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4onelegy · 5 months
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かつてアルバイトをしていた旅館までの温泉通りを歩いていたら、喫茶店の跡地を見つける。現実でも喫茶店になったところ。古くて、看板もメニューも、色あせてよく見えなくなっていて、店頭にディスプレイされている食品サンプルもほこりをかぶって灰色になっていたような、そんなお店。
現実世界では確か一店舗だったはずなのに、夢の中では、スーパーから信号のあたりまで一体がそのお店になっていた。お店というか、潰れて跡地になっていた感じ。喫茶店とレストランとバーの跡地があった。朝から晩までここのもの堪能できたんだ、すごいな、なんて思いながら通り過ぎる。
喫茶店の間に、はて、こんなところにお店なんてあったかしら、みたいな場所に、パステルカラーの可愛いお店がひっそり佇んでいた。中を覗いてみる。雑貨屋さんだ。オレンジの光に包まれている。金髪の髪をタイトにまとめた、背の高い店員さんがいる。狭そうだけど、かわいいお店だ。思い切って中に入るとアクセサリーが沢山並んでいた。入口にかけてあった、すごく大きなドライフラワー(籐みたいな。花というよりは葉っぱや草に近い) それが全部髪に絡まってしまって、取るのが大変だった。お店のディスプレイを傷つけてどうしよう、と思ったが店員さんはこちらに目もくれない。そういえば、「いらっしゃいませ」の声すら聞いていない。無理やり引っ張って、髪から抜いたところ、髪の毛がごっそり束みたいになって抜けた。明らかに一度で抜けていい量じゃない。
ヘアアクセサリーがたくさんあった。オーロラみたいにキラキラした色の、蝶々形のヘアクリップが沢山あった。
2024年1月21日 午前10時
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4onelegy · 5 months
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文化祭で天音ちゃんとダンスを披露することになっていた。Perfumeのワンルーム・ディスコを、2人で。夢の中ではとても仲良しだった。昔と同じように。しかし、打ち合わせ不足でもあり、練習不足でもあり、本番ギリギリまで立ち位置はどうだっけとか、どの靴を履くんだっけ、みたいな話をしていた。そういえば、私たち練習ってしたっけ?ていうか、なんの曲を踊るんだっけ?ワンルーム・ディスコ?結局、ワンルーム・ディスコにしたんだっけか。確か、踊ったことある中から選んで決めたんだ。なんとなく振りを知ってたから、今日まであまり練習せずに、なんとなく来てしまったんだな、とこれまでのことを振り返る。
出番までまだ時間があったのでクラスメイトと話す。なのとしゅりちゃんは同じステージで出るらしい。衣装や髪型が既に完璧に決まっている。「どうしよう、本当にやばいよ」天音ちゃんが言う。昔よく聞いた、懐かしい声。「やばいよ」なんて言うわりに、この状況を楽しんでるみたいに笑っている。
場面が変わって、私は靴を探し回ってた。どの靴で踊るんだったか。とにかく、今履いているものではない、足に合うやつが見つからない……そうやって探し回ってい間になんと、ダンスのリハーサルの集合時間をすぎてしまった。急いで、会場に行ったら、担当教師に「何してたんだ、リハーサルの集合時間はとっくに過ぎてる」と叱られる。それに対して、学生らしくない態度で、というかほぼビジネスマンみたいな感じで、「この度は誠に申し訳ございませんでした」と勢いよく謝罪したら、「申し訳ございませんでしたってお前……そんな言い方しなくても……」と笑われる。
もうすぐ本番になる。まだ私たちはまだ一度も踊りを合わせていないはずだ。どうしよう、本当にステージに立てるの……?
