#眠気眼
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nyaocox · 1 year ago
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nmtn-kobi · 1 year ago
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「イクイクイク………………ッ!」
喘ぎながら、奥でドプっと、吐き出してくださる。程なくして漂うあの香り。滴る汗とともに幸福で包まれる。ズルッ……と引き抜かれると、頬を撫でられ、ニヤリと一言残して立ち去ってゆく。
「気持ちよかったぜ…」
まみれたまま、その場所で仰向けに横たわり、目を閉じる。さっきまでの光景が脳裏に浮かび、自然と穴に手が伸びてしまう。白濁の液体をゆっくり掻き回し、余韻に浸っている………。
ベチ。
しばらくすると頬に、重量感のある生あたたかい何かが触れる。俺は少し寝ぼけたまま、それが、ぬるりと頬を擦り、口元へ移動してくるのを感じる。あ、生デカマラだ!
眠気は吹き飛び、目を開き、ゆっくりと勿体つけるように、亀頭を少し咥え、鈴口から溢れる先走りを味わう。うめぇ…。好みの味だ。そのまま、口奥へ少しずつ導き、亀頭全体を銜え込み、吸い上げると、ビクンッ!と少し膨れ上がる。そのまま、���を幹にすべらせ、舌も絡めながら、喉奥へと誘い込む。ゆっくり大きく前後させると、段々硬さが増してくる。うぉ…やうぇ…でくぅうぇ…
すると、その雄は俺の頭を掴み、腰を動かし始める。あぁ、上の口が犯されてゆく。そんなことを考えていると、たまらず俺も勃起してしまう。このままイかされそうや。だが、なんとかして、これで孕まされたい。そう願いながら、必死にご奉仕を続ける。
不意に引き抜かれると、眼の前に、穴を向けられる。
「気持ちよくして」
一瞬怯んだが、さらにエロくなっていただきたい一心で、そこに舌先を入れる。
「あぁ………………」
自然に洩れ出る喘ぎ声がたまらない。ケツタブを開き、唾をまぶしながら、舌を出し入れすると、それに呼応するように、そこがヒクヒクと動く。そのまま、その雄の股間に手を伸ばすと、さっきより勃起している!俺は歓喜のあまり、一層、ねぶりを強めていく。
そのとき、急に、うつ伏せにさせられ、その雄が後ろから覆い被さり、
うぉぉぉぉぉ……………っ!
俺は思わずのけ反り、穴を締めてしまう。ガッシリと動けないように体を掴まれ、一番奥へとガッツリ、最高潮に勃起した生デカマラを嵌め込んでくださったのだ!
あ…あ………あぁ…………
さっきの精子が潤滑油となり、ゆっくり奥が撫でられ、少しずつ開き、気持ちよくなってゆく。両足も絡みつかれ、完全に身動きのとれない、寝バックの体勢だ。その雄の生デカマラの感触だけが頭を支配してゆく。奥がこじ開けられるに従い、上の口からも思わず涎を垂らしてしまう。
「よくご奉仕してくれた御礼だ」
あぁ…ロングストロークになってゆく。完全にこの生デカマラ様の形になってるんや。入ってくる時は包み込むように迎え入れ、出てゆく時には名残惜しそうに柔らかく締め付けるから、この穴を気に入っていただきたい。
「おぉ…たまんねぇ穴だなぁ…たっぷり種付けてやるぜ…」
あぁ…嬉しい、奥の奥に好きなだけ擦り込んでほしいッス!俺も腰を上へ動かす。
「あぁ…イクぜ…イクイク…イクイクイクイクイクイク……イ……ク……!」
ズドンッ…ズドンッ…ズブッ………
やべぇ…俺もイク…あぁぁ…イク…イクイク…!
しばらくすると、またあの匂いが漂う。背中の上に、汗だくになった雄の体温を感じながら、最後の力を振り絞って、穴をまとわりつかせる。するとそのたびに、ビクン、と何度も返事をしてくださる。そんなことされたら、また開いちまうすよ…
ヌルッ…ズブブ……あ………………………
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yutakayagai · 11 months ago
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七月になり、ようやく広樹のギブスが取れ、サポーターだけになった。通学は自転車に戻り、時折ラガーシャツにも袖を通した。
一方、克也は広樹が辞めないで済んだことに胸を撫で下ろしたが、未だ自分自身の気持ちを言えずにいた。浩志からは、
「いつまでもウジウジしてンじゃねぇよ! ��◯ポ付いてるンだ���!?」
と一喝されていたが、男同士が好きになることに対して罪責感があった。未だ、同性愛が世間的にタブーとされていた時代である。浩志が大学生だった昭和三十年代の後半と比べると、五十年代の前半は女装したり女言葉を使ったりする芸能人も多く活躍したが、やはり偏見はあった。
夏休みになり、秋の試合に向けて練習にも力が入った。浩志も普段はポロシャツとジャージーと言う格好だったが、時折ラガーシャツとラグビーショーツでグランドに現れた。そんな姿に漫画研究会の利江子たちは、
「あれぇ〜? ヒロシったらラガーマンになってるぅ!」
「きゃッ! なんで、あんなにラグパン短いの!?」
「いゃァ〜ん、何か誘ってない?」
「ラグパンって、パンツ穿かないンでしょ!? エッチぃ〜!」
と、相変わらず盛り上がっていた。そんな彼女たちに浩志は、
「鶴田ッ! 一応、穿いてるぞ!」
とラグパンの裾をチラッと上げてみせた。何故、アタシの名前を知ってるのとびっくりしながら、
「ヒロシ、このスケベっ!」
と笑い転げた。他の同級生は黄色い声を上げていた。
休憩時間になり、広樹は予め作っておいた麦茶の入ったやかんを二つ、ベンチのある日陰に置き、部員に声をかけた。皆、待ってましたと言わんばかりに詰め寄って来て、麦茶の注がれたプラスチックのコップを手に取った。浩志も蛇口の水を頭から浴び、
「このまま昼飯にするぞ」
と、眼鏡を片手に持ちながら首に掛けたタオルで頭を拭き、彼は校舎に戻って行った。
その間、日陰で弁当を食べたり芝生に横になったりと、それぞれ休んでいた。克也もケヤキの幹に寄りかかった。視界には空になったやかんや、プラスチックのコップを片付ける広樹の姿があった。なかなか告白できずにいる克也は、
『今なら言えそうな気がする』
と立ち上がった。そっと近づき、広樹の手を取った。
「加藤先輩…?」
「ちょっと来て」
そう言われるがまま、広樹は克也に手を引っ張られた。連れて行かれたのは部室だった。窓を全開にしていたが殆んど風が入らず、蒸し暑かった。十二畳はあるかないかの室内で、克也は広樹と見つめ合った。両手を握りしめ、
「額田君、好きだ」
と克也は唇を奪った。身体を密着させ、広樹の背部に両腕を回し、愛撫した。広樹は嫌がることなく、奪われた唇が克也のものと一体になる様な感覚を��た。
ラグパンの中で股間が隆起していくの互いに感じながら、二人はブリーフ越しに恥部を弄った。内腿から汗が垂れ、次第に濡れていった。克也はこれまで抑えてきた感情を露にしながら喘ぎ、広樹のラグパンを脱がせた。
「あぁん、はァ、ああん…」
鼻息を粗くさせながら、二人はブリーフを膝まで下げ、肉棒の裏側を合わせながらしごいた。
「あッ、あん、ああん…」
先走り汁で手指を汚しながら、克也は広樹のラガーシャツを胸元までたくし上げ、乳房を咥えた。
「イ、イキそう…」
「オ、オレも…」
オルガズムは二人一緒に達した。ドクッ、ドクッと粘度が強い乳白色の愛液を流し合い、克也は広樹の唇を求めた。広樹も舌を絡ませ、二人は暑さも忘れて愛し合った。
練習を終え、体育館に併設されたシャワーを浴びた部員はそれぞれ、制服に着替えて帰って行った。浩志もワイシャツとスラックスに着替え、職員室の扇風機で涼んでいた。嗚呼、今日は飲みにでも行こうかなァ…。そう思っていると、
「…先生」
と克也が訪れた。浩志は、
「何だ、帰ってなかったの?」
と気だるそうな声で聞いた。克也は言った。
「オレ、額田君に告白しました」
「へぇ〜、良かったね。…で?」
「…そのままエッチしちゃった」
「へぇ〜、良かったね」
何も考えずにこう言ったが、否、「エッチしちゃった」って、何が? ようやくコトの真意に気付いた浩志は、
「ハァァァァァァ〜!?」
と上半身を起こした。
「犯っちまったのか!?」
「声が大きいよ!」
「…お前、溜まってたンだな」
「何か、気持ちが大きくなっちゃって…」
克也は、徐々に真顔になっていく浩志の様子に、嗚呼、怒られるのかなと不安になった。しかし、浩志はバンッと彼の背中を叩き、
「よくやった! これでこそ男だ! 気持ち良かったっぺ!?」
と、寧ろ喜んだ。何だ、この先生!?と克也は呆然とした。そして、浩志は克也の股間を鷲づかみにし、
「イイぞ、イイぞ! その調子でガンガン攻めろ! 若いってイイなァ〜!」
と揺さぶった。
「や、やめッ…! おしっこ漏れちゃう!」
もし誰かいたら問題になるなと、克也は思った。
この日を機に、克也と広樹は浩志から色々と「性のてほどき」を受けた。時折、部室で『さぶ』や『アドン』などのゲイ雑誌を渡され、ア◯ルセックスの仕方も山奥のモーテルで「伝授」された。克也は、
