#〇〇のせいで私はバカになりました。ほんとは元々バカでした。
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「スマホは脳に悪い」とマジメに述べている人へ。 スマホで賢くなってる人の方が圧倒的に多いですぜ。
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役者紹介🚃💨🍩🍗
どうも、らびです。ビアゲ編も書き足したぞ。34期の皆さんは最後まで読んでくれると嬉しいな
【栞編】
今回のキーワードとなる「環状線」にちなんで、おそらくこの中で最も環状線を知ってるであろう私が、皆さんに似合いそうなオススメの大阪環状線の駅を書いていきたいと思います。被っても知らん。
〇園堂香莉
大阪城公園
お散歩してそう。あの辺はお散歩にちょうどいいですからね、自然も綺麗でお城もあるし。かなりオススメです。古墳好きな人はお城も好きなんでしょうか
〇近未来ミイラ
寺田町
あの、ほんま、この駅ってなんも無…簡素で素朴なエリアなんですよね。素朴な舞台が好きなみーらのセンスと近しいものがあるような気がしなくもない。それにしてもほんまに何も無いこの駅。でもみーらなら独自の着眼点で何かを見出せそう
〇たぴおか太郎
大阪
キディランドもユザワヤもありますからね。間違いなく大阪駅でしょう。それはそうと、あそこのちいかわらんどって絶対にもっと広くするべきだと思いませんか?
〇錫蘭リーフ
福島
オフィスカジュアル的な衣装がとても似合ってるのでオフィス街でおなじみのこの駅で。でもほんまにあのオシャレなオフィス街歩いてそうなんだよな
〇帝京魂
京橋
京橋怖いよな。特に夜なんて怪しげな人が沢山いるし…でもこの辺色々ラーメン屋さんとかあるイメージですね。でもあんまり知らない。京橋怖いので
〇森々仙入
西九条
ユニバが似合いそう。ということでユニバに繋がってる西九条駅をチョイス。ユニバのクルーにいそう。私もユニバ行く時にしか使ったことないので西九条に何があるかが分かりません。
〇箏
福島
中之島の近くでもあるのですが、中之島のあたりは景色が美しいですねー。川沿いにおしゃれな建物が沢山立ち並んでいて緑も多くて…そんな景色がルーベにピッタリではないかなと
〇苔丸
弁天町
駅に隣接して空庭温泉という大型温泉施設があります。温泉だけでなく写真スポットやらレストランやらが沢山融合していて楽しい場所なので是非
〇響夜
芦原橋
ここには教習所があります。ここの教習所はなかなか難易度が高く、普段から千日前筋など大都会を走ります。ここに最狂のドライバーなびやをブチ込んだら一体どうなるんでしょうか。
〇ミル鍋
桃谷
この辺はオシャレなお家が多いですからね〜お金持ちの凝りに凝った家がちらほらあります。建築巡りしても楽しそうです。
〇あろハム権左衛門
福島
福島には美味しい飲み屋が沢山あるので、オーストラリアのパーリーで初手ジントニックをキメたあろハムならやっていけるでしょう。
〇アリリ・オルタネイト
玉造
住宅街のイメージなので街にいるネコちゃんと触れ合いますね。あと近くの空堀商店街には猫カフェがいくつかある。オススメです。
〇〆切三日前
天満
商店街があって美味しい飲食店が沢山あります。かなりオススメ。市場もあるから芋も売ってるかも…新鮮な食材が勢ぞろいしてます
〇黒井白子
森ノ宮
森ノ宮には実は漫才劇場があります。ここでよくお笑いライブがやってるんですよねしかもなかなか豪華!あと普通に劇場もある。演劇も観れてピッタリやん
〇中森ダリア
鶴橋
コリアタウンあるからね、間違いない。鶴橋は少々治安が悪いのですが、あのゴチャゴチャ感はアウトロー好きのひらりなら問題ないでしょう。
〇きなこ
桜ノ宮
環状線で春にここを通ると川に沿って桜がいっぱい咲いててすごい綺麗なんですよね。雰囲気的に桜が似合いそうだなぁと思ってのチョイスです
〇暁レミエル
天王寺
放課後の天王寺にいそう〜〜JKが似合うのでJKが沢山いる天王寺です。画材屋さんもあるよ。あとアクセスが���い!でも阪大からは遠い
〇肆桜逸
大阪
都会の眩しさに圧倒されてほしいです。ちなみに大阪駅には「LUCUA1100」って建物があるのですがこの読み方ご存知ですか?
〇埖麦
天王寺
めっちゃ放課後天王寺にいそう2。高校生が似合うからかな。この辺の高校生は放課後天王寺のフードコートやらでたむろしてます。いそう
〇紫苑
新今宮
カオスと混沌の街、新今宮———。こんな場所になつめを突っ込んだらどうなってしまうのでしょうか…そのカオスさを見てみたいですね。でも新今宮に行くのはオススメしません。どっちやねん。オススメしろよ。
〇水琴冬雪
大阪城公園
カメラをやっているので。何と言っても景色が綺麗で撮りごたえのある場所なのではないかなと思います。春は梅や桜が沢山咲いててカメラマンも多いですよ
【BE YOU AGAIN 編】
BE YOU 「揚げ」INということで、みなさんにオススメの揚げ物を書いていきたいと思います。みなさんにオススメのと言いつつも、みなさんを揚げ物に例えると、みたいな趣旨になっているかもしれません。
東愛莉
ごまだんご
おさげ髪がよく似合うので。両手に持ってて欲しい
大良ルナ
ハムカツ
ピンク色がよく似合うので。頬張っててほしい
児
カキフライ
独特の雰囲気がありつつも魅力的である
うみつき
白身魚のフライ
サッパリしている、ぽい
統括のフォーニャー
チーズホットグ
キラキラしているから
緒田舞里
エビフライ
みんな大好きで華がある
白
大葉の天ぷら
爽やかだが渋さもある
埖麦
ポテトフライ
若者のジャンキーな雰囲気がぽい
岡崎仁美
竜田揚げ
唐揚げではなく竜田揚げ
雨々単元気
ししとうの天ぷら
辛いやつに当たって良い反応しそう
舞原の絞り滓
オニオンリング
めっちゃなんとなくやけど、ぽい
じゃがりーた三世
串カツ
中身が全然わからない
オーム
コロッケ
声の雰囲気がコロッケの中身の感触に近い感じがするので
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ごぼうのの唐揚げ
細い
縦縞コリー
唐揚げ
唐揚げバカ
大福小餅
揚げパン
甘党すぎるから
叶イブ
チュロス
甘くて可愛いものが似合う
アリリ・オルタネイト
揚げ春巻き
グローバルな感じがするからです
はぜちかきつ
カツ
王道。似合う。
おや…役者紹介の様子がおかしいぞ…
▶︎役者紹介が団員紹介に変化した!
という訳で34期の皆さんには真面目なやつを書いていきたいと思います。
◯たぴおか太郎
稽古日誌とかコラ画像の感じとか見ていたら一見激ヤバな狂人だと思いきや、誰よりも優しくて気遣いの天才で努力家な素敵な方です。なすかさんがいないと成立しなかった事、沢山あるかと思います。あとセンスも大好き。今度の公演も楽しみにしています!
◯岡崎仁美
もはや友達。いっぱい遊びに行ってるもんね〜☺️時にはズバッと厳しい意見も言い場を締める役割は、下手したら嫌われ役になってしまう可能性もあるのに、それが出来るのは普通じゃないです。すごい。ヌピというデカい柱が無くなってしまうことは少し不安もあります。引退しても遊びに行きましょうね!
◯水琴冬雪
オムニに出てなかった私にとっては感謝してもし足りない人です。「らびはもうオレンジ班だからねー」って終礼に入れてくれた事にも大入りを書いてくれた事にも助けられました。嬉しかったです。今役者を出来ているのもベガさんのおかげだと思っています。宣美も、最後にまたベガさん脚本の担当が出来て良かったです。
◯緒田舞里
色んな意味でこうなりたい人。活動内容の特性上でしょうか、ちゃうかを楽しいとは思いつつもその下にはずっとしんどさもあって、でも外公終わりに色々お話しした時にそんな自分がなんかもう色々成仏しました。ありがとうございます。まりおさんは、「この人にそう言ってもらえるなら」と思わされる位偉大で、でもどんな人にも寄り添える素晴らしい先輩です。こうありたいと思う人です。
◯肆桜逸
絶対稽古場作業場吹田にいて欲しい。この人がいれば絶対その場が面白くなるからです。今年入ってから急激に仲良くなった気がします。インターネットの話するの楽しいですね😃引退しても吹田支部(旧)しましょうね。俺は吹田が大好きなんだよ!!
◯児
もう奇怪な動きをしたり美声を響かせてるこたちさんの姿が稽古場から無くなると思うと寂しいですね。自分の中でがっころの演出を出来た事は色んな意味で大きかったと思っていて、その点ではめちゃくちゃ感謝しています。次の公演も楽しみです。
◯らっしー
座長になるべくしてなった方ですね。らっしーさんのホワッとした雰囲気はちゃうかに安寧をもたらしていることでしょう。個人的には私服がカッコよくてめっちゃ好きです。進撃の巨人の服もかっこいいと思ってます。本当です。
◯統括のフォーニャー
なんでも肯定してくれる優し��ネキ。個人的にはもっとお話ししてみたかったし、役者ももっと見てみたかったなと思っています。全然関わりの強い訳でもない私が言うのもなんですが、強くてしたたかな方だなと思っています。
◯舞原の絞り滓
外公で共演できて嬉しかったです。もっとお話しし��いと思ってたので。横から聞こえるまほろさんのクソデカ声、いまだに恋しいです。だーがーしかーし‼️まだまだ知らないこともあると思います。願わくばまたその機会があらんことを…
◯じゃがりーた三世
結局この人のことを何も分からないまま引退してしまいそうです。本当不思議な方です。なんでそんな、後輩にもめちゃくちゃ敬語なんですか…?でも時々芯食ったことを言うので怖い。
◯アリリ・オルタネイト
ボス。舞美のね。猫みたいにフラッとどっかに行ったかと思えばフラッと戻ってきて頼りになる人。かっこいい。よくよく考えたらめちゃくちゃハイスペックなことを思い出してすげぇ…となるやつを何回もやってます。
34期、フォーエバー
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「藤田は,敗戦によって国家が崩壊し,人々が自然状態に投げ出された戦後の闇市的状況のうちに「戦後経験」の原点を見る。人々は国家以前の自然状態のなかで自らの経験に基づいてたがいに交流し,生存のための規範を編み出そうとする。人々は国家に奉仕する公人としてではなく,国家よりも私生活に高い価値を置く私人として生きることによって,経験に基づく社会の創造の可能性を手に入れたのである。(中略)つまり藤田は,日本が高度成長に突入する以前の敗戦直後の社会に,敗戦を経験すると いう意味での「戦後経験」が存在した,と言うのである。藤田はそれがいかなる意味にお いて「戦後経験」であるのかをつぎのように説明する。「戦後経験」の核心は,敗戦によって国家が崩壊し,この国家の崩壊が「不思議にも明 るさを含んで��る」(藤田省三[2003]224頁)ということにある。ただし,この明るさは, 敗戦の「悲惨と欠乏と不安」(藤田省三[2003]225頁)のなかにはらまれる明るさであり, 社会秩序が崩壊した中で,新たな社会を展望する無限の可能性をはらんだ明るさであった。(中略)だが藤田が検出した上記の「戦後経験」は,その後日本が戦後復興を遂げ,高度成長に突入していく過程で消滅していく。藤田にとって,高度成長が進展していく過程は,物や 事柄との相互交渉を意味する経験が,当事者から「遊離して一つ『物』として人間の外に 存在するように」(藤田省三[2003]223頁)なる過程にほかならなかった。そして,この「戦後経験」の物化と喪失という視点に立って高度成長を位置づけるとき,高度成長は ≪全体主義≫としての相貌をあらわにする。藤田はこの高度成長を「『安楽』への全体主義」と名付ける。それは,この全体主義が「安楽」という日常生活の精神的態度(人々の「心の動き」)に立脚するものだからである。 藤田は,高度成長を支える高度科学技術文明の根底に,この文明を受け容れていくつぎ のような人々の「心の動き」があることを注目する。科学技術が開発する設備・装置・製 品をつぎつぎと無批判的に受け入れていく人々の生活態度には,「私たちに少しでも不愉快な感情を起こさせたり苦痛の感覚を与えたりするものは全て一掃して了いたいとする絶えざる心の動き」(藤田省三[1994a]3-4頁)がある,と。(中略)「かつての軍国主義は異なった文化社会の人々を一掃殲滅することに何の躊躇も示さな かった。そして高度成長を遂げ終えた今日の私的『安楽』主義は不快をもたらす物全てに 対して無差別な一掃殲滅の行われることを期待して止まない」(藤田省三[1994a]5頁)。(中略)市場経済は,「戦争の全体主義」や「政治支配の全体主義」と対立する体制ではなく, この二つの全体主義を,姿を変えたかたちで継承し深化させる二〇世紀全体主義の普遍的 性格を体現している。高度に発展し複利的な成長を続ける市場経済は,ありとあらゆるも のを商品化し,市場に取り込む。そのために,人や物や情報や知識がたえず流動化し,使 い捨てられ,資本の価値増殖の運動に巻き込まれていく。人々はそのなかで,たがいの社 会的なつながりを断ち切られ,孤立させられ,無社会状況に追いやられる。それらの諸個 人を消費生活に向けて動員し,安楽の一元的な感覚の支配に向けて囲い込んでいく,それ こそが「『安楽』への全体主義」にほかならない。
斉藤日出治「原子力の産業的利用と「市場経済全体主義」 ―藤田省三,カール・ポランニー,ミシェル・フーコーの 市場経済認識の検討を通して」『大阪産業大学経済論集 第 14 巻 第1号』
大学生たちは会社にかようように学校にかよい、伝票をつけるように教授の話をノートにとり、帳簿そっくりの字を書き、ベルが鳴るとおとなしく椅子からたちあがり、食堂で牛乳とパンを食べ、どの教授のゼミナールにでると就職率がいいとかわるいとか、早くも四年先の入社試験のことをあれこれと思いめぐらしていた。私が少年少女の手紙を翻訳したり、古倉庫で草根木皮をきざんだりしているあいだに日本社会はどうやら大きな変化があったらしかった。怜悧で、確実で、逸脱を知らない、時計のように平安で冷酷なものが主役として登場したのだ。まだ焼跡はいたるところにあった。しかし、いたるところに家やビルが建ちはじめていた。商人たちは戸外で叫ばなくなった。闇市は市場となった。物や商品はいくらでもあふれ、人びとはそれを並べることより飾ることに心を砕いていた。新聞や雑誌に登場する知識人たちの声はたちあがるまえにすわることを考える姿勢を匂わせた。(中略)創造よりは洗練が、混沌よりは調和ある詠嘆が、直叙や断言よりは暗喩や衒学趣味が迎えられ、仲間同士は心のなかでバカと思ってもけっして口にはださず、擁護しあい、あらそって推薦文を書きあい、満腹しながらけっして満足しないことがかさなって一種のうつろな仰々しさが全方角にあらわれはじめていた。(中略)荒らしく、しかもこのうえなく優しい顔をした巨人的な自然は後退し、膝をつき、すみっこにかがみこみ、もう風を呼ぶことも、雨を降らすこともできなくなってしまった。それは港の埋立地のあたり、大阪城の周辺へでもいかないと見られなくなってしまった。計算機やタイム・レコーダーや月賦の時代がきたのだ。さえぎりようなくそれがきたのだ。人びとが自然から力をあたえられていた時代はすぎた。さえぎりようもなくあっけなくそれはすぎてしまった。地平線はちらとあらわれ、たちまち消えてしまったのだ。疫病のように、カビのように、眼に映るのはただ壁と、ガラス窓と、屋根と、埃っぽい書類の山。かがみこんだ背。うなだれた頭。
開高健「青い月曜日」(集英社文庫,2018)
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そうそう 俺もどこのだれか知らん奴に成りすまされて、第三者に対する嫌がらせ行為をされたことがある その嫌がらせされた相手が、犯人が俺だと決めつけて電話してきたので、当然怒鳴りつけたやった そしたらそいつがいった言葉は「私は被害者なんだぞ!」 バカか? いきなりやった覚えもないことで電話かけてきて散々犯人扱いして反論されたときにそれが再反論になるとでも??
この被害者なんだから、相手が犯人かどうか確認しなくてもOKとかいう根性は、〇〇クレーマーそのもの 阿呆に限ってこう考える
そして、その事件の元凶であるオレへのなりすまし 俺の家庭環境や交友関係をある程度以上把握してないとできない嫌がらせだから、小中高のどっかで同じクラスか学年だった奴だろう 全く何の心当たりもないが そいつが勝手に俺への嫉妬か敵意を募らせて、俺に成りすまし悪さをした、と
そんなことして何がうれしいんだろうかって疑問と気持ち悪さがずっとあった もう10年以上も前のことだ そういう人は結構多いのかもしれない
でも、人様から嫉妬されるようないいことは自分に起きてもいないだが 今でも謎だ
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日本はドラッグ無法地帯!? ドラッグの世界潮流と日本ドラッグ事情
2009/07/25 18:00
ohno_gendai.jpg
『週刊現代』8月9日号(講談社)
「犯罪者である彼あるいは彼女にも我々同様に人生があり、そして罪を犯した理由が必ずある。その理由を解明することはまた、被害者のためにもなるのでは?」こんな考えを胸に、犯罪学者で元警視庁刑事・北芝健が、現代日本の犯罪と、それを取り巻く社会の関係を鋭く考察!
昨今の日本では、ドラッグ関連の報道はもはや珍しいものでもなんでもない。芸能界からスポーツ界、有名大学の学内、そのほかありとあらゆるところにドラッグが蔓延しているのが現実である。ドラッグは日本の闇の文化の一つとして成り立ってしまったといっても過言ではない。そしてそれは、世界的なドラッグの流通ルートに、日本が組み込まれていることをも意味する。今や世界のドラッグ業界において、日本は無視することのできないほど大きな市場の一つなのである。
日本におけるドラッグ全体のシェアは、大麻がトップ、次いで覚せい剤とMDMA(合成麻薬)が肩を並べる。そして、この三種類が日本に出回るドラッグのほぼすべてを占めている。これらのドラッグは、大麻が『ダウナー系ドラッグ』、ほかの2つが『アウェイキング・ドラッグ(またはアッパー系ドラッグ)』と呼ばれ、程度の差はあるがどれも自身の感覚が鋭敏になり、セックスの快楽を増す作用がある。ダウナー系は他者に対しての警戒心が鈍くなり、羞恥心が薄らぎ、多幸感、および大麻であればマッタリ感、アッパー系なら極度の強迫観念や攻撃性が増すようになる。これらのドラッグの売値は、クラブに出入りするプロのディーラー(卸元)やプッシャー(密売人)など取り扱う者にもよるが、平均してMDMAは1錠2,000~4,000円(末端価格。以下同)。大麻はタバコ状になっているもので1本2,000~3,000円。覚せい剤は1g4~7万円前後。これは近年値上がりした価格で、それまでは長い間耳かき一杯で7,000円前後の相場であった。これらのドラッグの流通には当然、闇社会が関わっている場合がほとんどで、相場価格はコントロールされているため大きな値崩れはない。
日本に入ってくる覚せい剤は、北朝鮮で製造され海を渡ってくるものが有名だが、中国の香港や大連からも密輸される。ヘロインやアヘンはミャンマーとタイ、ラオスの三国境が交わる山岳地帯、業界では『ゴールデン・トライアングル』とも呼ばれる一大麻薬密造地帯から日本に来るルートがある。これは、まずバンコクを通り、グアム経由で成田や関空に入ってくる。また、バンコクからシーチャン島~台湾~沖縄を通る、台湾マフィア”チクレンパン”が仕切っているルートもある。なお、余談だが、実はチクレンパンが仕切るこのルートはオウ��真理教の手配犯、高橋克也、平田信(菊地直子は偽造パスポートで関西空港からバンコクへ出国)が国外に逃亡したルートでもある。オウムと麻薬組織とのつながりは、オウムが覚せい剤を密造していた関係からできたものであり、現在、彼らはミャンマーの山村で”麻薬将軍”ことウェイ・シューカンに保護されている。3人がかつて潜伏していたというミャンマー北部の一軒屋には、昨年私の友人や捜査官も実際に足を運び、その痕跡を確認したので間違いないはずだと思っている。
大麻は世界中のいたるところで密造されている。世界的に有名なのはインドのガンジャや中東、東南アジアのタイ、南アフリカ、アメリカならばカルフォルニアのビッグ・サーあたりであろう。世界中というのには当然日本も含まれており、福島や栃木の山間部や北海道に違法な大麻畑があるという情報もある。欧州発のドラッグであるMDMAは、主にオランダ、ポーランド、チェコで密造され世界各国に流れる。ドラッグ市場の規模で言えば日本以上である欧州は、ドラッグの種類に関わらずその多くがヨーロッパドラッグカルチャーの中心であるオランダ・アムステルダムに一度集められて欧州全土に広まるが、日本にはオランダ経由で航空貨物やシベリア鉄道などを通じ流入する。日本に入ると、まず六本木に集められ新幹線を使って全国のクラブにばらまかれる。
三大ドラッグと比べれば数は少ないが、アヘンやヘロインも少しずつだが日本に入ってきている。アヘンに関しては1988年にイラン・イラク戦争が終わり、イラン人が日本に大量に入国した際、『テリヤキ』と呼ばれるアヘンスティックを持ってきたことで流行した。当時それらは1本6,000円くらいで取引されていたが、これが現在でもイランからのルートで国内に入ってきている。また、昨今は01年のアフガン戦争以降、アフガニスタンでは厳しく取り締まられていたケシ畑がタリバンによって復活し、アヘンや精製されたヘロインが国内にも流れてきている。ただ、アヘンは日本ではさほど需要がなくアメリカや欧州、中東、アフリカにおいて多くが取引されている。
以上が、日本に流入するドラッグの主だったルートであるが、このようなルートが各国に存在し、それこそドラッグの世界潮流とも言うべきものを為している。これだけわかっていて、なぜドラッグの流入を防げないのか? そう考える人もおられるかと思うが、実際に国内へのドラッグ流入を阻止するのは非常に難しいのが現実だ。まず、空港に入ってくるドラッグの場合だが、家具や家電に巧妙に隠され税関をスルーしていく。個人では身体に巻きつけたり、防水加工したりして体内に隠す場合もある。国内に来る人��荷物の数に比して空港警察や税関職員、厚生省麻薬取締官、麻薬犬の数は圧倒的に不足している現状では、一定の成果を上げているとは言っても、残念ながらその何倍ものドラッグが空港を通過していると考えられる。そして、船を使った場合は漁船でやられたらほぼ100%スルーになってしまうのが現状だ。数は減ったとはいえ、依然として北朝鮮製覚せい剤がドラッグ市場からなくならないのも、海からの流入を防げないからである。北朝鮮から積み出された覚せい剤は、日本海沿岸において防水加工され海に流される。それを、広域暴力団に雇われた漁船が吊り上げ、日本に持ち帰るのだ。つまり、いくら港の税関の取締りを厳しくしてもドラッグの流入は防げないのが日本の現実なのだ。
日本はこのように、島国といえども関係なくドラッグに入り込まれやすい地帯なのだ。ドラッグから身を守るためには、そんな現実を認めて個人各々が「ドラッグには手を出さない」という強い意志を持っていくしかないのである。
(談・北芝健/構成・テルイコウスケ)
shibakenprf.jpg●きたしば・けん
犯罪学者として教壇に立つ傍ら、「学術社団日本安全保障・危機管理学会」顧問として活動。1990年に得度し、密教僧侶の資格を獲得。資格のある僧侶として、葬式を仕切った経験もある。早稲田大学卒。元警視庁刑事。伝統空手六段。近著に、『続・警察裏物語』(バジリコ)などがある。
アヘン王国潜入記
ケシ畑で農業体験?
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株式会社クロコス
最終更新:2009/07/25 18:00
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東京になりかけ
外に出るのが億劫で買えていなかった漫画や雑誌を買いに行った。有楽町の三省堂は広くて好きだ。というか、有楽町という街が好きだ。けれど、まるくて小さい有楽町はきっと実際はそんなに小さくない。おそらく私が通っていた幼稚園が有楽町にあって、その頃に目にしていた有楽町に比べれば今の有楽町は小さい。半径30mくらいの球体にマルイやJRの駅があるこの街がなんとなく小さく感じるのは、交通会館周りにそういう大きな建物が集まっているからだろう。そして、まるく感じるのはロータリー沿いの道が丸いカーブを描いているからだ。頭に浮かぶイメージはかなり安直で、詩的じゃない。誰が来たって、有楽町は小さくてまるい街だ。晴れて青すぎる空の下でブルーピリオドBRUTUSを買った。あと文學界も買った。安直な言葉の結び付きが少し愛おしい。そしてビックカメラで炊飯器を買った。ビックカメラはそこそこ混んでいて、店員が捕まらないまま炊飯器売り場が見つからず、必要もないのにオーブンレンジ売り場をウロウロしていた。ようやっと捕まった店員はチャキチャキのオバチャンで、「一人暮らし用の炊飯器を探してるんですけど」と言うと腕をまくって「こっちね!」と炊飯器売り場に連れて行ってくれた。腕まくりは本当にしていた。IHの炊飯器はマイコンより美味しく米が炊けること、3合も一気に炊かないからと1.5合炊きの炊飯器を使うと美味しく米が炊けないこと。そんなことをポンポン話すオバチャンに、私はふんふんと頷いていた。ポイントを使って買いたいことを伝えると、オバチャンは意気揚々と2万円超えのIH炊飯器を勧めてきたけれど、そんな高級家電を買う余裕はないのでその隣にあった1万円ちょっとのIH炊飯器を買った。「これでも全然美味しいからね、大丈夫大丈夫」とオバチャンはマスクがズレる勢いでダンボールの山から炊飯器を取った。レジで支払いを済ませると至近距離の真後ろにオバチャンがいて、ぐるぐる巻きに包装した箱を持って「気をつけてね、がんばってね」とチャキチャキしていた。オバチャンだなぁ、と思った。マスクをしていてもオバチャンのまるい眼鏡が曇らないのは、オバチャンの喋る勢いが凄すぎてマスクがズレるからだと思う。ありがとうございました助かりました、と告げるとオバチャンは親指を立ててきた。オバチャン。シュワちゃんみたいで愛おしい。
炊飯器のダンボールを抱えて有楽町から山手線に乗った。昼過ぎの山手線はそこそこ人で混み合っていて、一つ空いていた席の足元にダンボールを置いてそこに座った。隣に座っていたおっちゃんが小説を読んでいて、私も鞄の中の文學界を取り出した。ぽやぽやと明るい車内で雑誌を開くと、必要以上に紙が照らされて眩しい。サンルームみたいに明るくて暖かい車内は、もしかすると私が来ているMA-1が��節外れになりかけているから暖かいのかもしれない。少し汗ばむくらい暑かった。136頁から始まるDJ松永の連載を読んで、不覚にも泣きそうになってしまった。人生でほとんど初めて電車に乗った彼の話に、高輪ゲートウェイに到着したあたりで、あまりのリンクしなさに愛おしくなっていた。私は小学校から電車通学だったから、逆に自転車と車があればどこにでも行けると思っていた彼が初めて電車に乗ったときの感動を知ることはない。知ることはないことが、寂しくて、なんとなく嬉しかった。五反田駅に着いて、炊飯器を抱えて山手線を降りた。中途半端に大きくて持ちづらい箱を抱えたままエスカレーターを上ったり下りたりした。背中のまるいオバチャンの後ろを歩いていても、持っている荷物が煩わしいから舌打ちは聞こえてこなかった。そんなことより、外に出ても暑かったし空はバカみたいに青かった。電車を乗り継いで新居まで炊飯器を運ぶ。毎日これを使って、これで炊いた米が私の身体を作るのだと思うと、なんだか不思議な気持ちになった。死ぬほど重いわけではないけれど、持ち運ぶには煩わしい重さ。生活の鑑のような気がしていた。私がこれから暮らす街は、有楽町のようにまるくないけれど小さい。例えて言えば、LEGOで作った街によく似ている。万人の想像上の都会で生まれて育った私は、小学生の頃この辺りに住んでいる友人の家を訪ねたとき「〇〇ちゃんちは東京じゃないの?」と聞いたことがある。失礼すぎる。でも本当にそう思ったのだ。私の目に映る東京も、テレビで見る東京も、同じようにビルばかりあったから東京にはビルしかないと思っていた。そんな私が炊飯器を抱えて三階建てのアパートの階段を上る。これはなんだか少し滑稽で、愛おしい。今の私はLEGOで出来た小さくて可愛い建物たちが身を寄せ合っている東京も好きだし、人間の欲の塊みたいな東京も好きだ。空っぽだったワンルームにちまっこい家具や家電を置いて組み合わせていく生活も、少しLEGOに似ている。8畳間のミニマム東京は、私のためだけにあって、私のためだけの東京に誰かを呼びたくなる。一番にあの子を呼ぶという約束は守れそうもないけれど、もう少しワンルームが都会になった頃に呼べたらいいなと思う。ワンルームにしちゃあ窓が大きいこの部屋から見える空も、やっぱりバカみたいに青かった。カーテンもラグも青いので、青がゲシュタルト崩壊しそうだ。そんな青だけの小さい部屋の真ん中で黒いMA-1を着た私が、ポチポチと文章を綴っている。青だけの空に墨汁をぽたっと落としたみたいで、ちょっと興奮する。帰ったら、母が鍋を作って待っている。実家に戻るとき、いつまで私は「帰る」と言うのか、今から少し楽しみなのだ。今あぐらをかくベッドの上に、身体をホカホカにしたあの子が横たわることぐらい楽しみ。米みたいに肌が白いあの子が炊飯器の蓋を開けて、ふっくら笑うその顔が青の中に包まれるときはきっと、たぶんもう少しワンルームは東京になっている。
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続・くのいちイリュージョン
1. 女性だけのイリュージョンチーム「コットンケーキ」に所属していたあたし、御崎芽瑠(みさきめる)がフリーのマジシャン、谷孝輔(たにこうすけ)と出会ったのはほんの4か月前のことだった。 恋人同士になり、専属のパートナーになって欲しいと頼まれた。 ���んだ末、あたしはコットンケーキを辞め、彼のアシスタントになって生きることに決めた。 2. 以前は撮影スタジオだったというフロアの半分に客席のソファとテーブルが並んでいる。 残り半分があたし達のステージだ。 ちらりと見たところ、客席は結婚式の披露宴みたいに着飾った人ばかりだった。 ここってものすごく高級なクラブなの? 「会員制の秘密クラブさ。会費は安くないらしいよ」 「すごいね」 「みんな俺たちを見に来てくれてるんだ。ドキドキするステージにしよう」 「うん!」 〇オープニング ステージが暗くなって、中央にスポットライトが一本当たった。 ゴーン。 鐘の音のSE(効果音)。 あたし一人で進み出た。 衣装は真っ赤な忍者の上衣、ショートパンツに網タイツとブーツ。覆面で顔を隠している。 身を屈めて爪先で小走り。ときおり物陰に隠れるようにして周囲を伺う。 あたしは敵地に侵入したくのいちだ。 絶対に見つからないよう、気配を殺して・・。 〇 スネアトラップの罠 がたんっ!! 大きな音がして、くのいちが消えた。 ピーッ、ピーッ! 呼び子が響き、ステージ全体が明るくなる。 くのいちは頭上高くに吊られていた。 片方の足を縄に絡められて、逆さになって激しくもがいている。 これは森で動物などを捕獲するために使うスネア・トラップという罠だ。 目立たないように張ったワイヤを引っ掛けると、縄の輪が足に掛かり、立ち木をしならせたバネの力で吊り上げられる。 「獲物がかかったか!」 黒装束の忍者が登場した。コースケだ。 長いマントを翻し、背中に太刀を背負っている。 黒忍者は逆さ吊りになったくのいちの手首を捕らえると、後ろ手に組ませて縄で縛り上げた。 さらに覆面を剥ぎ取って、その口に懐から出した白布を詰める。 「舌を噛んで自害されては困るからな」 にやりと笑うと、前髪を掴んで前後左右に振り回した。 ・・あたしは悔し気な表情を浮かべながら振り子のように揺れた。 揺れ幅が小さくなると、再び髪を掴んで揺らされた。 全体重を片足で受けているから長く続けると足首を痛めるけれど、そのために足首部分を分厚くしたブーツを履いているから耐えられる。 〇 逆さ吊りオリガミ 黒忍者は小さな箱を載せた台を押してくると、くのいちが揺れる真下に据えた。 一辺がわずか30センチほどのサイコロ形の箱である。 その箱の蓋を開け、くのいちを吊るす縄を緩めてゆっくり降下させた。 くのいちの頭��箱に入り、続けて肩、胸、腰と沈んでゆく。 こんな小さな箱にどうやって人間の身体が入るのか不思議だった。 くのいちの膝まで箱に入ったところで、黒忍者は足首に絡んだ縄を解き、さらに左右のブーツを脱がせた。 網タイツだけになった脚を上から押し込ん���箱の蓋を閉じる。 黒忍者は背中の太刀を抜くと、箱にぶすりと突き刺した。 すぐに抜いて別の角度で再び突き刺す。 これを何度も繰り返した後、黒忍者は箱の面を内側に折り込んで半分の大きさにした。 さらに折って小さくする。 箱をゲンコツほどの大きさまで折り畳むと、黒忍者はその台まで二つに畳んで運び去ってしまった。 〇 皮張り椅子からの出現 ステージが暗くなって、反対側に置いた皮張りの椅子にスポットライトが当たる。 黒忍者はその椅子に艶のある大きな黒布をふわりと被せた。 すぐに布を外すと、そこにくのいちが腰掛けていた。 縄で後ろ手に縛られ、白布の猿轡をされた姿は変わりがない。 黒忍者はその口から覗く布の端を摘むとずるずる引きだした。 咳き込むくのいち。 その首を両手で締め上げる。 くのいちは首を振りながら苦しみ、やがて動かなくなった。 ・・コースケの首絞めは容赦なしだ。 あたしは息を詰まらせ、ちょっぴり感じながら気絶する演技をする。 黒忍者はくのいちの頬を叩いて意識を失ったことを確認する。 大きなビニール袋を持ってくると、くのいちの上から被せ、袋の口を縛って床に転がした。 〇 透明袋のスパイク刺し 椅子が下げられて、キャスター付の薄い金属台が登場した。 金属台の広さは畳一枚分ほど。 黒忍者はくのいちを入れたビニール袋を金属台に乗せた。 袋の中ではくのいちが目を覚ましたようだ。 ・・あたしは身を捩ってもがくふりをする。 この後、後ろ手に縛られた縄を抜けてビニール袋から脱出するけれど、そのタイミングが難しいんだ。 コースケがアドリブで芸をすることもあるし。 痛! こらコースケっ、女の子を足で蹴るなぁ。 喜んじゃうじゃないか~!! 黒忍者がくのいちを袋の上から蹴って、くのいちが苦しむ。 その間に頭上から大きな器具が降りてきて、ビニール袋のすぐ上で停止した。 鉄板は金属台とほぼ同じ大きさで、100本以上の金属針(スパイク)が下向きに生えていた。 生け花に使う剣山(けんざん)を逆さにしたような形状である。 四隅に布ロープを掛けて吊るしているようだ。 もしロープが切れたら鉄板は落下して、鋭く尖ったスパイクがくのいちを貫くことになるだろう。 黒忍者は火のついた松明(たいまつ)を持つと、4本の布ロープに順に火を移した。 燃え上がる布ロープ。 透明な袋の中ではくのいちが必死に縄を解こうとしている。 4本あるロープの1本が燃え尽きて切れた。 鉄板は大きく揺れたが、まだ宙に浮いている。 反対側の1本も切れた。 鉄板がぐらりと傾き、それにつられて残りの2本が同時に切断された。 がちゃん!! 大きな音がして鉄板が落下した。 ちぎれたビニールの破片が舞い散る。 観客の誰もが息をのんでステージを見つめた。 金属台にスパイクが突き刺さっているが、そこに人影はなかった。 最後の瞬間まで、袋の中には確かにくのいちが閉じ込められていた。 いったいどうなっているのだろう? ステージが明るくなった。 黒忍者がマントを広げると、その陰からくのいちが現れた。 拍手の中、並んでお辞儀をする。 ・・やったね! コースケの目を見て微笑んだ。 コースケも笑ってあたしの頭を叩いてくれた。 3. 「じゃあ、お仕事うまくいったんですね!?」ノコが聞いた。 「まあね」 「いいなぁ、私も見たかったです」 「ダメよ。会員でないと入れないお店だから」 ノコはコットンケーキの後輩で、あたしとちょっと特別な関係にある女の子だ。 「・・だいたい片付きましたね」 「ありがとう、助かったわ」 「メルさんのことなら何でもお手伝いしますよ~♥」 ここはコースケのマンション。 彼の専属になって、あたしは前のアパートを引き払いコースケと一緒に住むことにした。 一緒と言っても、籍は入れない。ただの同棲だけどね。 ノコは引っ越し荷物の整理に手伝いに来てくれたのだった。 「お茶、入れるわ」 「お茶よりも・・」「何?」 「コースケさんはまだ帰らないんですよね?」 「うん。彼、ショーの打ち合わせで、戻るのは夜になるって」 「なら、触れ合いたいです、メルさんと」 「もう」 「えへへ」「うふふ」 あたし達はくすくす笑いながら着ているものを全部脱いで裸になった。 忍者の長いマントを互いの首に巻く。 マントは忍者装束が趣味のあたしがノコと一緒に過ごすときに必ず着けるアイテムだった。 「拘束してもらえますか?」 「ノコってマゾなの?」「はい、ドMです♥」 相変わらず素直ではっきり言う子。だから好きなんだけど。 ノコはマントの下で後ろに手を合わせ、あたしはその手首に手錠を掛けてあげた。 「ああ、これで私に自由はありませんよね」 後ろ手錠の具合を確かめるノコ。 その顎に指をかけて持ち上げた。そっと唇を合わせる。 キスの後、後ろから回した手で左右の胸を揉みしだく。 この子はあたしより小柄なくせに、おっぱいが大きくてふわふわ柔らかいんだ。 股間に手をやると、そこはもうしっとり濡れていた。 「はぁ・・ん」 カナリアみたいに可愛い声。 こんな声で鳴かれたら、あたしも濡れてくるじゃないの。 ソファに揃って倒れ込んだ。 乳首を甘噛みすると、ノコは全身をびくんと震わせた。 「・・俺がいないときを狙って、何やってるの」 振り向くと、ドアが開いてコースケが立っていた。 4. 「コースケ! 帰るのは夜だって・・」 「のはずだったけど、早く済んだから帰ってきたの」 コースケは頭を掻きながら呆れたように言う。 「ま、こんなことになっているだろとは予想してたけどね」 「すみませーんっ、メルさんを食べようとしちゃって」ノコが謝った。 「俺は気にしないよ。それ��食べようとしてたのはメルの方じゃないの?」 「・・」 あたしはノコの上から離れた。 赤くなっているのが自分で分かる。 二人の関係はコースケ公認だけど、彼の見ている前でこの子とエッチするほどあたしの心臓は強くない。 「わははは。メル、それじゃ欲求不満だろう?」 「ばか」 「楽しませてあげるよ。ノコちゃんもね」 「うわ~い」 そんな簡単に喜んじゃダメよ、ノコ。 コイツがこんな風に言うときは、だいたいロクでもない目に会うんだから。 コースケは皮張りの椅子を持ってきた。 それ、この間のステージで使った椅子。 「はい、メル。ここに座って、前に両手出して」 「この格好で?」「もちろん」 コースケはあたしを椅子に座らせると、前に出した両手首を縄で縛った。 さらに肘を折らせて手首の縄を首に巻いて括り付けた。 あたしは手を前で合わせたまま、下げられなくなった。 椅子ごと大きな黒布を被せられた。 「動いたら後でお仕置き。いいな?」「う、うん」

