#ジーク戦士長「次だ」
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sesameandsalt · 3 years ago
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🍊🍊🍊 🐮 とても美味しいツラミ部肉の刺し身と、無料でつけてくださった、カシスオレンジ(泣くほどおいしい、ありがたい)
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カレー激戦区の神田でグランプリをとったらしい カレー、さすが美味しいです。🍛しかし今度は絶対にポテトを増量します。🍟🍟
週末は食べることだけがたのしみでしたが。進撃の巨人のアニメという超楽しみが加わりました。金曜日夜からそわそわしだします。幸せ
#わしは観た!今週の進撃レポート#ここでつづくんかああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(慟哭)😭#ジーク戦士長「次だ」#冒頭からエレン弟君の人を喰ったような態度変更に ぽか~ん口で応戦するジーク殿でしたが ぜんぜんジークのデートプラン通りいかず#「オモサン(表参道)、俺案内してやるよ」とマウント取ったにもかかわらず いつのまにかイニシアチブを弟にとられる(強奪)#愛されキャラ発揮するジークさんに 「はっ、さっそくまた笑い取りに来たか、ジークよ…」…と思い#今回は前回までと打って変わってホンワカした癒し回なのかなと思ったら 全然そんな事ありませんでしたね。#そんなわけあるはずもなかった…😱😱😱#あまりのことに きょうはほとんど寝ながら人と話してましたね…。#寝る前観ちゃいけないやつなのかなと今更ながら気が付きましたがもうやめられない(夢中)なのでどうしようもありません♥#予告で兄弟(忌み嫌うもの同士)が仲良く並んでいたので 何だろうと訝しんでいましたが時の旅人と化すという#トリッキーな話でしたか…一瞬また総集編にもどったような錯覚に。 というか総集編ポイつくりの話ですね。#代官山はオレの庭だ!てきなジークさんでしたが 「あれ?こっちであってるよな?あれれ?またかよおおう!」 という展開…#そしてエレン君(無言の侮蔑)からの「…次だ」(主導権移動) でしたね。#時折二人が観えているかのようなグリシャにドキドキしました 「ジークが、髭のおじさんなわけ無いか」 予想外の成長だったんだね。#なんだろ… なんか…アレ? だめだ…なぜかジークが最近すごくお気に入りです。・・・・す・・・好きです(ちょう悔しい…やだ)#すごく、不本意なのに、感情移入して泣いてしまったもの。 ほんと悔しい 泣きたくないのに泣いてしまった#ぐりしゃもえれんも三人でマリオカートとかしたらいいのに。(自分の意見)#もう始祖のちからより赤い甲羅奪い合ってください(こころからそう思う)#…ジークは泣き虫だから…父弟みた��に強くないんだきっと。😭#しっかし#おっもしろ(?)かった~日曜になると朝からソワソワが止まらんですわ。 そのかわり月曜死にかけてますが… ���日はミステリーに翻弄されまくり眠れず#ううん…そのうち何か救いのある2次でもほんの少しかいたりとか?チラチラ(@_@;)#ほんとにちょびっとだけ…チラチラ…してもいいかもしれないかもしれない…チラチラ😳🥺😳😳かも?(求められてないのに)#っしゃ!また来週まで生き残るぞ、ガンガルぞ!💪😂
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ayanemutuki · 6 years ago
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名も無き森の夢語り
!Fire Emblem Heros Fan fiction!
・カミュとプリシラの話。サイトを閉鎖(もしくは移転)する事に決めたのでぼちぼち再録。 ・異世界交流描写を含みます。独自解釈、ネタバレを含みます。カップリング描写はあまり含みません。
・Image song:名も無き森の夢語り(D)
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昔の昔、真白の城には美しい薔薇が咲き乱れていました。その薔薇は、美しい薔薇のお城の象徴でした。そのお城には、たった一人の美しい少女が居ました。ある日、少女は美しい王子様に恋をしました。ですが、少女は掟によって、外に出ることは叶いませんでした。いつかこの外の世界に出たい。そう願った少女は――ある日、魔法使いにお願いをしました。そう、自分の声を代償にして、外に出るお願いを。
 1.プリシラから見た異界の暗夜王国第一王子マークスと、黒騎士の異名を持つパラディンのカミュは、敵から見たら圧倒的に恐れられているが、彼女やアルムと言う少年から視点を見ると、心優しい騎士の姿であった。騎士の中の騎士――敵には容赦ない彼等は、何処か憂いの瞳をしているのに気付いた。誇り高い騎士であれ、まるで御伽噺の王子様の様だ。と誰かが言っていた。召喚士のエクラ��神器を持っているように、彼等もまた、ジークフリートと言う剣とグラディウスと言う槍の神器を持っている。カミュは彼女の兄レイヴァンと似た雰囲気を持つ――書物では恐るべき王として描かれていたマケドニアの王ミシェイルと良く会話しており、マークスは自分に時折ナンパしてくる部下のラズワルドを説教していた。だが、彼女から見た二人の騎士は――彼女から見れば、『違和感』しか感じなかったのだ。あれは、そう――この前の戦闘中、異界のイーリスの王女リズが敵の兵士の攻撃を受けそうになった時だ。無防備になった前衛の隙を突き、兵士の一人が雄叫びを上げてリズに剣を振るおうとしたのだ――だが、其れをカミュはグラディウスを持って駆け付け、兵士の胸を一突きして彼女を助けたのだ。一体何故だろうか。とあの時思う。リズはクロムに大丈夫か。と急かされて、リズは「だ、大丈夫」と言っていた。 何故、あの時カミュはリズを助けたのだろうか――無関係な筈なのに、無関係では無い。そう自分の中で直感していた。何か、過去にでも悔しい事や、悲しい事――後悔している事でもあったのだろうか。彼女は当時を思い出し――違和感を拭い、食堂へと急いだ。 食堂は人がいっぱいだった。マシューがヘクトルと会話しながら出された食事を食べていて、あのマークスの臣下のラズワルドが自分と同じトルバドールのクラリーネをナンパしており、クレインが彼の耳を引っ張って退散させているのが見える。 自分はフレンチトーストと南瓜のスープを注文し、席に座った。ふと、隣を見ると暗夜王国の王女であるカムイが、席に座っていた。竜騎士のカミラや、あのマークスが溺愛している(と言うかカミラの彼女に対しての溺愛っぷりは可笑しい)王女であり、ニニアンと同じ――竜の血を引く王女でもあった。 「あっ、プリシラさん!席、一緒なんですね」 「はい、偶然カムイさんと出くわすなんて、思いもしませんでした」 カムイは自分の言葉に言葉が弾み、彼女は色々な話をした。自分の可愛い妹のエリーゼとサクラについての話、自分の馴染みであるエルクと同じ魔導士の弟レオンや、弓使いのタクミ――姉のヒノカとカミラ、そして兄のマークスとリョウマについての話だ。彼女の会話は楽しそうだ。まるで、本物の家族のようだと思っている。ルセアやセーラ、自分の兄であるレイヴァンと比べ――彼女は本当に恵まれていると思っていた。だが、彼女のある言葉をきっかけに、空気は変わった。 「――でも、ある時カミュさんと出くわしたら、私の頭を撫でてくれました。その時の彼の表情は、とても悲しそうでした」 『君はニーナと似ている――運命に翻弄されても、愛しい身近な肉親を失って���、健気に頑張っている。いや、彼女とは――似ていないのだろうな。運命に耐えられたのだから…』 一体どう言う事なのだろう。と思う。あのカミュが、カムイに対してそんな言葉を開くなんて。カムイは健気に、振る舞っているが――何処かぎこちないようだ。 自分はこの事を誰にも打ち明けられずに、そっと心の中に隠して置く事にした。恐らくは、知りたくない事実を知ってしまうのだろう。だから、心の中に隠しておく事にした。 ――ただ、あの黒騎士の身に、過去に、何があったのだろうか。
2.