「オレは純愛が好きなのに!」
と心の中で叫びながらも、沸々を込み上げてくる肉欲に負けて広樹と絡んだ。広樹も、克也を所謂「セックスシンボル」としてしか見られなくなり、ラグビーショーツから覗くブリーフ��生唾を飲んだ。克也の家も若宮町にあった為、水府橋の下で毎日の様に愛し合った。
一方、ラグビー部の成績は劇的に飛躍した。これまで県大会で二回戦以上は勝ち進められなかったのが、関東大会でも上位の方まで成績を残した。他県のシード校を打ち破った時には、浩志は嬉しさのあまりに、
「これも皆、克也と広樹の『愛』あってこそだ!」
と口走り、二人は火消しに追われた。
そんな克也と広樹だが、個別に利江子から漫画のネタに色々とインタビューを受けた。あまりにしつこいので、
「イイじゃん、愛してるンだから。好きにさせてくれよ」
と広樹は言い切ったが、
「えぇ〜!? そんなにラブラブなのぉ〜!? だったらイイじゃ〜ん!」
と、寧ろ彼女の創作意欲に火をつけてしまった。
広樹は浩志との思い出を「熱弁」した。途中、浩二は笑いをこらえるのに骨折り、
「う、嘘ッ!?」
「それ、本当ですか!?」
「高校生だったのに!?」
云々と、何度も聞き直した。
二人が話している間、大樹は座布団を半分にして折り、枕の様にして眠っていた。寝息を立てている我が子を気にしながら、広樹は目頭をハンカチで押さえた。今は高校生だった二人を浩志が手を出し、淫乱にさせたことを信じられないと思っているが、その数年後には中学生になったばかりの大樹をまさか自分がそうさせることになろうとは、考えてもいなかった。
午後九時を回り、広樹は大樹を起こした。
「長居をしてしまってすみません。告別式には妻が来ますので…。私、K百貨店に勤めておりまして、明日から秋に催される物産展の関係で北海道へ行くンです。克也、否、加藤さんは通夜には行けるそうです」
「K百貨店にお勤めですか? 大変ですね。道中、気を付けて」
玄関で広樹と大樹を見送ると、茶の間に戻って浩二は残っていたお茶を飲み干し、片付けた。徐々に、彼は浩志との永遠の別離がきているのだなと実感した。
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asagaquru · 8 months ago
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なんだかエジプトにはずっと惹かれていた。一昨年は近代美術館の古代エジプト展に2回行った。ツタンカーメンが観れると思ったのになくて少し残念だった。小さい頃は図書館でミイラの作り方を知ってドキドキした。なんて現代離れしていて、ミステリアスで、丁寧で神秘的なんだろう。でも、まさかエジプトに行くとは思わなかった。高校の世界史は31点だったけれど、授業の合間に話す先生の旅の話が好きだった。先生、わたし暗記が苦手でテストは31点だったけれど、今度はエジプトに行きますよ。あれもこれも人生の伏線だったようで少しこそばゆい。
最初はベトナムに行くはずだった。ひょんなことからエジプトというワードが出て、恋人とエジプトに行くことになった。あれやこれやと出発日になり、出国する。機内のEgyptwifiに繋いでみるが、まったく更新されない。眼下には夜景。7��前にインドに行く途中でみた景色に似ていた。あの時も深夜のフライトで、照明が落とされて暗くなった機内で、ひとり静かに感動したのを覚えている。調べてみると北京の夜景らしい。あれは北京だったのかとまたひとつ伏線を回収する。
インドへ行く時よりも緊張している。家族に予行表を作って送信したり、事前にホテルをとり、ピラミッドや神殿への行き方を調べ、古代エジプト文明についても勉強した。インドの時は、行きと帰りの飛行機しか決めずにあとは現地のインド人と直接交渉した。言葉もわからないのに友達になってバラナシに1週間いた。良い旅を!と送り出してもらって、ピンク色のジョードプル、蜂蜜色のジャイサルメールへ行き、そしてニューデリーに帰った。懐かしい。あの頃は初めての冒険にワクワクして、怖いもの知らずだったみたいだ。今はエジプトへ行くワクワクと怖さと半々な気持ちで、飛行機に乗っている。
14時間も直角に近いシートで過ごせないと思って、持ってきたデエビゴを飲む。そこからは1時間ごとに寝たり起きたりして、途中でサンドイッチが配布されたからうつらうつらとしながら食べた。胡瓜とチーズが挟まっていて、チーズが美味しくてエジプトはチーズ美味いのかなあとぼんやり思ってまた眠った。8時間の眠剤の効果よりも早く目が冴えてしまって、今これを書いている。あと3時間半で着くという。折角の旅だ。恋人と協力して、しっかり楽しもう。年老いた日に思い返して、微笑んでしまうような旅になれば良いなと思う。
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b-pcy · 1 month ago
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パートナーから(ありがたいメッセ)言われて考えなきゃなんだけど眠いからメモって寝る、
会ってる時は激あまだし、素直だし、自分のこと見る眼差しで考えてることとかわかるし、愛情表現もしてくれて、しっかりしてるけどちょっとわがままで可愛いところもある君は
会ってない時ほんと何してるかわからないし、LINEも帰ってこないし、世界一マイペースだよね
残業で気づいたら体調崩してたりするから心配、もう少し離れてる時も甘えていいんだよ
平行線で本日
同期に、「あれお前彼氏居たっけ?」ってコメントに
あれ彼氏?居たっけ?て少しの動揺と二秒間のフリーズ
溜まっていく業務とやらなきゃいけない生活と毎日欠かさずやってる英語とスペイン語教室にストレッチ
今日もまた考えられずに寝るの
どっちでも良くない?
好きだから一緒にいる、自分の生活とまだ君の生活は一緒になってないから混合してないだけ
が本音
でも傷つけないように伝える方法を考えなきゃいかん
けど寝る
どうか明日の君が穏やかに過ごせますように
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oyasumimumemo · 5 months ago
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蝉のひとたち
人攫いがでると言う。イヤホンやヘッドホンをつけたひとを狙って攫うらしい。人身売買とか臓器売られるとかされるんだよ。夫が半分眠っているみたいに話す。「日本で?」そう日本、日本だってあるよ拉致して売るの、気をつけなさいよあなたずっとイヤホンつけてるんだから。
次の日は退勤後もイヤホンをつけずに電車に乗った。色んな声が聞こえる。コンタクトとれちゃって途中から片目抑えてみてたえルイボスティーおいしいよ慣れたらおいしいよふくらはぎいや膝かな膝くらいまであるの履いてくこれから先も希望なんてない気がするの1種類くらいノンカフェインあればいいなって。無防備のように聞こえてそうではない声たち。
眼鏡屋に寄るために最寄りではない駅で下車した。大勢が改札に向かって歩いていくなか私のすぐ後ろでお経のようなものが聞こえるので耳を傾けると低い声の女性二人が同じ言葉を繰り返し唱えていた。蝉の鳴き声のようだった。
久しぶりに測った視力は昔より良くなっていた。支払いを済ませて店を出るとき店員は「綺麗に作りますね」と笑顔をつくった。接客して視力を測って顔のかたちに合うようにツルを加工して何から何までやるのだな。眼鏡屋さんは大変だ私は眼鏡屋さんにはなれなさそうだと思った。
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ai-me-cat · 1 month ago
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2025/05/28
愛されているんだろうか、誰かに、世界に。
睡眠導入剤を2種類それぞれ1粒と2粒、抗精神薬を2種類1粒ずつ。計5粒の小さな錠剤で、わたしの日々は「普通の健康な人」の最低水準ラインをギリギリ保てている。もちろん薬を飲んでいてもそこの水準にすら達せない日もある。むしろ達せない日の方が多い。
薬を飲んでから眠くなるまでの間、いろいろなことを考える。考えてなくても無意識が働く。決まって頭に浮かぶのは、わたしは愛されているんだろうか、ということだ。
わたしは自分のことを愛してはいない。もちろん努力をして結果が出せたことを誇りに思っている面もあるし、「普通」にすらなれない自分を心底軽蔑したりもする。評価はいつだってブレブレだ。
だけど、もしかしたら、誰かがわたしのことを愛してくれていれば、わたしが己を呪っていても、その呪いから一時的だとしても避難できるんじゃないか、と思う。でもその愛ってどうやって確かめるの?
