#影犬は時間の約束を破らない
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ソンジュの様子を見てから本棚の本を取り出し、夕方には昨日パスタを食べたカフェに行き、ピラフとコーヒーを注文した。ショートカットの二十代前半の女性がカウンターに座って本を読んでいた。スウェットパンツに、袖が長くて手首を覆うニットのカーディガンを着て本を読んでおり、暗い位置だったが、その照明に慣れているのか集中して自然に読んでいた。誰かが何かを熱心に読んでいるのを見るのは久しぶりの気がする。
— パク・ソルメ著/斎藤真理子訳『影犬は時間の約束を破らない』(2025年2月、河出書房新社)
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意��不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債���伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬���耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 ��� 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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こういう読み合わせ?
こういう読み合わせ? #天皇問答 #河出新書 #コミンテルン #中公新書 #皇室典範 #パクソルメ #影犬は時間の約束を破らない #もう死んでいる十二人の女たちと #未来散歩練習 #斎藤真理子
食べ物には「食い合わせ」という言葉があります。これとこれを一緒に食べるとよいとか、よくないとか、そういった昔から言われていることがあります。同じように、本にも読み合わせというのがあるのか否か知りませんが、最近のあたしの通勤読書はこんな感じです。 まず数日前まで読んでいたのが、河出新書の『天皇問答』です。明治以降の天皇という存在、天皇制について奥泉光と原武史(敬称略)が縦横に語る対談本です。 お二人とも、基本的には天皇制反対論者のようですが、だからこそこのまま何も決められずに行けば、近い将来日本から天皇という存在がなくなってしまうことを真剣に考えているようです。ちなみに、あたしはどちらかと言えば天皇には親近感を持っているタイプです。 でも、女系天皇には反対です。ワンポイントの女性天皇は認めるとしても、女系はお断わりしたいです。「そうなると、いずれ天皇制は消滅するよ」と言われても、あたしは「…
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2025年2月27日に発売予定の翻訳書
2月27日(木)には14点の翻訳書が発売予定です。
思弁的註記

ジャン=リュック・ナンシー/著 小原拓磨/訳
法政大学出版局
新装版 ヘーゲル論理の学 第二巻 本質論

G・W・F・ヘーゲル/著 山口祐弘/翻訳
作品社
文庫「サピエンス全史」「ホモ・デウス」【全4巻】セット
ユヴァル・ノア・ハラリ/著 柴田裕之/翻訳
河出書房新社
フランス民法の伝統と革新 Ⅱ
大村敦志/監訳 野沢正充/監訳 ピエール・クロック/著
信山社出版
モリスくんとみかんいろのドレス
クリスティーン・バルダチーノ/著 イザベル・マランファン/イラスト まえざわあきえ/翻訳
世界文化社
0・1・2歳児の保育 基本のき BOOK
工藤佳代子/監修 東京家政大学ナースリールーム/翻訳
世界文化社
プレイスメイキング・ハンドブック : パブリックスペースを魅力的に変える方法
プロジェクト・フォー・パブリックスペース/著 泉山塁威/翻訳・解説 田村康一郎/翻訳・解説 一般社団法人ソトノバ/翻訳・解説 ほか
学芸出版社
The Nvidia Way エヌビディアの流儀
テイ・キム/著 千葉敏生/翻訳
ダイヤモンド社
株で億兆の富を築く バフェットの法則
ロバート・G・ハグストローム/著 小野一郎/翻訳
ダイヤモンド社
オリーヴァ・デナーロ
ヴィオラ・アルドーネ/著 関口英子/翻訳
小学館
不便なコンビニ 2
キム・ホヨン/著 米津篤八/翻訳
小学館
きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする
ジャミル・ジャン・コチャイ/著 矢倉喬士/翻訳
河出書房新社
人類の物語 Unstoppable Us 世界はちがう人どうしでできている
ユヴァル・ノア・ハラリ/著 リカル・ザプラナ・ルイズ/イラスト 西田美緒子/翻訳
河出書房新社
影犬は時間の約束を破らない
パク・ソルメ/著 斎藤真理子/翻訳
河出書房新社
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戦後の事件簿 「日本が受諾したポツダム宣言は、イギリス首相、アメリカ合衆国大統領、中華民国主席の名において発された。ソ連は後から加わり追認した。中共は、抗戦相手ではなかった。大日本帝国の一部を形成する朝鮮半島の住民と内地の住民も、戦火を交える敵同士ではなかった。しかし、どこまでも敗戦革命にこだわる報道関係者たちは、中国や韓国や北朝鮮に戦勝国とウソをつかせたうえで、日本に対する理由のな��非難と恐喝をするよう唆している。そして、韓国人や朝鮮人は本名を隠し日本人名を名乗っている。彼らの犯罪は、日本人による犯罪のように報道されるか、犯罪そのものが報道されない」という話を聞いた 図書館に行って朝鮮人の犯罪を調べたら、次のような記録が見つかった 1945年10月22日、大阿仁村事件が起こった。秋田県北秋田郡阿仁合町の阿仁鉱山で働いていた朝鮮人12名は、午前9時頃、約16キロ山奥の同郡大阿仁村の伏影集落へ行き、共同管理の栗林に侵入し、栗を拾っていた所を村人に発見され、注意したところ乱闘となり、双方数名が負傷した。午後1時になると、約40名の朝鮮人が来襲したので、警察と警防団は直ちに現場に急行し鎮圧の為に急行した 1945年12月24日、生田警察署襲撃事件が起こった。午後9時頃、50名を超える朝鮮人の暴徒が「岡山の刑事を出せ」と叫びながら署内に侵入。署員を拳銃・日本刀・匕首を突きつけて軟禁した上で、岡山県警察部の捜査員を探し始めた。捜査員らが脱出に成功した一方で、暴徒によって署内の警察電話線が切断されたため、警察署は外部との連絡手段を絶たれてしまった。その後、事件を聞きつけた連合国軍部隊によって暴動が鎮圧された。襲撃以前、岡山市内にて7人組による拳銃強盗事件が発生しており、強盗犯を追って岡山県警の捜査官が神戸市まで出張にきていた。この捜査員に生田署が協力していたため、暴徒の襲撃を受けることになった。もっとも以下に挙げた資料には、確かに報復を仕掛けたのは朝鮮人の一団であったが、元の拳銃強盗事件の犯人が朝鮮人であったのかどうかまでは記されていない 1945年12月29日、直江津駅リンチ殺人事件が起こった。午後7時頃、新潟発大阪行の列車が国鉄信越本線黒井駅に到着した。3人組の朝鮮人が列車に乗車しようとしたが、満員のため乗車することが出来なかった。そこで彼らは列車の窓ガラスを叩き割り無理やり乗車しようとしたところ、ある男性の乗客に阻まれたため、已む無くデッキにぶら下がり次の直江津駅まで行く破目になった。列車が直江津駅に到着すると、3人組は自分たちを阻んだ男性に対して、「乗降口から乗れないので仕方なくガラスを壊して乗ろうとしたのに何故妨害した」と詰め寄った。 男性に「窓から乗り込むという方法はない」と反論されたため、その男性を直江津駅のプラットホームに引きずり降ろし、駅の備品であるパイプやスコップを持ち出して男性に襲い掛かり、メッタ打ちにした。男性は頭や左眼などに十数か所の傷を負い、絶命した。警察が緊急配備したところ、直江津の病院で傷の手当てをしていた3人組を突き止めた。そして容疑を認めたため、殺人犯として緊急逮捕した 1946年1月3日、富坂警察署襲撃事件が起こった。正午、春日町交差点において多くの不審者を乗せたトラック2台が富坂警察署方面へ向かうのを、交通整理にあたっていた警察官が発見、直ちに署に連絡した。連絡を受けてまもなく、例のトラックが富坂警察署に到着、警察官の制止を振り切って約80人の朝鮮人が署内に乱入し、留置中の在日朝鮮人の即時釈放を要求した。危険を察知した警部が警察電話を通じて、警備隊の応援を要請したところ、在日朝鮮人20人が電話室に乱入し占拠した。これにより外部との連絡が絶たれた。交渉にあたった署長は「朝鮮人は留置していない」と突っぱねたが、情報が漏れていたらしく、在日朝鮮人たちが留置場を探し始めた。これを阻止しようとした警察官に対して殴る蹴るの暴行を加えて負傷者を続出させた。在日朝鮮人はついに留置場を発見、中にいた容疑者を連れ出し、「署長は、朝鮮人は留置していないと我々を欺いた」と署長を責めた後、富坂警察署の前を通りかかったトラックを奪って逃走した 1946年1月9日、生田警察署襲撃事件が起こった。翌年、三宮ガード下で賭博団が検挙されたことを受け、30 - 40人の朝鮮人が犯人の奪還を目的に再度署内に侵入したが、この事件も進駐軍の協力を得て鎮圧し、首謀者3人を検挙した 1946年5月13日、長崎警察署襲撃事件が起こった。午前10時30分、280人の警官隊が一斉取締を開始し、日本人150人、朝鮮人26人、中国人6人を検挙、長崎警察署に連行した。その直後、在日本朝鮮人連盟や中国人団体が長崎警察署に押しかけ、被疑者の即時釈放を要求したが、署長は取調前の釈放はできないと拒否した。午後2時30分頃、朝鮮人や中国人など総勢約200人がバッドや鉄棒を持って長崎警察署を包囲・襲撃した。これにより警察官1人が死亡、10人が重軽傷を負った。その後、余勢をかって東浜町派出所や港町派出所も襲撃し、警察官に対し暴行を加えている 1946年8月5日、富山駅前派出所襲撃事件が起こった。午後6時50分頃、富山駅において闇米取り締りを実施し、朝鮮人3人を検挙した。しかし、それを見ていた朝鮮人2人が妨害し、3人を逃走させた。そのため自治隊員2人を公務執行妨害罪で逮捕し、富山駅前派出所に連行したところ、朝鮮人約30人が包囲し険悪な雰囲気となった。署に救援を頼んだが、その前に大乱闘となった。その直後に、救援隊が駆けつけて朝鮮人たちを実力で排除した。この乱闘で警察官1人が負傷した 1946年9月22日、坂町事件が起こった。午前0時50分頃、村上警察署の署員8人が坂町駅に赴き、ヤミ米の取締に当たった。署員が現れるや、約50人の朝鮮人・中国人は一斉に姿をかくした。警察官がホーム上に置き去りにされたヤミ米を押収しようとすると、「殴れ!」「叩け!」の叫び声を合図に襲いかかって来た。警察官が応戦している最中に列車が到着し、列車内から朝鮮人20人が下車し加勢、警察官に暴行を加えた後、発車間際の列車に乗り込み逃走した。この日の午後になり、「また、ヤミ米を運搬しようとしている」との情報が入った。警察官 10人が現場に向かい取り締まろうとしたところ、約50人の朝鮮人・中国人が襲い掛かり、殴る蹴るの暴行を加えた。金屋村警防団は警察官の応援に駆けつけたが、逆に鳶口や木刀を取り上げられて、彼等の武器にされる始末であった。その後、撤退命令が出たので、警察官等は一旦引き上げた。その後、進駐軍の新潟軍政部の係官が現地に到着し、朝鮮人・中国人に対して「日本に在住している限り、日本の法律に服さなければならないこと」、「警察官のヤミ米取締を拒むことは、連合国の指令に反するものであること」を言い渡した。軍政部のお墨付きが出たことで、警察は断固とした取締りが可能になり、12人が検挙された 1946年9月26日~29日、新潟日報社襲撃事件が起こった。在日本朝鮮人連盟などの朝鮮人16人が新潟日報社を訪れ、新潟日報社と読売新聞社の両社に対して、「坂町事件の報道に誤りがあると認め、ラジオ放送を通じて新潟県民に誤報であったという声明を出せ」と要求した。両社は「即答はできない」として、29日まで猶予してもらうことになった。その後読売新聞社は、9月28日になって譲歩し、誤報を認め謝罪記事を掲載することで話がついた。9月29日、朝鮮人16人が再度新潟日報社を訪れ、新潟日報社側の返答をせまった。新潟日報社は「警察の調査結果をまって善処する」と答え、彼等の要求を拒んだため、朝鮮人側は憤慨し、茶碗を投げつけたのを合図に一斉に暴れだし、社内の備品を破壊した。新潟警察署は、朝鮮人らを暴力行為等処罰ニ関スル法律違反で逮捕した 1946年12月20日、首相官邸デモ事件が起こった。の全国大会では、約1万人の朝鮮人が結集した。日本共産党の徳田球一も出席しており、徳田球一の演説の後、生活権擁護の決議文を採択し、午後1時頃に集会は一旦終了した。午後1時30分、「朝鮮人虐殺政策絶対反対」「吉田内閣は日本の敵だ」といったプラカードを掲げてデモ行進を開始。午後2時頃に首相官邸前に差し掛かると、突如警察官の制止を無視して官邸正門前に殺到した。警官隊は侵入を阻止するため門を閉鎖しようとしたが、デモ隊は投石やプラカードを振り回すなどして暴れ、遂に首相官邸に侵入した。午後2時30分頃にアメリカ軍憲兵隊が出動し、まもなくデモ隊全員を解散させた。この事件で、警察官23人が重軽傷を負い、拳銃2丁が奪い取られた 1947年10月20日、尾花沢派出所襲撃事件が起こった。朝鮮人7人は警察によるヤミ米摘発の鬱憤を晴らすべく、派出所の襲撃を計画し、午後3時頃に楯岡警察署の尾花沢派出所に乗り込んだ。警察官が不在だったため、派出所内の器物を破壊し、門標を取り外した後引き揚げた。その後、外出から戻った警察官が、派出所内の惨状を見て驚き、直ちに署に連絡した。その直後、前述の朝鮮人7人と他の朝鮮人30人が派出所を取り囲み、火鉢を投げつけるなどの暴行を働いた。楯岡警察署は隣接の新庄警察署や進駐軍の応援も得て、29人を逮捕した 1948年4月23日~25日、阪神教育事件が起こった。9時、大阪府大阪城前の大手前公園で、朝鮮人学校弾圧反対人民大会が開催された。集会には在日朝鮮人や日本共産党関西地方委員会の日本人など7000人余が集結した。16人の代表が選出され、大阪府庁舎で大阪府知事・赤間文三との交渉を行うことになった。12時30分、大阪府庁知事室において副知事と朝鮮人代表者16人との交渉が始まったが合意には至らず、15時になって在日朝鮮人や日本共産党関西地方委員会の日本人など7000人余の中からシュプレヒコールが起こった。同時に50人余の青年が行動隊を編成し、スクラムを組んで大阪府庁前の阻止線を突破した。15時30分には行動隊に続いて、在日朝鮮人や日本共産党関西地方委員会の日本人など7000人余も大阪府庁に暴力で突入し、3階までの廊下を占拠。副知事は警察官の誘導で、戦時中に作られていた地下道を通って脱出した。17時頃には群衆が知事室になだれ込み、ドアや調度品を破壊するといった行動に出る。日本共産党大阪地方委員会に派遣されていた増山太助は川上貫一衆議院議員とともに知事室に駆けつけたが、収拾がつかない状態だった。夜になって大阪城周辺の各所で在日朝鮮人や日本共産党関西地方委員会の日本人によってかがり火が焚かれ、朝連としては川上を代表として交渉の場を作ろうとした。しかしそこへアメリカ軍や武装警官が到着し、在日朝鮮人や日本共産党関西地方委員会の日本人らと乱闘。在日朝鮮人のうち1人が死亡し20人が負傷した。警官側の負傷者は、31人だった。179人が騒擾罪で検挙された。4月25日には朝連や日本人約300人が南警察署に押しかけ逮捕者の釈放を要求したが、抗議に来た群衆に向けて警官隊が威嚇射撃を行い追い返した。翌4月26日に朝連は大阪東成区や旭区などで「朝鮮人学校弾圧反対人民大会」を開催。午後には朝鮮人代表者と赤間府知事との間で再度交渉が行われたが、15時40分に別室で待機していた大阪軍政部のクレーグ大佐が、交渉の中止と大手前公園に集結していた在日朝鮮人2万人の解散を指示。これに対し在日朝鮮人1600人のデモ隊が再び大阪府庁に向かい、武装警官隊の阻止線で投石を開始。武装警官隊は消防車に放水をさせ、デモ隊に突入し拳銃で発砲した。この衝突で当時16歳であった在日朝鮮人金太一が死亡する。検挙者は軍事裁判にかけられ、日本人9人と在日朝鮮人8人が重労働4年以下の判決を受けた。このうち当時の朝鮮総連の朴柱範兵庫県本部委員長は神戸刑務所に服役し、1949年11月25日に病気を理由に仮釈放されたが僅か数時間後に死亡した。事件解決後、大阪市警察局は、アメリカ陸軍第25師団司令部より感謝状が贈呈された。兵庫県非常事態宣言布告を報じた朝日新聞号外アイケルバーガー司令官の神戸視察を報じた神戸新聞10日に兵庫県知事・岸田幸雄は、朝鮮人学校に対して封鎖命令を発令。これを受けて14日に朝連は兵庫県庁を訪れ、岸田との交渉を要求した���言動はしばしば威圧的・脅迫的になった。4月23日に警官隊と米軍MPが朝鮮人学校灘校と東神戸校を封鎖すると、翌24日に封鎖に抗議する在日朝鮮人や日本人が兵庫県県庁前に集結。9時30分に兵庫県庁知事室で、岸田知事と神戸市長・小寺謙吉、検事正ら15人が朝鮮人学校閉鎖仮処分執行問題と在日朝鮮人の抗議集会対策を協議。協議が行われているとの情報は朝連にも伝わり、約100人の在日朝鮮人や日本人が兵庫県庁内に突入。知事応接室を占拠して備品などを破壊した後、壁を打ち破って知事室になだれ込み岸田知事やMPを拉致監禁するに至る。知事室に乱入した在日朝鮮人や日本人は電話線を切断して外部との連絡を絶ち、「学校閉鎖令の撤回」「朝鮮人学校閉鎖仮処分の取り消し」「朝鮮人学校存続の承認」「逮捕された朝鮮人の釈放」などを岸田知事に要求。半ば監禁状態にあって岸田は、17時に諸要求の受け入れを誓約。しかしその日の22時に岸田知事と吉川覚副知事・市丸検事正・田辺次席検事・出井兵庫県警察長・古山神戸市警察局長らが、占領軍兵庫県軍政部に召集され、23時に兵庫県軍政部が「非常事態宣言」を発令。軍政部の非常事態宣言によって兵庫県と神戸市の全警察官はアメリカ軍憲兵司令官の指揮下に入り、兵庫県庁への乱入者の徹底検挙命令と共に岸田知事が一旦受け入れた在日朝鮮人の要求への誓約を無効とした。25日早朝にMPと米軍憲兵司令官指揮下の警官による県庁乱入者の検挙を開始し、29日までに、1590人もしくは7295人 を検挙。日本共産党の神戸市議会議員・堀川一知も拘引された。4月28日には米軍軍政部の非常事態宣言も解除。検挙した者から主だった者を拘留し、23人を軍事裁判にかけた。唯一の日本人被告人だったは堀川は重労働10年の判決を受け、在日朝鮮人���は最高重労働15年の判決が出されて刑期終了後は本国に強制送還されることになった 1948年10月11日~12日、評定河原事件が起こった。の10時から開会式が始まった。北朝鮮国旗の掲揚をめぐり仙台市警察が警告を発するなどのトラブルがあったが、1日目は特に混乱も無く終了した。2日目の10月12日は運動会が開かれた。国旗掲揚の代わりに国旗を頭上に捧げ持って行進したため、米軍の憲兵が行進の中止を命じた。その後、運動会は再開され、16時30分頃に閉会式が開かれた。そのとき、酒を飲んだ数人の朝鮮人が会場内に入って歌を歌い始めた。これに同調する者が次々と現れ、赤旗を掲げてデモ行進するなど不穏な空気に包まれた。その中で、北朝鮮国旗を持った一団がデモ行進をし、米軍憲兵の制止を無視し行進を続けたため、米軍憲兵は国旗を押収し、参加者4人を検挙した。その後の米軍憲兵隊の捜査で、更に2人が検挙された 1948年12月9日、宇部事件が起こった。約200名の朝鮮人が宇部市民会館に参集し生活擁護人民大会を開催していた際に、在日本朝鮮人連盟山口県本部委員長を進駐軍憲兵および警察隊が逮捕した。大会参加者は集団的に同被疑者を奪還しようとして警察側と衝突し、双方に多数の負傷者が出る騒ぎとなったが、警察側の発砲によって鎮圧された 1949年1月25日、益田事件が起こった。島根県美濃郡益田町の朝鮮人集落において密輸入物資が隠匿されているとの密告に基づき、進駐軍島根軍政部将校2名と経済調査官2名が同行して、令状なしで摘発に乗り出したが、「令状のない捜査は違法である」と拒否されたため、警察官10名が応援して違反物資を押収したが約100名の朝鮮人に奪還された。翌日、被疑者9名を検挙したものの、夜に入って約200名が警察署に押しかけて被疑者の釈放を要求し、署内に侵入しようとしたために警察官と乱闘になり48名が検挙された。逮捕されたもののうち9名が起訴され、騒乱罪で有罪となった 1949年4月6日~13日、枝川事件が起こった。午後6時頃、3人の捜査員は主犯を発見、逮捕しようとした。しかし主犯は別人を主張、周りの朝鮮人数人も捜査員を見ていたため、任意同行に切り替えた。そして、屋外に出ようとしたところ、主犯は捜査員を突き飛ばし、裸足のまま逃走した。捜査員は拳銃を3発威嚇発砲して制止しようとしたが、逃走を続けたため、遂に主犯に向けて発砲した。そしてなんとか逮捕することができたが、主犯はその際に負傷した。それを見ていた約40人の朝鮮人が「仲間を殺したやつは殺してしまえ」と捜査員2人に襲い掛かり、殴る蹴るの暴行を加え重軽傷を負わせた上に在日朝鮮人連盟の施設に連行した。もう1人の捜査員は、事態の重大性を察知し、近くの民家の電話を借りて枝川地区を所轄する深川警察署と月島警察署に通報した。まもなく深川警察署と月島警察署の応援部隊が在日朝鮮人連盟の枝川支部に急行したが、激しい抵抗にあい、警察側に負傷者を続出させたが、アメリカ軍憲兵隊が来ると急に態度を軟化させた。その後の交渉で朝鮮人側は暴行犯人の引渡しを確約したが、4月8日になっても引き渡さず、逆に捜査員の処分を求める有様であった。4月9日より、警察は枝川地区に架かる橋に検問所を設置、通行者全員に検問を開始した。それと並行して内偵調査を行った。その結果、警察官に暴行した容疑者が割り出されたため、4月13日に一斉捜査が行われ、容疑者5人が逮捕された。4月19日までに更に10人が逮捕された 1949年4月7日~11日、高田ドブロク事件が起こった。午前6時頃、取締部隊は朝鮮人集落に到着し一斉取締を開始した。早朝であったため、この取締そのものは整然と行われ、午前8時30分頃には引き上げた。午前10時40分頃から朝鮮人たちが高田市警察署に集結し始め、正午頃になると200人に膨れ上がり、検挙者の釈放を要求した。しかし警察側が断固拒否したため、警察署に向かって投石を行い窓ガラス十数枚を破損させた。4月8日も朝鮮人約200人が警察署前に集結し、釈放を要求した。4月9日正午、一人の朝鮮人女性が高田税務署に現れた。一人であったことから税務署を警備していた警察官も、一般の利用者と思って油断していたところ、あっという間に14・15人の朝鮮人女性が集まり、署長との面会を要求してきた。警備の警察官が退去を勧告したところ、「人殺し」と叫び座り込みをはじめた。午後1時になると多くの朝鮮人男性が押しかけ、税務署内に突入しようとしたので、小競り合いになり双方に負傷者を出した。4月10日、検挙者の自供により、高田市においても密造酒の醸造が行われていることが判明したため、在日朝鮮人連盟信越支部などを家宅捜査した。4月11日、約500人もの朝鮮人が高田市に集結、デモ行進を行った。彼らは市民に対して「警察が朝鮮人に対して不当な弾圧を加えている」「放火して高田市を灰にする」などと叫び牽制していた。ここに至り、警察もデモの首謀者12人を検挙したため、この事件も収束に向かい始めた 1949年6月2日~11日、本郷村事件が起こった。国家地方警察福井県本部若狭地区警察署の本郷派出所の警察官が朝鮮人地区の地図を作成したことについて、在日本朝鮮人連盟の幹部が抗議した。幹部は一旦戻り、在日朝鮮人70人を引き連れて、派出所を包囲した。そして中の警察官に暴行を加え、そのまま居座り続けた。若狭地区警察署は署員を急派したが、なおも居座り、6月4日になってようやく解散した。朝鮮人側は 暴行警察官の罷免 被害者に対する損害賠償 朝鮮人に対する謝罪 朝鮮人問題については、事前に朝連と連絡協議をすることなどを要求したが、警察は6月10日に朝鮮人2人を逮捕するために現地に向かった。待ち構えていた朝鮮人200人が、石や糞尿を投げつけて逮捕を妨害したが、なんとか強行突破し、2人を予定通り逮捕した。その後朝鮮人たちは、「民族弾圧、ファッショ警察の再現」と叫んで警察署前に居座ったり、「ファッシズム国警若狭地区警察の真相」と題するビラをばら撒くなど示威行動を続けた 1949年8月20日、下関事件[騒乱]が起こった。19日午後11時頃、朝連事務所前に約150人の在日朝鮮人が集結し、民団を非難する集会を開いた。集会そのものは特に問題なく終了したが、警備に当たっていた朝連の構成員と民団の構成員が路上で遭遇、乱闘となり、民団側が所持していた日本刀で朝連側に負傷者を出した。朝連は、これに報復すべく8月20日午前2時30分頃、構成員約200人を招集し、民団下関支部や民団構成員の自宅を襲撃した。そして被害家屋から金品を略奪するなどの狼藉を働いたあと解散した。このため、未明にも係らず市内は一時大混乱になった。下関市警察は、直ちに国家地方警察山口県本部に応援を要請した。国家地方警察は、自治体警察を含む山口県内の全警察に非常招集を発令、警察学校の学生をも動員した。県内各地から来る応援部隊の到着後、朝連や民団の施設を一斉に捜索を開始し、939 人の警察官のうち 14 人が負傷したが、73人を検挙した。翌日8月21日には、下関市警察と国家地方警察の合同による「下関事件合同警備本部」を設置するとともに、市内各所に検問所を設けて逃亡を阻止した。最終的に208人が検挙され、殺人未遂罪のほか、騒擾罪などで75人が起訴された 1950年3月20日、台東会館事件が起こった。10日午前9時、東京都の係官が台東会館に赴いた。警視庁では不測の事態に備えて多数の警察官を警戒に当たらせた。係官は会館を引き渡すよう命じたが、旧朝連はそれを無視したばかりか、投石を行い抵抗した。そのため、この日の接収は一旦取りやめになり、3月20日に再度接収を行うことになった。旧朝連側は接収予定日の前日から、会館入口にバリケードを設け、周辺道路を巡回して警戒していた。3月20日午前7時、係官が台東会館に入ろうとしたが妨害を受けた。そして、警戒に当たっていた警察官に向かって、石や唐辛子粉を投げつけて抵抗した。そのため警察は強行突入を断行し、朝鮮人119人を検挙した 1950年8月15日、連島町事件が起こった。1949年9月8日、GHQの指示を受けた法務府は告示第51号を出し、在日本朝聯と在日本朝鮮民主青年同盟に対し団体等規正令を適用して解散命令を下す。また朝鮮学校と民団総連も解散請求を受けた。これらの措置は在日朝鮮人の生活に直接の打撃を与えた。将来に不安を抱いた朝鮮人同胞らの中には、革命を叫んで公共施設を不法占拠し火炎瓶で武装した事件が起きた。こうした世情不安の中、岡山県浅口郡連島町で、朝鮮解放5周年を祝って約700名の朝鮮人が集まり集会を強行したため、これを制止しようとした警察と乱闘になり8名を検挙した。この事件で警察官15名が負傷した 1950年11月20日~27日、長田区役所襲撃事件[第二神戸事件]が起こった。午後1時、約200人の朝鮮人が神戸市長田区役所に押しかけた。要求は「市民税免除」と「生活保護の徹底」である。しかし区長がこれを認めなかったため、区長を軟禁状態にして騒ぎ出した。