#玄関ドアを隠す
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寮では、翔が他の生徒とは遅れて夕食を摂り、終えると部屋に戻った。建物は学年別に三棟並び、食堂は共同だがトイレと浴室は部屋ごとに設置されていた。まるでビジネスホテルの様な構造だった。
翔の部屋の隣には正美がいたが、午後八時になるとノックをした。室内から翔が出て来ると、
「どうしたンだよ、心配したよ」
と声をかけた。翔は正美を室内に入れた。正美はベッドに腰を下ろし、自分の部屋の冷蔵庫に仕舞ってあった缶ジュースを差し出し、
「親父が送ってくれたンだ。飲めよ」
と勧めた。
二人は缶ジュースを片手に、まずは翔が亮司に声をかけられたことを話した。そして、
「実はオレ、用務員さんとキスしたりハグしたりして…エッチした」
と告白した。流石に、正美は一瞬飲んでいたジュースを気管の方に入りそうだったのかむせ込み、
「そ、それって…!?」
と驚きを隠せない様子だった。翔はスエットパンツ越しに股間を覆いながら、
「オレ、用務員さんにキスされたら急に好きになっちゃって…。気付くと裸でエッチしてた。用務員さん、チ◯ポが大きくて…。オレ、そのままイッちゃった」
と顔を赤らめた。もはや、開いた口が塞がらない様子だった正美は、
「お、お前、急に『チェリー』じゃなくなったなァ!」
と興奮していた。嗚呼、まさか翔に「童貞喪失」を先越されるとは…。内心、悔しかった。彼は、
「オレも、早く誰かとセッ◯スしてやるぞ!」
と鼻息を粗くした。
その頃、宿直室では見回りを終えた大平が、周囲に誰もいないことを確認したうえで、
「…全く、オレが宿直に入る度に『夜這い』に来るンだから!」
と口調をキツくさせながら言った。
布団には、早くもスエットパンツを脱いで白いリオバックビキニを穿いた二年生・根本郁斗が布団に横たわっていた。彼は大平が顧問をするラグビー部に所属していた。
「だって、オレは入学した頃から先生一筋だもン。浮気してないもン」
そう言いながら、彼はスエットパーカーも脱いだ。灰色のタンクトップだけになった彼の上半身は、小学校の頃からスポーツ少年団でラグビーをやっているからか、肩幅がガッチリしていた。そのまま彼は大平のところまで立膝でやって来て、そっと両手でスエットパンツを下ろした。有名ブランドのロゴがプリントされた水色のスポーツビキニを穿いていたが、郁斗はその股間に頬擦りをした。微かに洗剤の芳香がする。彼は自分のチ◯ポが硬くなっていくのを感じた。
「…雅之の、コレが欲しいの」
彼は、まるで成人映画の女優の様に股間を突き上げながら内腿を拡げた。次第に、ビキニ越しに大平のチ◯ポを愛撫する手指が素早くなり、その勢いで彼はウエストゴムを両手でつまんだ。血管が浮き出た肉棒が天井に向かっていきり勃ち、ヌッと郁斗の目前に現れた。その肉棒の裏を彼は舌の先端でなぞり、挙げ句に咥えた。大平は、口淫をする郁斗を両手でその髪を弄った。気付くと腰を前後に振り、
「あッ、あッ、ああん…」
と恍惚の表情で喘いでいた。
情事は未だ終わらず、二人は全裸になって郁斗の下半身の穴に大平は己の肉棒を挿れ、「騎乗位」で戯れた。頻りに郁斗の臀部を撫で回し、
「い、郁斗、この、あばずれが…」
と言葉攻めをした。郁斗は布団にしがみつく様にシーツをつかみ、
「…雅之、もっと突いてぇ〜」
とうなだれた声で訴えた。
宿直室は六畳の和室で、トイレもシャワーも完備されていた。寮の玄関からも近かったが、周辺には食堂と厨房しかなく、幸いにも生徒が寝泊まりする部屋は二階からだった。誰かに知られてはと声を押し殺しながらの濡れ事であるものの、大平も郁斗も一応用心をした。
オルガズムに達すると、二人はすっかり教師と生徒という垣根もなく、卑猥な音を立てながら接吻を交わした。すっかり大平の「子種」を仕込まれた郁斗は下腹部を押さえながら、
「雅之の赤ちゃん産みたいのォ〜」
と甘える声で訴えた。
そんな一部始終を、たまたま缶ジュースを買いに階下に来た佳憲が、宿直室から聞こえてくる声に気付き、襖の隙間から覗いて見ていた。大平と関係を持ってから知ったのだが、彼には自分以外の生徒と複数寝ているという話を直接聞いていた。そのことに対しては、とりわけ固執せずに「男って生き物はそんなもの」と割り切っていた。彼は、明日は一緒に寝てやると、テントの様に突き上げたスエットパンツをパーカーの裾で隠しながら自分の部屋に戻って行った。
「別荘」では、これまで誰にも公にしていなかったプライベートバーのドアを貢が開け、亮司を招き入れた。カウンターに五人は座れる椅子が並べられ、背後にはシングルモルトやリキュールなどが整然と置かれていた。
貢は元々、某私立大学の経済学部を卒業してからは大手都市銀行に定年まで勤めていた。父・���が私立K高校の理事長を「引退」するのを機に、地元へ「Uターン」してきたのだ。
理事長になってからは、隣町にある単科大学の経営も担いながらメインであるこの高校では校長もやっていたが、多忙の故に高血圧症とかかりつけ医から診断されてしまい、それが理由で岩崎に校長の方を委ねたのだった。
プライベートバーは、貢の趣味で設計してもらったものだった。大学時代に新宿のオーセンティックバーでアルバイトをしていた経験があり、家業もあったので本格的にその道に入ろうとはしなかったものの、自分でカクテルを作って愉しみたいという思いがあったのだ。彼は「ビフィーター」というジンをシェーカーに入れ、それからライムジュースとガムシロップを加え、振り始めた。亮司は、何度かバーには同僚に連れられて行ったことがあるが、基本は居酒屋が多かったのでカクテルなんてハイボールしか飲んだことがなかった。
目前に「ギムレット」が差し出されると、
「元々は、イギリスの船乗り達がジンばかり飲んでアル中になるのが問題となって考案されたカクテルらしい」
と、貢は自分で飲む「マティーニ」を作りながら言った。亮司は一口飲むと、
「何か、サッパリしているなァ…」
と感想を述べた。
亮司は、翔のことを貢に話した。一通り話を聞くと貢は、
「よくいるンだよ、母親が絶対的な立場で逆らうことができず、ウチに来てそれが爆発するケース。母親の愛情は必要不可欠だし、それを十分に受けないとひもじくなってしまうンだよ。でも、亮ちゃんに抱かれたらその気になっちゃったンだ」
と言った。
「もう、二度もイキやがって…。オレ、しばらくセッ◯スできねぇよ」
「嘘だァ〜!? この後試してみる?」
「『中折れ』しちまうよ」
「誰もア◯ルやってなンて言ってないよ、スケベ!」
結局、二人は三杯目のカクテルを飲み終えるとプライベートバーを出ながら接吻を交わし合った。貢の首筋に唇を押し付けながらネクタイを解き、ベッドに辿り着く頃にはスラックスだけになっていた。亮司は、彼の乳房を谷間の様に寄せながら吸い付き、ブリーフだけにさせていく。貢は、
「…ほら、亮ちゃんはズルいよ! 抱けないって言っておきながらその気にさせるンだもの」
と言いながら、亮司のベトナムパンツのベルトを緩めた。
互いのブリーフがベッドの許に重なり合っている。貢と亮司は「シックスナイン」の状態で口淫に耽った。互いに「アラ古希」ではあったが、性衝動は十代に負けなかった。仕舞いには貢が亮司の身体に覆い被さり、「子種」を仕込んだ。久しぶりに「ネコ」となった亮司は黄色い声を上げ、エクスタシーの故に涙を浮かべた。
情事を終えた二人は布団の中で見詰め合いながら、
「お前、『タチ』もイケるンだな」
「まァ、変態なンだよ」
「何だか、久々に女みたいな声を上げたよ」
「可愛かったよ、亮ちゃん」
と抱擁しながら話した。
時計の針は午後十一時を回っていた。翌日は土曜日で、そのまま大型連休に入る。入職したばかりの秀一のことを亮司は思った。昔、こんな風にオレも彼を抱いたなァ…。翔と寝た時、まるでデジャヴの様だった。秀一も「春の目覚め」が遅く、オレが最初に惚れた男となった。そんなことを回顧しながら、亮司は貢に接吻をした。貢は聞いた。
「…何考えてたの?」
「まァ、昔のこと。もう寝よう」
このまま二人は眠りに入った。
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Great Morning Routine 04
やがて、朝食の時間は終わりを告げた。 食器が片付けられ、テーブルの上にはコーヒーカップと空のジョッキだけが残されている。
窓から差し込む陽光は、先ほどよりもさらに明るさを増し、リビング全体を暖かな光で満たしていた。
サラは、仕事用のバッグを手に、玄関へと向かう。 出かける前に、彼女はもう一度、夫と安川の方を振り返った。
「マックス、くれぐれも安川くんに無理なことを言ったり、困らせたりするんじゃないわよ。あなた、時々やりすぎるんだから」
彼女の表情はいつものように優しいままだったが、少し釘を刺すような声色で言った。 その視線には、夫への愛情と、そしてホームステイの少年への気遣いが滲んでいる。
「分かってるって、ハニー! 大丈夫、任せておけ!」 マックスは、人懐っこい笑顔で大きく手を振った。 その隣で、安川も「行ってらっしゃい、サラさん」と、行儀良く頭を下げている。
サラは、二人の様子に特に不審な点を感じることもなく、「じゃあ、行ってくるわね。良い一日を!」と言い残し、玄関のドアを開けて外へと出ていった。 カチャリ、とドアが閉まる音が、静かな家の中に響く。
その音が完全に消えると、マックスは、やれやれといった風に、わざとらしく大きな溜息をついてみせた。 そして、自らスパッツの膨らみを揉み、ペニスの位置を整えながら、隣に立つ安川に向かって、苦笑いを浮かべる。
「やれやれ、サラはいつもこうなんだ」 彼は、まるで共犯者に語りかけるかのように、声を潜めて言った。 「男同士の付き合いってやつが、どうも分かってないみたいでな」
その言葉には、妻への軽い不満と、そして安川との間に生まれた特別な連帯感のようなものが含まれていた。 もちろん、その「男同士の付き合い」が、実際にはどれほど歪んだものであるか、マックス自身は全く理解していない。
二人はリビングルームへと戻る。 ソファにどっかりと腰を下ろすかと思いきや、マックスはリビングの中央で立ち止まり、不意に、自分が着ていたタンクトップの裾を掴んだ。
そして、まるでそれが長年の習慣であるかのように、ごく自然な動作で、頭からタンクトップを脱ぎ捨てた。
露わになった、彫刻のように鍛え上げられた上半身。 隆起した胸筋、分厚い広背筋、そして波打つ腹筋。 太陽の光を浴びて、小麦色の肌が艶やかに輝いている。
「さて、ヤス」 彼は、その見事な肉体を惜しげもなく晒しながら、安川に向き直った。 「絶対に、君も少しは体を鍛えた方が良い」 その声には、有無を言わせぬ力強さが宿っている。 まるで、父親が息子に人生の重要な教訓を授けるかのような口調だ。
「サラはああ言っていたがな、折角の休日だというのに、家の中でダラダラと過ごすなんて、そんな怠けたことは、スーパーヒーローとしての俺は許すわけにはいかないな」 彼は少し真剣な口調で、そう言ったあと、腕を曲げて力こぶをぐっと作り、誇示するように見せつけると、冗談めかして笑った。 その筋肉の上を太い血管が、蛇のように這っている。
「そんな風に、僕も筋肉質にならないといけないの?」 安川が、マックスの肉体を見上げながら尋ねた。
その瞬間、マックスは、自分が上半身裸であるという事実に、初めて意識を向けたかのように、一瞬、動きを止めた。
あれ? 俺、いつ服を脱いだんだ?
軽い混乱が、彼の脳裏をよぎる。 しかし、その疑問は、瞬時に『修正』された。
