Tumgik
boukansha · 2 years
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The Burnt City #1-4
Punchdrunkからロンドンでの新作公演のお知らせがあったのが2021年の9月。あっという間の一年だった。先日ついにThe Burnt Cityを観に行った。というより、たどり着いたというのが正しい。長い道のりだったな。
個人的にはロンドンは6年ぶり。海外は上海のSleep No Moreを見るために2019年11月に渡航したのが最後なので、およそ3年ぶり。渡航前は緊張でよく眠れなかったり体調がすぐれなかったりで相当緊張したけど、無事行って帰ってこれた。よかった。
4回ほど観たのでその簡単な振り返りを下記に。ネタバレ。
全体としての感想
楽しかった。とても楽しかった。もう一度と言わずもう二十回くらいは観たい。
楽しかったのには理由があって、久々のPunchdrunkのイマーシブ作品観劇だったからと、これまでの観劇を通して知り好きになった役者やダンサーにまた会うことができたから、というのがかなり大きい。さらに海外という未知の環境であることが興奮にバフをかけている。
また観たいと思っているのは、回を重ねるごとに色々と疑問が紐解けてくるし(私はそういう見方が楽しいと思っているし)、まだ追えていないキャラクターを追いたかったり、もう一度観たいシーンがあるから。
だから作品自体を気に入ったかというと、自分自身ではよくわかっていない。現時点では。
もちろんあの空間と時間は最高だった。間近で見るパフォーマンスはどれもこれもよかった。セットや小道具、匂いとか手触りとか足の裏の感覚とかを忘れたくなくて、ひとつでも覚えていたくて、帰国した今もBGMのプレイリストを作って聴いている。自分でもだいぶハマっているかのように思う。
いっぽうで、Sleep No Moreを初めて観た時、迷い込んで心細かったり、マジで死ぬんじゃないかって思ったり、自分がほんとうに物語の一員になったかのような強烈な没入感、境界線がなくなるようなあの不思議な感覚は、今回は残念ながら味わうことはできていない。今回の観劇においては、演者がいて、観ている自分がいた。プロセニアムアーチは存在しないけど、ステージがあって、客席が確かにあった。ストーリーに過度にのめり込むでもなくどこか冷静に「はーん、そういうことね」と腕組みしていた。
プレイリストを作ってまで聴いているのは夢から覚めたくないだけであって、現実から逃げるために使っているだけなのかもなとも思う。また、のめり込めていないこと自体が悪だとは思わない。もちろんイマーシブ童貞を捨てた時の感覚をもう一度味わってみたいけど……。
今の時点で、体験・渡航・好きな役者が目の前にいることに対して感じた喜び、興奮と、作品自体への感想とが切り離せていない。なんか、手放しで「ハイ、好きです、面白かったです」と言い切るのはモヤモヤするなという感じ。もう少し時間を置いて、冷静になってみたらわかるかもしれない。その時までこの作品自体に対する評価(偉そうな言い方!)はやめておこうと思う。
ストーリーについて。とくにメインとなる登場人物の行動、シーンについては概ね分かりやすく神話に即していたり、何となくその意味を汲み取れるものが多く、まったくの意味不明ということはあまりなかった。が、わからないところもたくさんあった。予習をしたことと、初手で本筋と関係のある登場人物をフォローができたため、何も分からずがっかりするようなことはなかった。
まず予習について、ギリシア神話についてざっくりとでも知っている人ならもちろん大丈夫だと思う。私はギリシア神話とはなんぞや?という知識レベルからのスタートだったので、事前に本で概要を掴んだ上で、Tumblr上の投稿を薄目で流し見ながら、どんな人物が登場するのかということを調べ、その人物についてとくにwikiを読んだりした。そのお陰で何となく初見でも行動などから役柄を推測することができた。ただ予習は完璧ではなく、またまったくノータッチだった人物もいた。またPunchdrunkの公式のSNS上で写真と共に役名が記載されているなど軽くネタバレがあったことや、上海SNMのOGOBなどで顔がわかる演者が多く、終演後にキャストリストを見ることによって答え合わせができるのも大きかった。人物の名前、役どころと写真の載ったファミリーツリーも掲示されているので助かる。
二つ目のフォローするキャラクターについては、私自身は初回でミケーネ側に出てくることができたので、理解できた部分も大きいのではと思った。初手で本筋とあまり関係のない登場人物をフォローしてしまった場合、混乱すると思った。ギリシア軍側は比較的登場人物がシンプルで、アルテミス、アポローン、アガメムノン、クリュタイムネストラといった中心人物に出会うことができたのがわかりやすかった。トロイ側は登場人物も部屋の数も多くとても面白く、探検しがいがあるけれど、疑問符だらけで終わった予感がする。引き合いに出して申し訳ないが、ちょうどSNMのマクベスのキャラクターと、それ以外のキャラクターのように。
