#言葉のふるさとへの冒険
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quuyukadaisuki · 2 months ago
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潮風とオイスター
海洋国家都市リムサ・ロミンサは断崖の上に広がる港町だ。中央の石畳の通りを進めば、潮風に混じって香辛料や魚介の匂いが鼻をくすぐる。リムサの商魂たくましい者たちが軒を連ねる国際商店街通りがある。
左右に並ぶ露店には、色鮮やかな帆布の屋根が張られ、陽射しを和らげながらも客引きの声を反響させている。船乗りたちが好む塩漬け肉や干し魚、香草に漬け込まれたラム酒の瓶、そして見慣れぬ異国の工芸品までもが雑多に並ぶ様子は、まるで港そのものを凝縮したかのよう。それだけではなく武具に宝飾品や細工道具、服飾素材といった品を扱う店も並び、目端の利く冒険者やクラフターたちが、真剣なまなざしで商品を品定めしている。
「ほらほらそこの兄ちゃん! 朝獲れの新鮮な魚だよ! 塩焼きにすりゃ、提督様だって唸るって!」
威勢のいい魚売りの声に、子どもたちの笑い声、そして時折聞こえる酔っぱらいたちの小競り合いまで――それらすべてが、リムサの“生きている街”としての息吹を刻んでいる
潮風が吹き抜ける西国際街商通り――喧騒が入り混じった通りの一角。冒険者は防具屋の店先に立っていた。
「客のフリして、市場の価格を調べてこい……か」
手元の調査書に目を落とし、小さく息を吐く。
「いらっしゃい、うちで取り扱う商品はナルディク&ヴィメリー社謹製のまっさらな新品ですよ!!」
朗らかなルガディンの店主が胸を張った。
「中古は扱ってませんから安心してくださいね!」
棚に並んだプレートアーマーに目を走らせる。鍛えられた鋼の輝き。値札もしっかり確認。
「へぇ……質がいいな。結構な値がついてるが、悪くない」
「ええそうとも、冒険者さん! うちの品なら命が三日は延びるって評判でさぁ!」
軽口を交わしつつ、調査書に一行を走らせる。
続いて足��運んだのは、にぎやかな声が響く小さな露店。
「お客ちゃん、いらっしゃい。キョキョルン、しょーばい、たのしいっちゃ!」
キキルン族の商人、キョキョルンが手を振りながら近づいてくる。
「キョキョルン、いっぱいさーびすっちゃ! 新鮮おさかな、やっすいやっすい!」
並べられた品を見渡すと、ラノシア産の魚、野菜、干し肉に香辛料。値は……そこそこしている。
「たのしそうで何よりだな。……おっこいつは」
「買う買う? 特別、きょーだけ大サービスっちゃ!」
露店に並んでいる木箱の中の一つ。潮の香りを含んだ貝がずらりと並んでいた。厚みのある殻の奥からは、わずかにぬめりを帯びた乳白色の身がのぞいている。
「じゃあ、これをくれ」
そう言ってロズリトオイスターをいくつか購入する。これでサンレモンでもあれば生でもいいし、焼いても旨いにちがいない。良い買い物ができたとほくほく顔で最後の店へと向かう。
訪れたのは無機質な雰囲気の道具屋。カウンターの奥にいたゼーヴォルフ族のルガディンがじろりと睨む。
「いらっしゃい、と……見かけない顔だね? あんた、まさか市場調査の覆面調査員じゃないだろうね?」
ギクリとしたが、涼しい顔で返す。
「まさか。たまたま通りかかっただけさ。なにせ、うわさの店って聞いてな」
「……やめてくれよ。うちはおかしな品物なんて扱っちゃいないよ」
疑いの眼差しを感じながらも、道具と値段はしっかり確認してそそくさと立ち去る。全ての調査が終わり、指示にあった場所――通りの外れに行くと一人のルガディンがひっそりと立っていた。彼はベーンシングと名乗った。
「おや、今回はあなたが調査してくれたのかい? どれどれ、市場価格調査書を見せてくれ!」
手渡した書類に目を通しながら、ベーンシングは頷く。
「ふむふむ……あなたの報告によると、今回の価格は波風がなさそうだな。海賊による略奪品が市場に流れ込むと、市場価格が急激に下がったりするからね。こうして日ごろから価格を調べてんのさ!」
「なるほどな。意外と、こういう仕事も侮れないってことだな」
微笑みつつ、ベーンシングから受け取った報酬袋を懐にしまいながら、良いことを思い付いた。仲良くなっておいて損はない。
「ところでこいつで一杯どうだい? さっき旨そうなロズリトオイスターを仕入れてね」
「ほぅ。そりゃあいいな」
ベーンシングが懐から取り出したのは、小さな革の酒瓶だった。海の男らしく、塩気の強そうなラベルが貼られている。
「ロズリト湾のラム酒さ。香草に漬けてあってな、冷やして飲むと、これ��また魚介に合うんだ」
「へぇ、それはちょうどいい」
笑って見せると、ベーンシングも口角を上げた。
「――あっちにあるベンチでどうだい? ここから海も見えるし、潮風が肴になるってもんだ」
市場の喧騒から少し離れた一角。石造りの古びたベンチに腰を下ろすと、目の前には、断崖の下に広がるリムサの港と、碧い海がきらめいていた。
ベーンシングは器用に酒瓶の栓を抜き、小さな木製のコップを二つ取り出した。中にラム酒を注いで差し出してくる。
「乾杯、ってな」
「……調査員仕事に、乾杯」
二人のコップが軽く鳴った。潮風が香草の匂いを運び、舌にラムの甘さとスパイスの刺激が広がる。
「どうだ、悪くないだろう?」
「悪くない。……確かにこの牡蠣と相性抜群だな!」
口に運んだロズリトオイスターは、海の旨味をぎゅっと閉じ込めていた。酒の芳香が後を追って、味わい深い。
「市場ってのはな、モノとカネのやりとりだけじゃねぇ。“街の生きざま”が詰まってるんだ。だから俺たちは、こうして見張ってるのさ」
ベーンシングの言葉に、ふと騒がしい通りの景色を思い出した。売り子の声、子どもの笑い声、そして潮風――それらすべてが、リムサを形作っている。
「悪くないな……この街も、この仕事も」
「だろ?」
どこか満足げなベーンシングの横顔を見ながら、静かにもう一口、ラム酒を喉に流し込んだ。
今日も海を渡って誰かがやってくる。リムサ・ロミンサ――それは、世界と世界をつなぐ港であり、冒険のはじまりの地でもある。
(終)
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kennak · 3 months ago
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(CNN) トランプ米大統領は有権者に対し、新たな「黄金時代」に向かう過程で景気後退が起こるかもしれないとは一度も言及してこなかった。 ところが、トランプ氏が今年中の景気後退の可能性を排除するのを2度にわたって拒んだことで、10日の株式市場は急落。米国民の年金資金にも打撃を与えた。 米国を代表する株価指数「S&P500」は1カ月足らずで9%下落した。これは2期目のトランプ氏が次に何をするのか、そして何かをなし得たときに世界がどうなるかをめぐり、広がりつつある世界的な不安定さと不確実性がもたらす影響を反映している。 トランプ氏は米国の対外援助や通商、経済政策について、これまで一般的に認識されてきたあらゆることを打ち破ろうとしている。隣国に貿易戦争を仕掛け、政府職員を手当たり次第に大量解雇。ウクライナ戦争では被害者を制裁する��にまわり、80年にわたる同盟国との信頼関係を揺るがしている。 そして1週間前に行った施政方針演説でトランプ氏はこう告げた。「まだ始まったばかり��」 そう考えれば、何らかの代償を払うことになっても不思議はない。 トランプ氏の支持者たちは、同氏の破壊的で変動性が高い手法を好んでいる。しかし消費者信頼感が軟化し、雇用の伸びが鈍化し、景気後退への懸念が広がるいま、経済に最も不要なことは、大統領が不確実性をあおり立てることだ。 しかしトランプ氏は9日、FOXニュースのインタビューでバイデン前大統領から引き継いだ好調な経済が年内に景気後退に陥るかどうかを問われると、いつもの強気は影を潜め、「そんなことは予測したくない」と応じた。その後、大統領専用機内でも「誰にもわからない」と発言し追い打ちをかけた。 問題は、トランプ氏の言葉そのものよりも、「揺るぎない確信」に満ちた態度で知られる大統領がそうした発言をした点にある。 さらにFOXニュースでのやり取りで、トランプ氏の関税政策を含む各種政策が経済に「過渡期」をもたらす可能性があることを認めたことも気がかりだ。それは、短期的な痛みが迫っていること、そして食料品や住宅の高価格に疲れ果てた国がその痛みに耐えられるよう備えていることを示しているように思えるからだ。 景気後退をめぐるパニックは一時的かもしれない 回復力のある米国経済が崩壊しそうだという予測は何年にもわたり外れてきた。 新型コロナを除いて、最後の大きな景気後退は2008~09年のリーマン・ショックだった。そして、最近数週間で明らかになったいくつかの指標が景気減速の可能性を示唆しているにもかかわらず、連邦準備制度理事会(FRB)は楽観的だ。市場は数週間にわたり悪い状況が続いているが、多くのアナリストは過大評価されているために調整が入ると考えており、必ずしもより広範な経済的惨事の前兆とはなっていない。 しかしトランプ氏は、多くのことを変えようとするあまり、依然として火遊びをしている。政権は今のところ、物事を壊すことに優れたスキルを発揮しているが、同氏のもたらす混乱がいかにして迅速な繁栄につながるかを説明するのはあまり得意ではない。 一例として、トランプ氏のカナダとメキシコに対する厳しい態度、先週課した25%関税の脅し(その後の1カ月間の凍結)、そして4月初旬に予定されている友好国への相互関税が挙げられる。 ��クロポリシー・パースペクティブスの社長兼創設者であるジュリア・コロナド氏は「政策アプローチに見られるのはビジョンの欠如だ」と指摘する。 ホワイトハウス当局者は10日、市場の混乱と景気後退が迫っているとの見方を否定。また、成長の根本的な弱さはトランプ氏の指導力によるものではなく、バイデン前政権の余波によるものだと主張した。 ハセット国家経済会議(NEC)委員長はCNBCの番組で、「第1四半期はなんとかプラス圏に入り、減税の現実が認識されるにつれて第2四半期は上昇すると思う」と述べた。 ラトニック商務長官は9日、NBCの番組で、関税が急激な繁栄をもたらすと楽観的な見方を示し、「米国に景気後退は起きない」と語った。 こうした楽観的な評価はむしろおなじみのものと思われるが、バイデン政権が陥った危険な政治的わなにはまるリスクがある。それは、有権者に経済は認識しているよりも良い状態にあると告げることだ。バイデン政権の幹部が就任初期に1980年代以降最悪のインフレは単に「一時的」なものだと繰り返し主張したことは、大統領に対する国民の信頼を損ない、トランプ氏が復帰する道を開く上で重要な役割を果たした。 自身の業績を測るうえで好む指標の一つである株式市場が暴落する中、トランプ氏がカメラの前に姿を現さなかったことは注目に値する。 トランプ氏は次に何をするだろうか? 経済に対する懸念の高まりとトランプ氏の「衝撃と畏怖(いふ)」政策の影響は、同氏の次の動きについていくつかの疑問を呼び起こす。 トランプ氏は、関税政策によって米国に数十億ドルがただちにもたらされると主張し、消費者が価格上昇でその代償を支払うとする経済論理を否定した。「ラストベルト(さびついた工業地帯)」における製造業の中心の破壊につながった米国の産業基盤を回復するという同氏の目標は称賛に値する。しかし、この目標を達成するには、数十年にわたるグローバル化を逆転させる必要があるため、トランプ氏の在任期間よりもはるかに長い時間がかかることになる。このことは、経済の「過渡期」に関するトランプ氏の発言に新たな光を当てる。この政策の成果が出るまで、米国人は苦痛を味わうのだろうか。 それとも、トランプ氏はウォール街での売りが続く数日の間に、同氏らしい変動の激しさで政策を緩和するだろうか。その兆候はまだない。同氏は、FOXの番組で「株式市場を本当に監視することはできない」と警告した。さらに「中国を見れば、彼らは100年の展望を持っている。われわれは四半期だ。四半期ごとに動いている」と付け加えた。しかしトランプ氏には100時間の展望すらない。同氏は先週、市場の冷ややかな反応と共和党議員の不��を受け、メキシコとカナダへの関税を発動した翌日に凍結した。同氏が今週、新たな譲歩を見せれば、市場は落ち着くかもしれない。しかし、どこかの時点で変動の激しさ自体が定着し、景気後退の懸念が高まる可能性がある。 トランプ氏の2期目には、一つの重要な疑問がつきまとう。同氏は、長年続いた米国の正統派から危険を冒して離脱する政策を実施するために、政治的な代償を払い、多額の資金を費やす覚悟があるだろうか。トランプ氏は依然として支持基盤から忠実な支持を得ている。しかし、起業家のイーロン・マスク氏による連邦政府の解体によって共和党議員への圧力が高まったことは、共和党がトランプ氏の行動の結果から逃れられないことを示している。来年には中間選挙が控えている。 トランプ氏の大統領就任からまだわずか6週間だ。経済が安定して、市場が反応すれば、10日のパニックは一時的な下落と見なされるだろう。 しかし、深刻な瞬間が近づいているという前兆がある。 バイデン氏の実績を台無しにしたインフレの急上昇を正しく予測したサマーズ元財務長官は10日、CNNのインタビューを不吉なトーンで締めくくった。 「この困難な時期に、あなたと視聴者の皆さんの幸運を祈る」 ◇ 本稿はCNNのスティーブン・コリンソン記者による分析記事です。
米株式市場が急落、トランプ氏が招く混乱が収まらないことの表れか - CNN.co.jp
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patsatshit · 2 years ago
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先日THE WEST AGROSのMIKIさんと一緒にTHE JUSTIFIERSの復刻7インチを聴きながら、互いの近況報告とアホみたいな話、それからアホみたいな話に継ぐアホみたいな話の連続でアホみたいに大笑いした。MIKIさんとは昨年のBOBBY OROZA関連のパーティーを通じて交流が始まったんだけど、まさにきっぷの良い兄貴という感じで、いつもほんまにフレンドリーに接してくれる。日本橋R/H/BでMUSIC CAMPの宮田信さんが物販をされていた際に、数あるお宝レコードの中からMIKIさんは一枚のコンピレーションアルバムを手に取り「土井ちゃん、これめっちゃええで、これ一枚あったらDJでけるで」と言って勧めてくれて、その日のDJタイム時には「いらんいらん、俺ヘッドフォンいらんで!」というMIKIさんの大声がフロアに響き渡っていて、やっぱりこういう人がええなぁ、好きやなぁと思った次第。因みにあの日をきっかけに親交を深めた高槻のホットサンドカフェOTTO KNOTの智子さんや非営利団体S.F.Mの杉本さん、おふたりともめちゃくちゃおもしろくて、カラッとした気性がマジで心地良い。智子さんのホットサンド、杉本さんのタコス、どちらもほんまに美味しいので皆さんも機会があったら是非とも食べてみてほしい。MIKIさんたちと話していて思うのは「ええかっこしてたらアカンで」ちゅうことですわ。そして同時に「かっこ悪いこと」には敏感。これは割と重要で、逆説的でありながらも、確かに両立する。この概念を勘違いしている人が圧倒的に多いんやけど。だから僕らの会話は実際には伏せ字にせなあかんことばかり。とにかくMIKIさんは僕にとって信頼できる兄さんやということでお見知りおきください。
(THE WEST AGROSのインタビュー記事はこちら)
MIKIさんと抱腹絶倒した翌日、東京は下北沢にある日記専門店「日記屋 月日」でディレクターをしている久木さんがご来店。髪色が明るくなっていて、パッと見て印象が変わっていた。久木さんは「蟹の親子」名義で文筆活動をしていて、年内には百万年書房からの商業出版が決定している。ここまで読んで、いやいやいやいや……お前つい先日、商業出版を貶しまくっていたやんけ、舐めてんのか!と前のめりに拳を握り締めた方々、そりゃあ早計に過ぎるというもんですぜ。物事はそんなに単純じゃない。これから出版される彼女の随筆集や今後の活動を目の当たりにすれば、この微妙なニュアンスの差異に恐らく気づいてもらえると思う。わからなければハイそれまでョ。久木さんとは膝を突き合わせて互いの魂を差し出すように腹を割って話をする。そうすることでかつては言語化されることのなかったモヤっとした塊がいつの間にか血肉に変わって自分の言葉で話せるようになる。途中、全盲の落語家、桂福点さんが自身の通う作業所「お気楽島」への帰りかたがわからなくなったとタラウマラに迷い込んできて、そのままどさくさに久木さんに向かって下ネタを開陳していたのは、まるでカフカの小説が目の前で展開されているみたいでズッコケそうになった。「人は誰しもエロいものですから」と冷静に切り返していた久木さんにもズッコケそうになった。その後、福点さんは作業所のスタッフに迎えに来てもらい、無事に「お気楽島」へ。ハットの上にちょこんと乗ったトレードマークの目玉おやじがいつまでもじっとりこちらを見ていた。引き続き久木さんと色んな話をしているうちに互いのバイブルが『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』だということがわかり、ふたりともテンションがぶち上がる。
(この本と出会わなければ確実にいまはない!)
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そこから久木さんの幼少期の思い出、幼稚園の園長先生が仕組んだコロポックル神話へと紡がれたところで思わず泣きそうに……。間違いない。やはりこの人とは目線が重なる。どうしたって僕たちは誰かの用意したレールにはうまく乗ることができないが、虚実の皮膜に畳み込まれた「ほんまもんの嘘」については心から肯定したいと願っている。ドブネズミのビルドゥングスロマンとか、コロポックルから届い��手紙とか、ぬいぐるみが食べ散らかした食卓とか、聖夜にベランダに放置されたトナカイのウンコとか、そういう弱者の領域とも形容できる素朴なファンタジーを信じることができなくなったら、そこで試合終了ですよ。予定ではクリスマス前後に届けられるであろう蟹の親子の新刊を、楽しみに待とう。
(蟹の親子さんの日記はこちらでも読める)
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alldeniedpenguin · 2 years ago
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世界樹の迷宮の二次創作の設定集
設定ばっかりたまっていくけど、今日のうちに投げとくよ
・世界樹の迷宮とは?
2007年に第1作が発売された3DダンジョンRPGで、ダンジョン探索に全振りしたゲームだよ
5人で1パーティとなるキャラクターを設定し、あとは5階ごとにフロアの装飾が変わる過酷な地下迷宮をひたすら探索するゲームで、町の人や先輩冒険者との会話以外特にストーリーもないゲームだからパーティー間の会話や関係性は妄想し放題だよ
今年6月にSwitchでリメイク版が出たから購入したけど、過酷すぎて全然進まないよ
特徴はマップを自分で描く作業があることなんだけど、Switch版だとオートマッピングができるので少しハードルが低いよ
でも扉とか階段とかは自分でアイコン置かなくちゃ記録できないよ
・キャラクターの設定って?
1個の職業ごとに5種類の立ち絵が用意されていて、立ち絵に職業制限はないから、名前と職業と立ち絵を決めればいいよ
・元ネタがわかりやすすぎる
それはごめんやで
そのものずばりの名前つけてた人フォロワーにいたから私もやってみようと思って
・本文
クソ長いので次のリンクの下から行ってね
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役職:ソードマン(マンって言い方気に食わねえな、ソードマスターとか言えないのか?)
