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旅
あがいて あがいて はいあがった 先 そこに望んだものは なにもない 空っぽ あるいは 焼け野原
焦げた匂いのする地面に立って なにもないと呟いた 頭上には 目も眩む星空 違うと捨て去り 必要ないと焼き払った それはいつのこと 空っぽの箱をぼんやり見つめて 飾るものなどなにもないと嘆いた
それはいつのこと 確かにあったのだ 前は持っていたのだと嘆く人がいた その声を聞く人はもうどこにもいなかった みんなみんな どこかに行ってしまった 黒く焼けた大地が聴衆だった
空が明けていく まだ どこにもたどりつけそうにない
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透明になれたら
透明になれたら どんなことをしていても なにも言われない 物言わぬガラス細工でも 結果が出なくても なにも言われない 透明になれたら どんな姿でも なにも言われない 小さくて丸いビー玉でも 実は暗い色をしていても なにも言われない 透明だったら ぼくはぼくのものだったのに 色がついたまま ぼくは 望まれた 息をする
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夏の日
空は深く 緑は色を濃く 視界は白く焼ける 空虚な箱庭 君の呼吸だけが本物で 君の熱だけが本物だった 君の瞳が 生きていると語っていた 冷たい夏の日 目覚めてしまえば 気づいてしまう 置いて帰ってきた この場所こそが本物で 肌を焦がす熱も遠くなる あの夏は引力を失って 君は独り留まり続ける 夜明けを映した瞳 その色を忘れたとき 君は ようやく 眠りにつ��のだろう
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春
桜 スミレ シロツメクサ 菜の花 たんぽぽ チューリップ 春告鳥の鳴く あたたかな日 迫っていた足音は 私のそばを通りすぎていった こちらをかえりみることなく 等しく被せられるはずだった 祝福の花冠 今は誰の頭に
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わがまま
その経験があったからこそ そう あなたは言うけれど できれば経験したくなかったと そう思うのは わがままか 言う通りにすればいいからと 差し出された手を 払った 私のことは私が決めたい そう思うのは わがままか こんな経験をするくらいなら 誰かの痛みなどわからなくてもよかった 私は誰かの身代わりではなく 「私」という人間でいたかった そんなことを言っても とぼけた顔で笑うのでしょう きっと わがままだと そう 言って
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親知らず
カプセル一粒錠剤二粒 てのひらに乗せた たった三粒 カプセル一粒錠剤二粒 小さな小さな たった三粒 これは要らないものですので これは邪魔になるものですので 取ってしまいましょう そうしましょう ぽっかり空いた 小さな穴 邪魔者がいた 小さな穴 たった三粒で 痛みもなく 埋まってしまった 穴
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テーマ詩まとめ4
過去にtiwtterで投稿したテーマ詩のまとめ4つ目です。 荷物です 乱暴に詰めこまれた 荷物です なんの役にも立たない 荷物です 重いからと捨てられた 荷物です 雨にさらされて 踏みつけられた 荷物です 何でと聞かれても 荷物だから 荷物なのです 要らない荷物なのです (「荷物」をテーマに作詩) 道しるべはなくなった 誰かの足跡はどこかに続いていたけど それは私の道ではなかった 終着点もわからなくなった 心配はいらないと 恭しく置かれた目印を 丁寧に敷かれたぴかぴかの軌道を はぎとって へし折って ぐしゃぐしゃに丸めて 捨ててしまった 私はそれがよかった 私はそうしたかった あてのない彷徨は どこまでも不確かで 確かに自由だった (「旅」をテーマに作詩) 湿気に蒸れたアスファルト ぬるい風にさらわれて香った 迫る気配に笑みがこぼれる 雨が降れば 暖かな雨が降れば 慣れないヒールの靴ずれの痛み 残業続きで鳴りやまない耳鳴り LINEのグループ通話に 邪魔になりそうで入れなかった後悔 全部 気に入らないもの全部 さっぱりと流して 足元で咲き乱れる透明な花が 私の行く末を祝福してくれる 雨が降れば 暖かな 雨が (「雨」をテーマに作詩)
