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妖しは恋し、にぎやかし
今日で此処ともお別れだ 飲んで歌ってお別れしよう おやおや人の子、我らが見える? これはめずらし、面白し 宴に混ざれ、飲め飲め歌え
inSANe「妖しは恋し、にぎやかし」
いつの間にか迷い込んだのは 満開の桜が咲く山の中 目の前には人ならざる者達 ああ、もう のまなきゃやってられない! ------------------------------------------------------ PL 人数: 2 人 リミット:3 狂気カード:6 ~ 8 枚 傾向: 協力型 。どんちゃん騒ぎ、王道。 時間:テキセ 5 ~ 8 時間、ボイセ 2 時間 ・PC1 貴方は散歩に立ち寄った山で奇妙な出来事に遭遇する。 周囲でどんちゃん騒ぎをする『人ならざる者』。 彼らが妖怪であることは分かったが、なぜ酒を飲んで暴れているのだろう。 しかも自分はまきこまれてしまった。逃げられない。 貴方の使命は『無事この山から帰ることだ』 ・PC2 どんちゃん騒ぎをしている、貴方は妖怪と呼ばれるもの。 皆で酒を飲み、わいわい思い出話に浸っている。 今日でこの山ともお別れなのだ。 寂しいけれど住めなくなるならしょうがない。 珍妙な客もやってきたし、さあもう一杯飲もうか。 貴方の使命は『最期の宴を楽しむ』ことだ。
※これより先はネタバレを含みます
【シナリオ背景】 妖し山を守っていた妖怪ミノリさま、彼が封印されてしまった事により山は妖怪達が住める場所ではなくなってしまいます。 皆がばらばらになってしまう前に、妖怪達は最後の宴を開きます。 そんな時、下見に訪れていたPC1はたまたま妖怪が見えるようになってしまいました。 このまま開発計画を進めるか、妖怪達の住む場所を残すか、PC1は決断を迫られます。
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☆PC作成について PCの設定によって職業は自由に選んでいただいて構いません。 ただ、PC1は成人にしてください。 PC2は妖怪という設定になりますが、手当が得意な妖怪だから医者でつくったよ~、等こじつけしつつご自由に作成してください。
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◆PCハンドアウト
・PC1 貴方は散歩に立ち寄った山で奇妙な出来事に遭遇する。 周囲でどんちゃん騒ぎをする『人ならざる者』。 彼らが妖怪であることは分かったが、なぜ酒を飲んで暴れているのだろう。 しかも自分はまきこまれてしまった。逃げられない。 貴方の使命は『無事この山から帰ることだ』
秘密 ショック:なし 貴方はこの山の開発事業の責任者または協力者である。 その下見に訪れただけだったのだが、山ではこの騒ぎだ。 本当にこの山を開発して大丈夫なのだろうか? 貴方の本当の使命は『この山の開発が安全なのかを見極めることである。』 ああ、もう飲まなきゃやってられない。
・PC2 どんちゃん騒ぎをしている、貴方は妖怪と呼ばれるもの。 皆で酒を飲み、わいわい思い出話に浸っている。 今日でこの山ともお別れなのだ。 寂しいけれど住めなくなるならしょうがない。 珍妙な客もやってきたし、さあもう一杯飲もうか。 貴方の使命は『最期の宴を楽しむ』ことだ。
秘密 ショック:なし 貴方は此処に訪れる人間が最近やたらと多い事に気が付いている。 何かをたくらんでいるのかもしれないし、この山の主ミノリさまに手を出したのかもしれない。 この人間も仲間だろうか。 皆は宴で浮かれているが、自分は気を引き締めておかねば。 貴方の本当の使命は『この人間が何者かを見極める』事である。 悪い奴でないのならば、一緒に酒を飲むくらいやぶさかではないのだ。
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◆調査ハンドアウト一覧
・HO:妖し山 どこかにある、自然が残る山。 今は此処で妖怪が大宴会を行っている。
秘密 ショック:なし 今、この山は枯れかけている。 いずれ人による開拓が行われるだろう。 ミノリという妖怪の力で自然も守られ、人の手からも守られていた。 現在はこの妖怪の大騒ぎに森の妖気が濃くなり、たまたま波長が合ってしまったPC1は妖怪たちが見えるようになってしまった。 これは一時的なものであり、PC1にそのような能力が備わったわけではない。 宴が終わればまた見えなくなるだろう。
・ HO: ミノリさま この山の主であった妖怪。 ある日姿が見えなくなり、妖怪達はこの山が嫌いになってしまったのだと思っている。 ミノリさまが居ない事で森は枯れかけており、妖怪達は引っ越しを余儀なくされているようだ。
秘密 ショック:全員 どうやら彼は封印されてしまったらしい。 この山には彼の御神木もあるが、その御神木が枯れてしまえば悪鬼となってしまうという。 枯れていない事から、まだ生きてはいると思われるがこの山が枯れてしまえば御神木も無事とはいかないだろう。 【HO:祓い屋】が追加される。
・ HO: 祓い屋 ミノリさまに手を出したと思われるもの。 この辺に祓い屋はいなかったと妖怪達は話している。
秘密 ショック:全員 彼は「この山の妖怪達を祓ってほしい」と依頼されてミノリさまを封印した。 ミノリさまは小さな瓶に閉じ込められ、今も祓い屋の手元にある。 どうやらミノリさまを式神か使い魔のように扱うつもりらしい。 この山の妖怪達の事も、狙っているようだ。 【拷問】で恐怖判定を行う。
・ HO: 山へ入る人々 最近山にはよく人間が訪れている。 いったい何をしに来ているんだろう。
秘密 ショック:PC2 彼らはこの山の開発計画を考えているようだ。 別荘が立ち並ぶリゾート地へと変わるらしく、人間たちはその下見や準備でこの山を訪れているのだ。 【HO:開発計画】が追加される。
・ HO: 開発計画 この山をリゾート地にするべく始まった開発計画のようだ。
秘密 ショック:なし 予定が前倒しになり、今日から開発計画が始まることになったようだ。 トラックもその作業のためにやってきていた。 このトラックは【罠】の判定を行って妨害をしていない場合、クライマックスフェイズの2ターン目終了時に「御神木の伐採」を行う。
儀式:封印破り 壺に封印されたミノリさまを助けるための手段。 祓い屋の生命点を0にし、【破壊】の判定に成功するとミノリさまを開放することができる。 これは失敗するとミノリごと瓶を破壊することになってしまう。 ※つまりは一階きりの勝負です。 この判定に回想シーン、武器、お守りは使用することが可能です。
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◆導入
まだ寒さの残る春の日。 桜の木には蕾が膨らんでおり、もうじき美しい花を咲かせるのでしょう。 街から少し離れた山の中を、PC1は歩いていた。
そんな折、突然の強い風。 思わず目を瞑り、また開いた時、そこは。
満開の桜が咲く山の中だった。
桜の木の下では、あきらかに「人ではない者たち」が宴会を開いている。
「今日で終わり」 「今日で最後なんだ」 「ああ、名残惜しい」
彼らは口々にそういっていた。
PC1とPC2の出会いの場面です。 PC2は宴会をしている妖怪達の一人で、妖怪達はPC1を宴会へと誘い込みます。
【HO:妖し山】【HO:ミノリさま】が調査可能となります。
※妖怪達に話を聞くならば、この山は明日には枯れてしまい妖怪たちが住めるような場所ではなくなると話してくれます。 これはPC2も知っている事です。
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◆マスターシーン
▽第1サイクル終了後 最近はよくトラックが通り、この森に入ってくる人間がいます。今も山の中に止められているようです。 一体何をしに来ているかはわからないが、話し合ってあちこち見て回っています。
【HO:山へ立ち入る人々】が追加される。
トラックにはゾーキングをすることができ、調べてみると積まれているのはチェーンソー、手鋸、鉈などが積まれています。
このトラックの真上には崖があり、その上には大岩がある。 頑張って押せば転がして下に落せそうだとわかります。 酔っている妖怪達はいたずらをしてしまえ、とはやし立てています。
【罠】で判定すると落すことが出来る。
この時失敗したとしても、【計画判定】として自分の手番を消費し再挑戦することも可能です。
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◆クライマックスフェイズ
3サイクルが経過するとクライマックスフェイズへと移行します。
桜は散り始め、もうほとんど葉桜になっている。この山の自然はもうなくなってしまうのだ。
寂しそうに妖怪たちがつぶやいているところに、がさがさと誰かが足を踏み入れる音が聞こえてきます。
やってきたのはスーツの中年の男性と、和服に身を包んだ男性でした。
「いやぁ、此処はお化けがでると有名でしてねぇ。念には念をというのもやはり必要でして。ああ、信じてはいないんですけどね」
スーツの男はハンカチで汗をぬぐいながら和装の男性に話しかけている。
