#野良猫の気ままな暮らし、日だまりの道の真ん中に大の字になって寝ころんだり、、、
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#デジタル「ビジュアル短歌」#★道いっぱい秋の日だまりひよいと来てノラの暮らしの猫は大の字 みの虫#野良猫の気ままな暮らし、日だまりの道の真ん中に大の字になって寝ころんだり、、、#ーーー自作短歌は筆で書き、デジタル表現。背景の絵はデジタルーーー
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各地句会報
花鳥誌 令和5年11月号

坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年8月3日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
思ひ出はねぶた祭りの鈴の音 由季子 居合はずも気配感じて墓参り さとみ 小さき手の祈る姿や原爆忌 都 新刊にしをりはさみ��今朝の秋 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月5日 零の会 坊城俊樹選 特選句
夏蝶の影夏蝶の見当たらず 和子 夏帽を墓誌にぱさりと一礼す 小鳥 炎帝の甘い息なり草いきれ 和子 ビルとなく夏草となく墓となく 千種 墓参直方体の石たちへ 緋路 刻む名のなき墓石の灼けてあり 和子 十字架の寝墓を埋めし夏の草 美紀 空蟬を俯きにして走り根に 要 炎天にかつて士族は墓じまひ いづみ
岡田順子選 特選句
睡蓮の影睡蓮の葉に揺るる 緋路 利通の墓へ鋼の夏日かな 俊樹 墓参直方体の石たちへ 緋路 葬列の中のたじろぐ黒日傘 三郎 あふひ句碑墓域にありて百日紅 佑天 奔放で供花ともならず猫じやらし 荘吉 青山の水に肥りし金魚かな 美紀 夏草に陋屋のごと耶蘇眠る はるか 立ち枯れの草より薄き八月の蝶 和子 イザベラの墓へ絵日傘高く上げ 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月5日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
金灯籠灯の曼陀羅をよへほ節 美穂 盆灯籠十万億土超ゆ君へ 久美子 流燈の火の川となり闇に浮く 孝子 流灯の破線となりて彼の世へと 睦子 行く夏や波に消えゆく砂の山 修二 家紋古る釣灯籠に代々の火を 久美子 黒髪に戴く山鹿灯籠かな たかし シヤンデリア墜ちてはじまる夏舞台 睦子 縁日やうすものの母追ひ越さず かおり ダリア立つ背に御仏のおはす如 勝利 炎帝を睨み返せし不動尊 かおり 戦争を知る人とゐて沙羅の花 朝子 恋に堕つ日々はまぼろし星月夜 美穂 風天忌しがらみ捨てて西東 修二 思ひの外長く連れ添ひ夕端居 光子 あの雲の八月六日兄の背に 朝子 河童忌やセピア色なる供華の水 睦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月7日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
九頭竜に天蓋として秋の空 かづを 饒舌を寡黙にしたる猛暑かな 同 老い包む羅にある粋を着て 同 絽の喪服広げて暫し母偲ぶ 笑 海上を照らし消えゆく花火舟 同 羅に心の綾は隠し得ず 雪 絽の美人正面見すゑ瞬かず 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月8日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
鳳仙花記念写真のまた増えて 裕子 秋薔薇キリスト葬は花のみに 令子 図書館の絵本を借りて秋の朝 実加 秋初め装丁だけで選ぶ本 登美子 褪せ果つるトーテムポール夏の月 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月8日 萩花鳥会
広島の原爆殘害眼前に 祐子 盆提灯座敷一変かの浄土 健雄 ひぐらしがよう帰ったと里日暮れ 俊文 七夕や家族揃うてバーベキュー ゆかり 庭野菜取りたて供ふ盆支度 恒雄 ひと日生く古稀の我また花木槿 美惠子
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令和5年8月9日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
化粧水嫁にねだりて生身魂 すみ子 立葵老女の夢は咲きのぼる 悦子 棚経を待つ朝よりの野良着脱ぎ 美智子 水脈長く長くや土用蜆舟 都 縁台の仰臥は浮遊天の川 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月12日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
烈日の寺の甍や蟬時雨 亜栄子 白粉のゆふぐれ匂ふ句碑明かり 文英 達者なる日を百歳の生身魂 同 好物に笑顔は童生身魂 恭子 小湾の潮香満ち足る島の秋 多美女 ビートルズ聴きつうたたね生身魂 亜栄子 草々に水やり終へて今朝の秋 恭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月14日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
打水に乾きし土の匂ひして 迪子 蜩の声に憶ふは奥貴船 貴薫 新涼や虚子文学碑なぞり読む 怜 蜩や今日の仕舞ひにジャズを聴く 貴薫 新涼の風運び来る水の音 三無 蜩の声に包まれ森深き 秋尚 新涼の風運びゆくミサの鐘 怜 直したる服受け取りて涼新 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月14日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
耳に残る脱穀の音終戦日 昭子 大都市の火の海と化し終戦日 みす枝 薄れゆく記憶手繰りし原爆忌 英美子 俗論をまた聞かさるる残暑かな 昭子 喜んで逃げる爺婆水鉄砲 みす枝 しみじみと肩甲骨や更衣 昭子 夫の船べりを掴みて鮑海女 同 桐一葉風の意のまま落ちにけり 英美子 どの墓も供華新しき盆の寺 信子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
火取蟲てふに一夜を果つ定め 雪 考へず居れば済むこと髪洗ふ 同 花火果て破に残りし余熱かな 真喜栄 漆黒の闇に銀漢ふりかぶり 同 百日紅又百日紅てふ団地 清女 それとなく秋を呼びゐる風の音 かづを 九頭竜の闇を沈めてゐる銀河 同 ゴジラ似の雲立ち上がる��爆忌 嘉和 地獄より来る��もありぬ盂蘭盆会 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月16日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
啼く声の細くとぎれし法師蟬 啓子 足さばき揃ひよせ来る盆踊り 笑子 灯籠に女心の一句添へ 希子 流灯の仏慮の風に促され 同 球児等もスタンド席も灼けてゐし 和子 地図上に台風の道あるらしく 同 盆の月古城の上にまかり出る 隆司 吟行も供養の一つ盂蘭盆会 泰俊 故郷の色町とほる墓参 同 表情のはみ出してゐるサングラス 雪 頷いてばかりも居れず生身魂 同 月夜の踊り雨夜の踊り見しと文 同 何となく日向水ある日向かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月16日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
蝿叩きにも自らなる居場所 雪 頷いて居れば安泰生身魂 同 火を恋ひし火蛾の果てとはこんなもの 同 狙ひたる金魚に又も逃られし 同 音もなく傷も付けずに流れ星 みす枝 蜩の声が声呼び森震ふ 同 偕老に二本つましく牽牛花 一涓 来世又君に逢むと墓参 世詩明 夏まつり村の掟は捨て難し 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年8月18日 さきたま花鳥句会
鳳仙花迷路のごとき蔵の街 月惑 天高し殿堂入りの行進曲 八草 夕まずめ途切れ途切れに法師蟬 裕章 あの人に会ひたくなりし天の川 紀花 座の窪きまり南瓜のおほらかに 孝江 朝の厨一分間の終戦日 ふゆ子 夜咄やはたと団扇の風止まる とし江 炎暑寺水鉢かつぐ鬼を吸え 康子 一夜あけ光の洗ふ野分後 恵美子 尺玉の花火の弾け音弾け みのり 強風に七夕飾りもつれけり 彩香
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令和5年8月20日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
裏返り空を見詰むる秋の蟬 秋尚 校庭の空を奪ひし秋茜 経彦 大空に機関車の缶灼けゐたり 幸風 菩提樹を絡めとりたる葡萄葛 同 なびき癖各々違へねこじやらし 秋尚 山城の搦め手いづこ野路の秋 眞理子 一葉落ち青空丸く生まれたる 三無
栗林圭魚選 特選句
TARO展残暑を赤く塗り潰す 千種 おしろいの紅固く閉ぢしまま 秋尚 横山に行合の空今朝の秋 幸風 校庭の空を奪ひし秋茜 経彦 水被り残暑の石の獣めく 千種 たくさんの水飲み干して夏果てり 久 わが息の荒さをしづめ秋の蟬 千種 秋の蟬力惜しまず昼を裂き 三無 噴水の歪みもとより秋暑し 千種 妣の声聞きに葉月の恐山 経彦
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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長くなります。よかったら読んでください。 まず、私から提案したいと思います。 私の家に遊びに来ませんか。鹿児島県のとある田舎町で農業を営んでいます。新規就農してからまだ半年余りなので、アルバイトをしながら何とかやっている状態ですが。 独り者です。バツイチです。質問者の方が男性でしたら、何日か泊まっていただいても構いません。 柴犬と猫とヤギ、ニワトリがいます。 以下、陰鬱な内容を含みます。耐性の無い方は読まれない事をオススメします。 私もうつ病でした。 それも重度のうつ病でした。主治医には、最終的には脳に電極をつけて電気ショックを施すことを勧められたぐらいです。 入院治療も2度行いました。 最初の入院は、自殺未遂をしてから運ばれました。施錠された病室に隔離されました。常にモニターで監視されていて、トイレなどハナから丸見えです。 1週間の後、一般病棟に移りました。 職場には、主治医からうつ病の為3か月の休職が伝えられました。 2週間後くらいから、躁状態に入りました。 室内では腹筋、腕立てを繰り返し、外出許可をもらってはランニングに勤しみました。 自分自身が何故うつ病になってしまったのか自省し、退院してから復職する迄のやるべき事リストを作り上げました。 前向きな様子を見て、主治医も退院時期を前倒しにしました。 一月後、退院しました。 退院してから、先ずは主夫業に精を出しました。 過剰なまでの不安と心配を与えてしまった妻の為、早起きして犬と散歩に行き、朝ごはんを作り、掃除、洗濯を済ませ、夕ごはんの買い出しに行き、夕ごはんを作って妻の帰りを待ちました。 週に2回の通院は、あえて15キロの道のりを自転車で通いました。散歩にも出かけ、野の花や小鳥なんかをスケッチしたりもしました。 全てはうつ病を克服するためだけに、日々を過ごしました。認知療法、行動療法、薬物療法すべて行いました。 1か月後、再発しました。 休職期間も残り1か月ともなると、緊張と不安が絶え間なく襲ってきます。また寝れない日々が続きます。食欲もなくなり、何をするのも億劫です。 復職1週間前ともなるとある思いが心を支配します。 (死にたい…) とにかく私は死にたかったのです。 いわゆる、希死念慮です。 簡単に言うと自殺願望なのでしょうが、色んな自殺の方法を探りました。 結局は首を吊る事に落ち着きました。 妻の居ない日中に、何度も何度もタオルなどで首を吊りました。でも死に切れませんでした。 勇気を振り絞って復職しました。 3か月ほど働いたでしょうか。職場での日々は、私にとって正に地獄でした。常に緊張していました。頭が上手く回転しません。真っ直ぐ歩くことさえままならず、何故か柱や机の角にぶつかりました。トイレに用がなくても頻繁に入り、周りの好奇な目から逃げました。その度にトイレの窓から飛び降りたい気持ちになりました。自殺を試みた人間に対して、同僚は腫れ物に触るように対応します。 毎週末、今日こそはと思い、首つりを繰り返しました。しかし、最後まで出来ません。 私は思い込みの世界で生き、想像の世界で苦しんでいました。 自殺未遂をしてから、うつ病と告知されてから、いやもっとずっと前から私は、私自身の妄想に自縄自縛の状態でした。 あいつは仕事が出来ない。 あいつのせいでみんな迷惑している。 自殺未遂するぐらいなら仕事を辞めればいいのに。 それでも上司は私を励まします。 君なら出来る。死んだ気になってがんばりなさい。みんな君の事を心配しているんだ。恩返ししないとね。 妻も私を励ましてくれました。 折角、頑張って公務員になったのに、今辞めたらもったいないよ。家のローンはどうするの。その年から転職なんて出来ないよ。あなたの大好きな柴犬も手放して、動物も飼えないようなアパートに移る事になるよ。今が頑張りどきよ。 私はもう限界でした。いや、もうとっくに限界だったのでしょう。主治医からは兎に角強い睡眠剤と抗うつ剤を処方してもらいました。 起きていても何時もボーッとしていました。 漢字もどう書くのかよく分からなくなりました。 ひらがなさえ、「あ」と「お」の違いさえよく分からなくなり、度々授業中の計算ミスを子どもに指摘されました。 ある日、子どもに問いかけられました。 「先生、なんで死のうと思ったの?前の先生が、H先生は��くたちのことが嫌いで死のうとしたって言ってたけど、本当?」 「そんなことないよ。死のうとなんかしてないよ。」 咄嗟に取り繕いました。 代行の先生が、断片的で恣意的な情報を子どもたちに伝えていたようでした。 再休職することになりました。 うつ病の原因は今だからよく分かります。 新しい学校に移動したものの、子どもたちと以前のような信頼関係を築けないことからの自己嫌悪。 同僚とも良好な関係を持てないことからの苛立ち、不安、不満。 それらから派生するように、仕事への自信喪失。 40過ぎても子どもを持てないことへの落胆。 35年住宅ローンの重圧。 自分の故郷が地震と津波で壊滅的な状況なのに、何も出来なかったことへの後悔。 妻とも友人とも、会話が噛み合わないことからの孤独感。 当時の私は客観的に見ても、八方塞がりでした。 でも多くの方たちも、多かれ少なかれ40も過ぎれば仕事や家庭で問題を抱えています。しかし、うつ病にはならないでしょう。だからこそ私は私自身に失望しました。失望感は再休職したことからさらに募り、積み重なった失望感は、絶望感へと集約されました。 再休職して、私はまさに生きるしかばねの様でした。 以前の休職期間のように、前向きにうつ病治療をすることも有りません。ただ、ただ死なないように生きているだけです。 誰かの歌詞にあったように、 私は小さく死にました。 当時の私は死にたいと云うよりも、「楽になりたかった」のです。 40も過ぎて再休職し、再び同僚や子どもたちに迷惑をかけ、上司の配慮や期待にも応えることが出来ず、その上、妻への罪悪感は筆舌に尽くし難いものがありました。 いつ自殺が成功しても大丈夫なように、定期的に遺書を書きました。妻への謝罪、同僚たちへの謝罪、両親兄姉への謝罪、毎日毎日こんな自分が生きていることが申し訳ありませんでした。 妻は週末になると、神社へとわたしを連れ出しました。近所の神社、箱根神社、鶴岡八幡宮、春日大社にも行きました。 2時間で2万円もするカウンセリングも受けました。 主治医から処方される薬は、5種類まで増えました。病院でのカウンセリング担当医は、大学を卒業したば���りのような若い女性です。彼女なりに真摯に私と向き合ってくれましたが、私は彼女から助けてもらえるとはとても思えませんでした。主治医で院長でもあった先生は、薬を処方するだけです。もしうつ病が治らず、教員を退職する事になったら精神障害者として生活保護を受けるしかないと言われました。 一向に良くならない私の状況に、妻は失望し、疲弊しました。あとで知った事ですが、リストカットなどの自傷行為をしていたようです。 毎晩、妻から叱責をされるようになりました。 このままだとどうなるか分かる?あなたがうつ病を治さないとどうなるか分かる?いい加減、治してよ!どれだけあなたが沢山の人たちに迷惑を掛けているのか分かる?だから早く治して! 時には包丁を持ち出され、一緒に死のうと懇願されました。 一度、人は道を踏み外すととことんまで堕ちるのだと思いました。しかも、底がありません。どこまでも堕ちるのです。 生き地獄でした。 翌年の4月、私は別の学校に移動し復職することになりました。 私は私を偽りました。うつ病は治っていません。しかし、治った事にしないと妻がもちません。 治ったと偽り、主治医にも復職を許されました。 復職して、3週間後の朝、自宅の梁に電気コードを括り付け、椅子を倒し首吊り自殺しました。 死んでいませんでした。 気づくと愛犬の柴犬が必死に私を舐めていました。 何も見えません。呼吸が止まっていたのでしょうか。私は必死に呼吸をしました。呼吸を繰り返し繰り返し行うと暗闇に光が差し込んできました。 何故かコードは解けていました。今際の際で、コードを解いていたようです。しかし自分が何をしたのか暫く理解できませんでした。失禁していることに気づきました。脱糞までしていました。眼球は出血し、白目部分は真っ赤に染まっていました。左半身が上手く動きませんでした。 その日、再入院することになりました。 主治医から、電気ショック治療を勧められました。一定の効果は期待できるが、全身に激しい電気ショックが流れるので多少の骨折や記憶の欠落などのリスクは覚悟してくれと言われました。妻の反対で行いませんでした。 もはや、自分が何をしたいのか、生きたいのか死にたいのか全く分かりません。ただただ矮小で卑屈で社会のゴミのような存在だと思いました。 生きている意味などあろうはずもありません。 でも私は生きていました。あの日以来首を吊るのも止めました。何も考えず何もせず、出されたものを食し排泄し、夜になれば睡眠剤でぐっすり寝て朝になれば看護師に起こされ、何もない1日が始まります。 2か月後退院しました。暫くして、教員を辞めました。無職になりました。新築の家も売りに出しました。妻には当然ですが、見放され東北の実家に帰ることになりました。実家にはまだ思春期の姪たちがいたので、兄がアパートを探してくれそこに1人で暮らす事になりました。 私は何も考えなくていいように、中古のゲーム機を買って一日中ゲームをしていました。たまにスーパーに食料を買いに行きますが、誰かに見られるのが恥ずかしくて、短時間で目につくものをそそくさと買ってアパートに戻ります。何も考えません。感情も有りません。風呂にも入りません。歯も磨きません。ある時、履けるパンツが無く、Tシャツを逆さにして履きました。チンチンが寒かったです。 以前の主治医から実家近くの病院を紹介され、紹介状も持たされていましたが、そこの病院に行く事は有りませんでした。もう精神科医も抗うつ剤も睡眠薬も私には必要ありませんでした。 なぜなら私は人の形をした、ただの醜いぬけ��らでしたから。 時間も季節も、世間も仕事も、私には何の意味も有りません。物欲、金欲、食欲といった欲求もありません。ただ日々死なないように生き、金を食いつぶし、秋が来て、冬が来て、春が来ました。 定期的に父から電話がありました。その日は今までにない雰囲気で、もうアパートを引き払えと言ってきました。 実家で両親と兄家族と暮らす事になりました。 父は頻繁に私を外に連れ出しました。80も近い父の運転で、被災地の風景を見たり、故郷の野山を見たり、桜を見たりしました。 5月過ぎ、父が帯状疱疹になりました。 6月になると、胃腸に何らかの不調を訴えるようになりました。 7月、近隣の中核病院に入院することになりました。 最初は泌尿器系の病気が疑われ、手術を受けましたがあまり体調が改善されません。その後、ガンが疑われましたが、その部位が分からないと言われました。原発不明ガンと診断されましたが、本人には告知していませんでした。 父が体調を崩してから、病院の送り迎え、入院の準備や手続き、お医者さんの対応など、私が行いました。初めは嫌々でしたが、結局手が空いているのは私しかおりませんから、仕方なく対処していました。 原発不明のガンなので、具体的な治療方針が決まりません。何故か、一時退院が許されました。 退院してから、定期的に通院する事になりました。その日は泌尿器科の受診の日でした。泌尿器の主治医がお休みで代理の先生に診てもらいましたが、受診後父の様子が変で、帰り道に尋ねるとガンだと告知されたと言います。 何年ぶりでしょうか。私の中に忘れていた感情が芽生えました。 怒りです。 その日告知してきた先生は、あくまで泌尿器科の主治医の代理で、しかもガンの部位はおそらく消化器系だろうと言うことで告知する時期は消化器科の主治医と治療方針と共にこれから考えていきましょうという段取りになっていたのです。 父の落胆は見るからに明らかでした。父はタバコも吸いません。深酒もしません。健康番組が大好きで、健康に人一倍気を使っていました。 食事の世話も私が行っていましたが、食欲もめっきり無くなりました。歩くのも酷く疲れるようになりました。 私は消化器科の主治医とアポを取り、抗議の為病院に赴きました。何の相談もなく、科も違う代替先生が告知をしてしまった事に、平謝りでした。 それから私は、ガンについてできうる限り勉強しました。通院の際は、ノートを持ち込んで先生の所見を事細かくメモしました。 PET検査なるものでガンの所在が分かるかもしれないと聞き、検査機のある病院まで連れて行きました。 しかしながら、ガンの所在、及び部位は特定できませんでした。 8月になり、いつも以上に辛そうな父を見て再入院させる事にしました。病院に着くともう自力では歩くことが出来ず、車椅子に乗せて診察室まで連れて行きました。 父は気丈で弱音を吐くことを聞いた事がありません。 私が小学生の頃、車のドアで親指を挟み、��が見えていても自分で運転し整形外科に行き、夕方には仕事をしていました。 私が中学生の時には、母が粉砕機で薬指を切り落としてしまいました。側にいた父は、すぐさま薬指を拾い、氷袋に入れて母を病院まで連れて行きました。指はくっつきませんでしたが。 そんな父が、自ら車椅子に乗っている姿に愕然としました。 主治医からは、胸水が溜まっているのでお辛いのでしょうと言われました。とりあえず、入院治療することになりました。 胸水を抜いてもらい、多少楽になったのか父に少しだけ笑顔が戻ってきました。後から来た母とも談笑していました。 数日後、父は永眠しました。 死因は、原発不明ガンとのことですが直接的な死因は、窒息死です。深夜になって吐いたものが気管に詰まり、自力では解消されず看護師が気づいた時には亡くなっていたのです。 解剖はしませんでした。 母の取り乱しようは筆舌に尽くし難く、身内一同呆然としました。 それでも、お通夜や葬儀は粛々と進められます。 葬儀が終わり、明日早朝に火葬を残すのみという晩の頃、私は葬儀会場で棺の中にいる父と2人きりになりました。 止め処無く涙が溢れてきました。あんなに泣く事はもはやないだろうと思います。 おそらく1時間ほど泣き続けたでしょうか。その間、私は心の中で同じ言葉を繰り返していました。 (ごめんなさい。ごめんなさい。) (もう大丈夫だから。) ほぼ平均寿命とは言え、父は80手前で亡くなるような人ではありません。ましてや、ヘビースモーカーで高血圧の祖父より早死にするような人ではないのです。 では何故、こうも早逝してしまったのか。 原因は、私です。 私の存在がストレスとなり、私のうつ病が治らないこともストレスとなり、40過ぎの息子が無職になって帰ってきて引きこもりになっている現実がこの上なく父に負担を掛けたのは間違いありません。帯状疱疹になったのも、胃腸に不調をきたしたのも、がんと診断されて1か月余りで亡くなったのも、私のせいです。身内は誰も口には出しませんが、みんなそう思っている事でしょう。 それなのに私は、父の棺の前で1時間ほど泣いて泣いて泣き疲れた後、気づいたのです。 うつ病が治ったと…。 皮肉なものです。父の病と死が、私のうつ病を寛解に導いたのです。 半年前まで、私は私の抜け殻でした。 何もせず、何も考えず、ただ無意味に時間とお金を浪費する肉の塊に過ぎませんでした。他人と会話する事は勿論のこと、身内ですら顔を見て話すことも出来ませんでした。 それが3か月前から止むを得ず、父の世話をするようになってお医者さんと交渉したり、看護師と話したり、父の様子を親戚に伝えたりするうちに何となく、うつ病は回復の兆しを見せ始め、最終的にに父の死によって寛解に至ったのです。 父は全く意図していなかったでしょうが、結果的に父の病と死が、私を深い深い谷底から救ってくれたのです。 結局のところ、私のうつ病を治したものは医者でも無く、カウンセリングでもなく、ましてや薬でもありません。タイミングときっかけ、そして行動です。 以下は私の経験則からの私見です。異論がある方もいらっしゃると思いますが、ご容赦ください。 うつ病は、薬で治る病気ではありません。 一般的な解釈としては、うつ病は過剰なストレスなどにより、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質が上手く働かなくなり、シナプス間における電気信号が不調となる為、活動性が低下し、感情が失われていくとされています。 抗うつ剤などの薬は、上記の神経伝達物質を良好に分泌させる為のものですが、あくまで一時的なものです。言わば、身体が疲れた時のユンケルみたいなものです。ユンケルのような滋養強壮剤の効果は、有って小一時間ぐらいらしいです。医者に聞きました。寧ろ(俺はりぽDを飲んだから元気だ!)といった暗示の副作用の方が大きいといいます。抗うつ剤も同じです。気休め程度にしかなりません。しかも抗うつ剤を服用し続ける事は何の根本的な解決にはなりません。また様々な種類があり、強いものを飲み続けると廃人になるようなものも有ります。ハイリスクローリターンです。 私が知っている精神科医で、うつ病を本気で治せると思っている人はおりません。彼らは、薬を処方し点数を稼ぎ、報酬を得ているに過ぎません。私が暫く通院していた病院は、正にそうでした。2年ほど通いましたが、沢山の精神病患者で寛解に至った方を私は知りません。私の主治医だった精神科医は、患者を1時間待たせ5分の問診で処方箋を書き、効率よく病院に富を蓄積させます。おそらくそれが出世の処方箋なのでしょう。 先日、NHKドラマで阪神淡路大地震を体験した精神科医の話がありました。患者の話を30分でも1時間でも真摯に聞く先生でした。私もそういう精神科医に出会ったら違っていたのでしょうが。 現実は違います。それでも精神科医に診てもらいたければ、開業医をお勧めします。少なくとも組織の中にいる精神科医はダメです。 カウンセリングもお金と時間がかかるばかりで、効果のほどは期待できないと思います。 中には、行動療法や認知療法で寛解する方もいらっしゃるとは思いますが、私は懐疑的です。 そもそもうつ病の根幹的な治療は何か? まず、うつ病に至ったストレスを無くすことです。私は公務員という立場や家のローン、世間体などから仕事を辞めるという選択肢を選ぶのか遅すぎました。 そして、死なないように生き、どこかのタイミングで行動を起こすことです。具体性に欠けますが、深い深い闇の中にいて、抗うつ剤や他人の空虚な言葉が一筋の光になる…なんて事は現実的ではありません。 最初はどんな行動でも構いません。ポイントは、うつ病を患ってからした事がない行動です。 よくうつ病を患った人に、「神様から休みなさいって言われているんだよ。」という方がいますが、うつ病患者は休んでいるわけではありません。深く傷つき、深い闇の中でいつ終わるとも分からない嵐が過ぎ去るのを息を殺し、感情を捨て、ただただ耐えているのです。 話が逸れました。 質問者の方は、生きている意味があるかと問いかけられていますね。 私の答えは、「ない」です。 そもそもが、生きているだけで意味がある人間なんてどれほどいるのでしょうか?人間は人間を特別視し過ぎです。過去には、人間ひとりの命は地球よりも重いと言った政治家が居ました。馬鹿げています。 この地球には、既知の部分だけでも175万種の生命体がいるそうです。未知を含めたら500万とも800万とも言われています。その多種多様な生き物が懸命に命を繋いでいます。その中で、何故人間の命だけが尊いと言えるのでしょうか。 周りを見渡せば、ニュースを見れば犬、猫より価値の無い生き方をしている人が沢山います。蜂や蟻よりも生産性の無い生き方をしている人間がありふれています。 人間の命、そのものには意味がないのです。 あるとすれば、意味ではなく「時間」だと思います。 そして時間があるからこそ、「行動」ができるのです。 重度のうつ病患者は、行動が出来ません。 行動が出来ないということは、時間が止まっているのです。 故に今のあなたが、生きている事の意味を問いかけるのははっきりいって無意味です。 それはあなた自身が本当は理解されているはずです。 けれども今あなたがその漆黒の闇を抜け出せるその日が来た時、あなたの(生)に価値が生まれます。あなたが自分の足で、自分の意思で前に進み始めた時、時間が再び動き出します。 生きている限り、意味はなくてもあなたには「時間」がある。時間があるという事は、あなたの人生は何度でもやり直せるのです。 更にあなたが価値ある、より良い行動をとることで、あなたの(人生)に意味が生まれると思うのです。 人の(生)に意味があるとすれば、価値ある行動を実践した時、初めて生まれると思うのです。 人の人生の評価は何で決まるのでしょうか? 財産、出世、肩書き…人それぞれでしょうが、私は行動だと思います。どれだけ価値ある行動を人生で出来たか、だと思うのです。 だからまずあなたがするべき事は、死なないように生きることです。そして、私のようにきっかけを待つか、自らきっかけを作り行動することです。 正直言って、私のようなきっかけを待つことはお勧めできません。 だからこそ、私のところに遊びに来ませんか? もしかしたら、何かのきっかけになるかも知れません。仮にならなくても、きっかけのきっかけぐらいにはなるかも知れません。 私は今、農業に従事しています。何故、東北から南九州に来て、農業をしているかの経緯は割愛しますが、私はうつ病が寛解してから2年ほどの、50手前のおじさんです。 うつ病が治り、取り敢えず3つの事を目標に掲げました。 ①飼っている柴犬を、日本一幸せな柴犬にする事。 ②最低限、父の年齢まで生きる事。 ③世界の真理を一つでも多く学ぶ事。 です。 農業では、無農薬、無化学肥料での、循環農法を実践しています。なるべく、F1の種に頼らず固定種の種から作付けして、この土地に合った野菜を育て、��取りをして、安全、安心な、究極的には硝酸態窒素を過剰に含まない、ガンにならない野菜作りを目指しています。 知らない土地に来てからの挑戦なので、苦労もありますがやり甲斐も有りますし、生き甲斐も感じています。 何よりも、何度となく死んでしまってもおかしくない我が身がこうしてお天道様の光を浴びて働けることが、嬉しくて嬉しくて仕方が有りません。 昔、ドイツの哲学者が言っていました。 (自らを否定して否定し尽くした時、あなたは超人となるだろう。) 私のうつ病期は、自己否定の繰り返しでした。 もちろん、私は超人には成れておりません。 ただ、周りの人達よりちょっとだけ物事の本質を理解出来るようになったかなと思います。 一昨日、東日本大震災から9年経ちました。 2万人以上の方が亡くなられました。 彼らにはもう時間が有りません。行動を起こすことも出来ません。 だからこそ我々生きている人間は、然るべき行動により、震災を語り継ぎ、亡くなった方たちを忘れずに生きねばなりません。 あなたは生きている。 あなたには時間がある。 あなたは行動を起こせる。 大丈夫。時は必ず訪れます。 最後にアメリカの詩人の言葉をご紹介します。 (寒さに震えた者ほど 太陽の暖かさを感じる 人生の悩みをくぐった者ほど 生命の尊さを知る これから私は幸福を求めない 私自身が幸福だ) 長文につき、乱筆、乱文ご容赦ください。