名前:メイユイ
別名:ハオラン(旧名)
年齢:18���
GI:トランス女性
身長:170cm
体重:62kg
性格 非常に好奇心が強く突拍子もないことをしたり言ったりしがちだが、基本的には泰然自若としていて、パーティーのリーダーにふさわしい器をしている。わりと平気な顔をして死地に突っ込んでいくところがあるので、旧知の仲であるクリストフとアーリフの心労は絶えない。シエロから一方的に「主人」としてみなされており、ビャッコからも「将来が楽しみネ」と言われている
個性 ごくゆるいオムニロマンティック/オムニセクシャルで男性とみなした人に恋愛/性愛的な関心を抱くことが多かったが、勇敢だが落ち着いてさわやかな人物なので、男装時代は女性との交際経験が多く、男性とはまだ交際したことがない。
特技 パーティー一の怪力でクリストフをもしのぐ火力がある。
能力・スキル 得物は斧や剣を使うことが多く、斧による高火力の攻撃が決め手となることが多い
見た目 茶色いロングヘアを後ろで三つ編みにしていて、額をすっきりと出している。細身で筋肉質。この世界で言うアジア系のルックスをしている。
生い立ち 古い武家の次男の「ハオラン」として生まれたメイユイは、武芸の稽古こそ楽しんではいたが、自分が「男」であることには強い違和感を感じていた。幼い日のこと、「君が女子だからと言って僕が手加減したらそれこそ君に失礼だろう」と神学校の同級生のアーリフに勝���を挑まれた際に言われたこの言葉で、「彼女」は自分のアイデンティティがやっとわかった。それから「彼女」の本当の自分を手にするための冒険が始まる。
背景 兄より武芸に秀でていたので家督を継げないことを惜しまれてはいたが、性別違和を形にできた後は本人は兄には悪いが安堵を覚えている。見抜いたアーリフの次に相談したのは担任であったクリストフ。クリストフに相談しながら周囲や家族に性別違和を伝え、今回の旅立ちの許可に至った。
その他 「本当の自分を取り戻す秘術」は現実世界で言う性別適合手術を魔法でやるというもの。現実の手術と同様に負担が大きいのでやはり健康な人にしかできず、費用も高額である。保険がない世界なので。
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役職:メディック
名前:アーリフ
年齢:18歳
GI:シス男性
身長:173cm
体重:65kg
性格 パーティーの中で一二を争う高い倫理観を持つストイックな人物で、困っている人を見ると放っておけない青年。それは彼が移民の女性カップルの養子であり、ゲイであることもだいぶ関係していると考えられる。けがや病気の治療にあたるメディックで腕を磨いている最中だが、治療の途中に「自分を大事にするように」と説教をしてしまいがち。
個性 自分の民族的ルーツはわからず、生まれたばかりで教会に預けられたところを移民の女性同士のカップルに育てられたシス男性のゲイで、ママたちからは無理しないでいいと言われていたが成長期の終わりとともにヴィーガンを始めた。
特技 特技は料理。ヴィーガンを達成するのに必須のスキル。得意料理はダール(豆)カレー。ってか動物性食品のコクにかわってスパイスで味に変化をつけるので大体料理が香りが強く辛い。シエロが辛いのが苦手なので料理をあまり食べてくれないのが悩み。
能力・スキル けがや病気の治療が職業で、けがをしたときは彼に頼めば回��薬を使うより効率が良い。ただ命は大事に!と説教はされる。食材探しも兼ねているので、ダンジョン内の採集も得意。
見た目 イメージは南米ルーツの白人とアフリカ系黒人のミックス。肌は薄めの褐色で髪がカーリーヘアではない。これは立ち絵の都合。これまた立ち絵の都合で重装備になっているが、「回復役が倒れてはならない」という責任感で重装備をしていることにした。実際努力家でトレーニングもしていて力も結構強いほう。
生い立ち 所得に余裕はなかったが息子にちゃんとした教育を施してやりたいと思ったママたちは彼を比較的学費の安い神学校に入れる。幼い日に神学校に入ったばかりのころにメイユイ(その頃は「ハオラン」と名乗らされていたが)にライバル宣言をしたが、その流れで「彼女」が女性であると見抜く。以降二人は親友兼ライバルになり、メイユイの「本当の自分を取り戻す」旅にまで一緒に出ることになるわけだが。
背景 この世界は結婚にかんしてあまり手続きがちゃんとしていないので同性カップルが肩身の狭い思いをすること��ないが、みんな平等に過酷な環境で生きているので、結婚のメリット自体が二人で所得を得られることと家事や育児を分担できること以外あんまりない
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役職:パラディン
名前:クリストフ
別名:神父様
年齢:40歳
GI:シス男性
身長:190cm
体重:80kg
性格 やや潔癖なきらいのある高潔な人物。もともと神父をしていた関係で神学校の教師をしていたが、教会の教義にずっと疑問を持っていたのが耐えられなくなり、聖騎士の資格を取り教会をやめた。年下からモテがちで、若い女性から迫られたら非常に慎重に対応するが、男性および男性に見える者に迫られてしまうとガードが緩くなってしまう。
個性 博識かつ逞しい偉丈夫で凛々しく堂々とした人物。教会にはずっと隠していたが、バイセクシャル/バイロマンティックで、10代のころに男性の恋人がいた。しかし教会に入るために別れることを選んでしまい、それをずっと悔やんでいる。その後女性と結婚はしたが、その時の後悔が漏れ出てしまい、長期間の話し合いの末婚姻は解消した。子供はいないが子どもの未来を守りたい気持ちがあったので神学校の教師になった。が教義を教えるのが辛くなり、クィアの生徒たちも何かを感じ取ったのか自分を頼って相談してくれるようになり、やはり教会の教義に従うことはできないと思い、今度は聖騎士としてクィアの生徒たちと旅に出ることにした。
特技 アーリフほどは凝らないが料理ができる。シエロは好き嫌いが非常に多いが、クリストフの作った料理は食べられるものが比較的多い。料理を教えるのももともと教師だったのでうまい。しかしメイユイは素晴らしい生徒だったが料理だけは教えても全然うまくならない。クリストフによると、たぶん力の加減ができていないとのこと。ゆうてクリストフも自分一人分の飯を作るときはキャベツ引き裂いたり骨を素手で砕いたりはする。
能力・スキル パーティーメンバーをかばうのが本職。立派な体格であり鍛錬も欠かさないので力もかなり強い(クリストフよりメイユイが火力があるのは彼女がとんでもない怪力だから)���簡単な回復の術も使える。
見た目 多くの人がイメージがしやすい白人の偉丈夫。背が高くがっしりとしていて、着やせしているが特に上半身が立派。髪は色が薄めの栗毛で、鼻が大きい。それゆえシエロからは「あのツラとガタイだろ?神父様はきっとアソコも立派だぜ」とド失礼なことを言われている。
生い立ち 彼自身はごく普通の家庭の出身と思ってはいるが、彼の家より苦しい状況の人はかなりいるという感じ。教会の運営に入り、教会を訪れる人と教会で働く者たちの状況があまりにも違うことに気が付きまずそこから教会への違和感を感じた。実は少年のころ今と変わらない姿のビャッコと出会っていて、世話も多少焼かれているが、本人はうっすらとしか覚えていない。
背景 この世界の教会は現実のカトリック教会に近い教義であり、やはり同性愛や妊娠中絶には厳しい。現実のカトリック教会ほど力を持っていないが、葬儀などは行うし、現実社会で言う公的機関の機能の一部も担っていて、学校などを運営していたりする。もちろん他の経営母体の学校もある。
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役職:ダークハンター
名前:シエロ
別名:自称「悪魔」
年齢:非公開
性別:人間の定義で言うとノンバイナリー(本人曰く、「悪魔が人間の性別に従うわけないだろ」)
身長:180cm
体重:65kg
性格 冒険者ギルドに来たメイユイ・アーリフ・クリストフにビャッコとともに声をかけてきた。彼女たちに声をかけ、旅の動機を聞くと、メイユイを「勇者サマ」と呼び、気に入ったから一方的についていくと宣言する。下品で乱暴で欲望に正直、人を小バカにした態度を取りがちで、この世界の常識と規範を常にバカにしくさっているが、常識を疑い規範に抗う人間への協力は惜しまないと公言している。クリストフのことをメイユイたちに倣い「神父サマ」と呼んでいて、よく「誘惑」している。
個性 「悪魔」を名乗っていて、常識や規範をかなり厳しく罵倒��るが、それは人間が自分以外の生物を搾取するようなものに対してである。本当に悪魔かどうかはわからないが、人を誘惑して重要情報を聞いたり、差別的な輩をだましてひどい目に遭わせたりするのはよくやる。「悪魔が人間の性別に従うわけないだろ」とパンセクシュアル/パンロマンティックを公言していて、自分の性別もバイナリーな表現をされると激昂する。性的に奔放だが、「器がデカい奴としか本気で寝ない」「性別気にしない奴がみんな俺みたいにすぐ誘ってくる奴ばかりじゃないのは知ってるぜ」などと言っている。器がデカい人物に惹かれると公言する通り、大物になりそうなメイユイとすでに立派な人物のクリストフが大好きなことを隠さず、愛でたり誘惑したりしている。しかし、アーリフもちょっかいをかけられており、純朴な彼はいちいちこいつの挙動に悩まされている。
特技 戦闘上では搦手を得意としており、得物は鞭が基本、剣も使える。鞭により対象の動きを制限したり状態異常にしたりといった搦手でじわじわといたぶるのを好む。実は鞭の必殺技が設定上すべてのスキルの中で最も火力が高く、その名も「エクスタシー」。
能力・スキル 戦闘以外では情報集めが得意で、町で単独行動した後に情報を持ち帰ってくるが、どうやらワンナイトでの「遊び」も兼ねている様子。ただ、基本的にその時にターゲットにしているのは一流の冒険者や組織で権力がある者である。「器がデカい奴としか寝ない」と言っているが、大人に寛容な対応をしてもらうとそういう形で「お礼」をしてしまおうとしがちであり、過去の厳しい経験があるだろうと推測されている。
見た目 ボサボサの銀髪にアーリフよりだいぶ濃い褐色の肌で、瞳は黄色っぽい。悪魔の力を使うときに瞳孔が横になりヤギっぽい目になる。普段は男性表象寄りで素肌にファーのついた上着を着ているという暑いんだか寒いんだかわからない格好をしている。腹筋が割れているのは痩せ気味のせい。外見年齢は20代半ば。悪魔の力で少し見た目を変えることができるらしいが、「続きはベッドで教えてやるよ♡」とのこと。
生い立ち 「悪魔」を名乗るまでの経歴は秘匿されているが、最初は人間として生まれ、幼いころはかなり厳しい環境で育ったらしい。絶望に沈みすべてを呪っていたらある日「悪魔」が現れて契約をして力を手に入れたとのこと。「悪魔」としての考え方はそいつから学んだらしく、「悪魔ってのは人間の欲望を肯定することで生まれた存在だから、基本的には人間の味方なんだぜ、だから悪魔はルールを押し付けて罰したりしないだろ?だから俺も悪魔らしく『人間』の誇りを取り戻そうとしてる勇者サマについていくわけだ」と言っている。自身の性別に関しては悪魔と契約する前からもともと男女二極でとらえてほしくないと感じていた。
背景 舞台となるエトリアは小さい街で迷宮探索目的の冒険者でにぎわっていて今は景気がいいが、エトリア以外の集落は規模や治安も様々で、格差の状況も様々。シエロは大きい城塞都市の非常に治安の悪い地区の生まれで特に格差が目立つところの浮浪児だった。過去の王の失政により大量の失職者、家を失った者、親に捨てられた子供たちが生まれていて、シエロは親も知らずそこで育った。シエロがエトリアの話を聞いたのは、悪魔と契約した後に誘惑したエトリア帰りの冒険者の寝物語が初めてだった。エトリアの情報を集めていくうちに、シエロの中で「悪魔がこんなところでくすぶっていてはいけない」という思いが大きくなり、拠点を���トリアに移し、自分が従うにふさわしい人間を狙うことにしたのだった。
その他 パーティーで一番の小食なので、メイユイと外食(ってかデート)した際にお互いに大盛と小盛を頼んであとで交換しましょうかと言われたが、「いや、そのままで行こうぜ、人目なんか気にするのは俺達らしくないだろ」とそのままメイユイは大盛を頼み、シエロは小盛を頼んだ。
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役職:アルケミスト
名前:ビャッコ
別名:彼女の出身国での表記は「白狐」
年齢:???
性別:シス女性(人間ではない)
身長:172cm
体重:非公開
性格 シエロとペアを組んでメイユイたちに声をかけてきたアルケミスト。メイユイのことを気に入り「勇者ちゃん」と呼び、シエロと同時に彼女たちについていくことを表明する。大柄な中年男性のクリストフのことをなぜか「クリスくん」と呼ぶ。シエロと結構長いこと組んでいて、頻回に寝てもいるが、全然特別な感情はなく、大体の人間を変なあだ名で呼ぶ彼女だがシエロのことは「シエロ君」と変なあだ名もつけずに呼ぶ。
個性 はるか昔に遠い島国から移り住んできた「妖(あやかし)」で、狐の姿を持っている。アロロマンティック/アロセクシュアルのレズビアンで、メイユイがこれから施術を受けようとしているトランス女性であることも理解したうえでメイユイのことを愛しているが、年の差がありすぎるので一歩引いている。先に書いたように人外となったシエロとは冒険上��バディ兼欲望をぶつけ合うパートナーだが、回復ができる仲間がおらず、痛みを伴う激しいプレイができずにいた。
特技 博覧強記であり、速読でありながら読んだ内容も人間とはかけ離れたレベルで記憶できる。クリストフも人間としてはインテリではあるがそれとはレベルが違う。また食べる量が自由にコントロールでき、食料に困ったときは食べなくても生きられる。しかし本当はたくさん食べるのが好き。
能力・スキル この世界には錬金術があり、それを活用して属性攻撃を行うのがアルケミストであるが、妖術を得意としていたビャッコの能力が解析された結果もそれに等しいものである。特に火属性の妖術に長けている。
見た目 金色のストレートヘアと涼やかな一重の目元の妙齢の女性の姿をしている。とんでもない長い時間生きていて見た目が変わらないので住むところを転々としていたが、冒険者はその状況にあっていてやりやすいようだ。エトリアでよくみられるアルケミストの服装に合わせて、両手に仰々しい籠手を付けている。
生い立ち はるか昔から人の営みを見守ってきていて、実は世界樹の成立を知って興味を惹かれてエトリアの近辺に移り住み、世界樹についてずっと調査を続けている。世界樹が広がるときに多くの人間が犠牲になったのを悼み、その弔いのつもりで何回も世界樹の迷宮に挑んだが、そのたびに人間の仲間を失ってきた。やっと出会えた人間ではない仲間はずいぶん変な奴だが、そいつと今も一緒にいる理由は、そいつの信念に沿った人間こそがこの状況を打破してくれると信じられたから。
背景 ビャッコは途方もない長い時間世界樹の研究を続けているのだが、何せ彼女も社会的な状況もあって正体を明かすことができないので、せめて何世代も続けて書いてきたというていで世界樹の秘密を書物にしたいと考えている。実は幼いころのクリストフに勉学の楽しさを教えたのはビャッコ。姿を変えてないのがバレるとまずいのでクリストフの記憶をいじってその辺をあいまいにしている。
役職:レンジャー
名前:シータ
年齢:35歳
性別:シス女性
身長:158cm
体重:「なんで聞くのよ…」
性格 シータはエトリアから離れた川のそばの大きな国で夫とともに戦士として国に仕えていた。しかし、夫は獣討伐の任務の際に命を落としてしまう。夫に先立たれた際にその国の風習により夫を火葬する火の中に飛び込むことを強制されたが、幼い娘を連れて逃げてエトリアまでやってきた。普段は戦士としての冷徹さがありながらも男尊女卑が厳しい国で抑圧されてきたため遠慮がちであるが、いざとなったら上記のことをやり遂げるほどの胆力がある。
個性 夫のことは当時は好きなはずと思っていたが、国を出たことでその国に凝り固まった価値観を知り、それゆえに夫すらも視野が狭かったと思っている。実は誰にも言っていないが夫の前に交際していた男性が何人かいる。国の法律でばれたら拷問されるからずっと隠してはいたが。冒険者になったのは娘の養育費用のためで、自分が夫の後を追えば娘の生活を保障してやると国に言われてはいたが、自分に対してそのような扱いをする国のことが信用できなかった。娘には自分のように強制された職業ではなく好きなことをやらせてやりたいと思っている。
特技 非常に高い視力を持っている弓の名手。弓の名手であることが知られたがゆえに王宮に連れてこられ、そこで夫となる若い兵士と出会った。我慢強く育てられていて、食事にこだわりもないので長期間の野営もお手の物。こだわりがないゆえに別に料理上手というわけではないが、毎日毎日毎日毎日食事を作ることに苦痛を感じない。こだわりがなく自分と家族の生存に必要な作業としかとらえていないので。
能力・スキル 弓は命中率が相当高く、とどめの他足止めにも使える。また野営が得意なので迷宮内での素材集めも得意。
見た目 あまりカールしていない黒髪と褐色肌で割と肌が出た衣服をまとっている。エトリアではバード(吟遊詩人)のような衣服ととられやすい。肌が出た衣服は国の戦士だった頃から来ていた。任務に出ていない時は国でつけていた金属製の飾りをよく装着している。
生い立ち 河のそばの国の小さい村の出身で、その村出身の革命家となる父の指導で戦闘訓練が行われていた。その中で弓の才能が見いだされたのがシータである。父らの激しい戦いで祖国は植民地化を免れたが、父はその戦いで犠牲になってしまった。父が守ってくれた祖国に尽くすことこそが自分の生きる道と思ったが、子を迎え、夫の死後の自分や子供に対する国の扱いのひどさを知り、これからは自分と娘のために生きようと思った。それから彼女の人生が新たに始まったのだった。
背景 元ネタはRRRが入っていてそこは大丈夫なのか心配になる。
今いるキャラはこのくらいで、今のところシータさん以外で旅しています。シータさんは採集パにしたほうがいいかもしれませんが、彼女は戦士なので、戦いたいかもしれません。
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jinsei-pika-pika · 2 years ago
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「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと
 宮崎駿監督の10年ぶりとなる長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」が、7月14日から全国で公開される。吉野源三郎の同名の著書とはまったく違うストーリーが展開されるという以外、詳細は伏せられたままだ。とある縁で宮崎監督に面会した筆者が、新作について監督が語っていた言葉や、鑑賞して感じたことなどを振り返った。(文:吉野太一郎)
「私自身、訳が分からない」  「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。
 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。
 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。