目が覚める。
2024年1月21日
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4onelegy · 2 years
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夢の中で"安心できる関係"を手に入れていた。そばに居るだけで、何も言葉がなくても、相手が笑いかけてくれるだけで、今日も明日もこの先も、私は生きていることが許されるんだ、と思えた。
でも突然、相手が一線を越えようとしてきた時、「あ、これ以上はいけない」と思った。これ以上の関係になってしまったら、私の安全基地が壊される。そう確信した。だから、拒否した。はっきりと「嫌です」とは口に出来なかったけど、それとなく顔を背けたりして、その気は無いよとアピールした。
この夢を見て思ったこと。私が望む"安心安全"は手に入るのかな?何だかんだそうやって壊されそうになるよね。私は隣で笑えるだけで十分なのに、相手はもっともっと色んなことをしたいらしい。その気持ちが分からないでもない。相手の気持ちに応えてあげたら、私も変わることが出来るかな、と思った。でも、何もしなかった。愛されることと引き替えに自分の大事なものは差し出さなくていい。愛されるばかりで、尽くされるばかりで、私も何かお返しをしなきゃいけない、とは思ったけど、「貴方が私にしてくれたように、私も貴方を愛します」と、お返しとして自分の望んでいないことをするのは間違っていると思った。
申し訳ないけど、きっと貴方が望んでいる形の関係は結べないと思います。
切なかった。でも、雰囲気に流されず、はっきりと自分の意思を持って、身を委ねなかったこと。夢の中の出来事とはいえ、私は誇りに思う。
愛されるばかりではいけないけど、望んでないことをして相手を喜ばせようとするのは、愛していることにはならないよね。そういう偽物の愛を、本物だと勘違いする人もいるかもしれないけど、私が雰囲気に流されて嫌々やってるなら、それは全然"同意"ではないんだよな。
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4onelegy · 3 years
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凪と初対面。出会ってから三年以上経つけど、会うのは初めまして。そもそも、ここ最近は全く連絡も取ってなくて話すのも一年以上ぶりなのに、凪は昨日の続きみたいに話し出す上に、初めて顔を合わせたとは思えない話し方をするからびっくりして、でもそれがとても嬉しくて。
 
ショッピングモールの入口のすぐ横にあるベトナム料理屋でフォーを頼む。店はかなりオープンな作りになっており、道行く人たちを眺めながら食事ができる。
私が「やっと会えて嬉しい。ずっと楽しみにしてたの」と言うと、凪は 「本当?私も嬉しいよ」 と答えた。かなりサラッとした返事だけど、一応顔は笑っている。楽しい、って思ってくれてるのかな?再びこんな仲になれると思ってなかったから私はずっと浮かれてるけど、凪ってやっぱり当時よりだいぶ落ち着いたな。昔は凪が私に依存していて、「大好き、憂ちゃんがいないと生きていけない」 って縋ってきてたのに、そんなのも全部幻だったかなって錯覚するくらい今の凪は私との間に一線引いてる感じだし、にこやかに好意的に接してくれてるように見えるけど、なんとなく怖い。そもそも、あの時全てを理解して全てを手に入れたような気持ちで居たけど、凪の本音を知ったことなんて一度もないんだよな。
この状況、素直に楽しんでいいのかな。凪は私といることが嬉しいってわけじゃなく、初めて来たベトナム料理屋さんに興奮してる様子だ。すっごく楽しそうだけど、本当に楽しい?実は 「死ね」 って思われてたりして。
 そんな感じで不安になったりしながらも、それなりに楽しく過ごすことが出来た。初めて食べるフォーがどういう料理なのか、凪が丁寧に説明してくれた。
 
いつの間にか恋愛の話になっていた。と言ってもほとんど私が喋っていて、凪は自分のことを一切話さない。話してくれなくても、つい最近恋人と別れたことはSNSを見てたから知ってるけど。
話が盛り上がりすぎて、つい話声が大きくなっていた私たちは、通りすがりの男たちに声を掛けられた。
「何か可愛い声がすると思ったら。君たち二人?ここ、一緒に座っていい?」
下品な笑みを浮かべながら馴れ馴れしく話しかけてくる男たち。いつもだったら睨んで蹴散らすのに、その日の私は弱々しく凪の肩にしがみついた。肩で身を隠していると、凪が 「わぁ、憂が珍しく甘えてくれてる」 と嬉しそうな声を上げた。異常に男を警戒する私と、男に目もくれない凪。男たちは、どう頑張っても私たちの間に入ることが出来ないと察したのか、あっさりと退散した。
