#水飲みに来たことにより厳しく排除された
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generalwonderlandpeace · 1 year ago
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此れ以上同じ繰り返し致しませんが、過去には①面識無し新井正昭先生に用事無くおねだりしようとした
②ラーメン店でラーメン注文せずお水飲もうとした
③古書店にて書物購入せず立ち読み繰り返したといった理不尽な行為をしたのは確かですし、ましてや新井正昭先生は部署全面的に異なる為に仕方なく東松山市旗立台在住の斉藤悠騏男教授に置き換え、ラーメンならば家系である山岡家/武蔵家/壱角家/湘南乃家瑞穂店/大和家/坂戸家に致し、書物購入ならばAmazon/楽天/ポンパレ/mercari/WOWMA/ZOZOTOWN/駿河屋/DMM.comを用いて改善に努めなくてはなりません。その他やみくもにうざいだまれ/割り込み/ブラブラ/遊び心/就職失敗/地獄の特訓苛酷/物流系に着目/工場系厳しい/恋人無しの判断力乏しき引きこもり/ニート/穀潰し/SNEP/生活保護/遊び人では日々の進歩見られないのと同じです。いつまでもふざけて居られなくなり、改心して参りたく存じ挙げます。
2024/05/01
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ari0921 · 16 days ago
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和七年(2025年)6月12日(木曜日)弐
     通巻第8821号 
 
 “疲れを知らない暴走老人”は「LAを解放する」と宣言 
  戒厳令はLA市長、ニューサム知事は“反トランプ”を鮮明にして次を狙う
*************************
 トランプ大統領は明後日(6月14日)に79歳になる。
首都ワシントンで軍事パレードを開催する予定で、「米陸軍創設250周年」の式典とし、戦車���装甲車などが兵士とともに行進する。
 まさに「つかれを知らない暴走老人」は、ゴルフ大好き、ビフテキをコーラで食し、ハンバーガーも好むが酒を飲まない。トランプはアメリカのソフトパワーを廃棄処分とする。ハーバード大學などへの措置がそのことを端的に物語っている。
 クルーグマン(ノーベル経済学賞)は「トランプは完全に狂っている」と発言したが、狂っているのはどちらだ?
つねに過激なブラフ、他人を面罵し、その即席の比喩が面白い。石原慎太郎のような文学的レトリックを欠くが、アメリカの大衆には受ける。
野球、ブットボール、ラグビー、ボクシング愛好人口はインテリの人工よりはるかに多く、かれらは左翼議論に耳を貸さない。
だからトランプはブルーカラー層に絶大な人気がある。選挙の勝敗を決めるのは彼らだ。
 さてハーバード大学、コロンビア大学に難題を突きつけ、研究補助を削減し、外国からの留学生を33%から15%程度に抑える。窮極の狙いは中国の学生スパイの駆除、左翼インテリへの挑戦である。グローバリズムなぞ「糞の役にも立たない」と考えているからだ。
 フト考えて見た。そうした糞の役にも立たない学問を学びに日本人留学生はせっせとアメリカの大學に留学したのか。たしかに留学帰りの新進気鋭が日本に帰国後、斯界をリードした。だがテレビでコメントする米国留学帰りのセンセイたちは、アメリカ流リベラルの伝道者でしかなく、日本の国益を重点として、新しい学問を活用するという志を感じますか。 
鳩山も小泉も赤沢大臣もアメリカ留学ですゾ。
 経済をみても、戦後はサミュエルソン、フリードマンなど颯爽とアメリカの学説を留学帰りが権柄づくにのたまわっていたが、竹中平蔵は日本経済の基盤を壊したのではないのか。社会学にしてもアメリカのリベラル亜流ばかり。例外はドラッカー、ハイエクくらいだろう。
 翻って遣隋使、遣唐使を思いだそう。
皇帝側近にまで登りつめた阿部仲麻呂を筆頭に吉備真備は万巻の書、新兵器、宗教書を持ち帰りながらも、けっして唐には染まらなかった。
 空海も最澄も道元も唐へ行ったが、学んできたものを咀嚼して日本流に置き換えて昇華させたという学問的成果を挙げた。
留学しなかった藤原仲麻呂は、むしろ唐にかぶれて位階から役所の名前まで唐風に変更し、ハイカラと唾棄された。彼の反乱が失敗するや、すべて国風に戻された。
 遣唐使、遣隋使は600年から838年間で合計20回ほど派遣された。初回大使は小野妹子、答礼で日本にきたのが裴世清だった。
 西暦894年に、大使に任命されていた菅原道真が中止を建言し、沙汰止みとなった。
航海の安全とか、費用とかを理由にに挙げたが、本音は「学ぶべきものがない」からだ。「唐への憧憬の根底にある唐の学芸・技能を凌駕したとする認識の生成」(森公章『遣唐使と古代日本の対外政策』)による。
応神天皇期に学問の輸入が旺盛だったのは「文字」の流入が主眼だった。敏達天皇期の仏教輸入は数十年間、排斥された。遣唐使の絶頂期は唐王朝も絶頂だった。文物、とりわけ文献と兵器、薬事、楽器などの祭器には魅力があったことは確かだろう。つまり日本はアメリカの自動車、造船、鉄鋼技術で凌駕した。学ぶべき分野は軍事技術、医療、薬学、AIなど、この方面への留学は続けざるを得ない。
 一方で、遣隋使、遣唐使よりシナから派遣される遣日使のほうが人数が多く、しかも彼らの多くは帰国しなかった。鑑真は日本に事実上の亡命を果たした。
 白村江海戦で敗北を喫したため、百済の顕官ら2400名近くを、阿倍比羅夫が連れ帰った。海軍を率いた安曇比羅夫は、敗戦の責任をとらされ。信濃の山奥へ配置換えになった。長野県安曇野はワサビ、林檎の産地となった。
 天智天皇は敗戦後、筑紫に水城などを築城し防戦に備える一方で、百済の高官、匠らの事実上の亡命を認めた。通説とは事実は逆である。古代史の価値観をそろそろひっくり返す必要がある。同時にアメリカ留学の本来の意義を、もっと真摯に考え直すべきであろう。
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harawata44 · 19 days ago
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「卵は一日1個まで」だけじゃない!時代遅れになった「食の常識30」糖尿病治療に注力する医師が解説 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
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以下引用
 医学や栄養学の進歩で、これまで「体にいい」「体に悪い」と考えられていた食べ物の位置づけが、180度変わってしまうことが頻出している。五良会クリニック白金高輪・五藤良将医師が語る。 「長年続けてきた食習慣を変えることは難しいですし、急に食べ始めたりやめたりするのではなく、できる範囲で取り入れていくことが大切です」  昔、聞きかじった知識が、健康の機会を遠ざけているのかも。ネットの誤情報や、時代遅れの知識に振り回されることなく、美味しく健康な人生を送るための30の「食の常識」を紹介する!
――食材編――
1【ピーナッツ】高カロリーで太る → 糖尿病リスクが低下
「高脂肪、高カロリーですが、じつは糖質が少なく、腹持ちがいい間食に適した食品。インスリンの感受性を改善し、血糖の急上昇を防ぐ効果もあります。糖尿病予備軍や内臓脂肪が多い人に適していますが、一日30粒までが適量です」(五藤医師、以下同)
2【アボカド】高カロリーで太る → ダイエットに効果的
「こちらも高脂肪で高カロリーですが、脂肪の主成分は悪玉コレステロールを下げるオレイン酸。腹持ちがよく食物繊維が豊富なため、便通が改善しておなかもスッキリするはずです。食物繊維+脂肪の組み合わせで、食後血糖値の急上昇を防ぐ効果も」
3【ウナギと梅干】食べ合わせが悪い → 疲労回復の相乗効果
「脂の多いウナギと、胃酸分泌を促す梅干し。胃に負担が大きいとされてきましたが、高価なものを食べすぎることへの戒めの意味があったようですね。ウナギのビタミンB1と梅のクエン酸は、いずれも疲労回復に効果があり、相乗効果があるといえます」
4【ジャンクフード】避けるべき → 食べ方次第
「不健康と思われがちなジャンクフードですが、たとえばフライドポテトの原料であるじゃがいもには、余分な塩分を排出する働きをもつカリウムや、水溶性ビタミンが含まれています。もちろん毎日食べるのではなく、量と頻度をコントロールすることが大切です。完全に避けるよりも、うまく取り入れて栄養価を底上げしよう、と発想を転換してみてはいかがでしょう」
5【マーガリン】トランス脂肪酸が多い → じつはバターよりも少ない
「マーガリンには、心臓病の原因となるトランス脂肪酸が含まれており、避けている人も多いでしょう。しかし、加工技術が進歩した近年では、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は、バターよりも少ないことがわかっています。比較すると、一般的なバター10gに約0.2g含まれるのに対し、マーガリンは0.1gを切るほど。朝食のパンには、安心して塗っていい量です」
6【肉】体に悪い → 長寿の味方
「かつては『肉=脂っこい=体に悪い』、若い人の食べ物だという価値観がありました。ですが、筋肉量が減る高齢者こそ良質のたんぱく質が必要です。最近の研究では、必須アミノ酸や亜鉛、ビタミンB12がバランスよく含まれる赤身肉を適度に摂取することが、健康長寿やフレイル予防に寄与するとされています。もちろん、加工肉や脂身の多い肉の過剰摂取は別問題です」
7【卵】一日1個 → 2、3個でもOK
「かつて、卵はコレステロール値を上げるため『一日1個まで』といわれてきました。しかし今は、食事から摂取するコレステロールは、血中コレステロール値に与える影響が限定的であることがわかってきました。卵は、筋肉や免疫力の維持に非常に優れています。糖尿病や脂質異常がある方は別ですが、健康な中高年なら一日2、3個の卵は、メリットのほうが大きいといえます」
8【オリーブオイル】ドバドバかけてもOK → 高カロリー! 使いすぎに注意
「オリーブオイルはアボカド同様、オレイン酸が豊富で体にいいのは間違いありません。ポリフェノールやビタミンEは、動脈硬化や老化の予防に効果的です。ただ、料理番組でたっぷりと料理にかけるシーンを見たことがある方も多いと思いますが、ドレッシング感覚でかけるべきではありません。大さじ一杯で110kcalもあり、それくらいが限度。それ以上は脂質過多です」
9【白湯】目覚めの一杯 → 歯磨き後に
「目覚めの一杯に、白湯を飲んで体を温める習慣が広がっています。しかし、起床直後の口腔内には、数千億個の細菌が繁殖しているとされます。歯磨き前に白湯や水を飲むことは、そのまま口腔内細菌を胃に流し込んでしまうことになるのです。白湯自体は胃腸を優しく温め、自律神経を整えるメリットがありますが、必ず歯磨き後に飲むことを習慣にしてください」
10【コーヒー】膵臓がんの原因 → 抗がん作用がある
「コーヒーは、1980年代に膵臓がんのリスクを増加させるという研究結果が発表されました。しかしその後の研究で、同様の結果は得られていません。むしろ今は、肝臓がんや子宮体がんなどを予防する可能性があるとされています。また、動脈硬化・糖尿病・認知症の予防や、一日3~4杯飲めば脳卒中や心疾患による死亡率を下げるという研究もあります」
11��オーガニック野菜】健康にいい → 栄養価はほとんど変わらない
「農薬や化学肥料を使わず、自然に近い方法で育てたオーガニック野菜は健康によく、栄養価が高いというイメージを持たれがちです。しかし、通常の野菜と比べて栄養価が高いとは断言できず、ほとんど変わらないという研究があります。また農薬が使われている通常の野菜も、厳格な基準のもとに栽培されていますから、健康被害は科学的に考えられません」
12【青汁】野菜不足を解消 → 腎機能が低い人は×
「野菜不足の解消のために飲んでいる方も多いでしょうが、腎機能が低下していると、豊富なカリウムが不整脈や心停止を引き起こす原因になります。糖尿病・高血圧を長年患っている方は、命取りになりえます」
13【酒】百薬の長 → 少量でもリスクに
「『酒は適量なら健康にいい』といわれていました。しかし近年は、『少量でもがんや高血圧、脳卒中(女性)などの健康リスクが増加する』とする研究結果が増えています。飲ん兵衛には、残念なニュースですね」
14【コラーゲン】食べても意味がない → 意味があるかも
「『食べても肌がピチピチにはならない』ことは知られてきましたね。しかし近年、摂取した一部が『コラーゲンペプチド』となり、骨や関節の材料になるということがわかってきました。研究はこれからですが……」
15【カルシウム不足】イライラの原因 → イライラとは関係ない
「『イライラするのはカルシウム不足のせい』というのは俗説です。たしかに、カルシウムには脳神経の興奮を抑える機能があります。しかし、不足しても骨から溶け出し、血中の量は一定に保たれるのです。牛乳やサプリを飲んだからといってイライラは収まりません。もちろん、骨から溶け出すほど不足させないようにすべきですよ」
16【和食】塩分が多く避けるべき → 健康食として高評価
「和食は塩分が多く、高血圧や腎臓病に繋がるとたびたび警告されてきました。しかし、魚、大豆、野菜、発酵食品を中心とした和食は、本来は長寿を支える食事。和食が悪いわけではなく、調味料の使い方に問題があるのです。かつおや昆布のだしのうま味で減塩した和食は、近年『健康食』として世界的に高評価を受けています」
17【チョコレート】鼻血が出る → 血管を守る
「チョコレートを食べすぎると鼻血が…というのは、僕も子供のころに言われましたね(笑)。少量のカフェインで興奮することがあるかもしれませんが、迷信に近い話です。むしろ、カカオ70%以上のダークチョコレートのポリフェノールの一種が、血管の柔軟性を保ち、老化を防ぐ作用に注目が集まっています。高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクを減らす効果が期待されます」
18【ひじき】鉄分の王様 → 鉄分は「9分の1」に
「かつて、ひじきは “鉄分の王様” と呼ばれていました。鉄鍋で茹でられていたためで、鍋の成分を吸収していたんですね。しかし、2015年の『日本食品標準成分表』では、ステンレス鍋で茹でた場合が併記されました。鉄鍋だと100gあたり58.2mgあったのが、ステンレスだと6.2mgに激減。なんと9分の1以下になってしまいました」
19【うまみ調味料】多用は避けるべき → 減塩に繋がると積極活用
「グルタミン酸ナトリウムは、『食べ慣れると、味を感じにくくなる』といった風評が長年ありました。しかし、適量で使用するぶんには健康になんの問題もなく、活用すれば、塩分を30%カットしても味の好ましさが変わらないという調査があります。現在では、病院や高齢者施設でも、うま味調味料が積極的に使われています」
20【黒糖や岩塩】白砂糖や精製塩より栄養がある → 栄養はほぼ変わらない
「『白砂糖や精製塩は体に悪い』『黒糖や岩塩は体にいい』と思っている人は多いのではないでしょうか。しかし、砂糖や塩が真っ白なのは不純物が取り除かれているためで、ネット上で散見される『漂白されているから』というのは事実ではありません。一方、黒糖や岩塩に含まれるミネラルはごくわずか。美味しさを感じるかもしれませんが、体にいいとまではいえません」
――食・生活習慣編――
21【朝食】しっかり摂るべき → 抜くと代謝向上にも
「『朝食は一日の活力源』といわれてきましたが、近年は、無理なく食べない時間をつくることによる健康効果も注目されています。特に人気の『16時間断食』は、体内のオートファジー(細胞の自己浄化作用)を促進し、老化抑制や代謝改善に役立つとされています。血糖値の安定や、脂肪の燃焼効率が高まるという研究報告もあります」
22【夜食】眠り��浅くなる → 睡眠の質がアップ
「深夜にラーメンやお菓子を食べると血糖値が急上昇し、睡眠中の成長ホルモン分泌が妨げられます。一方、たんぱく質は筋肉の合成や修復を促し、睡眠中の体のメンテナンスを助けます。茹で卵、ギリシャヨーグルト、ナッツなどは、朝の疲労感軽減にも効果が期待できます。寝る1時間前までに、100~150kcal程度にとどめましょう」
23【一日1食健康法】アスリートやビジネスマンに人気 → 筋肉が分解し代謝も低下
「近年、『一日1食』健康法が注目されています。それで体調を保つには、魚、豆類、卵、緑黄色野菜などを組み合わせ、かつ運動や生活リズムが整っていることが前提です。空腹時間が長すぎると筋肉分解や代謝の低下、低血糖による集中力低下、情緒不安定に繋がります。特に高齢者や基礎疾患のある人は、慎重に判断すべきです」
24【ジュースクレンズ(ジュースだけ生活)】セレブに人気 → 腸内環境が “壊れる” 恐れが
「野菜や果物のジュースだけで数日間過ごすデトックスとして、セレブたちに人気ですね。しかし、果物や野菜を搾ってジュースにすると、食物繊維のほとんどが失われてしまいます。腸内細菌のエサとなる繊維が減り、善玉菌が減少し、悪玉菌が優位になる腸内バランスの崩壊が起こります。果糖による血糖値の上昇や、たんぱく質不足による筋肉の減少も気がかりですね」
25【食後すぐ横になる】牛になる → 胃にいい
「『食べてすぐ横になると牛になる』、つまり行儀が悪く、太るといわれてきました。実際は、体の左側を下にして横になれば、胃の出口(幽門)が下に向き、食べ物を腸へ移動させる動きの助けになります。胃もたれしやすい人は、ゆっくりと横になることで胃内圧を下げ、負担を軽減することができます。逆に右を下にすると、胃酸が食道へ逆流しやすくなるので要注意です」
26【ベジタリアン】病気を防ぎ、健康に → 栄養不足になる可能性が
「野菜や豆類、全粒穀物を中心にすれば、高血圧や、大腸がんなど一部のがんのリスクは低下するでしょう。倫理的な選択としても尊重されるべきです。しかし、たとえばビタミンB12は植物性食品からは摂取が難しく、欠乏すると貧血や神経障害・認知機能低下が起こります。鉄や亜鉛、オメガ3系脂肪酸も不足しがちですので、栄養補助食品や強化食品での補填が不可欠です」
27【グルテンフリー】大ブームに → 日本人には必ずしも必要ではない
「パンやラーメンなど小麦製品に含まれるたんぱく質『グルテン』を避けることで、体調がよくなるケースがあります。しかし、不調を招く原因とされるセリアック病の患者は、人口の1%といわれる欧米と比べて日本では非常に少なく、ほか��もグルテンで下痢やだるさが現われる人もいますが、ほとんどの日本人にとっては、あまり意味のない健康法だといえます」
28【一日30品目】国のガイドライン → 目指す必要はない
「今も『30品目』を目標にしている人がいるかもしれません。1985年に厚生省(当時)が発表した指針に由来しますが、毎日30品目を食べるのは難しいし、カロリーオーバー。すでにその表現は削除されています」
29【体脂肪燃焼】運動開始から20分後 → すぐに燃え始める
「運動時に体脂肪が燃え始めるのは、開始から20分後だといわれます。そんな時間は確保できないと思われるかもしれませんが、じつは最初から脂肪は燃えています。10分間のウオーキングでも、意味はあるのです」
30【紫外線】浴びないほうがいい → 適度に浴びるべき
「ずっと悪者扱いだった紫外線ですが、朝や夕方に15分程度、手や顔に太陽光を浴びるだけで、ビタミンDを合成してくれます。骨粗鬆症や骨折のリスクを大きく下げ、がん予防との関連性も指摘されているんです」
監修・五良会クリニック白金高輪 五藤良将医師
複数のクリニックで糖尿病治療に注力。著書に『内臓脂肪 中性脂肪 コレステロールがみるみる落ちる 血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)でも “食の常識” に挑戦 写真・長谷川 新、AC  取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)
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extracts-sheep · 1 year ago
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倉本圭造@新刊発売中です!
