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ithiroki · 2 years
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鳥嶋和彦『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』と少年ジャンプを語る
元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦さんが2021年11月18日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』にゲスト出演。傑作RPG『クロノ・トリガー』とVジャンプについて語る中で、その前段として『ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』、そして週刊少年ジャンプのゲーム記事などについて話していました。
(宇多丸)さあ、今夜は国産のロールプレイングゲーム、通称JRPGの歴史を解説してきた「国産RPGクロニクル」シリーズの特別編です。元週刊少年ジャンプ編集長にして国産ロールプレイングゲームの傑作『クロノ・トリガー』の仕掛け人でもある鳥嶋和彦さんに生インタビューしていきます。
(宇内梨沙)まだ鳥嶋さんはスタジオに入っていませんが、スタジオにいるゲストのご紹介をさせていただきます。「国産RPGクロニクル」の案内人にして今夜はインタビュアーを務めます、ボードゲームメイカー、ドロッセルマイヤーズの渡辺範明さんです。よろしくお願いします。
(渡辺範明)よろしくお願いします。
(宇多丸)もう今日は渡辺さんのとにかく重責が……。
(渡辺範明)いやー、緊張しますね。
(宇多丸)肩にかかってますからね(笑)。ああ、すごい。Vジャンプがある。当時の。ということで、いつも「国産RPGクロニクル」ということで、いろいろシリーズで解説いただいて。毎回、僕なんかは割とビギナーなんですけど。それでもすごく分かりやすく解説いただいて、楽しみにしてるんですけど。今回、その流れでこの鳥嶋さんにインタビューっていうのはなぜ、企画されたのでしょうか?
(渡辺範明)このJRPGの魅力とか歴史を語るシリーズっていうことをやってると、当然この『クロノ・トリガー』をやってくれっていう声は前からいっぱいいただいていたんですけれども。『クロノ・トリガー』はですね、なんか語り方が難しいなと思っていて。ゲームとしてはもちろん、単純によくできたゲームでもあるんですけど。たとえば数年前にファミ通が「ゲームファン7000人が選ぶ平成最高のゲーム」っていうアンケートを取った時に『クロノ・トリガー』が1位になってるんですけど。このアンケートのランキングを見るとまた面白くって。その『クロノ・トリガー』が1位。2位が『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。その次が『NieR:Automata』だったかな? みたいな感じで、単純に売上ランキングじゃなくって。なんか、これってやっぱりその、誰かにとっての特別な1本。
(宇多丸)思い入れが強いものが並んでいる。
(渡辺範明)そういう、なんかその特別な思い入れのある作品っていうののさらに1位っていう感じの作品なんですよ。これって単純にゲームの出来・不出来とか、売れた・売れないとかっていうことを超えた何かがあるわけで。その特別な……『クロノ・トリガー』がなぜ特別なのか?っていう話をどうやったら表現できるかな?っていう中で、やっぱりその実質的な仕掛け人である鳥嶋さんのお話っていうのはこれ以上ないと思うんですよね。
(宇多丸)でもね、鳥嶋さんに直接インタビュー。しかも生でってなるとこれ、渡辺さん、なかなかそういう心理的ハードルは高くなりません?
(渡辺範明)僕にとっては完全にオーバースペックで(笑)。
(宇多丸)自分が言い出したんだからね(笑)。
(渡辺範明)そうなんですけどね(笑)。僕、インタビューのお仕事自体、これたぶん生まれて初めてなんで。する方は(笑)。
(宇多丸)でも、その渡辺さんのインタビュアーぶりも含めて楽しみにしておりますので。それでは、始めてみたいと思います。今夜の特集はこちらです。「国産RPGクロニクル」特別編、伝説の漫画編集者にしてあの名作RPGの仕掛け人、Dr. マシリトこと鳥嶋和彦さん生インタビュー。『クロノ・トリガー』とVジャンプの時代編です。ということで、今夜のゲストをここでスタジオにお迎えいたしましょう。鳥嶋和彦さんです。いらっしゃいませ!
(鳥嶋和彦)こんばんは。
(宇多丸)よろしくお願いいたします。さあ、ということで改めまして、鳥嶋和彦さんです。
(鳥嶋和彦)よろしくお願いします。
(宇多丸)こういう感じでラジオで生で話すとかって、あんまり機会としては?
(鳥嶋和彦)数年にいっぺん。
(宇多丸)数年にいっぺんはあるということで。今日は渡辺さんがガッツリお話を伺うと思いますんで。
(鳥嶋和彦)お手柔らかに(笑)。
(宇多丸)ということで、鳥嶋和彦さんのご紹介を宇内さんからお願いします。
(宇内梨沙)はい。鳥嶋和彦さんは1952年生まれ。1976年、集英社に入社し、週刊少年ジャンプ編集部に配属されます。そして1993年、Vジャンプを創刊し、その編集長に就任。96年、週刊少年ジャンプ編集長に就任します。そして2015年からは白泉社取締役相談役を務められています。漫画編集者としての主な担当作家は『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』の鳥山明。『ウイングマン』『電影少女』の桂正和など。またジャンプ編集部時代には読者コーナー「ジャンプ放送局」やゲーム記事「ファミコン神拳」を担当。後に『桃鉄』シリーズを作るさくまあきらさんやドラクエシリーズの堀井雄二さんらをライターとして起用していきます。1986年の『ドラゴンクエスト』にも関わってきました。
(宇多丸)ということで今日は漫画編集者としてのお仕事ではなく、主にゲームの話なんですけど。『クロノ・トリガー』、そしてVジャンプ立ち上げ。この時期のことっていうのは細かく結構ご記憶されてる方でしょうか?
(鳥嶋和彦)いやね、それがね、結構あいまいなんですよね。なぜかというと、もう29年前だからね(笑)。思い出す限り、一生懸命思い出します。
(宇多丸)たぶんおそらく記憶の扉をこのインタビュアーの渡辺さんがグイッと開いてくれるんじゃないかという感じだと思います。ということで、私がくどくど時間を取るよりも、やっぱり中身を濃く行きたいと思います。鳥嶋和彦さんインタビュー、お知らせの後に開始です。
(CM明け)
(宇多丸)ということで、このインタビュー本編に入る前にまず、『クロノ・トリガー』を……。
『クロノ・トリガー』とは?
(渡辺範明)そうですね。『クロノ・トリガー』を遊んだことない方もいらっしゃるかなということで、『クロノ・トリガー』ってどういうゲームなのかということを一応3つのポイントで整理しましたので、ご説明いたします。『クロノ・トリガー』っていうのは1995年にスクウェアから出たRPGなんですけれども。3つのポイントを挙げるとすると、まずひとつ目がなんと言ってもドラクエ……この「国産RPGクロニクル」というシリーズは基本的にドラクエの歴史とFFの歴史を軸にあの日本のRPGの歴史を語っていくというシリーズなんですけど。そのまさにドラクエ+FFっていう夢のプロジェクトとして発売されたのが『クロノ・トリガー』なんですよね。まあ、ここがまずポイントで。
2つ目、中身の話をするとタイムトラベル物なんですよ。で、タイムトラベル物っていうものの構造を生かした非常にドラマチックなシナリオと、あとはその各時代を代表する、たとえば原始時代のキャラクター。中世のキャラクター。あと未来のキャラクターとか、そういう各時代のキャラクターたちがだんだん仲間に加わっていくっていう、言わば時代を超えて異世界のキャラクターたちがだんだん集まっていくっていう『アベンジャーズ』みたいな、異世界アッセンブル物なんですよね。ここが結構ポイントだと思います。
あと、システム面で言うと、たとえばRPGでマップをキャラクターが歩きながら、敵にエンカウントしたらドラクエでもFFでも画面が切り替わって戦闘になるというのが普通だったんですけれども。『クロノ・トリガー』は移動画面からシームレスにそのまま戦闘に入るんですよ。で、こういうような描き方っていうのはFFでも、後のたとえば『13』とか『15』あたりでようやく実現されるというか。まあスクウェアの恐らく、もう当時から理想のゲームのひとつの形。目指してる未来像みたいなものだったと思うんですけど。これを早くもスーファミの段階で、部分的にでもだいぶ形にしていたという意味で、かなり示唆的なタイトルでもあるということで。まあ、いろんな面でその時点での理想のRPGを実現しましたみたいな感じのタイトルなんですね。
で、これがまあいわゆるよくできたゲームとしての『クロノ・トリガー』の説明なんですけど。まあ、それだけにとどまらないところがあるはずだというところの話をこの成立過程から含めて今日、お聞きしたいとという話になっております。
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(宇多丸)まずは今の『クロノ・トリガー』の概要説明、鳥嶋さんはお聞きになっていかがでした?
(鳥嶋和彦)いやー、聞いていて勉強になりますね(笑)。「そうだったのかー」と思い出しますよ(笑)。
(一同)アハハハハハハハハッ!
