sbakane
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日記
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無職の生き様
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sbakane · 5 years ago
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昔書いた小説(という名の黒歴史)
小説は読むのも書くのも好きです。時間を忘れてしまう…
まあ小説書くと言っても完成させられた試しがないのですがorz
というわけで書き途中の過去作です。赤ずきん風味のダークファンタジー。
続きもこれから上げるかもしれません。
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狼姫
 1.赤の饗応
  武装した一群の携えた松明の炎が、洞窟の闇をあかあかと照らしている。
 赤光を照り返して浮かび上がる洞窟内部の景観は地獄絵図のようにおどろおどろしい。
壁面にうねる大量の襞、上方から幾重にも折り重なって垂れ下がる鍾乳石。岩石でできているとは思えないほど複雑かつ有機的なそれらの造形は、罪人の魂をむさぼる化け物の口内を思わせる。
 実際にこの空間は、構造だけでなくその果たす役割も、化け物の口、あるいは食道そのものと言えた。
 明かりに驚いた蝙蝠たちがせわしなく飛び交う悪夢じみた魔窟の中に、片手に松明、片手に武器を携えた戦士たちの姿がある。
 化け物退治の一隊だった。この地で人間を喰らい続ける悪魔を成敗するための。言わば正義の戦いに身を投じる、銀の鎧に鎖帷子で身を固めた兵士たち。とはいえ内実はほとんどが賞金目当てで招集に応じた傭兵崩れであるが。
 彼らは全員固唾を飲んで、人がようやく二人すれ違える程度に狭く曲がりくねった洞窟の中、一列に並んで前方に目を凝らしていた。
 いくら洞窟の奥を伺おうと曲がりくねった道でのこと、岩壁に視界を阻まれる。それでも彼らは凝視せずにはいられない。
 けれど、彼らに視覚をはたらかせる必要はない。先行した仲間の行く末を知るためには。
耳さえ機能していれば十分だった。
 またも、骨が噛み砕かれる嫌な音と共に仲間の絶叫が響き渡る。これで7人目だ。
   隊列の最先端で、腕を喰いちぎられた男―7人目は自らの血に塗れながら、死に物狂いの形相で転がるように後ずさった。
片腕を捧げた化け物に命まで取られないため、本能的にそうしたのだった。
 血や人体の一部や丸ごとの骸が散乱したその場所には、唸り声を上げる黒い大きな影がたたずんでいた。
 力強い前脚、血潮を被って赤黒く変色した体毛。松明を反射して真っ赤に輝く双眸は、人間の原始的な恐怖をかきたてる。
 古くからこの地域に君臨する人喰いの魔性にして、この度の討伐行の標的…それは巨きな、巨きな狼の姿をしていた。
                      ・・・・
狼は巨大な顎を開いて、噛みしめていた7人目の肘から先を吐き出した。
 ごとり、と音を立てて地面に投げ出されたそれは、本体から切り離された今も手に銀の刃を握りしめている。
 『…だから、何度も言っているだろう。私に銀は効かないよ。』
              
赤黒い血が滴る牙もあらわに、狼は唸り声交じりの人語を発した。
 「くそ…よくも!」
 深手を負った7人目が命からがら退避するのと同時に、後詰めの戦士が敵を迎え撃たんと前に出る。
 しかし次の瞬間、銀の長剣が戦士の手元から消え、狼の口元に移動している。
狼を恐れて剣を前方に大きく突き出していたのが災いして、あっさりと奪い取られたのだった。
 さらに次の瞬間―後方に並ぶ戦士たちが8番目の悲鳴を聞いた直後―8番目は鎧に覆われていない首筋に牙を立てられる。
…7番目とは違い運悪く急所を噛まれたから助からない。
 もう限界だった。後詰めの戦士たちの、ギリギリで持ちこたえていた士気が崩れ去る。
 「ひいっ…!」
 「もう嫌だぁ!!」 「殺される!」
 十数人分の悲鳴と共に、戦士の列は押し合いへし合いしながら敗走を始めた。
 「何をしているか!臆病者どもめが!!化け物の首を取らぬ限り、洞窟の外には出さんぞ!」
 崩れた隊列を立て直そうと指揮官が唾を飛ばして怒鳴り散らすものの、
恐慌をきたした軍隊にもはや規律はなく、指揮官の権威など毛筋ほどの意味もない。
 麾下の戦士たちは立ちふさがる上官をためらいなく突き飛ばし押し倒して、その体を踏み台代わりに、重い銀の鎧を鳴らしながら洞窟の外を目指しがむしゃらに走る。
だが敗走を選んだ以上、狼に無防備な背中を晒すことになる。だから殿の戦士から続々とやられていく。
 前脚の薙ぎで9人目が頭部を跳ね飛ばされ、10人目が腿を引きちぎられて絶叫し、11人目の犠牲者は転んで倒れて後ろから来た戦士に散々踏みつけにされた末、狼に首を喰いちぎられた。
