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iteman · 1 month ago
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この考えを私が好きな言い方で言いなおせば、自己とは行為によって「私」を創造(エナクト)する進行中のプロセスであり、「私」とはこのプロセスそのものに他ならない。たとえばダンスとは、ダンスをその行為によって創造するプロセスであって、ダンス(dance)とはダンスすること(dancing)そのものなのだ。
ダンスは、この世界や他のダンサーとのダイナミックな相互関係のなかに身体全体の表現として存在する。「ダンスはダンサーの筋肉の内部にある」と考えるのが的外れなように、「自己は脳のなかに見つかる」と考えるのも的外れだ。「自己は脳のなかに見つからないから、自己は存在しない」と言うのは、自己の概念を誤���している。ダンスと同じように、自己とは創発されるプロセスだ。それは、空間と時間のさまざまなスケールのなかで行われる心や身体の活動を通じて構成され続けるものである。自己は、豊かな社会環境のなかで文化的に形成された、生ける身体(living body)に付随して生じる。たしかに、自己は独立的で非関係的な存在であると考えるのは間違っているが、依存的で関係的だからといって自己が実在しないことにはならない。
— 『仏教は科学なのか 私が仏教徒ではない理由』(Evan Thompson著、藤田一照監修、下西風澄監修、護山真也訳、Evolving、2024, ISBN 978-4908148279) pp.167-168
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iteman · 3 months ago
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ーーなるほど。ただ、知ることと活用することは、ニュアンスが微妙に違っている気もしますが……。
「そこは、僕ら選手側の人たちというのはどちらかと言えば感覚派の人間なので、データを集めるサイエンティストの人たちのような考え方はしないわけですよ。だからまずはそっち(データ)を知って、こっちの感覚と合わせていく。活用するために、まずは知ることが大事だということです」
ーーデータが解なのではなく、データと感覚を照らし合わせた先に辿り着くべき解がある、ということですか。
「僕ら選手には、まず感覚があります��らね。その感覚を持っていてデータを知るのは簡単じゃないですか。ただ、データを持っているからといって彼らが後から感覚を知るのはほぼ不可能だと言っていい。選手が辿り着いているレベルに行かないと感覚というのは出てこないので、データを集めることを生業としているサイエンティストの人たちには、そこはわからないと思います。だからこそ感覚派の選手側の人たちは、サイエンティストのような考え方はしないわけですよ。でも僕にとってはデータしか知らない側の人たちの考え方がすごくおもしろい。こっちは本能だけでやっているところがある中で、ああ、そういうふうに解釈するのか、という彼らの考え方が好きだし、尊敬できます。それでも選手側の実戦での感覚は絶対にわからないはずなので、そっちを知ってこっちの感覚と合わせる作業が僕のやるべきことだと思っています」
ーー大谷さんの感覚とデータの間にはズレが生じることがあるんですか。
「そうですね。だから感覚を優先させることもあるし、データを優先させることもあります。もちろん、両方のいいところを合わせることもあるかな」
— 『[開幕インタビュー]大谷翔平「今が正解だと思っていません」』 (石田雄太文、文藝春秋, 2025, ISBN 4910204060457)『Sports Graphic Number』2025年 4/3 号(1116号) p.14
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iteman · 4 months ago
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ひとり目の哲学者は西田幾多郎です。本書では言及していませんが、彼の思想は実際、私の以前の著作『身体化された心―仏教思想からのエナクティブ・アプローチ』(神経生理学者フランシスコ・ヴァレラと文化人類学者エレノア・ロッシュとの共著、邦訳、工作舎、2001年)で論じた仏教と認知科学の架橋に関連しています。西田の「行為的直観(enactive intuition)」という概念は、認知科学において認知を身体化された行為であると捉える考え方を強調した、われわれの「エナクティブ・アプローチ」を支持しています。西田における「直観」は、主観と客観が分か��る前の意識(awareness)、あるいは主客を超えた意識である直接経験を意味しています。初期の著作のなかで西田は「純粋経験」という術語を使いますが、それはウィリアム・ジェームズから取られたものです。純粋経験は主観ー客観という二項対立以前の、あるいはそれを超えた経験の基礎的な形式のことです。「行為(Enactive)」とは、受動的な受容とは対照的に、行動(action)によって特徴づけられるもののことを意味します。西田の後期の著作における「行為的直観」が意味しているのは、純粋経験は受動的でもないし身体から切り離されたものでもないということです。すなわち、私たちが自分の身体を通じて活動しているということがすでに意識的であるということであり、私たちは世界によって形づくられながらも世界を生みだしているということなのです。