私はうつ病です。昔の事も思い出せず、感動せず、感情もわからず、物を覚えられず、体を動かすのもつらく、毎日ただひたすら苦しく、生きているだけでお金がかかるのに生きてる意味ってありますか? - Quora
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青と金色
■サイレンス
この部屋のインターフォンも灰色のボタンも、だいぶ見慣れてきた。指で押し込めて戻すと、ピーンポーンと内側に引っ込んだような軽い電子音が鳴る。まだこの地に来た頃はこうやって部屋主を呼び出して待つのが不思議な気分だった。鍵は開かれていたし、裏口だって知っていたから。 「…さむっ」 ひゅうう、と冷たい風が横から吹き込んで、思わずそう呟いて肩を縮めた。今週十二月に入ったばかりなのに、日が落ちると驚くほど冷え込む。今日に限って天気予報を観ていなかったけれど、今夜はいつもと比べても一段と寒いらしい。 近いし、どうせすぐだからと、ろくに防寒のことを考えずに部屋を出てきたのは失敗だった。目についた適当なトレーナーとパンツに着替え、いつものモッズコートを羽織った。おかげで厚みは足りないし、むき出しの両手は指先が赤くなるほど冷えてしまっている。こんなに寒いのならもっとしっかりと重ね着してこれば良かった。口元が埋まるくらいマフラーをぐるぐるに巻いてきたのは正解だったけれど。 いつもどおりインターフォンが繋がる気配はないけれど、その代わりに扉の奥からかすかに足音が近付く。カシャリ、と内側から錠の回る音がして目の前の扉が開かれた。 「おつかれ、ハル」 部屋の主は片手で押すように扉を開いたまま、咎めることも大仰に出迎えることもなく、あたたかい灯りを背にして、ただ静かにそこに佇んでいた。 「やっと来たか」 「はは、レポートなかなか終わらなくって…。遅くなっちゃってごめんね」 マフラー越しに笑いかけると、遙は小さく息をついたみたいだった。一歩進んで内側に入り、重たく閉じかける扉を押さえてゆっくりと閉める。 「あ、ここで渡しちゃうからいいよ」 そのまま部屋の奥に進もうとする遙を呼び止めて、玄関のたたきでリュックサックを開けようと背から下ろした。 遙に借りていたのはスポーツ心理学に関する本とテキストだった。レポート課題を進めるのに内容がちょうど良かったものの自分の大学の図書館では既に貸し出し中で、書店で買うにも版元から取り寄せるのに時間がかかるとのことだった。週明けの午後の講義で遙が使うからそれまでには返す、お互いの都合がつく日曜日の夕方頃に部屋に渡しに行く、と約束していたのだ。行きつけのラーメン屋で並んで麺を啜っていた、週の頭のことだった。 「いいから上がれよ」遙は小さく振り返りながら促した。奥からほわんとあたたかい空気が流れてくる。そこには食べ物やひとの生活の匂いが確かに混じっていて、色に例えるなら、まろやかなクリーム色とか、ちょうど先日食べたラーメンのスープみたいなあたたかい黄金色をしている。それにひとたび触れてしまうと、またすぐに冷えた屋外を出て歩くために膨らませていた気力が、しるしるとしぼんでしまうのだ。 雪のたくさん降る場所に生まれ育ったくせに、寒いのは昔から得意じゃない。遙だってそのことはよく知っている。もちろん、帰ってやるべきことはまだ残っている。けれどここは少しだけ優しさに甘えようと決めた。 「…うん、そうだね。ありがと、ハル」 お邪魔しまーす。そう小さく呟いて、脱いだ靴を揃える。脇には見慣れたスニーカーと、濃い色の革のショートブーツが並んでいた。首に巻いたマフラーを緩めながら短い廊下を歩き進むうちに、程よくあたためられた空気に撫ぜられ、冷えきった指先や頬がぴりぴりと痺れて少しだけ痒くなる。 キッチンの前を通るときに、流しに置かれた洗いかけの食器や小鍋が目に入った。どうやら夕食はもう食べ終えたらしい。家を出てくる前までは課題に夢中だったけれど、意識すると、空っぽの胃袋が��しげにきゅうと鳴った。昼は簡単な麺類で済ませてしまったから、帰りにがっつり肉の入ったお弁当でも買って帰ろう。しぼんだ胃袋をなぐさめるようにそう心に決めた。 「外、風出てきたから結構寒くってさ。ちょっと歩いてきただけなのに冷えちゃった」 「下旬並だってテレビで言ってた。わざわざ来させて悪かったな」 「ううん、これ貸してもらって助かったよ。レポートもあと少しで終わるから、今日はちゃんと寝られそう……」 遙に続いてリビングに足を踏み入れ、そこまで口にしたところで言葉が詰まってしまった。ぱちり、ぱちりと大きく瞬きをして眼下の光景を捉え直す。 部屋の真ん中に陣取って置かれているのは、彼の実家のものより一回り以上小さいサイズの炬燵だ。遙らしい大人しい色合いの炬燵布団と毛布が二重にして掛けられていて、丸みがかった正方形の天板が上に乗っている。その上にはカバーに入ったティッシュ箱だけがちょんとひとつ置かれていた。前回部屋に訪れたときにはなかったものだ。去年は持っていなくて、今年は買いたいと言っていたことを思い出す。けれど、それはさして驚くようなことでもない。 目を奪われたのは、その場所に半分身を埋めて横になり、座布団を枕にして寝息を立てている人物のことだった。 「…えっ、ええっ? 凛!?」 目の前で眠っているのは、紛れもなく、あの松岡凛だった。普段はオーストラリアにいるはずの、同郷の大切な仲間。凛とはこの夏、日本国内の大会に出ていた時期に会って以来、メールやメディア越しにしか会えていなかった。 「でかい声出すな、凛が起きる」 しいっと遙が小声で咎めてくる。あっ、と慌てたけれど、当の凛は起きるどころか身じろぐこともなく、ぐっすりと深く眠ってしまっているようだった。ほっと胸を撫で下ろす。 「ああ、ご、ごめんね…」 口をついて出たものの、誰に、何に対してのごめんなのか自分でもよく分からない。凛がここにいるとは予想だにしていなかったから、ひどく驚いてしまった。 凛は今までも、自分を含め東京に住んでいる友達の部屋に泊まっていくことがあった。凛は東京に住まいを持たない。合宿や招待されたものならば宿が用意されるらしいけれど、そうでない用事で東京に訪れることもしばしばあるのだそうだ。その際には、自費で安いビジネスホテルを使うことになる。一泊や二泊ならともかく、それ以上連泊になると財布への負担も大きいことは想像に難くない。 東京には少なくとも同級生だけで遙と貴澄と自分が住んでいる。貴澄は一人暮らしでないからきっと勝手も違うのだろうが、遙と自分はその点都合が良い。特に遙は同じ道を歩む選手同士だ。凛自身はよく遠慮もするけれど、彼の夢のために、できるだけの協力はしてやりたい。それはきっと、隣に並ぶ遙も同じ気持ちなのだと思う。 とはいえ、凛が来ているのだと知っていれば、もう少し訪問の日時も考えたのに。休日の夜の、一番くつろげる時間帯。遙ひとりだと思っていたから、あまり気も遣わず来てしまったのに。 「ハル、一言くらい言ってくれればいいのに」 強く非難する気はなかったけれど、つい口をついて本音が出てしまった。あえて黙っていた遙にじとりと視線を向ける��遙はぱちり、ぱちりと目を瞬かせると、きゅっと小さく眉根を寄せ、唇を引き結んだ。 「別に…それが断わる理由にはならないだろ」 そう答えて視線を外す遙の表情には少し苦い色が含まれていて、それでまた一歩、確信に近付いたような気がした。近くで、このごろはちょっと離れて、ずっと見てきたふたりのこと。けれど今はそっと閉じて黙っておく。決してふたりを責めたてたいわけではないのだ。 「…ん、そうだね」 漂う空気を曖昧にぼかして脇にやり、「でも、びっくりしたなぁ」と声のトーンを上げた。遙は少しばつが悪そうにしていたけれど、ちらりと視線を戻してくる。困らせたかな、ごめんね、と心の中で語りかけた。 「凛がこの時期に帰ってくるなんて珍しいよね。前に連絡取り合ったときには言ってなかったのに」 「ああ…俺も、数日前に聞いた。こっちで雑誌だかテレビだかの取材を受けるとかで呼ばれたらしい」 なんでも、その取材自体は週明けに予定されていて、主催側で宿も用意してくれているらしい。凛はその予定の数日前、週の終わり際に東京にやって来て、この週末は遙の部屋に泊まっているのだそうだ。今は確かオフシーズンだけれど、かといってあちこち遊びに行けるほど暇な立場ではないのだろうし、凛自身の性格からしても、基本的に空いた時間は練習に費やそうとするはずだ。メインは公的な用事とはいえ、今回の東京訪問は彼にとってちょっとした息抜きも兼ねているのだろう。 「次に帰ってくるとしたら年末だもんね。早めの休みでハルにも会えて、ちょうど良かったんじゃない」 「それは、そうだろうけど…」 遙は炬燵の傍にしゃがみこんで、凛に視線を向けた。 「ろくに連絡せずに急に押しかけてきて…本当に勝手なやつ」 すうすうと寝息を立てる凛を見やって、遙は小さく溜め息をついた。それでも、見つめるその眼差しはやわらかい。そっと細められた瞳が何もかもを物語っている気がする。凛は、見ている限り相変わらずみたいだけれど。ふたりのそんな姿を見ていると自然と笑みがこぼれた。 ハル、あのね。心の中でこっそり語りかけながら、胸の内側にほこほことあたたかい感情が沸き上がり広がっていくのが分かった。 凛って、どんなに急でもかならず前もって連絡を取って、ちゃんと予定を確認してくるんだよ。押しかけてくるなんて、きっとそんなのハルにだけじゃないかなぁ。 なんて考えながら、それを遙に伝えるのはやめておく。凛の名誉のためだった。 視線に気付いた遙��顔を上げて、お返しとばかりにじとりとした視線を向けた。 「真琴、なんかニヤニヤしてないか」 「そんなことないよ」 つい嬉しくなって口元がほころんでいたらしい。 凛と、遙。そっと順番に視線を移して、少しだけ目を伏せる。 「ふたりとも相変わらずで本当、良かったなぁと思って」 「…なんだそれ」 遙は怪訝そうに言って、また浅く息をついた。
しばらくしておもむろに立ち上がった遙はキッチンに移動して、何か飲むか、と視線を寄こした。 「ついでに夕飯も食っていくか? さっきの余りなら出せる」 夕飯、と聞いて胃が声を上げそうになる。けれど、ここは早めにお暇しなければ。軽く手を振って遠慮のポーズをとった。 「あ、いいよいいよ。まだレポート途中だし、すぐに帰るからさ。飲み物だけもらっていい?」 遙は少し不満そうに唇をへの字に曲げてみせたけれど、「分かった、ちょっと待ってろ」と冷蔵庫を開け始めた。 逆に気を遣わせただろうか。なんだか申し訳ない気持ちを抱きながら、炬燵のほうを見やる。凛はいまだによく眠ったままだった。半分に折り畳んだ座布団を枕にして横向きに背を縮めていて、呼吸に合わせて規則正しく肩が上下している。力の抜けた唇は薄く開いていて、その無防備な寝顔はいつもよりずっと幼く、あどけないとさえ感じられた。いつもあんなにしゃんとしていて、周りを惹きつけて格好いいのに。目の前にいるのはまるで小さな子供みたいで、眺めていると思わず顔がほころんでしまう。 「凛、よく寝てるね」 「一日連れ回したから疲れたんだろ。あんまりじっと見てやるな」 あ、また。遙は何げなく言ったつもりなのだろう。けれど、やっぱり見つけてしまった。「そうだね」と笑って、また触れずに黙っておくけれど。 仕切り直すように、努めて明るく、遙に投げかけた。 「でも、取材を受けに来日するなんて、なんか凛、すっかり芸能人みたいだね」 凄いなぁ。大仰にそう言って視線を送ると、遙は、うん、と喉だけで小さく返事をした。視線は手元に落とされていながら、その瞳はどこか遠くを見つめていた。コンロのツマミを捻り、カチチ、ボッと青い火のつく音がする。静かなその横顔は、きっと凛のことを考えている。岩鳶の家で居間からよく見つめた、少し懐かしい顔だった。 こんなとき、いまここに、目の前にいるのに、とそんな野暮なことはとても言えない。近くにいるのにずっと遠くに沈んでいた頃の遙は、まだ完全には色褪せない。簡単に遠い過去に押しやって忘れることはできなかった。 しばらく黙って待っていると遙はリビングに戻って来て、手に持ったマグカップをひとつ差し出した。淹れたてのコーヒーに牛乳を混ぜたもので、あたたかく優しい色合いをしていた。 「ありがとう」 「あとこれも、良かったら食え」 貰いものだ、と小さく個包装されたバウムクーヘンを二切れ分、炬燵の上に置いた。背の部分にホワイトチョコがコーティングしてあって、コーヒーによく合いそうだった。 「ハルは優しいね」 そう言って微笑む��、遙は「余らせてただけだ」と視線を逸らした。 冷えきった両の手のひらをあたためながらマグカップを傾ける。冷たい牛乳を入れたおかげで飲みやすい温度になっていて、すぐに口をつけることができた。遙は座布団を移動させて、眠っている凛の横に座った。そうして湯気を立てるブラックのコーヒーを少しずつ傾けていた。 「この休みはふたりでどこか行ってきたの?」 遙はこくんと頷いて、手元の黒い水面を見つめながらぽつぽつと語り始めた。 「公園に連れて行って…買い物と、あと、昨日は凛が何か観たいって言うから、映画に」 タイトルを訊いたけれど、遙の記憶が曖昧で何だかよく分からなかったから半券を見せてもらった。CM予告だけ見かけたことのある洋画で、話を聞くに、実在した人物の波乱万丈な人生を追ったサクセスストーリーのようだった。 「終盤ずっと隣で泣かれたから、どうしようかと思った」 遙はそう言って溜め息をついていたけれど、きっとそのときは気が気ではなかったはずだ。声を押し殺して感動の涙を流す凛と、その隣で映画の内容どころではなくハラハラと様子を見守る遙。その光景がありありと眼前に浮かんで思わず吹き出してしまった。 「散々泣いてたくせに、終わった後は強がっているし」 「あはは、凛らしいね」 俺が泣かせたみたいで困った、と呆れた顔をしてコーヒーを口に運ぶ遙に、あらためて笑みを向けた。 「よかったね、ハル」 「…何がだ」 ふいっと背けられた顔は、やっぱり少し赤らんでいた。
そうやってしばらく話しているうちにコーヒーは底をつき、バウムクーヘンもあっという間に胃袋に消えてしまった。空になったマグカップを遙に預け、さて、と膝を立てる。 「おれ、そろそろ帰るね。コーヒーごちそうさま」 「ああ」 遙は玄関まで見送ってくれた。振り返って最後にもう一度奥を見やる。やはり、凛はまだ起きていないようだった。 「凛、ほんとにぐっすりだね。なんか珍しい」 「ああ。でも風呂がまだだから、そろそろ起こさないと」 遙はそう言って小さく息をついたけれど、あんまり困っているふうには見えなかった。 「あ、凛には来てたこと内緒にしておいてね」 念のため、そう言い添えておいた。隠すようなことではないけれど、きっと多分、凛は困るだろうから。遙は小さく首を傾げたけれど、「分かった」と一言だけ答えた。 「真琴、ちょっと待て」 錠を開けようとすると、思い出したみたいに遙はそう言って踵を返し、そうしてすぐに赤いパッケージを手にリビングから戻ってきた。 「貼るカイロ」 大きく書かれた商品名をそのまま口にする。その場で袋を開けて中身を取り出したので、貼っていけ、ということらしい。貼らずにポケットに入れるものよりも少し大きめのサイズだった。 「寒がりなんだから、もっと厚着しろよ」 確かに、今日のことに関しては反論のしようがない。完全に油断だったのだから。 「でも、ハルも結構薄着だし、人のこと言えないだろ」 着ぶくれするのが煩わしいのか、遙は昔からあまり着こまない。大して寒がる様子も見せないけれど、かつては年に一度くらい、盛大に風邪を引��ていたのも知っている。 「年末に向けて風邪引かないように気を付けなよ」 「俺は大丈夫だ、こっちでもちゃんと鯖を食べてるから」 「どういう理屈だよ…って、わあっ」 「いいから。何枚着てるんだ」 言い合っているうちに遙が手荒く背中をめくってくる。「ここに貼っとくぞ」とインナーの上から腰の上あたりに、平手でぐっと押すように貼り付けられた。気が置けないといえばそうだし、扱いに変な遠慮がないというか何というか。すぐ傍で、それこそ兄弟みたいに一緒に育ってきたのだから。きっと凛には、こんな風にはしないんだろうなぁ。ふとそんな考えが頭をもたげた。 遙はなんだか満足げな顔をしていた。まぁ、きっとお互い様なんだな。そう考えながら、また少し笑ってしまった。 「じゃあまたね、おやすみ」 「ああ。気を付けて」
急にひとりになると、より強く冷たく風が吹きつける気がする。けれど、次々沸き上がるように笑みが浮かんで、足取りは来る前よりずっと軽かった。 空を仰ぐと、小さく星が見えた。深く吐いた息は霧のように白く広がった。 ほくほく、ほろほろ、それがじわじわと身体中に広がっていくみたいに。先ほど貼ってもらったカイロのせいだろうか。それもあるけれど、胸の内側、全体があたたかい。やわらかくて、ちょっと苦さもあるけれど、うんとあたたかい。ハルが、ハルちゃんが嬉しそうで、良かった。こちらまで笑みがこぼれてしまうくらいに。東京の冬の夜を、そうやってひとり歩き渡っていた。
■ハレーション
キンとどこかで音がするくらいに空気は冷えきっていた。昨日より一段と寒い、冬の早い朝のこと。 日陰になった裏道を通ると、浅く吐く息さえも白いことに気が付く。凛は相変わらず少し先を歩いて、ときどき振り返っては「はやく来いよ」と軽く急かすように先を促した。別に急ぐような用事ではないのに。ためらいのない足取りでぐんぐんと歩き進んで、凛はいつもそう言う。こちらに来いと。心のどこかでは、勝手なやつだと溜め息をついているのに、それでも身体はするすると引き寄せられていく。自然と足が前へと歩を進めていく。 たとえばブラックホールや磁石みたいな、抗いようのないものなのだと思うのは容易いことだった。手繰り寄せられるのを振りほどかない、そもそもほどけないものなのだと。そんな風に考えていたこともあった気がする。けれど、あの頃から見える世界がぐんと広がって、凛とこうやって過ごすうちに、それだけではないのかもしれないと感じ始めた。 あの場所で、凛は行こうと言った。数年も前の夏のことだ。 深い色をした長いコートの裾を揺らして、小さく靴音を鳴らして、凛は眩い光の中を歩いていく。 格好が良いな、と思う。手放しに褒めるのはなんだか恥ずかしいし、悔しいから言わないけれど。それにあまり面と向かって言葉にするのも得意ではない。 それでもどうしても、たとえばこういうとき、波のように胸に押し寄せる。海辺みたいだ。ざっと寄せて引くと濡れた跡が残って、繰り返し繰り返し、どうしようもなくそこにあるものに気付かされる。そうやって確かに、この生きものに惚れているのだと気付かされる。
目的地の公園は、住んでいるアパートから歩いて十分ほどのところにある。出入りのできる開けた場所には等間隔で二本、石造りの太い車止めが植わるように並んでいて、それを凛はするりと避けて入っていった。しなやかな動きはまるで猫のようで、見えない尻尾や耳がそこにあるみたいだった。「なんか面白いもんでもあったか?」「いや、別に」口元がゆるみかけたのをごまかすためにとっさに顔ごと、視線を脇に逸らす。「なんだよ」凛は怪訝そうな、何か言いたげな表情をしたけれど、それ以上追及することはなくふたたび前を向いた。 道を歩き進むと広場に出た。ここは小さな公園やグラウンドのような一面砂色をした地面ではなく、芝生の広場になっている。遊具がない代わりにこの辺りでは一番広い敷地なので、思う存分ボール投げをしたり走り回ったりすることができる。子供たちやペットを連れた人たちが多く訪れる場所だった。 芝生といっても人工芝のように一面青々としたものではなく、薄い色をした芝生と土がまだらになっているつくりだった。見渡すと、地面がところどころ波打ったようにでこぼこしている。区によって管理され定期的に整備されているけれど、ここはずいぶん古くからある場所なのだそうだ。どこもかしこもよく使い込まれていて、人工物でさえも経年のせいでくすんで景観に馴染んでい���。 まだらで色褪せた地面も、長い時間をかけて踏み固められていると考えれば、落ち着いてもの静かな印象を受ける。手つかずの新品のものよりかは、自分にとって居心地が良くて好ましいと思えた。 広場を囲んで手前から奥に向かい、大きく輪になるようにイチョウの木々が連なって並んでいる。凛は傍近くの木の前に足を止め、見上げるなり、すげぇなと感嘆の声を漏らした。 「一面、金色だ」 立ち止まった凛の隣に並び、倣って顔を上げる。そこには確かに、すっかり金に色付いたイチョウの葉が広がっていた。冬の薄い青空の真下に、まだ真南に昇りきらない眩い光をたっぷりと受けてきらきらと、存在を主張している。 きんいろ、と凛の言葉を小さく繰り返した。心の中でもう一度唱えてみる。なんだか自分よりも凛が口にするほうが似つかわしいように思えた。 周囲に視線を巡らせると、少し離れた木々の元で、幼い子供ふたりが高い声を上げて追いかけっこをしていた。まだ幼稚園児くらいの年の頃だろうか、頭一個分くらい身の丈の異なる男の子ふたりだった。少し離れて、その父親と母親と思しき大人が並んでその様子を見守っている。だとすると、あのふたりは兄弟だろうか。大人たちの向ける眼差しはあたたかく優しげで、眩しいものを見るみたいに細められていた。 「な、あっち歩こうぜ」 凛が視線で合図して、広場を囲む遊歩道へと促した。舗装されて整備されているそこは木々に囲まれて日陰になっているところが多い。ここはいつも湿った匂いがして、鳥の鳴き声もすぐ近くから降りそそぐように聞こえてくる。よく晴れ��今日はところどころ木漏れ日が差し込み、コンクリートの地面を点々と照らしていた。 休日の朝ということもあって、犬の散歩やジャージ姿でランニングに励む人も少なくなかった。向かいから来てすれ違ったり後ろから追い越されたり。そしてその度に凛に一瞥をくれる人が少なくないことにも気付かされる。 決して目立つ服を着ているわけでもなく、髪型や風貌が特に奇抜なわけでもないのに、凛はよく人目を惹く。それは地元にいたときにも薄っすらと浮かんでいた考えだけれど、一緒に人通りの多い街を歩いたときに確信した。凛はいつだって際立っていて、埋没しない。それは自分以外の誰にとってもきっとそうなのだろう。 いい場所だなぁ。凛は何でもないみたいにそう口にして、ゆったりとした足取りで隣を歩いている。木々の向こう側、走り回る子供たちを遠く見つめていたかと思えば、すぐ脇に設けられている木のベンチに視線を巡らせ、散歩中の犬を見て顔をほころばせては楽しそうに視線で追っている。公園までの道中は「はやく」と振り返って急かしたくせに、今の凛はのんびりとしていて、景色を眺めているうちに気が付けば足を止めている。こっそり振り返りながらも小さく先を歩いていると、ぽつぽつとついてきて、すうと寄せるようにしてまた隣に並ぶ。 その横顔をちらりと伺い見る。まるで何かを確かめるかのように視線をあちらこちらに向けてはいるものの、特にこれといって変わったところもなく、そこにいるのはいつも通りの凛そのものだった。 見られるという行為は、意識してしまえば、少なくとも自分にとってはあまり居心地が良いものではない。時にそれは煩わしさが伴う。凛にとってはどうなのだろう。改まって尋ねたことはないけれど、良くも悪くも凛はそれに慣れているような気がする。誰にとっても、誰に対しても。凛はいつだって中心にいるから。そう考えると苦い水を飲み下したような気持ちになって、なんだか少し面白くなかった。
遊歩道の脇につくられた水飲み場は、衛生のためだろう、周りのものよりずっと真新しかった。そこだけ浮き上がったみたいに、綺麗に背を伸ばしてそこに佇んでいた。 凛はそれを一瞥するなり近付いて、側面の蛇口を捻った。ゆるくふき出した水を見て、「お、出た」と呟いたけれど、すぐに絞って口にはしなかった。 「もっと寒くなったら、凍っちまうのかな」 「どうだろうな」 東京も、うんと冷えた朝には水溜まりが凍るし、年によっては積もるほど雪が降ることだってある。水道管だって凍る日もあるかもしれない。さすがに冬ごとに凍って壊れるようなつくりにはしていないと思うけれど。そう答えると凛は、「なるほどなぁ」と頷いて小さく笑った。 それからしばらくの間、言葉を交わすことなく歩いた。凛がまた少し先を歩いて、付かず離れずその後ろを追った。ときどき距離がひらいたことに気付くと、凛はコートの裾を揺らして振り返り、静かにそこに佇んで待っていた。 秋の頃までは天を覆うほど生い茂っていた木々の葉は、しなびた色をしてはらはらと散り始めていた。きっとあの金色のイチョウの葉も、程なくして散り落ちて枝木ばかりになってしまう��だろう。 「だいぶ日が高くなってきたな」 木々の間から大きく陽が差し込んで、少し離れたその横顔を明るく照らしている。 「あっちのほうまできらきらしてる」 中央の広場の方を指し示しながら、凛が楽しげに声を上げた。示す先に、冷えた空気が陽を受け、乱反射して光っている。 「すげぇ、綺麗」 そう言って目を細めた。 綺麗だった。息を呑んで見惚れてしまうほどに。いっぱいに注がれて満ちる光の中で、すらりと伸びる立ち姿が綺麗だった。 時折見せる熱っぽい顔とは縁遠い、冴えた空気の中で照らされた頬が白く光っていた。横顔を見ていると、なめらかで美しい線なのだとあらためて気付かされる。額から眉頭への曲線、薄く開いた唇のかたち。その鼻筋をなぞってみたい。光に溶け込むと輪郭が白くぼやけて曖昧になる。眩しそうに細めた目を瞬かせて、長い睫毛がしぱしぱ、と上下した。粒が散って、これも金色なのだと思った。 そうしているうちに、やがて凛のほうからおもむろに振り返って、近付いた。 「なぁ、ハル」少し咎めるような口調だった。「さっきからなんだよ」 ぴん、と少しだけ背筋が伸びる。身構えながらも努めて平静を装い、「なにって、何だ」と問い返した。心当たりは半分あるけれど、半分ない。 そんな態度に呆れたのか凛は小さく息をついて、言った。じっと瞳の奥を見つめながら、唇で軽く転がすみたいな声色で。 「おれのこと、ずっと見てんじゃん」 どきっと心臓が跳ねた。思わず息を呑んでしまう。目を盗んでこっそり伺い見ていたのに、気付かれていないと思っていたのに、気付かれていた。ずっと、という一言にすべてを暴かれてしまったみたいで、ひどく心を乱される。崩れかけた表情を必死で繕いながら、顔ごと大きく視線を逸らした。 「み、見てない」 「見てる」 「見てない」 「おい逃げんな。見てんだろ」 「見てないって、言ってる」 押し問答に焦れたらしく凛は、「ホントかぁ?」と疑り深く呟いて眉根を寄せてみせる。探るような眼差しが心地悪い。ずい、と覗き込むようにいっそう顔を近付けられて、身体の温度が上がったのを感じた。あからさまに視線を泳がせてしまったのが自分でも分かって、舌打ちしたくなる。 「別に何でもない。普段ここへは一人で来るから、今日は凛がいるって、思って」 だから気になって、それだけだ。言い訳にもならなかったけれど、無理矢理にそう結んでこれ以上の追及を免れようとした。 ふうん、と唇を尖らせて、凛はじとりとした視線を向け続ける。 しかしやがて諦めたのか、「ま、いいけどさ」と浅くため息をついて身を翻した。 顔が熱い。心臓がはやい。上がってしまった熱を冷まそうと、マフラーを緩めて首筋に冷気を送り込んだ。
それからしばらく歩いていくうちに遊歩道を一周して、最初の出入り口に戻ってきた。凛は足を止めると振り返り、ゆっくりと、ふたたび口を開いた。 「なぁ、ハル」今度は歩きながら歌を紡ぐみたいな、そんな調子で。 「さっきは良いっつったけどさ、おれ」 そう前置きするなり、凛はくすぐったそうに笑った。小さく喉を鳴らして、凛にしては珍しく、照れてはにかんだみたいに。 「ハルにじっと見つめられると、やっぱちょっと���ずかしいんだよな」 なんかさ、ドキドキしちまう。 なんだよ、それ。心の中で悪態をつきながらも、瞬間、胸の内側が鷲摑みされたみたいにきゅうとしぼられた。そして少しだけ、ちくちくした。それは時にくるしいとさえ感じられるのに、その笑顔はずっと見ていたかった。目が離せずに、そのひとときだけ、時が止まったみたいだった。この生きものに、どうしようもなく惚れてしまっているのだった。 「あー…えっと、腹減ったなぁ。一旦家帰ろうぜ」 凛はわざとらしく声のトーンを上げ、くるりと背を向けた。 「…ああ」 少し早められた足取り、その後ろ姿に続いて歩いていく。 コンクリートの上でコートの裾が揺れている。陽がかかった部分の髪の色が明るい。視界の端にはイチョウの木々が並んできらめいていた。 「朝飯、やっぱ鯖?」 隣に並ぶなり凛がそっと訊ねてきた。 「ロースハム、ベーコン、粗挽きソーセージ」 冷蔵庫の中身を次々と列挙すると、凛はこぼれるように声を立てて笑ってみせた。整った顔をくしゃりとくずして、とても楽しそうに。つられて口元がほころんだ。 笑うと金色が弾けて眩しい。くすみのない、透明で、綺麗な色。まばたきの度に眼前に散って、瞼の裏にまで届いた。 やっぱり凛によく似ている。きっとそれは、凛そのものに似つかわしいのだった。
