zfxuz
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zfxuz · 24 days ago
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これは、柔らかな絶望だった。
ふと目覚めた夜更け、薄明かりのさす帳の隙間から何かに思いを馳せる彼女を見た時。呼び掛けと共にノックした扉が無音を貫くから謝罪とともに開けた先の、知らない香水を眺めていた彼女を見た時。時折、“今”じゃない何かが優先されることは知っていた。知っていて、知らないふりをした。思い出、と呼ばれるそれはきっと何にも替えられないもので、何よりも勝るもの、なんだと思う。俺が知っていることに彼女が気付いているのかは知らない。どうせなら、気付いていなければいいと思う。これは、俺に与えられた絶望なのだ。誰にも理解されることの無い、そういうものだった。
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zfxuz · 2 months ago
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「ほら、早く。」
そんな無茶なことを言われたって、なんて思いながら従ってしまうのだから染められてると言っても過言では無いのかもしれない。いや、染められたと言うよりは、作り変えられたような。震えるそれに手をかけ、徐々に引き抜こうとすれば中の位置が変わって目の前が弾ける。
「う゛ぁ、っ、」
「出来なかったら終わらないよ?」
果てる度にそれを圧迫しつづける肉は自分の意思と関係なく締め付け重ねる回数を増やすように腰を振ってしまう。奥まで飲み込むように。はしたない。みないで。見て、触れて。気持ちいい、もっと、もっとずっと。
「ん、ぐぅ…あ……っ、」
「偉いね。」
「き゛っ、!?」
もう少しで抜けそうなそれを力任せに押し込むものだから、余すところなくはしる快感が自身の先から溢れて白濁で汚れていく。ああもう気をやってしまいたい。このまま、機械に犯された姿で。
気を飛ばしたらしい目下の彼を押さえつけるように跨っては膨れ上がった剛直を唇へ擦り付ける。ほらこのにおいもう覚えたでしょ、なんて独りごちて。口唇の柔さを暫く堪能してから無理やり口を開かせて鈍く淫靡な音を響かせながら先端を出し入れする。熱くて小さい口をいっぱいにして、頬だって上顎だって満遍なく汚して。流石に気失った相手へ口内射精する気は無いので、相手のだけじゃ物足りない皮膚へ吐き出しては一応の満足感。ああ、さっきから動きっぱなしの腰止めてあげないと。下腹部を押さえつけて一気に引き抜くとサイズに開いた穴が誘うから。いつもそうだった。彼が飛んでから何回も何回も。おかげで、意識の有無関係なく口元に運べばパブロフの犬よろしく発情するようになったし、中もすんなり入って、本人は知らないけど、奥だって開きやすくなった。そろそろ、飛ばないうちに全部教えようかな。誰にも言えない、どこにも行けない身体だねって。
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zfxuz · 3 months ago
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白い布に沈んでから、
しばらく経っていることに気づいたのは見たくなかったからか、信じていなかったからか。咲いた花が枯れていくように、星が爆発するように。その時が近付いていることに足音代わりのわずかな呼吸音が目を逸らせてはくれなくて。
「まさかこんなことになるなんてねえ。」
合わない視線が動揺を表しているなんてことは本人も自覚しているんだろう。気まずそうにしながらも頑として合わせないのだから頑固と言われても仕方ない。練習室で倒れこんだ彼が運ばれた先で告げられたのは病気名。完治は半分の確率。彼はやらないこともやることも選ばなかった。本人が、一番わかっているから、だと勝手に結論付けて横顔をじっと見る。
「ボノナも忙しいでしょ。」
「俺はグループ練習だけなの知ってるじゃん。」
言外に帰れと言われたって聞くような人間じゃないことも。
「…みんなどう思ってるだろうねえ。」
「さあ。でも、どうにかしようとはするんじゃない。」
「治る可能性もあるって言われたのにね。」
あの兄たちが、そんな曖昧さでおとなしくしていられるわけないと思うけど、ってのは黙っておくことにした。
