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fukosukumoda · 1 year
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*お知らせ* 野村春花さんのwebページにテキストを書きました。
野村春花さんは『 haru nomura 』として京都に自身のアトリエを構え、草木染めのかばんを制作されています。 野村さんの作業の様子を、写真家の堀井ヒロツグさんが季節ごとに記録し、写真とテキストでアトリエの風景を伝える「Story」というコンテンツ。 私もアトリエにお招きいただき、野村さんのお仕事を間近で拝見しながら、 また、日々、野村さんがそうしているように草花を摘みにゆき、一緒に布を染めたりもして、感じたことを言葉にしています。 堀井さんと私のふたつの視点と、写真と言葉、ふた通りの現しかたで、 野村さんのアトリエに流れている時間にそっと触れることができるのではないかなと思います。 WebデザインはStudio Kentaro Nakamura。デザイナーの小林加代子さんです。
ページを開くたびに文章と写真の位置が変化し、その時、その時で、違った景色を見ることができます。 今後、季節ごとに新しい写真と動画が追加されてゆくそうです。(いまからとても楽しみ○) haru nomura のホームページからご覧いただけます。 ぜひ(何度でも)のぞいてみてください。 ↓ https://haruka-nomura.info
Photo: 堀井ヒロツグ
Web Design: Studio Kentaro Nakamura/小林加代子  Writing: 粠田風子(すくもだ ふうこ)
*投稿した写真は haru nomura のホームページからお借りしています。
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fukosukumoda · 3 years
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それから、私たちが言葉をかわすとき
Then when we exchange words.
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詩集 2 Fuko Sukumoda
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今日はヴィーナスの誕生日だから
塩気の効いたスープを飲もう
作り方は、海辺の砂の粒に書いてある
晴天のテーブルクロスを用意して
五十歩ごとに違う花を飾ろう
私の席にはアーモンドの小枝を
今日というこの日のために
地球のカーブに合わせてつくった机を用意しよう
机はギリシャの海まで続いている
『ギリシャの占い』より
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くまを抱きしめよう、という日。
北海道土産の木彫りのくまに、
熱湯をかけて待つ。
じっと待つ。
そのうち、毛艶の良いくまが立ち上がり
二足歩行をはじめた。
『Hug a Bear Day』より
***
*2020年制作の詩集
poem : Fuko Sukumoda       illustration :Michina Watanabe
ここには恋愛にまつわる詩をあつめました。さいしょの詩集(天国も冬)よりもずいぶん明るく、希望を持ったものになったような気がしています。
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fukosukumoda · 3 years
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天国も冬
Heaven is also winter
詩集 1 Fuko Sukumoda
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肌着一枚の肋骨の上を
静かにたたくものがある
薄氷に罅をいれるかいれないか
あるいはろうそくの炎をゆらすか
そのくらいの力で繰り返すのである
呼ぶのである
『律動』より
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その日わたしは
自分の生というものを その匂いごと
つよく くるおしく 抱きしめた
まだ甘やかに匂い立ち
万緑の窓辺へと
するりとぬけてゆきそうな
わたしの生
それをどこへもやりたくないと思った
『通夜』より
*2020年制作の詩集
poem : Fuko Sukumoda     illustration :Michina Watanabe
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fukosukumoda · 4 years
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流れ星を見た。流れ星の尾は想像しているよりもシンプルで、確かで、生きている。流れ星をみつける偶然は、地下鉄のホームに落ちている銀色の小さな十字架を見つけた時とよく似ている。お守りはロバの顔をしたペガサスのブローチ。君はいままでカンテラも持たずに夜明け前のいちばん暗い森にいたけれど、イメージの森を抜けて、ある朝、物語を取り戻す。それが君の物語だ。もしくは私の物語だ。流れ星の物語だ。羽をつけたロバの物語だ。誰かに拾われた十字架だ。その誰かの物語だ。
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fukosukumoda · 4 years
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例えばフェルトのネズミのいる生活。君の身に起こった良いことや悪いことを、君はそのネズミに話す。「いい」とも「わるい」とも言わずネズミは話を聞いていて、ネズミは君を判断しない。君がなりたかったのは、そんなネズミの様なもの。
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fukosukumoda · 4 years
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You've got the music in you Don't let go You've got the music in you One dance left This world is gonna pull through
New Radicals「You Get What You Give」
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fukosukumoda · 4 years
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智恵子はこの世から飛んで行ってしまったけれど、今の私は智恵子が飛んで行ったのと、反対の方向へ飛んで行く。飛ぶ、飛ぶ、飛び立つ瞬間のイメージ。
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fukosukumoda · 4 years
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私は彼女を水のような人だと思った。川のような人だと思った。水がうねりながら走っているみたいだとも思った。
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fukosukumoda · 4 years
