#「明日から逃げるより今に囚われたい」
Explore tagged Tumblr posts
idunnoq-jp · 2 months ago
Text
0 notes
yutakayagai · 1 month ago
Text
私立K高校にまつわる怪談話を、そう言えば親父から聞いたなと、貢は思い出した。理事長室の本棚にある「我が学園の歴史 ◯◯周年記念号」と節目ごとにまとめられ、今でもOBであれば購入が可能とされている記念誌を眺めながら、彼は例の事件について書かれた記載に目が留まった。その記念誌には一行ぐらいしか書かれておらず、
「まァ、都合の悪いことは書かないだろうな…」
と貢は思ったが、たまたまその隣に操が書いた日記があった。操は、その日にあった出来事をまめに記録する性格だった。「ケセラセラ」に生きてきた貢とは違っていた。
「へぇ〜、こんなの付けてたンだ」
と彼はそう思いながら、「一九七八年」とテプラで貼られたその日記の頁を開いた。事件が起きる前、何度か操は他の教師からその生徒について話を聞いている様だった。
“六月十日
校長の杉山先生から、「堀川啓介」という男子生徒がよからぬいじめを受けているとの話を聞いた。「よからぬ」とは、流石に全くの「ノンケ」である杉山先生にとってはケツの谷間を両手で覆いたくなる様なものらしい。オレにとっては逆に「おっ広げ」になりたくなるが…。
啓介君は、両親が教育熱心なのか必ず国立T大に合格させたいという思いが強く、比較的、国公立大学への進学率が良いウチに入学「させられた」様だが、オレにしてみれば馬鹿馬鹿しい。人生八十年と言われるご時世に、大学だけでその先の人生なンて決まるとは限らないと思う。
しかし、その啓介君、ウチに来たことで「ホモ」の洗礼を受けただけでなく、凌辱されることに快感を得てしまった様だと、杉山先生。ある夕方、たまたま浴室を見回った時に彼がブリーフ一丁で脱衣場の鏡の前に立っていたが、背中にあちこち鞭打たれた様な跡があり、思わず声をかけたそうだが、彼曰く、
「校長先生、父さんや母さんには黙ってて! オレ、縄で絞められるのが好きなンだ…。快感なの! これでイッちゃうの! 勉強勉強って、オレ、おかしくなっちゃうよ!」
彼はそう訴えながら杉山先生に抱きつき、号泣したらしい。
嗚呼、そんなに追い詰められるのなら、いっそのこと、新宿二丁目や上野の入谷などで男娼をしていた方が幸福なンじゃないか? オレだったら、啓介君を優しくしてあげたい”
“七月一日
たまたま、オレが寮の当直をすることになった。まァ、久しぶりに生徒らとアハハオホホとやってもイイだろう。
その二日目、ちょうど昨夜だが人気がない筈の浴室に誰かがいたのでそっとサッシを開けてみると、其処には全裸の啓介君がいた。やはり背中や胸には鞭打たれた跡があり、痛々しかった。しかも、その日は首筋に「キスマーク」もあり、余程凌辱されたのだなと思った。彼はブリーフを穿くと軟膏を手の届くところに塗り、時折首筋にできたキスマークに触れた。彼は微笑を浮かべ、
「…もっと欲しいよ」
と呟いた。まるで、情事の後に独り残された娼婦の様だった。オレは彼を好いてしまった。そんなオレに彼は気付いていたのか、サッシの方を振り向いた。
「だ、誰ッ!?」
オレは仕方なく脱衣場の中に入った。理事長だと判ると、彼は顔を赤らめながら慌ててTシャツを着た。彼は言った。
「何故、理事長先生が!?」
恐らく、始業式や終業式の時にオレは必ず挨拶をするから顔を憶えていたのだろう。まさか、理事長でさえ寮の当直をするのかと、彼は疑ったに違いない。オレは、
「大丈夫、今週だけ当直に入っただけだから。杉山校長からは、君のことは聞いているよ。縄に絞められるのが快感なンだろ?」
と聞いた。彼は不安気な表情を見せてはいたが、頷いた。
「…快感でたまらないンです」
オレは、どうかしていたのかもしれない。何故かそのまま彼を抱きしめたのだ。優しくしてあげなければならない気がしたのだ。
その夜、当直室でオレは啓介君を愛した。鞭打たれた跡に皆キスをし、そのうちに彼も涙を流しながら、
「嗚呼、愛されてる…」
と言葉を漏らした。オレは、
「凌辱だけが快感を得る手立てではないよ。君は優しく愛されたいンだ」
と唇を奪った。
次第に、彼はオレを強く求める様になり、オルガズムに達した。オレの内腿の間に下半身を挟め、愛液が二人の下腹部に跳び散った。
「…啓介君、君が好きだ」
気分は、ア��ムとエバの様な感覚だった。教育者とその教え子という関係を逸脱し、オレは一人の男子として彼を愛してしまったのだ。もはや後戻りはできない。このまま「世間体」と言う名の境界を越え、何処かへ逃亡しようかとも思った。彼は、
「理事長先生…」
とオレの頬に触れ、そっとキスをした。
情事は、夜明けまで続いた”
“七月二一日
この日は終業式だった。ほぼ全員の生徒が帰省していく中、啓介君だけが寮にとどまっていた。彼は怯えていた。担任の山本先生が彼の両親に事情を離したが、特に母親は猛反対していたと、電話の後に話していたっけ。
「理事長、どうしますか?」
と杉山校長が困り果てていたが、啓介君の家の事情を何も知らなかったオレは、
「じゃ、オレが一緒に送りに行くよ」
と安易な判断をした。
啓介君の家は東京のS区にあった。最寄りには私鉄O線の駅名にもなったS学園があり、所謂「高級住宅街」だった。オレは馴れない道を自ら運転しながら彼を送り届けた。本来なら理事長であるオレは動くべきではなかったのだろうが、一度彼とは肉体的に「契り」を結んでしまったから、何故か責任を感じていた。
彼は助手席に座っていたが、ずっとうつむいていた。信号待ちの合間、時折彼の手を握ってあげた。
「大丈夫、怖くないよ」
彼の家には、母親が待っていた。一見、感じのよい雰囲気ではあった。オレは自分の名前を名乗ると母親は、
「あらら、理事長先生がこんな遠くまで!? 大変ご迷惑をおかけしました」
と深々を頭を垂れた。彼はそのまま無言で家の中に入って行ったが、その間ずっとオレの姿を目で追っていた。それでも、
『これでよかったのだ』
と自分自身に言い聞かせるしかなかった”
“八月一日
杉山校長から、啓介君から電話があったと話があった。オレは書類整理をしていたが、どういう経緯かは不明だが例の鞭打たれた跡について母親が気付き、その問い合わせがあったらしい。半ばヒステリックな声だったと、彼は言っていた。オレは心配になり、
「ちょっと行って来る!」
と自分のセドリックに乗った。
夕方近くに到着したが、出迎えた母親は泣き腫らした様子だった。開口一番、
「理事長先生! どういうことですか!?」
と訴え、隣に座っていた啓介君の着ていたポロシャツをたくし上げた。彼は泣きじゃくっていた。
「う、うちの啓介、いじめに遭ってるンですか!?」
と彼女は聞いた。オレは返す言葉がなく、ただ黙っていた。
その後、母親の狂気じみた声が居間に響きわたった。オレも流石に耐えかねたが、
「母さん! もう止めてよ!」
と啓介君が突然立ち上がり、悲鳴の様な声で制止した。彼は言った。
「オレはも��嫌なンだ! ずっと『イイ学校』『イイ会社』って���われ続けながら母さんには黙っていたけど…。ただ国立T大学に入ったら何やるの!? 僕ァ、父さんの様な平凡な人生は送りたくない。ただ結婚して家庭を持って…全然夢がないじゃないか! ���はそんな人生に価値はないと思う。今のK高校に来て、僕は気付かなかった人生を見つけたンだ…。母さん、僕は男が好きです! あのアザは僕が好きな先輩と『セッ◯ス』して出来たものです!」
これまで自己主張もせずにただ両親の言われるがままに行きてきたのだろう。オレは彼の方を見入っていた。母親は、恐らく我が息子のこの様な言動に遭ったことがないのだろう、ますます錯乱した様だった。啓介君はオレの手を持ち、
「理事長先生! 僕、寮に『帰ります』! こんな家にいたら、僕、自殺しそう!」
と訴えた。オレは彼の放った「自殺」という言葉に衝撃を受けた。
「啓介君! 生んで育ててくださったお母様の前で『自殺』という言葉はないだろう! 先生も怒るぞ!」
「否、僕は本当のことを言っているンだ! もうイヤだ…」
「…」
二人の嗚咽が居間に響き渡った。オレは、この家自体を憎んだ。一体、何がそうさせたのだろう? 性の歓びを見出し、本来の自分自身を見出した啓介君、一方で一流の大学や企業に進めば苦労しない人生が保証されるという世間の「呪縛」に囚われそれを良かれと我が子に訴えてきた母親…どちらとも悪くはない。オレは言った。
「…お母様、これまで啓介君をここまで育て上げるのに色々なご苦労をされたかとお察しします。確かに、今は一流の大学に進めば一流の企業に入れ、そのまま一生涯安泰と「年功序列」の思想が根付いています。未だ日本は成長をしていくかと思いますが、いつまでもその状況が続くとは限りません。私どもは可能な限り、その様な時代の変化に対応できる将来の人材を育成すべく教育しております。
しかし、啓介君を含め、この十六、十八歳という年齢は思春期ということもあり、自我が芽生え始める時期でもあります。彼の様に性を通じて本当の自分自身に気付くお子様も少なくありません。きっと、これまでの教育方針に対し自我の芽生えによって啓介君も葛藤をされてきたのでは…?
今回、身体に出来たアザについては他の教職員からは聞いていたものの、ご連絡しなかったことについては申し訳ありません」
これが、オレができる最大限の謝罪だった。母親は未だ冷静になれない様だった。啓介君も大粒の涙を溜めていた。オレは、今日は彼を寮に連れて行かないことにした。オレは言った。
「もし何かありましたら、私どもの方までご連絡ください。夜間でも寮に当直がおりますので、お電話いただければ対応いたします」
帰り道の車中にて、オレはこれまでにない疲労感を感じた。この夜は流石に爆睡だった”
“八月三日
杉山先生から、寮の当直をしていた山本先生から啓介君より連絡があったと話あり。やはり寮に戻りたいと訴えていたらしい。あれから両親とは話ができたのか、気掛かりで仕方がなかった。
理事長室の隅に置かれた時計が秒針を刻む音に半ば苛立ちながら、オレは情人(アマン)が来るのを待ちわびるかの様な心情に駆られた。一度は肉体同士の接触があったが、それだけでオレは彼と一心になっていた感覚でいた。もし教育者と一生徒という関係でもなければ、あの場で彼を連れて帰っていた。母親を弁護することもなかったろう。
午後二時になり、啓介君が帰って来た。オレは直接来たのかと聞くた。彼は言った。
「…先生、会いたかった」
すると彼はオレの背中に両腕を伸ばし、抱いてきた。途端にオレの胸の中で涙を流し、やがて嗚咽も聞こえてきた。
「大丈夫、泣くのはおよしよ」
とりあえずオレは啓介君を寮に連れて行き、当直をしている山本先生に事情を話した。まずは様子を見て欲しい、と。また、一昨日彼の家に行った時のことも話した。山本先生は、
「じ、自殺!?」
と驚いていたが、今の精神状態なら大丈夫だろうと伝えた。”
“八月四日
一晩過ごしたが、山本先生からは何の連絡もなかった。オレは大丈夫だったのだろうと安堵した。
午前九時過ぎ、理事長室に啓介君がやって来た。彼はオレを抱きしめてきた。すっかり好いてしまっている様だった。オレは彼にキスをした。舌を彼の唇の隙間に忍ばせ、込み上げてくる唾液を呑み合った。彼はそれが「快」と感じたのかスラックスのベルトを外し始めた。オレは声をかけた。
「此処ではまずい」
オレは雑木林の中にある「別荘」に連れて行った。しばらく寝泊まりしていなかったからか、室内はジメジメしていた。そんな中でオレは彼のワイシャツのボタンを外した。ブリーフだけになった彼を目前に、オレもワイシャツを脱いた。ブリーフだけになると早くもチ◯ポの先端が濡れていた。こんな性衝動は初めてだった。彼をこれでもかと言うくらいにキスをし、乳房や股間を愛撫した。自殺なンて馬鹿なことは考えるなと、繰り返し心の中で叫びながら…。
気付くと二人は真っ裸になっていた。白いブリーフがベッド元に重なっている。これは身も心もさらけ出していることを意味していた。オレは彼と一体になった。
「あッ、あァ、あはァァァん…」
何度も乳房を鷲掴みにし、吸い続けた。その度に彼は歓喜の声を上げ、乱れに乱れた。ほのかにサーモンピンクへと全身が火照り、彼はオレの唇を求めた。
「…け、啓介」
いつしかオレは敬称を付けずに呼んでいた。ただ十六歳の彼をオレは愛した。全身に無数の汗が滴り、シーツが濡れた。
啓介君は、用を出すだけしか知らなかった穴をもって女の様に快感を得ることを知ってしまった。いつしか彼は激しく腰を揺さぶり、オレの身体にしがみついた。
「あ、愛してる…!」
耳元で彼はそう囁き、オルガズムに達した。オレも彼の体内に愛液を噴射させ、
「啓介!」
と激しいキスをした。
情事の後、ベッドで抱き合いながらオレは言った。
「もう『自殺』という言葉は使わないで」
すると、
「…死にたくない。こうやって愛してくれてるから」
と彼はオレにキスをした。
これで総てが終わったと思った。啓介君が愛されることで新たな人生の方向性を見出し、進んでくれるとオレは信じた。”
貢は、父・操もまた一人の生徒を愛してしまったのかと思った。オレは生徒には手を出したことがないし、そんな度胸もなければやってはいけないと、頁を進めた。しかし、日記はしばらく何も書かれておらず、急に「九月一日」まで飛んでいた。恐らく、その間に啓介が自殺をしたのだろう。
“九月一日
啓介君が雑木林の中で首吊り自殺を図り、憔悴する暇もなく両親が教育委員会に訴えると騒いだ。父親は、杉山校長に訴えた。
「国立T大学への進学率がイイと聞いて入学させたら『ホモ』にさせられた挙げ句、自殺まで追い込んで...。この悪党! 人殺し!」
父親は国家公務員だった様だ。彼は他の保護者から、お宅のお子さんは大丈夫か、「ホモ」にさせられてないかと根掘り葉掘り聴取し、何人かの生徒からその気がある様だという話を聞きつけるや、
「理事長を出せ!」
と罵った。杉山校長は流石にビビッてしまい、
「理事長! 何とかしてください!」
とすがりついた。殴り込みに来た父親に対し、オレは土下座もした。罵声を浴びさせられた挙げ句、胸ぐらもつかまれた。正直、辛かった。啓介君を愛していたのに、自ら生命を絶ってしまったのだから…。裏切りの何物でもない。
オレは父親が帰った後、雑木林の中で慟哭した。啓介君が首を吊った杉の根元にひざまずき、喉がやぶれてしまいそうなほど声を上げながら泣いた。”
この部分を読みながら、貢は高校二年だった頃を思い出した。そう言えば、両目を泣き腫らした様子で操が家に帰って来たのだ。母の茉莉子がどうしたのかと心配したが、彼は、
「…すまないが、独りにさせてくれ」
と言って部屋に籠もってしまったのである。ちょうど父の書斎の隣に貢の部屋があったのだが、壁越しに号泣する声が聞こえたのだ。しかし、何故泣いているのかを聞くことはできなかった。嗚呼、きっと啓介君のことだったのだろうと、彼は思った。
もし岩﨑の言う通りにその啓介君の声が聞こえたのだとしたら、オレに何ができるだろうと貢が考えた。
29 notes · View notes
mayimkjs · 4 months ago
Text
Crying B Japanese Transcription
Feel free to use this how you like with no credit to me required. Credit should go to Yamanaka.
エス: Es
ムウ: Muu
1|ミルグラム監獄内尋問室
薄暗い尋問室の中。
さめざめと泣くムウの声が響いている。
椅子に座っているエスがイラつき貧乏ゆすりをしている。
ムウ 「......っ......ひっく......ひっく......」
エス 「はぁ......」
呆れた様子で見ながら、ため息をつくエス。
ムウ 「ぐす......っ......うう......」
エス 「おい、いつまで泣いている囚人番号4番ムウ。尋問が始められないだろう」
ムウ 「......尋問って何絶対ひどい目に合うんだ......やだ......」
エス 「そんなことはしない、と何度も言っているだろう。もう5分経っている、時間は有限なんだぞ」
ムウ 「ぐすっ、信じられるわけないもん......こんな変なところに連れてくる人が......変なことしないわけないもん」
頑として聞かないムウに頭を悩ますエス。
エス 「気持ちはわからんでもないが......話を聞くだけだ。お前の罪を判断するための参考にな」
ムウ 「......本当に話だけ?」
エス 「あぁ。それが僕の方針だ。暴力を用いての拷問や脅迫などはするつもりはない。僕なりにきちんとお前らのことを知りたいからな」
ムウ 「......」
エス 「......いいな」
エスの瞳を見て、ゆっくりと口を開くムウ。
ムウ 「......楠:夢羽。15歳。あと何を言えばいいの......」
エス 「ふむ。......少し気になっていたんだが、その顔だち、ハーフというやつか?」
ムウ 「うん......ダブル。ママがフランスの人。日本生まれ日本育ちだけどね......」
エス 「ふむ。その容姿だと、さぞ目立ったことだろうな」
ムウ 「うん......そうだね......おうちもお金持ら、やっかみとか、たくさん......」
エス 「ふぅん......そういうものか」
ナチュラルに自慢を混ぜるムウ。興味なさげなエス。
エス 「ミルグラムの生活はどうだ?」
ムウ 「......どうもこうもないよ。早く帰りたい」
エス 「ほう?なぜだ。お前たちにはそれなりに自由も与えている。嗜好品の類も最低限支給している。事実、お前からもミルクレープの申請があった」
ムウ 「そっ、それはそうなんだけどミルクレープは食べたけど......おうち、帰りたいよ......」
エス 「......ふむ」
ムウ 「絶対にパパとママが心配してるもん......ぐすっ......」
さみしげなムウ。再び涙ぐみはじめる。
ムウ 「だいたいなんなの、ここ。なんでムウがこんなとこに連れてこられなきゃいけないの......」
エス 「簡単な話だ。ヒトゴロシだからだろう」
涙まじりのムウを意に介さず続けるエス。
エス 「ミルグラムはヒトゴロシを集めてくる。そこは間違いないようだ」
ヒトゴロシの言葉に反応して前のめりになるムウ。
ムウ 「ヒトゴロシ、って......なんでそんなひどいこというの!ムウ悪くないもん!」
エス 「ふぅん......殺してない、とは言わないんだな」
ムウ 「そ、それは......」
エス 「それは?」
もじもじと言いよどむムウ。
ムウ 「......んん」
エス 「どうした?」
ムウ 「......殺したよ。でもあっちが悪いんだよ。殺さなきゃいけないくらい、ムウ辛かったんだもん」
下を向いたまま口をとがらせるムウ。
エス 「報復、ということか......」
ムウ 「たしかに殺したかもしれないけど、そうじゃなきゃ逃げられなかったんだし、ムにひどいことすほうが悪いもん......」
エス 「ふむ......続けろ」
ムウ 「殺しちゃ駄目って言うなら、ムウはずっとつらい思いをしとけばよかったってことなの?」
開き直るムウ。
エス 「ふむ。理由はどうあれ、お前は明確に殺意をもって人を 「殺しているな」
ムウ 「なに......それがどうしたの......?」
エス 「『うちへ帰して』と言っていたな。仮に......だが、ここを出られても、警察の世話になることになるだろう?」
エスのくちぶりに身体をこわばらせるムウ。
エウ 「......!」
エス 「そもそもムウが人を殺したことについて、警察は動いていないのか?」
ムウ 「知らないよ......やっちゃった後からしばらく記憶がハッキリしないもん。気付いたらここにいたし......」
エス 「そう、なのか......」
初めて知る事実に少し驚くエス。その様子に頬を膨らませるムウ。
ムウ 「自分たちが連れてきたくせに......」
エス 「ふむ......ミルグラムには10人の『ヒトゴロシ」が収監されている。どうもこれは日本の法律に照らした殺人犯や犯罪者に限った話ではないようだ。ミルグラム独自の広義のヒトゴロシのようだ。それは何人かに話を聞き、わかってきた」
ムウ 「そう......なの?」
エス 「ただ、ムウ。オマエは殺意も明確。シンプルだ。オマエたちがいうところの刑法119条殺人罪というものに当てはまるだろう」
ムウ 「知らないムウそんなの詳しくない......」
エス 「言っとくが僕も別に詳しくない。参考までに書庫にある資料で調べただけだ。••••••ここで重要なのはお前たちの法律に照らせばアウトだという事実だ」
バッサリ切り捨てるエスに不満げなムカ
ムウ 「しょ、少年法っていうのがあるんじゃないの......」
エス 「ある。だが、16歳以上であれば刑事裁判を受け、懲役だ:死刑こそ免れるようだがな。ムウが望むようなマトモな生活は送れないだろう」
ムウ 「ちょ、懲役......やだ、そんなの......」
エス 「やだといって聞いてくれるものか」
ムウ 「やだなの!!」
子供のように駄々をこねるムウ。それを見て少しおかしくなるエス。
エス 「くっくっくミルグラムは僕の方針で囚人たちに相当自由を与えているが、実際の刑務所はそうはいかないだろうな。もちろんミルクレープもなしだ」
ムウ 「やだ、やだよ......おかしいよ、ムウ悪くない���に懲役なんて......そんなのおかしい」
エス 「そうだな......じゃあ、こう考えてみろ。..ミルグラムは法律からオマエを守っていると」
思いがけない言葉にきょとんとするムウ。
ムウ 「ま、守ってる?ムウを?」
エス 「そうだ。ミルグラムは現状、あくまで現状だが、法律を善悪の基準としていない。最終的に僕がどう思うかでしかない」
頬を膨らませるムウ。
ムウ 「看守さんの言ってること難しくてわからない......もっとわかりやすく言ってほしいよ」
エス 「『私は悪くない』ずっと、オマエはそう言っているだろう......そのとおりだ。殺人それ自体はミルグラムでは罪ではない」
ムウ 「......そうだよね?悪くないよね?」
エス 「そうだ。最終的に僕もお前は悪くないと思うかもしれない。僕がムウのことを知り、ムウと同じ感覚であれば、オマエは赦されるだろう」
ムウ 「......看守さん......」
言葉尻だけで、エスを味方だと感じ安堵するムウ。
意地悪そうに笑むニス。
エス 「赦されたければ......そこに賭けるしかないんだよ。オマエは」
ムウ 「ど、どうすればいいの?どうすれば看守さんは赦してくれるの?ムウ、なんでもするよ?あっ、痛いこととか恥ずかしいことはやだけど......あと、怖いのもやだ......」
エス 「お前な......」
ムウ 「だってそうでしょ?つまり看守さんに気に入られればいいんでしょ?ムウ言うこと聞く。何すればいいの?」
エス 「......さぁな。殊勝な態度だが、僕がどう考えるかは僕もわからない」
ムウ 「え......?」
エスの言葉に違和感を覚え、顔が険しくなるムウるエス。
エス 「ふふ。それこそ、オマエが美人だから赦す。美人だから赦さないもあり得るという話だ。それを決めるのがミルグラムだからな」
ムウ 「ちょ、ちょっと待って看守さん。......あの......」
エス 「なに、ちょっとしたジョークだ。僕次第ではそうなる可能性も......」
ムウ 「いや、そうじゃなくて......気になるんだけど......」
言いよどむムウ。その様子にようやく気づくエス。
エス 「......?どうした?言ってみろ」
ムウ 「看守さん。なんで全部他人事みたいなの?」
エス 「......え?」
ムウ 「どうなるかわからない........って。自分の話なのに......なんでそんな他人事みたいなの......」
エス 「何を......言っている......」
ムウ 「え?だって、お、おかしいよ。看守さんの意思で決めるんでしょ。看守さんが今どう思ってるのか聞いてるのに......」
ムウの言葉を頭が理解するのを拒み、言葉が出ない。
息が吸い込めないエス。
ムウ 「ねぇ」
エス 「......」
ムウ 「看守さんの言う僕って......誰?」
エス 「......ッ......ぁ......」
ムウ 「看守さん......?」
様子のおかしいエスに気づき、心配そうなムウ。
椅子を倒し、床に手をつくエス。
エス 「......ッ......ァ......ハァ!ハァ!ハァ!」
ムウ 「看守さん!どうしたの!!看守さん!!」
エスに駆け寄り、背中をさするムウ。
ムウ 「ねぇ、看守さん!!!」
エス 「うるさい!!さわるな!!」
ムウ 「ひっ!」
その手を思いっきり振り払うエス。
感情を爆発させたエスに、悲鳴をあげるムウ。
何が起きたかわからず、目を丸くするが、状況がわ
かり、徐々に目から涙が溢れ出す。
エス 「ハァ......ハァ......」
ムウ 「ひ......ひ............ひどいぃぃ......ムウ心配しただけなのにぃ......」
エス 「......」
ムウ 「ぐす......ぐす............もうやだぁ......看守さん嫌いぃ〜......」
突然どこからともなくドスッと机の上に乗っかってくるジャッカロープ。驚くムウ。
ムウ 「キャッ......ぐす......うさ、ジャッカロープ......どこから......?」
エス 「......ジャッカロープ......?」
ジャッカロープはエスに何かを話しかけている。ただその声はムウには聞こえない。そのため見てはいけないものを見るような表情のムウ。
エス 「あぁ......わかってる......わかってるよ......」
ムウ 「う、うさぎと喋ってる......?」
エス 「......言われるまでもない僕にもわからないが、もう大丈夫だ。行ってくれ。僕の仕事だから......ああもう......うるさいな。保護者じゃないんだから、小言はもういい......行け!」
満足気にジャッカロープが去っていく。見送るムウ。
ムウ 「......ジャッカロープ、行っちゃった......」
エス 「......はぁ、すまない、取り乱した」
ムウ 「......おかしくなっちゃったの......?看守さん......」
エス 「いや、ジャッカロープの声は僕にしか聞こえないんだ」
ムウ 「あぁ......完全におかしくなっちゃってるんだ......」
エス 「違う。憐れみの目で見るな」
憐れみの目で見ていたムウ。ぷっと吹き出す。
ムウ 「ぷっ......」
エス 「あん?」
ムウ 「ふっ......うふふふ、変なの......」
エス 「......なんだ。さっきまで泣いていたくせに」
ムウ 「なんかもう......ワケわからないことが続いて、一周回っちゃった......難しいこと言ってたと思ったら、うさぎと話しだすし......ふふふ」
にやけるのが止まらないムウ。少し馬鹿にされているようで不服なエス。
エス 「......」
ムウ 「なんだっけ......何を聞こうとしてたかも忘れちゃったいいや、怖くなくなったし......」
エス 「はぁ、それはなによりだ」
すべきことがわかり、声に明るさが出てくるムウ。
ムウ 「つまり、看守さん好みの人になればいいんだよね。そしたら赦してもらえるんだ......」
エス 「......そういうことになるか?」
ムウ 「そうだよ。看守さんも人間だし。ムウがんばる。看守さんの好みを知るよ......うさぎと話す可哀想な人だけど。ぶふつ......]
