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大した思い出もないのに父親が死んでから心がつめたく冷えて無理やり裏返しにされたみたいで居心地が悪い。誰かと話をするのがとても億劫に感じて妹ですら鬱陶しくて逃げるようにイヤホンをつけて寝てしまう。でも誰かに話して分かってもらいたいなんて最初から思っていないし,この話をするにはあまりにもエネルギーがいる。同じ体験をした妹だってまったく同じ感情を抱いてきた訳じゃない,双子でも違う人間で違う目線で生きてきたのだから。やっと終わったと思ったのにやっと解放されたと思ったのに1〜2週間経って東京に戻ってきたら突然故障した機械みたいにすべてが無理になってしまった。泣いても泣いても空っぽでスッキリなんかしなくて,最近見ないと思っていた憂鬱が,死んだ顔をして俯いている私が,たくさんの過去と今の私が部屋の片隅にいる。何をしても突然憂鬱たちが部屋をいっぱいにして私を無力化させる。何をしても無駄だと,人生は痛みで溢れ,お前は同じこところから抜け出せないと覆い被さる。父親の大きな手を握った小さな頃を思い出す。意味なんてない,人生に意味なんてない。誰かとする約束はいつも私だけが本気になって最後まで果たされない。ただ私は愛する人に抱きしめてもらって眠りにつきたいだけなのに,愛する人に愛していると言えない その人の未来が眩しくて私の愛しているという言葉で影を落としたくない。父親は死ぬ時,母と一緒にいれて幸せだったのだろうか。死んだ時,何を思ったのだろう。一生知ることなんてないのにふと考えては時間を無駄にする。人生はクソだ。誰かを亡くすことが人生なら本当に人生はクソだ。

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大切な人と別れることが痛いのではなくて,元々あった痛みがその人がいなくなることで改めて気付かされて痛むという宇多田ヒカル氏の言葉,初めて聞いた時よりもずっとその意味や重さが重くなっている。今日財布の中身を整理していたら以前デートした(今思うとあれはデートだった)女の子と行ったお寺のおみくじが出てきて息が止まった 忘れていた痛みがじくじくと胸の奥底から湧いてきて,まるで死ぬ時の走馬灯みたいにその時に行ったお寺のお香に包まれたにおいとか彼女の黒と青が混ざったよう��クールなネイルの色とかプレゼントしてくれたお揃いの指輪が綺麗なゴールドに光ってたことが,一瞬の間に私の魂に押し寄せてきて溺れて死ぬかと思った。ロマンスだけじゃなくて私は人と人との出会いが常に痛みを伴うものだと思っているから,いつも何かの拍子で色んな人との戻らない過ごされた時間の痛みを思い出してはその痛みに動けなくなる。そんなに仲良くなかった女の子と二人で掃除当番になって,いざ話してみたら漫画の趣味があって漫画の貸し借りをしてたけど掃除当番が変わってしまうとまた話さなくなってしまったことととか,修学旅行の日の夜ぜんぜん皆んなと騒ぐ気分になれなくて一人で部屋でテレビ観てたら,一緒の部屋割りだった女の子が帰ってきてくれて二人でこういうの全然楽しめないよねって内緒話したこととか。幼い頃に家族で遠出する時に車で必ず通った山と田んぼしかないような何もない道だけど熱心に窓から見ていた好きな道をふと思い出した時には,その時車の中でよく流れてた音楽と隣で寝ていた妹の寝顔まで思い出して二度と戻らないあの家族の時間をまた恨み出してしまいそうになった。生きていくのは痛み,と誰かが言っていたけど本当にそう思う 心の一部をちぎってあげたような人たちとの出会いならなおさら痛くて,この先の未来が新しい出会いで満ちているのだとしても私はこの痛みを,ジクジクと染みるような痛みを,残された美しさと鈍い暖かさと共に大切に抱えて生きていく。与えてくれたものと差し出したものを考える。日々重さを増すその言葉や記憶は,少しずつ少しずつ私の心の暗い沼に沈み,また水面が動く時を注意深く見つめて浮上していく時を静かに待ってるのかもしれないと思った。ただ私は黙ってその心の暗い沼に広がる波紋を見つめ,痛みに慣れるしかないのかもしれない。

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辛いだけの人生だったとは思わないけど生きてきて良かったとは一度も思わない。はやく終わりにしてしまいたいと願うのに、もう会えなくなってしまった人たちのことを思うと涙が溢れて進めなくなる。直接知っていても知らなくても、その人たちの暖かさや優しさを想う。好きだったもの、嫌いだったもの、寝る時に何を考えていたか、悲しい時どんな音楽を聞いていたのか。またどこか違う世界で会えるならそんなことを教えてほしい。もうなにも頑張らなくていいから、貴方のその優しくて暖かい瞳をよく見せてほしい。貴方のその瞳にうつる美しい光たちだけを見つめて生きたかった。それだけでよかったのにもうそんなことも叶わないからはやくお花畑に身を投げてしまおう。

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エラーを繰り返しすぎてリセットが出来なくなったみたいだ。暗闇の中で怯えながら見た夢はもう忘れてしまった。強制初期化をする勇気があればいいが私には到底出来そうにない。鳴り続ける携帯の通知音を無視してまた今日も食べたくないご飯を食べて夢の中に戻る。悲鳴をあげて起きるほどのひどい悪夢を見た気がするのに、目が覚めることのほうが悪夢だと思った。胃がキリキリと痛んで喉の奥が苦い。心臓を針で刺されるような痛みが襲い、冷や水をかけられるような嫌な思い出が瞼に蘇る。私に諦めさせるように蘇る。夢の中で知らない男に口移しされた咀嚼物の味が口の中から消えない。あそこで見た海は泣いてしまうほど綺麗だった。目が回る。私の体に負い被さってくる見えない何かの重さに目が回る。頭が痛い。いつかの夢の中で焦燥感を感じながら壁を必死に舐めていたのは私だった。灯りを求めるのはもう疲れたからやめよう。初めて会ったのに懐かしさを覚える人にどこかでお会いしましたかと尋ねに行こうか。夢の中で、いやどこか遠い世界で。

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" そう考えれば、虚空に消え去った言葉や思いを嘆くこともないのかもしれないな。それらは実は消え去ってなどおらず、暗闇のなかで瞬く銀の星のように、微弱な電波を発しながら、きみらの心のどこかで輝きつづけておるのやもしれん。遠い未来、何億光年と離れた場所で、今度こそだれかの心に届く瞬間を待って。"