#やっぱり出たかおすぎの猛毒!!-芸能界てんやわんや
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やっぱり出たかおすぎの猛毒!!-芸能界てんやわんや 杉浦孝昭 カッパ・ホームズ 光文社 カバーデザイン=長友啓典 K2、カバーイラスト=大竹雄介
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【振替日程決定】公演詳細 ! ! スイッチ総研プロデュース 「吹きさらし!!手を変え品を変え劇場」 トライアル&エラー公演
【1月29日(金)〜1月31日(日)】より延期しておりました本公演の振替日程が【4月9日(金)〜11日(日)】に決定いたしました。延期については以下の記事をご覧ください。
【お知らせ】公演日程の延期について [2021年1月9日]
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たびたび失礼いたします。三度目のご挨拶です。「吹きさらし!!手を変え品を変え劇場」発起人でスイッチ総研所長の光瀬です。 予定していた1月の末より延期をした本企画、4月の上旬に実施することが決定しました。ありがとうございます!吹きさらしではありますが、だいぶ暖かくなり愉快な春の宵になりそうです。今となっては「1月の末に海辺の野外?正気じゃないな!!」という気持ちです。 正気の沙汰じゃないことを、正気を持って、或いは正気を保つために、社会や世界や人と関わりながらできるのが、芸術の最高にイケてるところだなと思う自分です。引き続き、皆で柔軟にトライとエラーをしてみます。諸々のご都合が許せば、遊びにいらしていただけると嬉しいです。 引き続き、劇の場であるか否かにかかわらず全てのみなさまのご無事とご安寧をお祈りしながら。 どうぞよろしくお願い申し上げます! 2021年3月1日 スイッチ総研所長 光瀬指絵
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世界のありようが変わった今、いつもは「スイッチを押すと始まる一瞬の演劇」を研究開発しているスイッチ総研が「換気充分な屋外で、少数の出演者による、5分〜15分程度の小作品を数本、少数の観客の前で距離を保って上演する企画」を試行錯誤してみます!ラインナップは「屋上劇場」「ガラス越し劇場」「まぎれこみ劇場」の3つ。
本企画では鑑賞者にもとあるミッションがあり、お客さまもまた劇を実現する大事な要素の一部です。感染拡��防止と、新しくて出来ればご機嫌な演劇の両立を、最も素朴な方法でささやかに目指す我々のトライとエラーに力をかしていただけると嬉しいです。吹きさらしの劇場でお待ちしてます!

スイッチ総研プロデュース 「吹きさらし!!手を変え品を変え劇場」トライアル&エラー公演
【日程】 2021年4月9日(金)〜11日(日)
【会場】 象の鼻テラス、象の鼻パーク
【構成/全体演出/発起人】 光瀬指絵(スイッチ総研)
【作/演出/出演など】 石倉来輝(ままごと) 亀島一徳(ロロ) 小林義典(クロムモリブデン) 高橋義和(FUKAIPRODUCE羽衣) 田島冴香(FUKAIPRODUCE羽衣) 田中祐希(ゆうめい) 福永マリカ 矢野昌幸 光瀬指絵(スイッチ総研/ニッポンの河川)
<プログラム> 軽演劇『厩火事』 【原作】古典落語『厩火事』 【構成/演出】光瀬指絵 【出演】亀島一徳(ロロ)、光瀬指絵(ニッポンの河川/スイッチ総研) 【上演形態】屋上劇場 本企画発起人のわたくし光瀬が、ままごと『喫茶ままごと』、スイッチ総研『本多劇場祭り』に参画出演した際に「多くの時間はかけずに実現可能でしかし本気のなにか面白いだしもの」をひねり出す必要に迫られて行った、「リーディング落語劇」の練り上げ版!!当時は台本を持ち座ったまま演じるスタイルでしたが、今回は台詞を覚え、ロロの亀島一徳氏という頼もしい助っ人を相手役に迎えてお送りします!古典落語の素晴らしい力と胸をかり、気軽と本気が共存するおしゃべり過多のグルーヴ二人芝居に挑戦!夜の屋上で!よろしくお願いします! ------------------------------ 『田島と高橋おおいに歌う』 【構成/演出】田島と高橋 【出演】高橋義和(FUKAIPRODUCE羽衣)、田島冴香(FUKAIPRODUCE羽衣) 【音楽】糸井幸之介 【協力】FUKAIPRODUCE羽衣 【リクエスト】光瀬指絵 【上演形態】ガラス越し劇場<内ステージ> 高橋さんと私は共に東京の東の方出身で遠からず近からず、私と致しましてはその関係をとても心地よく感じて参りましたがこのようにたくさん一緒にいる機会は初めてです。 ガラス越しの近からず遠からずな距離感とも似ていますでしょうか。お客様ともガラス越しにご一緒するのは初めてです。お客様と高橋さんと私、初めての同じような関係を築けちゃいますでしょうか。 近からず遠からず、遠からずも近からず。 ガラス越しにガラス越えてこっそり大いにお届けします!!(田島) やさしく暗い夜の公園。青と黒の混じった景色。閉館後の象の鼻テラスにともる小さな灯り。ガラス越しに見える風景とは?告白?密談?仕事を終えたカフェテラス店員たちの雑談?どんな景色が出現すれば素敵であるか?と考えていた時に思い浮かんだのが、いつもスイッチをご一緒してくださるFUKAIPRODUCE羽衣の素敵な俳優ズのお顔でした。 ガラス張りの象の鼻テラスを外からこっそり覗いていただく<ガラス越し劇場>の<内ステージ>は、光瀬のお願いをご快諾下さったFUKAIPRODUCE羽衣さまの全面ご協力でお送りします!唯一無二の「妙ージカル」俳優たちが出現させる景色は、雑談か自主練か発声の猛特訓か!?糸井幸乃介さんの音楽にのせ「大いに歌う」ことだけは間違いありません。お楽しみに!(光瀬)
------------------------------ 『タコ10泥棒』 【作/演出/出演】矢野昌幸 【協力】朴建雄 【上演形態】ガラス越し劇場<外ステージ>
あなたはタコ派?イカ派?え?フランシス・ハ? 貝なら無問題のナイスガイ! あなたが居なきゃ始まらない! 鯨に目くじら立てたってしょうがない! エイやらハブやらじゃあるめぇし! 俺たちは考える足でしーかない! おそれみよ!舞台を日本に置き換えたネオレアリズモです!
------------------------------ 『こくはく』 【作/演出】田中祐希 【リクエスト/相談係】光瀬指絵 【出演】石倉来輝(ままごと)、小林義典(クロムモリブデン)、福永マリカ、田中祐希(ゆうめい) 【上演形態】まぎれこみ劇場
鋭意創作中!!!!これが本当のトライアル&エラー公演だ!!乞ご期待!(光瀬)
<手を変え品を変え劇場概要> 1、屋上劇場 象の鼻テラス屋上での上演。着席での鑑賞。雨天時は「臨機応変劇場」としてテラス内で上演。

2、ガラス越し劇場 観客と演者の間にテラスの大きなガラス窓を挟んで上演。音声は生のそれを鑑賞者それぞれが所定の<イヤホンガイド>で聴く。上演の場所はテラス内/外両方を予定。

3、まぎれこみ劇場 象の鼻パークの風景に「小さな演劇」をまぎれこませて上演。音声は生のそれを鑑賞者それぞれが所定の<イヤホンガイド>で聴く。鑑賞者は「密を避ける」ことは勿論「風景の一部になる」というミッションを作品と共有しパーク内に点在し鑑賞。観客もこの劇を実現する要素の一部となる。

横浜の夜景を望む屋上、ほの暗い海辺の公園、ひと気のない閉館後のテラス。それぞれの場所と風景に似合った、あるいはまったく似合わぬちょっとした物語が、三夜限定で象の鼻パーク&テラスに出現!する予定。
【日時】 2021年4月9日(金)〜11日(日) 4月9日(金) 19:30 4月10日(土) 19:00 4月11日(日) 19:00 ※延期後の振替日程です。 ※受付開始・開場は開演の30分前 ※上演時間60分程度。途中テラス内にて15分程度の休憩あり ※雨天決行・荒天中止 ※新型コロナウイルスの感染拡大状況により公演を延期または中止する場合がございます。
【会場】 象の鼻テラス、象の鼻パーク 横浜市中区海岸通1丁目 みなとみらい線「日本大通り駅」出口1より徒歩約3分、出口2より徒歩約5分 https://www.zounohana.com/map/
【チケット】 [一般] 2,500円(1ドリンク、1カイロ付) [小学生以下] 1,500円(1ドリンク、1カイロ付) [未就学児] 大人1名につき1名まで膝上鑑賞無料。座席とイヤホンガイドが必要な場合は、小学生料金を申し受けます。 ※小学生チケットは各回枚数制限あり。予定枚数に達し次第受付を終了します。 ※各回限定30席 / 事前予約制
【再発売日】 2021年3月2日(日)18:00
【チケット取扱い】 https://torioki.confetti-web.com/form/1278 ※当初の予定日にご予約をいただいていたお客様にも再度お申し込みの手続きをお願いしております。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
<ご挨拶>
この試行錯誤を夢想し始めたは2020年の春頃でした。
答えの出せない事ばかりでしたが、やっぱり劇を生で観たりやったりしたかった。お客さん含めた全員のリスクを出来るだけ小さくして気軽に。自分に思いつけたのは「野外で少人数でやる」という最も原始的な方法でした。
少人数で別々に稽古し何かあればそのチームは休んで公演中止は回避する。延期になっても経済と心のダメージが小さく済むフットワークの軽い公演形態を探る。「トライアル&エラー公演」と謳っていますが「お客さんも実験に力かしてください!土下座公演」の気持ちです。
屋上企画としてスタートしたのにこの場所に通ううち試したい事が増え��んな事になってしまいました。原始的な方法の筈がイヤホンガイドを使用することに。1500円位でと思っていたのに2500円に。暖かい時期の外は気持ちいいぞと思っていたのに一番寒い1月末にやる事に。既に色々土下座!!
企画をご快諾くださった懐の深い象の鼻テラスさんに感謝しています。世界がどのような状況になっても「演劇」そのものは決して無くならない。一番優先されるべきは劇の場にいない方も含めた世界全部の命である。という思いは2月から今日まで変わっていません。1週間後のこともわからぬ日々ですが柔軟に試行錯誤してみます。人間も世界も何だかんだ言ってそう捨てたもんじゃない、善きところをみていきたいと思う自分です。色々な状況が許せば、暖かくして遊びにいらしてください。寒くてすみません!土下座!!!
スイッチ総研所長 光瀬指絵
【問い合わせ】 象の鼻テラス https://www.zounohana.com/
【企画・制作】 スイッチ総研
【主催】 スイッチ総研、象の鼻テラス
◆ご来場のお客さまへ ・おもに屋外でご鑑賞いただく作品です。象の鼻パーク内で小範囲の移動があります。雨天決行のため、天候によっては雨具のご持参をお願いいたします。
・音声をイヤホンガイドでご鑑賞いただく演目がございます。イヤホンガイドの機器は貸出の際に消毒を徹底しておりますが、ご自身のイヤホンをご持参の上ご利用いただく事も可能です。(ミニイヤホンジャックであれば接続可能です) 互換性の保証はいたしかねますので予めご了承ください。
・試行錯誤中かつ柔軟なスタイルを目指す企画のため、プログラムや出演者に変更が生じる可能性がございます。その柔軟さも含め、お客様に試行錯誤へお付き合いいただけるとありがたく存じます!
◆新型コロナウィルス感染予防への取り組みとお客様へのお願い 本イベントは新型コロナウイルス感染防止対策に伴い、以下の取り組みを実施しております。 お客様と従業員の健康と安全を確保するため、何卒ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
<象の鼻テラスにおける取り組み> ・屋内会場の際は出入り口を解放し、換気を十分行い実施いたします。 ・入場者人数に制限を設け、各日30名(先着順)となります。定員に達し次第、申込受付を終了します。
<ご来場されるお客様へのお願い> ・ご来場の際は、マスクの着用をお願いいたします。 ・咳や発熱など風邪に似た症状がある方、体調に不安がある方、2週間以内に感染拡大地域への往来がある方はご来場をお控えください。 ・手洗いや備え付けの消毒液のご使用、咳エチケットのご協力をお願いいたします。 ・整列時や入退館時のソーシャルディスタンスの確保など、感染予防および拡散防止に可能な限りご��慮ください。 ・入場時に検温を実施いたします。発熱があるお客様の来場はお断りをいたしますので、ご了承ください。
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「あけましておめでとうございます。枢木さん」
ソファに横並びで『ゆく年来る年』を眺めていたルルーシュが、日付の切り替わりと同時にこちらへ向き直り、座面の上で正座になって三つ指を突いてくる。白無垢を纏った幻影が見えるほどの流麗なお辞儀に新年早々、文字通り本当に早々、心臓が鷲掴みにされる心地だ。
「あけましておめでとう、ルルーシュ。今年もよろしくね」 「はい、お願いします。……ふふ、平成三〇年の枢木スザクは男前ですねえ」
粛々とした顔つきを即座にふにゃりと緩ませ、胸の前で小さく拍手をするルルーシュの頬はほんのり、を通り越してなかなかに赤い。そこらの大学生よりも酒に弱い白人が存在するのだという事実を、スザクは目の前の可愛い同居人を通じて初めて知った。飲み慣れていないせいもあるのだろうか。なにせスザクが気合を入れたレストランで二十歳の誕生日を祝ったその席まで、ルルーシュがアルコールに口をつけたことは一度たりともなかったというのだから驚きだった。ルルーシュを見ていると事あるごとに、育ちが良いとはこういうことかとしみじみ思わされる。芸能界に足を踏み入れ立てでおまけに自分のファン、いかにもチョロそうだからさくっと抱いてモノにしてやろう、などと謀っていた三年前の自分を殴り倒しに行きたい。もっとも、ふわふわと心地良さそうにスザクの両手を取って無意味に振り、挙句ぽすんと胸元に倒れ込んでくるこの懐き具合に対して、これまでの戦績が口先だけのごく軽いキスひとつという今の体たらくの方が、過去の自分から張り倒されて然るべきといった話なのだが。
「眠いの? 寝るならちゃんとベッドに行かないと」
揃いのパジャマの胸元に顔を埋められ、こんなことでも童貞のように爆発寸前の下心を抑えながら頭を撫でる。さらさらとした黒髪の指通りを、指先から伝い全身全霊で愉しむことくらいは許してほしい。同じシャンプーを使っている筈なのに、どうしてこんなにも甘くやわらかな匂いがするのだろう。
「ルルーシュが寝るなら、俺も寝るし。明日のお雑煮作りも手伝うから」 「おぞうに……枢木さんは、おもち、何個食べますか?」 「んー、五つくらい? ほら、ルルーシュ立って」 「いつつかあ。いっぱい食べますねえ。いっぱい食べるひとはいいひとですよ」 「そうだね。ありがとう」
この瞬間もこれまでにも、襲ってしまおうと思えば容易に襲える場面がいくつもあった。今までベッドを共にしてきた女優なりモデルなりアイドルなり、凡百の相手であればとっくに抱き飽き��いる頃だろう。それをこの、五歳年下の男の子に限っては、酔ってふらついた身体を支えて唇が近づいた瞬間の、衝動的な一度の口づけしか為せていない。しかもそれを、同じ状況である今再び、今度こそは舌まで入れて奪ってやろう、などという気も臆病風で起こせない。あのキスの直後、真っ先に感じたのは圧倒的なまでの罪悪感だった。ルルーシュが嫌がっていない、というよりも「酔ってふざけてキスなんて大人だな、それも枢木スザクが相手なんて役得だ」程度にしか捉えていないのが丸分かりであったことで、「枢木スザクに生まれて良かった」という天から光射す気持ちプラス「どうして俺は枢木スザクなんだ、いっそただの顔が良くて才能と金のある一般人だったなら」という気持ちプラス「でも俺が枢木スザクでなければルルーシュはこんなに気を許してはくれないんだ」プラス「そうだ少なくとも俺はルルーシュにこんなに懐かれてるんだぞ見たか世界!」、イコールでこうして今もただの良い人、ルルーシュを愛し愛されるお兄さんポジションに甘んじている。与えた自室のベッドまで手を引いて先導し、布団を胸元まで掛けてやったルルーシュが「おやすみなさい」とこれ以上なく安心しきった声で言うのを聞いて、ようやく勃起を許した股間を開放すべくトイレへ向かった。二〇一八年の自慰初めだ。
9:00
「はい、熱いから気を付けてくださいね。いっぱいおかわりしていいですからね」
椀を手渡すルルーシュが着ている割烹着は、この日のためにスザクが購入した卸し立てだ。いつものエプロンももちろん至高だが、新年の朝には真っ白な割烹着と三角巾でお玉を片手に微笑むルルーシュがどうしても見たかった。今年の正月休みは三日の午前中まで、ルルーシュよりも半日分短いがその間はずっと一緒にいられる。どこにも行かず、何にも邪魔されることなく、ルルーシュの作った食事を三食食べて酒を飲んで――この世の春とはまさにこのこと。にやにやしながら雑煮の椀を片手にソファへ座ると、ルルーシュも後を追ってにこにこと身を寄せてきた。期待たっぷりに輝く瞳は、スザクがもう片方の手に持つお神酒の瓶へ向けられている。弱いと言っても酒好きの度合いにおいてはスザクどころか、『コードギアス』の打ち上げで目の当たりにしたシャルルのそれと並ぶほどのようだった。流石は親子、いや親子ではないのだが。シャルルとの共演回数はスザクの方が遥かに上回り、またルルーシュの実の両親ともそれなりに顔を合わせてきているというのに、未だに時折『ギアス』の世界が現実を侵食するような心地に襲われる。映画総集編の新規カット���宣材写真の撮影で仕事が継続しているから、という理由もあるがそれだけではなく、要はあまりにも強烈な体験だったのだ、『コードギアス』という現場は。あのドラマがスザクの人生を、比喩でも大袈裟でもなく変えた。思えば正月らしい正月を過ごしたいと考えたことなど、ほんの幼い頃以来ではないだろうか。
「お雑煮って、作るのも初めてだったんですけど、考えてみたら食べたこともほとんどないかもしれません。給食で出たかな……?くらいで」 「そっか、いつもはイギリスで過ごすんだもんね。イギリスの正月料理ってなんかあるの?」 「特にないですね……うちだと、ちょっと良い朝ご飯を食べるくらいです。あの、あれです、ラピュタのパンみたいな」 「あ、いいなあそれ。っていうかルルーシュ、ラピュタ見たことあるんだ?」 「映画という意味なら……」 「城本体は俺もないかな」
「ふふ、すみません」と、楽しくて仕方ないといったように笑い、角餅の端に齧りついて熱さに少し眉根を寄せるルルーシュをうっとり眺める。香り立つ湯気の向こうにルルーシュ、新しい年の陽射しに黒髪が透けて綺麗な茶色に映るルルーシュ、ああ今食べたのはスザクが型を抜いたお花のにんじん、椀を傾ける仕草もほんのり血色に染まった唇も完璧だ。
「そんなに意外ですか? 俺とジブリの取り合わせって」 「うーん、割と。なんか国内アニメとかって全然見ないで育ってきてそうな」 「それはそうですけどね。でもジブリは後学のためにも一通り観ましたよ。あ、あと、最近は移動中にあれとか観てました。けものフレンズ」 「なんだっけ、聞いたことあるなそれ……すごーい! ってやつだ」 「そうですそうです、すごーい! たのしーい! ってやつ」
かわいーい。心の中でしみじみ呟く。
「枢木さんとも観たいなあ、ラピュタとかトトロとか。ジブリって配信ないですもんね、借りてきますか?」と、雑煮のおかわりを取りに立ちながら提案してきたルルーシュに「えー、『正月は外に出ない計画』じゃん」と返す。「そうでしたね。あ、それじゃあそろそろ頼んでた神社が……」とルルーシュが言ったとほぼ同時、マンションコンシェルジュからのコールが鳴り響いた。
「わあ、ジャストタイミング。出ますね。……はい、枢木です。あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします……え? ……はい、ええ。少々お待ちいただけますか?」
空の椀を持ったまま、壁から取り上げた受話器を器用に押さえて「大きい荷物だから、配達員の方をそのまま上げてもいいか、って」と、ルルーシュはやや困惑顔でこちらを振り向く。頷いてやると、不思議そうながらも「……すみません、はい。お願いします。ありがとうございます」と丁寧に対応し、キッチンではなくスザクの傍に戻ってきた。
「そんな大きいもの、頼んでましたか? なんだろう、���ンブさんからとか?」 「ないない。ああ、ハンコ押したらそのままでいいからね。俺が中まで運ぶから」
ますます首を捻るルルーシュだったが、ややあって聞こえたドアチャイムで弾かれるように再び立ち上がりインターホンまでぱたぱたと駆けていく。残りわずかだった雑煮を食べ終えてからゆっくり後を追えば、玄関にスザクが着いたときには配達員の姿がドアの向こうに消えたところで、ルルーシュが頬を紅潮させてスザクの方へ振り向いた。
「枢木さん、枢木さんこれ! これ、kotatsu!」
興奮のあまりかイントネーションが非日本語のそれになっているのを思わず笑いながら、「うん、炬燵。注文してたんだ。ルルーシュ、本物見たことないって言ってたから」と意識してさらりと伝える。ああ注がれる「枢木さんすごい! かっこいい!」の眼差し。
「すぐ組み立ててあげるから。炬燵でみかん食べてさ、おせちも食べて、一緒にテレビ見て、ごろごろしよう?」
さあ来い! 飛びついてハグ! 顔には出さず、しかし期待ではち切れんばかりの胸を脳内で大きく開く。ルルーシュの瞳がきらきらと輝き、勢いよく広げた両腕をがばりとスザクの首へ回して――近づく温度! 触れ合う胸!