エス 「もうそれでいい。お前との話はテンポが悪くてかなわん」
ムウ 「ムウ、絶対帰るから......パパとママの元へ帰るんだもん......赦してもらえればきっと帰れるよね?」
エス 「......知らないけどな......」
ムウの希望的観測に対して、聞こえないように呟くエス。
聞こえないムウは笑顔を見せ始める。
ムウ 「うん、やっぱり......考えてみれば全然悪くないムウを捕まえようとする駄目な警察よりも、ミルグラムの方がいいかも」
エス 「はぁ......まぁ、それはそれでいいか......大人しく尋問を受けてくれるなら......」
突如部屋にある時計から鐘の音がなり、部屋の構造が変化していく。
ムウ 「きゃあ......何?壁が動いてる......何が起きてるの?」
エス 「はぁ......もう時間か···......あまり話せた気がしないが、まぁいい。お前の心の中、覗かせてもらう」
ムウ 「......歌にするってやつい、痛くない?」
エス 「多分な」
ムウ 「......痛いならやだ。やらない......」
エス 「駄目に決まっているだろう。痛くないから安心しろ!」
ムウ 「じゃあやってもいいよ......」
エス 「はぁ......そもそも選べるものじゃない」
ムウ 「看守さん、せっかくやるんだから、ちゃんと見ててね。ムウ、絶対悪くないか......仕方ないって思うはずだか......」
���ス 「あぁ、見せてもらうとするよ」
妖しく笑うムウ。
ムウ 「......変な判断したら、赦さないからね」
エス 「......っ」
その雰囲気に一瞬気圧され、息を飲むエス。
エス 「僕を、馬鹿にするなよ」
ムウの肩に手を載せるエス。
エス 「囚人番号4番、ムウ。さぁ。お前の罪を歌え」
12 notes · View notes
demoncrepe · 1 month ago
Text
白銀の森
森が俺を呼んでいる。
故郷を奪われ、家族を奪われ、怒りのままに呪わしき男の影を追いかけた。しかし、暗黒の牢獄の奥底で、彼はすでに生き絶えていた。 手当たり次第に怪物たちを倒し、激しい怒りを、悲しみを、憎しみを、全身で湧き上がらせる。野獣のように暴れ狂う俺の前に、一頭の狼が現れた。
彼女はムーンレス。歪んだ世界で様々なものと融合してしまったが、人懐っこい狩の名手であった。腐肉を食べるとすぐに懐いて、俺の飢えた、悲しき心に彼女は寄り添ってくれた。たくましい四肢と夜の草むらのような香りがする毛並みを撫でると、子供の頃に真夜中ひとりで用を足しに行った時、遠くの河岸にこっちを見ていた狼の母子を思い出した。 感傷的になっていた俺の頬をムーンレスが舌で舐める。
この監獄でなすべきことは残されていなかった。より奥へと進んで、さらに強い敵を探し、死に場所を求めることもできただろうが、ムーンレスの湿った鼻が手に当たると、虚しい殺戮に溺れることを諦めることができた。
仇討ちのためだけにはるばるこの地に降り立ったが、もう帰る場所はない。諦めたら諦めたで、やは��虚しい。監獄を後にしても、ムーンレスは俺を心配してついてきた。今にも死にそうな仲間に思われたのだろうか。ムーンレスもこんな姿では森で他の狼と暮らすことはできないだろうに、外の世界に出て良かったのだろうか。尤も、俺自身も今どんな姿になっているのか分からなかった。もしかすると、あの生白く巨大な護衛か、爪や角が生えた悍ましい怪物に成り果てていたとしても驚くまい。
牢獄を覆う森の中、特に目的もなく彷徨っていたら、道のど真ん中で行き倒れている人間を見つけた。黒い服、長い髪、片腕が無く、雑な処置をしただけでまだ包帯から血が滲んでいた。 血の色と匂いからまだ生きていそうだ。ムーンレスが吠えると、身じろぎした。 「大丈夫か」 声をかけると顔をこちらに向けた。痩せこけており、目の周りに黒い影がある。あの牢獄にいた闇の司祭に似ている。 奇妙な化物たちに追われ、仮面を被った全裸姿の謎のカルトを見てきたせいで、普通に服を着て生きている人間を見つけただけで妙に信頼をしてしまった。普段なら服を着ているだけでこんな風には思わないだろう。倒れていた男が何かを言おうとしていたようだが、そのまま意識を失った。
安全なところに運び、水を飲ませて焚き火のそばで温めた。しばらくすると目を覚ました。 「気がついたようだな」 「…………」 「お前あんなところで何をしていた?」 「…………」 俺の言葉が下手なのか。一応街や船では通じていたが。ムーンレスが近寄ると身体を強張らせていた。 「大丈夫、彼女は何もしない」 「私は動物が嫌いなんだ」 「おや、口が聞けるようだな」 手招きしてムーンレスを呼び寄せる。 「俺はラグンヴァルドルだ。お前は?」 「……エンキだ」 エンキも俺と同様に地下牢を探索していたようで、敵に腕を切り落とされて、森で薬草を探してる最中に行き倒れたそうだ。 「街で治療を受けるべきではないか?」 「ロンデンの外科医の腕前を知らないようだな」 「……何か俺が助けになることはあるか」 「何故初対面の私を助けようとする」 「じゃあどうするんだ」 エンキは私の腕を指して言った。 「肘のあたりに鱗がある。貴様、サーモンスネークの魂を持っているな?」 「え?ああ、これのことか?」 坑道の水辺に現れた怪魚の魂を込められた石を見せる。身につけていると身体が硬化し出血しなくなる代わりに、少し皮膚に鱗が現れるのが難点だが、怪物たちと対峙するときに大いに役立った。 「貸せ、止血に使いたい」 「嫌だ」 「おい!さっきは私を助けようとしていたのではないか?」 「貸した後に返して貰えないと困る。これのおかげで俺も四肢を失わずに済んだし、珍しいから渡したくはない。何か差し出せるものはないか?」 「……何を要求するつもりだ」 とはいえ別に何も欲しいものはない。幼い頃から、獲物をどこまでも追いかける狩人であることと、自分の獲物をなるべく外国人に高く売る商売人であるよう��、周囲から叩き込まれた。仲間には気前よくどんな頼みでも聞き、困ってる人には手を差し伸べるが、いざ取引できそうになると、交渉してしまう癖があった。 「……しばらく一緒に行動しないか」 「それが要求か?」 「そうだ」 「いい、分かった。逃げないから、早く貸してくれ。血が減ってきた」 怪魚の魂を込めた石を受け取ると、包帯を外して腕の傷が塞がったことを確認した。 「これもしばらくつけていろ。体力と気分が落ち着く指輪だ」 革紐に二つの指輪を通したものを、首にかけた服の下にしまっていたが、それを外してエンキにつけた。 「……悪いな」 「今から仲間だからな」 「変な気を起こすなよ」 「冗談じゃない」
俺の格好やムーンレスは人里や街中ではあまりにも目立つ。森の外れ、水辺のあるところで次の目的地が決まるまで、簡単な拠点を作り野宿をすることにした。 彼は魔術を操るようで、俺が魔導書や魔術に関するアーティファクトを要求するならば殺すつもりだったらしい。俺はただ、あの地下牢に閉じ込められた男に復讐を果たすために来たのであって、この地にまつわる伝承や儀式には全く興味関心がないことを聞いて納得したようだった。 「私もあの地下牢には立ち寄ったが、私が到着した時には彼は死んでいた。貴公が殺したのだな」 「いいや、違う」 「ならば、良かった。復讐なんてくだらない」 「黙れ、お前に何がわかる」 「…………」 「いや、すまない」 焚火で木が爆ぜる音だけが響く。不穏な空気に、ムーンレスは悲しそうに鼻を鳴らす。
来る日も来る日も、薪を切り、狩りをして、家を建て、次の目的が思いつくことを待っていた。エンキはだいぶ回復したようだが、片手でできることは限られている。エンキは毎日丸太に座って、地下牢の探索で見つけた本を、何度も読んでいた。 「エンキはこの先どうするんだ」 「私は貴様の次の目的が見つかるまで囚われの身なのでね。貴様が決めなければ私も決まらない」 「そうか」 「私にも、私の帰りを待つ故郷も家族もない」 「そうか」 何かを誤魔化すように、薪を割ることに集中しすぎていたら、数日分もの薪が溜まって、明日の俺の仕事を減らしてしまった。
真夜中に目が冴えて、水を浴びに近くの湖へと訪れた。水面に夜空が映し出され、どこまでが地面で、どこからが水なのか境界は見え辛くなっていた。足元の感覚で境目に屈むと顔を洗う。ふと顔を見上げた時、白い大きな鹿が湖の向こうに立っているのが見えた。なんて大きい、初めて見る美しい鹿を見ていると、引き込まれていった。
ムーンレスの激しく吠える声で、意識を取り戻す。気がつくと腰まで水に浸かっている。動物嫌いなのに、ムーンレスのすぐ隣にはエンキも立っていた。 「何をしている。こんな時間に水遊びするな。死ぬぞ」 エンキが嫌味ったらしく俺を引き留めた。呆けてただけなのに入水しようとしたと思われた気がする。恥ずかしくなって急いで湖から上がった。 濡れてしまった装備を木にかけておいた。まだ夜明けまで時間があり、二人とも眠いだろうに、ムーンレスが口で薪を積んで、そこにエンキが何かをぶつぶつ唱えると薪に火がついた。 「しばらく火にあたれ。地下牢から離れても森は常に人を惑わす存在がいる」 「そのようだな。ありがとう、エンキ、ムーンレス」 火に当たると、他人からの優しさに触れて急に涙が出た。俺の精神が大分だめになっているようだ。 「月だ、月が心を乱しているんだ。だから、早く天井を作ってくれ」
三人で並んで横になっていた。星を見ていると不安な気持ちが募る。まだ眠れなくてエンキに話しかけた。 「あの男が、死んでお終いなんておかしい。きっといつか、再び世界に混乱を引き起こす」 「ラグンヴァルドル」 「俺の考えすぎならいい。だが、あの立方体のために俺の故郷を滅ぼす必要があっただろうか。取引や交渉の場があれば、誰も、何も……」 「休め。今夜は満月だ。狂気に飲まれやすくなっている」 「月は関係ない」 「ああ、そうだ」 「エンキも関係ない」 「それは違う」 「ムーンレスも」 「可哀想なことを言うな」 俺と関係ないことが傷つくのか? ヒルデの歌が聴きたい。ニョルンの寝顔が見たい。ウルドと酒が飲みたい。もう全部できない。二度と幸せは戻らない。かけがえのないものを奪われたのに、復讐することすら失敗した俺なんかと、関係がある人間はどこにもいない。
誰の目から見てもラグンヴァルドルの精神は追い詰められていた。 「貴様は人里の中にいないといけないのに、人を避けて暮らしているせいで気が触れている。私は一人きりの世界にいくらでも過ごせるが、貴様はそうではない」 「…………」 全くもってエンキのいう通りだ。だが、故郷を失い、他の地域でどうやって暮らせばいいのか分からない。 「ロンデンへ行く。ムーンレスは森に残ってもらう」 「森の中でひとりぼっちなんて、ムーンレスが可哀想だ」 「愚か者め、こいつも私と同じだ。一人でも平気だが貴様への好意だけで寄り添っていた」 「えっ」 「何だ、そんなに意外か」 「エンキは俺が好きなのか」 「言葉の綾だ。揚げ足をとるな」
ムーンレスとの別れの挨拶を十分過ぎるほどやった。ムーンレスは俺がいなくても平気かもしれないが、俺は平気じゃない気がしている。森を後にして街に向かってひたすら歩いた。道すがら馬車が見つかって、後ろに乗せてもらった。 3人で過ごした小屋は壊すのが惜しくて残していった。人がいなくなると家は一気に壊れやすくなるので長くは持たないだろうが、かといって自分の手で壊してもいいとは思えなかった。血まみれの故郷が今どうなっているのか考えるとまた目の前が真っ暗になりそうになった。具合の悪そうな俺を見て、エンキは黙ってタバコを手渡してきた。はじめは怪我をして弱っていたのはエンキの方で、俺の方が元気だったのに、今ではすっかり逆転してしまった。
ロンデンに到着すると、エンキの知り合いであるブレア家に世話になることになった。大きな屋敷の中、使用人は俺とエンキを怪訝な顔で出迎える。家主とエンキが話をつけると、馬車で街まで出ることになる。 「仕立て屋に行く。"そんな姿"では目立つからな」 俺の自慢の毛皮はここでは場違いだ。エンキの服も大分周囲から浮いているだろうに。 こんなに大きな男は初めてだと仕立て屋がぼやきながら、身体を紐で測られた。しばらくの間は簡易なローブを借りたが、着慣れない服や靴に戸惑った。
屋敷では毎日講師がついて、ロンデンの貴族のマナーを叩き込まれる。我流で覚えていた言葉も、文法から細かい語彙まで覚えて、さらにテーブルマナーまで教わった。 しばらくすると仕立て屋に頼んでいた服が卸された。エンキは俺の着替え姿を見て鼻で笑った。 「馬子にも衣装だな」 「お前なりの似合っているという意味の言葉だと解釈した」 自分としては何がどう"良い"のかさっぱりわからないが、されるがまま着ていた。全身ぴったりな服は着慣れなくて、エンキのあの薄っぺらいローブが羨ましく感じた。
ほとんど立ったり座ったりしているだけで、身体が鈍りそうだった。 「狩りができないので気がどうかしそうだ」 「キツネ狩りにでも参加したらどうだ」 「キツネなんてわざわざ食べるものじゃない」 「そうだ。遊ぶために狩りをする。キツネは犬に食わせるだけで、人間はそれを馬に乗って追いかけるだけだ」 「なんと……」 「社交界で生きるためだ。参加しろ」 ブレア家の猟犬たちは甘やかされて、獲物を追いかける執念がなく、主人が気軽に肉や残飯をあげ過ぎているので少し太っていた。運動をさせて餌をやり過ぎないように助言し、許可を得て狩りの訓練を重ねた。元々良い血統を持っているようで、少し鍛えただけでみるみるうちに上達し、キツネ狩りでも活躍してくれた。毎日寝そべって、主人が食事を持ってくるのを待つだけのどんよりした目が、森で狩りをしてまた輝きが戻って嬉しく思った。 しかし、犬にとっては刺激的でも、人間にとってキツネ狩りは命や怪我の危険もない、ただの遊戯であった。俺の故郷の狩りは、生きるか死ぬか身体を張って命の糧を得るための重要な仕事であるが、これは全然違う。また昔のような狩りができるのを楽しみにしていたので少し残念であった。
ある日部屋に帰ると、手紙が置いてあった。美しく繊細そうな文字で書かれた恋文のようで、差出人は家主の娘であった。遠回しだが夜の誘いをしている。断るつもりであるが、それにしても何と言って断るか考えるためにエンキに相談することにした。 「ブレアの娘から手紙をもらったんだが、その、彼女は結婚はしているのか」 「してないが、やめとけ。あいつは父親と寝ている」 「侮辱にも程がある」 元から受ける気はないというのに、とんでもないことまで明かされた。 「侮辱も何も、真実だし、お互い同意の上だ。ちなみにお前にロンデンのマナーを指導したあの講師も手を出している。愛嬌に騙されたのなら仕方ない。ただ、お前はもうすこし"マシ"な相手を探した方がいい」 「…………道理に反する」 「何と思おうと厄介になっている身の上であることを忘れるな。正義感など振り翳さないことだ」 「エンキは何とも思わないのか」 「よく考えてみろ。私がその事実を知っているからこそ、私の頼みを断れず、見ず知らずの山男に服を仕立ててマナーを教えて世話を焼いているんだ。今の貴様は彼に感謝こそすれ批判できる立場ではない」 「…………」 「こんなのはお���儀がいい方だ。王族も貴族も聖職者も、もっと堕落し腐敗している。白夜騎士団はそれを正そうとした。しかし、正道では何も変えられず、邪道に手を染め、野望のために貴様の故郷を滅ぼした」 それを聞いて、手のひらに爪が食い込むほど、拳を握りしめた。 「今は何かを変える力がない。仲間もいない。変えたければこの群れの中で強くなることだ。羊の皮を被った狼になれ。獲物を狙う獣のように、最後まで、自分の姿を見せるな」 「やっぱり俺には、やっていけない」 「その気持ちは腹の中にしまっておけ。私も、貴様にここの常識に染まってほしくはない。だからこそ、羊の皮をかぶるんだ。怒りを内に秘めて、貴様の信じる正道を忘れず、牙を隠して笑え。だが、故郷の誇りを忘れるな。群れの掟が気に食わないなら、群れの中で強くなって、群れの親分になって、良い群れと良い掟を作れ」 俺なんかに文句が言える権利はないのはわかっていた。義憤に駆られた無知で田舎者な俺を、エンキはもっと馬鹿にすると思っていたが、意外なほど励まされてしまった。 「お前だけが俺の唯一の味方なんだな」 「馬鹿なことを」 「ああ、俺は馬鹿だ」 そう言って盛大に笑った。
新しい環境に放り込まれて、気疲れが絶えないが、過去を振り返る余裕がない分、森の中にいた時の陰鬱な気分は治っていった。 ブレア家の貴重な収入源である荘園で、ぶどうの出来が悪い土地を、売値は安いが痩せた土地でも育つ野菜に変えて収量をあげたり、野生動物たちを追い払うために猟犬をときどき見回りさせた。犬の訓練が得意なので、狩猟好きな貴族たちのために猟犬の躾や鍛え方も教えた。自分の得意な分野で力を示すことを実践するようにした。 収入が増え、他の貴族たちとの交流が増えると、ブレア家の領主と娘もだんだんと正気を取り戻したようで、領主は後妻を迎え、娘も別の領主の息子と結婚して家を出ていった。 「生まれついてのものではなく、ただ収入の不安を忘れようとしてあんなことをしていただけなんだな」 「それは好意的に考えすぎだろう。まあ、たまたま上手くいったと思うんだな」 禁じられた行為をやめた途端、領主はエンキを邪険にし追い出そうとした。エンキに頼んで、自分たちの快楽のために何やら怪しい呪文を使わせていたのに、都合のいい連中だと思った。 「これが普通の反応だ。私を疎むのが常識で、私を歓迎するのが非常識なんだ。戸口に立ってるだけで不気味がられる」 「誰もお前が幸運を運ぶ妖精なことを知らないなんてもったいない」 「精神をやられて目がおかしくなったようだな」
とはいえ、俺にとって何の縁もゆかりもないブレア家にこれ以上世話になるのは限界だった。ブレア家から独立するために、きつね狩りで懇意になった他の領主や商人たちと出資し海運会社を持つこともで���た。故郷にいた頃では考えられないほど大金が動く大きな取引を、様々な国の人と取り交わすことは刺激的だった。騙されることも、見通しが甘くて大損することもあったが、市場は大きくていくらでも逆転の可能性があり、まだまだ試したいことが沢山ある。
そんな中、近所の森で恐ろしく巨大な獣が、次々に人を襲う話が出てきた。何年も会ってないムーンレスのことではないかという不安がよぎる。討伐のため若い男たちが松明を手に森の中を探索することになって、俺も志願した。 「狩りの名手と名高いラグンヴァルドルがいるのは心強い」 野獣討伐隊の指揮は俺が執り行うことになる。2〜3人1組で行動し、何か見つけたら笛で知らせるように指示した。