 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。
「自分のことをやるしかない」  今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関係者向けの試写も一切ないまま公開日を迎えた。異例の態勢の中、内容は無論、見たことすら口外無用のキャスト・スタッフ向け試写に、なぜ私と両親が呼ばれたのかといえば、父が『君たちはどう生きるか』の著者・吉野源三郎の長男で、私が孫にあたるからだ。
 その5年ほど前の2017年11月、父と私は東京・小金井のスタジオジブリに招かれ、宮崎監督と対面していた。さらにさかのぼること半月ほど前、とあるイベントで宮崎監督が突然、次回作のタイトルが「君たちはどう生きるか」だと明らかにし、ニュースなどで話題になっていた。親族としては寝耳に水だったのでかなり驚いたのだが、宮崎監督は「うっかり喋ってしまいました」と詫びた上で、作品について語り始めた。
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2017年11月、次回新作について父に話す宮崎駿監督。手元に、古びた吉野源三郎作『君たちはどう生きるか』が置かれていた=吉野太一郎撮影  小学生のとき、教科書に載っていた『君たちはどう生きるか』の冒頭部分に強い印象を受けたという宮崎監督は、年季の入った同書をスタジオに持参していた。若い制作スタッフにも読むよう勧めたところ「この本はまだ生きているね」と好評だったといい、作品のタイトルを決める段になって、一人が「『君たちはどう生きるか』がいい」と提案したのだという。制作は当時まだ始まったばかりだったが、映画の序盤とラストシーンにこの本が登場することも、宮崎監督は既に決めていた。
 宮崎監督によれば、引退宣言を撤回して臨んだ今回の作品は「ずっと自分が避けてきたこと、自分のことをやるしかない」という思いだったそうだ。「陽気で明るくて前向きな少年像(の作品)は何本か作りましたけど、本当は違うんじゃないか。自分自身が実にうじうじとしていた人間だったから、少年っていうのは、もっと生臭い、いろんなものが渦巻いているのではないかという思いがずっとあった」
 「僕らは葛藤の中で生きていくんだってこと、それをおおっぴらにしちゃおう。走るのも遅いし、人に言えない恥ずかしいことも内面にいっぱい抱えている、そういう主人公を作ってみようと思ったんです。身体を発揮して力いっぱい乗り越えていったとき、ようやくそういう問題を受け入れる自分ができあがるんじゃないか」
 時は太平洋戦争中の1944年、東京を襲った空襲で入院中の母を亡くし、父が経営する戦闘機工場とともに、一家は郊外へ疎開する。出迎えたのは父の再婚相手となった母の妹。お腹に新たな命が宿っている新しい母を、眞人は受け入れられず、転校先でも孤立する。そんなある日、疎開先の屋敷で眞人は偶然、1冊の本を見つける。
 屋敷の庭の森には、廃屋となった洋館が建っている。眞人の母の「大おじ」にあたる伝説の人物が建てたという。やがて眞人の前に「母君があなたの助けを待っている。死んでなんかいませんよ」��人間の言葉を喋る青サギが現れ、導かれるように、眞人は洋館の中へと進んでいく――。
 ここから先は「宮崎アニメの集大成」のような不思議ワールドの冒険が描かれるのだが、少年の成長というテーマが共通するからか、宮崎監督が吉野作『君たちはどう生きるか』を再解釈したのではないかと思わせる場面も登場する。
 『君たちは~』の主人公「コペル君」こと本田潤一少年は父親を亡くしており、親代わりでもある「叔父さん」との会話や交換ノートを通じて成長していく。映画の中で交わされる眞人と大おじの対話は、コペル君と叔父さんの対話を思い起こさせる。大おじが眞人に伝える「お前の手で争いのない世を作れ」という言葉は、戦中生まれの宮崎監督が次世代に託すストレートなメッセージだろう。
 そういえば中盤に登場する「ワラワラ」というキャラクターは、宮崎監督が小学校時代に読んだ『君たちは~』の冒頭部分に登場する、銀座のデパートの屋上からコペル君が眺めた群衆にも見える。ではあの場面は、この場面は……次々と出現する謎めいた仕掛けに、まったく分析が追いつかないまま、2時間4分はあっという間に過ぎる。
祖父・吉野源三郎と私  試写からの帰り道、ふと思った。眞人少年が、遥か世代の離れた大おじと対話したように、私も今、祖父と直接対話できたら、どんな言葉を交わすだろうか。
1978年5月、祖父母宅で私の誕生祝いをした時の写真らしい。右から当時5歳の私、弟、祖父・吉野源三郎、祖母  私が小学校に入る前、祖父は2軒隣に住んでいて、訪ねて行くと絵本を読んでくれたり、似顔絵を描いてくれたりと、孫の私をかわいがってくれた。既に80近い高齢で、およそ3回に1回は床に伏せっていて「今日は具合が悪いからごめんね」と追い返されたが、やがて入退院を繰り返すようになり、近づくこともできなくなった。肺や喉の疾患が悪化し、最期は話すこともできなくなった祖父は、私が小学校2年のとき、82歳で死去した。
 祖父は戦前、陸軍を除隊後に治安維持法違反に問われて投獄され、軍法会議にかけられたが九死に一生を得た。釈放後に作家・山本有三の少年少女向け書籍編集を手伝う中で執筆した1冊が『君たちはどう生きるか』だった。戦後は岩波書店の雑誌「世界」の初代編集長などを務め、父には「反骨の背筋は伸びているか」「謙虚に堂々と」など、言論人の心構えを折に触れて説いていたというが、もちろん私は祖父から壮絶な半生を聞いたり、薫陶を受けたりしたことはない。
 祖父の死後も『君たちは~』は岩波文庫に収録され、多くの人に読み継がれてきた。誇らしくもありつつ「偉大なお爺さ��をお持ちで」などと言われるのがやや重荷でもあり、積極的には明かしてこなかったが、新聞記者やウェブ編集者になってから時折、祖父の残した他の著作を読み返すようになった。『職業としての編集者』(岩波新書)に収録された、戦前戦後の混乱を経て「世界」を創刊した回想録などは、親族が登場することもあって他人事とは読めず、時代が変わっても守るべき価値や教訓があることを教えてくれる。著作を読むという限定的な形ながら、これも祖父と交わす一種の対話なのかもしれない。
包装紙の裏に祖父が描いた父と私(中央)、弟。鉛筆でサラサラと似顔絵を描くのが上手だった。  『君たちは~』は2017年に漫画化され、21世紀らしい出で立ちで再び現れた。そして約6年の制作期間を経て、別作品とはいえ、宮崎駿監督の同名の映画が公開された。この間の出来事は「やさしいおじいちゃん」しか覚えていない孫に、祖父が思いがけない贈り物を届けてくれたようでもある。どこかでずっと、孫の私を見守ってくれているのではないか。そして何かを問い続けているのではないか。眞人を見守る「大おじ」のように。将来の息子に1冊の本を託した眞人の母のように。
 その問いかけにどう答えるか。つまり私は、どう生きるか。とりあえず、一度見ただけでは回収できなかった伏線を探しに、もう一度、劇場に足を運ぶことにしよう。祖父との新たな「対話」の糸口が見つかるかもしれない。
吉野太一郎(よしのたいちろう) 「好書好日」副編集長。大阪、東京の社会部、ネットメディア「ハフポスト日本版」などを経て2020年2月から「好書好日」編集部員。2022年3月から9月まで休職し、韓国・慶南大学極東問題研究所フェローとして北朝鮮問題・脱北者をテーマに研究。
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mxargent · 2 years ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平��加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬���避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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fujihara-org · 22 days ago
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【観劇雑記】ミュージカル『刀剣乱舞』 〜真剣乱舞祭2016〜 (2016年12月21日 大千秋楽公演) ミュージカル『刀剣乱舞』 十周年応援上映祭にて
こんにちは、藤原です。これずっと書いてたんですけどようやく出来たので投下します。十周年応援上映祭にて、ミュージカル『刀剣乱舞』 〜真剣乱舞祭2016〜を映画館で見れて今更ながら追体験をしておりまして。楽しすぎる〜!!何これなにこれ!と大興奮であります。 全曲レビューはできないんですが、気になったところと個人的な感想をメモがわりに置いておこうと思います。刀ミュは本編も全て見るつもりなのですけど、それ見ると感想が変わるんかな〜とかも気になるので、そのためのメモです。映画館で見たあと、サブスクでもう一度見た上で、この概略たんぶらを書いておりますので、タイムタグがあることもご考慮ください。 注意事項として、いつも通りではございますが、改めて個人の主観での主張でありますことを明示いたします。また、キャスト名・キャラクター名に関しては基本的に敬称略として記述いたします。ご了承ください。
なんか、2.5次元〜!という感じがした。ちょっと意外だった。サブスクで画面で見てた(見てる)ときには感じなかったけど、映画館で見るとすごい2.5次元〜!と感じる。私は今年初めて刀ミュ坂龍飛騰と江すてぜっぷりぶうとを現地参加(りぶうとに関してはLVも参加)させていただいていて、それは「刀ミュって感じ〜!」と思って観劇させてもらったんですが、この真剣乱舞祭2016に関していえば、まだミュージカル刀剣乱舞のお作法を��立してるというよりは、2.5次元ミュージカルの年1のお祭りです!という印象。ここからどのくらいで、刀ミュという文化の基盤ができるんだろうか。 そう感じる要因はなんだろ、意外なところで沸く歓声があるからとか…。今よりも双方向な感じの交流もあるからかも。加えて、キャストの中には刀剣乱舞以外の経歴を知っている人も多くて、他の作品だとこの役回りとかも知ってることがあって、全編通して刀ミュのキャラクタとかで見るよりは、「この子がこのあとこんな感じに成長していくんだ」とか「これ(真剣乱舞祭2016)以前だとこれだけしか出てなかったのに…」みたいにキャストとして見てしまうような場面もちょっとあった。経歴関係は個人的にあんまり意識することがない項目なので、そういう風に見えてしまうのはなんだか不思議な感じ。それもひょっとしたら、2.5次元ぽさを感じさせている要因かも。 天井から吊るされてる光る棒(多分中に電球が入ったものが棒状になってるやつ)が演出のキーになっていて、演出自体はめちゃめちゃ綺麗だし、圧倒される場面もあるんですけど、これがまたすごい2.5次元っぽい。衣装がめっちゃ安そうとかチープだなという印象を受けたわけでもないが、言葉にするのは難しいんだけど、統括してみたときに、刀ミュではなくてまだ普通の2.5次元のステージという印象。 あと全ての役者・キャストへの負担がえぐすぎる。キャラクター演じて、ポジション覚えて、セリフ入れて、曲の歌詞と練習して、ダンス覚えて、捌ける位置覚えて…って。刀剣キャストはこういう感じだけど、人間キャストさんも和太鼓覚えたり、殺陣やったり、負担デカすぎるのよ。その作業量・運動量に気付いてから、苦行強いてないか?無理してない?大丈夫?って途中から見てて思ってしまって、その苦労に心がめっちゃ動いた。夢見せてくれて本当にありがとうと何度思ったか。いや、それが仕事〜!とか思う人いるかもしれないけど、自分ならとてもじゃないけどできる気がしない。能力値が高すぎる。尊敬しかない。凄すぎる。 あと音楽が全然違う。PCのスピーカーから聞くのと、映画館の反響で聞くのでは同じ曲でも全然違う。特に低音部の反響と音の作り込みが分かりやすいので、感動がダイレクトに伝わってくる。上手な人はさらに上手に聞こえる。それだけでこんなに別な曲になることあるのか?ってくらい印象違うのと、くどいようだけど、音楽の作り込みに感動するので、本当にそれだけ��も価値あると思う。
全体的に、パフォーマンスは安定している印象。特段、下手とかここが目につく!っていうところはない。特に三日月と加州は後半に行けば行くほど、三日月と加州ぽさが増していく感じ。びっくりする。三日月は単純に喉が開いてきたのかな〜と思うくらい後半にかけてグッと歌が上手��なる。加州は追い詰められれば追い詰められるほど、それっぽくなる。やっぱり火事場の馬鹿力なのか、ここぞ!というときの力がすごい。 それ以外で言うと、小狐丸がソロやデュオがなかったのは意外。あっても良さそうなのに。小狐は演じてるときは小狐丸に見えるんだけど、キャストのコメント時などはめちゃめちゃ肩以下が華奢に見えるので、舞台上での振る舞いとか相当気をつけてるんだと思う。 いまつるちゃんは全然ぶれんな〜。感心する。今も昔も10年を感じさせないくらい変わらない印象。無邪気さトップギアをキープしてるって感じなのかな。 堀川はおそらくキャスト変更前。やっぱり上手だと思う。小越くん独特の空気感みたいなものはある。けど、阪本くんは阪本くんでいい感じ。どちらにしても別ミュージカルの主人公の血筋ひいてるんかって感じはするし、まあでもそもそも堀川くん、活劇刀剣乱舞の主人公だからね。その辺りもなんとなく雰囲気はありそう。 和泉守に関しては、やっぱり声が似ている印象。いやぁ…ヴィジュアルも含めてハマりすぎてる。本当にスタイル良すぎというか、ビジュアルが神がかりすぎというか。ここからの技術的な伸び代が分かるのもすごい。というか、ビジュアルだけじゃない、自然体でもキャラクタものにしてる。 長曽袮さん、蜂須賀、岩融に関しては基本安定している。というか下手こく感じがない。隙がないので大きく外れることはないけど、もうちょっと冒険してもいい感じはする。蜂須賀は上品さというか育ちの良さはよく出てる印象。曽袮さんは本編見ない限り、なかなか難しいかもしれん。岩融はキャラクタ的な雰囲気作りが上手なんかな。フード被ると余計に雰囲気出る。難しいと思うんだけどな、あれ。 安定くんはアドリブが上手。ふとしたとき、隙間の時間の緩衝材的なつなぎがうまい。あとダンスがほんと軽い。ステップが軽く見える。ゲーム版の方が儚そうな感じはあるけど、個体差許容内なのでは?という印象。 以下楽曲別のメモです。見落としあったらごめんなさい!
戦うモノの鎮魂歌-レクイエム- バックの音楽がめちゃめちゃかっこいい。これは大音量でホールで聞いたほうがいい。サブスクで映像でも聞き直したけど、桁が違う。バックの音楽の重要性と大きな会場でやることがめっちゃよく分かる曲。この時点から曲に力入ってたんだな、と思った。
名残月 岩融も加州も純粋に歌うまいと思った。聞かせる感じなので、バックは大人しいが、それでも音楽として聴けるので、やっぱり純粋に質が高いんだと思う。声の響きがいい。
爪と牙 幕末天狼傳人間キャストの曲。これ聞いたとき、沖田くんのキャストの人が加州と大和守の間みたいなように感じたので、そこ影響受けてるの?ってなった。本編が気になるので、単純に見たい。バックの音、かっこいい。
mistake ライブアレンジのイントロが爆裂かっこいい。なんじゃこりゃ。このアレンジ欲しい。mistakeだと分かった瞬間に悲鳴あげたくなる。かっこいいんよ。大サビはまだ三日月。結局この曲で完全大勝利S。
解けない魔法 これはもう演出の勝利と思う。もうなんかこれに勝る演出ある?加州がどこに行きたいかはちょっと分からないけど、単純に曲としてはめっちゃいい。ノリノリになれるし、パフォーマンスに圧巻される。ステッキと椅子ダンスってどこまで、難しいことすんの?あと、サビでぴょんぴょんくの字型に飛ぶ振り付けみたいなのあるけど、あそこだけ可愛すぎる。私たちをどうしたいの?
Heart-To-Heart 曲だけだとダウナーな感じなのに、めっちゃダンサブルするじゃん。1番のサビで今所帰るときのフットワーク軽くて好き。組み合わせ的にも大和守と長曽袮さんは珍しい感じする。
Get your Dream この前の寸劇が可愛すぎる。あと、身長組みに分かれてするダンスがかわいい。サビは上がるのかな?って思うところが上がらなかったりするので、難しい曲だと思う。曲のリズムが好き。ジャジャジャジャーンって終わるのがかっこいい。
タカラモノ 三条の全員曲。曲調は穏やかだし、歌詞も切ない感じなのに、バックの音カッコ良すぎる。めちゃイケのEDMの音する。あと急にダンス激しくなるのすごいな。真ん中のステージでみんなで腰掛けて歌うところがあるんですけど、そこがもうなんかさんじょ〜!って感じする。特に、お前はそのままでいろよ、三日月。
Love Story めっちゃいい曲だった。こんないい曲だったの?これはもうちょっとJ-POPだとしても良い曲すぎる。ただのアイドルにしか見えなくなる。単純に曲がもう強すぎる。両国国技館でやってるけど、途中からドームにしか見えなくなる。良すぎていうことないので、ため息しか出ないよ。はぁ。
Signalize 単純にかっこいい。演出もいけてるのよね。天井の光の棒を上手く活かした光の演出。新撰組っぽいわ〜と思う。方向性が違うアイドルグループが出てきたような感じすらある。「君だけが気づいてくれればいい」のフレーズがハマりすぎる。かっこいい。ハーモニーがとても綺麗。
Additional Time 単純にバックの音カッコ良すぎるんだよ。爆音のダンスフロアか。アンサンブルを含めたラインダンスが圧巻。
大袈裟→KEY MAN 曲がどうこうより、ファンサがエグい。もうなんかこんなことあるのかと思うくらい、エグい。めちゃくちゃ距離感近いやんけ〜!!こんなの、推しが誰でも発狂するわ。もう回ってないところないんじゃないかっていうくらい、めっちゃ回ってくれる。でも、この頃の積み重ねで夢見せてくれてるんだよなぁと、文化の種みたいなものが生まれている感じがする。疲れた顔一つせずに、どの���ットでもみんな笑顔でいてくれてありがとうすぎる。感謝しかない。
漢道 これが一番イメージ変わった。こんなカッコよかったんかい!!!!めっちゃ興奮したわ。もうバックの音が本当に良すぎるのよ。太鼓の音もいいんですけど、なんかもうすごい。本当に最後に全部持っていきやがる。すごい踊るとか難しいダンスがあるわけでもないし、パートがすごい明確に分かれてるとかもない。けど、みんなが一緒に歌うだけでなんでこんなかっこいいの。狂おしいほど愛しいわ。これ見るだけでも映画館に行った価値あると思う。音圧強めで絶対見るべき。
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magazine-hitori · 28 days ago
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書物礼賛⑥
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雁屋優/マイノリティの「つながらない権利」/明石書店2025
鬼越トマホークのユーチューブ「半生を語る」等の感想
【①普通の人で面白味がない】にしおかすみこ・アンゴラ村長・どぶろっく・ニューヨーク
【②普通の人だが味があって面白い】ドランクドラゴン鈴木拓・三四郎・スーパー3助・ラランドニシダ
【③天性の芸人】ノンスタイル石田・狩野英孝・空気階段もぐら・ナダル