「枢木さんっ、ありがとうございます! 大好きです!」
やったーーーーーーーーーーー!!!
15:00
予定通り炬燵と一緒に届いた神社のジオラマを組み立てるのには、予想以上に骨が折れ時間がかかった。ルルーシュと二人、お互いに細かい作業は得意だと自負していたが、出来上がったときにはどちらからともなくぐったりとした溜息が漏れたほどである。
「紙製だとは思えないですね。すごくしっかりしてる」 「そうだね、ちゃんと狛犬もいるし」
しかしジオラマと目線の高さを合わせ、炬燵の天板に顎をついて感嘆するルルーシュの美しい目瞬きと、その度に音を立てそうな睫毛を見ているだけでかなりの回復を感じるのだから安いものだ。否、この至近距離でルルーシュの素の表情を凝視できるという立場はどれだけの維持費がかかろうとも手放せない。このジオラマなんて二千円ほどの代物なのだ、むしろ神やら運命やらに莫大な額の値引きをしてもらっていると言える。
「でもちょっと、結構疲れましたね……今年の疲労初めだ」 「俺らジオラマを舐めてたね。あ、横になるならいいよ、膝」 「いいんですか? じゃあ、お言葉に甘えて」
炬燵に入ったまま横たわろうとするルルーシュに好機とばかり、だが極めて何気なく誘導をかけて、自身の膝に頭を置かせることにも大成功した。改めて見下ろせばなんて小さな頭、形の良い頭蓋だろう。そ���て髪の間から覗く、耳のやわらかく真っ白なことよ。指先でふにふにと耳殻を揉めば「くすぐったいですよ」と笑いながらの抗議が来た。
「ごめんごめん」
永遠にこの時間が続けばいいのに、と思うもルルーシュは早々に身を起こし、「だけどようやくこれで初詣が出来ますね。ほら、枢木さんも」と傍らに用意していた小箱を引き寄せる。中に入っていたのは賽銭箱を模した貯金箱で、スザクが「神社は混むし、どこに行っても人目が多すぎるから家で初詣をしよう」と提案したことに想像よりも遥かに喜んだルルーシュが買ってきたものだった。大学の友人に連れられて行ったヴィレッジヴァンガードで見つけたのだとか。前半は気に食わないが(男であれ女であれルルーシュと買い物をすることにデートの意味を見出さない人間などいるものか)、未だに場慣れしないという猥雑な雑貨店でおずおずとはしゃぐルルーシュの姿は想像するだに素晴らしいマスターベーションの供になる。
「二礼二拍手一礼、ですよね? お賽銭は先でしたっけ、後でしたっけ」 「合ってるよ。賽銭はよりけりだけど……まあそもそも手水とか鈴緒もないし、タイミングとかは気にしなくていいと思う」 「これね、見てください枢木さん。綺麗なのを用意したんです」
いそいそとルルーシュが取り出したのは五円玉が九枚で、「四十五円でしょう? 始終ご縁がありますように、って」とどこか自慢げに教えられる。
「すごいね、よく知ってるね」
チャンスとばかりに頭を撫でると、ルルーシュは一転して照れた笑みを満面に浮かべた。積もりに積もった欲望はもはや己の武器ともなっている。人間は進化する生き物だ。
「ご縁って、誰との?」
だが心温まっているだけの場合ではなく、ここはしっかり聞いておきたいところだ。これだけこちらからの想いを重ね、圧を込めておきながら、ルルーシュの恋愛観や好みのタイプといった情報を聞き出せたことはまるでない。ルルーシュの側からスザクに聞きたがることは多々あれど、反対にこちらからそうした話題を振るとルルーシュは本当に困ったようになってしまい、反応に窮してわずかに落ち込んでしまうのだ。
「そうですね、俺は特定の神を信仰している訳ではないんですが、何か大きな、上位存在のようなものはあるのかなと、ぼんやりですけど。それがもたらす運命だったり、チャンスだったり、そういうものとの良縁を、と思って」
ルルーシュは当然、性愛に無知というわけではない。仮にも二十歳の男子なのだ。この仕事をしている以上、扇情的なアピールを行うこともある。だがそれとは別の次元で、性の部分に希薄さを感じる、というのがこの三年間ルルーシュをじっとりと見てきた人間の所感だった。本人に確かめては勿論いないので、あくまで所感に過ぎないのだが。育ちの良さが影響しているのか、パーソナリティで片付けられるものなのか。ともかく、そのまっさらに見える惚れた腫れたの大地に芽吹きの気配があるのなら、早めに熟知し傾向と対策を――と思ったのだが、この様子ではまだ「優しくて大好きな枢木さん」に甘んじていられそうだ。
「――あとは、その。当たり前ですけど、枢木さんとのご縁も、ずっと続きますようにって」
枢木さんは何円入れますか? あっ、小銭って持ってないですよね。枢木さん、キャッシュレスの人だから。じゃあ、俺と一緒にこの四十五円、入れましょうね。半分ずつ二人で持って、せーのって。九枚だからどっちか一枚少なくなっちゃいますけど――ルルーシュの楽しそうに話す声を聞きながら、思わず目頭が熱くなったのを慌てて堪える。 炬燵の一辺に並んで座り、小さな神社を前にして二礼、二拍手、一礼。それぞれに目を閉じ、しばしの無言で願いを捧げる。神様、俺をずっと、ルルーシュの隣にいさせてください。セックスなんて出来ないままでもいい、いや今のは撤回、ルルーシュのおちんちんも見たいし舐めたいし触りたいし触ってほしいです。出来れば今年中にご査収願います。何卒。
「そうだ、おみくじもあるんですよ。初詣といえばおみくじですよね、今持ってきますね」
うきうきとした語調ながら名残惜しそうに炬燵を出てどうやらキッチンに向かい、バスケットを手に戻ってきたルルーシュがまた素早く炬燵に潜り込む。バスケットの中には人間の形をしたふわふわのパンが四つ、レーズンの目やボタンをつけられて可愛らしく鎮座していた。
「これって、あのラジオで言ってたやつ? えーと、」 「そうです、マナラ。美味しいですよ。では枢木さん、この中から好きなのをひとつ選んでくれますか?」
これがルルーシュの用意した「おみくじ」なのだろうか。なにやら誇らしげな顔で見守られ、カラフルなチョコレートで靴を履かされている一体を選んで手に取る。「裏返してみてください」と囁かれ、パンをひっくり返せばそこには、筆にチョコレートを取って書かれたと思しき、この手の装飾には異様なほど達筆な「大吉」の文字。
「おめでとうございます! 大吉ですよ! 枢木さんの二〇一八年は良い年になりますよ」
心底嬉しそうに楽しそうに、自分の食べるマナラを持って手を振るように動かすルルーシュ。こんな、スザクにおみくじを引かせるために、わざわざパンを焼いて、裏面に文字まで仕込んでわくわくと待っていたのか。抱き締めたい、猛烈に抱き寄せて深く深く口づけてしまいたい。可愛らしく振っていた手の部分から早速食べている唇を奪いたい。でろでろに愛しさで蕩けながら、スザクは大吉パンの頭に齧りつく。
21:00
「小腹が空いた気がします」
シャルルからの頂き物だというオリジナル日本酒『ルルーシュ』を大事そうに呑みつつ、毒にも薬にもならないような正月特番を微笑��で眺めていたルルーシュが突然、真剣な顔つきで報告してきた。
「枢木さん。俺は小腹が空きました」
むしろ宣誓と表現してもいいくらいの真面目な申告だった。「おせちのローストビーフ、確か残ってましたよね。枢木さんも食べますか。食べますよね」と静かな口調ながら言い募られ、「そうだね……ちょっとつまもうかな」とわずかに気圧されて答えると、ルルーシュの表情がぱあっと明るくなり、「にっこり」の図解として辞典に採用されそうな満面の笑みが浮かんだ。毎度思うがあまりにも顔が良い。
「取ってきますね! ローストビーフと、みかんのおかわりと、あと、ビールと」
浮き足立っているというよりほとんど千鳥足、これはかなり酔い始めているな、とキッチンへ向かう綿入れ半纏(こちらも着ているところが見たくて買った)の背中を目で追う。そして頬が緩む。炬燵机の上に置かれた、みかんの皮を広げて作った蛸にも口元がにやける。スザクが作ってみせてやったのを意気揚々と真似していたが、今見ると足が七本しかない。
「おせち、何が一番美味しかったですか?」 「一番? えー、難しいな……生春巻きかな。えびのやつ」 「あれは特にうまくいきましたね。もっとたくさん作れば良かったかな」 「また作ってよ。この前の餃子みたいにさ、大量に。次のおせちにも入れてね」
右手にローストビーフの皿、小脇にクッキーの細長い箱を抱え、左手に缶ビールの六缶パックをぶら下げつつみかん入りのネットを胸で抱えるという器用な格好で戻ってきたルルーシュへ、早々とかつ当たり前のように来年のリクエストを申告する。せっかく手作りするのだから互いの好きなものだけを入れたお重にしよう、とルルーシュからおせち料理の提案をされたときは自分でも度が過ぎていると思うほど大喜びしてしまった。大晦日の朝から並んで台所に立ち、ルルーシュのいつもながら鮮やかな手際に見惚れつつ、包丁捌きを褒められたり共に味見をして頷きあったり、あの楽しさはまるで子供の頃の自分までもが優しい手で抱き上げられたような心地だった。ただでさえ五つも年下で同性の相手に、ただ懸想するだけでなく母性まで求めるようになってはいよいよ終わりの始まりだと自覚してはいる。だが「あ、これたぶん甘いですよ。これもそうかな」とみかんを選別してこちらに寄せてくるルルーシュに、高鳴りとはまた違う、震えるほどの胸の衝動を覚えない男が果たしているだろうか。
「ミスターイトウのバタークッキーが昔から好きなんですよね。ムーンライトとかも美味しいけど、俺はやっぱりこの赤い箱に胸がときめく」 「ね、ルルーシュ」 「はーい。なんですか?」
酒に酔っていることもあり、出会った頃では考えられないほど気安くなってくれた反応。少し濡れたように瞬く睫毛、何にというでもなく、場の雰囲気に緩く笑んだ美しい唇の端。
「今年も、良い年になるといいね」 「はい。二人で、素敵な年にしましょうね。……あっ桃鉄! そうだ桃鉄やりませんか! 俺ね、結構いろいろ勉強したんですよ」
スザクの感傷を吹き飛ばさんばかりに勢いよく立ち上がり、「Wiiリモコンってこっちのチェストでしたっけ?」とわくわく探し始める姿に、思わず吹き出すように笑ってしまった。準備を手伝いに腰を上げ、「勝利パターンとか、カードの対策と使い方とか。もうやられっぱなしの俺じゃありませんよ、なんなら枢木さんに一泡吹かせてやりますからね」と意気込むルルーシュを軽くからかう。
「威勢がいいねえ。じゃあ罰ゲーム制にしよっか、ルルーシュが勝ったら何でも言うこと聞いてあげる。そのかわりあれだよ、負けたら俺にキスだからね」 「えっずるい! 俺もそれがいいです!」
明らかにふざけているとわかるような声色を作って言った台詞を食い気味に主張され、予期せぬ反応と勢いにぎょっとする。「俺が勝ったらー、枢木さんは俺に勝者のキスですからね」と続く語尾のふわふわした口ぶりは、完全に酔っ払い特有の様態。
「えっ……えっ、いいよ、うん」
鼻歌を歌いながらディスクを本体に飲み込ませるルルーシュには、自分が言ったことにどれだけ重みがあるか、いかに今スザクが動揺しているかもわかってはいないのだろう。スザクが勝ったらルルーシュとキスができて、スザクが負けたらルルーシュとキスができる? いや違う、負ければスザクからのキスだが勝てばルルーシュからのキス、両者は似て全く非なるものだ。恐らくルルーシュの中ではダチョウ倶楽部的な認識か下手をすればそれ未満だが、スザクにとってみれば瓢箪から駒の超特大級お年玉だ。
「何年でプレイしますか? 三十年……いや、五十年かな」 「三年決戦でいこう」
三年で片をつける。そして絶対に、ルルーシュの方からキスしてもらう。「えー、北海道大移動は起こさないんですか? そこも研究したのになあ」と可愛く不満を述べるルルーシュにクッキーを咥えさせて誤魔化し、スザクはリモコンを握る手にじっとりと汗を滲ませた。 結果として、我欲は人間を驚くほど弱くするもので、かのイカロスもただ飛ぶだけなら良かったものを太陽に届かんとしたその途端に翼を溶かしたというわけで、ものの見事にスザクは敗北を喫したのである。流石ルルーシュの「研究」は伊達ではなかったということか、いや運の部分ばかりはどうしようもない要素であって、やはり天がスザクの下心に味方をしなかったということなのだろうかしかし結局キスはできるのだから抜かったな天よ! なにせ前回の偶然から一ヶ月もせず再び巡ってきた、しかも今回は完全同意のチャンスである。酒に酔っての言動を同意とするのは人としてどうなのかという後ろめたさも小さじ程度ありつつ、もはやそんな理性を働かせてはい���れないほど状況は切迫しているのだった。リモコンを静かに床へ置き、勝利に拳を掲げているルルーシュに向き直る。別にこれを機に関係を進めようだとか、ましてやそのまま押し倒してやろうだなどと思っているわけでは決してないのだ。ただ、人生に少しばかりのご褒美が欲しいだけ。ルルーシュという奇跡の存在と寝食を共にして、あまつさえその唇に触れるという極上の果実を「少しばかり」と形容するなどまさしく天をも恐れぬ所業だと自覚はしているが、それでも。
「ルルーシュ……」
好きだよ、と続けて甘く囁いたとしても、それが愛の告白だと受け取ってはもらえないこの身の切なさが、少しくらい報われてもいいじゃないか。
「あっ、そうですね! やったあ、じゃあお願いします」
――弾む口調で目を軽く閉じ、ルルー��ュが自身の頬をとんとんと指差したことで、夢から醒めたように気付いた。そうだ、何もマウストゥマウスで、と指定されてはいなかったのだ。勝利のキスを頬に、というのは最近までやっていた番組名物のビストロコーナーでもお決まりの行為だった。なるほど、それならルルーシュが、いくら酔っているとはいえ自分からねだってくるのも理解の範疇内である。浮かれきっていた自分を内心、自嘲で笑い飛ばそうと努めながら、いやでもそれにしたってご褒美はご褒美に違いない、もうルルーシュのほっぺの感触を味わいつくしちゃうもんねとルルーシュの両肩に手を置く。近づく肌のきめ細かさと、香る黒髪の甘い匂い。はやる心臓が着地点を間違えないように、慎重に近づいて、
近づいて?