(2017/12/30)
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NoxRika

桝莉花
朝、目を覚ますと、「もう朝か」とがっかりする。希望に満ちた新しい朝起なんてほとんどなく、その日の嫌な予定をいくつか乗り切る作戦を練ってから布団を出る。
マルクスの「自省録」を友人に借りて読んだ時、初めは偉そうな言いぐさに反感を持ったが、日々の中で些細な共感をするたびに、ちょっとかっこいいんじゃないかなどと思うようになった。嫌な予定を数えるだけだった悪い癖を治すため、そこに書いてあったような方法を自分なりに実践している。半ば寝ぼけているから、朝ごはんを食べている時には、どんな作戦だったかもう思い出せない。
ただ、担任の堀田先生に好意を寄せるようになってからは、今日も先生に会いに行こう、が作戦の大半を占めている気がする。
リビングへ出ると、食卓には朝食が並んでおり、お母さんが出勤姿で椅子に半分くらい腰掛けてテレビを見ていた。
「あ、莉花。見てニュース」
言われた通りにテレビに目を凝らすと、映っていたのはうちの近所だった。
「えー、引き続き、昨日午後五時頃、○○県立第一高等学校で起きました、無差別殺傷事件の速報をお伝えしております」
全国区のよく見知ったアナウンサーの真剣な顔の下に、速報の文字と四名が現在も重体、教師一名を含む三名が死亡とテロップが出た。
「えっ、これって、あの一高?生徒死んじゃったの」
お母さんは眉根を寄せ、大げさに口をへの字にして頷いた。
「中学の時のお友達とか、一高に行った子もいるんじゃないの?」
しばらくテレビの画面を見詰めながら考えを巡らせた。お母さんは「大変大変」とぼやきながら立ち上がり、
「夕飯は冷蔵庫のカレーあっためて食べてね」
と家を出て行った。
中学の時に一緒にいた友だちはいるけれど、知りうる限り、一高に進学した子はいなかった。そうでなくても、今はもうほぼ誰とも連絡は取り合っていないから、連絡したところでどうせ野次馬だと思われる。
地元の中学校に入学して、立派な自尊心となけなしの学力を持って卒業した。友だちは、いつも一緒にいる子が二人くらい居たけれど、それぞれまた高校で「いつも一緒にいる子」を獲得し、筆マメなタイプじゃなかったために、誕生日以外はほぼ連絡しなくなった。誕生日だって、律儀に覚えているわけじゃなくて、相手がSNSに登録してある日付が私の元へ通知としてやってくるから、おめでとう、また機会があれば遊びに行こうよと言ってあげる。
寂しくはない。幼いことに私は、自分自身のことが何よりも理解し難くて、外界から明確な説明を求められないことに、救われていた。友だちだとかは二の次で、ましてやテレビの向こう側で騒がれる実感のない事件になんて構ってられない。
高校で習うことも、私にはその本質が理解できない。私の表面的なものに、名前と回答を求め、点数を与えて去っていく。後にこの毎日が青春と名乗り出るかも、私には分からない。気の早い麦茶の水筒と、台所に置かれた私の分の弁当。白紙の解答用紙に刻まれた、我が名四文字の美しきかな。
学校に着いたのは七時過ぎだった。大学進学率県内トップを常に目標に掲げている我が高校は、体育会系の部活動には熱心じゃない。緩く活動している部活動なら、そろそろ朝練を始めようという時間だ。駐輪場に自転車を停めると、体育館前を通って下駄箱へ向かうのだが、この時間だと、バスケ部の子たちが準備体操をしていることがあり、身を縮こまらせる。今日はカウントの声が聞こえて来ないから、やってないのかな。横目で見ると、女子バスケ部に囲まれて体育館を解錠する嬉しい後ろ姿が見えた。
担任の堀田先生だ。
そういえば、女子バスケ部の副顧問だったな。
背ばっかり高くて、少し頼りない猫背をもっと眺めたかったけれど、違う学年の、派手な練習着の女子たちに甲高い声で茶化されて、それに気だるげな返事をしている先生は、いつもより遠くに感じた。あ、笑ってる。
いつも通りに身を縮こまらせて、足早に玄関へ駆け上がった。
出欠を取るまでまだ一時間半もあり、校内は静まり返っていた。
教室のエアコンを点け、自身の机に座り、今日の英単語テストの勉強道具を机に広げた。イヤホンをして、好きなアイドルのデビュー曲をかける。
校庭には夏季大会を前にした野球部員たちが集まり、朝練にざわつきだす。イヤホンから私にだけ向けられたポップなラブソングを濁すランニングのかけ声を窓の向こう側に、エアコンの稼働音だけが支配する教室。
「おはよー」
コンビニの袋を提げて入って来た風呂蔵まりあは、机の間を縫い縫い私に近寄って来た。
イヤホンを外しておはよう、と返すと、彼女はそのまま私の前の席に座った。片手でくるくるとした前髪をおでこから剥がし、もう片手に握ったファイルで自分を仰ぎながら、馴れ馴れしく私の手元を覗き込んだ。
「早くない?」
「小テストの勉強今からやろうと思って」
「え、やるだけ偉くない?私もう諦めてるよ」
目の前で手を叩いて下品に笑う。
「いや、普通にやっといた方がいいと思うけど」
叩きつけるような返事をした。
手応えのないコミュニケーション。読んでいた分厚い英単語帳を勢いよく窓から放り投げ、そのまま誤魔化すように浮遊する妄想と、バットとボールが描く金属音の放物線。オーライ、オーライの声。空虚な教室の輪郭をなぞり、小さくなって、そのまま消えた。
「いやー、はは」
向こうが答えたのは、聞こえないフリをした。
まりあとは、限りなく失敗に近い、不自然な交友を持ってしまった。中学を卒業し「いつも一緒にいる子」と離れ、高校に一年通っても馴染めず焦った私は、次なる友だちを求め私よりも馴染めずにいたまりあに声をかけた。短期間で無理やり友だちを作った私は、学校へ来ることが苦手な彼女に優しく接することを、施しであり、自分の価値としてしまっていた。その見返りは、彼女のことを無下に扱っても「いつも一緒にいる」ことだなんて勝手に思い込み、機嫌が悪い時には、正義を装った残酷な振る舞いをして、彼女を打ちのめすことで自分を肯定していた。
出会ってからすぐに距離が縮まって、充分な関係性を築き上げる前からその強度を試すための釘を打っているようなものだ。しかし、人を穿って見ることのできない彼女は私を買い被り、友人という関係を保とうと自らを騙し騙し接してくる。それもまた癪に触った。要はお互いコミュニケーションに異常があるのだ。でも、それを異常だとは言われたくない、自分の法律を受け入れて友だちぶっていてほしい。それは全くの押し付けで、そのことに薄々気付きながらも、目を背けていた。
ちょっとキツい物言いで刺されても、気づかないふりするのが、私たちだったよね。あれ、違ったかな。
しかし、もともと小心者な私は、根拠のない仕打ちを突き通す勇気はなく、すぐに襲い来る罪悪感に負け、口を開いた。
「あ、ねえ…ニュース見た?一高の」
「知ってる!やばくない?文化祭で生徒が刃物振り回したってやつだよね?めっちゃかわいそう。びっくりしてすぐに一高の友達にラインしたもん」
「何人か亡くなってるらしいじゃん」
「え、そうなの、笑うんだけど」
「笑えないでしょ」
それが、彼女の口癖なのも知っていた。勘に触る言葉選びと、軽薄な声。最早揚げ足に近かった。
「あー、ごめん。つい」
片手をこめかみに当て、もう片手の掌をみなまで言うなと私に突き出してくる。この一瞬に関しては、友情なんてかけらもない。人間として、見ていられない振る舞いだった。
「ごめん」
また無視した。小さな地獄がふっと湧いて、冷えて固まり心の地盤を作って行く。
ただ、勘違いしないで欲しい。ほとんどはうそのように友だちらしく笑いあうんだから。その時は私も心がきゅっと嬉しくなる。
黙り込んでいると、クラスメイトがばらばらと入って来て教室は一気に騒がしくなり、まりあは自分の席へ帰っていった。ああ全く、心の中にどんな感情があれば、人は冷静だろう。愛情か、友情か。怒りや不機嫌に支配された言動は、本来の自分を失っていると、本当にそうだろうか。この不器用さや葛藤はいつか、「若かったな」なんて、笑い話になるだろうか。
昼休みの教室に彼女の姿は無かった。席にはまだリュックがあって、別の女子グループが彼女の机とその隣の机をつけて使っている。私は自分の席でお弁当を広げかけ、一度動きを止め片手でスマホを取り出し「そっち行ってもいい?」とまりあにメッセージを送った。すぐに「いいよ!」が返ってくる。お弁当をまとめ直して、スマホと英単語帳を小脇に抱えて、教室を出た。
体育館へと続く昇降口の手前に保健室があり、その奥には保健体育科目の準備室がある。私は保健室の入り口の前に足を止めた。昇降口の外へ目をやると、日陰から日向へ、白く世界が分断されて、陽炎の向こう側には、永遠に続く世界があるような予感さえした。夏の湿気の中にもしっかりと運ばれて香る校庭の土��は、上空の雲と一緒にのったりと動いて、翳っていた私の足元まで陽射しを連れてくる。目の前の保健だよりの、ちょうど色褪せた部分で止まった。毎日、昼間の日の長い時間はここで太陽が止まって、保健室でしか生きられない子たちを、永遠の向こう側から急かすのだ。
かわいそうに、そう思った。彼女も、教室に居られない時は保健体育の準備室に居る。保健室自体にはクラスメイトも来ることがあるから、顔を合わせたくないらしい。準備室のドアを叩くと、間髪入れずに彼女が飛び出てきた。
「ありがとねえ」
「いいよいいよ、もうご飯食べ終わった?」
二人で準備室の中に入ると、保健室と準備室を繋ぐドアから保健医の仁科先生が顔を出した。
「あれ、二人一緒にたべるの?」
「はい」
私はにこやかに応えた。その時に、彼女がどんな顔をしていたかわからない。ただ、息が漏れるように笑った。
先生の顔も優しげに微笑んで私を見た。ウィンクでもしそうな様子で「おしゃべりは小さい声でお願いね」と何度か頷き、ドアが閉まった。準備室の中は埃っぽくて、段ボールと予備の教材の谷に、会議机と理科室の椅子の食卓を設け、そこだけはさっぱりとしている。卓上に置かれたマグカップには、底の方にカフェオレ色の輪が出来ていた。
「これ、先生が淹れてくれたの?」
「そう、あ、飲みたい?貰ってあげよっか」
「…いいよ」
逃げ込んだ場所で彼女が自分の家のように振舞えるのは、彼女自身の長所であり短所だろう。遠慮の感覚が人と違うと言うか、変に気を遣わないというか、悪意だけで言えば、図々しかった。
ただ、その遠慮のなさは、学年のはじめのうちは人懐っこさとして周知され、彼女はそれなりに人気者だった。深くものを考えずに口に出す言葉は、彼女の印象をより独り歩きさせ、クラスメイトは彼女を竹を割ったような性格の持ち主だと勘違いした。
当然、それは長くは続くはずもなく、互いの理解と時間の流れと共に、彼女は遠慮しないのではなく、もともとの尺度が世間とずれている為に、遠慮ができないのだと気付く。根っからの明るさで人と近く接しているのではなく、距離感がただ分からず踏み込んでいるのだと察した。
私は、当時のクラスの雰囲気や彼女の立場の変遷を鮮明に覚えている。彼女のことが苦手だったから、だからよく見ていた。彼女の間違いや周囲との摩擦を教えることはしなかった。
彼女は今朝提げてきたコンビニの袋の口を縛った。明らかに中身のあるコンビニ袋を、ゴミのように足元に置く。違和感はあったけれど、ここは彼女のテリトリーだから、あからさまにデリケートな感情をわざわざ追求することはない。というか、学校にテリトリーなんてそうそう持てるものじゃないのに、心の弱いことを理由に、こんなに立派な砦を得て。下手に自分の癪に触るようなことはしたくなかった。
「あれ、食べ終わっちゃってた?」
「うん。サンドイッチだけだったからさ」
彼女の顔がにわかに青白く見えた。「食べてていいよ」とこちらに手を伸ばし、連続した��作で私の手元の英単語帳を自分の方へ引き寄せた。
「今日何ページから?」
「えーっとね、自動詞のチャプター2だから…」
「あ、じゃあ問題出してあげるね。意味答えてね」
「えー…自信ないわあ」
「はいじゃあ、あ、え、アンシェント」
「はあ?」
お弁当に入っていたミートボールを頬張りながら、彼女に不信の眼差しを注ぐ。彼女は片肘をついて私を見た。その視線はぶつかってすぐ彼女が逸らして、代わりに脚をばたばたさせた。欠けたものを象徴するような、子供っぽい動きに、心がきゅっと締め付けられた。
「え、待って、ちょっと、そんなのあった?」
「はい時間切れー。正解はねえ、『遺跡、古代の』」
「嘘ちょっと見せて。それ名詞形容詞じゃない?」
箸を置いて、彼女の手から単語帳をとると、彼女が出題してきたその単語が、今回の小テストの出題範囲ではないことを何度か確認した。
「違うし!しかもアンシェントじゃないよ、エインシェント」
「私エインシェントって言わなかった?」
「アンシェントって言った」
「あー、分かった!もう覚えた!エインシェントね!遺跡遺跡」
「お前が覚えてどうすんの!問題出して!」
「えー、何ページって言った?」
私が目の前に突き返した単語帳を手に取って、彼女が嬉しそうにページをめくる。その挙動を、うっとりと見た。視界に霞む準備室の埃と、彼女への優越感は、いつも視界の隅で自分の立派さを際立つ何かに変わって、私を満足させた。
「午後出ないの?」
私には到底できないことだけど、彼女にはできる。彼女にできることは、きっと難しいことじゃない。それが私をいたく安心させた。
「うん。ごめんね、あの、帰ろうと思って」
私は優しい顔をした。続いていく物語に、ただ次回予告をするような、明日会う時の彼女の顔を思い浮かべた。
「プリント、届けに行こうか。机入れておけばいい?」
私は、確信していた。学校で、このまま続いていく今日こそ、今日の午後の授業、放課後の部活へと続いていく私こそ本当の物語で、途中で離脱する彼女が人生の注釈であると。
「うん。ありがとう。机入れといて。出来ればでいいよ、いつもごめんね」
お弁当を食べ終えて、畳みながら、彼女の青白い顔が、心なしか、いつもより痛ましかった。どうしたのかと聞くことも出来たが、今朝の意地悪が後ろめたくて、なにも聞けなかった。
予鈴が鳴って、私が立ち上がると、彼女がそわそわし始めた。
「つぎ、えいご?」
彼女の言葉が、少しずつ私を捉えて、まどろんでいく。
「うん。教室移動あるし、行くね」
「うん…あのさ、いつもさ、ありがとね」
私は、また優しい顔をした。
「え、なんで。また呼んでなー」
そのまま、準備室を出た。教室に戻ろうと一歩を踏み出した時、背中でドアが開く音がした。彼女が出てきたのだと思って足を止め振り返ると、仁科先生が保健室から顔を出して、微笑んできた。
「時間、ちょっといいかなあ?」
私が頷くと、先生は足早に近寄ってきて、私を階段の方まで連れてきた。準備室や保健室から死角になる。
「あのさあ、彼女、今日どうだった?」
「へ」
余りにも間抜けな声が出た。
「��つもと変わらなさそう?」
なんだその質問。漫画やゲームの質問みたい。
「いつもと変わったところは、特に」
「そっかあ」
少し考えた。きっと、これがゲームなら、彼女が食べずに縛ったコンビニ袋の中身について先生に話すことが正解なんだろう。
まるでスパイみたいだ。中心に彼女がいて、その周りでぐるぐる巡る情勢の、その一部になってしまう。そんなバカな。それでも、そこに一矢報いようなんて思わない。 不正解の一端を担う方が嫌だ。
「あ、でも、ご飯食べる前にしまってたかも」
「ご飯?」
「コンビニの、ご飯…」
言葉にすれば増すドラマティックに、語尾がすぼんだ。
「ご飯食べれてなかった?」
「はい」
辛くもなかったけれど、心の奥底の認めたくない部分がチカチカ光っている。
「そうかあ」
仁科先生は全ての人に平等に振る舞う。その平等がが私まで行き届いたところで、始業の鐘が鳴る。平和で知的で嫌味な響き。
「あ、ごめんね、ありがとう!次の授業の先生にはこちらからも連絡しておくから」
仁科先生はかくりと頭を下げた。「あ、ごめんね、ありがとう!」そうプログラミングされたキャラクターのように。
「いえ」
私は私のストーリーの主人公然とするため、そつのない対応でその場を去った。
こうして過ぎてゆく日々は、良くも悪くもない。教育は私に、どこかの第三者に運命を委ねていいと、優しく語りかける。
彼女の居ない教室で、思いのほか時間は静かに過ぎていった。私はずっと一人だった。
放課後はあっという間にやってきて、人懐っこく私の顔を覗き込んだ。
ふと彼女の席を振り返ると、担任の堀田先生が腰を折り曲げ窮屈そうに空いた席にお知らせのプリントを入れて回っていた。
「学園祭開催についてのお知らせ」右上に保護者各位と記されしっとりとしたお知らせは、いつもカバンの隅に眠る羽目になる。夏が過ぎれば学園祭が来る。その前に野球部が地方大会で強豪校に負ける。そこからは夏期講習、そんなルーティンだ。
堀田先生の腰を折る姿は夏の馬に似ていた。立ち上がって「あの」と近寄ると、節ばった手で体重を支えてこっちを見た。「あ」と声を上げた姿には、どこか爵位すら感じる。
「莉花、今日はありがとうね 」
「え?」
「お昼まりあのところへ行ってくれたでしょ」
心がぎゅっと何かに掴まれて、先生の上下する喉仏を見た。
絞り出したのはまた、情けない声だった。
「はい」
「まりあ、元気そうだった?」
わたしは?
昼も脳裏に描いたシナリオを、口の中で反芻する。
「普通でした、割と」
先生は次の言葉を待ちながら、空になったまりあの椅子を引き寄せて腰掛ける。少し嫌だった。目線を合わせるなら、私のことだって、しっかり見てよ。
「でもお昼ご飯、買ってきてたのに、私が行ったら隠しちゃって」
「どういうこと?」
「ご飯食べてないのにご飯食べたって言ってました。あんまりそういうことないかも」
「あ、ほんと」
私を通じて彼女を見ている。
まりあが、先生のことを「堀田ちゃん」と呼んでる姿が目に浮かんだ。私は、そんなことしない。法律の違う世界で、世界一幸せな王国を築いてやる。
「先生」
「私、まりあにプリント届けに行きます」
「ほんと?じゃあお願いしようかな、莉花今日は吹部は?」
「行きます、帰りに寄るので」
「ねえ、莉花さんさ、まりあといつから仲良しなの」
「このクラスになってからですよ」
「そうなんだ、でも二人家近いよね」
「まりあは幼稚園から中学まで大学附属に行ってたと思います。エスカレーターだけど高校までは行かなかったっぽい。私はずっと公立」
「あ、そうかそうか」
耐えられなかった。
頭を軽く下げて教室を出た。
上履きのつま先が、冷たい廊下の床だけを後ろへ後ろへと送る。
私だって、誰かに「どうだった」なんて気にされたい。私も私の居ないところで私のこと心配して欲しい。そんなことばっかりだよ。でもそうでしょ神様、祈るにはおよばないようなくだらないものが、本当は一番欲しいものだったりする。
部活に行きたくない、私も帰りたい。
吹奏楽部のトランペット、「ひみつのアッコちゃん」の出だしが、高らかに飛んできて目の前に立ちふさがる。やっぱり行かなくちゃ、野球部の一回戦が近いから、行って応援曲を練習しなきゃ。ロッカー室でリュックを降ろし楽譜を出そうと中を覗くと、ペンケースが無かった。
教室に戻ると、先生はまりあの椅子に座ったまま、ぼんやりと窓を見ていた。
私の存在しない世界がぽっかりと広がって、寂しいはずなのに、なにを考えてるのか知りたいのに、いまこのままじっとしていたい。自分がドラマの主人公でいられるような、先生以外ピントの合わない私の画面。心臓の音だけが、後から付け足した効果音のように鳴っている。
年齢に合った若さもありながら、当たり障りのない髪型。 短く刈り上げた襟足のせいで、長く見える首。そこに引っかかったUSBの赤いストラップ。薄いブルーのワイシャツ。自分でアイロンしてるのかな。椅子の背もたれと座面の隙間から覗くがっしりとしたベルトに、シャツが吸い込まれている。蛍光灯の消えた教室で、宇宙に漂うような時間。
私だって先生に心配されたい、叱られたい。莉花、スカート短い。
不意に立ち上がってこちらを振り向く先生を確認しても、無駄に抵抗しなかった。
「うわびっくりした。どうしたの」
「あ」
口の中で「忘れ物を…」とこぼしながら、目を合わせないように自分の席のペンケースを取って、教室から逃げた。
背中に刺さる先生の視線が痛い?そんなわけない。
十九時前、部活動の片付けを終えて最後のミーティングをしていると、ポケットに入れていたスマートフォンの通知音がその場に響いた。
先輩は「誰?」とこちらを見た。今日のミーティングは怒りたがらない先輩が担当で、こういう時には正直には言わない、名乗り出ない、が暗黙の了解だったから、私は冷や汗をかきながら黙っていた。
「部活中は携帯は禁止です」
野球部の地方大会の対戦日程の書かれたプリントが隣から回ってきた。配���日が昨年度のままだ。去年のデータを使い回して作ったんだろう。
そういえば、叱られたら連帯責任で、やり過ごせそうなら謝ったりしちゃだめだと知ったのも、一年生の時のちょうどこの時期だった気がする。ただ、この時期じゃ少し遅かったわけだが。みんなはとっくに気付いていて、同じホルンパートの人たちに迷惑をかけてから、人と関わることはこんなにも難しいのかと、痛いほど理解した。
昔、社交には虚偽が必要だと言った人が居たけれど、その人は羅生門ばっかりが教材に取り上げられて、私が本当に知りたい話の続きは教科書に載っていなかった。
「じゃあ、お疲れ様でした。明日も部活あります」
先輩の話は一つも頭に入らないまま、解散となった。
ぼんやりと手元のプリントを眺めながら廊下へ出た。
堀田先生は、プリントを作る時、明朝体だけで作ろうとする。大きさを変えたり、枠で囲ったり、多少の配慮以外はほとんど投げやりにも見える。テストは易しい。教科書の太字から出す。それが好きだった。
カクカクした名前も分からない書体でびっしりと日程の書き揃えられた先輩のプリントは、暮れかかった廊下で非常口誘導灯の緑に照らされ歪んだ。
駐輪場でもたもたしていると、「お疲れ」と声をかけられた。蛍光灯に照らされた顔は、隣の席の飯室さ���だった。
ちょっと大人びた子で、すごく仲がいいわけではなくても、飯室さんに声をかけられて嬉しくない子はいないと思う。
「莉花ちゃん部活終わり?」
「うん、飯室さんは」
「学祭の実行委員になっちゃったんだ、あたし。だから会議だったの」
「そっかあ」
「莉花ちゃん、吹部だっけ?すごいね」
「そ、そんなことないよ。それしかやることなくて」
自転車ももまばらになった寂しい駐輪場に、蒸し暑い夕暮れが滞留する。気温や天気や時間なんて些細なことでも左右される私と違って、飯室さんはいつもしっかりしていて、明るい子だ。ほとんど誰に対しても、おおよそ思うけれど、こんな風になりたかったなと思う。私の話を一生懸命聞いて、にこにこしてくれるので、つい話を続けてしまう。
飯室さんとの距離感は、些細なことも素直にすごいと心から言えるし、自分の発言もスムーズに選べる。上質な外交のように、友達と上手に話せているその事実もまた、私を励ます。友だちとの距離感は、これくらいが一番いい。
ただ、そうはいかないのが、私の性格なのも分かっている。いい人ぶって踏み込んだり、自分の価値にしたくて関係を作ったり、なによりも、私にも無条件で踏み込んで欲しいと期待してしまう。近づけばまた、相手の悪いところばかり見えてしまうくせに。はじめにまりあに声をかけた時の顔も、無関心なふりをして残酷な振る舞いをした時の顔も、全部一緒になって煮詰まった鍋のようだ。
また集中力を欠いて、飯室さんの声へ話半分に相づちを打っていると、後ろから急に背中をポン、と叩かれた。私も飯室さんも、軽く叫び声をあげた。
「はーい、お嬢さんたち、下校下校」
振り返ると、世界史の細倉先生が長身を���り曲げて顔を見合わせてきた。私が固まっていると、飯室さんの顔が、みるみる明るくなる。
「細倉センセ!びっくりさせないで」
「こんな暗くなった駐輪場で話し込んでるんだから、どう登場しても驚くだろ。危ないからね、早く帰って」
「ねえ聞いて、あたしさ、堀田ちゃんに無理やり学祭実行委員にされたの」
「いいじゃん、どうせ飯室さん帰宅部でしょ。喜んで堀田先生のお役に立ちなさい」
「なにそれー!てかあたし、帰宅部じゃないし!新体操やってるんですけど」
二人の輝かしいやりとりを、口を半分開けて見ていた。たしかに、細倉先生は人気がある。飯室さんが言うには、若いのに紳士的で振る舞いに下品さがなくて、身長も高くて、顔も悪くなくて、授業では下手にスベらないし、大学も有名私立を出ているし、世界史の中で繰り返される暴力を強く念を押すように否定するし、付き合ったら絶対に大切にしてくれるし幸せにしてくれる、らしい。特に飯室さんは、細倉先生のこととなると早口になる。仲良しグループでも、いつも細倉先生の話をしていると言っていた。
イベントごとでは女子に囲まれているのは事実だ。私も別に嫌いじゃない。それ以上のことはよく知らないけれど、毎年学園祭に奥さんと姪っ子を連れてくると、クラスの女子は阿鼻叫喚する。その光景が個人的にはすごく好きだったりする。あ、あと、剣道で全国大会にも出ているらしい。
私はほとんど言葉を交わしたことがない。世界史の点数もそんなに良くない。
「だから、早く帰れっての。見て、桝さんが呆れてるよ」
「莉花ちゃんはそんな子じゃないから」
何を知っていると言うんだ。別にいいけど。
「もう、桝さんこいつどうにかしてよ」
いつのまにか細倉先生の腕にぶら下がっている飯室さんを見て、なんだか可愛くて思わず笑ってしまった。
「桝さん、笑い事じゃないんだって」
私の名前、覚えてるんだな。
結局、細倉先生は私たちを門まで送ってくれた。
「はい、お気をつけて」
ぷらぷらと手を振りながら下校指導のため駐輪場へ戻っていく先生を、飯室さんは緩んだ顔で見送っていた。飯室さん、彼氏いるのに。でもきっと、それとこれとは違うんだろう。私も、堀田先生のことをこんな感じで誰かに話したいな。ふとまりあの顔が浮かぶけれど、すぐに放課後の堀田先生の声が、まりあ、と呼ぶ。何を考えても嫉妬がつきまとうな。また意味もなく嫌なことを言っちゃいそう。
「ね、やばくない?細倉センセかっこ良すぎじゃない?」
興奮冷めやらぬ飯室さんは、また早口になっている。
「かっこ良かったね、今日の細倉先生。ネクタイなかったから夏バージョンの細倉先生だなと思った」
「はー、もう、なんでもかっこいいよあの人は…。みんなに言おう」
自転車に跨ったまま、仲良しグループに報告をせんとスマートフォンを操作する飯室さんを見て、私もポケットからスマートフォンを出した。そういえば、ミーティング中に鳴った通知の内容を確認してなかった。
画面には、三十分前に届いたまりあからのメッセージが表示されていた。
「莉花ちゃんの名字のマスって、枡で合ってる?」
なんだそりゃ、と思った。
「違うよ。桝だよ」
自分でも収まりの悪い名前だと思った。メッセージはすぐに読まれ、私の送信した「桝だよ」の横に既読マークが付く。
「間違えてた!早く言ってよ」
「ごめんって。今日、プリント渡しに家に行ってもいい?」
これもすぐに既読マークが付いた。少し時間を置いて、
「うん、ありがとう」
と返ってきた。
「家についたら連絡するね」
そう送信して、一生懸命友達と連絡を取り合う飯室さんと軽く挨拶を交わし、自転車をこぎ始めた。
湿気で空気が重い。一漕ぎごとにスカートの裾に不快感がまとわりついてくる。アスファルトは化け物の肌みたいに青信号の点滅を反射し、黄色に変わり、赤くなる。そこへ足をついた。風を切っても爽やかさはないが、止まると今度は溺れそうな心地すらする。頭上を見上げると月はなく、低い雲は湯船に沈んで見るお風呂の蓋のようだった。
やっぱり私も、まりあと、堀田先生の話題で盛り上がりたい。今朝のこと、ちょっと謝りたい。あと、昨日の夜のまりあが好きなアイドルグループが出た音楽番組のことも話し忘れちゃったな。まりあは、堀田先生と細倉先生ならどっちがタイプかな。彼女も変わってるから、やっぱり堀田先生かな。だとしたらこの話題は触れたくないな。でもきっと喋っちゃうだろうな。
新しく整備されたての道を行く。道沿いにはカラオケや量販店が、これでもかというほど広い駐車場と共に建ち並ぶ。
この道は、まっすぐ行けばバイパス道路に繋がるが、脇に逸れるとすぐ新興住宅地に枝分かれする。そこに、まりあの家はある。私が住んでいるのは、まりあの住むさっぱりした住宅街から離れ、大通りに戻って企業の倉庫密集地へと十分くらい漕ぐ団地だ。
一度だけまりあの家に遊びに行ったことがある。イメージと違って、部屋には物が多く、あんなに好きだと言っていたアイドルグループのグッズは全然なかったのに、洋服やらプリントやら、捨てられないものが積み重なっていた。カラーボックスがいくつかあって、中身を見なくても、思い出の品だろうと予想がついた。
まりあには優しくて綺麗なお姉さんがいる。看護師をしているらしく、その日も夜勤明けの昼近くにコンビニのお菓子を買って帰って来てくれた。お母さんのことはよく知らないけれど、まりあにはお父さんが居ない。お姉さんとすごく仲がいいんだといつも自慢げにしている。いいなと思いながら聞いていた。
コンビニの角を曲がると、見覚えのある路地に入った。同じような戸建てが整然と並び、小さな自転車や虫かごが各戸の玄関先に添えられている。風呂蔵の表札を探して何周かうろうろし、ようやくまりあの家を見つけた。以前表札を照らしていた小さなランタンは灯っておらず、スマートフォンのライトで照らして確認した。前に来たときよりも少し古びた気がするけれど、前回から二ヶ月しか経っていないのだから、そんなはずはない。
スマートフォンで、まりあにメッセージを送る。
「家着いた」
既読マークは付かない。
始めのうちは、まあ気がつかないこともあるかと、しばらくサドルに腰掛けスマートフォンをいじっていた。��第に、周囲の住人の目が気になり出して、ひとしきりそわそわした後で、思い切ってインターホンを押した。身を固くして待てども、返事がない。
いよいよ我慢ならなくて、まりあに「家に居ないの?」「ちょっと」と立て続けにメッセージを送る。依然、「家着いた」から読まれる気配がない。一文句送ってやる、と思ったところで、家のドアが勢いよく開いた。
「あ、まりあちゃんの友だち?」
サドルから飛び降り駆け寄ろうとした足が、もつれた。まりあが顔を出すと思い込んでいた暗がりからは、見覚えのない、茶髪の男性が現れた。暗がりで分かりにくいけれど、私と同い年くらいに見える。張り付いたような笑みとサンダルを引きずるようにして一歩、一歩とこちらへ出てくる。緊張と不信感で自転車のハンドルを握る手に力がこもった。
ちょっと、まりあ、どこで何してるの?