わたしには恋人がいる。今もいるし、かつても大勢いた。彼ら彼女らはわたしのことを大切に思っていてくれてたし、大切だからこそ別れる選択をした人もいると思う。もちろん蔑ろにされたことも、人として扱われなかったこともある。でもそれは勉強代だと思って、割り切って、そういう人のことはいなかったことにしている。だって知らない人間だし。
問題は、わたしを愛している、と公言してくれている人たちだ。恋人、友人、家族。彼らの愛は永続的?そんなわけない。いつかなくなるものだとわかっている。
だからわたしは自分を許せない。
誰かが「愛しているよ」と言っていてくれてるのにそれを蔑ろにする自分を心底憎む。けれどもそれ以外の方法で、わたしが、他人と向き合う方法を知らない。簡単に言えば孤独。孤独が付き纏って離れない。誰がいようが、どんな言葉をかけられようが、どんな関係性を築こうが、孤独は影のようにわたしに付きまとう。
自分を許せないことが、病気を長引かせたりあるいは悪化させたりしていることは自覚している。「健全で健康で普通」の人はこうはならないらしいから。薬を飲んでも眠れない、呪いは解けない。ただただ喉の渇きを覚えるのみで、それは水道水では潤せない。日中はふらつくせいで車も運転できない。副作用ばかりがあらわれて、わたしはいつだって低空飛行。
いつか自分の言葉で書いてみたい。病についてもそうだし、愛についても。自分自身に対してクジラや象の眼のような、穏やかな眼差しを向けてみたい。獰猛さを隠さずに生きてみたい。
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okujirasama · 1 month ago
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5/27
ねむりのときのちいさな国のこと。
わたしの国はよく雨がふっている。
- 昨夜は眠れなかった。午前中に予約していた病院は調子が悪くていけなかった。毎日の薬がなくなるのでたいへんだから、急遽、夜の診察を予約して、今、電車に揺られている。
頭が回らなくなり、身支度の段取りがわからなくなった。なにもわからないまま、とりあえず診察券やお薬手帳などをかばんにつめて、なんとか家を出た。顔色の悪さに家族が心配して駅まで送るって言ってくれたが、鬱が酷くて混乱してしまい、ひとりで歩いてきた。
-
寝込むような日がしばらく続く。具合が悪い。昼夜逆転をするようになった。夜、鬱で頭が回らなくなって布団に入るまでの段取りが分からなくなる。心の奥にしまって鍵をかけておいたはずの記憶があふれて、からだが動かなくなる。気がついたら朝になっていた。
-
診察室で話をしていたら、だんだん涙があふれて声が出ない。くるしい。主治医の先生にさすってもらったりした。人前で泣くというのがこわい。人にからだを触られるのがすこしこわかった。そのあたりから記憶が曖昧である。薬が増えた。月に1回の通院頻度だったが、今度は1週間後に通院することになった。仕事について話をしたが、まずは休養をしてくださいとのこと。
-
帰り道、雨が降っていた。すこしほっとする。ひかりがぼんやりとしてみえる。電車の中はあらゆるものがまぶしくて苦手。眼鏡をはずして、レンズに反射するひかりをじっとみつめていた。眼鏡を外したときのぼやけた視界に安心する。小川洋子さんのエッセイを少しだけ読む。
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jun4matsuo · 1 month ago
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私ね、アートメッシュ職人になろうと思う #12
 こんばんは  早めにLive2D Cubismでの作業に取り掛かり始められたのは良かったのですが、土日は低気圧なのもあってふんわりと体調が優れず作業ながらにぐでっとしていました。とはいいつつも、日曜夜にはゼミの友達とゲームで遊ぶことができて非常に楽しかったです。4月頃は1年間独りぼっちになってしまうかも…とか不安を抱いていたんですが、ありがたいことに話せる友人ができました。大感謝。  昨日の造形領域各論の講義内容が物凄く面白くて、確かに感情移入って作品を楽しめるかどうかの重要なファクターのひとつだなあと感じました。理不尽な立場にある人物に感情移入しがちっていうのが今までの自分と重なりすぎましたね。ほら、可哀想は可愛いみたいな(多分違う)。ただ、その感情移入の是非をコントロールするって言うのがクリエイション的な視点で目から鱗で、スティーブン・ジョブスのやつとかすげ~~とか感動してました。カット割り、ばっちりジョブスのどアップ描いちゃった(なんなら軽い発表で当てられましたし)。  ああいう軽い指名って割と当てられるんですけど、なんでかっていうとほぼ全ての授業で一番前に座るようにしてるんですよね。普段裸眼で過ごしてるんですけど、視力に波があってたまに遠くが見えない…てなるんです。そういう時に授業の板書とかスライドを精一杯見てると、じっと見てる時間で置いてけぼりを食らってしまうのが嫌すぎて、なるべく近くに座っています。ちなみに眠い時は一番前だろうがばっちりすやすやしちゃうのでほんとごめんなさいと思ってます。
 さて、進捗についてですが、まだアートメッシュの作業を脱していられません。というのも、お顔回りのアートメッシュは本当に丁寧に作っておかないと、動かしたときに本当に可哀想なことになるので、横着せずに愚直に取り組んでいるためです。でも、何だかんだこういうチミチミした作業、嫌いじゃないです。最近ハマっている学園アイドルマスターの楽曲を無限に流しながらぽちぽちマウスでメッシュ張りしています。
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 若干迷っているのが、線画の部分にポイントを設置するのか、線画の部分を三角形で包むようにポイントを設置するのか、という部分で、いろんなモデラーの方のやり方を参考にしてみてはいるものの、どっちにするかは割とバラバラというか、その判断の基準もあまり見当たらないんですよね。ということで、割とその辺の基準はあいまいにしつつ、主には線画を三角形で内包する方法を用いて作っています。今はちょうどお顔回りと髪が終わった感じですね。
 ところで、プレゼンの方ですが、一応最終週とはいえ2週間を切ってしまいましたね。時間経つの早すぎる。あらかじめコンテを作っておいたのもあって7割程度は作り終わっているのですが、先行研究などのリサーチ部分が本当におざなりになっています。まあ、Live2Dモデルの制作を先にやってるので当たり前と言えば当たり前なの���すが。Slackの参考資料の方でいただいていた情報を調べようと思っていた���先、前回のゼミで先生がそれらの文献を貸し出してくださいました。あまりにも救いの手過ぎる。というわけでプレゼンまでにチラ見しておこうと思ったわけですが…
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いや、なんか一冊分厚いのよ。しかも全部英語。  百歩譲って英語は読めるので言語的な問題は無いのですが、余裕で1000ページを超えていて、貸していただいた時に内心笑いが止まりませんでした。6月(下手したら7月)はこの本を読んでいるだけで終わるかもしれません。  そんなわけで、この一冊は置いておいて、モデリングがある程度進んできたら、プレゼンの作成に合わせて他三冊を軽く読み漁っておこうと考えています。自分で調べるっていうより天から降ってきたみたいな感じにはなってますが…。でも頂いたこの知恵の塊みたいなのは本当に貴重なものだと思うので、ありがたく享受していこうと思います。
 ��れでは今回の更新は以上となります。  Tumblr、人の更新見るの面白くて結構頻繁に覗いてるせいか、リアクションつけるの早いって言われて監視してるみたいになっててめちゃくちゃ面白いんですが、割とちゃんと見てますすみません。とは言いつつも、自分も更新は途絶えないように気にかけていかねばなりませんね。
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palakona · 2 months ago
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段の上釣り禁止
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2025年5月 一心寺(大阪市天王寺区) iPhone11
どうも、こんにちは。5月3日(土)「憲法記念日」は、中セ池に行ってきましたが、朝はまず父が眠る一心寺にお参り。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
今日は快晴無風なので、中セ池とフィッシングセンター竹の内と水藻フィッシングセンターで迷いましたが中セ池へ。何故かというと、15尺超の竹竿を振りたかったのです。FC竹の内とか寺口つり池とか尺数規定は15尺まで��すが、竹竿で15尺丁度は少ないのです。FC竹の内で「竹竿の15尺2寸とか使える?」と聞いたことがあるのですが、「チクリにくる人がいるので良いとも悪いとも言えない」とのことで尺数規定は厳格運用。「寿るすみ」15尺3寸とか「魚光」15尺2寸とか使えないんですよね。ウドンを炊くのもめんどくさいし、尺数規定のない水藻FCで久しぶりにグルダンゴで床釣りも良いかと思ったんですが、火曜日の中セ池が良い魚信が見れて楽しかったのと、南土手長竿枡に入れたら16尺まで(17尺は波除パイプを超えてしまう)振れるので中セ池に来ました。南土手は真ん中に3人入っていて、最初はお隣に声をかけて西詰に入ろうと思いましたが、東詰が空いているのに気づいて、入ったことのない東詰で準備を始めました。ところが、あまり見たことない話したこともない常連らしき人が「⚪︎⚪︎さん?ここは真ん中に段があって段の上は釣り禁止やからミニ釣り台を左に寄せて釣りしてください」と教えに来てくれました。なんで僕の名前を知ってるんやwと思いましたが、「そういえば上釣り禁止とかありましたね。向こう(西詰)に行きますと西詰に逆戻り。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
これか〜、「段の上釣り」。南土手東詰のど真ん中にミニ釣り台を置いたので、「こいつ、知らんな…」と思われたんでしょうね。ええ、知りませんでした(汗)。西詰で釣りの準備をしてからお金を払いに行ったら、スタッフのO田さんが、「(ガオさんが)南土手って珍しいですね…竿は何尺ですか?」と怪訝な眼差しを向けてきたので、16尺ですよ。(長竿枡は13尺以上の規定は)知ってます」とお答えしておきましたw。O田さんの懸念は尤もで、南土手で初めて釣りをした時は長竿枡の存���を知らず、8尺で釣りましたw。隣の人も黙ってたし、看板にも書いてないからそんなん知らんわ(汗)。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
バタバタしましたが、やっと釣りができる。久しぶりに振ります。「水連」16尺。朱竿です。これを振りたかったんですよ。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
浮子は、「舟水」の「太PC・底」の13番です。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
いつもの朝ごはん。缶コーヒーの銘柄ぐらいしか変わりませんね。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
では、打ち方始め!ちょっと遅いかな。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
南土手の西詰。13尺でボチボチ釣れるイメージだが、16尺はどうかな?