唇が。
ルルーシュの唇が、ルルーシュが瞼を一瞬開いて、またすぐに閉じて、顔を。
顔の角度を、変えて、スザクの唇に。
唇が、くちびるに。 「――ふふ、びっくりしました? この前のお返しです。なーんて」
放心しているスザクに、ルルーシュは悪戯が大成功したという笑顔で言う。「……あ、すみません、嫌だったですか?」と表情が翳りかけたのを慌てて勢いよく首を横に振り、「いやいやいや違うすごいびっくりしただけ、えっだってすごいブラフ……えっ待ってどこから?」と無意味にルルーシュの半纏の紐を結び直しながら返した。ルルーシュはほっとしたように頬を緩め、そしてまたにんまりと笑ってWiiリモコンを手遊びに振る。
「最初からです、最初に言ったときから。枢木さんが勝ってもそうしようって思ってたし、俺が勝ったら先制攻撃の不意打ちで、って。俺あのとき、誕生日のとき、すごくびっくりしたんですよ。だからお返しです。目には目を」
こんなところでハンムラビ法典を聞く試しがあるとは思わなかった。などと冷静に言ってはいられない。否もう、まるで冷静ではない。「そっかーいやほんとすごいびっくりした俺も、ルルーシュすごいねほんと良い役者、あー本職、俺も本職」と早口で並べ立て、無意味に手を握っては開き開いては握り、して��ったり顔のルルーシュに爽やかな笑みを見せる。
「完全に騙されちゃったな。ああごめん、俺ちょっとトイレ行ってくるね」 「はい。すみません、俺も結構もう、眠くなってきたので……歯を磨いてきますね」 「オッケー。寝る前に声掛けて」
めいめいに立ち上がり、洗面所の前で別れて、ルルーシュが立った鏡越しの視界に映らない場所まで進んだところでトイレへダッシュする。短距離走者の本気の走り方だ。音が立ち過ぎないよう気をつけつつ急いでドアを閉め、息をつき、個室の中でしゃがみこむ。ぐうう、という音とも声ともつかないものが自分の喉の奥から漏れた。
「無理……好き……あー無理、超好き……どうしよう……好きです……」
ついに独り言が敬語になってしまった。ジーンズを下げてぼろんと飛び出す、元日にしてすでに今年最高ではないかという隆起を見せつける我が陰茎。そうだ今年は射精をする度に、赤十字社へ寄付をしよう。みなさんの二〇一八年が、どうぞ良きものでありますように。
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拾い物
病院で診査結果を聞いた。
予想はしていたが、やはりいざ告知されると気持ちが沈む。 再生医療手術で治癒は可能だというが、費用を聞いて諦めた。 国民健康保険制度があった時代ならいざ知らず、 保険会社の高額な掛金を払えない私のような貧乏人には縁のない話だ。
これでいいんだ。
家族もいない自分がこれ以上生き永らえても仕様がない。 そう自らに言い聞かせながらJR中央線で家路についた。
気を紛らわせようと車内の大型モニタでニュースを観ていると、 カタールによるサウジアラビア買収交渉のニュースに続いて、 女性アナウンサーが懐かしい名前を口にした。
「本日から1ヶ月間にわたり、中野のハロプロ東京劇場において〈モーニング娘。誕生50周年記念特別公演〉が行われます。現場の大竹さん?」
お祖父さんに似て騒がしいレポーターが、 あの懐かしい劇場前の広場で生中継レポートを始めた。 中野サンプラザ跡地に建てられた立派な専用劇場だ。
そう、私は若い頃モーニング娘。の熱狂的なファンだった。 結成当初からコンサートやイベントに通い、 途中心が離れた時期もあったが、結局は戻っていった。 そんな私も初代プロデューサーが引退した時点でファンを卒業した。 別に二代目が嫌いだったわけではないが、 歳のせいなのか新しい方針に馴染めなかったのだ。
それからはマスメディアを通じて動向を知る程度になり、 かつてあれほど私の人生を占有していた「娘。」は、 今ではまるで幻だったように思える程だ。 3年前の現プロデューサーの就任もニュースで目にしたに過ぎない。 初の外国人プロデューサーということで世間的な注目を集めたものの、 私の関心は戻らなかった。
「なお、初代プロデューサーで、これまでの舞台芸術への貢献が認められて紫綬褒章授章が先日発表された���田光男氏も本日夜公演の舞台で挨拶をされるということです。」
モニタに映った寺田氏の近影を見て衝撃を受けた。 80近いというのに信じられないくらい若く見える。 ひとまわりほど若いはずの自分と変わらない容姿だ。 確かに昔から健康には気を遣う人だったが、 やはり再生治療を受けられる富裕層は違う。
しかし昔からそうだが不思議とこの人にはやっかみを感じない。 かつての自分をあれほど幸せにしてくれた「娘。」及びハロプロの創始者であるし、 飲食事業の失敗やカミングアウト騒動、引退後の離婚訴訟など、 彼の栄光と挫折をよく知っているからだ。 一連の騒動から随分時間が経ち、 最近ではめっきり公の場に姿を現すことは無くなったが、 どうしてまだまだ元気そうだ。
そんな寺田氏の映像を見て、私の頭の中で何かのスイッチが入る音がした。 そして車内アナウンスが流れた。 「トゥギワナカノォ、トゥギワナカノォォオ」
気がつけば私は中野の劇場前広場に立っていた。 推しメンカラーに設定した光学つなぎスーツを着た若いファンがスーツの輝度を調節している。 オフィシャル・ホログラムを投影して振りの練習をしているグループ。 ファンの様子も昔とは様変わりしている。 私と同年代と思われる者もいるが、大抵は孫を連れている。
醜く年老い、 長い孤独がもたらす独特の雰囲気を身に纏った自分は甚だしく場違いな存在だった。 得も言われぬ寂しさと寄る辺無さに襲われ踵を返して駅に戻ろうとしたとき、 一人の男に目がとまった。
植え込みの縁石に座る老人。 私よりもかなり年配に見える、といっても単なる医療環境の違いかも知れないが。 もし見た目通りの歳なら相当の古参ファンだろう。 彼が着ているのは光学スーツでも、有機Tシャツでもない。 色褪せてボロボロになった法被だった。 背中には「安倍なつみ」の文字。
この広場を埋める若いファンの一体どれだけが安倍なつみを知っているのだろう。 歴代メンバーの総数が100人を超えた時点で、 過去メンまで押さえた箱推しDDは絶滅したはずだ。 しかし彼女こそは私の最初の推しメンだった。 彼女の卒業後も私は「娘。」ファンであり続けたが、 自分にとっての「娘。」の原イメージは安倍なつみであったし、 新しいエースが出てくる度に安倍なつみの影を見出そうとしたものだった。
法被の背中の色褪せたなっちの笑顔を見ている内に私は泣いていた。
嬉し泣きではない、悲しい涙でもない。 どう言えばいいのか、 何十年も前に音信不通になった実の娘を街で偶然見かけたような感じとでも言おうか。 私の心の底の枯れた井戸から、 何かをとても愛おしく思う感情が突然湧き上��ってきたのだ。
もう迷わず私は歩みを進めた、劇場のチケットカウンターへ。
全席完売。
私はめげなかった。 すぐにスマートデバイスでチケットデータの競売市場で価格をチェックする。 久しぶりにこんなことをしている自分が可笑しくて、ニヤニヤしてしまった。
しかし、 自分が現場に参戦していた頃と比べて相場が高騰していることに愕然とすることになった。 僅かばかりの年金でギリギリの暮らしをしている自分に払える額ではない。 5階の糞席でさえ私の1ヶ月分の医療費に相当する。
やっぱりダメか…
諦めかけた私の目に一つのチケットデータがとまった。 【 2階 シニア席 ペアシートG席 即決 入札数0 要シニア医療ID 】 私はシニア席というものがあるのを知らなかった。 少なくとも私がファンを辞めた頃にはそんなカテゴリーは無かった。 おそらく他の普通の劇場のように2階の両サイドに ディスエイブル向けの小さいスペースを確保してあるのだろう。
要シニア医療IDなので一般席に比べれば幾らか手頃な即決価格だが、 ペアチケットなので一枚無駄になってしまう。 開場時間間近で入札数0。
落とせる。
迷う。 これは文字通り自殺行為のように思えた。 私のクレジット口座からこの額を一回で引き落とせば、 手術費用はおろか延命用ジェネリック薬の代金すら払えなくなってしまう。 デバイス画面の端に昼公演を見た人のコメントが流れてきた。 「サプライズで29期OG登場 ( ´ノД`) P発言夜公演別のOGゲストあるかも」 私は入札をタップした。 即時に私の口座から落札金額が引き落とされ、チケットデータのダウンロードが始まった。 私は呆然とゲージが徐々に進んでいるのを見つめていた。 「私はなんて馬鹿なことをしたんだろう」 ダウンロードが完了した後も私はその場からしばらく動けなかった。 しかし自動再生されたチケットのガイダンス動画を見て、小躍りした。 なんとシニア席のG席は2階中央最前だったのだ。
いい年をして懲りないと言われるかも知れないが、 自分の衝動的な愚行を正当化してくれるような気がして少し救われた。 「もう先のことなんて知ったことか。これは冥土の土産だ」 実際そんな気分だった。
興奮した頭を冷やそうと広場に面した劇場付属のカフェでアイス抹茶ラテを買った。 カップにはイラスト化された歴代のハロメンが10人ほど描かれていた。 私に判別できたのは熊井ちゃんと愛理くらいだったが。 Q.このメンバーたちの共通点は何でしょう? (答えはカップの底に書いてあります。空カップはゴミ箱へ!) どうやら事務所の運営も昔より格段と洗練されたようだ。 こういう細かいところまで気を配っていればこそ、 新しいファンを獲得し続けられたのだろう。
抹茶ラテを飲み干してカップの底の答えを読み取ろうとした時、 先刻の老人が再び目にとまった。 さっきと全く同じ場所に全く同じ格好で座っている。 まさに地蔵のように微動だにしていない。
私は席を立ち上がり、気がつくと彼に話しかけていた。 「こんにちは、夜公演に入られるんですか?」 彼は幽霊でも見たかのような心底びっくりした表情をした。 まるでもう何年も誰かに話しかけられたことなど無かったかのように。
大分間が開いた後彼は微かに笑みを浮かべて首を横に振った。 「昼公演はご覧になったんですか?」 彼はまた首を振った。 私は思いきって言ってみた。 「ペアチケットが一席分余ってるんです。よかったら差し上げます」 と言ってデータ送信をするジェスチャーをした。
永遠と思えるほど長い間があった後、 彼は困った顔をして何かジェスチャーで返してきた。 しばらく訳の分からないやりとりをした後、どうやら彼は喋ることが不自由で、 しかもデバイスを何も持っていないと言いたいらしいことが判った。
デバイスを何も持っていないというのは驚きだったが、 彼は古いカード式の医療IDを持っていたので、 私は半ば強引に彼を立たせて一緒に入場することにした。 普段は押しの弱い私だが、 「娘。」のこととなると急に積極的になるのも懐かしい感覚だった。
法被老人はほとんど表情が無く、私の申し出に特に感謝している風でも無かった。 別に涙して握手を求められると期待していた訳ではなかったが、 私の当面の治療費と引き替えに手に入れたチケットなので、拍子抜けした感じは正直あった。 しかし、どうせ無駄になるペアチケット一人分。 それに彼は昔の私と同じメンバーを推していたようだから、これでよかったのだ。
入場ゲートの金属探知機が連れの法被老人に大袈裟に反応したが、 体内に医療機器を埋め込んでいることが医療IDで証明されて事無きを得た。
彼がずっと無言なので間が持たず、つい聞いてしまった。 「なっち推しだったんですか?」 老人は無表情のまま「なっ…ち、に…会いに、来た…」と呟いた。
この老人は少々ボケているのかも知れないな、と思い始めた。 昼公演のサプライズ・ゲストでさえ29期メンだったという事を考えると、 よしんばオリメンが出てきたところで観客が微妙な空気になるのは確実だろう。
まぁいい、 何の奇縁か化石のようななっち推しの老人二人がこの記念すべき公演に参戦するのだ。 場違いだとしてもいいじゃないか。 誰からも忘れられた存在である我々が、確かにこの場にいるのだ。
2階入場口の電波遮蔽バリアーを抜けた私は思わず我が目を疑った。
なんと二階全体がシニア席だったのだ。 二階席を埋め尽くす年老いたファンの大軍。
みな色とりどりのヲタTを着ている。 今はもういないメンバーのTシャツを着た者、 現メンの有機Tを着た猛者、 そこにあるのは昔懐かしいコンサ会場の情景だった。
何も変わらない。 ヲタだけが歳を��っている。 しかし彼らの顔に表れた開演前の高揚感、瞳に宿る興奮はあの頃と同じだ。
私は驚きと喜びのあまり、同意を求めて法被老人を振り返った。 彼はとても落ち着いた穏やかな笑顔を見せていた。 まるで懐かしの我が家に帰って来たかのように。
シートのリーダーにチケットデータを読み取らせ、席に着いた。 こんな良席はいつ以来だろう? 私は浮かれモードを抑えられず、身を乗り出して一階席を見下ろした。
さすがに一階の情景は昔とは似ても似つかない。 見たこともないような応援グッズやファッションの若者で埋め尽くされている。 しかしそれが面白くて飽きずに眺めていた。 一瞬その中に知った顔を見た気がしたが、それが気のせいだと言うことは分かっている。 彼は5年前に死んだのだから。
客電が落ちると、鈍い起動音とともに2階席全体が遮音フィールドに包まれた。 どうやら音量を少し絞ってくれるようだ。 後ろを振り返ると見事に全員着席している。 まぁ、さすがにそうだろう。
ついに開演、オープニング曲が始まった。 全く聞いたことのない曲で、巨大ヴィジョンに映される現メンも誰一人として知らない。 しかしどこか私の知っているあの頃の「娘。」の面影がある。 最新テクノロジーを駆使した舞台セットや衣装は全く違うが、 曲調に初代Pのテイストが、振付に「娘。」の伝統が脈々と受け継がれている。
コンサートも中盤に差し掛かったとき、やっと馴染みのあるイントロが流れた。
『好きな先輩』
34期のお披露目のようだ。 2階席のそこかしこから啜り泣きが聞こえる。 見るのが怖くて振り返らなかったが、気持ちは私も一緒だ。
MCコーナーが始まり、現プロデューサーが登場した。 流暢な日本語で誕生50周年の記念すべき時にPでいられる喜びと責任を述べ、 満場の喝采をもらっていた。
そしてついに初代プロデューサーの登場だ。 現Pの少々芝居がかった紹介の後、舞台上手から車椅子に乗ってゆっくり登場した。
万雷の拍手。
意外にも一階の若いファンからも熱狂的に迎えられている。 音が絞ってあるはず二階席からでも、その歓声は耳をつんざくようだった。 二階の古参兵達も精一杯の拍手を送る。
寺田氏はニュース映像よりは、やはり年老いたように見える。 品のいい老婦人に車椅子を押してもらっているが、あれは誰だろう。 氏は離婚以来女性とは再婚していないはずだが。
突然すぐ後ろの席から上がったコールを聞いて、私は気付かなかった自分を恥じた。 「ゆうこ!ゆうこ!ゆうこ!ゆうこ!」 そうだ、ヴィジョンに映し出されたその老婦人は間違いなく初代リーダー中澤裕子だ。 彼女の姿を見るのは何年ぶりだろう。 芸能界を去ってもう大分経つはずだ。
チケットを買った甲斐はあった。 私は心の底からそう思った。 彼女は私が応援し始めた頃の「娘。」を体現する人だ。 隣の法被老人を見ると、彼も嬉しそうに一生懸命手を叩いていた。
二階席の老兵達は皆何とも言えない感極まった表情をしていた。 無慈悲な照明に晒されたその皺の刻まれた顔は、しかし不思議と若く見えた。 「もう死んでもいい」 そんな思いが私の胸をよぎった。
寺田氏のスピーチは思いのほか彼の老いを感じさせるもので、少し寂しい気もしたが、 紫綬褒章受章を喜ぶ得意気な彼の笑顔を見ていると、 まるで自分のことのように私も嬉しくなってしまうのだった。
中澤姐さんのスピーチは短いながらも初代リーダーの威厳を感じさせる立派なものだった。 しかし最後に彼女は妙なこと言い出した。 「おそらく私がこの劇場の舞台にこうして立たせて頂くのはこれで最後でしょう。皆さん、私の最後の我が儘を聞いてもらっても良いでしょうか?」 ファンの歓声に気をよくした彼女は続けた。 「私の大切な、大切な仲間達をここに呼ばせて下さい!よろしいでしょうか-?」 私は固唾をのんだ。 2階席全体が過度の期待と失望への恐れで一瞬凍り付いたように感じた。