男たちが去ってから、つい「いくら寂しくたって、あんな風に知らない人に声をかけられても嬉しくないし困る。好きな人じゃないと意味が無い」と言ってしまう。言ってから、「まずい、こんな言い方したら、まだ凪のことを好きって勘違いされてしまうかも」 と心配になり、「違うよ。凪のことは好きだけど、もう恋愛感情はないから」 と心の中で言い訳を繰り返す。凪は相変わらず本心の見えない笑顔を浮かべている。
 
不意に凪が「好きな人ってあれ?」と指を指した。その先には、何故か昔一度だけ食事に行った男が立っている。何故このタイミングでここにいるの?と思いつつ、「あの人が好きな人なわけないでしょ。二年前に、それも一回きりしか会ったことがないし、その時だってまともに話せなくて食事も喉を通らなかったんだから。おまけに、初対面のくせに私に本を借りて返さないままだったのよ」 と捲し立てる。あんな、今の今まで存在も忘れてたような人、好きな人であるはずがない。凪は何を勘違いしているんだ。私が今好きなのは十四くんなのに。好きな人がいること、凪には絶対に言わない��ど。
私の話を聞き終わった凪は、楽しそうに 「じゃあ私が今言ってきてあげる。本返せって」 と男の方に向かおうとする。私は 「やめて!」 と、凪を止める。
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4onelegy · 3 years
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男の心理士さんの腕を引っ張って、 「最後に聞いてもらいたいことがあるの、いい?」 と言う。
冗談めかした様子で 「愛の告白だったら受け付けられないけど」 と言ってきたので、「そんなんじゃないから」とばっさり斬る。
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4onelegy · 3 years
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人に当たった後で罪滅ぼしのように死にたがったり「殺してください」と言ったりする。本当に辛い思いをしているのは相手なのに。八つ当たりをした罪悪感から謝ってしまったり、いっそ私を攻撃してくれなんて言うが、優しい相手はそんなことをしない。
クラスに馴染めない。卒業制作のためにくじでランダムに決められた相手の似顔絵とメッセージを描かされそうになっていたが、上手く描けないのでこっそり教室を出ようとする。それをクラスメイトの木内にみつかり、「帰るなら絵を提出しろ」 と画用紙を取り上げられる。本当は何も描いてないので、バレたらまずいと思い、木内の手から画用紙を引ったくって丸めてゴミ箱に捨てると、一部始終を見ていた担任教師に怒られた。
本当はこんなことしたくないのに。クラスメイトの似顔絵を描くなら、仲良しの天音のことを描きたかったのに。卒業制作どころか天音は知らぬ間に学校を退学していたらしく、もう私の味方は一人も居ないのだと静かに現実を受け入れる。
その頃の私は、誰彼構わず手当たり次第に物を投げては傷つけようとしていた。
ただ一人だけ、私から一番攻撃されていた美波くんだけが、唯一私と向き合おうとした。
私が投げたせいで美波くんの裁縫セットの針は全て折れてしまった。もうこれで何回目だろう。 「ごめんなさい、本当にごめんなさい」 と泣きながら拾う。 「どうして怒らないの」 と聞いたら、 「怒ったことあるよ。前に物凄く怒って、君のことを針で刺そうとしたでしょ」 と言われる。その時の記憶が蘇ってくる。私は色々考えた上で 「確かにその時は怖かったけど、私が受けるべき痛みはそれよりももっと辛くて苦しいことだから、いっそ刺してくれ」 と頼む。美波くんの手に針を握らせ 「早くして」 と誘導しようとする。二人とも、床にちらばった針の前で暫く泣き続ける。
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4onelegy · 3 years
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体育の授業に向かおうとする。今日は体力測定で持久走と走幅跳がある。走幅跳は得意項目だから、絶対にクラスで一番になりたい。持久走はあまり自信が無いが、クラスメイトはやる気がなく最初から手を抜く気満々の人が多いので、真面目に頑張ればそれなりにいい結果を出せるだろう。
誰よりも気合を入れて臨もうとしていたのに、授業に向かう前に体操着を自宅に忘れたことに気づく。このままでは体育の授業に出られなくなる。今日の授業を楽しみにしていたので、体力測定が後日に後回しになることは避けたかった。