カムイ王女は、不思議な人だ。と最初に、プリシラが見た感想はこれだった。誰にも優しく接し、不思議な魅力が満ち溢れている。あの捻くれた竜騎士のヴァルターや、ナーシェンにだって普通に接する。竜石を持ち――竜に変身出来る。マムクートの王女チキや無邪気な神竜のファ、ノノとは違い…ニニアンに似た雰囲気をまとった王女だと思った。彼女は、杞憂かな。と思うが――義理の兄であるマークスと会話する時、時折、嬉しそうな表情するのだと思う。そして、実の兄のリョウマと会話する時だって嬉しそうに、楽しげな表情をする。だから杞憂なのだろうか。と思う――が、あの食事の最中にカムイが言った言葉が、未だに引っ掛かっていた。カミュがカムイを見て、何故悲しそうな表情を浮かべるのか――彼が言った『ニーナ』って人は誰なのか。いいや、彼の事情に触れない方が良い。触れてはいけないものと、触れる事さえ許されない事情があるのだから。 そんな矢先の事であった。アスク城の廊下を歩いている最中――洗濯物を引っ提げて歩いている剣士のカザハナが居た。確か杖使いの白夜王国の第二王女サクラの臣下の一人でもあったが、カザハナはプリシラの姿を見ると、駆け寄って来た。 「こんな所に来るなんて、どうしたの?」 「ええと…ちょっと、道に迷っちゃって。自分の自室に戻ろうかと思いまして」 アスク城は広い。道に迷ってしまいそうだ――なので、彼女はカザハナに頼ろうかと思っていた。何となく、だが。 「…カムイさんって、不思議な人ですよね。…あの竜騎士のヴァルターにだって接せられる人なんですもの」 「カムイ様は、不思議な人だと思っていても、仕方ないのよ。…不思議な彼女でさえ、怒る時だってあるのよ」 「怒る時があるんですか?」 するとカザハナは唾を飲み込みながら…重く、口を開いた。 「…あのね、暗夜のガロン王に目の前で、実の父親を殺されているの。それで誘拐されちゃって…。サクラ様、そしてヒノカ様もその時酷く悲しんでいたのよ…特にヒノカ様が荒れてて、ミコト様が泣きながら制止するほどに天馬に乗る訓練をしていたの。…あたしだって、カムイ様を最初見た時は信用していなかったのよ。それに、態度を冷たくしていたから…」 プリシラは、口を開いたままだった。実の父親を殺されていた。 「…不意な事情にね、カムイ様が白夜王国に来た時は、酷く事実を重く受け止めていた…驚いていたの。『白夜に生まれ、暗夜に育てられ��』って。事実が判明する前に、ガロン王を父親と慕っていて…。けれど、カムイの母親のミコト様は、…突然の襲撃で殺されてしまったのよ」 再び開いた口が塞がらなかった。不意に、過去の事を思い出した。ネルガルと、その娘と息子のニニアンとニルス。運命によって翻弄された親子。ネルガルによって傀儡と化した暗殺集団の黒い牙。…プリシラは、カムイもニニアンと似た境遇なのだろう。と悟った。 「…それで、カムイ様はそのショックで竜の力が暴走して…竜石が無かったら、本当に危なかったわ。一歩遅かったら大惨事になりかねなかったわ」 「そう、なんですか…」 カザハナは一時顔色を悪くしていたが、顔を上げて「暗い話題になっちゃってごめんね!」と言った。 「…義理の兄のマークス様や実の兄のリョウマ様を慕っているけど、ずっと長く居た義理の兄のマークス様の方に懐いているのよ。だから…カムイ様を、大事に触れ合ってあげてね」 (…竜の力、ですか…) プリシラは自室のベッドに寝転がり、その事を思い出していた。竜の血を引く踊り子のニニアンと、ニルス。そして父親のネルガル…。竜の力に翻弄され、多くの悲劇を生んだ。けれど、その悲劇もまた、運命なのだろうと悟る。それが無かったら、エリウッドやヘクトル、カレルに出会わ��かったのだろうから。
3.
その翌日、プリシラは竜舎に向かっていた。あの騎士の言葉の真意が知りたい。だが、どうしても誰にそれを相談したら良いのか悩んでしまう。オグマやナバール、シーダでは彼の一面を知る事は出来ない。理由は簡単だ。彼等はアリティア側で戦っており、ドルーア側ではない――では、元々ドルーアに居たミネルバなら彼の一面を知っているだろうか。そう信じ、竜舎に辿り着いた。 しかし――ミネルバの姿は無い。何処に行ったのだろうか。プリシラが恐る恐る強面な竜が犇めいている廊下を歩くと――不意に、後ろから声をかけられる。 「おい」 後ろを振り返ってみると――マケドニア王であり、シスターのマリアとミネルバの兄であるミシェイルが不機嫌な顔をしながら立っていた。 「此処は貴様の様な女が来る場所ではない」 「…ミネルバさんを、探していました」 「ミネルバだと?」とミシェイルが妹の名前に反応をした。やたら不機嫌な顔をしているが、これ以上妹の名前を出すのは止そう。とこの時思った。 「…少し、カミュさんについての話があるんです。彼についての事を、ミネルバさんなら知っているかもしれません…と」 「…ああ、あいつの事か?あいつはハッキリ言って、無茶が祟って自分に返ってくる事もある、真面目で大馬鹿者の男だ」 …共にアカネイア大陸に反旗を翻した国を束ねる将なのに、何て言い様なのやら。プリシラは、思い切ってカムイの事を話した。 「…カムイを見たカミュさんが、彼女とニーナっていう人を重ねた…過去に何をしたのかは…彼の心に深い傷を負っているのかもしれません。彼に直接問いかける事は、恐れ多くも、出来やしません。なので、他の人に話をしても…そんなに深い話を得られる事は出来やしないと思います」 ミシェイルはニーナという言葉に反応をし、「ああ…あの女の事か」と口を静かに開く。 「ニーナと言う女は…アカネイア聖王国の生き残りの王女だ」 生き残り。嫌な予感がするとプリシラは、この時思った。 「…アカネイア聖王国の王族は、ドルーア帝国によって全て皆殺しにされている。老若男女問わず、な。…ニーナは、カミュの手で救い出された。仕方ないよな、では済まされない。あの男の祖国のグルニアはドルーアの恐怖によって屈したからな。その事を負い目に負ったあいつは、ニーナを救い出し、2年間の間、ささやかな会話をしていたらしい」 プリシラは、黙り込む。虐殺…そんな不穏なワードが飛び出すとは思ってもいなかった。つまり、彼はドルーアに無理やり従わされていたのだ。 「…あいつは、無茶が祟る男だった。ドルーアから彼女の引き渡しが来た際は、自分の身を挺して彼女をオレルアンに逃がした。だが、結果はカミュは指揮全権を剥奪され、ドルーアの言いなりのままだった。英雄になれないまま、大陸一の騎士からドルーアの将に堕ちた。そいつは騎士として生き、騎士として死んだ。…ニーナの悲しみは、深かっただろうな。愛する人がいない世界など、意味はない。」 「…そう、ですか…。」 「だが…ニーナはアカネイアの王女の立場を嘆いた。器に耐え切れられなかった。しかし、仮にも王族の立場だ。大陸を統べる者の立場は無理がある…が、大陸を守る為に、ハーディンと婚約をした」 前に、リンダと話す機会があって、アカネイアについてを教えてくれた。ふいに、気になった言葉があった。 『炎の紋章を行使する者は、愛する者と結ばれない運命を迎える…それが、アルテミスの運命(さだめ)である。』 アルテミスの運命。まさにニーナはその立場だったのだ。プリシラは、ミシェイルの話を聞く事しか出来なかった。 「…あの男は、アルムと言う小僧のバレンシア大陸の者達の話を聞く限り、生きていたのだろう?…生き残ったのは、不幸だっただろうな。死ぬ事すら、許されなかったからな。何の因果なんだろうな」 少し前に、クレーベやマチルダも、カミュと話をしていた。其れを見る限り、微笑ましかった。だが…残された者達の心の痛みは、想像を絶するものだったのだろう。 するとミシェイルは、次の言葉を口にした。 「…その婚約者のハーディンは、ある境に、変貌した…。暗黒皇帝と、化した」
4.