舞台上に続々と歴代OG達が姿を現した。 ごく最近の卒業メンバーから始まり、徐々に時を遡っていく。 25期、24期、22期、21期、19期、17期、16期、15期、
心臓発作で倒れる者が出るのではないかと、心配になって思わず周りを確認してしまった。 所々に配置された劇場スタッフも心なしか緊張の面持ちだ。
そして遂に私がファンだった時代のメンバーが登場した。 もちろん全員では無い。 不幸にも鬼籍に入ってしまった者もいるし、 海外在住の者、事務所とのトラブルで戻ってこれない者もいる。 決して完璧ではないが、 「娘。」の記念すべき公演に万難を排して馳せ参じたOG達だった。
14期、13期、栄光の12期、11期、10期、中興の9期。 そしてなんと8期が全員揃っているではないか! この時勢に日本に来ることは決して簡単なことでは無かっただろうに。 7期はやはり無理だったか… 偉大なる6期、伝説の5期、そして黄金の4期。
次々と登場する私の「娘。」達。 私の心拍数も危険なまでに早まった。 電波遮蔽バリアーが無ければ、 私の身体に埋め込んだオブザーバ・チップから発信された危険信号が、 かかりつけ医に届いてしまったことだろう。
そして、ついに、初期メンたちが舞台に現れた。 まりっぺ、圭ちゃん、カオリン、そして……なっち
永遠とも思える一瞬だった。 舞台上に彼女がいる。 どれほど歳を取っても、幾度も悪いニュースを聞いても、 変わらず私が全身全霊を捧げた彼女がそこにいる。 彼女の姿を直に見るのは実に30年ぶりだ。
容色の変化は如何ともし難いが、彼女の雰囲気、口調は笑えるくらい昔と変わっていない。 ややトーンダウンした一階席と対照的に二階席の盛り上がりは尋常ではない。
冷酷な時の荒波に耐え抜いた絆がそこにはあった。 このときの2階席全体を覆った恍惚感を表現する言葉を私は知らない。 きっと中には推しが登場しなかった者もいただろう。 しかし、舞台上にあのころの「娘。」��いる。 それだけでも充分すぎる僥倖だった。 大音量のイントロが鳴り響く。 私の周囲から悲鳴にも似た呻きがあがる。 言葉にならない嗚咽。 長年聞かされてきた迷信が現実となる瞬間。
この夜、この劇場に集まった3千人近い観衆が全員知っていて盛り上がる曲は、 やはりこれしかなかったのだろう。 『LOVEマシーン』
私は横の法被老人が卒倒でもしてやしないかと心配したが、 むしろ彼は先ほど迄とはまるで別人のような活き活きとした表情を見せていた。 なっちの登場が彼の生命の火を再び燃え上がらせたかのようだ。 それにしても彼はどうやって、なっちの登場を事前に知ったのだろうか。 デバイスも無いというのに。
歴代メンバー揃ってのラブマは壮観だった。 さすがにマイクで歌ったり、振りこそしないものの、 体を揺らして楽しそうにしている舞台上の初期メンを見るのは至福の時だった。
本当にこのままここで死んでしまいたいと思った。 病気や苦しい生活のことなど忘れて、 この多幸感に包まれたまま私もこの世から卒業したい…なっちを見つめながら…
寺田氏とOGが捌けた後のステージは正直よく覚えていない。 50周年記念の150枚目のシングルはかすかに、 かつての寺田氏のディスコ路線を彷彿とさせる出来だったことぐらいしか印象はない。
いつの間にかアンコールも終わり、 客電が魂の抜けた様にぐったりした私を容赦なく照らした。 一階席の若いファンたちはそそくさと光学スーツを消して、素早く出口に向かっている。 半裸で汗を拭く姿も、デオドラントスプレーの煙も今は無い。
分かっている。 我々の時代はとうに過ぎ去ったのだ。 今宵のLOVEマシーンはうたかたの夢。 去りゆく老兵に与えられた最後の餞。
横の法被老人はすっかりエネルギーを使い果たしたのか、 膝に腕をついて下を向いて、苦しそうに背中で息をしている。 無理もない、私でさえ命の危険を感じるほどの興奮だったのだから。
そのとき、俄に二階席の奥で誰かが大声で叫びだした。
最初それが何だか思い出せず、みなキョトンとしていたが、 思い出した者から次々と参加しはじめ、最後は私も加わって大きなコールとなった。 「むすーーめ、最高!」 「むすーーめ、最高!」 「むすーーめ、最高!」 帰りかけていた一階席の若いファン達は何が起こったのかと不思議そうに見上げている。 二階席のジジィたちが何か変なことやってるぞとでも言いたげに笑っている者もいる。
しかし、最初は聞き取りずらかった我々のコールを次第に彼らも理解してくれ、 最後には会場全体を包む大コールとなった。
みんなが笑っていた、あるいは泣いていた。
50年前、いちローカル局のバラエティ番組の企画から生まれたモーニング娘。は大勢の予想に反して一躍スターダムに上り詰めた。 その後も何度も解散、消滅の危機を乗り越え、とうとう今日、歌舞伎、宝塚と並ぶ日本の国民���舞台芸術の一角を占めるようになった。 寺田氏は日本歌謡史上の重要人物だとする評価が定着して久しい。 彼の発明したメンバーの入れ替えが常態化したアイドルグループと言うコンセプトは 日本文化の伝統に則った革新的なアイデアとして世界中に支持者を獲得するに至った。
フランスの文人で政治家のアンドレ・マルローはかつて日本文化を評して言った。 『日本人は絶えず刷新、変容することで永遠を手に入れた。日本人はそのことを理解している希有な民族���。』
若き者、年老いた者、男と女、日本人、外国人、この50年という長い間に 「娘。」という唯一の絆の元に交錯していった無数の魂たち。
そのほとんどの魂は今宵ここ中野には来れなかった。 だが、彼らの魂を代表して私は、いや我々はここにいる。
死すべき運命のちっぽけな人間が「娘。ヲタ」という仮の姿を纏い、 情熱のリレーを繋いでいくことで、我々の魂は永遠になったのだ。
モーニング娘。が存続する限り我々の魂も永遠に生き続けるのだ。
どうやら、会場の熱気に当てられたようだ。 老体に若者の熱情は毒だというのに。 私は興奮を鎮めようと、しばらく席を離れなかった。 法被老人もよほど疲れたのだろう、隣でぐったり席に沈み込んでいた。
シニア席の客もほぼ捌けた頃、私はようやく席を立った。 いくら声をかけても返事をしない法被の老人を置いて私は会場を後にした。 冷たい夜風が病身に沁みる。
地元の駅から家路をたどる道すがら、 私は有り金のほとんどをチケット代に使ってしまったことを思い、陶然としていた。
後悔はしていない。 後悔はしていないが、 これからどうすべきかを思うと暗澹たる思いに押し潰されそうだった。
医療が受けられなければ、このまま苦しみのたうちまわって死ぬのを待つしかない。 それが自分で選んだ人生なのだ。 そして幸か不幸か私は自分の選択を悔いることが出来ない。 確かにもう少し利口な生き方もあったかも知れないが。
すっかり暗い面持ちで部屋に戻った私は、バッグを開けて今日処方された薬を探した。 するとバッグの中に見覚えのないものが入っていた。
いや見覚えはあるが、そこにあるはずのない物。
無造作に丸まったなっちのマイクロ・ファイバー・タオル。 色褪せた、少しカビの臭いがする、お世辞にも綺麗とは言えない代物だ。
私は当惑した。
確かに自分は昔このタオルを持っていたが、最後に参加したFCツアーで ヲタ卒するケジメとして同部屋だった人にプレゼントしたはずだ。 なっちに直にサインしてもらった宝物だったので、 人にあげてしまったことを後で何度も後悔したので間違いない。
戸惑いつつ、丸まったタオルを広げてみると、何かが重たい音を立てて床に落ちた。
札束が10個。 1��万円はありそうだ。 そしてタオルには見覚えのあるなっちのサイン。
頭の中で、全ての記憶と目の前の事実が音を立てて一点に収束した。 私は全てを理解した。
あの法被老人が私のバッグにこれを忍ばせたのだ。 そしてあの老人こそが私がタオルをあげたあの無口なヲタだったのだ。 一体あれから彼に何があったのか? 私よりもずっと若そうだったのに。
冗談めかして言った言葉が記憶の深海から急浮上して来た。 「ホントだったら1千万積まれても手放したくないんですよ~」 彼は私の軽口を真に受けたのだろうか? そんなことが?
いずれにしろ彼は今日私が声をかけた瞬間に私が誰だか判ったのだろう。 もしかして私に代金を渡そうと、コンサートの度に私を探していたのだろうか? 私はあれ以来30年も現場からは遠ざかっていたというのに? 遠い昔の自分の何気ない行為が、亡霊のように突然姿を現したことに私は戦慄を覚えた。
叱責するような響きの電話のビープ音が鳴り、私はビクッとした。 警察からだった。
警察は中野のハロプロ東京劇場で今晩発見された男性遺体と私の関係を問いただし、 私は余ったチケットを見ず知らずの彼にあげたことを簡潔に説明した。 警察は彼の医療データを把握しているようで、 自然死と判断されたとの事なので出頭は求められなかった。 身寄りが確認できないので遺体は警察が処理するそうだ。
金のことは黙っておいた。
彼は自分の死期が近いのを知っていたのだろう。 何かを私に託したかったのだろうか? 生き続けて「娘。」を応援しろと? 都合の良すぎる解釈かも知れない。 だが、彼の真意が分かる日は永遠に来ないだろう。
疲弊し、混乱しきった私は合成ビール一缶で意識を失った。
翌日私は手術の申し込みをした。 そして30年ぶりにファンクラブに加入した。 見逃した30年の空白を埋めるべく、 膨大なHD映像アーカイブにアクセスできるスーパーエグゼクティブ会員だ。
私はまだ死ねない。
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錯視上ブルーエンド⑩
10話:8月15日(午前12時39分):ブルーハワイ×猛ダッシュ
勝浦駅の改札を抜ける。
俺たちは人々の流れに乗って、駅から民家を割って伸びる道を歩き出した。いかにも海水浴がメインの観光街らしく、駅前には南国感を演出するためにヤシの木が──いや、ありゃサテツってンだっけ? ──植えられていて、ところどころに「ようこそ、勝浦へ!」と書かれた看板が立っている。
波の音ははっきりと聞こえるし、潮の匂いもするのに──。
「全っ然、見えねぇっすね、海」
「民家や看板に遮られて視界に入らないだけだ。歩いて5分くらいだから。まぁ、この人の波についていけば��ぐにつくさ」
行こうぜと言われて、俺は先輩の少し後ろを歩き出す。
石垣の話が中途半端なところで終わってしまった。結局、どーするつもりなんだ。親が出てきたから別れンの? 連絡つかねーから? 別れンならそりゃ、俺ぁ大賛成だけど。……先輩が傷つくのはすげぇ嫌なわけでさ。クソッ。石垣め。あのクソ女、いつもいつも、俺の好きなものを傷つけにくる。
道を進んでゆくと徐々に匂いが強くなってきて、波の音に混じって大勢の人々が笑う声も聞こえてきた。道の先はT字路になっている。俺たちの前を歩いている人々は、T字路を右に曲がった瞬間に、例外なく顔を輝かせていた。
自然と少し早歩きになる。
やがて俺たちもT字路に到着し、体を右に向ける。そこにあるとわかっていたはずなのに、思わず「超海じゃん!」と声が漏れる。「そーだよ、超海だよ」と答えるように強い潮風が吹いてきて、俺のアロハと髪を膨らませた。太陽で焼けた砂と、潮と、焼きそばのソースの匂いだ。
視界いっぱいに青い海のパノラマが広がっている。
青緑色の海。海水に浸って灰色に変色した波打ち際の砂浜と、波から離れた白く乾いた砂浜。浅瀬に突き出す黒い岩。海から少し離れた場所に建てられた赤い鳥居。色とりどりのビーチテント。浮き輪やボールを抱えた水着姿の人々。夏の色が全部揃ってる。極彩色のパレットだ。
「風、気持ちいいなぁ! 西郷どん! 来てよかっただろ、海! 盆地とは大違い! 歩いてるだけで風吹いてくるし!」
先輩は前髪をかきあげながら、目を細めて笑う。眉間と鼻の付け根にくしゃっと皺が寄った。
「あの盆地にいたら、歩いてるだけで窒息しちまう」
強い日差しが先輩の顔に落ちる影を濃くする。大きな目が深い穴みたいに見えた。ものすごく暗い、苦痛とか恐怖とか、そういう何かを見てしまった目だ。あれは川から拾い上げた袋の中に入っていた、シルキーの目だ。
突然、先輩がハッと目を見開いて俺を見た。かと思うと、今度は眉を八の字に寄せて笑う。先輩は怒ってても悲しくても全部笑うから、笑顔のバリエーションだけ異常に多い。これは驚いているのを隠す笑顔だ。
ンでそんな顔で見るんだ? と不思議に思った直後、俺は自分が先輩の手を握っていたことに気がつく。
……。
血の気が引いた。完全に無意識だった。喉の奥で悲鳴が鳥みたいに羽ばたく。待て。今のなし。これはなし。今のはタンマ。一時停止。ポーズ。これは違うんだ。右手が。この右手が勝手に。勝手にだな。事故なんだ!
俺が言い訳を思いつく前に、先輩は俺��手を握り返してきた。なんで。やめろ。
「そうだな、こうしとかないと、はぐれちまいそうだもんな。あ、つか、指ひらいてよ」
言われた通りにすると、先輩は俺の指と自分の指がかみ合うように手を握ってきた。恋人繋ぎだ。キュッと先輩の手に力が一瞬篭る。ニッと笑った口から真珠みたいな歯が見える。
「いえーい。彼氏ができたぁー」
殺される。俺は、こいつに殺されるんだ。
「案外、人多いもんだなぁー。見ろよ、テントだらけ! つか、海の家の行列すごいな。並んでるうちに腹減って倒れそう」
「……うっす」
心臓。心臓。心臓。止まんねぇかな。今だよ。今。マジで止まれ。汗腺とか全部つまらねぇかな。バレるじゃん。手汗とか、鼓動とかでバレるじゃんよ。変だって思われるじゃん。変だって。先輩に変な奴だって思われるじゃん。
「西郷どんはさー、好きな子いねぇの?」
「別に」
先輩はヒュゥーと口笛を吹いて「今の言い方、クール過ぎじゃん? 『別に』」と俺の真似をした。
「そんな言い方してねぇッス」
アハハッと先輩は笑い、「しーてーたーよー」と言いながら繋いだ手をブンブンと前後に振る。
先輩の手、平べったい。指なげぇ。ひんやりしてる。硬い。
そういうとこに意識を持ってかれる。もうちょい力込めて握っても平気か。変じゃないか。変だって思われねぇかな。でももう手を繋げることなんか、これ逃したらないじゃん。こうやって2人で海とか、そんなのももうねぇわけじゃん。
俺は先輩に自分の抱えてるもンを見せる気はねぇし、何も言う気はねぇ。卒業まで全力で耐えるって決めてる。そこまで耐えられたら、あとはただ先輩のことを「そんなこともあったなぁ」って考えられるようになるまで、とっとと全力で老けるつもりだ。もしかしたら、次に好きになるのは女子かもしれねぇし。
だから今日を、今を逃したら、もう二度とこんな風に先輩と手は繋げない。もうずっと、一生だ。それでいいんだけど。そーゆー方向にいくつもりなんだけどョ。
勇気を振り絞って手に力を込める。先輩は何も言わない。気にしないで欲しいってホッとしながら、��にして欲しいって思ってる。頭がグルグルする。ちゃんとしろ、俺。コントロールすンだよ。自分のことなんだから。
「……西郷どんはさぁ、梨花ちゃんの家、行ったことある?」
先輩に手を引かれて道路から浜辺に足を踏み入れる。スニーカーの下で乾いた砂が崩れた。俺のいい気分も少し崩れた。今は先輩のことだけ考えていたかったのに。おのれ、石垣。テメェはここにいてもいなくても、俺の青春に出張ってくる。
「玄関までなら」
あいつの親、あいつにミリ単位でしか似てないんだよな。あ、親ではねぇのか。あいつん家、母親いねぇし。
頭ん中にむかーし、団地の祭りにきていた石垣の叔母さんがぼんやりと浮かんでくる。髪が長くて、白くて、細くて、お上品。うちの母さんや、団地で見かけるおばさん連中とは別の種族って感じ。
『石垣の家族』っていう先入観もあんだろうけど、俺はあんま好きじゃねぇ。数えるくらいしか顔みたことねぇと思うけど、あの叔母さんは変な感じがした。
「俺は何回も遊びに行ったことがあるぞ! なにせ、彼氏様だからな!」
ビシッと先輩は親指で自分を指差して笑う。目は穴みたいなままだ。これは空元気だ。