@keizokuramoto
川口市のクルド人問題に興味があってもSNSには「ガチ右翼さん向けに煽りまくった情報」しか見つけづらくてよくわからない、という人向けに客観的な現状のまとめと落とし所の提案を書きます。この問題は背景情報をよく知らずに脊髄反射すると、川口市の担当者や埼玉県警が過剰に排外主義的に”見えちゃう”ところに問題があり、例えば先日放映されたアベマプライムの番組などは、よく調べずにテキトーな印象論をぶつけあうだけに終わった結果、本来わかりあえるべき部分でも過剰に対立が演出されてしまい出演された川口市議の荻野さんの印象が物凄く悪くなってしまっていたのが可哀想でした。
・ 1●クルド人特有の背景を知った上で議論しないと無意味 まず、川口市のクルド人問題は、他の在留外国人の問題とはかなり違う背景があることをまず理解する事が重要なんですね。 というのは、あえて批判的な言い方をすると、査証免除措置(トルコ国籍者は観光ビザも不要)で来日したあと、そのまま勝手に居着いてしまって既成事実化し、「難民申請」をすることで「申請中」の宙ぶらりんの状態で長期間滞在して子供も産んで…という形になっているクルド人が多いってことなんですね。 クルド人問題について議論する時に、「この部分の話」を無視したままだと、例えば川口市長だったり川口市の議員さんだったりが言っていることが物凄く排外主義的に見えちゃうのが注意が必要で。 「正規の在留資格」じゃないから、就労許可がない人もかなりいるし、健康保険への加入も不可になってしまっている人も多く、実態として「制度の谷間」にいる人が沢山いる状態なんですね。 そこには他の外国人とは全然違う難しさがあって、そもそも正規の在留許可がなければ「住民票登録」もしてないからいったい何百人、何千人いるかも正確にはわからないし住民税も払っていない状態が続いている。 それでも市内で子供が生まれたら面倒を見なくちゃいけないし、公教育でも受け入れなくちゃいけないし、”無保険者”がかなりの数でいると考えられる中で病院でのトラブルも解決しないといけない川口市の担当者から見たら切実な問題なんですよ。 こういう”制度の谷間問題”に対して、川口市自体は完璧とは言えないまでも自分たちのできる範囲でかなり頑張って小中学校で差別なく受け入れようと取り組んできた事実があると思います。 スマホ片手に「クルド人の人たち可哀想ぉ〜日本のレイシストどもなんか●ねばいいのに!」とかSNSで発言して、10分後にすっぱり忘れちゃえる人たちの目線で解決できる問題ではない。 ・ 2●素人論でなく「専門家の知見」ベースでの解決の模索が必要 一方で、2月初頭にNHKでこの問題が取り上げられた時には、世界の移民問題の専門家である一橋大学の橋本直子先生がかなり事前に番組スタッフさんにレクチャーを繰り返し、単に「クルドの人たちが可哀想だ、なんで助けてあげないんだ!」というメッセージだけでは終わらない深堀りがなされていました。
もちろん、制度の狭間に落ち込んでしまって困窮しているクルド人に対して何らかの対処が必要な事はリベラル側から見ると言うまでもありません。 ただしその「対処」の実現は、単に ・実際に共生している川口市民の懸念を「このレイシストめ!」と叩き切るだけ ・欧米の国家でも当然に行われている出入国管理実務上に必要な制度的問題を全部無視して「人権の大事さを理解しない日本政府が悪い」と断罪するだけ …では実現できないということです。 NHKの番組放映後橋本先生はSNSの右翼さん(のうち一番ヤバい層)から 「このハシモトって奴はお花畑の多文化共生論者だぞ!こいつは日本をぶっ壊すスパイだな!実は中国人に違いない!」 …とか言われまくってましたが(なぜ中国人ってことになるんだw)、むしろリベラル側から「あの位置に旗を立てに行く」ってことがどれだけ明確な問題意識と勇気が必要な振る舞いなのか、理解が必要だと思います。 SNSの右翼さんに言いたいのは、「日本は日本人のための国です!出てってください!」みたいな、アメリカ的文脈に直接翻訳したらガチ問題視されるような発言をそのまま主張しまくったって先進国日本で実現するわけないってことです。 一方で、橋本先生が旗を立てていこうとしている「受けて立つリベラル」みたいな路線をキチンと国際社会的に説明可能なロジックを通して実現していけば、 公正で人道的で、かつ「厳格な」出入国管理政策 …を実現し、制度の谷間に落ち込んでヒドイ目にあう人を減らしつつ、かつ右翼さん側の懸念もある程度満足させられる着地点が見えてくるでしょう。 また、この問題について興味があるリベラル側の意見を持った人は、単に「レイシストどもめ!」というふうに斬って捨てに行くと、「実際色々困ってる川口市民」が丸ごと排外主義に飲み込まれていく事に注意するべきだと思います。 むしろリベラル側の人は、実際に川口市の担当者や埼玉県警が現場レベルの共生策を実行しようとかなり頑張っているプロセスを否定せず迎えに行って、そこにどういう支援が足りないのかを政策的・世論的にサポートするような役割を果たすべきです。 アベマの番組に出ていた荻野市議なども含め、川口市や埼玉県警は、SNSの「ガチ排外主義」の人に比べたら遥かにマイルドでリベラル寄りの感性を持った上で現実的な落とし所を模索しており、その「現実を見た対策」を丸ごと「リベラルの敵」として断罪していたらこの問題は解決できません。 ・ 3●リベラル側が目指すべきざっくりした「落とし所」はこのあたりでは?という提案 ざっくりした結論として、橋本先生の言う「公正で人道的でかつ厳格な」政策という意味でこのクルド人問題の落とし所を考えるとするなら、以下画像のようなところになるのだと思います。
アベマの番組にクルド人当事者として出演されていたユージャル・マヒルジャンさんが、2022年のトルコ地震後1500人ぐらい一気に川口にやってきて、彼らは日本の風習にも馴染めていないから問題を起こす人もいる…みたいな話をシレッとしてたんですが、いやいやちょっと待ってくれと(笑) いまいる人口を、どうやって「馴染んでもらうか」という話をしている時に、そんなダダ崩れに次々と入ってこられても困りますという話がありますよね。 主権国家として「どこかで線を引かなくてはいけない」としたら、そこに引くのはリベラル側としても大枠は理解可能なことなのではないでしょうか。 そういう方向で「際限なく開いている国境をキチンと管理するようにする」ことと引き換えに「正規の滞在許可」を出していくことは、多くの場合すでに滞在しているクルド人側にとっても望むところでしょうし、結果として川口市に住民税も入るようになりますし、健康保険に若い労働者が沢山入る事は日本の財政的にも望ましいことでしょう。 ・ 4●「実態と建前」が乖離しまくっていた状況の解消が始まっている 私の経営コンサル業のクライアントの建築会社の社長いわく、既に日本の「現業」的な職場は外国人なしには成り立っていないとよく言います。 「SNSの愛国者さま」がいかにSNSで排外主義を叫ぼうとも、実際そういう人が汗水流して現場作業についてくれるわけじゃないんだからしょうがないじゃん、という側面は明らかにある。 今の日本はその「理想と現実」の間で物凄くナアナアな抜け穴だらけの制度を運用してきて、制度の狭間で様々な不幸を生んできてしまっています。 今後それを「責任を持って正常化」していく流れは既に起きつつある。 SNSの右翼さんは単に「ガイジンどもを叩き出せ!」的な事を吠えるだけでなく、出入国管理実務をできるだけ「シンガポール型」の厳格なものに近づける事を目指すべきなのだと思います。 一方でリベラル側は、単に実際に起きている不幸を全部「レイシストの日本人ども」「人権を理解しない悪辣な日本政府」のせいにして終わりにするのではなく、「受けて立つリベラル」として徹底した文化統合策を細部まで後押しし、 「実際に困ってる川口市民の懸念にちゃんと応えられるのは右翼さんより自分たちなのだ」という事を具体的に示していくことが求められている …といえるでしょう。 ・ 5●「米国のリベラルの公式見解」は「非英語圏」の実情と合っていない強者の論理にすぎず、無責任な放置を助長してしまう 「素人の印象論」的に終わってしまったアベマの番組と、「移民問題のプロ」が監修したNHKの番組との違いを眺めると、要するに 本当にリベラル的な良識を現場に即して実現しようと思えば、その対策には「アメリカのリベラルの極端な原則論」からすれば問題があるように「見える」ものが含まれる が、 むしろそこにちゃんと踏み込んで行く事が「今の時代の責任感あるリベラルの姿勢」なのだ …という本質論が眠っているように思います。 例えば「日本で暮らしたいなら日本社会に馴染んでください」という右翼さんの求めに対して、「アメリカやカナダのリベラルの公式見解」をぶつけて終わりにしてしまうリベラル側の「よくある態度」というのは、移民問題のプロの中では問題があるという認識が浸透しつつあるそうです。 なぜならアメリカでそういう「公式見解」が成立するのは「英語とアメリカ文化のデファクトパワー」が圧倒的だからこそ成立する強者の論理に過ぎないからです。 逆にスウェーデンなどは、「スウェーデン語や風習を強制してはいけないのでは?」というような原則論的な理想主義を最初は掲げていたけど、それは逆にその層が社会から分離してゲットー化し、余計に排外主義的問題が高まる元凶になってしまったらしい。 だからこそ、非英語圏においてはアメリカにおいてのリベラルの原則よりも「明確に一歩踏み込んだおせっかい」をしていくことが、むしろリベラル的な良識を実現するために絶対的に必要だという事は、移民問題の専門家の間で徐々にコンセンサスになってきているらしい。 「今そこにある問題」に対して「現実的対処を求める層」を、「アメリカのリベラルの公式見解」から断罪して切り捨てるだけの簡単なお仕事しかリベラル側がしないなら、SNSで吹き荒れる排外主義を止めることなど決してできないでしょう。 トランプムーブメントが止められないアメリカ、ガチ極右政党が躍進していない国などほとんどない欧州の実情を考えれば、そういう「リベラルの公式見解で断���しまくるだけ」でこの問題が解決できない事は明らかです。 ・ 6●「欧米の失敗」が明らかになってきたからこそ、一周遅れの日本はちゃんと対策ができる道が開けつつある NHKの番組後、橋本先生に直接感想を伺ったところ、 「ああいう発言をすればリベラルから袋叩きにされるかと思っていたが、案外クルド人の人たち御本人や、リベラル層からは好評価が多くて意外だった。おそらく、欧州の極右政権が問題になったり、米国のバイデン政権ですら何らか国境線をフルオープンにはできない事情が明らかになってくる中で、現実的な対処をすること自体を否定していてはいけないのだ、という風潮がリベラル側にも出てきているのだと思う」 …という話をされていたのが印象的でした。 このように、一周前の欧米の移民政策が明らかに問題を抱えている事が明白になってきたからこそ、「今までなら合���できなかったことが合意できる」流れを作り出せるはずです。 その先で「日本ならではの徹底した文化統合策」をいかに後押ししていけるかが問われています。 右翼さんは右翼さんなりにできる限りシンガポール型の着地を目指す一方で、リベラル側はどういう「包摂」を目指せばいいのか?については、リプ欄に貼ってある記事で詳説したのでぜひお読みいただければと思います。 リプ欄の記事では他にも、 ・実際に川口市でどの程度の問題が起きているのかを犯罪統計などから定量的に分析する ・実際に川口市で行われている共生を目指す政策の実例や、その路線をさらにサポートしていくのに何が必要なのか? …といった多様な論点を詳しくまとめてありますので、この問題に興味がある方はぜひ記事本文をお読みいただければと思います!
午前6:25 · 2024年3月2日
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kennak · 9 months ago
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1残業代が21.5時間固定だけど、毎日1時間早く出勤させられるのでほぼ確実に固定残業代よりも多く残業させられる 2基本給は最低賃金レベルの給与からスタートしまともに昇給されない 3海上自衛隊の潜水手当だったり航空自衛隊のパイロット手当があればマシになるが、そもそもそれが出来るなら民間ならもっとずっと給料がいい 4月に10~3回程度の当直があるがその分は給与で払われず代休で与えられるが有給を取る時間的余裕はなく(後述)、実質タダ働き 5深夜勤務、曹長勤務、休日出勤に対しての手当という概念がなく、これらも取れもしない代休で誤魔化される 6定期的に訓練のために隊内の学校に入れられるが、この期間中は自習・掃除・トレーニングの時間があり固定の残業時間が3時間(=月60時間)あるような状態になる 7男気ジャンケンという名のカツアゲが横行しており、定期的に先輩から飲食代を徴収される 8隊友会や積立金という形で謎の徴収が行われるが、それらが自分にメリットをもたらすことはほとんどない 9中途半端に上が詰まっているので昇給に透明な天井が現れ年功序列というメリットさえいつかは失われる 10退職が早すぎるので退職金が貰えると言っても結局は退職後に発給で警備員とかすることになり障害収入で割に合わない 労働時間的に割に合わない 1毎朝1時間前出勤は当たり前 2大部分の部隊で充足率が60%ぐらいなので残業しないと仕事が全く終わらない 3飲みニュケーションや接待ゴルフなどの文化が未だに残っており就業後の時間がガンガ���馴れ合いに潰される 4休日に儀式やボランティアに駆り出されることが多いが与えられた代休を消化するのが不可能 5有給を消化することに対して極めて消極的な文化が根づいていて取ると周囲に迷惑をかけるという風潮がある 6規則により半ば強制的に育休を取ることになっても、育休中であっても仕事の電話が鳴り止まず、更には呼び出しもしょっちゅう食らう 7当直勤務の割合が高いため曜日感覚が壊れており仕事があれば休日でも出てくるのが常態化している 8緊急の呼び出しに応じることが絶対とされていて深夜や映画を見ている時に電話に気付かないとコッテリ絞られる 9休日であっても電話がいつかかってくるか気が気でないので全然疲れが取れない 職歴として割に合わない 1自衛隊でやっている仕事が世間一般からズレすぎており職歴としてのカウントが引越バイトと同程度 2実際社会人としての一般的感覚が身につかないので長くいるとまともな社会に戻れなくなる 3定年がかなり早く来るがそのあと結局まともに働くことが出来ず警備員として働きながらも職場で浮いている先輩が多数報告されている 4今時メールをまともに使えずFAXと電話中心の業務のため転職してから半年ほど原始人扱い 5パワハラ的な価値観に染まってしまうため転職後に職場の空気を乱す異分子として扱われ排除され続けた先輩の噂が沢山ある 6自衛隊嫌いの会社には入れてもらえず、自衛隊が好きな会社に入るとせっかく転職してもホモソーシャルな空気から逃げられない 7士長のタイミングで退職して満期を貰うのは比較的マシな道だけど職歴の汚れは一生取れないので結局あとで苦労する 犯罪行為に加担させられる 1公文書は偽造するのが当たり前 2誰かのハンコは皆の共有資産であり部内の人間なら勝手に押すことが出来る 3川重事案のような「謎のお金でコッソリ物を買ってもらう」が横行している 4業務の進め方に矛盾があるためどうやっても法令違反となる仕事が存在 5入札は一般的な用品を除けば全く意味をなしておらず、指名競争はほぼ100%談合(だと思う。俺が直接関わってないから詳しくは知らんけど) 6日頃サビ残しまくっている反動により「「上司の気まぐれで勝手にブレイク(休暇申請のない早退)」が横行 7手当を貰うために業務記録を改竄するのは当たり前だし、それに加担しなかった場合は上司の指示で書類を修正される 8ちゃんと仕事をしたかのような書類を残すことが最優先のため、実態と乖離した記録をするのが常態化 9検査記録、整備記録、体力測定の結果、訓練記録、ありと��らゆるものがメイキング(偽造)の対象 空気がイカれているので隊員の頭もおかしくなりやすい 1パワハラやセクハラが本当に当たり前でハラスメント人間の割合が一般社会の3倍ぐらいはいる 2先輩は後輩にどんなに失礼な態度をとってもいいという中学校の部活動みたいなノリの20代~50代 3人間関係に変化が起きにくいため友達付き合いのようなノリが蔓延しており好き嫌いで仕事をしがち 4幹部自衛官は若くしてヨイショされまくったという経験から人格が歪んで他人を下に見がち 5曹士は幹部から抑圧されたフラストレーションから年功序列的な価値観に走りがちで年下に対しての礼儀がない 6男女差別的な発言が未だに多く「女如きにこんな仕事は任せられない」といった言葉が平気出てくる 7例規の中にさえ「~~な場合、女性隊員は帰隊させる~~~」や「ただし女性隊員は免除される~~~」といった言葉が出てきており男女不平等な価値観が強い 8「女は守られる弱いものである」という考えが根強く、「守られている側の女如きが偉そうにするな」という価値観につながっている 9階級社会を勘違いした結果「上の人間が黒といえば白が黒になるのだから、そもそも自分の頭で白黒を考えるだけ無駄」と考え善悪の判断を一切つけなくなる 10まともな奴から辞めていくので残った人間の中で蠱毒の如くイカれた空気が強まっていく 馬鹿が多い 1数が数えられない 2低学歴自慢 3間違った前提から結論を出し前提が間違っていると言われても聞く耳を持たない 4そもそも今時自衛隊に入る自体で馬鹿だがそこからの向上心がない 5頭の悪い発言をすることが面白いというホモソーシャルに染まり反知性的になっていく 4数が数えられない 7同じ話を何度もする 最後に 「魅力的な自衛隊を目指す」という戯言がニュースになっているのを見て、数年前に部隊で同じようなアンケートを答えさせられてことを思い出してしまったのが切っ掛けで書いた。 厳密に言えば、俺がそこで書いた「自衛隊はここがよくないからそこを改善すべきだよね」という回答がぜ~~~~んぶ上司に握りつぶされて、結局うちの部隊の提出した回答は「自衛隊の良さをもっと知ってもらおう!災害派遣!成長!国民の役に立っている素晴らしい組織!自衛隊最高!」みたいな内輪向けのおべっかだらけにされていたことへの怒りが蘇ったから。 もう部内で何言ってもどうせ聞く耳持たないだろうから匿名の場所で書き散らせて貰った。 「知れば魅力を感じてもらえる自衛隊」なんてのは自分たちに都合がいい情報を下から上げさせてホルホルしてるどうしようもない幹部様達の妄想だよ。 実態は「知れば知るほどに魅力がなくなるのが自衛隊」で、子供がなんとなく持ってる「災害派遣とかしてるんでしょ?」っていう全体の3%の善行だけを切り取ったイメージが一番マシなんだよ。 でも子供だって将来を選ぶ18歳ぐらいの頃には「いやいや本当に被災者を助けたいならレスキューに入るべきでしょ。消防士は救助のために訓練してるけど、自衛隊は人殺しや制圧活動の訓練で得た技術を応用してるだけで災害派遣はメインの任務じゃないよ。せめて海上保安庁とか警察だよね」って気づくからさ。 結果として自衛隊に来るのは「ゆーて軍隊とかタダ飯食って無料宿舎入って筋トレしてるだけでええんやろ?俺腕立て100回出来るからヌルゲーやわー」みたいな舐めた脳筋だけ。 そういう人間だって組織の中で犯罪が横行してたら「前科者になってから追い出されたら行く所ないぞ!もうさっさと辞めて転職するのが正解だ!どうせ犯罪するなら本物のヤクザや半グレニでも入ったほうが儲けもいいし、公務員として犯罪に手を染めるメリットなんてないぞ!」ってすぐに気づいて辞めていく。 とにかくまずはそこを改善しろってことなんだけど、「どうやったら嘘がつけるんだろう」とか「どうやったら表向き頑張ってる感が出せるんだろう」とかしか考えてないんだよね。 そも��もの仕事の仕方に歪みが起きまくってるから犯罪行為に手を出すことが薄っすらと強要されていて、それに対して上が「え~~~僕ちゃんは知らないも~~~ん」でシカトこいてなにもしようとせずに「じゃあ監視だけ強化しまーす!悪い事するなよー!」って自分の保身を固める以外何の役にも立たんことしてるのが問題なんだっての。 どうせこれをどこに言っても握りつぶされるのがオチ。 匿名の場所で「愛想つかされるべくして国民から逃げられてんだよ嘘つき馬鹿野郎ども!」って叫ぶぐらいしか出来ることがもう残ってないのよ。 まあつまり、俺がいいたいのは「自衛隊に入っていいことなんてまったくない」ってことね 一歩間違えれば犯罪者一直線なんだから、絶対に入ってくるんじゃないぞ! 戦争が始まって人を殺すとか、モラルが終わってて捕虜をレイプするとかそういう可能性の話じゃない! 訓練でセクハラを強要され、 日常生活でパワハラをやらされ、 公文書をガンガン偽造させられるってことだ! 入って1年もすれば国家権力にバラさないでもらってるだけの犯罪者だ! 自分の職歴、犯罪歴を汚したくないやつは絶対に来るな! いいか、お前の人生をぶっ壊されたくなかったら来るなよ! 倫理観終わりたくなかったら来るなよ! 自分から徴兵されに行くのと同じだ! それも末期の大日本帝國軍に入るようなもんだ! 表向き誤魔化してるけど、根��こじゃ何も成長してない! 間違っても来るな! 忠告はしたぞ! 後悔しないように生きろ!
自衛隊に入ってはいけない理由100
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mxargent · 2 years ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
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“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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bearbench-3bun4 · 11 months ago
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「虚無への供物」中井英夫 2231
第二章
23犯人たちの合唱01
密室で橙二郎が殺されます。 この節は「犯人たちの合唱」です。
合唱とは、多人数で各声部の声が互いに和声をなしながら、全体で一曲をなすように歌うことです。 橙二郎の犯人として何人かが疑われるということなんでしょうか?
こういうのって、疑われない人が一番怪しいんですよね。
七荘目が終わって、八田皓吉の声が響きます。 その声に真っ先に反応したのは、藤木田です。 それから、皆も飛び出し、一斉に二階を見上げます。 気のせいかガスの甘い匂いが、このあたりにも漂ってくるようです。
どうやらこれで、二階でのガス漏れが起こったことがわかります。 これで、橙二郎がなくなります。
現在は、ガスで中毒になることは無いと思います。 でも、昭和30年代は、都市ガスは可燃性成分として、一酸化炭素ガスが含まれていたため、 使用者の不注意などでガスが漏れ、中毒事故につながることがあったみたいです。
とはいえ、 本来、ガスは無色、無味、無臭、無毒の物質なので、匂いをわざとつけているのです。 となると、このガスの匂いとは何でしょうか? 実は、『付臭装置』を各事業者で設置するようにという取り決めが昭和39年にあり、それ以降なんです。 この��説が書かれた頃は、ガスに匂いがついていたかもしれませんが、昭和30年頃ではありえないことになります。
まあ、小説ですからね。
その後、 二階の書斎、橙二郎が眠っているであろう書斎のドアを確かめます。 二つ有る入口の鍵はかけられていると書かれています。 このあたりは重要な気がするのですが、どういうわけかこの部分は曖昧に書かれています。 というか、二つ有る入口の鍵がかけられていては、入れませんから、密室だということにはなりそうです。
二つのドアを確かめる途中で、化粧室に染みつくほどの臭気に満ちていたとありますが、 書斎とは関係ないのですから、ここがきっかけでガスの匂いに気がついたとしても、 直接の橙二郎の死とは関係ないはずなんですが、 どうしてこの部分が挿入されているのでしょう?
さて、二つのドアに鍵がかかっていて、どうやって書斎に入るのか? 蒼司が階段側のドアは鍵ばかりでなくナイトラッチがついているから こちらを試そうといって、何とかドアを開けます。 つまり書庫側のドアの鍵を開けたということだと思いますが、 正直、階段側のドアに付いているナイトラッチは、案外簡単に開けらるんじゃないかと思うのですが。
まあ、いずれにしろ、 書斎に踏み込むと、 器具栓や部屋の隅の元栓から音を立ててガスが噴出している、 ベッドには橙二郎の死体が有る。 という状態でした。
蒼司は、電話で嶺田医師を呼び出す。 八田皓吉は放心したようにへたり込む。 藍ちゃんと藤木田老人は書斎の窓をあける。 と行った具合に行動を起こします。 この時、藍ちゃんと藤木田老人は濡れ手拭いで顔を覆うとありますが、 普段から手拭いを持ち歩いていたとも考えられますが、 でないとすると、濡れ手拭いは蒼司が用意したのでしょうか? 準備がいいようなきもしますね。
あと、亜利夫の行動が全然書かれていません。 呆然としてたのでしょう。 その理由がこのあとわかります。 この事故と思われる出来事の原因を作ったのは自分ではないかと思ったのです。
蒼司が気がついたようにいいますが、 要は、ガスの元栓を一旦締めて、それをまた開けたために、二階の書斎のガスストーブからガスが漏れた状態になったというのです。 正確には、八田皓吉が十二時ごろに締めて、亜利夫が、二時半にそれを開いたのです。 亜利夫は、そのことに思い当たって、呆然としていたのですね。 藤木田老人もそのことに思い当たったみたいです。 で、皆が多少なりとも責任を感じています。 この節のタイトル「犯人たちの合唱」となるわけですね。
ただし、二時半丁度になるはずのない電話のベルが鳴りかけたのかは、疑問として残っています。
皆と違って、蒼司が、きびきび対応しています。 まず、産院に電話をして吉村夫妻を呼びだし橙二郎の急死を告げ、 警察から調べのいった場合の圭子夫人の応対と銀行筋にてをまわして新聞関係を頼んでいます。 その後、静な声で皆に余計なことを言わないようにいいます。 皆は、黙り込んでいますが、亜利夫はつい疑いを口に出してしまいます。 「橙二郎さんは本当にストーブを付けっぱなしにして寝込んだんだろうか」 蒼司は、あとから警察の人がきていやといううほど調べてくれるといいます。
藍ちゃんも疑問を投げかけます。 書斎に有るはずのないものがあったとです。 蒼司がどう説明したのかだいぶ藍ちゃんも落ち着いたらしく、何も言わなくなります。
この後、亜利夫の目線で、書斎の中の様子が描かれます。
・階段側のドアは、死体発見当時はナイトラッチもとざされ鍵も内側からかけたままだったし僅かな隙間もない。 ・空気抜きの小窓は小さな引き違い戸だが外に鉄棒もはめられていて埃の積り具合からみても動かされた気配はまったくない。 ・書庫の側のドアも同じように内側から鍵がかけられ鍵は鍵穴にささったままで僅かな隙間さえ見当たらない。 ・西向きの小窓はどれにも掛け金がおりていてその外は厳重な鉄格子で檻のよう。 ・南向きの大きな三枚ガラスの窓はどれにも掛け金がおりていて鉄格子で人の出入りを許さない。 ・先月の中頃にありふれた花模様に帰られた壁紙やじゅうたんも異常はない。 ・天井からはこの上もなく頑丈そうな紫水晶を飾り立てたシャンデリアが垂れている。 ・床には古風な飾りのついたガスストーブが置かれている。 ・広々とした机と椅子、橙二郎を連れ出して乱れたままのベッド。 ・飾り戸棚に草根木皮をおさめてガラス瓶が並べられている。 ・足の裏に“縄文後期・群馬県”と書かれている、単純な目と口に稚拙な手足のついた奇妙な土偶。 ・足の裏に“メキシコ・ハリスコ州出土”と書かれている、単純な目と口に稚拙な手足のついた奇妙な土偶。 ・机の上に愛くるしい笑いの粋な赤い上着を着せられて真新しい兵隊の人形がひとつ。
これだけ読むと、完全な密室ですね。 ただ、亜利夫の目線なんですよね。 でも、この密室をどう破るのか楽しみですね。
気になるのは、四時間近くガスが漏れたということになります。 そんな状態で、化粧室には染みつくほどの臭気に満ちていたといい、 それと比較して、書斎はそれほどでもなかったということなんでしょうか? どうして、化粧室には染みつくほどの臭気がみちていたのでしょう?