あの時の事を、思い返す。ネルガルと、ニルスとニニアンの姉弟の――竜を巡るあの戦いを。闇に飲み込まれれば、もう元に戻れない事を。彼女は一番それを知っている。 「…ニーナはハーディンよりも、亡き男を追い続けた。ハーディンの愛がニーナに届かなかったと分かった時は全て遅すぎた…がな」 一歩後退りする。怖い、でも…真相を知りたい。真実を知らなければ、何かが分かる気がする。でも、後退りする事さえ許されない覚悟なら…出来ている筈だ。プリシラは、ミシェイルの方を見る���嫌な表情をしている…何か苦虫を噛んだ様な表情をしているが、大丈夫だろうか。 「暗黒皇帝と化したあの男は――あいつの祖国であるグルニアを蹂躙し、俺の妹に酷い事をした。…死にかけた妹��助けたのは俺だ。最も、あいつを許すかどうかは分からないが、妹を殺しかけた事は許さないがな」 プリシラはミシェイルの方を見ている事しか出来ない。彼から語られる真実は、最も残酷な真実でもあった。真実は、知らない方が幸せな時もある。其れは御最もな事なのであろう。だが、知る事も…時に自分自身と向き合わなければいけない事もあるのだから。 「純粋にニーナを愛していた。しかし、彼女の愛が自分に向いていないことを知ったあの男は、ガーネフに心の闇を付け込まれ、闇のオーブの虜となった…英雄戦争の勃発だ。暗黒竜を共に戦った者たちが敵味方に分かれて今度は殺し合いをする、悲惨な戦いだったがな」 「…私は、ハーディンと言う人が、闇に取り込まれて、飲まれ…悲惨な結末を迎えたのを想像してしまうんです。…闇に取り込まれたら一度、元にはもう、戻れませんから…」 ミシェイルは「そうだな」とプリシラの方を見て、竜舎の天井を見る。 「…ハーディンは倒された。少なからず、闇のオーブに対抗出来る光のオーブを持ったマルスの手によってな。だが、ハーディンを裏で操っていたガーネフを倒すまでは、英雄戦争は終わらなかった…俺の妹のマリアが、暗黒竜メディウスの生贄にされかけた」 あの健気なシスターのマリアが。とプリシラは驚きを隠せない。だが、ミシェイルは黙々と話を続ける。 「マリアだけじゃない…マルスの姉エリスと、シスターのレナ…それに、ニーナまでが暗黒竜メディウスの生贄にされていた。俺はマリアを助ける為にガーネフと戦ったが…返り討ちに遭ったがな。だが、ファルシオンとスターライトは奪い返し、マルスに其れを託した…あいつも、姿を変えて、名前も偽っていたが、ニーナを救うと言う信条は変わらなかった」 プリシラは、彼がガーネフに返り討ちに遭ったと聞いて…それ以上は彼に追求する事はしなかった。するとミシェイルは口を開く。 「…カミュは、無茶な男だ。どれ程メディウスやドルーアに酷い目に遭わされても、ニーナを救うと言うのはあまり変わらない。だが…アスク城の書物では彼女が『英雄戦争勃発した原因の一つ』と供述されていたが…俺は、それ以上は追及しない」 ミシェイルは全てを語り尽したと言うように、立ち去って行く。竜舎から出て行った後、一人残されたプリシラは、不意に近くに居た一匹の竜が悲しそうに鳴いているのに気付いた。 「あっ…一人ぼっちは寂しいの?大丈夫です。私が居ます」 竜の頭をそっと優しく撫でる。まだこの世界に来ていないヒースの竜も、最初は怖かったが…よく見れば人懐っこい部分もあった。竜はぐるるるるん。と鳴き、プリシラは「よしよし。」と言った。 「ええと…これは、誰の竜でしたっけ。……?」 そう言えばこの赤い竜は、ミシェイルの竜であった。と言う事は、彼の竜なのだろう。プリシラは彼の竜は可愛い一面もあるんですね。と思った。
5.
「う、うう…」 ヒノカは目の前にある皿に盛ってある真っ黒焦げのクッキーを見て、落ち込んだ。今日は皆に���分にクッキーを配ってもらおうと言うシャロンの提案で、一部のメンバーがクッキーに挑戦する事にした。…オスカーやルカならまだしも、カミラの頼みでヒノカまで参加する事になった。セツナも参加しているが、ピエリの手伝いもあって何とかなっているようだ。 「…これは、黒焦げなクッキー…だよな、ルフレの手料理よりは遥かに怖いような…」 ガイアはそう言い、ちょっと後退りをした。 「わ、私はただ女の子らしくふるまっただけだ!」 「何と言うか、ずっと戦いの訓練をし続けたツケが来ちゃったわね…」とオボロの言葉に対し、カザハナも頷いた。このクッキーは流石に食べられないであろう。そんな風景を見ながら、プリシラはボーッとしながらクッキーを焼いていた。 「…どうしたんですか?プリシラ様…らしく、ありませんよ?」 「あっいえ…。何でも、無いんです」 ルセアの言葉にプリシラは我に返りながら、オーブンからクッキーを取り出した。 「レイヴァン様から聞きましたよ。最近、あの黒騎士と、暗夜の第一王子に対して気になっている態度が見える。と」 「…お兄様は、何でも御見通しなんですね。でも、ちょっと些細な事なんです。だから…」 自分の余所余所しい態度に、ルセアは「…本当に、気を付けてくださいね」とそう告げた。 クッキーを皆に御裾分けする事が出来て、本当に楽しかった――後は、カムイ王女の処だけだ…彼女は、今の時間帯は夜だ。だから、自分の部屋に居るのかもしれないと思い、彼女の部屋に辿り着き、部屋のドアをノックをしようとした処。 「…アクアさんと会えて、良かったです。…私、ちょっと心細かったんです」 ニニアンと似た雰囲気を持った歌姫が、この部屋に居る。そう言えば、アクアと同室だった事をすっかり懸念していなかった。 「そうね、此処は『夢』であって、『夢』ではない世界。私が消えると言うのは、貴女を一人にさせてしまう事。けれど、貴女には「きょうだい」が居る。私を忘れない限り――私は生きているの」 「…でもね、選択を誤ったら…どちらの兄妹と戦って…傷付いた姿を見てしまうのが、怖くて。もしかしたら…マークス兄さんやリョウマ兄さんを自分の手で殺してしまう未来が、あったのかもしれません」 殺してしまう、未来。『もしも』が全てを左右してしまうが、見えてしまう未来がある。…例えば、あの呪術師のレイと言う少年は、ニノの未来の子供であり、クレインとクラリーネの兄妹も…考えるだけで、恐ろしい事を感じてしまう。 「だから…元気に振る舞おうと考えたんです。けれど…アクアさんのお母さんや、お母様のあの姿を見ると、辛くて、辛くて…」 カムイの赤い瞳からポタリ、ポタリと涙が零れ落ちる。母親?アクアの母親…?きっとカムイの言葉を聞く限り、辛い事でも、あったのだろうか。 「…カムイ、今日は私の前で泣きなさい。私と会えて…心細かったのでしょう?そして…悲しかったのね。ごめんなさい、つらい思いをさせて」 「良いんです。…でも、こんなんじゃ、マークス兄さんや、リョウマ兄さんに怒られちゃいます…タクミさんに、笑われてしまいます…」 (…ごめんなさい、カムイさん。私、貴女の事を全然知らなくて…かな���、つらい戦いをしていたんですね…) プリシラは泣きじゃくってるカムイの声を聞いて、ふと思った。 ――恋人を失ったニーナ王女も、こんな気持ちだったのでしょうか。 プリシラは彼女らにクッキーを渡す気にもなれず、このクッキーを、お兄様やルセアさん、そしてセーラに分けて貰おうと考え…部屋を後にした。 ――その姿を見た、一人の竜騎士の影に気付かずに。
6.
その翌日。 「おい、其処の女」 プリシラが何時ものように食堂で食事をしていると――高慢な態度を取るリゲル帝国の王子のベルクトが、こちらに顔をのぞかせていた。不機嫌な顔で「其処、席が空いているか?なら俺に譲れ」と言って、勝手に座ってきたのであった。こう言う高慢的な態度をとる王子ってヒーニアスとミシェイルくらいだろう。と心の中で思った。 「…最近、あの黒騎士についてやたら気になる態度をしているな。何かあったのか?」 「いえ、そんな…。私は、彼について知りたいだけなんです…ミシェイルさんから大体の見当は付きましたので」 「あの敵が多い男から話を聞くとはな…あの態度は気に食わん」 中々のブーメランじゃないかとプリシラは思った。貴方も言葉や高慢な態度で敵を作っているじゃないですか。と口にしたら、彼は怒ってしまう。なのでルセアから教わったお口にチャックをする事にした。 「…あの男は、瀕死の重傷を負ってアカネイア大陸からバレンシア大陸に流れ着いた」 …えっ。じゃあ、幸運に生きていたって訳ではないのか。とプリシラはコーンスープを一口飲んで思った。 「瀕死の重傷を負って海岸に流れ着いた時に、ティータと言う女性に助けられたのが幸運だったな…その際に記憶を失っていて、ジークと名乗っていた」 ああ、そうなのかとこの時思った。するとベルクトはパンを一口千切りながら話す。 「正直、陛下に忠誠を尽くすような態度だったな。何処までも真面目な騎士の鏡。俺に対してまで真面目な態度を取る。日々努力をしながら我武者羅に騎士の訓練をしていたが…正直、あいつと手合わせをした時は驚いていた。あの男の実力は本物だ…俺の完敗だ。だが、あいつや陛下に負けていられん!と俺は頑張っていた」 つまり、記憶を失って運命に流れるままにリゲル帝国の騎士になっていたと。運命とは不思議なものだ…とこの時思った。 「だがな――ティータが彼を慕っていたのなら…あの男が、実は異国の騎士だったのなら、彼女はどんな顔をしていただろう――」「ほう、何を話していると思ったら」 「誰だ貴様!?」「えっ!?」と二人が驚きながら後ろを振り返ると、グラドの将軍である竜騎士ヴァルターが、こちらを見て立っていた。 「あの真面目過ぎる騎士の話か…面白い余興を見させてもらった」 プリシラはどんな表情をすれば良いのか、この時分からなかったが――ベルクトは物凄い表情で彼を睨んでいた。 「貴様…立ち聞きとは性格が余程悪いな」 「それは褒め言葉と受け取っておこうか」 「知るかっ!」ベルクトは喚きながら立ち上がる。ヴァルターは飄々とした態度を取っており、ベルクトの態度を把握しているようだった。 「…姫君を思い、最後まで国に忠を尽くしていた騎士は全てを失い…愛おしい聖母に救われるとは、滑稽な御伽噺だとは��わないか?あの男は、過去の光に縋るのか、未来の光を手を取るのか――見物だな」 ヴァルターの言葉に、我慢の限界に達したプリシラは、席から立ち上がる。 「…それは、カミュさんを馬鹿にするようなものです。いくら貴方の言葉でも、限度があります」 それを聞いたヴァルターはフン。と鼻を鳴らし、即刻食堂から後にする――が。 「…ああ、一つ言い忘れていたな。貴様は、自分の育ての母親を目の前で失ったら――耐えられないだろう?それ以上に、肉親を失うのは辛い事だ…まあ、私が其れを言っても説得力など無いがな」 まさか、カムイの会話を聞いて…?プリシラは、歯軋りを起こすベルクトと、姿を消すヴァルターの姿を見る事しか出来なかった。
7.
