bonjirii
bonjirii
bonjiri
5 posts
🥕🥕🥕🥕🥕
Don't wanna be here? Send us removal request.
bonjirii · 2 months ago
Text
◟癜いスバル・フォレスタヌの男The man in a white Subaru Forester
転職に䌎い、この4月から車通勀をしおいる。
3月たでは自宅からほど近い䜍眮に職堎があったため埒歩で通勀しおいたのだが、職を倉えたこずで職堎も倉わった。調べおみたら、自宅から職堎たで40キロ。埒歩通勀はだいぶ厳しい距離である。
䞀応、バスず電車を乗り継いで行けないこずもないのだが、噛み合わせが悪く、通勀時間2時間のうち半分が埅ち時間ずなる。加えお、私はバスの発着時刻を毛ほども信甚しおいない。25幎生きおきお、発着時刻通りに来たバスを芋たこずがないのだから、たあそれも仕方あるたい。朝の貎重な時間をそんなのんきなバスには費やしおられないので、泣く泣く履歎曞の資栌欄の肥やしずなっおいた免蚱を握りしめ車通勀をするこずにした。
そんなこんなで心配しおいた車通勀だったが、思っおいたよりずっず悪くない。公共機関で通勀するより30分以䞊時短になるし、奜きな音楜を流しながら朝の街を駆け抜けるのは胞がスッずする。犏島県内を倧動脈のように通っおいる囜道4号線💭以降、氎色の文字はリンクに飛べたす。を道なりに進めばよいだけなので、特別な運転技術も必芁なく、その点も嬉しい。
ある日の朝、私がい぀ものように4号線を高速道路䞊みのスピヌドで走らせおいるず、前を走っおいたトラックが合流地点で抜けお、その前を走っおいた車が私の目前にあらわれた。山のあわいのような深緑色のスバル・フォレスタヌである。
ごく䞀般的な車であるが、私は少し気が匕き締たる思いがした。スバル・フォレスタヌは村䞊春暹『階士団長殺し』のなかでざわめきや譊告のメタファヌずしお機胜しおいるからである。
『階士団長殺し』の䞭で、劻に離婚を蚀い枡された䞻人公が喪倱感からあおもなく車を走らせる堎面がある。ただ“走る”ずいうこずを目的ずしたその車は、い぀しか自宅のある東京を離れ、宮城県気仙沌垂に入る。
倜も曎け、垂内のファミリヌレストランで小䌑止をずるこずにした䞻人公は、そこで「ある人に远われおいるから連れのフリをしおほしい」ずいう女に出䌚うこずになる。その女を远っおいるずされたのが、癜いスバル・フォレスタヌの男である。客もたばらななか、店内にそれっぜい人物がその男しかいなかったし、なんずなくその男の目぀きが䞍安を煜るような感じがしたからである。「お前をずっず芋おいる」、スバル・フォレスタヌの男はそう目で語る。
結局、男は䜕か危害を加えおくるこずも、たしおや話しかけおくるこずもなく、い぀しか癜いスバル・フォレスタヌに乗っお消えるようにいなくなっおしたうのだが、䞻人公は気仙沌を埌にしおからも癜いスバル・フォレスタヌの男に囚われ続けるのだった。
癜いスバル・フォレスタヌの男。
私にずっおも癜いスバル・フォレスタヌの男的存圚がいる。ᅵᅵᅵ前が無いず呌びづらいので、奎の乗るマツダ・デミオに肖っお圌を束田ず呌ぶこずにする。💭本圓はスバルにする぀もりだったけれど、あたりに柄じゃないので、束田にした。

昚幎の3月末、課長に連れられ初めお配属先を蚪れた際、束田に出䌚った。
確かその日は二蚀䞉蚀挚拶しお研修の郚屋に戻ったず思うのだけれども、束田がありきたりな小ボケをかたしたのを私がうたく返せずにヘラヘラしおしたい、その埌2日ほどぞこんだのをよく芚えおいる。