「さあノコちゃん、メルを好きにしていいよ」 「うわ~いっ」 後ろ手錠のノコが這って黒布の下に入り込んできた。

自分は膝立ちになると、あたしのマントの中に頭を挿し入れた。 ちゅう。 「きゃ」 おへその下を吸われた。そ、そんなに強く吸わなくても。 ノコの口は下へ下へと移動する。 あ、それ下の毛! 汚いよぉ。 「そろそろ諦めて足を開いてくださぁい、センパイ♥」 だ、だ、だっ、だめぇ。 両足の間にノコの肩が割り込んだ。 「はんっ!」 クリを吸われた。 「あ・・、あん、はぁん」 舌の先で転がされる。 「あ、あ、あああ」 我慢する気はすっかり失せた。 あたしは身を反り返らせて喘ぎ続ける。 「れろれろ。メルさんのおつゆ♥ 美味しいです」 「ば、ばか。そんなとこ、」 「噛みますよぉ。イっちゃってください」 「あ、やっ」 きゅん!! 衝撃が駆け抜けた。一瞬、意識が遠のく。 ノコの顔が上がってきて耳元で囁かれた。 「抱いてあげたいんですけど、手錠してるんでダメなんです。・・代わりにキスしますね♥」 「あぁっ!」「んんっ!」 ノコとあたし、両手を拘束された女同士がディープキスをする。 はあ、はあ。 肩で息をして、もう一度吸い合った。 ぱちぱちぱち。 「いいねぇ。堪能させてもらったよ」 のんびり拍手してからコースケが言った。 「はあ、はあ。コースケぇ。もう許して」 「そうだな。じゃ、そのままバニッシュしてよ」 「そ、そんな、無理」 「無理じゃないさ。それくらいできないとこの先困るぞ」 「きっとできます! メルさんなら」 もう、ノコまで無責任に。 「じゃ、いくぜ。・・ワン、ツウ、スリー!」 コースケは椅子全体を覆う黒布を両手で持って外した。 そこには後ろ手錠のノコだけが膝立ちで屈んでいた。 あたしが座っていた椅子の座面には、半透明の液体が広がって溜まっていた。 5. 翌日。 喫茶店に現れたサオリさんは以前より綺麗になっていた。 「待たせたかしら」「いえ、あたしも来たばかり」 「メルちゃん、何だか綺麗になってない?」 「あたしこそ、サオリさんが綺麗になったって思ったんですけど」 「え? あはは」「うふふ」 コットンケーキのリーダー、サオリさんと会うのはチームを辞めて以来だった。 あたしが円満に退所できたのはサオリさんが応援すると言ってくれたからで、あたしはとても感謝している。 「どうしてるの?」 「クラブで彼とイリュージョンのお仕事をやってます」 「そっか。頑張ってるのね」 「まだ続けてできるかどうかは分からないんですけど」 「コットンケーキだって最初はそうだったわ。・・それで、どこのお店?」 「それはまだちょっと、」 あたしは言葉をにごす。 秘密クラブで拷問イリュージョンやってます、なんてこの人には言えないよ。 サオリさんの目がきらりと光った。 「そう・・、詳しくは聞かないけど、いろいろなお店があるわ。危ない仕事はしないでね」 「無茶はしません。彼を信じて頑張ります」 「分かった」 サオリさんは笑って手を握ってくれた。 「じゃあ何も言わない! 自分の信じた道を進むのよ、メルちゃん」 「はい!」 6. 「くのいちの拷問とは考えたもんでんなぁ。客の評判は上々でしたで」 クラブのマネージャーが言った。 ガッチーと名乗る不思議な関西弁を喋るおじさんだった。 あたしとコースケは先週のステージの評価を聞きに来たのだった。 「来月も頼みますわ。それも好評やったら出演枠を毎週とる、ちゅうことで」 やった! あたしはコースケとガッツポーズをする。 「・・まぁ、できたら、できたらでよろしおまっけど、次は、もちょっと過激にしてくれたら、ええかもしれませんな」 「過激に、ですか?」コースケが聞く。 「過激に、ですわ。そちらのメルさんでしたか、可愛い顔やさかいグロな演出やったら喜ばれますわ。エロでもよろしいけど」 「分かりました、やります。まかせてください」 彼が胸を叩いた。 グロかエロって、あたしがやるんだよね。 コースケ、大丈夫? 安請け合いしちゃっても。 7. 東京から車で2��間の高原。 そこは小さな湖に面したキャンプ場だった。 次の出演が決まったお祝いに、あたしとコースケは二人でゆっくり過ごそうとやってきた。 キャンプなんて面倒くさいし汚れるからホテルがいいと言ったあたしに、大人気の絶景キャンプ場だから行こうと誘ったのはコースケだ。 「・・誰もいないじゃないの」 「あれ? おっかしいなぁ~。平日は空いてるのかなぁ~?」 「コースケ、知ってたんでしょ」 「わはははっ、まあいいじゃねーか」 「こんな寂しいところで二人だけなんて、どういうつもりよ!」 「誰もいなけりゃ、エッチし放題だぜ」 「え」 「ほら、今夜は晴れてるし、外でするってのはどう?」 これで喜ぶんだから、我ながら単純な女だと思う。 コースケはキャンプの料理も上手だった。 フライパンで焼いたピザとペンネ、チキンとキノコのホイル焼きを食べるとお腹いっぱいになった。 「マシュマロ、焼けたぜ」 「わ、食べるぅ」 パチパチ燃える火を前に並んで座っていると自然といい雰囲気になる。 あたしが身を寄せると彼が肩を抱いてくれたりして。 「キャンプも悪くないだろ?」 「うん、バカにしてごめんね。・・今度はノコも連れて来たいな」 「ああ、あの子なら喜ぶだろうね」 「見てっ。星がすごーい!」 「おお、まさに満天の星だ」 「こんなにたくさんの星見るの、初めてだよー」 見上げていると、頬に彼の手が添えられた。 顔を向けてキス。 「今日は優しいのね、コースケ」 「俺はいつでも優しいぜ?」「うそ」 「どう? 今なら何されてもいいって気分にならない?」 「そうね。・・いいよ、今なら」 「よっしゃ。じゃ、早速」 へ? コースケは立ち上がると暗がりの中を歩いていった。 もう、せっかくロマンチックな雰囲気だったのに。 バタン! あれは車のハッチバックの音。 「お待たせ~」 「何、そのキャリーケース」「見てな」 コースケはポケットから鍵を出すとキャリーケースの蓋を開けた。 大きな塊がごろんと転がり出た。 サージカルテープでぐるぐる巻きにされた布の袋だった。 テープを剥がして袋の口を開くと、中に膝を抱えて小さくなった女の子が入っていた。 「ノコ!!」 「えへへ。こんばんわぁ、メルさん」 「あんた、いつから」「えっと、朝からですぅ」 朝から? じゃ、あたし達がドライブして、ランチ食べて、コスモス園行って、それからえ~っと、ともかくいろいろしてる間、ずっと!? 「はいっ、頑張りましたぁ」 「水分補給も兼ねてカロリーゼリー持たせてたから問題ないぜ。トイレは無理だけど」 「私、漏らしたりしてませんよぉ。エライでしょ? ・・そろそろ限界ですけど」 「その袋は防水だよ。中でやっちゃって構わないって言っただろう?」 「女の子なのに、そんなことできませんっ。それに私、メルさんのためならボーコー炎になってもいいんです」 「そーいう問題じゃないでしょ!」 ともかくノコを袋から出して、トイレに行かせる。 ノコは裸で汗まみれだった。 「着るものあるの? それじゃ風邪引くわ」 「大丈夫です。メルさんに暖めてもらいますから」 「え? きゃっ」 やおらノコはあたしの服を脱がせ始めた。 「コースケ! 笑って見てないで何とかしてっ」 「俺、ノコちゃんの味方」「え~っ」 コースケは全裸になったあたしとノコを向かい合って密着させた。 反物のように巻いた布を出してくると、あたし達の首から下に巻き始めた。 とても薄くてゴムのように伸びる布だった。 きゅ、きゅ、きゅ。 弾力のある布が肌を絞め付ける。 き、気持ちいいじゃない。 「マミープレイに使う布だよ。メルはぎゅっと包まれるのが好きだろ? 性的な意味で」 「性的な意味は余計っ。・・否定、しないけど」 肩と肘、手首まで布に包まれる。 これ自力じゃ絶対に抜けられない。 「おっと、これを忘れてた」 あたしとノコの股間にU字形の器具が挿し込まれた。 「ちょっと重いから落ちないようにしっかり締めててね、ノコちゃん」 「はい!」 ノコ、何でそんな殊勝に応じるの。 やがて布はあたし達の膝から足首まで巻かれ、さらに二重、三重に巻かれた。 「口開けて、メル」「んっ」 コースケはあたしの口にハンドタオルを押し込んで上からガムテを貼った。 猿轡、あたしだけ!? 「よっしゃ、頭も巻くぞ」 あたし達は首から上も布を巻かれて一つの塊になった。 そのまま地面に転がされる。 「いいねぇ、女体ミイラ」 布の巻き具合とあたし達の呼吸を確認すると、コースケはおごそかに宣言する。 「二人揃ってイクまで放置。時間無制限」 えええ~っ!? 「俺は君らを肴にホットウイスキーでも飲んでるわ」 8. まったく動けなかった。 動けないけれど、女の子二人で肌を合わせて強く巻かれているのは気持ちよかった。 ちょっと息が苦しいのはノコの巨乳があたしの胸を圧迫するせい。 まあ仕方ないわね。 「メルさぁん♥」 耳元でノコが甘い声を出した。 あたし達は頬と頬を密着させた状態で固定されているから、この子の声は耳元で聞こえるんだ。 ぺろ。ぞくぞくぅ! 「んんっ、んんん~っ!!(ひぃっ、耳を舐めるな~!!)」 思わずのけ反ると、股間のU字器具が膣壁を刺激した。 「ひゃん!」「ん~っ!(ひゃんっ!)」。 あたしとノコは同時に悲鳴を上げる。 これ、うっかり力を入れるとヤバい・・。 ぶーんっ。 そのU字器具が振動を開始した。 「あぁ~んっ!!」「んんっ~ん!!!」 双頭バイブっ!? コースケめ、仕込んだなぁ!!! ノコがびくびく震え、同期してあたしもびくびく震えた。 膣(なか)で暴れるバイブは的確にGスポットを突いた。 耐えられずに下半身に力を入れると、それは刺激となって相手のGスポットに伝わ���。 そしてさらに大きな刺激が返ってきて、こちらのGスポットをいっそう強く責めるのだった。 「はん! はん! はぁんっ!!!」「ん! ん! んん~んっ!!!」 コースケは双頭バイブのリモコンを気ままに操作した。 あたし達は震え、もがき、快感を増幅し合った。 イキそうになる前にバイブは停止して、その度に二人とも半狂乱になった。 疲れ果てたけれど、眠ることも休むこともできなかった。 あたしもノコも被虐の嵐の中をどこまでも堕ちた。 明け方近くになってコースケはようやくイクことを許してくれた。 ノコが声にならない声を上げて動かなくなり、それを見てあたしも安心して絶頂を迎え、そして意識を失った。 とても幸福だった。 朝ご飯の後、コースケが撮影した動画を見せてもらった。 スマホの画面の中で、あたし達を包んだミイラがまるで生き物のようにびくびく跳ねまわっていた。 9. クラブからさらに過激なネタと求められて、コースケは新しいイリュージョンを準備した。 機材の費用はクラブが出してくれるという。 続けて出演契約できたら、という条件だけどね。 「どう? いける?」「大丈夫、いけるよ」 あたしは新調したガラス箱に入って具合を確かめている。 クリスタルボックスに似ているけれど、幅と高さの内寸が50センチずつしかないから中で身を起こすことはできない。 高価な耐熱強化ガラスで作った箱だった。 絶対に成功させないといけないよね。 「じゃ、隠れて」「分かった」 あたしは底の扉を開けて、その下に滑り込んだ。 燃え盛る火の下でも安全に過ごせる隠れ場所。 「蓋、浮いてるぞ」「え、閉まってない?」 「太っただろ、メル」「失礼ねーっ。バストが大きくなったの!」 「そりゃあり得ねー」「言ったわねー。なら今夜確かめる?」「よし、徹底的に確かめてやる」 軽口を叩き合いながら、あたしは自分の位置を調整する。 「ごめん、一度押さえてくれる」「おっしゃ」 ぎゅ。かちゃり。 仰向けになったあたしを押さる天板が下がって、あたしはネタ場の空間にぴたりとはまり込んだ。 「どう?」「気持ちいい」 「何だよそれ。・・浸ってないで、とっとと出てこい」 「もうちょっと」 「あのねぇ~」 それからあたし達は次のステージの構成を決めて、ネタの練習を続けた。 10. 次のショーの本番当日。 「ノコ、何であんたがここにいるのよ」 「えへへ。私も手伝いに来ました」 控室にはノコがいた。 コースケと同じ黒い忍者の装束で顔に覆面をしていた。 「あんたもコットンケーキ辞めさせられちゃうよ」 「大丈夫です。ちゃんと顔隠してやりますから」 「それでバレないほど甘くないと思うけど」 「やらせてやれよ。ノコちゃんも覚悟して来てるんだ」 コースケが言うなら、とあたしはノコのアシスタントを認めた。 アシスタントと言ってもノコは黒子で機材の出し入れなどを手伝う役だ。 「・・御崎メルさん、来客です。フロアへどうぞ」「あ、はい!」 来客? 客席に行くと、そこにはセクシーなイブニングドレスの女性が待っていた。 「サオリさん!! どうしてここに!?」 「コットンケーキのリーダーが秘密クラブのメンバーだった���いけない?」 「いけなくはないけど・・、驚きました」 「ショーのプログラムに『Kosuke & Meru』ってあって、もしやと思って来たらやっぱり貴女だったのね」 「知られちゃったんですね。恥ずかしいです」 「いいのわ。わたし、今日はすごく楽しみにしてるんだから」「?」 サオリさんは微笑んだ。今まで見たことのないくらい色っぽい微笑み方だった。 「ここでやるってことは、メルちゃん、きっと可哀想な目に会うんでしょ?」 「え」 「正直に言うとね、女の子が酷いことされるのが大好きなの。拷問されたり、無理矢理犯されたり」 「・・サオリさん、やっぱりSだったんですか」 コットンケーキ時代、サオリさんの指導がとても厳しかったのを思い出した。 あたし達後輩はいつも泣かされて、このドS!とか思ったものだった。 「うふふ。逆かもしれないわよ」 サオリさんは笑っている。 「ま、まさか、ドM!?」 「わたしのことはいいじゃない。ステージ、怪我しないよう頑張ってね!」 「・・はいっ」 控室に戻り、ノコに「サオリさんが来てる」と伝えた。 「ぎょぼ!」 何、その驚き方は。 11. 〇 緊縛木箱と性感責め スポットライトの中に黒忍者のコースケと黒子のノコが登場した。 テーブルを出して、その上に空の木箱を置いた。 すぐに木箱を持ち上げると、テーブルの上にはくのいちのあたしがうつ伏せになって縄で全身を縛られていた。 衣装は先月のステージと同じ赤い上衣にショートパンツと網タイツだけど、ブーツと覆面は着けていない。 その代わり最初から口に縄を噛ませて猿轡をされている。 緊縛はタネも仕掛けもない本物だった。 背中に捩じり上げてほぼ直角に交差させた両手首と二の腕、胸の上下を絞め上げる高手小手縛り。 両足は膝と足首を縛り、後ろに強く引かれて背中の縄に連結されている。 決して楽じゃないホッグタイの逆海老縛り。 ショーが始まる前からこの姿勢で木箱に仕込まれていたのである。 黒忍者はくのいちの足首の縄を首の方向へ強く引いた。 テーブルについた顎に体重がかかる。 さらにその状態で太ももの間に手が侵入し、突き当りの部分が激しく揉み込まれた。 ・・くっ! あたしは両目をぎゅっと閉じて恥辱に耐える。 きついけど、これはまだまだ序盤なんだ。 今度のショーではお客様の前で性的な責めを受ける。 コースケは本気で責め、あたしは本気で苦しみ本気で感じる。 二人で決めたシナリオだった。 やがて膝と足首の縄が解かれ、右足と左足を黒忍者と黒子が掴んで開かせた。 逆海老の後は180度に近い開脚。 黒忍者は苦無(くない:忍者が使う短刀)を持ち、先端をくのいちの股間に突き立てる。 ショートパンツが破れない程度に突くけれど、それでも確実に女の敏感な部分が責められている。 「ん、あああああ~っ!!」 ・・耐えられずに声が出た。 あたしは喘ぎながら身を震わせる。 完全に被虐モードだった。じっと忍ぶ力なんて残っていない。 スポットライトに照らされて光る粘液がテーブルを濡らす様子が客席からも見えたはずだ。 〇 鞭打ちレビテーション ぐったり動かなくなったくのいちに大きな布が被せられた。 テーブルの後ろに黒忍者が立ち、両手で持ち上げる仕草をすると、布に覆われたくのいちがゆっくり上昇した。 2メートルほどに高さに浮かんだところで、黒忍者は一本鞭を手にする。 振りかぶって布の上からくのいちを打つ。 ぴしり。「あっ!」 鞭の音と呻き声が聞こえた。 ぴしり。「んっ!」 ぴしり。「んんっ!」 ぴしり。「んあっ!」 ぴしり。「ああーっ!!」 5度目の鞭打ちで布がずれ落ちた。 ・・この鞭打ちにも一切タネがない。 布が被せられているとはいえ、あたしはコースケの鞭を本当に受けている。 絶対に逃げられない拷問。 「女の子が酷いことされるのが大好きなの。拷問されたり、無理矢理犯されたり・・」 さっき聞いたサオリさんの言葉が蘇った。 あたし、本当に酷いことされてる! 鞭で布が落ちると、そこには高手小手で縛られたくのいちが浮かんでいた。 黒忍者は両手を振ってテーブルの上にくのいちを降下させた。 もう一度布を被せ直して、再び浮上させる。 鞭打ちが再開された。 ぴしり。「あぁっ!」 ぴしり。「んん~っ!!」 黒忍者は鞭を置くと、宙に浮かぶ布の端を掴んで引き下ろした。 ばさっ。 そこにあったはずの女体は消えてなくなって��た。 〇 ミイラ短剣刺し ステージ全体が明るくなった。 隅の方に敷かれていた黒布がむくむく膨み、中からくのいちが立ち上がった。 猿轡は外れていたけれど、高手小手の緊縛はそのままだった。 その場から逃げようとするが、黒忍者が両手を合わせて呪文を唱えると、何かに固められたかのように動けなくなって黒子に捕らえられた。 黒忍者は反物のように巻いた布を持ってきた。 これはあのキャンプで使った薄くて弾力のある布だった。 その布をくのいちの頭から足先までぐるぐる巻きつけた。 薄手の布の下にはくのいちの顔が透けて見えていたけれど、何重も巻くうちに見なくなって、全体が白っぽいミイラになった。 くのいちのミイラは床に転がされた。 黒忍者は短剣を持って掲げる。刃渡り10センチほどの銀色の短剣だった。 やおらその短剣をミイラのお腹に突き刺した。 「きゃあっ!!」激しい悲鳴。 さらに3本の短剣を出して、胸の上下と顔面に刺す。 ミイラは1本1本刺される度に悲鳴を上げてびくびく跳ね、短剣を突き立てた箇所には真っ赤な染みが広がった。 〇 ガラスの棺 透明な箱が登場する。 細長い棺(ひつぎ)のような形状をしていて、人が入るとしたら横たわるしかない大きさだった。 黒忍者はミイラから短剣を抜き、肩に担いで棺の中に入れた。 黒子が蓋をして南京錠の鍵を掛ける。 黒忍者は松明(たいまつ)に火を点けた。 照明が消えて真っ暗になった。 ステージの明かりは黒忍者が持つ松明だけである。 黒忍者は棺のまわりを歩きながら、松明で棺の中を照らした。 すると、何と、棺のミイラが燃え始めた! その火は次第に大きくなって、棺の中いっぱいに燃え広がった。 わっ。観客がざわつく。 一瞬だけ、棺の中にくのいちが見えたのだ。 しかしすぐにその姿は炎の中に消えてなくなってしまった。 ・・ヤバい!! あたしは棺の底に背中をつけて隠し扉を開けようとしていた。 ガチで両手を縛られているから動かせるのは指先だけだった。 その指に、あるはずの扉のフックが掛からない。 見つからないっ、見つからないよ!! 網タイツの足がちりちり焼け始めた。 火が小さくなって静かに消えた。 やがて照明が点いてステージが明るくなる。 黒忍者と黒子が棺の前後を持ち、斜めに傾けて中身を客席に向けた。 皆が目をこらした。 棺の中は黒い粉が���まっているだけで、その他は何も入っていなかった。 くのいちの女の子は灰になってしまったのだろうか? 黒忍者が客席の後方を指差す。 黒子がほっとしたように両手を叩いた。 そこにはくのいちが立っていた。 忍者の衣装は灰で黒くなり、網タイツは焼けて穴が開きその下は赤くただれていた。 ・・あたしはステージに向かって走っていった。 ふらふらしながら、どうにか倒れずにすんだ。 拍手の中、揃って頭を下げる。 うずうずした。 お客さんの前だけど、もう我慢できない! あたしはその場でコースケに抱きついた。 黒忍者とくのいちはそのまま長いキスをした。 12. 喫茶店。 あたしはサオリさんと向かい合って座っていた。 「怪我したって本当?」 「火傷しただけです。脚に痕が残りますけど」 「可哀想に・・」 「大丈夫です。イリュージョンするのに問題ありません」 生足を出すのはちょっと難しいけどね。 「クラブの仕事はどうするの?」 「続けます。ただ、出演は減らそうって彼と相談してます」 「それがいいかもね。クラブを辞めないのなら、わたしはメルちゃんが苦しむシーンをこれからも楽しめるし」 「サオリさん、それ酷いですよ」 「あはは。じゃあ、今度はわたしが苦しんでみましょうか」 「見たい! でもいいんですか? コットンケーキのリーダーがそんなことして」 「コットンケーキでやればいいんでしょ? 拷問イリュージョン」 「まさか本気で言ってませんよね?」 「半分本気よ。ノコちゃんもやりたいって言ってるしね。貴女達のネタ見て興奮してるみたい」 「ぎょぼ!! 知ってたんですか、あの子のこと」 「リーダーを舐めちゃダメよ。そのときはメルちゃんもゲストで参加してくれる?」 「はい!」 13. 椅子に座ったあたしにコースケが黒い布を被せた。 「さあ、皆さま、ここに黒布に包まれたくのいちが一人!」 あたしは布の下から両手を前に出してひらひら振ってみせる。 「はい!」 真上から頭を叩かれた。ぱすっ。 「おおっ」「きゃっ!」 驚きの声が聞こえる。 あたしの頭はぺたりと潰れて、肩の高さで平らになってしまったのだった。 ここは公園。 あたしとコースケは通行人の前でイリュージョンをしていた。 赤と黒の忍者装束。 ノコはスマホの撮影担当で、ときにはネタの手伝いもしてくれている。 動画サイトに上げた『Kosuke & Meru のニンジャ・イリュージョン』は少しずつ閲覧回数が増えて、ほんの少しだけど収益を出すようになってきた。 「では、最後のイリュージョン!」 コースケはあたしの身体に布を巻き始めた。 薄くて弾力のある布を何重にも巻いて、あたしをミイラにする。 全身をきゅっと締められる感覚。 その気持ちよさにきゅんと濡れてしまいそうだ。 コースケは別の大きな黒布をあたしの上に被せた。 「はい!」 その黒布はふわりと広がって地面に落ちた。 あれ? 黒布を上げると、そこにはミイラに巻いていた薄い布だけが解けて落ちていた。 中身の女性はどこに消えたの? おおーっ。パチパチ! 一斉に起こる拍手。 その音をあたしは地面に置いたトランクの中で聞く。 今日も大成功ねっ。 この後、あたしはトランクに入ったまま帰ることになる。 荷物になって運ばれるのは悪い気分じゃない。 今夜はノコも一緒に過ごすことになっているから、またきっと酷い目に会うだろう。 「・・酷い目に会う女の子が大好きなの」サオリさんのセリフ。 あたしも大好きです。 ほのかな性感と被虐感に満たされた。 狭いトランクの中で回収されるのを待ちながら、あたしは甘くトロトロした時間を過ごすのだった。
~ 登場人物紹介 ~ 御崎芽瑠(みさきめる):25才。コースケとイリュージョンの新しい仕事を始める。イリュージョンチーム「コットンケーキ」元メンバー。 谷孝輔(たにこうすけ):30才。フリーのマジシャン。メルの恋人。 ノコ : 22才。コットンケーキの現役メンバー。メルのペット。 サオリ : コットンケーキのリーダー。30台半ばくらい。 前作 でコースケに誘われたメルが彼と一緒に頑張るお話です。 布や袋を使うというお題で拷問イリュージョン。 短剣をぶすぶす刺したり、火で燃やしたり、女の子は最初から最後までずっと緊縛されているとか、いろいろ楽しませてもらいました。 無茶といえば無茶ですが、ここはメルちゃんの精神力がスゴイから可能ということにしておきましょうww。 この先コースケくんとメルちゃんは秘密クラブとユーチューバーの二足の草鞋(わらじ)で生きるのでしょうか。 それともどこかで名を売ってメジャーなイリュージョニストになるのでしょうか。 くのいちイリュージョンのお話はこれで終了しますが、機会があればいつか描いてあげたい気もします。 (お約束はしませんよ~) 挿絵の画像はいただきものです。 黒布の下には実際に女性が椅子に座っています。 2枚目は分かりにくいですが、椅子に座った女性に向かい合ってもう一人女性が膝立ちになっています。 ノコちゃんがメルを責めるシーンはこの写真に合わせて書かせていただきました。 それではまた、 ありがとうございました。 # このコロナ禍中、皆さまの健康とお仕事/商売が無事であるよう祈っております。
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1012自分をはげます
制作活動に限らず、なにかを考えたり、じっと観察することをやりすぎて、それがクセになってしまうということは、「いじわるな人間になる」ということと非常によく似ていると思う。悪意をもって積極的に人を攻撃するような「いじわるな人間」とは違うにしても、常に一定の距離を保って、なにか対象について冷めた視線を自覚的に、意識的に持ち続けるよう自分を調教した人間が、しかも視座が多ければ多いほうがよかろうという批判精神を大切にしてさえいる。……このようにして、「いじわる」という言葉の響きの幼さ、素朴さにむしろ肯定的なにおいを嗅ぎつけたうえで、そのうえでいいますが、観察癖のある人間のいじわるさはすてきだし、いじわるな作品に出会うとうれしい。ソフィ・カルとかやばない?