彼はずっとアイドルだった。ずっとキラキラして、求められるカタチを維持し続けて。ライブやテレビ収録はドーピングまがいのことをしながら一秒でも舞台上にいられるように。今までも見続けていたけれど、もっと目が離せなくなって。命を燃やしているのは、これほどまでに眩しいものなのかと味わうことがなければいい情動を植え付けられて。それでも。
「スングァナ。」
「…もうごまかせないね。」
このころにはもともと消費の激しいスケジュールと重なるドーピングで、取り繕えない程に表面へ病相が表れはじめていた。程なくして、彼の無期限休養が発表され、世界中が案じる色に染まった。その中で、ほとんど毎日凝りもせず顔を出す俺に、呆れた表情を隠しもしなくなった彼が要求したのは一つ。共犯者であること。ほかのメンバーには抗うすべを施していると言いながら、俺と二人でこっそり変えた、終わりを緩やかに迎えられるような方針。俺が死んだら流してね、と無責任に任せて撮り始めた世界へのビデオレター。一方的な秘密が増えていくばかりの日々は少しワクワクして、同等の切なさを運んで。
ねえ、スングァナ。俺のチングはお前だよ。最後まで言わなかったけど。同い年の、唯一無二のお前。これくらいは許してくれよ。こっちはいないことに慣れなきゃいけないんだから。でも、お前が寂しくなったら。迎えに来たって怒らないよ。それくらいには、想っていたよ。おやすみ、またその時まで。
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zfxuz · 4 months ago
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「踊りませんか。」
とは言えなかった。お前が居たらいいとかそれも言えなかった。月の下で舞うお前が、変な奴に攫われなきゃいいとかは思うのに。舞うお前に恋をした。見惚れた。焦がれた。自分からは何も言えなかったのに、お前に誘われたらその手を取って腰を抱いてステップを踏んで。なあ、名前を呼んでもいいか。名前に想いを乗せていいか。月の下じゃなくて、かぼちゃの馬車は乗り捨てて、惑星を、俺と歩いてって誘ったら、お前は、どんな顔をするの。
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zfxuz · 4 months ago
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これは何にもならない話だった。
机へ置き去りにされた、誰かのための鍵を見て思う。生まれるのが一番遅かったために、外に行くことも出来ず所在なさげにしていた彼が一番入り浸っていたのは俺の部屋で。俺が良かったのか、俺が都合良かったのかは知らないけれど。不在なことも多かったはずなのに毎日のように来る彼に根負けして合鍵を渡したのは今でも記憶に新しい。
ある夜のこと。わざわざ人の部屋でゲームするような彼が真っ暗な部屋に佇んでいた。 「何してんの、電気もつけないで。」 「…る?」 「何?」 「俺のこと、抱ける?」 こちらに向けられた目は濡れているのに底がなくて、乱れた服とか、そういうもので察してしまう自分に嫌気がさして。 「抱いてほしいわけ?」 落ち着いて。 「抱けるのか聞いてんだよ。」 冷静に。 「抱けるって言ったら?」
僅かに怒りを滲ませた彼がずかずかと近づいてきては、帰りたてでつけっぱなしのマフラーをひっつかみ歯が当たるほどの勢いで口づけて。なんかもう全部どうでもよくなっちゃってんのお前とか、そんな色々を言ってやりたかったけど。流されてやることが救いになる夜もあって。彼が一息つく間を得ないように律動を与えて。愛情とかそんなかわいげのあるものは持ち合わせていないから、せめても顔を見なくて済むようにって後背位で。多分、俺も彼も生理的な快感だけを拾っていて、精神的な快感はなくて。どんどん部屋が冷え切っていくような感覚で。
それ以降、彼は部屋に来なくなって。いつの間にか外に出ては愛を見つけたらしいとチングから伝え聞いた。置き去りにされた鍵があの日の温度みたいで。
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zfxuz · 5 months ago
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どうしたら隠せるかを考えていた。
この兄にばれないように。同い年にばれないように。誰にもばれないように。心を殺すたび人は壊れていくらしい。 「どうして隠さなきゃいけないの?」 「要らないから。」 「誰にとって?」 「誰にとっても。」 「そうやってつまらなくなっていくの?」