「いますよ、妖怪は。……ああ、あんなにうじゃうじゃといるじゃぁないですか」
着物の男はするりとこちらを指さした。
スーツの男もつられて視線をこちらへと向け、首をかしげている。彼に妖怪は見えてはいないようだ。けれど、その視線はPC1へと向けられます。
「おや、PC1くん、こんなところで何をしているのかね」 驚いたようにスーツの男がPC1へ話しかけてきます。
「ほら、そんな所に居ないでこちらにきなさい」
スーツの男は、PC1を呼びます。 PC1に、着物の男も話しかけてきます。
「なるほど、なるほど。ほだされたのですね」 「……君は、人間の味方ですか? それとも、妖怪の肩を持つんですか?」
▽【罠】の判定に成功していた場合 もしトラックにいたずらする事を選択していた場合には、トラックが埋もれていて焦る描写も追加してください。
「あああ!! こんな、ひどい……!!」
スーツの男性は慌てふためいています。 それを見た和装の男性はPC1をじろりとにらみつけた。
「これは妖怪達の仕業ですね……ああ、貴方が悪知恵を授けたんですか? 人間のくせに、妖怪の味方なんですか?」
「今謝罪し、こちらに戻るなら許すこともやぶさかではありませんよ」
クライマックスはPC1の選択を待つことになります。 妖怪側に残るか、人間たちの方へ戻るかを選んでもらいます。
▽PC1がこちらの残る選択をした うぉぉ!!と妖怪たちが歓声を上げる 「見直したぜ人間! いや、酒を共に交わしたからにはもう友人だな」 「良く言ったぜ」 「そこまで言われて、俺たちがあきらめるってのはなぁ、なあPC2!!」
【封印破り】の儀式が公開になり、クライマックス戦闘となります。
▽PC1が妖怪達と離れる決断をする。 【◆PC1がスーツの男の方へ戻る】へと移行します。
------------------------------------------------------ ◆PC1がスーツの男の方へ戻る PC1がスーツの男たちのほうへ戻ることを選択すると、開発計画が進められることになります。 PC1は病院送りにはなりませんが、妖怪達は祓い屋に捕らわれてしまいます。 その後は【PCが戦闘不能になる】を参照してください。 ------------------------------------------------------
【エネミー】 祓い屋 生命点6 《拷問》《罠》《破壊》《恨み》 【基本攻撃】《拷問》 トリック《罠》 プロットは6へ。PC2を集中的に狙います。
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◇戦闘レギュレーション トラックをとめていなかった場合には、それをとめることも必要になります。 2ラウンド後には、御神木が切り倒されてしまいミノリを助ける事をできません。 これは自分の手番を消費し、判定【罠】をすることでトラックをとめる事ができるとします。
☆クライマックス終了条件 ・儀式の成功/失敗 ・PCの脱落 ------------------------------------------------------ ◆END・A:儀式の解放に成功する 解放が成功すると、あたりは一面に桜が咲き誇ります。 ミノリの帰還に妖怪達は大歓声。 祓い屋は妖怪達にどこかへ連れていかれてしまいます。
残った妖怪達はまた酒を取り出す。 「さあ、宴を始めようか!」 「飲めや歌え、妖し賑わし我らの山よ!」
PC2とPC1ももみくちゃにされながら、宴を楽しむことになります。
この宴の最中、PC1は酔いが回ったか、眠たくなってくる。
目を覚ますと、ただただ静かな森が広がっていた。 あれほど咲き誇っていた桜もない。
……けれど、髪にはひとひらの桜が。
最初で最後、妖怪達とのにぎやかな宴。 桜だけが、あれは夢などではなかったと告げていた。
結局、開発計画はおじゃんとなり。妖し山はこれからもそこにあり続けるでしょう。
時々、楽しそうな声があの山から聞こえるのだと怪談話が広まるようになるのは、もうすぐそこの話。
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◆END・B:儀式に失敗し、ミノリごと破壊する ミノリが破壊されてしまうと、森はみるみる枯れていく。妖怪達も引っ越しを余儀なくされます。PC1はこの山の開発の責任者を任されることになり、妖怪達の居ない山をどのように開発するのかは、PC1に託されます。 PC2はまた新たな住処を捜して仲間たちとふらりと旅に出る事でしょう。
いつか帰ってきたとき、妖し山はどのように変わっているのかを思い描いて。 ------------------------------------------------------
◆END・C:PCが戦闘不能になる ミノリを助ける事も出来ず、PC1は病院で目を覚まします。目の前には祓い屋がいます。「あなたのおかげで大収穫ですよ」 そういって大量の人型の紙や瓶を取り出す。 そのうちの一つには「PC2」の名前も付いていた。
彼らは、この祓い屋に捕らわれてしまったのです。 もう、妖し山で妖怪達の宴が開かれることは二度とありません。
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◆シーン表
1:山の果物で作った果実酒だ。甘酸っぱくさわやかな味がする。 2:「妖怪殺し」という強い酒。……これは、飲んでも大丈夫なのだろうか。 3:山の花から作られた甘い優しい香りのするお酒だ。ほんのりと桃色で美しい。 4:しゅわしゅわと泡が出ているお酒だ。この山にはラムネ水がわく場所があるのだそう。 5:そろそろ酔いが回ってきた。お水で一休み。 6:真っ黒で煙が出ているお酒。長年の研究で作り上げた薬酒らしい。まずい。
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のめのめ、歌え。 これが君と共にする最後の宴。
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刀剣男士CoC探索者作成ルール
きなこの作成した刀剣乱舞×CoC用のPC作成ルールです。 頒布しているシナリオを遊ぶとき、オンラインでPLにルールを伝える際にお使いください。 ・ステータス 「ク トゥルフ神話TRPG」に準拠した上で、ハウスルールとして【日本刀】【槍】【薙 刀】の技能をいずれか一つ職業技能とする。ステータスの入れ替えは取りうる値の範囲を逸脱しない限り可能とする。また、EDUの+3は除外して入れ替えを行うことが可能。※SIZ刀剣男士にはそれぞれ身長が決まっていますが、この卓内でのSIZは身長ではなく体格や体を鍛えているか、と捉えることとします。SIZ18の短刀が出来上がったとしても、身長が槍並にあるということにはなりません。
ものすごくSTRが高い短刀、ものすごくDEXが低い脇差、などなど出来上がることもあるかと思います。 その場合は「練度が低い、高い」「身体を鍛えるのが趣味」等いい感じに味付けするための個性とします。 入れ替え等のステータスが決定しましたら、追加でポイントがそれぞれ入ります。(ここで追加されるポイントによってダイスで出る以上のステータスになったとしてもOK。ただしPOWのみ上限を18までとします(ステータスダイスでDEX18でも上限を超えて追加OK)) ・追加ポイント:10ポイント最低でも3か所に割り振る事。 ・HP最終決定したHPに+10ポイントを加えてステータスは完成です。 技能取得へ進みましょう。・技能取得新規作成のキャラクターの技能値は85を上限とします。職業技能として【日本刀】【槍】【薙刀】の初期値を50%とし、取得するものとします。日本刀についても「抜刀」の宣言なしに1ラウンド目から攻撃可能。 【武器性能】初期技能50% ダメージ:1D10+DB ・職業技能【日本刀】【槍】【薙刀】に加えて、基本ルルブに掲載の職業から選んだ職業技能を取得する。手当が得意だから「医者」から、などなど作りたいPCの個性で選んでください。 さらに、選んだ職業技能+1個自由に選んで取得してもかまいません。
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いいかい? 決して触れてはいけないよ。
それは幼いころから聞かされてきた言い伝え。
人が普段は入れない森に、誘い誘われ迷い込むと
そこには『妖怪』が住んでいる。
その妖怪に触れてしまえば、ただでは済まないのだと。
inSANe『とけないのろい』
ああ、今日も森に一人、人間が迷い込んできた。
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システム:マルチ・ホラージャンルRPG インセイン 本当は怖い現代日本対応 PL人数: 2人 リミット:3 狂気カード:6~8枚 傾向: 特殊型 。しっとり切ない。 時間:テキセで5~8時間、ボイセで2時間くらい
基本ルルブのみで遊べます。
【シナリオ背景】 他人の心がわからないPC2に、神様は最後の試練を与える事にした。 「思いやり」の心を知らねば二度と動けぬ呪いをかけた。 そんなPC2の元に、死と生の間を彷徨うPC1が迷い込んでくる。 これに合格すれば晴れて神の仲間入り。 PC1は無事に帰ることが、PC2は呪いを解くことができるだろうか。