神戸市警察は直ちに出動、30人が逮捕された。11月24日午前11時、約300人の朝鮮人が再度長田区役所に押しかけ、区長との面談を要求した。区長が拒否したため、朝鮮人たちは区役所に乱入し、窓ガラス等を破壊した上、出動した警察官に対しても暴力を振るったため、不退去罪の現行犯として26人が逮捕された。11月27日朝、24日に逮捕された仲間の奪還などを求め、姫路市、明石市、尼崎市などから約600人の朝鮮人が神戸に向かっているとの情報が警察にもたらされた。警察は甲号非常招集を発令、神戸市警察および国家警察兵庫県本部の警官約3000人に待機命令をかけた。長田区にある西神戸朝鮮人学校に神戸市在住の者も含め約千人の朝鮮人が集結。「祖国統一決起大会」を開催し、投石用の石や棍棒を用意するなど不穏な状勢となったため、正午頃に解散を命じたが、「犬め、殺してやる」「貴様等人民裁判にかけてやる」と暴言を吐いて命令を無視、午後3時20分頃には、学校から出てデモ行進を始めた。遂に警察は神戸市電湊川大橋停留所付近で検挙を開始したが、デモ隊は激しく抵抗し、約60人が逮捕された。その残党は新湊川沿いに北上、長田区役所や長田税務署を襲い、窓ガラスを割るなどした。最終的に179人が逮捕された 1951年1月23日、四日市事件が起こった。旧朝連四日市支部を接収しようとしたところ、居合わせた朝鮮人約20名が、器物やガラスの破片を投げつけたり、灰・唐辛子による目潰し攻撃をしたり、濃硫酸を浴びせて接収の妨害を行った事件。そのため、執行係官7名が全治2 - 3週間の重軽傷を負った。警察が出動して、公務執行妨害容疑で15名を検挙した 1951年3月7日、王子朝鮮人学校事件が起こった。当日、王子警察署は周辺の道路を封鎖し、同校生徒以外の群集の流入を阻止しようとしたが、群集はそれを無視し最終的に2000人が集まった。集会は午前10時から始まった。一方、学校外にいた群集が警察隊に対し、投石や唐辛子粉の噴霧など抵抗したため、ある警察官が付近の民家の2階から写真を撮ろうとした。しかしそれを見た群集が民家に乱入、その警察官��暴行を加え、カメラを破壊した。応援に来ていた蔵前警察署員が救出しようとしたが、逆に返り討ちにあい、重軽傷を負わされた上、拳銃や警棒などが奪われた。警視庁は、遂に群集を強制的に解散させることを決断、警官隊が校内に突入しようとした。群集は煉瓦や石を投げつけるなど強硬に抵抗したが、午後2時50分までに全員を校外に排除した。警察はこの事件で28人が重軽傷を負った 1951年6月13日、神奈川事件が起こった。横浜市神奈川区にある青木小学校分校において、神奈川県朝鮮人学校PTA連合運動会が開かれていたが、参加者の一人が警備をしていた警察官に対して暴力をふるったため、公務執行妨害で検挙しようとしたところ、これを妨害しようとして大乱闘となった。これにより、双方ともに数名の負傷者を出した。運動会終了後、約500名の在日朝鮮人が横浜市警察本部に殺到し、玄関前でスクラムを組んで奇声をあげた。 そのため、横浜市警は約1000名の警察官を動員し、公安条例違反容疑で28名を検挙した 1951年10月22日、下里村役場集団恐喝事件が起こった。下里村において、在日朝鮮人約200名が、「生活保護」「強制送還反対」の陳情をするために村役場に押しかけた 1951年12月1日、東成警察署襲撃事件が起こった。午前11時頃、朝鮮人たちは旧御幸森朝鮮人小学校に集まり、東成警察署までデモ行進した。その後、元御幸森朝鮮人学校に集合し、12時15分ごろ東成警察正門前に到着した。さらに同署の東方道路から約20名、南方道路から20名が殺到し気勢を上げて署内に突入しようとしたので、大阪市警視庁機動隊はそれを阻止した。その際デモ隊は、クロールピクリン酸入りサイダーびん3本、投石や唐辛子を投げつけて抵抗した。この事件で3人が公務執行妨害罪で逮捕された 。12月16日午後、不法デモをおこない3隊に分かれ、生野区、巽町の工場を襲撃した 1951年12月18日、日野事件が起こった。10月18日午前11時30分、滋賀県蒲生郡桜川村に、在日朝鮮統一民主戦線や祖国防衛隊のメンバーが集結し、自転車にスピーカーを取り付けて自転車デモを行おうとした。滋賀県公安条例の届出を出していない違法デモであった。国家地方警察滋賀県本部蒲生東地区警察署では、これを制止しようとしたが、デモ隊は強行突破し、日野町内に侵入した。デモ隊は日野郵便局前で「朝鮮人強制送還反対」「軍事基地化反対」などの演説を行った。その間、周辺在住���朝鮮人が集まり、ピケを張ったりバリケードを作ったりした。そして警官隊に棍棒で襲い掛かったため、公務執行妨害罪で20人が検挙された 1952年2月21日~23日。木造地区警察署襲撃事件が起こった。国家地方警察青森県本部木造地区警察署は、傷害容疑で在日朝鮮人2名を逮捕した。これに対し、在日朝鮮人数十人が検挙者の即時釈放を要求して連日署に押しかけた。2月23日に入り、在日朝鮮人約70名が署内への侵入を図って警備の警察官と揉み合いになり、警察署の玄関のガラス戸が破壊された。また同日午後7時、応援に駆けつけていた弘前地区警察署の署員11人が、国鉄五能線木造駅を警備していたところ、在日朝鮮人に取り囲まれ、警棒を奪われる事件も発生している 1952年3月26日~30日、多奈川町事件が起こった。以前より多奈川町警察は、隣接の国家地方警察泉南地区署の応援を得、幾度も朝鮮人による密造酒の摘発を行っていたが後を絶たず、増加するばかりであった 1952年3月24日、大阪国税局は、同局泉佐野税務署・大阪地方検察庁���和田支部・国家地方警察泉南地区署と合同捜査会議を行い、一斉摘発を決定。同年3月26日午前5時40分ごろ、泉南地区署に、国税局員45名・検事1名・副検事1名・検察事務官12名・制服警察官50名の合同捜査チームが集合。10班に分かれ、トラック10台に分乗し、多奈川町9ヶ所、深日町1ヶ所、計10ヶ所の密造場所に向かう。納屋や豚小屋に偽装された密造工場の各所で、朝鮮人による抵抗に遭うも、検察庁職員によって容疑者の逮捕、国税局員によってドブロク・コウジ・蒸留機などの酒造器具を証拠品として差押さえるなどし、各班は逐次南海電気鉄道多奈川線多奈川駅前に集合。この時、婦女子を先頭にした朝鮮人約200人がトラックの前に座り込んだり、大きな石をいくつも道路上に置いて交通を妨害。これを排除しようとした警察官が激しい抵抗に遭っている間、手薄な警備に勢を得た朝鮮人の数はさらに増え、ついには「生活権」を訴える怒号に扇動された朝鮮人が「殺してしまえ」とわめきながらトラックに殺到し、タイヤの空気を抜く、窓ガラスを叩き割る、トラックの運転手を袋叩きにする、差押えた証拠品を叩き落して破壊・強奪する、被疑者を逃がすなどの暴挙に出た。 この危機を脱したトラック3台は集合場所の大阪拘置所に向かったものの、残る7台は駅前の国道で立ち往生となる。1個班につき警察官が5人と言う手薄な警備体制が招いた失敗であった。不測の事態を受けた合同捜査チーム総指揮官大坪検事及び泉南地区警察署長は、深日町警部派出所から国家地方警察大阪府本部に応援を要請。検挙は後日に譲ることとし、後日の検挙に備え多数の現場写真を撮影、道路上の妨害を排除しつつタイヤの空気を入れなおし、午前7時半ごろ、捜査チームは泉南地区署に引き揚げた。午前8時過ぎごろ、朝鮮人約30名が多奈川派出所に押しかけ「俺たちの生活をどうしてくれる」と抗議。間もなく代表者3名を残し引き揚げる。午前9時ごろ、取材に来ていた毎日新聞社大阪本社の記者がドブロク密造地区捜査取材のため多奈川派出所に向かう途中、朝鮮人の暴徒に囲まれて殴打され、石を投げつけられ、全治2週間の怪我を負う事件が発生。また、この騒ぎで城東税務署員も右手に怪我を負っている。事態を重く見た国家地方警察大阪府本部は27日・28日の2日間にわたり、現場証拠写真、現場に出動した警察官、第三者の証言から被疑者の割り出し、証拠収集にあたる。結果、被疑者17名を特定し、29日、暴力行為等処罰に関する法律違反、公務執行妨害および傷害ならびに酒税法違反容疑で逮捕状・捜査令状を大阪地検より受けた。同年3月30日午前2時、検事らをはじめ、大阪府下8地区署から制私服警官警察官・警察学校生徒など、約450名が大阪市城東区関目の大阪府警察学校に集結。午前5時すぎ、自動車・トラック約30台に分乗して多奈川町小田平、朝日、東、湊、深日町兵庫の5地区21ヶ所に急行し、逮捕、押収捜索にあたった。捜査員が被疑者を逮捕しようとした際、人糞を降りかけられる、手を噛まれる、水桶・たらい・マキなどを手当たり次第投げつけられる、クワ・こん棒などを振り回して暴れる、トウガラシの粉を投げて目潰し戦術に出るというようなことがあり、捜査員3名が打撲傷などを負ったが、前回ほどの組織的集団抵抗はみられなかった。この検挙の際、26日の暴行首謀者とされる3名が逃走。緊急逮捕を含む27名の逮捕者は取り調べののち、5名を釈放。残り25名を酒税法、公務執行妨害、傷害、業務妨害などの容疑で大阪地検に送庁、19名が起訴された。3月30日の検挙活動の際、朝鮮人1名が職務質問を受け逃走、追いついた警官ともみ合いになり拳銃の引き金が引かれ、弾が右腹部を貫通、重傷となり、数日後に死亡した 1952年5月1日、血のメーデー事件が起こった。GHQによる占領が解除されて3日後の、第23回メーデーとなったこの日の中央メーデーは、警察予備隊についての「再軍備反対」とともに、「皇居前広場の開放」を決議していた。大会は午前10時20分ごろ開会され、途中、全学連を中心として人民広場への乱入を扇動しようとする乱入者が相次いだものの、午後0時10分に閉会し、同25分より、北部・東部・南部・中部・西部の各コースに分かれて、予定のデモ行進に移った。デモ行進の途上でも、人民広場への乱入を扇動しようとする試みが相次ぎ、一部のデモ隊は当初のコースから外れて投石などを行ったほか、西部コース指導者は人民広場への乱入を拒否したために暴行を受けるなどの混乱が生じたものの、最終的には午後2時から4時にかけて順次に予定の解散地点に到着し、解散した。しかし特に混乱が著しかった南部コースを中心として、日比谷公園で解散したデモ隊の一部は、その中の全学連と左翼系青年団体員に先導され、朝鮮人、日雇い労務者らの市民およそ2,500名がスクラムを組んで日比谷公園正門から出はじめた。警視庁は、会場や行進中には主催者の自主的統制に待つこととしていたが、5,600名の部隊を編成して雑踏警備にあたっていたほか、各署員1万名以上を待機させて即応体制を整えていた。日比谷交差点を通過して無届デモを開始した群衆に対して、まず丸の内警察署長以下60名が制止したが、投石や竹槍・棍棒による攻撃を受け、13名の負傷者を出した。デモ隊は外国人の自動車19台に投石して窓ガラスを次々に破壊しながら北上した。馬場先門においては、第一方面予備隊と三田・東京水上・高輪の3警察署による470名の部隊が警備にあたっていたが、方面予備隊の一部が拳銃および若干の催涙弾を装備していたほかは警棒を携帯しているのみであった。またデモ隊は極めて先鋭的であったことから、周囲の一般通行人への被害も憂慮した方面予備隊長は車道の警戒線を解き、デモ隊は皇居前広場になだれ込んだ。乱入したデモ隊は、二重橋正面で警備にあたる丸の内警察署員および増援の第一方面予備隊2個中隊に対して投石を開始した。祝田町警備巡��派出所ではボックスが押し倒され、警察官は袋叩きにされて拳銃を奪われた。警察部隊は催涙弾を使用して鎮圧にあたり、午後3時頃には暴徒を中央自動車道まで後退させ、にらみ合いの状態となった。しかしこの頃、桜門および祝田橋でも警戒線が突破されたことで暴徒は8,000名に増加した。警察側も逐次に予備隊を配置転換して体制を強化したが、暴徒との攻防は激しく、一部ではやむなく拳銃を使用した。この結果、暴徒が混乱に陥ったことから、警察側は体制を整えて一気に鎮圧を図り、午後3時40分までには暴徒の大部分を広場外に排除した。しかし広場外に排除された暴徒はその後もしつこく攻撃を繰り返し、祝田橋では第一方面予備隊の隊員4名が包囲され、角棒で乱打のうえで凱旋濠に投げ込まれ、更に投石を加えられた。また他の隊員4名も包囲されて同様の暴行を受けそうになり、拳銃の威嚇射撃でやっと難を逃れる状況であった。またこのほかにも、警察官への暴行が相次ぎ、拳銃を奪われる例もあった。午後3時50分頃には、桜門前濠端側に駐車されていた外国人自動車14台を転覆させて火を放ち、炎上させたほか、付近をサイドカーで通行していた交通第一課員を取り囲んで暴行を加え、サイドカーにも放火した。その消火のため出動した消防隊も投石や殴打を受けて13名が負傷、ホースも切り破られた。これらの暴徒も午後4時頃には離散しはじめたが、その後も有楽町巡査派出所が襲撃されたり、また一部は日比谷公園に逃げ込んで投石を続けていた。皇居前広場・日比谷公園が平静を取り戻したのは午後6時過ぎのことであった。これらの騒動の結果、デモ隊側は死者1名、重軽傷者約200名、警察側は負傷者832名を出す流血の惨事となった。当日は警察予備隊の出動も検討されていたが、一般警察力によって収拾されたため、出動を命じられるには至らなかった。 なお、この事件に出動した「予備隊」とは「警視庁予備隊」のことであり、後の機動隊である。警察予備隊のことではない

1952年5月12日~25日、大村収容��事件が起こった。法務省は朝鮮人410人を韓国の釜山に強制送還したが、韓国政府は125人については引き取りを拒否し、日本に送り返した。これらの逆送還者は大村収容所に収容された。逆送還者は、韓国政府の逆送還で収容根拠を消失したと主張し、収容所からの即時釈放を要求した。これに在日朝鮮統一民主戦線が同調し、「逆送還者奪還闘争」が繰り広げられた。11月11日午前10時30分、収容者の代表が所長との面談を申し入れたが、当局がこれを拒否したため、午後3時20分になって暴動が発生した。収容所の警備官や大村市警察の警察官は、催涙弾と消防車でこれを阻止し、ようやく鎮圧した 1952年5月13日、広島地裁被疑者奪回事件が起こった。午後2時55分から広島地方裁判所第二号法廷で勾留理由開示を開くことになっていた。対象となった被疑者は、4月30日と5月1日に、国警広島県本部安佐地区署古市町駐在所と民家に、それぞれ火炎瓶を投げつけて放火した容疑で逮捕された朝鮮人4人であった。勾留理由開示は予定通りに開廷されたが、傍聴席には多くの朝鮮人が陣取り、赤旗や北朝鮮旗が掲げられるなど異様な雰囲気での開廷であった。閉廷直前の午後5時20分、傍聴席の朝鮮人約200人が被疑者と傍聴者を分ける柵を乗り越え、被疑者に手錠をかけようとした看守を妨害して、被疑者4人を奪還した。広島地方裁判所の事務室には、万が一の時のために広島市警察の警察官約70人が待機していたが、現場に駆けつけたときには、既に逃走された後だった 1952年5月26日、高田事件が起こった。民団愛知県本部の顧問は、北朝鮮系の在日朝鮮人の脅迫を受け続けてきた。同年3月には自宅を襲撃されたり、殺害予告のビラが貼られたりしていた。午前5時40分頃、北朝鮮系朝鮮人数十人が顧問宅に侵入、ドアやガラスを破壊したりするなどの狼藉を働いた。顧問は何とか逃げ出し、名古屋市警察瑞穂警察署高田派出所に助けを求めてきた。まもなく顧問を追跡してきた一団が高田派出所に押しかけ、備品を破壊したり火炎瓶を投入したりして焼き討ちした。顧問は警察官の誘導で裏口から退避し、道を隔てた高田小学校正門より用務員室に向かったが、追いつかれ暴行により全治10日の傷を負った 1952年5月31日、奈良警察官宅襲撃事件が起こった。25日、桜井町で民団磯城支部書記長が、旧朝連系の在日朝鮮人に襲われる桜井町事件が発生した。国家地方警察奈良県本部は犯人を検挙し、奈良地検に送致した。5月30日、奈良市警察に国警磯城地区警察署から「在日朝鮮人の一団が奈良市に向かっている」との連絡が入った。在日朝鮮人の一団が奈良地検に突入したため、奈良市警は実力で排除した。このことから、旧朝連系は奈良市警に反感を持つようになった。襲撃を受けた奈良市警の警察官宅は、桜井町事件が発生した桜井町に所在していた。5月31日、桜井町の奈良市警警���課巡査部長宅に約10名の在日朝鮮人が覆面姿で押しかけて戸を叩いた。巡査部長の父親が戸を開けたところ、いきなり暴行を加え意識不明の重体にした。そして窓ガラスや障子を破壊して逃走した 1952年5月31日~6月5日、万来町事件が起こった。当時、宇部市には約3100人の在日韓国・朝鮮人が居住しており、大半が生活保護受給者だったが、市当局は彼らが「��中ブラブラしていた」ことから、「潜在収入がある」として、生活保護費増額を見送っていた。朝鮮人側はこれに激昂し、以降、連日宇部市福祉事務所に押しかけ、市職員を吊るし上げた。6月3日になると約400人に達したため、宇部市警察は全職員を動員して対処したが、朝鮮人側はその隙をねらって、留守中の上宇部派出所を襲撃した。6月5日、宇部市万来町において、朝鮮人解放救援会山口県本部が「民主愛国青年同盟」を結成し、当日は県内各地から朝鮮人が多数集結した。うち約70人が午前11時に宇部興産の工場に乱入、守衛を殴打し、電話線を切断するなどの行為をおこなった。続いて民団の団員宅を襲撃した後、引き揚げた。警察は襲撃犯を逮捕するため、午後2時に解放救援会事務所を包囲した。警察は解散を呼びかけたが、朝鮮人側は投石などの手段で抵抗した。午後3時半より警察は実力行使を開始し、午後4時からは催涙ガス弾も導入してようやく鎮圧した 1952年6月10日、島津三条工場事件が起こった。午後4時頃、トラックに乗った祖国防衛隊所属の在日朝鮮人約50人が、京都市中京区にある島津製作所三条工場に押しかけ、守衛の制止を振り切って中に突入、破防法反対のアジ演説を行った。工場側の要請を受けた京都市警察堀川警察署の署員約15人が現場に急行、五十代くらいの朝鮮人が妨害したため、ただちに検挙し京都市警南部警邏隊のパトカーに収容した。すると、付近にいた朝鮮人約100人が騒ぎ出した。パトカーがサイレンを鳴らして発進し、春日通三条にさしかかったとき、多数の朝鮮人が前に立ちふさがり、車内に火炎瓶を投げ込んだ。パトカーはたちまち火の車となり、道を大きくそれて京都市バスの車庫に入り込み、バスに激突した。乗っていた8人の警察官は重軽傷を負った。検挙者も火傷を負ったが逃げおおせることに成功した 1952年6月13日、醒井事件が起こった。滋賀県坂田郡醒井村では、民団系と在日朝鮮統一民主戦線系の在日韓国・朝鮮人間で対立が起きており、10日と6月11日の2日連続で乱闘事件が起きていた。午前5時頃、国家地方警察滋賀県本部坂田地区警察署の警察官は、被疑者逮捕のために現地に向かったが、朝鮮人は事前に察知し、ピケを張るなどして自宅に立て篭った。朝鮮人側が、投石や棍棒を投げつけるなど被疑者の逮捕を妨害したため大乱闘となったが、警察はこれを鎮圧し公務執行妨害罪で48人を逮捕した 1952年7月7日、大須事件が起こった。日本社会党の帆足計と改進党の宮越喜助の両代議士が、ソ連及び中共を訪問して日本国政府の方針に反する「日中民間貿易協定」を結んだ後に帰国し、6日に名古屋駅に到着した。両代議士の歓迎のために約千人の群集が駅前に集合、無届デモを敢行したが、名古屋市警察によって解散させられた。その際に12人が検挙されたが、その中の1人が所持していた文書から、翌日の歓迎集会に火炎瓶を多数持ち込んで、アメリカ軍施設や中警察署を襲撃する計画が発覚した。7日、名古屋市警察は警備体制を強化し、全警察官を待機させた。午後2時頃から、会場の中区大須球場に日本共産党員や在日朝鮮人を主体とする群衆が集まり始め、午後6時40分頃に歓迎集会が挙行された。午後9時50分に集会が終わると、名古屋大学の学生がアジ演説を始め、その煽動によって約千人がスクラムを組みながら球場正門を出て無届デモを始めた。警察の放送車が解散するよう何度も警告したが、デモ隊は放送車に向かって火炎瓶を投げ込み炎上させた。警察は暴徒を鎮圧すべく直ちに現場に直行したが、デモ隊は四方に分散して波状的に警察部隊に対して火炎瓶・投石・竹槍・プラカードで攻撃を行い、路上の一般の乗用車に放火するなど、大須地区は大混乱に陥った。また、大須のデモ隊とは別に、アメリカ軍の駐車場に停めてあった乗用車を燃やしたり、中税務署に火炎瓶を投下する事件も発生している。この事件で、警察官70人、消防士2人、一般人4人が負傷し、デモ隊側は1人が死亡、19人が負傷した。名古屋市警察は捜査を開始、最終的に269人を検挙した。その内、半数以上が在日朝鮮人だった。捜査の結果、この事件は共産党名古屋市委員会が計画し、朝鮮人の組織である祖国防衛隊とも連携しながら実行に移されたことが分かった 1952年11月9日~12日、大村収容所事件が起こった。5月12日、法務省は朝鮮人410人を韓国の釜山に強制送還したが、韓国政府は125人については引き取りを拒否し、日本に送り返した。これらの逆送還者は大村収容所に収容された。逆送還者は、韓国政府の逆送還で収容根拠を消失したと主張し、収容所からの即時釈放を要求した。これに在日朝鮮統一民主戦線が同調し、「逆送還者奪還闘争」が繰り広げられた。11月11日午前10時30分、収容者の代表が所長との面談を申し入れたが、当局がこれを拒否したため、午後3時20分になって暴動が発生した。収容所の警備官や大村市警察の警察官は、催涙弾と消防車でこれを阻止し、ようやく鎮圧した 1952年11月19日~26日、五所川原税務署襲撃事件が起こった。仙台国税局は警察の協力を得て、青森県北津軽郡板柳町周辺の在日朝鮮人が経営する密造酒工場を摘発し、密造酒約100石、酒粕約400貫、その他容器約200点などを押収、酒税法違反として45名を検挙した。また、摘発を妨害したとして、在日朝鮮人7名を公務執行妨害の現行犯で逮捕した。その後、在日朝鮮人は「生活権の保障」と「職の斡旋」を要求し、国警板柳地区警察署と五所川原税務署に連日抗議活動を行った。11月26日には約60名が五所川原税務署に押しかけて署内に乱入し、署を占拠した
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かつてなく老いた涙目の短歌のために
「目は口ほどに物を言うからな」の一言で自分の言葉を信じてもらえなかったら憤慨するだろうけれど、同時に、「じゃあしかたない」とも思ってしまうかもしれない。ことわざを本気で使ってくる人を相手取るとき、そのことわざの力強さに対して自分の正直な心の力は、頑張っても引き分けか根比べ競争に持ち込めるかくらいのものかもしれない。そんなことでいいのか。「口」を信用することなく、「目」に権威を求めてしまうのはなぜだろうか。
わたしの視野になにかが欠けていると思いそれは眼球めだまと金魚を買った
/斉藤斎藤『渡辺のわたし』
「わたし」=「それ」=「作中主体」が「視野になにかが欠けていると思い」、「眼球と金魚を買った」。眼球の有無は「わたしの視野」の信頼にかかわるだろうか。
「わたしの視野」の信用問題。それは「わたしの視覚」の問題には回収されないだろう。「わたしの視野」を再現すること、報告すること。それは、語りの問題でもある。「わたしの語り」あるいは「わたしについての語り」。
「わたしの視野になにかが欠けていると思い」 「それは眼球めだまと金魚を買った」
と語る者がいる。一人称の「わたし」と三人称の「それ」を使い分けながら〈わたし=それ〉について語る者。あたかも三人称の「それ」に言及するように一人称の「わたし」について語ることのできる、「わたし」でも「それ」でもない語り手。
その語り手は眼球を使って〈わたし=それ〉を見たのだろうか。うーん。語り手として、わたしたちは見たことも聞いたこともないことを語ることができるけど。
それはメタ視点の〈わたし〉だろうか。メタ視点の〈わたし〉と思いたがる態度は、なんとしてでも〈わたしの視点〉を死守しようとする心に由来しないだろうか。もしも、〈わたしの視点〉が〈わたし〉の意識の圏内になかったら、どうするのか。〈わたしの���点〉が無意識の視点として〈わたしの視点〉になりかわるとき、目が口ほどに物を言い始めるチャンスだ。目だけではない。様々な物たちが物を言い始める。指、髪、鼻、表情、性器、身長、体重、性別、世代、口癖、言い間違い、ファッション、スマホの機種、アクセサリー、食生活、インテリア、嗜好品、社会階層、家庭環境、トラウマ。〈わたしの視点〉を死守する心が〈わたしの盲点〉を前にして挫折するどころか〈無意識のわたしの視点〉をそこに見出すとき、〈わたし〉は言っていないことを言っていて、思っていないことを思っている。ヤバすぎる。無意識の解釈は信頼できる人や権威ある人にやってもらいたい。と、わたしは思うだろう。「と、わたしは思うだろう」と回収する〈わたしたち〉の法。
こんなにインクを使ってわたしに空いている穴がわたしの代わりに泣くの
深ければ深いほどいい雀卓がひそかに掘りさげていく穴は
/平岡直子「鏡の国の梅子」(同人誌『外出』2号)
〈わたし〉の個別性は〈わたしたち〉の法に抵抗できるはずだ。という主張は、きっと何度も繰り返されてきた。〈私性〉はしょせん共同体の一員としての制限された〈わたし〉のことだ、と言ってみたところで、かつての「共同体の一員」たちのなかにも、そのような意味での〈私性〉に回収されない〈この・わたし〉たちが次々と発見されるはずだ。それが本来の意味での〈私性〉だ。話は決まっている。その都度、うまく解釈を施せば、法文を変える必要はない。解釈できないものについては、例外事項として扱えばいい。例外的な〈わたし〉たち。動物、魔法使い、「ミューズ」、など。「穴」はどうしようか。
さいころにおじさんが住み着いている 転がすたびに大声がする
はるまきがみんなほどけてゆく夜にわたしは法律を守ります
/笹井宏之『てんとろり』
あるいは、〈わたし〉など言葉の遊戯の一効果にすぎない、と言ってみたとして。それが〈わたしたちの言葉の遊戯の法〉ではない、と言い切れるだろうか。ヴァーチャル歌人・星野しずるの作者・佐々木あららは次のように語る。
Q.これ、そもそもなんのためにつくったんですか?
僕はもともと、二物衝撃の技法に頼り、雰囲気や気分だけでつくられているかのような短歌に対して批判的です。そういう短歌を読むことは嫌いではないですが、詩的飛躍だけをいたずらに重視するのはおかしいと思っています。かつてなかった比喩が読みたければ、サイコロでも振って言葉を二つ決めてしまえばいい。意外性のある言葉の組み合わせが読みたければ、辞書をぱらぱらめくって、単語を適当に組み合わせてしまえばいい。読み手の解釈力が高ければ、わりとどんな詩的飛躍でも「あるかも」と受けとめられるはずだ……。そう考えていました。その考えが正し��のかどうか、検証したかったのが一番の動機です。
/佐々木あらら「犬猿短歌 Q&A」
読み手の解釈はそんなに万能ではないだろう。「わりとどんな詩的飛躍でも」、〈わたしたち〉に都合よく「あるかも」と解釈できるだろうか。現在、そのようなことは起きているだろうか。「わからない」「好みではない」「つまらない」「興味がない」「時間がない」といったことはないだろうか。それが駄目だという話ではない。〈理想の鑑賞者〉という仮想的な存在を想定した読者論はありうるが、短歌はそれを必要としているだろうか。AI純粋読者。
「雀卓がひそかに掘りさげていく穴は」「穴がわたしの代わりに泣くの」
「わたし」は泣いていないのだとして。「穴」があるかも。泣いているかも。
誰の声?
