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TREM2 Maintains Microglial Metabolic Fitness in Alzheimer’s Disease(journal club No.1)
【まとめ】
TREM2はアルツハイマー病において、mTORを介したシグナル経路によってマイクログリアのエネルギー代謝を維持する。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867417308309?via%3Dihub
TREM2(Trigging receptor expressed on myeloid cells 2)は、マイクログリアに発現する脂質受容体である。孤発性アルツハイマー患者においてTREM2の変異(R47H, R62H)が発見され、この変異がアルツハイマー病モデルマウスでAβの蓄積を促進することが知られている。しかしながら、TREM2がアルツハイマー病に関わる機構は明らかになっていない。
1,TREM2がアルツハイマー病においてマイクログリアに及ぼす影響を見つけるために、マクログリアの観察を行った。REM2 -/-アルツハイマー病モデルマウス、及びTREM2変異を持つアルツハイマー病患者のマイクログリアでは、より多くのオートファゴソームが観察された。
TREM2欠損によるオートファジーは、mTORシグナルの障害が原因で生じるという仮説を立てた。
2,仮説を検証するため、mTORシグナル関連分子のリン酸化を調べた。TREM2 -/-マイクログリアではmTOR1,2作動因子のリン酸化の程度は低く、mTORシグナルに障害があるという仮説に合致した。またAMPKのリン酸化が検出され、TREM2 -/-マイクログリアでエネルギー状態が低いことが示唆された。
TREM2欠損によりエネルギー代謝に異常が生じると仮説を立てた。
3,TREM2欠損により、in vitro 骨髄由来マクロファージ(BMDMs)でもオートファゴソームとmTORの抑制が生じる。TREM2欠損によるエネルギー代謝への影響を明らかにするために、TREM2 -/- BMDMsを用いて細胞内代謝物の質量分析及びRNA-seqを行った。WTと比較してTREM2 -/-では、解糖系、TCAサイクル、ペントースリン酸経路活性が低かった。さらに、ATPレベルとミトコンドリア質量が減少しており、TREM2欠損がエネルギー状態の異常を引き起こすという仮説に合致した。
エネルギー状態の異常が上記表現型の原因であると仮説を立てた。
4,ATPレベルの維持によって、TREM2欠損の表現型をレスキューできるか検証した。シクロクレアチンは安定なクレアチンアナログで、クレアチンキナーゼの働きによってATPを産生に使われる。シクロクレアチンを用いて細胞内ATPレベルを保つことでレスキューを試みた。TREM2 -/- BMDMsでミトコンドリア質量の減少、オートファゴソーム形成、mTORシグナル異常に改善が見られた。またREM2 -/-アルツハイマー病モデルマウスのマイクログリアでもオートファゴソーム形成が改善され、Aβプラークを取り囲む構造が見られた。
これらの結果から、TREM2はmTORを介したシグナル経路によってマイクログリア細胞内エネルギー状態を維持する役割があると考えられる。TRM2欠損によるエネルギー異常は、クレアチンキナーゼ経路によって補償可能であった。このことから、マイクログリアの代謝を維持することで、アルツハイマー病やTRM2/マイクログリアの異常が関わる神経変性疾患の治療につながると期待される。
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神経はリニューアルされるか?