このシナリオは「美女と野獣」をオマージュしたものであり、シナリオ内にもこの物語だろうと思わせる絵本が登場します。 美女と野獣の物語を知ら無くても遊ぶことは可能です。
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【PCハンドアウト】
☆PC作成について PCの設定によって職業は自由に選んでいただいて構いません。 PC2は妖怪という設定になりますが、手当が得意な妖怪だから医者でつくったよ~、等こじつけしつつご自由に作成してください。
HO:PC1
あなたはいつもの帰り道、暗い森の中へと迷い込んでしまった。 どうやら此処は妖怪達、人ならざるものが住む領域だそうだ。 この地域には、人が入れない妖怪達の領域があると言い伝えがある。 曰く、そこの妖怪に触れてしまうと呪いをかけられてしまうのだとか。 こんな恐ろしい場所に居るのはごめんだ。貴方の使命は「無事に家に帰る事」だ。 ああ、本当に帰れるのだろうか。
秘密 ショック:なし 貴方はこの森にまつわる都市伝説を知っている。人が普段は入り込めない森に「悪い妖怪が閉じ込められている」そうだ。目の前にいる妖怪は、まさにその「悪い妖怪」なのかもしれない。貴方はこの妖怪が本当に悪いものなのかを見極め、無事に家に帰らなければならない。その都市伝説に、大人が子供に言いつける一つの言葉がある。「絶対にこの妖怪に触れてはいけない、触れれば消えてしまう」と。そしてもう一つ、別の話貴方はを知っている。「森に閉じ込められた妖怪は、人の体温も知らず孤独で寂しい思いをしている」のだと。この妖怪は、一体どちらなのだろう。
HO:PC2
貴方は神に仕える妖怪の一人であった。 現在は修行中であり、此処に滞在している。 満月の夜は妖の力が増す日であるため PC1は人が入れぬ場所へと迷い込んできてしまったようだ。 貴方の使命は「PC1を無事に帰すこと」だ。 人間を手助けすること。 これもまた、修行の一環である。
秘密 ショック:なし 貴方は神からの罰則を受けている。 「思いやりの心を持たない」と、神から呪いをかけられているのだ。 その呪いは痣となり、腕から広がり、全身へ回ろうとしている。 痣が全身を覆ったときには、きっと……なんて、悪い事ばかり考えてしまう。 誰かの心に寄り添う事ができたとき、呪いは解けるのだというが。 呪いのせいか、貴方が触れるものすべて枯れ朽ちてしまうのだ。 こんなの、一体どうすればいいのやら。 この人間��助ければ、それが分かるだろうか。
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【シーン表】 1:静かな森の中。PC達の歩く音しか聞こえない。他に生き物は居ないのだろうか。 2:月灯りの森は思いの外明るい。幻想的な風景だが、どこか寂しさを覚える。 3:突風。冷たい風。ざわざわと森の木々の葉が音を鳴らす。まるで誰かの悲鳴のようだった。 4:空から何かが振ってきた。小さなガラスの破片のようだ。いったいどこから? 5:花が咲いている。此処は様々な季節の花が咲いているようだ。 6:何処からか笑い声が聞こえてきた。じっとこちらを見ているような視線を感じる。けれど、それは敵意のあるものではないようだ。
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【導入】
その日は雨が降っていた。 PC1は傘を差しながら、いつもの帰り道だろうか、たまたまの外出だったのだろうか。 ともあれ、家路を急ぎ歩いているところだった。 そんないつもと変わらぬ道で、突然背後からの強い光。 思わず目を閉じ、次に瞼を開いたとき。 そこは見知らぬ森の中。 空には満月が輝いており、雨も止んでいる。 その森の中に、どうみても「人ならざる者」が立っていた。
PC1とPC2の出会いの場面となります。 二人が森の出口を捜そうと動き出したところでメインフェイズへと移ります。 【HO:森】、【HO:神様】が調査可能になります。
その後はHOを公開していくごとに追加で調査出来るHOが増えていき、2サイクル目開始時、3サイクル目開始時にマスターシーンが発生します。 3サイクルが終了するとクライマックスへと突入します。
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HO:森 PC1が迷い込んだ森。 暗く月明かりだけが辺りを照らしている。PC1の住む「現世」とは別の空間らしい。満月の夜は妖の力が増すために此処に入り込むことができると言うが……。
秘密 拡散情報 森を歩いているうちに「現世への出口」の道と、「獣道」を見つける事ができる。 これ以降PC1は「外へ出る」事を選択することができるようになる。 外へ出る事を選択した場合には即座にエンディングフェイズへと移行する。 出口徐々に閉じはじめており、「クライマックスフェイズ以降」には完全に閉じてしまうだろう。 獣道の先は、どうやら開けた場所になっているようだ。 そこにはいくつもの奇妙な石像が立ち並んでいる。 HO:【石像】 が追加され、調査可能になります。
HO:神様 神様、PC2の師匠にあたるもの。 この空間を作り出したのもまた神様なのだという。 秘密 彼は呪術に長ける神である。 弟子に試練として呪いを課すことも多いのだという。 かけられた呪いが解ける基準は極めてあいまいであり、その真相は神のぞ知る。 呪いは総じて痣のような形で現れ、時間制限が目に見える形で設けられているという。 この森も神が作ったものであり、「現世と幽世のはざま」である。 満月には霊力の強い者が迷い込むこともあるし、命の危険が迫っているものの魂が迷い込むこともある。 ※【HO:神様】がPC1に公開された時、以下を追加情報としてPC1のみへ公開する。 ・PC1追加情報:条件/神様の秘密を入手 貴方は此処に来る前の出来事を思い出す。 そう、強い光――あれは、車のヘッドライトだ。 そうだ、自分はひかれそうになりー……。 そのあと、どうなったのだろう。 此処に長時間留まっていては、現世の自分がどうなったのかもわからない。 この世界での死は、確実に現実世界の自分の死を招くことに気が付くだろう。 【乗り物】で恐怖判定を行う。
HO:石像 いくつもの石像が並んでいる。 どれも苦し気な表情をしており、あまりにも生々しい。 秘密 ショック:全員 これはかつて呪いを解くことが出来なかった妖怪達の末路である。 彼らは呪いを解くことが出来ず、その生命すらも消え果ててしまった。 彼らの足元には枯れた花が寄り添っている。 その中に、一輪だけ 花弁が一枚だけ残った花が、咲いている。 【終末】で狂気判定を行う。 【HO:花】 が追加され、調査可能になります。
HO:花 石像の下に咲いていた小さな花。 花弁が一枚だけ残っている。 秘密 ショック:PC2 石像と枯れた花は同じ数だけ存在しているようだ。 けれど、まだ花弁が一輪だけ残っているこの花の元には石像はない。 寂し気に一輪だけゆらゆらと風に揺れている。 この花は【クライマックスフェイズ終了後、花びらがすべて落ちる】ようだ。
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☆マスターシーン ◆2サイクル目開始時 森は広く、どこまでも続いているようだった。 その時、奥で苦しそうな声が聞こえてくるだろう。 そちらへ向かえば、苦しみに顔をゆがめたいくつもの死体を見つける事ができるだろう。 HO:【死体】が追加され、調査可能になります。
HO:森にあった死体 誰かに殺されてしまったのだろうか、いくつも折り重なっている。 ショック:全員 服装の年代も、年齢も性別もバラバラだ。この森で死んでしまったのだろうか。 彼らに共通することは、一部分が朽ちてぼろぼろに崩れていることだ。 その部分は、まるで誰かが触れたような手形が付いている。【死】で恐怖判定を行う。 【整理】または【芸術】の判定を振ることで追加情報が出る。 この判定は失敗したとしても、情報判定としてシーンを消費し再挑戦することができる。 ※【HO:死体】 がPC2へ公開された時、以下を追���情報としてPC2のみへ公開する。 PC2追加情報:条件/死体の秘密を入手 この死体は貴方が触れた人間ではない。 けれど、貴方にかけられている呪いと同じものをかけられた妖怪が、彼らに触れたのではないか。 もし、自分も同じように人間に触れてしまえばー……。 呪いがきっと、殺してしまう。 そう、分かることだろう。 【魔術】で恐怖判定を行う。
・【芸術】、【整理】の判定に成功した場合の追加情報 プライズ:絵本 どうやら外国の絵本のようだ。 この死体の中の、誰かの持ち物だろうか。 このプライズは持ち主が宣言すればいつでも内容を見る事が出来る。 秘密 物語はとある村の少女が野獣に捕まってしまう所から始まる。野獣は呪いにより姿を変えられてしまった王子であり、真実の愛を知ることで呪いが溶けるという物語だ。 少女が人の心がわからない野獣と恋に落ち、呪いがとけたのだが、野獣の呪いは薔薇が散るまでにとけなければ永遠にそのままとなってしまうものであったという。
◆3サイクル目開始時 【物音】で判定。 成功で以下の情報を出します。 ぴしり、ぴしりと音が聞こえてくる。 この空間がもうすぐ壊れてしまうという事がわかる。