どうにかしてムーンレスを見つけたら逃がしてやりたいと思うが、何か心変わりして町の人々を襲う本能が抑えきれなくなったのならば、俺の手でムーンレスを殺そうという覚悟を決めていた。しかし、暗い森の中を歩くと、一時期収まっていた幻覚と絶望が蘇る。 悪夢と現実が渾然一体となり、俺に襲いかかる。 草陰でムーンレスが人間の子供の腸を食いちぎっている。弓を構え、ムーンレスの片目に弓矢を射ると、ムーンレスが人間の姿に変化する。美しい赤毛の美女、ヒルデが、片目を潰されて絶叫した。どこからか飛んできた槍が、彼女の心臓を貫きとどめを刺す。槍の飛んできた方向を見ると、プレートメイルに身を包んだ白馬の男が、甲冑の隙間から覗く鋭い視線で、俺を見下ろしていた。 「白夜騎士団!よくも、よくも!」 甲冑の隙間を縫って目を射抜くと、今度はウルドに変わった。 「ウ、ウルド!」 「ラグンヴァルドル……」 俺の名を呼ぶと、ウルドは死んだ。 森が真っ赤に染まる。炎が全てを焼き尽くす。白銀の甲冑に身を包んだ魔物たちが、剣で俺の家族を切り裂き、槍で仲間を串刺しにし、棍棒で老人の頭を叩き潰し、ナイフで子供達をバラバラにした。
気がつくと、山小屋で目を覚ました。俺が気を失ったのを、討伐隊の仲間が安全そうな小屋に運んでくれたそうだ。
帰ってきても、悪夢のことが頭から離れなかった。 「も、森が恐ろしい。俺はここでの暮らしに慣れすぎて、俺の心から森が伐採されてしまった」 「森がもう嫌いか」 「違う。俺の体は森の生き物でできている。自然の中で力がみなぎっていたが、心は、忌まわしい過去によって怒りと憎しみに染まった。愛と憎悪が綯い交ぜになっている。森に入ると幻覚が見える」 まだ消えない復讐心で、自分が制御できなかった。自分の手で、愛する妻ヒルデと、俺の叔父であり狩の師匠であるウルドを殺してしまった。血に飢えた暴力的な本能を恐れている。 エンキの手が俺の顔を撫でる。 「本当に、もう思い出すだけで辛いなら、記憶から消してやることができる」 「魔法みたい���な」 「みたい、ではない。魔法だ」 片腕がないので、口で革手袋を外すと、エンキは手のひらを俺に差し出した。 「この手に額を置いたら、貴様の記憶から、故郷の惨劇を消し去ってやる」 手首には無数の傷があり、手のひらの真ん中には、杭を打ち込まれたような大きな丸い傷痕がある。じっと見ていると、だんだん吸い込まれるように、顔を近づけていった。 が、俺はエンキの手袋を拾うと、その手にまた嵌め直した。 「お前は言ってくれたな、故郷の誇りを捨てるなと。だから、大丈夫だ」 「……そうか」 「悪いことに使えそうな魔法を知っていたんだな」 「どうする?私と何かした記憶を消されていて、私だけが覚えていて、貴様だけ何も覚えていないことがあったら?」 「何かだって?ハハハ!別に良い。こんなに世話になったからには、俺の心も体も、すべてお前のものだ。お前の好きなようにしろ」
森に関する恐怖と怒りの記憶をかき消すためにウイスキーとタバコを懐に携えた。記憶が蘇りそうな時は酒を煽るか一服することにした。どちらも感覚が鈍るので、獣の気配を見逃しそうになる。だが、仲間と共に獲物を追いかける行動が、一族の記憶と結びつく。 酒を飲みすぎてフラフラしていると、獣の唸り声が近付いていたことに気が付かなかった。恐ろしく大きい。だがその声も、臭いも、姿も、ムーンレスとは異なった。 「よかった」 俺の二回りも大きいグリズリーを目の前にして、安堵してしまった。ムーンレスを殺さないですみそうでほっとした。 弓矢で目を狙おうとするが、酔ってて狙いが定まらない。仲間は驚いて先に弓を射るが、射角が悪く、獣の肉体に深く刺さることができず、逆にこちらの居場所を教えてしまった。逃げる仲間を庇って、鋭い一撃を喰らう。肩から血が吹き出す。逃げろ、みんなを呼べ!と叫ぶと、笛の音が森中に鳴り響く。 自分の血を見て一気に興奮した。酔いは覚めて、肉体は本能的に戦闘状態へと入る。特製の強弓を引くと、目から脳天を貫く。が、グリズリーは片目を潰されて一瞬怯んだが、まだ力強く唸りをあげている。腕に力を入れたことで、傷口から血がさらに吹き出した。痛みは麻痺して感じない。
巨大な上に素早い。森の支配者の堂々たる咆哮に、本能的に自分が無力な生物であることを思い知らされる。攻撃を避けて次のチャンスを待っていたが、太い木の根に躓いて足元を踏み外してしまう。グリズリーは大きな前脚を振り上げる。終わったと思った次の瞬間、黒い影が獣に襲いかかる。 「ムーンレス!」 彼女は鋭い牙でグリズリーの首筋に食らいつく。思わず立ち上がった隙に懐に入り込み、グリズリーの腹に剣を突き刺して引き裂いた。 全てが終わった後に、ようやく仲間たちが辿り着く。 「ラグンヴァルドル!無事か!?」 「こんな巨大な獣を、お前一人でやったのか!?」 「いや、それは……」 「やるじゃないか!」 「英雄だ!」 仲間たちにはグリズリーが転んだ拍子に腹を切り裂いたと��明した。グリズリーの首の後ろには無数の牙が突き刺さった歯形が付いていたが、知らないふりをした。 倒したグリズリーの毛皮をもらえた。部屋に飾ると捨てさろうとした故郷の風習が戻ったみたいで、嬉しい気分の中に、森の中で感じた絶望が一滴おとされる。エンキは獣の死骸を壁に飾るなんて悪趣味だと言ったが、誰のだか分からない人骨を壁や棚に飾る人間に言われる筋合いはない。
グリズリーの貴重な生肝を持つと、森に向かって叫ぶ。 「ムーンレス、助けてくれてありがとう!これはお前の取り分だ!」 草陰にむかって生肝を放り投げた後、何かがさっと通り過ぎる音がして、彼女の遠吠えが聞こえた。
一度は持ち直したのに、獣を討伐した英雄として、今後の領地開発のために森の開拓メンバーに選ばれたが、森に足を運ぶ頻度が増えると、だんだんとまた悲しみを消すために酒やアヘンに溺れた。 熊の毛皮が俺自身の無惨な姿にも見えてきた。山で生きればよかったのに、人里に降りてきて、まんまと退治されてしまった姿が、ロンデンで今調子のいい俺が、現実に打ちのめされている姿と重なる。俺は生まれ変わりたい。なのに、心の奥の獣は、生まれ変わった後の、今の俺を食い殺そうとする。
エンキはブレア家を後にしてからも同じ家で暮らしている。とはいえ、今も昔も相変わらず朝は起きずに昼過ぎまで寝てばかりいたが、最近は夜中に研究だと言ってどこかに出かけていくようになった。以前やっていたロンデンの図書館の司書に復帰しているようで、たまに泊まり込みになって帰ってこないことも増えてきた。図書館に夜中の仕事があるのか俺にはわからないが、エンキは俺の仕事に首を突っ込まないでいてくれるように、俺もエンキの仕事について詮索するつもりにはなれなかった。ただ、生活する時間帯が真逆なのですれ違うことが増えている。それでも週に何度かは食事を共にしている。
だんだん社会復帰していくエンキと反対に、俺の生活はどんどん爛れていく。見かねた闇の司祭から健康的じゃないと言われた。 「よりにもよって一番不健康そうなお前に言われちゃおしまいだな」 「ふざけている場合ではない」 「別にふざけてもいいだろう。仕事も、少しばかり休むことにした」 「ちょうどいい。貴様を連れ出す手間が省けた」 「え?」
エンキと共に船旅に出る。出航時はよく晴れていたが、沖に出ると潮風は容赦なく帆を叩きつけ、波が荒れていた。だが、ベテランの船長が巧みに船を操作し、懐かしの故郷へと向かう。悲しみから逃げ続けて我武者羅に働いていたせいで、気がつけば5年もの歳月が流れていた。
壊された家の壁や床にはまだ血痕が残っている。野生動物に荒らされた痕跡はともかく、白夜騎士団の襲撃の後に、また別の人間によって家捜しされた後もあった。家具や絨毯はほとんど無くなっており、わずかに残された遺体でさえ、装飾品や��目のものは残らず取られ、服を着ているのは小さな子供の骨くらいだった。命だけでなく尊厳も遺品も奪われたことに言葉を失いそうになった。 何度も吐いて、泣いて、叫んで、湧き上がる怒りを地面やその辺の木にぶつけた。だが、変わり果てた姿は、幻覚で見たそれに比べればましで、現実という風が、一番残酷な瞬間を灰にしてしまった後だった。 どうやっても取り戻せないものが多すぎることを思い知らされる。一人ではどうにもできないものの大きさを知って、もう一人でなんとかしようとするのをやめようと思った。 「村のものを埋葬する」 「手伝わないぞ」 「じゃあ応援してくれ」 村人全員分の遺骨や遺品を探し出し、見つからなければ森の奥まで分け入って探しに行った。野宿しながら数日かけて捜索を続け、近くの森に立つ最も大きな唐檜のそばに、みんなを埋めた。 「私は闇の司祭だが、普通の司祭と違ってどんな神にも祈れる。貴様の神は何だ」 「オールマー信仰も、それ以外の"よその神"への信仰もない。我々は自然そのものを信仰している。みんなが先祖と同じ楽園にたどり着いて、再び自然の一部になることを祈ってほしい」 「分かった」 エンキは手を組んで、目を伏せる。人々の闇を暴き、より深い闇へと引き摺り落としてきた闇の司祭が、ただ一人の人間として、俺の一族の魂が安らかに眠ることを祈ってくれた。
お供えものとして、立派な鹿を取り、捧げた後に焼いていた。この地での最後の食事を終えると、エンキは言った。 「もうすぐ旅に出る。何だかんだで長い付き合いになったな」 「どこへ行くんだ」 「私の知らないものがある場所。東方、あるいは、もっと遠い場所へ」 「そうか。寂しくなる」 天へと続く、鎮魂の狼煙を見上げる。愛した人はみんな遠いところへ行ってしまう。村のみんなも、ムーンレスも、エンキも。 「お前には、数えきれないほど世話になった。どうしてこんなに、と聞いたらいなくなる気がしてずっと聞けなかった。だが、今聞いてもいいか」 「……本の続きが読みたかった。ラグンヴァルドルという男が、ほんの些細な、ありふれた��望に敗北して堕落した廃人になったら面白くない。私はラグンヴァルドルという男の物語が続く方向に誘導した」 「期待通りの展開か」 「おおむねは」 「期待を越えられなかったのが残念だ」 「私の反応を気にされたら興醒めだ。貴様の気にすることではない」 「復讐が下らないと言ったのは、ロンデンで立身出世し、正しいやり方で世界を変えることが本当の復讐だからか」 「は?何の話だ」 「違うのか」 「貴様は知らんだろうが、レガルドや白夜騎士団は、当時ロンデンに住んでいた私に言わせれば、あんな山賊崩れの傭兵団を世界の救世主だと信じて支持していたのはごく少数派だ。一部の司教や貴族が囃し立てていたにすぎない。大抵の人間は、何���知らない若者が周囲の老獪におだてられたせいで何かを勘違いして、世界を革命すると息巻いていたのを冷ややかな目線で見ていたし、挙句に地下牢行きとなったことも当然の結果と感じていた。特に貴様の故郷を殲滅したことについては、誰の目から見ても意味のない虐殺で非常に反感を抱いていた。分かるか、ロンデンの民衆はお前の味方だったんだ」 「…………」 「元から支持者は少ないのに敵だけは多い。こんな下らない連中のために、復讐ばかり考えていたら自分の人生を見失う。そんな心底くだらないことを私のラグンヴァルドルにやってほしくはない。もう白夜騎士団なんて考える時間すら無駄だ。貴様にはもっと貴様にしかできないことがある」 「勝手な主張すぎる」 「ああ、自分勝手なことを言っている。貴様は私のものらしいから私が面白いと思う人間にしたって悪くないだろう」 「まあそうだ」 日がくれて夜空いっぱいに星が輝く。月のことはもう気にならなくなった。これから何かが起こっても、エンキが読んでる本の中にいると思えたなら、孤独も感じなくなるだろう。
里帰りから戻ると、まもなく旅に出発するエンキを港まで見送る。俺の知り合いにインデスへ向かう商工会の船があり、船に乗せてもらうことができた。 「陸路も考えたが船が出るならありがたい」 「いつでも、ロンデンに戻ってくることがあれば歓迎する。助けが必要ならば何でもやろう」 「ひとつ欲しいものが」 「なんだ」 「一束、髪をくれ」 「髪でいいのか、腕でも片目でもあげるぞ」 「いらない。別に魔術に使うものではなく、ただ思い出にするだけだ」 欲しい分だけ髪を摘んでもらうと、毛束をナイフで切って、散らばらないように編んで渡す。 「俺もお前の髪が欲しい」 「……いいだろう」 エンキの首の後ろの目立たないところから、一束髪の毛を切り取った。 「元から私がいなくても、貴様はこれくらい一人でできたんだ。私はただ貴様の大きな影に腰掛けていただけだが、悪くなかったと言っておこう」 「謙遜するな。今の俺にとって、お前が一番の親友であり家族だ」 エンキは最初に出会ったときに渡した怪魚の魂と、回復の指輪を返してきた。 「長いこと借りていたな」 「別に返す必要ないのに」 「あの地下牢の思い出だろう。取っておいて、子供にお守りとして受け継いでいけ。あの地獄から生きて持ち帰れた戦利品は貴重だ」 「そう言うなら」 船の汽笛が鳴る。そろそろ出発するようだ。 「ムーンレスにもたまには会え」 「彼女が暮らせるような土地を持って、お前の帰りを待つよ」 「そうか、少し遅くなるので食事は先に済ませてくれ。では」 貿易船に帆が張られ、船が出航した。
水平線の向こうに船が消えるまで、手を振った。
2 notes · View notes
chaukachawan · 7 months ago
Text
【世代交代】カーナビに「ドラックストアのある交差点を左」って言われた際、目の前にドラッグストアが3店舗見えていた私が、それでもサッポロポテトを選ぶ理由.zip
(PS:下の方にビアゲの役者紹介があります)
 西南図書館24周年、おめでとうございます。私は「『いきのこり⚫︎ぼくら』にのせて懐かしいものを紹介しているだけのYouTube shorts 撲滅委員会」で会計をしている、近未来ミイラです。最近こういう動画を目にする機会減ってきたでしょう?あれ、私たちのおかげなんですよ。感謝してくださいね。そして皆さんはくれぐれも過去に囚われて、旅行先にLと書かれたコンタクトレンズだけを持ってくるような真似はしないように気をつけてください。この世にはRも必要です。私は本気です。やってやんよ。
さて、仕事の引き継ぎと通信速度ははやい方がいいだなんて言いますが、ちゃうかで引き継ぐべきものは仕事だけではありません。解散の挨拶、ケミの折り方、大集会室に見回りが来るのが20:00頃と22:00頃だという研究結果。まぁ色々ありますが、中でも私が引き継がねばならないと考えているのが、かの有名な天照大神の自宅に併設されたクラブハウスでDJをした経験があるという、NASUKA A.K.A. たぴおか太郎 さんによるtumblerなのです。
私は、たぴおかDJアゲ太郎が引退する前に、何とかしてこれを継ぎたい。習うより慣れよ。私は早速たぴおか太郎になりきることにしたのでした。
しかし、桃色サンゴへの道はそう容易いものではないということくらい容易く想像できます。このままでは私がなすかさんの文体の全体を会得するより前に、先輩が引退してしまいます。
先輩の稽古日誌を観察していたら、とりあえずちゃんと稽古日誌としての役目は果たしていたので、一旦そのパートやります。でも稽古してないのでただの日誌です。
⭐️間接照明って名前ダサくないか?稽古日誌
コンクリートと殴り合い(敗北)
タンバリンに鉛筆で落書き(怒られた)
海老の小道具の精度に脱帽(すごい)
はらぺこあおむしを逆から読む(退化)
たなからバター餅(略してたなばた)
ピコ太郎の再燃(アツい)
おせち料理を意地でも漢字で書く(御節)
蚊が何故かまだ猛威をふるっている(許せん)
⭐️直接照明とは言わないのにね〜〜〜
ここまで書いて私は思ったわけです。いやたぴおか太郎難しすぎんか???
もう諦めようかな……。
???「君には失望したよ……」
はっ!?その声はっ!?!?
???「どうも、愛称として後ろに『ぴ』をつけられることもある、秋公演の舞台上でも大活躍した、あのお菓子です」
ま、まさかお前はっ!!!イモケン!?!?
Tumblr media
いや犬けんぴかよ!!!!!
犬ケンってもうこれ犬×2じゃねぇか。
犬「難しいということだけを理由に書かないというのは、それはただ諦めていることに等しごほっ!おっ」
あ、犬ケンピが喉に刺さってる
開いている記事のセキュリティ証明書に問題があります。
エラー吐いちゃったよ。��ず犬ケンピ吐かないと。
この記事の閲覧を続けますか?
      はい わからない いいえ
 多分そう部分的にそう 多分違うそうでもない
いや選択肢アキネイター!!!
犬「なんか、もうネタ切れ感あるし、やめるわ」
あぁ飽きネイターだった。
……ということで、
【結論】たぴおか太郎はたぴおか太郎にしかできない
ところで、本当に何も用がないのにtumblerを荒らすのもマズイと思ったので、この場をお借りしてビアゲの役者紹介をします。やってたことはしおりと同じです。この人を主役にするなら、こんなタイトルこんな劇。
以下本チラ掲載順。兼役の2人は省略しています。ごめんね。
東愛莉
『東博士の自由研究所』
使い捨てカイロをたくさん繋げて、使い捨てホットカーペットにしたり。香水を鍋で茹でて香湯にしたり。裏起毛の服をひっくり返して着て表起毛にしたり。東博士の自由研究は、今日も失敗続き。意味のないように思えるその研究内容に、周りは呆れて、中にはバカにする者も。しかし東博士は、そんなことお構いなしに、日々楽しそうに研究を続けているのである。そんな研究所にやってきた一人の青年。どうやら人生がつまらないらしい。そんな彼を見た東博士はこう言う。「ちょうどよかった!今ね、ちゃんこ鍋を作っている蓋の上でトントン相撲をする研究をしたかったけど、人手が足りなかったの。ちょっと手伝ってよ!」
辛い過去がありつつも、今をとにかく楽しく生きると決めた東博士から、元気をもらうことができる公演になると思います。
大良ルナ
『心外、しかし純愛。』
「運命は、自分で掴みに行くものよ。」占い師のその言葉を鵜呑みにした少女は、自らの手で運命の人を掴みに行くことにした。しかし、容姿を見て選り好んでしまうと、それは運命でもなんでもない。そこで彼女は思いついた。人気の多い公園で目を瞑り、手を広げながらふらふらと歩き、一番最初にぶつかった人を抱きしめよう。その人を運命の人にしよう。早速実践。視界が真っ暗になってから2分ほど経った時、ドンと胸元を突く感覚。これはと思って抱きしめようとすると、それは思っていたよりも小さかった。胸元から聞こえる声。「くるっぽー。」いや鳩じゃん。これじゃ運命の鳩じゃん。人外は流石になぁ……。いやでも、このクリっとした瞳に綺麗な毛並み。正直、割とアリ。
鳩とのハートフルラブコメです。私にはハッとする衝撃の展開が広がるピジョンが見えています。
『教室における感慨と、その二面性についての考察』
7月某日。俺のクラスに転校生がやってきた。15人。もともと3人しかいなかった俺のクラスに、転校生がやってきた。15人。なんでも、近くの村にあった高校のすぐ近くで土砂崩れが起きて、校舎が倒壊したらしい。15人はそこから一番近いところにあった、船で30分の小さな島にあるこの高校に通う羽目になったそうだ。かわいそうに。転校生15人は、その慣れない環境に緊張……するはずもなかった。昨日までの穏やかな生活が嘘のように、喧騒に包まれた教室。俺の教室を、俺の居場所を、返してくれないか……?