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
3投目ぐらい、カチッとした魚信じゃなくて両グルテン宙釣りみたいなムニュッて感じの魚信で乗った。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
早くもボウズ脱出〜!おや?この赤い丸は…
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
気色悪っ!ヒルでした。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
8時37分に2枚目で両目が開いた。サクッと2枚釣ったので、もっと釣れるかと思ったが…
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
11時になりました。2枚目を釣った後、延々と釣れず、午前中は2枚だけ。お隣は10枚に到達したそうです。北土手の4人も、火曜日の勢い(2人が60枚)は無かったですが、20枚ぐらい釣れてるみたい。
南土手はいつも西詰が空いてるもんな…場所が悪いと思っとこう。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
爆釣時合いではないですが、誰かが竿を曲げている感じでまあまあ釣れてます。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
さて、午前中は16尺を振ったから、午後はFC竹の内で使えない15尺3寸の「寿るすみ」です。「寿るすみ」といえば銘木握りですが、この色もたまに見ますね。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
浮子は「舟水」の「両ウドン・グルテン底 極細ソリッド」の15番です。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
よし!乗ったー!
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
一度浮かせた時にもう一方の鉤にウドンがついてるのが見えたが、沈んでから引き���重くなり、もう一度浮かせたら2枚に増えてたw。一瞬、得をした気分になりましたが、最初は1枚やったから2枚目はカウントするわけにはいきませんね…一荷じゃなく1枚とします(悲)
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
午前中釣れなかったのはまぶし粉が原因かな?午後はまぶし粉のサイズと色を変えたらボチボチ釣れました。火曜日は東中桟橋でほとんどヘラブナが釣れましたが、南土手はマブナが多かった。このマブナは尺一の手網の枠を超えていたので検寸持ち込み。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
検寸場でスタッフのO田さんが「37〜8」と計る前から言いましたが、検寸台に乗せると37.4cmでした。イエローカードをゲットw。買取50円になります。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
午前中はお隣が10枚到達って言ってたのに僕は2枚だけで悲嘆に暮れましたがw、午後は僕の方がボチボチ釣れて面目躍如でした。お隣は竿を納めるらしく「上がりベラ…」と狙っておられて、僕の方が釣れましたがスレ…アワセてからズシってくるのがワンテンポ遅かったもんなw。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
南土手はマブナが多かったのでモゾモゾした魚信が多かったが、最後にカチッと入ったのを乗せた!今度こそ!
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
「上がりベラ」ちゃんとヘラブナですw。カチッと入ったもんな。
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2025年5月 中セ池(八尾市) iPhone11
ということで、5月3日はヘラブナ13枚でした。スレ1枚。久しぶりに15尺超の竿を振ったので気持ちよかったです。風もないから真っすぐ振れるしストレスフリーw。短竿は短竿で魚信を見るのが楽しいんですけどね。
この日の釣況は、南土手の僕以外の3人は、真ん中の人が釣れてなかったみたいだが(6枚?)、右端の人は南土手でよく釣ってる人でこの日もコンスタントに釣ってはった。北土手の4人は20枚〜40枚ぐらい?東中桟橋の人も20枚〜30枚ぐらいのペースで釣ってる人が何人かいました。
今のところ耐えられるw暑さだが、中セ池は桟橋とか土手に受木がないのでパラソルを差すのが困るんですよね。酷暑に備えて、帰りは大阪屋さんに寄って、小型のパラソル(釣宝75)と釣台用パラソル接続アダプターを買いました。ミニ釣り台は軽いので大きいパラソルだとひっくり返りそうですが、小さいパラソルだと使えるかな?使えないと3000円したアダプターが無駄になってしまうw。
では、また。
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cooomingsooon · 2 months ago
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ヤナホド習作:終の羽音、昇る煙
魔女の里で烏で生きる事を選んだ者とヤーナ様の別れの話。
いつもどおり雰囲気小話全開です。 本編後、ちゃっかり二人は一緒に夜を明かす関係です。 ヤーナ様とニーナちゃんの親密会話で、カラスに変身した里の人が出てくるんですが、動物に変身して生きる里の人を看取るヤーナ様の話が降ってきたので、書きたい!となり練り練りしていたもの。
動物に変身しても人間の寿命なのかな?本来その動物の命の尺度に体のつくりなど理由は有るので、やっぱり変身したらその動物の寿命になるのかしら…とか色々考えてましたが、ふんわり書かせて頂いております。
葬儀関係は、信仰に関わるのでどうしたもんか、土葬っぽいんだけど、ニコバーの中って全員教会信仰してる訳でも���さそうだし、宗教によっては火葬は避けられてるんだけど、どうなんかねぇ~と思いながら、空に還す選択を取りました。
BGM:Last Smile / LOVE PSYCHEDELICO
↓以下 小話本編です
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どんっ
 明け方、まだ陽も地平線に覗くかどうかの時間。ヤーナの部屋の窓に何かがぶつかる音がした。一緒に寝ていたホドリックがばっと起き上がると、同じく起き上がったヤーナを庇う様に腕で制する。  二人が息をひそめてしばらく様子を伺っていると、コツ…コツ…と小さく窓を叩く音がし、音の主である小さな黒い影が窓枠越しにベッドからも確認できた。 「ん?……嗚呼、大丈夫。あたしの友人が訪ねてきたようだ」 「友人…ですか?」  ヤーナが寝間着のまま仄暗い部屋の中をコツコツと音の鳴り続ける窓へ向かうので、ホドリックも慌てて後に続く。窓の外には羽の乱れた烏が一羽、二人を見上げていた。 「烏…の様ですが…」 「そう、烏。そしてあたしの付き合いの長い友人でもある」  戸惑うホドリックをそのままに、ヤーナが窓を開けると烏に手を伸ばし羽や体をさする。まだ陽の昇っていないひんやりした風が部屋に入り込んだ。 「怪我はしてないね、よかった。坊や、そこにある布を持ってきておくれ」  言われるがままにホドリックが指示された通り布をヤーナに手渡すと、ヤーナはその布で烏を優しく包むと胸に抱え、窓を閉める。 「約束してたからね。勿論忘れてなんかいないさ。居場所、ちゃんと伝えておいて良かったよ」  ヤーナはそのまま床に座り込むと、布に包まれた烏を優しく床に下ろす。 「ヤーナ様、その烏は…」  ランプに火を灯して、肌寒いだろうと自分のシャツを持って近くに跪いたホドリックにヤーナが笑いかける。 「さっき言った通り友人さ。少し前に話したかね、人で生きる事を辞めた里の者がいるって。こいつはね、烏として生きる事を選んだ…あたしの大事な友人なんだよ」  ホドリックにシャツを肩にかけてもらいながら隣にいる烏を優しく撫でるヤーナの眼差しは柔らかいが、友人の訪問だというのにどこか悲しげだった。 「あの…」 「ごめんね、少しふたりで話したいから、坊やはベッドで待っててくれるかい?まだ支度を始めるには早い時間だろう?」 「そうですが…」  ホドリックがヤーナの近くにランプを置き、窓に視線をやる。まだ窓の外は薄ら明るくなってきたところだ。いつもならばまだ眠っている時間である。 「……そうだよ、この子がいつも話してるホドリック坊やさ。ふふ…、うん、そうだろう?いい男なのさ」  小さく烏が鳴いたのにヤーナが笑って答えるのを見てホドリックがぎょっとする。 「ごめんごめん、��かせたね。……長くはならないから、ふたりにしておくれ」