従来神経細胞は大人では増えないとされていました。 脳の病気の多くは神経細胞が皮膚などと異なりほとんど新生をしないことが問題となっています。 ところが、神経の新生が起きておりそのメカニズムを解明し人為的にコントロールすれば多くの神経疾患を治療することができるというシナリオが現実味を帯びます。 しかし、Gage (F.H. Gage)らが海馬周囲で未分化の神経細胞を発見して以来 さまざまな証拠が提示され、成熟した人間でもある程度は神経細胞が新たに生まれていると考えられるようになってきました。
ヒトの解析を行ったところ、胎児や生後発達期では増殖中の神経前駆細胞が存在するが 成熟したヒトからは検出できなかった。 また猿でも同様の結果が見られたことから、神経の新生は霊長類で発達期では起こっているが成熟するとほとんど起こらないことを意味します。 やはりヒトでは大人では神経の新生は起こっていないのかもしれません。
https://www.nature.com/articles/nature25975
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見えないものを見る
生物学は基本的に昔も今もダイナミクスの観察です。おこるイベントを理解するには人間の認識範囲に変換してあげることが必要になります。
時間軸でいうと私達が感じれるのは秒単位が非常にわかりやすく、高速のイベントはスローに。長いイベントは早回しで観察する方向に進んできました。
前者はハイスピードカメラ、後者はタイムラプスが主に用いられています。
大きさでいうと細胞や細胞内小分子は非常に小さいため拡大する必要があります。
そこで顕微鏡技術が発展してきました。
生物を構成している細部はほとんどが水で半透明です。さらに、細胞の機能を支える高分子は非常に小さいため生きたまま可視化する技術が研究され蛍光顕微鏡等が発展してきました。
しかしその多くは細胞に処理をすることが必要でそ���ために細胞が死んでしまいます。
そのため、写真撮影ができますが生き生きと動いている様子は想像するしかなく、なんとかして生きたまま観察する方法が試行錯誤されてきました。
ものは目で見ますが、人間の多くは三色視をするが、これは人間の目が赤、緑、青の三色に応答するからです。
これは光の特定の周波数に分離していることで達成されています。
つまり光を3つに分けているわけです。これを100程度に分離する技術を組み込んだカメラがハイパースペクトルカメラです。
一方、細胞に光を当てると吸収と反射がおこりますが、どの波長が吸収されどの波長が反射するのかは物質の性質によります。
従って、ハイパースペクトルカメラを使うことで、従来よりも更に詳細に物質の構成を見ることができます。
https://www.nature.com/articles/ncomms8990
スペクトルを取って解析することで多重蛍光の分離や、性質のちがいよる光の分析などができるようになります。
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TRPV1をIHで温めてみよう
TRPV1はもともとカプサイシンの受容体として発見されたカチオンチャネルで、痛み感覚神経に発現しており、熱でも応答することから熱やカプサイシンによりカチオンを流入させることで痛み神経を活性化させると考えられている。熱によって活性化できることから特定の細胞に発現させ熱を加えることで、活動電位の発生やカルシウム経路による発現調節に利用されるようになってきた。
ferritinは細胞内で鉄を取り込むことで鉄のパーティクルを作る。この鉄のパーティクルに高周波を当てると熱が発生することが知られている。(InducitionHeating:IH家電と同じですね。)そこでTRPV1の近傍に何らかの形で鉄を配置してあげて高周波を与えてやれば、TRPV1が活性化するというシナリオが考えられる。
結果的にはTRPV1のN端にanti-GFPをつけて、GFP-ferritinをつけておけばそれで十分TRPV1は活性化できる。TRPV1はカルシウム流入を興すことができるため、神経細胞の直接活性化とNFAT経由の遺伝子発現に使える。(ON型)さらにTRPM2とTRPV1のキメラにすることでOFF型も可能のようだ。
http://www.nature.com/articles/nature17183
https://www.nature.com/articles/nm.3730
http://science.sciencemag.org/content/336/6081/604.full
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形作りと硬さ
発生期の細胞移動は組織の硬さをtalin-vinculinで受け取ることで決まるhttps://www.nature.com/articles/nature25742
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ゲノムでどこまで決まるか
ニューヨーク市民10000人の行動データ、健康データ、ゲノムデータを20年トラッキングするプロジェクト 
https://www.thehumanproject.org/
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KU70/80を抑えるとHDRの効率が上がる
CRISPR-Cas9などのゲノム編集ツールによる正確な遺伝子改変の導入は、非相同末端結合(NHEJ)経路の高い効率と比較して相同組換え修復(HDR)の効率が相対的に低いことによって制限されている。HDRを増強して正確な遺伝子改変が導入されるようにするため、我々は「traffic light」などのレポーター系で遺伝子サイレンシング、DNAリガーゼIV阻害剤SCR7、またはアデノウイルス4のE1B55KおよびE4orf6タンパク質の共発現を用いることにより、NHEJの重要分子であるKU70、KU80、またはDNAリガーゼIVを抑制した。KU70およびDNAリガーゼIVの抑制は、HDRの効率を4~5倍に向上させる。E1B55KおよびE4orf6は、Cas9系と共発現させると、ヒト細胞株およびマウス細胞株の双方でHDRの効率を最高8倍まで向上させ、NHEJ活性はほぼ消失した。我々の知見は、哺乳類細胞の正確な遺伝子改変の頻度を向上させる有用なツールを提供する。
http://www.nature.com/nbt/journal/v33/n5/fp/nbt.3198_ja.html?lang=ja
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