全体の作りについて。セットについてミケーネは比較的シンプル、トロイは複雑だった。最初ミケーネ側に出てこられたのはストーリーを追う上ではラッキーだったが、探検のしがいはあまりなかった。どこも踊るために作られたスペースという印象が強く、広い。対してトロイ側は商店や部屋などが多くこんな部屋があったのか、と驚くような場所がたくさんあった。キャラクターを追わないと、きっと自力では辿り着かなかったであろう場所、開かなかったドア。道は狭いので、このキャラクターを絶対に見るんだという強い意志があるか、ショートカットを知らなければ、キャラクターとはぐれてしまう可能性は高いと思った。
また比較して申し訳ないが、SNMではそれぞれの店の引き出しを漁ったり本やノートのページをめくったりいちいち調べるのが好きだった。でもTBCにおいては全くと言っていいほどそれをしなかった。それは私に余裕がなかったからか、セット自体に惹かれなかったからか。カウンターや机、フェンス、カーテンの内/外という構図が多く、内側に入ってまで見たいものを見ようという気があまり湧かなかった。SNMだとキャラクターの行動のなかに余白が多いから、同じことを繰り返していたりする暇な時間に周りを見てみようという気が起きるのだけど、TBCについては初心者なのもあり行動のキャラクターの一挙手一投足に注目しっぱなしで、引き出しまで注目する余裕がなかったのかもしれない。
音楽や照明については素人の自分が何かを言うまでもないと思う(いやもちろん演技やダンスやセットについても素人だが)。照明について特に好きだった部分は下に書いた。BGMについては相変わらずどこから見繕ってくるのかわからないけど、絶妙に印象に残る選曲がすごいなと思う。もちろんその切り替え方、混ぜ方も、素人の自分にはなにもわからないくらい自然にシーンが切り替われば切り替わる。音響に興味のある方が体験すると、また違うのかもしれない。どこにいても当然のように地続きの音楽が聞こえるのは、ディズニーランドの構造と似ているなと思う。
フォローについて。距離感が近すぎたという自覚がある。ローカルの人びと、マジでごめんね。それは私が上海に慣れすぎていたというのが大きいと思う。テーブルやカウンターを挟む距離では近く、踊る場合は遠く。思ったより観客はみんな、思ったより遠い距離で見ていた。ああ私の立ち位置というのは歓迎される距離感ではないのだなと振り返ってみると思う。それについてはマジでごめんね。
 
1-4回目を終えて
◆好きだと思ったキャラクター:Askalaphos(後述)
◆好きだったループ:Hades、Agamemnon
◆好きなコレオ:Confusion 何なのあの妙に癖になるコレオ。
◆次回フォローしたいキャラクター:Hades、Persephone、Luba、Apollo、Clytemnestra
◆最高だったキャスト:Robert McNeill
◆印象に残った演出、装置:
・ミケーネのオブジェクトの先端に立ったキャラクターをバルコニーから眺めた時、浮いている!?と一度錯覚してかなりびっくりたこと。照明の魔法。
・ホテルの書斎のカーペットの下
・Macariaの1:1
◆ちょっと冷めた部分:
・水から出てきたキャラクター(ペルセポネー?)の着ているものがびっくりするほど普通のTシャツだったこと
・アイギストスとクリュタイムネストラの食事のシーンでセットと衣装にビニールがかけられて、いかにも「今からここが汚れます」ということがわかってしまった点。行動��中にうまく取り入れられている段取りは後から納得できるのでいいんだけど、いかにもな準備はちょっとだけ萎える
◆その他気づきや本筋と関係のないメモ:
・例えばAとB二人の人物が同じ場所に合流し、シーンを終えて、Aが去ってBが残るという演出だったとする。そのとき、その場に残ることを選択する観客が圧倒的に多かった。たとえ元々、Aのフォロワーだったとしても。だから残った方にはてんこ盛りの人の山ができて、去った方はひとりで歩いていく。そんなところを何度も見た。私だったら絶対去った方について行ってしまうし、人の少ない方を選びたくなってしまう。客見てないで芝居観ろってね……。これは国民性みたいなものなのか、たまたまその時の観客がそうだったのか、わからないけど面白いなと思った。
・カードを呼ばれるのは赤エースから、黒エース、といったふうに。おそらくカードの裏面が赤ならカードの中身も赤、青なら黒のようす。4回目では1番に入場したが、赤エースではなかった。グループで来ているお客さんも、色がバラバラで一人だけ先に行かなきゃならなくなってるのをよく目撃したので、引き剥がす意図があるということはわかる。ひと組20人前後で、カードの中身はKまであるようにはとうてい思えなかった。一番最後に入るのもちょっとやってみたい。
・#2ではEurydiceがいなかった。出てきてから写真がなかった&一覧にもなかったため気がついた。キャラクターをいまいち把握していない中で見たのもあって特段違和感を感じることはなかった。Euryが関わっていた行動や段取りはどうやって補完していたんだろう。こう緻密な作品だとリハも大変そうだな…。
・エンディング後にバーに戻ってきた時、その回KampeだったFaniaがノリノリでwalkoutのお客さんを振り回してるのを見かけた。可愛かった
 
それぞれの回の振り返り
#1