(五年前に拾った手紙)
そうそう、ソフィ・カルに限らず、写真をつかったアート作品はなにかと、「絵画」とか「カメラ」の構造や制度について自己言及的・自己批判的・メタ的なふるまいをすることが多い。(ジェフ・ウォールかっこいい)メタ的な視点を持つこと(それをこうしてピックアップしちゃう注意力が身についていること)は、コーゾーシュギっちゅう時代の趨勢の残響のなかに生きているからこそかもしれんし、まあ平たくいってそういう視点にすぐ立てる身のこなしを得意とする人のこと「頭がいい」なんて表現したりするけど、ともかく、「メタ視点」への移動を可能にするのも「いじわるさ」な気がする。「ある種のいじわるさ」じゃなくて、むしろそれこそが「いじわるさ」のど真ん中な気がする。
「気がする」連呼しているのは「いじわるさ」への自信がないからで、それは裏を返せば、「いじわるになりたい」って考えているって話。いじわるになりたいし、いたずら、迷惑行為や犯罪行為、意味や主張のあることではなく、いたずら、がしたい。とは思うんだけど、「自分なりの条件にあてはまるいたずら行為をやりたい、というのがまず先にある」状態でなにをしても、それは「自分なりの条件」からはずれてしまう。いたずらができない。
蛭子能収さんが、単行本のタイトルを相談した編集者の提案「私はバカになりたい」を「まるでオイが天才みたいやからいいね」つっておおよろこびしたて話を思い出しましたけど、わたしはね、いじわるになりたいなあ、いじわるになりたい。意地が悪くなってみたいもんだよ。

わたしは嫌いなやつを自作の小説のなかに登場させ、そいつを殺したことがあるんですが、そういえば蛭子能収さんも、学歴の自慢をして��た編集者を漫画に登場させて殺していた。これはこの記事を書いていて思い出したこと。蛭子さんと共通点が複数あること、あまりうれしくない。(漫画は好き)

さて前回の記事の最後に書いていた、友人と中華街を歩いた話から続けて日記を書きます。
彼は甥っ子がとにかく大好きで、仕事帰りにはいつも甥っ子の動画像をみたいのだけど、電車のなかでみてしまうとニコニコのニヤニヤになってしまうからそれが恥ずかしくて悩んでいる。ところがこの半年以上、甥っ子に会えていない。ということを、ほんとうにさみしそうにそう語る。「小さい子の半年は長いからね、もう忘れられてるかもね、誰にでもなつっこい時期や、誰にでも人見知りする時期が子供にはあるというし、いま会いに行っても相手してくれないかもね」追い打ちをかけておれは、ニコニコのニヤニヤでいじめます。数日後、連休を見つけた彼は突発的に帰省していました。「久々の甥っ子どうだった?忘れられてなかった?」と訊いたら、「そんなことはなかった!」とうれしそう。久しぶりのおじさんによろこんでくれた甥っ子に「絵本読んで!!!」とねだられて、いいよいいよって応えたら、甥っ子の持ってきたのはおもちゃのカタログだったそうです。トミカが欲しいらしい。それか仮面ライダーのなにか。このおじちゃんは甥っ子にはなんでも買ってしまう。甥っ子はそれをわかっている。話すテンポはゆっくりじゃないけど、「かわいい」という言葉だけすごくタメて言う(〇〇は〇〇ですよね、〇〇だったりして〇〇って〇〇じゃない? 〇〇みたい。ははっ、か~~~わ~~~い~~~い~~~~~)人だから、甥っ子の話のときは滞空時間が増える。
その友人、もちろん好きですけど、どこが好きかというと、きちんとしていなくても構わないっていう部分については徹底的にぼんやりしているところ。めちゃくちゃ隙がある。見た目はむしろちょっといかついくらいなはずなのだけど、ひとりで都心にでると四回に一回は必ず宗教勧誘��受ける。それでも善人なので、たとえばちょっと困ってそうな人がいると自分から声をかけて手助けすることもある。夏には、新宿で荷物を運んであげたおじいさんから日本酒が二瓶送られてきていた。けどそんな「いい話」はとても珍しく、たいていは何らかの勧誘につながっている。みなさん!都心で急に「このへんで、いいラーメン屋知りませんか?」と話しかけられたら要注意ですよ。

赤レンガ倉庫でビールをあけて、「このあいだ話」に興じます。彼の鼻の穴に血の乾いたあとがあるのを見つけました。今朝がた鼻血をだしたのかもしれない。
ワールドポーターズをぬけてコスモワールドの方向へ。固有名詞というか、ローカル名詞ばっかですみません、桜木町駅にむかって移動しているということです。ワールドポーターズっていうのはショッピングモールで、丸見えになるポイントがあるとは知らないんであろう場所でそこそこの年齢の男女が、エレベーターを待っているにしてはやりすぎなスキンシップをしているさまをふたり見下ろして、ちょっとひいたあと、露出狂というか、野外で性的な行為に及ぶ自分を人に見て欲しいというタイプの人がインターネット上にアップロードしていた、横浜の夜景をバックにはしたない姿になっている自分自身の写真がかなりきれいな写真で、画質もそうだが横浜の夜景がきれいで、あまりの美しさに笑ってしまった、みたいな話をしていました。ビールはあけたけどお互いひと缶ずつだけだし、とっても穏やかな調子で話しています。「おもしろ」になるかと思って書いているだけですが、この話の強烈さが印象つよくて、ほかの話題は思い出せないな。僕はそのとき、去年末にまた別の友人とワールドポーターズ通り抜けてたときのことを思い出したりしていた。そのときは、椎名林檎の文体はほかの人がつかうとクソ寒くなるよねって話をした。その話をしているとき、わたしは「無罪モラトリアム」のバンドスコアの質感を思い出していた。それから、カラオケで福山雅治をいれる人がきらい、みたいなことを(話し相手が)していた。大森靖子さんやパフュームやあいみょんの話がされていた気がします。これはなんの伏線でもない。
時空を戻す。甥っ子大好きぼんやり人間の彼と歩く横浜、桜木町駅の近く、「日本丸(日本丸メモリアルパーク)」のところでアイドルっぽい人らが握手会っぽいことをしていた。ファンっぽい人たちが群れてたので近寄ってみたけど、ポスターのひとつも掲示されていない。あとで「横浜 握手会」などでツイッターを検索したら、NON STYLEみたいな名前のアイドルさんらが握手会してたみたい。
それを見送って道を渡ると、ショッピングビルの中庭的広場で大道芸人が「最後の大技」をしていました。机や椅子を重ねた上に立ち、火を飲んだりしていました。
横浜美術館の外観(トリエンナーレ仕様になっている)すらみずにランドマークタワーのあたりのビルにはいる。ジェラート屋さんの列で子供が走りまわる。彼はハンディアイロンと一般的なアイロンと、両方持っているがあまり使わない。今日着ているディーゼルの上着にはアイロンをかけている。高かったから。彼は翌日の予定を面倒がる。忙しさの波が激しい職場で、かなりヒマなとき机に突っ伏して寝る先輩がいる。「海上散歩」を��み間違えて「陸上散歩一時間800円だって」と看板を音読する。桜木町駅前を、彼は写真に撮る。兄が「ゆず」のファンだから、ゆずの聖地に立ち寄ったという自慢をしたいらしい。けれど、駅を知っている人はわかると思うが桜木町駅前って別に写真に撮ってわかりやすいような感じじゃない。桜木町駅にきたことのない人が写真だけぱっとみて「あ!あそこね!」ってなるようなものじゃない。まあ、わたしの知ったことではない。
以上のように事細かに、「話題はなんであったか」「どのような言い間違いがあったか」「どのような仕草があったか」「そのとき、なにを思い出していたか」などを書き留めてしまうのは、自分がなんらかの時間を過ごしたという歯ごたえに「この人と一緒にどこどこにいきました」という情報だけでは不満足が残るからだ。はっきりくっきり、どうでもいい情報をこそ記しておかなければならない。という焦りを持っているためです。とはいえ、律儀に書き残すことを近年ほとんどしていないのだけど。相手のプロフィールなど、つまり出身地や家族構成、勉強していたことや部活について、あるいは恋愛歴や読書歴は、なるべくメモするようにしている。見返すこともないのだけど。
桜木町から乗る電車はそのまんま��光市までゆく、東横線と副都心線のつながったやつ。車内で彼は、甥っ子が遊園地の、パンダの乗り物に乗っている動画をみてニコニコしています。わたしは、NON STYLEが好きという彼のその振る舞いをみながら、姪っ子のことになると涙腺がもろくなりすぎてしまうオードリーの春日さんのことを連想していました。

わたしはいま、映像作品をふたつ作っています。そのうちのひとつは、さまざまな人へインタビュー取材をさせていただき、収集したものを編集する、というもの。この制作のためのインタビューを撮らせていただくため、中華街の翌日、出演者の人に会いに行きました。場所は自由が丘です。ロケ場所が自由が丘であるということがわかるショットが欲しかったのですが、駅前では謎のイベントをしており、この音がうるさい。だから駅前を撮影しても都合が悪い。八代亜紀さんの新曲が云々、という声が聞こえたので一瞬、「え!八代亜紀さんがきているの!??うそ??」と期待しましたが、うそでした。駅前で、電波にのせずにラジオをやっているような状態。大音量でただ曲を流す。曲と曲の間に司会者によるトークがはいる。「去年は誰々さんをスペシャルゲストとして呼ばせていただいておりました!しかし台風のために中止になりました。それで、フィナーレを迎えることができませんでした!それでは次の曲です!」つって阿部真央的な感じの曲が鳴り響いていました。
AマッソのTシャツを着た出演者からたっぷりインタビューを搾りだし、小雨から逃げつつオムライスを食べて夜に解散。どのようなことをして、どのような話を聞いたのか、これは作品に関わることですしあまり書きませんが、それはそうとこの「作品」をどうしたものか。発表のアテがないのでふわふわ、はらはら、しています。この映像はいったいなんなのか。
しかしこの週末の日曜日にも、やはり同じ作品のためのインタビュー撮影を行った。ZOOMを利用しての録画です。というか、出演者8名��なか、7名はZOOMでの録画であります。自由が丘までロケしにいったのはかなり特別なシーン。背景や、写っているひとの胴体が動く映像が欲しかったのです、ZOOM録画映像だけだと視覚的にあまりに単調なのでね。とはいえこの日曜の録画は特別であった。なぜならインタビュー出演者は映像制作に携わっている人だから知識がある、それ以上に、部屋に機材がある。ほんでもってバッキバキにキマった画面になるってえワケ。
発表のあてのない作品制作を重ね、僻みでしかない被害妄想を膨らませ、自分の制作活動を呪いつつ、まあどうせいつか死ぬからいっか、と自分に言い聞かせてすごしています。ほんとうは金沢21世紀美術館に展覧会をみにいった話まで書きたかったんだけど分量的にこれでおしまい。お元気で。

