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「ファーストキス」

普段、恋愛映画というジャンルに触れることが少ない人間なので、例え信頼度の高いキャスト、脚本、監督が並んでいたとしても踏み込むまでに時間がかかったっていうのと、シンプルに仕事に追われて映画館に行く時間がなかったっていう2点の所為で観るのが、こんな遅くなってしまいましたが感想書きます。
-スタッフ、キャストの感想-
まずは坂元裕二さん。俺はカルテットがとんでもなく好きでして、あんまドラマを何回も観たりしないんだけど、カルテットは思い出すと観てしまうぐらいな感じで。坂元さんの書く脚本って凄く特徴的で、設定と台詞回しも坂元裕二作品でしか成り立たない物だったりするし、その作品を担える役者さんっていうのも限られてくるなと思うんですよ。だから、カルテットでいうと主要人物の4人を始め、出てくる登場人物達が作品にマッチしている事によって特殊な世界が何故か自分の近くにも存在しているように受け取る事ができる。という、難易度高めな作家さんであると同時に、その作家性が唯一無二であり、神的な作品を作り上げる要素になっている。それはファーストキスでも存分に発揮されてて、安心しました。
監督、塚原あゆ子さん。この方はもう今の日本映画界を背負って立つ監督の1人で、ジャンルも撮り方も多種多様で気付かぬ内に塚原監督が演出する作品に触れてるって感覚。ドラマと映画の本質の違いをちゃんと理解して、それぞれの旨味を作品に落とし込んでるから、どっちを観てもガッカリしないし、作家性強めな脚本を映像化する事に向いてる方。今回は冒頭で駈が事故に遭うシーンの電車が迫ってくるとこは結構スリリングだったし、カンナが転けちゃうとこの長い一本道とか、よくあんな場所見つけたなっていう今まで観た事ない画を観��てくれる信頼度は高いですね。
硯カンナ役、松たか子さん。この国に松たか子さんの事を嫌いな人なんていないだろと、松さんの演技や立ち振る舞いを目の当たりにする度に思うんだけど、今回の作品もね。言うまでもなく素敵で、可愛くて、変でした。やっぱ坂元裕二さんの脚本の解像度を上げる松たか子さんの存在の安心感って素晴らしいよね。
そして、硯駈役。松村北斗さん。この作品を観ようと思ったキッカケは彼であり、この作品のエモーショナルな部分を担っていたのも彼だと思っています。こんな大型映画では珍しく極端に登場人物が少なく、その出てくる役者さん全員が圧倒的に実力派な中で、埋もれる事なく"硯駈"として存在し、掴み所がない人物像にリアリティを持たせる可愛げと所作が観客をストーリーの中に吸い込む求心力になっていて、素晴らしかった。
-ストーリーの感想-
人生は結果ではなく、過程だ。
「終わり良ければ全てよし」って言葉があって、その心持ちというか精神性みたいな物はわかるけど、やっぱり俺は成功や幸せに向けて積み重ねる過程が大切で尊い物で、そこに成長があると思っている人間なので、この作品を観た時に最初に提示された事故で駈が亡くなるという大きな結果は変わらずとも、そこに至る過程が異なる事によってカンナの人生も駈の人生も、もしかすると駈の事を好きだった里津の人生すら変わり、悲しさは計り知れないけれど、幸福や愛情も計り知れない物になったのではないかと思うんですよ。
死んでしまうのが何で悲しいかって、シンプルに会えなくなるからじゃない?一緒にしたゲームの続きも、明日届くはずだった高いトースターも、そのトースターで焼いたパンも、3年待ちの餃子も駈と共有できなくなるから、会えなくなるから寂しくて愛おしくて苦しい。そんな当たり前だけど、気付くには時間がかかる感情を味合わせてくれて、尚且つ説教臭くない。
この物語は何度もタイムリープして、試行錯誤して未来を変える方法を模索できたけど、今の俺らにそんな技術なんてなくて、死という決定的な別れだけじゃなく、人と人が離れるという事はもう二度と会えなくなるかもしれないという事柄も背負っているという事を今一度、心に止めておく必要があるし、愛する人には遠慮なく愛を伝えるべきだし、近づけば近づく程わかり合えると思っているそれぞれの違いは努力なしに簡単にわかり合える訳じゃない。だから、共に寄り添い、言葉や体温を交わす事を辞めず、諦めずに過ごす事が必要なんだとカンナと駈の人生を通して擬似体験した事で、改めて感じる事ができたと思う。
綺麗で、可愛くて、不思議で、愛おしい。
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北斗に「崩壊前夜」をオススメされたんだけど、まだCDが届かないんで、密かにいいなと思ってた曲を。
「君がいない」
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今の時代はYouTube様様だなって思う事が多いけど、サブスク解禁されてないSixTONESの音楽を手軽に聴ける場があるってのは本当に有難いね。
俺は結構、近い距離感でSixTONESと関わらせてもらってる立場だから、世間のイメージとかあんまわかんないんだけど、きっとギラギラお兄ちゃん達って感じなのかな?ビジュアルもダンスも音楽もイケイケだもんね。