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◆クライマックスフェイズ 3サイクル目が終了するとクライマックスフェイズへと移行します。
ぱき、ぱきりと ひび割れの音がする それは足元から
「ああ、そろそろ時間切れだなァ」
何処からともなく、飄々とした声が聞こえてくる。 いつの間にか神様がそこにはいた。
それと同時に、ぱっくりと、貴方達の足元が割れた。 間一髪、PC1はひび割れの手前に立っていたゆえに落ちずに済んだが、 PC2は崖の様になってしまったそのはざまへ。 「此処は現世と黄泉のはざま。奈落が開いたか、これは捕まると逃れられんぞ」 かろうじて片手で崖にしがみつくことはできたが、このままでは地獄の底へ堕ちてしまうだろう。 数多の手が、PC2に掴みかかり引きずり降ろそうとしてくる。
【霊魂】で恐怖判定を行う。
「……ああ、この空間が壊れてしまえば」 「人の子、お主も帰れなくなるぞ」 神様はすっと、森の『出口』を指さした。 「さあ、どうする?」
▽戦闘レギュレーション このシナリオのクライマックスでは特殊な処理と行動宣言を行う事ができます。 ・現在空間は壊れ始めているために、PCの生命点は1ラウンド経過するごとに1点減っていきます。 ・PC1は戦闘離脱を宣言することにより「森の外」へ出て行くことができます。その瞬間クライマックスは終了し、エンディングフェイズへと移行します。 ・PC1はPC2の手を取り、引き揚げるという行為を行えます。判定はPC1の持っている特技から好きなものを選択すること。 PC2はこれを【回避】することが可能です。 回避する場合はプロット値の回避値で行います。 ・PC2は「自ら崖から手を放す」ことを選択することもできます。 それをPC1が阻止したいと思った場合には、PC1のプロットにある回避値で判定し、成功すればPC2の手を取ることが出来るものとします。 ・行動はプロット順となります。 ・エネミー「奈落の誘い」は引きずり込もうとしているPC2へ攻撃を行います。このエネミーに攻撃をすることは可能です。 PC1が攻撃を行った瞬間、「奈落の誘い」の攻撃対象にPC1も加わります。
エネミー: 奈落の誘い 生命点:30 《霊魂》 アビリティ 基本攻撃《霊魂》
エンディング分岐 エンディングは「GMの判断」によるものが大きくなります。 神様のHOにある「呪いを解く方法は神のみぞ知る」の通り、今回の「神様」は「GM」となります。 GMが「PC2が人の思いやりを知った」と判断する場合は【 ◆END1とけないのろい 】へ移行してください。 ・判断例 PC1を傷つけないために、PC2がPC1の手を振り払う。 PC1を助ける為に自ら奈落に落ちる。 PC1に説得され、信じて手を取る。 力を合わせて奈落の誘いを退ける。 等々。 そのほか、GMの判断にまかせます。 PC2が自分が助かる事だけを考えているような場合は、【 ◆END2 のろいはとけぬ 】へ移行してください。
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エンディング ◆END1とけないのろい PC2が「人の思いやりを知った」と判断したのであれば、こちらのエンディング。 PC1の手を取ったのであればその瞬間 PC2が自ら落ちることを選んだのであればその瞬間 「そこまで」 神様の声が響く。 その一声とともに、一瞬で周囲は月明かりだけの森から夜明けの美しい森へと姿を変えていた。 神様は試練の終了を宣言します。 PC2の身体からは痣がすべて消えている。 PC2には「思いやりの心を知れただろう?」などと話しかけるでしょう。 そしてPC1へ 「人の子、呪われたなぁ」 「……人とは違うものに心を許し、預けた。もう会う事も無いというに」 そう囁き、PC1の胸を指さします。 「それはずうっと『ここ』に残る」 「その呪いはとけないぞ、まあ、呪いにかかったのはPC2も同じか」 その後、するりと指さす方向を変える。 そこには、光があふれる「森の出口」が。 「さあ、あそこからお帰り」 PC1,PC2共に別れの言葉を告げる等RPしてもらい、エンディング描写へと移ります。 光の道を進む。 どんどんと辺りは朧気になり、視界は白に染まってゆく 視界が開けた時。 雨が、降ってきた。 そう、森に迷い込む前と同じー……。 目の前にはトラックが止まっている。 運転席からは「気を付けろ!」と怒鳴る声が。 傘は足元に転がっており、水滴はぽたりとあなたの頬を伝う。 戻ってきた、という安心感とともに、貴方の胸にはなんとも言いがない、寂しさがこみあげてくるだろう。 (PC2の手を取って助けた場合の追加描写) 手には、消える事のないやけどのあと。 それは、貴方の胸までも焦がしていったのかもしれない。 そののろいが、いつか何かに変わるまで。
(PC1がクライマックス中に出口へ出て行った場合) PC2が、PC1を逃がす為に説得し、PC1を助けたならばこちらのエンディング。 PC1はPC2が助かったことをしらないため、見捨ててしまったとずっと心に残る、解けない呪いを受けたというエンディングです。
眩い光と共に、神様が現れる。 「そこまで」 一瞬で、周囲は月明かりだけの森から夜明けの美しい森へと姿を変えていた。
神様は試練の終了を宣言します。 PC2の身体からは痣がすべて消えている。 PC2には「思いやりの心を知れただろう?」などと話しかけるでしょう。
そして、森の出口を見ながら 「ああ、あの人の子。呪われたなぁ」 「お前を助けられなかったと、ずっと心に『とけないのろい』をもらったな」
その後PC1が現世へ戻った描写は、上記を参考にしてください。 ただし、PC2が助かったことはPC1は知らぬこととなります。
◆END2 のろいはとけぬ PC2が「思いやりの心を分かっていない」と判断した場合、またはメインフェイズ中にPC1が森の外へ出て行くことを選択した場合もこのエンディングとなる。 「そこまで」 険しい表情の神様は、降り立つとともにそう前言する。 「ああ、これでは……合格とはいえないな」 PC2は石像に、PC1は現世へと帰されます。 PC1は目が覚めると病院におり、全身包帯だらけの重傷であった。
あのあと、PC2がどうなったのかをPC1が知ることはない。
◆END3 のろいのおわり PC1がメインフェイズ中に森を出て行った場合。 森を出た瞬間、まばゆい光と共に全身に強い衝撃と痛みが走る。 ああ、そうだ。自分はトラックに轢かれそうになってーーー。 そう思い出しながら、PC1は意識を失っていく。
のこされたPC2の元へは神様がやってくる。 「時間切れだ。これにて試験は終了」 「……お前は神の器ではなかったな。」 その言葉を聞いた瞬間、PC2の身体は石となってしまう。
どこかではらりと、花びらが落ちた。
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いつか、それが思い出に変わるまで 二人に永遠の呪いあれ
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共に誓った騎士の道友と交わした一つの誓い 懐中時計が刻むのは、歩んだ時間と友の無事 遠くに居ようと、止まらぬ限りは共にある 夢にも思わなかったのだその時計の針を止めるのが 己の手であるなどと
それは誓いの果て、友をその手で消し去るまでの物語。 常夜国騎士譚RPGドラクルージュ 「刻む時は誰のため」 ようこそ紅月に誓いし騎士。優美絢爛たる舞踏会へ
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シナリオ諸元
推奨プレイヤー人数:1人推奨 PC逸話数:1
篇:1 レギュレーション:基本ルールブックがあれば遊べます。
■物語の背景
友であるルッツが堕落し、彼を自分の手で地獄へ送ってやるのが友として最後にできることだとPCが最後の戦いに挑む。
■物語の真相
友が堕落したきっかけは、主による妬みであった。 その矛先が友人であるPCに向かった事で彼は主へ剣を向けしてしまう。 主へ刃を向けてしまった事、友を巻き込んでしまった事に罪悪感を感じ、さらに自らの罪を受け入れる形で渇き、堕落する。 主の罪もすべてを引き受けて、彼は地獄へ落ちるつもりなのだ。 そのことにPCは気づくことができるのか、気づいたとして、全ては手遅れなのだが…。 彼を地獄へ送ってやることだけが、今友としてできる最後の事であろう。
■物語の時系列
物語が始まるまでの時系列は次のようになっている。
・ルッツが騎士に叙勲され、その際に「友情の予言」を受ける。 ・ルッツが現在の主の近衛になる。 ・予言の友を探していたルッツとPCが出会う。お互いに信頼し合う友となる。 ・ルッツの才覚が現れ、周囲の信頼と期待を背負うようになる。それにより、徐々に主はルッツへの妬みを募らせていく。
そして、とうとうその妬みは……彼を陥れるために刃となって彼の友へと向けられようとしていた。
ハンドアウト
