては女>男で、もともと非正規に女性が多いことと矛盾しない。この法改正は民主党政権時のもの。
企業倒産はリーマンショックで増えたが、以後は減少傾向で、アベノミクスと変わらない。
自殺率は2009年から低下が続いている。これもアベノミクスと無関係。
非正規社員の増加はアベノミクスと無関係(小泉だからそりゃそうだ)
株価は2012年末から1万円を突破していた。アベノミクス以前から上昇しはじめている。これは安倍の勝利が予想されていたために海外投資家が株を買っていたことによる。
しかし海外投資家の買い越し金を追っていくと、2013年がピークですぐに急減し、2016年はリーマンショック並みのマイナス3.6兆円。売りが大きかったにもかかわらず株価が下がらなかったのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によるもの。GPIFは2014年にポートフォリオが大幅に改定され、国内債券が60%→35%の大幅減、国内株式・海外株式が倍以上、あわせて50%になっている。改定直後の2015年度にはかなり損害が出た。東証の時価総額は世界の7%に過ぎないが、にもかかわらず株式の半分の25%を国内株が占めている。2014年、GPIFが多額の国内株(10兆円)を購入したために株価は急上昇し、翌年に下落して大損害を被っている。利益は海外投資家に流れた。
もう一つの原因は日銀のETF(上場投資信託)。みずほ総研によれば、日銀は日経平均が下がったときだけ購入している。株価下落を防ぐ目的。総売買高からすると小さいが、公的資金による株価上昇を期待して買う人は増える。
部門別の買い越し金の推移を見ると、2014年以降のトップは「法人」であり、GPIFも日銀もこれに含まれる。
日銀の量的緩和とETF購入、およびGPIFの国内株買いが株価を維持している。やめれば大暴落する。
GPIFは利益を出してはいるが、含み益が出ているだけで、うかつに売れない状態。したがって株を持ったままになり、利益確定できない。「買ったが最後、売れない」状態。
いずれ量的緩和と公的資金投入をやめれば株価が暴落する可能性が高い。
アベノミクスで輸出は伸びた。これは為替レートと連動しているための名目輸出。輸出金額指数と輸出価格指数は上がったが、数量指数はむしろ減っている。「円安により日本製品が多く売れる」という減少は起きておらず、為替差益で儲かっただけ。
製造業の賃金はほとんど恩恵を受けておらず、実質賃金指数はアベノミクス以前より落ちている。名目賃金の伸びを物価の伸びが上回っているため。2016年の回復は円高の影響。製造業の実質賃金が伸びていれば消費に波及する可能性はあるが、下がったので波及効果はなかった。
アベノミクスは円安により名目輸出は伸ばしたが、最も伸ばすべき国内消費は冷え込ませてしまった。
自民党はCMで3年連続2%賃上げ達成を謳っていたが、これは連合の組合員のうち262万人程度。これは全雇用者数の5%に過ぎない。
日本の労働組合の組織率は17.3%しかない。労働者の70%が中小企業に努めており、その多くは労働組合を持っていないことを考えると、ほとんどの労働者は組合を持っていない。よって、物価を上げても経営者に対する賃上げ圧力がかからない。物価スライド制がないことも影響している。
6過労死
高度プロフェッショナル制度は高度の専門職の人の残業代をゼロにするというもの。対象は年収が平均年収額の3倍程度の人とされている。労働時間、休日、休憩時間に関する労働基準法の規制がすべて外されてしまう。
かわりに休憩時間の確保+深夜業の制限、健康管理時間を省令の範囲内にする、年間104日以上の休日を確保する、のいずれかを取ることになっている。
現在は「平均年収額の3倍」となっているが、倍数を減らしていくことが予想されている。派遣法も当初は13の専門業務だったが、どんどん範囲が広げられた。経団連は年収400万以上を残業代ゼロにするよう提言してい��。
企画業務型裁量労働制は、8時間働いたと「みなす」制度。対象は年収に関係なく、企画管理者または営業マン。
これらが実行されると、ブラック企業は減らないどころか増えていく。低価格競争が激化し、ブラック企業にならないと生き残れなくなる。賃金低下により消費は伸びず、経済も伸びない。
規制が緩いことが原因。罰金はわずか30万円。労働基準監督官の数も少ない。時効はわずか2年。これにより残業代不払いが横行している。
7副作用
日銀は国際を買い上げて、最大年間80兆円のペースでマネタリーベースを増やし続けている。しかしこのペースでは維持できないことがわかっているため、金利重視の方向に転換した。
国債の利回りは2016年からマイナスになっている。裏返せば国債価格の高騰である。つまり、日銀が国債バブルを引き起こしている。
応���者平均利回り(落札者の平均利回り)もマイナスになっている。つまり、額面+利息よりも高額で売れている。これは日銀に転売するためである。
イールドカーブ(債権の残存期間ごとの利回りを結んだ線。利回り曲線)は残存期間1年~8年まで全部マイナス。
過去、2001~2006に量的緩和を行ったが、終了した2006年に長期金利が急上昇している。今回も緩和をやめると長期金利は上昇するはず。長期金利が上がると、新規の国債が売れなくなる。そこで政府は表面利率を上げることになる。借金の額は増えることになる。
総債務残高は1300兆円近く、対GDP比は240%。社会保障の高騰が原因。名目GDPは改定により嵩上げされているが、改定前は250%を超えていた。
先進国の総債務残高対GDP比ワースト1は日本。 純債務残高で見てもワースト2。 国内的には、太平洋戦争末期と同レベル。資産はあるが、その大半は売れない資産。国債の買い手はほとんど国内ではあるが、高齢者が貯金を取り崩していくので、預貯金の総額は減っていく。つまり国債を買う原資は減っていく。2013年度には貯蓄率はマイナスに落ち込んだ。そこから回復はしたが、アベノミクス以前の水準には戻っていない。国が借金を返せなくなると、貸し手のほとんどは国内なので、ダメージはほぼすべて国内に来る。そうなる前に増税や支出削減しなければならないが、選挙で勝てない。
日銀が国債の直接引き受けをやれば悪性のインフレが発生し、円は暴落、超円安になる。株価も暴落する。国債、円、株の暴落が来る。投げ売り状態になると長期金利が急上昇し、銀行の貸出金利も上がる。
以前金融緩和をやめた際には一時的に金利が上昇したが、その後下がった。資金需要が低いため、金融機関がとりあえず国債を買っていたため、国際価格は上がり、金利は下がった。今回の緩和でも同じ経過をたどれば問題ないが、三菱東京UFJはプライマリーディーラーを降りた。
緩和によって物価を上げ、借金を減らす目的だったが、物価目標は達成できず、2016年はマイナス。さらに2008SNAを隠れ蓑にしてGDPを嵩上げした。これは日本の借金返済能力をごまかす行為。
永久債にするという意見もあるが、円の信用が保てるか疑問。
金融緩和は壮大な現実逃避。
物価が前年比2%で上がると賃金が追いつかず、消費が冷え込んで経済が停滞することは今までの統計が証明している。目標を達成できたら緩和を継続する大義名分がなくなる。しかし緩和をやめたら国債、円、株の大暴落が起きる可能性がある。
日銀が緩和をやめると、国債が暴落する可能性があり、円と株も暴落する可能性がある。長期金利は上昇し、国の借金返済が余計に困難になる。緩和を続けたとしても、円の信用が失われ、円が暴落する可能性がある。
アベノミクスは、輸出が伸びたこと以外はほぼ何もいいことなかった。輸出の伸びでさえ国内消費を犠牲にしたもの。株価や為替などの目立つ数字だけは好調に見えるから「野党よりマシ」という考えにつながる。しかしアベノミクスは出口のない現実逃避である。一方、野党も経済統計をきちんと分析してアベノミクスの失敗を知らせるということをしてこなかった。
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聴講メモ 【緊急開催】著作権侵害サイトによる海賊版被害対策に関するシンポジウム #jilis #JILIS
聴講時に入力したメモです。断片。配布資料等からのメモも引用符はありません。 聞き取り間違い等、あります。おかしな部分は記録者のせいです。
開催案内:https://www.jilis.org/events/2018/2018-09-02.html https://20180902jilis.peatix.com/ 日 時:2018年9月2日(日)13:00〜17:00 場 所:ビジョンセンター永田町 6階ホール 参加費:無料(事前申込制) 主 催: 一般財団法人 情報法制研究所(JILIS)
ハッシュタグ #jilis、#JILIS
※発表者敬称略
13:00~13:05 開催挨拶 鈴木正朝 情報法制研究所 理事長
超法規的なブロッキング、法律に基づかないブロッキングは駄目。 今回は立法論を討議する。誹謗中傷無しで。
自民党 平井議員よりビデオメッセージ 今回の議論内容については知財本部とともに議論してきた。日本にとって、コンテンツが重要な財産であり、インターネットは重要な社会基盤である。知的財産が侵害されることは許されないし、インターネットの自由も重要である。
メッセージあり。 中村伊知哉氏(インターネット上の海賊版対策に関する検討会議 共同座長) ブロッキングについては検討中として中間とりまとめ。ブロッキング法制については意見の幅があるが、どの意見についても理があると考える。
13:05~13:40 現在までの議論の整理 講師:横田明美氏(千葉大学 大学院社会科学研究院 准教授) ※スライドは下記にあり。 https://www.slideshare.net/akemiyokota83/180902-jilis
・緊急対策シンポジウムにおける議論 ※2018年4月22日(日) 著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する 緊急提言シンポジウム https://www.jilis.org/events/2018/2018-04-22.html 聴講メモ 【緊急開催】著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言シンポジウム #ブロッキング0422 https://kiitatakita.tumblr.com/post/173191484802/%E8%81%B4%E8%AC%9B%E3%83%A1%E3%83%A2-%E7%B7%8A%E6%80%A5%E9%96%8B%E5%82%AC%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E4%BE%B5%E5%AE%B3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%AE%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%A6%81%E8%AB%8B%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%B7%8A%E6%80%A5%E6%8F%90%E8%A8%80%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0-%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B00
・インターネット上の海賊版対策に関する検討会議における議論 ※知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/
個人的な趣味からも、研究者としても注目しているイシューである。
TF第3回で既存対策への取り組み状況について資料1でまとめられた。 広告を使っていないサイトには兵糧攻めが効かない。
アクセス警告方式、ブロッキングが同じところで整理されている。 リーチサイトについては文化庁の審議会で議論されている。
第6回資料2ではブロッキングは選択肢の1つ。
中間とりまとめ骨子では訴訟の困難性、国際的な関係等は触れられていない。
第5回資料10 ブロッキング
第6回事務局資料1 ブロッキングについてのまとめ
ブロッキング フィルタリング アクセス警告方式
「緊急対策」は「政府による決定」?
法的 技術的 業界的 政策的
全部が分かる人は恐らくいない。
「自由なインターネット」と「多様なコンテンツ」の分水嶺
13:40~14:20 インターネット上の海賊版対策手法に関する提案
講師: 川上量生氏 株式会社ドワンゴ 取締役CTO 「海賊版対策の議論で主張したいこと」
事実に基づく議論・批判を。
正しくない議論とは何か
ブロッキングは効果が無い は正しいか? →効果はあるが、回避手段がある 正しい →効果はあるが、副作用がある 正しい →効果はあるが、作業が大変。あるいは費用が膨大にかかる 正しい
本当に被害があったのか? →無料だから読んだユーザーもいるわけで売り上げが3000億円減ったわけではない 正しい →事実として 電子書籍全体では大きな被害はないが、若年層が読むコミックに大きな影響があった
出版社の努力が足りないのか →1冊ごとのURLを申請しなければならない。漏れることもある。 →一般的にやるべきでない「禁じ手」やより困難と思われることはやっていない
監視社会ではなく自由なネット社会を目指す →海賊版サイトを見るのも監視されない自由なネット社会を目指す。 これなら分かる。反対するが。
ブロッキングは金盾と同じ →技術的には似ているが、あちらの方がレベルが高い。 →目的が違う。
望む議論 他に方法が無くてもブロッキングは絶対に使っては駄目なのか? 児童ポルノや税関における海賊版製品のチェック等の例外がある
OP53Bについて ・事実として:効果があります ・事実として:DPIブロッキングやIPブロッキングなどの手法に比べて費用も副作用も少ない ・提案:希望するユーザーによるオプトアウトは前提 IPはそもそも除外。
Public DNS対策 主要なPublic DNSが参加してくれれば効果はある
回避ツールの配布はリーチサイトと同様の扱いになるのではないか
ネットの自由と治外法権 インターネットの自由の中に犯罪をどの程度まで許容するのか
宍戸常寿氏 東京大学大学院法学政治学研究科教授
フィルタリングはユーザの同意による。ブロッキングの場合は司法型であれば司法からの命令による(公権力による強制)。 アクセス警告方式は約款による事前包括同意のもと、警告を出す。マルウェア配布サイトについては同様の手法がとられている。 著作権保護の啓蒙、コンテンツへの正当な対価 憲法上の権利を制限するのに必要な要件は何か 個別の許諾、オプトアウト 前提となる環境整備が必要 中立公正な評価 カジュアルユーザーのアクセス防止
別所直哉氏 一般社団法人セーファーインターネット協会会長
誰と戦えばいいのか分かっているのか疑問。 議論は盛り上がっても解決に近づいているのか? 協力体制ができるのか。 なぜ児童ポルノのブロッキングができるのか、時間をかけて協議をして協力体制を築いたから。 法律はできるのに時間がかかるし、範囲は限定的。民間の協力体制の方が効果的ではないか。 日本方式 権利者とプラットフォーマーは自身の利益のみならず消費者の利益を図る CIPP 政府の検討は話し合いの場を作る基礎作りに向かっているのか? 著作権侵害については音楽、映像の権利者は協力体制を築いてきたが、出版関係は殆どない。
14:20~15:45 著作権侵害サイト対策パネルディスカッション 前半
司会:宍戸常寿氏 東京大学大学院法学政治学研究科教授 パネリスト(50音順): 赤松健氏 公益社団法人日本漫画家協会 常任理事 有馬啓太郎氏 漫画家 上沼紫野氏 虎ノ門南法律事務所 弁護士 上原哲太郎氏 立命館大学情報理工学部 教授 川上量生氏 株式会社ドワンゴ 取締役CTO 楠正憲氏 国際大学GLOCOM 客員研究員 竹村響氏 株式会社竹書房 執行役員 立石聡明氏 日本インターネットプロバイダ協会 副会長・専務理事 玉井克哉氏 東京大学教授/信州大学教授 壇俊光氏 北尻総合法律事務所 弁護士 寺田眞治氏 SFC研究所 上席所員 別所直哉氏 一般社団法人セーファーインターネット協会会長 丸橋透氏 明治大学法学部教授 村瀬拓男氏 用賀法律事務所 弁護士 森亮二氏 英知法律事務所 弁護士 横田明美氏 千葉大学 大学院社会科学研究院 准教授)
あか 検討会メンバーに漫画家はいない。仮に自分がブロッキング駄目でしょうって言ったら議論が終わってしまう。漫画村が潰れるた後はやはり売り上げが上がった。が、なぜか著作者には意見を聴かれなかった。漫画村と組むとか、出版社と一緒に漫画村よりも良いプラットフォームを作るというった対応法もあったはず。守ってくれるというのはうれしいが、手法に不安がある。
あり いい作品はどういった条件下で生まれるのか。自由に考える環境などが保証された状況でないと生まれにくいと思う。特定条件下で考えるのと、広い場所で考えるのと、どちらが生まれやすいのか。自由に感がられる環境の維持を願う。
たけ ビジネス的なインパクトは少ない。文化的な多様性が漫画業界を支えている。業界としては大手4社に頼りきりというのは申し訳ない。自社のコンテンツがすべて消えても海賊版へのインパクトは少ないだろう。売り上げとしては2割減っていた。2007年に電子書籍を始めているが、このような事態は初めてである。1年続いていれば倒産していただろう。制作者への支払いが減ってしまえば廃業する人も出る。多様性が損なわれる。
うえ OP53Bは止められなくなる政策になってしまう。DNSを少しずつ殺していく。エンド2エンドの議論の復活。だんだん効果が薄れていってしまうタイプの対策。25のブロックはオルタナティブな手段を用意したもの。性質が違うものの話をしている。フィルタリングとブロッキングの違いとして一般論として語られるのが、判断をどのプロセッサがやっているのかという点。外でジャッジするのか、自分の側でジャッジするのか。ログがテクニカルには残る。きちんと処理しないと監視になる。
くす 日本だけで仮想通貨が1千億円くらい盗まれている。日本の取引所はマウントゴックスで何が起こったのか分かっていない。コインチェック問題も。サイバー空間におけるローエンフォースメントの在り方が本質的な問題である。総務省はクラウドフレアを呼び出すこともできるし、罰金を科すこともできる。行政はできることがあるのにやっていない。立法にむけて事実が積みあがっていない。原告の主張をうのみにする裁判所はない。官邸はそれができていない。立法、行政に関わる者としてどこをフェアにしていくのか。クラウドフレアは日本対応として法務担当を雇うはずで、話し合いの機会はできるはず。リゾルバを持っているだけで逮捕されるようなことはあってはならない。
かわ 検討会に漫画家が出てくれないのは頼んだ人がみんな断った。出版社の連携がないことについては表現の自由が確立されているから。インターネットの対策で恒久的なものはない。これから5年間だけでもいい。時限でやるというのはありだ。議論の場にクラウドフレアが出てきてくれればありがたい。
しし 立法事実について議論したい。
もり 損害額の算定はどの分野でも難しい。 著作権侵害の中だけならそれで比較できるだろうが、異なる法益との比較を行わなければならない ブロッキングが世界42か国で導入済みとのことであり、欧州でも行われているとなると、日本も行うべきとの声は出る。が、それは本当なのか。EU情報指令第8条第3項を反映したもの(資料より) 42か国のうち28か国はEU加盟国で、実績なしはそのうち15か国。 監視は全員が監視される。海賊版サイトを見る人だけでない。