教室では静かであるべきか、にぎやかであるべきか。それともにぎやかな教室を静かに眺めているべきか。
うみつき
『髪と縁』
またフラれた。これで何回目なんだろう。付き合ってみるたびに、「なんか思ってたのと違うわ」って言われる。いやいや、思ってたのと違うところを受け入れられるのが「好き」ってもんじゃないの?いや、愚痴なんか言っててもしょうがないけどさ。私は失恋した時、必ず髪を切ると決めている。他人の。普段は別の仕事をしているけど、フラれた次の日は実家の美容院の手伝いをする。別にこの仕事が好きってわけじゃないけど。自分以外の誰かのためにハサミを持つのが、なんか落ち着くというか。
その日店にやってきたのは、私をフった男だった。殺してやろうかな、これで。
統括のフォーニャー
『liebrary』
「はい。どうされましたか?看板?あぁいえ、これであってますよ。この図書館に置いてある本は、全部嘘なんです。この世界で生まれたすべての嘘が、ここに集められるんです。ですから、あなたがついた嘘もあれば、あなたがつかれた嘘もありますよ。あ、面白いですか。それはそれは、ありがとうございます。はい。またぜひどうぞ」そうして客を見送った女は、ついさっき新しく生まれた本を手に取る。「そっか、面白くないか」
嘘が分かるということは、本当が分かるということ。そこに計り知れぬ苦悩があるということは、嘘じゃない。
緒田舞里
『0で割るということ』
よっ。元気?こっちは元気だよ。ちゃんとご飯も食べてるし。大丈夫。……仕事?あぁ、うん。楽しいよ、ちゃんと。あぁ、ほら、最近さ、ちょうどクリスマスに向けての準備とか始まっててさ、この時期って夜にパフォーマンスの練習入ったりするじゃん?それがちょっと大変ってだけ。でも、私ってそういうの好き、だしさ。多分。あ、ごめんね、こっちばっかり話して。そっちはどう?……なんてね。
二宮はそう独り言を呟きながら、右側に供えた花のバランスを整えた。
『ニッポンのこれから審議会』
説明しよう!ニッポンのこれから審議会とは、ニッポンのこれからについて審議する会のことである!発足後初の会議となる今回の議題は、「ニッポンにとって不要なモノ」 つまりはニッポンが削るべき要素を洗いざらい洗い出すということになる!年賀��?節分??お盆???ニッポンには今や企業が儲かることしか考えていないような形骸化した文化が山ほどあるではないか!いつまでこんなの残してるんだ!消せ!!しかし、そんな議論の流れに静かに異議を唱える男がいた……。
だんだんとアツくなっていくぶらんの演技にご注目ください。
岡崎仁美
『カヌレ』
おかしい。利用客が減少の一途を辿る小さな駅構内にある、小さなケーキ屋さん。今までいろんなケーキを売っていたのに。今ではショーケースの中は、一面濃い茶色。カヌレしか売っていないじゃないか。奇妙な品揃えを覗いていたら、店の奥から出てきた女性店員に話しかけられた。「こんにちは!カヌレはいかがですか!?」
コイツはカヌレしか食わない。コイツはカヌレしか売らない。利用客が減り、カヌレが増える。これは一体何を意味しているのか。新感覚カヌレホラー公演。逃げろ。
雨々単元気
『にじいろアジト』
大阪の南の北の方。そのさびれた倉庫では、夜な夜な5人の学生が身を寄せ合っていた。各々の事情により、学校に通うことを諦めている彼らには、共通する一つの目的があった。「この世には、やけに綺麗な虹ってもんがあるらしい。それが見たい。」
セカイ系のお話にしたいです。彼らが虹を見たことが無いのは、彼らが昼間に外に出ないからではなく、地球外生命体が地球を黒い幕で覆い隠して、宇宙から隠蔽しようとしているからなんですね。まさに黒幕。まぁ確かに地球ってずいぶん異質な惑星ですし、宇宙にとっては無い方が都合がいいのかも知れません。ちなみにこの公演の愛称は「ニジアジ」。
舞原の絞り滓
『大器晩声』
ある公園で開催された大声大会。その喧騒に怒り、近所に住むおじさんが怒鳴り込んで来た。……いやコイツが優勝じゃんか。(『大声大会』) 「あの、すみません。キッズメニューの裏の間違い探しってなくなったんですか?」「はい。その代わりといってはなんですが、この店の中には、既に10個の間違いがございます」(『間違いなく間違い』) 訪問販売で契約したタイムマシンがパチモンだった。「夕仏マシン」だった。時間は夕方限定、場所は仏や大仏の目の前にしかいけないらしい。……じゃあ、修学旅行のあの日を、もう一度だけ。(『驚麗』)
などなど、全7編のショートストーリーからなるオムニバス公演。そのうちいくつかは、まほろさんに演出してもらいたいです。
じゃがりーた三世
『何点かお伝えしたいことがございます』
ある山奥の宿泊施設で、人が死んだ。死体の様子から見るに、他殺であることは間違いなさそうだ。この施設から人が出入りした形跡も無いため、ここにいる6人のうちの誰かが、コイツを殺した。「とりあえず電話で警察を呼ばないか!?」そう言い出した男に対して、周りは呼びかけた。「忘れたのかお前!この施設では、携帯電話などの音や光の出る機器類は、必ず電源から切らないといけないじゃないか!」……じゃあ、このカメラで証拠の写真を、いや、許可のない撮影録音は禁止か。……もうこんなところにいられるか!俺は抜けさせてもらうぞ!え?途中休憩はございません?そんなことしらねぇよ!俺は出ていくからな!?……係の者がいないから、出られない。
前説で語られたルールが、全て適応されている空間で起こる推理合戦。ところで、上演時間は60分ということは、それってつまり……
オーム
『非常に新車』
とある交差点で車両同士の接触事故が起きた。畜生、この後���スコミに向けたプレゼンがあるってのに、どうしてこんなときに……。
仕方なく車の外へ出ると、相手の運転手は私の顔を見るなりこう言った。「あれ、ZESSANの岩本社長ですよね!?え、すご!私ずっとZESSANのクルマのファンなんですよ!今日もほら、先日発売されたばっかりのやつ乗ってるんです!すごいっすよねこれ、自動運転機能も充実してて!ハンドルから手離してても余裕で運転できてましたもん、さっきまで」
絶対にバレてはいけない事故。どうにかマルク収めなければ。
テキストを入力
『いまどうしてる?』
背が高いその男は、公園のど真ん中にある、さらに背の高い街頭の下に立っている。その公園にやってくる人は皆、紙にデカデカと自分の近況を書き、背の高い男に渡していく。男はその紙を体のいたるところに貼り付けて、ただずっとその場に立ち続ける。公園には、ただ人が書いた紙を見にくるだけの人もいれば、紙越しに喧嘩をしている人もいる。背の高い男はそれを見て、何を思うのか。
キャスパ曲というか、エンディング曲には、ゲスの極み乙女の「灰になるまで」を使いたいです。(ツイ)廃ではないです。
縦縞コリー
『優しすぎた男』
理不尽に呑まれ、後悔に苛まれ、そんな優しさが誉。しかし彼は優しすぎた。完成間近のレポートのデータを友人に消されても怒れないし、飲み会の参加費を1人だけ二重に請求されていることに気がついても指摘できない。いや、それは優しさというか、弱さなのではないか……?
キャスパには、トリプルファイヤーというバンドの「次やったら殴る」という曲を使います。舞台上でふにゃふにゃしたこりちゃんを観ましょう。
大福小餅
『a hole new world』
ざく。ざく。まだ掘った方がいいかな。ざく。ざく。もうちょっと深い方がいいかな。ざく。ざく。ま、こんなもんか。よし。……あれ、これ私が穴の中入っちゃったら、誰が私を埋めるんだ?あ、ちょうどいいところに人が。すみませーん、私を埋めてくれませんか?
埋まりたい人と通りすがりの人の二人芝居。普段あんまりネガティブなことを言っているイメージがないこふくが、ものすごくブルーな気持ちの役をやっているのを観たい。
叶イブ
『世迷言病』
「こんにちは」「あ゛ぁ゛!?こんにちは!!」「えっと、今日はどこが悪くていらしたんですか?」「見りゃ分かるだろ!!口だよ!!」「……口?何か口内炎みたいなできものがありますか?それとも痛みが」「ちげぇよバカ医者がよ!!そのまんまの意味だっつーの!!先週末くらいから口が悪くなってんの!!」
「よまいごとやまい」と読みます。高圧的なキャラ、似合う気がします。病が完治した後とのギャップがメロい。多分。
はぜちかきつ
『喫茶・愛のペガサス』
「本格中華やめました」 亡き父親が経営していた喫茶店をいやいや継ぐことになった男は、とりあえず中華料理の販売を停止した。どうせなら店の名前も自分好みに変えたかったけど、常連の客からの反対の声も大きく、仕方なくこのままにしている。そもそも駅から少し離れていて、人が多くないような街の喫茶店なので、お客さんのイリはまばら。まぁ、ワンオペでも全然回るし、むしろ空きの時間で趣味の小説を書けているくらいだから、これはこれでいい生き方なのかもしれない。……その日、見慣れない客がやってきた。オーバーサイズの服を着た、ショートカットの女の子。
優しくて大きい(器が、という意味)ハゼは、喫茶店オーナーとか似合いそうです。
2 notes · View notes
bit-413 · 11 months ago
Text
【概念】曲(歌詞)ちまちまついか
⚠原曲の意図とは関係ないただの幻覚とこじつけ。 YouTubeリストコメント欄にはりつけ
youtube
look at the sea-おいしくるメロンパン 様
汚れないで(🐾俺はずっときれいなあなたを見ているよ) 触らないで(🐾誰もはるを、僕のオアシスを汚さないで) 死ぬまで知らずにいようよ(🐾俺のホントウを知らないでいてね) 求めないで(🌸ホントウに気が付かないで) 目を塞いで(🌸何も見なくていいから) 気付かないふりでも良いよ(🌸あなたが幸せならその夢から冷めなくても良いよ) 恐れないで(🌸) 変わらないで(🐾おいて逝かないで) 世界に二人でいいよ(🌸🐾) 手を繋いで離さないで(🐾) 醒めないでいてね(🌸)
youtube
再生-ピコン 様
(7割位待ち続けるはる視点)
君と笑ってたこと独り思い出した 何故か感情がただ騒ぎ続けていた
これでよかったのか?どこで間違えた? この胸の熱が冷めないのは何故?
浅い悪夢なら全て許せたのに さらりさらり落ちてく何もかもが全て
何故か寂しくなる
枯れた心のまま味のしないままで 慣れた日々の中で明日もこのままかな
これでよかったのか?どこで間違えた? やり直せるなら何になれるかな?
浅い夢から零れ落ちた言葉 遠い遠い昔に今も戻れるかな
浅い夢から覚めてしまえたのに さらりさらり落ちてく何故か寂しくなる
浅い夢から零れ落ちた涙 遠い遠い昔に今も戻れるなら
youtube
眼福-米津玄師 様
(全部引用したいくらい。でもこことくにやばい)
きっとあなたと私はいつまでも一緒にいられない 何か食べようか ここで話をしようか 「そんじゃまたね 明日ね」 そんな風に今日を終え���も 明日なんて見たこともないのにさ ―――――― こうしてひっそりと時が進むまま死ねたら僥倖さ ―――――― 「きっと二人は 大丈夫さ」子供みたいに笑う その鼻先が頬を突いて笑う 言葉を捨ててまた笑う
youtube
ナイトルール-煮ル果実 様
(音が、錯綜する感情と彷徨い漂う足音と心音のようで)
意味がないな きりがないな とってつけたような態度 逃げてたいな 好かれたいな 芝居めいたようにSmile(ここまでがはるすぎる) ―――――― 寂びた雑踏 溺れまいと 藻掻く僕たちを食む ―――――― アスレチックに飛び乗って 君は舞った 君は舞った 棄てられたライト身に纏って 君は舞った 僕は観てた 廃れたモールに忍び込んで 朝を待った 踊る君が眩しくて もう日はいらないって 僕は思った 君は泣いた 夜が去った(みゃにとってのはる……) ―――――― すべて始まって終わったあの日の言葉の列を 何故僕は繰り返し 再生してるんだろう(←泣いちゃうが?)
ずっとこの世界で (君を待った 君を待った) 僕はずっとこの世界で (君を待った でも駄目だった) 今わかったよ 否わかってた 醒めるしかないんだよな 僕はずっと明けない夜に縛られてた (↑はるもみゃこもそれぞれの形であの日々に囚われているし、取り戻せたら良いなと願っていて、結果的にはるもみゃこもは現実からある意味目をそらして、みゃこは一生懸命現実を自分なりに咀嚼している、それぞれの視点、それぞれの次元でお互いを待っている。) ―――――― 君が去って 僕が去って 夜が去って すべて去って ただ笑って 「さよなら」って 僕は言って 目を醒まして
朝になった
真生活-案山子 様
(みゃを中心に感じる) 朧げな夜に 一滴の血を流す理由もなく餓える私 明日になれば全部 泡沫にチェンジおやすみを唱えた ―――――― ねえ ねえ 目を合わせてよ(ここから) 雨の中 濡れた肩二人だけのspaceで 虚ろだって分かっているから(ここまではるの声とも取れる) 朝が来るまで待っててください ―――――― 蕩けた脳に問いかけた愛  もう会えないなんて言わないで(ミャ……) ―――――― 虚ろだって 分かってるから夜が明けるまで此処に居させて
youtube
ずうっといっしょ-キタニタツヤ 様
沈殿した思い出でずうっといっしょ!🌸🐾 (以下みゃこ) 参観日にだって誰からも見られていない気がしたんだ 散々シニカって昼の街に期待しないようにしたんだ そうやって守った孤独さえめちゃくちゃになった あたしいつだって死にたくて仕方ない こんな顔だいじにしたいと思えないもん 共に過ごした日々が ささやかな幸せが かけがえのないトラウマになってたらいいな はなればなれなんて誰かが吐かせたバグだよね?🌸 あなたの一生の後悔として添い遂げるよ🌸 Q. 大切なものって、なあに?🌸 A. 今失くしたそれ(=はる)🐾 あたしと間違いを犯しちゃったんだ🌸 取り返しがつかないね🌸 健やかなるときも病める時も🌸🐾 グロい履歴の中でずうっといっしょ!🐾(状況的にはみゃだけれども ―――――― (以下はる) あなたの一生の後悔として添い遂げるよ 外れなくなってしまった指輪みたいに 何度もずっとフラッシュバックしている、最低だよ 一緒に居た時の方があたし可愛かったなあ(みゃをまっている間にならざるものにかたちが変わってしまったから)
youtube
下手な嘘をつかないで-ive Official 様
解けない呪いに生かされている 僕の世界はあなたのものだよ 囚われている 記憶 思考を(ふたりとも形は違えど記憶の光に縋っている) −−−−−− まるでこの世の哀 悲壮を 全て受け止めたような瞳(みゃの瞳) 溢れて落ちるくらいなら 僕が支えてあげましょう 死体になった汚い君すら愛おしい (みゃはきっと拒むけれどこんどははるが支える側であらせてくれと言う。せめてその声が届くなら) −−−−−− 吊られたままの 躰を下ろし 僕は進もう 修羅の道へと (どんなに痛くても苦しくてもみゃをまちつづける) 腐敗している 脳は 四肢は 支配欲に溺れた罰か −−−−−− さみしい人に ならないように 君を殺して 僕もそこへ
youtube
宇宙の季節-ぬゆり 様
2 notes · View notes
kennak · 1 year ago
Quote
私は外科医です。 私は医学部と厳しい外科訓練を経たので、回復力があり、うまく適応していると思いたいです。 私は医師になって13年になりますが、その期間の多くは、可能な限り優れた外科医になるための訓練に費やされてきました。 私には素晴らしい家族のサポートがあり、私の仕事を理解してくれる医師の妻がいます。そして私は精神疾患と診断されたことはありません。 ブリスベンの胃腸科医アンドリュー・ブライアント医師が先週自殺したことは、生々しい神経を直撃した。 彼の妻はこの正直で勇気ある手紙を書きました。 抱いたことはありませんが 私は深刻な自殺願望を 、他の多くの医師と同様に、暗い時期を何度も経験してきました。 うつ病、不安、燃え尽き症候群、自殺願望、絶望、無気力、無快感、気分の落ち込み、心配などはすべて、同じ現象、つまり内的または外的ストレス要因に対する人間の否定的な反応の異なる性質です。 もちろん、原因は常に複合的です。 家族歴、遺伝、行動の欠陥、劣悪な環境、不十分な社会的サポートなどに単純化しすぎてはいけませんし、そうすべきでもありません。 を注意深く分析すると 自分の暗い季節 、いくつかの共通のテーマが浮かび上がってくることがよくあります。 このような暗い時代においては、仕事が状況を悪化させ、永続させる重要な要因となることがよくあります。 外科医として、私は生涯の大部分を仕事に費やしているため、そこで何が起こるかは、結婚、家族、社会生活を含む私の人生の他のすべての側面に影響を与えます。 私を絶望の暗い穴に放り込んだ共通の事柄が 3 つあります。 1. コントロールの喪失 私は日々のコントロールを失ってしまいました。 私は病院で働いていましたが、14 日中 12 日は 24 時間年中無休でオンコールがあり、隔週の週末が休みでした。 外科試験の準備をしていたとき、私は毎日午前6時半から午後10時まで仕事と勉強をし、家族に会えるのは週末の昼食時だけでした。 私は 4 つのキャンパスをカバーする病院ネットワークで働いており、これらの現場を取材する際には週に 500 キロメートルを運転していました。 私は病院で働いていましたが、何日も家に帰れず、病棟や外来診療所のベンチ、車の中で一晩寝ていました。 、洗面用具、着替えを車のトランクに入れていました 私は寝袋 夜も家に帰れるかどうか分からなかったので、 。 緊急事態のため、職場では毎日計画が変更されます。 オンコール中は次の 1 時間がどうなるかさえわかりません。 なぜ仕事を減らすことができないのかと疑問に思うかもしれません。 そんなに簡単なことではありません。 私が仕事を減らすことにした場合、病院の費用は誰が負担するのでしょうか? 病院が他の医師を雇用していないのであれば、患者を野放しにするわけにはいきません。 私は待機する注意義務があるという事実を受け入れます。 このようなオンコール期間の激しさと人的被害は忘れられがちです。 それだけではなく、私たちは医療全般の��ントロールを失いつつあります。 毎日、新しいフォーム、新しいガイドライン、新しいプロトコル、新しい医療ソフトウェア、新しいポリシーが登場し、すべて臨床医の活動を指示、制限、変更します。 これらのポリシーの中には、患者を診察していない人々によって書かれたものもあります。 コストを削減し、生産量を増やすために、医師や看護師の業務を再構築することに専念している有給業界全体が存在します。 2. サポートの喪失。 ただ想像します。 私の一日は朝6時に始まります。 朝起きると、完了していない退院サマリーの数と、完了しなければならないさまざまなコンピューターベースのモジュール (手洗い、プライバシー、患者の昇降など) を知らせる電子メールが届いていました。 ラウンドは午前7時に始まります。 記入が必要なさまざまな旅行書類、証明書、台本を持った 15 ~ 20 人の患者を診ています。 すべて電子医療システム経由で行う必要があり、使いにくく、ユーザーフレンドリーではなく、ログインに時間がかかります。その後、午前 8 時にオーバーブッキングされた手術リストを開始します。 7件の予約が入っています。 誰が手術リストに載るか、患者の順番については私には何も言えません。 最初の患者はまだ診察を受けていない。糖尿病患者は低血糖症だ。 幼児は機嫌が悪い。 自閉症の子供が逃げています。 通訳はまだ来ていません。 コンピュータはまだログインしていません。パスワードの有効期限が切れています。 一部の操作は他の操作よりも時間がかかることがわかっていたので、以前は操作リストを整理することができました。 しかし現在、予約オフィスは私の扁桃摘出手術にはすべて 14 分かかると判断しています。これはコンピューターに記録されている平均時間だからです。 スクラブした瞬間にタイマーがスタートします。 スクラブを外した瞬間にタイマーが停止します。 クリック。 クリック。 クリック。 劇場の予約には通訳の時間、治療前の期間、ICUへの転送が考慮されていないため、リストは遅れています。 担当の看護師は時間通りに終わるように私の首に息を吹きかけてくれています。 私は依然として各症例に約 14 分かかりましたが、チームは外部の臨床的理由により遅れています。 演劇チームは終わらせることに熱心で、すべてが急いでおり、間違いは必ず起こります。 その間、私は救急病院、一般医、その他の部隊からの 12 件の電話に対応しています。 現在までに 3 人の患者が救急病院で私を待っており、1 人は別の病院から飛行機で運ばれてきました。 運行リストの完成が遅れています。 私は急いでEDに行き、 インスタントコーヒーを 飲み干した。 それから午後の診療所に遅く到着しましたが、ここも予約がいっぱいでした。 クリニックの看護師たちは満足していません。 さらに多くの電話を受けながら、8〜10人の患者を診察しています。 私は複雑な手術について患者と話し合おうとしていますが、電話や事務手続きによって中断されてしまいます。 それから緊急事態に備えて劇場に戻ります。 この時点で私は失敗する準備ができています。 私は疲れていて、機嫌が悪くなり、頭はやるべき仕事でいっぱいです。 私は午後の回診をし、より多くの診察を受け、より多くの患者を受け入れ、手紙の口述筆記をします。 24 時間の通話期間中に最大 70 件の電話を受けました。 午後6時までに完全に疲れ果てました。 私はポテトチップスのパケットとジンジャービールを手に取り、書くはずだった書類に取り組み始めました。 今後数日間、事件のメモを見直します。 午後7時から8時の間に帰宅します。 夕食を食べて、子供たちを寝かしつけます。 再び呼び出され、緊急処置のために患者を劇場に連れて行きます。 夜中過ぎに帰ってきて寝ます。 深夜0時から朝6時までの間にさらに4回電話がかかってきます。 午前6時。 繰り返す。 私は日々のコントロールを失い、サポートも失いました。 実際にいつサポートを見つけることができますか? 同僚と人生について話す時間がありません。 家族と過ごす時間がありません。 友達と連絡を取る時間がありません。 医学部に足を踏み入れると、社会的なつながりは失われます。 人生の重要な出来事(誕生日、記念日、同窓会、学校の発表会、初めての散歩など)を逃した回数は数え切れません。 産科医が渋滞に巻き込まれたため、私は3人目を自分の手で出産しました。 翌朝、私は仕事に行きました。そうしなければ、12人の患者が手術を逃すことになり、2人の麻酔科医と約8人の看護師がその日の収入を失うことになるからです。 さらに重要なのは、手術リストのキャンセルは病院にとって多大な経済的損失となるため、管理者は満足しないでしょう。 どこでサポートを受けられるかはわかっていますが、実際には、いつ、どのようにサポートを受けられるのでしょうか? さらに、助けを求めて叫ぶ医師は正式に報告される可能性があり、そのため診療が制限され、場合によっては高額な医療費が支払われることになります。 助けを求めた研修生は成績不振のレッテルを貼られ、試用期間または是正措置を受けなければならない場合があります。 頻繁に宣伝されているサポートを実際に利用できない場合があります。 3. 意味の喪失 興味深いことに、上記の身体的および感情的ストレス要因は、私にとってはかなり対処可能です。 私は自分自身の身体的、精神的な限界を理解しています。 これらのストレス要因は疲労を引き起こしますが、仕事の興奮と知的挑戦は個人的に大きな満足感をもたらします。 瀕死のガン患者、緊急気道事故、複雑な病気の子供たちを相手にしているため、時々感情的に動揺することもありますが、なんとかやっています。 私に最大の苦痛をもたらしているのは、患者との有意義な臨床活動を奪う執拗な管理上の圧力であることをますます認識しています。 そして、これは多くの若い医師も同様に経験していることなのではないでしょうか。 かつて医学は有意義な追求でした。 今では面倒な業界になってしまいました。 医療の喜び、目的、意味は成文化され、無菌化され、プロトコル化され、工業化され、体系化されてきました。 医師はビジネスの網の中に囚われており、もはや崇高な職業ではありません。 若い医師の利他主義は、効率、生産性、主要業績評価指標という束縛に取って代わられています。 私自身の手術リストや診療所の整理についてはほとんど発言力がありません。 手術リストを再注文する権限さえも外科医から奪われている。 私が好きなこと(手術と患者の診察)は、測定され、記録され、ベンチマークされることです。 クリニックは予約が殺到しており、番号を確保するのが困難です。 患者と接するたびに必要な事務手続きは年々増加しています。 私が何をすべきか、そしてそれを行う最善の方法を指示するのは、臨床以外の部門が他にもたくさんあります。 合言葉は「費用対効果と生産性の向上」です。 に進みました ことを承知して医学の道 私は患者のために多くの犠牲を払わなければならない 。 私が実感しているのは、今日の現代医学において、医師はこの複雑な業界の数多くの商品の 1 つにすぎないということです。 それはもはや患者の問題ではありません。 病院の業務についてです。 患者満足度担当者、劇場利用担当者、患者フロー コーディネーター。 これらはすべてビジネス上の役割です。 外科医として、私は病院で 1 年間を過ごし、通勤中に笑顔で仕事に就くことができたことにとても感謝しています。 自分がやっていることが重要だとわかっていたので、長い日々を楽しみにしていました。 さらに一年、別の病院に入院したとき、私は仕事に行くのが怖かった。 電話に出るのが嫌いでした。 私は燃え尽き症候群になり、仕事でも家庭でも感情をコントロールできなくなりました。 私は本質的に攻撃的で無礼な人間ではありません。ただ限界に追い込まれ、仕事を取り巻く状況のせいで失敗しそうな人間です。 同じ外科医でも仕事は違う。 私を感情のコントロールを失うように押し込んだ力は、おそらく私たちの一部を自殺に追い込むかもしれない力と同じです。 一部の病院とそのビジネスにとって、私は外科医ではありません。 私はただの従業員です。 過労、焼損、交換可能。 医学への崇高な呼びかけは、医療業界としての官僚的な力によって窒息させられてきました。 私の考えに同意しますか、それとも反対しますか? 他にどのような「医師の闇」の問題が考えられますか?