推奨の道 夜獣以外 消えざる絆: ルッツ・ヘルロット・フォン・ヘルズガルド【友】 貴卿の目の前には一人の憐れな堕落者がいる。 それはかつての友であり、断罪すべき憐れな獣。 友の名はルッツ・ヘルロット・フォン・ヘルズガルド。 真面目で仏頂面のその騎士は、貴卿の自慢の友であった。 剣を構え、対峙して思い出すのはかつての姿。 かつて共に騎士として戦場を駆け、語り合ったときの事を、思い出していた。(この物語は、過去の回想から始まる) 開幕前 基本ルールブック223ページの記述に従い、「開演前」の項目を実行する。 PCとルッツの出会いや、友になった経緯などを話し合い決定する。
序の幕 基本ルールブック226ページの方式に従う。
●状況説明 物語の背景を読み上げる。 その後、現在の状況の描写をする。 +---------------------------------+ 目の前で吠えるは心無き、殺戮のみ行う恐ろしき獣。 不徳をその身に宿したかつての騎士と 対峙し剣を構えるは 〝PCの二つ名〟(PCのフルネーム)。 (PCの目の色)の瞳に、浮かぶ感情は怒りか、憐みか。
(ここまで読み上げたところで、人獣となったかつての友を前にして、どんな言葉を紡ぐのかPCに問う。 これは終の幕の演出にも使用するので、メモを残しておく。)
告げられた言葉に、もう答える友はいない。 聞こえるのは、ただただ吠える獣の声。 その声すら遠く感じるくらいに貴卿の脳裏を駆けるのは 友との穏やかな日々。 +---------------------------------+ その後篇を開始する。
常の幕 このシナリオでは、「常の幕」「戦の幕」のうち、まず「常の幕」が発生する。 幕の諸元 NPC 種別 【脇役】ルッツ(シナリオ後述) 【領民】(味方役:基本ルルブ 285P) NPC 配置 庭園:ルッツ/宮廷:領民 / 玉座:なし 存在点 ルッツ:5点 領民:1点 行動値 ルッツ:12 領民:なし 場所 庭園:街 宮廷:街 玉座:街はずれの木陰 伴奏 ルッツ:【友】
この幕では、人狼となってしまったルッツと対峙し、過去を思い返す場面が描かれる。
過去を回想する場面になることをPLに伝え、演出する。 ルッツのPC設定を参照するとRPの助けになるだろう。 ●口上 DRは次の口上を読み上げる。 +---------------------------------+ それは友との穏やかな日々。 近衛として、主たる領主を支えるルッツと○○(PCの道)であるである貴卿は、お互いに会える時間は限られている。 それでも、時間を見つけては短い会話を楽しむのだった。 ルッツは決まって、街の外れの木陰の下で待っている。 +---------------------------------+ ���ウンド開始前に「時計の交換」を行う。 これは今回のキーアイテムであり、PCからもルッツへ時計を具現化してもらう事。 できればどのような時計か聞いて、描写に盛り込むとより特別な時計を演出できるかもしれません。 +---------------------------------+ 「そうだ、これを。」 ふと思い出したように、ルッツは手を差し出す。 そこには、今しがた具現化した金色の懐中時計がかしゃりと音をたてて現れた。 「知っているか? 今騎士の間の流行ごとらしい。」 互いの時を刻む時計を交換し、その歩みを見守るのだ。 お互いの時を感じられるように。 共に歩む時を、意識するために。 「俺の時計が刻むのはお前のための時、お前の時計が刻むのは俺のための時だ。」 +---------------------------------+ その後常の幕のラウンドを開始する。 他愛のない二人の会話が中心になるだろう。 友との交流を楽しんでいるルッツは、ルージュを拒否することはまずない。 ・ルッツセリフ例 「お前の名がこの地まで流れてきたぞ。友として誇らしい」 ※少し伏線を張るために、会話に以下の内容を入れる。 辺りを見回し、ため息を一つく。 「ああ、いや。きにするな。最近誰かに見られているような気がするんだ」 「主もどこか落ち着かない様子でな…」 ※ルッツの様子をうかがう主やその配下の視線である。 「心配するな。次に会う時までには解決させておくさ」 ・壁の華 主の元へ帰っていく。 壁の華になるか二ラウンド経過すると、ルッツは主の元へ帰っていく。 二人が別れたところで、この幕は終了する。 +---------------------------------+ 「さて、そろそろ戻らねば。また会える日まで」 「この時計がある限り、お互いの時を、歩みを知れる。これからは今までよりもお前を近くに感じていられるのだな」 ルッツは愛おしそうに時計へと口づけた。 それが、彼と過ごした穏やかな最後の時。 +---------------------------------+
戦の幕 この幕では、彼が乱心し主を打ち取ろうとしていると噂を聞きつけ、PCが駆け付ける場面になっている。
端役の従者の少年が無事であるか否かでシナリオが分岐することをPLにつたえる事。
幕の諸元 NPC種別 【脇役】ルッツ(シナリオ後述) 【端役】従者の少年(味方役:基本ルルブ 2852) NPC配置 庭園:なし / 宮廷:なし / 玉座:ルッツ・少年 存在点 ルッツ:5点 従者の少年:1点 行動値 ルッツ:12 従者の少年:なし 場所 庭園:屋敷玄関 宮廷:屋敷ホール 玉座:屋敷奥 伴奏 ルッツ:【燐】
●口上 DRは次の口上を読み上げる。 +---------------------------------+ とある事件が、貴卿の耳に飛び込んできた。 主に逆らい、仕える民もろともその手にかけようとしている騎士がいるらしい。 その騎士の名は、 ルッツ・ヘルロット・フォン・ヘルズガルド。 そんなわけはない、そんなのはおかしい。 彼がそのような男でないことは、貴卿が一番知っているはずだ。 渡された時計は、手の中にある。 けれど、わずかに……針が刻む時は、狂い始めていた。 噂を聞き、貴卿が屋敷へ駆けつけた時。 目を疑う光景がそこにはあった。 広がるのは赤。 血に濡れた、まるで生を感じられない空間。 その真ん中に、一滴落とされたような漆黒が。 あまりにも美しく佇んでいた。 彼はPCに真実を知らせず、自分に失望させ打ち取ってもらう事を望んでいます。 しかしそれでも友の事を大切に思う気持ちはあるために、どこか物悲しい表情を見せる。 「お前は騎士だろう、ならばすべきことは決まっている」 +---------------------------------+ ・壁の華 割れた窓から外へ飛び出してゆく。 2ラウンド経過するか、壁の華になった後ルッツは割れた窓から逃走する。 その後、従者の少年が生きているのであれば以下のシーンを入れる。 壁の華になっているのであればそのまま終の幕へ移行する。 ●マスターシーン 追加でシーンが発生する場合、描写を読み上げる。 ルッツが居なくなり、屋敷は静寂に包まれる。 そこに、小さな少年のうめき声が響いた。 どうやらけがは無いようだ。 彼を濡らす赤い血も、彼自身の物ではない。 少年は起き上がり、周囲の凄惨な光景に口を覆う。 しかし、この場にいる騎士が、ルッツの友であることを知ると、決意した瞳を貴卿へむけた。 少年はぽつりぽつりと話し始める。 「……ここの領主様は、とても穏やかな人でした。」 「とても優しかった、けれど、誰かに認められたいという思いも、人一倍あったのです。」 彼は決して無能な騎士などではなかったのだ。 ただ、彼よりも才のある騎士がそばにいただけで。 「優秀な従者を、とてもとても、頼りにしていたのです、けど」 いつしか、それが妬みになり、憎しみとなり。 「騎士として、自らよりも才のある、ルッツ様を陥れようと……彼の、もっとも大切なものへ手を出そうと考えたのです。」 「……彼が、ずっとずっと欲していて、ようやく手に入った、大切な……大切な、友へ」 「(PCのフルネーム)卿へ」 「僕とルッツ様は、たまたまその話を聞いてしまったのです。」 「……誰にも言ってはいけないと、ルッツ様は言いました。」 「……誰にも知られてはいけないと、言いました。主の罪も何もかも、自分がすべて持っていくからと。」 「どうか、どうか騎士様。あの優しい、憐れな騎士様、どうか……。」 そっと差し出された少年の手には、(PCが具現化した時計の特徴を入れる)の懐中時計があった。 「自分にはふさわしくないからと。置いていかれました。」 「けれど……。」 「この時計が刻む時は、僕や貴方の為ではないでしょう?」 PCがルッツの後を追ったところで、シーンを切り替える。 貴卿は後を追う。かつての友を。
+---------------------------------+ 友を追い、夜闇を駆け抜ける。 その先で、領地を見下ろし外套を風にたなびかせるルッツ卿の姿があった。 「……どうした、打ち取りにきたか?」 「……それとも、あの少年は約束を守れなかったのか。」 「友との誓いを破った俺が言えたことではない、か。」 「……。」 「……あんな人ではなかったのだ。」 「あまりにも、悩んで、心を閉ざしてしまっただけなのだ。」 「お前に、主を恨んでほしくはなかった。」 +---------------------------------+ ルッツはPCの手で断罪を受けたいと懇願する。 それをPCが承諾しようとも、拒否しようとも彼は堕落し、冒頭のシーンへと戻っていく。 +---------------------------------+ 「どうか最後の門を潜るまでは、お前の手で。」 「さようなら。我が唯一であり、最愛の友に感謝を。」ルッツは穏やかに微笑みながら目を閉じる。 影が形を変える。 浮かび上がるのは黒い獣の影。 それは大きく咆哮し、街へと飛び降りた。 そうして針が告げる時は、今へと。 +---------------------------------+