むら デジタルコミック協議会法務委員会委員長を10年近くやり、海賊版対策がその大部分を占める。 FreeBooksや漫画村は短期間に伸長した。その短期間に出版社の業績は悪化。 「漫画村」閉鎖後、リーチサイトが復権し、トレントへも多数のアクセス。第2の「漫画村」の萌芽も。 海外在住者が複数のミラーサイトを利用している模様。2月に政府がブロッキングをやるつもりではという話を聞いたときに、本当にやるつもりなのか、やっていいのかと思った。実際に起きてしまったら、通信業界、消費者、権利者の間に深刻な対立が起きるとも。協調の空気を作るには極めてマイナスである。 ブロッキングというのは制度としてあれば使えるし、有用ではないかと現場の担当者としては考える。手段の1つとして。制度の在り方としては、きちんと法律を作り、司法判断を噛ませるというのが必要。訴訟法的な観点が現場としてはすごく気になるところで、現実に一定の要件かで使うことができる制度になるのかと懸念している。出版社の最大の問題は、雑誌を除けば、自らが権利者ではないということ。映画や音楽とはそこが違う。業界団体に加盟している出版社も、全体から見れば一部にとどまる。 全部が停まる必要はない。6~8割、3か月間だけでも止まれば効果はある。 正規版配信サイトであることの認定マークをこの秋から実装する。
だん ほぼ全ての海賊版サイトはリーチサイドである。リーチサイトが著作権法違反かどうかは定かではない。 海外事業者に日本の著作権法が適用されるのか。 ブロッキングの対象は何なのか?それにより必要となる法制度が変わってくる。 大規模海賊版サイトについてはCDNに対する法的措置で足りるのではないか。 実務では比較的容易に日本の管轄を認めている。 112条では認めているが、実務ではこだわっていない。 ジャストオンライン事件ではいくつかのコンテンツについてのみ禁止。 日本のプロ責が使い難いのは事実。プロ責を直すべき。 その他の手段がある場合に、その他の1手段としてブロッキング立法が許されるのか。
うえぬま フィルタリングとブロッキングの違いが理解されていない。影響が大きいのが低年齢層であるならば、フィルタリングの提供義務がある年齢層と被るのではないか。フィルタリングは海賊版を対象としている。アクセス警告方式は青少年の教育と相性がいい。
てら 犯罪者をどうするかについては検討されていない。捕まえるのをあきらめておいていいのか。広告や口座は追いかけることができる。アナログの雑誌にウォーターマークをつけてスキャンしたものを追いかけることもできる。手が足りない。フィルタリングの仕組みは海外ではセキュリティソフトに組み込まれており、青少年限定のものではない。
15:45〜15:55 休憩
15:35〜17:00 著作権侵害サイト対策パネルディスカッション 後半
フロア 高木浩光氏 アクセス警告方式には4つの理由で反対である。 約款による同意は形骸化 むしろ監視の強化→見るボタンを押した人はどうなるのかという不安感、監視の受け入れでは? 静止画ダウンロードが違法化されるかどうか。閲覧自体を違法化するとなると種々の問題 通信の信頼を害さないためには司法の介入が必要 通信の秘密はない、と言う言説抜きであれば司法ブロッキングもやむなし。
フロア 全地婦連 長田氏 国策に協力した婦人団体の反省を踏まえたのが全地婦連。フリーで見ることの意味への認識を持ってもらう努力をしないまま、ブロッキングの法制化に進むのは反対である。
フロア サワダ氏 eコマースのトラブルを扱う団体に所属している。通信の秘密は消費者保護にも有用であり、アクセス警告方式を使用している。
かわ 政府が発表するのと裁判は関係ない。3千億円の数字が問題なのではなく、出版業界の存亡がかかっているのが問題。フィルタリングが普及しなかったことを考えると、成功するかどうかは疑問。安易な対象サイトの増加も懸念。日本の「通信の秘密」は拡大され過ぎているのではないか。
うえはら 「通信の秘密」は何を守るのかは検討すべき課題ではあるが、ブロッキングは人が何を見るかに直結するので、外すのは難しい。
もり 法制化ブロッキングの方がアクセス警告方式の方がましだというのは受け入れられない。それは場合によっては著作権よりも通信の秘密が劣後することを認めることになってしまう。
あり 違法業者は本当に捕まえられないのか。捕まえられないことを前提に動くのは不味くないか。
かわ 海外業者に相手側のIPアドレス開示を請求してもしてもらえないことが多い。
くす アドネットワークは日本の口座を持っており、そこから手繰ることもできたはず。本当に捕まえられなかったのか。広告収益を仮想通貨でやり取りしていたりすればともかく。レベルの低い犯罪であり、日本の警察の能力に懸念がある。
たて NHKの番組でそれっぽい名前が出ていた。出版社の人をネットワーク犯罪に対応する集まりで見たことがない。
うえはら 警察の捜査能力を向上させるには国民の協力が必要。国際問題として発展した場合、警察庁が対応するのでどうしても遅れる。
だん 警察は海外にカジュアルにメールで紹介している。特定の、例えばグーグルなどは捜査令状に応じる。海外で全く操作ができないわけではない。
まる サイバー犯罪における捜査共助をきちんと機能させるべき。
たけ 時間の問題がある。つかまるまでもたない事業者もでる。
てら 並行してやってほしい。
むら 警察が捜査に入った段階で他の手段を取らないでくれと要請された。
てら 制度検討と捜査の並行実施を言っている。
べ 何も協力ができていないと考える。捜査時の注意は折衝次第である。歩み寄りがなければ、法制度がで���ても実効性があるか疑問である。
しし ステークホルダーの協力について議論したい。
たま 民事においては権利者は侵害に対し訴える権利がある。知財は侵害をしやすい権利である。UFOの振り付けをした人には利益が配分されていない。「通信の秘密」という憲法上の利益に関わるものについて、それを制限するのであれば、立法によるのが本筋である。ほかの手段がない場合には考えるべき。しかし、「通信の秘密」がでてきたら、経済的な権利は引っ込むというのは違うのではないか。
まる 権利者と通信業者の関係は敵対ではなく、Win-Winであるべき。P2Pなどは止めなければどちらも困る。漫画村の場合は一方的では。
あか 出版社は作家に説明していない。出版社がコントロール権を欲しがるのは分かる。作者がどう考えているかを吸い上げてから、意見を出してほしい。
かわ 出版社と作家の関係は、作家がえらくなると出版社の立場は相対的に低くなる。漫画村に対して強硬になったのは作家の先生の突き上げがあったから。 通信側と団体を作って対応できるのならばしたいが、業界としては団体行動が苦手。
たけ 作家と編集の関係で言いづらいことはある。準備が足りていないというのは言える。血を止めてからはなしをしてほしい。
たて アクセスプロバイダを犯罪者扱いしておいて協力は無理。
うえ 対象を増やしたからフィルタリングが減ったのではなく、スマホになって複雑になったから。迅速性と司法がなじまないのは当たり前。自主規制ルールでやっている間に本当の悪い奴を捕まえるべき。
べ 本当に協力体制を気づきたかったら、一度ブロッキングについては棚上げすべき。権利者側も走り回って取りまとめを行うべき。種々の対策協議会は一朝一夕ででできあがったものではない。 制度より走り回る人を。
かわ 出版業界ではまとめるのは難しいが努力する。
あり 将来的に新しい作品を生み出すことが阻害されないか、
あか 作者側のまとめは難しい。
べ ブロッキングをしたいのか、侵害サイトを止めたいのか。自主的な枠組みの方が早く止められるのではないか。
あか 漫画村からインスタ並みにアクセスがあった頃、漫画村から組まないかという話があったとしたら、どうすべきだったのか。
かわ 漫画村はそれほど儲かっていなかった。
くす 未成年が電子コミックを合法的に入手できる環境があるのか。
たけ 定額読み放題、大手は反対するのでは。書店はどうなるのか。
たま クリエーターが大事。従前はメディア産業が力を握っていた。
てら あの勢いで伸びていれば、広告もふえていただろう。
あり 正規サイトを見てくれと言う啓蒙が必要。
もり 検討会議の議事進行の不公正について。 SOPAを扱っていない。プライバシーや名誉毀損への横展開の恐れ。 検討会議での諸外国について報告があった。主婦連、地婦連からの意見書ではブロッキングありきを批判。 財産権と人格権の区別は一朝一夕で変わるものではない。
かわ ブロッキング以外に有効な方法があれば事業者は歓迎する。が、現時点では広告やCDN訴訟は現実的ではない。
たて 会議では総合パッケージだと言っているが実際はブロッキング主体。戦時下の韓国ですら、国民の理解を求め、総合パッケージ。
べ 本当に対策したいならブロッキング棚上げすべき。法制度でブロッキングはできるかもしれないが、効果は限定的。制度はできても協力はされない。
うえぬま 色々な関係者の協力が必要。ブロッキングは劇薬。従来の枠組みの活用を。
かわ 業界が求めているのは影響力が大きいサイトを止めること。
くす どれだけの被害が大きいのか。なにをもって被害とするのか。
もり CDNのテイクダウンはできたはず。
べ ブロッキングでなければ止まらなかったというのは、ほかの手段を知らないから。
むら キャンペーンを行っている。政府が乱暴なことを言わなければ協力体制はできたかもしれない。
てら ブロッキング法制化よりも出てきている対策を進めて行く方が早い。
だん クラウドフレアへの対策は?
むら 開示請求を進めていると聞いている。
あか こども半額みたいなことをしては?
かわ 雑誌はもともと販促物。
まる ブロッキングには大義がない。
かわ 発信者情報開示はプロバイダーに一方的にコストを押し付けているのでは?
だん 違法であることが明白。
まる 発信者情報開示はついても協力してくれるのか。
たま 真に必要な対策であるなら成立させるべき。
くす 検討会事務局は司法型ブロッキングを考えていたのか。
高木 信頼関係が崩れている。仕切り直し。
中川 議事録にウォーターマーキングへのゲンキュウが少ないが、ほかの手法と組み合わせれば効果があるのでは。
高橋 フィンガープリンティングのほうが有効では。
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ドナルド・トランプの第2期政権(2025年1月発足)における経済政策、特に関税政策がアメリカ国内のインフレや貧困層の生活に与える影響について、最新の情報と分析に基づいて予測を以下にまとめます。なお、以下の予測は提供された検索結果(2025年4月までのウェブ情報およびXの投稿)を基にし、客観的なデータと推測を組み合わせたものです。
1. トランプの関税政策の概要と最近の方向性
トランプ大統領は、2025年4月に「世界共通関税」と「相互関税」を導入する大統領令を発令しました。これには以下のような内容が含まれます:
ベースライン関税:全輸入品に対し一律10%の関税を課す。
相互関税:貿易相手国の関税率や非関税障壁を考慮し、国ごとに追加関税を上乗せ(例:中国に60%、カナダ・メキシコに25%、自動車輸入に最大200%など)。
目的:関税は通商政策だけでなく、移民や麻薬流入の抑制といった外交目的にも使用されており、貿易赤字削減や国内産業保護を目指す。
最近の動向として:
2025年4月9日、トランプ大統領は一部の関税を「90日間の交渉期間」を設けて一時停止すると発表。これにより市場は一時的に安定したが、関税政策の不確実性は依然として高い。
鉄鋼・アルミニウムへの関税を50%に引き上げるなど、特定の品目や国に対する関税強化が進行中。
財務長官スコット・ベッセント氏は、関税によるインフレ懸念を軽視し、連邦支出削減と経済成長を優先する姿勢を示している。
2. インフレへの影響
トランプの関税政策は、以下のようにインフレを押し上げる要因となります:
(1) 輸入物価の上昇
関税は輸入品のコストを直接的に増加させ、企業がそのコストを価格に転嫁することで消費財の価格が上昇。イェール大学予算研究所は、2025年の関税政策により物価水準が2.3%上昇し、1世帯当たり平均3,800ドルの購買力損失を予測。
特に、自動車(例:アウディに50%超の関税)や石油(カナダ・メキシコからの輸入に25%関税)など、日常的な消費財やエネルギー価格への影響が大きい。
ボストン連銀の試算では、メキシコ・カナダへの25%関税と中国への10%追加関税だけで、インフレ率が最大0.8%ポイント上昇。
(2) 報復関税とサプライチェーンの混乱
カナダや中国などが報復関税を課す可能性が高く、米国の輸出企業(特に自動車や製造業)への打撃が予想される。これにより国際分業が不利になり、生産コストが上昇。
サプライチェーンの混乱は、部品や素材の価格上昇を通じてインフレをさらに加速させる。
(3) 他の経済政策との相乗効果
関税に加え、トランプ政権は減税(個人所得税や法人税の継続・拡大)や移民抑制を推進。これらは消費需要の増加や労働力不足による賃金上昇を招き、インフレ圧力を増大させる。
ピーターソン国際経済研究所は、2026年の消費者物価上昇率が4.1~7.4%ポイント押し上げられると予測。
最近の動向とインフレの現状
2025年1月のCPI(消費者物価指数)は前年比3.0%上昇し、月次では1年半ぶりの大幅な伸び。特に鶏卵(15%上昇)や自動車保険(12%上昇)など、日常品の価格高騰が顕著。
連邦準備理事会(FRB)は、関税によるインフレが一過性と見る一方、持続的なインフレ圧力が高まれば利下げを遅らせ、場合によっては利上げに転じる可能性も指摘されている。
予測:
2025年中、関税によるインフレは短期的には2~3%、最悪の場合4~7%の物価上昇を引き起こす可能性が高い。特に生活必需品(食料品、エネルギー、自動車)の価格上昇が顕著で、消費者負担が増加する。
報復関税やサプライチェーン混乱が加われば、インフレはさらに加速し、2026年に向けて5%超のCPI上昇率も視野に入る。ただし、トランプ政権が交渉を通じて関税を一部緩和する場合、インフレ圧力は緩和される可能性がある。
3. 貧困層への影響
関税によるインフレは、特に低所得者層に深刻な影響を与えると予測されます:
(1) 生活必需品の価格高騰
イェール大学予算研究所は、関税が「逆進的な税金」として低所得者層に大きな負担を強いると分析。低所得世帯は収入の大部分を生活必需品に費やすため、食料品やエネルギー価格の上昇が家計を直撃。
調査では、76%の消費者が関税による物価上昇を懸念し、57%が低所得者層へのマイナス影響を指摘。
(2) 実質賃金の低下
2024年の実質賃金は2019年比で10%高いが、インフレが再燃すれば賃上げが追いつかず、貧困層の実質的な購買力が低下。
移民抑制政策による労働力不足は賃金上昇を促す可能性があるが、低スキル労働者の雇用機会は減少するリスクがあり、貧困層の収入安定性が損なわれる。
(3) 社会保障削減の影響
トランプ政権は、連邦支出削減の一環としてメディケイド(貧困層向け医療費補助)やメディケア(高齢者向け医療補助)の削減を提案。2025年5月22日、共和党の「偉大で美しい法案」が下院で可決され、これにより貧困層の医療アクセスがさらに制限される可能性がある。
政府効率化省(DOGE)による連邦職員削減や政府関連企業のリストラも、貧困層の雇用や福祉サービスに悪影響を及ぼす。
予測:
貧困層は、食料品やエネルギー価格の上昇により生活コストが急増し、2025年中には家計赤字が深刻化する可能性が高い。特に、医療費補助の削減が実施されれば、貧困層の生活苦は一気に悪化する。
消費者調査では、23%が「値上げ前に買いだめする」と回答しており、貧困層の一部は駆け込み消費で対応するが、持続的な物価高で貯蓄が枯渇するリスクがある。
最悪のシナリオでは、インフレ率が5%を超え、貧困層の生活水準が2019年以前のレベルに後退する可能性も。
4. 経済全体への影響と景気後退リスク
トランプの関税政策は、インフレだけでなく経済全体に以下のような影響を及ぼす:
GDPへの影響:米議会予算局(CBO)は、関税政策により2034年までに実質GDPが0.6%減少すると予測。減税による景気刺激効果(+0.5~1.0%)は、関税や移民抑制のマイナス効果(-0.4~0.8%)で相殺される。
景気後退リスク:JPモルガンは、関税による景気後退確率を40%から60%に引き上げ。ウォール街では、景気後退確率が50%以上との見方が広がっている。
市場の反応:2025年2~4月、関税強化による株価下落や米国債の急落が観測され、「トリプル安」(株式・債券・通貨)の懸念が高まった。
予測:
2025年上半期は、関税によるインフレと不確実性で経済成長が鈍化(成長率2.5%程度)。2026年の中間選挙を前に、トランプ政権が関税を一部緩和しない場合、景気後退(「トランプリセッション」)に突入するリスクが高まる。
ただし、減税や規制緩和による企業投資の活性化が実現すれば、景気後退は回避される可能性もある。
5. 最近の方向性と今後の不確実性
交渉による緩和の可能性:トランプ大統領は関税を交渉の武器として使用しており、4月9日の一時停止表明のように、相手国の譲歩次第で関税を調整する可能性がある。
市場の不確実性:関税政策の詳細(対象国、品目、税率)が不明確なため、企業や消費者の先行き不透明感が強い。2025年夏までに2026年度予算が明確化されるまでは、経済の不確実性が続く。
世論の動向:世論調査では、54%が関税政策に反対し、トランプ支持率は47.7%に低下(2025年4月)。インフレや生活苦が悪化すれば、2026年の中間選挙で共和党への逆風となる。
6. 総合予測
インフレ:2025年は関税による物価上昇でCPIが3~5%、最悪7%まで上昇。生活必需品の価格高騰が顕著で、消費者負担が増加。
貧困層の生活苦:食料品、エネルギー、医療費の負担増により、貧困層の家計は2025年中盤から深刻化。社会保障削減が実施されれば、生活水準は2019年以前に後退する可能性。
経済全体:関税と減税のバランス次第だが、2025年は成長率2.5%程度で鈍化。2026年に向け、報復関税やサプライチェーン混乱が続けば、景気後退リスクが60%に高まる。
緩和シナリオ:トランプ政権が交渉で関税を一部緩和し、減税や規制緩和の効果が早期に発現すれば、インフレは3%程度に抑えられ、貧困層への影響も軽減される可能性。
7. 注意点と限界
不確実性の高さ:関税の最終的な税率や対象国は交渉次第であり、CBOも過去50年の実証データ不足を指摘。予測の振れ幅は大きい。
日本の視点:日本企業(特に自動車産業)は対米輸出で4~5兆円の負担増が予想され、円安圧力も強まる。日本の消費者物価にも間接的な影響が及ぶ可能性。
政治的制約:2026年の中間選挙を前に、インフレや生活苦への批判が高まれば、トランプ政権は関税政策を修正する可能性がある。
結論
トランプの関税政策は、2025年にアメリカ国内でインフレを加速させ(3~5%、最悪7%)、特に低所得者層の生活を直撃する可能性が高い。食料品やエネルギー価格の上昇、医療費補助の削減により、貧困層の生活苦は一気に深刻化するリスクがある。ただし、トランプ政権が交渉で関税を緩和し、減税や規制緩和の効果が早期に発現すれば、インフレや経済への悪影響は抑えられる可能性がある。2025年夏以降の予算編成や交渉の進展が、予測の鍵となるでしょう。
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#jbpress 織田先生よりシェア
日本人を思考停止に追い込んだ非核三原則、見直しが急務