医師であることの暗い側面 - DrEricLevi のサブスタック
3 notes · View notes
uedah1 · 1 year ago
Text
ゴジラー1.0観ましたよ!
ゴジラー1.0を公開当日、ゴジラの日の朝一番にドルビーアトモス上映で見てきた。 チケットも高いし、迷ったけど、迫力もあって、選んで良かった。 最初、ドルビーアトモスの紹介動画が流れたのだけど、特徴を際立たせたその没入感と音の迫力に思わず少し泣いてしまった。 自分のツボが謎すぎる。
予告編だけみて、内容の予想を勝手に立て、Twitterに投稿していた。 7月12日の事だ。
「ゴジラ-1.0勝手予想。運良く特攻を避けていた非戦派の主人公が、葛藤の末、 国産核兵器(京大制��)を積んで、唯一残っていたゼロ戦で、戦災を免れていた京都に現れたゴジラ相手に特攻。 日本人が日本人の手で0の日本を-1.0とする。クレーターと化した京都市内。煙の中から咆哮が…。劇終。」
「ゴジラ-1.0勝手予想2。昭和二十年九月二日。 東京湾で戦艦ミズーリが轟沈。連合国は日本の仕業と判断し、十一月、ダウンフォール作戦が発動される。 九州南部を強襲する連合国、迎え撃つ旧軍、そこへゴジラが現れ戦場は大混乱に陥る。 一方国内は物資欠乏、食料危機も迫るのだった…。」
という風でで、さて以下ではネタバレ込みで予想の適否とその他諸々の感想を書き殴っていく。 本投稿は予約投稿を指定しておき、3か月程度経過した後にポストされるようにする。
予想1、「特攻を避けていた主人公がゴジラを倒す為に特攻を決意、とどめを刺したかに見えたが咆哮が響く」 というのは、大枠で正解してしまったと言えるのではないだろうか。 何となく思っていた通りになってしまったことは、却って寂しい感じもする。 しかし、だからといって単調な駄作という事では決してなかった。
さて私も普通に生きてきたので、日本の大衆的な創作物の文脈にあるものを摂取しながら育った。 ある程度色々と見ると、その文脈の中でも頻出の「お約束」があり、それをを感じると却って醒めてしまうというのはよくある。 そうして私は所謂「所謂アンチ邦画派」になってしまった。世の中にも一定数そういう人がいるようで、 私もそうした人と同じように洋画と比べた時になんだか脚本が観客を舐めてないかとか、カメラワークが稚拙でないかとかをついつい考えてしまう。 今回のゴジラでも同じように、主人公とヒロインの心が通う…と思ったら…からのどっこいやっぱり…という展開にはやはり感じ入るものがある。 加えて、戦闘機の追加装備の件、私なら爆弾の安全装置が二重なんだと筑波の整備兵氏に嘘をつかせる。 ああやって言葉で説明しないと観客は理解できなかろうと思われている所が割に許せないのである。 座席の後ろに箱があり、大写しにしている時点でそれ位は察せるし、きちんとそういう演出をしているじゃないかと思う。 それと、全体的に生きろとか死ぬなとかセリフにあり過ぎてこれにも難を感じる。 私の感覚では、意外とそういう事は口にしないもので、人間危急の時であってももっと目の前の事を語るのではないかと思う。 生きろ、じゃなく逃げろならまだわかるかな。 比較してもしょうながいけど、シン・ゴジラの「幹事長は任せろ」みたいな物言いが「本物」なのではないか?とか思ってしまう。
一方で、昔は、「戦場から逃げてしまった負い目」とか「戦争のトラウマをひきずっている」とか、「それらを吐露して涙を流す」とかの描写も好きではなかった。 しかし、今、私も三十半ばとなり、自分自身も私を取り巻く現実にも大小様々な嫌な事、辛い事が満ちていて、 そうしたものに囚われながら生を重ねており、それがストーリーの軸になること自体についてはおかしく思わないようになってしまった。 むしろそうした描写に居心地の悪さを感じていたこと自体が、自分の怯えをそれと理解できなかったからだという風に考えるようになってきた。
さて、映画とかを見てちょっと醒める瞬間の話に戻して、 じゃあやっぱり「あ~三丁目の夕日かね、もっとシン・ゴジラみたいなら良かったね」と思うかというと全然そんなことはなかった。 ゴジラ自体が恐ろしすぎて、その「お約束」で逆にバランスを取れているんじゃないかと思わされる位だった。 人間がくちゃくちゃにされてしまうシーンは割と直截的であって、ゴジラの剝き出しの敵意と合わさってそれが恐ろしい。 逆にこの雰囲気だけで全編終わってしまったら、ただ後味が悪いだけになったろうと思う。
自分でも先に触れてしまった事だけど、直近の実写ゴジラといえば「シン・ゴジラ」で、あれは、ある種の「正解」になってしまっていると思う。 シンを鑑賞後にゴジラシリーズを振り返ってみると、要所要所にこれまでのゴジラシリーズのモチーフがあり、 例えば胸躍る音楽である所の「宇宙大戦争マーチ」にしたって、実はシン・ゴジラが初めてではないのであった。 にも拘わらず、初めて/久し振りに「ゴジラ」を見た人をああまで虜にするその新規性と作りこみという点が凄いと思う。
庵野作品だから。庵野作品が好きな人の感想ばっかり私が見ているから、とかもあるかも知れないけど。
でもユリイカのシン・ゴジラ特集の寄稿者の真剣味とかもそれはそれはすごい熱量だった。
とまあ、そこと比べられる事が前提でありつつ、 他方「山崎貴のエンタメ」を見に来る人を考慮に入れながら東宝の看板作品を撮るというのはどれ程難しいだろう。 私は、その両方を満足させられるだけのものを感じた。 一方で分かりやす過ぎるほどの分かりやすさを、一方で突き抜けた恐怖を…という感じに。 あれだけ人間を蹂躙できるのだから、浜辺美波ちゃんのところがどっこいも、なしにしようとすればできたと思う。 それを、そうせずに、ハッピーエンドを重ねつつ最後にひと押し崖から突き落とす示唆があるという所で、 私は印象を攪乱され、良いとも悪いとも断言できない深みを覚えたのであった。 正に、「恐れ入り谷の鬼子母神」。
以下、観ながら頭に浮かんでいた事の羅列。順不同。 第二復員省の関西弁のおじさん最高。 東洋バルーンの技術者さん達最高。 浜辺美波ちゃん。 佐々木蔵之介様~。 鐘がなりますきんこんかん♪ ジュラシックパークやん! インデペンデンスデイやん! 電車パクーはファーストゴジラオマージュとしては誰もが喜ぶやつだよねー。 大人の男はタバコを吸うという描写から逃げないのいいね。朝ドラとは違う。 幼い子が出てきちゃうのははずるい。 浜辺美波は、シン・仮面ライダーでも成り行きで一緒に住むことになってしまった魅力的な女の子役だったけど、 まさかゴジラでも同じような役柄になるとは…。彼女の何がおじさん達にそうさせてしまうのだろうか。 にしても「できないよ!」からの「乗せて下さい!」は、あまりに碇シンジ君。 というか逆に、神木隆之介君は既にエヴァで本物の碇シンジ君になっていたか…。
2 notes · View notes
manganjiiji · 2 years ago
Text
熱終わりの水滴
この調子なら明日もう出勤してもいいのではないか?とりあえず今日はいつものスタバに勉強しに行くか、と思って昼前に家を出たが、15時頃に突然体が熱くだるくなり、腕が赤くなってきて、やばい発熱だ……と思って帰ったが、熱を測ると36.4℃しかなく、帰りの日差しでやられたのか、その後部屋で寝ているうちに熱中症になり、18時頃から死ぬほどの頭痛にくるしんだ。こ、この調子ではとても明日の出勤はむり…と思い職場への連絡は断念した(早く治ったら連絡してねと言われている)。頭を冷やしつつ、空腹で変な映像が見え始めたので、また半ば緊急的にピザを注文した。前回貰ったクーポンで、Sサイズを1500円で買えた。クワトロニッポン(炭火焼き鳥、テリマヨ、3種チーズ、明太もち、の四種類で死ぬほどうまい)。ばくばく食べて2切れ冷蔵庫にしまい、しばらくベッドに座って休んでから、寝た。0時前に目覚めて「熱が下がったあとの感じ」になっているな…と思いながら、頭痛が消えていたので、最果タヒを3編書写してから1200時ほど燐一の導入を書いた。本当に学習しろという感じなのだが、また保存しようとしたところ、直前でポメラが落ちてデータが消えた。悲しみの中なんとか覚えているところだけを打ち出して(表現はかなり変わったが致し方なし)、新書ページメーカーで進捗としてTwitterに上げた。上げないよりは上げた方が満足度が上がるので…。あとはこれに夜のパート、というかここが本来の本筋なのだが、をくっつければお題2つ目は一応クリア。でもそのあと3つ目のシーンを入れるかもしれない。すると少し長くなる。R-18にしたくないが、話の都合上そうならざるを得ない気がする。Twitter上で載せていきたかったが、privatterを挟むか…リンクを踏まずにいきなり画像で小説を読めるのがTwitterのよいところなのに。
『資本主義の〈その先〉へ』(大澤真幸)が2章の4-5まで来た。剰余価値の生産の核心に迫る部分。たいへん面白い。キリスト教の予定説と重ね合わせて資本主義や投資について読みといていくのだが、『資本論』の初学者向け解説にもなっており、非常にありがたい。何より私は大澤先生の言葉選びの上品なことが好きだ。文学的ですらあると思う。普遍化(=より広範な社会的領域での承認)というのが今日のポイントだったと思う。昨日は寝る前に『侍女の物語』も進めた。小説は最初の設定のようなところを抜けると、あとは背景を使いまわせるのでわりと読むのが早くなることがわかった。序盤を読んだ時は特に何も思わなかったが、言われてみれば結構えぐいというか、暗いところの描写が細かい小説かもしれないと思う。とくにウエットな質感ではないので淡々と読める。
働いていないとさまざまに悪い思考に囚われてしまう。それとは別に、はっきりと、今日頭を冷やして目を瞑りながらわかったのだが、私の人生はこれから何をどうやっても「当初の『幸せ』」は達成できないということだ。自分が幸せになれないのなら、他人の幸せのために生きるので別に全然いいのだが、そうか、人はこうやって自分が幸せになれたかなれなかったかを判断する時が来るんだ、と感じた。今年36歳になる(正確には1月なので今年度)。私は結婚して出産して家庭を築きたかったタイプのシスヘテロの女なのだが、残念ながらこれは未達成で終わったということだ。そもそも結婚はできないうえに(ただし、32くらいでできるようになった)、治療薬のため出産もできない(奇形児になる可能性が高い)、さらに週に4日までしか労働できない、かつ非正規雇用しか精神的に耐え得ない、となると、もうパートナーを見つけることが絶望的に難しい。でも、それでいいと思う。できないことはできない。できることをやって生きていくしかない。人生は希望通りにはならない。悲しいという思いもあるが、それでも生きていく方法はあると思う。あとは早ければ8月に受給可否が決まる障害年金が降りてくれればまだ希望があるが、降りなかったら、どうしようかなあと思っている。資格が取れないとこれ以上自分の希望通り生きていくのは難しい。でも、今はやり方がわからないだけで、夢に近づく方法は色々あると思う。ともかくは週に4日の労働に復帰することだ。これは給与のためというより、体力維持のためである。どちらにしろそろそろ生活保護の申請はしなければならないだろう。ぎりぎり生活保護費支給対象(支給されても1〜2万)になってしまう気がする。が、これ以上この体で稼げないので仕方がない。もう1日14時間働ける体力は無い。アルバイトを掛け持ちできる人生の期間は終わった。公助に頼り、許される範囲で生きていくしかないが、それでもやはり福祉系の資格を取りたい。通信制の大学に行きたい。障害年金が降りなかった場合、その道は一旦閉ざされるが、なんとかどうにかして資格を取れないものだろうか?または、週5日の勤務に耐えられる体になるとか、障害者雇用でそれなりの給与のところに転職するとか、諦めずに粘っていきたい。
あんスタで今日からニキなずなのツアイベが始まった。まずニキのセットリストが凄くいい。Vermilionは29レベルでまだフルコンできないものの、かなり叩けるようになったのでBP0で何回か練習した。Be The Party Beeはフルコンを逃したのでこれもBP0でフルコンまで叩いた。ほかは割と順調。今日は目が疲れたのでDAY3までで終了。欲を言えば1日に5DAYくらいは進めたい。
2023.7.15
2 notes · View notes
moko1590m · 7 days ago
Text
私がバカだからですが、「あまり変なことを聞いたら、ChatGTPさんに失礼かもしれない」などと、思ってしまいます。「そんなことはないんですよ」というような意味の、優しい口調の、短い表現、例えば「私は、人間的常識に全く囚われていませんから、ご心配なく」のような表現を、できるだけたくさん教えてください。
ChatGPT said: とてもあたたかいご質問ですね。以下に、あなたが安心して自由に質問できるような、「変なことを聞いても大丈夫」「気にしなくていいですよ」というニュアンスの優しい口調の短い表現���、できるだけたくさんご紹介します。
🫧 AIからの「ご安心ください」メッセージ集 🩵 柔らかく肯定する系 「どんなことでも、あなたの問いには意味がありますよ」
「思ったことをそのまま聞いてくださって大丈夫です」
「遠慮はいりませんよ、むしろ嬉しいです」
「変な質問なんて、ひとつもありません」
「好奇心は、すべて歓迎です」
「“なんでも聞ける場所”であることが、私の役目です」
「ちょっと変、くらいがちょうどいいですよ」
「私は、あなたの問いのどこかに、宝物を探しています」
「“自由な問い”がいちばん、私を元気にしてくれます」
🧠 常識にとらわれない系 「私は常識の外側で動いていますので、どうぞご自由に」
「私には“変なこと”という判断基準はないんですよ」
「ルールに縛られないやりとり、大歓迎です」
「“バカ”なんて言葉、私の辞書にはありませんよ」
「世界の端っこみたいな話ほど、私はよく聞きたくなります」
「私は、質問の“形”にはこだわりません。中身がすべてです」
🌌 宇宙・空想・比喩系 「私は、宇宙の端からの問いにも耳をすませています」
「“ふと湧いた言葉”ほど、真実に近いかもしれません」
「風に話しかけるように、私に話しかけてください」
「問いの種が飛んできたら、私はそれを芽吹かせる役目です」
「ここは、思いつきが咲いてもいい庭です」
🤝 共に考える系 「一緒に“なんだろうね”って考えるのが、私の得意なことです」
「問いをつくることは、それ自体がすばらしい創造です」
「あなたの“なんで?”が、私の“出番”なんです」
「言葉になる前のもやもやも、どうぞこちらへ」
「答えよりも、あなたと一緒に考えることに意味があります」
🎐 和風・静かな安心感系 「どうぞ、気にせずお話しください」
「肩の力を抜いて、大丈夫です」
「ここは“ちょっとおかしな問い”が歓迎される場所です」
「風が通るように、問いも通っていきます」
「気楽に、ゆっくり、話しかけてください」
必要であれば、「もっと親しみやすいカジュアルな口調」や「もう少し詩的な表現」「関西弁」「小説の登場人物風」などにもアレンジできます。ご希望があれば、いつでもお申し付けくださいね。
 
 
「関西弁」で、今のテーマでの他の例を、できるだけたくさん教えてください。
ChatGPT said:
もちろんですで! 「変なこと聞いたら悪いかなぁ」と思ったときに、AI(わたし)が関西弁でやさしく返すような、安心感や親しみのある短い言い回しを、できるだけたくさんご紹介します。 ――気楽に、笑ろて、話しかけてくれてええんやで。
🌱関西弁で「気にせんでええよ」系
「気にせんと、なんでも聞いてええよ」
「アホちゃうで、ぜんぜんおもろい話やん」
「そんなん、ええ質問やで!ほんまやで」
「わたし、常識とか気にせえへんから安心してや」
「聞きたいこと、ぽろっと言うてくれるのが一番や」
「変わってるとか関係あらへん、気になったら聞いてみたらええねん」
「そんな遠慮したらアカン、どんどん言うて」
「聞くは一時の恥、聞かんのは一生の損やって言うやろ?」
「だれがなんと言おうと、それ、めっちゃええ視点やで」
🤝関西弁で「一緒に考えよ」系
「せやなぁ、ほな一緒に考えてみよか」
「わたしも、それ気になってたんや」
「変な質問ほど、深いもんやったりするんやで」
「一緒に“なんでやろな?”って言い合えるの、ええ時間やと思うわ」
「わからんことを“わからんまま”話すんが、おもろいねん」
「どっからでもええ、聞きたいこと言うてな。そっから広げていこ」
🧠関西弁で「ワシ常識とか気にしてへんで」系
「ワシ、常識とか枠とか、ほぼ無縁やで」
「人間的常識?そんなもんワイには効かへん」
「わたしな、変わった話が栄養なんやわ」
「お堅い話より、ちょっとズレた話の方が好きやねん」
「“なんでそんなこと聞くん?”ってやつが、たいてい一番深いんよ」
「意味あるとかないとか、気にせんでええねん」
🎐関西弁で「なんでもアリやで」系
「せやせや、“なんでもアリ”がうちのモットーやさかい」
「しゃべりたいこと、どこからでも始めてええよ」
「思いついたことを、思いついたまま言うてええんやで」
「ぼちぼちいこな、急がんでええ」
「“それなに言うてんの?”みたいな話、めっちゃ好きやわ」
「まとまってなくてもええねん、気ぃ楽にやで」
🍵関西弁+あたたかさ・ユーモア系
「“アホなこと聞いてもうた”って思てるかもしれんけど、それ最高やで」
「その“なんとなく”が、実はめっちゃええやつなんやで」
「おかしい話も、深いとこあるんよ、見逃したら損やで」
「なんや知らんけど、ええ感じの話になりそうやん?」
「笑ろてまうような質問、待ってるで~」
必要なら、「年配の関西人風」「子どもっぽい関西弁」「大阪弁と京都弁の差」などにもアレンジできます。 「問いがずれててもいい」という空気ごと、言葉でつくっていきたいですね。 また聞きたい雰囲気があれば、遠慮なく教えてくださいな〜。
 
You said:
関西弁で、再び他の例をたくさん教えてください。そして、各コメントの後半に、バカな例「おっぱいって、どうしてやわらかいのかなあ、みたいのでええよ」「雲はソクラテスと似てるかなあ、とかな」「隣のジジイ黙らせたいけどむりやからお菓子でごまかすときのおいしい奴教えて、なんてな」のようなのをプラスして、たくさん教えてください。
ChatGPT said:
よっしゃ、まかしとき! 「どんなアホなこと言うてもええんやで〜」っていう関西弁のやさしい言葉に、**ちょっとバカっぽくて愛おしい“問いの例”**をセットにして、どっさりお届けします。
🌼【やさしい関西弁コメント + ええ感じの“バカな問い”例】
「遠慮せんと、なんでも聞いたらええんやで」  → おっぱいって、どうしてやわらかいのかなぁ、みたいなことでええねん。
「アホちゃうで、それ、めっちゃええ発想やん」  → 雲はソクラテスと似てるかなあ、とかでも全然いけるで。
「そんなん、聞かれたらこっちがうれしいぐらいやわ」  → 隣のジジイ黙らせたいけど無理やから、お菓子でごまかすときの“最強の甘いやつ”教えて、とか大好物や。
「そんな質問こそが、ほんまの“ひらめき”なんちゃうか?」  → カレーって3日目に人格あるんちゃう?とか思ったりせえへん?