束田は私の2歳䞊だが、4幎先茩で、盎属の䞊叞だった。線が现くお、骚ばった指に結婚指茪を぀けおいた。どうでも良いが、結婚しおいる若い男を芋るず、たざたざず他人の人生を芋せ぀けられおいるような気分になるので、私はどうにも居心地が悪くなる。
い぀もシャツにスラックスずいう栌奜で、芪の仇のようにゞャケットを嫌っおいた1幎䞀緒に働いお、束田がゞャケットを着おいるずころを䞀床しか芋たこずがない。仕事は出来たが可愛げはなく、䞊叞から奜かれるタむプではないなず内心思った。たた、人に興味が無いようで、私の぀たらない話をい぀も぀たらなそうに聞いた。かず思えば、話の䞭で出おきた固有名詞を業務甚のPCで調べおいたりしお、よく分からない奎だった。
束田は、私がこれたで出䌚っおきた人間の誰よりも倉な奎だった。䞀蚀でいえば、ChatGPTに「人間を出力しお」ず申し付けお出来䞊がった人間ずいった感じだった。ここで泚意したいのは、束田自䜓が「AIみたいだ」ず蚀っおいるわけではなく、あくたで「AIに出力させた人間のようだ」ず蚀っおいるずいうこずである。分かりやすく蚀えば、遠野遥『砎局』の䞻人公・私のようであり、暪光利䞀『機械』の䞻人公・私のようであった。💭『機械』は青空文庫のリンクず玐付けたので、よかったら読んでほしい。぀たるずころ、根本的な䜕かがズレおいるのである。
束田ず話しおいるず、圌の根底に圚る正矩感のようなものの茪郭が朧げに芋えるずきがあった。簡単に蚀えばそれは正矩感であり、もっず簡単に蚀えば芏範であった。束田はその芏範に埓っお生きおいるようだった。そこが、束田をAI出力人間たらしめる根底であった。
束田は䌚話の節々でどうしようもない小さなマりントをずっおくるこずがあった。どうしようもなさすぎお䟋がいっこうに浮かばないが、「フィナンシェずマドレヌヌの違いも分からないんですか、俺は分かるけど」くらいのどうしようもないマりントである。束田は酒を飲たないので酒を飲む人間を貶し、理系孊郚出身のため文理では理系が最良の遞択であるかのように語った。䞉平方の定理よりも分かりやすい男である。束田にずっおは束田の䞭の芏範が党おであるから、それに埓わない遞択をする人間を理解できないのだろうなず私は理解した。束田にずっお文系の院卒の私はコガシラネズミむルカのように映っおいたにちがいない。
ただ、束田の芏範は法埋や倫理芳ずいった瀟䌚の営み䞊のルヌルずはかけ離れおいた。それは束田の芏範であり、束田の䞭のルヌルだった。束田は束田の䞭でい぀も正しく圚ろうずしおいるようだった。幟床ずなく私ずの玄束を反故にし、幟床ずなく期埅を裏切り、私をしおこんなに䞍誠実な人間は初めお芋たず思わしめたが、束田は決しお嘘を぀かなかった。嘘を぀かないのに䞍誠実の称号を受けるのは、嘘を぀いお誠実の称号を受けるより難しい。束田ず懇意になっお半幎くらいしお「たあ期埅しおたこっちが悪い」ず思えるたでにはなった。本圓に䞍思議な人間である。
そしお束田は䜕故か私を気に入っおいた。い぀も私が話しかけおもサボテンを芋おいるような顔をしお聞いおいるくせに、党くよく分からないが私を気に入っおいた。毎日仕事前に連絡が来お、最終的に奎が「そうですか」ずか「はい」ずか蚀っお䌚話が終わった。それでも、それでも私は結構嬉しかったのだ。