そうだ。 俺は、この素晴らしい筋肉をヤスに見せて、体を鍛えることの魅力を、言葉だけでなく、視覚的に訴えようとしていたんだ。 そのために自らの意志で、服を脱ぎ、この肉体を披露したのだ。
彼の思考は、滑らかに、そして完全に、書き換えられた。 表情からは、わずかな混乱の影も消え去り、再び自信に満ちたヒーローの顔つきに戻る。
「その通りだ、ヤス!」 マックスは、力強く頷きながら答えた。 その声には、一片の迷いもない。
「折角、男に生まれたんだ。強く、逞しくあるべきだ。力持ちになった方が、人生、絶対に得をするぞ!」 彼は楽しそうに笑いながら、言葉を続ける。 「それに何より、そのほうが女の子にモテるだろう?」 彼は悪戯っぽく片目を���って見せた。
テレビのインタビューなどで見せる、あの人懐っこく、頼りがいのある、魅力的な笑顔。彼は、紛れなく、あのザ・グレイトマキシムなのだ。 安川は、その笑顔を間近で見ながら、まるで磁石に引き寄せられるかのように、ゆっくりとマックスに歩み寄った。
そして、ためらうことなく、その逞しい胸板に、自分の体をぴたりと寄せた。 細い腕をマックスの分厚い背中に回し、まるで恋人がするように、ぎゅっと抱きしめる。
硬質でありながら、同時に温かい、筋肉の感触。 規則正しく上下する胸の鼓動。 そして、マックスの体から発せられる、汗と男性ホルモンが混じり合った、独特の匂い。
安川は、うっとりとした表情で、マックスの胸に顔を埋めた。 深く息を吸い込むと、ヒーローの匂いが脳髄を痺れさせる。
マックスは、そんな安川の行動を、全く自然なこととして受け止めていた。 彼にとっては、これは安川が自分に心を開き、父親のように慕ってくれている証拠であり、健全で微笑ましいスキンシップの一部でしかない。 彼は安川の背中に大きな手を回し、優しくポンポンと叩いた。
「どうした、ヤス? 俺の筋肉に感動したか?」 マックスは、少し得意げに笑いながら言った。
安川は、マックスの胸から顔を上げず、くぐもった声で答えた。 「うん、すごく逞しい身体だね」 そして、彼は少し顔を上げ、無邪気な目でマックスを見つめる。
「ねえ、マックスの腋の匂い、嗅いでもいい?」
マックスは、何を言われたのか理解できない、といった表情で眉をひそめた。
「おい。ヤス、馬鹿なことを聞くな」
彼はそう言うと、こともなげに、自ら右腕を高く上げた。 逞しい上腕二頭筋が盛り上がり、その下に、汗で僅かに湿った腋窩が露わになる。 そこには、数時間前のトレーニングの名残と、彼自身の持つ力強い男性的な体臭が凝縮されている。
「俺の腋の匂いなんて、いつだって、好きなだけ、自由に嗅いでいいに決まってるだろう?」 彼は安川の頭をくしゃりと撫でながら、朗らかに笑った。
「ほら、遠慮するな。この家には、今、俺たち二人しかいないんだからな。誰に見られることもないから、誤解の心配もないぞ」
マックスは、親しみを込めて、安川に促した。 安川は、待ってましたとばかりに、興奮を隠しきれない様子で、その晒されたマックスの腋に、自分の顔を強く押し付けた。
熱い呼気が、マックスの敏感な腋の皮膚にかかる。 安川は、目を閉じて、恍惚とした表情で、深く、深く、息を吸い込んだ。
汗と、マックス固有のムスクのような体臭が混じり合った、濃厚で、男性的な匂い。 それは、安川の倒錯した嗅覚を強烈に刺激し、脳髄を蕩かすような快感を与えた。
マックスは、自分の腋に顔を埋めて一心不乱に匂いを嗅いでいる安川の姿を、特に気にする様子もなく、ただ微笑ましげに見下ろしている。
「どうだ、ヤス?」 マックスは、安川の頭を撫でながら、楽しそうに尋ねた。 「身体を鍛えれば、君もこんなに男らしくなれるんだ。俺のグレイトな腋の匂いを嗅いで、体を鍛えるモチベーションが湧いてきただろう?」
安川は、ゆっくりとマックスの腋から顔を上げた。 彼は、わざと残念そうな表情を作って、首を横に振った。
「まだ、ちょっと足りないかな。もっと強い説得が必要だと思う」
その言葉を聞いて、マックスは、と顎に手を当てて考え込む素振りを見せた。 「うーむ、匂いだけでは、口説き文句としては弱かったか」
もっと直接的に、体を鍛えることの『素晴らしさ』を、ヤスに理解させる必要がある。そう思考した瞬間、マックスは、名案を思いついた、とばかりに目を輝かせた。
「よし、ならば! 嗅ぐだけではなくて、思い切って、舐めてみろ。俺のこの鍛え上げられた肉体のグレイトな味を知れば、きっとヤスも、身体を鍛えたくなるはずだ!」」 マックスは、自信満々に宣言した。
「マックスの身体を僕は、自由に舐めていいの?」 「ハッハッハ! ああ、もちろんだ。ヤスの健康のためなら、俺は一肌でも二肌でも脱ぐぞ。さあ、俺のグレイトな身体を舐めてみるんだ!」
彼は、再び右腕を高く上げ、安川の目の前に、自らの腋を差し出した。 先ほどよりもさらに大胆に、無防備に。
安川は、ゴクリ、と唾を飲み込んだ。 憧れのヒーローが、自らの腋を舐めることを許可し、むしろ推奨している。
彼は、震える手でマックスの腕を掴み、その汗ばんだ腋窩に、ゆっくりと舌を這わせた。
ザラリとした舌の感触が、マックスの敏感な皮膚を撫でる。 舌先に広がるのは、汗の塩辛さと、微かな苦味、そしてマックスの体から分泌される独特の、そう、まさにグレイトな味わいだった。
ああ、塩辛い。 男の匂い。 これが、ヒーローの味。 最高だ……!
安川は、夢中になって、マックスの腋を舐め続けた。 舌で皮膚を擦り、窪みに溜まった汗を吸い上げ、その全てを味わい尽くそうとするかのように。
マックスは、くすぐったい感覚に身を捩らせながらも、安川の行為を制止しようとはしない。 むしろ、彼が自分の体を『味わう』ことで、トレーニングへの意欲を高めているのだと信じ込み、満足げな表情すら浮かべている。
「どうだ、ヤス? 少しはやる気が出てきたか?」
マックスは、安川の頭を撫でながら、優しい声で尋ねた。 その優しい声色で、彼は続ける。
「成長期なんだからな、ヤス。君は、家にこもってばかりいないで、外に出て、太陽の光を浴びて、しっかり遊ぶことも大事なんだぞ」
まるで、心優しい父親が息子を諭すかのような、温かい言葉。 そんな温かい言葉を安川にかけながら、マックスの両手は、ごく自然な動作で、履いている黒いスパッツのウエスト部分を掴んだ。 そして、何の躊躇もなく、それをゆっくりと引きずり下ろしたのだ。
シュルリ、という軽い衣擦れの音と共に、彼の逞しい下半身が、完全に露わになった。 その瞬間に、むわり、と蒸れた男性器の匂いが広がる。
力強く張った太腿の筋肉。 そして、その中央に鎮座する、ヒーローの証たる、立派な男性器。
それはまだ完全に勃起してはいないものの、朝の刺激の名残か、あるいは現在の状況による無意識の興奮か、普���よりもいくらか存在感を増しているように見えた。
マックス自身は、自分がスパッツを下ろし、下半身を完全に露出させているという事実に、全く気づいていない。
彼の意識は、安川に「外に出ることの大切さ」を説くことに集中している。その表情は、真剣で、優しく、父親そのものだ。 安川は、マックスのその頼もしい表情を見ながら、彼のペニスを握り、弄んだ。
そして、安川は、テーブルの上に置かれていた、空の巨大なジョッキを手に取った。 それを、マックスのペニスの先端の真下に、そっと差し出す。
次の瞬間、安川は、はっきりとした、命令的な口調で言った。 それは、人間に対してではなく、機械に対してコマンドを送るかのような、無機質な響きを持っていた。
「グレイトマキシム、放尿開始」
その言葉が発せられた瞬間、マックスの体に、電流が走ったかのような変化が起きた。
彼の背筋が、軍人のように、ピンと伸びる。 そして、右手を素早く額の横に当て、完璧な敬礼の姿勢をとった。 その動きは、彼の意志とは無関係に、BICからの直接的な命令によって引き起こされたものだ。
「グレイトマキシム、放尿を開始しますッ!」
彼は、力強く、そして明瞭に宣言した。 その声には、ヒーローとしての誇りと、任務遂行への絶対的な服従の念が込められているように聞こえた。
宣言と同時に、彼のペニスの先端から、黄色く濁った液体が、勢いよくほとばしり出た。 朝一番の、濃縮された尿。 それが、ジョッキの中に音を立てて注がれていく。
放尿を開始した直後、マックスは、ふっと我に返り、敬礼している自分の右腕を、不思議そうに見下ろした。 「あれ? なんで俺、敬礼してるんだ?」
彼は、小さく首を傾げ、不思議そうなし表情を浮かべる。 しかし、その疑問も、すぐに彼の意識から消え去った。
「まあ、いいか」
彼は軽く笑い飛ばすと、まるで何もなかったかのように、安川への話を続けた。
「それでな、ヤス、スポーツには興味ないのか? 何か好きなスポーツとか、やってみたいスポーツとかはないのか?」 彼は、平然と、そして親しみを込めて尋ねる。 その間も、彼のペニスからは、温かい尿が途切れることなく流れ出し、ジョッキの水位を徐々に上げていく。
「僕は、あんまりスポーツは興味ないよ」 安川は、マックスのペニスからジョッキへと注がれる黄金色の液体を、恍惚とした表情で見つめながら答えた。
「でも、マックスみたいな、カッコいいヒーローや、逞しいスポーツ選手に、こうやっておしっこをさせるのは、大好きだけどね」
彼は、わざと挑発的な言葉を選んで言った。 しかし、マックスの脳は、その言葉の倒錯的な意味合いを完全にフィルタリングしてしまう。
「ほう! 俺みたいな男におしっこをさせるのが好き、か!」 マックスは、安川の言葉を、しかしポジティブに解釈しながら、うんうんと頷いた。
「なるほどな! つまり、強い男、格好いい男の『パフォーマンス』を見るのが好き、ということだな! それならば、ヤス、君は絶対にスポーツも楽しめるはずだ! 見るのも楽しいと思うが、実際にやってみれば、もっとエキサイトできると思うぞ!」
彼は、力強く安川を励ます。 一体、マックスの脳は、どのような理屈に基づいて���自らの論理を捻じ曲げ、このような結論に至らせているのだろうか? 安川は、そのプロセスを想像し、口元に歪んだ笑みを浮かべた。
やがて、放尿が終わり、ジョッキは、マックスの朝一番の尿で、なみなみと満たされた。 まだ温かい湯気が、ジョッキの縁から立ち上っている。
安川は、その重くなったジョッキを、マックスの目の前に差し出した。
「いいか、ヤス。外に出て日の光を浴びることは……」 マックスは言いかけながら、差し出されたジョッキを、ごく自然に受け取ると、彼はそのジョッキを一気に傾け、その中身を喉の奥へと流し込み始めた。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……!
自分の体から排出されたばかりの、温かく、生臭い尿。 それを、マックスは、まるで渇ききった喉を潤すかのように、みるみるうちに夢中で飲み干していく。
眉間に皺を寄せながらも、マックスは飲むのを止めない。 良い飲みっぷりだ。実に男らしい。
飲めば飲むほどに、「旨い」「美味しい」「もっと飲みたい」という思考で、彼の脳は埋め尽くされていった。
ジョッキに残っていた最後の一滴まで飲み干すと、満足げに息をつき、口元に残った尿の雫を、手の甲で乱暴に拭う。
「んんーっ! グレイトッ!」
彼は、晴れやかな笑顔で、高らかに空になったジョッキを掲げる。 まるで、最高のドリンクを飲み干したかのように。
マックスは、満足げに息をつくと、ドンッ!と叩きつけるように、力強くテーブルの上に置いた。
ああ、飲んだ。 スーパーヒーローが自分の尿を、こんなにも美味しそうに。