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テーマ詩まとめ3
過去にtwitterで投稿したテーマ詩のまとめ3です。 伝えよと 届けよと 尖ったペン先で 真白な紙に 黒々とした跡を残していった 足跡でも爪跡でもいい ただの小さな染みでもいい 伝わってくれと 届いてくれと 紙の上に残されたのは ただ 空虚な線だった がらんどうのインク溜まりだった 呆然とする私を にじんで形の崩れたなにかが 無表情で見つめていた (「ペン」を定義して作詩) 風に乗って りん、と よく聞きなれた音がしたような そんな気がした 暖かい庭を見渡しても カーテンが柔らかく揺れる部屋を見渡しても あの黒いしなやかな身体はどこにもないのに どこにでもその気配がする あくびをしたときの 足元に頭をすりつけてきたときの あの小さな鈴の音が まだ可愛らしく鳴っている その気配がする (「鈴」を定義して作詩) 魔法のようだった たったの十二色から ふわふわの猫が現れた みずみずしい西瓜が現れた そんなことを すっかり忘れていた 少し錆の浮いたブリキ缶 薄汚れた色鉛筆 押入れから出てきたそれを 自在に扱うなめらかな手があったこと (「色鉛筆」を定義して作詩) 空が瑠璃の色に染まる頃 君はひょっこりと顔を出す 散歩の誘いだろうと 晩酌の相手だろうと 澄ました表情をしている君の その背後に隠したもの それを 時々 乱暴に 暴いてやりたくなる 裏側を知られた君は 陰に隠れてしまうだろうか 引き合っていた糸が切れたように どこか遠くへ離れてしまうだろうか わからないけど でも その時でも君は 冴え冴えとした両の瞳で 静かに僕を見つめるのだろう (「月」を定義して作詩) 裸足のまま飛び出した ベランダより 星に願いを 星に願いを 夜の原を走り去っていく 塵のひとすじに向かって 凍える声で くだらない願いを 泣き叫ぶほどの祈りを そんなことをしたって なんの慰めにもなりはしないだろうと オリオンが笑った そんな気がした (「冬」を定義して作詩) この目に映る灯は遥か遠く 荒れた海を孤独に進む小舟は 舵も マストも 羅針盤もなく 木っ端のように大きく揺さぶられ 弄ばれ そばを過ぎる豪華絢爛な船を恨めしく思えど 彼らも明日には幽霊船かもと思い直し ただただ波間にちらちらとのぞく 眩い光をにらみつける 羨んでも 変わらず 妬んでも 変わらず 嘆いても 変わらないならば 前を向け 考えろ 何ができるか 何をすべきか (「船」を定義して作詩) 完成予想図はこれです 設計図はこれです 頼みましたよ わかりました確認します 完成予想図なんだかねじれてませんか 設計図の通りだと予想図と同じ形に なりませんよ いかがいたしますか いかがいたしましょう まあ いい感じにしておいてください にっこりと真夏の海が似合いそうな笑顔 それを 幽鬼の顔でにらみつけた (「仕様書」を定義して作詩) 泥のような眠気にひきずられ 口に含んだブラックコーヒー 「おはよう」 あくびをかみ殺した声だった マグからはいつも 海の向こうの香りがしていた それはふわふわと笑う姿とは 不釣り合いなようでいて よく合っていた きりりと苦いブラックコーヒー いつまでもなれないその味に いつかの幻に ひとり顔をしかめた (「コーヒー」を定義して作詩) 摂氏マイナス二度の朝 大粒の花弁が舞っていた 童謡のように駆けまわる背中が 寒椿のように赤く色づいた指先が 静かに積もる雪の影に ひらめいて消える 骨の浮いてしまった手でストーブをつけると 元気なノックの音が聞こえた (「雪」をテーマに作詩) 語りかけるその頬に 硝子のような雫が散っていた 雨間の陽射しを受け 小さく光が乱反射する そうだった そうだったはずだ そう思うほど 景色は遠くなる 思い出すほどに 輪郭はぼやけてにじむ 白みはじめた部屋の中 あの人の泣き顔が朝日に漂白される それが私には惜しかった (「夢」をテーマに作詩)