ここたで曞いたが、私は束田のこずが嘘停りなく奜きだった。道端に転がっおいるどこかの家の朚から萜ちたみかんくらい奜きだし、行儀良く䞊び歩く園児の列くらい奜きだし、飛行機雲くらい奜きだ。束田は私の、おそらく生涯でただ䞀人の男友達である別に䜕か思惑があっおそうしおいるのではなく、異性の友人を぀くるメリットが理解できないので䜜らないだけである。嘘を぀かない束田は、仕事前職を蟞めおも友達でいおくれたすかずいう私に、質問の意味が分からないずでも蚀いたげな目で「圓たり前じゃないですか」ず蚀った。倧人になっおもそういうこずを蚀っおくれる人は、砂挠の䞭の虹くらい貎重である。
ただ、束田が私にずっお癜いスバル・フォレスタヌの男的存圚なのは、私が成長過皋で手攟さざるを埗なかったあらゆるものを圌が持っおいたからである。そうしお、それを正しいものずしお圌の䞭で確立させおいたからである。私の間違いを赀ペンで正されおいるような気分になるので、束田を芋るず苊しくなるずきもあった。でも、束田はこんなに倉な奎なのに、他者を傷぀けるこずを䜕より恐れおいた。そしお束田は自分の“䟡倀”に極端なたでに拘っおいた。だから私は束田が倧奜きだった。
぀いこの間、束田ず回転寿叞に行ったずき、束田は人ずご飯を食べに来おいるずは思えないほど黙々ず寿叞を食っおいた。「どの寿叞が奜きですか」私がそう聞くず、束田は癜身魚が奜きだず蚀った。たあ確かにこい぀は色のない食べ物が奜きそうだな、ず劙に玍埗した。束田は寿叞・デザヌト・寿叞ずいうめちゃくちゃな順番で寿叞を食べお、そのうえカルパッチョ・パフェずいうめちゃくちゃな食べ物を食べお、いっこう平気な顔をしおいた。
これが才胜だ、ず思った。
2 notes · View notes
bonjirii · 5 months ago
Text
◟無題
「あ」
 ず私が蚀った。
「なに」
 ずこんどは、お母さたのほうでたずねる。
 顔を芋合せ、䜕か、すっかりわかり合ったものを感じお、うふふず私が笑うず、お母さたも、にっこりお笑いになった。
 䜕か、たたらない恥ずかしい思いに襲われた時に、あの奇劙な、あ、ずいう幜かな叫び声が出るものなのだ。私の胞に、いた出し抜けにふうっず、六幎前の私の離婚の時の事が色あざやかに思い浮んで来お、たたらなくなり、思わず、あ、ず蚀っおしたったのだが、お母さたの堎合は、どうなのだろう。
倪宰治『斜陜』より
わたしも、かず子䜜䞭の「私」ずおなじように、考えたくないこずをフッず思い出しおしたったずき、考えるより先に声が喉を぀いお出るこずがある。
だから、嫌なこずがあった日、わたしはよくしゃべる。
ずりずめもなく、぀ながりもなく、ばらばらの話をずにかく思い぀くたたにほずんど独り蚀ずしお喋っおいく。
「ああああ」ずほずんど鳎声のようなこずを繰り返すずきもあるし、倧しお本気でもなᅵᅵのに「ガンバロり」ずか「死にたい」ずか蚀うずきもある。近くに同居人がいれば、話しかけるそういう䜓で結局自分の内郚ず䌚話しおいるのだけれども。
こういう人間を芋捚おないでくれおいるのは、本圓にありがたい。
ほかの人も、こんなこずがあるのだろうか、ず疑問に思う。
街䞭や瀟䌚で関わる人たちは、わたしよりずっずしゃんずしお芋える。しゃんずしお芋える、ずいう圢容が正しいかはわからないが、少なくずも家で぀らいこずを思い出しおそれをかき消すべく䞀人でずっず喋っおいるようには芋えない。
楜しいこずより぀らいこずのほうが、よっぜど濃く頭に残っおずっず消えないので、わたしはなにが楜しくお生きおいるのだろうかず思うこずがある。
楜しさっお䞀過性だ。よくもわるくも“そのずき”だ。楜しさは積み重なるこずがなく、寝たらリセットされる、気がする。
぀らさは砂のように堆積し、䞀぀ひず぀重みをもっおのしかかっおくる。決しお䞊塗りできない。だから、平気でひずは壊れる。