「すごいんだぜ。梨花ちゃん家。玄関開けたらふわってさ、いい匂いがすんの。ドライフラワーが壁や窓に飾ってあってさ、その匂い。梨花ちゃんが『電気つけて』っていうと、家の電気がつくんだよ。すげぇよな。3階建てでさ、天井が高くて、部屋が広くて、階段の幅も広いんだよ。エレベーターもあるんだぜ。ビビったよ。家ん中にエレベーターかよ! 吹き抜けもあるんだぜ? 1階から3階まで、ただ突き抜けてる空間。『空間』って!」ハハッと先輩は笑う。
「金持ちらしさってさ、何万もする高いものを持ってるとか、そういうことじゃないって俺は悟ったよ。金持ちっていうのは、『余白』を買うんだ。『何にもない』を買うんだよ。哲学的だよな?」
先輩が俺の手を握る力が強くなった。心臓止まれ。心臓止まれ。
「梨花ちゃんはさ、俺を家に呼びたくなかったんだ。付き合ってるのもなるべく隠したいって言ってて。俺は梨花ちゃんがそういうこと言うたびにちょっとむかついちゃってさ。『俺が彼氏なの不服かよー』って。ちょっと思ってたんだよ。だから、梨花ちゃんが初めて家に呼んでくれた時すげぇ嬉しくてさ。けど梨花ちゃん、すごい顔面ガッチガチの鉄仮面になっちゃってて」
「石垣さん、いつも鉄仮面じゃん」
「おーれーにーたーいーしーてーはー、ちーがーうーのぉー」
先輩はまた繋いだ手をブンブンやりながら言う。
「お前に見せてやりたいよ、俺の前にいる時の超可愛い梨花ちゃんを! あ、ダメだ。あんな可愛いものをみたらお前が梨花ちゃんに惚れてしまうな! もちろん梨花ちゃんが俺以外を選ぶわけがないから、西郷どんは失恋してしまう! 可哀想だな! 西郷どん、本当に可哀想! ふられちゃって可哀想! 可哀想だから、今のはなしだ! 可愛い梨花ちゃんを見てはいかんぞ! ずっと梨花ちゃんを鉄仮面だと思い込んで生きてゆけ! その狭い視野でな!」
「勝手に1人であるわけない事態を想定して、あるわけない事態を解決すンのやめてくんねぇっスか……なんで俺が石垣に失恋しなきゃいけねぇンだよ」
「ないとは言い切れないだろ。梨花ちゃんは可愛いし、西郷どんは割と簡単に人に惚れる。誰にでも惚れる」
「そんなことねぇよ」
「いーや、あるね! お前はチョロいのだ。チョロ郷どん! 俺にはわかる。俺は人間に詳しいんだ。西郷どんはちょっと優しくされたら『はぁーん、しゅきぃ』ってなっちゃうタイプだ。俺、すげぇ心配よ? お前、恋のためなら多分、自分のリミッター外しちゃうタイプだよ。両思いだろうと、片思いだろうとさ」
「ッセェな。気をつけてどーにかなるもんじゃねぇーでしょ。さっ��から話があちこち脱線すんのはなんなんスか。話しにくいから遠回しにしてんの? イライラすっからサクサクしてくださいよ」
先輩は肩をすくめて「ハハ。お前にはお見通しだなぁ」と笑った。なんかもう、あんまり先輩の笑顔を見たくねぇ。だって、笑ってっけど笑ってる顔じゃねぇもん。アレ。
「結論から言うとだ。俺を家に呼んだのは梨花ちゃんじゃなくて、梨花ちゃんの叔母さんだったわけだよ。『彼氏がいるならお家につれていらっしゃい』って。梨花ちゃんは俺にあの地区に住んでることを絶対に叔母さんには言わないでって言ってきてさ。『私の家族は、そういうことをものすごく気にするんです。絶対に私たちを別れさせようとしてくる。どんなことでもしてきます。そういう人たちなんです』って、顔を真っ青にしててさ。けど、まぁ、俺はちょっと軽く見てたわけ。だってさ、今、21世紀だぜ? そんなさ、梨花ちゃんが心配してるような『お前のような生まれのものが、うちの娘と付き合えると思っているのか!』みたいなのってさ、今時あるわけねーじゃんって」
先輩は空に向かって「思っちゃってたんだぜー!」と叫んだ。周りの通行人がチラッとこっちを見たけど「高校生じゃん? 可愛い」「青春ー」とか言うだけで気にしてはないようだった。俺だけが顔真っ赤にして恥ずかしがってる。俺だけ損じゃん。
「あ、海の家にかき氷あるじゃん! 西郷どん、かき氷と冷やしきゅうりと氷みかんと焼きそば、どれに並ぶ? ばらける?」
先輩は空いている方の手で海の家を指差す。
ばらけるって言えば自然に手を離せる。手汗や心臓の音も気にしないでいい。
「ばらけたら合流できないっスよ。かき氷買って、食いながら次のに並べばいいんじゃないっスか」
俺のバカ。そんなに手ぇ繋いでたいのかよ。
……繋いでたいんだよ。バカ。
「オッケーオッケー。俺、ブルーハワイすげぇ好きなんだよね。アイスが乗ってたら最高なんだけど、乗ってるかなぁ? 欲を言えばさくらんぼも乗せて欲しいんだぜ。昔さぁ、西郷どんの団地の祭りで食べたんだよね。団地住みの子がくれたんだよ。ブルーハワイ好きじゃねぇからって。あんなに綺麗なのにな」
「! 来てたんスか?」
「1回だけな。笹巳に越して来たばっかの頃」
「越してきた?」
「あれ、言わなかったっけ? 俺、元々、ここ出身よ?」
先輩は指で地面を指す。
「勝浦?」
「そ。もうちょい奥の方だけど。小さい頃は母親と二人でこっちにいたの。まだあるかどうかわかんねぇけど、琉璃波(るりは)旅館っていう、ちょっとおっきいとこに住み込みでさ。そんで、母親が旅館の出入り業者の人と再婚するから父親に引き取られたんだよね。それで笹巳に越して来たわけ」
「聞いてなかったっス。元々、笹巳に住んでたのかと」
「俺にも色々あんのよ? それなりに波乱万丈の17才なんだからね? そのうち、24時間テレビで俺の人生の再現ドラマ作られるから、乞うご期待な! まぁ、ほとんどのエピソードが削られんだろうけど。お茶の間向きじゃねぇからね。俺の人生」
先輩は俺を連れてかき氷の列に並ぶ。俺た���の前には10人くらい並んでいたけど、かき氷機は4台もあるし、そう待たずに済むかもしれない。
「……俺はこれでもさ、色々考えて生きてきたわけだよ。きちんとした生活をして、きちんと勉強して、きちんと運動して、輪を乱さず、人に好かれて、人を好いて。そうやってコツコツと信頼を得ていけばさ、不自由なんか何にもないだろうって。実際、今までそうやって生きてきたんだ。俺がこうしたい、こうするぞって決めたことは全部できた。中学行けたし、高校も推薦で入れたし、バイト先でもいい感じだし。なんていうかさ、努力すればちゃんと全部、人生に還元されてる実感があったわけよ。だからなんかこう、『大袈裟』って思っちゃうんだよな。それか『努力が足りんのだ』って」
先輩はその言葉を言おうか言うまいか、首を右へ左へ曲げた後で、滅びの呪文でも吐くように「差別」と言った。少し黙っていたのは、その言葉を唱えた後でも世界が滅びずにそのままでいることを確かめていたんじゃないかと思う。
俺にはわかる。俺も昔、その呪文を唱えたから。
中学ん時に初めて全国に出た時、観客席にいた誰かが俺を指差して「ほら、地方の学校ってどーしても勝ちたいから外国からあーゆーの呼ぶんだよ。さっきもいたじゃん。どっからどーみても『田中』って顔じゃねーだろって奴」と言った。俺はその日、初めて「西郷好太」じゃなくて「あーゆーの」になって、「西郷って顔じゃねーだろ」って顔になった。そんで初めて「ああ。これか。これが噂に聞く、例のやつね」って悟ったんだ。
「差別……とかそういう深刻なのじゃないじゃんって。貧困地域とか、スラム化地域とか言われてもさ、俺としてはそこで普通に生きてるから。毎日、普通にさ、暮らしてるからさ。別に、普通にコンビニ行ったり、普通にこうやって遊んだり、普通にカラオケいったり、普通にデートしたり、してるしさ。だからなんか『差別されている貧しい地域の子』っていうのに、自分が噛み合わなくて。外の人たちが言う『あの地区』と、俺の生まれて暮らしてきた地区がさ。重ならないんだよ。だって俺、別にあの地区で、あの家で、普通に生きてるし」
先輩は眉を寄せる。笑おうとしているのに上手くいってないって顔だ。石垣ならこういう時、どうするんだろう。俺はこういう時、どうすればいいのかわかんなくて。ただ、隣で戸惑うことしかできない。
先輩は「そう心配そうな顔すんなよ。西郷どんは相変わらず感受性豊かだなぁ。落ち込まないの、はい、西郷どん、スマイルー?」と俺の腕を突く。慰めたい相手に慰められてどーすンだよ。俺。
「俺は彼女の言うことをちゃんと聞く、理解のある彼氏だからね。最初は言われた通り内緒にしてたんだ。家に遊びに行くと、梨花ちゃんの叔母さんがさ、陶器のトレーにコーラとチョコパイとポテトチップス乗っけて持ってきてくれるんだ。『うちにはあんまり男の子の食べるものがなくて。足りなかったら言ってね』ってさ。明らかにさ、普段この家の人たちは食べないんだろうなって感じるんだよ。俺のためにわざわざ買ってきてくれたんだろうなって。まぁ、似合わねぇんだよ、陶器のトレイとコーラとチョコパイとポテトチップス。全然」
場違いでさ、と先輩は小さな声で言った。
「俺みてぇだった。居心地悪そうすぎて、いつもとっとと食べちゃったよ。あんな可哀想なチョコパイ、見たことねぇもん」
先輩は途中で話を切り、「梨花ちゃんの家も母親いないの知ってる? 梨花ちゃんと父親と叔母さんの3人暮らしなんだよ」と言った。俺は頷く。
「梨花ちゃんの叔母さん、すごい雰囲気のある人でさ。ちょーっとだけ梨花ちゃんに似てて、華奢でさ、工芸品みたいなの。きっとあの家の女の人はみんな、ああなんだと思う。積み重ねでできてる」
列が進んで行く。氷を削る音と、シロップの匂いが近づいてくる。
「最初はうまくいってたんだ。梨花ちゃんの叔母さんも父親もさ、俺のこと気に入ってくれてさ。何せほら、俺って人気者だろう? 『日野原選手・インターハイ100メートル男子金メダル&大会新記録おめでとう!』の垂れ幕とかがさ、校舎とか、笹巳市役所に飾られちゃうような、俺なわけだよ。品行方正だし? 美形だし? 文句なんかないだろ。娘のボーイフレンドとしてさ」
先輩の俺の手を握る力が強くなる。目の暗さも一段と深くなる。
「俺、完全に油断しててさ。それにロマンチストだったからさ。普通に言っちゃったんだ。『俺の家は団地の先にあるんで』って。言っちゃっていいと思ったんだ。梨花ちゃんが言うように、梨花ちゃんの家族が態度を変えたとしても、俺のことをちゃんと知ってるわけだからさ。平気だろって。……完全にしくじったよ。もうさ、空気が変わっちゃって。梨花ちゃん、2人きりになった時、ワーワー泣いてさ。『先輩はわかってない! 先輩は自分のみたいものしか見えてない! きっと私たちは滅茶苦茶にされる!』って。俺は『大丈夫だよ、考えすぎだって』って言ったけど、彼女が正しかった。俺が甘かった」
先輩は俯く。どんな顔をしているのか、影になって見えないけど、多分まだ笑ってる。
「それまでは俺��俺だったんだ。単品の俺。それがさ、家のこと言った瞬間から俺は俺じゃなくなったんだ。『あの地区に住んでる子』になったんだよ。俺がポテトチップスを食べるだろ? そうすると『食べさせてもらえてないのね』になっちゃうみたいで、『夕飯食べていく?』とか言われちゃうんだ。俺の箸の使い方とか、靴の揃え方とか、挨拶の仕方とかがさ。急に『あの地区の子にしては』って目で見られるようになっていくんだ。俺のこともさ『あなたはあの地区の子とは思えないくらい礼儀正しい』とか『あなたはあの地区の子だけど、他の人とは違って普通ね』になっちゃったんだよ。名前だって、『最近の子は格好いい名前が多いのね』から、『あの地区の人たちがつけそうな名前ね』になっちゃって。もうなんていうかさ」
先輩は空を見上げながら「きつかった」と言った。やっぱり笑顔だ。
「あんなにきついなんて思ってなかった」
「先輩」
笑うなよ。そんな顔で。泣いてんのと変わんねぇじゃん。だったら泣けよ。
「わたあめ作る時の割り箸になった気分。砂糖の糸が絡みついてきて、玉になっていくんだよ。ベタベタしててさ、甘くてさ、悪気なんかないんだ。……いや、悪気がないふりをしてるのかな? まぁ、表立っての悪気がない分、余計にきついんだ。梨花ちゃんの家族も初遭遇だったんだろうな、あの地区の人間。関わる機会なんかないじゃん。エレベーターがある家に住んでるような人達にはさ。それできっと、どうしていいかわかんなくなっちゃって、ああいう『私たちは気にしていませんよー』みたいな態度になったんだと思う。でも、実際気にしてんだよ。気にしてるから、別れろとか言い出したわけだ。まぁ、あの人達風に言うなら『他の可能性に目を向ける』ってことだ」
「日野原先輩」
「笑えてきちゃってさ。やっぱ漫画や映画とは違うよなぁ。あからさまに『お前のような卑しい人間に娘はやれん!』とは誰も言わねぇもん。逆だよね。優しくて甘いんだ。優しくて甘くて、毒なんだよ。梨花ちゃんの親がさ、『他の人』でくくってんのってさ、俺の家族だったり、昔からの知り合いだったりするわけじゃん。『誰だって』家族のことを他人にいきなり悪く言われたら嫌な気持ちになるだろ? 当たり前のことだろ? でも梨花ちゃんの親の『誰だって』の中に、俺は入ってないんだよ。あんなの初めてで、愕然としちゃって。どうすればいいのかわかんなくなって、怖くなっちゃったんだよ、俺」
先輩の手が震えている。見ていられない。
「なんて言うんだろうな。俺、差別って言葉、すごい嫌いなんだ。なんか超ダセェじゃん。こう、わかってねぇ連中が勝手に外から貼り付けてる感じがして、新しい檻に閉じ込めようとしてるんじゃねぇかって感じがしてさ。だから差別っていう時、俺、ちょっとさ、差別の後に(笑)(カッコワライ)が付いちゃうんだよ。なんか笑えるんだよ。『確かにそういう問題があるのは知ってるけど、俺のとこは違うから』って思ってたんだよ。だって別に、誰かに殴られたとか、意地悪されたとかさ、なかったし。大袈裟だって思ってたの。貧困とか言われても、飯食えてるし、こうやって海も来られるしさ。でも、梨花ちゃんの家族と向き合って話してる内に、どんどんしんどくなってきて、すげぇ頭んなかで『あれ、これってすごい差別みたいだな』って思ったんだ。『社会問題じゃん、差別みたい。実際にあるんだぁ』って。その時さ、すっげぇ面白いなって思ったんだよ。最初にさ、『なにこれウケる』って思ったの。なんつーの。例えば中国人がカンフーの服きてヌンチャク振り回してたら『いるんだ、実際』って思って笑っちゃうじゃん。俺、思っちゃったんだよ。ウケるって。あの状況とか? 俺とか、青ざめてる梨花ちゃんとか、のんびりしてる梨花ちゃんの叔母さんとか、全部、込み込みで超ウケるー。差別とかあるんだ実際ーって。なにこの状況。超ベタじゃんって。俺って超ウケる奴だって」
「日野原先輩、無理すんのやめてくれって。マジで。笑うなって」
「そんでその後にさ『いや、そういうんじゃねぇじゃん』って思ったんだわ。大袈裟じゃんって。こんなの、別にそんなさ、大きい問題じゃねぇじゃん。つーか。ねぇ。これはさ、そういうのとは違うじゃんって。だって、向こうにしてみたらさ、そりゃ、言うだろうしさ。相手の立場に立って、俺は考えたわけだよ。俺、相手の立場に立って物事考えるの、割と得意だから。そうやって、望まれるいい奴やってきたわけで、それはほら、テクニックじゃん? だって俺の考え方と『みんな』の考え方は違うってわかってるから。そうやって『みんな』に合わせるのって、普通かと思ってたんだよ。それができる俺って、すげぇ奴なんだって思ってたの。でもな、西郷どん。『みんな』ってのは、自分の考え方と『みんな』の考え方がほとんどずれてない人のことを言うんだ。合わせる必要のない人を言うんだよ。俺は『みんな』に合わせられるけど、『みんな』には成れないんだよ。そういうのに、一気に気がついちゃってな。だから俺、うわーってさ。なっちゃったんだ。『うわー。これって、そういうのだったんだ』って。もう全然、笑えなかったよ。(笑)、どっか行っちゃって、帰ってこねぇの」
先輩の声が震える。
どうすりゃ止められるんだろう。
「もしも俺があそこらへんの子じゃ��かったら、絶対に言わないだろ。『あなた『は』しっかりしてる』なんて。『あなた以外』のことなんか、知りもしねぇのにさ。そんでもうさ、息苦しくなっちゃって。だってさ、どうすりゃいいの。怒ればいいの? それともニコニコしているのがいいのかな。俺、どっちもできなくてさぁ。すげえ変な顔で固まっちゃったと思うんだ。もう、なんか、やっちゃったよね。ほんと、ほんときつかった。誰かマニュアルかなんか作ってくんねぇかな。だってさ、差別をしてはいけませんっていう話ってさ、結局差別する側に対する啓蒙だろ? された側にどう振る舞えばいいのか教えてくれるものなんか、ねぇじゃん。ぼんやりした『あなたは悪くない。自分に自身を持って。差別する側の方が劣っているのです』とか『サポートが必要ならNPO法人なんたらかんたらへ』とかばっかじゃん。そういうんじゃなくて、ああいう目にあっちゃった時の、今すぐ使える模範解答みたいなのが欲しいよ、俺は。でも、そんなのないんだ。全部個別だからな。人間関係は。きついわ、人生。まじでしんどい」