(宇多丸)ぜひ渡辺さん、ここから濃密インタビューをお願いいたします。
(渡辺範明)はい。ありがとうございます。じゃあまず、『クロノ・トリガー』が今日のお話の本編なんですけれども。そして、それに深く関わるVジャンプというメディアについてお話をお聞きしたいんですが。そこに至る道筋として、まず『ドラゴンクエスト』と鳥嶋さんの繋がりというか、関わりについて、まずお聞きしたいんですけど。
(鳥嶋和彦)ドラクエはそもそも、堀井さんとゲームの記事をずっとジャンプでやってたんですよね。僕、さくまさんたちと仕事が終わって……「ジャンプ放送局」が終わった後にゲームセンターで遊ぶことが多くて。お金を賭けながら、「10種競技」とか言って10個ぐらいのゲームで遊んで、合計点で一番勝つともらえるとか。そういうのを仕事が終わってからやっていて。で、歌舞伎町に新しいゲームをデモでやらせる店があって、そこによく通ってたんですよ。で、そうこうするうちにさくまさんが「すごく友達でゲームに詳しいやつがいるから紹介するよ」って。で、出てきたのが堀井さんだったんですよ。
で、初対面で喫茶店で、今でいうバッグから本を出したらそれがベーシックで。ものすごい分厚いパソコン雑誌の記事が載っているやつで。「これが面白いんやで」って見せられて。「面白い人だな」って。それで当時、任天堂のゲームウォッチがすごく人気があって。ジャンプでプレゼントをするってなって。僕がゲームが好きだっていうのを編集部は知っていたんで。「鳥嶋くん、悪いけど特集、やってくれない?」ってなって。で、単にプレゼントページをやってもしょうがないからって、堀井さんのことを思い出して。「悪いけれども、コラムを書いてくれないか?」って。それで堀井さんとの付き合いが始まって。で、パソコンのゲームのソフトの紹介記事とかやっていて。当時、PC60とか80が高くて、買えなくて。
(宇多丸)子供が買える値段じゃないですよね。
(鳥嶋和彦)そうそう。で、秋葉原のショップが10時に開く前に、8時ぐらいに行って。その前にパソコンを借りて撮らせてもらうっていう。段ボール箱を繋げて暗くして、やると言って。お礼に鳥山さんの色紙をあげるみたいなね(笑)。
(宇多丸)今や、そっちの方がね、どんな謝礼よりもね(笑)。
(鳥嶋和彦)ということをやっていて。やっぱり今、おっしゃったようにパソコンが高くて買えなくて。で、最後、当時出ていたMSXとファミコンがあったんで、両方のゲームの特集をやろうって言って、特集をして。「やっぱりファミコンって面白いね」って、撮影も早々に終えて堀井さんと朝までずっとファミコンで遊んでたっていうのがあって。1回、それでゲーム記事を閉じたんですよ。
ところが、しばらくしてから副編に呼ばれて。「鳥嶋くん、最近コロコロが調子いいんだよ」って言っていて。「何でかって言うとね、ほら。ここにゲームの記事があるでしょう? ファミコンの。これの特集がすごく面白いんだよ。これ、ジャンプでもやれるか、検討してくれないか?」って言われて。それで堀井さんを呼んで。2つ、特色があったんですよね。やっぱり「ゲームの何が面白いのか?」って……当時はほら、ゲームって高いじゃないですか。中がわからないから。子供にやっぱりちゃんとした指針を与えたいっていうのがひとつ、あって。
それで、記事のほとんどはその「あたた」って。当時、『北斗の拳』が流行ってたんで。いわゆるゲームミシュランをやろう。それを堀井さんとやる。で、もう一方は、いわゆる「裏技」を載っける。コロコロとかは結構伏せ字にしていて。ハドソンと組んで出す・出さないっていうので。
(宇多丸)ああ、オフィシャルだから出せないところもあったと。
(鳥嶋和彦)で、「だったらジャンプは暴いちゃえ!」って。
(渡辺範明)アンオフィシャルで。
ジャンプでファミコン裏技記事を掲載
(鳥嶋和彦)うん。その代わり、副編に言って。「広告に文句が来ますから、それはシャットアウトしてくださいね」っていう。それで、『ゼビウス』と『スターフォース』の暴きをやって、ものすごい反響で。
(宇多丸)クレームは来たんですか?
(鳥嶋和彦)クレームも来たけど、反響もすごくて。
(宇内梨沙)その裏技はどうやって探したんですか?
(鳥嶋和彦)読者の投稿。だからそれをいちいち全部、たしかめなきゃいけない。で、堀井さんも僕もアクションが下手なんで。アクションゲームうまいやつってことで、その後に手伝ってくれる宮岡くんっていうね、『メタルマックス』を作った、ミヤ王っていう名前でページに出てきますけども。彼に頼んで検証してもらってやるっていうね。ちょっと話が長くなりましたけど。というのがあって、大反響で。それは良かったんですよね。ところが、だんだんゲームの中を解析してやる人たち……ファミ通とかファミマがが出始めて。ジャンプの文系の僕らじゃやっぱり堀井さんが多少わかるって言っても無理で。
(渡辺範明)まあ、労力もかかりますもんね。
(鳥嶋和彦)それで「やっぱりもう無理だね。対抗するのは」っていう話をして。「どうしようかね?」って言ってる時に、当時堀井さんがエニックスと仕事を始めてて。で、エックスはファミコンに入るというので「ゲームを作りたい」って堀井さんが言って。で、僕らは当時、パソコンでアップル2の『ウィザードリィ』とか『ウルティマ』っていうゲームを遊んでいて。これからすごく面白かった。で、同時期に坂口も遊んでたみたいなんだけど。
「これを日本でもやれたらいいね」って話をしている中で、堀井さんが思いついて。「これをファミコンでやりたい」と。で、チュンソフトの中村くんと一緒にやるっていうので。「いいね」って。そうやって煮詰まっている時にそういう話があって。「じゃあ、ちょうどいいチャンスだから新しいゲームを紹介しながらリーリスまで繋げていこう。インサイドを見せよう。ゲームを作るところを子供たちに知ってもらうのはいい機会じゃないいか」って。
(渡辺範明)攻略記事から、ゲーム制作のドキュメント記事の方に切り替えていったってことですよね?
(鳥嶋和彦)そうですね。そのタイミングで。ちょうど煮詰まってる時に堀井さんがエニックスからそれを作ってやるっていうことが発表されたんだよね。まあ、それに乗っかったってことです。で、ジャンプが絡むって必然性がほしいんで。で、鳥山さんにキャラクターのデザインをお願いすればジャンプに載っているっていう必然性があるので。
(渡辺範明)ああ、それが必然性になるために?
(宇多丸)順番としては、順番。鳥山さんのデザインありきじゃなくて?
(鳥嶋和彦)まあ、ということで長くなりました。
(宇多丸)誌面にフィットするために鳥山さんを呼んでくるというか。その順番。
(宇内梨沙)鳥山さんも快諾だったんですか?
ジャンプ誌面にフィットさせるための鳥山明の絵
(鳥嶋和彦)と、僕は記憶に思ってるんだけど。あとから鳥山さんのインタビューを読むと、「再三再四断ったけども、説得された」っていう風になっていて。「そうだったっけな?」って。
(宇多丸)アハハハハハハハハッ!
(鳥嶋和彦)結構快諾で「いいですよ」って言ってくれたんじゃないかなと思ったんですけど。はい。
(宇内梨沙)それもあってドラクエが生まれてるんですもんね。
(渡辺範明)エニックスがゲーム事業を……元々、その多業種だったエニックスがゲームを作り始める時に、そのゲームホビープログラミングコンテストをやって。そこでチュンソフトの中村さんが発掘されるわけですけど。で、堀井さんもそれに『ラブマッチテニス』で入賞するじゃないですか。
(鳥嶋和彦)おっしゃる通り。
(渡辺範明)あれは、集英社でスポンサードというか、協賛するっていう?
(鳥嶋和彦)じゃなくて、始めりから言うとエニックスがパソコンソフトの流通がこれからお金になるだろうと。自動寿司握り機とかで失敗した後にそれをやるっていうことになって。
(宇内梨沙)昔は商社みたいな役割をしていたんですよね?(笑)。
(鳥嶋和彦)ところが、肝心の流通するソフトが日本にない。だったら賞金100万円で募集しようっていう考え方になって。で、千田さんがその出版社リストを持って、ひとつひとつ当たっていって。ずっと断られて、僕のところまでたどり着いたんですよ。で、僕はさっきも言ったようにいろいろゲームの特集をやっていて。新しい切り口がほしかったんで、それを聞いた瞬間に「ああ、いいですね。やります。独占でやらせてください。他にはもう持っていかないでください。ジャンプでやりますから」って言って。それがあって、そこで堀井さんがライターで取材して、ゲームを出品し……僕は知らなかったですけどね。で、高校生の中村さんが応募してきた。当時、天才ですよね。だってパソコン持ってないのにプログラムを応募したんですもんね。
(渡辺範明)そもそもだから鳥嶋さんと堀井さんの付き合いもゲームがきっかけで始まっているし。エニックスがゲームを作り始めたきっかけとしてのそのコンテストにも鳥嶋さんはもう既にかかわっていらっしゃるし。で、更にドラクエが成立して、ドラクエがあのメンバーでスタートしたのも鳥嶋さんがそこに鳥山先生を入れたからってことですよね?
(鳥嶋和彦)そうそうそう。
(渡辺範明)しかもそれが最終的にはジャンプの誌面の中に反映されていくために、そういう風に企画されたという。
(鳥嶋和彦)でもね、よく話をするんですけどね。あの時のあの情熱はどこから来てるか?っていうと、ゲームの面白さをやっぱりいろんな人に、子供たちにも知ってほしい。プレーしてほしいっていうね、なんかある種、新興宗教の布教じゃないけども。「こんなに面白いんだよ!」って。ぜひ座ってほしいなっていう、そういうところが根元の根っこにモチベーションとしてあった気がしますね。
(渡辺範明)まあこのシリーズの初回の時に、そのドラクエの成立に関する話っていうのは1回はしてるんですけど。やっぱりその『ドラゴンクエスト』ってその時点で作られる……RPGっていうものが日本の子供たちに全く知られてない中で、それを、全く新しい遊びを浸透させていくための手順としてすごく丁寧に誌面で「主人公の名前は自分でつけるんだぞ」とか、やってますよね?