返す言葉がなかった。何か特異でなければならないような気がするのに、何かに秀でていなければならないのに、何にもなれなくて。嘘。何にもならないことを選んだのに。それでも、誰かの後悔になってみたいし、多分、誰かの傷になってみたい。されたことの、勝手に思い込んでることの復讐として。俺は他人に傷をつけようとしている。そこまで理解して、唐突にばかばかしくなった。意味のなさに呆れた。傷をつけられたところでいい迷惑だ。そう思って何度も捨てた水は循環してまた手元に現れることを知りながら、また海に捨てるほかなかったのだ。
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zfxuz · 6 months ago
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「書いてみませんか。」
渡されたままの白紙が、そう言ってる気がした。
傍らのペンを握って。ああ、安い書きにくいやつだ。なんて思いながら何を書こうか迷って、とりあえず名前を書いてみることにした。まるで答案用紙だ。最初に書き連ねたのは、なんだっただろうか。恨みだったような、怒りだったような、はたまた、自分が好きだったものに対してだろうか。そうしてる内に、握る手が制御を無視して力を入れるものだから、プラスチックにヒビが入って。ずっと入口で俺を見張っていた人に告げたのは、俺のペンをください、だった。何故俺のものがあるのかとか、どうしてあると思ったのかとか、そんなものは一切無視して渡された記憶の欠けらも無い青い万年筆は、やけに手に馴染んだ。その後は、ずっと、俺の迷いと、想いに対して書き連ねた。誰にも言えなかったこと。誰にも言わなかったこと。一人にだけ、零したこと。このインクが切れるまで。
「これってどうなるんですか。」
「この後、あなたと共に焼却処分になります。」
「未練はなくなりますか。」
「書ききったのであれば、でしょうね。」
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zfxuz · 7 months ago
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依存だと思った。
正確には依存してみたいと思った。物でも、味でも、香りでも、人でも。何か一つ依存してみたい。そんな欲が自分の中に芽生えて。糖分の補給にもいいかと思って、棒付き飴を買うようになった。特定の味だけ。結果はまんまとハマった。それがないと集中できなくなって、それがないと落ち着かなくなった。エナメル質に当たって響く少し耳障りな音がないことが寂しくなった。眠れないときに香水をふるようになった。結果は言うまでもなかった。それがないと眠れなくなって、昼寝すらもままならなくなった。減っていく質量が怖くなった。あからさまに異質さを放つ、そんな中。ただ一人、依存欲をいいように使ったやつがいた。 「ジフナ。」 声色だけで、メッセージだけで、俺をいいように操って。従わせたりしないのに、従わせてるような。飴を嚙み砕く音はもう聞こえなくなって、液体も減らなくなって。ただ、通信機器の充電だけが気になるようになった。画面に通知が浮かび上がるのを待つようになった。 「一番避けてたはずの依存じゃなかったの、それ。」 友人の言葉はもう脳漿に届かない。これが、依存だった。
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zfxuz · 7 months ago
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部屋の惨状が余計に気分を沈ませる。
脱いだジーンズ、あちこちに入れ替えたバッグ、届いたままのダンボール。何もしたくなくてゲームなんてやってみても直ぐに飽きてしまって。そう言えば俺飽き性だったななんて思い出す。他のことなんて忘れてしまった。今は忘れていたかった。自分の温もりしかない布団はだんだん頭を鈍らせていって。ああ、また眠りにつくのかも。なんて思えば、耳に届く解錠の音。
「お、今日はお目覚め?」
「うん。」
「触られたくないものある���」
「ううん。」
慣れた手つきで投げ捨てられた紙袋を拾い上げ、床に散らばったものを捨てたり戻したりする彼は嫌にならないのだろうか。俺はいつからこうなって、いつまでこうしてるんだろう。
「ウォヌ。」
「ん?」
「愛してた?」
「終わったことは無いよ。」
そうじゃなくて。
「明日だって愛してるんだし。」
嬉しくなることは減った。それでもそこに安心してしまった。
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zfxuz · 8 months ago