幸い、体操服を貸してくれる体育教師管理の教室があるのでそこに向かう。
そこの担当の先生はとても厳しくて怖いことで有名なので、入室の時から気を抜かずにハキハキと挨拶するよう心掛けた。
「失礼します。2年2組3番 鶴見憂香です。本日体操服を忘れてしまい、1時間だけお借りできないかと思いこちらを訪ねました。何卒宜しくお願いします」
息継ぎもせずに言い切ると、怖い体育教師が「合格」とでも言うように満足気に頷いた。
「あなたが忘れ物なんて珍しいね」
機嫌がいいのか雑談を続けてくる。
「忘れ物してわざわざここに借りに来たんだから、誰よりも真面目に授業を受けなさい。体力測定は絶対に手を抜かないこと。いいね?担当の先生にあなたから目を離さないように伝えておくから」
怖い。最初から手を抜くつもりなんてなかったから別に平気だが、アイツに注目されるのは嫌だ。ていうかこの人、話が長すぎる。早くしないと怒られちゃう。
やっと解放されて急いで運動場へ向かう。とっくに予鈴が鳴ってて、既に5分以上の遅刻。まず謝って授業を受けるのを許してもらわなきゃいけない、アイツに。
「すみません、先程まで体調が悪くて授業に遅れてしまいました。調子が良くなったので、今からでも体力測定に参加させて貰えないでしょうか」
体操服を忘れて取りに行ってたことは伏せて、体調不良だと誤魔化した。どうせバレるのに何でそんな嘘ついたんだろう。体調不良だと聞くと、困ったように笑いながら
「うーん、何でお前はいつもそうなんだろうな」
と言われた。どういう意味だろう。馬鹿にしたような笑いともとれた。
「体調は良くなりました、もう大丈夫です。だから授業に……」
最後まで言いきらないうちに、「そうだな、補習が必要だな」と遮られた。
ほしゅう。とは。
「今から買い物に行くから付き合え」
は?どうやら、罰ゲーム感覚で買い物に付き合わされるらしい。
「車を出すから着いてこい」
頭が混乱している。えーと、今って授業中だったよね?何でこんなことになってるの?そもそも私一人だけ買い物に付き合わされる意味って何?買い物とかプライベートの用事だし、補習は関係ないよね。
「もう今後は夢を見ても以前ほど落ち込まない気がする」
確かに昨日はそう言ったが、何か我々の関係性が変わってきてないか?何故こんなに馴れ馴れしくされなきゃいけないんだろう。新種のセクハラのようでもあった。それでも以前は怒鳴られっぱなしで、言い返すどころかまともに会話することも出来なかったな、なんて思う。
2021年5月18日
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4onelegy · 3 years
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後にも先にもこんな機会は巡ってこない。言いたいことを言うなら今しかない、とハッキリと思った。
教師を呼び止めて、私はこう告げた。
「私死にたいんです」
それから、こう続けた。
「死のうと思っています」 と。
言ってしまった。ついに。でも後悔はない。どんな言葉が返ってきたって後悔はない。今更謝罪してほしいとも思っていない。その人の記憶の片隅に残ればいいと思っただけだ。
それでも、きっとまた理不尽に怒鳴られるんだろうな、と足元に視線を落としていると、返ってきたのは意外な言葉だった。
「そんなに辛かったのか、苦しかったのか」
泣きそうな顔をしていた。
記憶の上書きができたような感覚になった。
2021年5月17日
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4onelegy · 3 years
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4onelegy · 4 years
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多分、世間的に見たら私たちの間に起きたことは最悪だ。私自身、夢の中で「どこまでバカにされなきゃいけないの?」と苛ついていたが、どんな形であれこっちを見てくれるのが嬉しい、という気持ちもあったと思う。無意識が夢に現れたのだろう。「憎い」「嫌い」「死んで欲しい」なんて思われていても、無関心よりはずっとマシなのかもしれない。
ポストを覗くと、手紙が束になって入っていた。私に家族は多いが、それにしても普段こんなに郵便を貰うことは無い。私に手紙を送ってくれる人なんて殆ど居ないのだけど、一応確認したら一通だけあった。その封筒だけ異様に厚かった。
差出人の察しがついた。──いや、その人から手紙が送られてくるなんて有り得ないのだけど──直感で分かった。