・扉が開いたら、早速Sam Boothがいて感無量になってしまった。SNM上海に出演していたころ、とてもとてもとてもとても大好きな役者で何度もフォローしており、4年半ぶりに目の前で動いて喋ってるの見るだけで嬉しくなってしまった。何の役を演じるのかは観てから考察しようと思っていたのにPunchdrunkの公式twitterに盛大に役名をネタバレされたのだった(怒ってない、よ)。美術館の館長なんだろうか。展示室の通路でもずっとSamのアナウンスが鳴り響いている。
・その他大勢として、広場と大階段と遺跡のあるほう(ミケーネ側)に出された。すでに梯子のあたりで何かが始まっていたが、大階段側のオブジェクトの上に座っている、筋肉の肉襦袢をつけたキャラクターが気になり、そちらを追ってみることにした。何のキャラクターだろうかと思っていたけど、途中で羽織ったコートのエンブレムから、アルテミスだということに気がついた。演者はElenore。基本的にはミケーネのエリア内での行動となった。事前にギリシア神話や神々について調べていた限りでは、ニンフとかと一緒にいるのかな?と思ったら想像していた感じとは全く異なり、完全に軍神だった。トロイア戦争のストーリーがメインだからなんだろうか。弓の名手であることから、弓を引くような動きが取り入れられているのが印象的。予言を授けるようなシーンがいくつかあったかな。初回だったため、誰とどこで絡みがあったというのはあまり覚えていないが、アルテミスは追っていけばギリシア側のストーリーをざっくりと見れるようなキャラクターだと思った。パンツは革製というのもあってボロボロだったので、衣装さんそろそろ新調してあげてください……。
・ループという概念がこの作品に存在しているかどうか知らなかったが、フォローしていくうちに見たことあるシーンが現れたため、アルテミスのもとを離れ、ハデス探しの旅に向かう。twitterとかインスタの写真で見たようなトロイの街にまったく辿り着けず焦りが募った(扉を奥に奥に進むのだ…)。ようやくたどり着いてもハデスどころかキャラクターひとり見つけられずに焦る。相当時間をロスしていたと思う。見かけた花屋にキャラクターがいるのが見え(アスカラポス:Jude)、そこで待っているとついにハデス(Sam)登場。お待ちしてました!
・ハデスとは、お花屋さんに対して、スペシャルな花をくれと要望するシーンから合流した。カウンターの前でその様子を見ていたけど、本当によく目が合う役者だなと思った。ただ見るのではなく、じろっと眼球を動かして目を合わせるので、ちょっとドキッとする。当然演出上の都合もあるだろうけど、書斎で鍵を閉めて観客の数を絞ったり、急に話しかけてきたり、後ろの方にいたり気が散っている人を1:1に連れて行ったりする。私がイマーシブシアターにおいてSamを好きな理由は、あらたなストーリーと解釈に導いてくれるところと(だからその視線の先を私も一緒に見たい)、観客を巻き込んで引きつけて、演劇体験を特別なものにしてくれる、自分が特別だと感じさせてくれるところだと感じる。
・思っていたより台詞が多い。ダンスもある。ペルセポネー(Debby)にブチギレられて固まり、デスクに倒れ込むシーンは結構好きだった。緊張感と一触即発の雰囲気が、鍵のかかった密室に漂っていて本当にたまらない。あとこのペアのハデスは尻に敷かれてる、完全に。
・これはあとから気がついたことだけど、ハデスだけはこちらが見えている?平気で話しかけてくるし、問いかけてくるし、ここに座れと言うもんね。わたしたちがいるのは死後の世界だから、ハデスだけには見えているのだろうか。わたしたちが着けているのは姿が見えなくなる仮面なんだろうか。っていうことは作中で死んだキャラクターは観客が見えるようになる?もし次回行く機会があれば確かめたい。
・しばらく追っていて、この二人にはもしかしたらループがないのかも、と気が付く。時間の感覚はわからなかったけど、同じシーンが出てこない。お、おもろ〜!!!ふたりにとってはこれは一連の出来事なんだ、他の人が生きるのも死ぬのもずっとそこで眺めてるんだ。ああ、もっとハデスとペルセポネーについて深めてくればよかった。あと私がここへ来るのが遅かった。きちんとフルで見たいなと思った。
・最後はトロイア人たちの舞いを夫婦ふたりで眺めるエンディング。見届けた、終わった…と、放心状態のまま夫婦の後に続いてバーまで戻ろうとしたところ、まさかの2:1(というかwalkoutの代わり?)。ふたりのあいだに座らされ、何言ってるかいまいちよくわかってねえまま柘榴を握らされてバイバイしたのでした。ありがとうございました(泣)。
#2
・トロイア側からその他大勢として入場。さっそく目に止まったのが、ヘスペリデスのお花屋さんのアスカラポス(Fred)。このキャラクターは完全に私の予習の範囲外で、1回目を見た後も特にどういう人物か調べていなかった。1ループを過ごして、とても好きなキャラクターになった。ループが好きと言うより、妙に親和性を感じてキャラクターとして好き。SNMでTaxidermistが好きな所為も大いにあると思う。鳥が関わってきたり、Taxiみを感じる。絶妙に陰キャなんだよ。帰ってきたら部屋が荒らされてたり、カウンターで致し始めるふたりに「ちょっとやめてもらっていいですか」みたいな。ああ、親しみやす。お花屋さんであると同時に研究者、そして冥界側の人物でもあるっぽい。物語の本筋との関わりは薄いけど、こういうキャラクターこそ好きになってしまう。アイシャドウかわいいね!
