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どうしてこうもオスという生き物は下半身でモノを考えてしまうのだろう。

寂しかったのも疲れていたのも事実で、マッチングアプリでなんとなく自分の好みを見つけ右にスワイプする。

セックスがしたい、そんなことは全く望んでいない。ただすこしそばに居て抱きしめてほしかった。

ただそれだけなのに、それをオス共は行為の始まりだと思い込む。一度そのスイッチが入るこちらの「だめ」も「やだ」も「もっと」だと勘違いする。

口の周りが唾液でべとべとになるまでキスしてくる人、耳の中まで執拗に舐めてくる人、対して気持ちよくもない胸を捏ねくり回す人、潮を吹かせようとする人、ゴムを付ける気がない人、勝手に口内に射精する人。

不快感に溢れた行為を強く拒みきれない自分に苛立つ。早く終われ、ただその一点。

嗚呼、ほんとバカだなあたし。

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やっとの休みなのに、隣に寝ているはずのキミの姿はなくて。携帯を見ると案の定「仕事長引いた」の文字。もう一週間もキミに愛されていないカラダはカラッカラ。今週は忙しくて一人でするヒマもキミに愛される余裕もなかった。片手でテキトーに動画を検索する。男たちに好き放題される女優に自分を置き換え、どうしようもなく熱を持つソコは触れる前から下着を濡らしている。「…はぁっ」緩く握っただけで吐息が漏れる。“ねえ”動画ではない声、ずっと会いたかったキミの声。仕事から帰ってきたのにも気付かなかった。“ナニしてたの”意地悪だ、下半身を露出させたこの格好でしていることなんて一つだけなのに。「見ればわかるでしょ」精一杯の反撃。“翔太はさ、女優に興奮してた？それとも女優を自分に置き換えてた？”距離を縮めたキミが髪の毛を優しく撫でながら問いかける。ズルい、カラダが覚えている。いつもはフェラをした時だけしてくれるのに。喉がキュッと鳴り、唾液が口の中を満たしていく。

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たまに会えるだけでよかったのに、毎日会いたくて。指を絡めるだけで十分だったのに、唇を重ねたくて堪らなくなる。どこまでも強欲。

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えっちしてない時も 好きだよ って 可愛いね って言ってくれる？

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Cvjq4【アイシングカップケーキ】

“…これ翔太作？”

笑いを堪えながら冷蔵庫で冷やされているカップケーキを覗き込む。

｢勝手に見ちゃだめ！｣

せっかくラッピングしてから渡そうと思っていたバレンタインの計画はすぐに崩れた。

｢辰哉くん絵好きだから有名な絵描いてみたの｣

“…これはなんの絵？”

｢モナ・リザだよ！｣

“え？どこが？”

｢もうひどい、辰哉くんやだ｣

“ごめんごめん、まあ食えば美味しいから大丈夫だよ。ありがとね”

蟻さんへ、死骸になった俺も大切にしてくれるのはキミだけだから俺より先に死んじゃダメだよ。蝶より。

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x983u 【りんご飴】

“ただいま”

やっと帰ってきたキミの両腕にはたくさんのチョコレートたち。

会社の女の子たちからもらったって、本人は気付いてないみたいだけど義理チョコや友チョコにしては高級すぎるモノや手作りのモノにモヤモヤ。

｢これ美味しそう、俺食べてもいい？｣

そんな下心丸出しのチョコは残念ながら涼太の口には入れてあげないもんね、と心の中であっかんべー。

｢涼太にこれあげる｣

料理の苦手な俺からバレンタインをもらったことに驚いて指切ってない？と心配される。

｢包丁使わないもん、これ｣

“翔太らしいね、ありがとう”