男の子は目の前まで来ると肘を郵便受けに軽く引っ掛け、「にこにこ」を貼り付けたまま目を細めて私を見た。
「あ、俺ね、まりあちゃんのお姉さんとお付き合いをさせて頂いている者です。いま風呂蔵家誰も居なくてさ。何か用事かな」
見た目のイメージとは違った、やや低い声だった。街灯にうっすらと照らされた顔は、子供っぽい目の下に少したるみがあって、確かに、第一印象よりは老けて見える、かな。わからない。大学生くらいかな。でも、まりあのお姉さんって、もうすぐ三十歳だって聞いた気がする。
恐怖を消し去れないまま目をいくら凝らしても、判断材料は一向に得られず、声の優しさを信じきるか、とりあえずこの場を後にするか、戸惑う頭で必死に考えた。
「あの、私、まりあと約束してて…」
「えっ?」
男性の顔から笑顔がすとんと落ちた。私の背後に幽霊でも見たのか、不安に強張った表情が一瞬覗き、それを隠すように手が口元を覆った。
「今?会う約束してたの?」
「いや、あの」
彼の不安につられて、私の中の恐怖も思考を圧迫する。言葉につっかえていると、ポケットからメッセージの通知音が響いた。助かった、反射的にスマートフォンを手にとって、「すみません!」と自転車に乗りその場から逃げた。
コンビニの角を曲がり、片足を着くとどっと汗が噴き出してきた。ベタベタの手を一度太ももの布で拭ってから、スマートフォンの画面を点灯した。メッセージはまりあからではなく、
「家に帰っていますか?今から帰ります。母さんから、夕飯はどうするよう聞いていますか」
父さんだった。大きいため息が出た。安堵と苛立ちと落胆と、知っている言葉で言えばその三つが混ざったため息だった。
「今友だちの家にプリント届けに来てる。カレーが冷蔵庫にあるらしい」
乱暴に返事を入力する。
一方で、まりあとのメッセージ画面に未だ返事はない。宙に浮いた自分の言葉を見ていると、またしても不安がじわじわと胸を蝕んでいく。
もしも、さっきのあの男が、殺人鬼だったらどうしよう。まりあのお姉さんも、まりあももう殺されちゃってたら。まりあに、もう二度と会えなかったら。あいつの顔を見たし、顔を見られちゃった。口封じに私も殺されちゃ��かも知れない。まりあのスマートフォンから名前を割り出されて、家を突き止められて、私が学校に行ってる間に、家族が先に殺されちゃったら。
冷静になればそんなわけがないと理解出来るのだけれど、じっとりとした空気は、いくら吸っても、吐いても、不安に餌をやるようなものだった。冷たい水を思いっきり飲みたい。
とりあえず家に帰ろう、その前に、今一一〇番しないとまずい?いや、まだなにも決まったわけじゃない。勘違いが一番恥ずかしい。でも、まりあがそれで助かるかも知れない。なにが正解だろう。間違えた方���選んだら、バッドエンドは私に回って来るのかな。なんでだ。
コンビニ店内のうるさいポップが、霞んで見える。心細さで鼻の奥がツンとする。スカートを握って俯いていると、背後から名前を呼ばれた。
「莉花ちゃん?」
聞きたかった声に、弾かれたように振り返った。
「まりあ!」
まりあは制服のまま、手にお財布だけを持って立ち尽くしていた。自分の妄想はくだらないと、頭でわかっていても、一度はまりあが死んだ世界を見てきたような心地でいた。ほとんど反射的に、柄にもなくまりあの手を握った。柔らかくて、すべすべで、ほんのり温かかった。まりあは、口角を大きく上げて、幸せそうに肩を震わせて笑った。
「莉花ちゃん、手汗すごいね」
「あのさあ、結構メッセージ送ったんですけど」
「うそ、ごめん!気づかなかった」
いつもみたいに、なにか一言二言刺してやろうと思ったけれど、何も出てこなかった。この声も、全然悪びれないこの態度も、機嫌の悪い時に見れば、きっと下品で軽薄だなんて私は思うんだろうな。でも今は、あまりにも純粋に幸せそうなまりあの姿に釘付けになるしかなかった。もしかして、私の感情を通さずに見るまりあは、いつもこんなに幸せそうに笑っているのかな。
「本当だ、家に行ってくれたんだね、ごめんね」
「そう言ったじゃん!て言うか、何、あの男の人」
「あ、柏原くんに会った?」
「柏原くんって言うの」
「そう、声が低い茶髪の人。もうずっと付き合ってるお姉ちゃんの彼氏」
「そ、そうなんだ」
やっぱり、言ってることは本当だったんだ。盛り上がっていた様々な妄想が、全部恥ずかしさに変換され込み上げてくる。それを誤魔化すように次の話題を切り出す。
「どこか行ってたの?」
「一回、家を出たの。ちょっとコンビニ行こうと思って。今お財布取りに戻ったんだけど、入れ違っちゃったかも、ごめん」
「普通、私が家行くって言ってるのにコンビニ行く?」
「行きません」
「ちょっとくらい待ってくれる?」
まりあは、
「はあい。先生かよ」
ちょっと口を尖らせて、すぐに手を叩いて笑った。
いくら語気を強めても、仲良しで包みこんで、不躾な返事が返ってくる。それがなによりも嬉しかった。怖がることなく、私と喋ってくれる。欲しかったんだ、見返りとか、自分の価値とかルールとか全部関係なく笑ってくれる友だち。あんなに癪に触ったその笑い方も、今はかわいいと思う。
「先生といえばさ、柏原くんって、堀田ちゃんの同級生なんだよ。すごい仲良しらしい」
「え!」
柏原くんって、さっきの男の人のことだ。堀田先生が三十前後だとして、そんな年齢だったのか。というか、堀田先生の友だちってああいう感じなんだ。ちょっと意外だ。
「大学時代の麻雀仲間なんだって。堀田ちゃん、昔タバコ吸ってたらしいよ、笑えるよね」
「なにその話、めちゃめちゃ聴きたい」
飯室さんが仲良しグループと喋っている時の雰囲気を、自然と自分に重ねながら続きを促すと、まりあは嬉しそうに髪をいじりだした。
「今もよくご飯に行くみたいだよ、写メとかないのって聞いたけど、まだ先生たちが大学生の頃はガラケーだったからそういうのはもう無いって」
「ガラケー!」
私も手を叩いて笑った。
「莉花ちゃん、堀田先生好きだよね。いるよね、堀田派」
「少数派かなあ」
「どうなんだろう。堀田ちゃんが刺さる気持ちは分からなくはないけど、多分、細倉先生派の子のほうが真っ当に育つと思うね」
「わかる。細倉先生好きの子は、ちゃんと大学行って、茶髪で髪巻いてオフショル着てカラコンを入れることが出来る。化粧も出来る。なんならもうしてる」
コンビニのパッキリとした照明に照らされ輝くまりあ。手を口の前にやって、肩を揺らしている。自分の話で笑ってもらえることがこんなに嬉しいのか、と少し感動すらしてしまう。
「今日もムロはるちゃんの細倉愛がすごかったよ」
「ムロはる…?」
まりあが眉をしかめた。
「飯室はるなちゃん、ムロはるちゃん」
本人の前では呼べないけれど、みんながそう呼んでいる呼び方を馴れ馴れしく口にしてみた。ピンときたらしいまりあの「あー、飯室ちゃんとも仲良しなんだ」というぎこちない呟きをBGMに、優越感に浸った。私には友だちが沢山いるけれど、まりあには私しか居ないもんね。
コンビニの駐車場へ窮屈そうに入っていく商品配送のトラックですら、今なら笑える。
「最終的には細倉先生の腕にぶら下がってた」
「なんでそうなるの」
「愛しさあまって、ということなんじゃないかな」
「莉花ちゃんはさ、堀田ちゃんの腕にぶら下がっていいってなったら、する?」
「えー、まずならないよ、そんなことには」
「もしも!もしもだよ」
「想像つかないって」
「んー、じゃあ、腕に抱きつくのは」
「え、ええ」
遠くでコンビニのドアが開閉するたび、店内の放送が漏れてくる。視線を落として想像してみると、自分の心音もよく聞こえた。からかうように拍動するのが、耳の奥にくすぐったい。
細倉先生はともかく、堀田先生はそんなにしっかりしてないから、私なんかが体重を掛けようものなら折れてしまうのではないか。「ちょっと、莉花さん」先生は心にも距離を取りたい時、呼び捨てをやめて「さん」を付けて呼ぶ。先生の性格を見ると、元から下の名前を呼び捨てにすること自体が性に合っていないのだろうとは思うけれど。
そもそも、「先生のことが好き」の好きはそういう好きじゃなくて、憧れだから。でも、そう言うとちょっと物足りない。
「莉花ちゃん」
半分笑いながら呼びかけられた。まりあの顔をみると、なんとも言えない微妙な表情をしていた。引かれたのかな。
「顔赤いよ」
「ちょ、ちょっと!やめてよ」
まりあの肩を軽く叩くと、まりあはさっきよりも大きな声で笑った。よろめきながらひとしきり笑って、今度は私の肩に手を置いた。
「でも、堀田ちゃん、うちのお姉ちゃんのことが好きらしいよ」
「え?なにそれ」
「大学同じなんだって、お姉ちゃんと、柏原くんと、堀田先生。三角関係だって」
返事に迷った。自分の感情が邪魔をして、こういう時に飯室さんみたいな人がどう振る舞うかが想像できない。
本当は、堀田先生に好きな人がいるかどうかなんて、どうでもいいんだけど、そんなこと。それよりも、まりあから、明確に私を傷つけようという意思が伝わってきて、それに驚いた。相手がムキになっても、「そんなつもりなかったのに」でまた指をさして笑えるような、無意識を装った残酷さ。
これ、私がいつもやるやつだ。
そのことに気付いて、考えはますます散らばってしまった。
「そんなの、関係無いよ」
しまった。これだから、重いって思われちゃうんだよ、私は。もっと笑って「え、絶対嘘!許せないんですけど」と言うのが、飯室さん風の返し方なのに。軽やかで上手な会話がしたいのに、動作の鈍いパソコンのように、発言の後に考えが遅れてやってくる。まりあの次の言葉に身構えるので精一杯だった。
「あはは」
まりあは、ただ笑って、そのあとは何も言わなかった。
今までにない空気が支配した。
「私、帰るね」
なるべくまりあの顔を見ないようにして、自転車のストッパーを下ろした。悲鳴のような「ガチャン!」が耳に痛い。
「うん」
まりあは、多分笑っていた。
「また明日ね」
「うん」
漕ぎ出す足は、さっきよりももっと重たい。背中にまりあの視線が刺さる。堀田先生の前から去る時とは違って、今度は、本当に。
遠くで鳴るコンビニの店内放送に見送られ、もう二度と戻れない、夜の海に一人で旅立つような心細さだった。
やっとの思いで家に着くと、二十時半を回っていた。父さんが台所でカレーを温めている。
「おかえり、お前の分も温めてるよ」
自室に戻り、リュックを降ろして、ジャージに着替える。また食卓に戻ってくると、机の上にカレーが二つ並んでいた。
「手、洗った?」
返事の代わりにため息をついて、洗面所に向かう。水で手を洗って、食卓に着く。父さんの座っている席の斜向かいに座り、カレーを手前に引き寄せる。
「態度悪い」
「別に悪くない」
「あっそ」
箸立てからスプーンを選んで、カレーに手をつける。
「いただきますが無いじゃん」
「言った」
「言ってねえよ」
私は立ち上がって、「もういい」とだけ吐き捨て、自室に戻った。
父さんとはずっとこうだ。お母さんには遅い反抗期だな、と笑われているけれど、父さんはいつもつっかかってくる。私が反抗期だって、どうしてわかってくれないんだろう。
まりあの家は、お父さんが居なくて、正直羨ましいと思う。私は、私が家で一人にならないよう、朝はお母さんが居て、お母さんが遅くなる夜は父さんがなるべく早く帰ってくるようにしているらしい。大事にされていることがどうしても恥ずかしくて、次に母親と会える日を楽しみだと言うまりあを前にすると、引け目すら感じる。勝手に反抗期になって、それはを隠して、うちも父親と仲悪いんだよね、と笑って、その話題は終わりにする。
せめて、堀田先生みたいな人だったら良かった。
そう思うと心がチクッとした。あんなに好きな堀田先生のことを考えると、みぞおちに鈍い重みを感じる。先生に会いたくない。それがどうしてそうなのかも考えたくない。多分、まりあが悪いんだろうな。まりあのことを考えると、もっと痛いから。
明日の授業の予習課題と、小テストの勉強もあるけど、今日はどうしてもやりたくない。どうせ朝ちょっと勉強したくらいじゃ小テストも落ちるし、予習もやりながら授業受ければどうにかなる。でも、内職しながらの授業は何倍も疲れるんだよな。
見ないようにしてきた、ズル休みという選択肢が視界に入った。スマートフォンを握りしめたままベッドに寝転がって、SNSを見たり、アイドルのブログをチェックしていると、少しづつ瞼が重くなってくる。
瞼を閉じると、今度は手の中に振動を感じる。まどろみの中で、しばらくその振動を感じ、おもむろに目を開けた。
画面にはまりあの名前が表示されている。はっきりしない視界は、うっすらとブルーライトを透かす瞼で再び遮られた。そうだ、まりあ。
私、まりあに文化祭のプリント渡すの、忘れてた。
目が覚めた。歯を磨くのも、お風呂に入るのも忘れて寝てしまったらしい。リビングを覗くと、カーテンが静かに下がったままうっすらと発光していた。人類が全て滅んでしまったのか。今が何時なのか、まだ夢なのか現実なのか曖昧な世界。不安になって、急いで自分の部屋に戻りベッドの上に放りっぱなしのスマートフォンの画面を点けた。
「あ…」
画面に残る不在着信の「六時間前 まりあ」が、寂しげ浮かんでくる。今の時刻は午前四時、さすがに彼女も寝ている時間だ。すれ違ってしまったなあ、と半分寝ぼけた頭をもたげながらベッドに腰掛ける。髪の毛を触ると、汗でベタついて気持ち悪い。枕カバーも洗濯物に出して、シャワーを浴びて…。ああ、面倒だな。
再びベッドに横になると、この世界の出口が睡魔のネオンサインを掲げ、隙間から心地いい重低音をこぼす。
あそこから出て、今度こそ、きちんとした現実の世界に目を覚まそう。そしてベッドの中で、今日を一日頑張るための作戦を立てて、学校へ行くんだ。いいや、もうそんな力はないや。
嫌になっちゃうな、忙しい時間割と模試と課題と、部活と友達。自律と友愛と、強い正しさを学び立派な大人になっていく。私以外の人間にはなれないのに、こんなに時間をかけて、一体何をしているんだろう。何と戦ってるんだ。本当は怠けようとか、ズルしようとか思ってない。時間さえあれば、きちんと期待に応えたい。あの子は問題ないねと言われて、膝下丈のスカートをつまんで、一礼。
勉強なんて出来なくても、優しい人になりたい。友達に、家族に優しくできる人になりたいよ。わがまま言わない、酷いこともしたくない。でも、自尊心を育ててくれたのもみんなでしょ。私だって、画面の向こう側のなにかになれるって、そう思ってる、うるさいほどの承認欲求をぶちまけて、ブルーライトに照らされた、ほのかに明るい裾をつまんで、仰々しく礼。鳴り止まない拍手と、実体のない喜び。
自分を守らなくちゃ。どこが不正解かはわからないけれど、欲求や衝動に従うことは無謀だと、自分の薄っぺらい心の声に耳を傾けることは愚かだと、誰かに教わった気がする。誰だったかな、マルクスかな。
今の願いは学校を休むこと。同じその口から語られる将来��夢なんて、信用ならない?違うね。そもそも将来の夢なんてなかった。進路希望調査を、笑われない程度に書いて、それで私のお城を築く。悲しみから私を守ってね。
目を開けると目前のスマートフォンは朝の六時を示していた。
「うそだあ」
ベッドから転げるように起き上がると、枕カバーを剥がして、そのまま呆然と立ち尽くす。今からシャワー浴びたら、髪の毛乾かしてご飯食べて、学校に着くのは朝礼の二十分前くらい。予習の課題も小テストの勉強もできない。泣きそうだ。
力なく制服に着替えると、冴えない頭でリュックサックに教科書を詰め込み部屋を出た。肩に背負うと、リュックの中で二段に重ねた教科書が崩れる感触がした。
続く
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東京はまだ梅雨入りもしていないのに、今週は30度を越す真夏日もあり、寝具や衣類などの夏支度を整えていました。紫陽花もまだまだ美しい姿を見せてくれていますね。今の季節、香りに誘われながら、近所のクチナシを見つけるのも楽しみのひとつです。
今週もマントラクラスやサイキックアート、カウンセリング(写真は今週行ったサイキックアートのセッションから)をしながら、あっという間に過ぎていきそうです。今日はこれからインナー・ジャーニーのクラスです。マントラクラスでは、生徒さん達が皆熱心に何度も発音を練習したり、一生懸命暗記したりして正確な発音に近づこうと努力しています。日本語にない発音は、最初は少し難しいかもしれませんが、口の中の筋肉が慣れていくと、スムーズに発音できるようになると思います。そして、今学期に習ったマントラのうちの一つでも、気に入ったマントラ、唱え続けたいマントラ、波長の合うマントラに出会っていただけたら嬉しいです。マントラは思考の道具です。ですから、クラスが終わった後も、できればずっと使い続けていただきたいのです。そうすると、さらに使いやすい、使いこなせる道具となり、ご自身を見守ってくれる存在になっていくのです。
今回のサイキックアートクラスでは、キュビズムの手法を使った自画像に挑戦していただきました。キュビズムでは、既存の常識や画法から離れ、概念の世界を自由に表現します。自分自身に向き合い、遊び心を生かしながら大胆に描いていただきました。私もクラスの前に、自画像をキュビズムで描いてみました(写真2枚目)。そして、いつも楽しみにしている宿題は、今回も力作ばかりでびっくり!次回もとても楽しみです。
コロナ禍で家で過ごすことが多くなったため、ペットを飼う人が増えたり、反対に経済事情による飼育放棄が増えているというニュースが目に止まりました。我が家の近所の緑道では犬を散歩させている人をよく見かけますが、どんな犬種が今人気があるのか、どんなペットグッズが流行っているのか等、最新のペット事情がわかり、興味深いです。私も今まで犬や猫、インコなどのペットを飼ってきましたが、野良犬が我が家に居座ったり、野良の親猫が子猫を置いていったり、友人からヒナを譲り受けたりと、自然なご縁で出会ったペット達でした。最後まで責任を持って、家族の一員として可愛がるのであれば、ペットショップで種類や年齢を選んで買うことを否定しません。けれど、ペットブームに乗ったり、寂しいからとか、子どもの遊��相手が欲しいなどの自分本位な動機で飼い始めるなど、動物の命を軽率に扱う人が多いことが問題視されています。他の国では、犬や猫の生体販売を禁止しているところもあり、同じような問題が過去に起きていたことがわかります。ペットの里親募集をしているサイトをみると、里親になるための条件や手続きが厳しいところが多く、お金を払えば連れて帰れるという、ペットショップでの簡単な手続きとは対照的です。デモンストレーションやリーディングでも、お身内や知人のスピリットと同様に、光の世界に旅立った犬や猫が現れることも多く、無条件の愛を注ぎ続け、常に見守っていることを教えてくれます。今後きちんと法が整い、ペット達が家族同様に幸せに暮らせるようになることを願います。
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Prime90 「シンボリック・メッセージ」
6/23(水)19:30〜21:00
料金:2,500円(会員2,000円)
講師:森 梢
日常の生活や瞑想・夢の中で霊界からもたらされる、様々なシンボルとそのメッセージについて学びます。
主なシンボルとそのメッセージの紹介や、メッセージ・リーディングにも挑戦していただきます。
レクチャー:
・色や数字のメッセージ
・行動や出来事のメッセージ
・自然のメッセージ
・人物や生き物のメッセージ
・抽象概念のメッセージ
・スピリチュアルなメッセージ
実習:メッセージ・リーディング
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Soul Journey 〜インナー・ライトとの出会い〜
7月26日(月) 午前10:00〜17:00(お昼休憩1時間)
8月29日(日) 午前10:00〜17:00(お昼休憩1時間)
同日ともに同じ内容です
料金:会員8,000円・非会員10,000円
講師:森 梢
瞑想経験者ならどなたでもご参加いただけます
この6時間ワークショップの目的は、ミディアムシップを行う時や、人生におけるさまざまな選択肢に向き合う時に妨げとなる、さまざまな思い込みや固定概念、従来の価値観というフィルターから解放され、自分の本来の魂の輝きである『インナー・ライト』を取り戻してゆく事です。
それらのフィルターが、いつ、どこで、なぜ作られたのかを、過去世や今世と向き合うことを通して知ることは、来世へと繋がる魂の旅路『Soul Journey』を理解することでもあります。
ミディアムシップは、他者、相談者に対して行うだけのものではありません。 自分自身にとって必要なアドバイスを得ることにも、その能力は発揮されます。
また、自分自身の魂を磨き、その価値を知ることにも繋がりますし、得意分野を知り、伸ばすことにも役立ちます。
このワークショップでは、主に過去世をテーマとしたレクチャーと、自分の中の光に気づく実習を用意しています。 あなたの『インナー・ライト』が、さらに輝きを放ちますように。
◉ このワークショップは以下のような方に向いています
・ミディアムシップに興味がある
・サイキックとミディアムの違いを知りたい
・ミディアムシップを行うのに必要な条件が知りたい
・自分の思い込みや固定概念に気付きたい
・過去世において作ったフィルターや課題に向き合い、現世での学びにつなげたい
・現世において作ってきたフィ��ターや課題に向き合い、来世での学びにつなげたい
・自分の得意分野が知りたい、または伸ばしたい
・ミディアムシップにおける無意識なコールドリーディングを避けたい
・グラウンディング、サイキックプロテクションについて知りたい
・スピリットからのメッセージと自分の想像の違いを知りたい
・自分のミディアムシップを向上させたい
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Prime90 マントラ、正しく唱えていますか?
2021年7月28日 19:30〜21:00
参加費:会員2,000円・非会員2,500円
説明:アイイスのオールレベルクラス、マスタークラスやサンデーサービスで唱えているお馴染みの3つのマントラ、「ガーヤトリーマントラ」「平和マントラ」「ガナパティ神への祈り」について、改めてじっくりと学ぶ90分です。正しい発音・意味・効果を理解し、高次元の波動に近づき、その恩恵に触れ、聖なる道具として役立ててゆきましょう。クラス受講者以外の、マントラに興味がある方のご参加も歓迎します。
#awareness#unfoldment#spiritualism#spirit communication#mediumship#psychic art#cubism#mantra#mantra chanting
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20210305
というわけで99回の今日は100の質問でもやろうかな 明日も100の質問をしよう 明後日もしよう 前夜祭本祭後夜祭だ
今回はあえて古いのをと思って2003年位に作成されたらしいこれを引っ張ってきたよ https://www.100q.net/100/question.cgi?que_no=2 どんな問題があるのかな 楽しみだね 真面目にやっちゃうよ
Q.1:あなたのハンドルネームを教えてください。 よりん、養林とかを最近はよく使ってる 前者は酔った勢いで「今使ってるこのアカウントを破棄せねばならない!!」と思ってなんとなくひらがなを組み合わせたもの、後者はよりんと関連させつつ切り離したいアカウントを作る時に適当に漢字を当てたもの 結果的に京都の養林庵が聖地になったっぽい
Q.2:生年月日を教えてください。 1997/03/07(隠さない)
Q.3:血液型を教えてください。 O(隠さない)
Q.4:病弱な方ですか? 人生で一度も鼻血らしい鼻血を出したことがないのが数少ない自慢だったりする
Q.5:自分が政治家になったとして、絶対に汚職しない自信はありますか? 「あ~~無理無理!!ダメッ!ダメだって!!」って言いながらポケットにお金しまう
Q.6:歌は好きですか? ドがつくくらい音痴だよ 小学2年生くらいの頃、音楽の時間に隣の人に下手だねと言われて(下手だったんだ……)と思ったときから全てが始まっている
Q.7:よく���ラオケで歌う曲は? この間2,3年ぶりくらいにカラオケ行った時に歌って一番気分が良かったのはLUNA SEAのPRECIOUS...
Q.8:ペットを飼っていますか?飼っている人は、ちゃんと世話していますか? 犬 メダカとかならともかく犬って買ってて放置って難しくないですか?
Q.9:ある程度上手に演奏することができる楽器はありますか? ないよ 音痴だしね
Q.10:高いところは平気ですか?何メートルくらいまでなら怖がることなくいられますか? 昔は高所恐怖症だったけど、「高所恐怖症」って概念を知った時に(自分ってそうなのかも)となんとなく思ったところが始まりな気がするから実際はそうでなかったのかもしれない 今はどうだろう、安全な高所なら多分平気
Q.11:あなたのよく使うゴミ箱には蓋(ふた)がついていますか?(回転式なども含めて) 自室の小さなゴミ箱にはついていない このゴミ箱はもう20年くらい前、超幼少期に寝ぼけて間違えておしっこしたエピソードがある ちゃんと洗ったよ
Q.12:あなたの家にはどれくらい本がありますか? 家にある本だとそんなにないかな……漫画とか含めないなら……と思ったけど下に漫画も含める感じで書いてるな だとすると自分の分だけでそこそこ大きい本棚がパンパンになるくらい 最近はほぼ電子書籍で買ってるからこれをカウントしたものか 今kindleみたら555冊だった 多くはないと思う
Q.13:何かの本がその本の大半を占めていたりしますか?(漫画ばかり、小説ばかり・・・など) まあ傾向はあるんじゃないかな……うん
Q.14:自由に飛べる翼を手に入れたなら、どのくらいの高さまで飛んでいきますか? ぱっと想像した時に"自由"じゃなくて交通手段として意識しちゃったな 嫌な人になっちゃったかもしれない 交通手段として考えると低いと電線が危ないし高いと寒そうだしそもそも規制的にはドローンとかと同じ扱い?便利ではないな…… しかも飛べる能力とかじゃなくて物理的に翼なんだよね そもそも要らないかもしれない
Q.15:楽譜は読めますか? 読めないよ 音痴だしね
Q.16:命を除いて、一番大切なものは何ですか? 自分自身のここ数年の変化って大したものだとは思うんだけど、こういうときに推しです!みたいになるところまでは行ってないっぽい あえて言うなら耳が聴こえることとか……?目は最悪潰れても我慢して生きそうだけど耳はそういうわけにもいかなさそう
Q.17:飲めば若返ることが出来る水があったら・・・どのくらい若返るまで飲みますか? 体が生活習慣諸々含めて過去の自分に逆行していくのか、単に今の体が若々しくなるのかによって違う気がするけどどっちにしても一旦取っとくな 実質ラストエリクサーだし
Q.18:このままではいけないと思うことを一つ挙げてください。 だいたい全部だけどそろそろ歯医者に行ってメンテナンスしてもらったほうがいいかもしれない
Q.19:努力を踏みにじられることを・・・どの程度許せますか? 急になんだよ…… 踏みにじられるほどの努力をしたことがないからわかんないや 無下になってもいい程度の努力しかしないから無下になるんだよね
Q.20:今、あなたの隣にあるものは何ですか? iPadがあります もしかしてもっと精神的な質問……?なんだろう、最後の学生生活とか?
Q.21:喜劇と悲劇・・・どちらが好きですか? 喜劇だから好き悲劇だから好きって言うのはあんまりないのかも……どっちも好きだよ でも悲劇が結末であるのならある程度は順を追ってそこに至って欲しい
Q.22:もしあなたが世界を手に入れたなら、まず何をしたいですか? オーディオルームつくりたい
Q.23:たった一匹の小さな虫でも、殺すのが嫌になったことはありますか? アルバイト中に羽虫追いかけ回して殺して最悪の気分になったりする
Q.24:良い嘘と悪い嘘の違いは何だと思いますか? 結果論と主観?
Q.25:どうしても忘れられない曲はありますか? 曲っていうか2019年のAFTER HOURSってフェスでへろっへろになってるところにトリのenvyが1曲目に左手持ってきたのは音楽で一番テンションが高まった瞬間かもしれない
Q.26:思い出の場所はありますか? あんまりないな…… でもこの間近所の総合病院に10年ぶりくらいに行ったらずっと通ってた耳鼻科がなくなってて悲しかった
Q.27:酒に飲まれて失敗したことはありますか? 大量のお酒を飲むと初対面の人の背中をバシバシ叩きながら絶叫して床転がったりするからお酒をいっぱい飲むことはもうないよ
Q.28:大好きな飲み物をいくつでも挙げてください。 ジャスミンティー大好きだけど利尿作用が激しすぎて全然飲めない この間のデイリーポータルZで紹介されてた牛乳パックに直接ジャスミン茶のパックを入れて作るジャスミンミルクティーを飲んでみたい
Q.29:あなたの生きがいは? 次の配信とそのうち出る新譜
Q.30:最近、自分の歳を意識したことはありますか? インターネットの悪い文化の一環の24歳学生って概念に一瞬カスるんだよなとか思ったりした その文化のことはよく知らないから何がどう24歳学生なのかはあんまりわからないんだけど
Q.31:ここまで質問に答えて、なんとなく懺悔(ざんげ)しているような気分になっちゃいましたか? 全然 自分語り大好き
Q.32:楽をしてお金を稼ぐならどんな方法が一番確実でしょう? 楽してお金で確実、その3つのバランスが大事なのでは……って質問だ そのバランスを考えた結果普通にフルタイムで就業する道を選んだ
Q.33:晴れと雨はどちらが好きですか? 天気予報上では曇りになるくらいの晴れ
Q.34:雷は平気ですか? パソコンッ!とはなる
Q.35:風は好きですか? 嫌い
Q.36:泳ぐのは得意ですか? 意外と泳げる 多分
Q.37:これだけは負けられないという、誇りが持てることはありますか? インターネット10年以上やってて誇れる物がある人は凄いかおかしいかだよ ないよ
Q.38:ちゃんと睡眠取れていますか? 滅茶苦茶寝てる
Q.39:喧嘩は嫌いですか? 喧嘩の後の脳内反省会が嫌い
Q.40:人ごみが苦手ですか? 全然
Q.41:自分には全然出来ないことを他人が軽くやっているのを見て、燃える方ですか? あとは全部任せたよろ乳首って思う
Q.42:人の心を読めるとして・・・どれくらいで嫌になると思いますか? 30分
Q.43:自分のまわりには面白い人がたくさんいると思う? ちょー思う 嫉妬しちゃう
Q.44:昔、誰かに借りて、いまだ返していない物ってありますか? この間5年位借りてたユーフォ原作を返した 読んでない
Q.45:逆に、貸したけど帰ってこないものってありますか? 親の安いヘッドセットを友人に貸したら消えた
Q.46:甘党?辛党? どっちも好きっちゃあ好きだけど辛いものはエンターテイメントとしてみてるきらいがあるからそういう意味だと甘党
Q.47:熱い飲み物は苦手ですか?(猫舌とか) よくふーふーするよ
Q.48:コーヒーは苦い方が良いと思う? コーヒーが飲めなくて困ってる人に飲める前提の質問はやめたほうがいいと思うな
Q.49:破壊的に不味い物を食べたことはありますか?また、それは何ですか? 給食で1回だけ出てきた生のプルーン 渋かった 悔しかったから食べたけど
Q.50:マイブームってありますか? 麻雀してる
Q.51:温かいそばと冷たいそばはどっちが好きですか? 冷たいの 冷たいから好きっていうか汁が少なくてしょっぱい麺類が好き
Q.52:集中力に自信がありますか? ないよ
Q.53:飽きっぽい性格だと自分で思いますか? 思うね
Q.54:楽器の名前を5つ挙げてください。 チューバ トランペット ハーディーガーディー テルミン ここまで来て微妙に変なものを言いたいのに思いつかなくなっちゃった スティック
Q.55:面倒な事も進んで引き受けたりする。 ×
Q.56:人違いをして暴走したことがある。 多分ない
Q.57:自動車用信号の「黄色」についての見解を述べてください。 自動車は止まれよ危ないだろ
Q.58:裸足で歩くことについての見解を述べてください 自室でも裸足が許せない人っているの?一緒に暮らせないな
Q.59:○×形式の質問のほうが答えやすいと思いますか? どちらともいえない
Q.60:「薬指」の重要性を語るとしたら、それは何? 薬指のおかげで手のカッコつけ要素がいっぱい増えてる気がする
Q.61:頭痛、腹痛、腰痛、関節痛、のうち、一番マシなのはどれですか? 腹痛 慣れっこだから
Q.62:どの程度の温度が一番過ごしやすいですか? 湿度を気にして生きたことない
Q.63:好きな花火は何花火ですか?(線香花火、ロケット花火など) でっけ~の
Q.64:一番好きなことわざは何ですか? こういうときにことわざで「人に好きなことわざを聞くやつはカス」みたいな返ししたい
Q.65:敵に囲まれたとき、どうやって逃げますか?(どうしても戦わずに逃げねばならない) 囲まれてるのに戦っちゃダメなの?相手が引くまで泣きわめくとか……
Q.66:気になる言葉を一つ書いてみてください。 徳島県
Q.67:春の良いところは? 特にないかもしれない
Q.68:夏の良いところは? 服装をあまり迷わない
Q.69:秋の良いところは? 特に悪いところがないところ
Q.70:冬の良いところは? 家にいても言い訳できる
Q.71:一日何通くらいメールが来ますか? 20くらい?
Q.72:届くメールがウィルスの確率はどれくらいだと思いますか? 自分に届く目に付く範囲のメールだと0
Q.73:届くメールが営業・宣伝などの確率はどのくらいだと思いますか? 広義の宣伝だと8割9割位
Q.74:今、一番買いたい物は? HIFIMANのANANDAってヘッドホン どっちかっていうと買いたいよりは貰いたい
Q.75:今、一番飼いたい生き物は? 生物を飼うことで発生する責任、無限だなって最近思うから何も飼いたくない
Q.76:これだけは譲れないというポリシーはありますか? ポリシーがどうとかで視野を狭めたくね~~ 向かってくるものを自分で考えた自分のポリシーで打ち返してしまうのはイマイチでは??みたいなポリシー
Q.77:どういう絵が一番得意ですか?(風景画、人物画、漫画など・・・) インターネットのオタクが好きそうな絵が好きだよ つくみず先生とか 悪口ではないです
Q.78:好きなおつまみは?(未成年でも答えてください、おつまみだから) チーかま
Q.79:持病とかありますか? 花粉症
Q.80:ホームページは持っていますか? 多分HTML手書きじゃないと許してもらえなさそう と思ったけどHTML手書きしたサイトあったわ
Q.81:コーヒーには砂糖やミルクをどのくらい入れますか? 多分ダバサダバサ入れたら飲めるんだろうけどそこで加減を間違えるのが私なので
Q.82:一番使ってみたい武器は?(剣、弓、銃など・・・) 薙刀とかギリ使えそう
Q.83:得意な料理は? サラダチキン製造機です
Q.84:最近頑張ったことは? 修士論文を書いて逃げ出したので偉い
Q.85:あなたの寝る部屋の床は畳ですか? 6畳間 あと2畳は欲しい
Q.86:どんな味が好みですか? しょっぱいの
Q.87:おすすめダイエット法は? いっぱい食べていっぱい運動する
Q.88:ファンタは何味が好き? 自動的にグレープを手に取るけど別に好きではないかも
Q.89:好きな四字熟語を書いてください。 こういうときに売声馬鹿(うるせえばかと読みます)の本当にあるバージョンで返したい
Q.90:完全な現実が0%で、完全な幻想を100%とすると、あなたの理想は何%くらい? 質問が難しくない?でも30%くらいで丁度いいかも
Q.91:掃除の道具を一つ書いてみてください。 はたき
Q.92:友情を音で表すと、どんな音になるでしょうか? チャッピショ
Q.93:好きな虫は? ないよ
Q.94:あなたの今使っている消しゴムはどんなものですか? MONO LIGHT
Q.95:願いをするなら何にしますか?(例:星、仏、神) 愛
Q.96:あなたの一押しTVゲームは? プレイ時間だけだと世界樹3かelonaかStS 人に勧めるならStSかなあ
Q.97:あなたの体で一番調子が悪くなりやすいのは? 腹
Q.98:今、外国に行くならどこに行きますか? 今!?どちらにしても対人コミュニケーションにかかるストレスが大きいのに日本語の通じない場所に行きたくないかも
Q.99:この質問が、実は質問作成者の、大いなる野望の第一歩だとしたら、どうしますか? 2003年に作った質問がこうして2021年に答えられているのだからもう第一歩は過ぎ去ってるんじゃない?すげえよあんた……
Q.100:お疲れ様です。この質問をした感想をお書きください。 割と普通で助かった 明日も頑張るぞ~!