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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン3 第七話「決戦、ワヤン不動」
☆おしらせ☆ 今回でひとみS3の無料掲載分は終了となります。物語のエピローグと恒例の追加イラスト、そして次回作情報は電子書籍版の発売をお楽しみに!
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。
→→→☆書籍版発売までは既刊二巻を要チェック!☆←←←
(シーズン3あらすじ) 謎の悪霊に襲われて身体を乗っ取られた私は、 観世音菩薩様の試練を受けて記憶を取り戻した。 私はファッションモデルの紅一美、 そして数々の悪霊と戦ってきた憤怒の戦士ワヤン不動だ! ついに宿敵、金剛有明団の本拠地を見つけた私達。 だけどそこで見たものは、悲しくて無情な物語…… 全ての笑顔を守るため、いま憤怒の炎が天を衝く!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
現実世界に戻ると、空はうっすらと明るくなっていた。光君が霊的タブレットを覗く。 「ふぅ。体感では億年単位の時間旅行も、実際はたった一晩きりの出来事で……ん?」 光君が訝しむ。うん、私もおかしいと思った。だってイナちゃんが空を見て呆然としているから。 「イナちゃん?」 「……ん? あ、二人とも無事ね!? よかた! ワヤン輝影尊(フォドー)と如来が真っ白になって消えちゃたのビックリしたヨ!」 私達の究極フォームがなんか略されちゃってるのは置いといて。やっぱり、さほど如来戦から時間は経っていないみたいだ。塔を登り始めた時から経過した時間を考えると恐らく、今は大晦日の夜。ちょうど年越しの少し前くらいだと思う。今夜は白夜というわけでもない。となると、これは…… 「金剛の有明ですよ」 「!」 一同が一斉に空の一点を仰ぐ。そこには歪に大きなダイヤモンドがあしらわれた箒に乗る、一匹の巨猫。 「オモナっ……うそ、その声……」 現れた諸悪の根源を目の当たりにし��、イナちゃんは目を見開いた。そうなんだ。人類史を遡った私と光君は既に知っているけど、この猫と……いや。この『人』と私達は、とっくの昔から知り合いだったんだ。 「お久しぶりです。『タナカさん』」 「ええ。ごめんね紅さん……また騙しちゃった」 テレビ湘南のディレクター、タナカ。彼は私の職場関係者として、ずっと行動を共にしてきた男だ。
གཉིས་པ་
佳奈さんと私が旅をする番組、『ドッキリ旅バラエティ したたび』は二〇一一年に始まった。当時は別のディレクターが撮影に同行していたけど、一昨年あたりからタナカさんが二代目ディレクターに就任した。あれは丁度、アンダスキンを倒した直後……そして、初めて光君と出会い大散減と戦う少し前のことだ。 タナカさんはイナちゃんや光君とも面識のある、朗らかな男性だった。でも局の入館証を紛失していて、いつも警備員さんに顔パスしてもらったり、後輩ADさんにゲートに入れてもらっていた。そして局内の誰も彼の下の名前はおろか、『タナカ』の漢字すら覚えていない。彼の人柄故に誰も怪しんでいなかったけど、今考えればかなりミステリアスな人物だった。 「た、タナカD……タナカDだよね!? 本当にタナカD!?」 「にゃはは! 今回はオルチャンガールのパクさんも騙しちゃいましたね。そうです、タナカは仮の姿……僕の本当の名前はロフ��ー。金剛有明団団長、大魔神ロフターユールです」 ロフターは箒から降り、高度三千メートルに浮くこの庭園に立った。彼は山猫のように耳がぴんと上向きの巨猫。改めて同じ目線の高さで見ると、背丈は確かにタナカさんと一緒くらいだ。 「どうです? 皆さん、金剛の有明は絶景でしょう。ああ、下を御覧下さい。もうこの地球上の全人類が同じ光景を見ています」 「え!?」 本当だ。全知全脳の力で下界を見下ろすと、大変な事になっていた。なんと地球上の全人類が失っていた霊感を取り戻している! 「こいつはコトだ! もう計画を!?」 「わはははは! 光君もよぉく耳をすませてみて下さいよぉ。ほら、聞こえるだろ。パニックに陥るバカどもの叫びがね」 ―きゃあぁーーっ、お化け! お化けが!! パパぁーママぁー!― ―刑事さん聞いてくれ、あんたの推理は間違ってる! 私を殺したのは息子じゃなくて妻だ!!― ―やっぱり総書記は替え玉だったんじゃねーか! ブチ殺せ!― 地上は空が明るくなった現象などまるで眼中にないほど混乱を極めていた。幾つかの地域では暴動や事故が勃発し、各地の霊能者に力を持った神、精霊、妖怪らが騒動を鎮めようと奔走する。それゆえ多神教の地域ほど治安の悪化は少なく、一神教の地域で特に深刻な事件事故が多発している。 「おいおい、ここまで僕の思い描いていた通りになるとはなぁ。でもご心配なく、地上の皆さん。間もなくあんた方の信じる唯一神が光臨しますからね」 ロフターの持つ魔導書が玉虫色に輝きだす。まさか、全人類……いや、地球上の全生物にアレを見せる気か!? 「待って下さいタナ……ロフター! そんなことしたらどうなるかわかってるんですか!?」 唯一神、すなわち創造主とはこの世の全ての礎。それを少しでも認知した人間は人格がゲシュタルト崩壊して廃人になる。ていうか神をばっちり直視なんかしたら、ヒトどころか殆どの動物の肉体が元素レベルで分解霧散して死ぬ! 地球の自然そのものがハチャメチャに崩壊してしまうんだ!! 「にゃはは、わかってるも何も。金剛の楽園を造るためには必要な事ですから」 「文明や自然を壊してまで目指す楽園って、一体何なんですか!?」 「世界平和ですよッ!」 ロフターの瞳孔がキッと細まり、尻尾と全身の毛が逆立った。 「誰も創造主を崇めない。かといって、誰も創造主を目指さない。資源(リソース)が限られたこの宇宙の中だけで、全てが完結する世界。余計な争いをせずみんなで身の丈に合った共同生活を送りながら、静かに終わりの日を待つ。生き物として……これ以上幸せな暮らしはないでしょう?」 ロフターの握りしめる箒がギリギリと軋んだ。これが、彼の答え。代々この宇宙のために尽力してきたカオスコロルの三代目が、最後に出した答えなのか。 「そ、そんなの……そんなの平和じゃなくて、絶望ていうんだヨ!!」 イナちゃんが目に涙を湛えて叫んだ。 「絶望ですか。上等だよ。バカどもが抱く希望なんて、余計な争いや格差を生む無用の産物なんだから」 魔導書の輝きが増し、下界が段々と静まっていく。みんな空を見ている。金剛の魔術によって、私達のこの会話が世界中に見え始めているんだ。 「どうして拒むんですかい? あんた方は唯一神様が大好きなんでしょう。神のために死ぬのは幸せなことで、神を敬わない人間はいくら殺してもいいんでしょう。おうそれなら見せてやるって言ってるんだよ!!!」 「やめて!!」 輝きが頂点に達し、イナちゃんが飛び出した! 私は…… 「!」 「ヒトミ……ちゃん……?」 私は気がつくと、イナちゃんを止めていた。 「どうして!?」 「うわはははは!! まさかワヤン不動が、僕の金剛の思想を理解してくれたんですか!?」 どうして。……どうしてだろう。ただ…… 「そのまさか、なんですよね」 「……え?」 意表を突かれたロフターの、魔導書の輝きが一瞬弱まった。 「ロフターの言ってる事、そこまで間違ってないと思うんです。もしかしたら将来、人類がこの宇宙の垣根を越えられる時も来るかもしれないけど。少なくとも今の文明レベルでは、外とは関わらないでみんなで手を取り合って生きるのが最善……じゃないですかね?」 「……ほ、ほほぉ。意外ですなぁ、脳筋で小心者の紅さんが、冷静に僕の話を聞いてくれていたなんて」 「一言余計だ三角眉毛」 うん。ちゃんと考えても実際、彼は思想的にはおかしな事は言っていない。だって現に最近の人類は、資源を守るために環境保護を始めたり、多様性を認めようとかなんとか言い出しているわけだし。どんな物かもわからない神様に祈るより、ずっと現実的に生き始めている。ロフターはそんな人類の最後の甘えである『創造主』という幻想を、この世界から取り払ってしまいたいだけなんだ。 「にゃはははは! なぁんだ、じゃあ僕達も不要な争いをせずに済むわけですなあ! では改めて……ぐッ!?」 ヴァンッ! 再び魔導書に力を込めようとしたロフターの左手に、高熱のエネルギー塊が爆ぜた。高圧の力を帯びていた魔導書は瞬く間に炎上! 「そんなわけないだろ外道が。お前は予定通り滅ぼすし、この世界に創造主は顕現させない」 「なんだと!?」 当たり前だ。それとこれとは話が違う。私は光君と目配せし、合体(ヤブユム)の構えを取る。 「あんたは野望のために魂を奪いすぎた。それが平和のためだったなど関係ねぇ、罪は罪できちんと償わなせにゃ!」 「喜べ。お前を完膚なきまでにブチのめした後で、この星に生きる全ての衆生と共に金剛の有明を迎えてやろう」 「くっ……」 ロフターは煌々と燃える魔導書を抱きしめ、表紙に埋め込まれたダイヤモンドをむしり取った。それを胸の中にグッと押し込むと、彼の体はたちまち巨大化していく。 「不動明王らしい、いえ、実に紅さん方らしい答えですな。こりゃいくら腹割って話したところで無駄ってわけだ」 私はその隙にテレパシーでカスプリアさんを呼び、イナちゃんと共に空を元に戻すよう依頼した。そして四本に伸ばした腕に武器を構える。 「カハァハハハハ!! 私がおめおめ見逃すとでも思ったか、ド外道が! これ以上は誰一人殺させない。神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ!」 ワヤン不動輝影尊(フォトンシャドウフォーム)対大魔神ロフターユール! 地球全土の存亡を賭けた合戦の火蓋は切って落とされた!
གསུམ་པ་
巨大化した大魔神はローブを広げ、さながら空に浮かぶサーカステントの様相。その帳にルーン紋様が浮かび上がると、強烈な突風が噴出! 周囲の雨雲と雹を取り込み大嵐の如く私に迫る。瞬間、私の中で仲間との絆がフラッシュバック! ―私が初めて人のために影法師の力を使うきっかけになった親友、リナ。金剛を裏切り私に修行をつけてくれた和尚様や、地元の神々。人生で初めて悪霊に立ち向かった時の、勇気の記憶― 私は赤外光を纏った灼熱のキョンジャクを高速回転させ天高く飛翔、そのまま遠心力で嵐を捕えた。 「ァアブダクショォン!」 それを大魔神へ腕力任せにブン投げ返す! ズドオオォン!! さながらジェットエンジンを直に受けたような衝撃音を立てて大魔神の帳が翻り、ロフターの顔が苦痛に歪んだ。しかし間髪入れず次のルーンが浮き上がる。 オォ……オォォォ……玉虫色の霧が立ち込め、木枯らしか亡霊の呻き声のような風音がそこかしこから上がる。するとどこからともなく宙に浮かぶ亡布録の大群が出現した! 瞬間、私の中で仲間との絆がフラッシュバック! ―抗う事を決意したイナちゃん。そしてNICや平良鴨証券の人々。力を貸してくれるみんなと共に闘った、友情の記憶― 「影影無窮!」 襲い来る大群に負けない、大量の影法師。その全員が燃え盛る龍王剣を掲げて悪を薙ぎ払う! そして全軍で大魔神に突撃ィィィ!!! 「カハァーーーッハハハハァーーー!!!!」 ダカダカダカダズダダダァァァン!! 大魔神の六割が灰燼と化した! 「ぎゃはあははははは! うにゃはははははは!」 絶叫とも高笑いとも取れる声を上げ、大魔神は目や口から黒いタールのような血涙を噴き出しながら更なるルーンを滲出! すると今度は大気圧がグヮンと急変し、周囲一帯が吐き気がするような生温い空気に包まれた。 ……マアァァァウァァ……マバアァァァ…… 無数に響く、飢えた怪物の声。そして中空から蠢き出る数多の菌脚。瞬間、私の中で仲間との絆がフラッシュバック! ―見知らぬ土地、見知らぬライバル。連綿と業を受け継ぐ祟り神。人生を奪���れ続けて化け物になってしまった少女。でも最後は皆で手を取り合い呪いを破った、団結の記憶― 「救済せにゃ!」 天高くティグクを掲げると共に、私は灼熱に輝く太陽となる! 全ての穢れは瞬く間に干上がり、色の飛んだ世界で唯一つくっきりと存在する明王の影が斧を振り下ろした! 「ニャアアアアアアアァァァ!!!」 ダガアァァァン!! 大魔神の帳が崩壊し、巨猫のシルエットが真っ二つに割れた! そして世界に色が戻ると…… 「!?」 中空に一瞬ルーンが浮かんだ次の瞬間、そこは突如カイラス山の岩窟になっていた。私は両腕を鎖で大岩に縛られ、足元を炎で炙られている。なんだ、今更悪夢攻撃なんて…… 「ヒッ」 違う!この炎は、かつて私が経験したどんな憎しみや悲しみとも違う。まるで地球史が始まって以来、世界中で起きた死という結果のみを集めて燻したような、恐ろしく冷たい炎。その圧倒的な絶望に晒された私の心臓はすくみあがり、だんだん体が動かなくなる…… ༼ ヌンッ! ༽ 「ドマル!?」 すると突然、私から強引に分離したドマルが自らの心臓に腕を突っ込んだ! ༼ こっ、これは、拙僧が抱えていたトラウマだ……今ここで拙僧が消えれば、術も解ける ༽ 「だ、ダメだ! この心臓を失ったら、ドマルは……」 ༼ ふ。もともと拙僧は、あなたの中に僅かに残った残滓に過ぎぬ。今更自我を保とうなどとは、思わない……よッ! ༽ ドマルは私との接点だった悪魔の心臓から自分をメリメリと剥がし、このまま逝去するつもりだ! 確かに彼は既に引退を宣言した仏。だけど、何もこんなところでお別れになるなんて! ༼ よいか? 悪夢の術が消えたら、あなたの足元で燃える苦の本質を見ろ。そしてあの猫の声に耳を傾けるんだ…… ༽ 「ちょっと待ってよ! あなただって一緒に戦ってきた仲間じゃない! ドマル……」 ༼ 一美 ༽ 「!」 彼は最後に振り返ると、卑怯なほど穏やかな微笑みで私を見つめて言った。 ༼ 行くのです ༽ 心臓に貼りついていた何かの線維が千切れる。抜苦与楽、体がふわっと軽くなったような感覚の後……私の前世は、邪尊ドマル・イダムは、悪夢と共に涅槃(ムナル)へと消え去った。
བཞི་པ་
闇があった。広さのわからない闇。まるで棺桶に入れられたような、あるいはだだっ広い宇宙に放り出されたような掴みどころのない空間。そこに一人の人影が佇んでいた。 「あなたは……」 その人は、とげとげロン毛……いや、ただのウェーブがかったロングヘアーの男性だ。かの有名な、茨の冠を被った神の子によく似た雰囲気の人。私は彼に近付くと、再び心臓が凍てつくような絶望の感覚を覚えた。 「あ……悪魔」 たった今逝去した前世の記憶を引き継いだ私は勘付いた。この人は私の心臓のドナー。砂漠で行き倒れになっていた、例の悪魔だ。 人間を堕落させる存在として忌み嫌われ、死ぬ事も消える事もできない……彼が仏典にそう書かれた理由がようやく理解できた。彼が本当に望んでいたのは、『安らかな滅び』。苦痛も暴力もない、穏やかな終わりだったんだ。 ―いけェーーっ! ワヤン不動ーーー!― ―負けるなーー、立ち上がれーー、ワヤン不動ーーー!!― どこか���ら声が聞こえる。何十人、何百人、何億人……最初は共に戦った仲間達の声。私を応援してくれる友達や邪尊教信者達の声。それどころか、一度も出会った事がない人達の声も、仏教とはまるで違う信仰を持つ人々の声も。この地球の命を守るため、身近な大切な人を守るため、あらゆる垣根を越えた大勢の衆生が私を呼んでいる! そして、 ―……たすけて……― 「!」 もう一つ。私の目の前で、か細く泣く猫の声。 ―……僕はただ、グリーダと静かに暮らせる楽園を作りたかっただけなんです……― ―……そのためにたくさんの命を奪いました。こうするしかなかった。だけど、グリーダはもういない……僕は償う事も、死ぬ事もできない……― 本来なら自分の感情すら自由自在に制御できる究極の神の子が、自己矛盾と絶望に苦しみ喘ぐ声。……大丈夫、ちゃんとわかります。だって私の中にも、悪魔の心臓(カオスコロル)があるのだから。 ―……助けて……ワヤン不動……― 薄暗い世界に、希望が満ちていく。光は影を強く形取り、救いを求める声に伸びていく。 ―ワヤン不動ーーーー!!!― ……さあ。滅ぼしてくれる。 ལྔ་པ་ 「ミィ……ミィ……」 極彩色の宇宙に輝く満点の星。地平線を照らす金剛の有明。そこに浮かび上がった一匹の小さな子猫は、三角帽子の魔女と共に箒で空へ消えていった。 「大丈夫です。お空に創造主はもう見えないヨ」 「地上の混乱も順次収めていきますの。弊社の財力と国際社会とのパイプを利用すれば、お正月中に済むでしょう」 イナちゃんとカスプリアさんのおかげで地球の危機は去り、ここには奇跡のような明るい空だけが残っている。 「……あ」 ふと、全知全脳の力が感知した。たった今、グリニッジ標準時は丁度〇時となった。 「この地球が新年を迎えました。全ての命ある皆さん、あけましておめでとうございます」
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賢戦(当時は魔戦…?):交際0日婚
(※ちょっと長めです) これは女勇者ロゼアの魔王討伐隊の冒険の中盤~のお話。賢者に転職後のエルマーと、テドンで出会い加入した僧侶リアンダのお喋りタイムである。
テドンで僧侶(元・武闘家)リアンダに出会った当時のパーティーは勇者ロゼア・賢者エルマー・盗賊バルダー。 バルダーの修行の為のメンバーだった。 魔物にやられ気絶した仲間のバルダーをエルマーもロゼアもMP切れで回復もルーラも出来ずに (しかもロゼアがキメラの翼を買い忘れていた) 丁度最寄りのテドンに立ち寄った際
リアンダ「何、お供の姉さんw あんた賢者様なのにザオリクできねーんだʬʬʬウケる🤣」
とまた女性と思われバカにもされ、エルマーも
エルマー「わっ、私は男性だ💦今はMPが切れただけだ! 僧侶ならうちの仲間を蘇生出来るんだろう���?💢」 (口の悪い女の子だな…💢)
とお互いの第一印象は最悪だった。
リアンダがその後容易くバルダーにザオリクを唱え復活させた。彼女がバルダーに一目惚れしていたのに すぐに気づいたエルマーはリアンダに耳打ちで
エルマー「バルダーさんとの事応援してるから🤭」 (いっそリアンダさんとくっつけくっつけ。うん。その方がお似合いだ😁) ※この頃のバルダーはまだロゼアを想っていた。
と吹き込みリアンダは弱みを握られたものの、 その後は徐々に親しくなっていった良い仲間関係である。 そんなエルマーとリアンダのこぼれ話。
ーーーーー
リアンダ「あ!エルマーさん!やっほー!ねえねえ、一緒に飲もうよ!」
リアンダは嬉しそうにエルマーに駆け寄った。エルマーもにこやかに挨拶した。
エルマー「やあ、リアンダちゃん。いいね、私はノンアルだけど笑」
リアンダ「エルマーさん酒ダメダメなんだっけ?アリアハンの地ビールうんまいのになあ。」
エルマー「私は酒が体質合わないみたいでね、すぐ寝落ちしちゃうんだ笑」
リアンダ「まじか笑」
珍しくエルマーは酒場で(ノンアルを飲みつつ)本を読んでいた。呪術書と思われる。 彼はいつもは勇者ロゼアが連れていく主要メンバーだが、 今回の旅のメンバーはロゼアとエルマーの姉・賢者エリーと エルマーの娘・魔法使いエレアとエルマー側の血族パーティー魔法の修行ツアーだった。 より修行が捗るよう、メンバーは4人ではなく3人だ。
リアンダはつまみを頬張りながらビールを飲みだした。
リアンダ「(もぐもぐ)エルマーさんが酒場に居るの珍しくない? いつもはロゼアが嬉しそうに張り切って連れていってるのにさ。」
エルマー(嬉しそうに張り切って?😳そうなの?ロゼアちゃん?) 「そう?今回はロゼアちゃんが私の姉のエリーと 私の娘のエレアを修行させたいって旅立ったみたいだよ。」
リアンダ「そうなんだ!あの2人もそっくりだから、 エリーさん、エレアちゃんのお母さんに間違えられたりして笑 本当のお母さんバーバラさん(戦士)なのに🤭」
エルマー「ありえる笑 エレアは妻と似てないからな。 瞳の色は妻の色だけど。」
リアンダ「エレアちゃんは上手い事エルマーさんとバーバラさんのモンタージュなんだねえ…。 遺伝って面白いよね笑 バーバラさん、面白くて明るい美人さんだよね~。 オレあの人好きだなあ。エルマーさんやるじゃん!」
エルマー「モンタージュて笑 ノンアル吹き出すとこだった😂 リアンダちゃんてば面白い表現だな😂 うん、確かに美人で面白い奴だなあいつは笑 リアンダちゃんが褒めてたって言っとく🤭」
リアンダはニヤニヤしながら話続ける。
リアンダ「ねえねえ、エルマーさん。良かったらなんだけど… そんな面白夫婦の馴れ初めなんて聞かせて頂けないかなあ、ってぇ。」
エルマー「!!えっ?!リアンダちゃん、私たち夫婦の馴れ初めに興味あるのか?」
エルマーはちょっと驚いている。
リアンダ「あ…話しにくいならいいんだ💦 エルマーさん達漫才夫婦で面白いんだけど仲良さげだし、 どんな出会いだったか聞いてみたかっただけなんだ😙💦」
エルマー「いや…話すのはいいけど、うちはロマンチックでもないし、 見合いみたいなものなのであんまり期待しない方が…」
リアンダ「!え、意外!マジで?めっちゃラブラブ大恋愛の末のロマンチックな結婚だったんだろうな、って勝手に思ってたよ😳」
エルマーは微妙な顔をしつつちょっと考えた末…
エルマー「わかった。話してあげるよ。 ただ、ロゼアちゃんには内緒にしてて欲しいんだ…😳 ちょっとうちの結婚話は恥ずかしいし、君はロゼアちゃんと同世代で仲良いし。どう?」
リアンダ(ん?なんだエルマーさん、ロゼアに聞かれるとマズイんかな? なんかいきなり照れだしたな。ちょっとカマかけよっかな…) 「あれエルマーさん、もしやロゼアの事なんか気にしてる?」
エルマーは一瞬ドキっときたが涼しい顔して上手く誤魔化した。
エルマー(ドキッ🤯いや落ち着け落ち着け、浮気野郎認定されてたまるか。してないけど。(※この時点では) 「いや、ロゼアちゃんのようなしっかりした女勇者様に うちのしょーもない馴れ初めなんか話してもな、ってだけだ。」
リアンダ「ふぅん?案外ロゼアもエルマーさん達の馴れ初めキョーミあったりするかもよ笑」 (エルマーさん頭いいから上手く誤魔化したっぽいな…様子見だな🤔)
エルマー「どうかなあ。ロゼアちゃん次第じゃないか?」 (あんまり聞かれたくないかも…💧)
リアンダはニヤニヤしながら期待している顔だった。 彼女はロゼアと親友になった。 ロゼアの1つ下のリアンダ。彼女達は同世代で話やすいのかすぐに仲良くなった。
時々なんとなくお年頃らしく恋バナをするものの、ロゼアが好きなのはこの賢者のエルマー。 ロゼアは誰にもこの秘めた気持ちを話していない。話せない。
リアンダはバルダーが好きで、彼が昔ロゼアに想いを寄せていたのも知った上で色々話しているが、 ロゼアがエルマーが好きなのを薄々感じつつ言い出しにくいだろうな、と気遣って陰で応援している感じだ。
リアンダは先述通り、エルマーの妻バーバラも面白いお姉さんとして慕っているからだ。 なのでエルマーと今回のような機会がある時に小出しに 「ロゼアがエルマーさんの事〇〇だったよ!」 みたいに間接的に伝えてるようだ。
リアンダはロゼアにも喋りたそうだがガマンした。
リアンダ「う、うん…ロゼアに聞かれたくない部分もあるんだろうし、約束する。エルマーさん。」
エルマー「良かった。ありがとう、リアンダちゃん。」
エルマーはちらっと周りを見て他の仲間がいないか確認している。 因みにここに登場するメンバー以外は、エルマーの妻バーバラ含め今回は各々外出中ということで笑
エルマー「今回の旅ではリアンダちゃんが真っ先にうちの夫婦事情を知ることになるね。 私達夫婦は馴れ初めを娘にすら話していないんだ笑」
リアンダ「うっわ!オレめっちゃレアじゃん!いいの?エルマーさん?」
エルマー「私達の馴れ初め聞いてきたの、リアンダちゃんがお初だからさ。特別に😁」
リアンダ「やったね!ありがとうエルマーさんっ!わくわく✨」
リアンダは大きい猫目のアイスブルーの瞳をランランとさせていた。
エルマーは(どう思われちゃうかな…😅)と思いつつ当時を思い出しながら語り始めた。
ーーーーー
ここからは16〜17歳頃の若かりし頃のエルマーとバーバラ夫妻のお話。 エルマーがノアニールにある実家から魔法修行の旅に出かけるところから始まる。
彼の両親である人間の魔法使いの父、魔族の血を引く賢者のような母にも魔法の指導を受けてきたが、自身の魔力を世界で試したい、更に外でも学びたいという事だった。
16エルマー「じゃあ父さん、母さん、姉さん(当時17歳頃のエリー)。 しばらく帰れないと思うからお元気で…。 外でも魔法の才能を伸ばしてきます。」
父アンドレアス「頑張って来いよ。お前は才能あるから賢者にもなれそうな勢いだからな。 旅先でも女性に優しくな。男は紳士でないとな、エルマー。」 (※はい、これより約10年後の現在、姉弟で賢者で大活躍中です。)
父アンドレアスはグリンラッドにひっそり隠居している偉大なる魔法使いの息子で、彼もまた人間ながらなかなか凄い魔法使いであった。 紳士的で女性に優しいフェミニストな父は『ロマンチスト』である。
17エリー「エルマーったらほんと真面目よねえ。まあ私達はお父さんは攻撃魔法、お母さんは勇者様のみが操れる電撃以外全て出来る魔法使えちゃう一家だけど私は魔法興味ないからさ。遊んでる方が楽しいわぁ〜!」
17エリーはこの頃から遊び呆けていたようだ。彼氏はコロコロ変わり、時折彼女が出来たり(!)、エルマーの1つ上で一足お先に成人した17エリーは酒も飲みまくっていた。若干17にして色気が凄い女性になっていた…
16エルマー「姉さんもったいないなあ。せっかくうちの両親は魔法の才があるのにさ。特に母さんは魔族の血筋なのに…。まあ母さん譲りのこの青銀髪は目立ってしまうと思うから、フードでも被って旅しようと思うけど。」
この16エルマーは今のような長髪ではなく短めのボブぐらいである。
母エルヴィーラ「気をつけるのよ、エルマー。母さん、寂しいから時々帰ってきてね…うっうっ…。 もし何処かで隠居している母さんのパパ…あなたのお祖父さまに会えたら頼ると良いわ。パパも魔法に長けた凄い人(?)だし、母さんにもエリーにもエルマーにもそっくりだからすぐ分かると思うわ…。パパは一切話せなくてテレパシーで会話する方だけどね…。」
16エルマー「はい……帰れるときは帰ってくるから泣かないで、母さん😭 僕、テレパシーで話す祖父さんがいるんだ…祖母さんは?母さん?」
母エルヴィーラ「母さんのママは母さんが子供の頃亡くなってるの…しかも母さんの弟か妹が出来たばかりだったのよ😭」
エルマー「そうだったんだ…😭その子が生まれていれば、僕の叔父さんか叔母さんだったんだね…」
母エルヴィーラ「そうよ…あなたにイトコが居たかもしれないわね。あああエルマー!母さんやっぱり寂しいわぁ!わぁああぁん😭」
エルマーは旅立ち早々、母に号泣され辛そうな表情をしている。母エルヴィーラは息子がいつまでも可愛い『さびしがりや』で『なきむし』のようだ。
エルマーとエリーの顔立ちや青銀髪はこの母譲り。娘と息子は耳が尖らなかったが、母は耳が尖っている。
母は魔族の血を引く儚げな美しい女性だった。魔族の血を引いているだけあり、初めから賢者でいけそうな壮大な魔力を備えている。
また、この母エルヴィーラ曰く、 彼女の父親も耳が尖っていたそう。 エルヴィーラの父も実父には会ったことはなく顔を���らないが、エルヴィーラから見た祖父が魔族らしい。
16エルマー「母さん、旅立ちが辛くなるからそろそろ出ます。ではまた…。」
16エルマーは母に名残惜しそうにハグをした。
母エルヴィーラ「頑張ってくるのよ!😭😭😭うわぁああぁああん、エルマーァア!」 (ああ…パパ…(※後に登場の姉弟の祖父)可愛い我が息子が旅立ちます…。どうか何処かで出会ったら息子を宜しくお願いします…。)
17エリー「いってらっしゃ〜い!お母さん、泣かないで💦 エルマーはきっと偉大な魔法使いとか賢者になるわよ!」
だがこの旅立ち以来16エルマーは実家に帰れなかった。 姉のエリーはこの日以来数年会えず、送り出してくれた両親は エルマーが出発した数年後に亡くなってしまった。 ちょっと先に生まれる孫のエレアに会わせてやれなかった…
ーーーーー
リアンダ「そんなああ😭😭エリーさんは今再会出来たけど、 エルマーさんの両親亡くなっちゃったんだ… ってことはエレアちゃんも祖父ちゃん祖母ちゃんに会えてないんだよなあ😭」
エルマー「これはショックだったよ😭親不孝者になってしまった… 帰るの忘れてたわけじゃなかったんだけどね…なかなか機会がなくて。」
ーーーーー
旅立ちからもうすぐ1年ぐらいが経とうとしていた。 16エルマーは17歳ごろになっていた。 修行の合間に広い場所で岩に腰掛けて休憩していた。
17エルマー「は〜……疲れた。今日は集中しちゃったかなあ。なんか眠いや…」
17エルマーはうとうとしてうたた寝している…じゅるり! 自分のよだれの音で一瞬目が冷めた。
17エルマー「はっ!ダメだな…やっぱどこかの宿泊まろうか…。うん、そうしよう!」
腰掛けてた岩から立ち上がった瞬間、魔物の奇襲にあった!
17エルマー「げげげ!こんな時に!う…詠唱に集中できな…」
大分疲れてた17エルマーは敵の奇襲に応戦出来なかった。 意識が若干朦朧としてきた瞬間、敵は17エルマーにバシルーラを唱えた!
17エルマー「やば!まhk……………うああああぁあああああああ!」
マホカンタが間に合わず17エルマーはどこかに飛ばされてしまった! この頃のアリアハン在住・後の勇者ロゼアはまだ8歳ぐらい。 まだまだ勇者と呼ぶには小さすぎるし、 討伐になど行けたものでは無いのでアリアハンに飛ばされなかった。
ーーーーー
リアンダ「えええ💦お疲れモードの時にエルマーさんバシルーラされちゃったんだ! 今となってはロゼアが勇者として旅立ってるから、飛ばされちゃってもアリアハンに戻っちゃうけど笑 当時はまだエルマーさん今のオレぐらいのトシだし、 ロゼアやオレなんか小さい子供で…エレアちゃんぐらいか? まだ討伐どころじゃないもんだから、当時バシルーラされたらランダムで飛ばされてしまったんだね…😅」
エルマー「あ…そうだね笑 私が魔物のバシルーラで飛ばされた当時はアリアハンに飛ばされなかったな…。 未だに忘れないよ、このすっ飛ばされた瞬間笑 時々夢に出てくるぐらい。ただこのバシルーラで飛ばされてなかったらバーバラとも会えてないしエレアもいないだろうな。」
リアンダ「じゃあ運命のバシルーラ…💘💞」
リアンダは相変わらず大きな猫目のアイスブルーアイをきらきらさせている。
エルマー「そんなロマンチックなものじゃないってば笑」
ーーーーー
魔物にバシルーラされてしまった17エルマーは白目をむきながらぼんやりと考えていた。 飛ばされている間、時間がとても長く感じた。
17エルマー(ああ…僕は何処に飛ばされているんだろう… きっとまだ僕が行ったことがない未知の地域かな…)
だんだん飛距離がゆっくりとなっていく… 17エルマーは身を任せ疲れも相まって意識を失った。
所変わって…ここはスーの村。川や湖に囲まれた独特の部族が住んでいる穏やかな地域。 そんな中、金髪のショートヘアでグリーンアイの若い女性が湖で水浴びをしていた。 この女性が後にエルマーの妻になるバーバラである。
若バーバラ「はあ〜…今日は暑いからお水が気持ちいいわ〜❤」
若バーバラは気持ち良さげに全裸で水浴びしている。しまいにゃ泳ぎ出した笑
若バーバラ「あ~開放感あって良いわねえ~🎶ふんふふーん🎶」
仰向けになりぷかぷか浮いていると上空から何かが降ってきた。
若バーバラ「ん?何かしら?って…ちょっとこっちに降ってくるじゃないの!きゃあぁあああぁあああ!」
若バーバラは慌てて避けようとしたがギリ至近距離に何かが落ちてきた!
どぷわーーーぁあぁあん! 若バーバラに水しぶきが思い切りかかった!!若バーバラは顔を拭った。
若バーバラ「な、何が降って来たのかしら…💧 !!!ひ、人???えええ💦」
恐る恐る近づいて見ると青い髪をした旅人が仰向けにプカアと浮かんで来た。 先程魔物にバシルーラされた17エルマーだ。
若バーバラ(あ、青い髪…?え、初めて見るわ…) 「まあ…女の子かしら。ねえ!あなた大丈夫??💦」
若バーバラは真っ裸のまま17エルマーに声を掛けると静かに目を覚ました。
17エルマー(ん…ここは何処だ…なんか冷たい…誰か僕に話しかけてる…?)
視界がぼんやりしていてよく分からない… 女性の声がする方に目をやると、全裸の金髪女性が心配そうに17エルマーを見つめていた。
17エルマー(!!!えええええ😱😱😱なんで裸の女の子が…あああああぁぁあ🤯🤯🤯)
17エルマーは顔を真っ赤にして声にならない声で驚いている。すぐに目を覆った。
若バーバラ「あ!良かった!気がついたのね!大丈夫?」
17エルマーは真っ赤な顔で目を覆いながら彼女に答えた。
17エルマー「は、はいなんとか…あ、あああの、ここは何処ですか…」
若バーバラ「!!😳😳😳」
女の子と思い声を掛けたら声が低い。まさかの男子だった。 若バーバラは恥ずかしくなって彼に追い討ちの水しぶきを掛けてしまった。
若バーバラ「えっ?あなた男なの?いやぁああぁああぁあああああ!」
ジャバーん!!
17エルマー「!!!…………」
17エルマーは疲労がピークに達したのかまた倒れてしまった。 ジャボン!
若バーバラ「あぁ!いけない!また気絶しちゃったわ。この男の子をなんとかしなきゃ💦」
ーーーーー
リアンダはテーブルに両腕を伸ばし、顔をふせて肩を震わせ悶絶している。
リアンダ「🤯🤯🤯なんと…水浴び中だったバーバラさんのハダカを初対面でいきなり見ちゃったんだ😳😳😳 まあオレもだったけど、バーバラさんも初見はエルマーさんの事女の子に見えたんだね💧 エルマーさん男のくせに綺麗だからしゃーないのかな笑 しっかしこれはなかなか強烈な出会いだなあ…」
リアンダはエルマー夫妻の出会い方が予想以上に強烈で肩の震えが止まらなかった笑
エルマー「ははは…苦笑 もうね、人によっては私は女性に見えるみたいだから開き直ってる🥲 複雑だけど褒めてくれてありがとう、リアンダちゃん笑 それでね、私もその逆しかりだったんだ…🤯🤯🤯 私が倒れて服もずぶ濡れでバーバラが着替えさせてくれたから…🤦♂️💧 恥ずかしいんだけど『初対面で互いの裸を見た関係』になったって訳😅💦 語弊ありありなんだけど💧」
エルマーは顔を真っ赤にして口元を引き攣らせながら語ってくれた笑
リアンダ「oh…刺激的…😳🤯😳🤯ちょっとそれだけだと すぐに意気投合して事を致した風に聞こえるかもだけど🤦♀️💦 エルマーさん達の場合はもう…仕方ないよね😂💦」
エルマー「恥ずかしすぎてそれどころじゃなかったよ笑」
リアンダ「きゃ❤笑 そ、そりゃロマンチックなものじゃないて言うわなあ… もう意外過ぎて…笑っていいもんのかなんなのか笑」
エルマー「だろ?笑 だから他にうちの夫婦の馴れ初めなんか気軽に話せなくってさ笑」
リアンダ(お、面白すぎるʬʬʬロゼアにも聞いて貰いたいけど…ガマンガマン💦 もしかしたらロゼアが妬いちゃうかもだし💧)
エルマー「よし、そろそろ締めくくりかな笑 ちょっと長くなるかもしれないけど。」
リアンダ「うんうん!面白いからバンバン聞かせて😂楽しみだな~🎶」
ーーーーー
若バーバラ「と、とりあえずこの青髪男子をどうにかしなきゃ💦ふん!」
『ちからじまん』の若バーバラは重量あげのように17エルマーを持ち上げ、地面に寝かせた。
若バーバラ「ふ、付近に誰もいないわよね…💧こ、これ以上他にもハダカ見られたらあたしお嫁に行けないわ💧おぶるよりもお姫様抱っこのがいいわよね。王子様抱っこになるのかしら笑」
若バーバラは急いで着替えて17エルマーを王子様抱っこして自宅へ戻った。
若バーバラ「まずはこの青髪男子のお着替えよね…風邪でも引かれたら大変💦 し、しつれいしまーす…」
若バーバラはずぶ濡れになった17エルマーの服を徐々に脱がせていった。
若バーバラ「服に水分吸い込んでえらい重たいわね…うーん…うちに男性用の下着なんてあったかしら😟❓あたしのボクサーぱんつでいいかしらね。…やだ本当に男の子だったんだ…🤯🤯🤯見ちゃってごめんなさい…」
仕方がないとはいえ若バーバラは17エルマーの全裸を見てしまった。 男性の裸を目の前にするのは初めてだったためとてつもなく恥ずかしくなった🤯🤯🤯
若バーバラ「あたしもこの人にハダカ見られたしお互い様よ💦」
ずぶ濡れた17エルマーの身体を手早く拭いて家にある適当な服を着せた。
着替えさせしばらく放置させたがなかなか目を覚まさない。すっかり遅い時間になっていた。
17エルマー「う…ん」
若バーバラ「あら!やっと起きたわね。もう夜よ!」
17エルマー「!!!はっ?よ、夜???あ…ここってあなたの家…?」
若バーバラ「そうよ。お腹空いたでしょ。とりあえずご飯作ったから食べて!」
17エルマー「あ、ありがとうございます…じゃあ頂きます…あ、美味しい(もぐもぐ)
しばらく食事とってなかったんで助かります。あの…ここってどこなんですかね…」
若バーバラ「ここはスーの村よ。川とか湖とか多い穏やかな村なの。」
17エルマー「スー?!うわあ随分北の方にすっ飛ばされたんだなあ…」
若バーバラ「一体何処から飛んできちゃったの?💧あなた魔法使い?鳩とか出す…」
17エルマーは食べてる物を吹き出すとこだった。
17エルマー「笑わせないでくださいよ笑 僕は確かに魔法使いだけどそっちじゃない笑 面白い人だなあなたは。」
若バーバラ「あら、ごめんなさい笑 あたしスーから出たことないから外の世界良く知らないの。青い髪のお兄さんは旅人ってとこかしら?」
17エルマー「ええ。鳩とか出さないけど笑 魔法使い修行の旅をしてました。魔物にバシルーラという呪文喰らってここに飛ばされたんです。バシルーラってのは相手を何処かに飛ばす呪文なんだ。」
若バーバラ「へえ…バシルーラねえ…そんなん喰らったら何処行っちゃうかわかんないのね💧青い髪のお兄さんはここに飛ばされたってわけか。」
17エルマー「あの…あなた僕のこの青い髪にあまり驚いていないみたいだけど…」
若バーバラ「ああ…あなたが湖に水没した時一瞬珍しいな、って思ったけどね。ふつーに綺麗な色じゃない!プラチナブロンドに青が少し混じった感じかしら。」
17エルマー(わあ…世の中こんなおおらかな人がいるんだ。ありがたいなあ) 「そっか…ありがとうございます。滅多にこんな髪色の人いないからよくからかわれたのでつい…僕はあなたのような綺麗な金髪とかが羨ましいです。」
若バーバラは自身の金髪を褒められたことがなかったのできょとんとしていた。でも悪い気はしない。
若バーバラ「ありがとう…あなた女の子褒めるのお上手ね。嬉しいわ😊」
17エルマー「僕は女性に優しくする主義なんです。」
若バーバラは少し17エルマーへの好感度が上がった。
若バーバラ「あなたはジェントルマンね。あたしバーバラ。青い髪のお兄さんのお名前も教えて?」
17エルマー「バーバラさんか。僕はエルマー。いきなり飛ばされて来たのに着替えとか…😳食事まで頂いちゃってありがとうございます。 着替えさせて貰ったんで…その…僕が本当に男ってわかりましたよね…😳💦 なんか「え、あなた男なの?」って言ってたしきっと僕の事女性に見えてたのかなって思って…」
若バーバラはみるみる顔が真っ赤になった😳😳😳
若バーバラ「エルマーさん、ご…ごめんなさい。見ちゃいました…風邪引いたら可哀想と思って必死だったから💦 えっと…はい。お顔見た時女の子かと思っちゃいました…そこらの女の子より綺麗な顔してたから💦」
17エルマーも若バーバラも両者顔が真っ赤である。
17エルマー「僕も…不本意ながらもバーバラさんの裸を少しだけ見ちゃったのでごめんなさい…僕も見られちゃったけど…💦 それから僕、こんな顔なんで時々女性と思われちゃうんです。声聞いてやっと男だって分かって貰えるような。」
若バーバラ「エルマーさんみたいな男の人は初めて会ったわね。スーは基本黒髪で小麦肌の人が多いし、エルマーさんのような綺麗な顔した男の人は目立っちゃうわね。」
17エルマー「バーバラさんだって見目は外国人じゃ…そんな黒髪で小麦肌の人が多い地域ならあなたも目立っているのでは?」
若バーバラ「あたしのパパがスーの人で、ママが外国人だったの。あたしはママに似たみたい。だけどスーの男たちから全然モテないのよ笑 あたしが木こりだったパパに似て『ちからじまん』でちょっとばかり力が強いし、フライパンや斧振り回して魔物退治するから怖いんですって笑 魔物にやられないように必死なだけなのに😂」
17エルマーは驚いていた。女の子で『ちからじまん』だった事もそうだが、若バーバラは見目は金髪で美しいグリーンアイを持ち一般的に可愛らしい顔をしていたからだ。
17エルマー「そうなんだ…バーバラさん可愛いのに。可愛い顔して『ちからじまん』で斧とかフライパン振り回すってのがまた面白いんだけど笑」
若バーバラは少し赤くなっていた。
若バーバラ「やだエルマーさんったら…😊💦ほんと女の子褒めるの上手なんだから。スーの男たちなんてそんな事言ってくれないわ。さぞかし旅先でもモテたんじゃない?」
17エルマー「いやいやいや…💦全然モテないよ僕は。僕は思った事言ってるだけ。それに魔法の修行に明け暮れてたし、旅先で女性に出会っても僕が女性に間違われて男扱いされないし…」
若バーバラ「まあ…意外ね。顔が綺麗で女の子に褒め上手なんてさぞかしモテる要素ばかりなのに。」
17エルマー「…ありがとう😳💦僕はもっと男らしい顔になりたかったな…」
若バーバラは意外そうな顔をしていた。だがふと思いついた。 もし17エルマーのような女顔の男性と付き合ったりしたらどうなるだろうかと。地元スーの男達をギャフンと言わせるチャンスかもしれない。 17エルマーの今後も気になるし、ある提案を持ちかけた。
若バーバラ「ねぇ、エルマーさん。あなたこれからどうするの?いきなり何処かからここ、スーに飛ばされて来て、ずっと寝てたぐらいだし体調良くないんじゃないの?」
17エルマー「あ…確かに。魔法の修行に集中し過ぎて疲れきってただけだよ笑 美味しいご飯も頂いたし元気出ました。ありがとうございます、バーバラさん。 そうだな…暫くスーで修行を積むしかないかな…僕ルーラっていう瞬間移動呪文がまだ出来なくて、自由に場所移動出来ないし💦」
17エルマーは全く今後を考えていなかった。 顎に手を当てて考え出した。 若バーバラはこれはチャンスでは?と思い大胆な提案をした。
若バーバラ「ねえ、エルマーさんが良かったらだけど、うちに暫く居たら?ここで寝泊まりしながら魔法の修行したっていいんじゃない?」
17エルマーは突然の大胆な提案に目を見開いて驚いている。
17エルマー「!!えっ…?そ、そんな…申し訳ないし、しかも女の子のバーバラさん家に厄介になるなんて…😳見ず知らずの男がいきなり寝泊まりなんてバーバラさんがなんて思われるか…」
若バーバラはにっこり微笑みながら答えた。
若バーバラ「うちはもう両親亡くなってて兄弟姉妹は居ないしあたし1人暮らしなの。だからエルマーさん1人増えるぐらいどうってことないわ。それに…お互い裸見ちゃったワケだし😳💦なんならもういっその事そのまま結婚しちゃってもいいかなとかちょっと思ったりして…」
17エルマーはあまりのぶっ飛んだ提案にポカーンとしていた。 知り合ったばかりの見ず知らずの仮にも男の僕に大胆すぎやしないか?と。
17エルマー「バババババーバラさん、ちょっと待って💦見ず知らずの青い髪の女顔だけど仮にも男である僕になんて大胆な提案なんだ😳暫く厄介になるは良いとしても、結婚って人生で大事な事じゃないか。見知らぬ僕といきなり夫婦ってのは…結婚はあなたが本当に好きな男との方が良いんじゃないのか💦」
若バーバラ「あたし今別に好きな人も彼氏も居ないもの。エルマーさんがもし暫くうちに居るなら、じゃあもう結婚しちゃってそのまま暮らせば良いんじゃないって思ったの。夫婦になってしまえばあなたがいきなり住み着いたって周りは「あ、結婚したんだ。」ぐらいにしか思わないでしょ笑 知り合ったばかりだけど、これからゆっくりお互いを知っていけば良いと思うし…それにエルマーさんみたいな褒め上手な男の人初めてでちょっと良いなって思って来て…😳もし旦那様になってくれたらスーの男たちにもギャフンと言わせられるかなって。」
若バーバラは理由はアレだが、17エルマーに興味や好感が出てきたようだ。 男女関係ではないにしろ笑 お互いの裸を見てしまってお互いに責任を取っても良いのではとも思っているようだ。
17エルマーは腕を組み悩んでいる。 人生の最大イベント結婚をこうも簡単に考えていいものかと… でもエルマーにも特定の女性はいないし、魔法修行で恋愛どころじゃなかったし色々といい機会なのかもしれない。 少しだけ若バーバラの所で厄介になってみて結婚云々はそれから決めようと思った。
17エルマー「じゃあバーバラさん。結婚はちょっとまだ置いといて、少しの間厄介になっても良いですか… 家事とか手伝うし僕に出来る事であれば協力します。 暫くはスーで修行をしたいと思う。僕は今あなたに世話になっているし、移動呪文が使えない以上身動き取れない。 あなたを知っていくいい機会でもあるし、良いでしょうか…。」
若バーバラ「そうよね。いきなりおかしな事言ってごめんなさい、エルマーさん。 遠慮なくうちで寝泊まりして魔法の修行に励むといいわ。ご飯ならあたしが作るから!」
17エルマー「バーバラさんのご飯美味しかったもんな。なんか既に奥さんみたいだ😳僕もバーバラさんは可愛くて面白い女性だと思うし前向きに結婚を検討するよ。お世話になってしまう訳だし。じっくりお互いを知っていこう。バーバラさん、お世話になります!」
17エルマーは深々と頭を下げた。 17エルマーも若バーバラもお互いに少しだけ好感度が出てきたようだ。 若バーバラは17エルマーに可愛いを連発され照れまくっていたが話し続けた。
若バーバラ「なんか無茶ぶりでごめんなさい。あたし達なかなかに面白い出会い方だし、こういうのもアリだと思うわ笑 まずは同居人からね、エルマーさん。」
17エルマー「そうだね。僕は居候になっちゃうけど笑 バーバラさん、1つ約束するよ。僕、これからバーバラさんと結婚するかは分からないけど、暫く男女一つ屋根の下で暮らす事になるし、周りにもきっと男女の目で見られると思うけど、結婚まで男女になってしまうような事しないって約束する。 僕…恥ずかしながら恋愛経験ないしね😳」
若バーバラ「!そ、そうね…💦さっき話した通りスーの男達と一切恋愛した事ないから 、あたしも全くそういった事ないし…。気遣ってくれてありがとうエルマーさん。じゃあそういうのは無事に結婚出来たらにしましょう笑」
17エルマー「笑 もし僕に落ち度あったら追い出して良いからね。権利は家主のバーバラさんにあるんだ。」
若バーバラ「ふふふ。エルマーさんはジェントルマンだから大丈夫じゃないかしら笑 じゃあ…よろしくね!楽しく暮らしていきましょ🎶」
17エルマーと若バーバラは握手した。 爽やかな同居関係がスタートした。
17エルマー「う!バーバラさん『ちからじまん』なだけあって握力すごいな💦」
若バーバラ「あら痛かった?ごめんなさい💦それにしてもスーの男たちの反応が楽しみったらないわ笑」
17エルマー「表向きには僕は彼氏って事にしといて良いんじゃない?笑 実際は居候で同居人だけどさ😂」
若バーバラ「ん~…じゃあそれなら婚約者(仮)って事にしとこうかしら笑 結婚を前提に一緒に一つ屋根の下暮らす事になったっていう設定で良いんじゃない笑」
17エルマー「設定って笑」
こうして魔物のバシルーラにより、スーに飛んできた17エルマーは地元の女性、若バーバラの家に厄介になる事になった。 スーの住民や男たちに色々好き勝手言われたが気にしなかった。むしろ話題になって面白がっていた笑
男①「あのフライパンのバーバラがびっくり。しかも青い髪した外国人の女みたいな男?男みたいな女?と暮らすなんて。」
男②「フライ��ンのバーバラ、見目は良いから。喧嘩したらあの青髪君負けるかも?」
住民①「まあ仲良さげだし良いんじゃない。またまた外国人がスーに来て目立つ2人。フライパンのバーバラもまた肌白い金髪の女。結構似合いかも。」
住民②「青い髪の外国人って女?男?不思議な外国人。」
スー独自の黒髪で小麦肌の民族たちの間でバーバラの家に突如青髪の外国人(17エルマー)が住む事になり話題に上った。 言いたい放題だがなんだかんだ祝福しているようだった。
17エルマー(やっぱりまずは僕の青い髪の事口にするんだな…しかも性別不明で不思議がられてるし💧) 「なあ、バーバラさん…。あなたは『フライパンのバーバラ』なんてあだ名��のか笑」
若バーバラ「あたしが熱したフライパン振り回して魔物退治するもんだから、いつの間にか皆にそう呼ばれてたのよ笑」
住民③「あ!青い髪の外国人、男だ。声低い。あなた不思議な顔。喋らないと男か女か分からない。」
17エルマー「よ、よく言われます💧これからバーバラさんの家でお世話になる事になったエルマーと申します。 この通り青い髪を持つ一見変わった外国人の僕ですが、どうぞ宜しくお願いします。」
住民たち「エルマー君、よろしく!スーは私たち独自の民族、黒髪で小麦肌の人間多い。私たちウソつかない。フライパンのバーバラここの生まれだけど、母さん外国人だったから見た目外国人。エルマー君も肌白い青髪の不思議な外国人。どうしてもこの村で目立つけど仲良くやろう。」
若バーバラ「綺麗な男の人でしょ。エルマーさんともども宜しくね!」
住民「…確かに。男女よくわからない中性的で綺麗。フライパンのバーバラ、こんなミステリアスなエルマー君とどこで知り合った?」
若バーバラ「うちの近所の湖に飛んできたのよ笑」
住民「!!!そんなことあるのか笑」
17エルマーはバーバラや住民の褒め言葉に照れながら答えた。
17エルマー「こんな男か女かよくわからない僕に綺麗だなんてありがとう御座います…😳そうなんです…僕、魔法使いなんですけど、他の地域で魔法使いの修業の道中で魔物の呪文で飛ばされて、ここのスーの村に飛ばされて来たんです。それでバーバラさんに助けて頂いて、そのまま暫くご厄介になることになりました。」
若バーバラ「あたし達面白い出会いでしょ笑」
住民「本当だ笑 エルマー君は魔法使い?じゃあなんか呪文唱えれる?凄い!そして綺麗で真面目そうな男の人。スーの村へようこそ。フライパンのバーバラとお幸せに。私たちとも是非仲良くしよう。」
17エルマー(やっぱりバーバラさんと恋人とか思われてるんだな…笑 まあ男女がひとつ屋根の下暮らす、って時点でそう思われてるのは仕方がない事だな。) 「はい。魔物が出たら僕の唱える呪文で蹴散らしてこの村の用心棒になります。スーの皆さん、どうぞ宜しくお願いします。」
住民「エルマー君、綺麗なお顔で頼もしい人!男前。」
17エルマーは男前なんて初めて褒められ終始顔を赤らめてた。
ーーーーー
スーの村民に挨拶した後、若バーバラと17エルマーは帰路についた。
17エルマー「スーの民族は言いたい放題だけど笑 穏やかそうな人達だね。話し方も独特だな。」
若バーバラ「スーの人達『しょうじきもの』が多いから、悪気なく言いたい放題って感じなのよ笑」
ふと見ると若バーバラは背中にフライパンを携えていた笑
17エルマー「ブフ笑 バーバラさんったらフライパン常備してたのか笑 今気づいたよ。」
若バーバラ「だってこの物騒な世の中、いつ魔物に襲われるかわからないでしょ笑」
17エルマー「そうだね…勇者様がまだ幼いらしいし、魔王討伐まで暫く年数掛かるんだろうね…。」
若バーバラ「やっぱりその勇者様が成長しないと駄目なのかしらね。かの有名な勇者オルテガさんの子供じゃないと…。あ!」
17エルマーと若バーバラは数年後にこの勇者オルテガの子供の旅のお供をすることになる。 まだ幼い勇者の話をしていた矢先に魔物が現れた!
若バーバラ「出たわね!この魔物ども!」
17エルマー「おっ!スーは僕が修業積んでた地域より強そうな魔物だな。修業しがいがあるぞ!」
若バーバラ「フライパン熱してないけど大丈夫よね…」
17エルマーは咄嗟に閃いた💡
17エルマー「!よし、バーバラさん。僕の火炎系魔法でバーバラさんのフライパンを暖めるから敵を叩くんだ!是非『ちからじまん』ぶりを見せてくれ!」
若バーバラ「!!まあ、エルマーさん頼もしい!さすが魔法使いね!じゃあ思いっきりフライパン暖めてちょうだい!」
17エルマー「了解!バーバラさん、火傷しないようにね。メラ!🔥」 フライパン本体めがけエルマーはメラを唱えた。
17エルマー、若バーバラ共にコンビネーションバトルにワクワクしている。
若バーバラ「わあ!本当に魔法使いなのね!カッコイイわよ🤩エルマーさん!あたしとエルマーさんのメライパンアタック🔥🍳くらいなさい!!!」
17エルマー「メライパンアタック😂👏バーバラさんこんな時も面白い笑」
17エルマーは爆笑していた笑 会心の一撃!!!スマッシュヒットをお見舞いした!
若バーバラ「やった!1発でやっつけたわ!」
17エルマー「ひゅー🎶バーバラさん強いな!さすが『ちからじまん』、まるで女戦士だ!よし、残りは僕にまかせて!後は僕の呪文で凍らせてやるぞ!」
17エルマーはヒャダインを唱えた!🧊🧊🥶 魔物はあっという間に凍りつき魔物の群れをやっつけた!
若バーバラ「わあ…火🔥だけじゃなく氷🧊の呪文だなんて…!魔法使いって凄いのね。エルマーさんめちゃくちゃカッコイイじゃない!」
17エルマー「ありがとう…バーバラさん褒めすぎ😊💦バーバラさんも本当に『ちからじまん』で頼もしい女性なんだね。女戦士になれちゃうんじゃない?」
若バーバラ「あたしが何かの職業に就くならそうね笑 魔法わからないし敵を叩く戦士が良いのかな笑」
この物騒な環境でコンビネーションバトルを編み出した2人。 この調子で時々現れる魔物たちに2人一緒に応戦しながら穏やかに暮らしていった。
ーーーーー
17エルマーが若バーバラの家に厄介になって数ヶ月後… スーの住民カップルに子供が誕生した。
若バーバラ「まあ~赤ちゃん可愛いわね!」
17エルマー「本当だ…。小さくて可愛いなあ。子供のご誕生おめでとうございます。」
住民夫「ありがとう2人とも。フライパンのバーバラ、エルマー君と結婚しないのか?婚約者なんだろ?」
住民妻「そうそう。あなたたち外国人で目立つけどお似合い。結婚して子供持ったらきっと子供も可愛い。私たちの子と遊ばせる。」
若バーバラと17エルマーは恋人ではない単なる同居人同士だったが、表向き婚約者(仮)という体で通してたというか周りはそう思っていたのでスーの住民達は彼らの結婚を勝手に期待していた。
若バーバラ「そうねえ…こればかりはご縁だから笑 まあ子供持ってもおかしくない年齢ではあるけどね。」
17エルマー「そういやバーバラさんっていくつ?女性に年齢聞くの失礼かもしれないけど…」
若バーバラ「あたし17よ。もうすぐ18になるわ。」
17エルマー「え!?僕と同い年じゃないか!僕も今17でもうすぐ18になるんだ。なんだそっかあ… 話しやすいとは思ってたけど同い年とはね笑」
17バーバラ「あら!エルマーさんもあたしと同じ年だったのね!年近いかなって思ってたけど同い年だったなんて笑」
住民夫妻「一緒に暮らしててお互いの歳知らない笑 もっとお互い話さないと。」
17バーバラ「そっ、そうね笑」
17エルマー「結構話し込んでるつもりでもまだまだなんだなあ、僕達は笑」
17バーバラと17エルマーは家に帰って先程の住民夫妻の子供の話しになった。
17バーバラ「エルマーさん、あのご夫婦の赤ちゃん可愛かったわね~😊」
17エルマー「そうだね…小さくてキャッキャしてて可愛かったね😊バーバラさんは子供欲しいの?」
17バーバラ「ん~そうね…いずれはって感じね。」
17エルマー「子供かあ…うーん…なんか今まで自分が親になるとか考えた事なかったけど、他人の子供見ちゃったら可愛いもんだよな。子供欲しいなら僕達結婚しちゃう?バーバラさん。」
17バーバラ「!!え!!」
17バーバラは突然17エルマーからそんなん言われると思ってなかったため驚き戸惑っている笑
17エルマー「…だって結婚の話出してきたの元々はバーバラさんだったじゃないか。」
17バーバラ「そ、そうだけど💦突然だったしびっくりしちゃって…」
17エルマー「それに僕バーバラさんに世話になりっぱなしだし、あなたの旦那さんとして何か恩返しできればって思ってきてたとこなんだ。あなたのご飯美味しいし、なんか既に奥さんみたいでこの状態が暖かくて心地良いっていうか…まあ恋人すっ飛ばしてるけど笑」
17バーバラ「エルマーさん、後悔しない?本当に良いの?💦あたし無駄に力強いし夫婦喧嘩なったらエルマーさんの事ぶん殴っちゃうかもしれないわよ💦」
17エルマー「今んとこぶん殴られてないよ笑 なんか以前は僕がオロオロしたけど今、逆転しちゃってるじゃないか笑」
17バーバラ「だってあたし男慣れしてないもの…!」
17エルマー「僕だって女性を知らないよ😳💦まあ…居候の分際で僕からプロポーズするなんてお門違いだったかな笑」
17バーバラ「そんなことないわ!分かったわ!エルマーさん、あたしの旦那様になって!まだ同居して数ヶ月だけど仲良くやって来たし、これからも穏やかに暮らしていきたいわ。」
17エルマー「では、結婚しましょう。これからもご厄介になります。僕が嫌になったら離縁してくれて構わないから。」
17バーバラ「それはあたしも同じよ💦あたしが嫌になったら離縁してね。なんだかあたし達恋人じゃないのにいざ結婚となると緊張するわね😳💦」
17エルマー「まあ…恋愛結婚ではないけど…。僕達の場合見合い結婚?になるのかな笑 僕はバーバラさんが奥さんになるの全然アリだよ。可愛くて面白いしご飯美味しいし。」
17バーバラは照れまくっている。
17バーバラ「しれっと褒め上手なんだからもう…😳あっ、あたしもエルマーさんみたいな綺麗なジェントルマンが旦那様になるなんて光栄もいいとこだわ🤩ダーリン!改めてよろしくお願いします🙏」
17エルマー「綺麗なジェントルマンて😅💦しかもダーリンか笑 人生で初めて呼ばれた😂照れくさいから今まで通りで良いよ笑」
17バーバラ「もう!エルマーさんたら。あたしエルマーさんの事褒めてるんだから💦じゃあ…結婚したら「あなた」とかエルマーって呼び捨てするから…うん。夫婦らしいでしょ笑」
17エルマー「そっか、ありがとう。僕の事綺麗なんて言ってくれる女性はバーバラさんが初めてなんだ💦じゃあ僕も「さん」付けやめてバーバラ、って呼ばせて貰うか。ところ結婚って教会で式挙げれば良いのかな。なんせ初めてだからさ。」
17バーバラ「…ちょっと待って…この村教会ないわ笑」
17エルマー「まじか笑 そういや教会見てないな…村長さんにでも話してみれば良いかな?スーに夫婦もいる事だしさ。」
17バーバラ「じゃあ…今もっかい村戻っちゃう?笑」
17エルマー「うん。そうだね😁村長さんにスーでの結婚がどうなのか聞いてみよう。」
17エルマーと17バーバラはまた村の中心部に戻って村長に結婚の手続きの仕方を聞いた。スーでは教会が無いため村長の前で誓って簡単な書類を書いて終わりだという。 また万が一離縁の場合も村長に報告し、書類を書いて終わりとの事だ。
村長「やれめでたい。エルマー君とフライパンのバーバラやっと結婚する。確認ついでに宣誓してもう書類書く。ワシもいつお前たち結婚するか楽しみじゃった。」
17バーバラ「村長さん、あたしエルマーと暮らしてまだ数ヶ月よ。やっとではないんじゃないかしら笑」
村長「そうか?なんかもう一緒に暮らして長い気がした笑」
17エルマー「突然この村に飛んできた外国人の僕はバーバラに世話になりっぱなしです。一緒になる事で妻…😊に色々恩返ししていきたく思います。」
村長「おお、エルマー君、妻言ったな!じゃあもう手続きする!ほれ、書類書く!」
17エルマー「え、今ですか?💦」
17バーバラ「村長さんったら急かしてません?今日は問い合わせのつもりだったんだけど笑」
村長「善は急げ。結婚の問い合わせに来たって事は結婚する気満々。それならもう書類書いて夫婦になる。スムーズで良い。」
17エルマーと17バーバラは村長に結婚手続きを急かされ、その場で書類を書かされた。 恋仲ではない同居人同士が夫婦となった。 村の住民は彼らは婚約者(仮)と思い込んで居たため思い切りこの新米夫婦をお祝いした🙌㊗️🎉
さっきの夫婦の夫「エルマー君達さっきうちの赤ちゃん見に来たばかり笑 もう結婚するのか!おめでとう!」
夫婦の妻「2人ともおめでとう!やっぱりお似合い。子供楽しみ。家族で仲良くしよう。」
男「うおお!フライパンのバーバラ、とうとう結婚!『ちからじまん』の旦那のエルマー君、モノ好き!」
17エルマー「妻は普通に可愛い女性だ。可愛い顔して『ちからじまん』のギャップ面白くて最高じゃないか。それにね、妻の作るご飯は本当に美味しいんだ。この村では外国人の僕達だけど、暖かく見守ってくれると嬉しいな。」
17バーバラ「あたしは半分スー人よ笑 パパがこの村の木こりだったんだから!どうよ?『ちからじまん』のあたしでも、こんなに見目麗しい旦那様ゲット出来たのよ💖あんたも綺麗な奥さん見つけることね!」
男「う…すまない。フライパンのバーバラそういえばハーフだった。見た目外国人だからどうもスーの民族思えなくて。お前たち外国人夫婦、美男美女でお似合い。もうからかわない。仲良くする。💦」
17エルマー・17バーバラ新米夫妻は村民たちに美男美女だのお似合いだの言われ照れまくっていた。
村長「では新たな夫婦よ。誓いの口付けをする。」
17エルマー・17バーバラ「え!!!!😳😳」
村長「何故驚く。一つ屋根の下一緒に暮らしてきて何言うか笑」
確かに一つ屋根の下数ヶ月一緒に暮らしてきたが、ただの同居人同士で恋仲ではなかったのでそういった恋愛関係は互いに一切なかった。 また17エルマーも同居時に「結婚までは一切男女になる事はしない」と約束を守っていた。 夫婦の誓いの口付けがお互いにファーストキスとなる。
17エルマー「そ、そんな……💧村民の前で誓いのキスだなんて…😳 (わああああ女性とキスなんてしたことないのに😱あわわわ)」
17バーバラ「えええ…めっちゃ恥ずかしいんだけど…(キスなんてした事ないのに村民に見られちゃうの?😳)」
村長「もうお前たち手続きしたんだから立派な夫婦。なんならエルマー君、夫として腹くくる。お前から妻のフライパンのバーバラにしてやる。」
17エルマーはガッチガチで顔を真っ赤にし脂汗ダラダラになっている。
17エルマー(初めてのキスが村民目前の誓いのキスだなんて…💧💧💧なんと緊張するシチュエーションなんだ…😱💦) (こっそり)「バーバラ、いきなりキスする事になるけどごめんよ…💧」
17バーバラ(こそこそと)「わ、わかったわ💦旦那様!あたしはokよ、ばっちこいだわ!」
17エルマーは妻のばっちこいに吹き出しそうになりつつ、一旦深呼吸して落ち着きを取り戻した。
17エルマー「わかりました…男で夫の僕が妻をリードします。」
17エルマーは妻になったバーバラの肩に手を置き、17バーバラにそっと誓いの口付けをした。17バーバラも思い切り目を瞑ってて照れくさそうだった。
村民たち「わー!!結婚おめでとう!」
皆の拍手や口笛が鳴り響いた。 新米夫婦は顔を真っ赤にしていた。
村長「スーには教会ない。だから村長のワシ神父代わり。 エルマー君、フライパンのバーバラ、結婚おめでとう。末永く幸せになる。」
スーの村長や村民の前で夫婦の誓いの口付けを交わした2人はこうして夫婦となった。
ーーーーー
エルマー「めっちゃ長くなったけど、こんな感じで私たちは結婚したんだ。リアンダちゃんにはちょっと恥ずかしいところまで暴露してしまったな😳💦」
エルマーは大分顔を真っ赤にして照れている笑 リアンダはめちゃめちゃニヤニヤしていた。
リアンダ「うふふふふ❤エルマーさん達ピュアなカッポーだったんだねえ🥺❤恋愛なしで同居人から夫婦っていうのが意外過ぎたけど、今じゃちゃんと夫婦っぽいもんね。」
エルマー「私たちの若い頃の恋愛事情とか要らん情報だったね笑 でもほんと一般的な恋愛結婚ではなかったんで、リアンダちゃんは楽しんで聞いてくれてたみたいだけど、中にはきっと私たちのような夫婦を理解出来ないって言う人も居ると思うんだ。」
リアンダ「いやいや……エルマーさんみたいなモテそうな男の人がそんなピュアだったなんて意外すぎてビックリだったよ。あ、実際モテてるか笑 街のお姉さん達にキャーキャー言われてるし、武闘家のミレイ(水零)さんとかアタックすげえじゃん。バーバラさんいるのにさ笑 世の中色んなやついるんだから、グダグダ言うやつなんか気にするなよエルマーさん!オレはエルマーさん達のような夫婦面白いし、今めっちゃ夫婦っぽいし羨ましいよ!オレもバルと結婚出来たらいいなあ😚もしそうなったらエルマーさん達みたくなりたい!」
エルマー「うーん…複雑な気持ちだよ笑 ミレイさんの気持ちはありがたいし東洋美人とは思うけど、大胆すぎてちょっとね…💦 そういうリアンダちゃんは、バルダーさんと順調そうじゃないか。私はリアンダちゃん達お似合いだと思うよ。バルダーさんは爽やかイケメンで、リアンダちゃんもアイスブルーの猫目ちゃんで可愛いし😊まだ若いから恋愛目一杯楽しんでからでも良いんじゃないか?」
リアンダ「エルマーさん、ほんと褒め上手だね😳若い頃のバーバラさんじゃないけど同じセリフ言ってしまうよ笑 んー…そうね。でもエルマーさん達の馴れ初め聞いちゃったら恋愛短くても良くなってきた笑」
エルマー「リアンダちゃん、私は思った事を言ってるだけだよ。うちの夫婦はまた大分特殊だからね笑 バーバラの家で厄介になってたとはいえ同棲じゃなくて私は居候だったからね😂」
リアンダ「だから周りに婚約者(仮)って思われてて勝手にエルマーさん達の結婚期待されてたのに、ただの同居人だったってオチが面白いんだってば笑 だけどさ、こんなん聞くのヤボかもだけど…男女2人きりでバーバラさん家暮らしてて、恋人じゃなかったにしろそういう気にならなかったの…?😳」
エルマーは照れくさそうにしながらリアンダにこっそり答えた。
エルマー「恋人じゃない女性にそんなこと出来なかった。ましてや私はバーバラに世話になってたし、もしそこで男女関係になってしまったらそれこそ居づらくなる。話の展開上私の若い頃の恋愛事情も話してしまったけど、女性と付き合った事もなかったし、男女関係になるならきちんと段階を踏みたかったって所だな。」
リアンダ「エルマーさんピュアなジェントルマンだあああああ😭😭😭なんか感動した…。」
エルマーは照れまくっていた。
エルマー「…私はただ不器用なんだと思うよ、リアンダちゃん…」
どっかに出かけてたバーバラがエルマーの背後から現れた!
バーバラ「あらぁリアンダちゃんったら、うちの旦那と飲んでたの?旦那めっちゃ酒ダメダメだからノンアルばっか飲んでたでしょ笑」
エルマーは飲んでたノンアルを吹きそうになった。
エルマー「おかえり、バーバラ。いきなり後ろから現れてそれか笑」
リアンダ「バーバラさん!おかえりぃ!オレがエルマーさんにお願いしてちょーどお二人さんの馴れ初め話してもらってたとこなんだ…😚」
バーバラはちょっと恥ずかしそうだったが、何面白いことになってるのとか思いエルマーとリアンダに加わってビールを頼んだ。
バーバラ「まあ、エルマーったらうちの馴れ初めリアンダちゃんに話してたんだ。ちょっと、あたしも混ぜなさいよ笑 ボーイさーん!大ジョッキでビールお願い🍺」
リアンダ「あ、オレもビールお代わり!」
エルマー「リアンダちゃんが私たちの馴れ初め気になってたんだってさ笑 いい機会だから話してたんだ。」
バーバラ「どのへんまで暴露したのよ?笑」
エルマー「んーと…私が旅立ってお前とスーの湖で出会って、スーの村で結婚したとこまで…かな。」
リアンダ「いやもうね…運命のバシルーラじゃん❤思いきや、なかなか強烈な出会いだったみたいでほんと面白おかしく聞かせて貰ったよ😂バーバラさん達みたいな夫婦も良いもんだなって思った。」
バーバラ「うちってほんと変わってる夫婦よね笑 地元のスーでも面白がられてるのよ。自分でもそう思うけど、なんだかんだでエルマーと結婚して10年ぐらいになるのかしらね。あなた、これからもよろしくね💕」
バーバラはお酒の勢いもあってかエルマーに腕を回し、リアンダの目前で夫に口付けた!
リアンダ「わお❤夫婦のキスシーンは絵になるなあ…」
エルマー・バーバラ夫妻はなるべく人前ではいちゃつかないようにしていたが、バーバラがお酒を飲み始めいい気分になっていたようだ。
エルマー「!!お、おいバーバラ…😳リアンダちゃんの前で…💦ちょっと酒くさいぞ💦」
バーバラ「いいじゃない!夫婦なんだからあ~」
エルマー「仲間の前でそういうの恥ずかしいからやめろって…な?」
バーバラ「もー!いい大人の男がチューぐらいで照れてんじゃないわよぉ!あたし達のチューなんて結婚の時の誓いのキスでスーの住民みんなに見られたじゃないのぉ!」
エルマー「いや、まあ…そうだけどさ…💦」
エルマーは照れと困惑が入り交じっていた。
エルマー(見られたのがリアンダちゃんで良かった…もしこれがロゼアちゃんだったらどんな反応されるかな…😥💦私としてもバーバラとのこういう所はロゼアちゃんに見られたくない…)
リアンダ(わー…今ここにロゼア居なくて良かったなあ😳💦これはエルマーさん達の馴れ初めもやっぱとても話せないな…) 「…やっぱエルマーさん達お似合いだね❤いっぱい馴れ初め語ってくれてありがとうエルマーさん🎶すっげえ面白かったし、今とっても夫婦らしくてお似合いだよ❤」
エルマー「いえいえ。私たちの馴れ初め話楽しんでくれて何よりだよ、リアンダちゃん😊💦」
バーバラ「そっか、リアンダちゃんはバルダーくんと付き合ってるのよね❤リアンダちゃん達もお似合いよ! バルダーくんイケメンだし、リアンダちゃんもアイスブルーで大きいお目目が魅力的で可愛いんだから😚若いうちにたっぷり恋愛楽しんで結婚出来ると良いわね😚」
リアンダ「バーバラさんみたいな明るくて面白い美人さんに褒められて嬉しいな😊オレもバルと頑張るぞ🔥❤」
エルマー夫妻とリアンダは酒場での語らいをしばらくこのまま楽しんだ。
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「当時、ルソーを語らないやつはダメでした。僕は哲学専攻でしたから特によくルソーを読み込んだ。女の子の前でフランス革命を語るのが、一番カッコよく見えた時代です」
元中国人の評論家・石平に若い頃の話を尋ねると、そう言って笑みを浮かべた。
1962年に中国四川省で生まれた石平は、幼少期に文化大革命を経験。やがて1980年、北京大学哲学系に入学し、学内で民主化運動に熱中した過去を持つ。中国が改革開放政策に走りはじめた当時、キャンパスでは誰もがルソーを読み、国家の未来と民主主義を語るのが流行だった。
卒業後、石平は中国国内で大学講師になったが、学生に民主化運動のオルグをやりすぎて上司に睨まれ、新天地・日本に留学。神戸大学大学院で博士号を取得している。1989年に六四天安門事件が発生したときには、彼は関西地方の中国人留学生グループのなかでも相当にアクティヴに動き回った。
私は先日、彼のような天安門世代の中国人たちの「その後の人生」を追いかけた『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOAKWA)という本を刊行した。天安門事件が起きたとき、日本は平成元年。この約30年間で、かつての若者たちの人生は大きく変わったが、それはいまや「元中国人」の保守評論家となった石平も例外ではない。
石平の心のなかにある、往年の民主化青年の素顔に向き合ってみたい。中国の若者が、カネ稼ぎや就職の心配よりも国家の未来を心配していた時代の記憶に触ってみたい。そこで今回の記事では、石平にそんな過去への思いを存分に語ってもらうことにした。
この記事を読んでいる日本の大部分のネットユーザーはきっと知らない、もうひとりの石平の姿。どうぞご覧いただきたい。
革命神話が生きていた時代に
安田 いわゆる天安門世代に該当するのは、1960年代生まれの中国人。中国語で「六〇後(リョウリンホウ)」と呼ばれる人たちです。彼らの青年期後半と日本のバブル絶頂期は重複していて、中国国内のエリートがいちばん多く日本に留学していた世代でもあります。
結果、現代の「有名な在日中国人」はみんな天安門世代です。石平さんをはじめ、財界ではソフトブレーンの宋文洲氏やラオックスの羅怡文氏、芸能人では周来友氏や李小牧氏、小説家の楊逸氏など、非常に濃い面々が揃います。日本で教鞭を執る中国人大学教員も、この世代がいちばん多いでしょう。
石平 そうですね。日本にいる中国人留学生の質が高かったのは1980年代なんです。90年代前半期も、天安門事件に失望した中国のエリートが大勢日本に来ています。
安田 天安門世代は、ほかにもIT企業アリババの創業者のジャック・マー(馬雲)やバイドゥ創業者のロビン・リー、シャオミ創業者の雷軍、暴露大富豪の郭文貴など、中国財界の大物たちも数多く該当します。中国共産党の高官だと胡春華や孫政才(2017年7月失脚)もそうですね。この世代の中国人の、心の原風景みたいなものを知りたいんですが。
石平 いいでしょう。たとえば僕の場合、4歳で文革がはじまり12歳で終わった。物心ついたときはまだ、革命神話が現役だった時代です。「偉大なる中国共産党により解放された祖国は素晴らしい」「諸君は世界で最も幸せに暮らしているんだ」「日本人民やアメリカ人民は悪しき資本家の抑圧のもとで食うや食わずやの生活である」と教わりましたよ(笑)。
殺伐を越えて
安田 往年の石平少年も、胡春華少年もジャック・マー少年も、みんな毛主席の紅小兵だった。中国人民より “不幸”なアメリカ人民や日本人民を、共産主義の光で解放するのが使命だと教わってきた。
石平 ええ(苦笑)。しかし、文革で社会はメチャクチャになる。そして70年代からは、農村に送り込まれた紅衛兵の一部が無許可で都市に戻り、仕事がなくて犯罪に走るようになった。70年代の中国は貧しくて閉鎖的なだけではなく、治安も悪くて暗い時代でした。
※来日して早大大隈講堂でトークセッションをおこなったアリババ創業者、ジャック・マー。今年3月末時点で時価総額世界8位の巨大IT企業を率いる彼も1964年生まれであり、世代的には「天安門世代」だ。2018年4月25日、大隈講堂内で安田撮影
安田 そんな殺伐とした時代の後に、ようやく毛沢東が死んで雪解けがはじまる。石平さんが北京大学哲学系に入学したのはこの時期(1980年)です。どんな学生だったんですか?
石平 当時、鄧小平の新体制のもとで、毛沢東時代がある程度は否定された。そこで登場したのが、文革の悲劇を暴露する「傷痕文学」という小説ジャンルです。私は高校から大学にかけてむさぼるように読んで、強く影響を受けた。当時は娯楽が少ないので、他の同世代も似たり寄ったりだったでしょう。
僕らが子どもの頃は「素晴らしい政権の下に生まれている」と教育された。それが大人の入り口に立つ頃になって、自分たちの社会の残酷さ、恐ろしさを知る。両親や同級生からも、文革当時のひどい話をたくさん聞く。この時期にいちど、世界観を完全に壊されるんです。
安田 日本だと昭和一ケタ世代みたいな感じかもしれませんね。軍国主義教育を受けて育ったのが、戦争が終わったとたんに「真相はこうだ」「総懺悔」みたいな話を突きつけられるという。
石平 近いかもしれません。そこで80年代に大学生になった僕らの世代は、みんな一気に民主化にはしるわけです。非常に高揚感のある時代で、外国の情報も入るようになって。当時のキャンパスはそういうパラダイムのなかにあったんですよ。
安田 1989年の天安門デモだけが有名ですが、実は80年代の中国では大小の学生運動が頻発し、経済だけではなく政治の自由化も盛んに議論されていた「学生運動の時代」です。ところで、日本で学生運動が盛んだった60〜70年代には、『資本論』を読んでないやつはバカにされるみたいなのがあったそうですが。
石平 うちらもそう。当時、ルソーを語らないやつはダメでした。僕は哲学専攻でしたから特によくルソーを読み込んだ。女の子の前でフランス革命を語るのが、一番カッコよく見えた時代です(笑)。
安田 実に安保闘争っぽいなあ(笑)。ちなみに日本の60年安保のときの大学進学率は10%すこし。いっぽうで1980年の中国の当時の大学進学率は2%未満です。
地獄を見た人たち
石平 そう。当時の中国で大学に入れたのは非常に限られた人間だけでした。しかも社会主義が残っていた時代で、学費も寮費も食費もほぼいらない。われわれが民主化運動に没頭できたのは、ある意味で「中国共産党のおかげ」だったのですよね。
安田 当時の中国ですと、卒業して学士様になれば大学の講師ぐらいにはなれた。少なくとも職には決してあぶれなかった。石平さんを含めて、80年代の中国で民主化を叫んでいた若者は、非常に限られた特別な人たちだった。
石平 完全に恵まれた人たちの、温室のなかの贅沢な革命です。いまから考えると幻想に過ぎないのですが、みんなが天下国家を語り、「自分の力で中国を変える」という気負いがあった。当時の最高指導者の鄧小平は理解不能だったでしょうね。「君たちをこれだけ優遇してやったのに、なぜ逆らうんだ?」と思ったはずです。
安田 それに、みなさんから一世代上(1950年代生まれ)の人たちも腹が立ったでしょう。彼らは文革のまっただなかに青春時代を送った紅衛兵世代です。習近平みたいに幹部の子弟でも農村に送られて、地獄を見た。ろくな勉強もできなかったわけですから。
石平 その通り。習近平たちの世代から見れば、僕たちは単なる生意気な青二才にみえるのです。農村など低層のことは何も知らずにして民主主義ばかりを語っているアホどもが、という感じです。しかし彼らの世代は、毛沢東独裁政治の被害者でもあるのに、今になって独裁体制作りに躍起になっているのも、私たちから見れば摩訶不思議です。 安田 紅衛兵世代と天安門世代の仲の悪さは、『八九六四』の取材でも感じました。たとえばあるデモ学生OBに「何が不満だった?」と聞いたら、「俺は大学まで出ているのに、紅衛兵世代で小学校しか出てないやつの下で働くのがイヤだった」とか言うわけです。気持ちはわかりますが、当時の中国社会の現状から考えるとかなりの「わがまま」ですよね。
石平 われわれの運動は、失敗に終わるべくして終わったということですよ。中国がなんたるか、社会がいかなるものかも理解しないまま、理想だけを持っていた。もちろん、それでも青春時代の情熱を燃やしたことに悔いはない。命を捧げた人たちもいる。僕たちが体験した1980年代というのは、そういう時代だったんです。
安田 現在の中国からは想像もつかないような、学生運動の政治の季節ですね。
石平:そんな僕たちの時代は、1989年の天安門事件をもって終わりました。そう。あの事件ですべてが終わったんです。
愛国心は「逃げ場」だ
安田:終わった後に残ったものはなんだったんでしょうか、
石平:僕たちの世代は、自分の中にある毛沢東時代までの価値観をすべて壊しました。結果、中国共産党も人民日報も中国中央電視台(CCTV)も、あらゆる権威を信じなくなった。
いっぽうで従来の価値観を壊した結果、次はどんなことがはじまってもいいと思って、自分の頭で考えてルソーやフランス革命に接近していった。80年代を通じて、僕たちの世代を唯一まとめていたものは、民主主義という理想だったんです。
安田:しかし、それは天安門事件で壊された。
石平:はい。すると、僕たちの世代にはもはや共通点がないんです。みんなが好き勝手なことをやるようになる。なかには理想にあくまでもこだわって、理想のままで生きていく人もいないではない。でも、ニヒリズムに陥って、やがて立身出世や金儲けだけに走っていったやつも大勢出ました。
安田:『八九六四』にも、天安門事件の理想が破れて拝金主義者になってしまった青年の話が出てきます。もとは爽やかな好青年だったのに、すっかりイジけてカネの話しかしなくなった人が。
石平:イジけ方にもいろいろあります。中国国内の愛国主義者になっていったやつらもいる。例えば、ゼロ年代前半頃から中国ではネットの掲示板にやた��に愛国的なことを書く人が出てきましたが、どうやら初期の時期のそういう連中の一部は、僕と同じ世代みたいなんです。
安田:石平さんの初期の著作(『中国「愛国攘夷」の病理』小学館文庫、2002年)で書いていた、2001年ごろに人民日報傘下のネット掲示板『強国論壇』に集まってタカ派的な発言を繰り返していた人たちですね。当時の中国で、ネットを使えた人はエリートに限定されていたはず。彼らの正体は、すくなくとも一部については天安門ニヒリズムを抱えた世代だったと。
石平:金儲けと出世に走るやつがいる。あるいは、ごく少数ですが、純粋な気持ちを内面に持って反共産党の立場を永遠に貫いていくやつもいる。でも、どっちにもなれないやつがいるんです。そんなやつの逃げ場は愛国心になる。
天安門と「反日」
安田:なるほど。天下国家を論じたい理想主義者だったのに、民主化の夢は破れた。でも、開き直ってカネ儲けをすることもヘタクソ。そんな人たちが、中国のネット黎明期の反日言説の源泉のひとつになっていったと。
石平:僕の同級生にもそんなやつがいました。1980年代は、口を開けば中国の民主化を語っていたのに、1990年代になると反日的なことばかり言うようになった(笑)。ただ、こういう連中は弁が立つし文章も上手いし、語彙力もありますから、文章を書くとずいぶん迫力のある「反日言説」ができあがる。
安田:なるほど。後年に中国でネットが普及してから出てきた憤青(中国版のネット右翼)みたいに「小日本のバカ」「中国バンザイ」と一行レスを書き残すだけならバカでもできる。でも、いびつに歪んだイデオロギーであれ、それを長文で論理的に弁じ立てていくのは、やっぱり賢い人間じゃなきゃできません。
石平:そういうこと。2001年ごろの『強国論壇』の愛国反日的な文章を眺めていると、ピンとくるときがあるんですよ。こいつは僕と同じ世代なんだろうな、って。
安田:この論理構造は、かつて80年代の北京大学で見たアジビラとそっくりだ! みたいな。
石平:そうそう(苦笑)。文章それ自体は、実にガッチリと論理を構築して書かれている。
安田:政治理論みたいな抽象的な理屈を文章にして、理路整然と論じていく能力って、近年は世代が下るほど弱まっていますよね。これは中国だけではなくて、日本でもそうですが。
石平:そうです。仕事でやっているわけでも、自分の生活上の利益とも直結していないのに、理屈をこね回して抽象的な長文を書くような人は、日本ではほとんど絶滅しているんじゃないかな。中国でも、私たちの世代が最後なんです。
安田:一昔前までは、エリートでも哲学や文学を専攻する人が多くいたので、そういう「政論」を書くことが趣味みたいな人が大勢いました。でも、ここ20〜30年は社会が変わって、エリートはITや金融みたいに実学的な学問を勉強するようになったので、そういう趣味を持つ人も減ったように思います。
石平:そう。僕たちはそういうことをやる、最後の愚かな世代といいますか。僕たちよりも若い中国人のエリートは、もっと世故に長けていて賢いでしょう。ネットに「政論」を長々と書くような、非生産的なことはしませんよ。
反日とはなんだったのか
安田:ところで、70年代〜80年代生まれの中国人のエリートは、石平さんたち天安門世代と違って学校で反日・愛国主義教育を受けているはずです。でも、彼らは日本旅行が大好きだし、無印良品みたいな現代日本っぽいライフスタイルや、日本食やジャパンコンテンツのよき消費者となっています。全然反日的じゃないですよね。
昨年、『君の名は。』の聖地巡礼のために飛騨古川にやってくる若い中国人個人旅行者を取材したんですが、彼らは実にお行儀がよくて物静かで、日本に対して健全な親しみを抱いている。正直、中国政府が天安門事件後にはじめた反日・愛国主義教育とは何だったのかと思えてきます。
石平:中国の反日・愛国主義教育は、バカが信じればそれでOKなんですよ。日本に個人旅行に来るくらい生活に余裕を持てる人は頭のいい人間だから、学校で教わるイデオロギーなんか真面目に信じない。
安田:逆説的に言えば、政府のプロパガンダを本気で信じて「反日」になるようなバカは、中国の社会は成功できないし金持ちにもなれない。
石平:そういうことです。一方で、格差の末端に追いやられた「持たざる者」は、潜在的な体制への不満分子です。そういう連中のフラストレーションを溜めず、高揚感を持たせてやるために中国政府が与えているのが、反日や愛国主義というオモチャなんですよ。
安田:中国の政府にしてみれば、社会で負け組になった「バカ」の不満がお上に向くことなく、「小日本め!」と日本を憎みながら大国意識に酔っていてくれれば天下は泰平である。
石平:そう。いっぽうで現代の中国では、金持ちや賢いやつは体制に反抗しない。だから、彼らが反日・愛国主義教育を信じてくれなくても政権の脅威にはならない。結構巧妙なんですよ。
天安門世代はなぜニッポンを愛するか
安田:日本に帰化した元中国人は少なくありませんが、石平さんは彼らののなか��も特に日本のナショナリズムに親和的で、靖国神社にも参拝しています。いっぽう、学識から考えても、ご本人と向き合ってお話をしていても、石平さんはナショナリズムを相対化して考えている人だと思うのです。
石平:もちろんですよ。日本のナショナリズムについても、例えば僕は昭和の初期の日本の戦争については基本的に批判的な立場です。ああいう全体主義的なナショナリズムは行き過ぎている。これは僕のあらゆる本で書いているんですよ。
安田:最近でも『なぜ日本だけが中国の呪縛から逃れられたのか』(PHP新書、2018年)の終盤で、がっつり書かれていますよね。
石平:ええ。もっとも、戦後の日本でその問題が逆になって、国を愛したり国旗を掲げることすらタブー視されたのもいけません。戦前も戦後も、方向性は真逆ですが極端な誤りがあると思っています。
安田:とはいえ「日本人・石平」の政治的立場は、平均的な日本人と比較しても右に位置するはずでしょう。なぜでしょうか。
石平:正直なところ、僕は最後まで理想主義者なんです。要するに、なにか理想的なものの中にいないと、自分はもたない。かつての理想の枠組みは中国への愛国心にもとづいた、中国のための民主化だった。でも、それは永遠に破れてしまった。ならば当然、僕の新しい理想の枠組みは日本に置かれるんです。
安田:天安門事件で空っぽになった理想の器は、別に何かで満たされなくてはならなかった。
石平:ええ。僕は幸いにして日本に来て、長く生活してきましたが、いい体験ばかりなんです。僕は中国の古き良き文化が好きな人間ですが、それは現代中国で失われたものすらも、日本には存在している。例えば今日、ここに来て――。
安田:大阪から滋賀県までお越しいただいてすいません(注.この対談は安田の実家の寺院でおこなわれた)。
石平:いやいや。ここで寺の庭を眺めて、お茶を飲んで風の流れを感じてと。そこで私が感じるのは古き良き中国であり、それを美しく昇華させた日本の伝統文化への愛着なんです。ある意味で、僕にとっての理想の世界は日本にこそある。日本料理も大好きです。
もちろん僕も、日本が抱えている様々な問題は知らないわけじゃない。しかし、それは別の問題です。僕にとって日本は、理想的なものでなくてはならない。そうなっちゃった。ある意味において、僕が日本を愛するのは自分のためのことでもあるんです。
理想の世界を守るため
石平:そして僕は日本人としての意識を持つ。例えば靖国問題にしても、僕は昭和初期の戦争には否定的です。しかし、あの戦争で国のために命を投げ出した人は美しい。それを決断した人間はバカであっても、若くして純粋にこの国のことを思って、亡くなった方は美しい。だから僕は、自分が日本国民になった以上、彼らが眠る場所には参拝するべきだと考えている。
安田:新天地の国を愛して、精神的に一体化することを望む結果、現地では右派的とされる立場にコミットしていく心理は理解できます。例えば天安門の学生リーダーだった熊焱は、アメリカで帰化後に(従軍牧師としてですが)軍籍に入って、イラク戦争に参戦しています。かつてトランプ政権の仕掛け人だったスティーブン・バノンの幕友にも、中国民主派の在米華僑が少なからず混じっていました。
石平:僕はこの日本の伝統と文明に一体化して、人生における最後の安息を得たいと考えています。だから逆に、日本を攻撃して貶めるような言説は容認できない。なので、僕が左翼を批判するのも本気なんですよ。自分の心と精神における、最後の理想の世界を守らなくてはならない。 安田:なるほど。とはいえ私は「日本を貶める」というか、一定の適切な批判は必要かと思います。例えば中国でも、天安門のデモの学生が中国の国家体制や政治を批判したのは、別に祖国が嫌いだったからじゃない。むしろ一種の愛国心ゆえでしょう。日本においても、こういう立場からの批判は健全なものだと思うのですが。
石平:それは当然。民主主義の社会ならば、それは存在するべきです。ただ、僕は政策を批判することも賛成することも必要だと考えています。例えば安倍総理の日韓慰安婦合意は、例え他の右派の人たちがナアナアで納得していたとしても、僕はあくまでも反対して批判する。逆に改憲や安保法制の整備には賛成するんです。
******
日本にはもうすぐ、平成最後の夏が訪れようとしている。1989年に幕を開けた時代の終焉である。しかし中国もまた、この約30年間で人も社会も一変し、往年の天安門のデモに熱狂した青年たちも考え方を変えた。石平の人生遍歴もそのひとつだろう。
かつての民主化青年たちは、天安門事件で空っぽになった理想の器を何で満たしたのか。『八九六四』では、そんな彼らの後半生に密着している。社会のありかたを変えた事件が、当事者たちにもたらしたものとは。それは、結果的に日本に何を与えたのか。
平成元年に北京で起きた大事件から、中国と日本のいまが見える。
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何年過ごしても関東の気候には慣れないわ…とか去年までは思ってましたけど、そんなことありませんでした。私の身体はしっかりと関東仕様になっていたようです。なんだかんだで地元に帰ってきてからもうすぐ(といっても6月)1年になるんですけど、地元の気候がめちゃくちゃ身体に堪えてます。夏はバカみたいに暑かったのに、冬はめっちゃ寒い。なんなら春になってもまだ寒い。未だに朝方は3度くらいまで冷え込むし、最高気温も10度ちょいみたいな日もあるので、しんどいです。春服を楽しみたいけど、私はまだまだニットを着ていたい。
さて、なんのこっちゃあみたいな写真を���ップしてますが、これは宮野くんのラジオから届いた封筒の写真です。番組名のすぐ上には〇〇様と私の本名が記載されているため撮影するわけにいかず、こんな意味不明な写真になってしまいました。
そうなのです。先日、翼さんの誕生日の日に嬉しいことがまたありました~と書いてましたが、実は宮野くんのラジオでまたもや私が送ったメールを採用してもらっていたのです。しかも今回は毎週採用された人の中から1人だけ当たるという番組ノベルティまで当たってしまって、もうなんていったら良いのやら、嬉しさのあまり、「今週の当選者は~」と私の名前(ラジオネーム)が呼ばれた瞬間、「キターーーッ」と声を上げてガッツポーズをしていました。話盛ってません。まじな話です。そしてこの回は私にとってはとても特別な回。通常の放送でも採用されれば嬉しいですけど、この回はめぐさんがゲストとして来ていた回だったのです。私が好きなアーティスト…といって良いのかわからないけど、なお二人が揃っている場で読んでいただき、しかもめぐさんがいるというその場でノベルティの当選。もう感無量。その前の週にはめぐさんにも生配信のトーク番組で読んでいただいていて、こんな嬉しいことが続いて良いものなのかと思いました。本当に生きてて良かったです。で、なぜ、19日の段階でこの話を書かなかったのかというと、あの時はまだラジコのアーカイブで番組を聴き返すことができてしまっていたからです。念のため、ね。今週の放送が先ほど終わったので、先週の分はもう消えたはず。まぁ、ラジオ番組はゆーちゅーぶやらにまるっと番組をそのままアップされちゃうことが多々あるので、探そうと思えば探せちゃうかもなんですけど、ああ、この人か、と思われても何がわかるわけでもないし、この日記を読んでる方で、悪質な行為をするために探ろうとする人もいないでしょう。という希望的観測。
ちなみに昨年に読んでいただいた時、即行で読んでもらったー!と公表したのは、番組の構成上、あの回は読まれた人がたくさんいたからです。すぐに聴き返したところでどれが私かなんてわかりっこなかったから。しかし、今回は読まれた人が少ないうえにノベルティまで当たってしまってますからね…すぐにわかっちゃうんですよね。
最近はさ、行きたいと思うことを我慢することがこんなにもしんどいのかと悶々としていたけれど、この嬉しかったこと2連チャンのおかげで少しだけ晴々とした気持ちになりました。小さなことでも、嬉しいと思うこと、幸せだと感じることを積み重ねていきたいものですね。
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#076 ナビゲーター(袋小路でやぶから棒に)
あの、すみません。まずは、あの、はい。お、お、落ち着いて。あ、すみますみすみすみません。とりあえずは、まずは、なにをおいても、こういう時は、ええ、絶対的、可及的、速やかに、落ち着くことが大前提かつ大事ですから。はい。とにかくまずは、深く、ふかく、ふか……げええっほんえふんげふんごめんなさいんんんっ。はい。深呼吸から……はあ、深呼吸から始めましょう。それから、すべてはそれからです。息をすう〜、はあ。すう〜、はあ、して。……そう、そーうですはいはい。はい。はい。よくできました〜。あっすみませんすみません。怒らないでください。馬鹿にしているわけではないんです。けっして、断じて、誓って、そんな失礼なこと、あなたにするわけないじゃありませんか。そう思いません? 思いますよね? よかったよかった。それでですね、まずはそのー。あっ、挨拶がまだでしたね。えと、おはようございます。あ違うか違いますね。はじめましてですねこういうときは。人と人がはじめて、こう、顔面を合わせると言いますか。初対面。そう、初対面、ですよね? 満員電車の中ですとか、信号待ちの間ですとか、もしかしたらもしかすると、偶然ばったり出会っていたのかもしれませんけど。あ、こういう場合――つまり、まだちゃんとした初対面の挨拶を交わすより以前に、あなたを見かけていた場合――も、ばったり、とか、偶然、って、使うんですかね? そこんところ、ちょっとよくわかんないんですけども。でも、そうですね、とりあえずは、はじめましてにしておきましょうか。しておいてください。どうか。どうか……。 えと、それでですね。あなたの頭には今、たくさんのハテナが浮かんでは消え浮かんでは消え――あ、消えてはいないですか。それは失礼しました――、していると思うんですよ。そりゃ思いますよ。思うことでしょう。誰だってこんな、非常時にはそういう思考回路が働くものです。誰だこいつら、と。なんでこんなに腰が低いんだ、と。そもそもなんで部屋にいるんだ、と。こんな早朝に、と。まだアラームが鳴る二時間も前なのに、と。得体の知れない輩に安眠を妨げられたぞ、と。今日は祝日なのに、と。小鳥のさえずりしか聴こえないくらい早朝じゃないか、と。チュンチュク鳴いてるあの小鳥はスズメだろうか、と。そうですおそらくスズメです。それにしても最近、スズメを見かけなくなりましたよね。なんでも年々スズメの数が減っているらしいですよ。ええ。ええ。本当ですとも。こんな所で嘘なんかついてなんになるんですか。こんな、高層ビルの裏の、袋小路の、ゴミ臭い、陽の当たらない場所で。……そうですとも、まだ寝ぼけてますね。大丈夫ですか? もう一度深呼吸しますか? コンコンコン、おーるーすーでーすーかー? いえいえ冗談ですってすみませんってばふふふ。ああ失礼。とにかく、今一度、辺りを見回してください。たっぷり、首を左右上下に、三往復くらい、動かしてみてください。首の運動には眠気をふきとばす効果もあります。そうしたら、けっして慌てずに、まずはこの文章に目線を戻しましょう。 これでようやくお分かりになりましたでしょうか。ああ、よかった。ホッとしました。とりあえず、ホッ、とさせてください。この仕事も、いろいろと気苦労が絶えないのです。ほら、その、あなたのように、イレギュラーな状況で浮空期に突入した場合、パニック障害を併発することもめずらしくないのです。ええ、ええ、ここだけの話。そうなんですよ。 まさか俺が。そう思ってますか? ついにきたか。そう思ってますか? なんでまたこんな時期に……。そう思ってますか? まあ、災難ですね、としか言いようがないですね。五年間、学生のころから付き合っている人と別れて、しかもその人には二年前から別の恋人がいて、つまりあなたは二年間浮気をされていて、しかも付き合っている人的にはあなたより浮気相手のほうが本命で要するにあなたは浮気されていたと言うよりあなたが付き合っている人にとっては浮気相手のようなもので、お荷物で、ただのヒモ野郎で、ノータリンで、……みたいなこと��昨日の夜付き合っている人と付き合っている人の浮気相手に一方的にまくし立てられて、あなたは驚きすぎてなにも言い返せなくて、むしろ驚きを通り越してなにも感じなくて、なにも感じないのだから当然言うべき言葉も言いたい言葉もなにも浮かばずただあなたは「ふうん」という心持ちで冷蔵庫から缶チューハイ――夏みかん味の五〇〇ml――を取り出してグビグビ飲んで、飲んでいるうちにやっぱりなんだかムシャクシャするなあとぼんやり思い始めて、特に暴れもせず泣きわめきもせずに、無表情のまま付き合っている人の浮気相手の頭頂部に残りの缶チューハイをダバダバと注い��、付き合っている人も付き合っている人の浮気相手もなぜだかまったく動じずに「なにこいつ」といった眼をあなたに向けるだけで、缶チューハイを注ぎきったあなたは「ほいじゃ、俺はこれで」とでも言い出しかねないくらい気さくな身のこなしで玄関の百円ショップで買ったオレンジ色のサンダルを履いて、行きつけの、駅前のおでんの屋台にでも行こうかなと足を動かしはじめたはいいものの、途中でそっか今日日曜日だわおでん屋やってねーわってことに気づいてしばらく迷いながら歩いた結果駅前のカラオケ館に足が進んで、人生初の一人カラオケというものでもしてみようかという気持ちにだんだんなってきて、「一名で」なんて少しぶっきらぼうに、顔を横にぷいっとそむけそうなくらいそれはそれはぶっきらぼうな「一名で」を店員に向かって投げ捨てて、二〇一の札を笑顔の店員に渡されてあなたは仏頂面のまま二〇一号室までペチペチ――サンダル履いてますからね――歩いて、着いて、固いんだか柔らかいんだかはっきりしないソファーに体を沈めたあとに「別に俺、歌いたい曲ねえや」ってことに気づいてその言葉を実際に口に出して、何回か舌打ちしながらメニュー表をめくって少し迷った末にあなたは生ビールを頼んで、パリパリという音と共に今にも剥がれ落ちそうなくらい乾いた笑顔で店員がそれを運んできて、あなたは痙攣のような会釈だけして店員が去るのを待って、一息で飲んで、頼んで、飲んで、頼んで……、午前三時――つまり日付的には今日、ですね――の退出コールギリギリまでそれを繰り返して、千鳥足で、階段で二、三度転けそうになりながら、爪先立ちみたいな体勢で一階のレジまで歩いて、店員に番号札を渡してから「そういや俺財布持ってきてねーじゃん」ってことに気がついて、「やべ」と口から出かけて、千鳥足のまま操り人形みたいなぎこちない動きで右向け右をして、そのままダッシュで逃げて――お客様! おい! お客様! という声を後ろで聞きながら――この路地裏まで逃げて逃げて逃げて、倒れ込んで、眼を閉じて、そして眼を開けたら見知らぬタキシード姿のおっさんがいて、こんなあなたのプライベートな情報をペラペラと喋られているんですからね。ほんと、災難でした。いや、現在進行形で、残念ですね。ご愁傷さまです。あ、死んでないですね。しかしながらですね、もうちょっとクサい言い方をさせていただきますとあなた、あなたの心はもう死んでいるようなものです。あなたの半分、半身は、ご愁傷さまって感じですね。ほんと。ところでご愁傷さまってあなた、実生活で言われたことあります? 初めて言われたんじゃありませんか? とりあえず、あなたは今、立ち上がっています。いますよね? まあ、地に足は着いていませんが――いえいえあなたの生き方がというわけではありません、ですからどうか、その握りこぶしを解いてください……そう、そう、ゆっくり、ゆっくりね――、とりえあず、〈立ち〉上がってはいます。ね。そうでしょう? あなたみたいなケースはわりかしめずらしいのです。ですから、ええ、さきほどから再三、口をこれ以上ないというほどすっぱくして申し上げておりますが、どうか、落ち着いて、冷静に、行動なさることが肝要なのです。浮空期の初期段階に不慮の事故等で死亡してしまうケースはままあります。ですから、あなたのこれまでの人生の、常識の枠は一旦、外していただいて、どうか、説明委員会の言葉に耳を傾けていただきたい。いいですね? はい。いい返事です。そうしましたらまずは、説明委員会の名に恥じぬよう、簡単かつ簡潔に、ご説明のほう、させていただきます。 まずはそう、あなたの足元、ゆっくりと、再度確認してみましょう。はい、そうです。そうですね。浮いています。宙に浮かんでいますね。重力から解き放たれて。歩こうとしても足がスカスカッと空を切って歩けませんね。ええ。そうです。浮空期の間、通常の方法で――つまり、左右の足を交互に、前後に動かして体全体を前に押し進めるという方法のことですね――歩くことができません。ええ、ええ、仰りたいことはわかります。不便ですね。とーっても不便です。エスカレーターに乗ってもあなたの足の下で段差が動くだけです。エレベーターは……、ふふ……、ああ、いえ失敬。すべてを説明してしまっては興も冷めるというもの。わたくしども説明委員会は、過剰な説明は過剰な愛、を社訓――委員会の場合も社訓って言うんでしょうか――に掲げて日々浮空期の方々へのツボを押さえた適切かつ適度な説明――そう、それはほとんど愛――を心がけております。ああっ、そこそこ、その説明。あーちょうどいい、いやあいいわあ。きもちいい……。という声をいただくこともままあります。というわけで、あなたには、肝心要の部分のみ、ご説明させていただきます。あなたもこの宇宙の、この地球の、つまり、宇宙船地球号の乗組員である人間ならば、今、ご自分の体に起こっている現象、そしてその現象の名称、ある程度は理解しているはずです。なにしろ今は朝の七時。人間の脳みそが一番活発に動く時間帯です。もっとも、その三〇分前までに朝ごはんを食べていればの話ですが。あっ、そういえばタキシードの右ポケットに、あなたに会う前にコンビニで購入したおにぎり――焼きたらこ――が入っています。説明と、あなたの練習がてら、このタキシードの右ポケットから、自力で、おにぎりを取ってみてください。安心してください。取って食おうってんじゃないんですから――それに、取って食おうとしているのはあなたですよ――。さあ、指示通りに、体を動かしてみてください。まずはお尻の穴……肛門付近に力を入れてください。なかなか出てこないイケズな大便をひり出すように――もちろん、本当にひり出してはいけませんよ。そういう人、案外多いんです――。そして右人差し指の爪を甘咬みしてください。それが体を動かす方法です。車に例えると、肛門に力を入れることが、エンジンを吹かす行為、右人差し指の甘咬みが、エンジンとハンドルを操作する行為です。甘咬みしたまま手首を左右に動かすと、その動きに連動して……おお、そうそうそうです! その調子です! そのように、体が左右に回転します。そのまま手首を動かして、こちらに体を向けるようにして、はいはいその調子ですよ、そして、その状態で肛門に力を……そーうです! これで前進はわかりましたね。ちなみに後進――バック、ですね――したい場合は、おヘソの辺りに力を込めてください。腹筋を鍛えるような感じで……おおー、いいですね、いいですよ。はい、では、もう一度、前進して、近づいてみましょう。ちなみに力を入れれば入れるほど、スピードは速くなります。はい、これであなたとタキシードの距離は限りなくゼロになりました。ちょっと、その、気まずい距離感ですね。吐息がかかる距離、と、言いますか。恋人でないと許されない距離、と、言いますか。あっ、いえ、別にその気はありませんのでご安心を。では、右ポケットからおにぎりを取ってみてください。はい、よくできました〜! 何度も言うようですがバカにしているわけではありませんよ。なので、どうかその、怒髪天を衝くかのような肩の上下運動を辞めてくれませんか。ちなみにですね、浮空期の間は、自分の体重、身長以下の物なら、一度触れれば宙に浮かせる事ができます。ですから、その、おにぎりを口いっぱいに頬張るのを一旦中断していただいて――ええ、ええ、ほんと、すみません。お願いですからそんな怖い顔しないでください――その練習も、一応、やっておきましょう。万が一、ということがありますからね。その力が誰かの命を救う。なんてことが、無いとも限らないですから。例えばこの、二五階建てのビルが火事になって、逃げ遅れた人が外に面した窓ガラスに追いやられていたら、窓ガラスを割ってもらって、あなたはそこら辺にある――ああ、あそこにちょうどいいベニヤ板がありますね――ベニヤ板を触って、逃げ遅れた人がいる階まで浮かせて、エレベーターの要領でサラリーマンやOLの方々を救い出すことが出来ます。素晴らしいじゃありませんか。浮空期の特権です。もちろん多くの人から感謝されます。ありがとう。ありがとう。君がたまたまこんな路地裏で、酔いつぶれて寝ていたおかげで助かったよ。助かりました。握手。握手。さらに固い握手。そして感謝状の授与。嗅ぎつけたマスコミがあなたをネタに記事を書く。あなたは一躍有名人。街中でサインなんか求められたりして。ああ、はい。そうです。ええっ、サインですか。いやいやそんな。サインするほどの人間じゃあ……、ああ、そうですか……? じゃあ、まあ、はい。えっと、ここに? はい。はい。サラサラサラ、っと。あ、ちょっと、カメラはちょっと。恥ずかしいっていうかなんていうか。いやはは、まいったなこりゃ。そしていそいそと人混みをかき分けて目的の場所へ進むあなた。目的の場所――川沿いに最近オープンした小洒落たヴィーガンレストラン――には、ビル火災の中、果敢にも人々を救ったあなたのことが書かれている記事を読んだ元恋人。再会を喜ぶ二人。微笑みを交わす二人。まずはグラス���インで乾杯をしようではないか。注文をしようと手を上げたあなたを元恋人は優しく止める。ワインはちょっと。だって、私のお腹には、もう……。あなたの耳には聴こえないはずの、命の、微かだけれど確かな鼓動が聴こえてくる。そう、あなたと元恋人の――現、伴侶の――。……なんてことにもなるかもしれないのです。あ痛い。いたた。ごめんなさいごめんなさい。まだ一応、正式には、面と向かって、別れを告げられてはいなかったですね。元恋人ではありませんでしたすみません。すみませんってば。 えと、それで、なんでしたっけ。ああ、説明がまだ途中でしたね。触れた物を浮かせたい場合は、左人差し指の爪を甘咬みします。はい。そうです。甘咬みした瞬間から、物は浮きます。あとは、基本的な動作は先程の、体の操作と同じです。肛門に力を入れると前へ、おヘソに力を入れると後ろへ進みます。上へ上へと浮かせたい場合は、甘咬みしたまま腕を上げてください。上げている間、物は上昇し続けます。落下させたい場合は甘咬みをやめるか、腕を下げてください。その他、細かい動きはすべて、甘咬みしている間、左腕の動きと連動します。簡単でしょう? 最初のうちは微調整が難しいでしょうが、すぐに慣れるはずです。あなた、なかなか筋がいい。いや、本当ですよ。浮かせることすらままならない人も、最近は多いのです。……ああ、そうそう言い忘れていました。浮かせることができる物は、最後に触った物だけです。複数の物を同時に操作することは出来ません。気をつけてください。くれぐれも。 そうそう、これは最初に説明しておくべきでしたが――いやほんと、説明委員会失格ですね――。男性の生理と言われるくらいですから、女性同様、浮空期の前後、浮空期の間で心身に様々な変化が起こります。顕著に現れるのは性欲の減退ですね。浮空期の間、睾丸の機能は著しく低下します。常に射精直後のような状態になる、と言ったら、わかりやすいでしょうか。浮空期の間は女性を――ゲイセクシャルの場合ですと男性を――見るだけで苦痛に感じる人もいるそうです。いやはや、そこまでいくとちょっと理解し難いですね。とにかく、どんなにお盛んな人でも、浮空期の間は射精することが困難になります。ま、大体の人は射精をする気も起こらないので、大丈夫でしょう。 先程、常に射精直後のような状態になる、と説明しましたが、浮空期が近づいてくるにつれて、段々とそういった精神状態になっていきます。落ち着いて、冷静に、物事を判断できるようになる、ということですね。あなたは昨日、元――……失礼――恋人とその浮気相手に散々ひどいことを言われたにも関わらず、ある程度は平静を保てていました。今になって考えてみると、それは浮空期直前特有の症状だったのかもしれませんね。そして、安定した精神状態に移行してから大体三日後、夢精を合図に浮空期が始まります。……ええ。ええ。そうです。あ、気づいていませんでした? あなた、夢精したんですよ。この、高層ビルの裏の、袋小路の、ゴミ臭い、陽の当たらない場所で。あ、ちょっと、ごめんなさい、ごめんなさいってば。 ちなみに浮空期は、月一回ペースでやってきて、およそ一週間で終わります。終わる時は夢精も何も起こりません。目が覚めたとき、体が地面にピッタリくっついていれば、それが終了の合図です。性欲も、精神状態も、通常に戻ります。もう、ビンビンの、グングンです。その、あなたの、スカイツリーに負けじとそそり勃つイチモツを、存分に振り回していただきたい! まあでも、今はとりあえず、精子が乾いてカピカピにならないうちに、ティッシュ――あ、ポケットティッシュ、持ってたんでさしあげます――で綺麗に拭き取ってください。大丈夫です。後ろを向いておきますから。どうかお気になさらずに、あなたのペースで、慌てることなく、精子と、そのぬめり気のあるパンツを処理してください。ここにはあなた以外誰もいない、誰も来ない。袋小路なのですから。栗の花の匂いが染み付いたパンツの一つや二つ、ポイ捨て���てしまっても何ら問題ありません。ええ、ええ。本当ですとも。さあ、一刻も早く――されどあなたのペースは乱さずに――その青いチェック柄の、ゴムが伸びきっていて、歩くと少しづつずり落ちてしまう、三年前に――そう、恋人と付き合い始めたころ、ユニクロで――買ったトランクスを、どうぞ、地面に叩きつけてください。そして、彼がトランクスを力の限り地面に叩きつけたのとほとんど同時に、今までピーチクパーチクしゃべり続けていたタキシード姿の男の隣にただただ突っ立っていただけのもう一人の男――もう一人の男は、ジーパンに半袖シャツというラフな格好だった――が、やぶから棒に、口を開いた。川城さん、も、いっすかね僕しゃべっても。いっすかね。やっぱり〈あなた〉とか言われたってピンと来ないっすよ正直言って。えっと、矢野さんでしたっけ? わかんないっすよね。いやいや、誰だよ。みたいな。そう思いません? ……あ、ちなみに自分、宇城っす。ままま、川城さん、ちょっとここからは、もうちょいわかりやすく、僕が説明しますんで。だ〜いじょぶっすよ川城さ〜ん。これでも自分、説明の成績はトップなんで。川城さんは僕の隣で、ドシンと構えてくれてればいっすから。はい。はい。 矢野は自分の体の感覚を取り戻しつつあった。この袋小路で、怪しげな説明委員会の男二人組に揺り起こされて、ついに自分が浮空期になったということを知らされてから、ずっと、自分の体を見知らぬ誰かに操られているような気分だった。歩く動作をしているのに、前に進まない。体の向きを変えることもできない。これが浮空期か。タキシード姿の男、川城の説明を聞きながら、矢野は昨日の出来事や恋人の浮気相手のこと、サンダルで家を出たのに今は裸足だということ、雨が振りそうな雲行き、何枚も溜まっている公共料金の請求書のこと、などなど、とりあえず現時点でわかる限りの問題や不安、悩みを頭の中でリストアップしようとしてすぐにやめた。そんなこと考えてなんになるというのだろう。自分だって、恋人との生活に限界を感じていたはずだろ。職だってそろそろ本気で探さなくてはいけない。バイトでも内職でも、コンビニでも工事現場でもディーラーでも汚染処理でもなんでもいい、恋人とすっぱり縁を切るからには――やはり、そうするしかないのだろうか――、自分の時間を売ってお金に替える方法を、早いとこ見つけるしかない。それ以外のことを考えるのはやめよう。やめよう。 川城の説明通り、今の矢野には性欲がまったく無かった。まるで最初から存在していないみたいに、きれいさっぱり、消え去っていた。なるほどこれが生理か。矢野は、二八歳という、あまりにも遅咲き過ぎる自分の心身の変化を、戸惑いつつも楽しんでいた。浮空期は女性の生理と違い、始まる時期が人によって大きく異なる。五歳で浮空期が始まった宇城――今、川城の隣でしゃべり続け、言葉を書き連ね続けているジーパン姿の男――のような人もいれば、矢野のように成人してから浮空期が始まる人もいる。死ぬ間際、病院のベッドなどで始まるようなケースも極稀にだが、存在する。その点だけ見ると、生理というよりむしろ水疱瘡やおたふく風邪に近い。矢野は宙に浮かせっぱなしだったおにぎりを口に投げ入れ、というより口の中まで移動させ、ゆっくりと咀嚼した。 携帯を見ると不在通知が何件も届いていた。知らない番号だ。おそらく昨日行ったカラオケ館からだろう。なんでてきとうな番号をでっちあげなかったんだ。名前も、きっちり矢野とバカ正直に書いてしまった。いや、それよりも、なんであのとき逃げてしまったんだ。いやいや、そもそも、なんで恋人の部屋で自分はあんなに落ち着いているかのようにふるまってしまったんだ。なんで外に出たんだ。なんで財布を忘れたんだ。これもすべて浮空期の前兆がもたらした行動なのか。考えてもきりがない。どうせもう身元はわれているのだ。説明委員会の二人ですら知っている情報ばかりだ。自分があれこれ案じても何も変わらないのだ。矢野は携帯で一週間の天気を調べた。次に晴れるのは四日後か。ふん。 矢野は左人差し指を甘咬みし、携帯を宙に浮かせた。左腕を思い切り上げると携帯は物凄いスピードで上へ上へとグングン昇っていく。このまま昇り続けるとどうなるんですかね。甘咬みした状態で矢野が宇城に話しかける。まあ、大気圏は余裕で越えるっす。それでもさらに昇り続けたら、どうなりますかね。だんだん、空気が無くなっていくんじゃないっすか、詳しくは知らないっすけど。空気が無くなっても、さらにさらに、昇り続けたら、どうなりますか。宇宙まで行きますね。宇宙を進み続けたら、どうなりますかね。あーそれ、たしか、どっかで読んだか聞いたかしたんすけど、それで、どんどんどんどん進み続けて、何光年も先の宇宙まで進み続けて、そうやって浮空期の人たちが飛ばした物が星になって、星と星を人が繋げて星座にして、だから僕らがこうして星空を見て、おうし座だとかふたご座だとか言っているものは元々遠い昔の人々が宇宙に飛ばした貝殻とか、お椀とか、槍とか、弓とか、筆記具とか、パンケーキとか、ガラス瓶とか、綿棒とか、お相撲さんのマゲとか、レコードとか、煙草とか、パピルス紙とか、羊の毛とか、豆電球とか、画鋲とか、死んだ人の骨とか、貞操帯とか、トランペットとかで、だから、死んだ人がお星様になるっていうのはあながち間違いじゃないと思うんすよね。あれ、なんか、語っちゃいましたね。つまり、俺が今操作している携帯も、いずれは星になるんですね。あー、多分、そっすね、なると思います。矢野の左人差し指は唾液でふやけはじめていた。身元がわれているということは、きっと今頃、警察にも連絡がいっているだろう。早くも捜索が始まっているかもしれない。恋人の家に連絡が行っているかもしれない。いや、連絡では飽き足らず、実際に警察官が恋人の家に押し入っているのかもしれない。別れの瀬戸際でも��惑をかけてばかりだ。昨日は恋人と恋人の浮気相手にひどい仕打ちをされたが、付き合い始めてから今までの五年間、ずいぶん恋人にひどい仕打ちをしてきた。喧嘩ではすぐに手をあげてしまうし、お金は勝手におろすし、酔って暴れて食器を割った数なんて数え切れない。もう恋人の部屋には戻れないし、戻りたくないし、警察から逃げ続けなければならない以上、職を見つけることすらままならない。財布も携帯も身分を証明するものもなにもない。あるのはポケットでくしゃくしゃになっている煙草とライターだけ。矢野はポケットから煙草を取り出し、火をつけた。吸って、吐いて、一呼吸置いてから甘咬みをやめてしまったことに気づいたが、遥か彼方まで昇っていった携帯は一向に落ちてこなかった。灰が落ちそうになっていることに気づいた宇城は矢野に素早く携帯灰皿を差し出す。ああ、悪いね。いいんすよ。心中、お察しするっす。煙草はまだ充分吸えるだけの長さで燃え続けていたが、矢野はそれを無理やり携帯灰皿に押し込んで、宇城に返した。宇城は渡された携帯灰皿を、また矢野の手のひらに戻す。いいっすよいいっすよ、その携帯灰皿はあげますんで。その灰皿見るたびに、なんとなくでいいんで、僕のこと、思い出してください。って、気持ち悪いっすね自分。よく言われるんすよ、お前は説明対象に情が移りやす過ぎる、って。ま、僕、携帯灰皿何個も持ってるんで、大丈夫っすから。矢野は口元を緩めて、ありがと、とぼそぼそ声でお礼を言った。携帯は落ちてこなかった。おそらく大気圏を越えて、地球の周回軌道にでも乗ったのだろう。それとも周回軌道すら超えて、いずれどこかの惑星にたどり着くであろう隕石やスペースデブリの一つとして宇宙空間を漂っているのだろうか。矢野にも、もちろん宇城にも川城にも、それは分からなかった。ぽつりぽつりと降り出してきた小雨に、傘をさすか否か、三人はそのことばかり考えていた。傘なんてないのに。 同時刻、矢野の恋人は住処である二階建ての軽量鉄骨アパートの部屋で、浮気相手と二人で、穏やかな寝息をたてていた。いや、眠っていたのは浮気相手だけで、恋人は一時間ほど前に目が覚めてから、どうにも寝付けずに、浮気相手の寝息を自分の前髪に当てたり、脇腹をくすぐったりして、再び眠気がやってくるのを待っていた。マヌケそうに口をぼんやりとあけて眠る浮気相手を見つめる恋人の表情は柔らかく、その表情からは、矢野と接するときの冷たさや無感情さをうかがい知ることは困難である。今夜はなにか好きなものを食べに行こう。朝目覚めた時にベッドの中で今日の夜のことを考えるのは恋人の幼少期からの癖みたいなもので、それが、二四時間のうちでもっとも愛おしい時間なのだと、以前、恋人は矢野に言ったことがあった。眠気は一向にやってこない。二度寝を諦めて、恋人は台所で細かく刻んだベーコンとタマネギを炒めた。昨日、矢野が部屋を出ていってから作り置いてあったなめこのみそ汁を温めている間、恋人は矢野が買い置きしていた煙草一カートンをまるまるゴミ袋に捨てて、灰で底が見えなくなった灰皿を捨てて、毛先が開いた矢野の歯ブラシを捨てて、LOFTで買ったペアのマグカップを捨てて、ここぞというときに食べようと思っていた矢野のエクレアを食べて袋を捨てて、捨てて捨てて捨てて、ゴミ袋を二重固結びできつく結んで、玄関の隅に置いた。ベッドでは、浮気相手がフワフワと宙に浮いていた。ああ、今月もきたか。いっつも症状重いみたいだし、大丈夫かな。みそ汁からは湯気がもうもうとたちこめている。恋人はコンロの火を消してお椀にみそ汁を入れ、ベーコンとタマネギの炒めものを小皿によそい、ラップにくるんで冷凍保存してあったご飯をレンジで解凍して、一人きりの朝ごはんを堪能した。今日の夜はなにを食べに行こう。脂っこいものが食べたいかも。チキン南蛮とかいいかもしれない。かつ吉のトンカツもいいかもしれない。いやいやそれより、脂とかいいから、少し足を伸ばして、川沿いに最近オープンした小洒落たヴィーガンチレストランに二人で行くのもいいかもしれない。考えながら箸を動かしているうちにお椀も小皿もお茶碗もキレイに空になり、満足そうに唇の周りを舌で舐めてから、恋人は洗い物を始めた。 どこかで誰かと誰かが話している声がする。向かいの公園から犬の鳴き声が聞こえる。通り沿いにある中学校から野球部の掛け声と吹奏楽部がホルンやユーフォニウムやサックスやフルートを吹く音が聞こえる。携帯がさっきからずっと震え続けているけど私はそれを無視し続けている。冷蔵庫の稼働音がわからないくらい微かに部屋を揺らしている。数分前についたばかりの脂を洗い流す水の音が規則的に聞こえてくる。油は泡と共に水で洗い流され、食器棚に置かれていたときより綺麗になったお椀と小皿とお茶碗の、キュイキュイっという、清潔さの証明のような音が部屋に響く。私はベッドで浮かぶ木下が起きたらまずなにを話そうか、考えている。ヴィーガンレストランなんて、かっこつけ過ぎだ。今日の夜は、近所のスーパーで豆乳でも買って、豆乳鍋にしようか。私も木下も湯葉が大好きなのだ。脂っこいものが食べたいのかも、という気持ちは不思議と消えていた。台所のまな板置き場のそばに、矢野の携帯灰皿が置いてあるのを見つけて、私はそれをからにしたばかりのゴミ箱にシュートした。 木下の寝息は聞こえてこない。 洗い物を終えた私は濡れた手を拭くのも億劫になって、ポタポタと指から水が滴っている状態のまま、ベッドにもう一度もぐった。手についた水は布団やまくらに吸収されて私の手は潤いを失っていく。叩いても突っついても木下は起きる気配すら見せない。私はすぐにまた起き上がり、ベッドの上で体育座りをして、自分の膝に顔をうずめながら、隣で、空中で、ゆりかごに揺られているように漂いながら眠っている木下の、静かな寝息に耳を傾ける。 五年後、矢野の携帯は地球の周回軌道を外れ、凄まじいスピードで大気圏に突入し、地表にたどり着く前に跡形もなく燃え尽きてしまう。
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表現不自由勢力 = 異論封殺派 2019年8月3日午前11時、私は名古屋市東区の愛知芸術文化センタービル10階の愛知県美術館チケット売り場に並んでいた。 この日の名古屋は最高気温34・8度が示すように朝からぐんぐんと温度計の目盛りが上昇。汗がねっとりと首にまとわりつく典型的な熱暑の一日だった。 広い吹き抜けの空間は冷房があまり効いておらず、汗が滲む中、チケット売り場には、2百人近くが並んでいた。 だが、窓口には職員が2人しかいない。緩慢な切符の売り方に、列は時間が経つごとに長くなっていった。窓口の2人も、やがて片方が消え、1人だけの販売になる。あまりのサービス精神の欠如に、私は近くの職員に「この長蛇の列が目に入りませんか? なぜ売り場が一人だけなんですか。おかしいと思いませんか」と言った。 しかし、職員は「申し訳ありません」というだけで何もしない。私は同じフレーズをこの入口だけで別々の職員に3回も言う羽目になる。 しかも、チケットをやっと買って中に入っても「順路」の案内がない。仕方がないので左側に歩を進めたら「順路はあっちです」と職員に注意されてしまった。順路を示す印も出さないまま「順路はあっちです」と平然と言う職員。これほど観覧者をバカにした芸術祭も珍しい。 芸術祭のテーマは「情の時代」である。パンフレットには 〈「情の時代」とは、いかなるものでしょうか。そこではきっと、私たちの習慣的な知覚を揺さぶる視点、例えば、動物の視点、子供の視点、いま・ここから遠く離れた「誰か」の視点などが盛り込まれることでしょう〉 とある。何が言いたいのかよくわからない文章だが、芸術祭にはままあることだ。 私は、まず10階の展示をひとまわりした。この手の作品は、作家の意図が伝わるものと、そうでないものとが明確に分かれる。いったい何を表わしたいのだろう、という作品もあれば、ストレートに心に飛び込んでくるものもあった。ひと通り10階の観覧を終えた私は、いよいよ「表現の不自由展・その後」の会場がある8階に向かった。 同展示は、日本国内の美術館やイベント等で撤去や公開中止になった作品ばかり20点以上を集めた企画である。すでに公開中止になったものを集めて展示するのだから、「あいちトリエンナーレ」にとって当然、覚悟の催しということになる。私も、「いったいどんなものなのか」と興味が湧いた。 8階には長い列ができている場所があり、すぐに「あそこか」とわかった。近づくと職員が「待ち時間は1時間ほどです」と叫んでいる。 すでに百人以上が並んでおり、人々の関心の高さが窺えた。やがて30分ほどで会場の入口が来た。 「展示品の写真撮影は結構です。ただし、SNS(ソーシャルネットワーク)への使用はお断りしています」 観覧にあたっての注意事項をスタッフが一人一人に伝えている。また、そのことを書いた「撮影写真・動画のSNS投稿禁止」という注意書きが入口手前に掲示されていた。どうやら「表現の不自由展」には、観る側も「不自由」が強制されるものらしい。そういう不自由さについて訴えるはずの展示なのに、「自己矛盾」に気づかないところが主催者のレベルを物語っている気がした。