個人の感想です。私自身の人望のなさを棚上げして言わせてもらうと、本書の著者は「アルビノゆえの弱視、見え方の不利を、自身の発達障害ゆえの高い言語性IQや先取り学習で補ってきた」って書いてしまうくらいコミュ障の自覚があり、文章ですべてを分ってもらおうとする傾向が強く、読んでいて息苦しさを覚える。芸人に話を戻すと三四郎の小宮は②と③の中間くらい。小宮とナダルは同輩の人望が厚い。ユーチューブだが映像は不要。トークに表れる素の魅力。どのような人生によってそれが培われたか。
コロコロチキチキペッパーズのラジオを聞くと、アメトークのナダルアンビリーバボーで彼が見せるような挙動不審・クズ感とは無縁な落ち着いた親しみのあるトークが繰り広げられている。彼は近大農学部で水産系の専攻、しかし希望の水族館飼育員は枠がなく、食品会社はすべて蹴られ、それでは消防士にということで走り込んだり勉強して備えたが連続して最後の小論文で落とされ、そうするうち年齢制限にも達し、大学の友人のアドバイスで芸人の世界へ。
楽屋などのイジられで爆笑を呼ぶことから相方の西野が策を練ってアンビリーバボーに漕ぎつけたが、そこからしばらくして自身「強みはそこしかない。そうでなければ生き残れない」と受け入れてから、かえってイジられに限らないタ��ント性で定着。ロンドンハーツ「タレント進路相談」でも有吉弘行の後釜を見事に務めた。
彼の「ウソがつけない」資質に注目して抜擢したロンハー制作陣はさすが。アンビリーバボーにおける「先輩に失礼」「責められるとウソをついて言い逃れしたり挙動が怪しい」とも表裏一体。就活の面接でも挙動不審を発揮していたそうなのだが、著者も知能や文章力を武器にマイノリティやその当事者団体に携わっていくのは険しい道なのではないか。真面目さ、違いを受け入れる優しさが一番と思います。
甚野博則/介護大崩壊/宝島社新書2025
父母が相次いで自殺、自分も自殺未遂後うつで2年以上入院という底の時期に助けてくれた伯父夫婦。88になる伯母はアルツハイマーの薬を飲んでいるとのことだが衰えはみえない。90の伯父は徘徊など錯乱状態に陥り、3年ほど前から同じ区内の特養ホームに。先日、初孫ができたばかりの「ネトウヨの従弟」夫婦と見舞いに。ユニット型の個室が、広めのリビングを囲むように設けられ、そのリビングを常に監視するような形で介護士の詰所が。一人一人の健康状態や挙動の癖をしっかり把握し、気さくに話してくれる中年女性の介護士であった。
伯父は問題行動がみられるようになって半年ほどで特養ホームの空きを見つけることができたが、本書によれば地価の高騰などで施設新造が難しい都市部では、入所待機者の増加に悩まされ、距離の離れた自治体の施設の枠を確保する「ベッド買い」なる慣行があるという。著者は文春記者時代に甘利氏の収賄についてスクープ記事をものしており、フリーになってからは高齢者の介護施設問題を中心テーマに据えて取材を続けている。特養・サ高住・老健といった施設の違いや��態、介護保険の運用事情について大まかに知ることができる。老後を控える読者層の危機感を煽ろうとしてか、問題の多い施設や事業者に内容が偏り、優良な事業者やポジティブな取り組みが軽視される傾向があるようだ。
北村浩子/日本語教師、外国人に日本語を学ぶ/小学館新書2025
例えばチャーハン。強火で作るチャーハン、あまりおいしくないです。シャッシャッシャッシャッて鍋を大きく回すやり方、見たことあるでしょ。米がパラパラッてなってる。そうすると米が冷めるし乾燥する。水分が飛ぶ。固くなっちゃう。サラサラは食感がよくない。口に入れた時。米が熱くてしっとりしているのがおいしい。よく、中華鍋ないとダメと思われるけど、うちの自宅はフライパンですよ。中華鍋ないです。火力も関係ない。ガスじゃなくても大丈夫。やっぱり腕と使い方。
そもそも日本人の日本語能力が下がる一方で、企業の公式声明や有名メディアの記事にさえ怪しい言葉遣いが頻出する始末なので買ってみたが…。引用したのは本場でもトップクラスの中華料理人の言葉。来日から各地のホテルで料理長を務め、今は六本木に店を構えメディア出演多数。「やりたいことがある優秀な人物」なので日本語の上達も早いし、本書でほかに取り上げられた人もエリートに偏っており、前項の介護の人手不足のために円安の日本へ来てくれるような、日本語学習者の多様性や苦労への目配りはない。ネオリベ右翼の小学館から出るにふさわしいつまらない本。
三遊亭円丈/師匠、御乱心!/小学館文庫2013・原著1986
よくSNSや掲示板で不自然な形で語尾を「やで」とするような、ネット民の似非関西弁。明石家さんまや島田紳助でなく、ダウンタウン以前・以後と称される、ある世代が丸ごと感化されるような圧倒的存在感によって生じた現象。テレビ越しにそこまで影響力を持ちえた芸人は萩本欽一・ビートたけし・ダウンタウンのみ。ドリフと志村けんは職人肌で思想性が薄いから。
松本人志はセックスについて「小学生でもお胸がぷっくりしてきたらご賞味あれということ」「同じ女と何度もするのは男にとってお勤めになってしまう」という本質を突いた発言をしている。彼はこのまま地上波に復帰することはないでしょう。けれども性接待やレイプはテレビ・広告・芸能界、さらには教育や雇用のあり方まで広がる制度的な病理であり、松本・中居・件のプロデューサーだけ切り捨てても何も変らないでしょう。
落語家は寄席や徒弟制度のシステムに守られた、格落ち芸人の集まり。笑点は落語家でない三波伸介が司会だった時期が本領で、以後は余禄。本書は、創作落語で頭角を現した著者が、真打ち襲名直後にその真打ち乱造問題などをめぐって落語協会が分裂した騒動を、システム内部の視点で振り返った問題作。出版当時は暴露本としても話題を集めたほどで、読み物としてそこそこ面白いとしても、人物がことごとく政治家的、と同時に中小企業のオヤジ的。同族経営の。そう考えると自民党というのは中小企業や町内会、一族郎党の内ゲバを娯楽として提供することによって常にシステムの制御権を確保できているような存在なのかも。
横道誠/レトロな世界に分け入る/教育評論社2025
ナダル「思い出しました。劇場穴だらけですわ」
ロンドンハーツのベテラン芸人座談企画で、有吉弘行が「業界にも私生活でも友達がいない。広島に帰省しても実家に寄って街を一人でぶらついてすぐ帰る。旅行に誘うのはお笑いの後輩」と語っていた。ナダルがすぐバレるウソをつくのは、市民社会の常識に従って生きている裏返しでもあり、本来はマジメな愛されキャラであるナダルのようなタイプと対照的に、いじる・責める側の有吉は制度の一部であろうとして「踏み越えてしまった人々」なのだろう。
それは編集部の意向で『ナニワ金融道』に変更させられた原タイトル。主人公・灰原のビルドゥングスロマンでもある同作品に対し、闇金ウシジマくんは冒頭から丑嶋社長はやがて殺されることが暗示され、ずっと同じテーマをバリエーションで繰り返す。カイジ、特にスピンオフ作品は地下労働そのものの是非は問わず、内部で遊ぶ。
本書は、何度も各種コレクションのマイブームを経てきた著者が、チープな骨董、古い漫画やエフェメラ(チラシ・手紙・マッチ箱のような紙モノ)を専門に扱う3人の店主に取材した、趣味性の強い一冊。であると同時に、この文章力で京大大学院の博士号? 博識であっても自分の思想を打ち立てる気概も総合力もない、内部で遊ぶだけの読み捨て本と感じさせる、あらゆる商業メディアや大学が志望者に「踏み越えるよう迫る」ことでよう���く維持できている世知辛さを再認識。
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uchu-household-blue · 1 month ago
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これも映像あるんだね〜 「ことばの冒険家になりたいという気持ちがある」。'詩人なんて呼ばれて'の原文も... これを詩とするならばということだよなのデハ
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やはり...きわめてくつろぐ、という感覚は 時空間をクッとこうこえるものが。。要り用なものが。
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 私も単に自分の感じて考えていることもふるまいも、壁や溝のことばかりに膨らんでしまったし自分事ごと嫌になってしまったけれど、体系化うんぬんとか、形にまとめることそれで崩れること、手段にのみなっていくものとの疑問、そしてやはり見逃す見過ごすこととの感じ、作りたくない感じ、。伝わらない感覚と他者の内在の閉ざしが遠すぎる感覚。または どんなつもりでこの人の話したことはとか、やりとりで青ざめる感じ、ひやっとしたりモヤモヤと。前回同様のポエトリーで、言葉そのものではないものを、閉じた形であるのが(対蹠している溝のまま'今ここ'が欺かれていく自分になるのが?)やはり怖い。 「どんな解釈も受け付けない」 「詩の稲光に照らされた世界では」 はぁぁー 床と平行 公私同義に、外側内側 混ぜても大丈夫(以上に)なものと辛すぎるとか見てられないものとのことは確実に体感する
名前の(つく前の)つかなき、という感覚は谷川さん×フェルメールの放送見てハッとそうだったはずだと思うようなホッとする程のことだったんだけど、でも仮に産まれる(た)赤ちゃんに名前つけなきゃねともまた違うやつだったわ。。もうすでにあなたはその名前なはずだったのやつだよね?はい
谷川俊太郎詩集④こころとからだにひそむ宇宙
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唐突に、中1くらいの時に友達に今を生きてるね〜って言われたことを思い出した。褒め方だった気もする。使い切った!を繰り返すというのは命にとっては方便だなと気づけたら微かに笑ってもいいわけだ。 
あることないこと考えざるを得ないことを半分遠い目で見てもいた私も そんなことより躓くものも見えて 過去形になっていくものを現在形で書いてる感覚もたまにある。説明せざるを得ない、でも、多分 ありのままやないがままを描こうとなると どんな仕事であれ何か'それしかない'ものへの特化が、押し付けに変わる瞬間がある気がする。いつか適用を間違い独善になったら明後日のほうにも傾いていく。適応だけしてれば良かったはずのものが、他人を一括りにして言い切ることが楽になってしまうのは危険をかえりみてもいないと思う 自分を透明なメディアにしなければいけない且つ自分としていなきゃいけないのほうならば私も自分で思っていたより宗教的な人間だったんだろう
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naoyou0429 · 1 month ago
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 ベッドの隣の小さな机に置かれた皮がきれいに剥かれてカットされたリンゴに目をやる。そしてそれはリンゴではなく、中身がオレンジ色の果物「マイナ」だという知識を、脳の記憶から引き出した。
 「どうだ?まだ痛そう?外傷はだいぶ治ったみたいだけど」  さらに隣の椅子に座っている男はこの体の元主の兄貴であることを認識した。確か名前は、ベルクと言う。  「そう、だな。まだちょっとめまいが……」  「そうかー、んじゃゆっくり休んでて、今日の当番も代わっておくよ」  「うん、ありがとっ」
 ベルクが少し怪訝そうな表情を浮かべつつも話しかけてくることはなく、ほどかれた包帯と軟膏が入った壺を持って出入り口から出て行った。  今の返事がまずかったか。でも、仕方ない。いきなり自分の家族だと認識せざるを得なくなった赤の他人と自然に交流しろだなんて、土台無理な話だ。
 もう一度、隣のマイナに視線を移す。  「こんなスタートで大丈夫かいな……」
 微かな果物と薬草とカビが混じり合った匂いにくすぐられ、ちくちくした布団に身を沈めながら先日女神との会話を思い出していく。
* * *
 「なーにが世界救えだ、漫画の読みすぎだろ。いきなり言われてはいそうしますっつ人いるもんか」  「マンガ? それはアナタのほうだろう? 実際、私のお願いにアナタの心はわずかだが興味を示している」  「待て待てっ、やっぱお前俺の心読めてたろ! なんなんだよ!」
 彼女の願い――共に星を救うことをきっぱり断ったが、願い自体に興味が湧いてしまったのも事実だ。  古今東西の冒険譚、英雄伝説、あるいはファンタジーもの全般、そういうおおよそ現代社会の歯車として生きてきた人間にはもっとも無縁な世界を、空想の物語に綴られたメディアの数々摂取することで俺はかろうじてあの潤いのない生活を凌いでいけた。それなのに、  もう火傷の痛みどころか、感覚すらない手を握ってみては放す。何かが手からこぼしていって消えていくような、そんな錯覚に陥る。
 「興味イコール受け入れたいってわけじゃないんだよ」  「ふーん、それだけじゃないみたいだ。もっと別の何か……」  「あのさぁ、本人の前で心を分析しないでくれる?」  どうにも覗かれてるみたいで気分が悪い。  「では直接に聞こう、なぜ断った」そんなどんよりしている俺をよそに創造主と自称する女神が話しかけてくる。  「自称とはなんだ、事実だが」  「いやだ・か・ら! 心読めるなって! まあその、事情だけはまず聞いておくから、アンタの星に何が起こってるのか」  「そうだな、私が焦ってた。では、聞いてちょうだい」
 女神の言葉と共に星を映った画面がズームインされ、とある小さな町が映された。  その中に人々はある建物を修繕するため道具や材料を運んでいる。木材は一つ一つ、高く組まれた丸太足場に運ばれていく。それらは――宙に浮かんでいた。
 「なにあれ、魔法?!」完全にファンタジー物語でしか見れない風景を前にして俺はつい大声を出して飛び上がってしまう。  「風の元素を操ってモノを運べてるのだ。次にこれを」
 視線の先にまた場所が変わっていた。黄金色の稲田の中から黒い塊たちが覗かせて蠢いている。  人、にしては細すぎる肢体をくねらせ、頭と思わしき部位から触手らしきものを伸ばせ、何かに群れてむさぶり喰っているようだ。ただ、生き物の動きにしてはどこか不自然で、操り人形がぎこちなく動かされている、と言ったほうがまだ近い。  加えてその異様な光景が稲田に現れてることから、まるで都市伝説の『クネクネ』を目撃してしまったような、そんな怪談読後の嫌な寒気が背筋を這い上がる。
 「奴らは『|瘧魔��デーネー》』と呼ばれている」女神は魔物に指さしてその名を告げる。魔法がある以上こんな厄介な空想生物みたいのも付きものだと、ノンフィクションを多読している俺にそういった認識があった。  ただ、おそらく目の前は現実だ。
 「えっと、もっと画面近くまで映せないのか?」  「できるけど、人間から曰く、かなり気持ち悪いらしいぞ?」  「そ、そっか、じゃやめておこう」  「|瘧魔《デーネー》とは、元素の突然変異によって生じたモノだ」  「変異?」女神は怪物を注視しながらその成因を説明するが、それが何だか引っかかって俺は眉をひそめる。
 「人間が過度に自然の元素操作を行うとその濃度の均衡が崩れて歪んでしまう。異変した元素の果てに、|瘧魔《デーネー》が顕現するのだ」  「えっ」
 それはつまり、魔物の誕生に人間が関与しているとでも言っているのか?
 俺はその事実に呆気を取られる間にも女神は淡々と話を続けていく。その声調のあまりの無機質さはどこか残酷で、しかし裏側には諦観か、あるいは何か途方もない感情を押し殺しているかのように感じ取っていた。
 「人間社会が発展していくにつれ、元素の濫用も起きるようになり、国まで発展した頃から均衡の崩壊、すなわち|瘧魔《デーネー》の横行が顕著になっている」  状況を説明している女神はここで一旦止まり、俺が異状に気づいたのを見抜いたように俺の目を見据える。
 「ま、待ってよ、みんな使ってるんじゃ、やつは次々と生まれてくるのではっ、それも人が多ければ多いほど、こんな、めちゃくちゃじゃないか!」  「そうだ、まさにメチャクチャだ」   女神は罪の意識にでも苛まれるかのように物憂げな表情でうつむいた。
 「……ヴァーレナは私が初めて創った星だ。経験もないゆえにこんなにも不安定な形になっている」   「それでも進化の壁に突き当たったと、割り切れてるつもりだ。仮に人間がこうやって滅亡していくとしてもな」  そう言いさしたところで女神は顔を上げて表情を怒りへ一変させる。
 「だが、コイツは違う」
 稲田から瞬時に荒々しい大地へと切り替わり、そこに巨大なカルデラが姿を現した。中に見えるはずの清澄の湖の面影がなく、かわりにどす黒い泥が窪地を充満している。
 「おおよそ三年前、極度に変異したモノを観測した。ヴァーレナでもっとも繁栄した国を滅国まで蹂躙し、周辺の軍隊と激闘の末負傷、ここまで逃げられたのだ。人呼んで『|瘧魔の王《デネーシー》』」
 滅国、だと? 大きな国一つが犠牲されても倒せないものなら、いずれやつが再起したら、どうなる?  口の中に苦味が広がる気がした。  俺はその恐ろしいほどにさざ波ひとつなく、靜寂に包まれる黒泥から目を背ける。
 「星を救うなんて柄じゃねえ、この世界でのうのうと生きてもいいぜ、なんて、思ったけどな」  「そうともいられないのが現状だよ」  「コイツは看過するにはあまりにも異質な存在だ。何としても排除したい」
 ここまで聞いて大抵の流れは把握した。俺が読者だったら、願いを了承した勇者のこれからのご活躍を楽しみに次のページをめぐればいい。  ただあいにく、というより最悪なことに願いを聞かれた対象は俺という一般人だ。
 「それで、俺とアンタ二人でこのデネー何とかを倒せと? アンタの無敵の加護とやらでか?」  「いいえ、私は基本自分の星に干涉はできない、それこそもっともの均衡崩壊になりかねないから。よって君に私の力を渡すことも憚れる」  「おいおいじゃどうしろってんだよ」
 「一つ|瘧魔の王《デネーシー》を討伐する遠征隊が結成されてる。私の見込みだとこの集団の討伐成功率は最も高い。君という保険も入ってもらってその行方を私の指示の元導いてもらいたい」  先導者になれってことか? お供の間違いじゃなくて? 俺は冒険隊の後ろにのこのこと歩く歩荷のイメージを浮かべる。
 「そう簡単にいくもんかね……、まあ、どんな人たちだ?」  「紹介しよう」
 カルデラを移された画面はとある場所の廊下に変えていく、目の前のドアの隙間から何やら湯気が漏れてるような……
 「ストップ――ッ! いったん止まれ!!」  「あ?」  女神は不可解に首を傾げるが画面の進行は止まれない。とうとう木製の浴槽に浸かってる人影が目に入ってしまう前に俺は急いで背を向けた。  「なに人が風呂入ってるとこ見せるんだよ!? プライバシーの侵害だぞ!」  「何だそれ、私が私の創ったモノをどう見せるかに何か問題でも?」
 ダメだこいつ。
 「いやいや、仮にも生身の人間だ、それを自分のモノだなんてっ」  「ふん、理解不能だ。何をそんなに遠慮する必要がある?」
 どっと疲れた。これが人と神の価値観の違いか? 普通の会話もままならないとは。  俺は先が思いやられそうな予感に頭を抱える。
 「とにかく、写真だけでもいいから」  「シャシン?」  「ええっ、知らないの? えっと、顔だけ見せてくれれば」
 女神は俺を一瞥して、めんどくさそうに画面を切り替える。すると一人若い女性の顔が映された。ただ視界の至るところ半分のうちが投影された画面なので、当然顔だけを映されることはなく、不意に下に見ると女性の湯船に浸かってるうっすらと浮かぶ肌が、
 アウト!!!!