西田にとって身体と世界は、常に歴史的な存在です。それゆえ純粋経験と行為的直観もまた、具体的な歴史的状況のなかで生じるものであり、それらは形成されつつ形成するものであります。芸術は行為的直観のよい例になるでしょう。なぜなら芸術家の創造においては、直観に活動(アクション)が伴い、また活動に直観が伴うからです。西田はまた、科学にもこのことが当てはまると論じています。科学的な観察と実験には、研究者コミュニティにおける特定の器具と身体を通じた直観と活動、あるいはそれらとともにある直観と活動が必要とされます。行為的直観は科学の源泉なのです。このような考えは、物理学者アダム・フランクとマルセロ・グレイザーとの共著である私の近著『盲点:なぜ科学は人間経験を無視できないのか(The Blind Spot: Why Science Cannnot Ignore Human Experience)』(未邦訳)の中心的なテーマです。
— 『仏教は科学なのか 私が仏教徒ではない理由』(Evan Thompson著、藤田一照監修、下西風澄監修、護山真也訳、Evolving、2024, ISBN 978-4908148279)pp.5-6
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iteman · 8 months ago
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iteman · 8 months ago
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WSL | IntelliJ IDEA ドキュメント
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iteman · 9 months ago
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直観は軽薄な手段などではない
多くの人々が直観というものに疑念をもち、それに反発する。直観能力は捕らえ所のない狐火的霊感を意味しない、というのが本論文の趣旨である。むしろそれは日常生活においてつねに作動している基本的な人間の能力なのであり、創造性の研究において広く論じられてきたものである。例えば数学について考えてみよう。証明に確実さを与えるのは究極的にはその説得性であり、我々に与えられている明証の直接性は記号的推論の論理的連鎖を超えている。これこそ直観的明証性の本性である。つまり、それは論理的思考を重ねて得られるのではなく、十分な説得力をもつ明晰さに到達することによって自ずと生じるのである。我々はこの能力を信頼するが、それを体系的に彫琢することにはあまり注意を払わない。論理的思考と推理の間に矛盾が存在することは明らかである。論理的思考なき直観は盲目であるが、直観なき概念は空虚なのである。
『神経現象学 意識のハード・プロブレムに対する方法論的救済策』(Francisco Varela著、河村次郎訳、青土社, 2001, ISBN 978-4791710799)『現代思想』2001年10月号 p.128
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iteman · 10 months ago
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iteman · 10 months ago
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原文の " " は訳文では 「 」 でしめした。原文中の強調のイタリックはゴシックで表記した。外国語を表すイタリックは訳語では特にしめさなかったが、そうしたほうがよいと思われた場合にはルビをふった。原語を併記したほうが意味をよくつらえられると思われたことばは、英訳で使用されている単語をルビまたは [ ] ないにカタカナで表記した。文脈の上からある単語や表現の意味を強調したいときには < >を使用した。原文での大文字による強調もこれにふくめた。さらに訳者による補足的な説明や言いかえは [ ] の中にポイントを下げた活字でしめした。そしてこの補足にかんしては、重複をいとわなかった。* のしるしがつけられた用語については、巻末の「用語解説」を見てほしい。★ は参考文献をあらわし、やはり巻末にリストがつけられている。
— 『知恵の樹』(Humberto Maturana, Francisco Varela著、管啓次郎訳、筑摩書房, 1997, ISBN 978-4480083890)文中の記号の使用について
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iteman · 1 year ago
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最後にカンメラーに語らせよう。
「進化は前世紀の、ラマルクやゲーテ、ダーウィンの世紀の、単なる美しい夢ではありません。進化は真実なのであります。まじめな楽しい現実なのです。生命の機構を形造り完全なものとするのは、冷酷な淘汰ではありません。世界を統御するのは、絶望的な生存競争だけではなく、不必要なもののみを淘汰というブドウ畑に埋めながら、創造物はみな、自分自身の力で、光と生の喜びに向かって努力し、伸びていくのです。」