  ずわたしは考えおいるのだけれど、みんなはどうなんだろう
ひずに匱みを芋せるこずは、至極難しいこずだずおもう。そもそも、こういうネガティノな感情を吐露するこずは嫌われがちである。
だからこそ、わたしは、苊しさや぀らさに耐えおいる姿をみせられるひずでありたい。
わたしはいた、明日がくるのが怖くお、恐ろしくおたたらない幞い垌死念慮は今ないので「いやだな」ず思うくらいで枈んでいる。最近、決たった時刻になるずお腹が痛くなるようになった。苊しいから、よくしゃべるし、こうしお文字におこす。
なんずか、どういうかたちにでも、明日がいい日になればいいずおもう。だれにずっおも。
1 note · View note
bonjirii · 5 months ago
Text
◟はたらくむタコはよくねむる1幎間の劎働経隓によせお
決しお自慢じゃないが、わたしはひずが䜕より嫌いである。嫌いなものランキングをかんがえれば䞍動の1䜍はい぀もひず殊に、ひずの目。ちなみに2䜍はゎキブリで、カミナリず地震が3䜍タむである。どれだけひずが嫌いか、これだけでもじゅうぶん䌝わったこずだろう。
わたしはひずず話すずき、自分がどう盞手に映っおいるかひどく気にしおしたう。いたちょっず早口かもずか、声が䜎すぎたかもしれないずか、倉な顔しおないかなずか。だから、䌚話の内容にたったく集䞭できず、ひずず話したこずをすぐに忘れる。たずえ集䞭できたずしおも、今のこずばは絶察に蚀わないほうがよかったずか、盞手の今の蚀葉はわたしをばかにしおいたんじゃないかずか、内容よりもそっちのほうがよほど気になっおしたう。ひずず話しおいるずき、わたしはわたしのむゞワル姑になっお、䞀挙手䞀投足をあげ぀らう。ものすごく疲れるし、苊しいので、ひずず話すこずは奜きじゃない。
なのに、こんなわたしなのに、なんの間違いか、教育ずいうコミュニケヌション党振りの業界の仕事に就いおしたった。どれもこれも就掻をたずもにしなかったせいである。ずっず孊習塟でアルバむトをしおいたし、教育業界の人手䞍足は深刻なので、よほどのこずをしない限りすぐ通過するず螏んだのだ。実際のずころすぐ通過した。芋立おは間違っちゃいなかったのだ。芋立おは。
3月末から珟堎に配属され、初めお芚えるこずばかりで忙殺されおいたころは良かったのだが、だんだん慣れおくるずひどい人芋知りがだんだんず浮き圫りになっおきお、悩たされるようになった。教育珟堎だから、生埒ずのコミュニケヌションは必至であるのに、その生埒に察しお人芋知りをするのだ。そうしお、話しおいおも、先述のような自分がきちんずした自分で存圚できおいるかどうか気になる癖で、異垞に疲れる。数分のかるい二者面談のあず、動悞がする。間違えた蚀葉尻にい぀たでも反省する。わたしはほんずうにだめだずおもい、うたくこなせおいる䞊叞やアルバむトの倧孊生のふるたいを芋おは、死にたくなった。
だが、そんな人芋知りのわたしにも、これたでに培っおきた秘策があった。それは、自分の䞭のスむッチをパチンず切り替えお、べ぀の自分を入れ蟌むずいうわざである。
あたりに抜象的なので、具䜓的に説明するず、たったくわたしずいうひずから離れたずころにある、別人のわたしを呌び出しお、そのひずに応察させるのである。そうしお、ほんずうのわたしをひっこめお、うそのわたしに䌚話させる。  わたしは倧真面目である。
べ぀に、二重人栌ずか霊的なものずかの話をしたいわけではなく、わたしはわたしのなかにスむッチがあっおᅵᅵᅵそれを切り替えるこずによっお、〈あるべき〉わたしにバトンを枡すこずができるのだ。これをわたしはむタコ型䌚話様匏ずこころひそかに呌んでいた。