・花屋の真上のバルコニーから、踊るアイギストスに演出加えるところ。最初にアイギストスの方を見てたら不思議だっただろうな。ドレッサーの前に立って上を見上げないとどうなっているかなんて分からないし、まさか人力で降らせているとは思わない。アスカラポスを追っていないと知ることができなかったことに特別感を感じるし、こういうふうに点と点が線で繋がるところ、緻密な時間設定がやっぱり流石Punchdrunkだと思った。
・あとこれはすごく細かいことだけど、鳥の図鑑みたいなものを見るシーンで、カウンター上のバンカーズランプでうまいこと照らして、視線を誘導して、こちらにも中身がよく見えるようにしてくれる。Fredの判断か演出家の指導かはわからないけど、そんな細やかな配慮がとても好き。キャラクターの見ているもの一緒に見たい。
・1:1を運良く受けることができたのもとてもよかった。ぞわっとした。wikiなどを読むとミミズクにさせられた、とあるが、むしろ自ら進んで鳥になりたがっているようだった。
・確かこの時初めてホテルの窓越しのダンスを見たんだけど、カーペットをめくった時めちゃくちゃ驚いた。神の視点だった。とても気に入った仕掛け。
・2ndループではザグレウス(Theo Arran)を追ったけど、フルで追ったかさえ忘れてしまった。小屋を出たり入ったりしていたと思う。日本の居酒屋というより小料理屋ふうのバーに貼られているメニューや看板には、この世界で使われていると思われる文字が書いてある。甲骨文字みたいな感じなんだけど、もしかしてそこも勉強してこないとダメですか…?私が読めるのは「心」だけだよ(ちんちんみたいな形のやつ)。でも、他の場所は普通のアルファベット。冥界あるいは神々の世界と現世の違いだったりするんだろうか。もし次回行く機会があったら注意深くその文字も見てみたい。
・どこかのタイミングでポリュメーストール(Jude)をフォローし始めた。メッシュのシャツにテンガロンハットみたいな帽子で、なかなかに「何それ」って格好している。田舎のイカれた金持ちみたい。相関図には"Kingpin of Troy"とあるので、ギャングの親玉みたいなものと捉えていいのだろうか。ヒールっぽい。
・ポリュードロスを殺すシーンを見た覚えがない。3rdループだから色々と違うのかもしれない。ブチギレたヘカベーに失明させられた後、タイミングを忘れたけど手を差し出され、その後長い長いwalkoutが始まった。そのままいくつかのシーンを通り過ぎ、エンディングのトロイア人の舞いを最前列で見させてもらい、さすがに途中で終わるだろと思ったらpeep barまで一緒に帰ってきた。おかげで手が血糊まみれになった。ありがとうJude。
#3
・その他大勢としてミケーネに入場。入場時の通路に表示されている相関図を見て、アガメムノンが追いたかったパフォーマーのひとり、Robだということに気がついたので、ギリシア軍周りに居れば遭遇するかも?と思い例の軍人コートを着たキャラクター(The Watchman)の行動を見ながら待ち、その後フォロー。娘であるイーピゲネイアを殺したり、カッサンドラーに心惹かれちゃったり、クリュタイムネストラに殺されたり、ちゃんとエピソード通りで、予習していれば割と何が起こったのかはわかりやすい。Pin Chiehのカッサンドラーとのコンビネーションもさすがだった。Robの動きやダンスは、見てて身体能力高いんだなってのを感じる。序盤、ミケーネの梯子を降りてくるところとか惚れ惚れする。できねぇよあんなこと…(自分が運動できないから余計に)。
・アガメムノンのお気に入りのシーンは2箇所あって、ひとつは赤く長いマントを羽織って大階段を登る場面。とても荘厳だし、下の階から見ていて王を見守る民のひとりになれた気分になる。BGMもいい。やっぱりその作品の中で自分がただの傍観者じゃなくなる場面というか、物語の中に存在する意味を持てたと思えるようなシーンが大好き。もうひとつは、部下と観衆を引き連れてトロイアに乗り込むところ。歩き方の緩急もわくわくするし、急にフェンスを蹴飛ばしたりされると心臓が跳ね上がる。通路のドアや壁やらを乱暴に蹴散らしながら進む、めちゃくちゃおっかない暴君。その最後に準備はいいか、着いてこいと両開きの扉を勢いよく開けるとトロイアの女性陣と相対するところはゾクゾクするし、気持ちがいいし、めちゃくちゃかっこいい。これよ、これ!!!私が好きなのこういうの!!!思い出して噛み締めてる。ああ、逆側からも見たい。またSNMの話を持ち出して申し訳ないが、SNMにおけるマクベスの役割とも重なる。マクベスが観衆の歩く速度をコントロールしながらストリートを歩き、speakeasyに乗り込むシーンとも重なる(あのシーンもマクベスの正面側から見るの大好き)。
・2ループ目はアイギストス(Paul)を追う。劇中でよく見かけていたあの坊主の仮面をつけていたのはアイギストスだったのか。だけどその仮面をつけた理由というのが、いまいちよくわかっていない。何のエピソードをカバーすれば理解できるんだろうか。単に顔を隠して別人のふりをしているということ?