先輩は「暑いなぁ! 汗が目の中入ってくる」と言いながら目を擦る。
汗じゃないだろ、とは言えなかった。
「梨花ちゃんは、俺といつ別れるんだって親が毎日言ってくるって泣いてさぁ。俺はさ、『俺がどういう人間かわかれば、梨花ちゃんの親も細かいことなんか気にしなくなるよ。だってもう21世紀なんだよ。そんな古臭い価値観で人を見たりするなんて、あるわけないじゃないか』って言ってさ。梨花ちゃんがまた泣くわけだよ。『ちゃんと見てください! あるわけないって言っていれば、消えると思ってるんですか! あるわけない、いるわけない、って思ってるうちに、取り囲まれてしまうんです! うちの親は、叔母さんは、現にいるじゃないですか! 別れろ、別れろって、言うじゃないですか! あの人たちは折れませんよ! 私は知ってるんです!』って。いやぁ、うん。バリッバリに現役だったよね、古い価値観! ピンピンしてた! もうさ、思い知らされたわけだよ。古いとか、時代遅れとか、そういう風に呼ばれてるもんがどれだけ強いのかってことを! 全然古くないの! オンゴーイング! 古いとか嘘! 全然現在進行形だよ!」
かき氷の列はほぼ詰まることなく順調に進んでいて、もうすぐ俺たちの番になりそうだった。
「先輩。かき氷食べてからゆっくり話そうぜ。なぁ。無理しねぇでも俺、ちゃんと全部聞くから」
「なんで漫画とかアニメとか映画とかでしょっちゅう、バカみてぇで臭くて説教がましいさ、『差別主義者が倒されてめでたしめでたし』なお話やってんのか、わかっちゃったんだよ。倒せねぇからだよね! 倒せねぇから、お説教の中で倒してんだよ。だってそうだろ。本当にそういうのが悪いって、『みんな』が思ってたら、そんなものはもうないはずだし、そんなものを倒してめでたしめでたしなお話もねぇはずなんだ! 本当は勝てねぇから、勝てる話を作ってんだよ。負けてる側が負けてる側を慰める為に作ってる妄想なんだ! 惨めだ! すげぇ、惨めだったよ! ハハ!」
先輩は喉を抑える。まだ笑ってる。やめろって。マジで。シャレにならねぇから。
「なんかきつくて。息がうまく、できねぇって感じで。それで、こう、頭がぐちゃぐちゃでさ。夏休みに入っちゃって、梨花ちゃん、夏の合同練習にも来ないし、今日も学校に来なかったし。LINEも電話も全然繋がんなくてさ。家に行っても追い返されるし。もうしんどくて。それでちょっと、急に、飛び出したくなったんだよ、盆地。あそこにいたら息ができない」
先輩は海を指差して「そういうわけでの、海なんだよ。西郷どん」と言ってから、携帯を開いて俺に見せる。
「ちょっと前に、こんなメールが来てさ」
『もう会わない方がいいと思います。今までありがとうございました。日野原先輩だったらすぐに素敵な彼女ができると思います。』
「……これ、俺、見ていいやつなんスか?」
つか、振られてんじゃん……。
「いーやつだよ。だってこれ、梨花ちゃんが書いたメールじゃねぇもん。これでも付き合って結構長いんだぜ? 毎日LINEしてんだから文体くらい覚えるよ。これは家族だよ。梨花ちゃんの家族。別れさせようとしてんの。つかメールって時点で変じゃん。だってさ、梨花ちゃんだぜ? 本当に別れるって決めたなら、直接言いにくるよ。そういう子じゃん」
はぁと先輩はため息をつく。
「絶対に別れたくねぇ。意味わかんねぇじゃん。なんで別れなきゃいけないんだよ。俺、梨花ちゃん好きだし、梨花ちゃんだって俺を好きなんだ。それ以外なんか、どうだっていいはずなのに、じわじわ嫌なものに取り囲まれてる。わけわかんねぇ。俺と梨花ちゃんの、2人の話なのに」
俺たちの前に並んでいた親子連れが注文したかき氷を受け取り、横にずれる。
先輩は店の看板からぶら下がったメニューの短冊を見ながら「あ、ここのブルーハワイ、アイスはねぇんだー。ざーんねーん」と言い、千円札を差し出して俺と自分とを交互に指さすと「ここ、お会計一緒で」と言った。
「いーっすよ、俺、自分で。さっきガリガリくんももらったし」
「いーの。これは口止め料だから。おにーさん、俺、ブルーハワイで。お前は?」
決めてなかった。
「えーっと。じゃぁ、俺もブルーハワイで」
店の兄ちゃんが氷削り機のボタンを押し、氷を削る音が響く。音聞いてるだけで涼しい。
「……何にも解決しませんよ、海なんかきたって。夏休み明けに話ししてみたらどーっスか? 流石に夏休み終われば会う機会あるでしょ」
「人間にはな、何にも解決しないってわかってても、海に行きたくなる瞬間があるんだよ。だってほら、風が吹いてるんだぞ、海は」
先輩の声に応えるように海から風が吹いて、先輩の長い睫毛と三つ編みと、おでこにかかる長い前髪が遊ぶように揺れた。
かき氷のシロップが入った大きなボトルに光が差し込んで、乱反射して、先輩の右顎の下から左の眉頭に向かってブルーハワイ色の光の線を引いた。綺麗だ。
「風吹いてると、一生懸命口開けて呼吸しなくてもさ、口開けてるだけで空気、入ってくるから。息苦しくねぇからさ」
先輩は「ほら」と言って口を開け、風を受ける。
白くて清潔で綺麗に揃った歯と歯の間に舌が見える。あれは先輩の内臓の、一番外側にある部分だ。いやらしい。
先輩はさっき石垣の話をしながらちょっと泣いてた。長い睫毛が濡れて、小さな小さな涙の粒が先端で揺れている。
かき氷屋のあんちゃんが「はい、どーぞー。シロップ足りなかったら、スプーン3杯まではかけてオッケーでーす」と言って氷でいっぱいになったプラスチックの器を差し出す。
「はーい。どーも」と先輩は器を受け取る。もう何でもないみたいに笑ってる。
「西郷どん、できてるよ。ブルーハワイ」
先輩はかき氷屋の兄ちゃんが持っているブルーハワイのかき氷を指差す。
「お前は本当に青が好きだなー。青いネックレス、青いアロハ、かき氷までブルーハワイか」
先輩の口の中にブルーハワイ色の光が差し込んでる。先輩の涙で潤んだ右目にブルーハワイの青い色が差し込む。砕けかけのひび割れたビー玉みたいだ。風が吹いて、三つ編みが揺れて、ブルーハワイ色の光が揺れて、先輩の目に溜まっていた涙が汗と混じって垂れ落ちて、言葉にできないくらいに綺麗だった。そーゆーのが、全部、変な風に噛み合ってしまって、俺はコントロールを失った。
俺は先輩の口に噛み付くつもりはなかったし、噛みつき終えた後に「あんたが好き」って言うつもりもなかったのに、そーゆーことをしてしまい、かき氷やの兄ちゃんは小さい声で「ぇえっ」と言い、先輩は硬直し、俺はかき氷のシロップが染みた青い天辺をスプーンも使わずに口でかぶりついて崩し、まだ半分以上残っているかき氷を屋台横のゴミ箱に投げ込み、まだ硬直している先輩の口にもう一度噛み付いて、舌でシロップでぐしょぐしょに濡れたかき氷を中に押し込んで、「すげぇ好き」と言って、その瞬間にかき氷のキーンがゆだっていた脳みそを冷まし、俺は正気に戻り、かき氷やの兄ちゃんがまたしても「ぇえっ」と言う声と、先輩の唇の真ん中からブルーハワイのシロップが垂れていくのを見て、そんで。
逃げた。
全力で。
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スパイ映画好きとしては外せない、『レッド・スパロー』を観てきました! 失礼ながら昔はあんまりジェニファー・ローレンス好きじゃなかったんですが(しかも特に理由はない)、最近やっぱり彼女の演技ってすごいなと思うようになり、なるべく出演作はチェックするようになりました。
今作もジェニファーの体当たり演技が堪能できそうな作品なので、楽しみにしてました。
レッド・スパロー(Red Sparrow)
監督 フランシス・ローレンス 脚本 ジャスティン・ヘイス 出演者 ジェニファー・ローレンス ジョエル・エドガートン マティアス・スーナールツ シャーロット・ランプリング メアリー=ルイーズ・パーカー ジェレミー・アイアンズ 公開 2018年 製作国 アメリカ合衆国
あらすじ
ステージでの大ケガによって、ボリショイ・バレエ団での地位を失ったドミニカ・エゴロワ。 そんな彼女に手を差し伸べたのは、ロシア情報庁の幹部である叔父のワーニャだった。 病気の母親の治療費を工面するため、ドミニカはワーニャの指示で、スパイ=〈スパロー〉の養成学校へ送られる。 標的を誘惑し、心理操作するテクニックを学んだドミニカは、その才能を買われ、ロシア情報庁の上層部に潜む、アメリカとの内通者を探り出す任務を任されることになった。
モスクワからブダペストへ動いたCIA捜査官、ネイト・ナッシュに接触したドミニカは、彼から内通者の正体を聞き出そうとする。 ハニートラップでネイトの心をとかしていくドミニカ。 しかし二人の関係は立場を超えた複雑なものになっていく。 そして、その任務はドミニカを想像も超える運命に導き、彼女は敵国アメリカのみならず、祖国ロシアからも狙われることに・・・ 窮地に立たされたドミニカが大国を相手に仕掛けた最大のトラップ=罠とは!?(公式サイトより)
『ハンガーゲームシリーズ』でおなじみの、フランシス・ローレンスとジェニファー・ローレンスが4度目のタッグを組んだスパイ映画。 原作は実際にかつてCIAで工作員をしていたジェイソン・マシューズによる小説。CIAに関わっていた人物が執筆した作品によって製作された本作は、リアルなスパイ活動の裏側・実態を描き出しています。
女って怖いよ
タイトルから不安がただよっていますが・・・ 一言で感想を表すとしたら、「女ってこわ〜」に限りますね(笑)
華やかなバレリーナ人生から転落した主人公が、やがて壮絶な人生を送ることになるのですが、これがまあみていて悲惨な気持ちになってしょうがない。 ああ〜これは久々の超絶バッド映画に遭遇したかな、と思いきや、ラストで鮮やかに伏線回収してくれて、最高に気分がいい!
それまでの展開がどう考えても暗い未来しか感じられなかったので、なおさらラストにはスカッとした気持ちになりましたね。 そしてあのラストを仕向けた主人公の静かなる執念がすごい。怖い。 よくできたストーリーです。
本編は、全体的にシックな色調の画面で、静かに淡々と進んでいきます。 昔の映画をみているようなハードボイルドな雰囲気がありました。
本編はR-18で、絵的にエロいシーンもてんこ盛りなのですが、あまりに壮絶なストーリーすぎるのか、画面がしっとりしているからなのか、わーエロい!っていうんじゃなくて、芸術的なエロスに感じられました。
でも所構わず裸になって股開くジェニファー・ローレンスにはさすがにあわあわしました(笑) めちゃくちゃ体張ってます。やっぱり彼女の演技に対するアプローチはすごいですわ。
国家の物となった女の壮絶な復讐劇
主人公のドミニカ・エゴロワは、バレエ団のトップスター。 ところが、彼女ばかりが主役を務めることに嫉妬した他のバレリーナの画策により、ドミニカは足を大ケガし、突然いつもの日常が失われてしまいます。
生活するために、病気の母を救うために、ドミニカはロシア情報庁に務める叔父の依頼をうけることに。 こうしてドミニカの壮絶な転落人生の幕が開いたのでした。
足のケガは気の毒にと思いましたが、そのあとゴルフクラブで黒幕2人をメッタ打ちにしているドミニカをみて思わずゾッとしてしまいました。 このシーンですでにドミニカの本性を感じられますね。 殺したいほど憎くても私だったらチキって殺せないもんな・・・
ドミニカが送られたのは、スパイ養成所。 しかし単なるスパイの養成所じゃありません。 そこは、自らの全てを使って相手の心を誘惑し、陥れる技を身につける、通称「スパロー」を育成する場所だったのです。
いわゆる「ハニートラップ」専門の養成所なんですね。 心も体も国家に捧げろ、という方針のもと、ドミニカは厳しい訓練を受けていきます。
まあーここでの訓練がひどいひどい。 平気で人前で全裸になったり、ハニートラップの訓練が撮影されていて、それをあとで生徒全員でみながら講評されたり・・・ 普通の神経の人間じゃ耐えられませんね。 しかしドミニカはバレエでの経験のおかげか、もともと才能があったのか、メキメキと頭角を現していくのです。
養成所を無事卒業したドミニカは、ロシア情報庁にいるもぐら(組織に所属しながらも敵に情報を送る裏切り者)を探し出す任務につくことになります。 そしてドミニカはターゲットの、CIAに所属するネイト・ナッシュに近づいていきます。
彼女なりの独特な方法でCIAと近づき、取引をした結果、ドミニカは二重スパイ容疑がかけられ、どんどん追い込まれていきます。 追い込まれたドミニカに、徐々にこれはつらいバッドエンドが待っているのではないかと不安になっていくんですね。 それまでがあまりにもかわいそうな展開の連続で・・・
しかし、クライマックスでついにドミニカの本当の目的が明らかに。 最後の10分のどんでん返しは、あまりの鮮やかさにしてやられた!と思わず口にしたくなるほどの展開が待っています。 種明かしをされるシーンをみて、ああなるほど、そういうことだったのか、と爽快感が一気に駆け抜けました。
そしてここで、きれいにオチがついたスッキリ感とともに、女って怖いわ〜と、ドミニカの復讐心に改めて感心��るのでした。 よく考えてみれば、もしかしたらドミニカにケガをさせようと仕向けた人間がいたのかも・・・ ロシアも怖いし女も怖いし、世の中にはとんでもない世界があるものですね。 本作ではその片鱗を覗ける体験ができました。
スパイの鏡のような主人公
主人公のドミニカは、バレエでトップを張りながら母を介護する献身的な女性。 ・・・の、はずでしたが、ケガによりそれまでの人生とは180度違う生活を送ることになってしまいます。
もともとクールで影のある女の子。 ハツラツとしているよりはメランコリーな雰囲気を感じました。 自分が置かれた状況を冷静に判断しているところがあって、スマートな頭の良さが印象的。 スパローの養成所でも、他の人たちより群を抜いて相手の心を読み取り、的確に指摘していきます。
そして彼女に思わずシビれてしまうのが、スマートさの中にも激しい復讐心があるところ。 彼女からただよう人生を放棄したような諦観の念が、何重にも復讐心を隠しているのがおもしろいんです。 劇中でヒントはいくつかばらまかれていたのですが、なんだろう?くらいにしか思えなかった私は、ドミニカに狙われたらひとたまりもありませんね(笑)
静かに、じわじわとやってきて、最後に一気に攻め込む、とんでもない猛毒をもった女性なのです。 叔父さんは彼女のことを「状況を的確に判断して、一歩先をいく」と彼女をほめていますが、わかっていながらもドミニカの罠にまんまとハマってしまったのでした。
ジェニファー、さすがの貫禄
まだ27歳という若さながら、すでに貫禄すら感じるジェニファー・ローレンス。 いやあ彼女はすごいですわ。同じ年代のハリウッド女優の中でも抜きん出て、演技力と演技に真っ向から向きあうパワーがありますね。 文字通り、かなり体張ってます。
本作はR-18作品ということもあって、かなり過激なシーンが多いんですね。 全裸シーンはてんこ盛りだし、大勢の前で全裸で股は開くし、露骨なセックスシーンはあるし・・・ 最初のうちはまあR-18だしな〜くらいに思っていたのですが、あまりにも過激なシーンが多いせいで、そこまでやるの!?もういいよ!と画面を隠してあげたくなっちゃいました(笑)
一番すげえなと思ったのが、やっぱり養成所の生徒たちの前で全裸で股開くシーンですよね。 エロいとかじゃなくて、そこまでやるの?大丈夫?と心配になっちゃいました(笑) まあ本編全体をみれば取るに足らないシーンなんですけど、これ撮影したのか・・・と突然メタ的な気持ちになるくらい衝撃的でした。
共演のジョエル・エドガートンは『ブラック・スキャンダル』ぶりでした。 もうあの映画も3年前になるのか・・・ CIAとは思えない普通の男の人(でも能力はある)を安定感のある演技で好演。 皮を剥がされる拷問のときの叫びがマジでいたそうで、思わず目をつぶってしまいました。
リアルなスパイの内情!?