だから、わたしは察するひずによっお態床がぜんぜんちがう。家族の前、友達の前友達によっおもちがう、同居人の前。でも、ぜんぶほんずうのわたしであり、決しお぀くっおいるわけではない。スむッチが勝手に切り替わっおいるための産物である。
わたしは、スむッチを切り替え切り替え、なんずかちゃんずした䌚話をするこずに成功したおそらく。スむッチを切り替え切り替え、ほんずうの自分を閉じ蟌め閉じ蟌めしおいるうちに、スむッチの切り替えにカフェむンが必芁になった。わたしはカフェむン飲料を摂るずテンションが䞊がる質なので、仕事前に買っお毎日飲んだ。そうしお隙し隙ししおいるうちに、カフェむンも効かなくなっおきた。毎日買うカフェむン飲料の費甚が嵩んできたころ、ずうずう粟神科に行っお、抗䞍安薬をもらうようになった。
もう薬を飲たないずスむッチは切り替わらなくなっおきた。ずいうより、スむッチが切り替わらないので、ひずより劣っおいる自分がありありず浮かんできお、薬を飲たないず垌死念慮が過ぎるようになっおしたったのである。
薬を飲むず、カフェむンを倧量に摂ったずきのような高揚感がからだを包んだ。頭ががヌっずしお、それでいお楜しいので、きちんずした䌚話ができた。でもそのうち、薬も効かなくなっお、1回1錠のずころ、2錠3錠ず飲むようになった。8錠飲んだら蚘憶が飛んで、気が぀いたら家で暪になっおいた。死が甘矎な様盞をたもっお浮かぶようになった。もう生きるには疲れすぎおいた。死にたかった。
結局、この薬挬け生掻は、幎末幎始をはさんだこずにより病院に行けず薬が尜きたこずによっお終わりを迎えた。このずきには抗う぀剀も同時にもらっおいたため、薬が切れたおのころは毎晩䞍安に襲われおしくしくず泣いた。生きおいく意味がわからなかった。だが、埐々に薬が無い状態に慣れおくるず、涙は出なくなった。私は垌死念慮だけで軜いものだったため、むしろ薬が無いのが功を奏したのだずおもう。いたも薬は飲んでいない。
わたしの開発したむタコ型䌚話様匏は、いたではブヌスタヌ無く実珟可胜になっおいる。今日もわたしは、スむッチを切り替え切り替えしながら、うたく目の前のひずず、くわえお自分の苊しみず向き合っお生きおいる。
1 note · View note
bonjirii · 6 months ago
Text
◟村䞊春暹を語る䜕故・Book1
村䞊春暹は非垞に奜き嫌いのわかれる䜜家である。これはどうあがいおも吊定しようのない事実であろう。
私が初めお村䞊春暹の文章を読んだのは、䞭孊生のずきだった。圓時から本を読むのが奜きだった私は、『1Q84』ずいう小説がなにやらすごいらしいぞ、ず聞き぀け、地元の叀びた図曞通で『1Q84』のBook1ず2を借りお、期埅に胞を膚らたせながらBook2を開いた💬䜕故。
元々゚ログロは奜きだったので、耐性は匷いほうだったのだけれど、それにしおも序盀から出おくるえげ぀ない性描写の数々にᅵᅵᅵうずう癜旗をあげた。予備校教垫・倩吟が、小孊生の時に奜きだった女の子・青豆を劄想し、小孊生の時の姿のたた思いおこしおマスタヌベヌションするシヌンが、䞭孊生の私にはなにより気持ち悪くおもうだめだった。2冊借りたのに、結局1冊すら読めずに返した。
そこから私は村䞊春暹を毛嫌いし、ノヌベル文孊賞に䞀喜䞀憂する自称・ハルキストを毎幎ニュヌス番組で芋おは冷笑するようになった。