・アイギストスとのループ中、Sing, Sing, Singでハデス(EJB)に遭遇。思いがけず目の前で見て、ハデスが踊ってることに対しての驚きと久々に目の前で踊ってるEJBの素敵さに平伏してしまう。っていうかここのハデスはどういう立ち位置なんだ。ちゃんとドリンク用意されてたし。ハデスがどこから参加するのかも気になる、ちゃんと最初から見てみたい。
・3ループ目ではラオコーンが目に留まったためフォローし始めるが、柵を乗り越えて下に降りていってしまうところで引き離される。階段の位置をよく把握しておらず、何とか降りてきた時には見失っていた。無念
・とくに目的もなくトロイをウロウロとしていたところ、マカリア(Ylin Cong)がひとりでいるところが目に入り、見ていると手を差し出されたので思わず取ってしまう。ビギナーズラックで1:1。こんな場所があったんだ!?という場所の、さらにこんな場所に連れて行かれるのか!?って場所に連れて行かれる。マカリアについても予習の範囲外で、自分の中でストーリーが繋がってないため安直にBestとするのは間違ってると思うが、特別な体験だった。ちょっとこれまでにない高揚感と衝撃あった。
#4
・「You、こちらへ」に選ばれてトロイの街側へ一人で入場。ノープランだったが先ほど追いきれなかったラオコーンが居たため、改めて見たいと思いフォローした。顔が見えないので最初は気づかなかったが、キャストはRobだった。
・これが個人的にはめちゃくちゃヒットだった。前回見たアガメムノンでもそうだったけれど、Robの表現が好きすぎる。居酒屋で石を砂に変えるマジックは実はそれまでに2度くらい見ていたから大きな驚きはないけど見せ方が好きだったし、血で砂に描くところは眼を描いていたように見えてウワっと思った。陶芸工房での制作についても作るものは決まっているのかもしれないけど、そういうこと!?って。工房では腰掛けるのも立ち上がるのも一苦労だから物ひとつとるのに横着したりとか、ひとつひとつ芸が細かい。見てて何度もゾクゾクするところがある。ホテルのクラブでの一連もよかった、身体表現の鬼だ鬼。ほとんど一人で見てたけどこんな贅沢なことがあるか。情報量が多くて行動一つ一つを見るのに夢中になってしまい、正直"the seer"と思って見てなくて、私が汲み取れてないところも沢山ある気がして、1ループを丸々しっかり見たはずなのになんだか悔しい。純粋にもっともっとRobが踊っているところや演じているところを見たいし、関わりのある他のキャラクターや物語への理解を深めた上でもう一度見たい。
・陶芸工房の張り紙、神様が見てるぞ!て。確かに。
・2ループ目からはもう一度のハデス(EJB)のSing,〜を見たくて、とりあえずミケーネの長テーブルの場所のほうまで行ってみる。そして無事眼前で拝む。その後は1:1でいなくなってしまうまでフォローした。やっぱりハデスって演じているキャストによって内容が異なるんだろうか。バーでのスピーチもあったし…。
・ハデスの書斎のペルセポネーとのツーショット写真を飾っていることに初めて気がついたけれど、キャストによって毎回変えているのかな?初回フォロー時よく見なかった。微笑ましくてちょっと笑っちゃう。ハデスとペルセポネーは神話上の出会いこそ相当物騒だけどなんだかんだ仲良いよね。すべてをフォローしていなかったからかもだけど、EJBハデスとLilyペルセポネーはわりと穏やかな関係性のように思った。
・キャビネットの仕掛けもこの時初めて見た。びっくりした。
・3ループ目は特に誰を追うとかはなくて、引き離されたり人が多くなるたびにあちこちへ移動。終盤はポリュードロス(Ferghas Clavey)をフォローしていた。ヘカベーに溺愛されている。途中で頭上を移動するのだけど、よくみると確かに足場が沢山あって、こっちに進むんだということを把握はしつつ、まだ知らない仕掛けにわくわくする。ゴミ捨て場でポリュメーストールにトランクの中に詰められていたけど、これもキャストによるのかな。公園?で引きずられて行く時のビニールがボロッボロだったんでこれも新しくしてやってくれよな。
・最後はハデス&ペルセポネーの夫婦の元へ戻って、バルコニーから終焉を眺めながら今回の観劇は終了。
以上が今回の渡航での体験。
ロンドンまで気軽に飛んでいける距離&飛行機の金額じゃないから楽しかったことを思い出せば思い出す分だけ今はまだつらい。記憶が定かなうちにまた行けるといいな。
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boukansha · 4 years
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SNM Shanghai
16/11/19 Mr.Surprise - Adam Griffith
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boukansha · 4 years
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I so loved the Hitchcock party that I made a playlist of the songs that were referenced and used in it.