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2月の末、冬も終わりかけたこの季節に、消え入る蝋燭の最期の煌めきのような寒さがここ数日続いている。そして、今日は昼を過ぎた頃に強くなり始めた雨の音で目を覚ました。薄暗い部屋を覆う厚い布地のカーテン越しにもはっきりと聞こえる雨の音が覚めかけた意識を再び混濁とした暗闇のうちに沈めようとしたが、喉の渇きがそれを阻止した。重たい上半身を起こしてベッドの上に座ると、目の前のテーブルの上に置かれたグラスを目で探した。
黒い下地に白い薔薇が刺繍された布に覆われた長方形のテーブル、その上辺には枯れかけた花をいけた花瓶が3つ、大きな白い貝殻、鋭い角を持った山羊の横顔が描かれた今は亡き国家の紙幣の上に二つの銀細工の指輪に嵌められた緋色とサファイアのビー玉、錆びた銀色のハーモニカ、濃いピンク色をした霧吹きなどが置かれていた。テーブルの真ん中には空になったウィスキーの小瓶が二つとまだなみなみ入っているウィスキーの小瓶が一つ、空になったチリ産赤ワインの瓶が一つ、飲み残した氷結とビールの缶が一つずつ、ターボライター、金色の小型懐中電灯など置かれ、その隙間に時折硝子のグラスを見つけることが出来る。硝子のグラスは全部で三つあって、二つは空で一つは黒い液体が注がれてあった。黒い液体の入ったグラスを手に取ると、そのままそれを口にして、喉の渇きを舌先で潤した。冷たいコーヒーの苦味のあとにほんのりとウィスキーの香りが鼻先に抜けていった。これは最近、考え付いたカクテルで、まずはグラスにアイスコーヒーを8分目まで注いで、それからグラスの縁から零れない程度にウィスキーを注ぎ込み、スプーンを使ってそれを混ぜる。コーヒーの艶のない黒色にウィスキーの煌めく琥珀色を注入すれば、黒い艶を放つ、この美しいカクテルは完成する。これを飲めばカフェインによる意識の覚醒とアルコールによる沈静という相反する矛盾が一瞬の間に完成する。それは酔っているという状態でもなければ覚醒しているという状態でもなく、かといってこれを飲む前の平常の状態では更にない。明晰な意識を持ちつつも幻想的な夢のなかへ、この感覚を喩えるならばそんな言葉に��るだろう。 一杯、二杯と喉元に黒いカクテルを流し込みながら、タバコの煙を吸っては鼻と口から吐き出している。降り続く雨音の休符を縫うように昨夜の記憶が断続的に現れては消え、倦怠を伴った影となって目の前に重たく横たわる今日の姿を浮かび上がらせた。それは巨大な体躯を横たえた豚の死体で、腐りかけ始めた身体からは胸をむかつかせる腐臭を放っているのだった。こいつをどうやって調理し、食べるのか、それもなるべくなら美味しく。一日の命題はそこで始まりそこで終わっていた。しかし調理方法がわからず途方に暮れているというのが現実で、とりあえずアルコールと白い煙で死んだ豚が放つ悪臭を消してごまかしているというのも現実だった。外に出ようか、家に居て本を読もうか、それとも絵を描こうか、いや友達と飲みに行こうか、豚を調理する方法を考えながら一日の大半は過ぎていき、食べきることの出来ない腐った豚に怯えながら眠りに落ちる、すると翌日更に巨大で更に強烈な腐臭を放つ豚の死体が目の前に置かれているのだった。しかし一日を一週間、或いはもっと長い年月で俯瞰してみれば事実は逆で、巨大で豊満な豚の肉体に潰された自分の腐乱死体の山が一枚の絵として浮かんでくるのだった。 部屋の空気が紫煙に満たされ始めたので、厚いカーテンの布地を捲り、窓を開けて外の空気を部屋に入れる。白雨に包まれた街の姿が茫漠と浮かび、網戸の網には張り付いた雨が光の粒となって輝いている。雨の音に混じって鳥の鳴く声が聞こえてきて、「今日は、昼間公園に集まり野を歩いて餌を探す鳩たちも休日だな」と思い、それから駅舎の天井の隅で寒さに震えて身を寄せ合う鳩たちのことを考えた。薄暗く冷たい天井の片隅で鳩たちはただひたすら雨が上がり今日一日が終わり太陽が戻���てくるのを待っている。 テーブルの左隅には文庫本が五冊積まれていた。下から、生田耕作「ダンディズム 栄光と悲惨」内田百間「ノラや」内田百間「第一阿呆列車」ボードレール「悪の華」ヘミングウェイ「移動祝祭日」。ヘミングウェイの「移動祝祭日」を手に取って読んだ。1920年代のパリでヘミングウェイはサン・ミッシェル通りのカフェに座って、カフェオレやラム酒を飲みながら、小説を書いている。キューバの年老いたヘミングウェイが小説家として売れる前の青春時代のパリを思い出を綴るように綴ったヘミングウェイの遺作。削ぎ落とせるだけの無駄つまりは感傷をを削ぎ落とした白く逞しい骨格のようなヘミングウェイの文体という勝手な妄想と1920年代のパリという芸術を愛する者ならば誰もが羨望の眼差しを送る時代と場所の幸福な結合点が舞台とあって近所の古本屋で手に入れた本。章ごとに表題があって最初の「サン・ミシェル広場の気持ちのいいカフェ」という章だけを読んだ。「それから、天気が悪くなった。」で始まる出だしは確かに簡潔明瞭で無駄がない。それから天気が悪くなったのだろう。まず、怠惰な芸術家の出来損ないや何をしているのかわからない不潔な身なりをした酔っ払いたちが真昼間から日が沈むまで飲んで騒いでいる不潔で退廃的で賑やかなカフェを描き、それと対比して清潔で静かなサン・ミシェル通りのカフェを描写する。ヘミングウェイは清潔で気持ちのいいサン・ミシェル通りのカフェで、時折目の前に座った黒髪の美女に気を取られたりしながらも、せっせと執筆に励む。一仕事終えてラム酒の酔いも手伝って気持ちよくなりながら、妻と一緒に暮らすホテルへと帰る。訳注は読み飛ばして一気に約20ページの一章を読み終える。途中に出てきた蹲踞式便器という言葉に躓き、頭の中で想像してそれが和式便器のことだと理解し、少し笑った。 ヘミングウェイの小編を読み終えて、その20ページは全部で何文字あるか計算してみたら約14700文字で、400字詰め原稿用紙に換算すれば約36枚。文章を書いてみればわかるが、これだけ書くのはなかなか大変な作業で、それが冗漫な文章でなく簡潔明瞭な文章であったら尚更の如くである。その事実に触発されて、こうして文章を書き始めたのだが、今のところ約3000文字、原稿用紙に換算すればまだ7枚弱である。ヘミングウェイには程遠い。 ヘミングウェイに限ったことではないと思うが、ヘミングウェイの小説を読んでいて、段落というものの効用や意味というものについて考えた。段落は、最初の退廃的で不潔なカフェから道に、道からサン・ミシェル通りのカフェに、場所や視点が移り変わったときに設けられる区切りのようなもの。段落から段落への移り変わりはそれだけで小さな旅ともいえる。 テーブルの上に置かれた三つの花瓶の水を替える。三つの花瓶を持って階段を降り、水を替えて、また階段を登るという作業はなかなかに面倒くさい。それでも毎日水を替えている、にも関わらず花瓶にささった花の多くは黒ずみ枯れてきてしまった。全身を蝕まれ、病室で弱っていく患者を毎日世話する看護師のような憂鬱に襲われる。そこに進行する黒い死を間近に毎日見なくてはならない。 しかし、今日は家に人の気配がない。いつもなら誰かはいるはずなのだが誰もいない。猫は毛布にくるまって寝ている。その横で昨夜食べなかった夕飯を食べている。白い大きな皿にはソースで味付けされた肉のカルビとレタスや黄色いパプリカを細かく刻んだサラダが載っている。レンジで温めると器によそったご飯と一緒に食べている。白い湯気を漂わせ、甘いソースと肉汁に包まれた豚の肉は旨く、ご飯を食べる速度も早くなる。サラダには黄色いからしをつけて食べる。お酒は控え、烏龍茶を飲む。物を食べている気配がしているのにも関わらず、猫が毛布から出てくる気配はなかった。起きているならば、皿の置かれたテーブルの近くに顔を寄せて「くんくん」と匂いを嗅ぐのだが、きっと熟睡しているのだろう。 食いしん坊な猫だが、料理の匂いを嗅ぐ以上のことは決してしない猫だった。内田百間の「ノラや」のノラも同じだったので、これは猫全般の特質なのかもしれない。餌を食べる場所、トイレをする場所、眠る場所、爪を研ぐ場所がいつも同じなのもノラと一緒だった。自分の決めた、或いは慣れ親しんだ方法は決して曲げない、ある種のストイックさが猫たちにはあるのかもしれない。百間先生自身も決して走らないという信念から、走れば間に合う汽車に乗り遅れ、約二時間も駅舎で汽車を待ったという逸話を「第一阿呆列車」のなかで披露している。 猫のストイシズムも百間先生のダンディズムも、時間的資源的効率を第一に掲げそれに基づいて暮らす現代人の目には甚だ効率の悪いある意味意固地なある意味怠惰なものとして映るのかもしれない。同じ仕事を完成するということにしても、1時間でそれをやってのけるという人の方が1日かかってそれをやる人よりも尊ばれるというのは現代における自明の理である。時間的効率を上げるということは無駄を減らすということであり、無駄のなかには物事に対するこだわりも這入るのである。こだわり、という言葉を云うとき、それは極めて個人的な感覚を指すだろう。客観的なこだわり、などという感覚は想像することも出来ない。共通のこだわり、ということなら少しわかるかもしれない。だが、それも個人的なこだわりの感覚がたまたま共有出来ているに過ぎない。こだわりの集団も、それに属さずそれを解さない人々にとっては滑稽な姿でしかない。こだわりと滑稽、ストイシズムと滑稽、ダンディズムと滑稽は切り離すことが出来ない。 ダンィズムの祖イギリスのブランメルは徹底した美意識を持ち、ネクタイの結び方について何通りも考案したと云うが、それもブランメル流の美意識を持たない人々にとっては滑稽な姿として映るだろう。ネクタイが美しく結べても何の役に立つこともなければ、そんなことを考えていること自体時間を無駄にしているように見える。しかし、そんなに早く急いで君はどこに辿り着くのか?答えは明白、墓場だ。人間ならば生物ならば死を避けることなど出来るはずもない。速く生きるということは喩えるなら新幹線に乗って墓場に直行するようなもので、それは確かに効率的かもしれない。しかし歩いて行けば見える風景や感じられる感情も新幹線に乗ってしまっては見たり感じたりすることは出来ない。それは目的や結果だけで、プロセスのない人生と云える。要するに中身のない人生。 谷崎潤一郎の短編小説「刺青」の冒頭は「其れはまだ人々が愚かと云う貴い徳を持って居て…」という一文で始まる。愚かとは損得及び利害を越えて人を支配し魅了する状態だと云える。わかっているけど、やめられない、そんな状態とも云える。このわかっているけどにおけるわかっているとは、それをすれば損をする、時間的資源的効率を甚だ害する、という意味に他ならない。愚かであることは滑稽であるし、滑稽なことは愚かでもある。ともに効率を重視する現代社会では避けなくてはならないこととされている。谷崎があの一文を書いたということは谷崎が生きていた時代には既に現代の効率功利主義が社会に根付いていたことを想像させる。 生活は確かに便利になった。百年前、二百年前の生活を考えれば想像を絶する進歩である。しかし、それは愚かさや滑稽さ、つまりはこだわりと美意識を犠牲にして獲得した進歩である。獲得した進歩が最後にもたらしたもの、それは中身のない人生であり、空虚さ、虚無である。そして進歩した人々は埋まらない空虚さを埋めようとして、美意識やこだわりをもった芸術家や職人が作った作品、或いは愚かな人間が話す滑稽な物語を、金で買うのである。それは自ら殺してしまった自分の人生を赤の他人に演じてもらうという、ただの偽装に過ぎない。ブランメルの美意識はあくまでブランメルの美意識に過ぎないし、百閒先生の滑稽さはあくまで百間先生の滑稽さに過ぎない。 もっと言ってしまえば、進歩主義の行く末は昆虫類いやウィルス類の生と云える。効率の良い生という意味ではウィルスや病原菌ほど効率の良い生はない。単細胞生物から始まった人類の生が再び単細胞生物へと還っていくのである。ジョルジュ・バタイユは人間の美しさの定義について「動物からどれだけかけ離れた存在か」ということが一つの基準になると云った。その定義から云えば、効率功利的な人間は単細胞的生物に近く、これほど醜い種は存在しない。しかし、これらの醜い種は数限りなく繁栄している、ウィルス類や病原菌類が繁栄しているように。効率功利を重視する進歩主義者たちが、愚かで滑稽でこだわりをもった美しい種族に、生存競争をして勝つことは当たり前かもしれない。だからこそ、「滅びゆくものこそ美しい」のだ。
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2020.11.26_木曜日_
実家で宝探しをしたい!!!
我が家は、ログハウスもどき。
もどきというと、なんとなくそれのチープのような感じがするけど、出来るだけログハウス風にデザインされた素敵な実家だと思う。どこもかしこもヒノキばり。木の節もそのままのヒノキの板がむき出しの壁。もちろん壁紙はない。
詳しいことは分からないけれど、ログハウスを建てていい場所、建ててはいけない場所というのがあるらしい。土地の問題かな?
父は、船の設計の仕事をしている。この家も、建設会社の人に協力はしてもらっていたが、自らがほとんどを設計したらしい。
吹き抜けに大きな梁。今は猫たちの遊び場。リビングを照らすスポットライトとダウンライト。3種類のスイッチがあって、明るさが調節できる。家族が揃っている時は、ほぼ全開だけど、昼間、私ひとりと猫3匹だけの時は、ダウンライト半分だけの明かりで過ごすのが好きだ。家の中は薄暗くて静か、外は明るくて少しだけ自然の音と、生活の音がする。とても落ち着く。

私の1番のお気に入りは、階段を上がって子供部屋まで行く廊下の壁一面が絵本の本棚になっているところ。そこから何度も絵本を取り出して片付けてを繰り返した。その頃の私の好奇心とエネルギーが、本棚からは今も溢れている。つまりは、ぐちゃぐちゃだ。
子ども部屋は2部屋ある。私達は3人兄弟だが、なぜか2部屋。その2部屋はロフトを介して繋がっていて、がっつりと仕切られてはいない。子どものころは、ロフトで3人コロコロ転がって寝ていた。今は、物置になっている。しかも雑に置かれていてまさに、男の部屋ってかんじ。ふとロフトを見上げると、黒の習字道具が目について、要らないなら捨てなよと思ったりもした。来年、書初めでもしてみようか。
父と母は2人で1つの部屋。その部屋にはベッドが2つ並んでいて、いまでも仲良く並んで寝ている。その部屋の一角に父の書斎があって、趣味のあれやこれやがきちんと整理整頓して置いてある。机の傍には、新婚旅行の写真、私たち3人の子どもの頃の写真、今は亡き犬達と母の写真…家族の写真が飾られている。父のお気に入りの場所、ここは、手を出したくないな。
そのすぐそばに、扉付きの本棚が置いてある。この本棚、欲しい!!!!

とっても欲しい。言い続けている。
そして、父と母の部屋にはちょっとしたウォークインクローゼットがあって、母の昔の着物や浴衣、父と母の昔のペアルック、そんなこんなが収納されてぱんっぱん。私にとっては、宝の山。もう少し元気になったら、宝探しをしてみようと思う。
クローゼットがぱんぱんなもんで、父と母の部屋は、普段着ている服が、普段着てい���い服が入った段ボールの上に積み上げられている。ベッド周りは段ボールだらけ。母は、片付けが得意でない。台所も洗濯機周りも半地下の物置も、しっちゃかめっちゃか…。そして和室までも物置と化している。片付けは得意でないけれど、どこに何があるかは覚えていて、それなりに暮らしやすそうなので、不思議なものだ。
あ、そうだ、実は屋根裏もある。子どものころは、おもちゃ置き場だった。たしか、クリスマスツリーもあったんじゃないかな?久しく入っていない。と、いうことでのぞいて見たら…、大きな野球盤の箱がすぐ目に入った。ここも、きっと宝の山だ。
私は今、療養のため、実家で借り暮らし中。物置と化した和室の半分に、物を追いやって、その半分に荷物を置いて、布団を敷いて、一応、私のパーソナルスペース。まぁ、でも昼間、ひとりと3匹か、それに母かしかいないので、どこもかしこも使わせてもらっている。現に、この文書は弟のベッドの上で猫にすりすりされながら書いている。
ひっそりと、このまま実家に住み着けやしないかと企んでいる。居心地がいい。それに、ちょっとまだエネルギーがたまっていない。まだ、homebodyしていたい。
そこでだ、家を片付けしようかな!なんて考えてるんだけど…。宝探しと称してね。
父と弟と兄には家の外に仕事があり、仕事中心の暮らしがある。休日は、その仕事で溜まったストレスを発散するための趣味に大忙しで、各々の部屋は趣味のものでごった返している。
母は、その3人の仕事中心の生活を支えるための仕事がある。いわゆる家事もろもろ。それがしやすいものの配置になってるの…かな?
手出しは無用な気がしてしまう…
こんなに素敵な家で、父と母が結婚した時から使っている素敵な家具がたくさんあるのに、ステンレスの棚やよくあるカラーボックスで暮らしを回しているのはもったいない。
なんて思っているのは、私くらいだろう。
たまたま今、家族全員が揃って住む、この家は、居心地がいい。
いつ、どんな時でも、どこででも、安らかに眠りつくことができる。
忘れられた、クローゼット、絵本の本棚、ロフト、和室、屋根裏部屋…。心配しないで!私だけは覚えているよ!
今みんな、忙しくて、手に取れる近くのものしか見えてないの。でも、それでも、美味しいご飯と、あったかいお風呂、ふわふわの猫と、家族の団欒があればそれでいいのかもしれない。
片付けが得意な人が居なくてよかった。誰か得意なのかもしれないけど、時間がなくてよかった。子供用の椅子なんかも残っている。今は、母のベッドサイドテーブルとして使われている。たまに私が、写真撮影に使っている。

私は、物が溢れていたり、カテゴリーごとにまとまっていなかったり、整って置かれていなかったり、ダンボールなんかが目につく場所にあるのは、好きではない。
でも、今の実家は居心地がいい。
いつかは、好きに片付けさせてもらおう。そして、宝の山から掘り出した物でセレクトショップでも開こうか。
とにかく今はエネルギーをためながら、想像だけ膨らませて、わくわくしておこう。
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海辺の洞窟
リネン君は、誰よりもまともです、という顔をして、クズだ。彼の中身はしっちゃかめっちゃかだ。どうしたらそんなにとっ散らかることができるのか、僕には分からない。
彼の朝は床から始まる。ベッドに寝ていた筈なのに、いつの間にか転がり落ちているのだ。頭をぼりぼり掻きながら洗顔もせずに、そこらに落ちている乾いたパンを食べる。前日に酒を飲んでいたのであれば、トイレに行って吐く。
それから自分を寝床から蹴落とした女を見やる。それは顔も知らない女であったり、友人の彼女であったり、上司の妻であったりする。ともかく面倒くさそうな女だ。
ここで必ず電話が鳴る。誰もがリネン君が起きる瞬間を見計らったように電話をよこす。それとも彼の体が電話に備えるようになったのか。まあ、どちらでもいい。
電話の向こうは女の関係者で、烈火の如く怒っている。朝から怒鳴り声を聞くのは気分のいいものではない。口の中から胆汁がしみ出してくるような心地になるので、黙って切る。
リネン君にとって、彼女とその関係者の将来など、自分には関係のないことなのである。いやいや彼は彼女らの人生に大いに干渉しているのだが、リネン君は全ての責任を放棄しているのだ。誰が何と言おうと、彼は彼の行動の責任をとらないし、とるつもりもない。だからどうしようもない。
そうこうしているうちに女が目覚める。彼女はリネン君の消えゆく語尾から、彼氏や旦那の名前を聞き取るだろう。次の瞬間彼女はヒステリックに喚き出し、リネン君は自室を追い出されるはめになるわけだ。
リネン君はあくびをしいしい喫茶店に入り、仕事までの時間を潰す。休日であれば友人なのか知り合いなのか曖昧な人間と遊ぶ。暇な輩がつかまらなければ、その辺をうろつく汚い野良猫とたわむれる。リネン君は大抵の人には煙たがられるが、動物には好かれるのである。
リネン君は出会う人々とろくでもない話をする。誰かを笑わせない日はないし、誰かを傷つけない日もない。彼は湧き上がった感情を、健全であれ不健全であれ、その場で解消するだけなのだ。
僕等は同じアパートに住んでいる。リネン君の部屋は一階の一番端っこ、僕の部屋は二階の階段のすぐ隣だ。親しくなる前から彼の顔は知っていた。朝、父さんに言われて��聞を取りに行くと、みちみちにチラシの詰まった郵便受けの前で悪態を付いている彼を時々見かけた。母さんから、
「あんな人と付き合っちゃダメよ」
とお叱りを受けたこともある。その理由を聞くと、
「しょっちゅう女の人を連れ込んでいるみたいだし、毎晩のように酔っ払って何かを叫びながら帰ってくるし、たまに非常階段で寝てるし、ゴミは分別しないで出すし、昼間もふらふらして何をしているか分からないし、無精髭を剃りもしないしこの間だって⋯⋯」
と、このように、大人達のリネン君の評判はよろしくなかった。
僕等はアパートの庭に設置されている自販機の前で出会った。リネン君の第一声は、
「おい。五十円持ってないか」
だった。小遣いでジュースを買いにきた小学生にかける言葉ではないと思うが、いかにも彼らしい。リネン君はたかった金で手に入れたエナジードリンクを一気に飲み干した。それから隣でグレープジュースをちびちび啜っている僕を、
「ガキ。礼に煎餅やるから来い」
「え? でも知らない人の家に行くなって母さんから言われてるし」
「親離れは早いにこしたことない。いいから来い」
「え、あ、あの、ちょっと」
誘拐まがいに部屋に招いたのだった。
そうして僕は彼と親しくなった。もちろん母さんには内緒で。
彼の部屋は余計なものでいっぱいだ。年期の入った黒電話、聞きもしないレコード、放浪先で見つけてきた不気味な雑貨、または女性。つまり彼の部屋は子どもの暇つぶしにもってこいの場所なのだ。
「リネン君はどこから来たの?」
僕が尋ねても、彼はにんまり笑って答えない。
「俺がどこからやってきたかなんて、お前には関係ないことだろ?」
「じゃあこれからどこへ行くの?」
「嫌なことを聞くやつだな、お前は」
リネン君は心底うんざりした顔で僕を睨みつけた。けれど僕は睨まれても平気だ。大人は彼を怖がるけれど、僕はそうではない。彼は子どもと同じだ。好きなことはやる。嫌いなことはやらない。それだけ。それは子どもの僕にとって、非常に理にかなったやり方に思える。
大人は彼をこう呼ぶ。「根性なし」「我がまま」「女たらし」「クズ」⋯⋯。
リネン君は煙草をくゆらせる。
「近所のババア共ときたら、俺の姿が見えなくなった途端に悪口おっ始めやがる。常識人になり損なっただけなのにこの言い草だ。奴らに面と向かって啖呵切る俺の方がよっぽど潔いぜ。違うか?」
本人はそう言っているが、リネン君は陰険だ。この間なんて仕事で成功した友人の彼女と寝て、絶交を言い渡されてされていた。僕には確信犯としか思えない。
「バカ言え。どうしてそんな面働なことをやらなくちゃならない? 俺はな、他の奴らの目なんてどうでもいい。自分の好きなことに忠実でありたいだけだ」
リネン君は良くも悪くも自分の尻拭いができない。つまりクズっていうのは、そういうことだと思う。
とはいえ彼は僕に良くしてくれる。
「林檎食うか?」
彼は台所から青い林檎を放ってくれた。
「ありがと」
僕は表皮を上着の袖で拭き、がじっと齧る。酸っぱくて唾液がにじむ。リネン君は口いっぱいに食べカスを詰め込みながら、もがもがと言った。
「そういや隣の兄ちゃん、引っ越したからな」
なぜとは聞かなかった。リネン君が原因だと察しがついたからだ。
「どうせ彼女を奪ったんでしょ」
「『彼女を奪う』か。『花を摘む』と同じくらいロマンチックな言葉だな。お前、いい男になるよ」
「適当なこと言って」
「悪いな、またお前の植木鉢から花を摘んじまったよ」
「本当に悪いと思うなら、もうこんなことやめてよね」
「駄目だ。夜になると女が欲しくなる。こう見えても俺は寂しがり屋だからな」
「うえー、気色悪っ。⋯⋯それでお兄さんはどこに?」
「浜辺の廃屋に越したって。遊びに行こうったって無駄だぜ。あいつ、彼女にふられたショックで頭がおかしくなっちまって、四六時中インクの切れたタイプライターを叩いてるんだそうだ」
彼女にふられたショック? それだけではないだろう。リネン君の残酷な言葉に弱点を突かれたのだ。
人間は隠そうとしていた記憶、もしくはコンプレックスを指摘されると、呆れるほど頼りなくなるものだ。ある人は気分が沈みがちになり、ある人は仕事に行けなくなる。リネン君は、大人になるということは秘密を隠し持つようになることだ、と言う。
つまり、と僕は子どもなりに解釈する。大人達は誰もが胸に、洞窟を一つ隠し持っているのだ。穴の奥には宝箱があって、そこには美しい宝石が眠っている。宝石は脆く、強く触れば簡単に壊れてしまう。彼らは心を許せる仲間にだけその石を見せる⋯⋯と、こんな具合だろうか。
リネン君は槍をかついでそこに押し入り、宝石を砕いてしまうのだろう。ばらばらに砕けた宝物。リネン君は散らばる破片を冷徹に見下ろす。物語の悪役のように⋯⋯。
ではリネン君の洞窟は? 彼の胸板に視線を走らせる。何も見えない。堅く堅く閉ざされている。僕は酸っぱい林檎をもう一口齧る。
午後の光が差す道を、僕等は歩いた。今日の暇つぶし相手は僕というわけだ。
「リネン君」
「何だ」
「僕、これ以上先へは行けないよ。学区外だもの」
「そんなの気にするな。保護者がついてるじゃないか」
リネン君は自分を指差した。頼りになりそうもない。
「学校はどうだ」
「楽しいよ」
「嘘つくんじゃない」
「嘘じゃないよ。リネン君は楽しくなかったの?」
「楽しくなかったね。誰がクラスメイトだったかすら覚えていない。あー、思い出したくもない」
路地裏は埃っぽく閑散としていた。あちこちに土煙で茶色くなったガラクタが転がり、腐り始める時を待っている。プロペラの欠けた扇風機、何も植えられることのなかった鉢、泥棒に乗り捨てられた自転車⋯⋯。隙間からたんぽぽが図太く茎を伸ばしている。僕達はそれらを踏み越える。
「友達とは上手くやれているか」
「大人みたいなことを聞くんだね」
「俺だって時々大人になるさ」
「都合の悪い時は子どもになるくせに?」
「黙ってろ。小遣いやらないぞ」
「ごめんごめん。友達とはまあまあだよ」
「どんな奴だ」
「うーん」
僕はそれなりに仲のいい面子を思い浮かべる。けれど結局、分からない、とだけ言った。なぜなら誰であっても、リネン君の擦り切れた個性には敵わないように思えたからだ。僕の脳内で神に扮したリネン君が、同級生の頭上に腕組みをしてふんぞり返った。
「どいつもこいつもじゃがいもみたいな顔してやがる。区別がつかねえのも当然だ」
リネン君はまさに愚民を見下ろす神の如くぼやく。だが僕は彼を尊敬しているわけではない。むしろ彼のようになるくらいなら、じゃがいもでいる方がましだと思う。
「ところでリネン君、僕等は一体どこに向かっているの?」
彼の三角の鼻の穴が答えた。
「廃墟だよ。夢のタイピストに会いに行く」
潮の匂いに誘われ松林を抜けると、そこは海だ。透き通った水色の波が穏やかに打ち寄せる。春の太陽が砂を温め、足の裏がほかほかと気持ちいい。リネン君の頭にカモメが糞を落とす。鳥に拳を振り上げ本気で怒り狂う彼を見て、僕は大笑いする。
その建物は浜辺にぽつりと佇んでいた。四角い外観に白い壁、すっきりとした窓。今は壊れかけて見る影もないが、かつては垢抜けた家だったのだろう。
ペンキが剥げたドアを開ける。錆びた蝶番がひどい音を立てる。中はがらんとしていた。一室が広いので、間取りを把握するのに手間取る。主人を失った椅子が一脚悲しげに倒れている。家具といったらそれきりだ。天井も床もところどころ抜けている。まだらに光が降り注ぎ、さながら海の中のようだ。
空っぽの缶詰を背負ったヤドカリが歩いている。リネン君がそれをつまみ、ふざけて僕の鼻先に押しつける。僕の悲鳴が反響し消えてゆく。本当にここにお兄さんが住んでいるのだろうか。
「どこにいるってんだ。これだけ広いと探すのも手間だぜ」
リネンくんは穴の空いた壁を撫で、目を細める。
「僕は何だかわくわくするな。秘密基地みたいで」
「だからお前はガキだってんだ」
「うるさいな⋯⋯あ」
「あ」
僕等はようやく彼を見つけた。
お兄さんは奥の小さな部屋にいた。バネの飛び出た肘掛け椅子に座り、一心不乱にタイプライターを叩いている。紙に見えない文字が次々と刻まれてゆく。テーブルには白紙の「原稿」が山積みになっていた。僕等は息を呑み、その光景に見入る。
僕は目の前の人物がお兄さんだと信じることができなかった。きらきらしていた瞳は濁っていた。締まった頬はこけていた。真っ直ぐだった背骨はたわんでいた。若さでぴんと張ったお兄さんは、くしゃくしゃになっていた。
「ご熱心なことで」
リネン君はテーブルに寄りかかり、これみよがしに足を組む。
「おい、元気か」
お兄さんは僕等に目もくれない。リネン君は溜息を吐く。
「聞こえてるのか」
先程よりも大きな声だった。沈黙��訪れると、キーを叩く音だけがカチャカチャと鳴った。呼吸のように規則正しく。カチャカチャカチャ、チーン。カチャカチャカチャカチャ、カチャ。
リネン君は懲りずに話しかける。
「何を書いてるんだ。小説か。いいご身分だな。ちゃんと物食ってるか。誰が運んでくれてる。あの女か?答えろよ。答えろっつうんだ。おい!」
かつてお兄さんは僕とよく遊んでくれた。爽やかに笑う人だった。時折食事に誘ってくれた。決まって薄味の感じのいい料理だった。彼女が顔を出す日もあった。彼に似て優しい女性だった。リネン君が彼女を知るまでは。
「お前、俺が彼女と寝てからおかしくなったんだってな」
リネン君はねちっこい口調で囁く。
「脆いもんだ、人間なんて。そうだろ? 好青年だったお前がこんなに縮んじまった。どうしたんだ? 筋トレは。スポーツは。やめちまったのかよ。友達は会いにこないのか? そうだよな。病人と面会なんて辛気臭いだけだ。
お前は何もかも失ったんだ。大事なものから見放されたんだ。良かったなあ、重かっただろ。俺はお前の重荷を下ろしてやったんだよ。大事なものを背負えば背負うほど、人生ってのは面倒になるからな。
にしても、たかが女一人逃げたくらいで自分を破滅させるなんて馬鹿なやつだな。お前は本当に馬鹿なやつだよ」
お兄さんは依然として幻の文字を凝視している。それにもかかわらず毒を吐き続けるリネン君がやにわに恐ろしくなる。一度宝石を砕かれた人は、何もかもどうでもよくなるのかもしれない。何も感じることができない空っぽの生き物。それは果たして人間なのだろうか。もしかしてリネン君の石は、もう壊されてしまった後なのかもしれない。
チーン。
お兄さんが初めて身動きをした。原稿が一ページできあがったらしい。彼は機械から完成品を抜き取ると、ロボットのように新たな用紙をセットした。後は同じことの繰り返しだった。決まったリズムでタイプを続けるだけ。カチャカチャカチャカチャ。
リネン君は舌打ちをした。
僕等は廃屋を後にした。夕日が雲を茜色に染め上げる。水平線が光を受けて星のように瞬いていた。海猫がミャアミャア鳴きながら海を越えてゆく。遠い国へ行くのだろうか。
「壊れた人間と話しても張り合いがねぇな。ったく時間の無駄だった。まともな部分が残ってたら、もう少し楽しめたんだがな」
リネン君はクックック、と下劣な笑いをもらす。仄暗い部屋で背中を丸めていたお兄さんの横顔が頭をよぎる。
「リネン君、どうしてお兄さんだったの?」
僕はリネン君に問いかける。糾弾ではなく、純粋な質問だ。リネン君は億劫そうに髭剃り跡を掻きむしった。
「お前には関係のないことだろ」
「お兄さんに何かされたの? お金がほしかったの? それとも彼女さんが好きで妬ましかったの?」
「どれもガキが考えそうなことだな」
「ねえ、何で? 教えてよ」
彼は僕の肩をぽんと叩いた。それで分かった。彼は僕の問いに答えてはくれないだろう。明日も、明後日も、その先も。ひょっとするとリネン君も、自分がどうしてそうしてしまうのか分からないのかもしれない。だから洞窟荒らしを繰り返してしまうのかもしれない。それは彼の壊れた宝石がさせることなのかもしれない。ずっと、ずっと前に壊れてしまった宝石が。
僕は彼の手を握る。
「僕には何でも話してよ。僕、子どもだし。大人の理屈なんて分からないし。リネン君が話したことは誰にも言わないよ。友達にも絶対。だからさ⋯⋯」
リネン君は鼻をスンと鳴らした。何も言わなかったけれど、僕の手を払いのけることもしなかった。
僕等はとぼとぼと暮れなずむ街道を歩いた。夜が深まるにつれ、繁華街のネオンがやかましくなる。リネン君は殊更騒がしい店の前で立ち止まると、
「これで何か食え」
僕に小銭を握らせドアの向こうに消えた。
近くの自販機でコーラを買う。プルタブを開けると甘い香りが漂う。僕はリネン君の部屋に放置されていたビール缶の臭いを思い出す。どうして黄金色の飲み物からあんな臭いがするのだろう。コーラのように甘やかな匂いだったらいいのに。そう思うのは、僕が子どもだからなのだろうか。
僕は全速力で走る。野良犬にちょっかいをかけていたら、すっかり遅くなってしまった。早く帰らないと母さんに怒られるかもしれない。これまでの時間誰と何をしていたのか問い詰められたら、リネン君のことを白状しなければならなくなる。自白したが最後「あんな人と付き合うのはやめなさい」理論で、監視の目が厳しくなるかもしれないのだ。
慌ててアパートの敷地に駆け込んだ時、リネン君の部屋の前に女の人が座り込んでいるのが見えた。臍が出るほど短いTシャツ、玉虫色のジャケット、ボロボロのジーンズ。明るい髪色と首のチョーカーが奇抜な印象だ。切れかけた電球に照らされた物憂げな顔が気にかかり、つい声をかけてしまう。
「あの。リネン君、しばらく帰らないと思いますよ。居酒屋に入ってったから」
女の人は僕を見た。赤い口紅がひかめく。瞬きをする度、つけ睫毛からバサバサと音がしそうだ。彼女はかすれた声で返事をした。
「そう。だろうと思った」
彼女はラインストーンで飾られたバックから煙草を取り出し、火をつける。煙からほのかにバニラの香りがした。
「君は彼の弟?」
僕はぶんぶんと首を横に振る。これだけは何が何でも否定しなければならない。
「ふーん。じゃ、友達?」
「そんなところです。僕が面倒を見てあげています」
「あいつ、いい歳なのに子どもに面倒見られてるんだ。おかしいの」
女の人はチェシャ猫のようににやりと笑った。彼女は派手な上着のポケットをまさぐる。
「ほら、食べな」
差し出された手にはミルク飴が一つ乗っていた。
「あ。有難うございます」
「あたしミクっていうの。よろしくね」
「よろしくお願いします」
僕は彼女の横に腰かけ、飴玉を頬張った。懐かしい味が口内に広がる。ミクさんは足を地べたに投げ出し、ゆらゆらと揺らす。僕も真似をした。
「ミクさんはリネン君の彼女なんですか」
「はあ? 違うって。昨日あいつと飲んでたら突然ここに連れ込まれちゃって、明日も来いなんて言われてさ。暇だから何となく寄っただけ。彼氏は他にいる」
恋人がいるのに名も知らぬ男の家に二晩続けて泊まりにくるなんて、やはり大人の考えることはよく分からない。
「それにあいつ、彼女いるんじゃないの?」
「えっ。いないですよ」
正しくは「ちゃんとした彼女はいない」だ。
「そうなの? 昨日彼女の話で盛り上がったのになあ。じゃあ思い出話だったんだ、あれ」
好奇心が頭をもたげる。僕はわくわくと聞き返した。
「リネン君が言う彼女って、どんな人だったんですか?」
「えーとね。確か大学で知り合って」
リネン君、大学なんて行ってたんだ。
「サークルの後輩で」
サークル入ってたんだ。
「大人しくて可愛くて料理が上手くて守ってあげたくなる感じで」
そんな人がリネン君と付き合うだろうか。
「結婚しようと思ってたんだって」
「まさか!」
「うわ、びっくりした。突然叫ばないでよね」
「すみません。今のリネン君からは全く想像できない話だったもので」
「そんなに?」
やっぱ君っておかしいの、とミクさんは微笑む。
「どんな人にも、こっそり取っておきたい思い出って、あるからね」
僕はひょっとして〝彼女〟がリネン君の宝石だったのではないかと推測し、やめた。いくら何でも陳腐だし、ありきたりな筋書きだ。恐らく宝石はもっと複雑で、多彩な色をしているはずだから。
ミクさんはあっけらかんと言う。
「ま、君の反応を見る限り、彼女の存在もあいつのでっちあげだった可能性が高いけど」
大いに有り得る。彼女は腰を上げスカートの砂を払った。
「行くんですか?」
「うん。君もそろそろ帰る時間でしょ?」
「リネン君にミクさんが来たこと、伝えときましょうか?」
「いいよ。この分じゃ、約束したことすら覚えてないと思うから」
ミクさんは僕に溢れんばかりにミルク飴を握らせると、
「またどこかでね」
カツカツとヒールを鳴らして立ち去った。
ドアを開けた瞬間母さんがすっ飛んできて「心配したのよ!」と怒鳴った。
「まあ許してやれよ、男の子なんだから。なあ?」
「お父さんは黙ってて!」
「はい」
どうして僕の周りの男どもはこうも頼りないのか。
母さんにこってりしぼられながら、僕はかつてのリネン君の恋人を思い浮かべる。まなじりは涼しく吊り上がり、心なしか猫に似ている。けれどリネン君がどんな顔をして彼女に接していたのかという点においては、全く想像がつかない。
女性を抱いては捨てるリネン君。皮肉を言ってばかりのリネン君。人を廃人にするリネン君。リネン君にとって今の生活は、余生でしかないのだろうか。
洞窟は宝石の輝きを失ったら、どうなるのだろう。僕等は心が壊れても死なないけれど、それは果たして幸福なことなのだろうか。人は肉体が朽ちるまでは何があっても生きる運命だ。この体は意外と頑丈だから。
「聞いてるの?!あんたって子は本当に⋯⋯ちょっと、誰からこんなにミルク飴貰ったの!叱られながら舐めないの!」
「痛っ!」
頭をはたかれた衝撃で、口の中の飴がガチンと割れる。
僕の宝石は誰にも見つからないように、奥深くに隠しておこう。誰かが洞窟に侵入した場合に備え、武器を用意しておこう。相手を傷つけることのない柔らかな武器を。もしかしたらその敵は、リネン君かもしれないから。
僕がお説教されている頃、孤独なタイピストの家に誰かが食事を運んでいた。カーテンの向こう側に蝋燭の火が灯され、二人の影が浮かび上がる。
古びた机に湯気の立つ皿が置かれると、お兄さんはぴたりと手を止める。彼は凝り固まった体をやっとのことで動かし、痩せ細った手でスプーンを掴む。
その人は彼が料理を口に運ぶのを、伏し目がちに、いつまでも見守っていた。
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Text
人間、捨てたもんじゃない…知らない人から受けた「親切」に心あたたまる
集計期間:2020年3月4日~3月6日 回答数:14138
人間関係の希薄化が叫ばれる現代社会では、人の嫌な面ばかりが見えてしまいがちです。ニュースでも、毎日のように残酷で陰湿な事件が報じられ、思わず人間に絶望してしまいそうになるという人も多いのではないでしょうか。
しかし、他者を信用できない世の中ほど寂しいものはありません。そして、そんな世の中だからこそ、人の親切に触れた時に受ける感動もひとしお。
そこで今回は「知らない人から受けた親切」にまつわるアンケート調査を行いました!