(鳥嶋和彦)そうそうそう。それで実は堀井さんはセブンティーンでライターやっていて。ジャンプで僕と会ってライターをする前にね。で、セブンティーンで実は年末になると売れっ子になる。なぜかっていうと、堀井さんが作るすごろくがすごく読者に好評で。堀井さんのゲームのルーツってそのへんにあるんですよね。
(宇多丸)すごろくでも面白くしちゃうんですか!
(鳥嶋和彦)で、RPGをおっしゃるようにその概念がまだないんで。説明するのにすごろくから始めているんですよね。だからそこから初めてRPGを知ってもらう。で、やっぱり堀井さんとよく笑い話にしていたのはロールプレイングゲームってってアルファベットでRPGって書くけど、ジャンプは総ルビじゃないですか。ルビがちっちゃすぎて読めないんですよね。ロールプレイングゲームって。「これね、鳥嶋さん。なんとかならない?」「うーん、ジャンプは総ルビだから無理だよね」って。今だったら「RPG」で通じますけどもね。まあ、そんな時代でした。
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(渡辺範明)まあ、そういう形でドラクエ自体にも深く関わってらっしゃって。まあ、そのドラクエが国民的なRPGになっていくわけですけれども。一方で、このシリーズのもう1個の柱である『ファイナルファンタジー』についてはいかがですか?
『ファイナルファンタジー』
(鳥嶋和彦)ええとね、『ファイナルファンタジー』は……実は僕はずっとドラクエにかかわって。ドラクエが大好きで。日本で一番好きなゲームは『ドラゴンクエスト』。で、当時はその後から入ってきた新しいライター集団がいて。堀井さんの後を引き継いでゲームの特集をやってくれる人たちなんだけど。その中に『ダイの大冒険』の三条陸がいて。彼らとディスカッションになったことがあって。彼らはFFが大好きで。「FF3とドラクエ3、どちらが偉いか?」っていうディスカッションをして、勝負がつかなかったことがあって。
それで僕はやっぱり途中で挫折した『ファイナルファンタジー3』をもう1回、徹底的に最後までやったんですよ。そしたらね、作っているやつにいろいろと言いたくなって。で、Vジャンプ始める時に関わった広告代理店の人が「鳥嶋さん、ゲーム業界で誰かに会いたい人いますか?」って言って。「今だったら『ファイナルファンタジー』を作ったら坂口かな?」って。それで来てもらって。で、坂口の記憶によると「広い会議室にぽつんと鳥嶋が1人でいて。で、徹底的にその『ファイナルファンタジー』の悪口を言われた」って。
(渡辺範明)呼びつけられて(笑)。
(鳥嶋和彦)そう。「呼びつけられてこんなに悪口言われて、何なのかな? でも、家に帰ってよくよく考えてみたら、言われてることも一理あるな。これだったらもう1回会って、もっとじっくり話を聞いてもいいかもしれない」っていう。それで坂口とそこから週1回、飲んでいろいろ話をするっていうのが始まって。
(渡辺範明)それがVジャンプが創刊する頃の話ですか?
(鳥嶋和彦)ちょっと前ですね。
(渡辺範明)ちなみにダメ出しってどういうダメ出しちゃったんですか?
(鳥嶋和彦)あのね、FF3をやったことがある人ならわかると思うですけど。ダンジョンに入ったら、すごく難しいダンジョンなんですけど。セーブポイントがないんですよ。で、死んだらもう1回、最初からなんです。そういうところとか、あと最後の敵キャラがね、魅力的じゃないですよね。だからこんなやつ倒しても全然カタルシスがないじゃんって。
(渡辺範明)抽象的な敵ですもんね。あんまり人格のあるようなものじゃなくて。
(鳥嶋和彦)やっぱり僕は漫画編集なんで。キャラクターっていうことについて、やっぱり読者にいかに思い入れしてもらうかってことが大事だから……という話をした覚えがありますね。ユーザーフレンドリーじゃないっていう。
(渡辺範明)あれですかね。ちょっと独りよがりなところがあるというような表し方もされてましたよね? で、まあそういうような感じで坂口さんには当時のFFに関して、すごくダメ出しをされた鳥嶋さんが、でも同じ頃に……今、ここにその創刊当時のVジャンプがありますけど。やっぱりこの中ではFF5はすごくプッシュされているように見えるんですけど。この時はそのFF5に対してはどういう風に思われていたんですか?
(鳥嶋和彦)いや、もう僕らが関わったから最高でしょう? 坂口もいろいろ改心して作り上げたから。だから『4』を作った時に、付き合い始めた頃が『4』の途中だったんですね。で、「ジャンプで取り上げてほしい」っていうので編集部でやってたら、編集部員がやってきて。「なになに? 新しいドラクエ?」って。それでドラクエじゃないってわかった瞬間、みんな「なーんだ」って言って帰っていって。坂口はそれですごく傷ついたっていう。
(渡辺範明)これは本当、坂口さんのトラウマ話としてよく語られていますね。
(鳥嶋和彦)でも『5』はそういう意味では最初から、構想の時からもう話を聞いていて。一緒に積み上げていってやって。
(渡辺範明)なるほど。実際に『5』って僕らもユーザーとして遊んでいた中で、『4』まではFFってどっちかと言うとすごく寂しげなムードで。まあ、それはそれで物悲しさが好きな人は好きなんですけど。『5』はなんかすごくちょっと陽性な作りっていうか。ポジティブな感じで。ちょっと少年漫画的なノリがあるなという風に思ってたんですけど。
(鳥嶋和彦)それは当初ね、ドラクエと違ってね。やっぱり鳥山さんの絵に当たるものがないから、反響がなくて。坂口はすごく落ち込んで。で、分析した結果、やっぱり開発途中のものを中途半端に見せてもしょうがないんですよね。で、ディスカッションして。いわゆる今で言う、宣伝スチールを作ったんですよ。もう完成の、リリースをした時に「こういう画面になる」っていう画面を作り込んでもらって。それを紹介する。そこに向かってゲーム作り込んでもらうっていうね。だからもう完成品を途中でピックアップして見せるという方向になってから、ようやく反響が。
(渡辺範明)それがFF5。
(鳥嶋和彦)だからそこのあたりから、ゲームの記事の見せ方もちょっと変わっていったと思います。
(渡辺範明)で、ここで今回のようやく本題である『クロノ・トリガー』の話になるんですけど。『クロノ・トリガー』はまさにそういう感じで、Vジャンプ誌上で最初に鳥山先生のイメージビジュアルをイラストとして見せていくっていうところから始まってますよね? それにターゲットを絞ってゲームを構成していくっていう、割と今のこのハリウッド映画とかの作り方にちょっと近いなって思うんですけど。それを提案されたのも鳥嶋さんですか?
(鳥嶋和彦)まあ、坂口と話をして。それをもう1歩、押し進めようと。坂口さんおよび、当時スクウェアは「鳥山さんの自由な発想と絵がほしい。こちらが『こういうものを書いてくれ』っていうのではやっぱり発想が飛ばないから。おおよその『こういうシーンです』っていうラフな文字情報を読んでもらって。それで発想するものを自由に書いてもらって。それに向かってゲームを作りますから」っていう。
(宇多丸)ハリウッド映画で言うところのイメージボードみたいな。なるほど。
(鳥嶋和彦)だからだからそういう意味では当時、鳥山さんの本当にベストの絵ですよね。ご本人には悪いけど、今はあの絵は絶対に描けない。
(渡辺範明)まあ、でもそのイメージをすごく広げてくれる絵ですもんね。『クロノ・トリガー』のプロジェクト自体は言いだしっぺっていう意味だと、どなたになるんですか?
<書き起こしおわり>
鳥嶋和彦『クロノ・トリガー』とVジャンプを語る
元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦さんが2021年11月18日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』にゲスト出演。傑作RPG『クロノ・トリガー』とVジャンプについて話していました。
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2021.11.20
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ithiroki · 3 years
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Dozens in Taiwan Change Their Name to "Salmon" to Get Free Sushi
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Dozens of people in Taiwan changed their names to "salmon" in order to take advantage of a promotion being offered by a popular sushi chain.
According to Taipei Times, Japanese chain Akindo had offered free meals to anyone with identification proving the strange moniker. The paper reported on Thursday that at least 28 people had claimed a free meal.
The Taipei Department of Civil Affairs said that on the morning of the promotion, at least 20 people had applied for a new identification card and household registration certificate, which costs NT$80 (about $3 USD).
The paper interviewed several people that had changed their names for the sushi deal, including "Kuo Salmon Rice Bowl," who said she would change her name back after she treated her friends to a meal at the restaurant.
Last year, Joan Román, a former Manchester City football player, legally changed his name to Goku in honor of the fictional Dragon Ball-Z character.