終の幕 この幕は冒頭のシーンへと戻り、人狼との最後の戦いの場面が描かれる。
幕の諸元 NPC種別 【脇役】ルッツ(人狼) (シナリオ後述) 【端役】領民(味方役:基本ルルブ 285P) NPC配置 庭園:領民 / 宮廷:なし / 玉座:ルッツ 存在点 ルッツ:15点 領民:1点 行動値 ルッツ:15 領民:なし 場所 庭園:住宅街 宮廷:商店街 玉座:中央広場 伴奏 ルッ��:【燐】
●口上 DRは次の口上を読み上げる。 +---------------------------------+ 民は驚き逃げ惑う、獣は吠えて襲うのみ。 誰もが恐れ、震える中で。 一人の騎士が人狼と対峙する。 不徳をその身に宿したかつての騎士と、対峙し剣を構えるは 〝〇〇卿〟(PCの二つ名とフルネームを入れる) (PCの瞳の色)の瞳は、確かに決意を固めていた。 騎士は告げる。 「(冒頭シーンでPCが告げた言葉を入れる)」 その言葉の真意を、領民達は知る由もなく。 口々に叫ぶ。 「全てはルッツ卿の仕業だったのか。」 「おそろしい。」 「友に裏切られた(PC名)卿は、さぞ心を痛めているのだろう。」 「その堕落者を打ち取れ!」 自ら人狼へと堕ちた、悪名だかき騎士をその手で打ち取れと民衆がさけぶ。 目の前のかつての友は、ただただ吠えるのみ。 もはや言葉など通じぬ獣。 さあ、騎士よ。 己の正義で彼の獣をつらぬくのだ。 +---------------------------------+
・獣について もはや言葉は通じない。語り掛けても言葉が返ってくることはない。 時おり、攻撃をためらうようなしぐさがあるかもしれない。 ・描写例 振り下ろされた爪も、牙も、騎士を傷つける事は出来よう。 しかし決意を砕くことなどできはしないのだ。 壁の華になった後、PCがヘルズガルドならば地獄の門を開くなどの描写を入れる。 その他の血統であれば、どこからともなく鎖が現れ、人狼を地獄へ連れて行く。 これはヘルズガルド当主〝断罪公〟マルグリットが封じたためである。 PCと会話をさせ、淡々と褒めて帰っていく描写を入れてもいいだろう。
後の幕 この幕ではルッツを地獄へ送った後が描かれる。 地獄へ送り届けられたか、堕落してしまったかでエピローグが別れる。 ●人狼に勝利した 次の描写を読み上げ、セッションを終了する。 +---------------------------------+ 獣は鎖にからめとられ、地獄の門を潜っていった 手元に残っていた、ルッツが具現化した金の時計は、塵となり、風にさらわれて消えていく。 民は歓喜に声を上げる 「堕落者を打ち取った騎士よ永遠なれ!」 「堕落者を打ち取った騎士よ永遠なれ!」 手元に残ったのは、自らが具現化せし、たった一人の為の時計のみ。 くるくる回る針は止まることを知らず その時計を送った騎士が歩みを止めるまで、ずっと。 常夜国騎士譚RPGドラクルージュ 「刻む時は誰のため」 他の誰でもない、友のために。 +---------------------------------+
●PCが完全なる堕落をしてしまった +---------------------------------+ 次の描写を読み上げ、セッションを終了する。 ああ、なんと言う事だ。 騎士は堕落し、我を忘れて、超えてはならない境界を越えてしまったのだ。 けれどそれは友と共に地獄へ堕ちる方法のひとつであることも確かである。 手元に残る、友へ贈った懐中時計が霧となり消えていく。 もう針は進まない。 時は刻むことをやめ、永久に動くことはない。 いずれ友とも再開できよう。 深い地獄の底で、鎖につながれることになるだろうが。 +---------------------------------+ ●シナリオNPC ◆ “希求卿”ルッツ・ヘルロット・フォン・ヘルズガルド 性別:男性 血統:ヘルズガルド 道:近衛 騎士歴:70 髪:濡れたような黒 瞳:天の月の如き紅 叙勲年齢:27 特徴:表情に乏しい。官能的な肢体 優秀な近衛として主を守り、支えている。 それゆえ周囲からの信頼も厚く彼に寄せられる期待も高い。 しかし、主よりも彼のほうへの期待と信頼が傾くにつれ、主の心は閉ざされていってしまった。 叙勲時に『友情の予言』を受け、その相手が PC であると確信しており、とても大切にしている。 どんなことがあろうとも、友を守ると誓っている。 流行すたりには疎いが、たまたま耳に入ってきた『時計を交換する』ということには興味津々でPCに持ち掛ける。 お揃いで持つという事に多少のあこがれもあったようだ。 小さく可愛らしいものを愛でる傾向があり、屋敷に仕える少年をとても可愛がっている。 ◆行い一覧 常の幕 《視線と共に通ず》 基本ルルブ186P 《包み込む抱擁》 基本ルルブ186P 《ただ傍にあれば》 基本ルルブ255P 戦の幕 《騎士のたしなみ》 基本ルルブ186P 《悪行には報いを》 基本ルルブ256P 《断固たる執行を!》 基本ルルブ256P 《不退転の覚悟》 基本ルルブ256P 終の幕 《獣のあぎと》基本ルルブ285P 《同族喰らい)基本ルルブ285P 《肉裂く突進》基本ルルブ285P 《哀れな孤独》基本ルルブ258P
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ゆうやけこやけ、また明日
今日もお家へ帰りましょう 明日になればまた会える わかっているのに ああ、それでも恋しくて
インセインシナリオ「恋し恋しと君を待つ」
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システム:マルチ・ホラージャンルRPG インセイン 本当は怖い現代日本対応 PL人数: 2人 リミット:3 狂気カード:6~8枚 傾向: 協力型 。のんびりほのぼの、どこか切ない。 時間:テキセで5~8時間、ボイセで2時間くらい
基本ルルブのみで遊べます。
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どこかにある町、どこにでもある日常の景色。 ちょっとだけ不思議なものを見ることができるあなた。 それは「妖怪」と呼ばれるもの。
そして今日もまた、不思議な出会いをする 。
【シナリオ背景】 昔、PC1のように幽霊が見えた少女がおりました。 彼女には妖怪の友人がおり、とても仲良しで……いつも遊んでいたのだけれど。 いつしか見えなくなって、「また明日」の約束は果たせることはなくなった。 けれそいつまでも、妖怪の友人「しじま」は信じてまっていた。
……そうして永い永い時間が流れて、彼は「悪鬼」となった。
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このシナリオは「夏目友人帳」や「ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー」などの世界観を参考に作っています。 妖怪が見える、ちょっと特別なPC1とPC2の出会いと別れ、再会の物語です。
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【PCハンドアウト】
☆PC作成について PCの設定によって職業は自由に選んでいただいて構いません。 PC2は妖怪という設定になりますが、手当が得意な妖怪だから医者でつくったよ~、等こじつけしつつご自由に作成してください。
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HO:PC1
君は昔から妖怪…人には見えるはずかない物を見ることができた。 そして、今君の目の前にいるのもまさに『妖怪』、それは君に襲い掛かる。 その時助けてくれたのがPC2だ。 PC2もまた『妖怪』と呼ばれるものなのだろう。 面を着けていてその表情をうかがい知ることはできないが…。 どうやら今回の事件を解決するために手助けをしてくれるらしい。
あなたの使命は「PC2と共に事件を解決する」ことだ
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秘密:PC1 君は妖怪を見ることができる……が、その力は徐々に弱まりつつあった。
もうぼんやりとしか見ることができないが、この力のせいでやっかいごとも多かった。 ほっとするような、少し寂しいような……そんな気持ちになるのだ。 きっと妖怪に関わるのもこれが最後。
クライマックスフェイズ後、あなたは妖怪を見ることはできなくなる。
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HO:PC2 いつもと変わらぬ街をふらふらとさまよう、君は『妖怪』と呼ばれるものだ。 今日もきままに散歩をしていたところ、襲われているPC1を見つけることになる。 どうやらPC1は妖怪を見ることができるようだ。 それが原因かは分からないけれど、またあの『妖怪』はPC1を狙って来るかもしれない。 何よりこのままじゃおちおち昼寝も出来やしない。 あなたの使命は「PC1と共に事件を��決する」ことだ。