 うん、そうだね  そうかい、大変だったねぇ  こんなに頑張ったんだ、誇っても良いだろうさ  ん、そう…
 ベッドへ戻り、仰向けに横になったホドリックは視界の端で様子を伺っていた。窓の近く、隣にいる布に包まれた烏を時折撫でながら穏やかに話すヤーナの声は悲しげで、先程の眼差しの事も有り気になるものの今は待つしかない。  ランプの灯りに照らされるふたりを眺めながらほのかな睡魔に身を任せ瞼を閉じる。  しばらくするとヤーナの声が聞こえなくなり、瞼を上げ様子を伺う。しばし様子を見ていてもヤーナが身動き一つしないので、流石に心配になったホドリックがベッドから起き上がり声を掛ける。 「ヤーナ様、その方は」 「今、旅立ったよ。…里で送ってあげないと」  震える声に、ホドリックがベッドから立ち上がるとヤーナへ歩み寄り隣に座った。ヤーナが膝の上に抱きあげた���の中では烏が横たわっており、その体は動かない。その羽をヤーナが優しく撫でる。 「看取りをね、お願いされてたんだ。いくら人として生きる事を辞めて鳥として生きることを選んだとしても、自然の中でひとりで死ぬのは怖かったみたいでね。もう長くないと、少し前からお願いされていたんだ。必ず行くから、里長の所で看取って欲しいって。こんな寸前にさ、よく間に合ったもんだよ。立派に生ききったもんだ」 「(どんな間柄なのかを聞くのは野暮だな…)」  愛おしそうに目を細めるヤーナに、口から出てしまいそうになる言葉をホドリックが飲み込む。 「里で葬儀を行うのですか?」 「うん。準備して里へ行ってくるよ。数日空けるからアレインに声を掛けてからだね。特に急ぎの仕事も無かったはずだし、許可はもらえるはずだけれど…」 「私も同行してよろしいでしょうか?」 「⁉…近衛の仕事はいいのかい?」 「勿論陛下にお話しして許可を頂けたらですが…。もし許しを得られたとして同行はお邪魔でしょうか?」  烏を抱くヤーナの手にホドリックが自分の手を重ねる。 「……邪魔なんかにはならないよ。こいつには修行仲間以外、家族もいなかったし…。喜ぶと思う」  ヤーナが顔を伏せ震える声で言うとホドリックへもたれかかる。 「ホドリック」 「はい」 「ありがとう」  ホドリックが見下ろすヤーナの膝の上、烏の羽に雫が落ちるのを見て、ホドリックはヤーナの背中に腕を回しぐっと抱き寄せた。
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newpntls-island · 2 months ago
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2025 4/9
日記を続けようチャレンジ。最近アラームの音が大きすぎると思っていたら実際にめちゃくちゃ大きく設定されていた。寝ぼけながら小さくしたら小さすぎて、余計に二時間寝た。洗濯して家を出る。昨日から聴いているTV Girlの新譜が良い。音楽でまだウキウキできる。仕事を辞めるというのに今日は非常に仕事が忙しい。わたしたちはこの歳にしては色んなことを悟りすぎているし、よくやっている。残業しすぎている後輩の仕事が終わるのを待って一緒に帰った。改札の前で話した。やられたことと同じくらいしかやらなくていい。そのやり方はいつか誰かにやられてしまう、と後輩に言った。押し付けがましいかもしれなかった。降り立ったホームには誰も人がいなかった(電車が到着するホームが臨時で変わっていた)。昨日から聴いているSalamandaが良い。ただ、こんなことはやってられないという気持ちが確かにある。
2025 4/10
話にならない様なつまらない感情ばかりで圧迫される仕事の日。やはり辞めると決めてよかった。こういう時はつまらないことしか考えられなさそうなので何を考えても意味なし。早く帰りたい。今日午後からずっと雨が降っていたのか、湿度が高くて頭が痛かった。埋火、美しすぎる。昨日から広末涼子のことばかり考えている。
昨日の夜、酔っ払って丁度一年前の自分の日記を読んでいた。どうしようもなかった気持ちたちのこと、その感触をまだ同じ様に思い出せる。一年前から色んなことが進歩した。本当に良かったと思う。
2025 4/11
朝からカナダのトロントという都市で一人で暮らしている友人と久しぶりに電話をする。彼女は強い、とても真似できない、と思う。電話をしてたら料理が捗って、朝ごはんも昼ごはんも食べた。やることがなくて『ボーはおそれている』を何となく途中まで見たら普通に嫌な気分になった。夕方はいつも不安になるから苦手だ。昔からそうかも。窓を開けてレゲエを流していたら空から轟音が鳴った。雨が降る。
久しぶりに下北沢に行った。最近やけに新宿の地下通路を把握し始めていて、西武線〜小田急線を一度も地上に出ることなくたどり着くことができる。友人は二週間に一度様子が変わり続ける新宿西口に最近怒っている。SPREADでタロを見た。図らずも一番前で、無意識にやってしまうぶしつけな観客としての眼差しを対等に返され、ハッとする。わたしはここにいた。見るということは見られるということでもある。あまりmmm名義の曲も知らないのだけど、ほどけすぎて眠くなった。良かった。居酒屋に行って、西武線の改札前まで送ってもらった。���人といると、何かから引き上げられる。
2025 4/12
仕事に行ったはいいものの、全くモチベーションがないので色々なことに苛立ちを感じて動悸がする。もうこんなのは互いのため(わたしと会社)に良くないのではとか思いながら給湯室でたばこを吸う。逃げる様に三時間だけ仕事をして帰る。夕方に会社を後にする清々しさって半端じゃない。東中野で友人と待ち合わせしていた喫茶店に入ったら、隣の卓に別の友人が座っていた。変なことがよく起こる。ごはんを食べ、映画を見終わった人や森美術館帰りの人たちが集まってくる。何を話したかはよく分からない。ただみんなの顔を見れて嬉しかった。友人と歩いて互いの家の中間地点まで帰る。お互いに話すはずではなかったことを話したと思う。もう寝てしまおうかと思ったけど、お風呂を沸かして寝た。朝6時に訪問者がやって来る。
2025 4/13
雨が降っている。パスタを作って食べて、アイスを食べながらあたしンちを見る。新井薬師前まで歩き、良い居酒屋を知った。今日の雨は霧雨みたいな感じ。服が濡れた。「わたし雨が嫌い」という歌詞の曲を教えてもらう。一緒にYUKIの恋人よ(version)を歌っている目の前の人のこと、未だに全くもって何を考えているのか分からない、けどわりと長く一緒にいる。この絶妙な気持ちや不安感は全部、ここが熊本(くらい今の東京での暮らしから脈絡のない場所)だったら自動的に、力技で解決するのにと思いながら銭湯の浴槽に浸かる。最近、一日の終わりにはよく九州に帰ることを考えてしまう。
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yutakayagai · 9 months ago
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信也がマンションに戻った時には、裕美の姿がなかった。何処へ行ったのだろうと居間をチラチラと見ていると、一冊の分厚い雑誌を見つけた。その雑誌の表紙には、
『サ◯ソン』
と書かれていた。決してレディース系ではないなと思いながら頁を開くと、太った中年の男二人がベッドで舌と舌を絡ませたり、顔面に相方の愛液を浴びさせられていたりと、先刻真純と寝た時と変わらないグラビアが載っていた。雑誌があった横にはネーム原稿があり、
「◯◯ちゃん、イイ!」
「もっと突いて!」
「こ、壊れちゃうよォ〜!」
と破廉恥な体勢をした、見た目はレディース系らしい美男��描かれていた。この台詞、オレも叫んでたと信也は赤面した。
ウチら夫婦は一体、何をしてるンだか…。そう思いながら雑誌をテーブルの上に戻し、信也は寝室のベッドに倒れ込んだ。両眼を閉じると、憲一や真純が恍惚な表情をしながら、
「信ちゃん、最高!」
と接吻を求める様子が目に浮かんだ。もし異性だったらどちらか妊娠してるよなと、自分の不貞に罪責感を覚えた。でも、二人ともオレと寝たのを喜んでいるしイイやと、そのまま眠りに落ちた。
裕美は、香織を大輔を連れて浅草に来ていた。普段の飲み会も兼ねて六尺褌を締めた男衆を観察する目的もあった。三社祭も二日目だが、三日目の方が雷門通りは「お神輿広場」となるのでそちらの方が参考になるのではと大輔は言ったが、いつもお世話になっているお礼もしたいと裕美が誘ったのだ。
彼女たちは儀式を見物するとそのままホッピー通りに向かった。この時期は単独での来店は、事前に予約していたお客さんが優先となり断られることが多い。特に、翌日は殆んど座れなくなるのを裕美は知っていたので、
「今日は酒盛りよォ〜!」
と気分は上々だった。