入口には、白いカーテンがかかっている。めくって中へ入ると、幅2メートルもない狭い通路に、ぎっしり人がいた。左右の壁に作品が展示されており、それを人々が食い入るように見つめている。 手前の右側には、いきなり、昭和天皇を髑髏(どくろ)が見つめている版画があった。最初から“メッセージ性”全開だ。 反対の左側に目を向けると、こっちは昭和天皇の顏がくり抜かれた作品が壁に掛けられている。背景には大きく✕が描かれ、正装した昭和天皇の顏を損壊した銅版画だ。タイトルは「焼かれるべき絵」。作者による天皇への剥き出しの憎悪がひしひしと伝わってくる。 皆、無言で観ている。声を上げる者は1人もいない。 その先には、モニターがあり、前にはこれまた「無言の人だかり」ができている。 やはり昭和天皇がモチーフだ。昭和天皇の肖像がバーナーで焼かれ、燃え上がっていくシーンが映し出される。奇妙な音楽が流れ、なんとも嫌な思いが湧き上がる。次第に焼かれていく昭和天皇の肖像。すべてが焼かれ、やがて燃え残りが足で踏みつけられる。強烈な映像だ。作者の昭和天皇へのヘイト(憎悪)がストレートに伝わる。よほど昭和天皇に恨みがあるのだろう。これをつくって、作者はエクスタシーでも感じているのだろうか。そんな思いで私は映像を見つめた。思い浮かんだのは「グロテスク」という言葉だった。 画面は切り替わり、若い日本の女性が、母親への手紙を読み上げるシーンとなる。「明日、インパールに従軍看護婦として出立します」「私の身に何が起こっても、お国のために頑張ったと誉めてくださいね」 そんな台詞を彼女は口にする。インパール作戦は、昭和19年3月から始まった補給もないまま2千メートル級のアラカン山脈を踏破する過酷な作戦だ。とても看護婦が同行できるようなものではない。 私自身が拙著『太平洋戦争 最後の証言』シリーズ第二部の「陸軍玉砕編」でこの作戦の生き残りに直接取材し、飢餓に陥って数万の戦死・餓死者を出し、退却の道なき道が“白骨街道”と化した凄まじいありさまをノンフィクションで描いている。おそらくこの映像作品は真実の歴史など“二の次”なのだろう。 やがて、海岸の砂浜にドラム缶が置かれた場面となり、そのドラム缶が爆発し、宙に舞う。まったく意味不明だ。私の頭には、「自己満足」という言葉も浮かんできた。これをつくり、展示してもらうことで作者は溜飲を下げ、きっと自らの「創造性(?)」を満足させたのだろう。 私が取材させてもらった老兵たち、つまり多くの戦友を失った元兵士たちがどんな思いでこれを観るだろうか、ということが頭に浮かんだ。そして一般の日本人は、これを観て何を感じるだろうか、と。当時の若者は未来の日本を信じ、そのために尊い命を捧げた。私たち後世の人間が、二度とあの惨禍をくり返さない意味でも先人の無念を語り継ぐことは大切だ。少なくとも私はそういう思いで10冊を超える戦争ノンフィクションを書いてきた。 しかし、この作者は違う。そのことを肌で感じる作品だった。 少女像が展示されているのは、この作品群の先である。通路を出て広い空間に出たら、そこにはテントのような作品がまん中に置かれ、左奥に少女像があった。 少女像を人が取り囲んでいる。いきなり、「やめてください」「なぜですか!」そんな怒号が響いてきた。観覧者の一人が少女像の隣の椅子に座り、紙袋をかぶっている。どうやら、その紙袋を少女像にもかぶせようとしたらしい。それを阻止されたようだ。少女像のある床には、〈あなたも作品に参加できます。隣に座ってみてください。手で触れてみてください。一緒に写真も撮ってみてください。平和への意思を広めることを願います〉という作者の呼びかけがあり、それを受けて隣の席に座ろうとする人間もそれなりにいるようだ。 「やめてください」と叫んだ人は、どうやら展示の案内人らしい。観覧している人から質問をされたら答え、抗議されたら、それに応えるためにここにいるようだ。ご苦労なことだ。なかには過激な抗議をする人もいるだろう。いちいちこれに対応するのは大変だ。 少女像と一緒に写真を撮りたい人がいれば、この人はシャッターも押してあげていた。この日、美術館で最も大変な“業務”に就いていた人は間違いなくこの人物である。 怒号はすぐに収まり、何事もなかったかのような空間に戻った。日本人はおとなしい。ひどい作品だと思っても、ほとんどが抗議をするでもなく、無言で観ていた。その代わり、ひっきりなしにカメラ���スマホのシャッター音が響いている。 少女像自体は、どうということはない。あのソウルの日本大使館前や、世界中のさまざまな場所に建てられている像だ。その横にはミニチュアサイズの少女像も展示されていた。さらにその左側の壁には、元慰安婦の女性たちの写真も掲げられている。説明書きには〈1992年1月8日、日本軍「慰安婦」問題解決のための水曜デモが、日本大使館で始まった。2011年12月14日、1000回を迎えるにあたり、その崇高な精神と歴史を引き継ぐため、ここに平和の碑を建立する〉と書かれている。 英語の解説文には、「Japanese Military Sexual Slavery」(日本軍の性奴隷制)という言葉が書かれていた。「日本軍」の「性奴隷制」の象徴としてこの少女像が存在していることがしっかり記されている。日本の公式見解とは明らかに異なるものであり、これらの説明には二つの点で「虚偽」があった。 まず、慰安婦は「性奴隷」ではない。あの貧困の時代に春を鬻(ひさ)ぐ商売についた女性たちだ。当時の朝鮮の新聞には 〈慰安婦募集 月収三百圓以上 勤務先 後方〇〇部隊慰安所 委細面談〉 などの新聞広告が出ていたように、上等兵の給料およそ十圓の時代にその「30倍以上」の収入を保証されて集まった女性たちである。彼女たちの収入は、当時の軍司令官の給与をはるかに凌駕していた。 恵まれた収入面については、さまざまなエピソードがあるが、ここでは触れない。ともかく慰安所(「P屋」と呼ばれた)には、日本人女性が約4割、朝鮮人女性が約2割、残りは……という具合に、あくまで日本女性たちが中心だった。ちなみに日本女性で慰安婦として名乗り出たり、補償を求めた者は一人もいない。 もちろん喜んで慰安婦になった女性は少ないと思う。貧困の中、さまざまな事情を抱えて、お金のために慰安婦の募集に応じざるを得なかったのだろう。私たち日本人は大いに彼女たちの身の上に同情するし、その幸せ薄かった人生に思いを致し、実際に日本は代々の首相が謝罪し、財団もつくり、その気持ちを談話として伝え、現金支給も行っている。