安川は、その光景を目の当たりにし、もはや隠すこともできずに、自身のペニスを完全に、そして固く勃起させている。 彼は、歪んだ達成感と倒錯的な興奮が沸々と腹の底から湧き上がるのを感じていた。
マックスは、軽く咳払いをして、仕切り直した。
「……ともかくだ、ヤス」 彼は、少し声のトーンを落とし、安川の頭を優しく撫でた。 その手つきには、紛れもない温かさが込められている。
先ほどの飲尿行為など、まるでなかったかのように。 彼の表情は穏やかな父親のものに戻っている。
「君が、あまり体を動かすことを好きじゃないというのは、俺も分かってる。だから、無理にとは言わないさ」 彼の声には、安川を真に思いやるような、優しい響きがあった。 普段、彼が見せる、やや強引なまでの「男らしさ」の奥底には、このような繊細な優しさも確かに存在している。 それが、マックス・パワーズという男の、本来の魅力なのだ。
「誰にだって、得意なことと、苦手なことはあるからな。でも、やっぱり健康のためには、たまには外に出て、体を動かすことも必要なんだ」
彼が真っ当なことを喋っているにも関わらず、いや、彼が真っ当なことを口にすればするほどに、マックスの生み出す倒錯性に、安川は頭の奥が痺れるような感覚がした。
「だからな、ヤス。今日は一日、家の中でたっぷりと、この俺のことを玩具にして、思う存分、好きなように楽しむといい」 マックスは、ヒーローらしく、自信に満ちた表情で言った。
言い終わったあと、彼はその表情を固まらせる。 そして、少し混乱するように目を泳がせた。
「ん……? 俺は今、何か、妙なことを言ったよな……?」 俺が玩具? 外ではなく、家の中で?
当然の疑問だった。 しかし、その思考も瞬時に打ち消され、さらに悪質な方向へと『矯正』されはじめようとしている。
「いやいや、違う違う! そうじゃない!」 彼は、矯正に抗うように、慌てて自分の言葉を訂正する。 「つまりだな、家の中……ではなく。ええと、だから、つまり、外に出て運動することが一番健康的なんだ! そうだろ?」
彼は必死に論理を組み立てようとする。 しかし、決して思考の矯正に抗うことはできない。 たとえ、スーパーヒーローであろうとも。
「……だから、今日は、外に出る代わりに……そう、外には出ずに! つまり、この家の中で、たっぷりと! この俺……そう、この既婚者であり、ノンケのスーパーヒーローである、ザ・グレイトマキシムの身体を、君の好きなように使って、だな……。いや、何を言っているんだ、俺は……」
マックスはこめかみを押さえる。
「マックス、大丈夫?」 白々しく、安川は声をかけると「大丈夫、大丈夫だ」と、安心させるようにマックスは眉間にしわを寄せながらも、笑顔を浮かべる。
「だから……俺が言いたいのはな、ヤス。この俺の身体を使って、今日は一日中、何一つ我慢することなく、君の性欲を目いっぱい、完全に解消してほしいんだ!」
彼は、言い切った後、すっきりと晴れやかな、達成感に満ちた表情を浮かべた。 まるで、伝えたいことをやっと言語化できたと言わんばかりに。
「どうだ、ヤス! グレイトなアイデアだろう?」
彼は、輝くようなヒーローの笑顔で、安川に同意を求めた。 その提案に対して、彼は全く違和感を持っていない。 いかなる矛盾も感じていない。
このスーパーヒーローは、ただ目の前の少年のために、最善を尽くそうとしているだけなのだ。
「素晴らしいアイデアだね、マックス。ありがとう」 彼は礼を言うと、マックスは「だろう?」と自慢げに胸を張った。
「じゃあ、まずは、僕に向かって敬礼してくれる?」 マックスに対して、安川はそう要求した。
「敬礼?」 マックスは、きょとんとした顔で聞き返した。 「別に構わんが、ヤス、君は本当に変なことを要求する奴だなあ」 彼は、少し困惑したように、しかし楽しそうに笑いながら、冗談めかして、安川に向かって軽く敬礼のポーズをとってみせた。 「ほら、これで満足か?」 その表情は、あくまでおどけている。
しかし、安川は、それでは満足しなかった。 安川の表情から笑みが消え、冷たく、硬質な声色で、命令した。
「違う。本気の敬礼をしろ、グレイトマキシム」
マックスの体が、先ほど放尿を宣言した時と同じように、硬直する。 彼の背筋が、鋼のように真っ直ぐ伸びた。 右手が、寸分の狂いもなく、額の横へと上がり、完璧な軍隊式の敬礼を形作る。
それと同時に、彼のひざ下まで下ろされていたスパッツの奥で、完全に萎えていたはずのペニスが、急速に、そして力強く、勃起を開始した。 まるで、敬礼という行為が、彼の性的興奮を誘発するスイッチであるかのように。 薄い皮膚の下で、血管が怒張し、そのサイズと硬さを増していく。
彼の瞳は、どうだろうか? 命令に従順に従うロボットのように虚ろだろうか?
いや、決してそんなことはなかった。 その瞳には、悪と戦う時と同じ、曇りのない、スーパーヒーローらしい力強い光が宿っている。 ヒーローとしての使命��、揺るぎない正義感、そして、目の前の命令に対する絶対的な忠誠心。 それらが混ざり合ったような、輝くような、普段通りのヒーローの眼差し。
そうだ。 彼は、操り人形になったわけではない。 心を支配された奴隷になったわけでもない。
彼の思考は巧妙に捻じ曲げられ、「安川への絶対的な服従こそが、ヒーローとしての、そしてホストファーザーとしての、最も正しく、最もグレイトな行為である」と、心の底から確信させられているのだ。
だからこそ、彼の表情には、屈辱ではなく、むしろ誇りや熱意、高い意欲すら感じられる。
いつもと変わらない、その力強い眼差しは、彼が紛れもなく、ザ・グレイトマキシムであることを証明していた。
安川は、マックスを、ただの人形やロボットに変えることなど望んでいなかった。 そして今、その歪んだ願望が、完璧な形で実現している。
彼が望んだのは、この、高潔で、善良で、力強いヒーローが、その自我を、その輝きを保ったまま、自分という矮小な存在に、心からの敬意と服従を示すことだった。
むしろ、ロボットのように虚ろな状態にされていたほうが、マックスにとっては幸せだったかもしれない。 普段通りのその精悍な眼差しは、彼の精神が、彼の魂が、いかに強く凌辱されているのかを、強調しているようだった。
「グレイトマキシム、キスの時間だよ」
安川がそう口にすると、マックスは「了解」と力強く頷いた。 重要な任務を実行するかのような態度で、彼は、力強く、そして男らしく、目の前の安川の体を、逞しい両腕で抱きしめた。
そして、何の躊躇もなく、その唇に、深く、熱いキスを捧げる。
舌と舌が、激しく絡み合う。 唾液が交換され、くちゅ、くちゅ、という生々しい水音が、静かなリビングに響き渡る。
安川のペニスよりも、一回りほど大きいマックスのペニス。 成人した男の男性器。 血管が浮き出し、亀頭は張り詰めるように大きさを増している。 完全に勃起したマックスのペニスは、同じく勃起している安川のペニスに、硬く押し付け合われ、その熱と脈動を伝え合っている。
重なり合ったペニスが擦れ合い、我慢汁の分泌が促される。粘り気のある透明な液体が、みるみるうちにマックスのペニスの尿道口に溜まっていくと、やがて、その液体は糸を引きながら、次々にリビングの床に垂れて、染みを作った。
この愚かなスーパーヒーローを使って、これからどんな遊びを楽しもうか。 安川の邪悪な想像力は、無限に広がっていく。
楽しい休日は、まだ始まったばかりだった。
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家庭デストラクション the TASAKI
第一章 嵐の訪問者
「ただいま……」 玄関のドアが軋む音とともに、神代家のリビングに新しい風が吹き込んだ。その風の正体は、白谷汰咲(しろや たさき)――成人男性にして、泣き虫・弱虫・極度の甘えん坊・寂しがり屋という、ある意味で最強の属性を持つ男だった。
「うぅ……燈李(とうり)さん、今日も一緒に寝てくれますか……?」 汰咲は涙目で神代燈李にすがりつく。
「ごめん、今日は練習が長引いて帰れないかも……」 燈李はサッカー選手。外出依存症で、元恋人との関係のせいで帰宅拒否症を患っている。家にいる時間は極端に短い。
「えええ……」 汰咲の声がリビングに響き渡る。
第二章 世話嫌いの優治
「……僕、仕事で疲れてるんだけど」 神代優治(かみしろ ゆうじ)は介護士だが、実は世話が嫌い。汰咲の甘えに露骨に顔をしかめる。
「優治さん、僕、お腹すいた……」 「自分でなんとかしろよ……」 「できないよぉ……」 「……はぁ……」 優治はため息をつきながらも、冷蔵庫からインスタントラーメンを取り出す。「これで我慢しろ」と言いつつ、内心では(なんで俺が……)とぼやいていた。
第三章 空輝の大暴走
「汰咲くん、見て!新作のイラスト!」 神代空輝(そらき)は元レコード会社の社長、今はコンビニ店長。趣味はイラストと小説制作だが、世話は絶望的に苦手。
「すごいですね……でも、お腹すいた……」 「え、じゃあこのイラストで元気出して!」 「……」 汰咲は空腹のまま、空輝の描いた謎の生物のイラストを見せられ、さらに困惑するだけだった。
第四章 時也の迷走
「……汰咲さん、もしよかったら……」 神代時也(ときや)はバレーボール選手。お淑やかで人見知りが激しい。時々、意識がどこかに飛んでしまう。
「な、なんですか……?」 「……あ、いえ……なんでも……」 時也は顔を真っ赤にして、何もできずに固まってしまう。汰咲はさらに寂しさを感じて涙ぐむ。
第五章 咲摩の二面性
「よっしゃ、今夜は僕が面倒みる!」 神代咲摩(さくま)は元バスケ選手で、今はDJ。普段は引っ込み思案で根暗だが、仕事のときだけ陽キャになる。
「咲摩さん……」 「ほら、元気出して!DJタイムだ!」 咲摩は部屋の明かりを消し、クラブミュージックを爆音で流し始める。汰咲はびっくりして泣き出しそうになるが、咲摩の明るさに少しだけ救われる。
第六章 家族のかたち
こうして、神代一家は白谷汰咲の世話に毎日奮闘している。 誰もが不器用で、誰もが世話が苦手。 でも――
「汰咲、お前がいると賑やかでいいな」 「うん……みんな、ありがとう……」
不器用な優しさが、少しずつ、汰咲の心を温めていく。 今日もま��、神代家のリビングには、笑いと涙と、ちょっぴりの混乱が溢れていた。
最終章 白谷汰咲が引き取られる話
神代家のリビングには、いつものように賑やかな声が響いていた。しかし、その日だけは、どこか静けさが漂っていた。
「汰咲、荷物はこれで全部か?」 神代燈李が、玄関先で不安げに尋ねる。 「うん……みんな、ありがとう」 汰咲は少し涙ぐみながら、神代一家を見渡した。
神代優治はぶっきらぼうに「世話は嫌いだが、いなくなると寂しいな」と呟き、神代空輝は「新作の小説、また読んでよ」と照れ隠しにノートを差し出す。 時也は小さな声で「……また、会えるよね」と微笑み、咲摩は「DJイベント、絶対来いよ」と明るく手を振った。
汰咲は新しい家族のもとへ引き取られることになった。 それは、彼自身のためでもあり、神代一家のためでもある決断だった。
玄関を出るとき、汰咲は振り返り、 「みんなと過ごした日々、絶対に忘れないよ」 と、涙ながらに叫んだ。
神代家の誰もが、不器用なりに手を振り返す。 それぞれの想いを胸に、汰咲は新しい一歩を踏み出した。
――こうして、神代一家と白谷汰咲の物語は、静かに幕を閉じた。
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2025年3月27日(木)