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犬の名前思いついた。 夕方から田村さんと荻窪でお蕎麦を食べる約束。立派な店構えで、手入れの行き届いた庭がぐるっと店を囲んでいる。雨が降りそうな天気で、外は薄暗くて、窓から庭にあやめの咲いているのが見えた。白海老の天ぷら、鴨せいろ。田村さんはざる蕎麦。 田村さんと話しているとき、一瞬、最近日常的に起きる恐怖感が襲ってきて、ぐわーんと周りが揺れたような気がした。庭のあやめの花がはっきりと目にうつって、雨が降っていないのに、どしゃ降りの音が聞こえてくる。 こわい、と身がすくんだけれど、すぐ元に戻った。 田村さんと誕生日プレゼントの交換。わたしは自分の勤めている店で買ったマグカップをあげた。田村さんからは西光亭のクッキー。ピンクの箱、いつものりすがにこにこしている。
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fukosukumoda · 4 years
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‪あけましておめでとう。今年もこの光の中にいよう。どんな年も変わらずいよう。新しい年、どうぞよろしくお願いします。‬
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fukosukumoda · 4 years
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もうずっと帰れていない東京の家を引き払うという時に、姉が居間でロスト・イン・トランスレーションを観ててぐいぐい後ろ髪を引かれる。東京での生活が過去に過去に離れてく。さよなら、パークハイアット。復活の地、築地。いちばん最初の東京の記憶、銀座。日比谷公園を号泣しながら彷徨って、途方に暮れながら亀の甲羅干しをみたこと。さよなら。
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fukosukumoda · 4 years
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揺れていた年があった。ちょうど、このmvのエル・ファニングみたいに。周りはピンクや金色で、1人で海に浮かんでいるけどぜんぜん孤独じゃない。あの時は揺れることが心地よくて、心地いいから揺れるのだった。また来る。そういう時がかならず来る。
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fukosukumoda · 4 years
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今日から幸せをうたう日々
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fukosukumoda · 4 years
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‪千駄木を離れることの何がかなしいかというと、防災広場初音の森に日常的にいけなくなること。わたしにとって、あそこの広場と図書館が谷中でいちばん幸せを感じる場所。名残惜しくて団子坂のあたりにまた住みたいと思う。引っ越したらきれいさっぱり忘れるだろうか。‬
‪あの辺りを智恵子と高村光太郎も歩いたかもしれないと思ってうれしくなる。東京には空がないといった智恵子、わたしはいま智恵子の故郷の福島に帰っていて、その自然の中にいると、時々こわくなってくる。虫の声や、山から降りてくる濃い霧や、燃える緑から逃げたくなるとき、胸を押さえる。‬
‪この間友達の家、彼女は4階に住んでいて窓から空が見える。空を見てたらまたあのときみたいな気持ちになった。初音の森に座っていたときの、あの気持ち。‬
‪空がすごく遠い。空が、わたしのこころから、すごくすごく遠いところにある。‬
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fukosukumoda · 4 years
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2019・2・14
ある作家のインタビューを読んでいたMが、物書きになるには毎日何かを書くことが重要なんだと言う。そういえば、宇野千代は、毎日机に向かう時間を作れと言っていた。わたしそれをNHKのラジオで聞いたばかりだった。
 夜、K先生の家でキムチ鍋をご馳走になる。
5人集った内の2人が先に帰り、残った私たち3人の生徒は、音楽を聴かせてもらいながら、先生がバレンタインにもらったというチョコレート(デメルの猫が書いてあるの)をパリパリと大事に食べていた。
先生は私たちのために赤ワインもあけてくださった。
 YちゃんとD君は書くことに対する態度について話をしていた。わたしは途切れることのないYちゃんとDくんの会話に圧倒されながら、ふたりの間に座っていた。ふたりは饒舌で、両側から言葉が噴き出しているみたいだ。
たとえば、Yちゃんにとって、書くことは呼吸することと同じこと。生きている限り私たちの頭の中には言葉があふれ続ける。だからその言葉を表に出さずにはいられない。言葉を押し込めて生きるのは、彼女にとって、とても不自然なことなのだ。
私は彼女を水のような人だと思った。川のような人だと思った。水がうねりながら走っているみたいだとも思った。
書いていると、時々わたしたちはより孤独になる。けれど書き終えた時、気持ちは昂揚して、書いている間にあぶり出された怒りや、愛情や、優しさや、つらさや切なさがすとんと落ちて、地にようやく足がつく。その感じが忘れられない。
時々、イメージは降ってくる。
〝アイデアや衝動は、孤独な人へのギフトのようなものだと思う〟
君はどう思う?と問いかけられて、わたしは緊張しながらとっさにそう答えていた。この回答が真実ではないことを、本当はわかっている。わたしはこの考えにいつも抵抗している。書いている時のつらい気持ちが不健康なもののように思える。
決して私たちは不健康になるために、もっと言えば、不幸になりたくて小説や詩を書いてるわけではない、ということ。
しばらく考え込んでいたYちゃんがこう言った。
〝不幸な人間しか表現できないなんて、物書きが不幸だなんて、そんなの絶対にいや〟
Yちゃんが発した言葉に、わたしもDくんも深く頷いた。
幸せから生まれる詩がある。たとえば、そういう詩をかけたとき、わたしはどんな気持ちでいるだろう。
私たちは、より良い方へ向かうために書き続ける。
そうだよ、書きつづけることだよと、先生が私たちに声を掛けてくださる。
先生もまた、宇野千代と同じことを言う。
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fukosukumoda · 4 years
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だけどそれは昔の話。今年の春ははじめての春。去年の春は二度と度と来ない春。きっと夏もそうだろう。永遠の別れ。
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fukosukumoda · 4 years
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おばあちゃんが目を覚まして、
わたし、どこにいったの?って
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