しかし、朝日新聞や韓国は、これを日本軍や日本の官憲が無理やり「強制連行した女性たち」であるという“虚偽の歴史”を創り上げた。韓国は世界中に慰安婦像なるものを建て、性奴隷を弄んだ国民として日本人の名誉を汚し続けている。私たちは、この虚偽を認めるわけにはいかない。 まして「少女が性奴隷になった」などという、さらなる虚構を韓国が主張するなら、それはもう論外だ。そして、目の前の少女像は、その「虚偽」を世界中に流布させることを目的とするものである。日本人は少女像が虚偽の歴史を広めるものであることを知っており、少女像の存在は間違いなく「両国の分断」をより深くするものと言える。 しかし、韓国がどこまでもこの虚構にこだわるなら、もはや両国に「友好」などという概念など、未来永劫生まれるはずはない。 軍需工場などに勤労動員された「女子挺身隊」を慰安婦と混同した朝日新聞の信じられない大誤報から始まった虚構がここまで韓国の人々を誤らせたことに、私は両国の不幸を感じる。それと共に同じ日本のジャーナリズムの人間として朝日新聞のことを本当に腹立たしく、また悔しく思う。 私は、少女像の前に展示されていた作品にも首を傾げた。「時代の肖像―絶滅危惧種 Idiot JAPONICA 円墳―」と題されたその作品はテントのような「かまくら形」の外壁の天頂部に出征兵士に寄せ書きした日の丸を貼りつけ、まわりには憲法9条を守れという新聞記事や靖国神社参拝の批判記事、あるいは安倍政権非難の言葉などをベタベタと貼りつけ、底部には米国の星条旗を敷いた作品だった。 Idiot とは「愚かな」という意味であり、JAPONICAは「日本趣味」とでも訳すべきなのか。いずれにしても「絶滅危惧種」「円墳」という言葉からも、絶滅危惧種たる「愚かな」日本人、あるいは日本趣味の「お墓」を表わすものなのだろう。日の丸の寄せ書きを頂点に貼った上にこのタイトルなので、少なくとも戦死した先人たちを侮蔑する作品と私には感じられた。 どの作品も「反日」という統一テーマで括られた展示だった。会場の壁には「表現の不自由をめぐる年表」も掲げられていたが、「表現の自由」といえば、チャタレー事件に始まり、四畳半襖の下張事件、日活ロマンポルノ事件をはじめ、ポルノやヘアをめぐって当局との激しい闘いの歴史が日本には存在する。 私は、これらが「なぜ無視されているのか」を考えた。つまり、展示はあくまで政治的な主張が目的なのであって、純粋な「表現の自由」をめぐる訴えなどは考慮にないのではないか、と感じたのである。 あいちトリエンナーレは、日本人の税金が10億円も投入され、公の施設で開かれる「公共のイベント」だ。そんな場所で、わざわざ他国が主張する「虚偽の歴史」のアピールをする意味は何だろうか。 それを許す責任者、つまり大村秀章・愛知県知事は余程の「愚か者」か、あるいはその韓国の主張に確固として「同調する人物」のどちらかなのだろう。 私は、こんな人物が愛知県知事という重責を担っていることに疑問を持つ一人だが、首長を選ぶのは、その地域の人たちの役割なので、私などがとやかく言う話ではない。 私は、試しに韓国や中国へ行って同じことをやってみたらどうだろうか、と想像した。たとえば韓国人の税金が投入された芸術祭で、何代か前の大統領の肖像をバーナーで焼き、その燃え残りを思いっきり踏みつけてみる。そして、その大統領の顔を損壊し、剥落させた銅版画や戦争で死んだ先人を侮蔑する作品を展示してみる。韓国人は果たしてどんな反応を示すだろうか。 また中国へ行って、中国共産党の公金が支出された芸術祭で、同じように毛沢東の肖像をバーナーで燃やしてみる……。どんな事態になるかは容易に想像がつく。作者は、おそらく表現の自由というものは、決して「無制限」なものではなく、一定の「節度」と「常識」というものが必要であることに気づかされるのではないか。イスラム社会で仮にこれをやったら、おそらく命が断たれるだろう。逆に私は「日本はいかに幸せか」をこの展示で感じることができた。 しかし、日本人にとって国民統合の象徴である昭和天皇がここまで貶められるのはどうだろうかと思わざるを得ない。昭和天皇、そして昭和天皇のご家族にとどまらず、自分たち日本人そのものの「心」と「尊厳」が踏みにじられる思いがするのではないだろうか。つまり、これらは、間違いなく日本人全体への憎悪を表現した作品なのである。 もし、これを「芸術だ」と言い張る人には、本物のアーティストたちが怒るのではないか、と私は思った。「あなたは芸術家ではない。偏った思想を持った、ただの活動家だよ」と。 それは昭和天皇を憎悪しない普通の観覧者にとっては、ただ「不快」というほかない作品群だった。少なくとも、多くの日本人の心を踏みにじるこんなものが「アート」であるはずはない。作者が日本人に対するヘイトをぶつけただけの醜悪な展示物だったと私には思えた。 私が会場を去って間もなくの午後5時。同センターで緊急記者会見した大村秀章・愛知県知事は、「テロや脅迫ともとれる抗議があり、安全な運営が危ぶまれる状況だ」と語り、突如、展示中止を発表した。芸術祭事務局に「美術館にガソリン携行缶を持って行く」との脅迫のファクスがあり、安全が保てないことを理由に「中止を決めた」という。開幕からわずか3日。信じがたい展開だった。 それは「あってはならないこと」である。「表現の自由」を標榜して展示をおこなっているなら、どんなことがあっても脅迫や暴力に「負けてはならない」からだ。まして大村氏は愛知県知事だ。愛知県警を大動員してでも、「暴力には決して屈しない」姿勢を毅然と示さなければならない立場である。 一方で私には「ああ、逃げたな」という思いがこみ上げた。あの展示物を見れば、常識のある大人ならこれに税金を投じることの理不尽さを感じ、非難がますます大きくなることはわかる。それを察知した大村知事は、テロの危険性をことさら強調し、自分たちを「被害者の立場」に置いた上で“遁走”したのだろう。 その証拠に4日後、実際にファックスを送った当の脅迫犯が逮捕されても大村知事は展示再開を拒否した。 芸術祭の実行副委員長である名古屋市の河村たかし市長はこの展示を知らず、慌てて観覧した後、「少女像の設置は韓国側の主張を認めたことを意味する。日本の主張とは明らかに違う。やめればすむという問題ではない」と大村知事と激しく対立した。 これに対して大村知事はこう反撃した。「(河村氏の)発言は憲法違反の疑いが極めて濃厚。憲法21条には、”集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する” “検閲は、これをしてはならない”と書いてある。公権力を持っているからこそ、表現の自由は保障しなければならない。公権力を行使される方が“この内容はいい、悪い”と言うのは、憲法21条のいう検閲と取られても仕方がない。そのことは自覚されたほうがいい」 だが、憲法12条には、「表現の自由」などの憲法上の権利は濫用されてはならないとして、〈常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ〉と記されている。表現の自由をあたかも「無制限」であるかのように思い込んでいる大村知事の認識の甘さは明白だった。 もうひとつの問題点は、報道のあり方だ。産経新聞やフジテレビを除くマスコミは、少女像のことばかりに終始し、昭和天皇の肖像焼却や顔の損壊などのヘイト作品について一切、報じなかった。ただ「表現の自由が圧殺される日本」という報道に終始したのである。 もし、展示中止が妥当なほど作品がひどいものだったら、そもそも自分たちの論理は成り立たなくなる。そのため少女像だけの問題に矮小化し、いかに日本では「表現の自由」が風前の灯であるかという報じ方に徹したのだ。 真実を報じず、自分の論理展開に都合のいいものだけを記事化するのは、日本のマスコミの特徴だ。 8月4日の朝日新聞の天声人語では、 〈75日間公開されるはずだったのに、わずか3日で閉じられたのは残念でならない▽ある時は官憲による検閲や批判、ある時は抗議や脅し。表現の自由はあっけなく後退してしまう。価値観の違いを実感させ、議論を生みだす芸術作品は、私たちがいま何より大切にすべきものではないか〉 と主張し、8月6日付の記事では、 〈表現の不自由展 政治家中止要請 憲法21条違反か 応酬〉〈永田町からも危惧する声「政府万歳しか出せなくなる」〉 と、展示物の詳細は伝えないまま大村知事を全面支援した。 だが、ネットではいち早く作品群の詳細が伝えられ、芸術監督を務めた津田大介氏と企画アドバザーの東浩紀氏が昭和天皇の肖像を焼却する作品が展示されることを笑いながら話す動画など、さまざまな情報が炙り出されていった。 今回も新聞とテレビだけを観る層とネットを観る層との著しい情報量の乖離が明らかになった。いま日本は情報面において完全に「二分」されているのである。 ネットを駆使する人たちはマスコミが隠す情報さえ容易に手に入れることができ、一方では、偏った主義主張を持つメディアにいいように誘導される人たちがいる。そこには、大きな、そして根本的なギャップが存在している。 今回の出来事は、「芸術である」と主張さえすれば何でも通ってしまうのか、極めて偏った政治主張によるヘイト行為もすべて認められるものなのか、という実にシンプルな問題と言える。同時に、韓国への批判は「ヘイト」、日本を貶めるものは「表現の自由」という実に倒錯したマスコミの論理に国民が「ノー」を突きつけたものでもあった。 一部の反日、反皇室、親韓勢力による公的芸術祭の乗っ取りとも言える行為は、こうして途中で頓挫した。そして、日本のマスコミの「あり得ない姿」も露わになった。 今回の出来事を通じて、私たち日本人は日本の“内なる敵”マスコミと、特異な主張を展開する一部政治勢力への「警戒」と「監視」を疎かにしてはならないことを、あらためて学ばせてもらったのである。
「表現の不自由展」の真実を再び 2019年10月08日 門田隆将
紆余曲折の末、いよいよ「言論の不自由展・その後」が再開された。しかし1日2回に制限し、抽選で1回あたり30人に絞り、しかも鑑賞者は事前にエデュケーション(教育)プログラムなるものを受けなければならず、ガイド付きでの鑑賞になるそうだ。 まるで「鑑賞の不自由展」である。SNSでの拡散も禁止するという。