まず「君がいない」ってタイトルでこのサウンドだって誰が想像できんのよ。SixTONESの切ない系ラブソングかぁって思って再生したら、ベースが効きまくってるバンドサウンド始まっちゃって、一回動き止まったよね。やられたぁって感じ。
基本繰り返しのメロディなんだけど、音が止まる瞬間があったり緩急が上手よね。繰り返しだからと言って、歌いやすい曲かというとそうじゃないから楽しい。そして、6人の声その物が楽器みたいに多種多様だから、そこで短調にならず色が出てるのが、この曲とSixTONESの相性の良さだし凄いとこ。
さっき楽器みたいって書いた6人の声の話をすると、全体に安定感を保ちながら個性が充満していて、ジェシーは使える言語が多いって強みが日本語詩を歌ってる時も遺憾なく発揮されてて、J-POPにあんまいない歌声だよね。大我は響く声とミュージカルで培った言葉を大切に歌う手法がラップで聴けるっていうのは、聴き手側の体験として面白い。高地くんは成長の男だと思ってて、きっと歌そんな得意じゃないのかなって思う瞬間もあるんだけど、それが6人という集合体になった時に味になってるし、そのイメージで新曲聴いたらジェシーに劣らない音の取り方してて、テンション上がったよね。北斗は"がなり"が上手い。そして、低音と甘さの共存も成し得てるし基本的に低音って聴き取りづらいのに甘さでコーティングされてるから、ちゃんと入ってくるのが凄い。樹は言わずもがな生放送でもライブでもラップの安心感はピカイチなんだけど、メロディベースの歌パートでもラップで培ったリズム感を使ってラップ担当で終わってないのが良き。慎太郎はきっとミックスボイスだから、凄い心地良い温度と伸びやさでバランサーになってる感じがするね。そして、この6人の個性が一つの歌声になった時に絶妙なバランスで曲を構成しててグループの意味みたいな物を体感できるってのが凄い。
その6人の良さが更にガツンと感じられるのがFIRST TAKE ver.なんだけど、顔がいいとか、画がもつとかビジュアルの部分だけじゃない声と歌のパワーがすげぇいいのよ。
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俺的チェックポイント↓↓↓
①
right nowのほくてぃの顔よ。イケてるやん。
②

スタイルいいね。地味にSixTONESがFIRST TAKE出た時の引きの画角好きなんだよな。
③
この首でリズム取ってる感じいいんだよな。似合ってる。
④
流石アイドル。表情管理が素晴らしい。
⑤
ローテンションな樹のラップ痺れるわ。
⑥
眩しいな、おい。
⑦
このグルーヴ感、中々出せないよね。途中で喉のスイッチを変えてんのが最高。
てな感じで音源も生歌もオススメな曲です。
明日ライブだから、自分の曲の確認もしないとなのに1日中「君がいない」聴いてたわ。楽しかった。
「バリア」のCD届いたら、「GONG」の和輝remixの事も「崩壊前夜」の事も書きたいし、またSixTONESともなんかやりてぇですな。
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「タイムマシン」
深瀬さんに以前オススメしてもらってたのに、中々触れられずにいたこの曲。
深瀬さんの優しく語りかけてくるような歌声と、Saoriさんの力強さと包み込むようなピアノに心の棘が取り払われていく感覚がして、穏やかになれましたね。ピアノでいうと、間奏の一層綺麗さを増していく音色に心奪われてしまいました。
そして、色んな関係性に当てはまる事の出来そうな普遍的であるのにも関わらず、自分の中にある記憶、思い出にピタッと寄り添う特別さもある歌詞達。幸せを知ってしまったという不幸。そんな事、知らなければきっと自己中心的な人間でいられたし、苦しさを感じる事もなかっただろうけど、幸せを知ったからこそ道に咲く花を愛でる心も、自分を見つめるという行為も経験する事ができたっていう、とんでもなくデカい感情をメロディに乗せる事によって受け入れやすくなっているっていうのが凄すぎる。そして、「君に出逢わなければ、僕が僕じゃなくなる」っていうのが、この曲の大きな核の部分な気がして、家族、友人、恋人って色んな関係性がある中で、こういう出会いが1回でもできたなら、それを糧にそこからの人生を歩んでいけるんだろうなっていう人生は出会いで作られている事を実感させてくれる歌詞だなと思いました。
この曲の印象をガラッと変えてくれる要素にMVがあるんだけど。いやぁ、痺れるね。俺の中で泣けるMVって何本かあるんだけど、その中に入ってくるぐらいMVっていうよりショートフィルムだなみたいな物語性が詰まりまくってて、本当に好き。
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音源聴いた時の印象とMV観た後の印象がこんなに変わるかねっていう素晴らしさを体験できる作品で、愛とは。正義とは。優しさとは。現実とは。みたいに色々考えさせられちゃうんですよね。
俺的チェックポイント↓↓↓
①
このファーストカット良すぎでしょ。声、歌い方、演出全ていいし、MVを見終わる事によってこのシーンの意味合いが生まれてくるのも上手い。
②