織田 邦男
ロシアによるウクライナ侵略戦争の出口が見えない。
この戦争で明確になったことは、国連の常任理事国が、核の脅しを背景に、力による現状変更、つまり侵略戦争を始めれば誰も止められないということだ。
国連は無力な醜態を晒し、米国は早々に武力不行使を宣言した。
ウラジーミル・プーチン露大統領は2014年のクリミア併合を巡るインタビューで、「核兵器を使う用意があった」と述べた。
ジョー・バイデン米大統領が早々に米軍は派遣しないと宣言したのも、この発言が多分に影響を及ぼしている。
戦略家エドワード・ルトワックは「核兵器は使われない限り有効」と喝破した。核はなるほど使い難い兵器になった。広島、長崎以降、核は使用されていない。
では核は無駄かというと残念ながら現実はそうなっていない。核による威嚇、恫喝が極めて有効であり、外交力、国防力を格段に向上させることをロシアは世界に証明してみせた。
日本にとって、これは他人事ではない。
我が国の隣には、もう一つの「力の信奉者」である常任理事国、中国がいる。中国は台湾併合を国家目標と掲げ、武力併合を否定していない。
中国が台湾武力併合に動いた時、習近平国家主席が「米国が参戦すれば、核の使用も辞さない」と言えば米国はどう動くのだろう。
台湾有事は日本有事である。核をちらつかされても日本は台湾への支援を実施するのか。
核に対しては核である。核を通常兵器で抑止することはできない。
日本への「核の傘」は果たして有効なのか。ウクライナ戦争の現実をみて、不安を覚える国民が増えたようだ。
NATO(北大西洋条約機構)の「核共有」の話題が降って湧いた。
世論調査では、核共有について賛成が約2割、核共有については反対だが、核の議論はすべきが約6割あった。国民の約8割が核について議論すべきと考えている。
先日、安倍晋三元総理が核の議論を提起した。これだけで有力メディアはヒステリー気味になり、バッシングが起こり、言論封殺の空気が蔓延した。
メディアは国民の感覚と相当ずれている。
安全保障政策は国民の自由闊達な議論の末に決定されなければならない。それは核抑止政策についても同じはずだ。
日本はこれまで「核」と言った途端、思考停止してきた。非核三原則に「考えない」「議論しない」を加えた非核五原則だとも言われてきた。
そのせいか、核に対する国民の知識レベルは驚くほど低い。
こちらの方がよほど恐ろしい。正しい知識をもって、自由闊達な議論が行えるようにしなければ国を誤ることにもなりかねない。
「核共有」(Nuclear Sharing)についても、政治家、メディアの知識レベルは低い。
冷戦時、NATOの最大の課題はソ連の機甲部隊を阻止することであった。
ソ連機甲部隊がウクライナからポーランドを経て欧州に進撃するのに、これを邪魔する山はない。
幅約300キロ以上にわたる前線に、何千という戦車が一斉に雲霞のごとく押し寄せることが想定された。
これを阻止するには、とてもNATOの通常戦力では足りない。そこで米国は戦闘機に戦術核を搭載し、これを空から阻止する作戦を立てた。
だが、米軍の戦闘機を総動員しても手が足りない。そこで米軍以外のNATOの空軍にも支援を求めたのが「核共有」である。
現在、核共有しているのは、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの5カ国 、6カ所(イタリアが2カ所)であり、約150の核爆弾(B61)が保管されている。
冷戦の最盛期には最大約7000の戦術核がNATO加盟国に配備されていた。
ソ連の防空網をかいくぐって戦術核を機甲部隊に落とすため、超低高度を高速で侵出し、目標手前で急激に引き起こし、上昇角度約45度で戦術核を切り離す。
戦術核はそのまま上昇し放物線を描いて落下する。その間の時間を利用して爆発地点からできるだけ遠くに離脱し、核爆発で自機を損傷しないようにする。
この爆撃方法を「トスボンビング」と呼んでいる。
いわば敵と刺し違える危険な戦法なので、訓練でも事故が多発した。西ドイツはこのために超音速戦闘機「F104」を導入したが、事故の多さに「未亡人製造機」と揶揄された。
冷戦終了後、ソ連が崩壊し、機甲部隊の大規模進撃想定も幻となった。核共有も役目を終え、約7000発の戦術核も徐々に削減されていった。
だが2014年、ロシアによるクリミア半島併合が起きた。プーチン大統領の「核を使う用意」の発言があり、削減は凍結され、現在、5か国に約150発が残された。
現在は機甲軍団の進撃阻止という戦術的目的ではなく、米国の「核の傘」の信頼性を向上させる、いわば「安心」の提供が目的となっている。
核使用については、NATOが決心して米国と核共有国が実行する。その際、米国が拒否すれば核共有国も核使用はできない。
逆に米国が同意しても、核共有国が拒否すれば共有した核は使用されない。
だが、核共有国が拒否しても米国は単独で核使用ができるため、事実上、米国が決心すれば、核共有国も核使用は不可避となる。
核共有は、いわば「レンタル予約」と表現した学者もいる。米国の核を予約しているだけで、米国がノーと言えば共有国が単独で使用することはできない。
核共有国のメリットは、核使用の協議や作戦計画策定に参画できることである。
米国、英国、フランスという核保有国が勝手に核使用を決断するのではなく、非核国も核使用のプロセスに参画できるメリットは大きい。安心感が「共有」できる。
日本で核を議論する場合、欧州の「核共有」は参考にならない。中国の戦車が雲霞のごとく海を渡って攻めてくるわけでない。船舶であれば核でなくても対処できる。
結論から言うと、日本に今求められているのは、今後とも「非核三原則」を続けるか否かの議論である。
中国は通常兵器のみならず、核兵器でも米国を凌駕しようとしている。
ロイド・オースティン米国防長官は、中国は2030年までに核弾頭を約1000発に増勢し、核戦力の3本柱(地上配備、潜水艦発射、戦略爆撃機搭載)強化を目指していると述べた。
戦略核も問題だが、日本にとっては、中距離核戦力が既に米中で著しく不均衡になっている問題が大きい。
1970年代後半、ソ連は中距離核ミサイル(SS20)を配備した。核の不均衡が生じ、「核の傘」に疑念を抱いた欧州はSS20と同等の中距離核戦力(パーシング II、地上発射巡航ミサイル)の欧州配備を米国に迫った。
核配備で均衡が実現するや、米ソ軍縮交渉が始まり、1987年、中距離核戦力は全廃された。
軍拡によって軍縮を実現した成功例であるが、皮肉にもこの成功が米中の中距離核戦力の著しい不均衡を生んだ。
条約の制約を受けない中国は、日本、グアムを射程に収める中距離ミサイルを着々と整備し、今や1250基が配備されている(米議会報告)。
これに対して米国はゼロであり、著しい不均衡が生じた。憂慮したドナルド・トランプ政権はINF条約から離脱し、中距離核戦力を急ピッチで再構築中である。
「力の不均衡」はウクライナを見るまでもなく、戦争の可能性を高める。
「力の信奉者」である中国への抑止が崩れれば、東アジアの平和と安定は危うくなる。核による威嚇、恫喝を無効化し、日本に向けられた中距離核戦力をどう廃絶させるか。
2021年3月、米インド太平洋軍司令官は議会に要望書を提出した。
中国への抑止は崩れつつあり、完成した中距離ミサイルは第1列島線(九州から沖縄、台湾、フィリピン、南シナ海に至るライン)に配備すべしとの要望である。
英国のマーガレット・サッチャー首相やドイツのヘルムート・シュミット首相(当時)が、反対世論を押し切って米国の中距離核戦力を持ち込み、均衡をとり戻して中距離核戦力を全廃したように、まずは「力の均衡」を取り戻し、米中の核軍縮交渉を開始させねばならない。
日本は積極的に受け入れるべきである。
中距離ミサイルは核弾頭も搭載可能である。米国は否定も肯定もしない(Neither confirm nor deny)戦略をとっている。
日本に配備する場合、当然、非核三原則に抵触する。ことは日本および東アジアの安全保障である。そのために必要であれば、非核三原則も見直すべきだ。
平和の確保が目的であり、非核三原則の継続自体が目的であってはならない。この議論が今求められている。
自民党は3月16日の安全保障調査会で、「核共有」をはじめ核抑止に関して勉強会を開いた。
だが「唯一の戦争被爆国として、世界平和に貢献する我が国の立場は絶対に崩すべきではない。『(非核三原則は)国是』とは大変適切な言葉だ」とさしたる議論もなく結論ありきで思考停止した。
この1回で検討は終了し、継続もしないという。まさに「アリバイ作り」で終わった。
「非核三原則」は我が国の安全のためになっているのかという国民の疑問に答えていない。もし「非核三原則」を続けることが日本の安全保障にマイナスであれば、見直すべきである。
安全保障政策は感情に流されてはならない。日本の国民、領土領海を守るには、いかなる政策が必要なのか。政治家は現実を直視すべきである。
「あやまちを繰り返さないため」にも、「非核三原則」の継続が目的であってはならないし、金科玉条であってはならないのだ。
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■10/29放送 DHCシアター「真相深入り!虎ノ門ニュース」 いつも長文で読むのしんどいわ~という方も、今日は我慢して読んで下さい。 外国人労働者の受け入れ拡大法案についてです。 今日はもうそれに関連する部分のみ起こして、他はカットさせてもらいました(それでもいつもより長い)。 オールドメディアでは報道されない内容です(虎ノ門ニュースは全般にいつもそうですが、今回は特に)。 「人手不足だから外国人受け入れを拡大したい」とされてきた建設業界にも懸念の声があることや、政府はこれを4月1日に施行しようとしてますが社会保障の面で全く間に合わないこと、やがて外国人参政権にもつながっていくこと、など。 このまま見切り発車させたら、後々大変なことになるのは目に見えています。 実は今日の番組動画、「一部映像の不具合」を理由にお昼頃に一度削除されまして…。 修正版がUPされるまでに約4時間もかかりました。 青山さんが派遣会社と自民党議員の癒着に言及したので圧力かかってカットされたのでは?…なんて話もSNSで出回ってましたが、そこの発言はちゃんと残ってますし、他の箇所も私が見た感じ、カットされたと思える箇所はなかったです(私は毎回まず、ほぼリアルタイムで一通り見た後、書き起こし作業をしています)。 結局「一部映像の不具合」とは何だったんですかね~? ※元動画はこちら(10月30日午前0時現在)。URLが変更される(修正版がUPされる)こともあります。その場合は、DHCシアターの再生リストから、たどって下さい。但し、アーカイブは2週間の公開です。 ※この書き起こしは要旨であり、一字一句この通りではありません。 ※引用転載はご自由に。連絡不要です。但し誤字などに後日気づいて修正をすることが多々ありますので、必ずこちらのURLを添えておいて下さい。 内容紹介ここから____________________________ (★)オープニング 外国人労働者を、非常に乱暴な法律で、事実上の移民にしていこうと、いう政策に真っ向反対してまして。 で、先週は、月曜日からその部会が、月火水木金と、こんなの僕は今まで一度も見たことないですけど、集中して頑張ってやってるというよりは、もうとにかくこの臨時国会で上げてしまおうというのがあって。 で、金曜日に部会了承ってことになってたのが、不肖私も含めて、反対論が、安倍総理やその他の方々、首脳陣が思ってらっしゃった以上に強いことが分かったので、ま、そこは自由民主党の、僕はいま一員なので、こういう言い方、しにくい、したくないけど、客観的に言って良識が働いて、金曜日はいったん流したんです。 で、流したからよけいに、金曜日の夜から、ま、僕には一切来ないんですけど、僕以外の議員には、月曜日に必ず上げるようにという、ま、要請が、非常にあってですね。 それで僕には一切来ないから、僕は知らないはずが、ま、苦しんでいる議員の方々から、これかなりたくさんの人から…。 で、僕の方からは一言も問い合わせてないです。 いわゆる根回しというのも一切して��せん。 それぞれの議員の良識に、あるいは国を思う気持ちに待つ、あるいは外国人の方々の人権を大事にする気持ちに待つために、僕からは一切言ってませんが、たくさんの議員の方からお話が寄せられたんですけれども。 ま、ブログにも書いたんですけれども、ブログよりこの虎ノ門ニュース見てる方の方がやっぱり多いんじゃないかなと思いますから、重なっても申し上げるとですね、要は連絡してこられたのは、そういうわけで自分は今日月曜日の部会には行けないと。 青山さん頑張ってねってことなんです(笑)。 (居島一平:託されちゃってるんですね、青山さんにね…(苦笑)) いや、託されちゃってるというか、まあ、そんなことないですけども、それは現実なんで。 それで、それが金曜日の深夜から土曜日の早朝にかけてです。 それで実はですね、中身は未来永劫申せませんが、この土日、だから昨日とおとといは、当然国会ありませんから、それから自由民主党の部会もありませんので、ま、地方も含めて、様々な国民の方々にお会いをして、なぜ僕が反対してるかっていうことをお話ししました。 で、国民の方々っていうのは皆それぞれの選挙区に議員いらっしゃるわけですから。 その国民の声の出方によっては、今日月曜日、本来、ま、出席を回避しようと思ってた議員の方もお見えになるかもしれません。 今日の午後遅くっていうか、夕方なんで、まだ分かりません。 但し、今日月曜日の午後遅く、ないし夕方ってことでもお分かりだと思いますが、まだ僕以外の人はみんな選挙区にいるわけですよね。 僕は選挙区を待たないので。 全国比例と言ってもみんな事実上の選挙区はあるんです。 出身地の周辺だったり、あるいは支持してもらってる団体の本拠地だったりね。 そういうの僕は一切作りませんから、今こうやって月曜日の朝、ていうか、だから月曜日に虎ノ門ニュースを設定してもらってるわけですけど。 火曜日以降だったら国会日程で使うから。 話を元に戻すと、冒頭(オープニングトークが)長すぎますけれども、まだ選挙区で国民の声が議員に届く可能性があります。 それを全部集約して、今日の月曜日ということになりますが、まあ、皆さんがいたずらに楽観してはいけないので申し上げると、まあ、さはさりながら押し通す構えです。 で、その時に、この虎ノ門ニュースで何度も何度も申しましたが、僕は政治記者の時から、あるいは政治記者になる前の信念として、政党に属する議員っていうのは党議拘束は守らないといけません。 これが、自分のご都合は論外ですけども、自分の意見で党の決めたことに従ったり従わなかったりする、これは政党政治じゃないんで。 で、政党政治じゃない政治って何かと言うと、議員がそれぞれバラバラになってることですから、そのバラバラになってる状態で、権力を、国民の声に従って、良い意味でコントロールすることは不可能です、バラバラってのは。 だから逆に政党は必ず必要で、その政党は、今の自由民主党をはじめとする既存の政党を、志を高くしていくことが必要だから、僕は内部に入ってるわけで、そうすると党議拘束は守らないといけないので。 僕自身は処分を恐れることは全くありませんけれど、僕を実は、支えるわけじゃなくて、僕と共鳴、連携している議員は、びっくりするぐらいこの2年3ヶ月で増えましたから、そういう方々のマイナスにならないように、連携が保たれるように、党議拘束は守ろうと思ってます。 だから今日、月曜日の朝にお見えになった熱心な方々(ギャラリー)、あるいは、いま生で見てくださってる熱心な方々、あるいは後で一生懸命見てくださる方々にとっては、僕が自由民主党の決定を守るってことに、不満もたくさんお持ちになると思います。 今いい格好してやってるわけじゃなくて。 祖国と世界のためになるかどうかだけが判断の基準です。 もう一度申しますが、外国の国民も日本の国民と同じように全く、主権の存するその国家の下での、守られるべき人々であって、日本に来られた時にも、その人権、権利守らなきゃいけないのに、この、いま政府が用意した法律は守れません。 (1)安倍首相 習近平と首脳会談 (2)尖閣周辺の中国船 6日連続 (3)安倍首相がインド・モディ氏を別荘招待 (4)日朝接触で実質進展なし 北朝鮮大使 (以上省略) (5)改憲へ意欲 安倍首相が所信表明演説 (超ざっくり起こし) 政権の首脳陣の一部(複数)から言われた。 「青山さん、びっくりしたよ。9条改正は結局安倍総理のおっしゃってきた、自衛隊合憲と書くだけで押し通そうとした。そこに青山案を含めて違う案が出てきて、党内で支持が多くなったので、ちょっと付け加える」 「青山さんの言った『自衛権の発動は妨げない』を、細田・前本部長が取りまとめた『自衛の措置は妨げない』、これは入れないと聞いてたが、入れてるよ」 最終的にどうなるか分かりません。 今日、虎ノ門で言ったので潰れるかもしれない(笑)。 のに、なぜここで言ったかというと、暗い話ばっかりだから。 国民が下を向いてしまうと、できることもできなくなるので。 これ条件闘争じゃない。 たとえば外国人労働者の受け入れ拡大はもう認めます、その代わり憲法改正は僕の案を入れて下さい、てなことはやらない。 これを政治だと思ってる人が与野党問わず国会議員に圧倒的に多いから、みんな嫌になってる。 僕は妥協して、法案の修正を言ってるわけですから。 本当はこの法案の根本思想に僕は間違いがあると思ってるけども、棒を飲むようなことをもし言うとしたら、それは自分のことを考えてるってことです。 それは自分がいい格好したい、とにかく突っ張って、自分への支持は失いたくない、それ違います。 だから法案をこうやって変えましょうってことは言いますが、でも憲法改正と外国人労働者の問題を取引したりしてません。 だからこれは(「自衛の措置は妨げない」が入れられてるというのは)、総理官邸はじめ安倍総理も含めて、まともに考えてくださってるってことだと思うので、このままになるかどうか分かりませんが、そういう確たる情報が来たのは事実です。 (6)臨時国会 補正予算案・入管難民法で論戦 (ざっくり起こし) 入管難民法…、入管法改正案と普通言ってますが、オールドメディアが注目しているようでいて、しかし報道の仕方が世論を誘導してるってことも気が付いてください。 月曜日に読売はじめ2つぐらい世論調査が出てきて、外国人労働者の受け入れ拡大に賛成が5割以上で、反対してるのは3割台だと。 それから移民も、賛成反対が同じぐらいで、移民だからといって��んな強く反対じゃないという世論調査がドッと出されて。 こういうオールドメディアの仕切りにごまさかれないで、ご自分の頭で考えてください。 あるいは地域の実情、ご自分の働いてる職場で考えてください。 (7)移民阻止へ米軍派遣容認 メキシコ国境 要するに米軍派遣って、アメリカに入りたいっていう人を殺害するのかと。 そんなことはできないから、よけいに、トランプさんといえども、移民国家のアメリカの大統領といえども、移民を増やしすぎるとこうなるという典型例ですから。 アメリカだけでなくヨーロッパでもどれほどみんなが困ってるかってことを、なぜ日本が考えないのか。 なぜ考えないのか、日本は国際社会の一員じゃないと思ってるところがどこかにあるんですよ。 (8)中国がトランプ氏携帯盗聴 米紙 (ざっくり起こし) 僕のルートではこれは間違いない。 証拠はあるが示すことはできない。 インテリジェンスに関わることは言えない部分もあるが、間違いなくそうです。 トランプ大統領だけじゃない。 安倍総理をはじめみんな基本的に盗聴されてる。 が、これが殊更に出てくるのは、トランプさんの再選阻止。 お金も人も利益供与も、ここまでかというぐらいガンガンにやってる。 中国が今回ひとつ勉強したのは、やっぱり中国系アメリカ人の誕生を急がないと、こうなると(米中貿易戦争でやられると)。 それもすごく加速させてる。 Money、Money、Money。 日本にも当然来ます。 立憲民主党とか社会民主党ではない。 ほとんど効果がないから。 もちろん自由民主党。 したがって、外国人労働者の問題、いま本部会で議論してると、何となく皆さんの言いぶりにベトナムはじめとして東南アジア諸国のイメージが漂っている。 入り口はひょっとしたらそうかもしれないが、最終的にはチャイナ、チャイナ、チャイナ。 中国人の方がドーンと来て。 たとえば今の法案の致命的な欠陥は、上限がないわけです、事実上。 あるあるって言ってるけど、ないんですよ。 ということは最終的には中国がその気になったら、日本の業界はほとんど中国人の労働力に依存。 中国はすごい独裁だから、「行くな」と言ったら、中国人はパッと全員引き上げる。 すると日本の各業界はもう人が全然いない。 ということは中国共産党に日本経済の根っこを握られるってことであって。 そのことだけ考えても、もうこの法案は国を売るに等しい。 (★)トラ撮り! コーナー★外国人労働者の受け入れ拡大法案(先週の自民党部会) 今日は枚数は12枚だけなんで、写真をきっかけにお話をみんなで一緒に考えたいと思います。 今日はこうやって例外的に文字も入れていただいてるんですが。(居島:法務部会…) はい、これだからちょうど一週間前、先週の月曜日この虎ノ門ニュースに参加してから、国会に出て、その後、自由民主党本部に移動して、これキックオフなんですね。 それで外国人労働者の受け入れ拡大っていう法案、入管法改正案っていうのが、部会に出てきたわけですね。 これは本当は、だいたい労働の問題ですから厚生労働省でしょう? すると厚生労働部会のはずですよね。 あるいは合同部会のはずですよね。それ全部法務省がかぶった形になって、法務部会でまずキックオフが開かれたわけですね。