While I am super proud of the fact that I found the song that appeared in the amazing walled garden performances, I know I have missed some from other parts of the party. Feel free to post suggestions for additions!
And special shout out to @rottenwoodandwiltedsunflowers whose awesome videos helped me a lot.
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boukansha · 5 years
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Maïto Jobbé Duval, who is the senior designer with Punchdrunk international, recently did a sharing in Shanghai, talking about the set design of the McKinnon hotel. The article is in Chinese, however, there are plenty of beautiful pictures of the set, among which my favorites are the bamboo forest, the Mcbeths’ bedroom, and the mural of Hecate disguised as a tobacco commercial. If you want to see more pictures of McKinnon, please check out the article. 
(There is one image of the Taxidermist shop in McKittrick because the author could not find a good picture of the Taxidermist shop in McKinnon.)
Some fun facts:
From the visitor register, the telegrams, the ledger, the letterheads, to telephone conversations, everything is dated on June 26th, 1936;
June 26th in the year 1936 was the Dragon Boat Festival of that year, it directly ties in with the new localized storyline and new scenes associated with;
The equivalent of High Street is called Yongquan (bubbling spring) Road, which was the old name of West Nanjing Road in the 1930s, where the McKinnon hotel is located;
This is my favorite one. Even though they are not the most eye-catchy, especially when in dim light, the 6 frames of paintings hanging around the Macbeths’ bedroom are actually the tale of Macbeth portrayed in the style of Chinese traditional ink painting. 
I do miss this gorgeous building!
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boukansha · 5 years
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Sleep No More Shanghai 30/12/18 Mr.Surprise - Simon Palmer Someone to Watch Over Me
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boukansha · 5 years
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NYE at McKinnon Hotel...