大袈裟なリアクションはないけど口元が緩んでいて、結構嬉しそうな姿にこっちまで嬉しくなる。

｢ねえ涼太、おなかすいた。死んじゃう｣

はいはい、待っててねと俺の髪の毛をぽんぽんする手のひらが心地良い。

なかなか溶けない飴はずっと一緒にいたいって意味があるんだって。その中に禁断の果実を閉じ込めたのは一度齧ったら、一度涼太に愛されたら他では満足出来ないから。

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SHO___Pii 【生チョコ】

人気者のキミはきっとバレンタイン当日は予約がいっぱいだろうから、せめて前日に渡したくて。

ヒモのくせにしっかり仕事していて帰ってきてもソファで煙草を吸いながら色んな人に返信していて、ちょっぴり寂しいから邪魔しない程度にくっついてみたりキミの髪の毛からする同じ匂いをすんすん嗅いでみたり。

“よし、終わり。全員に返信した。俺いい子だわ”

カタン。iPhoneをテーブルに置く音。やっと終わったみたい。

｢いい子のヒモ男くんにこれあげる｣

手のひらサイズの箱の中に綺麗に並んだ正方形のチョコたち。美味しいじゃん、翔太作ったの？と嬉しそうに食べるのを見れてほっとする。

“なあ、知ってる？チョコレートって媚薬効果あるらしいよ”

試してみる？とでも言いたげな表情、そんなのなんの根拠もない誰かが都合よくでっちあげたものだとわかっているけど淫れる理由ができるのならなんでもよかった。

｢ヒモ男くんのタバコは俺に催淫効果あるみたい｣

それは困ったなって笑うキミの唇にXXXX

今日は少し大胆に、だってこれも全部チョコレートの所為なんでしょ？

他の人からチョコをもらってもお腹いっぱいで食べれなくなってしまえばいいのに。そんな願いをこめてあえて王道なチョコレートを。

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面倒臭い男になってキミに嫌われてしまいたかったのに、俺が拗ねても駄々をこねても優しいキミをもっと好きになってしまった。

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「嫌じゃないのが、嫌だった」

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雑で乱暴で最低な、男。

“なァ、どっからが浮気だと思う？”

今更そんな事を言う。

“そもそも男同士だからノーカンか”

お前なんか性欲処理、そう言われているようで。

噛み付く様な口付け、痛いほど吸われる舌、そんなキスを気持ちいいものだと調教して他の人では物足りなくして。

“愛してるって言え”

性欲処理なら、ずっと性欲処理でいたかった。身体的快楽だけを共有する関係でいたかった。言いたくない、口に出したら本当にそう思ってしまうから。

拒んでも拒んでも言えと言われる。ついに口から出た今にも消えそうな「愛してる」を聞いたキミは愛おしそうに俺の髪を撫でた。やめて、今まで一度もそんな優しい顔しなかったじゃん。

あの時のキスもセックスも俺の中ではノーカンじゃなかったのにな。

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「シャンプー何使ってるの？」君はそんなの気にしたことないと思っていたから“なんだっけな”風呂場に誘導するのなんて簡単だった。君の少しあとを追いかけて、浴室の中に入る。滑ったフリをしてノズルを捻りシャワーを自分にかける。カラダが透ける様にインナーを着てこなかったのも、申し訳なさそうに君を見上げるのも。“服貸すから泊まりなよ”その一言が欲しかったから。

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「うわ、ズルい」風呂上がり呑気に棒アイスを食べる君。寒い季節に暖かい部屋で食べるアイスは一番美味しい。君のとなりに座って口を大きく開ける、しょうがないなあと呟いた君は俺の口にアイスを入れた。すぐに口から離そうとしたアイスを更に喉奥へ入れられる、口の周りには溶けたアイスがベッタリ。反射的に涙が出てくる。口の端から顎を伝う白い液体に君の喉仏が動いた。

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俺が知らぬ間に伸び縮みする爪に悩まされる。

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煙草が羨ましかった。いつも彼から求めてもらえて、いつも彼の指の間にいて、彼のカラダを蝕んで。…俺もそうなりたかった。