「すみません、資料室って何処にありますか?」 「資料室…?左を曲がって真っ直ぐ行った処にあるよ…?それが、どうかしたの?」 「ちょっと、調べたいものがありまして…ちょっとした事なんです。御免なさい、些細な事を聞いてしまって…」 「いいや、良いんだよ。僕はアスク王国の王子だし。君に敬意を払っているよ」 アルフォンスから資料室の場所を聞き出し、言われたとおりに資料室へと向かった。資料室は異界の様々な事象が記されている本がびっしりと揃っている。プリシラはアカネイア大陸で起こった事なら、何か手掛かりが書いてあるのではと考えていた。 「ええと…あっ、ありました。アカネイア大陸の暗黒戦争と英雄戦争と、其れにまつわる伝承についてが書いてある本…これですね」 随分と重たいページだ。とふと頭の中に過るも、ずしり。とテーブルに置いたが、重みが響いてくる。ぱらぱらとページを捲り、其処に書いてあった事実を読み取る。 『最初のはじまりは、ある部族の者がラーマン神殿を訪れた際に――後の暗黒竜と言われているメディウスと杯を交わした。男の名はアドラ。後の初代アカネイア王である。しかし、この時のアドラは盗賊であった――アドラは、メディウスを騙し、封印の盾であるファイアーエムブレムと三種の武器であるパルティア、メリクルソード、グラディウスを盗んだ。封印の盾の要である宝玉は全て取り外され――その在処もバラバラになってしまった。やがてアドラは初代アカネイアの王となり、メディウスは人間の所業に怒り狂った。暫くの間、アカネイア大陸は平和であったが――突然、ドルーア帝国がアカネイア聖王国に侵略し…滅ぼした後、王家の者を虐殺した。老若男女問わず』 プリシラは衝撃を受けた。ニーナの血にはアカネイア聖王国の王家の血を引いていると言われているが、メディウスの怒りを買っていたのか。…だから、あんな虐殺が起こってしまったのかと考えている。 『やがて一人生き残ったアルテミス王女がノルダに逃れ、一人の若者と出会った。彼の名は、アンリ。後のアリティア王国設立に至るきっかけとなった者だ。やがて反撃の狼煙が各地で挙げられるようになり、アルテミス王女は反ドルーアの象徴となった。アンリは、そんな彼女に恋に落ちていたが、それと同時に、彼女を守る騎士となった。やがて彼は幾多の試練を乗り越え、���ァルシオンを手に入れた。そして――メディウスに打ち勝ち、アカネイア大陸に平和が訪れた。しかし、アンリとアルテミス王女が結ばれる事は無かった。アルテミス王女は、アカネイア大陸の平和の為に――カルタスと結ばれた。アンリは、アカネイアの忠誠のために、アカネイア王国を設立した――これが、世に言われる『アルテミスの運命(さだめ)』の始まりである。』 では、ニーナの血は呪われているのだろうか。そう考えると、恐ろしい事を考えてしまう。原罪故の宿命、王の所業による罪の王冠、アカネイアの偶像にしか過ぎない…深く、考えすぎなんだろうと思っている。プリシラは本を閉じ、元の場所に戻そうとしたその瞬間――カツン。と靴音がした。 「…誰か、居るのですか?」 後ろを振り向くと、イーリス聖王国の王子であり、マルス王子と同じ神剣ファルシオンの使い手であり――マルスの血を引く者であるクロムが居た。 「…いや、すまない。レイヴァンから頼まれたんだ。『妹の様子がおかしいから、見に来てくれないか』とな」 「…兄様がお世話になっています。すみません、態々私のために…」 プリシラが誤ると、クロムが「謝る事なんてない」と言った。するとクロムは、プリシラが読んでいた本のタイトルを見ると――こんな事をぼやいていた。 「…アカネイア大陸の歴史、か。…俺も、あまり本は読まないが、よく姉さんが幼い頃に英雄王マルスの伝説を読み聞かせてくれたな。リズは、姉さんの血を引いているから」 「えっ、そうなんですか?姉さんって…誰でしょうか」 「姉さんの名前は、エメリナだ。聖王国の平和の為に聖王となり、俺やリズ、今は此処に居ないフィレインに優しく接してくれた。ただ…姉さんは、もう…」 次の言葉は、残酷な言葉を接するのだろう。プリシラはクロムが言葉を紡ごうとした瞬間に、口を開く。 「…有難う御座います。でも、私は大丈夫です…クロムさんの言葉に、少し吹っ切れた気がします。だから…気にしなくても良いんです。今は、目の前にある事を考えて下さい」 彼女はそう思い、リズを何故彼が助けたのか――分かった気がしたのだ。 ――彼女と、その姉は…何処かニーナの面影を、重ねていたのかもしれない
8.
アスク城のバルコニーは冷たい風が吹いている。プリシラははーっと息をして、夜空を見る。夜空は格別に綺麗だ。だが、此処を訪れる者は少ない――今は、目の前の現実を見つめるしかないと自分がクロムに言った通り、エンブラ帝国との戦いに備えているから、気紛れで此処を訪れる者は少ない。 「…あれ、プリシラさん?」 聞きなれた声がして、後ろを振り向けば――カムイが居た。彼女は如何して此処に居るのだろうか。すると彼女は「実はですね、星界で見た夜空を思い出しちゃって、此処に来てしまったんです」と説明した。 「綺麗な夜空ですね」「はい、そうですね」 プリシラとカムイは些細な会話をしているだけだが、何やら空気が気まずい。と感じたのは長い時間、沈黙していた――が、先に口を開いたのは、カムイだった。 「…あの、ですね。カミュさんが私に変に接していたのは…私の、生い立ちが関係していたのかもしれませんね」 「えっ?」 プリシラは口をあっけなく開いていた――カムイは、口を開き…言葉を紡いだ。 「私は…本当は、白夜王国の生まれじゃあ…ないんです。透魔王国に生まれたんです」 透魔王国…前に、アカネイア��ついて調べた際に、カムイの生まれた国の事を調べたいので、書物で調べた事がある。透魔王国――見えざる王国と言われている、不可思議な国。 「母親は…白夜王国の女王のミコトなんですが…、父親は、違うんです…ハイドラと言われる、始祖竜と言われる竜なんです」 カムイから放たれた衝撃な言葉に――ピースが次々と繋がっていく。 「ハイドラは突然暴走して…次々と透魔王国の人達を殺して、自らの眷属にしていきました。生き残った二人の王族の姉妹は――別々の場所に、匿われました。暗夜王国に匿われたのは、アクアさんのお母さんであるシェンメイさんで――白夜王国に匿われたのは、シェンメイの妹である、ミコト…つまり、私のお母さんなんです」 虐殺されていくアカネイアの王族、生き残った王女、暴走し、怒り狂う竜――ピースが、填められていく。 「…でも、お母さんは、突然の襲撃で死んだ…でも、ハイドラの眷属となって、お父様のスメラギと一緒に、私達に立ち塞がったんです」 眷属。その言葉の意味は――十分に知っている。ネルガルによって作り出された…黒い牙のモルフを。あれは…死者を冒涜しすぎたのだ。 「…私が、両親を倒したのです…でも、眷属となったお母さんや、お父さんを呪縛から解放するには…それしかなかった。とても、辛かったんです」 …自らの手で、両親を殺すしかない残酷な決断――其れは、酷く辛いものだろう。 「…あの後、マークス兄さんの所で、いっぱい泣いてしまいました。兄さんは「今は…泣いてもいい」と言っていました。辛くて、悲しくて…それでも、前を向かなきゃ駄目なんです。そうでもしないと…ハイドラを倒さなければ、この戦いは、終わらなかった」 カムイの言葉に、プリシラは前を向く。 「…もしかしたら、カムイさんは…マークス兄さんの事を、大事にしているのかもしれませんね。誰かにも、優しく接していける人なんだと思いました…でも、其れは違った。壮絶な人生を送っていたからだ。本当の母親と父親の温もりを知らず、きょうだい達の愛で育った竜の血を引く少女。カムイは、健気に生きている。けれど、其れでも震えてしまう。ニーナ王女は――運命に耐え切れなかった。愛する人を失い、望まれぬ道を進むのは…決して辛い、絶望な決断だったであろう。彼女の姿を、声を、未だ見た事は無い。この世界に召喚されていない。だけど――彼女の道のりは、決して無駄ではありませんように。とプリシラは祈った。 「…カミュさんを見ていると、何だかマークス兄さんを思い出してしまいます。不器用で、真面目な人間なんだけど…誰よりも優しく騎士である事を、誇っている人なんですね。安心しました」 プリシラは、カムイの言葉に静かに頷き…バルコニーを後にした。
9.