 「うおおおおぉ! もういい! 見せなくていいから!!」  「チッ」  字面通り頭を抱えて膝をつきながら叫んだ俺に女神がまたしも舌打ちをして画面を真っ暗にした。これで二度目だがめんどくさいと思われてるに違いないな。
 「まったく面倒くさいぞキミは」  「……」  もうさっさと会話を切り上げてしまいたいという切実な願望を堪えて俺は要点を伝える。
 「とりあえず、話は一旦ここまでにして、その依頼を受けるかどうかは後から決めてもいいか?」  「ここまで聞いておいてまだ躊躇するのか? 今すぐ答えを出してもらいたいんだが」  「それは、悪い。けど何もかも一筋にはいかないんだよアンタの願いは」
 俺はあくまで一般人だ。そんな前からまだパソコンと睨めっこしていた人間にいきなり魔王に直面して倒せなんて、簡単に快諾する人はいないだろう。というより、やっぱり断るべきか。怖いし。
 「……キミは拒否を選ぶならキミを元の場所へ帰すことはまだできるが、どうする?」  「えっ?!」まさかの第三選択肢を聞かれて思わず面食らう。  地球に帰ることもできるってことか? でも、  「この前ほぼ死んでるって言ったよな? それって、実際はまだ生きてるの? 地球の俺」  「しばし待て、状態を見せてくれるよう地球の主に要請する」
 女神は話を中断してすっと沈黙になる。よく見ると目から光の束みたいなものが奔っているような、構造が光ファイバか? それにしても、地球の創造主っていうの、すごい気になるけど。
 「繋げた」女神はそう言うと空間が再び映像を出現させた。
 そこには白くて無機質な病室が現れた。複雑そうな設備がいくつも置かれており、治療用のベッドの周りには電線や管状のものが伸びて、それぞれが設備に繋がっている。
 ――ああ、察しはついたはずだ、こうなることを。
 ベッドの上に、有機体であろうモノが横たわっていた。  ソレの頭から足の先まで分厚い包帯で覆われている。かろうじて覗く目の口の周りの皮膚になるべく直視しないようにして、口から人工呼吸器らしき機械に繋がっている太い管に目をやった。胸のあたりが機械のリズムに合わせてかすかに上下している。
 目を瞑らずにはいられない。目の前の凄惨な現実をこうもあっさりと見せつけられて、どうしようもない無力さばかりが思い募る。
 ふと、いらぬ考えが頭をよぎってしまう。  ひょっとしたら、アイツは、見舞いに来たり、するんだろうか。
 「廊下か、誰かが待っているような場所に移動できないか?」  地球の創造主は応じたのか、ふわりと場所が変わった。簡素なソファがいくつか並び、休憩室のような空間が見えた。そこに、見慣れた人影がいた。
 彼女たちは、近くに住んでる鈴木さん親子だ。俺の容態はもう見てたのだろう、どっちも沈痛な面持ちをしている。あの時以来よくお世話してもらってる親切な隣人だ。自分のあんな様子を、二人には見せたくなかったんだが。
 「会話を、聞きたいけど」  俺がそう伝えると、これまで無声だった映像から二人の会話が妙にクリアに聞こえてくる。
 「もう一度、話しに行こうよ!」  「隣で聞いてたでしょ。あんな態度じゃ、もう聞き入れてもらえると思わないわ」  「いや、だって、おかしいでしょ! 見舞いは家族の義務なんだぞ!? あの野郎、浅かっただし歩けてた! なのに、なんで私たちに代われなんてっ」  「瑛子……私、|光《アキラ》さんに会えて良かったと思ってるのよ」  「それは、私だってっ、でもそれとこれは! ぐずっ、この、ド畜生っ! さっさと捕まってればっ」
 ゴウォォ。  目の前に炎が燃え上がるように真っ赤に染まった。
 「瑛子、やめなさい。夜にもう一回面会できるから、私たちで見に行こう? 光さんは深く眠ってるって、先生が言ってたのよ……分かるでしょ?」    「もういい」  今ので充分に分かった。  「キミの判断の実情についてだが、」  「もうどうでもいいんだ、どっちにしろ禄ではないさ」
 思い上がりも甚だしい、無関心ですらなかった。そう受けてしまえば案外身軽になるもんだな。  |死に損ない《アイツ》は最後まで憎悪で己の子を焼き尽くそうとした。それがすべてだろ。ならば、これ以上誘蛾灯に飛び込む愚かな羽虫でいるなど、やめるまでだ。
 「アンタの願いを受けよう」  ああ、やってやるよ。やればいいだろ。  耳元で炎が吹き荒ぶ音がまだ止まない。心の中で渦巻いていた感情すべてが黒いカスへ燃え尽くされていく気がした。
 「……助かる、アキラ」女神は何か言いたげだが、口にはせず目を元に戻した。  「今の俺はもうアキラじゃない、だろう?」
 自分の名前にもう価値を感じないのか、それとも、嫌な記憶ごと封じ込めたいのか、女神にそう呼ばれることに拒否感が湧きあがった。
 「そうだな。タルク、それが私が選んだ人間の名だ。今後はキミにタルクと呼ばせてもらおう」  「うん、それでいい。とりあえず、一度はアンタの星に行かせてくれ」  「そのつもりだ、キミは先ほど果物にぶつかられて気絶していた。しばらくは休むといい」  「ははっ、あれ��。また死ぬかと思った」  「キミが私に会えるのは失神か睡眠中の時だけなわけだから、回復した時にまた夜に会おう。説明は追々伝える」
 女神が話を終えると同時に視界が緩やかにぼやけていく。  次に起きたら新しい人生か? 俺はそのことに一切抵抗なくそのまま誘う深い暗闇に意識を任せた。
 本当は、このまま起きなくても構わないと思うのだった。
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kurookamasahiro · 1 month ago
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もう2012年のことですか。少し前のことですが、期待の時のコメント文。書いてくださった方ありがとうございます。
「期待」 CD/とんちれこーど/TNCR0012/¥500(税込み)2012/2/29 bridge 
1  ガラスの階段 2  大恋愛 3  期待
いよいよ真打ちトライアル! ビートルズ師匠の人を喰った部分だけを継いでいると言われるホライズン山下宅配便ですが、 最近の高座ではこれまでの工夫によきリズムとメロディが高い次元で融合し、 さらにはほんのりと色気が乗ることで、名人の風格が出てきました。 ぜひその耳でおたしかめください。           
-------------------------------------------------------------------------------------九龍ジョー(ライター)
みなさまからのコメント
「離婚調停中のオヨネーズ」まっち(紙コップス)
脱力には程遠いストイックさを感じてしまうのは私だけだろうか。
いや、みんな気づいているはずだ、この人達は本当に音楽に対してジェントルメン。
SFでファンタジーな手法を用いるものの、一切、茶化してはいない。
それも背筋が凍るほど怖いくらいに。
「40年前のホライズン山下宅配便」あだち麗三郎
ぼくはむしろビーフハートのことを、「40年前のホライズン山下宅配便」と呼びたい。
要するに、40年前のサイケバンドはホライズンの影響を受けたんだと思うんだよ。
奴らはあるとき、未来のヴィジョン観てしまったんだ。
2012年の、日本の、東京の、ホライズンを観て、
感銘を受け、それを彼らは再現した。それだけのこと。
ちなみにぼくは先ほどテルマエ・ロマエを読んだところだ。
「波止場の火の玉ボーイ」てんしんくん(ジョセフ・アルフ・ポルカ)
僕は去年、アパートから歩いて10分くらいの所にある公共施設でホライズン山下宅配便を初めて観ました。
終始ワクワクしっぱなしの素晴らしいライヴでした。「期待」の3曲は、その時のワクワクが詰まってます。
しかも、3曲なのにかなりの壮大な大冒険を経てのロマンスもありつつの魔王を倒した後のエンドロール分のワクワクが詰まってます。
最後、途中で出会ったいろんなキャラクターがフラッシュバックされます。それでまたリピートしてしまいます。
「ラーメンのような鬼」mmm
あんなに笑わせてくれるのに、どこか怖い。
クラシカルな音楽、ハードな4人。
ちょーかっこいいです。
「巷のヌーベルバーグ」片岡信(片想い)
聖書の話にこんな一節がある。イエスがある場所で説教をはじめると、5000人もの人が集まった。
説教がめちゃくちゃ長くなり、日も傾きかけると、弟子たちはイエスに一時解散を勧める。
そこへ近くの少年が差し入れに、魚2匹とパン5つを持ってきた。イエスと弟子たちの分にも満たない量だったが、イエスはカゴに入れるよう指示する。
そして、それらを祝福しながら人々に分けていくと魚とパンはなくなることなく、5000人の群衆に行き渡って皆満足した…
ホライズン山下宅配便のライブでは常にこんな奇跡が起きています。「もうお腹いっぱい!」と言っても、更に何かしらを分けてきます。折り紙とか、つみ木とか土とか…
あなたは自分の満腹中枢に限界を作ってはいませんか?
ホライズンを聴いて破壊されなさい。
破壊おされなさい。
「カリブ海のビージーズ」王舟
ホライズンを聴いてたら、自分の不憫さが可笑しくなる。あなたのお悩み、なかったことにします
「あらそいやめてごはん中のおっさん(ソウル音楽グループ所属)」藤原亮(フジロッ久(仮))
「笑い飯」とか、「1.2.3.ダーッ!」とか、「それにつけてもおやつはカール」とか(もっといい例えがありそうですが)、意味を考える前に音の感じが妙にしっくりきてしまい、あとで考えてもその理由が説明できないフレーズ。破壊力とキャッチーさと安定感の平然とした同居。
その、意味を越えてしっくりくるってことを、ポップってことの定義としてもいいんじゃないかと思うんですが、ホライズン山下宅配便にはそれがあります。というかそれだけで構成されているので、商売っ気あふれる親切な説明に慣れた脳みそでは何を言っているかわからない感じになっていますが、もともと音楽とか、人が言うことなんてそんなもののような気がします。
そして、いやにがんばって「よくわからない」に身を包んでいる、ストレートな存在です。芸能だし、純音楽だし、もうたまらなくストレートなおじさんたちが、あらそいやめて友達とハンバーグを食べる(まとめると「あらそい やめて ごはん」ですね)、とか言ってしまうことに涙しました。
おじさんが向き合ってハンバーグ食ってる絵面って、なんていうかハッピーで、間抜けで、まあよく考えたら普通のことかもしんないですけど、この普通さって一番暴力的なピース。腕三本使ってトリプルピースですわ。
照れと気高さから定型の美とか熱をスルー、「さてこの広大な地平、どこに行こうか?」という人生さながらの問答に誠実に向き合いながら、軽やかにテクテクと行くんすね、宅配便の皆さんは。疲れたらたまに甘いものなんか食べたりします。レーズンパンとか。そんで、注文した覚えのないこんな形のストレートをわざわざ家まで届けてくれるわけです。本当にすばらしいと思いました。しっかりハンコ押して受け取りたいと思います。
「西東京のモンティ・パイソン」北里彰久(Alfred Beach Sandal)
ホライズン山下宅配便。21世紀の西東京が生んだモンティ・パイソンとでも言うべきこの四人組のロックンロールバンドは、2012年現在の群雄割拠の東京インディーズシーンにおいて、おそらく最も黒っぽくて特異なグルーヴを生み出すバンドの一つである。R&Bやソウルやファンクなど、オールドスクールな黒人音楽の影響をふんだんに感じさせるその強靭なバンドのリズム感だけではなく、��越したコーラスワーク、ブルージーなギターリフ、他の追随を許さない圧倒的にオ��ジナルな言語感覚、エキセントリックでありながらどこまでも人懐っこいステージングなど、彼らの魅力として思いつく要素は数多い。
 しかしそんな唯一無二の存在でありながらも、俺がこれまで知っている限りではホライズン山下宅配便について音楽的にきちんと評価と分析がなされた文章を見たことがない。それどころか、彼らはしばしば「意味不明」であるとか、「どう感じたらいいかわからない」といったような、困惑に満ちた受け止められ方をされてきたのである。
なるほど、確かに彼らの持つシュールさや独特のパッションは、その飛び抜けたオリジナリティゆえに決してわかりやすいものではないのかもしれない。「レモンと肉ひだ」「公文式脱退のテーマ」といった曲タイトルだけを見て、ただのコミックバンドと誤解する人も少なくはないだろう。しかし、ひとたびライブを目撃すればわかるはずだ。彼らの奏でる音楽が、決しておふざけや客へのサービスなどではなく、四人の魂(ソウル)の震えを増幅してリズムとブルースに乗せた、真の武蔵野式ロックンロールミュージックであることを。
中身がなくても雰囲気はある音楽と、中身はぎゅうぎゅうに詰まっていても外面を取り繕うことが苦手な音楽とでは、前者の方が受け入れられやすい。そしてそれは決して批判するべきことではない。リスナーは感じるように感じるだけのことだ。しかし、もうそろそろ誰かが言わなくてはいけない。ホライズン山下宅配便のすばらしさを言葉にして伝えなければいけない。ホライズンのメンバー四人は決して自分たちを身の丈以上のものに見せようとはしない侍たちであるから、「キテレツ」とか「妙」とかいうような何にもなっていない一言で片づけられることも、それでよしと潔く受け入れることだろう。だから誰かが代わりにはっきりと言わないといけない。ホライズンの音楽のよさをわからない、わかろうともしないやつはセンスがない。ホライズンの音楽を前にして何一つ有効な言葉を生み出せない音楽業界関係者はマジでセンスがない。そういった人々は全員、キレイな夜景を見たりオシャレなカフェでマドレーヌを頼むなどして、勝手にわかりやすいムードに浸っていればよろしい。
俺たちのすぐそばにホライズンのぶっといグルーヴがとぐろを巻いている。黒岡まさひろ、伴瀬朝彦、河合一尊、倉林哲也の四人は虎視眈々と狙っている。まずは、CDに手を伸ばしてみることをオススメする。
 「下町のキンクス」高城晶平(cero)
2005年ごろ、アメリカはアンチコンの花形アーティスト、WHY?のライブ映像を観たところ、ドラムセットを解体して複数のメンバーで分担して叩いており、その複雑なアンサンブルに僕は衝撃を受けたものだった。
しかし、その頃の僕は、日本のホライズン山下宅配便が、偶然にもWHY?のような独創的なスタイルで頑張っていたことを知る由も無かった。
今、ホライズン山下宅配便の解体されていたドラムセットは一つに束ねられ、狂った料理人が叩いておりますが、バンドの独創性はもはや誰も到達できない域に到達しつつある、と、今回のシングルで改めて思いました。
そんな彼ら、浅草でライブした時だったか、「下町のキンクス」と名乗っていたと記憶していたのだが、黒岡さんがしきりに「高城くんが言ったことにしといてくれ」と仰るので、僕の口から、彼らを「下町のキンクス」と評させてほしい。
ホライズン山下宅配便、本当におめでとう!!
 「ルーマニアのモンテビデオなバンド」武村モモジ(スティーブジャクソン、KDハポンスタッフ)
 ホライズン山下宅配便を初めて意識したのは、たしかネットサーフィンしてて気になってて、でその後円盤に並べてあったCD『とべばいいんですよ。とべば。ぴょん。ぴょん。ぴょん。ぴょん。』を田口さんの紹介文にグッときて購入。もう一曲目から完全にやられました。で、メール出してみようかなと思っていた矢先に、円盤ジャンボリーにて初めてライブを見ました。黒岡さんがロボットになって登場してました。最後の方でアルバムの一曲目『甲子園』を生で!やばいわこれは。クライマックスでテングインベーダーズvoむつおくんが熱唱してたのも感慨深いです。その場にいた人全員のハートをグッとつかみよせ、興奮させ、そして笑顔にさせるライブ力に戦慄をおぼえました。その後、名古屋で自分が企画したイベントに何度も出演していただいているのですが、毎回一番いいとこをホライズンに持っていかれるので、ほんとにくやしいです。いつでもこちらの期待を大きくうわまわるホライズン山下宅配便。今後ともよろしくお願いいたします。
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takahashicleaning · 2 months ago
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TEDにて
ガイ・ホフマン:「心」を宿したロボット?
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
アニメーター兼ジャズ・ミュージシャン兼 ロボット研究家が作るロボットはどんなものでしょうか?
ちょっとお茶目で、敏感で、好奇心旺盛なロボットです。ガイ・ホフマンは、彼が生んだ風変わりなロボットたちのデモ映像を紹介します。人間とジャム・セッションするのが好きな音楽ロボット2体も登場します。(TEDxJaffaで撮影)
私の仕事は、人間と意思疎通するロボットの設計、制作、研究です。きっかけは、ロボット工学ではなくアニメーションでした。
1年後、私はマサチューセッツ工科大(MIT)のロボット・ライフ研究グループにいました。人間とロボットの関係を研究する最初のグループです。
当時、私はまだ「ルクソーJr」の電気スタンドを本当に作ろうと思っていました。でも、当時のロボットはあんな魅力的な動きはせず、アニメーションとは違いました。
それどころかロボットは。何と言うかロボットっぽかったんです。そこで、アニメーション学校で学んだことを生かして自分でロボットの電気スタンドを作ろうと思いました。
私はロボットをチェス・プレーヤーではなく、演劇のようにウマが合い共に作業できるような同僚のようにしたかったのです。
どうすれば、人工知能のモデル。コンピューターを使った数値計算でアドリブという考え方をモデル化できるか?リスクを取りチャンスを生かし間違いさえ起こすモデルです。
これで、ロボットはより良いチームメイトになるでしょう。私はかなりの時間をかけてこのモデル作りに取組み、たくさんのロボットに組み込みました。
こちらは、かなり初期の例ですが、ロボットがこの身体化された人工知能を使い私の動きをなぞらえようとしているところです。ゲームのようです。ちょっと見てみましょう。
出し抜こうとすれば、簡単に騙せてしまいます。これは俳優同士で互いの動きを真似ようとして同調して行くのとちょっと似ていますね。そこで、ある実験をしました。
街行く人々にこのロボットの電気スタンドを使ってもらい、身体化された人工知能の検証を行いました。
私は、同じロボットに2種類の人工知能を載せました。つまり、同じ電気スタンドに2つの人工知能を入れたのです。
被験者の半分には、いわば伝統的なプログラムされたロボット左脳を使いました。ロボットは自分の番を待ち分析し、計画をします。
「計算脳」とでも呼びましょう。残り半分には、舞台俳優のようにリスクテイクする脳を準備しました。「冒険する脳」と呼びましょう。こちらの脳は、時にすべて計算せずに動きますし間違いをしてそれを直すこともあります。
こうして人間・ロボットの即興演奏のジャムセッションができるような、人間が演奏してロボットがそれを分析し、自分のパートをその場で考えるのです。
これこそ音楽家が言う「コールアンドレスポンス」でロボットと人工知能にふさわしいものです。
ジュリオ・トノーニの意識に関する情報統合理論がある。万物には意識があるとする汎心論という考え方です。
ジュリオ・トノーニの 意識に関する情報統合理論によれば、ネットワークの密度は意識(ここでは、ファイと命名している)
と呼ばれる何か?の密度に関連しているということ。
これを数値化して、方程式にしている。
それゆえ、人間の脳内では、膨大な情報統合が行われるため高度なファイがあることになり、かなりの意識が存在します。
マウスにおいては中程度とはいえ、かなりの情報統合が行われるので相当な程度の意識があるといえます。
しかし、虫や微生物や粒子レベルになると、ファイの量は低下します。情報統合の量が低下してもゼロにはなりません。
日本では、「一寸の虫にも五分の魂」という言葉もあります。
トノーニの理論によると意識の程度はまったくのゼロには、ならないのだといいます。
事実上、トノーニは意識に関する基本的法則を提案しています。つまり、���度なファイには高度な意識が宿るのです。
そこには、ただ淡々と善も悪もなくて古来から有る日本の「魂」という概念みたいなことにも似ています。
また、ロジャー・ペンローズとスチュワート・ハメロフの提唱する量子脳理論(波動関数の客観収縮理論)があります。
他には、ブラックホールの特異点定理をスティーブン・ホーキングと共にを証明し、「事象の地平線」の存在を提唱している。
クオリアという言葉も関連していて、「質」を意味するラテン語の qualitas (あるいは qualis) が源流。
この言葉の歴史は古く、4世紀のアウグスティヌスも用いている。長い間忘れられてきたが量子論の登場により
1929年、アメリカ合衆国の哲学者クラレンス・アーヴィング・ルイスが現在の意味とほぼ同じ形で
クオリアという言葉を書いている。
(個人的なアイデア)
さらに・・・
勝手に警察が拡大解釈してしまうと・・・
こんな恐ろしいことが・・・
日本の警察は、2020年3月から防犯カメラやSNSの画像を顔認証システムで本人の許可なく照合していた!
憲法に完全違反!即刻停止措置をみんなで要求せよ。
日本の警察の悪用が酷いので、EUに合わせてストーカーアルゴリズムを規制しろ!
2021年に、EU、警察への初のAI規制案!公共空間の顔認証「原則禁止」
EUのAI規制は、リスクを四段階に分類制限!
前提として、公人、有名人、俳優、著名人は知名度と言う概念での優越的地位の乱用を防止するため徹底追跡可能にしておくこと。
禁止項目は、行動や人格的特性に基づき警察や政府が弱者個人の信頼性をスコア化や法執行を目的とする公共空間での顔認識を含む生体認証。
人間の行動、意思決定、または意見を有害な方向へ操るために設計されたAIシステム(ダークパターン設計のUIなど)も禁止対象にしている。
禁止対象の根拠は「人工知能が、特別に有害な新たな操作的、中毒的、社会統制的、および、無差別な監視プラクティスを生みかねないことは、一般に認知されるべきことである」
「これらのプラクティスは、人間の尊厳、自由、民主主義、法の支配、そして、基本的人権の尊重を重視する基準と矛盾しており、禁止されるべきである」
具体的には、人とやり取りをする目的で���用されるAIシステム(ボイスAI、チャットボットなど)
さらには、画像、オーディオ、または動画コンテンツを生成または操作する目的で使用されるAIシステム(ディープフェイク)について「透明性確保のための調和的な規定」を提案している。
高リスク項目は、法人の採用活動での利用など違反は刑事罰の罰金を売上高にかける。
など。他、多数で警察の規制を強化しています。
人間自体を、追跡すると基本的人権からプライバシーの侵害やセキュリティ上の問題から絶対に不可能です!!
これは、基本的人権がないと権力者が悪逆非道の限りを尽くしてしまうことは、先の第二次大戦で白日の元にさらされたのは、記憶に新しいことです。
マンハッタン計画、ヒットラーのテクノロジー、拷問、奴隷や人体実験など、権力者の思うままに任せるとこうなるという真の男女平等弱肉強食の究極が白日の元にさらされ、戦争の負の遺産に。
基本的人権がないがしろにされたことを教訓に、人権に対して厳しく権力者を監視したり、カントの思想などを源流にした国際連合を創設します。他にもあります。
参考として、フランスの哲学者であり啓蒙思想家のモンテスキュー。
法の原理として、三権分立論を提唱。フランス革命(立憲君主制とは異なり王様は処刑されました)の理念やアメリカ独立の思想に大きな影響を与え、現代においても、言葉の定義を決めつつも、再解釈されながら議論されています。
また、ジョン・ロックの「統治二論」を基礎において修正を加え、権力分立、法の規範、奴隷制度の廃止や市民的自由の保持などの提案もしています。現代では権力分立のアイデアは「トリレンマ」「ゲーム理論の均衡状態」に似ています。概念を数値化できるかもしれません。
権限が分離されていても、各権力を実行する人間が、同一人物であれば権力分立は意味をなさない。
そのため、権力の分離の一つの要素として兼職の禁止が挙げられるが、その他、法律上、日本ではどうなのか?権力者を縛るための日本国憲法側には書いてない。
モンテスキューの「法の精神」からのバランス上、法律側なのか不明。
立法と行政の関係においては、アメリカ型の限定的な独裁である大統領制において、相互の抑制均衡を重視し、厳格な分立をとるのに対し、イギリス、日本などの議院内閣制は、相互の協働関係を重んじるため、ゆるい権力分立にとどまる。
アメリカ型の限定的な独裁である大統領制は、立法権と行政権を厳格に独立させるもので、行政権をつかさどる大統領選挙と立法権をつかさどる議員選挙を、別々に選出する政治制度となっている。
通常の「プロトコル」の定義は、独占禁止法の優越的地位の乱用、基本的人権の尊重に深く関わってきます。
通信に特化した通信プロトコルとは違います。言葉に特化した言葉プロトコル。またの名を、言論の自由ともいわれますがこれとも異なります。
基本的人権がないと科学者やエンジニア(ここでは、サイエンスプロトコルと定義します)はどうなるかは、歴史が証明している!独占独裁君主に口封じに形を変えつつ処刑される!確実に!これでも人権に無関係といえますか?だから、マスメディアも含めた権力者を厳しくファクトチェックし説明責任、透明性を高めて監視しないといけない。
今回、未知のウイルス。新型コロナウイルス2020では、様々な概念が重なり合うため、均衡点を決断できるのは、人間の倫理観が最も重要!人間の概念を数値化できないストーカー人工知能では、不可能!と判明した。
複数概念をざっくりと瞬時に数値化できるのは、人間の倫理観だ。
そして、サンデルやマルクスガブリエルも言うように、哲学の善悪を判別し、格差原理、功利主義も考慮した善性側に相対的にでかい影響力を持たせるため、弱者側の視点で、XAI(説明可能なAI)、インターネット、マスメディアができるだけ透明な議論をしてコンピューターのアルゴリズムをファクトチェックする必要があります。
<おすすめサイト>
ベルント・ボルニヒ:トレーニング中の執事ロボット、NEOをご紹介します
シンシア・ブリジール:パーソナル・ロボットの台頭
ガイ・ウィンチ:感情にも応急手当が必要な理由
ジャロン・ラニアー:インターネットをどう善の方向に作り変えるべきか!