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boukansha · 5 years
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SNM Shanghai New Year’s Eve 2018
Singin’ In The Rain - Good Morning
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boukansha · 5 years
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boukansha · 6 years
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23/09/18 7pm
Macbeth: Carl Harrison Lady Macbeth: Maya Milet Macduff: Li Haocheng Lady Macduff: Chen Yi-An Duncan: Simon Palmer Malcolm: Daniel Nicolson Banquo: Wang Mingchao Hecate: Emily Terndrup Boy Witch: Steven Apicello Bald Witch: Valentine Yannopoulos Sexy Witch: Tang Tingting Porter: Andrea Carrucciu Agnes: Lee Wen Hsin Danvers: Dai Shaoting Speakeasy: Chris Jäger Taxidermist: Matthew Morris Cunning man: Akos Dozsa Husband: Chris Jared Bride: Liao Hsiao-ting Matron: Jiang Yuli Nurse: Maren Fidje Bjørneseth Elevator/James: Zhang Xuehao
■NEW CASTのLi Haocheng。事前情報としてはMacduffとTaxiをやっていると。ちょうどMacduffだったのでフォロー、1:1もあったが、特にこれが!というポイントは今のところなし。早くTaxiで見たい!
■MingchaoのBanquoは個人的には約1年ぶりのfollowとなる。最近はBanquoが多いと(※どうやらGao Yangが怪我をしているという情報)。
■1年前に見た時よりダンスの重厚感が増していたし、キャラクターもかなり自分のものにしていた。以前見たときはDuncanの配下の中でも若手の中のひとり、といった感じだったが、今や右腕的なポジションに感じられるほど。また、最初のDuncan&Malcolm&Banquoのシーンでは、以前やっていた「あんなに子供だったのに大きくなったね〜」的なジェスチャーがなくなっていた。あのジェスチャーはあれはあれで親戚のおじさんのようで好きだったので、なくなって悲しい。
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boukansha · 6 years
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29/07/18 7pm
Macbeth: Andrea Carrucciu Lady Macbeth: Pin-Chieh Chen Macduff: Zhang Xuehao Lady Macduff: Maren Fidje Bjørneseth Duncan: Simon Palmer Malcolm: Chris Jared Banquo: Ryan O’Neill Hecate: Shen Ni Boy Witch: Steven Apicello Bald Witch: Olivia McPherson Sexy Witch: Daisy Cauty Porter: John Ross Agnes: Chen Yi'An Danvers: Valentine Yannopoulos Speakeasy: Chris Jäger Taxidermist: Wang Mingchao Cunning man: Ed Warner Husband: Daniel Nicolson Bride: Lee Wen Hsin Matron: Hsu Huiting Nurse: Jiang Yul Elevator/James: Gao Yang MIB: Zhang Lu WIB: Tang Tingting
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boukansha · 6 years
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29/07/18 3pm
Macbeth: Olly Hornsby-Sayer Lady Macbeth: Emily Terndrup Macduff: John Ross Lady Macduff: Hsu Huiting Duncan: Simon Palmer Malcolm: Daniel Nicolson Banquo: Garth Johnson Hecate: Shen Ni Boy Witch: Carl Harrison Bald Witch: Valentine Yannopoulos Sexy Witch: Tang Tingting Porter: Andrea Carrucciu Agnes: Lee Wen Hsin Danvers: Dai Shaoting Speakeasy: Ryan O'Neill Taxidermist: Wang Mingchao Cunning man: Ed Warner Husband: Chris Jared Bride: Jiang Yuli Matron: Olivia McPherson Nurse: Maren Fidje Bjørneseth Elevator/James: Zhang Xuehao
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boukansha · 6 years
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28/07/18 7pm
Macbeth: Andrea Carrucciu Lady Macbeth: Pin-Chieh Chen Macduff: Zhang Xuehao Lady Macduff: Maren Fidje Bjørneseth Duncan: Simon Palmer Malcolm: Chris Jared Banquo: Ryan O’Neill Hecate: Valentine Yannopoulos Boy Witch: Steven Apicello Bald Witch: Olivia McPherson Sexy Witch: ?/Tang Tingting Porter: Carl Harrison Agnes: Chen Yi'An Danvers: Jiang Yuli Speakeasy: Gao Yang Taxidermist: Ed Warner Cunning man: John Ross Husband: Daniel Nicolson Bride: Lee Wen Hsin Matron: Hsu Huiting Nurse: ? Elevator: Tang Tingting James: Wang Mingchao
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boukansha · 6 years
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28/07/18 3pm
Macbeth: Olly Hornsby-Sayer
Lady Macbeth: Emily Terndrup
Macduff: John Ross
Lady Macduff: Hsu Huiting
Duncan: Simon Palmer
Malcolm: Daniel Nicholson
Banquo: Garth Johnson
Hecate: Shen Ni
Boy Witch: Chris Jäger
Bald Witch: Valentine Yannopoulos
Sexy Witch: Tang Tingting
Porter: Andrea Carrucciu
Agnes: Lee Wen Hsin
Danvers: Dai Shaoting
Speakeasy: Ryan O’Neill 
Taxidermist: Mathew Morris
Cunning man: Ed Warner 
Husband: Chris Jared
Bride: Jiang Yuli
Matron: Olivia McPherson
Nurse: Maren Fidje Bjørneseth
Elevator: Gao Yang
James: Zhang Xuehao
MIB: Zhang Lu
WIB: Xu Xinwen
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boukansha · 6 years
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SNM上海 #20-23
Wang MingchaoのTaxidermist。ストーリーの外郭、Lady Macduffとの関係性がはっきりしてきた。これは面白い。アレコレ考えてしまう。
ついにEd WarnerのTaxidermistに出会えた!演技が上手すぎる。Banquoを演じていた時のあのギラギラした目つきはなんだったんだと言うくらい。素晴らしい!