ところで、 レッテルを貼ったガラス瓶とあるので、その内容が羅列されているけど、レッテルにそう書かれているということでしょう。 ガス中毒なら、これらは全然関係なんでしょうが、わざわざ書いているのはなんででしょう? ちなみに、 海金砂(かいきんしゃ)・・・利水通淋でき、淋病を治療する常用薬である。 脾虚太過の全身浮腫にも用いられる。 腎陰虚には使用しない。 南蛮毛(なんばんげ) ・・・尿の出をよくし、むくみの改善に、利尿作用があるため、さまざまな原因のむくみを改善します。 お茶として飲むことで高血圧や糖尿病、腎結石の予防、水太りタイプの解消、胆石や黄疸の改善などに有効です。 さいかち(皀莢)・・・中国産のトウサイカチの豆果は生薬「皂莢子(そうきょうし)」あるいは「皂角子(そうかくし)」でトリテルペノイドサポニンのほかにスチグマステロールなどが含まれ、去痰作用や殺菌作用が報告されている。 またサイカチの刺も中国では薬用とされる。 白刀頭(はくとうず)・・・血液・体液の流れを促進します。 また、膿を排出したり炎症を抑える働きがあり、歯ぐきの腫れや出血などの炎症を改善します。 免疫力を高める働きがあり、アレルギー症状を緩和します。 また、口腔内の善玉菌をバランスよく維持します。 蘇鉄実(そてつじつ)・・・秋に収穫した実を日陰で乾燥させたものは「蘇鉄実(そてつじつ)」という生薬になり、主に煎じて用いられます。 せき止め、胃痛に効果があるとされていますが、ほかにも切り傷の洗浄に用いられたり、他の生薬と組み合わせて胃がん、肺がんにも用いられます。 地黄(じおう)・・・補血・強壮の薬として、貧血や虚弱体質の改善に使ったり、血が薄くて体力がない人、血がドロドロしていて打撲時に内出血しやすい人にも処方します。 ほかの生薬と組み合わせることで、血行不良によるしびれ、鼻出血、子宮の出血、乾燥性便秘、糖尿病、皮膚の乾燥やかゆみ、前立腺肥大などにも幅広く用いられています。 川骨(せんこつ)・・・概要 利尿、利水の効があり、浮腫、打撲傷などに用います。浄血薬として産前産後、月経不順、血の道症などに、また鎮静薬として婦人の神経興奮状態のときに応用します。 その他体力増進剤として疲労回復に、発汗薬として風邪に、健胃薬として胃腸病等の家庭薬に配剤されます。 天麻(てんま)・・・甘平柔潤で肝経に入り、平肝熄風・定驚の効能をもち、頭目眩暈・痙攣抽搐・肢体麻木・手足不遂などすべての風証に適し、とくに眩暈によく用います。 また、通絡止痛の効能もあり、風湿痺着・麻木酸疼・中風癱瘓(たんたん)に使用されます。 香付子(こうぶし)・・・辛散・苦降・甘緩で芳香走竄し、平性で寒熱に偏らず、理気の良薬であり、舒肝理気解鬱に働き、三焦気滞を消除します。 気行れば血行り、肝気が舒暢すれば血行は通暢し、気血が疏泄調達すると月経は調い疼痛が止むので、調経止痛の要薬でもあります。 白南天(しろなんてん)果実にはアルカロイドのドメスチンやイソコリジンなどが含まれ、ドメスチンには知覚神経や末梢神経を麻痺させ、心臓の運動を抑制する作用がある。 漢方では止咳の効能があり、咳嗽や喘息に用いられる。 というところでしょうか?
嶺田医師が駆けつけ、橙二郎の遺体は病院へ運ばれます。 真名子肇(なまこはじめ)巡査部長が昼近くにやってくることになります。
つづく
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itokawa-noe · 2 years ago
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パレスチナ料理を食べてきました(中編):高橋美香さんのスライドトーク
 ★追記:申し訳ありません。tumblerのアカウントを持っていないと記事が途中までしか読めないようなので、noteに記事を移植しました。こちらからお読みいただけますと助かります…
この記事は「パレスチナ料理を食べてきました(前編):申し込みから入店まで」のつづきです。
「パレスチナ料理を食べてきました(後編):いただきます!」へとつづきます。
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●スライドトーク
 美香さんはご自身で撮られた写真をスライドに映しながら、ヨルダン川西岸地区の、ヘブロン、ビリン、ジェニン難民キャンプという三つの地域についてお話をしてくださいました。以下の文章は、伺った内容の一部を私の視点でまとめたものです。
・記憶や理解の不足を補うために、ネット上の記事や美香さんの著書『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版)を参照しました。当日のお話とは若干の差異があることをご了承ください。
・写真を共有しなければ伝わりにくい話や美香さんご自身の言葉で聞いていただきたいエピソードは除きました。後日アーカイブが公開されるそうなので、そちらをぜひ観てください!!!
 よろしくお願いいたします。
 
【はじめに】
 「今起きていることは10月7日に唐突にはじまったことではない」というお話から、トークは始まりました。私の記憶を文字に起こすかわりに、同じ内容について美香さんご自身が書かれた文章を引用します。
"パレスチナの状況がきちんと日本に伝えられることは少なく、空爆や「テロ」のときだけ一時的に注目されてその部分だけを切り取られて、まるで「突然起きたものごと」のように報じられるということが少なくありません。根本的な問題である占領・封鎖・入植・人権侵害といった「問題」を押しつけられたまま、公正な解決もなされず、そのなかでひとびとのいとなみが続いていること、ましてや、そのいとなみがどんなものであるのかということが報じられることは少ないように思います。" (高橋美香『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版)p43より)
「『パレスチナ』と言われて、みなさんがイメージする地図はどれですか?」
 問いかけとともに映しだされたのは、4つの地図でした。
Tumblr media
(当日使用された画像と同じ内容を示す図をhttps://altertrade.jp/archives/11771 から転載しました)
 緑色の部分がパレスチナの領土です。イスラエルによる侵攻が進むにつれて面積が減り、現在はすっかり狭くなった土地が、さらに虫食い状態になっています。
“虫食いの主な原因が入植地と分離壁の建設です。入植地は国際法では違法とされているにもかかわらず、今や西岸地区では200の入植地に70万人のイスラエル人が住むまでに拡大しています。” (https://altertrade.jp/archives/11771 より)
 この分離壁によって分断された街のひとつが、ヘブロンでした。
・分離壁:「パレスチナ人テロリストの侵入を防ぐ」という名目でイスラエルが建設した高い壁。多くの場所で、境界線を越えてパレスチナに入りこみ、その土地を奪っている。
・入植地:イスラエルが占領地に建設する国際法違反のユダヤ人のための住宅など。
(高橋美香『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版)p6より)
【へブロン】
 ヘブロンという地名には聞き覚えがありました。今回のランチトリップの前日に参加した「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」主催のデモで、ヘブロン出身の方のスピーチを聞いていたのです。
「子どもの頃の自分は、人が大人になる前に死ぬのを当たり前のことだと思っていた。パレスチナから出て初めて、外の世界ではそうでないことを知った。ガザの子どもたちは今も、人が大人になる前に死ぬのが当たり前なんかじゃないことを、知らずにいる」
 この言葉が頭から消えず、帰りの電車でヘブロンについての記事を読みました。その土地で暮らす人たちが入植者によって自由と尊厳と命が奪われつづけてきたことを知りました。
 ですが、美香さんの写真と言葉を通じて知る占領と入植の実態は、私の漠然とした想像を遥かに超えるものでした。
 上述の記事にも出てきたシュハダ通りの写真を、美香さんは見せてくださいました。栄えていたというかつての面影はどこにもなく、今はゴーストタウンと化しているとのこと。通りに面した店は軒並み閉店に追いやられ、もともと一階建てだった建物の上に建て増しする形で作られた二階に、入植者が住みつきました。一階と二階のあいだには、二階から投げ捨てられるゴミへの対策として金網が張り巡らされています。
↓は参考画像です。美香さんが見せてくださったのと似た状況を撮った写真を(https://x.com/O_toshihiro/status/1719027240498085921?s=20)からお借りしました。
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 屋上に設置された生活用水を溜めるための貯水タンクを銃撃して穴を開ける、台所に火炎瓶を投げ込むなどといった入植者��よる暴力の例が、写真とともに次から次へと挙げられました。こうした命に関わる“嫌がらせ”がひっきりなしに行われている。それがヘブロンの日常なのだそうです。
【ビリン村】
 ビリン村と、後述するジェニン難民キャンプは、美香さんが長期にわたって取材されている土地です。ビリンではアブーラハマ家、ジェニンではアワード家の一員として生活をともにしながら、日々の暮らしを撮りつづけてきました。
 ビリン村のアブーラハマ一家は、農業やヤギの放牧、養蜂などを生業としています。土地に根づいた暮らしはしかし、入植者によって破壊されました。一家の畑がトラックで踏み荒らされるのを、イスラエルの兵士は止めなかったどころか守るようにエスコートしていたそうです。
 村の土地を断ち切る形で鉄条網の分離壁がはりめぐらされ、その向こう、壁を通して見える目と鼻の先に、入植地が作られました。
 週に一度、毎週金曜日に、この分離壁に反対するデモが行われるようになりました。壁の前���立って声を上げる住民に向かって、銃弾、催涙弾、家畜の排泄部と化学薬品を混ぜた汚水が飛んでくる。デモの参加者は昼のあいだに記録され、夜中に兵士が家に押し入ってきて連行されたり、逮捕には及ばずとも嫌がらせを受けたりするそうです。催涙弾のガスを吸いすぎて亡くなった方の話や、本人はなんの暴力もふるっていないにも関わらず「言動が周囲の暴力を誘発する」として17ヶ月のあいだ収監された方の話など、耳を疑うような話がつづきました。
 かつて鉄条網だった分離壁は、今ではコンクリートの巨大な壁になっています。命を賭けてデモをしたところで堅固な壁は壊せないという諦念から、デモの参加者はめっきり少なくなったそうです。
 そんななか、今も毎週デモに参加している人の一人がイランさんです。イランさんはイスラエル人。マイクとスピーカーを持ってやってきて、デモを妨害する兵士たちに向かってヘブライ語で「これが国を守るということか?」と呼びかけるのだそうです。
 「少数ではあるけれど、そういう人もいます」美香さんは仰いました。「イスラエル対パレスチナという構図では、とらえきれないものがあります」とも。
 ビリン村の話のなかで特に心に残ったのは、アブーラハマ家の息子ハムディさんの言葉です。
「よそからここを訪ねてくる人たちはみんな、金曜日のデモだけ見て帰ってゆく。ミカは日常の暮らしを撮れ。そうでないと、なぜみんなが命がけでデモをやるのかわからないだろう」
 そうした日常の話もここに書けたらよかったのですが、美香さんが親しい家族や友人のこととして話してくださったものを私が文字にすると、大切なものが薄まってただの情報になってしまいます。ですのでそちらはぜひ、アーカイブや美香さんのご著書でふれ��みてください。ビリン村での日々については『パレスチナ そこにある日常』(未来社)に書かれているそうです。
(できることなら、この文章を読んでくださっているあなたの脳内のスクリーンに美香さんの写真を投影したいです。人物を撮ったものは特に、撮られる側のみなさんが自然なやわらかいお顔をされているものが多くて、すごくよいんですよ。たとえば、ハムディさんがお母さんを抱きしめてキスするところを撮った一枚。ハムディさんとお母さんのあいだの、それから撮られるおふたりと撮る美香さんのあいだの、おたがいを大切に思う気持ちが伝わってきて、大好きです。本の表紙になっているので、よかったらこれだけでも見てください)
 入植者のトラックによって土地を踏み荒らされたアブーラハマ一家ですが、その後長い時間をかけて畑を作り直し、家畜小屋を建て、客人にコーヒーをふるまうためのしつらえを整えたとのこと。生い茂る緑にかこまれて飲むコーヒーは、とてもおいしそうでした。
 あの畑は今、どうなっているのだろうか。そろそろ見にゆかなければ。ビリン村の話を、美香さんはそんな言葉で結ばれました。
【ジェニン難民キャンプ】
 ジェニン難民キャンプは、イスラエル建国によって追放された76万人のパレスチナ人の住居のひとつとして、1953年に作られました。当初は布製のテントだった「仮住まい」は、時とともにコンクリートの建物へと姿を変え、現在はひとつの街のようになっています。
 この地域はシオニストのあいだで「テロリストの温床」と目され攻撃に晒されつづけてきました。わけても2002年の第2次インティファーダの際には、イスラエル軍の侵攻によって多くの人が殺されました。こちらの写真は、そのとき破壊された建物の瓦礫や自動車の残骸を集めて作られた、馬のモニュメントです。
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(画像は https://note.com/yuki_phototabi/n/n1e4d6e2f0f91 からお借りしました)
 馬はキャンプの入り口に立って当時の記憶を伝えていましたが、去る10月末、イスラエル軍によって運び去られました。
 ここジェニンで、美香さんはアワード家の人たちと生活をともにしました。狭い家にみんなで雑魚寝、朝は毎日「だれか、朝食のパンを買うための1シェケルコインを持ってない? ポケットのなかとか布団の下とかに?」とごそごそ探しまわるところからはじまる、そんな一家ですが、美香さんが出そうとする自分のぶんの生活費は決して受け取ろうとしなかったそうです。
 こちらのアワード家とその周辺の人たちにまつわるエピソードを、美香さんはごくごく近しい大切な人たちのこととして、生き生きと語ってくださいました。なかでも忘れ難いのが、アワード家の次男のムハンマドさんと、その親友マジドさんの話です。
 幼馴染のふたりは、大人になってからもトロピカーナというレストランでともに働いていました。仕事が終わったあとはいったん各々の家に帰るのですが、シャワーを浴びて着替えてからまた落ちあい、つれだって遊びに出かけるのが日課だったそうです。「ほんとうにね、朝から晩までずっと一緒で。ムハンマドとマジドは兄弟よりも仲がいいんですよ」ちょっぴり飽きれるような、とびきり眩しいものをみるような、そんな表情で美香さんは話してくださいました。
 現在、ムハンマドさんはトロピカーナとは別の店で働いています。マジドさんとの思い出があちこちに残った職場に勤め続けるのが辛くて、仕事を変えなければならなかったためです。
 マジドさんは、キャンプに侵入してきたイスラエル兵に射殺されました。ただその場に居あわせたがために、銃撃に巻きこまれて亡くなったのです。
 マジドさんだけではありません。別の幼馴染のハムザさんも、「キャンプを占領者から守るために」と戦闘員になり、殺されました。マジドさんやハムザさんのような直接的な形ではないものの、一家のお父さんのイマードさんもまた、第二次インティファーダの際にイスラエル軍から受けた尋問と暴行に心と身体を蝕まれ、数年の後に亡くなっています。大切なものを守るために戦闘員になった若者たちは「テロリスト」の烙印を押され、その捜索過程で身内が殺されることも珍しくないそうです。(戦闘員の親戚の家にミサイルが撃ち込まれて破壊された様子を、スライドで見ました)
「ジェニン難民キャンプにも日常はあります。でもその日常のなかで、一人、二人、三人、ぽつんぽつんと死んでゆく。殺されてゆくんです」
 静かに語る美香さんを前に思い出したのは、前日のデモで聞いたスピーチでした。
「子どもの頃の自分は、人が大人になる前に死ぬのを当たり前のことだと思っていた。パレスチナから出て初めて、外の世界ではそうでないことを知った。ガザの子どもたちは今も、人が大人になる前に死ぬのが当たり前なんかじゃないことを、知らずにいる」
 自分がこの言葉の意味を抽象的にしかとらえられていなかったことを、突きつけられました。
 長男の���マールさんが「武装組織の戦闘員となった友達を支援した」という罪で逮捕された際の、アワード家の話です。本人の身の安否は言うまでもなく、カマールさんのまだ幼い子どもたちが家に残されたという意味でも、一家の大事な稼ぎ手を失ったという意味でも、事態は二重三重に深刻です。ところが、お母さんのマハさんが美香さんに向かって嘆いたのは、ニワトリの餌代のこと。「もう、どうすればいいのよ! カマールが『自分が餌代を稼ぐから』って言うから飼いはじめたのに」
 生活だ、と思いました。家族が逮捕されようと続いてゆく生活がここにある。マハさんたちのように、暴力に晒されながらも日常を続けている人たちがいる。糧を得るために働き、死んでゆく命があれば生まれてくる命もあり、瓦礫をどかした裏庭に植えたオリーブやレモンの苗木は子どもたちの背丈とともに伸びてゆく。そうした一日一日のつみかさねが、銃撃で、空爆で、断ち切られる。ジェニンではそれが当たり前のことになっている。
 今一度、はじめに引いた美香さんの言葉を、その続きを加えて引用します。
"パレスチナの状況がきちんと日本に伝えられることは少なく、空爆や「テロ」のときだけ一時的に注目されてその部分だけを切り取られて、まるで「突然起きたものごと」のように報じられるということが少なくありません。根本的な問題である占領・封鎖・入植・人権侵害といった「問題」を押しつけられたまま、公正な解決もなされず、そのなかでひとびとのいとなみが続いていること、ましてや、そのいとなみがどんなものであるのかということが報じられることは少ないように思います。空爆の犠牲者も、「テロリスト」と一方的に断罪されるひとびとも、ただの数ではなく、名前も顔もない「テロリスト」でもなく、わたしたちと同じ時代に生きた個性あるひとびとなのだということを忘れたくありません。" (高橋美香『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版)p43より)
「10月7日以降、西岸でも260人ほどの人が殺されています。しかしそれは、ほとんどニュースになりません」
 ヘブロン、ビリン、ジェニン。三つの地域を、そこに暮らす人たちの営みを、美香さんのガイドを通じて知った今、この事実が今まで以上に重く胸にのしかかります。
 ここには書きませんでしたが、美香さんが子どもたちと自由劇場で人形劇を観たときのお話も、そこに至るまでの経緯もふくめ、聞けてよかったです。アーカイブで、たくさんの方に聞いてほしいです。
▶︎「パレスチナ料理を食べてきました(後編):いただきます!」へつづく
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xf-2 · 4 years ago
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(CNN) 中国政府が運営する新疆ウイグル自治区の収容施設に教師として着任した1日目、ケリビナル・シディクさんは兵士2人が若いウイグル族の女性1人を担架にのせて建物の外へ運び出すのを見た。
「女性の顔には生気が全くなかった。頬の色は失われ、呼吸もしていなかった」と証言するシディクさんは、元小学校教師。やむを得ない事情により数カ月間、新彊の収容施設2カ所で中国語を教えたという。2017年のことだった。
施設に勤務していた女性警官はこの後、運ばれた女性が出血多量で死亡したと告げたが、その原因は明らかにしなかった。この一件を皮切りに、女性警官はいくつもの話をシディクさんに聞かせることになる。3カ月間教師として働いたその施設は厳重な警備が敷かれた建物で、女性のための収容所だった。
シディクさんによれば、その女性警官は上司の命令で施設内でのレイプの報告を調査するため配属されたと説明していた。CNNはこの説明を裏付ける証拠を持っていない。ただシディクさんはそこで自分が見聞きしたことについて、非常に精神にこたえる内容で気分が悪くなったと振り返る。
シディクさんの訴えは、元収容者らのものと共通する。彼女らが語るのは、中国の巨大な収容所ネットワークの内部で行われているレイプや組織的な性的虐待だ。
シディクさんの証言が希少なのは、収容施設の中で働いていた職員がじかに経験した内容だからだ。米国政府は中国がウイグル族や他のイスラム系の少数民族に対するジェノサイド(集団殺害)を行っていると非難。弾圧の手段として大規模な拘束や拷問、不妊・中絶手術の強制などを挙げている。
これに対し中国政府は、ジェノサイドの非難を事実ではないと否定。CNNへの声明で、新彊において、いわゆる「組織的な女性への性的暴行や虐待」は行われていないと反論した。
しかしシディクさんは、女性警官から男性警官がそうした行為について自慢げに話す様子を聞かされたと証言する。「(男性警官たちは)夜に酒を飲むと、どうやって女性たちをレイプし、拷問したかを互いに言い合うそうだ」。現在オランダに住むシディクさんは、CNNの取材に答えてそう説明した。
小学校の教師をしていたケリビナル・シディクさんだが、収容施設の収容者たちに中国語を教えることを余儀なくされた/Courtesy Qelbinur Sidik  
収容所の内側
ウズベク族のシディクさんは新彊で育ち、28年間小学校の教師として6~13歳の子どもたちを教えてきた。2016年9月、サイバク地区の教育委員会の会議に呼ばれ、「読み書きのできない人たち」を対象にした仕事に就くよう言われたという。
17年3月、新しい生徒たちと対面した。約100人の男性とひと握りの女性だ。「彼らは教室に入ってきた。手足を鎖でつながれていた」(シディクさん)
初めての授業で、板書しようと黒板の方を向くと、背後から収容者たちの泣き声が聞こえた。「少しだけ振り返ると、彼らの涙が頬を伝って流れ落ちるのが見えた。女性の収容者たちは声を上げて泣いていた」(シディクさん)
若い収容者たちは、施設に来た当初こそ「健康で丈夫な、目も生き生きとしている状態」だが、すぐに体調を崩し、衰弱したという。教室は施設の地下にあったが、叫び声が聞こえることがあった。それについて尋ねると、男性警官は収容者が拷問されていると答えた。
「そこで教えている間、身の毛がよだつ状況を目の当たりにしてきた」(シディクさん)
CNNには、シディクさんが語った収容施設内の話が事実なのかどうか確かめる手段がない。しかし、新彊の複数の元収容者が以前CNNの取材に答え、政治的な洗脳や虐待を受けていたと証言。現在は海外に住むウイグル族の人たちも、親類が収容施設に入ったまま帰ってこない実情を訴えていた。CNNに寄せられた漏洩(ろうえい)文書が示すところによれば、ウイグル族の人々はひげを生やしているとかベールを着用しているといった些細(ささい)なことで収容施設に送られることもあるという。