二日目は、午前に「例大祭式典」、午後に「子之宮渡御」「町内神輿連合渡御」「巫女舞奉奏」が催される。「一ノ宮」「二ノ宮」「三ノ宮」など、浅草界隈の町内ごとに神輿をお祓いしてもらい、神社鳥居より繰り出すというものだが、一時期は「担ぎ屋」が刺青をした姿で神輿の上にまたぐ行為が警察沙汰となり、問題になったことがあった。近年はコロナ禍により中止を余儀なくされ、一時期は神輿がトラックに運ばれるということもあったが、それ以降はコロナ禍前と同様、盛大に催されている。
三人はホッピー通りをはしご酒しつつ、途中で半纏に六尺褌という、ほぼ丸刈りで眉毛が太いのが特徴の中年男が反対側の席に座っていた。相方も同じ格好で生ビールのジョッキを片手に彼と談笑していた。儀式の後だろうかと香織は思い、
「ちょっと、お兄さん! 今日はお神輿担いだの?」
と聞いた。すると、その男は外見では想像つかない満面の笑みを浮かべながら、
「いやァ〜ん、『お兄さん』だってぇ〜! うん、今『渡御』が終わって飲みに行たのォ〜! 明日早起きだけど『イイや、飲んじゃえッ!』って思って彼と来たのォ〜!」
と話し始めた。相方も、
「こんな格好だからさ、もうテンション上げ上げなの! ちょっと恥ずかしいけど、仲間も飲みに来てるのよォ〜!」
とやはり女言葉だった。裕美は躊躇なく、
「あらァ、何かラヴラヴじゃなァ〜い!?」
とあっけらかんに二人を誉め、
「あらッ、カワイイんじゃなァ〜い!?」
と香織もはしゃぎ、中年男二人はテンションが「アゲアゲ」だった。その間、大輔はちっともビールがすすまず、しばらく固まっていた。
結局、その中年男二人は今から近くのゲイバーへ行くと、身体を密着させながら人混みの中に紛れていった。本物のゲイに出逢ったと、裕美と香織はすっかりテンションが上がってしまったが、大輔はようやく我に戻り、
「やっぱり、オレには無理ッス!」
と断言した。それに対して香織は、
「大丈夫、何事においても『社会勉強』よ。まずはリアルに体験すればイイのよ〜。セッ◯スと同じ」
と若干酔いが回っているのか目が座っていた。彼は、
「オレ、未だ『チェリー』でイイです!」
と苦笑しながらビールの入ったジョッキを傾けた。
時計の針は午後四時を回っていた。信也は目を覚まし、身体をベッドから起こした。嗚呼、また休みを無駄に過ごしてしまったと後悔しつつ、未だ西陽が掃き出し窓から差し込んでいるのを確認した。これから夏至にかけては昼間の時間が長くなるので、心細くはないなと思った。
二、三日目前に六尺褌が届いたものの、未だ開封はしていなかった。信也は明日着ていく浴衣を取り出し、「たとう紙」から開けた。日本橋の老舗「T」の、藍染めに大胆な水晶の様な柄がろうけつ染めによって施されたものである。М百貨店で誂えたものだが、なかなか着れずにいた。角帯の締め方も、「貝の口」は忘れてしまった。しかし、今から練習をする気にもなれず身体も清潔でなかったので、「着物ハンガー」に掛けて翌朝に「ぶっつけ本番」で着付けをすることにした。
信也は、未だ帰って来ない裕美を気にかけつつ台所に向かい、夕食の準備を始めることにした。
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soul-eater-novel · 7 months ago
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P30 「それに、俺はネクロードには個人的恨みってヤツがあるんでね」ビクトールがぽつりと言った。それは、他の者の追求を許さぬ厳しい口調だった。 “‘Sides, I’ve got a private score to settle with Neclord,” Viktor muttered, in a tone that brooked no argument.
ティルたちの次の行動が決まった。 Their next course of action was decided.
クロン寺院への出発は明日ということになり、その夜はゾラックの家に泊めてもらった。 They would depart for Qlon temple in the morning. Zorak let them stay at his house that night.
食事を済ませ、旅に疲れた身体を休ませる。 The four travelers were able to eat a meal and rest their bodies, exhausted after their travels
ゾラックのお喋りに、ティルは少々閉口したが、彼の家に代々伝わる武器や鎧などを見せてもらうのは楽しかった。 Though he was getting a little tired of Zorak’s chatter, Tir did enjoy the tour he gave them of family heirlooms—weapons, armor, and other artifacts—passed down through the generations.
そうしているうちに夜が更ける。 The night deepened.
幼なじみに会ってきたフリックも戻り、やがて皆はベッドに潜った。 Flik came back from meeting up with old childhood friends and, at long last, everyone climbed into their beds.
温かな毛布にくるまり、窓の外に吹く風の音を聞きながらティルは思う。 Wrapped up in his warm blankets, Tir listened to the sound of the wind blowing outside the window and thought.
クロン寺院に行けば、ソウルイーターのことがわかるかもしれないー。 If I go to Qlon Temple, maybe I’ll learn something about the Soul Eater.
ティルが自分の右手に宿った紋章について、あれこれと思いを巡らしはじめた時。 He began pondering the nature of the rune on his right hand.
ミシ……。 Creak…
木の床を踏む、小さな音がした。 He heard the quiet creak of floorboards.
ティルが耳を澄ますと、足音は月明かりの差し込む窓際に寄り、そして大きなため息に変わった。 Listening closely, he heard the sound of footsteps walking over to the window, where moonlight flooded in, and then a big sigh.
窓際に立ち、夜空に昇った月を見上げていたのは、ビクトールだった。 Standing at the window, looking at the moon, which had risen high in the sky, was Viktor.
「どうしたの、ビクトール?」 “What’s the matter, Viktor?”
P31 ベッドから抜け出して、ティルも窓際に歩み寄った。 Tir got out of bed and went over to stand at the window with him.
透き通った月明かりの下てビクトールはなぜだか寂しそうな顔をしていた。 Standing in the moonlight, Viktor’s expression looked sorrowful, somehow.
「ティルこそ、どうしたんだ。眠れないのか?」 “What’s up, Tir? Can’t sleep?”
「うん、ちょっとね…」 “Yeah.”
ティルは確かに、ソウルイーターのことが気になっていた。 Of course, Tir was worrying over the Soul Eater.
しかしこの村に来て村長の家を訪ねてから、もうひとつ気になることが加わった。 But since they came to this village and met the mayor, he had gained yet another worry to add to his list.
ネクロードを詳しく知り、ネクロードのこととなると別人のようになるビクトール 。 Viktor, who knew so much about Neclord. Viktor, who turned into a completely different person when it came to the subject of Neclord.
彼の過去に、いったい何があったというのかーー。 What in the world has he been through?
「ねえ、ビクトール。どうしてそんなにネクロードのことをよく知っているんだい?」 “Hey, Viktor. How do you know so much about Neclord, anyhow?”