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テーマ詩まとめ2
過去にtwitterで投稿したテーマ詩のまとめ2です。 色とりどりのガラス玉が 落ちる 落ちる 散らばる 赤 青 緑 黄 思い思いの光を投げ出して 転がる ぶつかる 懐かしい景色を映し出す その中でひときわ��く光るものを 拾いあげて 口に含む あの日と同じ 甘いソーダの味がした (「ビー玉」を自分で定義して作詩) 秒速三四〇メートルの速度で 空気を伝い さざ波を立て 私をつらぬいた 小さな 小さな その音は 耳の奥 体の奥底に 深く根を張って もうその意味もわからないというのに いつまでも 未来永劫 血とともに 私の体をめぐり続ける (「音」を自分で定義して作詩) ごろごろ ごろごろ うなり声が迫ってくる ありったけの暗いものを満載して お前が選ぶのだと たった二つの道だけを示し 薄く笑う 嫌だと叫んでも 泣き崩れても 深い谷底からでは誰にも聞こえない 飲みこんだ悲鳴のかわりに 好きにさせるものかと 線路の先をきつく見据えた (「トロッコ」を自分で定義して作詩) 散々悩んだ末に 飾り気のないまっしろな紙を選んだ 君の好きな色を知らなかった 散々調べて舟の形に折った 君が器用だったことを今知った 後悔と精一杯の強がりを乗せて 舟は川の流れに滑り出す ずいぶんと間の空いた便りに 君は笑うだろうか 怒るだろうか (「手紙」を自分で定義して作詩) ぱちんと弾けてしまいそうな感情は せめてカラフルな袋に詰め替えて 組み合わせて ねじって リボンもつけて 美しいものに 愛しいものに どれだけ醜いものだとしても きれいに仕立て直したなら 誰かの糧くらいにはなるでしょう? (「風船」を自分で定義して作詩) 鍵をかけたよ いくつも 何重にも がんじがらめにして これで誰もここに踏みこめない 君だって例外じゃない そんな顔しないでよ 君はこの扉の内側なんて知らなくていいんだ そのうちここを出てそっちに行くから 待っててよ ……何をしている? ちょっと待ってそんな無茶な 蹴破るつもり!? (「鍵」を自分で定義して作詩) 星座を作ろう 星と星を見えない線で繋いで 僕たちだけの星座 僕たちだけが知っている目印 進むべき道を見失っても 現在地点がわからなくなっても いつか戻るべき場所で 久し振りと言えるように (「星座」を自分で定義して作詩) はさみで紙を切るように 今だったものを切り離す うずたかくつもったそれは足をかため 腰をかため 胸元まで埋まり 全て切り離してしまった頃 私も窒息して止まるのだろう (「時計」を自分で定義して作詩) 花びらが ひとひら ふたひら 風に舞い 足元に落ちてきたので ひとひら ふたひら 拾い集め 瓶に詰めた 大きなもの 小さなもの 白いもの 赤いもの この花びらの主たちは この薄いひとひらに どんな言葉を乗せたのだろう (「花」を自分で定義して作詩) 冷たい空気に震えながら ひとつ 甘酸っぱい果実を取り出した 急に現れる犬の顔 もうひとつ取り出す 今度は猫だった たまらずに噴き出す マジックペンを持っていったのは これだったのか (「みかん」を自分で定義して作詩)
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テーマ詩まとめ1