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ithiroki · 3 years
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小袋成彬 2020年の振り返りと「新しい価値観」を語る
小袋成彬さんが2020年12月11日放送のJ-WAVE『Flip Side Planet』の中で激動の2020年を振り返り。「新しい価値観」について話していました。
今夜のFlip Side Planetは 約半年振りのトークラジオ🗣
小袋成彬が2020年を振り返り、 FSPのこれからについて話します。
番組のご意見•ご感想は #FSP にて お待ち��ております🎶
25:30-26:00https://t.co/rz8WeXY5pZ
— Flip Side Planet🪐 (@flipsideplanet) December 11, 2020
(小袋成彬)Welcome to Flip Side Planet. 盤面の向こう側、音楽の惑星フリップサイド・プラネットへようこそ。今夜の『Flip Side Planet』は私、ナリアキの1人しゃべりでお送りします。もう半年以上しゃべってない気がして。それでまあ年末だし。時事問題も取り上げながら、自分の考えをちょっとシェアする回を作りたいなと思って今日はこういう形です。まあ曲も3曲ぐらいかけようかなと思ってますので、ぜひぜひチェックしてみてください。一番ね、聞きたかったこと。『Flip Side Planet』、いかがでしょうか? 皆さんがどう思ってるか、ぜひTwitterに感想を送ってください。 このスタイルを取ってからもう半年以上が経っている気がしますが。明らかにコミュニティーが活性化したような気がします。『Music Hub』時代に見えなかったリスナーがどんどん見えてきて。いいコミュニティーになっている気がします。最初はね、このラジオは2016年に『Music Hub』っていう名前で始まりまして。新譜をかけながら、その新譜についてうんちくを話すスタイルだったんですけど。どうも自分でしっくり来ていなくて。
批評的になっちゃうのがすごく嫌なのと、「新しい」っていうことに価値を置くことが今の時代にどれだけ無意味なんだろうっていうの思ったんですよ。あのね、Spotifyが発表してるチャートがあって。縦軸が新譜のリリース数。横軸が時間軸なんですけど。2016年までは割と低空飛行なグラフが続いてるんですが、2016年からもう直上。真上に90度ボーンと上がってるようなグラフで。僕、衝撃だったんですよ。
もう誰でもパソコンで音楽作れる時代だし。誰でもすぐに即日発表できる時代ですから。今、「新譜を聞く」っていうことよりも、もっと大事な価値があるはずだと。まあ、最初からそうだったんだけども。それをどうにかラジオでうまく体現できないかな?っていうのを考えながら運営していました。
なんかね、新譜ばっかりやるのって……そういう役割ってあんまり凡百のメディアと大差ないというか、俺がやることじゃないなって思いまして。じゃあ、ラジオの地の利を生かしたことってなんだろう?ってずっと考えてたんですけど。ある日、Holy Hiveっていうブルックリンのスリーピースバンドのアルバムをフルでかけたんですよ。そしたら結構好評で。「ああ、そうだよな。今、音楽をフルで流してくれるメディアってあんまりないよな」って僕、ミュージシャンとしてそう思うんですよ。
今、音楽をフルで流してくれるメディアがあまりない
我々ミュージシャンは曲を作った後、「ラジオエディット」というものを作ることが多くて。大抵はね、短くなるんですよ。自分がせっかく作った曲がね、1分半ぐらいにまとめられちゃって。なんかね、まあいい気分はしないんですけど。そうならない方がいいよねって思ったり。あとは、YouTubeんでね、リアクション動画ってあるんですよ。新譜が出たらみんなでそれを聞いて。その反応をカメラに収めて発表するみたいな。
ただね、権利上の問題で全曲、聞けないんですよね。もちろん。動画に貼れないんですよ。でも、ラジオだったらどんな曲もフルで流せるし。現代だからこそ、割とそれは新鮮な形なんじゃないかなって。つまり、音楽を聞くことにフォーカスした番組作りをしたいなと思ってこんなラジオになりました。皆さん、どう思いますでしょうか? そう。今年の夏ぐらいかな? もうコンセプトは決まったので、名前を1ヶ月ぐらい長考してたんですけど。
その当時、日本で自分の会社の採用試験があって。で、埼京線でその会場に向かってる途中にぱっと思いついて。「おっ、フリップサイド・プラネット……盤面の向こう側。その2次元の盤面をめぐった裏にある素敵な音楽の3次元の世界」っていう。まあ、そんなイメージですね。で、音楽フリークのダンちゃんをつかまえて今、一緒に運営をしています。まあね、もっといいコミュニティーにしていきたいし、ゆくゆくはライブの主催とか、イベントオーガナイズ。今までにないような斬新な企画を皆さんにお届けしたいし。なにより、素敵なコミュニティーになるように毎日微調整してるので、来年も乞うご期待ということで。
もっとね、僕の出番は少なくなっていくような気がしますが。僕が行きたくなるような理想のコミュニティーを目指しているので、ぜひぜひ皆さんのサポートを。そして、積極的な参加を僕は待っています。今後ともよろしくお願いします。ということで、曲をかけようかな? 『Can We Pretend』。ビル・ウィザースです。
Bill Withers『Can We Pretend』
youtube
(小袋成彬)今年の大事件と言えば、もちろんコロナウイルスですよね。4月あたりにロックダウンした時は1ヶ月、1人で自宅にこもってましたけど。いやー、自分を見つめ直すいいきっかけになりました。本当にね、あの時、何かちょっと心がずっとモヤモヤしていて。なぜかというと、同業のミュージシャンだとかまあ、面に立つ人たちがちょっと安易な政権批判とか、問題を単純化してあおっていくような感じがどうも僕はすごく苦手で。
それ自体はね、別に本人が強い意思を持ってやってるんだけども。「俺はそうじゃないな。でも、逆に俺の存在って何なんだろう?」っていうものをずっと考えてました。で、その時にね、「新時代」っていうエッセイを書いたんです。noteっていうウェブサービスに全文を掲載してますので、ぜひぜひ見てみてください。
Nariaki「新時代」
新時代|Nariaki #note https://t.co/mjdsMAGLDW
— みやーんZZ (@miyearnzz) December 13, 2020
(小袋成彬)何を書いたかっていうと、若い世代の我々しか持っていない武器がある。我々しか持っていない武器……それは「新しい価値観」であるというエッセイです。若者世代……「バブル以降に生まれた人」を僕は指していますけど。人口ピラミッドを見る限りね、僕らが政治っていう手段で日本を変えるっていうのはもうハードモードなんですよ。無理なんですよ。票田じゃないし、力はないし、シルバー民主主義だし。でも、私たちは新しい価値観を持っている。それは一体何かというと、今まさに日本で起きていること。
たとえば「ハンコっていらなくね? なんでわざわざ外に出て、ハンコを押すためだけに出社するんだろう?」とか。あるいは副業。「もっと自由に社会にコミットして自分でビジネスやってもいいじゃないか。もっと収入の口を増やしてもいいじゃないか」っていう考え方に皆さん変わりましたよね。なんかパラダイムシフトが起こったような気がしています。まさにこれが新しい価値観が時代をリードしていく分岐点だったと思っています。
で、新しい価値観ってね、本当に政治の世界とは違って多数・少数がない。たった1人の価値観が世界を変える。これがフレッシュな我々が持っている圧倒的な武器。さて、これをどう使うか? 本当の変化にするにはどうするべきか? それは自分の価値観に則って行動することです。
たとえば上司よりも早く仕事をして、サッと帰る。今まではできなかったけど。これがまさに今の現実を変えていく。よりよい世界を作っていくっていうことなのだと思ってますね。そう。1人ひとりのそういう小さな力が時代を作っていくっていうことを私はどうしてもみんなに言いたかったし。それがすごい武器なんだよっていうことを文章にして伝えたかった。
小袋成彬「新しい価値観」の重要性を語る
小袋成彬さんが2020年5月8日放送のJ-WAVE『MUSIC HUB』の中で自身がnoteで発表した「新時代」というエッセイについてトーク。新しい価値観の重要性について話していました。
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2020.05.09
そういえばね、最近いい動画を見つけたんですよ。地球の歴史の動画。原始宇宙で地球はどうなって誕生して……生命がいつ、どこでどのように誕生したのか?っていうのを最先端の生命科学。あるいは有機化学、地質学……いろんなものを統合しながらCGでわかりやすく説明する教育ビデオで。国立遺伝学研究所のチームとか天文学者とか。そういう人たちからなる研究チームが作った教育系ビデオで。でね、なんか文科省の補助金で作ってるビデオらしくて。しかもね、リミックスOKっていうクレジット表記がなされているんですよ。なので僕は好きな音楽ををつけてYouTubeに上げてます。ぜひあの見てみてください。価値観が変わります。
地球全史 【2020年版】ANTS HOUSE Ver.