Ryan O’NeilのBanquo。12月以降、McKinnonに足を運ぶ際は必ず彼のBanquoをフォローしているが、以前よりキャラクター造形がかなり明確になってきて、ダンス以外の部分も格段に良くなった。特にLuggage soloの前後。
Tang Ting-TingのWIB、会えてよかった。
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boukansha · 6 years
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SNM Shanghai 7/28/18 Mr.Surprise/Chris Jared
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boukansha · 6 years
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SNM NY #04 5/4/18 late
1年ぶりのニューヨーク。渡米の主な目的は”Angels in America”の観劇だったため、時間がとにかくなかった。夜11時にAiA第2部が終演してから、Eラインに飛び乗ってMcKittrickに向かった。
11:30頃に会場に着いた。列ができていることを覚悟していたけど、だれも並んでおらず、すぐに入れた。カードは9。2nd loopの少し前くらいに中へ。人が少なかった。
久しぶりのMcKittrickは、広い!部屋の配置をまったく覚えていなかったので、あっさりと迷子になりかける。この時間、どこで何が起こっているんだっけ?頭を働かせようにも、先に飲んだアルコールのせいで何も思い出せない。
入ったら真っ先にBanquoをフォローすることを決めていたので、Ballroomを探しに行ってみたけどもうBanquetはとっくに終わっていた。ウロウロしているあいだにDuncan&Malcolmのシェイビングシーンに遭遇。こりゃ都合がいい。
Banquoが来るのを待ってそのまま一緒にBallroom Partyへ。私は彼らとパーティーに行く瞬間があまりにも好きすぎる。
BanquoはTyler Phillipsだった。彼のBanquoとループを過ごすと、すべてが死後の世界の住人による、当時の再現に見える。うまく言えないけど、ミュージカル「エリザベート」みたいに。生前の出来事を反芻して、Macbethの罪を呼び起こして、そして最後に再び裁きを下すかのような。彼のBanquoはずっと死んでる感じがする。
3rd loopは特に誰をフォローするか定まっていなかったのだが、Jason CianciulliのCunningを見かけたので追った。神経質で細かいところにこだわるけど、服とかはヨレヨレっぽい仕立て屋。ここしばらく上海のCunningばかり見て来たから、NYのCunningが新鮮。これはこれで楽しかった。
次はもう少しゆっくり来れる時にゆっくり観たいな。全然追いつかなかった。
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boukansha · 6 years
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SNM上海 #18-19 5/12/18
7週間ぶりのMcKinnon。もうこれで7度目の上海なんだけど、いつ行っても列に並ぶと緊張する。
今回の個人的なハイライトとしてはMaya MiletのHecateと3人の魔女たち––Steven ApicelloのBW、Olivia McPhersonのBald、Daisy CautyのSexy。このコンビネーションが最高だった。力強い。ドンピシャだった。このHecateにしてこのWitchesありって感じ。
彼女のHecateデビューは比較的最近だったのかな?何故今までやってなかったんだろう。第2の予言前、鳥肌が止まらなくて、こんなにゾクゾクするレイヴは初めてだった。いいもの見れた。
あとフォローしていたのはRyanのBanquoとWang MingchaoのTaxi(いつも本当に楽しい!)、新キャストであるMatthewのDuncanも少し。
Samがいなくなってしまったので、誰をフォローすればいいのか、誰のところに行けばいいのかわからなくなってしまったよ…悲しいね…。
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