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秘密:PC2 あなたはPC1に昔助けられた事がある。(内容はお好きに考えてくださって構いません) あの日のお礼というわけではないけれど、PC1の力になりたいと思っている。 しかし、PC1をかばったときに面にひびが入ってしまった。 このままでは力を失い、消えてしまうだろう。
クライマックスフェイズ後、あなたは消滅してしまう。
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【シーン表】 1:小学校前。校庭では小学生が元気に遊んでいる。 2:住宅街。どこからかおいしそうなカレーの匂いがする。もう夕食の時間だ。 3:商店街。夕ご飯の買い出しで人がちらほら。お肉屋さんからは揚げたてのコロッケのいいにおい。 4:路地裏。夕日の入らぬそこは、少し異様で、怖くて、どこか別の世界に繋がっていそうな不思議な場所。 5:人気のない公園。ひなたぼっこで猫が寝ている。ふかふかとして触ったら気持ちよさそうだ。 6:河川敷。ゆうやけこみち、烏がないた。みんな帰る時間。
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【導入】
どこかにある、どこか懐かしいような。 少し田舎の、馴染みの道を君は歩いている。 君は昔から幽霊、妖怪……人には見えるはずかないモノを見ることができた。
それらは不思議でおかしく……時に恐ろしくて。 けれど、そんな日常が君にとって当たり前になっていた。 そして今日もまた、人ならざるものを見た。
黒く、大きく、どろどろとした「何か」……一目でわかる。『これは危険なもの』だと。
君にそれが襲い掛かる。 逃げられない、そう思ったとき――……。
視界に飛びこんでくる影があった。
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※PC1が「しじま」に襲われている状況になります。 飛び込んでくる影はPC2。 PC2が助けに入る出会いのシーンでもあるので、PLさんの希望に沿って演出をしてください。
PC2の反撃に、「何か」は一時撤退していきます。 けれど嫌な気配は残ったまま……またいつ襲われてもおかしくありません。
PC1とPC2は 「何か」の調査に動き出すところで、 「HO:『何か』の足取りを追って」を追加しシーンを切る。
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HO:『何か』の足取りを追って ひとまず情報を集めなくては。 この辺に、あの妖怪の目撃者……目撃妖怪?はいるだろうか。
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秘密: 『何か』の足取りを追って 拡散情報 ショック:なし どうやら、その妖怪は「しじま」という名前らしい。 昔はあんな見た目ではなかったそうだし、ずっと姿を見てはいなかった。 しじまは、よく人間の家に訪れていたという。 といっても、もう何十年も昔の話。
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「HO:『何か』の足取りを追って」の秘密が公開された後、 「HO:西野のおばあちゃん 」と「HO:しじま」 が追加され、調査可能となります。
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HO:西野のおばあちゃん 「しじま」がよく会いに行っていた人間の少女……だった。 今はおばあちゃん。
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秘密: 西野のおばあちゃん ショック:なし 妖怪を昔見ることができたおばあちゃん。 あるときから妖怪が見えなくなり、それ以来しじまには会っていないという。 そもそも最近は目も耳も不自由になり、目に至ってはほとんど見えていないようだ。 もう長くはない。病気ではなく老衰。 穏やかな時を過ごした彼女に人生の悔いはない。
ただひとつ気がかりなのは昔の友人…しじまとの約束を守れなかった事。 それを考えているせいか、ここ最近おばあちゃんは寂しそうに泣く声が聞こえるという。
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※「寂しそうに泣く声」はしじまの声。おばあちゃんは年を取ったことで再び妖怪をみることができるようになっています。もちろん声も聞こえる。ただ視力自体はほぼないので、PC2の姿を見ることはできませんが声は聞こえています。
PLがゾーキングを行いたいと申し出るならば、おばあちゃんとお話ししてもいいでしょう。 妖怪については詳しくはありませんが、「大事なお友達がいた」「約束を守れなかった」などお話しします。 「約束」について聞かれたならば
「『また明日』っていったのにね、会えなかったの。」 「おばあちゃん、ぱたっと妖怪が見えなくなってね…。」 「また明日、って別れたきり……さよならも言えないでお別れになっちゃって。」
と、寂しげに話します。
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HO:「しじま」 PC1を襲ってきた「何か」の正体。 もともとはあのような姿ではなかったらしい。
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秘密:しじま ショック:全員 恐怖判定:時間 西野おばあちゃんと友達だった妖怪。 彼女と交わした「また明日」 その約束を信じてずっと待ち続けていた。 寂しさはつのり、悪鬼になりかけている。
今は、妖怪が見えるPC1の事を西野おばあちゃんと勘違いをしているようだ。 彼を止めなければ、きっとまた襲ってくるだろう。 一人で、悪鬼となってしまうほどの孤独。 それはどれほど寂しい、悲しい時間だったろうか。
【時間】で恐怖判定を行う。
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※しじまの秘密が公開になった後、マスターシーンを挟みます。
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◆マスターシーン
ふと、どこからか悲しい叫び声が聞こえてくる。 それは君たちの心にも突き刺さる冷たさを持っていた。
かなしい さびしい どうして まってるのに ひとりはいや いや いや
【痛み】で恐怖判定を行う。
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冷たい、心の底まで冷やすような、そんな風。 それが通り過ぎたとき、張り詰めた空気を破るように ばさばさ、がちゃん 本が雪崩を起こし、がちゃんとガラスの容器が割れるけたたましい音。 それと同時に、どこか気の抜けるような叫び声が聞こえてくる。
「ひやぁぁぁ~~!! やってしまったぁ!! たいへんだぁ!」 「うおっと、これはまずいぜぇ、やっちまったぁ!!」
しかし、周囲の人間はだれも気にすることはない。
見えても聞こえても、いないのだろう。 これも、人ならざるものだ。
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登場するのは「司書さん」と「薬屋さん」 どちらも妖怪で、小さく可愛らしい者たち。 PC達にも友好的に接する。 丁寧な言葉で話すのが司書さん、ちょっと乱暴な言葉遣いは薬屋さん。
話しかけると、本の整理を手伝うことができる。 【整理】で判定を行う。
※成功したならば追加でプライズをもらえる。
「お礼に本を一冊あげましょう!」 司書さんは一冊の本を手渡してくる。 どうやらそれは妖怪と人間について書かれた本だ。
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プライズ【妖怪と人間の関わりについて】
※このプライズは持ち主がいつでも見ることができる。
「人間で妖怪を見ることのできる者は時々現れる。 そのなかでも、ずっと継続してみていられるものは多くはない。 大人になるにつれて、徐々に見えなくなっていくのだという。 しかし、稀に年を取ったとき力が戻ってくることがあるそうだ。 これは死期か近付くことで、あいまいな世界と繋がりやすくなるためか、 はたまた何か別の要因があるのかはよくわからない。」
※西野のおばあちゃんは、このため今妖怪を見る力が戻っている状況です。 PC1も、年を取ればまた見えるようになるのかも……しれません。
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判定に失敗しても、時間をかけてお手伝いをしたという事で 彼らはお礼を言ってくれる。
「何か困ったことがあれば図書館、妖怪図書館へ! きっと探し物が見つかりますよ!」
「妖怪がらみの事でこまったら、薬で一発さぁ! おいらの店を見つけられたら、一つだけおまけしてやるよ。」