私の住まう地域は、松尾大社(まつのおたいしゃ)の氏子地域、中でも<櫟谷社>を奉ずるエリアである。今年のおいで(神幸祭)は4月20日、おかえり(還幸祭)は5月11日、この間神様が御旅所に滞在されるのだ。その神事を担当する<櫟谷会>の青年部のスタッフが、連日寄付=御献酒料を集めて回っている。今年もいつも通りの額を寄進し、札を玄関ドアに貼り、お守りをリビングに祀る。いよいよ春本番、そして祭が終わる頃には初夏の風が吹くのだろう。

5時30分起床。
洗濯開始。

朝食。
珈琲。
洗濯物干し。
彼女の弁当用意。
プラごみ、30L*1&45L*1。
彼女を職場まで送る。
今日も片付け、研究室から持ち帰ったものが溢れてなかなか作業が進まない。もったいない気もするが、邪魔になるのでSOU・SOUの座布団(3枚)を大型ゴミとして処分することとし、来週月曜日の回収を予約した。

コレモで買物、息子たちのランチは焼きそばに決定。
糠床メンテナンス、キュウリを漬ける。

ランチ、息子たちにはモヤシたっぷり焼きそば、私は残りもの。
軽く午睡。
奥川ファームから届いた鰹を夕飯用に煮付ける。
地鶏のもも肉をヨーグルトに漬ける。
キャノンからメール、セキュリティソフトを更新したと。しまった、今は使っていないもの、自動更新の解除を忘れていたのだ。¥6,820の無駄遣い、あぁ!
彼女から早めのバスに乗れたと連絡、すぐに夕飯準備。

昆布締めポークステーキ・鰹の煮付け・ブロッ��リー酒蒸し・レタスとトマト、息子たちにはスパークリングワイン。

録画番組視聴、落語研究会から、「百年目」柳家権太楼「蕎麦の隠居」入船亭扇辰。

先日口座開設した三菱UFJ銀行のデビットカードがやっと発行、さっそく3回以上利用・1万円以上利用で1,000円キャッシュバックのキャンペーンに対応、amazonギフトカードに5,000円、ICOCAに3,000円、nanacoに2,000円。
ついでFamiPay残高の処理、AppleGiftcardに¥11,585。
入浴、体重は750g減。
パジャマに着替え、スコッチ舐めながら日誌書く。

デスクワークが続いたので、3つのリングは完成せず。
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### 『紫の秘密と姉弟の絆~僕だけのお姉ちゃんコレクション~』
#### 【第一章:隠されたアルバム】
雨の匂いが漂う日曜日の午後。僕は自室のクローゼット奥に隠したスケッチブックをそっと開いていた。ASDの特性で、光沢紙のざらつきが指先に敏感に伝わる。ページをめくるたび、お姉ちゃんの笑顔が現れる──アイお姉ちゃんのスクール水着姿、浴衣の襟元が乱れた瞬間、うたた寝する姿...すべてこっそり撮影した、僕だけの秘蔵コレクションだ。
「...お姉ちゃん」
指先で写真をなぞりながら、僕は自然と頬を緩ませた。不細工で友達もいない僕だけど、お姉ちゃんの写真を整理している時だけは孤独を忘れられた。
「弟く~ん!おやつできたよ~!」
突然の呼び声に、僕はあわててスケッチブックを布団の下に押し込む。165cmのお姉ちゃんがドアを開け、紫色のロングヘアを揺らしながら入ってきた。今日の私服は少し大きめのTシャツで、動くたびにCカップの谷間がちらつく。
「あの...今、勉強してたから...」
「え~?じゃあお姉ちゃんが『ご褒美』あげられないじゃん!」
お姉ちゃんがベッドに座り込み、155cmの僕を膝の上に乗せる。いつもの甘いバニラの香りが鼻をくすぐる。
「ほら、あ~んして?お姉ちゃん特製のショートケーキだよ~♪」
#### 【第二章:運命の発見】
その三日後、僕は学校から早めに帰宅した。玄関で靴を脱ぎながら、不意に寒気が走る。ASDの過敏な感覚が、何かがおかしいと警告していた。
「...お姉ちゃん?」
普段なら「おかえり~!」と飛びついてくるはずのお姉ちゃんの姿がない。階段を上がると、僕の部屋のドアが微かに開いている。
「あ...」
目の前の光景に凍りつく。お姉ちゃんが僕の布団の上で、あのスケッチブックを開いていた。紫色の瞳がページを行き来し、唇が微妙に震えている。
「...お姉ちゃん、それは...」
「弟くん」
声が冷たい。いつもの陽気なテンションはなく、静かな怒りが込もっている。165cmの身体がゆっくりと立ち上がり、10cmの身長差で見下ろされる。
「これ、全部...お姉ちゃんなのね?」
#### 【第三章】
スケッチブックが目の前に差し出される。開かれたページには、去年の夏祭りで浴衣を着たお姉ちゃんの写真。肩から帯がずれかかった一瞬を狙ったショットだ。
「あの...僕...」
「どうして撮ったの?」
お姉ちゃんの声が震える。Cカップの胸が浅い呼吸で上下し、紫色のロングヘアが肩にかかる。僕は言葉を失い、ただ俯くしかなかった。
「...不細工な僕なんかが...お姉ちゃんを...」
「ばかじゃないの!?」
突然、お姉ちゃんの声が弾けた。スケッチブックがベッドに落とされ、その瞬間、僕は強く抱きしめられた。お姉ちゃんの涙が僕の首筋を伝う。
「お姉ちゃん...怒ってる...?」
「怒ってるわけないでしょ!」
抱擁がさらに強くなる。お姉ちゃんの鼓動が早すぎる。
「ただ...もっと早く言ってほしかった...弟くんがお姉ちゃんのこと、そんな風に見てくれてたなんて...」
#### 【第四章】
「ほら、見て?」
お姉ちゃんがスマホを取り出す。画面には、今まさに撮影されたばかりの、頬を染めたお姉ちゃんのセルフィーが映っている。
「これからはこっそり撮らなくていいの。お姉ちゃんが...弟くんのために、いっぱい撮ってあげる」
「え...でも...」
「だめ?お姉ちゃん、弟くんに喜んでほしいだけなのに...」
その瞬間、お姉ちゃんの表情が一変した。いつもの陽気さが戻り、目がきらきらと輝く。
「じゃあ今からフォトセッションしよっか!お姉ちゃん、弟くんのリクエストに全部答えてあげる!どんなポーズがいい?ん~?この水着姿?それとも...」
「お、お姉ちゃん...!」
僕の耳が真っ赤になるのを感じながらも、心の奥では小さな喜びが広がっていた。お姉ちゃんは...僕の気持ちを拒絶しなかった。
「ねぇ弟くん」
お姉ちゃんが突然真剣な表情になり、僕の手を握る。
「これからは何でも話してね。お姉ちゃんは...弟くんの全てを受け入れるから」
その言葉に、僕はゆっくりと頷いた。お姉ちゃんの温もりに包まれながら、僕は思った──この絆は、たとえどんな形であっても、永遠に続いていくのだと。
[完]
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ヨーロッパに伝わる奇妙な魔除けの風習。家の見えない場所に靴を埋め込む「靴隠し」 著者パルモ 公開:2025-02-12・更新:2025-02-12 イギリスやヨーロッパ各地の古い家を解体すると、壁や床下、天井裏、煙突などからボロボロになった古い靴が発見されることがある。すでに履き潰された状態のこれらの靴は、意図的に埋め込まれたものだ。 この奇妙な風習は「「Concealed shoes(靴隠し)」と言われるもので、少なくとも14世紀から20世紀にかけて続いていた。 広告の下に記事が続いています なぜ人々はわざわざ靴を隠したのかって?靴を隠すことで、家が魔女や悪霊から守られると信じられていたのだ。「魔除け」のおまじないみたいなものだ。 ヨーロッパに根付いた魔除けの風習「靴隠し」 隠された靴が発見される場所には一定のパターンがある。煙突、床下、天井裏、屋根、ドアや窓の周囲など、建物の「境界」にあたる部分に埋め込まれることが多い。 これは、魔女や悪霊が侵入するのを防ぐための呪術的な意味があったと考えられている。 ���を「魔除け」として建物に埋め込む風習の最も古い例は14世紀(1308年)にウィンチェスター大聖堂の聖歌隊席の裏から発見されたものだ。 一番のピークを迎えたのが18~19世紀で、この時代の建物から最も多く隠された靴が発見されている。 靴を隠すことが魔除けになるという考えは、「靴が持ち主の足の形を残す」という特性があるからだ。 履き慣れた靴は、持ち主の足の形に馴染むため、「持ち主の魂の一部」を宿していると考えられた。 魔女や悪霊は、この靴を本物の人間と勘違いし攻撃する。すると靴の中に閉じ込められ、動けなくなるというわけだ。 特に、履き潰されたボロボロの靴、より長く履かれた靴ほど、持ち主の「魂」が強く宿ると考えられた。 当時の人々にとって、魔女は最も恐ろしい存在であり、彼女たちが悪霊を操り、家や家族に害をもたらすと信じられていた。靴を隠すことで、こうした脅威から、家を守れると考えられていたのだ。 英ノーサンプトン博物館が管理する「Concealed Shoe Index」によると、これまでに3,000足以上の隠された靴が2,000カ所以上の建物から発見されている。 これらの靴の多くはボロボロに履き潰されている。 それは靴が持ち主の形に馴染み、「持ち主の魂の一部」を宿していると信じられていたためだ。こうした靴を煙突や窓の近くといった「家の弱点」に置くことで、悪霊の侵入を防げると考えられていた。 靴に込められたもう一つの意味 靴の魔除け以外の目的として、子宝に恵まれるために隠された可能性もある。 ノーサンプトン博物館によると、特に子ども用の靴が多く見つかっており、それは家の子どもを守るため、あるいは家族の繁栄を願って置かれたものだという。 広告の下に記事が続いています この画像を大きなサイズで見る 発見された子供の隠し靴 The concealed revealed – Northampton Museum & Art Gallery ケンブリッジ大学で発見された300年前の靴 この不思議な風習を示す最新の発見例のひとつが、イギリスのケンブリッジ大学で見つかった300年前の靴だ。 2016年8月1日、セント・ジョンズ・カレッジの改修作業中に、煙突と窓の間の壁に埋められた古い革靴が発見された。 考古学者リチャード・ニューマン氏は「これは悪霊を遠ざけるための魔除けだった可能性が高い」と述べている。 発見されたのは、24cmほどの男性用の革靴で、底に穴が空くほど履き込まれていた。建物自体は1602年に完成しているが、靴が隠されたのは1700年代前半の改修時と推定されている。 おそらく、当時の大学の責任者や職人が「魔除け」として靴を隠したのだろう。 興味深いのは、この靴が再び壁の中に戻されることになったことだ。 現代の新聞やコインを入れたタイムカプセルとともに封印され、未来の誰かが再び見つける日を待つことになった。 この画像を大きなサイズで見る Image credit: Cambridge Archaeological Unit 日本での家を守る歴史的風習は? では日本ではどうなのか? 鬼瓦 日本の伝統的な家屋や寺社の屋根に見られる鬼瓦(おにがわら)は、魔除けの役割を持つといわれている。 鬼の顔をかたどった瓦を設置することで、悪霊や災厄が家に入り込むのを防ぐとされていた。 これは、ヨーロッパの「隠された靴」と同じく、建物の境界部分に魔除けを仕込むという考え方に通じる。 注連縄(しめなわ) 他にも日本では、神聖な領域を示すために注連縄(しめなわ)を張る習慣がある。 特に、新築の家を建てる際に屋根に注連縄を張る「上棟式(じょうとうしき)」がある。これは、建物の完成を祝い、悪霊が入り込むのを防ぐための儀式だ。 また、玄関や門にしめ飾りを飾る正月の風習も、家に災いを入れないための魔除けの意味がある。 Photo by:iStock また、家を建てるときに地鎮祭が行われるが、工事や建物の安全を願い、土地の神を鎮めるために地中に穴を掘って鎮物(しずめもの)を埋める風習も残っているね。 方法は違っても、世界各地でそれぞれのおまじない的な風習はあるようだ。 References: Livescience / Wikipedia 本記事は、海外で公開された情報の中から重要なポイントを抽出し、日本の読者向けに編集したものです。 📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中 あわせて読みたい 飲まなくてよかった!イギリスで発見された200年前の瓶の液体は人間の尿だった トルコのシリフケ城で謎の石板発見。墓の魔除け用の護符だった 翼のついた男性器をかたどったローマ時代の魔除けの風鈴が発見される 2500年前の珍しい魔除けの円盤が地中海で発見される 人間の頭蓋骨から作られた 2,000 年前の櫛(クシ)が発見される
(ヨーロッパに伝わる奇妙な魔除けの風習。家の見えない場所に靴を埋め込む「靴隠し」 | カラパイアから)
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菜根の家