中国政府は、収容施設が「職業訓練センター」だと主張。運営は当局の戦略の一環であり、暴力的なイスラム過激主義の撲滅と雇用創出の両方を念頭に置いていると説明する。
新疆ウイグル自治区・共産党宣伝部の報道担当者は今月1日、政府の記者会見で「ウイグル族のイスラム教徒数千人を一斉検挙している事実はない」と述べた。
「我々が法に従って取り締まったのは、一部の凶悪でしぶとい過激主義グループの頭目たちや中心メンバーたちだ。その一方で、宗教的な過激主義に染まり、軽微な犯罪を犯した人々には救済の手を差し伸べている」(同担当者)
「そして私は集団レイプされた」
トゥルスナイ・ジヤウドゥンさんは、何の罪も犯していないにもかかわらず拘束されたと訴える。17年4月、公的な書類を入手するため新疆ウイグル自治区のキュネス県に帰省した時に初めて拘束された。当時は夫と隣国のカザフスタンに暮らして5年が経過していた。
夫のハルミルザ・ハリクさんはカザフ族で拘束はされず、ジヤウドゥンさんを追ってキュネス県職業訓練学校に向かった。カザフスタンからCNNの電話取材に応じたハリクさんは、「学校の鉄の門越しに2人で話をした」とその時の状況を振り返る。「私を見て彼女は泣き出した。怖がることはないと言った。(中略)法を犯していないのだから、心配することなど何もない」
米国からCNNの取材に応じるトゥルスナイ・ジヤウドゥンさん/CNN  
当局はジヤウドゥンさんの身柄を1カ月拘束した後釈放したが、18年3月に収容施設へ呼び戻した。それが9カ月にわたる悪夢の始まりだったとジヤウドゥンさんは強調する。
米国からCNNの取材に応じたジヤウドゥンさんが語ったところによると、収容された監房には他に女性が20人ほどいた。そこでは食事も水もほとんど与えられず、トイレの使用は1日1回しか許されなかった。使用する時間も3~5分と決められており、「それ以上時間がかかると、電流の流れる警棒で感電させられた」(ジヤウドゥンさん)
収容されている間、警官からはカザフスタンで暮らした年数について尋ねられた。ウイグル族の亡命者とつながりがあるかどうかも問われたという。
ある尋問の最中、複数の警官から殴る蹴るの暴行を受けて気を失った。また別の時には、2人の女性警官がまだ傷の残るジヤウドゥンさんを別の部屋へ連れていき、テーブルの上へ寝かせた。「彼女らは私の体の中に警棒を入れて、電流を流した。私は失神した」(ジヤウドゥンさん)
それから10日後、今度は男性警官の集団に監房から連れ出された。「隣の部屋で、別の女性が泣き叫んでいるのが聞こえた。5~6人くらいの男がその部屋��入っていくのが見えた。女性を拷問しているのだと思ったが、間もなく私は集団でレイプされた。それが終わってから、彼女も同じことをされたのだと分かった」。ジヤウドゥンさんは涙を流しながらそう振り返った。収容施設にいる間、こうした被害には何度も遭っていたという。
「警官らの残忍さは度を越していた。相手を痛がらせ、殴って体を傷つけた。頭を壁に打ちつけられもした。(中略)そういうやり方で私たちを罰していた」(ジヤウドゥンさん)
レイプと拷問に関するジヤウドゥンさんの糾弾は、最初に英BBCが報じた。CNNはこれらの主張の信憑(しんぴょう)性を独自に確認できていないが、その内容はカザフスタン国籍のウイグル族であるグリバハル・ジェリロワさんのものと共通するところがある。
昨年7月にCNNの取材に答えたジェリロワさんは、17年5月に収容施設に入れられた際、「刑務所のような」部屋に20人ほどの女性たちとともに閉じ込められたと語っていた。
ある時、収容施設で性的暴行を受けたジェリロワさんは、相手の警官に面と向かってこう言った。「恥ずかしくないの? あなたにも母親や姉妹がいるでしょう。どうして私にこんなまねができるの?」。すると警官は電流棒でジェリロワさんを殴り、「お前は人間に見えない」と言い放ったという。
19年9月26日の夜、収容施設でのことを口外しないよう中国当局から警告された後で、ジヤウドゥンさんは徒歩で国境を越え、夫の待つカザフスタンに帰った。
しかしそれからの数日間、ジヤウドゥンさんの健康状態は悪化し、膣からの出血に苦しんだという。
昨年、ジヤウドゥンさんは治療のため米国に渡った。到着後すぐに医師らは手術によってジヤウドゥンさんの子宮を摘出した。診療記録をCNNが確認したところ、ジヤウドゥンさんには骨盤膿瘍(のうよう)、膣出血、結核の診断が下っていた。
医学的な合併症を患ったことについて、ジヤウドゥンさんは新彊の収容施設での扱いが原因だとしている。CNNはこの主張を実証できていない。
夫のハリクさんは「(収容施設を出てから)彼女は中で経験したことについて何も話さなかった」「時々、彼女が夜中に泣いていたりすると、猛烈な怒りがこみ上げてきた。ひどい経験をしたとわかってはいたが、それを尋ねる勇気はなかった」と語った。
ジヤウドゥンさんは現在米国で暮らしている/CNN  
中国側は否定、個人攻撃も
CNNに宛てた声明で、中国外務省は3人の女性たちによる訴えに直接は答えなかったものの、疑惑に関しては全面的に否定する見解を打ち出した。
「当該のメディアに、正誤を判別する能力があることを期待する。虚偽のニュースや偏向報道にだまされたり、誤解させられたりしないよう願う」。外務省はこのように述べたうえで���同省が言うところの職業訓練センターについて、「女性を含む訓練生たちの基本的な権利は侵害されず守られている。いかなる形であれ、訓練生たちを侮辱、虐待することは固く禁じている」と付け加えた。
新疆ウイグル自治区の行政府にコメントを求めたが、現時点で返答はない。
今月3日の記者会見で、中国当局は少数民族の女性数人を紹介。当局の用意したシステムを「卒業」し、「どのように過激思想を排除してもらえたかを共有した」と説明した。また大掛かりなレイプや強制不妊手術に関する報道は「全くばかげた話だ」と一蹴した。国営メディアも、声を上げた女性たちを個人的に攻撃することでその主張の信頼性をおとしめようとしている。
例えば環球時報は10日付の記事で、グリバハル・ジェリロワさんを「役者」と非難。トゥルスナイ・ジヤウドゥンさんは強制的に不妊手術を施されたとうそをついているとの見方を示した。後者に関しては高位の当局者の言葉を引用し、「彼女の家族全員が、生まれつき不妊であることを承知している」と報じた。ジヤウドゥンさんはCNNに対し、強制されたのは子宮内避妊具(IUD)の挿入であって、不妊手術ではないと述べた。
ジヤウドゥンさんは、自分には告発をでっちあげる理由がないと指摘。「40代の女性である私が、こんな話を喜んで世界中に広めると思うのか?」と、問いかけた。
「彼らには、自分にとって怖いものはもう何もないと伝えたい。彼らがすでに私の魂を殺してしまったからだ」(ジヤウドゥンさん)
冒頭の教師のシディクさんは、夫から次のように告げられたと明かす。政府の当局者が自宅にやってきて、4時間にわたり夫に短い動画の撮影方法を指導した。収容施設の中にいたという妻の主張を否定する内容の動画だ。
夫は、決して新疆に戻ってこないよう念を押したという。「(対話アプリの)微信(ウィーチャット)もまたブロックされたので、状況は分からない。夫は今生きているのだろうか、それとも死んでしまったのだろうか」(シディクさん)
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monqu1y · 4 years ago
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国を繁栄させる四つの道具  国を治めるうえで一番大切な事と具体的な方法を考えるための逸話
 市営住宅集会所へ講演会を聞きに行った。  演題は「 兵法書 ( へいほうしょ ) を読んで『生き方』を考える」。内容の要点は次の通りだった。   韓非 ( かんぴ ) は、今から2300年ほど前に生まれた 韓 ( かん ) の貴族。隣国 秦 ( しん ) の圧迫に苦しむ祖国を救うために兵法書を書いた。韓王様は、その兵法書に興味を示さなかったが、隣国 秦 ( しん ) の王様 政 ( せい ) (後の 始皇帝 ( しこうてい ) )は、兵法書に書かれている内容に感動していた…兵法書に書かれている方法で富国強兵を実現し、戦国の乱世を終わらせることができると思ったから。   秦 ( しん ) に 韓 ( かん ) を自国の一部にしようとする動きが有ったので、 政 ( せい ) を説得して 韓 ( かん ) を 秦 ( しん ) とは別の[国]として認めてもらうために、 韓非 ( かんぴ ) は 秦 ( しん ) に行かされた。   政 ( せい ) が 韓非 ( かんぴ ) を信頼して大臣に任命したら自分は大臣を 辞 ( や ) めさせられると考えた 李斯 ( りし ) は、悪口を言いつけて 韓非 ( かんぴ ) を牢屋に入れさせるようにした。そして、 政 ( せい ) が考え直す前に 韓非 ( かんぴ ) を自殺させた。「 拷問 ( ごうもん ) で苦しむ前に毒を飲んだ方が楽」と親切心を 装 ( よそお ) いアドバイスする 振 ( ふ ) りをして…
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 韓非が書いた内容は、次の四つ。 1)国を豊かにし軍隊を強くするための四つの道具 2)国を滅ぼす五つの害虫 3)家来や家族の心を見抜くのに役立つ六つの 徴 ( きざし ) 4)家来や国民をコントロールするための七つの技術 [国を興すための道具]のうち主なものは、次の四つ。 1)[国の法律]を実行するための組織 2)[国の法律]:国民が行うべき事やしてはならない事を書いた文章 3) 布令 ( ふれい ) :[国の法律]を国民に知らせるための立て札など。「貧乏を無くす」「搾取階級を討つ」「差別を許さない」「弱者を救う」「自由と民主」などの ス ( ・ ) ロ ( ・ ) ー ( ・ ) ガ ( ・ ) ン ( ・ ) も、これの一種。 4) 信賞必罰 ( しんしょうひつばつ ) :富国強兵に役立つ行いをした者には必ず 褒美 ( ほうび ) を 与 ( あた ) え、[国の法律]に違反した者は必ず処罰するという[国の法律]の運用  以下は、韓非が書いた兵法の要旨 〖国を治めるうえで一番大切なこと〗  行うべき事としてはならない事を法律で決めて、国民に法律を守らせる。  王様が[法・術]を 駆使 ( くし ) して富国強兵を実現すれば、望みのもの全てを手に入れることができる。富国強兵の方策とは、法律や禁令を明らかにし、計略をよく心得ることである。法律が明らかであれば、国内に事変が起こっても混乱することなく、計略が当を得ておれば、国外で戦死したり捕虜になったりする恐れもなくなる。  いつの時代でも、徳のある人が采配をふるって民衆がそれを見習うことで一国が治まるとは限らない。腹が減っているとき目の前に米をみつければ人目を避けて盗り、貧しいとき目の前に金塊をみつければこっそり盗む人間が多い今、仁徳だけでは国を治められない。  私利私欲の許されない国家運営の場面において、チェックや監視がしっかり行われなければ、社会は乱れ政治は腐敗して、国が滅亡に向かう。  昔の秦国では、だれも国法を守らず、仲間うちの 掟 ( おきて ) を勝手に作ったり、好き勝手に行動していたので、国は乱れ、軍隊は弱く、王様はバカにされていた。  大臣に任命された 商鞅 ( しょうおう ) は、王様に、国法をキチンと決めて皆に守らせる方法を 提案 ( ていあん ) した。  五軒組と十軒組をつくって、国民に密告させあい、連帯責任をとらせる。   詩経 ( しきょう ) や 書経 ( しょきょう ) などの書物は焼き捨て、法令を明示する。  大臣の請願を聞き入れず、国のために働く者を大切にする。  当時、秦の国民は、罪を犯してもうまく逃れ、功績もないのに 讃 ( たた ) えられる古い 習 ( なら ) わしに慣れきっていたので、新しい法が出ても軽視して守ろうとしなかった。しかし、新法を犯す者に必ず重罰を加え、密告者に 褒美 ( ほうび ) を取らせるようにしたら、密告と受刑者が増えた。  新法に反対する世論が盛り上がったが、王様も 商鞅 ( しょうおう ) も、構わず、新法を適用して犯罪者を取り締まった。  その結果、犯罪は減り、国は良く治まり、軍隊は強く、国土は広く、王様の 権威 ( けんい ) は高くなった。  また、 商鞅 ( しょうおう ) は、商工業よりも農業を大事にすべきだと 提言 ( ていげん ) した。  国民が家を離れて仕官を求めることを禁止し、事あるときに兵役をつとめる農民を表彰する。   魏 ( ぎ ) の 昭 ( しょう ) 王は、自分で政務を手がけてみたくなった。  そこで、 孟嘗君 ( もうしょうくん ) に言った。  「ひとつ自分で政務をやってみたいが」。  「政務を手がけられるのでしたら、まず法律を勉強 為 ( な ) さることです」。  昭王は法律の本を読みだしたが、いくらも読みすすまないうちに、眠ってしまった。  そして、「私には法律の勉強はできない」と 嘆 ( なげ ) いた。  王様は、権力のカナメをおさえていればよい。家来にまかせておけばよいことまで自分でやろうとするのでは、眠くなるのは当然だ。  「どうも法というのは、うまく使えない」と、 韓 ( かん ) の 昭 ( しょう ) 王が大臣の 申不害 ( しんふがい ) に愚痴をこぼした。  「法は、功績によって賞を与え、能力に応じて官を授けることです。あなたは法を定めておきながら、身近の者の請願を聞き入れていらっしゃる。それでうまくいかないのです」。  「なるほど、これで法の使い方がわかった。もう誰の請願も聞き入れないぞ」。  ある日、申不害が 従兄 ( いとこ ) の仕官を願い出た。  「おまえは、そうは教えなかったはずだ。願いを入れて教えを捨てたものだろうか。それとも、願いを断ったものだろうか…」。  申不害は謝って引き下がった。  市場に出かけようとする母親に子どもがついてきて泣いた。母親は「家にお帰りなさい。お母さんもすぐ帰ってあなたのために豚のごちそうを作るからね」と言って子供をなだめた。  母親が市場から帰ると、父親が豚を殺そうとしていた。母親は父親を止めながら、「あれはただあの子に冗談を言っただけのことですから」と言った。  父親は、「子供は冗談だと思っていないぞ。子供には冗談が分からないのだ。だいたい子供というものは、両親からいろいろなことを学ぶもの、両親の言うことにちゃんと従うものだ。今もし子供をだますようなことをすれば、それは子供に人をだますことを教えることになる。第一、母親が子供をだませば、子供は母親を信用しなくなる。それでは子供に教育なんぞできやしないではないか」と言い、豚を煮た。 〖国法を守らせるための条件整備〗   斉 ( せい ) の 桓 ( かん ) 公がお忍びで民間を視察したときのこと。   鹿門稷 ( ろくもんしょく ) という男がいたが、彼は七十になっても妻がなかった。  桓公がお供の 管仲 ( かんちゅう ) に聞いた。  「しもじもには、年寄りになっても妻を持てない男がいるものだろうか」。  「ございます。鹿門稷という男は、七十だというのにまだ妻がありません」。  「どうしたら妻を持たせることができるだろうか」。  「こういう言葉があります。王様が財産を作りすぎると、しもじもの暮らしは貧しくなる。宮中にひとりで寝る女がいると、しもじもには老いて妻なき男が出る」と。  「わかった」と、言って、桓公は、まだ手をつけていない宮中の女を、みな嫁に出した。  それから次のような命令を出した。  「男は二十で嫁をとること。女は十五で嫁にいくこと」。  こうして、宮中には、ひとり寝の寂しさを歎く女はいなくなり、民間には妻のない男がいなくなった。  何の準備もなしに命令だけ出しても守られるはずがない。 〖信賞必罰〗  母の幼子に対する愛情は、何よりも深い。しかし幼子が良くない行いをするようならば、先生につかせて修養をさせるし、悪い病気にかかるならば、医者にみせて治療をしてもらう。もし先生につかなければ刑罰を受けることにもなりかねず、医者に見せなければ死んでしまうかもしれない。母がいくら我が子を愛しても、愛情などは、刑罰から、また死から救うのに役に立たない。つまり子供を無事に育てるものは、愛ではないのである。子と母とを結ぶ絆は愛である。また君臣関係を結ぶものは計算尽くである。母でさえ愛を以って家庭を無事に存続させることができないのに、どうして王様が愛などと言うもので国家を保持することができようか。  仁者は恵み深く、気前よく財産をばらまいてしまう。暴者は心が強くて動かされず、簡単に罰を与えてしまう。慈しみの心が深いと、厳しく罰することができず、気前が良いと、人に与えることを好み、心が強いと、臣下どもに対して憎しみの心が現れ、簡単に罰を与えると、むやみに人を死刑にしてしまう。その結果、厳しく罰することができなければ、罪を多めに見ることが多くなり、人に与えることを好めば、功績の無い物にまで恩賞を与えてしまう。また、憎しみの心が現れれば、下々の者はおかみを怨むようになり、むやみに人を死刑に処したならば、民衆は謀反を起こそうとする。  だから、仁者が王様の位につくと、下々の者は好き勝手に振る舞い、軽々しく法律に違反して、お上に対して一時の幸福をむさぼることを望むのである。また暴人が王様の位につくと、法律は気まぐれで王様と臣下の仲は不和になり、民衆は怨んで謀反の心を生じる。そこで私は、仁者にしても暴人にしても、ともに国を滅ぼすものだと主張するのである。  親や近所の者や先生がいかに怒り、責め、教え 諭 ( さと ) しても、少しも改めようとしない子供でも、法律を以て悪人を摘発する巡査が来たら、恐くなって変節し、良い子になる。  民衆は愛情に対しては図に乗ってつけあがり、 威嚇 ( おどし ) にはおとなしく従うのだ。  政治を知らない者は、「刑罰を重くすると、国民を傷つける。刑罰を軽くしても悪事を予防できるのに、どうして重くする必要があるのか。」と言うが、軽い刑で悪事をしない者は、重い場合にも当然悪事に手を出さない。  重刑は、悪人にはプラスになるところが小さく、お上が下す罰は大、民はわずかの利益のために大きな罪を犯すことはしない。  軽い刑は、悪人が得る利益は大きく、お上の下す罰は小、民は利益を目当てにその罪を見くびるから、悪事は防ぎようがない。  20㍍の城壁を、身軽な者でも越すことができないのは、そそり立ってけわしいから。黄金30㌕が道に落ちていても拾う者が居ないのは、必ず罰を受けるからだ。  高山で羊を飼えるのは、山がけわしくないから。2㍍の布が道に落ちていれば拾う者が居るのは、罰を受けるとは限らないからだ。  功績のあった者に必ず賞を与えて 讃 ( たた ) え、犯罪者は手心を加えず罰して不名誉に 晒 ( さら ) せば、能力のある者もない者も全力をつくすだろう。   荊南 ( けいなん ) 地方にある 麗水 ( れいすい ) という川には 金 ( きん ) が出る。金を採ることは法令できびしく禁止されており、捕まれば衆人の前で 磔 ( はりつけ ) の刑に処せられる。処刑された死体はおびただしい数にのぼり、川の流れをせき止めるほどになったが、金を採る者は、あとを絶たなかった。衆人の前で 磔 ( はりつけ ) にされるほど重い刑罰はないのに、それでも金を採る者がいるのは、絶対捕まるとは限らないからだ。  「お前に天下をやる。その代わり、お前の命はもらう」と言われたとする。それでも天下をもらうという馬鹿者はいないだろう。天下をもらうほど大きな利益はないのに、それをもらう者がいないのは、必ず殺される、とわかっているからだ。  魏が 武 ( ぶ ) 王のとき、 呉起 ( ごき ) は 西河 ( せいか ) の長官となった。  国境近くに 在 ( あ ) る敵国 秦 ( しん ) の小さな 砦 ( とりで ) が農民に害を及ぼしていた。といってそれを除くためにわざわざ軍隊を集めるのは大げさすぎる。  考えた末、車のかじ棒を一本、北門の外に立てかけ、布令を出した。「このかじ棒を南門まで運んだ者には、上等の土地と上等の屋敷をとらせる」と。  布令を信じかねて運ぶ者がいなかったが、あるとき、それを運んだ者が出てきた。すかさず、布令どおりの賞を与え、今度は一 石 ( こく ) の赤豆を東門の外に置いて、布令を出した。「この赤豆を西門まで運んだ者には、前と同じほうびをとらせる」と。人々は先を争って運んだ。  そこで呉起は布令を出した。「明日、砦を攻めるが、一番乗りした者には、 大夫 ( たいふ ) の地位を与え、上等の土地と上等の屋敷をとらせる」と。人々は先を争って砦に攻め込み、あっという間にこれを占領してしまった。 〖国益と私利〗  王様が国民の利己的行為を許せば、国の利益は害される。  王様が賞罰を加える対象と、国民が名誉・不名誉とする対象は、 往々 ( おうおう ) にして 一致 ( いっち ) しない。  功績をあげて爵位を与えられた者が世間では評価されなかったり、農業に 励 ( はげ ) んだ者が賞を与えられても農業はつまらない仕事と思われたりする。  その一方で、招請に応じない者を排斥しても、彼らが俗世を超越するものとして尊敬されることがある。世間の評判を気にして、自分で働かずに衣食を得る「有能者」や、戦功をあげずに高位にのぼる「賢人」を横行させれば、国土の荒廃と兵力の弱体化をまねく。  学問によって世を乱す儒者を赦してはならない。  大臣が魚好きであることを知った国中の者たちが、争って魚を買い求め、彼に献上してきたが彼は受け取らなかった。弟が理由を聞くと、大臣は「魚が好きだからこそ受け取らない。献上される魚を受け取って判断に影響し、法を曲げれば、大臣を辞めさせられる。献上される魚を受け取らず、大臣を辞めさせられなければ、安心して自分の力で魚を得ることができる」と答えた。   楚 ( そ ) の国の正直者が、羊を盗んだ自分の父を、 令尹 ( れいいん ) 大臣に訴え出たが、令尹はこの正直者をつかまえて死刑を宣告した。王様に忠義だてして親不孝の罪を犯したものとして断罪したのだ。令尹が、父親を訴え出た息子を罰してからというもの、 楚 ( そ ) の国では罪人を訴え出る者がいなくなった。   魯 ( ろ ) の国が戦ったとき、三度出陣して三度とも逃げ帰った男がいた。どうして逃げてばかりいるのかと孔子が尋ねると、男は答えた。「わたくしには老いた父があります。わたくしが死んでしまったら、養う者がおりません」。その孝行ぶりに感心して、孔子は彼の位をあげてやった。孔子が、敗走した兵士の位を上げてからというもの、魯の国民は敗走を恥としなくなった。  「仁義」を身につけた者を信頼して登用したり、学問を修めた者が先生と呼ばれて名声が得るような風潮を許せば、国は乱れて王様の地位がおびやかされるようになる。  国を富ます農業や敵を防ぐ兵士にたよりながら、同時に飾りたてた儒者の服装を喜ぶのは、チグハグな行動だ。国法を敬わずお上をおそれない遊侠、刺客のたぐいを養うのも、チグハグな行動だ。チグハグな行動をしていたら、働く者が勤めをおろそかにし、働かず学問する者が日ましに多くなる。そして、世の中が乱れる。   