youtube
これね、本当にもう……俺も自分で編集したから10回以上は見てるんだけど。ぜひ皆さんにも見てほしいなと思ってます。人類代がね、地球の歴史において本当に一部でしかないっていうことは皆さんもわかってると思うんですけど。それがより強く理解できます。そして僕がすごい面白いなと思ったのは、その地球上の生命っていうのはあらゆるスケールの宇宙の出来事と繋がってるんですよ。
たとえば恐竜っていうのが昔、いて。その時に僕らの地球……太陽系は天の川銀河に属してるんですけど。そこを太陽系自体が公転してるんですよ。で、その公転している途中でネビュラ……暗黒星雲。ガスの星雲に衝突して。それでね、地球が雲に覆われてしまうんですよ。そうすると、太陽の光が届かなくなっちゃって寒冷化が始まります。で、どんどんどんどん生命が絶滅の危機に瀕していくんですけど。6600万年前ぐらいにユカタン半島に隕石がボーン!って落ちて。アメリカにね、300メートル級の津波が押し寄せたっていう話もありますが。
それでね、ついに1億年続いた恐竜は絶滅しています。その頃ね、我々は何をしてたかというと、まだ草むらの陰にこっそりと隠れているような、ネズミみたいな存在だったんですよ。でも、その寒冷化して大雪が降っている地球に横たわる我々の祖先、哺乳類に宇宙線っていうものが降り注いで。それがね、DNAに突然変異を起こしてなんやかんやで我々は人になっていくという。
ちなみにこの動画はですね、現代までじゃなくて、それ以降も描いています。つまり人類代の終焉と地球が消滅するシナリオを見事に描いています。で、あのね、動画の最後は結構衝撃的で。自己複製を可能にしたロボットが地球から脱出を試みて。その安息の地を求めてね、宇宙の彼方に飛び立っていくシーンでフィナーレを迎えるんですよ。「何を言ってんの?」って思うかもしれないですけど、僕は全然驚きはなくて。
だってね、今はもう人工知能を想像して、科学の力で意識とか感情を再現するまでに至っちゃったから。なんだろう? 本当、『攻殻機動隊』じゃないけど、肉体は朽ちても意識は残るみたいな世界って全然あり得るよなって思ってます。むしろ、人類の役割ってそういう宇宙の無機質なマテリアル……水素、ヘリウム、酸素、鉄。そういうものをバッとコンバインして、感情とか意識とかっていうものを作り出したっていう役割に過ぎないのかもしれないって思っちゃいますよね。というか、もはや俺はそう思っちゃっている。それが人類が果たした役割だったという。
次の革命が起こるのは……
あ、ごめんなさい。だいぶ脱線しましたけど。つまり、何が言いたかったかというと、地球の46億年のうち、我々は数千年で農業を革命して。産業を革命して。情報を革命して。次々と成し遂げて、豊かさを手に入れて。今ね、歴史上初めて、考え方を変えなきゃいけないフェーズに来たと思ってます。そう。だからね、次の革命はクーデターとか戦争じゃなくて、我々の脳内で起こるべきだなと思います。この考え方の革命っていうのはね、僕はパソコンのソフトウェアアップデートだと思ってるんですよ。まあ、僕にはプランがある。後半、お楽しみ。
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ithiroki · 3 years
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Liked on YouTube: レペゼン地球が解散する本当の理由【これが最後の動画です】
レペゼン地球が解散する本当の理由【これが最後の動画です】 レペゼン地球の最初で最後のクラウドファウンディングです。 ご協力頂けたら最高に嬉しいです。 https://ift.tt/2U9IyvH レペゼン地球70th『博多Life』 https://youtu.be/KUQfc4P0Rr8 レペゼン地球 解散ライブ in 福岡PayPayドーム 詳細 https://ift.tt/3jTtRqN via YouTube https://www.youtube.com/watch?v=gMLLNXh4XMI
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ithiroki · 3 years
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宇多丸 フィロソフィーのダンス『ドント・ストップ・ザ・ダンス』を語る
宇多丸さんが2020年10月29日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でフィロソフィーのダンス『ドント・ストップ・ザ・ダンス』を紹介していました。
(宇多丸)じゃあ、残りの時間を使って今月の一番の目玉をかけたいと思います。何かと言いますと、フィロソフィーのダンス。フィロソフィーのダンス、2015年のデビュー以来、5年経っているんですけども。もうファンク・ディスコ路線というか。僕らが一番の大好物の……。
(森田秀一)大好きな。マブ論の一番の定番ですよね。
(宇多丸)そのど真ん中のところをちゃんと突いてきてくれて。ライブパフォーマンスを素晴らしいし。しかも路線がぶれずにやってきて本当に素晴らしいグループなんですが。そのフィロソフィーのダンス、メジャーデビューのタイミングで今回、シングルを出した。
ただ、ちょっとひとつ「大丈夫かな?」と思ったのが、今まで楽曲を全部手がけてきたチーム。宮野弦士さんとヤマモトショウさんのチームがこのフィロソフィーのダンスをプロジェクトからは離れるということをもうすでにアナウンスしていたんですね。円満にということらしいですけども。でも、それでやっぱりメジャーデビューのタイミングでちょっと路線が変わっちゃったとかさ。
(森田秀一)そうですね。なんかレコード会社の意向が入っちゃうとかだと、ちょっと不安だなみたいなのはみんな思ってたはずなんですよね。
(宇多丸)ちょっとブレちゃったみたいなのだと怖いなって危惧をしていたんだけども。この曲が、要は今までの宮野弦士さんとヤマモトショウさんが築いてきた音楽的路線というのに完全なリスペクトを払っていて。これがフィロソフィーのダンスのまさにフィロソフィーだっていうのを1曲に……音も曲もそうだし、アレンジもそうだし、歌詞もそうだし。全部詰め込んだ、途轍もない密度の曲が出てきちゃったんだよね。
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(森田秀一)これはアンセムを作りに来たって感じですよね。
(宇多丸)だから俺らの言葉で言��ところの「ホームランを打て」っていうね(笑)。「監督、そのサインはなんですか?」「ホームランを打て!」っていう(笑)。
(森田秀一)だからこれ、RHYMESTERで言ったら『B-BOYイズム』が出た時みたいな。本当にそういうテンション感だと思います。
(宇多丸)もしくは『Once Again』とかね。これ、作曲のクレジットが読めないんだけど。mrmrさんという方。で、編曲が佐々木聡作さんとmrmrさん。この2人がたぶん中心になって曲を作って。なおかつ、作詞はヒャダインこと前山田健一さん。
(森田秀一)これがわかってらっしゃるというか。
(宇多丸)これ、加茂啓太郎さんというプロデューサーの方がやっぱりそのインタビューとかでも「ヒャダイン人さんはメタな歌詞、その時その時のアーティストの状況を読み込んだ歌詞というのを作るのが得意だから、このタイミングでお願いした」ということで。この曲、ぜひ歌詞も……曲も素晴らしいし、歌詞との相乗効果で熱いんだけど。
要はフィロソフィーのダンスが5年間、アイドルとしてやってきたその矜持。誰にも譲らずに自分たちのスタイルを貫いてきたというその誇りと、それが同時にその現代の女性たちへのエンパワーメントっていうか、鼓舞するような曲。たとえば、「賞味期限 全時代の概念 最新の自分、誇れ」とか。あと、俺がないちゃうのはやっぱり「弱点よ 武器になれ」とか。もうかっけー!っていう。歌詞の熱さと曲の熱さと……。
(森田秀一)あと、そのボーカルの高らかに歌う感じが……。
(宇多丸)だんだんと熱が上がっていく構造になっていて。俺、曲を聞いていてあまりのかっこよさと熱さに泣いちゃうみたいな。もう煉獄さんみたいな熱さを持った曲なので、ぜひお聞きいただきたいと思います。まずはオリジナルバージョン。フィロソフィーのダンスで『ドント・ストップ・ザ・ダンス』。
フィロソフィーのダンス『ドント・ストップ・ザ・ダンス』
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(宇多丸)はい。ということでフィロソフィーのダンスメジャーデビューシングル『ドント・ストップ・ザ・ダンス』を聞いていただいております。
(森田秀一)すごいですね!
(宇多丸)最後の方までグワーッと。宇内さん、いかがですか?
(宇内梨沙)いや、自己肯定感爆上がりソング。
(宇多丸)しかもメンバー4人それぞれのキャラクターがパートごとに歌っている曲の歌詞とかもそれぞれに合ったテンションだったりして。だからシスターフッド物でもあり……みたいな。マジで上がるんで。最高なんですよ。で、皆さん、ぜひここでお聞きいただきたいのはこのシングル、他の収録曲もいいんです。ONIGAWARAとの曲とかもすごくいいんだけども。実はこのリミックスというか、別バージョンが入っていて。やってるのがDEZOLVEという若手フュージョンバンド。これ、この番組でフュージョン特集をやった時に解説をしていただいた方々なんですが。このDEZOLVEというグループはこの番組のADの山添くんがとにかく音楽に詳しくて。それでフュージョン特集をやりたいっていうことでDEZOLVEのメンバーを呼んできたじゃないですか。で、プロデューサーの加茂啓太郎さんがこの番組のそのDEZOLVEが出たフュージョン特集を聞いて、lその別バージョンにDEZOLVEを呼んできたっていうことらしいですよ。
(森田秀一)すごいですよね。アトロクが生んだ奇跡ですよね。
(宇多丸)「アトロクが」っていうかゾエが生んだんですよ。ゾエ、マジでやったな!っていうことで。しかもゾエにその話をしたら「ええーっ?」みたいな。マスオさんみたいな驚き方をしていて。ということで、ぜひバージョンも聞いていただきたいと思います。フィロソフィーのダンス『ドント・ストップ・ザ・ダンス with DEZOLVE』。 フィロソフィーのダンス『ドント・ストップ・ザ・ダンス with DEZOLVE』
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(宇多丸)はい。ということでまだまだ……このテンションが全編に続くっていう。もう演奏のテクと圧。これぞDEZOLVE!っていうかね。フュージョン、最高!っていうね(笑)。
(森田秀一)しかもフィロソフィーのダンスのボーカルも結構圧がすごいじゃないですか。
(宇多丸)だから圧と圧だし。すごくない、これ?
(宇内梨沙)こっちの方が好きかも。すごくいい!