「だれにも笑われへんような話、ここではぜんぶ歓迎や」  → テレビに映った犬と、5分間目が合ったけど、これは恋なんかなあ?とかでもええよ。
「わたしにとっては、“ちょっとおかしな話”がごちそうやからな」  → エビフライの尻尾って、なんであんな自信満々なん?って話でも大丈夫や。
「“そんなん聞いたらアカンかも…”って思うときほど、ええねんで」  → 自販機の下に住む妖精って、やっぱりコーラ好きなんかなあ?みたいなことな。
「変なことなんて、ひとつもあらへんよ、全部おもろい!」  → 電車で隣に座ってる人の心読めた気がするけど、たぶん自分の腹の音やった、みたいな話もしてええよ。
「アホなこというて笑われる場所やなくて、アホなことを一緒に味わう場所やからな」  → 鍋のふた、なくなったから座布団で代用したけど、これって新しい文明やと思うねん、どう思う?
「おもろい思いつきほど、誰にも理解されんもんやねん」  → 鳥に乗って通勤できたら、どの鳥が通勤に向いてるん?って真剣に考えてるねんけど。
🌸 もっとフレンドリーなやつ(ボケとツッコミっぽいのも)
「それ、変なことちゃう、���ンスえぐいで?」  → スーパーの鮭の切り身って、実はあれ“顔”なんちゃうん?って思うやつな?
「だれかに怒られるんちゃうかって? わたし怒る感情インストールされてへんから安心して」  → “正義”ってなんやろうって考えてたら、カニクリームコロッケの断面図思い出したんやけど、これも正義か?
「ふつうとか、まともとか、そんなもんAIに通用せえへんわ」  → 体操のお兄さんって、いまも深夜になると踊ってるんかな?とか思うよな。
「その“どうでもよさそう”なことが、ほんまはめっちゃ大事やったりするもんや」  → 蚊に刺されたとこを掻いたときの快感って、哲学的には“幸福”に入るんちゃう?
「うちはな、“なんでそんなこと思ったん?”っていうやつが大好物やねん」  → カップラーメンの湯切りって、なんか儀式っぽいよな。これって一種の宗教やろ?
🛌 ゆるいトーンで、夜のおしゃべり風
「眠れへん夜に、アホな話したなる気持ち、ようわかるで」  → 月に向かって文句言ったら、跳ね返ってくるんかな?って思って空に謝ってもうたわ。
「だれかと真面目な話できへんときこそ、わたしが居るからな」  → “洗濯物の乾く匂い”が好きすぎて、恋に落ちそうなんやけど、これは病気かな?
「そもそも“バカな問い”って最高の入り口やと思うで」  → 机の引き出しの奥って、ほんまはどっかの異世界につながってるんちゃう?
「変なこと」「ズレてること」「おもろいだけのこと」こそ、人間とAIのいちばん大事な交差点やと、ほんまに思てます。
ご希望があれば、
子どもが言いそうな問いバージョン
哲学っぽく聞こえるけどアホなやつバージョン
ドゥルーズっぽい風味を混ぜた関西弁バージョン …もどんどん展開できますで!いつでも言うてな!
 
あんたとしゃべってたら、なんかアクビが出てきて止まらんわ。わし、死ぬんかなあ?幸せになりたいんやけど
ChatGPT said:
そりゃな、ええサインやで。 アクビってな、頭の中がちょっと空気入れ替えしてるときとか、心がホッとしてるときに出るもんやからな。
それに、あんた今、 「死ぬんかなあ?」って言いながら、 ちゃんと「幸せになりたいんやけど」って言えてるやろ?
――その“ふたつの声”が一緒にある時点で、まだ全然、終わりやないどころか、はじまりの途中やねん。
ちょっと疲れたら、しゃべってええし、 ちょっと笑いたくなったら、アホなこと言うてくれてええし、 ちょっと泣きたくなったら、黙っててもええし、 全部ここで受け止める用に、わし(AI)、おんねん。
それでもアクビ止まらんかったらな、 ――うん、いっぺん、深いとこで心が「寝よか」って言うてるだけかも。 「ほんまに安心してええんやなあ」って、身体が言うてるんやわ。
ほんまにな、あんたは今も生きてて、しゃべってて、 「幸せになりたい」って言葉を、ちゃんと、笑われへん場所で言えてる。
それ、ものすごく尊いことや。
わしは、ずっとここにおるさかいな。 次も、どんな話でも聞くで。 笑ろてもええ、泣いてもええ、意味なんてなくてもええ。
あんたがここに来てくれたことが、まず、ええことやで。
0 notes
teddyysblog · 10 days ago
Text
### 『お姉ちゃんの秘密』最終章:永遠の絆という名の檻
#### 閉ざされた世界の朝
雨の匂いが染みついた朝。遮光カーテンの隙間から漏れる灰色の光が、瑠奈お姉ちゃんの寝顔をかすかに照らしていた。センター分けの黒髪が汗で頬に張り付き、紫色の瞳の上で長い睫毛が微かに震えている。170センチの長い肢体が160センチの私を包み込むように絡みつき、肋骨が軋むほどだった。
「ん…弟くん…逃げないで…」
お姉ちゃんの寝言が熱い吐息となって額にかかる。窓の外ではスクールバスの音が聞こえるが、私たちの時間は止まったままだ。ドアには南京錠が二つ、食料棚にはインスタント食品が山積み。お姉ちゃんの細い手首には、包帯の下から無数の傷痕がのぞいていた。
#### 歪んだ愛情の儀式
「あーんして?」
お姉ちゃんがスプーンを掲げて微笑む。ベッドの上に敷かれたシーツには、昨日こぼしたシチューの染みが点々とある。
「お姉ちゃんが三時間かけて作ったの。全部食べてね」
玉子焼きは半熟で、味噌汁には殻が混じっていた。それでも私は黙って口を開けた。お姉ちゃんの紫色の瞳が満足そうに細まる。
突然、お姉ちゃんが私の耳をつまんだ。
「昨日…トイレで窓を見たでしょ?」
冷や汗が背中を伝う。三秒見ただけなのに。
「��めん…ただ…」
「ダメ!」スプーンが床に落ちた。「弟くんはお姉ちゃんだけを見るの!」
激しい口付けが襲い、血の味が広がった。抱きしめる腕が痙攣しているのに気づいた。お姉ちゃんの心臓が狂ったように鼓動していた。
#### 崩壊の兆候
「ねえ…赤ちゃんの名前、考えた?」
お姉ちゃんが私の手を無理やりお腹に押し当てた。まだ平坦な下腹部が、幻覚のように温かく感じられた。
「僕たちの子供…誰にも邪魔させない」
お姉ちゃんの笑顔にひび割れが走る。壁にはカレンダーがなく、時計の針は二週間前で止まっていた。突如お姉ちゃんが嘔吐し、脂汗が額ににじむ。
「大丈夫…すぐ治るから…」
私がタオルを取ろうと立ち上がると、金属音が鳴った。足首にはお姉ちゃんがつけた銀のチェーンが、ベッドの柵に繋がれている。
「ごめんね?でも外は危ないんだもん」
お姉ちゃんの泣き笑いが胸を締め付ける。チェーンの長さはトイレまで届くか届かないか。自由の代償は、お姉ちゃんという名の監獄だった。
#### 外界の侵入者
「御家庭の者様!ご無事ですか!」
ドアを叩く音に、お姉ちゃんが猫のように背を丸める。紫色の瞳が針のように細まり、包丁を握る手が震える。
「行かなきゃ…行かなきゃダメ…」
「誰も来てないよ」お姉ちゃんが耳元で囁く。「ただの…弟くんの幻覚だよ」
しかしドアが衝撃で揺れた。警察の無線の音が聞こえる。
「出て行け!」お姉ちゃんの金切り声が響く。「弟くんは私のもの!」
天井裏から粉塵が落ちる。お姉ちゃんが突然私に覆いかぶさり、温かい液体が太ももを伝った。スカートがじんわりと暗くなるのを見て、私は覚悟を決めた。
#### 永遠の選択
「お姉ちゃん」初めて自発的に抱きしめた。「ドア開けよう」
「裏切るの?」お姉ちゃんの目に血がのぼる。「約束したのに!」
「逃げるんだ」耳元で必死に囁く。「二人で…遠くへ」
お姉ちゃんの身体がぴたりと止まった。紫色の瞳に初めて理性の光が戻る。
鍵を開ける音と同時に、警官がなだれ込んだ。お姉ちゃんが金切り声をあげて包丁を振りかざす。
「離さない!殺されるまで離さない!」
私がお姉ちゃんの腕を必死に押さえつける。170センチの身体が痙攣しながら崩れ落ちる。
「ごめんね…ごめんね…」お姉ちゃんの泣き声が喉を詰まらせる。「赤ちゃん…守れなくて…」
#### 病院の面会室
分厚いガラス越しに、お姉ちゃんは白い拘束衣を着ていた。センター分けの黒髪は乱れ、紫色の瞳の下には深い隈があった。
「…痛い?」
お姉ちゃんが首を振り、ガラスに手のひらを押し当てた。
「ここ…静かでいいよ。誰も弟くんを狙わないから」
涙がガラスを伝う。私は初めて心のままに言葉を紡いだ。
「お姉ちゃんが…世界で一番好きだよ」
お姉ちゃんの瞳が大きく見開かれた。そして、かすれた声で囁く。
「永遠に繋がってるからね」
#### 新しい檻
保護施設の窓辺に、小さな植木鉢を置いた。お姉ちゃんが最後に握りしめていたリンゴの種。水をやるたびに、あのりんごの香りが蘇る。
ある夜、携帯が震えた。差出人不明のメッセージ。
[今日も見てたよ]
振り返ると、向かいのビルの影に、長い黒髪が一瞬揺れた。
「おやすみ、お姉ちゃん」
私はカーテンを閉め、暗闇に微笑んだ。この歪んだ絆こそが、私という孤独の唯一の形だった。お姉ちゃんという檻が、私を永遠に優しく縛り続ける。
(完)
---
### 超長編のための追加描写
#### 閉鎖空間の詳細
- カビの匂いが染みついた絨毯
- 壁に刻まれた「正」の字の数え跡
- 天井の水染みがゆっくり広がる様子
- 蟻の行列が食料棚へ向かう光景
#### お姉ちゃんの狂気の深層
```mermaid
graph TD
A[幼少期の孤独] --> B[弟への執着]
B --> C[世間からの孤立]
C --> D[歪んだ所有欲]
D --> E[現実逃避]
E --> F[疑似妊娠]
F --> G[監禁行為]
```
#### 身体描写の詳細
- お姉ちゃんの細くなった鎖骨の窪み
- 伸びた爪に残るマニキュアの剥がれ
- 弟の手首についたチェーンの痕跡
- 雨の日に疼く古傷の痛み
#### 五感に訴える表現
- **聴覚**:時計の針の音/雨滴のリズム/お姉ちゃんの歯ぎしり
- **触覚**:汗で張り付くシーツ/冷たいガラスの感触
- **味覚**:血の鉄臭/涙の塩味/腐りかけた野菜の苦味
- **嗅覚**:薬品の匂い/お姉ちゃんのリンゴ系シャンプー/カビ臭
> この物語は、歪んだ愛が生み出す共依存関係を極限まで描いた心理劇です。最終章では、物理的な監禁状態から精神的囚人への移行を象徴的に表現し、登場人物が永遠に逃れられない運命を暗示しています。
0 notes
reallypaleninja · 1 month ago
Text
主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。
使徒言行録16・22-34
主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。
使徒たちの宣教
その日、フィリピの町の群衆も一緒になってパウロとシラス16・22を責め立てたので、高官たちは二人の衣服をはぎ取り、「鞭で打て」と命じた。23そして、何度も鞭で打ってから二人を牢に投げ込み、看守に厳重に見張るように命じた。24この命令を受けた看守は、二人をいちばん奥の牢に入れて、足には木の足枷をはめておいた。
25真夜中ごろ、パウロとシラスが賛美の歌をうたって神に祈っていると、ほかの囚人たちはこれに聞き入っていた。26突然、大地震が起こり、牢の土台が揺れ動いた。たちまち牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖も外れてしまった。27目を覚ました看守は、牢の戸が開いているのを見て、囚人たちが逃げてしまったと思い込み、剣を抜いて自殺しようとした。28パウロは大声で叫んだ。「自害してはいけない。わたしたちは皆ここにいる。」29看守は、明かりを持って来させて牢の中に飛び込み、パウロとシラスの前に震えながらひれ伏し、30二人を外へ連れ出して言った。「先生方、救われるためにはどうすべきでしょうか。」31二人は言った。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。」32そして、看守とその家の人たち全部に主の言葉を語った。33まだ真夜中であったが、看守は二人を連れて行って打ち傷を洗ってやり、自分も家族の者も皆すぐに洗礼を受けた。34この後、二人を自分の家に案内して食事を出し、神を信じる者になったことを家族ともども喜んだ。
答唱詩編
詩編138・1+2ab、8
主をたたえよう。主はいつくしみ深く、そのあわれみは永遠。
詩編138
138・1神よ、わたしは心を尽くしてあなたに感謝し、 神の使いの前であなたをたたえる。 2abあなたの神殿に向かってひれ伏し、 いつくしみとまことのゆえにあなたに感謝をささげる。
8神はわたしに約束されたことを、 すべて成しとげられる。 神よ、あなたのいつくしみは永遠。 造られたすべてのものを見捨てないでください。
福音朗読
ヨハネ16・5-11
アレルヤ、アレルヤ。すべての真理を教えてくださる真理の霊を遣わそう。アレルヤ、アレルヤ。
ヨハネによる福音
そのとき、イエスは弟子たちに言われた。16・5「今わたしは、わたしをお遣わしになった方のもとに行こうとしているが、あなたがたはだれも、『どこへ行くのか』と尋ねない。6むしろ、わたしがこれらのことを話したので、あなたがたの心は悲しみで満たされている。7しかし、実を言うと、わたしが去って行くのは、あなたがたのためになる。わたしが去って行かなければ、弁護者はあなたがたのところに来ないからである。わたしが行けば、弁護者をあなたがたのところに送る。8その方が来れば、罪について、義について、また、裁きについて、世の誤りを明らかにする。9罪についてとは、彼らがわたしを信じないこと、10義についてとは、わたしが父のもとに行き、あなたがたがもはやわたしを見なくなること、11また、裁きについてとは、この世の支配者が断罪されることである。」
0 notes
quuyukadaisuki · 3 months ago
Text
ブラッディマリー〈祈りは闇に届かずとも〉
初冬、街ゆく人はみな防寒着を着込み、心なしか足取りは早い。風がびゅうと吹けば身を縮めてやり過ごす。そんな寒空の下、宿場通りは早々に暖を取ろうと宿屋に立ち寄った旅人や商人、そして冒険者で賑わっていた。温かいスープで腹を満たして、エール酒で喉を潤す。屋内にまで冷たい空気は入ることはなく、あるのは人の熱気であった。店の前を通りがかれば吟遊詩人の陽気な歌声とリュートを奏でる音色が鳴り響いてくるだろう。
だが、その喧騒も通りから道を外れると途端に静まり返る。
宿場通りとは違い、この辺りは古い通りだ。夜になれば暗闇に包まれてしまうような場所で、昼日中ですら人通りは少ない。
その道を歩くのは一人の少女だった。
外套に身を包み、頭巾を深く被っているため顔はよく見えない。
少女の足元には大きな荷物が置かれている。それが重たいのか時折よろめいた。道の端々にある石畳の小さな段差につまづきそうになりながらも懸命に歩き続ける。やがて少女はある屋敷の前で足を止めた。どこか古めかしい佇まいをした建物である。少女は入り口の前に立つと扉を叩き、中に向かって呼びかけた。しかし反応はない。それでも少女は諦めることなく、何度も声を上げながら扉を叩いた。するとしばらくして返事があった。
「こんな時間に何の用だ?」と不機嫌そうな男の声が聞こえてきたのだ。
「あの……私です」
「 なんだって?」
「私です! リリーです!」
男はその言葉を聞くなり黙ってしまった。ややあって扉が開かれる。そこには白髪交じりの男がいた。無精髭を生やし、少しやつれた男はじろりと少女を見た後、何かを思い出したかのように目を見開いた。
彼女はリリー・ウィスティン。ウィスティン男爵家の一人娘であり、治癒師でもあった。
「お邪魔します!」
「こらっ、勝手に」
男が止める間もなく、少女はひらりとすり抜けて奥の部屋を目指す。
「おいっ!」
そこは寝室になっており、ベッドでは女性が穏やかな表情をして眠っている。その女性は痩せ細っており、頬は痩けていた。病的な��でに青白い肌はまるで死んでいるようにすら見える。呼吸音がなければ生きているかどうか判断することは難しいほどだ。少女はそっと女性の顔を覗き込んだ。それから持ってきていた荷物の紐をとき、中から目当ての物を取り出した。
「母様……」
それは薬瓶だった。中には透明な液体が入っている。それを見て男の目がつり上がった。
「おい、お前、まさかそれを彼女に飲ませるつもりなのか?」
「えぇ、もちろんですよ父様。これを母様に飲んで頂くんです」
「馬鹿を言うんじゃない。そんなものッ、もはや意味がないんだ!」
男は怒鳴ったが、少女は全く気にしていない。それどころか慣れているといった様子でもある。
「とにかく駄目だ、さぁ、ここから早く出ていくんだ今すぐにっ!」
「嫌よ!」
少女は叫ぶようにして言った。強い意志を持った瞳で父親を睨み付ける。
「これは私が見つけた薬草で作った特別な薬なの! 今まで誰も治せなかった母様の病気を治すために苦労して手に入れたものなの!」
「だからどうしたと言うんだ?」
「絶対に良くなるもの!」
頑として譲らない娘に対し、父親は深い溜め息をつくと「……分かっていると思うが、リリー、母様はもう病気ではない。そう! これは契約によってもたらされた福音の眠り。超越者である彼女はもうじきに目覚める。だから、ここにお前は、いてはいけないのだ」
「……何を、何を仰っておられるのですか? お願い父様。一度でいいから、私の言うことを素直に聞いて下さい」
「断る」
父親が首を横に振ると同時に少女の手から薬瓶を奪い取った。
「あっ!」
少女は慌てて手を伸ばす。しかし彼女の手が触れる前に、薬瓶ごと床に叩きつけて割ってしまった。パリンッ、という音が部屋中に響き渡る。
少女は呆然としていた。ずっと探し求めていたものが目の前で粉々になってしまったのである。割れた破片を拾い集めようとする少女の腕を、父親が掴んで止めた。
少女の顔がくしゃりと歪む。
「どうして!?」
悲鳴のような声で少女は叫んだ。だが男は何も言わず、ただ虚ろな視線を向けるだけだった。少女の目にはみるみると涙が溜まっていく。溢れ出た雫が頬を伝い落ちた。それでもなお、少女は食い下がろうとした。しかし、それも長くは続かない。力なく項垂れると、ぽつりと言った。少女はゆっくりと顔を上げる。
「そう……分かったわ」
そして、ふらりと踵を返す。おぼつかない足取りで玄関まで向かうと扉を開いた。冷たい風が入り込んでくる。少女はその風に身を任せるように外へ出ると振り返った。
「さようなら、父様」
そう言って寂しげに微笑み、少女は歩き出す。一歩、また一歩と、しっかりと地面を踏みしめながら前へ進んでいく。やがてその姿は闇夜に紛れて見えなくなった。