宋 ( そう ) の 崇門 ( すうもん ) の町で、あまりに真剣に親の喪に服したため、ひどくやせ衰えてしまった者がいた。親を思う心が深いからだとして、お 上 ( かみ ) は彼を官吏にとりたてた。  次の年には、喪に服したため身体をこわして死ぬ者が、十人以上も出た。子が親の喪に服すのは、肉親の愛情に発することだが、それすらも、恩賞によってこのように奨励できる。  家来が王様につくすことにおいては、恩賞による効果が大きいはずだ。  昔、 蒼頡 ( そうけつ ) は、文字を創るにあたって輪になった形の「ム」によって「私」を表し、それに反するという意味の「ハ」を加えて「公」という字にした。公私が相反することは、既に蒼頡が知っていた。未だに公私の利害が一致すると思うは無知の 極致 ( きょくち ) 。 〖国法と人情〗  良く治まってる国は、国法が人情に通じており、国を治める道理にかなっている。  小さな悪事は、村人に連帯責任を負わせ、相互監視させる。禁令で自分に連座するものがあれば、村人は監視せざるをえない。監視する者が多ければ、悪者は悪事を謀れない。  ウナギは蛇に似ており、蚕はいわゆる毛虫に似ている。人は蛇を見ると、びっくりし、毛虫を見ると身の毛もよだつ。だのに、夫人は平気な顔をして、蚕を摘み上げ、漁師はウナギをわしづかみにする。利益があるとなると、人が嫌うことなどは忘れてしまって、みんなあの孟墳のような勇士となる。  だれでも自分の知らない物事には警戒するが、よく知っている物事には進んで為そうとするものだ。なぜならそうすることが自分にとって得になることが容易に推察できるだからだ。   子綽 ( ししゃく ) は、「左手で四角を画きながら右手で丸を画くことはできない。肉でアリを追っても集まるだけだ。魚でハエを追っても群がるだけだ」と言った。道理に逆らった行為は、うまくいくはずがない。 《禁止と奨励、賞と罰、その原則を逆にしたら、どんな神業をもってしても、政治はできない。条件を与えながら進ませないのは、乱の起こる元である》。 〖損得感情の働きを知る〗  人は幼児期に親に 疎 ( おろそ ) かにされると成長して親をうらむ。成人となった子供が老いた両親を 粗略 ( ぞんざい ) に養うと親は怒って子供を責める。本来、子と親の仲は、利益を度外視したきわめて親密な関係であるはずなのに、相手をうらんだり非難したりするのは相手が自分に報いてくれるという打算があるからだ。得すると思えば仲よくなり、損すると思えば、親子の間にもうらみの気持ちが生じる。  君臣関係では、肉親関係以上に打算が働く。まっとうなやり方で身の安全が保障されるならば、臣下はそれなりに力を尽くして主人に仕えるだろうが、そうでなければ私利私欲に走り、上に取り入ろうとする。王様は、何が得で、何が損なのかをはっきり天下に示したうえで、役立つ臣下に官爵を与え、臣下はそれに対して己の知力を提供するようにしなければならない。  カラスを飼いならすには、まず羽を切る。羽を切られてしまえば、カラスは人間に餌をもらうほかない。どうしたって馴れないわけにはいかないのだ。  [法・術]に 長 ( た ) けた王様の家来飼育法も、これと同じだ。  ポイントは、 俸禄 ( ほうろく ) に頼らざるを得ず、与えられた職に務めるほかないように仕向けることだ。家来は 否 ( いや ) も応もなく服従するだろう。 〖王業の基礎〗  王様が家来を評価するとき、世間の評判に惑わされて、成果を確かめなければ、口先ばかり達者で実際の役に立たない者が増える。昔の聖人を 讃 ( たた ) え「仁義」を口にする者が朝廷にあふれれば、実力と実行力を兼ね備えた人材は世に 埋 ( うず ) もれ、���力が 衰 ( おとろ ) えていくことになる。   商子 ( しょうし ) 、 管子 ( かんし ) といった政治書を読む人々は多くても、内容を活用する人は少なく、農業の議論はしても実際に 鋤 ( すき ) を手にして耕作する者が少なければ、国は貧しくなる。   孫子 ( そんし ) 、 呉子 ( ごし ) といった兵法書を備えていても、実際に 鎧 ( よろい ) 兜 ( かぶと ) をまとって戦う者が少なければ、軍隊は弱くなる。  [法・術]に 長 ( た ) けた王様は、無用な議論が国力を弱めることを知っており、実用にのみ価値を認める。そうすれば、国民はそれに従い、国力は充実していく。  田畑で働く骨の折れる仕事に国民が従事するのは、富を手にすることができるからだ。  戦で死ぬ危険があっても国民が兵役につくのは、高い身分を求めるからだ。  学問や言論を修めれば畑仕事で骨を折らなくても富が手に入り、戦で死ぬ危険を 冒 ( おか ) さなくても高い身分が得られると���たら、誰が骨を折ったり危険を冒すだろうか。頭を使う者が多くなれば、法の権威は失われ、力を尽くす者が少なくなれば、国は貧しくなる。  [法・術]に 長 ( た ) けた王様が治める国に書物は無用、[法]が[教え]なのだ。  聖人の言葉も無用、官吏が先生なのだ。遊侠の私的武力も無用、国の戦で敵を斬ることが勇気なのだ。  国民は、法にはずれた言論を 為 ( な ) さず、働くときは実績をあげるように働き、勇気は戦で発揮する。このように王業の基礎をかためれば、太平の世に国は富み、戦となれば強い軍隊が国を護る。 ⦅亡国五害[韓非]に続く⦆
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toubi-zekkai · 4 years ago
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厚着紳士
 夜明けと共に吹き始めた強い風が乱暴に街の中を掻き回していた。猛烈な嵐到来の予感に包まれた私の心は落ち着く場所を失い、未だ薄暗い部屋の中を一人右往左往していた。  昼どきになると空の面は不気味な黒雲に覆われ、強面の風が不気味な金切り声を上げながら羊雲の群れを四方八方に追い散らしていた。今にも荒れた空が真っ二つに裂けて豪雨が降り注ぎ蒼白い雷の閃光とともに耳をつんざく雷鳴が辺りに轟きそうな気配だったが、一向に空は割れずに雨も雷も落ちて来はしなかった。半ば待ち草臥れて半ば裏切られたような心持ちとなって家を飛び出した私はあり合わせの目的地を決めると道端を歩き始めた。
 家の中に居た時分、壁の隙間から止め処なく吹き込んで来る冷たい風にやや肌寒さを身に感じていた私は念には念を押して冬の格好をして居た。私は不意に遭遇する寒さと雷鳴と人間というものが大嫌いな人間だった。しかし家の玄関を出てしばらく歩いてみると暑さを感じた。季節は四月の半ばだから当然である。だが暑さよりもなおのこと強く肌身に染みているのは季節外れの格好をして外を歩いている事への羞恥心だった。家に戻って着替えて来ようかとも考えたが、引き返すには惜しいくらいに遠くまで歩いて来てしまったし、つまらない羞恥心に左右される事も馬鹿馬鹿しく思えた。しかしやはり恥ずかしさはしつこく消えなかった。ダウンジャケットの前ボタンを外して身体の表面を涼風に晒す事も考えたが、そんな事をするのは自らの過ちを強調する様なものでなおのこと恥ずかしさが増すばかりだと考え直した。  みるみると赤い悪魔の虜にされていった私の視線は自然と自分の同族を探し始めていた。この羞恥心を少しでも和らげようと躍起になっていたのだった。併せて薄着の蛮族達に心中で盛大な罵詈雑言を浴びせ掛けることも忘れなかった。風に短いスカートの裾を靡かせている女を見れば「けしからん破廉恥だ」と心中で眉をしかめ、ポロシャツの胸襟を開いてがに股で歩いている男を見れば「軟派な山羊男め」と心中で毒づき、ランニングシャツと短パンで道をひた向きに走る男を見れば「全く君は野蛮人なのか」と心中で断罪した。蛮族達は吐いて捨てる程居るようであり、片時も絶える事無く非情の裁きを司る私の目の前に現れた。しかし一方肝心の同志眷属とは中々出逢う事が叶わなかった。私は軽薄な薄着蛮族達と擦れ違うばかりの状況に段々と言い知れぬ寂寥の感を覚え始めた。今日の空が浮かべている雲の表情と同じように目まぐるしく移り変わって行く街色の片隅にぽつ念と取り残されている季節外れの男の顔に吹き付けられる風は全く容赦がなかった。  すると暫くして遠く前方に黒っぽい影が現れた。最初はそれが何であるか判然としなかったが、姿が近付いて来るにつれて紺のロングコートを着た中年の紳士だという事が判明した。厚着紳士の顔にはその服装とは対照的に冷ややかで侮蔑的な瞳と余情を許さない厳粛な皺が幾重も刻まれていて、風に靡く薄く毛の細い頭髪がなおのこと厳しく薄ら寒い印象に氷の華を添えていた。瞬く間に私の身内を冷ややかな緊張が走り抜けていった。強張った背筋は一直線に伸びていた。私の立場は裁く側から裁かれる側へと速やかに移行していた。しかし同時にそんな私の顔にも彼と同じ冷たい眼差しと威厳ある皺がおそらくは刻まれて居たのに違いない。私の面持ちと服装に疾風の如く視線を走らせた厚着紳士の瞳に刹那ではあるが同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情が浮かんでいた。  かくして二人の孤独な紳士はようやく相まみえたのだった。しかし紳士たる者その感情を面に出すことをしてはいけない。笑顔を見せたり握手をする等は全くの論外だった。寂しく風音が響くだけの沈黙の内に二人は互いのぶれない矜持を盛大に讃え合い、今後ともその厚着ダンディズムが街中に蔓延る悪しき蛮習に負けずに成就する事を祈りつつ、何事も無かったかの様に颯然と擦れ違うと、そのまま振り返りもせずに各々の目指すべき場所へと歩いて行った。  名乗りもせずに風と共に去って行った厚着紳士を私は密かな心中でプルースト君と呼ぶ事にした。プルースト君と出逢い、列風に掻き消されそうだった私の矜持は不思議なくらい息を吹き返した。羞恥心の赤い炎は青く清浄な冷や水によって打ち消されたのだった。先程まで脱ぎたくて仕方のなかった恥ずかしいダウンジャケットは紳士の礼服の風格を帯び、私は風荒れる街の道を威風堂々と闊歩し始めた。  しかし道を一歩一歩進む毎に紳士の誇りやプルースト君の面影は嘘のように薄らいでいった。再び羞恥心が生い茂る雑草の如く私の清らかな魂の庭園を脅かし始めるのに大して時間は必要無かった。気が付かないうちに恥ずかしい事だが私はこの不自然な恰好が何とか自然に見える方法を思案し始めていた。  例えば私が熱帯や南国から日本に遣って来て間もない異国人だという設定はどうだろうか?温かい国から訪れた彼らにとっては日本の春の気候ですら寒く感じるはずだろう。当然彼らは冬の格好をして外を出歩き、彼らを見る人々も「ああ彼らは暑い国の人々だからまだ寒く感じるのだな」と自然に思うに違いない。しかし私の風貌はどう見ても平たい顔の日本人であり、彼らの顔に深々と刻まれて居る野蛮な太陽の燃える面影は何処にも見出す事が出来無かった。それよりも風邪を引いて高熱を出して震えている病人を装った方が良いだろう。悪寒に襲われながらも近くはない病院へと歩いて行かねばならぬ、重苦を肩に背負った病の人を演じれば、見る人は冬の格好を嘲笑うどころか同情と憐憫の眼差しで私を見つめる事に違いない。こんな事ならばマスクを持ってくれば良かったが、マスク一つを取りに帰るには果てしなく遠い場所まで歩いて来てしまった。マスクに意識が囚われると、マスクをしている街の人間の多さに気付かされた。しかし彼らは半袖のシャツにマスクをしていたりスカートを履きながらマスクをしている。一体彼らは何の為にマスクをしているのか理解に苦しんだ。  暫くすると、私は重篤な病の暗い影が差した紳士見習いの面持ちをして難渋そうに道を歩いていた。それは紳士である事と羞恥心を軽減する事の折衷策、悪く言うならば私は自分を誤魔化し始めたのだった。しかしその効果は大きいらしく、擦れ違う人々は皆同情と憐憫の眼差しで私の顔を伺っているのが何となく察せられた。しかしかの人々は安易な慰めを拒絶する紳士の矜持をも察したらしく私に声を掛けて来る野暮な人間は誰一人として居なかった。ただ、紐に繋がれて散歩をしている小さな犬がやたらと私に向かって吠えて来たが、所詮は犬や猫、獣の類にこの病の暗い影が差した厚着紳士の美学が理解出来るはずも無かった。私は子犬に吠えられ背中や腋に大量の汗を掻きながらも未だ誇りを失わずに道を歩いていた。  しかし度々通行人達の服装を目にするにつれて、段々と私は自分自身が自分で予想していたよりは少数部族では無いという事に気が付き始めていた。歴然とした厚着紳士は皆無だったが、私のようにダウンを着た厚着紳士見習い程度であったら見つける事もそう難しくはなかった。恥ずかしさが少しずつ消えて無くなると抑え込んでいた暑さが急激に肌を熱し始めた。視線が四方に落ち着かなくなった私は頻りと人の視線を遮る物陰を探し始めた。  泳ぐ視線がようやく道の傍らに置かれた自動販売機を捉えると、駆けるように近付いて行ってその狭い陰に身を隠した。恐る恐る背後を振り返り誰か人が歩いて来ないかを確認すると運悪く背後から腰の曲がった老婆が強風の中難渋そうに手押し車を押して歩いて来るのが見えた。私は老婆の間の悪さに苛立ちを隠せなかったが、幸いな事に老婆の背後には人影が見られなかった。あの老婆さえ遣り過ごしてしまえばここは人々の視線から完全な死角となる事が予測出来たのだった。しかしこのまま微動だにせず自動販売機の陰に長い間身を隠しているのは怪し過ぎるという思いに駆られて、渋々と歩み出て自動販売機の目の前に仁王立ちになると私は腕を組んで眉間に深い皺を作った。買うべきジュースを真剣に吟味選抜している紳士の厳粛な態度を装ったのだった。  しかし風はなお強く老婆の手押し車は遅々として進まなかった。自動販売機と私の間の空間はそこだけ時間が止まっているかのようだった。私は緊張に強いられる沈黙の重さに耐えきれず、渋々ポケットから財布を取り出し、小銭を掴んで自動販売機の硬貨投入口に滑り込ませた。買いたくもない飲み物を選ばさられている不条理や屈辱感に最初は腹立たしかった私もケース内に陳列された色取り取りのジュース缶を目の前にしているうちに段々と本当にジュースを飲みたくなって来てその行き場の無い怒りは早くボタンを押してジュースを手に入れたいというもどかしさへと移り変わっていった。しかし強風に負けじとか細い腕二つで精一杯手押し車を押して何とか歩いている老婆を責める事は器量甚大懐深き紳士が為す所業では無い。そもそも恨むべきはこの強烈な風を吹かせている天だと考えた私は空を見上げると恨めしい視線を天に投げ掛けた。  ようやく老婆の足音とともに手押し車が地面を擦る音が背中に迫った時、私は満を持して自動販売機のボタンを押した。ジュースの落下する音と共に私はペットボトルに入ったメロンソーダを手に入れた。ダウンの中で汗を掻き火照った身体にメロンソーダの冷たさが手の平を通して心地よく伝わった。暫くの間余韻に浸っていると老婆の手押し車が私の横に現れ、みるみると通り過ぎて行った。遂に機は熟したのだった。私は再び自動販売機の物陰に身を隠すと念のため背後を振り返り人の姿が見えない事を確認した。誰も居ないことが解ると急ぐ指先でダウンジャケットのボタンを一つまた一つと外していった。最後に上から下へとファスナーが降ろされると、うっとりとする様な涼しい風が開けた中のシャツを通して素肌へと心地良く伝わって来た。涼しさと開放感に浸りながら手にしたメロンソーダを飲んで喉の渇きを潤した私は何事も無かったかのように再び道を歩き始めた。  坂口安吾はかの著名な堕落論の中で昨日の英雄も今日では闇屋になり貞淑な未亡人も娼婦になるというような意味の事を言っていたが、先程まで厚着紳士見習いだった私は破廉恥な軟派山羊男に成り下がってしまった。こんな格好をプルースト君が見たらさぞかし軽蔑の眼差しで私を見詰める事に違いない。たどり着いた駅のホームの長椅子に腰をかけて、何だか自身がどうしようもなく汚れてしまったような心持ちになった私は暗く深く沈み込んでいた。膝の上に置かれた飲みかけのメロンソーダも言い知れぬ哀愁を帯びているようだった。胸を内を駆け巡り始めた耐えられぬ想いの脱出口を求めるように視線を駅の窓硝子越しに垣間見える空に送ると遠方に高く聳え立つ白い煙突塔が見えた。煙突の先端から濛々と吐き出される排煙が恐ろしい程の速さで荒れた空の彼岸へと流されている。  耐えられぬ思いが胸の内を駆け駅の窓硝子越しに見える空に視線を遣ると遠方に聳える白い煙突塔から濛々と吐き出されている排煙が恐ろしい速度で空の彼岸へと流されている様子が見えた。目には見えない風に流されて行く灰色に汚れた煙に対して、黒い雲に覆われた空の中に浮かぶ白い煙突塔は普段青い空の中で見ている雄姿よりもなおのこと白く純潔に光り輝いて見えた。何とも言えぬ気持の昂ぶりを覚えた私は思わずメロンソーダを傍らに除けた。ダウンジャケットの前ボタンに右手を掛けた。しかしすぐにまた思い直すと右手の位置を元の場所に戻した。そうして幾度となく決意と逡巡の間を行き来している間に段々と駅のホーム内には人間が溢れ始めた。強風の影響なのか電車は暫く駅に来ないようだった。  すると駅の階段を昇って来る黒い影があった。その物々しく重厚な風貌は軽薄に薄着を纏った人間の群れの中でひと際異彩を放っている。プルースト君だった。依然として彼は分厚いロングコートに厳しく身を包み込み、冷ややかな面持ちで堂々と駅のホームを歩いていたが、薄い頭髪と額には薄っすらと汗が浮かび、幅広い額を包むその辛苦の結晶は天井の蛍光灯に照らされて燦燦と四方八方に輝きを放っていた。私にはそれが不撓不屈の王者だけが戴く栄光の冠に見えた。未だ変わらずプルースト君は厚着紳士で在り続けていた。  私は彼の胸中に宿る鋼鉄の信念に感激を覚えると共に、それとは対照的に驚く程簡単に退転してしまった自分自身の脆弱な信念を恥じた。俯いて視線をホームの床に敷き詰められた正方形タイルの繋ぎ目の暗い溝へと落とした。この惨めな敗残の姿が彼の冷たい視線に晒される事を恐れ心臓から足の指の先までが慄き震えていた。しかしそんな事は露とも知らぬプルースト君はゆっくりとこちらへ歩いて来る。迫り来る脅威に戦慄した私は慌ててダウンのファスナーを下から上へと引き上げた。紳士の体裁を整えようと手先を闇雲に動かした。途中ダウンの布地が間に挟まって中々ファスナーが上がらない問題が浮上したものの、結局は何とかファスナーを上まで閉め切った。続けてボタンを嵌め終えると辛うじて私は張りぼてだがあの厚着紳士見習いの姿へと復活する事に成功した。  膝の上に置いてあった哀愁のメロンソーダも何となく恥ずかしく邪魔に思えて、隠してしまおうとダウンのポケットの中へとペットボトルを仕舞い込んでいた時、華麗颯爽とロングコートの紺色の裾端が視界の真横に映り込んだ。思わず私は顔を見上げた。顔を上方に上げ過ぎた私は天井の蛍光灯の光を直接見てしまった���眩んだ目を閉じて直ぐにまた開くとプルースト君が真横に厳然と仁王立ちしていた。汗ばんだ蒼白い顔は白い光に包まれてなおのこと白く、紺のコートに包まれた首から上は先程窓から垣間見えた純潔の白い塔そのものだった。神々しくさえあるその立ち姿に畏敬の念を覚え始めた私の横で微塵も表情を崩さないプルースト君は優雅な動作で座席に腰を降ろすとロダンの考える人の様に拳を作った左手に顎を乗せて対岸のホームに、いやおそらくはその先の彼方にある白い塔にじっと厳しい視線を注ぎ始めた。私は期待を裏切らない彼の態度及び所作に感服感激していたが、一方でいつ自分の棄教退転が彼に見破られるかと気が気ではなくダウンジャケットの中は冷や汗で夥しく濡れ湿っていた。  プルースト君が真実の威厳に輝けば輝く程に、その冷たい眼差しの一撃が私を跡形もなく打ち砕くであろう事は否応無しに予想出来る事だった。一刻も早く電車が来て欲しかったが、依然として電車は暫くこの駅にはやって来そうになかった。緊張と沈黙を強いられる時間が二人の座る長椅子周辺を包み込み、その異様な空気を察してか今ではホーム中に人が溢れ返っているのにも関わらず私とプルースト君の周りには誰一人近寄っては来なかった。群衆の騒めきでホーム内は煩いはずなのに不思議と彼らの出す雑音は聞こえなかった。蟻のように蠢く彼らの姿も全く目に入らず、沈黙の静寂の中で私はただプルースト君の一挙手に全神経を注いでいた。  すると不意にプルースト君が私の座る右斜め前に視線を落とした。突然の動きに驚いて気が動転しつつも私も追ってその視線の先に目を遣った。プルースト君は私のダウンジャケットのポケットからはみ出しているメロンソーダの頭部を見ていた。私は愕然たる思いに駆られた。しかし今やどうする事も出来ない。怜悧な思考力と電光石火の直観力を併せ持つ彼ならばすぐにそれが棄教退転の証拠だという事に気が付くだろう。私は半ば観念して恐る恐るプルースト君の横顔を伺った。悪い予感は良く当たると云う。案の定プルースト君の蒼白い顔の口元には哀れみにも似た冷笑が至極鮮明に浮かんでいた。  私はというとそれからもう身を固く縮めて頑なに瞼を閉じる事しか出来なかった。遂に私が厚着紳士道から転がり落ちて軟派な薄着蛮族の一員と成り下がった事を見破られてしまった。卑怯千万な棄教退転者という消す事の出来ない烙印を隣に座る厳然たる厚着紳士に押されてしまった。  白い煙突塔から吐き出された排煙は永久に恥辱の空を漂い続けるのだ。あの笑みはかつて一心同体であった純白の塔から汚れてしまった灰色の煙へと送られた悲しみを押し隠した訣別の笑みだったのだろう。私は彼の隣でこのまま電車が来るのを待ち続ける事が耐えられなくなって来た。私にはプルースト君と同じ電車に乗る資格はもう既に失われているのだった。今すぐにでも立ち上がってそのまま逃げるように駅を出て、家に帰ってポップコーンでも焼け食いしよう、そうして全てを忘却の風に流してしまおう。そう思っていた矢先、隣のプルースト君が何やら慌ただしく動いている気配が伝わってきた。私は薄目を開いた。プルースト君はロングコートのポケットの中から何かを取り出そうとしていた。メロンソーダだった。驚きを隠せない私を尻目にプルースト君は渇き飢えた飼い豚のようにその薄緑色の炭酸ジュースを勢い良く飲み始めた。みるみるとペットボトルの中のメロンソーダが半分以上が無くなった。するとプルースト君は下品極まりないげっぷを数回したかと思うと「暑い、いや暑いなあ」と一人小さく呟いてコートのボタンをそそくさと外し始めた。瞬く間にコートの前門は解放された。中から汚い染みの沢山付着した白いシャツとその白布に包まれただらしのない太鼓腹が堂々と姿を現した。  私は暫くの間呆気に取られていた。しかしすぐに憤然と立ち上がった。長椅子に座ってメロンソーダを飲むかつてプルースト君と言われた汚物を背にしてホームの反対方向へ歩き始めた。出来る限りあの醜悪な棄教退転者から遠く離れたかった。暫く歩いていると、擦れ違う人々の怪訝そうな視線を感じた。自分の顔に哀れな裏切り者に対する軽侮の冷笑が浮かんでいる事に私は気が付いた。  ホームの端に辿り着くと私は視線をホームの対岸にその先の彼方にある白い塔へと注いた。黒雲に覆われた白い塔の陰には在りし日のプルースト君の面影がぼんやりとちらついた。しかしすぐにまた消えて無くなった。暫くすると白い塔さえも風に流れて来た黒雲に掻き消されてしまった。四角い窓枠からは何も見え無くなり、軽薄な人間達の姿と騒めきが壁に包まれたホーム中に充満していった。  言い知れぬ虚無と寂寥が肌身に沁みて私は静かに両の瞳を閉じた。周囲の雑音と共に色々な想念が目まぐるしく心中を通り過ぎて行った。