— 『サンバガエルの謎: 獲得形質は遺伝するか』(アーサー・ケストラー著、石田 敏子訳、岩波書店, 2002, ISBN 978-4006030711)p.222 エピローグ それでも進化する
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iteman · 1 year ago
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かりに環境がこれまでより寒くなったといたしましょう。その時には体毛を成長させれば自然淘汰という点では有利なわけですが、体毛の遺伝子を一つ追加すればそれで済むというほど、事は簡単ではないのです。体毛を得るためには、からだ全体の構造をあらためる必要があるからです。皮膚を変化させるためには、からだの内部の生化学全体を変化させなければなりませんし、からだの細部の生化学を変化させるためには、からだの生理全体を変化させなければなりません。ですから、ほんのわずかな体毛を得るためにも、生体全体の建て直しが必要になるのです。しかし、そのつどゼロから出発するわけにはいきません。それではまるで生体が、自分の見方を変化しうるものすべてのうえに押しつけているようになってしまいます。どんなときにも一切が可能だというわけにはいかないのです。むしろ実際には、ほんのわずかのちょっとした変化が可能なだけで、変化といってもごく狭い世界に限られているのです。それは知覚の世界とよく似ています。知覚においては、〔外的要因がどんなもので���れ〕ひとは期待をもって臨み、期待のうちに含まれていないものを知覚することはありえないからです。
— 『徹底討議 心と生命―「心の諸科学」をめぐるダライ・ラマとの対話』(F.J.ヴァレーラ、J.W.ヘイワード著、山口泰司、山口菜生子訳、青土社, 1995, ISBN 978-4791753826)pp.296-297 11 生命の進化
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iteman · 1 year ago
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iteman · 1 year ago
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iteman · 1 year ago
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iteman · 1 year ago
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iteman · 1 year ago
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iteman · 2 years ago
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ここで、私がよく質問されることを取り上げたい。実験で検証されていなければ、どうして理論について自信をもって話せるのか?私がたったいま語ったのは、こうした状況の一例だ。新皮質には座標系が満ちあふれているのだとひらめいてから、私はすぐにそれについて自信をもって語り始めた。本書を書いているいま、この新しい考えを裏づける証拠は増えているが、まだ徹底して検証されてはいない。それでも、この考えを事実として説明することにためらいはない。理由はこうだ。
私たちが問題に取り組むとき、私が制約と呼ぶものが見つかる。制約とは、問題に対する解決法が対処しなくてはならないものだ。シーケンス記憶を説明するとき、曲名当てクイズなど、制約の例をいくつか挙げた。脳の生体構造と生理機能も制約だ。脳の理論は最終的に、脳の細部をすべて説明しなくてはならないし、正しい理論はそうした細部のどれも無視できない。
問題に取り組む時間が長ければ長いほど、たくさんの制約が見つかり、解決法を推測するのが難しくなる。本章で説明した発見の瞬間は、われわれが長年取り組んだ問題についてのものだ。そのため、われわれはその問題を深く理解していて、制約のリストは長かった。解決法が解く制約の数が増えれば、その解決法が正しい可能性は飛躍的に高まる。クロスワードパズルを解くようなものだ。たいてい、個々のヒントに合致する言葉はいくつかある。その言葉のひとつを選ぶと、まちがいかもしれない。交差してうまく当てはまる二つの言葉が見つかれば、両方とも正しい可能性ははるかに高い。交差する言葉が10個見つかれば、すべてがまちがっている確率はとても小さい。心配せずに答えをペンで書ける。
発見の瞬間は、新しい考えが複数の制約を解くときに生まれる。問題に取り組んだ時間が長ければ長いほど――ひいては解決法が解く制約が多いほど――目からうろこが落ちた気持ちは強く、答えに対する自信は強い。新皮質には座標系が満ちあふれているという考えは、非常に多くの制約を解決したので、私はすぐにそれが正しいとわかったのだ。
— 『脳は世界をどう見ているのか』(Jeff Hawkins著、大田直子訳、早川書房, 2022, ISBN 978-4152101273)pp.78-79 第1部 脳についての新しい理解 第4章 脳がその秘密を明かす
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iteman · 2 years ago
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