アスク城の外れに、深い森がある。森のざわめきが、冷たい風の音が、蛍の光が――森を包み込んでいる。プリシラは一人、佇んでいた。 ――カミュから見たカムイ王女は、ニーナの面影と何処か重なっていたのだろう。健気で、美しくて、そしてひとりぼっちで――けれど、何も考えても意味が無い。森に佇んでいるのは、ある言い伝えを確かめる為だ。 この森には、人の魂が彷徨っている。異界の者か、或いは死んだ者たちの眠れぬ魂か。と言う、ありきたりな言い伝えだ。 そんな言い伝えを聞いたレイヴァンやヘクトルに「そんなものは迷信に決まっていると」鼻で笑われてしまったのだが。 「…やっぱ��此処に、居たんだね」 「!…レオンさん?」 暗夜王国第二王子のレオン。彼が操るブリュンヒルデは強力無慈悲な一撃を与え、他の魔導士や戦士の追撃を許さない青年である。 「…マークス兄さんから、君の行動を聞かされてね。聞いたよ、姉さんの事を」 あの堅物のマークスから、自分の行動を聞かされていたのか。と驚かされた。結構、人を見る目があるのだろうか、彼は――ふと、そんな事を思いながら座り込んでいると。 「…あの騎士の事を気にしているのだろう。正直、異界の王女を身を挺して助けるのは、かなりの無茶振りをしているね…過去の負い目なのは、分かっているのだろうけれど、過去を振り返っても――今は此処の居ない人の事を考えても、何も変わりはしない。…そうだろう?」 「でも、昔の事を振り返ってはいけません…私達も、異界の者が手を取り合って、自分と同じ異界の英雄達と闘わなくては…いや、エンブラ帝国の魔の手から解放されなくては、このつらい戦いは終わらせないと、思うのです」 「…ふーん、君も結構、見る目があるんだね。…姉さんの事、必死で理解しているのを見ると…その甘さは、君の欠点だけど――同時に、長所だと思う事がある。けれど、心から、礼を言うよ――有難う、姉さんの事を思ってくれて」 レオンはそう言い、空を見上げる。 「確かに、暗夜王国では蛍の光は死んだ者達の魂の象徴と言われている。…けれど、思う事がある。死んだ者達の魂は、何処へ行くんだろうね。此処じゃない、何処かか――それとも、此処じゃない、何処かに」 ロイドとウルスラ、そして――変わり果てたゼフィールの姿を見て、思う。何れは寿命で死ぬか、戦いに散るか――二つで一つの結末を選らなくてはならない、魂の事を。アカネイア大陸は英雄王マルスの勝利で長らく平和の日々が続くが――後にイーリス聖王国での戦いを発端に、繰り広げられる争い。マルスやシーダを見ると、何れは人の寿命を考えると、人の命など、蛍の光のように儚く、脆い…けれど、その命の輝きは、光を与える事がある。 「…僕は、マークス兄さんの事を、理解していたけれど…マークス兄さんのほうが、姉さんの事を理解しようと必死に努力していた。血の分けた兄妹の血で血を流す争い――ずっと見てきたから、さ。…姉さんは、種族も血も関係なく、人を隔ててくれる事もなく、理解しようと努力し、辛い思いをしても…自分の心に屈しないように、前を向き続けていたんだ」 レオンの言葉は、悲しく――冷たく森の中に反響していた。やがて、朝は訪れる。それでも、前を向かなくては――死んだ者たちの魂が浮かばれないのは、何故だろうか、誰かに背中を押された気がしたのだ。
10.
後日、プリシラは馬に騎乗し――森の中を歩いていた。この先には、見渡す限りの一面の白い花畑があるとセーラがはしゃいでおり、自分が「じゃあ確認して――本当かどうか見てきますね」と自ら名乗りを上げたのだ。だが、一つだけ奇妙な事に、奇遇かどうかは分からないが――カミュがプリシラの護衛をする。と言ってきたのだ。一人では危険だと言っており、何かあったらいざと言う時に――ふいに、自分の一連の行動に気付いていたのだろう。本当は、自分の疑問に気付いていたのではないのか。 無言のまま、森の奥深くを進んでいく。気まずくはないが、何も喋らない、何も起こらない、風が吹き、リーンリーン���虫の声が響く。 「…少し、君に聞きたい事がある」 「はい、何でしょうか」とカミュの問いかけに、プリシラは答えた。すると彼はこんな言葉を口にする。 「――君は、人が死んだら何処へ行くと思うか?」 「それは、私にも分かりません。…ですが、答えられるのは、アカネイアの未来は、クロムさんや、リズさんが証明しているから、きっと…」 カミュは「そうか」と言い、馬の手綱を引いた。彼の声音が森に響く。 「――君が知りたかったのは、ニーナの事だろう。彼女は、気高くはなかった。脆く、今にでも壊れやすい心を持っていた――けど、私は、そんな彼女を愛していた。だから、カムイ王女に、彼女の面影を重ねていたのだろう」 カミュは、空を見上げる。空には、白い白鳥が飛んでいる。 「私はその人に…もう一度会いたいのです」 プリシラはしっかりと馬の手綱を引き、カミュの言葉に耳を傾ける。深い森には、何も響かないし――魂も、彷徨う事はない。 「だが、君はしっかりとしている。君の選択ならば、未来を掴めるか――その未来を、子孫や、切り開く者に託すか。それ以上の事は出来ないが、歴史は必然的だ…だが、私は、今を生きる事しか出来ない。それでも、何かを掴める事が出来る…未来は、悪い方向に広がっていくか、良い方向に広がっていくかのどちらかなのかもしれないが――彼等なら、私やミシェイルですら切り開けなかった未来を、運命を――切り開けるかもしれない」 クロムやリズ、フレデリク、ルキナ――未来は決定しているが、それでも彼等ならば、運命を切り開き…希望の未来を作れるのかもしれないのだから。プリシラは、手綱をしっかりと引き、目的地へと辿り着いた。  白い花が咲き乱れ、其処には…満面の白い花びらが吹き荒れていた。プリシラは、見渡す限りの景色を見て、空を見た。 もし、その人に会えたのならば、 もし、未来がわかってしまうのならば、 もし――過去に何が起こったのか知ってしまうのならば。 魂は何も答えてくれない。ただ、其処にある事実を記すのみ。 「…それでも、人は何処へ行くのでしょうか」 答えは、まだ帰ってこないままだった。
11.