(宇多丸)しかもこれ、生で……DEZOLVEの生演奏で見たりしたらヤバくない? しょんべんちびりそうですよ、これ! ということで、フィロソフィーのダンス。メジャーデビューシングル、体制が変わったりして大変だとは思いますが、どっこい放ったホームランという感じで。
(森田秀一)本当、ホームランが出ました。デカい特大ホームランでした。
<書き起こしおわり>
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ithiroki · 3 years
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カルロスひろし/ 聞こえるか?僕の新しい歌が。 by GOLDFISH_KAWASAKI https://ift.tt/3jBVchd
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カルロスひろし&やなぎトライブ / 青夏 by GOLDFISH_KAWASAKI https://ift.tt/34zVfpp
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カルロスひろし / 会えなかった時間を今夜取り戻したいのです by GOLDFISH_KAWASAKI https://ift.tt/31OvL66
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ithiroki · 4 years
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Ancient Methods — #YOUCANSTILLLISTEN Mix Series #19 by Mixmag Turkey https://ift.tt/3hZTcOY
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ithiroki · 4 years
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町山智浩と宇多丸 ドラマ版『ウォッチメン』を語る
町山智浩さんが2020年9月28日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。ドラマ版『ウォッチメン』が描く現代アメリカ社会について、宇多丸さんと話していました。
(宇多丸)今日の特集はエンタメは時代を映す鏡だ。トランプ政権とBlack Lives Matterのアメリカを映したドラマ特集ということで、映画評論家の町山智浩さんにトランプ政権、そしてBlack Lives Matterデモが盛り上がって……「盛り上がって」というのをさらに超えて、ちょっと大変なことになってるというお話、さっき伺いましたけど。現在の状況、影響が大きいドラマを通してアメリカの今というものを解説していただきます。町山さん、よろしくお願いします。
(町山智浩)よろしくお願いします。
(宇多丸)ではここから本編です。現代アメリカを映したドラマ、まず1本目はなんでしょうか?
(町山智浩)はい。フィクションが現実を動かした。ドラマ版『ウォッチメン』です。
(宇多丸)はい。『ウォッチメン』、この番組でもちょいちょい話題にしたりしていましたけども。改めてドラマ版『ウォッチメン』、どんな作品なのか。熊崎くんからご紹介をお願いします。
(熊崎風斗)アラン・ムーアの傑作グラフィックノベル『ウォッチメン』を原作としました全9話のテレビドラマです。舞台は原作の『ウォッチメン』から34年後です。架空の歴史をめぐり、ロバート・レッドフォードがアメリカ合衆国の大統領となっているアメリカです。かつて大虐殺が行われたオクラホマ州タルサでは第7騎兵隊と呼ばれる白人至上主義団体と、彼らに対抗する覆面の警察たちの戦いが激化しているという状況です。
そんな中、シスター・ナイトという名前でヒーロー活動をするアンジェラ・エイバー刑事は友人であり上司のジャッド・クロフォード署長の殺人事件を捜査していきます。先日、発表されました第72回プライムタイム・エミー賞ではリミテッドシリーズ作品賞やレジーナ・キングの主演女優賞など11部門で最多受賞を果たしました。日本では各種動画配信サービスにて配信中。さらにDVD・ブルーレイのコンプリートボックスも発売中です。
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(宇多丸)ということで『ウォッチメン』。元のアラン・ムーアのグラフィックノベルのその後の世界というか。それを描いたわけですけど。まさにこれが今の世相をずばり反映した作品であると。この評価の高さももちろんそういう部分なんでしょうけど。
(町山智浩)そうですね。Black Lives Matterっていうのは実は2016年ぐらいからずっと続いているんですよ。映画で『フルートベール駅で』っていう作品がありましたよね。ライアン・クーグラーの。あの事件が一番最初で、さらにもっと前なんですよ。
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で(町山智浩)、Black Lives Matterっていう名前が始まったのは2016年の大統領選あたりからなんですね。だからこれはそれと並行して作られた作品なんで。デイモン・リンデロフというこのクリエイターがもう全然原作と離れて、今のアメリカをスーパーヒーロー物の中に無理やりぶち込もうとしてて。ただこれ、そのまま反映しているんじゃなくて、全く裏返しに反映しているという。
(宇多丸)「裏返しに反映」?
現在のアメリカを裏返しに反映する
(町山智浩)だから一番冒頭のシーンが黒人警官が白人至上主義者に射殺されるところから始まるんですよ。でも、これ現実に起こってBlack Lives Matterの人たちが抗議しているのは、白人警官が黒人を殺すっていうことですよね。裏返っているんですよ。で、どうして裏返ってるかというと、1980年代にアメリカではレーガン政権ができて。レーガン大統領が保守回帰というのを始めたんですね。で、白人至上主義者の人たちは「レーガンに戻ろう」と言っていて。ところが、この『ウォッチメン』の世界だとレーガン政権がなかったことになっているんですよ。
(宇多丸)要するに、もっとその前から、ニクソン政権がもっと成功しちゃってる状態のパラレルワールドだからっていう?
(町山智浩)そうなんです。で、オジマンディアスというお金とすごい頭脳があるスーパーヒーローが……。
(宇多丸)まあ世界で最も能力が高い、人間の最上級みたいなやつが(笑)。
(町山智浩)そうそう。その彼がお金の力を使って俳優のロバート・レッドフォードを大統領にしちゃって。レーガン政権がなくて、保守回帰しないで、さらにリベラルな社会になっているという状態なんですね。
(宇多丸)そうか。ニクソンの後にレッドフォード大統領になって。しかも、そういうのがあってもおかしくなさそうだって思わせるあたりがレッドフォードですね。
(町山智浩)そうなんですよ。で、レッドフォードがずっと何期も大統領をやっていて。その間、ずっとアメリカにとってはやらなければならやらない宿題となっていた「黒人への賠償」までやり始めてるという状態なんですね。要するに、黒人たちを奴隷にしていたことに対する賠償というものをアメリカはまだしていないんですけど。
(宇多丸)今現在では空手形になってしまっている賠償を。
町山智浩 ドラマ『ウォッチメン』を語る https://t.co/BXdvKtDX8k (町山智浩)ずっとね、南北戦争の時に「黒人を奴隷にしていたことに対する賠償をする」って言っていたんですけども、南北戦争で北軍が勝った後にも実際には賠償はされなかったんですよ。
— みやーんZZ (@miyearnzz) September 29, 2020
(町山智浩)そうです。で、じゃあそれで世の中はよくなってるかっていうと、そうじゃなくて。それでいられなくなった白人至上主義者の人たちが地下に潜って、そのネットワークを警察内部に作っていたっていうことがだんだん分かってくるんですよ。でもそれって今、アメリカで本当に起こっていることなんですよ。
(宇多丸)えっ! その「警察内部で……」っていうやつですか?
(町山智浩)警察内部に白人至上主義者がかなり入り込んでいて。そのワッペンとかをしているのが次々と発見されているんですよ。
(宇多丸)えっ? 秘密結社みたいな……要するに思想信条としてそっちに触れ気味とかそういう問題じゃなくて、もう結社化している?
(町山智浩)まあ「結社」とまではいっていないですけども。白人至上主義だったりトランプ大統領を支持したりする人たちが作っている独特のワッペンみたいなものがあるんですよね。そういうものを付けてる人がデモ隊鎮圧に参加してたりするのが発見されたり。
(宇多丸)なるほど。でもそれは気持ち悪いな。
(町山智浩)気持ち悪いですよ。ドイツなんかもすごく問題になっていて。ネオナチが軍隊とか警察の中に入ってるのが摘発されたりしてますけど。だからそのアメリカで今、Black Lives Matterの人たちが言っている「警察解体」っていう言葉があるんですね。「Refund the Police」っていうのは警察内部の組合が秘密結社化しちゃって。で、だから警察官が不祥事を起こしても起訴されないのはそのせいなんですよ。
(宇多丸)結構な、我々から見ても「えっ?」っていうようなことをやって。「これはさすがに罪に問われるだろう、やりすぎだろう」って思うようなやつも案外、軽い処分で……昔からそうですよね。ロドニー・キングの裁判とかもそうだけど。「あれ?」ってなってしまうのにははっきりとした理由がひとつあったということですかね?
(町山智浩)そうなんです。警察組合がものすごくお金のある巨大組織になっちゃっていて。警察官は給料からかならず、組合費を出すようになってますから。それで弁護士とかも雇って、次々と警察官を起訴できないような法案を通過させたりとかしてるんですよ。
(宇多丸)へー! 怖い。それこそ、ウォッチメンをウォッチする人がいなくなるような状態?
(町山智浩)そうそう! その通り! それ、俺が言おうとしていた……(笑)。
(宇多丸)フフフ、失礼こきました(笑)。でも『ウォッチメン』の話をしているからしょうがないよ。誰がウォッチメンを見張るのか?っていうね。
(町山智浩)そうそう。警察官っていうのはウォッチメンなんですけども。それを見張る人がいなくなってしまっているというのがアメリカの状況なんですよ。だからすごいドラマなんですね。
(宇多丸)で、元々の『ウォッチメン』が冷戦下だったのを今のすごくリアルな現在進行形の問題っていうところにちゃんと置き換えてやったというのが今回のドラマですもんね。
(町山智浩)そうですね。それでもうひとつはね、歴史からずっと抹殺されていた黒人虐殺事件を掘り起こしてるんですよ。この『ウォッチメン』は。ドラマの軸になってるのが1921年にオクラホマ州タルサで起こった黒人虐殺事件なんですね。これはそのタルサっていう開拓地の街で、要するに南部で奴隷だった黒人たちが解放されて、その人たちがそこに移り住んでビジネスをして大成功をして、お金持ちになったんですよ。それに対して嫉妬した白人たちがその黒人ビジネス街を襲撃して。火をつけて……これ、すごいのはこの『ウォッチメン』で初めて映像化して描かれるんですけども。マシンガンとかを使っているんですよ。
(宇多丸)ねえ。あと、飛行機から掃射したりしていましたよね。
(町山智浩)飛行機から爆弾を落として。それで街を全部焼き払って、それで死体も全部埋めちゃって。それでなかったことになっていたんですよ。その街自体が。
(宇多丸)ああ、完全隠蔽しちゃったんだ。でも結構な規模ですよね? その黒人のウォール街と言われていたグリーンウッドって。
(町山智浩)もう200人から300人殺されてるんですけど。ただ誰も裁かれてないんです。これをやった人たちは。
(宇多丸)これはアメリカ国内でもあんまり取り沙汰されてこなかった歴史ということですか?