長谷川部会長です(中央奥)。 長谷川会長って参議院議員ですけど、例えば、よさこい祭りに関連して、一種の起業家であって、ものすごくユニークな人材で有名な人なんですけど、ま、非常な負担をかぶって部会長を務められるんですが。 このキックオフを見ていただくと、このへん(右側)は役所ですからね。 しかもちょっとびっくりしたのはそのキックオフは、法務省しか来ないんですよ。 これさっき言った通り、だいたい労働問題だから厚生労働省だし、それから外国人の方々の社会保障をどうするんですか? だから当然、厚生省、旧厚生省でしょ? だから厚労省、必ず来なきゃいけないし、それからもちろん外務省だったり、あるいは農業の現場を考えると、農水省も来なきゃいけないし。 でしょ? 全然来ないんですよ。 だからお役人の数も普段より何となく、少ないわけじゃないけども、そう多くないでしょ。 で、議員はたったこれだけ(左側)ですよ。
で、これでキックオフが始まったんですが、その時に配られた資料がですね、本当は1週間でどれぐらい出たかというと、これぐらいです。 それやってると当然番組に収まらないから、もうごく一部だけ持ってきたんですが。 たとえばキックオフで配られた資料がですね、表紙で言うとね、この「新たな外国人材の受入れ制度等について」ということで、これ法務省の、それも入管局だけの資料になってるわけですけどね。 で、新たなっていうのは、まあ、いわば正直に言ってるわけですよ。 今まで単純労働はダメって言ったのが、単純労働の労働者も受け入れて、それを1号という、人間を、はっきり言うと勝手に分類して。 そして、その中で特殊技能を身につけたり、日本語をある程度話せるようになった人は2号となって、で、この方々は家族連れてきて良し。事実上、これ誰が見ても永住を認める方向になってるわけですよ。 で、逆に言うと1号の人は家族連れてきてもダメとなってるわけですよね。 もし僕たちが1号2号と分けられたらどうですか? そうでしょ?同じ人間ですよ? 中国の方だろうが、どこの方だろうがね。 だから、そういうことも含めてこう、新たな制度ってこと法務省は認めつつですね、で、これまでの経緯ってこう書いてるわけですよ。
で、最初にですね、この今年の2月20日の経済財政諮問会議。 経済財政諮問会議ですよ? はっきり言うと、法務省ほとんど関係ないじゃないですか。 そこで総理の指示が出たと。 総理大臣指示、ね。いの一番に、「深刻な人手不足が生じて」おり、と。ね。 要するに、人手不足は深刻なんだから、外国人だろうが、何だろうがとは言わないけども、要するに外国人の方々を受け入れないと、日本の経済成り立たないってことが、いの一番に、法務省の所管じゃない話として、これ出てくる。 これ自体が異常ですが、僕が立って発言してるのはですね(最初の画像参照)、持ってる紙はこれです、だから。 この紙を見ながらですね、「深刻な人手不足が生じて」おりっていうのが、まるで、もう予め分かってるように書いてあるけれども、この法務省の事前説明、っていうか僕は、本当は参議院議員に当選した直後、2年3ヶ月前にですね、法務省の人が、こないだも言ったと思うけど、キャリア、ノンキャリそれぞれ、極秘裏にお見えになったんですよ、議員会館に。 その時に法務省がおっしゃったのは、要するに法務省はこういう制度、反対ですと。やっぱり国家の安寧や、治安の維持について言うと、これは不安な要素が多いと。
したがって、少なくとも厳しい条件にすべきなのが、自由民主党の先生方は、っていうか、これ本当は法務省は自由民主党と言わずに、先生方はと。 でもこれはっきり言って、野党のほうじゃなくて与党のことを言ってるわけですよ。 先生方は業界団体の支援もあるので、もう行け行けばっかりなんですと。 で、我々が今まで聞いてるのは、っていうか本当は調べてんだけど、青山先生はどこの業界の支持も受けてない、団体支持も断られて出てこられたそうですねと。 はっきり言うと、頼みですから、公平な意見をお願いしますと言われたんで。 いや、僕は、選挙中の話もそうだし、全く意見同じですねと。 それがですね、この法務省が、所管じゃないことまでこう入れて、全部背負わされて出てきたわけですよ。 それでこの「深刻な人手不足が生じて」おりっていうのは、一体どうやって法務省は確認するのかと。
それでこれは、この後ヒアリングが予定されてるから、週半ばに、その時にも言いますがと言った上でね、僕のところに実はたくさんのご意見が寄せられてると。 寄せられただけじゃなくて、実は僕はそれを手がかりにして、介護の現場、介護でしょ、農業でしょ、そして旅館業ね、それから病院ね、こういうところに本当は行って、直接現場で話を聞いてますと。 それからその現場だけじゃなくて、そこから、もう簡単に言うとクビになった、たとえば病院なら病院はクビにした事実はないと言うけど、本人に会うと私はクビにされたという人も、実は、匿名でしか話せないけど、お会いして、目を見て話をして、その上で、よーく僕に伝わるのが、日本人の、日本国民の就業機会が確保されてないと。 例えば介護で言うと、介護が一番人手足りないと言われてるけど、まず僕と青山千春博士は、僕の母、それから千春のお母さんも今まであんまり言ってないけど、長年介護したんですよ。
で、最後は例えば僕の母で言うと、もう亡くなったから、と言っても全部個人の秘密は明かせないけど、こんな大きい癌がお腹にできたので、もうそれいつ破裂するか分かんないから、介護付きの病院に入れたわけですよ。 それまでは自宅、あるいは自宅周辺で、いろんな工夫をして介護してて。 だから介護の現場はある意味、当事者として知り尽くしてるわけです。 で、その時に我が母は、東京弁が嫌いで、コミュニケーションに苦しんだ上に、外国人の方が一生懸命介護してくれるんだけど、もう何言ってるか分かんない、お互い分かんないから、母は最後の日々を苦しんで過ごしたんですよ。 でもその時にずいぶん話し合ったから、��こからのルートもあって、介護の現場の人に話を聞くとですね、まずあえて僕が総括して言うとですね、優遇されてるのは若い人だけですよ、日本国民の中で。
例えば男性で40の声聞くと、40ですよ?まだ全然お元気っていうか、バリバリの中核的労働力が、40になると、こうされ出して(手で押す仕草)、もう50とかになると男性は特に全然ダメで。 それで例えばずっと介護のプロとしてやってきた人が、40過ぎたら急にこう、圧がかかってきて、そしてもう辞めざるを得なくなって、いま無職ですと。 それで自分の知り合いで言うと、例えば、女性は比較的介護の、若い時は20代は優遇されるわけですよ。 やっぱり介護に何となく向いてるって感じで。 それが20代の終わりぐらいに結婚なさって、子育て10年なら10年やって戻ろうとすると、また大きな壁があって。 こういう方々は、実際には就業できる方々だというケースが多いのと、それから若い人で引きこもりでしたっていう人が、その引きこもりをご自分の努力やあるいは家族の努力で克服しつつあっても、全然社会は受け入れてくれない。 だから引きこもりだけじゃなくて、様々な問題で就業できなかった若い労働力っていうのを、ちゃんと社会と協調して、望む仕事はできるようにって努力を社会がほとんどしてないと。
もう一回言いますが、40代以上の中高年って言われる、だから60、70の方々はもちろんのこと、そういう方々と、それから女性の、特に専業主婦だった人で元の職場に戻れない人、それから若い人で様々な事情があって、本当は社会のために働きたいけどなかなかできない、虎ノ門、一生懸命ご覧になってても社会が受け入れてくれないっていう人々を、放置したまま、なぜこのように、さっき見せたように、人手不足が深刻化って簡単に言えるんですかと。 実は労働の現場ではやっとアベノミクスのおかげもあって、賃金が上がろうとしてる時に、こうやって外国人が来ると、外国人の低賃金に合わせて、要するに賃金を抑えたままできるっていう現実があるから、何のことはない、外国人の方々を大歓迎して入れるっていうんじゃなくて、安い賃金のまま、外国人を利用すると。だから日本国民と外国の国民双方にとって、深刻な人手不足が生じたっていうこのスタートからして、本当はおかしいじゃないですかと。だから少なくともこの法案の中に、日本国民の就業機会をちゃんと確保するっていうね、いの一番のそこから入れないと、そもそもここからしておかしいって話から、こう始まったわけです。
それがキックオフで、そして次の写真出してくれますか。 これ翌日、火曜日ですが、火曜日からヒアリングが始まったわけですよね。 そのヒアリングっていうのが、まず業界なんですよ。 これがその時の資料ですが、例えば業界の中で、最初に発言なさったのが、これ順番はたまたまですよ、建設業界の方なんですよね。 実名はありますが、これは影響大きいので伏せますが、僕はさすがに日本はすごい国だと思ったのはですね、人手が足りなくて困ってるというニュアンスの話もありましたが、同時にですね、3点、この法案に、問題点を指摘なさったんですよ。
自由民主党議員がやるべきを、ちゃんと建設業界の中から、人手が足りないと言われてる業界の中から、3つ指摘なさってですね。 これまず、日本人労働者の賃金がようやく上がり、処遇が改善されようとしてる時にちょうどこの制度なので、明らかに、日本人の処遇改善にストップをかけることになりかねないと。 それが第一点。
第二点は、建設現場は危ない現場もありますと。 その時に日本語能力に課題があって、コミュニケーションが難しいと、その外国人の方に危険が及ぶことになりかねず、それに引きずられて日本人の従業員にも、危機が及ぶことがありますと。 それから三つ目。 これも感心して聞いたのは、仕事が減りますと言われたんですよ。 だからこれってさっきの人手不足って話は、仕事は減らないっていう条件でしょう? 安倍総理自身がそうおっしゃってるわけでしょう? でも現場から仕事は減りますと仰ったんです。 これはもちろん、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの後に、少なくともいったんは建設業の需要は減りますということを踏まえておっしゃってるんだと思います。 そういう言い方はされませんでしたが、でも仕事は減りますと言われて、仕事が減った時に、外国人労働者の方が不法労働者になる懸念があるけれども、一体それをどうやって対処されるんですか。
で、ここ(手書きの部分に)ペケ(×)って書いてあるのは、この法案のどこを読んでも、そのことが書いてありませんと。 そのことを言われて、こういうことを放置したまま、外国人の現場労働者を受け入れると、我々は元請けとして、これ建設業界ってのは、ご存知の通り、元請けがあって、下請け、下請け、下請けって制度ですよね。 元請けの責任こそ問われることになるので、私はこれを発言しますというふうに言われてですね。 それでこの(23日の)部会の写真は本当は業界の方々このへん(写真に映ってない右側)に座ってらっしゃってね、お顔写るの良くないと思ったんですね。 だから写ってる写真は使ってません。 このあたり(奥の方)は全部お役人です。 で、少し議員(手前)が増えてきたの分かるでしょ。 でも多くはお役人なんですよ。
それと、この業界のヒアリングの時だけ、ドアが閉められなくて、メディアがそのまま聞いてたんですよ。 それで僕はですね、建設業界の代表の方に、よくぞありのままを言ってくださいました、これは政治の責任として我々が法案修正をしなけりゃいけませんと、いうことを申し上げると同時に、例えば介護の業界の大半の方は、とにかく足りない足りない足りないとおっしゃるから、僕は今みんなに申し上げたのと同じようなことを言って、もちろん丁寧にですよ、来ていただいてるんだから、丁寧にお答えをお願いしたところ、そういう人もいるんですか?って。 これはね、そんなことありえないですよ。そういう人もいるんですかって認識のはずがないです。
もちろんよくご存知ですよ。 もちろん介護は、働く人も給料が安いけども、業界として利益率に課題があるのかもしれない、かもしれないっていう程度にしときますが。 これも実は、中にいる人はいろんな意見があるんですよ。つまり特定の、例えば人材派遣会社のようなところが利益をむさぼりすぎだと。この人材派遣会社と、この自由民主党のある議員たちの癒着は、僕は問われて然るべきだと思う。これ背景に人材派遣会社の利権があるのは間違いないですから。 今のも問題発言で、当然また例によって苦情殺到すると思いますが。 元から苦情殺到してるから(笑)。
それで、自分の方が業界内を知ってるなんてそんなこと絶対に言わないけれども、しかし足りない足りないって言ってて、ある日突然、建設業界の方のお話だけじゃなくて、例えば僕は憚りながら理系の学会でも発表してますから、当然そういう分野の話はよく聞いてて、聞いてるっていうか、いちおう僕の専門分野の中にもう入ってますから。 で、かつてシンギュラリティっていう言葉がよく言われたんですが、特異点っていうね。 ある日突然、人間よりAIの方が、人工知能が上回る日がやってくると言われたんです。 これ実はもうほとんど死語です、現場では。 というのはすでに食い込んでるんですよ。
ある日突然入れ替わるんじゃなくて、もうすでにどんどんどんどん入れ替わっていってる、進行してるわけですよ。 そうすると、例えば建設とか介護とか、ロボットやAIができるはずがないと思ってた分野こそ、ある日突然、ではなくてじわじわと、仕事がなくなっていくことを予想しなきゃいけない。 これは介護だけじゃなくて、農業の方から、施設農業って話があってですね。 施設農業って普通に言ったらビニールハウスとかそういうことを言うわけですよ。 でもここにAIとかICT、そういう先端技術を入れると、実は例えば野菜を工場で作るって話はご存知でしょ? 野菜を工場で作るとなるとイメージ悪いかもしれないけど、要は太陽とか台風とかそういうのに左右されなくなるわけです。 これはほとんどAI管理になっていくんですよね。 日本でこういうAIとかICTなどの先端技術を使った農業がどれくらい行われ���るかというと、これは政府統計ですけど1.4パーセントですよ。
だから現状では人手が足りなくても、実は日本はそれでもAIやICT、あるいはIOTの先端技術国なので、これはどんどん行くとですね、この1.4は低いからよけいに急カーブで上がることがあって、その時に余剰人員が出た時に、建設業界の方がおっしゃった通り、外国人の方々をどうするんですかと。 そういうことを、いま業界の方々にお聞きしてるところです。 はい、次出して下さい。 24日。 これがまたヒアリングなんですよね。 これは今度はですね、自治体からのヒアリングだったわけです。 それで、これやっぱりね、ちょっと町の名前出すと申し訳ないんで、岩手県のある市の市長さんが、まず冒頭発言されたんですが、とにかくこの法律じゃ足りないと。 ちょっとここ見てくれますか。 これね、いちおう今、特定技能職種っていう奇妙な日本語ですけど、例えば今やった建設とかね、介護とか、農業とか、宿泊、造船っていうふうに指定してるでしょ。 これを全部拡大してくれと。 全業種で。
で、これ1号も、最長5年になってるけど延長してくれと。 つまりこれ全体におっしゃってるのは、とにかくこの法案にある規制を全部取っ払って、どんどん人を入れてくれないと、もう町としてやっていけないっていうお話をまずおっしゃったわけですよ。 で、これがひとつの町ですよね。これ自治体のヒアリングと言いながら、来られてるのは2市1県なんですよ。 で、もうひとつの町は中部地方ですが、ここもとにかく外国人入れないと町そのものが成り立たないと。 あともうひとつは県ですが、この県も基本的には同じ話であって。 そして僕はですね、これ部会はちゃんと公平に運営されてるんですよ。 運営されてますが、しかしこれをもってね、つまりもう無制限にほぼやってくれって言う町を筆頭にね、これが自治体の意見ですと。 日本は1700も自治体があって、これがヒアリングですと言われるのは…。業界のほうはいちおう特定業種を指定してるから、ある程度それは網羅してるけども、自治体のほうは全然網羅できてないですと。
長谷川部会長はちゃんと公平に運営されてるから、僕に反論されて、じゃあこれに反対だと、外国人受け入れ拡大に反対だという自治体があったら、言って下さいと。 これはいろんな自治体に声をかけたっていうことなんでしょうが、じゃあ自治体で、自治体として外国人受け入れ拡大反対と、政府がこうやっててですね、なかなか言えないっていう現実も実際にあると思う。反対まで言わなくても、外国人が増えたために、大変住民との軋轢がこうやって起きたり困ってるって話は当然、当然じゃなくて現にあるんで。 市長さんも町長も、それから僕の場合、村長からもその話を聞いてるし、住人からも聞いてるわけです。 住人から聞いてるからそういう苦情にあったんで。 そういう方が呼ばれてなくてですね。
で、その上で僕はこれは自治体の方もね、さっきの業界の方と同じで、わざわざ自由民主党本部に足を運んでらっしゃるから、あなたの言ってることはっていうそんな言い方絶対できないから、さっきの市長さんも、あなたはって言い方せずに、全体にお聞きしますと言ってですね、そうやって制限なく外国の方を受け入れていくっていうのは、実質もちろん移民ですと。 国連の定義の移民と日本は違うっていう立場ですから、僕はだからいちおう移民と違うと言ってきましたが、こうやって制限外したら、それは…、制限外したら移民っていうよりは本当は、アメリカでもヨーロッパでも制限ついてるんですよ?だからもっと上行く移民国家になるってことですから、当然、市長、あなたの次の次ぐらいは外国人の市長ですねと。 なぜか。必ずそうやって事実上移民で永住されたらですね、日本国民でなくても、帰化されてなくても、参政権を要求しますよ。 だって僕らがそうだったらどうですか。 そうでしょ?