スチュワート・ラッセル: 安全な人工知能(AI)の為の3原則
ルネデカルトの「方法序説」についてOf Rene Descartes on “Discourse on Method”
デイヴィッド・ブルックス:人間の本質と社会的動物
ジェレミー・ハワード:自ら学習するコンピュータの素晴らしくも物恐ろしい可能性?
フェイフェイ・リー:コンピュータが写真を理解するようになるまで
ニック・ボストロム:人工知能が人間より高い知性を持つようになったとき何が起きるか?
NVIDIA Jetson Partner Stories: Jibo Makes Its Robot More Social with the Jetson Platform
ケビン・ケリー: なぜ人工知能で次なる産業革命が起こるのか
セバスチャン・スラン&クリス・アンダーソン : 人工知能(AI)とは何であり、何ではないか
人工知能が人間より高い情報処理能力を持つようになったとき何が起きるか?2019
<提供>
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kennak · 2 years ago
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9月21日午前6時に父が亡くなった。 老健からの退所が決まり、週末のみ自宅で過ごすことが決定してからの 我が家はまさに上を下への大騒ぎだった。 家の中までの導線を確保した上で車椅子が通るよう道を整備し、 父が使っていた寝室に入るサイズの介護ベッドを調達して 高齢の母の負担が極力減るようにヘルパーの力を頼りながらの受け入れ生活だったが あれほどの労力をかけて準備したにも関わらず、わずか2ヶ月ほどでピリオドを打った。 コロナ感染からの重症化で一時は命も危ぶまれた父は、奇跡的に回復するも 肺炎により嚥下機能が著しく低下していたため誤嚥性肺炎を繰り返しては再入院し、 「急変した際の延命治療はどうしますか」とその都度医師に聞かれた。 そして3度目の再発で入院し、同じように「どうしますか」と問われた時、 半ば慣れっこになっていた私たちは「回復の希望があるならできるだけのことはやってほしいが 機械の力を借りて心臓を動かすだけの措置なら不要」と回答した。 そしてその翌日、まるで私たちの会話を盗み聞きしていたかのように父は逝った。 今年もケムコ様より東京ゲームショウにお誘いいただいていたのだが 父の容体が安定していないことからギリギリまで返事を待っていただいていた。 (快く待ってくださったケムコ様には本当に感謝しかない。ありがとうございます。) 最初から断ることも考えたが、遠出すれば気分転換になるかもという現実逃避的な思考もあり 引き延ばすだけ引き延ばした挙句に父が選んだ旅立ちの日は9月21日、東京ゲームショウの開幕初日だった。 父についてのエピソードで一番古い記憶を辿ると、幼稚園のクリスマス会になるだろうか。 園児のところにサンタがやってきて菓子を配る恒例の会で私も楽しみにしていたのだが 当日やってきたのはサンタのコスプレをした父で、特に素性を隠すでもなく 大声で私の名前を呼びながら「おおしのびん、今年はワシがサンタじゃ」と菓子を手渡した。 私は幼稚園の年少組にして「サンタは親が演っている」ことを知ってしまったのである。 生粋の目立ちたがりで役職のつくポジションが大好きだった父を見て育ったせいか 私は人一倍自分を表に出すことを避けるようになり、今もこうしてハンドルネームでブログを書いている。 母から「お父さんのようになってはダメよ」と言われて育った私は、 言ってみれば父を反面教師にして出来上がった集合体のようなもので、何から何まで合わない。 合わないのに、成長するにつれて父に似た部分が体のあちこちに、思考の節々に現れては嫌悪した。 今にして思えば、父のようになりたくない、は、父のように何事にもオープンで大らかには生きられない 内向的な自分の劣等感が生んだ、羨望からくる逆恨みだったのかもしれない。 そのことを受け入れ、父の中に幾らかの可愛らしさを見出してからの親子関係は 世間で言うところの仲の良い親子には届いていなかったかもしれないが、そう悪くもなかったと思う。 3度目の入院の知らせは突然だった。 デイサービスから「微熱があり酸素量も少ないため念のため病院に連れていきます」と連絡があり またかと思いながら病院に駆けつけた。 前々回、前回と同じようにしばらく入院して、回復すればまた退院するのだろうとぼんやり考えていたので 入院手続きのために膨大な枚数の用紙に記入しなければならないことの方が気が重かった。 翌朝面会に行くと、父は痰を吸入してもらって楽になったのか静かに眠っていた。 夜中も1、2時間おきに吸入をしていたと聞き、頭の下がる思いがする。 とてもではないが、このケアを自宅ではできなかったろう。 父は私のことはわかっていたようで「会いにきたよ、わかる?」と聞けば小さく頷いていた。 「元気になって、また家に帰ろうな」と声をかけるとまた小さく頷いていて 「この様子なら大丈夫だろう」と少し安堵した。 しかし、翌朝の医師の説明では、心臓の機能が大分弱っているので 肺炎が治るよりも先に心臓が持たないかもしれないと告げられた。 そして、冒頭に書いたように「無理な延命治療は本人も辛かろうし不要。 楽になるための治療なら全力でお願いします」と回答して帰宅した。 その日の深夜、病院から容体がおかしいと電話があり、孫たちも連れて慌てて深夜の病院に 大勢で押しかけると、別室に移動した室内で父はスヤスヤと眠っていた。 「みなさんが到着される直前に急に安定し始めて」とナースは申し訳なさそうに笑ったが 「人騒がせなじいじだ」と悪態をつきながらも皆笑顔だった。 その翌日、またしても深夜に病院から電話があり、同じように大勢で深夜の病院に向かった。 酸素がなかなか上がってこないと昨夜より病室内の空気に緊張感があったが 当の本人は傍目には穏やかに眠っているように見えた。 「こんなことがこれから毎晩続くのかしら」と母が疲労困憊の様子で口にするのを聞きながら 昨日医師に「まぁ、こんな感じで心臓がゆっくり止まってしまうほうが本人は楽だと思いますよ。 本当に眠るように、何も苦しまずに済むので。」と言われたことを思い出していた。 ほどなくして心電図を表示している機械から危険を知らせるアラーム音が鳴り、慌ただしくナースが入ってきた。 「まだいったらだめだよ」「起きてじいじ」「起きないと怒るよ」と孫たちがそれぞれ父に声をかけ 「家に帰ろうよ」と姉が語りかけた後に、それまで黙って見守っていた母が父の手を取って話し始めた。 「じいじ、ねえじいじ、本当に好き放題に生きたわね。 突然商売をすると言い始めて、30年間も私にその店を手伝わせている間に 他所で女を作ったり、こっそり家のお金に手をつけたり。 その人を連れてゴルフに旅行にと遊びまわり、飲み歩いてね。 子育てなんて全部私に任せっきりで、ほとんどしなかったでしょ。 でもねじいじ、私はそれでも、あなたにまだ居て欲しい」 父の左手を両手で包み込み、まるで駄々っ子を宥めるように話しかける母の言葉を聞きながら 「おいおい、こんな男にだけはなるなと刷り込み続けて今更それはないだろう」と思ったりもしたが その言葉を聞いて、つくづく夫婦のことは夫婦にしかわからないのだと思い知らされた。 そして母が話し終えるのを待っていたかのように、9月21日午前6時に父の心臓は動きを止めた。 息を引き取る直前まで、話しかければ反応していたし、ゆっくりと腕を持ち上げたりピースサインも出せていて 「ぎゅっと握ってごらん」と言えば握り返していた父の時間は、本当に呆気なく止まったのだった。 けたたましい機械音さえなければ寝落ちを疑うほど穏やかな最期だった。 入退院を繰り返したとはいえ、何週間も昏睡状態が続いたわけでもなく、 在宅介護開始から2ヶ月、再入院から僅か2日で逝った父は ピンピンコロリとまではいかなくとも、ほどほどコロリぐらいの称号は与えても良い気がする。 面倒を見ていた親族の誰も介護疲れに陥らせず 別れを惜しむ気持ちを十分に残した上で旅立ったことは、家庭を振り返らず仕事に恋に奔放に生きた父が 珍しく見せた父親らしい気遣いと言っていいかもしれない。 週末は自宅で皆に介護されながら、コロナ感染の入院直前に食べるはずだった念願の鰻もちゃんと食し 早朝にも関わらず親族8人が見守る中で逝けたのだから、幸せだったろう。 亡くなる前日の朝、家族がいる手前では気恥ずかしさが勝ってしまい、正直な気持ちを話せないと思った私は ひとりで病院に面会に行き、眠っている父に向かって幼い頃から反抗的な態度を取ってきたことを詫びた。 「できの悪い息子でごめんな」と耳元で話していると、父が一瞬、私の手を握り返してきた、気がした。 あの時間がなければ、私の後悔はもっとずっと大きかったと思う。 テレビで何度も見かけた「9月21日午前6時21分、お亡くなりになりました」という医師の言葉を聞き終えて外に出ると もう空は明るくなり始めており、電話1本で飛んできた葬儀屋と話をしているうちにすっかり陽は昇った。 秋晴れの爽やかな朝だった。 悲しみに浸る暇もなく、数々の段取りが始まった。 実を言うと、2年ぐらい前から「親が亡くなった時にするべきこと」という ハウツーのページをブックマークしていて、折に触れて読み返すのを癖づけていた。 10年以上前の別れでは狼狽してしまい、何もかも人任せにしてしまった反省から いざという時にあたふたせず、冷静に適切な行動とれるための予習をしていたのだ。 親族と親しい方々への連絡、役所への届け出、葬儀の手配など まるで流れ作業のように進んでいって、翌日には通夜、翌々日の葬儀がすんなり決まった。 通夜の翌日、親族の集まった部屋に入ると、皆が見守る中で父が風呂に入れられていた。 旅立ちの前に全身を綺麗にするオプションサービスで、母が頼んでいたらしい。 髪も丁寧に洗い、顔もパック&化粧までしてほとんど韓流スターのようなフルコース。 一部始終を近くで見ていた姉が「私がやって欲しいぐらいのサービスだったわ」と感心していた通り 仕上がった父はこざっぱりして生気を取り戻したように見えた。 昼時になり孫たちが腹が減ったと言うのでGoogleMapで調べてみると 田舎のため近くにはコンビニぐらいしか引き当たらない。 「仕方ないから適当におにぎりでも買ってこようか」と義兄は言ったのだが 騒がしく葬るのが我が家のスタイルだからと、私の提案でデリバリーを頼むことにした。 幸い、配達圏内にカレー屋とピザ屋が引き当たったため Uberと出前館に一軒ずつ注文を出し、数十分後には親族控室はカレーとピザの匂いで充満した。 父の想い出話を肴にワイワイと盛り上がり、「こんなに騒がしい親族の控室はないんじゃないか」と 誰かが口にするほど賑やかな昼食になった。 年を取ってもジャンクフードが大好きだった父は、すぐ横で羨ましく見ていたに違いない。 皆で盛り上がっているところに葬儀屋が入ってきて、一枚の紙を置いていった。 折り鶴の形をした形状記憶用紙で、皆で一言ずつ別れの言葉を書いてお棺に入れるのだという。 「お疲れ様でした」「あちらでは偉そうな振る舞いをしないように」(←私)など各自が書き込み、 最後に全員のメッセージを読んでいると、看護学生をしている姪が書いたと思しき一文が目に留まった。 「きちんと面倒をみてあげられなくてごめんなさい。立派な看護師になってみせます。」 淡々と皆の様子を俯瞰で眺めてきた私は、その一文を読んで初めて涙腺が緩んだ。 父親としては赤点だったが、祖父としては孫達に慕われる良きじいじだったのだ。 父の顔の広さもあって、葬儀場には置き場所に困るほどの花が届き、弔問客で溢れ返った。 コロナ禍ではとても実現できなかったであろうし、やはり父はツイている。 「いよいよお別れの時です。 生前お付き合いのあった方は、どうか前に出てきてお顔を見て差し上げてください。 仏様は亡くなっても私達に多くのことを教えてくださいます。 命の儚さ、尊さ、多くの教えを私達の心に遺して旅立たれるのです。」 お棺を閉じる前のお坊さんの言葉に誘われるように棺の前に立ち、眠っている父の顔を覗き込んでみた。 次々と収められる花に囲まれた父は、加工アプリで装飾し過ぎた写真のようなビジュアルで少しだけ滑稽だった。 そしてその姿を見てフフッと少し笑った後に、訳もわからず涙が流れた。 時間にしてほんの1分ぐらいだったと思うが、どこかの栓��抜けたようにドバドバと流れて自分でも驚いた。 「最後ぐらい泣いてくれ」と、父が私の涙腺(栓)を抜きにきたのかも知れない。 こんな機会でもなければ会うことの無かったであろう、数十年振りの知人や親戚と再会し 様々な思い出話をしていると、この時間も父の置き土産なのだと感じる。 簡略化の進む現代風の葬り方にも良い点はあるが、昔ながらの葬式も、その煩わしさも込みでなかなか良い。 親族用にチャーターした火葬場までの送迎バスに乗り込む際、 片手で骨壷を持ち、片手でスマホを持って自撮りをした。父とのツーショットである。 山の中腹にある火葬場は薄曇りで少し肌寒かったが、待ち時間中はやはり四方山話で盛り上がった。 火葬を終え、小さな骨壷に収まった父と帰宅してから 四十九日までの予定を親族で確認し、それぞれが日常に戻っていった。 数日して何気なくiPhoneの写真フォルダを見ていると、入院時に父と撮った写真が出てきた。 亡くなった9月21日は金曜日、その写真は2日前の19日だったので 写真の上にはまだ『水曜日』と表示されている。 iPhoneの写真は1週間以内なら曜日で表記され、1週間以上が経つと○月○日の表記に変わる。 水曜日という表示に、まだ数日前まで父はこの世にいたのだと気づかされた。 老健に長く入っていたし、それほど頻繁に会っていたわけでもないのに 「もういない」ことが日毎に実感となって、音もなく雪が降り積もるように静かに寂しさが募っていく。 あっという間に四十九日を迎え、近しい親族だけで法要を済ませた。 葬儀の時と同じお坊さんがやってきて、最後にまたひとつ話をしていった。 「四十九日が経ちましたね。 毎日元気にお過ごしでしょうか。 今日はひとつ、時間と命について皆さんに考えていただきたいと思います。 私たちは皆、等しく流れる時間の中で生きています。 亡くなった方の時間はそこで止まり、しかし私達の時間は動き続けます。 時間の止まった方との距離は日々遠くなり、日常で思い出す機会が減ってきたり 悲しみが薄れたりしますが、そんな時こそ、生きていることを自覚していただいたいのです。 今日この場で皆さんと過ごした時間が二度と戻らないのと同じように 時間は先にしか流れないと自覚しながら、1日1日を大切に過ごして下さい。」 私にとって父が良い父でなかったように、父にとって私も良い息子ではなかったろう。 生きているうちにもう少し何とか出来たかもと思わないでもないが、全ては後の祭り。 是枝裕和監督の映画「歩いても歩いても」に出てくる 『人生はいつも、ちょっとだけ間に合わない。』を、まんまと私も体験してしまった。 先人からの教訓を受け取っていたのに、実践を怠って同じ後悔をして その気持ちをこうして文章に残し、誰かが悔いを残さないようにと祈る。 そうやって、人は生きていくのだ。
四十九日 - 忍之閻魔帳
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patsatshit · 2 years ago
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今年の8月末日、短編小説と音源がセットになった『JAGUAR』というZINEを制作した。200冊限定ナンバリング入りで、現時点(10/13)での在庫が30冊程度となった。ところが4月にリリースした『ほんまのきもち』と違って、本作についての感想がほとんど聞こえてこない。もちろん直接口頭、あるいはソーシャルメディアのダイレクトメッセージで読後感を伝えて下さった方々は沢山いる。しかし書評と呼べるものは実はいまのところ皆無に等しい。批評することを躊躇わせる斥力のようなものが作品に内包されていたのかもしれないと密かに勘繰ってみたりした。虚しかった。そこで、である。敢えてこの場を借りて、稀有で貴重な『JAGUAR』評を紹介しようと思い立つ。当ブログへの転載を快諾してくれた評者の方々にはとても感謝している。ほんまにありがとう。早速おふたりの素晴らしいレビューを読んで頂きたいのだが、いましばらく当方の四方山話にお付き合い下さい。
まず最初に『JAGUAR』という物語がかれこれ10年以上も前に執筆していたものであるということを前提に、すでに読んで下さった方々には当時の僕の意識混濁っぷりが窺い知れる内容になっていると思う。ビルメンテナンス会社の営業職に就いて忙殺される日々、精神と肉体が泥のように疲弊していくなかで書き上げた小説。大袈裟でなく、このままでは生きるという行為を自ら手放してしまうのではないかという危うい精神状態だったが、幸運にも当時に知ることができた偉大な哲学者、思想家、精神科医たちの言葉に背中を押され、結果的に今日まで生きのびた。以下に引用した名著の言葉たちが『JAGUAR』と僕を根底から支え、励まし、作品を世に放つ機会を与えてくれた訳だ。特に大気を裂く稲妻のように強烈な『千のプラトー』は、書かれている内容がわかるわからないというスノッブな価値観を遥かに超越した位置から自分を叱咤激励してくれた。こんなにぶっ飛んだ内容の読み物は他にないし、未読の方は絶対、ぜぇぇったいに読んでほしい。
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小説は、自分の名も、自分が探しているものも、していることも、すべて忘れ、記憶喪失、運動失調症、緊張症となった登場人物、なすすべを知らない登場人物の冒険によって定義されてきた。(中略)。宮廷愛小説の騎士のすることといえば、自分の名前、自分がしていること、人が自分に言ったことを忘れることであり、どこに行くのか、誰に話しているのかも知らずに、たえず絶対的脱領土化の線を引き、またたえず道を失って立ち止まりブラック・ホールに転落することである。『千のプラトー』ドゥルーズ+ガタリ著
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各人は、他者の世界の中での一客体であるばかりではなく、自分の世界の中で自分の体験や構成や行為がそこから生じるところの、時空間における一つの場所でもある。人は自分自身の視点をもった自分自身の中心である。そしてわれわれが見つけたいと思っているのは、まさに、他人と共有する状況において各人がもつところのパースペクティヴである。『狂気と家族』R.D.レイン/A.エスターソン著
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私にはひとつ、ことばを≪見る≫という病気がある。ある風変わりな欲動があり、それは、願望がまちがった対象に向かうという点で倒錯的な欲動なのだが、そのせいで、本来なら単に聴くべきものが、私には一種の≪ヴィジョン≫として現れるのだ。(中略)。言語活動に関して、私は自分が幻視者で、また、のぞき見の倒錯者であるような気がしている。『彼自身によるロラン・バルト』ロラン・バルト著
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そして小説版『JAGUAR』と一蓮托生の身である特級呪物、音源版『JAGUAR』については、僕が最も敬愛する女性DJにその制作を依頼した。マルコムXの演説を逆再生させたところから始まるMIXは、いくつかの世界線が交錯と混濁を繰り返し、正気と狂気の狭間を湿気をたっぷり含んだ低空飛行でかいくぐり、やがてひとつの景観ヘと辿り着くまでの過程をコラージュを交えた手法でドキュメントした、とんでもない内容に仕上がっている。揺るぎないベースライン、不意に降り注ぐ天啓となる言葉の数々、妖艶極まりない夜の気配、そして匂い。ぜひとも爆音で体験してほしい。以上のことをふまえて、OBATA LEO、moanyusky両名による書評をご覧下さい。
「JAGUAR」評① :評者OBATA LEO(ROLLER SKATE PARK作者)
土井政司の新作「JAGUAR」を読んだ。内容の理解云々以前にまず、地を這いずるような具体性の塊、描写に喰らった。自分が普段労せずざっくり物事を把握するための便利な道具として使っている言葉という同じものを使って、この作品はレンズのように細密にものを描き出す。ひとがきちんと見ずに済ませているような部分にまで光を当てる。そんな驚きもありつつ、やはり気になる。「JAGUAR」とは何なのか?
