Tumgik
#推定シアワセな家族
oren-ikikta · 5 years
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JOY TAKE ME HAPPY
おれは以前1ヶ月ほど、厳格宗派のキリスト教徒と生活を共にしたことがある。日本に帰省中の家族が戻ってくるまでの1ヶ月の間、彼はNYの自宅のルームメイトになった。
彼は、とても快活で健康でオシャレで清々しいオランダ出身の黒人の好青年。
早朝から深夜まで働き、時間があれば神に祈り、日曜日と水曜日になるとシワひとつ無いパリッとしたスーツに身を包み教会にいく。
お酒は飲まず、もちろんドラッグもやらない。
セックスも結婚するまでは禁止で、彼には婚約者がいるが、12歳の頃に教会で出会った幼馴染で、何年もかけてその宗派が推奨する結婚のためのレッスンを受け幸福な結婚への準備をしている。
彼は心身ともに健康で、快活で、頭がいい。
そして本当に優しい。つまり最高なやつだ!
彼は、アフリカからオランダに移住した両親に負担をかけまいと、大学進学をやめ、夢をかけて日本にきた。そして日本で世界的に有名なファッションブランドのオーナーに見初められて、グローバルディレクターとして世界中を飛び回っている。彼はまだ24歳だ。
一緒に暮らしていた間、いつも仕事が終わり、深夜に帰宅した彼と、音楽制作の手をとめて、いろんな話をした。
それぞれの人生のバックグラウンドについて話し、文化の違いから、やがて宗教観へと話は移る。
彼は、おれに、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の始まりや聖書の話をたくさん聞かせてくれた。
おれは、NYに来るまで、宗教を人生の軸として生活する人々に出会ったことがなかった。
宗教と聞けば、なにやらアヤシゲなもののイメージだったし、どういうものなのかを知る機会も無かった。
彼に質問を投げかける形で、宗教というものや、それを基にした社会というものについて多くの話をした。
これは、おれの人生の中で、まさにガイダンスと呼べるような経験で、自分の異世界/異文化を肌で感じ、深い共感を得る重要な機会になったと思っている。
彼との会話の中で最も印象に残っているのは、人間の幸せ、についての話。
彼との会話の中で気づかされたこと、それは、おれが使っている「幸せ」 という日本語は、少なくとも2つの意味を混同していたということ。
非常に概念的だが、おれにとっては非常に重要なことだった。
彼が言うには「幸せな状態には2通りある」と。
それは、
「Happy」 … 外部の環境条件が満たされて得られる「シアワセ」 と、
「Joy」…自らの内面から湧き出る「ヨロコビ」に満たされた状態の「シアワセ」と。
外的要因による安心感/満足感のHappyと、外部状況にかかわらず自らの心から湧き出るワクワクや安定を得られてる状態のJoy
このHappy と Joyの違いには、正直目からウロコだった。
おれは、それまでいつも外部の状況を良くする事ばかりに気を取られ、自分の本当の喜びを圧し殺して、ストレスを溜め込んでいた。そうして、期待や理想や目標に現実がついていかないことに対して、自分自身や周囲の状況にどうしようもない焦りや苛立ちを抱えていた。そうして自信を失っていた。
でもそのことに気づき、自分の内面の喜び「JOY」に目を向けるように出来るようになったところ、状況がどんどんと良くなっていった。
JOYが、HAPPYをつれて来てくれた。
おれのJOY、内面の喜びとは、家族を愛すること、音楽を愛すること、日々の細かい瞬間にクリエイティブなマインドを持ち、アートやインスピレーションを感じること。そしてそれを書くこと。
このことに気づいたら、日々の些細なことに喜びを感じられるようになった。
書いていて、どこかで聞いたことのある話だと思った。けど、実際に自分自身の身に起こってみると、とても腑に落ちる。
彼との不思議な同居生活は、風のように過ぎ去ったが、人生の中でとても重要な時間になった。
そして、彼とは親友になった。
おれはクリスチャンの世界で暮らしたことも、まだ教会に行ったこともない。
だけど、宗教というもののイメージはとても変わったし、人々が心の拠り所とする、教えや信心というものに大きな意味や役割があることがわかった気がした。
祖父が96歳で亡くなる数日前のある夜に、信心の大切さについて、言葉少なに伝えてくれたことを思い出した。
あの頃は理解できなかったものが、いま少しだけ理解できる気がする。
日々は学びの連続だ。
大人になろうが、学校に行ってなかろうが、社会に出て働いていようが、自分の好きな道を自給気ままに生きようが、
自分を超える存在や愛への気持ち、他者への理解を忘れずに、日々学ぶ姿勢とチャレンジする気持ちを、大切に生きるべきなんだと、改めて胸に刻んだ。
人は、死や重力からは逃れられない。
だからこそ、いつか終わりが来る。
始まりがあったと同じように。
いつか来るその時まで、楽しみ尽くそう!
いまを生きよう!
Have A Nice Time
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