働くだけ働いて、でも働き方の、今回の法案が示すように、働き方の基本は政治が作るのに、政治に一切発言できないって、それで外国人は納得する…、こんな差別的な人間観、ないですよ。 当然参政権を要求されて、それはまず地方から始まって、だから市長が外国人になり、ね。 僕はいわゆる日本人って言葉、普段ほとんど使わないのは、いろいろご意見あるでしょうが、右翼の人からこれも攻撃されるんですが、帰化されたら日本国民ですよ、それは。 その上で、帰化じゃなくて、例えば中国の方だったら中国共産党との密接な関係を作りながら、ま、帰化されてもそういう場合もありますよね、でもそういう人たちが市長になり、そしてそれを背景に国政の参政権を要求し、それを自治体の方に言うんじゃなくて、自由民主党の先生方お聞きですかと。 あるいは法務省以外も(部会に)ちょっと出るようになってきたから、役所の方々お聞きですかと。そういう日本にするんですかと。 だからこれ自治体のヒアリングでそういう意見を申したんですが、これも公平を期すために言っておくと、自由民主党の議員の中から、どなたかって言いませんが、その問題と外国人の人手がほしいって話は、切り離すべきだというご意見があって、僕は非常に首傾げましたよね。切り離したら終わりでしょう。
でもそういうご意見も僕はもちろんヤジったりしないで、ちゃんと聞きました。 で、4日目(25日)の法務部会は、何があったかというと、これはですね、今までと写真が位置関係が違うんですよね。 ここ(右側)に首脳陣がいらっしゃる、長谷川部会長をはじめ。 それでヒアリングの対象者がこのへん(手前、写ってない場所)にいらっしゃって。 これ満杯で入れなかったんですよ。 今度は経団連と、それから労働組合の連合と、日弁連、この三者からのヒアリングだったわけです。
で、その時に僕はこれ座ってる状態で写ってるけど、本当は例によって一番最初の方に発言しましたが、これ例えば経団連が出した外国人材の受け入れ、ね、もう受け入れが前提になってる、それ基本的な考え方ってなってるわけですよ。 その時に僕が聞いたのはこの二つなんですよ。 ①、P2って書いてるでしょ。 経団連の資料の2ページ目に、何が書いてあるかというと、「企業が取り組んできた女性や高齢者などの国内人材活用や、待遇改善などの努力に影響を与えないよう十分に配慮すること」。 こうやって書いてあるけど、これだけだったらどなたでも、どこでも、常に言えるわけですよ。 しかし実経済を預かってる経済団体として、本当は、政治家の責任として、あるいは政治の、あるいは総理官邸や、僕ら自由民主党の議員の責任として、これをちゃんと具体的に法案に書き込めっていうのが、まともな話ではないんですか。
それが、政府と同じように、漠然とした話だけにしてるんだったら、経済団体の存在理由も問われるんではないですかと申し上げて、それから事実上の移民になっていく時に対して、経済界としての考え方がほとんどないわけですけれど、これ法案をお読みになったらそれはもう自明の理ですが、どうお考えですかっていうことをお聞きして。 実は、人数が増えてくると発言時間も絞らなきゃいけないから、連合と日弁連に聞く時間はなくなったんですけども、経団連からは、とても頭の良さそうなお答えでしたが、何も答えてないと言わざるを得ない。 一般的なお答えが、いや、ちゃんと努力してますというお答えがあっただけでありました。 それで、次出してくれますか。 これが金曜日の最終的な部会で、部会長いらっしゃいますが(左端)、部会長は大変なプレッシャーを受けてらっしゃったと思います。
というのは、これで取りまとめてくれと。 そうしないとですね、何が起きるかというと、4月1日施行っていうのを、もう安倍総理はじめ政府は既定事項としてるわけですよ。 これ何で4月1日かというと、要するに業界からの要望が非常に強いからで、それを綺麗な言葉で言うと、政府として危機意識を持ってるからってことになるわけですよね。 4月1日から施行ってことはですよ、今国会、会期、異常に短いでしょ。 だいたい開会遅かったですよね。 それから今後も安倍総理は海外出張に行かざるをえないのがたくさんあります。 訪中だけじゃなくてですね。 でもその短い会期内で成立させてしまわないと、4月1日施行には間に合わないんですよ。
したがって、これはブログに詳しく書いたんですが、自由民主党が与党でいる間はですね、はっきりした法案成立の手順があって、まずこういう部会で了承を得ないと上に上がらないんですよ。 で、部会で了承を得たら初めて総務会に上がって、で、総務会で了承が出たら、やっと国会に法案が出て、まず衆議院の委員会で審議して、委員会で可決されたら本会議に上がって、本会議で可決されたら僕のいる参議院に送ってくる。 参議院に送ってきたら、その時にはもう党の会合はなくて、参議院の法務委員会で審議をして、可決されたら本会議に上がってくる。 そういう委員会っていうのは限られた数しか所属できないんで、僕は法務委員会に所属してません。
経済産業委員会の所属ですから。 予算委員会は別枠。 従って法務委員会にはタッチできません。 傍聴に行くだけです、皆さんと同じように。 でも本会議に出てきた時には、その出てきたやつは党議拘束、必ずかかるんで、僕はそこで賛成票を投じなきゃいけない。 そうすると、それまでの間に、その法案審議を実現できるかどうかが、もうすべてになる上にですね、実はこの2回目以降、特に、明らかになった重大な事実が、これは自見はなこさんっていうね、僕の同期の…。 自見はなこさんって、本当に立派な、優しい小児科医なんですよ、もともとはね。 選挙に出たために、議員になったために本当に苦労されてるんですが、この自見はなこさんを事務局長にして、例えば橋本岳さんってこれもプロも含めてワーキンググループで議論した話があって。 というのは、皆さんご存知の国民健康法ってあるでしょ。
これ実は敗戦後間もない頃に作られた法律で、その時には僕らのような人はみんな死んでたわけですよ、一家の大黒柱と呼ばれた人達が。 だからそういう大黒柱を失った人たちに、どうやって病気の時に健康保険がちゃんと行くようになるかって、そういう法律ですよ、基本的に。 それ以降、基本的に改正してないんですよ。 だから何を言ってるかというと、外国人とか、もう全然想定してないわけですよ。 だから外国人をこうやって、制度的に、今までの技能実習生とかね、そういう要するに見せかけで受け入れるんじゃなくて、まともに受け入れるんだったら、その外国人の方々の社会保障、健康保険もそうだし、年金もそうだし、あるいは生活保護もそうだし。 で、今はそれを不正に外国人が手にしてる部分もあるから、国民の怒りが、一部とはいえ、ものすごく積もってるわけですよ。不信感すごく強くなって、外国人に対する憎悪にも繋がりかねない状況にあるわけです。これまともに制度設計しなきゃいけないでしょ。これ自見はなこさんがちゃんと勇気を持って、僕の同期ですけど、発表したのは、繰り返し発言したのは、間に合いませんと、4月1日は。
それで、自見さんの発言は間に合いませんだけだけども、僕のルートで色々調べたら、1年半かかるんですよ。今から1年半ですよ?どんなに急いでもです。で、この制度設計しないと、不正がまかり通ることになりかねない上に、外国人の方々も真面目にやってたら、社会保障がない状態で働くことになるじゃないですか。これ日本は世界のつまはじき者ですよ、こんなことすると。1号2号に分けたり、社会保障がないまま働かせたり。 だから、この部会での了承は見送って下さいと要求し、その時に、いわば慰撫するためにですね、決議案なるものが出てきて、この決議は今後、党の言うことちゃんと聞いて下さいって決議なんです、要は。
でもこの法律が成立して施行された後にも、党の意見聞いて下さいって。 だから成立が前提になってるから、この決議案もダメですって言ったら、決議案だけでも通してくれないかっていう雰囲気だったですけど、これは他の議員が頑張ってくださって、それは見送りになったわけです。 時間があと4分30秒ですか。 今日全部言い切るのは無理ですけれども、この部会で、本当は長谷川岳部会長の良識ですよね、見送ったわけです。 この決議案も、それから元の法案の了承も。 そして、次出してくれますか。 これどうですか、これ同じ日ですよ。 つまりね、ふだん部会って1時間で終わるんですけど、2時間10分か20分ぐらいやったんですよ。 すると最後はもう、ほとんどいないわけです。 もちろん皆さん忙しいからですけど、幸か不幸か僕も暇じゃないんですよ。 僕もこの後に予定があって、ショートメールも使ってですね、とにかく予定を繰り延べてもらって、人に迷惑かからないようにして残るんですが、そういうことする人はほとんどいなくて。 でも部会を通すか通さないか、この最後に決まるんですよ。 だから遅刻、早退はダメなんですよ、基本的に。 いろいろご事情あるだろうけど。 最初から来て、いろいろ予定はあっても、こういう国の在り方を変える���うなことは、ずっといなきゃいけないっていうのが基本です。 でももうそれは呼びかけだけです。 但し僕自身はそうしてます。 これがもう最終段階ですね。 さあ部会が、でもとにかく(了承を)見送って終わりました。
はい、次出してくれますか。 そうすると、こうなったわけです。 国会に存在しないことになってる僕ですが、この時はたぶん、記者クラブで話したんでしょうね。 ドッと集まってきてですね。 で、こういう質問される方はちゃんと、どうして反対ですか、オン・ザ・レコードでちゃんと反対理由を言ってくださいって言われたんで、僕はきちんと当然話したわけです。 でもここにたまたまフジテレビの人が写ってますが、カメラマンに責任はないけども、フジテレビの報道だと、反対しますということだけ切り取って、だからこの右派みたいな野郎が反対だと言ってるというね、フジテレビがそこまで意図したかどうかは僕には分かりませんが、でも見てる人の中で当然そういう反応が起きました、僕のところに。 僕は門戸開いてますからいろんな人が来るので、そういう話もありました。 でも外国人労働者の問題が、国民的な大問題だっていうことは、おかげでオールドメディアを通じてでも、みんなに伝わったかもしれないと思うんです。
※ちなみにこちらはテレ朝「報ステ」。Twitterで画像を見る★外国人受け入れ拡大で異論(自民党法務部会) 青山繁晴議員「反対です。実態は移民じゃないですかと。実態が移民なのに違うというのはどうしてですかと。それ自体が妙な話ですよね」 このニュースに行く前(CM前)にも青山さんが「反対です」と言ってる場面が映ってた。#報ステ 最後まで頑張って!
但し、26日金曜日の法務部会でいったん見送りになったから、さっき今日、番組の冒頭で異例の形で申し上げた通り、今日の月曜日の午後遅く、あるいは夕方に開かれる法務部会では、どうでも通そうとなるから、だから通す側からたくさん水面下で働きかけがあって、僕の方は、国会議員への働きかけは誰一人してない。 しません。 その代わり、国民の側に対して、実は土日でできる範囲はお話をいたしました。 その結果どうなるか、今日、虎ノ門ニュースが終わってから…、僕は坂道上がって国会行くまでに暗殺されるかもしれないし(笑)。 まあ暗殺される国の方がまだ分かりやすいんですけど。 さあ、もうちょっと違う写真があるんです。※以下略。 10月23日の外交部会で、「日中通貨スワップ反対」「パンダを高いレンタル料で受け入れるんだったら自前資源をメタンハイドレートも含めてちゃんとやって下さい」「一帯一路に協力するのは間違い」と主張。 10月23日の領土特命委員会、竹島に韓国の国会議員が上陸したことを受けて開かれた緊急の会合だが、数名しかいない。今後どういう行動をするか話し合った。 時間がなくなったため、これらの話は来週に持ち越し。____________________________内容紹介ここまで
今日(10月29日月曜日)の夕方に開かれた法務部会。 3時間以上も議論が続いたらしいですが、結局、了承されてしまいました。 ただ、青山さんは最後まで頑張ってくれたようで、NHKがこのように報道しています。<自民法務部会 出入国管理法の改正案を了承(2018年10月29日 21時59分 ) 外国人材の受け入れ拡大に向けた法律の改正案をめぐって、自民党法務部会は、29日、山下法務大臣の出席も得て議論を行い、改正案を了承しました。 外国人材の受け入れ拡大に向けて、新たな在留資格を設ける出入国管理法の改正案について自民党の法務部会では、先週了承を得たい考えでしたが、慎重論が相次いだため、29日夕方から、改めて会合を開きました。 冒頭、党の厚生労働部会の小泉・部会長が、外国人の受け入れ拡大にあたって医療保険制度の不正利用を防ぐ対応を強化することなどを政府に求める決議を法務部会の長谷川部会長に手渡しました。 このあと議論を行い、29日も「受け入れる外国人の規模が明確になっていない中で、議論することは困難だ」などの意見が相次いだため、途中から、山下法務大臣も加わりました。 そして、外国人を受け入れる業種を決める際には、党側の意見も聞くことなどを求めたのに対し、山下大臣は、前向きに対応する考えを示したことから、29日午後8時すぎ、部会として、改正案を了承しました。 自民法務部会長「議論尽くした」 自民党の長谷川法務部会長は、記者団に対し「全会一致ではなかったが、議論を封殺することなく、最後まで賛成・反対双方の意見を出してもらった。議論を尽くしたので、不満を持っている人は1人もいないと思う。改正案の成立に向けて、全力を尽くしたい」と述べました。 自民・青山氏「外国人の社会保障の設計間に合わない」 改正案に最後まで反対した自民党の青山繁晴参議院議員は記者団に対し、法案は了承できないとしたうえで「4月1日から施行させることになれば、外国人の社会保障の設計が間に合わず、外国人の人権に問題が生じる。また、就労したいと思っている日本の中高年齢者や女性などへの支援も不十分で解決されないままだ。今後の国会審議を通じて少しでもよい方向にいくことを願う」と述べました。 山下法相「よい制度にしていきたい」 山下法務大臣は、自民党の法務部会に出席したあと記者団に対し「さまざまな意見をうかがったがいずれも、よい制度にしようという各議員の思いだ。部会での議論を受け止めて、しっかり対応し、日本にとってよい制度にしていきたい」と述べました。 番組の中で青山さんからも説明がありましたが、この後は総務会に上がって、そこで了承されたら国会に法案が出て、衆議院の委員会で審議…という流れです。 最初から既定路線なので、法案がひっくり返る可能性は限りなく小さいでしょうが、反対している国民が大勢いると分かれば、あるいは何かが変わるかもしれません。 政府は11月2日にも改正案を閣議決定したい考えですが、閣議決定は「内閣の意思を閣僚間で確認し決定したに過ぎません。法律として制定するには国会の承認を得なくてはいけません。内閣の意思決定のみでは法律として制定されていないので国会で否決されれば法律は制定されません」(こちら参照)。 皆様、ぜひ関係各所に声を届けて下さい。○首相官邸http://www.kantei.go.jp/jp/iken.html○自由民主党https://www.jimin.jp/voice/○法務委員会 委員名簿(平成30年10月24日現在)http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_iinkai.nsf/html/iinkai/iin_j0030.htm あと、皆様お住まいの選挙区の議員さんにも!
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■「ピンクと水色の映画」のメモ
▼通常国会が始まった。それに関連してもいるが「若い層ほど安倍政権を支持する説」に興味がある。といっても「安倍ガー」みたいなことを言いたいわけではない。「安倍政権批判」が主眼ではない。
▼おそらく「なぜなの?」」と聞けば「アベノミクスのおかげで就職内定率があがった」とか「平和勢力のいう絶対護憲のようなものにリアリティを感じない」とか、よく言われているような、ある意味ごもっともな意見が出てくるのだろう。
▼ただ、そういう個々の指摘よりも、自分的には、支持の底流を流れているものというか、安倍政権を支える「気分」のようなものに興味がある。
▼自分的には現政権の特徴は「できうる限り現状を変えずに”今”という時間を永続させること」、言いかえれば「今とは違う未来を作るために力を尽くす」のではなく「“今”の維持を妨害するノイズを排除し続けることに力を尽くす」ことにある、と思っている。
▼もちろん「今とは違う未来を作る」といってもこれだけ早いスピードでテクノロジーが進化し、それが社会にも大きな影響を与える状況では、未来予測など困難だし、未来社会の構想などもっと困難だろう。野党が「対案」を出せないのも、彼らがふがいないということもあるが、このことが本質だろう。
▼けれど、気になっているのは「今とは違う未来を作る」のが困難なので「消去法的」に現政権を支持している…というよりも「今とは違う未来を作る」という発想や意思そのものまで消滅してしまっているのではないか、ということだ。
▼先に、「現政権の特徴はできうる限り現状を変えずに”今”という時間を永続させること」だと書いた。だが、これはどういうことか?
▼たとえば現政権の柱ともいえる「アベノミクス」をみてみる。それは、企業やビジネスマンに特段の現状変更を強いることなく、日銀がお金を大量に刷って国債や株を買いさえすれば、株高→円安→輸出増→物価上昇→賃金上昇が起きる。その結果、「豊かな日本」を維持することができると言っている。
▼だから政府は異次元に金融緩和をすればよく、そのリスクを指摘する議論にはそれを封殺する「理論」で対処すればよい、となっている。
▼そして実際にも名目GDPは、民主党政権時の2009-2012が4兆円増だったのに対し、2012-2016では44兆円増で大幅UP.
(実質GDPは同期間で民主28兆増 自民22兆増)
▼さらには失業率も改善され、バブル期並みの2.8%にまで下がった。
▼また有効求人倍率も全県で1を超え、就業者数自体も51か月連続で増加した
▼よって「日銀がお金を刷ったので、豊かな日本は維持できた」としている。
▼しかし現状はどうか?
▼名目GDPが44兆円増加したというが、2012年以降は震災の復興需要が年平均4.3兆円あった。つまり、アベノミクスでなくても21.5兆円分は自然に生み出せた。逆に言えばアベノミクスで生み出せた名目GDPは約半分の22.5兆円(年平均4兆強)ということになる。
▼さらに、就職内定率上昇、失業率低下、有効求人倍率増、就業者増もアベノミクスの成果というが…正社員セクターでは2012年以降、団塊世代が大量に定年退社している。その分の穴を新卒大学生で埋めているのであって、内定率改善は政府の経済政策でなくてもそうなるのではないか?
▼また「失業率低下は経済政策のおかげ」というが失業率回復は2009年からのトレンドだ。経済政策というか「景気循環」の話ではないのか?(これについては2012年以降の回復率はそれまでより大きいので、やっぱり経済政策のおかげだという議論もある)。
▼加えて有効求人倍率や就業者数自体も増加しているが、これは新たな産業が生まれて、そこに雇用が必要となったため生じているというよりは、人口減により人手不足となった従来分を一度辞めた団塊世代と、主婦層が非正規社員となり埋めている場合が多い。
▼これも経済政策のおかげというよりは人口構造から自然とそうなる流れだったのではないか?