「なんでそんなことするんだよ」で笑いたいし、なんでそんなことするんだよ、を言いたい。〈なんでそんなことをするのかが分かる〉に安心するのは、それがもう「自分」だからだ。「自分」のように親しい安心感なんて、いくつあったっていい。 でも〈なんでそんなことをするのかが分かる〉でばかり生を満たしているとどうだろう、人はそのうち、AI美空ひばりとかで泣くことになるんじゃないか。
/伊舎堂仁「大滝和子『銀河を産んだように』」
やさしくて、人を勇気づけてくれる言葉だ。そう思う。
「雀卓がひそかに掘りさげていく穴は」「穴がわたしの代わりに」「AI美空ひばりとかで泣くことになるんじゃないか」
「わたし」の代わりに泣いているのは何だろう。〈わたしたち〉の法はその涙を取り締まれるだろうか。「泣くことになるんじゃないか」は「泣くな」ではない。「じゃないか」の声の震えは何だろう。もしかして、泣いてるんじゃないのか?
ころんだという事実だけ広まって誰にも助けられないだるま
もう顔と名前が一致しないとかではなく僕が一致してない
あたらしいかおがほしいとトーマスが泣き叫びつつ通過しました
/木下龍也『つむじ風、ここにあります』
機関車のためいき浴びてわたしたちのやさしいくるおしい会話体
/東直子『青卵』
ナレーションのような声によって、かわいそうなものがユーモラスに立ち上がる。ナレーターの「僕」もなんだかかわいそう。「だるまさんが転んだ」という遊びはだるまを助ける遊びではない。そもそも、鬼に自分から近づいていくような酔狂な者たちは、自身がだるまである自覚があるのか。いや、このゲームにだるまは存在するのか? 助けるに値しないだろ。「顔と名前が一致しない」は、通常、自分以外の誰かに向けられる言葉だが、歌を読み進めていく��それが「僕」に向けられた言葉であることが判明する。読者はそれに驚くだけではない。「顔と名前が一致しない」という言葉に含まれる攻撃性が「僕」自身に向けられることで、途端に空気がやわらぐのを感じて、ホッとする。笑う。あ、よかった、大丈夫だった。「僕が一致していない」と言う「僕」のユーモラスなかわいそうさは、このような言葉のドラマによって作られている。お前、かわいそうだな、でも大丈夫そうだ。〈立てるかい 君が背負っているものを君ごと背負うこともできるよ/木下龍也〉。アンパンマンとトーマスのキメラが泣き叫んでいるらしい。「ためいき」の向こう側で。「ためいき浴びてわたしたちのやさしいくるおしい会話体」。こちらだって、くるおしい。
「ためいき」の向こう側に、言葉が無数の涙を作れてしまうとして。〈わたしたちの言葉の遊戯の法〉を超えたところに涙を作れてしまうとして。〈わたし〉の涙は計算不可能な可能性の中で生じた一効果なのだとして。涙に理由はないのだとして。やっぱり、本当に泣いている〈わたし〉もいるでしょう? 泣いている〈わたし〉を助けてあげたい? 「なんで泣いているんだよ」。
止まらない君の嗚咽を受けとめるため玄関に靴は溢れた
/堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』
アガンベンの直感はこうである。すなわち、法にとって「思考不可能」なはずの生〔=既存の法では取り扱えない種類の「生」〕、この「生」は法にとって法の空白をなしてしまうものであるが、しかも仮にそこで留まれば、「生」は単なる法外・無法として放置されるはずであるが、しかしそういうことは決して起こることはなく、法は、「生」が顕現するその状態を例外状態や緊急事態として法的に処理しようとする。ここまでは、よい。その通りである。しかし、アガンベンは続けて、そのように「生」が法に結びつけられると「同時」に、「生」は法によって見捨てられることになると批判したがっている。今度は、「生」は、法的に法外へと見捨てられ、あまつさえ無法な処置を施されると言いたがっている。しかし、その見方は一面的なのだ。主権論的・法学的に過ぎると言ってもよい。というのも、「生」の側から言うなら、今度は、「生」が法外な暴力を発揮して、「生」を結びつけたり見捨てたりする法そのものを無きものとし、ひいては統治者も統治権力も無力化するかもしれないからである。そして、疫病の生とは、そのような自然状態の暴力にあたるのではないのか。
/小泉義之「自然状態の純粋暴力における法と正義」『思想としての〈新型コロナウイルス禍〉』、161-162頁、〔〕内注記は平
実状に合わせて、法文書の中に例外事項をひたすら増やし、複雑にすること。その複雑な法文書を読み解ける専門家機関を作ること。それを適切に運用すること。そういった法の運用では〈わたしたち〉の生を守ることができないような事態に直面したとき、法よりも共通善が優先され、法が一時的に停止される。「例外状態」。法の制約から解放された権力が動き出すだろう。法が停止した世界において、それでも法外の犯罪(という語義矛盾)を統制するため。法の制約から解放されたのは権力だけではない。〈わたし〉たちだって法外に放り出されたのだ。「ホモ・サケル」。そこには、〈わたし〉ならざる者たちが、〈わたしたち〉の法を無力化しながら、跋扈することのできる世界があるだろうか。(穂村弘が「女性」という形象の彼方に夢見た世界はそういうものだったかもしれない。*注1)
法外に流されている暴力的な涙はあるだろうか。理由のない涙の理由のなさをテクストの効果に還元して安心しようとするテクスト法学者を、その涙が無力化するだろうか。涙する眼は、見ることと知ることを放棄する。両眼視差と焦点を失いながら、けれどもたんに盲目なのではない涙目の視点。
それは哀願する。まず第一に、この涙はどこから降りてきたのか、誰から目へと到来したのかを知るために。〔…〕。ひとは片目でも見ることができる。目を一つ持っていようと二つ持っていようと、目の一撃によって、一瞥で見ることができる。目を一つ喪失したり刳り抜いたりしても、見ることを止めるわけではない。瞬きにしても片目でできる。〔…〕。だが、泣くときは、「目のすべて」が、目の全体が泣く。二つの目を持つ場合、片目だけで泣くことはできない。あるいは、想像するに、アルゴスのように千の目を持つ場合でも、事情は同じだろう。〔…〕。失明は涙を禁止しない。失明は涙を奪わない。
/ジャック・デリダ『盲者の記憶』、155-156頁
涙目の視点。
振り下ろすべき暴力を曇天の折れ曲がる水の速さに習う
噴水は涸れているのに冬晴れのそこだけ濡れている小銭たち
色彩と涙の国で人は死ぬ 僕は震えるほどに間違う
価値観がひとつに固まりゆくときの揺らいだ猫を僕は見ている
ゆっくりと鳥籠に戻されていく鳥の魂ほどのためらい
/堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』
「振り下ろすべき暴力」などないと話は決まっている。合法の力と非合法の暴力とグレーゾーンがあるだけだ。倫理的な響きをもつ「べき」をたずさえた「振り下ろすべき暴力」などない。語義矛盾、アポリア。けれども、「法外の犯罪」などという語義矛盾した罪の名を法的に与えられるその手前、あるいはその彼方での〈わたし〉たちの跋扈を、「振り下ろすべき暴力」という名の向こうに想像してみてもいい。
語義矛盾のような〈わたし〉は語義矛盾のような言葉を聞くことができる。「世界の変革者であり、同時に囚獄無き死刑囚である人間」(塚本邦雄)。
短歌に未来はない。今日すらすでに喪っている。文語定型詩は、二十一世紀の現実に極微の効用すらもちあわせていない。一首の作品は今日の現実を変える力をもたぬのと同様に、明日の社会を革める力ももたない。 私は今、その無力さを、逆手にもった武器として立上がろうなどと、ドン・キホーテまがいの勇気を鼓舞しようとは思わない。社会と没交渉に、言葉のユートピアを設営する夢想に耽ろうとももとより考えていない。 短歌は、現実に有効である文明のすべてのメカニズムの、その有効性の終わるところから生れる。おそらくは声すらもたぬ歌であり、それゆえに消すことも、それからのがれることもできぬ、人間の煉獄の歌なのだ。世界の変革者であり、同時に囚獄無き死刑囚である人間に、影も音もなく密着し、彼を慰謝するもの、それ以上の機能、それ以上の有効性を考え得られようか。 マス・メディアに随順し、あるいはその走狗となり、短歌のもつ最も通俗的な特性を切り売りし、かろうじて現実に参加したなどという迷夢は、早晩無益と気づくだろう。
/塚本邦雄「反・反歌」『塚本邦雄全集』第八巻、28頁
「現実を変える力」を持たぬ「世界の変革者」は、通常の意味では変革者ではない。有罪と裁かれる日も無罪放免となる日も迎えることはない。ということは、その「変革者」は囚獄の中にも現実の中にも生きる場所を持たない。そんな人間いるのか。もしも批評家がその変革の失敗を裁くことでその人間に生きる場所を与え、歴史に刻むならば、その失敗がそもそも不可能な失敗であったことを見落としてしまうだろう。なんて無意味なこと。けれども、目指されていた変革も失敗の裁きもなしに、まったく別の道が開かれることがある。そういう想像力は必要だ。
短歌に未来はない。今日すらすでに喪っている。
マス・メディアに随順し、あるいはその走狗となり、短歌のもつ最も通俗的な特性を切り売りし、かろうじて現実に参加したなどという迷夢は、早晩無益と気づくだろう。
これらのメッセージを、塚本邦雄がそう言っているのだから、と素朴に真に受けてはならないだろう。マス・メディアに随順するのか、塚本邦雄に随順するのか、そういった態度。
筋肉をつくるわたしが食べたもの わたしが受けなかった教育
/平岡直子「水に寝癖」
洗脳はされるのよどの洗脳をされたかなのよ砂利を踏む音
/平岡直子「紙吹雪」
「そうなのよ」「そうじゃないのよ」と口調を真似て遊んでいると「砂利を踏む音」にたどり着けない。どんな人にも「わたしが受けなかった教育」があるし、なにかしら「洗脳はされる」。だからなんだよ。今、口ほどに物を言っているのは何。「砂利を踏む音」。くやしい。
リリックと離陸の音で遊ぶとき着陸はない 着陸はない
/山中千瀬「蔦と蜂蜜」
気付きから断定、発見から事実確認、心内語的つぶやきから客観的判断へと、フレーズの相が転移するリフレイン。「リリックと離陸の音で遊ぶとき」、その「とき」に拘束されて、ある一人の人が「着陸はない」と気づいた。気づいてそう言った。けれども、二度目の「着陸はない」からは、「とき」や〈気付きの主体〉の制約を受けないような、世界全体を視野におさめているかのような主体による断定の声が聴こえてくる。聴こえてきた。
「着陸はない」世界に気づいた主体が、一瞬にしてその世界を生ききった上で、振り返り、それが真実であったと確かめてしまった。一瞬で老いて、遺言のような言葉を繰り出す。事実と命題の一致としての真理は、その事実を確認できる主体にだけ確かめることができるのだ。〈わたしたち〉にとって肯定も否定もできない遺言。「だってそうだったから」で提示される身も蓋もない真理は「なんで」を受け付けない。
世界の真理がリフレインの効果によって、身も蓋もない仕方で知らされること。説明抜きに、真理を一撃で提示するという暴力からの被害。それは、爆笑する身体をもたらすことがある。自身の爆笑する身体に「なんで爆笑してるんだよ」とツッコミをしようと喉に力を込めながら、その声を捻り出すことはできずに、ひたすら身体を震わせて笑う。「アッ」「ハッ」「ハッ」「ハッ」と声を出しながら息を吸う。呼吸だけは手放してならないのは、息絶えるから。「着陸はない」と二度繰り返して息絶えてしまうのは、歌の主体だけなのだ。
もちろん、「着陸はない⤵︎ 着陸はない⤵︎」のような沈鬱な声、「着陸はない⤴︎ 着陸はない⤴︎」のような無邪気な声を聞き取ってもいい。「着陸はないヨ」「着陸はないネ」「着陸はないサ」のように終助詞を補って聞くこと。リフレインの滞空時間が終わるやいなや一瞬にして息絶えてしまうような声が〈わたしたち〉に求められていないのだとしたら。
「終」助詞というのは、近代以後の命名だが、話し言葉の日本語の著しい特徴であって、話し相手に向かって呼びかけ、自分の文を投げかける働きの言葉である。だから見方によれば、文の終わりではないので、自分の発言に相手を引き込もうとしている。さらに省略形の切り方では、話し相手にその続きを求めている、と言えよう。このように受け答えされる文は、西洋語文が、主語で始まって、ピリオドで終わって文を完結し、一つ一つの文が独立した意味を担っているのとは大きな違いである。
/柳父章『近代日本語の思想 翻訳文体成立事情』、91頁
近代に、西洋の文章を模倣するように、「〜は」(主語)で始まって「た。」(文末)で終わる〈口語文〉が作られた。それ以前には、日本語文には西洋語文に対応するような明確な〈文〉の単位は存在しなかった。句読点にしても、活字の文章を読みやすくするための工夫(石川九楊、小松英雄の指摘を参照)と、ピリオド・カンマの模倣から、近代に作られた。
言文一致体=口語体が生み出されてから100年が経つ。けれども、句読点をそなえた〈口語文〉を離れるやいなや、「着陸はない」が「。」のつく文末なのか終助詞「ヨ・ネ・サ」を隠した言いさしの形なのか、いまだに判然としないのが日本語なのだ。
ところで、近代の句読点や〈文〉以前に、明確な切れ目を持つ日本語表現として定型詩があったと捉えられないだろうか。散文のなかに和歌が混じる効果。散文の切れ目としての歌、歌の切れ目としての散文。
句読点も主語述語も構文も口調や終助詞も関係なく、なんであれ31音で強制的に終わること。終助詞を伴いながらも、一首の終わりに隔てられて、返される言葉を待つことのない平岡直子の歌の声。「着陸はない 着陸はない」のリフレインの間に一気に生ききって、どこかに居なくなってしまう声。
老いについての第一の考え方は、世論においても科学者の世界においても広く共有されている目的論的な考え方で、それによれば、老いとは生命の自然な到達点で、成長のあとに必然的に訪れる衰えである。老いは「老いてゆく」という漸進的な動きから離れて考えることはできないように思える。〔…〕。飛行のメタファー〔上昇と下降〕はまさに、老いをゆっくりと少しずつ進んでゆく過程として性格づけることを可能にする。それは、人生の半ばに始まり、必ずや直線的に混乱なく進むとは限らないとしても、段階を順番に踏んでいくのである。〔…〕。第二の考え方は老いを、漸進的な過程としてだけでなく、同時に、また反対に、ひとつの出来事として定義する。突然の切断、こう言ってよければ、飛行中の事故アクシデント。どれほど穏やかなものであったとしても、すべての老化現象の内には常に、思いもよらなかった一面、破局的な次元が存在するだろう。この、思いもよらなかった出来事としての老化という考え方は、第一の図式を複雑なものにする。老化について、老いてゆくというだけではどこか不十分なのだと教えてくれる。それ以上の何か、老化という出来事が必要なのである。突然、予測のつかなかった出来事が、一挙にすべてを動揺させる。老いについてのこの考え方は、徐々に老いてゆくことではなく、物語のなかでしばしば出会う「一夜にして白髪となる」という表現のように、その言葉によって、思いがけぬ、突然の変貌を意味することができるとすれば、瞬時の老化と呼びうるだろう。〔…〕。かくして、その瞬時性において、自然なプロセスと思いもよらぬ出来事の境界が決定不能になるという点で、老いは死と同様の性格をもつだろう。人が老いて、死んでゆくのは、自然になのか、それとも暴力的になのか。死とは、そのどちらかにはっきりと振り分けることができるものだろうか。
/カトリーヌ・マラブー『偶発事の存在論』、76-80頁、〔〕内注記は平
徐々に老いてゆくことと瞬時に老いること。それはたんに速度の問題なのではない。同一性を保ちながら徐々に老化することと、他なる者になるかのように突如として老化すること。衰えること、老成すること、年齢に見合うこと、若々しいこと、老けていること、大人びていること、子供っぽいこと。幼年期からの経験や思考の蓄積からスパッと切れて無関心になってしまうこと、来歴のわからない別の性格や習慣を持つこと。長期にわたって抑え込まれていたものの発現や変異、後から付け加えられたものの混入や乗っ取り。
自分の周りで生きている人々が老いてゆく過程に、私たちは本当に気づいているだろうか。私たちはたしかに、ちょっと皺が増えたなとか、少し弱ったなとか、体が不自由になったなと思う。しかし、そうだとしても、私たちは「あの人は今老いつつある」と言うのではなく、ある日、「あの人も老いたな」と気づくのである。
/カトリーヌ・マラブー、前掲書、80-81頁
内山昌太の連作「大観覧車」では、肺癌を診断された「父」の、余命一年未満の宣告をされてから死後までが描かれる。
父のからだのなかの上空あきらかに伸び縮みして余命がわたる
巨躯たりし父おとろえてふくらはぎ一日花のごとくにしぼむ
父も死に際は老いたる人となり寝室によき果物を置く
壊れたる喉をかろうじて流れゆくぶどうのひとつぶの水分が
/内山昌太「大観覧車」(同人誌『外出』三号)
「父も死に際は老いたる人となり」。あっという間の出来事だったのではないか。おそらく、「父」はもともと老人と言ってもいい年齢だった。けれど、「死に際」に「老いたる人」となったのだ。
定型と技巧を惜しみなく使って肉親の死を描くこと。「死」は定型と技巧かもしれない。「かもしれない」の軽薄さを許してほしい。定型の両義性。自然であり非−自然であるもの。なんであれ31音で強制的に終わることは人間が作り出した約束事に思われるかもしれないが、それは〈わたしたち〉が自由に交わせる約束よりは宿命に近いだろう。約束は破ることが可能でなければ約束ではない。あるいは、破られる可能性。偶然と出来事。宿命に対する技巧とは約束を作ることだろう。そこに他者がいる。あるいは〈わたし〉が他者になる。
〈作品化することは現実を歪めることである〉という考え方がある。事実と表象との対応に着目する立場。もしも〈父のふくらはぎが「一日花のごとくにしぼむ」かのように主体には見えた〉〈見えたことを「一日花のごとくにしぼむ」とレトリカルに書いた〉とパラフレーズするならば、作品は現実を歪めていないと言える。「見えた」「書いた」のは本当だからだ。けれど、そんな説明でいいのだろうか。また口よりも目を信用している。「一日花のごとくにしぼむ」を現実として受け入れられないだろうか。作品をそれ自体一つの出来事として。
「しぼむ」という動詞の形。活用形としては終止形だが、テンス(時制)やアスペクト(相:継続、瞬時、反復、完了、未完了など)の観点から、「タ形」(過去・完了)や「テイル」(未完了進行状態・完了結果状態などさまざま)と区別して「ル形」と分類される形である。西洋文法に照らし合わせるなら、「不定形」あるいは「現在形」だ。(日本語では〈明日雨が降る〉のように「ル形」で未来を表現することもある)。
「しぼんだ」(過去・完了)や「しぼんでいる」(現在・進行)と書かれていれば、〈主体の知覚の報告〉として読めるかもしれない。時制についても、相についても、語り手の位置に定位した記述として読める。けれども「しぼむ」はどうだろう。西洋文法において「不定形」とは、時制・法(直接法、仮定法、条件法など)・主語の単複と人称といった条件によって決められた形(=定形)ではない、動詞の基本的な形のことである。
この不定形的な「ル形」を、助動詞や補助動詞を付けずに、剥き出しにして「文末」にすること。そのような「ル形」の文末は、語り手の位置に定位した時制や確認判断を抜きにした、一般的命題���あるいは出来事そのものの直接的なイメージを差し出すことがある。
柳父章によれば、近代以前にも「ル形」の使用はわりあい多いという。けれども、それは標準的な日本語の用法ではなかった。古くは和文脈の日記文でよく使われていた。漢文体や『平家物語』でも一部使われている。そして、「おそらく意識的な定型として使われたのは、戯曲におけるト書きの文体」(97頁)である(*注2)。日記文やト書きは、原則として読者への語りを想定しない書き物であるため、語法が標準的である必要がないのだ。
文末が「ル形」で終わる文体は、脚本とともに生まれたのだろうと思う。脚本では、会話の部分と、ト書きの部分とは、語りかけている相手が違う。会話の部分は、演技者の発言を通じて、結局一般観客に宛てられている。しかし、ト書きの部分は、一般観客は眼中にない。これは演技者だけに宛てられた文である。〔…〕。 文法的に見ると、ト書きの文には、文末に助動詞がついてない。〔…〕。 すなわち、ト書きの文末には、近代以前の当時の通常の日本文に当然ついていたはずの、助動詞や終助詞が欠けている。「ル形」で終わっているということは、こういう意味だった。 逆に考えると、まともな伝統的な日本文は、ただ言いたいことだけを言って終わるのではない。読者や聞き手を想定して、文の終わりには、話し手、書き手の主体的な表現を付け加える。国文法で言う「陳述」が加わるのである。「ル形」には、それが欠けているので、まともな日本文としては扱われていなかった、ということである。
/柳父章、前掲書、99−100頁
このような来歴の「ル形」は、その後、西洋語文の「現在形」や「不定形」の翻訳で使われるようになり、より一般化した。それをふまえた上で、読者を想定した日本文の中で「ル形」を積極的に使ったのは夏目漱石だった。歌に戻ろう。
巨躯たりし父おとろえてふくらはぎ一日花のごとくにしぼむ
「しぼむ」のタイムスパンをどう捉えるか。ある時、ある場所で、「一日」で「しぼむ」のを〈見た〉のだろうか。おそらくそう見えたのだろう。けれども、他方で、この歌は「その時、その場」の拘束から逃れてもいる。「しぼむ」には「文の終わり」の「話し手、書き手の主体的な表現」が欠けているのだ。ト書きを読めば、ある時ある場所に拘束されずに、何度でもそれを上演し体験できる。それに似て、この「しぼむ」は読者に読まれるたびにそこで出来事を起こすだろう。
「しぼむ」について、今度は「話し手、書き手」の位置ではなく、「言葉のドラマ」を参照しよう。
「巨躯たりし父おとろえてふくらはぎ一日花のごとくに」
「ふくらはぎ」と「花」は決して似ていない。「花」と言われると、人は通常〈咲いている花〉を思い浮かべるだろう。「一日花」は一日の間に咲いてしぼむ花のことだが、だからこそ、咲いているタイミングが貴重に切り取られるのではないか。「ふくらはぎ」と〈咲いている花〉は形状がまったくちがう。にもかかわらず、〈ふくらはぎ・一日・花の〉のように、「が」や「は」といった助詞を抜きに、似ていないイメージ・語彙が直接に連鎖させられている。意味的にもイメージ的にも、この段階では心許ない。結句にいたっても、「ごとくに」に四音が割かれており、一首全体が無事に着陸する望みは薄いだろう。〈ふくらはぎ・一日花の・ごとくに〉と言われても、「ふくらはぎ」はまったく「花のごとく」ではないのだから。
最後の最後で、「しぼむ」の突如の出現が一首に着陸をもたらす。「突如」として「着陸」が訪れる。「花のごとく」なのは「ふくらはぎ」ではなくて、それが「しぼむ」ありさまであったことが、最後に分かる。
うまく着陸したからといって、〈ふくらはぎ・一日花の〉における語と語の衝突の記憶がすぐに消えてなくなることはない。でなければ、「しぼむ」がこのように訪れてくれることはない。衝突事故をしても着陸すること。「ふくらはぎ」にまったく似たところのない、異質なものとしての「花」が、助詞抜きで直接的に連鎖させられることによって生じる読者の戸惑い。その戸惑いが、結句未満の最後の三音で解消されるという出来事。
「話し手、書き手」から遊離した「言葉のドラマ」の中の「しぼむ」は、もちろん書き手の感性の前に現れた「しぼむ」でもあっただろう。〈見えたことを「一日花のごとくにしぼむ」とレトリカルに書いた〉は間違いではない。「父」と〈わたし〉のドラマを「言葉のドラマ」へと還元して、蒸発させてしまってはいけない。それは単純化だ。「社会と没交渉」になってたったの二歩で「言葉のユートピアを設営」してしまうような、一般論として振りかざされる「作者の死」は心が狭い。
靴を脱ぎたったの二歩で北限にいたる心の狭さときたら
/平岡直子「視聴率」(同人誌『率』9号)
内山の作品には、「老い」について「ル形」を使いながら〈語り手=書き手の声〉を聞かせる作品が他にもある。
読点の打ちかたがよくわからないまま四十代、中盤に入る
/内山晶太「蝿がつく」(同人誌『外出』二号)
「ル形」の効果だろうか。歌の語り手はあきらかに書き手だが、仮に書き手である内山昌太が嘘をついていたとしてもこの歌は成り立つだろう。歌のなかでの語り手=書き手=〈わたし〉は「内山昌太」から遊離している。だからといって架空のキャラクターを立てる必要もない。〈書き手の声〉が〈書くこと〉について語っているという出来事が確認されれば、ひとまずはいい。
結局のところ、「読点」は適切に打たれたのかわからない。「三十代」「四十代」という十年のサイクルは規則的に進むが、内山はそこに不規則性、あるいは規則の曖昧さを差し込もうとしている。不規則はどこから生まれるのか。規則が明文化されているかどうか、規則がカッチリしているかどうか、ではない。規則を使うとき、従うときに、不規則が生まれる。「使う」「従う」といった行為。そこには、うっかりミスや取り違え、愚かさや適当さがある。
内山自身による先行歌がある。
ペイズリー柄のネクタイひとつもなく三十代は中盤に入る
/内山晶太『窓、その他』
「四十代、中盤」や「三十代は中盤」というふうに、「◯十代」と「中盤」の間に何かを差し込もうとする手がある。
十年のサイクルについて、あらかじめ目標を立てるのであれ、後から反省するのであれ、「◯十代」という表記はその十年の全体を一挙に指示する。自動的で、明快で、有無を言わせない〈十年の単位〉に対して、「中盤」という曖昧な幅を当ててみること。
「三十代中盤」や「四十代中盤」という表記であったなら、「中盤」は〈十年〉の中の一部として回収されてしまうかもしれない。けれど、「三十代は中盤に入る」、「四十代、中盤に入る」という表記によって、徐々に進行しながら曖昧にその意味や価値を変質させていく、一様ならざる時間の幅へと〈十年〉が取り込まれていくかのようだ。「中盤」っていつからいつまで��んだ。きっと、サイクルごとに「中盤」の幅は伸び縮みするだろう。3年、5年? 8年くらい中盤で生きる人もいるのかな。
眠ること、忘れることを知らないで、昼的な覚醒を模範とする精神には、決して捕捉されることのない曖昧な時間。その時間のうちに〈十年の単位〉を巻き込んで、一身上の都合から伸び縮みするリズムの個人的な生を主張する視点。〈君の死後、われの死後にも青々とねこじゃらし見ゆ まだ揺れている/大森静佳〉と好対照だ。というのは、「リズムの個人的な生」の主張は、それを意識すればその都度タイムリミットのように減っている〈十年〉への不安とペアなのだから。
「中盤に入る」は淡々とした地の文の語りのようでもありながら、規則的に進行する〈十年〉のテンポに従うことのない「中盤」の速度を確保しようとする〈わたし〉の主体的な決意の言葉のようでもある。歌から聞こえてくる声が、三人称視点的な叙述なのか一人称的な心内語やセリフなのかの微妙な決定不可能性は、〈十年の単位〉について社会に語らされている主体と「中盤」を能動的に語っている主体のせめぎ合いに似る。
十年のサイクルは自然的な所与なのか、社会的な構築物なのか。絶対に無くなる時間の宿命を約束と取り違えること。それから、その約束を破ってしまうこと。二重のうっかりだ。だから、うっかりと変な歳のとり方をする。年齢相応じゃない。うっかりはポエジーだろう。
二つのタイプの老化、漸進的な老化と瞬時の老化は、常に強く絡み合っており、互いに錯綜し、巻き込み合っている。だから、常になにがしかの同一性が、毀損した形であっても存続し、人格構造の一部分が変化を超えて持続するのだと言う人もいるだろう。そうだとしても、どれだけ多くの人が、死んでいなくなってしまう以前に、私たちの前からいなくなり、自らを置き去りにしていくことだろう。
/カトリーヌ・マラブー、前掲書、93−94頁
〈わたし〉という語り手はうっかりと〈わたし〉から離脱してしまうことがある。深い意味もなく。身も蓋もないものの神秘を生み出しながら。その神秘を新たに〈わたし〉の神秘へと統合できるのか、そうではないのか。
君の死後、われの死後にも青々とねこじゃらし見ゆ まだ揺れている
/大森静佳『てのひらを燃やす』
「ねこじゃらし見ゆ」を受ける視点。それは「君」でも「われ」でもなく、「君の死後、われの死後」に、「まだ揺れている」と言うことのできる語り手の視点だ。語り手の案内を受けて導かれた読者の視点だ。読者の〈わたし〉はいったいどこに案内されたのだろうか。「まだ揺れている」と語る「われ」ならざる〈わたし〉はどの〈わたし〉で、「それ」はどこにいるのか。
この歌の視点について、ひとつ現実的に想像してみよう。
現実に、ある時ある場所で、「君」と「われ」が青々としたねこじゃらしを見ている。会話はなく、ねこじゃらしが揺れるのをぼうっと見ている。注意して観察しているのではなく、なんとなく、その青々とした緑色の揺れるのが目に入るがままだ。受動的で反復的な視覚体験によって、体験の主体は動くモノの側に移っていく。ねこじゃらしが揺れれば〈揺れ〉を感じ、こすれれば〈こすれ〉を感じるような体験のあり方。その時、ねこじゃらしの「青々」や「揺れ」は、「君」や「われ」が見ていようが見ていなかろうが、それとは独立に持続する運動のように現象するだろう。