過去にtwitterで投稿したテーマ詩のまとめです。 透明ではないから好きじゃない 底になにがいるかわからない そう言って困ったように笑った君を思い出す あれから何年も経ってしまったけれど 君は透明な海を見つけられたのだろうか 僕はこの暗く濁った海から離れられないまま ぼんやりと立ち尽くしている 陽が落ちる 海は燃えるように赤く 波は金剛石のように砕けて光る ああ この海を君と見つけられていたのなら 君の足音はまだ聞こえていたのだろうに (「海」を自分で定義して作詩) 昨日ひまわりの花が散った 今日は冷たい風が吹いた 蝉はその口をつぐんだ 君のいた季節は 数千年後に発見された古代生物のように 氷の中で時を止めることは叶わず 握りこんだ掌の中で溶け 指の間からしたたり落ちる (「氷」を自分で定義して作詩) きらびやかに輝く宝石ではなくても まじないの意味を持たなくてもよかった 誰になんと言われようとも 笑われようとも たとえ不格好でも 穴だらけでも 綺麗に磨かれていなくても 特別だった とても大切だった 「珍しいの見つけた。やる」 ぶっきらぼうに言った君の横顔を思い出す 掌に収まるほどの小さな石は君の心のようで 僕の中でいつまでも愛しい光を放っていた (「石」を自分で定義して作詩) その目に突きささるほどの眩しい光線は 想像もできないほどの速度で この世の全てのそばを駆けていく 長く尾をひい��� すれちがう全てを照らし出しながら それはどこに向かうのだろう 光線を投げかけた主は何を思ったのだろう 自分のそばを離れない惑星に届けたかったのか それとも 何億光年も離れたどこかに あたりを漂う思いの残滓に ただ目を細めた (「光」を自分で定義して作詩) グラスになみなみと注がれた白い液体 私の天敵 永遠に和解できない存在 チーズもヨーグルトもおいしいのに カフェオレも抹茶オレもほどよく甘いのに なぜお前だけではそんなにも生臭いのだ 苦いものを混ぜればほどよい甘さも単体では甘すぎる それなのに 妹はおいしいと言う 母は背が伸びるからと飲ませようとする (伸びないのに) 給食では毎日トレイの隅に鎮座している なぜだ なぜなんだ なるべくかかわらず平和に過ごしたいのに! (「牛乳」を定義して作詩) 犬がいっぴき 足元でころころと転がっている もふもふとした小麦色の毛並み ぴんと立った耳 たくましい四肢 種類はわからない どれほど大きく育つのだろう 今と変わらないのか それとも私のお腹のあたりまで どう育ったとしても 彼は大事な家族だ 私が愛する たったいっぴきの家族だ 名前を呼んでやると 彼はきらきらとした瞳で私を見上げる 尻尾が扇風機のように回っていたから 思わず声を上げて笑ってしまった (「犬」を自分で定義して作詩) とても大きな爆発があったという それから途方もない時間の中で 冷たく暗い世界に星ができた 銀河ができた 全てのはじまり そのはじまりは何が生んだのか 親といえるような何かがあったのか それともなにもない場所で孤独に出現したのか 未だ広がり続ける無酸素の世界で 星々の産声があがる その祝福は 永遠に等しい孤独を明るく照らすだろうか (「宇宙」を自分で定義して作詩) 思わずつかんだ冷たい手は かさかさに荒れて 爪の先は乱暴に引き裂いた紙のよう また噛んだのかと問えば 彼は無言のまま目を背ける もう戻らないとは知りながら そのざらついた爪の先を指先で撫でる これ以上すり減らないよう 目の覚めるような赤い血とともに 彼を保つ大切なものが流れ出してしまわないよう (「爪」を自分で定義して作詩) また噛んだのか 問う声に 何も言えず目を背ける 荒れてしまった手を包む彼の両手 まっしろなその手を汚してしまいそうで 傷つけてしまいそうで すぐにでも振り払わなければならない そう思うのに できなかった 凍りついた指をそっと撫でる細い指が さするてのひらが あまりにも温かくて 許されたような そんな気がして (「手」を自分で定義して作詩) まるで猫だった 真綿でくるむように 大事な宝物のように大切にしていた想い人 川が薄桃色に染まる頃 何も残さず姿を消した まるで猫だった 何巡目かの桜の季節 庭先にその少年はやってきた あの人の面影を残す幼い頬では 砕けた硝子のような雫が光る 震える唇の意味も頬を伝うものの意味も わからないまま 拭いもせず 物言わぬ彼をそっと手招いた (見た夢から作詩)
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ばらばら作詩まとめ