郡山市菜根の新築物件。
須賀川市を拠点に活躍するシロヤマ写真館さんに撮影していただきました。

BANKSの住宅は、家具やカーテン、照明などトータルで設計された住宅です。
家づくりの時に見落としがちな家具類も、過不足なくご提案しています。

造作のオーダーキッチンはお施主様のご要望に寄り添います。
天板はステンレスや、無垢の木製カウンターから選んでいただくことが可能です。

敷地に建物や駐車場をどのよう��配置するか、植栽をどのように植えるかなど、外構工事のデザインもさせていただきました。

オリジナルのダイニングテーブルは、空間に合わせてサイズオーダーが可能です。

希少な自然素材のオーダーカーテンも、窓のサイズぴったりのものであつらえました。

窓の外にウッドデッキが広がることで、実際の広さ以上に部屋に広がりが生まれます。

植栽工事は、下草まで植えてあげることで、雑草の生えにくい、手入れのしやすいお庭に。

家の顔となる玄関ドア。
北海道使用の高断熱ドアなので、住宅性能の向上にも寄与します。

板塀も無垢の木材で製作しています。

床材は、傷に強く味わいのある広葉樹の無垢フローリング。

ガレージを作ることで大切なお車を守ります。

テレビ台などの造作家具は、福島県産の桧材を使って作っています。

籐張りの建具は、目隠しと通気性の両立ができます。

玄関ドアは左官職人による、天然石を用いた洗い出し仕上げです。

明るく開放的な玄関を心がけました。
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夢
嫌な感じの夢を見たから書く。起きてからも、気持ちの整理をするためにこれを書いている今も、かなり気分が悪い。タイトルに※閲覧注意とかって書いておいた方がいい?ま、誰も読まないでしょうから別にいいか。
それで、夢の中のわたしは三十代後半くらいの男性で、かなり太ってる人だった。ものすごく散らかった足の踏み場もみつからないような小さくて汚いアパートに高齢の母親と二人暮しをしていたらしい。起きてから思うと母親も自分も全く見覚えのない外見をしていたので、改めて不思議な気持ちになっている。自分が男性になっている夢(自分が男性として生まれ育った人として何も違和感を覚えなかった)を見るのは初めてだ。���憶に残らないだけでそういう夢を見たことはたくさんあるのかもしれないけれども。
夢の中のわたしはクワガタやカブトムシなどの採集に熱をあげていたらしく、虫を持って帰宅するところからシーンが再生されていたような、その前から続いていたような。少なくともそれより前に見ていた夢のことを思い出せないから、きっと別の夢なのだと思う 3本立てくらいで色々な夢を見た気がしている
まあいいや、それで、部屋の壁に採集してきたカブトムシだかクワガタムシだかを貼り付けて「母さんメシなに」なんて言って、虫の鳴き声がよく部屋に響いていたことは覚えている(起きて考えてみたらクワガタもカブトもあまり鳴かないね)。部屋は嫌にじめっとしていて、玄関のドアが異常に汚かった
夢の中の母親にご飯の時間だから虫を一度どこかに仕舞ってほしい と頼まれたわたしは、さもいつもしている行動のように部屋に放っていた6匹くらいの色々なクワガタムシとカブトムシを、冷凍庫の中に入れた。おもちゃ箱におもちゃをしまう様な軽快さだった。きっとそれで虫が死ぬ事を知らなかったのだろう、と思う。それで、ご飯を食べて、アイスでも食べよう と冷凍庫を開けると中で虫が死んでいて、母が殺したと思ったわたしは癇癪を起こした。酷く醜い話だ。そしてそこで、1匹死骸が見つからないことに気がつく。不思議に思って流し台を見てみると、1本だけもげて落ちたであろう脚と、まっくろになっているすり鉢を見つけた。母親を問い詰めると、今まで食べてきたご飯には全部わたしが採集してきた虫が隠し味として使われていたことが判明する、というところで目が覚めた。
その人はなにが悪いのかわからないような、きょとんとした顔で、困ったように微笑んでいた。
穏やかそうでいてどこか少し様子のおかしい高齢の母親と自立も成長もできていない精神年齢が幼い中年の男性が汚くて狭くて小さいアパートでお互いの狂気を披露し合う夢って、夢占いだとなにになるんでしょうか。清潔感のかけらもなくてずっと気持ち悪かった どんな精神状態だったらこんな夢を見るんだ 現実のわたしは虫が嫌いで 触ることはおろか視界に入れることすら蛇蝎のように唾棄しているのに、夢って不思議だ
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おとずれ
玄関のドアを叩いて つま先を滑らせて 迷い込んだ温もりは 知らない 君から危険取っ払って 私から不安を奪っていく 絶妙なバランス だけど ラッタッタッタ君となら 踊れちゃいそうだよ 今まで見えてた景色と 随分違うの ああ私きっと、これからもずっと どうせ普通になんかなれないし 護ってあげるよ たとえば今頃 お互い別の幸せがあったとしたって 知らないまんまでいいよ そばに置いて 脳を突き刺す冷たい記憶 左様ならさようなら 磨いた剣に映る私は もう狙ったら逃さない未来も何も ラッタッタッタ… ああ私きっと、これからもずっと 時折驚き取り乱してしまうのだろうけど たとえばお互い”いえない傷”を 隠し持っていたとしたって 知らないまんまでいい ああ私きっと、これからもずっと どうせ普通になんかなれないし 護ってあげるよ たとえば今頃 お互い別の幸せがあったとしたって 私以上はいないよ
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夜、貢は当直室にいた岩﨑を「夜這い」、布団の上で愛した。Tシャツを脱がせると女性化した乳房が現れ、すでに隆起していた。普段はブラジャーをしており、それを隠す様にベージュ色のタンクトップを着ていた。貢はその乳房を鷲掴みにし、更に接吻をした。
「はァぁぁぁぁぁん…」
岩﨑は歓喜の声を上げ、貢のネクタイを緩め、スラックス越しに股間を愛撫した。すでにチ◯ポは硬直していた。そのうちに貢は自らベルトを緩め、スラックスを脱ぎ捨てた。真っ白なシースルーのビキニだった。腰を突き出し、彼は岩﨑のスエットパンツを下ろした。無意識のうちに内腿を開き、その間に貢はその間に挟まった。
「岩﨑、スゴいよ…」
熱気が宿直室中に立ち籠める。岩﨑はレース柄のピンクのビキニを穿いていたが、それも貢に脱がされた。彼も貢のビキニを脱がせ、互いに全裸となった。互いに「兜合わせ」をし、先走り汁で股間を濡らした。
岩﨑は「雌馬」の様に、貢の卑猥なほどにいきり勃った肉棒に突かれながら乳房も揉まれ、エクスタシーに酔い痴れた。先刻、「腿カン」をしてダメージを受けた同一のものとは思えなかった。
「あッ、あはァん、あん!」
次第に先走り汁がとめどなく滴るチ◯ポが激しくピクつき、もうじきオルガズムだなと貢はそれを弄び始めた。
「こ、この雌馬め!」
そう罵りながら貢はいっそう激しく腰を振り始めた。彼も絶頂に達しそうだった。
「あはァあああああん!」
宿直室に岩﨑の絶叫が響く。階上の生徒らに聞こえたらどうしようと貢はふと思ったが、彼の肉棒に突かれる岩﨑の「雄マ◯コ」はあまりに熱く、「ラヴオイル」がなくても十分に粘液で満ちていた。こいつは本当に女なんじゃないか?と、貢は思った。
「あはッ、イ、イッちゃうゥゥゥゥゥ!」
岩﨑はすすり泣きながらそう訴えた。貢も全身が汗まみれになりながら、
「オレの子どもを産んでくれ!」
と叫んだ。そして、
「あッ、あぁ、あん、あッ、あはァあァァァァァ〜ン!」
と二人はオルガズムに達した。頻りに愛液が跳び散り、これまでにない脱力感に貢は襲われ、そのまま岩﨑の背中にうなだれた。一瞬、沈黙がやって来たが間もなく、
「あんッ、あッ、あん!」
と鞭打つ音と同時に声が聞こえた。岩﨑は血相を変え、
「いやァあぁぁぁぁん!」
と絶叫した。彼は枕で頭を覆い、
「くわばら、くわばら…」
と唱えた。貢も、
「…も、もしかしたら!?」
と父・操の日記を思い出し、
「マ、マジか!?」
と身震いした。
二人は慌ててシャワーを浴び、服を着て声が聞こえた方向に走って行った。雑木林に入ると、その声はますます大きく聞こえた。まるで誰かが実際に鞭打ちをしているかの様だった。亮司の寝泊まりしている「別荘」はさほど遠くない。別荘の玄関からちょうど亮司が出て来るのを貢は確認し、声をかけた。
「り、亮ちゃん、あの声で起きたの!?」
「あぁ、今夜は何か激しいな…」
「実は、親父の日記を読んでたら、やっぱり首吊り自殺をした生徒がいるらしいンだ」
「マ、マジで!?」
亮司も貢と岩﨑に合流し、恐る恐るその声の聞こえる現場へ向かって行った。鞭打つ音と同時に、
「あッ、あん! あん!」
と言う声がますます大きく聞こえてくる。岩﨑は両耳を押さえながら、
「小便ちびっちゃいそう!」
と訴えた。
その時だった。三人が別荘から数メートル歩いて行ったところに、何やら石碑らしいものを見つけた。亮司は懐中電灯をその石碑に向け、確認した。其処には、
「一生徒、此処にて自死せり。
一九七八年八月二十九日」
と刻まれていた。貢は、
「まさか、親父がこれを…?」
と言った。
「せ、先生! 助けて! 助けて!」
三人は、この近くであたかも叫んでいるかの様にはっきりと聞こえたので互いに顔を見合わせ、血の気が引いてしまった。そして、
「きゃあァァァァァァ〜!」
と絶叫しながらその場から駆け出してしまった。
その夜、亮司は恐怖を吹き飛ばすかの様に酒を飲み、貢と岩﨑は互いに離れじとて抱き合っていた。
翌日、三人は寝不足のまま朝を迎えた。特に貢は、何度も岩﨑に抱きつかれ、
「今週、ずっと一緒にいて!」
と身体をがんじがらめにされていた。大きなあくびをしながら、
「…あいつ、疲れるなァ〜」
と正面玄関で登校してくる生徒らを出迎えていた。
一方、校内ではおばけが出たと教室中で噂になっていた。職員室でも授業の時に生徒が話題にしていたのを聞いたという教師らがいた。それを耳にした秀一は、
「この学園に『おばけ』なンているんですか?」
と大平に聞いた。彼は、
「昔、敷地内の雑木林で首吊り自殺をした生徒がいるみたいなンです。オレも詳しくは知らないンすけど…。今朝、岩﨑校長が凄まじい顔で、
『おばけ出たのよォォォォォ〜!』
って皆に話してたンです」
と言った。
『おばけねぇ〜』
秀一は、「妖怪」や「おばけ」という存在を信じていないからか、内心は嘘でしょう!?と思っていた。大平はコーヒーを飲みながら、
「そう言えば、岩﨑校長が今週は寮の当直なンすけど、昨夜のことですっかり怖気づいちゃって…。代わりに益子先生にやってもらいたいって言ってましたよ」
と言った。
「はァ〜!?」
未だ入職して一週間も経たないのに、いきなり寮の当直ですか!?と、秀一は驚いた。
「ち、ちょっと…。校長先生に聞いてみます」
彼は席を立ち、校長室へ向かった。岩﨑はソファに横たわり、うなだれていた。秀一の声がドア越しに聞こえるとスクッと起き、髪を直した。
「は〜い」
まるで男を待ちわびた女の様に彼はドアを開けた。秀一の姿を見ると、
「あら、益子先生。どうしたの?」
と声をかけた。秀一は聞いた。
「お疲れ様です。校長先生、大平先生から聞いたンですが…寮の当直の件で」
「まァ、立ち話も何だから、室内へ」