宛名を確認する。やっぱりそうだった。
手紙を手にした時、嬉しさと悲しさが同時に身体に流れ込んでくるような、何とも形容しがたい複雑な気持ちになったのだ。予感は的中した。
それにしても、何故凪が私に手紙を?信じられない。どうやって住所を知ったの?とか、何故自分の名前だけ英語表記なの?とか、突っ込みたいことは沢山あったが、そんなことはどうだっていい。早く読みたい。この重たい封筒の中に、私への悪口雑言が詰まっていると思うと気が重いが、どうかそんな予想が裏切られて欲しい。真逆の言葉が詰まっていたらいいのに。
手を震わせながら手紙の封を切った。裏表にびっしりと書き込まれた便箋が10枚以上入っていた。絵まで描いてある。便箋を順番に並べるだけでも大変な作業であった。
とにかく良い知らせなのか悪い知らせなのかだけでも先に知りたかった。彼の気持ちの終着点も分からないまま、この大量の文字と向き合うのはしんどそうだったから。
本当の気持ちを知るのは怖いけど、覚悟はしている。まず結論に目を通して、その後答え合わせのように読み進めていけばさほど大きなショックを受けることも無いであろう。
「この手紙が届く頃には、貴方と私の繋がりは切れて居るでしょうね。まあ貴方は、私一人居なくなったところで気付かないでしょうけど。
今までこうやって離れる時は必ず話し合ってきましたね。数日やり取りが出来ないだけでも、貴方から心配のメッセージが届いた。私も送った。でもね、私は貴方とのやり取りに心の底から疲れてしまったのです。何故貴方は、私の行動の全てを把握しないと気が済まないんでしょうか。今度こそ何も言わずに消えてやろうと思いました。これは貴方への反抗心です。実際私が居なくなっても気が付かなかったでしょう?そうだよね。貴方は"自分に干渉してくれる凪"にしか興味がなかったもんね。この数ヶ月、私から話かけられなくなってどんな気分だった?」
ここで耐えられなくなって手紙を閉じた。やっぱりね。嫌われてるんだ。分かってたよ。全部過去のことだもんね。
そう自分に言い聞かせて心を落ち着かせようとしたけど、身体の震えが止まらなかった。これ以上読み進めても期待していたようなことは一切書かれていないだろう。目眩がした。
2020年10月23日 11時
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4onelegy · 4 years
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4onelegy · 4 years
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わたしも弟も会社に行きたくないのだと大泣きしている。これでもかというくらい涙を流したが結局行かねばならず、思い腰を上げて荷物を持ち外に出た。愛車の鍵を開けて乗り込もうとするとシートが酷く濡れていた。そこで初めて車の天井が大きくひび割れていることに気付く。穴から雨水が入り込んでいたのだ。「なぜ私の車が壊れているの」と問うと、「弟くんが3階から飛び降りて車の屋根に着地したから」と言われショックで声も出なくなる。
こんな状況でなぜ会社に行くんだ?と思ったが、「2人とも代車に乗せていってあげるから乗りなさい」と言われ、泣きはらした目で白いボックスカーに乗り込む。後部座席は倒されて座るところがない代わりに、肌触りの良い毛布が敷かれていてそこに寝転がりながらこれからのことを考える。
2020年3月15日 7時20分
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4onelegy · 4 years
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‪よく晴れた日の午後、一時間後にとある博物館で待ち合わせするために知らない街を歩いている。博物館のある最寄り駅で降りたはいいが、正確な場所がわかっていなかった私は、時間もあるため当たりを散策することに決めた。‬
‪大きな公園の木陰で水しぶきと人々の歓声が上がっている。噴水でもあるのだろう、と近づいてみたらそこには巨大なプールがあり、シャチとアザラシが泳いでいた。どうしてこんな街中に?と思いつつ、シャチが好きな私は喜んでそこへ向かう。‬ ‪歩いている途中で教授とすれ違った。博物館の前とはいえ、こんな知らない町で会うなんて信じられないような偶然なのだが、すっかりシャチに心が奪われており教授には話しかけずに‬公園へと向かった。
プールの周りにはまばらに人がいた。親子連れが木陰に座り込んで、気持ちよさそうに泳ぐアザラシたちやジャンプするシャチを鑑賞している。私も彼らの隣に腰をかけた。