好きな曲から単語を3つずつ拾って作詩をしたもののまとめです。 とても美しい虹が一粒落ちてきて からころと軽やかな音を立てて私の足元に転がった 私はそれを拾いあげて 宝箱のなかに大事にしまって鍵をかけた (「虹」「音」「鍵」) 地球を飛び出して月すらも通り越して 火星木星土星天王星海王星冥王星 それらも全てもはるか遠くに 孤独にさまよう暗い宇宙は ツンとした酸味の奥にほのかに苦味を隠した レモンの甘い香とよく似ていた (「レモン」「宇宙」「苦い」) 六畳一間の狭い部屋に ライオンが一匹 仕事帰りの私を待っていた 揺れる尻尾 ふかふかの毛並みは 暖かな陽射しの匂いがした (「ライオン」「陽射し」「部屋」) 愛している 手垢にまみれた��腐なその輪郭を そっとなぞってみたらまだ生きていたので 深くて暗い、潜水調査船でさえこないような 海の奥底に沈めて ずいぶんとくたびれてしまった声で私 レクイエムを歌ったの (「海」「愛している」「レクイエム」) 真夜中の三時 私を包むやわらかな鼓動の音 知らない振りをして寝てしまおうと思ったのに 涙があふれてしまった そしてまた 空っぽの部屋で目が覚める (「夜」「鼓動」「知らない振り」) 季節外れの朝顔が咲いた 鮮やかな青の円錐形の花 君はそれを奇跡だと言う 口元をほころばせた君に頷いて 僕は未来に同じものを願った (「季節外れ」「未来」「奇跡」) 歩き続けた足は重く ちかちかと点滅を繰り返す希望は 遥か遠い 僕のそばをかすめて行ったあの鳥は 無事に楽園を見つけられたのだろうか (「鳥」「楽園」「点滅」)
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牛丼並盛りをそれはそれはあっという間に平らげたあなたは物足りない顔をしてご飯大盛りをよそいに行くわたしはこんな身近にブラックホールがあるものだなと感心してしまったおじさんの形をした距離たった10センチの小さな小さなブラックホールそれに引き寄せられて飲み込まれてしまうのも悪くはない。
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身軽になれない
邪魔になったものは さっぱりと捨ててしまおう デトックス ミニマリスト 片付け術 不要なものは処分してしまおう 穴を掘って埋めて また穴を掘って埋めて とうとう埋める場所がなくなって それでもまだ散らかったまま 途方にくれて 動けなくなった 散らばったままの 役に立たないものにも 邪魔なものにも あたたかな朝陽が 等しくあたって さらさら さらさら 囁くように 笑うように 光るものだから かさかさに乾いた私の手を そっと握って 撫でていくものだから 手放さな��ればと 思うのに 埋めなければと 思うのに 私の手は動かないまま ただ散らかった部屋を眺めている そうしているうちに 埋めたものまで 地面の中から あたたかく光りだして どうしようもなくなって デトックス ミニマリスト 片付け術 どれも向いてなかったなと ひとり 笑うことしかできなかった
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綺麗な平行線だ、と君は笑う。そこはもっと嘆くところだと怒っても笑うものだから、私まで笑ってしまった。
私たちのゆく先は綺麗な平行線を描いたまま交わらない。
たとえ何十年時間が経ったとしても、私と君が肩を並べる未来はない。
……でも、たまに遠くから眺めるくらいは、許してほしいと思う。
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手紙が届いた。
まるく、やわらかな字は、十年前に突然時間を止めたあの子のものだった。
大丈夫。
たったそれだけ書かれた手紙に、私はベランダから飛び出すことをやめた。そして、あの子に返事を書くことにした。
指先が痛むほど冷えた朝のことだった。
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「月の裏側で待ってる」
その言葉から早20年。ずいぶん経ってしまったが、彼は予想していたに違いない。こちらが地球を飛び立ち、会いに行くことなど。
それがなんだか悔しい。だから、直接会って文句を言ってやる。
宇宙服を着た不満顔を見て、彼はきっと笑うだろう。「ひさしぶり」なんて言って。
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