しかし、姫君が王子に会う事は決して出来ませんでした。王子は、もうとっくの昔に死んでいたのです。姫君は、不老不死の存在でした。太古の呪いを受け、死ぬ事も、老う事も叶わぬ体になってしまったからです。呪いを解く方法は一つ。人の心臓を喰らう事。 嘆いた姫は、一人…森を彷徨う事になりました。そう、いつかは、この呪いを解いてくれる人が現れるまでは。
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maborice · 7 years ago
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ぼくとFGO(星4プレゼント緊急編)
 やっと星5が終わったと一息ついた矢先にとんでもないキャンペーンが始まってしまった。うるせーこちとら風雅たれ交換したせいでティータイム交換するマナプリがなくて必死に200万あるフレポ崩してマナプリかき集める作業に忙しいんじゃ、と言いたいところではあるがこれが終わったあとポロッと再開してもおせーよ感が拭えないので急遽僕の手持ちの星4サーヴァントたちを一挙に紹介する。こうなった以上は質より量なのでサッと行くぞサッと。詳細な話はきっと僕がティータイムの分のマナプリを集め終わった後にでも始まるだろう。
最前提条件:強さを考えるな、見た目で選べ。
・セイバーオルタ
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 以前紹介したので説明不要。彼女の強みはその宝具威力で、1でも十分な破壊力を発揮してくれるので全体宝具セイバーの周回要員に迷っているあなたのデータできっと王の風格を見せつけてくれるだろう。僕はもう1年以上この人の恩恵に預かっているがセイバー有利の周回で困ったことがない。ついでに高難度も雑に倒してくれる。
ただし孔明マーリンを自前で用意できないなら覚悟はしたほうがいい、きっと僕みたいになるから。
・ランサーオルタ
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 セイバーオルタと以下同文。最果ての加護をもらった宝具BBのコンボはきっとあなたを新たなステージへ導くだろう。
もしあなたが孔明マーリンを持っていないなら以下略
・ランスロット(剣)
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 癪なので説明は省くがもし単体宝具セイバーを育成するアテがないならこいつをチョイスすれば間違いない。ジョババババババ!!!!!!と謎の効果音とともに敵を切り刻むその姿はまごうことなき最強の騎士である。よく武蔵よりこいつを優先して使うのが僕。
・エミヤ
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 いやお前使ってねーじゃねーかと言われていると思うがこれには理由がある、聞いてほしい。彼は3回もの強化を経てアーチャー全体宝具として実に小回りの効く性能を手に入れたのだ。火力もそれなりに出るし、何より星が出る。アーチャー全体宝具周回要員としてソツのない性能をしており、素直にまとまっている。
ただ一つだけ言っておくことがある。もしあなたがアンドロイド版を遊んでいるなら彼を使うのはやめておいたほうがいい。端末が無限の停止。
・パールヴァティー
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 アビが強い。1アビ2アビの強化倍率は完全に星5のそれで、スキルを強化することで(効果時間の間は)無類の強さを発揮することが出来る。特に他の星4と差別化点となるのは3アビと宝具の追加効果で、なんと他人にNP譲渡することができる。スキルマ前提だが宝具+3アビで1人に30NPを供給することが出来、1ターン挟むとはいえこの数値は孔明スカディの50に次ぐ数値である。この30という数値はフレンドのマーリンと合わせて20になるということで、ランサーオルタをはじめ僕のNPチャージを持っていない数々の連中が初期50礼装を装備して宝具周回が出来るようになるというのは非常に重要で、一部のイベント礼装を装備したまま周回できるようになるのだ。僕のデータにおいてカルナの立場を悪くしてる張本人でもある。同郷なのに。本人の宝具回転力も高く、高難度でも頼りになる万能サーヴァント。僕はギル祭のジャガー戦をこの人に倒してもらいました。
・マリー・アントワネット
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 戦闘をするな、周回をやめろ、平和を愛せ、人を慈しめ。
マリー・アントワネットはあなたの人生に輝きを与えてくれるだろう。
・ナーサーリー・ライム
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 最近星5に全体宝具が増えてきて押されがちだがだいぶ初期の方からいる貴重な術アタッカー。自己改造、NPチャージとアタッカーとして必要な要素は備えており、宝具強化済みで防御ダウンとチャージ減は非常に優秀。惜しむらくはその全体宝具と単体クリティカルアタッカーという性質を両方極められるほど星4のステータスは万能ではなく、単体ボス相手にはちょうど配布されたオニキュア、周回には適当なバーサーカーか宝具5ジーク、というチョイスをされるパターンが多く、宝具1の状態でお迎えして万全な活躍が出来るかというのは微妙というところ。ちなみに(見ればわかるが)めちゃくちゃかわいい。
・エレナ
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 誰もいないんだけど誰もらったら良い? と聞かれたら僕は間違いなく彼女を推すだろう。パールヴァティーをはじめ他人にNP供給できる星4サーヴァントは彼女一人ではないが、即座にNPを配布してくれるのは彼女しかいない(はず)。もしあなたが孔明マーリンスカディを持っておらず、かつ他にほしい星4も思いつかず、自分で考える頭が無いなら何も言わずエレナを取ってほしい。もう僕のような哀れな人間を増やしたくないんだ……。彼女が僕のデータにやってきたのは今年の8月、つまりスカディガチャの残骸なわけで、当初はその金術すり抜けという残酷な現実にのたうち回ったものだが、その後どれだけ重宝したかは過去の回を見てほしい。ジャックだったかな。とにかく、もし孔明マーリンスカディを持っていないなら絶対に候補には入れてほしい。もう僕のように魔術協会礼装で無理やりNPを注入する周回を誰にもやってほしくないんだ。
・不夜城のアサシン
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 もしあなたが僕のようにスカディガチャ爆死したのなら、彼女の存在を覚えていてほしい。NP供給とクリ威力以外はスカディと同等のバフ(その条件ですら若干劣るのだが)を提供できるのが彼女だからだ。ついでにバスター2枚持ち、皇帝特権持ちで地味にアタッカー適性が高い。アサシンのアタッカー工面に苦労しているなら一考してほしい。
・ヘラクレス
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 もしあなたが戦力が不足していると思っていて、こいつの絆10になる前に戦力を整える自信がなく、他にほしいサーヴァントがないならこの頼りになる男の存在を忘れないでほしい。僕はこいつに英霊剣豪七番勝負のうち四本を全部制してもらった。とにかく強い、最強だ。バーサーカーは最強だ。何も考えなくていい、赤いカードを選んでいれば敵は死ぬ。星4サーヴァント+星4礼装ということでコスト調整としても適任で、本当に欠点が少ない。じゃあ何が欠点かと言われれば長い期間周回の絆上げ枠を占領することだ。
・ランスロット(狂)
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 え? スカディ持ってる? じゃあこいつの宝具でも上げとけば?
 駆け足で僕の星4サーヴァントたちをいくつか紹介したが、結局の所星4は性能じゃなくてキャラクターで取れ、というのが僕の考えである。どうせ孔明マーリンスカディいりゃだいたいのクエスト勝てるんだから。
というわけで誰か僕の選ぶべきサーヴァントを下図から選んでください。決められないんです、お願いします。
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hakusekinami-blog · 8 years ago
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笑うサモエドと能面勇者(4)
 さて、森を彷徨い歩くこと五日。  ジークたちはついに、森の浅い部分を走る街道を発見した。
「や、やっと見つけた……! 人工的に踏み固められた大地!!」 「わぅ……!!」
 路肩に跪いて天に祈りを捧げる成人男性の図。どう足掻いても不審者である。周囲に人影がなくてよかった。ともすれば森から出た瞬間に危険人物としてしょっ引かれかねない。
 まぁ、ジークはそのくらい感無量な心地であった。  なにせ彷徨い歩いて早五日。調味料代わりに使っていた干し肉も底をつき、今日のご飯は塩味抜きで食べなければならない状況だったので。  ジークは王都に居るであろう友人を恨んだ。ヤツが無駄なことをしなければ、今頃ジークは悠々自適な馬上の人だったのに。せめていつも持ち歩いている遠出用鞄くらいは持ってきたかった。