▼ちなみに、彼らはフルタイム雇用ではないので賃金が低くなりがちで、それに引っ張られて正社員セクターでも、賃金が上がりづらくなる。加えて社会保険費の増加により企業は毎年、折版分の負担を増やしている。会社からすれば「毎年、正社員には保険を上乗せしてんだよ。このうえ賃上げなんてできるかよ」という話になる。これが賃金がなかなか上がらない理由とされている。だとすれば、賃金が上がりづらい状況でインフレにしようとすれば、実質賃金は低下することになる。
▼とはいえ「結果オーライでも各種数値が伸びてるんだからいいじゃないか。やらなくても伸びた部分に加え、やったことで株高や、円安によるドル円換算での利益増が起き、さらに得をしたのだから。」という言い分もあるだろう。
▼しかし、やったことで負ってしまっているリスクもある。
▼たとえば「国債を大量に発行すれば国の財政が危ない」という指摘。だが、これには「いや、政府の借金は誰かの資産。日本では政府への金の貸し手はほとんど日本人。だから、政府は国民の預金から金を借り、その返済を国民にする。とすれば、お金が政府と国民の間をぐるぐると回っているだけで財政破綻などない!未来の世代に借金を残すというが、むしろ国債利払いという資産を残している」という反論が用意されている。
▼しかし「政府が国民の預金から金を借り」といっても現実には、預金者の多数派である年金世代は、年金だけでは足りないので毎年70万円程度の貯金を取り崩しており、その金が企業に回り内部留保となっている。
▼だから国民⇔政府をぐるぐる回るのではなく、企業⇔政府をぐるぐるまわるのだし、その内部留保は、多くは海外進出や海外企業買収に使うために貯められているので社員(国民)にはあまり還元されないか、どちらかといえば海外に出ていく運命にある。これで「国民―政府間をグルグル回り続ける」といえるか?という問題がある。
▼さらに現在では、企業⇔政府どころか、銀行は企業が預けた金で国債を買ったら1日後には、もう日銀に売ってしまっている状態。だから国債約370兆が日銀に貯まり(全国債の40%)、国債をもっているのは同行と、地方等の中小金融機関がメインになった。
▼これでは「国債が政府と国民の間でグルグル論」はあまり意味をなさなくなるし、今度は、「日銀がそんなに国債を抱えていたら危険なのではないか?」という危惧が生まれてくる。
▼すると、ここにも反論(御用理論?)が用意されている。
▼「いや、日銀は政府の子会社のようなもの。だから両者一体のものとしてバランスシートを統合できる。そうすれば政府の負債(政府が発行した国債)と、日銀の資産(政府から買った国債)がプラスマイナスで相殺される。よって日本に”財政問題”など存在しない」のだと。
▼しかしながら、日銀は政府から直接国債を買ったのではない。具体的には政府が普通の銀行に売った国債を、日銀が普通の銀行から買い取ったのだった。とすれば、日銀が普通の銀行から国債を買う時には、日銀から普通の銀行に、その分のお金が支払われていることになる。そのお金はどこにあるか?普通の銀行が持っている日銀当座預金口座にある。
▼ここにあるお金は預金である以上、我々が銀行に預金したら金利がつくのと同じように、金利がつく。今は「マイナス金利」なので払わなくてよくなっているがプラス金利になれば、日銀が普通の銀行に利払いをせねばならなくなる
▼たとえば2%の長期金利が上がれば、6兆円ほど日銀は利払いせねばならないそうだ。それは日銀の自己資金から払うことになるが、8兆円程度しか彼らはもっていない。だからこうした状態が何年も続くと危うくなる。
▼また、金利が上がるということは、国債の価格が下がることでもあるから日銀の資産である国債の価値も目減りする。2%上昇だと約46兆の評価損だそう。となると日銀が破たんに近づく。もちろん政府が救済するだろうが、金は税金から出すことになるだろう。
▼また、金利が上がれば中小の銀行が持っている国債の価格も下がる。すると中小の銀行の資産が目減りするので経営が危うくなり、「あそこの銀行が危ういぞ」という噂が立てば庶民たちの「取り付け騒ぎ」も起きやすくなる。
▼そういうと、「じゃあ2%の金利なんていつ上がるんですか?」という反論が待っている。未来のことなので「いつ」なんて言えるわけもないが、そういうと「言えないんですね!?もう~頭も悪いうえに不確かなこと言わないでくださいよ~。」と切り返されるのが常となっている。
▼しかしながら、インフレになれば金利も連動して上がる。で、2%のインフレにするのが「アベノミクス」じゃなかったのか?むしろ、いつ上がるかはこっちが聞きたい話だ。逆に言えば、「じゃあ2%の金利なんていつ上がるんですか?」という人は、アベノミクスでは2%のインフレ目標の達成は不可能だと思っていることになる。ということは、アベノミクス推進派は「2%のインフレ率上昇なんて本当は不可能」と知っていながら「2%のインフレを目指せ」と言っていたことになる。これは欺瞞ではないか?(注1)
▼言い換えると、日銀は「2%のインフレ目標達成」に「失敗することで」サバイブしている。逆に「2%のインフレ目標達成」に「成功すれば」今度は自身のサバイブに失敗するということになるのだ。
▼つまり、アベノミクスは、単に日銀がお金を刷ってさえいれば、他の人は特段何をしなくても「豊かな日本」となり無問題!というわけではなく「いくばくかの利益」と引き換えにリスクを未来に付け回しながら「できる限り”今”を永続させる」ことを選んでいるのだった。
▼また、安全保障政策についても似たことが言える。
▼たとえば今話題になっている「9条改正問題」。政権の言い分では「3項に自衛隊を明記すれば、今まで曖昧な立場だった彼らの地位が保障され、士気も上がって抑止力が高まる。そして今までどおりの安全な日本が維持できる」という。
▼しかし、素朴に考えて3項に自衛隊を明記しただけでは事態は何も変わらないだろう。自衛隊の士気だって、彼らの大半は真面目で実直なのだからもうすでに十分高い。
▼加えて、2015年の「安保法制」にも似たところがある。あそこでの趣旨は「これまで抑制されていた集団的自衛権を(部分的に)認める」ということだった。
▼実際には、「���が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある限り(集団的自衛権の行使が可能)」という文言になってしまったことで、行使が想定されている8事例では、ほとんど使えなくなってしまった。
▼たとえば、有名どころでもある「邦人輸送中の米輸送艦の防護」。これは、アメリカの艦船が日本人を救助して乗せてくれている時、そこにミサイルが飛んできたら、自衛隊はこのミサイルや発射主を攻撃できる…という意味。そもそもそんなことが現実にありうるのか?という問題はある。だが、それを差し置くとしても、先の文言がついてしまったことでアメリカの艦船を守れなくなった。なにしろ米艦船が1つ2つ攻撃されたくらいでは「(日本)国の存立が脅かされ」はしないのだから。他の7つは詳述しないが以下同文という感じ。
▼また、もし仮に「集団的自衛権を認める」ことを宣言できたとしても、今度は別のリスクが発生する。
▼政権の言い分では「集団的自衛権の行使を容認すれば、アメリカを守ることができるようになる。すると、アメリカ側も、ならば日本を守ろうという気持ちが強くなり、同盟力が強化される。すると、それを知った中国や、北朝鮮は、日本攻撃に躊躇するだろうから抑止力もあがる」という。
▼しかし「行使を容認します」と言っただけでは「空手形」や「口約束」に過ぎない可能性がある。それが本気であることを示すには実際、行使してみせなければならない。でなければアメリカだって「本気」になってはくれないだろう。
▼とはいえ、行使するとどうなるか?たとえば、北朝鮮がグアムに向けて撃ったミサイルを日本が集団的自衛権行使で迎撃してみせたならどうか?当然、北朝鮮は怒るだろう。そして反撃もありうるだろう。
▼けれども逆に迎撃しなければどうか?「なんだ?集団的自衛権のアレは口約束だったのか?」と思われ「だったら俺らも守ってやらないよ」とアメリカに言われてしまうかもしれない。
▼つまり、「3項に自衛隊を記します」「集団的自衛権を行使します」と言いさえすれば(書きさえすれば)、特段、誰も何もしなくても「安全な日本」という現状が維持できる…と考えているようだが、実際には、そのことで未来にリスクが付け回されるのだった。
▼しかし、興味深いのは、いくらこうやって指摘しようと、おそらく国民の多くが(とりわけ若い層が)「だったらその策を批判しよう」という気にはならないことだ。むしろ「たとえ未来にリスクがあろうとも、できる限り”今”を永続させてくれ!」と思っているのではないか。そこに興味がある。それを支える「気分」についてよく知りたい。
▼そして、その気分を知ることができるのが「ピンクと水色の映画」だと思っている。これは、それらの映画群のタイトルがたいてい「ピンク色」か「水色」で書いてあることから自分が勝手に命名したものだ。「青空をバックに白のロゴ」というパターンもあるが、それも「水色の1バリエーション」ととらえたい。
▼それらはたいてい「イオンシネマ」とか「ワーナーマイカルシネマズ」とか、そんなような所で上映されている。
▼映画の舞台はたいてい学園で、若手イケメン俳優と美少女女優が出てきて、くっついたり離れたりするので、女子中高生が観ていることが多い。
▼若干、書き方に悪意があるように思う人もいるかもしれないがww、そこはおっさんが若い子をひがんでいるのだからしょうがない(笑)。
▼さておき、要するに、若い子向けの「青春映画」なのだが、若い子向けな分、彼ら世代の「気分」が反映されているとも思う。実際に、自分が観てみて興味深かった作品には「共通する傾��」があるように感じられる。
▼その傾向こそが、さっきからずっと書いて来た「気分」を知る手がかりになるとも思っている。以下、いくつか作品を例示しながら思ったことを書いていきたい。
●「君の膵臓を食べたい」
■まずは昨年スマッシュヒットの人気どころから。
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■物語は、とある学園から始まる。主人公はそこで教師をしている志賀春樹(小栗旬/北村匠海)。実は、彼はこの学園の卒業生だった。そんな彼は、管理を任された図書館で、生徒の栗山(森下大地)と話しているうち過去を思い出す。
■彼は高校時代、この学校の図書委員だったが、ある日、同じく委員になっていた山内桜良(浜辺美波)の秘密を知ってしまう。春樹は病院に行った際、桜良が置き忘れたと思しき「共病文庫」と書かれた日記を読んでしまった。そこには、彼女が膵臓の病を患っており余命わずかだということが書かれていた。
■たじろぐ春樹の前に「読んだわね」と桜良が現れる。だが、勝手に読んだことをとがめるかと思いきや、彼女は「死ぬ前にやり残したことを一緒に手伝ってほしい」と春樹に告げる。
■けれど、桜良は突然「君の膵臓を食べたい」なんてことを言い出す予測のつかない女の子。ちなみに「膵臓を食べたい」の真意は「昔は、自分の体に悪い部位があると、他人の体にある同じ臓器を食べれば病気が治るとされていた」ため。
■ともあれ、以降2人は、一緒に福岡に旅行に行ったり、ホテルに泊まったり、負けたら「真実を言うか?挑戦をするか?」ゲームをやってみたり…と、残された月日を過ごしていく。
■すると、これまで「自分の半径1m 見えないバリア張った別世界」だった、閉じこもりがちな春樹の心は、天真爛漫な桜良によって開かれていく。
■だが、桜良の親友でもある恭子(北川景子/大友花恋)とも知り合ったり、彼女の元カレ(桜田通)の襲撃なども乗り越え、2人の絆が結ばれていったある日。入院した病院から退院し、久々にデートすることになっていた桜良は、春樹との待ち合わせ場所に向かう道すがら、突如、通り魔に襲われ命を落としてしまう…
■待ち合わせ場所に来なかった桜良を不思議に思いながらの帰り道、ニュースで事態を知った春樹は愕然…
■しかし、後日、桜良の実家に線香を上げに行った際、春樹は彼女がつけていた日記を桜良の母からみせてもらう。そこには…
◆置き忘れた「共病文庫」の盗み読みから始まって、春樹が今までとってきた行動は、ほぼ桜良の計画どおりだったこと。
◆彼女は周囲の誰とも話さない春樹に「自分を持った強さ」を感じ、友人になりたくて、また周囲にも彼の良さを知ってもらいたくて接近計画を立てたこと。
◆本当は病気で死ぬことが不安でたまらなかったが、春樹の存在が心の支えになったこと
…などが綴られていた。
■日記を読みながら号泣する春樹。そして彼は、日記の最後に書かれていた「残された恭子と友達になってほしい」という桜良の願いを実行するべく走り出す。
■桜良の思いに彼女の死後も寄り添うこと…それは、「君の膵臓を食べたい」=「君の心の中でずっと生きていたい」という桜良の思いに従うことでもあった…。
………
▼この映画が興味深いのは、主人公の春樹が昔も今もずっと同じ学校に居ることだ。
▼同ポジで過去シーン/現在シーンを行き来する演出も、この「ずっと同じ場所に居る感」を補強する。加えて、時を超えて桜良の思いを叶えるため走る姿もそう。登場人物たちは、いくら年をとろうと「永続する今」を生きているように感じられる。
▼また、桜良の日記に書かれていたことも興味深い。それによるなら、映画内の春樹の行動はほとんど「桜良の敷いたレールの上」を歩いていただけということになる。
▼「ずっと続く今」の中で「シナリオどおり送られる生活」…
▼自分で未来を切り開くよりも、未来に行うべき行動にすらレールが敷かれている………つまり「未来」は未知のものではなく「今の延長」となっている。
▼「ノイズなき“今”」…それが永続することに(若い)人々は感動を覚える…
▼実際、桜良がずっと「膵臓の中」に居続けたら、春樹は次(の恋)に進むことなどできないだろう。逆に言えば「桜良と春樹の輝いた日々」を永続させるためにこそ、彼女は唐突に命を落とし、そして「彼の中に生き続け」なくてはならなかった…と言えないか?
▼この徹底して未来を欠いたストーリーテリングがと��も興味深い。
●「RE:LIFE」
■次は、時空SFチックな青春モノ。
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■主人公の海崎新太(中川大志)は、27歳で失業中のニート。大学時代の同級生と久しぶりに飲みに行く時も、嘘をついてスーツを着込み、自分の境遇をごまかす「人生オワタ」な日々…
■そんなある夜、酔いつぶれて歩く彼の前に1人のうさんくさそうな男子・夜明了(千葉雄大)が現れる。話を聞けば、彼は、ある研究所の職員で、そこで行われる実験の被験者を探しているという。
■その実験とは、被験者を若返らせる薬を飲ませ、1年間の高校生活をやり直してもらうこと。「人生もう終わりだ」「もう一度やり直したい」…そんなふうに思っている人は、本当にやり直せた時、変わることができるのか?を調べたい、ということなのだろう。
■こうして高校生の見た目になった新太は、転校生という設定のもと2度目の学生生活を「リライフ」することに。
■最初はうかつにもタバコを吸ってしまい問題視されたり、学生時代の知識など忘却の彼方のためテストが赤点だったり、「同世代」とはまるでノリが違ったりと散々…。「エラい選択をしてしまった。もう、誰の記憶にも残らず1年間をつつがなく乗り切りたい」とヘコむ新太。
■だが、学生生活を送るうち、成績は抜群だが人との付き合い方が壊滅的に下手な日代千鶴(平佑奈)。なんでもできるキレるやつだが、女子の気持ちだけは読めない大神和臣(高杉真宙)そんな彼をもどかしく思う狩生玲奈(池田イライザ)…など、個性的な「同世代」と知り会っていく。
■そして、不器用さゆえに1歩前に踏み出せずにいる彼らをみて、1年後の実験終了時には彼の記憶が仲間から全て消えてしまう運命にあった新太は、全身全霊で訴える。
■「今という時はもう戻ってこない!今を大切に生きろ!」
■「何おっさんみたいなこと言ってんだ!?」とバカにされながらも、その言葉に背中を押され、人生を一歩前に進めることができた仲間達。
■そんな彼らを見届け満足すると共に、1年が終わり、彼らの記憶から消えていく新太。
■そして実験終了後…新太は、就職前に志していた教員を目指し試験に合格。教師として高校に再び舞い戻ってくる。するとそこには同じく新任女教師として赴任してきた千鶴の姿が!実は彼女も「リライフ」被験者だったのだ!記憶は消えているため互いのことを知らない2人。だが、彼らは教師としてもう一度学園生活を送ることとなった。
………
▼2度目の高校生活を送る新太は、それが終わっても高校生活。しかも「同級生」まで一緒…ここでもまた「永続する学園生活」のモチーフが描かれる。
▼そして、全てが終わった視点から振り返り、語られる「一瞬一瞬を真剣に生きろ!」という“今”への執着。
▼フィクションの力で未来を描く「SF設定」をとりながらも、そこに「未来」の姿はない。ひたすらな“今”への執着と、その永続を願う思いだけがある。そして、その“今”への執着に人は感動し、映画館を出た後も“今”だけを見て生きていく…
▼いや、そこには「この大切な“今”はいずれ無くなってしまうんだ。だからこそ貴重なんだ。」という悲壮感すら読み取れるかもしれない(「けものフレンズ」における背景の廃墟のような…)。
▼いずれにせよ、ここでも未来は決定的にその姿を欠いている…。
●「僕は昨日の君とデートする」
■こちらは、より複雑な青春時空SFストーリー。
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■主人公の冴えない20歳の美学生・南山高寿(福士蒼汰)は、ある日、電車の中で人生初のひとめボレをする。相手は福寿愛美(小松菜奈)。これまで女子とまともにつきあったこともなかったが、この期を逃せば彼女に会えなくなると電車を降りた彼女を追いかけて思いを告白。
■名前を名乗り「連絡先を教えて欲しい」と意を決して告げるが愛美は「携帯持ってないの」との答え…。「体よく断られたか…」と悲しむ高寿だったが、「きっとまた会えるよ」とは彼女は言う。
■そして後日、高寿が公園で絵を描いていると後ろから女子が。愛美だった。
■「偶然の再会」だと思いうれしがる高寿。それがきっかけて2人はデートすることに。
■だが、つき合ううち、昨日あったことも忘れていたり、突然、涙したり…と彼女の不思議な一面に気付いていく高寿。
■やがて、その真実が明かされる。実は彼女は、高寿(我々)とは別の時空間を生きていたのだ。愛美は、高寿(我々)とは時間が逆方向に流れる世界の住人だった。
■つまり、人生が80年だとすると、我々の場合は、0歳、1歳、2歳…というふうに時間が過ぎていく。だが、彼女が生きる時空は、80歳、79歳、78歳…というふうに時間が流れるのだった。
■そして5年1度、30日間だけ、2つの時空は1つの地点で交わり、2人は出会うことができるという。愛美が昨日あったことも忘れてしまうのはそのためだった。
■なぜなら…
高寿:1日 2日 3日 4日 5日…
…5日 4日 3日 2日 1日 :愛美
…といった感じに時が過ぎているので、高寿にとっては4日目でも、愛美にとっては2日目となってしまう。だから高寿が「3日目は×だったよね?」と聞いても、愛美はまだ3日目を経験していないため「??」となってしまうのだった。
■この仕組みを知った時、彼はあることに気付く。それは少年時代の記憶。当時、高寿は公園の池でおぼれてしまうが、その際、1人の女性に助けてもらう。その女性こそ、逆方向に時空を辿ってきた30歳の愛美であったと。
■だが、真実を知ると高寿は絶望してしまう。なぜなら、自分がいくら彼女と大切な思い出を積み重ねようと、まるで共有できないのだから。
■それでも彼女のことを心から愛していた高寿は、30日が過ぎるころ、5年後の再会を約束し、最初に出会った駅で「つかの間の別れ」をする。
■その後、5年おきに若くなった彼女と出会い、思いの継続を確認する高寿。そんな彼は30歳の夏祭りの日、迷子になった5歳の愛美を捕獲。かつて自分が少年時代に池でしてもらったように「大丈夫だよ」と告げ、その場を去って行くのだった…。