スパイ映画というとアクションや緊張感満載のミッションを楽しむイメージがありますが、本作はアクション要素は少なく、駆け引きやハニートラップ、拷問などリアルなスパイの裏側を楽しめます。
スパローとして鍛え上げられたドミニカの心理戦や駆け引きには、CIAやナッシュ、ドミニカの叔父だけでなく、観客までもまんまと騙されてしまいます。 私もすっかりドミニカの手のひらの上で転がされてしまいました。
拷問シーンもえげつなくてゾッとしたな〜 女スパイでも容赦なく殴ったり水かけたりするってのがね、リアルな感じしますよね。 映画だと華やかな面もあるスパイですが、実際はもっと地味で暗い世界なんだろうな。 ナッシュを捕まえて、皮を剥ぎながら拷問するシーンが一番えげつなかったですね。皮を剥ぐ拷問って地獄すぎる・・・
これぞリアルなスパイの世界、というのを堪能できます。 人気シリーズのスパイ映画はあんまり好みじゃない方にはハマるかもしれませんね。
総評
評価
ストーリー
(4.0)
キャラクター
(4.0)
キャスト
(5.0)
演出
(4.0)
映像・音響
(3.0)
総合評価
(4.0)
良かった点
しっとりした暗い雰囲気
ジェニファー・ローレンスの体当たり演技
ド派手なアクションじゃないしっとりした感じの作風が、私好みでした。 ジェニファー・ローレンスはほんとどんな作品でも出るからすごいよね。
悪かった点
好みが分かれそう
渋くて暗く、映画好きがハマりそうな作品なので、ライト層には合わなさそうです。
まとめ
いつも観ているド派手アクションスパイ映画とは異なる系統のスパイ映画で、楽しめました。 アクションシーンはほどんどなく、体や心をうつくしく、かつ攻撃的に描いたエロスの溢れる大人な作品です。
全体的に憂鬱感としっとりした雰囲気がただよう、シックな画面も印象的。 好みは分かれるかもしれませんが、私は好きな作品でした。 お酒を飲みながら観たい映画です。

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Text
エレウテリア 第五話
Conte エレウテリア Ghost and Insurance 第五話 「DON’T TRUST ANYONE OVER 30」 遊園地廃墟の夜が深い青に落ちていく。月明かりは木々を透過して注ぐ。海底の冷たさを等しく全員へ示す光に命ある総ての者は押し黙る。その身を闇に引きずり込まれないように。反対に騒ぎ出す者等。インサニティ。ルナティ���ク。月に憑かれて踊る魂の際限ないダンスの果てには神聖な狂気の世界が待つ。湖面に映るぐにゃぐにゃの時間。一時も落ち着かない生活がやってくる。生まれ持った音のボリュームには個体差がある。シューゲイズに惹かれるEDM。フォークソングとぶつかるポジティブ・パンク。ソウル・ミュージックとジャズが手をつないでニューウェーブを握りつぶす。 トイレの割れた窓ガラスをオバケが踏むと小気味良い感触が靴の裏から全身を伝わった。 「男子トイレってこんな感じなんだね」 「そうだよ」 驚くべきことに水道はまだ通っていてホケンが蛇口を捻ると腐ったような臭いの水が勢いよく飛び出し止まらなくなった。呆然として半笑いでオバケを見、疑問に感じた部分を混ぜ返す。 「“そうだよ”?」 「男とよく夜の公衆トイレで」 「そんなことだろうと思った!」 『暗黒日記二〇一六』執筆中の少年は個室で言いがたい感覚に襲われていた。清沢洌にちなんでキヨサワと呼ばれることになった彼がトイレに駆け込もうとすると当然のように少女二人もついてきた。「気にすんな」と言われても無理というものだったが彼史上最強クラスの便意と長時間に亘る格闘をするうちに無理ではなくなっていった。ボロボロの木の板一枚挟んだ向こうにいる彼女達をいつの間にか戦友のように感じている。下卑た冗��も戦争映画の音声に聞こえ、敵国へ勝利を納め扉を開けた時彼の心には密かに二人への親愛の情が生まれていた。暗いのは好都合誰か人がいたとして姿を見られる危険は日中より少ないと三人は園内を彷徨う。突入する建物には必ず生活感があることに驚いた。廃墟を棲家にしている人々がいるのだろうか。いるとしてそれはどんな種類の人間だろう。山奥で隠遁生活をしなければならない集団。カルト宗教、指名手配犯、ホームレス……。何にせよ安全で善良な人物が暮らしているとは思えなかった。予感は的中した。明け方湖の側で発見した第一村人は遠目にも危険人物らしい相貌である。全裸で逆立ちをしながら詩の朗読をしていた。好きな作者の物が結構あったのでコイツは危ないとオバケは感じたのだった。 「あ、所長」 「所長?」 「あの人がここの総責任者なんだ」 「つまりアレをやれば我らの勝利……?」 「待って待って待って」 叢を分けて飛び出すと逆立ち全裸は華麗にバク宙を決めて二足歩行体勢に戻った。恥という感覚がとことん抜け落ちているようだ。衣服を纏おうとは欠片も考えぬ素振りのまま仁王立ちでオバケを迎えた。 「君は……新しい世話係だったかな。早いね。もう辞めたいっていうのか。よし。分かっているな。今日一日生き延びることが出来ればここから出て山を下りる権利が与えられる。死んでしまえばそれまで。それがローズバッドハイツ従業員のルールだ。では始めようか」 「イエーイゲームスタートふっふー!」 オバケが茂みに戻るとホケンとキヨサワは同時に彼女の頭を力いっぱい叩いた。 「だって……何あのRPGの敵対モブみたいな発言!?字幕見えたわもう!」 「いきなり出ていってどうするつもりだったの」 「本当に殺す気でいた?」 「そういう訳じゃ…..。上手くすれば状況打開する道につながるかなーと」 「で、上手く出来ましたか勇者オバケよ?」 「あーうーん、山下りる権利?くれるって」 「すごいじゃん!」 「うん、うん、でもな、あのな、今日一日、生き延びられたらって、言ってた」 「どういうこと?」 「うーんとうーんとああいうことかな」 無線機で連絡を取り逆立ち男は大量の人間を集めていた。真っ赤なツナギを身につけた集団のその数はどこに隠れていたのか不思議な程。最悪な状況が自分で思っていた以上に行く所まで行っていたことにオバケが気付いたのはこの時だった。逃げ延びられるはずもなく彼女達は山を下りるどころか頂上へと連行されていく。道々見えたのはこの廃遊園の全景。過酷な労働の果てに息絶えた亡者へ死してなおその手足を働かせることを強制する死臭噎せ返る工場。圧倒される物々しさは美の領域にまで達していた。ぜんたいここは何なのか。この先に何が自分達を待つのか。ぞくぞくと心臓を震わせるのは恐れだけでなく期待も大きいのであった。 薔薇。薔薇。薔薇。薔薇。薔薇。山頂を支配する無数の薔薇の花の群生。人の営みも動物達の食物連鎖も虚しい遊戯にしか思えなくなるほどただそこは薔薇園だった。薔薇が薔薇のみしか必要とせず薔薇のために薔薇は存在し薔薇のため薔薇が死ぬ。自家中毒の桃源郷。こんなところに連れて来られてはいよいよ死ぬしかない気がした。だが不思議と怖くなかった。切り刻まれ腐り果てて堆肥になったら養分としてこの美しい薔薇の一部になれる。それは本望かもしれない。私が生まれたのはきっとそんなふうに綺麗なものになるためだったんだ。 「やあ」 薔薇はとうとう中世ヨーロッパの貴族階級のような声で口を利いた。遮るものの何もない場所で声はどこまでも響く。 「呆気なかったな、非行少女たち」 そして薔薇は人のかたちを模した。荊のベッドから身を起こす人影がある。美輪明宏がまだ美輪明宏になる以前の美輪明宏のような美青年が薔薇の海から生まれた。見覚えがあるように思ったのは恐らく究極の美というものは原始的な記憶領域に訴えかける作用を有するからだろう。蛇に睨まれたように身体が動かせずにいると青年は彼女らに自ら歩み寄った。コミュニケーションを取ることが却って困難になる距離まで近付いて黙ったまま観察する。彼のあまりの顔の近さにオバケにはそれが昆虫のような異星人のような巨大な目玉を持つ怪物に見えた。彼女らを連行した赤ツナギの一団が丘の上に立つ建物から出て来た別働隊から何事か報告を受けている。そして薔薇から生まれた青年へ報告は受け渡された。 「君たち….スタッフじゃなかったの?」 アゴ、というより両のエラに手を入れられ顔を持ち上げられたオバケは改めて目撃した青年の美しさに戦く。同時に気付いたこともあった。彼の目には何も映じられていない。目の前にいる私を、耳元の部下を、恐らく人間として見ていない。心を開いていない目。あの芸能プロダクションの人間と同じ、溶けたプラスチックの目。途端に強烈な嫌悪感に苛まれた。それは青年に対してだけでなく今まで全てから逃げ続けてきた自分自身に対しても同様だった。彼の澱んだ目の中でオバケの消したい過去たちが溺れてはまた浮上する。 「わっ!わー!何ですか、やめっ、あの、何ですか!?離してください!」 赤ツナギ達がホケンを拘束して運ぼうとしている。キヨサワはどうなったのかと探すと彼は赤ツナギの一人からいけないことをした子供に諭すように叱られていたが彼自身はどこか全く別の方向を見ている。それに対し赤ツナギは注意せず聞き手のいない説明会を続けていた。憶えている外の景色はこれが最後だ。神経症的に空間を埋める薔薇。濁ったプラスチックの視線。拐われる少女。遠くを見つめる少年。今となってはどれ一つとして現実感がない。私は始めからここにいて全部ただの妄想だったのかもしれない。 罅割れの激しいサイレンが鳴った。曜日の無い一日がまた始まる。人ひとり埋もれる高さの雑草が生い茂る中庭を伐り開いた空き地にはブルーシートが敷かれ、黒ずみ欠けたアイスクリーム屋の白い椅子とテーブルが並ぶ。キャスター付きホワイトボードは黒板を手前にある手術台は教卓の役割を果たしていた。現実社会という戦地から疎開した青空教室。しかし飽くまでも日本的な詰め込み型教育で教えられる科目はただの一つだった。危険薬物はその人の四肢を腐らせ五感を狂わす薬である。自ら進んで人間でなくなりたい者は使えばいい。日々突き刺される言葉の烈しさは薬物の刺激に慣れた「生徒」への配慮なのか家畜を見る目をした赤ツナギの憂さ晴らしなのか。小学校卒業以来、中学は週に一度作文を提出することで足りない出席日数を補完、高校は開き直って呆気なく中退、とまともに学校という物へ通った経験がなかったのでアタシはこの歪んだ青空教室を楽しんでいるきらいがあった。大学ってもしかしたらこんな感じかなと見当違いな想像もした。 それは長い梅雨の明けた7月のよく晴れた日だった。青空薬物リハビリプログラムは日一日と脱落者が増えていき生き残ったのはアタシと80年代のロックスター風にウェーブのかかった茶髪を長く伸ばした男だけにいつの間にかなっていた。荒くれ者然とした彼とは一度だけ話したことがある。ノートを見せて下さい、という意外にも丁寧な口調に面食らってしまい返答出来ずにいると俺のも見せますから、といらない交換条件を提示してきた。びっしり書き込まれた文字はタイプされたような美しさで、しかも見易く配置された内容はところどころ図に表してあるほどのこだわりよう。呆然と見惚れてしまったのを覚えている。よっぽど本気なんだろうなと思った。彼にとっても今日は待ち焦がれた日だと思う。予定ではいよいよプログラム最終日なのだ。 「おめでとう!」 薔薇の花。何週間、もしかしたら何ヶ月ぶりに見た青年は変わらず美しく息をしていた。いつもの常に苛ついている太った赤ツナギは萎縮して陰に隠れていたがその飛び出した腹部まではへこんでいなかった。残念。青年は笑顔を全く崩さないままにバッグからあるものを取り出す。 「最終試験だ!僕のモットーは“平等”だからね!このローズバッドハイツから出て行こうとする人には従業員にも患者にも同じ条件を出す!」 患者。アタシは患者だったのか。ずっと自分が何なのか探していた。子供にも、大人にも、学生にも、アイドルにも、狂人にも、誰かの大切な人にも、私は結局なれなかった。薬物リハビリ施設で治療を受ける哀れな患者。私という動物のつまらない正体を簡単に暴かれたせいでなんだか笑い出してしまいそうになった。 「今日一日生き延びろ」 壊れた機械のねじ穴を永遠に塞いでしまうような絶望的な清々しさで彼はそう言って次の言葉を続ける。 「けどクリーンなスタッフ達をわざわざクスリ漬けにするわけにはいかないし、ろくに運動もしてない君たちを走り回らせても仕方ない。彼等と君たちには別の生き残り方を目指して貰わなければ。そうだろ?そうしないと平等にならないもんね?」 素人目にも凄まじい高級品だと分かる黒い革の手持ちバッグから出て来たのは、一組の注射器と、粉末の包みだった。綿の飛び出した緑の手術台ーーそれは先述の通り教卓なのであるーーにその二つを見せつけるようにゆっくりと置く。 「これが何か分かる人ー?………..今日一日、君たちはここに居てもらう。それだけ。それが最後のテストだ。勿論、ここまで来た君たちは、目の前にかつてお世話になったおクスリがあるからって貪り打ったりはしないもんね。じゃあね!ああ寂しくなるなあ!一気に二人もローズバッドハイツを卒業しちゃうなんて!……….日付が変わったら、お迎えが来るよ」 金縛りなんて比じゃなかった。これからどんなに最強最悪の大悪霊に取り憑かれてどれだけおぞましい金縛りにあったってすぐに自力で解ける気がした。幽霊のたぶん充血して瞳孔の開ききった目を力いっぱい睨み返しながら、そいつがたまらず成仏してしまうまでやり返せる自信があった。もし、ここで、この場所で、身動きが出来たとしたら。体感で一時間が過ぎてやっと、骨の軋む音を頭蓋骨に爆音で反響させながら首を回して、隣にいる彼の様子を見ることが出来た。彼も同じく硬直してしまっていたが一部だけ激しく運動している点がオバケとは異なる。何かが宿った人形が髪をのばすように。聖像が血涙を流すように。微動だにしない肉体から絶えず滝の涙が流れていた。涙腺が心臓として脈打ちいち早く緊張を氷解させる。不安や恐れや怒りの入り混じった彼の姿を目で追っていると体の動かし方を思い出していくようにしてオバケも徐々に徐々に震える手足を命令に従わせていくことが出来るようになった。天敵に遭遇した動物と食糧を発見した動物。彼等の中で目まぐるしく入れ替わり立ち替わりする欲求の種類はまさに野生のそれであった。手術台に載せられているのは人生を破壊する道具である反面、どうしようもなく必要としてしまう存在でもある。二人とも一言として言葉を発せないうちに日は傾こうとしていた。時間が泥のようにまとわりつく。呼吸をするほど息は苦しくなる。酸素が猛毒だった地球最初の嫌気生物の気分。 「限界だ!」 ロックスターもどきの彼はチューブで腕を縛り血管を浮き立たせる。粉末を炙って透明な液体にし注射器で吸い取ったら一度ゆっくり押し出して針の先を2回はじく。そういえば、この動作への憧れがアタシを壊していったんだっけ。辛い時間を埋めてくれた映像。トレインスポッティング、ウルフオブウォールストリート、時計じかけのオレンジーー。映画はどんなダメ人間も許してしまう魔法だ。どれだけ人を嫌い嫌われるやつでもスクリーンは分け隔てなく愛してくれる。必死で、投げ遣りで、幸せで、不幸で、孤独で、愛し合っていられた。その中のどれ一つとして本当には味わったことのないアタシと画面の中のキラキラした彼等彼女らは全てを共有してくれた。おかげでアタシはハイティーンにして既に老境に入ったベテランジャンキーだった。灰彦店長の贈り物はだからきっかけでしかなく、あれがあっても無くてもどの道アタシは同じような人生になっていたと思う。だから、この、今まさに長い断薬生活に別れを告げようとしている同志のロン毛チリチリなんちゃってロックヒーローには、無意味な永遠の中に逆戻りして欲しくない。オバケは男に背後からしがみついた。注射針はもう彼の皮膚を突き破っていたが腕を振るだけで引き抜けたことから血管には達していない確率が高い。海岸線に沈み始めた夕陽が黒ずんだ濃いオレンジを二人目掛けて投げ込んだ。弾けた光はそのまま部屋中に広がり波打つ。 「だっ……ああ!も、さ!?うああっ!」 言葉が何一つ形にならなかったことで自分が泣いていることを知った。言いたいことが沢山あった。本当にいいの?じゃあ何で今まであんなに頑張ってたの?ここを絶対に出たい理由があるんでしょ?勝手な想像だけどさ、何が何でももう一度会って謝りたい人がいるんじゃないの?じゃなきゃ、きっと人間はそこまで自分の為だけに命がけにはなれないでしょ?全部ただの呻きにしかならなくて悔しくてひたすら彼の背を叩き続けた。這いずりながら彼はまだ注射を打とうと手を伸ばす。いっそう強く呻いて背中を叩いた。何度も何度も何度も。それでも彼は諦めず震える手を夕陽に透かしていたが、やがて抵抗をやめた。それから二人で馬鹿みたいに泣いた。悲しさを、悔しさを、全て流し切ろうとするかのようにいつまでも泣いていた。顔中ドロドロになって乾いてまたドロドロになって乾いてを3回繰り返した頃にはやっと少し落ち着いてきた。外はもう暗くなって、警備担当の赤ツナギの持つ懐中電灯の光だけが何の明かりもない敷地外を不気味に漂っている。 「あれやらない?ミーティング」 返答する以前に彼の顔の地殻変動っぷりが笑い事じゃなったのでポケットティッシュを差し出した。ありがとうと恥ずかしそうに呟いたあと顔を隠すように拭きながら彼は言う。 「もう二度とやることも無いだろうから記念にさ!」 白と黄色のまだらになったティッシュの塊をゴミ箱に捨てて戻って来がてら小さく引き攣った笑顔をオバケに向ける。彼女も自らの顔の汚れを拭き取ることでどうしても表れてしまう笑顔を隠していた。かつてない和やかな空気の中最後のミーティングは始まった。薬物依存の人間同士が集まって自分の薬物体験を発表し合う。そうすることにより薬物の恐ろしさを俯瞰的に感じ取るのがこの「ミーティング」の目的である。だがオバケはここで行われるプログラムの中でこれを最も苦手としていた。薬物についての話を集中して聞いていると頭の中が混沌としてくる。想像力が制御を失いどこまでも広がっていってしまう。アマゾン奥地では船で山を越えるんだ!先住民と戦争を!ジークハイル!フィツカラルド!いやザ・ダムド!ヘルムート・バーガー!ルキノ・ヴィスコンティ!地獄!老人という怪物!プレタポルテそしてYSL!YSL!称えよ我らがイヴ!我らがイヴを称えよ!ハイル!ハイル!ハイル!バスキアみたいなスライ・ストーン!さらばさらば藍色の青春時代!ヴィーナスは毛皮を着て陽射しがサングラスのマイノリティ!結論はシルクのバナナ!ーー喉が渇いた。砂漠にいや火星に置き去られてもうソル200くらい経ったような猛烈な喉の渇きでいつも幻覚は止むのだった。 「ごめん。付き合わせちゃって」 窓とは逆の壁を埋め尽くす段ボールの中から500mlの水を一本、彼が差し出していた。この施設には満足な物資こそないが絶えず喉の渇きを訴える入居者達の為に水だけは大量にあるのだ。ダム一つ分くらいありそうだといつか誰かが冗戯を飛ばしていたがあながち目測は外れていないのではないかと思う。ローズバッドハイツ。遊園地廃墟の姿を取った薬物リハビリ施設は「水」と「薔薇」の天国なのだ。 「大丈夫、じゃないけど大丈夫。何もしないよりはこの方が楽だったと思うから、気にしないで」 「そっか。今何時だろうね?」 「10時くらい?たぶん」 「そうだよね。ああ……さっきは本当にありがとう。あのままじゃ本当に何のために頑張ってきたのか、全部台無しにするところだった」 オバケが会話を続けられなかったのはミネラルウォーターをがぶ飲みしていたせいだけではなかった。もう一本さらに一本と二桁を超える数のペットボトルを要求してもまだ渇きを訴える彼女は彼にはとても見ていられない状態にあった。獰猛な肉食動物のように目をギラつかせて補給したさきから摂取量を遙かに凌ぐおびただしい水分を汗として放出している。温度感覚が狂い冷え切った室内にも関わらず暑さに喘ぐオバケ。支給品の病的に白いブラウスが湿って上手く脱げず彼女は男に助けを求めた。ボタンを全て外されると腕を抜くのも待てず彼女はホコリや髪と混じって床に転がる注射器へ飛びついた。痙攣しながら目的を果たそうとする。何が正しいのだろう。どこで間違ったのだろう。何故今俺はここで破滅しようとしている女の子をただ黙って眺めているのか。男は思う。良いじゃないか。俺には関係ない。後一時間足らずで決着はつく。俺は勝って、彼女は負けた。それだけだろ?何もするな、何もするなよ。お願いだ。 人を狂わす月の光がまたこの場所を深い深い海底に沈めていく。水槽の中に淡く揺れている海月のダンス。水面に浮かぶ薔薇の首。一組の男女が大麻の甘ったるい匂いを全身から放ちながら一糸まとわぬ姿で乱れている。人間離れした美しさの青年は普段の余裕溢れる態度をいくらか崩し目を細めて二人を眺めていた。翌朝、彼等は無論ハイツを退去することなど許可される訳もなく特殊患者向けのエリアへ移されることが決まった。ただ、0時に出会うべきだったところを翌昼12時に初対面した「お迎え」は意外な人物が務めていた。灰彦、と所長は彼女を呼んだ。 次回 第六話 「駅は今、朝の中」
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2020年7月15日
KING OFFICIALさん「【TODAY】 2020.7.14(火) 渋谷GUILTY KING ONEMAN LIVE-猿王- ■本編 START19:00 mahocast(有料) https://t.co/VmZtIc1YyD ■AFTER PARTY START21:30頃 開始時間は前後する可能性があります ツイキャスプレミア(有料) ※クレジットカード等、ご購入可」 https://twitter.com/KINGOFFICIAL114/status/1282889824198778882
KINGRYOさん「さぁいこうか!」 https://twitter.com/kingryoworld/status/1282890764993753089
KING OFFICIALさん「KING ONEMAN LIVE 〝猿王〟AFTER PARTY ツイキャス プレミア配信中」 https://twitter.com/KINGOFFICIAL114/status/1283022264502374401
KINGRYOさん「取り急ぎ✨ 皆様ご視聴ありがとうございました😊 SHINGO、お誕生日おめでとう🎉 SHINGOの写真、無加工です😅」 https://twitter.com/kingryoworld/status/1283053839906742279
KINGRYOさん「今日アフターで使おうと思ってたアイキャッチ。 忘れてた〜😓」 https://twitter.com/kingryoworld/status/1283061049814466560
KINGRYOさん「こんにちは✨ 今日の夜20:00くらいから自宅より配信(無料)やりますね(*´-`) よろしくお願いします。」 https://twitter.com/kingryoworld/status/1283251046597316615
KINGRYOさん「その時のお茶爆、全額寄付致します。」 https://twitter.com/kingryoworld/status/1283251224637104128
lucy+peter=esolagotoさん「・帰宅すると「オツカレ」と言う はないのか・・・。」 https://twitter.com/lucy_peter/status/1282900020920856577
キリ(luin/…。【サイレンス】)さん「@lucy_peter @hal_came どうもありがとうございます(o^^o) ライブハウスでお会いしたいです…!」 https://twitter.com/kiri_drums/status/1283009031120932864
キリ(luin/…。【サイレンス】)さん「ありがとう〜♪♪」 https://twitter.com/kiri_drums/status/1283010259741638656
悠歌-youka- / IOLITE -アイオライト-さん「■通販先行リリース 予約受付開始!!■ IOLITE -アイオライト- 2020.07.25 Release 1st Full Album【Dear Stars.】 YKCD-002 / ¥3,000 (tax in) ※ノベルティ付き (数量限定) ▼通販サイト[Official YouTube]にて 全曲試聴 Trailer 公開中!!↓」 https://twitter.com/lament_youka/status/1283008913743331328