持続するそれは「われ」の主観から独立してイデアルに永続するナニカというよりは、「われ」が〈意識的に見る主体=見ていることを意識する主体〉ではない限りにおいて成立するかりそめの現象だ。その現象に身を任せている間、「われ」は変性意識的な状態かもしれない。意識の持続は、見ていることの自覚ではなく、「ねこじゃらし」の「揺れ」の運動と一致する。「われ」の肉体も〈君とわれ〉の関係もそっちのけで、ねこじゃらしが揺れる。
魂がそのように「われ」から遊離していきながら、やっぱり振り返る。「われ」から遊離した、ほとんど死後的な魂の視点は振り返る。きっと、そうでなくちゃ困るのだ。振り返る視線によって、「君」と「われ」が「視野」に入る。「視野」に入れるという肯定の仕方だ。というのは、ねこじゃらしを見ている限り、「君」と「われ」は互いに「視野」に入らないはずなのだ。
〈君とわれ〉というペアの存在が、「君」も「われ」もいつか死ぬという身も蓋もない事実を絆帯として、常軌を逸した肯定をされてしまった。
「君とわれの死後にも」ではなく「君の死後、われの死後にも」と書き分けられている。「君」と「われ」のどちらが早く死ぬか、死ぬまでにどのような関係性の変化があるか、どのような経験の共有があるのか。そういったことに関心を持つ生者の視点はない。その視点があるならば、たとえば次の歌のように二者の断絶が描かれてもいい。
その海を死後見に行くと言いしひとわたしはずっとそこにいるのに
/大森静佳『カミーユ』
断絶の構図を作らずに、〈、〉で並列させられる形で肯定される関係は何だろう。生前から死後までを貫くような、〈君、われ〉の関係の直観。〈君とわれ〉の「君の死後、われの死後」への変形。その変形による肯定は、〈君とわれ〉の圏内においてはナンセンスだ。〈「君」が死んでも、「われ」が死んでも、ねこじゃらしは変わらず揺れているだろうね〉ならば、それは〈君とわれ〉の相対化だ。それで心身は軽くなるかもしれない。その軽さに促されるように〈生〉のドラマは展開するかもしれない。けれども、生前から死後までを貫く二者の並列関係の肯定にはなりえない。
〈生前から死後までを貫く二者の並列関係〉はナンセンスなフレーズだ。だからこそ、その肯定は常軌を逸している。ナンセンスな肯定が、常軌を逸した視点から、すなわち、「われ」の魂が遊離して別の生の形をとっている間にだけ持続するかりそめの語り手の視点からなされた。
語り手の視点を「死後の視点」と一息に言ってはならない。そう言ってしまうなら、語り手の位置の融通無碍な変化を見落とすことになる。「君の死後、われの死後にも青々とねこじゃらし見ゆ」から「まだ揺れている」の間には、語り手の視点にジャンプがある。山中千瀬の「着陸はない 着陸はない」のリフレインと似た効果がこの歌の一字あけにおいても生じているのだ。
「君の死後、われの死後にも青々とねこじゃらし見ゆ」という言い切りの裏には、〈見えるだろう〉という直観が働いている。〈直観の時〉があり、〈時〉に拘束された「言い切り」がある。
直観された真実がそのままで場を持つことは、しばしば難しい。けれどもこの歌において、その直観は、一字あけのジャンプを経て、「まだ揺れている」を言うことのできる死後的な主体によって確認されることで場を持つことになる。「まだ〜ている」においては、「ル形」とは異なり、明らかに主体による確認判断が働いているだろう。直観を事実として確かめることのできるような不可能な主体へのジャンプ。
歌が立ち上げる〈不可能な声〉がある。
直観した時点から、それを確認する時点へのジャンプ。���こには、他なる主体の声になるかのような突如の変化と、同じ一つの〈歌の声〉の持続の、二つの運動の絡み合いがあるだろう。一首は一つの声を聞かせる。言葉を強引に一つの声へと押し込めることによって、通常では不可能なことを言うことができる。通常では、ナンセンス、支離滅裂、分裂した声、破綻した言葉のように聞かれてしまうかもしれないものたちが、一つの歌となるときに、〈不可能な声〉を聞かせてくれる。どうして〈不可能な声〉を使ってまで〈君とわれ〉を視野に収めたのだろうか、という問いから先は読者に任せた。
わたしたちに不可能な声が聞こえてくるとき。
「それは眼球めだまと金魚を買った」 「穴がわたしの代わりに泣くの」 「はるまきがみんなほどけてゆく夜」 「僕が一致してない」 「機関車のためいき浴びてわたしたちのやさしいくるおしい会話体」 「振り下ろすべき暴力」 「着陸はない 着陸はない」 「ふくらはぎ一日花のごとくにしぼむ」 「まだ揺れている」
どんな声でも「あるかも」と思えるように解釈することができるのだとして、わたしたちはどんな声でも、なんであれ聞いてきたのではない。いくつかの不可能な声を聞いてきた。
「不可能な短歌の運命」を予告しつつ、あらかじめそれを過去のものにするために。不可能なものの失敗がそれを過去へと葬ったあとで、そのナンセンスな想起が不可能なものを橋やベランダとして利用できるようにするために。
/平英之「運命の抜き差しのために(「不可能な短歌の運命」予告編)」
2年前に僕はこんなことを書いていた。短歌を書くことも、文章を書くことも、僕にはほとんど不可能なことだった。なにが不可能だったのか。
分母にいれるわたしたちの発達、 くまがどれだけ昼寝しても許されるようなわたしたちの発達、 しかも寄道していてシャンデリア。 青空はわけあたえられたばかりの真新しくてあたたかな船。 卵にゆでたまご以外の運命が許されなくなって以来わたしたちは発達。 教科書ばかり読んでいたのでちっとも気のきいたことを言えなくてごめんなさい。 まったく世界中でわたしたちを愛してくれるのはあなただけね。 ベランダから生きてもどった人はひとりもいないっていうのにさ。 〔…〕
/瀬戸夏子「すべてが可能なわたしの家で」(連作5首目より、一部抜粋)
ベランダから生きてもどった人はひとりもいないっていうのに、ベランダから生きてもどろうとしていた。それが僕の抱えていた不可能なことだった。
*注1 穂村弘「〔…〕。それでたとえばフィギュアスケートだったら、スケート観よりも実際に五回転できるってことがすごいわけだけど、短歌においては東直子とかが五回転できて、斉藤斎藤が「いや、俺は跳びませんから」みたいな(笑)、「俺のスケートは跳ばないスケートですから」みたいなさ。僕は体質的には、本当は自分が八回転くらいできることを夢見る、跳べるってことに憧れが強いタイプでね、だから東直子を絶��するし、大滝和子もそうだし、つばさを持った人たちへの憧れがとくに強い。だからある時期まで女性のその、現に跳べる、そしてなぜ跳べたのか本人はわからない、いまわたし何回跳びました? みたいな(笑)、「数えろよ、なんで僕が数えてそのすごさを説明しなきゃいけないんだよ」みたいな、そういうのがあった。」 座談会「境界線上の現代短歌──次世代からの反撃」(荻原裕幸、穂村弘、ひぐらしひなつ、佐藤りえ)、『短歌ヴァーサス』第11号、112頁
*注2 柳父章『近代日本語の思想 翻訳文体成立事情』では、ト書きの比較的初期の用例として1753年に上演された並木正三『幼稚子敵討』の脚本から引用している。参考までに、以下に孫引きしておく。 大橋「そんなら皆様みなさん、行ゆくぞへ。」 伝兵「サア、おじゃいのふ。」 ト大橋、伝兵衛、廓の者皆々這入る。 …… …… 宮蔵「お身は傾城けいせいを、ヱヽ、詮議せんぎさっしゃれ。」 新左「ヱヽ、詮議せんぎ致して見せう。」 宮蔵「せいよ。」 新左「して見せう。」 ト詰合つめあふ。向ふ。ぱたぱた と太刀音たちおとして、お初抜刀ぬきがたなにて出る。 『日本古典文学体系53』岩波書店、1960年、112頁 本文で言及できなかったが、ト書き文体と口語短歌について考えるなら、吉田恭大『光と私語』(いぬのせなか座、2019年)を参照されたい。
【主要参考文献】 ・短歌 内山昌太『窓、その他』(六花書林、2012年) 大森静佳『てのひらを燃やす』(角川書店、2013年) 大森静佳『カミーユ』(書肆侃侃房、2018年) 木下龍也『つむじ風、ここにあります』(書肆侃侃房、2013年) 木下龍也『きみを嫌いな奴はクズだよ』(書肆侃侃房、2016年) 斉藤斎藤『渡辺のわたし 新装版』(港の人、2016年/booknets、2004年) 笹井宏之『てんとろり』(書肆侃侃房、2011年) 瀬戸夏子『そのなかに心臓をつくって住みなさい』(私家版歌集、2012年) 塚本邦雄「反・反歌」(『塚本邦雄全集』第八巻、ゆまに書房、1999年)(初出は『短歌』昭和42年9月号、『定型幻視論』に所収) 堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』(港の人、2013年) 東直子『青卵』(ちくま文庫、2019年/本阿弥書店、2001年) 平岡直子 連作「水に寝癖」(『歌壇』2018年11月号) 平岡直子 連作「紙吹雪」(『短歌研究』2020年1月号) 山中千瀬『蔦と蜂蜜』(2019年) 同人誌『率』9号(2015年11月23日) 同人誌『外出』二号(2019年11月23日) 同人誌『外出』三号(2020年5月5日) 『短歌ヴァーサス』第11号(風媒社、2007年)
・その他書籍 石川九楊『日本語とはどういう言語か』(講談社学術文庫、2015年) 沖森卓也『日本語全史』(ちくま新書、2017年) カトリーヌ・マラブー『偶発事の存在論 破壊的可塑性についての試論』(鈴木智之訳、法政大学出版局、2020年) 小泉義之「自然状態の純粋暴力における法と正義」(『思想としての〈新型コロナウイルス禍〉』、河出書房新社、2020年) 小松英雄『古典再入門 『土佐日記』を入りぐちにして』(笠間書院、2006年) ジャック・デリダ『盲者の記憶 自画像およびその他の廃墟』(鵜飼哲訳、みすず書房、1998年) 柳父章『近代日本語の思想 翻訳文体成立事情』(法政大学出版局、2004年)
・ネット記事 伊舎堂仁「大滝和子『銀河を産んだように』 」 佐々木あらら「犬猿短歌 Q&A」 平英之「運命の抜き差しのために(「不可能な短歌の運命」予告編)」
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「昔の話をしよう」は名作
黒井しばさんの「昔の話をしよう」って言う一連の動画投稿と配信を見て、溢れる気持ちを話す先がないので(白目)ここに書きます。
コロナでずっとストレスだったから、余計に心に響いたのかも知れない。
(ほんと、こうゆうのに弱いんです
初めての公開する文章で、感情のまま書いたので駄文なことご承知おき下さい。
黒井しばってゆうのは、virtual youtuber(vtuber)の一人で、にじさんじって言う、vtuber界隈では最も大きいグループ(規模もそうだけど影響力も)に所属してる犬で、そう、犬、獣耳がついてるとかでは無く、本当の犬。
最初は動画とか見て犬がシャベッタて、ビビる訳だけど、今回の企画はそのしゃべる犬こと黒井しばのなんで喋れるのかとかのルーツに関わる話っぽい。
思ったより重い話なんだけど、最終的にハッピーエンドっぽくなるので安心して見て欲しかったり。
この企画なんだけど、花伏しほって言う人に焦点があてられてます
この人が、がんか何かで余命幾ばくも無い時に、動けなくなる直前に書いた日記を題材にしていて、それをラジオドラマ的に読み上げる動画内容です。
その日記を公園の木の下に埋められていたのを、しばが見つけて、読むんだけど、読み進める内に他人で無い何かを感じて、なにこれ…ってなる。(しばが。
結論からゆうと、そのしほさんと旦那さんがしばの前の飼い主らしくて、しほさんの魂的なのがしばに入ってるから、しば喋れるらしい。(らしい
そんで読み終えた時に、しばがそのこと思い出して、あぁだから、しばは喋れるんだね。というシーンは、めっちゃ感動ものです。
見て下さい。
その後に、今、紹介したい人がたくさん居るんだよって、言うのがまた、、、こう話したくても今いないから伝えられなくて、この気持ちどこ持ってこうみたいなのが、バーって来るから、もどかしさみたいなのが溢れて来て、泣きます。(僕はボロボロです
でその後、何故かしほさん復活して、今度は良かったねぇって嬉し泣きします(僕はボry
僕は、配信を先に見てしまったのですが、動画を先に見て、配信を見たほうがいいかも知れない。URLクリックするとその順番で見れますので是非!(宣伝か?
(詐欺サイトじゃ無いです。ちゃんと youtubeのURLです。安心して下さい!)
配信終わった後すぐに「スターチス」でゆう歌プレミア配信するから、これももう卒業ソングみたいなゆったりしたもどかしいようなうたで泣かせに来てるとしか思えない。
ほんと、感情溢れる感じの歌だから是非聴いて欲しい。歌詞も、そのしばとしほさんたちの思い出の歌だから、感情が再現されるじゃ無いけど、なんつうのかいい言葉見つからないけど、エモな感情で溢れます。
いい…の一言実に良い。(語彙が欲しい…
歌詞の中に、そのしばとしほさんたちの思い出の話もとってもよくて、料理中にクロが飛びついて来るとか、話をねだるとか、一緒に庭いじりして怒られるとか、ほんと日常が垣間見えることが鏤められてて、そこに引き込まれる。
それがまた最後に旦那さんが残されて、日記を埋めるシーンとか、しばがしほさんとの約束を思い出すシーンとか、
最後に約束を守ったよとか、前にも書いたかけど、しほさんに紹介したい人がいるんだとか言うシーンとか、もう、もう、言葉ででこないや。
ほんと、しばさんがこんな企画するとかあんまり想像できなかったけど、これもまたバーチャルのいいところかも知れないなぁと思った。
メタ的な話になるけど、一人で二役とかバーチャルならいくらでも出来るからね、歌衣メイカさんとか、セシリアさんとか、フェアリスさんとか、これはちょっと違うか。例は幾らでも挙げられるけど、エイプリルプールのネタにもなってるし。
最初この企画もエイプリルフールのネタなんかなと思ったけど、この後も一緒に暮らすってゆってたし、配信とかも出るのかなと思って、そうなると��しばさんは人型を手に入れたとも言えるかもね。
一連の朗読劇とかその後の配信とか歌とか、ほんといい感じに作られてていいなーってなる。語彙が少ない。もっと言いたいことあるし、感動も伝えたいと思うけどこれが限度かなぁ
しばとクロってどう言う関係とか、日記埋めたところが公園ぽくなってんの何とか、しほさんの実体はどこから来たんとか気になるところはあるけど、そんなのポーンとどっかやっていい感じにまとまってるから、ずるいよねー
こうゆう企画もっとやって欲しいなぁって思う。
10万人突破したし、今後、しほさんの3d化とか旦那さんのバーチャル化とかありそうな予感がするのですごく楽しみ。
しばさん、ワクワクして待ってます!
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ドメニコ・ドラゴネッティ(Domenico Carlo Maria Dragonetti, 1763年4月9日 - 1846年4月16日)は、イタリアのコントラバス奏者、作曲家である。
◎人物
生まれて30年間を故郷で過ごし、喜劇オペラ、サン・マルコ寺院、ヴィチェンツァのグランド・オペラで働いた。その間に、彼の名は徐々にヨーロッパ全土にわたって知られるようになり、1794年のロシア皇帝から招待されるなどいくつかの招待を受けたが、彼はそれを断っている。結局、彼はロンドンの王立劇場オーケストラの一員となる誘いを受けて、残る生涯はかの地で暮らした。
50年にわたり、王配アルバート公やリンスター公爵のような有力者が集まる社交パーティーや、ロンドン楽友協会(Royal Philharmonic Society)のコンサートなど、イギリス首都における音楽行事には欠かせない人物となった。
彼はハイドンやベートーヴェンとも親交があり、ウィーンを何度か訪れ、彼らに コントラバスをソロ楽器として使う可能性を示している。それまでは、オーケストラの譜面ではチェロとコントラバスを同じパート譜にするのが普通だったが、ドラゴネッティの演奏技術の影響で、コントラバスのパート譜をチェロのパート譜とは別に変えるようになった。彼の名はまた、彼が生涯をかけて改良したドラゴネッティ弓を通じても今日に伝わっている。
◎経歴
●ヴェネツィア 1763-1794
ドラゴネッティは、ヴェネツィアにて、床屋で素人音楽家だったピエトロ・ドラゴネッティとカテリーナ・カレガーリの間に誕生した。彼は、父の楽器を使い、自分からギターとコントラバスを弾きはじめた。まもなく、ヴァイオリン奏者で舞踏曲の作曲家だったドレッティが彼を見出し、市中の人前で演奏するときに彼を伴うようになった。12歳で、彼はヴェネツィアで最高のコントラバス奏者だったベリーニに師事した。ベリーニはたった11回レッスンしただけで、既にこの子には教えることが何も無いと判断した。13歳で、ドラゴネッティはヴェネツィアの喜劇オペラの首席奏者に指名された。14歳のとき、彼は聖ベネデット劇場のグランド・オペラの首席コントラバス奏者となった。
18歳位のとき、トレヴィーゾにて、彼はトマジーニのカルテットに誘わた。そして、聖マルコの代理人(procurator)のモロジーニ(Morosini)の目にとまり、サン・マルコ寺院のオーディションを受けるように薦められた。彼は、1784年に初めて応募するが、このときはアントニオ・スピネッリに敗れた。結局、彼は1787年10月13日にここに採用される。このときは、教会のコントラバス奏者5名の末席で、報酬は年に25ダカットだった。しかし、彼はすぐに首席コントラバス奏者となり、ロシア皇帝から地位を用意して招待を受けるにいたった。その招聘は断ったものの、これによって、彼の報酬は上がった。その頃には、彼は非常に有名になり、当時のコントラバス奏者としては異例のソロ演奏を行いはじめ、ヴェネツィア共和国に14人の君主が来訪した際に開催された音楽祭のディレクターに選出されるまでになった。ナポリの女王は、彼のコンチェルトのひとつを特に高く評価した。
彼は、グランド・オペラの仕事でヴィチェンツァに赴いたが、そこで、当地の聖ペテロ修道院のベネディクト会の修道女から有名なガスパロ・ダ・サロ作のコントラバスを入手した。この楽器は、現在ではサン・マルコ寺院の博物館に収納されている。彼はロシア皇帝から新たな地位を提供されたが、聖マルコの代理人が報酬を50ダカット上乗せしたので、この招待も断った。聖マルコの代理人は、さらに、報酬を継続したままでロンドンの王立劇場に1年間行くことを認めた。それは3年間延長されたが、結局、ドラゴネッティはヴェネツィアがフランス支配を受けた1805年-1814年の間というごく短期間をのぞいてはヴェネツィアに帰ることはなかった。
●ロンドン 1794-1846
彼は1794年9月16日にヴェネツィアを離れ、1794年10月20日の王立劇場の初回リハーサルに参加し、1794年12月20日に、ジョヴァンニ・パイジエッロの作品であるオペラ『パルミーラのゼノビア』を演奏するオーケストラの一員として初出演した。数ヶ月の後には彼はロンドンでも大変有名になり、それ以降、人生の最後まで彼は脚光を浴び続けた。
その後、彼は王配アルバート公とリンスター公爵(Duke of Leinster)との親交を深めた。1816年から1842年の間に、彼はロンドン楽友協会(Royal Philharmonic Society)による42回の演奏会に出演した。イタリア・オペラ・オーケストラで、彼はチェロ奏者のロバート・リンドレーに出会い、親密になって、その後52年間共演を続けた。彼らのレパートリーでは、特にアルカンジェロ・コレッリのソナタを得意とした。
83歳のとき、彼はレスター・スクウェアにあった下宿で逝去し、1846年4月23日に聖マリア・ローマ・カトリック教会の墓所に埋葬され、1889年にウェンブレーのローマ・カトリック墓地に移された。ロンドンにおける彼の有名な友人は、ヴィンセント・ノヴェロ(Vincent Novello)とカルロ・ペーポリ伯爵(ベリーニ作曲のオペラ『清教徒』の台本家)である。
●ウィーン
1791年-1792年、ハイドンは、ドイツの音楽家で興行主だったヨハン・ペーター・ザーロモンからの提案を受けて、イギリスに渡って新しい交響曲を大編成のオーケストラで演奏することになった。この来訪は大きな成功を収め、彼の有名な作品がいくつも生まれた。このため、1794年-1795年に次の来訪が実現した。2回目の来訪で、ハイドンはドラゴネッティと出会い良き友人となった。ドラゴネッティは1799年にウィーンにいるハイドンのもとを訪れた。ドラゴネッティがベートーヴェンと親交があったことはよく知られているが、2人が出会ったのもこの初めてのウィーン来訪の間の出来事だった。 「ベートーヴェンはこの年、ほんのつかの間の出会いだったが、二人の知己を得た。この親交は後年に価値を生み出すことになる。ひとりは最高のコントラバス奏者として歴史に名を残すドメニコ・ドラゴネッティで、もうひとりは最高のピアニストのヨハン・バプティスト・クラマー(Johann Baptist Cramer)である。ドラゴネッティは驚異的技巧の名手だが、さらに、深く澄み渡るような音楽性を持っていたことでも知られている。彼は、手元の資料によれば1799年の春に、帰省していた故郷ヴェネツィアからロンドンに帰る道程でウィーンに立ち寄って、数週間を過ごした。そこで間もなく、彼とベートーヴェンとは出会った。両者にとってこの出会いは喜ばしいものだった。何年も後になって、ドラゴネッティは英国ブライトンのサミュエル・アップルビー殿にこう語った『ベートーヴェンは、新しい友人(ドラゴネッティ)が大きな楽器でチェロ曲を弾きこなせると聞いたので、ある朝、彼が部屋を訪れてきたとき、ソナタを聴きたいと望みを伝えた。そして、コントラバスを運んできて、チェロソナタ第2番Op.5-2
を選んだ。ベートーヴェンは自分のパートを弾きながらも、目はパートナーに釘づけになり、最終楽章でアルペジオにさしかかると嬉しさのあまり興奮して、演奏を終えるや奏者のところに飛んで行って楽器ごと抱きしめた。』 その後の数年間、オーケストラの不運なコントラバス奏者は、その楽器に見出した能力と可能性を、ベートーヴェンは忘れていないことを何度も思い知らされた。」(セイヤー, 1967年)今日でも、ベートーヴェンの交響曲のコントラバス・パートを修得することが、オーケストラの全コントラバス奏者に求められる能力の合格水準と考えられている。ドラゴネッティは、1808年-1809年、ウィーンに再び逗留した。2度目の逗留では、作曲家のジーモン・ゼヒター(Simon Sechter)と知己を得た。ジーモンは1824年に宮廷オルガン奏者になり、1851年にはウィーン音楽院の作曲の教授となる。彼はドラゴネッティのいくつかの演奏会向け小品にピアノ伴奏を書き、その後彼らは生涯にわたり連絡を取り合った。ドラゴネッティは1813年にみたびウィーンを訪れ、ベートーヴェンと再会した。ベートーヴェンは、初代ウェリントン侯爵アーサー・ウェルズリーがビトリアの戦いでナポレオン・ボナパルト率いるフランス軍を破った勝利を祝して、『ウェリントンの勝利』を書き上げたばかりだった。この作品の初演は、ベートーヴェンの交響曲第7番の初演と同時に、1813年12月8日大学の祝祭ホール(Festsaal)の演奏会で行われ、ドラゴネッティはコントラバスの首席奏者を務めた。
●演奏スタイル
ドラゴネッティは恐るべき力とスタミナの持ち主として知られている。コントラバスがオーケストラのテンポを決めて結束させコンサートマスターを支える役割の場合においては彼の能力はとりわけ重視された。彼の手は大きく、指は長く幅広で、駒を高くして他の奏者の楽器に比べて指板と弦が2倍も離れている楽器が演奏できた。
大きな手は彼の肉体的に優れた素質だ:第1に、鍛冶屋の万力のごとく楽器の弦を握りつける驚くべき力に恵まれた。恵まれた五指は長く、大きく、敏捷で、演奏する各音符に合わせて曲げた親指もあわせて5本すべてが指板を上下した。(カッフィ, 1855)
当時では、この演奏法は標準から外れていた。ほとんどの奏者は、あるポジションに手を置いたとき、ひとつの音を人差し指で押さえ、もうひとつの音を他の3本の指を合わせて押さえて演奏していた。
ドラゴネッティの奏法は並外れて力強く、ひとつの逸話が残っている。ホテルに泊まったある夜、彼は深夜にバルコニーに出てコントラバスを最大音量で弾いた。翌朝、ホテルの宿泊客は口々に「嵐が聞こえたかい?」と問いかけ合ったという。
ドラゴネッティは家族を持たなかったが、等身大のマネキンをいくつか持っており、しばしば旅行にも持参した。数年間、彼の身近な連れ合いは犬のカルロだった。カルロは演奏中は椅子の下で眠り、時々テノールのソロの最中に目を覚ましてうなり声をあげていた。
◎楽器
ドラゴネッティは優れた芸術作品を愛した。彼は楽器のコレクターであり、また、スコア譜の原版や絵画など、芸術に関する作品のコレクターであった。彼が亡くなったときには、次の楽器が遺された: ハイドンが存命当時の演奏に使われていたといわれるガスパロ・ダ・サロによる巨大なコントラバス・・・これは、現在はロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館に保存されている。;マッジーニの コントラバス;ストラディバリウスのバイオリン(かつてパガニーニが使っていた);ガスパロ・ダ・サロのバイオリン;2体のアマティのバイオリン;ラフォントのバイオリン;ストラディバリウスのバイオリンの複製;26本の無銘のバイオリン;ガスパロ・ダ・サロのビオラ;アマティのビオラ;ヒルのビオラ;5本の無銘のビオラ;6本のチェロ;大型のチェロ;3本のギター;2本のバスーン;3本のフレンチ・ホルン。 これについてThe Contrabass Shoppeのウェブサイトにはこう記述されている:
「ドラゴネッティが有名なガスパロ・ダ・サロのコントラバスを所有するにいたった経緯には、いくつか諸説がある。フィオーナ・M・パルマーの書いた伝記 『英国のドメニコ・ドラゴネッティ』(Clarendon Press Oxford 1997)は魅力的で高く推奨できる作品だが、この中にある記述が一番もっともらしい。ドラゴネッティのソリストとしての芸術的な妙技は空前の素晴らしさだったので、ロンドンとモスクワの両方から魅力的な仕事の依頼が集まった。これらの依頼を断って ヴェ��ツィアの聖マルコ公爵領教会(かなり重要なオーケストラ)の首席奏者として留まる代償として、1791年の契約更新でドラゴネッティは金銭的な賞与を受け取った。
ドラゴネッティはまた、彼が暮らしグランド・オペラで演奏するウィーンの聖ペテロ修道院にて、ベネディクト会の修道女から、ガスパロ・ダ・サロ(1542年-1609年)作の楽器を寄贈されたといわれる。パルマーによる伝記の中の、C.P.A.ベレンジが1906年に書いた記事についての脚注によると、その楽器はガスパロ・ダ・サロがヴィチェンツァの聖ペテロの修道士のために作ったもので、ドラゴネッティの契約を継続するために聖マルコの代理人達(procurators)によって寄贈された。」
◎作品
1795年にロンドンへ去るとき、ドラゴネッティは友人の元に多くの作品と原稿を残していった。その中には、『コントラバスの完全体系 (Complete system of the double bass)』や『コントラバス教則本』の他、多くの凝った課題や練習曲があった。しかし、彼が数年後にヴェネツィアに帰ったときには、それらは売り払われ、作者の元には戻らなかった。今日では、彼の多くの手紙、私的な書簡、作品、ソロ曲、原稿が大英図書館に収蔵されている。それには、ドラゴネッティから直接遺贈されたものもあり、ヴィンセント・ノヴェロen:Vincent Novelloが提供したものもあり、またオークションで購入されたものもある。
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「見る、或いは、見える」
以下、「却下」のPNで文芸同人誌『あみめでぃあ』に寄稿した原稿です。嘗ての自分を見つめ直す為には些か勇気が要りますが……。尚、本来ルビとして漢字の上に存在していた文字が、括弧と共に横に出っ張っています。「元々は其処にルビが有ったのだろうな」と脳内補完しながらお読みください。
↓↓↓↓
愛するS嬢へ
前略
貴女がこれを読む頃には、私は既に何処かに旅立っていることでしょう。
……いえ、御安心ください。かねがね見たいと思っていたドイツの新白鳥石(ノイシュヴァンシュタイン)城あたりを旅しているだけです。ひょっとしたら中国の万里の長城かもしれませんし、アメリカの自由の女神かもしれませんが、詳しい所在地は私の知るところではありません。ともあれ、旅が終われば必ずや貴女のもとに戻って参ります。
旅支度も全て終わってしまい、出立の時刻までかなり手持無沙汰ですので、私がどのような訳で貴女に「同じ日に同じ場所で死のう」と心中を持ちかけたのかを説明し申し上げよう、と筆を執りました。先日は断られてしまいましたが、この遺書を最後まで読んでいただければ屹度、受け容れていただけると信じております。
なにぶん筆不精ですし、普段読んでいる本も偏りが激しいので、読みづらい点が多々在るかと思いますが、お許しください。
却説(さて)、何処からお話し致しましょうか。……矢張り、私がこの世に辟易する理由から始めるのが妥当でしょう。
では先ず、問いましょう。貴女は、「見る」ことや「見える」ことに就いて、どう思われますか?