-「彼女は常に超越的な地位にあり、私たちとは隔たれた外部に位置している。そうであるにもかかわらず内部であるここにも存在しているのだからタチが悪い。絶えず外にいて内にあるもの、それがJAGUARだ。」最も端的にJAGUARについて書かれたこの部分を読んで、体内・体外の関係を想起した。普段「体内」と何気なく口にしているが、胃袋のように体には空洞がある。皮膚や粘膜などの体表に覆われて血液が流れている内部を体と呼ぶのだとしたら、その空洞は体に囲まれた「体外」ともいえて、私たちは体内に体外を抱えているという言い方もできるというわけで。それで繋がるのは、口腔内の歯の溝に落ちたタブレットを舌で触る場面である。「体内」でありながら自分では視認することのできない、舌で探るしかないその空間は確かに「体外」であるし、JAGUARもまた、己にとって内なるものでありながら断絶した他者でもあるような何かとして捉えられるのかもしれない。そんな線で読んでいくと、-「だが実際に私の目の前で何者かの手によって鍵の施錠は実行され、おまけに用心深くレバーハンドルを何度か動かしてしっかりと鍵がかかっていることを確認した。」という作品の終盤に出てくるこの部分で、文法的なエラーに感じる違和感は、そのまま私とJAGUARとの関係の違和感そのもののように思えてくる。得体の知れない何かに鍵をかけて、何食わぬ顔で電車に乗って仕事場へ行くなかでの体の軋み、のような何か。体といっても、いわゆる「(近代的な)身体」というキーワードで片付けるにはあまりに繊細な、大いにパーソナルな部分を含む体の感覚が、この作品にはあると思う。
出かけた「私」は、電車のなかで女性が着ている服のボーター柄の反転を目にするが、ここまで読み進めてくると、気持ちの良い幻惑に襲われはじめる。異常にディティールが詳しいのでそうと気づいていなかったが、やはりこのフィクションの中で起こる出来事たちは、出来事の形をとった何か夢やイメージのようなものだったのではないか。そして冒頭のリフレインまで突き当たると、この作品は初めから何についての話だったのだろうかと、今までひとつひとつ理解しながら読んできたはずの物語が全く違う相貌を携えているように見えてくる。そんなぐにゃんとした気持ちになるのは、良い小説を読む醍醐味のひとつだ。
「JAGUAR」評②:評者 moanyusky(音楽レーベルprivacy主催)
当たり前の様に無造作にある事で、それを見るか見ないか、それだけのことだと思います。土井政司の最新作「JAGUAR」を読みました。ここではJAGUARとなっていますが、人によってそれの名称は変わると思っています。よくわからぬ相手との対話や闘いがあるかどうかというところが、この作品の感じ方が分かれるところだと思っていて、私はどちらかといえば、その相手に困らされた事があったので、この作品を読んで、え!土井さんもやったんやとびっくりしました笑。ここは勘違いして欲しく無いところなのですが、人それぞれという言葉があるようにそれは一緒ではないのですが、構造はかなり近いと言ったような事でした説明がつかないわけですね。私は人の「想像」は人を殺しにかかるような死神として、隙があれば、それは現れるわけです。世の中ではアートであったり、想像力は良いように言われていますが、全くもってそれは何かが隠されているわけで、私は良かった試しが無いわけです。出来れば普通のルートで現代社会を楽しみたかったです。でも多分知っていくという事はそういう事なのかもしれない。想像力に悩まされてきた身としては、この作品は、別の場所で、それと闘って、きっちり答えが出ているというところ、しかも、10数年前の作品という事で、私は土井さんに出会って、色々な対話を交わして、初めて彼の濃厚な苦悩との生活に出会う事となったわけです。各人の時間軸が理解の範疇を超えて、重なり合って手を取ったのだと思っています。その時に置いてきぼりになってしまう、その真ん中で産まれゆく、刻まれた何かがずっとどこかで成長していたら、人は正気を保てるだろうかと思ってしまいます。誰かが入ったであろう、部屋のノブをあなたは回せるかどうか。私はそれには名前をつけなかったが、もう二度と会いたくないですし、いつまた来るのだろうと、恐れを感じます。彼は人が地面を無くした時に現れるように思います。浮遊した瞬間、命をもぎ取ろうとする。
でもそれはオカルト的なアレとか、スピリチュアル的なアレなんてものではないのですね。確実に自分、自分を構成する設計図の謎のようにも思え、それが薄らぐために生活をやり、音楽をやり、愛し合い、話し合い、何かを育てるのだと思います。現実社会で経験した摩擦は地面をはっきりさせ、そいつのいる世界から距離が出て、薄めてくれるように思うわけです。だからこそ。JAGUARの言葉を借りれば「痛みと不安から自分自身を取り返し、その自分に立ち止まるために語りを紡ぎ出す」。が救いの言葉となっているように思います。2部構成で出来上がる、この作品のバランス感覚は、人と創作の関係性をSFとして描いているように感じます。同じ場所にて語る事は嫌がられるかもしれませんが、私が映画を観に行った時に続々と子供たちが外へ出て行った宮崎駿の最新作「君たちはどう生きるか」を出したタイミングと、土井政司がこれはいけると思ったタイミングで出されたJAGUAR。それは何もかもを抜きにして考えると、世の中の人たちに対して彼らは同じことを思っているのだと思います。今それを出さなければならなかった。その「灯り」の意味を考えなければならないのです。
〆はもちろんこの曲で!
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quuyukadaisuki · 2 months ago
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狂える時のシャドウ・オブ・ソーサー
〜誰が為に時は鳴る〜
_6.ナシュと空賊のラプソディ_✍
レオファードたちは、目立たぬように追っていた。その視線の先には、いつものようにマイペースに歩く冒険者の姿がある。
「……やはりそう簡単にはいかぬな」
ケット・シーが尻尾を揺らしながらぼやく。
どうにかアガレスに気付かれず、監視の目がない頃合いを見計らって、話す機会を狙っているものの――アガレスの気配が冒険者に付き纏うのを感じる。しかも冒険者が接触を試みようとする者たちは操られているのだろう、必ず巧妙に特設ステージへと誘導されてしまう。
「やれやれ、だな」
レオファードが、半ば投げやりに告げた。
特設ステージから聞いたことのある賑やかな音楽が流れはじめた――筋肉美のアフタヌゥーンのショーである。
今日もまた、冒険者は迷いなくそこへ足を運んでいく。
「……まったくだ」
ケット・シーは眉をひそめたが、仕方なくレオファードに続く。尾行の手を緩めるわけにはいかなかった。
大勢の客で賑わう特設ステージ。
中心にいるのはマンダウィル親子、そしてステージを取り囲むかのように筋骨隆々の男たちがきらびやかな衣装に身を包み、これでもかと肉体美を誇示している。
それを盛り上げるように、観客たちの歓声が響く。
レオファードは、周囲を一瞥したあと、ステージ上に目を向けた。そこで、あるミコッテの女性に目を留める――彼女は舞台の助手役として動いていたが、どこか様子がおかしかった。
明らかに『流れを知っている者の戸惑い』を見せている。
動こうとするたび、筋肉パフォーマたちにマッスルゥと押し戻される。何かを探るような目で、客席のほうをちらりと見ること数回。そして一瞬だけ、心底うんざりしたような表情を浮かべた。
気付いているなと、レオファードは確信する。
「おい、ちょっと聞け」
小声で呼びかけると、隣の小さな相棒が耳を動かす。
「なんだ?」
「……あのお嬢ちゃんは、この繰り返しに気付いているみたいだぞ」
レオファードの視線の先をケット・シーが辿る。ゴーグル越しに見据えてるのは舞台に立つ助手役らしきミコッテの女性だ。
「何を言っておる。そんなバカなことがあるというのか。アガレスの支配から逃れるなど、奇跡でも起きぬ限り……」
ケット・シーは思わず声を上げたが、レオファードの真剣な目を見て、ぐっと言葉を飲み込んだ。あのミコッテの娘が感づいているとな――本当にそうなのか? しかしレオファードの観察眼は確かだと思い直し、確信はないが渋々ながら付き合う事にする。
「――作戦はだな、舞台裏に引っ込むタイミングを狙うぞ」
レオファードは短く指示を出した。
「……そんで、ケット・シー、お前が潜り込め」
「小さいからって便利に使うな……!」
ぷんすかと文句を言いながらも、ケット・シーは小さな体を活かして、そっと動き出す。
「目立つ動きは絶対に避けろ。慎重にな」
「……私を誰だと思うておる」
レオファードの念押しに、ケット・シーはむっとしながら応じる。産まれたばかりの雛鳥でもあるまいに、レオファードは時折、親鳥の様に過保護な事がある。
「心配しちゃ悪いか? ネコじじい」
レオファードがニヤリとした。しれっと悪びれる事なく言うのだから、なおさら性質が悪い。
「ふん……余計なお世話だというものだ――それよりも」
「なんだ?」
「ネコじじいと呼ぶなと言うておろう!」
ショーは、一時小休止を挟んだ。
ミコッテの娘がそっと舞台裏に引っ込んでいくそのタイミングを逃さず、ケット・シーが忍び寄り、そして控室に入ったのを見計らい呼びかける。
「……おい、そこの娘よ。聞こえるか」
ミコッテの娘はかすかな呼びかけに、聞こえないふりをするかどうか、しばし葛藤する様子を見せたが――観念したのだろう。あたりをきょろきょろと見回して叫んだ。
「だ、誰ですかぁっ!? もしかしてオバケさんですかっ?!」
声を上ずらせながら、ミコッテの娘は背中から爆弾を取り出し、両手で構えた。完璧な警戒ポーズだ。ケット・シーはその光景に耳をぺたんと寝かせ、心の中で深いため息をつく。
レオファードのやつめ、見誤ったな――反応を見る限り、ループに気付いているとは思えぬ。ここで猫の姿である使い魔の自分が出て正体を現したところで、ますます混乱が大きくなるのは間違いなかった。
「にゃ……あとは頼む」
「ったく、そうはうまくはいかねぇか」
「ほう……初めて意見があったのう」
「一言多いぞ、……ネコじじい」
レオファードが軽口を叩きながら現れ、ケット・シーもそれに続いた。
「オバケさんじゃなかったのです……黒猫さん……です?」
初めて見る生き物に、虚を突かれたミコッテの娘。レオファードが両手を見せるジェスチャーで、できるだけ優しく声をかける。
「おっと、俺たちは敵じゃない。ループを止めるために動いている。そう……だから、まずはその爆弾をしまっちゃくれねえか」
「えっ、あ、そ、そうだったんですか!?」
ミコッテの娘は慌てて爆弾を抱きかかえ、ごまかすように後ろ手に隠した――が、まったく隠れていなかった。
「………………………………………………」
――全然信用できねえってか。
レオファードはケット・シーの咎めるような視線をひしひし背中に感じながら肩を竦めてみせた。
「あ〜っと………まずは、自己紹介からだな」
警戒を解こうとレオファードがこれまでの経緯を簡単に説明するうちに、ナシュと名乗ったミコッテの娘は段々と目をきらきら輝かせ始め、両手を胸の前でぱんと合わせた。顔の前に手を寄せ、嬉しそうに片足をぴょんと跳ね上げながら声をあげる。
「思っていた通りです〜! やはり事件だったんですね!」
その瞬間、彼女が抱えていた爆弾が手からすっぽーんと抜けて、くるりと宙を舞った。
「うぉっとぉ!」
レオファードが反射的に手を伸ばし、がっちりと爆弾をキャッチ。しかし、爆弾の重みでバランスを崩しかける。
「わぷっ――!」
すかさずケット・シーも跳びつき、小さな体でレオファードの腕にしがみつきながら、爆弾の端っこを押さえる。
二人(正確には一人と一匹)は、無言のうちに絶妙な連携でバランスを取り直し、なんとか爆弾を地面に落とさずに済んだ。
レオファードが目配せしながらケット・シーに頷き、ケット・シーも小さく「にゃ」と頷き返し、そのまま慎重に、そぉーっと爆弾を地面に置いた。
「爆弾落とすなぁぁぁ!」
「わわわっ、ごめんなさいです~!」
ナシュはぺこりと頭を下げ、反省しているのかしていないのか、ぴょんぴょんと跳ねながらあたふたするのだった。
「はぁ………ナシュ殿の言う通り、見方を変えれば事件とも言えるかの」
ケット・シーは耳をぴくぴくさせながら、ナシュの反応に若干の戸惑いを見せつつ、ぽつりと答えた。
ナシュはしばしの沈黙ののち、ぎゅっと両手を胸元で握りしめ、意を決したように前に一歩踏み出した。
「――あの! お願いしたい事があります〜。どうしても、ヒルディブランド様とゴットベルト様を正気に戻したいんです! ナシュにもお手伝いさせてください!」
「そいつぁ……頼もしい申し出だがな」
レオファードは腕を組み、ナシュを見下ろした。
「簡単な道じゃねぇぞ。相手は、アガレスの支配下にある。下手すりゃ、こっちが取り込まれる」
「それでもですっ!」
ナシュはぐっと拳を握り締めた。その小さな体のどこにそんな気迫があるのか。
「ナシュは……ヒルディブランド様に助けてもらったご恩があるんです! だから今度は……ナシュが助ける番なんですっ! それに事件屋ヒルディブランド様の助手ナシュ・マカラッカとして何もせずに見過ごすなんてできないのです〜!」
真っ直ぐな瞳に、レオファードは一瞬、胸を衝かれるものを感じた。ケット・シーも、しっぽを一度ぱたりと振ったあと、ふっと笑みを浮かべる。
「……筋は通っておるな」
「だったら――」
レオファードはにやりと口角を上げた。
「――いっちょ、力を貸してや��うじゃねぇか」
「はいです〜!」
ナシュはぱぁっと顔を輝かせた。その拍子にまた爆弾を取り落としかけたが、レオファードがさっと腕を伸ばして押さえた。
「爆弾をしまえって言ったろうが……!」
「わわわっ、ご、ごめんなさい〜!」
ドタバタと騒ぎながらも、新たな協力者を得たレオファードたちは、次なる作戦に向けて、作戦会議を始めるのだった――。
「――それで、ショーに出ているマンダヴィル親子の事だったか」
レオファードがそう返すと全力でナシュ頷いた。
「そうですそうです〜」
「して、お主らはどうして巻き込まれたのだ?」
ケット・シーが何気なくナシュに質問をした。
「えっと、それはですね〜。ヒルディブランド様の壊れた懐中時計を直すために、ここへ来たんです〜それでそのぅゴットベルト様が修理しようとしたら、光ってぇ、宙に浮いて〜それで……うーん。そこからはよく覚えてないんですけど」
――懐中時計が光って、しかも浮いただと?
ケット・シーの目が光る。
「それだッ!!」
声を潜めながらも、興奮気味に話し出す。
「懐中時計こそ、アガレスの依代(よりしろ)、つまり要である可能性が高いぞ!」
一瞬、空気が引き締まった。懐中時計を破壊、あるいは封印すれば、アガレスの力は大きく削げる。
だが、恐らくそれを守る力もまた強大だろう。
「破壊するにも封印するにも俺たちだけじゃ無理だ。……あいつの力が要るな」
レオファードは、冷静に結論を下した。
「……? あいつとは誰のことなんですか?」
「ふっ、聞いて驚くなよ。竜詩戦争を終わらせ、ついでに世界も救った英雄。そんで俺達、レッドビル空賊団の団員でもある!」
「……正確には雇っただけであろう」
勝手に仲間だと吹聴されたら当の本人が困るのではと、ケット・シーがレオファードを嗜めるが、レオファード本人はどこ吹く風――むしろ、間違っているのはケット・シーだと言いたいらしい。
「なに言ってんだ。戦友ってこたぁ、つまり仲間だろ」
「ふむ……たしかに、その点においては違いないな」
ケット・シーもそこに関しては同意だ。
「だろ」
レオファードが不敵な笑みを浮かべる。
「なんだか聞いていると頼もしいです〜!」
「うむ。もしかしたらナシュ殿も会った事があるかもしれぬしの」
「うーん、どうですかね?でも是非会ってみたいです―――!」
ここに、事件屋の助手と空賊団の奇妙な共同戦線が爆誕したのであった。
――しばらくしてのち、ショーの控室にて。
夜の爆破ショーの開演まで時間があるからと、ナシュの控室は一時的に空賊団のアジトとなった。休める場所がなかった二人にとって、ありがたい申し出であった。
「そういや……嬢ちゃんはなぜ正気でいられたんだ?」
レオファードが何気なしに尋ねると、ナシュは困ったように首をかしげた。
「あの……もしかしたら、目を回して倒れてたから、かも……です〜」
彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめる。
「気がついたら、ちょうどショーが始まるところでした……」
つまり、ループ現象の発生時、意識を失っていたため、運良く干渉を受けなかったということらしい。
ほれみたことかと言わんばかりのレオファード、恥ずかしそうに手で顔を覆って照れているナシュ。ケット・シーは、危うくズッコケそうになった。
「な、なるほど……まさかほんとうに奇跡とな――」
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ataisai · 3 months ago
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ミミルンのピカピカ★大冒険
FFXI Ibun no Utaibito Transcript
Synopsis ある日、サラヒム・センチネルに一匹のキキルンが 「捜し物を手伝って欲しい」 と訪ねてくる。 「ネズミの依頼なんてごめんだよ」 とそっけないナジャ社長だが、 「チャリチャリ いっぱいあるる、のよ~」 というキキルンの言葉を聞き、 金に目が眩んで引き受けることになる。 しかし、キキルンの言う通りに地面を掘っ てみても、出てくるのはガラクタばかり。 その中から、 キキルンはボロボロの棒を拾って帰っていった。 はてさて、 キキルンの“捜し物”とは......?
Pg. 3
I ミミルンのピカピカ★大冒険 高橋玖 登場人物 ナジャ社長 アブクーバ ミミルン ガッサド
Pg. 4 [シーン1 アトルガン白門 サラヒム・センチネル]
―サラヒム・センチネルの事務所内にアブクーバとナジャがいる。
Naja: ああ~ヒマだねえ。 最近は皇国からの依頼も減ってきてるし……。 このままじゃあ、おまんまの食い上げだよォ。 アブクーバ。あんた、ちょっと気の利いた依頼取ってきな。
Abquhbah: ナジャ社長、そんなうまい話はありませんよォ。 傭兵たちにも言ってますけど、地味な依頼を地道にコツコツ続けることが会社の発展に……。
Naja: アブクーバ、あんたいつから社長に意見できるほど偉くなったんだい、ん~?
Abquhbah: ふひーー、すみません!
Naja: わかったら、さっさと行って、儲け話を持ってきな!
Abquhbah: はっ、はい! ……ってあれ? 事務所の入り口に、誰か立ってますね。
Mimiroon: フンフーン♪ サラヒム・センチネルは、ここらの、ね?