プルースト君の事、厚着紳士で在り続けるという事、メロンソーダ、白い塔…、プルースト君の事。凡そ全てが雲や煙となって無辺の彼方へと押し流されて行った。真夜中と見紛う暗黒に私の全視界は覆われた。  間もなくすると闇の天頂に薄っすらと白い点が浮かんだ。最初は小さく朧げに白く映るだけだった点は徐々に膨張し始めた。同時に目も眩む程に光り輝き始めた。終いには白銀の光を溢れんばかりに湛えた満月並みの大円となった。実際に光は丸い稜線から溢れ始めて、激しい滝のように闇の下へと流れ落ち始めた。天頂から底辺へと一直線に落下する直瀑の白銀滝は段々と野太くなった。反対に大円は徐々に縮小していって再び小さな点へと戻っていった。更にはその点すらも闇に消えて、視界から見え無くなった直後、不意に全ての動きが止まった。  流れ落ちていた白銀滝の軌跡はそのままの光と形に凝固して、寂滅の真空に荘厳な光の巨塔が顕現した。その美々しく神々しい立ち姿に私は息をする事さえも忘れて見入った。最初は塔全体が一つの光源体の様に見えたが、よく目を凝らすと恐ろしく小さい光の結晶が高速で点滅していて、そうした極小微細の光片が寄り集まって一本の巨塔を形成しているのだという事が解った。その光の源が何なのかは判別出来なかったが、それよりも光に隙間無く埋められている塔の外壁の内で唯一不自然に切り取られている黒い正方形の個所がある事が気になった。塔の頂付近にその不可解な切り取り口はあった。怪しみながら私はその内側にじっと視線を集中させた。  徐々に瞳が慣れて来ると暗闇の中に茫漠とした人影の様なものが見え始めた。どうやら黒い正方形は窓枠である事が解った。しかしそれ以上は如何程目を凝らしても人影の相貌は明確にならなかった。ただ私の方を見ているらしい彼が恐ろしい程までに厚着している事だけは解った。あれは幻の厚着紳士なのか。思わず私は手を振ろうとした。しかし紳士という言葉の響きが振りかけた手を虚しく元の位置へと返した。  すると間も無く塔の根本周辺が波を打って揺らぎ始めた。下方からから少しずつ光の塔は崩れて霧散しだした。朦朧と四方へ流れ出した光群は丸く可愛い尻を光らせて夜の河を渡っていく銀蛍のように闇の彼方此方へと思い思いに飛んで行った。瞬く間に百千幾万の光片が暗闇一面を覆い尽くした。  冬の夜空に散りばめられた銀星のように暗闇の満天に煌く光の屑は各々少しずつその輝きと大きさを拡大させていった。間もなく見つめて居られ無い程に白く眩しくなった。耐えられ無くなった私は思わず目を見開いた。するとまた今度は天井の白い蛍光灯の眩しさが瞳を焼いた。いつの間にか自分の顔が斜め上を向いていた事に気が付いた。顔を元の位置に戻すと、焼き付いた白光が徐々に色褪せていった。依然として変わらぬホームの光景と。周囲の雑多なざわめきが目と耳に戻ると、依然として黒雲に覆い隠されている窓枠が目に付いた。すぐにまた私は目を閉じた。暗闇の中をを凝視してつい先程まで輝いていた光の面影を探してみたが、瞼の裏にはただ沈黙が広がるばかりだった。  しかし光り輝く巨塔の幻影は孤高の紳士たる決意を新たに芽生えさせた。私の心中は言い知れない高揚に包まれ始めた。是が非でも守らなければならない厚着矜持信念の実像をこの両の瞳で見た気がした。すると周囲の雑音も不思議と耳に心地よく聞こえ始めた。  『この者達があの神聖な光を見る事は決して無い事だろう。あの光は選ばれた孤高の厚着紳士だけが垣間見る事の出来る祝福の光なのだ。光の巨塔の窓に微かに垣間見えたあの人影はおそらく未来の自分だったのだろう。完全に厚着紳士と化した私が現在の中途半端な私に道を反れることの無いように暗示訓戒していたに違いない。しかしもはや誰に言われなくても私が道を踏み外す事は無い。私の上着のボタンが開かれる事はもう決して無い。あの白い光は私の脳裏に深く焼き付いた』  高揚感は体中の血を上気させて段々と私は喉の渇きを感じ始めた。するとポケットから頭を出したメロンソーダが目に付いた。再び私の心は激しく揺れ動き始めた。  一度は目を逸らし二度目も逸らした。三度目になると私はメロンソーダを凝視していた。しかし迷いを振り払うかの様に視線を逸らすとまたすぐに前を向いた。四度目、私はメロンソーダを手に持っていた。三分の二以上減っていて非常に軽い。しかしまだ三分の一弱は残っている。ペットボトルの底の方で妖しく光る液体の薄緑色は喉の渇き切った私の瞳に避け難く���惑的に映った。  まあ、喉を潤すぐらいは良いだろう、ダウンの前を開かない限りは。私はそう自分に言い聞かせるとペットボトルの口を開けた。間を置かないで一息にメロンソーダを飲み干した。  飲みかけのメロンソーダは炭酸が抜けきってしつこい程に甘く、更には生ぬるかった。それは紛れも無く堕落の味だった。腐った果実の味だった。私は何とも言えない苦い気持ちと後悔、更には自己嫌悪の念を覚えて早くこの嫌な味を忘れようと盛んに努めた。しかし舌の粘膜に絡み付いた甘さはなかなか消える事が無かった。私はどうしようも無く苛立った。すると突然隣に黒く長い影が映った。プルースト君だった。不意の再再会に思考が停止した私は手に持った空のメロンソーダを隠す事も出来ず、ただ茫然と突っ立っていたが、すぐに自分が手に握るそれがとても恥ずかしい物のように思えて来てメロンソーダを��ててポケットの中に隠した。しかしプルースト君は私の隠蔽工作を見逃しては居ないようだった。すぐに自分のポケットから飲みかけのメロンソーダを取り出すとプルースト君は旨そうに大きな音を立ててソーダを飲み干した。乾いたゲップの音の響きが消える間もなく、透明になったペットボトルの蓋を華麗優雅な手捌きで閉めるとプルースト君はゆっくりとこちらに視線を向けた。その瞳に浮かんでいたのは紛れもなく同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情だった。  間もなくしてようやく電車が駅にやって来た。プルースト君と私は仲良く同じ車両に乗った。駅に溢れていた乗客達が逃げ場無く鮨詰めにされて居る狭い車内は冷房もまだ付いておらず蒸し暑かった。夥しい汗で額や脇を濡らしたプルースト君の隣で私はゆっくりとダウンのボタンに手を掛けた。視界の端に白い塔の残映が素早く流れ去っていった。
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cookingarden · 5 years ago
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デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』
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「クソ面白くもない仕事」の告白事例で埋め尽くされた本書は、読むものをブルシット・ジョブの疑似体験へと誘う。おまけに攻略対象は、小さめのフォントで構成された426ページ、648グラムという結構な大著だ。デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』は、読むのに覚悟を必要とするたぐいの本である。
しかし、本書を読み終えるころには、グレーバーが投げかけるクソ面白くもない話の深刻さと、それに立ち向かう彼の粘り強い思索にどっぷりと浸かることになる。本書には、現代社会が抱える仕事の欺瞞、不毛な労働、ケアリングの不当な扱いの実態と問題の告発、その解決に立ち向かう反逆者グレーバーの奮闘ぶりが溢れている。
著者のデヴィッド・グレーバーは、「ウォール街を占拠せよ」運動を主導し、"We are the 99%”のスローガンを作ったことで知られる。この『ブルシット・ジョブ』は、文化人類学の精神に立ち現代の経済と労働の問題に切り込んだ、過激で情熱的そして人間味のある一冊である。
CONTENTS
「クソ面白くもない仕事」の蔓延と欺瞞的な実態
なぜブルシット・ジョブが増殖しているのか?
世界的パンデミックで露呈した身近なブルシット・ジョブ
足を引っ張る道徳的羨望
あらっぽいマルクス主義のススメ
生活を労働から切り離すためのベーシック・インカム
避けるべきだが避けられない本書の要約
「クソ面白くもない仕事」の蔓延と欺瞞的な実態
この本にはにはさまざまなタイプのブルシット・ジョブが登場する。それは著者の分類に従えば、取り巻き型、脅し屋型、尻拭い型、書類穴埋め型といったものだ。グレーバーはこれらの「クソ面白くもない」仕事は、金融、教育、コンサルタントなどの業界を中心に、とりわけ、わけのわからない横文字の職業に蔓延しているという。
本書に登場するブルシット・ジョブはあまりにも多様で何を例示するか悩ましいが、ひとつだけ取り上げるとすれば、経営管理型の大学などはその最たるものだろう。例えば、1985年から2005年の20年間で、アメリカの大学における管理業務サービスの供給量は大幅に増えている。驚くのはその内訳である。同期間に増加した学生数の伸びは56%だったのにたいし、職員数は240%に増えたとある。(p.214)本書の文脈に従えば、この20年間で大学の職員は大量のブルシット・ジョブ労働者を抱え込んだ可能性がある。
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しかし、本書が指摘するのはブルシット・ジョブの増殖ぶりだけではない。その「クソ面白くない」仕事に、高額の給与が支払われている実態も描かれている。典型的な事例は次のようなものだ。
大手デザイン会社の「インターフェイス・アドミニストレーター」だったエリック��、仕事のあまりの無意味さに抗議するため、遅刻、早退、ランチでの飲酒、デスクで小説を読む、勤務中の三時間を散歩に充てるといった反乱行動に出た。しかし、会社の反応は彼の期待を裏切るものだった。エリックは次のように告白している。
辞めようとしたところ、上司が2600ポンドまで給料を上げようと提案したので、しぶしぶ受け入れました。あの人たちがわたしを必要としていたのは、まさに、あの人たちが実行していほしくないことを実行する力量が、私になかったからで、あの人たちはわたしを繋ぎ止めようとして、すすんで金を払おうとしたのです。(p.104)
エリックの仕事ぶりはひどかったが、上司にとって不都合な仕事をする人物でなかった。彼らにとって、部下の一人がサボろうが酒を飲もうが関係ない。エリックはプログラミングや何かの開発といったことはできなかったが、Eメールのリストから上司が必要とする相手のアドレスを検索して示すことはできた。上司はそれだけの仕事に、2600ポンド(約36万円)の給料が支払われてもよしとしたわけである。エリックが反乱を起こそうとした気持ちはよく分かる。
この事例のようにグレーバーは、ブルシット・ジョブは公共部門に限らず民間部門にもはびこっているという。そうであれば、公共部門よりも民間部門の方がスリムで効率化されているという一般の認識には、かなりの思い込みが含まることになる。
例えば、本書に掲載されている「企業労働の実態報告」からの抜粋によれば、アメリカの事務員が本来の業務に注いでいる時間は、2015年から2016年の1年間で、46%から39%に低下しという。本来の業務を圧迫しているのは、無駄な会議、管理業務、Eメールなどの増加によるものだ。(p.46)
社会的な貢献と報酬の不可解な関係は、医療従事者の間にも広がっている。ハンス・ロスリングがいうように、この200年間で人類は大幅に寿命を伸ばし経済的にも豊かになった。その伸びは寿命で4倍、収入で70倍にもおよぶ。このうち健康は医療の進歩によってもたらされたと、多くの人が信じている。
しかしグレーバーは、寿命が伸びた最大の理由は医療そのものよりも、衛生学や栄養学、そして公衆衛生が改善されたことに起因している、というよくある指摘を引き合いに、次のように述べている。
病院では(きわめて給与の低い)看護師や清掃員こそが、(きわめて高額の給与を受け取っている)医者たちよりも、じ��さいには健康状態の改善によりおおきな貢献をなしていると言えるかも知れない。(p.277)
この年収格差がどの程度のものかといえば、2017年の米労働省労働統計局の職業別雇用・推定賃金に関するデータによれば、トップ10の9位までを医者が占めておりその平均額は約2500万円である一方、本書に示されている英国の病院の清掃員の年収は180万円でしかない。(p.276)国が異なり厳密な比較とは言えないが、両者のあいだには14倍もの開きがある。程度の差はあれ、こうした格差は多くの国でも共通の傾向だろう。
もしグレーバーが指摘するように、健康状態の改善に実質的に寄与しているのが医療現場で働く看護師や清掃員であるなら、この格差はあまりにも大きいように思える。医者が行う専門的な治療行為の貢献はあるにせよ、健康改善への貢献はどこまで評価されているのだろうか。
こうした事態についてグレーバーは、「こうした傾向が続けば、10年と待たず、アメリカのオフィスワーカーのなかで実質のある仕事を行う者は存在しなくなるだろう」と述べ、労働時間の50%以上がブルシットな仕事に費やされていることに警告を発している。これはブルシット・ジョブが経済や経営の無駄を招くという理由からだけではない。ここには、世界に何の影響も及ぼさないと自分自身が考えている労働者と彼らが過ごす時間、つまり人間的な無力感と空虚な世界が社会に蔓延することへのグレーバーの強い危機感がある。
なぜブルシット・ジョブが増殖しているのか?
それでは、「クソ面白くもない仕事」はなぜこうも増え続けているのだろうか。グレーバーによれば、ブルシット・ジョブは社会を占める物質生産の割合が減り、金融や情報などの抽象物を操作する仕事が増える過程で増えてきたが、そこには政治的な思惑が関係しているという。
ブルシット・ジョブが政治的な力から生まれるとする説明にグレーバーが繰り返し引き合いに出すのが、オバマ大統領の医療保険制度改革に関する発言である。当時オバマ大統領は、民意であった公的保険ではなく、民間企業の手を借りた健康保険制度を選んだ。その理由はつぎのようなものだったという。
単一支払者制度のよる医療制度を支持するひとはみな「それによって保険やペーパーワークの非効率が改善されるのだ」といいます。でもここでいう「非効率」とは、ブルークロス・ブルーシールドやカイザー(いずれも保険会社)などで職に就いている100万、200万、300万人のことなのです。この人達をどうするんですか? この人達はどこで働けばいいのですか?」(p.210)
単一支払者制度とは、ヘルスケア原資を単一の公的機関によって負担する仕組みで、いわゆる公的保険制度にあたる。つまり上の発言をしたオバマ大統領は、公的保険であれば300万人の仕事がなくても保険制度が成り立つと認め、しかもそれによってペーパーワークなどの非効率な仕事、つまりブルシット・ジョブがなくせると知りながら、政治的な思惑によって公的保険制度は望ましくないと判断したことになる。
オバマ大統領がこのように述べた背景には、「この人達をどうするんですか?」の発言に示されている通り、完全雇用の含意にもとづく300万人の雇用があったと思われる。それが文字通りの「完全」ではないせよ、雇用の確保は国民との間に交わされたひとつの合意事項ではなかっただろうか。
グレーバーはこうした政治的判断は民間企業にも当てはまるという。生産性の向上に見合った設備投資や給料に回す以上の利益が上がるようになると、忠実なる協力者に報奨を与えることで不満分子を買収したり、経営的なヒエラルキーの維持や再生産に回すためのお金や仕事が生まれるようになる。こうした経営的な思惑は、まさに政界のそれと同じだというわけだ。
この一連の話のなかで、政治の世界の完全雇用にあたる民間企業の含意が何かといえば、それは技術の発展への信頼ではないだろうか。産業革命からはじまった機械化は生産の効率向上をもたらし、その利益を物質的な再分配を超えて抽象的な領域へ注ぎ込ませる力となった。この新領域が生まれたのは経営者の意志というより、技術発展の自動作用だっただろう。そうであれば、民間企業にとって技術の発展は、経営を支える前提としての含意だったことになる。経営の前提に技術の発展があればこそ、事業家は経営的な思惑を資金の運用や人材に向けることができたと考えられる。
新たな領域にお金が回るようになった当初、企業家の思惑が社会に与える影響力は限られていた。しかし、1900年代の終りにコンピュータが普及すると、もともと記号であるお金と記号を操作する機械のコンピュータが相乗効果を発揮しはじめ、金融業や情報産業などの新しい業界と新市場が生まれた。その成長は著しく、結果的に利益の抽象的な再分配は産業全体におよぶようになった。この機械的な効率性の向上をベースとした、非物質的な抽象価値のハンドリングこそが「クソ面白くもない仕事」の温床と考えられる。前掲のエリックは、まさにこうした業界で上司に依頼されたEメールの検索だけで一日を過ごし、2600ポンドの収入を得ることになった。そのエリックが「クソ面白くもない」日常に反抗を試みたのは上述の通りだ。
そうだとすれば完全雇用と技術の発展は、ブルシット・ジョブの両輪を担ってきたことになる。もし、どちらかの合意が欠けていれば、「クソ面白くもない仕事」がいまほど増え続けることはなかっただろう。しかしその一方で、効率がわるく失業者も多い事態を意に介さない社会が、失業者を救済する手段を持たなかったら、もっと悲惨なことになっていたことは明らかだ。そしていずれの混乱も因果関係からいえば、技術の発展が政治的な思惑の生みの親だった。
このことは未来の労働について深刻な問題を提起する。ブルシット・ジョブを生み出す本質が技術による効率向上であるなら、純粋機械生産が予想される未来は、いま以上に「クソ面白くもない仕事」が蔓延する社会になりかねないからである。
世界的パンデミックで露呈した身近なブルシット・ジョブ
本書にはエリックに似た境遇にある人々の告発が次から次へと登場する。それらは、ブルシット・ジョブを対岸の火事のように見ている多くの読者には、あまり現実味のない記述かもしれない。しかし、後半に差し掛かり、なぜ無意味な雇用が停止できないのかとグレーバーが問うあたりから、話はにわかに現実味をおびてくる。なぜなら、コロナウィルスの流行で、世界のいたるところで起きている通常業務の停止が、自分の置かれた状況に似ていることに気づくようになるからだ。
会社に行かなくなれば、デリケートな人間関係や、無駄を前提に成り立っていた仕事はやりにくくなる。存在自体に気を配ることが評価される取り巻き型の仕事、システム化の遅れが仕事の源泉だった書類穴埋めの仕事などは真っ先に機能しなくなる。
わたしたちはいま、まさにその只中にいる。事実、コロナ禍で国単位のロックダウンが敷かれたり、ホームステイやホームワークが強要されたことで、「クソ面白くない」仕事の多くが機能不全に陥った。いまわたしたちは、これまでやむを得ず受け入れていたブルシット・ジョブにどれだけの価値があるか、その真贋が強制的に問われる壮大な社会��験に投げ込まれている。強制的とは、コロナウィルスがもたらしたロックダウンや行動自粛といった、人間の自由を規制するフィルターが、人びとの自由な意志を超えて作用している状態を指す。
そして社会のいたるところで、既存のブルシット・ジョブの多くが現役を退き、反対に新手の不毛な仕事が生まれたり顕在化するようになった。書類に赤い印を押すハンコや、デジタル化から取り残された紙の書類が自分を縛り付けてきたことが、日本のあちこちで問題として浮かび上がりはじめたのだ。ウィルス感染を恐れながら職場まで移動し、紙の書類に捺印するだけの仕事は、仕事を任された者にとって「クソ面白くない」ばかりか、コロナ感染の危険を伴う。その仕事ははたして、内容や危険に見合ったものなのだろうか? この問いが現実の問題となったのは、コロナ禍によるフィルターが機能しているからだ。
その一方でフィルターは、一部のシット・ジョブが実はエッセンシャル・ワークであったことを明らかにした。混乱に陥ってはじめて、社会を根本で支える医療従事者、介護福祉士、スーパーの店員、清掃作業者、宅配運転手、さらには教師や消防士や料理人など、現場で働く人々の仕事の重要性が再認識されるようになった。
しかし、彼らの仕事の中身と待遇は多くの場合エリックとはまるで正反対のものだ。社会を動かすのに不可欠な仕事への見返りは、その貴重さと激務にとうてい見合うものではない。反対に、ロビイスト、ヘッジファンド・マネージャー、コンサルタント、弁護士といったエッセンシャル・ワーカーの対岸にいる人々の多くは、コロナ禍によるフィルターの存在を気に留めることが少ない。なぜなら、出社を制限されたからといって、彼らの仕事の負担が増えたり給料の支払いが滞ることはほとんどないからだ。
こうした事態は2020年のいま、コロナウィルスの流行により世界中で起きている現実だが、グレーバーはいまから7年前、2013年の小論のなかでこの事態を描写している。そのとき彼は、「特定の職種の人びとが消え去ってしまったらどうなるか」という「思考実験」を提起したという。その内容は次のようなものだ。
もしある朝起きて看護師やゴミ収集に従事している人びと、整備工、さらにはバスの運転手やスーパーの店員や消防士、ショートオーダー・シェフたちが異次元に連れ去られてしまったとすれば、その結果はやはり壊滅的なはずだ。小学校の先生たちが消え去れば、学校に通う子どもたちのほとんどが一日や二日は大喜びするだろうが、その長期的な影響は甚大だろう。(p.273)
実験の結果をグレーバーはどのように想像しただろうか。要約すれば、「仕事の社会的価値とその対価として支払われる金額は倒錯した関係にあることが明らかになる」というものだ。そしてグレーバーはこの予想される事態を「ひそかにだが、ケアリング階級の反乱、と呼ぶようになった」と書いている。ひそかにと言うのは、反乱が自分にとってもケアにかかわる人びとにとっても、内心に留まっているという意味だろう。
しかし、現実は予想外の展開になった。グレーバーが思考実験を行った7年後、コロナ禍のフィルターがケアリング階級の内心を飛び越えて強制的に反乱を引き起こしたのである。政府は生活者や小規模事業者に莫大な補償をしなくてはならなくなった。よもやグレーバーは、彼が提起した「思考実験」が、その後のパンデミックによって世界中で強制執行されようとは思いもしなかっただろう。そして彼の予測した「倒錯した関係」が現実のものとして露呈したのである。
足を引っ張る道徳的羨望
しかし、世界的なパンデミックが終わればこの事態はもとに戻り、再び「クソ面白くもない仕事」が再開し「倒錯した関係」が再現されるのだろうか。もちろん、それでいいわけがないというのが、本書の基本的なスタンスだ。それではこの問題の出口は、いったいどこにあるというのだろう? グレーバーは「この状況に対してなにをなしうるのか?」と題した最終章で、道徳的羨望、上出来のロボット、ベーシック・インカムの三つの話題を取り上げている。
道徳的羨望とは、自分もそうでありたい美徳が相手によって高度に示されたとき、自分の内部で起こる妬みの感情を指す。多くの場合その妬みには羨望や反感をともなう。グレーバーがこの感情を取り上げるのは、道徳的羨望は労働を取り巻く政治に微妙な影響をおよぼすと考えているからだ。(p.321)