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ミンギュヒョンは分かりやすい。
というか、感情表現が豊かだ。よく笑うしよく拗ねる。それを見てヒョン達は楽し気に笑ったり、からかったりするのだけれど。ある男に関することだけは、驚くくらい隠すのだ。最近可愛がる頻度が高くなったヒョンが彼に近づくと目の端に現れるのに何をするわけでも無く他のヒョンと絡むのだ。たまにヒョンが強化ペンだとされる末っ子に絡んだりして首根っこ掴まれていたりするけど。でもたぶんそれは計算のうちなんだろう。俺と彼が話していてもそうだ。彼が一生懸命俺に話しかける間、俺は水の中に沈められた気分になる。何処にいても何処からでも見られているような。5回に1回話に入る程度で。5回に1回俺がやろうか?なんて言ってきて。さらに5回に1回わざと失敗して見せる。もーヒョンったらまたやらかしてる!なんて声の先には煮詰めた蜜を携えた目で彼を捉えてるヒョンが居て。何で彼は気付かないんだろう。何で他のヒョンは何も言わないんだろう。気付いてないのだろうか。天使を冠する彼とか、眼鏡の先の目とか、気付きそうなのに。
「あれ?気付いてないの?」 「…?」 「あれはスングァナに応えてるだけだよ。」
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zfxuz · 8 months ago
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多分もう、かえれないのだと思った。
帰れないし還れない。色んな<かえれない>の集合体が襲ってくるものだから、もう君にあえないと思った。もう会えないよ、俺たち。契約みたいな好きも愛してるも欲しかったけど欲しくなくて、求められたけどあげたくなくて、浮かんでは消えた言葉の墓だけが増えていく。ねえ、俺君に話したいことが沢山あったんだよ。君に聞いてほしいことが沢山あったんだ。君に残ればいいと思った。君の中に棲み付いてしまいたかった。でもきっと、君にとってはただの一瞬で、落葉の一枚でしかなかったんだと知っているから。もう、会わないよ。俺たち。ただの悪足掻きもやめてしまおう。君へのチューニングもやめてしまおう。そうやって、無い日々に、戻っていこう。どうせなら君に、恨まれてみたかったのだけれど。
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zfxuz · 9 months ago
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「今日は眠れなさそうだからお薬飲まなきゃね〜。」
「お前、ずっとそんな事やってんの。」
「…どうして?」
「近付いた分距離取るの、あの時と同じことするつもりか?」
「同じとは、限らないんじゃない?変わらない構成物は俺だけでしょう?」
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zfxuz · 9 months ago
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耳にイヤホンをはめる。何を聴きたいとも思わない今の頭はどうやら何も定まってないらしい。感情も、行動も。ついさっきの行為は形骸化したものに成り果てた。世界は突然歯車が噛み合わなくなったかのように見えるけれど、その実その前から悲鳴に近い音は鳴っていると聞いた。無視し続けるとろくな事にならないのはきっと耳鳴りと同じだ。“어젯밤” 兄たちの声が意識を引き戻す。昨夜。夜。夜は好きだ。騒々しさから解き放たれたようで。夜は嫌いだ。一人が独りに変換されてこの世から追放されたようで。朝を、迎えないでほしい。夜に隠れた人が、残葉だけを置いていくから。二人であったことも、一人であったことも、蝶が見た夢だったのかもしれない。夢には、してくれないのだけれど。
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zfxuz · 9 months ago
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「あ、ジフナお帰り~。」
リビングからこちらを覗く顔。あー、もう我慢できないかも。半ば靴を脱ぎ捨てながら、オフという状況で普段より気も抜けて落ち着いた雰囲気の彼へ一直線に向かう。無言で真顔の自分にえ、何、なんて少し怯えながら距離を取ろうとするから腕を取って無理やり立たせる。 「するぞ。」