そう聞いたティルの目を、ビクトールは真剣な眼差しで見た。 Viktor’s gaze met his, like a knife to the stomach.
「聞きたいか?」 “You wanna know?”
「う……ん…」口ごもりながら、ティルは答えた。 “I… think so…” Tir faltered.
ビクトールの目をじっと見つめたティルはその時、彼が 今まで自分の過去について一切語っていないことを思い出した。 Staring back into Viktor’s eyes, Tir recalled that Viktor had never spoken a word about his own past.
はじめて会った時からずっと、一緒に旅をしていた時も、共に戦いのなかに身を置いていた時でも。 Not a word. Not when they first met, not during all their travels together, not even when they fought at each other’s backs.
ビクトールの目を見つめたまま、ティルが言う。「聞かせてよ、ビクトール」 “Tell me, Viktor,” Tir commanded, still looking him straight in the eye.
「そうだな……」 “All right… but you asked for it.”
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mtosak-genai · 3 months ago
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Rewind 01
 長いフライトの末、飛行機は滞りなく滑走路に着陸した。  窓の外に広がるのは、見慣れた日本の風景とは全く異なる、広大なアメリカの大地だ。
 安川康弘は、機内アナウンスに従ってシートベルトを外した。  手荷物を持ってゆっくりと立ち上がる。  今日から始まる、未知の国でのホームステイ。  期待と、ほんの少しの緊張。それらが交じり合った奇妙な高揚感が、彼の胸を満たしていた。
 近代的なデザインの空港ターミナルは、活気に満ち溢れていた。  様々な言語が飛び交い、多様な人種が行き交う。
 その喧騒の中で、安川の目を引いたのは、壁一面に掲げられた巨大なポスターだった。
 そこには、アメリカが誇るスーパーヒーローたちの雄姿が描かれていた。  鋼の肉体を持つ者、稲妻を操る者、空を飛ぶ者。  まるで神話の登場人物のような、超人的な存在たち。  その中のひとつに安川は目を向ける。
 ザ・グレイトマキシムのポスターだ。  ポスターの中のグレイトマキシムは、誇らしげに両腕を広げ、逞しい上腕二頭筋を見せつけていた。
 太陽のように明るい笑顔。  圧倒的な筋肉のボリューム。
 まさに「アメリカンヒーロー」という言葉がぴったりの、絵に描いたようなヒーロー像だと安川は思った。
 安川は足を止め、ポスターを食い入るように見つめる。  筋肉、力、男らしさが、そこには凝縮されていた。
 さらに歩を進めると、至る所に設置されたデジタルサイネージが目に入る。そこでは、ヒーローたちの活躍を伝えるニュース映像や、彼らを起用したコマーシャルが絶えず流れていた。  ビルを持ち上げる者、災害から人々を救う者、そして時には、プロテインドリンクのCMで爽やかな笑顔を見せる者。  この国では、スーパーヒーローは単なる物語の登場人物ではなく、現実に実在する存在であり、人々の日常に深く溶け込んでいるのだ。
 安川は、周囲の人々がヒーローの映像に特に驚く様子もなく、当たり前の風景として受け入れていることに気づく。  これはきっとヒーロー大国であるアメリカでは、決して珍しい光景ではないのだ。
 入国審査を終え、預けていたスーツケースを受け取る。  大きな荷物をカートに乗せ、到着ゲートへと向かう。
 ゲートを抜けると、出迎えの人々でごった返していた。  プラカードを掲げる人、抱き合って再会を喜ぶ人、様々なドラマが繰り広げられている。  その人垣の中、安川はすぐに目的の人物を見つけ出すことができた。
 思わず息を呑むほどの巨躯。  ポスターで見た印象よりも、さらに圧倒的な存在感。  ザ・グレイトマキシムこと、マックス・パワーズが、そこに立っていた。
 身長は190センチを優に超えているだろう。肩幅も広く、厚い胸板はまるで岩盤のようだ。
 マックスは、白いシンプルなTシャツを着ていた。  体にぴったりとフィットしたデザインのため、その下に隠された筋肉の輪郭がくっきりと浮かび上がっている。  特に、Tシャツの袖を力強く押し広げている上腕の太さは尋常ではない。丸太のように逞しく、血管が浮き出ているのが遠目にも分かる。
 下は、色落ちしたブルージーンズ。これもまた、彼の逞しい脚のラインを強調していた。太腿の筋肉が、デニム生地を内側からパンパンに張り詰めさせている。
 マックスの隣には、小柄で、柔らかな雰囲気の女性が寄り添うように立っていた。ブロンドの髪を綺麗にまとめ、上品なワンピースを着こなしている。おそらく、彼の妻のサラだろう
 安川は、彼らに向かって歩き出した。
「あの……マックスさん、サラさん、ですか?」
 声をかけると、マックスが鋭い視線をこちらに向けた。  その眼光の鋭さに、安川は一瞬、たじろぎそうになる。  ヒーローとしての威圧感だろうか。
 しかし、次の瞬間、マックスの表情は、太陽が雲間から顔を出すように、一気に明るく、人懐っこい笑顔へと変わった。
「おおっ! 君がヤスヒロか! ウェルカム・トゥ・ステイツ!」
 マックスは、大きな声でそう言うと、ためらうことなく安川に歩み寄り、その逞しい肉体でハグをした。香水だろうか、爽やかな香りが安川の鼻腔をくすぐる。
 安川が目を白黒させていると、マックスは、その大きな手を差し出してきた。
「俺はマックス! こっちは妻のサラだ。長旅、疲れただろう?」
 差し出された手は、まるで熊の手のように大きく、分厚かった。  指の一本一本が太く、手のひらには硬いタコができているのが見て取れる。ヒーローとしての激しい活動と、日々の鍛錬の証だろう。
「は、はじめまして、安川康弘です。よろしくお願いします」
 安川は、努めて落ち着いた声で挨拶し、差し出されたマックスの手を握った。
 握手した瞬間、その圧倒的な握力と、手のひらの熱量に驚かされる。まるで万力に挟まれたかのような感覚だ。
「まあ、マックスったら、そんなに強く握ったらヤスくんがびっくりしちゃうでしょ」  隣で見ていたサラが優しく窘めると、「おっと、すまんすまん」とマックスは頭をかいて笑った。
 マックスはすぐに力を抜き、安川の手を優しく包み込むように握り直した。その大きな手のひらが、安川の小さな手をすっぽりと完全に覆ってしまう。
「よろしくな、ヤス! これから家族だ、遠慮はいらないぞ!」  マックスは、白い歯を見せて笑う。  その笑顔には、裏表のない、純粋な善意が満ち溢れているように見えた。
「はじめまして、安川くん。サラよ。遠いところ、よく来てくれたわね。疲れたでしょう?」  彼女の笑顔は、マックスとは対照的に、穏やかで包み込むような優しさに満ちていた。
「いえ、大丈夫です。サラさん、お綺麗ですね」  安川は、少し頬を赤らめながら、お世辞を言った。
「あら、嬉しいわ。ありがとう」  サラは嬉しそうに微笑んだ。
「ハッハッハ! さすがヤス、見る目があるな! 俺の自慢の妻なんだ!」  マックスは、サラの肩を力強く抱き寄せ、誇らしげに言った。  サラは少し照れたように、「もう、あなたったら」とマックスの胸を軽く叩いた。  仲睦まじい夫婦の姿。  微笑ましい光景に、安川も自然と笑みがこぼれた。
「さあ、行こうか! 車を駐車場に停めてあるんだ」  マックスはそう言うと、くるりと踵を返そうとした。  しかし、すぐに思い出したように立ち止まり、再び安川に向き直る。その表情から、先ほどの陽気さがすっと消え、真剣な、ヒーローとしての顔つきが覗いた。
「ヤス、その前に、一つだけ言っておくことがある」  彼の声は低く、静かだが、有無を言わせぬ響きを持っていた。 「アメリカには、日本と違って、ヒーローがいる。なぜだと思う? それはつまり、ヒーローが必要だからだ。ヒーローが必要になるということは、日本とは違って、時々物騒なことも起こる。特に空港のような人が多い場所ではな。だから、絶対に俺から離れないようにするんだ。いいな?」
 その言葉と共に、彼は再び、安川の目の前に、大きな手を差し出した。今度は、握手のためではない。