Abquhbah: はあ、そうですが。
Mimiroon: あてくち、ミミルンの、よ。 ここ、 探偵社らの?? ルンルンネッタワークでおともらちに、聞いて来たの、よ??
Naja: お友だちょ~? 知らないねぇ。 こっちはネズミの相手しているほどヒマじゃないんだよ。 帰った、帰った!
Mimiroon: あてくち、依頼をするるの、よ。
Pg. 5
Abquhbah: ナジャ社長、いいんじゃないですか? ウチ、どうせ最近はヒマですし……。
Naja: アブクーバッ! 人聞きが悪い、うちはヒマなんじゃないよ。 畏れ多くも皇宮御用達のサラヒム・センチネルを、そんじょそこらの何でも屋と一緒にしてもらっちゃあ困るんだよ。
Mimiroon: でも、ミミルンはチャリチャリ、いっぱいあるる、のよ~。
Naja: …… ん?
Abquhbah: お金のことですよ! キキルンたちは、アトルガン貨幣のことをそう呼んでいるんです。 そう言えば、前にお金持ちの社長キキルンが来たこともありましたね。
Naja: ……ふ、ふーん?? そういうことなら、ちょっとは話を聞いてあげてもいいけど? ほらっ、アブクーバ、お茶をお出ししな!
Abquhbah: はっ、はい!
Naja: ―で、お客様、何をご依頼ですかねェ? 我が社は肩たたきから荒事まで、ずずずいーーーーっと幅広く対応してございますよ。
Mimiroon: そゆう、こわいのは、いいの。 ミミルン、探してるものあるる、のよ。
Naja: 探してる? なるほどなるほど。 捜し物のご依頼ですね。で、いったい何を???
Mimiroon: んんーー? わかんぬい。
Naja: ……は?
Abquhbah: えっと、自分でも、何を探すかわからない?
Mimiroon: ん。そなの、よ~。
Naja: ハァーー……? どういうことなんだい? これだからネズミは……。 アブクーバ、ちょっと詳しく聞いとくれよ。
Pg. 6
Abquhbah: えっ、あ、はい。
Mimiroon: あのね、キラキラ、さがすの、よ??
Abquhbah: んー? キラキラ??
Naja: あっ、ひょっとして、なんかのお宝かい?
Mimiroon: うつくしの、キラキラ、埋まってるるの。
Abquhbah: なるほど、どこかに埋まっているお宝を、掘り起こしたい、と。 そんな感じかな?
Mimiroon: うん? そなのね?
Naja: よし。 アブクーバッ!スコップとツルハシ持ってきな、出かけるよッ!
Abquhbah: は、はひーー!
[シーン2 ワジャーム樹林]
Abquhbah: ……と、まあワジャーム樹林に来ましたが、こんな殺風景な雑木林を当て所なく捜すんですか? ふひー。
Naja: で、どこにお宝が埋まってるんでしょうねえ~。ミミルンさん?
Mimiroon: んっと、んっと……ね。 ……こっちこっち。たぶん、ここらへん、らのよ。
Abquhbah: ここ? ただの土塊しかないですけど……とりあえず、ここを掘ってみればいいんですか?
Mimiroon: ん? そなの。
Abquhbah: なんか、要領を得ない話ですけど……ま、とりあえずやってみますか。
Naja: よしっ、アブクーバ、張り切っていこ!
Abquhbah: じゃあいきますよーー。いよいしょー!
Naja: よっ!
Pg. 7
Abquhbah: ゎっせーーーい!
Naja: 会社のためなら♪
Abquhbah: エーンヤコーラ♪ ……ってナジャ社長、かけ声だけじゃないですか!!
Naja: 当たり前だよ。あたいは、育ちがいいからねェ。 スプーンより重いもの��持ったことがないのさ。
Abquhbah: いっつもモーニングスター担いでるのに……。
Naja: ああん? 何か言ったかい? アブクーバッ! サラヒム・センチネル社訓、その2!
Abquhbah: はひっ! 社長不敬は災いの元!!
Naja: よろしい!
Abquhbah: ……ふう、ふぅ、社長のためならエーンヤコーラ……。
―ツルハシが何か固いものにあたる。
Naja: なんだい? 何か固いものにあたった音がしたよ。
Abquhbah: 確かに、手応えがありました!
Naja: 驚いた、本当に何か出てきたのかい? うっふふふ、宝石かい? あるいは埋蔵金かなにか……。
Abquhbah: よし、掘り起こしてみます。
Abquhbah: これは……なんでしょう? なにか金属みたいなものが出てきましたけど、ずいぶん錆び付いているような……。
Naja: 何だい?ボロッボロじゃないか……。ずいぶん古っちいものだねえ。
Abquhbah: ミミルンさん、全然ピカピカしてないけど、これでいいですか?
Mimiroon: んー……。わかんぬい……。
Pg. 8
Abquhbah: ……わかんぬい、か。
Naja: はーーぁ……。 なんか怪しくなってきたよ。 どーせ、金目のモノなんて、何もないってオチじゃないのかい?
Mimiroon: ちがうの、よ! ピカピカ、あるるの! まだ掘るる!!あっち!!
―駆け出すキキルン
Abquhbah: あっ、待ってください!
Naja: アブクーバッ! 追いかけるよッ!
Abquhbah: はいっ!
[シーン3 エジワ蘿洞]
Abquhbah: ……はあはあ、ひたすら後を追って、今度はエジワ蘿洞まで来ましたけど……。
Mimiroon: ここらの、よ! こんどこそ、キラキラあるるの、よ!!
Naja: こんなひとけのない洞窟に? 確かだろうねぇ? さっ、アブクーバ、掘ってみよ!
Abquhbah: ……うう、社長、僕もうさっき掘ったので、手が豆だらけなんですけど……腰も痛いし……。
Naja: アブクーバッ! サラヒム・センチネル社訓、その3!
Abquhbah: はいっ! 会社の歯車王を目指す!!!
Naja: よし!
Abquhbah: ふひーーーー!
Pg. 9
Abquhbah: どっせーーーい! よっこらっしょーーー!
Naja: アブクーバッ、サボるんじゃないよ。 ちょっとあたいはそこらで一休みしてるから。あとよろしく。
Abquhbah: はっはい! ふひ。……はぁはぁ、こんなに重労働なら、ファルズンも連れてくればよかったなあ。
Mimiroon: ないない、の?? ミミルンのキラキラ……。
Abquhbah: いや、どうでしょう。 まだわからないけど、まあ、こうなったらとことん付き合いますよ。
Naja: ……って、アブクーバ。 1時間もたつけどまだ出ないのかい? もう日が暮れちまうよ。
Abquhbah: いやあ、さっきから、掘り起こして出てきたのは、ここにあるガラクタばっかりで……。 なんかわかんない、ボロボロの棒。 なんかわかんない、金属の板。 なんかわかんない、布みたいなやつ……。 以上です。
Naja: ハァー?
Abquhbah: ミミルンさん、これ、探してたやつですかね?
Mimiroon: うーん、うーん。わかんぬい……。
Naja: はーやれやれ。とんだ無駄足じゃないか。やっぱりネズミはダメだね。 アブクーバッ、あたいは先に帰ってるから、このガラクタの始末しときな! あと、このネズミからきっちり代金回収しておくんだよ!
Abquhbah: ふひーーー! は、はいーー! ……ってことで、依頼はここまでですね。すみません。ミミルンさん。
Mimiroon: うぃ……。
Naja: この、掘り起こしたやつはどうします?
Pg. 10
Mimiroon: ん、これだけ、持ってかえるる。
Abquhbah: このボロボロの棒を? うんまあ、じゃあそうしてください。 他のガラクタ……みたいなやつも一応サラヒム・センチネルまで運びます?
Mimiroon: うぃ……。
Abquhbah: じゃあ、僕が持って帰るので、気が向いたら取りに来てくださいね。 ずっと置いておいても、ナジャ社長に怒られちゃうので……。
Mimiroon: ……うぃ。
[シーン4 アトルガン白門 サラヒム・センチネル~バルラーン大通り]
―再びサラヒム・センチネル事務所内。
Abquhbah: ……ああー疲れた。 結局、一日中ツルハシを振るって夜中までガラクタを運んでクタクタだよ。 ナジャ社長、今に始まったことじゃないけど本当に人使いが荒いよなあ。 あれさえなければ、可憐な可愛い系ミスラなのに……。ちょっと今日は疲れたし、ここで仮眠しよう。
―寝入るアブクーバ。
Abquhbah: ぐぅ…… ぐう……。
―そこに、持って帰ってきたガラクタの山から、ぼんやりとした光が放たれて謎の機械音が響く。
Automaton: グギギ…… グギギギ……。
Pg. 11
Automaton: …… 装甲の各パーツを確認。 自律機能、復活……。 再起動します……。
Abquhbah: ……ん? むにゃむにゃ。よしてくださいよ〜。 ボーナスだなんて……ま、もらえるものはもらいますけどぉ……。 ……ハッ夢か。 あれっ……? なんか物音が聞こえる……? えっ、この巨大な影は……!? な、なんだ……? う、うわあああああああ!!!
―再び皇都、パルラーン大通り
Mimiroon: ……ハァ~。一日中さがちても、キラキラなかったの、ね…… 残念らのよ……。
Mimiroon: ……ん。何か、音、 するる?
Abquhbah: あ、あぶなーーーい!!!ミミルンさん、避けて!
―暴れて、あたりを破壊しているオートマトン。
Mimiroon: わっ! 何、らの??
Abquhbah: ミミルンさんと一緒に拾った、あのガラクタですよ。 僕が寝ている横で、いつのまにか、組み上がって自立して、動き始めてしまって……。 ン……? あれは……あの姿は、まるで、巨大なオートマトンだ!
Mimiroon: まとん……。
Abquhbah: でもなんで……あんなに巨大なマトン見たことない。 それにあいつ、いきなり暴走して……。
Pg. 12
Mimiroon: あれ! ミミルンのピカピカ〜! まとん!! 暴れちゃらめ!!よ!
Naja: ちょっと、ちょっと! アブクーバッ、いったい何の騒ぎだい??
Abquhbah: ふひーー! ナジャ社長だ! (マズい!) あの、違、なんでも、なくはないんですけど……。
Naja: あの、暴れてるでっかいのは何なんだい? あんたらの仕業なのかい!
Abquhbah: いえ、滅相も! ……なくもないです……。
Naja: このままじゃあ街中をぶっ壊しちまうよ! 皇宮にでも突っ込んでごらん、あたいらはよくて縛り首、悪くて縛り首だよ!! アブクーバッ! 腕の二、三本、犠牲にしてでも止めな!!
Abquhbah: ふっ、ふひーーー! はいぃぃっ!
Abquhbah: ど、どうしたらいいんだ……。 そうこうするうちにも、城壁をどんどんぶっ壊してるじゃないか……。 あたりに、人も集まってきちゃったし……。
Ghatsad: おい、これはいったい何の騒ぎだ?
Abquhbah: あっ、マトン工房のガッサドさん! ちょうどいいところに! あれ、あの巨大なマトン、止めるには、どうしたらいいんですかぁ!
Ghatsad: あれは、マトン……なのか? あんなデカいものは初めて見るが……。
Townsfolk: きゃあーーーー!!
Abquhbah: 今度はなんだっ?
Mamool Ja: ギャギャッ……!
Townsfolk: 助けて、誰か……! 壊れた外壁からマムージャが入り込んできて……。
Abquhbah: えっ、そんな……!
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Abquhbah: 巨大マトンが暴走しただけじゃなく、蛮族を引き込んでしまうなんて……。
Ghatsad: おい、このままだとマムージャも街中で暴れてしまうぞ!
Townsfolk: 人民街区には子どもたちも大勢いるわ、なんとかして!
Abquhbah: はっ、はい! これ以上、被害が広がったら僕らもマジで縛り首になってしまう! なんとしても止めなくちゃ……! でも、いったいどうしたら……。
Ghatsad: おい、ストリンガーはないのか?
Abquhbah: ストリンガー?
Ghatsad: マトンであるからにはあいつもストリンガーで操作できるんじゃないか。 そうすれば、マトンはマスターの命令を聞く。それで、マムージャと戦わせるんだ!
Abquhbah: 棒……! もしかして、ミミルンさんのそれ!
Mimiroon: ん? これ、らの??
―キキルンが持っている棒がストリンガーだった。
Abquhbah: それです! 僕らが掘り出したボロボロの棒!!! それがストリンガーじゃないですか? ひょっとして……昨日掘り出したものは、全部オートマトンのパーツだったということか!
Mimiroon: すとりん、がー……?
Abquhbah: ……よし! それで操作してみましょう! ミミルンさん、いけますか?
Mimiroon: うぃうぃ! マトンーー!! 暴れちゃらめらめ(ダメダメ)、よ~!!
Automaton: ……ガ、ガガ……(ノイズ音) メ、命令の、入力を確認。 マスター、これより…… 戦闘モードに移行します。
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Mimiroon: まとん! あの、まむじゃをやっつけるる~の! えいっ!
Automaton: マスターのディプロイを確認……。 ……これより、敵の殲滅行動を開始します。 バリアモジュールを展開……。
Abquhbah: おお! 盾が使えるんですね!
Ghatsad: 白兵タイプだな。
Automaton: 「シールドバーーーッシュ」!!!
Mamool Ja: ギャアアァァアッ……!
Abquhbah: おおっと、マトンが盾でマムージャの攻撃を押し戻しました! いいぞ! 行っけえええーー!!
Mimiroon: マトン、がんばるるの、よ~! ぽちっ!
Automaton: オーバードライヴ…… コマンドを認識しました。 ……ギ、ギギ、「ボーンクラッシャー」!
Mamool Ja: ギャアァッ……!
Abquhbah: おおっ、何でしょう? 急にマトンの攻撃が強くなったような……。 ガッサドさん、これは、いったい?
Ghatsad: オーバードライヴだ。 マトンに共通する能力で、攻撃間隔が早くなったり、ア���ッチメントの効果があがったりするものだな。
Abquhbah: なるほど! つまり無茶苦茶パワーアップしているということですね。
Ghatsad: まあ……そうだ。
Automaton: 「ストリングシュレッダー」!!
Mamool Ja: ギャギャアーーーッ!!
Abquhbah: おおっ! マトン強い! 衝撃でマムージャがすっ飛ばされていきました!
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Abquhbah: これはかなり効いている模様~! しかし、このまま街中で暴れるのは大変困りますね……。
Ghatsad: ミミルン、リトリーブは使えるか?
Mimiroon: うい? りとっ……プ?
Ghatsad: リトリーブを使うと、マトンはマスターの元へ帰ってくる。 このままマトンを街の外に引っ張って、アルザビから引き離すんだ。
Abquhbah: それはナイスな作戦ですね!
Mimiroon: うぃ! うし(よし)、行くの、よ~! まとん! りとっプ~~!!
Automaton: ……コマンド、リトリーブを受け付けました。 マスターの元へ帰還します。
Ghatsad: よし、ミミルン、このまま街の外へ向かって走れ!
Mimiroon: うぃうぃ!
Abquhbah: ふひー! マムージャも追ってきてます!
Ghatsad: ワジャーム樹林に出て、もう一度、技をぶつけるんだ!
Mimiroon: うぃ!
[シーン5 ワジャーム樹林]
Abquhbah: よしワジャームまで出ました!
Mimiroon: まとん! もっかい、なんか、強いやつやるる、のよ!
Automaton: ……「ストリングシュレッダァァーー」!!
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Abquhbah: 決まったああ!!
Mamool Ja: ギャギャギャーーーーッ!
Ghatsad: よし、倒したな!
Abquhbah: やったああ~! やりましたよ! これで縛り首にならずにすみます……!
Mimiroon: まとん、えらいえらいの、よ~!
Abquhbah: ははっ! すごいですね! ミミルンさん、いったいあのマトンは何者なんですか?
Mimiroon: うん? キラキラ、落ちてきたの、���?
Abquhbah: キラキラ……?
Mimiroon: おそらのキラキラ、落ちてきたところに、ミミルン、探しにいったの、よ~?
Abquhbah: ええ?? それって、マトンが空から落ちてきたってことですか? 不思議なこともあるもんだなァ……。
Ghatsad: ふぅ……。
―大団円、みたいな雰囲気になっている一同。しかしマトンはまだ戦いをやめず、カウントダウンが始まってしまう。
Automaton: ガ……ギギ……。 XI(イレブン)……。 X(テン)……。
Abquhbah: あれ? 誰か何か言いました?
Ghatsad: いや……?
―そこへ再び現れるナジャ社長。
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Naja: ……アプクーバッ! 何チンタラやってるんだい! さっさとあいつを始末しときなって言っただろ!
Abquhbah: ああっ、ナジャ、社長! いえ、あれからマムージャが来たりして、いろいろ大変だったんですよう。
Automaton: VII(セブン)……。 VI(シックス)……。
Naja: ああん? アブクーバッ、サラヒム・センチネル勤務評価、第一条!
Abquhbah: ふ、ふひーー! 社長の命令に絶対服従!
Naja: よし! さ~て、散々街中で暴れてくれたこのマトン、連れてきたのがあたいらだってバレたらえらいことだよ。 どうにか誤魔化して、なかったことにしないとね……。
Abquhbah: でも社長、これはミミルンさんがせっかく探し出したもので……。
Automaton: IV(フォー)……。 III(スリー)……。
Abquhbah: ……ん? なんかさっきから、誰か数を数えてません?
Ghatsad: ……マトンがカウントダウン、しているのか?
Naja: あーもうッ! ごちゃごちゃうるさいね! 面倒だ、こんなガラクタ、あたいのモーニングスターで一撃粉砕、証拠隠滅してやろうじゃないか!!
Automaton: II(ツー)……。 I(ワン)……。
Naja: はああぁッ!ピースブレイカーッ!!
―ナジャ社長、モーニングスターでマトンを一撃。
Abquhbah: あっ……。
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Mimiroon: こわれちゃったの……。
Naja: ほら、さっさとずらかるよ。
―泣くミミルン。
Mimiroon: ふぇええええ! ふぇえぇぇぇ~~ん! まとん……!
Ghatsad: なんてこった。
Naja: ああ、あんたガッサドじゃないか、いいところに。 その壊れたマトン、あんたに譲るからここの騒ぎを、いい感じにおさめといておくれよ。 あんた、皇宮兵にも顔が利くだろう。
Ghatsad: ……ふむ。まあいいだろう。 研究材料としては、面白そうだからな。
Naja: じゃあ、頼んだよ~。
Abquhbah: あっ、ナジャ社長、待ってくださいよ〜。 ミミルンさん、すみません。ではまた!
―去るナジャとアブクーバ。
Mimiroon: うう……、 ミミルンのまとん…… おそらのピカピカ……。
Ghatsad: 空のピカピカ……。 アトルガン皇国の礎を築いたアルザダール帝は、 不思議な力で動く人形を空に打ち上げたと言い伝えられているが……何か関連が……。 いや、まさか、な。
Mimiroon: ふぇぇぇん。
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Ghatsad: 泣くな。新しいマトンを何か見繕ってやる。
Mimiroon: ふぇぇぇぇん……うぃ……。
[シーン6 アトルガン白門 サラヒム・センチネル]
―再びサラヒム・センチネル。
Naja: ……はぁーーー。 あれから結局巨大マトンが破壊した外壁やら店舗やらの修理費を請求されて今回の稼ぎも全部ふっとんじまったよォ……。 まーた! ただ働きじゃないか! まったく、ろくでもない依頼ばっかりで、いつになったらまともな儲け話がくるんだろうねェ。
Abquhbah: ……いやあ、今回は、なんかちょっと惜しかった気もするんですけど……。 ナジャ社長がぶっ壊さなければ、あの巨大マトン、けっこういい買い手とか、あったりしたんじゃないですかねえ?
Naja: ああん? 社長に楯突くとはいい度胸だね。 アブクーバッ、サラヒム・センチネル評価基準、第三十二条ッ!
Abquhbah: は、はいっ! 社長を無視して減俸対象……。
Naja: アブクーバ、今回の騒ぎの罰として、今月は減俸だよっ!
Abquhbah: ふ、ふひーーーー! 社長、そ、それだけは勘弁してくださいーー!
(おしまい)
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