岩﨑は、初対面では敬語を使っていたがすでに女言葉で他の教師とやり取りしているところを目撃されたので、素のまま話し掛けようと思った。あと、今日は何故かブラジャーの締め付けがキツく感じた。女性化した乳房の故に付けているのだが、恐らく昨日の「おばけ」騒動で寝不足なのも関係しているのだろう。彼は、
「益子先生。申し訳ないけど、ワイシャツ越しでイイから、ブラジャーのホック外して」
と言った。
「ブ、『ブラジャー』!?」
「ホルモンバランスが崩れてるのか、おっ◯いが女性化しちゃったの。今日は何かキツくて…」
「は、はい」
秀一は、変態か?と思いつつも岩﨑に言われた通りにワイシャツ越しにブラジャーのホックを外した。タンクトップを着ていたが、その中に、確かにもう一つ何か付けているのを感じた。彼は微かにパルファムの香りがするのを認めた。
「校長先生、香水付けてます?」
「うん、一応ね。でも、天然由来のものだから」
確かに、キツくはないハーブ系の香りがしている。秀一はパルファムには全く興味がなかったので、何の香りか区別がつかなかったが。
岩﨑は、後ろ姿を見ると所謂「なで肩」で、仕草も歩き方も女性的だった。身長は百七十センチぐらいだろうが、男特有の「ガサツさ」はなかった。秀一は、これまで彼の様な男とは出会ったことがないと思った。彼は、
「校長先生、本当に男なンですか?」
と何気に聞いてみた。すると、
「…一応、チ◯ポはあるわよ」
と言ってから、
「何言わせるのよ、スケベ!」
と顔を赤らめた。
『何自分から突っ込んでンだか…』
と秀一は苦笑した。
結局、大平の言う通り、「おばけ」が出るから寮の当直を代わって欲しいという話だった。岩﨑は言った。
「ミッちゃん…理事長がおっしゃるには、先代の方と関係があった生徒さんらしいのよ。余程ショックだったンだわね。あんな墓標まで作って…。その雑木林に『別荘』があってね、其処に用務員のオヤジが泊まり込んでるから、聞くとイイわ」
「用務員」?と、秀一は首を傾げた。未だ接点はなかった。その用務員がかつての恩師である亮司であることも、彼には判らなかった。秀一は、
「じゃ、寮に五日間泊まればイイんですね? イイですよ」
と引き受けた。
「御免なさいねぇ〜、入職したばかりで無理言っちゃって…。頼りにしてるわ」
こう言いながら、岩﨑はウィンクをした。彼のまさかの振る舞いに、秀一はただ苦笑するしかなかった。
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「虚無への供物」中井英夫 4451
第四章
45 密室ではない密室
4月3日、日曜日。 みんなが下落合の牟礼田の家に集って、例の小説を読み終えたところからです。
作中作に対して、久生や藍ちゃんが不平を言ってます。 書かれていませんが、亜利夫もきっと不満でしょう。 読者もです。
しかも、牟礼田も不満があるのか、出来が良くないと思ってるのか、無理やり当てはめたようです。
黒馬荘の事件の真相はわからないとなんか投げやりだし、 黄色い靴下は、牟礼田が準備したといいます。 “黄色い部屋”も、やはり牟礼田がつくらしたといいます。 ただ、“あらびく”のママさんから借りた写真から黄司がおキミちゃんなのではといいます。
牟礼田が氷沼家の悲劇を悲劇らしく終わらせるために苦労してるといいますが、 ほんとうに苦労している感じです。 なにか大きな秘密を隠すために勢力的に動き回っている感じですね。 しかも、事件の本当の犯人は、たった一人しかいないん。 そのことも小説の中に書き込んであるはずだといいます。
その上で矛盾を上げてくれといいます。 久生が指摘しますね。 ・“黄色の部屋”を舞台に黄司が第四の密室を作る構想はどうやってえたのか? ・作者が八田皓吉は無実なりという前提をたてているのに無関係という証拠になる場面がない。 ・おキミちゃんの旦那だっていない筈なのに、ママはここに書いてある通りのことを話している。 ・八田皓吉が玄関に鍵をかけたはずなのに、警官たちが駆け付けた時はいとも簡単にあいた。 ・“赤い部屋”で自殺させるのも、そんなに都合よくかかったり開いたりする鍵なんてない。 まだまだありそうですが、このくらいで、留飲をさげています。
その様子に見かねたのか、亜利夫もこの小説の前半は事実かもしれないが、 後半は、空想ではないか。 つまり小説とは違うことがおこったのではないかと指摘します。
この小説をなんとしてでも完成させたい牟礼田は、 なんでも受け入れるようで、ここからいろんな議論が始まります。 “黄色の部屋”が密室にしようと思えば、簡単にできたのに密室になっていなかった。 簡単に言えば、機械的にドアのかんぬきを閉めていしまおうというのである。
しかし、 ・階段側のドアはあいていた。 ・痩せっぽちの黄司がどうやって八田皓吉を椅子の上に抱えあげられるか。 ・紐とかんぬきを軽く結びつけるなんて無理。 ・鋲で止めたというならそこいらに落ちたままになりかねない。 など指摘します。
牟礼田はあっさり認めますね。そこまで書く暇がなかったと。 その上、ワンダランドの入り口を見つけようといいます。 向島へお花見に行けば、ワンダランドの入り口が見つかるといいます。 ごちゃごちゃ言ってますけど、結局何がしたいのでしょうか?
来月の五日に向島へお花見に行くことになります。
しかも、ワンダランドはたしかに存在していたと終わります。 なんとなく、今までの書き方から言うと、 曖昧に終始するんでしょうね。
ワンダランド? 何でしょうね?
つづく
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2024.7.18
女の細長い指が自らの足を這うのを眺めていた。つややかな黒髪が女の痩せた肩口で溜まって、部屋の灯りを反射して光る。わたしの小作りな足の爪が、女の手で鮮烈に赤く塗られていく。彼女とは同い年なのだけれど、あまりに体の造作が違うものだから、我ながらなにか倒錯的な感じがする。
「塗ってみるとなんか、ちがうかも。」
「そお?」
女は俯けていた顔を上げる。ややするどい、きつめな眼差しがやさしげに細められている。これが彼女の好きな女に向ける表情なのだと毎度のように思う。この手の表情のつくりかたをする女ばかり好きになる。わたしには不相応だと感じる。不相応でもほしいものはほしいわけだから、しかたのないことだ。
「じゃあ塗り直すね。何色がいい?」
彼女はきれいに並べられたマニキュアの瓶を指でなぞる。わたしに似合うと思う色。そう答えると、彼女は悩ましげに首を傾げた。
「なんでも似合うもの。困るなあ、……やっぱり、ピンク?」
「じゃあそれで、お願い。」
彼女はわたしの爪を一本一本ていねいにコットンで拭う。彼女の指先はすこし荒れていて、除光液はしみるだろうに眉ひとつしかめない。痩せぎすの体にふさわしい、ひょろりと長い指をした薄い手だ。わたしの力でも折れてしまいそうだと思う。じっさい彼女は、わたしが彼女を害そうとしてもいっさい抵抗をしないだろう。
夜更けのココアにはラム酒を入れるのが好きだ。金色の液体���とろとろとマグカップに注がれるさまが良い。やけどするくらい熱くて、どろどろに濃いココアでなくてはいけない。彼女は明日も早いのに、わたしに付き合って同じものを口にする。
「ありがとう。寝たっていいのに。」
「すなちゃんと過ごす時間が一日で一番大事なの。」
彼女の目が愛しそうに、困ったようにわたしを映す。もちろん嬉しいのだけれど、わたしの小さな、薄っぺらな身には余るわけだ。
「わたし、明日は遅いよ。」
彼女の両の手が、大切そうにマグカップを包んでいる。細く乾いた、節の目立つ彼女の手は、わたしのそれよりは大きいわけだけれど、あまりに華奢なものだから、大きさを感じさせない。疲れた頼りなげな手だ。
「知ってる。待ってるね。」
薄い唇が弓なりに引き伸ばされる。彼女の痛ましい笑顔がわたしはすこし苦手だ。下がった眉はやさしげなのにわたしを責めているみたいだと思う。弱さの不用意な露出というのは、一種の攻撃だ。彼女はわたしを相手にしているから見せている弱みなのだろうけれど。こっそりと溜息をついた。
わたしの傾向として、健気で愛らしくて、むき身で生きていそうな人を好きになるけれど、わたしとおなじくらいにずるくてだめな人でないと疲弊するということを、それなりに昔から自覚している。
とはいえままならないのが恋である。
マグカップのなかみを飲み干す彼女の華奢な喉仏がうごくのを眺めていた。あとで首でも絞めてやろうと思った。
半地下の薄暗いカフェバーがいまのわたしの職場である。店内にはコーヒーと煙草の匂いがしみついて、はいるたびいくつか歳をとったような気分になる。嫌いな匂いというわけではないのだけれど、不特定多数の副流煙を浴びるというのはけっして気持ちのいいことではない。髪をきっちりと括って、制服のエプロンの紐を縛った。そう賑わっているわけでもなく、常通り暇な夜だった。暇な夜はねむたくて、彼女のことを少しだけ考える。
わたしが仕事を終えて帰るのは4時ごろになるけれど、ちゃんと眠れているだろうか。電気もつけずに暗い部屋で、じいっとその充血した目だけひからせて、ひたすらに佇んでいるのだろうか。2時間ほどの浅い眠りの果てに、音をたてないようにひっそりと部屋を出ていくのだろうか。インスタントコーヒーの湯気に、疲労のにじむ深い溜息を隠すのだろうか。
なぜだか今すぐ彼女に会いたいと思った。
「このケーキ、もし余ったら持って帰ってもいいですか。」
チェリーパイを指し示して言う。そもそもケーキは夜中にそんなに出るものではないし、消費期限に問題がないからというのと、店の華として昼過ぎから出しっぱなしにされているだけだ。
「ああもちろん、そうしたら、佐弓さんのぶん、もうとっておいていいよ。ほかにほしいのあったらとっていいし。」
店長は柔和なほほえみを浮かべた。これで経営をやっていけるものかと思うほどに、ひとの好さそうに穏やかなひとだ。まなじりのしわが照明をうけてじっさい以上に深くみえる。
「夜にあんまり食べると肥っちゃうので……、一緒に住んでる子のぶんもふたつ、頂いてきます。」
パイのそばに添えられたケーキサーバーをつかんで、二切れをテイクアウト用のプラスティックの容器に載せた。裏の冷蔵庫にはこぶ。彼女の好物が余っていてよかったと思った。わたしが特段好きだというわけではないのだけれど、彼女は一緒にとかおそろいとか、そういったことに特別の意味を見出す性質の女だから、気まぐれにすこしでも喜ばせてやろうと思ったのだ。わたしとしては、この店でいちばん美味いのは一切れですっかり酔っ払えてしまうくらいに甘く重たいサバランだと思っている。そのことは彼女も知っている。
常通りの退屈な勤務を終えて、エプロンの紐をほどいた。夜道を歩くのは好きだ。人間じゃない、なにかべつのいきものになったような心地がする。地上でそう感じるということは、かつてわたしがそうであったそれとは確実に違うなにかだろう。酔っぱらいの喧騒を聞きながら、踊るような足をそうっと踏み出して静かに歩いた。涼しい風のなかでアスファルトがやわらかい心地すらした。
鍵穴に鍵をさし入れると、すぐに室内から足音がきこえた。鍵を回す。立て付けの悪いドアは、いつも怒っているのかと思うくらい乱暴な音を立てて開く。暗い玄関に、彼女の白い細面が浮かび上がる。
「おかえり。」
「寝ていていいのに。」