……絵画や彫刻を解するのに必要不可欠な行為……ええ、それも然りです。作品に触れて鑑賞する方法も在るらしいですが、国宝や重要文化財等は気軽に触れることができませんからね。
……言語習得に非常に便利なもの……そうですね、それも亦た然りです。新しい文字を学ぶには目が有った方が遥かに便利でしょう。
ですが、弱冠まで生きてきた私の答えは違います。「見る」「見える」ことの本質は「苦しみの元凶」です。それ以外にはあり得ません。
貴女には馴染みが無いかもしれませんが、少々、仏教で説明されるところの「見る」行為に就いて触れてみます。尤も、私とて専門的に仏教を学んだわけではありませんから、私の解説の中には間違っていることがあるかもしれません。怪しいな、と思われた場合にはどうぞ御遠慮無く、この部屋の書棚から仏教の辞典を探し、御覧ください。本棚の上から二段目、右端に在る筈です。
人間が、世界に存在するものを其の儘に知覚することは、全く不可能である、ということは、簡単に了解していただけるかと思います。そして、かかる発想は、仏教の思想にも登場してきます。
仏教では、世界に存在する物を「色(しき)」と呼ぶそうです(尚、サンスクリット語ではルーパと云うそうです)。これを人間が目で捉え、脳内で「想(サンジュニャー)」と呼ばれるイメージを形成します。この想を通して人間は、色の正体を「犬だ」「猫だ」と認識します。この認識を「識(ヴィジュニャーナ)」と呼びます。当然ですが、この「想」「識」は、「色」と全く同様に形成される筈はありません。ここには、記憶や知識などの「行(ぎょう)(サンスカーラ)」が影響します。
例えば、貴女は昨日、「友人Rを見つけた!」と仰って、あろうことか私の手を離してまで、駅のホームで走り出しました。ですが其の男性が偶然にも振り向くと、実は全く知らない青年でしたね。この場合、謎の青年が「色」にあたります。そして貴女の脳内に生まれた「想」及び「識」は友人Rです。そして恐らく、「友人Rに会いたい」とかいう気持ちか何かが貴女の中に在って、それが貴女の認識を歪めた「行」だったのでしょう。
仏教では、何かを見て想や識が生まれることを「名言(みょうごん)が生じる」と云うそうです。人間は、禅行の訓練をしない限りは、必ず名言が生じてしまい、更にあれこれ連想してしまい、悩みが生じることになります。したがって、「物を見ることは苦しみを生じる」と結論付けて差支え無いことになります。
唯本棚の端っこの辞書から、かかる記載を見つけただけで、私はすっかり生きる希望を失ってしまいました。ですが、私の話には少々続きがあります。
……キッチンの戸棚に、貴女の好きな銘柄のワインを買っておきました。グラスに一杯分注いで、復たこの部屋に戻ってきてください。この遺書は、格別、集中して読むべき大層なものでもありませんから、口を潤しながら先へ進まれると宜しいでしょう。多少変わった味がするかもしれませんが、ワインが悪くなってしまっているのではありません。私から貴女への愛だと思って、気味悪く思わずにどうぞ気にせず召し上がってください。
閑話休題(それはさておき)。
人間が何かを見る時には、知識などの「行」が影響する、という話は致しましたね。この知識というの��、非常に厄介なのです。決して逃れ得ぬ、完全なる悪なのです。私の人生を破滅させた犯人なのです。
知識を付ければ付ける程、人間は不幸になります。例えば、貴女が小学生の頃を思い出してみてください。或いは、貴女の家の近くに在る公園で、無邪気に遊ぶ子供たちを見てもよいでしょう。彼らは暗鬱な未来を考えることも無く、世界の不条理を嘆く必要も無い。実に明るく生きています。そして、見るもの聞くこと全てに感動し、彼らにとっては世界は完全に輝いて見えています。……ところがどうでしょう、今では我々は、将来を憂い、理不尽な世を恨み、余裕も無くあくせくと生きています。「大人になったからには一人で生きていかねばならぬ、其の為には万事己で考えねばならぬ」という理由も在りましょうが、決してそれだけではありません。憖(なまじ)知識があるために、世の中の綻びが数え切れないくらいに見えてしまっているからです。人の醜い感情も、誰が誰を本当に好いて、誰を密かに疎んでいるかということも、見たくもないものが全て、大人になるにつれて見えてきてしまうからです。
又た、知識が有るが故に見えなくなってしまうものもあります。時々、貴女をお連れして美術館に行きますよね。其処で、私は特に日本画や仏像を好んで鑑賞しますが、最近はめっきり面白くなくなってしまいました。というのも、昔はただぼーっと眺めて、なんとなく「あ、いいなぁ」と沁々感じることが出来たのですが、鑑賞の為の知識を付けてしまったために、「構図が云々」「掘り具合が云々」などと考えてしまい、どうしても分析めいたことをしてしまうのです。細かな雰囲気、小さな違いが見えなくなり、頭でっかちに作品と向かい合ってしまう。不幸極まりないことです。
しかも、知識というものは滅多なことでは小さくなってくれません(忘れることはあるかもしれませんが、大抵都合の悪い知識は脳に残ってしまうものです)。知ってしまったら忘れられない、不可逆な苦しみなのです。
先週の金曜でしたか、雨が降ってしまった為にデートが延期になり、私の家で、何をするともなく一緒にぼーっと過ごした日がありましたね。あの夜のテレビ番組で、以下のような実験が在ったのを、貴女は覚えていらっしゃいますか?
……番組視聴者は、或る静止画を見せられます。この静止画は、実は徐々に或る部分が変わっているのです。壁紙の色だったり、人物の髪型だったり。それを見つけることができると、人間の脳に良い刺激が走り、脳が活性化される。又た、どうしても分からなくても、答えを聞いて再度「静止画」を眺めて変化を納得できれば、同等の刺激を得られる……。
私は、確か1問目と3問目は分かったのですが、2問目だけは分からず、答えを見てしまいました。すると何のことは無い、「空を飛んでいた風船が消えていた」が正解でした。答えを知った後に「静止画」を見ると、確かに、風船が次第に透明になり、空が透けてゆき、消えてゆくのが分かりました。静止画は、いとも簡単に動画になってしまいました。
丁度あの時、番組を録画していたので(詳しい理由は忘れましたが、確か、何処かの男性が殺害されたというニュースを録画しようとして失敗したのだと思います)、先程もう一度、件の「静止画」を見てみました。……どうしても、何処に注目してみても、風船が消えてゆくのがはっきり分かってしまい、「動画」にしか見えなくなっていました。山の稜線を凝視しても、遊ぶ子供たちの目を見つめてみても、風船の変化を私の脳は無視��きませんでした。先週、あれほど変化が分からず悩んだ筈なのに、今日は寧ろ静止画に見えずに悩む羽目に陥ってしまいました。
答えを知ってしまい、知らなかった頃に戻れなくなる。例に挙げた番組は、風船が消えようと消えまいと些細な問題ですが、嫌な思い出やトラウマも同様です。一度得てしまったものは、易々とは消えてくれません。知識は、脳や目にこびりついて、死ぬまで我々を苦しめ続けるのです。
且つ、知識は麻薬です。知らないことがあると悔しく、それを知ろうと躍起になります。そして新しい知識を得ると、その周辺にも手を伸ばしてみたくなります。かくして知識欲には歯止めがかからず、投与量が増えてゆきます。
知識を多く得ることで、知識同士のぶつかり合いも生じますね。或る観点からすればXは真なのに、別の或る観点からするとXは偽である、というように。屹度双方の主張を止揚(アウフヘーベン)した「真実の知識」が在る、と期待して、苦しみながらも更に知識を求めますが、それこそ奴らの思う壺なれ。幻想を求めて、底無し沼に沈むのを、奴らは嘲笑して見ているに違いありません。……いっそ、「食われて死ぬ」という結末が約束されている蟻地獄の方が、余程良心的ではありませんか。
視覚は、人間が生きている中で得る情報の8割を担っている、と、何処かで聞きました。時と場合に依って割合は前後するようですが、視覚が知識の大部分を作り上げていると考えて宜しいかと思います。
したがって、私はかく断言するのです。「見ること、見えることは、苦しみの元凶に他ならない」と。
長々と書き過ぎました。そろそろ、貴女の手元のワイングラスも空になり、だいぶ酔われてきたことかと思いますので、このあたりで筆を置きます。ワインはきちんと飲み干していただけましたか?
若し、私が申し上げた通りの手順で、貴女が一杯のワインをすっかり飲み切られたならば、次に貴女と私が何処かで再び見(まみ)えることができるのは、8月23日あたりになるでしょう。それまでは暫し、お別れです。
ですが、私の肉体は今でも貴女と共に在ります。紙にして200枚程の隙間から、最早閉じることさえ能わぬ眼で、じっと貴女を見守っております。「同じ日に同じ場所で死のう」という約束を違(たが)えるつもりは、私には寸毫も無いのですから。……そうそう、どうでもよいことですが、仏教の辞典は、きちんと本棚に戻しておいてくださいね。決して目を逸らさず、確実に、元在った場所に、お願いします。
……おっと、これは失敬、私がこの世に絶望した理由をお伝えし忘れていましたね。尤も、貴女には屹度お心当たりがあろうかと思いますし、手紙末尾のこの文を読むまで貴女がまともな理性や視力を保ってらっしゃるか分かりませんが……。
ヒントをひとつだけ差し上げましょう。……三日前の夜、仕事帰りの私は偶然、隣の駅の歓楽街で、私も未だ見たことの無いくらいに綺麗な貴女が「見えた」のです。「友人」に手を引かれながら建物から出ていらした、宵闇に満開に咲いた貴女を。
草々
2016.7.6 貴女の親友、却下
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Tカップ幼馴染
完全に自家発電用。
「128.3センチ、………どうして、どうしてなの。………」
するすると、その豊かすぎるほどに膨らんだおっぱいから巻き尺の帯が落ちて、はらりと床に散らばる。
「どうして、昨日から変わっていないの。……何が私に足りないの。………」
と言いつつ、顔よりも大きくなってしまったおっぱいを揉んだが、触り心地は昨日と、一昨日と、一昨々日と何も変わらない。柔らかく、ハリがあって物凄く気持ちが良い、――気分としてはバスケットボール大の水風船を揉んでいるような感じか。
「だったらまだ、……まだTカップ、………」
床に散乱した巻き尺を跨ぎ越して、ベッドの傍まで行って、二つ並んだ白いブラジャーのうち左手にある方を取り、顔の前で広げて、バサバサと振る。片方のカップですら顔をすっぽりと包むブラジャーには、U65という英数字が太文字で刻まれているけれども、アンダーバストが悲しいかな、70センチ弱ある紀咲(きさき)にとっては、かなり無理をしないとサイドベルトが通らない。恨めしくタグを見つめても、カップ数もアンダーバストも負けた事実は変わらず、ため息をついてベッドの上へ投げ捨てると、右手にあったブラジャーを手に取る。そのブラジャーのタグにはV65という字が印刷されているのであるが、全く擦り切れておらず、広げて全体を見てみても、どこもほつれていないし、どこも傷んでなどいない。ただ四段あるホックのみが軽く歪んで、以前の持ち主が居たことを示している。
「あいつ、もしかして寝ている時に着ていたのか」
――もしくはこのブラジャーを着けて激しく運動したか。けれども、Vカップにもなるおっぱいを引っ提げて運動など、どれだけ頼まれてもしたくないことは、Tカップの今ですら階段を駆け下りたくない自分を見ていたらすぐに分かる、況してやあの鈍くさい女がそう簡単に走るものか。昔から急げと言ってもゆっくりと歩いて、なのにすぐ息を切らすのである。羨ましいことに、初(はじめ)が着替えるのを手伝っているらしいのだけれども、彼がこんな高価な物をぞんざいに扱う訳も無いから、この歪んだホックはきっと、寝ている間ににすーっと膨らんでいくおっぱいに耐えきれなかった事実を物語っているのであろうが、未だに信じられぬ。およそこの世のどこに、一晩でVカップのブラジャーをひしゃげさせるほどおっぱいが大きくなる女性が居るのであろうか。しかもそれが、まだあどけない顔をしていた中学二年生の女の子だと、どう言えば信じてくれるのか。可愛い顔をしているのに、その胸元を見てみると、大人の女性を遥かに超えるビーチボールみたいなおっぱいで制服にはブラの跡が浮かび上がっているし、目障りなほどにたぷんたぷんと揺れ動いているし、しかもあいつはその揺れを抑えようと腕で抱え込むものだから、いつだってぐにゃりと艶かしく形が変わっているのである。それだけでもムカッとくるというのに、あいつはあの頃そんな速度でおっぱいを成長させていたのか。紀咲は、どこかバカにされたような気がして、〝あいつ〟が中学生の頃に着けていたVカップの大きな大きなブラジャーをベッドに叩きつけると、クシャクシャになって広がっているUカップのブラジャーを再び手に取って、そのカップを自分のTカップのおっぱいに軽く合わせながら、勉強机の横に置いてある姿見の前に向かう。
鏡に映し出されたのは上半身裸の、付くべきところにほどよく肉のついた、――もちろんおっぱいはTカップなのだから極端ではあるけれども、腰はくびれているし、お尻はふっくらと大きいし、日頃の食生活のおかげで自分でも中々のスタイルなのではないかと思っている、高校3年生の女の子。紀咲はストラップに腕を片方ずつ通し通しして、後髪をかき上げると、今一度カップにきちんとおっぱいを宛てがい少し前傾姿勢へ。Tカップのおっぱいはそれほど垂れてないとは言え、やはりその重さからすとんと、雫のような形で垂れ下がり、ブラジャーを少しだけずり落としたが、あまり気にせずにストラップを、ぐいっと引き上げ肩に乗せる。本来ならばこの時点で、ブラジャーのワイヤーとバージスラインを合わせなければいけないのだけれども、Tカップともなるとどうしても、おっぱいに引っ張られてカップが沈んでしまうので、その工程を飛ばしてサイドベルトを手の平に受ける。するりと背中へ持っていき、キュッと力を入れて左右のホックの部分を合わせ、腕の攣るのに気をつけながら何とかして金具を繋ぎ止める。――このときが一番恨めしい。………女子中学生におっぱいのサイズで負け、アンダーバストで負けたことは先にも言ったとおりだが、その事をはっきりと自覚させられるのはこの時なのである。
ホックが全部繋がるまでには結構な時間がかかるから、彼女がこのUカップのブラジャーを手に入れた経緯を説明することにしよう。元々の持ち主は紀咲の幼馴染である初の、その妹であり、彼女が〝あいつ〟と呼んでいる、今年高校生になったばかりの、いつもおずおずと兄の後ろを一歩下がってついていく、――莉々香(りりか)と言う名の少女。両者についてはこの先登場するから説明はしないが、ある日莉々香とたまたま帰り道が一緒になった紀咲は、隣で揺れ動いている股下まで大きく膨らんだ塊を目の隅に留めつつ、特に話すこともなく歩いていたところ、突然、姉さん、と呼び止められる。なに? と素っ気なく返事をすると、あの、……ブラジャー間に合ってますか、たしか姉さんくらいの大きさから全然売ってなかったような気がして、……昔私が使っていたので良ければ差し上げます。あっ、でも、どれも一回くらいしか着けてないから綺麗ですよ、それに買ったけど結局使わなかったのもありますし、――と莉々香が言う。確かにその頃紀咲のおっぱいは、努力の甲斐もあってPカップに上がろうかというくらいの大きさになっていたのであるが、よく行くランジェリーショップで、PはまだありますがQカップになりますと、アンダーを大きくするか、オーダーメイドになるか、……今私共の方で新たなブランドを探しておりますが、もし運良く見つかっても海外製ですからかなり高く付きます、――などと言われて弱っていたところだったので、二つ返事で承諾すると早速家に招かれ、珍しく初の部屋を素通りして莉々香の部屋へ入る。彼女のことは生まれた時から知っているけれども、そういえばここ5年間くらいは部屋に入ったことがない。昔と同じように綺麗なのかなと思って見渡すと、案の定整理整頓が行き届いている。けれども机の上の鉛筆すら綺麗に並び揃えられている有様には、莉々香の異常さを感じずにはいられず、鞄を置くのさえ躊躇われてしまい、ドアの前で突っ立っていると、どうぞどうぞと、猫やら熊やら犬やらクジラやら、……そういう動物のぬいぐるみが、これまたきっかり背の順に並び揃えられたベッドの上に座るよう促される。莉々香はあの巨大なおっぱいを壁にめり込ませながらクローゼットの中を漁っていたのだが、しばらくかかりそうだったので、すぐ側にあった猫のぬいぐるみを撫でつつ待っていると、やがて両手いっぱいにブラジャーを抱えてやって来る。プラプラと垂れているストラップは、幅が2センチくらいのもあれば5センチくらいあるものもあって、一体どれだけ持って帰らせようとしているのかと思ったものの、気になったのはその色。とにかく白い。初からオーダーメイドのブラジャーを買っているとは聞いていたから、こっそり色んな色のブラジャーがあるのだと決めつけていた紀咲は、がっかりとした目で自分の真横にドサッ、と置かれた白い布を見る。どうでしょう、姉さんのおっぱいがどれだけ大きくなるか分からないから、とりあえず私が1、2年生の頃にしていたブラジャーを持ってきましたが、ちょっと多すぎ、……かな? 下にあるのは結構大きめのなので、ちょっと片付けてきますね。たぶんこの一番上の小さいのが、……あ、ほら、Qカップだからきっとこの塊の中に、姉さんのおっぱいに合うブラジャーがきっとありますよ。と嬉しそうに言って、下の方にあるブランケットのような布地を再びクローゼットに持って行ったのであるが、その何気ない言葉と行動がどれほど心をえぐったか。紀咲は今すぐにでも部屋を飛び出したい気持ちをグッと抑えて、上半分にあった〝小さめ〟のブラジャーを一つ手にとって広げてみたが、それでも明らかに自分のおっぱいには大きい、……大きすぎる。タグを見ると、Y65とある。おかしくなって思わず笑みが溢れる。……一体この世に何人、Yカップのブラジャーをサイズが合うからと言う理由で持ち帰れる女性が居るといういうのか。まだ莉々香がクローゼットに顔を突っ込んでいるのを確認してYカップのブラジャーを放り投げ、もう一つ下のブラジャーを手に取って広げてみる。さっきよりは小さいがそれでも自分のおっぱいには絶対に合わぬから、タグを見てみるとV65とある。今度は笑みさえ浮かべられない。……どんな食生活を送れば中学生でVカップが小さいと言えるのであろう、あゝ、もう嫌だ。これ以上このブラの山を漁りたくない。でも一枚くらいは持って帰らないと彼女に悪い気がする。―――と、そんな感じで心が折りつつ自分の胸に合うブラジャーを探していたのであるが、結局その日持って帰れそうだったのは一番最初に莉々香が手にしたQカップのブラジャーのみ。もうさっさと帰って今日は好きなだけ泣こうと思い、そのQカップのブラジャーを鞄にしまいこんで立ち上がったところ、ひどく申し訳無さそうな顔をした莉々香がトドメと言わんばかりに、あ、あの、……今は奥の方にあるから取れないんですけど、小学生の頃に着けてたもう少し小さめのブラジャーを今度持っていきましょうか? と言ってくるのでその瞬間、――華奢な肩に手をかけてしまっていたが、胸の内に沸き起こる感情をなんとか抑えようと一つ息をつき、ちょっと意地になって、けれども今気がついたように、よく考えればこれから大きくなるかもしれないんだし、もうちょっと大きめのブラジャーももらっていい? と、やっぱり耐えきれずに涙声で言ってもらってきたのが、今彼女がホックを全てつけ終わったこのUカップのブラジャーなのである。
「くっ、ふっ、……」
前傾姿勢から背筋を伸ばした体勢に戻った紀咲は、胸下を締め付けてくるワイヤーに苦しそうな息を漏らしてしまう。ホックを延長するアジャスターがあることは知っているけれども、もうそんな屈辱はこのブラジャーを着けるだけで十分である。ストラップを浮かせて、おっぱいを脇から中央へ寄せている間も、ブラジャーの締め付けで息は苦しいし、肌はツンと痒くなってくるし、けれどもあんまりお金の無い紀咲の家庭では、オーダーメイドのブラジャーなんてそう何回も作れるようなものではないから、屈辱的でもあの女が中学生の頃に着けていたブラジャーで我慢しなくてはならぬ。
紀咲はブラジャーを着け終わると、姿見にもう一歩近づいて、自分の胸元を鏡に写し込む。見たところTカップのおっぱいは、溢れること無くすっぽりとU65のブラジャーに収まって、恐らく男子たちにとってはたまらない谷間が、クレバスのように深い闇を作っている。ちょっと心配になって、ふるふると揺らしてみると、ブラジャーからは悲鳴が上がったが、溢れること無くちゃんとおっぱいの動きに付いてきたので、これなら今日一日どんなに初に振り回されようとも、大丈夫であろう。紀咲はブラジャーの模様である花の刺繍を感じつつ深い息をつくと、下着姿のまま今度は机の前へ向かい、怪しげな英文の書かれたプラスチックの容器を手にとって見つめる。毎日欠かさず一回2錠を朝と夜に飲む習慣は、初と二人きりで遊ぶときも決して欠かさない。パカっと蓋を開いて真っ赤な錠剤を、指でつまみ上げる。別に匂いや味なんてないけれども、その毒々しい色が嫌で何となく息を止めて、口の奥へ放り込み、すぐ水で喉に流し込む。――膨乳薬と自称しているその薬を小学生の頃から愛飲しているために、ほんとうにおっぱいを大きくする効果があるのかどうか分からないが、世の中にTカップにまで育った女性は全く居ないから、たぶん本物の膨乳薬であろう。親に見つからないように買わないといけないし、薬自体結構な値段のするのに加えて、海外からわざわざ空輸してくるから送料もバカにならず、校則で禁止されているバイトをしないといけないから、毎日朝夕合計4錠飲むのも大変ではあるけれども、膨乳の効果が本物である以上頼らざるは得ない。依存と言えば依存である。だがやめられない。彼女には莉々香という全く勝ち目の無い恋敵が居るのだから。……
元々大きな胸というものに憧れていたのに加えて、初恋の相手が大の巨乳好きとあらば、怪しい薬を買うほど必死で育乳をし始めたのも納得して頂けるであろう。胸をマッサージし始めたのは小学4年生くらいからだし、食生活を心がけて運動もきっちりとこなすのもずっと昔からだし、意味がないと知っていても牛乳をたくさん飲むし、キャベツもたくさん食べるし、時には母親や叔母の壁のような胸元を見て絶望することもあったけれど、いつも自分を奮い立たせて前を見てきたのである。そんな努力があったからこそ彼女はTカップなどという、普通の女性ではそうそう辿り着けないおっぱいを持っているのだが、それをあざ笑うかのようにあっさりと追い越していったのは、妹の莉々香で。昔は紀咲のおっぱいを見て、やたら羨ましがって、自分のぺったんこなおっぱいを虚しい目で見ていたというのに、小学6年生の秋ごろから急に胸元がふっくらしてきたかと思いきや、二ヶ月やそこらで当時Iカップだった紀咲を追い抜き、小学生を卒業する頃にはQカップだかRカップだかにまで成長をしていたらしい。その後も爆発的な成長を遂げていることは、先のブラジャー談義の際に、Yカップのブラが小さいと言ったことから何となく想像して頂けよう。紀咲はそんな莉々香のおっぱいを見て、さすがに大きすぎて気持ち悪い、私はそこまでは要らないや、……と思ったけれども、初の妹を見つめる目を見ていると、そうも言ってられなかった、――あの男はあろうことか、実の妹のバカでかいおっぱいを見て興奮していたのである。しかも年々ひどくなっていくのである。今では紀咲と莉々香が並んで立っていると、初の目はずっと莉々香のおっぱいに釘付けである。おっぱいで気持ちよくさせてあげている間もギュッと目を瞑って、魅惑的なはずの紀咲の谷間を見てくれないのである。以前は手を広げて「おいで」と言うとがっついてきたのに、今では片手で仕方なしに揉むだけなのである。……
胸の成長期もそろそろ終わろうかと言う今日このごろ、膨乳薬のケースにAttention!! と黄色背景に黒文字で書かれている事を実行するかどうか、いまだ決心の付かない紀咲は薬を机の引き出しの奥の奥にしまい込んでから、コップに残っていた水を雑にコクコクと飲み干して、衣装ケースからいくつか服を取り出し始める。今週末は暇だからどこか行こう、ちょっと距離があるけど大久野島とかどうよ、昔家族で行った時には俺も莉々香もすごい数のうさぎに囲まれてな、ビニール袋いっぱいに人参スティックを詰めてたんだけど、一瞬で無くなって、………と、先日そんな風に初から誘われたので、今日はいわゆるデートというやつなのであるが、何を着ていこうかしらん? Tカップともなれば似合う服などかなり限られてしまうから、そんなに選択肢は無い。それに似合っていても、胸があまり目立つとまた知らないおじさんにねっとりとした目で見られてしまうから、結局は地味な装いになってしまう。彼女の顔立ちはどちらかと言えば各々のパーツがはっきりとしていて、ほんとうは派手に着飾る方が魅力的に映るのであるが、こればかりは仕方のないことである。以前彼に可愛いと言われたベージュ色のブラウスを取って、姿見の前で合わせてみる。丈があまり気味だが問題は無い、一年くらい前であれば体にぴったりな服でもおっぱいが入ったのであるが、Tカップの今ではひょんなことで破れそうで仕方がないし、それに丈がある程度無いと胸に布地を取られてお腹が見えてしまうから、今では一段か二段くらい大きめのサイズを買わなくてはならない。ただ、そういう大きなそういう大きなサイズの服を身につけると必ず、ただでさえ大きなおっぱいで太って見えるシルエットが、着ぶくれしたようにさらにふっくらしてしまう。半袖ならばキュッと引き締まった二の腕を見せつけることで、ある程度は線の細さを主張することはできるけれども、元来下半身に肉が付きやすいらしい彼女の体質では、長袖だと足首くらいしか自信のある箇所が無い。はぁ、……とため息をついて、一応の組み合わせに袖を通して、鏡に映る自分の姿を見ると、……やっぱり着ぶくれしてしまっている。どんなに胸が大きくなろうとも、決してそのほっそりとした体のラインを崩すことのないあいつに比べて、なんてみっともない姿なのだろう、これが薬に頼って胸を大きくした者の末路なのだろうか。
「私の努力って何だったんだろうな。……」
と床に落ちていてそのままだった巻き尺を片付ける紀咲の目元は、涙で濡れていた。
それから15分くらいして初の家の門をくぐった紀咲は、どういう運命だったのか、莉々香の部屋の前で渋い顔をしながら、またもやため息をつく。
「勉強って言っても、私よりあいつの方が頭良いんだから、教える必要なんてないでしょ。……」
ともう一度ため息をついてドアノブに手をかける。約束の時間に部屋に赴いたというのに、初はまだ着替えてすらおらず、ごめんごめん、今から着替えるから、暇だったら莉々香にあれこれ教えてやってくれ。今たぶん勉強しているから、と言われて部屋から追い出されたのであるが、昔から英才教育を受けてきた莉々香に教えられることは何も無い。むしろ今度の定期試験を乗り越えるためにこちらが教えてもらいたいくらいである。紀咲はいまいち初の意図が分からない時が多々あるけれども、さっきの一言はようよう考えても結論が出ないから、ただ単に莉々香と話をしていてくれと、そういう思いで言ったのだろうと解釈して、ガチャリと扉を開ける。相変わらずきっちりと無駄なく家具の置かれた、整理整頓されすぎて虚しささえ感じる部屋である、昔と変わっているのはベッドの上にあるぬいぐるみが増えたことくらいか。莉々香はその部屋の中央部分にちゃぶ台を置いて、自身の体よりも大きくなってしまったおっぱいが邪魔にならないよう体を横向きにして、紀咲が部屋に入ってきたことにも気づかないくらい熱心に、鉛筆を動かしている。覗いてみると、英語で何やら書いているようだが、何なのかは分からない。――とそこで、ノートに影が落ちたのに気がついたのか、ハッとなって、
「姉さん! 入ってきたなら言ってくださいよ」
と鉛筆を机の上にそっと置くと、立ち上がろうとする。
「あっ、いいっていいって。そのままで」
それを制しながら紀咲はちゃぶ台の対面に座って、ニコニコと嬉しそうな表情を浮かべる憎き恋敵と相対する。だがどんなに憎くとも、その巨大なおっぱいを一目見ると同情心が湧いてくるもので、片方だけでも100キロは超えているらしいその塊を持ちながら立たせるなんて、どんな鬼でも出来ないであろう。莉々香のおっぱいには簡単に毛布がかけられているのであるが、それがまた何とも言えない哀愁を誘っていて、紀咲もこの時ばかりは目の前の可愛らしい笑みが、少しばかり儚く見えてしまうのである。
「やっぱり、もう椅子には座れない?」
「そう、……ですね。椅子に座ると床に着くから、楽といえば楽なんですけど、それでも重くて。………」
「今バストは何センチになったの?」
「えっと、……ここ一週間くらい測ってないから正確じゃないけど、先週の木曜日で374センチでした」
「さ、さんびゃく、……」