例えば、貧困者にたいする怒りは、働いていない人にも働いている人にも向けれるという。なぜなら、前者は怠惰だから後者はブルシット・ジョブではないから、というそれぞれの理由で怒りに変わるからである。これでは、「クソ面白くもない仕事」をしながら生活に困らない給料を得る人びとと、労働に見合わない条件のもとで現場で奮闘するエッセンシャル・ワーカーとが、共通の政治的な解決策について共闘するのは難しい。
仮にベーシック・インカムが実施され、給与水準の低いエッセンシャル・ワーカーの所得が引き上げられる提案が出されたとする。それによって現場で働く人びとの給与水準が、ブルシット・ジョブを過ごす人びとのそれに近づけば彼らのなかに、現場の連中は十分な働きがいを得ているくせにという理由で、自分たちよりも総合的に生活が上がることへの妬みが生まれる。
このような道徳的羨望が人びとの心に潜在する限り、その政策課題が多くの人びとから支持を得ることはできないだろう。これは、ベーシック・インカムで労働意欲が低下するとされることへの反証に比べ、科学的な取り扱いが難しい点で解決がやっかいだ。この点についてグレーバーはこれといった解決策を示していない。
あらっぽいマルクス主義のススメ
次の話題に移ろう。上出来のロボットがブルシット・ジョブの解放に役立つかという点はどうだろうか。これについてグレーバーは、いささか皮肉に満ちた言い回しでノーを突きつけている。彼が引き合いに出す未来のロボットは、SF作家スタニスワフ・レムにその発想源を求めたものだ。グレーバーは、いっさいの管理も指示もなしに作動するロボット「ニューマシン」が活躍するある星の出来事として、およそ次のような逸話を記している。
ニューマシンの配備が進むことで、働き口を失った労働者はバタバタとハエのように死んでいった。あるとき異星人が訪れ、ニューマシンの恩恵がみなで受けられるように、工場を社会の共有財産にすれば済むはずだと提案した。しかしその星の国民は、「我が星の最高法は貴族が自分の財産を享楽したがっている限り、何人もそれを取り上げることはできないことを受け入れている、バカなことをいわないでほしい」と懇願した。こうして、消費者としての労働者は追いはらわることになった。(pp.334-336の要旨)
この逸話についてグレーバーは、「苦役を排除するというような見通しが、あってはならない問題とみなされるという事実以上に、その経済システムが不合理であることを示すしるし(サイン)は想像がむずかしい」と述べている。(p.336)わかりにくい言い回しだが、これは、純粋機械生産のような不幸な未来を考えるのはどうかしているという以前に、そうした未来の経済システムがとうてい成立しない証拠をあらかじめ見つけることはむずかしい、ということだろう。彼は「いくぶんかのあらっぽいマルクス主義こそ、ときにわたしたちには必要なのである」とも書いている。グレーバーは、そもそも人間が労働しないことを良しとすること自体がおかしい、といいたいのだ。
それはたんなる願望だろう、労働が苦役になることも多い、そんな声が聞こえてきそうな気がする。そうでなければ、なぜ人類は産業革命から200年以上ものあいだ、機械を発明し省力化に努めてきたのわからなくなる。
しかし、人類が洞窟に壁画を描いたり、道具を生み出してきたのは、耐えられないほどの不便を解消するためだけではなかった。洞窟の先人からこのかた、人びとはその行為自体に生きる価値を見出してきたはずだ。そうでなければ壁画が人を魅了したり、バイオリンやMacintoshのような美しい道具は生まれなかった。このことは、現代の画家、陶工、料理人はもちろん、子どもの世話をする母親や育児スタッフもおなじだ。
これらの労働に共通していえることは、直接的な労働には何かしらの価値や喜びがあるということだ。これがグレーバーのいう「あらっぽいマルクス主義」の意味ではないだろうか。
それではもうひとつの、未来のロボットは人類全体の共有財産になるはずだという異星人の提案はどうだろうか。これについてグレーバーは、不可能ではないかも知れないが、深刻な自己矛盾を抱え込むことになるだろうという。その根本的な考え方は、「自動化は特定の作業をより効率的にするが、同時に別の作業の効率を下げる」というものだ。(p.337)その理由としてグレーバーは、エッセンシャル・ワーカーの仕事の本質をなすケアリングの価値は、超大な量の人間的労働によらない限りデータ化してコンピュータに取り込むことができないからだという。
おそらくこれには、汎用人工知能の研究者あたりから多くの反論がありそうだ。よく言われるようにコンピュータは単純作業の自動化からはじまり、次第にできることの範囲や能力を広げてきた。例えば、マックス・テグマークは『LIFE 3.0』のなかでハンス・モラヴェックが描いた「人間の能力のランドスケープ」を引き合いに次のように述べている。
その重大な海面レベルに相当するのが、機械がAIを設計できるようになるレベルである。この転換点に達するまでは、海面上昇は人間が機械を改良することによって起こるが、転換点以降は、機械が機械を改良することによって促され、人間が進めていたときよりもはるかに速く進んですべての陸地があっという間に浸水する可能性がある。(Kindleの位置No.1000-1003)
実際のところつい数年前には、人工知能を鍛えるには大量のデータを人間がコンピュータに与える必要があると考えられていた。しかしいまでは、例えば画像認識の分野のように、人工知能が自らデータを生成するデータ拡張(Data Augmentation)といった手法のおかげで手作業は格段に少なくなっている。グレーバーがいうデータ化のための人間的労働がいつまでも人間固有の能力を必要とするとは限らない。
生活を労働から切り離すためのベーシック・インカム
しかし、これまで見てきたように、グレーバーは労働の正の側面に期待を寄せている。むしろ、多少シンドくても充実感をともなう労働、すなわちケアリングのような仕事に「あらっぽいマルクス主義」の価値を認めることが必要だという。「クソ面白くもない仕事」は、クソ面白くないから苦役なのだ。そうなると問題は、いかに人びとをブルシット・ジョブから解放し、ケアリング労働の価値自体は残しながら、労働と対価の倒錯した関係を修復できるかに集約されることになる。
その点でグレーバーは、ブルシット・ジョブから逃れるための政策としてベーシック・インカムが有効なことを認めている。このベーシック・インカムは、今回のコロナ禍で一人あたり10万円の特別給付を受けた日本人にとって、馴染みのある方法だ。一回限りであるうえに非課税である点など、本来のベーシック・インカムとは異なるところもあるが、生活の困窮の解消に向けた施策が広く経験できた意義は大きい。これもまたコロナ禍のフィルターによる強制力がもたらしたものだ。
しかしグレーバーは、本書の内容や彼の考えが政策と受け止められることには抵抗があるという。彼が本書を執筆したのは政策を示すことではなく、あくまで「問題--ほとんどの人びとがその存在に気づきさえもしなかった--についての本なのだ」と述べている。彼がこのことを強調するのは、政策課題は人びとの目に止まりやすく、すぐにそれが有効かどうかに心を奪われ、考えに至った事情を見えにくくするからだという。そもそも政策という考えがうさんくさいとも述べている。
政策を明示することにこれほどの抵抗を示しながらも、しかしグレーバーは、ベーシック・インカムはブルシット・ジョブの削減に効果があるひとつの解決策だという。その最大の理由は、ベーシック・インカムによって生活から「クソ面白くもない」仕事を切り離すことができるからだ。このときしばしば指摘されるのが、無条件にお金を分配すれば、好きなことにうつつを抜かしたり労働意欲を失う人たちが増えるという問題だ。これに対してグレーバーは次のように書いている。
洞窟探検をおこなおうが、マヤ族の象形文字を翻訳しようが、高齢セックスの世界記録を打ち立てようとしようが、なんの問題もない。好きなことをやればよいのだ! 結局、何をやることになるにしても、履歴書作成セミナーに遅刻した失業者に罰則を科したり、ホームレスが三種類のIDをもっているかどうかをチェックするよりも、みんな、ほぼ確実に幸福になるはずだ。そしてかれらの幸福は周囲にも跳ね返ってくるであろう。(p.359)
こうしたことのすべては、あきらかにつぎのような想定にもとづいている。すなわち、人間は強制がなくとも労働をおこなうであろう、ないし、少なくとも他者にとって有用ないし、便益をもたらすと感じていることをおこなうであろう、と。(p.360)
グレーバーがどれほど性善説に立っているかは明らかだろう。しかし当然ながら、彼はすべて無条件に自由にすればうまくいくと言っているわけではない。あまりにも多くのブルシット・ジョブを余儀なくされている人びとがいる、つまり自分の仕事をバカバカしいと感じている人びとがいてその仕事に給料が支払われる一方で、社会を成り立たせる上で不可欠なエッセンシャル・ワーカーには満足な給料が支払われない、この倒錯した状況にいる大多数の人びとを自由にし、人間信頼のもとで救済する必要がある、というのがグレーバーの主張なのである。
避けるべきだが避けられない本書の要約
『ブルシット・ジョブ』は論点を要約するのをためらう本だ。ブツブツとひとりで呟くような文章が延々とつづくからではない。本書の節のタイトルがいつも「終結部=人間の創造性に対するブルシット・ジョブの影響と、無意味な仕事に対して創造的または政治的に自分を主張しよとする試みがなぜ精神的な戦争の一形態と考えられるかについて」といった調子だからというわけでもない。これらの文体や表現の特徴は、グレーバーが思考を煮詰めていく過程を追体験するうえで、むしろ、読む者にともに考えることを誘う効果もある。そうではなく、グレーバーはどうやら、わかりやすさの弊害に敏感なのだろう。まとめることを拒否しているように思えるのだ。
こうした事情を考えると、この本の要約は避けるべきなのだろう。しかし、それはわたしにとって、グレーバーの気分に引きずられ過ぎだとも思う。やはり、自分のためにこそ、この貴重な読書体験で得たことを記録するのが凡人の努めであるはずだ。
わたしが本書から得た著者の考えはこうだ--グレーバーは、ニューマシンのような発達したロボットが、「ブルシット・ジョブ」の解消に役立つとは考えていない。ロボットは苦役としての労働の代替には役立つが、そもそも人間の労働の喜びや働く価値を代替すると期待するべきものでもない。それよりも労働に含まれる価値を認め、「クソ面白くもない仕事」から人びとを解放する必要がある。そして解放された人びととともに幸福を分かつには、社会制度としてのベーシック・インカムが有効である。--これが彼の考え方の骨子だと思う。
こうして、実際に要約を書いてみて気づくことがある。確かにグレーバーが危惧する政策に言及することの危うさがわかるような気がするのだ。要約することでどこか納得した気持ちになった途端に、彼が『ブルシット・ジョブ』のおそらく95%を要して訴えてきた「クソ面白くもない仕事」の複雑でクソバカらしい現実がどこかへ消えてしまうように思えてくる。いったいわたしたちは、すでに受け入れて半ば習慣化している問題について、自分自身の手でそれを克服することができなくなっているのだろうか。そうではないと信じたい。グレーバーは本書の最後をつぎの言葉で締めくくっている。
本書の主要な論点は、具体的な政策提言をおこなうことにはない。本当に自由な社会とは実際にどのようなものなのかの思考や議論に、手をつけはじめることにある。(p.364)
わたしたちも彼に習って、本当に自由な社会とは何かを考えることだけは諦めないようにする必要がある。わたしもその一人でありたいと、この本と格闘しながらその思いを強めた。
更新歴 2020.8.22 初回投稿 2020.8.23 「なぜブルシット・ジョブが増殖しているのか?」の項目を追記
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2ttf · 13 years ago
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donut-st · 6 years ago
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あなたにだけは忘れてほしくなかった
 アメリカ合衆国、ニューヨーク州、マンハッタン、ニューヨーク市警本部庁舎。  上級職員用のオフィスで資料を眺めていた安藤文彦警視正は顔をしかめた。彼は中年の日系アメリカ人である。頑なに日本名を固持しているのは血族主義の強かった祖父の影響だ。厳格な祖父は孫に米国風の名乗りを許さなかったためである。祖父の信念によって子供時代の文彦はいくばくかの苦労を強いられた。  通常、彼は『ジャック』と呼ばれているが、その由来を知る者は少ない。自らも話したがらなかった。  文彦は暴力を伴う場合の少ない知的犯罪、いわゆるホワイトカラー犯罪を除く、重大犯罪を扱う部署を横断的に統括している。最近、彼を悩ませているのは、ある種の雑音であった。  現在は文彦が犯罪現場へ出る機会はないに等しい。彼の主たる業務は外部機関を含む各部署の調整および、統計分析を基として行う未解決事件への再検証の試みであった。文彦の懸念は発見場所も年代も異なる数件の行方不明者の奇妙な類似である。類似といっても文彦の勘働きに過ぎず、共通項目を特定できているわけではなかった。ただ彼は何か得体の知れない事柄が進行している気配のようなものを感じ取っていたのである。  そして、彼にはもうひとつ、プライベートな懸念事項があった。十六才になる姪の安藤ヒナタだ。
 その日は朝から快晴、空気は乾いていた。夏も最中の日差しは肌を刺すようだが、日陰に入ると寒いほどである。自宅のダイニングルームでアイスティーを口にしながら安藤ヒナタは決心した。今日という日にすべてをやり遂げ、この世界から逃げ出す。素晴らしい考えだと思い、ヒナタは微笑んだ。  高校という場所は格差社会の縮図であり、マッチョイズムの巣窟でもある。ヒナタは入学早々、この猿山から滑り落ちた。見えない壁が張り巡らされる。彼女はクラスメイトの集う教室の中で完全に孤立した。  原因は何だっただろうか。ヒナタのスクールバッグやスニーカーは他の生徒よりも目立っていたかもしれない。アジア系の容姿は、彼らの目に異質と映ったのかも知れなかった。  夏休みの前日、ヒナタは階段の中途から突き飛ばされる。肩と背中を押され、気が付いた時には一階の踊り場に強か膝を打ちつけていた。 「大丈夫?」  声だけかけて去っていく背中を呆然と見送る。ヒナタは教室に戻り、そのまま帰宅した。  擦過傷と打撲の痕跡が残る膝と掌は、まだ痛む。だが、傷口は赤黒く乾燥して皮膚は修復を開始していた。もともと大した傷ではない。昨夜、伯父夫婦と夕食をともにした際もヒナタは伯母の得意料理であるポークチョップを食べ、三人で和やかに過ごした。  高校でのいざこざを話して何になるだろう。ヒナタは飲み終えたグラスを食洗器に放り込み、自室へ引っ込んだ。
 ヒナタの母親はシングルマザーである。出産の苦難に耐え切れず、息を引き取った。子供に恵まれなかった伯父と伯母はヒナタを養子に迎え、経済的な負担をものともせず、彼女を大学に行かせるつもりでいる。それを思うと申し訳ない限りだが、これから続くであろう高校の三年間はヒナタにとって永遠に等しかった。  クローゼットから衣服を抜き出して並べる。死装束だ。慎重に選ぶ必要がある。等身大の鏡の前で次々と試着した。ワンピースの裾に払われ、細々としたものがサイドボードから床に散らばる。悪態を吐きながら拾い集めていたヒナタの手が止まった。横倒しになった木製の箱を掌で包む。母親の僅かな遺品の中からヒナタが選んだオルゴールだった。  最初から壊れていたから、金属の筒の突起が奏でていた曲は見当もつかない。ヒナタはオルゴールの底を外した。数枚の便箋と写真が納まっている。写真には白のワイシャツにスラックス姿の青年と紺色のワンピースを着た母親が映っていた。便箋の筆跡は美しい。『ブライアン・オブライエン』の署名と日付、母親の妊娠の原因が自分にあるのではないかという懸念と母親と子供に対する執着の意思が明確に示されていた。手紙にある日付と母親がヒナタを妊娠していた時期は一致している。  なぜ母は父を斥けたのだろうか。それとも、この男は父ではないのか。ヒナタは苛立ち、写真の青年を睨んだ。  中学へ進み、スマートフォンを与えられたヒナタは男の氏名を検索する。同姓同名の並ぶ中、フェイスブックに該当する人物を見つけた。彼は現在、大学の教職に就いており、専門分野は精神病理学とある。多数の論文、著作を世に送り出していた。  ヒナタは図書館の書棚から彼の書籍を片っ端から抜き出す。だが、学術書を読むには基礎教養が必要だ。思想、哲学、近代史、統計を理解するための数学を公共の知の宮殿が彼女に提供する。  ヒナタは支度を終え、バスルームの洗面台にある戸棚を開いた。医薬品のプラスチックケースが乱立している。その中から伯母の抗うつ剤の蓋を掴み、容器を傾けて錠剤を掌に滑り出させた。口へ放り込み、ペットボトルの水を飲み込む。栄養補助剤を抗うつ剤の容器に補充してから戸棚へ戻した。  今日一日、いや数時間でもいい。ヒナタは最高の自分でいたかった。
 ロングアイランドの住宅地にブライアン・オブライエンの邸宅は存在していた。富裕層の住居が集中している地域の常であるが、ヒナタは脇を殊更ゆっくりと走行している警察車両をやり過ごす。監視カメラの装備された鉄柵の門の前に佇んだ。  呼び鈴を押そうかと迷っていたヒナタの耳に唸り声が響く。見れば、門を挟んで体長一メータ弱のドーベルマンと対峙していた。今にも飛び掛かってきそうな勢いである。ヒナタは思わず背後へ退いた。 「ケンダル!」  奥から出てきた男の声を聞いた途端、犬は唸るのを止める。スーツを着た男の顔はブライアン・オブライエン、その人だった。 「サインしてください!」  鞄から取り出した彼の著作を抱え、ヒナタは精一杯の声を張り上げる。 「いいけど。これ、父さんの本だよね?」  男は門を開錠し、ヒナタを邸内に招き入れた。
 男はキーラン・オブライエン、ブライアンの息子だと名乗った。彼の容姿は写真の青年と似通っている。従って現在、五十がらみのブライアンであるはずがなかった。ヒナタは自らの不明を恥じる。 「すみません」  スペイン人の使用人が運んできた陶磁器のコーヒーカップを持ち上げながらヒナタはキーランに詫びた。 「これを飲んだら帰るから」  広大な居間に知らない男と二人きりで座している事実に気が滅入る。その上、父親のブライアンは留守だと言うのであるから、もうこの家に用はなかった。 「どうして?」 「だって、出かけるところだよね?」  ヒナタはキーランのスーツを訝し気に見やる。 「別にかまわない。どうせ時間通りに来たことなんかないんだ」  キーランは初対面のヒナタを無遠慮に眺めていた。苛立ち始めたヒナタもキーランを見据える。  ヒナタはおよそコンプレックスとは無縁のキーランの容姿と態度から彼のパーソナリティを分析した。まず、彼は他者に対してまったく物怖じしない。これほど自分に自信があれば、他者に無関心であるのが普通だ。にも拘らず、ヒナタに関心を寄せているのは、何故か。  ヒナタは醜い女ではないが、これと取り上げるような魅力を持っているわけでもなかった。では、彼は何を見ているのか。若くて容姿に恵まれた人間が夢中になるもの、それは自分自身だ。おそらくキーランは他者の称賛の念を反射として受け取り、自己を満足させているに違いない。 「私を見ても無駄。本質なんかないから」  瞬きしてキーランは首を傾げた。 「俺に実存主義の講義を?」 「思想はニーチェから入ってるけど、そうじゃなくて事実を言ってる。あなたみたいに自己愛の強いタイプにとって他者は鏡でしかない。覗き込んでも自分が見えるだけ。光の反射があるだけ」  キーランは吹き出す。 「自己愛? そうか。父さんのファンなのを忘れてたよ。俺を精神分析してるのか」  笑いの納まらないキーランの足元へドーベルマンが寄ってくる。 「ケンダル。彼女を覚えるんだ。もう吠えたり、唸ったりすることは許さない」  キーランの指示に従い、ケンダルはヒナタのほうへ近づいてきた。断耳されたドーベルマンの風貌は鋭い。ヒナタは大型犬を間近にして体が強張ってしまった。 「大丈夫。掌の匂いを嗅がせて。きみが苛立つとケンダルも緊張する」  深呼吸してヒナタはケンダルに手を差し出す。ケンダルは礼儀正しくヒナタの掌を嗅いでいた。落ち着いてみれば、大きいだけで犬は犬である。  ヒナタはケンダルの耳の後ろから背中をゆっくりと撫でた。やはりケンダルはおとなしくしている。門前で威嚇していた犬とは思えないほど従順だ。 「これは?」  いつの間にか傍に立っていたキーランがヒナタの手を取る。擦過傷と打撲で変色した掌を見ていた。 「別に」 「こっちは? 誰にやられた?」  キーランは、手を引っ込めたヒナタのワンピースの裾を摘まんで持ち上げる。まるでテーブルクロスでもめくる仕草だ。ヒナタの膝を彩っている緑色の痣と赤黒く凝固した血液の層が露わになる。ヒナタは青褪めた。他人の家の居間に男と二人きりでいるという恐怖に舌が凍り��く。 「もしきみが『仕返ししろ』と命じてくれたら俺は、どんな人間でも這いつくばらせる。生まれてきたことを後悔させる」  キーランの顔に浮かんでいたのは怒りだった。琥珀色の瞳の縁が金色に輝いている。落日の太陽のようだ。息を吸い込む余裕を得たヒナタは掠れた声で言葉を返す。 「『悪事を行われた者は悪事で復讐する』わけ?」 「オーデン? 詩を読むの?」  依然として表情は硬かったが、キーランの顔から怒りは消えていた。 「うん。伯父さんが誕生日にくれた」  キーランはヒナタのすぐ隣に腰を下ろす。しかし、ヒナタは咎めなかった。 「復讐っていけないことだよ。伯父さんは普通の人がそんなことをしなくていいように法律や警察があるんだって言ってた」  W・H・オーデンの『一九三九年九月一日』はナチスドイツによるポーランド侵攻を告発した詩である。他国の争乱と無関心を決め込む周囲の人々に対する憤りをうたったものであり、彼の詩は言葉によるゲルニカだ。 「だが、オーデンは、こうも言ってる。『我々は愛し合うか死ぬかだ』」  呼び出し音が響き、キーランは懐からスマートフォンを取り出す。 「違う。まだ家だけど」  電話の相手に生返事していた。 「それより、余分に席を取れない? 紹介したい人がいるから」  ヒナタはキーランを窺う。 「うん、お願い」  通話を切ったキーランはヒナタに笑いかけた。 「出よう。父さんが待ってる」  戸惑っているヒナタの肩を抱いて立たせる。振り払おうとした時には既にキーランの手は離れていた。