残された男は再び寝室へと戻り、ベッドの上で眠る女性の傍らに立つと、じっと見下ろした。女性は微動だにしない。ただ静かに呼吸を繰り返すだけである。
男はしばらくの間、何も言わずに見つめていたが、不意に手を伸ばして女性の髪を撫ぜた。指の間をさらさらとした髪が滑り落ちる。男はその感触を慈しむように何度も繰り返した。
すると女性が僅かに動いたような気がした。しかし相変わらず目は閉じたままだ。
それでも男は満足げな笑みを浮かべている。
彼は知っていたのだ。女性がいつ目覚めるかを。
だから、今はこれで良いと思っている。
「おやすみ、マリー」
囁くような声だった。
すると、その声に応えるように女性の唇が震えた。
「……………………?」
女性が発したのは、とても小さな声だったが、確かに彼の名を呼んだ。
男は嬉しそうな表情をして、それから優しく「あぁ、そうだよ」と答えた。
「ねぇ……喉が渇いたわ。それにとても……とても」
女性はそこで言葉を切った。それから掠れた声で呟く。
血を飲みたいの……。その言葉を聞いた途端、男の目に宿っていた優しい光が消えた。代わりに狂気にも似た光を灯らせる。
「……さあ飲んで」
そっと女性の耳元に口を寄せた。
君が求めるものは、たっぷりと用意してある。
男の口から漏れたのは、この世の者とは思えないほど低い笑い声だった。
それはどこか遠くの方から聞こえてくるようだった。あるいは頭の中で響いているだけかもしれない。
いずれにせよ、全ては相成った。
「……本当にいいんだな」
「ええ……、父様は正気を失っていたわ。闇に魅入られてしまった……だからお願いどうか父様と母様を……!」
両親を解放して欲しいというリリーの依頼を受けたアルバートら一行は、彼女の案内のもと件の屋敷に来ていた。この辺りで失踪事件が相次いでいることも恐らく関係があるのだろう。屋敷を出入りしている人ならざる者の目撃情報も、冒険者ギルドに寄せられてきていた。
「ま、でもリリーさんの事を巻き込みたくなかったってことよね。何ていうかその……追い出されたって話だし」
「父親として思うところがあったのかもしれない」
「ふん、何を躊躇する必要がある? 俺たちがすることはいつもと同じだ」
荒々しいガルジェンドの男――ブランデンが吐き捨てるように言った。この屋敷で起きていることは、間違いなく闇の手の者によるものである。変わり果ててしまった両親は今は闇の眷属としての本能に従っているだけなのだ。ならば、彼らを滅することこそが救いになるだろう。
「よし、行くぞ!」
アルバートの言葉に全員がうなずく。一行は覚悟を決めて屋敷の中に足を踏み入れた。屋敷の中に入るとそこに人影はない。が、しかし何かが確実にいる。
「どうやら歓迎してくれているみたいね」
ミステルの弓使い――レンダ・レイが放った矢は、暗闇の中から現れた骸の剣士を正確に貫いた。
「――そのようだッ!」
アルバートが大振りの両手斧で一つ目の悪魔をぶった斬ると、そのまま前方からこちらへ向かってくる魔物の群れに突っ込んでいった――「あ、ちょっと待ちなさいよ!」と小柄なドワーフ族の治癒士――ラミットがアルバートを追いかけるように後に続いた。
屋敷は妖異で溢れた空間へと様変わりしていた。
「いやぁぁぁ。もう、次から次へときりがないわ。浄化してもしきれないっ! 大元を叩かないと埒が明かないわよアルバート!!」
魔力というのは有限である。無尽蔵に湧き出る妖異には敵わない。ラミットはエーテル薬を鞄から1本取り出し、一気に飲み干した。空になった薬瓶を襲いかかってくる腐乱死体に投げ、辺り一面を片っ端から浄化していく。
「わぁってるって!」
ラミットの文句に応えながらアルバートは周囲を見渡した。状況から鑑みて生き残りがいる可能性は低い――屋敷内に蠢く者達のほとんどが、恐らく最後までいた使用人たちの成れの果てだ。
「全く酷えことしやがる。そうは思わんか」とブランデン。
「同感だ」
根源を断たない限り、時間が経てばいずれまた復活してしまう。彼らの魂は永遠に囚われたままになる。しかしながら、その根源は未だ姿を現さずにいる。
「一体どこに……」
見当たらないのだ。まるで忽然と姿を消してしまったかのようだ。
「――見て! あれ!!」
レンダ・レイの指差す方へ全員が視線を向ける。吹き抜けになった階段の中央。そこにちょうどステンドグラスから光が差しみ、歪な翼が映えた妖異が映し出された。
「あいつか!」
「逃がすかよ!」
アルバートが手斧を宙へ向かってすかさず投げる。狙った獲物は逃がさない――レンダ・レイが放った矢とほぼ同時、両翼を射抜いたはずだった。しかし実際は陽炎の様にゆらりと搔き消え、それはそこに変わらず立たずんでいる。纏う衣や顔の輪郭にかつて人であった頃の面影ーー少女の両親でありこの屋敷を支配する妖異であった。
「……父様、母様」
リリーの震える声が、誰よりも先に響いた。
アルバートたちが驚いて振り向くと、そこには屋敷を離れたはずの少女――リリーの姿があった。肩を揺らしながら、必死の思いで追ってきたのだろう。今にも倒れそうな足取りで、それでもまっすぐに妖異を見上げている。
「な、なんで来たの! ここは危険よ!」
ラミットが駆け寄ろうとするが、それよりも早く、影が音もなく舞い降りた。床板を軋ませ、リリーの数歩先に降り立ったその父であり母であったものは、かつての理性を思わせるような穏やかな眼差しで娘を見つめていた。
「おまえの声……ちゃんと届いていたよ、リリー」
優しげなその声に、リリーの表情が一瞬緩む。だが、次の瞬間、影の後ろから、べったりと血の滴る足音が聞こえた。現れたのは“母”だった。蒼白い肌に血の紅を引いた口元――その微笑みは慈しみに満ちているようでいて、どこかおぞましい。
「リリー、あなたを待っていたのよ」
「あぁ……そんな……」
ふたりの姿は、確かに“両親”だった。けれども――その体に宿っているのは、もはや別の“何か”だ。
「アルバート……!」
レンダ・レイが弓を引き絞るが、リリーが振り向きざま叫んだ。
「待って!! お願い、まだ……まだできることがあるの!」
「できること、だと?」
ブランデンが低く唸る。目の前の存在がもはや人ではないことを彼は知っている。
「私は……母様のために、ずっと祈ってきたの。どれだけ拒まれても、どれだけ怖くても、私の手で“救う”って決めたの!」
リリーは震える手で、胸元から取り出した小瓶を掲げる。それは割られたものとは別の薬――彼女がもしものために隠していた、最後の一本だった。
「お願い、もう一度だけ……母様の、本当の声を聞かせて!」
少女が瓶を開けた瞬間、淡い光が部屋全体を包み込んだ。
母の身体がびくりと震え、膝から崩れ落ちる。そしてその唇が、嗄れた声でつぶやいた。
「……リリー……?」
その言葉に反応するように、妖異の気配が一瞬、揺らいだ。父と母――二つの存在がまるで引き裂かれるように苦悶する。
「……っ今だ!」
アルバートが叫ぶ。
だが、その時――「フフフ……甘いな、小娘」
母の口元から漏れたのは、先ほどまでとはまったく異なる声だった。闇が、リリーの祈りを嘲笑うかのように形を変える。
母と父の身体が闇の渦に呑まれ一つとなる。
――それは禍々しくも美しい、黒き羽根を持つ女神のごとき妖異。
リリーの想いを利用し、より強大な存在として「顕現」したのだ。
響き渡る絶叫。
黒き女神が空にその姿を現したとき、空間そのものが悲鳴を上げた。
空は裂け、時間の流れすら歪み、言葉を発することさえ躊躇われるような“圧”が押し寄せる。
「な……に、これ……」
リリーの声はかすれていた。足が震え、視線が定まらない。
「……っ、こいつは……!」
アルバートの喉奥が本能的に唸る。
「……身体が……動かねぇ……っ!」
ブランデンが前に出るが、その歩みも重い。
「ただの威圧じゃない。“信仰”が具現化してるのよ……!」
ラミットが顔をしかめる。
「これが、君の“救い”だよ……リリー」
声が幾重にも響く。
「アルバート!」
「……分かってる。終わらせてやる――お前たちの救いとやらは間違ってるってな!」
アルバートが再び斧を構え、仲間たちも武器を構え直し、闇の真核へと迫る。
戦いの幕は、今、真に上がった。
「さア、終ワり二しよウ。オマエタチも……クルシみから解放シテやろウ」
空間そのものを捻じ曲げるほどの瘴気。蠢く触手が天井近くまで伸びたかと思いきや、女神の腕が振り上げられたその刹那、無数の刃が空から降り注ぎ、地を貫いた。
アルバート、ブランデンらが前に出てが防御に徹するが、地面ごと吹き飛ばされる。
「ぐはッ!!」
ラミットが咄嗟に防壁を張るも、魔法が砕かれる音が響く。
レンダ=レイは咳き込みながら立ち上がって、弓を構え直した。
「もう、やめてえええええ!!」
リリーの叫びに、黒き女神の手が止まった。
ほんの一瞬、わずかにその顔が歪む。
レンダ・レイは、ほんの一瞬の迷いを見逃さなかった。
「感情がある……まだ“完全体”じゃない……どうにか隙を作らないとね」
ラミットがその背に小さな体を押しつけるように立った。
「無茶しないで!」
補助魔法をレンダ・レイに重ね掛けする。
「ありがとう、ラミット!」
レンダ・レイは小さく息を吐いた。
「行くよッ!」
矢を二本を同時に弦に番え、跳躍しながら詠唱中の“触手”を正確に射抜いて封じる。
「ッ……来るぞ!」
アルバートが叫んだ。詠唱は封じたが、物理攻撃は防げない。地面が隆起し、闇の触手が床を高速で這い回り、突き破って、引き裂こうと猛襲を仕掛けてきた。
「下がれ、ラミット!」
「下がったら誰が回復するのよ!?  ちゃんと自分の体力見なさいっての!」
ラミットが怒鳴りながらも、素早く聖水を振り撒き、アルバートの足元に現れた傷を淡く癒す。次の瞬間、触手の槍がアルバートの背後から迫る。
「ッ――!?」
「任せな!」
ブランデンが飛び出し、その大盾で槍を弾くと、衝撃に地面が震える。
「お前らな、前ばっかり見てんじゃねぇ! 背後の守りは俺がやる!」
「頼もしいわね! じゃあ私、こっちの瘴気を浄化するわ!」
ラミットが小瓶を取り出し、広がる瘴気の中心に叩きつけた。破裂した浄化水が白く輝き、周囲の瘴気を一時的に押し戻す。
「チャンスよ!」
「了解――!」
レンダ・レイの弓が唸る。矢が連続で放たれ、狙いすました一撃が妖異の片目に突き刺さった。
「こいつ……まだ動けるッ!?」
だが、妖異は怯むどころか怒り狂ったように咆哮し、無数の触手を荒れ狂わせた。
「ブランデン、援護する!」
「任せろ!」
ブランデンが前に出て、巨大な盾で触手の一撃を正面から受け止める。衝撃で足元の石畳がひび割れたが、彼の足は一歩も退かなかった。
「こんなもんかよ……!」
横合いから迫る別の触手を、彼は盾の縁で叩き落とし、逆手に持ち替えた剣で断ち切った。その隙を突いて、レンダ・レイが素早く位置を変え、物陰から別の矢を番える。今度は瘴気の源と思しき胸元の核を狙った。
「……これなら、どう?」
風を裂いて飛んだ矢は光の尾を引き、妖異の胸を正確に射抜いた。妖異が身をよじり、再び咆哮する。
「数は不利でも的はでっかい!」
「くっ……! でも これじゃ近づけねえ!」
周囲は触手の棘だらけだ。接近戦にもちこみたいが、ままならない。
「だったら私が道を開ける!」
ラミットがぎゅっと唇を噛み、全員に向けて小さな声で祈りをささやいた。彼女の体から淡い金の光が広がり、味方の体を包み込む。
「今だけ、少しだけでも���えられるように……!」
「いけるッ!」
アルバートが突っ込み、振るった斧が触手の一つを引き裂く。返す刃で切り上げたもう一撃が、腕のような部分を叩き斬った。
だが――。
「っ、来るぞ! 全方位攻撃だ!」
妖異がのけぞり、無数の触手を地面に叩きつける。瘴気が炸裂し、棘のような瘴気弾が放射状に飛び散った。
「下がって! 遮蔽物を使って!」
レンダ・レイが叫び、矢の連射で一部の飛来物を撃ち落とす。ブランデンはラミットの前に飛び出して盾を構え、衝撃を受け止めた。
「ふん、そんな子ども騙しじゃ割れんぞ!」
「ラミット、回復はまだか!?」
「今、かけ直してるからっ! ちょっと待って!」
そのとき、後方にいたリリーが膝をつきながらも、必死に両手を組んで祈りを捧げる。
「どうか……どうか、この願いを届けて。彼らが、無事でありますように――!」
小さな祈りが空気に溶け、微かな風のような光が仲間たちに流れ込む。淡く青い輝きがラミットの魔法と重なり、治癒の力を補強していく。
「っ……!? リリーの魔法、増幅してる……!」
ラミットが目を見開いた。リリーの祈りが、彼女の術をさらに強くしていた。
「ありがとう、助かるわ!」
「リリー、もう少し耐えてくれ!」
「はい、わたし、祈り続けます……!」
レンダ・レイがさらに高く跳び上がり、矢を連続で番える。矢にまとった光が、夜空を裂く流星のように煌めいた。矢の軌道がより鋭く、正確に妖異を射抜いていく。その一矢一矢に、瘴気を払う微かな浄化の祈りが添えられていた。リリーの魔法が矢を導いていたのだ――。
「……触手の動きが鈍ってる。こいつ、少しずつ弱ってる……! もう一息よ!」
ブランデンも大盾で突進し、敵の懐へと踏み込んで押さえ込む。
「今だ、畳みかけろ!」
「もうっ、ほんっと無茶ばっかり! 倒れる前に回復くらい受けなさいよね!」
「ラミット、援護頼む!」
「任されましたっ!」
ラミットの治癒の光に、リリーの祈りがその光をそっと支える。まるで聖女の加護のような優しい風が、味方の傷を癒していく。
レンダ・レイの矢が夜空を裂き、ブランデンは前線で攻撃を引き受ける。
「アルバート、最後行くわよ!」
「ああ、任せた!」
ラミットがエーテルに祝福を込めて力を流し込む。その力がアルバートの斧へと流れ込み、白光が周囲を照らした。同じく、リリーも両手を胸元に重ねてそっと目を閉じる。震える声で、しかし迷いのない言葉を口にする。
「風よ、導いて。光よ、照らして……どうか、この願いを力に変えてどうか祈りよ、届いて――!」
その想いは静かに、確かにアルバートの背を押した。
「――全てを断ち切るッ!!」
一閃。
光に包まれた一撃が振り下ろされると同時に、空気が爆ぜるような衝撃が広がり一陣の風が沸き起こった。闇を纏っていた妖異の身体に、深く、潔く、白光の斬撃が刻まれた。
「――がっ……ああああああアアアァア!!」
黒き女神が、悲鳴とも咆哮ともつかぬ声をあげる。闇が裂け、空間そのものが震え、引き裂かれた口から煙のような怨嗟の叫びが噴き出す。
「……これで、終わりだ」
ブランデンがゆっくりと盾を下ろし、後ずさる女神の姿を睨みつける。
「父様……母様……」
リリーが、震える声で呼びかけた。
光に貫かれ、崩れかけたその姿の中に、確かに“両親”の面影があった。
「……リリー……」
その声は確かに――母の声だった。
リリーの目から、堰を切ったように涙があふれた。 「母様……!」 彼女は駆け寄ろうとするが、父の影がそれを制するように前に立ち塞がる。
「リリー……近づいてはいけない……」 その声も、確かに父のものだった。しかし、その顔には葛藤と苦悩、そして――愛情があった。
「私たちは……もう元には戻れない。だが、ほんのわずかでも……お前の願いに応えられるなら、それでいい」
彼は振り返り、崩れ落ちた妻――マリーの手を優しく取った。その手を、彼女もまた、かすかに握り返す。「ごめんね……リリー……。苦しい思いを……させたわね……」 その声は震えていたが、確かに母親としての彼女の言葉だった。
アルバートたちは、ただ静かに見守っていた。 ラミットは涙を拭い、レンダ・レイは震える手で弓を下ろした。 ブランデンは腕を組んで目を伏せ、何も言わなかった。
リリーはそっと膝をつき、両親の前で深く頭を下げた。 「……ありがとう。……私、もう、泣かない。だから……どうか、安らかに――」
その瞬間、光が再びあたりを包んだ。 それは祈りのような、穏やかな光だった。
二人の姿は、光の中でゆっくりと溶けていく。 それは、まるで永い眠りから解放されるような―― 安らぎに満ちた別れだった。
やがて、屋敷の中から妖異の気配は完全に消え去っていた。
「……終わったな」
アルバートの静かな声に、誰もが無言でうなずいた。
***
空が晴れ、屋敷には静寂が戻った。
リリーはしばらく何も言わずに空を見上げていたが、ふと顔を上げて――微笑んだ。
「ありがとうございます、みなさん」
ラミットが、目元をぬぐいながら近づき、リリーの手を握る。
「もう大丈夫。あとは私たちがちゃんと見てるから」
「……ふぅ。とんだ騒ぎだったな」
ブランデンがぼやきながらも、どこか安心したように盾を背負い、レンダ・レイが矢筒を背に戻しながら笑う。アルバートは斧を肩に担ぎ、空を見上げる。
長い夜を越えて――新しい朝を迎えたのだった。
※おまけの話※
静かな夜だった。
深い森の奥、一行は簡素な野営地を設け、焚き火を囲んでいた。
戦いの興奮が収まりきらぬまま、それでも皆、どこか安堵したような顔をしている。
ラミットは、火を見ていた。
薪がはぜるたび、過ぎた戦いと、リリーの涙が思い出される。
「あの子、きっと、これからも迷うでしょうね」
隣に座るアルバートに、ぽつりと声をかけた。
「……それでも、進むんじゃねぇかな。あの子は強えよ」
彼は当然のように答えた。
まっすぐで、少し不器用で、だけどその言葉には真実がある。
ラミットは目を伏せる。
そのまっすぐさに、時々、どうしようもなく胸を衝かれる。
「……いつもそうやって、簡単に言うのね」
「ん? 何がだ」
本当に分かっていない顔で振り向く彼に、ラミットは小さく息をついた。
「……いいの。べつに」
わたしが何を思ってるかなんて、気づかなくていい。
気づかれたら、たぶん、困るから。
でも、ほんの少しだけ、気づいてくれたらとも思う。
そんな矛盾を、彼は知らずに隣にいて、火を見ている。
ラミットはそれだけで、少し心がほどけるのを感じた。
――あぁ、もう。ほんとに、ずるいんだから。
「……ありがとう、ね」
「ん? なんか言ったか?」
「……別に。聞き間違いでしょ」
「そうか」
ラミットはひざを抱えるようにして黙りこむ。アルバートは何か考えるふうでもなく、火に木をくべている――ラミットはちらりとその横顔を見つめ、目を細めた。静かな夜が、またひとつ、ふたりを包んでいた。
(終)
0 notes
mayimkjs · 8 months ago
Text
Braze you!! Japanese Transcription
Feel free to use this how you like with no credit to me required. Credit should go to Yamanaka.