果たしてその数字が女性のバストサイズだと分かる人は居るのであろうか。
「姉さんは?」
「128センチのTカップ。やっと中学生のころのあんたに追いついたわ」
どこか馬鹿にされた心地がしたので、ちょっとだけぶっきらぼうに言う。
「いいなぁ。……私のおっぱいも、そのくらいで止まってくれると嬉しかったんですけどね。……」
あれ? と思うと先程感じていた同情心がどんどん消えていく。莉々香は恐らく、本音として紀咲のおっぱいを羨ましがっているけれども、やはり馬鹿にされている気がしてならない。
「あ、もしかして今私のブラジャーを着けてますか? 前、アンダーが合わないって言ってましたけど、延長ホック? っていうのがあるらしくて、それ��うといいかもしれません」
と、知っていることをどこか上から目線で言われて、カチンと来る。そういえば、いつからだったか、おっぱいのことに関してはすっかり先輩の立場で、莉々香は紀咲に色々とアドバイスをするのである。
「……知ってる。………」
――だから、余計にイラつかせられるのである。
「姉さん?」
「知ってるって言ってるの。なに? いつの間に私に物を言う立場になったの?」
「ね、姉さ、――」
「そんな化物みたいなおっぱいが、そんなに偉いって言うの? ねえ、答えてよ」
「化物だなんて、……姉さん落ち着いて」
「落ち着いてなんていられるかっての。今もあんたのブラジャーが私を締め付けてるの、分かる? この気持。中学生の女子におっぱいで負けるこの気持。世界で一番大きいおっぱいを持つあんたには分からないでしょうね。………」
この女の前では絶対に泣かないつもりであったが、今まで誰にも打つけられなかった思いを吐き出していると、一度溢れた涙は止めどもなく頬を伝って行く。
「何よ何よ。私がどれだけ努力しているのか知らずに、いつも見せつけるようにおっぱいを強調して、そうやって毎日あの変態を誑かしてるんでしょう? ――どうして、どうしてあんただけそんなに恵まれてるのよ。どうして。………」
とそこで、ぐす……、という鼻をすする音がしたので、そっと涙を拭って前を向くと、莉々香は机の上で握りこぶしを震えさせながら俯いている。ゆっくりと顔が上がって、すーっとした涙の跡が陽の光に照らされる。
「私だって、………私だって紀咲姉さんの事が羨ましい。ほんとうに羨ましい」
「………」
「Tカップって、まだ常識的な大きさだし、着る服はあるし、姉さんは私のお下がりのブラジャーを使ってますけど、ちゃんと売ってますから、ちゃんと市販されてますから。……私のブラジャーが一着いくらするか知ってますか? 8万円ですよ、8万円。ブラジャー一個作るのに10万円近く取られるんですよ。……ほんとうに姉さんくらいの小さなおっぱいが良かった。ほんとうに、ほんとうに、………」
「りり、……」
「いえ、姉さんが羨ましいのはそれだけじゃないです。どれだけ胸が大きくなっても兄さんは振り向いてくれないんですもの。……」
「えっ?」
「もう何回もチャレンジしましたよ。兄さんを押し倒して、姉さんみたいにおっぱいで気持ちよくさせようと。……けど駄目でした。どうしてなんでしょうね。私だったら体ごとおちんちんを挟んであげられるのに、体全体をおっぱいで包んであげられるのに、兄さんは手すらおっぱいに触れずに『紀咲、紀咲』って言って逃げちゃうの。……」
初のことだから、もうすでに欲望に負けてそういう行為をしていると思っていた紀咲は、驚いて彼の部屋の方を向く。
「だから、意味がなかった。意味が無かったんです、――」
と莉々香は体を捻って手を伸ばして、本棚の一番下の段から手にしたのは紀咲もよく知っている、怪しげな英文の書かれたプラスチックの容器。
「小学生の頃からこれを飲み続けてきた意味が無かったんです。……」
「りりもそれ飲んでたの」
そういえば昔、どうしてそんなに大きくなるんですか、と聞かれた時に一回だけ見せびらかしたことがある。
「ええ、……でもね姉さん、私の場合違うの。兄さんが、……えっと、そういう女性を好きなのは分かっていましたから、こう、……手の平にがさっと適当に出して、お水で無理やり飲んでました」
「それ一体一回何錠くらい、……」
「15錠くらいだったような気がします。駄目ですよね、注意書きにも駄目って書いてますし」
容器のAttention と書かれた下には、〝必ず一日4錠を超えてはならない〟と一番上に太文字であるから、莉々香は4日分をたった一回で飲んでいたということになる。そういうことだったのか。………
「でもどんどん大きくなっていくおっぱいが嬉しくって、最終的に一週間も経たずに一瓶開けるようになって、……最後は兄さんが救ってくれたんですけど、飲んでないのに、おっぱい大きくなるの止まらなくて、………もう着る服なんて無いのに、おっぱいは重くて動けないのに、でも全然止まる気配がなくて、………紀咲姉さん、私どうしたらいいんだろう」
と、さめざめと泣き出したのであるが、どうしたらいいのかなんて紀咲には全然分からず、ただ気休めな言葉を投げかけていると、しばらくして初がやって来たので、せめてこの哀れな少女の気を少しでも晴らそうと、その日は3人で日が暮れるまで淫らな行為をし続けたのである。
(おわり)
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第27話 『ある術者の1日 (3) - “日暮れ”』 One day of a necromer chapter 3 - “Nightfall”
薄っすらと曇天の空は透けた月の光で淡く辺りを照らしている。
生き物のすべてが寝入ったような夜の底を『化け物』が上体を大きく揺らしながら歩いていた。
夜行性の動物達がいるはずの森の奥だが、その『化け物』のせいで逃げてしまっているのだろう、聞こえるのは土を踏む不規則な足音だけだった。
右足を一歩踏み出せば、大きく左の上半身が揺れ、倒れそうになるのを堪えじっと立ち止まる。
まるで歩きはじめた赤ん坊のような覚束ない足取りだ。
この『化け物』は姿こそ人間の兵士だったが、肩の付け根から一対の腕と、もう一対の腕がが伸びている。人間より一対多い腕を持った兵士はゆっくりと動いていた。
その体はダレンによって当然感じたことのない違和感を生じさせる。
Buriedbornesの術は既にダレンにとっては馴染んだものだ。
屍体との繋がりは既に改良している。俗に『魔の契約』と呼ばれる技術であり、屍体との精神接続に手を加え、屍体から得られる情報を増やしたり、感覚を過敏にしたりする技術で、今までこの難局を乗り切って来た。
屍者と戦い、そして食料品などの日常的に必要なものも屍体とのBuriedbornesを頼りにしている。
近隣の住民たちがひっそりと運んできていた屍体はダレン達が掘り返し、Buriedbornesの為に消費してしまった。
肉体的に戦える相手ではない屍者が徘徊する世界を生き延びるのに屍体――出来るだけ強いならばなおのこと良い――が必要だった。
だからこそ、マルクの言い始めた恐ろしい提案に乗ることにした。
生き延びなければならない。それに、エミリアを守れなかったのは自分たちに力がなかったからだ。力が欲しかった。後悔しないだけの力が。
エミリアを守るためにも。
力がなければ、手に入れればいい。
改造した屍体の感覚は慣れない。重い上にバランスが悪い。腕のすべてに神経に行き渡らせるためにも試運転をするべきだった。
通常の位置にある腕はかろうじて指先まで動かす事が出来るが、先程繋いだばかりの腕はほとんど飾りだ。
黙々と歩く。
森の中、頭に当たる梢を振り払おうとしてひっくり返ったり、足を取られて手を伸ばそうとして失敗したり、何度も転んだ。4本の腕で起き上がるのは至難の業だったが、その過程を何度も何度も繰り返す。
どれだけ時間が経っただろうか。曇天の空では星の動きも見えず、時間の経過が計れない。
ただ、ダレンはすっかり4本の腕を我が物にしていた。
全速力で駆け出し、飛び上がる。ゴムまりのように飛び上がって、4本の腕で周囲の木々を掴み更に飛び上がる、木立を完全に抜け空を滑空するように着地する。
足だけでは当然折れてしまうので、4本の手も同時に地面につけるのがコツだ。
着地の衝撃はあるものの、体へのダメージはほとんどない。
「……すごい……」
Buriedbornesによって肉体の持つ意識的な限界は突破している、その上に更なる増強をするという事の意味を痛感する。
ダレンは傍らに森に隠していた武器の中から、両手剣を選んだ。
ランスやレイピア、様々な剣などを様々なところに置いてある。適宜必要になった時の為に供えているものもあれば、そこで行き倒れた人間の置き土産のこともあった。
両手剣は、両刃で重量がある。相手の骨まで叩き切ることが出来る代わりに、使いこなすには相当の身体能力が必要になる。
農夫上がりの雑兵の腕力では精々両手でやっと振り回すことが出来るレベルの武器だった。
それが、どうだ。
ダレンが慣れない方法で接続した4本腕は、軽々と両手剣を持ち上げる。子供の背丈ほどあるその剣は、羽箒よりも軽く感じた。
信じられない。
筋肉を移植し、改造しただけでこんなに変わってしまうものか。
ぐるりと頭上で剣を回す。バサバサと木の葉が分断されて落ちてくる。
次はしっかりと構え、大きく踏み出した。
剣の重みも利用して、体を回転させて空を抉るように掻き切る。
手ごたえがあった。
見事な枝ぶりがいくつも切り落とされ、ダレンが過ぎた辺りにはぽっかりと道が出来ている。
木に咲く名前も知らない花に、連撃を加える。
風の音の後に無残にも散った花びらが、既に地面を覆っていた枝葉の上に満ちる。
「……これは、行けるんじゃないか?」
感じたほどのない充足感。
継ぎ足した手のひらを見つめる。既に違和感のなくなったその手のひらは、ダレンの思い通りにゆっくりと握り締められる。
感触もしっかりある。
これだ。
これなら、きっと……
ごくりと生唾を飲んだ時、唐突に体に衝撃が走った。
すわ敵襲かと辺りを見回した時、意識に独特に走り始めた靄に気が付いた。
体を揺さぶる気配が強くなり、引きずられるように意識が浮上する。
――目が、覚めるのだ。
森の中にいたはずだが、目覚めた時は薄暗い研究室だった。燭台の頼りない灯りでさえも、目に痛く、つらい。
強制的な目覚めは激しい身体的な不快感を伴う。
「……う、うう……」
「お前! 何した!」
怒号に近いヘルマンの大声に、ダレンは頭を抱えて苦しむ。
込み上げてくる吐き気を堪えるので精いっぱいで、ヘルマンの表情を見る余裕すらない。
そんなダレンの様子を気にすることもなく、ヘルマンはその肩を強く揺すった。
「おい! ダレン!」
「そんなに怒鳴らなくても聞こえている……、頼むから少し抑えててくれ」
「よくも、この状態でそんなことが言えるな」
そこでようやくヘルマンの顔が蒼褪めていることに気が付いた。
ダレンはすぐに自分の状況を理解した。
鼻につく嗅ぎなれた臭い。屍体とは言え体の中に残っていた血は流石に流れ出る、その血が錆びた強烈な臭いを放っている。
見れば、自分の体は血や汗で汚れている。
その上、腕のない屍体が倒れた辺りから、開け放たれたドアまでは何かを引きずったような跡が残っていた。
――ヘルマンは気付いている。ダレンが禁忌を冒したことを。
「頭が割れるように痛い」
負荷が強すぎた。
慣れない4本腕を扱った上に、そもそも改造手術までした。
限界だ。
ダレンが頭に手をやると、激高したヘルマンがその手を弾いた。
「何をするんだ、ヘルマン」
「そっくり同じ言葉を返すぞ、ダレン。お前を見損なった」
「……見損なう?」
「お前はマルクほどおかしくはなっていないと思っていた」
おかしいとはなんだろうか。
屍体を改造したことか、この世界が滅んだことか、そもそも、自分たちが生き延びたことか。
「成功した」
ぽつりと告げる。
「森の奥に接続が切れた状態で倒れてると思う。埋めなくちゃ」
「そんな必要はない!」
「あるだろう。残り少ない屍体だ。しかも、両手剣だって軽々使える」
「許されない事だと、あれほど言ったはずだ!」
ヘルマンが怒れば怒るほど、ダレンは冷静になっていった。
屍体から切り離した瞬間から、その物体は『パーツ』でしかなかった。
そして、その『パーツ』を接続するだけで、劇的に戦闘能力は上がる。その分処理すべき情報が多くなり、屍術師としてダレンに求められることは増えるが、そのリスクを補って余りあるほどのメリットがあった。
あれほどまでの強さがあれば、屍者と対等以上に渡り合える。
今まで戦闘では恐怖が勝る場面も多かったが、ダレンには確信があった。あの体なら、パー『パーツ』によって強化され、更にその身体性能への信頼から、自分自身も安定した操作を可能に出来る。『パーツ』を腕ではなく足にしたら? 組み合わせ次第で恐らく得られる能力は無限に近く増える。
「……これしかないんだ、ヘルマン」
内心で考え込んだ言葉を押し殺して、静かにダレンはそう言った。ヘルマンは途端に顔を真っ赤にさせて、睨みつけてきた。
「人の命を弄ぶことに、何も感じないのか!?」
「……それを俺に言うか?」
ダレンの乾いた笑いに、ヘルマンは一瞬怯んだ顔をした。
「元々、人は人を殺す。戦争でなくても、意味がなくても、嬲り殺すこともある」
「……」
親を目の前で人間に殺された。確かに領地を争う戦争で、あの辺りは貧しい地域だっただろう。だが、戦争とは関係ない兵士たちの略奪行為で家族は死んだのだ。
もしかして、嬲られたのかもしれない、あの頃の小さなダレンは物陰に潜んでじっと動かないことしか出来なかった。
人間は人間の命を弄ぶ。そして、ダレンはずっと弄ばれる側だった。
このまま何もせずにいれば、自分達3人は弄ばれる側のままだ。
それはきっと、エミリアも……
だからこそ、もう弄ばれる側にはならない。怯えて生きる必要がなくなるのだ。
ヘルマンのように街で恵まれて育っていたのなら、ダレンもきっと屍体を切り刻む人間を理解できなかったかもしれない。
だが、
「生き残るためだ。俺たちが全員で生き残らなくちゃ意味がないだろう?」
ヘルマンに語り掛ける。自分自身にも言い聞かせるように。
だが、ヘルマンは首を振る。
「そこまでして生きるのか? マルクにも言ったが、俺は絶対に反対だ。理解出来ん」
「エミリアを誰が守るんだ? 力がここにあるのに、まざまざと蹂躙されるべきだっていうのか?」
「ダレン!」
「ヘルマン、今は理想だけじゃ何も出来ない」
「……ダレン貴様ッ!」
ヘルマンが拳を振り上げる。
不思議と逃げようと思う気持ちも起きなかった。殴られて当然だと囁く自分もいる。
「へ、ヘルマン!?」
ただ、ヘルマンは結果的にダレンを殴ることはなかった。
起きてきたマルクが慌てて、2人を引き剥したからだ。
「一体何を――」
そうと思うとしたマルクが息を飲んだ。
そして、研究室を見回して、ダレンを見た。
「試したんだね!」
一言だけだった。確信に満ちたその問いにダレンもヘルマンも���応しない。
「ヘルマン、僕はダレンのことを責めない。いつかやるべきだったことを、今、やってくれただけだよ」
「マルク……お前正気なのか? 見てみろ、あの屍体を! ダレンが切り落としたんだぞ、腕を!」
「接続した方の体はどこにあるの? 血の跡、外か。もう埋めたの?」
「いや、途中でヘルマンに叩き起こされたから森の中で倒れてるだろう」
「そんな! 勿体ない!」
マルクは無邪気な子供のように声を上げる。
2人の淡々とした、完全にその方法を受け入れ切ったその態度にヘルマンはじりじりと後じさりした。
「――お前達、頭がおかしくなったのか?」
ヘルマンは信じられないものを見るように、2人を見下ろしている。
「その内、エミリアも使うようになるぞ」
呪詛のようにそう漏らしながら、ヘルマンはふらりと研究室から外に出て行った。
「ヘルマン、外は危険だ!」
屍者も魔物もいる外に生身のまま出て行くなんて、殺してくれと言っているようなものだ。
咄嗟に追いかけようとしたダレンをマルクが止めた。
「きっとあの墓地だ」
エミリアの元へ向かったのだろう。
ダレンも頷く。
「だからこそ、早く追わないと」
「Buriedbornesを使おう、生身で向かうのは僕たちだって危険だから」
「そんな悠長な時間は……!」
「ダレン。全員が死んだら、それこそ意味がないじゃないか。今のだって、みんなで生き延びるために必要だから議論したんじゃないの? 全員じゃなきゃ意味がないよ」
マルクはそう言い切って俯いてしまう。
自分よりも小さな肩が震える。いつも術を支え、新しい知識を持ってきた年下の友人だ。
昼間だって、ダレンがいたから生き延びた、これは神の導きだと熱く語っていた。
誰よりも知識に秀でたマルク。ただ、彼はずっと変わっていなかった。どうしていいのか困り果てると、一番先に弱音を吐き、泣きべそをかいたのはマルクだった。
泣き虫マルク、と呼ぶエミリアの柔らかい声が蘇る。
4人で遊んでいたあの広間や図書館が、ありありと思い出された。
自分に出来ることは少ない、だが、生き延びるために、エミリアのためにまだ出来ることがあるはずだ。
「分かった、マルク。Buriedbornesの準備をしてくれ」
「うん、少し待ってて!」
墓地は夜とは思えない賑やかさで、白々と明け始めようとする空の下、おぞましい姿を見せていた。
急ぎそこにあった屍体をBuriedbornesにして追いかけたもののの、時間がかかってしまった。
「……ヘルハウンドだ」
マルクの声がはっきりと脳に響く。
墓地の中を黒い影がうろついている。そこかしこから唸り声が上がり、ダレンは足を止めた。
黒い影のように見えた犬型の怪物は『何か』に群がっている。
「ヘルマン……」
マルクが先に状況を理解したようだ。
「まさか」
一瞬意識が遠くなる。
まさか、そんな。
信じられない。
ヘルハウンドの荒い息遣いとともに、肉を噛み千切る粘着質な音がする。
背筋が粟立った。
あの中にいるのは、ヘルマンだった『もの』だ。
まだ人の形はしていたが、喉や腹は無残にも噛み千切られ、臓物が周囲に撒き散らされている。
数頭のヘルハウンドが無我夢中になりながら、我先にと腕や足を奪い合っている。
吐き気がするが、胃液すら分泌されない屍体の体では吐くことは出来ない。
この墓地のことは隅々まで知っている。
ほぼ毎日通い、3人で新しそうな墓を見つければ掘り返した。ただ、来るのは決まって昼間だった。夜に出てしまえば魔物がやってくる。太陽の光に守られ、それぞれ武器を持ちながら、恐る恐る墓場に来るときも、ヘルマンはダレンたちを叱咤し、先頭の露払いをしてくれていた。
墓標とも呼べない粗末な墓のほとんどは自分たちで暴いた。まだ手付かずの墓のほうが少ないことは分かっている。
そんな墓の中、ひとつだけきちんとした墓がある。墓標も刻み、花を植えたそこだけが華やか。
エミリアの墓だ。
「エミリア……!」
エミリアの墓の前、そこに植えたはずの花は踏み倒され、ヘルハウンドたちがうろついている。
傍らには折れたスコップが落ちている。ヘルマンが墓を掘り起こそうとして襲われたのだろう、墓穴が浅くなっていた。
「そんな、エミリア!」
彼女は墓から引きずり出され、上半身が地上に露出していた。
エミリアの安らかな眠りを妨げる者が誰であろうと許さない。
ダレンは駆け寄って、折れたスコップを手に取り、ヘルハウンドたちを追い払う。
スコップに打たれたヘルハウンドはけたたましい鳴き声をあげて吹き飛ばされたが、すぐに体を反転させて着地した。
頭を低くし、牙を剥き出しにして唸るヘルハウンドは、泡を吹きながら突進してくる。
すかさず、ダレンはスコップの先でその牙を受け、腹を思い切り蹴り飛ばした。
「ダレン、今の隙にエミリアを!」
マルクが叫ぶ。
「ヘルマンもいるぞ!?」
「その兵士の屍体でどうやって2人を連れ帰るの! 1人が限界だ!」
ヘルハウンドの数頭はまだヘルマンを夢中で貪っている。エミリアを狙っていた数体は、ダレンのスコップを受けて距離を取ってにらみ合う格好になっている。
(……確かに、この状態ではどちらかしか助けられない……)
そう思えば、腹は括れた。
「……すまない、ヘルマン」
聞こえることはないと知っていても、呟かずにはいられなかった。
エミリアの腕を掴み、一気に体を引き抜く。
土に汚れてはいたが、埋葬時の手入れが功を奏したのか、虫もたかっておらず、肉も落ちていない。君はあの日のままで美しかった。
穏やかに目を伏せている彼女の背と膝の裏に腕を入れ、抱き上げる。
「ダレン! しゃがんで!」
マルクの声に咄嗟に体勢を低くすると、後ろから迫っていたヘルハウンドが火を吐きながら襲ってくるところだった。
咄嗟に片手でスコップを力任せで横に薙ぎ、鋭い錐状の刃先がヘルハウンドの腹を抉る。
「本当にすまない、ヘルマン」
もう一度叫ぶように詫びて、ダレンはエミリアを抱えたまま、墓地から逃げることしか出来なかった。
~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
ある術者の1日 (4) - ”新しい夜明け”
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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2023年5月2日
⚓️航跡kou-seki⚓️(大概 梶原航)さん「【予告】 5月2日(月) 16時00分 六月出演舞台の情報解禁があります。 是非とも、どうぞご期待ください。」https://twitter.com/wataru_kaji/status/1652662819983355904
上入佐 秀平(りさ、さりい)/朗読劇『カラッといこうぜ!』6/3-4@下北沢ArkBoxさん「本日、21時にお知らせがあります。 お愉しみに☆」https://twitter.com/sariixiiras/status/1652837428749803521
遊ずどカンパニーさん「KENZI 秘密基地配信Vol.7 やっとアーカイブで観れました。今日は午前中事務作業だったので観ながら作業して観終わってから竣工の現場確認や不動産屋さん周ったりして先程帰宅、ぴぱんくぅのも決済し先程KENZIさんからもラインで厚いメッセージもらいました。忙しいけど毎日充実してます。 https://t.co/QzPwELQegF」https://twitter.com/Yu_zd_company/status/1649627886641643520
遊ずどカンパニーさん「で、これから札幌行って 哲さんにお会いしてきます。KENZIさんと哲さんから連続で連絡をもらって私はなんて幸せ者だ🙌ソロアルバムは事前に聴いたけど現物はちーちゃんの所で買ってこようと思ってます。早くウチでも作品売れる様になれれば良いのですが...その前に色々な人とした約束を今年果たすぞ! https://t.co/0q9ClaYuTc」https://twitter.com/Yu_zd_company/status/1649632022057594880
Deshabillz2023 8月19日(土)心斎橋SHOVELさん「Sutariくんとだな!楽しかった!かっこよかったな、また何れね おは、朝から強烈で悪いね しゅん #Sacrifice https://t.co/oy2JsurMlj」https://twitter.com/Deshabillz2022/status/1652770633804304384
中島卓偉さん「この日はライヴレコーディングします! 女子と男子、盛り上がった方の曲を収録し音源にして後日グッズで発売します! 廃盤になっている曲を中心にやります! よって古い曲のオンパレードです! 1曲だけスマホ撮影録音ありにします! 男子はモッシュ&ダイヴあり!…」https://twitter.com/takuinakajima/status/1652613128360960001
未散〜MICHIRU〜 LOOP ASHさん「【配信】 未散プロジェクト 2000年代に発売された完売音源 「封印の残像」 「悲哀の破片」 「楽園の誕生」 2023年5月1日(月)より配信リリース決定!!!!! https://t.co/QBjYdXUjug #ヴィジュアル系 #ループアッシュ #未散プロジェクト #sarino #未散 https://t.co/ZMRxBQKD8N」https://twitter.com/michiru_loopash/status/1652613815593472000
Tatsuya_SEEEKさん「ハートを込めて作った1stアルバムです! 0時よりリリースです。 大手配信サイト、Apple Music、YouTube music、Spotify、LINE MUSIC、他で、 ダウンロード、ストリーミング再生が可能です! 詳しくは👉 https://t.co/mJaSyA5w6w」https://twitter.com/Tatsuya_SEEEK/status/1652678190840844293
Ryuichi Kawamura officialさん「『フェンダー 62'ハードテール 非広告ページ』 #アメブロ https://t.co/CADZHcqxHL」https://twitter.com/RyuichiKawamur2/status/1652615691760197632
seekさん「凡思社企画 水槽のたゆたう 4月30日渋谷LOFT HEAVEN 第三十九回&第四十回終わり。 一年一度のリクエスト会 231分のTOP13曲 今年一年で作った新曲もランクインしてて嬉しかったなー。 金髪! 六月東京たゆたう 七月名古屋大阪たゆたう決定!! 楽しみやでー。 逢いにいくでー。 きてね! https://t.co/rvbvBc7rMQ」https://twitter.com/seek_bonshisya/status/1652623714067050496
seekさん「【凡思社通販店情報】 seekチェキ2023.04ver 取り扱い開始しました。 15枚以上お買い上げの方seekイラスト入直筆サイン色紙プレゼント https://t.co/8jTyyx1fZH https://t.co/FiRuDDdwUx」https://twitter.com/seek_bonshisya/status/1652623860674752513
nao 首振りDollsさん「観て!!すぐ観てー!!」https://twitter.com/kubihuri_nao/status/1652633275398254592
yura 🌠 limited project 『Lem』🌠さん「2021年にリリースしたyura音源です💿 Lemのメンバー、舜さんにも関わってもらって出来上がっためちゃくちゃお気に入りの1枚です! 過去の音源は中々手にして頂けませんが、こちらはまだまだ通販にてご購入頂けますので、是非よろしくお願いいたします🙇♀️🌑🐈 #拡散希望︎」https://twitter.com/yura_voxxx/status/1652637812850855937
仁-JiN-さん「【次回ツイキャス番組のお知らせ】 5月26日(金) 20時ごろから配信予定。 ゲストに舜(NEiN/覇叉羅) @shun_thefuzzbox が来てくれます。 皆様からの質問をリプにて受け付けてます。 https://t.co/zXVUaVDEiH https://t.co/nHiklBmEgh」https://twitter.com/BadBoyBeach/status/1652638969803472898
Kazumahariiさん「https://t.co/UWrvwSognR」舜6/3我輩生誕祭@池袋手刀さん「6/3に向けて色々お話できればと、思っています🙇♂️✨ 付き合いも長い方なので楽しみだね(*´﹃ `*) 質問あれば僕はDMにて承ります〜」https://twitter.com/shun_thefuzzbox/status/1652642173656104961https://twitter.com/kazumaharii/status/1652641624122593281
Jさん「今夜締め切り!!!!!🔥🔥🔥🔥🔥🔥💥💥」https://twitter.com/J_wumf/status/1652643263436976130
舜6/3我輩生誕祭@池袋手刀さん「補足しておくと、JiNくんとはかれこれ30年近く前、覇叉羅とZeeDという間柄でして… 当時から良きお兄ちゃんでした(*´﹃ `*) そんなに頻繁に会うわけではないけど、今も変わらずな間柄ですよ✨ 6/3はNEiNとbastardという形で共演\(´ω`)/🎸✨ よろしくお願いします!」https://twitter.com/shun_thefuzzbox/status/1652644618180362241