愛知県内で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、企画展の一つ「表現の不自由展・その後」の中止が決まった8月3日夜、芸術監督を務めるジャーナリスト、津田大介氏が会見を開いた。

「想定を超える事態が起こったことを謝罪する。僕の責任であります」と全面的に非を認めた津田氏の会見は当初の30分間の予定を大幅に超過し、1時間以上に及んだ。会見場には、地元名古屋市を拠点とする中日新聞や全国紙、通信社の駐在、テレビ各局、雑誌、フリーランスの記者など、ざっと50人はいただろうか。 津田氏の釈明もさることながら、質問を繰り返す一部の記者の発言内容には違和感を抱かざるを得なかった。

「(不自由展の中止を求めていた)河村たかし名古屋市長や(文化庁の芸術祭への助成に慎重姿勢を示した)菅義偉官房長官の発言は検閲だと思うか」「電凸(企業や団体などに電話をかけて見解を問いただす行為)をやれば、自分たちの気に入らない展示会などの催しを潰せるという成功体験を与えてしまったのではないか」 当然だが、たとえ気に入らない表現や作品でも、暴力による圧力や脅迫行為が許されることはない。とはいえ、彼らの質問は憲法21条が保障する表現の自由への介入を憂うものばかりで、昭和天皇の肖像を燃やす映像や慰安婦をモチーフにした「少女像」(以下、慰安婦像)のいったい何が「芸術」なのか、それを追及しようとする記者はほぼ皆無だった。 要するに、集まった記者の多くが、「表現の不自由展」を中止に追い込んだ抗議電話の殺到、脅迫行為、河村たかし市長をはじめとする政治家の主張だけをことさら問題視したのである。各社が後日報じ、論じた内容が、そういったトーンになったのは、ある意味必然だったのかもしれない。 放火予告のようなファクスを送り付けた脅迫行為は論外だが、一千件以上も寄せられた抗議電話もそれと同列の「テロ行為」であるかのように論じるのは明らかにおかしい。

一般論として、展示会の主催者が外部からの指摘で自主的に催しを中止することはあり得る。むろん、個人が展示内容を自由に論評・批判する権利もある筈だが、 8月6日付 朝日新聞社説《あいち企画展 中止招いた社会の病理》は 「人々が意見をぶつけ合い、社会をより良いものにしていく。その営みを根底で支える『表現の自由』が大きく傷つけられた。…中略…。一連の事態は、社会がまさに『不自由』で息苦しい状態になってきていることを、目に見える形で突きつけた。病理に向き合い、表現の自由を抑圧するような動きには異を唱え続ける。そうすることで同様の事態を繰り返させない力としたい」 旨、主張した。「昭和天皇の肖像を燃やし踏みつける映像や慰安婦像の展示」を批判する意見・抗議の自由を、朝日新聞社は認めない。 言論に対して反論するのでなく法廷闘争で批判封殺をはかる朝日新聞社 らしい主張である。 そもそも、同展で展示された昭和天皇の肖像を燃やす映像やエッチング作品の何が芸術なのか。特定の政治的主張、あるいはプロパガンダに過ぎないのではないか。公金を使って展示することは、公権力がその主張なりプロパガンダに同調することにならないか。 「表現の不自由展」の中止問題を扱ったメディアの多くは、この問いについて論じようとしなかった。特にテレビの多くは昭和天皇の肖像を燃やす映像に触れることすらなかった。国民の多くに強い不快感や屈辱感を抱かせる刺激の強い映像を紹介することが憚られたのか、天皇をめぐる問題としてタブー視したのか。あるいは不自由展を応援したい番組側が、批判が集中するだろう映像を意図的に隠したのか。 活字メディアで中止問題を最も熱心に扱った朝日新聞は、「焦点となっている作品は、慰安婦を表現した少女像や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品」(8月6日付第3社会面の特集)などと、たびたび映像について触れてはいる。しかし、芸術作品としての妥当性には踏み込まず、表現の自由の議論に持ち込むだけだ。 こうした議論の建て方は、同芸術祭実行委員会会長の大村秀章愛知県知事や津田氏とも共通する。
10日後、芸術祭アドバイザーの東浩紀氏が辞意を表明した。

〔東氏のツイート〕 7月末からの休暇が終わり、帰国しました。休暇中に、ぼくが「企画アドバイザー」を務めるあいちトリエンナーレ(以下あい��リ)で、大きな問題が起きました。 このアカウントは、7月の参院選直後に、あいトリの問題とはべつの理由で鍵をかけていたものであり、これからもしばらくは鍵は外しません。しかし、このスレッドについては、転記し紹介していただいて結構です。そのときは、一部を切り取らず全体をご紹介ください。 まずは今回のできごとについて、スタッフのひとりとして、愛知県民の皆さま、出展者の皆さま、関係者の皆さまにご迷惑をかけたことを、心よりお詫びいたします。 ぼくの肩書きは「企画アドバイザー」となっていますが、実行委員会から委嘱された業務は、芸術監督のいわば相談役です。業務は監督個人との面談やメールのやりとりがおもで、キュレイター会議には数回しか出席しておらず、作家の選定にも関わっていません。 けれども、問題となった「表現の不自由展・その後」については、慰安婦像のモデルとなった作品が展示されること、天皇制を主題とした作品が展示されることについて、ともに事前に知らされており、問題の発生を予想できる立場にいました。相談役として役割を果たすことができず、責任を痛感しています。 僕は7月末より国外に出ており、騒動の起点になった展示を見ていません。今後も見る機会はなくなってしまいましたが、そのうえで、展示について所感を述べておきます。以下はあくまでも僕個人の、報道や間接情報に基づく意見であり、事務局や監督の考えを代弁するものではないことにご留意ください。 まずは慰安婦像について。いま日韓はたいへんな外交的困難を抱えています。けれども、そのようないまだからこそ、焦点のひとつである慰安婦像に、政治的意味とはべつに芸術的価値もあると提示することには、成功すれば、国際美術展として大きな意義があったと思います。

政治はひとを友と敵に分けるものだといわれます。たしかにそのような側面があります。けれども、人間は政治だけで生きているわけではありません。それを気付かせるのも芸術の役割のひとつです。あいトリがそのような場になる可能性はありました。 ただ、その役割が機能するためには、展示が政治的な扇動にたやすく利用されないように、情報公開や会場設計を含め、もっとていねいな準備と説明が必要だったように思います。その点について、十分な予測ができなかったことを、深く反省しています。 つぎに天皇の肖像を用いた作品について。ぼくは天皇制に反対する立場ではありません。皇室に敬愛の念を抱く多くの人々の感情は、尊重されるべきだと考えます。天皇制と日本文化の分かち難い関係を思えば、ぼく自身がその文化を継承し仕事をしている以上、それを軽々に否定することはできません。 けれども、同時に、「天皇制を批判し否定する人々」の存在を否定し、彼らから表現の場を奪うことも、してはならないと考えます。人々の考えは多様です。できるだけ幅広い多様性を許容できることが、国家の成熟の証です。市民に多様な声の存在に気づいてもらうことは、公共事業の重要な役割です。 しかし、これについても、報道を見るかぎり、その役割を果たすためには、今回の設営はあまりに説明不足であり、皇室を敬愛する多くの人々の感情に対して配慮を欠いていたと感じています。この点についても、役割を果たせなかったことを悔いています。 政治が友と敵を分けるものだとすれば、芸術は友と敵を繋ぐものです。すぐれた作品は、友と敵の対立などどうでもよいものに変えてしまいます。これはどちらがすぐれているということではなく、それが政治と芸術のそれぞれの役割だと考えます。 にもかかわらず、今回の事件においては、芸術こそが友と敵を作り出してしまいました。そしてその対立は、いま、どんどん細かく、深くなっています。それはたいへん心痛む光景であり、また、私たちの社会をますます弱く貧しくするものです。それは、あいトリがもっともしてはならなかったことです。 僕は今回、アドバイザーとして十分な仕事ができませんでした。辞任を検討しましたが、いまは混乱を深めるだけだと考えなおしました。かわりに個人的なけじめとして、今年度の委嘱料辞退の申し出をさせていただきました。今後も微力ながらあいトリの成功に向けて協力させていただければと考えています。 あらためて、このたびは申し訳ありませんでした。力不足を反省しています。そして最後になりましたが、現在拡散されている4月の芸術監督との対談動画において、多くの方々の感情を害する発言を行ってしまったことを、深くお詫びいたします。

緊急シンポ「表現の不自由展・その後」中止事件を考える 8月22日(木)18時15分開場 18時30分開会(予定) 21時終了 定員:470名 参加費:1000円 会場:文京区民センター3階A会議室
第1部:18:30~19:50 出品していた美術家などが語る「何が展示され何が起きたのか」 安世鴻(写真家)/朝倉優子(マネキンフラッシュモブ)/中垣克久(美術家)/岡村幸宣(丸木美術館学芸員)/武内暁(「九条俳句」市民応援団)/他 第2部:20:00~21:00 会場討論「中止事件をどう考えるのか」 金平茂紀(TVジャーナリスト)/鈴木邦男(元一水会)/森達也(作家・監督)香山リカ(精神科医)/滝田誠一郎(日本ペンクラブ)/他 進行:篠田博之(『創』編集長)/綿井健陽(映像ジャーナリスト) 主催:8・22実行委員会〔『創』編集部/日本ビジュアル・ジャーナリスト協会/OurPlanet-TV/アジアプレス・インターナショナル/メディアフォーラム/表現の自由を市民の手に全国ネットワーク/アジア記者クラブ/他〕
「天皇陛下の味方」を標榜しながら「天皇陛下を冒涜する自由」を啓発するパネリスト
2019年9月5日夜10時、NHK「クローズアップ現代+」で「『表現の不自由展・その後』中止の波紋」が放映された。 筆者(門田隆将)は、展示中止から1か月以上経ってからの番組なので、ある1点に注目していた。それは、展示作品を番組が「正確に取り上げるかどうか」だった。 というのも、この問題では、展示作品を正確に伝えた「インターネット」と、都合の悪いものは報じず、一部だけを報じた「新聞とテレビ」とに明確に分かれていたからだ。 インターネットだけがこの1か月、展示された作品群の中身をきちんと伝えたが、筆者自身、展示中止になる当日の8月3日、ぎりぎりで観にいくことができた。そしてその作品群の明確なメッセージ性には驚かされたものである。 それは、ひと言でいうなら「反日ヘイト」と「皇室憎悪」だ。国民の税金を使ってこのような展示を愛知県が行うことについて、正直、筆者は首を傾げざるを得なかった。その作品をNHKは1か月を経てどう報じるのか。そのことに注目したのである。 作品がきちんと報じられなければ、いうまでもなく視聴者は正しい判断ができない。「正確に伝えない」ことは報道機関として許されることではない。 だが、結果は、筆者が危惧したとおりの番組になっていた。番組の主張に都合の悪い作品は、一切、報じられなかったのだ。つまり番組は、本来、問題のない「表現の不自由展」が、理不尽な反対や脅迫によって「中止に追い込まれた」ということを懸命に訴える番組構成となっていた。


番組で紹介されたのは、ごく一部の作品で、あの展示の性格を表わす肝心の作品群のことは伏せられた。なぜ伏せられたのか。理由は簡単だ。それを報じれば、自分たちの主張の方が「間違いである」ことが白日の下に晒されるからだ。 「ああ、この表現の不自由展の実行委員会には、もともと2001年に大問題となった『問われる戦時性暴力』をつくった曰くつきの元NHKプロデューサーが入っている。番組は最初からそっちの線で描くことに決まっていたんだ」 筆者はそう思った。公平な番組ができるかどうかを期待していた自分が逆に恥ずかしくなった。では、まず実際の展示にはどんな作品があったのか、それを先に説明しておこう。 8月3日昼、白いカーテンをくぐって当該の展示コーナーに足を踏み入れた筆者の目に真っ先に飛び込んできたのは、2メートルほどの狭い通路の両側に展示された昭和天皇に関する作品群だった。 右側には、正装した昭和天皇の肖像を髑髏(どくろ)が睨んでいるもの、左側には昭和天皇の顏の部分を剥落(はくらく)させ、背景には大きく赤で✕が描かれた銅版画が掲げられていた。タイトルは「焼かれるべき絵」。作者による天皇への激しい憎悪が剥き出しにされた作品だった。 その先の右側にあったのが、昭和天皇の肖像がバーナーで焼かれていく映像作品だ。奇妙な音楽が流れ、なんとも嫌な思いが湧き上がるような演出の中、次第に焼かれていく昭和天皇の顏。すべてが焼かれ、やがて燃えかすになると、今度はこれが足で踏みつけられる。人間の尊厳というものをズタズタにする強烈な映像作品である。 よほど作者には昭和天皇への恨みがあるのだろう。これをつくって、作者はエクスタシーでも感じているのだろうか。そんな思いで筆者は映像を見つめた。思い浮かんだのは「グロテスク」という言葉である。 少女像が展示されているのは、昭和天皇へのヘイトを全開にしたこの作品群を通り抜け、右側に広がった空間の一角だった。少女像の手前の広い空間の真ん中には、テントのような作品が置かれていた。 題して「時代の肖像―絶滅危惧種 idiot JAPONICA 円墳―」。かまくら形の外壁の天頂部に出征兵士に寄せ書きをした日の丸を貼りつけ、まわりには憲法九条を守れという新聞記事や靖国神社参拝の批判記事、あるいは安倍政権非難の言葉などがベタベタと貼りつけられ、底部にはアメリカの星条旗を敷いた作品だ。 idiot とは「愚かな」という意味であり、JAPONICAは「日本趣味」とでも訳すべきなのか。いずれにしても「絶滅危惧種」「円墳」という言葉からも、絶滅危惧種たる「愚かな」日本人、あるいは日本趣味の「お墓」を表わすものなのだろう。 日の丸の寄せ書きを頂点に貼った上に、このタイトルがつけられているので、少なくとも戦死した先人たちへの侮辱の作品であることはわかった。筆者は戦争ノンフィクションを10冊以上刊行しており、これまで最前線で戦った多くの元兵士を取材している。今ではほとんどが鬼籍に入られたが、その先人たちを貶める目的の作品であると感じた。 そして少女像。これはどうということはない。あのソウルの日本大使館前や、世界中のさまざまな場所に建てられている像だ。英語の解説文には、「Sexual Slavery」(性奴隷制)という言葉があり、「性奴隷」の象徴としてこの少女像が存在していることがしっかり記されていた。 説明書きを読んでみると〈1992年1月8日、日本軍「慰安婦」問題解決のための水曜デモが、日本大使館で始まった。2011年12月14日、1000回を迎えるにあたり、その崇高な精神と歴史を引き継ぐため、ここに平和の碑を建立する〉と書かれている。 慰安婦のありもしない強制連行を否定する日本側の見解とは明らかに異なる主張を持つものだ。少女像の左側の壁には、元慰安婦の女性たちの写真も掲げられている。筆者には、これらが「反日」という政治的メッセージを訴えるための作品群であることがわかった。 しかし、クローズアップ現代には少女像の作者が登場し、「(これは)反日の象徴として語られていますが、筆者たちは平和の象徴と考えています。(戦争の)悲しみと暗い歴史を語る象徴なのです」というインタビューが放映された。慰安婦であることの明確な説明書きと矛盾しているのに、番組では、それを指摘もしない。 つまり良心的な作家が「平和を祈ってつくった作品が脅迫で圧殺された」という番組にしたかったのだろう。そのためには、昭和天皇や戦争で死んでいった若者たちを損壊、侮蔑する作品群だったことは「報じられない」のである。 この番組の悪質性は、自らの主張に「都合のいい作品だけを取り上げた」という点にあり、この展示の中止を求めた河村たかし名古屋市長には、当然“悪者”というイメージが植えつけられた。 日本では、公の電波を使ってこのような一方的な番組が放映されることを防ぐために放送法4条に以下の条文が定められている。 (1)公安及び善良な風俗を害しないこと (2)政治的に公平であること (3)報道は事実をまげないですること (4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること クローズアップ現代は明確に(2)(3)(4)に違反している。放送中から筆者のもとには「こんな番組が許されるのか」「作品の中身がこれだけネットで明らかにされているのにNHKはまだこんな番組をやっている」という訴えが相次いだ。 実は、日本の新聞やテレビがよくやるこのやり方は「ストローマン手法」と呼ばれる。対象となる出来事、あるいは対象者の発言の一部を切り取ったり、主旨をねじ曲げて報じて自己の主張に添うように記事や番組をつくるものだ。ストローマン(straw man)とは、もともとは藁(わら)で作られた人形(藁人形)を指す英語である。つまり案山子(かかし)だ。都合のいいように事実をねじ曲げて報じるのだから、「倒す」のは簡単なことからついたとされる。 ちなみに、これは欧米の言論界で最も軽蔑されるやり方として忌み嫌われている。