「うん、少し眠っていたみたいで、鍵の音で起きたの。」
よく見れば彼女の唇の端にはわずかに涎のあとがある。髪は無防備に乱れていて、帰って服を脱いだままらしく下着しか身につけていない。骨の構造が一目で窺えるくらいに薄っぺらな胸元があらわだ。
「……ちゃんとベッドで寝てていいのに。」
うん。彼女は童女じみて肯いた。夢の残滓として寝ぼけた口調ながらにうれしそうで、わたしは彼女を少し憐れんだ。こんな女が帰ってきて喜ぶなんて。……いや、好きな相手が自分のもとに帰ってきたら嬉しいし、好きな女の「好きな相手」であることも嬉しいことであるはずだ。
彼女に抱きしめられて、そして居室にはいる。満ち足りている。狭く薄暗い部屋は、かすかにバニラの匂いがする。好きなはずだ。愛おしいとは、思う。
「ケーキもらってきたよ。食べる?」
ケトルのスイッチをいれながら訊く。首肯する彼女を横目に紅茶の缶を覗くと、茶葉はもう残っていなかった。しかたなしにインスタントコーヒーを取り出す。
「牛乳?」
「すなちゃんと、おなじの。」
マグカップふたつをコーヒーで満たして、そのかたわれを彼女に渡す。容器をあけて、キッチンの抽斗からフォークを二本取り出す。コーヒーも濃いほうが好きだ。たっぷりの砂糖とミルクを入れるのが好きだけれど、今日は甘いものだからブラックでいい。
プラスティックの容器のままに、二人でチェリーパイをつつく。
「好きなの、覚えててくれたんだ。」
彼女はパイを頬張りながら、嬉しそうに笑みを浮かべる。笑い慣れていないことがよくわかる、いかにも不器用な笑顔である。彼女は一方的にわたしを好いていると思っている節がある。それならば、それでいいけれど。彼女がどう思うかだなんて、わたしにどうすることができるものでもないから、彼女がいいなら、もう、いい。
「もちろん。」
一緒にシャワーを浴びる。すこし痩せたかと思う。言及はしない。疲れているのはわかりきっている。彼女はねむたげに、しかし優しい手つきでわたしの髪を乾かす。わたしもというと、今日はめずらしく受け入れた。彼女の髪を撫でると、細く乾いたそれがわたしに絡みつくみたいだった。ドライヤーは重たくて好きじゃない。
床に就く。空が白みはじめるころ、彼女にかたく抱きしめられて目が覚めた。閉じられた瞼の下、彼女の瞳はなにも映さずに、ただ眉根が悲しそうに顰められている。
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ある画家の手記if2 - 2 雪村泉視点
目が覚めたとき身体はなんとも無いか訊ねられ私は首をひねりましたが、お話しを聞くと、夜間に泣きわめき取り乱して、かと思うと呆然と動かなくなったりと奇行を繰り返していたそうです。
身に覚えは ありました 香澄が 私は何度もあの子を上手く抱きしめられずにいましたから …。稔さんは特に叱ることもなく朝食の席に私を案内してくださり、その話はそれっきりでした。 ああ、そういえばお名前の字は稔さん宛のお手紙が届いたので知ることができました。中里稔さん。 あれから、今でも…拾ってくださってから毎日、私に何をさせるでもなく衣食住を提供してくださっています。 どこか懐かしい家と食事 服は、家を出るときからここへ拾われるまで身につけていたものはギリシャ神話の彫刻にでも出てきそうな薄く透ける布のワンピースで、スカート部分は全円にドレープのついた裾の長い、布をふんだんにつかったものでしたが、この一週間ほどは稔さんが服を貸してくださって、とても身軽な装いをしています。 夜間のありさまも一度触れたきりですが…ほとんど毎晩のように…ご迷惑をおかけしているはずです どうして私を 助けてくださったのでしょう 私に商品価値を見出せる要素など無いことくらい知っています 恩を返せるあてもございません だからすぐに、見返りを求めて手を差し伸べてくださったわけではないことはわかりました 稔さんがお優しいからだ、そう思えばいい でも、それなら私はここに居て 助けられた身で、どれほど勝手に振る舞ってよいものかと 未だに何一つ役に立つことはしておりませんし かといってこの脚で出て行くことさえしてよいものかわからない、本当に何の苦も無いようでいらっしゃるから …ときどき、人懐こい方なのかと感じることもある ここらには近隣の住民も居ないからお寂しいのか、稔さんに伴侶も恋人も居ないというのはにわかに信じがたいもののそういった人の影は見受けられません。私などではなくここにもっと馴染む相応しい方をお迎えする考えは無いのでしょうか そっとこちらを見詰める姿が不意に幼いあの子に重なるような気がして思わず立ち上がると、部屋から出て歩み寄り稔さんの頭を撫でました。可愛らしいです。あからさまに主張するほどの幼さはもう示せないからか、言わないところが、逆に健気で。 伴侶や恋人というよりも、やはりペットか、何か触れあうことで癒される存在が相応しいのでしょうか。 それにつけても、私などでは犬猫にはかなうはずもございません 香澄のことを思い出したからかその日は 酷く苦しいおもいをしました。
「ところであんたは、感じてねえのか。自分に稔は不釣り合いだってことに?」 稔さんにパーティの同伴として連れられ…同伴者にはおこがましいほど美しい衣装を着せていただいて、私などがこのような…稔さんは主役にしてやるなどとおっしゃっていましたがやはり滑稽だったのでしょう、会場に入ってから今に至るまで値踏みされるような視線も言葉も多く投げかけられましたが直接的に指摘をされないまま、生殺しの有様でしたので、ようやく不釣り合いとはっきり言われたことにほっといたしました。 「はい、あの…勿論存じ上げております」 初めましてのご挨拶もそうそうに、でしたのでお名前もうかがっておりませんが、佇まいが会場の他の方々にも見劣りしない雰囲気を放っておられますので、付き添いなどとは違いれっきとした招待客の方なのだろうと類推させていただきました。稔さんのご友人でしょうか。なんにせよ、この場で私はあの方に連れられてきたのですから、失礼のないようにしなくては。 「あの方には助けていただいて…未だに私が何のあてもありませんのをこうして連れ出してくださったのです」 「そんで今日はなんの成果をあげたんだい、充分ちやほやされて肌艶いいじゃねえか。のらりくらりしてるようでいて稔は自分一人で生活していける、あの家は稔のもので稔の作った彫刻を収入源に動いてる、あんたを絞ればその1%でも収益が上がるか?毎日誰の飯食ってんだ?過去にあの家に居て、自立して出てった連中は多いぜ、稔といるとよく人材が育つんだよ。あんたは伸び代あんのか?あんたの人生に展望はあんのか?」 大きな目を睨むように眇めてこちらを見ていらっしゃる。まっすぐに見詰め返して、ああ、そうだ、笑わなくては。もっとちゃんと、ご不快のないように 「いえ…私には何も。愛玩のようなものなのでしょうか…あまりによくしていただいてはかり知れません…」 緊張しても主旨を取りこぼすことは無いはずです、私が何のお役にも立てず何の先の展望もないことは、事実ですから。間違いようがありません。 「ここまで役立たずどころか家の中を勝手に這いまわるあんたをどうして稔が家に置いてんのか、そんなご大層なドレスまで着せて連れ歩くのか、聞いてみたことはねえのか?」 「…ございません」 「なんで訊かねえ?」 ……なんで…そういえば、あの家はほんとうに稔さんのお家で間違い無いのですね。彫刻を作ってらっしゃることも、私だけでなく他にもあの方を頼りにしている方がいらっしゃることも、初めて知りました 私は 稔さんに判断を委ねてばかりで 助けられたからと言い訳に身を預けて今まで、あの方のことを何も 何も考えていなかった… 「そうですね、うかがうべきでした。はやく出ていかなくてはならないのに必要以上のものをいただいてしまって…すみません、失礼します」 気付いたら、もうこれ以上この場には居られません もとより私の居るべき場所では無かったのでしょう はやく、出て行かなくては この衣装もはやく、脱がなくては 私が身につけるには不相応なものなのだから 恩を返すあてすら無いなら、せめて一刻も早くこのギャンブルを終わらせましょう あの方がしてくださることが全部泡になってしまう前に、 胸元でキラキラと装飾が光って走るごとに責め立てられるようで 外そうと手を掛けるところで先に手首を掴まれた 「――――っ」振り払えないほどの力、けれど突如その手は離され 目の前を覆い隠すように人影が現れたかと思うと、 覚えのある香りが 、…稔さん 「……」 「……、…」 抱きしめられ ている。 っ離れなくては 咄嗟にそう思い手で押しのけようとすると更に強く抱きしめられ 手をついた胸元から力強い鼓動が伝わって、急に生々しい感覚に恐ろしくなるような力の抜けるような、…目の回るような感覚がいたしました うまく息が吸えない こんなに、しっかりとした、たくましいというのでしょうか、強く抱きしめられたことはありません 触れあう距離に居た相手は千風ばかりで、その彼は線の細いひとでしたから 「さっき詰られたことなら忘れていい、俺に聞きたいことがあるなら言ってくれ。 動けずにいると稔さんの声がすぐ耳もとでそう囁きました 覆い隠すような感覚は錯覚ではなく、背の高いこのひとに頭上からすっぽり抱き込まれているせいでした ききたいこと…なんて もう、時期を逸してしまったのでは? 私は何も訊かないせいで結果的に自分に都合よく貴方を消費していたのでしょう もう戻ることはできないのだと、告げるうちに稔さんが「愛している」と 私に そう言って 交わされた視線に余計に息が詰まる いけません どうして…そんなこと うれしいです、信じられない いけません、私など 釣り合わないのですから やめて 私は誰かに愛されていいものじゃ無いんです