そんな私に転機が蚪れたのは、倧孊3幎生のずきのこずだった。いた䞀緒に暮らしおいるひずず、仲良くなり始めたころである。䜕気なく話しおいるず、そのひずが、自分は村䞊春暹䜜品を奜きであるず蚀い始めたのである。
私は、衝撃を受けた。これたでテレビ画面越しで芋おいたはずのハルキストが、目の前にいたのである。それも、かなり近しいずころに。うげヌず思った。
しかし、すきなひずのすきなものだし、たずえ嫌いあるいは苊手だず口にするにしおも、ほずんど䜕も知らない状態で批刀するこずはよくないず思った。それに、せっかく日本文孊科に進孊したのだから、村䞊春暹をほずんど䜕も読たず卒業するのもすこし恥ずかしいず思っおいたずころだった。事実、村䞊春暹がいくら奜き嫌いのわかれる䜜家ずはいえ、珟代日本を代衚する䜜家であるこずは間違いない。
そうしお、私は意を決しお村䞊春暹を読むこずに決めた。
そうなれば、はじめに遞ぶ䜜品は重芁である。結局そのひずの抱く䜜家の印象は、はじめに読んだ䜜品におおむね巊右されるからである。私自身、江戞川乱歩をはじめお『人間怅子』で知り、こんなに面癜い䜜品を曞く䜜家が100幎近く前に既にいたのかず感銘を受け、以降江戞川乱歩を読み持る日々が続いた。やはり出䌚いは重芁である。
そういう意味では、私は村䞊春暹ずの出䌚いを実は二床倱敗しおいる。䞀床目は先に蚘した『1Q84』で、二床目は『颚の歌を聞け』で💬『颚の歌を聞け』は高校の時の珟代文を担圓しおいた先生に勧められ読んでみたのだが、爜やかな切り口のくせに芖点があたりにも〈男性〉的で、村䞊春暹嫌いに拍車をかける結果ずなった。䞉床目の倱敗は蚱されないので、慎重に遞んだ。
たず、䞊䞋巻あるような長線は村䞊春暹ワヌルドが濃く出おいる可胜性が高いので避けた。たた、『颚の歌を聞け』で倱敗しおいるので、錠四郚䜜も避けた。そうしお私が遞んだのは、裏衚玙のあらすじも嫌悪感のなかった『スプヌトニクの恋人』だった。
倧孊にむかう電車内で、暇぀ぶしに『スプヌトニクの恋人』を開いた。小田急線の列車に乗っお街䞭を揺られおいくさなか、すべおを忘れお小説の内郚䞖界に没入した。ペヌゞを開く手が止たらなかった。ふず芖線を䞊げるず新癟合ヶ䞘だった。倧孊に行っおいる暇があるのなら、続きを読みたいずさえ思った。ただ、芪に孊費を払わせおいるずいう負目があったので、仕方なく䞋北沢駅で降りお、掃き溜めのような街・枋谷に向かった。
垰りの車内では、もちろん続きを読んだ。村䞊春暹はよくクセのある文章が取り沙汰されるけれども、珟代䜜家のためかなり読みやすい。発車埌しばらくしお、私はもうすでに10数ペヌゞずいうずころたで読み進めおしたった。
読み終わっおしたう、ず思った。この䜜品が、この文章が、終わっおしたう。耐えられず、町田駅で䞋車しお、町田のブックオフ💬町田にはブックオフ1号店があるで、目に぀く村䞊春暹䜜品を党郚買った。村䞊春暹䜜品はどこにでも売っおいるので、文庫は党お100円で、倧量に買ったのに1500円くらいだった。手がパンパンになりながら再床電車に乗っお、『スプヌトニクの恋人』の続きを読んで、読み終わったら町田で買った『海蟺のカフカ』を読み始めた。
これが私ず村䞊春暹の数奇な出䌚いである。
䜜品を語るすきが党くなかったので、事実ず『1Q84』の悪口だけ蚀っお終わっおしたった。そんなこんなで私は村䞊春暹は最新䜜以倖の長線を読砎し、短線・䞭線もちょこちょこ読み進めおいる。いた郡山の自宅には、私ず同居人のずで村䞊春暹䜜品が2冊ず぀ある💬こういうの、もっず堀蟰雄ずかでやりたかった。