 キーラン・オブライエンには様々な特質がある。体格に恵まれた容姿、優れた知性、外科医としての将来を嘱望されていること等々、枚挙に暇がなかった。だが、それらは些末に過ぎない。キーランを形作っている最も重要な性質は彼の殺人衝動だ。  この傾向は幼い頃からキーランの行動に顕著に表れている。小動物の殺害と解剖に始まり、次第に大型動物の狩猟に手を染めるが、それでは彼の欲求は収まらなかった。  対象が人間でなければならなかったからだ。  キーランの傾向にいち早く気付いていたブライアン・オブライエンは彼を教唆した。具体的には犯行対象を『悪』に限定したのである。ブライアンは『善を為せ』とキーランに囁いた。彼の衝動を沈め、社会から悪を排除する。福祉の一環であると説いたのだ。これに従い、彼は日々、使命を果たしてる。人体の生体解剖によって嗜好を満たし、善を為していた。 「どこに行くの?」  ヒナタの質問には答えず、キーランはタクシーの運転手にホテルの名前を告げる。 「行けないよ!」 「どうして?」  ヒナタはお気に入りではあるが、量販店のワンピースを指差した。 「よく似合ってる。綺麗だよ」  高価なスーツにネクタイ、カフスまでつけた優男に言われたくない。話しても無駄だと悟り、ヒナタはキーランを睨むに留めた。考えてみれば、ブライアン・オブライエンへの面会こそ重要課題である。一流ホテルの従業員の悪癖であるところの客を値踏みする流儀について今は不問に付そうと決めた。 「本当にお父さんに似てるよね?」 「俺? でも、血は繋がってない。養子だよ」  キーランの答えにヒナタは目を丸くする。 「嘘だ。そっくりじゃない」 「DNAは違う」 「そんなのネットになかったけど」  ヒナタはスマートフォンを鞄から取り出した。 「公表はしてない」 「じゃあ、なんで話したの?」 「きみと仲良くなりたいから」  開いた口が塞がらない。 「冗談?」 「信じないのか。参ったな。それなら、向こうで父さんに確かめればいい」  キーランはシートに背中を預け、目を閉じた。 「少し眠る。着いたら教えて」  本当に寝息を立てている。ヒナタはスマートフォンに目を落とした。
 ヒナタは肩に触れられて目を覚ました。 「着いたよ」  ヒナタの背中に手を当てキーランは彼女を車から連れ出した。フロントを抜け、エレ���ーターへ乗り込む。レストランに入っても警備が追いかけてこないところを見ると売春婦だとは思われていないようだ。ヒナタは脳内のホテル番付に星をつける。 「女性とは思わなかった。これは、うれしい驚きだ」  テラスを占有していたブライアン・オブライエンは立ち上がってヒナタを迎えた。写真では茶色だった髪は退色し、白髪混じりである。オールバックに整えているだけで染色はしていなかった。三つ揃いのスーツにネクタイ、機械式の腕時計には一財産が注ぎ込まれているだろう。デスクワークが主体にしては硬そうな指に結婚指輪が光っていたが、彼の持ち物とは思えないほど粗雑な造りだ。アッパークラスの体現のような男が配偶者となる相手に贈る品として相応しくない。 「はじめまして」  自分の声に安堵しながらヒナタは席に着いた。 「彼女は父さんのファンなんだ」  ヒナタは慌てて鞄から本を取り出す。 「サインしてください」  本を受け取ったブライアンは微笑んだ。 「喜んで。では、お名前を伺えるかな?」 「安藤ヒナタです」  老眼鏡を懐から抜いたブライアンはヒナタに顔を向ける。 「スペルは?」  答える間もブライアンはヒナタに目を据えたままだ。灰青色の瞳は、それが当然だとでも言うように遠慮がない。血の繋がりがどうであれ、ブライアンとキーランはそっくりだとヒナタは思った。  ようやく本に目を落とし、ブライアンは結婚指輪の嵌った左手で万年筆を滑らせる。 「これでいいかな?」  続いてブライアンは『ヒナタ』と口にした。ヒナタは父親の声が自分の名前を呼んだのだと思う。その事実に打ちのめされた。涙があふれ出し、どうすることもできない。声を上げて泣き出した。だが、それだけではヒナタの気は済まない。二人の前に日頃の鬱憤を洗いざらい吐き出していた。 「かわいそうに。こんなに若い女性が涙を流すほど人生は過酷なのか」  ブライアンは嘆く。驚いたウェイターが近付いてくるのをキーランが手を振って追い払った。ブライアンは席を立ち、ヒナタの背中をさする。イニシャルの縫い取られたリネンのハンカチを差し出した。 「トイレ」  宣言してヒナタはテラスを出ていく。 「おそらくだが、向精神薬の副作用だな」  父親の言葉にキーランは頷いた。 「彼女。大丈夫?」 「服用量による。まあ、あれだけ泣いてトイレだ。ほとんどが体外に排出されているだろう」 「でも、攻撃的で独善的なのは薬のせいじゃない」  ブライアンはテーブルに落ちていたヒナタの髪を払い除ける。 「もちろんだ。彼女の気質だよ。しかし、同じ学校の生徒が気の毒になる。家畜の群れに肉食獣が紛れ込んでみろ。彼らが騒ぐのは当然だ」  呆れた仕草でブライアンは頭を振った。 「ルアンとファンバーを呼びなさい。牧羊犬が必要だ。家畜を黙らせる。だが、友情は必要ない。ヒナタの孤立は、このままでいい。彼女と親しくなりたい」 「わかった。俺は?」 「おまえの出番は、まだだ。キーラン」  キーランは暮れ始めている空に目をやる。 「ここ。誰の紹介?」 「アルバート・ソッチ。デザートが絶品だと言ってた。最近、パテシエが変わったらしい」 「警察委員の? 食事は?」  ブライアンも時計のクリスタルガラスを覗いた。 「何も言ってなかったな」  戻ってきたヒナタの姿を見つけたキーランはウェイターに向かい指示を出す。 「じゃあ、試す必要はないね。デザートだけでいい」  ブライアンは頷いた。
「ハンカチは洗って返すから」  ヒナタとキーランは庁舎の並ぶ官庁街を歩いていた。 「捨てれば? 父さんは気にしない」  面喰ったヒナタはキーランを窺う。ヒナタは自分の失態について思うところがないわけではなかった。ブライアンとキーランに愛想をつかされても文句は言えない。二人の前で吐瀉したも同じだからだ。言い訳はできない。だが、ヒナタは、まだ目的を果たしていないのだ。  ブライアン・オブライエンの実子だと確認できない状態では自死できない。 「それより、これ」  キーランはヒナタの手を取り、掌に鍵を載せた。 「何?」 「家の鍵。父さんも俺もきみのことを家族だと思ってる。いつでも遊びに来ていいよ」  瞬きしているヒナタにキーランは言葉を続ける。 「休暇の間は俺がいるから。もし俺も父さんもいなかったとしてもケンダルが 相手をしてくれる」 「本当? 散歩させてもいい? でも、ケンダルは素気なかったな。私のこと好きじゃないかも」 「俺がいたから遠慮してたんだ。二人きりの時は、もっと親密だ」  ヒナタは吹き出した。 「犬なのに二人?」 「ケンダルも家族だ。俺にとっては」  相変わらずキーランはヒナタを見ている。ヒナタは眉を吊り上げた。 「言ったよね? 何もないって」 「違う。俺はきみを見てる。ヒナタ」  街灯の光がキーランの瞳に映っている。 「だったら、私の味方をしてくれる? さっき家族って言ってたよね?」 「言った」 「でも、あなたはブライアンに逆らえるの? 兄さん」  キーランは驚いた顔になった。 「きみは、まるでガラガラヘビだ」  さきほどの鍵をヒナタはキーランの目の前で振る。 「私が持ってていいの? エデンの園に忍び込もうとしている蛇かもしれない」 「かまわない。だけど、あそこに知恵の実があるかな? もしあるとしたら、きみと食べたい」 「蛇とイブ。一人二役だね」   ヒナタは入り口がゲートになったアパートを指差した。 「ここが私の家。さよならのキスをすべきかな?」 「ヒナタのしたいことを」  二人は互いの体に手を回す。キスを交わした。
 官庁街の市警本部庁舎では安藤文彦が部下から報告を受けていた。 「ブライアン・オブライエン?」  クリスティナ・ヨンぺルト・黒田は文彦が警部補として現場指揮を行っていた時分からの部下である。移民だったスペイン人の父親と日系アメリカ人の母親という出自を持っていた。 「警察委員のアルバート・ソッチの推薦だから本部長も乗り気みたい」  文彦はクリスティナの持ってきた資料に目をやる。 「警察委員の肝入りなら従う他ないな」  ブライアン・オブライエン教授の専門は精神病理学であるが、応用心理学、主に犯罪心理学に造詣が深く、いくつかの論文は文彦も読んだ覚えがあった。 「どうせ書類にサインさせるだけだし誰でもかまわない?」 「そういう認識は表に出すな。象牙の塔の住人だ。無暗に彼のプライドを刺激しないでくれ」  クリスティナは肩をすくめる。 「新任されたばかりで本部長は大張り切り。大丈夫。失礼なのは私だけ。他の部下はアッパークラスのハウスワイフよりも上品だから。どんな男でも、その気にさせる」 「クリスティナ」  軽口を咎めた文彦にクリスティナは吹き出した。 「その筆頭があなた、警視正ですよ、ジャック。マナースクールを出たてのお嬢さんみたい。財政の健全化をアピールするために部署の切り捨てを行うのが普通なのに新しくチームを立ち上げさせた。本部長をどうやって口説き落としたの?」 「きみは信じないだろうが、向こうから話があった。私も驚いている。本部長は現場の改革に熱意を持って取り組んでいるんだろう」 「熱意のお陰で予算が下りた。有効活用しないと」  文彦は顔を引き締めた。 「浮かれている場合じゃないぞ。これから、きみには負担をかけることになる。私は現場では、ほとんど動けない。走れないし、射撃も覚束ない」  右足の膝を文彦が叩く。あれ以来、まともに動かない足だ。 「射撃のスコアは基準をクリアしていたようだけど?」 「訓練場と現場は違う。即応できない」  あの時、夜の森の闇の中、懐中電灯の光だけが行く手を照らしていた。何かにぶつかり、懐中電灯を落とした瞬間、右手の動脈を切り裂かれる。痛みに耐え切れず、銃が手から滑り落ちた。正確で緻密なナイフの軌跡、相手はおそらく暗視ゴーグルを使用していたのだろう。流れる血を止めようと文彦は左手で手首を圧迫した。馬乗りになってきた相手のナイフが腹に差し込まれる感触と、その後に襲ってきた苦痛を表す言葉を文彦は知らない。相手はナイフを刺したまま刃の方向を変え、文彦の腹を横に薙いだ。  当時、『切り裂き魔』と呼ばれていた殺人者は、わざわざ文彦を国道まで引きずる。彼の頬を叩いて正気づかせた後、スマートフォンを顔の脇に据えた。画面にメッセージがタイピングされている。 「きみは悪党ではない。間違えた」  俯せに倒れている文彦の頭を右手で押さえつけ、男はスマートフォンを懐に納める。その時、一瞬だけ男の指に光が見えたが、結婚指輪だとわかったのは、ずいぶん経ってからである。道路に文彦を放置して男は姿を消した。  どうして、あの場所は、あんなに暗かったのだろうか。  文彦は事ある毎に思い返した。彼の足に不具合が生じたのは、ひとえに己の過信の結果に他ならない。ジャックと文彦を最初に名付けた妻の気持ちを彼は無にした。世界で最も有名な殺人者の名で夫を呼ぶことで凶悪犯を追跡する文彦に自戒するよう警告したのである。  姪のヒナタに贈った詩集は自分自身への諌言でもあると文彦は思った。法の正義を掲げ、司法を体現してきた彼が復讐に手を染めることは許されない。犯罪者は正式な手続きを以って裁きの場に引きずり出されるべきだ。 「ジャック。あなたは事件を俯瞰して分析していればいい。身長六フィートの制服警官を顎で使う仕事は私がやる。ただひとつだけ言わせて。本部長にはフェンタニルの使用を黙っていたほうがいいと思う。たぶん良い顔はしない」  フェンタニルは、文彦が痛み止めに使用している薬用モルヒネである。 「お帰りなさい、ジャック」  クリスティナが背筋を正して敬礼する。文彦は答礼を返した。
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naturise-hurom · 6 years ago
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花粉症シーズンに飲みたいスロージュース
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厳しい寒さが続きますが、スギ花粉の飛散が始まりつつあります。花粉が飛び始めると、鼻のムズムズや目のかゆみ、のどのイガイガなどの症状が出るだけでなく、花粉の刺激による肌荒れが気になる方も多いのではないでしょうか。
 原因は「免疫バランスのくずれ」!?
近年、住環境の変化によりダニやハウスダストが増えたことや、車の排気ガスなどの大気汚染によりアレルギー体質の人が増えたといわれますが、「免疫バランスのくずれ」も大きく関与していると言われています。免疫バランスがくずれると、本来無害である花粉を体が有害物質と誤って認識してしまうため、アレルギー症状を引き起こしてしまうのです。 くずれた免疫を整えるには、バランスの良い食事が欠かせませんが、忙しい現代人にとって、食事から必要な栄養をバランス良く十分に摂るのはなかなかハードルが高いものですよね。免疫を高め、のどや鼻の粘膜や肌を強くする栄養素を知っておけば、少ない食材でも効率よく花粉症対策に役立つ栄養素を摂取することができます。
「花粉症」対策におすすめ 免疫UP、粘膜強化に役立つ栄養素と食材
ビタミンA
脂溶性ビタミンの一つ。皮膚や粘膜を健やかにたもち、免疫を高める 働きもあります。
<おすすめ食材> 温州ミカン、さつまいも、ニンジン、ほうれん草、小松菜、あんず など
ビタミンC
水溶性ビタミンの一つ。白血球の免疫を高める働きがあ���、風邪や ウィルスなどから体を守ります。老化の原因の一つである活性酸素を 取り除く働きも
<おすすめ食材> さつまいも、温州ミカン、いちじく、パセリ、じゃがいも、抹茶 など
セレン
老化を緩やかにする「抗酸化ミネラル」として近年注目の栄養素。抗体の産生を高め、ウィルスなどの外敵から体を守ります。
<おすすめ食材> ゴマ、ヒマワリの種、カシューナッツ、まぐろなど
必要な栄養を手軽にチャージ
忙しくて料理をする時間がないという方でも、ビタミンA・C、セレンを含む食材を絞って飲むだけで手軽に花粉症対策ができます。
ビタミンA・C、セレン豊富な対花粉症パワードリンク
『カシューナッツ入りさつまいもと温州ミカンのジュース』
皮膚や粘膜を健やかに保つビタミンA・Cを豊富に含むさつまいもと温州ミカンに、抗酸化パワーが高く免疫を整えるセレンが豊富なカシューナッツを加えた、究極のパワードリンク。さつまいもの甘さを温州ミカンがさっぱりと仕上げています。カシューナッツでコクとクリーミーさをプラスすることで、何も調味料を加えなくても味わい深いジュースに。黒胡椒を少しプラスすると、キリッとしまった味になります。腹もちもよく、1食置き換えにもおすすめです。
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【材料(1杯分)】
さつまいも・・・約90g(小サイズ1本分)
温州ミカン・・・約240g(3個分)
カシューナッツ・・・25g
【作り方】
1. さつまいもはよく洗い、皮付きのまま竹串が通るくらい の固さに蒸し器で蒸して、ヘタを切り落とす。 温州ミカンは皮をむく。
2. Huromスロージューサーのジュースキャップを閉じ、 ドラム内に材料が溜まる状態にしてから、レバーを 「Close」にして作動させる。
3. 「2」に「1」とカシューナッツを少しずつ入れて材料 が十分に混ざるまで作動させ、レバーを半開マークの 位置に合わせて、ストレーナー内の搾りかすを排出さ せる。ジュース、搾りかすをもう一度搾りなおしてなめ らかにする。
4. グラスに注ぎ、お好みで黒胡椒、砕いたカシューナッツを 散らす。
<搾りかすも活用>
搾りかすはペースト状になっているので、パンに塗ってジャムの代わりにしたり凍らせてシャーベットにしても美味しくいただけます。 スロージューサーで余すところなく食材を楽しんでください。
(レシピ監修:フードコーディネーター 音仲紗良)
ビタミンA・C、セレンをしっかり摂って花粉症シーズンを乗り切りましょう 
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<管理栄養士 北村絵梨子氏> さつまいもには免疫力を高めるビタミンCをリンゴの5倍以上含みます。イモ類の中ではトップクラスの量です。温州みかんにはβ-カロテンを多く含んでいます。このβ-カロテンは体内でビタミンAに代わります。ビタミンAは皮膚や粘膜を保護するのに働きます。皮膚の粘膜がウイルスや病原菌をバリアすることで、体全体の免疫力を高めることに繋がります。 カシューナッツに含まれているセレンは、ミネラルの1つで、体の活動の調節を行う重要な栄養素です。「サビ」と言われる酸化から体を守り、老化を予防する働きがあります。また、抗菌作用や抗ウイルス作用など、免疫力を高める働きがあるともいわれています。これらの栄養をしっかり摂ることで、花粉症の症状や、花粉による肌荒れの緩和が期待できます。
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manganjiiji · 3 years ago
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日本語が好き
より詳しく言うと、この、漢語とやまとことばを混ぜ合わせて作られている言語のリズムが好き。漢語には漢語のぱきっとしたリズムがあるし、やまとことばにはやまとことばの、流れるようなメロディと拍がある。私は文体を書きたいのであって物語を書きたいのではないから、つまりただ日本語で情景や雰囲気、におい、ひかり、音などを書き留めて誰かの脳内にそれを立ち昇らせることが好きなだけであるから、物語は欲しないし自分も書かない。しかし人を慰めるのは文体であっても、人を勇気づけ励ますものは物語である。目的のためには私は物語を書かなければならないのだが、向いていないんだよな…。でも、努力すればいつかどうにか、物が変化してゆくさまを語れるようになるかもしれない、つまり、音ではなく音楽を。その一瞬間のみをとどめおくのではなく、その前後の因果関係込みで「もの」とするのが音楽。音楽のように文章を書けなければいけない、という思いから、私はたんにリズムの補助としてだけでなく、書く時に楽曲を必要とするのだろうか。というのは後付けのこじつけの屁理屈です。音楽を聞きながらほかの物語や詩を書写していると、頭の中で物語がどんどん進んでいく時がある。キャラクタがいろいろを思って動いていく。その瞬間を求めて、ひたすらに楽曲を聴いて書写し、進んだ物語をメモして、頭の中で物語(私の場合は映像など)が進行し終わってから、文字にして打ち出す。楽曲は最初にネタ(書きたいシーン、セリフ)を考えた時から、書写、打ち出しまでずっと聴き続ける、たいてい3〜5曲のプレイリストを作る。今日たまたま「夢で逢いましょう」のメロディを思い出して、これはフィガファウ初期(よい花よ育て辺り)のプレイリストに入っていることを見つけたので、私の中ではフィガファウの曲でした。古い歌ですね。井上陽水の歌っているものがプレイリストには入っていました。かっちゃんの小説はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「フラワーズ」1曲のみで回しております。これはフィガファウでも一度使おうとしたのですが、いつまでも物語を掴みかけては離しているうちに曲と距離ができ、いつのまにか何を聞いても「かっちゃん…。」になる時期にこれは完全にかっちゃんの曲!となり、採用されました。(もともとヒロアカ映画の挿入歌で、デクとロディくんのロードムービーの最高のシーンに流れる曲です。そんな曲にかっちゃんを感じていいと思ってるのか?思ってる。)今まで、この一年以上ほとんど小説を書けないなかで、たくさんの音楽と出会ってきてたくさんプレイリストを作ったけれども、そのどれも小説にはならなかった。不徳の致すところです。小説を書くには、やや疲れ切ってしまい、回復のための場所もよく得られず、療養とはいえ…回復してはダメージ、ダメージ、ダメージ、しかし気力で回復しようとしています。本当は気力はあんまり使うとのちのち皺寄せが来るからよくないんだけど…。疲れたなあ、と毎秒思っています。朝晩は冷えるのに日中は30℃だし、夜まで冷房をつけないと部屋は暑いままだし、しかし朝方は冷え込むので冷房で冷えた体がさらに冷える。寒いよお。なんつって、暑がりだからあんまりそこは気になっていませんが、ただ温度の乱高下は単純に身体にダメージです。
体についた肉が一向に減らないのも問題だし、1時間寝ては何か食べてまたそのあと寝て、食べて、を一日中繰り返して引きこもっている状態も問題だし、とにかく太っているのが問題です。同じ家の中に、世界で唯一死んでほしいと願う相手が暮らしていることが吐きそうなくらいストレス。でもこれは私が働けなくなって人生を一時リタイアしているので仕方のないことです。職場のストレスで、とかの理由なら回復の方法があるけれど、幼少時からの家庭環境によるストレスで発症している挙句、治療もせずに10年放置し、また療養場所がまさにストレスを受けた実家という場所しかない、ということで、なかなか治りは悪いです。治りは悪いというか、これ以上悪化させない、くらいのことしかできないし、新薬が出ない限りは死ぬまで今の薬5種を飲み続けて、どうにか生きることをやり過ごすしかないのだと思います。うつや精神疾患は発症から治療までの期間が短いほど治りやすく、長いほど治りにくい、というのはまあ一般的な知見だと思うのですが、加えて生育環境に難があった人はかなり病気と手を切るのは難しいと思います。さまざまな症例があり、けしてこの限りではなく、例外も何もかもあると思うのですが、周りを見渡した感じだと、今自分の中ではそのように思っています。さまざまな価値観を形成する幼少期の情操ががたがただと、自分の価値観を疑い続けなければならなくなる。他人から考え方が偏っていると指摘されることも多い。(主に自責、自虐傾向が強すぎる)それを常に自分の中で訂正し続けなければならないし、自分の価値観に自信が無いから、他人の価値観をぶつけられた時に、それを上手く跳ね返したり受け止めたりできず、あっけなく傷ついて崩れてしまう。正しくても間違っていても「自分は自分」という考えを持つことが難しい。とにかく「間違っていない」ことを希求する。間違うと捨てられると思っているから。自分が正しくても間違っていても関係なく自分を無条件で庇護してくれるような大人に育てられていないとそうなる。正しければ育ててやってもいい、という大人に当たってしまうと、生存の為に正解を見つけようとするのが癖になる。本来は間違っていてもいい。間違っていてもそれが己の答えなら、尊厳や生命が傷つけられることはない。でも、自分が「間違えた」と思った瞬間に、この手の人達は絶望してしまう。もう自分は死んだ方がいい、命がない、捨てられる、生きていても無価値だ、となってしまう。それはその人が「そう思う」ように、過去の大人が仕向けて「教育」したからだ。大人にとって都合のいい存在でいなければ、生存さえ剥奪されてしまう。この恐怖は、わかる人と、分からない人が、はっきりと別れると思う。
自分の中の見えない「大人」を排除するか、自分が「大人」に成り代わって自分を無条件で愛するか、など、生存戦略は多々あると思うが、ともかく何らかの手を打たないと、仕事でもプライベートでも、周りの迷惑になる、および、使い物にならない。使い物にならなければお金を稼いだり、誰かと共生することができず、ここで結局生存の可能性が下がる。
早くこの家に関する全ての記憶を失ったままで物理的に距離を取りたい。あと半年以上耐えられるか。無理だったらどうすればいいのか。こんなことケアワーカーさんに相談してもなんの解決法もないと思う。とにかくただ半年我慢して就職すること。その間に自殺してしまったらそれは単に私の負け。いやだな〜と思いながら生きている。
2022.10.2
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