Q1.知らない人から親切にされたことはありますか?
回答者14138名のうち、全体の約4分の3にあたる人々が「見知らぬ誰かから親切にされたことがある」という結果に。なんとも希望を持てる数字ですね!
ここからは、具体的なエピソードを見ていきましょう。
<具体的な親切エピソード>
【赤ちゃん・子供・妊婦のエピソード】
・小さい子供が二人いるので、電車に乗る時や電車を待っている時、道を歩いているだけでたくさんのひとから話しかけられ、譲っていただいています。
・子供が電車のドアに腕を引き込まれてしまった時に見知らぬ男性が助けてくれた。お礼をしようとしたらその電車に乗って去ってしまった。
・年子の赤ちゃん連れて買い物へ行った際に、スーパーや薬局などのレジでお会計しながら袋入れしてもらうことが結構あり助かりました!
・5カ月の子供と電車に乗ったとき、泣き出してベビーカーを嫌がる息子。その時若い10代のカップルが、『ベビーカー僕たちが見てるので、ここ座ってください』と席を譲ってくれた。都会も捨てたもんじゃないな
・妊娠中、電車で席を譲ってもらった。
・妊婦の私が電車に乗った時、腰が痛かったので座りたかったけど席が空いてなくて、優先席の人も見て見ぬ振りをされてしょうがないなと窓際に立っていたら、離れた場所に座っていた女性が、自分が座っていた席に荷物を置いてキープしたまま席を立って私のところまで座ってくださいと言いにきてくれました。とてもありがたくて、こういう事ができる女性になりたいなと思いました。
・レジに並んでる時、子供がぐずってたらあやしてくれたり、順番変わってくれたりしてくれた
・子供の頃、自転車のチェーンが外れて困ってたら助けてくれた
・子連れでいると、年配の方に「頑張ってるね」「いま大変かもしれないけど、頑張ってね!」と温かい言葉をかけてもらうことが多いです。妊娠中は電車の中で20-30代の男性がよく声をかけてくださり、席を譲ってくださいました。
・息子がまだベビーカーに乗っているとき、駅で乗り換え方がわからずそこにいた学生さんに聞いたら『私、時間あるのでその駅まで一緒に行きますよ(^-^)』と言ってくれて、更にマザーズバッグを持ってくれて一緒に電車に乗って私が行きたい駅まで同行してくれた!帰り際に名前聞いたけど教えてくれなかったー!どこかの学生さんに間違いないけど本当に感謝しています。世の中イイ人もたくさんいる(((*≧艸≦)
・子供が小さいときに席を譲っていただき、「何年か経って大変そうな子供連れの方がいたら、代わってあげてね。私もそうしていただきながら、子供を育てたのよ。」と言ってもらいました。今、親切はそうやって世の中を巡っていくのだと思っています。
・妊娠中に会社から帰宅中に、上の子を迎えに行き電車に乗ってすぐに気を失って倒れてしまいました。子供に後で聞いたところ、車掌さんに連絡をしてくれた方、上の子の手をずっと繫いでいてくれた方、ホームから担架でおろしている間もまわりの方々が親切にしてもらったようです。ありがとうございました。
・抱っこ紐を忘れて赤ちゃんを抱っこしたまま買い物した物を袋詰めしてたら、やってあげるわよと言って袋詰めしてくれ、車まで荷物を運んでくださった親切なおば様。
・電車で泣き止まない���子に焦っていたら、声をかけていただいて、あついのかなー?おなかすいたのかなー?ママも大変ねって笑ってくれて、本当に嬉しかった。人の目があったので、怒られたら、と心配になってましたが、おかげで注意や非難されることなく無事に目的地に着きました。
・このコロナ騒ぎの最中、買い物にでかけた先で大量の鼻血を出した息子回りは白い目で見てた中、おばちゃんがポケットティッシュをポンとくれたちょうどティッシュなどの紙類がなくなる中、気にしなくていいからと去っていった姿にジーンとした
【雨のときに…】
・野外ライブで雨が降り、傘しか持ってなかったのに使用禁止で困っていたら、隣りの人がゴミ袋をくれた。
・急な豪雨で雨宿りしていたら、傘をくれた方がいた。
・バス停でバスを待ってたら突然の雨、知らないおばさんに傘いれてもらった。
・子供と散歩中、急に雨が降ってきて傘を持ってなかったので濡れて帰ろうと遊びながら帰っていると、車で通りかかった男性がわざわざ降りてきてくれて『傘使ってください!もういらないので!』とビニール傘を差し出してくれました。結構な雨の量だったのですごく助かりました。
・足の骨折で片松葉づえ状態の時、腎臓病の猫の通院日が雨だった。右手杖、左手猫のかごなので、傘させず雨の中帽子だけかぶって濡れながら駅に向かっていたら、知らない方が傘をずっとさしかけてくれた
・雨の日、子供を抱っこして予防接種に向かう途中あと少しで病院というところで、さしていた傘が崩れ壊れた。通りかかった年配のご婦人が赤ちゃん濡らしちゃったら大変と、折り畳み傘をくれた。その後病院にいる間に雨が強くなってきたようで、ご婦人が折り畳み傘じゃ濡れると病院まで普通の傘をわざわざ持ってきてくれた。ご近所にお住まいだったようだが、わざわざそこまで気にかけて頂き親切にしていただいて、本当に助かりとても感謝しています。
【電車内で】
・電車に乗っていたら知らないおばちゃんからみかんもらいました。
・特に人が多い日に満員電車に乗った際、押しつぶされ倒れてしまいました。その時に男子中学生が手を差し伸べて大丈夫ですか?と聞いてくれました。毎朝イライラしてる人が多い電車の中で心優しい子もいるんだなと嬉しかったで��。
・色々な方に親切にしていただいた事があります。中でも20年前くらいのことですが、仕事で現場に向かう途中の朝の通勤ラッシュの電車内で貧血と過呼吸に見舞われ、意識が遠のいてしまった事がありました。意識が薄れる中、微かに「大丈夫?」と女性の声が聞こえたのを覚えているのですが、気づいた時は降りる予定の駅で、ドアが開くと同時に駅員の方が二人で私を抱えてくださっていました。その時は駅員さんに御礼を言うのがやっとでしたが、きっとあの時の声の方が、駅に連絡をしてくださったりしたのではないかと思います。どれくらい意識を失っていたのかも分からないので、誰かに引き継いでくださっての到着だったかもしれないので、もしかしたらその方だけではなかったのかもしれません。どんな方だったのか、何人だったのか、なぜ降りる予定の駅で救護して貰えたのか、など分からない事がばかりですが、ただ一つはっきりとした事実は、その時その場所には人の善意しかなかったという事です。恥ずかしながら今の私は辛い状況の中にいるので、その時の事を思い出すと、もう少し踏ん張って見ようと思えます。
【海外で困ったときに…】
・海外旅行中、ケネディ空港で迷子になり、搭乗口がわからなかった時、たまたま日本人おばちゃんが前を通りかかったので声をかけた時、自分と同じ飛行機に乗るとの事で搭乗口まで一緒に行ってくれた。1人旅で心細かったのでとても助かった。
・学生時代、海外でテイクアウトのコーヒーを買った。飲み始めて現金があと1ドル足りないことに気付いた。もう飲み始めている上に後ろにも列が出来ていた。カードも何も無くて半泣きになっている私に見知らぬ男性が黙って1ドル置いて立ち去った。追いかけてお礼を言うのが精一杯でお金を返せなかった。あれから30年以上経つが未だに忘れられない思い出です。
・オーストラリアのシドニーでお店を探していたら男性が話し掛けてくれた。店の行き方を教えてくれた、すぐ近くの銀行員だったが本当にありがたかった。
・パリで乗る電車が分からないとき声をかけてもらいました。
・バスに乗り間違えてロサンゼルスの郊外で迷子になった時、その場にいたメキシコ出身と思われる男性が親切に正しい戻り方を教えてくれた。無事に帰れたお礼を伝えることができず、今でも連絡先を聞かなかった後悔と、見ず知らずの若い日本人を助けてくれた恩に感謝しています。
・子供の頃バンコクに家族旅行に行った際、つば付きのキャップが風に飛ばされ水上ボートだったのですが船頭の少年が川に飛び込んで取ってきてくれた。
・アメリカでガソリンが無くなって困っていた所ガソリンスタンドまで乗せて行ってくれて携行缶を借りてくれようとしたが借りられず、自分の家のガソリンを取りに行ってお金も受け取らず助けてくれました。
・韓国に行った時、行きたい場所にたどり着けず困っていたらその場所まで一緒に歩いて連れて行ってくれたり行きたい店が見つからずHPを見せたら携帯で電話して聞いてくれたりとにかくとても親切でした日本でいるとイメージが真逆でびっくりしました
・台湾で夜に道がわからなくなってコンビニに入って店員さんに聞いたら、店内にいる他の人達もそれに気づいて一緒に探してくれて、最後には「女の子1人で夜道は危ないから」ってタクシーも呼んでくれて、到着後支払おうとしたら「友達だから!」ってタクシー代まで支払ってくれていた。海外で言葉もなかなか通じないのに、こんなに親切にしてくれて、本当に感謝と感動が止まらなかった。連絡先を聞き忘れた事を未だに後悔している。また出会えないかなぁ、と台湾に行くたびに思う。
【お金がらみのエピソード】
・小さい頃、スーパーのレジで金が足りないとき、レジの人が足りない部分の金を払ってくれた。
・子供のころ、買い物で10円足りなかったところ、知らない高校生の男の子が10円くださり、買い物ができました。自分も、大人になって、困っている子供に同じ事をしたことがあります。
・所持金が5000円しかない状態で深夜にタクシーに乗った時、その旨と予算内ギリギリの所までの走行をお願いしたのですが、500円ほど予算オーバーにも関わらず、5000円で自宅前まできちんと届けて頂いたことがあります。
・高校生のとき友達とスーパーの惣菜コーナーをみていたら知らないおばあさんにお金をもらって好きなものを買いなさいって言ってもらった
・終電で寝過ごして、同じ状況の人とタクシーで相乗りして帰った。その人は先に降りられ、私が家に着いたら全額払っていてくれた。
・他人から何故か駅でSuicaチャージする時にどうぞって1000円渡されたことある、全く知らない男
・高校生の時に定期を忘れて、遅刻したくない勢いで駅員さんに相談したら、しょうがないなぁ、と個人的にお金を貸してくれた
【迷子になったとき…】
・学生時代、道に迷って困ってたら道案内してくれた
・知らない土地で迷っていると声をかけられて、車で道案内してもらった上に食事まで奢ってもらえた。
・道を聞いたら、言葉だけでなく、わかりにくい道なのでと、分かり易くなるところまで連れていってくれたこの人はお年寄りでした
【ケガ・体調不良のときに…】
・体調を崩している所に、お水を渡してくれた
・山でバイクで怪我をしたとき、車で通りかかった夫婦に麓の病院まで乗せて行っていただいた時
・銭湯でのぼせたときに冷たいタオルを首に巻いて、水を飲ませてくれた
・駅で派手に転んでしまったら、若い男性が大丈夫ですか?と手を差し伸べてくれて、余計恥ずかしかった。
・体調が優れずに駅のホームにうずくまっていたら、周りの人が駅員さんをよんでくれた。苦しい間励ましてくれた。
・花粉症で鼻水ズルズルのとき知らない人からティッシュもらった
・骨折して松葉杖で歩いていたら雨が降ってきて知らない大人が車で家まで送ってくれた中学生の時
・ 脚を手術し、しばらく松葉杖で歩いていたら駅の階段で荷物を上まで運んでくれたひとがいた。
・風邪を引いてる時に寄ったコンビニで店員の女性がのど飴をくれた
・酔っぱらって道端で苦しんでいたら、知らない人がお手拭きをくれて、私の背中をさすって、「がんばれー!」って介抱してくれた。
・泥酔して気持ち悪くなって駅のホームで休んでいたら 見ず知らずの方にお水を自販機で買っていただいて 大丈夫ですか?と声を掛けて頂いたことがありますとてもありがたかったです
・高校生の時、学校に登校する途中で派手に転んで膝から血が出た。でも一旦家に帰ると遅刻してしまうためそのまま電車に乗った。膝から出る血をティッシュで押さえながら電車に乗っていたら、知らないおばさんが声をかけてくれて絆創膏をたくさんくれた。
・貧血でふらついてて転んで怪我をした時、手当てをしてもらった。自分が持っていたハンドタオルを濡らして血を拭いてくれて、バンドエイドを貼ってくれました。ありがとうございますとしか言えなかった。その節は本当にありがとうございました。
・出勤のため雪道を自転車で走っていたら見事なくらい派手にすっ転んだ。歩行者の女性と、車からわざわざ男性が降りてきて自転車を起こしてくれたり助けてくれた。恥ずかしいやら申し訳ないやらで、ひたすらすみません!有難うございます!大丈夫です!を繰り返しながら全身ビッショビショで仕事場に向かったけど、嬉しかった。
・バイクで自損事故をした時に119番して救護をしてくれた人が居た。知らん顔して遠巻きに見てる人が集まる中、その方の車の中からバスタオルを数枚持って来てくれて頭の下に敷いてくれたり会社にまで連絡をしてくれたらしいけど、救急車が来て立ち去った。聞けば祖母の病院へ着替えやバスタオルを持って行く途中だったとのこと。助けられました。
・足に釘が貫通した時、病院へ看護師さんを呼びに行って車椅子を持って戻ってきてくれた。
【色んな意味であたたかい】
・寒いなか外で仕事してたら、ホッカイロもらった。ありがたかったです
・飛行機に乗っていて寒いのを我慢していたら、隣の紳士なおじさまがブランケットをCAさんに頼んで「良かったらどうぞ」と笑顔で渡してくれた
・子供と某テーマパークのアトラクションに並んで100分が経過した頃あまりの寒さに泣き出して帰る!と言われ半泣きしていると、後ろに並んでいたカップルがホッカイロをくれた。
・フェリーのざこ寝の大部屋で、有料で毛布を借りるのをケチってそのまま眠った。目が覚めたら毛布であたたかい。途中の港で早朝下船した隣のおじさんがそっと毛布をかけてくれたらしい。
【遺失物・忘れ物がらみのエピソード】
・財布落としたら交番に届けてくれた方、本当にありがとうございました!
・落とし物を拾ってもらい、さらに速達で自宅に送ってくれた。無記名で手紙付きで。感謝しかないです。
・先日買い物の際財布を入れた鞄をショッピングカートにかけていたのを取り忘れたまま帰宅‼️途中気づいて慌てて戻ったらサービスコーナーに届けられてました。届けて頂いた方は名前も言われず行かれたとか。入ってた財布は諦めてたけどホント届けていただいた方には感謝‼️
・財布を落としたら後ろを歩いてた人に声かけてもらって財布を拾ってもらいました。今の嫁です。
・北海道で一人旅をしていて、バスに乗るって時に少し前に立ち寄った所に手荷物を忘れたので取りに行こうとバスの運転手さんに忘れ物を取りに行くので先に行って下さいと伝えたら、『 わかりました』と言ってたんですが、約1時間後再びバス停に戻ると同じバスが待っていて不思議だなと思い乗り込むと、運転手さん初め乗客の皆さんから拍手喝采。『 荷物が見付かって良かったね』と。私の事が心配で待っていてくれていたのです。その場に居た皆さんには感謝しかなかったです。初めての場所で初めて会う方々なのにとても優しさを感じました。
・私が学生の頃、電車に飛び乗ったとき、電車のホームに定期券を忘れてしまいました。しかし、私は定期券に気がつかず電車の扉が閉まってしまいました。そこに見知らぬ男性が私の定期券を持ちながら「車掌さんにこれ(定期)わたすよ」という身振りをしてくれました。後からその駅に戻ると私の定期を車掌さんが持っていてくれ無事に手元に戻りました。あのときは、ほんとうにありがとうございます。
【何かをもらった】
・ライブの当日券売り場に並んでいたら見知らぬ男性が良い席のチケットが余っているとただでチケットをくれました。
・イベントの入り口で入場券を買おうとしたら、余っている無料券を貰えた!
・スーパーで1000円毎に応募券もらえるっていうキャンペーンやってて、1000円いかなくてもらえなかった時に、おじさんが応募券いらないからあげるよって渡してくれた!すっごく嬉しかったです!
・牛丼屋でバカ食いしてたら、しらないオバサマから割り引き券を貰った。
・部品がなくなったときに、ホームセンターの人に、無料で譲ってもらったこと
・先日ドラックストアで、買いそびれたマスクを見ず知らずのご婦人に、譲っていただいた。ただ、自分も多少ストックが家にあったので、更に必要に迫られている知人に譲りました。
・ウォーキングしてる時、向こうから歩いて来たおばあ���ゃんから、タケノコあげると言って呼び止められ、結構な量のタケノコ頂きました。
・潮干狩りでちっとも獲れなかったんだけど、幼かった子供にたくさん貝をくれた。美味しくいただきました。
・何年も前の話です。出先でレジ袋を置いていないスーパーで買い物をし、会計時にそのことに気づきました。段ボールは置かれていたので、それに詰めて持って帰ろうかと夫と話をしていたら、知らない女性が手持ちのビニール袋を渡してくれました。とても有り難かったです。日頃から人に親切にすれば、困ったときに返ってくると信じて私も親切にしようと心がけています。
【行列で】
・イベントの並ぶ列がわからず困ってたら教えてくれた
・飛行機の搭乗手続きで 間違えた列に並んでいたのに気づかずにいたところ、後ろに並んでいた方が気づいてくれて 正しい列の場所を教えてくれました。
【災害時に】
・311の大震災の時、仙台駅から地元まで歩いて帰りました。高いヒールで、立ち止まったりしながら寒い中歩いていた時に、渋滞している車に追い越し追い越されをしていました。その時に親切な方に乗りなよ!って声をかけてもらったのですが、人見知りだし好意に甘えることに抵抗があり断りました。が、また歩いていると先ほど声をかけてくれた奥様の車が追いつきやっぱり乗りな!高校生の息子とその友達しか乗ってないから!と、断った私にまた声をかけてくれました。私に気遣い安心させてくれる声がけ。また、再度声をかけてくれたのを断るのは違うと思い乗せていただきました。さらに、乗車後にこんなのしかないけど、とバナナとチョコを、くれました。きちんとお礼ができていないのが悔やまれます。が、本当に人の暖かさに触れた瞬間でした。
【何か手伝ってもらった】
・スーパーで箱入りブドウを買うつもりで持ち歩き他の買い物してる時にブドウを落としてバラまいた時に一緒に拾ってくれた一人の方がいたこと
・買い物で自転車からちゃんと縛ったつもりの買い物した物が沢山入った段ボールが落ちて道路に散乱。知らないおばあちゃんが転がった玉ねぎやキャベツ大根など拾ってくれて段ボールに入れてくれた。
・駅の駐輪場で自転車がずらーっと倒れていてその間に自分の自転車があり、ひとつひとつ立てていってたら知らないおじさんがスマートに手伝ってくれた
・病院の駐車場で父を車から車イスに乗せかえる時に、それを見て知らない男性が車からサッとおりて来て「お手伝いします!」と言われて大変感動しました!以来私も知らない人が困っているのを見かけたら迷わず親切にしています!
・小学1年生の頃、終業式の日に学校に置いていた教材などを全て家に持ち帰らなければならず、それらを入れた重い袋を引きずりながら歩いていた学校の帰り道。知らないおばさんが「重そうね〜ちょっと持ってあげようか」と声をかけてくれて、しばらく持って歩いてくれた。
・20年位前、大きなスーツケースを持って、通勤ラッシュの浜松町駅の階段を登っていたら、ふっと軽くなり、あれ?と思ったら後ろからきたサラリーマンの人が私のスーツケースを持って階段の一番上に。そのまま颯爽と行ってしまいました。振り返る事もなく、あっという間の事で後ろから「ありがとうございます」と言うのが精一杯。スマートでありがたかったです。
【事件に巻き込まれたとき】
・車で信号待ち中に当て逃げされた時 逃げた車の後を走ってたというカップルの方が前の車の様子がおかしかったからってナンバーも覚えてくれてて慌ててる私に直ぐに警察へ行き!とナンバーと車種を教えてくださったこと。おかげで直ぐに相手が判り認知症のお爺さんでした。
【車にまつわるエピソード】
・豪雪の夜中に車のチェーン着けるの手伝ってもらった!しかもご飯までご馳走になってしまった!トラック運転手さんありがとうございました!
・何年か前の母娘旅行で、船の時間間に合わない時、駅にいてた旅館送迎の運転手さん(宿泊してないです)が船着場まで送ってくれました!その旅館のお客さん乗ってたのに、その場のお客さんも文句言わず、無事間に合いました!
・早番の出勤で駅までのバス待ちをしていたら、大型トラックのドライバーさんが止まって「途中事故があって当分バス来ないから駅まで乗せてあげるよ」と親切に乗せて下さった。最初は知らない人の車で怖かったけど、とても良い方だった。
・免許取り立ての時 コンビニにいったら隣にトラック 後ろに街頭で 斜めに出る技術がなく 四苦八苦してたら知らない人が車を出してくれた。
・自分の車が脱輪したときに、周りの人が大勢助けてくれた。
・車で走行中にマフラーが外れてしまい、知らずに走っていたら、すぐ後ろの車の人がわざわざ教えに来てくれた。その後、とりあえず応急処置をしようとしていたら、知らないお兄さんが声をかけてくれて、やり方を教えてくれたけど、あまり機械に詳しくないと言ったら、全部そのお兄さんがやってくれた。神!
・冬、国道から路肩の雪山に車が落ちて埋まった時、見ず知らずの方達が何台かとまってくれ、交通整理をしたり車を引き上げてくれた。
・田舎で一日数本のバスを乗りすごし歩いていた時に通りがかりのタクシーの運転手さんに駅まで料金を取らずに送ってもらえたことがあります。お金を払うって言っても回送中なので受け取れませんということでした。
・昔、友達にバイクを借りて家に向かう途中、カーブを曲がりきれずガードレールに突っ込んでしまい、借りたバイクは一発廃車私は血だらけ、、周りにたくさん人もいて恥ずかしさの余りその場から早く立ち去りたかったので、逃げる様にその場から急いで去ろうとした時に声をかけてくれた障害者のお兄さん、私がパンツ丸出しで倒れてるのを見てハンカチで隠してくれてました。あの時はお礼も言えなかったけど感謝です。
・仲間とドライブして山で迷子になり挙げ句ダブルでパンク、冬場で雪も降り始めガソリンも底をつき途方に暮れてたと頃、麓のおばあちゃんが通り掛かり自宅に招待してくれ食事から宿泊まで面倒をみてもらって修理費まで建て替えてくれた。その後何年間か交流してくれた���ど、暫くぶりに伺ったら亡くなれて家もなかった。
・職場から自家用車で帰宅途中、ふと気づくとワイパーに小さなメモが挟まっていた。気になったので高速道路に乗る前に車を停めて確認すると、「恐らく右の後輪がパンクしてると思います。JAFを呼んだ方がいいです。」と。朝、確かに変な形の石に乗り上げていたのと、運転中右にハンドルが取られる気がしていたので即納得、JAFを呼びました。メモは、近所に住む車に詳しい警備員の方からでした。通りがかりに気になって教えてくれたそうです。あのまま高速に乗っていたらと思うとゾッとします。
【喫煙者同士の絆】
・何年も前の事ファーストフード店でタバコを吸おうとしたらライターを忘れていた恐縮しながら近くの人にライターを借り、一服していたら、『1つ余分にありますから』と借りた方がライターをくれました
【トイレを我慢しているとき…】
・子供のトイレが漏れそうな時、順番を譲ってもらった
・子供の頃、トイレに行きたくて我慢出来ず、近くの家に飛び込んだとき、見ず知らずの私を快く家に入れてくれた。もちろん、トイレも借りました。
【そっと教えてくれる人】
・電車でチャック開いてたのをそっとおばあちゃんがおしえてくれた
・スカートの後ろチャックが開いていたのを、こっそり教えてくれて、サッと去って行った紳士
・出先でトイレ後、トイレットペーパー引きずって歩いてたのをそっと教えてくれたご婦人。
・カーディガンを裏表着てた時に教えて頂きました、今の旦那のご両親に会う時だったので本当に感謝してます!
【その他】
・徳島県で遍路道を歩いていた時、様々な人に励まされ、親切にされた。ご年配の方からも小学生からも親身になっていただき、無事に歩き通しました。
・社員旅行で、まだ入社したてだったからか、休憩のサービスエリアに置き去りにされ、携帯で連絡はできたが移動手段がなく困ったので、駐車場の車に声を掛けて、次のサービスエリアまで乗せていってもらった。
・花火大会で普段着慣れない浴衣の帯が取れて困っていたとき、通りすがりの女性に締め直してもらった。
・幼少期にプールで溺れて知らない人に助けて貰った。その人がいなければ今生きてない。
・ケンカの仲裁をされました。他人なので冷静になりましたね。
・人ではないがネコ、喧嘩の仲裁をしたその後 お礼なのか仕留めた鳩を加えて玄関へお土産として置いった。複雑な気持ちになった。
・バスの中で変な人にからまれ、外国人の方に守って頂いた。
・初めて甲子園に行ったとき、席探してると、阪神応援団の方が席案内してくれて、初めてだと言うと、選手応援歌の歌詞が書かれた紙をくれたこと。阪神ファンは怖いとか言う人いるけど、いい人ですよ。
・買い物中に顔面蒼白だったらしく、見知らぬご婦人から鏡を貸して頂いた事がある
・MonsterHunterWorldというゲーム内で慣れないことをやっている時、オンラインで他のプレイヤーがサポートしてくれたおかげで簡単に終わりました。そんプレイヤーは報酬を受け取らず、途中で離脱していったのが、またシブイです。
・昔、銭湯で知らない人に背中を洗ってもらいました
・子供が家出をしたが、知らない人が心配して連絡をくれた
・観光地でカップルでもじもじしてたら「撮りましょうか?」と。いい記念写真とれました。
・ジム行って機械の操作がわからなく色々なぶっていたら、このジムにいつも通っている人が近くに来てくれて操作を教えてくれた。
・蜂に刺された時、その場の近くの家の人がアロエを持ってきてくれて、刺されたところに塗ってくれた
・近所のスーパーで、お婆ちゃんが袋詰めの極意を教えてくれた
<まとめ>
以上が、皆さんの「見知らぬ他人から受けた親切エピソード」でした。どれもこれも、読んでいるだけで心あたたまる話ばかりでしたね。
寄せられたエピソードの中でも印象的だったのは、親切にしてくれた人から「私も以前、人に助けてもらったことがある」と明かされ「次は自分も困ってる人を助けてあげたい」と決意する人が多かったことです。一人��親切心が、大きな輪を広げていくのがわかりますね。
アンケートにご協力いただきありがとうございました。
グノシーの「アンケート」タブにて、毎日新しいアンケートを更新しています。ポイントが手に入るものもあるので奮ってご参加ください。

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秋の異国の五日間

|月曜日
空港に着くと、雨が降っていた。アジアって感じがする、と勇利が言った。アジアはあんまり詳しくないけど、長谷津の雨なら俺にもわかるよ。ひっきりなしに続く雨音、湿った空気に俺の知らない海の匂い。二人で寝転ぶ畳の質感。肌にへばりつくそれ。台湾とは、だけど全然違うよね。わかっているけど、長谷津っぽいねって言ってみた。結局のところ、郷愁といえば何を見ても長谷津を思い出すのだ。「そうだね、日本の中じゃ長谷津あたりはだいぶ中国っぽいし」そっか。そういえば昔、上海でもこんな会話をした気がする。それにしても疲れた。サンクトからの直行便がないからって、なんでまたアムステルダム乗り換えにしたんだろう。遠回り感ない? やっぱりアジアは遠いよ。勇利は、遠いところに居たんだな。出会うのに時間がかかったのも無理がない。
雨の中をタクシーでホテルへ直行。すぐ横に台北101がそびえ立つ。着いたのは午後も遅い時間で、チェックインして一息ついたら外は暗くなっていた。コンシェルジュに夕食の店を探してもらう。夜の街を眺めたくて、あえて少し離れた台北駅近くの小籠包の人気店を予約した。タクシーの窓の向こうを大量に流れるスクーター。ミニスカートの女の子もだらしなくシャツを着たおじさんも、一斉に走り抜けていく。やっぱりここは、同じアジアでも日本とは全然違う。運転手は日本語を話した。勇利と短い会話を交わしている。なんて言ってるの?「台湾は車優先だから、歩くときは気を付けろって」じゃあ俺たち、台湾では手をつないで歩かないとね。
今日の発見。勇利は小籠包を食べるのが上手い。レンゲの上においた蟹味噌小籠包を、熱さも気にせずじゅるっと一口。ねぇそれ、熱くない? どうやって食べるの?