 討伐隊の生き残りは、残り10人。狼は戦士たちの鎧が立てる音から正確に判断する。
 …まあ大した人数ではないし、逃がしたところで今後大した脅威にはなるまい。
それにこれ以上生き残りを追い続ければ、戦いに不利な地形におびき出される可能性がある。
 狼はそう考えて追撃の速度を徐々に落とし、立ち止まった。
 『(全く…今回の討伐隊も、他愛ない。)』
 心の中で呟きながら首を巡らせ方向転換し、ひたひたと足音を響かせながら、洞窟の奥に向かって進み始める。
命拾いした討伐隊の残党のたてる鎧の音はだんだん遠ざかり、やがて聞こえなくなった。
 戦士たちが去った今、当然洞窟の中に明かりは一切ないが、狼にとってこの洞窟は長い歳月の間住み慣れた我が家だ。何も見えずとも行動に支障はない。
 奥の方にある寝床へ戻る道すがら、狼は返り討ちにした戦士の骸を腹に入れる。負傷して洞窟内に取り残された戦士たちも、息の根を止めたあとで同じようにした。
 「贄」が途絶えてもうずいぶん経つが、その代わり定期的に討伐隊が来るようになったから食料には事欠かない。…多すぎて困るくらいだ。
けれど討伐隊の死体は食べずに放っておくと嫌な臭いを発散するので、無理にでも食べるしかない。
 眩しい松明の光が去り、平和な暗闇を取り戻した洞窟の中で、ミチミチ、パキパキと骸を齧る音が響く。
 しかし肉を千切る音と骨が割れる音の中に、少しだけ…ほんのかすかであるが別種の音が混じっていることに気が付いた狼は、食事をやめて顔を上げた。
 聞き違いではない。やはり肉を食むのを止めてからも、その異音は響いている。
かつり、かつりと、徐々に近付いてくる。
 『何者だ。』
 洞窟の入り口がある方向に向かって低く問いかけると、地の底から轟くような恐ろしい声は何重にもなって洞窟中に木霊した。――洞窟の入り口付近にいるはずの足音の主にも聞こえたのだろう、音はしばらくの間鳴りやんだ。
 けれど、その何者かは威嚇を受け流すかのように、再びかつり、かつりと足音を立て始めた。
 …自分の声を聞いても慌てふためいて逃げ帰らないということは、只の迷子ではない。
それに、足取りに迷いがない。洞窟の奥に化け物がいることを重々承知した上でまっすぐに洞窟の奥を目指しているよ��だ。恐らく先ほどの討伐軍同様の敵だろう。狼は考えた。
 しかし妙だった。化け物退治にやってくる連中はそのほとんどが、兜と鎧で武装して大人数で隊列を組んだ男たちであったが、聞こえてくる足音はたった一人の人間、それも華奢な若い女のものだ。
 人間の女一人など、普通なら脅威になり得ない。それでも狼は決して警戒を緩めなかった。
 やがて遠くに微かな明かりが現れる。闖入者が持つランプの光だ。
光で闇が淡い橙色に切り取られた中に、闖入者の姿が見えた。
 予想通り、華奢な少女だ。
金髪で、きれいな顔立ちをしている。やや吊り上がった瞳は気が強そうだ。
 彼女の姿を見て狼は緊張を高めた。正確に言えば彼女の服装に反応した。
 少女が着ているのはフリルで装飾された白いワンピースだったが…無論それだけなら警戒に値しない。
問題は少女がワンピースの上に纏っている、いかにもアンバランスな古めかしいフードつきのローブだ。
 狼の住むこの集落で、このローブはかつて宗教的指導者―祭司の地位を示すものだった。
 使い古されたローブは裾がぼろぼろで煤けていて、染みや汚れが目立つ。しかし、そのくたびれたローブの本来の色彩を狼は知っている。
 幾度となく目にしてきた色。熟れた林檎よりも、沈む間際の夕日よりも鮮烈な、真新しい血潮そのものの紅。
 狼は驚愕に目をみはる。遠い過去の陰惨な記憶が脳裏をよぎる。
 『お前は…赤ずきん!』
 思わず、狼は吠えるように叫んでいた。
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sbakane · 5 years ago
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ニート楽しwww  社畜ざまぁwww
ニートになって暇ができたので日記を始めてみる。文章の練習にもなるし。
仕事が向いてなさ過ぎたので、このご時世にも関わらず会社辞めてしまったのが先月。今の所はびっくりするほど後悔がない。
真面目に働いてた頃はしんどい思いしながら嫌いな仕事して しかも使えない僕は細かいミス一つ一つでクソ怒られ 周りにも迷惑を掛けまくるという最悪な生活を送っていた。
けれど仕事放りだしてニート化してからは、何もしなくても誰からも文句言われないし いつでもどこでも好きなことができるし 貯金は減っていくけど なにこれほとんど最高の生活じゃん
真面目で有能な人が嫌な思いしながら働くお蔭で僕のようなクズ人間はぬくぬくと暮らすことができる。
ほんと世の中どうかしてるよね。
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