深瀬慧と男の子の組み合わせ良すぎるんだよな。そして、2人とも自然体な演技が輝きまくってて、タイムマシンっていう物語の解像度がグングン上がるのよね。
③
綺麗すぎる。こういう些細なシーンの積み重ねが、後半の受け取り手の感情を揺さぶる要素になってんだよな。
④
このシーンも全部観た後にまた見返すと、泣けちゃうから。
⑤
謎に扇風機を一周すんの可愛すぎるだろ。
⑥
何回か出てくるこのジャンケン。愛おしくて、苦しい。
⑦
辛いけど、綺麗。
⑧
Kuroさんの優しい手とサクくんの泣き顔が辛くて辛くて痛い。
自分も物語性の強いMVを作る事は多々あるんだけど、一切関与してない第三者として観るこういうMVは感情の波を体感できて視聴者として幸せで充実した気持ちになれますね。
良き作品に出会えました。感謝。
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今までの俺ならきっとこの最初の投稿は自分の音楽や作品にしてたかもしれないけど、よくよく考えてみたら自分で作った作品について長々書くのは作り手として、受け取る側の感情を無視していないか?と。そこまで考えられる大人になりました。成長。そんなとこで辿り着いた楽曲は
「Week End」
星野源という人物の声はどうしようもなく俺の琴線に触れて、今まで出会った事のない感情を与えてくれるんですよ。こういう感覚、気持ちをちゃんと言語化できないまま、琴線に触れるって言葉でまとめてしまうのが、自分の未熟さを表しているようで悔しいんだけど、この人のメロディー、詩、人柄は廃れる事はなく俺の琴線にこれからも触れてくる事だろうから、慌てずその都度考えていこうと思っております。
まずこの曲がもう9年前の曲って事実が時空の歪みでも起こってんのかと思うぐらいには驚きなんだけど、さっき書いたように本当に廃れない。飽きない。俺も偶に"1000年後にも残るメロディーを"とか大袈裟な言葉で、自分の曲の行先みたいな物を伝える瞬間があるけど、源さんの曲はそういう類の物だと思うし、本人がそういう意識を持って制作してなくとも、そういう意味を持って俺らに届いている気がするんだよね。
自分の好きな曲との出会いをこと細かに覚えてるような記憶力有り余り人間じゃないので、出会いとかは本当に覚えてない。きっと街中で聴いたか、知り合いのミュージシャンにでも教えてもらったんだろう。曲との出会いはそういうのが多いから、大抵はそんなとこ。
何度この曲を聴いても、やっぱいいなと思うのがサビのメロディ。こんな軽快なのに色気も併せ持ってて、その1週間が終わった週末という心踊る時の軽やかさと、また始まる明日への疲れ、気だるさが含まれた色気を一緒に感じられて、サビである意味みたいな物が汲み取れる。
そして、歌詞。1番と2番同じようで少しずつ違う表現を使っている事によって、この曲の主人公の心の移り変わり、成長が読み取れて身体が繋がる事で満たしていた気持ちが徐々に埋まらなくなって、いっときの刺激、快楽じゃなくて言葉を交わす事で得られる持続する温かみに気づいてたり、あなたの手を取って踊る事の喜びを上回る、あなたと共に生きる喜びだったり、時間や経験を重ねなければわからない感情の変わり方を単語を変える事によって伝えてるのは楽しいし、読み解き甲斐があって良いですね。「さよなら」から始まるのも、何にさよならして何を始めるのか。色んな考え方ができて好きです。
Week Endはね、MVないけどライブ映像がYouTubeに載ってるんすよ。
とてつもなく良い。そして、みんな観て欲しい。
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俺的チェックポイント↓↓↓
①

曲の入り綺麗過ぎる。そして、2016年の映像なのに源さんが変わらなさ過ぎる。KingGnuの方が年上に見えるな、これ。
②
ライティングって曲の印象決める大切な要素だと個人的に思うんだけど、この色の広がり方はテンション上がるなぁ。
③

ダンサーさんの衣装、可愛いな。爽やかで曲に合ってる。
④
身体を交わそう源さん。モミモミ。
⑤
イケてんなぁ、キラキラしてる。
⑥
丁寧な歌い方。「を」がちゃんと「wo」って発音してんの良いし、口の形が綺麗。
⑦
このノリ方、星野源って感じ。
⑧
ダンサーさんなめの源さん。
⑨
ダンシング源。可愛い。
⑩
「一緒に歌おう!」
「もっと、もっと!」
煽り方、優しい。天国か?いや、楽しい地獄か。
ラスト
優しい煽りからのイケイケ曲締め。ありがとうございます。
他にも試聴動画も最近の源さんver.もあるんだけど、最近の源さんver.の方はすげぇ大人で"YELLOW VOYAGE"の時の煌めき源さんとの対比で、また楽しめるからオススメ。
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こんな感じで長文感想おわり。やっぱ楽しいな。本当に自己満すぎるけどね。
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長文感想大好きマンの欲求を満たす場。
あなたが作った音楽も、きみが好きと言った作品も綴らせてね。
共に更に楽しみましょう。
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