プールを管理しているお兄さんが、「アザラシかシャチに触ってみたい人、手を挙げて」と声をかけた。私も触ってみたかったが、元気な子供たちが手を挙げているのをみて、これは子供向けのイベントだった……と自粛した。選ばれたのは小学校低学年くらいの少年だった。お兄さんに誘導され、白いアザラシのお腹を撫でさせてもらっている。少年は物足りないのか、「もっと触りたかった」と不服そうな顔をして、アザラシの腹をぺちぺちと叩いていた。交流はそんな感じで少し触らせてもらう程度で終わる予定だったのだが、お兄さんがプールにアザラシを返している時に少年が「どうしてダメなの?」と詰め寄った。「危ないから近寄らないように」とお兄さんが諭した一瞬の出来事だった。少年がプールに落ちた。
観客から悲鳴が上がる。足もつかない深いプールの中で、少年は助かりたいの一心で藻掻く。闖入者を疎ましく思ったのか、アザラシは少年を追いかけ回し、出て行けと言わんばかりに腹を突っつく。少年を救出するために、お兄さんが他の係員を呼びに行った。
2020年3月4日
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4onelegy · 5 years
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ほうき星
保科先生と2人でデパートを歩いている。どうしてこんなことになったんだっけ。
私たちは、先生の講義が終わる放課後待ち合わせて、当てもなくデパートの中を歩いた。平日だったこともあってか、私たち以外にほとんど人は居なかった。
「……あ」
紳士服売り場だったはずのフロアの端に、ひっそりと佇む小さな洋菓子店を見つけて、私は思わず足を止めた。
そこの店内は、青と黒を基調としているらしい。遠目から見てもかなり暗く、そこだけが異空間のように浮かび上がっているようで、明るい昼間のデパートには不釣り合いな店だった。私は、そんな洋菓子店に吸い寄せられるように近付いた。先生も黙ってついてきた。
近づいてみると、ただの青と黒に見えた店の内装は、宇宙をイメージして作られていることがわかった。宇宙柄の壁紙で覆われ、天井からは月や星などのオブジェが吊り下げられている。色合いはシックで全体的に落ち着いた印象だが、天井からごちゃごちゃと吊り下げられたオブジェたちは、子ども部屋のベッドメリーのようで、ミスマッチで奇妙だった。
そこは、チョコレートを専門に取り扱っているお店らしい。チョコレート一粒に至るまで"宇宙"というコンセプトを貫いているらしく、ショーケースには惑星や星座をモチーフにしたチョコレートが並んでいた。
「──神秘的ですね」
「ええ、とても」
先程まで何の変哲もない紳士服売り場にいたことを忘れてしまうくらい、非日常的な空間だった。私と先生は、それぞれ離れて歩き、しばらく店の内装に見入っていたが、同じ場所で足を止めた。そこには、太陽系の惑星をモチーフにしたチョコレートが陳列されていた。
「食べ物というより、一つの芸術作品のようですね」と保科先生が言った。
「うん……勿体なくて食べられない、って思うくらい綺麗です。プレゼントに向いてるかもしれませんね」
こんなチョコレートを貰ったら、きっと驚くし絶対に喜んでもらえるだろう。
「私、普段チョコレートは殆ど食べないんです。だから買うのは、誰かにプレゼントする時だけ」
気付いたらそんなことを口にしていた。言ってしまってから、しまった、言うんじゃなかった、と思った。だって私は、あの時先生に、
「そうなんですね。じゃあ以前頂いたものも、わざわざ──」
ほら、先生、思い出した。去年、私が先生にチョコレートをプレゼントしてしまったこと。そんな記憶、さっさと頭の中から消して欲しかったのに、先生はちゃんと覚えてるんだ。いや、墓穴を掘って思い出させる原因を作ったのは、私なのだが。
──先生にとっての特別な学生になりたかった。それだけ。そんな自分でもよくわからない感情のために、引っ込み思案な私が先生にチョコレートをプレゼントするという大胆な行動に踏切ってしまったことは、今思い出しても不思議だし、あの時の私はどうかしていたと思う。
いつものように、個人的に先生の部屋を訪ねて、講義でわからなかったことを質問した後、自然な流れでチョコレートを渡した。特別な感情ではなく、"いつもこうして時間を割いて教えて頂いている御礼です"という雰囲気を醸し出して。本当に恋愛感情ではなかった。でも、先生の記憶に残る、そんな学生になりたかった。先生は拒むことも無く、「ありがとう」と私があげたチョコレートを受け取った──
そんなことを、ぼんやりと思い出していた。今でも別に先生と付き合いたいとか、そんなことは考えていない。別にそうなっても構わないが。
結局、チョコレートは買わずに店を後にし、紳士服のお店を見て回った。