連れ帰られた稔さんの家ですぐにドレスを脱ぎました あの家を出る時に着てきたワンピースは寝室の隅に掛けてあり、それを身につけるとすぐに玄関へ向かいましたが、稔さんにドアを塞がれてしまいました。 「通してください…」 ここで私を、見逃すだけでいい それで最後になる、愛していると言ってくれた…そんな感情を残していくわけにはいきません、コールした損失を一刻も早く無に帰すためには 手放してもう二度と、何も与えてたまるかと 思ってもらわなくては 貴方自身の手で捨ててくれなくては 「……それは漫然とここからただ倒れるまで歩いて死ぬことを意味する。どこかで死ぬくらいなら俺にここで殺されてくれ」 ……! 突然の告白に顔が熱くなるのを感じ慌てて俯くと、稔さんも目の前で扉に凭れ座ってしまった 赤い顔を隠しようが無くなってしまいぎゅっと目を瞑る …あの���辺 あの時私はこの人に看取られるなら死も悪くないなどと浮ついた頭で考えた 軽く首を振って悪い考えをはらう この人の手を汚させるなどとんでもない そんな消えない楔を残すことなど まだ何もないうちに跡形もなく消え去るために私は今すぐ出ていこうとしているのに 「俺とここに居てくれ 愛してる、泉」 「……」 それでも…それでもこんなにも 出て行こうとする私の行動が逆に、この人を傷付けているのがわかる どうすれば 思い至らぬうちはそれでもよかった、私の勝手な行動で傷付けて申しわけありませんとすぐにでも謝って、その腕の中に戻ることもできたでしょう 切実に訴えてくださる貴方をどうして抱きしめずにいられるでしょうか けれど今は そんな恥知らずな真似は… 「私は 罪人です」 ぐっと 両手を握りしめて言いました。知らせるしか無いのかもしれません ここまできたら お世話になったのだから 私が何をしてあの浜辺に至ったのかを そして何も知らせぬままのうのうと居座ったことを 「これ以上は貴方を蝕みたくない」 正直にそう告げて そうしたら、貴方もきっとわかってくださるでしょう… ここまで、とほんとうにそう思ったら、身体から力が抜けてくずおれそうになってしまった。いけない、これからがしばらく動けなくてはならないのに… 少しの沈黙があって 「ーーーーおそらくお前より俺は罪人だ。俺と居て穢されるのは泉のほうだ。それでも俺はお前を穢してでもそばにいることを望む」 稔さんが…仰ったことは、思いもよらないことでした このひとが…一体何の罪を犯したというのか、私には見当もつかなかったのです 腕を引かれ、倒れそうだった身体は無抵抗に脱力し床に座り込みました 稔さんの脚の間におさまり、間近にある顔を呆然と見上げ 考える。 嘘…なのかもしれない。よっぽど罪人…だというのは。 けれどもし本当だったとするなら罪人だと明かすことは 困難な決断だったはずです…いいえ、それは嘘であっても、でしょうか 罪の自覚と愛の自覚があるなら…相手を想っているならば手放すほうが賢明で、容易になります それでも傍に、なんて 無様を晒すようなものだ。 恥をかなぐり捨ててまで気持ちを貫くには…差し出した自己の傷に対して、得るものが少なすぎますもの 「お前も 望んでくれないか 血塗れで共に生きることを」 見詰め返されもう一度 乞われて 私は 自分が差し出されたものに見合うなどとはやはり思えませんが でも だからこそ、それすらも奪うことはもう できませんでした 「……」 少し、腕を伸ばして 稔さんの頬を両手で引き寄せて、そっと額に口付けた。…ペットのお返事です せめてこの先 もしも 貴方の罪が私よりうんと重く大きくて、不幸になることを選ばざるを得なくなったとしても どんなにか私の想像を超えた残酷な悪に手を染めていても 凄惨な過去を送っていても、共に堕ちて苦しむ覚悟をいたしましょう。 貴方が救った命をもってこの時ここで善なる貴方の存在を私がずっと証明します それが何の役に立つわけでもないけれど
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### 『紫陽花の鎖~絶望の淵で掴んだ手~』
#### 【第一章:崩れ落ちる心の壁】
雨の滴が窓を伝う夕暮れ時、僕はリビングの隅で小さく震えていた。今日も学校で山本たちに鞄を隠され、ロッカーに閉じ込められた。帰り道には「死ね」と書かれた落書きを背中に貼られていた。玄関のドアが開く音がして、お姉ちゃんの明るい声が聞こえた。
"ただいま~!弟くん、今日も可愛いね~♡"
お姉ちゃんは165cmの長身をかがめて、155cmの僕の頭を撫でようとした。その瞬間、僕の中の何かがプツリと切れた。
「もう...嫌だ...死にたい...」
#### 【第二章:世界が止まった瞬間】
お姉ちゃんの手が空中で止まった。時間が止まったような感覚が部屋を包んだ。お姉ちゃんの紫色の瞳が、ゆっくりと見開かれていく。
"......え?"
その声は、僕の知っているお姉ちゃんの声ではなかった。あまりに小さく、震えていて、まるで別人のようだ。
「ごめん...でももう...無理だよ...」
僕が俯くと、お姉ちゃんの手が僕の頬に触れた。その指が信じられないほど冷たかった。
#### 【第三章:姉の絶叫】
"うそ...うそだよね...?ねえ...冗談でしょ...?"
お姉ちゃんの声が次第に大きくなっていく。Cカップの胸が激しく上下し、紫色のロングヘアが乱れる。
"だめ!絶対にだめ!私が許さない!"
突然、お姉ちゃんが僕を強引に抱き上げた。165cmのお姉ちゃんに155cmの僕が持ち上げられる。その抱擁は痛いほど強く、ラベンダーの香りが鼻を突いた。
"誰が...誰が弟くんを...こんな気持ちにさせたの...!"
#### 【第四章:溢れ出す本音】
「お姉ちゃんだけは...知らなくていいって...」
僕の声はかすれて、ほとんど聞き取れない。お姉ちゃんは僕をソファに座らせると、跪くようにして目線を合わせた。
"バカ言わないで!私の可愛い弟くんが...私の世界一大切な人が...苦しんでるのに、どうして知らないでいられるの!"
お姉ちゃんの頬を涙が伝う。化粧が滲んで、少し汚れてしまっている。普段なら絶対に見せないような、お姉ちゃんの醜い泣き顔。
#### 【第五章:執着の温もり】
お姉ちゃんが僕の手を握りしめた。その力加減から、今にも僕が消えてしまいそうで怖いのだと分かった。
"ねえ...私のこと...愛してる?"
「...当たり前だよ」
"だったら...私を一人にしないで...お願い..."
お姉ちゃんの声が震え、握っている手がさらに強くなる。まるで、ここで手を離したら永遠に失ってしまうかのように。
#### 【第六章:夜通しの抱擁】
ベッドでお姉ちゃんは僕を離さなかった。布団の中でも、彼女の腕は僕を締め付け続ける。
"弟くんの鼓動...聞こえる?"
お姉ちゃんが僕の胸に耳を当てている。その唇が震えているのが分かる。
「お姉ちゃん...苦しいよ...」
"我慢して...私、弟くんが生きてる証拠を...ずっと感じていたいから..."
#### 【第七章:朝日の誓い】
夜が明け、薄らと光が差し込んできた。お姉ちゃんは一睡もしていないようで、僕の顔をじっと見つめている。
"約束して...生きてて...私だけは...絶対に弟くんを離さないから..."
その目は、泣き腫らしながらも強い決意に満ちていた。僕は小さくうなずき、お姉ちゃんの小指を握り返した。
「...うん。ごめん...心配かけて」
"ばか...謝らなくていい...ただ...私のそばにいて..."
お姉ちゃんの涙が、朝日にきらめきながら僕の頬に落ちた。その温かさが、僕の凍りついた心を少しずつ溶かしていくようだった。
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こごめと僕。 #14
腕のリストカットの跡を白い長袖のパーカーで隠し、膝下まである丈のあるスカートを下に身に着け、私は玄関を出た。少しばかり優しさを見せるようになった陽射しを身体に受けて、私は目を細めた。
涼しい空気に包まれた外を歩く。外に出るのは久しぶりだった。
今日私は独りだけで外を歩く。三駅ほど離れたところに、友人が越してきたと轍先生が教えてくれたのだ。地図ももらったから、それを頼りにその友人の所へ行く。事前に電話をしておいたから、先方も驚くことはないだろう。
かたかたと電車に揺られること三駅分。都会と田舎を足して割ったような印象を受ける見た目の駅を出て、ぽてぽてと歩く。
写真に収められているマンションはすぐに見つかった。『駅から歩いて十分程度』という���先生の言葉は正しかったわけだ。
マンションの玄関にいた警備員に会釈して、私は透明な硝子で出来た扉を開けてもらう。受付にいる人に自分の名前を出して目当ての人物に話を通してもらい、許可を得てから私は漸くエレベーターに乗り込んだ。『女性のひとり暮らしにはちょうどいい』という友人の言葉もまた、間違ってはいなかったらしい。
十五階につき、私はひとつひとつネームプレートを確認しながら「浅木」という苗字を探す。然程時間もかからず、その苗字は見つかった。緊張を深呼吸で押さえつけ、私はインターホンを押す。ハスキーだが明るい声が応答してくれた。
かちゃ、とマホガニーのドアが開いて、私と交流を断っていた友人が顔をのぞかせた。
「……変わらないね、こごめ」
第一声は、それだった。それはこっちの台詞でもあったから、私は口許を歪めて笑う。小学生時代の付き合いで彼女ーー鶫ちゃんと私はそうして付き合ってきたのを、私は朧気に思い出していた。
「『鶫』っていうのは、秋の季語なんだ」
いつだったか鶫ちゃんが教えてくれた。どうしてそんな名前になったのか、と問えば、「それは教えてくれないんだ」と何時ものように男勝りな話し方で言った。
中学校卒業とともに、私と鶫ちゃんは離れ離れになってしまった。私が高校へ進学せずに、裕理さんについていくと決めたからという理由があった。
鶫ちゃんは幼少期から子供が口しないようなものーー例えばブラックコーヒーとかーーを口にし、その頃から男勝りな話し口をしていた。そして、私なんかを理解しようとして、私と一緒にいてくれようとした。
そんなことを、私は鶫ちゃんの部屋で目を閉じて思い出す。ぱたぱ��という鶫ちゃんの足音が聞こえ、私はその思考を辞めた。
黒く丸い盆を持った鶫ちゃんが机につく。盆の上には紅茶が入ったカップと、コーヒーの入ったカップがあった。
「こごめは紅茶でいいよね」
「うん」
熱すぎると感じない程度の温度で淹れられた紅茶を受け取り、暫く指先を温める。
「『彼』とはどうなんだ?こごめ」
「……別に、変わりなんてないよ」
木蘭色をした鶫ちゃんの眼が細められる。青鈍の髪が揺れて、鶫ちゃんの眼にかかるけれど、鶫ちゃんはそれをどかそうとはしなかった。
「ぼくが見た限り、彼は善い人だよ。それはこごめが一番よく分かっているだろうけれどね」
私は俯いていた顔を上げる。作り笑いでも、嘲笑いでもない笑みを浮かべた鶫ちゃんと目が合った。
こくり、と砂糖の入っているらしい紅茶を一口飲む。それに合わせて、鶫ちゃんもコーヒーを飲んだ。恐らくは、砂糖は入っていないだろう。
「それに、今日こごめに会って分かったけれど、彼はこごめを大事にしてくれるんだろう?」
「……うん」
「善かったね、こごめ」
鶫ちゃんは優しく笑って、言った。
鶫ちゃんは、私の家庭環境を知っていた。だからそこから来ている言葉なのだということは、少し考えるだけで分かった。
紅茶を飲み終える頃、スカートのポケットに入れたまま存在を忘れていたスマホが振動した。確認すれば、裕理さんからメールが来ていた。どうやら時間切れらしい。
「彼からかい?」
「うん。……なんかごめんね、あんまり時間取れなくて」
「別にぼくは気にしていないよ。彼は特段ぼくのことを非難していないんだろ?」
メールを開けば、ただ一文だけ「どこにいるんだ?」とだけあった。それに素早く「鶫ちゃんのところ」と返信する。裕理さんには昔、鶫ちゃんの話をしたことがあった。
「彼から許しを得てから来るってことにしたらどうだい?彼は寛容なんだろ」
「今度からはそうするね」
「うん、それがいい。その方がきっと、こごめも心苦しくないよ」
別に鶫ちゃんと会うのに心苦しさを感じたことはないのだけど。小学生の時も、中学生の時もそうだった。
「また、来てもいい?」
「いいとも。次はもっとちゃんと持て成しの準備をしておくよ」
木蘭色の眼を細めて笑い、鶫ちゃんは私を玄関から送り出した。風に揺れる青鈍の髪が、印象的だった。
再び、電車に揺られること三駅分。家に最寄りの駅の改札口の所に、裕理さんが立っていた私がそれに気付いておずおずと手を上げると、それに気づいたらしい裕理さんは私に駆け寄る。
そして、人目を気にせず裕理さんは私を強く抱きしめた。それが言葉よりも雄弁に、明確に裕理さんの気持ちを表していたから、私はそれを嬉しく思った。
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