隠蔽されたタルサ黒人虐殺事件
(町山智浩)そうなんです。もうひとつ、ローズウッド虐殺事件と並んで、これはもうアメリカの知られざる歴史だったんですけども。今回の『ウォッチメン』というドラマはまずそこから始まって、そこに帰っていくという。「白人至上主義者の黒人に対する暴力っていうのはもう今も続いているんだ」という話になっていて。で、これで知らなかった人たちはみんな初めて、そのタルサ大虐殺を知ったんですけども。それで6月に大規模な追悼が現地で行われるはずだったんですね。6月19日に。で、それにトランプ大統領はなんと自分の政治集会をぶつけてきたんですよ。
(宇多丸)よりによって……。
(町山智浩)トランプさんの政治集会っていうのはその地域の白人至上主義者がいっぱい集まるんですよ。
(宇多丸)もうさ、それが公然と……っていうのもすごい話だけど。
(町山智浩)それを黒人虐殺の追悼の日にぶつけてきたんですよ。
(宇多丸)それはトランプ側としては分かった上での嫌がらせチックなことなんでしょうか?
(町山智浩)トランプさんは「いや、知らなかった。ごめん」って言って翌日に延ばしたんですけども。
(宇多丸)翌日っていっても……。
(町山智浩)「翌日」っていうのもあれだし、「知らなかった」っていうのも問題で。あのね、「黒人のシークレットサービス、ボディガードに教えてもらった」って言ってましたよ。
(宇多丸)それ、すごいな……。まあ、でもね、「知らなかった、ごめん」って言って。それで実際にやったんですか?
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(町山智浩)翌日にやりましたね。マスクなしで。それでタルサ市は「来ないでくれ」って言ったんですよ。なぜなら、トランプさんが集会をやると、マスクしない人が一斉に集まって来るから。
(宇多丸)ああ、そうか。新型コロナウイルスの感染が……嫌なGoToキャンペーンみたいになっちゃうから。だから「来ないで」って。
(町山智浩)「感染者が爆発するから来ないでくれ」って言ったんですけども、まあ集会をやって。それでトランプ大統領の支持者だった人がそこに来て、感染してなくなりましたね。ハーマン・ケインっていう実業家の人が。
米実業家ハーマン・ケイン氏死去 トランプ集会参加後、コロナ感染:時事ドットコム https://t.co/PnFwK3EXye @jijicomより
— みやーんZZ (@miyearnzz) September 29, 2020
(熊崎風斗)ええっ!
(町山智浩)すごいですよ。自分の支持者を感染させて殺しちゃったんですよ。トランプ大統領。ただね、この『ウォッチメン』のおかげでいろいろと、そのタルサのことが注目されただけじゃなくて、その埋められた人たちを発掘する作業がもう始まっています。
(宇多丸)そうか。やっぱりそういうところから出てきたりするんですか?
(町山智浩)出てきてますね。で、もちろんその遺族の人たちに賠償するというのもずっとタルサ市が続けてるんですよ。これ、『ウォッチメン』の中にも出てきますよね。遺族の人に賠償をする制度が。だからそういう形で現実を動かしているドラマが『ウォッチメン』ですね。
(宇多丸)改めて注目されるようになったっていうことですもんね。これね。
(町山智浩)そうです。
(宇多丸)ということで『ウォッチメン』、普通に見ても面白い作品でしたけど、やっぱりそういう裏付けがあるということですね。
(町山智浩)はい。リアルタイムでアメリカが起こっていることをドラマは映画よりも早く反映していて。映画って3年から4年ぐらいかかるんですよ。企画から公開まで。配給というものがあるので。ただ、ドラマだと結構作ってすぐに出せる。すぐ出しっていうのができるんで、早いんですよ。
(宇多丸)あと、やっぱり(ケーブルテレビ局)HBOのドラマってすごいっすよね。なんかね、本当に。テーマといい、攻め方といい。『チェルノブイリ』とかも本当にすごいなと思ったけど。ということで『ウォッチメン』を推していただきました。これ、日本でもソフトとかでも全然見られるので。いろんな形で見てください。
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<書き起こしおわり>
アフター6ジャンクション(3)【特集コーナー】など | TBSラジオ | 2020/09/28/月 20:00-21:00 https://t.co/GTw3JD6m36 #radiko
— みやーんZZ (@miyearnzz) September 29, 2020
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ithiroki · 4 years
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町山智浩と宇多丸『ザ・ボーイズ』を語る
町山智浩さんが2020年9月28日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。ドラマ版『ウォッチメン』が描く現代アメリカ社会について、宇多丸さんと話していました。
(宇多丸)では、2本目に行ってみましょう。次のテレビドラマはなんでしょうか?
(町山智浩)はい。これはまさにアメリカの今の現在進行形ドラマです。『ザ・ボーイズ』ですね。
ザ・ボーイズ シーズン2
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(宇多丸)この番組でもまめちゃめちゃ話題にしているんですけども。改めて『ザ・ボーイズ』、特にシーズン2ですね。今、進行中。どんな作品なのか、熊崎くんからお願いします。
(熊崎風斗)はい。『ザ・ボーイズ』シーズン2です。原作はガース・エニス、ダリック・ロバートソンによるアメリカンコミックです。舞台は欲と名声に取り付かれ、腐敗したスーパーヒーローたちが活躍する世界。ヴォート社という巨大企業が雇う「セブン」というスーパーヒーローたちに「ボーイズ」と呼ばれる超能力を持たない人間たちが立ち向かうというストーリーです。去年の7月にアマゾンプライムビデオでシーズン1、全8話が配信されました。そして今年の9月にシーズン2が配信スタート。現在6話までが配信されています。で、シーズン2からこのセブンに新ヒーロー、ストームフロントが加わりましてセブンとザ・ボーイズの戦いは激化していくという内容です。
(宇多丸)町山さん、これ日本でも今は6話までですけど。ここアメリカも同じなんですかね?
(町山智浩)これは完全に同時進行ですね。アマゾンの方で。
(宇多丸)へー! やっぱり新しいエピソードが出るたびにね、ちょっとめちゃめちゃ楽しみにしてますけど。
(町山智浩)毎回毎回「えっ?」っていう展開になっていて。すごいですよね。
(宇多丸)特に6話が……町山さん、これネタバレに気をつけながらじゃないといけないですけども。6話、すごかった!