悠歌-youka- / IOLITE -アイオライト-さん「そして、沢山の差し入れなど、本当にありがとうございました 07/25(土) zoisite shopにて、1st Full Album【Dear Stars.】が通販先行リリースされる事になっております 新型コロナウイルスの影響により、4ヶ月以上リリースが遅くなってしまいましたが、ようやく皆さんのお手元に届けられそうです」 https://twitter.com/lament_youka/status/1283008687443861506
悠歌-youka- / IOLITE -アイオライト-さん「昨夜の生配信ライブ、沢山のご観覧ありがとうございました やっぱり池袋手刀が自身のホームなんだなと、改めて感じる事が出来た一日でした 池袋手刀スタッフの皆様、出演者の皆様、サポートメンバーの皆様、カメラマンのnao君・keitoさんに心から感謝を 昨夜のアーカイブ↓」 https://twitter.com/lament_youka/status/1283008409663496192
UNCLOCK LOVER2020さん「拡散よろしくお願いします。」 https://twitter.com/UNCLOCK_LOVER20/status/1282934263466176513
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「おはようございます! 今日もまた生憎の天気ですな。 しかしながら朝から心が引き締まるブログを観て気持ちは上々‼︎ 少し肌寒いのでね、 コロナも勿論だけど、風邪退かんよーに気をつけてこー👍」 https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1283184248241844224
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「あ。因みに本日のBGMはLUNA SEAです♪」 https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1283184716674240512
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「-重要- 7/28渋谷Star Lounge UNCLOCK LOVER presents 雲行きが怪しい部分はありますが、現状開催を予定しております! 開催に伴い、ご協力とお願い事をお伝えさせてください‼︎」 https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1279026350838263809
魚住 英里奈さん「連絡の文章の温度がわからないので1つの返信に迷いすぎて返信を忘れたり、もしくは「わからない!!」となって意味不明な文章を送ってしまうことによく落ち込みますが 全く別の人や別の連絡先に送ってしまう事が多くてバカバカなのでこう言った事で沢山のチャンスを失っている、ぴえんって何、、、」 https://twitter.com/erina_chas/status/1282961863861395456
魚住 英里奈さん「あるフリマサイトを開くとおいちゃんのアカウントが物凄く低評価になっていて疑問に思うと おいちゃんが出品したことを忘れていて、色んな人から「早く送ってください」と連絡が来ていた時は 「おいちゃんはもう、本当に人と関わってはいけない!!」と思った、出品したものは、捨てていた、、、ぴえん」 https://twitter.com/erina_chas/status/1282968355964547075
ふじわらかずたか(通称わら)さん「めちゃ好き」 https://twitter.com/WARA_Liveinfo/status/1282977974405357568
英里奈の足音さん「@erina_chas 「ぴえん」とは、泣いていることを表す言葉。嬉しいことや悲しいこと問わず、泣きたいほど〇〇と伝えたい場合に「ぴえん」という言葉を添える。同義の上位互換の言葉として「ぴえんこえてぱおん」がある。」 https://twitter.com/erina_footsteps/status/1283149208917168129
High bridgeさん「魚住しか「勝たん」」 https://twitter.com/highbridge_530/status/1283183869118705664
高橋 浩一郎(Kaiki)さん「やっと終わった、今日は、会社の関東スタッフとミーティング。この店もたくさんいろいろあるよね。飲も。」 https://twitter.com/STakahashi0823/status/1282962163586363392
RYUICHI KAWAMURAさん「ブログ更新しました! プレゼント5曲🎁」 https://twitter.com/RYUICHIofficial/status/1282960930381291520
🕸𝔛𝔛𝔛𝔄𝔗𝔖𝔘𝔖ℑ🕸さん「今日は打ち合わせです 新しい動きがあるので なんでしょね、それは」 https://twitter.com/xxxxvalentine/status/1282984517871915008
太三さん「我慢している感覚がなくなってきた ひと山越えた #禁煙」 https://twitter.com/taizodiac/status/1283005734154727429
西邑卓哲(FOXPILL CULT) Takaaki Ni⚡︎himura❄️さん「今日は休みだったのに全然やる気が出ないので「そうだ!!大福を沢山食べよう!」と街に出たものの全然売っておらず。寂しさを紛らわしてきた。」 https://twitter.com/takaaki_FOXPILL/status/1283002496735039488
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「ご愛用ありがとうございます・・・† 私もTシャツの姿を借りてマッドネスパーティーにリモート参加できて嬉SEAです・・・†」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1283023194677370881
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「今や忘れられがちな事実ですが、私はバンドでギターと鍵盤を弾いたりしてます・・・†音楽とそれ以外のオモシロ活動の活動比率は8:2を目指していたのですが、実際は2:8cryです。ありがとうございます。 photo by 荒川れいこ(zoisite)」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1283023540644573184
Sakura 櫻澤泰徳 Yasunori Sakurazawaさん「本日は増田勇一氏よる”CRAZY” Rock Night Vol.4のBARKS掲載予定記事のインタビューをJOE、RIKIJI、Sakuraを受けてきました 記事が上がり次第、ご報告させていただきます #carzyrocknight #sakurazawayasunori #crazycooljoe #rikiji」 https://twitter.com/sakurazawa/status/1283017634628370434
“CRAZY”COOL- JOE 【本人】さん「今日は久しぶりの取材。 SakuraとRIKIJIと。 BARKSの取材でした。 何故か、 インタビュアー増田っちと ペアルック(笑)」 https://twitter.com/cooljoesbar/status/1283014582538088448
“CRAZY”COOL- JOE 【本人】さん「お疲れさんでした〜」 https://twitter.com/cooljoesbar/status/1283028953507061760
almighty wingsさん「【配信情報】NEiNの1stフル・アルバム『katharsis』が各音楽配信サイトで配信スタート!!(パッケージ・ダウンロード購入特典ボーナストラック1曲収録)。現在、好評配信中です! 配信限定シングル「霖の痕」も絶賛配信中♪」 https://twitter.com/almighty_wings/status/1282997233432977409
Sister Paul シスターポールさん「シスターポールのワンマンライブ 早稲田ZONE-B 2020年8月23日 日曜日 16:00〜」 https://twitter.com/CROCUSRECORDS/status/1282988830715334656
takuto_さん「Virgin Babylon Records 10周年。 about tessとしてもworld's end girlfriendのサポートギターとしても10年間共に歩んできました。そしてここから10年20年共にサバイブしていきます。めでてぇ!!!!」 https://twitter.com/takuto_/status/1283053579172020224
takuto_さん「Virgin Babylon Records 10周年 という事はabout tess 3rd album "Song of the Bird"リリースからもう10年経つという事か。この10年の間に1曲100分の作品を発表した方はいるのかな。いたら2マンしましょう。いやしかし。この作品は10年前の俺を褒めたい。聴いてください。」 https://twitter.com/takuto_/status/1283102561126379520
niguさん「お呼ばれされました宜しくお願い致します(^ ^) いつの写真使ぉてんねんw」 https://twitter.com/nigu_chang/status/1283169765259788289
レッドアイランドレコードさん「.@c:r_islandrecords さんの「RISKY CAST#2」が 1000 円で販売中! #キャスマーケット @twitcasting_jpより」 https://twitter.com/r_islandrecords/status/1283049163123556355
niguさん「宜しくお願いお願いしますー。 楽しみにしとりますー(^ ^)」 https://twitter.com/nigu_chang/status/1283171398832152576
niguさん「私を中心とした新潟バンド相関図を話そうかと思っております。全部話してると時間無くなるのでギュギュッと纏めた内容で当時感の事やハタチ前後のお話しや先輩&同期&後輩のお話をしようかなと思っております。 新潟ビジュアル現旧バンドマンさん達も暇だったら覗いて見てちょ。」 https://twitter.com/nigu_chang/status/1283176862701633536
りくろあれさん「・ New blog posting, : ・_ 20. _ wk.29 01 _ 花 占 い (たいへん) 。 _・ - ・」 https://twitter.com/RiqrhoAre/status/1282684051355103233
SEXX GEORGEさん「お願い…かなぁ? ー アメブロを更新しました」 https://twitter.com/abikoshinonkai/status/1283089129106837504
VPV【V系情報】さん「今日は大佑の命日です。」 https://twitter.com/vpv_official/status/1283062841470103553 Requiescat in Pace
金髪豚野郎K助(偽殿下)さん「まだまだ試聴できますよ! 久々のライブの嬉しさに舞い上がってる感は否めませんが、とにかくお客さんも楽しそう! 新曲も含め音源化されてない曲が3曲も堪能できちゃいまーす (°_°)」 https://twitter.com/goldenpigdrumer/status/1283255593038262272
金髪豚野郎K助(偽殿下)さん「そしてそして! 気づけば受付まで1週間をきってます! 身内も「お祝いだから買うねー!」と言ってくれて嬉しい限り! 何の連絡もないのでプレスも順調だと思われます! 着荷は23日の予定なので もしかしたら30日より前にお届けできるかも… まずは協力者に送るから 薄ーーーく期待しといて! (°_°)」 https://twitter.com/goldenpigdrumer/status/1283257009920307200
Takashi Okumuraさん「GoTo政策、TLに流れてくる経済学者のコメントは全員反対で一致。特定業種の救済自体が不公正なのは目をつぶるとしても、感染拡大に直結するうえ、現地での消費に繋がらない。直接給付の方がはるかに効率的、と。」 https://twitter.com/tweeting_drtaka/status/1282940852071878656
さようならさん「ゴートゥーの中に これもあるようです 「Go To Event キャンペーン」 チケット会社経由で、期間中のイベント・エンターテイメントのチケットを 購入した消費者に対し、割引・クーポン等を付与(2割相当分) 無知な発言で失礼 反省」 https://twitter.com/sayounaradeath/status/1282330664096788480
幡野 広志さん「そうだよね。これ旅行だけの話じゃないんだよな。 “キャンペーンが業界への補助ではなくあなたへの補助なのは、あなたの助けを何より必要としているからだ。 けれど助けを求めたはずのあなたに口を塞がれ、何度も何度も蹴られこの業界は死ぬ。” 観光に携わる業界からの遺書」 https://twitter.com/hatanohiroshi/status/1283187692449042432
読売新聞オンラインさん「教職員に大きな負担、学校消毒作業に臨時職員72人採用 #社会」 https://twitter.com/Yomiuri_Online/status/1283226036310888449
日本経済新聞 電子版さん「必要なオフィス面積3分の1 始まった解約ラッシュ」 https://twitter.com/nikkei/status/1283228039241805826
朝日新聞(asahi shimbun)さん「PCR質問票に膨大な時間 検疫官はホテルマンのように #新型肺炎 #新型コロナウイルス」 https://twitter.com/asahi/status/1283228301947854848
ロイターさん「東京都のコロナ警戒レベル、最大��引き上げへ 15日に提示=報道」 https://twitter.com/ReutersJapan/status/1283232319340453888
日本経済新聞 電子版さん「7月10日に過去最多の243人に達するなど、新型コロナ感染者が6日連続で100人を超えている東京都。感染状況の4段階警戒レベルを最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げます。 #新型コロナ #COVID19」 https://twitter.com/nikkei/status/1283231883300614146
平野啓一郎さん「アベノマスクだの、GO TOだのじゃなくて、こういう金こそ、国が出すべきだろう。涙が出てくる。 / 京大病院 陰圧化工事費を募る (NHKニュース) #NewsPicks」 https://twitter.com/hiranok/status/1283139164347625472
読売新聞オンラインさん「「Go To」延期要求に西村再生相「感染防止策を徹底し開始」#政治」 https://twitter.com/Yomiuri_Online/status/1283238618941853696
TBS NEWSさん「【速報】#韓国 の裁判所は4月に韓国に入国後、#新型コロナウイルス 対策の隔離措置に違反し、#無断外出 を繰り返した23歳の日本人の男に懲役6か月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。」 https://twitter.com/tbs_news/status/1283213727223828480
ブルームバーグニュース日本語版さん「モデルナのコロナワクチンで患者全員が抗体を獲得-初期段階の試験」 https://twitter.com/BloombergJapan/status/1283162230469648385
NIKKEIアメリカさん「留学生へのビザ発給を制限するとしていた米政府がこの決定を撤回しました。秋以降の授業がオンラインで実施される場合にはビザを出さず、米国にいる留学生には帰国を求めるとしていましたが、猛反発を受け白紙撤回です。日本からの留学生も含めて心配していた人には朗報です。」 https://twitter.com/nikkeiusa/status/1283147642713698304
日テレNEWS / 日本テレビのニュース・速報さん「【#GoToキャンペーン「なぜ今なのか?」野党が追及】 来週22日からスタートする予定の「GoToキャンペーン」について野党議員は首都圏を中心に感染が広がる中で実施すべきではないと批判しました。」 https://twitter.com/news24ntv/status/1283230435376369664
NHKニュースさん「新型コロナ「接触確認アプリ」通知を15日から再開 #nhk_news」 https://twitter.com/nhk_news/status/1283117030242041856
時事ドットコム(時事通信ニュース)さん「正体不明の路上芸術家バンクシーは、ロンドンの地下鉄の車内に落書きした新作を公表しました。公式インスタグラムに投稿した動画の中で、マスクを使って遊ぶネズミなどを描き「私はロックダウン(都市封鎖)された。でもまた立ち上がるんだ」とのメッセージもつづりました。」 https://twitter.com/jijicom/status/1283155084755513345
NHK国際部さん「新型コロナウイルスの影響で経済格差の拡大が懸念される中、世界の富豪でつくる団体「ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティー」は、アメリカの起業家や投資家ら83人が署名した書簡を公表し、世界各国の政府に対し、富裕層に大幅に増税するよう求めました。」 https://twitter.com/nhk_kokusai/status/1282873375535386627
毎日新聞さん「大分市出身の指原莉乃さんが、豪雨被災地を支援するために大分県と日本赤十字社に計2000万円を寄付しました。」 https://twitter.com/mainichi/status/1282950459393806336
町山智浩さん「武田防災担当大臣は、「ボランティアの出足が非常に悪く、絶対的なマンパワーが足りない。土砂やゴミの除去にはボランティアが必要だ。多くの方々の手を借りるシステムをどう作り上げるかが大きなテーマだ」 いったい何のために政府があり、何のために税金払ってるのか。」 https://twitter.com/TomoMachi/status/1282964934968569856
読売新聞オンラインさん「西日本大雨、土砂災害相次ぐ…広島で2人死亡 #社会」 https://twitter.com/Yomiuri_Online/status/1283067493829967872
ロイター スポーツさん「NFLレッドスキンズ、チーム名変更検討へ 人種差別的と圧力」 https://twitter.com/ReutersJpSports/status/1279168426078900225
毎日新聞さん「トランプ氏は会見で、「香港市民に抑圧的な政策をとる中国に責任をとらせる。香港の自由は奪い去られた」などと述べました。」 https://twitter.com/mainichi/status/1283238608153919488
AFPBB Newsさん「マイク・ポンペオ米国務長官は13日、米国は中国による南シナ海での資源探査を違法として扱うと述べ、中国に対する圧力をまた別の分野から強めた。」 https://twitter.com/afpbbcom/status/1282858103076196355
日本経済新聞 電子版さん「ネット通販やメディア事業を含め戦略立案を担う100人強と業務委託契約へ。ヤフーが副業で他社の正社員を活用。オンライン中心の自由な働き方で多様な人材を集めます。#日経特報」 https://twitter.com/nikkei/status/1283245168678899714
ねとらぼさん「【昨日の人気記事】気象庁、公式サイトにWeb広告掲載へ ネットでは「気象庁そんなにお金ないのか…」「お願いですから税金使って下さい」との声も」 https://twitter.com/itm_nlab/status/1280894524722536449
ひろゆき, Hiroyuki Nishimuraさん「遠すぎる未来の予測は面白い。ブラックホールを安全活用出来る頃には、量子もつれで情報が瞬時に手に入れるからストレージ記録自体必要なさそう。 「遠い未来には大容量の情報ストレージとしてブラックホールを活用できるかもしれないという。」 >ブラックホールに新理論」 https://twitter.com/hiroyuki_ni/status/1282965751633149952
Masahiroさん「「石原プロ」解散へ 裕次郎の“弔い上げ”機に…関連会社も精算済み #デイリー新潮 これも時代か。西部警察シリーズをリアルタイムで夢中になった世代なので一抹の寂しさを感じる」 https://twitter.com/cw40pd6t/status/1282990661726158850
しげ@節約お兄さんさん「食費2万というワードがトレンドになってますが、大阪ではランチと晩ご飯を月額7,770円で通い放題のサブスクがあります。 1日2回まで、全54店舗で様々なお店を楽しめます。」 https://twitter.com/shige_ecobro/status/1282907950781050881
ライブドアニュースさん「【文科省方針】高校の普通科、3科に再編へ 高校生の7割が在籍する高校普通科を再編し、文系・理系などの枠組みを超えた「学際融合学科(仮称)」と地域社会の課題解決を目指す「地域探究学科(同)」の2学科の新設を認める方針を固めた。」 https://twitter.com/livedoornews/status/1283204049571966978
北海道新聞さん「サンマ漁の幕開けとなる流し網漁の小型船(10トン未満)で漁獲されたサンマの初競りが15日、北海道・釧路港の卸売市場で 最高値は、初日としては過去最高のキロ4万1040円 最高値で落札したマルサ笹谷商店(釧路市)の釧路町にある直営店では1匹5980円(税別)で店頭に」 https://twitter.com/doshinweb/status/1283253305062260736
FNNプライムオンラインさん「ヒアリ約1500匹発見 東京港・大井埠頭」 https://twitter.com/FNN_News/status/1282931889108447232
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