未だ理解が追い付かない彼を無視して寝室の扉を雑に開ける。彼を食らう事しか頭になくて、何もかもが雑だったかもしれない、と気付くのはしばらく後だけど。連れた彼の上体を少し強めに押すと察したようにベッドの上へ倒れてくれる。狼狽える目に少し笑いそうになったもののその奥の色に雰囲気は悪くないと感じる。相手の抵抗を防ぐように腰元へ馬乗りになると共に興奮から熱くなった体を冷ますようにTシャツを脱ぎ捨てる。眼下の男がこの熱に浮かされてくれたらいいと思った。特に何も言わず薄く色めく唇に自らのを重ねれば性急に舌を割り入れる。窒息したって構わないと過ぎるほど何度も、奥まで、触れてない場所がなくなるように口腔を蹂躙する。先刻から無視し続けた限界を知らせる拳が徐々に力を強めるから仕方なく離すと、彼が赤く染まった顔で必死に酸素を取り入れようとする姿すら扇情的に見えて。ならばと、首筋に顔を埋め舐めあげる。腹部へ手を回すと滑らかな肌の隆起を辿り彼の上衣を捲ることも忘れずに。呼吸で上下する胸が主張する先端を躊躇いなく摘まむと漏れ出る声が自分の背筋を震わせる。もっと聞かせてほしい。食んで、濡らして、噛んで、吸って、刺激を与えずには居られなくて。最中に声をかけてこなかったのは、きっと答えられないのが分かっていたのかもしれない。声をかけられなかったのかもしれないけど。自分の圧がかかる位置がずれて互いに膨れた主張を擦り合わせるように揺れる腰が先を強請っているように思えたから。一度身体を離して、下着ごとボトムを剥ぎ取る。糸を引くほどではないけど艶やかに濡れたそれを握り込むと射精感を追い立てるように上下へ動かす。ああ、そういえば今日はまだだったな。彼の果てが近付くのを手中に感じながら上衣の首元を広げ肩口へ思い切り歯を立てる。喉を焼くような呻きと体内の熱を吐き出す鈴口。まだ、もっと。手に纏った白濁を気休めの潤滑油として後孔の淵を撫で爪の終わりまで中へ押し込む。ベッドサイドの抽斗を手探りで漁ればすぐ手に入るボトルの中身を戯れていた指へ垂らすと今度は中をほぐす動きに変えて肉壁を開いていく。きつく閉じてるのに熱くうねるそこを早くそれでも傷付けないように、俺が堪えられるうちに。まだ存在感の少ないしこりへ触れると一定の間隔で叩き続ければさっき吐き出したばかりの昂りは再度質量を持って。五分も満たない時間の最後に爪を引掛ければあっけなく上体を反らす彼が愛らしい。収縮のあと緩んだ隙に差し込む指を一本、また一本と増やしていく。もういいだろうか。下履きの中で限界を迎えるのは惜しい。休憩なんてあげられない。脱ぎ捨て露わにした自身へ膜を着ければ入口へ押し当て彼の顔を見遣る。上気して、涙が零れたものそのままにかち合う目線に眩暈がするのは幻覚で。もう、いいか。押し当てた熱を中へゆっくりと沈める。浮く腰を掴んで散々弄ったしこりを狙い打つと、やだとか、だめとか、そんな声は届かなくて。どんどん締め付けてくる壁が熱を増幅させる。もともと果てそうだった自身は彼がイくと同時に震える身体へスキン越しに吐精する。まだ。すぐにゴムを付け変えると抜いたままの孔へ再度突き立てれば打って変わって奥へ奥へと押し込む。一番奥まで隙間なく埋めると腫れた前立腺を引掛けるように当てながら入口まで抜き、存在を分からせるようにゆっくりと。今日は、どれだけ泣かせても鳴かせても足りないような。吐き出させて吐き出して、もっともっとって。このまま何も知覚しなくてもいいような、そんな日を許してほしい。
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zfxuz · 10 months ago
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スングァナが消えた。
忽然と姿を消した彼は誰にも何処にも手がかりを残さないまま存在だけ抹消してみせた。特に、同居していた兄は主だけが失われた部屋を見て憔悴し、一段と可愛がっていた兄は何度も手元の機械を見ては落ち着かない様子で。それぞれがそれぞれに不安と疑念を表しているこの空間はさぞ重たく見えていることだろう。誘拐だのなんだのって警察が話に上がったタイミングだった。 「は?」 声を上げたのは誰だったか。マネヒョンが言うには既に各方面への話がついているため、休養として扱われるらしい。なるほど、上手くやったものだ。俺たちだけ知らない話だったのだ。この俺たちだけが。犯罪に巻き込まれた可能性はこれで限りなく無くなった次に訪れるのは。彼は戻ってくるのかという疑問で。休養とは?いつまで?それは本当に期限があるのか?誰も問いに出来ないまま解散の流れになった瞬間。ずっと視線の先に留め置いた彼は言いかけた何かを飲み込んだ。