東京サイコパス【公式】さん「🚨速報🚨 8th配信シングル 「シャーロット」MV short ver公開🎉 作詞作曲 首振りDolls nao @kubihuri_nao さん⚡️ 5/3に配信リリースされる楽曲のティザー🔥 首振りDollsによる楽曲提供のエモい1曲‼️MVに出演してくれているメンバーとの絡みも必見💮 YouTube👉 https://t.co/KWDn6mX3kn https://t.co/xMyQterPFE」https://twitter.com/ldk_psychopath/status/1652629708448862210
nao 首振りDollsさん「ネクストライブ!!」https://twitter.com/kubihuri_nao/status/1652645790568046592
舜6/3我輩生誕祭@池袋手刀さん「つか、配信という形ではワシ滅多に現れないので絶対観れ(*´﹃ `*) 前はよくアン◯ロさんやキ◯グさんの配信に現れてたけど今やそれもないので… たぶん下手っちょやけどアコギも弾く…やで…」https://twitter.com/shun_thefuzzbox/status/1652646192218779648
こもだまり|昭和精吾事務所さん「#こもだまり祭り 2023春夏 ⛩ACM::: ライブ 5/31(水)池袋手刀 6/11(日)新宿ACB【phaidia企画】 ⛩昭和精吾事務所 6/27-7/31映像配信「糸地獄抄2023」【リオフェス】 7/2(日)池袋手刀【瀉葬文幻庫企画】 ☞サイケデリック音楽劇「#仮面劇犬神 」音源全国販売中|配信準備中 https://t.co/YVbIRfnife」https://twitter.com/mari_air/status/1652646405675286528
ryoさん「荒瀬大&Közi coupling tour -横新名阪大工事- 8/11(祝金) 横浜7thAVENUE 予約 5/3 12:00~ https://t.co/HUPe6M7XJ3 8/19(土) 新潟6studio 予約 5/4 12:00~ https://t.co/bkaADybAAF ryo+夢時+HIZUMIの編成でguest出演 open17:00/start17:30 前売り 5000円+d代 当日 5500円+d代 配信 3500円 https://t.co/7QqfF8dYfE」https://twitter.com/ryo_dalli/status/1652646454417309696
タイザーさん「🤔 https://t.co/2T6WJ3V60P」https://twitter.com/taizodiac/status/1652648872035090432
Köziさん「8.27(日)大阪 堺Goith 【guest】 唯(umbrella) 🎫予約:5/6 12:00~ https://t.co/Sr0WhKOUHR」https://twitter.com/Kzi_official/status/1652650132029190146
Köziさん「8.26(土)名古屋 静かの海 【guest】 唯(umbrella) 🎫予約:5/5 12:00~ https://t.co/PgcybqDr1b」https://twitter.com/Kzi_official/status/1652649886339444738
Köziさん「荒瀬大 & Közi coupling tour 「横新名阪大工事」 荒瀬大 Közi guestの皆様 2023.8.11(祝金) 横浜 7th AVENUE 2023.8.19(土) 新潟 6Studio 2023.8.26(土) 名古屋 静かの海 2023.8.27(日) 大阪 堺Goith open 17:00 / start 17:30 adv ¥5000 / door ¥5500 各会場詳細↓ https://t.co/ZWKOVeteR4」https://twitter.com/Kzi_official/status/1652649093561458688
Köziさん「8/11(祝金)横浜 7th AVENUE 【guest】 ryo (HOLLOWGRAM / DALLE / H.U.G)+夢時 (eStrial /HOLLOWGRAM)+HIZUMI (NUL.) 🎫予約:5/3 12:00~ https://t.co/46ZWw5518S」https://twitter.com/Kzi_official/status/1652649410181083136
Köziさん「8/19(土)新潟6Studio 【guest】 ryo (HOLLOWGRAM / DALLE / H.U.G)+夢時 (eStrial /HOLLOWGRAM)+HIZUMI (NUL.) 🎫予約:5/4 12:00~ https://t.co/4qo7oNAgAq」https://twitter.com/Kzi_official/status/1652649647855521792
西邑卓哲 | 𝗔𝗖𝗠:::さん「昨日はACM:::@池袋手刀、ご来場有難う御座いました!!対バン含めて最高な夜でした。ACM:::は自由な形態だからこそ新曲は来てくれる皆さんとの空間の中で生まれたので手応えを感じています。いつも有難う!!愛してるぜ! 予定 5/31㈬池袋手刀※近日解禁 6/11㈰新宿ACBホール ライブ撮影:荒川れいこ https://t.co/awZyUOGoOU」https://twitter.com/takaaki_FOXPILL/status/1649717254328823809
KING OFFICIALさん「【NEW LIVE】 2023.6.19(月) 青山RizM RizM presents 獅子音 Vol,11~Acoustic Bar~ KINGRYO/AC/DM/Uken/涼木聡(Yeti)/他 OPEN18:00 / START18:30 ■入場チケット 前売¥3,000 / 当日¥4,000 (D代別) 発売:5月1日12:00~ https://t.co/5QaHdPSLfI https://t.co/WgQhJtputC」https://twitter.com/KINGOFFICIAL114/status/1652651581983330304
仁-JiN-さん「ゆっくり2人で話す機会がすくなったから今から楽しみ😊 翌週の生誕祭も盛り上げるよ🎙️ アメブロを投稿しました。 『次回ツイキャス番組配信的な。』 #アメブロ #ツイキャス https://t.co/uofjR0IAKo」https://twitter.com/BadBoyBeach/status/1652649489352777729
猫好きYOU_THE SOUND BEE HD☠️MARY RUE☠️Lemさん「アメブロを投稿しました。 『愛しのメリーたんの命日💐』 #アメブロ #猫好き#ねこ https://t.co/zrdFG6vboM」https://twitter.com/YOUsoundbee/status/1652654765724295168
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ジョニーダイアモンド首振りDollsさん「口うるせえ上司役をやらせていただきました!!ぜひ見てください!」https://twitter.com/Tracisixteen/status/1652665604313325568
首振りDollsさん「😈Thank you for coming!!!😈 ▷▶︎2023/04/30/Sun. 小倉FUSE 2023 Spring 首振りDolls Presents 『Rock’n’Doll Syndrome Tour』-小倉編- 4月最終日は小倉FUSEに来てくれた皆とロックンロールをした夜でした! まだまだ九州編続きます、引き続き宜しく⚡︎ https://t.co/MVqccaitfG」https://twitter.com/KubihuriDolls/status/1652666885866151942
大内優 5/1主催高円寺さん「さてさて、 明日はついに主催イベント当日。 18:00〜21:30まで誰かしら歌ってます。 オレは1.2.5.6.8番目に出ます。 司会進行もやってます。 やれんのか? ご予約でもドタ参加でもお値段同じです。 よろしゅうに。 https://t.co/4CAYXG6mcJ」https://twitter.com/charix55/status/1652656945382449154
横山企画室さん「ぜひぜひ^^/」https://twitter.com/yokodile01/status/1652672784034836481
Hydeさん「#HYDE #井上文太 #Edyh #HYDECHANNEL #画狂人 #アート制作に挑戦 #一般公開していない初公開のアトリエ #来週は後編 https://t.co/R5SqCMUeST」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1652675795092131840
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首振りDollsさん「🔜 𝑵𝑬𝑿𝑻 𝑺𝑯𝑶𝑾!! 『Rock'n'Doll Syndrome Tour』 九州編、まだまだ続きます⚡︎ ●5/2(火) 福岡Queblick https://t.co/qcG0UIUeeh ※前売り 5/1(月) 18:00まで! ●5/3(水) 小倉Cheerz w/ JOHNNY PANDORA https://t.co/ykzdpkaozb ※前売り 5/2(火)まで! https://t.co/u1imRXsFNR」https://twitter.com/KubihuriDolls/status/1652679936128471042
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「アドバイスを頂いたので早速試してみるのだ✌️✨ https://t.co/lneSkh835f」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1652681239164522498
ジョニーダイアモンド首振りDollsさん「小倉最高か!?!?!???????!!」https://twitter.com/Tracisixteen/status/1652683332118011907
nao 首振りDollsさん「小倉のLIVEは特別だった。 Photo by @Deisui_chiyori https://t.co/ZzovYiFDtH」https://twitter.com/kubihuri_nao/status/1652693087012143107
lucy+peter=esolagoto / 中村真悟さん「リハーサルインでした。 今夜もしっかり練り込みました。 何もしてなそうで、色々何かしてるんで、笑 乞う御期待😘😘😘 https://t.co/jdLpOpTnQF」https://twitter.com/lucy_peter/status/1652693857178644480
首振りDollsさん「📷LIVE PHOTO📷 ▶︎▷2023/04/30/Sun. 小倉FUSE 2023 Spring 首振りDolls Presents 『Rock’n’Doll Syndrome Tour』-小倉編- Photo by Chiyori https://t.co/QhCZTf8Bc2」https://twitter.com/KubihuriDolls/status/1652695592798416897
キリ(luin)🥁さん「luinリハでした🌃 引き続き新曲を練り〜!練り〜! そして5月になりました🎏 次回のライブは5/11(木)池袋手刀で3MANです◎ 御予約受付中🌲↓↓」https://twitter.com/kiri_drums/status/1652696760643624960
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ロボノDaSH感想
読書感想文は早めに書かないとね。
ロボノDaSHクリアしました。4日に。プレイ日数は4日。25時間くらい。 発売2週前に予約したら、なんと、今現在予約したゲームは手元にないです。 ダウンロード版を先週金曜にお買い求めしてしまった…… 休日にできないなんて耐えられなかった。 MAGESにお布施しちゃったけど、結果的に言えば面白かったので、ま、いいかと。 最近はソシャゲとかに���課金ほとんどしてないし、ね(と言い聞かせてみる)
ここからネタバレ。
・序盤・1章 ダル視点か~(ちょっと残念)とも思ったけど、海翔とロボ部みんながワイワイしてるの第三者視点でみれるのいいよね。それに海翔視点もぼちぼちあって。主人公の面目は保たれた。 そしていきなり出てくる澤田きゅん!!!!!!!!!!!! えーーーーっ敬語!ダル相手だと敬語なんだ……。いままで敬語なんてどんなシーンにもなくて、え、えー?偽物!?とか思っちゃった。 年齢近いはずだけど、ダルはきゅんにとって格上なんだねえ。そしてダルはダルで君も澤田きゅん呼びなんかーい。ありがとう……いいよね、響きね…… Twitterでもつぶやいたんだけど、縁日でモグモグしながらしゃべるのだけは解釈違いすぎたんだけど、暗殺の危険のない楽しい空間に身を置いたのは人生で初めてなのかなあ……とか思ったら泣けてきちゃった。 良かったね、アロハなんて買って着ちゃって、よかったね……
みんなの浴衣なんだけど、どうし��もアキちゃんはロリータ入ったあの格好が似合わなかったな。残念。もっと素朴な浴衣で高校生のときみたいに結ってくれる方がうれしかったな~。こなちゃんもだけど、成人式の盛り頭なのがなー違うんだよなー(いきなり文句でごめんなさい、趣味です) そして現れる君島さん。小物臭しかしなくてあ、そう……みたいなテンションで見るしかなく。前回のラスボスが出てきたのに緊張感がなくてびっくりした。もちろん作戦だろうとは思ったんだけど……。
・2章 ありゃバグだわって君島さんさっそくバグ扱いカワイソ。 でもなんでダルの趣味を再現してたんだろう。 うーーん、なんかフラグあったっけ?君島との関係性はアンチウイルス作った本人とはいえ、ないんだよね。見逃しちゃったかな。 妄想力の違い?だったらこなちゃんだって負けてないはず!(個別ルートフラグだった) 海翔の妄想が広がってドキマギする展開も見たかったんだぞ。 そして、ダルの妄想で君島を倒す展開、カオスヘッドでチャイルドだわーって思った。 もう、ロボノがすごくカオスシリーズ寄りになちゃったというか、ここまで電磁波照射装置でできるなら、ギガロマいらないな、と思ってしまい、カオスシリーズの新作はもう無いかもね、などと思うのだった。 ダルらしくてとても良いと思う。
・愛理編 初恋にケリを付けるストーリー、切なくていいよね。 アイドルしてるあたりはファンディスクっぽいシナリオだなーと思いながら見ていた。 そもそも愛理ちゃんが八汐家にいるのも驚きだったけど、海翔と入れ違いみたいなものだから、義理の兄妹のドキドキ感もそんなになく……。 それにしても愛理って大した病気じゃなかったって感じになってたのが驚き。コールドスリープ数年だったけど、本物の君島さんは愛理ちゃんを愛していたと思うんだよね。親から離したかったというのはあるけど、だましてコールドスリープに付かせたっていう今作の風潮辛い。ARで夢を見せてあげながら生き永らえさせていたというロマンチック展開にときめいた私の心を返して欲しい。真相は闇の中……。
・こなちゃん編 ホモォ┌(┌^o^)┐ ごめん、正直くだらなさすぎるけど一番好きwww 泣ける展開にしようとしてたけど、無茶でしょ! 私、よく超展開の同人とか出すけど、負けたなって素直に思った。公式には勝てない。 こなちゃんが大好きということもあるけど、テンポよくていい。 澤田きゅんがホモになってしまい、かっこいいシーンを見ることなくギャグ空間に行ってしまったので、遠いところまで来たもんだ……などと思うのだった。
でも、冷静に見ると、電磁波照射装置を飲み込んだ犬によってできた妖怪の話になるんだけど、、紙媒体のBL同人誌を取り込むと周りに影響を及ぼすってどういう事なの。漫画の思想、絵の表現によるニュアンスを人間でないものが取り込めるって普通に考えてヤバすぎるのでは。シンギュラリティとは違うかもしれないけど、すでにこのルートで非人間が人間の感性を取得するという特異な事おきちゃってるんですけど……。 それとも紙媒体、餌は全く関係なくて、こなちゃんの思考を反映しただけなんだろうか。 電磁波照射装置の起こす出来事がカオスすぎて、もう何がなんだかわからない……。 あと、都市伝説好きな淳ちゃんがお化けにあったら怖いとかで捜索手伝ってくれなかったのはかなり残念だったんだが……。ええ、未知なるものへの探求心はないのか!その設定ほんと忘れられてる感じあるよね……。
・淳ちゃん編 ダルが世話焼きすぎてほんと便利だな……。 でも、短期間であのあがり症とイベントの成功とを導くのはコミュ力高く自ら動ける出来る大人がいてこそなのかなー。ヒアデスの声が淳ちゃんの声っぽくなくて勇ましくて良い。そして昴のセンスは流石だよ。大好きだね、そういうの……かわいい。 空手がなかなか旧作で役立たなかったので、仮面をかぶって別人になれば戦闘センスも出てきて……という展開は素直に良かったね!最後は仮面を捨てて戦えたのもよかったし、プレアデスの仮面は取れなかったのもよかった(バレバレなのは置いておき)まっとうなアフターストーリーだった。
・昴編 やったーーーーーー!科学ADVのまともな男キャラ個別ルートだよーーーーー! メインヒロインを立てる構造だったのに、いつまでもギャルゲー風分岐にしちゃってるから、いいメインの男キャラも個別ルートが与えられず、掘り下げが足りないよ~っていう思いがあったので、ようやく念願のルートですわ! しかも、個別ルートでは一番良いアフターストーリーだった。ほんと昴はなんとなく父と和解した感じになってたけど、それぞれの思いをきちんとぶつけ合う展開は本編には入れられなかったから。 ちゃんと進路をきめ、父との約束を破ってしまう事に対しての思いを聞けたのがよかったな。夢は変わっていくこともある、っていうのを二人ともちゃんと認識して未来に進めるのがよかったね。でもプレアデスで戸惑う父の図もあり、ほっこりエピソードもあり。満足。 あと、お風呂シーンね。ロボノはシュタゲとか以上に女性向けなシーンを挟んだり特典もだったりなんか、力入れてるね!傷を見せつけたい澤田きゅんの風呂シーンは……?
・綯編 ヒリヒリするルートきたー! 本編の無限綯ルートループの思いでが蘇り、キャラはいいとしてもいい印象が無かったんだけど(システムの犠牲者だよ……)DaSHの綯ルートはいいぞお……。 だってさ、真面目な澤田きゅんがいっぱい出てくるし!!!! 嬉しい……。 澤田きゅんはいまだに疑ってしまう海翔可愛いし。 海翔を見つけて背後から呼びかける澤田きゅんは流石だなって思ったし、八汐呼びなのもいいよね。 でも、一般浪人生に拳銃渡しても撃てないと思うな。そういうとこ、浮世離れしてるよね。 海翔に帰れと言う綯が普通の反応で、単身15歳で日本にやってきた澤田きゅんからすれば、やろうと思ったならやればいいってスタイルなんだろうな。拳銃渡そうとしたのは精一杯の心配の気持ち。 それにしても私も海翔のようにもっと綯はエージェント的な立場なのかと思ったけど、本当に格闘が強いだけでそうじゃないんだなあ。完全に海翔の反応だったよ。 我々は別の世界線の突き詰めてヤバイ方向にいってしまった綯様を知っているだけに……ね。 でも一般人だっていうなら、余計にこういう荒事に引っ張り出すことにみんな抵抗ないって、綯様は中高生の時何やらかしてたんだろうって思わずにはいられない。余計に過去が気になるんですが……。ダルだって止めないんだぞ、若い女の子が荒事の先頭を切るっていうのにこの信頼感はどこからきたんだ、気になりすぎる。
あとね、やっぱり当たり前だけど、海翔は瑞ねえの事が未だに心の奥の傷になっているんだなあと。トラウマだよね。ミズウミ協定の話とか出てくると辛いんだよね。 海翔も死人と会話できちゃう(脳内に住まわせられてしまう)程にいまだに思っているのが切ないなあと思った。このルートのは余計にトラウマになってしまうんじゃないかと心配だよ。
・あき穂編 夫婦の倦怠期。 ロボに触れないでいようとしただけで倒れるアキちゃんマジアキちゃん!って感じでいい。あのCG見たときまた、あの発作だと思ってシリアス展開くるーっと思ってたのに、ロボ禁断症状だったなんて。 海翔ってここまで鈍感だったんだなあ、と驚いた。スカしてる風だった彼はいずこへ。結局はミサ姉にあき穂を任せられて背伸びしてたけど、等身大の男の子だったんだなあと。でも淳ちゃんも昴も分かってるのにDONKANすぎるゾ�� でも、あき穂に近づくために、素直にダルのアドバイス実行する海翔とか、かわいらしくていいね。随分素直になっちゃってもう……。 ちゃんと告白したのは大変良いですなあ。ここまでうまくカップルとして成立したのロボノだけでは?いやーシュタゲもそうじゃんと言いたいところだが、なんかまだオカクリは結婚していなさそうですし?拓巳しゃんも未だアラサー女子たちを侍らせてるみたいだし?拓留……ウッ(かなしみ) 良かったね。なんかそれしか言えない。平和が一番。
そのあとのガンつく2復活のくだりとか、懐かしくて良かった。ちゃんとみんなでガンつく2作る展開はうれしいよね。ほんと前作は最後までギスギスしてたの辛かった。 でも、君島を倒したのはリアルブートしたガンヴァレルで、ロボティクス・ノーツしてくれと思ってしまったのは内緒だ……。ので最終ルートがあってよかった。
・ダル編というかオーラス ここからが本編だぜ! びっくりした。なんかファンディスクだなーと思って、ファンディスク楽しかったなー~完~な気分でいたから。いや、もちろんダルが暗躍していたのにあのまま終わったら苦言を言ってたと思うけど。
それまでの君島が変な事しかしてないし、AIなのに中ボスみたいでなんかなーと思ってたので、どこまでも進化してシンギュラリティを達成するという本当の目的が見えたとき、すごくいいなと思った。やっぱり人でないものは人の社会の枠組みから超えた事してくれないとね。まあ、それでもシンギュラリティを達成してやることが人間牧場化計画なのはどうかと思うよ。もっとワクワクする事やってくれよ!やっぱり元が人間はだめだわ……。
どんどん世界がインフラからやられていって、という展開はワクワクする。科学ADVシリーズ特有のヒリヒリ感がここでようやく。楽しい。 やっぱりダルが有能すぎるんだけど、でも、ここまで規模が大きくなると、高校生とかが世界救いました!だと現実感が薄まるので、プロな大人たちが子供たちの手を借りて解決していくという方向性はとても良いと思う。ダルが来た意味はあった……。 適材適所で進んでいく展開も好き。ちゃんと全員動かせてたのは前作との大きな違いだと思う。 それにしてもダルはスカウトマンみたいになっているね。昴とこなちゃんと海翔はこれから先も駆り出される事がほぼ決定してしまった。
SUMERAGIにあき穂が搭乗する展開は予想外だけど、ミサ姉の意思を継いでという感じで、これはとても熱い。スペックが全然違うけど、海翔とあき穂で戦地に並んで降り立つ展開とか本当にロボット作品みたいで滾る~これー、これ欲しかったのー。
それにしても澤田きゅんが騙されちゃってポカやっちゃう展開は爪があまーーーーい!好き……(告白)有能だけど完ぺきじゃないあたりがいいよね。 でもダルさんの前ではそんな君島さんの罠も意味がないのであった。ダル△! そしていいようにスローモーの力を頼られる海翔であった。 というかいくらゆっくりに体感できても、その脳の思考についていけてる体すごくない?これやりまくってると、通常時も思考と体の動きが俊敏になったりしない?
君島にウイルスを送り込む事で生まれる度に死ぬっていうニュアンスが好き。でも何度でも復活しているわけで、いずれそのウイルスを短時間の間に取り込めるまで進化しちゃわないかな? 最後消えずに場面展開したのが気になる。 やろうとしていることが結局委員会と一緒だから、そろそろ君島以外のAIと戦ってほしいものだが……。
ダルはロボ部のみんなをシュタゲのみんなに会わせようとしていて、めちゃくちゃ合流フラグたって終わるけど、続きでるなら大所帯になっちゃうね。 サブストーリーとしては面白そうだけど、このまま続きだすと、紅莉栖とダルの有能さはゆるぎないから、リーダーシップもこの二人に集約されちゃいそうで、ロボノキャラが便利に動くコマの一つになっちゃわないかなー大丈夫かなーと余計な心配をしちゃったり。 どうせやるならカオヘのギガロマ達もだしてほしい。カオチャキャラの女性陣は一般人に戻ったので、ハンデを背負って(アフターの小説参照)生きてるのでもう荒事には出てこなくていい……。けど、拓留と久野里さんは出してください。 オカリンもアメリカで研究してるみたいだし?久野里さんもアメリカいっちゃったし?メイン戦力がアメリカに集結してる……。 でもSG世界線はレスキネンが生きているのだった。でもメッセンジャーに出会わない彼はただのスパイレベルの人物なんだろうか。と、いろんな作品に思いを馳せつつ、続きを待ちます。 でも、こうなってくると、1作品で完結する作品が出しずらそう。だからこそ別の階層のアノコに期待が高まるんだけど……オリンピックまでに出るのかな。
オカンのパッチもね……
とりあえずDaSH面白かったです。澤田きゅんも堪能したし。よかった~
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中国共産党理論誌の「求是」最新刊に、習近平総書記が昨年(2018年)8月に行った司法に関する演説が改めて掲載された。党内に向けた演説を再び今、強調する意味はなんだろう。
そもそもこれは誰に聞かせるメッセージなのか。考えられるのは3つだ。国際法規に中国は違反していると批判する米国はじめ西側国際社会。中国の習近平と敵対する憲政主義者や司法官僚ら。そして、香港。
習近平の目指す“法治国家”宣言の意味を解析してみたい。
「共産党が法だ」と改めて宣言
「求是」で掲載された習近平の演説「党の全面的な法治国家の指導」の内容をかいつまんで紹介しよう。もとは昨年8月4日の中央全面依法治国委員会第1回会議で行われた演説である。この中で習近平は「党は法よりも大きい」という本音を包み隠さずぶちまけている。
「共産党の指導制度化、法治化、党の指導こそが党と国家事業の発展にとっての如意棒のようなものだ」といい、「全面的法治国家とは、党の指導力を弱めることではなく、むしろ強化し改善するもので、党の法治への指導力と水準を高めて、党の執政地位を確固としたものにする」とい��。
さらに「法治が盛んになれば、国が栄え、法治が国を強くする」といい、強国化と法治が密接な関係にあるとする一方で、「全面的に法治国家を推進するならば、自己にふさわしい法治の道を行くべきだ」「決して別の国のモデル、やり方をまねしてはならないし、西側の言う“憲政”“三権分立”“司法独立”の道を行くことはできない」と強調。「西側の“司法の独立”は、もとは王権抗争から始まっており、西側の政治体制、歴史と伝統、社会文化制度に根づいている。中国共産党には“一切の権力が人民に属する”という政治制度であり、西側と違うのだから、西側を参考にできないのは当然なのだ」と述べた。
また「中国は世界に向かっており、大国の責任と国際事務をもって法治をよりよく運用せねばならない。対外闘争において、法律という武器を持って、法治制度の高みを占領し、破壊者、攪乱者にあえて向き合い、ノーと言う。グローバルな統治システムがまさに変革調整期の重要な時期を迎えており、中国は積極的に国際ルールの制定に参加し、グローバル統治の変革プロセスに参与し、推進し、リーダーシップをとるものとなるのだ」と宣言した。
習近平はまた「“党が大きいか、法が大きいか”というのは偽命題だ」として、こういう言い方は人心をかき乱し、党と社会主義制度を否定するための言論であると批判し、習近平流法治に対する批判や議論を一切許さない姿勢を示した。
さらに「なぜ我が国は長く安定を保つことができ、乱がなかったのか? 根本的な理由は、我ら共産党が終始指導堅持していたからだ」として、社会主義法治が党の指導を堅持し、党の指導は社会主義法治に頼らねばならないと主張。新時代の法治国家の全面的推進は必ず党の指導制度化を推進継続する必要があり、法治化を工夫する必要がある、とした。
要するに、習近平は「(習を核心とする)共産党が法だ。異論は許さん」と言っているのだ。
誰に聞かせるメッセージなのか?