「甘噛みしたら一気に吸う」
甘噛みしたら一気に吸う。
「ああほら、またスープこぼす!」
いや、だって。



* * *
|火曜日
「好吃」の「吃」が全然うまく発音できなくて、チーとかツーとかどっちが上手いとか言いながら歩いていたら道に迷った。昼前にホテルを出てから、秋とは思えない炎天下の下もう小一時間は歩いている。昨日の雨はなんだったんだ。そろそろ暑さも限界で、地図を見るのも面倒で、目についたカフェに入る。不機嫌になるギリギリのところ。こんなことじゃ別に本気で怒ったりしないけどね。グラスにたっぷりとアイスティーが注がれる。勇利はミルクティー。やたらとかわいい店員の女の子に二人ともヘラヘラしてた。なんなの俺たち。そのくせ、砂糖入れ過ぎ、なんて小さく文句を言う。だから最初に砂糖の量を聞かれたじゃないの。こっちで飲み物を買うときのルール。氷は少なめ、砂糖はなしで。俺はもう覚えたよ。
ひとしきり涼んで、また最高気温35度の街に出る。勇利はさっきの文句はどこへやら、「ハオツィー」なんて言っちゃって、店員の子に笑顔でバイバイ。彼女に教えてもらった通りに行けば、駅は近い。最初の角を曲がる前に、腕を掴んでキスをした。相変わらずびっくりするの、こっちがびっくりだよ。まあでも確かにミルクティーは、甘過ぎたっぽい。ねえ勇利、この一週間で太ったら怒るよ。
ところでどこに向かっていたのだっけ。
この日は特に何もしない。何もしない、をしたかった。



* * *
|水曜日
「角煮は今はないらしい」 いきなり言われて何かと思ったら、故宮博物館のことらしい。「別のところで展示されてるんだって。だから白菜だけ。あと鍋はあるって」まあロシアも大概狂った国だけど、国宝が白菜と角煮ってのもなかなかだよね。見たいの? って聞いたらうーんってむにゃむにゃ言うから、故宮博物館は却下。そもそもね、この旅の目的は「何もしない」でしょ。この賑やかな街でそれも似合わない目的だってことくらいわかるけど、長谷津へのアクセス優先だから仕方ない。ホテルで寝てたらいいじゃん、体動かしたいならジムもあるんだし。そう言ってベッドに引きずり込んで、抱きしめたりくすぐったりいたずらに噛み付いたりしてるうちにうとうとして、あっけなく二度寝。起きたら勇利がどうにも暇そうだから、午後は九份まで行くことにした。ほら勇利、あれ、ジブリ映画の舞台じゃないかって言われてるんだって。黒マントにお面のゴーストが出てくるやつ。俺は見てないけどね。
九份へはバスを使った。タクシーを呼ぼうとした俺の腕を掴んで、「バス乗ってみたい!」だって。結果、まあ、エキサイティングだったよね。運転。ひどい。山道をぐんぐん登るのはいいけど、細い道で対向車とすれ違う時なんて何度ぶつかると思ったことか。俺まだ死にたくないけど、勇利となら落ちるくらいはいいかも。台北の郊外には集合住宅が建ち並んで、あの窓全部に人の暮らしがあると思うとなんだか妙に不思議だった。窓の外をぼんやり眺める勇利が何を考えているのかは分からない。
九份はきれいだったけどわかりやすい観光地で、人でぎゅうぎゅうの狭い路地を二人ぴったりくっついて歩いた。あの混雑の中なら、どれだけ近づいていても不自然じゃない。はぐれないように子どもみたいに手を握る。そういうのがさ、やっぱりうれしく感じたりもするんだよ。勇利がどうかは知らないけどね。赤いランタンが見えてくると、単純な俺は勇利の実家を思い出して一気に懐かしくなった。まるで同じじゃないか。真っ赤な灯りに照らされると、勇利の顔にあのころの中性的な少年性が蘇る。羨望と恥じらいとためらいと、それ以上の負けん気に満ちた、勇利のあの目を何よりも愛した。それは今も変わらない。
だからなんていうか、愛おしさが募って、帰りは観光客を待ちうけるタクシーを適当に捕まえて、相乗りがどうこう言う運転手に7人分の運賃を渡し(この車内に7人詰め込むなんて冗談じゃない)、あまりしゃべらないまままっすぐホテルの部屋に戻った。勇利が実家を思い出していたかは知らないけど、眠そうに夜景を眺めながら、手はちゃんとこちらにつながれたままだった。ホテルのベッドにポケットの財布とスマートフォンを放り投げて、長いキスをして、思い出したようにシャワーを浴びて、そこでもまた長いキスをして、セックスをした。体を洗ってもなお、勇利の肌に異国の知らない食べ物のにおいが染みついているような気がして、それを確かめるように首元に深く顔をうずめる。効き過ぎた冷房が、二人ぶんの汗を一気に冷やしていく。中秋節。雲に隠れた、満月の夜。



* * *
|木曜日
さすがに街にもだいぶ慣れたので、夜市以外でも庶民的な店に入れるようになった。今朝はルームサービスは取らない。(おかゆの量が多すぎるからね。) ホテルのまわりをぶらぶらしながら、地元のひとっぽい行列が出来ている店に並んだ。 「あ、角煮まんじゅう」 うん、それ、おんなじの長谷津で食べたことある。「こっちでは割包、って言うんだって」なんか野菜とかピーナッツとか入ってるね。勇利が漢字から予測してメニューを説明してくれる。大体わかるのかと聞くと、半分くらいは予想がつくらしい。「何の肉が入ってるかくらいはわかる」だって。うん、重要だ。あとさ、俺このにおいダメ。なんのにおいかわかる? 「たぶん臭豆腐」なにそれ。「Stinky Tofu」 ああ、漢字がわかるって本当に大事だよね。
「ヴィクトルさ、」 割包を頬張る勇利がかわいい。「全然インスタしてないね」 うん、なんか今回はいいかなって。「写真も撮らないね」うん、それもいいかなって。「写真ないのちょっとさみしい」えー、じゃあ勇利が撮ってよ。「いやだよ、下手だしセルフィー苦手だし」 なにそれ。「あとさ、すごい顔あかくなってる。日焼け」あー、そうちょっと、ていうかだいぶ、ひりひりするんだよね。「かわいい」 ありがと。
「何もしない」とか言っておきながら、昨日九分まで足を伸ばしたのが案外良くて今日も少し街から離れてみることにした。(好奇心が強いんだ俺は。) 台北にも温泉あるんだって、北投。「でもこれから長谷津じゃん」まあね、じゃあどうしよっか。「ここがいい。マオコン。名前がいい」なんて意味?「猫の空」あはは、猫いるの?「わかんない、パンダがいる。あと寺とお茶が有名だって」
猫空は高所が苦手な人にはおすすめしない。途中まで電車で行って、そこから標高300メートルくらいまで、足もとがガラス張りのロープ―ウェイで20分くらい登っていく。ねえ、これ結構怖いよね? 一番上まで登りきると観光向けの茶芸館が点在していて、平日の今日はどこもがらがらだった。犬が出迎える店に入って、暇そうな店主に冷たい鉄観音茶を出してもらう。めちゃくちゃおいしい。半戸外の店内からは、台北の街が一望できる。他に客がいないから、放し飼いの犬が俺たちに寄って来る。「マッカチン元気にしてるかな」してるよ。店主が聞いているのか、ラジオの音が遠くから聞こえる。風が二人の髪をなでる。テーブルにだらしなく肘をついて、ずっとここでぼんやりしていたいねと言ったら、勇利はもう寝息をたてていた。風の代わりに、黒髪をなでる。至福とはこのことだ。



* * *
|金曜日
もう五日も台北にいる。観光らしい観光は九份くらいで、あとはひたすら街を歩いて、ご飯を食べて、疲れたらホテルにもどる。ジムでは体が鈍らない程度のトレーニングだけ。今は二人ともスケーターじゃない。コーチでも教え子でもライバルでもない。ここは勇利の故郷じゃないし(ところどころ似てるけど)、俺のよく知るピーテルでもない。二人ともただの旅行客で、二人の関係はと聞かれたら、恋人ですという以外にない。極めてシンプル。だからこうしてたまには、氷から離れるんだ。でも一人はいけない。氷の上はなんやかんやで結局のところ一人なのだ。だから氷を降りたときは、嫌がられても俺は勇利のことを離さないよ。決めたんだ。そばにいてって言ったのは勇利のほうだからね。(でもあれって、試合のときだけの話だったのかな。まあ、いいか)
だから氷から降りるたびに、何度でも何度でも抱きしめてやる。
「あ、お土産買ってない」うーん、いる? 「もういいかなー……。あーでも絶対パイナップルケーキ食べたかった〜とか言われる」 空港で買えば? 「うーん、めんどくさ……」 じゃあいいじゃん、それに台湾のものって珍しくなさそうだし。ピーテルのお茶とかお菓子なら発つ前に送っておいたよ、そろそろ届いてるんじゃないの。「うそ、いつの間に」 そういうことはさらっとできる男なんだ俺は。
荷造りは一瞬で終わった。スケート靴を持たない俺たちの荷物は少ない。トレーニングシューズと、簡単なウェアさえあればいい。ホテルを出ると、もわっとしたアジアの空気が一気に肌にまとわりつく。秋とは思えない気温30度越えの街。だけどそれを感じているのも一瞬で、導かれるままにクーラーの効いたタクシーに乗り込む。暑さが惜しい。無理を言って窓を開けてもらうと、湿った風が勇利の黒髮をなびかせる。なんとなく愉快な気分になって、勢いよく覆いかぶさるように思いっきりキスをした。「ちょっっっっっと!!!!」って全力で押しのけられる。なおさら愉快になって、声を出してげらげら笑った。空港まではまだ30分以上。あと3回は不意打ちできるな。

* * *
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26/淡い夢には染まれない(2h)
(CoC ※身内向けシナリオバレ含む)
(大体)二時間ライティング。これは試験導入です
~レギュレーション(仮)~
・1話二時間でライティング(プロットを含む) 尚、校閲については時間外に加算(だってクソ文そのまま出すの恥ずかしくない?)
・目安~3000字(私の速度が1500字/hなので) これはね、守れてない
・タイトルをお題サイトから適当に1つ、キーワードを歳時記からランダムに3つ選択し、それをベースに即興で物語を汲む
・キーワードは1つ以上を使用すれば、3つ全ては使わなくても良い
・+して各話のランダム要素として適当に相手に何か聞いて提示してもらったものを組み込む
~ここまでレギュレーション
●キーワード ・燕(乙鳥、玄鳥、飛燕、燕)夏 ・更衣(ころもがえ、俳句の世界では夏の衣服に着替えることを言う)夏 ・鬼灯(6~7月には淡い花が咲く)秋
●タイトル ・「淡い夢には染まれない」 元:√9
前半:春の雨は全てを雪ぐなら、(中坪と今井野と次の季節の話) 後半:海の底に、亡骸が沈んでいる(神楽坂と×××と夜明け前の話)
記事内リンクできないのでスクロールしてください。
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(1.とうしょー)
雨音で目が覚めた。窓の外を見て、それが人を目覚めさせるような粒の大きさでもないことを知って、たまらなく嫌な気持ちになった。
ガラス張りの窓いっぱいに着いた水滴は、まるで雲の中を泳いだ後のように風景を隠して、寝室と外の世界とを隔てていた。雨に濡れてもいないのに、全身は微かに濡れて湿っていた。 ゆっくりと息を吐く。 スマートフォンのサイドボタンを押す。午前二時半を少しだけ過ぎた時間。人は、この時間を真夜中と呼ぶ。 ひそやかに息を吸う。 (……嫌な夢、) 酷な、幻を見た。ひどく懐かしい邂逅だった。 死んだ人の、夢を見たのだ。けれど、ここ最近は見ていないものでもあった。だからこそ余計、せり上がってくる酸を堪えるのに必死だった。目を覚ました瞬間に嘔吐しないだけ、以前よりいくらかまともになれているのかもしれない。 伏せた瞼の裏に、忘れるなと言いたげな残像が焼き付いていた。閉じかけた目を薄らと開く。苦い表情が零れる。
迷う指先でスマートフォンの画面を撫でようとしては、躊躇って引っ込める。しばらく逡巡して、結局真っ暗な画面をお守りのように握りしめるだけに留まった。 翔子は湿った夜着のまま、ベランダの窓をそっと開けた。霞のような輪郭が無い雨が世界を包んでいる。右手を宙に投げ出してみると、肌に当たる雨粒は柔らかく、優しく、手のひらを濡らしているというのに、息が詰まるほど生暖かった。 冬の名残は、どこにもない。
春が嫌いだった。全てが色づき始める季節だから。全てが、始まる季節だったから。
強制的に、あらゆる全てを初めからやり直させてしまう世界のシステムだとすら思っていた。 灰ばんでいた空はいつのまにか青くふんわりと宇宙へ向かって伸びやかに揺れ始めるし、枯れた下生えの隙間から若葉色の新芽は空に追いつこうとどんどん背を伸ばすし、その内に冬鳥はそっと氷河を渡り消え、木々花々は匂やかに揺れ、ありとあらゆる全てが柔らかく、美しく歌い出す。幸福な季節には違いない。 只人であれば、尚のこときっと、そう思うのだろう。悲しいことを濯ぐための機構であるのなら。そのために必要なことなのであれば。 しかし、前の季節に留め置かれたものは、そうではない。春の雨には縋れない。 だとすれば、どこへ流れて行けば良いのだろう。何度も彼女は考えた。幾ら蹲って考えても、行き先の解は得られないままだった。行き先が無いまま溶けてしまえば、どこにだって居場所は見つからない。
閉じた冬の装いのまま、人々の中を縫うように行う呼吸は翔子の肺を確かに焼いた。春を待たずに動かなくなっ��しまった美しい鳥の亡骸を抱いて、翼を畳なわらせて、一緒に白くなってしまいたかっただけだったのに。それすら春は無慈悲に雨を注いで、溶かしてしまった。 もういない、六花一つ残されていない。 追い縋ることさえ、できなかった。 時間だけが、無為に流れて行った。雪解け水のように。 心は確かにまだ吹雪の内側に取り残されたままなのに、がらんどうの身体だけが芽吹きの季節を迎える。そうして、終ぞ何にもなれなかった。 何になることも、許されなかった。 だからこそ、春という存在が、痛哭に至るほど嫌いだった。
深夜のベッドの上には、旧い記憶の扉が開く音だけが波打ったシーツに遺されていた。 そうだ、彼女の夢を見たのだ。
思い出の中と寸分違わない、輝血のような目をしていた。 彼女はただ、何も言わないまま翔子を見ていた。見ているだけだった。相対して二人佇むだけの、不思議な明晰夢だった。 鬼灯の萼みたいに穴の空いた二つの目で、翔子の目をじっと見つめるだけだった。責め苛むことも、忘れないでと縋ることもせず、ただ網膜の隙間から、ひっそりと赤い色を向けるだけだった。 夢の中で、零れそうになる謝罪を、せり上がる嗚咽を、飲み込んで腑の中にもう一度落とすことの苦痛を知って尚、翔子はただ沈黙を保っていた。ここが、夢だと判っていたからこそ。 どうせなら、罵声の一つでも投げつけられたほうが、余程楽だというのに。凍り付いた冬の名残ばっかりが、喉元にずっと刺さっているから、こんなに苦しいのだというのに。 けれど、それでも。 ――それでも。
不意に、握りしめたスマートフォンがけたたましく鳴って、翔子は「うひゃっ」と変な声を上げて、電話を取り落とした。慌てて拾い直そうとして、表示されている名前を目にした瞬間、微かに肩が跳ねる。 どうして、と思う気持ちより先に、途方もないものが溢れた。
恐る恐る、受話を押す。 「……もしもし?」 『翔子さん!? オレです! 中坪ですけど!』 「……、……」
不意打ちの音量が鼓膜を思った以上に揺さぶって、翔子は思わず眉間に皺を寄せた。煩い以外に、上等な形容があるのであれば教えてほしい。 唸るように息を吐いてから、首を振る。耳から携帯を少し離すように持って、その声を噛み締める。 『あれっ!? 翔子さん!? もしもし!?』 「落ち、落ち着いて。……聞こえてる。冬次でしょ、解ってるよ。……名前、登録してるんだから」 『あ、そっか。……や、そーいうことじゃなくて! オレオレ詐欺とかだったらどうするんスか!?』 「またベタな問いを……。嫌、その前に、詐欺する奴らが、こんな妙な時間に電話してくることないだろ。ATMだって閉まってるし……。今、何時だと思ってるか知らないけど」 『……確かに?』 そもそも、登録しているのは携帯の番号だ。いずれにせよ、そんなものが他人の手に渡っている時点で割ととんでもない状況だという前提が必要であることを、翔子は思いついても敢えて口には出さなかった。
窓を閉めて、ベッドに座った。コイルスプリングが柔らかく沈んだ。 「えっと、どうしたの、こんな時間に」 あ。と電話口から声が漏れた。言葉を選ぶように、無音を探るような呼吸が聞こえる。 『や、うーん。……別段どうした、ってのは特にないんですけど』 「珍しく言い濁るね、きみにしては」 『あはは。いや、なんか嫌な感じがして! なんつーのかな、勘みたいな?』 「勘?」 『うん。なんか、翔子さんが泣いてるような気がして』
羽根を撫でるような、そんな声音だった。 静寂。春霞が、窓ガラスを叩く音さえ部屋に響くような。柔らかなふちを持った残響。夜が、嫋やかに濡って行く音だった。
『……っつーか、こんな夜中に突然電話して、起こして、それこそどうすんだよって感じっスよね! ……ごめんなさい、迷惑だった?』 「や、」 反射的に声を出すと、喉が詰まるような感覚を覚えて、翔子はたまらず二、三度ほど咳き込んだ。 「……びっ、くりはしたけれど、たまたま起きてはいたから、別に」 『あ、ホント!? 良かった!』 「うん。��から、迷惑とかじゃないよ。それは、平気」 それは嘘ではない。むしろ。 『えと、でもなんかやっぱり、声、元気ねー気がするけど、大丈夫スか』 「大丈、」 そこまで言って、舌が縺れた。
翔子は、喉に支えた冷たいものを、融かすように、ゆっくりと唾液を飲み込んだ。小鳥のような細やかな呼吸を一対すると、微かに目を伏せる。――そうして、誰見る人も居ないというのに、瞑目したまま、ふっと笑みを零した。 「……大丈夫、……では、なかったから、助かった」 『え』 「ありがと冬次。電話貰えて、嬉しかった」 『うぇ? ん? よくわかんないけど、ナイスタイミングだった感じ?』 「うん」 『おー。……へへ、良かった! なんか、力になれたみたいで』 照れたように弾む声を聴きながらふと窓の外を見ると、あれほど燻っていた霞の群れは、いつの間にか止んでいた。薄雲は未だ空を漂っているものの、霽月は冴え冴えと淡く濡れて、輝いていた。とろりと艶やかで、柔らかな黒い闇が世界を包んでいた。 「もう春時雨が降るような季節だったか」 『ん? そっち、雨降ってたんスか?』 「ああ、もう止んだみたいだ。雨なのかなんなのか、はっきりしないくらい細かいやつだったけどね」 『霧雨みたいな』 「霧は秋の言葉だよ」 『えー……じゃあ、霧吹きみたいな雨』 「……うん、まあ、誤りではない」 窓を開けると、湿った夜風が優しい手つきで頬を撫でた。不意の心地よさに目を細める。
月と雲の間に、鳥の群れが飛んでいた。黒い影を思わず目で追った。 長い尾を翻して、空気を裂く羽ばたきは力強く、それは生命の息吹を伴って夜空を飛んでいた。 ツバメの群れだ。 五、六羽ほどの影が、黙したまま雨の名残の中を、すうっと横切っていった。 思わず吐息が漏れた。春なのだなと思う。翔子は自分の喉元を撫でた。 冷たい違和感は、どこにだってない。
「あのさ」 『うん?』 「蒸し返すみたいに感じたら、ごめんね。えっと、あれから私、何回か考えたのだけれど、」 『あれから、って?』 「夢の中のことの話さ」 ふと、思い出したように苦笑混じりの声を零す。疑問符を浮かべるような瞬きが、電話越しに聞こえたような気がした。 立ち上がって、パソコンデスクに向かう。伏せられたままの写真立てを、そっと起こした。縁についた埃を払う。写真自体は褪せ���せず、いつかの記憶の中と同じ色を保っていた。
写真の中の少女は、ただ一人で笑っている。 暗がりの中でも、自分と良く似た赤い二つ目の色だけは、炎のように明るく燃えている。
逢いに行こう。とふと思い立った。 考えるだけで足が竦むけれど、雪が溶けた後の大地でなら、残された花弁のひとひらくらい拾うことができるかもしれない。
「やっぱりさ、ツバメには春のほうが良く似合うよ」
銀世界に零れ落としてきた、花の完爾を思う。 窓の外に冬の名残は、やはりどこにももう無かった。
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(2.かぐさが)
神楽坂がそこに向かった理由は簡単だ。庁舎の屋上から植え込みにしゃがみ込むそれを小一時間以上も眺めていて、その間、彼女が微動だにしないものだから、興味を引かれて降りていっただけだった。 夜は、やおら白みかけていた。黒と、紺と、あいまいな赤が入り混じって、暗いのに、どうしてか白色に光っているように思えるのだ。 夜明け前に、世界は一番暗くなる。そのことが、この上なく不思議だった。明かされる前の夜が前日の遺したものを含めて、一度咀嚼して、内側へ連れて行ってしまうからだろうか。
がらんどうの朝である。 空は這うような速さで明るくなっていくのに、空気だけが未だ暗いままだった。まるで、薄墨の中を泳いでいるようだ。歩いた跡の宙空に、影が緒を引くように濁って、揺れている。
神楽坂が相模原の前に現れると、彼女は瞬時に形容し難い顔をした 「うわっ……、……神楽坂さん」 「ううん、その反応は想定していなかった。……流石の私でも傷つくな」 「また、そんなこと言う。……思ってもいないくせに、良くそんな言葉ぽんぽん出てきますね」 「手厳しいなあ。でも、どうだろう? 私も君が思っているよりは恐らく人間なのだろうから、邪険にされると揺れる心の一つや二つ、持ち合わせているさ」 相模原は瞼を薄く伏せると、地面に目をやった。 朝闇の中に目を凝らすと、彼女がじっと見ていたのは、一羽の小鳥の死骸であることがすぐに理解できた。小鳥の瞼は閉じていて、うす黄色い足が縮こまって小枝のように固まっている。長い燕尾は萎れて、翼が貝のように閉じていた。
「君がね、一体何を見ているのかと思ったんだ。小一時間、身動き一つしないものだから」 神楽坂の問うような独白が、溶けるように輪郭を滲ませた。
相模原は、顔を上げなかった。 彼女は二時間の間、ずっと沈黙を留めていた両手をようやく動かして、小鳥の亡骸を恭しく掬い上げた。羽毛は神楽坂が見ているだけでも、まるで雪のように柔らかだった。汚れらしい汚れもない。その艶のある幼い両翼が、だらけるように相模原の手のひらから零れた。嘴の端から、涙のような赤が数滴、彼女の薬指を濡らした。
「眠っているだけかと思ったんですよね」 返答、と言うよりは、言い訳のように独り言ちて、両掌の棺に雛燕を収めたまま、相模原はどこか宛てがあるような足取りで、茂みの中に分け入っていった。 神楽坂も無言でそれを追った。藪の中は折り重なった青葉が一層闇を深めていて、草葉の緑すら曖昧模糊としていた。 足の長い下生えと放り出された蘖が足取りを阻んだが、少し奥に分け入ったあたりに、まるで獣道のように秘め踏み固められた小さな路が奥へ続いていることに、神楽坂は気が付いた。 相模原は野良猫の如く訳知った風で、その獣道を往く。 夏木立は底の無い陰をより深めていた。まるで、海の底を歩いているような暗さだ。世界でたった一カ所、この場所だけが、未だ夜の中に取り残されてしまっているのかと思うほど。お互いがお互い、誰であるか、わからなくなるほど。 相模原は、一瞬神楽坂を振り返った。 それだけだった。
やがて、彼女は雑然と茂る数多の緑の中の一つにたどり着いて、迷い無くその根元を掘り始めた。堆積した腐葉土は柔らかく除けられ、土の下から雨上がりのような、湿った匂いがした。 背高く生えた緑の、茎の隙間に、白い蕾がまどろむような面持ちでいくつか揺れているのが見える。 「これは……?」 「ああ、鬼灯ですよ、これ」 神楽坂が興味深げに指先で蕾に触れると、相模原は顔も上げずに答えた。 「好きなんです、鬼灯。あたしによく似てるから」
程なくして出来た十数センチくらいの円形の縦穴に、相模原は巣立ち雛を葬った。からっぽの土のゆりかごの中に、冷たい羽毛はすぐに沈んで見えなくなった。地面は子燕の体積ぶん、僅かにまるい弧を描いて、鬼灯の茎を埋もれさせた。相模原の指には土が着いたままで、それは薄墨の中、行き場を無くして漂っていた。 「手袋を、持ってくるべきだったな」 神楽坂はまるで後悔するように呟いて、相模原の手を取り、そのまま着いた土を払った。僅かに相模原の両手が動揺を見せて固まった。「はい」と言って、差し出された彼のハンカチを、少し迷って、相模原は諦めたように受け取る。 「……すみません」 「いいや、気にしないで欲しい。手袋も、私が持っていれば君にスマートに差し出せたのだろうから」 「……、や、唐突に土掘り出すような想定して、手袋持ち歩いてるほうが、よっぽど稀有だと思うんですけど」 「はは、そうだとしても、相模原がそういうことをするのであれば、持っていたほうがいいだろ?」 神楽坂は温顔のまま笑った。押し込まれるようにして、相模原は影を探すように俯いた。泡を吐くような呼吸が、木の葉擦れの音に掻き消された。 二人の足元で、鬼灯の小さな花がぎこちなく揺れた。晩夏にはきっと、珊瑚の玉のように煌びやかな、赤い実を結ぶのだ。
「ねえ、神楽坂さん。もう止めましょうよ。こんな不毛なこと」 まるで、朝凪のような弱々しい声が漏れた。ゆっくりと伏せていた顔を上げて、彼女はまるで途方に暮れたように笑った。 「何も無いんですよ、ここには」 土で汚れた指先のまま、相模原は自分の胸の中心をそっと撫でた。ネクタイの結ばれた胸元には穴も空虚も無く、土で僅かに汚れた白いシャツが見えた。悲鳴のように掠れた声が、乾ききった唾を飲み込んで震えた。
「そう思っているのは、相模原だけだよ」 けろりと悩んだ風もなく神楽坂はそう返して、相模原はいよいよ苦い物を噛んだように顔色を崩��た。 「何の音だって、聞こえたことが無いのに」 「まだ眠っているだけさ」 「……そうやって、根拠の無い事を言うの、おじょーずですね」 「そうでもないよ?」 後退するように引っ込めた彼女の両手を少々強引に引き寄せて、神楽坂は未だ汚れたままの掌に、唇を寄せる振りをした。言葉に詰まる相模原の顔を手の向こうに見て、冴え冴えと明るい両目で笑う。 その掌から、燕の死臭はしなかった。
息が詰まった顔のまま、相模原は手を引いた。彼は易々と両手を離して、笑顔を崩さないまま「そろそろ戻らないと。随分長い気分転換になってしまった」と、迷うことなく庁舎のほうへ歩き出した。 無言で彼女もそれに続く。深海のような暗闇の中に、木の葉の擦れる音だけが波のようにざわめいていた。
「海の底だって、ここよりかもうちょっと息しやすいと思うんですよね」 苦しそうな独り言が聞こえた。こぽりと音を立てるように、忌々しげに相模原が泡を吐く。 神楽坂は薄く笑って、微かに頭上を仰いだ。 木下から夜明けの空が零れている。深海のような空気の中で、いつの間にか空は海の青と同じ色に染まり始めていた。
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ブルー・トレイン
《ディール大統領誕生!》 世界中が熱気に満ちた歴史的な夜だった。テレビ番組は中継でその瞬間を放映した。翌朝には新聞と名のつくあらゆる紙面が彼の当選を一面に飾った。人々の話題も選挙結果で持ちきりだった。行く先々で驚きの結果を身振り手振りで表した。それは遠くから見ても何を話しているのかわかるほどの興奮ぶりだった。一方中には意気消沈して、必要最低限のことしか話せなくなった人もいた。必要最低限のことも話せなくなった者もいた。オフィスでは《沈黙取引》と書いた付箋を胸に貼って仕事をした人が各地で数人いた。外資系の企業では社員のほとんどが無言で仕事をしたので社内全体がお通夜みたいだった。電話さえ一度も鳴らなかったのはどこの会社も話す気力が失せていたからか、もしくは社員が会社中の電話線を引っこ抜いたからかのどちらかだった。 当選したのはディール氏の方だったのに、なぜだかがっかりして途方に暮れている人間が多いように見えた。実際、得票数としてはライバル党首の方が多かった。稀にみる接戦だった。世界中のほとんどの人がライバル党首が勝つに決まっていると考えていたし、その中の三分の一くらいの人は彼のおっかない発言をネタだと思っていた。さらにその五分の一くらいの人はお祭り好きのオッサンだとくらいしか考えていなかった。さらにその中の商品メーカーに勤める人は彼を様々な商品に仕立て上げ、その売れ行きは抜群で、恩恵に授かったと都合よく考えていた。そしてさらにごくごくわずかな人はディール氏のことをコーン・ヘッドだと言った。僕の彼女だ。彼女とはつい二日前に別れたが、それは確か一月前のことだった。
コーン・ヘッド大統領。 え、なに? ディール。彼が大統領になったら、コーン・ヘッド大統領よ。 コーン・ヘッドなのかな? コーン・ヘッドっていうのはバチカン市国の聖職位についてる人が帽子をかぶった姿だと思うんだけど。 でもほら見て、このボールペンの先のディール、黄色い髪がふさふさしてトウモロコシみたいじゃない。 言われてみればそうだけど…。突風にでも吹かれたみたいだ。まるでトロール人形だね。 でしょ、だからコーン・ヘッド。彼が就任したら〈偉大な国〉の小学生たちは毎朝国旗のお星様に向かって誓いの言葉を立てるの。《トウモロコシよ、偉大なれ。我が国に幸福をもたらさらんことを》。 まったく…。
それにしても、と彼女は続けた。投票したい人がいないのにどちらかに投票しなきゃならないのも苦痛よね。これだけ極端な党首が揃ってしまったら。確かにな、とその時僕は思った。〈偉大な国〉の選挙が僕たちの国の経済にも影響を及ぼすなら、他人ごとではない。しかし選挙結果が彼女の預言の通りになった今、僕は正直に言って一万キロも離れた世界と正面から向き合おうなんて気になれなかった。僕にだって考えるべきことがある。明日のテスト、アルバイト、今月の家賃、将来のこと、そしてどうしたら女の子を怒らせずに済むのか…。アルト・サキソフォンの手入れをしながらそんなことを考えた。八年間愛用しているこのサキソフォンは今の僕の唯一の財産だ。冗談ではなく本当だった。上京して一人暮らしの僕はアルバイト代と親の仕送りで生活をしていたが、半年前に実家が差し押さえられた。親父の兄が実家の財産を巧妙な手口で巻き上げたそうだ。最後の一滴まで搾り取られたんだ、と親父は言った。電話越しの親父の溜息は、本当に疲れ切っていた。あんなに親父が小さく思えたのは初めてだった。
農業、始めるんだ。 母さんと二人で? そうだ。……これから何もしてやれなくなる。迷惑かけて、ごめんな。 心配するなって。奨学金あるからさ。 そうか。学校の調子はどうだ? うまくいってる。 そうか。 ……。 ……。 アルバイトの調子はどうだ? 楽しんでるよ。 よかった。 おやじ、 なんだ? 元気でな。 ああ。お前もな。 おう。
サキソフォンを手放したら僕は一文無しになってしまう。そして僕という存在そのものが泡のごとく消え失せてしまうだろう。パチン。電気を消して布団に入った。が、さあ寝ようと思った途端、再履修の第二外国語のテストを思い出した。まったく。再再履修なんてごめんだ。パスをする自信は、まったく無い。
タイムマシンの方程式
ねえ、やっと見つけたよ。息を切らしながら僕の後を追いかけてきたのはヒトシだった。彼のことはヒトシと呼んでいたが、本当の名前は実のところ知らない。顔がスーパー・ヒトシくんに似ていたからヒトシと呼んでいる。ひょっとしたら本当に仁なのかもしれない。再履修のフランス語のテストを受けに行に別棟へ向かっていた。ヒトシはどこかの商店街の赤刷りの広告を持って、反対側の腕には数冊の難しそうな本を抱えていた。 ほら、これだよ。君が探してたの。 なんだよ、広告? 違うよ、これ自体は裏紙だよ。ほらこれ、タイムマシンの方程式。理系の友達に聞いてくれって、君が頼んだんじゃないか。 そうだたっけ? そうだよ、まったくひどいなあ。僕は文系だから友達の友達の友達の手まで借りたんだよ。 おう、サンキュー。 だけど、どうして君はタイムマシンの方程式を必要としているの? どうしてだったかな…。ごめん、今急いでるんだ。また今度哲学講義で会おう。じゃあな。 君というやつは。哲学講義に来るのは僕のノートを写すためじゃないか。 悪いな、今度焼肉おごるよ。 君の言う〈今度〉っていつ? そうだな、タイムマシンに聞いてくれ。
ヒトシがぶつぶつ文句を言うのを後にして僕は別棟へと急いだ。ぎりぎり間に合った。まったく。タイムマシンの方程式を四つ折にして上着のポケットに仕舞うと、テストに自信のなかった僕は魔法の呪文を唱えた。《タイムマシンの方程式よ、偉大なれ。我に幸福をもたらさらんことを》。すると後から来た連中が僕の唯一の財産であるアルト・サキソフォンを蹴っ飛ばしそうになったので慌てて足元に寄せた。まったく。テスト中につき厳粛に、とでも言いたげに先生がジロリと僕を睨みつけた。まったく。
なんとか無事にテストを終え、その足で山手線に乗った。駅を降りて五分ばかり歩くと奥の方に控えめに《BLUE TRAIN》と書かれたジャズ・バーがある。それが僕のアルバイト先であり、僕の居場所だ。店に入るとマスターが見慣れない客と話をしていた。僕らは目礼で挨拶を済ませた。 ここでの僕の仕事は、注文を取ったりウイスキーを作ったり、お客さんの話に相槌を打ったりするのももちろんだが、演奏をするのも仕事の一つだ。そして今日は演奏が三曲入っていて、そのうちの一曲でソロを取らせてくれる。僕みたいな素人にソロを取らせてくれるなんて。給料は決して高いとは言えないが、僕がここに居続けるのはそのためだ。ピアノとドラムが揃ったところで僕らは演奏を始める。特にセット・リストを読み上げたりはしない。演奏を必要とされる空気になったら始める。客は常連がほとんどだ。看板が目立たなくて見つけにくいからだろう。二曲目の途中でさらに見知らぬ客が数人入って来た。彼らは一曲目からいた見知らぬ客の隣に座った。どうやら連れらしい。彼らは外国人だった。どこの国だろう? 二曲目が終わり、三曲目に入った。マスターが相変わらず見知らぬ客と話を続けている。何か込み入った話をしているのだろうか? ソロに入った。このところアドリブの調子も良く、見知らぬ彼らをもてなすつもりでジョン・コルトレーンの「ブルー・トレイン」を冗談っぽく交えてみた。見知らぬ客たちは、控えめな看板を指差して笑っていた。マスターもニコニコして頷いていた。どうやら僕のメッセージは伝わったようだった。珍しく拍手までもらった。 楽器を片付けているとマスターが手招きした。
アドリブ、気が利いてるな。 はい、最近調子が良くて。 それはいいことだ。ところで急なんだが… なんでしょう。 あそこの彼が君を気に入ったようだ。だから今すぐ来て欲しいのだそうだ。 !? と言うのもだな、彼のビッグ・バンドのサックス・プレイヤーがどうしても来られないようなんだよ、ほら、例の選挙の件でな… 《ディール・ショック》。 そうだ。そいつだ。 しかし急に言われても、僕なんかが行っていいいのでしょうか? よかろう。彼が気に入ったんだ。今日のシフトはここで切り上げだ。��ード・アルトはサードが務めるそうだ。だから君はサードを勤めれば良いのだ。
こんなチャンスは滅多に無いだろう。そしてこんなピンチも。チャンスとピンチが一緒にやって来て、僕はこんな形でディール・ショックの影響を受けるとは思ってもみなかった。まったく。トウモロコシよ、偉大なれ。我がサキソフォンに幸福をもたらさらんことを…。
アジアの終焉
そんなわけで僕は大急ぎで支度をして、名もなきサックス・プレイヤーの車に乗り、彼らの待つビッグ・バンドの元へ向かった。彼らはまだ駆け出しの団体で、それほど有名ではないものの、どうやらアジア・ツアーをしているようだった。そして代打のジャズ・プレイヤーがいそうで一番近かったのが《BLUE TRAIN》だったのだとマスターが教えてくれた。彼らは僕よりも十歳くらい年上に見えた。そして背が高く、ハンサムだった。僕は英語で挨拶をしたが、彼らは聞こえないふりをした。そこで今度は拙いながらもフランス語で話してみたが通じないようだった。マスターはどうやって会話したのだろう? 仕方がないので僕は黙って彼らのおしゃべりを聞いていた。難解なメロディーを延々と聞いているようだった。だが途中で知っている言葉が聞こえて来た。
××××××インテリ××××××××××××!