あの時の私、どこのメーカーのチョコレートを渡したんだっけ。デパートに入ってる有名店ではあったが、価格帯はそこそこな中途半端なものだった気がする。さっき見た惑星のチョコレートの値段を思い出すと、物凄く恥ずかしい。何て事をしたんだ、あの時の私は。先生が洋服を見ている間、そんなことをぐるぐる考えていた。俯いて、ただ後ろをついてまわっていた私を見て、先生は一言「もう、帰りましょうか」と言った。終わった、と思った。つまらなさそうにしてたのが伝わってしまったのかもしれない。というか、先生も私と一緒に居てもつまらないだろう。それでも、今ここで別れてしまったら、こんな風に二人で会うことなんて、この先二度とない気がする。帰りたくない、まだもう少しだけ一緒にいたい。空気を壊したのは私なのに、ずっとそんな考えが頭から離れなかった。でも、そんなことを言って引き止める権利なんて、私には無い。
「良ければ、私の家に行って、映画でも観ませんか」
先生の口から出たのは意外な一言だった。
「……え?」
「逢月さんが嫌なら、別にいいんですけど……」
先生の、家に誘われた。なんということだろう。これは夢?断る理由なんて、あるはずがない。
「……是非。行きたいです」
私に断られなかったことで、先生もほっとしたような表情を見せた。可愛い。この人、こんな顔するんだ。
「映画のお供に、あれを買って帰りましょう」
と、先生は先程の洋菓子店へと引き返した。私もあとに続いた。
2019年9月16日
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4onelegy · 5 years
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4onelegy · 5 years
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空蝉
夢の中の私は授業を受けていたが、もう半分頭に入ってない。酷い鬱状態だからだ。今すぐこの場から逃げ出したかった。不良の生徒に囲まれて、何かたくさん言われた。──決定打は覚えてないけどなんか引き金になるような事を言われて、私の何かがプツッと切れた。
私は、授業中なのもお構い無しに、教室を飛び出してダッシュで逃げた。
「あっ、おい!!」
教師の怒鳴る声が聞こえた気がする。だが、そんなものに構ってられない。早くあれを探さないと。
廊下で、唯一喋りやすい男子とすれ違った──彼の名は八尾野くんとでもしておこう──
私は八尾野くんに、開口一番に
「カッター貸して!ちょうだい!」
と叫んだ。彼は猛ダッシュでこっちに向かってきた私に酷く驚いていたし、急に妙なお願いをされ面食らっていた。
「カ、カッター?何に使うんだよ……」
怪訝な顔でそう聞かれた。まずい。何か疑われてる。そもそも今、授業中だし。なんでこんな所にいるんだ、と思われても仕方ない。──因みに八尾野くんは、体育の授業の忘れ物を取りにきてたようで、たまたま廊下にいたのだ──早く、何か言い訳を考えないと。えっと、あぁそうだ。
「ほら、私美術部でしょ、デッサン用の鉛筆削りに、カッターがいるの!壊れたから今すぐ欲しいの!早く貸して!」
自分でも訳が分からないことを言っている自覚はあったが、もうどうでもいいから早く欲しかった。
あまりの剣幕に怯えたのか、八尾野くんが
「……わ、分かったよ……」
と教室にカッターを取りに行き、おずおずと私に差し出した。私はそれを半ばしゃくるように彼の手から奪い、走り去ってトイレに駆け込んだ。
早く、早くしないと、アイツらが来る。アイツらが追ってくる。その前にこの傷を持って、私の苦しみを証明しなければいけない、と左腕をめちゃくちゃに切り刻んだ。
切っている途中で、(これは夢だ)と気付いた。だから、いくら切っても絶対に痛くない。大丈夫だ。この際だから、肉が見えるまで、血塗れになるまで切り刻んでやろう、と思った。
もう先生達が追ってきてるかなんて、どうでもよかった。私は、手首を切ることだけに集中した。現実世界の倍の力で、思いっきり手を引いた。なのに、傷は全然ついてくれなかった。うっすらと血の線が入る程度で、私が頭の中で思い描いているような、ぱっくりと皮膚が開き血塗れになる状況は、目の前には広がらない。
「なんで、どうして……」
泣きながら、持てる力全てを使って手首を切り刻んだが、血は滴り落ちるどころか、殆ど切り傷にすらならず軽口が滲んだだけだった。私の目に涙が滲んだ。
2019年8月28日 午前7時
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4onelegy · 5 years
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