「ヤス、手を出せ。しっかり繋ぐんだ。そうすれば安全だ」
 有無を言わせぬ口調。  有無を言わせぬ眼差し。  有無を言わせぬ命令。  それは、市民を守るヒーロー、ザ・グレイトマキシムの表情そのものだった。
 安川は、陽気なマックスの真剣な一面に内心、ドキドキしながら、言われるがまま、おずおずと自分の手を差し出した。  その手を、マックスは再び大きな手のひらで力強く、しかし温かく包み込んだ。  マックスの体温が、じかに伝わってくる。
「よし! これでOKだ!」  マックスは、安川の手をしっかりと握ると、すぐにいつもの陽気な表情に戻った。 「さあ、行こうぜ! 俺の自慢の『マキシムモービル』へ!」
 彼はそう言って、安川の手を引くように、大股で歩き出した。  サラが、その隣を微笑みながらついていく。
「マキシムモービル?」  安川は、聞き返した。  するとサラは噴き出して言った。 「ただのSUVよ。マックスは、少し子供っぽいところがあるのよ」 「ヒーローの愛車にはかっこいい名前がついているのは当然だろ?」
 駐車場へと向かう道すがら、マックスは、アメリカのプロスポーツの話や、最近観たアクション映画の話などを、一方的に、しかし楽しそうに語り続けた。  安川は、相槌を打ちながらも、本物のスーパーヒーローと手を繋いでいることに対して、興奮を抑えることができなかった。
 やがて、巨大なSUVの前へとたどり着く。  見るからに頑丈そうで、パワフルな車だ。
「まさに、『マキシムモービル』と呼ぶにふさわしい車だろ?」
 マックスは、にやりと笑った。  リモコンキーでドアロックを解除すると、後部座席のドアを開ける。
「さあ、ヤス、特等席だぞ!」
 三人は車の中に乗り込む。  マックスがエンジンをかけて、車が動き出すと、安川はつまらなさそうに大きなあくびをした。
「ん? どうした、ヤス。眠たいのか?」  バックミラー越しに、マックスは安川の顔を覗き込んだ。  安川は首を振る。
「うーん。なかなか悪くない出迎えでしたけど」  少し間を置いて、言葉を続ける。 「正直にいって、全然、物足りないですね」  そう言い切ると、安川は、不毛な演技を止めることに決めた。
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kaoriof · 1 year ago
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無題
丁寧に髪をとかすともう0時だった。ピピピというメロディとともにコンビニのドアは開かれて、わたしはそこで煙草を買おうかと思うけれどもやめる。憧れている女の子が新宿区の高校に通っていることを知って、落ち込んで舞い上がって、そうしてまた落ち込んだ。こんなにも近くで同じ景色を見ているのにわたしはどうしても彼女と同じ世界を生きることができない。等しい恐怖心ともどかしさを感じながら寂しさを分かち合いたかった。彼女がきれいだと思うものをわたしもきれいだと思いたいし、彼女が眠れない夜にはわたしも眠れずにいたい。となりで同じ蝉の鳴き声を聴いて、電車が過ぎ去ってゆくのをみて、風が、草はらを駆け抜けてゆくのをみた。けれどその一瞬のうちですら、たぶんわたしと彼女はきっとそれぞれ異なるひとのことを想って、それぞれ異なる色と匂いと温度と光をかんじている。満足することを知らず、いつまでも世界のありとあらゆるところまでつねに感じていたい。うしなわれた光と温度と音が知らない地でまたあたらしくうまれるところを、ずっととおい国のちいさな街で暮らす少年の報われなかった恋を、インターネットの隅で未だに煌めきを失わず残ることばの数々を、千年前に生きていた十七歳の少女が今を生きるわたしのそれと同じ眼差しで、同じ場所で、同じ海を眺めている様子をみたかった。恐竜の鱗が光にてらされてかがやいているのもみたかった。この風は、まだ人間が人間じゃなかった頃に吹いていた風かもしれない。同級生のこととかたとえば自分の数年後のこととか明日の試験のこととか考えているうちに、きっとたぶんあっとういうまにわたしは歳を重ねて死んでしまうから。あなたも。死は永遠に続く停止ではなくて、またあたらしい有限への始まりにしか過ぎないのかもしれない。昔の文章、はずかしすぎてマトモに読めなかった。一年前のわたしだったら全部削除していたかもしれない。だいたい、あなたにはなれないと分かっていながらあなたになりたいなんて思ってしまったわたしがわるかった。わたしは全然自分が思っているより幸せだし、あなただってきっとあなたが思っているより幸せなのだと思う。
Fresh Flesh
苛々してばかりいる。排気ガスを吸い込んだ朝の光。どこまでもぬるい夏の風。数値化された感性。立ち並ぶビル群。声のでかい女。ぜ〜んぶ、ほんとにぜんぶ、まるで雷光のようにわたしの心の奥の奥の奥のほうをカッと照らすので、まぶしくてひたすらに鬱陶しい。だけど舌打ちも暴力も歯軋りも性に合うはずがないので、ただ血液だけが巡るその速度を速める。あらゆる音がさっきまで飲んでいたシュワシュワサイダーの泡みたいに空気中を弾ける。ぽつ、ぽつ。びゅうびゅう。ざあざあ。びたびた。ぱらぱら。すぐそこで揺れている深緑(ふかみどり)が泣いているみたい。小鳥や野良猫は雨の日どこで雨宿りをしているんだろう。ショッキングイエローも、スモーキーピンクも、オーシャンブルーも、わたしたちはすべて黒い色の文字で表現できてしまうのに、心がぎゅうってなるあの感覚って、どんな言葉を選んでもなにかが違う。途中でこうじゃないって投げ出してしまう。どれだけ小説のページを繰っても、黒、黒、黒、そして少しの余白。けれどそこにはそこにしかない風があって、匂いがあって、音があって、熱があって。先生の合図とともに重たい教科書を開いて、ハイライターで色をつける。まだあと二十分もある、って思うとき途方も無い気持ちなる。(おねがいだから一人にしてほしい)と、一人なのに、そう思う。これからどうすればいいんだろう。どうなるんだろう。何をすればいいんだろう。何を守るべきで、何を捨てるべきなのか、わかったら、なんの迷いもなしに会いたい人たちの元へと駆けて行けるのに。夏の夜の闇に、重ねに重ねた不安を押しつぶされそうになって、怖くなって、ママが深く眠っているのを確認したあと、あたかも人が眠っているかのように部屋の布団を整えて、玄関のドアをゆっくり、すごくゆっくり開けた。ドット柄の上下パジャマのズボンと、上はダボダボのブルーのパーカー。真夜中に自転車のギアをいちばん重いのにして、全速力でペダルを漕ぐ。まだたくさんいる人々の話し声や車のエンジン音が瞬く間に遠のいていく中、車輪の回転する音だけが一定の大きさで響きわたる。往復およそ300円の通学路と、京浜東北線。光が差し込むと肌が透けてみえる白いブラウスと、微かに香る柔軟剤の香り。テスト前、教科書がパンパンに入ったリュックサックの重さと、かかとの磨り減ったローファーの鈍い光沢。小さな教室と、先生のつまらない冗談。どっと響きわたる笑い声の中に掻き消された不安定な思考。すべて、いつか、終わってしまうことがちっともさみしくないと思ってしまった。ゆるしてほしい。だって、いつだって死ぬことは生きることの一部。怖いモノなど無いと信じたいでしょ。
無題
上野で車に轢かれた鳩の死骸をみた。車窓に映る風の如く過ぎ去ってゆく光景はあらゆるモノの死の産物なのだと、いつかあなたが話していたのを思い出した。雲ひとつない晴れた日に駅の出口で名前も顔も知らない人を待ちながら、点滅する青信号に早まる人々の足取りを目で追う。断ち切れた水道管の真横でカラスがゴミを漁っていた。彼も彼女もこの街ですらいつか朽ちてゆくのに、世界はなぜこうも美しく出来すぎているのだろうかとよく考える。降ってくる雨粒の鋭さに刺され出血することもなければ、太陽の光によって皮膚が火傷することもない。風の強さで眼球が吹き飛ぶこともなければ、鳥の鳴き声で鼓膜が破れることもない。あーやってらんないなあと思いながら、チョコレートパフェを注文する。向かい席に座った顔見知りになって間もない女性が煙草を嗜む、その姿に恋心にも似たときめきを覚えた。文豪たちが綴ったうつくしい言葉が無数に散らばる図書館で、わたしと彼女は自分たちで編み出したくだらない戯れ言に花まるをつけた。いつか、という言葉が好きだ。いつか大丈夫になる。いつか幸せになる。いつか報われる。いつかわたしにも大切な人が出来る。いつか大人になる。いつか死ぬ。その果てに見える景色があらゆるモノの死の産物だとしたら、わたしは毎日それらを瞼の裏に葬り、目を閉じて祈る。人生にリタイヤもバッドエンドもエンドロールもない。
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