インテリ、インテリ、インテリ。そうか、彼らは〈インテリの国〉から来たんだ。それじゃあフランス語は通じないわけだ。しかしなぜ英語を話してくれない…? そうこうしているとスタジオについたようで、助手席に座っていたインテリの彼がドアを開けてくれた。一応英語でありがとうと言って出ようとした時、ポケットに入れていたiPhoneがするっと飛び出した。そして一枚のメモが引きづられるようにひらりと落ちた。ハハハハハ。僕はぎこちなく笑ってiPhoneを拾った。画面には無残にも大きなヒビが入っていた。ハハハハハ。インテリは爽やかに四つ折りの紙を拾って広げた。タイムマシンの方程式。すると爽やかなインテリの顔が一瞬固まった。それは目に見えないピアノ線が彼の顔の全ての部位を一瞬のうちに正常位に戻したようだった。そして閃いたようにインテリは仲間を集めた。
×××××! ×××××! ××××××××? ………。(そして皆がメモを囲んで考え込む) ××××××××××××××××××××? ×××××××××××××… ×××××××××××××××!
ハハハハ。インテリたちは僕の肩をトントンと叩くと硬く手を握りしめた。手の骨が砕けてしまいそうなほど力強い握手だ。さっきまでの僕の態度と比べてみれば別人のようだった。彼らは急に親しくなって、僕らを中に入れてくれた。タイムマシンの方程式。それは僕には到底理解できない数式が並んでいた。インテリたちはどうしてこれが理解できたのだろう? 僕は大急ぎで楽器を組み立て、譜面に目を通しながらも頭の中は混乱状態だった。ジャズ、ピンチ、チャンス、インテリ、タイムマシンの方程式。ジャズ、ピンチ、チャンス、インテリ、タイムマシンの方程式。ハーイ。僕がスキャットで譜面を読んでいると女の人の声がした。ハーイ。
アナタガ学生ノプレイヤーデスカ? はい。あなたは? ワタシモアナタト同ジ、代ワリのプレイヤー。 そうなのか。よろしく。 ヨロシク。
それから彼女はこのビッグ・バンドの簡単な経歴と今日の催しについて、そして彼女に関する話をしてくれた。彼女も都内の大学に通っていて、留学生なのだそうだ。およそ一年ほど日本にいて、時々ここで演奏をするのだと教えてくれた。彼女はフランス語だけでなく、〈インテリの国〉の言葉も話せるのだそうだ。彼女にはフランス語の訛りがあったけれど、綺麗に日本語を話した。彼女のおかげで大ピンチがピンチに収まったようだ。 リハーサルもなく本番を迎えた。フランス訛りの彼女が僕の隣に座っていたので緊張は和らいでいた。曲と曲の間で挿入されるMCは僕にはさっぱりわからなかったが、それを知ってか彼女は僕に話しかけてきた。
ワタシノ国ノ事、何カ知ッテル? 君の国は六角形だね。 ソウソウ。Hexagone. ヘキサゴーヌ。 ソシテアナタノ国ハ、アジアノ終焉。 アジアの終焉?? ソウデショ? L’extrême Orient. ……! わかった。君が言いたいのは〈極東〉だよ。 キョクトウ? そうだよ。アジアの端っこ、って意味さ。 アジアノ端ッコ。 アジアノ端ッコ。そう言って彼女は優しく微笑んだ。思わず僕は見とれた。その美しい笑顔と言ったら…。彼女は眼鏡の縁に手を当てて、もう演奏が始まるわよ、という顔をした。僕は慌てて、ウィと短くと言った。反射的に〈ウィ〉が出てきたことにも驚いたが、それ以上に僕が今おかれている奇妙な状況にも改めて驚いた。巻き込まれるようにしてここまで来た。何が僕を導いたのだろう。タイムマシンの方程式。待てよ、僕はもしかして、未来にいる? インテリがメモを拾ったとき笑ったのは…。 英語を話してくれないインテリたち。もう、英語は死んだのか? 僕は僕の国にいるのに、僕の日本語が通じない。プレイヤーたちは〈インテリの国〉の言葉でしか会話しようとしない。かろうじて隣の女の子がフランス語訛りの日本語で返してくれるだけだ。アジアノ終焉。アジアの終焉? おい、アジアまでもが死んだのかよ?《ディール・ショック》。 ステージのライトがトロンボーンやトランペット、そして僕のサキソフォンをキラキラと輝かせた。心躍らせるドラムのビートがプレイヤーたちの熱気をますます煽り、僕らのグルーヴがこれ以上ないくらいぴったりと一つになって、その胸の高鳴りようは聴衆にも、僕らにも、誰にも止められないほどだった。演奏は滞りなくどんどん進行している。リードトランペットの最後のハイトーンがけたたましく鳴り響くと、客席からあふれんばかりの拍手がなった。僕はこんなに白熱した演奏をしたのは生まれて初めてだった。女の子が僕にハグをした。素晴らしい香水の香りがした。
ジャズ・ア・ゴーゴー
あれから一週間が経った。一週間のうちに色々あった。まず、親父の兄が捕まった。親父の兄は北海道から沖縄まで全国中で指名手配された末に、千葉県のマザー牧場で発見された。その時彼はソフトクリームを頬張っていたそうだ。これから裁判の手続きを踏んでいくそうだ。それから、宝くじが当たった。再履修のフランス語のテストに落ちたことを知った帰り道、俯き加減で歩いていると宝くじが落ちていた。どうせゴミなのだからと思って宝くじ売り場に持っていくとおばちゃんが一万円と交換してくれた。使い道に迷ったが、そのお金でヒトシに焼肉を奢った。ヒトシは食が細いので、どうせ奢るならと思い、ヒトシの友達の友達の友達も呼んだ。タイムマシンの彼は僕の予想を裏切ってハンサムな男だった。そして彼はあの方程式はタイムマシンを証明するもではなくて、タイムマシンが再現不可能であることを証明したものなのだと教えてくれた。、僕のプライドを傷つけないように配慮しながら。できた男だ。ヒトシが言うには、僕がそれを必要としたのは、《BLUE TRAIN》の常連で、酒に酔うとタイムマシンの話を始めるOLがいるので、そんなものがあるわけがないことをどう説明したらいいのかとヒトシに相談したことが始まりなのだそうだ。二人が美味しそうに焼肉を食べる姿を見て、僕は満足だった。またな、と二人と別れ、コートのポケットに突っ込むと、方程式はまだそこにあった。 白熱したあの夜の興奮は、一週間経っても僕の体の感覚の中に消えずに残っている。本当に未来に来てしまったんじゃないかと言うあの動揺と興奮と感動が入り混じった感覚が何故だか、僕は僕らしく生きなくてはと背中を後押する。未来に何が起こるのかわからなくても、僕ができることは今のところ、今を丁寧に生きることだけなのだ。何が起こるかわからなくても。 コノ猫、カワイイネ。 野良猫だけど僕に懐くんだ。名前は〈モロコシ〉。ヒゲがトウモロコシに似てるからさ。あとスイート・コーンが好きなんだ。 ドウシテ名前ガアルノ? 別れた彼女が名前をつけたからだよ。 フフフ。
フランス人の女の子がモロコシを抱き上げた。モロコシはぷいっとそっぽを向いた。真昼の暖かい太陽がそろそろ時間だと告げた。僕らが《BLUE TRAIN》に向かう時間。
【コメント】
これもまた音楽から得た着想を文章にしたくて書いたものです。YMOで坂本龍一作曲の"The End Of Asia"という曲があって、初めてみたとき「アジアの終わり」だっと思ったんです。曲調もなんだかこの世の終わりみたいな気もしなくもなくって、ずっと地球滅亡か、もしくは文字通りアジア滅亡の曲だと思ってました。しかしのちにこれは正しくは「極東」という意味で、日本を表しているのだと知りました。
しかしどうしてもこの曲に対する「滅亡」のイメージは離れがたく、そしてこの曲のメロディーはノスタルジックで、一方でそれを構成する電子音のつながりは近未来の風景を見せてくれるのです。こうした「滅亡」「哀愁」「近未来」というテーマを掛け合わせた所、こんな物語になっていました。(書いたのは自分ですが完成するとすぐ忘れるので「こんな物語になっていた」と書くのがしっくりきます)
この頃イギリスのEU離脱やトランプの当選が相次いで起こっていました。政治に弱い私ですので、なんとなく「英語が共通語」という概念が次第になくなっていくのだろうか、とか、虎視眈々とこの状況を見守っているのはロシアなんじゃないかと考えてしまいました。それから人の流動の激しい時代ですし、日本にはますます外国人が増えていくのだろうとも考えました。
こうしたいろんな私の思いつきを(妄想と言ったほうがいいのかも知れませんが)提出期限内に詰め込んだというわけです。
この主人公はタイムマシンで未来に来てしまったと思ったわけですが、私たち���待っている近い将来は、きっと今では思いもつかないようなことが起こっているのだと思います。
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映画館が再開された6月(2020年6月の日記)
■2020/6/1 月曜日。東京の多くの映画館が営業を再開。近所のMOVIX昭島、キノシネマ立川は再開したがシネマシティはまだ沈黙している。娘の小学校も少しずつ再開。今日はクラスの半分が午前中に登校して3時間授業とのこと。分散登校ってやつですね。Netflix『スペース・フォース』S1E3を見る。Netflix『スノー・ピアサー』S1E3を見る。キンザザのPodcast最新回を聴く。お二人とも元気そうで何より。夜にシネマシティの再開が発表された。やはり金曜からか。土曜に1本観れるかなぁ。Netflix『男はつらい 寅次郎恋やつれ』を見る。
■2020/6/2 ちょっと寝坊した。基本的に朝6:15に起きる。娘が起きてない場合は娘を起こす。僕が起きてない場合は娘が起こしてくれる。今日は二人とも7時過ぎまで寝てしまったようだ。地元、立川の図書館も業務を再開。さっそく娘の本を予約する。BS録画『名探偵ポワロ』E6を見る。U-NEXT『恋とさよならとハワイ』を見る。 Netflix『スペース・フォース』S1E4を見る。ついにスターチャンネルEXに加入、HBO『ウォッチメン』S1E1を見る。E1は以前にも無料配信で見ていたけど吹替で見直す。オジマンディアスの声が池田秀一だ。
■2020/6/3 水曜日。娘の登校日であるが本日は午後登校の3時間授業。早めにうちでお昼を食べる。Netflix『スペース・フォース』S1E5を見る。スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E2を見る。Netflix『ライフ・オブ・ザ・パーティー』を見る。
■2020/6/4 本日は立川の病院の方に通院日のため仕事は休み。こちらは3ヵ月ぶり。病院は比較的空いている。八王子の病院での検査結果をこちらでも見せておく。病院帰りに立川の一福でランチ。久々の一福、そして久々の外食だ。久々に立川駅周辺にきたので本屋に行ったり、銀行振り込みやったり。キノシネマ立川で『囚われた国家』鑑賞。うーん久々の劇場鑑賞。僕の体調のせいもあるんだろうけど体力をつかう。しかし劇場鑑賞は楽しい。シネマクティフ東京支部メンバーと連絡、MCTTは6月も見送りということを決める。まだしょうがないな。BS録画『名探偵ポワロ』E7を見る。Netflix『スペース・フォース』S1E6を見る。スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E3を見る。我孫子武丸『修羅の家』読了。
■2020/6/5 金曜日。外はなかなか暑い。娘は登校日ではないので家で勉強。一応、学校側から時間割を決められている。4時間目が体育だったらしく外に出てなわとび。まぁ暑そうである。お昼はつめたいうどんにしておきました。ナツノカモ氏の連載『着物を脱いだ渡り鳥 ― 落語家をやめて、落語のことを考えた。』が更新。なんとなくそうかと思っていたけど、あの人物のモデルはあの人なのか。どこまで現実の内容を反映させているのかわからないけど毎回とても楽しみな連載だ。もっと多くの人に読まれて書籍化してほしいなぁ。PIA LIVE STREAM & uP!!! というサービスで 『ドロステのはてで僕ら』を視聴。期待通りの面白さで頭がくらくらする。長回しをワンカット風に繋いでいるのですが、よく「長回しが目的なってはいけない」とか、「手法が目的になってはいけない」とか、それ以上に長回し自体を毛嫌いする人がいるけど、これは完全に手法やアイデアが先にある。そこに合うストーリーや演技や演出を考えている。これはミステリ小説でトリックやアイデアが先にある場合と同様で、それを理解できない人にはまったく受け入れられないだろう。僕はパズラのようなミステリもそうだけど、こういう作品もぜんぜんありだと思っているし、今までになかった表現であればあるほど見たいと思っている。もちろんそこを狙っているヨーロッパ企画の作品、上田さんの作品はこれからも期待したい。本作ももちろん劇場で観たかったけど、現状一ヵ月に数本しか映画館に行けないことは目に見えている。劇場で観ることにこだわりはあるけれど、同時にリアルタイムで作品を観ていく、時代性も大事なんだ、と最近再認識している。Netflix『スペース・フォース』S1E7を見る。スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E4を見る。
■2020/6/6 土曜日。娘の習い事のため国立へ。時間があるので僕は立川へ移動しシネマシティで『ミッドサマー ディレクターズ・カット版』鑑賞。素晴らしい。観客の雰囲気も含めて素晴らしい。木曜にキノシネマ立川で映画を観たときより劇場鑑賞の感覚が戻ってきた。娘を迎えに行って帰宅。夕飯食べて、娘を風呂に入れて寝かしつけ。久々に長時間外出していたせいか疲れてしまって寝かしつけながら寝落ち。3時間ぐらい寝てしまった。 THA BLUE HERBの配信LIVE「CAN YOU SEE THE FUTURE?」をアーカイブで見る。感動。またLIVE会場でLIVEが見れるようになるまで頑張ろうと思う。BS録画『名探偵ポワロ』E8を見る。TV録画『フラッシュ』S3E21を見る。Netflix『スペース・フォース』S1E8を見る。毎日1エピソード見ていたHBO『ウォッチメン』を見れなかったけどブルーハーブの余韻を楽しみながら就寝。
■2020/6/7 日曜日。朝から娘に英会話をやらせて朝食を準備して着替えさせピアノをさせていっしょにTVを見る。ここまではいつものルーティーン。本日はここからが忙しい。昭島図書館に本を借りに行き帰宅。さらに近所の立川市の図書館にも行き本を借りる。娘は新しい本がたくさんきて集中している。早めのお昼を取り、12時から片桐仁のによる配信「仁ちゃんの絵本読み聞かせタイム」を娘と見る。川尻恵太が読み聞かせの前後に出てくる部分は本当にいらないと思ったけど読み聞かせは楽しめた。これが終わり急いでスーパーに買い物へ。娘におやつをあげるところまでをなんとか15時前に完了。ここまでなんとかやって、数時間出かけさせていただきMOVIX昭島にて『パラサイト 半地下の家族 <モノクロVer.>』鑑賞。現状ここまでがんばらないと1本の映画を観にいけない。が、それだけの価値が劇場鑑賞にはある。約半年ぶりの『パラサイト』も本当に面白かった。MOVIX昭島は座席間隔を3席もあけている。それ以上にお客さんがぜんぜん��ない。本当に心配だ。ショッピングモールや公園などに行くより映画館で映画を観る方がよほど安全だと思うので郊外のシネコンにもお客さんが戻ってきてほしいものである。ダッシュで帰宅して娘の夕飯を準備。Netflix『スペース・フォース』S1E9を見る。スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E5を見る。
■2020/6/8 月曜日。娘は午前中登校。朝から落ち着いて仕事ができる。お昼はベーコンエッグ。だんだんうまくなってきた感。図書館から毎週のように娘に本を借りてきている。娘は夢中で読んでいるがちょっと長い本だと読むのに苦戦している。そういう本については寝る前の時間に読み聞かせをすることにする。matsuさんの真似である。寝る前の10分だけ読む。僕の口のリハビリにもなる。そして僕には10分が限界だ。リビングルームシアター架空映画館『凱里ブルース』を見る。 予想通りの素晴らしさ。もちろん本来であればイメフォで観たいが、どう考えてもしばらく映画を観るために渋谷まで行く時間は確保できない。ならば配信であっても見れた方が良い、と判断。以前の僕であれば意地でも劇場で観れる機会を待つ、となっていたかもしれないが、いろいろな事情が重なりその考え方も変化してきたのであろう。もし劇場で観れる機会が訪れたら再見すればいいしね。Netflix『スペース・フォース』S1E10を見る、これで完走。スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E6を見る。
■2020/6/9 火曜日。娘は寝てる間につけていると視力が回復するオルソレンズというコンタクトをしている。朝一で僕がそれを外すのだが、娘が変な風に瞬きをしてレンズがずれ大泣き。朝から心が折れる。今年はオンライン開催となったシャンゼリゼ映画祭という映画祭、アカウントを作るとフリーで短編などが見れてありがたい。フランスとアメリカの映画があるのだけど、フランスの映画には英語字幕、アメリカの映画にはフランス語字幕がついている。正直、英語字幕がついているフランス語作品の方が内容わかるんですよね。英語作品にも英語字幕つけてほしいです。子供を寝かしつけてからスーパーに買い物へ。3月以降、すっかり僕が買い出し担当なのですが週に2回か3回は行かないとムリ。買い物が下手なんでしょうか。家族3人で暮らしていればこんな感じなのかな。パンとかヨーグルトとかすぐなくなるよ。PIA LIVE STREAM & uP!!! で 『ドロステのはてで僕ら』を視聴。2回目。生配信時のトラブルのおかげでアーカイブ期間が延びているのありがたい。スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E7を見る。
■2020/6/10 奥さんが通院のため朝から外出。ここぞとばかりにごろごろして過ごす娘。僕は上司とオンラインの1on1ミーティング。近況をシェアしつつ、ちょっと散歩した方がいいぞ、とアドバイスをもらう。ですよね。娘は午後からの分散登校ってことで11時ぐらいに早めのランチ。冷凍の資さんうどんを二人で食べる。うまい。奥さんがクリスピークリームドーナッツをおみやげに買ってきたのでおやつに食べる。久しぶり。サンクス・シアター『椅子』を見る。スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E8を見る。そういえば今週更新された『スノー・ピアサー』を見ていないことに気づいた。でももう眠くてムリだ。どこかで時間を作らねば。
■2020/6/11 木曜日。娘は午前中登校。今日から散歩をしようと思うのだが朝は早朝から娘と過ごすので不可。夜ならできるけど、夜はなるべく映画やドラマを見る時間に使いたい。とゆうわけでもう日中に散歩をすることにする。在宅勤務だしフレックスなのでかなり自由なのだ。娘が学校に行ってから、ミーティングがない時間に30分ほど近所を歩く。コンビニパトロールにはちょうど良い。ラジオも聴ける。お昼はカレーである。最近、ちょっと高め(250円ぐらい)のレトルトカレーにはまっていろいろ食べている。値段相応にうまい。娘はすみっコぐらしカレー。シール付き。そしてカレーの後に飲むコーヒーは本当にうまい。スーパーで最安値の珈琲豆なのにうまい。新ロイヤル大衆舎 緊急事態軽演劇八夜 第一夜『盤獄の一生』を見る。やっぱ小劇場はいいな。 スターチャンネルEX『ウォッチメン』S1E9を見る、これでシーズン1完走。面白かった。
■2020/6/12 金曜日。今日も午前中の暇な時間にコンビニまで散歩。卵とかを買っておく。 来週から小学校が通常モードに近いかたちとなり給食もはじまる。僕が娘のランチを平日に準備するのもとりあえず今日がラストかな。娘が好きなもの(卵ごはんとか、ウインナーとか、ベーコンエッグとか、インスタントのスープとか)ばかり用意していたのでよく食べてくれた。食べすぎだったかもしれない。Amazon Prime『ヴァスト・オブ・ナイト』を見る。スターチャンネルEX『チェルノブイリ』E1を見る。Netflix『スノー・ピアサー』S1Eを見る。
■2020/6/13 土曜日。朝から娘と吉祥寺の眼科へ。見事に視力が良くなっていて何より。そのあと娘を習い事に送り、自分は立川へ。久々の一蘭を堪能。シネマシティで『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』鑑賞。娘を迎えに行って帰宅。新ロイヤル大衆舎 緊急事態軽演劇八夜 第三夜『おもてなし』を見る。スターチャンネルEX『チェルノブイリ』E2を見る。
■2020/6/14 日曜日。早朝からバルサの試合を後半だけ見る。久保君、がんばってるな。午前中から娘と立川の矯正歯科へ。順調なようでほっとする。実家へ。娘を両親にみてもらい僕は散髪へ。3月以来かな、さっぱりした。Netflix『ザ・ファイブ・ブラッズ』を見る。スターチャンネルEX『チェルノブイリ』E3を見る。
■2020/6/15 月曜日。娘の小学校が通常モードへ。すごい仕事に集中できる。しかし娘は学校から帰ってきて、英会話があり、自宅でのピアノの練習もあり、一気に忙しくなってしまった。以前の生活スタイルに戻っただけなのだけど、余裕ある感じで一日を過ごしてきたのでなかなかのストレスだと思う。本人もイライラしてしまっているのがわかるようで、なるべくフォローはしたいけどなかなか難しい。新ロイヤル大衆舎 緊急事態軽演劇八夜 第五夜『都会の風』を見る。EUフィルムデーズ『フリア IST』を見る。スターチャンネルEX『チェルノブイリ』E4を見る。
■2020/6/16 火曜日。家でいろいろあってしんどいところにアップリンクの報道が。これはショックだしつらい。ただ被害にあわれた方たちが提訴というかたちで告発したのは正しいと思う。お金も時間もかかるだろうけど、できるだけ原告の皆さんが求める結果になると良いと思う。損害賠償はもちろんだけど、アップリンクという映画館に対してどのようになってほしいのか、についてひとりの観客としてはもう少し知りたいところである。このように声をあげた人たちの望まない結果となる行動はとりたくない。 スターチャンネルEX『チェルノブイリ』E5を見る。これで完走。いやぁずどんと重いドラマだった。EUフィルムデーズ『メルテム 夏の嵐』視聴。
■2020/6/17 水曜日。ここ2日ほど寝坊していたが今日はすっきりと起きれた。ミニシアター・エイド基金からアップリンクの件についてメッセージがきていた。簡潔ではっきりした内容。昨日も深田監督が凄まじいスピードで感情的でない、憶測で語らないコメントを出していたが、これは以前から深田監督が映画産業内におけるハラスメント問題に向き合っていたから。立場は違うけど、今回の原告の皆さんも深田監督が以前に出したステートメントを読んでいたのかもしれない。あとこの件については村山章さんのツイートが今の自分の気持ちに一番近い気がする。原告側が求めているもの理解した上で行動しようと思っています。TV録画『フラッシュ』S3E22を見る。スターチャンネルEX『ダーク・マテリアルズ/⻩⾦の羅針盤』S1E2を見る。EUフィルムデーズ『ルーザーとしての私の最後の年』を見る。なんだかとても眠くてベッドで横になった瞬間に寝た気がする。
■2020/6/18 木曜日。仕事は順調であるが、娘がやたら反抗的で大変。学校がフルではじまり、英会話に通うのも復活して大変なのだろうけど。うーむ。U-NEXT『ザ・スパイダースのゴーゴー・向う見ず作戦』を見る。スターチャンネルEX『ダーク・マテリアルズ/⻩⾦の羅針盤』S1E3を見る。Netflix『 泣きたい私は猫をかぶる』を見る。Netflix『スノー・ピアサー』S1E5を見る。
■2020/6/19 雨の金曜日。朝からユニクロのマスクをオンラインでチェックするがぜんぜん繋がらない。ナツノカモ氏の隔週連載を読む。もっと多くの人に読まれて書籍化してほしいな。Amazon Prime Video『7500』を見る。スターチャンネルEX『ダーク・マテリアルズ/⻩⾦の羅針盤』S1E4を見る。やっとクマが出てきたぞ。
■2020/6/20 土曜日。朝から皮膚科に行く。病院もすっかり混雑が戻ってきてしまった。病院の終わり時間により、観れる映画が違ってくる感じだったので4作品ぐらいを移動時間混みでシミュレーションしていたのですが、第一候補であった『ペイン・アンド・グローリー』は間に合わず。第二候補であった『はちどり』は間に合うがすでに満席。なので第三候補の『その手に触れるまで』を観るためにヒュートラ有楽町へ。これが3月MCTT以来となる東京23区入りだ。『その手に触れるまで』も最終的に満席になっていた。席数50%ではあるがシネコンより集客が良い気がする。TCGメンバーズカードの期限も2月分延長してくれてありがたいですね。時間があったのでジャポネで遅めのランチ。カウンターのみの店舗は良いですよねぇ、みんな同じ方向を向くわけで。書店で「映画秘宝」を購入。復活してからはじめて店舗で買いましたよ。国立へ移動、習い事の終わった娘と合流して実家へ。今日はお泊りさせていただく。娘をなんとか寝かせて22時ぐらいからシネマクティフ東京支部の音声配信をリモート収録。参加してくれたmatsuさん、ゲストのotokeiさんとペップさんに感謝。収録の合間の雑談も含めて映画の話とかするのは楽しい。24時半ぐらいまで収録して、そこからレコーディングしたものを編集できることまで確認して寝る。BS録画『名探偵ポワロ』E10を見る。
■2020/6/21 日曜日。実家で朝ごはん。全部用意してもらえるのでありがたい。父親とランチを買いにマクドナルドへ。ドライブスルーはまぁまぁ並んでいる。お昼を急いで食べたあと、リモートで開催されている MCTOS(Overseas)に参加。お題映画はNetflix『息がつまりそう』。参加していたラロッカさんがさらっと気になることを云っていたがあえてつっこまないでおきました。実家で夕飯までご馳走になり帰宅。実は本日で結婚10周年。本来であれば旅行に行こうか、とか話していたのだが全部やめ。代わりに来年何かやれればいいな。あと僕がSNSのアイコンにしている犬のロンの命日でもある。亡くなってもう14年である。今でも僕のハンドルネームとSNSアイコンとして活躍してくれている。スターチャンネルEX『ダーク・マテリアルズ/⻩⾦の羅針盤』S1E5を見る。Netflix『WASP ネットワーク』を見る。
■2020/6/22 雨の月曜日。自分も娘もちょっと寝坊してしまい朝から忙しい。仕事もなんだか忙しい。某所に提出する上半期年間ベスト10映画をもう選出する。締め切りまでにもう映画を観れないからだ。切ない。スターチャンネルEX『ダーク・マテリアルズ/⻩⾦の羅針盤』S1E6を見る。Amazon Prime『呪怨 (ビデオオリジナル版)』を見る。すごい面白い。
■2020/6/23 梅雨である。なんかWi-Fiの調子も悪い。昼休みに近所の図書館で本を借りたり返したり。帰りにコンビニで冷凍のお好み焼きを買う。たまに食べたくなるやつ。スターチャンネルEX『ダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤』S1E7を見る。Amazon Prime『呪怨2 (ビデオオリジナル版)』を見る。EUフィルムデーズ『猿』を見る。
■2020/6/24 水曜日。曇りだが雨は降っていない。お昼休みに自転車で昭島図書館へ行って本を借りたり返したり。帰りに銀だこでたこ焼きを買う。久々だ。スターチャンネルEX 『アウトサイダー』S1E1を見る。ベン・メンデルソーン演じる主人公の刑事の役名が「ラルフ・アンダーソン」で、鴨川会長が昔戦ったボクサーと同じ名前だ。スターチャンネルEX『ダーク・マテリアルズ/⻩⾦の羅針盤』S1E8 を見る。これで完走。EUフィルムデーズ『アルデンヌ』を見る。
■2020/6/25 木曜日。お昼に野郎ラーメンのカップ麺を食べたらなかなかニンニクが強い。「フリースタイルダンジョン」終了についてジブさんが話すというので久々にお昼のWREPを聴く。何も隠さず正直に話していた感じ。BS1録画『ダンスか死か アハマド・ジュデの日常』を見る。スターチャンネルEX 『アウトサイダー』S1E2を見る。BS録画『名探偵ポワロ』E11を見る。EUフィルムデーズ『アニアーラ』を見る。Amazon Prime『スター・トレック:ピカード』S1E5を見る。
■2020/6/26 金曜日。がっつり30分以上寝坊してしまった。娘の支度をなんとか急がせ登校にギリギリ間に合う。朝から疲れる。お昼に釜たまうどんを食べようとうどんを茹でたら、ついクセでうどんを水でしめてしまった。くそー。スターチャンネルEX 『アウトサイダー』S1E3を見る。Amazon Prime『スター・トレック:ピカード』S1E6を見る。EUフィルムデーズ『小さな灯り』を見る。
■2020/6/27 土曜日。めずらしく家族3人で実家へ。父の古希のお祝いである。70才である。お寿司を食べる。ウーディネ・ファーイースト映画祭『わたしは元気』を見る。有料だが海外の映画祭が見れるのはありがたい。日本映画なので言語の問題もない。スターチャンネルEX 『アウトサイダー』S1E4を見る。Amazon Prime『スター・トレック:ピカード』S1E7を見る。
■2020/6/28 日曜日。娘の学力テストため立川へ。小学校低学年で学力テストか。中学まで公立で何も問題なかった自分にはどこまで必要なのかわからないけど、無料だし、テストの練習をしているのに近い、らしい。テストが終わってから立川でランチ。この春にできたグリーンスプリングスの中のレストラン「100本のスプーン」に行く。パスタがとても美味しかった。子供向けのメニューも充実していて良い。グリーンスプリングスはまさにコロナ渦のOpenだったが、シネマシティ(シネマツー)にとても近くていろいろ開拓してみたい。スターチャンネルEX 『アウトサイダー』S1E5とE6を見る。Amazon Prime『スター・トレック:ピカード』S1E8を見る。 ウーディネ・ファーイースト映画祭『#ハンド全力』を見る。
■2020/6/29 月曜日。朝から娘が奥さんに怒られてしまいきつい。スターチャンネルEX 『アウトサイダー』S1E7とE8を見る。Amazon Prime『スター・トレック:ピカード』S1E9を見る。Netflix『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』を見る。
■2020/6/30 火曜日。通院のため休暇。先月に続きエコー。先月なかなか気になる検査結果だったけど、今月の結果を見て、とりあえず現状は大丈夫でしょうとのこと。すっきりはしないですがとりあえず良かった、のかな。リハビリ科にも行く。思ってた以上に時間がかかってしまって観たかった『ペイン・アンド・グローリー』には間に合わず。うーん、もう観れないかもしれない。時間が中途半端にできたので立川のAFURIに行っている。シネマツーにも近くてありがたい。シネマワンで『ランボー ラスト・ブラッド』を観る。これで上半期の映画館鑑賞も終了。上半期ベストも出したけど、もちろん観れていない映画多数。その分、自宅鑑賞では普段は観れない数の映画やドラマが見れている。そこらへんもどこかで紹介や発表できたら、と思っています。スターチャンネルEX 『アウトサイダー』S1E9とE10を見る。これで完走。Amazon Prime『スター・トレック:ピカード』S1E10を見る。こちらも完走。そんなこんなで6月も終わり。大変だった2020年の上半期も終わり。
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