「それで?」 「…なにがですか、ボノニヒョン。」 マネヒョンの協力により少し早めに集合させられた彼は、何かを望むような顔を向けて。一人だけ既読の付かないグループトーク。あの日から5日が経っていた。 「連絡、来てるんだろ。」 「そんなに顔に出てましたか。」 「さあ?ヒョン達が気付いてるかは知らない。」 「…来てます。一日一回、生存確認みたいなメッセージが。何言ったってこっちの話はスルーして、一文だけ。」 らしいと言えばらしいし、らしくないと言えばらしくない。実のところ曖昧な余白がある彼だからだろう。 「それと…かくれんぼ、だって。」 「何との?」 「世界、って言ってた。」 「世界。」 謎かけみたいな、そんな類か比喩か。 「あの、ヒョン。」
どうやら今回は相当練った失踪らしい。マンネを橋渡しに一人だけに告げられる生存確認。長兄は末っ子の異変に気付いていたのだろうか。一番に声をあげそうな彼が静かに潜めるように時を待っていたのを。ああ、こういう事を考えるのは苦手だ。人なんて推し量れやしないのに。今は、彼だけを考えることにしよう。世界とのかくれんぼ。この全世界監視社会において無謀な、と思わないでもないが。果たして彼は見つかりたいのだろうか。見つかりたくないのだろうか。迷っているからかくれんぼなのだろうか。見つけたとして、彼は戻りたいと言うだろうか。…それは、俺が考えたって仕方ないのではないか。とにかく、見つけてから。話はそれからな気がした。帰るのであれば手を取ればいいし、帰らなければそこにいたっていい。出来ることも出来ないことも限られているのだから。
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zfxuz · 10 months ago
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突然、空に住んでいるような気がした。
星でも海でもなく、今まさに辿り着いた家でもなく。太陽を拠り所にして、熱に浮かされて、光に灼かれちゃうような、そんな場所に住んでいるのだと、そこが住処なのだと脳が暴走する。地に足が着いてないと言われたらそうなのかもしれない。でも天上天下が怪しい世界の中で泳いでいたら狂えなかった者負けで、狂いすぎた者からプールの底を突き抜けて落下していく。そうだ、ここは空中庭園だ。
「ジュニヒョン?」
「え、あれ、どうしたの、」
「車内に忘れ物してたから。また暫く向こうに行くんでしょ?」
「あ、ありがと、「ジュナ、」
狼狽え続けていた目を向かせる力のある声。何を考える間もなく彼を見てしまう。
「ちゃんと帰っておいでね。向こうでもなく何処かでもなく、ここに。」
目の前に見えていた禁足地は霧散して、浮かされも灼かれもしない場所にいることを認識する。それでも、眩しさだけはそこに残っていた。
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zfxuz · 10 months ago
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時折揺らめく炎がうまく薬葉へ渡ってくれない。
それでもう夏が終わるのだと気付いた。ふと思案した瞬間に着くものだから、早く吸えと急かされるままに肺へと取り入れる。身体に毒だと手を出さなかったこれはいつからか癖になっていた。吐いた煙がスクリーンになることは無い。
足を開くことに抵抗はあった。でも開かせることに対して惹かれもしなかった。多分、投げやりだった。アイツが迫って来たときですらも。ずっと。浅くなった眠りがもたらす暗闇に灯る小さな光に安心をおぼえた。本当に安らいだことは無いからただの錯覚だけど。気持ちいいと思い込んだだけの生産性皆無な行為。嫌いじゃないよ。アイツのことも。この行為も。それでも亡くなった心とやらには響かなくて。知らない訳はないんだ。緑色のソフトケースは忘れもので、薄黄色の使い捨てライターはお前の色で。匂いを纏ってることも、何を考えてるのかもお前には全部お見通しなんだ。それでも寝たふりを続けるし、寝起きのふりして俺を迎えに来るだろ。たかが20歩もない距離を迎えに来るようなやつだよなお前は。夏に侵されて湿気った紙がしなびていく。限界まで燃えた手元が終わりを知らせるように。
なあ、俺らって何だったら満足したんだろう。
「ジフナ。」「ん、戻るよ。」
俺らって、どうやったら手を重ねられていたんだろう。
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