 まぁ今ここにいない人物を恨んでも仕方がない。いらんことしかしない友人だが、ましろに出会えたのはある意味友人のおかげと言えなくもないような気がするかもしれない。もしそうだったとしても感謝などしないが。  ジークは早々に立ち上がると軽く服を叩いて砂埃を落とす。律儀にもジークに付き合ってくれていたましろは、ふぁっさふぁっさと尻尾を振ってごきげんだった。人のニオイでもするのかもしれない。今まで野生で暮らしていたましろにとっては、嗅いだことのない未知のニオイばかりだろう。
「さて、どっちに向かうかな」
 ひとしきり感動に打ち震えたので、今のジークはちゃんとシラフだ。少なくともジーク自身は己をシラフだと認識していた。神妙な表情で横たわる道を見つめている。
「ましろはどっちに行きたい?」 「わっふ」
 ぱたぱたと小さく尻尾を振るましろに水を向ければ、あまり迷いなく道に向かって右側、太陽から鑑みた方位で言うと北西に進む方向へ吠えた。よくよくみれば、道にはまだ新しいと見える轍が残っている。それと、何頭かの馬の蹄と、ジークの頭ほどありそうな大きな足跡。どうやら北西に向かう荷車と馬、そしてなにやら巨大な生物がいたらしい。
「ほほう」
 轍と蹄跡を見つけたジークは機嫌良さげに顎を撫でた。  街道に出て早々、アタリを引いたらしい。見たところ、荷車と馬は一緒に行動している様子。巨大な足跡にも心当たりがある。となるとなかなか大きな一団だ。轍の本数からして、荷車も一台や二台ではなさそうである。もしかしたら商隊かもしれない。  となれば、きっと調味料や調理道具なんかも売っているだろう。陣を張っているところに遭遇できれば味なしご飯は食べなくて済みそうだ。
「商隊だとすると、動きも遅いし休憩もこまめに取るだろうから……。……走れば追いつくかな……」
 ジークは「おいしいごはんが食べたい欲」が限界までキていた。  何時間前に通ったかわからない商隊を目指して走る、などという、シラフのジークが聞いたら「バカなこと言ってないでさっさと寝ろ」と殴られそうなことを、至極真面目な顔で熟考していた。  つまるところ、ジークはとてもとても疲れていた。ある種のランナーズハイってやつだ。
「……」
 ぽんこつと化したジークは考えた。  一昨日の夜に雨が降ったから、この場所を商隊が通過したのは昨日の朝以降。ぬかるんだ道を通ったのならもっとはっきりと跡が残るだろうから、道が乾いていたとかんがえられる昨日の昼~夕方以降に絞られる。  ポンコツと化したジークは空を見上げた。  太陽はまだ低い位置にある。日の出からはそれなりに経っているが、まだまだ「朝」と言って差し支えない時間帯。商隊はその規模ゆえ移動に多大な時間がかかるため、野営地から出発したとしてもまだそれほど時間は経っていないだろう。  もしかしたら、轍の跡は今朝のものかもしれない。ありえない、と言うには状況が恵まれすぎている。
「……よし。走るか」 「わん!」
 ぽんこつと化したジークの脳味噌は、「今から走ってもたぶん今日中に追いつく」と判断を下した。  どれだけのスピードで、どれだけの時間走ればいいと思っているのだろうか。ぽんこつジークの脳味噌は調味料がほしいばかりに重要な情報を意図的に無視していた。むしろ「最悪ましろに乗っていけばいいや」くらい考えていそうである。それでいいのか王国騎士。
 ふんすふんすと大きな足跡のニオイを嗅いでいたましろに声をかければ、尻尾をふりふり嬉しげに応えてくれた。  調味料が手に入る、となれば一人と一匹の足取りも軽くなる。ましろのほうは何がなんだかわかっていないはずだが、ジークが嬉しそうなのでそれに釣られているのだろう。  意気揚々と一歩踏み出して。
「あ」
 ジークはふと隣を歩くましろを見下ろした。
「?」
 急に足を止めたジークを見上げるましろ。どうしたの? と見上げる瞳は青い。深く澄んだきらめきの少し上には、その瞳の青より更に透き通った色の、角。
「……ましろ、その角って仕舞えるか?」 「!」
 一人と一匹は忘れていた。  魔獣が、他の人間からはどう思われているのかを。
 魔獣とバレたら確実に追い払われる。それどころか捕縛されかねない。  一応、世間には「家畜化された魔獣」というものも存在するが、その多くが草食の魔獣だ。ましろのような見るからに肉食な魔獣は敬遠されこそすれ、受け入れられることはないだろう。
 この世界の魔獣の立ち位置をわかりやすく説明するなら、「気性の荒い野生動物」が一番近い。街の中に魔獣が居る、という状況は即ち、日本で言うところの「街中に肉食動物が現れた」に等しい。飼い犬ですらリードを付けなければ散歩もできない昨今、たとえ人懐っこい性格だったとしても、街中に熊や虎がいる、なんて状態は全力でご遠慮願うだろう。たとえ首輪をつけていても、だ。
 つまり、ましろが街に入るためには、普通の犬に擬態すること、必至。
「ぐるぅ……!」 「ましろがんばれ!! 一日中変な角度で帽子被って過ごしたくなければ頑張って角を隠すんだ!」
 この街���に人通りがなくて本当に良かった。  大の男と大の魔獣がぐるぐる唸りながらうろうろしている姿なんて見られた日には、とんでもない騒ぎになっていただろう。その日のうちに討伐隊が組まれかねない。
 はたして、頭を悩ませること数十秒。
「もうそういう犬種ってことでいいんじゃないか」 「?!」
 ジークは考えることを放棄した。  どうせましろの顔はアホっぽ……柔和だし、性格も人懐っこいし、もふもふだし、かわいいし、もふもふなので、街の人も受け入れてくれるだろうという希望的観測。ペットが魔獣でもいいじゃない。  ジークは疲れていた。一刻も早く美味しい料理をお腹いっぱい食べてふかふかの布団に包まれて眠りたい程度には、疲れていた。
「ゥヲォォオオオオオオオオン!!」
 頼りにならない飼い主に「これではいけない」と一念発起した飼い犬。ましろは己に秘められた特殊能力を解放すべく必死だった。そんなものあるかどうかなどこの際関係ない。このままではおいしいものが食べられなくなる!! と何時になく必死だった。
 はたして願いが通じたのか、遠吠えに合わせて身体がカッ! と発光するましろ。
「おお?!」
 頭の回転が鈍っていたジークは素直に驚いた。  これが万全な状態で、相手がましろでなければ即座にその場から退避するような事象であるが、なにせ今のジークは極限に疲れ果てていた。「爆発するかな」とか考えているにもかかわらずその場を動かない辺り相当キている。粗食も過ぎれば身を害するらしい。
 さて、急に発光し始めたましろだが。
「きゅぁ」 「……おお」
 発光自体は数秒にも満たない僅かな間のことだった。  光が収まったその場には、一回り小さくなって角の消えたましろの姿が。美少女戦士よろしく、ちょっと大きめの犬にメタモルフォーゼしたらしい。
 なんでもアリか、魔獣。ジークは改めて魔獣の生態に疑問を持った。  そして思った。幼女とかにメタモルフォーゼしなくてよかった、と。ある種のお約束展開だが、今ここでそんなもんにメタモルフォーゼされたらジークの手に余る。そして、ジークの年齢で幼女ないし少女連れというのは、とても身動きが取りづらくなる。  ましろが犬でよかった。ジークはよくわからない部分で、あまり信じてはいない神に感謝を捧げた。
「なんかよくわからんがよくやった! これで心置きなく宿に泊まれる!!」 「ぅあん!!」
 どや! と誇らしげな表情のましろの前足を掴んで小躍りするジーク。目の前で起きた不思議事象に言及するより、懸念事項が払拭されたことのほうが重要なのである。森で遭難した五日間はジークからツッコミスキルを奪っていった。大きすぎる代償だった。元からそんなにツッコミしてない、という指摘は受け付けない。
 そもそも喜ぶ部分が当初の目的から若干ズレている。が、ジークにとってはそんなもの些事だ。ジークは可及的速やかに宿の布団で眠りたいのである。「今、自分がどこに居るかわからない」という不安感は確実にジークを蝕んでいた。
「よし! いざ行かん約束の地へ!」 「わん!!」
 約束の地ってなんだ、と頭の��で思いつつも、テンションがおかしいまま突き進むジーク。  均された道を無駄に走りつつ、一人と一匹は先にあるだろう街を目指してひた進むのであった。
 そして走り続けること約三時間。
「お、見えた!」
 涼しい顔をして走るジークたちの前方に、森の隙間から昇る煙が見えた。どうやら前方を走行中の一団に追いついたらしい。丁度休憩中らしく、煮炊きの煙が数本立ち昇っている。
 遭難中、肉と野菜(※野草)はたらふく食べていたので体力的には充実しているジーク。だからって普通三時間ぶっ通しで疾走できる体力があるのかという話だが、彼は一応国から勇者に任命された程度の力量の持ち主で、ここは地球ではなく異世界である。その異世界人の身体能力だが、実は地球人とあまり変わりない。  つまりジークはかなり人間離れしていた。なお本人にあまりその自覚はない。
「思ったより煙が立ってる……かなり大きな集団っぽいな。やっぱ商隊か?」
 前方に見える煙を見上げながら首を傾げる。  立ち昇る煙はかなりの本数がある。荷車の五台や六台では足りない量だ。軽く見積もって十数台規模はあるだろう。
「これはいろいろと期待できそうだな」 「わふ!」