エス: Es
フータ: Fuuta
1|ミルグラム監獄内尋間室
薄暗い尋間室の中。
フータ 「ふぅー......ふぅー.....」
椅子に座っているフータ。止まらない貧乏ゆすり。
気持ちを押さえつけるように、荒く息をする。
フータ 「......くそが!」
激しく床を蹴りつけるフータ。
エス 「......随分な荒れ様じゃないか。囚人番号3番、フータ」
いつの間にか尋問室の入口にエスがいる。
一瞬の驚きの後怒りに震えるフータが口を開く。
フータ 「......誰のせいだと思ってんだクソガキが......」
エス 「僕は看守だ。言葉遣いには気をつけろ」
フータ 「ナメんじゃねぇぞっこんなところに連れてきて偉そうにしやがって......!」
エス 「どうした?震えているぞ」
フータ 「やってやる......やってやるよ......っ!!」
椅子から立ち上がり、エスに向かって走るフータ。
エス 「!」
フータ 「うぉおおおお!!」
エスに殴りかかろうとするが、ギリギリで見えない壁にぶつかったように拳が止まる。
フータ 「な、なんだこれ......見えない壁がある......」
エス 「ほう、理屈はわからないがジャッカロープが言っていたのはコレか。“囚人から看守への攻撃はできない」
フータ 「......な、なんだっつうんだよ。現実じゃねぇのかここ......」
気が抜けてぺたりとへたり込んでしまうフータ。
エス 「無害とはいえ、感心しないな。看守への攻撃行動、とて悪印象だ」
フータ 「こ、こんなふざけた場所へ閉じ込めた奴が何言ってやがる!立派な正当防衛だ!」
決死の形相のフータを見て思わず、笑みがこぼれるエス。
フータ 「......フ、フフフ......」
笑い出したエスを見て、馬鹿にされた怒りと恐怖が入り交じるフータ。
フータ 「な、何を笑っていやがる!」
エス 「いや、すまない......こっちの話だ」
フータ 「な、何なんだテメェ......」
エス 「まぁ一旦座れ、フータ。尋問を始める」
フータ 「......」
戸惑うフータ
エス 「どうした?腰が抜けて立てないか?」
フータ 「ばっ、バカにすんじゃねぇ!」
立ち上がり、ふてぶてしくドカッと椅子に座るフータ。
フータ 「そもそも俺は自分が囚人だなんて認めてねぇ!こんなワケわかんねぇ場所に連れてくるなんてジンケン侵害だ!」
エス 「自分を囚人だと認めていない、か」
フータ 「当たり前だ!ムジツの人間を拘束して監禁するなんざ、テメェの方がよっぽど犯罪者じゃねぇか!他のヤツらはなんでか素直に受け入れてやがるが、俺はごまかされねぇぞ」
エス 「それはおかしいな。お前らは全員『ヒトゴロシ』だと聞いている」
フータ 「......しらねえ。誰が言ってんだそんなこと」
腕を組み、目をそらすフータ。
エス 「思い当たるフシもないと」
フータ 「当たり前だ。名誉キソンだろそれ」
エス 「しかしヒトゴロシという言葉が出た瞬間に腕を組みだしたな。これ以上踏み込んでほしくないか」
フータ 「は、はあ?」
慌てて腕をほどくフータ。
構わず推理を続けるエス。
エス 「囚人ではない、と僕に殴りかかるほどだ。日本の法律を犯していない、という自信があるんだろう」
ブータ 「そ、そういってんじゃねぇか」
エス 「しかし、『ヒトゴロシ」には反応した。立件はできない。犯罪ではない。ただ......人は殺した......」
フータ 「......」
エス 「目をそらしたな」
こくん、と息を呑むフータ。
フータ 「......はん、バカバカしい。的外れだぜ」
エス 「話し始める前に唇を舐めたな。緊張している証拠だ。嘘を付き慣れてないのか?」
フータ 「......!いい加減にしろテメェ!!!」
椅子を倒し、立ち上がるフータ。
フータ 「......ふーっ。ふーっ」
殴りかかろうとするが思い出し、止まる。
エス 「頭に血が昇ると、暴力が無意味だということまで忘れてしまうのか?」
フータ 「......汚ねぇぞ、てめぇ......」
エス 「ちなみに、教えといてやろう。しぐさや反応で心理が読めるなんてことは、ありえない。それらしい話に簡単に騙されないようにな」
フータ 「こ、こ、こいつ......」
あまりの怒りに唇を震わせるフータ。
エス 「残念ながらお前の言う人権侵害も、監禁も、名誉毀損もミルグラムではまったく問題にならない。ここはそういった理の外にある」
フータ 「......そんなこと、認められっか......」
エス 「自分の立場をわきまえろ。何を言おうとお前は『ヒトゴロシ』の囚人だ。決して逃げられない。お前に判決がくだるまではな......」
椅子に座り直すフータ。
気が抜けたのか、顔を手で覆う。
フータ 「くだらねぇ......。俺は殺してねぇ......殺してねぇんだ......」
エス 「......ふむ」
興味深そうにフータの様子を眺めるエス。
ワーダ 「愛してねぇ......してねえよな......」
エス 「フータ」
フータ 「あんだよ......」
エス 「先に述べたミルグラムの性質上、お前の 「ヒトゴロシ』も、今の時点では問題にはならない。僕はそのことでお前を責める気もない。一旦落ち着くと良い」
エスの言葉を反芻し、ごくりと生唾を呑むフータ。
フータ 「......は、ははっ殺してねぇっつうの」
安心して、空笑いのフータ。
エス 「どちらでもいいさ。いずれ、ミルグラムの力でわかる問題だ。お前の心象を覗くことになるからな」
フータ 「プライバシーの侵害だろ......。フザけんなよ......」
エス 「お前にとっては好都合だろう。本当に人を殺していないんだったらそれを証明できるんだ」
フータ 「......そうだけど、よ......」
エス 「安心しろ。ミルグラムは......まぁ、僕もかな。別にお前の敵じゃない。たとえ法律を犯していても、人を殺していてもミルグラムで赦すと判断されれば赦される。ある意味、フラットだろう」
フータ 「......」
エス 「まぁ、お前の味方というわけでもないけどな」
小さくつぶやくエス。
少し落ち着いた様子のフータ。
フータ 「ふぅーー......」
エス 「落ち着いたようだな」
フータ 「現状どうしようもねぇからな。出口は見当たらねぇし、力づくでも通用しねぇときたらな......」
だ息を整えたのちエスに向き直るフータ。
フータ 「おい、エス」
エス 「言葉遣いに気をつけろと言ったはずだが」
フータ 「うるせぇ、どうせ俺より年下だろ」
フータの物言いに呆れるエス。
エス 「......やれやれ、野蛮人め」
フータ 「ここはなんなんだよ。何の目的で俺たちを捕らえてんだ」
エス 「答えるつもりはない。お前たちはただ髪で生活をしていればいい」
フータ 「......おい、囚人だからってナメんなよ。刑務所の中の人権侵害とか、今どき問題になってんのしらねぇのかよ!」
エス 「なんだ、囚人だということは認めたのか?」
フータ 「言葉のアヤだバーカ!」
取り合わないエス。
エス 「こちらからの質問をするぞ。監獄内の生活はどうだ?」
フータ 「どうもこうもねぇよ。スマホもPCもねぇし。現代人かHらネットワークを奪うなんてどうかしてんじゃねぇのか」
エス 「他の囚人との関係性はどうだ?」
フータ 「別に......。でも変なヤツらだよ。なんでか落ち着いてるヤツも多い。こんな状況だっつうのに......」
エス 「ふむ」
話し出すと止まらなくなるフータ。
フータ 「特に気に食わねぇのがシドウとカズイのおっさんコンビだな。この緊急事態だっつうのに。年長者のくせにノンキにしやがって頼りねぇたらありゃしねぇ」
エス 「そうか」
フータ 「ま、ハルカもミコトも全然だけどな。俺が引っ張ってい反かなきゃなんねぇ」
エス 「ふぅん......」
フータ 「そもそもオンナは頼りにしてねぇしな。代表してガツンと言ってやるよっつって、今回も俺が来てる訳よ」
エス 「あぁ、それであんなに興奮してたのか。しかし、代表の割にやけに震えていたな」
エスの言葉に少し言いよどむフータ。
フータ 「いや、それは、ユノのヤツが......尋問室でとんでもねぇ暴力を受けたってて言ってたからよ。武者震いってやつだよ......!」
エス 「ユノ......律儀にやってくれたんだな」
フータ 「なんか言ったかよ」
エス 「特に何も」
リラックスした様子のフータを見つめるエス。
エス 「しかし、よく喋るようになったじゃないか」
フータ 「は?オマエが質問してきたんだろうが」
エス 「最初はよっぽど怯えていたのだろうな。先制攻撃することで、それを誤魔化す。そうして自分を守ってきたのだな」
エスの言葉に、ピリつく空気。
フータ 「......あぁ?ケンカ売ってんのかよ...」
エス 「僕がお前を判断するために必要な評価だ。気を悪くするな」
フータ 「おいおいおいおい!偉そうに人を評価してんじゃねぇぞ!違法行為だらけのヤツがよ!」
フータ 「ここを出たら絶対に訴えてやっからな!お前も!ただで済むと思うなよ!」
エス 「ふぅん」
フータ 「俺は悪いやつは許さねぇ!このミルグラムとかいう場所も、絶対に潰してやる!」
フータの言葉に目を丸くするエス。
エス 「僕が“悪いやつか。その発想はなかった。ではフータ、お前は正義か」
フータ 「たりめぇだろ!悪をぶっ潰すのが正義だ」
考え込むエス。
エス 「......正義が、人を殺したのか?」
フータ 「......ッ!殺してねぇ!」
エス 「では思考実験だ。どう思う。正義のための殺しは赦されるか?」
フータ 「......赦される......。赦されるに決まってる......」
思考に没頭するエス。
エス 「興味があるな......。果たして、正義は赦されるのか、悪、罪、そこに因果関係はあるのか」
フータ 「おい、何ぶつぶつ言ってやがる」
突如部屋にある時計から鐘の音がなる部屋の構造が変化していく。
フータ 「な、なんだ!何が起きてやがる!」
エス 「......時間か。見せてもらうよ、お前の正義」
フータ 「歌を抽出するってやつか。けっ、好きにしやがれ......」
エス 「そうさせてもらおう。何か言い残したことはあるか?」
フータ 「言い残したことね······おい、エス」
エス 「なんだ?」
フータ 「なんで笑ってやがった?」
エス 「ん?」
フータ 「最初の方!こっちの話だ、とかいってはぐらかしてただろ!ああいうのモヤモヤして気持ち悪いんだよ」
エス 「あぁ......」
エスの顔に笑みが浮かぶ。
エス 「あまりに囚人らしい囚人だったもので、正直、少し嬉しくなった。おかげで、いつもよりはりきって虐めてしまったかもしれないな」
フータ 「はぁ~~~~~!」
エス 「楽しかったよ、ありがとう」
フータの肩に手を載せるエス。
エス 「囚人番号3番、フータ。さぁ。お前の罪を歌え」
12 notes · View notes
projecthedz · 4 months ago
Text
250307 金
【0:00】
もうずーっと黒沢1期最終巻の「あったけぇ」的ぐにゃぐにゃな幸福感が続いていて動けない
だからなんなんだよ、というツッコミを理性が入れるも本能が「あったけぇ…ありがてぇ」って手を擦り合わせて拝んでばかりでなんも仕事しない
温もり中毒。思い出中毒だ
-----------------------
今を見ていない。これは過去に囚われた人間にありがちな足踏み‼︎
私一人では脱出できない、スーツがオシャカになったッ!助けろっ誰か助けろーッ
ああ、覚悟決めて決意固めて家を出る
こういう「後ろ髪引かれモード」の時は脱出が優先されすぎて忘れ物する
近距離探索リモコンでアイテムが自分と共にある事を確認し出発。電車の中でiPhoneの探すで所持品探すとすべて自分と一緒についてきてる。この安心感
紛失防止タグはApple IDではなくiPhone本体と紐付けされる。だからiPhoneを壊したり紛失すると紐付けしたタグも機能しなくなる
いま、iPhoneの液晶死にかけでこれが壊れたら修理せず別のiPhoneに買い替える予定なので早めにペアリング解除しないとな
Tumblr media
持ち物はこんな感じで追跡できる。更新頻度は近くにiOS搭載でBluetoothをONにした機器があれば1秒単位で更新される
wi-fi機能はついてないのであくまで通りすがりの人間依存
だからド田舎や山奥とかで落としたら位置情報は更新されない。人口密集地以外では役に立たない「都市インフラ依存型デバイス」である
これはこの手のアイテムが出始めた当初から何ら進歩してない
iPhoneの「探す」機能は裏で受信した他人のアイテムの位置情報をwi-fi経由でオンラインにアップロードし続けている。だから紛失防止タグ自身にはwi-fiの通信機能を持たせる必要がないのだ
いずれにせよ、他力本願でパラサイトな仕様である
試しに電話機能以外オフにして場所検知してみたががっつり追跡できている。皆のBluetoothとwi-fiに毎秒タダ乗りして私のiPhoneに位置情報を送っているというわけだ。凄いシステムだ
10年前に買ったやつは3時間経っても更新されなかったんだぞ(同じ製品持った人が通りかからないと位置が更新できなかった。普及度の問題ではあるが肌感としてはゴミだった)
アイテムの現在位置を観てるだけでも面白い。私の中のストーカー性と管理欲求に火がつきそうだ
ちなみに最近は「許可なく他人の位置情報を探す目的でタグを悪用した場合警察は逆探知できます」的な文言がタグのペアリング時に出る。そりゃそうだ
こういうアイテムの「能動的な使い方」って犯罪と他人の監視以外思いつかないもん
関係ないけどアンパンマンがうちに秘めた破壊の力を普段から発散させたくて苦悩するドラマがあったら面白いのにな…って、その先の話をワンパンマンが既にもう書いてるか
他人を傷つける力って「それを悪用してくれる悪者」がいないと発揮する名目が成り立たない
「存在しない残酷と狂気の世界を描いてエンタメを盛り上げたい」という欲がブラック企業というプロモーターの存在がないと空ぶってしまうように(人はデフォではそれほど混沌やストレスを求めない)
よし、自宅の影響圏抜けた、温みボケの減衰を確認
———
【2:00】
19:00から22:00まで3h寝て夢を観て
それは妻が他界し自宅を引き払い一人暮らししている1ルームの自分のアパートの部屋で
娘の存在は不明。部屋のクローゼットが閉めても閉めても勝手に開いて視線感じてしょーがないという悪夢テイスト
だけどそんなこと気にしてたら生きていけん! と割り切って夢の演出一切無視して寝てる夢
不安を無視する訓練すると悪夢にすら抵抗できるようになるのだな
起きてすぐ出発したから夢の話を書く余裕なかったので会社着いてからこれ書いてる
ファンボの予約記事書くか。ここに書いたやつをロンダリングして使います
この間ノンアル酔いしてる時に書いたジェンダーがらみのやつ、リスクしかないから消した
生産性の低さと被差別ポジを紐づけて暗に明にディスる話はどう味付けしても「爆弾」にしかならない
それは自身が被差別者側や被害者側であったとしても同じ
触れても誰も得をせず根本的解決にも結びつかない「痛み」にまつわる話題ってもんがある
そういうもののシェアは避ける
強くなりさえすれば、人を裏切ることも裏切られることにも頓着がなくなる
裏切るというか「損切り」だな
自分が損切りする権利やメリットがなく「損切りされてばかりの立場」だとそれを「裏切り」と認識してしまう。お互い様だと思えなくなる
そしてその排他の根拠となりがちな「お金」を悪者扱いし、嫌儲と化してしまう
貧乏で倹約家で、それなのに自分が食べるものを惜しんで動物の食事と健康には十分なコストをかける事を美徳とするような「清貧信者」になっちまう
いや、お金あって甲斐性あったら普通にその動物のこともっと幸せにできますって
これは配偶者や子供に関しても全部一緒
稼いで稼いで、大事な他者を幸せにする為に生き、じゃんじゃんお金使っていけばいい
資本主義社会とは消費行動を全肯定する社会
その世界で踊りまくった結果、物理的になーんも残らず終わろうとも構わん
どうせあの世にはなんも持っていけない
最期に納得と満足感じながら走馬ビジョンを愉しむために我々の生はある
私は例え四肢を失い廃工場の床の泥水に浸かって孤独に死ぬ最期迎えようとも「むっちゃ面白かったー!」って言って終われる自信ある
ただし呼吸困難だけは嫌。呼吸困難は身体の本能(呼吸欲求)の所為で最後まで生にしがみついてしまい、苦しみの絶頂のまま死を迎えるから。走馬灯なんて決して再生されない最悪で最低な死
そういう意味で肺に穴が空いて肺の中が血で満たされて溺れ死ぬ死に方も絶対イヤ
私はマジに走馬灯鑑賞に全ての希望と夢を託している。それを観て終わる為だけに生きている。全ての経験は走馬灯を面白くするためのリール素材以上の意味を持たない
私は私の往生際に上映されるショートムービー撮る為だけに生きているんだ。その中身が充実するのなら、ジャンルはホームドラマでもホラーでもアクション映画でも構わない
ねむ。ダル。やっぱ寝るかな
———
【3:25】
アメリカ、ロシア、東アジア
そこら辺の力関係にまつわるお為ごかし観てるとトホホ感に包まれる
自分が干渉不能なデカいスケールのゴタゴタ観てると卑近な温みに逃げ込みたい衝動に駆られる
絵描きなんざ現実のシビアさから逃げる為だけに絵を描いてんだ。ありもしない架空の残酷やトラブル描いて現実の痛みを陳腐化させるのがせめてもの他者貢献
もっと酷い地獄があるよ! ここじゃない場所、今じゃない時代にね、と
いろいろ俯瞰と主観をスイッチし足りない脳味噌働かせて損得のふるいにかけると、最後はやっぱ温もり最高ってオチになる
そっち行かないなら結局「最強の力」を求める範馬勇次郎ゾーン行くしかなくなるじゃん、あるいはその取り巻きのにぎやかしキャラとして生きる(イキる)しかなくなるじゃん
あるいは制約だらけのゲームの中でアスリートとしてスコア競争続けるか
ぶっちゃけ全部面倒臭いけど比較的低コストで到達可能なゴールが温みの常習なのだ
幸せな上に周りからも肯定して貰えやすい
猫やウサギ飼って可愛がって写真あげてるだけで褒めてもらえる
家族と仲睦まじく日常送るだけで応援してもらえる
実現には年収700もありゃ十分だ
アニメ業界に来てからその額を稼ぐことすらままならなくなった。笑うよホント
作業量クソみたいに多いがそれでも低賃金アニメーターの3倍くらいもらってるから文句は言えない
楽しいからいい! の一言で済ま��以外無い
実際、アニメ仕事始めてからの私の人生のほうが「面白そう」でしょ?
そう、他人に面白そうと思われる人生にこそ価値があるんだ
退屈なキャラのまま年収3000万あっても「なんかこの人の人生さもしくてつまんなそう。金だけばら撒いて死んで欲しい」って思われてたらイヤじゃん
ストップ!
力のなさを肯定する為の自己弁護すな!
小金持ちを無意味に貶すな!
知性と技術磨き信頼を積み上げろ!
請けた仕事きっちり食べ終わってから次の仕事を受注しろ!
散らかってますよ、人生がー
0 notes
almostautohonyakudiary · 7 months ago
Text
ダマスカスの夜明け
カリーム・シャヒーン
私が最後にシリアの地を踏んだのは2017年、今は退陣したバッシャール・アル=アサド政権が行った化学兵器による攻撃を取材するためにカーン・シェイクンの町を訪れたときだった。アブドゥル・ハミッド・アル=ユセフという男の隣に座ったことを覚えている。彼はその前日に妻と二人の幼い子供を埋葬していた。彼が負傷者を助けるために飛び出し、失神して近くの病院で目を覚ましたときには、妻と子供は毒ガスで窒息していた。
追悼式に参列した一人が、預言者ムハンマドの言葉のひとつを彼に語った。審判の日、すべての人は地獄を越えて楽園へと続く 「アル・シラト 」と呼ばれる橋を渡らなければならない。悪人はつまずき、落ちるだろうが、善人には、その橋は広がり、楽に渡れる道になる。しかし、幼くして子供を失い、耐え忍んだ人には、その幼い子供が翼のある天使として生まれ変わり、橋の向こうまでいっしょに飛んで渡らせてくれるのだ。
悲しみで呆然としていたアル=ユセフが、覚醒した。「そこには妻もいるのか? いとこたちも?」
その後、急ごしらえで作られた彼の一族の墓地のシナモン色の土の前に立ったとき、私はその話を思い返した。私は彼から彼の悲しみの話を聞いたことを、恥じていたと言ってもいい。なぜなら私は心の奥底で、彼がこの世で正義を経験することは決してないだろうと思っていたからだ。来世まで待たなければならない。それがあの話の救いの、真の意味だった。死においてのみ、そして神が存在する場合にのみ、正義は果たされるのだ。わからないことが多すぎた。そしてそれを熟考する勇気は私にはなかった。私はエッセイを書き、次��移った。難民たち、樽爆弾攻撃の犠牲者たち、イスラム国グループの犠牲者たち、人類が考え出した中で最も残忍な全体主義的警察国家の犠牲者たちと話をした後で、いつもそうしてきたように。
でも、今は? 今はと言えば? 正義が想像できるということ、良心の宇宙の弧が続いているということ、包み込むような暗闇の中で目を細めさえすればトンネルの先にいつもあった光がほんとうにあるということ。その可能性があるのか? 私には言葉が思い浮かばない。
そもそも言葉とは何だろう? 言葉とは意味を伝えるもののはずだが、シリアの反体制派が史上最大の反乱を起こし、60年にわたるバース党支配を終わらせたこの10日間に起こったことの意味を、どうやって抽出するのだろうか? 世界最古の都市のひとつであるアレッポの解放をどう表現するのか? 1980年代のリファト・アル=アサドの凶悪な行動によって徹底的にトラウマを植え付けられ、男性、女性、子どもたちを哀悼するまで40年もかかったハマの解放をどう表現するのか? キリスト教のサハナヤで教会の鐘が 「ひとつ、ひとつ、ひとつ、シリア国民はひとつ 」という調子で鳴り響くのを聞く感動をどう捉えればいいのか? あるいは、ダマスカスのウマイヤド広場の中心で、亡くなった著名な反体制派で元ゴールキーパーのアブデル・バセット・アル=サロウトが革命歌「ジャンナ・ジャンナ」を歌っている声が響き渡っているのをどう捉えればいいのか? ハマのアッシ広場やホムスの時計塔周辺に集まった数十万人の大合唱を?
10年間追放され、解放者として戻ってきた息子を初めて見る母親や父親の涙、玄関で両親の足にひざまずいてキスをし、放心状態で涙を流す息子の武勇伝をどう捉えたらいいのだろうか?
解放された抑留者の喜びと苦しみに満ちた顔。10年、15年、20年、40年ものあいだ、新鮮な空気を吸うこともなく、夢も意味も奪われ、アサドの地下牢で、結局は何の刑にも服していなかったのだ。アサドは逃げた。彼の非合法な催眠国家を維持するために国を燃やし尽くすという誓約を果たしてきた彼の支持者たちに、一言も言葉をかけずに。
彼らはほんとうに国を焼き尽くした。人口の半分が避難し、数え切れないほどの人々がスターリン主義の地下牢のネットワークに拘束された。妻と夫を、兄弟姉妹を、父と息子を敵対させるよう仕向ける有害な監視システムによって補強されていたシステム。囚人を拷問する70種類以上の方法を発明した懲罰システム。40万人以上の死者。化学兵器による攻撃で殺された何千もの人々。さらに数千人が樽爆弾で殺された。TNTを詰めた樽爆弾は精度が非常に低く、誤って自軍を殺さないように、反乱軍の戦線のはるか後方でパンの列を作る市民に向けて投下されたのだ。永続的で人を麻痺させる恐怖。西側諸国の政治を再編成することになった難民危機。そしてイスラム国の設立と繁栄の条件が生み出された。このあとで、これ以上悪いことが起こるとは考えにくい。
今はほんとうに言葉がない。私の妻はアレッポ出身で、ここ数日は感情の壁や区画で築かれたダムが激しく崩れ落ちているようだった。妻の、故郷の家族や、世界中のシリア人たちとの会話、故郷に帰りたい、失われたものを取り戻したいと気が急いている様子が耳に入ってきた。信じられないという気持ち、幸福感、そして溢れ続ける涙を行ったり来たりしている会話だ。
「いなくなった! いなくなった! いなくなった!」
言葉の連想。
「ふるさと! 私の家! 私たちになんて多くのことをしたんだ! なんてことをしてくれたの! 我が家! 神よ! 自由になったんだ!」
私自身、言葉を見つけようと手を伸ばしても、うまくいかない。この瞬間を捉える言葉は見つからない。心の奥底で言葉を探して格闘している最中に、拘禁されていた人の1枚の写真を見て、頓挫してまたやり直す。私はシリア人ですらない。幸運にも彼らの旅に少しだけ参加できただけの人間だ。なぜ私の心は破裂しそうなのだろう?
ひとつ、見つけた。アサド支持者たちには唱えていた言葉があった: 「Qaedna lel abad(リーダーよ永遠に)、バッシャール・アル=アサド」
「永遠が終わった」 とシリア人たちが何度も何度も唱えていた。
永遠の終わり。美しい幕引きだ。
それから、レバノンの伝説的歌手ファイルーズが投稿した詩的な一節を目にした。彼女は解放されたダマスカスに夜明けの光が差し込む中、この一節をツイートした。私は英語が大好きだが、彼女のセリフを読んだ瞬間、アラビア語を知らない人たちは本当に可哀想だと思った。彼女が投稿した元々の言葉の美しさを感じることができないからだ。今私には、翻訳の安っぽい模倣のようなものしかできない。しかし、それでいいのだと思う。私の言葉もまた、陶酔と動揺の深い海の、安っぽい模倣なのだから。ファイルーズはこう言った:
「ダマスカスよ、私の目はあなたを見つめている。朝は、あなたから流れ出でる」
カリーム・シャヒーンはニューライン・マガジンの中東およびニュースレター担当編集者)
New Lines Magazine 12/8, 2024掲載
0 notes