では、これを今さら誰に聞かせたいのか? ちょっと気になるところである。
(1)米国
まず米国だ。RFI(フランス国際放送)掲載の論考だが、交渉中の米中貿易戦争の核心である知財権問題などで、習近平が譲歩するのかしないのかが注目される中、国内向けに「党は法より強い」とそのマッチョぶりをアピールし、米国に対しては「法治の基本原則が普遍的価値観というのは、中国には通じないぞ」という強気のメッセージを発したのではないか。
「中国は積極的に国際ルールの制定に参加し、グローバル統治の変革プロセスに参与し、推進し、リーダーシップをとる」というのは、次の国際社会のルールメーカーの座を米国から中国共産党が奪うのだ、という外交闘争の布告という風に受けとられる。
世間が習近平は米国との交渉で妥協するしかないだろう、という観測が流れていることに対して、習近平はそういった観測を打ち消し、「屈服するものか」と言いたいのではないか。
(2)憲政主義派の党内知識人ら
さらに党内のアンチ習近平派、とくに憲政主義派の党内知識人らに対する牽制の意味もあろう。
党内では米国の圧力に乗じて、習近平批判が起きている。そのアンチ習近平派勢力の中心は憲政派、改革派だ。そのうちの1人は、2月16日に訃報が伝えられた長老の李鋭。元毛沢東の秘書ながら、彭徳懐失脚に連座し労働改造所送りになり、文革期は反革命罪で投獄され、共産党権力闘争に翻弄された人物だ。天安門事件では最後まで武力鎮圧に反対し、一貫して「憲政民主が中国の未来を切り開く道」との主張を曲げなかった。享年101歳。憲政派の大物、李鋭の死期を予想していたのかは知らないが、同じ日付で刊行された「求是」に習近平の法治国家論が掲載されたことに、なにがしかの意味を探ってしまう。
李鋭はこの世を去ったが、他にも胡耀邦の息子の胡徳平や元首相の朱鎔基も憲政派に属する。李雲歩、郭道暉、江平ら長老法学者ほか法学界、メディア界、経済界、言論界の主な良心的知識人も基本的に憲政派だ。彼らは習近平が昨年3月にかなり強引な方法で憲法を改正したことに相当不満を抱いており、こうした体制内知識人層から徐々に“反乱”ともいえる共産党内部の暗部の告発や、習近平政権批判が今表に出始めている。
例えば最近、政法大学教授で、「刑法のプリンス」と呼ばれる刑法学者の羅翔の司法試験受験生向けのネット動画講座の一部が中国のSNSで転載されて話題になっていた。その内容は、中国の弁護士がいかに無力で中国の司法が出鱈目かを、ユーモアを交えて語っている。弁護士が法廷で、検察の証拠を覆すような証言をする証人を呼ぶと、弁護士が証人に偽証を強要したとして法廷で逮捕されることもある、という実例を語り、「警察と検察と法廷が麻雀をするのに、メンツが足りないから弁護士を呼ぶだけ。でも弁護士は絶対“上がって”はならず、彼らに振り込み続けるだけ」と語り、警察も検察の法定も弁護士も司法の番人ではなく党の番犬状態であることを暴露していた。
こうした中国知識人の中国司法批判に対する牽制の意味もあったのではないか。
北京で、夫の拘束に抗議するために髪をそる李文足さん。夫は、中国の共産主義体制に批判的だった人権派弁護士の王全璋さん。国家政権転覆罪で起訴された。(2018年12月17日撮影、資料写真)。(c)FRED DUFOUR / AFP〔AFPBB News〕
もう1つ、中国には目下、大規模権力闘争につながりかねない司法案件がある。陝西省(せんせいしょう)を舞台に繰り広げられた「陝北千億鉱産事件」だ。農民出身の趙発琦が起こした民営投資会社「凱奇莱」と「西安地質鉱産勘査開発院(西勘院)」が2003年の共同開発契約不履行をめぐって争った民事訴訟である。一審は凱奇莱側が勝訴、二審で西勘院側が勝訴、2017年12月に最高裁で結審、凱奇莱が逆転勝訴して、西勘院側には違約金支払いが命じられた。
事件の背景には当時の陝西省代理省長の趙正永の利権が関与している。当初は凱来莱が経済犯罪容疑で陝西省公安当局に取調べられるなど、劣勢だったが、途中から陝西省の役人汚職が発覚し、133日間、刑事拘留されていた趙発琦は無罪放免、逆転勝訴となった。
だが事態は拡大し、党中央の権力闘争の様相を帯びていく。2018年12月、この裁判の公判記録が紛失しているとの告発があり、当時の裁判官だった王清林が「最高人民法院長の周強が関与している」と動画で証言。裁判自体の公正性に問題があるかのような世論が広がった(この世論拡散の主役は元CCTVキャスターの崔永元。彼は女優の范冰冰の脱税を告発し、税務当局を動かしたことでも知られている)。
この後、2019年1月の中央政法工作会議の場で、習近平が「刃をあえて内側に向け、骨を削って毒を癒せ、害群の馬を排除せよ」と組織内部の害悪退治を宣言。そのターゲットが最高人民法院長の周強であるという見立てが香港メディアを中心に報じられていた。周強は共青団派のエースである。習近平にとって政治的ライバルの李克強や胡春華が属する共青団を潰すための権力闘争の一環、という見方だ。
ちなみに、凱奇莱の逆転勝訴は、陝西省の集団汚職が暴かれたことが大きな原因だった。この逆転勝訴自体が、この汚職に関与している疑いがある当時の陝西省書記(2007~2008年)、趙楽際を追い込むために周強らが仕掛けたという見方がある。趙楽際は現中央規律検査委員会書記で、習近平の子分だ。つまり、周強らにとっては習近平派を叩く格好の材料というわけだ。このように「最高法院 VS.規律検査委委員会」、あるいは「共青団派 VS.習近平派」の権力闘争の文脈でこの事件は語られている。
なお、この裁判の鍵は、二審途中に最高裁に送られてきた、とある人物の「裁判への干渉」を示す手紙の存在である。一部中国メディアが手紙の存在を報じたが、誰がどのように干渉したかは不明。紛失した公判記録はおそらく、その手紙も含まれているのではないか。
こうした最高人民院の反習近平的動きを抑え込むために、習近平は「党(俺)が司法だ」と言わんばかりのメッセージを改めて発信した、のかもしれない。
(3)香港
もう1つ、このメッセージにおののいているのは香港だろう。
2018年2月に、台湾に来ていた香港の女子学生が殺された。容疑者の香港人青年は彼女の遺体を台湾に放置したまま香港に帰国し、香港で逮捕された。だが香港と台湾には犯罪人引き渡し���約がないため、台湾で取調べを行うことができない。
そこで香港は現在、台湾を中国の一部とする形で、引き渡し条約の修正を行おうとしている。だが、そうすると中国と香港の犯罪人引き渡し条約が成立してしまい、���港司法の独立が完全に潰(つい)えてしまうことになる。
香港は一応、旧英国植民地の遺産として三権分立、司法の独立を守ってきた。だが、習近平は「三権分立、司法の独立」を完全否定、「法律という武器を持って、対外闘争」も宣言している。この最初の闘争相手は、香港、ということになる。
おりしも香港マカオと中国南方を一体化する「グレート・ベイエリア」経済圏構想を発表したが、経済が一体化すれば当然、経済ルールも含めた司法の一体化も避けられない。中国南部に香港式法治が広がるというわずかな期待は、習近平のこのメッセージで吹き飛んだ。習近平は香港どころか国際ルールの制定にも関与していくと宣言している。
※ ※ ※
米国の圧力と党内の不満、そして激化する権力闘争に、あくまで強気の姿勢で喧嘩を売る習近平。もし、彼がこのまま突っ走ったとき、中国で、世界で何が起きるのだろう。
李鋭が生前に習近平をして「小学生レベル」と批判していたが、小学生に一国を支配する権力を持たせてはいけない。ましてや新たな世界秩序の制定に関与させてもならないだろう。習近平の暴走は各国が協力して止めねばならない。中国内部の憲政主義者たちとも協力して止める。そういう意識を日本もちょっと持った方がいいのではないか。
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紅蓮 01 (百鬼夜行/佐櫻)
紅蓮 ぐれん
柔紅的燭光之中,雪白的花瓣渲染了血紅色,指尖鬆開,一片片飄落。
一名焰紅色髮的男人喘息著,俊秀白皙的容顏抬起,好似少年那般,汗涔微濕,他倚坐於床緣,裸身的肌膚紋以「蠍」字的刺青,纏繞著繃帶,滲出了血痕。
土蜘蛛一族,赤砂蠍,琥珀色眼眸半掩,傀儡散落於身旁,空洞的眼神與他對視。
這裡,是京都,鞍馬山,百鬼夜行。
唇から唇へと伝い……
從唇間傳遞的……
修長指尖抬起,溫柔的,撫觸於少女的唇瓣,以指緣輕輕浮掠,沾染了微香。
その温もりは何処へ?
那份溫情將去往何處?
一名粉緋色髮的少女仰躺著,絕美白皙的容顏渲染了紙障子的光影,眼簾半掩,她穿著純白的振袖和服,衣帶散落,光裸的身體偎身於床褥,脫下白色長襪。
凌亂的衣衫之下,雪白的頸線留著吻痕,體溫、指印,肌膚與肌膚的摩擦。
雪女,春野櫻,澄澈的翠綠色眼眸抬起,以指尖抵著唇緣,噓。
手折られぬ花,色は匂へど。
無法折取的花朵,色香卻近於咫尺。
一名深藍色髮的少年走入簷廊之中,冷峻白皙的容顏沉然著,好看的薄唇輕抿,他穿著立領的火扇家紋和服,刀刃與寬帶繫於腰間,銀色、藍色的衣袂翻飛。
天狗,宇智波佐助,幽深的玄黑色眼眸抬起,看著灰色的天空,微微的一凜。
嘘を抱いた華。
擁抱著謊言的花朵。
蠍伸出手,穿戴著「玉」字銀戒的指尖撫觸於櫻的側顏,深陷其中,不願清醒。
触れてだけど……
可以碰觸......
粉緋色髮絲之下,絕美白皙的容顏渲染了柔和的光影,澄澈的翠綠色眼眸抬起,她倚坐於簷廊的座敷布,雪白振袖和服半掩著修長的雙腳,以指尖交疊於裙瓣。
蠍傾身,俊秀白皙的容顏欺近了櫻,修長指尖滑落於她的長睫、唇緣,以及鎖骨。
汚さないで。
卻無法玷污。
唔、蠍咬牙,收手,琥珀色眼眸一凜,凍傷的指尖顫抖著,碎裂的冰霜散落。
「如果你背叛了佐助,我會破壞你。」
雪女,櫻輕聲說,澄澈的翠綠色眼眸與蠍對視,眼神是如此的凜然。
甘い花になる,毒の実にもなる。
亦可為芳華,抑或為毒果。
「……哼。」
蠍不語,深邃的琥珀色眼眸半掩,以唇緣含著凍傷的指尖,嘴角,傲然的哂笑。
他伸出手,不容推卻的,以雙手緊握著櫻的雪白手腕,將她推落於簷廊的地板,兩人掙扎著,穿著黑色襯衫的男人、與純白振袖和服的少女,交纏了身影。
唔、櫻不自覺屏息,白色和服的裙瓣之下,修長的雙腳顫抖著,感受著他的撫觸。
業の花,色は匂へど。
罪惡之花,色香卻近於咫尺。
「百鬼夜行之中,我唯一有興趣的人......」
蠍輕聲說,深邃的琥珀色眼眸與櫻對視,以指尖滑落於她的唇瓣,漾笑。
「......只有妳,小姑娘。」
他半閉著一隻眼,修長指尖抬起,以少女唇緣的微香撫觸了自己的薄唇,噓。
月灯りに揺らめいてた,悲しげなその横顔。
被月光照映的悲傷臉龐。
斬首的刀刃落下,白蓮花濺染了鮮血,一片片凋零。
蠍沉默著,俊朗白皙的容顏抬起,深邃的琥珀色眼眸望著一池的紅蓮,眼簾半掩,他悵然的困坐於和室,咬牙,紙帳子交錯的光影好似牢籠那般,禁錮著男人。
一只傀儡懸吊著,木紋的臉容削製了美麗少女的輪廓,空洞的眼眸看著他。
何にも言わないで,ただこうして。
不要說話,沉默著就好。
「……櫻。」
佐助輕聲說,伸出手,穿著立領和服的背影站在櫻的身後,一手環抱於她的頸項,深藍色髮絲之下,俊俏白皙的容顏半掩著,閉眸,薄唇吻落了雪白的肌膚。
「我,對妳……」
低沉嗓音於耳緣呢喃了幾個字,纏綿的體溫,呼吸聲、熱氣,淹沒了思緒。
櫻屏息著,絕美白皙的容顏渲染了羞怯的紅暈,翠綠色眼眸無聲顫動。
幻なら幻を愛して。
如果是幻影,我願與幻影相戀。
蠍伸出手,俊朗白皙的容顏抬起,以雙手撫觸於傀儡的側顏,閉眸,輕輕的一吻。
�� *
見晴之丘(みはらしの丘)。
蔚藍色的天空之下,粉蝶花綻放著,天藍的花朵搖曳於山坡,揚羽蝶吻落了花顏,漸層的粉藍、淡紫藍色,450萬朵的琉璃唐草好似一首唯美的俳句,如夢似幻。
一名粉緋色髮的少女走入花海中,卯月的柔風吹開了白色連帽,櫻髮飛舞。
絕美白皙的容顏渲染了天空的光影,澄澈的翠綠色眼眸望著粉蝶花,眼簾半掩,她穿著立領的雪白斗篷,修長的雙腳飾以白色膝上襪,少女,與淡藍花海。
雪女,春野櫻微笑著,以指尖將髮絲順至耳後,回眸,與少年的黑瞳對視。
「佐助,粉蝶花又名為琉璃唐草哦。」
她笑了,穿著純白振袖和服的背影欠身,以指尖撫觸於粉藍色的花朵。
「平安時代的和歌,花瓣似若琉璃,葉如唐草。」
「......是嗎。」
一名深藍色髮少年輕聲說,幽深的玄黑色眼眸與櫻對視,眼神是如此的柔和。
俊俏白皙的容顏抬起,蔚藍天空之下勾勒了好看的側顏剪影,深藍色髮絲飛舞著,他穿著立領的羽織和服,左身是銀白、右身是舛藍,寬帶繫於腰間,懸以刀刃。
百鬼夜行之首領,天狗,宇智波佐助。
天空之中,一只白色骨架的鯨魚泅沉於真晝的雲朵,甩動著尾鰭,舒緩的徜徉。
牠悠游於花海,空洞眼眸望著見晴之丘,骨板與骨板碰撞,咿呀著骨頭的摩擦聲,空中,巨大的尾鰭揚起又落下,白色骨架的身體在地面映照了流動的影子。
「那是……?」
櫻輕聲說,翠綠色眼眸看著天空的鯨魚,無語顫動。
「化鯨(ばけくじら)。」
佐助回憶著與哥哥,鼬,以前在陰陽師的書卷中,所看見的妖怪。
「牠的外觀是一隻只有白色骨架的鯨魚,又稱為骨鯨,性情溫和,不會獵殺人類,但是人類只要看見了化鯨,就會為村莊帶來飢荒、瘟疫和火災。」
「牠是和水月一樣的妖怪?」
櫻看著佐助的側顏,百鬼夜行之中,鬼燈水月是襲擊船隻的海中妖怪,磯龍捲。
「化鯨是出雲的妖怪,漁民大量捕鯨,鯨魚幻化為妖,為人類帶來了怨恨與不幸。」
他淡然的否認,穿著銀白與藍色和服的背影走入粉蝶花海,衣帶飛舞著。
化鯨,柔和的旋身,以鰭翼浮掠於天空的雲彩,白色骨架的身體靠近了少年。
佐助伸出手,修長指尖撫觸於化鯨的頭部,黑瞳與空洞的眼眸對視。
「如此溫柔、無辜的妖怪,也要背負著怨恨與詛咒嗎……」
櫻注視著化鯨,澄澈的翠綠色眼眸歛下目光,有些失落的低語。
「百鬼夜行所有的妖怪都背負著詛咒、怨恨與不幸。」
低沉嗓音輕聲說,眼簾半掩。
「青燈鬼,祭,是沒有情感的孤兒,從小被迫與他視為兄長的存在,自相殘殺,他的哥哥死去之後,祭不願離去,孤獨的化為妖怪,守護著黃泉的入口。」
「犬神,犬塚牙,是人類將狗埋在土中,只露出狗的頭部,將食物放在牠的面前,讓牠感受著飢餓與痛苦,再將狗頭一刀斬下,所化成的妖怪。」
「白藏主,日向寧次,日向一族分家的天才,父親卻被日向宗家陷害,犧牲赴死,他背負著宗家在額間施以的詛咒封印,自刎於伏見稻荷神社,化為白狐。」
雪女,櫻回憶著,我也是、被囚禁於咒符的桎梏之中,忍受著孤獨,背負了不幸……
「百鬼夜行的妖怪,生於暗花、亡於光明。」
佐助輕聲說,深藍色髮絲飛舞著,俊俏白皙的側顏渲染了天空的光影。
「我,因為大天狗一族的詛咒,從人類成為了天狗,然而,妖怪並非是不幸的,我們只是於彼岸、逢魔之時,以不一樣的身分活下去,找尋著自己的歸屬。」
……….。
櫻沉默著,翠綠色眼眸映照了佐助的側顏,無聲顫動。
「佐助,對你來說,百鬼夜行是什麼呢?」
她走近了他,穿著雪白斗篷、與銀藍色立領和服的背影,柔和的隱沒於粉蝶花海。
百鬼夜行之首領,宇智波佐助,幽深的玄黑色眼眸歛下目光,眼神是如此隱晦。
「……家人。」
深藍色髮絲飛舞於風中,俊俏白皙的容顏勾起了一抹好看的淡笑。
櫻不語,絕美白皙的容顏放緩了神色,溫柔的笑了,黑瞳、與綠眸,深深對視。
*
姬路城。
日本,兵庫縣,天守閣映照了天空的光影,白色的城牆與瓦���好似展翅的白鷺,櫻門橋之下,和船浮沉於護城河中,千姬牡丹園的花朵綻放著,揚羽蝶飛舞。
和室,一名金髮女人斜倚於榻榻米,以朱唇含著煙管,吹出了白霧。
成熟白皙的容顏抬起,琥珀色眼眸看著兩人,長睫半掩,金髮於身後紮成兩束,她穿著常磐色的羽織外褂,寫著「賭」字,以及微露了胸口的白茶色振袖和服。
刑部姬,千手綱手。
「我來聽取一年一次的預言。」
佐助輕聲說,俊俏白皙的容顏斂起了神色,幽深的玄黑色眼眸與綱手對視。
好漂亮的女人……
櫻倚坐於佐助的身旁,澄澈的翠綠色眼眸看著綱手,無聲顫動。
刑部姬(おさかべひめ),隱居於姬路城的妖怪,擁有治癒的能力與800名隨從,她與百鬼夜行之首領一年會面一次,預言未來的命運,真身是年老的狐妖。
「……一年的時間過得真快呢。」
綱手傾身,渾厚的嗓音輕聲說,一手托著雪白側顏,放下煙管,敲了敲煙灰。
「你惹了不少麻煩吧,真是亂來,眼睛也差點拿不回來了。」
……….。
佐助沉默著,面無表情,深藍色髮之下,冷峻白皙的容顏別開了視線,有些倔強。
「……你啊,可是被愛著的呢。」
綱手低語著,漾笑,以唇緣含著煙管,拿起了白色的清酒壺,傾入酒杯。
「只要有無法忘卻的回憶,人就會變得堅強,這就是成長。」
唔、櫻羞紅了臉,穿著雪白振袖和服的背影顫了一下。被看出來了嗎……?
「天狗,宇智波佐助,以下是你的預言。」
刑部姬,綱手,琥珀色眼眸半掩著,以朱唇啜了一口清酒。
「紅蓮的業火,燃燒了一切,虛偽之愛的結局必然是別離,櫻花綻放於雪下凜冬,烏鴉飛散,破碎的狩衣與紫荊花,雷神、風神,是無法斬斷的命運之絆。」
佐助不語,俊俏白皙的容顏沉然著,幽深的玄黑色眼眸一凜,與綱手對視。
虛偽之愛……?
櫻思忖著,粉緋色髮絲之下,絕美白皙的容顏抬起,澄澈的翠綠色眼眸望著佐助。
「我的預言可不是免費的。」
綱手漾笑,雪白容顏渲染了微醺的紅暈,放下酒杯,掩嘴,打了一個酒嗝。
「那麼,你願意付出多少代價,買下這個預言呢?」
「如果妳贏了……」
佐助輕聲說,俊俏白皙的容顏是如此平靜,閉眸,深藍色髮絲飛舞於風中。
「五千萬龍銀。」
……誒?
櫻怔忡著,可愛白皙的容顏眨了眨眼,說不出話來。五、五千萬龍銀……?
龍銀,是妖怪的貨幣,幣面以龍為肖像,流通於百鬼夜行的黑市之中,價值不斐。
「靜音,拿骰子來。」
綱手下令,穿著「賭」字羽織外褂的背影映照於紙帳子,爽朗的笑了。
「你還是一樣賭黑色骰子吧?」
靜音走入了和室,一手抱著小豬,豚豚,另一手拿著賭具,欠身,放置於桌緣。
「等、等一下,佐助。」
櫻傾身,絕美白皙的容顏依靠於佐助的肩膀,一手抱著他,有些擔憂的輕聲說。
「我們,真的有那麼多錢嗎……?」
「櫻,不要擔心。」
佐助低語著,幽深的玄黑色眼眸歛下目光,看著黑色與白色的骰子。
「骰子6面,點數最大是12、最小是2,點數大者獲勝。」
綱手拿起了骰盅,放入黑色與白色的骰子各2顆,蓋上、甩動著,發出清脆聲響。
櫻屏息著,澄澈的翠綠色眼眸望著骰盅,黑色骰子是佐助、白色是綱手大人......
綱手自信漾笑,俐落的開蓋,黑色骰子12點、白色骰子3點。
「……因為,刑部姬,逢賭必輸。」
佐助淡然的輕聲說,閉眸,嘴角是一抹好看的淡笑。
唔、綱手咬著唇緣,綱手大人又輸了,靜音低聲說,捂著臉,豚豚發出了哀鳴聲。
傳說中的肥羊嗎……
櫻忍不住失笑,絕美白皙的容顏微笑著,以白色的振袖半掩於嘴緣。
*
鞍馬山。
幽微的竹林之中,神社的參道 春日燈籠的光影錯落於生苔的石階,螢火飛散,本宮,祭祀著高龗神,水占卜的籤詩浮沉於御神池,貴船川的水燈映照了微光。
這裡,是貴船神社,京都的紅葉名所之一,擁有著水與結緣的傳說。
「啊、是神社呢。」
櫻笑了,雪白連帽的身影佇立於石階,閉眸,雙手合十。
「我們是妖怪,神明不會聽見妳的願望。」
佐助走入了竹林中,穿著銀白與藍色立領的和服繫以寬帶,左袖是火扇家紋。
「誒?」
櫻輕聲說,澄澈的翠綠色眼眸望著佐助,以指尖撫觸於額間,百毫的契約之印。
「可是,木花咲耶姬大人就聽見了我的願望哦?」
佐助沉默著,深藍色髮絲之下,俊俏白皙的容顏漾起了一抹好看的淡笑。
「......因為妳擁有那位神明認可的力量。」
他回眸,低沉嗓音輕聲說,深邃的黑瞳與綠眸對視,眼簾半掩。
唔、櫻羞紅了臉,雪白帽緣之下,可愛白皙的容顏渲染著紅暈,困窘的歛下目光。
竹林之中,一名年輕的樵夫捂著臉,放下斧頭,穿著作務衣的身影跌坐了下來。
……乾渴的感覺。
他喘息著,嚥了一下口水,指縫之間,渙散的眼神是如此疲倦,無法集中目光。
這幾天,喉嚨、似乎被緊扼著,好想吃味噌、好想吃味噌、好想吃味噌……
年輕的樵夫聽見了樹枝斷裂的聲響,失神的抬眸。
貴船神社的石階下,一名深藍色髮少年、一名粉緋色髮少女,走入了竹林。
那是……?
他跌坐於竹林中,蒼白的唇瓣吐著氣息,作務衣濡濕了汗水,黑瞳望著他們。
「佐助,那個人,好像看得見我們?」
櫻輕聲說,澄澈的翠綠色眼眸一凜,以雪白的振袖半掩於側顏。
「此岸的人類可以看見妖怪。」
佐助走出了竹林,銀白與藍色的立領和服飛舞著,寬帶懸以刀刃。
「我們沒有隱藏妖氣,所以他看得到,只是很快就會忘記,因為我們不屬於此岸。」
兩人步上了石橋,烏鴉啼叫於黃昏的天空,赤紅的欄杆錯落著光影,水紋粼粼。
半藏門。
夕染暮色的天空之下,一道幽深的城門掩藏於竹林,瓦簷與白色圍牆映照著燈火,庭院,小妖怪、付喪神拿起了酒杯,笑鬧著,紫藤花綻放,紙燈籠搖曳於風中。
城門開啟,簷廊一瞬的燃起了鬼火,青藍色的光影,一閃一滅。
這裡,是鞍馬山之百鬼夜行。
「佐助,下次、我也可以和你一起出去嗎?」
櫻羞怯的輕聲說,可愛白皙的容顏渲染了淡淡的紅暈,綠眸與黑瞳對視。
……….。
他沉默著,深藍色髮絲之下,俊俏白皙的容顏放緩了神色,眼神是如此的隱晦。
「櫻,我們……」
佐助伸出手,修長指尖撫觸於她的側顏,以指緣滑落了柔軟的粉緋色髮絲。
澄澈的翠綠色眼眸與黑瞳對視,羞紅了臉,無聲的顫動。
下一秒,桃弓的箭矢穿射了雪白振袖和服,破碎的衣服飛散。
唔、櫻回眸,駭然的屏息,純白的連帽長袍外衣被弓矢撕裂,濺染了血紅。
佐助沉然著,幽深的玄黑色眼眸一凜,欠身,以雙手抱起了身旁的櫻,躲開箭矢,深藍色髮絲飛舞於風中,他俐落的空翻,火扇家紋的和服剪影映照於紙帳子。
夕曛的天空之下,城門的木屑、泥塵,以及破碎的花瓣,隱沒了黃昏的光影。
石橋,幾名穿著盔甲的女人拉緊了弓弦,看不清面貌,額間的五芒星咒符飛舞著,她們的身旁,一只巨大的黑狼齜牙著血口,唾沫滴落,兇狂的金眸望著獵物。
一名男人穿著大正時代的軍裝,額間的紙符寫著「封」字,掩去了容顏。
「……式神?」
櫻顫然的低語,絕美白皙的容顏緊靠於佐助的肩膀,以雙手環抱著他的頸項。
「武曲、貪狼……」
佐助抱著櫻,冷峻白皙的容顏斂起了神色,幽深的玄黑色眼眸一凜。
「……還有,破軍,陰陽師的基礎式神,以靈力注入於紙人形,事先下達指令。」
基礎式神,所有的陰陽師都能注入靈力發動,執行施術者的命令,沒有自我意識。
「可是、結界……」
櫻輕聲說,澄澈的翠綠色眼眸抬起,看著佐助的側顏,有些擔憂的抱緊了他。
..........。
佐助沉默著,俊俏白皙的容顏與她對視,好看的眉宇輕蹙,似乎在思忖著什麼。
鞍馬山之百鬼夜行的結界,只有妖怪才能進入,陰陽師、式神都無法破壞。
「妳可以治療自己的傷嗎?」
他低聲說,幽深的玄黑色眼眸歛下目光,看著雪白的手臂割出了幾道血痕。
「……嗯。」
櫻微笑著,翠綠色眼眸與黑瞳對視,眼神是如此的柔和,以雙手環抱了他的頸項。
「佐助,我沒事,可以放我下來了。」
武曲,穿著盔甲的女人拉緊了桃弓,箭矢的光芒映照於五芒星咒符半掩的側顏。
「我來對付貪狼、武曲。」
雪女,春野櫻輕聲說,澄澈的翠綠色眼眸抬起,目光一凜,扯開了破碎的左袖。
粉緋色髮絲之下,絕美白皙的容顏渲染了黃昏的光影,雪白的振袖和服飛舞著,她以指尖氤氳著淡綠色的光芒,治療於箭矢割裂的傷口,細膩的肌膚逐漸癒合。
……….。
哼、佐助不語,幽深的玄黑色眼眸幻化了三勾玉的血紅,自信漾笑。
一名年輕的男人佇立於黃昏的天空下,刀刃出鞘,額間的咒符飄動。
他穿著大正時代的軍裝,軍帽、黔黑色排釦的軍服懸以五芒星的徽章,繫著刀刃,俊朗白皙的容顏半掩於紙符之下,寫著「封」字,蒼白的唇瓣微抿著,面無表情。
破軍,是最高等級的基礎式神,陰陽師試驗的最後一個項目,擁有強大的戰鬥力。
「召喚出來了……」
回憶之中,深藍色髮的小男孩屏息著,黑瞳與式神對視,無聲顫動。
陰陽師的陣式中,紙人形的咒符飛散,綻放了光芒。
一名穿著大正時代軍服的小式神走出結界,額間的咒符寫著「封」,掩去了容貌,他以雙手拿著過長的刀刃,稚氣白皙的容顏有些羞怯,斜戴以軍帽,抿著嘴。
「……是破軍呢。」
小小的破軍,一名黑髮的男人忍著笑意,伸出手,以指尖撫觸於���弟的髮絲。
「佐助也可以成為陰陽師了。」
陰陽師,宇智波鼬輕聲說,柔和的笑了。
……哥哥。
天狗,宇智波佐助沉默著,閉眸,深藍色髮絲飛舞於風中,薄唇微抿。
「因為有羈絆,所以才會痛苦。」
低沉嗓音輕聲說,長睫半掩,凝視著自己的手心。
「我已經閉上了雙眼,存活於黑暗之中,人類的身分、以及成為陰陽師的夢想,我都捨棄了,你是我過去的回憶,你是我再也不會實現的夢,被迫清醒。」
佐助反手,以指尖撫觸於草薙劍的切羽,出鞘,刀刃於風中劃出了俐落的弧度。
「……破軍,我會親手斬斷你。」
他伸出手,以刀鋒指著式神,寫輪眼的三勾玉幻化了萬日輪,目光一凜。
破軍,額間的咒符飛舞著,淚水濡濕了「封」字的紙符,滑落於蒼白的側顏。
_To be continued.
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