実は、産経新聞とフジテレビを除いて、この1か月間、これらの作品群の真実を報じたメディアはほとんど見られなかった。報じたら忽ち「そんな酷い展示だったのか!」と非難が高まり、「表現の自由が圧殺された」という趣旨の記事や番組ができなくなってしまうからである。 クローズアップ現代には日本文学研究者のロバート・キャンベル氏が登場し、こんなコメントをした。「筆者は“エビデンスのない共感”と呼んでいるんですが、自分にとって心地よい考えに出会った時や物の見方をみた時に、それに連動して、リツイートをしたり、コメントしたり、拡散していくということはあるわけですね。その傾向が今、世界中で広がっている中で、今回のケースは、日本の中で極めて特徴的なものとして現われたのかなと思います」 筆者は耳を疑った。このクローズアップ現代こそが、目の前の作品群の真実を封じて少女像だけの問題に矮小化し、“エビデンスのない共感”を大衆に求めたのではなかったのか、と。 筆者は、こういう公平性を欠いたマスコミ報道、特に新聞を取り上げて5月末に『新聞という病』(産経新聞出版)を出版した。3か月余りを経た現在、これが10万部を超すベストセラーになっている。 国民がいかに「事実をねじ曲げる」新聞に怒っているかを痛感した。だが、NHKも同じだ。筆者は「NHKという病」を追及する��要性を痛感している。なぜこんな放送局に税金が投じられ、国民が受信料を払わなければならないのか。国会での徹底追及をお願いしたい。

リベラル勢力の二重基準 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止となった。憲法違反だとか、さまざまな物議を醸したが、そもそも公費を使ってやるようなイベントなのか。その上、昭和天皇の御真影を燃やす映像などはもはや芸術とは呼べない。 作家の竹田恒泰氏は、展示の中止を「憲法違反」や「検閲」と指摘する声に対し、一つ一つ論理的に反論。反日の偏った思想に基づいた作品しか展示されておらず、公平性もないため、実体は「反日展」にすぎないと断じた。 著書が「表現の自由」を逸脱するとして朝日新聞に訴訟を起こされた文藝評論家の小川榮太郎氏は「私の表現の自由は無いのか」と、自身の言論を封殺した勢力の一方的でゆがんだ構図を糾弾する。 産経新聞大阪正論室は実際に展示会場をルポし記者会見も取材。大阪と神戸を舞台にした「御代替わり朝礼」非難報道や幼児図鑑「絶版」騒動とあわせて、平気でダブルスタンダード(二重基準)をふりかざすマスコミの病理をあぶり出す。 「表現の自由」を盾に、昭和天皇の御真影を燃やすなどという非芸術的行為を擁護する勢力は横暴だ。

愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で中止となった企画展「表現の不自由展・その後」について、1週間後の展示再開で、芸術祭実行委と不自由展実行委が合意し、展示中止のポーズを解除した。さらに、開会時の内容を維持し、必要に応じて教育プログラムを実施することや県が来場者に対し、中止になった経緯などを検証した中間報告の内容をあらかじめ伝えることも告げた。 これに伴う批判の殺到を怖れた知事は、ツイッター上で、自身を誹謗中傷するアカウントをブロックする旨、宣言した。


ブロックされれば強制的にフォローが解除され、ツイートを読んだりリツイートしたりできなくなる。早速、「見事にブロックされちゃった」と大村知事のブロックを示す画像が次々と投稿された。「誹謗中傷」の基準を質問するだけでブロックされたと主張するユーザーや、愛知県民であるにも関わらずブロックされたという声もあった。 大村知事は、批判的意見・質問をブロックするにとどまらず、韓国軍の蛮行について論ずる自由は無い旨、言い放った。 企画展「表現の不自由展・その後」は、昭和天皇の写真を焼いたような映像や「慰安婦像」として知られる少女像の展示などが批判を浴び、脅迫ファクスが届いたことを口実に企画展を中止していた。大村知事が津田氏と並んでピースする画像をツイッターに投稿し、その後削除したことも話題になった。 不自由展が提起した問題の一つは、文化庁などの助成基準との整合性だ。 「表現の不自由展・その後」では、政治的論争のある慰安婦像や昭和天皇の写真をバナーで燃やした灰を踏みつける動画など、日本国民の感情を害し心理的な傷を与える展示があった。

2019年10月8日、「表現の不自由展」再開に抗議する為、名古屋市の河村たかし市長は、同展会場前広場で座り込みを行った。河村氏は芸術祭の実行委員会の会長代行だが、再開についての協議はなかったといい、「(再開決定は)無効だ」と批判している。 河村氏はこの日、約30人の支持者らと抗議活動を実施。座り込みで約10分間、「県は公金の不正使用を認めるな」「知事は名古屋市民の声を聞け」などとシュプレヒコールを上げた。

マイクを握った河村氏は、とくに昭和天皇の肖像を燃やすような動画について問題視し、「愛知県や名古屋市が主催しているところで展示すれば、県や市が認めたことになる」と指摘。「表現の自由の名を借り、世論をハイジャックする暴力だ」などと再開に強く抗議した。 会場前の広場には、同展に反対するプラカードを掲げた人たちの姿も見られた。その場に居合わせた名古屋市民は「天皇を公然と侮辱するようなものを芸術と呼べるのか、不自由展ではなく不愉快展、市民として黙っていられない」と憤る。 同日の 大村秀章氏ツイート は、画像の通り

検証委は、中間報告で「誤解を招く展示が混乱と被害をもたらした最大の原因は、無理があり、混乱が生じることを予見しながら展示を強行した芸術監督の行為」と津田氏の責任を指摘した。しかし、津田氏は、責任を感じるどころか、文化庁の補助金交付を求める署名活動を支持し、政治的な対立を煽り続けている。 検証委は、大村氏については、「検閲」を禁じた憲法の制約、リスクを軽減するガバナンスの仕組み欠如等を理由に、責任を不問にしているが、陳腐な言い訳で説得力はない。

朝日新聞社は、公権力が表現活動を抑圧した旨報道し、さらに「ヘイト行為の一般的なとらえ方に照らしても、少女像はそれに当たらない」という検証委の指摘に賛同している。特定法規が定義する「ヘイト」の概念に該当しないことを論拠にしているが、これは、日本人を食い物にする発想方法である。 2015年に、朝日新聞社は、①故吉田清治氏の慰安婦に関する証言の誤報取り消しが遅きに失したこと、②吉田調書報道の取り消し、③池上彰氏の連載掲載見合わせ をおわびする旨、自ら 発表した が、そのことを忘れてしまったのだろうか? この展示がもたらしたハラスメントは、多くの人に国民としての自尊心を過度に傷つけられただけでない。自分たちが納めた税金を利用して行われたことによって、さらに傷ついている。 しかもこの展示は、芸術監督の自発的な意図として成立した、むしろ積極的で公的なハラスメントともいえるものだ。日本国民の被害感情を軽視する人々が、メディアや文化人界隈に少なからずいることに驚かざるを得ない。 因みに、「展示スペースの大きさや実際の展示費用などを計算しカットした補助金を交付すべき」旨、補助金ルール無理解な三浦瑠麗氏が述べている。
表現の不自由展 きょう午後再開 警備強化 金属探知機も 2019年10月8日 愛知県で開かれている国際芸術祭で、テロ予告や脅迫ともとれる電話などが相次いだため中止された「表現の不自由」をテーマにしたコーナーについて、愛知県の大村知事は、警備を強化したうえで1回当たり30人を上限としたガイドツアー形式で、8日午後から再開すると発表しました。 8月1日から愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」では、「表現の不自由」をテーマに、慰安婦問題を象徴する少女像などを展示するコーナーが設けられましたが、テロ予告や脅迫ともとれる電話などが相次ぎ、開幕から3日で中止されました。 愛知県は、中止前の状態と展示の一貫性を保ちつつ、安全対策などを講じて再開することを目指してきましたが、展示の在り方などをめぐって協議が難航してきました。

芸術祭の実行委員会の会長を務める愛知県の大村知事は7日夜、記者会見し、コーナーを8日午後から再開すると発表しました。 具体的には、 ▽抗議の電話の専用回線を設け、会場の警備を強化するといった安全対策を講じ、 ▽事前に抽選をして作品の解説を行う教育プログラムを受けてもらったうえで、 ▽1回当たり30人を上限としたガイドツアー形式で再開するということです。 さらに、 ▽鑑賞の前には手荷物を預かり、金属探知機でのチェックを行うほか、 ▽動画の撮影も禁止するということです。 芸術祭では、中止に抗議して作品の展示を辞退するなどしていた国内外の作家たちの作品も8日からすべて展示されるということで、大村知事は「円満な形で日本最大級の国際芸術祭の完成を目指したい」と述べました。 8月1日から愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」では、「表現の不自由」をテーマに、慰安婦問題を象徴する少女像などを展示するコーナーが設けられましたが、テロ予告や脅迫ともとれる電話などが相次ぎ、開幕から3日で中止されました。

愛知県は、中止前の状態と展示の一貫性を保ちつつ、安全対策などを講じて再開することを目指してきましたが、展示の在り方などをめぐって協議が難航してきました。 芸術祭の実行委員会の会長を務める愛知県の大村知事は7日夜、記者会見し、コーナーを8日午後から再開すると発表しました。 具体的には、 ▽抗議の電話の専用回線を設け、会場の警備を強化するといった安全対策を講じ、 ▽事前に抽選をして作品の解説を行う教育プログラムを受けてもらったうえで、 ▽1回当たり30人を上限としたガイドツアー形式で再開するということです。 さらに、 ▽鑑賞の前には手荷物を預かり、金属探知機でのチェックを行うほか、 ▽動画の撮影も禁止するということです。 芸術祭では、中止に抗議して作品の展示を辞退するなどしていた国内外の作家たちの作品も8日からすべて展示されるということで、大村知事は「円満な形で日本最大級の国際芸術祭の完成を目指したい」と述べました。
・「 表現の不自由展 」は安全地帯での覚悟なき玩弄。表現の自由は侵されず。 ・米国でも「表現」で一大騒動。NY市長助成金カットと立ち退き要求。 ・中国、韓国はもちろん、米国でも「表現」によっては日本より遥かに厳しい。
2019年10月14日、 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」 の 「表現の不自由展・その後」 が、突然の中止、「不自由な」限定再開を経て、会期終了と共に閉幕した。 主流メディアの多くは、最も問題視された、昭和天皇の写真を焼き文字通り踏みにじる映像については触れず、もっぱら慰安婦少女像が不寛容な勢力に攻撃されたかの如き「表現の不自由」を体現したような報道を続けた。

主催者である 大村秀章愛知県知事 と 津田大介芸術監督 の責任について、「企画アドバイザー」だった 東浩紀氏 が、当事者として的確に指摘している。 「『表現の自由』vs『検閲とテロ』という構図は、津田さんと大村知事が作り出した偽の問題だと考えています。…今回『表現の不自由展』が展示中止に追い込まれた中心的な理由は、…天皇作品に向けられた一般市民の広範な抗議の声にあります。津田さんはここに真摯に向かい合っていません」

今回、表現の自由は、常識的意味において、何ら侵されていない。 せいぜい、税金の補助を受ける対象から排除されただけである。問題となった一連の「作品」群は、破壊も没収もされておらず、民間の場に移せばいくらでも再展示できる。写真や動画のネット拡散により、むしろ当事者の予想以上に多くの人が「表現」の実態に接した。 これが中国で、毛沢東の写真を焼く映像を展示したのだとしたら、関係者は既にすべて獄中、ネット拡散した者も国家安全部に拘束され拷問という展開になっていただろう。 あるいは韓国で、慰安婦の写真を焼いて踏みにじるパフォーマンスをしたなら、やはり関係者は、元慰安婦が共同生活を送る「ナヌムの家」で土下座謝罪の上、何らかの罪状を付けられ服役となったろう。 「テロ脅迫」に責任転嫁を図った大村、津田両氏の行為は、日本という安全地帯における、覚悟を欠いた「表現」の玩弄に過ぎなかった。

政治性と宗教性という点で違いはあるが、 アメリカでも1999年、「センセーション」と題したブルックリン美術館の特別展示が一大騒動を巻き起こした。

問題の作品はイギリスの黒人画家 クリス・オフィリ(Chris Ofili) の 「聖処女マリア」 で、デフォルメされた黒人女性の乳房のコラージュ(貼付)部分と台座に象の糞が使われていた。また画面に多数飛ぶ蝶のような物体が、近づいて見ると、突き出した女性のヒップの写真であった。 経緯は後述するが、同作品は現在 ニューヨーク近代美術館(MoMA) に収蔵されており、「MoMA, Ofili, Mary」で検索すると同美術館の説明入りで 画像 が見られる。 「センセーション」展を開催したブルックリン美術館は、ニューヨーク市の財政補助を受け、市所有の建物に入居している。 当時のルドルフ・ジュリアーニ市長(現在トランプ大統領の私的法律顧問)は、「嫌悪すべき企画に表現の自由は適用されない」と、作品を撤去しなければ助成金を打ち切り、美術館自体の建物からの立ち退きも求めるとの姿勢を打ち出す。 事態は法廷で争われるに至ったが、特別展示終了で作品が建物外に搬出されたこともあり、結局、市側は美術館に対する立ち退き要求を取り下げた。

その後この作品は、460万ドル(約5億円)である富豪が落札し、昨年(2018年)ニューヨーク近代美術館に寄贈された。ところがその際は騒動とならなかった。

最大の理由は、 同美術館はロックフェラー財団など民間資金で運営されており、税金が入っていないこと にある。 日本でも同様、個人美術館や朝日新聞あたりが「表現の不自由展」を引き取り、自らの費用と責任で展示する覚悟を示せばよいのである。 またオフィリの作品には、題名以外に聖母マリアを思わせる要素は乏しく、構図や色彩にアートとしての面白さを感じる人々が少なくない。象の糞も彼が好んで使う画材で特に冒涜の意図はなかったとされる。 もっともアメリカでも、例えばマーティン・ルーサー・キングの写真を焼いて踏みにじる映像を展示したなら、主催者は囂々たる非難と資金引き上げ、訴訟に見舞われるだろう。その点は、日本より遙かに厳しいはずだ。
島田洋一 (福井県立大学教授)
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聞いてて思わずイライラ…「耳障りな口癖」あれこれ
集計期間:2020年10月13日~10月15日 回答数:16822
誰しもがひとつは持っているであろう「口癖」の中には、自覚しているものもあれば、そうでないものもあります。
中には、無意識のうちに人をイラつかせてしまうような口癖もあるかもしれません。
今回はそんな「耳障りに感じる他人の口癖」についてアンケート調査を行いました。
他人の口癖で耳障りに感じるものはありますか?
回答者16822名のうち、他人の口癖で耳障りに感じるものが「ある」と答えた方が全体の約6割を占める結果となりました。
ここからは、みなさんから寄せられた「耳障りな口癖」の具体例を見ていきましょう。
それやめて?数々の「耳障りな口癖」
<文頭、話し始め>
・だ~か~らぁ~、で話しはじめる。
・変な話、ぶっちゃけ、と言われると、変な話なら聞きたくないし、あからさまに打ち明けていただきたくはないので、なるべく聞かないようにしている。
・「それより~」という口癖それまでの会話を区切って別の話にしたいのでしょうけれど前の会話を否定する感じがしますせめて「そう言えば~」に置き換えて欲しいです
・「あー」「あのー」「えー」「えっとー」と意味もなく語尾を伸ばした言葉からしゃべり始める人は聞いててつらくなります。自信がないあらわれでもあるからでしょうか?あとは人の意見に否定言葉から入る方も苦手かもしれません。「でもさー」とか。
・TVでたまに見かける現地取材のアナウ���サーや記者の「あのー、」の連発食リポする人(芸能人、レポーター)が必ず言う一口目後の「んーーーっ!」殆どの人が言ってる他に言葉は無いのか?
・いずれにしても。父の口癖です。何も考えず、理解もしていない癖に、分かった風に「いずれにしても」の話出しで話をまとめようとするのですが、お門違いな意見や理解で話を進めるので、家族からは怒りを買っています。ホント腹立つ!!
・夫の「我々は…」「我々の…」いつの時代だよ!とツッコミたくなる。夫婦間でも同志なのか?
・何がする時に、よっこいしょういちと掛け声する言葉
・歳を取ると同じ話を何度もするのをよく指摘されるらしく、話の初めに「言ったかもしれないけど」といつも言う友人。
・話の最中に、こっちが話した後に必ず『っていうか?』と付ける女がいて口癖なのかもしれないが、こっちの話を否定する気がして嫌だった
・「悪いんだけど…」「申し訳ないんだけど…」と前置きしつつ、自分の言いたいことバンバン言ってくる
・会社にいるおじさんがいつも何かを言い始めるときに「私は別に良いんですけど」とか、「私はどちらでも構いませんが」と自分の責任にならないように必ず前置きをする。そのくせ自分がやりたいと思っていた方向に行かないと「それはちょっと無理です」と言い出す。仕事のできないただの頑固じじいにみんな困っている。
・マンションの集会で「私はよくわからないんですけど~」からはじまって長々と意見をいう女性がいます。わからないんだったら発言するな!そんなに意見があるなら役員に立候補したら!と心の中でののしってます。
・文頭に、「別にいいんですけどね…」や「別に○○」と言われると、あぁ嫌だってことか…と思う。仕事上、やってもらわなくてはいけないことに関して、相手がそのように言ってきた時は、かるーく聞き流す。
・当たり前ですが、と会話の最初に話し出す目上の人。先入観や思い込みが強い人だなと感じます。
・否定や言い訳する際にまず「ち~が~う~」と言う人。「違う」の使い方が間違っていても冒頭に必ず使うのがイラつく=ウチのダンナ。
・始めに『いや、◯◯◯』と、必ず否定してから会話が始まる。内容を聞いても、否定の内容でない事もある為、意味がわからない
・バカうまいとかバカうけるとかなんでも前にバカをつける。地方出身者ではないから方言で使ってる訳でもないしイラッとする。
<相槌>
・「えーと」とか。先生なんかはよく1回の授業で何回言ったか正の字を書いて授業を聞いてなかったりしてました。
・自分の言葉に「うん」っていう人。私も実は昔そう言ってしまう人で、教育実習の時に注意されてから逆に気になるようになりました。
・「あーね」と、なるほどねという意味で「なるね」と言われるとなぜかわからないがなんとなくイラッとします。
・「OK」「ですよね~」OKは前の職場の上司の口ぐせで、治療院だっのに患者に対する言葉の中ですぐに出てた。しかも連呼する時もあった。
・わかるわかる~とわかってないのに言ってくる人、毎回食い気味に言われるので耳障りと言うか、イラッとします笑
・「はいはいはい」と、何度も「はい」を繰り返して相槌を打たれると、相手は「きちんと聞いてますよ」アピールのつもりなのかもしれないけれど、こちらにとってはとても耳障り。
・美容院のスタイリストさんの、同意の仕方が『うん!うん!うん!』とか『はーい・はいはいはい』と嫌味や悪意ない感じではあるものの、帰ってくる返事の熱量が多くて疲れたことがある。繰り返す返事の仕方は、癖なんだろうなと思った。
・「ほぼ」と言えば良い所を「ほぼほぼ」と言うのや、全体が質問文でもないのに話の途中に語尾を上げる(半クエスチョンと呼ぶ人もいる)のを聞くと、苛立ちや不快感を感じる。いちいち指摘はしないけど。
・何も反論していないのに「ウソじゃないよ」となんにでも言う友達がいる
・「申し訳ない」実際にいます。知り合いやお店の方に。会話の途中に何度も「申し訳ない」を挟むので、本心から思ってなどいないのに、クセで言ってるのがわかります。
・はじめて聞く話なのに「だから〇〇じゃないですか」など、知っていて当然という態度で話されること
・「そうそう」会話に加わってなかったり、本当は知らなかったことでも、他人の会話に突然入り込んで「そうそう(オレ知ってたよ)」と偉ぶる感じ。これは耳障り。
・職場に、口癖と言うか返事の仕方が気になる新人がいる。返事が何の時にも「あぁ」「あーぁ」理解してくれたのか、理解してないのか、わかりにくい。
・了解。友達ではないのだから承知しましたと言って欲しいなと思います。
・「なんで◯◯したの?」など、こちらから質問したものに対して必ず「なんで?」と「なんで返し」してくる人がいて毎回イラつきます。本当に必ず毎回決まってこう返してきます。家族なので「それは失礼だよ」と教えたのですが、全く直りません。直す気も悪い事をしているとも思っていないようです。毎度こんな感じなので肝心の返事が聞けずモヤモヤだけがつもります。
・うん、わかってたんだけどさ。とか、そう思ってた、とか。絶対に自分が間違っていたことを認めようとしない、腹立つ!
・知り合いの娘さんが、何かと「えっ、うっそ~」を連発する。珍しいこと、目新しいことに対してなら、話に乗ってくれているのかとも思うが、当たり前のことにも「えっ、うぅそ~」を連発されると真面目に聞いていないのかと不愉快になる。
・「えっ!どういう意味?」と、ばっかり聞いてくる。好奇心多めの人。
・…って、違うか(^^) と、否定を半笑いでごまかす知人との会話にはいつもモヤモヤしていました
<語尾>
・「~でいいよ。」という言葉です。なんか上から言われてる気がして嫌です。
・商品提供の際に、語尾が「~になります」という日本語の誤用が一般的になり蔓延しており、それが不快です。
・あれもしーの、これもしーの、の語尾の「しーの」。とても不快。
・男なのに語尾に「ネ」が付く
・語尾にさーをつける
・語尾に『じゃい』をつける。
・~やに!って語尾につける人
・語尾に アハ とかかわいこぶっているやつ
・最近の女子高生の「くさっ!」とか「ンゴ」とかよくわからない語尾の口癖が気になる。耳障りでなんか嫌です。
・「みたいな?」や「かんじ?」など語尾が上がる感じがイラッとする
・~してあげる という言い回しが苦手です。年上や目上の方から言われるのは問題ないのですが、同い年の人から言われると「(わざわざ)~してあげる」というニュアンスで少し上から目線な印象を受けてしまいます。
・50歳を過ぎているのに、自分の意見に違う意見を言われた時に、必ず語尾に(だもん。)を付ける女性の先輩がいます。余談ですが、聞いているこちらが、恥ずかしいです。陰ながら私は、その先輩を、(くまモン)と呼んでいます。仲間も、納得してます。
<方言>
・「こいつ何考えとんど」「どついたろかこいつ」など関西の地方ではサラリと言いそうな言葉。実際第三者として不快です…
・大阪特有の◯◯てな~◯◯やねん、ようしらんけど~という口癖。知らんなら言わないでほしいと腹が立つ
・「やろう」方言なのか癖なのかわからないけどイントネーションがイライラさせられる。
<話を要約できていない>
・「要は」って言うけど、全然要約されてない
・『話せば長いんだけど』大抵長いだけで、ヤマも無ければオチもない
・「早い話が」と言いつつ全く早くない話をやたらする人がいる
<ネガティブ>
・舌打ちした後に、小声で死ねという人、店員や関係ないところで言っている人を見ます。
・老人がもうじき死ぬという口癖。60歳の退職から36年間言い続けた事
・私なんか、自分なんか。謙遜してるのかへりくだってるのか知らないが上辺だけの言葉だけな感じがする。もし受け入れて同意したら気を悪くするくせに。
・「お金が無い」「もう死んでもいい」というマイナスな口癖の人もいて聞き飽きたので適当に流してます。
・「しんど(い)」と呪文のような独り言を続けられると気が滅入ります。キツいのはおまえだけじゃない黙れ!という感じで(笑)
・同僚のボヤキがとにかくすごい。「いや~。ねぇー。本当に…はーぁ。」この溜息を吐くときのこの口癖が毎日。一体何に不満を感じているのか分からない。
<その他>
・「ワンチャン」や「それな」は聞いてて不快になります
・「~~~を紐解いてみると」って、そんな御大層な事かよ!!って思う。けど、父親にそんな事は言えないです。
・義母が何かと言うと、すぐに『やらしぃ』と言う。『ずるい』『うらやましい』の意味で使っているようです。
・人に説明をしていて「わかる?わかる?」と人が理解しているかいちいち確認する。主人の口癖です。イライラする。
・「女性社会なのはわかっている」と言った人に限って理解してない
・人の事を『あれ』とか『これ』と言う人がいる。
・悪気はなかった、が嫌い。思慮が足りないだけなのに、悪気なければ許される、という甘えが見え隠れするので。
・『私の言う事をきいていたら間違いない!』と…あんたは神様ですか?
・「まじぱねぇ。」死語だし、30歳♂にもなって使わないで欲しい。
・きっちり正確じゃなくて良い時に、「バクっと」と言う人がいて、気になってしょうがない。「バクっとした絵書いといて」とか、「バクっとでいいから後で教えて」とか(笑)
・「俺、頭脳労働専門だから。」忙しい時に机上作業以外を手伝わない元上司の口癖。役員の方が見学している時は率先してやるのに。風の噂で部署移動になったとは聞きましたが、そちらでも要領よくやってらっしゃるんでしょうね。
・アツい!アツい!夫が夏場に家に着くと言う毎年、耳障り 特に、熱いキッチンで作業をしている時はキレそうになる!
・口癖というのかどうか・・・「あのさ、あれ、あれだからあれでしょ、ほらあれあれ、あれなのよね」いつもこんな感じで、意味がわかりません。それと、「いつも言ってるでしょ」「だから言ったのに」としょっちゅう言う人もいますが、一度も言われていないのですが。
・口癖というか、最近とても多い「〇〇しかない(感謝、自信、etc)」という言い回しにイラッとします。
・よく"塩梅"と言う人がいた"その塩梅いいよねぇ~"とか若かった当時は意味があまりわからず、何度もいうその言葉に少しイラっとしていた
・「(名前)って〇〇じゃないですか?」って言われると、そんなの知らないし、自分のことを名前で言うのも20才越えたいい大人が…バカっぽく思われるよってなる。そういう人とは話したくなくなる。
・マジまんじ(卍)。↑聞いている方は意味がわからない。
・何に対しても「恐ろしい」と言う人が居てる。例えば、 今日残業だった、休日出勤した、ご飯食べに行った等普通の報告に対して「恐ろしい」って言う。何が恐ろしいのか分からん(笑)
・スーパーのレジで商品のバーコードを通すたびに『こちらいってーん。こちらいってーん』と言う店員。
・私の母は何かというと、「ああ~恐ろしい」と言います。孫にあたる息子が、敬老の日にプレゼントを持っていくと「ああ~恐ろしい、何企んでる」外食に誘うと「ああ~恐ろしい、お金出させたいんか」買い物誘うと「ああ~恐ろしい、何買わされるんやろ」とにかく、何を言ってもしても、「ああ~恐ろしい」と言います。あんたが1番恐ろしいなんて、口が裂けてもいえませんが?
・���チの父ですが、口に合わないものを食べた時、「これどこで買った」と必ず聞いてくる。私が作った料理にもそう言うので嫌になります。
・仕事が忙しいアピールしながら「何とかなるっしょ」実際はいつも隠れてスマホゲームしてるおじさんが毎日言ってる。ウザ。
・「これ」のことを「こやつ」という人がいる。連発されるとかなりイライラする
・昔流行っていた『超ムカつく』を『スーパームカつく』と言う人がいる。イラッとする。
・まあいいや。人に物を聞いてきて、回答してあげた後にまあいいやを連発する奴がいて、かなり不愉快。
・私、今まで苦労してきたから。と口癖で必ず言う年上の方がいます。どんなことで苦労したかを毎回話してくれるのですが、対した苦労ではない。その方にとっては苦労だったのかもしれませんが。本当に苦労した人は人柄に出るし、苦労自慢はしないのに。流して聞いていますが、毎日言われるととっても耳障りに感じます。
・夫のカード利用が原因で家計の相談をしているのに「サラリーマンの給与では……」と同時に嫌みを言う。自覚しているなら節約してほしい。このフレーズを聞く度に腹がたってブチ切れそうになる。
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Such a nice weather. Not too hot, not too cold. Looks like so many people want to go fishing on a day like this. I went to my favorite fishing spot early this morning, but obviously it wasn’t early enough. The place was almost full, so I went to my less favorite place. And... a miracle happened!!! :D いい気候です。暑すぎず寒すぎず。^^)こんな日は釣りバカは我慢できないだろうなーと思ってたら案の定。ワタシもちょっと早起きして行ったけど、早いうちに入らなかったみたいで。狙って行った場所(先日のシマアジのリベンジをしたい場所)は人がイッパイ。だってテント貼ってたモン。ゆうべから泊ってるとしたら、ナンボ私が早起きしたって勝てるワケない。^^;; てことで、さほどお気に入りでない場所に行ったんだけど。そしたら、奇跡が...!!! @@ @@

Look what I caught! Forty-seven cm brassy chub!! This was the very first time in my life that I caught a fish over 45 cm!! Yeah, it was a hell of a fight -- for me, at least. I was in a panic. Yes, I did have a landing net. I had bought it not so much for catching fish but for catching the fishing gear I accidentally drop into the ocean. But during the fight, I didn’t have a third hand to unfold it, besides, it was too short anyway. So I lead the fish to a step-like part of the breakwater which was just a little higher than the sea surface and landed it there. Then I scooped it up with the landing net. I was so excited ... until I had a closer look at the fish. First I thought I caught a sea bream -- a very expensive fish -- but soon I thought that it looked more like a brassy chub -- a fish most people don’t like because it’s a bit smelly. But for the sake of that fight I had, I decided to bring it home, after doing necessary preparations to make it less smelly (such as destroying the fish’s sinal cord, removing blood and gut right after I caught it). 見て見て!人生初、 45 ㎝ 超えの魚!!釣ってしまいました!!@@ 後で計ったら 47cm だったんです!!!ヽ(^o^)丿 なんとコレが、ガシラ狙いのぶっこみ釣りで、捨てオモリ付けてサバの切り身餌���したヤツで釣れたんですよ。始めはまたウツボかなと思ったけど、いやそれにしちゃあぐぐぐっと引くし。でも根魚みたいに根に入らないし。ドラグかなり出されたけど、巻けば徐々に上がってはきてるし...。でも、どうやって上げたものか。タモは買ってあったんです、遂に。魚のためじゃなく、しょっちゅう落とす釣り道具を掬うために。^^;; でもコイツと闘ってる間、畳んであるタモを広げる3本目の手が無かったし、何より、室戸で干潮時に堤防で釣ってて、最長2mのタモなんて届かんだろ...。(TT)(TT) 考えあぐねて結局、堤防の下のほうに段があって表面が海面より少し上だったんで、波が来たタイミングでそこにランディングし、そこからタモで掬ったというハチャメチャな真似を... ^^;; たぶん対岸で見てたアングラーのにーちゃんは笑ってた。 ファイトの間は、たぶんヘダイかコロダイじゃないかと思いつつ、テンションMAXで頑張ったんですよ。いやぁ興奮してましたよ。やっと掬い上げたタモの中の魚が、どーもキツイオ(イスズミ)じゃねーかと気づくまでは... orz まぁ地域差があるので皆が共感してくれるかどうかワカリマセンが。この辺では、超磯臭い魚が好きという筋金入りの方以外は、イスズミと言えば臭い、不味いでリリース対象なんです。(TT)
でもあれだけ頑張ったのを徒労にするのもヤだし、もうリリースしたってこの魚は生きられそうになかったし。私の友達で、地元民なら値打ちが無いと見捨てそうな魚を、手をかけることで美味しい料理にする人がいるんですが。それを思い出し、私の哲学である「どんな臭いと言われる魚でも、唐揚げしてあんかけにすれば食える」をも思い出し、結局持ち帰ることにしました。その場で神経締めして、血抜きして、内臓を取り出した後で。

To tell you the truth, I wasn’t one-hundred percent sure that it was brassy chub because I didn’t see the stripes and the face looked a little different. After googling, I concluded that it was a very close but a different type of chub. Anyway, my culinary philosophy is that you can eat almost any smelly fish if you deep-fry them and top with sweet ‘n sour sauce. So for dinner tonight, I decided to give it a try. まあ、持ち帰ることにしたもう一つの理由は、ホントにイスズミなのかちょっと迷うところもあったからです。あの縞模様がないし、顔の感じがチョット違うし、釣り上げたときウ〇コもしなかったし。しかも、内臓がものすごく白くて新鮮で全く臭くなかったんです。 で、調べようとググってみて、初めてイスズミには何種類かあることを知りました。コレはたぶんノトイスズミではないかと思ってるんですが、詳しい方、どう思われます?

So, this was the main dish of our dinner tonight. :D It tasted good! Not smelly at all! I should have made more sweet ‘n sour sauce, though. で、これがウチの今夜の晩ご飯のメインのおかず。イスズミのからあげ甘酢あんかけ。臭みとりに、すりおろしショウガ・ニンニクを少々入れた酒に浸けておいてから揚げたら、全く臭みもなく。^^)b ちょっと甘酢あんが少なかったですけどね。(ネギが切れてないというツッコミは受け付けません)ww


The fish was big and I had enough left to try another dish, so I went for it. Not many people recommended sashimi (sliced raw fish) because it can be a little smelly and the flesh of the fish is a little grayish which is not very appetizing. Instead, good many people recommended searing the fillet with the skin on, saying that the torched skin is such a delicacy. さすがに 47㎝ あると、夕食に半身使ってもまだもう1品試すくらい残ってるので、もういっちょいってみました。
ネットで見ても、イスズミの刺身を強く推す人はさほどいなかったけど、評判よさそうだったのは、皮をつけたまま炙る焼き切り。私も刺身を1口試し、あまり好みじゃないし、何より身の色が灰色がかって美味しそうに見えないんで、それよりも表面を焼く方を選びました。

With these condiments on and ponzu (citrus-based soy sauce?) poured all over, It was pretty good. I liked it. (Though I was not too crazy about the skin part...) :D :D 焼き切りというより、全体を炙ってタタキにしました。^^) ワタシ、グレ(メジナ)のタタキは好きで、特に炙った皮が好物なんで、これも抵抗なかったんですが。 こうやって薬味をタップリ乗せてポン酢かけて食べたら、こぉれはイケました!!^▽^ ただし炙った皮は、グレの方が数倍美味しいです。 ともかく、なんか私の釣り人生、1歩前進したような気がした今日でした。
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