「HO:妖怪図書館」「HO:薬屋」が追加され、調査可能になります。
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HO:妖怪図書館 妖怪について色々書かれた本がたくさんある。 ここに、何か助かるヒントはあるだろうか。
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秘密: 妖怪図書館 ショック:全員 恐怖判定:【拷問】
見つけたのは「妖怪の最期とその後」という本だ。 そこには悪鬼の封じ方も書かれている。
「妖怪の最後は大きく二つに分かれる。 消滅し、新たに肉体ある生命に生まれ変わるか、悪鬼になり災厄を振りまくか。 妖怪は元をたどれば、生命のなれの果てか、生物の思いの形である。 魔力を失い、ゆっくりと消滅した後……その魂は生命として生まれる。
生まれるのがいつになるかはわからない。 知能が高いものへ生まれ変わるにはそれ相応の時間がかかるだろう。 もちろんそこに記憶はない。
悪鬼になった場合、それはあらゆる災厄を招くだろう。 そういうものは封印されるか、物理的に消滅させるなどの対処がとられる。
封印は、悪鬼になったものの心を落ち着かせ、本来の姿を取り戻させることができる。
ただし、正気を失い悪鬼にまでなってしまった妖怪が、完全にもとに戻ることは不可能だろう。 封印と共に存在は消えてしまう。
完全に元に戻すのであれば、秘密の霊薬によって『この世界に留まらせなければらない』。 この薬は存在することは確かなのだが、薬屋に出会う事はとても困難だ。 物理的に消滅させるのであれば、霊力の高いものが攻撃を加えればいい。 その場合は薬を用いたとしても消えるのみである。」
その本の挿絵に、苦痛に歪んだ妖怪の挿絵があった。 それは背筋がぞっとするほどに恐ろしい。 きっと、力ずくで無理やり消滅させられることほどの苦痛はないのだろう。 【拷問】で恐怖判定を行う。
さらに「悪鬼を封印する儀式」を手に入れることができる。
儀式【悪鬼封じ】 1:動きを封じる:【緊縛】で判定 2:悪鬼の思いを知る:【哀しみ】で判定 3:悪鬼を封じる:【魔術】で判定
※クライマックスフェイズで行うことができる。
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HO:薬屋 妖怪御用達、安全なものから危険なものまで数多くそろえております。 ただし、その入り口は自分で見つける必要がある。
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秘密:薬屋 拡散情報:イベントが発生する。
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☆イベント 電柱と塀の間、人ひとりが通り抜けられるようなわずかな隙間。 そこが水面の様に揺らめいているのがわかる。 見ていると、小さな妖怪が電柱を三回ノックした。 すると隙間に襖が現れる。 妖怪はその中へと入っていく……すると襖は消えてしまった。
※PCも同じようにすれば、襖が現れ中に入ることができる。
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入っていくとそこは薬屋さんになっています。 棚にはさまざまな色の薬が入った瓶が並べられている。
「やぁやぁいらっしゃい! よく見つけられたね! いやぁ、実は見つけられないんじゃないかとおもってたよ! 」
薬屋さんは三つの瓶を目の前に差し出す。 「さっきのお礼にこの中から一つ、好きなものをあげよう。 迷ってもいいぜ。じっくりな。」
※薬はクライマックスフェイズ突入直前までであればいつでも買いに来れる。 しかし、買える薬は一種類だけ。 薬の使用はいつでも可能である。
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・人間が妖怪を見れるようになる薬 妖怪、幽霊、人ならざるものを見ることができるようになる。 視力も良くなるらしい。
・消滅する妖怪をとどまらせる薬 今にも消えそうな妖怪を助けるための薬。
・妖怪を即座に消滅させる薬 悪い子にはおしおき! 跡形もなく消えてしまう薬。
3サイクルが経過した後、クライマックスフェイズとなります。
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◆クライマックスフェイズ
ふと、冷たい風がふく 聞こえてくるのは泣き声
さみしい さみしい その声とともに、黒くどろどろとしたものが再びあなた達の目の前に現れる。 【哀しみ】で恐怖判定を行う。
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クライマックスは再びしじまが襲ってくる場面となります。
【エネミー】 しじま 生命点6 《破壊》《恋》《終末》《哀しみ》 【基本攻撃】《哀しみ》 【強打】 攻撃 《破壊》 PC1を集中的に狙います。プロットは6へ。
☆クライマックス終了条件 ・図書館で手に入れた儀式を成功させる。 ・しじまの生命力を0にする。 ・「妖怪を即座に消滅させる薬」を使用する。 ・PC二人の生命力が0になる。
ここでどのような行動を行ったかどうかでエンディングが別れます。
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エンディングA:封印の儀式を行った
封印の儀式を行うと、まばゆいばかりの光と花びらが二人の視界を覆う。 次に目を開いたとき、目の前に居るのは美しい青年だった。 きっと、これが本来のしじまの姿なのだろう。 「……すまない、私は……君たちに……」 申し訳なさそうにする彼のからだは、今にも溶けて消えてしまいそうに揺らめいている。
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A-1 しじまに「 消滅する妖怪をとどまらせる薬 」を使った。 しじまは正気を取り戻し、かつこの世に留まることができます。 PL達にお礼を言い、促されればおばあちゃんにも会いに行くでしょう。 彼女に姿は見えることはないですが、声は聞こえます。 同時にPC1はPC2の事が見えなくなり、PC2は消えてしまいます。
いつか、PC2が妖怪としてではなく生命として生まれ変わるのを恋し恋しと待つ、という終わりになります。
※PC2に「何に生まれ変わりたいか」を聞き、エンディングでそれも描写するといいでしょう。 ただし知能が低い生き物は早い年月で、高い生き物はかなりの年月がかかる、という事に注意してください。 例えば虫ならば数か月で、猫や犬なら数年で、人間になら十数年程度などなど。
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A-2しじまに「 消滅する妖怪をとどまらせる薬 を使わなかった」 しじまは一瞬正気を取り戻し、PC達に謝罪とお礼を言って消えていきます。 PC1はPC2を見ることはできなくなります。 「 消滅する妖怪をとどまらせる薬 」をPC2に使えばPC2は消滅することはありません。 そのまま、いつかPC1が年を取って、再び妖怪の姿を見ることができるのを恋し恋しと待つことになるでしょう。 PC1に「妖怪が見えるようになる薬」を使うのであれば、PC2が消える最期を見届けることになるでしょう。 お別れといつかの再開を約束し、PC2と出会うのをPC1が待つエンディングになります。
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エンディングB:封印の儀式を行わなかった しじまの生命力を0にしたor妖怪を消滅させる薬を使ったらこちらのエンディング。
しじまは断末魔をあげ、苦しみながら消えていく。 「ああ、もういちど、ああ、ただ恋しくて、君に」
それを聞いたPC達に対して恐怖判定を行っても構いません(行うのであれば【拷問】【死】など)
その後の薬の処理は上記参照。 ただし、しじまに「 消滅する妖怪をとどまらせる薬 」を使用しても消滅を止めることはできません。
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エンディングC:しじまとの戦闘に敗れる
PC達が生命力0となり、気絶してしまうと、遠くにしじまの声が聞こえる。 「…ちがう、おまえ、じゃ、ない」
そういってどこかへ去っていく気配だけを感じた。
しばらくするとPC1を意識を取り戻す。 「留まらせる薬」をPC2に使っていればPC2も隣にいる。
次の日、あるニュースが飛びこんでくる。
西野のおばあちゃんが無くなった。 その遺体は長年放置されたように白骨化していたそうだ
「今度は、明日も、その先も、ずっと一緒。」 どこからか、そんな声が聞こえたような気がした。
※悪鬼となったしじまが、おばあちゃんの元へ行ってしまったために肉体も魂も奪われてしまった。
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いつか、再会の日を
恋し恋しと君を待つ。
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