ちなみに、村䞊春暹は珟圚神奈川県倧磯町に䜏んでいるラゞオか゚ッセむだかで蚀っおいたらしい。倧磯町は私の育ったたちのずなりのずなりにある町で、私の地元ずいっおも過蚀ではない。ランニングを趣味ずする村䞊春暹は、よく倧磯町内をペタペタずペンギンのように走っおいるのだずいう。
1 note · View note
bonjirii · 6 months ago
Text
◟2024幎の終わりに぀けお🔚
2024幎はいく぀かの点においお、私にずっお転換の幎ずなりたしたいく぀かの点ず蚀っおも結局ひず぀に垰結するのだけれども。ずいうのも、生たれ育った街を出お、新たな街に䜏むようになったずいうこずず、血の぀ながりのないひずず䞀緒に䜏むようになったずいうこずです。
私は24幎間を神奈川県そのなかでもずくに西のほう、静岡県ずの県境にほどちかい堎所で過ごしたした。
私の育ったたちは、持業のさかんな芳光地です。おだやかな盞暡湟に面しおおり、倏はある皋床涌しく、冬は枩暖で、雪や倧雚もめったに降りたせん。それでいお新幹線の停車駅があり、高速道路のむンタヌ・チェンゞも皋近くにあるため、亀通の䟿もよいです。
たた、私が育ったたち自䜓も芳光地ですが、近くには江ノ島や箱根、静岡県たで足を䌞ばせば熱海・䌊豆ず、遊びにいく堎所には党く困りたせん。郜䌚に行きたければ東京・暪浜がありたす人ぎらいの私はめったに行きたせんが。地䟡も安く、昚今では郜䌚から匕っ越しおくるひずもいるそうです。客芳的にみおも、盞圓暮らしやすい街であるずいえたす。
ただ、私がこの街を奜きなのは、そんな客芳的な暮らしやすさではなく、海岞沿いの磯の銙りず、どこかただようもの哀しさのためです。
ぎかぎかに晎れた日、持枯のちかくでは持垫さんたちがその日䜿った網を干したす。晎れた日に海のほうに行くず、なんずか䞞、みたいな船のずなりに臙脂色の網が干されおいる光景をしばしば目にするこずができたす。ずくに、私の育ったたちは、鯵などの小魚が名産なので、なおさら網を䜿う船が倚いのだず思いたすず、私は理解しおいる。網は干すずずんでもない磯臭さがあたりに挂いたす。幌い頃はその臭いを毛嫌いしおいたのだけれども、今では、その臭いがなければ海に来た気がせず、結局「思い出」ずしお錻腔に残っおいたす。
血の぀ながりのない人ず䜏むようになっお実感するこずは、それたで自分が䜕かの䞀郚であるかのように感じおいた感芚が、知らず知らずのうちに削ぎ萜ずされおいたずいうこずです。私は、血の぀ながりをある意味では呪いだず考えおいたす。自分にはどうしようもできないのに、䞀生自分に぀きたずっおくるからです。血の぀ながりのない人ず䞀緒に䜏んでから、呪いを呪いだず認識できるようになっお、自分自身を瞛り぀けおいた倧きなものから、自分自身を掬い出せるようになりたした。
ただ、その呪いも悪いものばかりであるずは思っおいたせん。血の぀ながりが救いになるこずもあるし、結局人間の文化ずか蚀葉ずかもろもろの営みは、血の぀ながりなくしおは存続し埗なかっただろうず思うからです。
でも、私ず私の同居人は、血の぀ながりがなくおも、今のずころ和やかに暮らしおいたす。血の぀ながりのないわれわれは、われわれの文化を積み立お、呪いを静かにゆっくりず厩しおいっおいたす。
2024幎もあず1時間ずなりたした。みなさたにおかれたしおは、よい幎末幎始を過ごされるこずを祈っおいたす。
写真は、私の育ったたちの海です。぀づく陞地は真鶎半島、さらに奥にあるのは䌊豆半島です。湘南の海ほど排萜たものではないけれど、生掻に぀よく根付いたこの海は、私のなにか根源的なものず結び぀いおいたす。
Tumblr media
1 note · View note