 弾んだ口調のジーク。さいわい背嚢の中にあるお金はジークのお給金換算で三ヶ月分ほどある。一般騎士の給料一ヶ月分で、王都に住む七人家族(父母、祖父母、子供三人)がちょっとリッチに一ヶ月暮らせる給料になる。ジークは一応役職持ちの王宮勤めなので、一般騎士よりも給料は高い。  つまり、背嚢の中には七人家族が余裕で半年暮らせるお金があった。節約すれば一年は暮らせるだろう。今のジークは小金持ちなのである。  だがこれも、装備を整えたり香辛料を買ったりすればすぐになくなってしまう程度。特に香辛料が高いため、ジーク的にはあまり心許ない金額だった。
 しかし、あるのとないのじゃ大違い。無一文よりよほど恵まれているのだから文句は言えない。  食べ物が減った分、狩った獲物の素材等を詰め込まれた背嚢はパンパンに膨らんでいる。売ればそれなりになるだろうとジークは睨んでいた。前方に居るのが商隊であれば、きっと食料品も多めに積んでいるだろう。お金がダメなら物々交換してもいい。
「よし、ましろ、ラストスパートだ!」 「うぉん!!」
 調味料と調理道具を手に入れる目処が立って、ジークの精神状態は大いに回復した。  多少汗はかいているが、それほど息の上がっていないジーク。並走するましろも同じで、むしろこちらはどことなく楽しそうですらある。  スピードを上げて走る一人と一匹を避けるように、木々が背後へと流れていく。かなりのスピードで走っているのだが、残念ながらこの場に比較対象がいないため、ジークとましろが己の規格外さに気付くことはなかった。
 そんなこんなで走ること数��。
「すっげぇ……」 「ぅわぅ……」
 ジークとましろが見つけたのは、森の中にぽっかりと拓けた場所で陣を敷いている、巨大な商隊だった。ジークの予想通りかなり規模が大きく、軽く見積もって百人以上の隊員が忙しそうに動き回っている。飛び交う喧騒は、まるで街の中に居るよう。  見渡す限りの人、荷車、馬、嘴走魔獣、地竜。ひしめき合うそれらは不思議な熱気と一体感に包まれており、見る者を圧倒させる何かを放っていた。
「うぁん」 「ん? どうした?」
 ジークは初めて見る規模の商隊に、ましろは初めて見るたくさんの人や物に圧倒されることしばし。はた、と正気に戻った様子のましろがジークの服の裾を引っ張った。
「ぐゅるる」 「ん? なに? ……ああ、地竜?」 「んんー」
 ぴすぴすと鼻を鳴らしながらマズルで指示す先に見えたのは、のっそりと地面に寝そべった巨大なトカゲ――地竜。硬そうな薄い苔色の鱗と、ゆるく捻れた光沢のある象牙色の角を持ち、かなり大型の爬虫類のように見える。体高は成人男性の肩程度、体長は三、四メートルにはなるだろうか。馬よりも大きく、どっしりとした安定感がある。
「アレは『地竜』。山脈の麓や乾燥地帯に住む小型の竜種だ。見た目は怖いかもしれないけど、気性は穏やかで草食、鞍をつければ人も乗れるぞ。粗食に耐えて力が強く、持久力もあるから荷車を牽くのに使われることが多いかな。馬車ならぬ竜車ってやつだ」 「きゅるぁ」
 ジークの説明を聞いて納得顔のましろ。気になるのか、尻尾がぱたぱたとリズミカルに揺れている。ジークも初めて地竜を見た時ものすごく感動したので、ましろの反応がほほえましい。地球には居なかった生物なので、興味が尽きなかったのを思い出す。行商のおっちゃんを質問攻めにして呆れられたのも今となってはいい思い出である。
 地球に居なかった生物というと、嘴走魔獣もそうだ。体高三メートルを超える、ダチョウやヒクイドリに似た飛べない鳥の魔獣である。特筆すべきは太く発達した脚。魔獣だが家畜化されているため、魔法は使えないが知能が高く力も強い。走力は馬に劣るが、荒れ地や岩山を物ともせず進む万能性と、鳥類故の育てやすさで、この世界では馬よりも広く使われる輓獣となっている。
「しかし、この数の地竜とは、すごいな……。地竜は一頭で小さな家一軒分の値段がするらしいから、これだけの頭数を持っているとなると……。ん? あのマークは……」
 大量の地竜を観察していたジークは、ふと地竜に掛けられた布や荷車に彫り込まれているマークを発見して小首を傾げた。意匠化された心臓を、目つきの鋭い鷹が翼で囲い込むように掲げ持っている紋章。何処かで見たことがある気がする。  ぽくぽく、と考え込むこと数秒。
「ましろ、お手柄だぞ��� どうもアタリを引いたらしい」 「?」
 思い当たった答えに、ジークは小躍りしそうなほど弾んだ声を上げた。
「心臓を掲げた鷹の紋章……間違いない、『旅をする街』の異名を誇る巨大商隊、『カラーラカルブ』の賢鷹隊だ!」
 キラキラと瞳を輝かせたジークの気迫に、耳慣れない言葉を聞いたましろは頭上に「???」を飛ばして小首を傾げるのだった。
 『旅をする街』カーラカルブ。とある部族の言葉で「大陸の心臓」を意味するその商団は、ジークたちの過ごす大陸「アマルガマル」全土を股にかけ旅をする、他に並び立つもののない巨大商隊である。
『すまない、少しいいだろうか』
 言葉は通じるだろうか。  若干不安になりつつ、ジークの所属する国の公用語である「ザマロ語」で、商隊に追従する下男らしき男に声をかけた。なおましろは人畜無害な表情でジークの足元に追従している。
『ん? なんだいニイちゃん、旅人さんかい? こんなところにいるなんて珍しいなぁ』
 はたしてザマロ語は通じた。麦わら帽子をかぶった気の良さそうな男は、軽装のジークを見て首を傾げつつも、丁寧に対応してくれる。男の紡ぐザマロ語は若干イントネーションに引っかかりがあったが、流暢で聞き取りやすかった。  へっ、へっ、とご機嫌に尻尾を振る犬に目尻を下げた下男は、『触ってもいいかい?』とジークに訊いている。どうやらましろが魔獣だとは微塵も思われていないらしい。さもありなん。
『ああ、それが実は……』
 麦わら男の「こんなところ」という言葉に若干の嫌な予感を感じつつ、ジークはここに至るまでの経緯をかいつまんで説明する。
『……というわけで、無作法なのはわかっているんだが、食料を売ってはもらえないだろうか。無ければ調味料だけでもいいんだが』
 故あって身一つで森の中を彷徨っていた、食料も底をついたので売って欲しい、厚かましいお願いだが今日も朝から何も食べていないのでできれば何か分けてほしい、と説明すれば、麦わら男はましろを撫でながら心配そうにきゅっと眉根を寄せた。
『なるほど。そりゃあ難儀だったなぁ』
 くしゃりと顔を歪ませて同情してくれる麦わら男。この世界でもなかなかに荒唐無稽な話だったが、麦わら男はあまり疑わずに聞いてくれた。それどころかかなり親身になって世話を焼こうとしてくれている。やはり人がいいらしい。ジークはちょっとだけ「大丈夫かなこの人」と思った。  ジークの説明は間違ってもいないのだが、空腹なのはテンションが振り切れて四時間ほどぶっ通しで走り続けたためである。つまり自業自得。  だが麦わら男はそれを知らないわけで。
『そういうことなら、ちょっくら隊長に聞いてみらあ。ついてきてくれ』 『かたじけない』
 ニカッ、と笑ってその場を他の人間に預けた麦わら男がちょいちょいとこちらを手招いているのを確認し、ジークはホッと肩の力を抜いた。これで調味料なしの食事は食べなくて済みそうだ。ありがたい。
 そして、商隊員に声をかけられつつ、陣の前方に進んでいく麦わら男の背中を見て思った。この人多分下男じゃない。よれたズボンに薄手のシャツを着て麦わら帽子を被っている、なんて格好をしているのに、まわりの対応が下男相手のものじゃない。
 これはもしかしてちょっと対応を誤ったかな、と思いつつ、ましろを伴って麦わら��子を追いかけること数分。  何台もの竜車や人をかき分けたどり着いたのは、商隊の先頭近く。人々がひときわ忙しそうに動き回っているエリアだった。
「隊長、お客人を連れてきました」
 麦わら男が声をかけたのは、ジークとそう年の変わらない、猛禽のような瞳をした細面な男。炊き出しを行っているらしく、木を組んで簡易かまどを作っているその男は、ぱっと見では「隊長」と呼ばれるようには見えない。  しかも、用いた言語がジークには耳慣れた言葉――日本語。ジークの眉がぴくりと動いた。
「ああ、ラソット。お客人、ですか?」 「へい、こちらの方でして。どうやら森で遭難していたらしく、食料を分けてほしい、と」 「……なるほど。森で遭難」
 ギラリ、と、隊長と呼ばれた男の瞳が鋭く光った気がする。
 ああ、これはたぶんめちゃくちゃ面倒な流れになったぞ。隊長に睨まれたジークはバレないようにそっと遠い目をした。足元でましろがぴすぴす鼻を鳴らしながらお利口さんにお座りをしているのに癒やされる隙もない。
 はぁ、と気取られないように溜息を吐き出して、ジークはぐっと下腹にチカラを込める。どうやらこの商隊、一筋縄では行かなそうだ。
「……ジーク、と申します。故あって森で遭難し難儀していたところに、名高きカーラカルブと行き会えたのは僥倖でした」 「これはこれは、ご丁寧にありがとう存じます。大陸大商隊カーラカルブにて、装身具を主に取り扱う賢鷹隊の隊長を勤めております、シャーヒーンと申します。どうぞ、お見知りおきを」
 これが漫画なら「にっこり」と書き文字で記されそうな笑顔を浮かべて、ジークとましろを見据えるシャーヒーン。  ああー、これぜったい面倒になるやつだー、とじんわり頭が痛くなってくるジーク。  若干緊張を孕んだ空気などまるっと無視してジークの服の裾をひっぱるましろ。  なんだなんだ、とジークたちの周りに集まってきて、野次馬根性丸出しな視線を向けてくる隊員たち。
 どうやら受難はまだまだ終わらないらしい。ジークはふぅ、と諦めを湛えた息を吐き出した。  ああ、どうしてこうなった。
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