………
▼これも主人公の高寿目線でみれば「キミスイ」と同じく、進むべき人生のレールがあらかじめ敷かれている状態。未来は「未知」ではなく「現在の延長」だ。
▼20歳の時に体験した「大切な“今”」を守るために、彼は、その後の人生でも「祭りの日」のように、絶えず若き愛美を守り続けなくてはならない。途中で彼女に「何か(ノイズ)」あっては、20歳の「大切な“今”」を体験できなくなってしまうのだから。
▼だから彼にとっては、25歳の時にすべきこと、30歳の時にすべきことが決まっている。
▼「大切な“今”」を守るために、それを妨害するノイズを絶えず排除し続けながら、未来に敷かれたレールの上を歩いていく…。
▼とはいえ、その「レール歩き」の成否は、5歳の時、愛美に助けてもらったという「運命の出会い」によって半ば担保されているといっていい。
▼そして、そんな「レール歩き」がうまく行ったと思えた時、人は「大切な20歳の1か月」が守られたと安堵し感動する。
▼ここにおいても「大切な今」への執着と、それを妨害するノイズの排除による「現在の永続化」が主題化されている。
●「1週間フレンズ」
■今度は、純粋なSFではないものの、実質的に「時空SF」となっている作品。「川口春奈はかわいいなあ」と素直に思ってしまった。また、山崎賢人君の雰囲気がよくて人気がある理由が分かった気がした。また、賢人君の幼なじみ役の高橋春織ちゃんが、にゃんこスターの子にしかみえない(笑)。さておき、おおまかなストーリーはこうだ。
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■主人公は高校生で漫画部所属の長谷祐樹(山崎賢人)。彼は1年の3学期の終わりごろ、図書館で1人の女子と出会う。藤宮香織(川口春奈)だった。
■その出会いは「最悪」なものだったが、彼は後日、帰りの電車内でウトウトし急いで駅を降りた際、図書館で借りた分厚い本を車両内に置き忘れてしまう。
■「しまった…」と、焦る長谷。だが、その時、閉まるドアの隙間から本を投げてパスしてくれた女の子が。香織だった。
■これに運命を感じた長谷は、学年が上がり幸い香織と同じクラスになると「彼女と友達になりたい」と思うようになる。そして、持ち前の陽気さを活かし、何度も彼女に「友達申請」をしていく、のだが…
■香織はなぜか毎回つれない態度。電車内では本をパスしてくれたのに…
■また、1週間が過ぎて登校時に会った時も…「友達になって下さい?あなた誰?」という態度…これには愕然とする長谷。
■だが、数学教師の井上(戸次重幸)から長谷は、驚きの事実を知らされる。
■���は、香織は中学時代にある事故に遭い、記憶が1週間しか持たない体になっていた。
■長谷が何度「友達申請」しても「ごめん」と、つれない態度だったのは、どうせ友達になっても1週間で忘れてしまい、彼を傷つけてしまうから…と憂慮してのことだった。
■それを知り苦悩する長谷。だが、彼はあることを思いつく。それは「交換日記」。
■1週間交代で交換日記をし、そのノートを彼女が随時見返せば、自分たちが何をしてきたかをずっと覚えていられるのでは…と考えたのだ。
■この提案を受け、最初は渋ったもののOKする香織。以後、2人は交換日記を通じ「1週間フレンズ」としての関係を築いていく。
■だが…2人のクラスに転校生が。九条一(上杉柊平)だった。実は彼は中学時代の香織の同級生。
■九条はイケメンのため同学年の女子たちの憧れの的だったが、意中の人は香織だった。
■そして一旦、家の仕事の都合で北海道に転校になる日、「告白の答え」を香織に求めてきた。彼女は「OK」を言おうと九条の待っている場所に向かったのだが…
■その道すがらを同級生の女子たちに見られてしまい「九条君をぬけがけしないでよね!」と問い詰められ、その場を逃げたところを車にはねられる…という展開に。記憶が1週間しか持たなくなったのはそのせいだった。
■最初は、中学生時代の記憶を思い出せない香織だったが、九条と触れ合ううち、当時の記憶が甦る。すると、都合の悪いことに(よいことに?)、代わりに長谷との思い出を喪失してしまう。そして香織は、「アタシ、中学時代に彼が好きだった」と、九条とよりを戻していく
■一方、「1週間フレンズ」となった長谷は、彼女に恋心を抱き、告白をしようと考えていたのだが、香織の記憶が復活したため、思いを告げられずじまい…
■失意の彼は、これまで書いた日記を火にくべ燃やしてしまう…
■だが…その後、偶然が重なって、香織は図書館である分厚い本を手にとることに。あの日、電車でパスした本だった。
■開いてみると、そこには「長谷と香織のこれまで」が漫画研究会の絵心を活かした「パラパラ漫画」で描かれていた。
■それを読んだ香織は、自分がこれまで長谷と過ごしてきた大切な日々を思い出す。
■そして、イケメンを振り切り、長谷の元へダッシュ。「私と友達になって下さい!」そう言って彼に手を差し出すのだった…。
………
▼これもイジワルな見方かもしれないが、運命の出会いがもたらした「1週間フレンズ」という「大切な時間(今)」を永続させるため、主人公が記憶を失ったJKのメモリーを交換日記を通じてひたすら「歴史修正」する物語にみえる。
▼もちろん「歴史修正」といっても意図的に何かを書き換えたわけではない。それでも、たいてい自分に都合の悪いことは書かないだろうし、よいこと中心に書くだろう。だから、日記以外に情報がない香織からしたら「長谷くんはいい人」と思うのも当然だろう。
▼意中の女子高生が「敷かれたレール」を着実に辿って「大切な時間」に至るよう記憶を「誘導」していく。
▼「敷かれたレール」を外れそうなノイズ(中学時代のイケメン同級生)が登場し、日記で作った記憶が「上書き」されれば、さらに「パラパラ漫画」で上書きし返す…
▼そうやって一瞬一瞬が輝かしい「大切な今」の永遠化を目指す。そして、その永続化が達成される光景をみて、人々は感動し涙を流す…
▼ここにも「大切な今」の永続化と、それを妨害するノイズの排除というモチーフが描かれている。
●「サクラダリセット」
■実はこの記事を書こうと思ったのは本作を観て、かなり奇異な感じを覚えたからだ。大まかな流れはこう。
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■舞台は太平洋側に位置する、とある地方都市・咲良田市。
■そこに住む人たちのおよそ半数は、特殊な能力を持つ能力者。その能力は千差万別だが皆、「咲良田を出ると能力を忘れてしまう」という共通点がある。
■さらに咲良田の能力者は「管理局」という都市の公的な機関によって管理されており、管理局から依頼されて能力を発動する者もいる…。
■そんなこの街で暮らしているのが主人公の高校生・浅井ケイ(野村周平)。いつも冷静沈着で頭の回転の速い彼は、「記憶保持」という能力の持ち主。それは見聞きしたことを完全に覚えて忘れないというもの。
■そんな彼には相方的存在がいた。同級生の女子生徒・春埼美空( 黒島結菜 )だ。彼女は「リセット」という能力を持っている。この「リセット」は、世界を最大3日分まで巻き戻す能力。厳密には「前回セーブしたところまで」となり、セーブを行なわないでいると3日巻き戻るという。
■だが、その能力を発動すると、周囲はもとより彼女自身もリセット前の記憶をなくしてしまう。ただ、1人だけ忘れない存在が。それがケイだった。だから2人はいつも基本ペアで行動している。
■加えて美空には、一度不用意に「リセット」を発動したせいで人を死なせてしまった(救えなかった)過去がある。だから、頭の切れるケイと一緒にいなくては、自分はまた過ちを犯してしまうと考えていた。
■そんな彼らはある日、学校の部活動の1つであり、管理局の下部組織でもあった「奉仕クラブ」から呼び出され依頼を受ける。
■依頼内容は「佐々野宏幸という76歳の男性の、失われた能力を取り戻せ」というものだった。そこで佐々野に会いに行くケイたち。
■ここから事態は複雑な展開をたどり、紆余曲折があるのだが、おおよそこうなる。
■佐々野にはかつて恋人がいた。その女性は「魔女」(加賀まりこ)とも呼ばれており、未来を予知する能力を持っていた。そこで「管理局」は彼女を活用。咲良田の街の未来について絶えず「予知」させ、よからぬことがあればそれを事前に取り締まるという体制を築いた。
■その後、「魔女」は何十年もこの街の未来を予知し、今では老女に。そして「名前のないシステム」とも呼ばれるようになった。ちなみに、彼女はかつて街の未来のために市の外から当時10歳のケイを呼び寄せていたことも後々判明する。
■だが、老女となった彼女は寿命がきたのか「あと10日で死んでしまう」運命に。佐々野老人がケイたちを呼び寄せたのは、かつての彼女が死んでしまう前に、一目会うのを手伝ってほしいと考えたからだった。
■そのことを知ったケイは、美空や特殊能力を持った仲間たちの力を借りて、2人を再会させることに成功。そして、2人は咲良田を出て、能力を忘れて余生を送ることを決めたのだった。
■一方、去り際に魔女は「自分の後継者がいる」こと、それはケイの知っている人物であることを告げていた。
■彼女の名は相麻菫(平佑奈)。かつてのケイの同級生(仲がよかった)であり2年前に不慮の事故で死んでしまった女の子だった。なお、美空が自分1人で能力を使わなくなったのは、彼女の死を救えなかったせいでもあった。
■だが、特種な能力を使う仲間達と知り会ったケイは、その能力をたくみに組み合わせ、相麻菫(のコピー)を復活させることに成功。
■そして、復活した彼女は魔女の予言どおり「2代目の名前のないシステム」にならんとしていた。
■しかし、それを阻む者が。管理局の室長・浦地正宗(及川光博)だった。彼はあることが理由で能力者がいる咲良田市を、深く憎んでいた。そのため自身が持つ「対象の時間を巻き戻す」能力を使って、能力保持者たちの記憶を「能力を持たなかった時代」まで巻き戻し、彼らの能力を奪っていたのだった。
■「咲良田からすべての能力をなくしたい」…それが彼の密かな野望だった。
■そんな彼は初代魔女が消えたことを期に、その野望=「サクラダリセット(聖なる再生)」を実現に移そうとしていたが、2代目魔女・菫が現れたことを知り、彼女を消しにかかる。
■だが、それを阻止しようとしたのがケイたち。
■そして阻止する過程で、ケイたちは浦地がこの街を憎んでいた理由を知る。
■それは彼の両親の過去に関わっていた。かつて浦地の父は「特定の記憶を消す能力」を持っており、母は「指定したものを失わない」という能力を持っていた。
■管理局は、それを知ると、幼い浦地のスキをついて2人を拉致。互いの能力を発動させたまま、長い眠りにつかせてしまった。咲良田市が今のようになったのは、それ以降のことだった。
■つまり、咲良田を出ると人々が「能力を忘れる」のは、父が咲良田の外に向けて能力を発動しているからで、逆に、街の中にいると能力保持の記憶を忘れないのは、母が咲良田の内側に向けて能力を発動しているためだったのだ。
■浦地は自分の両親を奪ったことと引き換えに今の平穏を保っている咲良田が許せなかった。だから、「咲良田からすべての能力をなくしたい」と願っていたのだった。
■そのことを知ったケイは、学校の屋上に浦地を呼び出すと「カルネアデスの板」という議論を引きながら、彼に咲良田の消滅を踏みとどまらせる。
■「カルネアデスの板」とはこんな議論だった。
一隻の船が難破し、一人の男が板切れにすがりついたのだが、もう一人すがりつこうとする者がいた。しかし、二人とも掴まると板が沈むため、最初の男は、後からきた者を水死させた。これは許されることか否か?
■これを聞き、「自分が助かるために他者を犠牲した人間は当然のことをした」と答える浦地に対し、ケイはこう言う。「僕なら、ふたりとも生き残れる道を探します」。
■そして、またも仲間たちの能力を巧みに組み合わせて行動を起こし、浦地の両親から、能力を取り出したうえで、時間を決めて、その能力を保持する人間を交代する策を実現させる。つまり、浦地の両親を救うことと、咲良田市を維持することを両立させたのだった。
■こうしてケイや美空たちは再び咲良田の街で、元の高校生活を送ることとなった。
………
▼実際にはストーリーはもっと複雑なので興味のある人は作品をみてほしい。
▼ともあれ先にも書いたがこの作品を観た時、ちょっと奇異に感じた。「普通と逆だな」という印象を持ったのだ。
▼何が「普通と逆」なのか?
▼この手の話だと普通は、浦地の世代の方が、咲良田を元のまま維持しようとし、それに若い世代であるケイたちが反発するのでは…と思ったのだ。
▼たとえば、古い世代である浦地は「能力を失った人たちがこの街を出て暮らすなんて、どんな苦労があるか分かっているのか!?」なんて言い出し、現状維持を図る。
▼それに対し、ケイたちの世代が「こんな異常な状態を維持しているのはおかしい!たとえ苦労があろうとも人々に新しい未来をもたらすんだ!」とか言って反逆する。
もしくは、能力を維持したまま街の外に出る策を編み出し、その力を使って世界中の人々の苦しみを救う…とか。
▼しかし、この映画は、まるで逆だ。古い世代が街を壊そうとし、若い世代が現状を維持しようとする。「カルネアデスの板」といった難しい例題を引き、深淵な議論を展開しはするが、やっていることは「今の永続化」なのだ。
▼「泣いている人たちの苦しみを取り除くために、自らの能力を使いたい」と言ったようなことを映画内で美空たちも言っているが、彼らはそれを街の外へ拡張しようとは、みじんも考えていない。
▼「街の外」や「現状を変える未来を作り出そう」という志向が、主人公たちからはキレイに消去されている。能力も高く、頭もいいはずなのに…
▼そこがとても奇異に感じられたのだ。
▼「できうる限り現状を変えずに”今”という時間を永続させること」、言いかえれば「今とは違う未来を作るために力を尽くす」のではなく「“今”の維持を妨害するノイズを排除し続けることに力を尽くす」こと。
▼「ピンクと水色の映画」の多くに通底するこうしたモチーフについて何を思うべきか?「それではいけない」と思うべきか、それとも「やむをえない」と思うべきか、それとも「これこそが新たな時代のモードなのだ」と思うべきか…?今後も映画を観続けながら考えてみたいと思う。
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農法
1. 岡田式自然農法・・・岡田茂吉氏 自然を尊び、尊重して、学ぶ農法である。 無肥料栽培で健康な土を作るとしている。戦争直後の時代背景の中で、自然堆肥を使うことをやむ終えず推奨してきた経緯がある。現在のMOA自然農法、EM農法もその流れである。
2. 福岡式自然農法・・・福岡正信氏 根本原理は、無である。神の農法。 土に聞く、畑に聞く、自然に聞く農法。100種類もの種を入れた土団子を畑に置き、何が育つか種に聞く、畑の特性と種の相性を見て作る。
3. 自然農・・・川口由一氏 草は草で抑える。種をまくとき、その場所の草を刈り取り、種をまき、土を掛けて草で覆う方法。覆った草が養分となり、肥料は要らない。
4. 循環農法・・・赤嶺勝人氏 自然に生まれたものは自然に帰す。草と共生した方法で、発酵堆肥(完熟たい肥)を使うのも特徴です。ナズナを畑の良しあしの目安としています。
5. 炭素循環農法 自然林野では落ち葉や朽木を菌類が最初に分解して、細菌類は二次三次分解者であると考えて生の有機物でも使えるという観点の農法。生の雑草や植物残渣、緑被作物やきのこ培地化した木材チップを土壌中に混ぜ込む農法である。
6. 唐津農法 B-バイタル(植物活性液)唐津菌で、黒糖・糖蜜・ミネラル・キトサン・微量要素を発酵させたもの。BV腐葉土(落ち葉・樹木チップ・きのこ廃菌庄を唐津菌で発酵させたもの。Sミネラル、APバイタル(海藻発行液肥)、Gアドバン、V植物抽出液を利用して無農薬・無肥料栽培をする農法。
7.バイオダイナミック農法・・・ルドルフ・シュナイター 地球を取り巻く宇宙環境がどのように影響しているのかを説いて農業に生かした哲学である。 特殊な堆肥(天体からの作用を受けやすい資材「のこぎり草、たんぽぽ、ハーブなど」)調合剤を使用する農法。天然ハーブから作られた調合剤を土に撒くことで、天体からの影響を受けやすく、力強い土が作られるとしている。この農法の野菜は生命力溢れて、食べた人は活力を得るとしている。
7. キラ農法 愛知県の吉良微生物研究所(神谷成章代表)考案の農法で、土の中の有用土壌菌を大量に培養し圃場へ混入する農法。植物が持っている潜在能力を最大限生かすバイオ農法。
8. 松本農法 無化学肥料栽培が原則であり、土中に残した硝酸態窒素は使い切って作物の中に残さないこと。が大前提の農法である。厩肥や藁や草を使って完熟堆肥を松本肥料として使用する農法。
9.健人農法(オルガ農法)・・・佐々木健人氏 オルガランド(土壌活性剤)を入れて水や肥料を大量に使う農法です。 この活性ミネラル群は、水分中でイオン化し、アンバランスな土壌中で眠っているミネラルを呼び覚ます(イオンの種子として)ように設計されています。
10.粘土農法 土とは土壌コロイドでありケイ素とアルミナの複合体である。 それが多いほど力のある土である。土壌コロイドを作るために、ケイ素とアルミナの多く入っている粘土(天然二次粘土鉱物)と有機物(堆肥)を入れて、保肥力のある力のある土にする農法。
11.Mリン農法 有機栽培における欠点を解消し、同時にリン酸の肥効を固めることで作物が吸収する栄養分のバランスを常に調整できる農法です。水に溶けたリン酸はマイナスイオンになり、アルミニウムや鉄、カルシウムなどの成分と結合して肥料として効かなくなるというリン酸の固定化を防ぎ作物に必要成分をロスなく吸収させる農法です。
12.アヴェ二ール農法 水耕栽培と土耕栽培との中間ともいえる農法で、根の部分だけを温めるという農法。 基本は水耕栽培なの根の部分だけは土がありその部分に電線による温熱線で温めるという方法です。
13.オーレス農法 ALL-LESSに由来する名称で、マイナス要素を全て駆遂する有用微生物群をオーレス菌群と名づけ、これらの微生物群を土壌中に増やすことで、病害や生育障害を排除する栽培方法を提唱している。
14.波動農法 波動水を使った波動農法と発酵微生物を含んだ土壌菌を土に混ぜる農法とがあります。 発酵微生物を含む資材については、ミネラル・微生物・酵素・カルシウム・ヨモギ・ドクダミ・ニンニクなど人体に有益なものを使用しています。波動とは、宇宙を統合している物質以前の微弱エネルギーでサトルエネルギーと説明している。
15.電子農法 ①種子への電子チャージ②土壌への炭素の埋設③土壌への空気の送入④電子水への葉面散布が主な農法���方法。土の中に炭素を埋設し大地電位の調整を図るのが主な農法の特徴で、簡単に説明すると畑に炭を植えて磁場を良くすると作物にも良いという農法。
16.EM農法・・・比嘉照夫氏 有用微生物群の英語名Effective Microorganisms(エフェクティブ・マイクロオーガ二ズム)の頭文字から付けられた造語です。EM菌を使ったぼかしや堆肥、液肥などを土壌改良に使ったりして土作りを行う農法。
17.コフナ農法 フランス・パスツール研究所で開発された土壌改良のための微生物資材を使った農法。 100種類以上の有益微生物を100%天然の有機微生物の中にバランスよく含んだ複合微生物群です。
18.島本微生物農法 木材発酵堆肥・有機質発酵堆肥・燐酸発酵堆肥・天恵緑肥などを駆使して土壌改良を行いながら土作りを行う農法。特に有機質発酵堆肥は、醸造発酵を応用して、タンパク質からプロリンを生成して植物体の光合成を高めると同時に糖生産によって作物の甘味食味を上げる働きがある。
19.お布団農法 愛媛県にある綿製品製造会社による綿を使用する。幅1.1メートル、長さ100メートルのロール状になっているものを使用する。お米の種モミをはさんだマルチ布団を田に浮かべて、第3葉が出始めた時に落水をし、苗を着土させる農法。
20.ステビア農法 ステビアの抽出物質を農産物に与えて、残留化学物質を分解し、活性化させるために団粒構造の水分や養分を保持しやすい土壌にする農法。抽出液を畑に入れる方法と直接ステビアを間に植える方��とがある。