(町山智浩)難しいですね(笑)。
(宇多丸)まあ、ある程度はいいですけども。6話、なかなかすごい動きがあって。とにかく、今回の新キャラのストームフロント、「あいつ、最悪!」ってなっていたら……その「最悪」がちょっとこっちが想像していた最悪を上回っていたという。
(町山智浩)でも、あれが超リアルなんですよ。アメリカにとってはね。
(宇多丸)ちょっとじゃあそのあたりの話をお願いします。
(町山智浩)これ、『ザ・ボーイズ』って主人公たちはボーイズっていうスーパーヒーローと戦うならず者たちなんですね。アウトローなんですよ。主人公たちが。で、政府と完全に結託してるスーパーヒーローたちがセブンというグループで。これ、はっきり言ってその「警察と軍の民営化」みたいなことをスーパーヒーローにやらせていて。企業なんですよね。で、さらに広告代理店とも密接に繋がっていて。電通みたいな感じでもあって。あらゆる企業がそのスーパーヒーローたちによってコマーシャルとかで手伝ってもらっているので、それに文句を言えない状態になっていて。
で、スーパーヒーローは次々とニュースを作るんで、メディアまでも支配されちゃっているっていう。まあ、アメリカっていうか日本みたいなんですが(笑)。で、政府と結託しているんですが、その彼ら……このザ・ボーイズの一番最初のきっかけは主人公の彼女が民営警察であるセブンのスーパーヒーローの捜査に巻き込まれて死んでしまうってところから始まるんですよ。で、この彼女は有色人種なんですよ。で、それを巻き込んでしまったスーパーヒーローも黒人なんですけれども。
(宇多丸)Aトレインですね。
(町山智浩)まず、その警察機構が民間人を間違って殺してしまうんですが、それを起訴できないっていうところから始まるんですよ。
(宇多丸)ああ、その公的なあれの途中だったから。「ああ、すんません」みたいな感じで。
(町山智浩)「捜査の途中で殺してしまったんで……」っていうことで起訴をされない。これ、完全にアメリカで今、起こってるBlack Lives Matterのきっかけなんですよ。
(宇多丸)ああ、そうかそうか。たしかに。
(町山智浩)しかも、その捜査自体もミスというか、いい加減なものであったということがだんだん分かってくるんですけど。それも完全に今、アメリカで起こっている現状そのものなんですよ。
(宇多丸)なるほどね。そうかそうか。そういう構図もあるか。
(町山智浩)ここが一番の軸になってるんで。それに対抗する、そのボーイズの人たちがある意味、はっきり言ってアナーキストに近い人たちで。完全にアンダーグラウンド、地下に潜って非合法的に戦うしかないんですね。スーパーヒーローたちが体制側をコントロールしてるから。それも今のANTIFAみたいなBlack Lives Matterに対抗する人たちが闇のネットワーク化してるっていう部分とも繋がってくるんですよ。
(宇多丸)ちょっとANTIFAの説明もいるかもしれないですね、町山さん。
(町山智浩)ANTIFAっていうのは「Anti-Fascist」というものなんですが。アメリカで2017年にトランプ大統領を支持する白人至上主義者たちがたくさん集まって、集会を繰り返すっていうことが起こったんですね。で、これに対抗して反トランプの人たちもある程度武装しなきゃなんないということで始めたのがそのトランプに対抗する人たちの過激派組織、ANTIFAなんですけども。
特徴は完全に地下に潜ってることなんですよ。つまり、名前とか顔が知れると、顔がちょっと映っているだけで全部今って認識しちゃうじゃないですか。警察側は。だから顔を完全に隠して、マスクをして戦うっていう点で、一緒のだから『ウォッチメン』的な、スーパーヒーロー的なこともしてるわけなんですよ。マスクをしなきゃいけないっていうことで。
(宇多丸)お互いにマスクをかぶって。さっきの『ウォッチメン』ともかぶりますね。本当にね。
町山智浩と宇多丸 ドラマ版『ウォッチメン』を語る
町山智浩さんが2020年9月28日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。ドラマ版『ウォッチメン』が描く現代アメリカ社会について、宇多丸さんと話していました。
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2020.09.29
(町山智浩)そうなんですよ。だから、そのANTIFAみたいなものも『ザ・ボーイズ』に影響しているので。ある程度、非常に汚いやり方でしか戦えないという部分とかね。
(宇多丸)まあ、しょうがないよね。だってアングラ化しないと押さえつけられちゃうだけだし。
(町山智浩)そうなんですよ。だから怪物に対抗するために怪物になってしまった人たちの話なんですけども。で、もうひとつすごくこの『ザ・ボーイズ』の中でアメリカ人にとっては「リアルだな!」っていうところは、このホームランダーという正義のスーパーヒーローなんですよ。
ホームランダー
Homelander is easily my favorite villain on THE BOYS. I love to hate him. Aside from Butcher, he’s my favorite character. pic.twitter.com/LerTCydMNQ
— |ᗷᒪᗩKE| TᕼE ᐯIᒪᒪᗩIᑎ 😈 (@Enemies_Allies) September 20, 2020
(宇多丸)タチの悪いスーパーマンっていうかね。
(町山智浩)はい。で、彼は愛国者なんですよ。
(宇多丸)背中にだってね、あんな星条旗チックなマントをして。
(町山智浩)そう。星条旗を背負って。それで「私のすることはテロリストからアメリカを守ることだ」っていう。
(宇多丸)あの「世界を守る」っていう標語をわざわざ「アメリカを守る」に変えさせていましたもんね。
(町山智浩)そうそう。「世界を守ろう」とか「世界の��めに」って言うと「いや、そんなことはない。アメリカだけでいいんだ!」っていう。
(宇多丸)「アメリカファースト」ですよ。うん。
(町山智浩)そう。その通り。トランプ大統領が言った「アメリカファースト(アメリカ第一主義)」ですね。トランプ大統領はこの間、国連総会で「みんなも自国第一主義にした方がいいよ」って演説をしたんですよ。国連で。国連は「自国第一主義だと戦争になるからやめようね」っていうことで始めた団体なのに……。
(宇多丸)なんのための集まりなんだ?っていう(笑)。
(町山智浩)だから町内会とかに行って「町内会とか、やめた方がいいよ」って言っているのと同じなんですよ。トランプ大統領。まあ、完全にトランプ大統領の演説を元にした演説をそのホームランダーはするんですけど。それで彼自身がだんだんその国内のテロリストに対して攻撃をするようになって。そのへんもトランプ大統領がポートランドであったデモにね、国土安全保障省という本来、海外からのテロリストと戦うべき武装部隊を送り込んで、国内の反トランプの人たちを攻撃したっていう点と全く重なるんですよ。あのホームランダーのやったことは。
(宇多丸)はいはい。
BBCニュース -米長官、デモ続くポートランドから連邦職員は「撤退しない」 https://t.co/GWoZuhXIID
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) July 22, 2020
(町山智浩)国土安全保障省っていうのはあの「ホームランダー(Homelander)」っていう名前の元なんですよね。「Department of Homeland Security」っていうのが国土安全保障省なので。
(宇多丸)へー! じゃあすでに名前の中に何のメタファーであるかみたいなところがちょっと埋め込まれている?
(町山智浩)そうなんです。国土安全保障省っていうのは911テロの時にブッシュ政権が作った対テロ組織、機関なんですけどもも。ホームランダーっていうのはそれを体現化した人物なんですよ。
(宇多丸)なるほどね。そうか、そうか。そういうことなんだ。
(町山智浩)だからアメリカ人が見ると「ああ、これはDepartment of Homeland Securityだな」ってわかるっていうね。やっていることが。
(宇多丸)なるほど。わかりやすい文字りだし、やってることもそのままだし……っていう。
(町山智浩)そうなんですよ。で、彼自身がキリスト教原理主義者なんですよね。ホームランダーが。それでキリスト教原理主義の集会に行くと、「ゲイは罪だ!」とか言っているスーパーヒーローがいて。でも、実は彼がゲイだったっていうのも実際にあったことですよね。『ある少年の告白』っていう映画でそのキリスト教原理主義によるゲイ治療の実態が暴かれてましたけど。あれで「ゲイは罪だ!」とか言ってた人は実際にゲイだったんですよ。
町山智浩 キリスト教福音派映画『魂のゆくえ』『ある少年の告白』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でキリスト教福音派を扱った映画『魂のゆくえ』と『ある少年の告白』を紹介していました。
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2019.04.10
(宇多丸)うんうん。なんかフーバーとかもそうだけどさ、自分が抑圧したそういうのがあると、人に攻撃性が向くみたいなね。
(町山智浩)そうなんですよ。自分がゲイなんだけども、それが認められない人は他のゲイの人を攻撃するようになるんですけど。で、ホームランダー自身がね、バプタイズっていうんですけども。人を水の中に浸してもう1回、生まれ変わりさせるっていう儀式をやるんですね。
(宇多丸)洗礼式というか。
(町山智浩)そうですね。浸礼式っていうんですけども。あれはアメリカで本当に今、行われている福音派の人たちがやってることなんですよ。で、これなんかもすごくリアルで。トランプ大統領はそのキリスト教福音派の人たちの支持を得て大統領になっていて。今回もその福音派の人たちの支持を得るために、最高裁判事を指名したりとかしてるんで。そのリアルさですよね。
(宇多丸)なるほど。
(町山智浩)トランプ大統領は全然神とか信じてないんで。
(宇多丸)お金ならともかく……っていう。
(町山智浩)そこもホームランダー的でリアルなんですけども。
(宇多丸)なるほどね。そう。ホームランダー自身は別にそういうの信じてるタイプじゃないですもんね。自分だけだもんね。
(町山智浩)自分だけなんですよ。そう。そのへんもすごくリアルで。あとホームランダーって明らかに金髪、染めている感じなんかもリアルなんですよね。
(宇多丸)ああー、そうか! なるほどね。トランプのあの不自然な頭と……たしかに!
(町山智浩)あの不自然な髪の感じとかと。
(宇多丸)なるほど、なるほど。
(町山智浩)あと、ディープっていうのが出てくるでしょう? あのイチローにそっくりな。
(宇多丸)まあ、演じている俳優さんがね(笑)。キャラとしてはアクアマン的な……。
ディープ
THE DEEP = ICHIRO#TheBoys pic.twitter.com/2gGgO9TnBL
— TK (@zuma0522) September 12, 2020
(町山智浩)あのね、全然イチローさんと性格とか全く違うんですけど。顔が瓜二つなんですよ(笑)。まあ、顔だけですけども(笑)。彼がさ、セクハラをするじゃないですか。あのへんもだから今、起こってるそのMeTooのムーブメントですよね。それで、セクハラをしてセブンをクビになった後にディープがある宗教団体……共同教会という宗教団体によって、セクハラをリハビリするんですよ。あれ、サイエントロジーのことですよ。
(宇多丸)ああ、なるほど! そうかそうかそうか。そうなんだ。なるほどね。それでだから、「こういう風にやれば復帰できますよ」みたいな。「こうすれば外面もよく見えますよ」みたいなことを全部お膳立てしてあげるけど。そういう……なるほどね。
(町山智浩)あのね、リハビリをするんです。だからトム・クルーズがサイエントロジーに入ったのは彼、読書障害があって。台本とか読めなかったんですよね。で、今は読めるんですけど。それを直してあげたのがサイエントロジーなんですよ。
(宇多丸)なるほど。
(町山智浩)そういうとこから入り込んでくるんですよ。
(宇多丸)その人の弱点としている部分というか。それを補ってあげることで。
(町山智浩)はい。あそこでそのディープが、その代わりに奥さんを決められちゃうっていう。見合いをしてね。あれもトム・クルーズがやった見合いなんですよ。
(宇多丸)ああ、そうなの?
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ithiroki · 4 years
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2020年09月27日 有吉弘行のサンドリ 出演:有吉弘行 アシスタント:酒井健太(アルコ&ピース), 山本浩司(タイムマシーン3号) 有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER サンデーナイトドリーマー サンドリ via YouTube https://www.youtube.com/watch?v=iIVQhZqTjv4
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