21.ヨーグルト農法 ヨーグルト原液を水で薄めて土壌改良や病気に対する抵抗力をつけるために葉面散布をする農法。硝酸態窒素を減少させて悪玉菌を排除する効果がある。
22.スリーF農法・・・藤野順弘氏 野菜と会話し、特に波動水を入れる農法で、肥料や農薬は使わないで野菜を栽培している。 野菜の水分は60%以上あるので「嬉しい」「楽しい」「ありがたい」と思ってこの水分を良い波動に導く農法である。
23.ピロール農法 一般の有機資材に海洋沈殿物などをたくさん加えて「らん藻」が繁殖しやすいミネラル環境を作った資材を入れる農法。らん藻(シアノバクテリア)は農薬やトリハロメタン、ダイオキシンを分解する働きがあり、酸素と栄養素を根やほかの微生物に与える働きがある。
24.永田農法・・・永田照喜治氏 別名「断食農法」「スパルタ農法」「ルーツ農法」「緑健農法」とも呼ばれていて、祖先、野菜の根、農業の根本のルーツを考える農法である。液肥(住友液肥)を利用して、水や肥料を極力抑えて野菜や果物を育てることにより、本来持っている美味しさや高い栄養価を蘇させる農法である。
25.中嶋農法・・・中嶋常允氏 この名称はエーザイ生科研の商標登録した農法である。土壌分析に基づく土作り技術と生育コントロール技術なりたっている。ミネラル肥料(ミネパワー)と葉面散布剤(メリット)を駆使して生育コントロールをする農法。
26.天敵農法 アリスタライフサイエンス株式会社の提供する天敵殺虫剤や微生物殺虫剤・殺菌剤などを駆使して取り組む農法である。化学肥料に対しては特に何もないが、化学農薬を削減したり、なくしたりする効果が得られるので環境への負荷が軽減できる。
27.天地農法・・・藤田勝彦氏 天地農法は、無肥料・無農薬・無除草・無耕起を主としている。天地の法則は、物質の自浄作用にある。土壌の質には優生知地、中生地、劣生地がありこの土地に適した野菜を作れば肥料はいらないとしている。生命配列循環の1コマを応用して生産する。農哲学である。
28.縄文式古代農法 有機無農薬栽培は当然で、カマやスコップなどの道具も最低限のものしか使用しないで,、一切の機械力を排除する農法です。人間が介入するのは日当たりと通気を改善するため雑草を刈り取ること。
29.バイオテクノロジー農法 コンバインで刈り取った田に残した麦わら、稲株、草などの圃場残存有機物を分解して土にかえすための好気性菌を鶏糞と糠殻を入れて培養したもの(バイオ肥料)を全面散布する農法。
30.PTA農法(ドッサリース農法) PTAとは光合成移転農法のことである。低分子量有機物を炭素肥料と考える栽培方法です。 家畜糞尿や野菜くずを生石灰で分解し、低分子量有機物として施肥します。低分子量有機物から同化を開始すると作物は少ないエネルギーで成長できるのです。
31.ミスト農法 完熟堆肥を使った培養土のパレットを敷き詰めてその下は空間にし、根を空間にたらします。その根に向かって霧状の完熟・無臭の有機液肥を吹きかけて育てる農法です。土も使わず無農薬で栽培しているので21世紀型の農業としている。
32.セルフレッシュ農法 化学肥料や農薬の使用を抑制し、有機ミネラル(アミエキス)と特殊セラミック(ブラックウエーブプレート、ミニブラック、ミニプレート)で活力ある「土壌」「水」を蘇生させ、農作物本来の力を蘇らせる根本農法です。
33.アニス農法 IT(情報技術)とバイオテクノロジーを組み合わせた農法。ハウス内の温度調節や水調整はコンピューター制御する。培養度は、有益な微生物を混合したものを使用。化学合成農薬を使わず、独自の植物活性水を散布する。
34.武山農法・・・武山京一氏 スーパー西山と農業改革をするための農法。 土作りにミクロエキスという微生物を使って3~5年の手間暇をかけて化学肥料も農薬も肥料も使わないほど田の活性を図る農法。土さえ出来ればほったらかしでも出来るという。
35.黒酢農法 玄米黒酢の希釈液を作物に散布して、生育を促す農法。農薬や化学肥料に代わる資材として玄米黒酢を使いたいと始めました。
36.息吹農法 土壌改良剤「息吹グレードLD」を使って天然物に近い強い生命力と高い栄養価を持った野菜を栽培する農法。この改良剤を使うと、水をかければかけるほど土壌がふわふわし、驚異的な根張りをするという。
37.BMW農法 BacteriaMineralWater(バクテリアミネラルウォーター)の頭文字で自然界の浄化作用をシステム的にして「生物活性水」と呼ばれる液体を作って水田に散布する農法。生物活性水は、畜産糞尿を入れたタンクに腐葉土・岩石を入れて浄化させて作ります。
38.百福農法 生竹をチップ状にし、さらにともずりをかけ竹のリグニンとセルロースを分離し、綿状にしたものを地表に撒きます。その資材に種を蒔いて育てる農法です。除草は、アグリバーナー(火炎放射機)で焼き尽くします。
39.伝統草農法 小見川と鬼怒川の河川敷の草ともみ殻、米ぬか、そして鶏糞を使って堆肥を使って栽培する農法。古典的な農法である。
40.ビオディナミ農法・・・ルドルフ・シュタイナー 農作物の生育に天体が深く関連し、そのエネルギーがテロワールに宿るという考えの素、星の運行や月の満ち欠けによって定められた農作業を行い、そに際は肥料として調合剤(プレパラシオン)を用いる農法である。この発展的な農法がバイオダイナミック農法となる。
41.愛善酵素農法 酵素による土作りを基本とした環境にやさしく自然農法の法則に素直な農法。愛善酵素を使う農法。
42.菌耕農法 好・嫌気性菌製剤「アスカマン21」を使って緑肥、わら、もみ殻、バーク堆肥などと併用し鋤き込むと土壌の団粒化を促進、微生物の菌密度を高めます。指定の資材を連用すると土がほかほかになり、耕盤がくずれ微粒子の団粒がたくさん出来、菌密度が高まるのでフザリウムなどの増殖を抑えます。
43.玄米アミノ酸農法 アミノ酸ぼかしでふかふかの土を作ります。病害虫をやっつけて収穫を2倍にする言われている。玄米アミノ酸二―ム酵素液を利用する。アミノ酸液体の散布で糖度は上がる。
44.天禄農法 土壌改良を藍藻の繁茂によって行うと、農薬や化学肥料、酸性雨で汚染された土壌でも改良されるとしている。藍藻は、化学物質で汚染されて崩壊しつつある環境をみるみおる蘇らせ、作物を生き生きと育てます。出来た作物も抗酸化力が強く、栄養豊富な健康作物となる。
45.植物波農法・・・樽埼皐月氏 農業を近代産業の進歩度まで引き上げるために、農業技術を理学化され静電3法の植物波研究を行った。200余りの技法に整理し、取りまとめた農業技術こと。
46.自然微生物農法(KN菌農法) KN菌という土壌微生物の働きでミネラル分は高含有になります。自然と共存共生し、無農薬、無化学肥料で多収穫食味の良い米が出ます。田にドジョウやタニシ、メダカが戻り自然な小動物、藻の豊かな田になります。
47.十草農法・・・廣野嘉喜氏 雑草を使う農法。化学農薬や肥料を使わない農法で、雑草は天地の気運を最も取り込むことが出来るパワーあふれる植物としている。さまざまな雑草を役割ごとにうまく取り入れる。
48.アヒル農法 アヒルを使って水稲の虫を捕ったり、足でかき回して雑草が出るのを防いでいる。アヒル農法は、食用のアヒルも稲と同時に育てる農法。また、アヒルは大量の糞をするので、それが肥料になって稲を大きくする。
49.コウノトリ育む農法 コウノトリと共生する水田作り事業により水田ビオトープに取り組む農法。 農薬・化学肥料に依存した農法から無農薬または減農薬で化学肥料を使用しない環境創造型有機稲を作る農法で水張り水田として普及させるもの。
50.鯉農法 農薬や化学肥料を使わないで合鴨・アヒルと同じように稲を植えて、少し大きくなったころに鯉をいれて虫を食べてもらう。鯉の大きさに応じて水の深さを調整すれば、鯉が土の攪拌を行うことによって雑草の生えるのを防いでいる。
51.合鴨農法 合鴨は、野生の鴨とアヒルを交配させたもので、黒系が鴨に近く、黄色系がアヒルに近い合鴨である。合鴨は、稲は食べずに水田雑草に多い柔らかく筋の無い草を喜んで食べる習性を利用している。水掻きで土を掻きまわすことにより、酸素を根に与える。雑草を食べ、虫を食べ、中耕をし、化学肥料や農薬を使わない農法。
52.不耕起農法・・・岩澤信夫氏 耕さない農法「不耕起移植栽培」で、一般的に代掻きや本掻きをして田を平らにして植える農法から、全く代掻きをしない農法。
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No. 302 抗酸化物質による亜硝酸の害作用の緩和 nisimori / 2016年6月23日 ●はじめに 水や食物中の硝酸が体内で亜硝酸に還元されて,メトヘモグロビン血症や胃ガンなどを発症することが以前から指摘されている。しかし,環境保全型農業レポート「No. 300 野菜の硝酸は有毒ではないのか」に記したように,食物,特に野菜には硝酸と同時に各種の抗酸化物質が含まれている(抗酸化物質については,環境保全型農業レポート「No.296 有機栽培作物で高い抗酸化物質濃度は窒素多用で減少しやすい」参照)。このため,野菜などとともに抗酸化物質を摂取した場合には,メトヘモグロビン血症や発ガンリスクが大幅に低下する。しかし,水や貯蔵した肉などから多量の硝酸を摂取した場合には,抗酸化物質が含まれていないか少いため,メトヘモグロビン血症や発ガンリスクが高まることを紹介した。 では,抗酸化物質によって,メトヘモグロビン血症や発ガンリスクはどの程度減少するのであろうか。この点について若干補足を行なう。 ●家畜におけるメトヘモグロビン血症 余談ながら,家畜も人間と同じメカニズムでメトヘモグロビン血症を発症する。家畜共済の統計には,補償対象になった原因別家畜頭数が記録されている。1頭当たりの価格が高い牛などの大型家畜が主に共済に加入しているので,牛での死亡頭数が記載されているが,メトヘモグロビン血症はどの家畜でも生じうる。1980年代には乳用牛と肉用牛のメトヘモグロビン血症による死亡頭数は類似したレベルで推移していたが,1990年代になってから,乳用牛では死亡頭数がかなり減少したものの,図1に示すように,肉用牛では現在でもまだ死亡頭数がかなり多い。メトヘモグロビン血症の兆候を認めたら,直ちに還元剤のメチレンブルーを注射すれば,回復できる。 ●抗酸化物質によるメトヘモグロビン生成の減少 いろいろな抗酸化物質について,そのメトヘモグロビン生成に及ぼす影響が調べられているはずだが,そのごく一部だけを紹介する。 A.ビタミンEとC Atyabi, N., S. P. Yasini1, S. M. Jalali1and H. Shaygan (2012) Antioxidant effect of different vitamins on methemoglobin production: An in vitro study Veterinary Research Forum. 3 (2) 97 – 101 は次を報告している。 採取した健康な牛の血液サンプルに,5,10,20 mmol/Lのビタミンを添加して,4℃24時間,事前培養してから,亜硝酸ナトリウム(10 mmol/L)で10分間処理して,メトヘモグロビンの生成を分光光度計で測定した。その結果,10と20 mmol/LのビタミンEを添加すると,対照(生理食塩水を添加)に比べて,メトヘモグロビン濃度をそれぞれ63.4%4と60.4%に,5 mmol/LのビタミンCを添加すると,メトヘモグロビン濃度が56.1%に有意に減少した(P < 0.05)。ただし, 10と20 mmol/LのビタミンCを添加した場合には,メトヘモグロビン濃度が対照よりも有意に増加した。また,ビタミンAとB1はどの濃度でも有効ではなかった。ビタミンAとB1の添加ではどの濃度でもメトヘモグロビンが減少しなかった。 このように,既に人間で確認されており,ビタミンCやリボフラビンは新生児のメトヘモグロビン血症の治療に使用されているが(環境保全型農業レポート「No.77 日本での井戸水が原因の新生児メトヘモグロビン血症事例」参照),ビタミンCとEは,in vtroでのメトヘモグロビン生成を誘導する亜硝酸の酸化的影響を減らした。 B.クルクミン クルクミンはウコンの黄色色素で,ポリフェノールの一種である。クルクミンが赤血球における亜硝酸によるメトヘモグロビン生成を抑制することを,下記が報告している。 Unnikrishnan, M.K. and M.N.A. Rao (1992) Curcumin inhibits nitrite-induced methemoglobin formation Federation of European Biochemical Societies Letters. 301(2):195-196. 血液から分画した無傷の赤血球を,クルクミンの添加ないし無添加で30分間保持した後に,亜硝酸ナトリウムを0.6 mMになるように添加して,120分間培養した後,赤血球を洗浄して溶菌して,放出されたメトヘモグロビンの生成量を調べた。 クルクミン無添加の場合のメトヘモグロビンの生成量に対する,クルクミン存在下でのメトヘモグロビン生成量の減少量を阻害率で表示すると,8 ?Mのクルクミンの存在で阻害率が8.6%,20 ?Mの存在で16.0%,80 ?Mの存在で25.0%,400 ?Mで51.2%と,クルクミン濃度を高めると,メトヘモグロビンの生成の阻害率が高まった。 ただし,クルクミンは亜硝酸の添加よりも前に添加していないと,メタヘモグロビン生成の阻害率が激減した。 このことから,抗酸化物質は常日頃摂取していることが大切といえよう。 ●抗酸化物質によるニトロソ化合物生成の減少 N-ニトロソ化合物が実験動物に発ガン性を有することが確認されているのに,人間の発ガン物質としては認定されていないことを,環境保全型農業レポート「No. 300 野菜の硝酸は有毒ではないのか」に記した。この点について,若干の補足を下記によって行なう。 Brambilla, G. and A. Martelli (2007) Genotoxic and carcinogenic risk to humans of drug-nitrite interaction products Mutation Research 635: 17?52 ★ N-ニトロソ化合物が発ガン性を有することは,130超のN-ニトロソ化合物の約80%が,39の実験動物種に腫瘍を作ることによって確認されている。しかし,WHO(世界保健機関)の「国際ガン研究機関」(IARC)の発ガン性の疑いのある物質についての評価(IARC (1987), Monographs on the Evaluation of the Carcinogenic Risks to Humans, Supplement 7, Overall Evaluation of Carcinogenicity http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/suppl7/)で,グループ1(人間に対する発ガン物質)に評価されたものは1つもない。グループ2A(人間での発ガン性の証拠は限られているものの,実験動物では十分な証拠が存在する物質で,人間に対する発ガン性が恐らく(probably)あると考えられている物質)が4つと,グループ2B(人間に対する発ガン性の可能性があると考えられる物質)が15指摘されているだけである。 ★ いくつかの国で,硝酸摂取量や飲料水中の硝酸レベルと胃ガンとの間に相関があることの疫学的証拠が存在する。特に,硝酸(NO3)の濃度が平均88 mg/Lを超える飲料水を常用していると胃ガンリスクが高いことが観察されている。これは,胃酸の分泌量の少ない胃に存在する多数の細菌が,硝酸から亜硝酸の生成と,その亜硝酸をアミノ化合物と反応させてN-ニトロソ化合物を生成し,胃ガンが発症したためとされている。 ★ ビタミン類,フェノール化合物,イオウ化合物などに加えて,茶,コーヒー,果物ジュース,乳製品,大豆製品やアルコール飲料が,N-ニトロソ化合物の生成を阻害する。人間の胃液のなかでの阻害作用が最も良く研究されているのはアスコルビン酸(ビタミンC)である。人間の胃のなかで,食事ごとに500 mgのビタミンCを摂取したとすると,食物中のアミドからのニトロソアミンの生成を99%阻害し,食物中のアミドからのニトロソアミドの生成を74%,胃液や唾液中のアミンやアミドから生成されるN-ニトロソ化合物の生成を約50%阻害する。 ★ ビタミンEはいろいろなα?トコフェノールを含み,体のなかで抗酸化物質の役割を果たしているが,亜硝酸を酸化窒素(NO)に還元して亜硝酸を減らすために,N-ニトロソ化の阻害剤となっている。 ★ 部分の食物中にはN-ニトロソ化合物は検出されるほど存在しないが,硝酸を加えて貯蔵・製造したベーコンやチーズに加えてビールには,この20年間に減少してきてはいるものの,10から1000?g/kgのN-ニトロソ化合物が含まれている。 ★ EUでは,肉や家禽製品の製造に許されている亜硝酸源として使用する硝酸レベルは250-500 ppmであったが,最近は,ニトロソアミンの生成を抑制するために,硝酸(および硝酸と亜硝酸の和)のレベルを引き下げる傾向があり,加熱肉製品の硝酸投入レベルは150 ppmに減らせば,残留レベルを100 ppmに減らせられることが指摘されている。EUではフォアグラに50 ppmまでの硝酸ナトリウムまたはカリウム(硝酸ナトリウムとして)を使用できる。日本では肉製品に許容された残留亜硝酸は70 ppmである(「食品衛生法」の「添加物一般の使用基準」)。アメリカ農務省の「食品安全性検査局」所管の食用の肉類や家禽製品の製造に許される食品原料に関する法律のなかで,ベーコンの色付けや細菌の殺菌などのために,同時に550 ppmのアスコルビン酸ナトリウムまたはエリソルビン酸ナトリウムを同時に添加することを条件に,亜硝酸ナトリウムを120 ppm(亜硝酸カリウムなら18 ppm)を使用して良いことを規定している (FSIS§424.22 )。 ●おわりに 野菜の硝酸が人間の摂取する硝酸の主要供給源であるために,野菜の硝酸の危険性が指摘されてきている。しかし,野菜の含む各種抗酸化物質が硝酸の害作用を抑制していることが,環境保全型農業レポート「No. 300 野菜の硝酸は有毒ではないのか」とそれを補完する今回のレポートで理解いただけたであろう。問題なのは,乳児の人口乳に使用する水に高い濃度の硝酸が含まれている場合や,野菜をあまりとらずに硝酸濃度の高い肉製品などを摂取した場合である。 WHOは野菜+果実を少なくとも1日400 gとることを勧告している(Joint FAO/WHO Workshop on Fruit and Vegetables for Health (2004 : Kobe, Japan) )。ただ,日本ではなぜか,野菜の1日の摂取目標として350 gが宣伝され,400 gとなっていない。これは50gの果実分が省略されているのであろう。それはともかく,多少硝酸濃度が高い野菜でも,野菜の必要量をしっかり摂取することが,沖縄人の長寿命を支えていることを思い出す必要がある(環境保全型農業レポート「No. 299 沖縄県人の長寿命は食事からの高硝酸摂取による」を参照)。 では高窒素施肥で高硝酸濃度の野菜を生産してもかまわないのかといえば,そうではない。高窒素施肥は余剰窒素の流亡を引き起こして,水系の硝酸汚染を起こし,飲料水の汚染や水系の富栄養化を引き起こす。そして,高窒素施肥で作物の抗酸化物質レベルが低下する。こうしたマイナス側面を起こさないために,高窒素施肥はやめるべきである。 2016年6月23日 in 西尾道徳の環境保全型農業レポート.
No. 302 抗酸化物質による亜硝酸の害作用の緩和 | 西尾道徳の環境保全型農業レポート
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